第009回国会 文部委員会 第2号
昭和二十五年十一月二十八日(火曜日)
    午前十一時十二分開議
 出席委員
   委員長 長野 長廣君
   理事 岡延右エ門君 理事 小西 英雄君
   理事 圓谷 光衞君 理事 小林 信一君
   理事 松本 七郎君
      佐藤 重遠君    高木  章君
      若林 義孝君    笹森 順造君
      渡部 義通君    小林  進君
      浦口 鉄男君
 出席政府委員
        警察予備隊本部
        次長      江口見登留君
        文部政務次官  水谷  昇君
 委員外の出席者
        文部事務官
        (大臣官房会計
        課長)     寺中 作雄君
        文部事務官
        (初等中等教育
        局中等教育課
        長)      大田 周夫君
       專  門  員 横田重左衞門君
        專  門  員 石井  勗君
    ―――――――――――――
十一月二十七日
 委員岡延右エ門君及び甲木保君辞任につき、そ
 の補欠として田中元君及び鹿野彦吉君が議長の
 指名で委員に選任した。
同月二十八日
 委員田中元君辞任につき、その補欠として岡延
右エ門君が議長の指名で委員に選任された。
 岡延右エ門君が理事に補欠当選した。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 理事の互選
 連合審査会開会申入に関する件
 宗教教育に関する件
 文部省所管の昭和二十五年度補正予算に関する
 件
    ―――――――――――――
○長野委員長 これより会議を開きます。
 理事の補欠選挙を行います。昨二十七日、理事岡延右エ門君が委員を辞任されたので、その補欠選挙を行います。
 理事の選挙はその手続を省略して委員長において指名するに御異議ございませんか。
○長野委員長 御異議なしと認め、それでは私から岡延右エ門君を理事に指名いたします。
    ―――――――――――――
○長野委員長 前会に引続きまして宗教教育に関して質疑を続行いたします。若林義孝君。
○若林委員 前会におきまして、法務総裁並びに文部大臣、江口政府委員から、いろいろ宗教問題に関連して御説明を伺つたのでありますが、今日その御説明を骨子といたしまして、若干質疑を続行してみたいと思うのであります。まずお尋ねいたしたいのは、文部大臣の見解といたしましては、警察予備隊に対して、特別に警察予備隊なるがゆえにという考えは、自分は持つておらぬが、一般社会人としての教養を高めることは必要であるという御見解であつたのであります。そういう意味において警察予備隊の教養を高める教育には、どういうような方法をとつておられるか、いかなる人々がそれに当つておられるか、どういう資格を持つておる人がやつておられるかということについて、ひとつ御説明を伺いたいと思います。
○江口政府委員 先般法務総裁からもお答え申し上げました通り、警察予備隊は発足早々でございまして、目下のところは実技と申しますか、訓練の方に重点が注がれておるのでございます。お話の精神教育と申しますか、その方面の教育には、まだ十分とは申されない事情にある次第でございますが、若林さんのお話の通りその方面の教育もきわめて重要視して参らなければならないものとかように考えております。従いまして、特にその方面の教育に当る人を別に選任しておるというふうなことも、目下のところやつていない次第でございますが、まだ幹部になる人々に関係いたしましても、仮の隊長が主として部隊の指導に当るというふうな事情でございまして、ここ一、二箇月いたしますれば、ほんとうに資格を持ちました、階級を持ちました上級幹部がそろいまして、その人々を通じてそういう方面の教養もできるだけ充実して行きたい、かように考えておる次第であります。
○若林委員 この教養と申しますものは、寒ければ衣服をまとい、腹が減れば食物を食べなければならぬと同じように、精神訓育というものは、心のかてであると思うのであります。一刻も空白があつてはならぬのではないかと思います。現在でもすでに、前回に申し上げましたように、一般国民から見る目と、隊員自身が自覚をしておられるところとに、非常な食い違いがあります。東京あたりでは、さほどその弊害はないと思いますけれども、いなかの方で駐屯と申しますか訓練を受けておられます人たちが社会へ出て来たときに、いろいろな不幸に考えられるようなできごとが起つているようでありまして、最初前の軍隊生活の味を覚えている、その全面とは申しませんけれども片鱗が街頭において見られるわけで、その気分で行く。それから一般の者が見る目は、前の軍隊を見る目で見ないという、そこに齟齬があるわけでありまして、一刻も早く教養面について精神訓練と申しますかに、衣類の世話をするより先に着手されてほしいと私は思うのであります。これは隊員を思うがゆえに、一刻も早くこれに手をおつけになりまして、計画をお立て願いたいと考えるのであります。今は早早の際であるから、そこまで来ておらぬという御事情は了とするのでありますが、江口さんとしては、個人の意見でけつこうでございますが、私の考えるところを申しますと、前の軍隊教育などは、軍隊に関係のある士官学校から陸軍大学を出たような人たちばかりで、世間を見ない、ただもう一途に軍ということばかりを考える人に教育をされたために、一般社会人として妥当でないような気分が、その隊の中にみなぎつておつた。その結果が、ああいうふうな戰争を引起す原因になつたのではないかと思うのであります。あるいは警察にいたしましても、私たちその感を深くするのでありまして、警察という、悪いことをすれば人をおつこくるというその目だけで見るものでありますから、汽車の中などでも、あの警乗員の方たちが通路を歩かれて、愉快な感じはしないで不愉快な感じを持つ、社会人とは一種特別の人間に育てられているというような感じがするのでありますから、将来はその点をひとつ是正をする必要があるのじやないか特に教育という精神方面をあずかつている文部省などの意見を、尊重せられて行くべきではないかと考えるわけでありますが、個人的な、自分はこういうような構想を持つておる――おさしつかえがあれば速記をとめていただいてもいいわけでありますが、忌憚のないお考えを伺つてみたいと思います。
○江口政府委員 お話の通り、教養問題は、確かに精神的なかてでございまして、一日もゆるがせにすることができないことは、お話の通りでございます。われわれといたしましても、できるだけそういう方面の教養に力こぶを入れて行きたい、そうして数年なり勤めて予備隊を出て帰りました青年が、その村におきましても、きわめて優秀な尊敬さるべき人物となつて帰つてもらいたいという気持は、常に持つておる次第でございます。従いまして、予備隊に入つております間に、何年か勤めまして、昔の兵隊のように、ただ一方的な教育しか受けずに、世間のこともわからずに除隊して帰るというようなことではないように、できるだけ部隊におきましても、特別課外講演と申しますか、あるいは知名な人に来ていただきまして、いろいろ講演を願うとか、そういうふうな計画も実は持つておるのでございますが、先ほどもお話申し上げましたように、出発早々でございまするし、またその訓練の方面におきましては、関係筋の非常な指導援助を受けておるような次第もございまして、すべて関係筋との話合いのもとに、いろいろな行事を進めて参つておるような次第でございますので、若林さんのお話、私まことに同感いたすところでございますが、まだその緒についていない次第でございます。できるだけすみかに、われわれが考えます通りの方向に、予備隊員の教養を高めて行きたいと考えておる次第でございます。
○若林委員 先日ちよつと申し上げておきましたし、法務総裁にちよつと資料を差上げておいたのでありますが、アメリカのチヤプレイン制――前回には深く御研究願つておらなんだと思いますが、御尊覧を願つたと思うのでありまして、この制度を予備隊に適用し得るかどうか、これはむろんまだ公にはお取上げになる時間はございませんから、あなた個人のお考えを承りたいと思います。
○江口政府委員 チヤプレイン制度に関しまして、若林さんからお話がございまして、私も多少そういう方面の書物を実は読んでみたような始末でございまするが、やはり関係方面とのいろいろ連絡をとつて参らなければならない予備隊の現在の事情でございますので、急速には参りかねるかと存じますが、将来の問題としては、やはりアメリカにもそういう制度がありまする以上、日本としても何か考えて参らなければならぬのではないか、かように考えております。
○若林委員 私、江口政府委員の御懇篤な、非常にあたたかいお気持を伺つたので、その方向に進んでいただくことを希望いたしまして、一応打切ります。ありがとうございました。
○笹森委員 一般の宗教教育に関するお尋ねは、別な機会にするといたしまして、せつかく江口さんがおいでになつておりますので、ただいま若林さんのお尋ねになりましたことに関連いたしまして、一、二お尋ねいたしたいと思います。
 警察予備隊が特にその目的を遂げるために必要ないろいろな資格について、嚴重な試験、あるいはまた審査等をされ、検討されて、その隊員を採用されたということに承知いたしておるのでありますが、特に今日この議題に上つております宗教教育に関して、なおお尋ねしておきたい点は、ただいま若林君の言われましたような趣旨を最もよく徹底させ、将来への立法的な措置なり、あるいは指導の方針なりに関係があります点について、お尋ねしたいのであります。と申しまするのは、せんだつて採用されますについてのいろいろな資格のお調べがあつたと思います。特に思想動向に関すること、過去においてその人が所属しておりましたいろいろな政治団体、思想団体等についての調査もあつたと思うのでありますが、特にお尋ねしたいのは、その際にその人の宗教的な立場、すなわちその人が無宗教であつたか、宗教を信ずる者であつたか、あるいはまたそれはどういう宗教を信奉しておつた者であるか、どういう教派に、どういう教会に、どういう寺院に、あるいはまたどういうそのほかの宗教団体に所属しておつた者であるかという点のお調べをしたかどうか。これはそのことの用意なしには、ただいま若林さんのお尋ねになりました将来の指導の根本が欠けておると思うのであります。もしもそういう方面が欠けているといたしますと、思想の動向に関するいろいろな調査をして採用になつたという、根本のことが欠けておるのではないかと思いますので、その方面に関することを調査なされて採用になつたか、その点をお尋ねいたします。
○江口政府委員 予備隊員を採用しますにあたりまして、その信奉しておる宗教がどういうものであるかということを、調査したことがあるかというお尋ねであつたと思います。私今記憶いたしておりませんが、募集の方は、御承知の通りすべて国警の方へお願いして採用していただいたのでございまして、その際そういう項目を挿入してありましたかどうか、後ほど調べまして御回答申し上げさせていただきたいと存じます。
○笹森委員 どういう試験があつたか、後に調査されて御報告くださるということでけつこうであります。それをぜひ伺いたいと思います。もしもそういうことをしておらぬとするならば、これからでもぜひその調査は必要でなかろうかと思うのであります。なぜかと申しますると、戰前、戰後における国の宗教に対する立場が一転いたしたことは、御承知の通りであります。しかし宗教の自由という立場は、憲法でも十分認められておりますが、その間隙を縫うて、最近宗教団体として活動しておりますものの中に、倫理道徳の方面から見て、あるいは社会の安寧秩序から見て、まことにわれわれが顰蹙しなければならない、多くの事象を見ておることは、御承知の通りであります。そうしてこれがやはり国内の安寧秩序を保つことのために、責任を負うべき指導の地位になければならない、この警察予備隊自体が持たなければならない、その精神的な大きな根本をなすものが関連を持つことと信ずるのであります。こういう意味においても、今までその方々を調べておらぬとするならば、どういう宗教的な動向にあるかを明確にしていただく必要がある。それなしに、單なる他の思想の一面だけをとつてのその人の資格の審査であつたのでは、また採用の仕方であつたのでは、ただいま若林委員が言われた目的を遂げられないと思いますので、ぜひこれはやつていただかなければならぬ。これは憲法できめられました宗教の自由ということと、このごろ起つております社会の秩序を紊乱するような、非常に大きな問題に関連がありますので、これは單に警察予備隊ばかりの問題でなしに、いずれ大臣が来ましたときに、そのことについては方針を承りたいと思いますが、特に私がこの機会にこの一点だけを要望いたしておきたいと思いますことは――御報告をいただいて満足であればけつこうでありますが、そうでなければぜひとも御考慮願わなければならぬことは、その人々の宗教動向、過去に属しておつた宗教団体、現在どういうぐあいに自分の宗教情操なり、宗教の信仰なりを教養しつつあるかという的確なものを、私どもはぜひ少くとも警察予備隊の方々については知りたいと思うのであります。この意味において、さらにその希望もつけてただいまの資料をいただいた上で、また私の質問を続けさせていただきたいと思います。
○渡部委員 この前法務総裁から、警察予備隊のいわば指導方針がどこにあるかという質問に対して、大体憲法を遵守するとか、上司の命令に従うとか、それから職務上の義務に矛盾する団体に加入しないとか、こういつた四つほどの項目を掲げておつたようであります。特に職務上の義務に矛盾する団体に加入しないという点について尋ねたいわけですが、職務上の義務に矛盾する団体ということを、予備隊の方としてはどういうふうに理解しておられるか、その点伺います。
○江口政府委員 予備隊員となりました以上は、予備隊の使命達成のために、專一にその義務を履行してもらわなければなりませんので、他の団体等から指示、命令がありました際に、その方を優先してその方に従うというようなことがありましたのでは、予備隊の使命、目的が達成されませんので、そういう条項が設けてあるのでございます。それがどういう団体であるかというふうなことにつきましては、具体的に申し上げるほど、まだ調査いたしていない次第であります。
○渡部委員 そうするとどのような政党であれ、たとえば組合であれ、予備隊と別個の他の団体には加入してならないとか、そういう意味でありますか。
○江口政府委員 一切他のものに加盟、加入してはならぬかというお尋ねだと思いますが、それはその方面の命令、指示を優先的に取上げなければならないというような団体には加入してはならない、こういう趣旨であります。
○渡部委員 それは警察予備隊が、たとえば警察予備隊というものに加入しておる一つの俸給生活者、あるいは勤労者として、労働組合を結成し、あるいは労働組合の運動をするというような場合にはどうなりますか。
○江口政府委員 ただいま申し上げましたように、警察予備隊の使命、目的にかんがみまして、みずからその内部に一つの団体をつくるというふうなことは、その目的に違反する場合がしばしば生ずるという考え方から、いわゆる労働法は警察予備隊員には適用しないという規定になつております。
○渡部委員 そうすると、警察予備隊員であるという理由から、ただそれ溶けのことから、基本的人権に属するいろいろな権利が制限されるということになるわけですか。
○江口政府委員 基本的人権の問題は、やはり社会公共の福祉というものと常ににらみ合せになるものだと私は考えております。警察予備隊の使命から考えまして、国警、自治警の足らざるところを補う、公共の福祉の保障に任ずるという目的、大きな使命から申しまして、労働組合というようなものを予備隊の中に設けるようなことを認めては、それに矛盾する場合が起るとこう考えております。あらゆる労働法は警察予備隊には適用しないという政令になつております。
○渡部委員 基本的人権というのは、御存じのように、これはいろいろな法律に制約されることのない永久的な人権であるわけでして、それを制限するということは、明らかに憲法の違反になるわけであります。それで労働組合さえも結成することが許されないということは、労働法を別として端末的人権そのものを制約してしまうことになるのであつて、非常に重大な問題であると思うわけです。次にまた信教の自由ということも、これも他のものによつて制約されないという特別の項目がつけられた憲法上の規定になつておるわけでありますが、いろいろな思想的な制約があるとすれば、その点にも警察予備隊の教育、指導精神というものが矛盾することになるわけでありますが、この点はどういうふうにお考えになりますか。
○江口政府委員 その目的いかんによりましては、そういう制限がしかれることも、やむを得ないのではないかと考えております。国家公務員につきましても、その種の制限がございまするし、それよりももつと強い規律を要求されます警察予備隊におきましては、あるいは国家公務員以上のその種の制限がしかれることも、やむを得ないものではないか、かように考えます。
○渡部委員 強い制約といいましても、基本的人権を制約するというようなことは、これはいかなることによつても制約することができないばかりでなくて、永久的な人間としての権利であるというふうに規定されておる場合に、警察予備隊の隊員であるということの理由によつて、こういう基本的な人権を制約することはできないと思うわけです。それを制約されるところに問題があるわけであります。公共の福祉と申されますけれども、公共の福祉ということは、日本人全体がたれしも憲法と関連しておる問題であるけれども、しかし一般の人は基本的人権の制約において、警察予備隊よりは異なつた形をとつておるわけです。そうすると、たとい公共の福祉という問題を関連に頭に置いたところで、警察予備隊の今日とられておる指導精神、労働組合もつくれないというようなことは、明らかに憲法の違反であるというふうに考えられるわけです。その点について、たとい公共の福祉ということを考慮に入れて、それと関連して考えた上でも、憲法の違反にならないという確信がおありですか。
○江口政府委員 私は先ほども申し上げましたように、確信いたしております。あるいはこれ以上申し上げますると、見解の相違ということになるかもしれませんので、これ以上申し上げかねます。
○渡部委員 見解の相違ということで、いつもあなたたちは片づけてしまおうとされますけれども、基本的な人権というものが、警察予備隊の隊員であることにおつて制限されるということは、重大な問題でありますし、いわんや警察予備隊員が、やはり一つの勤労者であるというようなことから当然出て来るところの団結権とか団体交渉権とか、その他の労働権というものも出て来るはずだと思います。この点については見解の相違だと言われればそれまででありますけれども、われわれは常に重大な関心をもつて警察予備隊の運営の方向を見きわめて行かなければならぬと思いますから、今後も具体的な問題について質問する場合があると思います。それで今日はその点だけについて質問して、あとは他の機会に保留しておきます。
○長野委員長 ほかにもう質疑はありませんか。
    ―――――――――――――
○松本(七)委員 ちよつと議事進行について……。実は地方行政委員会において、目下地方公務員法案が審議されております。これは教職員の関係もございますし、文部委員会でひとつ連合審査を要求していただきたい。そしてなるべく早い機会にやつていただくように、委員長からとりはからつてもらいたいと思います。
○長野委員長 今ちようどお諮りしようとしていたところです。目下地方行政委員会において、地方公務員法案を審査中でありますが、文部委員会は、該法案に関して地方行政委員会に連合審査の申出をされるかいなか、この点について皆さんの御意見を承りたいと思います。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○長野委員長 それではさようにいたしまして委員長において処理いたしたいと存じます。
    ―――――――――――――
○長野委員長 文部当局より昭和二十五年度の補正予算について文部省所管の予算について説明を聽取いたしたいと存じましたが、まだ実はその係が見えてないそうですから、あとまわしにいたしまして、さらに質問のある方はこの際に願います。
    〔委員長退席、岡(延)委員長代理
  着席〕
○笹森委員 御承知の通りに、以前には学校の宗教教育に関して、非常に嚴重な一つの規定があつた。すなわち学科課程に関して法令の規定がある学校においては、その学校の中で宗教の教義も教えられないし、また宗教の行事もやつてはいけないということが、ずつと長い間続いておりまして、それがために特にそういうことを希望する学校は、他の公立学校と教授等の内容程度が同様であつても、いわゆる各種学校という範疇に入れられて、それが文部大臣の指定、陸海軍大臣の認定ということでやつておつたのが戰前の例であることは、御承知の通りであります。しかるところ、その後に憲法も改まり、私立学校であるならば、いろいろな面において、その学校の必要と感ずることは、先ほど申し上げましたような制約なしにやつて来ているのが現状でありますが、なお進んで翻る宗教団体が、公立学校においても、その学校の校長なり、あるいはまた校内における教授の方法がそういうことを必要と感ずる場合には取扱う自由を許してくれ、こういう運動があつたように私ども仄聞しておりますが、そういうことが現在ありますかどうか、お尋ねいたします。
○大田説明員 今お話になりましたように、私立学校におきましては宗教教育はできますが、公立学校におきましては教育基本法第九条に、特定の宗派の教育をしてはいけないという規定がございますので、公立学校では宗教教育はできないということになつております。
○笹森委員 この前私ども新しい憲法をつくりましたとき、私ども委員としてこの問題に触れて、いろいろと詳しく審議したことがあるので、当時文部大臣であつた田中耕太郎氏がこの問題に触れたときと今とは、よほど問題がかわり、情勢がかわつて来ていると思いますから、実はお尋ねするわけであります。憲法の条文とただいま御答弁になつたことは、その通りだと思つております。但しそのときに公立学校においても、学校の授業ではなくて、その中に学生が独自の機関をつくり、あるいはまた教授、学生等においてそういう特別な団体をつくつて、そうして宗教的なるいろいろな活動をすることについては何ら妨げはないのだ、こういうようなことも私どもが論議をし、そういう結論になつたと思つておりますが、ただいまのお話では、公立学校は絶対に宗教教育に関することを取扱つてはいけない、そう厳格に仰せになるのかどうなのか。あの憲法を私どもが審議した当時の文部大臣の答弁と、ただいまの答弁とは違うようでありますから、その点を明らかにしていただきたいと思います。
○大田説明員 私が今お答え申し上げましたのは、学校における教科としてはやることはできない、クラブ活動――私どもの方では特別教育活動と言つておりますが、そういう方面で生徒が自主的にそういう活動をすることはさしつかえない。学校の教員がそういうクラブ活動に参加することを強要するようなことはいけませんが、生徒自身が自発的にやることはさしつかえない。それは昨年十月二十五日の通牒で、そういうことを出しております。
○笹森委員 公立学校における宗教教育に対する態度がはつきりしていることは、私どももそう思つておるから、特に誤解があつてはならぬと思つて当局にお尋ねしたわけであります。そこで進んでお尋ねしたいのでありますが、私立学校においても、いずれの宗教を教えている学校でも、宗教を強制している学校を私は一つも聞いておりません。従つてこの点については、何ら矛盾がないと思います。但し、神学校であるとか、あるいはまた特に仏教の僧侶を養成する学校であるとかは、これは当然その教義、教派を教えることは申し上げるまでもないのでありますが、私どもの特にお尋ねしたい点は何であるかというと、これは重大な問題だと実は考えますので、この点はよほどはつきりしておかなければならぬと思うのですが、今後の日本の倫理道徳の問題と、それから修身科というものを復活するかしないかという問題と、国民全体の健全なる倫理観を進めて行く、あるいはまた健全なる宗教良心を培養して行く、宗教心を養い、また正しい信仰を進めて行くという点とにおいて、文部省のこの取扱い方がもしも間違いを起すならば、将来に対して非常な離間を生ずると思いますので案はお尋ねするのであります。この点に関しましては、いずれ文部大臣がお見えになつてからお尋ねしたいと思うのでありますが、特に私ども憂えておる問題は何かというと、修身がなくなつたということが、日本の国民の精神指導の上に、つまり健全なる良識を持ち、倫理観を持つ日本の民族をつくり上げる上において、大いなる欠陷を持つということについて、多くの教育者が感じております点は、実は私どもがほかの国を見ますと、ほかの国は修身科というものはない。倫理学というものは学問の系統としてはどこでもやつておりますが、しかし中学校、小学校には修身科というものはない。しかも過去の日本において修身があつた時よりも、効果をあげているのは、外国においてはサンデー・スクールというものを持つておる。このサンデー・スクールが、そもそも宗教心ばかりでなく――むろん宗教心が中心でありましようけれども、その以外に、ほんとうに倫理道徳の観念を日常に養つている。そうしてだれでも日曜日の午前だけは、ぜひそこに行つて、よい人の道を学ぶという教育が持たれておる。ところが現在日本においては、キリスト教にしても、仏教にしても、神道にしても、そういう修身科を持たない外国が十分に指導しておるような現実の環境をみな持つていないということを、私どもは実に憂うるものであります。そういう間隙に乗じて、淫祠邪教の範疇に入れてさしつかえないと思うようなものがはびこつて来る。従つてそういう宗教と論理道徳の関係が、めちやめちやになるという悲しい状況を私どもは見ておる。ここに文部省が、特に宗務課において、宗教団体というものを取扱うだけでなく、根本的の指導のことを考えて行かなければならないのではないかと思つて、お尋ねしておるわけであります。従つてお尋ねしたいのは、学校において修身科を持たない現在、それを、補うために、宗教本能、あるいは宗教情操でもよろしいが、それとともに倫理道徳を子供らに与えるために必要なことと考えられる各宗教団体のサンデー・スクール等に出入りすることに対する考え方はどうなつておるか。戰争中はそういうところに行つてはいかぬといつて、学校の教員が反対的な態度をとつておつた。今後はこれに対して、文部省の立場は、どういうつもりでそういう方面の間隙を補つて行く方針であるか、伺つておきます。
○大田説明員 学校の教員が、これこれの日曜学校に行けということを強要することは、好ましくありませんが、生徒自身が任意に、自主的に行くことはさしつかえないのであります。今お話になりましたようなことは、個人として行く場合は非常にけつこうだと思います。学校側でぜひこれこれの日曜学校に出席せいということは、教育的に見まして好ましくございません。個人が行くことはさしつかえないことでございますから、そういう方向に御指導なさればけつこうと思います。
○笹森委員 それはただいま御答弁の通りだと思います。そこで一歩進めてお尋ねしたいのですが、学校の先生方の所属しております宗教団体なり、あるいは無宗教者であるか、あるいは宗教を信じておる者であるか、あるいはまた現在きわめて熱心にある種の宗教の活動を、常にその人の日常生活の中でまじめにやつておる者であるかどうかという方面の調査は、教員に対して文部省の方では何かなされたものがあるかないか。つまり、教員の宗教調査ができておるかどうかを、お尋ねいたします。
○大田説明員 教員の宗教についての調査はいたしておりません。
○笹森委員 これは先ほど警察予備隊の関係者にもお願いをしておいたのでありますが、思想の調査、あるいは教育程度の調査、技能の程度の調査を今までやつておつたと同じように、公立学校に関係しております、特に義務教育に関係しております教員に対して、宗教に対する調査をぜひ文部省でやつていただきたいと私は希望するのでありますが、この希望に対してどういう反応を持つておるか、お尋ねしておきます。お答えできなければ、文部大臣に聞きますから、よろしゆうございます。
○若林委員 関連して、今笹森委員からお尋ねになつた点について、少し文部当局にお願いしておきたいことがあります。昨年の十月二十五日付の次官通牒で、大体今まで教育関係者が宗教に対して持つておりました非常に狭苦しい感情が、伸び伸びとすることができたのでありますが、しかしいまだにあの趣旨が徹底しておらないので、笹森委員が今また取上げて御質問になりましたのも、そういうきらいがあるから、老婆心的にお聞きになつたのだと思うのでありますが、宗教家が学校の講堂へ行つて講演をすることもいけないがごとく、宗教というものを公立学校は近づけてはいけないのだというふうな感じで、あぶないことにはさわらぬがよいというような感じがあるのであります。ただ非常に自覚をしておる人たちは、一宗一派にさえ偏しなければ、宗教教育をやるべきであるというので、公立学校でも、明確に自覚しておられる教育者のあるところでは、積極的にやつておられるのでありますけれども、これは暗夜に星を見つけるがごときものでありまして、数が少い。徹底的にあの次官通牒の趣旨が皆に了解されるよう、ひとつ格段の御配慮を願いたいと考えるのであります。この前も社会教育法が通りますときに、いわゆる公民館活動というものを宗教との関係について質疑をいたしまして、公民館教育の活動の場所としてお春を使い、神社の社務所を使い、あるいは教会を使うことは、一宗一派を支持するというようなことになるかどうかということをお尋ねいたしましたときに、社会教育局長は、決してそれはそうは見ない、そういう場所は、公民館という建物ができるまで、あるいはできても催す性質によつて、それを大いに使われる方がよいのである。また宗教家、たとえばその神社の宮司、お寺の住持あるいは教会の司教というような人たちを、公民館の委員に委嘱し、あるいは公民館の館長として委嘱するようなこともさしつかえないかという御質問を申し上げましたところ、それも一つもさしつかえないのであるというように、非常に宗教活動というものと公民教育というものと密接不離な関係の御答弁があつて、私ども非常に意を強うしたのでありますけれども、世間には、今笹森委員が仰せになりましたように、宗教に近づかぬ方が安全なんだというような感じがありますために、淫祠邪教がはびこり行くというような弊害をかもしておる重大な事態を惹起いたしておりますので、一段と、ひとつ宗教に関しての誤解を解くよう、万全の措置を講じていただきたいと考えるのであります。
 それからなお先ほどの警察予備隊のことに関連してでありますが、私は、大臣がおいでになつて、もう二、三質疑を試みてから、委員各位にお諮りをしたらという気持があつたのでありますが、一刻も早く精神指導というものを――文部大臣御自身は、警察予備隊であるからというて取上げる必要はないという、こういうお考えなんでありますが、しかし私は特殊の任務を持つております警察予備隊、またこれと相似たような感じを持つております。警察の人たちに対して、文部大臣の言葉でいうならば、社会人としての教養を高めるということに、何らかの措置を講ずる必要がある、今のままのことであつてはいけない。警察予備隊はこれから考慮するということになつておるのでありますが、その考慮をする前に、精神分野を担当いたしております国会における本委員会といたしまして、何らかの要望を政府にしておく必要があるのではないかと考えるのであります。もしそういう精神教育なり、教養を向上するために、何らかの措置を一刻も早くとるようにという要望をすべきであるという御決定でもいたしましたならば、小委員会でもお設けをいただきまして、過般質疑を行うたこと、また文部大臣がこちらへおいでになりまして質疑を行つたことを基礎といたしまして、ひとつ草案を練つていただきまして、政府に要望をしたらと考えるのであります。この点委員長から委員各位にお諮りを願いたいと考えるのであります。
 それから、これは蛇足のようでありますけれども、先ほど江口政府委員をつかまえて、渡部委員から人権の尊重云々ということが出ておりましたが、私たちはこういうことが委員会寿問題になることはおかしいと思うのであります。警察予備隊といえども、とめてはおらぬ。やめさえすれば、共産党にでも何党にでも入ることができる。自由党の人間は共産主義に共鳴することを禁じられております。もし共産主義に共鳴するのなら、自由党を脱退して行けばいいのであります。共産党もおそらく自由主義に共鳴することを禁じておると思うのでありますが、そういうことを人権蹂躙云々と言うことは、はなはだ愚問ではなかつたかと考えるのでありまして、再びああいう議論が委員会において出ることのないように、委員長からひとつ御注意願いたいと思います。
○岡(延)委員長代理 それではちよつと速記をとめて……。
    〔速記中止〕
○岡(延)委員長代理 速記を始めて……。
 ただいま若林君から提案されました問題、すなわち警察予備隊及び国警、それから地方の警察、これらの訓育につきまして、文部委員会として要望事項を提示したいので、これをとりまとめるために小委員会をつくることに御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○岡(延)委員長代理 御異議なしと認めます。それでは大体方針はこの程度にしておきまして、この問題は事務的手続といたしまして、国政調査の件を追加いたしまして、院議に諮り、議長の承認を得る必要がございますから、この次の委員会において正式に決定したいと思います。
○岡(延)委員長代理 それではただいま会計課長が見えましたので、先日の会計課長よりの説明の補足説明を願います。
○寺中説明員 今度の国会に提出になります補正予算のうち、文部省所管の分について、一応案についてこの前に申し上げたいと思いますが、かわつた点を中心として申し上げたいと思います。補正予算のうちで、この前御説明した中で一番大きな違いは二点でございます。一つは昭和二十四年度の義務教育教員の年末手当不足分七億二千六百万円というものを補正予算に計上する予定でございましたのが落ちましてそれが平衡交付金として考慮されることになつた点でございます。それか品もう一つの点は、私立学校災害復旧貸付金七千七百万円を計上する予定でございましたのが、これも落ちました。それから計数的に少し整理をいたしまして、多少異動が生じたのであります。国家公務員共済組合交付金というのを二千九百万円と申し上げましたが、これは多少計算上の要素の変更がありまして、四千九百五十万円になりました。それから文部省共済組合短期給付金補助、これは赤字を生じておりまして、現に相当不足を生じて来ておりますので、それの補足の意味で二千二百三十五万一千円というものを計上しております。それから教職員適格審査に必要なる経費千二百六十八万円と申し上げましたが、これが千三百三十七万四千円として、計数整理として約百万円の異動を生じました。それから教職員指導者講習会、これは三千二百二十五万円とこの前申し上げたと思いますが、それが三千百五十八万六千円ということに相なりました。大体事項としてはそれだけでありまして、それに給与改善並びに年末手当に関する金額は、前の表では別に給与改善年末手当の関係を各省一括して計上しておりましたのを、各省にわけました関係で、文部省に年末手当として二億五千九百三十六万円、給与改善費として二億六千二十一万五千円、合せて五億一千九百五十七万五千円というものが計上になりましたので、文部省所管分は全部で十一億三千二百十六万四千円であります。それから一般の経費の節約という関係で、千五百九十五万七千円減額になりますので、結局十一億千六百二十万七千円というのが追加補正分ということになつて文部省所管に計上された次第であります。
 文部省所管はそれだけでありますが、例の平衡交付金の関係が非常にデリケートなのでありまして、七億二千六百万円という昨年度の年末手当並びに地方教員のベース・アツプ、それから地方教員年末手当、本年度の年末手当、それらを一括して平衡交付金の中で考えるという意味で、平衡交付金が三十五億計上になつた次第であります。元の案では義務教育教員のベースアツプに九億だけを認めましたのが、三十五億に増額になつたのであります。以上のような状況であります。
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○岡(延)委員長代理 地方公務員法案に対する連合審査会は、地方行政委員会と打合せました結果、十二月二日に協議がととのいましたから、御了承を願います。
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○小林(信)委員 記録でも見せていただけばわかるのですが、今ちよつとお伺いしただけなので、聞き直すような形でちよつとお伺いしますが、そうすると昨年度の年末手当のものは、平衡交付金の中へ入つたわけですね。
○寺中説明員 そうであります。
○小林(信)委員 そうして今年度の年末手当、あるいはそのベース・アツプの分も平衡交付金に含まれて三十五億、そしてその三十五億の平衡交付金というのは教育費だけでなくて、その他あらゆるものを総合された三十五億だと思いますが、その点はいかがですか。
○寺中説明員 その通りでございます。
○小林(信)委員 そうすると最後的に決定された昨年度の年末手当の額と、本年度必要な年末手当の額、さらにべース・アツプの額、これをもう一ぺん幾らであるか、ひとつ御説明願いたい。
○寺中説明員 昨年度の年末不足が七億二千六百万円でございます。それから一月から三月までのべース・アツプの金が半額にいたしまして九億でございます。それから本年度の地方教員の年度末手当が半月分の半額といたしまして約十億、合せて二十六億ばかりでございます。それが平衡交付金の増額分の中に含まれているものというふうに考えておるわけでありますが、ただいまお話がありましたように、平衡交付金というものは、別に内訳をはつきりして、いわゆるひもつきにして地方に交付するものではございません。要するに地方経費の標準財政をもつてまかない切れないものを補足するという趣旨のものであります。ただその内容はどうかといえば、教育費を優先的にその中に考えておる、三十五億のうちに二十六億は教育費として優先的に考えられておるというような趣旨のものでございます。
○小林(信)委員 この点は事務的に仕事をされておる会計課長にお伺いしてもむりかと思いますが、あらためてお伺いします。文部省としては、この二十六億は当然確保されなければならぬと思いますが、はたしてそれが確実に確保できるかどうかという、その文部省の信念をお伺いしたいのです。
○寺中説明員 べース・アツプの金並びに年末手当の金は、これは教員のみならず地方の警察官その他の職員も共通の問題でございますので、地方は地方として地方財源で考える、そのために不足なものを平衡交付金でまかなう、こういうかつこうになると思うのであります。ただ七億二千六百万円の関係は、これは確かに昨年度実は国庫補助金として交付すべきものが財政の都合上どうしても昨年度中に措置ができなかつた、補正予算で考えるという約束でもつて今日に至つたわけでありますので、これは地方財政のいわば收入欠損になつておる関係になります。そこでこの金は特に趣旨が違うという関係がありますので、平衡交付金として自治庁の方から府県に配当する際に、文部省で持つておるデーターによるところの配当計画、各府県の事情に合つた配当計画に合せて配当してもらうということを、ただいま地方自治庁と協議中であります。要するに文部省の案の通りに地方にその金がまわるようにするということが、私どもとしてぜひしなければならない措置でございますので、その点についてぜひともそのようになるように、今交渉中という事情になつております。
○小林(信)委員 今のお話では、七億二千六百万円の昨年度の問題は、これはどうでも文部省としてはひもをつけなければならぬ。これはお役所の事務的な問題であるから、私たちはこれはその当事者の責任でやられることで別に問題はないのですが、この七億二千六百万円の問題を、教育行政の面から考えれば、非常に遺憾な点が多いのですが、それよりもこの九億、十億の問題をいかに文部省がひもをつけてその金を確保させてやるか、この点教育行政の面にどう確保して行くかという点が問題だと思うのです。この前のお話のときには、財源は確実に出て来る、しかしそれをどこから出すかについては、文部大臣よりなるべく地方民に迷惑をかけないようにするというお話であつたのでありますが、おそらくその三十五億の平衡交付金の補正に対しては、相当地方はあらゆる角度からねらつておるのではないかと思う。その際その大半を――大半ではなく全部にひとしいような額を文教予算にとるというようなことが、はたして可能なのかどうか、非常に疑われるわけであります。七億二千六百万円が、そういうふうに地方自治庁と御相談の上で、文部系統でこの金が配分できるようにするというのですが、この十億の方もなぜそういうことをしないのですか、その点お伺いしたい。
○寺中説明員 ただいまちよつと申しましたように年度末手当、べース・アツプ問題は、これは地方公務員全体の共通問題でございまして、地方において国の公務員と同様な方法でベース・アツプ並びに年末手当を出すといたしますれば、教員も同じくいわゆるその員数の中に数えられておる、そして同じ率で措置されるということは、これは当然だと思うのであります。三十五億のうち計数的に申し上げますと、ただいま申しましたように二十六億が教育費であつて、あと九億ばかりの、文部省から見れば余裕があるわけですから、それらを含めて地方教員全体のべース・アツプ並びに年末手当の措置をするということは、可能な額であると思いますので、その点の不安はないものと考えております。
○小林(信)委員 文部省の万博は可能だと、こういうふうにお考えになられるけれども、これはおそらく文部省としてもそういうふうに確約されることは、非常に危險な状態にあるのじやないかと思います。おそらく今年度の年末手当は、全国の教職員の方たちに聞きますと、非常に不平等になるだろう、あそこでは予定通りくれた、ところがここではこれだけしかくれない、それでほうり出されて県としても手の出しようがない。それからもらう本人たちは泣寝入りになるというような状態に入るのじやないかという心配が非常にあるのです。これがはたしておつしやるように確保されるということになれば、私たちうれしいのですが、非常にそこを心配する。また九億、十億という額がはたして妥当かどうかということは、文部大臣がおいでになつたときに私お伺いするつもりなんですが、こういうようなものに含められてだんだん行きますと、教育費というものは、ほんとうにいよいよもつて文部省の意向とか、あるいは文部行政の管轄の中で動くというようなことができなくなる。この際やはり私は七億二千六百万円の問題も、平衡交付金から除いた、あるいは半額国庫補助の建前を何らかの形でもつて生かす点からして、十億も九億も平衡交付金の形でないようにやつて行くべきだと思いますが、その点はどうですか。
○寺中説明員 御意見の点は、平衡交付金制度全体に対する批判ということになつて来ると思うのでありまして、文部省といたしましては、ただいま御意見のあつたような点は賛成でございます。そのゆえに例の標準義務教育費法案という問題が前議会以来起つたわけであります。しかしそれがいろいろな政治的な情勢から、前議会においてどうしても提案することができなかつたというような事情にあるわけでありまして、根本的にその問題を解決することが第一でございます。ただいまの事情におきまして、私どもとしてやり得ます最上のことは、平衡交付金の中に含められた必要な地方教員の待遇費を確保するということより方法がない次第であります。
○小林(信)委員 よくわかりました。この問題は本会議で笹森議員から文部大臣に伺いまして、文部大臣もやはり今おつしやつたような教育財政の確立の面で意見も伺つたわけですが、こういう問題にさしあたつて非常に不安を感じておる。そこでいよいよもつて財政確立の問題を強く取上げてもらわなければならないのですが、その標準義務教育費を確保するために、これを法律化するような措置を、文部省において現在講ぜられておるかどうか、あるいはこれをいつごろ出されるかというような点で、御承知でしたらお伺いしたいのであります。
○寺中説明員 標準義務教育費法の行方につきましては、これはすでに御承知の通り、私どもとしては非常に煮え湯を飲んだような事情になつておるわけであります。どうしても提案になり得なかつたやむを得ざる事情も御了解願えると思うのです。私どもとしましては、あらゆる機会に、たとえば第二次の教育視察団が参りましたときに、その視察団を通じて標準義務教育費法の成立の必要を述べ、またその他あらゆる方法唇やつておるのであります。しかしただ前回に立案しました案を、そのまままた持ち出すわけには参りません。案の内容としましては、そこに多少の改訂を加えまして、実際の実情に合い、また教員諸君に迷惑のかからないような方法、地方において十分教育費が確保される方法を提案したいという考えでありますが、財政的面からこれを確保することが非常にむずかしいといたしますれば、財政的面でなくして、いわば教員の勤務その他の仕事の内容を基準化するというような措置――これはまだ研究途上にありますので、具体的に申し上げるわけには参りませんが、とにかく教育課程を基準化して、それに合つた待遇を与えるようなことを確保するように、そういう何か必要な法的措置ができればということで、研究しておるような次第でございます。また一方現在問題になつておりますのは、教育委員会に財政権を持たせるようにしたいということも、その仕事の一環になるわけであります。そういう方向で研究しておるわけでありますが、何しろ問題は非常に重大でありますので、ただちに成案を得るというところまで現在至つておりません。従つて本臨時国会並びに次の通常国会に、ただちに案を上程するという運びには行きかねると思いますが、とにかくその方向で研究を続けておるという状況でございます。
○小林(信)委員 もう一つ〇、七坪の問題ですが、最初文部省としては、二十五年度の中でこれを確保したいという点からして、六十三億というものを計上されたと聞いておるのですが、たまたまこれが実現できずに四十五億しか来年度の予算でもつて獲得できない。従つてどうしても十八億を本年度の補正予算の中でとらなければならぬというふうにお伺いしたのですが、当初の計画の六十三億は本年度中に支出できない大部分が来年度にまわりそうだとするならば、その見通しからして、残りの十八億はどうしても確保すると聞いておつたのですが、これはとうとう計上できないのですかその経緯をお伺いしたいのであります。
○寺中説明員 六、三制整備の問題でございますが、お話にありましたように六十三億が私どもの目標線でありましたが、それが補正予算でも計上するに至らなかつたという事情につきましては、いろいろ複雑な政治的情勢もありまして、われわれ自身もこまかいことを存じていないのであります。ともかく六、三制の問題は来年をもつてすべてを完了する、来年の予算が通ればそれで六、三制は万々歳だということにしないで、国民的関心の上からも、なお将来につないで残りの十八億の確保に力を入れるということにした方が、全体の財政的事情その他から見て、いわば有利ではないかというような観測が一つあるわけであります。
 なお六、三制の建築の進捗状況ということにつきましても、必ずしも私どもの持つておる調査の数字が、現在の事情にぴつたり合つているかどうかということにも多少の疑問がありまして、今年及び昨年の六十億によつて、どれだけの面積の建築ができ、また来年度の金でどれだけのものができるか、現在どれだけできたかというようなことを、さらに精密に調査した上で、その次の要求、すなわち十八億の補充並びに〇、七坪を〇、九坪に上げる、あるいは一坪に上げるというような計数も出して行かなければならないという意味で、一応今度は四十五億でがまんしようということになつたわけであります。ただここに一つ突発的事例としまして御了解を得なければならない事情が起つたのでありますが、それは実は来年度予算の四十五億という六、三制のための予算、それがどうも予定通り行かないようなことになるのではないかという不安が生じたわけであります。と申しますのは、公共事業費全体で、この前にかけました案よりも百億余り削減になりました。要するに全体のわくが削減になりました。一方文部省関係で文教施設としてもジエーン、キジア台風を中心とする台風被害が相当に起りました。その復旧費を文部省で持たなければならないというような事情で、必ずしも四十五億をそのまま六、三制の整備だけに使うわけに行かない、ある程度その中から災害復旧費の方にさかなければならないのではないかという事情に立ち至つておりまして、その災害復旧費の確保について、ただいま安定本部の方と折衝中でございますが、非常に窮地に立つておる事情でございます。これは内輪の問題でございますが、予算の規模としましては百億以上の削減があつた上に、災害復旧費の関係で、経済安定本部とこまかい折衝をする必要が生じたという事情に現在なつております。
○小林(信)委員 それは非常に重大な問題ですが、別の機会によく研究するとしまして、先ほど私立学校の戦災復旧費が削られたというお話があつたのですが、これはどういうわけで削られたか、その経緯をお話願いたい。
○寺中説明員 私立学校の戦災復旧費が削られたことは、非常に残念でございますが、私立学校の復旧計画は大体四箇年でできておりまして、今年初年が済んで、そうして災害復旧は――七千七百万円というのは新しい災害のための復旧費でありますが、要するに全体的に見まして、一般の公立並びに国立の学校の復旧よりも私立関係の方が経費的にむしろ進んでおるという事情にあるのであります。それで私立の方に特に力を入れ過ぎるというような事情になるのはまずい。むしろ公立、国立の方と符節を合せて行くべきだという議論が一つあるわけであります。そういう意味から、私立は補正予算としては一応この際遠慮して、来年度の経費の中から相当程度私立学校の復旧費のために、主として戦災復旧費のために力を入れる方がいいではないかという意見が出て来たわけであります。そういう意味で来年度の予算に一応用意しておりました十億の金庫のために必要な経費、これを私立学校の戦災復旧費に全的につぎ込むという一応の見込みになつておりまして、来年度に確保されておるので、今年は時期的にしばらくがまんしたいというところから、私立学校の復旧費が削減になつたわけであります。
○岡(延)委員長代理 ちよつと、この席から発言するのはどうかと思われますけれども、ただいまの会計課長の説明によると、私立学校の復旧は進んでおるというけれども、これは国家がやつたのではない、みんな関係者があらゆる血涙をしぼつてやつた。国家がやつておる公立学校と比べてみれば、はつきりしている。そういう意味で、私立学校をあとまわしにするということは当らぬと思う。何も国家がやつたのではない、関係者がほんとうに努力に努力を重ねてやつた。そういうことは、いつも申し上げるのですが、すべての役所がそうでありますが、官学出身の者が役所の首脳部であるため、私立学校に対して同情がない、理解がない。理解がないから同情がないわけですが、そういうことのないように、文部省としては処置をしてもらいたい。
○小林(信)委員 私も今岡委員の言われたことを聞きたいのですが、それは次官からお伺いしたいのです、私立学校が非常にそういう整備の状況が、一般の公立よりは進んでいるとはいいながら、これはいろいろな面で私立学校には事情があるのです。私立学校の最近の意向からすれば、私立学校の振興金庫の設立をひとつやつてくれ、あるいは建物の問題については貸付金をうんと増額してくれ、あるいは私立学校教職員の共済組合への助成をやつてくれというようないろいろな要望があるのです。それらに対してようやつと私立学校法ができたばかりで、ほんとうに形式的な私立学校への援助が行われておるのですが、最近のいろいろな制度の上からすると、多分に国家の助成というようなことが、私立学校にも必要になつて来ておるわけであります。昔のような簡單な学校経営であれば、そうでもなかつたのですが、今日の状況からすれば、多分に国家として見てやらなければならぬ点が多いと思います。その際に、せつかく文部省が要求したものを、今の御説明では岡委員の追究されたような点で、まことに遺憾だと思うのであります。これはその金額が何か文部省のほかの費用に充当されて、その方へこの際はまわす。單に来年度の予定がありますから、この際この金は一応見合せた方がいいだろうというようなことでは、何となく文部省の予算獲得に非常に弱いところがあるのではないか。だから他に押されておるという感じがしてならないのですが、文部省の私学に対する態度、そしてその予算がどういうわけでそういうようにとられてしまつたか。文部省内部で融通するために削減するならとにかく、押されるというふうな傾向で文部省が讓つたのなら、これはゆゆしい問題です。そのところを次官からお伺いしたい。
○水谷政府委員 実は私遅れましたのは、今回の予算の関係で安本の方へ折衝に行つておりましたので、遅れたのですが、今会計課長から御説明申し上げたのでありますが、その点が多少皆さんの御意思と食い違つたようであります。これは大蔵大臣も御説明いたしましたように、補正と来年度の予算との関係は、関連をしておりまして、御承知の通りに公共事業費というものは相当減額になつております。そういうような関係から、私立学校に対する来年度の金庫の予算として十億円というものを出しましたが、金庫の方は認められない。がしかし十億円というものを置きたい。こういう意味合いから十億円の方を確保いたしまして、この十億円を戦災復興並びに災害復興に充当したい。そこでこれを残すために補正の方を遺憾ながらしんぼうした、こういうことに私どもは了承している次第であります。
○浦口委員 私学振興についての予算編成について、お尋ねしたかつたのでありますが、時間もありませんし、大体小林委員からお尋ねいたしましたので、関連をして一つだけ念を押してお聞きしたいと思いますが、今寺中会計課長が、私学に対する来年度十億円ということを御答弁になつたのでありますが、これはいわゆる私学振興金庫として十億円を融資するというはつきりした線できまつているのか、その点をちよつとお確かめしておきたい。
○寺中説明員 ただいまちよつと政務次官が触れられましたように、来年度十億は、私立学校の復旧のために使うということが認められましたが、金庫としてこれをやることは、やめるということになつております。金庫でありますれば大蔵省の所管に計上されるのでありますが、金庫でなくて文部省の金として十億は使う。その内容は大体戦災復旧と災害復旧という内容であります。方法については、今研究中でございます。
○浦口委員 この間もちよつと私お尋ねしたのでありますが、室蘭工業大学の燒失による復旧費が、このたびの補正予算、並びに二十六年度の予算に具体的にもし計上されているならば、それを簡單に承りたい。
○寺中説明員 室蘭の大学の復旧費として、特別にひもつきの経費を予算に計上してあるわけではございません。国立学校関係の公共事業費は、約十億でございます。これも公共事業費のわくの縮小のために、最初の案より大体一億ぐらい下ることになつたわけでありますが、大体今年度と同額でありまして、その中から室蘭の復旧のために支出することになります。その額がどれくらいになるかということは、各部の要求をとりまとめた上でなければ、ただいま申し上げるわけに行かない事情でございます。
○岡(延)委員長代理 ほかに御質疑はございませんか。――御質疑がなければ、本日はこれにて散会いたします。
    午後零時五十一分散会