第010回国会 運輸委員会 第27号
昭和二十六年五月二十一日(月曜日)
    午後三時九分開議
 出席委員
   委員長代理 理事 大澤嘉平治君
   理事 岡田 五郎君
      坪内 八郎君    稻田 直道君
      尾崎 末吉君    黒澤富次郎君
      玉置 信一君    畠山 鶴吉君
      前田 正男君    滿尾 君亮君
      山崎 岩男君    木下  榮君
      原   彪君    山口シヅエ君
      石野 久男君
 委員外の出席者
        専  門  員 岩村  勝君
        専  門  員 堤  正威君
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本日の会議に付した事件
 日本国有鉄道法の一部を改正する法律案(前田
 郁君外四名提出、衆法第五九号)
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○大澤委員長代理 これより委員会を開きます。
 日本国有鉄道法の一部を改正する法律案を議題といたします。質問があればこれを許します。原君。
○原(彪)委員 日本国有鉄道法の一部を改正する法律案について、提案者に一点お聞きしたいのでございます。
 今回の改正案を一貫して流れる精神を見ますに、従来国有鉄道に対する運輸大臣の権限が不明確であつた点を明確にした点につきましては、賛成するものであります。運輸大臣の権限を強めるということは、日本国有鉄道の全資産が国家のものである以上、国民の代表である運輸大臣がこれを監督するということは、けつこうな話でありますが、一方において、日本国有鉄道が公共企業体として発足し、しかもその企業体の本旨は独立採算制にあり、またこれを運営する基本が、民主的に選任された監理委員会によつて、なされておることは、御承知の通りであります。今度はその監理委員会を廃止して、大臣の権限を強めるということになりますと、公共企業体という経営体が政府の羅絆から離れて、独立採算制をやるというその観念から、多少そこに齟齬する点が起きて来はしないか。こういう点に疑問を持つておるのでありますが、その点について御説明いただきたいと思います。
○前田(正)委員 ただいまの御質問でございますが、提案理由において御説明申し上げました通り、従来の監理委員会は当初の目的の通りに運営されておりませんで、われわれの聞く範囲におきましては、週に一回ぐらい、総裁の諮問機関的な立場で運営されておるように聞いておるのであります。しかしながら法文によりますと、監理委員会が指導統制する権限を持つておるのでありまして、かくのごときことは法律上におきましても、また立法の精神からしましても、非常に相矛盾したものであると私は考えるのであります。公共企業体といたしますならば、当然そこにおける役員が全責任をもつて、経験とか創意、くふうをこらして運営されて行くというのが、本来の骨子であると思います。こういう点から推しまして、今回監理委員会を廃止することにいたしますならば、今まではどちらかというと、国会の承認しました委員が、監理委員会を通じてわれわれの意思を代表しておつたわけでありますが、委員の人たちが全面的に指導統制しておりましたのを、今回は委員会を廃止いたしまして、ただ必要な範囲だけ大臣の権限及び命令を明確にいたしたのでありますから、かえつて総裁以下の役員といたしましては、全責任を負つて創意、くふう、経験を生かして能率的な運営ができ、かえつて指導統制を受ける範囲が少くなりまして、運輸大臣が公共の福祉上必要な範囲だけを監督するということになりまして、公共企業体の性質から見て、かえつて一歩民営態勢に近づいたものであると確信しております。その点御了承願いたいと思います。
○岡田(五)委員 この際提案者に、一応明らかにする意味で御質問申し上げたいと思います。
 国鉄が公共企業体になつた以上は、国鉄経営についてできるだけ自主性を持たしてやりたいというお気持は、提案者も私と同じような御意見をお持ちになつておると思うのでありますが、この国鉄公共企業体の自主性と、運輸交通行政の所管大臣である運輸大臣の監督権との問題でありまするが、大体運輸大臣の運輸交通行政に対する監督権という立場からする国鉄公共企業体に対する監督は、どういう範囲であるべきか。非常にむずかしいのでありますが、ごく簡単で、抽象的でけつこうでありますから、提案者のお気持のほどを御説明願いたいと思うのであります。
○前田(正)委員 今回の改正の案文によりますと、監督命令を出すことのできます範囲は、大体明確になつておるのでありますけれども、私の考えておりますところは、公共の福祉を増進するために特に必要であると認めた場合におきまして、大体五十三条の認許可の事項の範囲、それから地方鉄道法または軌道法による認許可の事項であつて国鉄に関連がある事項、その他監督上必要な事項、具体的には大体そういう範囲が考えられると思うのであります。しかしながら緊急やむを得ない事態が起りました場合は、もちろん監督の責任は運輸大臣にあるのでありますから、特別の必要があると認めた場合は、いろいろと命令を出すことができる。しかしその必要な範囲について、いろいろと問題が起つて来ると思います。しかしこの機会に私が一つつけ加えさしていただきたいと思いますことは、従来もこの命令を出します範囲において、いろいろと議論があつたのでありますが、過般の第三国会の運輸委員会において、この法案が成立した当時の速記録を読んでみますと、第五十三条の新線の問題等についても、必要やむを得ないときは、独立採算制の立場でなくも、公共性の立場上命令することができるのではないかというようなことを、その当時の小澤国務大臣が答弁しておられるのであります。従いまして第五十三条の認許可事項に対するものは、運輸省の方においても、従来とも大多数が積極的に命令が出せるような解釈をしておられたようでありますが、これは必要やむを得ないときに出すのでありまして、極力そういう事態が起らないことを希望いたしたいと私は考えておるのであります。ただ私の見ますところでは、先ほどの御説明でも申し上げました通り、運輸大臣の方から見れば、今回命令権あるいは認許可権がかえつて多少明確になつた、また監理委員会の廃止に伴つて、多少認許可の事項もふえたように見えますけれども、国家全体の意思から見ましたならば、国家全体の意思を代表して監理委員の任命をし、その監理委員会において全面的に指導統制をしておりましたものを、今回は運輸大臣の監督命令の認許可の範囲だけに、国家的な意思の介入が限られて来ましたので、これは公共企業体としては、さらに一歩を進めたものであるというふうに確信しておる次第であります。
○大澤委員長代理 他に御質疑はありませんか。
 御質疑がなければ、本日はこれにて散会いたします。明日は午後一時から開会いたします。
    午後三時二十二分散会