第010回国会 厚生委員会 第36号
昭和二十六年六月四日(月曜日)
    午後一時四十七分開議
 出席委員
   委員長 松永 佛骨君
   理事 青柳 一郎君 理事 丸山 直友君
   理事 亘  四郎君 理事 福田 昌子君
      有田 二郎君    久野 忠治君
      高橋  等君    寺島隆太郎君
      中川 俊思君    堀川 恭平君
      松本 善壽君    山村新治郎君
      柳原 三郎君    今野 武雄君
      松谷天光光君
 出席政府委員
        法務府法制意見
        長官      佐藤 達夫君
        厚生政務次官  平澤 長吉君
        厚生事務官
        (医務局次長) 久下 勝次君
        厚生事務官
        (薬務局長)  慶松 一郎君
 委員外の出席者
        厚生事務次官  宮崎 太一君
        参  考  人 高橋 勝好君
        参  考  人
        (日本医師会理
        事)      藤原  哲君
        参  考  人
        (日本歯科医師
        会理事)    沖野 節三君
        参  考  人
        (日本薬剤師協
        会理事)    高野 一夫君
        参  考  人
        (国民健康保険
        団体中央会専務
        理事)     江口 清彦君
        参  考  人
        (国民健康保険
        組合連合会常
        務)      上山  顯君
        参  考  人
        (参議院議員) 石原幹市郎君
        参  考  人
        (参議院議員) 谷口弥三郎君
        専  門  員 川井 章知君
        専  門  員 引地亮太郎君
        専  門  員 山本 正世君
    ―――――――――――――
六月二日
 委員今野武雄君辞任につき、その補欠として苅
 田アサノ君が議長の指名で委員に選任された。
同月四日
 委員橘直治君、渡邊良夫君及び苅田アサノ君辞
 任につき、その補欠として松本善壽君、久野忠
 治君及び今野武雄君が議長の指名で委員に選任
 された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 医師法、歯科医師法及び薬事法の一部を改正す
 る法律案(内閣提出第一二七号)(参議院送
 付)
    ―――――――――――――
○松永委員長 これおり会議を開きます。
 医師法、歯科医師法及び薬事法の一部を改正する法律案を議題に供します。
 この際一応御了承を得ておきたいと存じますが、前会本案の審査のため、三志会、国民健康保険団体、健康保険組合の代表者の諸君に出席を願い、御意見をお聞きすることとし、参考人の選定の件につきましては委員長に御一任願つておつたのでございますが、各団体等からの御申出により、日本医師会理事藤原哲君、日本歯科医師会理事沖野節三君、日本薬剤師協会理事長高野一夫君、国民健康保険団体中央会専務理事江口清彦君、健康保険組合連合会常務上山顯君、検事高橋勝好君、以上六名の諸君に参考人として御出席いただいた次第でおります。
 次に本日御出席くださいました参考人の各位に一言ごあいさつ申し上げます。本日は御多用中にもかかわりませず、特に本委員会に御出席くださいました参考人の皆さんに対しまして、委員会を代表し厚く御礼を申し上げます。何とぞ隔意なき御意見をお述べ願います。
 それではまず参考人の諸君の御意見を承りたいと存じますが、高橋参考人が時間を急がれておりますので、高橋参考人に第一に御意見をお聞きすることといたします。
 なお念のため参考人の諸君に申し上げますが、医師法、歯科医歯法及び薬事法の一部を改正する法律案は、内閣より提出され、去る六月二日参議院において修正の上、本院に送付され、ただいま当委員会において審査いたしておる次第でございまして、御発言の際は、その修正された案についての御意見をお述べ願います。高橋勝好君。
○丸山委員 議事進行上……も高橋検事からは、この法案の内容に関する御意見等を承るために、実は御出席を願つた趣旨ではございません。前回この法律的な解釈で、参議院の修正の責任を持つて来られた説明者の方と、私どもの解釈と法文の解釈上において食い違いがあります。また医務局の法律的解釈と私どもの方の他の委員との間の解釈においても、法律的用語に関し、あるいはその意義について、意見の食違いがあつたのであります。その点について私は質疑の形をもつてお伺いして、その御答弁を求めるだけにとどめ、積極的に高橋検事みずからの本法案に対する賛否、その他の御意見を承りたいという趣旨ではございませんので、そういうふうな順序で話を進めていただきたいことを希望いたします。
○松永委員長 ただいま議事進行に関しまして、丸山委員からの御意見がございました。それでは丸山君から高橋参考人に対して特にただしたい点を御発言願います。なお時間の関係上できるだけ簡単に要領だけをひとつお願いいたします。
○有田(二)委員 今丸山委員からお話がありましたが、私としては、大体委員長が仰せられた参議院の修正案について、高橋検事の意見を徴せられるのはけつこうでありまするが、そうでないと、高橋検事は今までいろいろな本に、医薬分業については大体医師側に有利な解釈をされておる。しかも検事としてお話になるのでありまするし、特に私はこの際双方円満な解決のためには、ぜひとも今委員長の申されたように、参議院において修正された部分に対する検事の所見を聞くといつたところに、限定していただきたいと思います。
○松永委員長 なお質問ではなしに、参考人として来ていただきました点は、今回訂正回付になりました修正案について、その御所見を承りたいというのが趣旨でございますから、その修正案の法的解釈について考え方があるという丸山委員の御発議であれば、その点だけ簡単にただしていただけばけつこうであります。
○丸山委員 先般青柳委員から医務局に、医師に調剤権というものがあるのかないのかという質問がありましたときに、久下次長は能力である、権力でないというふうな御説明があつたのでありますが、調剤権という言葉があり得るものであるがどうかという点についてだけ……。
○有田(二)委員 国会は国憲の最高の機関であつて、法の解釈、調剤権に対する解釈は、先般衆参両院において話合いがきまつた。検察庁はその国会できまつた法律の運営をするのが検事の仕事である。検事によつて、わが国の国憲の最高機関である国会が左右されるということがあつてはならぬと思う。しかも調剤権については先般来話合いをして、衆参両院の間において話合いがついて、参議院側もこれに同調しておることは御承知の通りである。従つてそういう問題に触れないで、修正案についての検事の御所見を伺うことについては、われわれは異議がないのであります。そういう点で、検察庁の意向を国憲の最高機関が聞くということは、私はおかしいと思う。最初の予定の中には高橋検事は入つていなかつた。きよう入つて来られたのであります。それをお述べになりますことは、けつこうでありますが、調剤権については、すでに話合いがもうついておる。国会としての意思は、大体決定されておるわけであります。その点をひとつ十分御参酌願つて、お述べ願いたいと思います。
○松永委員長 それは論議しておつたのではきりがありませんから、御意見を聞くことはいいと思いますから、どうぞ御意見だけお述べ願います。高橋参考人。
○高橋参考人 私高橋でございます。私がこれから申し上げたいと思いますことは、決して法務府の意見でもありませんし、また政府の意見でもございません。ただ一個人としての意見でありまして、なお私は医師会にもまた歯科医師会にも、知人も関係もございません。全然私の職務を同じように公平であると信じております。その点につきまして、どうぞあらかじめ御了承願いたいと思うのであります。
 ただいまお尋ねの点でありますが、参議院の修正意見と申しますか、修正案と申しますか、これはしごく当然のことでありまして、法律的に申しまして別段これにこうあつてほしい、あるいはこうあるべきだというようには考えないのであります。なぜかと申しまするに、私個人の意見といたしましては、この法案自体が、ある意味で言うと憲法違反の疑いがあるのではないか、こういうふうに考えているからであります。その憲法違反が幾分でも修正されておる、あるいは緩和されておる、こういう見地からいたしまして、参議院のこの改正案は当然しごくのことであり、別段意見を持たないのであります。
 なぜ憲法違反か、こういうふうな問題に入るのであります。私は検事として職務を遂行するかたわら、学校その他におきまして憲法をいささか研究しておるものでありますが、これは純粋に法律的見地であります。決して政策的にも何も意味しておるのではなくて、憲法違反があるのではないか。しかもこの医薬分業法案の審理にあたりまして、憲法的な解釈と申しますか、憲法の見地からこれに検討があまり施されておらないのではないか、こういうような意見を持つものであります。何ゆえかと申しますると、医師法の十七條には医師でなければ医業を営むことはできない、こういうふうに現行法は限定しておるのであります。この医業という意味につきまして、従来大審院の判例その他いろいろ現われますところの学者の意見、こういうようなものにつきましては、診察それから投薬、この二つが含まれていることは申すまでもないのであります。投薬にはもちろん個々の調剤と、それから薬剤の投与と、この二つが含まれます。そういたしますと、わが国の歴史上、また法理的に各種の旧医師法、新医師法、その他関係法令を全部見てみますと、医業を営むということは医師の特権である。すなわち医師の権利である。ほかから侵害されないものである。こういうふうになるものと思います。権利というのは、申し上げるまでもなく、法律をもつて実権を保護される利益である。すなわち他から侵害を受けた場合には、それを裁判所その他の機関に訴えて出て、どこまでも国家公権力をもつて保護を請求し得る権利と、こうされておるのであります。侵害されないということは、正当の理由がなければ侵されないという意味であります。すなわち医業は医師の既得権である。御承知の通り既得権は害せられないということが、法律格言であります。この法律格言から申しまして、医師の調剤権を奪うということが、はたして妥当かどうか。この点について疑いなきを得ないのであります。わが国の憲法はこういうふうに、権利とされておるものにつきましては、いわゆる基本的人権として厚く保護することになつております。憲法十一條以降四十條までが、その基本的人権の各種の保護の規定であります。医業はまさにその権利の一つに当るわけであります。しからば医業は絶対的のものであるか、あるはは基本的人権は絶対的のものであつて、侵害されないかという問題になりますと、憲法の十二條、十三條に、いわゆる基本的人権の限界というものが規定されておるのであります。すなわち基本的人権は、憲法の十二條、十三條の場合を除いては決して侵害されない。その十二條、十三條は何かと申しますと、これは公共の福祉に反する場合には侵害してよろしい。基本的人権、たとえば簡単に申しますと、所有権なるもの、これらは絶対的に保護されるけれども、公共の福祉のためにはその所有権を侵害してよろしい。基本的人権も侵害してよろしい。こういう規定があるのであります。医師が先ほど申しましたように診察、それから調剤を含むところの薬剤の投与、この権利を医業の権利として持つておる場合に、このうちから調剤権を奪うということが、もし医者が調剤権を持つておることが、公共の福祉――ほかの言葉で申し上げますと、民法九十條にありますような公の秩序または善良の風俗、これに反する場合には、調剤権を奪つても憲法違反の問題は起きないのでありまするが、公共の福祉に反しないにかかわらず、医師から調剤権を奪つてしまう、絶対に与えないという問題になつて参りますると、これは憲法違反という問題が出て来るのではないかと考えるのであります。しからば問題は医師に調剤権を与えることが、公共の福祉に反するかいなかという問題でありますが、これは私が考え、またいろいろの事件を通し、また社会人として常識的に判断しまして、医師が調剤権を持つことが公共の福祉に反するという結論臓出て来ないのであります。そういたしますると医師から調剤権を絶対的に奪うというこの改正案は、むしろ憲法違反の疑いがあるのではないか、こういうふうに考えるのであります。ところが参議院の修正案におきましては、その点について憲法違反というものが、幾分とも緩和されておるのでありまするから、むしろ当然のことの規定でありまして、この点につきましては、私は特に意見はないのであります。
○松永委員長 速記をとめてください。
    〔速記中止〕
○松永委員長 速記を始めて。
 それから高橋参考人にお尋ねしますが、ほかにお述べになる御意見がございましたら、ひとつ……。時間をお急ぎのようでありますから……。
○高橋参考人 別段ございません。
○松永委員長 別にないようでありますので、次は日本医師会の理事藤原哲君から、この修正案に対しまして何が御意見があれば承ります。
○藤原参考人 本日は修正案についての意見を述べよということでありますので、原案ついてはいろいろ考える一こともありましたが、申し上げません。本修正案は決して私ども満足はいたしておりませんが、現下の一般情勢を顧みまして、この医薬分業の、ごとき論争を長く続けかすことは不安を国民に与えて、いわゆる国民の福祉の上からまことに遺憾千万のことと考えます。ゆえに私どもは多少不満足な点がありましても、本案をすみやかに通過せられて、かかる論争に終止符を打たれんことを切に望むものであります。
 ただいま私の申し上げました満足しがたい点と申しますのは、今度の修正案の中にありますところのいわゆる医師法の第二十二條に、省令の定むるところによる、ということがございますが、この「処方せんを交付することが患者の治療上特に支障があるとされる場合、」こういうものをはたして厚生省あたりの審議会できめ得るものであろうかどうか。少くとも私ども医療というものをまかされたる医師が、そうした治療上支障というものの判断のつかないようなことでは、とうてい医療というものは行えないものと私どもは信ずるのであります。従つてそういう微細な点まで、法律をもつて一々拘束をしなければ医療は行えないということになれば、むしろ医療上支障を来すのではないかという考えを持つておるのであります。こういう意味におきまして今までの過去の省令によるという問題が、たまたま審議会というようなもので、はたしてどういう構成で行われたかということを顧みますると、残念ながら私どもは、たとえば医療問題にいたしましても、医療換当者として満足しがたい妙なものが、結論として出された過去の歴史を持つておるのであります。そういう意味におきまして、この論争をここで打切るという意味ならば、むしろこの本則においてはつきりしたものを制定していただいた方が、むしろ将来に悔いを残さないでよいのではないかという考えを私どもは持つております。しかしながら先ほど申し上げましたように、いろいろ御議論もありますし、かつまたお忙しいところを皆様方にたいへんこの問題のために御迷惑をかけ、また国民の方々にも非常に御心配をかけておるのでありますから、少々の食い違いはお互いの良識をもちまして、少くとも薬剤師と医師とが手を組みまして、国民医療の向上のために心からなる協力をすることが、最もこの法律の解釈の上において大事なことであろうと考えるのであります。私どもはここで再び申し上げますが、医療というものを行いまする上におきまして、医療に支障を来さないというところの保障が与えられるならば、私どもはこの修正案をもつて満足して、医療のために挺身したいという考えを持つております。なお日本医師会といたしましては、最近世界医師会の加入も許されまして、この九月にはストツクフオルムに代表を送ることになつておりまするが、かくのごときまことに非常識なる論争が長く続き、国民を迷わしておるという姿を、われわれは世界の人たちに伝え得るかどうか、はなはだ残念であると私は考えるものであります。少くともすべて国民の皆様が、医療というものが決して物のやりとりではない、いわゆる物品の売買でない、そういう関係でないということを深く御認識願つて、医療というものを、医師と患者の精神的な結びつきの点においても、十分なる御理解をもつてこの法案を考えていただかなければ、医師は将来医療に対して心からの協力というものが、あるいはしたくてもできないというようなことができはしないか。これを非常に心配するものであります。その他いろいろの理由もありまするが、この際に医師会も薬剤医師会も、不満の点はありましても、国民の医療上支障のない限り、ぜひこの修正案をのみまして、どうかひとつこの線でもつて、この論争を打切りたいという気持を持つておりますことをここに申し上げて、私の参考人としての話を終ります。
○松永委員長 次に日本薬剤師協会理事長高野一夫君から、御発言を願いたいと存じます。
○高野参考人 この修正案は、いわば分業賛成論者側と反対論者側が、双方から一歩ずつ歩み寄つてでき上つた修正案であります。従つて一面において満足する点もあれば、平面不満な点も双方ともにあることは、これは当然なことであります。しかしながらわれわれは、ただいま藤原さんからもお話がございましたが、この際七十数年にわたつた分業の闘争の歴史に終止符を打ちたいという考えのもとに、この修正案に同意を表したいと思うのであります。同意を表する以上は、半面の不足の点をとやかくここへ持ち出して論議していたのでは、この修正案はいつまでたつても成り立たないわけでありますので、しからば私どもは、この修正案のどの点をどういうふうに解釈して、賛成をしたかということについての私の見解並びに意見、希望を申し述べたいと思います。
 まず医師法、歯科医師法も同様でありますが、この医師法に処方箋義務発行のところで、但書を置いたということは、これは厚生省の医薬制度調査会においてはこれを置かなかつたのであります。それがもとになり、政府案にも当然置いてなかつた。これは調査会におきましては、たとえば癩病だとかあるいは結核だとか、そのほかあらゆる病例、あらゆる場合をそれぞれ具体的に吟味いたしまして、たとえば癩病の場合においては、癩病だということが明らかとなると不安に思うから、渡さぬ方がよかろうというような議論もありましたが、癩病というものは家族から隔離し、世人から隔離しなければならない性質のものである。従つて、かえつてそれは処方を公開すべきじやないかというようないろいろな議論もございまして、この但書を置かなかつたのであります。ところがこの修正案には、審議会を設けてそこで吟味したあげく、省令で定めて、その定めた場合に限つては処方箋を交付しなくともよろしいというようなことがあげてあるわけであります。現在私自身といたしましては、調査会における論議の通りまだ考えてはおりますけれども、御承知の通り医学も薬学も、薬学上の技術も日進月歩の進歩をいたすものであります。将来いかなる場合が起らぬとも限らないのでありまして、その場合を予想せられましてこういう但書を置かれて、そういうような場合が将来起り得るかもしれないことを想定して、審議会において相談をして、そういう場合があつたらば、この但書を適用せしめようというような御趣旨のもとに、これが置かれたものであろうと考えまして、この但書の点に対して同意を表したいと考えます。
 なおこの処方箋義務発行の原則のところに、政府原案におきましては、薬剤の交付ということがございます。薬剤の交付をする必要がある場合は、処方箋を出さなければならないというこの政府原案が、この修正案におきましては、薬剤を調剤して投与する必要があると認めた場合は、処方箋を渡さなければならない、こういうふうに、薬剤の交付という政府原案の文句が、薬剤を調剤して投与するという文句にかわつたのであります。この点においては、一昨日の皆様の委員会におきまして、徹底的御論議がございまたことも、終始傍聽席で私拝聴しておつたのでありますが、その御論議によつてすでにこの解釈は的確にきまつたと考えます。一昨日の御論議の結果のごとくでありますならば、これは薬剤の交付というようなあいまいな文字でなく、むしろこの修正案通りの薬剤を調剤して投与するという文句の方がはるかに明確であり、適切であるというふうな解釈を持つに至つたのであります。
 次に、薬事法の但書に、患者またはつき添いの者が特に医師から調剤を受けたいということを求めた場合は、医師に調剤を許すということが出ております。私はこの但書の医師に調剤を許す特別の場合が新たにここに追加されたということは、どうも誤解を招くおそれがありはしないかと考えております。すなわちこの一項が入つたために、患者に調剤の自由選択をさせるということは、昔から唱えておつつたようないわゆる任意分業の選択というふうに、あやまつて解釈されておるのじやないかということをおそれておるのであります。私はこの一項目を置きましても、決してここでいわゆる患者に全面的な自由選択を認めた任意分業になつておるものではないというふうな解釈をいたしております。と申しますのは、現行法の薬事法におきましては、調剤は薬剤師でなければできない。しかしながら医師がみずから調剤する場合はこの限りでないというふうな、医師が自発的にみずから調剤する場合は、全面的に医師の調剤が認められておる。すなわち薬剤の調剤は薬剤師のみが調剤するということになつておりました原則が全面的に否定されている。これが現在の薬事法でございますが、今度の政府原案におきまして、その原則におきましては、やはり薬剤師でなければ調剤ができない。医師が調剤する場合は次々の場合に限るのだというのが、今度の政府原案の原則であります。この次々の場合に限つて医師の調剤を認めるのだということは、明ちかにここに法制において医と薬との業務の分離、すなわちお互いに専門分野を明確にするということが、明瞭に今度の薬事法の政府原案の原則においてきめられたものである、かように解釈するのであります。そこでかくかくの場合においては医師が調剤してもさしつかえないという、そのかくかくの場合の一つの場合として、患者が特に要求した場合に医師が調剤できる、こういうことになつたのでありまして、この点は十分ひとつわれわれは医師、薬剤師相ともに吟味して考えなければならぬ点であろうかと考えます。これはいろいろ悪く解釈いたしますれば、医師が誘導尋問式に、私のところで調剤してあげるというようなことを、しいはしないかということをおそれる向きもないでもないと思いますけれども、私ぽ医師の良識に訴えたいのでありまして、お互いに専門分野を明確にして、責任を明らかにして、調剤は調剤、診療は診療で行こうじやないかという原則を定めました以上は、全国の診療に従事する医師は良識に従つて、特に患者が求めた場合に限つて調剤をする。この原則を必ずや守つていただけるに違いがないことを確信して、医師に期待をかけている次第であります。そういうふうに医師を信頼し期待をし、同時にこの二十二條の政府原案のままの原則が、明瞭にここに医薬分業を法制化したものであるという見解のもとに、私は薬事法の修正案にも同意を表したい、かように考えるわけであります。ただいま医師会代表の藤原さんからお話がございましたが、一昨日の御論議のございました通り、医と薬はちようど車の両輪でございますから、今はどうも片ちんばになつているような状態にございますが、この修正案をもしもこの委員会で御可決くだいまして、衆議院の本会議を通過いたしましたならば、われわれは医師と相提携して遵法精神を発揮いたしまして、そうして国民の医療の向上あるいは医療費の軽減のために、医と薬との持つている義務を十分に忠実に履行いたしまして、薬学の理想を実現するために相提携して進んで行くべきものであろう。またわれわれの方では、全薬剤師がそういう覚悟を持つて医師側と提携をいたしまして、皆様に御心配をかけないような医療制度と、医療の内容の向上をはかるところの準備を持つておるということを証言いたしまして、修正案に全面的に同意を表しておきたいと思います。
○松永委員長 次に日本歯科医師会理事沖野節三君の御発言を願いまして、その御意見を承りだいと思います。
○沖野参考人 実は会長自身が出て来られるはずでありましたのですが、急な電報の催促でございまして、ほかに用がありまして、実は私会長でなくて理事でございまして代理で参りましたが、よろしくお願いいたします。
 この医薬分業に関しましては、医師会、薬剤師協会の非常な熱心な御検討がありまして、直接新しい研究に入りましたのが昨年の八月だつたと思うのでありますが、その研究の結果今日のような参議院の修正案までこぎ着けまして、歯科医師会としては医師会並びに薬剤師協会の、どちらかといえば中に入つて、両方にきらわれるようなことを言つたり、両方に妥協を申し込んだりして今日に至つたのでありますが、幸いにして医師会、薬剤師協会の大体の御意思がきまりましたことは、まことにありがたいことと思つております。ことに歯科医師会は初めからこの医薬分業は決して医者のためでも、歯科医師のためでも、あるいは薬剤師のためにするものでもなくて、一に国民のための医薬分業を、いかようにするかということを検討してみなければならぬと考えて、今日に至つておつたのであります。ところが医者が診療いたしまして、薬を与えますことも、決して一つの機械的の作業ではございません。単なる調薬あるいは薬を患者に渡すというような簡単な操作のように見えましても、この間に医師と患者との間の精神的の信頼の血がつながつておつて、初めて医療ができ上るのでありますから、どうか両者の間にうまい妥結のできることを今日まで希望しておつたのであります。ことにこの参議院の修正案を見ますると、単なる立法的の法律案というかたいものでもなくて、ほんとうに国民の意思といいますか、あるいは医療を受ける患者あるいは看護をしておる責任者の意思も、ここにいささか含まれておるという点においてまことに医療の精神的の動きが微妙に医師、薬剤師、歯科医師を通じて国民に作用するのではないかということを考えまして、この修正案に対して、この際日本歯科医師会としては賛意を表したいと考えているわけであります。
○松永委員長 次に国民健康保険団体中央会専務理事、江口清彦君の御発言を願いまして、御意見を承りたいと存じます。
○江口参考人 長い歴史をもつて十分検討されましたこの医薬分業関頭でございますが、めでたく今回の参議院の修正案によりまして、いわば手打ちになるのではないかと国民が想像をいたしておりましたが、ようやく今日医療関係の御三方から、国民あつての医薬分業だ、献身的に将来実行にあたつては国民のさらに安心いたすところの適正治療をしてやろう、こういうまことにうるわしいところの御見解をいただきまして、われわれ国民健康保険といたしましては、非常にありがたく厚くお礼を申し上げる次第であります。
 国民健康保険も、御承知のごとく十四年経過いたしておりますが、経済的に非常に難局に立つておりまして、何とかしてこの医療費の軽減ということについて、日夜苦心いたしておるのであります。御承知のごとく一昨年は受診率は約六七%程度であつたのでありますが、昨年におきましては八〇%、本年度におきましては九〇%ないし一〇〇%程度になるのではないか、こういうような上昇をいたしております。それに保険料も漸次上昇をしておるのでありますが、保険料がいかに上昇いたしましても、一方にはこれを納め切れないところのいわゆる焦げつきというものが漸次増加いたして参りますので、すでに保険料も天井をついておるかつこうだ。それで何とかしてこの医療費を下げたいというようなことを、いつも考えておるのであります。医薬分業によりまして、もし万一医療費が上るということがあつたら、非常に困るわけでございますので、その点につきましてはどうか三方面の医療関係の方々も、国民医療の真相を把握いたされまして、少くとも今日より医療費が上昇しないように、ひとつ御考慮いただきたいと存ずるのであります。あるいはまた政府、議会におかれましても、もし万一上昇いたしました場合におきましては、それは自分たちの方で何とかめんどんをみてやろう、こういうような確約を実はほしいわけでありまして、どうか今回のこの修正案が通過いたしましたならば、必ずそちらの方にひとつほこ先を向けて御同情を願いたい。そういたしますれば国民保険はさらに伸びて行くのじやないか、こういうふうに考えます。今受診率が漸次上昇いたしております。これはまさしくごの社会保険、国民保険によつてのみ、国民の大部分が医療を受け得るという本筋に来ておるわけであります。どうかこの修正案を御実行になる上で、今御指摘いたしましたような点を特に御考慮いただきたい。
 それからこの修正案の最後の方につけ加えておられるところのいわゆる国民に自由の選択、すなわち医師あるいは薬剤師、いずれでも自分たちのすきなところから薬をもらつてもよろしいという妥協的の修正案でございまして、これは国民が一方に強く束縛されておる点で実に苦しんでおつたのでありまして、今回のあの一項によりまして、その点は双手をあげて賛成をいたす次第であります。
 重ねて申し上げますが、医療費の上昇しないようにひとつお努め願うことと、もし万一上昇いたしましたならば、議会並びに政府におきまして、十分にこれを保障するという確約がほしい。以上二点の希望を申し上げまして賛成する次第であります。
○松永委員長 次に健康保険組合連合会常務、上山顯君に御発言を願い、御意見を承りたいと存じます。
○上山参考人 私たちといたしましでは、医薬分業の問題につきましては、原則としては賛成である。ただこれは日本の国情に即して実施をいたさなければなりませんから、漸進的に段階を追つてやるのがよかろう、かように考えておつたわけであります。それと同時に、こういう制度の実施につきましては、できますならば関係者が十分了解いたしまして、喜んでこの実施に協力するということが望ましいと考えておつたわけであります。そこで漸進的の、そのある程度の内容でありますが、その点につきましては、政府の原案におきましても、相当の猶余期間を設けておりまして、まず無理なくできるのじやないかという考えを持つておつたのであります、ただあの案につきましては、この案の実施の重要な関係者でありますところの医療関係者方面が、非常に反対であるということにつきまして、遺憾に思つておつたわけであります。つきましては今回の修正案は、関係者、関係団体の大多数の了解賛成が得られるだろうというお考えをもつて、でき上つたものと思うのでありまして、その趣旨につきましては、十分私たち了とすることができるのであります。でありますから、どうか関係者、関係団体がこの実施につきましては、誠意をもつてお互いに御協力願うということを希望いたしまして、修正案に賛意を表明いたします。
○松永委員長 次に参考人の諸君に対する御質疑はございませんか。
○有田(二)委員 高橋検事がお帰りになりましたから、委員長にお願いをいたしたいのであります。ただいま高橋検事の御意見の中に、政府提出の今度の法案は、基本的人権の侵害で、憲法違反である。しかしながら修正案によつて、幾分かわつて来たから、賛成であるというように私は聞いたのでありますが、この政府提出の法案について、これが憲法違反であるかどうか、この点について委員長において十分御研究が願いたいのであります。政府においてもこの点についての御研究を願いたい。しかも先般参議院におきまして、法務府の意見長官は、今度の政府が出しました法案は、公共の福祉に反する限りこれを法律で制限することは、憲法違反行為でない、かような解釈をしておるのであります。法務府の意見長官と、法務府の検務局の高橋検事との見解が、全然異なつておる。しかし高橋検事は個人の資格においてと限定されておりましたけれども、出て来たのは、やはり法務府の検務局の検事として、高橋君が本委員会に出ておちれるのであります。法務府の検事の意見が違うということは、国会でいかような法律をつくりましても、それぞれ意見長官と検務局の検事との間に意見の相違があるということは、まことに遺憾でありまして、この点法務府の意見を一致さすべきである。また政府においても、政府提出法案が憲法違反行為である、かような断定を受けておる限り、この点に対して重大なる関心を持つて、これのいずれが正しいかということを決定すべきだと思うのであります。どうか委員長において、すでに高橋検事が帰られたあとでありますけれども、事重大であります。従つてこの問題については、法務府並びに政府に対して、委員長としてしかるべくお手配あらんことをお願い申し上げる次第であります。
○松永委員長 ただいま有田委員からの御発言がございましたが、高橋氏は二時十五分まで時間を限定して出席されたので、先ほど御退出になりました。また先ほどお断りになつたことく、法務府検事個人としてという御意見でありましたが、この点は法務府検事としての個人高橋という慣用語もあるわけでありますから、今有田委員のお説のごとく、委員長において十分調査の上、後刻当委員会に御報告を申し上げることにいたします。
○福田(昌)委員 藤原参考人にお尋ね申し上げたいのでございますが、先ほどの御意見によりますと、医師法二十二條の修正案の但書の省令云々のところにおいて、でき得べくんば省令でない法律の本文において、そういう事項はきめてもらいたいという御意見のようにお伺いいたしたのでございますが、もしこの但書に出ておりますように、省令できめるということになりますと、医師会といたしましては、どういうような條項を省令でおきめいただきたいお考えでございますか、承りたいと存じます。
○藤原参考人 私の申し上げました但書の部分でありますが、むしろ私どもが医師として許されたいわゆる治療を患者に対して行います上において、いわゆる生命を託されるわけでありますから、それまで託されたわれわれ医師が、支障を生ずるような関頭を一々規則できめなければならぬというような、信用のない医師として許されておるかどうか、われわれは少くとも医療に対しては全責任を持つておるつもりであります。またそうでなければならぬと思う。そういう意味において、私はむしろこの省令の定めるところという字句をとるべきだ。このくらいに考えておるわけであります。しかしながらどうしてもこれを削らないというような、特に強い根拠があつての問題でありますならば、私どもは次に申しますようなことを、この間にひとつ範囲としてどうしても考えてもらわなければならぬと考えておるわけであります。
 第一は、いわゆる患者が処方箋の内容を知ることから来る支障であります。それはます第一番に、医師の十分な指導にもかかわらず、患者の内容批判によりまして、恐怖、不安、誤つた断定等をなし、治療上の支障を来すおそれがある場合、次に暗示療法を要するような場合、その次に不良なる予後を患者が察知するおそれがあるような場合、次に薬名を知つて、その濫用によつて習慣性を来すおそれのあるような場合、それから第二でありますが、診断の未確定の場合に必要な場合があるのであります。第三に、症状の変化が非常にはげしい疾病に対しては必要であります。第四に重篤なるところの症状に対して、即時即応してわれわれが医療を行わなければならぬような場合に、特に必要であります。救急の場合はもちろんであります。次に診断的の投薬を必要とする場合がある。特に伝染病の早期発見を要するような場合、次に市販せざるところの薬品の調剤の場合、こういうものが今日の医療面において考えておる点であります。
○福田(昌)委員 もう一点重ねてお尋ね申し上げたいのでございますが、昨日私省令の定めるところはどういう範囲かということを、医務局長にお尋ね申し上げたのでございますが、そのとき医務局長の御見解といたしましては、診断が未確定の場合、あるいはまた症状が非常にはげしい変化を来しておるような場合、こういうような場合には、そういう投薬を必要と認めない、従つて医師の投薬も必要でないというような、私きわめて珍しい御見解を承つたのでございます。医師会におきましてもそういうような御見解でお進みでございましようか。
○藤原参考人 たとえば診断の未確定のような場合、これは病気にもいろいろありまして、簡単に診断のつくものもありますが、診断のついたときは、もう命がなかつたというようなむずかしい病気もあるのであります。だんだん衰弱いたしますし、ことに心臓は弱つて参ります。そういうときに、われわれは診断が確定するまで、何ら投薬を施すことができないということは、これは重大な問題でありまして、もしも医務局あたりでそういう御答弁があつたとするならば、私は臨床医家としては落第である、こう考えます。
○福田(昌)委員 よくわかりました。次に藤倉参考人に重ねてお尋ねいたしたいのでありますが、今日医療関係の団体が関係いたしておりまする審議会なるものが、席生省にたくさん置かれております。この審議会の運営及びその権限、内容にわたる問題でありまするが、これは医師会側からお考えいただきました場合、非常に民主的であるとお考えでございましようか。
○藤原参考人 ただいまの御質駒でございますが、先ほど私参考人として申上げるときに少し申し上げましたが、われわれの今日まで経験いたしましたところの立場かも申しますると、医療というようなものを論ずるときに、いつも真に医療を知つた人の数が少い。たとえば臨床医学をやるときに、単なる研究医師を中に入れまして、真の臨床家の意見を聞くというような姿がないのであります。このことは私すべての調査会や審議会に見るところでありまして、民主的にほんとうにやる気であるならば、当然大多数、少くとも半数以上は医療の担当者を入れて協議さるべきものであろうという考えから、今日までの審議会というものの結論に対しては、はなはだしき不満を持つております。
○福田(昌)委員 重ねてお尋ねいたしますが、審議会の内容、いわゆるメンバーの編成、あるいはその審議会の運営におきまして、医師会としてどういうような御希望があるか。この点についてお伺いしたいと思います。
○藤原参考人 これはどうしても審議会を設けるということに決定いたしまするならば、ただいま私申しましたように、こういう特に臨床医に必要なる事柄でありまするから、数ある医師と申しましても臨床医の中にも大学の先生もおりますが、朝から晩まで患者のそばにいて、ほんとうに辛苦をなめている医者の立場をよく説明のできる人を入れまして、ほんとうによく医療の姿がどこにあるかということを、現わし得る者でなければいかぬと私は考えておる。そういう意味において、少くとも机上の計画をするような人たちがこういうものを論すべきではない。必ずそういう臨床医家をこの面に充てていただきたいという希望を私申し上げます。
○福田(昌)委員 次に江口参考人にお尋ね申し上げたいのでございますが、サムス准将が再三にわたりまして、いわゆる医薬分業の問題に対して示唆をお与えいただきました言葉の中に、今日の社会保険の点数におきましても、大いに勘案しなければならないものがある。たとえば薬代が百円で手術料が五円というような、かけ離れた日本の医師の報酬制度というものはきわめて不都合である。従つて医師の専門家としての技術に対する適正な報酬を認めるように、社会保険の点数の改正をやるべきであるという意味の言葉が盛ちれてあるのでございます。こういう言葉も盛られておりますると同時に、サムス准将自身が、医薬分業をやれば少くとも一%か二%は医療費が高くなろ、国民の負担が高くなるということを言われております。こういうようなサムス准将のお言葉だけを借りて言いまして、ただいま申し上げましたような状態にあるのでございますが、医薬分業がしかれますると医療費は一体上るものであるかどうか。あるいはまた今日の社会保険の状態において、その医療費をまかなつて行つていいものであるかどうかということを、国民健康保険側に立たれましての医薬分業に伴う医療費に対する見解を承りたい。
○江口参考人 医薬分業によつて医療費が上るか、あるいは現在程度においてとどまるか、ないしはもつと安くなるか、こういうようなことにつきましては、ずいぶん研究もいたしましたのですが、なかなか結論という結論を得られませんで、多分上るのではないかということになつたのであります。ことにしろうとから考えまして、たとえば処方箋料というようなものをもし国民の負担において出すということになりますれば、端的にそれだけは新しく医療費が増すという結論になりはせぬか考えられるわけでありまして、あるいはまた前回もこの席において申し上げました通りに、一面医薬分業になりますれば、多くの場合二剤でやるものが一剤で済むことになるという点から申しますれば、若干医薬費が下るのではないかというようにも考えられますが、まあ概して上るというような意見が多いようであります。従いましてこれにつきましては、上らないように厚生省の方でお考え願うとともに、この三団体においてひとつそれを御考慮いただきたい。もしくは国家においてそれを負担していただく。この三つのうちどれか一つやつて、とにかく増高しないようにしてほしいというわけであります。数字的にこれは上るというようなお答えをすることができないのを遺憾に思うのでございますが、さよう御了承願います。
○福田(昌)委員 重ねてお伺い申し上げたいのでございまするが、新しい制度のもとにおきまする処分筆料の問題でございまするが、国民健康保険側に立たれましてのお考えといたしましては、医者の専門的報酬として処方箋料はとるべきものであるかどうか。この御見解をお伺いしたいと思います。
○江口参考人 大体診察料の中に従来は入つておるのじやないかというように考えておるわけでございますが、しかし医薬分業によりまして、お医者の方で調剤の方を薬剤師におまかせになるということになりますれば、結局従来の医師側の収入が減るということになりますので、医師側の収入をある程度減さないということになりますれば、結局だれかほかの方から出さなければならぬ。それは国民が出すか、あるいは薬剤師協会の方でそれを負担するか。薬剤師協会の方におきましては、それは医者の方で出したのだからと言つて拒絶された場合におきましては、結局国民の方で負担するのじやないかというように考えるわけでありますが、私たちの考えといたしましては、これは診察料の方に含めていただきたいと考えておるわけであります。
○福田(昌)委員 それは診察料としてその点数をふやすというお考えでございましようか。それとも国民健康保険の側に立ちまして、医師の処方箋を書く能力に対しては、特別の報酬は認めないというお考えでございましようか。
○江口参考人 診察をやりました結果を、そこへ記録をするという意味におきまして、いわば医師の一つのサービスと申しますか、そういうふうにも考えられるのでありますが、その点今申しましたのは、私個人のとつさのお答えでありますので、国民健康保険としての公の回答ではございませんが、診察をした、それを一つのメモとして、これこれの薬が必要だと書く。そのメモというような意味では解釈はできないものだろうか。その点はさらに研究いたしたいと存じます。
○福田(昌)委員 処方箋と申しますのは、従来このような法律になつておりませんときにおいても、一応医者の診療録には書いておつたものでございまして、処方箋なるものは従来から書いておつたのでありますが、新しい制度によりますと、処方箋を交付しなければならないということになつておりますから、これが一つの新しい仕事になつて、問題が提起されて参つておるのでございます。こういう場合に、医者だけには、そういう技術の特別な報酬というものに対しては、これは目をつぶつて犠牲的精神を払えというような御見解でございましようか。
○江口参考人 その点は深くまだ研究いたしておりません。先ほどお話の通りに、十分協力しようというような御意思は、やはりそういうところにもひとつ奮発してもらいたい、こういうような気持でありますが、さらに研究いたします。
○福田(昌)委員 たいへんくどいようでございますが、これはお互いに相助け合つて、国民医療の保全のために盡すのは当然でございますから、医者も盡すべきところは犠牲的精神をもつて盡すのがあたりまえだと思います。しかし医者の特別の技術の一つでございます処方箋を書くことも、これを防止しようということになりますと、私どもといたしましては、多少国保の方たちのお考え方とは相違した見解を持つておるのであります。こういう点において、健康保険の側におきましても、十分御研究のほどをお願い申し上げたいのであります。
○今野委員 まず日本医節会の藤原さんにお尋ねしたいのであります。今度の修正案でけつこうでございますが、これが実施された場合に、医師の収入が――医師というのは普通の開業医ですが、その医師の収入がふえるか減るか、その辺のお見込みをお聞かせ願いたいと思います。
○藤原参考人 この修正案の結果どうなるかという問題でありますが、問題は、医師、薬剤師が協力いたしますか、国民がよほど啓蒙されまして、そうしてこの法律を生かして行くということになつて、処方が今よりも出て行くというときになれば、もちろん医師の収入は減るでしよう。しかし私どもは、処方箋という重大なる責任のあるものを書くときに、ただでやるつもりはございません。この点はよく御承知を願いたい。世の中にそういう責任のあるものにただのものは一つもないと心得えております。
○今野委員 処方箋をただでやらない。えそれはけつこうなことですが、その場合に、今までよりも収入が少くなつても、それがはたして処方箋を書くということで補われるとお考えですか。
○藤原参考人 今急に計数的なことを申されましても、私ども修正案をつい二、三日前に見せていただいたばかむで、計算してみませんのでどの程度かということはわかりませんが、この問題が非常にうまく行われた場合、医療というものが正しく行われるという点において、収入を論ずるということは私はおかしいと思うのです。正しく医療が行われるということにおいては、わずかな収入が減るとかふえるとかいうことは問題ではない、こういうふうに考えております。ですから、今お話の点がどこまで行われるか。はたして厚生省が今度の修正案についても熱心にやられるか。前の法案のようにほうつておいて国民も啓蒙しない、何もかもやりつ放しだという戦時中のあの混乱時代のようにすれば、私は今度もまた相かわらず同じことを繰返すのじやないか、こういうふうに考えます。
○今野委員 先日保険区の方々が衆議院の会館で集会を持たれまして、そこで、先ほど江口さんの証言にもありましたが、現在非常に保険料率が安いのと点数が安いのと、もう一つは税金―健康保険にかかる人の率が多くなつたがために税金が正確にとられて、開業医は経済的に不可能になつてつぶれて行く人が相当に出ておる、そういうような訴えがあつたのであります。そういうような状態でなおも収入が減るというようなことになりますと、いくら一生懸命医療に従事しようと思つても、とても経済的に不可能であるというようなことが考えられるわけであります。そういう点から考えまして、今でも困つているときに、これ以上減るということになれば、それだけ影響が大くなるわけでありますので、その点率直にお答えを願いたいと思います。
○藤原参考人 こういう形がかわつたような姿に見えますと、従つて医療というものについてひとつ根本的にお考えを願いたいと思います。今日までの日本の医療は、御承知の通りいわゆる薬価と称して、私ども医療費をもらつている状態であります。この点が実に不明瞭であります。しかし私どもサムス準将から、薬を売つてその利潤によつて医者が生活しているような姿はいけないということを指摘されたわけでありまして、なるほど科学的にわれわれがすべての仕事をやつて行きまする上に、無形の技術に対する報酬を要求する必要がある。この点はつきり区別して行かなければならぬということがよくわかつたのであります。従つてこの点に対し、御承知のごとく調査会が開かれたりいろいろすつたもんだやつたのでありますが、結論は足のない幽霊のようなものができ上つたという状態であると思うのです。おそらくつかみどころのないものであります。そういうものがはたして――たとえば、私は経済学者ではありませんからわかりませんが、薬の製造原価というものがうまくきちんと計算されて、理想に合うように医療費を下げる方面に協力できるものかどうか。ほかの面はほつたらかしておいて、単に技術という面だけこれを犠牲にして医者を苦しめて行くということには、どうしても協力できないのであります。収入が今よりも減らされれば医師の再生産ということはむずかしくなり、今以上に苦しめられると、おそらく医者の内容が悪くなつて、国民の不幸を来すと私どもは考えております。
○今野委員 そうすると、今度の薬事法の二十二條の修正されたものによりましても、ともかく今回は分業という建前に立つておる。それをできるだけ啓蒙その他で貫くことにする。そういうことになると、今の技術料をどうしても相当額とらなければ医者としてはやつて行けないそういうふうに承知してよろしいのですか。
○藤原参考人 さようでございます。
○今野委員 そうすると、国民の医療負担はどうしてもふえることになるというふうに考えられます。最近の薬の値段の変動の模様などを見ましても、そんなに安くなるということは、外から強権でも加えなければとても望み得ないような状態であります。そうすると、そういうふうな状態のもとでは、どうしても患者の負担というものは大きくならざるを得ない傾向にあると考えられますけれども、その意いかがでありますか。
○藤原参考人 先ほど申しましたように、医師のいわゆる無形の技術に対する報酬というものが認められるように、国民もよく啓蒙され、そうしてそういうものがもし数的にはじき出せるものなら、そういうところへ参りますと、おそらくこの心配はないのでありましようが、結局は医療費は上るものと考えております。
○今野委員 次に、江口さんにお尋ねしたいのですが、私どもが心配しておるのは、国民の医療費が高くなりはしないかという点でありますが、現在国民健康保険の率が非常に上つて来ておるそうであります。その状態から見て国民の医療費の負担というものを、これ以上大きくすることが可能かどうかということ、その点をお答え願いたいと思います。
○江口参考人 保険料におきましては、先ほど申し上げた通り、一戸平均年額千五百円の保険料になつておりまして、それが焦げつきが相当ふえておる。それから考えましても、今天井をついておるのではないか、こう見ております。それでこの分業によりまして、医療費が上るということは実は困るのです。これ以上上るということは非常に困難ではないか。もちろんこれには啓蒙運動も必要でございますので、十分いたしますけれども、やはり国民の負担能力というものがそこにございますので、これから先はできるだけ国家の負担において、一割なり二割の医療費に対する給付がほしいということを、もう数年来猛運動をいたしております。今度の補正予算におきましても御考慮を願いたいということを、実は内輪で今研究しておる次第でございます。医療費が上りますことは実際困りますの、この際に特にお願いいたしておきます。
○今野委員 その国庫補助というのはどの程度、たとえば今の健康保険の会計から言つて、何%という御見当をおつけになつておりますか。
○江口参考人 医療給付の二割を考えております。
○今野委員 それから課税の問題でありますが、先日やはり健康保険については課税をしないでほしいという医師側の要求が参つておりますが、その点について江口さんとしては、第三者といつてはおかしいのですが、国民医療における側を代表するものとして、いかにお考えでしようか。
○江口参考人 その点につきましては、国民健康保険に携わるところのお医者の課税は、なるべく軽減してもらいたいという運動をいたしておるわけであります。要するに医者の税金は患者が出しておるわけであります。結局患者が病気をした上に、税金を出しておるというかつこうでありますから、国の方で税金をもし免税すると仮定すれば、国庫補助はいらないじやないかということが言い得るのであります。一方で国庫補助を出しながら、他の方で税金で巻き上げる、こういうおかしなことになるのではないかと思います。医療費さらけ出しの健康保険におきましては、なるべく安いところの税金をかけてもらいたい、こういうふうにわれわれとしても努力をしておるわけであります。
○今野委員 それからもう一つお伺いしたいのでありますが、最近健康保険の赤字その他によつて、医療内容が下つておる。下げざるを得ない。つまり病気に対してこうすればいいということがわかつていても、それができないというような事態が相当あるやに聞き及んでおるのでありますが、その点について藤原さんの方と江口さんまたは上山さん、二者あるいは三者から、実情がおわかりでしたらお知らせ願いたいと思います。
○江口参考人 最近国民健康保険におきましては、診療報酬の審査という点につきまして、医師会の方と協力いたしまして盛んにいたしてお力ますが、現在まで医療内容が低下したという風評を聞いたことはございません。医師会におきましては、医療担当者は非常に努力しておられるということはよくわかるのであります。
○今野委員 そうすると先ほどからの質問によつて、この法案が実施された場合に、医療費が上るだろうというのが大体の結論のようです。そうしてそれの負担は、国民としてはとても背負い切れないというところにあります。もちろんお医者さんをこれ以上犠牲にすることもできない。そうするとあとは薬屋さんの方だけの問題になります。
    〔委員長退席、青柳委員長代理着席〕
そうすると薬剤師協会の方としては、この法案が実施されてしかも医療費を上げないで済むような方法が何か考えられるかどうか。その点のお考えを伺わせていただきたいと思います。
○青柳委員長代理 先ほどの御質問に対して答弁が残つておりますから…。
○藤原参考人 先ほどお尋ねをいただきました点でございますが、この問題ははなはだむずかしい問題でありまして、医療内容の低下というような問題は、これはまた立場を異にして論ずればいるいろあるであろうと思いますけれども、事実今日の健康保険の受診率をごらんになつていただくとよくわかります。一定のわくの中におけるところの保険というものにおきまして、いわゆる支払われるところの金というものは一定のものであるにもかかわらず、その状態はときによりましていわゆる家族診療というものがふえまして、受診率が非常にふえておる。従つて赤字なしにこれを押し切ろうとすれば、必ずそこに無理が来るということは常識的にわかる。それにも限界があるという意味において、医療内容を低下させないようにあらゆる努力を医療担当者はいたしておりますが、最近のごとくなりまして、たとえば医療というものはできるだけいい医療を与えたいというわれわれの気持と、一方において金がないという気持との間に、患者がいかに気の毒であるかということを私たちは考えております。もう少しやつたならば、もう少しやつたならばと思いましても、監査というものがありますし、審査というものがありまして、切捨てごめんを遠慮なく机の上でやられるということになりますと、はたしてこの医療が満足に行けるかどうか。これをひとつ皆様の良識に訴えまして、御判断を願いたいと思います。
○高野参考人 分業になりました場合に医療費が上るか下るかということにつきましては、私は上るわけはないという確信を持つております。なぜかと申しますと、半歳にわたりまして調査いたしました臨時診療報酬調査会のあの答申は、きわめて簡単な原則論になつておりますけれども、あの簡単な原則を出します前に、医師会、歯科医師会、薬剤師協会、厚生省、あらゆる方面から実はデータをとりまして、そうして医師の収入、支出、税金、そのほかいろいろな点を検討いたしました。そこで国民の現在の一箇年医療費負担は大体千億ということになりますが、このわくの中で現在よりは上らないようにして、新しい医療費の体系を立てるべきであるということを結論に出しました。ということは、その範囲の中におきまして、現在の国民の負担を上げないようにして新しい医療費の体系を立てる。それでしからば医師は食えなくなるかというと、そういうことはない。たとえば現在日本医師会から出ましたデータによりますれば、開業医の平均月収は九万二千円ということになつております。この九万二千円の中から、診療に必要ないろいろな事業経費を落し、それから個人所得から出すべき税金も一応引いて幾ら残るかというと、三六%純益が残る。純益といつてはおかしいのですが、正味残るというデータが日本医師会から出ておる。ところが現在社会各方面を見ますと、大体の平均計数といたしまして、個人所得から払うべき税金までも差引いてさらに三割大分残るという業態があるということをわれわれは不幸にして知らない。そういたしますれば、この九万二千円が分業によつて収入が減つたとしましても、今度は薬の買入れあるいは人件費、そのほかすべての手間、そういう支出の面も減るわけであります。そういう方面からいたしますれば、正味三割六分残るかどうかは別問題でありますが、実際の収入においてあまりかわりはないのではないかと考えております。また調査会の意向も大体そういうような意向であつたように思つております。
 なお先ほど江口さんから御証言がございましたが、現在ほとんど日本の独得の習慣とも言わるべき、患者に必ず二剤を渡すというようなやり方、これはわれわれの学会でも病院の薬剤を見まして、その処方箋の内容をいろいろ検討しておりますが、二剤あるいは三剤、はなはだしきは四剤というものがございますが、この二剤は一剤になり、四剤は二剤にできる可能性が多分にあるということを考えまして、医師側といろいろ相談を申し上げておりますが、現在一箇年に八億三千五百万日分の薬を医師が投与している。かりにこの一割の剤数が減つたといたしましても――この八億三千五百万日分の剤数は、厚生省のデータを基準にして計算いたしますと、大体二百二十七億円になります。二百二十七億円の薬代を国民が負担しているわけでありますが、この剤数が一割減つただけでもすでに二十三億は減つて来るわけであります。そういうことをいろいろ勘案いたしますれば、医師の生活を何ら脅かすことなくして、現在の国民の負担の程度において、新しい医療費の体系は十分立て得られると私は考えます。同時に医師も薬剤師もこの際ひとつ生活態度を切り下げる必要があると考えます。薬剤師はもうかるかもしれませんが、薬剤師にしましても、医師にしましても、現在御承知の通りに全国都市市民の平均生計費は一万二千円でありまして、一万二千円まで切り下げることはどうかと思いますけれども、それの何倍かの収入がなければ医師が立つて行けないとか、薬剤師が立つて行けないとかいうような考え方は、この際国民医療のために、国民の医療費負担軽減というようなことから考えましても、そういう考え方は一切捨てて、この際お互いが収入だとか支出だとかいうことを一応度外現して、そして現在のわくの中において十分お互いの生活が保障されて、国民の負担が上らぬ範囲内におきまして、新しい医療費の体系は十分立ち得る、こういう考えを私どもは持つておるのであります。
○今野委員 最後にもう一つお伺いしたい。それは先ほど藤原さんのお答えがなかつたものと思つて、打切ろうと思つておつたのでありますが、お答えがありましたので、それに続いてもう一つお伺いいたします。
 それは最近非常にいろいろな新薬がたくさん出ておりますが、大体において非常に価が高くて、貧乏人には及びもつかないと考えられるものが多いわけであります。それから新しいいろいろな治療法がどんどん発達して参るようであります。ことに戦争後しばらくとぎれていたものが急激に入つて来たと思いますが、そういうようなものの恩恵を、健康保険を受けているような人たちが受けられるかどうか。私どもの聞き及ぶ範囲では非常に困難のように感じておるのでありますが、現在の医療費の範囲内でそういうものがどんどんやつて行けるかどうか。その点をもう一ぺんはつきりお答え願います。
○藤原参考人 ただいま御質問の点でありますが、たとえて申しますならば、結核治療についてのパスとかあるいはストレプトマイシン、こういう問題があるのでありますが、実を申しますとやつとこのごろ幾らか手に入るという程度でありまして、実は厚生省からこれの配給の裏づけがないのであります。にもかかわらず一面におきまして、結核というものはストレプトマイシンとかパス以外の、今まで結核患者に対してやつて来たいろいろな栄養療法やその他のものが、必要でないというような考えを持ち出しているのであります。しかし少くともそういうものが十分に出まわりまして、その価も十分に間に合う程度の価になりますならば、私はさしつかえないと思いますが、今日では実は口だけであつて、実際には与えられないという状況にあることは間違いありません。この点は実は方針と実態とはなはだ矛盾している点でありまして、私どもは規則できまつているにもかかわらず、患者から要求されても物を渡されないという苦しい立場にありますことを申し上げておきます。
○今野委員 ただいまのお答えの中に、そういうものが必要でないという意見が出ているというお話のように聞き及んだのですが、ある方面ではそういう高いものは必要でない、栄養とかその他のいろいろなことをやればよろしいという意見が出ているように聞いたのですが、その通りでしようか。
    〔青柳委員長代理退席、委員長着席〕
もしそういう意見が出ているとすれば、どういう方面からそういう意見が出ているのでしようか、ちよつとお聞きした、
○藤原参考人 必要でないということはどういう根拠で必要でないということかわかりませんが、私どもは医師といたしまして医療に携わる場合、人を選ばず、できるだけ最もいい医療を与えたいという考えを持つているわけであります。従つて手に入りますならばわれわれは与えたい。いいことがきまつて、少くとも学会等できめられたものは、健康保険であろうと何であろうと、それをわれわれは使いたいのであります。そうして一日も早くなおしてあげたいし、一人でも多くの人を救いたいという気持に燃えているわけであります。ところがすべて方法は論ぜられますが、政府において今までかつてその裏づけがないということを、私どもは残念に思うところであります。この点をよく御勘案願いたいと思います。
○有田(二)委員 今今野さんからお話があり、また藤原日本医師会の理事からお話がありましたが、薬品をつくる場合にいろいろ研究費もいり、いろいろな施設に最初はかかるのでありまして、最初は値段が高いのは、国がこれを補償でもしない限り、いたし方ないのであります。しかしながらペニシリンに例をとりましてもズルフアミンに例をとりましても、各社が競争して製品をつくるということによつて、漸次安くなつて来ているのであります。私は薬価のみが高いというようなことは必ずしも当らないと思うのでありまして、最初出した薬の値段が高いからといつて、いつまでたつても大衆が使えないということはない。一定の時期が来たならば生産も相当伸びて来て、これらの良薬を安価に一般大衆が使い得る、こういう見解を私はとつておりますが、これに対する御所見を日本薬剤師会の高野理事長から承りたいと思います。
○高野参考人 私も同様に考えておりまして、ペニシリンの例が出ましたが、ペニシリンでも国産品は最初非常に高価なものでありましたが、最近はきわめて低廉になつております。これは有田先生からお話がありました通り、最初発明をする、あるいは外国でできておつたものを取入れて、製造方法を研究して日本で国産するというような場合に、よけい経費がかかるのは当然でありまして、ある期間においてそれが相当原価の中に高く見積られるということは企業上当然のことであるかと思います。なおついでに、私は決して製薬業の弁護をいたすわけではないのでありますが、現在国産の薬品が高いとか、あるいは不必要なる広告料を含んでおつて、不必要に高くなつておるという御議論が、一昨日もこの委員会で出たようでありますが、われわれが調査いたしました結果によると、必ずしもそうでないのでありまして、ある程度の広告費をかけなければならない。その薬品を医者に知らせるためには人を派遣しまして外交をやる。あるいは専門雑誌に広告をする。ところが医者だけの専門雑誌は百五十種ぐらいありますが、この百五十種の発行部数を見てみますと、大体が千部、二千部、三千部というようなものが非常に多いのであります。そういたしますと、専門雑誌にいろいろな広告を出しまして、六万三千の医者に知らせるためには、百五十種の雑誌に全部広告しなければならぬ。これは私かつてある製薬会社に関係いたしておりましたときに、経験があるのでありますが、その費用というものは、むしろ現在の広告料よりは非常に莫大なものになつてしまうというようなこともございますので、日刊新聞に広告することが必ずしも非常に原価を高からしめているゆえんではないと考えます。さようにいたしましてだんだん生産量がふえて参る、非常に使用されるということになりますれば、当然適正に価格は安くなつて参ります。なおこの製薬の問題につきましては、社会保障制度審議会におきましても、医薬品の公共性を発揮するために、今後いろいろ考えようじやないかという申合せをいたしておりますので、われわれもこの分業問題が一片づきいたしますれば、製薬の問題については十分調査いたしまして、また他日皆様方に材料を提供いたしまして、いろいろ御議論いただきたいと思いますけれども、ただいまのところはさような見解を持つております。
○有田(二)委員 日本歯科医師会の沖野理事にお伺いいたしたいのでありますが、サムス准将から話がありまして、厚生省に調査会ができて、特に日本歯科医師会の非常なる御盡力によりまして、薬剤師協会なり医師会なりの議が歩み寄つて、非常に御腐心願つたことを非常に感謝するのであります。この法案が調査会の議を経まして、厚生省が検討しまして参議院に上程されたのでありまするが、ただいまの法務府の検務局の高橋横事の意見では、これは基本的人権の侵害である、かような見解をとつておるようにとれたのでありますが、これに対して沖野理事はいかなる見解をおとりになるか。そういう基本的人権の侵害でない、かように考えて、厚生省に調査会の結論をお出しになつたのであるか。あるいは基本的人権の侵害である、かようにお考えになつて結論を厚生省にお示しになつているのか。その点を伺いたいと思います。
○沖野参考人 私は医薬分業に関してほ、サムス準将といろいろ折衝して今日に至つたのでありますが、今の御質問はまことにむずかしい質問でございまして、私今とつさに聞かれても実際そういうことが今までの調査会の間に問題にならなかつた――問題にならなかつたということはおそらく気がつかなかつたのだろう。ですからそれが人権に対して侵害されるかされないかということを、われわれ自身も気がつきませんでしたが、少くとも審議会には厚生省の専門家が委員として並んで見えたのでありますが、委員のお歴々の中でもそういう議論を聞いたことはございません。ただわれわれとしては一方的な意見でなくて、国民の意思を尊重するということを非常に念願しておつたのが、いささか入つているという点で安心しているのでありますが、その法理論の点に関しましては、私はここで何とも御返事はできない次第であります。
○有田(二)委員 この際ひとつ政府の意見を結論にしたいのであります。医務局次長にお尋ねしたいのは、医師法及び歯科医師法の改正法律案をお出しになつているのでありますが、これに対して結論的に人権を侵害するものであるという御見解でお出しになつたものであるか。あるいは基本的人権を侵害してないとしてお出しになつているのかどうか。御意見を伺いたい。
○久下政府委員 私に対する御質問でありますが、私から申し上げるまでもなく、ただいま仰せられました問題は、憲法第十三條の問題と、それから同時に第二十二條の職業選択の自由、この二つの規定に触れる問題であると考えます。その両規定とも「公共の福祉に反しない限り、」という言葉がございます。問題は現行法におきまして薬剤師が原則として調剤能力を認められておる。医師はそれより狭い範囲において認められておつたのであります。今度の私どもの原案によりましても、その狭い医師の調剤権の範囲をさらに狭くしようというのにすぎないのであります。このことは広い、狭いの差こそありましても、参議院におきまして修正をせられました修正案によりましても、同様のことが言えると思うのであります。従いまして、問題は現行法のもとにおいての理論で、この改正されようとしております法律案の問題と、私は本質的には同様に考えていいと考えております。そういう意味から考えまするときに、これを形式的に論じますれば、もしも憲法違反であるとするならば、現出法もすでに憲法違反ということに相なるものと思うのであります。問題は先日来申し上げておりますように、医師、薬剤師というそれぞれの専門の職業を持たれる方々が、国家の制度において認められております限り、この人々の行うべき仕事の範囲につきまして、公共の福祉に反するかいなかという判断から、場合によりまして適当の制限を加えるということは、それは必ずしも憲法に違反するものではないと考えるのであります。私どもが差出しました原案によりましても、そういう意味合いにおきまして、憲法違反とは考えておらないものでございます。同時に私から申し上げるまでもなく、現行法も、改正しようとする法律案におきましても、この規定は一般人には絶対的に調剤の危険を禁止いたしておるのであります。これの方がむしろ議論をすれば憲法違反が強くなると考えるのであります。これもこまかい事情を申し上げますと議論があると思いますが、私どもはいずれにいたしましても全般の医療制度の観点に立ちまして、従来の医師の調剤能力に対しまして、それをさらに狭く制限して行くという限度におきましては、公共の福祉に合致するものだというふうに考えまして、提出いたした次第であります。
○有田(二)委員 最後にもう一点薬務局長にお尋ねいたしたい。薬事法の改正は、これについて薬務局長としては、やはり憲法違反とお考えになつてお出しになつたか、そうでないか、この点結論をつけてお答え願いたい。
○慶松政府委員 ただいま医務局長が申しましたのと私の意見はまつたく同様でありまして、結論的に申しますと憲法違反でないと存じております。
○松谷委員 先ほどすでにお帰りになられました高橋参考人が、私が伺つたところでは、実に奇妙な意見を吐かれて去られたのでありますが、また今沖野参考人から、実はそれが気がつかなかつたから取上げられなかつたというような御答弁をいただいて、私どもなお一層念を持つておるのでございます。少くとも審議会等においてもこうした関頭を十分審議の上、一つの確定を得た上で改正がなされておるものと実は想像をいたしておつたのであります。もちろん現状の要望が重要であつて、そういつた憲法的、法的の問頭は二の次であると言えば、あるいは考え方によつてそうであるかもしれませんが、少くとも法治国である今日の建前から参りましても、やはり憲法違反であるかどうかということが、私どもが法律を改正しあるいは修正して行く場合の、大きな一つの基底にならなければならないと思うのでございます。この点はやはり有田委員から盛んに御質問がございましたが、ある程度はつきりとさせておかなければならないと思います。この点は先ほど委員長の御発言にもありまして、後刻その決定を委員会に御報告くださるというので、私も了としたのでありますが、実は沖野参考人の御発言を伺いまして、なおそれでは伺つておかなければならないという気がいたします。
 初めにこれは医師会代表の藤原参考人にお尋ねをしておきたいのでありますが、医師会の方とされては、やはり今回の政府原案によるところの改正案の立場をとるならば、これは憲法違反であるというお考えの上に立つて、医師会は御討論になつておられたのかどうか。あるいは違つた立場からお考えだつたのかということを、参考までに伺つておきたいと思います。
○藤原参考人 私も法律にはあまり詳しくないものでありますから、詳細なことは申し上げかねますが、政府の原案によりますと、私どもが今日まで長い間医療というものの一環として、いわゆる調剤や投薬ということを自分のものだという考えでもつて参りましたところが、意外にもこれは医師に原則的に全然ないと言つただけで、医療上非常に支障を来すような場合も認めないというような原案であります。そういうことにつきまして、私どもは少くとも憲法上、これはどうしても憲法が優先すべきものであつて、法律の改正については特にこの点については考えていただきたい。どうしてもそれを強行されるならば、私どもは憲法第八十一條によつて、いわゆる違憲審議権というものがわれわれ国民には当然あるのだから、これでもつてやるべきだというくらいに実は考えておりましたところが、修正案におきまして、われわれの立場を認められまして、この意味において修正案に同意をしたわけであります。
○松谷委員 ただいま藤原参考人のお話にも、やはり原案においては憲法違反の解釈の上に立たれていたという御説明をいただいたのでございますが、そういたしますと、厚生省の医務局の現在の御答弁と医師会のお考えとの間に、食い違いがあるような聞きとり方をいたしました。これはなお伺えれば、その点についての参考人のお考えを伺つておきたいと思います。
○藤原参考人 その点は少くとも私は違憲になるかどうかという見解の相違であろうと思う。厚生省はそういう考えでおられたということを初めて今知つたわけであります。私どもは当然これに対して、一応そういう法律ができるならば違憲であるという考えのもとに、これは審議してもらう必要があるという考えを持つておつたわけであります。見解の相違であると私は思います。
○松谷委員 そういたしますと、昭和二十三年でございますかにできました薬事法、あの薬事法の制定の場合にも、やはり医師会ではこれを医師の既得権を侵害するものである、薬事法の中にはつきりと薬剤師の調剤を認めている、この薬事法というものはやはり医師法を侵害し、医師の既得権に支障を与える憲法違反であるというお考えであつたのでございましようか。
○藤原参考人 私当時この問題に深くタツチしておりませんので、深い根拠はわかりませんが、今日から考えましても、こういう除外例について特に認められているために、そういう問題が起らなかつたと考えます。
○松谷委員 そういたしますと、医師会の方々のお考えは、医療を遂行、向上、たしますために、診察ことに診断というものを医師が担当し、投薬の分野は薬剤師が担当するというこの一つの行き方、名は分業でありますが、この分業という言葉自体に相当の反省をしなければならない点があると思います。私どもから考えれば、これはおのおの専門の技術をそこに協力し合つたところの協業であると、私ども第三者は考えたいと思うのでありますが、こういうあり方というものは医療の向上になる、あるいは社会福祉の上から参りまして、より向上するものであるというお考えは持たれないのでございましようか。あるいは薬剤師の調剤、投薬というものは、やはり医師の技術の中に当然含まれているべきである。言いかえるならば、薬剤師はどこまでも医師の付属物である、従属物であるという考え方を、社会の福祉あるいは医療の向上という点からも、なお考えておられるかどうかを伺つておきたいと思います。
○藤原参考人 先ほどからたびたび申し上げましたが、医療というものの中に、私どもは診察から調剤、投薬に至るまでを医療と考えているのであります。でありまして、いわゆる調剤、投薬という部分は、薬剤師がおやりになるのを、やつていけないとわれわれは言うのじやなくして、われわれの医療の一部分をそこに手助けをしてもらう、こういう考えを持つているのであります。調剤、投薬に関する全部を放棄して薬剤師にまかせるということでは医療は成り立たない、こう考えているわけであります。その点は先ほどからおつしやいますように、明確に分離するということが他のものとは違いまして、医療という非常にデリケートな、しかも精神的にもいわゆる医師と患者の信頼感の上に立つてやらなければならぬような微妙なものを、画然と法律をもつて区別いたしましても、おそらく守られない法律ができるだけであつて、少くとも皆様においては、守られる法律をつくつていただかなければならぬという考えから、この点は非常にあいまいに思われるかもしれませんが、医療に限つては、調剤、投薬というものは少くとも医師も持つておらなければならない。薬剤師はそれを主としてやる。しかし薬剤師というものは調剤、投薬というものを全部の仕事のごとく今日誤られていはしないか。この点はひとつお考え願いたいと思います。ほかにたくさん製薬にしましても、あるいは分析、合成そういう主たる仕事が薬剤師にあつて、その一部である。その点どうぞ誤解のないように願います。
○松永委員長 今のに関連して、高野参考人から御発言を求められておりますからこれを許します。
○高野参考人 私はただいまの藤原理事の御答弁には全面的に反対であります。この議論をいたしますれば、もけや修正正案の議論でなく、薬剤師、医師の本部なりすべての根本的な議論にもどつて参ります。もしも調剤、投薬というものが、医者の当然やるべきものであるという本質的なものであるならば、何がゆえに薬剤師を置いて、薬事法の中に調剤は薬剤師でやらなければならないということをきめる必要があるでありましようか。先ほど高橋検事が憲法違反の論拠といたしまして、医療中には診察、治療、投薬が含まれる、こういうお話でございます。これは判例にそういうことがございます。しかしながらこの医療の中に投薬まで含めるということは、高橋検事の御解釈は現行の医師法、現行の薬事法、こういうものを土台としまして司法的解釈を下された判例である。従つてこういうような法律が時代の推移とともに改正さるということになりまするならば、当然この医療に対する解釈も判例もかわつて来なければならぬ。そういうふうな推移するところのいろいろの事情を考えないで、現在の法律で医者に調剤、投薬を許しているものですから、そこに医者のやるべき本務のほかに投薬までも医者の本務である。しかも薬剤師にその一部をやらしておる。調製もあるじやないか、鑑定もあるじやないかとお考えになりますれば、薬事法の中の調剤することをいうということを抹殺しなければならぬ。薬科大学を出て、国家試験を受けて、調剤することが本務であるということを改正し、そうして現在の薬剤師、それから薬事法を根本的に考え直さなければならぬということになるのであります。これは藤原さんからはきよう初めてお話を伺うのでありますが、医師会とわれわれとは数次連絡を盡した問題でありまして、もう触れたくないのでありますが、誤解を招くといけないので、一言私の見解を申し上げます。
○松永委員長 なおこの際申し上げますが、参考人の方々からは参考意見を聞くにとどめていただきたい。討論会ではありませんので、その点ひとつ質問者の方でもお考え願いたいと思います。
○松谷委員 今後この修正案を審議いたします場合に、やはり参考に伺つておかなければ、正しい批判ができないと思いますので、時間をとりましてたいへん恐縮でございますが、伺わせておいていただきたいと思います。ただいま両者の御意見が出たのですが、それはそれで伺つておきたいと思います。
 この場合藤原参考人になお一点お尋ねしておきたいのは、私どもこれはしろうとでございますから、専門的な観点から見れば実に愚論だと思いますが、われわれが考えました場合、もちろんお医者さんが診断をしてくださる。これは人間の疾患に対して第一に重要な問題でございます。その診察の結果、初めて薬を飲まなければならない、こういう処方がいかがであるかということは、これは生命の明日を決定するものだとは思いますが、またその重要さと同じように、この投薬、調剤の技術というものも、やはり私どもにとつては、生命を即刻に左右するほどの重要な部面だと思うのでございます。そういう場合に、ただいま藤原参考人のお説のようなことを、将来なお医療の内容としてとつて参るということになるならば、私どもしろうとの考えとしては、お医者様は医師としての一つの資格をお持ちになつておられる。同時にそのお医者様が薬剤師としての資格をまたおとりいただいて、そうしてその二つの資格をお持ちになつておる方が、その業務を両方あわせてやつていただくということになれば、私どもしろうとは最も安心してその医療を受けさせていただけるものではないかと思うのでございます。これはまたたいへん愚論かもしれませんが、今日のお医者様のお考えを、なお一点伺わせておいていただきたいと思います。
○藤原参考人 その点はもう少し医療というものについて、深くお考え願いたいと私は思うのです。物でありますとそう簡単に言えますが、しかしこれは物を扱うのではなくて生命を扱うのでありますから、そのところに時間というものをお考え願いたい。同時に今のお話のように、調剤、投薬というものが薬剤師だけのもののようにお考えになつておる点に問題がある。薬剤師というものになろうと思えば、医者だつて当然薬学を修め、薬剤師の試験を受けるのでありますが、私どもは医学というものをやつておる間に、調剤、投薬の部面は教わるのであります。この間の参議院における東大学部長のお言葉にもありましたように、生化学あるいは薬理学をやつておるうちに薬もはかる。あなた方のお考えになるように、医者はそんなに危険なことは取扱つていない。できるかできないかという問題になれば、もちろん医者はそれだけの科学的天稟も持つておりますからはかれます。はかれないで卒業できるものとは私は思つておりません。そういう意味におきまして、調剤に対するところの技術くらいのことは、医科大学を卒業するときは持つておるのだという考えでありまして、別個に薬剤師の試験を受けなければならぬということは、別問題だと私は考えます。そういうふうにおとり願いたいと思う。
○松谷委員 なお御答弁に対して申し上げたい点はありますが、これは討論になりますので、また別の機会に讓らせていただきたいと思います。
 なおいま一点伺つておきたいのは、先ほど藤原参考人の御答弁の中に、たしか今野委員の御発言のときだと思いますが、処方箋は責任があるからただでは出せない、こういうお話でございました。ただになるかあるいはただでなくなるかということを決定して行かなければ、医療費の決定もできない。今後おそらく一つの問題になろうかと思うのでございますが、この場合に、私どもしろうとから考えるならば、お医者様が処方箋をお書きくださるということは、お医者様が患者を診断してくだすつて、その結果を患者に伝えてくださる。これは当然医療技術の中に含まれているものだと、実は解釈をさせていただいておつたのでございます。もちろん今日までの医療技術に対する報酬が、適当か不適当かということは別でございます。これがもしも不適当であるという現状であるならば、これをなお上げるということに私は何の異議もございませんが、しかしそういう医療技術に対する報酬の上下は別として、処方箋はやはり書くことに責任があるから、これは特別に患者からその報酬を受けなければならぬ。この考え方に私はまだ納得が行かないのでございます。その点な御説明いただける点がございましたら、承りたいのであります。
○藤原参考人 現在行われております健康保険をごらんになりますと、やはり処方箋の料金はとれることになつておる。また事実健康保険を除いて考えましても、間違つて書きそこないますと、生命に影響するような非常に責任のあるものです。そういう関係でわれわれが愼重なる態度をもつて書きます処方箋に対しては、今あなたのおつしやるように、区別をしないで行く医療費ならばともかくも、すべてのものに対して区別をして、科学的な技術、あるいは無形の能力に対する支払いをするということが明確にされるならば、当然これにも払われてしかるべきものじやないかと私は考えております。
○松谷委員 これは意見になるかもわかりませんが、私は従来医は仁術であるというふうに解釈いたしておりました。もちろん何でも一つ一つが経済価値を基礎にした人間の生活社会でございますから、これは当然やむを得ないことだと思います。しかし医療は、今日法づけられた健保の状態やその他の現状から見て、今発展の途上にございます。それはいろいろの弊害もあり、いろいろな問題もあると思います。現在の状態から行けば、藤原参考人のおつしやつた通りだと思うのですが、しかし私どもは将来よりよい医療日本をつくつて行こうとするときに、やはり処方をいたす場合における紙であるとか、あるいは時間であるとか、そういう事務的の費用は、これはもちろん当然必要になつて参りましようけれども、処方箋を書くのに処方箋代があるから責任あるところの処方箋を出せるが、そうでない場合には非常に無責任な処方箋より書けない。そういうおつもりでおつしやつたのではないと解釈いたしますが、かりにそういうような誤解が今後生じて来るようなことがあつては、私は非常に残念なことだと思うのでございます。なお私も今後の医療費の検討にあたつて、きようの藤原参考人の御意見もまた拝聴いたしながら考えたいと思いますが、私の希望するところは、医療技術の中に処方箋を書く、そこまでをやはり含めてもらいたいものだと思うのでございます。
○青柳委員 私は政府御当局にお尋ねしたいと思うのであります。この原案は、大臣の説明書によりますと、政府は二つの調査会の答申に基いて出したものだとこうあるのであります。政府御当局から配付を受けました資料を、私つぶさに見たのであります。そういたしますると、臨時医薬制度調査会の委員長の報告があるのであります。この報告を参考として政府は原案をつくつたものだろうと思うのであります。その資料によりますと、臨時医薬制度調査会の委員長は、こういう報告をしておるのであります。次には処方箋料が問題となつたのでありまして、処方箋料はとらない方針であるということを、委員長の報告で明らかにすることとなつたのであります。政府の責任のある資料にかくあるのであります。従いまして、私はこの際政府当局にお尋ねしたいのは、調査会の意見はどうであつたか。政府はその意見を取上げられたと大臣は言つておるのでありますが、その辺につきまして承りたいと思います。
○久下政府委員 お尋ねの通りでございまして、私どもは調査会の答申を尊重いたしまして、処方箋料をとらない方がよろしいという考え方を持つておるのでございます。ただ伺つておりますると、処方箋料というものについての内容を、どういうふうにきめておられるか、若干疑念があるやに存じますので、よけいなことかも存じませんが、申し上げておきたいと思います。ここで処方箋料と申しておりまするのは、医師が一つの疾病を診断しました治療方針を表示したもの、こういうふうに御理解を願いたいのであります。治療方針の決定であるそういうものは、医師の技術料として支払わるべきものである、こういうふうに理解をしておるのであります。従つて物としての処方箋の紙であるとか、インキ代であるとかいうものについては、とらない方がよろしいのではないのだろうかという考えであることを、申し上げておきたいと思います。
 それからついでではなはだ失礼でございますが、委員長のお許しを得ましたので、ちよつと申し上げておきたいと思います。先ほど沖野参考人のお答えに対しまして、松谷委員から、厚生省は原案を出すに際して違憲問題を検討せずに出したのではないかというお話でございましたが、沖野参考人は臨時診療報酬調査会の方においでをいただいておりましたので、この問題につきましては臨時医薬制度調査会におきまして、委員の方々のうちから質問が出まして、この問題は一応検討済みでございます。具体的に申しますれば、私どもといたしましては、こういう原案のような制度をつくりますことが、公共の福祉の合致するものであるという見解のもとに、従つてそれは憲法違反にならないという解釈をとつておるのでございます。
○青柳委員 ただいまの問題でありますが、法律案の中にありまする処方箋という意味は、ただいま申された処方箋の意味と同じであるのか。
○久下政府委員 正確に同じとは申せないと思います。言いかえますと、治療方針の決定を文書に表示したものが法律で申します処分箋である、かように御理解を願います。
○青柳委員 そういたしますと、政府は臨時医療制度調査会の意見を十分尊重してこの法案をつくつたのだ、そうして処方箋としてとる金は、紙代とインキ代であるというふうに考えている、こういうふうに解釈してさしつかえないのですか。
○久下政府委員 ちよつとあるいはお答えが正鵠を得ないかもしれませんが、先ほど申しました通り、処方箋料をとるか、とらないかという議論をいたします場合には、先ほど申し上げましたように、医師の技術料というものと、紙代その他のものに対する対価というものと、二つを区別して考える必要があるという意味でございまして、前の方の技術料に対しましては、当然これは医師の技術料というものを考慮すべしという、臨時診療報酬調査会の答申もございますのでその方で含め得るのではないか。あとわずかな紙代の問題は何か考える道があるのではないだろうか、大体とらない方針でその方に含められるのではないか、こういうふうに考えます。
○丸山委員 ただいま医務局次長から、処方箋というものに対する定義をお話になつたのであります。しかるに大正六年三月十九日大審院の判決例によりますると、「処方とは特定人の特定の疾病に対する薬剤による治療の処置方法に関する意見なり」ということが明白に出ているのであります。これと大分食い違いがあると存じますが。その辺をひとつ御説明願います。
○久下政府委員 ただいまお読みになりましたように、処方と処方箋とは違うのであります。いわゆる処方箋料というような場合には、少くとも今まで社会保険などで使つております場合には、紙代というものと、それから技術料を含まして考えたものであります。従つて相当の点数がとれることになつております。今後この問題を新医療体系で考えて行きます場合には、その点を明確に区分いたしまして、そういたしました上で処置をきめる方針でありますが、大体の方針としては、処方箋料というものは名目で別にとる必要はないであろうということであります。
○丸山委員 もちろん処方となつております。処方箋というものは、その処方の内容を紙に書いたものを処方箋と申すのでございます。先ほどの御答弁によりますと。薬剤以外の治療の方針まで指示したものまでも、処方箋の中に入るように聞えたので、御質問したのであります。大審院の判決は薬剤に限つております。
 それから治療の処置方法でありまするが、そういうような処置方法を書いたもの、こういうことになつております。ここに法文に書いてありますのは、薬剤のことを主としてやつてあるのであります。ちよつとその内容に食い違いがあるように思いますので、明らかにしておいていただきたいというだけでございます。
○久下政府委員 その点はあ話の通りでございます。私が少し一般的に言い過ぎたかもしれませんが、要するに薬の剤投与というものを文書に表わしたものが医師の処方箋である、かように御了承願います。
○松永委員長 他に参考人の諸君に対する御質疑はありませんか。――なければ参考人の方々から御意見を承ることは、一応終了いたしたいと存じます。
 この際参考人の方々に、厚生委員会を代表してごあいさつを申し上げます。御繁忙の中を国政のためまげて御出席を賜わり、貴重な御意見を参考として公述していただき、国会審議の上に得るところの多かつたことを厚く御礼申し上げます。先ほど日本医師会、日本薬剤師会、日本歯科医師会の代表の方が国民保健衛生のため、唇歯輔車の緊密なる連絡と融和をもつて、治療報国に有終の美果を結びたいという、うるわしい御心情を拝承して感激にたえません。どうかこのお気持を末端の会員諸君にも徹底せしめられ、よりよき法の運営の行われますよう、御協力賜わりますことを、私よりも御懇請申し上げます。ありがとうございました。
 それでは前回に引き、昨日の宿題として、きように持ち越されました松谷委員に対する御答弁を、政府当局からお願いいたしたいと存じます。久下次長。
○久下政府委員 ただいまお手元に薬価の分析という未定稿を差上げたのでありますが、これは先日も御了解をいただきましたように、すべての面から検討をいたしまして、これならば将来の見通しとしても確かであるというような意味合いまで、完全に検討をいたしたものではないのでありまして、とりあえず現状の数字を基礎として、かりに医薬分業をやるといたしましたならば、どういうような結果になるであろうかという大体の見通しをつけますために、作成いたしました資料でございます。一応ほとんど朗読で御了解がいただけると思いますので、朗読程度の御説明をいたして参りたいと思います。
 政府管掌健康保険におきます薬治料が、現在歯科を含む総医療費中に占めております割合は二二・〇%であります。そして薬治料の一日一剤の平均報酬は、これも実績によりますと二十三円三十銭でございます。この二十三円三十九銭の薬治料のうち、使用薬品の原価を計算してみますと、一日一剤につきまして、平均五円十三銭ということでございます。薬品でございますので、当然損粍率を若干見なければなりませんのでこれをかりに一割といたしますと五円六十四銭と相なるわけでございます。一方におきまして国立病院その他数箇所の病院におきまして、厚生省で病院原価計算というものを実地につきましてやつた数字がございますが、この病院原価計算のうちから調剤に要する経費を計算してみますと、二円二十八銭になるのであります。調剤に要する経費と申しますのは調剤に必要な器具、機械等の消耗品に経費をかけますと同時に、病院でございますので一般管理費が必要でございます。これを一定の基準に基きまして、各部門ごとに配分をいたしてみたのでありますが、そうするとそれに一・二五七〇をかけると、全体の割合がよくなるのではないかという事実上の数字から、計算をして出ました数字でございます。現行の健康保険は一剤四円で、これは健康保険の調剤料でございます。これに基いて薬価の各構成分子の割合と実額を計算をいたしますと、次の通りになるわけであります。すなわち薬治料は先ほど申し上げました二十三円三十九銭であり、そのうち薬品の原価は損粍率一割を加えまして五円六十四銭である。調剤手数料が一円七十二銭という割合になります。調剤に要する経費は先ほど申しました計算から二円二十八銭ということであり、調剤料が四円ということになりまするので、これらの薬治料を除きました今申し上げた金額を合計いたしまして、二十三円三十九銭から差引きますと、十三円七十五銭という数字が出るのでございます。これがここに書いてございますように医師の技術と申しますか、診察料的な分子になるわけでございます。これをパーセンテージで現わしてみますと、次にbに書いてございますように、その他費用の総医療費中に占めるパーセンテージ、すなわちその他の費用と申しますのは、言葉は適当でございませんが、診察料的分子、これは一三%となります。また調剤手数料の総医療費中に占める全額は、一・六%になるわけでございます。調剤に要する費用の総医療費中に占める割合は、九・〇%になるわけでございます。最後に国民の総医療費を厚生省におきまして、いろいろな資料から寄せ集めて計算してみますると、年額総額が千八十一億八千九百九十万九千円になるのでございます。最初にございました数字によりましてその薬価の総額を出してみますと、率で計算をすれば、二百三十八億二百万円、こういう数字に相なるわけであります。これを先ほどの率で分類をいたしましたのが次の数字でございまして、いわゆる診察料的な部分は百四十億六千五百万円、調剤手数料の総額は十七億三千百万円、調剤に要する費用の総額は九十七億三千七百万円、合計したものが二百三十八億二百万円、こういう数字に相なるわけであります。これは実績を基礎といたしまして計算をいたしたものでございますが、医薬分業をいたします場合に問題になりますのは、申すまでもなく薬治料だけでございまして、この薬治料が全体の医療費に占める部分がどれだけであり、さらにその薬治科のうち、医薬の分業をすることによつて、医師から薬剤師に移つて行きます部分が、どういう率になるであろうかということを計算をいたしますために、つくりました数字でございます。この辺のものを一つの材料としていただきまして、御検討をいただきましたならば幸いと存じます。
○松谷委員 なおこの表の中で、こまかな点でございますが、ちよつとお伺いしておきたいと思います。五番目のaとございますその中の調剤手数料とございますが、これはどういうものであるかちよつと御説明を願いたいと思います。
○久下政府委員 こまかいことを申し上げないでたいへん失礼いたしましたが、この四円の内訳でございます。
○松谷委員 わかりました。
○久下政府委員 この前の二つが、一円七十二銭と二円二十八銭の合せたものが四円。
○松谷委員 ただいま御説明いただきました現状の分析内容は了といたしますが、今御説明のように、問題は薬治料がどうなるか、こういう御発言でありました。この薬治料は一体どうなるかという見通し、それを当局はどういうふうにお考えでございましようか。
○久下政府委員 実は医療費総額を一定しておきまして、しかもその他の部分――その他の薬治料以外の診療報酬に全然手をつけないということを仮定した場合に、かような数字が、一つの参考資料になるわけでございます。私どもといたしましては、新しい医療費の体系を計算いたします場合には、ここにございますいわゆる診察料的分子と申しましたものは、はたして他の手術、処置その他の診察治療のいわゆる技術料と権衡がとれておるかどうかということを、しさいに検討して行かなければならないと思うておるのでございます。そういうふうにいたしますと、結局問題は、先日来申し上げておりますように、医療費総額においてはかわりがないという仮定をいたしますと、各個の診療行為につきまして、その比較検討をいたさなければならないのであります。この各個の診療行為の難易の差と申しますか、あるいは比率と申しますか、こういうものにつきましては、実はすでに日本医師会の方から各学界の意見を徴されました精細な資料が出ておるのでございます。これらを基礎といたしまして、全般の問題を検討してみませんと、これだけに触れて議論をすることは、あまり実は私ども意味がないと思つております。ですから問題は、下かち積み上げて、各個の診療行為について適正な診療報酬というものをきめてかかりまして、それを積み上げて累計したものが総医療費であるという計算をいたしますか、あるいはわが国国民経済の実情から、まず総額をきめてかかつて、その範囲内において影響を検討するかという、二つのやり方にかかつておると思うのでございますが、私どもといたしましては、一面におきましては、前のような行き方を十分考慮に入れつつも、なお結論としては、先日来多くの方から御要望のございますように、総医療費においては上げることができないという一つの建前をとりながら、二つを調和して行くという行き方をとる以外にはないのではないか、こう思つておるのでございます。これを具体的に申し上げますと、従つて調剤――ここにある薬治料的な部分の診察料と称する部分と、その他の処置、手術等の技術料、こういうようなものとは、その難易の差等を十分検討してみたい、こういう考えでありますので、これは御質問のお答えになりませんけれども、考え方だけ申し上げます。
○松谷委員 どうも毎度のことでありますが、次長はあまりにも各答弁をなさるので、伺つているうちに、どうもはつきりとつかめない状態でございます。今もまたたいへんにすばらしい御答弁をいただいたのでございますが、どうも先ほど来の各参考人の御意見、あるいはまたこれまでの各委員と次長の質疑応答のお話等から考えてみましても、総医療額に全然手を触れないで、このまま先へ進めさすということが、どうも言葉の上ではそういう御発言が常々でございますけれども、具体的な今後の問題を想像いたしました場合に、どうもそれは不可能ではないかという疑念が、どうしても持たれる点がございます。それできのうお願いを申し上げておきました点は、この表――こうした内容を伺わせていただくと同時に、その現在の医療費をどうしても上まわらなければならないという場合に、先ほど健保の代表者の方々もおつしやつておられたように、これ以上上まわつたのでは、焦げつきを持ちながらどうすることもできない。結局は、医師会の代表の方々のお話から参りましても、そこに医療制限というものが、どうしても出て来なければならないらしい御発言でありました。常識から考えてもそうであろうと思いますが、私ども各委員は、その医療制限があつてはならないということを一番懸念いたしておるわけでございます。その場合に、先ほどの参考人の御意見にもございましたように、それでは一体どれだけのものを当局は責任を持つて負担するか、国庫の負担をどれだけ増して行くかということに、結論はおちついてか行なければならないのじやないかと思います。そういう点の、御当局の責任を持つての処置というものを、どういうふうに考えておいでになるか。それを伺いたいのが、きのうお願いした質問であります。
○久下政府委員 一方におきましては国民総医療費を上げることは絶対困るという意見であり、一方におきましてはまた別の立場から、医師の技術料というものについては十分なる考慮をしてもらいたいという医師会方面の御体見を、私ども承知いたしておるのであります。それでありまするがゆえに、私は実は先ほどくどくどと申し上げたのであります。問題は、私どもの考え方といたしましては、結論的に申し上げると、国民総医療費の負担額は満度に達しておりまするので、国民の負担を増加しない限度におきまして、たとえば現行の課税の軽減でありまするとか、あるいは社会保険に対する国庫負担でございまするとか、そういうものが期待できますれば、その部分だけは、お医者さんに対する報酬が高くなるようになると思います。そういう意味合いにおいて、実は多少あいまいなことを申し上げたかもしれませんが、しかしながら私どもとしては一応そういうものは将来の問題といたしまして、現状の立場から申しますると、国庫の負担も望めませんし、医療費の税の軽減ということも簡単にも行かないという事情がございまするので、結論としては先ほど申し上げた通りに、国民医療費の総負担額は変更しないで、その中におきまして、医師会から出た資料などを十分に参考にしつつ、各診療行為の技術料というものを適正に定めて行きたい。その定めた結果が、診療料的分子がこれでとどまるか、これより上るか、あるいはこれ以内になりますか、これは要するに全体をやつてみなければわかりませんということを申し上げたのであります。
○松谷委員 そういたしますと、なおくどいようになりますが、当局の現状にお考えは、この医薬の分業に先がけて、特に国庫負担の点においてどうするというような、この問題に関連しての御交渉は別にとられておらない。どこまでも現状の総医療費を基準にして、それからは出ないことにのみ、現状を考えておるというのだと解釈してよろしゆうございますか。
○久下政府委員 さようにおとりをいただきますと、たいへん因るのでございまして、私どもといたしましては、まずこの作業をいたして参ります基本的な考えとしては、現状をもとにいたしまして、医療費は幾ら上げてよろしいのだ、あるいはどれだけ上げてよろしいのだというような仮定を置いて作業をいたしますことは、不適当であると考えまして、そういう意味合いにおきまして、現状を基礎とした作業をして参りまして、その結果が、とうていこれではお医者さんの生活ができないというような問題になつた場合に、考え直さなければならぬのじやないか。そういう場合には、当然国庫の負担のことも考えて行かなければならないでありましようし、その他万般の措置を講じなければならないと思つておるのでありまして、今私が申し上げておりまするのは、私どもがこれから二、三年の間に、非常な難問題ではありますが、とつ組んで参らなければならない医療費の計算としては、一応総医療費においては、国庫負担は増加させないという見地でやりたいということを申し上げたのであります。
○松谷委員 次長のおつしやることはだんだんわかつて参りましたが、どうも何か非常に、不用意な気がしてならないのでございます。出たとこ勝負で、足りなければ何とか国庫負担の方で補つて行こうというような、非常に楽観的なお考え方、基礎は現状を上げないというお考えはけつこうでございますが、しかしもしもそれで行つて不足するような場合には、その次の国庫負担に持つて行くのだというような聞え方がどうもいたすのでございます。そうでなくても、国庫負担がとりにくい現状である。また将来において、それが不足して行くからという点で、やすやすと安易に与えられようとも考えられないのでございますが、そういう点を御当局はなおもう少しお考えをいただいておかなければならないのではないかと思います。なおこれはいつまで参りましても水かけ論になりますので、この問題は一応打切りまして、当局のお考えの現状だけを伺つて参考にいたします。
 次は、先ほどの参考人との質疑応答の中にも出て参りました問題でございますが、当局がこの改正をなさる一つの大きな基点が専門分野の確立にあるということは、提案理由の中にも御説明がございましたし、また次長その他の政府委員の御説明の中にも、再三繰返されておつたと記憶いたします。私どもも専門分野の確立ということが、国民の医療を向上さす上に非常に重要な問題であると、やはり考える一人ございますが、先ほどの参考人の中にも、いろいろと専門分野の確立の点について、相当意見の食い違いもあつたように拝聴いたしたのでございます。そういう点から参りまして、専門分野の確立というその一面においては、また解釈いかんによつては、憲法違反であるというような、専門分野の確立でなくて、その反対を意味するがごとく解釈をしておられる点もあるということになつては、これは相当大きな問題になるのではないかと思います。これはむし返すようですから、もうこの先を申し上げるのを避けますが、少くとも当局においては、憲法違反であるという御解釈はとられない、こういうことの先ほどの御答弁がございましたので、一応当局が解釈をしておいでになる線に沿つて、私も質問を進めたいと思うのでございますが、この専門分野の確立ということをなお一属はつきりさせます将来の問題といたしまして、また先ごろからいろいろと問題になつております調剤権その他の問題の点を解決する一つの問題としても、今日、将来のことではございますが、当局はこの調剤権の処属をはつきりと法的に御決定になられる意思が一体おありになるかどうか。これは先ほども論ぜられましたように、今日までの法律の上では相当の慣習法なども取入れられていた、これが現在までの発展途上における医療のあり方であつたと思うのでございますが、将来完成されて行こうとする医療のあり方を規定して行く場合に、なおこの問題を当局は将来において考えて行こうとする御意思がおありになるか、どうかを伺つておきたいと思います。
 いま一つの問題としては、現在薬事法の中において薬剤師の身分が決定されておりますが、薬剤師法という単独法を御決定になるような御意思がおありになるかどうか、そういうことを考えておられるかどうかということも、参考までに伺つておきたいと思います。
○久下政府委員 前段の問題について私からお答えを申し上げます。政府といたしましては、いわゆる医薬分業問題につききまして、今日及び今日以後将来の問題といたしまして、少くとも筋としては政府から御提案申し上げたような行き方で行くべきである、こういう考えを持ちましたのでございますが、しかしながら先日来お聞き及びのように、参議院厚生委員会において各方面の意見を聴せられまして、筋はその通りであるにいたしましても、実際制度を実行して行きますためには、あの修正案に盛られたような方が適当であるというような御意見から、さような修正が行われましたので、政府としてもこれに異議ないということを申し上げておる次第でございます。しかもこの問題につきましては、先ほど来お聞き及びの通りに、関係団体におきましても、これをもつて長年の医薬分業問題につきましては、終止符を打ちたいというような御発言もあつて、私どももさように承知をいたしておるのであります。従いまして今ただちに私の立場から、将来はこれを変更するということは申し上げることができないのでありまして、むしろ私どもとしてはいろいろそうしたことまで御考慮いただき、筋と実際とよく御検討を願つて、参議院厚生委員会においてああいう結論が出て、参議院の御決定になりました筋というものは、少くとも関係諸団体も同意しておるわけでありますし、終止符を打ちたいという言葉にも現わされておる意味から、私どもとしては近い将来においては、さらにこれに手をつけるという意思はないのであります。
 後段の問題は慶松政府委員から…。
○慶松政府委員 ただいまの御質問の点は、将来薬剤師法のごときものを政府提出の意思なきやいなやという御質問だと存じます。これは現在の薬事法におきまして、薬事法のまず法律の目的といたしまして、薬事を規正し、これが適正をはかることを目的とすることになつております。そうしてその中で薬事と申します事柄は「医薬品、用具又は化粧品の製造、調剤、販売又は授与及びこれらに関連する事項」そういうことを言つておるのであります。すなわち薬事の中には、当然調剤あるいは医薬品の製造販売というようなことが入つて参るのであります。しかもこの医薬品の製造あるいは販売、あるいはさらに今日特に問題になつております調剤という関頭に直接関連いたします人といたしましては、これがすなわち薬剤師でございます。その意味におきまして、薬剤師の仕事といたしましては、当然この薬事全般に関連する次第でございますから、従つでその意味からして、今日の薬事法において薬に関するものの面と、それからこれに関連する薬剤師の面とは、切り離して考えることはむずかしい点がたくさんあると存じます。その意味からいたしまして、私どもといたしましては、現在におきましては薬事法の中に薬剤師を含めて参りますことが、適当だと存じておる次第でございまして、ただいま御質問のごとき薬剤師法を制定する意思は、今のところではございません。但し将来において事情がわかりますれば、これはまた別でございますけれども、今日の薬事法においては、ただいま申し上げましたように、薬事の中にすべてこれらの事柄が包含されておる。しかも関連が非常に強いという意味からいたしまして、このままで進んでけつこうだと私どもは考えております。
○松谷委員 もちろん政府委員というお立場から、先ほど以上の御答弁は無理かとも思います。あるいはまた次の法律の改正云々については、これはお立場から御発言のできないことは十分了承いたします。私がただ伺つておきたいのは、少くとも改正原案が政府提出であり、またこの修正が参議院側の修正でおありになるというので、この場合に当局とされて、現在の修正の内容をもつて専門分野の確立が今日の段階は別でございます。今日の段階はこれを了となさる。行政府としてこれは国会においてこの修正が確定するならば、その法律に従つて行政をなさることは当然なわけでございますが、それとは別に当局が考えられる医療という問題を取上げ、またあるいは医薬の分業という問題を取上げて来られたその一つの基本の考えとして、専門分野の確立がこれでもう将来十分であるというお考えでおありになるか。あるいはその点は、これは法律の施行に伴う行政云々の問題ではなくして、当局がお考えになつておられる一つの医療に対する問題としての点だけを――私は何も修正案にこだわつて御答弁をいただきたいのではなくて、従来あるいは今日以後においても当局が御研究になり、当局がお考えを持つておられるその基本の線だけを伺つておきたいのでございます。
○久下政府委員 昨日も他の方の御質問にお答えを申し上げたのでありますが、私どもは参議院におきまして政府原案が修正せられたのでありまするけれども、政府原案が意図いたしました原則は、少くとも参議院修正によりましても承認を受けましたものと考えておる次第でございます。幸いにいたしまして、今後本修正案が国会を通過するということに相なりまするならば、政府の意図いたしました方針は、やはり現われておるという意味におきまして、運用のよろしきを得ますならば、十分に専門分野の確立という線に進み得るものと考えておる次第であります。
○松谷委員 それでは次に参議院議員の方にお尋ねをいたしたいのでございますが、参議院で御修正くださいましたまず最初の医師法及び歯科医師法の一部改正の箇所でございます。これは他の委員からもすでに御質問をなすつておられ、その際に参議院側代表の委員の方から、政府原案の趣旨を変更していないという御答弁があつたと記憶いたすのでございますが、この点をなお再確認させていただきたいと思うのでございます。その辺、この修正をなさいましても、なお政府の考えておられる――ただいま次長も御発言をしておられましたが、専門分野の確立という点において、その運用よろしきを得るならば、決して確立の内容をそこねるものではないという、その解釈の上に立つておられるようでございますが、この点は参議院側もそれと同じようなお考えのもとに、修正をなすつたのでございましようか。違う点がございましたら、御指摘をいただきたいのでございます。
○石原参議院議員 参議院におきまして、これを修正いたしましたのも、先ほど政府当局から答えられましたように、根本精神をかえるという意味は毛頭ないのでありまして、医師法第二十二條の第一項の医師の処方箋交付という原則は、これを確立しておりまして、ただ省令の定めるところにより、診療上必要がある場合とか、患者が医師を信頼するの余り、特にその薬剤の交付を求めるという場合に限局いたしまして、原則はあくまでも医師の処方箋交付という原則を確立して行く考えでございまして、政府当局の答えられましたところとまつたく同様の見地に立つて、修正をいたした次第でございます。
○松谷委員 なお先ほどからたびたび論ぜられておつたのでございますが、ただいまの石原参議院議員の御説明をいただきましても、なお政府原案の趣旨を変更するものではないという再度の御説明をいただいたのでございますが、先ほどの次長の御説明の中にも、運用のよろしきを得ればという御答弁もございましたし、また再三参議院側の御答弁においても、政府原案の趣旨を変更しないために、省令に委託してある範囲についても、できるだけ狭くこれを解釈されるというような御答弁があつたと記憶をいたしますが、一番問題になつて参りますのは、この修正の運用する場合の問題だと思います。具体的には省令がどういう内容になるかということの、一つの大きな問題だと思うのでございますが、参議院側におかれては、この省令について、当然省令が決定になり公布になります前に、参議院側もまたこの省令案を参考とされて、御討議をなさつてくださるだけの條件をおつけくださつてあるものと、解釈をいたすのでございますが、この点は参議院側においてはいかがでございますでしようか。
○石原参議院議員 この修正案を最後に議決いたします際に、各委員よりそれぞれ希望條項を付してあるのでございますが、谷口委員よりは、特にこの省令は大体こういう内容を盛つてほしいという希望條項まで列挙せられまして、討論の際に論じてあるのでございます。いずれこの省令をきめまする際に、基本になりまする審議会設置法等もかけられることと思いますので、それらの際にはさらにそこいらの問題をいま少しく掘り下げて、検討しておきたいというふうな希望を持つていることを申し上げておきます。
○松谷委員 これは参考までに申し上げておきたいのでございますが、御承知のように参議院の厚生委員会においても、やはり十分御苦労くださいましたあの前回において決定をいたしました看護婦に対する改正案が、せつかく私ども衆参一敷いたしまして改正を見たのでございますが、その具体的な施行にあたりまして、いろいろと問題が出て参つておるような状態でございます。私どもがあの問題についても、その省令案を参衆両院の委員会において検討をいたし、そしてまた両院のその改正の趣旨をまげることなく、行政面において十二分に運用してもらいますために、現在なお私どもも意見を披瀝しているところでございますが、やはりあの法案の改正と同じように、あるいはそれ以上に、またこの法案の改正あるいは修正ということも、運用の面において一番困難な面が出て来るのではないかと思いますので、この省令案の作成にあたりましては、参衆両院がやはり十二分に審議会の法制を初めとしてこれを討論すると同時に、また衆参両院の法制委員会も、これについて十分の検討をいたした上におい、省令の決定を見るように、ひとつ参議院側も全力をあげて御努力をいただきたいと思うのでございます。もちろん御了承いだけるものとは思いますが、なおお答えをあえて煩わしておきたいと思うのでございます。
○石原参議院議員 松谷委員の御意見とわれわれまつたく同感でございまして、私は個人の考えから申しますれば、むしろ省令できめる内容を、法律できめておいてもらいたいくらいに思つているところでございます。ただいまの御意見とまつたく同感ということを申し上げおきます。
○松谷委員 との点は衆議院の委員の一人として委員長にも特にお願いをいたしまして、その点十分ひとつお考えをいただき、御注意をいただきたいと思うのでございます。なお看護婦法の改正に出て参りましたようなあの一つの意見の相違というようなものは、ぜひこの問題についてだけは出していただきたくないということを、ひとつきよう御出席くださいました、薬務局長初め医務局次長の責任をもつて、大臣にもその点を特に御注意いただきたいと思うのでございます。
 それから次に参議院の側にお尋ねを申し上げたいのは、薬事法の修正の箇所でございますが、これも各委員から御質問がございましたから、重複する点は避けさせていただきまして、ただこれもまた再確認の程度になりますが、患者あるいは看護に当つている者が希望する旨を申し出た場合、この希望する旨というこの箇所は、これは先ごろから指導啓蒙によつて行くより、しかたがないという御答弁をいただいておつたようでありますが、これは俗な言葉で言えば、手放しに患者あるいは看護に当つておる者の希望を認めるというふうな解釈をしてよろしいものでございましようか。その点修正をなさいましたときのお考えを、もう少し詳しくひとつ伺わせていただきたいと思います。あるいはその箇所に「特に」とございますが、その「特に」とここに二字入れていただきましたのに、何か意味がおありになるのではないかとも思いますので、お願いをいたしたいと思います。
○谷口参議院議員 ただいま薬事法の第二十二條のところにおきまして、患者または看護に当つておる者が特に希望をする場合と言つて「特に」と書きましたのは、野放しにすべてのものが希望するというわけでもありませずに、患者がその医者を非常に信仰いたしておりまして、せつかく死ぬならぜひあの医者の薬を飲んで死のうとまで信用しておる場合があります。あるいはまた患者が非常に急ぐような場合で、すぐ出て行こうというような場合とか、いろいろな場合がございましようけれども、できるだけ狭い範囲と思つて特に入れたわけです。「特に」は非常に制限しておるつもりでございます。
○松谷委員 なおこの修正はどうかいたしますとたいへんに誤解が出て来る。せつかく参議院が「特に」という言葉をお入れいただき、また原案の専門分野の確立という精神を、そのまま十分に盛り込んでいただいた修正案であるにもかかわらず、どうかすると誤解が多々出がちではないかと思うのでございます。その場合にどこまでも参議院側の御修正の御精神は、専門分野の確立ということに向つて、今後の日本の医療を進めて行くということが、一つの医療向上の面であるというふうにお考えの上で、「特に」という言葉まではさまれての御配慮であつたと思うのでございますが、従来の原案の趣旨をそのままそこねるものではないというふうに、解釈させていただいてさしつかえないものでございましようか。なお確認させていただきたいと思います。
○谷口参議院議員 ただいまお話のように、専門分野の方面に対してでも「特に」というのが入つておるかというお話でございますが、もちろんそれが入つております。なお私どもの参議院におきまして、附則の方に三十年一月一日からというようなふうに、二十八年一月一日を特に二箇年までも延長しまして、そして施行の期日を延ばしましたというようなのも、実は医薬制度調査会、または診療報酬調査会における答申などには、まだ専門分野を確立するとか、あるいは技術方面にまでも力を入れるとか、適正なる医療費を見出すとかいう方法ができておりませんために、今後専門分野をはつきりする上においては、日にちをもう少し延ばしたいというような関係から、三十年一月一日というようなところまで持つて行つて、全体を通じまして専門分野を大いに確立し、医療の内容向上をはかりたい、そういうつもりで掲げておるような次第であります。
○松谷委員 当局にお尋ねしたいのですが、この修正案が十二分に本来の趣旨を全うして運用されて参りますためには、再三言われておりますように、国民の啓蒙と指導が相当必要だと思うのでございます。この点について当局はどういうような方法あるいはお考えを持つて、指導啓蒙を今計画しておいでになられるか。あるいはまた今日ここに御出席のお医者さん方は、みな善良なるお医者様でおありになると信頼いたしておりますが、しかし数多い中には、どうかいたしますと、またこれを悪用するような場合もなきにしもあらずだと思うのでございます。そういう場合にあたつての当局のお考えなども、伺わしておいていただければ幸いだと思います。
○久下政府委員 具体的に啓蒙宣伝につきましては、計画はただいま持つておらないのでありますが、ごく大体の腹案を申し上げてみたいと思います。
 御承知の通り厚生行政につきましては、総額においては大した金ではございませんが、啓蒙宣伝に関する費用もございますし、またそれの専門の係も設けておるような次第でございまして、この問題につきましては、確かに仰せの通りに非常に重要な問題であり、国民はもちろん関係医療従事者の方々にも、十分な御了解を得なければならないことであろうと思いますが、そういう面につきましての啓蒙宣伝の費用につきましては、部内におきまして関係方面に相談をいたしまして、来年度から相当大幅な予算をいただきますように努力をしたいと思います。
 なお同時に、この問題は今申し上げました通り医師、歯科医師、薬剤師の方々の御協力も得なければならぬのであります。この点につきましては本日の参考人の各位も、積極的な熱意を示していただいておりますので、私といたしましてはその方面の御協力を得まして、私どものやりますことと、関係諸団体の御協力を願う行き方が総合一体となりまして、十分その成果が上りますようにやりたいと考えている次第であります。
○松谷委員 どうも次長のお答えは、私にはまだ了とすることができないのでございます。何かどうもまだ不満の点がございますが、これは一応この程度で打切ります。十二分に御当局が深い御考慮の上、また十二分の御津意をいただきながら、この修正案の意思のあるところを、趣旨を変更せずに、ひとつ運用の面で十二分にその効を上げていただきたいと思います。また参衆の私ども厚生委員会も、このよりよき運用によつて法の意思を徹底させることができますように、やはり今後も十分な――監視という言葉は惑うございましようが、協力と、常にこれについての注目をもつて見て行かなければならないと思いますので、今後も衆参両院において、できるならばこの運用等についての何か懇談会なり、あるいはそうした委員会――というのはいかがかと思いますが、まあそういう手続は別といたしまして、そうした意味のものを、両厚生委員会において持つて参りたいと思いますので、参議院側においても御研究を賜わりたいと思います。また委員長においてもこの点を、何らかの方法において御研究いただきたいと思うのであります。
○松永委員長 了承いたしました。次は高橋等君。
○高橋(等)委員 先般大体の御質問は申し上げたのでありまするが、重ねて一、二の点につきまして御質問申し上げたいと思います。最近新聞紙を読んだり、ラジオを聞いたりしておりますると、ただいま議案になつておりまする法案につきまして、骨抜きの法案である、むりにこんなことをやらぬでもいいじやないかというような、非難めいた言論が行われておるのであります。先ほど来政府委員及び修正案の提出者の御意見を承つておりますと、決してこれが骨拔き法案でないということは、よく了承できるのでございまするが、この法案が決して骨拔き法案ではない、また国民の利益に非常に関係のあるいい法案であるという点につきまして、まず提案者の御説明を求めておきたいのであります。これは一部言論機関の認識を改めてもらうためにも必要でありますが、むしろこの言論機関の言論によりまして影響を受けておりまする国民に対しまして、どうしても明らかにしていただいておかなければならない点であると考えまするので、詳しく御説明をお願いいたしておきたいと思います。
○石原参議院議員 まず私から答えまして、ならに谷口議員からもお答え願いたいと思うのでありますが、先ほども申し上げましたように、医師法の改正部分におきましても、医師の処方箋交付という原則は、あくまで確立しておるのであります。ただ医師法、薬事法に但書その他で若干の修正を加えたのでありますが、これは骨抜きにするとかどうとかいう意味でなく、約一箇月にわたりまして、国民各方面各界の意見輿論を徴しまして、この医薬分業をやつて行く上におきましては、国民感情としてもあるいは国民保健の立場から申しましても、この程度の修正を付しておかなければならないという確信のもとに、われわれはこの修正條項を加えたのであります。決して骨拔きにするとかどうとかいう意味ではないのでございまして、現在の段階におきましては、重ねて申し上げまするが、国民保健の立場からも、また国民輿論と申しますか、国民感情の立場から申しましても、この程度でなければならないという確信のもとにやつたものであるということを、申し上げておきたいと思います。
○谷口参議院議員 ただいま石原さんの申されたことで十分だと思いますが、なおつけ加えて申しますと、実はこれまでは任意医薬分業と申しまして、処方箋なども患者の希望の場合にのみ発行するというような関係から、十分徹底いたしませなかつたが、今度は非常に躍進いたしまして、処方箋の強制発行を原則にしたのですから、これはもう前あたりの法案と違いまして、非常な躍進をしているような状況でありますから、骨拔きでは決してないと思つているのであります。
○高橋(等)委員 さらに政府当局のこの点に対する御説明を承りたいと思います。この点は医務局及び薬務局、それぞれのお答えをいただきたいと思います。
○久下政府委員 医務局の関係の部分は、医師法及び歯科医師法の改正に関する部分でございます。この点につきましては、ただいま谷口参議院議員からのお話もございました通りでございまして、私どもは骨抜きどころではなく、現行の制度から見まして、また政府の原案に比較いたしましても、その趣旨はそのまま方針としては通つておるものであります。決して骨抜きであるとは考えておりません。
○慶松政府委員 薬事法関係につきまして、私からお答え申し上げます。すなわち現行の薬事法におきましては、これもたびたび申し上げておるのでございますが、「薬剤師でない者は、販売又は授与の目的で調剤してはならない。但し、医師、歯科医師又は獣医師が自己の処方せんにより自ら調剤し、」云々、すなわち建前といたしましては、薬剤師でない者は調剤してはならないということになつておるにもかかわりませず、現行法におきましては医師、歯科医師、獣医師は自己の処方箋によりますれば調剤できる。すなわちこれは網を張りまして、網に穴があいておるような次第であります。しかるに今般の改正によりますれば、原則をはつきりいたしますと同時に、條件を特に付しまして、その條件に限つた場合においてのみ、医師もしくは歯科医師が自己の処方箋によつて、みずから調剤することができる次第であります。そうして私どもの原案によりますれば、特に省令の定めるところにより診療上必要とされる場合、省令の定めるところにより薬局の普及が十分でないとされる地域で診療を行う場合、この二つに限定をいたしたのでございます。これで非常にはつきりいたしておるのでございますが、今般の改正によりますと、特に患者またはその看護に当つておる者が医者から薬がもらいたいという際も、またもらえるようになつておりまして、いささか網の目が大きくなつたという感じがいたすのでございますけれども、しかしながらその根本におきましては、最初に申し上げましたように、まつたく趣旨はかわつて来ておると存じます。従いまして、この点につきましては、先ほど来たびたびお話が出ておりますように、関係者あるいは一般大衆の自覚あるいは良識あるいは啓蒙によりまして、解決され得る次第でございまして、この点私どもといたしましては、この修正案におきましてもまつたく従来とは違つた、すなわち一大飛躍的進歩を遂げておるものと存ずる次第でございます。
○高橋(等)委員 ただいま医務局方面の御説明は、もう少し具体的にお答えを願いたいと思います。それは骨抜き法案でないということを立証する御答弁を求めたのでございますが、骨抜きでないと思うと言われただけでは、さつぱりわかちぬことになります。もう少し具体的に御所見を承りたいと思います。
○久下政府委員 これは先般もどなたかの御質問にお答え申し上げたのでございます。医師法第二十二條及び歯科医師法第二十一條に、いわゆる処方箋強制発行の規定に但書がついておるのでございます。そのように修正をせられたのでございますが、その修正は処方箋を交付いたしますことが、診療上支障があるとされる場合に限るのであります。私どもは先般来申し上げておりまするように、この診療上支障がありとされる場合ということにつきましては、少くとも私どもが検討いたしておりまする範囲内におきましては、きわめて狭いものであるというふうに理解をいたしておるのでございます。いろいろと例をあげますると御意見もあるようでありますけれども、しかしながらこれを全般的に検討いたしますときには、それらの問題はいずれも審議会におきまして検討をせられるべきものではありますが、私どもが信ずる限りにおきましては、こういう但書に該当いたします場合は、きわめて狭い範囲であるべきでありまして、また理論的にもそうであるというふうに思います。そういう意味合いにおきまして、決して政府原案が修正によつて骨抜きになつたものとは、考えておらないのであります。
○高橋(等)委員 次に本法の運用、周知徹底につきまして、先ほど松谷委員から質問なり御希望の開陳がありましたが、私も本法を運用せられまする上におきましては、十分その趣旨、制度を大衆に徹底せしめる具体的方策を、政府と医師会、薬剤師協会、歯科医師会の協力のもとに実行をせられまして、将来ごたごたが起らないように、円満に本法が施行せられることを特に強く要望を申し上げておきます。
 なお委員長にお伺いいたしたいのでございまするが、本日参考人として御出席の高橋検事は、検事の資格においてお呼びになりましたのですか。それとも個人の高橋さんということでお呼びになつたのでしようか。その点を委員長に伺いたいと思います。
○松永委員長 高橋検事をお呼びしましたのは、法務府の検事である高橋さん個人を呼んだのでございます。さよう御了承願います。
○高橋(等)委員 その法務府の検事である高橋さん個人の御発言の中に、医師の既得権と基本人権に関する御見解を述べられまして、調剤権の制限の点において、政府原案は憲法違反である、かるがゆえにこうした修正案が出されることは当然と思うというお話がありました。これは単に調剤権に関する問題として、私が特にここで申し上げるわけではないのでございまして、今後既得権という問題と基本人権という問題で、そういう高橋検事が解釈せられるような解釈であるといたしますると、われわれ立法府としましては、非常に考えねばならぬ問題があると思います。ことにこの調剤権の問題につきましては、法務府意見長官は、違憲ではないという意見を出された。しかるにやはり法務府の検務局の検事である高橋さんは、これは本日自分は個人で申し述べるということを言われて述べられたのでありますが、しかしやはり法務府検事高橋個人の言の影響力というものは相当のものであり、また個人としてお考えになつておられるとしましても、法務府の意見が何か一致しておらないように私は見受けるのであります。今後われわれが立法いたすにあたりまして、既得権と基本人権との関係につきまして、政府、法務府の意見がこう異なつておりましては、これははなはだ困つた問題であると考えます。従いまして委員長におかれましては、この点を十分にお確かめくださいまして、これは調剤権との関係という意味でなく、もう少し広い視野から申し上げておきますが、高橋検事が、もし自分の意見が誤りであるということが、はつきりいたしましたような場合には、公式に取消しの要求を私はお願いを申し上げたい、こういうふうに考えます。いずれにしましても、この問題の解釈ははつきりとさせていただきたい。この点特にお願い申し上げまして、私の質問を終ります。
○松永委員長 ただいまの高橋委員の御意見は、先ほど有田委員からも御指摘があり、御希望があつたのでございますが、まことにごもつともでございまして、高橋参考人の意見が、この提案自体が違憲であるというならば、本案を提案された厚生省、政府自体が違憲行為を行つたということにもなり、またこれを審議して来られた参議院自体も問題になるわけでございまして、重大な問題であると存じますから、先ほど申し上げましたように、十分調査をいたしましてこの点を鮮明にいたしておきたいと存じております。しばらくお時間を頂戴いたしたいと思います。
 次に今野委員、できるだけ簡単にお願い申し上げます。
○今野委員 できるだけ簡単にやりますけれども、この間非常に短かく切詰めたので、なお二、三の点についてお伺いしたいと思います。一昨日薬の値段について、失体国際的に見てそんなに高い安いはひどい差はないのだ、それは原料が高いから云々というお話もありました。それでは、医者の技術料ということが先ほどからいろいろ問題になつておりますが、この医者の技術料の現状並びにいろいろ診療報酬調査会などで論ぜられておるようでありますが、この法案が実施されるまでの将来の見通しを含めて、医者の技術料というものの国際的水準と、それから日本の水準、それは一体どんなふうにおつかみになつておるか。それをちよつと伺いたい。
○久下政府委員 たいへん申訳ないのでございますが、医師の技術料につきましての国際的な、すなわち各国の実情をつまびらかにいたしておりませんので、御質問に的確にお答えができませんことを遺憾に存じまするが、私の承知いたしております限りにおきましては、最近の米国の実情などから考えますと、医師の技術料、すなわちこれは俸給生活者でございますと、その俸給に現われておると考えてよろしいと思うのであります。そういう点から申しますと、わが国の技術料は非常に低いものであるということが言えると存じます。もつともこれは一般の国民の生活水準が異なり、物価の相違がございますので、これを一概に機械的に比較することはできないと存じますが、少くとも私がごく最近に参りまして、そういう点に触れました限りにおきましては、日本の医師の待遇はアメリカなどに比較いたしまして、非常に低いものであるということが言えると存じます。
○今野委員 この点はなおよくお調べの上、後ほどでけつこうですからお知らせ願いたいと存じます。それから先ほど来大体現状をもとにしてというようなことが、医療費の問題について盛んに出たわけでございます。しかし現状というのは一体いつのことをさすのか。たとえば医師に対する報酬などの点を考えてみますと、健康保険の場合で申しますれば、一点の値段というものは、昭和二十三年にきまつたと記憶いたしまするが、大体その線をもとにして、ほとんどそれをかえないような、こういうおつもりであるかどうか。その点をお伺いしたいと思います。
○久下政府委員 新しい医療費体系をつくります場合には、一点単価ということはあまり問題にせずに、各診療行為ごとの点数がきめてございます。その点数に一点単価を乗じました各診療行為ごとの報酬というものが、問題になると思つております。私どもが先ほど来申し上げておりますように、現状を基礎にしてと申しますのは、現在の国民の医療費負担総額を基礎にして、こういうことを申し上げておるのでございます。内容におきましては、今申し上げたような、社会保険の点数と単価によつて現わされておりまする個々の診療行為に対する診療報酬を、根本的に再検討してみたいという考え方でおります。
○今野委員 ただいまのお答えですが、一点単価を云々するのじやないと言われますが、結局は同じことになると思うのであります。それで先ほどお配りくださつたこの「薬価の分折」という資料の中で「その他(診察料的分子)」というものがあります。これと今までの診療費、大体これを加えたものが医師に対する大体の報酬、そんなふうに見られるのでありますが、そういうふうにお考えであるかどうか。その点を伺いたいのです。
○久下政府委員 差上げました資料の中にございます診察料分子というものは、実ははなはだ適当でないと思うのであります。これだけを見ますと、いわゆる診断に対する技術料だけが入つているようでありますが、そのほかに診断に基きます治療方針の決定というものも、この中には含まれておるものと理解すべきものと思います。そういう観点で論じますと、これはあくまでも先ほど来申し上げておりますように、現行社会保険の薬治料の部分を分折いたしたにすぎないのでありまして、医師の報酬になりますものは、もちろんこの種のものも入りますと同時に、処置、手術などに関しまして、それぞれ材料費と技術料というものをわけて検討して参ります。そういうものが加えられたものが、しかも医師がみずから材料を負担してやります場合には、その材料費を含めまして、技術料とともに支払うということに相なると思います。
○今野委員 どうも私の問いに対して答えがいただけないような気持がするのであります。つまり私が聞いておるのは、医療費の総額を上げないようにする、こうおつしやいますけれども、そうすると技術料というものが、大体今の水準、すなわち健康保険の場合で申しますと、昭和二十三年度にきまつた程度のものでやつて行こうということになるのじやないかと思うのでありますが、その点を確かめたいわけなのであります。
○久下政府委員 同じようにあるいはお答えが食い違うかと思います。と申しますのは、今おつしやつておられます一点単価と称しますものは、私から申すまでもなく、個々の診療行為について、一日一剤は何点であるとか、あるいは処方箋料は何点であるとか、盲膓の手術は何点であるとかいうようなことが別口にまたきまつておりまして、その相乗積で報酬が出ておるのであります。従つて一点単価十円なら十円とこれを上げましても、その十円の中には、全般的に申しますと手術料も入つております。薬の原価も入つておるわけであります。そういうわけですから、十円必ずしも技術料でございませんので、その意味で今まで私は申し上げたのでございます。結局個々の診療行為というものを新たに検討いたしまして、しかも国民総医療費の総額においてはかわらないように、内容的には個々の診療行為の配分が相当かわつて行くであろうという意味で、申し上げたつもりであります。
○今野委員 その点がわからないのですが、これ以上お尋ねしても、はつきりしたお答えは得られないと思うので、次に移ります。
 この国民健康保険の料率はすでに天井をついておるということを、先ほども参考人の方から証言があつたわけでありますが、その国民保険料率というものは、国際的に見て、日本の場合は一体高いのか安いのか。それからそれに伴う医療内容は、やはり国際的水準から見て高いと考えられておるか。あるいは低いと考えられておるか。その点をお伺いいたします。
○久下政府委員 たいへんむずかしい御質問で、これまた的確なお答えができないことを遺憾に存じます。先ほど江口参考人からのお話で、一戸当りの国民保険の保険料は平均五百円であるというお話があつたはずでございますが、千五百円というのを公定の為替相場でアメリカのドルに換算をいたしますと、四ドル余になると存じます。ところが一方アメリカにおきまして私が承知しておりますのでは、ブルー・クロスという、これは政府の所管でなく、民間の公益法人的な、非営利的な法人のやつております保険保険制度がございます。これによりますと、一家庭の保険料は大体四ドル半ぐらいをとつておるようでございます。しかしながらこのブルー・クロスによつて保険されますのは、医師に対する診療報酬を除きましたその他の入院料だけでございます。従つてそのほかの医師に対する報酬の保険としては、私の見ましたのは、一家族一ドル半払つておりますので、六ドルが保険料であるというふうに見てよろしいと思います。そういたしますと、四ドルと六ドルの差額だけ、日本の方がやはり生活水準が低いだけ保険料が低い、こういうことが言えるのじやないか。これが私の最近得ました資料に基いてのお答えでございます。
○今野委員 それは四ドルと六ドルというお話でしたけれども、たとえば向うの生活全体と比べて、日本の場合は非常に低いということになるわけです。しかしながら私がお聞きしておるのは、もつとはつきりした数字で、つまり保険料そのものでなく、保険料率が千分の幾つというものが出ているのですから、そういう保険料率はほかの国の場合とどうだ、こういうことです。
○久下政府委員 他の例につきましては、先ほどの御要望もございましたので、あわせて私どもが用います資料を後刻差上げることにいたしたいと思います。アメリカのブルー・クロス制度には率はございません。個人と一家族というようなぐあいにわけまして、全額をきめておるようでございます。その他につきましては、後刻保険局と連結いたしまして、資料を差上げることにいたしたいと思います。
○今野委員 ではその点も後ほど資料をいただくことにいたしまして、必ず実行していただきたいと思います。
 それからその次にもう一点お伺いしたいと思うのは、最近日本においてアメリカの薬の特許や何か使つて、製薬会社が盛んにいろいろな薬をつくつておりますが、そういうアメリカの特許権の形における資本進出というものが、一体どんな状態にあるか。その点を薬務局の方からお伺いしたいと思います。
○慶松政府委員 アメリカの資本が日本に製薬面において入つておるのはまだございません。たた、ただいまのお話がございました特許の関係においては、特に日本において発明されなかつたもの、すなわちストレプトマイシンでございますとか、あるいはDDTでございますとか、あるいはクロロマイセチンでありますとか、そういつたものにつきましては、アメリカの特許ないしはスイスの特許等を使つておるものはございます。たとえて申しますと、終戦直後に第一に特許の契約の結ばれたものがDDTでありまして、これはスイスの会社と日本の会社との間に結ばれまして、今日すでに日本のDDTはもはや外国から輸入する必要がございませんで、外国に輸出要望の引合せ等もある次第でございます。なおストレプトマイシンにつきましては、最近アヌリカの会社の契約ができまして、これまたおそらく本年の末になりますれば、もはや外国から輸入をしなくても、国産で間に合うであろうという見通しがある次第であります。そのように大体においては外国の資本的な投下は日本にございませんで、すべて技術の導入、すなわち技術の契約によりまして、その特許の使用料を外国に支払うというような形におきまして、いわゆる外資の導入ないしは外国会社との提携ということが行われておる次第でございます。
○今野委員 その点も今一般的にお話があつたのでありますが、実は昨日もお話しておいたので、この点をきよう教えていただきたいということを、個人的にはお願いしておいたのですけれども、非常に大ざつぱなお話だつたのですが、この問題も、一体どれくらいそれがなされておつて、その技術の使用権といいますか、そういうものの契約がどれくらい薬の原価に入るものか。つまりどれくらいの負担になつておるか。この点もひとつぜひとも資料で教えていただきたいと思います。
 それから最後に、以上総合したところでお尋ねしたいのでありますが、先ほどからのお話によりますと、大体国民の負担の限度はすでに来でおる。それからお医者さんの技術科というものも国際的に見て非常に低いし、また三十年からこれを実施するというのに、そのために研究しておる医者に対する報酬というものも、非常に飛び上るとは思われない。大体現状をもとにする以上は、昭和二十三年度を基礎にして考えておると見て大体さしつかえないと思う。そういうように非常に低い程度であります。それから薬の方については、これは国際的な水準あるいは材料の高いものなどでは、ややそれより高いという点が明らかになつたわけでありまするが、こういう上でなおこの法案を実行して、そして全体の診療費を上げないためには一体どこまどう直したらいいか。その点は、これを実行する以上、厚生省としても相当確固たる見通しを持つていなければならないはずなんですが、今までいくら聞いてもそれがわからなかつたのです。その点についてなお役所できまつてないならば、さつき便利な言葉がありましたが、何とか個人でもけつこうですから、もう少しはつきりした見通しを教えていただきたい。そうでないと非常に見当がつきにくいわけなんです。
○久下政府委員 繰返し申し上げておりまして、しかもそれがあまり抽象的な申し上げ方でありますために、御了解をいただけないのではないかというふうに懸念をいたすのであります。実は具体的に申し上げられない事情もあるのでございます。と申しまするのは、作業としてはこれからの問題でございまして、かような方針をおきめいただくことによりまして、私どもはその線に沿つてもう少し実態的な調査もいたす予定をいたしております。本年度におきましては、医療費に関する若干の調査の予算もいただいております。それをこの問題に充当いたしまして、具体的な資料を集めたいという計画をすでに立てておるのであります。そういうものが出て参りました上でありませんと、結局具体的な数字が出ないのであります。しかしながら方針といたしましては、何度も申し上げておりますように、この問題は総額がきまつておれば――結局現在の社会保険の受診率がどのくらいであり、また保険料がどれくらいであるということはきまつておるわけでありますし、そういう面から総額が押えられ、個々の内容につきましては、個々の診療行為につきまして現状を基礎として再検討を加えて行けばいい。言いかえますと、総額の中におきまして、各診療行為の配分がきまつて行くというふうになるほかはないという意味で、申し上げておるのであります。これ以上具体的な数字を出して安心させろというお話がありましても、今申し上げたような事情から、ただいまのところとしてはできないことを、御了解いただきたいと思います。
○今野委員 そうするとおとといでしたか、いろいろな質問に対するお答えの中で、私もお答えいただいたことを覚えておるのですが、今のお話ですと、総額はかわらない、かえないということでやるんだというお話だつた。この間はやはり増すかもしれない。どうしても増すとすれば、それは健康保険に対する免税とか、あるいは国庫補助とか、そういうことで考えなければならないというお答えだつたのですが、きようそういう点に少しも触れられてないところを見ると、やはりそういう免税とかあるいは国庫補助というようなことは、全然考慮に入らないということになるわけですが。
○久下政府委員 私がくどく申し上げておりますのは、私どもが新しい医療費の体系を具体化して行きます場合の、基本的な方針として出発いたしますのは、総額において上げないということでやつてみたいということでございます。途中で多少言葉を濁したようなことを申し上げました意味は、実は医師会あたりから出ております資料を、かりにそのままのみ込むということにいたしますると、総額において相当増さざるを得ないような御要望があるのであります。従つて私どもは総額を上げないという方針で作業をして参つて、いよいよ具体的な診療行為について、特定な金額が出て参りました場合に、医師会あたりがそれで納得するかどうか、そういうときに若干の問題があると思いまして、実は言葉を濁したことがあるのであります。方針としてはそういうことでやつてみて、その上で話をする以外にないということを申し上げるのであります。
○今野委員 そうするとくどいようですが、こういうように伺つてよろしいのですか。そういう免税とか国庫補助とかいう問題は、この問題に対する研究がすつかり済むまで考慮しない、こういうことなんですか。
○久下政府委員 その点は一昨日政務次官からお答えを申し上げてあります通り、現状におきましても年々刻々社会保険の受診率は高まりつつございます。そのために先般も――私の直接の所管ではございませんけれども、保険料率の値上げのための法律改正をお願いいたしたようなこともございます。従つてこのことはこの問題を離れましても、当然私どもとしては考えて行かなければならないことである。また税の減免の問題につきましても、医師会、歯科医師会方面からやかましくお話もあることもありますので、それをやることによつて医師の生活が楽になるという面だけでなしに、むしろ医療機関の内容の整備等ができ、そのことはまた医療の内容の向上にもなるわけでありますから、私どもはこの問題を離れても当然いたすつもりでおります。
○福田(昌)委員 補正予算が問題になつておりますが、社会保険の給付金に対しまする国庫補助、行詰まりを打開するための国庫補助というものは、久しい懸案といたしまして、医師会も健康保険団体も叫んでおる点でございますが、どうしてもやらなければならない段階に来ておる国庫補助に対しまして、補正予算について厚生当局としてはどういうふうな働きかけをしておりますか。
○久下政府委員 社会保険の給付金に対する国庫負担の問題につきましての御質問と拝聴いたしましたが、このことは、私の立場上お答えいたすのは適当でございませんし、また薬務局長としても同様と存じますが、もようどここに一昨日政務次官が、この席からお答えを申し上げましたのを書き取つたのがございますので、同じことを政務次官にかわりまして申し上げておきたいと思います。現在社会保険におきましては、保険経済は苦しく、赤字を出している向きもあるわけでありますが、この点につきましては、別箇の問題として、これが解決に苦慮いたしておる次第であります。たとえば給付費の一部国庫負担の問題も、真剣に考えなければならないと存じますし、今後もできる限り努力いたしたいと存じますと、かようにお答えを申し上げておりますので、御了承を願いたいと思います。
○福田(昌)委員 私どもといたしましては、きわめて不満足な御答弁でございましたが、どうか厚生当局におかれましては、保険給付金というものは焦眉の急を告げておる重大な問題だというお考えのもとに、保険給付金に対する国庫補助に対しまして、一層積極的な御努力を早急にお願いしたいと存する次第であります。
 それから、これは質問じやございませんで、私の要望でございますが、先般参議院におきましていわゆる医薬分業法案が審議されておりましたときに、ラジオの家庭婦人の時間に、薬務局のある課長さんのお話を聞いたという婦人のお話でありますが、医薬分業はいわゆる政府の原案が最も適正であつて、医薬分業は非常にいいのだということを強調されたというようなことを私聞かされたのであります。かつて三月の末日に、参衆両院で看護婦法の修正案が通りましたとき、厚生当局はこの修正案の説明にあたりまして、御熱心の余り非常に行き過ぎた説明をなさつた。また看護婦さん、産婆さんの団体などにおいて話されたことも聞き及んでおるのであります。こういうような厚生省のたびたびにわたりまするところの法律案に対しまする意見、要望を述べました形なり、あるいはまた法案の説明にあたりまして、御熱心の余り行き過ぎた御意見がありましたが、これの施行にあたつては、そういうことを巌に戒めていただくようお願い申し上げる次第でございます。そうしてこの盛られました内容を、行政当局といたしましては、十分に民主的に運営することに、重点を置いていただきたいということをお願い申し上げておきます。
○松永委員長 この際ちよつとお諮りいたしますが、先刻高橋参考人から、本案について違憲立法のおそれがあるのではないかとの意見の陳述がありましたことから、有田、高橋の各委員からもこの点についての質疑があり、本委員会としましても、審議上の重大な問題としてその善処方を要望せられたのであります。もとより内閣が国会に議案を提出する以上、内閣自身が違憲立法にあらずとの確信のもとに提出されましたことが予想されるのでありまして、参考人がたまたま政府部内の一員であるとしても、それによつて政府内部に意見の対立があると断ずることはもちろん早計でありますが、たまたま参考人が法務府の検事の職にありますことから、今後この点について疑点が残ることがありましては、本委員会としましてもはなはだ遺憾でありますから、この際内閣側の見解を承りますために、法務総裁か法制意見長官のいずれかの出席を求めまして、この点についての政府の見解を明らかにした上で審議を進めたいと存じますが、これに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○松永委員長 御異議なしと認めます。よつて委員長からその出席を求めることにいたします。出席されるまで質疑はそのまま継続をお願いしたいと思いますが、本案について他に質疑はありませんか。――なければ私から一点だけ伺います。
 先般来委員の方々から聞き漏らされた点を、政府当局なり提案者にただしておきたいと思います。一昨日の福田委員の質問に対しまして、東医務局長でありましたか、その御答弁に、診断を下しがたい患者に対する試験投薬には処方箋を必要としない、こういうような言葉があつたように聞いておつたのですが、今日その点をどなたもおただしがございませんので、私からただしておきたいと思います。これは善意に解釈をいたしまして、その病名がいかなる名義によつても判別しがたき患者に対して朝、晝、晩と処方箋を書いて投薬し――私は医学上の専門語は知りませんけれども、教育字ではこれを試行錯誤法といいますが、そういうような試験的な投薬を与えて行く場合に、善意によつて医師がこれを行うのに、処方箋を作為的に発行しなかつたということで処罰を受けては、善良なる医師は迷惑でございますし、また作為的に試験投薬をやつてみなければわからない、また打診時代であつて、はつきりした診断ができる時代でないということを、作為的に悪質なる医師がするということになりますと、結果は全快してしまつてからか死亡してしまつてからか、いずれかでなければ決定的な診断が下されないというこ弄になりまして、善意でやつて処罰されても困るし、作為の脱法をやられても困るので、この点ひとつ当局の見解を明かにしておいていただきたい、かように考えます。
○久下政府委員 一昨日医務局長がお答えを申し上げたことにつきまして、ただいま委員長から御指摘があつたのであります。実は私自身も、あの答弁をそばで聞いておりまして少々気になつたので、後刻医務局長の意見をただしてみましたところ、医務局長も言葉の足りない点があつたということでございますので、私からこの際明白にいたしておきいたと存じます。同時にこのことは、そういう意味におきまして東医務局長の考え方でもあるというふうに、御了解をいただきたいと思うのであります。福田委員からた試験的な投薬については、処方箋の交付をしなくもてよろしいのではないかというようなお尋ねがありましたときに、医務局長は、それを簡単に肯定いたしたようなお答えを申し上げたのでありますが、それは言葉の使い方あるいはその言葉の理解の仕方に、間違いがありましたようでございます。試験的な投薬を一口に申しましても、要するに参議院の修正案にございますように、処方箋と交付することが患者の治療上特に支障がある場合ということであります。試験的な投薬でありましても、処方箋を交付して原則的に薬剤師から調剤を受けさせるということの可能な場合も、相当あり得ると思うのでございます。そういうような場合には、もちろんこの例外に該当いたさないのでありまして、本則によりまして処方箋の交付が行われるものと考える次第であります。ただいま委員長が御引例のような、非常に緊急な、目の前で薬を飲まして、そうして患者のそれに対する反応を見る必要があるという、いわゆる緊急治療と試験投薬が重なるような場合におきましては、私どももただいまの考えとしては処方箋を交付しなくてもよろしい、そういうように解釈をいたしておるのでありまして、要するに試験的投薬なる言葉でもつて、簡単に是非をきめる筋合いのものではない。根本的な精神に返りまして、処方箋交付の原則というものがどこから出て来ておるかというような基本的な考え方から行きまして、私どもは繰返し申し上げておりまするように、全体的に言いますると、これはきわめて限局した解釈と運用をすべきものであるというふうに、考えておる次第でございます。
○松永委員長 そういたしますと、緊急投薬を行つて、そうしてその自覚症状を見て、すぐにまた次の対症療法を講じなければならないという場合には、処方箋を発行しなくてもいい。ただ漠然たる意味の試験投薬は当然義務づけられるが、それは医師の良識にまつというわけですね。
○久下政府委員 大体ただいまの委員長のお話の通りであります。
○松永委員長 よく了承いたしました。
 他に本案についての御質疑はありませんか。――なければ先ほどの法務総裁もしくは法制意見長官に対する疑点をただす点だけを保留いたしまして、本案についての質疑を終了するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○松永委員長 御異議なしと認め、本案の質疑は終局いたしました。
 暫時休憩いたします。
    午後五時四十二分休憩
     ――――◇―――――
    午後五時五十一分開議
○松永委員長 休憩前に引続き会議を再開いたします。
 ただいま法制意見長官がお見えになりましたので、委員長からちよつとお尋ねいたしたいと思います。本日この委員会におきまして、医師法、歯科医師法及び薬事法の一部を改正する法律案について、参考人の意見を聞きましたところ、そのうちたまたま法務府の検事の職にあります高橋勝好君――もちろんこれは個人として意見を聞いたのですが、高橋君から、本案はいわゆる医師の既得権の侵害と公共福祉との関連において、違憲立法の疑いがあるこの意見の開陳がありましたため、委員会としましてもこれを全然黙視することができず、一応内閣側の本案に関する意見を承ることになつたのであります。もちろん内閣としては国会に議案を提出する以上、違憲でないとの信念のもとに出されたと思いますが、この点、すなわち本案の内容がはたして医師の既得権を侵害するものであるかどうか。そしてそのことがいわゆる公共の福祉に反するものではないかどうか等の点について、特に意見長官の御見解を承りたいと存じます。
○佐藤(達)政府委員 私から政府としての意見を申し述べたいと存じます。
 この医薬の分業に関しましては、ただいま委員長のお話もありましたように、医者の既得権という問題が一応からまつて来るのでありますが、掘り下げて考えますと、第一この既得権の問題が前提になるのは、ある種の職業を営むについて、それに資格を制限するということ自体が、すべての場合について既得権の問題を伴つておるわけであります。たとえば、元は弁護士、医師、歯科医師、薬剤師等でありましたけれども、最近の立法を見ますと、建築士あるいは税務代理士、その他クリーニング師あるいはまた通訳案内業というような、あらゆる部面の業種について制限がかかつて来ておる、そういう立法が多々見受けられるのであります。これらのものはその立法がなされます以上は、従前その業務を営んでおりました人々に対しましては、当然既得権の問題を生ずるわけであります。これら全部を通じてのこれは問題であります。今回のこの議題になつております本法案のみの問題ではないわけであります。そこでこの問題の要点、憲法問題と申します以上は、おそらく憲法の第二十二條の職業選択の自申との関連であろうと思うのであります。職業選択の自由につきましては、申し上げるまでもなく、ここに公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を持つておるということが書いてございますから、公共の福祉に反するか反しないかという問題が、ここに出て来るというのも当然のことでございます。この薬剤の関係、調剤の関係におきましては、イロハを申し上げるまでもございませんけれども、一定の資格を持つておるものについて厚生大臣が免許を与える、そういう一応薬剤師というレツテルのついた人でなければならぬというのが、現在の薬事法の大原則になつております。そのこと自身が一つの大きな制限でございますが、これはもとより調剤ということが、場合によつては生命にも関係するような重要な、国民の公共の福祉上の問題であるという意味から、そういう制限がついておるということは、これは何人も納得し得るところであろうと思います。ただその趣旨を徹底いたしますならば、すべて調剤に従事する者は今申し述べましたように、薬事法の原則としておりますところの、厚生大臣の薬剤師としての免許を受けた人でなければならぬということになるわけであります。そうなつてこの原則が貫かれましても、これは今申しましたような調剤というものの公共性から申しまして、公共の福祉上の要請から申しまして、やむを得ないことと申し得るかもしれません。しかしその原則を貫きますと、薬局の分布状態その他からいつて、国民の中にはお困りの方が出て来るであろうというわけで、現在の制度におきましては一応それに対する除外例ができておつて、医師の方、歯科医師の方も調剤をやつてよろしい。これは大原則に対する現状から来る例外で――この現状と申しましても、これは大正年間の前の薬剤師法から来ている現状でありますが、その現状を前提としてかようになつでおるのであります。今日その現状というものがどうなつておるかということは、これは実情の認識の問題でありますが、大正年間から比べましたならば、薬局の分布状態その他もよほど違つておりましよう。従つてこの原則へ、元の薬剤師法、今の薬事法の大原則としておるところへ、あるいはもどつてもよくはないか。ただそれにもどるについては、まだ多少気がかりな点がありはしないかという、そこに立法政策の問題が出て来るわけであります。従いまして、私は参議院の修正案なるものはよく存じませんが、政府案におきましては一定の條件を留保いたしまして、一挙にさつき申し述べましたような本則の方べもどすことなしに、そこに診療上の必要あるいは薬局の普及状況というようなものを一つの條件として、国民の便不便の面も立法政策上考えるというような考慮が加味せられておりますから、憲法上こうも違反のきらいがないのみならず、立法政策の上からいつても一応穏当であろうという頭で、私ども立案に参画いたしました次第でございます。
○有田(二)委員 長官の御意見ではつきりしたのでありますが、本日委員長が参考人としてお呼びになつた法務府の検務局検事としての高橋さんは、おしやべりになるときは個人としてという御意見でありましたが、お呼びになつた委員長としてはやはり法務府検務局の高橋検事の資格においてお呼びになつたので、ただ意見を述べられる場合に、私個人としての意見であるけれどもという前提のもとにお話になりましたけれども、これは少くとも軽率である。しかも参議院においてすでに法務府の意見長官としての意見が出ておる。その検討もなくしておしやべりになつたということは、はなはだ遺憾だと思うのでありますが、長官の御所見を承りたい。
○佐藤(達)政府委員 ただいま伺つておりますと、高橋君は参考人としてこの席へお呼び出しになられまして、その意見を答えられたそうであります。私も実はその参考人という経験がちよいちよいございますが、参考人として両院の委員会から呼ばれますと、私個人の気持としては実は気が楽だ。委員長などがお呼びになるときは法制意見長官佐藤君というようなことで官職をお呼びになりますが、これはもとより参考人としての意見を徴されたのでありますから、政府としての意見を申し上げるのではありません。いつもお断りしておりますけれども、大体両院のお扱いは、肩書きがありますと、ついその肩書きをお呼びになるのは無理もないかと思います。しかしあくまでも参考人は参考人でありますから、これは参考人としての個人的の責任のもとに意見を述べておられるということは、万々どこからつつついても間違いないというふうに考えます。
○有田(二)委員 しからば高橋検事の意見は、法務府の意見ではなくして高橋氏個人としての意見、かように解釈してよろしゆうございますか。
○佐藤(達)政府委員 私はただいま申し述べましたように、参考人としての高橋君が述べられた参考人としての意見であると存じます。私が申し上げますのは、法務府のみならず、政府の意見とお聞き取り願います。
○松永委員長 ただいまの有田委員の御発言ごもつともでございまして、高橋氏をお呼びした理由は、理事の中からかわつた意見を持つておるから聞こうということで、参考人として招致されたのでありますが、法務府検事としては絶対出席しない。個人としてなら出るという但書きつきで出て来られたのでありますが、たまたま同氏が法務府庁内の検事の職にあられたところから、特にこの問題を重視したのでありますが、この点につきましては、ただいまの法制意見長官の御答弁によりまして、大体政府の意見がはつきりといたしたと思います。
 他に御質問がありますればこの際……。
○今野委員 ちよつとお伺いしたいのですけれども、先ほどの原則的なお話によりまして、医師が調剤することは、原則的には公共の福祉に反するということになりそうでありまするが、はたしてそうなんでございますか。原則的な問題ですが……。
○佐藤(達)政府委員 原則的な問題として申し上げます以上は、一般の公共の福祉に重大なる関係のある職業について、ある種の制限を加え、この資格に当るものだけがその職業に従事することができるというのが、公共の福祉上の要請による制限でございます。そういう制限が正当に成り立ちますれは、実力はかりにその一定の、たとえばある免許とかあるいは資格の認定というような形式的の手続をふんだ者に、実力はごうも遜色のないという人も、そういう資格ができますれば、これは事実上そういう職務を行うことができなくなるわけであります。これは先ほど最初に申し上げましたような、職業についての資格の制限という法制ができました以上は、それに伴うやむを得ない結果であるというふうに申し上げざるを得ないのであります。
○今野委員 一般の場合には、ほかの理容師とかその他いろいろな場合には、大体了解できるのですけれども、医師の場合には学校でもつて正規のそういう調剤に関する教育も受け、そうして形式的にもある程度調剤という――製薬についてはこれはやつておりませんけれども、調剤ということについては正式の学校としての認定も受けておる、こういうようなわけでありますが、ただ、今お話を聞いておりますると、ただいま薬事法という法律がある。その法律という建前から、そういうものがあるということから、今度は一般のそれの例外的な部分をなすものは、つまり医師が調剤をすることは順則として公共の福祉に反する、こういうように聞えるのですが、たいへんむずかしいので、はたしてそういうように考えていいものでしようか。
○佐藤(達)政府委員 そのお医者さんがそういうことをなさるのが公共の福祉に反するというのではなくして、一定の資格を法律できめました以上は、こういう資格の人をその職業に従事させることが、公共の福祉上必要だということがあくまでも主眼でありまして、その派生の逆の問題として、それではお医者さんが調剤することが公共の福祉に反するかどうかということは、これは一般論の問題になるわけであります。たえとば私自身の例を申し上げましてたいへん恐縮でありますが、私は法律関係の学校を出まして、そうして法律の仕事ばかり二十年やつております。やつておりますが弁護士の資格がございません。従いましてはなはだ残念でありますけれども、法廷に立つて弁護士の業を営むことはできないわけであります。しかし私は弁護法というものがそういう要請のもとにできているものだからやむを得ないと、こういうようにあきらめております。
○今野委員 弁護士の場合は今までもそういうような建前であつたからよくわかるのです。そこにそういうような問題と、それからもう一つさつき申した既得権という問題と二つがからんで来て、そういう場合にやはり法律があるからというように言われると、私どもとしてはそうするとその法律がかりに間違つている、法律の原則が正しくないとすれば、そうすればこれは憲法の方が優先するのだから、だから結局憲法に基いてそういうように法律を改めるのが当然である、こういうように思うわけなので、そういう点からいつてそういう法律があつてこういう資格を与えておる以上、こうだというだけではちよつと了解しにくいのでありますが、その点をもう一ぺん納得の行くように聞かせていただきたいと思う。
○佐藤(達)政府委員 私は憲法論としてはただいま申し述べた通りで、これは万々間違しないと確信いたしております。憲法論に次ぐのは、これは先ほどちよつと申し上げました立法政策の問題、既得権の擁護という観点をとつておられますならば、先ほど例にあげました通訳案内業というものは、無免許でやつてはいけないという法律ができると、今まで現実に通訳案内業をやつておつて、しかも実力は十分おありになるというお方が、即時にその仕事がやれなくなるということは、はなはだ行き過ぎではないかという関係で、この法律におきましては三箇月の猶予期間を置いて、その間にまあ善処せしめるという期間を置いております。建設業においても、あるいは無登録の者は建設業を営むことは禁止される。それについてこれは少し短かいのでありますが、二月の猶予を置いておる。あるいは測量法で測量士の資格ができた。これは一年間の猶予を認めて、前の既得権をその間だけ保護しようという建前になつておる。今度の法案はよほど猶予期間が長いようでありますが、そういう点でこれは立法政策の問題として調整されるのである。立法政策の問題は、実は私がここで批判すべき問題ではないと思いますが、はなはだ適当ではないかというような感じを持つておる次第であります。
○今野委員 もうこれ以上お伺いをしても、私が問題にしておるところはまだわからないのですけれども、もしお答えくださるならばお答えください。そうでなかつたならばお答えくださらなくもけつこうであります。私の言つておるのは立法政策の問題ではなくして、憲法の問題として疑義がないとおつしやいましたが、もし薬事法などできめておるところと、実際とは食い違うというところがあるのなら、やはり憲法の問題に返つて、その精神に沿うようにすればいいだけではないかということなのです。つまり実力がいろいろな意味で認められている、医師が調剤することも実際問題としては公共の福祉に反しないのだけれども、法律にきめられてあるためにそれにはずれるということから、公共の福紙に反するというのなら、それは元に返つて公共の福祉に反しない限りで、その基本的人権を拡大する、そういう建前から法律をつくり直したらいいわけではないか、こういう点を伺つているわけであります。
○佐藤(達)政府委員 その点は裏と表と両面からお話が食い違つているわけでありますが、私は先ほどからいろいろ例をあげて申しました通り、一応こういう立法で行かれるということであれば、これは憲法の公共の福祉についての要請を満たしておるというふうに思うわけであります。
○松永委員長 意見長官に対する御質疑がありませんければ、本案に対する質疑はこれをもつて終了いたしました。
 なお本法案の公布後の取扱い等については、政府当局において特に愼重を期され、この法の精神を生かすために、今後においても必ず国会の意見を十分に聴取され、運用の妙味を発揮して所期の目的を達せられんことを強く要望いたします。
 次に本案の討論に入ります。通告順によりまして、青柳一郎君。
○青柳委員 私は自由党を代表いたしまして、参議院修正案を含む本案に対しまして、賛成の以を表さんとするものであります。
 いわゆる医薬分業を考えるにあたりましては、もちろん医師、歯科医師側並びに薬剤師側の立場から、慎重に考えなければならないのでありますけれども、それよりも医療を受ける国民の立場からもつと十分に考えなければならないと、われわれは存ずるのでございます。そういう点から申しまして、医薬分業が叫ばれること数十年になるのであります。国民はその医薬分業の目ざす医療の向上の方向につきましては、少しくはわかるのでありますが、心配もいろいろあるのであります。
 まず第一に心配な点は何かといいますと、生活をやつて行くのに医療の問題ほど密接な重要なものはございません。さすれば、医薬分業が行われることによつて、われわれの医療費が値上りを来しはしないかという点でございます。この点につきましては、ある参考人は上ると言い、ある参考人は上らない言う。しかしながらわれわれはこの委員会におきまして、厚生大臣からまた政務次官からさらにはまた医務当局から、この医療の値上りにつきましては、絶対にそういうことをさせないように努力するという言明を得たのであります。しかし本案が施行せられるのは昭和三十年でありまして、今から三年も先のことであります。その間におきましては、政府御当局におきまして言明のございましたように、医師、歯科医師の租税の減免、さらにはもつと本質的に、社会保障制度確立のための社会保険の医療給付に対する国庫補助につきましても、十分なる努力をするという言明があつたのであります。われわれはこの政府の言明を依頼いたしまして、政府の努力に期待いたしまして、医療費の値上りはないもの、もしあるとしても、今より後におきましての課税の減免、あるいは社会保険の医療給付に対する国庫の助成の実現を期待いたしまして、この心配はないものと存ずるのであります。
 さらに国民の心配の第二は、医薬が分離いたしますれば、お医者にかかつて、それから薬局へ行つて薬をもらつて、からだをなおす。そのために各種の不便が起きはしないかという点でございます。この法案によりますれば、薬局の普及が十分でないとされる地域で診療を行う場合には、例外を認められまするし、さらに参議院の修正におきましては、特に医師または歯科医師から薬剤の交付を受けることを希望する旨を申し出た場合には、医師、歯科医師において薬剤を交付することができるということに相なつておりまするので」国民の心配である不便になりはしないかということは、これをもつて払拭せられるものと私は思うのでございます。
 医薬がそれぞれかかれまして、それぞれの専門的分野において学識をみがき、さらに技術の向上を目ざし、お互いに手を取り合つて国民の医療向上のために盡くされることは、私どもの期待して待つておるところでございます。ただ本日の委員会におきまして、法務府の一検事の投じました波乱があつたのでございまするが、これまたただいまの意見長官の意見によりまして、違憲の心配は払拭いたしたものと存じます。
 ここに初めて医と薬とが徹底的に分離するという原則が打立てられ、七十年にわたるこのむずかしい論争に終止符を打つということにつきましては、これまでに医師会、歯科医師会、薬剤師会のいろいろな御労苦、またさらには参議院の厚生委員会におけるお骨折り、また政府御当局の御苦心の点に敬意を表すると同時に、医師会、歯科医師会、薬剤師会並びに政府というような、この執行実施に当る機関、これらには非常に大きい責任が附加せられたのであります。執行並びに実施につきましては十分円滑にして、この法の目ざす実現の方向に十分なる御努力をされんことをお願いいたしまして、私の賛成討論を終る次第でございます。
○松永委員長 次は福田昌子君。
○福田(昌)委員 多年にわたりますいわゆる医薬分業法案に対しまして、今日一つの結論を得ましたことは、まことに同慶にたえないところでございます。私は日本社会党を代表いたしまして、参議院回付になりますところの本修正案に全面的賛意を表するものであります。どうかこの法案の施行にあだりましては、厚生省当局におかれましては、その運営の妙を生かされまして、十分本法案が民主的に運営せられるよう御努力あらんことをお願い申し上げたいのであります。また医師会、歯科医師会、薬剤師会におきましても、本法案につきましては、十分なる御了解を得たわけでありまするが、なお実施にあたりましては、三者が協調いたしまして仲よく手を握りまして、国民の疾病の治癒と国民健康保全のために、一層の努力を本法によりまして払いますよう、お互いに努力を傾注いたしますことをお願い申し上げたいのであります。
 さらにまた私どもは本法案の第一條、ことに医師法の二十二條の條項にありますところの省令の定めるところの処方箋を発行しなくともよい。この規定に対しましては、次のような場合、すなわち第一に、特に処方箋の内容を知ることから来るところの支障、たとえば医師の十分なる指導にもかかわらず、なまはんかな内容批判によりまして、恐怖、不安、誤つた断定等をなし、治療上の支障を来すおそれがあるような場合、また暗示療法を要するような場合、第二番目には診断が未確定の場合、第三には症状の激変はなはだしい場合、第四には重篤なる症状の場合、第五には救急の場合、第六には試験的投薬の場合、第七には疾病の早急発見を要する場合、第八には市販いたしておりません薬品の調剤等の場合におきまして、この省令の定むるところの條項といたしまして、こういう点に対して十分なる御勘案を賜わりたいとお願い申し上げる次第であります。
 さらにまた今日国民医療費の負担というものが、国民生活の大きな問題になつておりまするが、政府におかれましては、すみやかに新医療費体係を早急に実現いたされまして、国民の個々の医療費の負担が今日より多きにわたることのないように、さらにまた医師、薬剤師、歯科医師等の人々に対しましては、専門家としての適正なる技術上の評価によりますところの診療費の決定、また社会保険の点数料金の決定におきまして、早急なる改正をなされますよう要望いたしたいのであります。ことに今日社会保険の給付金におきましては、非常なる危機が叫ばれておるのですが、この赤字を補填いたしますには、今日の段階におきましては、何といたしましても国庫による補助金以外にはその解決の策を見出し得ない状態にあるのでございます。こういう事態に直面いたしまして、何とぞ政府におかれましては、この社会保険の赤字補助のためには、少くとも給付金の二割の国庫補助を早急に断行いたされまするよう、この点も要望いたしたいのであります。
 次に医療の社会化につきましては、何と申しましても医薬品の製造にあたりまして、企業の合理化あるいはさらに進んで社会化の線をとられることが、ぜひ必要であると考うる次第であります。どうかこれらの点に対しまして、政府当局は早急に実現されまするよう御努力あられんことを要望いたしまして、私は本法案に賛成する次第であります。
○松永委員長 今野武雄君。
○今野委員 共産党といたしましては、政府が提出いたしました改正案に対しては、強い反対の意見を持つておつたのでございまするが、今回参議院で修正されまして、それが原案として出て参りました。その内容を見ますると、私どもが心配しておつた点が大分やわらいで参りまして、ほとんど問題にするまでもないということになりましたので、反対するまでもないという意味で、まあ賛成するわけでございます。
 以下その理由について申し上げます。大体国民医療の問題が、今日の状態で吉田内閣などのもとでもつて当然改正されないということは、私どもが常々主張しておるところであり、また世界の趨勢から見ても、あるいは日本の社会経済の状態から見ても、どうしてもこの医療の社会化ということが医者の面ばつかりでなく、薬の面においても全面的に行われなければ、一般勤労大衆や何かの健康を保持することはとうていできないと、われわれは思つておる次第でございます。しかしながら現在厚生省で立案されました医薬分業法は、そういうような面から見るとかえつて事態を逆行させるものである。そういうふうに私どもは考えておつたわけでございます。大体この医薬分業の問題がどこから出されて来ておるか。国内での医療態勢その他がいろいろ熟して来て、そういう問題が出て来たのかと申しますと、決してそうではないことは、私どもの質問に対する厚生省のお答えが非常にあやふやである。医療費の問題にしても、それからして医者の技術料その他の問題にしても、非常にあやふやであるという点から見ても、私は明らかであろうと思うのであります。これはそうではなくて、厚生省当局も言つているように、アメリカの薬剤師の人たちが日本へやつて来て、そうしてその勧告に基いてやるというようなことになり、しかも医師会やなんかでもつてそれに反対したのに対して、サムス准将の公開状によつて医師会の幹部が総辞職せざるを得ないような、そういう事態まで起しておる。このことは決してこれが日本でもつてこういう改正をする事情があるから、したのではないということを暗示しておるわけでございます。私どもの考えるところによれば、これは二つのねらいがあるのではないかと思つておつたのでございます。
 第一は現在のような日本の複雑な状態のもとにあつては、製薬資本が伸びることがなかなかできない。ところが最近においてアメリカの製薬資本の進出ということが、これは現なまでの進出はありませんけれども、事実上ではそろそろ出て来ておる。それでこの法案が実施されるころになれば、そういうものが全面的に出て来るのではないか。そうして薬剤師の方々は厚生省の出された案に非常に賛成しておられるけれども、しかしながら私どもがおそれるのは、そういう独占的な製薬資本の進出によつて、ちようどコカコーラが世界を風廃しているような、ああいう調子がやはり日本にも現われて来て、そうして薬などは、いろいろなものを合せて丸薬にしたような規格品がずつと出て来て、それが風擁してしまつて、そういうものでもつてすべてやられることになる。昔星製薬でもつてチエーン・ストアをつくつて、そのチエーン・ストアの子弟までも教育するように学校をつくつたなどということがありました。あれも星さんがアメリカを見習つてやつたそうでございますが、そういうような式でもつて、すべての薬剤師の方も、単に大資本のチエーン・ストアとしてのみやつて行ける。そういうようなことになつて、国民の医療というまりは資本の利益の方がぐつと強く出る。それも外国の資本の利益が先頭に出て来る。こういうことを非常におそれるし、現在の単独講和のありさまを見れば、そういうものが決して杞憂でないことが明らかでありますから、そういう点からしても私どもは厚生省の案に反対しておつたわけでございます。
 それから第二の点といたしましては、最近お医者さんたちが成り立たなくなつて、そうして国民が非常に貧乏になつて普通の医療は受けられない、不十分だということは承知しておつても、あの健康保険でもつてやるよりしようがないという状態になつて、健康保険でもつて医療をやる人たちがふえて来た。そういうことのために、またお医者さんたちの中でつぶれる者もどんどん出て来る。こういうような状態のもとでさらにこれがなされるならば、さらにその状態が悪化して、開業医の人がやめなければならないような状態がどんどん出て来る。これが現状においては少くとも国民の健康に大いに害があることになるし、そればかりでなく学校で医学を修める人、これは御承知のように普通の大学とは違つて二年長い。そういう長い年月を費した上インターンをやつてお医者さんになる。そうして開業医になつても見込みがないということになれば、その人たちの行き先はどうであるか。保健所その他が完備されてすぐにも医学の社会化の方に向うならば、そういう人たちも大いに活躍する余地があるけれども、そういう方向には向わない。そうすると一体その人たちはどこへ行くか。そのことを暗示するのは、最近において国際連合軍の傷病兵たちのために、日本の医者が大分動員されておること、そうしてこれも日本の単独講和とからんで行われる、日本のいわゆる再軍備というような問題ともからみあわせてみると、そういうような軍医なんかをどんどん調達するというような方面にも、これが相当お手伝いをすることになる。こういうような点も、私どもはあくまで戦争に反対し、戦争態勢をつくつて行くことに対して反対するという意味から、私どもは反対であるわけであります。
 この二点から反対しておつたのでありますが、今度の参議院の修正案によりますと、新聞でも批評しておるように、この法案は事実上いろいろ厚生省案の趣旨が生かされるようだという話がありましたけれども、私どもの見るところでは、これは世間の見るところも同じであると思いますが、事実上これは大した問題じやない、骨抜きである、こういうことが考えられる。従つてそういうような問題に対して、そうむきになつて反対するにも及ばないという点であります。またこの論争がきつかけになつて、先ほどの処方箋の問題もありまするが、医師の責任とかいろいろな点が若干でも改められるところがあり、またこれを機会に医師の技術料の問題についても、幾らかでも公正な結果が出て来るかもしれないという非常にわずかな期待でありまして、ほとんど問題となるまいと思いますけれども、そういうことがありますものですから、しいて反対しないで賛成して行こう、そういう意味で賛成いたします。
○松永委員長 次は松谷天光光君。
○松谷委員 私は参議院が御提出になりました修正案を含む原案に対しまして、以下簡単に述べます希望條件を付しまして賛成を申し上げたいと思います。
 少くとも七十年来何か医者と薬剤師の権利の争奪戦が行われておるやに喧伝されておりましたこの医薬分業の問題が、少くともこの問題に一応の休止符が打たれまして、今日この席上においても各界の代表者が述べられたように、分業ではなくして共同にその権利を持ち寄つて、よりよい日本の医療向上のためにはかるのであるというこの事実を得ましたことは、私ども国民として非常に喜ばしいことであると思うのでございます。ことにまた先ほど来委員会の質疑応答の中に述べられておりましたように、本原案また参議院から御提出になられました修正案が、これはただいま討論された今野委員とどうも見解を異にしてはなはだ残念でございますが、むしろ原案のおのおのの専門分野の確立という点に、私どもがこのとうとい生命をその専門的専門的の技術、知能にまかせて、そうして明日の私どもの健康の保持をするという、この一つの行き方というものに対しての根本的な趣旨をかえることなしに、修正案が運営されて行くような結果を必ず生み出すという当局の御熱意を示され、また各委員からの希望も付されまして、今日ここまで参りましたということに対しては、ひとえに喜ぶものでございます。ことに今までの当局がその熱意を示され、あるいはまた参議院の御修正の御趣旨もそこに披瀝され、そしてまた各委員もそれについての十分の意見を発言して参りましたこの上は、私どもはこの運用にあたりまして、このせつかくの原案の趣旨あるいはまた修正をなされたその趣旨というものが、どこまでも曲げられることなしに、私どもただいま聴取いたしました憲法違反ではないという意見長官の責任ある意見の上に、一つの大原則に向つての私どもの方の改正であるという確信を、十分に運営の上において生かして行くことを、当局に強く要望を添えたいと思うのでございます。ことにまた先ほど来繰返しておりましたが、参議院厚生委員会、衆議院厚生委員会は、医師会または歯科医師会あるいは薬剤師協会とともに力を合せまして、今日一歩を踏み出しました日本りの医療の向上のために、その運営の上におきましても十分の責任と注目とをもつて、今後の運営を見守つて参りたいものであるということを希望いたしまして、本法案に賛成の意を表します。
○丸山委員 私個人の一身上の問題で再議を一、二分間遅らせていただきますことをおわび申し上げます。この医薬分業に関しましてのいろいろの御討論を承つておりまして、この問題に関しまする政治的の解決の仕方と、私が四十二年来経験いたしました信念との間に、なお割切れないものを持つております。この解決にはあまりに審議の期間が短かいために、私の態度を表明したくないという意向を持つておりますので退席いたします。貴重な審議権を放棄いたしますことは相済まないと存じております。
○松永委員長 以上で討論は終局いたしました。
 これより内閣提出の上参議院より送付されました医師法、歯科医師法及び薬事法の一部を改正する法律案を表決に付します。本案を原案の通り可決するに賛成の諸君の御起立を願います。
    〔総員起立)
○松永委員長 起立総員。よつて本案は原案の通り可決いたされました。
 なお議長に提出する報告書の作成に関しましては、先例により委員長に御一任願いたいと存じますから、右御了承を願います。
 なおこの際重ねて申し上げますが、一昨日御了解を得ました閉会中審査の件、その審査事件はただいまのところハイアライ競技法案、医薬制度に関する件、公衆衛生、社会保障、婦人児童保護、遺家施等の援護に関する件等でございますが、右につきまして委員派遣、小委員会設置等に関しましては、委員長に一任されているのでございますが、さよう心得ておりますから、どうか御了承願いたいと存じます。
 本日はこれをもつて散会いたします。
    午後六時三十六分散会