第012回国会 本会議 第17号
昭和二十六年十一月十七日 (土曜日)
 議事日程 第十六号
 第一 商工組合中央金庫法の一部を改正する法律案(小金義照君外十八名提出)
 第二 中小企業信用保険法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第三 旅券法案(内閣提出)
 第四 国際連合食糧農業機関憲章を受諾することについて承認を求める件
 第五 関税法等の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第六 国家公務員等の旅費に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)
 第七 損害保険料率算出団体に関する法律案一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)
 第八 保険業法の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)
 第九 日本国有鉄道法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第十 外務省設置法案(内閣提出)
 第十一 本年度の台風災害対策に関する決議案(上林栄吉君外三十名提出)(委員会審査省略要求事件)
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●本日の会議に付した事件
 日程第十一 本年度の台風災害対策に関する決議案(上林山榮吉君外三十名提出)
 日程第一 商工組合中央金庫法の一部を改正する法律案(小金義照君外十八名提出)
 日程第二 中小企業信用保険法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第三 旅券法案(内閣提出)
 日程第四 国際連合食糧農業機関憲章を受諾することについて承認を求めるの件千島と南樺太の帰属に関する緊急質問(並木芳雄君提出)
 日程第五 関税等の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第六 国家公務員等の旅費に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)
 日程第七 損害保険料率算出団体に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院還付)
 日程第八 保険業法の一部を訂正する法律案(内閣提出、参議院送付)
 日程第九 日本国有鉄道法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第十 外務省設置法案(内閣提出)繭糸価格安定法案(内閣提出)
 食糧管理特別会計の歳入不足を補てんするための一般会計からする繰入金に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
 糸価安定特別会計法案(内閣提出)
 国家公務員等に対する退職手当の臨時措置に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日本專売公社法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 学校及び保育所の給食の用に供するミルク等の譲與並びにこれに伴う財政措置に関する法律案(内閣提出)
 特別職の職員の給與に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
 国会の会期延長の件(議長発議)
    午後一時四十一分開議
○議長(林讓治君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
○福永健司君 議事日程順序変更の緊急動議を提出いたします。すなわち、日程第十一は提出者の要求の通り委員会の審査を省略してこの際これを繰上げ上程し、その審議を進められんことを望みます。
○議長(林讓治君) 福永君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(林讓治君) 御異議なしと認めます、よつて日程の順序は変更せられました。
 日程第十一、本年度の台風災害対策に関する決議案を議題といたします。提出者の趣旨弁明を許します。上林山榮吉君。
    ―――――――――――――
    〔上林山榮吉君登壇〕
○上林山榮吉君 ただいま議題となりました本年度の台風災害対策に関する決議案について、共産党を除く各党を代表して提案の説明を試みたいと存じます。
 まず決議案を朗読いたします。
  本年度の台風災害対策に関する決議案
  わが国の災害は今や宿命ともいうべく毎年本土を見舞い本年度に入つては、既に七月災害となり、今又突如としてルース台風が襲い来たつた。なかんずく、過般のルース台風は戦後における最大なる台風にしてその被害の甚大にして広範囲なるは正に言語に絶するものがある。しかも地方財政の窮状よりして、その復旧の容易ならざるはもちろん、今回のり災各地方は、毎年災害をこうむつている地方が多く、政府の対策又完結しおらざる地方が多いので、その困難は更にはなはだしい。
  よつて政府は、速やかに応急適切なる予算的措置を講じ、且つ、特に災害のひん度高き地方に対しては特別の補助を考慮するとともに、更に進んで恒久的なる災害復旧の完全なる対策を樹立し、もつての災地方民の更生安定に万遺憾なきを期すべし。
  右決議する。
    〔拍手〕
 諸君の御承知の通り、わが国の災害は、あたかもこの国の宿命であるかのごとき観を呈し、来る年もまた来る年も災害は累増、すでに本年度に入つてからは七月災害が起り、今回また突如としてルース台風が襲い来つたのであります。なかんずく、今回のルース台風は戦後最大のもので、台風の玄関口ともいうべき鹿児島、宮崎等においては中心地帯の風速六〇メートル、平均四六・五メートルの暴風に、高さ十メートルの高潮を伴い、中国地方等また雨量はなはだしく、ために、かつてなき多数の尊い人命を失つたのを初め全壊流失家屋実に二万八千余戸、建設関係の損害二百八十五億円を筆頭に、農地関係二百十五億円、漁港関係四十六億円、山林関係三十五億円、文教関係七十九億円、その他を含み合計七百六十八億円となり、公共事業の対象とならざる漁船、漁具、住宅、農作物、果樹園、中小商工業者の被害を合せると、まさに一千億円を突破するの大惨害であります。しかも該地方は、需に災害に見舞われる地方が多く、地方財政また極度に逼迫している地方であるため、その災害の度も特にはなはだしいのであります。よつて政府は、緊急適切なる予算的処置をとるとともに、特に罹災の頻度ははなはだしき地方に対しては特別の処置を講じ、さらに災害復旧の恒久的対策を誠意をもつて樹立すべきであると思うのであります。以下、少しく具体的に要望を含めて説明をなさんとするものであります。
 まず第一に、ルース台風が起るや、政府はただちに適切なる緊急対策を講じ、しかも国会開会中にもかかわず建設大臣初め関係各政務次官諸君が現地をつぶさに視察し、現地において閣議に準ずる現地会議を開いて熱心に対策を協議せられたることに対し、われわれは被害地を代表してここに意を表し、あわせてその施策のますます適切ならんことを期待するものであります。そこで、われわれが政府にも期待し、最も強く要望した点は、補正予算を早急に編成せられたいということであつたが、政府はこれに対し、予算委員会その他において、大蔵大臣初め各所管大臣から、明確に、早急に補足予算を提出するとの答弁であるからこの点はもちろん信頼をしているけれども、要は予算の額をいかほどにするかということが問題であります。よつて、われわれは、従来の、ごとき、あまりにも消極的な査定針を改め、被害の甚大なるを勘案し、復旧未完成のところへ再び災害に見舞われる結果は、かえつて国費の濫費ともなるのであるから、せめて初年度において百三十億円程度の予算計上を特に期待するものであります。このことに関する本当局案は、伝えられるところでは相当理解ある態度とも思えるが、いまだ不徹底のうらみなしとしないのであるから、むしろこの際、私は大蔵財政当局の適正にして積極的な善処をあわせて望んでやまないものであります。
 第二の点は、工事完成期間を短縮せよということであります。すなわち、従来のごとく五年間もかかつて工事をやつていては、再生産のための復興にならぬばかりか、かえつて国費を濫費する結果になるのであるから、かかる大災害は三年程度で工事を完成すべきであり、その割合は初年度三割、第二年度五割、第三年度二割くらいの率で完成せねば、経済的効果をあげることは絶対にできないと信ずるものであります。(拍手)このわれわれの要望に対しては現地をよく見て来た野田建設大臣等が、予算委員会、建設委員会等でその必要性を明確に認めその線で政府は善処することを約しているのであるから、この適切なる新方針に対しては一層関係閣僚の理解と努力とをあらためて期待するものであります。
 第三は、単なる復旧のみでは意味をなさないから改良工事を加えようということであります。この点はすでに具眼の士の一致した意見で、軍に旧来のごとき復旧工事のみでは、過去の経験に明らかな通り、またただちに破壊されてしまうのであるから、かかる賽の河原式の観を現出しないように、かつまた国費を浪費しないように、改良工事を適正に取入れるべきであると確信いたす次第であります。しかも、その改良の部分についての国庫補助も、当分地方財政の現況にかんがみ災害補助と同額にすべきであるとは、災害地の真剣な要請であります。思うに、旧藩時代、薩摩義士が徳川の政略によつて木曽川の難工事を苦心の上完成したことは広く知られている史実であるが、その工事の場所が、いまなおいかなる災害をも征服していることに反し、近代科学の基礎の上に立つて工事したはずの箇所が年々破壊されている点は、大いに反省されねばならぬと思う。要するに、これは経費を惜しんで改良工事等を取入れないところに原因があると思われるのであるから、政府は一文惜しみの百失いにならぬよう格段の考慮をせられたいのであります。
 第四は、補助率の引上げと、補助の対象を拡大せよという点であります。このことについては去る国会において公共土木災害復旧事業費国庫負担法を制定したため相当に緩和されているから、これを高度に活用する態度を政府及び事務当局に要請してやまないとともに、全額国庫補助の範囲を広げ、補助率の低いものは当分これを引上げ、補助の対象になつていないものについては、地方財政等の確立されるまでは進んで補助の対象とする処置を急速にとるべきであるとの観点に立脚して、今回の台風の性格上、特に政府の注意か喚起するものであります。たとえば農地災害、学校災害、第二種公営住宅等の補助率の引上げを初め、補助の対象となつていない十五万円以下の災害、漁船、漁具、果樹園、私立学校等に対しては、この際一面金融的処置を講ずるともに、さらに補助の対象としても考慮せられるべきものであると思うのであります。なお、水産関係については、われら要請に応じて、漁業災害復旧資金融通に関する臨時措置法案が準備されているので、これが一歩前進した点は多とするけれども以上の他の諸点について議員立法等の処置をとる必要がないように、特に留意せられたいのであります。
 第五に述べたい点は、災害費に対する特別平衡交付金と起債の問題であります。われわれがこのことについて政府に再三要望したところ、政府も、ただいまのところ起債は全額認める方針であるとのことであるから、せめて四十五億円程度は初年度に許可されるのと安心しているが特別平衡交付金については、いまなお多少の不要を持つておるのであります。しかし御承知のごとく、災害の重なる県や市町村は、災害による税の減免及びその他の支のために極度に財政は逼迫しておるのであるから、この点は十分考えて、重点的な配分を断行せられたいと思うのであります。
 第六の点は、つなぎ資金及び長期資金の確保であります。この点に対しては、いまだ十分とはいえないまでも、周東安本長官及び池田大蔵大臣、大蔵事務当局も、被害地の要望によくこたえて適当なる処置を逐次とつているのであるが、さらに一段と努力されたい諸点をあげてみたいのであります、まず公共事業の補助の対象となるものは、すでにつなぎ資金を十二億数千万円流しておるのであるが、さらに約五十三億円程度は絶対必要な量であるから、不安のない処置を重ねて要望するものであります。ことに公共事業の対象とならざるものの金融措置は、今回の災害の性格にかんがみ格段の善処を期待するものであります。すなわち、今具体的にその要点のみを説明するならば、農林漁業資金特別会計より十億円を活用する処置をとり、国庫預託金を災害地金融機関より引揚げるのを要望通り中止した英断に続いて、災害地金融機関へ新たに十五億円程度を預託して、漁船、漁具、住宅、中小企業等の復興もはかり、白銀の中小企業の別わくを十億円増加して中小企業の融資を容易ならしめ、国民金融公庫より約九億円を割り当てて小口貸付及び更生資金貸付の促進をはかり、もつて住宅金融公庫よりする十億円の活用方針と相まつて総合的効果を一層あげられたいと思うものであります。なおこの際一言つけ加えておきたいことは、住宅金融公庫の受付期限を十二月十日まで延期し、第二種公営住宅の社会政策的性格よりして、その建設を罹災地へ重点的に振り向けられたいという点であります。(拍手)
 第七は、漁港の復旧に関してであります。今回の災害は特に漁港関係の被害が甚大であつたので、政府も、漁業証券を買い上げることが、融資の臨時措置法を出すとか、船材用に国有林の拂下げを考慮するとか、漁業経済の復興を考えているが、漁港の復旧に対しては、さらに万全を期すべきであると思うのであります。すなわち漁港の復旧に対しては、技術の根本的な検討はもちろんであるが、何といつても改良当を加えた復旧でなければ、永久の策とは絶対に言えないのであります。よつて、漁港の新たなる指定等は、残念ながら二十六年度程度にこれを押え、災害の復旧に重点を置くべきことを私は強く提唱するものであります。
 最後に述べたい点は文教関係であります。文教関係の災害も約七十九億円に上つておるので、これが対策とあわせて根本的に考慮せねばならぬ点は、地方財政の困難な時代であればあるほど、教育事業の重大性を確立するために、教育予算の比率を立法化することである。そこで、とりあえず緊急に政府が取上げなければならぬ点は、小中学校を初め高等学校の災害の補助率を引上げ、補助の対象を拡張して取上げ、毎年災害の重なる地方に対しては、自童生徒の危険防止をも考慮して鉄筋の坪数を増加し、また一部単価を引上げで、主要なる柱・壁等を鉄筋その他によつて建築する次善策を確立すべき時期であると思うから、旧来の観念にとらわれることなく、特に善処を望む次第であります。また災害学校に対する起債は、全額これを許可する方針をとることが現在の地方財政の状況でありまするから、多少の障害は押し切つてもこの方針を確立すべきであると信ずるものであります。以上決議案のおもなる点については説明いたしたのでありまするが、政府は本決議案の諸点についてさらに一層熱意と理解をもつて努力し、その被害の甚大なるにぼう然自失している災害地国民に対し勇気と明るい希望を與え、もつて民生の安定をはかるべきであります。なおわが衆議院は、災害地の大惨状をここに想起して、何とぞ満場一致本決議案を可決せられんことを望むものであります。(拍手)
○議長(林讓治君) これより討論に入ります。床次徳二君。
    〔床次徳二君登壇〕
○床次徳二君 ただいま上程せられましたところの決議案に対しまして私は国民民主党並びに社会党両派を代表いたしまして賛成の意を表するもので、ありまするが、この際われわれの災害復旧に対する所信を明らかにいたしておきたいと存じます。
 わが国は連年台風の被害を受けるのでありまして、ことに今回のルース台風は、先ほどもお話がありましたごとく、全国において一千億以上の莫大なる損害を與えたのであります。各府県の受けましたころの被害はまことに深刻なものがありまして、罹災者に対しましてはここに深甚なる同情の意を表するのでありまするが、この際災害対策の樹立を強く要望するものであります。
 すなわち、鹿児島県に例をとりましても、この損害は三百四十億になつておりまして、本年度予算額の約六倍、県税収入の四十五倍、百八十万県民の一年有事の総所得に匹敵するところの損害であります。また山口県は三百二十億、宮崎県は百九十億、その他百億以上の府県が多々あるのであります。しかも、これらの災害地方の大部分は連年災害を引続き受けておりまして、その過年度災害の大部分も未完成の状態でありまするが、そればかりでなしに、近年はいわゆる未査定の災害として放置せられるものが次第に増加しておるのであります。にもかかわらず、災害復旧事業費は、さきにようやく全額国庫負担の原則が確立せられたのでありますが、今日におきましては、すでにこれが改められるというような状態になつておるのであります。まことに残念な状態でありまして、県も市町村も、毎年の災害復旧費の累増、累積に今日非常に苦しんでおる状態であるのであります。
 しかも地方財政の状況は、過般本議場におきますところの決議におきまして、満場一致平衡交付金の増額が要求せられたのでありまするが、窮迫の極に達しておるのでありまして、今日これらの地方民がいかに勇を鼓して自力復興の決意をいたしましても、その復興に対するところの所要の資力が伴わないという状況でありまして、この際中央よりの融資並びに補助、起債等にまつにあらざれば、とうてい復旧の目途が立たないという状態なのであります。政府におきましては、さきに関係知事の協議会を開催せられたのでありまするが、今日に至りますまで、いまだ復旧費に対して追加補正予算の提案を見ていないということはまことに残念でありまして、一日もすみやかに財源の裏づけであるところの応急並びに恒久事業の対策の樹立に着手せられるよう努力を要望するのであります。
 提案者よりいろいろと要求事項は述べられましたが、私がこの際特に強調してその実現を期待いたしたいことは、連年災害をこうむり、しかもその災害復旧費費の重圧に苦しめられております地方に対しましては特別なる措置を講ぜられたいということであります。たとえば鹿児島県のごとき、わが国に上陸いたしまする台風のうち、その二七%は、ことごとくその来襲を受けておるのであります。宮崎県の例をとりましても、過去四十年間におきまして八十回以上の台風があり、平均年二回の被害を受けておるのでありまして、これら大小の被害というものはきわめて大きなものであり、これらの地方に準ずる府県も少くないのであります。いかに県民が勤勉でありましようとも、その生活水準はおのずから低下せざるを得ないのでありまして、経済力に、財政力に、またまた産業におきましても、いたずらに連年の台風のために破壊枯渇せしめられるという状態なのであります。今日まで政府がとつておりまするところの災害復唱対策を見ておりますると、この災害頻度おびただしい地方に対する特別なる考慮を欠いておるということを私は見受けるのでありまして、災害対策における重大なる欠陥であると存じまするとともに、これらの地方民に対しまして、まこと私どもは気の毒にたえないのであります。
 すなわち、私はここにまず災害対策の基本原則といたしまして、第一に復旧とともに予防改良事業を行う、第二に復旧事業は三年間に完成する、第三に災害復旧費は全額国庫負担の原則を確立する、以上の三原則を確立することを要望するのでありまするが、この原則を、まずこれらの災害の頻度の大なる地方に対しまして、優先的に、しかも重点的に適用いたしまして、その復旧に努められたいということであります。すなわち、各種の復旧事業費に対するところの補助率を、他に比し、より高率にいたしますとともに、補助の金額及び補助の対象を増加し、少くとも次回の台風の来ますまでには、一応の防御態勢を整え得しめなければならないと思うのであります。また民生・産業方面の打撃の甚大なるにかんがみまして平衡交付金を増配することはむとより必要でありまするが、とかく従来補助あるいは融資の対象外にありましたところの農林漁業、中小企業、住宅等に対しましても特別なる補助融資を行いまして、もつてその復旧をはかるべきものと信ずるのであります。
 もとより災害復旧を徹底し、治山治水を完成するのは容易ならざるところの大事業でありまするが、まず災害の頻度特にはなはだしく、その復旧が不完全であり、そのために災害をさらに増加して国費の累増になり、その結果財政経済せしめるがごときおそれのありまする地方に対しましては、率先災害復旧工事の完璧を期するが最も効果的であると信ずるのであります。政府におきましても、よろしく本決議案に示されたところの国会の要望に基きまして、すみやかに必要と認められるところの事項を法制し、並びにその予算措置を行われまして、一日もすみやかに多数災害者の生活の安定と産業の復興に資せられるよう万遺憾なきを要望する次第であります。この際議員各位に対しましても、これに対しまして、私の賛成の言葉といたします。(拍手)
○議長(林讓治君) これにして討論は終局いたしました。
 採決いたします。本案を可決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(林讓治君) 御異議なしと認めます。よつて本案は可決いたしました。(拍手)この際建設大臣から発言を求められております。これを許します。建設大臣野田卯一君。
    〔国務大臣野田卯一君登場〕
○国務大臣(野田卯一君) 今回のルース台風は、近年におきますわが国の台風災害中最大なるものでありましてこの災害をこうむられました罹災地方民の方々に耐しまして衷心より御同情申し上げる次第であります。またこの災害によりまして多数の方々が生命を落されたのでありますが、その霊に対しまして深甚なる哀悼の意を表するものであります。
 政府は、災害発生後ただちに現地に調査員を派遣いたしました閣僚といたしまして私を、また各省の政務次官を現地に派遣いたしまして現状の把握に努めその他現地で会議をいたしまして、知事その他の方面の意見を聴取しすみやかに復旧対策復興対策を講ずることに着手いたしたのでありますその後種々の対策を逐次実行に移しておるのでありますが、今後さらに一段と力をいたしまして、ただいまの決議の趣旨の達成に万全を期したいと考えておる次第であります。(拍手)
     ――――◇―――――
○議長(林讓治君) 日程第一、商工会組合中央金庫法の一部を改正する法律案、日程第二中小企業信用保険法の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。通商産業委員長小金義照君。
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    〔小金義照君登壇〕
○小金義照君 ただいま議題と相なりました商工組合中央金庫法の一部を改正する法律案及び中小企業信用保險法の一部を改正する法律案について、一括して通商産業委員会における審議の経過並びに結果の概要を御報告申し上げます。
 あらためて申し上げるまでもなく、中小企業はわが国の産業経済においてきわめて重要な地位を占めておるのでございます。従いまして、わが国の自立経済体制の確立も、中小企業の振興発展にかかるところがはなはだ多いのであります。しかして、現在の経済情勢下におきましては、中小企業の振興のためには、何と申しましても金融関係の対策が最も緊要であると考えられるのであります。しかるに中小企業は従来からその基礎が強固でないために、銀行等から金融を受けることが大企業に比べて困難でありますので、いろいろ中小企業専門の金融機関が設けられているのでありまして、商工組合中央金庫は、その一つとして、中小企業者の協同組合に対する金融を行うことを目的として昭和十一年に設立せられました国家的な金融機関であります。中小企業金融が逼迫して深刻となるにつれましておのずから商工組合中央金庫の果す役割はいよいよ重要となつて来ておりますので、この際商工組合中央金庫法の一部を改正しその機能の拡充強化をはかることといたしたいという趣旨で、本改正案が提出せられたのであります。
 改正案の内容は、他の法律の改廃に伴う條文整理等を含めまして十数点にわたつておりますが、その最も重要な点は、従来取引対象が中小企業等協同組合だけに限られておりましたものを、預金の受入れにつきましては中小企業等協同組合の構成員にまでまた貸付におきましては所属組合の構成員にまでそれぞれ拡張したことであります。この拡張範囲が協同組合の組合員である限り、組合金融機関たる商工中央金庫の本旨にもとるものではなくこれによつて従来とかく散逸しがちでありました組合員の資金が集められ商工中金の資金繰りの上にも好影響を及ぼすものと期待せられるのであります第二この点は、商工中金は特殊金融機関であるという建前上、その機能の上にいろいろの制限が加えられておりますが貸付と並行して債務保証を行うことや、業務上の余裕金をコール・ローンに活用することなどは、いやしくも金融機関である以上当然の業務でありますの業務範囲を拡充いたしまして、この際商工中金の業務に追加することといたしておるのであります。
 第三の点は、一組合の出資口数の制限を、従来の一千口から一万口に引き上げることであります。これは商工中金が設立当初資本金一千万円総出資口数十万口のときの制限でありまして、今日のように資本金が十五億円、総出資口数一千五百万口となつておりましては低きに過ぎますので、これをさしあたり十倍の一万口に引上げるととしているのであります。そのほか商工中金が中小企業の専門金融機関である関係上、中小企業金融に関しては国、公共団体、銀行その他の金融機関の業務の一部を代理することが必要になる場合がいろいろ予想されますので、その道を開いておこうとするものであります。
 以上が本改正案の要点でありまして、本改正案は、自由党の不省小金外十八名により提出せられまして当委員会に十二日付託と相なつたのでありますよつて当委員会は、同日提案者を代表して私から提案理由の説明を聴取していただき、超えて十四日には、当委員会と大蔵委員会の連合審査会か開き、提出者を代表して自由党の中村幸八君並びに政府委員と大蔵委員との間に熱心な質疑応答があつたのであります。引続き、当委員会において質疑に入りましたところ、自由党小川平二君、国民民主党高橋清治郎君、日本社会党今澄勇君、日本共産党高田富之君と、提出者を代表する自由党中村幸八君並びに政府委員との間に詳細にわたつて活発な質疑応答が十四、十五の両日行われたのであります。なお詳細は会議録を御参照願いたいと存じます。
 十五日、質疑終了後ただちに討論に付しましたところ、自由党南好雄君、国民民主党高橋清治郎君、日本社会党今澄勇君、日本共産党風早八十二君より、それぞれ党を代表して賛意を表する意見が開陳せられたのであります。よつて、ただちに採決いたしましたところ、全会一致をもちまして可決いたした次第でございます。
 次に中小企業信用保険法の一部を改正する法律案について、審議の経過並びに結果の概要を御報告申し上げます。
 御承知のように、中小企業信用保険法は、中小企業者に対する事業資金の融通を円滑にし、中小企業の振興をはかるため、金融機関の中小企業者に対する貸付について政府が信用保険を行う制度でありまして、本法施行以来約十一箇月の実施を見て来たのでございます、本制度は施行以来日なお浅く、その趣旨の徹底していない点もあるのでありますが、また一般金融情勢からして、金融機関上としては長期資金の供給が困難であることなどの理由によりまし遺憾ながら金融機関の利用は必ずしも十分ではなかつたのであります。すなわち、この制度そのものにもなお改善を要する点がありますので、本改正案が提出せられたのであります。
 改正案の要点は、第一に、保険関係が成立する中小企業に対する貸付金額を現在の三百万円から五百万円にまで、まだその一つの中小企業者が中小企業等協同組合である場合においては一千万円から二千万円に引上げることであります。第二の改正点は、現在中小企業者の金融機関に対する債務を保証することを主たる業務といたしております公益法人、すなわち信用保証協会の保証業務を政府において保険することができる道を開き、保証協会の保証業務の五割程度を保険することといたしておるのであります。以上の二点が改正案のおもなところであります。
 本改正案は、十三日通商産業委員会に付託せられ、同日政府当局より提案理由の説明を聴取し、越えて十五日質疑に入り、自由党南好雄君、また十六日は国民民主党高橋清治郎君、日本社会党今澄勇君、日本共産党風早八十二君等と政府委員との間に熱心な質疑応答が行われたのでありますが、その詳細は会議録に譲ります。
 質疑が終了いたしました後ただちに討論に付しましたところ、自由党を代表して高木吉之助君、国民民主党を代表して高橋清治郎君日本社会党を代表して今澄勇君、日本共産党を代表して風早八十二君からそれぞれ賛成の討論がありました。討論の後ただちに採決いたしましたところ、これまた全会一致をもちまして可決いたした次第であります。
 以上御報告申し上げます。(拍手)
○議長(林讓治君) 両案を一括して採決いたします。両案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(林讓治君) 御異議なしと認めます。よつて両案は委員長報告の通り可決いたしました。(拍手)
     ――――◇―――――
○議長(林讓治君) 日程第三、旅券法案、日程第四、国際連合食糧農業機関憲章を受諾することについて承諾を求めるの件、右両件を一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。外務委員長守島伍郎君。
    ―――――――――――――
    〔守島伍郎君登壇〕
○守島伍郎君 ただいま議題と相なりました旅券法案に関し、外務委員会における審議の経過並びに結果について御報告申し上げます。
 まず政府が提出いたしました本法案に関し、政府当局の説明に基き概要を申し上げます。
 最近連合国司令部は、日本人の国外渡航に関する許可権を日本側に返還する意向が明らかになりました。よつて政府は、旅券に関する現行の二つのいわゆるポツダム政令、すなわち政令第十一号及び政令第二百八十五号を廃止するとともに、国際的に認められた旅券制度を基調とし、それにわが国固有の特殊性を適度に加味して、本旅券法案を作成したのであります。本法案は、旅券の種類を公用旅券と一般旅券との二種に区別し、さらに旅券発給の手続、旅券の効力及び手数費の規定のほか、北緯三十度以南の南西諸島、その他特に外務大臣が定める地域に渡航する者に対しては、国外旅行用の旅券ではなく、当分の間政令で定めるところにより身分証明書を発給すること等を規定いたしておるのであります。
 本法案は、十一月十日に本委員会に託されました月十三日、十五日、十六日の委員会において愼重審議いたしました。委員会における審議の詳細につきましては委員会会議録に譲ることにいたします。
 質疑終了後討論に入り、自由党の北澤委員より賛成の意見、共産党の林委員及び労働者農民党の黒田委員より反対の意見が述べられ、討論終結採決の結果、本委員会は多数をもつて本法案を原案の通り可決することに決定いたしました。
 次に国際連合食糧農業機関憲章を受諾することについて承認を求めるの件に関し、外務委員会における審議の経過並びに結果について御報告を申し上げます。
 本件の内容は、政府の説明によりますと、概要左の通りであります。本機関は、戦後世界の食糧問題を検討するために、食糧及び農業に関する恒久的機関として設立されたものでありまして、一九四五年十月十六日にカナダのケベツクにおける国際連合食糧農業機関の総会において三十八箇国が署名し、同機関は同日正式に成立し、国際連合の専門機関となつたのであります。しかして、一九五一年六月末現在において、その加盟国は六十六箇国となつております。本憲章は、受諾の加盟各国がその国民の栄養及び生活水準を向上し、食糧及び農産物の生産分配の能率を改善し、農村住民の状態を改良し、世界経済に寄與して世界共通の福祉を増進することを目的とし、それから、それらに関して相互に報告することを約束しておるものであります。従つて、この機関の任務とするところは、栄養、食糧及び農業に関し、情報の収集、解説、頒布とか、研究の促進知識の普及とか、天然資源の保全、生産、加工、販売方法の改善とか、農業商品についてのとりきめに関し国際的な政策の採用方の促進及び勧告等を行うことになつており、また諸政府に対し技術的援助の供與及び使節団の組織等を行うことを規定しております。
 本案件は、十月十日に本委員会に付託されましたので、十一月十一二日十四日、十五日、十六日の本委員会において、また農林委員会との連合審査会において愼重に審議いたしました。委員会における審議の詳細につきましては、これを委員会会議録に譲ります。
 質疑終了後討論に移り、自由党の北澤委員、社会党の西村委員及び労働者農民党の黒田委員より賛成の意見、共産党の林委員より反対の意見が述べられ、討論終結、採決の結果、本委員会は多数をもつて本案件を受諾することについて承認することに議決いたしたのであります。
 以上御報告申し上げます。(拍手)
○議長(林讓治君) まず日程第三につき採決いたします。本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(林讓治君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。(拍手)
 次に日程第四につき採決いたします。本件は委員長報告の通り承認するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(林讓治君) 起立多数。よつて本件は委員長報告の通り承認するに決しました。(拍手)
     ――――◇―――――
○福永健司君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、並木芳雄君提出、千島と南樺太の帰属に関する緊急質問をこの際許可せられんことを望みます。
○議長(林讓治君) 福永君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(林讓治君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追つて加せられました。
 千島と南樺太の帰属に関する緊急質問を許可いたします。並木芳雄君。
    〔並木芳雄君登壇〕
○並木芳雄君 私は千島と南樺太の帰属に関する緊急質問をいたしたいと思います。
 千島と南樺太に関しては、平和條約の第二條の(C)において「日本国は、千島列島並びに日本国が千九百五年九月五日のポーツマス條約の結果として主権豪獲得した樺太の一部及びこれに近接する諸島に対するすべての権利、権原及び請求権を放棄する。」と定められてあります。よつて、私どもとしては、平和條約が成立したあかつきは、これらの領土に対する権利、権原、請求権を遺憾ながら失うことになるのであります。私どもは、千島列島及び南樺太の地域はカイロ宣言にいわゆる日本が侵略によつて奪取したものではないということを強調して参りました。そうしてこれらは日本に残さるべきものであるという点を主張して参つたのでございます。この点は、吉田全権もサンフランシスコ会議で演説をしております。私どもの念願が達せられず、かくのごとき條約案別できましたことはポツダム宣言を無條件に受諾したのだから男らしくあきらめよういう吉田首相の言葉もありますけれども、これはなかなか私どもはあきらめきれないものがあるのでございます。(拍手)
 そもそも千島列島並びに南樺太の地域が日本の領土を離れるのは、ヤルタ協定によつて、「樺太の南部及びこれに隣接するすべての島嶼は、ソビエト連邦に返還せらるべし」「千島列島はソビエト連邦に引渡さるべし」との條項に源を発するものと推定されるのでありますが、ヤルタ協定は連合国だけの間の協定であつて、何ら日本を拘束せず、かつ日本が侵略によつて奪取したものでないとの私どもの、主張が認識せられまして、次第にその根拠を失いつつあつたものと思われるのであります。そのためもあり、このたびの平和條約には、これらの地域がどこに帰属するかということは定められてありません。きわめてあいまいになつておつたのであります。
 このときにあたり、ワシントン十五日発の外電によりますと、ダレス氏がワトキンス上院議員に書簡をもつて答ええたところを伝えております。それによると、ソ連はこの平和條約に調印しなかつたのであるから、永久に連合国たるの資格を失い、この條約で何ら権原を主張できないというのであります。すなわち、アーサー・ワトキンス上院議員は、上院の対日平和條約に関する演説で、日本は前記の地域を放棄するとの條項を批判、條約の承認にあたり上院がソ連の同地域に対する主張を認めないことを明らかにするために、上院の批准に際し留保を求める意向であると声明、ダレス顧問に書簡を送り、日本の領土放棄を扱つておる用語が、同領土のソ連への割譲にひとしいものであるかどうかにつき、ダレス顧問の意見をただした。ダレス顧問は、これに対し次のように回答した。これに対する私の答えはいなである、この点につき、貴下は條約の第二十五條の「この條約は、ここに定義された連合国の、一国でないいずれの国に対しても、いかなる権利、権限又は利益も與えるものではない。また、日本国のいかなる権利、権原文は利益も、この條約のいかなる規定によつても前記のとおり定義された連合国の一国ではない国のために減損され、又は害されるものとみなしてはならない。」との條項に注意されたい、この連合国とは第二十五條により條約に調印し、批准した国に限ることになつており、ソ連調印しなかつたから連合国ではないわけだ、またソ連がこの條約に調印する機会はすでになくなつているのだから、第二十五條の定義で永久に連合国となることはないしまたこの條約もとで上記の権原を主張することもできない、もしこのような主張が行わるとすれば、それは平和條約以外の事実に基くものでなければなるまい、というのが外電の要旨であります。この外電によつてはつきりしましたことは、ソ連はもはや千島列島、南樺太地域に対する権原を永久に喪失したということであります。
 この点について、まず政府にお伺いしたいのは、政府は、平和條約第二十六條によつて、條約成立後三箇年間はなお條約締結の門戸が開放されておりこの三年間にソ連が日本と條約を結んだときには、ソ連が第二十五條にいわゆる連合国たるの資格を獲得するものであるとの解釈をとつていたのではないかということであります。この点は必ずしも明らかではありませんでした。三年間に條約を締結すればこの條約の加盟国となり、従つて二十五條にいわゆる連合国になり得るのではないかとの解釈も立ち得たのであります。この平和條約に調印しない以上、二年間を待たずとも、すでに永久に連合国あたり得ないとのダレス氏の見解と同様であるかどうかということをお聞きしたいものであります。ソ連の場合ならず、このたびの平かつた国に対しても関係がありますので、特にお尋ねしたいのであります。もし政府の見解がダレス氏の見解と同様であるとするならば、また当然同じでなくてはならぬと思いますけれども、千島列島及び南樺太地域はソ連割譲されないことにかかわり、従つて日本から引離すべき理由がなくなるわけであります連合国は領土的野心のないことを表明されておるのでありますから、帰属の目標がなくなつた以上、これらの地域は当然日本にとどめ置くべきであると思いますが、政府の見解をお聞きしたいのであります。特に平和條約の前の草案によりますと、ソ連條約に加入しなかつた場合は日本の権利、権原、利益は当然日本に残るという案が盛られてあつた点を思い合せますと、この点特にしかりと思うのでありますけれども、政府に対してお尋ねをする次第でございます。
 最後に、幸いワトキンス上院議員の声明によつては、アメリカの上院では、この條項、すなわち第二條の(C)を留保して批准をしようとの議が起つておるのでありますから、もしこれが留保されることになりますと、日本にとつてはまことに朗報と申さねばなりません。そこで政府といたしましては、至急関係方面に対し、日本の従来の主張を重ねて強調し、千島列島、南樺太の地域が写本に残されるように請願すべきであると思います。これは全国民の熱望であります。中でも北海道では、道議会の決議に基き、国会に請願がなされておるような状態であります。政府はいかなる方法をもつてこれに臨まれんとするか、所信をお伺いしたいのであります。
 政府の特段の努力を要請しつつ私の緊急質問を終ります。(拍手)
    〔政府委員草葉隆圓君登壇〕
○政府委員(草葉隆圓君) 並木議員の御質問に、大臣にかわつて御答弁申上げます。
 第一点は、三年間にソ連が日本と条約を結んだとき連合国という解釈をとり得るかどうか。ことに最近ダレスさんが送りました書簡について、これを見解を同じくするかどうかというのが、御質疑の要点であつたと存じます。この点につきましては、先日本において御議決いただきました日本の平和條約の第二十五條に明文をもつてしるしておりまするように、「連合国は日本国と戦争していた国」、しかしこの場合においても、「この條約に署名し且つこれを批准したことを條件とする。」従つて、この日本との平和條約における「連合国」という連合国は、日本と戦争をいたしておりまして、しかもこの條約を署名し、また批准した国に限るのであります。従つて、この条約に署名し批准しない、「連合国の一国でないいずれの国に対しても、いかなる権利、権原又は利益も與えるもの下はない。」と二十五條に規定をいたしております。しかも、日本との平和條約におきましては、別に加入規定を設けておりません。ただ二十六條に、今後日本と戦争状態にあつた国で、この條約と同じ條約または実質的に同一の條約を二国間で結ぼうとする申出があつ場合、三年間はこれを受ける義務を日本に課しておるのであります。従いまして、ダレスさんの書簡につきましては、実は外電によつて承知する以外には、ただいま日本政府は承知し得ないのでありまするから、これに対しまするかれこれの批判は別といたしまして、日本との平和條約の條文から考えまして、「連合国」とこの日本との平和条約において申しておりまする連合国は、サンフランシスコ会議において署名をし、同時にこれを批准した国に限ると解釈をいたしておるのであります。(拍手)
 次に、この第二條における(C)項の千島、樺太、これらの問題については、日本は権利、権原、請求権を放棄することを約束いたしたのであります。このことは、御質問の中にありました引離すという問題とは別であると存じます。従いまして、今後千島並びに樺太の帰属につきましては以上申し上げました、いわゆるこの條約で申しまする連合国が決定する問題と存じております。
 第三点は、今後日本政府はこれに対していかような方法を講ずるかという御質問と了承いたしますが、これに対しましては、サンフランシスコ会議におきまして、首席全権でありまする吉田総理がるる申しましたように、今後政府は、十分国民の感情を、あらゆる方法によつて訴えたいと存じております。(拍手)
     ――――◇―――――
○議長(林讓治君) 日程第五、関税法等の一部を改正する法律案、日程第六、国家公務員等の旅費に関する法律の一部を改正する法律案、日程第七、損害保険料率算出団体に関する法律の一部を改正する法律案、日程第八、保険業法の一部友改正する法律案右四案を一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。大蔵委員会理事西村直己君。
    ―――――――――――――
    〔西村直己君登壇〕
○西村直己君 ただいま議題となりました関税法等の一部を改正する法律案外三法律案について、大蔵委員会における審議の経過並びにその結果について御報告いたします。
 まず第一に、関税法等の一部を改正する法律案について申し上げます。
 この法律案は、最近における新聞用紙の需給状況にかんがみまして、昭和二十七年三月三十一日までに輸入される新聞用紙に対する輸入税を免除するとともに、日本国との平和條約の締結に伴い、関税法、関税定率法及び噸税法の適用上外国とみなす地域に関する規定を整備しまして、その外国とみなされました地域で生産された物品については、その地域の有する特殊性にかんがみまして、当分の間輸入税を免除することとしようとするのであります。
 十一月九日、政府委員より提案理由の説明を聴取し、次いで審議の結果十五日討論省略、採決に入り起立多数をもつて可決いたしました。
 次に、国家公務員等の旅費に関する法律の一部を改正する法律案について申し上げます。
 この法律案は、全権委員、全権委員代理及び首席随員の職務の特殊性等にかんがみまして、これらの者に対し支給します日当、寝泊料、食卓料及び支度料の定額を改訂せんとするものであります。なお、さきに平和條約締結のための会議に際して応急に同趣旨を定めましたところの政令を廃止しようとするものであります。
 本月十二日、政府委員の提案理由の説明あり、審議の結果、十五日討論省略、採決に入りましたところ、起立多数をもつて可決いたしました。
 次に、損害保険料率算出団体に関する法律の一部を改正する法律案について申し上げます。
 損害保険料率算出団体につきましては、現在独占禁止法及び事業者団体法の適用が排除されてはおりますが、料率団体の算出した保険料率は、会員たる損害保険会社を拘束し得ないものとされておるのであります。しかしながら、このような現行法の規定は、料率団体を認めた趣旨を達成するには適当と認められませんので、一面料率団体の制度を強化しながら、会員の積極的支持による円滑なる運営を期するとともに、他面独占によつて保険契約者の利益が不当に害されることを防止して保険料率の適正化をはかるために、この法律案が提出されたのであります。
 次に、保険業法の一部を改正する法律案について申し上げます。
 本法律案は、損害保険の円滑な引受を確保するため海上保険事業に属する共同行為及びその他の損害保険事業に属する一定の共同行為について私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律及び事業者団体法の適用を排除することといたし、これに伴いまして、保険契約者等の利益を保護し、私的独占禁止法等の規定の趣旨が不当に侵害されることを防止するための必要な措置を講じようとするものであります。
 以上の二法律案につきましては、提案理由の説明を聴取した後、十五日より質疑に入りました。審議の結果、昨十六日討論を省略の上採決に入りましたところ、損害保険料率算出団体に関する法律の一部を改正する法律案は起立多数をもつて、保険業法の一部を改正する法律案は起立総員をもつてそれぞれ原案の通り可決いたしました。
 右御報告いたします。(拍手)
○議長(林讓治君) まず日程第五につき採決いたします。本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(林讓治君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。
 次に日程第六及び第七の両案を一括して採決いたします。両案の委員長の報告はいずれも可決であります。両案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(林讓治君) 起立多数。よつて両案とも委員長報告の通り可決いたしました。
 次に日程第八につき採決いたします。本案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(林讓治君) 御異議なしと認めます。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。
     ――――◇―――――
○議長(林讓治君) 日程第九、一日本国有鉄道法の一部を改正する法律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。運輸委員会理事岡田五郎君。
    ―――――――――――――
    〔岡田五郎君登壇〕
○岡田五郎君 ただいま議題となりました日本国有鉄道法の一部を改正する法律案につき、運輸委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 本法案は、日本国有鉄道の職員が休職にされた場合における休職の期間、給與の支給額等を改めようとするもので、一般公務員に対する改正とほぼ同一趣旨であります。すなわち現行法では、休職の期間は一年、給與は俸給の三分の一となつておるのでありまするが、これを休職の期間は公傷の場合を除き三年以内とし、休職中の給與の額は、公傷の場合はその全額、結核性疾患の場合は二年間、結核性疾患以外の場合は一年間、それぞれ俸給、扶養手当及び勤務地手当の八割を支給し、また刑事事件に関し起訴された場合は休職期間中、俸給扶養手当及び勤務地手当の六割以内を支給することにしようというのが本法案の内容であります。
 さて本法案は、十一月十三日、本委員会に付託せられ、昨十五日政府より提案理由の説明を聴取した後、質疑応答を重ね、愼重に審議いたしたのであります。
 次に質疑応答のおもなるものを申し上げますと、人員整理と長期欠勤者との関係、総裁の定める休職期間は団体交渉によるかどうか、休職期間経過後の処置、刑事事件の場合無罪の判決があつた者に対する給與の補償等でありまするがその詳細については会議録に譲りたいと存じます。
 かくて、同日質疑を打切り、討論を省略して、ただちに採決の結果、本法案は全会一致をもつて政府原案の通り決すべきものと議決いたした次第であります。
 以上、簡単でありますが、御報告申し上げます。(拍手)
○議長(林讓治君) 採決いたします。本案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(林讓治君) 御異議なしと認めます。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。
     ――――◇―――――
○議長(林讓治君) 日程第十、外務省設置法案を議題といたします。委員長の報告を求めます。内閣委員会理事江花靜君。
    ―――――――――――――
    〔江花靜君登壇〕
○江花靜君 ただいま議題となりました外務省設置法案について、内閣委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 平和條約の調印によりまして、わが国は近く主権国家として国際社会に復帰いたすこととなりましたが、條約発効前の現在においてもすでに関係諸外国との交渉が開始せられており、外交事務を整備して事務遂行に遺憾なきを期するとともに、正式の外交再開に備えて外務省の機構を改組しようとするものであります。
 改正されました点は、一、内部部局の編成がえ、二、特別な職の設置、三、地方の連絡調整事務局の縮小、四、在外公館に関する規定、五、在外公館の長に対する官邸の貸與の五点であります。
 改正の第一は、現在六局一部となつている内部部局を整理統合して、一部を減じたことであります。すなわち、條約局は現状のままとし、政務、調査、管理及び連絡の四局を廃止して、新たにアジア局、欧米局及び国際協力局を設け、情報部を情報文化局とし、国際経済局を経済局と改称しております。
 この改正の理由の第一点は、従来政務局で行つておりました政務の処理、調査局で行つておりました調査事務、管理局で行つておりました在外同胞の保護等の事務を、戦前のように地域別に行うことによつて有機的なものとするためアジア局と欧米局を設けましたこと、第二点は、従来條約局の一部で行つてありました国際協力関係の事務を一局に独立させまして、平和後の国際社会における協力の促進に十分な準備をいたすこととし、これに当分の間、従来連絡局で行つておりました総司令部との連絡事務を行わせることといたしましたこと、第三点は、従来政務局情報部で行つておりました情報文化活動を一局で行わせることによりまして平和回復後における情報活動、さらには文化国家としての文化外交に備えて準備をかため、もつて遺憾なからしめようといたしましたことであります。
 改正の第二は、特別な職として官房長及び次長を各一人並びに顧問及び参與を置くことでありますが、この改正の理由の第一点は、従来政務局で行つておりました外務省所管行政の総合調整事務は大臣官房において行うこととなりますので官房に官房長を置いて、これを統括せしめることといたしましたこと、第二点は、経済局に次長を置きまして、ますます、複雑活発になつて参りました経済外交事務に人的にも万全の準備態勢を整えることといたしましたこと、第三点は、本省に顧問及び参與を置きまして、国際場裡に復帰するわが国の外交に各方面の意見を十分反映して、正しい平和外交の遂行に努力することができるようにいたしたことであります。
 改正の第三は、従来十一箇所に設置されておりました地方の連絡調整事務局を六箇所に整理統合したことであります。
 改正の第四は、在外公館の設置もいよいよ間近に迫つて参りましたので、その設置の根拠、種類、所掌事務、権限、名称、位置及び長等に関しまして根本的な規定を定めておることでありますが、在外公館設置の問題は、相手国政府との合意を前提といたし、その具体化を予測しがたい場合もありますので国会が閉会中でしかも非常に急を要する場合等を考慮いたしまして、かかる場合には、政令の定めるところにまり、予算の範囲内で在外公館を増設することができること及びその種類を変更することができることをも規定いたしております。なお現在在外公館として設置されております在外事務所につきましては、その性質上臨時的なものでありますので、これに関する規定は附則に定めてあります。
 改正の第五は、在外公館の長にも公邸を無償で貸與できることといたしまして、附則において関係法律に所要の改正を加えております。以上は本案の概要であります。
 本案は、十一月一日、本委員会に付託され、説明を聞き、外務委員会とも連合審査会を開き、質疑を重ね、愼重に審査いたしたのでありますが、その詳細は会議録により御承知を願うこととし、十一月十六日、討論採決の結果、多数をもつて原案の通り可決すべきものと議決いたした次第であります。
 以上御報告申し上げます。(拍手)
○議長(林讓治君) 採決いたします。本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(林讓治君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。
     ――――◇―――――
○福永健司君 議事日程追加の緊急動議を提出いたしますやすなわち、内閣提出、繭糸価格安定法案を議題となし、この際委員長の報告を求めその審議を進められんことを望みます。
○議長(林讓治君) 福永君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(林讓治君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
 繭糸価格安定法案を議題といたします。委員長の報告を求めます。農林委員八木一郎君。
    ―――――――――――――
    〔八木一郎君登壇〕
○八木一郎君 ただいま議題となりました、内閣提出、繭糸価格安定法案につきまして、農林委員会におきまする審議の経過並びに結果の大要を御報告いたします。
    〔議長退席、副議長着席〕
 まず本法律案の趣旨を述べます御承知のごとく、従来生糸は国際的商品としてわが国輸出農産物の王座を占め、外貨獲得の土に重要な役割を果しているばかりでなく、わが集約的零細農業の経営安定の上にもまた多大の寄與をいたして来たものでありまするが、今後わが国独立後、経済の自立及び発展をはかりますためには、この要請がいよいよ加わつて参りますことは申すまでもありません。しかるに、生糸の価格は他の商品に比べまして変動がはなはだしく、かつまたその原料でありまする繭は農産物でありますため、価格変動に対処して敏速に需給を適応させることができないのであります。加うるに、現下の養蚕業はもとより、製糸業も経済的基礎が脆弱でありまして、価格変動に対応するだけの経済力を欠如しておるのもあります。このために生糸絹織物の輸出が著しく阻害されますとともに、その生産母体たる蚕糸業経営を不安定にいたし、ひいては農家経済の振興をも危殆に瀕せしむるような事態もあるのであります。戦前には糸価安定施設法がございまして、繭糸価格の安定に貢献いたしそのため大いに生産の増強と輸出の増進に寄與して来たもののでありますが、戦時統制下、この施設が中絶せられその後統制は撤廃せられたままになつていたのでございます。これがために国内的にも国際的にも生糸価格安定施設の復元実行を要望する世論は年とともに熾烈となつて来たものであります。以上のごとき内外世論の要請にこたえまして今回ここに本法案の提出を見るに至つた次第であります。
 次に、本法案のおもなる内容について申し上げたいと思います。
 第一は、繭と生糸の価格をどうして安定させるか、その方法でありますがこれは政府において生糸の最高価格と最低価格をきめまして、高くなれば売り渡し、安くなれば買い入れるという操作によつて一定の範囲内に生糸の価格を安定させ、従つて繭の価格の安定をはかろうとするものであります。
 第二は、輸出優先主義による生糸の売渡しであります。政府は生糸の売渡しに際し転出向けのものを優先して売り渡すことができることとしたことであります。
 第三は、繭の価格支持のため特別措置をいたした点であります。養蚕農家の経済不安をなくすために政府はもし生糸の買入れだけで繭の価格の維持をはかることが困難な事態に当面したときはそのときの事態に即応した適宜の措置を講ずる責任と義務があることを法律の明文にいたした点であります。
 第四は、繭糸価格安定審議会の設置であります。これは標準生糸の最高価格と最低価格の決定、またその改正などに関して農林大臣の諮問にこたえ、また繭糸価格安定上重要なる事項につき関係行政庁に建議し得ることにいたした点であります。
 第五は、本法案の実施に要する所要経費をさしあたり三十億円といたし、特別会計の設置をはかつたことであります。
 以上の五点が本法律案の概要であります。
 本法案は去る十二日、本委員会に付託となり翌十三日、島村農林政務次官から提案理由の説明を聴取いたしました。次いで十四日、十五日、十六日の三日間にわたり熱心に質疑応答を行いまして、十五日には特に根本農林大臣の出席を求めまして本法案提出の根本的趣旨と、蚕糸問題に対する基本的対策についてただしたのであります。また大蔵省政府委員の出席を求めまして、糸価安定特別会計法案の内容をもただしたのであります。これらの質疑内容の詳細は会議録に譲ることといたしまして、ここには本委員会の質疑応答で明らかにせられました最も重要と認められる問題二、三について、その主要点を申し上げます。
 その一は、本法は生糸対策に重点が置かれていて、繭の価格安定対策が不十分ではないか、また最低価格は最低生産費を償うことができるかとの質問に対しまして政府は、繭を対象にしないことにいたしたのは、過去の経験より最も効率的な需給調整手段として生糸によることが最善であると認めたからであつて、繭の価格の安定を軽視するどころか、大いに重要観しておる、また生産費補償については、生産費そのものが経営状態によつて大きな相違があるが、合理的経営であれば十分補償し得ると思うとの答弁でありました。
 その二は、本法では異常な暴騰糸価を阻止することはむずかしい、禁止価格を設定する意思はないか、また投機行為を抑止する立法措置を考えていないかとの質問に対しましては、これは本法が売買操作によつて価格の安定をはかろうとするものであつて、禁止価格で統制する立法措置は考えていないとの答弁でありました。
 その三は、最低価格の補償のみでは繭糸生産の増強を期待できない、政府は養蚕業振興発展をはかるために本法と並行した増産計画の用意があるかとの質問に対しまして、桑園の拡充改善、蚕品種の改良普及、技術指導員の身分安定等に万全を期し、五箇年計画をもつて繭三千四百万貫、生糸三十万俵の生産を達成したい旨の答弁でありました。
 なお委員会は、昨十六日、参考人として、利害関係代表者たる全国養蚕販売農業協同組合連合会長関根久藏君初め七人、学識経験者として吉田清二君、石黒武重君の二人を招致して参考意見を聴取いたしましたところ、全国販売農業協同組合連合会参事小林繁次郎君は、本法案では所期の期待が持てないと述べられましたが、他の八人の権威ある諸君の発言は、いずれも本法律案に賛成し、その成立を強く熱心に要望されたのであります。
 かくて委員会は、昨日をもつて質疑を終了し、本十七日討論に入りました。自由党を代表して私が、また国民民主党を代表して小林運美君が、日本社会党を代表して石井繁丸君がそれぞれ賛成意見を述べられました。これに対し、日本共産党より竹村奈良一君が、また日本社会党第二十三控室の足鹿覺君がそれぞれ反対意見を述べられたのであります。
 討論を終り、ただちに採決を行いましたところ、起立多数をもつて原案の通り可決すべきものと決定いたしました。
 以上御報告申し上げます。(拍手)
○副議長(岩本信行君) 討論の通告があります。順次これを許します。横田甚太郎君。
    〔横田甚太郎君登壇〕
○横田甚太郎君 繭糸価格安定法案、これで蚕が太り、きれいな生糸がたくさんできるのであるならば、共産党もこの法案に賛成するのであります。ところが、この法案では蚕は太らずに、日々の新聞が報じ、国民が困つている、官庁と日本の産業界に巣くつている、宴会でとぐろを巻いて困つた人種であるといわれているところの伝票権あるいは公用族、社用族等の白ありが、新たに三十億円のえさをもらつて太るだけだから、共産党は反対するのであります。
 この法案では、生糸の上り下りを非常に心配しております。しかし、生糸が上つたり下つたりすることで、資本を持つ者が、蚕も飼わずにもうけている。それを保障しているのが自由党の本質なのであります。正体なのであります。だから、糸の上り下りが心配だからこの法案をこしらえて、上り下り少くしようと、自由党の好きな各業界の権威者に来てもらつて聞いてみたところがどうであつたか。この権威着たちは、糸の値段が上つたときと下つたときとの幅をあまり小さくしてもらつては困りますと言つたのであります。これには自由党の人も唖然としたという事実があるのであります。物には生産費がいるのであります。生産費を保障せずに、むちやくちやに生産者からむしり上げて、やみ金資本をつくたつのが自由党並びに戦後一切の日本の政権であります。日本の女工さんをむちやくちやにしぼつておつたところの片倉製糸の繭の中にじつくりと眠つておつたのが、日本の政府のいわゆる蚕糸局であります。この蚕糸局がびつくりして考えついたのがこの法案であります。
 この法案は、至つて不備であります。だから一年のうちに最高価格と最低価格を一回にきめられずに、何回きめるかわかりはしないのであります。しかも、こうして持つている間に、この生糸を加工するというのであります。加工するのであるなれば、ほんとうに加工するのかといえば、これは文字だけを加工するということを暗にほのめかしているのであります。生糸を買つてもうけている人があり生糸を加工してボロもうけしている人がある。しかし、もうかつている糸の本質は蚕であつて、蚕を飼つている人がほんとうにもうからずに、長い間働いて、安い賃金で困つているというのが養蚕業の実態でありました。
 養蚕をやつているところの土地におきましては、年の若い人はやらないのであります。年寄りのみがこれをやつているのであります。だから、二、三日前の新聞が報じているように、ミス豊年を選びました。ところがどうなんです。できたミスには教養があつて、休養があつて、文化がなくもやならないのに対して、いわゆるミス豊年、なる者は働きがきらいだと言つたのであります。そうして農村に休養がなかつたということを言つたのであります。これが日本農村の実態でありまして、わが身を食うような、わが身を虫ばむような経済の仕組みが、今なお依然として日本の農村に現存しているのが事実でありますこれが資本主義の特徴でありまして自由党としては、この事実こそが最も喜ばしき日本経済の安定であるべきはずなのであります。これは何ら憂うべきところのものではないのであります。
 蚕が糸に化けた、金に化けたそうしたことにおいて、こんなにもうかるのかと養蚕農家が怒るから、これをごまかすためにこの法案を考えたのであります。資本を持てる者、危険負担能力を持つている者がボロもうけができる、そういうふうな経済機構を占めるのは資本、主義の常道であつて、こういうふうなことをやり続けようとするのが自由党である。これに対しては、必ず階級間の対立が生じます。だから国会を開いて、国会に議員の出席が少いにもかかわらず、国会の前には、また自由党がきらう赤旗の波がひらめいております。そうしてそこには代議士の出席が少くて、国会の中には鉄かぶとを着た巡査が充満している今日のような事実が現われるのであります。養蚕家が、どうしてもこういうようなインチキな法案では満足できないということは、きのう呼び集めました、養蚕農家を代表している全販連、農協の参事が、はつきり言つております。
 私たちは皆さんに申したい。三十億のこの金というものは、日本の人民から出した金であるがために、これは日本の養蚕農家に即時出していただきたいのであります。それを出さずに、再びこれを日本の政府にまかす、特別会計の中に眠らす、こういうふうなことをいたしますと、汚職と涜職の貧富汚吏をたくさんこしらえるだけであつて、健全な日本の養蚕農家というものは決して育たないのでありますから、健全なる養蚕農家にこの三十億の金を渡すべきであると私たちは考えないのであります。
 日本には、傾斜十五度を中心にいたしますと、未懇地はなお九百万町歩あります。この九百万町歩を開懇するときには、米はつくれないが、桑に適するところがたくさんあるのであります。この未懇地に桑を植えるために金を出していただきたい。そうして、この桑を食うとろの蚕を飼うている人たちの産業を近代化するために金を出していただきたい。原始産業だといわれているところのこの産業が、特に原始的な荒い価格の波の中で困つているのであります。これを安定させるために、即時養蚕農家に金を出していただきたい。そうしてこそ日本の蚕糸業の安定がはかられるのであります。安定した経営の中から生れる糸こそが、ドルに左右されずに、日本の物産として大手を振つて世界のどこへでも売れるようになるのであります。
 絹は娘さんに着せるものであります。世界の婦人に着てもらうものであります。この人たちは数が多いのです。こういうような数の多い人を美しくするために絹を使つてもらうようにしなければならない。平和産業としての養蚕業を盛んにしてもらわなければならないのに、人を殺すたまが飛びまわつている。そこへ飛行機に乗つて、異国の室から異国の土地へ、異国の富を盗むために飛びおりて行く殺人鬼とその部下にこの絹糸をまわすがゆえに、生糸に対する需要はふえたり減つたりするのであります。それゆえにこそ絹の需要が狭められるのであります。日本の養蚕業は実に不健全な、投機的な産業になつてしまうのであります。絹は、平和のために、養蚕業は平和な日本の基礎産業の一つとして再建しなければならないものでありますから、どうか今までの日本の行き方を根本的に改めていただきたいのであります。
 そうであるにもかかわらず、自由党は、日米安全保障條約で、平和日本をつくろうとせずに、動乱日本を招来しようとしたのであります。これがために懸命になつたのであります。生糸の根源である蚕も見ずに養蚕業の振興がはかれるであろうかということを考えていただきたいのであります。それゆえにこそ、自由党のやることは、三十億で白ありを飼うことであります。日本の養蚕業の振興のためには赤字欠損をつくつて日本の人民に迷惑をかけ、やがて刑務所に入る係官をたくさんこしらえるためにこんな妙な金の支出、間違つた管理の仕方をせずに、すぐ日本の農業のために、生でこの金を出していただきたいのであります。それで足らなかつたならば、もつと出すのであります。こうしてこそ繭価の安定がはかれるのですが、繭価の安定にもならないで、腐つた役人をこしらえるような、こういう金の出し方に対しましては、共産党は断固として反対するもりであります。
○副議長(岩本信行君) 小林運美君。
    〔小林運美君登壇〕
○小林運美君 私は、ただいま議題となつております繭糸価格安定法案に対しまして、国民民主党を代表いたしまして、三つの重要事項について條件をつけて賛成をいたしたいものであります。
 蚕糸業が、過去におきまして、わが国の輸出貿易の大宗として、われわれ国民の経済に非常な貢献をなして参つたことは、自他ともに許すものであります。戦争後におきましても、蚕糸業によつて輸出をして外貨を獲得したことは、わが国の経済に非常な寄與をしておつたのであります。しかるに、蚕糸業の欠点と申しますか、蚕糸の発展のために非常に大きなウイーク・ポイントは何であるかというと、繭糸価の異常なる暴騰暴落でございます。これがあるがために、最近生糸の需要はだんだん減りまして、戦争前から現在に至りまして、約四分の一の生産量になつてしまつたのであります。
 生糸の過去におきます需要消費というものは、外国の人たちが使つておりました絹のくつ下でございましたが、生糸のほとんど大部分はナイロンがとつてかわつてしまつたのであります。これは、ただ新興繊維が発達したから、ただちに生糸の需要がなくなつてしまつたということではないのでありまして、生糸の値段の上下というものが非常に深い、需要者、すなわち海外におきまする問屋でありますとか、あるいは機屋並びに編みもの業者たちが、生糸の値段が不安定であるために、安定した値段――ナイロンのごときは、ナイロンが製造されてから、ほとんど値段がかわつていないというような事情からいたして、だんだんさような安定した品物に生糸の需要と奪われてしまつたのであります。
 かような状況からいたしまして、関係者は早く蚕糸業の安定をはかりたいということを戦争前にも非常に強調されまして、過去におきましていろいろの施策が講ぜられまして、今回ここに提案されました繭糸価安定法に似たような法律が過去におきまして数回出たのでありますが、そのたびたびに、これらの政策は成功いたしたのであります。戦争後になりまして、やはりこの問題が業界で取上げられまして、本国会におきましても、第五国会において、本議場におきまして糸価安定の決議案が採択されまして以来、われわれ関係者は、この蚕糸業の安定のために、早くかような政策を立つべきだということをしばしば唱えて参つたのでありますが、今回政府は、繭糸価の安定の法律案を国会に提出したのであります。
 そこで私は考えるのでありますが、先般吉田内閣、自由党は、米麦の統制を撤廃して自由販売にする、何でも端から統制を撤廃するという無計画の統制計画を計画して参りました。ところが、御存じのように、輿論の前には、さしもの自由党も、ワンマン自由党内閣も、これには抗し切れずに、米麦の統制撤廃はうやむやになつてしまつて実にさんたんたる状態でございます。しかるに、この法案はどうかというと、統制撤廃をするようなこの吉田内閣が新たに統制をしようとする私はこれを責めるのじやない。これが当然なんだ。この繭糸価安定法というものは計画経済であり、農産物の価格支持政策であるのであります。われわれ民主党は、かかる政策を掲げて参つたのでありますが、この世界の輿論の前には自由党も屈しまして、かかる法案を提出いたしました。
 私たちは、この法案の内容の根本的な精神について絶対に賛成をいたしたい。しかし、この法案の内容を拝見いたしますと、非常に大きな点におきまして二、三の欠陥がございます。この欠陥はどうしても是正しなければならぬ。かような点につきまして、私は二、三の問題をここに掲げまして、この目的達成に邁進するならばこれに賛成をしたいというのでございまして、以下二、三この問題について申し上げたいと思います。
 今回の補正予算において、政府は三十億の金を支出して、この繭糸価安定のために使うことになつております。しかし、これは生糸の買入れ、売渡しのみに使われる。すなわち糸価格安定特別会計の方法によるものだけに使うのが三十億円でございます。しかし、この繭糸価安定法、すなわち繭と生糸の価格を安定するという根本的な問題については、これは中途全半端であります。そこで先般の補正予算の審議にあたりまして、民主党は、これだけでは足りない、従つて繭の価格の安定のために十億円を支出して繭の買入れを行うという趣旨をもつて、補正予算の修正を提案したのでありますが、自由党多数の横暴によりまして、これは悲しいかな否決されたのでありますが、このわれわれの意味は、自由党の諸君も十分わかつておる。特に養蚕大衆農民は、この繭の価格の安定ということを非常に熱望しておるのであります。
 そこで、すでにこの補正予算の修正問題は済みましたけれども、必ず来るべき時期には、この繭価の安定のために、政府は相当の金を用意して、繭価が低落した場合に、すなわち養蚕農民にこの災害がしわ寄せられた場合には繭を政府が買い入れて、これを救つてやるということが絶対必要條件と考えるのであります。すなわち、この法案の骨子とするところは、ただ大きな資本家や商売人たちが業界を安定して自分の利益になればいい、こういうことだけでは絶対にいかぬ。少くともわが国の現在の財政逼迫の折に三十億という金を支出し、またさらにわれわれの希望する繭価の安定のために金を出そうというのなら、これはもつともつと大衆の利益ということを土台にして考えなければならぬと思うのであります。(拍手)さような意味におきまして、養蚕大衆の利益すなわち繭のしわ寄せに対する保障をするというところに重点を置いてこの法律を施行して行かなければならぬと考えるのであります。
 次にもう一つの観点は、この法案によりますと、生糸は最低価格で買入れをいたしまして、一応安定はいたすでありましようが、三十億円の金で政府が買いました二万俵の生糸だけでは、上値に対しての保障ができなくなる事態が必ずや起つて来ると私は思うのであります。ところがたつた三十億円で買つた生糸を二万俵放出して――過去の例によりましても、蚕糸業界は非常な投機の対象となつておりまして、二倍にも三倍にも、あるいは十倍にも値段が騰貴するのであります。かような業界にありまして、投機業者が目をつけることは当然であります。従つて、二万俵くらいの生糸を放出しても値段が安定できないというようなことであれば、これはたいへんであります。そこで、かような事態が起きまして、政府はこの特別会計だけではやれないという事態に至りましたときには、特別なる処置を講じて禁止価格というものを決定しなければならぬと私は考えるのであります。
○副議長(岩本信行君) 小林君に申し上げます。申合せの時間が参りましたから簡潔に願います。
○小林運美君(続) しかるに、現在の物価統制令のようなものは、これは将来の壽命が短かい。従いまして、この繭糸価格安定法の運用によつて上値に、対する危険を防止するということが、第二の私の要望する点でございます。
 次にもう一つの問題は、この繭糸価安定の法律によつて、特別会計が利益を生じた場合、すなわち利益を生ずれば積立金をしている。積立てを終つた場合には、今度は剰余金が出る。この剰余金は一般会計に繰入れることになつておりますが、一体この剰余金というものは、普通一般の剰余金とは違うのであります。従いまして、一番蚕糸業のウイーク・ポイントであります養蚕農家この利益金を返してやるというのがこの法案の一番大切な点ではないかと私は考えます。かような点につきまして、この法案の施行にあたりましては、政府はこの特別会計による剰余金を養蚕大衆のために、また業界の発展のために十分支出して蚕糸業の発展をはかるのが、私は当然ではないかと考えます。
 以上三つの問題をここに提起いたしまして、この実現をはかるというものに本法案に対して賛成をいたすものでございます。(拍手)
○副議長(岩本信行君) 足鹿覺君。
    〔足鹿覺君登壇〕
○足鹿覺君 ただいま審議中の繭糸価格安定法案に対しまして、日本社会党第二十三控室の立場から反対の意見を述べたいと存ずるのであります。反対の根拠はたくさんあるのでありますが、時間の関係もありますから、五つの点に要約して申し上げたいと思います。
 まず第一点は、基本的な問題についてであります。繭糸価格安定法案の立法の趣旨は、生糸の輸出増進及び蚕糸業の経営の安定をはかるために、その手段として繭及び生糸価格の安定帯を設けることをねらいとしているといつておるのであります。しかるに、この法案の内容を検討いたしてみますと、あくまで製糸業の安定と輸出の増進だけを主眼とし、これを優先とする根本思想で貫かれているのであります。すなわち、蚕糸業の安定にはまつたく触れないのみか、繭価の安定措置も名目だけでありまして、実に驚くべき、看板に偽りのある法案といわなければならないのであります。
 すなわち、本法案の原々案が糸価安定法として出発したことは御存じの滑りである。去る十月十五日、全国農民代表者大会の抗議と、これが要望によりまして、どろなわ的に政府は繭の一字を入れたにすぎないのでありまして、繭糸価格安定法案の内容についての農林委員会の審議の過程におきましても、何ら政府の具体的施策は繭価の安定について提示せられていないことによつても明らかといわなければなりません。そもそも安定の何たるかを明確にしないで、ただ安定の字句によつて大衆を眩惑するがこのとき、子供だましのトリックをもつて養蚕農民をつろうといたしましても、養蚕農民は決してこれにだまされることはないのである。かかる法案が何ら修正されることなく通過したとしますならば繭価に対するしわ寄せは制度化され、養蚕農民の利益は極度に阻害されることは必定であるのでありまして私どもは養蚕農民の立場から断固反対の意を表明いたしたいと存ずるのであります。
 第二の反対の理由は、政府は糸価の安定は輸出生糸を増進させ、それよつて蚕糸業経営の安定ありとしておりますが、糸価とその値幅とをいかに定めるかが先決でありまして、その後にいかにこれを安定せしめるかが問題になつているにもかかわらずこの解決はあげて海外需要者の要望にこたえる糸価によることをもつて逃げておるのであります。われわれの主張は、安定は一にかかつて再生産のできる繭生産費の維持を絶対の要件とし、これを基本として、加うるに適正なる製糸加工賃及び販売費を加算した生糸価格孝設定することが、わが国蚕糸業振興の根本であり、そのためには政府は相当額の予算の裏づけをもつてすることこそ施策の根本問題でなければならないことを主張いたしたのであります。
 本法案による犠牲及び負担はあげて養蚕農民だけにしわ寄せをされるとは、現在行われておりますところの不合理きわまる生繭の共同販売の実態よりいたしても、これは明白であります。今その取引の実態を見ますのに、養蚕業者は価格未決定のままに繭を製糸業者に売渡し、一府県単位に繭価の協定を行つているのである。この協定に要する日数は驚くなかれ、平均五十日前後も要するのである、養蚕家の利益の代弁者であるといわれる養蚕団体は、一銭の販売資金も確保しておらない。しかも協同組合でありながら、出資金のない農業協同組合が多く、完全なる経済無力者であります。しかも、この団体はその維持費を、繭の販売あつせん手数料として製糸業者より仰いでいる建前でありまして、実情から見まして、とうていかかる実情で健全な取引が行われるはずがないのであります。しかも、ここに蚕糸官僚が不当にその権力を行使農林省が公表いたした生糸加工販売費の五万四千三百四十三円は、驚くなかれ、ほとんど全国一様に糸価より優先差引されているのであります。これはとりもなおさず、製糸業者と蚕糸官僚及び養蚕ボスの野合によつての製糸業の利益優先よき事例であると断定いたしてもさしつかえないと思うのであります。
 かかる実態から見て、常に製糸の利益は優先確保され、農林省が公表いたしました繭生産費一貫目当り一千七百八十七円のごときはまつたく無視され勢い養蚕農民はこれら不動の支配態勢のもとに完全に屈従せしめられているのでありまして、これら生産費の補償販売取引方法の改善にこそ具体的な措置が緊要であるにもかかわらず本法案には何ら捨てて顧みられておらないのが現状であります。
 第三の反対の根拠といたしまして、本法案の予算の構成は三十億であります。生糸一俵当りの価格を十四万五千円とし、これを二万俵買い上げることによつて骨格が形成されているのであります。二万俵は日本における年間生産量のおおむね十分の一、横浜・神戸両市場に出まわりをいたしまするところの量の約四分の一で、三箇月にわたる数量であるのであります。かかる少量をもつてはたして糸価の牽制ができ得るかどうか、また一面において、かかる安い糸価は、いまだ海外から一ぺんも希望価格としてすら私どもは耳にしたことのない不当な安値で、政府のいう二万俵確保せねば糸価の牽制ができないという主張に無理にこじつけた作為的な単価でありまして、この二万俵は、蚕糸経営の安定か優先せしめるための農林省発表による再生産費たる二十三万八千四百九十三円を確保補償することに照しまするならば、少くとも二万俵にて四十七億有余の資金を必要とすることは明らかであります。これらの利点から見まして、まつたく問題にならない貧弱な予算でどうしても糸価の安定及び牽制の効果が上るとは言い得られないのであります。
 この点につきましては、昨日の公聴会においても各公述人から公述せられ、さらに明確に本法案に対しては多くを期待できないが、あるはなきにまさる程度のきわめて消極的な賛意すらなかつたことは、われわれの記憶に新たなるところでありまして、その内容がいかに不完全なものであるかということを如実に現わしておるといつてさしつかえはありません。しいてその効果を申し上げまするならば、かかる僅少の予算をもつてしては大製糸業者の利用のみにとどまり、その救済に役立たしめるか、あるいは一部の業者のためにする蚕糸官僚拡充以外の何ものでもないということを立証して余りがあると存ずるのであります。そもそもこの三十億の予算の財源は農民の犠牲供出による繭から得られた貴重なものでありまして、この財源をかくのごとき製糸資本家に一方的利用をなさしめるがごとき本法案に対しましては、断じてこれを容認することはできないのであります。
 第四点は政府の企図する繭糸価格安定審議会についてであります。その委員の構成につきましては、関係行政庁の職員を平然と参加せしめるがごとき規定になつておるのであります。わが国蚕糸政策の伝統ともいうべき官僚の支配的意図が最も端的に表明されておるといわなければなりません。かかる意図は断じて改められなければならないが、委員会においては、この問題について満足すべき政府の答弁がなかつたにもかかわらずこの問題はほとんど審議されなかつたのであります。民間有識者から当然選ばれる農民代表あるいは利害関係者等がこの委員会の半数を占めることによつて真にこの委員会は養蚕農民の利益をある意味において代表できるでありましよう。しかし、今の政府原案においては、行政庁の役人と一般学識経験者のみによつてこの委員会が占められ、これが運営せられる結果はそもいかなる事態を招来するか。過去のこれに類する委員会の運営の事例によつても明らかであるといわなければならないのであります。
 以上、これを要しまするのに、本法案は養蚕農民に犠牲と屈従を要請し繭の再生産維持をまつたく無視した暴案であるといわなければまりません。本法案通後に来るものは繭価の不当な抑制でありまして、養蚕農民の犠牲のもとにおいて製糸企業の経営安定がはかられることは多言を要しません。かかる養蚕農民へのしわ寄せ自体を防止し、真に本法の適正健全をはかるために、全国農民代表者大会の決議に基いて、われわれは繭買入れの措置が糸価と見合うところの適正繭価の策定方針について政府及び当局に執拗に要請し続け、また本法案の一條及び十條の大幅な修正について政府当局の所信を伺つたのでありますが、何らこれについて責任ある回答を得ることはできなかつたのであります。また審議会の点につきましても、前述したごとき不合理なるままにおいて、多数をもつて本法案は決定をせられたものであります。かかる政府、與党の誠意を示されないが不完全なる法案に対しまして、また養蚕農民の利益を踏みにじるごとき政府の意図に対しましては、われわれは断じて容認することはできないのであります。
 ここに全国の養蚕農民の名において断固本法案に反対の意見を表明するものであります。
○副議長(岩本信行君) 石井繁丸君。
    〔石井繁丸君登壇〕
○石井繁丸君 ただいま議題になりました繭糸価格安定法案に対し、日本社会党を代表して賛成の討論をいたすものであります。(拍手)
 反対論の根拠のないことは、ただいま共産党並びに第二十三控室の討論者によつて、ただちに表明せられたのであります。もしこの法案に対して共産党がほんとうに反対をするならば養蚕県の林百郎君か、あるいは深澤義守代議士が出まして、この壇上より反対すべきであります。(拍手)またもし社会党第二十三控室がほんとうに反対するのであれば、養蚕県の八百板正君が立つて、この壇上より反対すべきであります。(拍手)しかるに、養蚕に何の関係もない大阪の町の中の横田甚太郎君と、また養蚕に縁故のない鳥取県の足鹿覺君が反対をいたしておる。これだけによつても、共産党と社会党の第二十三控室の反対は、反対せんがための反対であるということに明らかであります。(拍手)
 さて、つらつら日本における製糸養蚕問題を観察いたしますに、戦前におきましては、桑園が七十万町歩、養蚕農家は二百二十万戸であります。しかして養蚕の收繭量は一億万貫に及びまして、五十万俵の生糸を輸出しておつたということは明らかなる事実であります。しかるに現在におきましては、桑園は十八万町歩にすぎません。養蚕農家は八十万戸しかないのであります。收繭高は、御承知の通り二千万貫余でありまして、戦前の五分の一に足りない状態であります。こういうような状態に対しまして、政府は養蚕五箇年計画を立てまして、桑園については二十五万町歩並びに收繭量については三千三百万貫、生糸輸出五万俵を目ざしておるわけでありまするが、こういう計画は、政府としてもあるいは自由党としてもどしもどしやつてもらいたいのは、いたいのは、社会党の願望するところであります。(拍手)社会党は、この政府の五箇年計画に対しまして、なお百尺竿頭一歩を進め、これではまだ足りない、戦前の半分、繭におきましては五千万貫、そうして生糸輸出は二十五万俵を目ざし、毎年一億五千万ドルくらいのドル外貨を獲得しなければならぬ、かような大規模の抱負を持つておるものであります。かような観点に立ちまして、われわれはどうしてもやらなければならないのは糸価の安定である。養蚕農家の安定である。そしてまた国際絹業者の要望にもこたえなければならない。この要望にこたえておるこの法案につきましては、以下数点について言質をただし、賛成の意を表したいと思うものであります。
 まず第一、養蚕農家に安定を與える点であります。この点につきましては、政府の本案によりますると、また足鹿君の意見等によりますと政府は一俵十四万五千円で二万俵買うと言うのであります。農林大臣並びに蚕糸局長は、われわれの質問に対しまして、最低価格につきましては大体標準生産費、昭和二十五年の繭とすると一貫目千二百円くらい、今年の繭とすると一貫目千三百五十円くらいが標準値段になるであろう、こういうわけでありまして大体この辺を標準値段とし、最低価格といたしますれば、養蚕農家も安定いたし、そしてわれわれ養蚕県の代表といたしましても、農民に安心して蚕にいそしむように大いに桑園改良ができる、こういうように言えるわけでありまして、この点におきまして、最低価格におきましても政府はその方針を堅持し、また自由党においてもその線を堅持されんことをわれわれは希望してやまないものであります。(拍手)
 次に絹糸というものは、御承知の通り国際的な生産物であります。日本の国内だけのものではありませんで、国際的なる取引のものであります。そこで、日本だけで力み返つていても問題にならない。外国の絹糸業者が協力努力してくれなければ、これが十分に売れない。そこで、この法案は日本の法案である。吉田内閣の、政府の法案である。国際絹業の大会によつて決定されたるこの線、ある意集においては国際的法案であろうと思うのであります。われわれはこういう見地に立ちまして、自由党であるとか吉田内閣であるとか言わない国際的絹業立法という立場より、国際的に大いに協力するという意味で、この第二点において賛成するわけであります。(拍手)
 第三点は、今こそ日本の絹糸は世界的なる制覇をしなければならない時期である戦争中、御承知の通り、日本の国の生糸はアメリカでは買わなくなつてしまつた。そこで、そのかわりに支那の生糸は販路を拡張しまして日本の生糸は、かたわらに押し寄せられてしまつたのであります。幸い国際関係の変転は中共生糸の輸出が阻まれ、国際的に日本の生糸のひとり舞台に立至つたわけであります。そこで、この間におきましてあらゆる世界各国民の人々に、生糸の一品くらいはみな使うように十分に宣伝を行き渡らせまして、日本の生糸の地位を絶対不動のものにするこのチャンスを基礎づけるものはこの法案であると、私は確信をいたしておるものであります。(拍手)
 次に第四点として製糸問題でありまするが、今一番大きな問題は、生糸の騰落によつて被害をこうむる者は養蚕農家であるが、また中小製糸業者でもある。片倉であるとか、あるいはまた郡是という製糸業者は、あらゆる相場の波を越えて戦い抜くのでありまするが、中小製糸業者は、とても乗り切れないのである。そこで、この虫小製糸業者が一番望んでおるのは糸価の安定であるということは申すまでもありません。なぜ希望いたしまするかというと、中小製糸業者は、原料代の七割五分を占めるところの購繭資金を銀行に仰いでおる。この繭が投機作物であつたならば金を貸す人はない。どうしても生糸価格の安定は切実なる願いである。そこで、昨日の公聴会におきましても、製糸業代表が一番狭いところの糸価の振幅を希望しておる。この点によつても明らかであるわれわれはこの糸価の安定によつて中小製糸業者を保護育成するという点におきまして、この法案ははなはだ価値があるということを申し上げたいのであります。次に足鹿君は、農民はこのために何らの利益はこうむらない、農民の発言は何ら認められない、こう申されましたが、繭糸価格安定審議会におきまして、蚕糸業の代表者が委員として参加できることになつておる。もし、かようなる委員会ができなければ、養蚕農民は何によつて、自分たちの糸の値をこれだけに買つてくれ、繭をこれだけに買つてくれという根拠がありましようか。何らの根拠もない。米価審議会があるからこそ、あれだけに米価に対して農民の発言権が強くなつている。この繭価の審議会があればこそ、また農民は大いなる発言権をとるわけであります。この農民に絶大なる発言権を與える機会を取去ろうという反対論に至りましては私ははなはだ遺憾の意を表せざるを得ないのであります。(拍手)われわれは、この委員会の中に五名あるいは六名の養蚕の代表者を入れまして、正しく養蚕農家の繭価に対する意見を反映せしめる機会がここに確立せられるものであるという点から、第五点において賛成をいたすものであります。
 以上各論点につきまして、私、実際に自分で蚕を飼つておる立場から、そうして養蚕県の農民の立場から、この法律はまだ欠陥もある。あるいは今後いろいろと是正すべき点はあろうと考えておる。またその点は提案者である政府あるいは自由党の各位も考えておろう。欠陥は、今後あらゆる農民の声を聞き、あるいはまた中小製糸業者等の声を聞いて是正をいたすことにいたしまして、今回この法律が提出せられたということは、自由放任主義経済を唱える自由党の非常なる進歩であり、またわれわれとしましても心から喜ぶものであります。(拍手)
○副議長(岩本信行君) これにて討論は終了いたしました。
 採決いたします。本案の委員長の報告は可決であります本案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○副議長(岩本信行君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。(拍手)
     ――――◇―――――
○福永健司君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、内閣提出、食糧管理特別会計の歳入不足を補てんするための一般会計からする繰入金に関する法律の一部を改正する法律案、糸価安定特別会計法案、国家公務員等に対する退職手当の臨時措置に関する法律の一部を改正する法律案、日本専売公社法の一部を改正する法律案、学校及び保育所の給食の用に供するミルク等の譲與並びにこれに伴う財政措置に関する法律案、右五案を一括議題となし、この際委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
○副議長(岩本信行君) 福永君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(岩本信行君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
 食糧管理特別会計の歳入不足を補てんするための一般会計からする繰入金に関する法律の一部を改正する法律案、糸価安定特別会計法案、国家公務員等に対する退職手当の臨時措置に関する法律の一部を改正する法律案、日本専売公社法の一部を改正する法律案、学校及び保育所の給食の用に供するミルク等の譲與並びにこれに伴う財政措置に関する法律案、右五案を一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。大蔵委員会理事西村直己君。
    ―――――――――――――
    〔西村直己君登壇〕
○西村直己君 ただいま議題となりました食糧管理特別会計の歳入不足を補てんするための一般会計からする繰入金に関する法律の一部を改正する法律案外四件法律案につき、大蔵委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 まず食糧管理特別会計の歳入不足を補てんするための一般会計からする繰入金に関する法律の一部を改正する法律案について申し上げます。
 この法律案は、今回の補正予算に関連いたしまして一般会計から食糧管理特別会計への繰入金の限度額を百億八千七百余万円だけ拡張しようとするものであります。その内訳を申し上げますと、第一は昭和二十五年度おいて麦類の共済掛金標準率の改正に伴いまして共済掛金の消費者負担分の増加に相当する金額一億八千七百余万円を食糧管理特別会計が負担することとなりましたので、これを一般会計から繰入れることとするものであります。第二は、食糧の消費者及び生産価格の改訂措置等に伴つて生ずる支拂い資金の一時的不足額を補充するため、百億円を一般会計から繰入れるとにいたそうとするものでああります。なおこの百億円につきましては、後日食糧管理特別会計から、予算の定めるところによつて一般会計かに繰りもどすことになつております。
 この法案は、去る十二日、本委員会付託されまして審議の後、本日討論に入りましたところ、岡委員は社会党を代表し、高田委員は共産党を代表し、八百板委員は社会党第二十三控室を代表してそれぞれ反対の旨述べられました。次いで採決いたしました結果、起立多数をもつて本案は原案の通り可決いたしました。
 次に、糸価安定特別会計法案及び国家公務員等に対する退職手当の臨時措置に関する法律の一部を改正する案について申し上げます。
 まず糸価安定特別会計法案は、ただいま本院において可決されました。繭糸価格安定法に基く生糸の売買について政府の経理を明確にするため糸価安定特別会計を設置し、一般会計と区分して経理いたさんとするものでありまして、一般会計からの繰入金三十億円をその資本とし、生糸の売渡し代金、一般会計からの繰入金及び附属雑収入をもつて歳入とし、生糸の買入れ、貯蔵及び加工に関する経費、事務取扱費その経費をもつて歳出とする等、所要の規定を設けようとするものであります。
 次に国家公務員に対する退職手当の臨時措置に関する法律の一部を改正する法律案について申し上げますと、この法律案は、今回の行政整理により退職する国家公務員等に対する退職手当を増額するともに、本年内の退職者についても、支払いが明年一月一日以降になる場合には、これらの退職所得に対する課税の軽減措置の適用を受け得るようにしようとするものであります。
 以上の二法律案については、政府より提案理由の説明を聴取した後、審議の結果、本日両案を一括して討論採決に入りましたが、民主党を代表して内藤委員は、両案に対して希望條件を付して賛成され、共産党を代表して高田委員、社会党第二十三控室を代表しそれぞれ八百板委員は、両案に対してそれぞれ反対の旨討論されました。次いで採決の結果、起立多数をもつて両案は原案の通り可決されました。
 次に、日本専売公社法の一部を改正する法律案及び学校及び保育所の給食の用に供するミルク等の譲與並びにこれに伴う財政措置に関する法律案について申し上げます。
 まず日本専売公社法の一部を改正する法律案についてでありますが、この法律案は、今回国家公務員の場合と同様に、写本専売公社の職員が休職にされた場合における休職の期間、給与の支給額等に関する規定を整備するため日本専売公社法一部を改正をいたそうとするものであります。
 次に学校及び保有所の給食の用に供するミルク等の譲與並びにこれに伴う財政措置に関する法律案でありますが、これは学校及び保育所においてミルク及び小麦等を給食の用に供するため、昭和二十六年度において当該ミルク及び小麦等を政府の負担におい買い入れることとし、当該ミルク及び小麦等の譲與、引渡し及びこれに伴う財源措置等について所要の規定を設けまして、従来米国政府の寄贈または米国対日援助資金の支出によつてまかなわれていたのを、今後政府が財源を負担して本年度内の給食を継続することといたそうとするものであります。
 以上の二法律案については、政府より提案理由の説明を聴取した後、愼重審議の結果本日両案を一括して討論を省略の上採決いたしましたところ、起立総員をもつてそれぞれ原案の通り可決いたしましました。
 右御報告申し上げます。(拍手)
○副議長(岩本信行君) 討論の通告があります。これを許します。岡良一君。
    〔岡良一君登壇〕
○岡良一君 私は、ただいま御提出の食糧管理特別会計の歳入不足を補てんするための一般会計からなる繰入金に関する法律の一部を改正する法律案、これに対しまして、日本社会党の立場から意思を表明いたすものであります。(拍手)
 さきに政府は主食の統制撤廃を公表され、ごうごうたる国民大衆の非難を浴び、かつはまたトツジ氏の来朝ともその警告にあうや、一朝にしてこれをたな上げにして、天下にその信を失い、引続き供出確保の問題に関しては、二千五百五十万石の供出確保のために全国知事会議あるいは全国農業委員代表の前に叩頭百拜、しかもはたして二千五百五十五石の確保ができ得るやいなやについては、いまだに何らの成案もないのであります。しかも新しい米価もいまだ公表されず、供出報奨金に至りでは、いまだにこれまたほおかむりの体たらくである。こういうことで生産者も消費者も深刻なる不安と不満を感じておるのでありまするが、国民生活に甚大なる影響を持つところの吉田内閣の食糧政策が、まつたく一貫性もなく、不安定きわまり、その日暮しの支離滅裂なものであることは、この間の経緯をもつてしても明らかに指摘することができるのであります。(拍手)
 ところが、この法律は、かくのごとき不安定な食糧政策の予算的裏づけといたしまして、一般会計より、国民の血税より、その不足分百億を補填せんとするのであります。大蔵大臣の説明によれば、このようないわゆるインヴエントリー・フアイナナンスによるところの補填によつてインフレの抑制に役立つと言われますけれども、この不足分というものは、去る八月の米価の値上りによつて生じたものであり、来年の七月までには逐次収支の均衡を得るものであつて、大蔵大臣が自負されるがごときインフレ抑制の効果はきわめて期待薄とわなければなりませんかくのごときものに対し国民の血税たるところの一般会計より百億の巨額を繰入れるよりもむしろ日本銀行あるいは運用部資金よりの借入金をもつて充当することが当を得たものであろうということは、わが党の本来の主張であります。いわんや、かくのごとき財源は、あるいは公共投資に、あるいは民生の安定に、あるいはまた減税の措置にこれを活用すべきことを強調いたしまして、私はこの法律案に対して絶対に反対の意思を表明するものであります。(拍手)
○副議長(岩本信行君) 竹村奈良一君。
    〔竹村奈良一君登壇〕
○竹村奈良一君 私は、ただいま提案されました食糧管理特別会計の歳入不足を補てんするための一般会計からする繰入金に関する法律の一部を改正する法律案に対しまして、日本共産党を代表いたしまして絶対反対の意見を述べるものであります。
 まず一般会計から百億円をこの会計に繰入れるということの理由でありますが、消費者価格を約二四%引上げることは消費者生活の負担を加重することになるから、この引上げを一八・五%に押えるためにこれを繰入れようとするのが、政府のおもなる理由であります。ところが、現在のおもな赤字を生ぜしめた最も大きな理由の一つといたしましては、大体中間経費がどういうふうに使われているかということ、たとえば鉄道運賃におきますところの日通との契約の問題、あるいはその他の費用の問題等々、つまり中間経費を使用する面におきますところのいろいろな腐敗と不正の問題が、大きく問題として各方面に取上げられておる事実から申しましても、おのずからこの百億円の金がどういうふうに使われるかいうことが明らかになると思うのであります。
 しかし、そのことよりももつと根本的な問題は、現在政府がわが国の食糧行政について確固たる方針を持つていないところにこそこの真の原因があると私は思うのであります。たとえば本年度の供出米割当の知事会議におきましては、二千五百五十万石の割当は過重であり、二千三百五十万石に減額するよう知事側は要望したのであります。けれども、━━━━━━━というものをたてにとつて、つまり衣のそでに隠れてこれを強行して、完全に食糧対策の自立性をみずから放棄しているのが今日の政府の現状であります。また現在においても、石当り七千三十円の本年度の米価は最終的には決定されていないのでありますが、それにもかかわらず、一個の想定に基いてしかも百億円という少からざる国民の血税を特別会計に繰入れることは、はなはだもつて不謹愼のそしりを免れ得ないものであります。また消費者にこのことによつて安心感を與えるなどということは、とうていでき得ないことであります。まず問題は、日本の食糧問題に関して政府が確固たる立場から方針を確立して、これを国民の前に公表すべきことが最大の急務であると私は考えるのであります。
 生産者は、常に、政府のとつておる今日のいわゆる買上げ価格は、政府のとるところの今日の資本主義経済の建前からして、供出価格は当然再生産費を償い得る価格、すなわちその再生産を償う上に食糧の増産を達成し、しかもこれが拡大再生産する価格でなければならないということを主張しているのであります。たとえば農業協同組合連合会におきましては、本年度の米の生産費は石当り九千六百円を唱えております。あるいはまたその他の農民団体におきましては、石当り一万円を唱えているのであります。しかも、このことを裏書きするような、先般来の割当の知事会議におきましても、いわゆる一石に対する三千円の特別報奨金の要求があつたことは、少くとも今日の生産費というものが石当り一万円以上を必要とすることが、このことによつても裏書きされておるのであります。従つて政府は、資本主義経済の原則に従つて、再生産に一定利潤を伴うところの拡大再生産費でこれを買い入れなければならないのであります。
 ところが、政府は常にこの生産者の要求を押えつけるために、まず第一に、こういうことをやるならば消費者の生活を脅かすといつて消費者というものを常にこれの引合いに出して、そうして生産費というものを押えているのであります。ところが、現在こういうようなことだけで生産者と消費者を対立せしめることによつて問題は解決するのではないのでありまして、われわれは、かつての軍国主義はなやかなりしころの東條内閣のとつた、いわゆる二重価格制というものを思い起す必要があると私は思うのであります。政府が真に国民生活の安定のために食糧政策を考えるならば、少くとも二重価格制を前提とした方針をとらなければならないと思うのであります。
 たとえば本年度の補正予算を見ましても、国民の生活の上には縁のない、むしろ国民生活を破綻に追いやるための再軍備をするための隠し金というものは少くとも八百億になんとするものである。たとえば━━━━独占業者の利益を保障するためのいろいろな形によるところのインヴエントリー・フアイナンス、あるいは国際通貨基金並びに国際開発銀行への出資金、あるいは主として朝鮮戦争協力のために用いられるところの特別調達基金、あるいは警察予備隊費等々、これらの支出に八百億が組まれているのであります。今度かりに二千五百五十万石の供出を石当り一万円に買い上げましても、消費者米価は現在のまますえ置きにし、石当り三千円の政府の補助金は、二千五百五万石と考えますならば七百五十億で済むのであります。従つて、政府奉再軍備費の隠し金八百億円を投げ出すならば、消費者価格は現行のまますえ置いて、生産者には要求通り石当り一万円の米価で支拂いましても十分に補い得るのであります。要は、政府が国民生活を破滅のふちに追いやるような再軍備をやることによつて生産者並びに消費者の要望に伴うところの価格を出し、しかも生産者と消費者との対立をなくすることができるのでありますが、政府は食糧政策に対する自分の失政を、消費者と生産者の対立を基礎として、生産者には低米価を押しつけて、これをてことして低賃金政策を敢行しているのであります。このために、食糧特別会計によつてこれをその土台として工作を行つているのであります。その上政府は、国内における食糧自給を高めるために、少くとも二百万町歩あるというところの開墾、干拓あるいはその他の諸方策をひたすら外国食糧の輸入にたよつて、外国食糧のためには膨大な補給金を国民の血税によつて補つておりますけれども、外国農業の発展には協力いたしますけれども、日本の農業のためには、また日本の農民のためにはまことに無能力ぶりを発揮しているのであります。こうした無方針、無能力の政府のやるところの食糧行政にわが党は根本的に反対するために、本案にも反対するものであります。(拍手)
○副議長(岩本信行君) これにて討論は終局いたしました。
 まず食糧管理特別会計の歳入不足を補てんするための一般会計からする繰入金に関する法律の一部を改正する法律案につき採決いたします。本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○副議長(岩本信行君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。(拍手)
 次に糸価安定特別会計法案、国家公務員等に対する退職手当の臨時措置に関する法律の一部を改正する法律案、右両案を一括して採決いたします。両案の委員長の報告はいずれも可決であります。両案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○副議長(岩本信行君) 起立多数。よつて両案とも委員長報告の通り可決いたしました。
 次に日本専売公社法の一部を改正する法律案、学校及び保育所の給食の用に供するミルク等の譲與並びにこれに伴う財政措置に関する法律案、右両案を一括して採決いたします、両案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。(「異議なし」と呼ぶ者あり)
○副議長(岩本信行君) 御異議なしと認めます。よつて両案は委員長報告の通り可決いたしました。
     ――――◇―――――
○福永健司君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわちこの際、内閣提出、特別職の職員の給與に関する法律の一部を改正する法律案を議題となし、この際委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
○副議長(岩本信行君) 副永君の動議に御異議ありませんか。
    〔異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(岩本信行君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
 特別職の職員の給與に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。人事委員会理事藤枝泉介君。
    ―――――――――――――
    〔藤枝泉介君登壇〕
○藤枝泉介君 ただいま議題となりました特別職の職員の給與に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、人事委員会における審議の経過並びに結果の概要を報告申し上げます。
 まず本法律案の提案理由並びにその内容に関して簡単に申し上げます。御承知のように、特別職の職員の給與につきましては、従来一般職の職員の給與との権衡をとり、その職務の内容に応じた給與が定められて参つたのでありますが、今般一般職の職員の給與が改訂せられることと相なりましたので、特別職においても一般職と同様、特別職の職員の給與に関する法律に所要の改正を加え給與の改訂を行おうとするものであります。
 次に改正の要点を申し上げますと、第一に内閣総理大臣等の給與につきましては、一般職の職員の給與改訂の権衡をはかり、同時にその職務内容に応じまして、俸給月額を現行の二割ないし三割程度増額いたしております。
 第二に首都建設委員会委員等の給與につきましては、従来日額千人百五十円の範囲内で支給されておりましたが、これも一般職の非常勤職員である委員、顧問不参與等と同様、日額二千二百円に改めております。その他若干の規定の整備を行つたのであります。以上が本法律案の内容の概要でございます。
 本法案は、十一月十四日人事委員会に付託と相なり、翌十五日政府委員より提案理由の説明を聞き、十一月十六、十七の両日にわたり質疑を行いましたが、質疑応答の内容は会議録に譲ります。
 本日午後質疑を打切り、討論に入りましたところ、藤枝、中曽根、松澤三委員は、それぞれ自由党、国民民主党及び日本社会党を代表して賛成の意を表せられ、柄澤委員は日本共産党を代表して反対の意を表せられました。次いで採決の結果、多数をもつて本法律案は原案通り可決すべきものと議決いたしました。
 右報告いたします。(拍手)
○副議長(岩本信行君) 採決いたします。本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○副議長(岩本信行君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。(拍手)
     ――――◇―――――
○副議長(岩本信行君) お諮りいたします。今回の臨時国会の会期は明十八日をもつて終了することになつておりますが、明後十九日から十一月二十八日まで十日間会期を延長いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(岩本信行君) 御異議なしと認めます。よつて会期は十日間延長することに決しました。
 本日はこれにて散会いたします。
    午後四時二十七分散会