第010回国会 水産委員会 第35号
昭和二十六年五月二十四日(木曜日)
    午前十時三十九分開議
 出席委員
   委員長 冨永格五郎君
   理事 鈴木 善幸君 理事 二階堂 進君
   理事 松田 鐵藏君 理事 林  好次君
      石原 圓吉君    小高 熹郎君
      川端 佳夫君    川村善八郎君
      田口長治郎君    田渕 光一君
      永田  節君    平井 義一君
      小松 勇次君    水野彦治郎君
      佐竹 新市君
 出席国務大臣
        大 蔵 大 臣 池田 勇人君
        農 林 大 臣 廣川 弘禪君
 出席政府委員
        大蔵事務官
        (銀行局長)  河野 通一君
        水産庁長官   藤田  巖君
        農林事務官
        (水産庁次長) 山本  豐君
 委員外の出席者
        農 林 技 官
        (水産庁生産部
        漁港課長)   林  眞治君
        專  門  員 徳久 三種君
五月二十三日
 委員渡邊良夫君辞任につき、その補欠として久
 野忠治君が議長の指名で委員に選任された。
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五月二十二日
 米軍用船による漁具被害に対する損害補償に関
 する請願(小高熹郎君紹介)(第二一四六号)
 奧戸漁港に船だまり工事施行の請願(山崎岩男
 君紹介)(第二一四七号)
 佐井漁港災害復旧費国庫補助に関する請願(山
 崎岩男君紹介)(第二一四八号)
 崎浜部落に漁港築設の請願(鈴木善幸君紹介)
 (第一二一五〇号)
 第五種共同漁業権証券の資金化に関する請願(
 鈴木善幸君紹介)(第二二五一号)
同月二十三日
 石巻漁港を第三種に指定の請願(角田幸吉君紹
 介)(第二二八四号)
 渡波港を漁港に指定の請願(角田幸吉君紹介)
 (第二二八五号)
 塩釜漁港を第三種に指定の請願(角田幸吉君紹
 介)(第二二八六号)
 女川漁港を第三種に指定の請願(角田幸吉君紹
 介)(第二二八七号)
 気仙沼漁港を第三種に指定の請願(角田幸吉君
 紹介)(第二二八八号)
 漁港法施行に伴う漁港指定促進に関する請願(
 鈴木善幸君紹介)(第二三二八号)
 いか釣漁業者に労働基準法の適用除外に関する
 請願(冨永格五郎君紹介)(第二三九三号)
の審査を本委員会に付託された。
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本日の会議に付した事件
 水産金融に関する件
 漁港に関する件
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○冨永委員長 これより水産委員会を開きます。
 漁港に関する件を議題といたします。藤田水産庁長官。
○藤田政府委員 わが国の経済を再建し、国民生活を安定せしめる万策の一環として、水産業を発展させることは、地理的條件から見てきわめて適切かつ必要なことでありますが、わが国の漁業の現況を顧みますと、その経営形態あるいは漁獲物の利用効率、または漁業労働の生産力等の点において、いまだ原始産業たるの域を脱し得ないうらみがありますので、これを近代産業の列に伍して健全に発達せしめるため、まず漁業の根拠地である漁港を全国にわたり計画的に整備拡充し、その機能を増進させることによつて漁業の合理的経営を行い、生産の増強をはかるとともに、漁業営費を低減し、漁民生活の安定向上に資する必要があることは、いまさら申すまでもないところであります。
 この漁港の整備計画については、漁港法第十七條に規定されております通り、最終的には国会の承認を受けることによつて確定されるわけで、きわめて権威のあるものであり、いわば、わが国の水産業の面における国土総合開発計画の根幹をなすものと考えます。農林省としては漁港法施行以来、漁港の指定ともに、愼重に審議いたしまして、漁港の整備を立て、漁港審議会の意見を徴しましたところ、五月七日原案通り議決の答申があつたので、去る二十二日閣議の決定を経、目下総司令部の承認を受くべく手續中であります。従つて日ならずして正規の手續により国会に提案されることと思いますが、昭和二十六年度事業施行上、ぜひとも今期国会において承認を得たいと考えますので、あらかじめ御審議をお願いいたしたい次第であります。
○林説明員 私から補足的に説明申し上げたいと思います。その前に指定の問題につきまして、先般以来いろいろ委員会の方にお世話をお願いいたしたのでありますが、この結果につきまして簡單に御報告申し上げたいと思います。
 当時私どもの方で十七港、運輸省の方は二十三港、こういう問題がございましたが、ただいまお手元に差上げました資料にも簡單に書いておきましたように、結論といたしましては、漁港の指定はあくまでやります。ただ漁港の指定をされた区域についても、やむを得ないものに、つきましては港湾法の適用を受ける。結果としては二重指定というような形になるわけであります。しかしながら漁港法の建前は一応くずさないでやつて行くということが確立されたわけでありまして、政令をもつて港を決定して参るということになつたのでありますが、その港は青森県の八戸、岩手県の釜石、宮城県の塩釜、同じく石巻、静岡県の舞坂、和歌山県の勝浦、京都府の舞鶴、長崎県の長崎、熊本県の牛深、宮崎県の油津、こういう十港でございます。この十港につきましては、ただいま申し上げましたように政令をもつてこれを定めまして、漁港法の適用を受けるということに一応相なつたわけでございます。この御報告を申し上げます。
 それから整備計画の点につきまして、簡單に内容だけを御説明申し上げたいと思います。整備計画をつくりました考え方と申しますか、そういう点につきましてちよつと申し上げます。
 まず前提といたしまして、わが国の漁港の現状を見ますと、決して水産業の現況に対応するだけの施設がないということは、だれしも認めるところであります。全般的に施設の充足度はきわめて低いわけであります。そこで、これにさらに将来のいろいろな面における條件を勘案いたしますならば、漁港の修築という問題が、きわめて緊急な問題であることは当然のことと考えますが、その整備計画を立てるにあたりまして、まず考えましたことは、各都道府県におきまする漁船の現有勢力、すなわち隻数でありますとか、トン数でありますとか、あるいは海岸綿の延長の問題でありますとか、あるいは漁獲能率の問題でありますとか、こういうものにつきまして、各県の事情を一応考えまして、全体の和につきまして、府県別比の率を一応出してみたわけであります。これにプラスいたしまするにいろいろな漁港の施設がございます。これは二十四年に私どもが実態調査としてとりましたものから算定いたしました施設の不足度と申しますが、あるいは逆に言うならば、施設を要する度合いの各県の比率、こういうものと先ほど申しましたものとをかみ合せまして、全体についての百分比を考えまして、これによりまして一応四百五十港という数字を定めました。この四百五十港を各府県に一応配分したわけであります。これは参考書にその数字が出ておりますので、ごらんいただきたいと思います。
 それから四百五十港という問題につきましては、当初私どもといたしましては、年次計画的なものを考えたいという希望を実は持つておつたのです。従つて事業実施の面でありますとか、あるいは国の財政面でありますとか、こういうものを勘案いたしまして、一定の年限のもとにある計画を考えたいという観点から、四百五十港という数字を一応定めたわけであります。しかしながら、これはいろいろな関係からいたしまして、閣議決定の政府の計画といたしましては無理な点もございましたので、一応年次計画はとりやめましたが、できるならばわれわれは、実際といたしましては、そういう方向で進みたいということで、四百五十港というものをそのまま採用したわけであります。それから先ほど申し上げました、各府県別の今後修築をいたすべき比率と申しますか、港数が一応定まつたわけであります。そこで今度は各県内の問題でございますが、これは都道府県につきまして、一応われわれが選考の対象としたものが約一千港あるわけであります。これらの一千港につきまして、現有施設の不足度合いをまず中心といたしまして考慮いたし、それに漁港網達成の観点から、配置の問題、あるいはさらに経済効果、こういうものを勘案いたしまして、最終的に採用いたしました漁港をきめたわけであります。従つて漁港の種類は指定によつて定まつておりますので、おのずから各種類別の採用港数がきまつて来た。これも同じく参考書の方に載せてございますから、ごらん願いたいと思います。
 ただいま申し上げました施設の不足度合いにつきましては、たとえば漁船一トン当りの有効泊地の面積、あるいは漁獲高單位当りの有効岸壁の長さ、あるいは漁船一トン当りの船着場の面積、あるいは漁船一トン当りの漁獲量、すなわち漁獲能率、こういうものについて一つの基準を定めたわけでありますが、これらについて五つのグループにわけまして、これを整理いたしまして、各グループごとに適当な割合でもつて点数制をとりまして、これによつて第一段階の最初の点をきめたわけであります。さらにプラスいたしまするに遭難防止という点がございますのでこの遭難防止による漁船の効果といいますか、つまり船価をとつたわけであります。それから増産関係あるいは減産防止の関係、これらのものに対する事業費の比率を見ますると、これは一つの経済効果として考えられるのであります。そういつたものにつきまして、これをさらに施設の不足度合いにプラスいたしまして、これに先ほど申し上げました漁港網達成上の配置の関係を勘案いたしまして、最終的に定めて参つたわけであります。こういうふうに定めてでき上りましたものが、先ほど申し上げました四百五十港であります。その内訳を申し上げますと、第一種漁港といたしましては百九十八港、第二種漁港といたしまして百五十二港、それから第三種漁港といたしまして六十一港、第四種漁港としまして三十九港という内訳となつております。この四百五十港のうち、昭和二十五年から引續いて事業をやる予定と相なつておりますものが百三十六港ございます。なお各府県別等につきましては、時間を要しますので、手元に差上げました資料によつて御理解を願いたいと考えておる次第であります。
 一応簡單でございますが御説明にかえたいと思います。
○冨永委員長 委員各位に御通知申し上げます。ただいま大蔵大臣池田勇人君が出席されました。農林大臣廣川弘禪君は、今司令部へ出ておりますので、お帰りまでお待ちを願います。
 通告の順序によつて質疑を許します。鈴木善幸君。
○鈴木(善)委員 大蔵大臣に対しまして、新しい漁業法に基きまして、いよいよ漁業制度の根本的改革が実施の段階に入つたわけでありまして、来る八月及び十二月に漁業権切りかえの措置が講ぜられることになつたのであります。このことに関連いたしまして、漁業法の精神に立脚しまして、漁業法がねらつておりますところの、漁業的な高度利用と、漁業の民主化が達成されますように運用して参りますためには、どうしてもそこに金融その他の財政措置が必要に相なつて来るわけであります。大蔵大臣は十二月十六日の大蔵委員会におかれましても、また参議院の本会議におかれましても、漁業制度の改革に必要なるところの財政並びに金融措置については、政府としては十分考えておるという御答弁を、国会を通じていたしておられるわけであります。今全国の関係漁民は、この制度改革のまさに実施されようとする段階にあたりまして、これらの制度改革の裏打ちである財政並びに金融措置が、いかように政府によつて講ぜられるかということにつきまして、大きな関心を払つており、政府において適切な措置が講ぜられますことを、心から期待いたしておるような事情にあるのであります。つきましては、この際漁業制度改革の裏打ちとしての財政並びに金融措置についての、大蔵大臣の全般的な御構想を御発表願いたいと思うのであります。
○池田国務大臣 お答え申し上げます。漁業法実施に伴いましての財政上並びに金融上の措置についての大蔵大臣の考え方いかんというお尋ねでございますが、お答え申し上げるべくあまりにむずかしい問題でございます。いずれにいたしましても、日本は水産国であり、農業と同時に水産業につきましては、十分の力を入れなければならぬことは、何人も認めるところであります。従いまして、漁業法改正によりまして、新しく漁港制度を立てる場合におきまして、今までの措置としては、財政的には農林漁業の融資を一応六十億円といたしましたが、六十億円では足りないという議論もありますし、私も十分ではない、できればこれをふやして行きたいという考えを持つております。やはり農林漁業の方の特別会計による融資をふやして行くことが、財政上の本筋であろうと思います。また金融上の措置としては、御承知の百七十八億円の漁業権証券を、どういう率で、どういう機関の交付公債にするか、あるいはまたそれによりまして、一般の金融機関が、これを担保に融資をどのくらいできるかという問題、またその限度を越えた場合におきましては、債務償還費の方からどれほどこれを今年度内に償還するか、こういう問題があると思うのであります。何と申しましても、金融のうちで最もむずかしいのは水産金融であります。従つてこれに対しては各般のできるだけの措置をとらなければなりませんが、いろんな財政上の制約あるいは金融上のネツク等もありますので、八月一日から切りかわりました場合におきましては、その時々の状況によつて適当な措置をとつて行くよりほかにない。ただ根本の考え方は、財政上は農林漁業金融のあのわくを活用さして行く。当座の金融につきましては、漁業権証券の換貨方法について検討を加える。ただ問題は、私は漁業権証券とか、農林漁業金融の操作によつてやつて行くということだけで、日本の水産金融が十分かどうかということにつきましては、相当問題があると思います。水産業につきましては、相当大規模の会社経営による水産業もあります。また常に一本立ちでやつて行く水産業もあります。また最もやつかいな問題は、中企業と申しますか、相当の規模は持つておりまするが、事実自体から来ます信用確保の点について、根本的制度を考える必要があるんじやないかというようなことを考慮いたしております。そういう状況で、水産業というものは魚をとる場合の問題、とつた魚を有効に使う問題、いろんな点が含まれておりまするが、今御質問の、財政金融上の根幹をなすものは、ただいま申し上げたところであるのであります。
○鈴木(善)委員 ただいまの大蔵大臣の御答弁によりますと、漁業全般に対する非常に深い御認識を持つておられることにつきまして、私ども非常に意を強うするものであります。そこでこの機会に、今回の漁業制度改革が、国の大きな政策として断行されるわけでありますが、その対象になります漁業権者は、大臣も御承知の通り、先般の農地改革において農地を取上げられた地主と本質的に違いまして、ただいまにおきましても、漁業生産の第一線に働いております水産漁民であるわけであります。多くの地主が農業生産の面からいたしますと、寄生虫的な存在といいますか、不在地主的な、さしたる重要性を持たない立場にあるのにひきかえまして、今回漁業権から一応離れます漁業者は、すべてがこれ生産漁民であり、日々に魚を漁獲いたしまして、これを国民の食糧として供給しておる重要な生産の仕事をいたしておる人々が、一たび今回の措置によつて漁業権から離れて、新しい漁場計画に基いて漁業の配置転換、生産の経営の切りかえということが行われるわけでありますが、そういたしますと、この制度改革にあたつて、経営の切りかえなり、漁業の再編成の立場に追い込まれるところのこれらの漁業者の諸君に、漁船であるとかあるいは漁具であるとか、その他の生産の手段を確保するための資金を与えてやらなければ、今回の制度改革というものは円満に遂行することができない。今日食糧事情が非常にきゆうくつな段階におきまして、この制度改革が円滑に行われて、漁業生産が何らの澁滞もなく、食糧確保の面にも大きな支障のないように運行されることを、私どもは心から期待いたしておるわけでありまして、そういう意味合いからいたしまして今回の制度改革にあたつての当局の財政並びに金融上の措置は、今回の制度改革の成否を決定する重要なかぎである。私どもはこう考えておるわけであります。一つの例を申し上げますれば、先般瀬戸内海の連合海区調整委員会の諸君が、多数上京されまして、新しい漁場計画を立てるにあたつて、瀬戸内海約一万隻の小型手操りを整備するに、どうしても十億ないし十二億の資金がいるということを、大臣の地元であるところの、瀬戸内海の関係漁民を代表しましてお見えになつた。こういうような状態であつて、どうしても今回の制度改革を行いますためには、国の適切なる財政及び金融上の措置が行われなければならぬわけであります。こういう観点に立ちまして、先般来大臣が国会を通じてはつきりと言明しておられますところの制度改革に必要な財政並びに金融措置について、漁民諸君が、具体的なことをもう一歩突き進んで大臣からお聞きしたい、こういう気持になつておるわけでありますから、具体的に以下お尋ねしたいと思いますので、できるだけ具体的に大臣のお考えを御披露願いたいと思うのであります。
 まずその第一点は、ただいまもお話がございましたが、漁業権証券の資金化についてお考えになつておるようでありますが、この証券の資金化につきまして、国債整理基金のわくで、一体いくら大臣はかくのごとき償還をなさるお考えでございますか。まずこの点からお伺いいたしたいと思います。
○池田国務大臣 前置きにせられました瀬戸内海の濫獲、不当の競争につきましては、今朝も十人ばかりの陳情を受けて、三十分ほど勉強したわけでございますが、戰争中、戰後乱れておりました濫獲の傾向は、漁業法の改正の機会に十分是正して行かなければならぬ、しかしてそのことにつきましては、できるだけの努力を払つて行きたいという考えでおります。
 御質問の漁業権証券の償還の時期あるいは程度につきましては、これははつきり申し上げられません。こういうことを議論することは少し早まつておるのではないか、これは農地証券の問題にいたしましても、百億円余りのものを五年なり十年なりで償還すると言つておりましたが、私は現在高の九十億円をほとんど一年でやつてしまいました。これは財政上、金融上の問題からこうした方がいいということになつたから、いたしたのであります。しかして百七十八億円の漁業証券を、今年度どうするかこうするかということを議論するよりも、漁業者がこの漁業権証券をもつて、必要なる事業にどれだけ金が必要か、こういうことをやつて行くのにどれだけ必要があるか、こういうことをその時々によつて見てかえなければいかぬ。今から三十億とか三十五億とかあるいは四十五億とかいう議論をするよりも、必要に応じて――債務償還の計画が百億余りあるのでございますから、これによつてその時々で考えて行くべき唇はないか。ただ大体の目安はどうかということになつて参りますと、税金を納めなければならぬ場合もありますし、その税金だつてはつきりきまつたわけではございません。大体再評価後残つて事業をされる人の負担がどうなるか、あるいは全然漁業をしないために持分の払いもどしを受けて、所得税がどのくらいかかる、これは單なる想像でございまして、この金額だつて十億円とか十億二千万円とか言つておりますが、正確なものではございません。また個々の漁業者が税込み三十五億ときめましても、業者によつては四十億も五十億も出さなければならぬ場合もありましよう。また金融の状態によつて、そういう計画であつたがもう少しがまんしてくださいという場合もありましようから、こういう問題はその時々によつて、皆様方のように水産業に詳しい方方の意見を聞いて、適切な償還をやつて行くのが一番いいのではないか、ここで幾ら幾らときめるというても、なかなかむずかしい問題でございます。たとえば三十五億もしいつたとすれば、どこの人にどれだけずつやつて積み重なつたのか、こう質問したらなかなか答えられない。今後の物価その他漁業の状況はどうかといつてもわからない。私は財政、金融上できるだけのことはやつて行きたい、こういう程度でひとつがまん願いたいと思います。
○鈴木(善)委員 ただいま大臣より、制度改革の実施にあたつて、その進行状態とにらみ合せ、また全般の財政、金融の面とにらみ合せて、必要な額はできるだけ心配したいというような御答弁があつたのでありますが、私どもといたしましては、この制度改革は、大きな日本の民主化、日本の漁業の建直しというような見地から、国策として実施いたしたものでありまして、この制度改革が、一定の金融並びに財政上の計画的な大体の基礎の上に立つて、そうして円滑に計画的に実施されることがどうしても必要であるという観点から、お尋ねをいたしたわけ零あります。そこで本年において幾らの漁業権証券の買上げ償還をなされるか、また明年、明後年においてどうかという大体の構想をお尋ねいたしたかつたのでありますが、この点については、今から明確に予測ができないという御答弁でございました。そこで先ほど大臣がおつしやいました、どうしても必要な面については、自分としても十分考えてやろうという御答弁でありましたから、申し上げるのでありますが、大体制度改革の第一年度におきましては、漁業の協同化、合理化、あるいは内水面漁業の制度改革資金及び現在費材が高いのに魚価が低落いたしておりまして、鋏状価格差で、漁業者は非常に経営に困難を感じておるという面も考えまして、それらの共同施設の整備というようなこと等を考えますと、ぎりぎりにしぼつて四十億程度の資金が、この制度改革に絶対に必要であります。また大蔵大臣も仰せになりました税金につきましても、十億ないし十四億余りの税金が必要である。こういうぐあいにしぼつて参りましても、税金込みで五十億から五十五億程度のものがここに必要であるわけであります。大蔵大臣は、この制度改革の第一年度にあたつて、この必要な資金をいかにして裏打ちをしていただける対策をお持ちになつておるか、この点を重ねてお尋ねしたいと思います。
○池田国務大臣 数字はなかなかやつかいな問題でございまして、税金を除いて四十億という場合におきまして、この四十億はどういうところにお使いになるのか、しかしてこの四十億の中には、農林漁業金庫から出る金はどれだけ含まれておるか、あるいはまた今後出します漁業権証券の償還期限によりまして、これを担保として一般金融機関からどの程度借りる予定であるか、こういうことを総合的に考えなければならぬと思うのであります。しかして四十億にプラスの税金ということも、私もちよつと考えてみましたが、十億という税金にはならぬではないか、また私は、税法施行上できるだけの措置を講じて、こういう税金をできるだけ安くする考えでおりますので、私の見るところでは、十億以下で済むようにいたしたいという気持を持つておりますし、従いまして今の四十億円の、今年度どうしてもいるという分については、これは全部債務償還の分でまかなう、あるいはもしこれが債務償還だけが四十億であつて、あとの金融機関からの漁業証券担保の借入れはどれぐらい予定しておるか、あるいは農林漁業金庫の方から今度ふえることを予想しておりますが、その分からどれだけの割当になるかという問題をきめないと、漁業権証券の今年度内における償還という問題がきめられないと思います。またたとい税金が十億あつたにいたしましても、その税金の納期はどれになるか、会社分とか、組合分あるいは個人分という場合におきます年度のずれがあります。いわゆるアンノーン・フアクターが相当ありますので、私がここでこの分を幾ら幾らといつて折衝のようなことをするよりも、とにかく私としては、農林もそうでありますが、水産の方につきましてはできるだけの努力をしたい。ことにこういう画期的な制度の改革があつて、これから乗り出すのでありますから、せつかく生れかわつて出るものには、できるだけいい衣を着せたい、できるだけ発育のいいようにしたいというのが、私の念願でありますので、繰返して申しますように、ここで今幾らときめることは、お互いにきゆうくつであつて、水産業のためにとるべきではないではないかと思うのであります。つけ加えて申し上げますが、漁業権証券の利率の問題、償還の問題につきましては、私は今検討いたしておるのであります。これは国債の金利水準という問題もあります。そうして金利の国債的の考慮もしなければなりません。こういう点を考えておりますが、できるだけ有利なものにして行きたいというのが念願で、この條件を検討しておるのであります。この條件によりまして、今の債務償還の金額も影響するわけであります。各般の事情を考慮いたしまして、できるだけ御希望に沿うようにいたしたい、こういう考えでおります。
○鈴木(善)委員 私は与党の人間でありますので、言葉の表現はきわめて穏やかにいたしておるのであります。しかし大臣におきましては、私どもを通じて、全国漁民諸君が聞かんと欲しておるところは、この際できるだけ、大体の輪廓でも発表してやることが、これが親切な行き方ではないかという考え方で、もう少し輪廓をお示しを願いたいと思うのであります。今大臣からいろいろお話がございましたが、これは私が大臣にお尋ねせんとしておる点であります。つまり私の申し上げておりますのは、税金を含めて、どうしても最低限度、初年度において五十億程度のものが必要であるが、これを大臣は、国債の買上げ償還によつて幾らをまかない、あとの分は金融措置によつてどれだけ見るか、先ほど、たとえばということで、三十五億程度のものをかりにやるとすればという数字をお示しになりましたが、かりにこの証券の買上げ償還で三十五億を見たといたしまして、あと十五億程度のものは、大臣はどういうような金融、財政措置によつてこれを裏打ちされるお考えでありますか。これを農林漁業特別会計によつて、大蔵省としては措置するお考えであるのか。またその際、現在の六十億のほかにどれだけのわくを特別会計の方にふやし、それに対して制度改革に必要な金額をひもつきで、その特別会計の中に確保されんとするお考えであるか、この点はむしろ私が大臣にお尋ねしたい点であります。
○池田国務大臣 これまたむずかしい問題でありまして、補正予算で六十億にプラスどれだけのものにするかという金額は、まだきまつておりませんから、未確定の金額の中で、どれだけひもつきになるかということも申し上げられません。ただ私としては、できるだけふやして、そのできるだけふえた分の中を水産金融にまわしたい、こういう考えであります。しかして債務償還をたとえば三十五億にいたしましても、今度漁業権証券によつてどれだけ担保金融ができるか、担保金融の状況によりまして、この漁業権証券の担保金融は、日本銀行を素通りで行く制度を設けるか設けないかによつても、相当に漁業権証券の融資の額がわかるわけでありまして、今ここで私が、これだけの分を債務償還で、これだけの分を漁業権証券で行き、そうしてこれだけの分は補正予算のひもつきで行くといつても、最後の補正予算ひもつきの分は、これは関係方面のことがあるので言えませんが、そこで、そういうようなわくをきめると拔き差しならぬようになるから、とにかく私はできるだけのことをいたしますからおまかせください。その状況によつて普通銀行から行く、あるいは農林中金から行く、担保金融のものがむずかしければ、これを日本銀行に直接に行つて割引する方法があるのであります。そういうことを考えますと、とにかく金額をここできめずに、できるだけたくさん出すようにお互いに努力しようということが、一番大事なことになるのではないかと思います。
○鈴木(善)委員 今全般的な面でいろいろ措置を講じなければならぬというお話でありましたが、ここでひとつ大臣に申し上げておきたいのは、この証券の買上げ償還だけで参りますと、その買い上げたところの金が、はたして制度改革の裏打ちとして最も効果的に漁業の経営の合理化なりあるいは協同化なり、その他の漁業対策としての施設その他に的確に使われるかどうか、最後までこれを見届けることが困難である、どうしてもここに金融措置と並行をいたしまして、農林省なりあるいは政府なりが、今回の制度改革の意義を真に生かすように、これらの資金が効果的に使われるべく最後まで見届けるというような方法が、ぜひとも必要であると私どもは考えているのであります。そこで買上げ償還の一本やりの制度でなくて、ここに財政資金を合せて出すことによつて、それらの資金化されたものが制度改革を効果的に推進する、こういうことでなければならぬと私どもは考えているわけであります。なお御答弁の中に、市中銀行その他におけるこの証券の資金化という点がありましたが、これも大臣から今回の漁業権証券が一体どういう利率になり、また何箇年間にこれが償還され、どういう性質、性格、内容の証券になるかということを御発表になりませんが、その証券の性格、内容によりましては、はたしてこれが証券の額面通り有利に、百パーセントに資金化されるかどうかということについても、ここに非常な心配が漁業者としてはあるわけであります。つきましては、この証券の性格内容ということについても、この機会に御発表できるのであれば、御発表願いたいと思います。
○池田国務大臣 鈴木さんのお考えは私と同じでありまして、私がどれだけ債務償還を今年度内にするということをはつきり申し上げないのは、漁業金融につきましてへ今債務償還をうんとやつて、農林漁業金融の方の分を出さずにというような考え方では、漁業の将来は寒心にたえない。そこで農林漁業金融の方の面もありますし、市中一般のコンマーシヤル・ベースの資金もありますし、債務償還もありますので、こういう三つをかみ合せて行かなければならぬ、それが水産業のためによいという考え方で私は今までやつて来たのでありますが、鈴木さんもやはり同じようなお考えで私も安心いたしました。そこで金融との結びつきについて、どれだけどういう金利で、償還をどうするかという問題は、先ほど申し上げましたように、国際金利の問題、国内金利水準の間廼等から、非常にやつかいな問題であるのであります。ことに今は日本の経済が、ほんとうの意味の安定になるか、あるいはインフレの気構えがあるものをどうするかという問題がありますので、金融問題は大切な問題であります。今銀行局長からの耳打ちによりますと、五分五厘の五年ということをお答えしたようであります。これは最近の分の一つの例であります。五分五厘、五年の、この最近の例を堅持して行くか、あるいは今の情勢と漁業権証券の償還、その他漁業金融の問題で、五分五厘、五年にするか、五分五厘、三年にするか、あるいは大分の八年、十年にするか、こういう問題は重大な問題でありまして、私はただいま検討しているところであります。最近の例は五分五厘、五年というのが一番有利なことになつております。
○鈴木(善)委員 そこでもう一つ大臣によくお考えおきを願いたいと思う点は、この漁業法によりましてきめております免許料、許可料の徴收の率にいたしましても、また今回政府が衆議院の方に上程されました税に関する措置法の課税の面につきましても、すべてこれは漁業権証券の額面を基礎として、大体それに見合つて、こういうような課税につきましても、あるいは免許料、許可料についても算定がされているわけであります。そこでこの政府から交付されております証券が、市中銀行等によりまして、額面以下に、これが中間業者によつて買上げをされるとか、あるいは担保金融にいたしましても、額面以下に、七掛とかいうようなことになりますと、免許料、許可料との見合いにおきましても、また税金の面につきましても、算定の根拠と大きくかわつて参りまして、関係漁民は非常に不利な立場に置かれるわけであります。そういうことでありますから、いずれにいたしましても、この漁業権証券は、額面通りにこれが資金化ができるような措置を当局において、特に大臣において御配慮をいただかなければならぬと思うのでありまして、特にこの点をお願いしておきたいと思うのであります。
 そこで、ただいま大臣から明確に御答弁を得られずにいるわけでありますが、私どもは單なる証券の買上げ償還一本でなく、どうしてもここに財政資金をこの際出していただいて、そしてこれと結びつけて、今回の制度改革を、漁業法が企図しているような線に沿うて計画的に、円滑に、遅滯なく実施して参る必要がある。そこでどうしてもここで制度改革を実施するための特別の財政措置、つまり特別会計というようなものを設置されますか、あるいはまた農林漁業融資特別会計の中に、大蔵大臣のこの制度改革上必要な額を確保するような特別な措置を講ぜられる御方針を明確にしていただければ、関係漁民は非常に安心するわけであります。何とかこの点を大臣から、この機会に国会を通じて、御発表を願うようにお願いしたいと思うのであります。
○池田国務大臣 私が債務償還の金額をはつきり言わない一つの理由も、また鈴木さんが言われましたように、この漁業権証券の信用確保ということは、大蔵大臣の最も大事な仕事でありまして、国債の時価、金利ということは私の一番大事な仕事であるからで、従いまして、せつかく出しました漁業権証券が非常に暴落するということになりますと、国家の信用でありますから、そういう場合につきましては適当な措置をとるのであります。従いまして、そういうことがあつた場合においては、たとい今三十五億とか四十億という措置をしましてもどんどんやつて行かなければならぬ。そこで私はそういうことを申し上げなかつたのでありまして、この点は鈴木さんはよくおわかりだと思います。
 第二の水産関係につきまして特別会十を設けるかという問題でございますが、財政の基本観念としては、特別会計はできるだけ少いのがよい。他に特別会計をつくることは、財政当局のやるべきことではない。それでは特別会計を設けずにできるかといつたら、農林水産金融によりまして、特別会計を設けずに、今年度から特別の措置をとつたが、これでまかない得ると思うのであります。しからばそれによつてまかないをした場合に、水産に対しての分をひもつきと申しますか、別わくでどれだけ出せるかという問題になりますと、私一存ではお答えできません農林、水産、林業等につきましては、所管は農林大臣でございますので、農林大臣が適当な算定をしてから大蔵省に御相談になると思います。このような御相談があつたときは、農林、水産の兼ね合いを見ながら、また国家財政を見ながら、考えて行かざるを得ぬと思つております。
○鈴木(善)委員 今の私の質問に対しまして、池田大蔵大臣も、証券の買上げ償還だけでなく、その他の財政資金の裏打ちも考えておられるということは、数字を明示いたしませんけれども、やや明らかになつて参つたと思うのであります。そうして、それは農林漁業特別会計の面で大体お考えになつているということもやや明確になつて参つたと思います。
 そこでお尋ねしておきたいことは、私どもの承知いたしております範囲内では、農林漁業特別会計におきましては、主として固定施設と申しますか、公共事業のベースに乗らないけれども、ややそれに近いような土地改良であるとか、漁業関係においても漁港、船だまりでありますとか、あるいは製氷、冷凍工場のような共同施設であるとかいうような、固定施設方面に利用されるのであつて、これは今回の制度改革の中で、漁業の協同化、合理化、経営の切りかえという面の漁船の建造費、漁具の購入費というような面に、この特別会計がそのまま利用できるかどうかにつきましては、私どもが今日まで承知している範囲内におきましては、不安を持つているわけでありますが、これは政令を改正されまして、それらの特別会計の中からまかなつて行ける道をお開きになる御意思を大臣は持つておられるか、その点を承りたいのであります
○池田国務大臣 こういう問題は、債務償還と申しますか、漁業権証券の償還の程度、あるいは一般市中銀行の金融の方法等から考えてやらなければならぬ。要は水産業の発達であります。債務償還の分は、固定施設には一つも行かないというように、初めからきめつけることはどうかと思うのであります。ただ今の制度としては、お話の通りに、農林漁業金額の方面は主として固定施設、こういうことになつておるのであります。これは事情によつて、ほかの金融の状況によつて考え直すようなことがあれば、考え直さなければなりませんが、今のところはこれで進んで行つて大して支障はないのではないかと想像しておるのであります。
○鈴木(善)委員 大蔵大臣はいろいろ兼ね合せてこの裏打ちの対策をお考えになつているようでありますが、これを大蔵省なりあるいは農林省なりが、ばらばらの形で、一部は証券を買い上げて対処する、一部は市中銀行でまかなわせる、あるいは一部は農林漁業融資特別会計でまかなわせるというように、これがばらばらの形において行われますと、この制度改革に必要なところの資金を計画的かつ効率的に運用することができない。これは私どもの一番心配している点であります。これらの方法がほんとうに総合的に計画的に政府の意図するところの政策のベースに乗るように運用するということが、どうしても必要なことであると考えるのであります。今の三つの方法がばらばらで行われることによつて、その効果が減殺されはしないか、資金の効率が悪くなりはせぬか、制度改革の成果が非常に落ちるのではないか、そういうことが心配されるのでありますが、これらを総合的に運用されて、制度の改革が円滑に行かれるような措置を、大臣としておとりを願いたいと思いますが、この点について大臣はどうお考えになりますか。
○池田国務大臣 その点は必要なことでございまして、農林省に水産庁という特別の大きい役所があります。これが主になつておやりになり、そうして関係の方は、大蔵省に御相談になると思います。私もお話のような考え方を持つておりますので、できるだけ水産庁に協力して行きたいと考えております。
○冨永委員長 川村委員。
○川村委員 鈴木委員から、大体われわれの考えていることの大綱は大蔵大臣に質問したのでありますが、大蔵大臣は、どうもわれわれ漁師にもわかるような、はつきり腹を割つての御答弁を願われないので、できるだけ鈴木君の質問と重ならないように質問をしておきたい、かように考えるのございます。
 漁業制度改革につきましては鈴木君の言われた通りでありまして、大臣もこの点においては大いに認識していると考えます。当初われわれがこの漁業制度改革において、漁業法を提出されました時分に、御承知の通り農業と非常に大きな違いがありますので、非常に心配をいたしまして、この制度の改革を遂行するには、何といつても財政の裏づけと資金の裏づけがなければできないということを各委員とも主張しておつたのであります。当時の政府委員の説明では、漁業権証券に関する資金化については、もう大体見通しがついている、さらにこの漁業権証券に対しては非課税にするというお話がありましたので、私らは安心をいたしまして、漁業制度改革によりますところの漁業法の制定に臨んだのであります。もちろんこの結論を得ますにおきましては、六箇月以上も各方面をまわつて、漁民の意見を聞いてまとめたのでありますけれども、今日になりますと、政府当局の答弁されたことは、みなくつがえつております。まず第一に、今日まで漁業権証券の資金化ははつきりきまつておらない。それからさらに非課税にするという問題も、今日では課税をし、しかも当初四億とか五価とかいうようなのが、今日になると十五億になつている。これに対しまして、大臣の意のあるところは十分われわれに聞かせていただいたのでありますから、大臣の言葉は信じますけれども、はたして大臣のおつしやつておられるような漁業権証券に対しての資金化、いわゆる買上げ等の問題も実行できるかどうか、さらに農林漁業の資金特別会計において、はたしてわれわれのいるだけ出すかということもはつきりしておりません。さらに税金のことにつきましても、でき得るだけ低くしようということは言つておりますけれども、はたしてこれも低くなるかどうかということも未知数の問題であります。そこで私は、まず第一点として伺いたいことは、漁業制度改革は漁業計画に始まつております。その漁業計画に基いて新漁業の免許あるいは許可があるのでありますが、大体これは五箇年の計画になつております。そこで今大臣の言われるように、場当り的にそのときどきそれに必要な財政の措置や資金の裏づけをするという考えのあることは御答弁なさつておりますから、これは一応われわれはわかるのでありますけれども、しかしそのときそれの場当りの資金計画、われわれは漁業計画の樹立もとうてい完全にはできませんし、漁業制度改革も計画通りに行かないものと考えて、ここに非常な心配があるのであります。従つて大臣はこの漁業制度改革の漁業法の内容を十分検討いたされまして、この免許あるいは許可が五箇年になつておる、この五箇年の一期については、資金も十分かようかくかくにしなければならないということを、まずもつてお考えになつておるかどうか。ただその場当りで、要求があればそれに対して善処しようということでは、われわれは納得が行かないのあります。従つて農林省すなわち当局であります水産庁から、当初の計画について、資金等の問題ももちろん出されるでありましようが、この一期すなわち五箇年にわたるところの計画遂行のためには、資金をどのくらい出すかということを、はつきりはしなくとも、少くとも水産庁の要求に応ずるという御意思があるかどうかと一いう一点を、まずお伺いしておきたいのであります。
○池田国務大臣 水産業が計画通りに発展いたしますように、万全の措置を講ずると答えておるのであります。水産庁の要求通りにするかという御質問でございますが、これは要求以上にする場合もありましようし、要求以下になる場合もありましよう。計画内容と言われますが、資金の問題にいたしましても、五箇年間の問題を、今計画通りにやつても狂いやすいものであります。そこで今債務償還の問題もございましたが、農地証券についてやりましたように、先ほど答えましたような五分五厘の公債を置いても、債務償還の金額は百億円を越える。だから三分五厘や四分の国債を償還するよりも、五分五厘の公債を償還した方がよい。私の方からすれば、五分五厘を放つておいて三分五厘をやることはない。それでは百七十億円の債務償還費を全部漁業証券に持つて来るかといえば、金融情勢やいろいろな点からそれも行かない。これを一ぺんに償還してしまうことが、水産業自体のためによいか悪いかという問題もあるのであります。そこで今これだけ金がいる、これだけ償還してくれとおつしやつても、それにはまたいろいろなフアクターがついて来ますから、ここで約束はせずに、博きるだけのことをすると言つた方が、水産業発達のためによいのではないか、こういう考えでおるのであります。
○川村委員 もちろん私たちは、計画通りの金を裏づけしていただけばけつこうでありますが、ただいまの大臣の御答弁では、計画通りはできない、あるいは減らす場合もある、あるいは多く出す場合もあると言われる。しかし少くとも国会において要求したものに対して、多く出したというためしはありません。これはあまりに放言でなかろうかと考えております。しかしながらこれで時間は費しません。ただ問題は、五箇年計画を遂行するためには、どうしても水産庁でそれぞれ立案する。その立案にのつとつて、また財政の裏づけをして行くという御意思だけははつきりしておりますので、この点の細目につきましては、水産庁と大蔵省と交渉してもらえばよいし、また農林大臣がここに出席されましたので、農林大臣と大蔵大臣との間にきめていただけばよいのでありますけれども、漁業制度改革が遂行できなければ――すなわちこの漁業法に織り込んであるところの免許料、許可料の問題でありますが、場当り式で、資金の裏づけなり財政の裏づけなり財政の裏づけなりをするということは確定しておりません。本年はこれだけ出すけれども、来年は知らない。こうなりますと、来年の計画が成り立ちません。成り立たなければ、しからば漁業制度改革に基く漁業経営がほんとうに立案ができるかどうか、また計画遂行ができるかどうか、ここに心配があります。従つてこの計画を遂行するためには、やはり確固たる裏づけがなければ、とうていこの改革を遂行して行くことができないという点からいたしまして、もしこの計画が成り立たないとして、はたして国がもくろんでおるところの免許料、許可料が国に入つて来るかどうか。計画にのつとつて行かなければ成り立たない。成り立たなければ、私から言わしめると、もちろん入つて来ないということになる。すなわち漁業法第七十五條には、免許料、許可料をとることになつておる。しかし第七十六條には減免の規定があります。そこで計画がうまく行かなかつた、すなわち裏づけがなかつたとするならば、漁業もうまく遂行ができない。従つて第七十六條の発動によつて、今度は、免許料、許可料を支払う能力がないということが全日本の漁民に現われましたならば、それこそかえつて国のマイナスになるのではないか、かように思うのでありまして、一期五箇年というものがはつきり漁業法にうたわれておる以上は、五箇年の資金計画というものは、少くとも今から立てておかなければならない、かように私は考えるのであります。従つて、もし大臣の言われるように、その場当りで資金計画がそのときどきでかわるとするならば、漁業制度の改革が遂行できないという場合に、免許料、許可料というものについて、やはり国家が喜んで減免の規定を採用されるかどうか。ここに私は心配がありますので、大蔵大臣の信念に基く御答弁をいただきたいと思います。
○池田国務大臣 免許料、許可料が入らないという場合には国が困りますが、その免許料、許可料の入る入らぬよりも、水産業がうまく行かないということが非常に困る問題なのであります。免許料、許可料というものは、枝葉の問題と言つては語弊があるかもしれませんが、その元の水産業がよく行くようになることが主でありまして、これは政治の重要な問題でありますから、私はそのためにできるだけの努力をすると言つておるのであります。しかしてあなたは、資金計画がない、だから場当りだとおつしやいますが、これはこの二月ごろ国会に出した資金計画と、先般安本から発表いたしました二十六年度の資金計画をごらんになつてもおわかりだと思いますが、物価がこう動いておる今の時代に、一応つくつたとしても、これは單なる気休めでありまして、そういう資金計画よりも、動かないような経済の元をつくることが大切だと私は思います。元をつくればおのずから資金計画はできる、元がぐらぐらしておつては計画はありません。それで私は、従来から日本の経済を安定さすことに努力しているのであります。資金計画は安定してから後のことです。こういうことで、あの計画にはあまり賛成できないというか、私はあまり力を入れていなかつたのであります。しかして水産業の問題につきましては、私もできるだけのことはするつもりでありますが、今のように債務償還をどれだけするかということを議論するよりも、一般金融がどれだけ水産業に向くかということを考えるのが主なるのであります。債務償還などは、大蔵大臣の腹によつて、金融の増強によつて、去年農地証券をほとんどやつたと同じように、いつでもできることです。それよりも問題は、いかにして金融ベースに水産業の資金を乗せるかです。あるいはあなた方のお聞きになりたいのは、農林漁業特別会計法の十二條の預金部から、予算を通して出し得る六十億の分をいかに出させるようにするかという問題が主であるらしいが、私は、日本の経済が安定すれば、資金運用部には十分金がありますから出したい。しかし出すことによつて日本の経済の根本がぐらぐらするようになつては困るから、金を持つておりながら出さずにおるのです。そこであなたは今、資金計画も何もないとおつしやいますが、資金計画よりも、資金計画のできるようなりつぱな経済にしたいというのが主であります。それがためには、やはり水産業の方にも出さなければならぬ。そうして日本の経済が安定するように、できるだけ水産業に出す。こうお答えする以外にはないわけであります。
○川村委員 資金を出してやるというお心持のあることは了承できますけれども、われわれは少くともこの資金を出させる、いわゆる財政の裏づけをさせるということは、すなわち水産庁でその計画を立てるということをやられまして、その計画は一応できておるように聞いております。これに対しては、おそらく大蔵省当局との相談もあつたことと思いますが、私はまだ最終的な問題は聞いておりません。その計画にのつとつて、いわゆる資金計画が始まるのであります。その資金計画がない限りは、いかにこちらで元締めになるりつぱな計画を立てましても遂行ができないというところに、私は心配を持つておるのであります。もちろん大蔵大臣は、われわれの心配しておる以上に心配をなさつておるようなことは、うかがうことができますけれども、先ほどの鈴木委員の質問に対して、買上げ償還にどのくらいとか、あるいは農林漁業の特別会計に幾らとか、あるいは市中銀行の融資を幾らとかいうことは、この際申し上げられないと言つておりましたが、しかし少くも大臣におかれましては、こういうような考えで、このくらいの資金は出せるのだ、出してやるべく努力するのだというところの指示を示してもらえば、やはりわれわれも大体それに準じた計画を立てて行くことができる。大蔵大臣が、額は出してやりたいけれども、今幾らだということは言い得ないと言うところに、計画の遂行ができないという不安が出て参るのであります。そこで、鈴木君の質問に対しても、どこまでも指示は示されなかつたのでありますから、いかにしても指示は示し得ないものと私は考えますが、翻つて考えるに、いわゆる漁業権証券の資金化を、日本銀行等の元銀行においてやるか、あるいは中金でやるかは知りませんけれども、とにかく相当大幅な漁業権証券の資金化をはからなければ、とうてい遂行ができないということだけは言い得るのであります。ただ問題になるところの大蔵大臣の第二の答弁におきまして、市中銀行云々と言つておられますが、はたしてしからば、市中銀行が国債の価格にとつてくれるかどうかということと、この漁業権補償について来ますところの五分五厘の金利で引受けて、はたして金融をしてくれるかどうかという問題と、もう一つは、いずれの漁業協同組合でも、あるいは漁業者個人におきましても、市中銀行並びに中金等から旧債のあることは御存じだと思います。おそらくこの漁業証券を市中銀行なり中金に持つて行つた場合においては、その旧債をまず取立てることを考えるのではなかろうかということは、想像し得ますし、すでに市中銀行なり中金においては、この漁業権証券は資金化ができないから、われわれの方で集めて、何とかして資金化してやろうというようなことも流布し、しかもその運動を起しておるということをわれわれは見ております。こういうようなときにおきまして、この漁業権証券の資金化に支障となるところの旧債の問題について、この漁業権証券を資金化する場合においては、旧債にとられないようにしなければ、漁業制度改革による漁業経営が遂行できないのであります。これに対して大蔵大臣が処置をとられる意思があるかどうか。もう少しわかりやすく言うならば、証券を持つて行つた場合に、はたしてその証券を国債の額面において担保にとつてくれるかどうか。それから金利も、国債についておる五分五厘でこれを処理してくれるかどうかという問題と、さらにこの漁業権証券を担保にとる場合において旧債の償還に充てがわないようにする意思があるかどうか、この三つについてお尋ねいたします。
○池田国務大臣 旧債に充てるかどうかという問題は、個々の業者と銀行との関係でございまして、私は個々の業者の信用状態、経営の状況から判断すべき問題であると考えますので、ここで一律に答えることはできないと思います。しかし問題は水産拡充資金であるということから考えますと、旧債に全部を充てるということは当を得た策ではないと思います。
 第二の問題は、五分五厘の漁業権証券にした場合に、五分五厘で銀行が貸すか貸さないかという問題ですが、これは貸さないと思います。それは銀行の方の資金コストが非常に安くて、五分五厘でももうけがあるという場合は貸す場合もありましようが、しかし五分五厘の証券担保で金の貸出しを申し込んだら、五分五厘で貸せろということは大蔵大臣は言えないのでありまして、そのときの金融状態によつてきまるべき問題だと思うのであります。
 それから額面百円の漁業権証券を、そつくりそのまま百円の担保価格に見るかどうかという問題は、これは金融の情勢、あるいは日本銀行の再割引きの問題と関連することでございまして、通例ならば、担保の七掛とか八掛というのが普通になつております。しかしそれはそのときの国債の状況によつてきまることであると思うのであります。そういうようなことが思うように行かなかつた場合に、強権を出すという問題は、これはなかなかむずかしい問題でございます。
○川村委員 最後にその三点についての処置をとる意思があるかどうかということを承ればいいのであります。私たちは今までの例からいうと、もちろん額面は百円が百円にはなかなかとつてくれないというような想像もできますし、もちろん五分五厘で貸してくれないという点もあります。その最後にお伺いした三点について、いわゆる漁民の漁業経営に非常な支障にならないように措置をとつてもらわなければ、漁業制度改革という、いわゆる世界的にかつて見ないところの制度を確立する上におきまして、非常な支障がありますので、大蔵大臣におかれましては、この私の最後の三点の伺つたことについての措置をとつていただかなければ、われわれは漁業制度改革によるところの漁業経営の安定を期することができないから、私はその措置をとつていただきたいという意見と気持を持つておるので、お伺いしておるのであります。とる意思があるかどうか、すなわち、今後全面的にわれわれの要求通りに行かないにしても、大蔵大臣としては、そのくらいの措置をとるべきであるという観念のもとに、私はお伺いしておるのでありますから、とつていただく意思があるかどうか。またその方法をとる意思があるかどうかを伺いたいのであります。
○池田国務大臣 そういう具体的な場合におきまして、大蔵大臣が、そういう具体的の問題をその通りに行かすというふうな措置をとるということは申し上げられません。たとえば、百円の国債を持つて来て百円の担保価格に認めろということは、私はできぬと思います。それかう五分五厘の利子でそれを担保にするのだから、貸付の利子も五分五厘にしろ、こういう問題について、日本銀行あるいは農林中金あるいは市中銀行に押しつけることはできません。しかし私の考え方は、これはおのずから道は通ずるのでありまして、問題は漁業金融をいかに円滑にさせるかということで、そこで債務償還の問題や補正予算の問題が出て来るのであります。今川村君のおつしやるように、いかなる大蔵大臣が出ましても、国債を担保とした場合に百円のパーで認めろということは、これはどこの国でもできないと思います。こういう問題について具体的な措置はとれませんが、しかしそういうことの心配のないように、ほかの方面でいろいろな手を打つて行けば、漁業金融のみならず、農林金融にいたしましても、あるいは商工金融にいたしましても、通じるのであります。問題は資金量と経済の状況によつてがまんしなければならぬ場合もありましようし、またできるだけ金を出して、どんどん償還しなければならぬ場合もありましようが、それは経済の実態に沿うように、しかしてまた水産業の発達は日本の将来の運命にもかかわることでございますので、水産金融というものは重点的に考えて行くということよりほかにないと思います。
○川村委員 私のお伺いしたことは、もちろんその問題を命令しろといつたようなことではないのであります。すなわち、最後に三点お伺いしたような問題のないように、ほかの処置でもいいからとつていただけばいいのでありまして、大蔵大臣は最後に、あらゆる面でさようなことのないように努力するという御意思でありまするので、了承いたします。これで私の質問を終ります。
○田口委員 私が質問しようと思いますことも、前二委員で大体意を尽しておるように考えるのでございますが、この質疑応答の間におきまして、最も重大な問題が二つ残つているように考えるのでございます。それは先ほどから川村委員がくどくど申されましたように、資金計画なくして事業計画はできない、こういう問題でございます。この制度改革に対する資金はできるだけの努力はする、こういうような大蔵大臣の御答弁でございますが、どうしてもこの資金計画のある程度の見通しがつかなければ水産庁あるいは現地において計画しておる仕事は、一歩も着手できない。われわれが会社の事業をやりますにいたしましても、まず資金計画をやりまして、そうして事業計画に移つて行くのでありまして、この最も前提の條件になる資金計画があやふやで、見当がつきませんと、どうしても水産庁としても一歩も仕事ができないということになると考えるのであります。大蔵大臣は、特に水産庁で立案をしておる計画につきまして、十分御検討願つてけつこうでございますが、御検討の上の数字については、この資金については、自分が全責任を持つてこの計画をやつてもらう、ここまでお考えくださいますかどうか、その点を御考慮くださいませんと、ほんとうにこの制度改革は一歩も着手ができないというところにおそらく乗り上げるように、今までの実疑応答によつて感ずるのでございます。この点ただちに仕事に着手できるように、ひとつお願いしたいのでございますが、まずこの点について所見をお伺いいたします。
○池田国務大臣 その点は先ほど来申し上げておりますように、水産業は大事な産業でございますから、できるだけの努力をいたす、こういうことでございます。水産庁の資金計画というものは実は私は見ておりません。見ておりませんが、船を一ぱいつくるのに單価はどういうふうになさるか、物価の関係をどういうように見ておられるか、どこの地方にどういう関係になつておるかということは、私はまだ聞いていない。そこで最近の事情によりまして、今債務償還を三十五億あるいは四十五億あるいは六十億ということを聞いておりますが、私は六十億以上やる場合もあると思います。これは先ほど申し上げましたように、国債償還額というものは百億以上ある。五分五厘の漁業権証券を出した場合において、五分五厘の方の償還をせずに、三分五厘の方を先に償還するようなことは、大蔵大臣としてはいたしません。しかし債務償還額を全部漁業権証券に持つて行くということが、水産業の将来のためにいいかどうかということを考えなければならぬし、また全般の金融の問題から考えなければならないのでありますから、私は大蔵省事務当局の三十五億あるいは農林省の四十五億ということを話に聞いても、聞き流しておる。これはこういうところで言うべき問題ではない。漁業計画にいたしましても、四十五億の計画で税金はどうなつておるか、網はどういうふうにするか、船はどういうふうにするか、網をつくる綿花は値段をどういうふうにして計算しておるか、こういうことは一応農林省に話して、これだけ金が足らぬから、これを何とかしてくれ、銀行でこれだけ金を予定していないから、これだけ債務償還でやつてくれ、債務償還はむずかしいから補正予算でやつてくれ、こういうことはそのときそのときでかわつて来る問題で、ことに水産漁業というのはやつかいでありまして、ほかのものはわくをはめておりますが、わくのないところに私はいいところがある、こういうふうに考えております。
○田口委員 ただいまの大臣の答弁によりまして、まだ水産庁の資金計画あるいは事業計画というものは見ていないというような話でございますが、制度改革はこの八月から始まるから、大至急御検討くださいまして、ほんとうに必要な資金、これについては何とかする、こういうようなおつもりで善処していただくことを要望しておく次第でございます。
 第二に、大蔵大臣と各委員との質疑におきまして、大体証券の買上げ償還と、それから農林漁業資金融通法による資金の増額、この二つで大蔵大臣はまかなつてやろう、こういう御意見でございまして、あの融通特別会計に單に三十億あるいは四十億を増加していただきましても、それがはたして漁業の方に予定の金額が来るか来ないか、この問題が非常に重要にございます。今回の制度改革の特殊事情にかんがみまして、何とかひもつきで水産の方にまわしていただくような方法ができましようかどうか、その点をもう一度お伺いしたいと思うのであります。
○池田国務大臣 そこで資金計画の問題につきましても、水産庁はどういう計画をお立てになりましたが、私は財政資金をどれだけ出すかということもきまつていない場合におきまして、資金計画がなかなかできないのではないかと思います。われわれは水産業を発達させる上に、ことにこういう画期的な制度改革があつた場合に、生れ出たものについてできるだけいい着物を着せようというのがわれわれの努力でございます。これでひとつがまんしていただくよりほかにないと思います。資金計画といつても、たとえば十億資金運用部から出した場合のこつちの債務償還の計画、これは動いて行きます。銀行でどれだけ融通ができたかでまた動いて行きます。こういう場合には情勢を見きわめながら、できるだけ水産金融の方を円滑にはかるよりほかない。たとえば農林省の方で、資金運用部から三十億出ることにして、十億やろうといつた場合に、債務償還を何ぼ何ぼにしようと思つても、十億が出なかつた場合にはこつちをふやさなければならぬ。これが六十億で、二十億になつた場合には債務償還を減らさなければならぬ。こうなつて来ますから、あえてこの問題はどうこう、この問題はどうこうと言われても、それはなかなかできない。ことに占領治下におきましては、今の資金運用部につきましても、予算関係だから一々承認を得なければならぬ。だから私の気持は十分おわかりでございましようから、この程度でおまかせ願つた方が一番いいと思います。
 しかして今度のたとえばわれわれの想像いたしておりまする財政資金を農林漁業金庫の方へ持つて行つて、どれだけのひもをつけるかということは、これは大蔵大臣の所管ではないのでありまして、農林大臣がせつかくここにおられますから、十億出たときには何ぼ漁業へ持つて行くか、三十億出たときには何ぼ漁業へ持つて行くか、あるいは六十億以上は法律上できませんが、それまではあなた方の承認を得ればできる。それで六十億のときは何ぼここへやるかということは、農林大臣にお聞きくださればいい。農林大臣がお考えになつて、私がそれに対して財政金融の立場から見て、こう直されたらどうか、それはけつこうでしようということになれば、それできまる。私は今農林にどれだけ、漁業にどれだけということはなかなかお答えできないと思います。
○田口委員 最後に一点。今の大蔵大臣のお話によりますと、農林漁業資金融通法のうちの増額資金につきましては、水産業にどれだけまわすか、いわゆるひもつきの点につきましては、農林大臣の権限である、まさに、私らもさように考えるのでございますが、その場合において農林大臣は、今回の制度改革資金として、特にあの特別会計資金の中からひもつきにしていただく、こういうことができますかどうか。
 それからもう一つは、先ほどから大臣のおられないときに問題になつておるのでございますが、あの特別会計は、少くとも固定施設に対する資金、こういうような意味におきまして、流動資金の問題は解決していないのでございますが、今度の制度改革では、漁具その他流動的の資金が相当多額にいるのでございます。あの特別会計だけでこの問題が解決するような改正が、先方との折衝ではたしてできますかどうか。その点確信あられますかどうか、お伺いしたいと思います。
○廣川国務大臣 大蔵大臣と皆さんの質疑応答で、大蔵大臣が非常に親切な答弁で、しかも漁業改革について全面的に理解されておることはよくおわかりであろうと思うのでありまして、水産庁が現在やつている資金計画その他に対して、こまかい案は見ていないが、大きな面から、水産業の現在の日本の経済上の立場を考慮してのお話がございまして、要するに鶏が先か卵が先かというようによくわかるのでございます。
 それで私に対する御質問は、この農林水産特別会計の中に金が人つた場合に、ひもつきをどうするかというお話でございますが、これは大蔵省とよく相談いたしまして、たくさん金を入れて皆さんの御期待に沿うようにいたしたいと考えております。
○松田委員 大蔵大臣は自由党内閣における大蔵大臣として、今まで池田財政を忠実に二年半において遂行して来たのであります。この日本の再建を基礎づけられたということをわれわれは誇りとし、尊敬しているのであります。しかし先ほど大蔵大臣の答弁のうちに、今日の日本の財政政策では、財政の危機がもしや来るのではなかろうかというふうな御心配の点もあるような口吻が見られたのでありまして、こうした点に対しては、大蔵大臣がさように御心配されるようであつたならば、ずぶのしろうとであるわれわれは、もつともつと心配するのであります。この点に対しては、大蔵大臣は決して心配することのないように、大きな政治力をもつて善処されることをわれわれは期待し、またそれを信じておるのであります。しかして、今日われわれのこの委員会において論議されておる問題は、漁業制度改革による百八十億の漁業権証券の資金化の問題でありまして、これは昨年の十二月十六日の大蔵委員会において、大蔵委員長及び私の質問に対して、百七、八十億の漁業権証券の資金化は同感である、しかも農林、安本、大蔵と検討するということを答弁されたことは、この速記録にも載つておるのであります。しかして水産庁は、この政策の線から行きまして、今までいろいろとこの計画を立てられておつたのであります。しかもまた一月二十六日の当委員会において、私の質問に対して農林大臣は、私は当初考えておつた水産銀行というものを設立するか、またはその他の方法によつてこの百七、八十億の漁業権証券を資金化することによつて、初めて凱旋将軍として錦を飾ることであろう、もしこれが実現しなかつた場合においては、農林大臣は職を賭すであろう、こういうことを言われたが、その意思はどうかと言つたときに、その通りであるという答弁をされておるのであります。
 そこでただいままでの各委員との質疑応答からいたしまして、大蔵大臣は、資金計画は農林省にまかせてある、農林省の資金計画によつて大蔵大省はこれを考慮するのである、こういう答弁をされておるのであります。農林大臣は水産庁長官に向つて、水産銀行ができない場合においては、特別会計をもつてこの資金化をするようにと命ぜられて、今までこの研究に邁進して来たものである。ところがこの水産庁の意見というものが一つも認められずに、大臣の政策の面でなく、事務官僚の省議によつて、この特別会計をつくることも葬り去られたということを聞いている。しからば十二月十六日大蔵大臣の政策としてわれわれに答弁された農林、安本、大蔵の三者とこの問題を検討するという言葉に対して、非常な食い違いが生じている。農林大臣は何のかんばせあつてか当委員会でこの資金化の見通しもまだできないのに、われわれにこの答弁がされるか。この点に対しては、両大臣の政策の面に対する心配と言おうか、遺憾と言おうか、われわれはこうして時間を費して両大臣に質問をしておるのであります。廣川農林大臣は、われわれの信頼するわが党きつての農林大臣である、大蔵大臣はわが党きつての大蔵大臣である。当委員会は、今までかかつてこの努力をして来たものである。これこそ自己の利益のためではありません。日本全国の制度改革を実行されるときにあたつて、新しい漁業制度によつて発足せんとする重大なる時期である。先ほどの大蔵大臣の御意見の中に、三十億や四十億ではない。時と場合によつては百七千億であろうが、百八十億であろうが、全部を資金化することもあるだろう、しかし今日の財政の状況から言つて、そう簡單にでき得るものではないという御意見もありましたが、願わくば両大臣は、今までの各委員の質問しているところ、その意を十分真剣に検討されて、本国会も近く終ることと存じますが、終らざる以前に、どうか両大臣において、政治的にこの問題を解決していただいて、われわれ水産責が国会を終えて再び国に帰り、漁民に対してかようにでかして来たのであるというわれわれ水産委員の使命を全うできるように、あらゆる面から検討されて善処されんことを、私は要望するものでありまして、農林大臣、大蔵大臣の御意見を承りたいと存ずるものであります。
○池田国務大臣 ごもつともな御意見であります。われわれはこの水産銀行につきましても、本委員会並びに他の委員会でも話題に上りまして検討いたしました。また特別会計につきましても検討いたしておるのでありますが、これは先ほど申し上げましたように、水産銀行あるいは、水産特別会計ということよりも、既存の特別会計を活用して行く方が適当ではないかという結論に達しておるのであります。しかしこの問題につきましては、まだ協議をいたしておりませんが、大体の見通しはそこにおちつくのではないかと思います。それから漁業権証券の資金化の問題につきましては、るる申し上げた通りでございまして、われわれは水産業の日本の経済に占める地位、また三百万漁民のことにつきましても、十分な関心を持つておるのであります。従いまして、国にお帰りになつた場合に、どれだけの仕事をしたかということをお話になるならば、農林大臣、大蔵大臣は水産金融の問題については万全の措置をとるということをお伝えいただけばけつこうだと思うのであります。何も金を出し澁るわけではありません。御承知のように、見返り資金にも相当の金が積んであります。資金運用部資金もあるのであります。一に日本の経済がうまく行つて、国民全体のためになる、日本をよりよくしようという努力にほかならないのであります。今の状況から言つて、この点が農林水産には最も力を入れるべき点だと私は考えておるのであります。
○廣川国務大臣 池田君から大蔵省としての毒をお話願つてわれわれも非常に喜んでおるのでありますが、ただ大蔵省というところは、数字を積み上げて納得しなければなかなか承知のできない役所でありますので、われわれの方としては、こまかい数字をあげて、事務の方で連日連夜折衝いたしておるのであります。その過程においていろいろなことがあるかもしれませんが、この漁業改革は、前の農地改革と両々相まつて完成させなければならぬことであります。特に農業と違つて、漁業は仕事を着手するまで見なければならぬので、そういうようなことからいたしまして、この漁業権証券の問題と單なる漁業の金融の問題とにらみ合せて、水産銀行がよろしいのではないかということで、大蔵省とも折衝いたしたのでありますが、なかなかうまく参りません。また水産特別会計についても、大分長い間いろいろな資料を持ち寄つて折衝いたしたのでありますが、まだわれわれの愛する点に行つていないのであります。それで既存の特別会計を十分に活用するような方向に向つて検討いたしておるのでありますが、しかし日も迫つておりますし、特に大蔵大臣は、この水産業に対して非常に理解を持つておられますので、われわれといたしましては、国の経済のために万全を期する覚悟でおるのであります。
○松田委員 大蔵大臣にお願いを申し上げるのでありますが、廣川農林大臣は、ただいま申されるように、われわれ委員会に対して、ほんとうに職を賭して水産金融の問題について努力をすることを誓われておるのであります。この点十分に農林大臣の苦衷を考えていただいて、先ほど申し上げたようなことで、国会の終了するまでの間に、何とか水産庁、大蔵省当局を鞭撻して、この案の成立するように御努力あらんことをお願い申し上げまして、私の質問を終ります。
○小高委員 私は大蔵大臣にお尋ねいたしたいのであります。それは最近の貨幣価値と百七十億の漁業権証券の問題でございます。御承知の通り、漁業法を着想いたしましたのは、昭和二十二年末と記憶しておるのでありますが、昭和二十三年の国会においてこの法案の説明をし、爾来三、四年を経た今日において、国の財政は、大臣の御承知の通り極度に飛躍して参つたのでございます。その当時は百七十億を現金で漁民に渡すことによつて、インフレを助長するおそれが多分にあつた。しかし今日の財政経済下においては、一昨年漁業資材の補給金五十五億を払つてなおかつ微動だもしなかつた状況から見ましても、現金でこれを漁民に渡しても、わが国の財政経済下においては、断じてインフレにならないという見通しを私は持つている。これに対して大臣はインフレを助長するおそれありと見ているのでございますが、これは見解の相違としてよろしいのでございますが、立案当時の百七十億の数字と今日の百七十億と比べると、今日の百七十億は金の使いでがない、つまり貨幣価値が非常に低下しているということから考えた場合に、大臣のひざ元であるところの瀬戸内海に、この百七十億の何十分の一かが割当てられるでございましようが、はたして漁民が百七十億の数字で満足しているかどうか、私は十倍の千七百億を出しても、決してよけいとは言い得ないと思うのでございますが、いまさらこの数字をいじろうとしたり、あるいはこの数字にけちをつけようとするものではございません。あくまでも百七十億は百七十億でけつこうでございますが、この画期的な漁業制度の改革をこの資金をもつてやろうとしているのでございますから、これが百パーセントの金融をはかり、同時に金利等もなるべく漁業権証券に近い金利で手取り百七十億になるように持つて行つてやることは、けだしお互いの責任でなければならないと思うのでございます。われわれが計算器であるならば、それはそれでよろしいでしよう。しかし大蔵大臣も政治家であり、われわれも政治家である以上、経済情勢の変化に即応したところの一つの措置があつていいはずである。基本数字の百七十億は訂正することができませんので、どうしたならば百七十億に近く現金化し――この資金がありましても、冷蔵庫をつくろうとしてもなお足りない。その補給をどうするか、これらの点を考えますと、あくまでも百七十億近い金が漁民の手取りにならなければならないという観点において、とりあえず政府が五分五厘、五年間で出そうと一昨日発表されていたところの、この漁業権証券に対し、五分五厘に最も近い金利で貸し出す方法がおありになるかどうか。先ほどの川村委員の御質問と少し意味を違えまして、五分五厘に最も近い金利で、貸し出す窓口がいずれの方法によつて求められるか、この点を大蔵大臣にお尋ねいたしたいのであります。
○池田国務大臣 この百七十億は二十三、四年の状態できまつたと思うのでありますが、あの当時と貨幣価値において変動はないと思います。百七十億円でけつこうだというお話でありましたが、私もそれでけつこうだと思います。その間の問題につきましては、先ほど来申し上げた通りでございます。漁業権証券の発行條件もまだ確定いたしておりませんが、たとい五分五厘にきまつたといたしましても、私が答えたように、証券の金利が五分五厘であるから、金利を五分五厘にしろというわけには行かないであります。これは漁業権証券自体の信用の問題であります。だから信用をできるだけ高めるようにいたしたい。しかもまた漁業者の経営の状況を考えまして、私はこれを債務償還で調整して行くべきであると思うのであります。農地証券におきましても、御承知のように、十河年間で償還する予定のものを、昭和二十五年度の当初におきましては、かなり金詰まりで、今これを全部償還してもさしつかえないという状況になつたので、予定を繰上げて、ほとんど全部を償還したのであります。しかしただいまのところは、御承知のように世界の物価に比べて相当上位に行つております。これをできるだけ安定させるように努力しておるのでありますが、今の情勢から申しますと、こういうものは私はできるだけたくさん償還したいのであります。したいのですが、別の面でなかなかむずかしい。しかし一方ではできるだけ漁民の方に早く返してできるだけ楽にしようというのが私の念願であります。従つて私が六十億円以上償還するようなことがあるかもしれないと言うことを、非常にふしぎがられますが、これは農地証券の場合にそういたしたのであります。これは経済の状況、金融の状況から考えて行くべきであつて、ただいまは、四十五億とか、六十億とかにくぎづけせられるべきものじやないというのが私の信念であるのであります。経済界が安定いたしまして、しこうして漁業資金の需要がますます旺盛になつて来れば、私は債務償還費は一般会計におきましても百億円以上出します。また見返り資金においては、経済再建費として、昨年債務償還すべかりし五百億円を繰越しておるのでありますから、この点でもおわかりと思います。ここで三十五億とか四十五億とかで農林当局と大蔵当局が議論するのはいかがなものかというのが、私の信念であるのでありまして、情勢に即した適当なる金額の債務償還をする考えであります。これによりまして漁業権証券の値打もきまつて来るし、金融の道もおのずからよくなつて来ると思うのであります。
○小高委員 ただいまの大蔵大臣の御答弁は、私の質問したところとちよつと的がはずれた御答弁のようなきらいがあります。私は百七十億の漁業権証券の金額は、むしろ今日の財政下においては少く思われるが、この数字を今いじるということは、根本的に基礎をゆすぶることになりますから、少いけれども、一応がまんしようと言つているのでございます。それに対して、百七十億の数字を漁民の手取り百七十億に近いものを渡したいために、五分五厘の金利で出せと言つているのではありませんで、五分五厘に近いところの、金利を安く貸出す方法はないかと、その方法をお尋ねしておるのであります。
○池田国務大臣 銀行の貸出し金利の問題につきましては、大蔵省で全般的にある程度の勧告はできますけれども、個々の問題についてこれだけという指令はできないのです。そういう問題がございますから、とにかく百七十八億円を一ぺんに償還すればこの問題はなくなつてしまう、どれだけ償還するかということが問題なんです。しかも償還期限を五年にするか、三年にするか、あるいは八年にするかによつてもきまつて来る問題でございまして、漁民の方々にできるだけ不利にならないように、しかも日本の経済全体からいつて、総合的に適当な方法をとりたいと言つておるのであります。
○小高委員 それではこれで質問は打切りますが、何といつても委員一同の唱えているところの、現金化の問題が一番喫緊の問題であり、これを上手にやつていただきませんと、われわれの怠慢ということでなく、先ほど大臣のお話になりました、漁業制度の確立に対する基礎方針が確定していないということになりますし、免許料、許可料の問題がこれにこだわつて参りますので、先ほど大臣は免許料、許可料よりも漁業がうまく行くか行かないかが心配であるとお話になりましたが、漁業がうまく行くのも、行かないのも、一にかかつてこの漁業権証券にあるということを御了承いただいて、特にこの点についてお力添えを賜わりたいことを希望いたしまして、私の質問を終ります。
○小松委員 大蔵大臣にお伺いいたしたいのでありますが、ただいま問題になつております漁業権の補償金に対する課税につきまして、今回租税特別措置法を設けようといたしておるのでありますが、この原案によりますと、補償金額を再評価額として再評価が行われるのでありまして、六%の再評価税をこれに課税するようになつておるのでありますが、御承知のごとく漁業制度の根本的な改革によりまして、従来の漁業権を消滅させて、その漁業権に対する補償金に現行の税制をそのまま施行することは、相当多額の負担になりますから、かような租税特別措置法を設けられたと思うのでありますが、私がお願いいたしたいことは、漁業制度の改革によりまして漁業権を消滅させて、その消滅させた漁業権に対する補償金は、資産再評価法によります他の資産に課税するものとは、根本的にその性格を夫にしていると思うのであります。ゆえに漁業権の補償金額に対しましては、全面的に免税すべきであるということを主張するのでありますが、大蔵大臣は、これに対して全面的の免税はできないかどうか、これをまずお伺いいたしたいのであります。
○池田国務大臣 結論から申し上げますが、いろいろな点を考慮の結果、六%の課税にとどめたいというのでございます。御承知の通り、一般の場合におきましては、資産再評価をした金額と、財産税のときの評価額の差に六%を課税している。しかして再評価の金額と実際の讓渡金額との差額につきましては、最高五五%の税率で課税いたしておるのであります。今回の租税特別措置は、この再評価の金額と譲渡金額との差に五五%の最高税率を一課税するというやり方をやめまして、全般を六%でやろうというのが租税特別措置なのであります。全部負けてしまつたらどうかというお話でございますが、私は今の状況から申しまして、一般の所得税で課税する高率の課税を、ごく低くするということが適当であると考えて、御審議を願つている次第であります。
○小松委員 再評価の課税方法については私もよく存じております。けれども、私ども漁業法の審議の過程におきまして、かくのごとき漁業権の補償金額に対しては課税しないという御答弁を承つて、われわれはこれを信じて参つたのであります。しかるにかかわらず、突如として今回かような課税をするということは、あまりにも国会を偽り、国民を欺くものであると考えますがゆえに、特に私はこの問題を主張するのであります。どうか大蔵大臣におきましても、漁業権の性格をよく御認識あつて、十分御考慮を願いたいと思うのであります。
 さらにお尋ねしたいことは、もしも課税することがやむを得ないといたしましても、定置漁業権と、専用漁業権のうちで貸し付けてあるものは別でありますが、それ以外のものとはおのずから異なつておると私は思うのであります。しかるにかかわらず、同一の課税方法をとるということは妥当を欠くと思うのであります。御承知の、ごとく、専用漁業権は、その内容は入会権でありまして、地元の漁民は自由に使用し、これが地元の漁民の生活の基礎になつておりまして、多く浮魚等を漁獲いたしておりますが、この専用漁業権の浮魚の漁獲高は、およそ価格に見積つて七〇%を占めておるとわれわれは承知いたしておるのであります。さような意味よりいたしまして、貸し付けてある専用漁業権以外の専用漁業権に対しては、この七〇%を控除して課税することが、漁業制度改革を円滑にするものではないかと思うがゆえに、こういう方法はとれないかということを私はお尋ねしたいと思うのであります。
○池田国務大臣 漁業権証券交付によりまする所得の発生につきまして、政府は課税しないという答弁をしたことはないと思います。私はある委員会におきまして、これは法律に基くものでございますから譲渡所得その他につきましては、特別の考慮を払うべく今検討しておるということを申し上げたことは記憶しておりますが、この問題につきまして、全然課税外に置くということは、私はお答えしていないのであります。十分検討を加えるということを申し上げておるのであります。しかしてこの課税の実施にあたりまして、今の記帳価格の問題あるいは漁業権というものは、個人なんかでは記帳していらつしやらない場合も相当あると思います。従いまして、財産税評価時期の、いわゆる基本になる価格の問題、倍数は大体わかつておりますが、こういう問題につきましては、課税上できるだけしんしやくと申しますか、実情に沿うようなやり方で行くように指令いたしたいと考えております。
○小松委員 私は専用漁業権についてお尋ねしておるのであります。この専用漁業権のうちで、浮魚の漁獲がその七〇%を占めている。この専用漁業権は漁民が自由に行使しているものであるから、こういうものに対しては七〇%の控除額を認めることはできないかということをお尋ねしておるのであります。この点再び御答弁を願います。
○池田国務大臣 専用漁業権その他の実情を私は詳しく存じておりません。従いまして七〇%の控除をするということを、今お答えするわけに参りませんが、先ほど申し上げましたように、こういう場合でございますから、できるだけ実情に沿うような課税をやつて行きたいということで御了承願いたいと思います。
○小松委員 それでは、その問題は十分御検討願いまして、さような方法をひとつぜひとつていただきたいと思うのであります。
 次にお尋ねしたいことは、この補償金は漁業権証券で交付される。現金の支払いがない方針のようであります。ところがわれわれが納める税金は現金でこれを徴收される。そこで現在の漁業の経営状態から見まして、漁業協同組合においても、漁民においても、今日漁業の経営難に非常に苦しんでおる際であります。こういう際において、われわれが受くべきものは証券でこれを交付され、政府に納めるものは現金で納めなければならぬということでは、いよいよ零細な漁民、ことにまた新しく出発する協同組合等の経営が窮地に陥るであろうということを私は恐れるのであります。だからこういう税金を納める者に対し、税金引当の現金化というようなことについてお考えはないか、この点をひとつお尋ねいたしておきます。
    〔委員長退席、鈴木委員長代理着席〕
○池田国務大臣 それは先ほど来質疑がございました本年度の漁業権証券の償還の問題のときにお答えしておりましたように、漁業権証券をおもらいになつて、そうしてそれによつて税を納める場合につきましては、換価につきましてはできるだけの措置を講じなければならぬということは、先ほど本年度の償還のわくの中でお答えしたと思うのであります。
○川村委員 ただいま漁業権証券の課税についての御意見を小松君から申されまして、それについて十分検討していないということでありまするが、もちろん大臣は検討を十分されていないと思います。ただわれわれは漁業権証券で交付は受けますが、一応今後漁業を経営する者は、免許料、許可料で払つて行くというかつこうになるのであります。そこで漁業権証券はどうかというと、不在地主的存在の、單なる漁業権を持つて今日まで搾取して来た者も、漁業経営を今日まで續けて来た人も、いずれも六%を払わなければならぬ、こうなつております。私たちはでき得るだけ、今小松君の言われるように、大衆漁民、すなわちほんとうに漁業を経営しておるところの漁民に対しては、できるだけ税を低くしてもらいたいということから、小松君もおそらくそういう意味で質問されておつたと考えます。私もその通りの考えを持つております。でありますから、国家の税徴收の金額は狂わさないで、むしろ増額ができるようにするには、こういう方法があります。いわゆる今後休業したり、それからこれまで漁業権を持つて、人にただ單なる貸付をして搾取をしておつた階級から、もう少し所得税でとればいい。そうしますと、いわゆる専用漁業権の税率をまた低くするのもよいし、それから今後真に経営しますところの漁民から、免許料、許可料を安くすることもできる。いわゆる一石二鳥の方法をとれるのであります。でありますから、大蔵大臣はもう少しそういう点を研究なされて、でき得るだけ大衆漁民のいわゆる課税については、安くする方法を考えてもらいたい。これをつけ加えておきます。
○小松委員 ちよつと一点だけ……。補償金に対する税金につきまして、少額の納税者に対しては特殊の免税の方法がありますかどうか、この点をひとつ伺いたい。その少額所得者は、どの程度のものであるかは別問といたしまして、われわれ常識で考えて、その少額所得者はまず一万円以内くらいの税金の者、これに対して免税の方法があるかどうか。
○池田国務大臣 これはだれがこの再評価によつて所得をして、そうとて納税するかという問題であるのであります。従いまして漁業会等におきまして、再評価によつて出て来る分につきましては漁業会が負担いたしますが、実際に負担する人は漁業会の会員であります。個人の所得税とは関係ございません。しかして今まで漁業会の会員でありましたが、今後は漁業を営まないという人については、漁業会の持分の払いもどしがあります。この払いもどしにつきましては、その人の所得の状況によりまして、免税点以下のものにつきましては課税にならぬ場合が相当あると考えております。
○鈴木委員長代理 時間も経過いたしておりますから、午前中の会議はこの程度にとどめまして、午後二時から委員会を再開いたします。
    午後零時五十一分休憩
     ――――◇―――――
    午後二時四十二分開議
○二階堂委員長代理 それでは午前に引續いて会議を開きます。
 漁業権証券の課税の件を議題といたします。
○小高委員 午後からのこの委員会に大蔵大臣と農林大臣が出席する予定であつたところ、いまだお見えになりません。午前の漁業権証券の現金化問題あるいは課税問題がまだ解決しておりませんので、当委員会としてはあくまでもその解決に努力しなければならぬと思うのでありますが、委員長においていかなるおとりはからいをなされるか、お伺いいたしたいと思います。
○二階堂委員長代理 ただいま小高委員より申入れがありましたように、まだ幾多の問題が残つておるようでありますので、後日大蔵農林両大臣に、さらにこの委員会に来ていただきまして、質疑を續行いたしたいと考えております。さようにとりはからうことにいたします。
○川村委員 午前中大蔵、農林両大臣の意見をただしたのでありますが、ただいま小高委員からも申されたように、まつたくわれわれは納得行かないのであります。すなわち漁業制度改革によりますところの漁業権証券の資金化、あるいは財政措置等につきましても、まだ確たる答弁をいただいておらないのであります。もちろんこれにつきましては、ただいま委員長の御意思を発表になつたのでありますが、その方法も必要だと思います。しかしまだわれわれといたしましては、十分にわれわれの腹を水産庁当局に植えつけておらないので、水産庁当局と懇談会でも開いてよく話をし、来るべき委員会までには当局に十分に折衝させ、政治的にも活動した方が、漁業権証券の資金化の問題、あるいは漁業制度改革による財政措置の問題も、促進するのに都合がいいのではなかろうか、また漁業権証券に関係のある問題についても、われわれと大蔵当局との意見は相当に食い違いがあるのであります。たとえて言えば、大蔵当局の考えておりますところの租税特別措置法の一部改正で、平均に六%の税を徴收するという方法等についても、われわれは納得行かないのであります。結局漁業権証券は、御承知の通りわれわれ経営する者は、将来漁業権の免許料並びに許可料を国に徴收をされるのでありまして、それを経営する漁民だけが負担するということになりますので、結局のところは、休業漁業者とか、またこれまで漁業権を貸し付けて搾取の階級にあつた非漁民のふところをつくつてやつた代償を、われわれが払わなければならないというような矛盾も出ておりますので、これらも当局とわれわれと懇談的につ込んで話を進めて、大蔵委員会で取上げております租税特別措置法の一部改正について十分の知識を与えて、通過させた方がいいのではないか、できれば租税特別措置法の一部の改正については、次の国会まで継續審議として残させて、その間にわれわれがこの漁業権証券の課税に対する問題を十分に練つても、何らおそくないのではないか。と申し上げますのは、その内容を見ますと、あの一部改正が通りました場合には、一月一日からさかのぼつてこれを徴收することになつておりますので、来る臨時国会で通しましても、何ら税を徴收するに支障がない。ただ幾分遅れるというだけにすぎないのではないかと思いますので、こういう処置もわれわれとして考えなければならないと思いますから、委員長におかれましては、このことも十分お考えおき願い、大蔵当局にも十分このことを植えつけ、そうして双方の意見の交換も必要ではないかと思いますので、先ほど申し述べられた小高委員の意見につけ加えて、私の趣旨をとられんことを、委員長にお願いいたします。
○二階堂委員長代理 それでは川村委員の御発言の御趣旨に従つて、さようとりはからうように善処いたしたいと思います。
 本日はこれにて散会いたします。
    午後二時五十一分散会