第013回国会 大蔵委員会 第21号
昭和二十七年二月二十六日(火曜日)
    午前十一時五分開議
 出席委員
   委員長 佐藤 重遠君
   理事 奧村又十郎君 理事 小山 長規君
   理事 佐久間 徹君 理事 内藤 友明君
      淺香 忠雄君    有田 二郎君
      大上  司君    川野 芳滿君
      清水 逸平君    夏堀源三郎君
      三宅 則義君    宮幡  靖君
      宮原幸三郎君    武藤 嘉一君
      松尾トシ子君    高田 富之君
      深澤 義守君    久保田鶴松君
 出席国務大臣
        大 蔵 大 臣 池田 勇人君
 出席政府委員
        大蔵事務官
        (主税局長)  平田敬一郎君
        大蔵事務官
        (銀行局長)  河野 通一君
        国税庁長官   高橋  衛君
 委員外の出席者
        專  門  員 椎木 文也君
        專  門  員 黒田 久太君
    ―――――――――――――
二月二十五日
 塩田等災害復旧事業費補助法の一部を改正する
 法律案(内閣提出第四〇号)
の審査を本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 所得税法の一部を改正する法律案(内閣提出第
 二九号)
 法人税法の一部を改正する法律案(内閣提出第
 三〇号)
 相続税法の一部を改正する法律案(内閣提出第
 三一号)
 砂糖消費税法の一部を改正する法律案(内閣提
 出第三二号)
    ―――――――――――――
○佐藤委員長 これより会議を開きます。前会に引続き所得税法の一部を改正する法律案外三税制改正案を一括議題として質疑を続行いたします。質疑は通告順によつてこれを許します。夏堀源三郎君。
○夏堀委員 昨日来大蔵大臣の出席を求めておりましたが、昨日は病気ということでお見えになりません。きようもあるいは病気であるかもしれません。新聞には何か通産次官等と会見しているということがちよつと見えておりますが、しかし病気とあればこれもやむを得ないと思います。銀行局長はきようお見えになつておりまするので、簡單に私ども常に考えておることを間違つておるかどうか、間違つておらぬと思うのですけれども、この点について大臣の代理とすれば非常に責任が重いでしようけれども、一応御相談になつて、あとの機会に大臣が御出席になる場合に、これに対するお答えを願いたい、こう存じております。まずお伺いしたいことは、資金運用部資金から三百億円を産業資金に金融債を通じて環流する、こういうことは私はドツジ氏ともいろいろ非常に苦労した交渉によつてなされたことだと思いますが、こういうようなことでやつた関係上、これが打切りになつたということによつて、産業界に及ぼす影響が非常に大きい、こういう声を聞いておりますので、この根拠、どういう理由でこれを打切りになつたか、まずこれをお伺いしたい。
○河野(通)政府委員 お答え申し上げます。二十六年度の資金運用部の運用計画におきましては、お示しの通り金融債に対する運用を、三百億をいたして参つたのであります。二十七年度につきましては、財政――特に狭義の財政だけでなくて、政府資金を含めた広義の財政を一括して、総合的に均衡をとるという建前から、一応資金運用部の運用計画といたしましては、見返り資金の国債を三百億、資金運用部において引受けるという措置をいたしたのであります。その結果、当初予定いたしておりました金融債の引受三百億は、これを運用計画としては一応ドロップしたということになつておりますことは、御承知の通りであります。この点につきましては、先般大蔵大臣から本会議におきまして財政演説をいたしましたときにも、今後の財政金融の状況によりましては、金融債の引受という形で、資金運用部の資金を運用いたしますことは、できるだけ考えて行きたいということを言われておるのであります。金融債は御承知のように大体民間で集まりました蓄積によつて引受けられることが原則であります。蓄積もおかげさんで相当増大をいたして参つておりますし、今後におきましても、相当程度ふえて参ることは、これは明らかに見通されるわけであります。できるだけこの本筋を通して行きながら、状況によりましては、財政金融を通じた全体的な均衡ということをにらみ合せながら、必要に応じて金融債の資金運用部における引受を極力促進して参りたい、かように考えております。
○夏堀委員 ただいまの御説明で金融政策上のことは、そういうようなお考えのもとにおやりになつたであろうとは存じますが、しかし資金運用部資金法案、あの法律案を通した場合に、一体郵政省との関係はどうであつたか。大蔵大臣は非常な苦しいどたんばに追い込まれた。私は前委員長としてこれに対して極力支持して、党内の反対があつたにもかかわらず、強引にこれを通したことをまだ考えております。最近反対に、これもこうなればあなた方大蔵省が金融政策上、資金運用部資金から産業資金を出すことは望ましいけれども、暫定的に何かそういう措置をとつたことにこれまで反対した諸君から、われわれの手によつてやるんだということを、攻勢的に宣伝しておることを御記憶を願いたい。そしてだんだんに資金運用部の金が枯渇して、あなた方の手から離れて各省分割して、その金融面において複雑した面が展開されるのではないか、こういうことを私は考えておるから、今お伺いした次第でありますが、それならそれでよろしい。これは非常に大きな問題でありますので、金融政策上の一貫した政策を、何かしら踏みにじられるようなことがあつてはならぬ、こういうようなことからお伺いした次第でありますから、あなたから大蔵大臣にその意味をお伝えを願いたいと思います。
 それからもう一つ、長期信用銀行ですか、これが非常に新聞で論ぜられておりますが、何か財政懇談会とかいうものがあつて、雲の上にえらい人々が――ここにもおられますが、この委員会からも一、二名出ておるそうでありますけれども、雲の上におえらい方々がおつて、そしてこれを御審議なさつておるそうですけれども、委員会はこれに対しては全然わかりませんので、法案が出てからあらためてこれを審議するのが建前であるかもしれませんが、これまでの例として、非常に重要な法案をその日出して、その日通さなければならぬというような、自由党の苦しいはめを私は記憶しておりますので、あまり急にそういう法案を、ただ一部外部で御審議なさつただけで、委員会がほおかむりするということもどうかと思いますので、何かおさしつかえがない程において御説明を願つて、私どもにまた何か勉強する機会をお與えくださいますならば、たいへんけつこうだと存じます。
○河野(通)政府委員 財政金融政策全体から、資金運用部資金運用の基本方針について御指摘がございましたが、夏堀さんには昨年来いろいろこの問題について御盡力いただきましたことについて、私ども非常に感謝をいたしておる次第であります。今後におきましても、あの当時からの経過にかんがみまして、政府資金の一元的な運用を確保して行く方針のもとに、極力私どもとしては努力をいたして参りたい。これがためには皆様方の御援助を切にお願い申し上げたいと考えております。
 第二点の長期信用銀行に関する問題でございます。これはただいま夏堀さんから御指摘のありましたように、当委員会の委員の一部の方にも委員にお願いいたしまして、現在審議を続行しております。まだ結論に到達いたしておりませんので、当委員会にもまだお諮りをいたす段階に至つておりません。はなはだ遅れまして申訳ないと思いますが、現在までの大体の経過及び内容について、ごひろう申し上げておきたいと思います。
 長期信用銀行、当初は投資銀行というような名前で、実は進んで参つておつたのでありますが、こういう特別の制度をつくることを考えましたのは、実は唐突として起つたわけではございません。昨年の夏以来この問題についてはいろいろ検討を続けておつたわけであります。御承知のように、現在の制度におきましては、普通の銀行、つまり預金を中心としたいわゆる預金銀行は、どの銀行でも債券を発行できるという制度になつております。現在の銀行は御承知のように頭金が資源となり、相当長期の資金にこれを運用いたしておる。こういう関係から、いわゆる長期資金におけるオーバー・ローンの問題等も起つて参つておるわけであります。今般この長期信用銀行制度を確立いたしたいという趣旨は、長期の金融をいたします金融機関は、この資金源を債券と長期の資金によつて、できるだけ調達することを趣旨としております。預金を資源としておりますいわゆる預金銀行でありますが、これは原則としてできるだけ短期の金融をやつて行く、こういうふうに、金融制度上の区画をはつきりして行くことが、今後の日本の金融制度を正常化いたして参るために必要であろう。特に日本におけるような長期資金の非常に不足しております場合におきましては、なおさらそういうふうな制度を確立して行くことが、必要であろうという観点に立つておるわけであります。これによりまして債券を発行して、長期金融をいたして行きます銀行と、預金を集めて、その預金によつて短期の金融を中心としてやつて行く銀行と、銀行制度としてこれをはつきり区わけして行きたいというのが、この法律案の構想をまとめました理由であります。あわせまして、今後におきまする預金銀行の長期金融という部面をできるだけ肩をすかせて、預金銀行の資産の構成をできるだけ正常化と申しますか、健全化して行くように配慮して参りたい。これによりまして、一方において預金銀行の資産構成を健全化するとともに、長期資金の確保に極力努力して行く、これがために新しい銀行制度を確立して参りたい、かように考えて御提案申し上げた次第であります。現在金融制度懇談会におきまして、いろいろ御意見を伺つておる段階でありますが、私どもの大体今まで得ました印象から申しますと、この制度自体につきましては、おそらく結論として異論はないことになるのじやないかと考えております。ただ具体的の問題といたしまして、個々の制度上の細目について、いろいろ御意見は出て参るかと思いますが、この点につきましては、さらに懇談会の会を重ねまして、御意見を十分拝聽いたした上で構想をまとめて参りたい、かように考えておる次第であります。
 なお問題になりますのは、先ほど夏堀さんからも御指摘のありました政府資金によつて、新しい銀行制度をどういうふうにバツクして行くかという問題であります。民間の長期資金がなかなか不足いたしております現在、何らかの形で政府資金によつて、この長期資金のバツクということが、今後においておそらく必要になつて参ると思うのであります。この点につきましては、先ほど夏堀さんのお話のように、資金運用部資金が、その対象として最もふさわしいものであろうと考えられますので、この点につきましては、先ほど来申し上げましたような財政金融を通じた総合的なデイス・インフレーシヨンの線に沿いながら、必要に応じまして、極力この長期資金源の確保について、配慮をいたして参りたいと考えている次第であります。
○夏堀委員 私先ほどお伺いした資金運用部資金からの問題が、これに関連しているために申し上げたのでありまして、資金運用部資金を産業資金に出すことを、あるいはあとで出すかもしれませんが、一時的に禁じ、そして今また長期信用銀行を設置するといつたところで、一体その資金源をどこから求めようとするのか、あるいは金融債等を通じて云々といつたところで、民間の銀行に金がないために、これまで資金運用部資金から大幅に放出しておつたことは、御承知の通りであります。それさえもストップというような事態になつた場合に、今の長期資金をまかなうために、特殊銀行がこれまであるにもかかわらず、その銀行さえやはり資金源に困つて、やることはできないのだ。それにまた特にこの問題を取上げて、はたして資金面で調達することができるかどうか、ここに矛盾が非常にあると私は考えましたので、構想としてはよろしいでしよう。その構想、趣旨に対しては賛成いたしますけれども、実際の実質の面においては、おそらくこれまでより以上に困難な面に到達するではないだろうか。こういうようなことを心配しておりましたので、ちよつとお伺いした次第であります。あなたの御答弁は、そういうようなお考えで出発することの御説明は承りましたけれども、発足した後のそのあり方は、いわゆるこれまでの銀行でさえも、その長期資金をまかなうことができない場合に、新規にやつたからできるということになれば、それは政府が予算の面あるいは資金運用部資金の面に、大幅にこれのめんどうを見て行かなければならぬのだ。それははたして予算の面において――今度のいろいろ保險利子等の問題もあります。また資金運用部の場合でも、一時的にもちよつとこういうような段階に入つたことを顧みて、どつちからどうしてもやはりやれないではないか。そういたしましたならば非常に無理が行くのではないか。そういうことを考えて、やはり仕事というものは、自然によつて行かなければならぬので、何かオーバー・ローンの問題は石橋構想によつてでつち上つたことが、大きく批判はされております。しかしたいへんけつこうだという面もあるようでありまするけれども、それに対抗するがために御無理をなさるようなことがもしあつたならば、あとでたいへん御迷惑ではないか。こう思うのでお伺いいたした次第であります。しかしこの問題は、まだ法律案としては出ておりませんので、法律案として出た際に、当委員会としては十分にこれに対して検討を加えたい。こう思う次第であります、
 あわせて委員長に申し述べておきます。こういうような重要な法案を、もし委員会に提出して、短期間にこれを通せというようなことがあつた場合に、これは委員会に対しても、はなはだその審議権というものを――これは程度の問題でありまするけれども、ただ当委員会がその法案を通す機関であるというような、いわゆる昨日も申し上げたような、なめられたようなあり方の機関であつては、ならぬと思いますので、その点は十分委員長としてお考えを願いたい。こう思うのであります。
 その次に国税庁長官にお伺いいたします。現在、最も最近の総計において、滞納はどの程度になつておるのか。特に二十三年度、二十四年度に割当てられた滞納金額は、どういうことになつておりまするか。お伺いしたい。
○高橋(衛)政府委員 滞納の状況につきまして、一番最近の数字は昨年の十二月末現在の数字がまとまつておるのでございますが、総滞納税額におきまして八百二十九億円という金額に相なつております。そのうち本年度に新しく発生いたしました滞納税額は三百四十二億円、前年度つまり昭和二十五年度以前からの繰越しの分が四百八十六億円というふうに相なつております。件数から申し上げますと、件数は合計におきまして五百三十二万人ということに相なつております。そのうち本年度分が百九十二万人、過年度分が三百三十九万人と相なつております。十一月末の数字があるのでありますが、十一月末におきましては、実は税額において七百三十八億円ということでありまして、件数が四百七十八万人でございます。十二月になりますると、新しく納期の到来するものが相当ございますので、件数もある程度ふえております。しかしながらずつと以前からの滞納の総額を比較してみますると、一昨年、昨年の初頭ごろまではずつと千億円を越えておりましたし、最高の場合におきましては、千三百億円に達しておつたのでございます。件数におきましても八百二十万人というふうな、非常に厖大な件数でございましたが、その後漸次整理されて参りまして、八百二十九億円という台まで下つて参つたのであります。私どもは今後ますます整理に力を注ぎまして、何とかして――課税額の大体五%というのが平常の状態であろうかと思うのでありますが、その程度まで近い将来に到達したいというふうに考えて努力しておるところでございます。
○夏堀委員 前年度の四百八十六億円、このうち滞納となつておるのは、二十三年、二十四年の問題のいわゆる過当な割当であつたという数字が大部分ではないか、こう思うのですが、そうではないでしようか。
○高橋(衛)政府委員 お示しの通り二十三年度、二十四年度当時は、賦課の面も相当正確な調査が必ずしもできておらなかつた。または賦課の面について根本的に不満があるというような面も相当ございましたので、そういうのが漸次こげつきの状況になつて参つたというのが実情であろうかこ思います。従つて私どもといたしましてはこれの整理の方法といたしまして、ただ滞納があるからむやみに取立てるのだというやり方ではなしに、一々その人についての各税について、また各納期についての滞納を全部集計いたしまして、そうして税務署においでを願つて賦課の面の人たちも参加し、いろいろその滞納に至つた状況、またはどこに不満があつたかというようなこともよく伺い、また現在非常に困難な、つまり資力の非常に少くて、一時に滞納の納付が困難な方に対しましては、分納の制度その他を十分に活用いたしまして、でき得る限り早期に、また誠実に納めていただくということをお願いいたしておるのであります。この方法を昨年の途中から全国五百三の税務署のうち三百八十の税務署について、この方法を始めたのでありますが、これが非常に効果を上げまして、漸次その仕事が軌道に乗つて参りましたので、あと数箇月の間に相当大幅な整理ができるであろうという、今のところ明るい見通しを持つておる次第であります。
○夏堀委員 たいへんけつこうなことですが、二十三年度、二十四年度の過当な割当ということは、これは結局盲の鉄砲撃ち、ただこの程度に割当ててみよう、こういうようなことが結果においてこうしたようなことになつたのであつて、その責任は政府にある。ちよつと強い言葉かもしれませんが、そのような感じが残つておるのであります。分割拂いもよろしいのですけれども、もしその割当が過当であり、誤つておつたということであつたならば、その分割拂いということも、もうちよつと深く掘り下げて、この前にはあまり小所得者に対しての差押えあるいは公売等はやらぬというような意味の法律もでき上つておるはずでありますが、ああいうような税の割当というものに対しても、何か精算の方法を見出さなければ、いつまでたつてもこれは帳消しにはならぬ、また政府も整理に非常に困るのではないか、こう思うので、これに対しては一段の御研究を願つて、もし私の申し上げることが幾分でも含みがあるものであつたならば、今後事務的にでもそういう含みを持たせて整理の方法を御研究願いたいと存ずるのであります。
 それからもう一つ、一方にはそういう滞納があり、そうして過当な割当もあつたということは、この前のどなたかの答弁にも私はちよつと記憶しておりますが、昨年私大蔵委員長をやつておつた当時、四十年、三十年、二十五の連続租税完納の表彰式があつたのであります。三十年、四十年の間一銭も滞りなく完納したということは、一体どうしたことか、あまりにふしぎにたえませんので、私は食事の時間に、その人方を招待して、その内容を聞いたのであります。その方々がこういうことをおつしやいました。大しためんどうなことではない、私どもはいわゆる共同の責任を持つて、完納しようという心構えはできておつたということが一つ、それによつて税務署が、いわゆるよく世間で言われる過当な割当というようなことは、こういう人方に対しては愼んでおると申しましようか、できるだけ妥当な割当を考えたじやないだろうか、こう思う節があるのであります。そこで私の考えましたのは、納得の行く納税が全国的に普及いたしましたならば、納得の行く納税によつて、初めて税務署は今までのような一方的なそれを是正しなければならぬ。その納得の行く徴税は何によつて考えられるべきか。税務署の一方的なそれではなく、これは元あつた所得税調査委員の制度が復活していいのか悪いのか。イギリスでは、あの制度によつて成績を上げておるということも聞いておりますが、しかし選挙であつてはならぬのであつて、私の考えでは、学識経験者の指名によつて、正しい人方を指名して、そうして税務署に協力させる態勢でなければならない。これはシヤウプ勧告案では、所得税調査委員の制度はいかぬという勧告があつたそうでありますけれども、それはボス的なやり方であつたことに対する検討を加えた結果であつて、私の今申し上げることはそういうことじやなく、税務署の足らぬ点に対して協力する態勢であつたならば、所得税調査委員の制度も決して悪いことじやないだろう。そこに初めて納得の行く徴税もでき、そして完全に完納のできる徴税方法ができると思います。そういうようなことは、この前に四十年、三十年の完納の表彰式に呼ばれた方々の意見もありましたので、こういう点は一体どういうものか、こう私は考えておりますので、御当局のこの点に対しての御所見を承りたいのであります。
○高橋(衛)政府委員 既往の、特に二十三年度、二十四年度の税の決定につきましては、実は調査が不完全であつたり、または推定による部分が非常に多かつたというようなことのために、賦課自体に対して相当不満があつたということは、率直に認めざるを得ない点でございます。ところで分割納付をしていただくというような方法をとりますと同時に、先ほどもお答えいたしましたように、その当時におけるところの何か不平不満等があります場合に、おいては、十分にその事実をお聞きいたしまして、そして調整をはかるということをいたしておるのであります。ただ過去のものを、ただいたずらに古くなつたから切り捨てるというような考え方になりますと、正直に納めた人に対する場合との公平の問題において、非常に困つた点も生じますので、その点は十分に注意しながら実情に即するように解決をはかつて行きたい、そういうふうに考えております。なおそれに関連して、所得税調査委員会のような制度を、もう一度考えてみたらどうかというお話でございますが、私どもこういうふうなことについては、今後十分に研究いたしたいとは考えておりますけれども、御承知の通り、シヤウプ勧告に基きまして、協議団の制度というものができたのでございます。まだ発足後そう時間がたつておりませんし、協議団の制度自体について、納税者が十分にまだおわかりになつておらぬという点もございますので、現在までの活動状況は、それほど活溌ではありませんが、しかしながら、とにかく昭和二十六年度におきましては、引受けました件数が約四千件、すでに解決いたしましたものが約二千件、あと二千件程度が、ただいま解決を急いでおる状況でございます。
    〔委員長退席、小山委員長代理着席]
しかしてその約半数程度が、やはり納税者のお話もよく伺いまして、訂正して行くべきものもあるのでございます。私どもはこの協議団の制度をいま少し活溌に運用いたしまして、賦課の後におけるいろいろな不平不満の解消に当りたい、そういうふうに考えておりますが、同時にまた別途のそういう制度自体につきましても、今後十分に研究して行きたいというふうに考えておるのであります。なおこの協議団制度自体につきましては、何と申しましても、歴史も浅いということもありますが、運用の面におきましても、たとえば税務署が協議団によつてこれを訂正されるということならば、自分のところで訂正するというように、何と言いますか、かなり対抗意識も災いいたしまして、なかなか協議団に譲らないというようなケースもございますので、今回の税法の改正におきましては、それらの点を機械的に、どんどんその協議団に送り込んで参るというふうな方法とか、その他協議団が十分に運用できる方法に、改正をお願いいたしておるような次第であります。
○夏堀委員 ちよつと委員長にお伺いいたします。きようはこの所得税の改正法案を、今日中に打切りになる御予定になつておりますか。私まだ二、三項質問がありますが、與党の関係上、野党に発言を讓らなければならぬことを考えておりますので、もしこれを今日中に打切らなければならぬということであれば、午後に委員会を延ばして、午後もおやりになつたらいかがですか。
○小山委員長代理 それもけつこうでありますが、先日の理事会の申合せで、税法案の討論採決の目標は、今月の二十八日においてあるのであります。これは理事会の決議を経て、委員会の御承認を得ておりますが、大体の目標でありますから、必ずしもそれを、諸般の状況によつては嚴守しなければならぬというほどのものではありますまいが、一応の目標はそこに置きたいと思います。そういうことでこの委員会の運営をやつて参りました関係で、一応さように御了承願つて、そのお含みで御質問をお続け願いたいと思います。
○夏堀委員 言葉を返すわけじやありませんが、そういうような意味で御予定もあるだろう、こう存じまして、昨日私は質問をいたしたい、こう存じておりましたが、遺憾ながら十一時までも政府委員が出て来ない。理事の方々も出て来ない。やむを得ず今日出席して二、三質問を申し上げている次第であります。どうぞその点御了解を願います。
○小山委員長代理 質問をお続け願います。
○夏堀委員 それでわかりましたが、大体協議団ということは、一方的に税務署側の意見が取入れられることであつて、民間側の、最も正しい意見は踏みにじられる場合もあるということを聞いております。また選挙によつて出た人方であつては、何かしら含みもあるので、私はこれに対しても不賛成です。だけれども学識経験者の最も正しい意見を持つた方々が、税務署に協力する意味において、先ほど申し上げた、四十年も完納したその人方のようなあり方を実現したい、こういうようなことを考て、いわゆる協力態勢と申しましようか、そうしたことを考えてお伺いした次第でありますが、今ここであなたからそれをやろうということは“御答弁できないでしよう。それはわかつております。ただそうしたことが必要なことであるということは、世論がそのうちに決定するでありましようから、お含み願いたいということを申し上げておきます。
 それから前々国会で、納税組合というものを議員立法で通したはずでありますが、その成績は一体どうなつておりますか。
○高橋(衛)政府委員 昨年国会において納税貯蓄組合法を御制定願いました。その後その法律に基いて各地で納税組合の結成を勧奨いたして参つたのであります。私どもの心持といたしましては、農村地帯よりも、むしろ最も滞納になりやすい営業者中心の地帯に主力を注ぎまして、その地帯において納税組合の結成を特にお願いいたしておるわけであります。時間がまだあまりたつておりませんので、数字としてはそれほど大きな数字になつておりませんが、十一月末の状況は、全国で組合の数が一万三千、組合員の数は五十六万一千人ということに相なつております。なおこれは十一月末でありまして、その少し前ころから非常に力を入れて参つておりますので、その後数字はまとまつておりませんが、相当ふえておるというふうに考えておる次第であります。
○夏堀委員 全国で一万三千程度では、これは問題になりません。私の聞くところによりますると、納税組合をもつて、税務署に何か交渉する対象として云々というような、これはまあ臆測でありましようけれども、あまり税務署ではこれを好まない、こういうようなこともちよつと聞いておりますが、それはあやまちであればよろしいですが、申告納税は四一%の不成績です。その他の方は九十何パーセント。このような非常な不成績は何に原因するか、私が申し上げたことは、いろいろの原因もありましようけれども、これを是正するに、そういうようなことを根本からお考えになることによつて、これを大幅に是正することができるじやないかという意味から申し上げたのでありまして、国税庁が四一%の年々にわたるこの不成績を、なおやむを得ないとして、何の対策もなく放置しておることは、これはどうかと思いますので、根本の対策をやつぱりお考えにならなければいけない、こう考えておる次第であります。納税組合というものが、せつかく議員立法でできたのだから、もつとこれを各税務署が民間に呼びかけて、これをもつと積極的に勧めるようにしなければならぬじやないか、こう考えておりまするが、議員立法なるがゆえをもつてあまり冷淡であるとか――そういうことはないでしようけれども、もしあつたら、それは困つたものであります。
 その次に、きようは大臣にこのことをお伺いしたいと思つたのでありますが、お見えになりませんので、一応主税局長に対して、これから質問申し上げることに対して、どういうようなことを御処置なさつたかということをお伺いして、御病気中の大臣にお伝え願つて、次の機会に御答弁にあずかればけつこうであります。今ただちに御答弁あれば、なおけつこうであります。
 これまでの所得税の軽減ということは、大体において納得できるような線に行つて来たようであります。ただここに勤労所得者の面において、なおぴつたり来ない点がある。今二〇%労ですか、源泉の課税の方は二〇%程度の控除では、これはあまりかわいそうである、こういうような非難があるようであります。私は会社を経営し、自分の商売も――これはせがれがやつておりますけれども、ここに関連がありまするので、民間人としての立場から、公平にこれを処置するために、公務員勤労者の控除と、民間の勤労者のあり方と比較検討して、どうもぴつたり来ない点があると私は考えております。何か聞くところによりますると、社会保險料の五十億円を予算に一応組んだことであつたが、しかしそれがいつの間にか幽霊のように消えてしまつた、そうして再び二〇%程度の控除、これにやはり甘んじなければならぬ、こういうことが、一応予算の面には組まれたけれども、どことなく消えて行つたということが一体どういうことか、勤労者に対する心やりがこの点にあつてほしかつたが、なぜそれが幽霊のように消えたのか、その金は一体どこへ行つたのか、一応予算には組まれたそうであります。それは一体どこへ行つたか、こういうことであります。もう一つつけ加えて申し上げますが、私は会社の経理を常道に復帰すべしということを主張せざるを得ないのであります。会社の経理が、たとえば勤労者の地方税を会社で負担する面もあり、あるいは交通費あるいは被服費、そういうものを会社で負担しておる面もあるようであります。そういう点は公務員と比較して、非常に優遇されておるということは、けつこうなことではありますけれども、それは税務の処理の上において常道ではないということを言われるかどうか、もしこれが常道でないならば、これを常道に復帰して、経理の面でこれを十分に監査し、もしあれば――これはあることはわかつております。経理の面でこれを監査し、そうして公務員とのつり合いをとれるように、公務員と同等に二〇%の控除を、三〇%ないし三五%に引上げることである。そういうことによつて経理の常道を期して、それは決して税の面において損の行かないことであると私は考えておりますが、国税長官はこれまで税務署の調査において、会社等の経理において今申し上げたような交通費、被服費及び地方税等のそれを損費に計上しておるということを知つておるかどうか。もしそういうことがあつたならば、それは税務上においての経理の常道ではないのであつて、これを常道に復してもらいたい、公務員の控除の点も同一に考えて、相当これは研究すべき問題でないだろうか、こう考えておりますので、この点に対して主税局長と国税長官とお二人の御答弁をお願いいたします。
○平田政府委員 最初のお話は、健康保險、それから共済組合の掛金等の社会保險の拂込み保險料と申しますか、掛金を所得の計算上控除したらどうか、こういうことに関連する問題かと思いますが、この問題は前国会等におきましても、大分要望もございましたし、私どももいろいろな見地から研究いたしてみたのでございますが、ただ社会保險の問題に関連しましては、なお若干国庫負担をどうするかという問題、それから今の給付を引上げるか、上げないかと、こういう問題がございまして、そういう問題と関連しまして、結論を出した方がいいじやないかという考え方をとりまして、この問題につきましては、今回改正案として提案しないことにいたした次第でございます。その予算との関係でございますが、これは大体やはりそういう態度をきめましたのは、予算をきめるのと一緒にきめたわけでございまして、別段そのためにどうということではございません。やはりそういうことをやらないものとしまして、歳入の計画をいたしておるような次第でございまして、この措置をやるといたしますれば、御指摘のようにさらに四、五十億所得税が減る。五十数億になるかと思いますが、減少するということになるものと、御了承願いたいと思うのでございます。
 それからなお交通費その他の関係で、勤労控除をもつと引上げたらどうか、こういう問題でございますが、これは夏堀さんよく御存じのように、実はシヤウプ勧告前は、二割五分控除いたしておつたのでございますが、それがシヤツプ勧告で一〇%の控除になりました。それはその他の所得者のバランス等から見て、勤労者に対する控除はその程度でしかるべきである、こういうのがシヤウプ勧告の意見であつたのであります。私どもといたしましては、いかにも二五%から一〇%に引下げるということになりますと、勤労者の負担が、相当減税にはなりましたが、相対的にほかの所得者と比べまして減り方が少い。そういう点を考えまして、特に一五%の控除に現在はいたしておる次第でございます。この控除は勤労者の場合におきましても、いろいろな経費がある程度かかる、それを所得計算で一々各人ごとに見るわけには行かない、そういう点を考慮しまして、特別の控除をすることになつておるのが一つ、もう一つは勤労所得は他の所得に比べまして、やはり力が弱い、従つて勤労所得に対しましては一定の控除をする、こういう意味合いで、ほかの所得に比べまして一定の控除をいたしてやつておるわけでございます。従いましてそういう見地から考えますると、シヤウプ勧告のような議論も一つの議論だとは思うのでございますが、ただ先ほど申し上げましたような事情から、私ども一割五分の控除に今いたしておる次第でございます。そういう点がございますので、これらの問題は、一方におきましては例の農民の勤労控除の問題や、営業所得者の勤労控除の問題等も、問題としてはなお議論の余地があろうかと思いますが、そういう問題も、今の状況からいたしますると、一応将来の研究にゆだねるというふうにいたしておりますので、そういう観点もありまして、勤労控除につきましては動かさないことにいたした次第であります。
 それから交通費の問題は、国税庁からお答えになるかもしれませんが、これは現物給與の一種といたしまして、一定の額まではしいて調査しないと申しますか、しいてつつつかないという意味におきまして、ごく零細な額の限度までは、受ける方、所得者の側におきまして、しいて課税しないというような扱いをいたしておるのでございますが、御指摘の会社の面から申しますと、これはやはり受ける方に課税するとしないとにかかわらず、損金になるという点については、会社の経理の建前からいたしまして、また会社の法人税課税所得計算上の建前からいたしまして、この方は当然のことであると存ずるのでございますが、現物給與としまして課税するかしないかという問題につきましては、今申し上げましたように、ごく零細なものを一々調査して、無理な課税をしないという意味におきまして、非課税の扱いをしておるという程度でございます。その点御了承願いたいと思います。
○高橋(衛)政府委員 ただいまの御質問の前に、先ほど申告所得税の成績が四一%で、非常に成績が悪いという御指摘をいただいたのでありますが、この申告所得税が現在四一%であるということの一つの原因は、予定申告が前年の所得金額まで申告をすれば、更正決定をしないという建前に相なつておりますので、その線でずつと予定申告が行われる、またその予定申告に基いて一期、二期の税が納められて参りましたので、こういうふうに低いことに相なつておるのでございます。従つて申告所得税の成績は、今月末の確定申告によつて大体批判をさるべきであるというふうに、私ども考えておるのであります。今月の大体十月ごろから各税務署とも、税務署において調査しました結果を、各納税者にお知らせいたしまして、そして税務署においでを願つて、それぞれ申告の慫慂をいたしておるのでありますが、東京だけの二十三日ごろまでの状況を大体見てみますと、お呼出しをいたしました人たちに対して、約七割余りの人が必ず出て来ておりますし、また税務署に来られた方の大体七割余りの人が、税務署の調査程度の、是認できる程度の申告を出しておられるようでございます。この成績は昨年の場合よりもさらに向上しておりますので、私どもは年々これが少しずつなりとも、よくなつて来ているというふうに見ておるのであります。もちろん最近の金融情勢等から考えまして、納税自体はなかなか困難でありまして、予算額程度今年度に收入ができるかどうかという点については、非常に心配いたしておりますが、とにかく全体として、漸次納税者の御協力を得られて来ておるという状況にあることを、お答え申し上げておく次第であります。
 なお交通費であるとか、または宿舎を給與された場合の経費であるとか、その他の現物給與、いわゆる食費等もございますが、そういうふうになものの扱いにつきましては、ただいま主税局長からお答えいたしました通り、きわめて零細なものにつきましては、あえてこれを追求しないというやり方をいたしております。これは私どもの方で通達を公表いたしまして、皆さんにおわかりになるようにいたしておりますので、たとえば交通費につきましては、会社がこれを買いまして、現物として、たとえばバスを渡すというふうな場合に、一人当り月三百五十円程度までは、これをあえて追求しないというふうにいたしております。また宿舎につきましては、公定の家賃がございますが、大体その公定の家賃とあまり差のない程度まで徴收しておれば、これは所得として考えない。また食費その他の支給は、いわゆる厚生費という費目で、多くは会社の負担になつておるのでありますが、これにつきましては、やはり一人について三百円程度会社の負担になるという程度であれば、これもあえて追求しないという方針をとつております。
○夏堀委員 主税局長の御答弁、五十億の予算の面でありますが、それはただ今度やめたのだとあれば、私は何も質問いたしません。一体それはどこかへうまく利用される点があるのかないのかという点をお伺いしたのでありますけれども、ここで御答弁を求めることは、ちよつと無理であろうと思いますので、これは控えます。
 それから今の議会での質疑応答というものは、何か質問すると、お座なりに申そうというような言葉に聞えてはなはだ不愉快なのですが、私はあなた方に協力する意味で御質問申し上げているのであつて何もあげ足をとつたりする気持はなく、公平を期するつもりで申し上げているのです。あなた方及び多数の公務員は給與において、また生活において非常に不遇である。そうして一方利益のある会社は、適当な経理の方法を持つていて、そこに資本の蓄積との関連において、成績のあがつておる会社は、給與の面及びその他あらゆる面で、どことなく税金に関連した経理の操作をするということを聞いておりますので、それは不公平であるから、私は勤労者に味方をする者として、その控除を平等にしてほしい、公務員と会社に勤めておる人方と同等の措置をしてほしい。であるから、この勤労者に対する控除は、シヤウプ勧告案が一応は出たけれども、今すぐとは申しませんが、これらの考え方を一応日本の本来の姿にかえして実情に照らしてお考えになることが望ましい。こういうことを申し上げておるのであります。まさかシヤウプ勧告が出たからといつて、永久に何年もこれを続けて行かなければならぬということもないだろうと思いますので、できるだけ早い機会に勤労所得に対する控除の公正化を期していただきたい。同じ国民であるのだから、やはりその人方の幸福のために、税の面でも御考慮になつたらどうか。こういう意味でお伺いしておる次第でありますから、さよう御了承願います。
 もう一つ、ちよつと大きい問題ですが、これは主税局長にこの前にしばしばお伺いしてあるので、御答弁の内容も大体わかつておりますけれども、一応この場合……
    〔「わかつているのなら質問しなければいいじやないか」と呼ぶ者あり〕
○小山委員長代理 御静粛に願います。
○夏堀委員 それは資本蓄積の面を、これはちよつと言いにくいのですけれども、税の面において、今の濫費を繰上げて、資本蓄積に繰上げることはどうか。こういうことの考えであります。それはなかなかめんどうなことでもありましよう。けれども、そういうことが何か電源開発等に、そうした資金の充当ということも考えられるでありましよう。今申し上げたいことを、先ほどから私は経理の面で申しておるのですが、こういうものも常道に復帰して、これは資本蓄積に繰上げて正常な経理をして、そうして今問題となつておる電源開発等に充当するということもいいのではないか。財政面のみにおいては、この電源開発ということは非常にむずかしいのじやないか。こう私は思つておりますので、これに対しては税の軽減等によつて資本蓄積をやる。それはちよつと私も疑問があります。けれども何かしら国税庁でこの調査によつて適当な方法がおありになるかどうか。もしあつたらお聞かせを願いたい。
○平田政府委員 私から先にお答え申し上げますが、今お尋ねの点、趣旨におきましては私どもも非常にもつともなところが多いので、何とかしまして会社の経費の濫費と申しますか、濫費というのは行き過ぎでありましても、経費をよけい使い過ぎるのを減らしまして、それが社内留保の増加あるいは会社の資本蓄積に資するような方向に行くうまい方法があるかどうか。この問題につきましては私どもいろいろな角度から実は技術的にも研究はいたしておる次第でございますが、戦時中のように、経理統制というような措置をやつて行つたような時代におきましては、これは一つの行き方が考えられたのでございますが、あの当時におきましても、あの当時に実行しました基準というものが、はたしてよかつたかと今から考えてみますと、必ずしもいいとは考えられないのであります。それで資本金なり利益の額に応じて、そういう種類の経費を一定の基準で押え込んで、それを越える部分は益金に算入することによつて目的を達成するのではないか。益金に算入するにいたしましても、今お話のように、その際に何か免税と申しますか、そういつたようなものをくつつけましてやれば、実行も可能ではないかという考え方も、実はいろいろ検討いたしてみたのでありますが、これも企業の性質によつて大分違いますので、なかなか一律な基準が求めがたい。従いまして今のところ、私ども自信のある案を申し上げまして、こうしたらどうだろうということに、実はまだ結論を得ていないのであります。ただ一方におきましては、最近は財界の方面におきましても、会社の経営者自体に自粛運動が大分行われておりまして、それによりまして同じ目的を達成できるなら、これが一番望ましい。それが相当効果をあげますれば、しいて画一的な基準を設けまして、実態に合わないようなことをする必要もないじやないかというふうに考えておる次第でございます。その辺のところはよく今後の事態をも見きわめまして考えて行きたい。そういう傾向が非常にはげしくなりますと、若干の弊害がありましても、やはりある程度のことをやつた方がいいと思いますが、よく今の状況等を見きわめました上で、妥当な結論を出すということにいたしたいと思います。なお国税庁におきましては経費の否認の際にはある程度はつきりしないものは、否認することによりまして、同じ趣旨のことをやる余地もできるのではないかと思つております。その辺のことは国税庁から御説明申し上げたような次第でございます。
○夏堀委員 一日に二億円以上三億円も、経理の総量から行けば三億円ぐらい出るだろうと思いますが、その濫費をあなた方の手によつてこれを常道に復帰することが当然の責任であると思います。これは調査をすればある程度がわかることであつて、そうしてこれを資本蓄積に繰上げることは、これは技術的から見て、やればやり得るとは存じますが、今ここでどうとは申しません。お互いに研究して、そういう莫大な金を資本蓄積に繰上げるように御研究を願いたいということを、あらためて申し添えておきます。
 時間もありませんのであと一点だけお伺いいたします。駐屯軍の税の問題であります。本日の新聞にちよつと見えておりましたが、この駐屯軍の放出物資に対する免税の点は、これは負けておるからやむを得ないと言えばそれまででありますけれども、これは外国でもそういう例はあるのでありまするか。それとも日本だけの――今行政協定によつて結ばれたいわゆる駐屯軍の税ということば、これは相当大きな問題でありますが、その内容がわかりませんので、もしおさしつかえなかつたら御説明を願いたい。そうしてこれは、私ちよつと考えた際に、こういうことが現実にあるのでなにいだろうか。日本国民の生活の面に、物価の面に、一方に相当な駐屯軍がこれから何万、何十万か入つて来るかわからぬ。たとえばこれまででもタバコの横流しをするような問題も相当ありましたので、駐屯軍の方からの無税の物資が相当横流れになるという場合に、それが日本経済に及ぼす影響は一体どういうことになるのか。こういう点が憂慮されますので、今ちよつとお伺いした次第でありますが、内容を簡單に御説明を願います。
○平田政府委員 行政協定の内容らしいものが何か新聞に載つておるようでございますが、この問題は昨日深澤さんにもお答えいたしましたように、いずれ両者の話合いがよくまとまりました上で、外務省でありますか、岡崎国務大臣が主として担当しておられるようでありますが、その方面から詳細に発表があれば、それにつきましては私どももよくその際に御説明申し上げたいと存ずる次第でございますが、今御質問の点に何か例があるかという問題でございますれば、これは現在においてはアメリカ軍がイギリスにある程度駐留しておりますが、アメリカとイギリスとの間において、やはり今回の行政協定に類似するような協定を結んでおる例がございます。フイリピンとの間におきましても、同様な協定があるようでございますし、なお北大西洋條約におきましても、大体そういうようなことに関しまして、一定の條約を結んでおるようでございます。ただこの方面は、細目の点は目下進行中らしゆうございまして、非常に精細にわかつていないのでありますが、基本的なところは北大西洋條約の中にもうたわれておるようであります。私どもといたしましても、大体の方針といたしましては、このようなすでに結ばれておりまするところの條約、これは一種の国際慣例と申しますか、そういうものを十分研究いたしまして、そういうものと大体において同じくなるような趣旨で、話合いを進めておる次第でございます。
 それから横流れ等の問題は確かにその際におきまして問題になりますので、協定等の内容におきまして、特にそういうものにつきましては、将来十分相互に監視するというか、注意するといつたような條項も入れてもらいまして、そのようなことが極力少くて済むようにいたしたいという配慮をもつて進めておるということを、御了承願いたいと思います。
○夏堀委員 これば行政協定の中に含まれてあるから、あらためて法律案として政府から提出するようなことはお考えになつておらないのか、どうでしようか。
○平田政府委員 この問題は私からお答えするよりも岡崎国務大臣の答弁で御了承願いたいと思うのであります。協定自体は目下のところ條約とは違うので、これは国会の承認を要しないのではないか。協定の中におきまして国民の権利義務と重要なる関係がある事項は、それぞれ必要に応じまして法律等で明らかにするというような大体の方針になつておるようでございます。
○夏堀委員 それではきようは時間もありませんので、この問題はあとでまた適当な機会に伺いたいと存じます。きようは、なぜかしらその辺の野党の連中が、ざわざわくだらぬことを言つておるので、まことにどうも変な気心がいたしますので、天気のよいときに、気分のよいときにあらためてお伺いするということにいたしまして、きようはこれで私の質問を打切ることにいたします。
○小山委員長代理 内藤友明君。
○内藤(友)委員 平田さんにお尋ねしたいのですが、所得税法第八條の第六項、これをひとつ御改正になる意思があるかどうかということをお尋ねいたしたいのであります。それは実はほかでもございません。今度改正せられる所得税の中には、不具者の控除、老年者の控除、寡婦の控除及び勤労学生の控除、こういうものが以前は所得控除として一万五千円であつたのを、今度は税額で四千円の控除になつた。それから戦争未亡人は六千円を控除されることになつたのでありまして、これはまことにけつこうなことでありますが、そこで私一つ事実を申し上げまして今申し上げました第八條の第六項改正の御意思ありやということを申し上げたいのであります。それはほかでもございません。実は私この間私の郷里の高岡税務署に参りまして、池田署長にお会いしたのであります。池田さんは以前専売公社におられまして非常にりつぱな方で、若い方が地方に勉強に行つておられるのだろうと思うのでありますが、たまたま私が行きましたときに、内藤さん、妹からこういう手紙が来ておるのですがと言つて手紙を渡されたのですが、その手紙はこういうことです。これは戦争未亡人でありまして、ずつと一人の子供をかかえてやつて来られた。そして昨年の十二月になつて結婚せられたのであります。ところがこの八條の第六項の法律によりまして、戦争未亡人である間は控除があつたのですが、十二月に入つて結婚したということによりまして、果然その恩典がなくなつた。それで、きよう、この手紙を差上げるのはお兄さんに差上げるのではない、税務署長の池田清あてに申し上げるのだが、こういうことはまことにどうも困る。あなたも知つておる通り、私は子供一人かかえて今まで苦労してやつて来た。そうしてようやく良縁を得て再婚したのであるが、この法律によつて私が今まで長い間苦労して来たその苦労を認められなくなるということは、これは法律の矛盾ではないかという、まことに條理にかなつた綿々とした手紙でありまして、高岡の税務署長は私に見せられて、私も実は同情したのでございます。これは私どもよほど考えて行かなければならないのでありまして、こういう方は敗戦後の今日の日本にはたくさんあるだろうと思うのであります。でありますから、十二月三十一日現在で調べて、そのときに該当するもの、しないものというのは、少し酷じやないか。従つて私はもしできますならば、その年度にかかりまして一日でも寡婦であるならば、こういう恩典をして上げるべきじやないかと思うのでありますが、こういう矛盾がちまたに現実の事実としてあるのであります。そこで先ほどの質疑にもどりまして、所得税法第八條第六項の「毎年十二月三十一日」というのを適当に御改正なさる意思があるかどうか、それをお尋ねいたしたいのであります。
○平田政府委員 今のお話でございますが、現在の税法によりますと、お話の通り確定申告の確定税額を計算する際の各種控除額は、十二月三十一日現在によることにいたしておるのでございます。今御指摘のような例もございますが、また一方におきましては、なごやかな例も実はある。十二月に赤ん坊が生れますと、一年分、実は全年分と申しますか控除が適用になり、税法上の一種の出産祝いと申しますか、そういうものが控除できることに、その規定によつて相なるのでございまして、他方、今お話のように未亡人が十二月になつて結婚されますと、その年につきましては控除できないということに相なるわけでございますが、しかし一方におきましては、そうなりますと、御主人の所得から扶養控除としまして、その方は今度は控除ができる。しかしその未亡人に別に大きな所得があります場合は、これは所得の制限にかかつて控除できませんが、所得が少い場合は、妻の控除としまして、御主人の所得から控除できる、そういう関係にも置かれておりますし、そういう制度をこまかく考えますと、もちろんまだ考えていい例もいろいろあると思いますが、大体におきましては、今申し上げましたような例からわかりますようなことに相なりますので、まず今のような制度でいいのじやないかというふうに考えますが、月割で行くとか、あるいはお話のようにちよつとでもかかれば利益を與えるもの、これはいろいろ考え方があると思います。たとえば、なくなつたような場合は、実は利益を與えるということにいたしておりまして、扶養控除の該当者が年の中途でなくなつた場合におきましては、年末におきまして、その人がなくなりましても、やはり控除はするというようなことにいたしておりますが、今御指摘のような場合に、はたしてそれにした方がいいかどうかということになりますと、にわかに当然そうすべきだというふうにも、私考えていないのでございますが、なお、しかし非常に細目にわたる問題でございますので、今後よく考えてみてもいいと思いますが、そういうことによりまして、ほほえましい場合もありますし、ちよつと澁い顔をしていただかなつくちやならぬ場合も出て来るということは、御指摘の通りでございます。
    〔小山委員長代理退席、委員長着席〕
これは課税技術の点から行きまして、ある程度そういうことが出て来ますことは、場合によりましたらやむを得ない。それから月割で計算をするとなると、なかなかむずかしい。全部見るということになると、これはまた行き過ぎだということになりまして、なかなかむずかしい点の一つであるということを御了承いただきたいと思うのでございます。
○内藤(友)委員 そうしますと、将来この法律を御改正願うように御研究いただけるのだと私受取れましたが、ぜひそういうようにしていただきたいと思うのであります。私はりくつを申し上げるのではございませんけれども、こういうふうな境遇の方はほんとうに気の毒である。子供さんをかかえて戦争未亡人として一生懸命にやつて来られた方が、さかのぼつて法律が與えてある六千円の税控除をなくするということは、それは一面あなたのおつしやつたように、ほほえましいこともあるかはしらつぬけれども、ほほえましいことは当然やるべきことなので、あなた方が自慢なさる必要はない。こういうふうな悲しむべきことを一つでもなくして、一つでもほほえましいことに持つて行くということが、ほほえましい政治なんでありますから、ぜひこの点は御研究いただきたいと思つております。これは御答弁いりません。改正さえしていただけば満足しますから、ひとつ御研究願いたい。もし御改正なさらぬならば、私どもは議員提出で法律案を出しますから、さよう御了承いただきたいと思います。
○平田政府委員 先ほど大分詳しく申し上げましたから、つけ加えて申す必要はないかと思いますが、嚴密に行きますと、月割で計算してやつて行くというのも一つの行き方ではないかと思うのでありますが、それはまたなかなかお互いにめんどうになりますので、そういう状態は十二月三十一日の現況によつて判断して行く。これは所得税の実施以来大体そういうやり方をやつて参つておるわけでございます。今申し上げましたように、未亡人の控除がなくなるが、今度は御主人の所得から扶養控除として控除がある。これは過去にさかのぼつて全年度に適用になるわけでございます。全部ではありませんが、そういう場合もありますし、よく将来研究はしてみたいと思いますが、今すぐやるかどうかということにつきましては、ひとつ研究させていただきたいと存ずる次第でございます。
○佐藤委員長 午前中はこの程度にとどめ、午後一時半まで休憩いたします。
    午後零時二十一分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時五十四分開議
○佐藤委員長 休憩前に引続き会議を開きます。
 所得税法の一部を改正する法律案外三税制改正案を一括議題として質疑を続行いたします。質疑は通告順によつてこれを許します。松尾トシ子君。
○松尾委員 政府は現在までに幾多の税制の部分的改正を行いまして、みずからは非常に減税政府だということを自認しておりますけれども、どうも納税者側から申しますと、そうは行かないのであります。第一、所得の構成の面を見てみまずと、量的なピラミッドをなしているように思われます。これは政府の税制をも含むところの財政経済政策の破綻の現われではないかと私は思うのであります。政府の経済政策の根本的変革なくして、ただ税ばかりいじつていても、なかなか納得の行く公平なものにはならないのではないかと思います。特に来年度の租税及び印紙收入予算の中に組まれておりますところの法人税一千八百七十九億九千百万円、これらの対象になる大中小の法人が、すでに政府の組んだ税金を支拂う場合に、どんなくめんをして税金を支拂つているかということを、大蔵当局はお考えになつたことがあるかどうかお尋ねしたいのです。私の考えを申しますと、財政当局はどういうふうにお考えになつておられるか、政府は予算のつじつまを合すことに、きゆうきゆうとしておるかのように見えるのですけれども、おおむねこの納税のときは借入金によつて拂われておるように思われるのです。それを具体的に説明いたしてみますと、通貨が年々非常にふえて来ておりますところへ、しかも金融機関でさえも日銀にたよつている始末ですし、また企業界を見ますと、大蔵大臣もかねての財政演説でおつしやつたように、自己資金というものは一割くらいしかなくて、それの十倍もになるような資金を、金融機関にたよつて仕事をしておる。その結果あまり利益がないというふうになるのです。税法は自己資金は全然問題にしないで、運転資金の全体において税をかけておるというところに、納税者にとつて非常に困難な点が出て来るのではないかと思うのでございます。また一方こうした状態で納税をしておりますと、いわゆる納税インフレーシヨンというものも起るし、ひいてはこれが諸物価に影響しまして、もつと小さい收入者あるいは源泉給料者にまで及ぶというふうに私には思われるのです。一体税金というものは、利益の中から容易に納められるような方に行かないと、健全とは言えないと思います。それで法人税の一千八百七十九億九千百万円というものを来年度お組みになつた。これによつて政府が資本蓄積をうたつておる今日、昨年度と比較して資本の蓄積が、こういう税を拂つた上で、どの程度までできるかお聞かせ願いたいと思います。同時に大中小という法人の各部面を見ると、その收入の面も違つておりますし、経済財政的にいうと非常に幼稚なものであるかもしれないけれども、この課税を二段階くらいにして、小にはもつと低い税で課税したらいかがかと思うのですが、この点について主税局長の御意見を伺いたいと思います。
○平田政府委員 お答え申し上げますが、会社の税金がはたして納まるかどうか、納まるにしても非常に無理があるので、なかなか問題がありはしないかという点でございますが、これは私どももやはり今の経済は、まだ完全に常態化しておると申しますか、平常時の段階になつて非常に円滑に行つておるというふうには見ておらないのでございます。ただ最近の会社の成績は、御承知の通り非常によくなりまして過去二、三年前と比べますと、昨年から本年にかけまして、非常な好調を来しておることは、これは松尾さんのよく御承知の通りでございます。ただそれが一方におきましては生産がふえたのと、他方におきましては物価が上りまして、それによつて会社の利益が相当増大して来た。ところが仕事のヴオリユームがだんだんふえて来ておりますので、会社はやはりその次の仕入れ、あるいは設備の投資等に金繰りがうまく行かなくて、利益はあるがなかなか金繰りは苦しい。これは私率直に申しまして、最近の企業の実態を示す一つの代表的な点じやないかと考えるのでございます。そういう点は私ども十分承知いたしておるのでございますが、他面におきまして利益は相当よくなつている、これはほんとうに偽りないところでございます。その点につきましては、先般資料として「会社の收益及び資本蓄積状況調」という表をお手元にお配りいたしまして、二十四年度以後の大体の傾向をごらん願います場合の参考にいたしておるのでございます。たとえば会社の利益金額におきましても、償却前の利益は、昭和二十四年度におきましては、千百九十四億円程度にすぎなかつたものが、来年度ば六千七百億円程度に見込まれる。昭和二十六年度の補正予算では六千七十億円ほど見込んでおるのでございますが、どうも最近の実績から行きますと、これよりもさらに上まわりそうな状況であります。これは私ども現実のものによつて調べました結果でありまして、全体の趨向といたしましては、やはりこれは正しい方向を物語つておるものと考えるのであります。その間償却等におきましても、二十四年度においては減価償却額が百五十九億円程度しかなかつたのが、二十五年度は五百五十九億、二十六年度は千九十五億、二十七年度は今のような状態で行きますと千三百六十六億円程度減価償却がふえる、こういうことは可能じやないかと見ております。差引きまして利益も二十四年度が千三十五億に対しまして、二十六年度が四千九百六十四億、二十七年度は五千九十一億、この程度の償却とそれから経費に入ります損金を落しまして利益を見ることができる、このように見ておるのであります。ただ今申し上げましたように、何しろ仕事が数量的にふえましたのと――これは生産の増加がそれを物語るのでありますが、それから物価が上りましたために金額がかさみますので、それだけ会社はやはり運転資金なりあるいは増産資金を必要とするわけでありまして、そういう点からいつて会社の金繰りがなかなか簡單でないということは、先ほど申し上げた通りであります。これは率直に申しまして税金で一定のときに納むべき分を、会社が金繰りに困りますので、事前にほかの資金に使つておる。従いまして納期になりました場合におきましては、税金を借りなければ納めにくいという会社がありますことは、これはその通りでございますが、私どもその点はこういう税法の建前並びに納税の時期、それから運転資金その他の金繰りの状況等からいたしましてそのこと自体があるから、納税がどうだというわけにはやはり行かないのではなかろうかというふうに考えておる次第でございます。
 それから会社の資本蓄積の状況でございます。今その一例としまして減価償却の形における社内留保の額を申し上げたのでありますが、そのほかに昨年度からたとえば価格変動準備金、それから退職積立金、それから貸倒れ準備金等の形におきまして、損金で一種の利益金の一部を積み立てておく制度を認めたのであります。そういうものによりまして、二十七年度は、約二百四十億円程度準備金ができております。そのほかに大体利益の中から税金を納め、配当を拂いまして、なおかつ二千百億円程度社内留保、本来いう積立金が増加できる。合せまして三千七百十億円程度は来年度といたしましても、現在のような企業の状況が続いて行くものとしますれば、会社の社内留保と申しますか、広い意味の資本蓄積と申しますか、そういうものができるのではないかと見ておる次第でございます。
 それからもう一つは、大きな会社と小さい会社と差をつけたらどうかという問題でございますが、この問題は前国会におきましてもたびたび問題になりまして、お答え申し上げたのでありますが、確かに大きな会社は最低非常にいい成績を收めておりますことはこれは事実であります。ただその前におきまして、大きな会社は特経会社に指定されたり、いろいろな制約等がありましたし、あるいは統制の影響をきつく受ける等のことがありまして、昭和二十四年度あたりまでは、大きな会社はあまり利益を上げておらなかつた、ほとんど配当等もしてないのが大部分でありました。それがやつと昨年度あたりから相当好調になりまして、相当な利益を上げ、それから配当もしておるという現況であります。従いまして最近は法人税の中でも、大きな会社の拂う分が大分ふえて参りまして、先般も深澤さんに申し上げましたように、大体八割くらいが国税局の所管に属する中以上の比較的大きな法人の分で、二割弱がそれ以下の法人の分、こういう状況に相なつておる次第でございます。負担の税率に差をつけるという問題は、先ほど申しましたように前国会で大分御説明申し上げたのでありますが、小法人の場合には、実は利益じやなくて重役、役員の給與として出せる部分が大分多くなりますので、表面的に見ますと四二%の税率はいかにも高いようでありますが、個人の所得税に比べまして、全体を総合して計算するとそれほど高くない。むしろ四二%程度に税率を持つて行かないと、個人の事業が法人と同じになる。こういう傾向が今まで強いような状態でありましたので、この程度のところにおきましては、差別をつける必要はなかろう、将来もしも法人税の税率等にさらに引上げの必要がある場合にどうするかという際におきましては、確かにそのような点もなお一段と考えた上で、適正な制度を考えることに努めなければならない、このように考えておる次第でございます。
○松尾委員 今後税制改革をおやりになる場合に、私はこういうことを考えておるのです。今一般会計予算のわくが非常に大きいので、従つて税率を高くしてとらなければならないと思うのです。同時に財政が企業の中に食い込んでおりますので、民間の産業もこれの胸三寸でどうにでもなる。言いかえれば、一万田さんの考えで、閉鎖も発展もできるというふうに左右されるのでありますが、これは事業の発展上まことによろしくないと思いますので、思い切つて一般会計の予算のわくを縮めて、そうして税を下げて行くようなお考えはないでしようか。それは企業は企業で民間がおのおのの力によつてやれという方が私は幅があつてやりよいのではないかと思います。
○平田政府委員 一般的に申し上げまして、できる限り歳出を減らしまして、それによつて財政負担を軽くして税金を少くする、この基本的な考え方は、私もまつたく同感でございまするし、また過去三年くらい、二十四年を峠といたしまして、そのような方針のもとに大分いろいろな措置が講ぜられて参りましたことは、松尾さんも御承知の通りかと思います。もつと大幅にこの際措置ができないかというのが御意見かと思いますが、その点になりますと、なおやはりいろいろ問題がありまして、一方におきましてやはり相当増加せざるを得ない歳出がございますし、現在の歳出の中には財政の投資と申しますか、開発銀行への出資、それから国民金融公庫への出資、それから住宅公庫への出資、それから為替特別会計への繰入れといつたような広い意味の投資的な歳出が、実は相当多額に上つております。戦前でありますと、こういう歳出は普通公債によつてみんなまかなつておつたところが今の状態のもとにおきまして、公債によつてまかなうことになりますと、インフレーシヨンになるおそれが非常に多いのでこれは避ける。ということになりますと、結局国の広い意味の税收入で、そういう歳出をまかなわなくてはならぬ。しからば税が重いからそういう歳出をやめたらどうかということになりますが、それではなかなか民間の資金が不十分でありまして、必要な開発や住宅の新規建設ができないということになりまして、どうしてもやはりある程度はやむを得ないということになります。従つて税金もおのずからある程度重くならざるを得ない。こういう事情にあるようでございます。しかしこれも二十六年度に比べますと、二十七年度はある程度減らすということになつておりますし、また将来におきましても、そのような点につきましては経済情勢の推移にかんがみまして、私は若干の調整が必ず期し得られるのではないかと認めますが、しかしやはりインフレーシヨンにならないでそういう歳出がある程度支出せざるを得ないということになりますと、やはり租税としましてもそう一ぺんに軽くするわけにはいかないというのが現況ではないか。それから一方におきましては今後は防衛費的な治安維持費でございますが、そういうものがどうなりますか、そういうものと関連いたしまして税の問題がやはりきまつて来るのではないか、まあかように考えておるのであります。
○松尾委員 それから事業を開始しました初年度のときには、非常に支出が多い上に、大体他の税率と同じように査定されるのですけれども、特別に事業初年度の場合には査定をするというのではなくて、法的にこれを認めて軽くするわけには行かないでしようか。ひどいのになりますと、それをとられて発展性がなくてつぶれてしまうのがたくさんあるのです。
○平田政府委員 事業を開始しました最初の年度におきましては、いろいろな費用がよけいかかります場合が多いので、あまり成績が上らないという通例が存し得るのでありますが、ただやはり所得の計算におきましては、経費は経費として見るべきものは見ますが、実際におきまして利益が上つた場合におきましては特別にするというのはどうもいかがであろうか。ただ非常に助長する必要のある重要物産――これは所得税法の施行規則等で具体的にきめておりますが――等につきましては三年間免税にするという制度もございますが、一般的には特に利益の査定上考慮するというのはいかがであろうか。ただ実際問題としましては、最初の年度の場合は利益が少いものが多いというのが通常考えられますから、そういう事情に応じまして、調査する際にもよく愼重に調査しなければならないという御意見でありましたらその通りだと考えます。
○松尾委員 それからこの間公聽会のときお尋ねしておりましたが、政府はただ減税してやつておるけれども、実際生活はちつとも減税でない、これはみんなが言うことで古くさい表現ですけれども、実際あの所得税の方で控除というものは、いわゆる最低生活を基礎にしたところまで持つて行かなければならないということが、非常に各公述人から言われておりました。それから税をきめる場合に最低生活というものを、どういうところに押えているのですか。たとえばただ数字でなくてあるいは教育費とか、家賃とか、こういうこまかいことをひとつ教えていただきたい。
○平田政府委員 税が一向下つていないという批評をする人があるのですけれども、そうでないことをはつきりさせるために、実際下つたんだということをはつきりさせるために、たしかお手元にも所得税の累年比較表、これは納税者の人員と所得の金額に対する税負担の割合等の一覧表をお配りいたしておるのでございますが、私は所得税につきましては大体三回の改正で実は相当の減税になり、物価が若干上つておりますが、それを相殺いたしまして、なおかつ大部分というものは所得税につきましては減税になつておる。これはもう間違いのないところだと思います。もしもそのことに関しまして必要でございましたらさらに立ち入つて説明してもよろしゆうございますが、時間の関係もございますので結論を申し上げます。所得税に関する限りにおきましては、市町村民税を入れましても相当の軽減になつている、これは疑問の余地のないところだと存じます。
 それからなおしかしどうも税が重いというふうに感じられますのは、もつともな節があるのでありまして、これは戦前に比べますればまだ実は非常に重い、昭和二十四年が相当重い年で二十五年、二十六年、二十七年と三回にわたつて相当大幅な減税をいたして参つたのございますが、戦前に比べますと所御税の負担は非常に重い、戰前の頭で見ますとあまり減税になつていないのではないか、こういう感じを持たれるというのは、やはりある程度もつともなところがあると思うのでございます。控除等につきましてもたとえば戦前は千二百円の免税点でございましたが、それが基礎控除五万円では少いのではないかという非難がございますが、そういうところは確かにある程度残つているというふうに感じますが、それで控除額をきめる際に最低生活費を除外すべきじやないか、こういう議論は確かにございまして、私どももそういう見地からの検討もいたしておりますが、やはり所得税の控除というのは生活費の関係と、今御指摘のありました財政事情の関係、この両面からその年として妥当なる額をきめる、こういうことにいたしておりまして、そういう趣旨からいたしまして今回は五万円の基礎控除額に、扶養家族の控除は三人まで二万円、そうしますると扶養家族が四人くらいの世帯でございますと、大体年に十二万円くらいまでが、家族控除を入れまして控除されることに相なる次第であります。今申しましたような諸点から行きまして、来年度といたしましては、この程度が妥当であろうと考えておる次第でございます。最低生活費の問題になりますと、これまたなかなかそれ自体といたしましていろいろ問題がございましようが、いろいろな生活費の状況等を見まして、今申し上げましたように妥当な控除額をきめるということでございまして、機械的に一定の算式を設けてそれによつて結論が当然出て来るという性質のものでは控除額はないということになつておると、私ども考えている次第でございます。
○松尾委員 そういたしますと主税局長も実際十二万円程度でいいということになつて来る、五人家族で一月に一万円で暮すということになりますね。もしそうなりますと、なかなか実際生活と税法とマッチしていないということをお認めになつていると思いますから、その程度にします。
 それからもう一つ今度無記名定期預金の復活がございましたが、どうも無記名定期預金というのは資本の蓄積に役立つし、また一方裏返してみると脱税というようなものにつながりがあると思う。これは一般の預金で利子税をとつておりますから、これはもう少しよけいとつたらどうでございますか。
○平田政府委員 控除額の問題でございますが、これはその額を越える場合には百パーセントとるという税でございますと、これはなかなかお話の通りむずかしい問題だと思いますが、その十二万円を控除しまして、残りの所得に対しまして最初は二〇%から漸次累進して行くという関係もございますので、その辺はあまりきゆうくつにおとりにならなくてもいいじやないかというふうに感じておりますことを申し上げておきます。
 それからもう一つは、今無記名定期預金の問題がございましたが、これは資本蓄積の必要等から考えまして、特別に認めることにいたしたわけでございますが、税率といたしましては五〇%の源泉利得の税率がかかるということになりますので、預金自体の利子に対しましては、相当高率の税がかかるということを御了承願いたいと思います。
○松尾委員 ではあとは国税庁長官に対する質問になりますから、いらつしやいましたときにお尋ねいたします。
○佐藤委員長 それでは深澤義守君。
○深澤委員 ちようど大蔵大臣がお見えになつたので大臣にお伺いしたいのでありますが、本日の新聞に行政協定の草案の概要が発表されてございます。この中には税制の問題も関係しているのでありますが、この行政協定に含まれる外人、米国人に対する租税措置というものは、当然税制の改革の問題と関連して来るのでありますが、これは行政協定できめたものは、当然税制の中で改正をやることになると思うのですが、それについてはどういう方針を持つておられますか、その点をひとつ伺いたい。
○池田国務大臣 まだ行政協定の方は結論に至つておりません。従いまして結論が出ましたならば、その協定によりまして、立法事項を要するものは国会の承認を得る考えでおります。結論が出てからはつきりしたお話をいたしたいと思います。
○深澤委員 昨日主税局長にお伺いしたのでありますが、駐留軍に関する租税関係はこの行政協定できめるが、その他一般の外国人並びに外国商社の関係は、特にアメリカとの関係は、租税協定あるいは租税條約をきめるというような答弁があつたのでありますが、これは一般の條約と同じような性格を持つたものをきめるのかどうか。そうすると当然国会に事前の承認を求めるたり、事後の承認を求めるという手続をとらなくてはならぬと思うのでありますが、そういう交渉を今されているかどうか、今後そういうことをやる方針を持つておられるか、その点をお伺いいたします。
○池田国務大臣 これは昔から国際二重課税としてやかましい問題でございまして、日本が独立いたしましたならばアメリカのみならず、ほかの国とも二重課税防止の條約を結ばなければならぬと考えております。従いまして、大蔵省といたしましては、昨年十二月に東京の国税局長渡辺喜久造君をワシントンへ向けまして、大体の租税協定の下打合せをいたしております。まとまりましたならば、国会の承認を得ることにいたしたいと思つております。
○深澤委員 それから二十四日の読売新聞に、昭和二十五年度の会計検査院の報告がまとまつたということが発表されているのであります。その中には、不正並びに濫費によつて相当多額の金が使用されておるということが、指摘されているのでありますが、全額では三十五億円である。ところがその内容を見ますと、その中で大蔵省が一番多い。不正に使つた金が三千五百六十一万円、濫費が十一億何千万円というような額に指摘されているのであります。このような事実が池田大蔵大臣の監督せられる機構の中にあつたのかどうかと、われわれは疑舞うのでありますが、こういう事実があつたのでありますか。
○池田国務大臣 金額の点は覚えませんが、会計検査院の批難事項のうちに、相当大蔵省関係のものが多いということは、昨年の秋聞きましたので確めましたところ、実際は大蔵省の仕事ではないのでございます。ただ終戦処理費等が大蔵省の款項のうちにあるものでございますから、大蔵省の方がそういうようなことになつた、こう言つておられるのでありますが、実際は他の特別調達庁等における予算の使い方でございまして、たまたまそれが大蔵省の予算に載つているというので、大蔵省の批難事項のうちに入つておるのであります。実際問題といたしまして、大蔵省独自の分につきましては、よほど他の省よりも少いことに相なつております。
○深澤委員 大蔵大臣はそう言われるが、この新聞によりますと、特別調達庁の不正は八百二十七万円、濫費が一億八千万円ということになつております。大蔵省の不正は三千五百六十一万円、濫費は十一億、その他の省を断然これはリードしている。従つて大臣の今おつしやることは、この新聞の限りにおいては違うのであります。そういう意味合いにおいて私は質問しているのであります。大蔵省内部の具体的な事実によりますと、架空経理というのが札幌国税局ほか三国税局、日本橋ほか四十税務署、さらに不正行為は東海ほか三財務局と、神田ほか五十三税務署というぐあいに、税を監督せられている機構の中に、一番多いということが指摘されているのであります。この点はわれわれはなはだ遺憾に存ずるのであります。今の大臣の御答弁とは、新聞によりますと事実は違うのでありますが、この点はどうでありますか。
○池田国務大臣 たとい一件にいたしましても、不正の事実が自分の所管にあるということは、これは国民に対してまことに申訳ないと思つております。しかし私の聞くところでは、この問題は、昨年の秋大蔵事務当局に対しまして、ただいま申し上げているような質問をいたし回答を得たのであります。せつかくのお話でございますから、各省の分につきまして、再度調査してもよろしゆうございます。ただ問題は、大蔵省の方では金を取扱う場合が非常に多うございます。誤りの絶無を期しておりますけれども、遺憾ながら絶無が期せられない。各省の割合につきましては、後日調べてお答えしてもよろしゆうございます。
○深澤委員 大臣もお忙しいでしようから、質問の時間をあまりとりませんが、読売新聞の指摘しているところによりますと、この会計検査院の指摘は非常に上つつらだけであつて、これは十分の調査ではない、おそらくここに現われたものは氷山の一角にすぎないであろうという批判がくだされているのであります。池田大蔵大臣が税法上の減税に努力せられていることは、われわれもこれを認めるにやぶさかでないのであります。しかし依然として国民が税金のために塗炭の苦しみをしていることは間違いないのであります。その税金が官庁によつて不正に、あるいは濫費の状態において使用せられるということは、まことに遺憾至極である。そうして会計検査院が指摘しただけでも三十五億円ある。これが氷山の一角であるとするならば、まことにこれはゆゆしき問題であるとわれわれは考えますがゆえに、ひとつ官庁の粛正のために、徹底的な御努力を願うことを希望いたしまして、一応大臣に関する限りの質問は終ります。
○佐藤委員長 夏堀委員。
○夏堀委員 昨日以来大臣の御出席をお願いしてお伺いしたいと思つておりましたが、御病気ということで、きようの午前も待つておりましたけれどもお見えにならぬので、銀行局長が御出席になつたので、銀行局長に一言私の意見を申し上げたのであります。私きよう中に郷里に帰るが、もう所得税の法案は上りますので、大臣ともお目にかかれぬのじやなかろうか、こういうようなことでたいへん悲観しておりましたが、せつかく御出席になつたことでありますから、午前の質問と重複するようになりますけれども、直接大蔵大臣の御答弁を煩わしたい、こう思います。
 私があらためてオーバー・ローンの問題に対して云々するということはどうかと思いますけれども、何かしら、オーバー・ローンの問題が大きく取り上げられて来たようであります。申すまでもなく敗戦によつて国土が荒廃し、諸設備が完全に破壊されて、その復興のためにあの復金というものが生れ、日本の復興のために相当役立つ、た。これはだれしも否定するものはないだろうと存じます。ただこの間において昭電事件、ああいうものが出て、この資金の貸出しに対してその筋からの意向もあつたでしようが、これまでのような営業状態ではいかぬ、こういうようなことでああいうぐあいになつたことは、これはやむを得ないことであります。しかし各産業界が一応発足してもうすでに着手しておるのでありますから、これを中途で打切るということもできませんし、また日本の復興ということを考えると、このままで行くということも、これまた問題であるというようなことで、地方銀行にその融資を求めて、そのうちに返すからというようないいかげんなことを言つて借りたのが長期にわたつたのだ、こういう経過ではないかと私は考えております。それでだれの責任か困るから、今までの取引のつなぎもありまして断ることもできないので、地方銀行は貸出しをしたことであつて、今それを急に回收するということも困難なことである。これがオーバーローンの形になつて現われたのではないか、こう考えております。これを解消するために、何かしら石橋構想なるものが発表され、いろいろ論議されおりますが、その際に大蔵大臣が、長期信用銀行ですか、ああいうような特殊な銀行を設置して、五億円以上の会社に対してはその適用を許すというように新聞で承つております。私どもは大蔵委員会のメンバーとしてこの内容も知りたい、こう考えておりましたけれども、何か財政懇談会とかいう雲の上でいろいろ御懇談なさつているので、それはわれわれの耳に入りません。この機会に、その内容等について御説明をお願いしたい、こういうことで銀行局長にその説明を求めたのであります。大蔵大臣はお忙がしいそうですから、一通り私の考えもあわせて申し上げまして、それが当るか当らないかの答弁によつて、まだこの問題は法律案として出ておりませんので、一応御説明を伺つて研究したい、こういう程度にとどめておきます。
 新聞紙上に伝えるあの程度のことで、はたしてオーバー・ローンの解消とか、あるいは長期資金のまかないとかいうことができるのかどうかと申しますると、私どものぼんくら頭では、割切れないものがあるのではないか。たとえば資金運用部資金の三百億、あの金もいろいろなご都合もあつたでしようけれども、これは結局産業資金に許されなくなつた。そこで午前中にも申し述べましたが、資金運用部資金法案を通す場合に、非常に大臣も答弁にお悩みになつたように私は考えております。ああいうような問題も、はたして今後資金運用部資金が財政面において、こういう金をまかなえるかどうかとなれば、それは結局出せないから打切つたので、今後とも出せるた出せないかということは程度の問題ではありますけれども、そう楽観は許せないであろう。しからば予算面においてはどうか。こうなつたところで、これも現在のような情勢下においては、そう楽観は許せないだろう。しからば民間からといつたところで、民間には金がないからオーバー・ローンが始まつたので、その簡單に民間でこれを引受けることもできないだろう。そうすると、せつかく大蔵大臣が御構想として、今財政懇談会で研究されておるそうでありまするけれども、法律案を通す場合に、実際行われるかどうかということに疑惑を持ちながら、政府の提出したものであるから、これは通さなければならぬということでは、これもどうかと思いますので、これに対する大蔵大臣のお考え及びその御自信のほどはどの程度のものであるか、こうようなことを考えておつたものでありまするから、あとでわれわれが研究する一つの参考としてお伺いしたい、こう存ずる次第であります。
○池田国務大臣 オーバー・ローンの問題は、お話の通りに、これはネセサリー・イーヴイルと申しますか、やむを得ざる状態であるのであります。これは望ましいことではございませんが、日本の経済を急速に拡充さす意味においてとられた一つの方法で、やむを得ないことだと私は考えております。従いまして、早くオーバー・ローンの問題を解決することが必要でございまするが、せいては事をし損じますので、ゆつくり、これ以上のオーバー・ローンにならないような方法を考えて、そうしてそれを助長して、徐々に解消させて行くべきだと考えております。これを解消いたしますのに、手品的なものは必ずしも私はよくないと考えておるのであります。
 次に投資銀行と申しますか、私は投資銀行と言うよりも発券銀行と言つた方が、ほんとうではないかと思いますが、ちようどその名がきまつていないがごとく、まだ実体もきまつておりません。どういうふうなかつこうで行つたがいいかということで、臨時金融制度懇談会で御検討を願つておりますが、私の考え方は、過去数十年間に育成せられました日本の金融機構が、敗戦という一つの事実に基きまして、根底からくつがえつた。そうして銀行全部が商業銀行というふうなかつこうで行つてしまつたのであります。それが商業銀行というかつこうで行きながら、実を言つたら、それがいわゆる兼営銀行ということになります。そうしてその詰まりが、長期資金を供給してオーバー・ローンの原因をなしましたので、もともとのごとく、商業銀行として一般の銀行が立つとすれば、はつきりこれは投資銀行と申しますか発券銀行と申しますか、長期金融を主眼とした一つの制度を設けるべきではないか。政府の出資によりまして日本輸出銀行――今回これを輸出入銀行と改めようとしておりますが、こういうもの、あるいは日本開発銀行ができましたが、これだけでは十分ではない。そこで今の発券銀行と申しますか、投資銀行として立つております日本興業銀行的なものを、もう一つこしらえたらどうか。二つこしらえたらどうか。ただいまのところは、あまり数をこしらえたくないのでございますが、日本勧業銀行が、片方では発券銀行であり、片方では商業銀行である、いわゆる一定のわらじをはいている状態がいいかどうか、こういうことで、ひとつ投資銀行、発券銀行というすつきりした特別の機関を、日本興業銀行以外に一つくらい設けたらどうかというふうな構想から、御研究を願つておるのであります。従いまして、最近結論が出ると思いますが、その結論を見まして、私は適当な自分の考えをそれに加え、また結論が私の意見と一致しておるなら、それに乗つかつて銀行をつくりたい、こういう考えでおるのであります。しからばその銀行をつくつた場合において、その銀行の発行する債券はだれが引受けるか、資金運用部資金の方は、三百億円を当初予定しながら、インフレ防止と申しますか、資金対策の上から、金融債を発行しないことにしているじやないか、発券銀行をつくつても、だれがその債券を引受けるか、こういう問題になつて参りますが、それは御承知の通りに、私は今後におきまして、極力貯蓄の増加をはかつて行きたい。郵便貯金の利子の引上げとか、あるいは限度三万円を十万円に上げるとか、あるいは簡易保險等の引上げをやりますとか、また民間銀行におきましては、無記名預金の制度を復活するとか、あの手この手で極力資金の蓄積をはかりますならば、そうしてまた、これに国民が協力してくださるならば、資金用部資金も相当ふえて行くのではないか、また民間資金にしましても、相当ふえて来るのではないか、こういうふうな気持を持つておるのであります。無記名定期預金の状況は、すこぶるスタートがよろしいのであります。私は一、二箇月のうちに、百億以上の新規増加を期待し得るのではないかと考えておりますので、資金運用部の貯蓄増強による資金増加、あるいは市中銀行の預金増加等によりまして、今後投資銀行の出します債券の引受をお願いし、そうしておもむろに短期金融部門と長期金融部門をわけて育成して行きたい、こういう考えで進んでおるわけであります。
○夏堀委員 たいへんけつこうな御説明でありました。発券銀行が御構想のような面で、その引受ができればたいへんけつこうでありますが、あるいは財政面でまたこれを何か一応かつこうをつけようというようなことは、含まれておりませんかどうか、お伺いいたします。
○池田国務大臣 財政面で今どうこうするという気持は持つておりません。御承知の通り、昭和二十七年度の予算におきましては、資金運用部の資金源も相当ふえてますが、対日援助見返資金のたまつた金を引上げるよりも、四百五十六億もたくさん使うことになりますので、相当資金運用部からの放出を抑制しなければならない。しかしそれにいたしましても、私は一般会計の余裕財源で預金部の方の資金源にするように、大体百六十億ないし百七十億というものを予定いたしておるのであります。その程度の一般会計からする預金部の方の援助を計画いたしております。
○夏堀委員 資本蓄積によつてその発券銀行の目的を達成する、こういう御説明であります。たいへんけつこうなことであります。午前中にも主税局長に申し上げたのでありますが、これは一例でありますが、某会社がこの資本蓄積の線を大きく進めるために、年に千数百万円の損失を計上して奨励した。それで大体非常に軌道に乗つて、今のところでは三箇月で千五百万円くらいですが、二箇年で一億円の目標でやつております。三箇年目には二億円になるだろうと私は予想しております。そうしたようなことが、資本蓄積の面においては非常に役立つことであり、そういうようなことを考えるから、一会社でも犠牲を拂つてこれを奨励しているということは、これはたいへんいいことだろうと考えております。そうした面で資本蓄積が、ただそこに貯金をしたということだけではなく、そのためにその目標一億円あるいは二億円、この目標額がものをいつて、銀行の金融面が非常に円滑化されたということも、一つの利益になつております。そういうようなことを大きく国家的に取上げた場合に、国際信用が向上して、国際的な取引が非常に清澄になるだろう、これも予想されるであろうと存じます。一会社が千数百万円の損失を計上して奨励することは、国家等にたとえてみますると、多少の減免税で資本蓄積をするということも考えられるわけでありますけれども、これはちよつと今の立場としては言いにくいことである。しかし実質的にはその線を進めることによつて、資本蓄積が大きく飛躍的に伸びるであろう。それで財政面で私は不備は来ないとは思いますけれども、もし多少の不備が来ても、その資本蓄積によつて伸びる産業の助長が、その何十倍、何百倍のいわゆる育成となつて、それから生れる財政面はまた大きく飛躍するだろう、こうも考えられるわけであります。私のこれまで考えたことは、電源開発等の資金も財政面だけではなかなか容易ではない。そこで三百億ないし五百億程度のことは、この資本蓄積の線によつてひとつ強く推し進められて、それから電源開発の社債を引受けるというようなこともいいじやないか、こうも考えた次第であります。まあこう言つたところで、これはなかなか容易でないような御答弁もありましたので、これをあえて強く主張してどうこうということではありませんけれども、資本蓄積のお話がございましたので、資本蓄積の具体的な案を一体どこへ求めるか。今おつしやつたような無記名預金、これもけつこうな話であります。これなども大きな資本家、余つた金、これは大分役立つでありましようけれども、あれは何か五割程度の天引と聞いておりますが、その程度であれば、あまり零細な資金はその方には流れないのじやないか。今百億云々という御説明がありましたが、それはこれまでたんす預金になつておつた金が、そこに急にふえ出したことであるか、それを継続的に持つて行くことができることであるかということは、これは疑問であつて一応まあこの線が浮かんだからやつてみようということであれば、百億や二百億は大した金ではありませんから、この線はまとまるかもしれませんけれども、はたして継続的にそういうような金がまとまるかどうかといえば、これも疑問じやないかと考えております。もつと具体的に資本蓄積の線を税体系の確立とにらみ合せて推し進める。それは多少財政に不備は来るといたしましても、しかし今申し上げたように、全体の産業が助成されることによつて、追つてその資本蓄積が産業面に飛躍するということになつて、財政面は非常に強化されるということも考えられるのじやないだろうか、こう考えるわけであります。この点に対する御所見を伺いたいのであります。
○池田国務大臣 まつたく御同感でございます。今の無記名預金によつて一、二箇月で百億と申し上げましたが、大体私どもの見通しでは、一年間に無記名預金というものは千億円から千二百億円になると思います。そのうち、ほんとうに預けられるものは大体半分、今までの定期預金が振りかわるのが半分、実際にふえるというのは、一年間を見越して五、六百億円ではないか、そういう見通しでおるのであります。
 なお無記名定期の税率が実は五〇%になつておるのでありますが、私はこの点は将来少し引下げるように考えてしかるべきではないか、こう思つております。無記名定期を認めた以上、五〇%もとるというのは少しまだ行き過ぎではないか。資本蓄積のためからいつて、これはもう少し引下げるべきではないかという気持を持つておるのであります。
○夏堀委員 わかりました。無記名定期預金の五〇%の税はちよつと多過ぎる、こういうことも考えておりましたので、よく了解いたしました。
 なおオーバー・ローンをある程度是正するために、今の新銀行を設置するということは、構想としてはたいへんけつこうなことでありますが、何か開発銀行等において、このオーバー・ローンに対する方法を一体考えておられるかどうか。いわゆる長期資金の肩がわりを開発銀行でやり得る態勢ができるのかどうか。またあるいは法律上そういうことは一体どうなつておるのか。この点についてお伺いいたします。
○池田国務大臣 開発銀行を設けました一つの理由は、一般の銀行が融資すること困難なる場合において、しかもそれが国家の生産増強の目的に沿うような場合におきまして、融資し得るような銀行をつくろうというのが主眼でございます。しこうしてまた第二点といたしましては、既設融資、一般市中銀行が融資しておるものであつて、開発銀行が今申し上げましたような目的の上から、肩がわりした方がいいと思われる場合においては、肩がわりもしよう、こういう二つの目的でできておるのであります。従いまして予定といたしましても、今年度大体四、五十億円の肩がわりを計画いたしておつたのであります。しかるところ、肩がわりの状況を見ますと、必ずしも肩がわりでなしに、新規貸付と同じような結果を見る場合が多いのであります。それはたとえば造船資金を一般市中銀行から出しておりますので、そこでオーバー・ローン解消のために、造船資金を肩がわりしようというので、肩がわりいたしますと、その金が日本銀行へ還流はいたしますが、すぐまた出てしまう。こういうようなことに相なりますので、今のところ肩がわりというのは、あまり大きな部面として考えておりません。オーバー・ローンの解消の意味からいつて、今度の投資銀行がどの程度役立つかというと、私はあまり大して期待ができぬのじやないか。これは御承知の通りに、日本勧業銀行におきましては二百億余りの――三百億でしたかの債券を発行しております。その債券発行の資金と、一般預金の六百億余りの預金が、これがごつちやになつて行つておるのでありますが、これはある程度区分して、将来大きい発券銀行、投資銀行というふうに育成して行こうとしておるのであります。今設備資金に貸しております金は何千億円でございますから、一挙にこれを解消することはなかなか困難と思います。そこで私は資金の蓄積をして、日本銀行へ返すと同時に、一般事業界がやはり自己資金をふやすということで行くべきではないか。一昨年は七百億円ばかりの増資がありまして、そして非常な株もたれになつて昨年は株価が下落した。しかし経済回復と同時に、相当増資も行われるようになつた今の場合におきましては、私はどんどん増資したらどうか。株価が大体最低のときよりも七、八割高になつており、あるいはものによつては倍近くの株価を維持するようになつて来ましたので、この際一般事業会社は増資したらどうか。また社債の発行をしたらどうか。こういうふうな気持を持つて進めておるのであります。幸いにこの機運が出まして来る五月におきましては、一月に百五十億円くらいの増資計画ができておるようでございます。やはり会社が資金を蓄積し、また一般国民の増資に対応する資金をこしらえる。こういうふうなことで、銀行の預金をふやすことと同時に、事業会社の自己資金増加の方法を講じて、そしてオーバー・ローンの解消をしたらどうか。すなわち社債を発行して、銀行がそれを引受けるとか、あるいは一般の投資者から株式拂込み資金をとつて、そして運転資金に充てるとか、旧債を返すとか、こういう方面でオーバー・ローンの解消策を考えるべきであつて、そういうところが、投資銀行の新設よりももつと力強いものじやないかと、私は考えておるのであります。
○夏堀委員 現在の産業の姿において、資本の蓄積ということも考えられるのでありますが、もう一歩進めて今問題になつておるいわゆる産業の助成ということは、電源開発がまず第一であります。この電源開発の資金の調達をどうするか。私先ほど申し上げたように、減税くらいは思い切つてやつても、資本の蓄積によつて、それを電源開発のために充てるということもいいではないか。それはまだ研究しなければならぬということであれば、それでもよろしいけれども、しかし電力を多く使う会社が、今電力がないために、事業がほとんど六〇%程度にとどめられている。私どもの地方では、大体今のところ四〇%くらいは電力不足のために停頓しております。これを電力さえあれば、一〇〇%もあるいは一二〇%もできるでありましよう。そうした線が進むことによつて、いわゆる産業が大きく伸び、資本蓄積もほんとうに軌道に乗り、本格的になると考えますので、資本蓄積とにらみ合せて、電力を多く使う会社に、一つの電源開発債と申しますか、そうしたようなものの発行をさせて、引受を指導すると申しましようか、強要まで行かなくても、やればやれることでありますから、財政面だけにたよつて、この資金をまかなうということは困難であろうと思いますので、その点どういうものであるか、こう考えているのですが、これは私の意見であります。
 たいへん御多用のようでありますから、この程度で私はきようの質問は打切りますけれども、一会社でも、千数百万円の助成金をやつて、資本蓄積に成功し、二億円ぐらいの資本蓄積は二年か三年くらいで成功したということにかんがみても、この点を決して軽視すべきものではないだろう、こう考えておりますので、この点をもう一段と政府で御研究願つて、日本産業の助成のために、何か思い切つた案をおつくりになることがいいじやないか、こう考えておる次第であります。別にこれに対する御答弁はどうこうということではありません。私のきようの質問はこれで打切ることにいたします。
○高田(富)委員 簡單に三つの点について、大臣に質問いたしたいと思います。第一点は、租税特別措置法によりまして、現在外資法人に勤務する外国人、あるいはこれに類する重要産業に従事する外国人に対しましては、所得の半分を控除し、最高限度二百五十万円までは控除するという規定になつておるのでありますが、将来相当たくさんの外国人が、この種の産業を興し、またそこに勤めに来るということが予想されるのでありまして、その際日本人との間に、あまりにはなはだしい待遇の相違が、同じ日本政府の手によつて行われると、一方は基礎控除五万円ぐらいでやつているときに、三百五十万円の基礎控除というようなことは、両国の国民がここで一緒に生活して行く上におきまして、これは非常に大きな問題になるのではないかというふうに考えるのであります。これにつきましては、何か聞くところによりますと、日米通商航海條約なんかを締結する際に、改正するというふうな話があるやに承つておるのでありますが、この点についての大臣のお考えを聞きたい。
○池田国務大臣 一昨年国会の議決を経まして、アメリカ人に対しまする所得税の課税の特例を設けたのでございます。それは御承知の通り、生活水準が違いますので、日本人と同じような税法をただちに適用するということは、少しきついというので、あれは昭和三十年までという期間で、ある程度の減免をやつておると記憶いたしておるのであります。将来の問題といたしましては、これは私はできるだけ早い機会に、その差を少くして行くべきだという考えは持つているのでありますが、私の記憶では、多分外国でもそういう例があつたと思つておりますが、今後やはり外国人の状況その他によりまして、適当な措置をとつて行きたいと考えております。
○高田(富)委員 それでは次に、ちよつとこれは問題が違うのでありますが、この機会に大臣の考え方を明らかにしていただきたいと思いますことは、この間も公聴会でいろいろ学者などの話を聞きますと、要するに基礎控除というものは、国民の生活の最低限度を保障するという建前の控除であつて、生活の最低水準は課税の対象にしないというので、昭和十年ごろには一年間千二百円であた。それを現在の物価水準に直して三十万円ぐらいまでは、基礎控除さるべき性格のものであるけれども、これが現在財政の必要上その中へ食い込みまして、結局所得税が大衆課税になつてしまつておる。直接税、間接税の差が実質上なくなつておる。結局所得税もまた生活費の中から税金をとることになつておるのであつて、そういう意味で、もしやむを得ざる一時的な国家財政の必要上、生活費の中からまで税金をとらなければならないときには、取上げたものが再び国民の生活水準を高めるために活用されるということであるならば、そういう前提のもとにおいては、基礎控除が現在のように、――現在あまりにはなはだし過ぎますけれども、若干控除額が低いとしましても、生活へ食い込みましても、そういうことは返つて来るものであるから、認められてもよかろうというような学者の意見でありましたが、私は現在の基礎控除の五万円というものは、はなはだしく生活の最低の線とかけ離れ過ぎておつてもはや基礎控除の税法上の理論を完全に破壊してしまつて、意義をなさなくなつてしまつておるというふうに考えます。同時にこういうふうにしてまで国家に出しましたものが、あるいは国家の力を借りる資本の蓄積にこれが用いられ、しかも大部分が国民生活の向上の方面ではなしに、防衛その他いろいろな関係に費消されているということになりますと、結局こういうことを循環して行けば、生活費から税金をとり、そのためにやせた生活費の中からさらにまた税金をとり、ということになりまして一方では非生産的な企業の大きな資本蓄積はできましても、結局国民経済そのものは、かかる税の建前から行きますと、究極的には破壊されてしまうのではないか。この際大蔵大臣の基礎控除についての考え方を、明確にしていただきたいと思います。
○池田国務大臣 私はあまり学問上のことは存じませんし、この公聴会でどの学者がおつしやつたのかもわかりませんが、基礎控除というものは、最低生活費を引くべきものであるということばかりに限定するのはいかがと思います。理想論から言えばそういうふうに言えるのでしようが、税制というものは理想論ばかりには行かない。そこで最低生計費という問題がむずかしいと同時に、基礎控除と最低生計費との関係ということもむずかしいのであります。この問題は、松尾さんの質問に主税局長が言つておりますように、基礎控除というものは、ある程度は最低生活費ということも考えられようが、免税点にするか基礎控除にするかという問題と一緒に論ぜられるのであります。所得の階級による区分を、税率ばかりでなしにこれでカバーするという点で、税理論の上から基礎控除というものは相当の使命を持つておる。私は五万円でもちろん十分だとは考えておりません。最低生計費がどうであろうがこうであろうが、そういう問題から離れて、私は五万円では少いと思つておりますが、財政の状況から申しまして、先ほど主税局長が答弁いたしましたように、扶養家族四人で十二万円程度、月に一万円、しかし扶養家族四人の生活は保護費というものは七千円か七千何ぼ、こういうことであります。そこで生活保護費というものは五人家族で七千数百円、しかし税法上は五人家族で一万円の控除になつておる。しかもそれは一割五分控除した分についてのことであるから、あるいは一万二千五百円の月收入に対しての五人家族には課税しない、こういうことに相なつておるのであります。従いましてこれはいつのときも議論になるのでありますが、私は基礎控除というものは最低生計費から行くべきものだという、一部の学者の説には賛成いたしません。税というものは財政経済とのにらみ合いから来るものでありますから、最低生計費ばかりではなく、やはり財政の需要の点からも考えなければならぬ。しこうしてまた基礎控除というものは、所得の階級別負担の一つのあれで、免税点ということになりますと、また最低生計費に近寄つて来ることに相なりまするが、私は基礎控除というものは、そういう今申し上げたような意味において、財政事情とにらみ合いながら考えて行くべきものだと思つております。
○高田(富)委員 それからこれは今の問題とも関連するのでありますが、当面、今行われておる昭和二十六年度の確保申告の問題であります。これはぜひ大臣によく実情を知つていただいた上で、適切な処置をとつていただかなければならぬと思うのであります。と申しますのは、今度減税されたというようなことになつておりますが、現実には、これは農村でもそうでありますが、特にはなはだしいのは中以下の商工業者の実態であります。この間の公聴会でもそういうことを述べられた方もありましたけれども、私自身も現実に相当広汎に、最近の納税者の実情を調べておるのでありますが、何としましても更正決定は、大体三十万円から五十万円程度の人につきましては、去年の倍くらいが普通なのであります。しかもこれを調査しますのに、ある場所では集団調査というのをやつておるところがあるのです。つまりおとなしく一人で行つて調べるのではなくして相当数の者がどやどや行つて、そうしてほとんど強圧的な調査のようなことをやつて、判をとつておるというような実例もあります。また呼出しをいたしましても、ほとんど当局の考えておることそのままをのみ込ませるために、いろいろなことを言つて、結局威圧的に捺印させてしまう、こういう事例が一般的でありまして、判を押してしまつた人々は実際頭をかかえて苦しんでおる。これはもうやむを得ず押してしまつたのだというのが捺印者の大部分です。そこでこの際大臣は、そういうこうを認めないかどうかは知りませんが、これは現実でありますので、そういうふうにして不本意ながらいろいろな事情によりまして、捺印をさせられてしまつたといような人々に対する救済の道が一体あるかどうか、あればどういう救済の方法が考えられるかということを、ひとつ明確にお示し願いたいと思います。
○池田国務大臣 私は不本意ながら申告書に捺印なさる人の気持がわかりません。そういうことはすべきではありません。税というものは、税法の命ずるところによつて、規定の通りに自分が誠実に申告すべきもので、不誠実なことを税務官吏が押しつけて、不本意ながらそれに判を押すということは民主主義に反しますから、絶対反対であります。もしそういう事例がありましたならばお教え願いたい。そのかわり査察部か調査部の人に行かせて、詳細に調べて、それによつて決定します。
○高田(富)委員 そういう事例が非常に多いというのは、私は見て来ましたし、実際上の問題であります。ただいま言われましたように、今度はそういう事例につきましては確証をあげて、そして個々の具体的な事実につきまして当局において善処をするように――ただいまの大蔵大臣の言葉もそういう意味であつたと思いますので、誤りはひとつ是正させる、ほんとうの申告に改めさせるという方向に努力したいと思います。むろんそれは実に非民主的なことで、あなたのおつしやる通り、許すべからざる非民主的なことでありますが、これが今日の通例でありますから、これを民主化するために、ただいま大臣の言われた通り、もう一度それを改めさせるということのためにひとつ努力したい、かように考えます。ではこれで私の質問は終ります。
○佐藤委員長 松尾トシ子君。
○松尾委員 大臣に一点だけお尋ねをいたします。ただいま非常に問題になつておりますポンド過剰をいかに解決して行くか、この際大臣の御意見を伺いたいと思います。
○池田国務大臣 ポンド過剰という言葉にもいろいろな点がありますが、金があり余つて困るという意味じやなく、金は幾らあつてもいいのでございます。しかし金があつて物がないのは困るということで、ポンドが過剰で困るというのじやないのです。ポンドは幾らあつてもいい。今八千五、六百万ポンドございますが、それは八億五、六千万ポンドになつてもいい。ただそれによつて日本の物が少くなるということはいやだから、早くポンドを使つて物を入れたい。こういうので、ポンド貨を為替銀行を通じて商社に安い金利でお貸しして、早く物を入れていただきたい。そのお金はお貸しいたしましよう。これが私の第一のねらいであります。
 第二のねらいは、ドル地域の安い原材料をもつて製造したものを、割高のポンド地域へ売つて、そうしてもうけるのでありまするが、そのもうけをポンド地域の人にさらわれてはいけないから、よほど輸出の條件を考えて、よくやつてくださいというので、為替契約の問題、あるいは今はやつておりませんが、ポンド地域に対しまする輸出手形の割引の掛値の問題、あるいは通産省で最近ようやく考え始めましたある特殊の製品の輸出制限、こういうふうなことが今話題に上つておるのであります。いずれにしても、ポンドがたまつて困るというのでなしに、ポンド地域から早く物をたくさん入れて、脆弱な日本の経済をできるだけ底の強いものにしたいというのが、私のねらいであります。
○松尾委員 お話の内容はわかりましたけれども、金が余つて困つているのではなくて、物が買えないというようなことなのですが、ポンド地域から物を買うと、実際のポンドの為替レートよりも、非常に損をするというような話を聞いております。たとえば今千八円のものが、実態は八百五、六十円くらいという話も聞いておりますが、その場合に特別の手を打つて、実態に合せたレートでポンド地域から輸入ができるような工作はできないものでしようか。
○池田国務大臣 千八円が八百五十円程度ということは、私ども認めるわけではございませんが、巷間ではそう言つております。そこでそれならポンドの自由売買をやるという問題につきましては、ただいまのところ日英協定でできないことになつておるのであります。たとい日英協定がなくなつても、今の状態では日本の銀行が外国にもありませず、商社もないという場合におきましては、これはできません。日本の商社、銀行が外国に出て行くと同時に、今の日英協定をどうするかというのが問題になつて来るのであります。これは御承知の通りに、ポンドの公定の掛値が安いということば、それだけポンド地域の物価が高いということであります。たとえば同じ綿にいたしましても、米綿ならば四十一、二セントが、印綿ならば品質が必ずしもよくなくて六十セントあるいは五十五、六セント、こういう状態であるのであります。そこで紡績会社の方はポンド対策として、安い米綿ばかり買わずに、印綿を買つたらどうかという話が出て来るのも、そこにあるのであります。こちらとして、やはりそういうできるだけの手を打つて、ポンド地域からの物を輸入しよう。これは今米綿と印綿の話をいたしましたが、まだほかの品物につきましては、そう違わぬ場合もあるのでございまして、何かあの手この手でどんどんポンド地域から、あまり損をしないでくふうすれば入つて来るものと私は考えております。
○松尾委員 大臣は、私がこのようなことを申しましたら、乱暴なとおつしやるかもしれませんけれども、いわゆる国と国との協定でやらないで、政府が目をつぶつて、いわゆる純粋の商人をポンド地域に派遣して、安いものを買つて来るというようなことはできないでしようか。そうしてコストを低くして、輸入輸出を非常にマッチしたものにして行つたらいいのじやないかと思うのですが、そういうことはできないでしようか。
○池田国務大臣 そういうことはできぬことはございません。商社の人がやはりポンド地域へみな行つてやつております。しかし敗戦後のあの虚脱状態から、日本の実業家並びに金融家は――政治家は申しませんが、はつきり昔の状態に返つておりません。今の輸出契約の場合におきまして、契約ができたら三箇月、信用状が来たら三箇月、この為替予約の危險を政府が負担する、為替予約の危險を銀行や商社でなしに政府が負担する、こういうのを三箇月に縮めようとした場合に、ああいうあれが出たのであります。為替負担は政府がみな持つてくれというのが今の実業界、金融界のあれなんであります。今は銀行家にいたしましても貿易業者にいたしましても、全部政府におんぶしている。だからいつまでもおんぶして行くわけに行かぬから、いつまでも楽をして行くわけに行かぬから、あなた方ひとりで歩くようにしなさい、手を引いてあげますから、というのが、今月十八甘の大蔵大臣のポンド対策である。だが、まだ手を引いただけでは歩けぬから、もう一ぺん半かかえにしてくれというのが今の陳情であります。早く歩けるようにならなければならぬというのが私の気持で、早くひとり立ちして行くように、銀行家も産業家もあるいは貿易業者も、こういうふうに仕立てて行こうとするのでありますが、七、八年あるいは戦争を加えますと十数年間、政府にたよることを事としておつた一般財界の人は、まだ抜け切らぬようでございます。これは言い過ぎの点があるかもしれませんが、私の気持をはつきり申し上げますと、そういう状態であるのであります。そこで徐々にこれから平和が回復でき、日本の商社も小さいながらも外国支店を置き、また銀行も外国に支店を置いて為替業務を取扱う、そういうように行かすためにも、まず日本の外国為替銀行と銘打つた人、がドルにしてもポンドにしても、自分の金でお持ちなさいと言つても、一つも持たない。ドルやポンドを一つも持たずに為替銀行の存在はない。こういう状態でございますから、外国為替銀行はドルをお持ちなさい、ポンドをお持ちなさいということを先般来勧めておるのも、早くひとり歩きをするようにしてください、こういうことの私の気持の現われであります。
○佐藤委員長 奧村又十郎君。
○奧村委員 大蔵大臣にお尋ねいたします。政府は二十五年度からとつて来た現行税制度を確立して行こうとする熱意を失いつつある、現行税制度の特に強調しておるところの公平原則を、ぼつぼつくずして来ておるというふうな感じを、一般に持たされておるというふうに思いますので、この点についてお尋ねいたしたいと思うのであります。特に私は各地における税務官吏の方々が、そういう不安を持つて、税務行政の上においてかなり志気をくずして行くのではないかということを案じまするので、特にこの税務行政に長年苦労された大臣のこの画におけるお考えを、承つてみたいと思うのであります。
 申すまでもなく現行税制は、シヤウプ勧告に基いてあらゆる所得を徹底的に把握して、そのかわりにその負担力に応じて公平に課税とよう、税法上の公平だけでなしに、その法律の実施面においても、極力法律通りに実施面において実施して行こう、こういうことで出発したわけでありまして、政府の機構も主税局と国税庁と切り離して、国税庁は税務実施面においては徹底的に法律通りに実施して行こう、こういうふうにして、あまり政府の政策に国税庁はとらわれないというような建前で出発したはずであり、また株式譲渡所得にしても、行く行くは株式名義書きかえの制度を励行して、もつて株式譲渡所得も徹底的に把握して行こう。そこで昭和二十五年度では実施面においてなかなか完全は期し得られないが、三、四年後においては完全な税制度を確立しよう、こういうことで出発したはずであります。ところが最近立法上の政府の態度、あるいはまた実施血においても、かなり政府の方針を放倒したかと思われるような情勢になつて来たと思われるのであります。今回の規定におきましても、譲渡所得に対する控除、あるいは相続の場合の譲渡所得のみなし所得の課税を免税する、こういう点は実際上けつこうではありますが、公平の原則をくずして行くという印象を與えて行く意味において、政府は国民に納得のできるように説明をして行つていただきたい。そこでこの程度ならよろしいが、なお一歩進んで問題があるので、その点をお尋ねして行きたいのですが、株式の譲渡所得を全部免税にする。これは大蔵大臣がこの国会で言明されたと承るのでありますが、こういう点、それから無記名定期預金の制度を復活する、あるいは匿名供出に対しては課税しない取扱いをするという通達を出された。あるいは社会保險料の收入に対しては三〇%で打切つてそれ以上は課税しない。そのようなことについてはどうも立法上からも実施面においても、はたしてこれは公平の原則を貫いて行けるかどうか。これはむしろ税務官吏の方々が非常に疑つておられる。そこで私はこれらの行き方が必ずしも悪いというのじやない。政府は全体として公平を貫かねばならぬ。また実施面においても、全体として公平に処置されなければならぬ。そこで匿名供出あるいは社会保險料に対する取扱い、これについては政策的に多少税法がゆがめられておるというふうに見られる。先般来大蔵委員会で、国税庁長官からこの点の税法上からの説明を承つたのでありますが、これに対する政府の納得の行くような説明を聞かなくちやならない。また無記名定期預金の制度にしても、一般に対しては無記名定期に預けた金の、そのもととなる所得に対しては、これはもう調査の方法がない。つまりそれだけは税金がかからぬのだ。こういう宣伝が盛んに行われて、つまりこれらの取扱いがあたかも税法の及ばぬ一つのわくを政府みずからつくる、こういうふうに見られる。そこで、これは私は説明はつくと思うが、少くとも昭和二十五年度からとつた現行税制の精神から行くと、少し説明がつかぬ。もともと昭和二十五年度のシヤウプ勧告に従つての税制は、日本の実情に沿わぬ点があるから、全体として幾分方向を実際に合うようにかえるのだ、しかしそういうふうに行くならば、少くともまだほかに日本の実態に合わない面もあるから、全体として方向をかえるのだ、というような説明をしていただきたいと思うのであります。すなわち、勤労所得の控除にしても、昭和二十四年までは勤労控除は二五%、ところが一五%に切り下げた理由の中には、あらゆる所得を徹底的に把握するという建前のもとに、勤労控除を二五%を一五%にした。そこで立法上もまた税務行政においてもかなり方向をかえるのなら、勤労控除においてもこの際歩調をともにして、控除を多少ふやすべきではないか。あるいはもし大臣の言われるごとく、株式の譲渡所得に対して課税しないとするならば、これと同じような性格を持つ山林所得あるいは不動産の譲渡所得に対しても、これと歩調をともにした改正を用意すべきではないか。この意味において、つまり全体としての公平を保つ上においての政府のはからいを希望し、それに対する政府の御所見を伺いたいと思うのであります。
○池田国務大臣 やはり税制は、理論も必要でございますがするが、その国の経済の状況等にもよらなければならぬのであります。理論一点ばりに行つて、実績の上らぬようなことは、私は感心しない。従いまして、シヤウプの勧告案につきましても、非常にいいところもありまするが、やつてみてなかなか実際に沿わぬ点がございます。従いまして、方向といたしましては、私は実際に合うようにかえて行きたい、こういう気持を持つておるのであります。そこで徐々にかえておりまするが、しかしでき上つた税制を、一度に手のひらを返すようには行きません。やはり情勢を見ながら徐々にやつて行こう。その間に税制にマツチして来る場合もあります。また税制が実情にマツチして行く場合もある、こういうふうにしてやつて行かなければならぬ問題だと思います。御指摘の讓渡所得については、ことに株式の讓渡所得につきましては、将来は他の有価証券移転税というふうなものにかえて行くのが適当ではないか、私はこういう考えを持つておりますが、とりあえずの問題といたしましては、今御審議願つておりますように、十万円の控除をいたしまして、五分五乗の制度に改める。山林につきましてもそれにならつております。今後有価証券の讓渡所得というのをやめた場合におきまして、山林の所得がどうなるか、あるいは不動産の譲渡所得がどうなるかという問題は、個々の所得の状況によつて考えて行かなければならぬ問題と思います。シヤウプの税制勧告以前にさかのぼる場合におきましての勤労控除の問題は、どうかということになりますと、これはりくつの問題と財政收入――今の山林所得とか讓渡所得というものは、財政收入の問題はごくわずかで、理論と実際の問題、勤労控除の問題になりますと、理論よりも財政上の問題、こういうことになりますので、財源その他の関係によほど影響いたしますので、よく考慮しなければならぬと思います。また今お話になりました社会保險の医療費の收入の問題、これは今はお医者さんによりまして、社会保險の医療費の收入と一般收入との割合が非常に違つております。薬価も高くなつておる。今までのように社会保險医が四五%の所得があるなんということは、今年度なんかではとんでもない話で、そうはありつこないのでありますから、その点は一般の医療收入と社会保險の收入の割合、経費のわけ方、そういうものをやつてみたならば、大体三〇%程度が適当ではないか。人々によつて違いますから、一律の率にいたしておりませんが、ああいう一点單価の問題が政治的に取扱われる場合におきまして、しかも單価を引上げるか、点数を引上げるかという場合において、われわれの方で所得標準率を再検討した場合において、相当引下げるべきだという結論に到達いたしましたので、ああいうふうにいたしたのであります。政治的にあまり考えたのではありませんが、実情がああいうふうになつて来ることを予見してやつたのであります。また匿名供出についての課税の問題は、今の日本の状況から申しまして、どうしても米をたくさん出してもらわなければならぬ場合におきまして、一年限りにおいてその結果を見て――これは二十七年度の所得でありまするが、結果を見て特段の措置をとることが必要であろうという結論に到達いたしましたので、行政的措置で行く場合はそれで行く。税法ののりを越えて、行政措置で行かぬ場合におきましては、立法措置を講じてやりたいと思うのであります。問題は税法をどうするかという問題の場合において、公平観念を強く持つて行くか、あるいは租税原則の経済原則を相当強くクローズ・アップして行くか、社会原則をクローズ・アップして行くかという問題は、そのときどきの情勢によつて税法をきめなければならぬ。しかし税法がきまつた場合におきましては、これは税法通りにやらなければいけません。しかし税法通りにやるにいたしましても、税務行政もやはり一つの政治でございますから、法の明らかに禁止しておる場合にはこれはできませんけれども、法がある程度において行政的の範囲内において認められたような場合におきましては、行政面である程度のしんしやくということは考えられる。しかしこれには限度がざごいます。
○淺香委員 関連質問――昨日高橋国税庁長官にお伺いした問題を、さらに大蔵大臣に質問をしますことは、重複のようでありますが、非常に重要な問題だと思いますので、いま一度大臣の御意見を伺いたいのです。まことに遺憾なことでありましたが、過日大阪国税局管内において、八署でありましたか、九署でありましたか、疑獄事件が起りましたことは、すでに大臣のお耳に十分入つているはずであります。つきましては、たとえば東成税務署のごときは、法人直税係が十二名これに連座いたしました。こういう署に起つた問題に関連いたしまして、納税者の気持というものが、税務署に対して信頼感が持てぬ、従つてその決定を受けた額というものに対しては、非常に首肯できないというような心理状態――これはこうした税務署で起つた問題であるがために、査定のやり直しをしてもらわなければならぬ、こういう気持が納税者に横溢しているわけでありまして、この点について昨日も高橋長官に、査定のやり直しをする意思があるかどうかということを、私は質問いたしましたが、査定のやり直しは困難である、しかし大いに今後調査しようというような御答弁でありました。これでは私ども少しく納得が行きがたい点があるのであります。繰返して申し上げますが、法人税の係十二名山約半数がこれに関連した事実に照しまして、この査定は正しいとは一般に考えられません。これは一つの例でありますが、八署、九署関係いたし、数十人が今司直の手で取調べを受けております。こういう場合に対しましては大臣としてはどうお考えになりますか。一応もう一度お伺いしたいと思います。
○池田国務大臣 税金の査定と、そしてその査定に当つた者の不心得とは別個の問題と思います。たとい査定をした人がまじめなりつぱな者でありましても、査定に誤りがあればこれはやりかえなければなりません。しかしふまじめな者であつても、査定に誤りがなければやりかえるべきものじやないのであります。りくつはこうだと思います。そこでそういうように不心得者、ふまじめ者がやつた分につきましてもしやりかえるとすれば――賄賂なんかとつておるとすれば、そういうものはえてして税法の命ずるところよりも低くしているのが通例だと思います。そういうものをやりかえれば高くならぬとも限りません。不心得者のおつた税務署の査定は、全部やりかえなければならぬということじやないのであります。やりかえる、やりかえぬは、それが不心得者でありましようが、ふまじめ者でありましようが、税法に違反しているかどうかということで、考えるべき問題と承知しております。
○小山委員 奥村君の質問に関連して申し上げます。大臣の説明が少し足りなかつたかと思われる点がありますので、なおさら私の方でお伺いしながら大臣のお考えを伺いたい。大臣が仰せの通り、税法というものもあるいは税制というものも、これは政治の一環であります。従つて財政收入とにらみ合せながら、税はもとより公平でなければならぬのでありますけれども、国策に従つてある種の税のとり方については、これを軽減するという措置をとることは、政治の行き方として世界各国がとつている政策であろうと思うのであります。過日来当委員会におきまして、証券の讓渡所得税の問題が論ぜられ、あるいは山林の譲渡所得税の問題が論ぜられたのも、国策としてどの程度にこれを取上げて行くのか、そしてその国策を税制の面において、どのようにこれを展開して行くのかということが、主たる論点であつたろうと思います。奥村君の仰せられたこともそのことを申されたと思います。そこで私が証券の譲渡所得税と山林の讓渡所得税の問題について、大臣の意見を伺つてみたいと思うのであります。
 まず山林の讓渡所得税あるいは山林の相続税あるいは山林の富裕税等における評価、こういう問題であります。国の緑化政策というものが、国策として治山治水の問題として、あるいは災害防除の問題として取上げられておる。そこでこの緑化政策、つまり山林の保護、助長をして行くという政策が、税制面において取上げられておる点が薄弱なのではないかという点が、論点の一つであつたのでありまして、今度の改正案に取上げられております山林の讓渡所得税に対する十万円の基礎控除、あるいは近く提案されると主税局長が説明されておるところの、租税特別措置法における再評価税において、さらに十万円の基礎控除をするというようなことがあるのでありますが、それでもつてはたしてこの緑化政策というものが、十分にできるであろうかどうか、こういう点について大臣は今度の改正で満足されておられるのかどうか、あるいはさらにこれを改正する御意思があるかどうかという点を、われわれとして伺つておきたいのであります。奥村君が申されたところは、この点をお聞きになりたかつたのであろうと、私想像するのでありますが、その点あらためて大臣の御答弁をお願いいたしたいのであります。
 同時にもう一つ、税制は政治であるという観点から、資本の蓄積ということが最近非常に叫ばれておるのでありますが、資本の蓄積と申しましても、国民の所得が限定されております場合には、外資を導入するほかしかたがない。外資が入つて来れば国民の所得はふえましようが、外資が入つて来ないで、国民所得の範囲内においていかにして資本を蓄積するかということになりますと、これは消費を節約して、それを資本の再投下という形に持つて行くように、税制を改めるほかないのであります。資本の蓄積と申します場合に、とかく考えられがちなのは銀行預金、その預金という間接投資の形におけるところの資本の蓄積の助長政策が考えられるのでありますけれども、証券を通ずるところの、つまり直接投書の形における資本蓄積の助長ということは、とかくないがしろにされがちである。そこで大臣は先般予算委員会においても、証券の譲渡所得税は廃止するのが、資本蓄積として最も望ましい政策であるということを述べられたのであります。私どもも同感でありまして、証券投資ということが助長されるがためには、証券が自由に売買される素地をつくらなければならぬ。それは制度の上の問題としてのみならず、心理作用を伴つて来なければならぬ。証券を買い、あるいは証券を売る、そのたびに税務署からその資金源を追究されるというような不愉快な状態が起りますと、証券に対する投資は助長されない。その意味において証券譲渡所得税はわれわれあえて撤廃とは申しませんが、一時的資本蓄積の助長政策として数年間を限つてでもよろしいのでありますから、この譲渡所得税を一時停止すべきであるということを、われわれは強く主張して来たのでありますが、大臣においてもこれは御同感のようであります。ただ問題はその時期であります。この時期がよろしいということであり、大臣も賛成であるということであるならば、私どもは一刻も早くそういう制度に持つて行かなければならぬと思うのでありますけれども、大体大臣のお考えとしては、これは今国会中にその実現を見るべく予期されておるでありましようか。その点を特に明確にお願いをいたしたいのであります。
○池田国務大臣 前の御質問に対しまする答弁が不徹底であつたのでございますが、具体的に申しますると、山林所得につきましても今ではまだ不十分でございまして、思い切つてやらなければならぬと思う。常にこれは問題になつておるわけでありますが、今治山関係で数十億、造林関係だけでも二、三十億使つておると思う。山林所得の税金はその十分の一の二、三億円ぐらい、片一方では造林、植林に何十億という金を使いながら、その十分の一にも足りない税金でとやこう言うのは私は政治じやないと思う。何と申しましても日本の国土を保全し、将来の経済力を養うのが主でございまするから、私は山林所得なんというものにつきましては、近い将来想い切つて軽減したい。株式の譲渡所得につきましても、みんながたくさん株を持つて、そうしてそこに譲渡所得が相当出て来るときになつて行えばいいので、今の間は私は何をおいても経済力の蓄積、増強が第一だと考えておるのであります。ただ先ほど申しましたように、一度に手のひらを返すように行くのもいかがかと思いますので、税制を実際にマッチすると同時に、また実際のところも税制にマツチし得る場合もありますので、いましばらく様子を見たい。相続税、ことに今問題にはなつておりませんが、私は富裕税なんかもやめたいという気持があるのであります。ああいうふうにたいへんな税法を設けまして、十億円程度しかしらずに、そうしてそのためにいろいろな物議を起しましてやるよりは、やはり多額の所得者に対しまして累進税率を一応とつて、まあ財産税的なものはまだまだ国が富んでからやるべきことである。ことに無記名預金制度なんかができたのを見ますと、これは一角がくずれておるのであります。私はもつと日本の実情に沿つたように、公平を維持しながらかつそれに対してそれと同じ程度くらいまでに、ひとつ国力の充実発展というところへ持つて行きたいという気持があるのであります。今国会においてどうこうということは、ただいまのところ考えておりませんが、早い機会にできればやりたい。それにはやはり実際の動きと税法との兼ね合いを研究しながら、行くべきであると考えております。繰返して申し上げまするが、とにかく日本の経済の育成発展に必要なる場合におきましては、税制上そのことを相当考慮に入れなければならぬのであります。今預金の源泉課税なんかも相当に問題になりましたが、明治から大正、昭和にかけましては預金なんかは五%の増高しかない。二次的な所得だつた。あのころ日本の経済力が伸びたことを考えますと、いたずらに高度の経済組織を目標にした税制は、私は実際から遊離するのではないか。その意味から考えまして、今の現行税法は相当改める点があるのではないか。公平を維持しながら、国力の発展に沿うような税制にして行きたいと考えております。
○佐藤委員長 宮幡君。
○宮幡委員 最初に委員長に希望を申し上げるのですが、かなり委員会が低調であります。しかしながらきようは大蔵大臣も出席せられまして、質問の内容を伺つておりますと、おそらく今国会で白眉と申すべき質問が展開されておる。非常にけつこうなことであります。しかしながらそういたしましてもたくさんの法案を持つております。それが審議も盡さずに行くというようなことになりますと、けさほど夏堀前委員長から盛んに申しておりましたようなことになつて困ると思う。まずわれわれも與党議員のかり出しに十分努めますが、各党にも渡りをつけられまして出席をひとつよくさしていただきたい。これもひとつお願いいたしておきます。それできようは予算委員会の方の開会を待つておる間、質問等はあまりいたさない予定でおりましたところが、なかなか質問の面が広くなりまして非常によい質問が出る。ことにわれわれと必ずしも志を同じゆうしておりません共産党の方々の質問までも、なかなかよろしい質問である。その意味で予算委員会の方の開会と見合いまして場大蔵大臣もたいへんお疲れでありましようが、一つ二つお尋ねしておきます。
 ただいま同僚奥村委員及び小山委員からお尋ねになりました、日本の税制の将来とでもいうべき大蔵大臣の御答弁は、実にたいへん言葉のはしはしに、これが與党という立場でなければ、あらゆる美辞麗句を並べて御賞讃を申し上げるべき内容を持つております。二十五年当時の税制を日本に固守させなければならないというようなことは、私は考えておりません。経済は生きて動いておると同時に、日本の産業経済組織も日々変転しておる、そういうところにはそれに適合した税制が展開されて行くことが、これが明らかに政治であります。またそれが当然に国会の操作でなければならぬわけであります。かつて予算委員会で言つたかもしれませんが、シヤウプ勧告が日本の税制史の上におきましての一つの宝典があることを、私どもは絶対に否定するものではありません。けれどもいつまでもシヤウプ勧告がいいかということには、残念ながらなれないわけであります。奥村、小山両委員の触れられました問題等につきましても、税目に名前のなかつたいうな附加価値税のごとき課税が、シャゥプ勧告に基いてできたのであるが、この附加価値税より現在は事業税としての收益課税の方が、公平であり妥当であるというようにかわつて来ておる事実は現実の問題でありすす。従いましてわが党のとります政策は、これは大蔵当局にも要求いたしまして、当時の日本の経済力をまつたくマスターいたしましたところの税制を展開してもらいたい。これが要望下あります。たまたま二十五年当時の税制を少しも固守する観念がなく、日中放漫にかえて行くなどと非難するものがありとするならば、これはおそらぐ経済なり税制なりというものを知らないものの、ためにする非難であるとしかわれわれは考えないのであります。従いましてただいまの大蔵大臣の御難弁に、われわれは満足の意を表すると同時に、また生きて動いておる経済がいろいろな変化ができました。
 そこで私は――時間がなくなればいつでもよしますが、時間のあります程度で大蔵大臣にお尋ねしたいのでありますが、大体予算の方面におきまして、来年度の法人税の三百八十五億の増收というようなことを中心といたしました予算は、超均衡予算、完全均衡予算が組まれている。ところが最近現われて参りました状況に、日銀発行の通貨が縮小をたどつている。このたどることもよいことであります。しかしながら予定より少し引揚げが強過ぎろような感じかする。これは人為的であるか自然的であるかは検討が残されておりますが、四千三百億を割つた。年末に五千五百億参りましたものが、四千三百億を割つたという通貨の縮小ということが、もし経済の萎縮ということを伴わなかつたならば、これほどいことはないと思つておりますけれど、通貨の縮小が経済の縮小ということになるならば、あるいは萎縮というような言葉をもつて表現するような事態がありとするならば、この通貨の縮小し過ぎるという現象にも、相当注意を抗わなければならないと思う。もしこのままの状況で当初予定の通り、一―三月におきまして百九十億円くらいの引揚げ超過に終るであろうという構想が、もつともつと引揚げ超過の現在の趨勢が行くといたしますと、大蔵大臣の考えとしてまず年度末通貨の量はどの程度だ、年度末通貨の量がおよそ御構想によつて予見できるといたしますならば、もしこの通貨の縮小がこのままの傾向であるといたしますと、来年度の国民所得というものは必ずしも五兆三百億ということは確保困難である。経済力の実質においてはかわりはないかもしれない。しかし名月通貨の点で表わしますところの税收というものについては、あるいは確保できないというような懸念を生ずるのではなかろうか。あとわけてこれに関連して申し上げますが、この二点につきまして大蔵大臣の現在のお考えを承りたいと思います。
○池田国務大臣 お話の通りに日本銀行の通貨は、私の予想以上に急激に減つて参りました。四千三百億台を、三、四日前に割つた。貸出しの方も一般貸付金ガ二千一、二百億円、ユーザンス関係が千二、三百億円で、三千五百億を割るという状態であります。これが経済の縮小かということになりますると、必ずしもそうではないではないか。今御承知の通り一上二月の予定の税收入は、一月の月も二月の月も大体昨年の該当の月に対しまして、百億円程度の増加でございます。これは税收入の増加がございますので、大体予定通りに行つておりますが、ただ問題は、今民間の方で設備資金の貸出しを抑制いたしておりますと同時に、ある部面におきまして整理の過程に入つておりますので、一、二百億円程度の通貨の收縮が早く来ておるのじやないか、こう考えておるのであります。年度末の状況の予想といたしましては、やはり四千五百億程度に相なるのではないかと思つております。まだその措置はいたしておりませんが、食糧関係の方で、ある程度政府資金を使わなければならぬような事態が起きております。輸入は相当ありますが、麦類の配給辞退が多いのであります。食管の方の金詰まり等の関係もございますので、それを是正をして行きますと、年度末は大体四千五百億円程度になるのじやないか。常に気を配りまして貸出しの状況、租税の引揚げの状況、各会計の状況を見ておりますが、私の予想よりも、一、二百億円通貨が縮小しております。それで、今の食管関係の方へ二百億円ばかり最近出そう、こういう考えを持つておりますので、大体四千五百億をちよつと越えるくらいで、年度を越すのではないかと考えております。
○宮幡委員 四千五百億で年度を越すことになりました場合、完全均衡予算の税收の確保の見通し、これは一つの希望的なことでありますが、そういう傾向にあつても経済が萎縮しないのだという裏づけでもありましたら、その点大蔵大臣としてのお考えを承つておきたいと思います。
○池田国務大臣 今の食糧関係の方に二百億円くらい出しますということ、並びに府県あるいは大都市のつなぎ融資を八十億程度計画いたしております。こういうふうなものの財源は、私の気持では大体二十六年度も相当の自然増牧が出ることを期待しております。それを使つてやはりもとは均衡財政、こういうことで今の一時の金詰まりを緩和しよう。地方公共団体につなぎ資金を出す、短期融資を出すというのも、片一方に財源を見ながらやつておるのであります。大体自然増牧も相当あると見込まれております。
○宮幡委員 それで非常に安心ができるわけでありますが、四千五百億程度になつても五兆三百億の国民所得が確保できる。そこに一つの予算の基盤がある。けつこうな見通しだと思います。ただ、今大蔵大臣の御答弁の中にありました日銀貸出しの問題でありますが、これが一月末あたりは総額で大体二千二百億程度であります。通貨が縮小しました昨今の状況では、やはり二千一百億から百五十億くらい、最近またここ二、三日は軽微でありますが、二十億、三十億くらいの貸出し増という現象になつております。経済は生きておるからといつて宮幡お前そう神経質に考えなくてもよいというおしかりをこうむりはしないかと、自分でさえも思うのでありますが、通貨は一面においては減少する。その減少自体はよいが、こういうことを前提としまして、しかもなお貸出しがふえて参るという状況を見ますと、日本の金融機関の浅い経済力に対して、一つの不安が感ぜられるのであります。きようは傍聴者もあまりおりませんので、大した影響もないでありましようから、率直に申し上げますと、金融機関は焦げつきの金を整理するために、各産業ごとに商社等の管理経営をやつております。そうして貸しているものが経営者になるというような立場で、ここにまつたく一つの変態的取引、貸したものを請求できないような状態になるのではないかというような実態がある。これは端的な一つの考え方であります。これらを総合して、一々実例を並べるまでもございません。大蔵大臣はただちにもう頭に浮かんで参ると思うのでありますが、一個人に対します貸付限度が、預金総額の八一%を越えるような銀行もなきにしもあらず、財政と金融の分離をいたしました占領政策の金融政策に対しまして、ぜひかえたいという意思を大蔵大臣がお持ちになつていることもこれはわかる。銀行法の改正をいたしまして、あるいは日銀政策委員会に対しまする問題をも検討いたしまして、金融の一元化というような強い意味ではありませんけれども、大蔵大臣の金融の監督権、少くとも経理の監督権、あるいは一個人に貸出しが集中する等の制度を、是正しようとする御意思があることもわかる。一個人に対する貸出しは二五%にしようというようなことを、あらゆる機会におきまして――真の意思がどこにあるかは別としまして、大蔵大臣としては考えていることが伝わつておりますが、こういうことも情勢いかんによつて、急激になかなかやれないということ事実であります。この中におきまして、通貨の縮小と貸出しの漸増というようなことがもし続くといたしますと、悪い言葉になりますが、脆弱な銀行のごときは取付というような事態が生れて来るのではないか。こういう場合におきまして万一そういうことが起つたといたしますと、いまだ準備金の蓄積も十分でありません。しこうして日銀はすべてオーバー・ローンの形である。これらの場合において、預金者保護の目的を達成するために、大蔵大臣がとられようとする方針はどうであるか。これは私神経質な考え方でありますから、その神経質な問題をとつてしまえば何でもないことでありますが、前提を神経質に考えると、そんなこともありそうだと思われるが、そういう場合には大蔵大臣として、いかにして預金者保護の目的と、金融機関の健全性、しかも財政と分離いたしました金融機関の健全性を保持せられる意向であるか。これをおさしつかえない程度でお話いただきたいと思います。
○池田国務大臣 日銀の貸出しが今一千一、二百億、先ほど申し上げましたようにユーザンス、いわゆる外貨の貸付が千三百億、合せて三千五百億程度でございまするが、これは通常二、三箇月くらい前の三千八、九百億円からだんだん減つて来ております。貸出しが、ユーザンスどの関係を比べますと、最高のときよりも四、五百億減つております。お話のように貸出しがどんどんふえて行つてはいないのであります。それは月によりまして、その月の上旬、中旬、下旬と、おのおのやはりきまつた道を歩くのであります。私は日本銀行の貸出しがそう不健全にふえて行つているとは考えておりません。従いまして、オーバーロンの問題がありましても、先ほど申し上げましたように、日本の経済の復興回復という場合におきましては、やむを得ないことであるのであります。一時にかえようともいたしておりません。徐々にかえて行かなければなりませんが、オーバー・ローンがあるからといつて、銀行の経営が非常に不健全であつて、取付その他が起るというふうなことは、大蔵大臣は毛頭考えていないのであります。銀行もその收益の状況その他全般から申しまして相当合理化され、堅実に進んで行つておるのでございます。取付とかなんとかいうようなことは私は考えておりません。また銀行の管理経営というお話がございましたが、昨年の春以来の緊急輸入その他の結果が、今しわが寄つて参つておりますので、商社並びに銀行あるいは日銀の三者が一体になり、大蔵省もそれに入りまして再建計画を立てておるのでありまして、金融機関が事業会社を管理経営するというところまで行つておりません。ただみんな集まつて善後策、将来の回復策をお互いに検討しているという状況であるのであります。金融機関が事業会社を管理するというところまで、ただいまのところ行つておりません。
○宮幡委員 ただいまの御答弁で、金融機関も大丈夫だとお話になりまして、まことにけつこうであると思います。大蔵大臣ととたしましてその御確信があります以上、われわれはこれをかたく信じております。オーバー・ローンの問題もきようはしばしば話題に出まして、これに対しましても、やはり解決策は資本蓄積による漸進主義でなければならぬという御糖想で、われわれはまつたく同感であります。その他の名案は、私どもは、あるいは先輩同僚としての御名案として、一つの文献ぐらいにしか聞いておりません。さような意味で、オーバー・ローンの問題もきようはお話をいたす時間もないようでありますから、これは委員長にお願いしておきますが、いろいろの関係で、きようはもうこれ以上一言も申す必要はないのでありますから、予算が衆議院を通過したあとで、参議院との見合いで、お都合のよいときにもう一度大蔵大臣をお呼び願います。そうして、きようは各委員のお話の面が大分広がつておりますから、これをまとめて大蔵委員会としての記録にとどめ、あとで何を審議したのだかわからないというようなことのないようにして大蔵大臣にも御都合をして来ていただきまして、各局長さんにもみな来ていただいて税と金融というようなことを、十ぱ一からげにして片づけるような機会を得たいと思います。税制改革についても根本的なお話を聞きたいのでありますが、きようは諸般の関係上一時打切つて、次の機会まで保留さしていただきます。
○佐藤委員長 宮幡君の発言は委員長よく了承いたしました。
 本日はこの程度にとどめます。明日は午前十時から開会いたします。
    午後四時八分散会