第010回国会 農林委員会 第20号
昭和二十六年三月十三日(火曜日)
    午後三時二十二分開議
 出席委員
   委員長 千賀 康治君
   理事 野原 正勝君 理事 松浦 東介君
   理事 足鹿  覺君
      宇野秀次郎君   小笠原八十美君
      小淵 光平君    川西  清君
      河野 謙三君    中馬 辰猪君
      原田 雪松君    八木 一郎君
      金子與重郎君    八百板 正君
      池田 峯雄君    横田甚太郎君
 出席政府委員
        農林政務次官  島村 軍次君
        農林事務官
        (大臣官房長) 塩見友之助君
        農林事務官
        (農政局長)  藤田  巖君
        食糧庁長官   安孫子藤吉君
 委員外の出席者
        専  門  員 難波 理平君
        専  門  員 岩隈  博君
        専  門  員 藤井  信君
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三月十日
 農業災害補償法の一部を改正する法律案(内閣
 提出第九〇号)
同月十二日
 政府手持大豆粕を乳牛飼料として払下げに関す
 る請願(小平忠君紹介)(第一二〇六号)
 昭和二十五年産麦類、大豆、雑穀を飼料に割当
 に関する請願(小平忠君紹介)(第一二〇号)
 国有牧野開放に関する請願(高木松吉君紹介)
 (第一二三一号)
 育素多、幌岡両地区及び下幌岡地区の開田事業
 費国庫負担の請願(高倉定助君紹介)(第一二
 三三号)
 麦類に対する銘柄設定に関する請願(塩田賀四
 郎君紹介)(第一二三四号)
 国産マオラン麻事業救済対策確立に関する請願
 (池見茂隆君紹介)(第一二三八号)
の審査を本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 農業委員会法案(内閣提出第四三号)
 農業委員会法の施行に伴う関係法令の整理に関
 する法律案(内閣提出第五四号)
 食糧管理法の一部を改正する法律案(内閣提出
 第七九号)
 食糧の政府買入数量の指示に関する法律案(内
 閣提出第八〇号)
 農業災害補償法の一部を改正する法律案(内閣
 提出第九〇号)
 積雪寒冷單作地帯振興臨時措置法案(松浦東介
 君外百四十名提出、衆法第一一号)
    ―――――――――――――
○野原委員長代理 ただいまより農林委員会を開会いたします。
 委員長が遅れて見えますので、私がかわつて委員長の職務を行います。
 去る三月八日本委員会に付託に相なりました松浦東介君外百四十名提出、積雪寒冷單作地帯振興臨時措置法案及び去る十日付託になりました内閣提出、農業災害補償法の一部を改正する法律案を順次議題といたし、審議に入ります。
 松浦東介君外百四十名提出、積雪寒冷單作地帯振興臨時措置法案の提案理由の説明を求めます。松浦東介君。
    ―――――――――――――
○松浦委員 ただいま議題と相なりました松浦東介外百四十名提出、積雪寒冷單作地帯振興臨時措置法案に関しまして、提案者を代表し提案理由を申し述べたいと存じます。
    〔野原委員長代理退席、委員長着席〕
 この法律を提出いたしました根本の理由は、まず国内食糧の増産をはかり、その自給度を高めることであります。世界情勢は微妙複雑、いささかも楽観し得ない今日の段階におきましては、国氏生活の安定を期する上から申しましても、国内食糧の自給度を可能な限り引上げ、外国依存を軽減する方途を講ずることの必要性はあらためて論ずるまでもないところでありまするが、国民食糧の大宗である米穀について申しまするならば、年々二千万石以上を生産し、全国供出数量の四〇%をこの地帯より供出し、戦前戦後一貫して日本の穀倉的役割を果して参つた單作地帯に対して、この際国の財政力の許す最大限度において追加的な投資を行い、土地改良等農業生産条件の整備を促進し、二毛作化を可能ならしめますならば、飛躍的な増産効果を発揮し得ることは、まつたく疑う余地がないと信ずるのであります。
 次に、積雪寒冷單作地帯農家の経済的基礎を確立しまして、世界経済との接触に伴う経済変動に耐え得る強靱な基盤を確立し、ひいては社会政策的な施策の強化に資することであります。東北、北陸等の單作地帯は、従来早場米の供出地帯でありまして、年々八十億ないし六十億円に達する早期供出奨励金の実に八〇%がこの地帯に交付され、農家経済を潤おして来たのであります。元来早期供出奨励金は、端境期における米穀の出まわりを促進するために定められた制度ではありまするが、今日ではむしろ單作地帯を保護救済する重要な措置と相なつておるのであります。しかして近時政府手持ち食糧の増加に伴いまして、この奨励金は逐次縮減の方向にあり、二十六年度予算案におきましては、三十億円を計上されることと相なつているのであります。かくのごとく財政経済の正常化に伴いまして、自然的、社会的条件の劣悪な單作地帯農家は、今後相当の試練に遭遇するものと予想いたされまするが、かような趨勢に対処いたしまして、この際單作農民がいかなる経済変動にも対応し得る体制を早急に確立しますることは、この地域の歴史的事情に徴しましても、一日もゆるがせにできない肝要な施策と存ぜられるのであります。
 以上のごとき根本的な理由に立脚いたしまして、ここに積雪寒冷單作地帯振興臨時措置法案を各派の共同提案によつて提出し、積雪寒冷單作地帯を適用の範囲とする特別法の制定をはかることといたしたのであります。もとより積雪寒冷單作地帯農村振興に関する具体的な方策につきましては、国内の衆知を集め、精密な調査と熱心な研究の後に初めて確立されるものでありまするので、この法律案では、まずこの態勢の整備を可能ならしめる基本的な計画並びに組織をすみやかに確立することを当面の目的としているのであります。すなわち一、政策の基礎を明確にかつ全面的に打出しますために、農業振興計画を市町村、道府県及び中央のおのおのの段階において策定することを法律的に命令し、その実施に対して、国は財政金融力の許す最大限度において援助する義務を負うことを明らかにいたしましたこと。二、積雪寒冷單作地帯の指定並びに振興計画の承認等に関する議決を行い、かつ農村振興に関する審議並びに建議を行うために審議会の設置を規定しましたこと。三、とりあえずこの振興計画を五箇年間に遂行せしめるために、本法を五箇年の限時法としましたこと。
 以上のごとき趣旨に沿つて立案しましたこの法律案の主要条項について、以下若干の説明を加えることといたします。
 まず積雪寒冷單作地帯の意味並びにそれが成立する要件についてでありますが、それは積雪寒冷がはなはだしいこと、農地の利用率が低いこと、農業生産力が劣悪であること、という条件が具備されることが必要であり、しかして積雪寒冷地に立地しまする限り、水田地帯と畑地帯の双方について、一毛作または著しく生産力の低い、換言すれば土地の收益力の薄い地域が本法の対象地域として取上げられまするが、その地域につきましては、農林大臣が積雪寒冷單作地帯振興対策審議会に付議した上、道府県名を示して具体的に積雪寒冷單作地帯たることを指定しなければならないことといたしております。積雪寒冷單作地区についてもまた同じ趣旨といたしております。
 次に、農業振興計画の内容及びその決定並びに変更の手続についてでありますが、計画の内容については、広く全国の農業及び農民生活を通じて実施すべき事項が掲げられているのでありまして、これらは農業委員会法案における総合計画とその内容を合致せしめてあるのでありまするが、要するに積雪寒冷地帯の劣悪な自然的、社会的条件に即応した具体的な施策を、一層拡大された規模と、短縮された期間内に、中央、地方協力して実現せしめようとする意図が盛られているのであります。従つて計画の決定とその変更につきましては、住民、議決機関、執行機関のおのおのが、その地位と責務の重要性を明確に自覚して、この事業に参画し得るごとき責任体制がとられているのであります。
 市町村の農業振興計画、道府県の農業振興計画並びに国の農業振興計画の相互関係につきましては、各級農業振興計画は地方自治を尊重する建前から、それぞれの機関によつて確定される独立計画でありまするが、別々に孤立した計画ではなく、道府県は市町村の、国は道府県の計画をそれぞれ自己の計画に組み入れて、総合的に作成されなければならないこととなつており、しかして政府は最後に、財政金融状況を勘案した上、各年度の直営、補助、非補助等の各種事業全般について詳密な全体計画を作成し、道府県へ通知することといたし、道府県または市町村は当初に作成した計画と、国または道府県より通知を受けた計画とを照合し、変更の必要があれば変更を加えつつ最終計画を定め、かくて最終的に決定された計画が実施に移されるわけでありますが、年度の中途において天災地変、経済事情の激変等により計画を変更する要が起きたときも、前の手続の例に従つて計画変更が行われることといたしております。
 最後に積雪寒冷單作地帯振興対策審議会が、この法律の運用のため並びに広くこの地帯の農村振興に関する重要事項を調査審議し、かつ関係行政機関に建議するために設置されることは前述のごとくでありまするが、その調査審議内容は、いやしくもこの地帯の農業並びに農民生活に関係を持つと思われる一切の問題を包含することと予想されまするので、この審議会の組織はかような任務にふさわしいように総理府に設置され、総理大臣の任命する各方面の権威者三十名以内で構成され、さらに補助機関として専門委員が置かれ、部会を構成して専門事項の研究に当ることとなるのであります。
 以上本法律案の概要を御説明申し上げましたが、慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いする次第であります。
○千賀委員長 本案に対する質疑は次会よりこれを行うことといたします。
    ―――――――――――――
○千賀委員長 次に農林災害補償法の一部を改正する法律案の趣旨について、政府の説明を求めます。島村農林政務次官。
    ―――――――――――――
○島村政府委員 ただいま上程になりました農業災害補償法の一部を改正する法律案について、その提案の理由を御説明いたします。
 この法律案の内容は、現行の農業災害補償法第十三条の二及び第十三条の三の規定によりますと、昭和二十四年、二十五年の両年度におきまして、蚕繭共済及び家畜の死亡廃用共済にかかわる共済掛金の一部を国庫が負担いたすことになつておるのでありますが、これを改正して、昭和二十六年度におきましても同様の措置を講ずることといたしておるのであります。
 右の国庫負担措置の経緯について申し上げますと、蚕繭共済につきましては、農業災害補償制度制定当時は、製糸業者等がその共済掛金の一部を繭の取引数量に応じて分担し、この負担金の財源を生糸等の販売価格の統制額の中に織り込み、生糸等の使用者に転嫁することができる措置を講じていたのでありますが、昭和二十四年五月に至り、蚕糸に関する諸統制を撤廃いたしましたため、かかる措置が実際上不可能となりましたので、第六国会におきまして、国家財政の将来をも勘案いたし、とりあえず昭和二十四年、二十五年の両年度において、右の製糸業者等が蚕繭共済にかかわる共済掛金の一部を負担する措置にかえて、これを一般会計において負担することにいたしたのであります。また家畜の死亡廃用共済につきましては、第五国会におきまして、任意加入制を改め、農業共済組合の総会の議決のあつたことを条件とする最低共済金額の加入義務制といたし、この措置による加入頭数の増加に伴う共済掛金標準率の引下げ等の措置を講じたのでありますが、その後これに関連いたし、第六国会におきまして、国家財政の将来をも考慮いたし、とりあえず昭和二十四年、二十五年の両年度において、この共済掛金の一部を国庫負担とする措置を講じたのであります。
 これら蚕繭共済及び家畜の死亡廃用共済にかかわる共済掛金の一部を国庫において負担する臨時的措置は、養蚕及び畜産の重要性と農業災害に対する国家補償制度強化の必要性にかんがみまして、国家財政事情の許す限り、これを恒久的措置にいたしたいと考えているのでありますが、この点につきましては、異常災害の連続発生に伴う共済掛金率改訂等を中心とする制度の根本的再検討の際、あわせて考慮いたす考えであります。
 以上がこの法律案の大要でありまして、右に伴う予算上の措置につきましても、昭和二十六年度本予算案におきまして、蚕繭共済にかかわる共済掛金の国庫負担額二億一千八百七十万円及び家畜の死亡廃用共済にかかわる共済掛金の国庫負担額一億四千六百二十五万円をそれぞれ計上いたしてありますので、何とぞ慎重御審議の上御可決あらんことをお願いいたす次第であります。以上提案の理由を説明申し上げます。
○千賀委員長 これより本案の質疑を行います、野原委員。
○野原委員 農業災害補償法の一部を改正する法律案のただいまの提案理由を伺つたのでありまするが、根本的な補償限度の引上げとか、そういつたいろいろな問題に関しまして、別にこれは近く大きな改正がされるということも伺つておるのであります。このたびの一部改正というのは、二十五年度の末で終るものをいろいろな事情から二十六年度に延ばすというだけの、期間の延長という案件だと思うのであります。この問題に関しましては、後日災害補償そのものに関しましてはいろいろと審議をして、十分よりよき法案にすることを望むものでありまするけれども、今回の改正案に関しましては、單にこうした時間的な問題の必要上改正をするということであるならば、格別これに対する質疑、討論というふうな必要もなかろうかと思うのでありまして、この際質疑、討論等を省略いたしまして、ただちに採決されんことを望む次第であります。
○千賀委員長 野原理事の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○小笠原委員 ちよつと関連して………。野原委員の動議には異議ありませんが、ただ政府当局から今度はほんとうのこの改正する時期はいつであるかということをここに御答弁を願つて明確にしておいて、この審議に入りたい、こう思うのであります。
○島村政府委員 本年度中に改正案を提出する予定で目下研究中であります。二十六年度中でございます。
○小笠原委員 そうすると二十六年度というのは、来年の三月まで待つてくれという話ですか。今度の五月の臨時国会があるというのに間に合わぬのですか。そこはどうなんですか。
○藤田政府委員 御承知の通りちようど水稲の保険料率は、二十七年度水稲から改訂するということに相なつております。従いまして、どういたしましても、その時期までには災害補償制度の根本的な具体的な改善方策をきめなければならぬ、それに伴いまして、料率の改訂なり、あるいはまた国家負担をどうするかという問題が出て来るわけでありまして、さような問題について研究をいたしまして、二十六年度と申しますか、本年のおそくも七、八月ごろまでには案をきめる。そうしてその内容によつて二十七年度の予算の上に具体的にその方策が現われるようにする。そういう事情でございますので、災害補償制度の根本的改正は、来年度の通常国会におきまして御批判とともに御審議を願いたい、かようなことで準備をいたしておるのであります。
○小笠原委員 そうしますと、二十六年度の率の引上げとか何とかいうことは、えらいやかましい問題ですが、これをどうお考えになつておるか。
○藤田政府委員 二十六年度の水稲について、これからすぐに保険料率の改訂をせよというような意見も大蔵省方面から出たのでありますが、実際問題といたしまして、二十六年度の水稲の保険料率というものは、おそくも五月ごろまでにはきめなければならぬのでありますが、保険料率の改訂に伴う各地域のいろいろのこまかい具体的な料率というものは、やはり資料をとつて研究をいたさなければいけませんので、それはとうてい不可能であるということは考えております。従つてこの法律の規定の通り二十七年度の水稲から料率の改訂をする。水稲につきましてはさようなことにいたしまして、その機会に補償制度の根本的な改善方策を考えるということであります。
○小笠原委員 そうすると、これはどうなるんですか。二十六年度の事務的の手続でなく、実際の保険の問題の赤字補填とでもいうか、その予算措置は、事務的なこの法案によつての処理でなく、何か別の方法で処理できる見込みがあるのか。
○藤田政府委員 すでに発生をいたしております連合会の不足の十九億の補填の問題、これにつきましては、われわれといたしましては、補正予算において当然利子補給等の問題も考えて行かなければならぬと思つております。さようなことでこれは解決をいたしたいと思つております。それ以外に今度は現行の保険料率をさらに幾ら上げるか。さらにそれに伴う国家負担と農家負担の区分をどうするか。そのほかに補償制度に伴ういろいろな根本的な改革というものは、もう少しあとになるわけでありまして、その問題については、おそくも二十七年度の予算編成時期までに決定をして、それを二十七年度の予算の上に具現するようにいたして行きたいと思つております。
○千賀委員長 これより農業災害補償法の一部を改正する法律案について採決いたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔総員起立〕
○千賀委員長 起立総員。よつて本案は原案通り可決すべきものと決しました。
 なおお諮りいたします。本案に関する委員会報告書作成の件につきましては、委員長に御一任願いたいと思います。御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○千賀委員長 御異議なしと認めます。ではさようとりはからいます。
    ―――――――――――――
○千賀委員長 次に、これより農業委員会法案、農業委員会法の施行に伴う関係法令の整理に関する法律案、食糧管理法の一部を改正する法律案及び食糧の政府買入数量の指示に関する法律案の四案を一括議題といたし、質疑を行います。
○河野(謙)委員 食糧の問題に関連して、政務次官に意見をつけ加えて資料の要求をしたいと思います。しかし資料の要求をまつまでもなく、政務次官からここで御答弁があれば幸いでありまするが、おそらく御答弁ができないと思います。かねて農林大臣なり安本長官は、食糧の中間経費を減じて、将来消費者価格をもつと下げる。その方法としては、食糧管理局の事務費を一般会計へ振りかえる。早場米の奨励金とか超過供出の五十億も一般会計に振りかえる。なお中間その他の経費も極力一般会計に振りかえて、食糧の消費者価格を下げるという方針をすでに発表しておられる。これは将来残つた問題ですが、こういう将来の方針を立てておる政府が、まず第一着手として食糧公団の廃止をやられた。食糧公団の廃止ということの一番大きな目的は、とりもなおさず中間経費の削減だと思う。ところが私が承知しておる範囲では、食糧公団を廃止して、民間の卸なり小売機構に切かえても、その事務的内容たるや中間経費の削減になつていないと私は予想する。つきましては、これについての詳細なる資料がほしい。公団をなくして政府は卸にどこで品物を渡すか。卸は政府から受取つた品物をどこで小売に渡すか。あるいは運送なり倉庫なりその他の経費が、従来政府から公団、公団から消費者というように渡つた当時と比べて、今度の機構改革に伴つて、四月以降は一体どうなるのか。
 なお私が聞くところによりますと、この機構の切りかえにおきまして、食糧の配給のために食管の人員を千八百名増員されている。これは何のことか私にはわからない。もし千八百名ふやされるなら、いかなる理由によつて千八百名の増員をされるのか。これもひとつお教え願いたい。おそらく今度の機構改革は、政府の目途としておるところの中間経費の削減にならずして、むしろ非常に膨脹させておる。ところがたまたま食管に余裕財源があるから、その余裕財源の中でボロを出さずにつくろつておるというだけであつて、内容は非常な膨脹だと私は思う。この膨脹した中間経費というものは、政府がかねて発表しておるように、将来一般会計に振りかえて消費者価格を切り下げるという場合には、これは一般会計の負担の増大になる。そこで私たちはこの際公団廃止に伴う中間経費について詳細に伺つておきたい。
 もう一つは、公団を廃止した後、市町村の食糧配給の事務が非常にふえると思う。平衡交付金が少い、地方の財政は非常な危機に瀕しておるという声が強いが、その際に、食糧の配給機構の改革に伴つて、市町村に食糧事務が全部転嫁される。政務次官は御存じだと思いますけれども、今まで市町村がやつているはずの仕事は、実は食糧公団が大体市町村にかわつて全部やつていた。これは公団と市町村との話合いで、公団が大体市町村の仕事を代行しておつた。ところが公団がなくなりますと、全部その仕事が市町村にもどるわけです。ところが市町村はどうかというと、自由党の内閣ができて以来、次から次に統制を撤廃するので、従来の統制事務をやつていた人を、どんどん他の産業方面の仕事に振りかえるとか、もしくは人の整理をやつたから、今ここで食糧公団がなくなつて、食糧配給の複雑な事務をあらためてやつてくれと言うても、市町村にはそれを受入れるだけの態勢ができていない。そこで今度食糧公団をやめた場合に、市町村はどういうふうな事務分担をして、どれだけの仕事がふえるのだということも、あわせて詳細に資料を提供してもらいたいと思います。
○島村政府委員 資料の御要求でありますから、後ほど提供いたします。つけ加えて意見を申し上げておきたいと思いますが、公団廃止後における措置については、もちろん配給の円滑化を期する建前から、既定方針に従つて今回公団を廃止することになるのであります。これにはいろいろの理由もありますが、中間経費の節減もその大きなものであると思うのでありまして、ただ千八百各の増員は、これは御承知の通り運賃プールの関係で、中間におけるその最小限度の事務を食糧庁自身でやるということから計画をいたしまして、事務の円滑化をこの千八百名の増員の範囲においてやりたい、かような考えを持つてやつたのでありまして、御指摘のような点は数字的に相当現われて来ることを予想いたしておりますので、後ほど資料によつて御了解を願いたいと思います。なお市町村の仕事が多少の増員を要することは、私も承知をいたしております。過渡期の時代で、切りかえで、相当の手数を要して、御迷惑をかけておることも御指摘の通りでありますが、ある程度おちついて来ますれば、従来公団でやつておつた仕事が市町村に移りましてもスムースに行くのではないか、かような見通しを持つておるのでありますが、なおこれも資料を出して、ひとつ御検討を願いたいと思います。
○河野(謙)委員 市町村の事務等につきましては、資料をいただいてからあらためてお尋ねいたしますが、ただ一つ重大なことがあるのです。今あなたは千八百人の人をふやす、受渡しのために必要だと言う。政府の役人が一体食糧なりその他の受渡しをして、満足に行つたことはないじやないですか。木炭特別会計であれだけ赤字を出して、あれもみな林野庁の人が、駅頭もしくは店頭でちやんと立ち会つてやることになつている。あれだけ大勢の人を使つて、あれだけたくさんの中間経費を使つて、しかもその始末が五十何億か六十何億かの赤字だ。人をふやせばふやすほど赤字がふえるのです。これはひとつよくお考えを願いたい。私は議論を言つておるのではない。千八百人の人によつて受渡しをする、これは過去の各種政府機関がみなやつた。初めは上の人は几帳面に考えて、政府の大事なものを扱うのだから、それには五千、六千、七千の人がいるといつてやつた。課員がないからといつて課員をもらつた。その課員はかつてに証明書を濫発をして、これだけ着不足がありました、これだけ乱袋がありました目減りがありましたどんどん証明書の濫発をやつて、飼犬に手をかまれて、政府直接の役人が、統制の陰に隠れていろいろな悪いことをした。これはみな運送に伴うもので、そういう過去においてとうとい経験をしておりながら、なおかつ千八百人の人をふやして、これらの人に食糧の受渡しをさせて、そうして正確を期しよう、気持はなかなか私はいいと思いますが、気持だけではうまく行かない。過去のとうとい経験を生かして、そういうふうな乱暴なことをしないように、あらためて私は政府の資料によつて申し上げますけれども、これはしかしとくと御研究願いたいと思います。この際くどく申し上げておきます。
○小笠原委員 きようは一体農林大臣出るのか出ないのか。
○千賀委員長 農林大臣は、要求してありますが、参議院の予算委員会に出ておつて、出られぬという返事です。
○小笠原委員 じやあしたは必ず出るようにしてください。
○千賀委員長 承知しました。足鹿覺君。
○足鹿委員 私は食糧問題について重要な質問を申し上げたいのでありますが、専門的な知識をお持ちになつている関係の政府委員がおいでになりますか。
○千賀委員長 申し上げます。安孫子長官は今呼んであつて、じきに来るという御返事を得ております。おそらく来るだろうと思います。まず政務次官か農政局長に質問をお進め願いたいと思います。
○足鹿委員 それでは食糧問題につきましては、安孫子長官がおいでになりますまで、これはあとまわしにして、留保しておきますので、おいでになりましたならば、ひとつ、委員長の方において再び適当な発言の機会をお与えいただくようにお願いをいたしておきます。
 私は農業委員会法案につきまして二、三政府にお伺いをいたしたいと存じます。農業委員会法は、その提案の理由等を見ますると、まことにもつともらしい理由が並べてあるのでありますが、その実質的な、財政的な、予算的な裏づけの面におきますと、およそ現在の農地委員会や、農業調整委員会や、あるいは農業改良委員会にそれぞれ支出されてある予算を、よほど節減抹殺する内容を持つておるものと思うものであります。そういう実質的な内容を持つ本法案を、あえて政府が農業生産力の発展、農業経営の合理化、農民地位の向上という大げさな字句を、この法案第一条に使つてあるのでありますが、これについて確信のある――本年もしかりに当初予算に財政的な面で裏づけができなかつたとするならば、補正予算、あるいは相当恒久的な方針によつて立案されたこの法律の将来における財政的な裏づけの面については、いかようにお考えになつておるか、この点をまずお伺いいたしたいと思います。
○藤田政府委員 御質問の通り、従来三委員会でありましたときより、農業委員会一本になりました二十六年度予算が減つてはいるわけであります。これは従来の事業分量が、各委員会とも――各委員会と申しましては語弊がございますが、農地委員会、農業調整委員会につきましては、相当事業分量が減つて参つておるのであります。かたがたちようど食糧管理の方策についての転換の時期であり、各種の施策が、むしろ総合的に計画さるべきであるという建前からいたしまして、この機会に新しく農業委員会に改組することが必要である。しかも予算の使い方については、一つの委員会に統合することによつて、極力むだな経費を削減いたしましてやつて行きますならば、まあ決して満足ではございませんが、最小限度はやつて行けるじやないかということを考えたのであります。しかしながら、決してこれは十分であるとは考えておりませんので、今後とも農業委員会の仕事の進み方によりまして、われわれといたしましては、機会あるごとに、必要な経費はこれをぜひとも実現するように努力して行きたいと思います。
○足鹿委員 まことに矛盾した御答弁のようでありますが、まあその点につきましては、議論になるようでありますから、一応先へ進むことにいたします。現在の農業生産力の発展とか、あるいは農業経営の合理化とか、あるいは農民の地位の向上とかというような、一つの大きな題目を具体的に解決して行く、そのためにこの農業委員会が大きな役割を果して行かなければならぬ。そういう場合におよそ組織の裏づけを持たない、また事業予算を持たない本委員会が、いかような形で農業生産力の発展や、農業経営の合理化や、進んでは農民の地位の向上をはかることができますか、私は一つの事例を申し上げますならば、現在教育委員会が発足して三年の時日を経過しております。この教育委員会が予算編成権を持たないために、県議会の権力の前に、予算編成権を持たない悩みを切実に感じて今日に至つておるのである。しかもこの教育委員会の県委員会のごときは、県住民の直接選挙によつて選ばれた、きわめて少数の権威ある選挙を経て出た委員であるにもかかわらず、実際の県の教育行政の方面に、あるいは教育財政の面、あらゆる県の教育文化の面に対するところの発言権がなく、予算編成権を持たないがために、非常に有能な制度であるにもかかわらず、その実質的な効果を收めてない先例がある。いわんや農業生産力の向上とか、農業経営の合理化とか、りつぱな題目をこの法律に並べてありますが、はたしてこの委員会がさような大きな目的を達成するにふさわしい内容のものであるかどうかということを、私どもは疑わざるを得ないのである。それは、今申しました教育委員会が予算編成権を持たないという悩み、その一点から見ましても、この農業委員会の悩みは教育委員会より以上に深いと思いますが、そういう点について、農政局長はいかようにお考えになつておりますか。おそらくこの法案は、財政的な見地から、むしろ予算を節約して行こうという意図のもとに、三つの委員会の統合がなされたのではないかとすら疑わざるを得ない点を各方面に見ることができるのであります。以下いろいろその点について申し上げたいと思いますが、その基本的な観念においていかようにお考えになつておりますか、お伺いいたしたいと思います。
○藤田政府委員 新しい農業委員会をつくつて行く、つまり村にいろいろの委員会でなく総合的な一つの委員会にまとめてやつて行くということは、現在の事情からきわめて必要であるという見地から考えておるのでありまして、決して予算を削減する趣旨から、三つの委員会を一つに統合するということではございません。もつとも国家財政が非常にむずかしい時期でございますからして、われわれといたしましては、できる限り冗費を省いて必要な経費に充てるということの努力をするのは、これは当然だろうと思いますが、目的は決してさような予算的趣旨から一つにするということではございません。
○足鹿委員 私も意見めいたことを申し上げますので、さような御答弁があると思つておりました。これは議論になりますが、事実において、現在の農業調整委員会の専任書記、農地委員会の専任書記というようなものを機械的に統合されますならば、むしろ増員をされて行かなければならぬ、法の趣旨から申しまするならば、増員されてこそ趣旨に沿うたということが言い得られると思うのであります。実際は一・二人というふうに人件費も実質的には削られておる。それは農政局長は事業分量が減つたからだ、さように言われるかもしれませんが、農地改革にしてみましても、今までの、いわゆる所有権を移動したということで、農地改革の真の目的は達成されないと思う。農地改革を農業改革へいかにして今後持つて行くかということが、農地改革の真の意味を達成することになるのでありますし、また農地改革自身の面をいろいろ考えてみましても、またその事務的な処理や、いろいろ具体的に処理しなければならないものは、専門的な委員会の各地の委員会が、もてあますほど多くの仕事を持つておることは事実である。決して事業分量は農地委員会の面からいつても減つておらない。また農業調整委員会の面におきましても、これまた同様、国際情勢を反映いたしまして、今後まだこれらの事務は決して少くなつたという断定を下す根拠はないと思う。どこにも私どもは分量が減つたという根拠を発見することはできないのであります。そういう面からも私は非常に矛盾を感ぜざるを得ません。しかしこれらのことにつきましては、あまりくどく意見を申し上げることを省きまして、具体的にお伺いをいたしたいと思います。第五章の雑則、兼職の禁止の問題について御見解を承りたいと思いますが、これは農地委員会が発足当時は兼職を認めておつたものであるが、中途において政府が都道府県の委員と市町村の委員を兼ねることを禁止しておるのであります。その当時この仕事をしておつた者は、真に都道府県の仕事を達成して行くためには、少くとも市町村の事務の体験を持ち、仕事の経験を有しておる者が県の委員会に出ることによつて、初めてこのような仕事はできるのであるという意味から、その法の改悪に対しては、全国こぞつて反対した歴史を持つておるのであります。これをただ單に機械的に踏襲しておるようでありますが、この点についてはいかにお考えになつておりますか。やはり農地委員会法が改正された当時の理由によつて、この兼職の禁止という形になつて現われておりますが、私どもの体験から申し上げまするならば、また理論的にも、市町村の農業委員会を運営する者が、ある意味においては県へ、中央へ連絡するために兼職して行くことが、むしろ法の実際的効果を上げるにふさわしいではないかというふうに、われわれは考えておるのでありますが、この点についてのお考え方なり、あるいはこの条項を設けられました経緯等がありましたら、お伺いいたしたいと思います。
○藤田政府委員 これはさような経緯のあつたことも承知いたしておりますが、やはり市町村の農業委員会の委員と、都道府村の農業委員会の委員と、やはり別個にこれを選ぶということの方が適当であろうというふうな見解から、従来の方針を踏襲いたしておるのであります。ことに農地関係の仕事等につきましては、その執行機関であるところの性格の部分もあるわけであります。さような意味からいたしまして、これを兼ねしめないことの方がよろしかろうと考えたのであります。
○足鹿委員 どうもはつきり了承することはできませんが、次にお伺いいたしたいのは、会長、委員は非常勤とするということを特にうたつてある。農地委員会の根拠であります農地調整法には、別にかような会長、委員の非常勤をはつきり規定しておりません。特にこの農業委員会法には、会長の非常勤を特別に取上げて法で規定しておる根拠は一体どこにあるか。私が冒頭に申し上げましたように、真にこの農業委員会法が農業生産力の発展と、農業経営の合理化と、農民地位の向上をはかるという大きな趣旨に合致されるならば、会長の非常勤というがごとき不見識なことで、はたしてこの大きな目的を達成することができますか、矛盾もはなはだしいではないかと私は思う。あるいは市町村長をもつてこれにお当てになるというような底意のもとに、こういう案が出されておるのかもしれませんが、もしさようとするならばもつてのほかのことであります。この点についていかように政府が答弁されましても、ほんとうのこの法の目的と、法が具体的に規定しておるところの内容とは、およそ私どもは矛盾もはなはだしいものだと指摘せざるを得ないのでありまして、その点について特に会長を非常勤としなければならない理由はどこにあるか、具体的にお示しを願いたい。
○藤田政府委員 この農業委員会の委員は、地方公務員法の適用を受けるわけであります。従つて非常勤といたしませんと、本来の地方公務員法の各種の規定がこれに適用されることに相なるのであります。さようなことに相なりますと、非常にきゆうくつなことでもあり、実情にも即しないというふうにも考えます。従つてさような意味からいたしまして、これを非常勤というふうにいたしたのであります。なおまた、委員は一つの会議体でございまして、その会議体によつて事務を処理するというふうなかつこうになつておるわけであります。さような趣旨から常勤とするという必要はなく、むしろ非常勤の方が実情に合う、こういうふうに考えます。
○足鹿委員 どうも何を申し上げても、私どもの考え方とは根本的に違つたお考え方のようでありまして、まことに張り合いがないのでありますが、次にお伺いいたしたいのは、特にこの委員会の運営の面とでも申しますか、そういう面から現在農業改良普及員制度があります。これが相当活躍をしておられるのでありますが、現在の農業指導の重点は、もちろん技術の指導に力を入れることは当然でありますが、もはや單なる技術の改良指導のみでは、日本の農民の地位を向上し、あるいは経営の合理化、安定をはかり、進んで近代化を促すというようなことは、私は困難だと思う。現在一番大きな問題は、経営をほんとうに指導するということにあろうと思う。これが技術指導と相関連して、初めて真に農業指導の完璧を期せられると思うのであります。そういう点で、この委員会は予算権も持つておらないし、組織の裏づけもない、ただ一つの総合調整機関としての機能を持つのみであるように思いますが、そういう面から現在農業協同組合との関係について、これをどういうふうにお考えになつておりますか。これは私見でありますが、現在農業協同組合は、生産協同体としての立法の精神よりも相当遠いところにある。むしろ経営指導主義であつて、その主流幹部は赤字の出ることを恐れ、また赤字の出たものをいかにして埋めようかということのみ汲々とし、本来の生産協同体としての、組合の経営なり運営については、気持はあつても、いわゆる経費上の問題で躊躇逡巡し、事実立法の根本目標とは、およそ遠い現状に来ておることは、御承知の通りだろうと思う。そういう点を考えてみますると、現在農業協同組合に職を奉じておる技術員のごときは、低い待遇で、しかも不安定な地位で、思うように協同組合の生産協同体としての仕事を果すことができない現状にあると思うのであります。そういう面で私どもは、この農業改良普及員と協同組合との関係は、政府が構想されておる農業委員会法との関連においても、私どもは考えてみなければならぬ問題だと思うのであります。この点について、一方においては技術があるが下の組織がない。一方においては、協同組合という一つの組織は持つが、経費上技術指導、経営指導に当る人材がない。この両者相足らざるものが、いかにしたならば結合し、日本の新しい農村の一つの指導体系を打出して行くか、私はこれが与えられた大きな課題であろうと思う。この点についてはたしていかような御検討をなされておるか、少くともこの法案との関係において、農業改良委員会を吸收しておるこの法案の内容においては、おそらく当局としてはこの御検討がなされたことと思う。私見にわたつて恐縮でありますが、この点について農政局長の真摯なる御検討の結果なり、御所見を承り、なお農林省を代表して島村政務次官からもこの点について御構想がありましたならば、承りたいと思います。
○藤田政府委員 この農業委員会は、第七条第三項にも書いてございます通り、いわゆる総合的な計画を立てる、しかもその計画については、これを従来のようなばらばらな立場でなくて、あるいは農地の面、あるいは農業技術の面、流通の面、あるいはまたその他の農業経営の合理化及び生活の改善というふうな、各種の面から総合的な計画をを立てて行く、それによつて農業生産力の向上と、農業経営の合理化を期するということがねらいであるのでありますが、この農業委員会は計画を立て、またその計画を立てたものについて地方自治体に建議をする、あるいはまた地方自治体の諮問に応じて答申する、これが農業委員会の本来の使命でございまして、これを具体的に実施し、推進して行くという問題は、これは別個の団体なり、あるいはその他の機構が伴つて、その方でやつて行くというふうに、分野をわけて考えております。従つてたとえば改良普及事業につきましても、これは農業改良普及事業本来の改良普及員による線があるわけでありますが、いかにすればそれが具体的に農家にうまくそれが浸透徹底し、その他の面と結びついて効果が上るかというふうなことを、この委員会において研究をして行く、そうして立てましたものについて、これを具体的にやります場合に、もちろんこれは改良普及員の実際の仕事になるのでありましようし、また改良普及員と唇歯輔車の関係にある協同組合の技術員の方が、これの手助けをするというような考えで進めて行きたい、私どもはこのように考えております。
○足鹿委員 協同組合とこの農業委員会との関連というようなものについて、ただ單に今御答弁になつた程度でありますか。この点につきまして、政務次官の方におきましては、何かもう少し大きな御構想はないのでありますか、いかがでありますか。
○島村政府委員 農業委員会法の建前は、農業の組織的な総合計画を立てることも一つの方法であり、ねらいであり、かつ今日の段階におきましては、民主的に農民の意思を強く町村の行政及び協同組合その他それぞれ目的によつてつくられた団体の仕事に、その民主的につくられた委員会の決定、決議等の事項が反映するということで、すなわち農村の近代化がはかられ、かつ将来の目的に示しておるような事項が運営されて行くということになると思うのであります。そこで協同組合との関係については、お話の通りに、農村の民主的な機関としてつくられ、かつ自主的機関である協同組合が、生産協同体としての仕事を担当して行く部面は、将来大いに伸びなければならぬ問題であることは、お話の通りであります。この法案の立法の場合におきましては、むしろこれは委員会の制度と相まつてやるべきであるというような論議も、相当尽されたのでありますが、元来が今申し上げたような民主的にできた一つの創意が農業委員会に現われるということになりますれば、その実行機関としては協同組合がやることによつて、初めてその目的が達成されるということになろうと思うのであります。農業改良普及員の仕事は、技術が主体でありますが、その普及員の仕事が一たび農業経済に移り、農業経営から、さらに村の全体の総合的な農業振興計画に移る場合におきましては、すなわち農業委員会がこれを取上げて、そうしてそれを協同組合に移して行つて、初めて有機的な振興がはかられるというような考え方を持つておるのでございまして、具体的に申しますと、普及員の方々によつて、かつそれらの考え方が農業委員会を通じて大きな村で取上げるべき事業ができますれば、それによつてこれを農業協同組合が受継いで仕事をやつて行く、農業協同組合の振興計画即農業委員会の計画になるような方向に持つて行くことが、單の両輪のような立て方と申しますか、そういう関係において村の農業振興がはかられるということに、われわれはねらいを持つておるのであります。さように御承知を願いたいと思います。
○足鹿委員 これ以上お尋ね申し上げましても具体的な御答弁を承ることはできないと思いますから、その問題につきましては私まだいろいろ意見を持つておるのでございますが、申し上げることを省略いたします。具体的な点で二、三質疑を落しておりましたので、補足的にお尋ねを申し上げたい。特に今回の農業委員会法では、農地委員会の際には選任委員が三人であつた、今度は特別に五人にしてある。しかも前の農地委員会の際には、選挙によつて出た委員の全員の賛成がなければ選任は置けないことになつておつたにもかかわらず、今回は五人にしてその階層別の委員の過半数の賛成によつて選任委員を置くことになつておる、その意味はどういうところにあるのでありますか。元来この法案の全体を通じて見ますると、農地委員会によつて相当進歩的な線が各地方各村に出ておつた傾向を、ことさらに一つの何と申しますか、そういつたものにブレーキをかけて行くような意図が、各条各文の方々に見受けられるのでありますが、この点についてどういうふうに当局はお考えになり、かようになさつたのでありますか、この点をお伺いいたしたいと思います。
○藤田政府委員 この農業委員会の行います仕事が、従来の農地関係あるいは農業調査関係、また農業改良事業関係、かように総合的な仕事をやることに相なります。従つてそれぞれの部門におきまして、やはり学識経験のある有能な方を委員として、委員会の運営をすることが効果的であるというような意味からいたしまして、三人を五人といたしたのであります。なおまた従来の農地委員会では選び方が全員の同意ということに相なつております関係上、御承知の通り、全員の同意ということではなかなか動かない実情に相なつております。従つてわれわれといたしましては、むしろこれを階層別の者の過半数の意思によつて決定し、可なりとすればそれを委員に選ぶということの方が、実際的であろうというふうに考えます。
○足鹿委員 大体において五人は選任にとる、あと十五人を選挙で出すということになりますと、おそらくこれは実際的には無投票当選になります。私どもの過去の地方における体験から見ますると、こういう大きな人数、いかに選挙だとお話になりましても、ほとんど部落代表的な性格になつて、いわゆる選挙で争うということは私はならないと思う。事実この法案を実施いたされますと、すべての点において、農地改革で進歩的な空気が農村にみなぎつた、そのものをあらゆる角度から、これをむしろ後退せしめて行くような意図がないにいたしましても、結果としてはそういう結果が現われるのではないか、少くとも年少で革新的な考えを持ち、あるいはいろいろな新らしい農村経営に対する意見を持ち、実践力を持つておつたとしても、現在の農村の封建的な空気から見ますると、勢い相当の顔のある、また相当年配の人たちによつて占められて行くという結果が生れて来る可能性が多分にあると思う。大体従来の三人を五人にし、しかも全員の賛成を過半数にし、いろいろ御苦心なされたようでありますが、私どもはその理由を肯定することはできません。一村二十名と申しますと、無投票の村がほとんど多くて、その結果は革新的分子の一齊退陣となつて現われることを私は予期するものでありまして、この点につきましては、特に遺憾に考えておるものであります。ただいまの局長の御答弁では、私どもは根拠が薄弱であるとすら考えております。
 いま一つお伺いいたしたいのは経費の点であります。経費は一番最初にもお尋ねいたしましたが、従来はある程度地方自治体がこの不足分を持つても、別にこれを禁止しておらないわけであります。今度ははつきりと国の負担においてこれをやつて行くということになつておりますと、事実上私は、この委員会は重大な目的を持つておるにもかかわらず、運営ができないような事態が出て来ると思う。しかし実質的には運営をして行かなければなりませんから、一種の委任事務を行つて行くような形において、地方自治体が身銭を切つて行く事態が起つて来ると思う。そういうようなことについては、過去のいろいろな事例を通じて、経験のないはずのない当局が、あえて特にこの経費の問題については新しい条項を設けて、国費の負担によるというふうに明らかにしておられる点、これらの点につきましても、前述以来の理由によつて、私どもは納得することができないのであります。大きな看板だけはかけておいて、事実においては何も仕事ができないような、しかも村の平和の名のもとに無気力な、そして実践力のない一つの委員会をでつち上げようという意図に出ておるのではなかろうか、私どもが偏見にとらわれておりまするならば、その偏見を解いていただきたい。政府が意図しておられるように、将来の日本の農村を背負つて立つような内容と性格を、ほんとうにこの委員会が持つておるならば、少くともそれにふさわしい具備された条件というものがなけらねば、私は納得することができないので、羊頭を掲げて狗肉を売るとそしりを受けられても、あえて弁明の余地がないようなこの法案をお出しなされた点も、私どもは了承できないのであります。特にこの経費の面等につきましては、質問の当初以来私はしばしば指摘いたしましたが、実際上の運営についてはどういうことになるのでありますか、結局国の当然負うべき経費を、結果においては地方自治体に転嫁して行く、そういうことをあらかじめ意図しておられるのではなかろうか、こういうことを感じますので、御見解をお尋ねいたしたいと思います。
○藤田政府委員 本来ならばこの農業委員会の行いまする仕事について、国の事務と見られるものについては国が負担をし、また市町村関係の事務と見られるものについては市町村関係が負担する、かような建前がすつきりすると考えております。しかしながら御承知の通り、現在行政事務の再配分の問題もまだ具体的な方針が決定いたしておりません。従つてこの点は従来通りの建前といたしておりまして、従来とも農地改革の仕事あるいは食糧供出関係の仕事は国家的の事務であるというふうな見解をとつております。従つてその意味でさような仕事がございますので、国が毎年予算の範囲内で経費を出すということを書いたわけであります。しかしながらこれは決して自治体が必要な経費を出してはいけないという意味ではないのでありまして、われわれといたしましても、もちろん国は最小限度の経費を持つという建前でございますが、実際問題としていろいろの仕事をやるときに、不足の分については、むしろ従来同様、必要なものについてはやはり市町村もこれを負担して行くというようなことでやつていただきたいということを考えております。
○千賀委員長 本日はこの程度で散会いたします。
    午後四時三十七分散会