第013回国会 建設委員会 第38号
昭和二十七年五月三十日(金曜日)
    午前十時五十四分開議
 出席委員
   委員長 松本 一郎君
   理事 内海 安吉君 理事 鈴木 仙八君
   理事 村瀬 宣親君 理事 前田榮之助君
      逢澤  寛君    淺利 三朗君
      宇田  恒君    上林山榮吉君
      瀬戸山三男君    高田 弥市君
     藥師神岩太郎君    増田 連也君
 出席政府委員
        通商産業事務官
        (資源庁鉱山局
        長)      松田 道夫君
 委員外の出席者
        議     員 遠藤 三郎君
        土地調整委員会
        委員      井出 成三君
        参  考  人
        (伊東市長)  太田賢治郎君
        参  考  人
        (理学博士)  渡邊  貫君
        衆議院法制局参
        事
        (第二部長)  鮫島 眞男君
        專  門  員 西畑 正倫君
        專  門  員 田中 義一君
    ―――――――――――――
五月二十九日
 災害復旧事業の財政措置に関する陳情書(岡山
 県議会議長峰谷初四郎)(第二〇八五号)
 公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法一部改
 正に関する陳情書(岡山県議会議長蜂谷初四
 郎)(第二〇八六号)
 河川の水利使用許可権の国に移管反対に関する
 陳情書(高知県議会議長横山徳郎)(第二〇八
 七号)
 道路整備特別措置法制定に関する陳情書(全国
 市長会会長金刺不二太郎)(第二〇八八号)
 道路の整備改善と舗装化促進に関する陳情書(
 東京都議会議長菊池民一外七名)(第二〇八九
 号)
 滑南、瞬西地区県道整備拡充に関する陳情書(
 高知県議会議長横山徳郎)(第二〇九〇号)
 駐留軍用炭調達に関する陳情書(経済団体連合
 会会長石川一郎外一名)(第二〇九一号)
を本参委員会に送付された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 伊東国際観光温泉文化都市建設法の一部を改正
 する法律案(遠藤三郎君外九名提出、衆法第五
 七号)
    ―――――――――――――
○松本委員長 これより建設委員会を開会いたします。
 本日は、伊東国際観光温泉文化都市建設法の一部を改正する法律案、遠藤三郎君外九名提出、衆法第五七号を議題といたします。前会に引続き、質疑を続行いたします。
 本日は本法案につきまして、参考人として、伊東市長太田賢治郎君、理学博士渡邊貫君、以上二名の方がお見えになつております。
 この際参考人の方にごあいさつ申し上げます。本日は御多用中のところ、お招きいたしましたところ御出席くだされまして、ありがとうございました。御案内のごとく、本委員会におきましては、本法案につき愼重に審議をいたしておるのでありますが、皆様方の貴重な御経験によつて御意見を拝聴し、審議の参考にいたしたいと存じます。つきましては、本法案につき御者見の御開陳をお願いいたしたいと存じます。
 まず伊東市長太田賢治郎君よりお願いたします。
○太田参考人 伊東市長太田賢治郎でございます。伊東において鉱山を掘らせるか掘らせないかという問題につきまして、土地調整委員会の御活動となり、最近において禁止区域を決定していただいたのであります。調整委員会で伊東市のために非常に好意を寄せてくだされたことは感謝するところであります。しかしながら、市の希望するところとぴつたり合致したわけでなくて、もう少しと思つたところが除外されておるという次第でございます。除外された区域すなわち非禁止区域におきまして、鉱業権者が出願した場合は、ただちに許可がとられるであろう。しかしながら、土地調整委員会においては、念書をもつて鉱山局その他に対し、将来禁止区域以外について出願する者があつたときは、温泉文化都市法の精神にかんがみて、愼重に配慮してくれるようにという念書がついておりますけれども、念書においては、法律ほどの力がない。私どもぜひ文化都市を守るために、法律の裏づけをほしいのであります。私は静岡県の選挙区第二区に属しております。そこで政党政派を超越して、第二区から選出された五人の国会議員の方にお願いし、なおかつ静岡お県以外の方も御賛助くだすつてこういう改正案を御提出をしてくだすつて、まことにありがたいと思つております。ぜひこの改正案を委員会においてお認めくださるようにお願いしたい。参考に京都の文化都市法を見ますと、りつぱに裏づけがしてございます。だから京都ばかりを保護弐れずに伊東もまた保護にあずかりたいという趣旨で、お願いをする次第でございます。土地調整委員会の念書に対しては、非常に感謝しておりますけれども、それでは力足らずと思つておるので、こういうことになつたのであります。われわれはこの法律を改正することをお願いすると同時に、市自体におきましては、今後いかにするかという問題で、温泉対策委員会というものをただちに設定しております。そして禁止からはずれた区域の奥野という部落におきまして、相当の金をかけて温泉を試掘しようと思つております。それは禁止区の外でありますが、どうして奥野という部落で試掘するかというと、戦時中ある人が掘りかけたけれども、戦時中でありますから資材がなくて掘りかけたままになつております。そこはだれが見ても、きつと温泉が湧くであろうということを、第六感でみな感じております。そこを掘つてみよう。相当の金がかかりますけれども、将来の問題を含めて、近くそこを掘ろうと思つておるところであります。そこでわれわれが必ず温泉があるだうと信ずる所が禁止区の外にはずれておる。しかしながら、もう一ぺん土地調整委員会の活動を願うということは、できないと聞いております。委員会の決定は最終のものであるということを聞いておりますから、調整委員会をわずらわすのでなしに法律の裏づけをしていただきたい。従つてこういうことをあわぜて御審議を願つておる次第であります。ぜひとも提案者の御説明があつたと思いますが、その趣意に基いて委員会を通過してくださつて、なお本会議においても通過できますように御講力あらんことを切にお願いする次第であります。なお御質問に応じてお答え申し上げたいと思いますから、よろしくどうぞ。
○松本委員長 次に理学博士渡邊貫君に御意見を拝聴いたしたいと思います。
○渡邊参考人 私のこの伊東の水源地問題並びに温泉に関する知識経験というものは、ちよつと私の経歴から申し上げないとわかりませんが、私は大正十二年に丹那トンネル工事に従事しまして、三年間丹那トンネルの中を見まして、その間その近所を歩いてよく見ました。その後伊東線の工事で宇佐美トンネル、これは非常に難工事でありましたが、これも私は鉄道に関係しておつたので調べました。その後伊東の町役場から頼まれまして、伊東の水源地にボーリングをやるとか、坑道を掘製する問題について調べてくれということで、昭和十三年でしたか、調べました。そういうことからいたしまして、先般土地調整委員会に出て話をしてくれということでお話いたしましたが、今日もそれと同じことを申し上げたいと思つております。
 伊東の温泉の出て来る原因については、ここで申し上げると長くなりますが、大きな割れ目がありまして、大体その割れ目から温泉が出ているのであります。ですから伊東の温泉付近の地下に坑道を掘製すれば、おそかれ早かれ温泉脈に衝突するのであります。そうすると必ず温泉が出る、温泉が出ればもう坑道の中では採掘できなくなる。これは常磐炭鉱の湯本温泉の場合がいい例ですが、非常な高温になつて採掘できなくなる。採掘できなくなつて、鉱山の方で坑道を放棄することは、それはかつてですが、もう地下で坑道を掘つて非常な量の温泉が出ると、地表にはふき出す温泉が出なくなる。このくらいの小さな穴からあれほど出ておるのが、こんな大きな坑道をあければめちやくちやになるということは、わかり切つたことでありますが、地下の坑道を掘鑿するということは、温泉を枯渇させる有力な原因だろうと思います。また一方地下水も、大体これらの水は天城の方からさして来ております。ここに大きな坑道を掘鑿すれば地下水もまたその方に逃げて行く。私が丹那トンネルの工事に従事しておつたときに、例の地下水問題というものは、丹那トンネルの中に水が出まして、そうして全部あの一円百町歩の水田がかれまして、その当時、あの当時の工事費が尺当り千円というのですが、二万六千五百十四尺で二千六百万何がしの金を要して、補償費があの当時で三百万円か払つた。これから見て坑道を掘鑿するということは、温泉並びに水道源に対して被害を与えるものだと私は思います。それからもう一方鉱山の、私はよく鉱区の出願の書類を見ておらないのでずが、私の見ている限りにおいては、この鉱山のデータが少し貧弱じやないかと思う。それほどはつきりした鉱脈があるかどうかということを、どの程度に確かめたかわからない、また掘つてもどのくらい出るかわからない。そういう未知の事項に対して、もうすでに温泉でこれだけの人が生業を営んでいるものを、未知のことのために鉱山を採掘して温泉を枯渇させるということは、これはどうかと考えております。ですから危険地域は、そういうおそれのあるところは坑道を掘鑿することを禁止した方がいいのじやないかと思います。ちよつと地図で申しますと、これが伊東の町ですが、大体大きな、さつき申し上げた割れ目というのは、こういう方向に来ているのです。その割れ目からだんだん温泉が出てこの辺の砂地やじやりの中にしみ込んでおるものもありますけれども、元はそういうところから来ておるのです一それでいろいろなこともありますから、私はこういう割れ目の続いている、さつき市長の言われたここに温泉を掘鑿して、早く証拠を出したらいいじやないか、そうすればはつきりするということを、先般から申し上げておるのであります。大体こういう関係の方に温泉が出る兆候がありますから、そういう意味で、こういうところは坑道の掘鑿を禁止した方がいいと思つております。何か質問がありましたら……。
○松本委員長 以上をもちましてお二人の参考人の御意見の開陳は終りました。参考人の方々に対して質疑がありましたらこれを許します。なお土地調整委員会委員井出成三君、資源庁鉱山局長松田政府委員、このお二人がお見えになつておりまするから、以上二君に対する質疑もあわせてこれを許します。質疑は通告順によります。前田榮之助君。
○前田(榮)委員 今お二方の参考人の方々から、温泉の必要性あるいは水の出方についてのお話があつた。その点はわれわれの予想いたしおつたことでありまして、ごもつともだと思うわけであります。われわれは本法を審議する上に、主として問題は、鉱物採掘に制限を加える場合において、はたして鉱物に制限を加えることが、日本の鉱山産業に与える影響がどの程度のものであるかということが知りたかつたわけであります。今渡辺さんのお話によりますと、どの程度のものがあるか明確にはならないけれども、そう大したことはないようなお話でありましてその通りであるならばすでに問題はないわけであります。従つてその点もう少し明確な何か確固たるわれわれがどの程度だということを推察するに十分な何らかお話が聞かれれば非常に幸いだと思うので、その点重ねて渡辺さんにお尋ねを申し上げます。
 それからもう一つの点は、これは鉱山局の松田さんにお尋ねいたしますが、すでに通産省の方ではこういうものについては相当な調査ができておると思うのでありますが、伊東市、ことに今御指摘になつた割れ目の方向、そういう地帯の金鉱その他の鉱物資源がどの程度にあるという御調査ができておりますならば、それをまずお聞かせ願いたいと思います。
○渡邊参考人 この伊東の鉱区の点につきまして、先般土地調整委員会の席で、この鉱山がはたしてどの程度に稼行できるかどうか、材料が不足じやないかということを私が申し上げましたら、そのとき、静岡県鉱業組合の理事でしたか、その方の言われるのには、そのデータが不足ということが伊豆の金山の特徴だというお話であつたのです。そういうことはちよつと見は鉱物資源が少いように見えるけれども、掘れば案外あるかもしれぬというお話であります。私としてはもう表に出ているところではたいした山ではないではないかと申し上げたら、そういうお話でしたから私もそれ以上追究してもしかたがないと思いまして、黙つておつたのですが、まあそういうことであります。
○松田(道)政府委員 お答えいたします。伊東市付近の鉱床状況につきましては、地質調査その他完全に徹底されて行われておるという段階でございませんので、まだ間違いなくこうだという徹底した資料ではございませんが、私どもの方で集めておりますものを一、二御披露申し上げますと、私も技術者でないので表現が間違うかもしれませんが、御了承願いたいと思います。あの付近の金鉱の状況は、土の方は品位があまりよくないけれども、下になればなるほど品位がよくなるという性格の地質だということが一般的に言われておるのでございますが、かつて露頭部分の鉱石を分析した結果、一つのデータでございますが、金の含有量が百六十七という、そういう鉱石が発見されたこともございます。それからこれもちよつと資料が古くて恐縮でございますが、大正年間でございますけれども、鉱山監督局の技師が調査いたしました復命書によりますと、金が三・四グラム、銀が一グラム、あるいは金が一グラム、こういうふうな分析しました資料も出ておるようでございます。それからこれもやつぱり大正年間でございますが、試掘の不許可処分の訴訟問題がございました。そのときの鑑定人の方々が実地検証されました結果、出ております分析成績報告書を拜見いたしますと、金が三・八グラム、あるいはその次の資料によりますと、十三・六グラム、銀が一二グラム、それから第二の資料によりますと三五グラム、こういうふうなものが出ております。それから昨年工業技術庁の地質調査所で現地調査をされました結論を言いますと、伊東市地域内のおもな鉱床は、市街地の西及び南西の山地に八箇所存在し、これらの鉱床はいずれも比較的古く、従つて基盤をなす安山岩等の中に胚胎しているから、鉱床露頭は、母岩の露出地域である南部に限定されて見出されるけれども、当地域を広くおおつておる層から考えてみると、この母岩層が潜在しておるということはほとんど確実である。伊豆地方の金鉱床によく見られる特徴、すなわち鉱床の上の方では貧鉱で、下部に至れば品位が上る性質を考慮すれば、当地域の諸鉱床はおおむね一応探鉱価値を備えるものとみなさなけれげならないという資料が出ております。大体持ち合せておる資料はその程度でございます。
○前田(榮)委員 伊東市長の大田さんにお尋ねいたしますが、この温泉につきましては、温泉法によつて、温泉湧出の目的以外の土地の採掘については、温泉保護のために制限が加えられることになつておるのであります。温泉法弟十一條の温泉保護によつて、今問題とされておる問題を何か処理されようとしたことがあるのでありましようか。またそれでは不適当ならば、どういう点が不適当なのか、こういう点について市長さんの御意見をちよつとお伺いしたいと思います。
○太田参考人 お答えいたします。ただいまの御質問、無理からぬことと思います。私どもはこの問題が始まつて以来、温泉対策審議会というものを設置しております。それに先だつて、静岡県におきましては温泉審議会というものがあつて、新規出願するものに対して、また修繕を申し出るものに対して、一々審議会がこれを調査いたしまして、三馬力の出願をしておるけれども、それはいけないから一馬力に遠慮してはどうであるかとか、導管のはめ方が悪いからこうしたらどうだろうかというような決定を、審議会が下しております。しかしながらその県にある審議会だけでは、私ども伊東市としてはこれを不足と考えまして、なお専門的の知識をそれに注入して対策を考えたいと思つております。現在は八百くらい温泉の穴の数がありますが、現にその中で生きて使つておるのが四百余りありますけれども、非常に濫掘の結果、実は困つておる。年々温泉の水位が下降いたしまして、以前には二十間で出たものが、今度は三十間、五十間だんだん深く穴を掘つて行かなければ出ないということは、濫掘の結果に相違ない。上諏訪においてもまた同じような現象でありまして、先ごろ市長会で、上諏訪の市長さんが、伊東もお困りでしよう、私の方も困つておりますから、共同して対策を考えましよう。ごもつともなことであります。現に伊東におきましては、市において温泉に対する管理権も何もないのでございます。それはだれが持つておるかというと、伊東温泉組合というものが管理権に近いものを持つております。私どもはそれを市に渡してもらいたい。温泉組合もまた将来の利害を考えて、なるほどそれは市でやつてもらう方がいいだろうということになつております。現にその調査も進行中である。緊要なところは市の費用をもつて掘りもする、またある場合にも、現に使つているものもとめてもらわなければならないというような問題が出るのであります。将来にわたつての対策は及ばずなからいたしておるということを申し上げておきます。
○前田(榮)委員 今私がお尋ねしたのは今の市長さんのお答えとは違うのでありまして、この温泉の濫掘という問題でなしに、温泉法の十一條には「温泉をゆう出させる目的以外の目的で土地を掘さくしたため温泉のゆう出量、温度又は成分に著しい影響を及ぼす場合において公益上必要があると認めるときは、都道府県知事は、土地を掘さくした者に対してその影響を阻止するに必要な措置を命ずることができる。」、第二項として「都道府県知事が、法令の規定に基く他の行政庁の許可又は認可を受けて土地を掘さくした者に対して前項の措置を命じようとするときは、あらかじめ当該行政庁と協議しなければならない。」、こうあるのでありまして、こういうことによつて今の鉱山の鉱区の採掘等を阻止して、そして伊東の温泉を保護しよう、こういうことに努力されたかどうか。この法律が不十分であるという点は、過去においてどういうところにあつたか。こういう点の御意見をお伺いしたわけであります。
○太田参考人 聞き違えて申訳ありませんでした。温泉法の第十一條は「温泉をゆう出させる目的以外の目的で土地を掘さくしたため」というのでありますが、現在伊東に行われておる温泉というものは、沐浴するためだけで掘つております。「温泉をゆう出させる目的以外の目的で土地を掘さくしたため」、これはちよつと突然でわからないのでございます。伊東よりももつと南の方面の熱川とか片瀬というところでは、塩を製造する目的で温泉を多分に使つておりますけれども、伊東では沐浴以外に現在温泉を掘つておる者はなくて、将来もそういう他の目的のために温泉をわかすというような計画をいたしておる者はないと思つております。十一條のことは突然でちよつと私解釈しにくいのでありますが、伊東においてその実例はないということだけしかお答えができません。
○前田(榮)委員 もう一度松田さんにお伺いしたいと思いますが、今申し上げました温泉法と鉱山法との関係、温泉法で鉱山の採掘を制限ができるかできぬか。これはどういうようにお考えになつておるか、ひとつお聞かせを願いたいと思います。
○松田(道)政府委員 お答えいたします。ちよつと御質問の要点をそらす感が初めの方にあるかもしれませんが、御了承願いたいと思います。
 鉱業法の関係で――鉱業法は申し上げるまでもなく、ただ單に鉱業の立場のみを考えているのではございませんので、一般の公益の関係、他の産業の関係、常にこういう面からの調整をはかる諸規定がいろいろございます。その一つといたしまして、出願を許可いたします場合に、事前に都道府県知事の意見を承るというかつこうになつておりますので、ただいまの御指摘の温泉法の関係でも、両者の間の調和もそれ以前の問題としてできると思いますし、かりに鉱業法の許可がありまして、さらに都道府県知事が十一條でおやりになろうという場合には、鉱業の制限も温泉法の規定としてできるのではなかろうかと思います。それで、なお都道府県知事が法令に基いて許可または認可を受けた云々、すなわち鉱業法の中にありました問題について処置される場合には、行政庁と協議を願うことになつておりますので、その辺の調和はうまく行ける、温泉法でもそういう処置ができようかと思います。
○前田(榮)委員 今松田さんからの御答弁もあつたわけでございますが、法律的な解釈として、温泉法によつて温泉を保護するということがきわめて公益上重大な関係に今なつておると思うのでありますが、鉱業法による採掘権を願い出た者があつて、それが伊東市の温泉に非常な影響があるという場合において、温泉法でそれを制限を加えるということができるか、できぬか、この点法律的な解釈を法制局の方からひとつお聞かせを願いたいと思います。
○鮫島法制局参事 温泉法の第十一條は、今前田委員のおつしやいましたような内容の條文でございますが、これは温泉を掘つてしまつたあとに、土地を掘醸してしまつた後におきまして、土地を掘製しました者に対して必要な処置を命ずるということでございまして、未然に防止するという規定はないのでございます。三條にございますけれども、これは温泉を湧出させようとするために土地を掘醸する場合の規定でございまして、その温泉を湧出させる以外の目的で土地を掘製する場合にあらかじめどうしようという規定は温泉法にはないので、温泉法は掘つてしまつてからという規定でございまして、ただ掘つてしまつてからはあとのまつりになるというおそれが多分にございますので、今回のような法案の規定になつております。
○前田(榮)委員 その解釈はおかしいと思うのですが、温度または成分に著しき影響を及ぼす場合において公益上必要があると認めた場合において云々とあるのでありまして、もちろんこれは掘鑿したためにというところにひつかかる御説のようでありますが、この法律全体といたしましてはいかに温泉を保護するかということであつてこの温泉に影響があることは、これは前の渡辺さんのお話によつてもすでに筋道が大体において科学的にわかるわけでありまして、そういう影響があるということがわかる地域というものについて、この温泉法が保護しておらないということになると、温泉法に非常な欠陷があるとわれわれ見なければならぬのでありますが、そうすると、今鮫島さんの話によると温泉法自体がその点において欠陥があると、こうお思いになるのでしようか、ひとつその御意見をお伺いしたいと思います。
○鮫島法制局参事 今私がこの温泉法の第十一條について申し上げましたことは、ただいまおつしやいました「土地を掘さくしたため」という部分と、それからそのあとの方をごらんになりますと、「土地を掘さくした者に対してその影響を阻止するに必要な措置を命ずることができる。」と「土地な掘さくした者に対して」というのがあとにあるのでございます。それから一項の方にも「認可を受けて土地を掘さくした者に対して前項の措置を命じようとするときは」、こういうように前段の方におきまして、土地を掘繋したために温泉の湧出量に影響する、それからまたあとの方におきまして、土地を掘難したものに対して必要な措置を命ずる、こういうふうになつて照りますので、先ほどのお答えをいたしたのでございます。
 それから温泉法に不備があろかどうかということは、これは温泉法がやはりこの国会で曝露審議されて成立しておりますので、これに不備があるかどうかということは、ただちに今申し上げることはちよつといたしかねるのでございますけれども、ただ猛泉法の中に広く、こういう掘繋をしようとする場合に云々ということを書きますと、温泉地帶というのは日本全国至るところにございます。そういう温泉の出そうな所がいつもこの温泉法にひつかかるというふうに規定を置くことがはたして妥当であるかどうか、あるいは規定を置くにしてもある特定の地域についてのみそういう規定を置くかどうかという点は、これはいろいろ考えなければならぬことでございまして、この温泉法の十一條が「掘さくしたため」というふうになつておることが不備であるかどうかということは、今この場ではただちに即答いたしかねるのであります。
○前田(榮)委員 だんだん明瞭になつて来まして、たいへん参考なつたわけでありますが、最後にもう一度松田さんにお尋ね申し上げますが、今まで一応研究された中に、金の含有量が三・八グラムとかあるいは十三グラムというような非常に違つた点もあるようですが、大体これで見ますと、三グラムないし十グラムというようなことで、だんだん下を深く掘れば掘るほど、下層の部分は含有量が多いと推察される点があるのでありますが、この三グラムないし十三グラムというような金の含有量は――今の日本の鉱山の中で一等いいところはどのくらか、たとえば佐渡の金山なんという優良なところは普通どのくらいの含有量になつておるのか。この伊東の含有量が他の金山等との比較はどの程度になつておるか、こういうことがおわかりになりましたら、ひとつお知らせ願いたいと思います。
○松田(道)政府委員 ただいま十分な資料を持つておりませんので、お答えが十分に参りますかどうか懸念いたしますが、手元にございます資料で申し上げますと、日本の山で平均して一番多いというのもはつきりいたしませんが、実例でちよつと申し上げますと、大谷鉱山、これは現在掘つておる山でございますが、八・五グラム、それから串木野で掘つておりますのは四・八グラム、これが実績で掘つておるものでございます。それからお答えとちよつとそれますけれども、戰争前に掘つておりましたのは、たしか五グラムだつたかと思つております。最近日本の鉱山で掘つておりますのは平均いたしますと七グラムか七・二グラムかはつきりいた止ませんが、平均いたしますと七グラムくらいのものを掘つておると思います。そうしてその中で――ちよつと記憶違いか知りませんが、御承知の通り金の値段が安いものですから、最近は十グラムくらいのものを掘つておる、あるいは中には三十五グラムのものを、これは極端な例でございますが、抜き掘りをしておるという例がございますので、山全体として平均品位をとつて何グラムになるかということはちよつとわかりませんけれども、現在掘つておるものは、私の記憶が間違いないとすれば抜き掘りの最高のものが三十五グラム、それから大体十三グラムこういうものが拔き掘りされておる状態でございます。その三十五グラムのものを掘つておりますのを平均しますと、何グラムになるか今ちよつと資料がないので、はつきりいたしません。
○松本委員長 淺利三朗君。
○淺利委員 大体前田委員からの質問で、私の問わんとするところは判明いたしたのであります。ただ補足的に鉱山局長に私申し上げておきたいことは、従来鉱業法とその他の産業との関係において問題がしばしば起こつておる。たとえば北海道においても大雪山であつたか、阿寒山であつたか、あの硫黄鉱山と観光問題が問題になつておる。あるいはまた阿寒湖と阿寒湖の天念記念物のまりもの問題がしばしば起つておる。温泉の場合も同様であると思うのですがこういう場合にただ鉱山の見地からだけその必要性を考えるということは、よほど問題であると思うのであります。現在この鉱業法の十五條によつても公益上、農業、林業、そのほかの産業に著しい影響があるときは、鉱区の制限をするという規定があるようであります。こういう場合に、濃泉は産業と見るかどうか、もしこれを産業と見るならば、この許可をする際に、すでに鉱山局においても相当考慮すべきじやないか、金山の経営という問題から見まするならば、ただいまは今までの全国の実施している例をおあげになつておりますけれども、大体金山として採掘して採算の立つというのにはおのずから限度があるものであります。先刻私ははつきりは聞き漏らしたかもしれませんが、伊東の場合はわずかに三グラムとかというような程度である。こういうものははたして日本の金山企業として経営が成り立つものであるかどうか。これくらいの判断は鉱山局としてはおやりになつていると思うのであります。その点について、今の公益上に影響を及ぼす、農業、林業その他の産業というようなものについて鉱区の制限をするという規定があるが、この場合に温泉というものはその一つの條項に当るかどうかという第一点と、第二は、今現に資料をお持ちになつている程度で金山としてはたしてこれは日本の金山経営の採算の価値があるかどうかというところの御判断をひとつお示し願いたい。もちろん下部に掘齢すれば相当に豊富な金鉱になるという意見もあるようでありますけれども、あの付近にも低金山等もありまするから、これらの例によつて見ているかもしれぬ。しかし金山も私の知つている範囲おいてもいろいろのケースを見ると、いわゆる山師と言われるだけあつて、なかなかそう簡單に推測ができるものじやないのでありますから、それらの数千年でありますか、数百年来の伝統の温泉の消長に関するという問題と、この鉱山としての価値というものについてどういうふうに御判断になつているか。それに対して、御私見でもかまいませんが、一応の御見解をお示し願いたいと思います。
○松田(道)政府委員 ただいまお尋ねの点は二点あると思いますが、第一点の鉱業法の解釈の問題といたしまして、十五條の土地調整委員会でお定めになる禁止区域、この場合の他の産業云々という字句の中に温泉そのものが入るかというお話でございますが、十五條は温泉も対象にして考えてもよろしいというふうに考えております。そのほか鉱業法でいろいろ鉱害問題、あるいは公益その他の産業に影響を及ぼすおそれのある場合には不許可にするとか、あるいは鉱業権を取消すとか、いろいろの條文がございまするが、そのおのおのにつきまして見てましても、やはり他の産業あるいは公共の福祉、そういうものに反する場合には鉱業権の取消しあるいは不許可処分、あるいは施業案の変更命令、こういう字句の中には温泉も対象に入り得るというふうに解釈してよかろうと考えております。
 それから第二点の金の経済的な採算ベースの問題でございますが、これは御承知の通り金の販売価格が幾らになるかということがきまらない限り、はつきり経済的なリミツトというものはきまらないだろうと存じます。ただいまは御承知の通り通貨基金その他の関係がございまして、大蔵省の買上げ価格が四百一円というかつこうになつております。これは生産原価をはるかに割つている状態でございますので、先ほどもちよつと申し上げました抜き掘りをやつて行かなければならないという現状でございますが、これも御承知のように金管理法の改正をただいま国会でお願いをしておりまして、政府の買い上げました金のほかは自由販売と申しますか大蔵大臣が指定される別な値段で売つてもよろしいということに法案がなつております。従つて大蔵大臣が幾らにきめられるかという問題がさしあたりの問題であろうと思います。これが六百円になりますかあるいは七百円になりますか、あるいは五百五十円になりますか、五百円になりますか、その辺によつて採算ベースというものはかわつて来ようかと思いますので、ただちに今何グラムならば採算が可能であろうかということはちよつと見通しの問題として申し上げにくいのでございますが、現在マイナスの面を忍びつつ日本の金山で掘つておりますのは先ほどもちよつと申し上げましたようにたしか平均いたしまして七グラムか七グラム二かというところだろうと思います。
 それから先ほど伊東地区の金の鉱床の状態について私がお答えいたしました中で不徹底なきらいがあつたかと思いますが、十三グラムだとかあるいは三グラムだとか一・二こういうデータを申し上げましたが、これはいずれも大正年間の資料でございますのと、もう一つはこれは地表のいわゆる露頭と申しますか、この部分から持つて参りましたものを分析した結果でございますので、地質調査所あたりの御意見のように、ここの地質の特性からいつて下部になればなるほど品位が高くなる特性があるということでありますとすれば、ここから出て参ります金の品位がどのくらいになるかということははつきりわかりません。従つてただいま申しました金の品位は露頭部面でやりましたもので、さらに試掘その他をやつてみないとその数字がはつきりいたさないという点を御了承願いたいと思います。
○瀬戸山委員 大体問題点は誰されているようでありますが、簡單にお尋ねいたします。鉱山局長さんでも伊東の市長さんでもどちらでもかまいません。
 問題になつております伊東市の区域内で今日まで金鉱にしろ銀山でもかまいませんが、どのくらい試堀もしくは採掘された回数と申しますか、箇所がありますかどうか、それを明らかにしていただきたいと思います。
○太田参考人 土地調整委員会の御発動になる前には二十件くらい試掘出願があつたのであります。ちようど調整委員会が御発動になつたときには引いたものができて最終に残つたものは十件足らずあつたようでございます。それから伊東におきまして鉱山の試堀を願つたものは古い歴史では大正の初めからでありまして、私どもは数回鉱山反対期成同盟会というようなものを開いて現在に及んでおります、ということがお答えであります。
 立ちましたついでに一言述べさしていただきたいことは、本日は最初から温泉ということを目標に申し上げたのでありますが、伊東で鉱山を阻止する目的の一つは温泉ばかりではなくして水道源、上水源を保護したいという点をあわせて申告したのであります。調整委員会でおきめくだすつた禁止地域には、温泉は出るかどうかわからぬけれども、上水源のじやまになるというために禁止区域にしてくだすつた部分がたくさんあつて、これはありがたいことでございます。当初から温泉という問題だけで出たのですけれども、上水道のこともお考え願いたい。先刻私は奥野という部落を言つて、その方面には今確かにあるから掘つてみたいということを申し上げました。また上水道源を保護する点におきましては禁止区域の外にある第一、第二、第三の申田川の水源地がありましてこれを守りたいのでございます。地の下を掘れば水道源に変化を及ぼすことは当然であります。現在指定から漏れた申田川水源に第一、第二、第三の水源がありまして、第一の水源は最初県の費用で掘つたのであります。それは何の目的かというと、御承知でしよう川奈ホテルにゴルフリンクが二つありまして、そこに水がない。そこで申田川から水を引くために県工事として掘つたのであります。第二の水源は部落用として掘つたのであります。第三の水源は国の費用で掘つてもらつた。それは川奈ホテルが進駐軍に接収になりまして、現在の水では足りないからもつとどうかしろというので、国の費用で掘つた。ですから申田川の水源第一、第二、第三はみんな十足という部落で合流して部落の用水にもし、川奈ホテルの用水にもし、なおそれを延長して川奈という部落の水源にもしております。私が鉱山に反対した理由は一つが温泉、一つは水道源であつたということを遅ればせでありますがつけ加えて申し上げておきます。現在市民は非常に動揺しておりまして、市の当局の働き方が足りないから全面的に禁止してもらわなかつたというので、市民の不満の芦は非常に大きいのであります。そういう点をおぼしめしを願いたいのであります。
○瀬戸山委員 私がお尋ねしたいのは、今日まで掘つたことがあつたかどうか。また掘つてどういう結果があつたかということを、歴史的に明治時代からでもかまいませんが、そういう事実があつたかどうかをお尋ねするわけであります。
○太田参考人 鉱山を掘つた実例はありません。慶長年代に徳川家康の参勤政策に伴つて、伊豆各地で試掘したらしいのです。伊東にもその試掘の跡が数箇所あります。今熱海に属しております上多賀海岸に近いところでも、慶長年代に掘つた金鉱の跡だというところがあります。けれども伊豆各地を掘つてみたけれども、結果が悪くて結局縄地というところで――これは伊東よりもずつと南でありますが、縄地で大久保長安が成功したのであります。網地金山というもののほかはみんなだめになつた。東海岸において郷地、西海岸において土肥――土肥は金山を掘つたために、せつかくあつた温泉が現在枯渇してしまつた。わずかに坑内からの温泉をもらつておるのです。
○瀬戸山委員 鉱山局長にお尋ねしますが、大正年間からのいろいろな分析について先ほど御説明があつたのですが、今日まで試掘の許可をしたことがあるかどうか、試掘したことがあるかどうかをひとつ……。
○松田(道)政府委員 ずつと古い話は存じませんが、現在の状態で申しますと、伊東市には鉱業権の設定が一つございます。これは伊東市が鉱業権者でございます。それから、そのほかに現在数件出願中のものがある程度でございます。それで過去の問題に移りまして、大正九年の例でございますが、試掘出願を不許可にした例がございまして、これが先ほどもちよつと申し上げましたように、訴訟問題にまで発展した問題でありますが、私ども鉱業法の関係で、この地域の温泉、水道という面もひつくるめまして、公益上の関係その他を十分考えまして、鉱業の價値があるかないかという点も考えて、いろいろ前から不許可処分あるいは許可処分等を行つて来た事例があると思います。その辺の関係で鉱業権と水道とのバランスという面からも試掘不許可が行われたんだろうと考えております。
○遠藤三郎君 関連して……。ただいま鉱山局長から説明がありましたが、伊東市がただ一箇の鉱業の試掘権を現在持つております。これは昭和七年のことでありますが、試掘が許可になりまして、この許可をただちに実行されてはたまらぬということで、伊東市民が非常に戦々きようきようとして大騒ぎをやりました。そこで伊東市としては、当時の金としては莫大な金を出してその鉱業権を買収したのであります。こういう悪いくせを伊東市がつけておるわけであります。その買収した鉱業権がただ一つ今伊東市にある、こういう事情でありますから、御参考までに申し上げておきます。
○松本委員長 これにて質疑は終了いたしました。これより討論に入ります。
○内海委員 本案に関しまする討論はこれを省略して、ただちに採決せられんことを望みます。
○松本委員長 ただいま内海委員より、討論省略、ただちに採決の動議が出ました。御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○松本委員長 御異議なしと認め、さよう決します。
 これより伊東国際観光温泉文化都市建設法の一部を改正する法律案を採決いたします。
 本案を原案の通り可決するに賛成の諸君の御起立を願います。
    〔総員起立〕
○松本委員長 起立総員。よつて本案は原案通り可決すべきものと決しました。
 この際お諮りいたします。本案に関しまする委員会報告書の作成に関しましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○松本委員長 御異議なしと認め、さようとりはからいます。参考人の方々には御多用中まことに長時間終始熱心に審議に御協力願いましてありがとうございました。厚く御礼申し上げます。
 本日の委員会はこれにてしばらく休憩し、午後当部屋にて委員会を再開いたしたいと思います。
 休憩いたします。
    午前十一時五十八分休憩
     ――――◇―――――
    午後二時十五分開議
○松本委員長 ただいまより、午前に引続き建設委員会を開きます。
 本日は都合によりこれで散会いたしたいと思います。次会は追つて公報で御案内申し上げます。
    午後二時十六分散会