第010回国会 大蔵委員会 第32号
昭和二十六年三月十日(土曜日)
    午前十一時十八分開議
 出席委員
   委員長 夏堀源三郎君
   理事 奧村又十郎君 理事 小山 長規君
      有田 二郎君    大上  司君
      佐久間 徹君    島村 一郎君
      高間 松吉君    清水 逸平君
      苫米地英俊君    三宅 則義君
      水田三喜男君    内藤 友明君
      宮腰 喜助君    田中織之進君
      松尾トシ子君
 出席政府委員
        大蔵事務官
        (主計局法規課
        長)      佐藤 一郎君
        大蔵事務官
        (銀行局長)  舟山 正吉君
        農林事務官
        (大臣官房長) 鹽見友之助君
        農林事務官
        (大臣官房農林
        金融課長)   富谷 彰介君
 委員外の出席者
        参  考  人
        (日本関税協会
        副会長)    尾關 將玄君
        参  考  人
        (新光レーヨン
        株式会社社長) 賀集 益藏君
        参  考  人
        (油脂製造業会
        会長)     平野 三雄君
        参  考  人
        (日本石油株式
        会社社長石油精
        製懇話会会長) 佐々木彌市君
        参  考  人
        (帝国石油株式
        会社社長)   酒井 喜四君
        参  考  人
        (日本乗合自動
        車協会専務理
        事)      塚田耕一郎君
        参  考  人
        (漁業経営者連
        盟会長代理)  横山登志丸君
        専  門  員 椎木 文也君
        専  門  員 黒田 久太君
    ―――――――――――――
三月九日
 委員成田知巳君辞任につき、その補欠として田
 中織之進君が議長の指名で委員に選任された。
同月十日
 委員西村直己君、塚田十一郎君及び川野芳滿君
 辞任につき、その補欠として庄司一郎君、柳澤
 義男君及び益谷秀次君が議長の指名で委員に選
 任された。
三月八日
 資金運用部資金法の施行に伴う関係法律の整理
 に関する法律案(内閣提出第八六号)
同月九日
 在外公館等借入金の返済の準備に関する法律案
 (内閣提出第八七号)
 緊要物資輸入基金特別会計法案(内閣提出第八
 八号)
 物品税法の一部を改正する法律案(内閣提出第
 八九号)
の審査を本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 農林漁業資金融通特別会計法案(内閣提出第六
 三号)
 関税定率法の一部を改正する法律案(内閣提出
 第六六号)
    ―――――――――――――
○夏堀委員長 これより会議を開きます。
 本日はまず関税定率法の一部を改正する法律案を議題として、参考人の方方より御意見を拝聴いたします。御承知のごとく関税定率法の改正案は、目下委員会において審査中の重要な法案で、本来ならば公聴会を開会いたす予定でありましたが、時日の都合等もあり、これを中止して、参考人の方を選定して御意見を聴取いたすことにした次第でありますので、この点御了承願いたいと存じます。
 本日の参考人の方のお名前は、お手元に配付してある印刷物の通りでありますが、参考人の方々におかれましては、本案に対し忌憚のない御意見の開陳をお願いいたします。
 なお御意見を述べていただく時間はお一人大体十五分以内でお願いしたいと存じます。発言の順序等につきましては、委員長に御一任を願いたいと存じます。
 それではまず第一に日本関税協会副会長尾関将玄君。
○尾關参考人 ただいま委員長から御指名にあずかりました尾関でございます。関税定率法の一部の改正に関して意見を述べよとのことなので、私の考えておることをごく簡単に申し上げたいと存じます。
 今回関税定率法の改正案を通読いたしまするのに、大体において私は非常によくできておると存じます。ことにこの定率法は一般改正にわたつておりまするが、これは何といたしましても、早く日本においては今の現行法を改正して、整備されたるものを整えなければならないと存じます。今簡単にその理由を申し上げたいと存じます。
 まず第一に、これを国内事情から見ますると、わが国の産業は申し上げるまでもなくこの大戦争によつてすつかり一転いたしておると存じます。こういう場合に旧来の関税定率法でよかろうはずのないことは、これは説明を加えるまでもないと存じます。さらに今の定率法を現在の場合に考えますと、きわめて不合理きわまるものであると存じます。ごく簡単に、一、二の例をあげてみましても、貨幣価値の変動というものはきわめてはなはだしいのでありまするが、現在の関税定率は、御承知のごとく大正十五年に一般関税率の改正をやつたので基幹となつております。大正十五年の為替は大体において平価に近かつたと記憶しております。しかるに現在においては対米為替三百六十円、そうすると前のが大体二円と見れば、それでももう百七、八十倍になつて来ると思います。大正十五年の後に為替の価値がかわりましたので、昭和七年に従量税一般に対して税率を三割五分上げておると思います。従量税率の三割五分の引上げがあつたといたしましても、為替の価値、貨幣の価値のみからいつてなお百二十倍くらいになつておると思います。これをもう一度申し上げまするならば、もしかりにほかの産業状態に何らの変化がなかつたといたしましても、百二十万円税金をかけなければならないものが一万円でいい、こういうようなことになつて来ておりまして、そんな関税率というものはあつてもなくてもいいということになるわけであります。ただこの一点からいつても改正しなければならぬと思いますが、一般がそういうようになつておるならば、今のような産業状態であるならば、これもまたしばらくそのままにしておいてもいいじやないかというような議論もあるいは出て来るかもしれないと思います。ところが全部がそうでなしに、従価税というものは依然として残つておる。今申し上げましたように、そういうように従量税でかけるものが日本の関税は大部分でありまして、従量税に関するものはそういうように百二十分の一に下つておるが、従価税に関するものは少しも下らない。それどころか、従価税に関するものは逆に十割上つたというようなものがあります。こういうことになりますと、その産業に対する影響、その不権衡というものはこれはきわめてはなはだしいものがありますので、こういう方面からいつてもどうしても速急に改正しなければならないと存じます。さらに税表から見ますと、税表は十五年の一般改正、昭和七年の従量税率に関するものの増加、その他いろいろの関税で複雑多岐にわたつておりまして、一般の人がちよつと見てもどの品物にどの税率が幾ら適用されるか、なかなかわかりにくいという点もあります。この点からいつても改正しなければならないのではないかと存じます。以上は国内事情でありますが、これをまた国際事情から申しましても、今ITOだとかガツトとかいうようなものが各国で採用されまして、税率を引下げて、国際的に互恵関税的の思想がずつと瀰漫しております。こういうときに日本の税表を整えて、全体としては定率としてこのガツトに加入するということが、これまたきわめて必要なことであり、緊要なことであると思います。こういうような事構からいいまして、私はこの一般税率の改正は、一日もすみやかに行わなければならないものだと存じます。いかなる時代においても関税率を改正するということは、申し上げるまでもなく一般においては非常に議論のあるところであると思います。一品を改正するのに、ある業者には非常に利益であると同時に、それがまたある業者には非常に不利益になるということは、これははつきりしておるのでありまして、一品改正するのでも、右に左に両方からひつぱられて、議論は尽きないと思います。いわんや一般改正をするのには、これは非常に議論が多いと思います。いかなる時期を待つても、議論なしに改正されることはおそらくないと思います。一方から申しますると、議論のあることが公平であるとも言えると思うのであります。議論が全然ないというようなことは、かえつて変な税率であるとも言えると思うのであります。従つて議論なしに八千万国民全部が賛成して、これでもけつこうだと思うような税率は、一般改正においてはとうてい望めないことである。そういうことを待つのは、百年河清を待つよりもはなはだしいものだと申し上げていいのではないかと思います。こういう点から申しましても、早く改正すべきではないかと存じます。だがしかし私は、それは今まで改正すべきであるということを申し上げたのでありますが、税率の全般につきましては、これは長い間各方面で研究し、また関税審議会等でも議を練つてこしらえた税率でありまして、よくできておるということは申し上げることができますが、しかし各品目の一つ一つにつきまして、全般に論議の余地は全然ないか。そういうことはやめた方がいいんだ。もういかなる関税でも利害相反するものがあるから、全部そのままでいいのかと申しますと、とにかく全般改正をやつたのでありまするから、なお検討すべきものが多少はあり得るかもしれないと存じます。そこでそういうものがありといたしましたならば、その品目とか期間というものを限定いたしまして、そして免税する、あるいは減税するというようなことも一つの方法であると思います。そういうものが二品や三品あるからというので、それがために全般を遅らすというようなことは、今の日本の関税定率法全体に対しては、とるべからざるものではないかと存じます。私は一般的につきまして意見を申し上げたのでありますが、要するに今の状態において国内事情、国際事情、日本の産業状態等を見て、一日もすみやかに改正すべきである。そうして大体の税率においては非常によくできておるということを申し上げたのであります。
 なお一言つけ加えておきたいと存じますのは、定率法の全文と申しまするか、條文の方におきましても、定率法第二條につきましては、あの到着価格ということにつきまして、相当の議論が前からありました。これは非常に幅の広い解釈のできるものであつて、強力性を持つている規定でありまして、今までの国際情勢によると、日本としては非常によくできておる法律であるとも申し上げることが若きたと存じます。しかし今の情勢になりますと、はつきりと條文を書くということが国際的でもあるし、また民主的でもあると思います。その点におきまして、あの到着価格ということをよくわかるように原案ができておるのは、きわめてけつこうであると思います。
 大体私に与えられた時間の十五分が来たと思いまするので、これで私の意見を終ることにいたします。
○内藤(友)委員 尾関さんにちよつと御意見を伺いたいのでありますが、今度の関税定率法の改正は、従来の従量税を従価税にしたというのが非常に特色だと思いますが、尾関さんのお考えは――これは従量税にも意味があり、従価税にも意味があると思いますが、どちらがいいかということについての御見解を伺いたいと思います。
○尾關参考人 お答えいたします。私は平時においては、関税は従量の方がいいと存じます。それは物議をかもすことが割合に少く、しかも通関が非常にすみやかであつて、従量税の方が非常にけつこうであると思います。これがまた国際情勢だつたと思いますが、今のように貨幣価値の定まらないときと申しますか、逆の方から言つて、物価が定まらないと言つた方が穏当であるが、これは裏表でありまするから、いずれに御解釈願つてもよろしいが、こういう時代においては私は従価税の方がいいと思います。従価税でないと、税率をこしらえてもすぐまたかえなければならないということになると存じます。
○夏堀委員長 次に新光レーヨン株式会社社長賀集益蔵君。
○賀集参考人 私はただいま委員長から御紹介にあずかりました新光レーヨンの社長賀集益蔵であります。委員長からの御指示によりまして、関税に関する参考人としての意見を述べよというお話であります。私は人繊業者でありますから、一般にわたつての意見はまとまつて考えておりません。人繊業者といたしまして、レーヨン・パルプの輸入の関税に関するわれわれ業者の意見をまとめましてお話申し上げて、御参考に供したいと思うのであります。
 人造繊維業者といたしましては、結論といたしまして、輸入パルプの関税は二、三年御猶予を願いたいというのが結論でございます。その理由といたしましては、従来人造繊維業者は国産パルプの生産に対しては及ばずながら奨励者でもあり、育成者の立場にあつたのであります。一例を申し上げますれば、一昨年レーヨン・パルプ業者が、公定価格が非常に安いために、非常な苦境に陥りました。われわれ消費者はこれの値上げに関しまして、パルプのメーカーと共同いたしまして、物価庁へ請願して値上げをいたしました事実もあります。また本年に至りまして、森林対策総合委員会というような会を設置いたしまして、委員長は笹山氏がなつている次第であります。そういうようなものを慫慂いたしまして、木材資源の獲得に対し、また森林の造林問題に関する対策等に関しまして、パルプ業者と協力いたしまして今日に至つておつたのであります。しかしなから人繊業は海外の需要と相まちまして、年々生産が増加いたしまして、本年度の予想から申し上げますなれば、人絹、ステープル・フアイバー両方合せまして、約言億九千万ポンドを予定しております。これに要するパルプが二十万ないし二十一万トン必要とするのでありますけれども、国産の現状の設備から考えますと、十五万トン以上は生産が困難だと思うのであります。しからば、その不足額の六万トンはどうしても海外から輸入を仰がなくてはならぬということになりまして、これに対して関税をかけるといたしますれば、内地の産業保護の意味もなく、ただいたずらに税金によつて原価を上げるというだけにすぎない次第でございます。御承知の通りわれわれ人繊の海外の輸出は、国際商品といたしまして、海外の生産国と競争する立場にあるのであります。その競争する立場にあります関係上、輸入品に関税をかけられますと、従つてコストが高くなりますし、外国との競争の上にも不利を来すような次第でございます。将来の見通しといたしましては、パルプ業者は約十万トンの人絹パルプの増産を考えております。そのあかつきになりますと、二十五万トンの人絹パルプができるということに相なりまして、従つてこれは二、三年を要するのであります。その二、三年後になりますれば、人造繊維も五億ポンドで、ちようど国産のパルプとわれわれの需要とマツチするような時期が到来すると思うのであります。そのときに至りまして関税をかけていただいてもいいのじやないか、こう考える次第であります。幸いなことには日本の人絹パルプは技術も非常に上昇いたしました。決して外国のパルプの品質より落ちるということもないように、われわれは見受けておる次第であります。二、三年御猶予を願いたい。これがわれわれのお願いでございます。
 簡単でありますが、以上私の意見を申した次第であります。
○夏堀委員長 次は油脂製造業会会長平野三雄君。
○平野参考人 ただいま御紹介にあずかりました油脂製造業会の会長をいたしております平野であります。油脂製造業会と申しますのは、大豆とか落花生とか菜種とか、そうした植物性の原料を搾油いたしまして、すなわち油とかすをつくる業者の団体の集まりであります。製造業会はその中央機関であります。
 今回関税定率の改正法案が国会に提出されましたが、われわれの関係いたしております油脂原料に対する関税率を拝見いたしますと、いささかわれわれの納得できない点がありますので、この点につきまして意見を申し述べたいと存じます。
 結論的に申し上げますと、大豆、落花生、菜種等、これらに対しまして関税がかかることになつております。すなわち大豆が一〇%、落花生が一〇%、菜種が五%、こういう定率がかけつぱなしになつておるのでありますが、現下の内外のいろいろな客観條件を考えてみますと不適当である、こういう結論であります。それでそうした関税をかける必要が生じた場合は別といたしまして、今かけることはむしろ不合理だ、当分の間これが免税処置をとつていただくことが最も合理的ではないか、かように考えます。
 申し上げるまでもありませんので、ごく簡単にお話し申し上げたいと存じますが、大豆は御承知のように国民の蛋白給源、あるいは油の供給源ということで、必要品ということはわかり切つたことでありますが、蛋白給源と申しましても、わかりやすく申し上げるならば、そのつくりました油のほかの大豆かす、われわれはこれを脱脂大豆と申しておりますが、脱脂大豆はみそ、しようゆの原料となつて、いわゆる日常の食料品であります。落花生も同様、落花生油、それから落花生かすは同じくアミノ酸、これはしようゆの原料として使つておる。菜種は御承知のようにやはり油、かすはタバコの速効肥料として使つておる。こういう重要な用途を持つているものであります。それでこれらに課税することは、すなわちそれだけのものを値段を高くするということでありますので、自然コストが高く製品高ということになるのでありますが、大豆あたりを見ますと、大豆初めこれらの油脂原料の大部分は輸入に仰がなければならぬ情勢であります。これは過去数十年の記録から見ましても、今日の情勢においても少しもかわりないのでありまして、大豆のごときは過去平均いたしますと、大体年間六、七十万トンを輸入いたしております。それでこれが先ほど申し上げましたようにもつぱら製油の対象になりまして、油とかすができておる、こういうわけであります。従来は御承知のように大半は満州方面から来ておつたのでありますが、終戦後この方面からの輸入は思うように参りません。終戦後今日に至るまで主としてアメリカの大豆が入つて来ておるというような状態であります。そのほか落花生につきましても国内でできますものはごくわずかでありまして、しかもこれらは菓子だとか豆のまま食べられる、いわゆる製油の対象になるものは、中国とかインドとか南方方面から仰がなくてはならぬという状態であります。先ほど申し上げましたように、こういうふうなものに課税することはコスト高になるのでありますが、同時にこれらのものを輸入することは今日なかなか容易じやないのであります。中国との関係が御承知のように現在杜絶状態にありますので、もつぱら大豆についてはアメリカ一本ということになつております。アメリカは大きな生産国でありまして、昨年は一年で六百五十万トンの大豆をつくり、今年は予想でありますけれども、ほぼ間違いないところは二割増の七百八十万トンの大豆を生産しておる。昔満州が一番多いときで五百万トン、その後は三百五、六十万トンが平均した数字でありますけれども、終戦後は全然わかりません。それの倍以上もある生産を今日アメリカに見ておるわけでありますが、その大豆の八割五分はアメリカ国内で消費しておる。すなわち日本と同じように油とかすをつくつておるという状態であります。海外に出し得る輸出余力は非常に少く、それも御承知のようにヨーロツパはみな消費国、原料輸入国でありますから、ドイツを初めとしてヨーロツパの諸国にも出さなくてはならぬ。それから日本に対しては日本も絶対大豆は必要な関係上、これはアメリカの好意によりまして、今年もそうでありますが、ガリオアの援助資金によつて大豆を輸入しておる。しかも昨年までは補給金まで大豆につけまして輸入しておつたのであります。こういうふうに輸入が絶対必要な状況にあるわけでございます。しかも朝鮮事変を契機といたしまして、その後各国とも輸出の制限とかいろいろな拘束を加える。むしろ軍拡に即応をして備蓄の方針をとつているということで、原料を輸出することを非常にいやがつて来ております。こういうふうな状態である。しかしながら日本といたしましては絶対必要なもので、司令部の方といたしましても積極的に好意的に考えてくれておりまして、あらゆる方法を使つて輸入の促進をはかつて来ている、こういう状態であります。そういう状態であるにかかわらず、いまさらこれに特殊の関税をかけるということは、現段階においては間違つておるというのがわれわれの考えであります。一面内地の大豆との関連性においてどういうことになるか。これも考えなくてはならぬ。そこで内地でできます大豆というものははつきりした的確な数字はわかりませんけれども、大体推定いたしまして、過去多いときは四十万トン、最近三十五万トンくらいが大体の生産量の推定であります。しかしながらそれが出まわつて来る量というものは昨年あたりで十万トン、ことしの予想が十五万トンを見ておりますが、おそらく十五万トンはむずかしい。そういう状況でありますので、どうしても不足する。反面大豆その他油脂原料の重要性は、先ほど申し上げましたように、戦前は内地を除いて豆だけで年間六、七十万トン入つて来たというわけでありますから、多々益々弁ずでありますが、最小限度五十万トンくらいはなければならない。これはみそ、しようゆ、とうふ、なつとう等いわゆる一般大衆の食料でありますが、これを不便ながらもある程度供給するためには、最低五十万トンくらい必要である。そういたしますと、国内が十万ないし十五万トンとしまして、三十五万トン程度は輸入しなければならない。これは絶対の問題であります。かようなものに対して課税することは、非常におもしろくないことであると同時に、内地の大豆の価格と輸入大豆の価格を比較いたしますと、非常な開きがあります。たとい海外から輸入されても、内地のものを圧迫して増産を妨げるというようなことは、少くとも今の状況においては好ましくないと考えております。
 いま一つは、下手に原料の輸入を抑圧いたしますと、製品が入つて来る可能性がある。つまり油とか油かすが入つて来ることが考えられる。現に政府の不手ぎわによりまして、アメリカから大豆かすが最近十万トン近くも契約されておるという状態でありまして、これは明らかに今の油脂原料に対する買付方針を誤つた関係でありますけれども、ともかく十万トンの大豆かすが入つて来る。これは反面におきまして、大豆がそれだけ入らないということになります。大豆が入つて来なくなれば、大豆からできる油が不足する。それでは油を輸入するかということになりますと、油も入り、かすも入れば自然油脂産業は大きな打撃を受けるのみならず、農家への影響も考えなければならない。いわゆる農村の増産意欲を減殺する。従つて農林省が昨今非常に力を入れて、油脂原料の増産を計画しておりますが、製品がどんどん入つて来るならば、極端に申し上げれば、つくる必要はないじやないかということも考えられる。いろいろな点から見まして、課税するということはどうもおかしい。しかしながら先ほど申したように、原則的には政府のお考えのように、たとえば一割とかいうものをかけることは、これは農村の保護あるいは増産をはかる上に、あるいは将来通商協定の場合に一つの政策として必要じやないか。関税定率はかりにあつたといたしましても、そうした客観條件が許すまでは、特に免税の処置をとつた方がいいじやないかということが結論でありまして、要するにこうした生活必需物資の値上りを防いで、そうして国民大衆になるべく安いものを供給するということは、絶対不可欠なことであります。はなはだ簡単でありますが、これで私の公述を終りといたします。
○夏堀委員長 御三名の方に対しての御質疑はありませんか。――それでは午前中の参考人の方々は、これで済みました。御苦労さんでした。
    ―――――――――――――
○夏堀委員長 次に農林漁業資金融通特別会計法案を議題として、質疑を続行いたします。内藤君。
○内藤(友)委員 舟山さんに二、三お尋ねしたいと思いますが、実はきのうの連合審査会におきまして、今議題になつております農林漁業資金融通法による六十億の問題について、大蔵大臣から、私どもにとりまして非常に意外なことを申されたのであります。と申しますのは、六十億なるものは、まだ閣議にもかかつておらなければ、自分も知らぬ。そんなことが一体どこから出て来たのかという話なのであります、そこで私は舟山さんにお尋ねしたいと思うのでありますが、昭和二十六年度農林省所管特別会計歳入歳出予定額各目明細書第十回国会提出という印刷物を私ども頂戴しております。この二十七ページを見ますと、六十億が出ておるのでありますが、こういうものは一体閣議できめられるのでありますか。あなた方だけできめられるのでありますか。まずそれをひとつお尋ね申し上げたいと思います。
○舟山政府委員 ただいま御指摘になりました六十億というのは、一般会計からの二十億、それから見返り資金からの繰入れ四十億、その分をおさしになつておるものと承知いたすのであります。昨日大蔵大臣がお答え申し上げましたのは、預金部からの借入金、これは伝えられておるところによりますれば六十億でありますが、これにつきましては私も先般お答え申し上げましたように、来年度の預金部の運用計画にも入つておりません。従つて大蔵省としましては、まだ計画を立てておらないのでございます。
○内藤(友)委員 実はその方の六十億じやないのでありまして、一般会計からの二十億と見返り資金からの四十億との六十億、これは閣議にかからないし、自分も承知しておらぬ、こういうお話だつたのであります。そこでこういうものは閣議にかかつたのか、かからないのかということをまずお尋ねしたい、こういうことであります。
○舟山政府委員 予算の関係につきましては、主計当局もおりますが、閣議にかからないものを国会に提案することは考えられないことでございます。それについては閣議で相談があつたことと思います。
○内藤(友)委員 承知いたしました。それだけはつきりしていればいいのであります。
 それで次にお尋ねしたいと思いますのは、農林省がおりますれば、この法律の具体的なことをお尋ねするのでありますが、その前に銀行局長にお尋ねしたいと思いますのは、農林金融というのは、かねがね申し上げておりますように、非常に季節によつて変動があります。十一、二月ころから三、四月ころまでは、農林金融はかなりだぶつきますが、三、四月ころから十月ころまでは、非常に枯渇するという季節的な金融でありまして、これは農林金融の特性と申さなければならないのであります。そこで足らないときの手当といたしましては、もちろん農業者の預金を集めるということも考えなければなりませんが、これは今日の状態では、なかなかそう多くを望むことはできません。従いまして第二段といたしましては、日銀に仰がなければならぬということになるのでありますが、これもいろいろな制約がありまして、思うようにはできないのであります。従つて最後にこの枯渇対策といたしまして打たなければならぬ手は、農林債券でありますが、これがまた今日の市場においては、そう十分消化しないのであります。でありますから問題はこの農林債券というものが、最後は預金部の引受ということにおちつくのでありますが、そういうことにつきまして現在の大蔵当局とせられましては、どういうお考えがおありでありますか。それをお尋ねしたいのであります。
○舟山政府委員 御指摘の通り、農林金融には季節的に繁閑がございます。資金需要期であります春から秋にかけましては、営農資金につきましては特に農業手形の制度をつくりまして、これは日本銀行の担保適格になつておりまして、日本銀行から必要な営農資金は供給することになつているわけであります。それ以上に、この農林中央金庫において資金が必要であるかどうかということにつきましては、長期の資金を供給しますためには、昨年から農林債券の発行を認められております。これは市中消化だけでやつて参つたのでありますが、最近は、預金部の改組に伴いまして、預金部でも引受ける道が開かれたのでございまして、相当長期の農林金融資金を供給することができることを期待しておる次第であります。
○内藤(友)委員 農林漁業資金融通法案第五條を見ますと、「政府は、農林中央金庫その他主務大臣の指定する金融機関に対し」云々と書いてありまするが、この主務大臣の指定する金融機関というのは、一体いかなる金融機関を考えておられますか。それをお尋ねいたします。
○舟山政府委員 第五條指定金融機関につきましては、勧業銀行とかあるいは地方銀行とかを予想しております。県信連などは、これは農林中央金庫と一体をなす系統機関でございますので、特にこの適用については県信連を考えておりません。
○内藤(友)委員 業務を委託しますのに、中金のほかにそういうものを考えておられるということは、この資金を融通して行く業務を円滑に遂行するために、私はいいことだと考えております。そこで政府のお考えをお尋ねしたいと思いますのは、貸付対象が協同組合の場合――協同組合というのは限定されているのであつて、言葉は悪いかも存じませんが、つまり事業の協同体と、しからざる個人の場合と区別いたしまして、個人の場合は、いわゆる主務大臣の指定する金融機関が取扱い、事業の協同体のやるものは、これは農林中央金庫で取扱わせるというふうに区分して行くことが、非常によさそうに思うのでありますが、そういうことにつきまして、舟山さんはどうお考えでありますか。一応はつきりしておきたいと思います。
○舟山政府委員 実際の運用上におきましては、協同組合のものは、おのずから系統機関で扱う場合が多くなるということは出て参ると思いますが、この金融機関を複数にいたしまして、いろいろのものに取扱わすことにいたしましたゆえんのものは、一つには、金融機関が独占的な立場に立ちまして、借入者に対して不便なことがあつてはいけないという思想に出ておるのでございます。どの金融機関がどの借入者をもつぱら担当するかということは予想しておらないので、借入者は適宜の金融機関を利用し得るようにいたしたいと考えております。
○内藤(友)委員 そうしますと、それは借入者の希望によりましてすきな窓口へ行く、こういうことになるのですか。
○舟山政府委員 そういたしたいと考えております。
○内藤(友)委員 それは一応わかりました。そこでまた別の條項へ参りたいと思うのですが、第三條の第四項に、貸付金の一時償還の請求について、三つの場合を列挙して規定してあるのであります。これは債権保全のため償還請求でありまして、けつこうなことでありますが、しかし列挙してあります三つで十分であるかどうかという問題であります。他の債権との競合によりまして、この貸付債権が著しく侵害される公算の多いような場合、そういう場合の債権保金はどうするのか。これはこの三つの場合以外に考えなければならないのであるが、そういうことはどうお考えになつておられますか。つまりこれで十分か十分でないかという問題であります。
○舟山政府委員 この三つの條項で一応十分であると考えた次第でございまして、御質問にありましたような例は、どういう場合をおさしになるかはつきりわからないのでありますが、一つの貸付が行われておりますならば、それ以上に他の金融機関その他のものが、既存の債権を考慮に入れずして、多額の貸付をなすというようなことはないのではないかと考えられます。
○内藤(友)委員 それは、一応政府のお心持がはつきりしましたからやめておきます。
 そこでその次の第五項のことでありますが、「資金の貸付を行う場合には、担保を提供させなければならない。」と、その原則を一応ここに規定してあります。そこで担保を提供させることが著しく困難である場合、免除することができるという免除規定がございます。この著しく困難とは、いかなる基準によつて著しく困難と判定するのか。著しく困難というその著しくのものさしをはつきりしておかなければならぬのじやないかと思いますが、それをひとつ伺いたのであります。
○舟山政府委員 担保主義が原則でありますが、そういうふうに規定を厳格にいたしてしまつても、実際の運営上不便を感ずる場合があるかもしれませんので、ここに一つの道を開いたわけでございます。著しく困難であるという場合はどういうようなことであるかは、実際問題が起りまして、あるいはこの業務を開始いたしまして、取扱い内規等をこしらえる際に、十分考えたいと考えております。
○内藤(友)委員 少しはつきりしませんが、この業務内容のことはまたお考えなさるということでありますから、そういうことにいたしておきます。
 そこでずつとまた前にもどりまして、第二條でありますが、この資金の貸付先は、農林、漁業、塩業を営む者またはこれらの組織する法人、こういうふうに一応予定しておられます。そこでお尋ねしたいのは、事業主体に対する直接貸付のみを考えておられるのか。それとも資金が究極において、第二條の括弧の中に農林漁業者という言葉がありますが、この農林漁業者に渡る方法、すなわちいわゆる転貸しでありますが、それを考えておられるのか。それをお尋ねしたいのであります。
○舟山政府委員 第二條は借入者及びその資金の用途を規定したものであります。
○内藤(友)委員 それはそういうことであるかも存じませんけれども、ひとつ具体的なことを申し上げましてお尋ねしたいのでありますが、農林漁業なかんずく土地改良事業というものは、その事業の実際から考えまして、事業の施行者に直接融資するということよりも、むしろその事業そのものを中心に考えて行つた方が、私はほんとうではないかと思います。そういうふうなことから、実は今のようなことを申し上げたのであります。この條文の通りだとすればいいのでありますが、いろいろ含みのある條文であるように考えますから、その点をお尋ねしておるわけです。私どもは事業を中心に考えるという意味ではないかと思います。
○舟山政府委員 別途用意しております施行令、これは政令でございますが、これに貸付を受けるものを具体的に列挙いたしたいと考えております。その内容につきましては、農林省から御説明を願つた方が適当かと考えます。
○内藤(友)委員 そこで今度は農林漁業資金融通特別会計法のことでありますが、この前農林省にお尋ねしたところ答弁がなかつたので、ひとつ大蔵省の佐藤さんに第十五條の関係をお尋ねいたします。第十五條によりますと、この特別会計の経費支出に関する制限を設けておるのであります。いわゆるベースがかわつた場合、そのはね返りが貸付金利にしわ寄せされる可能性がないかどうかということについてどういうふうにお考えになつておられるのでありますか。これは大きな問題だと思いますので、一応はつきりしておきたいと思います。
○佐藤(一)政府委員 ただいまの点でございますが、御承知のようにこの貸付におきましてはすえ置き期間がございますが、利子につきましては当初から収入することになつておりまして、その収入の見込みは、現在のところ農林省等の見込みにおきましては、十分利子収入をもつて当初から経費をまかなうことができるという見込みを立てております。それで私どもの方としましては十分余裕があるものと考えております。すなわちこの規定によつて、御心配になるような点は起らないと考えております。
○大上委員 ちよつと関連して……。農林漁業資金融通法案について今内藤委員から御質問がありました中で、私としてもう一つお尋ねしたいことがあるのです。なるほど第二條の規定によりまして、融資対象者がはつきりしておるのですけれども、今内藤君から事業主体という問題も出ておりましたが、たとえば土地の改良の場合に当然融資を願うところが現物によつてセメントとかその他のものがいるという場合に、農中の扱うところの各地方の農協連というか農業経済連合体、これに対する事業資金というか、あるいはつなぎ資金というか、これはこの法から見ると当然不可能なんですが、さらにつけ加えるところの意思ありやいなや。
○舟山政府委員 先ほど申しましたように、第二條の各号ごとに貸付を受けるものにつきましては、政令で具体的に指定するわけでございますが、たとえば農業協同組合連合会のごときは、ただいまの草案の中に入つております。
○小山委員 この貸付政令案の第一條を見ますと、「貸付を受ける者」ということになつておる中に協同組合が入つておりますが、この協同組合という中には、開拓農業協同組合を含めてのおつもりですか。それとも開拓農協は入らないというお考えでございますか。
○舟山政府委員 この「貸付を受ける者」の選定につきましては、もつぱら農林行政の点から農林省の意向を尊重したのでございます。詳しいことは農林省当局からお聞き願いたいと思うのでありますが、ただいま御指摘になりました開拓農協は入つておるのでございます。
○内藤(友)委員 舟山さんにひとつはつきりしておきたいと思いますのは、先ほどの預金部の六十億、これはきのう農林大臣が、お隣にすわつておられた大蔵大臣に頼んでおるのだという話でしたが、大蔵大臣はそんなことはちつとも聞いておらぬというお話であつた、そこでこれはこの法律のいろいろなことを考えられて来ておりまするもとが、今の一般行政資金の二十億と四十億の見返り貸金で六十億、預金部の六十億、合せてやつて来ておるのであります。というのは、六分一厘がこの資金のコストだというのが、今までの委員会においての答弁でありました。その内容は、三分は預金部に支払う利息、三分は委託手数料、一厘は政府の事務費だということになつておるのです。でありますからへ三分というものは預金部の金が六十億入つた場合預金部に払うのでありまして、もし今この予算にあります六十億だけでありますと、私は委託手数料の三分と政府の事務費の一厘の三分一厘でいいじやないかと思う。そうなりますと、利息がここにこまごまと七分とか八分とかいうことを規定してありますが、これは勢い三分五厘とかなんとかいうことに引下げてよろしいという議論が成り立つて来るのであります。しかしそれはいけないということは、やはり預金部の金六十億というものを当てにしての考え方でありますから、ぜひ六十億の預金部の金が出るように、この法律の建前がそうなつておるのでありますから、この上とも御配慮願いたい。きのう大蔵大臣はそれは知らぬぞ、広川君から聞いておらぬということでありましたが、大臣同士はお忙しいから話がないかも存じませんが、舟山さんはよくその点お含み願つて、六十億の預金部の金が出るようにぜひお願い申し上げたいと思います。
○舟山政府委員 私どもは大蔵大臣の指示によりまして仕事をしておるわけでありますので、現在のところすでに提案になつております予算には、預金部資金を使うことを前提としておらないのであります。資金コストの計算その他につきましては、農林省側において将来預金部資金を使うことも予想して、一応の計数を出しておるのだと了解するのでございます。預金部資金を将来この農林漁業資金として使うかどうかということにつきましては、私どもといたしましても機会を得まして、できるだけ預金部資金をこちらに導入する方向に努めたいと考えております。
○奧村委員 これで三日間私がお尋ねしておりますが、やはりどうもはつきりせぬので、煮詰まつた点だがお尋ねしておきます。
 法第五條の審査であります。この審査は受託者に委託するということになつておりますが、普通の商業金融ではありませんから、この審査ということが非常に重大なものであると思うのであります。この審査の責任と申しますか、善良な注意を怠つた、あるいは重大な過失によつて審査が十分に行われておらなんだ、あるいは間違つた審査をした、そういう場合の政府に対する損害、それを受託者が受ける。その点の規定がこの法には全然載せてない。第八條は第六條の規定違反だけである。ほかにはどこにも規定がない。そこでつつ込んでお尋ねいたしますと、これは民法上の問題になる。民法上ならば、これは一応契約があつて初めて民法上の問題になる。契約を別に準則のほかにおつくりになるという法規課長の御答弁であつたが、ほんとうに契約をつくるのか。ぼくは契約をつくらないように思うから聞くのであるが、契約をつくるのかどうか。その点をもう一度はつきり願いたい。
○佐藤(一)政府委員 もちろん委託をいたします際には、必ず委託契約を結ぶわけでございます。従いまして、その委託契約の條件内容として、場合によつては非常に概括的にこれをやる場合もございますし、それからただいま御心配のような点も十分考慮いたしますれば、その條件はできるだけ精密にすることもできるわけであります。いずれにいたしましても、その場合の諸條件はすべて委託契約の内容になるわけであります。
○奧村委員 そういたしますと、私はこの審査その他の委託業務に対する重大な過失あるいは善良な注意を怠つた場合の責任というものに対する規定は、当然別に入れるべきであると思うが、これは政府と見解が違いますから、これでとどめておきたいと思います。
 そういたしますと、なおお尋ねしておきたいのは、今までの説明によりますと、損害つまり貸付金の元利金の回収が一年以上延滞した場合、二割は受託者が受けるという規定によつて、いかなる損害があろうとも二割で受託者の責任はのがれられる、こういうふうにわれわれは解釈しておつたのであるが、そうではなしに、重大な過失あるいは善良な注意を怠つた場合の損害、これは契約によつて三割のほかに受託者に負担させる、こういうことになるのであるかどうか。この点を重ねてお伺いしたいと思います。
○佐藤(一)政府委員 その二割と申しますのは、もちろん一般の原則を前提にしておるわけでありまして、全然政府がこれを書面の審査その他を通じまして知ることができないような場合において、農林中金の非常な重大な過失というようなもので、政府の決定自体があやまりを犯したというような場合につきましては、一般的な原則、すなわち民法的の原則に基いても、当然これは農林中金が相当の責任を背負うべきものでありますから、契約の内容としてそこまで詳しく書くかどうかは、これからの問題でございますが、当然農林中金がこの責任を背負うべきものと考えております。
○奧村委員 銀行局長にお尋ねをいたします。この農林中金の一月末の試算表を見ますと、農林漁業復興融資の残高が約十五億あります。これは政府が農林中金に復金の事務を代行させた。それでかなり無理な貸付を農林中金に背負わしたということになつておるはずであります。これは銀行局長はすでに御承知のことと思うのであります。この中にはかなり焦げつきと申しますか、回収困難な向きもある。そこでこれらの見返りに農林債券を復金が所持しておつた。ところが復金には農林中金から昨年それを返済された。そうすると結局完全に復興融資は農林中金が背負つたということになるので、将来いずれこの復興融資の分は政府の会計に引継ぐべきである。こういう約束が主務大臣から農林中金に対してあるはずである。この点はすでにお気づきのことと思うのでありますが、この今回の法律案の特別会計がつくられれば当然これが問題になつて、この特別会計に肩がわりさせるべきであるということが問題になつて来るわけでありますが、これに対して銀行局長はどうお考えでありますか。
○舟山政府委員 農林漁業復興融資は、これを行いました当時におきましては、何らか農業金融に関する新機構をつくるという予想を持つておりまして、それができましたならば、そこに肩がわかるという予定であつたわけであります。そうしてそのことは政府から農中へは了解事項として申しておるわけでございます。そこでこれは何らか処置をする必要があるのであります。今度の新法律におきましては、これを当然今度の特別会計で引継ぐということは考えてもおりませんし、また規定もないわけであります。しかしその経緯等の政治的事情どいうようなものは、ある程度考えなければならぬかとも考えるのでございまして、そのまま肩がわり等のことは考えられませんけれども、あるいはその貸付の対象ごとに、やむを得ないものにつきましては新特別会計からある融資をして、実際上旧貸付を消して行くというようなことも、場合によつてはやつて行かなければならぬことがあるのではないか。その程度に考えております。
○奧村委員 その復興融資の一部の肩がわりは、これは法律にしなくても、現在のこの提案の法律案及び特別会計で、政府の方でおやりになれるのではないか、こういうように考えるが、その点いかがでありますか。
○舟山政府委員 実際問題としましてただいま申し上げましたようなことで、その肩がわり――そつくりそのまま債権を肩がわりするという方式でなく、その融資を受けております相手方に新会計でもつて便宜を与えて、それを救つて行くという道は可能かと思います。
○奧村委員 農林省の政府委員にお尋ねいたしますが、昨日もお尋ねしましたところ、政令によりますと水産に関する融資は漁港、船だまりだけに限つております。ただ北海道の魚田開発については多少見てありますが、その他に水産の共同施設あるいは製氷、冷凍、こういうものは全然わくが記載されていない。そこでその預金部の金が六十億入つた場合には、少くとも水産の施設、製氷、冷凍等にはわくを広げていただかなければならぬ。そうすれば現在つくつておられる政令案の中に、その水産施設などの規定も盛り込まるべきであると思うのであります。実は昨日もかなりその点の御質問が連合審査会であつたはずでありますが、その点の御用意はどうなつておるか、お尋ねしておきます。
○鹽見政府委員 預金部資金の導入が可能になるというふうな見通しのもとに、私の方ではそれを研究中でございます。
○奧村委員 この法律案を見ますと、預金部資金六十億が将来導入されるものとして、すべての規定ができておる。そこで預金部資金が導入されるならば、水産の方もわくを広げて、共同施設あるいは製氷、冷凍にも出そうというお考えなら、なぜ政令の中に、内地における水産の施設にも貸し付けるというわくをつくつておかないか。わくをつくられるなら、この際に修正すべきである、こう考えるのであるが、その点御意見を承つておきたい。
○富谷政府委員 お手元に差上げました政令案は、これは申し上げるまでもなく未定稿でございますので、これは現在今練つておりますが、フアンドがきまる以前としても、政令は融資の対象というものを、共同利用施設に対して現在より以上に広げるように現在研究中でございます。
○内藤(友)委員 農林省にお尋ねしたいのですが、第二條を見ますと貸付先は企業者と協同組織体を同列に扱つておるのであります。わが国の農林漁業の実態からいたしますと、協同組織体に中心を置くべきである。これは私は思うのでありますが、こういうことは一つの大きな国の農業政策でありますので、その農業政策を明らかにするとともに、その政策に沿う融資先を考えておく必要があると思うのでありますが、こういうことにつきまして農林省はどうお増えになつておられるのか。まずお考えをお尋ねしておきたいと思うのであります。
○富谷政府委員 法律の体裁上の企業体、この中には個人も含みますが、企業体も協同組合も同様に受けるようになつております。おそらく第二條に列挙してあります事項中で、企業体、会社に参ります分は造林と林道関係であろう、かように考えておりまして、第六項の協同利用施設にはこれは協同利用体だけが入るわけでありまして、企業体に関しましては造林、林道というふうにおそらく限定されるのであろうというふうな想像をしております。
○内藤(友)委員 第二條に一から六まで項目をあげて、融資の事業を規定してありますが、政府はこのほかに自作農の維持資金というもの、それから農家の負債整理に要する資金、それから今日は相続は均分相続でありますので、従つて現実に農村における農業資本の相続は、一人の者が現物を相続して、あとの者に金をわけてやつておるものがあるのであります。従つて農村における相続という問題についての資金が、今日は非常にいるのであります。これがないと非常に困ることになる。こういうものも将来はわくを広げなければならぬと思うのでありますが、農林省はどう考えておられるか。これで農林漁業資金はもう十分だ、ほかはどうでもいいのだというお考えなのか。その点をまず第一に尋ねておきたい。
○富谷政府委員 大きな根本問題でございますので、ただいまのところだけの経過を申し上げます。現在では今お話の均分相続の場合の問題、それから自作農創設の場合の融資の問題、これはそれぞれ独立の特別会計が現在ございますので、そちらの方でまかなうというところで、この特別会計の対象とは現在のところ区別しているわけであります。
○内藤(友)委員 それでは第三條のことでありますが、ここには貸付資金を項目別にきめてありますが、そこでこの予定計画書によりまするわくであります。このわくというものが相互間に流用を認められるのかどうか。また府県別間のわくの流用も認められるのかどうか。それを一応はつきりしておきたい。
○富谷政府委員 六十億の資金の配分計画がございますが、これが収入利子の算定基礎になつておりますので、非常な大きな変動がありますと、たちまち予算の方の収入不足に影響があるというわけでございますから、極端な異動ということは考えられませんが、多少の異動ということは現実の融資を行つた場合にあり得ることであるというように予想し、関係方面にもさような説明をして了解を得ております。なお府県別のわくでございますが、これにつきましても予定計画通り融資の事務が進行しない。これは需要がないというのではなく、借入れ手続の方が遅れたという場合には、府県別の異動ということもあり得るというように考えております。
○内藤(友)委員 もう一つで終りますから……。第五條によりますと、この業務を委託された金融機関がいろいろ仕事をやりまして、最後の決定は農林省がなさる。そこで私は、これはお頼みでありますが、今までもこの種の金融が非常に手間がかかり経費がかかり、最後の融資を受けるまでにはずいぶん困難があるというので、非難が実はあつたのであります。ところが今度は単に金融機関のみでなく、その上にまた農林省という役所が、貸すか貸さぬかという最後の仕事をせられるのでありまして、いよいよもつてどうも仕事が遅れるということになつて来るのであります。でありますから、そうなりますと今までは農林中金へ行つて頼めばよかつたものが、また農林省に足を運んで頼まなければならない。なるほど利率は七分、八分ということでありますが、そういう雑費を加えますと二割にも三割にもなるということになりますので、これを借りますものから言いますと非常に困ることになる。従つて農林省が最終決定をなさるときには、迅速にお取運びをいただきたい。屋上屋じやなしに、とにかく練達の士を集められて、早く物事がきまるように、地方から陳情などに参らないように、この問題について陳情が参りましても受付けられないで、右から左に流すというふうにやつていただきたい。これはお頼みでありますから、よろしくお願いいたします。
○夏堀委員長 休憩いたします。午後は一時半より会議を開きます。
    午後零時三十九分休憩
    ―――――――――――――
    午後二時十三分開議
○夏堀委員長 休憩前に引続き会議を開きます。
 関税定率法の一部を改正する法律案について、引続き参考人の方々の御意見を拝聴することにいたします。午後は日本石油株式会社社長、石油精製懇和会会長佐々木彌市君から、時間は十五分程度でお願いいたします。
○佐々木参考人 今日関税の定率の改正につきまして、私ども参考人として呼び出されたわけであります。
 今日原材料の確保の必要なことは、私から申し上げるまでもないのでありますが、特に私申し上げたいのは、原油の輸入確保ということであります。こういう建前から考えまして、原材料であるところの石油の、しかも原油の確保については、非常に緊急な問題である。この際に関税が設けられることはまことに妥当でないというふうに考えるのであります。石油は産業の食糧でありまして、一滴も多く供給をしなければならぬことはもちろんでありまして、日本の経済復興のために絶対に必要なものでありますが、現在国産原油の産出量はごくわずかな量でありまして、全体の需要に対しましては一割前後というような状態であるのであります。従つてこの際に輸入に対して障壁をつくることはどうかということが、私の申し上げたい点であります。関税を課しますれば、製品の価格は当然値上りをしなければならぬということになるのでありまして、今申し上げますような一般産業の犠牲においてこれを負担させることは、少しく考えなければならぬ点ではないかというふうに思うのであります。ことに現在は外国航路と申しますか、一般に運賃がだんだん上りつつあるのでありまして、その結果は製品の値上りも当然考えてみなければなりませんし、また原油にいたしましても当然上るわけでありまして、この際に関税がかけられることになりますれば、消費者に対しての負担が一層大きくなつて来るということを考えるのであります。国産原油に対しまする保護ということにつきましては、私どもも一面精製業を営んでおる関係の者といたしまして、また日本の経済全体から考えましても、当然これは大切なことであるということには異存はないのでありまして、積極的にこの保護増産をいたさなければならぬということには賛成でございますし、むしろこれは当然考えるべきことでありまするが、戦前の状態、戦後の状態というものを考えまして、この保護ということについての観念もかえて行かなければならぬ現状にあるのではないか。ことに石油政策においてそうであるというふうに考えるのであります。
 その次に申し上げたいと思いますことは、今年の予算に石油関係の関税収入というようなものが計上されておるということでありますが、われわれ考えまするのに、現在は御承知のように揮発油に対して税金がかけられておるのでありますが、この揮発油税の増徴ということは相当大きく考えてもいいのではないか。揮発油税が大きくなるということは、今後需要が大きくなるということでありまして、現に太平洋岸製油所等におきましても増産の方向に向いつつあり、また輸入原油の量も非常にふえて来ようとしておる現在であります。私どもこういうことを考えますると、揮発油税の増徴ということは相当に数字を大きく見てもさしつかえないのではないか。今申し上げましたような保護という方面に向つての、何か助成金を出すというようなことがありますれば、その額においてはどうかと考えますけれども、今計上されておる石油関係の関税収入というようなものが、私の今申し上げますような関税を課せないという点においてゼロになるということではない。むしろ差引相当の増収になるということを考えるのであります。世界の例を見ましても、原油に対して関税をかけるというような所は、ごく国産の量の多い所でありまして、日本のような状態にありまする外国におきましては、関税はかけられていないというのが普通であります。
 なお先ほど申し上げました製品価格の影響ということも、この際大きな問題でありまして、現在は御承知のようにマル公になつておりますので、ただちにこの影響を受けるということに相なるのであります。またかりにこれが自由な価格、あるいは統制がはずされるというような場合を考えてみましても、この関係は当然将来製品の輸入という面に関係があるのでありますが、その製品の輸入量はきわめて少いものでありまして、このうち大部分は重油であります。重油をのけますと、五%内外というようなごく僅少なものになるのでありまして、これらについての影響はあまり大した問題でもありませんので、原油、重油という原材料に対しての課税ということが、一番大きな問題になると考えるのであります。先刻申しましたように、われわれが原材料としての確保ということを根本的に考えまするときに日本のような状態にある国といたしましては、特に原油、重油というものに対しての課税は妥当でない。さらに、原油はこれから先は一滴でも多く確保しなければならぬ。その確保する上において、輸入ということが大部分であるという場合には、当然政策的にも課税するようなことを、この際考えることは妥当でないのではないか、かように考えるものであります。
 簡単でありますが、一応私の考えておりますことを申し上げました。
○夏堀委員長 次に帝国石油株式会社社長酒井喜四君。
○酒井参考人 私ただいま御紹介にあずかりました帝国石油株式会社の社長、酒井喜四であります。
 今回政府から提案されました関税定率法の一部を改正する法律案のうち、石油に関係するのは五一九番の炭化水素油という項目にうたわれた内容でありますが、炭化水素油というのは、いうまでもなく俗にいう石油及び石油製品類であります。その内容を拝見しますと、一が原油、重油及び粗油という一段、二がその他として、これを比重にわけまして、甲と乙とにわけておりますが、甲は、主として揮発油、軽油に相当するものであり、乙は主として機械油に相当するものであります。そして今回盛られた税率は、原油、重油、粗油の項目に対しては従価一割、揮発油、燈油、軽油の類に対しては従価二割、機械油に対しては従価三割という率が盛られておるのであります。これは現在の内外の事情から見て、わが国における石油鉱業並びに石油の精製業を保護助長するという立場から、この三段階の税率を設けられたということは、おおむね妥当なものと私は考えるのでありまして、従つて今回の提案されました政府案に賛意を表するものであります。以下私が関係しております石油鉱業の立場から若干の意見を述べさせていただいて、御参考に供したいと思うのであります。
 国内原油の生産は、大正の初期におきましては年産五十万キロリツターでありましたが、その後幾多の変遷を経まして、昭和九年ごろには四十万キロ程度の産油を見たのであります。戦時中は南方方面への人員資材の供給等のため、また戦後は労働不安及び戦時中の濫掘の影響等のために、原油の生産量は激減いたしまして、一時は年産十六万キロリツターという状態でありましたが、その後政府の積極的な助成対策と、企業者の企業合理化の努力とによりまして、昭和二十五年度すなわち本年三月に終る過去一年間における産油量は、年三十二万キロリツターというところまで上昇して参つたのであります。そして現在の見通しとしては、来年度は大体において三十六万キロリツターの生産を確保し得るという段階に到達しておるのであります。しからばこの日本の石油資源の将来はどうであるかということになりますと、私どもは少くとも近き将来に年産五十万キロリツターまでは、確実に生産を上昇し得るという見通しを立てておる次第であります。
 これらの現実の生産を確保いたしまする資源関係の方をひとつ見ますると、原油の埋蔵量も結局は探鉱の積極的な推進と、最近にアメリカから導入されました二次回収法の採用によりまして、いわゆるわれわれのいう石油の埋蔵量というものが、著しく増大して参つておるのであります。従つてわれわれはその将来に対してきわめて明るい期待を持つものでありますが、試みに今専門家で推算されておりまするわが国の石油の埋蔵量の数字を述べますると、大体千二百万トンないし千五百万トンといわれておるのであります。これはわが国の専門家及びGHQの天然資源局の専門家による一致した見解であります。なおただいま申し上げました、二次回収法という目下アメリカにおいて広く行われておる採油回収法をとりますると、この方法によつては、さらに旧油田から在来の生産量と同様の油が回収されるのであります。わが国においてもこれを採用することによつて、少くともさらに埋蔵量として六百万トン程度の増加を見込み得る、かように考えておるのであります。ただしかしながら、石油資源埋蔵の規模及び分布は、わが国においては米国その他の大産油国の場合と異なりまして、比較的規模が小さい油田が広範な地域に分布されておりまする関係から、たとえば帝国石油の場合を例にとつてみますると、八橋油田のごとき大規模油田とともに、群小の散在しておりまする油田をあわせて仕事をいたしまして、それによつて全体の採算をとり、資源の絶対的回収量を増して行く、かような必要があるわけであります。従つて国際的な日本の石油における競争という点になりますと、遺憾ながら今日の企業の段階におきましては、まだ基礎確実ということは言えないような事情にあるのであります。かくのごとき場合、結局は関税による保護を絶対に必要とし、これによつて対外的な競争力を確保する以外に方法はないと、私どもは考えておるのであります。
 一方原油の価格の面からこれを見まするならば、昨年六月におきまして、アメリカ原油はCIFキロ当り六千二百円で輸入されることになつて、これはさや寄せするために国産原油価格は、メリツトを考慮いたしまして、キロリツトル当り六千七百円に引下げられたのであります。しかしながら六千七百円では、とうてい企業は維持できないということから、政府にいろいろ配慮いただきまして、キロリツトル当り千七百円の価格調整金を得て、輸入原油との間に均衡をはかつた事実があるのでありまして、かくのごときは平常時において、国産原油が常に外油の輸入による脅威に直面しなければならないということを、端的に物語つておるのでありまして、しかもただいま申しましたような価格調整金というような応急措置は、本來恒久措置としての関税のごときものに、切りかえらるべき性格のものであろうと私は考えるのであります。なおまた現在は、その後の情勢によつて価格調整金は、昨年の十二月以降なくなつておるような事情であります。この際つけ加えておきたいのは、巷間原油価格が現在一万円以上であるかのごとく伝えられております。そしてそれを基礎として関税の議論が行われておるやに思うのでありますが、これには非常な誤謬でございまして、国産原油は最近における物価騰勢による原油高にもかかわらず、キロツトル当りマル公八千四百五十円の低位にくぎづけられており、一般物価水準から見ますと、この程度の価格はかなり低位に置かれておるということが、数字の上でも証明されるのであります。
 わが国におきまする石油鉱業の経営の規模は、帝国石油の場合におきましても、今日なお安定した経営規模の段階に達しているとは言えないのであります。すなわち石油鉱業経営の基盤は、新油田の発見のために探鉱面への投資を可及的に増大して行かなければ、結局は生産が縮小して没落するわけであります。これを当社の数字をとつてみましても、昭和二十二年度以降の各年度の投資総額と、探鉱面への投資額を比較してみますと、昭和二十二年度においては、全体の投資が六億三千万円のうち探鉱面はわずかに八千万円、昭和二十三年度十一億五千万円中一億五千万円、昭和二十四年度においては二十億円中二億九千万円、昭和二十五年度におきましては二十五億円中五億円が探鉱に振り向けられるというようなぐあいに、逐次探鉱面への投下の割合が順調に上昇して参つておりまして、これは一面各般の助成施設によつて日本の石油鉱業が順調な足どりをたどつておるというのでありますが、さらに今後における生産量及び埋蔵量の増大をはかるためには、旧油田の維持回収をはかるとともに、新油田の発見のために、容易にかつ多額の投資を行い得るような経営規模を、確立しなければならないのでありますが、私どもとしましては、企業体が遺憾ながら今日その安定段階に達していないと考えまするので、少くともそういう段階に達するまでは、関税による保護を絶対に必要とするということを強調したいのでございます。
 次に国産原油の生産量が需要の一割程度にすぎないから、さして保護の価値もないのではないかといつたような反対論をしばしば聞くのでありまするが、消費が計画的に行われておりまする今日においては、実は約二割を国産原油をもつて供給している事実をこの際述べておきたいと同時に、供給量が比較的僅少であつても国産原油を有するということは、外国産原油輸入という国際貿易関係において、取引上の牽制たり得るのみならず、国家経済自立上絶対的な強みと言わなければならないのであります。この点は過去においていろいろな石油政策がとられた場合において、外社による国内市場の恣意的な形成を、国産油の存在ということによつて――比較的ではありますが、ある程度これを阻止し得たという事実を幾つかあげることができるのであります。こういうようなわけでありまして、今日国産原油の増産の見通しはこの面においてもはなはだ力強い次第でありまして、この際ある程度の関税の保護によりまして、さらに国内石油鉱業の伸張性を助長されんことを希望してやまない次第であります。
 次に関税率について申し述べますならば、さきにわれわれは石油の国際価格を標準といたしまして、従価、それからまた戦前における関税率の振合い等も考えて、昨年の十二月ころまでは、われわれは従価比率として、原油に二割の関税率を主張して参つたのであります。しかしながらその後国際情勢の変化によりまして、CIF価格もかなり上昇して参つております現状でありますので、現在は一割の政府原案の税率を甘受しなければならぬと考えておるのでありますが、この場合におきましてもCIF価格の上昇が、御承知のように主としてタンカー運賃の異常な高騰に基因しておるというその事情を考えますときは、将来に向つては実は税率の一割ということについて、かなりの不安を包蔵するものと言わざるを得ないと思うのであります。
 次に関税の改正が消費者に及ぼす影響について少し述べてみたいと思います。一部の報道等には、原価に対する従価一割の関税が、一般石油製品の消費者に深刻な影響を与える。しかもその影響は、一割の原油関税が、結局は消費最終価格において二割五分程度の影響を与えるというような記事等を見たのでありますが、これはまつたくの誤りでありまして、われわれの計算するところによりましても、また政府の物価庁等において計算した結果によりましても、一割の関税の引上げが最終製品価格に及ぼす影響は、五%ないし六%程度となるのでありまして、これらの誤解からいろいろ論議されておることは、われわれとしてはなはだ迷惑に感じたような次第であります。この点はとくと御了承を願いたいと思うのであります。しかも最初に申し述べましたように、関税は原料と製品にわかれておりまして、製品におきまして揮発油等二割、機械油等三割というような税率がかけられておりまする等、これは普通の製品市場の価格としましては、最終価格は結局この製品関税に支配されるという結果に相なるわけでありまして、従つて先ほど申しました原油関税の引上げによる最終製品への五%ないし六%程度の影響は、製品の市場価格の決定の間において大体吸収されるものではないかというふうに、われわれは見ておるのであります。
 この際特に申し述べておきたいのは、石油関税の影響はただ原油関税のみでない。これは製品を通じて行くのであるということを申し述べただけでありまして、決して精製業保護のためにする二割ないし三割の関税率に、反対をするという意味ではございませんので、この点を御了承願いたいと思います。ただ一言触れておきたいのは、一部論者のうちに、この際原油、重油、粗油のみの関税をゼロとして、製品の方の二割ないし三割の関係は、そのまま存置してもよいではないかというような議論があるやに聞くのでありますが、かくのごときことになりますと、結局今申し述べましたような事情から、消費者の負担の軽減は何ら行われることなく、しかも一面原油から精製へわたる産業政策上の面において、著しく不均衡を来すものでありまして、あくまで関税は石油鉱業から精製業を総括的に、しかも一般的にながめて、その可否を論ずべきものであろうと考えます。最後に、関税によらずして、国産原油の保護は他に助成方法があるのではないか、むしろそうやるべきではないかという議論が行われるのでありますが、探鉱助成金等による保護は、きわめて特殊な方法による助成でありまして、企業本来の立場からは、企業計画の策定は、価格というような客観的な経営指針に基いて、自由に行われることが望ましいのであり、またかような安定目標があつてこそ、企業が創意とくふうを生かして、自由にその力を伸張し得るものであると考えるのであります。従つて関税制度は、本来的にこの面の作用を有する恒久的な保護制度として、絶対的効果を有するものであるというふうにわれわれは考えるのでありまして、この点において、特殊な助成政策と関税政策との間には、十分そのねらいと効果を分離し、また私企業としての石油鉱業が活発に活動し得る面を考えた場合に、この際関税制度というものがとられることに十分の裏づけがし得ると考えます。
 最後にもう一点触れておきたいのは、原材料の重要な石油を確保するために輸入関税をかけることは、輸入の円滑なる運行を阻止しはしないかという面であります。この点は、われわれ過去における状態を振り返つてみましても、かつてライ社、ス社というような外国会社が、日本に製品を主として入れるというような方針をとつた時代において、しかも原料に一割五分ないし二割程度の原油関税がかけられた当時においても、そのために原油の輸入が非常に円滑を欠いたということはなかつたのであります。いわんや今日、できるだけ原油を入れて国内精製を増加しようとする方針をとり、しかも外国会社との間に逐次資本の提携の行われている場合において、国内石油鉱業保護のために一割程度の輸入関税をかけることが、外油輸入を阻害する重大な要因になるということは、とうてい考えられないものであると私は考えるものでありまして、以上述べましたところによりまして、国内石油鉱業保護のために少くとも従価一割程度の関税をぜひかけて、今後の発展を助成していただきたいという希望を述べまして、私の意見を終らせていただきます。
○夏堀委員長 次は日本乗合自動車協会専務理事塚田耕一郎君。
○塚田参考人 私はただいま御紹介にあずかりました日本乗合自動車協会専務理事の塚田耕一郎であります。全国自動車運送事業者、すなわち、トラツク協会、乗合協会、乗用車協会、自家用協会、日本通運協会の五団体を代表いたしまして、僭越ではありますが、一言われわれの願いをするところを聞いていただきたいと思います。
 関税の問題につきましては、われわれは日夜お願いやら陳情やらをして参りまして寸暇もない状態であります。大蔵省あるいは通産省鉱山局あたりに、石油類に対してなぜ輸入関税をかけるかとの理由を伺いますと、およそ次の三点に要約することができるのではないかと考えております。第一点は、国産原油の採掘、すなわち国内産業の助長を目標としているということであります。第二点は、別に事新しく関税をかけるのではない。昔からあつたはずではないかというのであります。第三点は、石油類に関税をかけるのは、もしこれが現在不要であつても、一応課税をしておけば、将来講和会議終了後、相手方に対して最惠国約款を設定するときに都合がよいではないかということであります。これは私たちの考えから申しますと――お役人の方々に対してははなはだ申訳ないのでありますが、中学生の机上のプランのように考えておるのであります。これには国際情勢下再建日本を裏づけした何の政治性もないのでありまして、われわれはこれを肯定するということはできないのであります。第一に国内産業の保護助長のためという当局のお話でしたが、一体石油類に関しましては、石油の国内生産は二十五年度はわずかに――帝石の社長さんから伺つたのでありますが――三十二万キロ、また二十六年度の計画では三十六万キロのように伺つております。これに対しまして輸入状態を見ますと、経済安定本部の最低線で行きましても、年間輸入原油は二百五十万キロリツトル、その他製品としましては別に百万キロと見ましても、国内原油はわずかに九・一%にしかすぎないのであります。またこれらを精選してガソリンがどれだけとれるかと申しますと、国内原油からは六万キロリツトル、輸入原油からは七十万キロリツトルとれるという勘定になります。かかる貧弱な原油、しかも帝石さんに対しましてははなはだ相済まぬのでありますけれども、わずか帝石一会社を保護せんがために、かかる国際的な、しかも恒久性を有する関税政策を法律化せんとすることは、われわれはむしろ立案者の拙策さを疑わざるを得ないのであります。まず現在の危機をどうして切り抜けて行くかということがわれわれの焦点でありまして、むしろこの問題は第二義的と考えてよいのではないかと思うのであります。一帝石、一国内生産業者を保護するのならば、関税障壁によらないでも、もつとほかに道はあるはずであります。あるいは補助金とか補償制度があると思います。現にこれまでも毎年一億円程度の補助金を出しているはずであります。特に二十六年度は一億六千万円、口ではわれわれは一億六千万円と申しますがまことに厖大な予算をお通しになつているように聞いております。われわれとしましても、国内生産を保護すべきであることはよく承知しております。また生産保護のためにはどんな犠牲をも惜しまないつもりであります。しかし石油類に関しましてのみは、関税による保護障壁というのは私たちは絶対に反対するものであります。思うにこれは他のねらいがあるのではなかろうかと、老婆心でありますが考えているわけであります。財源問題、すなわち一つは国の増收をはかり、他の一つは関税率だけ高く売れるから、それだけ帝石がもうかるという一石二鳥をねらつておるのではなかろうか。この論法を数字的に申し上げますと、現在輸入原油のCIF価格は、一キロ当り七千六百七十円でありますから、この一〇%七百六十七円となりますが、帝石の年産三十六万キロをかけますと二億円強になるのであります。たつたこれだけの増收をはかるためと関税をかけるために起る影響を、比較検討してごらんになつていただけば、三つ子でもわかるのではないかと考えます。卑近な例をとつて申しますと、たつた一つの関税を設けることによりまして、一本七、八円の大根がたちまち十円になるのであります。また今まで十円で乗つておりました乗合自動車のバスの運賃がこれまた十二、三円になりましたらどうでありましようか。八千万国民に経済的に及ぼす影響は、きわめて大きいと私は考えるのであります。これは国民の日常生活にほんとうに切つても切れないつながりを持つていることを、諸先生方に特に御勘案願いたいと考えております。そうでなくても現在の物価は日増しにうなぎ上りに上つておりますし、この際諸物価の値上りに拍車をかけるような政策は、すみやかに御停止になるべきが私は当然ではないかと考えております。八千万国民の生活意欲をゆるめ、生産を阻害して何の国家再建がありましようか。私は大蔵省なり通産省のお役人にお聞きしたいことがあるのであります。私は何ゆえこのように強く反駁するかと申しますと、次の一事をもつてお答えすることができると考えております。それはガソリン税の問題であります。大蔵当局が、財政的な意味も含まれていることと存じますが、現在のガソリン税として一キロ当り一万一千円として、二十六年度は四十七億円を計上しておられますが、経済安定本部の供給計画から申しますと、七十二億円の税收入となつて予算を二十五億円ほど越えることになります。これは二十五年度の実績によつてもほぼ確実であるのでありまして、しからば関税收入予算の十六億一千万円と帝石のもうけの二億円強とを償つて、これは相当余りがあると言わざるを得ないのであります。大蔵省のお役人さんは、関税收入はガソリン税の收入とは性質が違うと言われましたが、それはお役人が違うということであつて、入るところは同じではないか。われわれから考えれば、これは詭弁にすぎないのではないかと考えております。こういつた観点からしましても関税政策は絶対に撤廃すべきで、むしろ無税でなければならぬと信じております。少くとも石油は、石炭と電力とともに国家の基本的重要資源として、新たに大きな目を開いて行くことが目下の緊急事であります。農林水産業者はもちろんでありますが、われわれ自動車運送業者にあつては一万八千台のバスと十万台のトラツクと一万二、三千台のハイヤー、タクシーと、加えて国有鉄道のバスとトラツクを日夜わかたず全国津々浦々までかけまわつて、公共事業としての採算を度外観してまでもやつております。八千万全国民の産業の基盤をなしておりますから、かかる重大な役割をになつているわれわれの意思は、無視することはできないと考えます。先日帝石の方にお目にかかつたときに、ある人の話を承りますと、一朝事があつたときはと言われましたが、これはどういう意味だかよくわかりませんけれども、国際情勢が険悪になつて、外国から原油の輸入がとまつたときには、国産原油岩間に合わせるというふうな意味かとも解釈されましたが、もしかかる意味が含まれているとすれば、今ただちに積極的に関税を設置することはやめまして、むしろ消極的にして、いざ鎌倉というときに備えておくために温存することがよいのではないか、こういうふうに考えております。また地下資源は漏つたり蒸発したりして減少するものではありません。私はしろうとでよくわかりませんので責任は持てませんが、ある経済雑誌に国内原油資源の確定埋蔵量は五百八十万キロ、全国のすみまで、ちようど井戸を掘るように採掘してみても、推定埋蔵量は一千二百八十万キロしかないそうであります。もしこの仮定のもとに論じますれば、現在年間供給量四百万キロを押えたとしても、わずか一年半から三年半しかもたないのではないか。日本の原油資源がからつぽになつて、外国から軽く見られるよりも、むしろ大事なものは小出しに使うことが国を思うことだと存じます。かかる貧弱な資源を擁しながら関税障壁を設けるということは、身のほどを知らないおこがましい次第ではないか。一帝石の保護のみが目標であつて、半面を見ざる近親眼的な偏見であると言わざるを得ないのであります。かかる法案はすみやかに撤廃さるべきでありますし、面子問題ではありません。国策を離れて何の面子があるでありましようか。
 第二点として申し上げたいのは、関税は従来もあつたものであつて、しかも二〇%もかかつたと言われますが、現在もう一キロ二十四円の関税は、昭和十六年三月のキロ当り原価九十円のときのことでありまして、当時は戦時中のことでほとんど禁止的に課税したものであります。しかるに現在となつては、すでに事情は百八十度転換をしておりますので、大蔵省や鉱山局の方は、国内原油を掘り始めてから今日まで大体どのぐらいの量を産出して、それに対していかほどの補助金を出したでしようか。これは申すまでもなく御検討になつておることと存じます。おそらくその出た数字は、輸入量に比べまして微々たるものではないでしようか。すなわち国産にのみ依存することはできない状態であります。しかるに何の理由あつてか一キロ当り七百六十七円という高率の、しかも従価税をかけんとしますか。現在の二十四円を撤廃して、石油類は無税とすべきが当然であると思います。世界いずれの国に行きましても、国内で生産できず、外国から輸入を仰いでおる品物に対して、関税障壁を設けておる国は、おそらくないのではないかと考えております。関税の意義から申しましても、りくつは通らないものであります。
 第三に、現在は不要であつても、一応課税しておいた方が、将来最恵国約款のとりきめのときに都合がよいとのことですが、われわれとしましては、聞くもはずかしいことであります。私がいまさら申し上げるまでもなく、国税の本質というものは、国内で生産できてなお余りがあるとき、しかも国外からも競争的に安く入つて来るというときに、国内産業保護のもとに関税障壁を設けるべきであつて、国内生産ができないものに関税をかけること、かかることがまことしやかに討議されたということが外国に聞えたならば、私はむしろ物笑いの種になるのではないか、かえつて侮りを受けるようなことになりはしないかと考えます。そうして将来関税協定のときに、これをはずしてやれば相手が喜ぶと考えるのは、たとえて申しますと、子供からあめ玉を取上げて、あとからこれを与えて喜ばすというような考えと同じであります。物笑いにこそなれ、得るところは一つもないものと存じます。外国はそんなに甘くはないと私は考えております。むしろ反対に、現在の二十四円の関税の撤廃案こそ提案なさるべきであると存ずるのであります。以上述べました理由は、今となつては立案者の方方もうすうすは感づいておられるのではないかと思います。しかし面子の問題を考えておられるのではないでしようか。われわれ国民は誤れる面子問題にはこりごりしております。そうして誤れる面子問題のために、日本は永久に忘れることのできない苦杯をなめておるのであります。しかもこの災いを転じて福となすことは、誤りをさとつたとき、すぐ撤回することであると思うのであります。これは善良な官僚のとるべき道であると存じます。
 以上はなはだとりとめもないことを申し上げましたが、私の意のあるところをおくみとりくださいまして、今回の関税に関しましては、他の技術的方法によらないで、絶対に無税とされんことを深く深く諸先生方にお願いをいたしまして、私のお願いを終りたいと思います。
○夏堀委員長 次は漁業経営者連盟会長代理横山登志丸君。
○横山参考人 全国の漁業者団体全部の協議によりまして、全漁業者の総意をここで申し上げたいと思うのであります。こういう意味でありますから、主として漁業方面から今回の関税定率改正問題について申し上げ、委員会にお願いをいたしたいと思うのであります。
 今回の定率改正によりますると、漁業用石油類を含んだ石油類に対しまして関税をかけられる、こういうことに相なるのでありますが、もしこれが実施せられましたあかつきには、わが国の漁業経営はほとんど致命的打撃をこうむることになるのであります。ひいては国民の保健食糧でありますところの漁類の生産を萎縮せしめまして、国家としても容易ならない悪影響が来ると考えるのであります。以下概略でありますが、その理由を六つばかり申し上げて御参考に供したいと思うのであります。
 その第一は、現在漁獲物の九〇%以上は石油類に依存しておるのであります。言いかえて申しますと、動力付漁船の漁獲物であるのであります。今日では石油類は漁業に不可欠の基礎資材に相なつております。経費の内容を見まずと、人件費の次に位するところの大きな要素を持つております。大体私どもの計算いたすところによりますと、全経費の二五%ないし三〇%になつておるのであります。そうして二十五年の総消費実績は約五十六万トンであります。安定本部の計画になりますところの二十六年の計画所要量は、約九十万トンということになつております。これは全産業に使いますところの量の大体二〇%ないし三〇%で、漁業者はすこぶる大口の消費者であるわけであります。もし万一政府の案のような税がかけられますならば、漁業者の負担の過重は約七億ないし八億になる推定であります。これは現在の漁業家にとりまして、容易ならぬ大きな問題であるのであります。
 第三点は、漁業経営の実情を申しますと、終戦以来幾多の悪條件を克服しまして今日に至りましたが、昨年の暮れあたりから、綿糸とともに基礎資材の価格が上昇して参つた。これをいかに切り抜けるかにつきましてよりより相談いたしまして、この苦悩を脱しようとしております折から、この関税の問題が上りましたので、業者は非常な心配をいたしております。御承知でありましようが、他の工業製品でありますと、原料等にかかりました費用は、その製品に転嫁する手だてがあるのでありますけれども、漁業においては、漁獲物価格は市場その他において配給業者の競買によつて決定されるものでありまして、生産費のいかんということは少しもとんちやくがないのであります。しかも今日では、一時相当値上りしました魚価がむしろ低下の傾向にあるのであります。かような苦況にありますが、各種の漁業の平均をとつてみますと、支出一〇〇に対しまして收入九五以上にわたつておるところの漁業は一つもありません。とうてい関税による石油類の値上りということは、いかなる方面から申しましても耐えられない現状であるのであります。すでに本年あたりから会社の解散、個人の廃業というような減少がぽつぽつ現われておるのであります。
 第三の点は、先ほど申しましたように、資材の値上りはただちに損失になつて参るのでありますが、現在の概算で、水産業の投資額は約一千億円と考えていいんじやないかと思います。それの従業員は大体三百万人と言われておるのでありますが、その損失がどういうふうに割当てられることになるかと申しますと、漁業、ことに遠洋漁業におきましては、歩合制度といいまして、收支はすべて共同の経営の形になつておるのであります。でありますから、もし一割の損失が起りましたならば、経営者の方と、それから従業員の方とは、ある割合でこれがかかつて来るのであります。従いましてその影響は、生産者には経営の損失を与え、従業員には報酬の減額が来るのであります。
 第四の点は、以上のような状況にありますので、すでに戦前、昭和の初めにおきましては、魚類の国民食糧の上の重要性を考えられまして、時の政府はすでに免税の措置をとつておつたのであります。その後形は補助の形にかわりましたけれども、戦前までずつと漁業経費の低廉の政策を続けられておつたのであります。ところが今日ではその当時と比較しますと、もつともつと深刻切実な事情に相なつておるのであります。今日はすでに補助の政策がなくなつたのでありまして、補給金その他の措置でもつて生産を萎縮せしめない政策が必要でなかろうか、こうわれわれは考えておるときに、逆に経費の増強を来すような関税の実施は、私どもはどういたしましても承認できない事実であると思います。
 第五に、間接のようでありますけれども、石油類の値上りによりまして、海陸の運賃が上つた場合にどうなるか。この場合にも、トラツク、船積み、こういう機関で魚類を生産地から消費地の方へ運搬しておりますところの生産者は、この面でもまたマイナスが来るのであります。私どもは輸入ものをほしがるだけである、こう考えられるようでありますが、決してそうじやありません。国産もちろん大いに私どもは歓迎するのでありますが、何分その量におきまして、とうてい国産は輸入量におつつかぬのでありまして、私どもはこの輸入をもつともつとふやしてもらわなければ、現在は所要量のわずか六〇%しか漁業の方にまわつていない実情であります。
 この際貿易の收支について一言触れておきたいと思います。漁業の関係は、これは宿命でありますから、綿糸であれ石油であれ、遺憾ながら資材を輸入に仰がなければならぬような現状であります。しからば貿易面で常にマイナスになつておるかというと、私どもの計算によりますと、業種によりましては非常な黒字になつております。水産全体を総括いたしますと、大体バランスがとれるのであります。この上石油を多く輸入いたしましても、国内消費の余力をもつてこれを輸出いたしまして、それをカバーするだけの実力を持つておりまして、すでに本年の実績はそれを示しておるのであります。この点私は漁業方面で收支のバランスが悪くなる懸念は、毛頭ないと存ずるのであります。
 最後に他の関係に少し言及いたしまして、そうして漁業方面に悪影響を来さないことにつきまして、一言申し上げて終りたいと思います。重要産業の基礎資材である石油の値上りを来すような政策が、一体国民の常識からいつて受入れられるものであるか。今日これが問題になつておること自体に、私どもは非常な疑惑を持つものであります。もしこれが決行せられるならば、私はまれに見る暴挙ではなかろうか、また重要産業に従事する者に対する私は残酷な処置であるように思うのであります。関税賦課が実施せられますその理由といたしまして、前の参考人の方からも大分触れておられましたが、どうもわれわれは多くの犠牲によつて、そうして一部の者を保護するような理由でありはしないか、こういうような気がするのでありますが、これは経済方面からまた従業員の食糧方面から、この両点から考えて、そうして利害得失を考慮せられたものであるかどうか、私どもは非常に疑つております。その経済方面のことにつきましては、深く比較検討する資料を持つておりませんが、ごく見やすいことで、実はきようの日本証券新聞を見ますと、水産の七社、これは代表的な大きな会社であるのであります。株価は必ずしも経営をそのまま比例的に表わしておるものではないでありましようが、しかしこれは参考にはなると思います。一番多いのが四十七円、一番少いのが十二円、平均七社が二十六円八十銭、そうして問題になつておりますところの、いわゆる保護せられる側の帝国石油の株を見ますと五十三円、こういうことになつております。これは一体何を物語つておるでありましようか。ただ私は一つの例にはなるのではなかろうか、一つの事実にもなるのではなかろうか、こういうことでこれを引例いたしたのであります。もし国庫の收入という点でこれが実施せられますと、先ほどから申しますように、重要産業を萎縮せしめる結果となりますから、これによる一体国庫の收入がどうなるか。私は非常な国庫收入減が来るのでなかろうか。またもう一つの見方から申しますと、国民を栄養不良にしておいて、そうして片一方では医薬厚生の経費をうんと増す。われわれはこれは一過程におきましても、こういうまずいところの経理の仕方は、他からこれは笑われるようなことではなかろうか。こういうふうに存ずるのであります。また国際的なかけ引とか、あるいはゼスチユアに使うというようなことも、何か理由の一つであるかのごとく仄聞いたしますが、わが国の石油の需給状況をちよつとでも知つた人は、おそらくそれは何らの効果があるものではないであろう、こう私は信ずるのであります。
 以上を要しまするに、私は漁業関係者といたしまして、また国民の一人といたしまして、もし将来その効率と価格につきまして、石油類と同じようなものが出て来ますならば別でありますが、それまでは石油類の輸入というものは絶対に関税を課すべきものでない、こうかたく信じているものであります。どうか賢明なる諸公の公正な判断によりまして、この関税が実現しないように御配慮をお願いいたしまして、私の意見を閉じたいと思います。
○夏堀委員長 御質疑はありませんか。
○清水委員 先ほど来石油について、それぞれの立場からお話を承りまして、私どもは非常に利するところがあつたと思います。幸い今日おいでを願つた自動車協会の専務理事に、ひとつ私は特に御意見があつたら伺いたいと思うことは、自動車の関税でございます。先ほど来石油に関しての御意見は承りましたが、日本での使用者の代表とも言わるべきあなたに、自動車の関税が七割から四割、三割に下つた。今後この関税が非常に大きな金額になるのじやないかということを思い、自動車業の将来を御勘考されて、これに対する御意見がございましたらば、お聞かせを願いたくお願いするものでございます。
○塚田参考人 お答え申し上げます。輸入関税の問題につきましては、現在国内の自動車は大半は国内の自動車をもつて間に合つております。従いまして、現段階におきましては、巷間GHQの方から乗用車の払下げというような問題が擡頭しておりますけれども、まだ関係当局の方から何分のお話も伺つておりません。しかし、ほのかに伺いますと、ある程度の輸入関税はかかるというような話を伺つているのであります。他のトラツク、小型乗用車、バスにつきましてあるいは代用車につきましては、さようなことはないように聞いておりますので、関税の問題につきましても十分われわれといたしましては意見を申し上げてお願いをいたした次第であります。
○夏堀委員長 あとはありませんか。――以上をもちまして関税定率法の一部を改正する法律案に対する参考人の方々よりの御意見の拝聴を終ります。参考人の方々には御多忙中にもかかわらず御出席くだされ、有益なる御意見を開陳されまして心から感謝いたします。
 本日はこれをもつて散会いたします。どうも御苦労さまでした。
    午後三時二十九分散会。