第013回国会 本会議 第38号
昭和二十七年五月六日(火曜日)
 議事日程 第三十七号
    午後一時開議
 第一 会期延長の件
 第二 耐火建築促進法案(鈴木仙八君外十三名提出)
 第三 食糧管理法の一部を改正する法律案(内閣提出)
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 日程第一 会期延長の件
 木村法務総裁のメーデー当日の騒じよう事件についての報告及び質疑
 教育施設の復原、確保に関する決議案(甲木保君外二十三名提出)
 日程第二 耐火建築促進法案(鈴木仙八君外十三名提出)
 罹災都市借地借家臨時処理法第二十五條の二の災害及び同條の規定を適用する地区を定める法律案(稻田直道君外八名提出)
 日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障條約第三條に基く行政協定に伴う刑事特別法案(内閣提出、参議院回付)
 ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件に基く法務府関係諸命令の措置に関する法律案(内閣提出、参議院回付)
    午後二時三十六分開議
○副議長(岩本信行君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
○副議長(岩本信行君) 日程第一、会期延長の件につきお諮りいたします。今回の会期は明七日をもつて終了することになつておりますが、明後八日から六月六日まで三十日間会期を延長いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(岩本信行君) 御異議なしと認めます。よつて会期は三十日間延長するに決しました。
     ――――◇―――――
○副議長(岩本信行君) 木村法務総裁から、メーデー当日の騒擾事件について発言を求められております。この際これを許します。法務総裁木村篤太郎君。
    〔国務大臣木村篤太郎君登壇〕
○国務大臣(木村篤太郎君) 去る五月一日、メーデー当日におきます騒擾事件の概況、被害状況、その後の取締り状態及び背後状態について申し述べたいと存じます。
 わが国の独立回復後初めて迎えました去る五月一日メーデーに際しまして、労働者諸君の集会デモ等の諸行事が全国各地において挙行され、その数は五百二十箇所、参加人員百八万人を数えるに至つておりますが、良識ある労働者諸君の自覚のもとに、おおむね無事平穏裡に行事がとり行われたのでございます。ところが、不幸にして東京都内を初め京都その他数箇所におきますところの、メーデー行事に便乘した一部極左的破壊分子の策動によりまして、前例を見ない、きわめて惡質な不祥事件の発生を見たことは、まことに遺憾にたえない次第であります。
 まず東京都内における騒擾事件の概要について申し上げます。
 今回の中央メーデーは、明治神宮外苑絵画館前を会場といたしまして、午前十時三十分ごろから、いわゆる統一メーデーとして催され、きわめて盛大な行事が行われましたが、大会の中途において、石川島労組員約三十名を初め、全学連、職安細胞員ら約百名が突如相次いで演壇に殺到し、不法にもスピーカーを占拠したのであります。しかして、参会者に対して実力をもつて人民広場へ行こうなどと激烈な口調で煽動し、一方、その間会場内外にあふれた参会者に対し、都学連傘下の学生その他極左分子等は数班にわかれて列車を縫い、人民広場に行こう、人民広場を力で取返せとアジリながらまわり、また「アカハタ」復刊第一号、「球根栽培法」「平和と独立」「平和と独立のために」等というパンフレツトを、資金カンパと称して販売するとともに、激烈な内容のビラ数十種類を散布いたしたのであります。
 やがて大会終了の後、午後零時四十分ごろ、五方面にわかれてデモ行進に移り、東部、西部及び北部方面のデモ隊は予定の解散地点に至り平穏裡に解散いたしましたが、日比谷公園を解散地点とする南部及び中部のデモ隊は、行進の途中、全学連、自由労組、在日朝鮮人らの一部極左分子の誘導によりましてジグザグ行進を行い、途中投石し、窓ガラスを破壞したり、あるいは外人記者に暴行を加える等のことがありましたが、午後二時二十分ごろから日比谷公園に到着し、大多数の穏健な労働組合員等は予定通り逐次解散したのであります。
 しかるに、全学連及び左翼系青年団体員を先頭に、朝鮮人、日雇い労務者らの極左的破壞分子約二千五百名は、スクラムを組み、日比谷公園正門を出て、都電交叉点において、警官の阻止するのを突破して北上し、途中第一相互ビル前に駐車中の外人自動車十数台に投石し、窓ガラス等を次々に破壞しつつ無許可デモ行進を続け……。
    〔発言する者多し〕
○副議長(岩本信行君) 梨木君、靜粛に願います。
○国務大臣(木村篤太郎君)(続) 折から馬場先門を警備中の約三十名の警官の警戒線をも突破して、遂に皇居前広場になだれ込んだのであります。
 そのころ、二重橋前附近においては、すでに警察官約二百五十名が警備しておりましたが、乱入した暴徒は、気勢を上げて、指揮者の号令のもとに、警察官に対し一齊に投石したり、あるいは持つておりましたところのこん棒を振い、竹やりでつつ込む等、寡勢の警察隊に対し執拗な攻撃を繰返し、警察隊側に負傷者続出し、警官の一名は内ぼりに突き落されるという事態に立ち至つたのであります。
 そのため、警察隊は後退を余儀なくされ、二重橋前附近に移動をするうち、ようやく警察隊も増強され、約二千五百名となつたのでありますが、他方暴徒はさらにその数を増し、約六千各となり、その組織的な攻撃はますます熾烈となり、警察官隊のこれら暴徒鎮圧のため使用した催涙弾も遂にその効を奏せず、警官の負傷者激増し、生命、身体の危險を避けるため、やむを得ず拳銃を使用するに至り、暴徒はようやく後退を始めたので、警察隊は一挙に暴徒を祝田橋附近まで押し返し出したのであります。しかし、その際暴徒は警察官三名を捕え、こん棒にて殴打し、重傷を加えた上、これを祝田橋附近外ぼりに突き落し、はい上らんとする彼らに対し、さらに石ころを頭上に投下するなど、暴虐の限りを盡したのであります。
 しかも、その間、暴徒の一隊約五百名は、祝田橋附近を通行あるいは停車中の外人自動車等にこん棒、石ころを投げたり、その窓ガラスを破壞する等の暴行を続けたのであります。ここにおいて、警察隊はやむなく発砲して、盛んに攻撃する暴徒を祝田橋から日比谷公園北側電車通りに押し出したのであります。暴徒は、電車通りに駐車中の外人自動車十数台を転覆させて火を放ち、炎上せしめ、これが消火に出動した消防車等にまで投石を続けるなど、破壊的行動の限りを盡し、首都中心地域一帶の靜謐を著しく擾乱したのでありますが、逐次増強された警察隊により追い散らされ、同日午後五時三十分ごろに至つて、ようやく解散するに至つたのであります。以上が、今回の騒擾事件の概況であります。
 次に被害状況について、申し述べます。現在までに判明いたしました被害状況は次の通りであります。警察官の負傷者は、重傷者八十三名、全治三週間以上、軽傷者六百七十八名、合計七百六十一名、外人の負傷者は合計十二名……。
    〔発言する者多し〕
○副議長(岩本信行君) 御静粛に願います。
○国務大臣(木村篤太郎君)(続) 暴徒側負傷者は推定約二百名、他に暴徒側に死亡者一名を出しているのでありますが、同人は検事の死体検視の際、ズボン右ポケット内に小石十数箇を入れているのを発見したので、騒擾事件現場において暴徒として重要な役割を演じた者と推定されるのであります。なお本件における警察官の発砲は、前述の通り、暴徒の襲撃によつて自己または他人の生命、身体に対する急迫不正の侵害に対する防衛のためなされたものと認められるのであります。次に物的被害につきましては、警察側、オートバイの燒却が一台、米軍側、公用または外人所有自動車焼却が十四台、米軍側、公用または外人所有自動車損壊百一台、警察官所携の拳銃三挺を奪われたのであります。
 次に事件の措置について申し上げます。本事件の暴徒関係者に対しては、当日現場において放火罪、公務執行妨害罪等の現行犯として八名を逮捕しましたが、検察庁におきましては、今次事件を騒擾事件と認定いたしまして、昨五日までに騒擾罪等の罪名のもとに逮捕した者は合計二百二十五名に達しております。目下引続き東京地方検察庁及び東京警視庁においては、国警本部、特別審査局等の協力のもとに事件関係者の徹底的究明に当つておりますので、逮捕者の数は今後相当増加する見込みであります。なお逮捕された者のうち日本共産党員または北鮮系朝鮮人等が多く、相当多数の極左分子のいることが判明しておるのであります。検察庁においては、目下全力をあけて右の事件の被疑者の確定逮捕、証拠の収集に当り、特にその背後関係、計画性の有無等、事件の全貌の究明に努めておるのであります。真相判明次第、断固として処断する所存であります。
 次に本事件の性格を申し上げます。目下検察庁において捜査を続行中でありますので、ただいま確定的なことは差控えますが、今回のメーデー・デモの参加者の大部分を占める総評傘下の穏健なる労働組合員は、終始平穏裡に行事を行い、予定の解散地点においてそれぞれ無事解散したのでありますが、本件は、一部極左的破壞分子が、群衆の興奮を利用して、激越な煽動によつて行つた計画的、組織的な暴挙でありまして、彼らのいわゆる軍事委員会の指導による計画的軍事活動として実践されたものと考えられる節があるのであります。実際騒擾に加わつたと思われる暴徒は、それぞれあらかじめ用意していた日本共産党地区委員会旗、同細胞旗、北鮮国旗等のほか、竹やり、くぎつけプラカード等を振りかざし、これを武器として使用していたのでありますが、その数およそ六千名、内訳、旧全労連系労組員及び自由労働組合員約千名、全学連系左翼学生約二千余名、極左系朝鮮人二千数百名程度と推定されるのであります。
 なお、今日までに騒擾罪容疑で検挙した者について年齢層をみまするに、三十才未満の青少年が全体の約三分の二を占め、また学生、朝鮮人、自由労務者、日本共産党細胞員などの占める割合が比較的多いということは、この暴挙に参加した者が、特定の年齢層と、ある種の組織体に属する階層であることを推知せしめるものであります。
 なお、今回のメーデーに際し、全国的な特異な事案といたしましては、東京以外では、京都における府庁、市役所、五條警察署及び派出所に対する襲撃、破壞活動の事件を初め、仙台、姫路、大津、八日市、名古屋、横浜、綾部等の各地において若干暴力事犯の発生を見ております。京都における事件は、公務執行妨害等の罪名で六十三名を検挙し、目下捜査中でありますが、警察官側に重傷十三名、軽傷三百三十二名、計三百四十五名の負傷者を出しておるのであります。
 次に、今次事件の背後関係について申し述べます。今回の不祥事件の背後関係について見まするのに、本年二月二十一日の反植民地デーによる蒲田事件、同月二十三日の京都事件等と同様、その主体は一部極左的破壞分子であつて、彼らの企図する暴力革命の準備の実践の一環として行われたものと推定し得られるのであります。今次メーデーに際しましては、これら極左的破壊分子のメーデーを利用する策動に関する情報が入手されたのみならず、メーデー会場及び行進中において、人民広場へ参集せよ、実力で人民広場を鬪いとろう等という内容のビラが多数散布されて、大衆を煽動するなどの行為が活発に行われました。また日本共産党幹部岩田英一君が主要な役割を演じており、また京都においては、日本共産党の有力党員である府会議員、市会議員らが煽動行為をしているのも、ほぼ明らかになつている次第であります。さらにまた、東京及び京都における破壞的暴力行為の手段方法は、彼らのいわゆるゲリラ的革命活動方針にのつとつて、計画的かつ組織的に行われたものであると推定されることなどから、今回の事犯が、その背後において明らかに一部破壞的な共産主義者らの組織を基盤とし、その指導並びに煽動のもとに行われたものであると推測し得られるのであります。
 次に事前処置について申し述べます。特別審査局、国家地方警察本部及び東京警視庁においては、今回の不祥事件に関連する情報を事前に若干入手していましたので、治安機関において相互に連絡して対策を協議し、ことに東京警視庁当局といたしましては、中央メーデーの主催者側幹部に対し、数回にわかり嚴重な申入れを行い、暴力的不法事犯の発生防止につき協力を求める等、十分な方途を講じたのでありまするが、一面において、主催者の統制力と、デモ参加者の自主的精神とに信頼し、いたずらに警察力の介入するがごときことなきよう愼重な態度を持していたことと、他面においては、メーデー大会散会後、デモ隊が五方面にわかれて行進したので、警備力を分散せざるを得なかつたため、遂に予想外の事態の発生を見るに至つたと認められるのであります。
 今次事件に多数の重軽傷者を出しました事情につきまして申し述べます。ただいま申し上げましたように、警察のメーデーに対する取締りは、でき得る限り干渉と介入を避けることを本旨とし、不法事犯の発生の際は、もとより適宜処置することといたしておつたのでありますが、今回の暴徒の携えていたプラカード、指揮棒等は、それぞれ巧みにカムフラージしてあつて、いつでも竹やりまたはくぎつきこん棒として、攻撃武器として使用できるようにつくられてあり、さらに暴徒等は石、ガラスびん等を用意していたのみならず、現場には無数の石塊があり、これが投擲武器として使用されたことなどが、警察官に多数の負傷者を出した原因と思われるのであります。また暴徒は、あるいは投石、殴打し、あるいはくつでけり、あるいはほり内に突き落し、はなはだしきは拳銃を奪う等、まつたく狂暴残忍をきわめ、警察官は生命の危険にもさらされたので、やむを得ず催涙弾や拳銃を使用したので、暴徒側にも死傷者を見ることとなつたものと考えられるのであります。身命を賭して暴徒鎮圧に挺身し、重軽傷を負つた警察官に対しては、でき得る限りの慰藉と報償とをもつて報いたいと思つております。
 なお駐留米国軍人の自動車等に対して重大なる被害を與えたことは、国際信義上まことに遺憾しごくでありまして、政府といたしましては、陳謝の意を表し、十分調査の上、賠償等の処置を講ずるつもりであります。
 新憲法下、基本的人権擁護の名に隠れ、口に平和、独立、自由を唱えながら、みずからは憲法を無視し、国法を否定して、暴力主義的破壞活動をあえてし、こうも恥ずることなき極左的破壞分子の存在と、その集団の実体について、この際国民一般があらためてその認識を深められ、これが対策に日夜奔走する治安当局の活動に対し積極的な御協力を與えられんことを、この機会に切望する次第であります。
 健全な労働運動あるいは大衆運動は、もとよりこれを保護助長すべでおりますが、これに便乘して、陰に陽に治安を撹乱せんとする破壞分子に対しましては、治安機構の充実強化と、適量なる立法措置とによつて、この種事犯の防遏並びに処理に万遺憾なきを期する所存であります。(拍手)
 終りに臨みまして、わが国が講和発効により独立を回復した直後に、しかも首都において、かかる不祥事態の発生を見、多数の人的及び物的の損害を生じ、あまつさえ地方の靜謐を害しましたことについては、重ねて遺憾の意を表したいと思います。政府といたしましては、今後この種の事態の再発を防止するこめ万全の措置を講じ、もつて国民の期待に沿いたいと存ずる次第であります。何とぞ御協力をお願いいたします。(拍手)
○副議長(岩本信行君) ただいまの木村法務総裁の発言に関し質疑の通告があります。順次これを許します。中川俊思君。
    〔中川俊思君登壇〕
○中川俊思君 私は、日本自由党を代表いたしまして、去る五月百宮城前のメーデーにおきまして騒擾事件のありましたことにつきまして、政府に質問をしたいと思うのであります。ただいま法務総裁より詳細なる説明を聽取いたしたのでありまするが、本件はきわめて重大でありますので、重ねて政府の断固たる手段を要求いたします関係上、ここにあえて質問をいたさんとするものであります。
 去る五月一日、独立後の初のメーデーにおきまして、共産党を中核とする一部過激分子の計画的暴動に端を発し、さながら革命前夜とおもわせるがごとき暴力メーデーに終つたことは、平和日本を念願する友好世界各国の期待にそむくとともに、独立の第一歩にあたつて日本国民の名誉に汚辱を塗りつけたものとして、まことに千秋の恨事というべきであります。(拍手)
 この日の暴動が單なる突発的、偶発的のものでなく、また挑発されて起つた感情的なものでもないことは、暴徒の行動を見れば明らかでありまして、あらかじめ周密に計画され、しかも共産系朝鮮人による相当の軍事的知識によつて指導された、すこぶる規模の大なるものであつたことは、一点疑う余地がないのであります。すなわち、赤旗は竹やりにとりつけられ、プラカードの支柱には五寸くぎを配し、さらに火炎びん、石ころなどの武器をあらかじめ用意していたことは、周到なる準備を整えていたことを物語るものでなくで何でありましよう。さらにまた、駐留軍の自動車に放火したり、駐留軍人をほりに投げ込む手段など、とうてい軍純なデモから思いついた用のでなく、明らかに暴動の計画が立てられ、この計画をデモに乘じて拡大せんとしたこと、また一点疑う余地がございません。
 同時に、日本共産党の煽動が今回の暴動に拍車をかけだことも争うべからざる事実でございます。(拍手)すなわち、日本共産党は、今回のメーデーを行動メーデーとせよと指令しでいたのを初め、去る四月二十日、関東地方委では、メーデーに備えで諸鬪争を整備し、万全の措置をとかど、暗に暴動を示唆したアジ指令を出していたが、少くともこの二つの指令が空前の不祥事を招来した一原因であることも断じて否定できないのであります。今回の不祥事が、警官隊との衝突によつて事態がさらに激化したことは、事の性質上やむを得ないことといわねばなりませんが、要は、この暴動の主力をなす過激分子が、背後に秘められた計画的行動をプログうぶ通りに発展せしめたものと断ぜざるを得ないのであります。過般来、全国にわたつて、共産党の煽動による集団暴行事件が頻発し、われわれは行政監察委員会に曲いて取締り当局の注意を喚起していたところでありまするが、これら数多くの集団暴行事件が、メーデー当日における暴動の予行演習であつたにかかわらず、何らの対策のなかつたことは、政府監督下にある取締り当局の怠慢ではなかつたか。のみならず、あの暴動化を、事件後数時間たつても政府が知らなかつたということは、治安行政上ゆゆしき問題でありまして、かくては独立日本の社会秩序を保持することあたわざるに至ると思うが、政府は現行警察法に改正を要求する意思はないか。
 思うに、今回の不祥事件が内外に大きな衝撃を與え、独立早々のわが国の信用を一夜にしてくつがえしたことは、米国における各新聞が筆をそろえて、「日本共産党員米人を襲撃、日本人三十万赤色暴動」などの見出しによつて、いずれもこの事件をトツプに揚げたのを初め、英国においても各新聞が、「共産主義者メーデーの暴動を煽動、平穏メーデー暴動と化す」等の記事を掲げて、わが国に対する警戒を嚴にせんとしつつあることでも明らかであります。これを思うとき、政府はいかにしてこの不信にこたえんとするのでありまするか。
 今回の、共産党を中核とする過激分子の計画的暴動に対しては、ひとり共産党員を除いては、あらゆる政党も、あらゆる言論機関も、あらゆる団体、組合も、あげてこの不法を糾彈し、断固たる処断を要請しているが、政府は民主政治の破壞をたくらむこれら過激分子に対し、治安立法、労働立法上いかなる決意と対策を有せらるるのでありまするか、この際国会を通じて、その所信のほどを大胆率直に内外に表明さるる意思はありませんか。
 さらにまた、終戦後、北鮮系朝鮮人のわが国内における経済攪乱、治安撹乱は実に言語に絶するものがあります。今回の暴動に際しても、これら朝鮮系の過激分子が采配を振つていたことは明瞭でありまして、善良なる朝鮮人のためにも、政府は思い切つた朝鮮人対策を樹立する考えはないか。
 およそ一国の社会秩序を守ることは民主政治の要諦であります。しかるに、憲法に規定されたる自由に藉口して社会秩序を乱るがごときは、民主政治を破壊するものであり、国民としての義務を果さざるものと断ぜざるを得ません。かくして、社会公共の福祉を害し、憲法を蹂躪するがごときは、われわれ純正日本人の断じて黙過できざるところであります。私は、ここに、八千余万の日本国民中、国籍だけ日本に持つ第三国従属人を除いた他のあらゆる階層を代表して政府にお尋ねしていると言つても、あえて過言にあらずと信ずるのであります。何とぞ政府は本件に関し確固たる決意と対策を大胆率直に表明さらんことを強く要望してやまない次第であります。(拍手)
    〔国務大臣体術鷹太郎君登壇〕
○国務大臣(木村篤太郎君) お答えいたします。ただいまの御質問の要旨は、今回の事件について政府はあらかじめ用意すべきじやなかつたか、対策に欠けておつだのじやないかということでありますが、先刻申し上げました通り、ことの事前において、ある種の情報を得ておつたことは事実であります。その情報に基いて警備をしておつたのでありますしかしながら、この事件につきましては、警察官において、できる限り一般民衆を刺激しないようにという意図のもとに、丸の内警察署にたむろしておりました数百人の警察官に対しては、ことごとく拳銃の使用をとりやめさせました。いわゆる拳銃を持たせなかつたのであります。そうして、できる限り平穏にせよということを命令しておつたのであります。そこへ持つて来て、この暴徒が五方面から侵入して来たために、初あのうちは人数が足りませんで、やむを得ず二軍橋前まで圧迫されたのであります。そうして、二重橋前において非常な暴虐なことを暴徒がやつたので、やむを得ず拳銃を撃つたのであります。そのうちに、だんだん警察官の数が増強されまして、ようやくにしてこれを退散させたという状況でありまして、これは事前において情報は入手していたことは事実であります。また、これに対する対策も、警視庁においては、十分とは申せませんが、とりあえず相当の警備状態に置いたことは事実であります。(拍手)
○副議長(岩本信行君) 森山欽司君。
    〔森山欽司君登壇〕
○森山欽司君 私は、ここに、去る五月一日、東京において独立後初めて行われた第二十三回中央メーデーについて惹起された暴動事件につき、改進党を代表して政府の所信をただすものであります。
 この事件は、過去二十三回のメーデーのうちで最も凄惨をきわめたものであり、特に独立後わずか四日目にかくのごとき未曽有の不祥事件の発生を見たことは、まことに遺憾かつ痛憤にたえないところであります。しかしながら、本事件の是非はともかくとして、われわれは謙虚な心をもつて、これを過去六年有余の長い占領下の安易さにとかくなれた政党並びに国会に対する一大警鐘とも聞くべきでありましよう。
 さて、この事件は、五全協以来の日本共産党の軍事方針による計画的騒擾事件であると伝えられ、革命の予行演習ともいわれ、これを否定するものは、当の共産党の諸君以外に何人もないことは事実であります(拍手)もし、しかりとすれば、祖国を異にする共産党員の諸君は、復刊されたアカハタによれば、この事件について何ら責任を感じておらないのでありますから、その諸君に対して、いまさら多くの言葉を費す必要はないのであります。ただ、ここにおられる共産党の議員諸君にして、一片のヒユーマニテイを持たれるならば、ただちにこの議場から退場されんことを勧告したいのであります。(拍手)
 なおまた、伝えられるところによると、メーデーの参加者のうち、一部の自由労働者を除いて、一般の組織労働者の諸君は、秩序ある行動をとり、彼らの破壊的陰謀に巻き込まれなかつたのであります、私は、健全なる労働運動の発達を心から望む一員として、これを不幸中の幸いとして喜ぶものであり、また大衆の健全なる常識に敬意を表するものであります。けれども、このことは、このメーデーを計画し、実行した幹部諸君の行き方の問題とはおのずから別個の問題であり、たとい事件が形式上メーデー終了後であつたといつても、その責任を免れることはできないのであります。総評、労鬪を中心とするメーデー実行委員会は、最近の傾向の通り、全労連系組合や産別系組合といえども單位組合としての参加を容認したようでありますが、さらにこれを越えて、事実上全学連や旧朝連系等の左翼団体と共同歩調をとるに至つたと観察されるのであります。これはまさに、去る三月二十日、かの騒擾事件を惹起した、京都における総評主催の彈圧法規粉砕総決起大会と軌を一にするものであります。
 すなわち、今回のメーデーの中心スローガンには、再軍備反対、民族の独立を鬪いとれということを掲げているが、これは本年のメーデーを目前に控えた四月二十二日に発表された、ソ連共産党から日本国民あてのメーデー・スローガン、すなわち外国の占領に対し祖国の独立を確立し、平和を擁護するため勇敢に鬪う日本国民にあいさつを送る、これとまさに相呼応するものがあり、かく今日総評の主導権を握る人たちの考え方は、日共の割込み戰術に好個の機会と口実を與え、日共の大衆路線の具体的な支持を示す危險があるのであり、それは、四月二十五日の総評機関紙において、メーデー実行委員長であり、総評の政治部長であり、かつまた左派社会党の中央執行委員である島上善五郎氏が、この統一メーデーは労働者の祭典ではない、再軍備反対等の鬪争の勢ぞろいをする日だと、きわめて戰鬪的かつ政治的な言辞を吐いておられるのを見ても明らかであります。
 さらに、そういう考え方に立つて、今回のメーデーにおいては、共産党からの祝辞も受付けたばかりでなく、会場の内外に極左分子の蠢動を見のがし、遂には日比谷における騒擾事件の素因をなすに至つたのであります。しかも、メーデー実行委員会における準備も、前々から、かかる騒擾事件の危惧があつたにもかかわらず、單産間の代表演説のとりきめやスローガンに、きわめて政治的な安保條約、行政協定の廃棄を入れるか入れないかなどに精力を注ぎ、かんじんの共産党の割込みに対する真劍な対策を何ら取上げなかつたのであります。これはまさにメーデーの責任者たちが負うべき社会的責任感の欠如を物語るものであります。(拍手)しかも、このメーデー実行委員会は、今回の事件が解散後における不祥事件であつて、実行委員会としては関知しないとの声明を出し、いささかも遺憾の意を表明しないばかりか、警察官の発砲、催涙弾の乱射が事態を激化したとさえ公然唱えて恥じないのであります。かかる態度をわれわれは糾彈します。世論もまた、これをきびしく指彈しておるのであります。
 しかも、さらに遺憾なことは、左派社会党もこれと同様の見解をとり、あたかも共産党のごとく、この事件はすべてが政府の責任であると声明しているのであります。労働者の政党をもつて自認し、今回のメーデーにも赤色新党旗をかつぎ出して祝辞を送り、党主鈴木茂三郎君等が、ともにスクラムを組んで練り歩くという、あつぱれなる労働者の政党ぶりを見せられだことは、必ずしも惡いこととは申しませんが、それだけにまた、今回の騒擾事件を釀成するに至つた従来の行き方については、総評左派幹部とともに、その不明を天下に謝すべきであります。左派社会党が共産党と真に行き方を異にするならば、共産党との明確な一線を政策並びに行動の上において具体的に明らかにする責任があることを銘記すべきであります。(拍手)
 さて、いずれにしても、今回の事件と民主国家独立の第一声を汚した事件として、われわれは国民とともに悲しむものでありますが、このすべての責任をもつぱら政府にのみ帰することは、今日健全なる野党の良識をもつてしては許されないと考えるものであります。けれども、なお責任の一半は明らかに政権を持つているところの政府にあるのであつて、政府の負うべき当然の責任に対して、その追究を怠ることは、また健全なる野党として、国民に対する責任を全うするゆえんではないのであります。特に今日あることは、さきに三月二十七日、本院において、わが党の小川半次君より、京都騒擾事件に関する緊急質問において、これを明確にして来たものでありまして、木村法務総裁は「特審局、国警、自警、検察庁が互いに緊密な連絡をとわまして、あらかじめかおうなことの起らないように、情報を十分に收集いたしまして、万一過激なことが起つたときには、断固としてこれを取締るという方針を持つておるりであります。」と答え、また吉武労働大臣は「このメーデーにおいで左翼分子の蠢動なからしむべく協議を進めておる次第であります。」と言い、あるいは天野文部大臣は「大学生につきましては、大学の学長に連絡をして、十分そういう点について警戒をし、またそういうことの起らないようにいたす考えでございます。」ということをはつきり答弁しておきながら、遂に今回の事件を惹起するに至つたのであります。その責任たるや、まことに重大であります。(拍手)
 一体、今回の事件の第一の原因は、講和発効後の治安諸法規の空白にあります。マッカーサー指令の消滅と、政令三百十五号の失効とによつて、アカハタは堂々と復刊され、また追放制度の廃止によつて、地下にもぐつた共産党幹部らの政治活動は一句自由になつたのであります。現に、昨年九月追放された岩田英一氏は、メーデー会場に公々然と姿を現わし、この騒擾事件の指令を與えたと伝えられておるのであります。このように、彼らに活動するすきを與えたことについての政府の責任をどう考えておるのか。
 私は、つい最近、四月二十六日の労働委員会において、この問題について政府の責任を追究したのでありますが、吉武労働大臣は、きわめて楽観的な答弁をされておるのであります。また、その前日の四月二十五日の、行政観察委員会においても、木村法務総裁は、この空白期間に対して応急対策は十分持つていると答弁されております。にもかかわらず、かかるメーデー騒擾事件という不祥事件を起した今日、これらの大臣方は責任を感じないままなのかどうか。
 さらに、一昨五月四日のラジオの国会討論会で、異常自由党の幹事長増田甲子七君は、現在の警察制度のもとでは、内閣が警察に対する全般的指揮権がないから、治安の全面的責任は負えないなどと、驚くべき官僚的な、また政治家として無感覚な答弁をしておるのであります。事件が起きる前は、治安対策は万全なりと豪語していながら、事件発生後においては、これを警察法の不備に藉口して責任のがれをやろうとするような卑怯な態度を、まさが政府においてもとられるとは思われないが、吉武労働大臣の御心境を伺いたい。なお、主管大臣たる法務総裁の明確な御答弁を願いたい。一体、かくのごごとき暴動事件に関して、そのために設置された警察予備隊――政府は、これを警察であつて軍隊ではないとしているから、なおいつそのこと、これは何をしていたのか、大橋国務大臣の答弁を求めます。なおこれに関連して、新聞紙上、政府は現行警察法の改正、ゼネスト禁止法を提案すると伝えられているが、それははたして事実か、提案するとすれば、本国会に提出するのかどうか、この点についても、この際明白に態度を示していただきたい。
 さらに、この事件の原因の一つが、政府がメーデーに対して皇居前広場の使用を禁止したことにあるという主張が、労働組合ないし左翼団体に多く見られるのであります。極左分子は、皇居前広場を使わせようと使わせまいと、やるだけはやつたでありましようが、これは確かに一面の真理であります。ただ政府が、昨年のメーデーにおいては、皇居前広場の使用禁止を、連台軍の意思でもないものを、あたかも連合軍の意思であるかのごとく裝い、その権威によつてこれを禁止しようというような、自主性をまつたく喪失した醜態を演じたことは、天下周知の事実であります。そして、今年はまた、裁判所において、政府の使用禁止は第一審で敗れるという、重ねての醜態を呈しております。
 このように、国民を欺き、また法を無視するがごとき政府が、いかにして国民大衆、特に労働者の信頼と支持を得ることができようか。しかも、年一回の労働者の祭典に会場として使用せしめた神宮外苑は明らかに狹隘であつて、これが会場混乱の一因をなしたことは認めねばならないのであります。従つて、暴動を誘発した一人は、少くとも皇居前広場の使用を認めなかつた労働大臣でもある厚生大臣吉武惠市君であるのであります。労働大臣兼厚生大臣吉武惠市君は、もし官僚でないならば、いかだる責任をおとりになるのか。いさぎよく辞職するところの御意思がないか。
 今回のメーデーの事件は、先に述べだ通り、小川半次君のみならずメーデーの前日、自由党の内藤行政監察委員長より指摘され、また治安当局も、事前に相当詳細に予見していたところであります。当日において、警察がいち早く、極左分子がこんな行動に出るという情報をつかんでいたことは、警視総監も率直に認めているところであります。しかるに、現実には、これに射する対策が非常に不手際で、あのような大がかりな騒擾に発展したのであります。それに、東京のみならず、全国各地に数十件の不法事件の発生を見るに至りました。法務総裁……。
○副議長(岩本信行君) 森山君にちよつと申し上げますが、申合せの時間が経過いたしましたから簡潔に願います。
○森山欽司君(続) 法務総裁の説明によれば、この事件と共産党とは明確な欄係があるとのことでありますが、言論の自由や入権に制限を加える危險性の多い破防法よりも、端的に共産党の禁止立法をする意思があるかどうか。
 また、このような状況について、特に帝都の治安について、警備方の分散等の遺漏があつたのであります。かかる事件を惹起した当の責任者として、警視総監はもちろん責任を負つて辞職すべきであると思うが、治安の全般的責任者としての木村総裁は、いかなる責任をとられるのか。
 あなたは、三月二十七日の本会議において、この演壇から、あのような楽観的な答弁をしながら、かかる事件の発生を見た今日において、五月二日の読売新聞の談話において、今回の事件ぱ局地的な事件と考えている、ただ彼らの手のうちを国民に知らせたという意味において気筒な收獲だつたと思うというような、不謹慎きわまる談話を発表しておられるが、これは一体正気のさたかどうか。今回の事件に対する国民の反感に便乘して、官房政治的責任をおおい隠そうとするこの態度がはたして事実であるとすれば、政治家として許すべからざる卑劣漢であるといわな分ればなりません。われわれは断固としてこれを追究いたします。即時辞職して、不明を天下に謝すべきであります。
 次に、文部大臣天野先生にお伺いいたします。文部大臣は、先ほども述べた、わが党の小川半次君の質問に対する答弁において、さすがに責任を感じられたと見えまして、辞意を表明されたとか、あるいはされないとかいうような新聞報道があります。もし辞意を表明されたとすれば、これは私が高等学校時代に愛読した「道理の感覚」の著者として、きわめて道理にあつた政治感覚であると思いますが、はたしてこれが事実であるか。もし事実であるとすれば、無責任な現内閣の閣僚の中にあつて、一服の清涼剤であると、深く敬意を表したいと思います。しかしながら、現在その任にある文教の責任者として、今回の事件が二千名の全学連の学生によつて推進された事実について、今後かかる不祥事件を起さぬような対策をいかに考えておられるか、またこれに関連して、いわゆる大学の自治と国家秩序の維持との関連をいかに考えておられるか、この際明らかにしていただきたいと思います。なお、今回の事件の主力が、六千名に及ぶ北鮮系の朝鮮人であつたことは、警視庁の調査で明らかであります。これらは、外国人として、その取扱いはいかになつておるか一日韓交渉が打切りとなつたと伝えられておる折から、詳細な説明と、今後の対策を、外務大臣並びに法務総裁に伺います。さらに、今回の事件によつて外国人の身体、財産に與えた損害に対する賠償をいかにするのか、答弁を承りたい。特に今回の事件は、独立後わずか四日目の不祥事件として、外電によれば、世界の各国民に対し、一般に大きな衝動を與え、独立早々の日本の評判を一夜にして落してしまつたといわれるのであります。以上の諸点について外務大臣の責任追究は、御欠席のようでありますから、この際差控えるといたしまして、次回本会議において御報告願いたいと思います。最後に、政府並びに與党自由党は、今回の事件によつて、破防法を無修正で通そうとして態度を硬化したと伝えられております。かかる犬糞的態度が、新聞に伝えられるごとく、真に事実であるとするならば、言論の自由と健全なる労働運動の発展のために、われわれは国会において全力をあげて鬪うであろうことを、ここに宣言するものであります。今回の事件の発生は、前にも述べた通り、本院においてすでに数回にわたり警告されていたものでありますしかも、吉田内閣は、独立の第一歩において、わが国の国際的信用を失墜し、あまつさえ極右と極左両勢力の対立をさらに激化せしめる素因をつくつたのであります。これらは、一面からいえば、過去四年間における現内閣の相次ぐ失政の結果であります。今や、講和発効後の国会を中心とする真の責任政治の態勢に移つた以上、かかる不祥事件を惹起し、またこのように民心から離反した現内閣は、もはや一刻もその地位にとどまつておるべきではないと思うのであります。内閣総理大臣は、その政治的責任をここに明確にし、よろしく総辞職の上、解散によつて民意を問うことを要求いたしまして、私の質問を終ります。(拍手)
    〔国務大臣木村篤太郎君登壇〕
○国務大臣(木村篤太郎君) お答えいたします。
 ただいまの御質問は、全部警察関係にかかつておると私は考えております。先刻、中川君から私に御質問があつたのでありますそのときは申し上げなかつたのでありますこの機会に私は申し上げたいど考えております。すなわち、この情報の収集については、特審局、検察庁においてやるのであります。その情報について、いかに、活動するかは、東都においては警視庁がやるのであります。警視庁は、政府とは関係はないのであります。まつたく都の公安委員の命令によつて、これは運営されているのであります。本件におきましても、この情報に基いていかに動くかということは、都の公安委員の腹一つにあるのであります。本件につきましては、もとより、さきに申しました通り、情報の收集はしておりまして、その情報は警視庁に流しておるのであります。その情報に基いて警視庁が活動したのであります。警視庁においては、その警備において万全を期しておつたようでありますが、五方面から侵入されたので、警視庁としては実に面くらつたということであります。その際に、警視庁は、あるいは国警に増援を要請すべきであつたでありましようが、国警においては、増援の要請は受けなかつたのであります。つまり、警視庁自体においてこの事件を解決すべく努力した。私は、警視総監の彼の気持は十分わかるのであります。要するに、なるべく大衆を犠牲にさせないようにという意図のもとに、この事件をとむはからつたのであります。先刻も申し上げました通り、丸の内署に待機しておりました数百の警官に対しては拳銃を持たせなかつた。なるたけ平穏裡に処置したいというこの気持はわかるのであります心しかるに、凶暴なる破壞分子が、あのような態勢を整えてやつたのでありまするから、初めのうち警察官が押されたのは、やむを得なかつたろうと思いますそうして、増強して、遂にこれを解散させたというこの手段方法は、私は警視総監としては手一ぱいであつたろうと推察いたすのであります。むろん、私は治安責任者といたしまして、十分遺憾の意を表したいのでありまするが、自分からこれを指揮することはできないのであります。今申し上げました通り、警視総監がみずからの手によつてこれを処置し得るので、われわれは何らの命令をすることができない情勢になつておるのであります。これは一に警察法の改正の問題にかかつて来ると思います。この点につきまして、ただいま中川君から御質問がありました、いわゆる警察法の改正を――どうしてこの治安を確保すべきであるか。もとより、われわれは、これについては一種の案は持つておるのでありまかすが、この成案を得ました以上は、国会の十分な御審議を願いたいと考えておる次第であります。
 しかして、この破壊活動防止法案につきましては、私は今度の事件においてこそ、かような法案の必要なるゆえんを痛切に承知したのであります。この破壌活動防止法案の内容を十分御検討くださいまして、この法案の意図するところがどこにあるかを御理解の上、どうぞ御審議の上、無修正通過を、私はこの機会にお願いする次第であります。
    〔国務大臣吉武惠市君登壇〕
○国務大臣(吉武惠市君) 森山君の御質問にお答えいたします。まず第一に、皇居前広場を使用させなかつた点にあるという御質問でございましたが、御承知のごとく、皇居前広場は皇居の前庭でございまして、清楚な場所として、国民ひとしく散策する公園でございます。これは、いろいろな政治的あるいは宗教的な諸団体の行事を行うべき場所ではございません。従いまして、私は皇居前広場の使用を許可しなかつたのであります。今回の暴動は、先ほど法務総裁からもお話のごとく、共産主義的破壞分子の計画的な暴動でございまして、もしかりに皇居前広場を使用させたといたしましたならば、おそらく三十万の組織労働者がこの暴動の巻き添えを食つたことであろうと想像するにかたくございません。(拍手)従いまして、われわれは、今後といえども、皇居前広場は、かくのごとき行事にはこれを使用させるつもりはございません。
 なお第二に、今回のメーデーについて、総評がこれに巻き添えを食わなかつた点はいいけれども、しかし一部の責任があるということでございます。私も、今回のこの暴動について、総評がこれに参加しなかつた点は、日本の労働組合史上において、まことに喜びといたすところであります。しかしながら、森山さんも指摘されましたごとく、今回のメーデーにおいて、かくのごとき共産主義的極左分子を統一メーデーに参加させ、しかもメーデーの最後に、全学連その他の左翼分子があの台の上を占拠しまして、そうして混乱に降れた際に、これを総評の名において防止できなかつた弱さにつきましては、今後といえども労働組合として反省してもらわなければならぬと存ずる次第でございます。(拍手)
    〔国務大臣天野貞祐君登壇〕
○国務大臣(天野貞祐君) 学生のごく少部分ではございまするけれども、しかし、こういう事件を起したことは、私の深く遺憾とするところでございます。けれども、私はこの事件のゆえに辞意を表明したことはございません。この事件の收拾につきましては、あくまでも教育的でなければならない。その意味において、私は学長諸君とよく協議をして、そうして学長諸君の学生の自治活動に対する適当な指導に期待いたすものでございます。(拍手)
    〔国務大臣大橋武夫君登壇〕
○国務大臣(大橋武夫君) 五月一日の騒擾事件につきましては、まことに遺憾千万に存ずる次第でございます。当日、警察予備隊といたしましても一必要がありまするならば出動いたすべきでありまするから、事件の推移については十分注意をしておつた次第であります。警察予備隊の出動をまたずして、一般警察力によつて收拾し得る事態であると判断をいたしましたので、当日出動を命ずるに至らなかつたのであります。今後につきましても、政府といたしましては、もとより治安上必要がありますならば、警察予備隊を出動せしめるについては、決してこれを辞するつもりはございません。しかしながら、その性格から考えまして、一般警察力をもつて收拾でき得ると認められる事態に際しまして、みだりにこれを動かすことは、でき得る限り避けたいと存じておる次第でございます。(拍手)
○副議長(岩本信行君) 前田種男君。
    〔前田種男君登壇〕
○前田種男君 私は、日本社会党を代表いたしまして、講和後三日目、すなわち五月一日の意義あるメーデー当日が血をもつてぬられましたところのこの不祥事件に対しましては、まことに遺憾の意を表する次第であります。
 私は、この事件の内容につきましては、お互い靜かに考えまして、この真相、計画、善後措置、今後の日本の再建等とにらみ合せまして、今回のような不祥事件が再び繰返されないような状態にわが日本をせなくてはならないと考えるものでございます。(拍手)私は、そうした観点から、靜かにこの事件を考えてみましたときに、今法務総裁の経過報告を聞いておりますと、政府は事前にこの計画を知りておつたと言つております。事前に、国民の一部の人がいろいろ計画するその事件を知つておりながら、今日のような結末をつけたということにつきましては、政府みずから重要なる取締りの責任を考えなければならないと思うものでございます(拍手)
 しかも、労働大臣並びに法務総裁の報告を聞いておりますと、この当日、しかも神宮外苑においていろいろ行われましたところの、あるいは壇上の占領の問題、あるいはマイクの破壞の問題、あるいは人民広場を奪還せよというおうな不穏な行為、あるいはデモ行進の過程におきましても、それから皇居前広場の間におけるところの時間的間隔を見ますると、二時間ないし三時間後にこの事件が起きております警視総監は、二日分法務委員会に出席いたしまして、あの広場の使用禁止に対しましては、四個中隊のわずかの警備をもつてあの衝に当つておつたから、どうにも手のつけようがなかつたと言つておりますが、三時間ないし四時間の時間があつたにもかかわらず、そうした問題に対するところの十分な対策を立て得なかつたところに大きな政府の失政があると言わざるを得ないのでございます。(拍手)
 私は、そうした関係において行われましたところの今度の事件につきましては、いろいろ言わなくてはならない問題がございます。あるいは、そうした警察の不始末等に対するところのその後の情報等を総合して見ますならば、アメリカのある新聞は、一昨日の新聞記事でこう言つております。政府は、むしろ日本共産党のいろいろなこうしたテロ行為等を誘発して、かえつてこれによつて治安対策の強化の資料にするという魂胆があつたのではないかと、アメリカの新聞は報じておるのでございます。また一つには、日本の警察はいろいろな問題を引起して、アメリカ軍の協力を得ようとするところの手段にしたのではないかと、アメリカの新聞は報じておるのでございます。
 この新聞の真意がどこにあるかは別といたしまして、少くとも今回の事件に対して、国会においても、メーデー対策につきましては、あらかじめ事前に、十分の、用意周到の対策がなされなくてはならないという警告が、数回にわたつて行われておるのでございます。そうした注意があつたにもかかわらずへ政府みずからが、そうしたことに対して十分の手配をせなかつたところに、必要以上にこの問題が惹起されたるゆえんがあるのでございます。
 私は、こうした点から考えて参りまして、この事件が起きたために、政府は狂奔いたしまして、今後の治安対策に対しては万全を期せなくてはならないということを言つておりますが、その報道されておりますところの内容を見てみますると、しかもこのことによつて、政府はいろいろな法規をこしらえようとしております。あるいは公安條例を強化し、あるいは警察制度を強化し、あるいはゼネスト、あるいはデモ禁止の法案をつくろうとしております。あるいは労働三法を改惡しようという計画もやつております。かような方法をもつて真に日本の治安が確保できるかどうかということにつきましては、愼重に考えてみなくてはならぬのでございます。
 私の見るところによりますならば、共産党の基本的な計画は、反政府的なあらゆる運動を推し進めて参りまして、むしろ彈圧法規をもつと出させたり、国民の自由をもつと奪うような法律をこしらえることを喜び、あるいは日本の国内経済の破壞されるような行為、あるいは国民生活が脅かされるような状態に追い詰めることによつて、国民大衆を反政府的にどんどん盛り上らせて行くことが、かえつて共産党の目的を達成する近道だというのが、常識的に考えられておりますところの共産党のねらいでございます。(拍手)このねらいに、政府がまともに乘つて、このねらいに乘せられて、いろいろな拙策を講ずるということは、愚の骨頂なりといわざるを得ないのでございます。真に国内の治安を確保しようといたしますならば、国民の全的な協力が得られるような態勢に持つて来て初めて国内治安の確保はできるものと、私は信ずるものでございます。国民の協力なくして、国内の治安の確保というものはできるはずはございません。幾つも法律をこしらえて治安対策をやろうとするよりも、もつと国民大衆が協力できるような状態に日本の政治を持つて行かなくてはならないのでございます。この点におけるところの吉田内閣の施策というものは、いろいろな点にその施策が現われて来ておることを、今日認めざるを得ないのでございます。私たちは、むしろ吉田内閣は、今日いろいろ治安上不安な状態に置かれておりますところの日本の現状に兼いては、政局を担当する能力なし、といわざるを得ないのでございます。(拍手)私たちは、そうした観点から、今回の問題につきまして、政府はいかなる所信をもつて対処しようとしておるかという点を、簡明に御答弁願いたいと思うものでございます。(拍手)
    〔国務大臣木村篤太郎君登壇〕
○国務大臣(木村篤太郎君) お答えいたします。ただいまの御議論は、いわゆる治安対策の一環として国民の協力を求むべきが至当じやないか、まことにその通りであります政府もまた、国民の協力を求めてこの治安対策を立てたい、こう考えております。ことに破壞活動防止法案のごときは、まつたくこの種の事案に対して最も適切な法案であると私は考えております。警察の問題につきましても、それぞれ対処すべき成案を得て国会の御審議を願いたい、こう考えております。(拍手)
    〔国務大臣吉武惠市君登壇〕
○国務大臣(吉武惠市君) 前田君のお尋ねにお答えいたします。今回の事件にかんがみ、今後の対策としてゼネスト禁止法あるいは労働三法の改惡を考えているのではないかというお尋ねでございますが、私どもは、労働三法の改正は今検討中で、近く提案するつもりでございます。しかしながら、これは決して正常な労働組合運動を抑圧する考えはございません。ただ、先ほども意見が出ましたことく、日本の労働運動には、常に極左的共産分子がこれに便乗いたしまして、とかく健全なる組合運動を阻害しつつある現状にかんがみ、これに対する適当な処置は考える必要があると考えております。(拍手)
○副議長(岩本信行君) 風早八十二君。
    〔風早八十二君登壇〕
○風早八十二君 私は、日本共産党を代表し、木村法務総裁の報告に対し質問をいたすものであります。
 第二十二回統一メーデーにに集しました東京五十万の組織大衆は、日本民族解放の最夜ののろしたるべきこの日のために、初めから人民広場の使用を要求していたことは、天下周知であります。(拍手)人民広場は、断じて米軍と日本官憲の独占物ではない。人民のものでなければならないのであります。東京地方裁判所が、公共のためその使用を許すべしとの判決を下したことは、あまりにも当然であります。それゆえ、メーデー当日、約十万の大衆が人民広場に向つて正々堂々行進したのは、正当な権利の行使であることは明白であります。
 しかるに、吉田政府は、無謀にも計画的に数千の武裝警官をこの広場に配備し――――――――――――――のであります。(「懲罰々々」と呼び、その他発言する者多し)十万の大衆は、武装警官の……。
    〔発言する者多し〕
○副議長(岩本信行君) 靜粛に願います。
○風早八十二君(続) 干渉さえしなければ、平穏無事に、憲法の保障するデモル行進の……。
    〔発言する者多し〕
○副議長(岩本信行君) 静粛に願います。
○風早八十二君(続) 自由を行使した後に散会したに違いない。しかるに、宮城側にすでに待ち構えていた数千名の武装警官隊は、――――――――――――――――――――――大衆が呼吸困難と苦痛を訴えるすきに乗じて――――――――――――――――――こん棒を振りかざして、帽子一つかぶつておらない――――――――――――――、婦人といわず、子供といわず、片つぱしから―――――――――――――――――――ほしいままにしたのであります。武裝警官隊のこの集団的暴行により、都民の即死者九名、重軽傷六百数十名、たちまち人民広場は血の広場と化したのであります。
 朝日新聞は言つております。暴行事件の潮の引いたあとには、永久に物を言わなくなつた一青年が取残された。東京メーデーは、その腕に一個の死体を受取つたのである。この死体の重さを感じないところに、政治もなく、良心もない。民主主義から人命の無條件の尊重を取去つたら、あとに何が残るか、こう言つております。
 しかも、これは一人ではなく、九名であつたのであります。さらに、今日もまた、東京病院で、法政大学学生、近藤巨士君が死んで行きました。近藤君は、警官のこん棒で頭を割られ、頭部内出血で倒れました。医者が絶対に安靜を要求したこの重病患者に対して、―――――――――――――――――、夜中に長時間の尋問を強行し、そのために、遂に彼の生命は奪われだのであります。かかる警察官の暴状を知つておればこそ、国民大衆は警察に対し最大の憎しみを抱いておるのだ。だからこそ、当日警察側の負傷者に対して、大衆の力によつて、民間の病院はことごとぐその治療を拒否しておるではありませんか。人民からの孤立を目のあたり経験した警察内部には、今や大動揺が起つているのは、まことに笑止千万である。しかるに、木村法務総裁は、これでもまだ警察のやり方が手ぬるかつたと放言いたしましたが、政府はまだ日本人民を――――――のであるか。人権尊重に対する法務総裁の所見をただしたいのである。
 日本国民の血税で養われておる国家警察隊は、警察予備隊と同様、今や完全こ―――――――――――――――――ことを明白に証明したのであります。いな、ここに指摘しておかなければならないことは、国民に対する最初の発砲は、まさしくMPの手によつて行われたことである。日本国の国家警察隊は、――――――――――――――――――ことであります。国家警察隊は、今やまつたく――――――――――――――――――――――ことは明らかであります。目撃しておる多数の通行人は、異口同音に、今日こそ警察官の正体をはつきり知つたと叫んでおるのであります。
 UP通信東京支局長のポーツ氏も、メーデーがあのように暴動化したのは、警察が人民広場を封鎖したことが原因だと見る、これは、このデモを目撃した外人記者の一致した意見であると、こう言明しております。まさにその通り、今回の事件の一切の責任は、吉田政府とその国家警察当局にあることは明白であります。政府は国民に対して、いかにその責任をとるつもりであるか、明確な答弁を求めるものであります。
 政府は、事件後いち早くアメリカ大使館にあやまりに行つたそうであるが、国民に陳謝した話はまだ聞いておりません。それどころか、――――――――――――――――――被害者たる国民に対しては、損害賠償どころか、逆に入院中の被害者の治療を妨害し、騒擾罪として臨床尋問を行い、重傷を負うて帰宅しつつある途中におきまして、被害者を大量検挙しておる。多数の遺骸を隠しておる。これこそ、盗人たけだけしい限りであるばかりでなく、天人ともに許すべからざる非人道行為であります。
 わが党は、国民にかわつて政府に要求する。一、政府は被害国民に対して公に陳謝し、完全な賠償をなすべし。多数の遺骸はどうした。遺骸を出せ。一、警視総監並びにすべての下手人たる警官を即時罷免し、即時逮捕し、嚴罰に処すべし。一、吉田内閣は即時総辞職すべし。
 第二に重要な問題は、国民の抵抗権であります人民広場における数千名の武裝警官の無謀な集団的、組織的暴虐行為に対し、大衆はその正当防衛権を発動し、断固としてこれに頑強な抵抗を行つたのであります。催涙弾、ガス・マスク、ピストル、こん棒、防彈チヨツキをもつて、すき間なく武裝し、―――――――――――――――――この武裝警官隊、これこそ日本国内に派遣せられた―――――でなくて何であります。大衆の抵抗は、この―――に対する正当防衛であり、民族的憤激の爆発であつたのであります。売国フアツシヨどもに対する民族防衛の実践であるところのこの民族の抵抗権を、われわれは十分に直視しなければならないのであります。
 指摘すべきは、この抵抗者の中に多数の婦人、青少年が存在していたこと、いな、偶然通りかかつた一般の通行人たちが、めらめら燃える外国自動車を見て拍手喝采を送り、そこらの石を拾つて外国自動車に投げつけたという事実は、そもそも何を示すものであるか。これこそ、植民地アジアに幾たびとなく繰返された、帝国主義者に対する民族解放ののろしではありませんか。インドのタイムス・オブ・インデイア、この新聞は、この事件を大々的に取上げて、日米行政協定の諾條項や、国民政府と交渉させるためにアメリカが日本に加えた圧力は、日本国民を反発さした、その責任は、連合国の忠告を無視し、日本国民の不満を無規してかかつたところのアメリカ当局の責任である、こう言つております。またヒンドスタン・スタンダード紙も言つておる。今度の東京事件のようなものが早晩起ることは、サンフランシスコ條約を拒否したアジア諸国が、かねて警告したところである、日米親善なるものが、軍隊、軍事基地、治外法権という形で現わされれば、それは戦略的にも計画的にも米国が日本を支配するための見え透いた偽裝である、従つて日本に対米反抗が起るのは当然である、と書いております。
○副議長(岩本信行君) 風早君に申し上げます。申合せの時間が過ぎましたから簡潔に願います。
○風早八十二君(続) 今日の日本人は、もはや断じて昨日までの日本人ではありません。今や日本国民は、―――――――――――――――――――――――こと、これを手引きしたのは吉田内閣であること、このことをはつきりと知り、遂に民族解放の革命的エネルギーの一端を爆発さしたものであります。―――――は、これにあわてふためいて、去る五月二日の法務委員会における木村法務総裁、吉武労働大臣、田中警視総監の正式報告を通じて、人民広場の大衆行動を総評と切り離し、ひたすらわが党並びに一部の労働者、学生、朝鮮人に集中攻撃をかけることによつて、メーデーに結集した統一戰線り分裂を策そうと企図したのでありますが、この企図は完全に失敗しておる。人民広場の使用は総評の決議であります。人民広場に結集した大衆は十万を突破しておるのであります。目撃者は言うに及ばず、外国新聞紙まで例外なく、抵抗行動が最も大衆的規模で行われたことを確認しておるのであります。(拍手)武装警官のピストルで背後から心臓を射抜かれて即死した高橋正夫君は、現に東京都民主局の職員である心総評系の都職の組合員ではないか。
 本年のメーデーは、西ドイツにおいても、大きな流血の惨事を見ました。およそアメリカ占領制度のもとにおいて、洋の東西を問わず、同様の大事件は今後幾たびか繰返され、ますます拡大してやまないでありましよう。かかる入民の大衆的反抗は、――両條約、行政協定の存続する限り、断じてやまないでありましよう。統一メーデーに結集した五十万人の組織大衆は、――両條約、行政協定の破棄、破防法の撤回を決議しております。政府が依然として大衆のこの要求を無視し、破防法を強引に押し通すならば、第三次ゼネストを含む全国的大策行動はいよいよ熾烈化し、今後吉田内閣打倒に向つて展開されるでありましようことは、火を見るはりも明らかであります。政府は、すみやかに――両條約、行政協定を破棄し、破防法、刑事特別法を撤回すべきだ。政府の所信をただすものであります。(拍手)
○副議長(岩本信行君) ただいまの風早君の発言中には不穏当の言辞があるようでありますから、速記録を取調べの上、適当の処置をとることといたします。
    〔国務大臣木村篤太郎君登壇〕
○国務大臣(木村篤太郎君) ただいま風早君は、警察が―――――――――――と、きわめて不穏当なことを申されました。何がさようなしとがあるか。おそらく風早君の胸のうちに、さような計画でもしておるのではないかと、私は思うのであります(拍手)しかして、警察官が非常な暴行をしたようなことを言いまするが、これは全然逆であります。その当時見ておつた者は、ことごとく痛憤しております。警察官が三名ほりに投げ込まれ、はい上ろうとするのを、土から石を投げたり、あるいは竹ざおでこれをつつついたり、実に残虐無比のことをやつておるのであります。これをしも何と見るか。私は痛憤禁じあたわざるものが癖るのであります。いかに計画的にこの事件が進められたか、またこの事件に使用された武器がどのようなもので新つたかということは、検察庁押收の物件を見ればきわめて明瞭であろうと思います。(拍手)私は、この事件につきまして、左翼分子のやり方、いかにも人道無視の行動について痛憤しておる者の一人であります。
 なほMPが発砲云々ということを言われましたが、MPが発砲しておるという事実は、報告を受けておりません。(拍手)
    〔国務大臣吉武惠市君登壇〕
○国務大臣(吉武惠市君) 風早君の質問にお答えをい出します。
 皇居前広場の使用は公共の用に供するという話でありますが、もちろん公共の用に供しております。それだからこそ、一般の国民は、あそこを散策の地としておるのでありまして、決して政治的、宗教的儀式や行事を行うところではございません。
 また今回の事件は、いかにも一般の労働者大衆が入つたように言つておられますが、先ほど法務総裁の御説明にもありましたごとく、総評は明治神宮外苑でメーデーの行事を行い、それぞれ計画通りに行進をして散会しております。ただ共産主義的な朝連及び全学連の一部の人たちだけが入つておるのであります。
 私どもは、今後といえども、かくのごとき破壞的な分子が労働運動に便乘することは断固反撃するつもりでおります。(拍手)
○副議長(岩本信行君) これにて質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
○福永健司君 議事日程追加の緊急動議を提出いた七ます。すなわち、甲木保君外二十三名提出、教育施設の復原、確保に関する決議案、及び井之口政雄君外二十二名提出、教育施設の復原一確保に関する決議案の両案は、いずれも提出者の要求の通り委員会の審査を省略してこの際逐次議題となし、その審議を進められんことを望みます。
○副議長(岩本信行君) 福永君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(岩本信行君) 御異議ないと認めます。よつて日程は追加せられました。
 まず、甲木保君外二十三名提出、教育施設の復原、確保に関する決議案を議題といたします。提出者の趣旨弁明を許します。岡延右エ門君。
    〔岡延右エ門君登壇〕
○岡延右エ門君 ただいま上程いたされました、共産党を除く各派共同提案による教育施設の復原)確保に関する決議案について、発議者を代表いたしまして、本案提出の趣旨の御説明をいたしたいと存じます。
 まず案文を朗読いたします。
    〔副議長退席、議長着席〕
  教育施設の復原、確保に関する決議案
  国家の発展は、教育の成果にまつこと甚大であり、特に現代においては、この教育目的を遂行するためにその施設、設備の整備充実を必須要件とすることは言をまたないところである。しかるにわが国においては、戰災により教育施設が著しく破損したばかりでなく、その後において心連合国軍用、予備隊用その他への転用多く、ために益々窮乏の度を加えている現状である。
  いまや講和條約発効の時に際し、現にこれら教育目的以外に転用中の一切の教育施設は、これを優先的に復原し、将来に向つてもその確保をし、もつて教育の支障を少なからしめるよう、政府は、すみやかに適切な措置を講ずることを強く要望する。
  右決議する。
申し上げるまでもなく、今後日本が真に民主的な文化国家として健全な発展を遂げるかいなかは、一に教育の成果にかかつているのでありまして、教育こそは新しい日本を生み出す生命力なのであります。この意味において、戰後わが国は、従来の教育制度に根本的検討を加えまして、新憲法の精神に基く幾多の改革を断行して参つたこと、は、御承知の通りであります。しかしながら、現代の教育内容を体系づけ、その実効を改めるためには、まずもつて教育施設及び設備の整備充実をはかることが必須條件でありまして、この要件を満たすためには、教育再建の熱意に燃える国民は、困難な経済事情をも克服して鋭意努力して参つたことも、皆さん御承知の通りであります。
 顧みるに、今次の戰争によりまして、わが国の教育施設の受けた打撃は非常に大きく、これを学校に例をとつてみれば、罹災学校の数は約三千五百、その総面積約三百万坪に達しているのであります。なおこれに加えて、その後連合軍の進駐により接收された教育施設が多数あるのであります。文部省の調査により、学校関係につきこれを見ますと、大学、專門学校、中小学校合計五十二件、建物総坪数約三万五千余坪、土地約二十一万四千坪、ほかに図書館、美術館、動物園、青年館、運動施設等、学校以外の教育施設についでは二十二件、建物約一万二千坪、土地十六万二千余坪が現在接收されているのであります。さらにまた、国内問題といたしましても、教育施設が種々他の用途に転用されております。たとえば警察予備隊において現在使用している学校数はおよそ十五校、建物四万三千坪、敷地約二十二万坪、その他の建物十…方二千余坪、土地七十一万余坪の多きに達しているのであります。
 さて、これら接收され、また他に転用されている学校の現状はどうかと申しますと、あるいは他校に間借りしで不自由な授業を行い、あるこは急造のバラツクでようやく雨露をしのぐ等、母校を失つた生徒、学生たちの嘆きは、まことに悲痛可憐なるものがあるのであります。彼らは、一日も早くみずからの学校に復帰したいと、切々と希望しているのでありまして、これらの願いは、父兄、学校当局、地元等を動かしまして、熱烈な陳情となつて現われ、国会へもしばしば参つていることは、これまたすでに皆さん御承知の通りであります。
 以上申し上げましたように、接收または転用によつて生ずる教育上の障害は、まことにゆゆしいものがあるのであります。これらの事実が国民全般に及ぼす心理的影響はまことに憂慮すべきものがあることを、率直に認めざるを得ないのであります。元来、教育施設は、教育目的のためにのみ使用されることが当然であつて、教育の重要性にかんがみ、これが他への転用は、これを排除されるべきものであります。いわんや、新学制実施の結果、義務教育の最低基準によつて計算してもなお数十万坪の不足を示している現状においては、現に接收されている教育施設は、他の諸施設に優先して解除され、また他の目的に転用されている国内の教育諸施設も、これをすみやかに本来の姿に復原することはもちろん、将来においても、その確保について万全の考慮を佛うことが、きわめて緊要なことと存ぜられるのであります。
 以上をもちまして、本決議案の提案理由の説明を終ります何とぞ満場一致の御賛成をお願いいたす次第であります。(拍手)
○議長(林讓治君) 採決いたします本案を可決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(林讓治君) 御異議なしと認めます。よつて本案は可決いたしました。
     ――――◇―――――
○議長(林讓治君) 次に、井之口政雄君外二十二各提出、教育施設の復原、確保に関する決議案を議題とするはずでありますが、ただいま甲木保君外二十三名提出の決議案が議決されましたので、審議を要しないものといたします。
○議長(林讓治君) 日程第二、耐火建築促進法案を議題といたします。委員長の報告を求めます。建設委員会理事鈴木仙八君。
    〔鈴木仙八君登壇〕
○鈴木仙八君 ただいま議題となりました、不肖鈴木仙八外十三名提出の耐火建築促進法案につきまして、建設委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 本法案は、都市における耐火建築物の建築を促進し、あわせて土地の合理的利用をはかることを目的としております。その方法は、まず都市の防火地域内に、建設大臣が関係地方公共団体の長の意見を聞いて防火建築帯を指定し、この中に耐火建築物を建築する者に対し、国及び地方公共団体から補助金を交付し、また市町村長が必要と認める場合は、これに対する固定資産税を軽減し得ることとして、耐火建築を奬励せんとするものであります。
 本法案は、四月二十四日、本委員会に付託せられまして以来、愼重に審議いたしました。
 次に、本案に関する質疑のおもなるものについて申し上げます。第一に、防火建築帶は都市の枢要地帶に指定されることになつているが、枢要地帶とはいかなる地帯をさすのかという点でありますが、これに対しては、枢要地帯とは必ずしも政治経済上の中心地に限る意味ではなく、密集した住宅地等で、火災危險度の高い地帶をも含むという答弁でございました。第二に、今回の鳥取市の火災のごとき突発事件に関する適用の問題でありますが、これに対しては、かかる場合には、現地の希望により防火建築帶の追加指定も可能であり、予算的にとりあえず既定予算を充当するが、他の計画に支障を来さないよう、補正予算等の機会にできる限り本予算を拡充したいということでありました。
 最後に、本法案には耐火材料の生産や検定並びにこれに対する援助の方策が規定されていないが、将来はこの方面をも規定して耐火建築を一層促進したいという点、並びに昭和二十七年度に決定した二億円の予算では僅少に過ぎて、防火建築帯の指定がかえつて建築を遅らせる結果ともなるおそれがあるので、今後大幅に拡充せねばならぬという点に関し、強い希望意見の開陳がありました。
 かくて、討論を省略し、採決の結果、多数をもつて可決せられました。
 以上、簡單に御報告申し上げます。(拍手)
○議長(林讓治君) 採決いたします。本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(林讓治君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。(拍手)
     ――――◇―――――
○福永健司君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、稻田直道君外八名提出、罹災都市借地借家臨時処理法第二十五條の二の災害及び同條の規定を適用する地区を定める法律案を議題となし、この際委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
○議長(林讓治君) 福永君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(林讓治君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
 罹災都市借地借家臨時処理法案二十五條の二の災害及び同條の規定を適用する地区を定める法律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。法務委員長佐瀬昌三君。
    〔佐瀬昌三君登壇〕
○佐瀬昌三君 ただいま議題となりました、罹災都市借地借家臨時処理法第二十五條の二の災害及び同條の規定を適用する地区を定める法律案につきまして、提案の要旨及び法務委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 御承知のように、去る四月十七日午後二時五十五分、鳥取市の南東部温泉道路附近より発火いたしました火災は、折からの南々西十メートル以上の強風にあおられ、たちまち東北に延燒するとともに西方にも延び、市中心の繁華街を総なめにいたし、十四時間燃え続け、翌十八日午前三時ようやく鎮火いたしたのでございます。この燒失戸数五千二百余戸、罹災人員二万四千余名、被害見積り総額は百九十三億円に達し、実に戰後わが国における最大の火災となり、罹災者各位に深く御同情申し上げる次第であります。
 かかる災害に対し、国の措置といたしましては、災害救助、免税等の方途もありまするが、鳥取市は特に借地借家等の権利義務の関係が複雑なところでありまして、今回の罹災地における借地率五割、借家率五割五分に及ぶのを見ましても、今後の住宅問題の紛争が予想されますので、これら住宅を失つた罹災者を保護するため、早急に罹災都市借地借家臨時処理法第二十五條の二を発動する必要があるのであります。ところで、罹災都市借地借家臨時処理法というのは、戰災の場合のほか、別に法律で指定した火災、震災、風水害その他の災害の場合に、その地区を指定して、罹災建物の旧借主に優先的に借地権を取得させ、あるいは罹災地の借地権で今後なお存続させる意思がないと認められるものを消滅させるなど、借地借家関係を調整して、かかる災害地の復興促進に資することを目的とするものであります。よつて、鳥取市にも同法を適用し、同市の復興再建の一助とする必要があるものと認め、各派共同提案をもつて本案が提出された次第であります。
 法務委員会におきましては、その必要と緊急性を認め、即日、討論を省略し、全会一致をもつて原案通り可決した次第でございます。
 以上、簡單に御報告申し上げます。(拍手、
○議長(林讓治君) 採決いたします。本案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり)
○議長(林讓治君) 御異議なしと認めます。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。
     ――――◇―――――
○議長(林讓治君) 参議院から、内閣提出、日本国とアメリカ合衆国との問の安全保障條約第三條に基く行政協定に伴う刑事特別法案及びポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件に基く法務府関係諸命令の措置に関する法律案が回付せられました。この際議事日程に追加して右回付案を逐次議題となすに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(林讓治君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
 まず日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障條約第三條に基く行政協定に伴う刑事特別法案の参議院回付案を議題といたします。
○議長(林讓治君) 採決いたします。本案の参議院の修正に同意の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(林讓治君) 起立多数。よつて参議院の修正に同意するに決しました。(拍手)
○議長(林讓治君) 次にポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する、件に基く法務府関係諸命令の措置に関する法律案の参議院回付案を議題といたします。
○議長(林讓治君) 採決いたします。本案の参議院の修正に同意の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(林讓治君) 起立多数。よつて参議院の修正に同意するに決しました。
○福永健司君 残余の日程は延期し、本日はこれにて散会せられんことを望みます。
○議長(林讓治君) 福永君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(林讓治君) 御異議なしと認めます。よつて動議のごとく決しました。
 本日はこれにて散会いたします。
    午後四時二十四分散会