第012回国会 大蔵委員会 第10号
昭和二十六年十一月五日(月曜日)
    午後一時五十一分開議
 出席委員
   委員長代理 理事 奧村又十郎君
   理事 小山 長規君 理事 西村 直己君
      淺香 忠雄君    有田 二郎君
      大上  司君    佐久間 徹君
      島村 一郎君    清水 逸平君
      塚田十一郎君    三宅 則義君
      宮腰 喜助君    上林與市郎君
      松尾トシ子君    深澤 義守君
      中野 四郎君
 出席政府委員
        大蔵政務次官  西川甚五郎君
        大蔵事務官
        (理財局長)  石田  正君
        大蔵事務官
        (銀行局長)  河野 通一君
 委員外の出席者
        参議院議員   紅露 みつ君
        外務事務官
        (管理局借入金
        審査室長)   池田千嘉太君
        大蔵事務官
        (理財局外債課
        長)      上田 克郎君
        国民金融公庫総
        裁       櫛田 光男君
        衆議院参事
        (法制局第二部
        長)      鮫島 真男君
        專  門  員 椎木 文也君
        專  門  員 黒田 久太君
    ―――――――――――――
十一月二日
 未復員者給與法の適用患者に対する療養期間延
 長に関する請願(丸山直友君紹介)(第五九三
 号)
 同(苅田アサノ君外一名紹介)(第五九四号)
 同(佐藤親弘君紹介)(第六二九号)
 公務員の新選職給與制度確立に関する請願(長
 野長廣君紹介)(第五九五号)
 同(小松勇次君紹介)(第六二四号)
 水あめ、ぶどう糖に対する物品税撤廃の請願(
 中馬辰猪君外一名紹介)(第六二五号)
 同(川端佳夫君紹介)(第六二六号)
 たばこ小売人の利益率引上げに関する請願(大
 石ヨシエ君紹介)(第六二七号)
 北陸財務局廃止反対の請願外一件(南好雄君紹
 介)(第六二八号)
 在外資産の補償等に服する請願(三木武夫君紹
 介)(第六七九号)
の審査を本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 連合国財産補償法案(内閣提出第五号)
 在外公館等借入金の返済の実施に関する法律案
 (内閣提出第一四号)
 国民金融公庫法の一部を改正する法律案(内閣
 提出第一五号)
 未復員者給與法律の一部を改正する法律案(参
 議院提出、参法第二号)
    ―――――――――――――
○奧村委員長代理 これより会議を開きます。
 国民金融公庫法の一部を改正する法律案を議題といたしまして質疑に入ります。深澤義守君。
○深澤委員 国民金融公庫の問題について質問をいたします前に、輸出銀行の問題について、銀行当局からはいろいろな御答弁をいただいたのでありますが、政府当局に対して質問する機会を得なかつたので、この際二、三の点について御質問を申し上げたいと思うのであります。それはこの提案理由の説明には、輸出振興の重要性にかんがみて、輸出銀行の出資を追額するのであるという提案理由でありますが、この補正予算の説明書を見ますと、後進国開発計画等を考慮して、補正追額するのであるという説明になつているのでありますが、この後進国開発計画というものと輸出銀行との関連性について、ひとつ銀行局長から御答弁を願いたいと思います。
○河野(通)政府委員 輸出銀行の増資につきましては、ただいまお話がありましたように、全体として輸出を振興いたしますために、この資金力を拡充いたすことが目的であるのでありますが、その輸出を振興いたします相手方といたしましては、今お話の後進国という言葉がいいのかどうか存じませんが、東南アジア方面、比較的今後開発を大いに期待される方面へのプラント輸出、これによつてその地域が開発されることによりまして、たとえばゴア等につきましても、そこの鉄の山を大いに開発いたしますために、鉄の開発用の機械その他のプラントを輸出いたします。その輸出をいたしました結果、それによつて鉄鉱石が増産になり、その増産になつた鉄鉱石を日本が買いとりまして、その買取り代金をもつて今申し上げたプラント輸出の代金を回収する、こういうふうな仕組みになつておるわけであります。これはゴアについて一例を申し上げたわけでありますが、その他鉄あるいは石炭等につきまして同じような問題が多々あると思います。いわゆる後進国開発計画というのは、アメリカ政府におきまして着々計画が進んでおるのでありますが、私ども具体的な内容については、まだつまびらかにいたしておりません。しかしながらいずれにいたしましてもその地域が開発されることが、わが風の輸出市場を開拓し、またわが国が最も必要といたしておりまする原材料、ことに鉄とか石炭、そういうものを加工いたしますために、きわめて必要なことであろうと思うのであります。この関係の開発用の資金の流れにつきましては、あるいは直接アメリカからこの地域に投資されるものもありましよう。その投資によつて、日本から物を買うというルートによつて出されるものもあると思います。またそうでなくても、今申し上げましたように、わが国が自分の外貨の支拂いを受けるのをある程度延ばしてやる。そうして日本から輸出をいたしまして、その代金の支拂いを数年間先へ延ばしてやる。そういうことによりましてこの輸出を促進し、あわせてその地域の開発によつて、わが国が必要といたしまする鉄鉱石、石炭等の輸入を促進して行く、こういうふうな仕組みもあると思います。輸出銀行が担当いたしますのは、もつぱらその後者の分野において、今後その活躍をいたして参りたい、かように考えておる次第であります。
○深澤委員 そうすると、ここに予算説明書にあります後進国開発計画というのは、アメリカのいわゆるポイント・フオアのことをさしておるのでありますか。
○河野(通)政府委員 ただいま申し上げましたように、後進国と申しますか、要するに東南アジア地域において、さらに開発が進められる地域の開発の方法といたしましては、アメリカのいわゆるポイント・フオアに基きましたアメリカの資金によつて行われますものと、今申しましたように、わが国が自分の経済に必要といたしまする資源を確保いたしますために、その地域を開発して、それによつて掘り出された鉄鉱石、石炭等身輸入して行く、そのために必要な開発資金なり開発春材を輸出して行く、こういうふうな引法と二つあるわけであります。これが第一の方法と第二の方法とがいろいろの形で結合といいますか、関係を持つて来ることもあると思いますけれども、輸出銀行が担当いたしますのは、今申し上げました後者の部面であると御マ解いただきたいのであります。
○深澤委員 そこで先般も輸出銀行当局にお伺いしたのでありますが、プラント輸出の問題が非常に困難に逢着しておる。日本の原材料が国際価格よりも非常に割高であるということのために、輸出が行き悩みつつある。最近は多少その曙光が見えて来たけれども、なお相当の困難が伴うという趣旨の答弁をいただいたのでありますが、その点についての見通しは、政府当局はどういうぐあいに考えられておりますか。
○河野(通)政府委員 お話のようにこの輸出、ことに長期の輸出につきましては、国際経済の動き、しかも前途の見通しということが、非常に大きな影響を持つて参りますことはお話の通りであります。将来相当プラント輸出をして、長い金融をいたしますためには、その代金が安定した状態においてこちらに回収できるということが、非常に必要なことだと思います。しかしながらこれは結局は程度の問題でありまして朝鮮動乱が勃発いたしましてから当分の間、非常に大きな国際経済の物価その他におきまする変動がありましたために、輸出は若干伸び悩んだ。ことに長期のプラント輸出は相当伸び悩んだこともございます。現在におきましては、今御指摘もありましたように逐次安定へ向つておりますので、私どもは、今後におきましてはこのプラント輸出についても、相当程度期待を持つてさしつかえないのではないかと思います。ことに今一例を申し上げましたゴア等につきましても、最近逐次契約ができて参つております。御指摘の鉄鉱その他の重要な原料の価格が、外国に比較いたしまして割高になつておるというような点から、相当輸出に困難を覚えた時期もあつたのでありますが、一方国際価格も相当上つて参つております。他面国内におきましてもあらゆる意味で、合理化を実施いたしまして、この価格ができるだけ国際価格に近づくような措置を講じて参つております。なおわが国のプラント輸出に対する一つの大きな有利な点は、製作の期限が非常に短かい。注文があつてから割合いに早く物が入手できるという点が、外国に対して非常に強みであるように伺つておるのであります。これらの点から、価格につきましても極力合理化をはかつて、国際競争に耐え得るようにして参りますとともに、製作期間、あるいはその質等につきましても極力改善をいたして参りますならば、国際経済が逐次安定に向いますのと相まちまして、今度のプラント輸出については、私どもは大いに希望を持ち、また期待されると考えておる次第であります。
○深澤委員 この東南アジア開発の問題については、総司令部を中心として、日本の政府、それに日銀を加えまして使節団を派遣しておるやに私は聞いております。その報告書にあるように、單に現在の国際経済の不安定の状一態が、東南アジヤ開発を行き悩みにさしておるのであるということではなしに、根本的な問題は、日本対東南アジアの従来の関係、また戦後における関係等の中に問題が所在しておるということを、われわれは聞いております。ニューヨーク・タイムズなんかもその点を指摘しており、日本の東南アジア開発は、やはりひとつの植民地経済を樹立する考えを持つておるのではないかというぐあいに、東南アジア方面では考えておる。再び日本の侵略が復活するという危険性があるのではないかということを考えておる。さらにもう一つは、最近におけるアジア諸国の民族運動の高揚というようなことが、外国の政治的なあるいは経済的な介入を許さないという方向に動いでおる。そういう観点からこの東南アジアの開発ということが考えられない限りは、ほとんど問題の解決はできないであろうという批判もしているわけであります。ところが日本政府は、單に国際経済の安定、不安定の観点から東南アジア開発の問題を考えておるのでありますが、そういうところに問題があるのではないというぐあいに私は考えておりますが、その点はいかがですか。
○河野(通)政府委員 この点は、私ども事務官としてお答えするには、あまり適当でない問題かと思いますが、東南アジア開発及びそれによつて日本の経済への必要な原材料の輸入を促進して参りますことは、純経済的な取引でありまして、これらの相手国、相手地域におきましても、これらのプラントなり開発施設が入手できることを非常に望んでおります。また私ども日本の経済といたしましても、これらの開発された地域から鉄鉱石あるいは石炭等が多量に入手せられることが、非常に必要なことだと思います。これらの経済的な必要性と必要性とが合致して、今申し上げたプラント輸出その他の問題が促進されると思うのであります。別に植民地政策であるとか、そういうふうな問題から私どもは考えておらないのであります。ただこの点についてはいろいろ御批判もあるかと思いますが、事務官として申し上げる範囲といたしましては、今申し上げましたように、経済の取引として考えられるのであつて、必ずしも政治的な問題としてこの問題を考える必要はないというふうに、私ども考えております。
○奧村委員長代理 ただいま国民金融金庫法の一部を改正する法律案について質疑を継続中でありますが、本委員会に提案された未復員者給與法等の一部を改正する法律案の提案者がお見えになつておられますので、提案者の提案趣旨の説明を聽取いたしたいと存じます。参議院議員紅露みつ君。
○紅露みつ参議院議員 ただいま議題ごなりました未復員者給與法等の十部に改正する法律案の提案理由の説明を申し上げます。実は発議者を代表いたしまして、参議院在外同胞引揚問題に関する特別委員会委員長の長島銀藏先生が御説明いたすはずでありましたが、本日よんどころない所用のため、私がかわつて御説明いたす次第でございます。またここに提案されました改正案につきましては、衆議院の海外同胞引揚に関する特別委員会におかれても、先国会以来、種々御盡力を傾けられたのでありまして、本案は参議院側から提案されてはおりますが、実質は両院の引揚げの特別委員会委員の共同提案とも申すべき性質のものでありまして、衆議院の海外同胞引揚に関する特別委員会の委員の方々に対しましては、その御努力に対し厚く厚く、感謝いたしておる次第でございます。
 未復員者給與法という法律は、昭和二十二年十月十五日、法律第百八十二号として、元の陸海軍に属しておりました軍人軍属で未復員中のものを対象とし、それに対する各種の給與を規定した法律でありまして、これまで前後七回の改正を経ているものであります。この法律で規定されております給餌の種類は、月額千円という未復員者本人の俸給のほか、扶養親族に対する扶養手当、帰郷旅費、遺骨引取り経費、遺骨埋葬経費、それと復員患者に対する療養及び障害一時金であります。今回復員患者に対する療養期間をさらに延長するとともに、障害一時金を増額し、診療録その他帳簿を検査し、療養を適正ならしめることが必要となつて参りました。これが本改正案が提出された理由であります。
 まず療養に関する改正について申し上げます。この療養と申しますものは、昭和二十三年十二月二十九日法律第二百七十七号による本法の改正で付加された規定に従つて、実施されるようになつたものであります。すなわち傷を受け、あるいは病にかかつて引揚げて来た復員患者に対しまして、国はその患者が復員してから三年間、または昭和二十三年十二月二十九日から計算して三年間、必要な療養を行い得ることになつているのであります。この規定により療養を受けた件数を調査いたしましたところ、昭和二十四年一月以降五万一千余件に達しているのでありまして、現在もなお六千六百三十名の復員患者の諸君が療養を受けておる状態であります。しかるにここに問題となつて参りましたのは、ただいま申し上げました現に療養中の患者六千六百三十名の八九・三%に当る五千九百二十入の諸君であります。これらの諸君は、昭和二十三年十二月二十九日以前に復員しておられます関係上、本年十二月二十八日をもつて療養期間が満了いたすのであります。しかもこれら療養期間満了予定の患者の大部分を占めますものは、結核性疾患の患者、それに次いで精神病者、外傷患者その他となつておりまして、今後なお若干期間の療養を必要とする者が大部分であります。これらの患者諸君から、この間の苦衷を訴える声は、在外同胞引揚問題に関する特別委員の諸君が、実にしばしば、耳にされたところであり、また熱烈なる陳情書も委員会には文字通り山積いたしておるのであります。特別委員会におきましては、すでに第十一回国会におきましてこの問題の審議を開始し、休会中も継続審査に付し、数回にわたつて審議を重ねましたほか、国立病院等につき、つぶさにその実情等も調査をいたしたのであります。本国会におきましても、引続き審議を継続し、また各方面との折衝もいたし、ようやくにしてこの改正案を得たのであります。
 本改正法律案によりますれば、療養の期間につき、現行規定による療養期間満了後も引続き療養の必要があると認める者に対し、国はさらに三年間療養を行い得ることとなるのであります。これら療養中の諸君の大部分は、将来自費をもつて療養を継続するほど経済的に恵まれてはいないのでありまして、この法律による療養を打切られるときは、生活保護法の適用を受けるほかはなく、いずれの道をとつても結局は国費による療養を行うことになろうと予想されるのであります。しかも予算上この法律改正による療養期間延長のため必要といたします経費については、二十六年度の当初予算五億一千六百万円の範囲内でまかな、えるのでありまして、本年度は別に予算の追加をいたさないでもいいという実情になつておるのであります。
 次に障害一時金の改正について申し上げます。障害一時金と申しますのは、国で行う療養を受けた復員患者が治癒したとき、または治癒はしないが三年間の療養期間が満了したときにおいて、身心に障害を残す者に対し、その程度に応じ支給する一時金のことでありまして、現行来この金額を定められましたいきさつを申しますと、指令によつて、非常時的理由に基因する同程度の不具廃疾者に與えられる最低額を越えてはならないとされましたために、厚生年金保険法中に規定してある障害手当金を取上げ、これと同率にその定額が定められたのであります。厚生年金保険法の障害手当金は、第十国会における法律改正によつてすでに二倍に増額支給されておりますので、それと平行し、四月一日にさかのぼつて現行定額を二倍として支給するよう改正をいたすこととしたのであります。前に申し述べました療養期間の延長が実現いたしました場合におきましては、障害一時金の支給を受くべき該当者が著しく少数となります関係から、障害一時金の定額を二倍に増額しましても、昭和二十六年度当初予算一千百万円よりも、はるかに少額の三百五十万円となる見込みであります。改正の第三点は、未復員者給與法による復員患者の診療に当つている病院等につきまして、必要がある場合には診療録等の検査を行い得るようにいたしたことでありましてその目的とするところは、療養の実施をさらに適正ならしめんとするところにあるのであります。
 なお、ここに一言つけ加えたいことがあります。元の軍人軍属という身分を持たなかつた在外一般邦人を対象とする特別未帰還者給與法という法律がありますが、この法律では、いわゆる特別未帰還者に対し、未復員者に準じて諸給與を行うよう規定されてあります。従いまして、ただいま議題となつておりますこの改正法律案が実施されなければ、これはそのまま現在療養を続けている特別未帰還者に対しても適用されることになりますが、その該当患者は十七名であることを報告いたします。
 以上が、今回未復員者給與法等の一部を改正せんどいたしております要点と、その理由の概要でありますが、御承知のごとく、戰傷病者や戰歿者遺族に対する世人の関心は、ただいま非常に強くなつて参つております。今この案のごとく未復員者給與法が改正されますならば、現在療養中の六千余名の患者諸君、その家族及びその関係者の安堵と喜びは申すに及ばず、戰傷病者等の問題に関心を持つ人々の喜びも、察するに余りあるものがあると確信いたしておるのであります。何とぞ慎重御審議のほどお願いいたします。
○奧村委員長代理 次に国民金融公庫法の一部を改正する法律案の質疑を継続いたします。深澤君。
○深澤委員 先ほどの続きでありますが、銀行局長はインドのゴアの開発等について非常に強調されておりますが、東南アジアの原材料の開発というのは、先般も大蔵大臣に質問したのでありますが、二年、三年将来のことであるというぐあいに答弁されているのであります。事実はその通りだと思うのであります。ところが日本経済の現状といたしましては、自然的な條件に置かれている中国貿易が禁止されており、もつぱらアメリカ経済への依存という形になつておりますので、その條件の中においては経済の行き悩み状態があるのであります。従つて東南アジアとの結びつきという問題については、日本財界も大きな期待を持つておるのであります。しかしこの開発計画というものは、当面なかなか日本経済を潤すような状態に、すぐにはならないというように私は考えるのであります。その点についてはどういうぐあいに考えられますか。
○河野(通)政府委員 お話の点は私は程度問題だと考えております。日本の経済の必要とするものを、全部東南アジアで急速にまかなうことができるかという点につきましては、あるいはそうすみやかに十分なることができるとは考えられぬと思います。しかしながら、日本の経済が必要といたしますものを、鉄鉱石にいたしましても、石炭にいたしましても、これは事情の許す限り、多量にこの地域から輸入いたして参りますることが、いろいろな意味で非常に必要であろうと思います。そのために、必要な限度においてはプラント輸出の形なりその他の形によつて、この地域の開発を日本の経済が援助をし、さらにこれを促進して行くことは絶対に必要だと思います。程度の差はありますけれども、これは極力、あとう限りの、いろいろな條件許す限りにおいてこれを促進して行くということが、私どもとしては非常に必要なことであろう、かように考えております。
○深澤委員 そこで問題になりますのは、東南アジアの開発ということが、同時に日本の経済の発展に役立つのだという見地でありますが、ところが、東南アジア諸国に対しては、日本はまだ解決されない賠償問題があるのであります。従つてこうした問題の解決なしに、日本が現在自国の経済再建も十分できていない條件の中で、東南アジアの開発をやるんだということ自体の中に、何だか大きな矛盾をわれわれは感ずるのであります。従つてわれわれが考えることは、この予算説明書にもありますように、後進国開発計画というものが基準になつて、この東南アジア開発という義務づけが行われているのだ。つまり日本のためのプラント輸出やあるいは東南アジアの開発ではなくて、アメリカの現在の軍拡経済の一角として、東南アジア開発ということに日本がその役割を受持たされているんだというふうにわれわれは考える。その点について、日本政府は日本の輸出振興のために、あるいは日本経済の発展のためにやるんだという、独自的な立場からおやりになるのか。それともアメリカのポイント・フオアの計画に基くその義務づけとしてやるのか。その点がはなはだ疑問でありますから、ひとつ明確にお聞きしたいと思います。
○河野(通)政府委員 この点は、先ほども実はお答え申し上げたのであります。いわゆる東南アジアの開発計画というのは、今お話のように、アメリカ政府でやつております。ポイント・フオアに基くいろいろな計画もあると思うのであります。私どもが今ここで御提案申し上げ、また御説明も申し上げておりますのは、その方面ではなくて先ほどは後者で申し上げましたが、要するに日本の経済が必要といたしておる鉄鉱石とか、そういうものを加工する。それがためにはやはりあの地域の未開発の資源を、できるだけ開発することが必要である。そうしてこれがために必要なプラント輸出等を促進いたしましてその地域から得られた鉄鉱石なり石炭で、日本の経済が必要といたしておる資源の不足を補充して行く。これが日本輸出銀行が今後活躍して参りますために必要といたしておる最大の目的でありまして、アメリカのポイント・フオアの計画によつて、日本経済が何らかの義務づけを受けておるというようなことは、私の承知いたしておる限りにおきましては絶対にないと考えます。
○深澤委員 それは銀行局長としてはそう御答弁する以外に、私は道はないと思うのでありますが、しかし予算説明書に、後進国開発計画等を考慮してというようなことが出て来る。その背後には、このアメリカのポイント・フオアというものが日本の東南アジア開発を大きく義務づけているということは、ほかにも資料がありますので、その点は議論になりますから言いませんが、そういう見解をわれわれは持つておるのであります。もう一つの問題は、まだ地下に眠つている資源も開発してそうして日大経済に役立たせようというような、そういう非常に手間取れることでは、現在の日本経済の問題は解決しないのであります。問題は、すでに現在現物を幾らでも輸出しようとする中国との貿易、これをやることが日本経済の唯一の道である。これがアメリカの意図によつて中日貿易は禁止されておる。日本政府もそれに従つておる。だからどうしてもまだ地下に眠つておる、将来の東南アジアの原材料を掘り出さなければならないという、こういうばかばかしいことをやつておるので、従つてわれわれは、そういうことをやつて国費矛費すようなことをやるよりも、運賃も安く原料も安い中目貿易をなぜ一日も早く回復しないかということが、われわれの主張でありますが、それに対する御見解をひとつ承りまして、私の質問を打切ります。
○奧村委員長代理 銀行局長は御答弁ないそうです。有田君。
○有田(二)委員 国民金融公庫について、総裁がお越しになつておりますから、まず総裁にお聞きしたいと思います。国民金融公庫は運営が非常にうまく行つておると承つておりますし、また国民もそれに大きく期待し、国会も大きく期待しているところでありますが、何としても金に関する問題でありますから、やはり第一線でもつて、小さな金融ボスというようなものがおつて、第一線の人たちと連絡をとつておる。一例をあげますと、満州あるいは中国方面からの引揚者で、それらの一部の人が国民金融公庫と連絡をとつて引揚者に貸出しをするという名目のもとに、いろいろと不正なことが行われておるという情報も、われわれは承つておるのでありますが、これらに対して国民金融公庫の総裁として、どういうふうな監督の方法をされておられるか、承りたいと思います。
○櫛田説明員 お答え申し上げます。ただいまお話がございましたように私どもの仕事は、まことに少い中からたくさんの人にお貸出しをするという役割を持つており、また九百三十人の職員が一体となつて、できる限りたくさんの方々の御期待に沿うように、勉強いたしておる次第でございます。何と申しましても、たくさんのお方にいろいろお目にかかるわけでありますが、ただいまおつしやいましたような――お言葉によりますと、金融ボスと申しますか、あるいはしばしば金融ブローカー的なものが存在するということを私どもも耳にいたします。いたしますが、私どもといたしましては、お客様からお申込みを受けて、そうしてお越しを願つて十分に話も承り、またこちらから実地に参りましてよく実情を拝見さしていただきまして、耳で聞き目で見まして、これならば私どもが国からお預かりしております貴重な金を十分に役立たせて、事業の更生なり発展なりをおはかりになることができるということが、十分納得が行きました上で、お貸出しに当つておるようなわけでありますので、金融ボスとかあるいは金融ブローカー的なものがかりにありましても、私どもとは実は直接関係のないようなものと申し上げてよろしいかと存じます。ただそういううわさをときどき聞きますので、たとえば業務所におきましても、お客様方にあるいは掲示いたしますとか、あるいは口頭で申し上げますとかいう形においてできる限り直接お越しになりまして、率直に、ざつくばらんに御相談くださいますように、第三者の口を介して参りますと、いろいろな行き違いということもございますから、御遠慮なくお越しくださいまして御相談くださいますようにということを、くれぐれもお願い申し上げておるような次第でございます。もちろん、たくさんの人でありましてあるいは申込書も十分に自分の力では書けないというような方もございます。そういう方は私の窓口に直接お越しになれば、いろいろ御相談の上、一緒に申込書を作成するというようなことまでしております。あるいはほかの方々にいろいろ教わつたりなどいたしまして、お持ちになる方もたくさんあるわけであります。かような心組みでやつておるような次第でございます。どうぞひとつ御了承願いたいと思います。
○有田(二)委員 その運営が非常にむずかしくて、総裁としても御苦心のところわれわれも考えられるのでありますが、非常に零細な方々でありますし、この人たちへの貸出しについて、ひとつ竿頭一歩を進めていただいて、より以上国民が納得する方向に御検討願いたいと思うのであります。もう総裁ということになると雲の上で、はなはだ事務上のことはわかりにくかろうと思うのであります。十分ひとつ掘り下げていただいて、そうして間違いのないように、私も今まで国民金融公庫にまで十分手がまわらなかつたのでありますが、近く国民金融公庫の方面の検討をいたしたいと考えておりますので、この点ひとつ国民金融公庫でも十分に御注意願いたいと思います。いろいろな情報も参つておりますが、九百人からの職員でありますから、総裁の親心を知らずに行動しておる者も絶対にないとは言えぬと思います。この点十分に平素から御指導、御鞭撻を願いたいと思います。
 次に銀行局長にお尋ねいたしますが、国民金融公庫をどういう方面で御監督になつておるか。総裁が縦の面で御監督になつておられることは了承するのでありますが、同時に政府を代表し国民を代表して、銀行局は国民金融公庫に対して、いかような監督の方法をなさつておられるか承りたいと思います。
○河野(通)政府委員 国民金融公庫はただいまもお話がございましたように政府機関であります。従いましてその資金のソースはもちろん全額政府からの資金であります。また近く国会を通過になれば国民金融公庫も増資ができることになるのであります。それと並行いたしまして資金運用部資金の活用ということも考えておりますが、いずれにいたしましてもそのソースは政府資金であります。普通の民間の金融機関と違いまして、その資金源は国民の税金から調達されたものであり、国民の郵便貯金その他の形で集まつて来た大切な資金であります。この資金の運用が十分にその設立の目的に合うように、常時私の方といたしましては十分な監督もし、また注意もいたしておるわけであります。ただ特殊の銀行等におきますような監理官というような制度は、現在国民金融公庫には設けてありません。これは政府機関という立場から、監理官を置くまでもなく、銀行局なら銀行局というものが全体としてこの金融機関の監督に当つておるわけで、従つて特殊銀行でありますとか日本銀行等にありますような監理官の制度は置いておりません。これは輸出銀行とか開発銀行等においても実は同じすうな立場でありまして、一人の監理官という形を通して監督をいたすのではなくて、銀行局全体として一体となつて、この運営の万全を期するように努力をいたしておるようなわけであります。いろいろな点で御不満なり御注意を受ける点が多々あるのではないかと、実はおそれておるのでありますけれども、今後といえどもそういうようなあやまちなり不満足の点のないように、極力私どもは国民金融公庫当局者と一体となつて万全を期して参りたい、かような覚悟でおる次第であります。
○有田(二)委員 開発銀行のお話が出ましたが、開発銀行ということになると、監督の方法も十分に立つだろうと思いますが、輸出銀行あるいは国民金融公庫に対し、銀行局は一体どういう方向で監督しておりますか。あなたの言うように銀行局が一丸となつて監督しておると言つたつて銀行局長は年中忙しい。銀行局のどういうところでどういう人間がどういう方法で監督しておるかお尋ねいたします。
○河野(通)政府委員 国民金融公庫につきましては特殊金融課という課がございまして、人数はあまり多くございませんが、課長以下数十人のものでやつておるわけであります。それに課長が特殊金融課の中の最も重要な仕事の一つとして、国民金融公庫の監督に当つております。係も設け、事務官もこれに相当な力を注いで監督の任に当つておるわけであります。また開発銀行、輸出銀行につきましては、現在銀行局の総務課において、課長以下数十人のもので仕事をやつております。また特殊銀行、日本銀行等もこの課に順いて監督いたしておりますが、この課の仕事の大きな部分は、やはり開発銀行なり輸出銀行の業務の監督指導に山つておるわけであります。
○有田(二)委員 要は一定の何十億たら何十億という予算を、国会でわれ弘れも審議して金をまわすのでありますが、その貴重な国民の金を監督するのが銀行局です。銀行局長の御答弁を承つて、私は決して疑いをかけるわけではないのでありますが、おか目八目で見て不十分であります。こういうような感じを受ける。今ここで私はどうしでくれとは申しませんが、少くとも貴重な何十億何百億という金を、開発細行なり輸出銀行あるいは国民金融公庫なりに出して―その他農林中金にしても商工中金にしても監理官がおりますけれども、有名無実です。一体どんへことをしているのか。この点をみずからよく反省していただきたい。一定の金額が本委員会なりで決定されて衆参両院を通つて金が行く。その金の使途については一にかかつて銀行局に全責任がある。その全責任がある銀行局としては、国民金融公庫の総裁が大蔵省の先輩であるとか、あるいは開発銀行の総裁の小林中君がこれまたなかなかのやり手である。あるいは輸出銀行の総裁これまた相当の人であるというところから遠慮する。以前日銀の監理官が一年有半空席であつたという例から見ましても、あなたが銀行局長になられていささか安心をいたしているのでありますが、はなはだその点が寒心にたえない。どうか一つ大義親を滅して、先輩であろうが何であろうがそんなことは別問題です。国民から預けられた貴重な金が最も有効適切に使われているかどうか。国会で答弁される場合にはいわゆる答弁であつて、われわれはごまかされやすいのであります。しかしながら銀行局においては検査部もあり、いろいろな面があるのでありますが、ひとつ十分に御監督願つて、われわれも本国会において法案で増資なり何なりを採決しましても、その通常の面において誤りなく行けるような方向に進むよう、もつと監理官制度のあるところは監理官制度、監理官制度のないところはそれとしての、これからの銀行局長のやり方を大いに私は刮目するつもりであります。今までのところは銀行局長になつてから、まだそう長い歳月がたつておりませんので申しませんが、これからひとつ積極的に監督の方向に出ていただいて、貴重な金が正しく使用されるように、銀行局の監督がやかましければ、また総裁の方でも銀行局がやかましいのでこうしてもらわなければ困ると、職員にも話ができるわけであります。そうしないとどうもうちのおやじはやかまし過ぎて困るというような、職員組合の総裁に対する不満にならないとも限らないと思います。どうかひとつ監理官のあるところ、監理官のない政府の直接機関について、監督の方法が十分でないとは申しませんが、さらに一層の御検討をお願いいたしまして、私の質問を終ります。
○三宅(則)委員 私はただいま議題となつております国民金融公庫法の一部を改正する法律案につきまして、数点に対し質疑をいたしたいと存じます。
 まず最初に河野銀行局長にお尋ねいたしますが、国民金融公庫は零細なる商工中小企業者の刮目をいたしております、実は潤いの水であると考えておるのであります。今回第四回の増資によりまして、六十億円を七十億円に進められることになりました。もつとたくさん進めることを私どもは希望しておつたのでありますが、なぜ十億円にとどめておられるのか。むしろ私は八十億にも九十億にもいたしたいというのが、一般の希望であろうと思うのであります。もちろん予算の関係等もございまするが、せつかく検討しておられる銀行局長の真意を承りたいと存じます。
○河野(通)政府委員 国民金融公庫が生業資金の金融機関として、今後の活躍にまつ面が非常に多いことは御指摘の通りであります。国民金融公庫の資金源を拡充いたしますためには、いろいろな点で極力努力をいたして参つたつもりでありますし、今後においても私ども微力を盡して参りたい、かように存じます。御指摘の、今回の法律案として十億の増資にとどまつたのは、どういうわけかというおしかりの点でありますが、率直に申し上げまして、資金源はさらに必要であると思います。ただここでお断り申し上げておきたいと思いますのは、今回の国民金融公庫の資金源の獲得につきましては、ただ出資の増加だけに期待いたしておりません。先ほどもちよつと申し上げましたように、今般の補正予算とうらはらになつておりまする資金運用部資金の運用計画の変更によりまして、現在のところでは大体二十億程度の資金を、国民金融公庫へ注入いたすつもりでおります。今御審議をいただいておりまする十億の出資と合せて、三十億だけは確定をいたしました。さらに見返り資金のうち、中小企業のわくとして今予定されておりまするものが、本年度として約四十億あるわけでありますが、これが今後の運営状況いかんによりまして、若干資金に余裕を来すかとも思われますので、そういう場合におきましては、これらの資金をさらに国民金融公庫等、政府の金融機関にまわすように努力をいたして参りたいと考えております。なお資金の需要は実は無限にあるわけであります。多ければ多いほどいいということになるわけでありますけれども、その点につきましては財政、広くいえば政府資金全体の計画のうちから、限られた資金のわくをさくわけでありますので、十分でないというおしかりを受けることは、はなはだ私どもも慚愧にたえないところであるのでありますが、財政上の都合その他もございますので、現在のところではこの程度でひとつお許しをいただきたい、かように考えております。
○三宅(則)委員 今の河野銀行局長からのお話では、今回は十億円にとどめておいた、また見返り資金の四十億円の中から出すという計画もあるということですけれども、十二月十日に召集されるであろうところの第十三国会におきましては、相当活発に資金を出すという研究なり用意をしておられるか。もう一度確信を持つた答弁をいただ春たいと思います。
○河野(通)政府委員 銀行局長といたしましては、確信をもつて御答弁を申し上げるところまでまだ至つておりません。できるだけ今申し上げましたようなラインで、国民金融公庫の資金源を拡充いたす方向に動いております。具体的な計画等確信をもつて答弁をと言われますけれども、遺憾ながらまだ申し上げる段階に至つておりません。
○三宅(則)委員 櫛田国民金融公庫総裁にお尋ねいたします。ただいま銀行局長は、政府の立場といたしましてとりあえず十億出す、こういうお話であります。この十億の資金をまかないまして、実際国民の要望いたしておりまする需要の何パーセントくらいを満たす御確信があるか。われわれの承るところによりますと、大体今までの経験では二〇%以内であるということを言つておりましたが、むしろ一〇%くらいしか満たさないで、あとの九〇%はお断りするということを聞いておつたわけであります。今回の改正によりまして、どのくらい国民大衆諸君の要望を満たす覚悟を持つておられますか、承りたいと存じます。
○櫛田説明員 お答え申し上げます。先ほど銀行局長からお話のございましたように、今回は政府から十億の御出資をいただいております。そのほかにも運用部の方から二十億見当のお貸出しができるように承つておりますが、さしあたり三十億円は確定いたしております。なおそのほかにも、都合によりましては見返り資金の方から、何がしかのお借入れができるかもしれません。これをもちまして来年の三月までの資金をまかなうという状態なのであります。これは今までの経験から申しますれば、大体一割五分から二割見当の需要をまかなつて来ることができたように存じますが、ただ現在の経済槽勢からいたしまして、今後どれだけの舞がりますか。いろいろな関係がらあるいは非常にふえて来るかもしれません。それとのにらみ合せになりますので、この三十億余の資金をもつて、来年の三月までに何パーセントの需要に応ずることができるかというとは、にわかに断定しがたいのですが、現状のままで続きますならば、十体二割見当は何とかおまかないがで吏るとではないかというふうに推察いたしております。
○三宅(則)委員 前に私が質問したときにも、二〇%以内であろうとおつしやられましたが、今の櫛田総裁のお託によりますと、まだあまり改善されていないように考えます。私は、今日の状況では、零細な企業者でありますから、割合正直に返済しているものと思つておりますから、これを勘案いたしまして、なるべく三割とか四割とかいうふうに、その上昇を期待するのでありますが、中にはひやかしに借りる人もありましよう。ですから全部が全部これを承認せよということは無理でありますが、零細なわずかな資金でありますから、これに対しましては、保証人制度等身考慮せられたいのであります。中小企業の小さい合資会社とか、合名会社とか、株式会社等におきましては、一会社の申込みの数によりまして五十万円とか、あるいは百万円とかいうことになつているかと思いますが、現在どういうような性質で、どのくらい貸すのが一番多いか。たとえば百万円くらい貸すものがあるかどうかということを聞きたいのであります。今日の物価指数等から考えますと、昔の一万円と今日の一万円とではたいへん違うのでありまして、どうしても三十万、四十万、五十万というものでなければ、ほんとうの零細な企業といえどもまかないかねるという現状なのでありますから、その状況等を簡単でよろしいですから承りたいと存ずる次第であります。
○櫛田説明員 お答え申し上げます。御承知のように、私どもにおきましては、個人の場合は一口二十万円まで、また連帯貸付の場合は、最高百万円までお貸出しができるようになつております。平均としてみますと、お客様その他の仕事の内容なり需要なりによりまして、三万、五万の小さい金額から百万円までの金額のお貸出しをいたしているわけでありますが、大体のところ個人の場合におきましては十二・三万円、それから連帯―これは法人がおもなものになりますが、その場合は三十万内外というところが、現実の場合の貸出しの実績でありますが、百万円の貸出しも実行せられております。しかしそれは全体の金額から見ますと一%余ですが、最近の、たとえば八月の実績を見ますと、約二%見当貸し出しているような状況であります。大体そんなぐあいに相なつております。
○三宅(則)委員 ただいまの御説明によりまして個人の方は十二、三万で、法人の方は三十万ないし五十万、あるいは百万円までということでありますが、確実な保証人ももちろん必要でありましよう。中には今までの企業会計として税務署に出します決算書、貸借対照表、損益計算書等は、実物の財産諸表とは大分相違している場合があります。そういう場合には、人のことでございますが、貸借対照表もしくは資本金等においては十八万、二十万ということになつておりますが、実質は二百万にも三百万にもなつておる場合がある。そういう場合等においては、主として税務署に出した財務諸表に根拠を置きますか。むしろそれよりも、実質に重きを置いてやつた方がよろしいと思うのですが、それらを通してどういう考え方を持つておられますか。私は現実主義、実際主義でやることが穏健妥当だろうと思うのでありますが、これに対して明快な御答弁をいただきたいと存じます。
○櫛田説明員 私どもといたしましては、ざつくばらんにありのままを正直に御相談くださいますのが、お客様方に対して一番希望しておるところであります。よく世の中にこういうことがございます。大体三つくらい帳簿を持つていて、税務署向け、金融機関向け、それからほんとうのということになつておるわけでございます。そのほんとうのというところが、私どもといたしましては何よりも希望するところであります。またこのごろはお客様も非常によくわかつてくださいまして、事柄を早く済ますために、最初からうそを言わぬのがよろしいということになつておりますが、いろいろな表を表見いたしまして、つじつまが合わないので、これは信用がならぬということになりますと、私どもでは何としても御相談に応じかねることになります。最近はそこら辺が非常によく徹底して参りまして、ひざ突き合せて、ざつくばらんに正真正銘のところで御相談を願うということで、大体成功しておるのではないかと思つておりますので、御了承を願います。
○奧村委員長代理 次に在外公館等借入金の返済の実施に関する法律案を議題といたしまして、前会に引続き質疑を継続いたします。塚田十一郎君。
○塚田委員 前会に引続きまして、もう少し補足的にお尋ねをしたいのであります。この法律案を読んでおりますと、與党の私どもが見ておつても、出発するときは非常な親切味から出発したのであるが、法律案になつてみると、非常に不親切な結果になつてしまつておる、こういう感じがするのであります、この法律案によつてお金を返してもらわれる方々は、頂戴しておる表を見ると、件数において約十三万二千ばかりあるらしい。この十三万二千件に上る人たちの中で、一体どれくらいの人たちが返してもらつてありがたかつたということになるのか。おそらく相当数の人は、この法律通りに計算して出て来た金額を見たときに、何だ、これつばつち返してもらつてもバス代にもならぬじやないか。一体人の金を五年も六年も、しかもこちらとしても非常に使いでのあるときに出させておいて、今ごろになつてこれくらいの金を返して、これで返したもないもんだという感じを起すだろうと思う。そういうことを考えてみると、この間参考人の意見を聞いたときに、総額を押えておいて、これ以上になると困るという前提から、何か法案のいろいろな点を、やりくりされたのではないかという感じがするのであります。そんなことを一々お聞きしてもきりがありませんが、大体そういう考え方から、あるいは相当辛辣なお尋ねをするかもしれませんから、ひとつありのままのところをお聞かせ願いたいと思います。
 そこできようは、前会十分に御答弁を得られなかつたこの法律の憲法上の問題点について、ひとつお尋ねしてみたいと思うのでります。いろいろと考えてみると、いろいろな方々の意見を聞いてみると、どうも第四條の五万円に打切つたというところにかなり問題になる点がある、こういうように考えられるのであります。ことにこの前のときにも私が申し上げましたように、大体この法律及び準備審査会法によつて債務たることが初めて確定したのだ、こういう考え方を政府はとつておられるように思うのですけれども、私はいろいろな借入金の性格を実際に想像してみると、なるほどこれら二つの法律によつて、債務たることを確認したと考えられるものも相当あるが、そうでないと思われるものもやはり相当ある。債務というものはこの法律によらずにすでにあつたものなんだ、しかも額もはつきりしているものなんだ、ただそれを日本の貨幣価値に換算すると、どうなるかという問題だけが残つておる、こういうように考えられる債権が相当あると思う。そういうものを一方的に国家が五万円というように打切られることに、憲法上の問題点がないのかどうか。この点ひとつお聞かせ願いたいと思います。
○石田説明員 先般塚田先生から御暦問がありました場合に、今のような点にもすでにお触れになつておられましてその際申し上げたのでございますが、まず今回の法案においては、最高額を打切るというようなことがあつて、これは不当ではないか。それからまた初めからある総額を予定しておうてその額の範囲内において打切るために、政府としてはいろいろと工作をしたのではないか。こういう二点がおろうと思われます。その後段の点にうきまして、総額を幾らということですべての案をつくつておるのではないかということについては、この前申し上げたつもりであります。
 なお五万円の点につきまして、その金額がいいか悪いかということは御来議願つておるわけでありますが、しかしいろいろなほかの点から考えて、上の方の金額については、打切りが行われるであろうということは、前の二つの法律が審議されました経過において、政府としてはすでにその点を表明しておるところでございまして、何も今度の法案を出すについて卒然としてそういうことをしたのではない、こういうふうにお答えしたいと思うのであります。
 なお憲法違反ではないかというお尋ねにつきましては、この前のときに私どもといたしましては、一応御答弁さしていただいたのでございますが、本日は法制局の方もお見えになつておりますので、そちらからお話願うことにしたらいかがかと思います。
○鮫島法制局参事 この問題は、お尋ねのように非常に複雑な事実問題と、それから法律問題を含んでいるように存ずるのであります。事実問題と申しますのは、一体今問題になつておりますいわゆる国の債務は、法律がなくても本来国が返すべき債務であつたかどうか、あるいは国が本来返すべき債務ではなかつたのであるが、いろいろな事情から見て国において金を支拂つてやるということを、一連の法律でもつて規定した、そういう債務であるかどうかということで、結論は非常に違つて参ると思うのであります。もしも普通の個人の場合を考えますと、金銭の貸借がありますと、そこに当然民法上金を返済する債務が生ずるのでありまして、別に法律をつくらなければ個人間の債務が発生するとかしないとか、そういう問題は決してないのでございまして、法律のあるなしにかかわらず、その債務は発生するということになるのであります。そういうふうに本件の債務も、本来国が返済すべきような債務として成立したものであるかどうか。もしも国が現地において金を借りたといたしますならば、それはこの法律があろうとなかろうと当然返済すべき債務でございますから、それを法律である程度打切るということになりますと、多分に憲法違反の問題が生じて参るのであります。それからもしもこれが普通の貸借とは違つて、国が本来借りた金ではないのだ、ただ特に気の毒であるとか、あるいはその他のいろいろな事情によりまして、国が金を支拂つてやるのだということをこの法律できめたといたしますならば、これはこの法律の定める條件に従いまして、その支拂いの額なり、支拂いの方法なりはきめられるのでございますから、そういう事実であるといたしますならば、ここには憲法違反の問題は生じて参らない、そういうふうに考えます。でございますから、この問題の金銭の貸借といいますか、あるいは今問題になつております国の債務というのが、はたしてどういう事実関係で生じたのかということが、まずきめられなければならない事柄であると存じます。
 それからもう一つ申し上げますが、ただいまの金銭貸借はちようど旧憲法時代に属することでございます。そして旧憲法の第六十二條によりますと、「国債ヲ起シ及予算二定メタルモノヲ除ク外国庫ノ負担トナルヘキ契約ヲ為スハ帝国議会ノ協賛ヲ経ヘシ」というように、予算に定めたもののほか、国の負債となるべき契約をなすには、帝国議会の協賛が必要であるという規定がございます。それから当時の会計法を見ますと、前の会計法でございますが、その第六條によりますと、「政府ハ国庫金出納上必要アルトキハ大蔵省証券ヲ発行シ又ハ日本銀行ヨリ借入ヲ為スコトヲ得」それから「大蔵省証券及借入金ノ最高額ハ毎年度帝国議会ノ協賛ヲ経テ之ヲ定ム」というような規定がございます。こういう関係から申しましてはたして問題になつておる国の債務が、適法に成立しているのかどうかという点も、大いに問題があろうかと思います。
○塚田委員 また新しい問題が出て参つたのでありますが、鮫島さんの御意見によると、大体あの終戦のどさくさ当時に、外務大臣の名前で出先公館に借り入れてやれと言つたことが、すでに旧憲法に違反をしておる。だからそういう意味でまず問題がある、こういうことをおつしやるのですが、そういうことになりますと、その場合の解決はどうなるのでありますか。とにかく出先で要求に応じて政府に金を貸した人たちのことを考えてみると、貸した人たちはそれが憲法に違反しておるかどうかということはもちろん知らぬ。ただ貸してくれと言われたし、また貸すべき当然の事情もあると思われたし、そういう緊急状態のもとであるからしてそこで貸した。従つて憲法上のことも会計法上のことも知らなかつた。そこで、そういう状態のときに貸したものが、憲法違反であるから無効だ、従つて債権債務という関係は成り立たない、こういうことになりますか。それとも憲法もしくは会計法に違反しておつても、債権、債務は貸した者、借りた者で成り立つ。ただ問題は、そういう違法なことをやつた政府に責任があるということになりますか。旧憲法上の、あれを借りたこと自体の法律的な考え方はどうなりますか。
○鮫島法制局参事 その点も法律の解釈上非常に困難な問題でございまして、実は今までそういう事例も存じませんし、また従つてそういう場合の法律解釈はどうなるかということも今まで考えたこともございませんし、またおそらくそういうことを論じた人もないと思います。今おつしやいましたように取引の安全ということを考えますならば、これは私法上の法律行為として有効であるというふうに解する考え方もございましようし、それからまた憲法の規定なり会計法の規定にもございますが、国の債務負担行為ということを非常に厳格にする。財政の紊乱―紊乱とまで申しませんが、財政を非常に引締めて行くためには、憲法なり会計法で定められた手続に従わなければならぬということを強調いたしますと、第三者の安全を無視してもそういう契約は無効にしなければならぬという考え方がありまして、その二つの考え方があり得ると思いますが、いずれの結論をとるべきやは、ちよつとただいままだ即答できないのでございます。
○塚田委員 こういうことをお尋ねしてもよいのかどうか。また自分で調べればすぐわかることなのかもしれませんが、その旧憲法時代の荷効、無効という問題は、ああいう緊急状態のもとにやつた場合に何か特例がなかつたでしようか。緊急処分というような形で、あとでそれは国会で了解を得ればよいので、やつたこと自体は有効であつたというようなことにはならないのでしようか。
○鮫島法制局参事 そういう特例がありましたかどうか、ちよつとただいまわかりません。
○塚田委員 まあその点はその辺にしておきまして、とにかくそこに若干疑問は残つておるのですが、私が考えるところでは、政府がこの法律で返すべきものであるとお考えになつているいろいろな債権、債務関係の中には、現実の状態を調べてみると、さつきも鮫島さんがおつしやつたように、この法律で初めて債権になつたのだというように言い切れない。当然あるものなんで、ただこの法律がよけいなこと―
まあよけいなことでない部分は率をきめたということくらいで、そういうものに対しては規制できるのであるが、その他の部分には規制力の及ばない面があるという種類の債権、債務関係があるのじやないか、こういうふうに私は思うのです。その場合においては、先ほどの鮫島さんの御意見では、一応憲法に抵触する疑いがある、こういう御意見でございますか、もう一度伺いたい。
○鮫島法制局参事 本来返すべき債務である場合にそれを法律でもつて打切るということは、憲法二十九條の規定の適用がありません場合には、そういうことになろうかと思います。それからまた本件の場合にそういう公共の福祉という問題があるかどうかということは、さらに事実関係をもう少しはつきりいたしませんと申し上げられません。しかし憲法上の疑義が大いに出て来るということは、申し上げてよいのじやないかと思います。
○塚田委員 それでは法制局関係の問題はその辺にしでおきまして、そういうことを頭に置いて、一体この債権債務の関係がどんな状態から発生したかということを、この前理財局長にお尋ねしたのでありますが、どうも理財局長の方ではあまり十分に説明の資料をお持ちになつていないというので、きようは外務省にお越し願つたのです。そこであの当時政府から、借りてまかなえという指令が正式に出た在外公館はどことどこであつたか。それからこの債権債務の関係を発生させた地域のうち、どういう部分にはその指令は出ていないが、同じ気持でもつてそれを処理したということになつているか、ひとつお聞かせを願いたい。
○池田説明員 お答えします。お話の訓令は二十年の九月七日にこちらから出ているのでございまして内容はすでに御承知かと思いますが、当時大体終戦後各地とも電信連絡が円滑でなかつたので、軍の通信機関を使つておつたようであります。それで中国に対しては大体各地とも大きい所だけは通じておつた。たとえば上海、南京、北京、広東くらいまでは行つておつたようですが、そのほかに人的連絡であとでわかつたような所もあるようですけれども、それ以外としましては、朝鮮はもちろん当時管轄外でございましたが、満州へは直接行つておりません。しかし、あとでそういう人の連絡によつて事情を聞いて満州では処理したということです。但し満州でやつたのは、公館というものがやつたのではありませんで、大体日本人の団体がやつておることになつております。
○塚田委員 どうも指令がどういうところへ出たかということがはつきりしていないのですし、それからその指令を出されるときに、もつと広い範囲に指令をしたがつたのであるが、通信機関なんかの都合でできなかつたのだという事態であるか。それともそういう通知はこれだけのところへしておけばよいのだ、あとはどういうことになつてもかまわないというお考えであつたのか。ことに満州へは全然通知しておらない。朝鮮へも行つていなかつたようです。在外邦人を救わなければならないという考え方をされたときには、当時の出先機関―在外公館のある所は在外公館へ、ない所は、たとえば朝鮮なら朝鮮の総督府、満州なら満州国のそれらを扱うべき該当機関へ、全部連絡すべきだというお考えであつたのか。ほんとうの外務省の手足になつている出先機関だけということになると、同じく救済するために必要な金は借りろというお考えであつても、大分私は違うと思う。その辺はどうなんですか。
○池田説明員 ただいまの訓令が全般的に行くべきかどうかという点でございますが、当時の担任者でないからはつきりわかりませんが、想像するところによりますと、大体こういう種類の電報は、さつき申しましたように、おもに大使館とか大使館事務所に一応行きまして、それが下部の担任地域の領事館にずつと転電されるようになつておりますから、これは当然全般に行くようにと出されたものと思います。それから満州、朝鮮の事態につきましては、事情がよくわからなかつたという事態で、連絡がうまく行かなかつたと思いますが、ことに朝鮮―台湾はそうではありませんが、朝鮮などはまだどこの管轄に属するかよくわからなかつたでしようし、外務省としてそこまで手がまわらなかつたのだと思いますが、その後になつて朝鮮の方も幾らか連絡がとれて来ております。
○塚田委員 私の考えますように、あるところははつきりと正当な命令に基いて正当な権限で借りた。従つて相当確実な債権債務関係であるということが、大体はつきりとし七来ました。
 なお、その問題をもつとはつきりいたしますために、一体今度こうしてお調べになつた金が、当該地域においてほんとうに政府がこういう目的のために金を借りろと言つてやり、その目的に借りた金を使つたという確認ができておるか。ああいうどさくさのときでありますから、借りた金がはたしてその目的に使われておるかどうかということが、かなり私は疑問がある。こういう目的に使われた金ならば、政府の債務として認めるということになるが、その目的以外のものに使われたものであれば、たとい当時の事情でやむを得なかつたとしても、これはどうもはつきりした債権債務関係になつておるか、どうかということは疑問である。従つてこういう法律が出て、初めてそういう関係の確認ができるのだということになる場合もある。この点はどうでしよう。
○池田説明員 借り入れた金がどういう目的に使われたかというお話ですが、この点につきましては、ただいま外務省においてできております審査会というのが審査しておるわけでありまして、同じ地域でも金を借りた先というのが、場合によつては二、三箇所くらいあるのがあります。われわれはそれを主体といつておりますが、その主体の一々につきまして、収支状態、借入れの状態を全部調査しまして、これを審査にかけておるわけであります。大体各地とも当初においてはおもに寄付金でまかなつておる事情のところが全般のようです。その寄付金でやつていてだんだんにみんなの持ち金がなくなるので、どうしても将来返すとかいう條件をつけて、各人から借りるという方法によらないと、金が寄らなくなつて来たというので、初めてやつておるようでございまして、その使途につきましては、ただいま申しましたように、審査しておる次第ですが、大体法律にいいます救済並びに引揚げ関係と経費に使われた。しかしそう言いましても、これは内案なかなか複雑でありまして、中には引揚げについて、御承知の戦犯容疑者あたりを中国のために押えられるというようなことが少くなかつたので、その工作のためにも大分使われておるのもありますし、そのほかそういう趣旨の工作費というものに使われたものも、各地に少からずあります。所によつては中国側に一部が接収されたというのもありますが、われわれとしても、何パーセント接収されたからどうというわけにも事務として行かないので、大体、これらは一応全部借入金として認めて処理しております。
○塚田委員 そういうことであると、はたしてしつかりした法律的な債権債務関係があるかどうかということは、かなり疑問な面が多々出て来る。あるいはこの法律で確認することによつて、初めて債権債務であるということになるのかもしれませんが、その債権確認をされるときに、金を出された側の事実確認だけでなしに、それがどういう目的で使われたかということも調べておるのだという御答弁であつた。その場合に、この前ちよつと理財局長にお尋ねしたのですが、たとえばその土地から引揚げて来た人間の数とか、引揚げられないでおつた滞留期間の費用とかいうものの常識的な判断からして、金がよけいかかり過ぎているというような地域はありませんか。
○池田説明員 その点につきましては土地の事情によつて非常に相違がありまして、たとえば海に面した天津とか上海とかというような所は、割合に命がいつておりませんから、そういう地方では一人当りの経費がそれほどないということも言えますし、それから満洲のやや奥地の地区、撫順でしたか、そういう所では政治的に中共と国民軍との闘争地域に陷つたりしましたために、工作費あたりが非常にいりまして、こういう所は一人当りにしますと相当な額に上つております。こういう点につきましても一々当時の土地の事情をよく究明しまして、このくらいいつてもやむを得なかつたというようなことを認定して、確認しておるわけでございます。
○塚田委員 現地の事情はその程度にいたしまして次に換算率をおきめになつた場合に、米を基準におきめになつたというのでありますが、一体米を基準におきめになつた数字がどんなぐあいだつたのか。つまり当時の日本の米価はどの点を押えられたのか、それらそれぞれの土地の米価はどういうぐあいだつたのか、それを伺いたい。
○石田政府委員 大体の方針を申し上げますと、現地の米の値段につきましては、現地からお引揚げになりました方が、大体このくらいの値段だという数字によつたわけであります。これはもちろん内地の事情から申しますと自由価格であります。それから内地の米の値段はどうしておつたかと申しますと、これは配給もございますしやみもございますので、大体公定を四くらい、やみを六くらいというような割合で出しまして、それによつて出したわけでございます。たくさんございますので、何でしたらその資料をまとめて差上げてもよろしいかと思いますが、たとえば京城なら京城につきましては、昭和二十一年の四月は一升五十八円くらい、それが五月には一応五十円に下つたのでありますが、六月には七十円になり、七月には九十二円になり、八月には九十四円になつたというような数字をずつととりまして、各市も同様に数字をとりました。内地におきましては、大体四月頃は一升四十円であつた。それが五月になりますと四十三円、七月には五十円、八月には四十九円何ぼ、そういうような数字を出しまして、それぞれのピーク時を比較してどのくらいの数字になるかということをやつたわけであります。
    ―――――――――――――
○奧村委員長代理 次に連合国財産補償法案孝議題といたします。
 本案につきましてはすでに質疑打切りと相なつておりますので、これよりただちに討論に入ります。討論は通告順によつてこれを許します。深澤義守君。
○深澤委員 ただいま議題となりました連合国財産補償法案に対しましては、日本共産党はこれに対して反対であります。
 本法案は吉田内閣が一九五一年七月十三日の閣議で決定し、連合国財産補償について平和條約第十五條a項にこれが挿入されているのであります。しかしてその條約の規定によつて、本法案に定める條件より不利でない條件で連合国財産の補償をすることになつているのであります。このたびの平和條約の締結は、憲法七十三條によつて、事後において国会の承認を求めるということになつておるのであります。従つて国会が承認を與えるまでの行為は内閣の責任であります。その吉田内閣が、本法案を国会に諮ることなく、平和條約の一部に挿入いたしまして、本法案を連合国に有利に修正すること、すなわち日本にとつては不利に修正することはできるけれども、連合国に不利に、すなわち日本に有利に修正することはできないというぐあいに、あらかじめ制限をすることになつておるのであります。これは明らかに行政府の立法府に対する越権行為である。国会の立法権を制限する違憲行為であると、われわれ見なければならないと思います。なおその結果として、日本の国会は連合国財産補償に関しましては連合国の有利になるように、日本国の不利になるように奉仕する道のみが與えられている、こういう立場に置かれております。先日の大蔵委員会におきまして、民主党の内藤友明君並びに私が大橋法務総裁に対しまして質問いたしましたときに、大橋法務総裁は、審議権を制限するのではない、しかし国会が連合国に不利に日本に有利に修正したとしても、それは対外的には効力が発生しない結果となるという意味の答弁をせられていることによつても明らかなように、わが国の国会の権限は、日本国に有利に奉仕するという道がとざされているという結果になると思うのであります。吉田総理が和解と信頼の講和として欣然として調印して帰つて参りました平和條約には、このようにわが国の国憲の最高機関である国会の立法権を、金縛りにするような工作が行われているということが言えるのであり事。これがわれわれの反対の第一点であります。
 第二の反対の点は、本法案の審議にあたりまして、政府はただ一片の表を参考資料として提出したのみであります。漠然と建物が十六億、動産が八十七億、株式百十四億、預金が一億、債権が五千万円、工業所有権が五十億、合計二百六十九億円が補償の対象になることが予定されている、という程度のことが明らかになつたのみであります。私は国民も国会も十分納得し得る具体的な資料を提出することを切に要望いたしまして、夏堀大蔵委員長を通じて政府に交渉していただいたのでありますが、この資料の提出は政府によつて無視されております。何ゆえに政府はこれを明らかにすることができないのか。われわれはまことにふしぎにたえないのであります。こういう点につきましても、政府自体が国会の審議権を非常に軽視していると言わざるを得ません。そういう観点からわれわれは反対するのであります。
 第三の反対の点は、本法案の補償の大部分が英米関係であります。具体的なことを国民と国会に発表せずに、大国のみの部分を優先的に補償するという根拠は一体どこにあるか。大東亜戦争によつて日本帝国主義の侵略の犠牲になり、最も深刻な被害を受けたのはアジアの諸国でないかということは明らかであります。この諸国に対する補償をあとまわしにして、いち早く毎会計年度において百億ずつを計上いたしまして、これらの大国の優先補償をするということは、まことにわれわれは理解に苦しむものであります。
 第四の反対点は、本法案の補償の根拠についてでありますが、戦時中に国家主義によつて行われた敵産処理であるとか、あるいは戦時特別措置等によつて受けた連合国の財産の補償に対しましては、当然戦敗国として補償の責、任のあることは言うまでもありません。しかしながら交戦国の戦闘行為による被害の一切を、わが国が補償するという責任を負うことは、はたしていわゆる和解と信頼の講和と言い得るかどうかという問題であります。戦時中行われたアメリカ空軍のあの無差別爆撃によつて受けた被害というものは、われわれ国民が身をもつて体験したのであります。その際に一緒に受けた連合国財産の被害の補償を、全部わが国の国民が負担しなければならないことは、あまりにもわれわれは苛酷であると思います。イタリアの平和條約においてすら、損害補償の三分の二を負担させるということになつているのであります。こうように和解と信頼の講和に基くこの平和條約の内容は、決して和解と信頼に基くものでなくて、こういう内容が擬装されているということを、われわれは指摘せざるを得ないのであります。
 こういう観点から、わが党は本法案に対しまして反対するのであります。
○奧村委員長代理 上林與市郎君。
○上林委員 日本社会党第二十三控室は、連合国財産補償法案に反対いたします。なお反対の討論の理由は本会議等において申し上げます。
○奧村委員長代理 討論は終局いたしました。
 これより本案の採決を行います。本案を原案の通り可決するに賛成の諸君の御起立を願います。
    〔賛成者起立〕
○奧村委員長代理 起立多数。よつて本案は原案の通り可決せられました。
 なお本案に対する報告書の作成及び提出手続等につきましては、委員長に御一任を願います。
○奧村委員長代理 次に在外公館等借入金の返済の実施に関する法律案を議題といたしまして、引続き質疑を継続いたします。
○塚田委員 公定四、やみ六という数字をお出しになつたのは、いつごろのことでありますか。
○石田政府委員 先ほど申し上げましたようなぐあいに、大体借入金のピーク時をとりまして、そのピーク時につきまして比較をしよう。さつき答弁がとぎれた形になりましたが、京城におきましては大体昭和二十一年の四月から八月までがピーク時ということになつております。そこでそれらのものを毎月とりましたが、それを平均いたしますと、大体京城につきましては一升が七十二円八十銭という数字となつて参ります。それからまた東京の方は、先ほど申しましたようなことで計算いたしますと、四十六円四十三銭という数字が出て来るのでございます。これで参りますると、大体一円は現地通貨の一円五十七銭という数字が出るのでございます。いろいろなことか申しまして、この評価につきましては一応建前はそのようにとりますが、端数は整理する。そういう場合に、端数整理ということで一円五十銭というふうな結論を出したわけであります。
○塚田委員 これはこの評価の基準がうまく出て来ないので、最後にあれもこれもとお考えになつたあげく、米にたどりついたと言われる事情はよくわかるのでありますけれども、どうもこの米にたどりつかれて米を基準にされたということが、結果から見て必ずしもうまく行かなかつたというふうに私どもは感ずるのであります。このうまく行かなかつたという感じが、同じ米というものでも日本内地の米の需給の状態と、それから朝鮮の米、満州の米、みな私は違うと思うのです。日本におきましては、米が非常にたくさんあるのですからいい。朝鮮も大体たくさんあつて、みな米を食べている。満州になると米というものはそうたんとない。普通は外から入つていたのだ。そういう状態のところでは、何か突発事故が起れば、そういうものが他のものよりも特殊に、非常に値が上るということは当然に考えられるのですから、そういう異例に値が上ると考えられるものを換算基準に持つて来たことは、考え方としては別に私はどうこう言うのではありませんけれども、どうも非常に適正を欠くということになりはしないか、こういうふうに思うのです。ことにこの間も私が申し上げたように、その米を基準にされたために満州において、関東州といわゆる満州国との間に非常な違いができてしまうというような事例も出て来る。従つて私は、そういうものを基準にお考えになつて来た数字を、全面的にどうこうと言うのではありませんけれども、一応米を基準にして出て来た数字を、結果から見て常識で納得の行くように是正された方がいいのではないか。必ずしも米の上から出て来た数字がこうだろうといつてそれにとらわれず、是正して行かれるということの方がいいのではないか。またその方が換算基準を御設定になつた気持にも合い、また結果から見て公平観念に合うと思うのですが、その点はどうですか。
○石田政府委員 換算の基準といたしまして米にたどりつきました経緯は、申し上げた通りでございます。その間におきまして、やはり常識的に見てどうであろうかということは、大きな一つの基準として存在したわけであります。たとえて申しますならば、換算率をとることが非常識だということになつて捨てましたのは、これはどうもわれわれの常識に合わないという観点から捨てたわけでございます。たとえば朝鮮とかタイとかいうところは、これは米の多いところでございます。そういうふうなところで米をとるのは少しゆるいではないか、こういう事情もあろうかと思います。そういう点はそのまま行つても、別に政府が特に苛酷なことをしたとか、ひどいことをしたとかいうことにはならぬと思います。満州なら満州はこうりやんではないか、こういうことになるのでございます。この場合におきまして、われわれは他方においてこうりやんというものがどういう動きをしたろうかということは、数字をできるだけ集めておるわけでございます。それで米の動きとこうりやんの動きというものが、非常に違つた動き方をしている場合におきましては、米をとることはおかしいではないかということが言えるかと思います。しかし大体米の動き方とこうりやんの動き方というものを見ましたときに、大体同じような傾向において動いている、こういうことをわれわれは一方において確かめておるのでございます。ただ何と申しますか、すべてこうりやんにしてしまうか。たとえば満州はこうりやんにする、華中は小麦にする、各地ばらばらにいたすということになりますと、これはそれぞれの間の換算基準の値段の割合と申しますか、そういうものを何によつてやるのだということが問題になつて来るわけであります。そこで米の値段というものをとりまして、今申しましたようないろいろな補助資料というものを見た場合におきまして、まあまあこれならいいだろうということで、総括的な結論が出て来たわけであります。
 なお常識的であるか、常識的でないかという点につきましては、この前も申し上げたのでございますが、そこの非常な違いは、いわゆる終戦前におけるところの常識というものと、終戦後におけるところの現地の事情がどう動いたかということと、そういうものの関係がそこに出て来るだろうと思います。戦前の状態というものをスターテイング・ポイントにして、それを常識とするのがいいのであるか、あるいは戦後において借入れ等が行われたときにおける実情を基礎にした常識がいいのか、それを働かせた点において出て来た食い違いはあろうかと思います。
○宮腰委員 ちよつと関連して、ただ、いまの塚田さんの質問の中に換算率の基準の問題がありましたが、大陸方面の換算率の基準を、たとえば債権債務の換算率をきめる場合は、米のみではきめておりません。大体日常の生活水準、ことに米、綿、綿布、茶、しようゆ、みそ、こういうものを生活必需基準として債権債務の換算率をきめておる。だから米のみできめるということは、大陸における慣習を無視しているように考えられますが……。
○石田政府委員 これは先般もいろいろそういう点の御質問がございまして、できるだけ多くの品物の数をとつてきめることが理想的であろうと思うのでございます。できるだけそういう努力をしたのでありますが、各地の事情がそれぞれ違い、また資料等もはつきりしたものが入手できないという事情から、やむを得ず、米の数字が一番皆さんの持つておられる数字でありますので、それによつたわけでございます。
○塚田委員 次に問題を先に進めましてこの換算率で私日本の今日の円で支拂われる金額に換算をしてみた場合に、非常に少額のものが相当品数あるのではないかと思う。たとえば五百円未満のものがどのくらいあるか、あるいは場合によつては百円未満になつてしまうものもありはしないか、そういう統計をとつたことがおありになりますか。
○石田政府委員 五百円未満がどうか、百円未満がどうかという数字は、実はまだとつておりません。ただ千円未満の件数がどのくらいになるだろうかという点については、一応数字をとつておりまして、先般も大体十三万件という数字を申しましたが、その中で千円未満の数字については、大体四万百件くらいに相なろうかと思つております。
 それから本案の審議に関連しますので、また繰返しますが、一応千円以上五万円未満の件数は九万四百件くらいになつているかと思つております。
○塚田委員 これは非常にごめんどうであろうとは思うのでありますが、千円未満の四万一百件の具体的統計をぜひともつくつてみていただきたい。これは実は委員会において修正案を出すために、いろいろ予算数字を考えてみる上にも必要と思いますので、早急につくつて各位にまわしていただくようにお願いします。
 次にお尋ねしたいのは五万円以上で打切りになる分でありますが、ここに頂載している表で行くと、五万円以上で打切られる数字は二千二百九十八件だ、こういうことなんですが、この数字は間違いありませんか。
○石田政府委員 実は大口の借入金の中には、たとえば上海のように最低を儲備券の一億円として、それ以上というようにまとめたところもありますし、その他各地にもいろいろ事情がありまして、何人かがまとまつて出したというのがありますから、この数字はあるいは減るのではないかと思つております。
○塚田委員 減つて来る場合はまた特別控除になると思いますが、一応五万円以上は二千三百件として、その二千三百件の五万円以上の口が結局打切られたためにもらえなくなる額は、ここにある二つのこの数字、七億九千九百万円と総額の十二億七千二百万円、この大体差額でよいのですか。
○石田政府委員 打切りました結果、もらえなくなる額というものは、十二億七千二百万から約八億ばかりのものを引きました金額になろうかと考えております。
○塚田委員 そうすると約四億七千万ぐらいが打切られることになるのですが、この点がやはり私は―この間の参考人の意見の中に、口数も金額も大したことはないのだから、政府の腹の見せどころとしてぶち切らぬ方がいいんじやないかという御意見があつたので、この点は相当考慮した方がいいと思うのですが、一応まず約二千三百件、四億七千万円が五万円でぶち切られる。憲法違反にひつかかるかひつかからないかという数字である、こういうふうに考えていいわけですね。
○石田政府委員 そういうふうにわれわれは解釈いたしております。
○塚田委員 それから私この法文を読んでおつて非常に妙に感じるのは、二條と四條の関係であまりす。二條には借入金というものを定義しておりまして、『この法律において「在外公館等借入金」とは、在外公館等借入金整理準備審査会法の規定により外務大臣が国の債務として承認した借入金をいい、』そう言つておきながら、四條の方では借入金の金額というものを規定して、借入金の金額は借入金プラス三割だ、こういうことになつているのですが、その間の関係はどういうぐあいに了解したらいいのですか。
○石田政府委員 二條の方の借入金と申しまするのは、昭和二十四年法律第百七十三号におけるところの借入金、すなわちこの借入金については修飾句がついてございまして、「法律の定めるところに従い、且つ、予算の範囲内において、将来返済すべき国の債務として承認することをいう。」要するにまだ確定しない要素を含んだ借入金でございます。四條の方におきましては、この借入金を本法律案におけるところの借入金とする、こういう違いでございます。
○小山委員 塚田委員のだんだんの質問によりまして、非常にこまかくいろいろな事情であるとか、あるいは法律関係を聞いたのでありますが、根本は塚田委員が言われたごとく、この法律で借入金債務は設定されるのか。いわば形成権としてこの債務は決定されるのか。あるいはすでに在外公館で借入れをしたときに国の債務が発生しておつて、これはそれを確認するための法律なのか。これの根本のところを政府として意見をまとめていただきたい。それがまとまらぬ限りは、質問は始終堂々めぐりをいたします。だから根本は、そこで初めて五万円の限度を切ることが妥当なのかどうかということの問題も起りましようし、千円未満の借入金を千円程度にしたらどうかという議論も起る余地があり、あるいは起る余地がない、そういう問題にもひつかかつて来ますからして、政府として根本の法律論をひとつきめてかかつていただきたい。それには法務総裁その他の意見もあるでしようから、その上でないと議論が進まない。これをひとつ御注文申し上げておきます。
○石田政府委員 本法案を提出いたしましたときには、一応大蔵省と法務府とはよく相談をいたしまして、その間においては大体意見の一致を見ておると思つております。その立場は、在外公館等の現地における借入金を、国の確定債務というふうにはそれ自体としては見られない。これはどうするのかといいますと、法律によつて新しく国の債務として確定する、こういう考え方をとつております。なおそれが単一の法律でありまするならば、その点は誤解がなかつたと思うのでありますが、その法律が三回にわかれてすでに二回法律が出ておりまして、そのあとに本法案が出ておる。第一回、第二回の法律においてはまだ確定せざる部分を残しておる。今度の法律においてその未確定の部分が確定いたしまして全部合せて見れば、この三つの法律によつて国の確定債務の内容がはつきりする、かような解釈をしておる次第であります。
○小山委員 そうするとこういうふうに解釈すればいいのでありますか。つまり在外公館において現地で借り入れたものは、未確定の債務ではあるが、ともかく一つの国の債務である。ただその債務の内容を確定するについていろいろな條件が出て来るのである。従つてその條件を定める法律を今ここへ出しておるのである、こういう意味でありますか。
○石田政府委員 法律論を申し上げておるわけでございますが、法律案といたしましては、現地におけるところのいわゆる借入れが行われてから、第一回の二十四年の法律が出るまでは、法律的にははつきりしなかつた、こう考えておるわけでございます。二十四年の法律がまず出まして、それから二十六年のこの前の法律が出て今度の法律が出まして、この三つの法律によりまして国の債務ということが確定するところの内容を備える、かように考えておる次第であります。
○小山委員 そういたしますと、政府の考え方は昭和二十四年の―多分法律第百七十三号だろうと思いますが、百七十三号で初めて国の借入金としての性質が出て来たのである、こういうふうな御解釈ですか。
○石田政府委員 法律的措置はこの二十四年の法律第百七十三号が初めてである、こういうふうに考えております。
○小山委員 法律的措置が初めてであることはわれわれもとより難しておりますが、法理論的に言つてその百七十三号で借入れ債務というものが設定されたのかどうか。それともそれ以前にすでに債務があつたものを、百七十三号で一つの輪郭を與えたのか。塚田委員から聞かれておる根本はそれであるし、われわれが問わんとする疑問もそれです。
○石田政府委員 現地におきまして、外務大臣の電報を基準といたしまして、いろいろの事実があつたということはいなめない事実であろうと思うのであります。これをそのときに確定的な国の債務があつたと見るかどうかという問題については、非常にはつきりしない点がある。これをはつきりさせなければならぬということで、二十四年の法律第百七十三号から、その法律的性格をはつきりする措置がとられ始めたのである、こういうふうに解釈しております。
○小山委員 そういたしますと、どうもわからない点が一つ出て来る。と申しますのは、現地においてとられたいろいろな仕事は、事の性質上は政府のなすべき仕事をかわつてやつた。法律でいえば事務管理である。事務管理したものはそれだけの債権が発生するわけですから、つまり現地において政府のなすべきことをなした部分については、理論上は少くともそのときに債務が発生しておる、こういうふうに見るべきものではないですか。
○石田政府委員 この問題は終戦に伴いますところの混乱時代に起つたものでございまして、法律論といたしまして、たとえば先ほど法制局の方のお話もございましたが、国の債務としてほんとうにやるためには、初めから法律的にいろいろな手が打たれてしかるべきものがあつたと思うのですが、そういうことなしに行われた、こういう事情に相なつております。
○塚田委員 これはやはり小山委員の言われるように、一度法制局と御相談になつてはつきりとした御説明を願いたい。それは合理財局長の御説明を伺つて行つた場合に、その考え方から来れば、命令が行つた、さて幾ら借りているかわからないということだから、幾ら借りたかということを調べる段階は、それは未確定なのだ。しかし幾ら借りたのだという認定をして換算して来てさて十万円になつた、五万円でぶち切るということは、これはやはり問題にならない。だからはつきりある債務の金額がきまつたということであれば、ぶち切るということはできないわけです。しかしそのはつきりあるということもよくわからないのだが、それからきめて行つたのだということになれば、さて出て来た数字を幾らにぶち切られようが、それはこの法律でなさるのだからいい。やはり最後にそこのところに一つ問題がある。そこで私どもも現地で、外務大臣から在外公館へ指令が行つた。しかし幾ら借りたものか何もわかつていない。だから審査会法によつて審査会をつくつて、そこへ呼び出して幾ら借りたのか、それからどういう用途に使つたのかということで、ほんとうになるほど当該の用途に使われた金額がこれだけだという確認をなさる段階は、これはこの法律でやられたものと思う。そこのところが、どうしても最後の一点がうまく割切つて出て来ないものだから、私どもも違憲なのか違憲でないのかという問題の決断がつかない、こういうことなのです。どうかひとつ御相談になつておいていただいて、別の機会に法制局と両方お越し願つて御説明を願う、こういうことにお願いいたします。
○宮腰委員 先ほどから塚田委員からも再三質問されておりますが、在外公館が金を借りるという場合には、これは民法上の債権債務であります。従つてこのあるかないかという債権上の問題は、民法によつて確認されるものでありまして、この法律で確認されるのは適当ではないのじやないか。そこでこの法律は、全般的にはそういう問題の手続規定であつて、本来の実体上の権利義務の問題は民法上で片づけ、民法上に関する行為で確認するのが原則だ。そういう意味で、私はこの現在提出された法律は、そういう関係の手続の法律に考えられるのですが、どんなものでしようか。
○石田政府委員 在外公館等借入金整理準備審査会法という一番初めの法律ができましたときに、この「借入金を、法律の定めるところに従い、且つ、予算の範囲内において、」ということが書いてございます。それからその次の法律におきましても、「返済の方法は、国民負担の衡平の見地から、公正且つ妥当な基準に基いて定められなければならない。」ということでありますので、これが純然たる民法上の債務であるということでありますならば、何もこういう断り書きがなくてもよかつたのではないかということは、逆に申しますれば、これは純然たる私法上の確定債権であるという立場を従来政府はとつて来なかつた、そういうことじやないだろうかと思つております。
○宮腰委員 そうすれば、政府は最初からこういう債権債務を無制限に承認すること自体が、国家の財政上困るという考え方から前回の法律を出して今回またこういう法律を連続に出しておる、そういうふうに考えるのですが、いかがなものでしようか。
○石田政府委員 問題になつておりますところの五万円をもつて打切るといいますか、そういうふうな点からいろいろと御疑問が起つておるようでありますが、その点につきましては、この前の法律案をつくる場合において、政府は適当なる制限を設けなければなるまいということを申しておるのでありまして、この法律案を提出するときに卒然と起つた問題ではないということを申し上げておるわけでございます。
○塚田委員 何べんも何べんも恐縮ですが、御相談になります場合のその問題点としてひとつお考えおき願いたいのは、政府は前二つとこの法律三つでもつて縛つたとお考えになつておるのです。全部を今在外公館借入金と常識的に考えておる。ところがわれわれの言うのは、政府がこれで縛つたのだと思つておられるものの中に、これら三つの法律に書かれない債権、債務関係があるのではないか、こういうことなんです。もし本質的に書かれないものがあると、この法律で縛つたとお考えになつていてもそれはだめなんですから、そこのところをはつきり御検討願いたい。
○奧村委員長代理 本日はこれをもつて散会いたします。
    午後四時二分散会