第013回国会 本会議 第50号
昭和二十七年六月五日(木曜日)
 議事日程 第四十九号
    午後一時開議
 第一 一般職の職員の給與に関する法律の一部を改正する法律案両院協議会成案
 第二 日本電信電話公社法案(内閣提出)
 第三 日本電信電話公社法施行法案(内閣提出)
 第四 国際電信電話株式会社法案(内閣提出)
 第五 日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障條約に基き駐留する合衆国軍隊に水面を使用させるための漁船の操業制限等に関する法律案(内閣提出)
 第六 医師国家試験予備試験の受験資格の特例に関する法律等の一部を改正する法律案(丸山直友君外一名提出)
 第七 市の警察維持の特例に関する法律案(河原伊三郎君外五名提出)
 第八 輸出取引法案(内閣提出)
 第九 公共工事の前拂金保証事業に関する法律案(内閣提出)
 第十 消防組織法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第十一 消防法の一部を改正する法律案(地方行政委員長提出)
    ―――――――――――――
●本日の会議に付した事件
 会期延長の件
 日程第一 一般職の職員の給與に関する法律の一部を改正する法律案両院協議会成案
 日程第二 日本電信電話公社法案(内閣提出)
 日程第三 日本電信電話公社法施行法案(内閣提出)
 日程第四 国際電信電話株式会社法案(内閣提出)
 日程第五 日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障條約に基き駐留する合衆国軍隊に水面を使用させるための漁船の操業制限等に関する法律案(内閣提出)
 日程第六 医師国家試験予備試験の受験資格の特例に関する法律等の一部を改正する法律案(丸山直友君外一名提出)
 日程第七 市の警察維持の特例に関する法律案(河原伊三郎君外五名提出)
 日程第十 消防組織法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第八 輸出取引法案(内閣提出)
 日程第九 公共工事の前拂金保証事業に関する法律案(内閣提出)
 日程第十一 消防法の一部を改正する法律案(地方行政委員長提出)
 公職選挙法の一部を改正する法律案(公職選挙法改正に関する調査特別委員長提出)
    午後二時五十九分開議
○副議長(岩本信行君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 会期延長の件
○副議長(岩本信行君) お諮りいたします。今回の会期は明六日をもつて終了することになつておりますが、明後七日から六月二十日まで十四日間会期を延長いたしたいと思います。これに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○副議長(岩本信行君) 起立多数。よつて会期は十四日間延長するに決しました。(拍手)
     ――――◇―――――
○副議長(岩本信行君) 日程第一、一般職の職員の給與に関する法律の一部を改正する法律案両院協議会成案を議題といたします。両院協議会協議委員議長の報告を求めます。倉石忠雄君。
    〔倉石忠雄君登壇〕
○倉石忠雄君 ただいま議題となりました一般職の職員の給與に関する法律の一部を改正する法律案の両院協議会成案につきまして、両院協議会の経過並びに結果について簡単に御報告申し上げます。
 本院協議委員の互選によりまして、議長には不肖私、副議長には西村久之君が当選いたしました。なお参議院の協議委員の議長には草葉隆圓君、副議長には館哲二君が当選されました。
 本案は、御承知の通り政府職員の勤務地手当支給地域区分関係別表の改訂に関するものでありまして、本院において政府原案を可決したものを、参議院において修正したものでありますが、去る五月二十七日、本院において参議院の回付案に不同意の結果、両院協議会を求めたものであります。
 協議会は、まず五月二十九日初回の会議を開きまして、衆議院の田中不破三君及び参議院のカニエ邦彦君よりそれぞれ衆議院及び参議院の議決の趣旨の説明を聞き、さらに保利内閣官房長官の出席を求め、本案に対する政府の見解を聽取いたしましたところ、さきに人事院勧告により政府が提案したものについても予算的に相当の苦慮をしておる次第であつて、参議院の修正案を実施することはきわめて困難である、政府は今後すみやかな機会に、今回の参議院の修正案を尊重し、その内容においても人事院と十分連絡し、勤務地手当合理化の見地から愼重に検討する考えであるから、この際は公務員の待望にこたえて原案通り通過されんことを希望するとのことでありました。
 かくして後協議に入り、懇談を重ねましたが、協議会において問題になりました点は、参議院の修正議決によつて地域給の支給割合が引上げられる三百数箇所の地域とその他の地域との不均衡をいかに是正するか、またそれに伴う予算的措置をいかにして講ずるかという点であつたのでありまして、これらの点につきまして前後四回にわたり会議を開き、種々協議懇談をいたしました結果、遂に昨日に至りまして、全会一致をもつて協議会の成案を得るに至つた次第であります。
 その内容は、参議院が修正議決した部分の地域給の支給割合の引上げは、諸般の事情にかんがみ、今回はこれを行わず、別表の地域給については衆議院の議決通りとし、ただ施行期日については参議院の議決の通り公布の日からとし、四月一日より適用することといたしました。また、なるべくすみやかに参議院の修正議決の趣旨をしんしやくして地域給の別表を改訂するということを別表の備考に挿入いたしたものであります。なお、別表に挿入いたしました「斟酌して」とは、参議院の修正議決の趣旨を尊重するとの意味であり、「なるべく速かに」とは、七、八月ころと予想される人事院の勧告を待つて、できるだけすみやかに改訂する意味であるということを相互に了解いたした次第であります。何とぞ慎重御審議の上、御賛同あらんことを希望いたす次第であります。(拍手)
○副議長(岩本信行君) 質疑の通告があります。これを許します。松澤兼人君。
    〔松澤兼人君登壇〕
○松澤兼人君 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題となりました一般職の職員の給與に関する法律の一部を改正する法律案に関する両院協議会議長の報告について、二、三の点を御質問申し上げたいと思うのであります。
 いわゆる地域給の問題は、公務員にとつて重要な問題であり、公務員の給與の現状が現在のようであるといたしますと、われわれとしては、この問題の公正なる解決をなすことは当然の義務といわなければならないのであります。地域給の法律案は、御承知のように、衆議院においては政府原案の通り決定し、参議院に送付せられました。われわれは衆議院においてこの政府原案に対して適当なる修正を加えたいと考えていたのでありますが、一応はこれを承認して、さらに今後適当なる改訂をなすべきことを期待していたのであります。参議院は、国会独自の見解によつて相当大幅な修正を加え、これを衆議院に回付して参つたのであります。われわれといたしましては、先般参議院より修正案が回付せられて参りましたときに、参議院の修正に同意を與えるべしという意思表示をしたのでありますが、不幸自由党の多数によりまして不同意と決定し、両院協議会に持ち込まれたのであります。
 聞くところによれば、自由党の不同意の理由は、一つには修正案が不公正であるということ、二つには予算上の難点があるということでありますが、われわれは、第一の点については一応修正案を承認して、今後これを是正することが適当であると信じております。第二の予算上の点については、自由党及び政府に、公務員の生活に対する一片の理解と同情があり、その改善の意思さえあるならば、財政上の問題は解決に困難であるとは思わないのであります。本日議題として両院協議会の成案が上程されたのでありますが、これについて両院協議会議長の御見解を伺いたいと存ずるのであります。
 第一には、成案によると、地域給の別表は暫定的なものであつて、なるべくすみやかに改訂するとありますが、この「暫定的」とは、時期としていかなる期間を意味するのであるか、すみやかに改訂されるという意味は、次期国会をさすものと考えられるが、さように解釈してさしつかえないかどうかという点であります。政府原案においても四月一日から実施することを目途としておるのでありまして、全国の公務員は首を長くしてその実施を待つておるのであります。追加の地域給の分も、参議院の修正によれば四月一日から実施されることになつているのでありますから、追加分の恩惠に浴する三百二十二の地域、十二万四千九百五十人の国家公務員、その他公社職員、地方職員等は、参議院修正の即時実施を希望しているのでありまして、さだめし両院協議会の成案には多大の失望を感ずるだろうと思います。改訂の時期につき親切なる答弁をお願いいたしたいと存じます。
 第二に伺いたいことは、同じく成案によれば「昭和二十七年五月六日行つた参議院の修正議決の趣旨を斟酌して」とありますが、この意味は、参議院の修正の基礎の上に、さらにそれによつて生ずるかもしれないアンバランスを是正して追加改訂するものと解釈すべきものと存じますが、その通り了解してよろしいかどうか。われわれは参議院の修正が万全のものとも考えませんが、法律によつて国会が自主的に地域給を決定するとすれば、結局あれ以上のものはできないと思うのみならず、国会において、とにかく独自の見解が地域給について附加せられたことを考えるだけでも、国会の自主権の上から喜ぶべきことであると信ずるのであります。かかる修正案が参議院において全会一致成立して発表された以上は、公務員のこれに対する期待はきわめて大なるものがあり、この期待を万一裏切るようなことがあつては、立憲政治に対する失望をもたらすことになりはしないかをおそれるのであります。従つて、修正案は一応これを認める意味であれば、われわれは両院協議会の成案に対し敬意を表するものでありますが、万一これを創つて改訂するものであれば、はなはだ遺憾といわざるを得ません。なお、これによつて生ずるかもしれないアンバランスは、今後やはり国会の手によつて是正して行くことが適当であろうと信ずるのでありますが、先ほど申しました参議院の修正の趣旨をしんしやくするということが上に述べたようなものであるか、御答弁を承りたいのであります。
 第三に、かりに次期国会において、参議院修正部分及び新たに追加せられる部分等の議決があつた場合には、これらの地域の国家公務員は、いつからその改訂が適用されるのか。もちろん予算上の関係もありますが、予算上の措置が講ぜられるならば、なるべく原案部分の公務員と同様に遡及して適用するのが当然と考えられるのであります。両院協議会においては、その点について、いかなる話合いがあり、了解があつたか、伺いたいのであります。
 最後に、官房長官に伺いたい。もしも成案が両院において議決され、国会が成案によつて近い将来に改訂を行う場合には、政府はこれに協力して財源的措置を講じ、その実施期をできるだけさかのぼつて適用するよう善処されるかどうか承りたい。政府は、人事院機構を改革し、その権限を縮小して、事実上事務局は総理府の内部に掌握する考えのようである、それならば、公務員の基本的権利の制限を緩和する措置を講ずることが当然と考えられるのであるが、少くとも今回の地域給の問題について起つた紛糾を解決する上から見ても、親切に公務員の立場を考えることが必要であると思うのでありまして、将来の改訂及び実施期日の遡及の点について御見解を伺いたい。
 以上をもつて私の質問を終ります。(拍手)
    〔倉石忠雄君登壇〕
○倉石忠雄君 松澤君のお尋ねにお答えいたします。
 委員長報告の中にあります地域給の別表は暫定的なものであつて、なるべくすみやかに改訂するというこの「暫定的」とはいかなる時期であるかというお尋ねでございますが、この案は、御承知のように、一度定めて永久不変のものではないのでございまして、末尾にございますように、この次に人事院の勧告がありました機会には、参議院の修正の趣旨を尊重して改訂するということに同意をいたしたのであるから、暫定的であるということを加えたのであります。
 それから第二の、すみやかに改訂するとは次期国会と了解してよろしいかということでありますが、松澤君御承知のように、人事院勧告をまつて行われるのでありますから、この次に人事院の勧告のございましたときは、両院は相談をいたしまして、なるべく参議院の趣旨を尊重したように修正をしようではないかという申合せをいたした次第であります。
 「参議院の修正議決の趣旨を斟酌して」というのは、参議院の修正を承認して、さらにそれによつて生ずるかもしれないアンバランスを是正するため改訂するという解釈でいいかというお尋ねでありますが、両院協議会においてしばしばお話がございましたのは、ただいま松澤君のおつしやつたように、参議院側でなされました御修正も、理想的なものであるということには意見は一致しておりません。従つて、参議院側で御修正になつた趣旨を尊重して、松澤さんの言われたように、アンバランスを是正しようではないかということであります。従つて、その場合には、衆議院側の希望ももちろん取入れることに努力をいたす次第であります。
 次に、実施時期はいつかというお話であります。両院協議会においては、この次是正したものも遡及して四月一日から施行しようではないかという御意見もございましたが、衆議院側はこれに同意をいたしませんでしたので、次回に修正されるべきものは、その決定したときを時期として、それから実施するということにいたしました。遡及いたさないということに決定いたしておりますから、さよう御了承願います。
○副議長(岩本信行君) これにて質疑は終了いたしました。
 採決いたします。本成案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○副議長(岩本信行君) 起立多数。よつて本成案は可決いたしました。(拍手)
     ――――◇―――――
○副議長(岩本信行君) 日程第二、日本電信電話公社法案、日程第三、日本電信電話公社法施行法案、日程第四、国際電信電話株式会社法案、右三案を一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。電気通信委員長田中重彌君。
    〔田中重彌君登壇〕
○田中重彌君 ただいま一括議題となりました日本電信電話公社法案、日本電信電話公社法施行法案及び国際電信電話株式会社法案に関し、電気通信委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 これら三法案は、いずれも内閣提出にかかるものであります。まず日本電信電話公社法案の制定理由といたしましては、わが国の電信電話事業は創始以来一貫して国営事業として経営されて参つたのでありまするが、国営形態のもとにおきましては、企業経営の基本である財務、会計、人事管理等の面において一般行政官庁と同一の規律を受けることが多く、また設備の拡張資金につきましても、そのときどきの国家財政のわくに左右されて、十分かつ安定した資金を得られず、ために活撥な企業活動を阻害され、設備の拡充も思うにまかせない結果、今日電気通信事業は遺憾ながら国民の要望に十分こたえることができない状態にあるのであります。よつて、政府といたしましては、さきに内閣に設けられました電信電話復興審議会の意見を徴し、また第七国会における本院の電気通信事業の公共企業体経営移行に関する決議の趣旨並びに政令改正諮問委員会の答申の方針に準拠し、慎重考究の結果、今回電気通信省を廃止し、新たに公共企業体たる日本電信電話公社を設立して電信電話事業の経営に任じさせることに定め、ここに本法律案を提出するに至つたというのであります。しかして、国営形態を公共企業体形態に改める主要な理由が、前に述べました国営方式から来る諸制約から離脱して、本事業体に企業としての自主性と機動性とを與えようとする点に存するのでありますから、本法律案におきましては、民間企業の長所たる能率的経営枝術をでき得る限り取入れ、極力企業活動を自由闊達ならしめる一面、公衆電気通信事業の持つ公共性は、国会及び政府の監督機能によつてこれを確保しようとするものであります。
 また日本電信電話公社法施行法案は、日本電信電話公社の設立手続及び経過措置を定めるとともに、他の関係法令を整理する必要に基いて提出されたものであり、国際電信電話株式会社法案の提案理由としては、政府の説明によれば、わが国における国際電信電話事業は、従来国内電信電話事業と一体として、国営によつて運用されて来たのであるが、列国の通信電波の獲得及び通信網拡張の熾烈な競争に伍して、わが国の対外通信の地位を向上せしめ、かつ自立経済確立のため通信サービスの改善をはかるには、国際電気通信事業に国内電気通信事業より一層徹底した企業活動の自主性と機動性とを與える必要がある一方、国際通信の相手方たる諸外国における通信担当者が多く民営形態をとつている事情にもかんがみ、ここに民営会社たる国際電信電話株式会社を設立して国際電気通信事業を経営せしめるとともに、その公益的特性を確保するため必要なる国家監督をなし、保護を加えるためこの法律案を提出するというのであります。
 次に、法案の内容について主要な点を申し上げます。日本電信電話公社法案は、七章八十七箇條及び附則よりなる法律案でありまして、第一章総則は公社の目的、法人格、業務内容、資本金等に関する規定でありますが、そのうち資本金は、この法律施行の際における電気通信事業特別会計の資産の価額から負債の金額を控除した残額に相当する額とし、政府が全額を出資することとなつております。
 第二章は経営委員会に関する規定でありまして、公社の業務の運営に関する重要事項を決定する機関として経営委員会を置き、その構成は、両議院の同意を得て内閣が任命する非常勤の委員三人と、職務上当然就任する特別委員たる総裁、副総裁二人の合計五人とし、委員長は委員の互選によつて選任されることとなつております。なお委員は無報酬で、その任期は四年であります。
 第三章は役員及び職員についての規定でありまして、公社に役員として総裁、副総裁各一人及び理事五人以上を置くこととなつております。総裁及び副総裁は内閣が、理事は総裁が任命し、総裁、副総裁の任期は四年、理事の任期は二年で、いずれも再任されることができます。職員については、その地位、資格、任用の基準並びに給與について規定するほか、業務規程に従つて職務途行に專念する義務を課する一方、降職及び免職、休職並びに懲戒につき、身分保障の見地から一定の基準を設けております。また、その労働関係については公共企業体労働関係法の適用を受けることにいたしております。
 第四章は財務、会計に関する規定でありまして、公社の財務及び会計に関しては、経理原則として発生主義会計原則によること、並びに公社の予算には、いわゆる事業予算として、需要の急激な増加、経済事情の変動等、緊急偶発の事態に応じ得る彈力性を與えることを規定しております。
 公社の予算は、予算総則、収入支出予算、継続費及び債務負担行為よりなり、国会に提出してその議決を経ることとなつておりまして、暫定予算、追加予算、修正予算についても本予算に準ずるものであります。
 資金につきましては、予算総則に定める限度額の範囲内において、政府及び民間に対し電信電話債券を発行し、また借入金をなすことができることとしており、また外債につきましては、元本の償還及び利子の支拂いについて政府の保証を受けることができること
 となつております。
 次に利益及び欠損の処理としては、毎事業年度経営上利益を生じたときは、まず繰越し欠損の補填に充て、なお残余があるときは、予算に定めるところによつて国庫に納付する場合を除くほか、これを積立金に組み入れることとし、経営上欠損を生じたときは積立金を減額して整理し、なお不足があるときは繰越し欠損として整理するものとしております。役員及び職員の給與は給與準則に従つて支給されるのでありますが、この給與準則は、一事業年度の支出が国会の議決を経た給與総額の範囲内でなければならない定めとなつております。第五章は公社に対する監督の規定であり、第六章は罰則、第七章は雑則であります。
 最後に、附則において、この法律の施行期日を本年七月一日といたしております。
 日本電信電話公社法施行法案の内容は省略いたしまして、国際電信電話株式会社法案は本則十六箇條及び附則よりなり、そのおもなる内容といたしましては、第一條に国際電信電話株式会社は国際電気通信事業を経営することを目的とする株式会社とする旨の規定を置いてその目的を明らかにし、以下の規定において、会社の株式は記名式とし、政府、地方公共団体、日本国民または日本国法人であつて、外国人または外国法人の支配に属さないものに限り所有することができること、商法の制限を越えて社債を発行し得ること、政府が会社の外貨債について保証契約をなし得ること等を定めております。
 本会社は商法上の商事会社でありますが、その行う事業は国民一般の利害に密接に関係いたしますので、社債の募集、長期借入金の借入れ、取締役及び監査役の選任及び解任、定款の変更、利益金の処分その他の重要事項については主務大臣たる郵政大臣の認可を要件とし、また監督上必要がある場合には、郵政大臣は会社に対し命令を発し、または業務報告を徴し得ることとなつております。
 また附則において、現在国際電信電話事業の用に供せられている設備は、日本電信電話公社から本会社に現物出資することができること並びに公社はその割当てられた株式を政府に讓渡し、政府においてこれを処分して行くこと、この法律の施行期日は、来年三月三十一日以前において政令で定めることが規定されております。
 以上をもちまして三法案の内容の概略に関する御説明を終つたのでありますが、申すまでもなく、これら三法案は、わが国の電信電話事業の経営形態に関し、明治以来数十年の長きにわたる伝統に画期的の変革を加える重要案件であります。
 電気通信委員会といたしましては、つとに電気通信事業の経営方式に特別の関心を拂い、すでに昨年八月以降十箇月にわたり、特に小委員会を設けて、精細な研究を進めて参つたのでありますが、さらに去る五月十日、これら三法案の付託を受けまして以来、十数回にわたる会議を開いて法案に対し検討を加えましたほか、五月二十日には公社法案及び会社法案につき公聽会を開催して公述人の意見を聽取する等、愼重審議を進めたのであります。従つて、委員会における政府との間の質疑応答もきわめて詳細かつ多岐にわたつておりまして、一々御紹介申し上げることは、とうてい時間の許すところではございませんので、これらに関してはすべて会議録によつて御承知願うこととし、ここでは単に、委員会において根本的な問題として最も論議の焦点となつたものは、公衆電気通信事業を国内業務と国際業務とに分断し、一は公共企業体経営に、他は民間企業経営に移行させることの可否、特に民営形態によつて国際電気通信業務の公益性を保持し得るかいなかの問題、公社予算に対し大蔵大臣が監督権限を有すること並びに公社の利益金の一部を国庫に納付せしめることの適否、国際業務の分離による公社の收益減に対する対策等の問題であつたことを申し添えるにとどめたいと存じます。
 かくして、委員会は、五月三十一日、ようやく三法案に対する質疑を終了いたしたのでありますが、この約二旬にわたりまする審議の結果、委員多数の意見といたしまして、公社法案及び公社法施行法案の二つについては、若干の点において政府原案に修正を加えることが必要であるとの結論に達し、同日、委員会の席上、自由党、改進党、日本社会党、日本社会党第二十三控室の各派共同提案として修正案が提出され、自由党の井手光治君がこれが趣旨の説明に当られたのであります。
 以下、右修正案の内容に関し概略を御説明申し上げたいと存じます。まず日本電信電話公社法案に対する修正案は十八項目にわたる修正でありますが、その多くは、公社の財務、会計に関し、原案においては郵政、大蔵両大臣が監督権限を持つことになつておるのを改めまして郵政大臣の権限に一元化し、必要な事項については郵政大臣が大蔵大臣に協議してこれを行うこととした修正であります。政府の財務、会計監督の基幹をなすものは、申すまでもなく予算監督でありますが、由来公社の予算は、主として建設資金の一部を国家資金に仰ぐ面において国家財政と関連を有するにすぎないのにかかわらず、大蔵大臣が公社予算に対し、国の予算におけるごとく全面的に調整の権限及び閣議提出の権限を持つことは適当でないばかりでなく、公社が郵政、大蔵両大臣の二重監督を受けることは、その企業活動を束縛して、前にも申し述べました、公社に自主性と機動性とを與えようとする本法律案の根本眼目にも背馳する結果を来すおそれがあります。よつて、修正案におきましては、原案第四十一條に修正を加えまして、公社予算に対する政府の監督権限を、事業監督に関する主務大臣たる郵政大臣に統一し、必要な事項は郵政、大蔵両大臣の協議にまつことといたしたのであります。また同様の理由によりまして、第五十四條第三項、第五十六條、第五十九條、第六十條第二項、第七十一條第四項、第七十四條及び第七十五條にも修正を加えて、財務、会計全般に関し政府監督権限の一元化をはかつたのであります。その他におきましては、公社の経営委員会の重要性にかんがみ、第十一條第一項を修正して委員の数を増加したこと、理事の濫設を防止するため、第十九條を修正して理事の数の最高制限を設けたこと、第二十五條を修正して役員の営利事業兼職を絶対的に禁止したこと、国庫納付金の性格を明らかにするため第六十一條第一項の字句を改めたことのほかは、主として立法技術上の修正にとどまつております。
 次に日本電信電話公社法施行法案に対する修正案は二項目でありますが、第一條第三項を修正して、経営委員会委員の任期終了期を国会開会の時期としたことのほかは、他の修正との調整にすぎません。
 以上、両法案に対する修正案の説明を終つたのでありますが、委員会は五月三十一日討論を行い、まず自由党を代表して橋本登美三郎君は、公社法案、公社法施行法案に対する修正案及び修正部分を除く原案並びに国際電信電話株式会社法案に対し賛成の意見を、改進党を代表して長谷川四郎君、日本社会党を代表して石川金次郎君は、いずれも公社法案、公社法施行法案に対する修正案及び修正部分を除く原案に賛成の意見を、国際電信電話株式会社法案に対して反対の意見を述べ、次いで日本共産党を代表して田島ひで君は、公社法案、公社法施行法案に対する修正案、原案及び国際電信電話株式会社法案に対して反対の意見を、また日本社会党第二十三控室を代表して稻村順三君は、公社法案、公社法施行法案に対する修正案及び修正部分を除く原案に対して賛成の意見を、国際電信電話株式会社法案に対して反対の意見を述べられたのでありま
 す。引続き委員会は採決を行い、公社法案及び公社法施行法案に対する修正案、同じく修正部分を除く原案、国際電信電話株式会社法案の順序をもつて賛否を諮りましたところ、いずれも多数をもつてこれを可決いたしたのでありまして、すなわち電気通信委員会におきましては、日本電信電話公社法案、日本電信電話公社法施行法案はこれを修正議決し、国際電信電話株式会社法案はこれを原案の通り可決いたした次第であります。これをもつて御報告を終ります。(拍手)
○副議長(岩本信行君) これより討論に入ります。長谷川四郎君。
    〔長谷川四郎君登壇〕
○長谷川四郎君 ただいま議題となりました日本電信電話公社法案、日本電信電話公社法施行法案の両法案に対しまして、改進党を代表いたしまして原案及び修正の部分に賛成の意を表するものであります。このたびの修正は、原案の骨子ともなるべきものをまさに踏襲いたしまして、公共的企業性を持つた経営に一歩前進するものであると確信するものであります。與党の委員諸君も、よくこの公共企業運営の自主性を確立せんとする目的に終始政府と折衝いたしたことは、本国会始まつて以来、他の委員会に見られないところの努力であつたと思うのであります。(拍手)従いまして、企業発足に際しましては、運営に当る方、また従業者の方も、二者一体となつて国民の要望にこたえ、われわれの意のあるところに万全を期し、能率を向上し、高能率高賃金制の範となつていただきたいと念ずるものであります。なおこの法案も、機動的企業運営に対しては、いまだ不備な点は認めざるを得ないのでありますが、経営にあたつての隘路とともに、今後の修正に待ちたいと思うのであります。次に国際電信電話株式会社法案でありますが、戰後、国際通信事業は日とともに利用度が高まり、飛躍的の発展を示しておるのであります。現に三十五年度は二十億余の收益を得、二十六年度はさらに増收の一途をたどつておるのであります。振り返つて、国内通信事業は採算不能な状態にあるので、この赤字は国際通信の利益によつてまかなわれておつたのであります。しかるに、政府は、突如国内電気通信事業を公共企業体とし、莫大なる利益の上る国際電気通信事業を民間に拂い下げて、独占私有化した株式会社を設立させて運営に当らしめんとしておるのであります。また法案の内容におきましても、矛盾きわまりなく、たとえば国外より国の独立が脅かされ、さらに国内の平和が撹乱されるというようなことがあつても、これをただちに国家目的遂行に役立たしめるには非常な支障があります。これらを考えると、常識ある人々は首肯し得ないところでございます。(拍手)今や、世界の国際情勢は日に緊迫の度合いを増大しつつあり、さらに国内的にも、一部分子の暗躍は見のがすことのできない現実であります。この現実を無視して、政府與党は政治の実質を誤り、一夜づくりの法案をもつて、一党一派の何ものにか支配され、まさに暴挙に出んと策したのであります。今まさに総選挙を間近に控え、與党のこの行動を、輿論は決して見のがしません。(拍手)これを称して自由党の選挙対策以外の何ものでもないととなえております。(拍手)かくのごとき法案は、われわれ八千三百万国民とともに絶対に許すことはなりません。(拍手)公共の施設、公共の福祉が侵害され、大資本家の独占利益のために国際的国家の権益が不当に葬り去られんとする、かかる法案に対しましては、絶対反対をしなければならない。(拍手)いかに與党の諸君であろうと、良識ある方はこの反対に賛成をしていただきたいことを念じまして、私の討論を終るものであります。(拍手)
○副議長(岩本信行君) 橋本登美三郎君。
    〔橋本登美三郎君登壇〕
○橋本登美三郎君 ただいま議題となりました日本電信電話公社法案、日本電信電話公社法施行法案及び国際電信電話株式会社法案に関し、私は自由党を代表し、電気通信委員会議決の通り、公社法案及び公社法施行法案については修正議決、国際会社法案については原案可決に賛成の意を表するものであります。そもそもわが国の電信電話事業の経営形態は、電信は明治二年、電話は明治二十三年の創業以来今日に至るまで、終始一貫国営方式をとつて参つたのであります。このたび、政府においては、この三法案を提出して、国内電信電話は公共企業体による日本電信電話公社に、一方国際電信電話は民営の形態たる国際電信電話株式会社に移すことになつたのでありまして、これは今後の電気通信事業に対する一大改革であると申さなければならぬのであります。特に国内の電信電話事業が公社に移りました大きな理由は、委員長の報告にもあります通り、戰争後の電信電話事業をして、できるだけすみやかに復興せしめたい、そして国民一般の需要を十分に充足したい、こういう考え方から、今回最も能率的であるところの公共企業体の設立をはかつたのであります。原案におきましては、この点についてわれわれが研究いたしました結果、相当に修正の必要があり、野党諸君の最も快い同調によつて、少くともわれわれがなし得る公共企業体としては最善の道を盡すことができたことに対しましては、野党諸君に対しても心から御礼を申す次第であります。国際電信電話会社法案に対しては、いろいろ御議論があるようであります。また長谷川議員におきましても、あたかもこの法案は自由党の選挙対策ではないかというような御意見であつたようでありますが、こういうような考え方を持つ野党の人がありといたしますれば、みずから心の中に、そういうような、ふまじめな考えが残つておればこそ、かくのごとき言論が出るのであろうと思うのであります。この国際電信電話会社法案をごらんになればわかるように、株式の放出にいたしましても、政府はできるだけ公開の席上においてこの株式の処分をいたし、あるいは利益金の処分においても、郵政大臣の認可なくしてはこの処分をなすことはできない、こういうようになつておつて、皆さんが心配なさり、あるいはそういう世間でいうところのうわさになるような点は、この法案の上においては一点もあり得ないのであります。ないにもかかわらず、そういう考え方でおられるということは、その党において、あたかもそういうような考えを持つておられるから、人のことも黒いように考えられるのではないかと思うのであります。(拍手)のみならず、世界の情勢から考えて、国際電信電話事業が世界的な運営をする上においては、従来のごとき、單に日の丸を先に立て、あるいは軍艦、陸軍を先に立てては、今後の日本というものは世界的な文化進出はできないのであつて、あくまでも民主主義の原則に立ち、真に国民の意思によつて公明正大に国際場裡に進出することが、今後の新日本のとるべき道であります。従つて、われわれは、今日こそ、国の名によつて、あるいは権力を背景として国際場裡に進むがごとき、そういう企業体はできるだけ排除しなければならない。国民の力によつて、いわゆる民主主義の原則に立つてこうした事業を経営してこそ初めて新日本の意義があるのでありまして、われわれは完全なる民営にこそ今後の日本の進歩の道があり、国際電信電話事業の発展の基礎があることを確信して、自由党はこの国際電信電話株式会社法案に対して絶対賛成の意を表するものであります。(拍手)
○副議長(岩本信行君) 松井政吉君。
    〔松井政吉君登壇〕
○松井政吉君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま上程されております日本電信電話公社法案並びに同法施行法案については希望條件を付して賛成をし、さらに国際電信電話株式会社法案につきましては反対の意見を申し述べたいと思うものであります。まず日本電信電話公社法案について申し上げます。御承知のように、今日の日本の電通事業は国営であります。しかしながら、この国営のままやつておりまする電通事業が、電話を引くにいたしましても、電報の取扱いにいたしましても、さらにまたその経営の内容におきましても、最近新聞紙上に見られるがごとき汚職事件を次から次へと起しまして、企業体を危うくするがごとき状態であることは、皆様方御承知の通りであります。国民全体を利用の対象とする事業でありますから、国営のまま悪い部分を改善されることが望ましいのでありまするが、今日の状態では、とうてい復興することが不可能な状態になつておることを認めざるを得ないのであります。そこで、われわれは、公共性を保持しながら、今日の電信電話事業を通じて国民のサービスを増すとともに、さらに能率を上げる企業体というものは公共企業体以外にないということを確認する建前から、第一点として賛成の意を表する次第であります。第二点は、御承知のように、法律案の原案というものは、おそまつきわまるものでありまして、とうていわれわれが納得することのできないものだつたのであります。ところが、多くの委員の人々の力によりまして、監督の面、財務、会計制度の面におきまして、さらに公共企業体の本質であります独立採算の可能に近き形態が修正の結果明確化されたことについては、われわれは賛成をいたしたいのであります。しかも、この修正につきましては、多くの各会派、ほとんどの委員の人々が共同の立場で修正をされまして、與党たる自由党の委員諸君が終始修正に努力されたことについて、私は敬意を拂うものであります。しかしながら、一言つけ加えたいのは、かくのごとくして、委員会においては、ほとんどの会派が同じ考え方を持つて修正を行われて、土曜日の委員会においては可決をいたしたのであります。しかも、緊急上程すら行おうとする空気が議院運営委員会にあつたのでありまするが、火曜日の本会議に上程しようということに相なり、火曜日の本会議にも上程がなされなかつたのであります。内情を調べてみましたところが、自由党の中における一部の人々がこの修正に反対を唱えたために上程が遅れたということであります。自由党を初めとする委員会におけるほとんどの会派が共同で修正をして、委員会は可決をいたしているのであります。今日の国会運営は、常任委員会を中心としてあらゆる法律案が審議をされ、常任委員会の可決というものは重んぜられなければならない建前に相なつておるのであります。しかるに、最近行われておる現象は、この正しい国会法の本旨に基く運営を誤りまして、ある常任委員会が可決したものの、その上程が一週間も遅れておるものもある。二週間遅れるものもある。さらにその結果、会期を延長しなければならないということに相なる。かかる運営の仕方と、かような国会の審議に対する考え方を持ちまするならば、すなわち與見たる自由党が衆議院において絶対多数を占めながら、もはや国会運営に対する自主性を持たざるものであり、さらに吉田内閣の末期的症状だといわざるを得ないのであります。(拍手)われわれは、この弊害を改めるにあらずんば、いかに各党の常任委員諸君が真劍に党派を超越して国家のために正しい運営を行おうといたしましても、一党の内部事情からくずされることになるのでありますから、この点については、與党たる自由党に対して鋭い反省を促してやまぬのであります。(拍手)さらに、私は第三点として申し上げたいのは、従来公務員であります従業員には団体交渉権すらなかつたのでありますが、公共企業体になりますならば、労働條件、厚生福利施設について団体交渉が行われるのでありまするから、合理的なる労働行政がやや可能になるという観点から本案に賛成をいたします。但し、私は左の條件を付したいのであります。御承知のように、設立の趣旨が不明確でありますが、今後の運営においては、公共企業体の本質を生かすために運営の全きを期すよう、監督官庁である郵政省におきましても、さらに政府におきましても、公社当局におきましても注意をしていただきたいということであります。さらに、法案の内容について、なおわれわれは多くの不備の点を見出すのでありますが、これは次期国会等適当な機会において、完全なる公共企業体の本質を整える改正をするように努力をしてもらいたいということであります。さらに、法案第四十三條における彈力性の範囲をきめる規定は非常に重要なる事柄でありまして、この重要なる彈力性の範囲をきめる規定を定める場合におきましては、監督官庁である政府並びに公社におきましては、従業員側の意見並びに公社の意見等を尊重しながら彈力性の範囲を定めていただきたいということであります。さらに、雑則の中における恩給と退職手当、さらにそれ以外の経過規定と目されるものについては、できるだけ早い機会に公社独自の定めをきめることに努力をしてもらいたいということであります。以上の條件を付して公社法案には賛成いたします。次に国際電信電話株式会社法案について反対の意見を申し述べます。御承知のように、電気通信事業は、国内、国際を問わず、公共事業であることは申すまでもございません。この公共的立場を維持するためには、利益追求を本旨とする民間の経営に移すべきものではないということであります。(拍手)第二点は、御承知のように、従来の国際電気通信は、一切の電気通信事業の中で一番利益を上げております。政府当局の発表でも十三億円、さらに嚴密に言えば二十一億円といううわさも飛んでおるのであります。こういう利益のある部分は、こま切れにして民間経営に移し、さらに民間における資本を導入いたしまして、公共性と利益追求の衝突を起させるがごとき組織には賛成できないのであります。(拍手)第三点として、われわれが指摘をいたしたいことは、われわれは党派を超越して、十箇月にわたり、小委員会を設置いたしまして、日本の電信電話事業をいかに行うべきかということについて研究を続けて参つたのであります。第一次案から第五次葉ごろまでにおきましては、国際電信電話を会社にするということは、政府当局から小委員会に一言の話もなかつたのであります。ところが、第八次案の修正されたものが原案となつて国会に上程される段階で、突如として国際電信電話株式会社法案というものが出て参つたのであります。しかも、その裏には、従来の歴史をながめてみましても、この種の特殊会社あるいは国策会社の中における歴史は、債権、債務、株式の権利あるいは請負工事をめぐりまして、疑獄と汚職の歴史であつたという事柄をわれわれは考えなければならないのであります。(拍手)それは、改進党の長谷川君が指摘したごとく、がくのごとき特殊会社の汚職の歴史を持つ事柄を再び繰返すということには反対であります。さらにわれわれが具体的に考えなければならないのは、これは一種の国有財産の拂下げであります。国有鉄道の一部分を拂い下げる場合におきましても、われわれは軽々に拂下げすべきものではないという考え方を持つのでありますが、国際電信電話は全国の施設全部が拂い下げられるのであります。この拂下げをめぐつて、長谷川君の指摘したような事柄がないと、だれが断言をいたしましようか。(拍手)従つて、われわれは、設立の当初から、とかくのうわさを生み、さらに国民に疑惑を思わせるがごとき国際電信電話の会社法案については反対をせざるを得ないのであります。(拍手)しかも、その内容につきましては、資本の掣肘、圧迫によつて公共性が失われる危險があること、さらに本法案と商法の規定、民法の規定とが、内容によつてちぐはぐであつて、解決つかざる状態であるというのがこの法案の内容であります。政府当局の答弁の中にも、しばしば、法案の内容の整わないこと、矛盾している点は率直に認めております。そういう不備な内容を認めながら、今国会にあわてて出さなければならないという真意が、われわれにはわからないのであります。以上申し上げたような理由につきまして、すなわち日本電信電話公社法案並びに同施行法案については修正されたもの、修正を除く原案に賛成をいたしますが、国際電信電話株式会社法案については断固として反対することを声明いたしまして、私の討論を終ります。(拍手)
○副議長(岩本信行君) 田島ひで君。
    〔田島ひで君登壇〕
○田島ひで君 私は、日本共産党を代表いたしまして、ただいま上程になりました三つの法案並びに修正案に反対でございます。わが国の電気通信事業は、創立以来八十年の間、一貫して国営によつて行われて来た、最も大きな全国的な組織を持つ企業の一つであり、同時にこれは、日本国民が長い間の税負担によつて築き上げて来た、二千億円に近い民族の一大財産であります。言うまでもなく、電信電話は国家活動全般にわたる神経系統として、独立国にとつては重要な基本的な事業であり、同時に、本来国民の文化、経済、政治、社交上の近代的日常必需品でなければならないのでございます。ところが、日本では、創設のとき、すでに純粋な軍事、警察機構の中心としての国家活動機関として生れたのであります。そのため、軍、警察や、また少数の大資本特権階級を除いては、半封建的な專制政治のもとで、みじめな奴隷生活を送つて来た一般国民大衆にとつては、電話は一個の財産であり、ぜいたく品であつて、電話を引くなどということは思いも寄らないのであります。従つて、わが国の電信電話は、日清戰争以来、戰争のたびごとに、その軍事的性格と同時に、国家財政の軍事的收奪による建設費の削減によつて、また他方では戰争による軍需産業への需要の増加という、常に資金と需要との間の矛盾に悩まされるという宿命を持つて来たのであります。そうして、そのたびごとに、民営論による民間資金の動員が叫ばれて参りました。特に今度の大戰は、通信事業に最も苛酷な奉仕を要求して来たのでありまして、政府の資料によりましても、事業の收益残九億余円という多額が、昭和九年から二十年までに臨時軍事費特別会計に繰入れられて参りました。戰争による空爆では、施設の大半に上るものが壞滅的な被害を受け、戰争中から戰後の機械の酷使は資本の食いつぶしとなり、従業員の待遇改善も、国民へのサービスも、ほとんど顧みられませんでした。通信事業が、戰後七年になる今日、根本的復旧と今後の発展の見通しを得られないのは、このような戰争の被害だけではありません。戰後においても、また第一次吉田内閣のインフレ政策によつて、通信復興はまつたく忘れられました。その上、占領軍による施設の接收は、長距離回線だけでも三〇%に上り、米軍、警察への專用回線の集中とサービス提供、それらの莫大な料金未拂い等、これらがすべて事業財政の上に大きな弱点となつて来たことは、政府みずから認めている点でございます。さらに、米軍の命令によつて、働く者の創意をなくするような、アメリカ独占資本の事業管理形態であるところのライン・オーガニゼーシヨンというアメリカのシステムをそのまま機械的に採用いたしまして、通信復興に挺身して来た従業員を首切り、職制の圧迫のもとに、労働強化、低賃金をもたらして来たのであります。一昨年、朝鮮戰争以来は、さらに米軍予備隊、警察への協力により、市外電話は半身不随状態に陷り、官僚の汚職腐敗等、事業の食い荒し、省内官僚の派閥争いなど、日本の電信電話をまつたく行き詰まりに導いたのでございます。このような自主性のない悪政や、軍事警察的性格の根源に目を向けないで、ただ企業形態を国営から公社や民営にかえるという機構いじりによつて事業の合理化と高能率化をはかり得るというのは、まつたく欺瞞策にほかなりません。政府が本法案提出の理由としております建設資金についても、今日の日本のように民間資本の貧弱な状態のもとでは、政府が予期する電信電話債も、政府資金による引受けぐらいが関の山で、結局は公衆負担か、労働者の労働強化による高能率を期待するか、あるいはこのような公衆と労働者の莫大な犠牲の上に積み上げられたもうけをみつぐため、独占資本や外資に事業を切り売りする以外の何ものでもありません。すでに次の段階には、電力九分割にならいまして、電話事業を幾つかの都市重点の経営に分割して切り売りするということも伝えられているのでございます。また、もし政府の言うように、何らかの形の外資によるといたしますれば、米軍の永久單独占領下にある日本の現状といたしましては、電気通信事業は、ひとえにイランの石油となるのでございます。特に、年に十三億から二十億の利益を上げているという国際電信電話を、国内電通事業と切り離して民営にし、外債による外資の支配を許すのでありまするから、公社といい、民営といつても、かつての満州電信電話会社や満鉄と同様の状態になることは明らかでございます。この両法案の真のねらいは、電通事業の再建や発展のためではございません。両條約と行政協定による米軍と予備隊、警察等、再軍備のため、わが国の電信電話を再び軍事通信網といたしまして、最も支配しやすい組織にし、最大限に利用しようというのがその根本でございます。(拍手)そのために、第一に、企業をばらばらに寸断し、また組合を分裂させ、弱体化させることでございます。すでに国鉄や電力九分割など、公益事業はすべてこの手でやられております。さきに郵政と電通を分離し、今また国際、国内通信事業の分離とともに、工事部門では日本通信建設会社というトンネル会社を設立して工事独占の道を聞き、また増設電話の自営を認めて、これも分離させようとしておるのでございます。労働組合についても、全逓労働組合が全逓従組と全電通従組にわかれたものが、さらに文字通り四分五裂となり、一方では破防法や労働法改悪等の彈圧法により、また他方では、共済会によつて組合の懐柔、産報化が着々と進められております。第二に、しかも監督行政面では、通信関係の組織一切を郵政大臣の支配一本に集中強化している点を見のがしてはなりません。行政協定によつて、緊急事態に際しては、米軍の命令一下、戰争や日本国民の彈圧の武器として動員する態勢が確立されたのでございます。その間にあつて、官僚、財閥の火事場どろぼう式なもうけや、政党の政治資金の元にしようというのが、本法案のほんとうのねらいであります。(拍手)わが党は、このような法案には絶対に反対せざるを得ないのでございます。(拍手)
○副議長(岩本信行君) 稻村順三君。
    〔稻村順三君登壇〕
○稻村順三君 私は、日本社会党第二十三控室、労働者農民党、社会民主党及び農民協同党の小会派を代表いたしまして、日本電信電話公社法案並びにその施行法案に対する修正案に希望條件を付して賛成し、国際電信電話株式会社法案に対しては絶対に反対するものでございます。(拍手)元来、日本電信電話公社法案は、従来の国営であつた電信電話事業を公社に再編成しようとするものでありますが、私も、もとより、公社という一つの国営形態を頭から否定しようとするものでございません。もしも、でき上つた公社が、現行国営形態よりもはるかに自由に従業員の企業活動を認めるとともに、かつ、これらの従業員が、今日のように一般国家公務員として労働組合運動すらもが禁ぜられているような現状から解放されるというのであるならば、むしろ現行国営形態が公社にかわつて行くということが当然のことであると思うのであります。だから、公社に賛成か反対かということは、公社であるがゆえにというところにその原因を求めるのではなくして、それは本公社法案の持つ内容いかんにあると思うのであります。この立場から申しますと、本法によるところの公社は、しさいに検討すればするほど、政府が提出した理由がわからなくなつて来るのでございます。本法案の程度のものであるならば、何も公社というほどのものではなくて現行国営形態でも、現行法令の一部を改善した方が、むしろ手取り早く、より有効であると思われる点が多々あるのでございます。現に、本法案では公社とはいつていますが、本質的には現行の国営形態と何ら異なつた点がないのであります。第一に、この公社の執行部たる役員についてでありますが、まず総裁、副総裁について見ますに、電信電話公社という企業体のいかなる機関とも何ら関係なく、また推薦もされなくて、内閣が一方的にこれを任命することになつております。その点、国有鉄道の公社におきまして、監理委員会が推薦し、内閣がこれを任命することになつている点と比べますと、今回の公社法案なるものは、数段と退歩を示しているものであると思うのでございます。(拍手)名は役員と申しましても、実質的には総裁も副総裁もまつたく官吏であるからでございます。しかも、官吏にすぎないところの総裁が、また役員であるところの理事を任命することになつておるのでございます。ここでは、理事が役員ではなくて、職員といつた方が適当なのでございます。なぜかというに、役員である限りにおきましては、その企業全体を代表した、独立した執行権の一部を構成するものでなければなりません。しかも、理事は、独立執行権の象徴であるために理事会を持たなければなりません。しかるに、審議過程において政府が答弁したところによりますと、委任執行権を持つにすぎないのでございまして、この点、明らかに職員と何ら異なるところがないのでございます。政府の説明による総裁、副総裁の代理くらいでは、団体の役員と職員とを十分に区別することができないのであります。とにかく、以上述べたところによりましても、本法案によれば、公社に官吏と職員とがあるだけであつて、役員がないのでございます。これでは、官吏による現在の国家経営と本質的に何ら異なるところがないということができるのであります。第二に、公社の経営委員会についてでございます。本法案では、この公社の最高決議機関であるといわれている経営委員会の決議範囲が明確になつておらないのでございます。なるほど、第十條第二項には、決議につきましては、ぜひなされなければならない事項が四つほどあげられておるのでございますが、しかし、実際に公社を運営するということになれば、あげた四つの事項以外に、いな、この四つの事項以外が日常運営のために最も必要なことが多いのでございます。しかも、この経営委員は常勤ではないのでありますし、報酬ももらつておりません。総裁以下の役員に対して、また職員に対して、何らの任免の権利、すなわち人事権も持つていないのでございます。かような人事権を持つていない者が、いかなる決定をなそうといたしましても、この決議を不履行した者に対して何らの制肘権のないところの者が最高の決議機関といわれているのでありますから、これは要するに形式的な最高決議機関でありまして、実際上においては單なる諮問機関にすぎないと言わざるを得ないのでございます。(拍手)しかも、その上に、この法案によりますと、この経営委員会の資格に対しまして、その制限がなされてはおりますけれども、これがまた明確になつておりません。そのために、退職官吏であるとか、あるいはまた関係事業の当事者などが、かつてあつたように、やめて公社の経営委員などの中にもぐり込んで来るというようなことになりまして、ここに官吏の汚職や腐敗が醸成されるという大きな原因もあると私は考えるのでございます。(拍手)第三に、本法案によれば、公社の予算編成や事業計画が、国家財政とひとしく、主務大臣に監督されるのみならず、大蔵大臣にも監督されるということになつておるのでございます。まつたく国家財政と同じでございまして、大蔵大臣の支配権はここに強化されているのでございます。これでは、何のために特別法まで出してわざわざ公社をつくらなければならないか、その根拠を探すのに困難を感ずるのでございます。これらの諸点に関する政府委員の説明や、また大臣の説明を聞いておりましても、きわめて混迷しておりまして、われわれに対して明確なる理解を與えることができなかつたのでございます。その証拠といたしまして、與党たる自由党の中ですらもが、もし公社として出発するならば、本格的な公社らしい性格を持つたものにしなければならないという機運が次第に強くなつて来たことによつても証明されると私は思うのであります。(拍手)もちろん、今日、ある政党の国営事業に関する態度はそれぞれ異なつております。そこで、各政党間において公社に関する原則にまで一致するということは不可能でありますが、この際最大公約数のものであつても、本法案の最も矛盾撞着している点をもし修正することができるものとしたならば、それは一大進歩と言えるでございましよう。そして、それが同じように、現に公社形態をとつている国営事業、すなわち国有鉄道公社や專売公社をしてまた一歩前進せしめるところの前奏曲をなすものでございます。こうした意味におきまして、ここに自由党、改進党、右派社会党、労働者農民党、社会民主党、農民協同党及びわが党が共同で、日本電信電話公社法案に対する共同修正案をつくることになつたのであります。この際特に強調しておきたいと思うこと、この修正に與党側議員が参加しておることであります。戰後、ややともすれば、與党なるがゆえに、政府原案に対して無批判的に、修正することがあつても、單なる字句の修正にとどまりまして、本質に触れる修正というものはしないのが普通になつていたのでございますが、今日におきまして、かかる修正案ができたということについては、われわれにとりましては、これまた特筆大書すべき現象であつたということができると思うのであります。(拍手)もとより、最大公約数である限りにおきまして、この修正案は、各党にとつては、それぞれ不満の点も多くあるでありましよう。特にわが党といたしましては、その感を深くするものであります。われわれといたしましては、この修正案に対しての不満をあげるならば、経営委員会に関係労組の代表が入つておらないこと、経済委員の資格制限に関係業者、関係官吏、公社の役職員であつた者に対する冷却期間を設けておらないこと、総裁、副総裁の任免に経営委員会並びに国会が何ら関係を持つておらないこと、理事任命に対して経営委員会が何らの発言権を持つておらないこと、役職員に対して地方議員……。
○副議長(岩本信行君) 稻村君に申し上げます。申合せの時間が過ぎましたから簡潔に願います。
○稻村順三君(続) かような不満をたくさん持つておるのでありますけれども、大蔵官僚がこれまであらゆる国営事業に対して不当なる発言権を持つておつたことに対して、ここに制肘することができたということに対して、私は修正の非常に大きな意義を発見するのでございます。しかしながら、国際電信電話株式会社法案に対しては絶対に反対を表明しなければならぬのであります。その理由といたしましてはいろいろございますが、われわれがどうしても見のがすことのできないところのものは、民営というようなものから生ずるところの外国資本による支配の危險性でございます。政府では、なるほど本法案で株式の所有者は日本人及び日本法人に限定しているとは申しておりますが、社債の所有に対しては無制限にこれを認めているのでございます。しかし、今日におけるごとき金融状態の非常に詰まつている経済におきましては、債権者がむしろ株主よりもその会社を支配する場合が非常に多いのでございます。しかも、政府では、国際電信電話事業は新しく回線増加のために相当大きな資本を要するということを言い、これを外資に期待しているところがあるのでございます。かような国際電信電話というものが必然的に外資に支配されるという実例は、すでに世界歴史においても、アジア諸国において見られたところでございまして、かような一点だけをもちましても、この国際電信電話株式会社法なるものが日本をいかなる運命の中に引きずり込むがということを憂慮して、これに対して絶対反対するものでございます。(拍手)
○副議長(岩本信行君) これにで討論は終局いたしました。まず日程第二及び第三の両案を一括して採決いたします。両案の委員長の報告はいずれも修正であります。両案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○副議長(岩本信行君) 起立多数。よつて両案とも委員長報告の通り決しました。(拍手)次に日程第四につき採決いたします。本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○副議長(岩本信行君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の過り可決いたしました。(拍手)
     ――――◇―――――
○副議長(岩本信行君) 日程第五、日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障條約に基き駐留する合衆国軍隊に水面を使用させるための漁船の操業制限等に関する法律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。水産委員長川村善八郎君。
    ―――――――――――――
    〔川村善八郎君登壇〕
○川村善八郎君 ただいま上程されました、日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障條約に基き駐留する合衆国軍隊に水面を使用させるための漁船の操業制限等に関する法律案について、水産委員会における審議の経過及び結果を御報告申し上げます。まず本案の内容を簡單に御説明いたします。安全保障條約に基いて駐留するアメリカ合衆国軍隊が訓練をするために、日米合同委員会で協定した一定の水面を使用する場合には、この水面における漁船の操業を制限し、または禁止することができること及びこれによる漁業経営上の損失を漁業者に補償するという二点であります。本案は、五月十日、内閣提出をもつて水産委員会に付託となり、同十三日、本委員会を開いて提案理由の説明を開き、ただちに審議に入つたのであります。この種の規制及び補償は、これまでは北海道、千葉県、長崎県等を初め、全国十六都道府県にわたつて四億円余が終戰処理費の中から支拂われて来たのであつて、このうち漁業権漁業は、今般行政協定の成立に伴い、これに基いて、さきに国会を通過成立した日本国とアメリカ合衆国との安全保障條約第三條に基く行政協定の実施に伴う土地等の使用等に関する特別措置法によつて補償することになつたのでありますが、これ以外の許可漁業とか自由漁業については補償の法的根拠がないので、本案によつて補償せんとするものであります。従つて、その趣旨については全面的に賛成でありますが、ただ漁業の性質上、軍隊の訓練等に起因する被害は、提供した一定水面のみでなく、これに近接する水面においても同様の被害がある場合が多いのであります。ゆえに、これが補償についての規定を設けるべきであるとして、五月十七日の委員会においては、これが調査を漁業制度に関する小委員会に付することに決定いたしたのであります。その後数度にわたつて小委員会を開き、愼重に調査をいたした結果、間接被害についても当然補償すべきであるとの結論に達したのであります。しかして、五月三十一日の本委員会において、この点に関し、小委員長より政府当局に対し質疑いたしたところ、この種の間接被害に対する補償については、近く別途立法措置を講ずること及びこれが実施については本案施行のときに遡及して補償するとの言明がありましたので、これを了承し、質疑を終り、討論を省略して採決いたしましたところ、共産党並びに社会党第二十三控室を除く多数をもつて原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。以上御報告を申し上げます。(拍手)
○副議長(岩本信行君) 討論の通告があります。これを許します。高田富之君。
    〔高田富之君登壇〕
○高田富之君 ただいま上程されました漁船の操業制限等に関する法律案に対しまして、日本共産党は絶対に反対するものであります。われわれが今この法案を審議するにあたりまして思い出されることは、かつて三年前、千葉県の九十九里浜、片貝村の漁民諸君が、アメリカ軍による漁場取上げに反対して立ち上りました、かの涙ぐましい闘争のあとであります。片貝村の漁民諸君が、理不盡なる占領軍による漁場取上げにあつて生活の根拠をまつたく奪い去られましたとき、占領下の圧迫をけつて、遂に、全村一丸となつて立ち上り、占領軍撤退の血の叫びを上げましたことは、当時、千葉全県民はもとより、全国民の絶大な支持と共感を集めたことは、われわれの記憶になお新たなところであります。(拍手)しかるに、これに対する補償は、今日まで、わずか一億七千万円にとどまり、しかも、それが日本国民の血税から支拂われたのみで、泣き寝入りにされて来ましたという事実は、今日独立を念願する全国民のひとしく痛憤にたえない問題であります。この法案は、まさに片貝村の悲劇を、全国漁民、いな全国民に及ぼさんとするものであります。なぜならば、本法の成立によりまして、アメリカ海軍が日本の沿岸をかつて気ままに荒らしまわる特権を無期限に付與することになるからであります。今日、米軍による農地、開拓地等の接收が全国農民の猛烈な反対にあつていることは諸君御承知の通りでありますが、日米合同委員会に、アメリカ側から、一たび一葉の地図が手渡され、その地図の上に赤線が塗られてあつたならば、わが美しい国土と、民族の象徴たる富士山さえ、立ちどころにアメリカ軍の戰車砲襌の演習場に奪取されてしまう現状であります。この法案は、こうした米軍による日本主権の侵害、領土の奪取をさらに海面にまで押し広げて海軍演習地域を設定し、日本人の平和な生活を彼らの戰争目的のために無残に踏みにじらんとするものであります。(拍手)昭和二十一年度以来、米国海軍が日本海上において演習区域として奪い去つたところは、全国十七府県にまたがり、おもなところだけでも、千葉県の片貝、青森の関根、三沢、高館、福岡の芦屋、築城、粕屋、長崎の大村、鳥島、佐世保等、面積にして四万七千平方キロ、全国四十二箇所にわたつております。この被害額中、政府が終戰処理費から補償した分だけでも四億に達しております。これらの補償は、申すまでもなく、きわめて内輪に見積られたものであつて、その被害の実態ははかり知るべからざるものがありますが、しかも、そのわずかの補償さえも、分配にあたりましては上に厚く下に薄いというのが実態であります。しかも、昭和二十七年度、米軍による取上げ個所はますます増大する見込みであります。政府が出しておる内輪の見込みでも、漁獲物は、演習によるもの、その他漁場制限によるものを合せまして一千七百万貫の減少であり、平年漁獲高の六割と見込んでおるのであります。これは、いかに日本の漁業が米軍のために破壞されているかを明瞭に示しておるのであります。(拍手)政府は、この法案によつて補償する金額を、昭和二十七年度約四億六千六百万円と査定しておりますが、これらは安全保障費の中から出るとのことでありまして、これも予算の範囲内で演習被害を補償する建前になつておりますから、実際の適用にあたつては、おそらく漁民のこうむる損害のごく一部しか補償されないであろうことは明らかであります。米軍の演習その他による演船の操業制限は、さらに間接的に地域外にも被害を及ぼし、漁船以外の海上航行をも禁止制限することになるのでありますから、日本人が魚もとれなく、海上の交通も自由にはできないという結果に立ち至るのであります。かつて徳川の末期に、黒船が東京湾に侵入して来たとき、当時の幕府でさえ、彼らによる測量を自由には許さぬという毅然たる態度を示したのであります。しかるに、今日吉田内閣は、測量の拒否はおろか、日本国一切の沿岸が、かくしてアメリカの荒しほうだいにまかされることを易々諾々として承認しようというのであります。(拍手)アメリカ海軍が日本の沿岸を支配し、アジア侵略基地にこれを使用することによつて、日本国民は対岸のアジア諸国との善隣友好関係回復への熱願をまつこうから否定され、新戰争への危機を一歩深めること以外の何ものでもありません。アメリカの日本支配とその戰争政策は、かくもはかり知れね犠牲と負担をわが日本国民に強要せんとしているのであり、私どもは、一日もすみやかなる全占領軍の完全撤退を望む国民にかわつて、かかる売国法案に断固反対するものであります。(拍手)
○副議長(岩本信行君) これにて討論は終局いたしました。採決いたします。本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○副議長(岩本信行君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。
     ――――◇―――――
○副議長(岩本信行君) 日程第六、医師国家試験予備試験の受験資格の特例に関する法律等の一部を改正する法律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。厚生委員会理事丸山直友君。
    〔丸山直友君登壇〕
○丸山直友君 ただいま議題となりました医師国家試験予備試験の受験資格の特例に関する法律等の一部を改正する法律案について、厚生委員会における審議の経過並びに結果の大要を御報告申し上げます。医師または歯科医師になるためには国家試験に合格しなければならないことは申すまでもないことでありますが、正規の日本の医学校または歯科医学校を出てはいないが、外地において免許を受けて医業を営んでいて、終戰により引揚げた者の救済のために定められた特例試験を受けて二度とも合格しなかつた者及び従前大陸、特に満州方面向けの医師の養成を目的とした学校を卒業した者または朝鮮及び満州国におきまして医師または歯科医師試験の第一部の試験に合格した者に対しましては、それぞれ医師国家試験予備試験または歯科医師国家試験予備試験に合格し、さらに所定の実地修練を行つた上で国家試験を受けて医師または歯科医師になる道が開かれているのであります。しかしながら、現在医師国家試験予備試験及び歯科医師国家試験予備試験の受験回数はいずれも二回に限られており、この試験に二度とも合格しなかつた者は永久に試験を受けることができなくなるのであります。しかも、これらの者の多くは引揚者であつて、経済的にも同情すべき立場にあり、年齢的にも転業を困難とする者も少くないので、医師国家試験予備試験の受験資格の特例に関する法律及び歯科医師国家試験予備試験の受験資格の特例に関する法律による国家試験予備試験の実施期間中は、その受験回数の制限を撤廃して、将来に希望を持たせようとするのが、本案提出の理由並びに内容であります。本法案は、六月二日、本委員会に付託せられ、提案者丸山直友委員より提案理由の説明を聽取し、ただちに審議に入り、質疑応答の後、討論を省略し、採決いたしましたところ、全会一致をもつて原案通り可決すべきものと決した次第であります。以上御報告申し上げます。(拍手)
○副議長(岩本信行君) 採決いたします。本案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(岩本信行君) 御異議なしと認めます。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。
○福永健司君 議事日程順序変更の緊急動議を提出いたします。すなわちこの際、日程第七とともに日程第十を繰上げ一括上程し、その審議を進められんことを望みます。
○副議長(岩本信行君) 福永君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(岩本信行君) 御異議なしと認めます。よつて日程の順序は変更せられました。日程第七、市の警察維持の特例に関する法律案、日程第十、消防組織法の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。地方行政委員川本末治君。
    〔川本末治君登壇〕
○川本末治君 ただいま議題となりました市の警察維持の特例に関する法律案につき、地方行政委員会における審議の経過並びに結果を報告いたします。まず本案の提出理由を説明いたします。多数の町村においては、町村財政、警察人事、警察活動の諸面から、自治体警察を国家地方警察に移管しようという希望が強く、そのため、昨年警察法の一部を改正し、もし住民の多数が希望するなら、一定の手続を経てこれを実現し得る道を開いたのであります。ところが、かかる町村が市になりますと、住民多数の意思は依然として国家警察の維持を欲していても、警察法に第四十條第一項の規定がまるの理由により、当然また再び自治体警察を維持しなければならないのであります。これは、警察法の右の規定が、この場合住民多数の意思に逆行するものでありまして、かかるものは民主的法規と称することを得ません。そこで、この不都合を除去するために、今回この特例法を設けた次第であります。次に、本案の内容は二箇條及び附則からなつておりまして、その第一條は本法案の適用範囲及び議決の手続を、第二條は当該市が警察を維持する場合の手続を規定したものであります。すなわち、警察法第四十條第三項の規定により警察維持の責任転移が行われました町村が、当該町村の区域をもつて市を設置した場合、あるいは他の警察を維持しない町村の区域を含めて市を設置した場合においては、警察法第四十條第一項が、市は全部一応は自治体警察を持つべきものと規定しておりましても、その規定にかかわらず、当該市は、市議会の議決を経て、警察の維持は国家に移管して、みずからは自治体警察を持たないことができることといたしたのであります。しかして、右の市議会の議決は、当該市の設置の日から五十日以内にこれを行うべきこと及びこの場合、当該市長は議決の結果を国家公安委員会を経て内閣総理大臣に報告すべきものといたしたのであります。以上は第一條の内容でありますが、次に本案は、前述の通り住民多数の意思をもつて警察維持の責任転移を決定するということを趣旨とするものであります。もし、逆に、前述の手続によつて自治体警察を持たなくなつた市が再び自治体警察を持ちたいときは、住民投票によつてこれを維持することができることといたしたのであります。なお、右の場合の住民投票に関しては警察法第四十條の三の規定を準用することといたしたのであります。以上が第三條の内容であります。なお、右の議決は当該市の設置の日から五十日以内に行うべきことは前に申し述べた通りでありますが、この法律施行の際すでに市になつているもので、本案第一條第一項の規定に該当するものについては、この法律施行の日から五十日以内に議決すればよいことといたしたのであります。以上は附則第二項の内容であります。本案は、去る五月一日、河原伊三郎君、大泉寛三君、川本末治、永井要造君、野村專太郎君及び橋本龍伍君から、衆法第三十八号をもつて提出の上、五月七日、本委員会に付託せられたものでありまして、爾来、本委員会においてはたびたび委員会を開いて愼重審議をいたしました結果、五月三十日質疑を打切り、六月二日討論採決を行い、多数をもつて原案の通り可決すべきものと議決いたしました。次に、ただいま議題となりました消防組織法の一部を改正する法律案につきまして、地方行政委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。御承知の通り、現行消防組織法は、昭和二十二年十二月公布せられ、翌昭和二十二年三月から実施せられ、その後数度の小改正を経て現在に至つているものでありますが、今回の政府改正案は、行政機構改革の一環として、消防に関する国家機関の簡素化をねらつているのであります。すなわち、改正の第一点は、国家消防庁は総理府の外局としての国家公安委員会のもとに置かれてありますから、庁という名称を改めて国家消防本部とすることを適当と認め、さように改称いたし、従つて長官を本部長と改めようとするものであります。改正の第二点は、内部組織を簡素化するため管理局を廃止するとともに、消防研究所を国家消防本部に付置することとしようとするものであります。改正の第三点は、以上の改正に伴いまして関係法律中の字句の整備をはかつたことであります。なおこの改正は本年七月一日から施行するものといたしておりますが、この法律が成立しました場合は、国家消防庁の職員である者は、別に辞令を発せられないときは、同一の勤務條件をもつて国家消防本部の職員となるものと規定してあります。以上が本改正原案の内容であります。本法案は、五月七日、本委員会に付託せられ、五月十四日、木村国務大臣より提案理由の説明を聽取し、五月三十一日質疑を行い、同日これを終了したのでありますが、質疑応答の内容は会議録によつて御承知を願いたいと存じます。しかして、本委員会におきましては、消防に関する調査のため小委員会を設置いたしておつたのでありますが、その小委員会におきまして、国家消防本部の所掌事務を明確化すること、市制施行地において消防本部、消防署を設置することを原則化すること、消防に関する都道府県の所掌事務を明確にし、積極的に指導をなし得る道を開くことなどの観点から政府原案を修正する必要を認め、その旨小委員長より五月三十一日に報告がなされた次第であります。本委員会におきましては、これに関し、六月四日質疑応答の後、討論採決を行うことになつたのでありますが、その際、小委員長報告の趣旨をとりまして、自由党及び改進党の共同提案による次のごとき修正案が提出せられ、改進党所属の床次委員より修正案の内容を説明せられたのであります。修正案の要点について簡單に御説明申し上げますれば、第一点は、国家消防本部の所掌事務の整備をはかつたことであります。国家消防本部の所掌事務は、元来消防組織法に列記しておるもののほか、消防関係法令に根拠を有するものはもとより、消防に関する市町村の指導面における單なる事実事務として行つていたものもありますので、これらを整備し、明確にするため第四條及び第二十條を修正しようとするものであります。第二点は、市制施行地には、財政その他の事情の許す限り消防本部、消防署を設置することといたしたことであります。市制施行地において原則として消防本部、消防署を設置するよう第九條に但書を設け、消防力の平均的向上を期する次第であります。もとより、これによつて市における消防団の存在を否定するものではなく、署と団と両々相まつて消防の使命達成をねらつているものであります。第三点は、消防に関する都道府県の所掌事務を明確化するとともに、市町村消防の育成のために都道府県知事が積極的に指導をなし得る道を開いたことであります。都道府県の消防関係所掌事務については、現行消防組織法中ほとんど何も規定がありませんが、都道府県は、国と市町村との中間的行政機関としての性格上、事実事務として消防事務を取扱つて来たことが多いばかりでなく、市町村消防に勧告、指導及び助言を與えることの必要も認められますので、第十八條の二、第二十條の二を新設して、市町村消防の育成のため都道府県の所掌事務を法文化した次第であります。第四点は、地震、台風、水火災等の非常事態の場合において、都道府県知事が災害予防のために必要な指示をなし得る道を開いたことであります。地震、台風、水火災等の規模が大となつて被害が増加し、一市町村の消防力による措置では完璧が期せられないと認められるような非常事態にあたつては、都道府県知事が、国家消防本部の勧告、指導、助言の趣旨に反しない範囲において、市町村または市町村長、消防長及び水防管理者に対して災害防禦の措置に関し必要な指示を與えることは妥当と認められますので、第二十四條の二を新設した次第であります。第五点は、都道府県設置の訓練機関に関する義務制の問題であります。都道府県の消防職員及び消防団員の訓練機関については、現在は任意設置制となつているのでありますが、教養訓練の重要なることは申すまでもないところでありますので、都道府県單位または数府県共同形式の義務設置制に改めることであります。次いで、原案並びに修正案について討論を行いましたところ、日本社会党を代表して門司委員より、原案には賛成、修正案には希望意見を付して賛成する旨の発言があり、日本社会党第二十三控室を代表して八百板委員よりは、原案には賛成、修正案には反対の討論があり、日本共産党を代表して立花委員より原案並びに修正案に反対の意を表明せられたのであります。続いて採決いたしました結果、多数をもつて修正案並びに修正部分を除く原案が可決せられ、よつて本案は修正議決すべきものと決した次第であります。以上、消防組織法の一部を改正する法律案に関する地方行政委員会における審議の経過並びに結果についての御報告を申し上げます。(拍手)
○副議長(岩本信行君) 討論の通告があります。順次これを許します。鈴木幹雄君。
    〔副議長退席、議長着席〕
    〔鈴木幹雄君登壇〕
○鈴木幹雄君 ただいま上程されました市の警察維持の特例に関する法律案につきまして、私は改進党を代表して反対の意見を述べたいと思います。(拍手)反対の理由はきわめて明白でありまして、本法は、現行警察法並びに地方自治法の根幹に触れる重要問題を、弥縫的にかつ末梢的に取上げまして、根本の解決を回避せんとするところにあります。(拍手)さらに、その結果は既存の自治体警察を有しまする市との不均衡を生じまして、それをそのまま放任する結果に陥るがゆえであります。警察法の施行によりまして、国家地方警察と自治体警察が分離せられましてからすでに四年の歳月を経たのでありまして、新しい制度の運営も、その利害得失も、正当に批判を加うべき十分なる時期と経験を持つたのであります。これを自治体警察の面から取上げてみまするならば、当該自治体の財政負担の問題、警察機能と能率の問題、警察の民主化と警察の威信の問題、人事の刷新等々は特に論じなければならぬと信ずるものであります。本法は、警察維持の責任転移が行われた町村が新たに市制を施行した場合において、市議会の議決を経て警察の維持を国家にまかせ、みずからは自治体警察を持たないことができるものとする特例をつくらんとするものであります。警察法によりますると、市はみずからの警察を持つことが権利であり、かつ義務なりと規定をしております。また地方自治法の精神もここにあることは明白であります。この原則を破るには、市がみずからの警察を持つことを一定の條件のもとにおいては放棄するが妥当であるか、あるいはその義務を履行しないことが自治体の発展に貢献するかの何らかの理由がなければならぬのであります。しかして、このことは、既存の市制施行の都市共通の問題であり、当然に警察法の改正として論議すべきものでありまして、特例法というがごとき弥縫的な措置をとるべきものでは断じてないのであります。(拍手)かかる見地より、市の自治体警察保持の問題に触れることなく、従つて市一般の問題としてその是非を決することなくして、新たに市制を施行せんとする自治体についてのみ警察維持の特例を認めんとする本法は、警察法並びに地方自治法の根本精神を蹂躪するものなりと断ぜざるを得ないのであります。(拍手)しかのみならず、かりに本法の実施を見たりとしまするならば、新たに市制を施行した市ば、今後何年間にわたりましても、欲するならば自治体警察を持たないで行くことが可能であり、このことは既存の市との不均衡をおおうべくもないのであります。さらに提案者の言うがごとく、住民の意思を尊重し、かつ財政的な負担を理由とするならば、すでに自治体警察を有しておりまする市におきましても同様の要求と理由とを持つことは当然予想せられるのでありますが、これは根本問題として解決されておらないという矛盾を暴露するものであります。以上の見地より、わが党は本法案に反対の意思を表明する次第であります。(拍手)
○議長(林讓治君) 河原伊三郎君。
    〔河原伊三郎君登壇〕
○河原伊三郎君 私は、ただいま議題となつておりまする市の警察維持の特例に関する法律案に対しまして、自由党を代表して、委員長報告の通り原案に賛成の意を表明せんとするものであります。財政力の弱い町村が合同して市をつくりまする目的は、おおむね事務上の冗費を省いて財政上の余裕をつくり、教育、文化、厚生、土木、産業などの事業面にこれを注いでその発展振興をはかり、住民の福祉を増進せんとするにあることは、想像にかたくないところであります。ところが、やがては財政上余裕ができるにしましても、新しい市が産声をあげました当初においては、さしあたり庁舎の改築、増築、移転とか、道路の新設とか、あるいは事務的臨時支出など、新発足に伴う莫大な臨時費を要するものであります。このときにあたつて、さらに巨額の経費を伴う自治体警察を義務的に持たねばならぬということは、新生自治体最大の重荷で、非常な苦痛であることは多言を要しません。この重い荷物を、彼らが希望するならば、その希望に従つて、預け主である自治体が返還を請求するまでの間、国において預かろうという本法案は、最も適切かつ親切なるものでありまして、吾人が双手をあげて賛成するゆえんであります。(拍手)さらに、今日は、民主政治確立のため基盤的地方自治団体たる市町村の強化が要望せられ、その規模を拡大することが急務であると叫ばれている折から、本案ばその点に対しましても多大なる好影響をもたらすことを確信するものであります。委員会に現れた、本案に対するおもなる反対論としては、本議場においても述べられましたように、本案を特別法案としたことはよろしくない、その性質上警察法の一部改正によるべきだとする取扱い上の法制技術論、並びに本案成立のあかつきには、既成の市とのふつり合いを生じ、警察返上の声が全国の小都市から沸騰するおそれがあるという、この二点を強調せられたのでありますが、前者に対するわれわれの意見としましては、現行警察法が、市には自治体警察を持つべきごとを規定しておるのをくつがえすものでなく、特殊事情下の特殊措置ということを明瞭にするためには、本法を改正せずして特例法となすを妥当と考えるものであります。次に後者の場合は、すでに整備を遂げておる既設の都市においてすら、小都市においては大いに動揺を来し、自警を国警に返上の世論が沸騰するであろうということは、本法案がいかに地方の実情に適合し、地方民の要望に合致しておるかを明瞭に裏書きするものにほかならぬ議論であると断ずるも誤りでないと信ずるものであります。およそ現行の法律なるものは、占領下という特殊事情のもとに生れましたところの舶来品もしくは混血兒でありまして、独立を回復した新日本においては、当然自主的見地に立つて、全面的に、慎重に、かつ嚴重に画検討を加えて、改むべき点は大いに改むべきは論をまたないところであります。ことに警察法は、制定の当時と今日は内外の情勢がまつたく一変し、特に昨今の治安状況は一大異変を呈して、計画的、組織的の治安撹乱、秩序破壞が白晝公然と各地に行われるありさまで、早急に大改正をなす必要を痛感するものでありますが、かかる際に、新発足早々、力弱く、気の進まぬ新しい市に、重い荷物、しかも大切な治安確保、秩序維持の大責任を押しつけるがごときは大いに考慮を要するところでありまして、これによつて既成の都市の間から新しい輿論が沸騰するならば、よろしく謙虚な態度で善処すべきだと考えるものであります。要するに、本案は実情に適し、いわゆるかゆいところへ手の届く、最も適切かつ親切なる良法案と認めまして、大いに賛成する次第であります。(拍手)
○議長(林讓治君) 門司亮君。
    〔門司亮君登壇〕
○門司亮君 私は、ただいま上程されておりまする市の警察維持の特例に関する法律案に対しまして、日本社会党を代表いたしまして反対の意思表示をするものであります。この法案は、先ほど提案理由の説明の中にもありましたように、町村警察を維持するということを廃止いたしましたその自治体が、市になりましても自治警察を維持しなくてもよろしいという法律案であります。警察法は、皆さんも御存じのように、日本の従来の官僚政治の中で最も悪かつた、警察権力国家であるとまでいわれておつたその警察制度を改めますることのために、国家地方警察並びに地方自治警察の二つにその制度を一応区分いたしまして、警察の民主化をはかつて参つたのであります。なかんずく自治警察は、民主主義の建前において、みずからの責任においてその住民がその治安を維持するという、真に民主的警察樹立のために行われた制度であるということは、警察法制定当時のその前文が明らかにこれを示しておるのであります。従いまして、警察自治体の制度といたしましては、やはり自治警察を主軸とする警察制度が打立てられなければならない。ただ、今日国家地方警察を持つておるものは、地方の公共団体の経済的関係においてこれを維持しないことができるという規定を設けておるだけであります。この法案の内容を見てみますと、先ほど賛成者の意見にありましたように、警察費が非常にかさんで、そうして町村の警察であつたときに廃止したものが、市になつたからといつて、ただちにその費用のたくさんかかる警察を持つことは財政的に非常に困難であるから、地方自治体のためにはきわめて親切な法案であるかのごとき言辞を弄されたのであります。もし、しかりとするならば、これは先ほど申し上げておりまするように、警察法の基本に触れまする、いわゆる日本の自治体警察を縮小せんとする案でありまする以上は、当然これは警察法の改正として、その基本に触れた問題として取扱わなければならないのであります。(拍手)しかるに、これが單なる特例として出て参りましたところに、私どもは多大の疑惑を持たざるを得ないのであります。(拍手)さらに、今日の自治法の規定から参りましても、人口三万を持つものを市と規定し、さらに警察法四十條には、市になりました場合は必然的に自治警察を持たなければならない規定を設けておりまするということは、明らかに市町村の区別をはつきりするために市としての資格條件を自治法に與え、この資格條件に沿うて、警察法によつて自治警察を維持しなければならないということを規定いたしておるのであります。しかるに、この自治法で規定いたしておりまするその市の資格條件を、この特例によつて曲げようとする、きわめて愚劣なる案であると私どもはいわざるを得ないのであります。(拍手)さらに私はこの法案を見て参りまするときに、今提案されております、いわゆる警察法の改悪と相関連いたしまして、国家地方警察にこれが委譲されて参りますならば、今提案されておりまする警察法の改悪によつて、内閣総理大臣が国家地方警察の本部長官を任命することができるという、いわゆる内閣のもとに全警察権を握ろうとする野望の一端の現われであると申し上げましても、決して私は過言でないと思うのであります。(拍手)もしそうでないとするならば、先ほど提案者が言つたように、あるいは賛成者が申し上げましたように、なぜ根本的に警察法の改革という意思によつてこれが出て来なかつたかということであります。特例を設けて、今日の町村警察を廃しましたものにのみこれを適用するということは、明らかに自由党の選挙政策の現われであると申し上げましても決して過言ではないと私は思うのであります。(拍手)その理由といたしましては、現実的にこれを見て参りまするならば、もし今日町村警察を維持することをやめた地方の自治体が市になつて参りますときに自治体警察を持たなくてもいいということになつて参りますと、現実にいかなるものが出て来るかということであります。今日、町村警察を廃止いたしましたものの中でも、たとえば神奈川県における相模原市のごときは人口七万を擁しておるのであります。人口七万を擁しておりまするこの町が、かりに市になつて参りましても、この法を適用いたしまするならば、自治警察を持たなくてもいい。現在、茨城県の古河市のごときは、人口わずかに二万九千人でありますが、これでも自治警察を現行法において持つておりまする以上は、この自治警察を廃止するの法律はどこにもないのであります。従つて、この法が適用されて参りまするならば、現実に自治警察を持つて財政的に非常に苦しんでおりまする市には何らの恩惠なくして、自治警察を十分持ち得る力のある今日の町村が市になりました場合においてもそれに恩恵を與えようとすることは、行政的にも、あるいは財政的にも、きわめて不均衡なものと言い得ると思うのであります。この行政的にも財政的にもきわめて不均衡なものが現実に地方の自治体に現われて来るということを知りつつ、特例としてこれを定めまする以上は、明らかに自由党の選挙政策といわれても返す言葉はないと思う。(拍手)もしこれが、真に提案者の言うがごとき、警察法を改革しなければならないという原則の上に立つてやるとするならば、明らかにその基本に触れておりまする以上は、警察法の改正ということで来て、地方の公共団体が均等された恩惠に浴するという法案でなければ、私は法律としての価値なしと申し上げても決して過言ではないと思うのであります。以上の理由をもちまして、きわめて簡單ではございまするが、本法案に対しては強く反対の意思を表示する次第であります。(拍手)
○議長(林讓治君) 立花敏男君。
    〔立花敏男君登壇〕
○立花敏男君 私は、日本共産党を代表いたしまして、ただいま上程されております市警察並びに消防に関する法律案並びにその修正案に対して反対の意見を開陳せんとするものであります。まず最初に申し上げておきたいと存じますことは、この二つの法案は密接不可分の法案でありまして、改進党あるいは社会党のなされましたことく、一つの法案に反対し、他の法案に賛成するというがごとき、まつたくばらばらのものではないのであります。何となれば、政府はこの二つの法案を通じまして、全国十数万に達するところの警察勢力を集中的に掌握し、さらに全国二百万に達するところの消防団を含めます消防組織を集中的に掌握し、この二つの勢力をもちまして、盛り上つて参りました人民の彈圧と、並びに迫り来りまするところの自由党あるいは他の反動政党の最も恐るべき総選挙対策に用いんとしているからであります。この法案は、一口に申しますと、自治体警察を国家警察の手に取上げるところの突破口を築くための法案であります。しからば、なぜ自由党は自治体警察を国家警察に取上げんとしているのであるか。これは、現在自由党が地方自治体において何とやろうとしておるかということを見れば、一目瞭然であります。ただいま吉田政府がやつておりますことは、地方自治体を督励いたしまして住民登録を強行し、警察予備隊十一万への増強のための強制募集を断行せんとしておることであります。しかも、この新しい徴兵制度――アメリカ製選抜徴兵制に対しましては国民の大きな反対が燃え上り、応募人員はわずか二倍の割合であります。これでは予定の人員も充足できない惨状であります。採用規定の引下げを行わなければならないはめに陷つておるのでありますが、しかも一方、アメリカ帝国主義の日本再軍備への要求は熾烈でありまして、マーフイー大使を通じまして、傭兵軍十八万への至急増加が要求されておるという情報が伝わつておるのであります。かかる状態のもとにおきまして、売国吉田政府のとるところの方法は、ただ一つ徴兵反対運動を警察力をもつて彈圧する以外には全然手がないのであります。(拍手)さらに吉田政府が地方でやつておりますことは、国税約七百億の大増税の上に、地方税約四百億の大増税を強行し、住民税、事業税等を大幅に收奪せんとしていることであります。今までも食えなかつた国民が、この千二百億に達するところの大増税に対して全国的に反税闘争に立ち上り、あるいは税金不納の抵抗運動を始められておるのでありますが、しかもこの国民の膏血をしぼつた税金が中央、地方の軍事予算に無限に注ぎ込まれておることを目の前にいたしまして、国民大衆の憤りは今や頂点に達しつつあるのであります。(拍手)これを彈圧することなくしては、売国吉田政府がアメリカ帝国主義に再軍備要求に対して忠実たり得ないことは明白であります。さらに吉田政府の地方でやつておりますことは、全国至るところでの軍事基地、軍事施設、演習用のための土地あるいは海面の取上げであります。このため、農民、漁民はその生業を奪われ、生活を破壞され、完全に死の脅威にさらされつつあるのであります。これらの人々の闘争と抵抗は、今や地方によりましては、まつたく一揆的な様相を帶びつつあるのであります。これに対して吉田政府のなし得ることは、ただ一つ、ピストルとこん棒の脅迫のみであります。さらに、吉田政府の向米一辺倒の軍需産拳偏重の産業政策は、完全に地方産業あるいは民族産業を崩壞せしめまして、彼ら中小企業資本家自身が反政府闘争に大きく立ち上りつつあるのであります。またこれらの産業破壞より生ずるところの厖大なる失業群及び植民地的な農業政策に発するところの厖大なる潜在失業群、これらは、まさに吉田政府にとりましては、恐るべき不逞のやからであり、警察力をもつて監視し、脅迫し、彈圧しなければ、内外の支配階級どもは枕を高くして寝ることができないのであのます。以上のように、吉田政府が現在地方でやつておりますことは、すべて国民の利益を無視いたしまして、アメリカ帝国主義の利益と要求を実現するために軍事植民地的売国政策を強行しつつあることは明白であるのであります。従つて、それは必然的に地方において全国民的な大きな反対と抵抗に直面せざるを得ないのであります。現に、あすから開始されようとしておりますところの、数百万労働者を先頭とするところの第三波ゼネストは、かかる全国民的な反吉田政府の一つの現われにすぎないのであります。ここに、吉田政府が自治体警察を国警に編入いたしまして、政府自身の手によつて全警察組織を掌握せんとする根拠が横たわつておるのであります。だからこそ、政府はこの法案を提出いたしまして、市が自治体警察を持たなくてもよいという特例をつくり、全警察組織掌握の突破口を切開かんとしているのであります。しかも、あわせて重大なことは、自治警察を奪うことによつて、政府は日本民主政治の基礎であるところの地方自治そのものを完全に破壞せんとしておることであります。何となれば、警察権を他に奪われたごとき自治というものは、もはや自治の名には値しないことは明白であります。かくて、吉田政府の売国的政策は、遂に地方自治をさえ許し得ない状態に立至つているのであります。植民地官僚のフアツシヨ政治に移行しつつあることが強く注目されねばならないと思うのでありますが、日本のすべての愛国者、すべての平和主義者は、断じてかかる暴挙を許し得ないのであります。次は消防組織法の一部改正法案についてでありますが、以上述べましご「たことく、吉田政府の軍事植民地政策は明かに全国民的反撃を呼び起し、全国津々浦々に至るまで大きな反対と抵抗の波が盛り上りつつあるのでありますが、全国民的規模の大鬪争に対しては、單に警察機構の整備、掌握のみでは役に立たないことを、吉田政府自身が十分察知しておるのであります。かくて考え出されましたのが、全国二百万に達する消防組織の掌握であります。ゆえに、政府與党の修正案が最も端的に示しておりますものは次のごとくであります。すなわち、国家消防本部長よりの地方自治体の消防に対する勧告権、指導権あるいは助言確を明権に規定しておることであります。これは明白に全国消防組織の中央集権化にほかならないことは、賛言を要しないと思うのであります。さらに、このことは、府県知事に対しまして重大なる権限を與え、府県内の市町村消防に対する知事の勧告権、指導権及び助言権を規定し、さらに知事は市町村消防に対しまして必要なる指示を與えることを規定しておるのであります。以上のごとく、地方自治の建前からいたしましてまつたく独自の立場であつた市町村消防が、知事、国家消防本部長の段階を経まして、完全に中央集権の姿となるのでありますが、これは自治警察の国家編入、国警長官の総理大臣任命制による全警察組織の総理大臣掌握のフアツシヨ的方向とまつたく軌を一にするものといわざるを得ないのであります。(拍手)今や全国二百万の消防団員は、吉田政府とその一味の忠実なる番犬として、全国至るところの自治体に大きく立ち上りつつあるところの大衆鬪争に対抗し、彈圧する役割を果させられようとしておるのであります。この意味において、今や消防組織法の改正は、火を消すための消防の組織の確立ではなくしてまさに大衆彈圧の法案となつておるのであります。(拍手)しかし、遺憾ながら吉田内閣のこの目的は失敗に終るでありましよう。何となれば、消防団員は、今や立ち上りつつありますところの国民大衆とは決して別個のものではないからであります。われわれは断じて消防団員諸君を売国自由党の手には渡さないでありましよう。売国政府がアメリカ帝国主義に忠実であり、日本国民を奴隷化し、日本の軍事基地化の政策を強行しようとすればするほど、国民大衆の鬪争はますます広汎に、ますます大量的に、全国民的な鬪争に燃え上ることは、今や必至であります。この愛国的大国民鬪争の高まりの中で、売国吉田政府の反動機構、彈圧機構はその内部において明らかに崩壞し、残されるものは、ただ一握りの売国吉田政府とその一味にほかならないのであります。これはまさに歴史の冷酷なる必然であり、全国民の希望であります。日本共産党は、この歴史の必然と国民の要求に従つて、吉田売国内閣打倒の鬪争の先頭に立つとともに、かかる反動的、売国的彈圧法案には断固反対するものであります。(拍手)
○議長(林讓治君) これにて討論は終局いたしました。まず、日程第七につき採決いたします。本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(林讓治君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。(拍手)次に日程第十につき採決いたします。本案の委員長の報告は修正であります。本案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(林讓治君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り決しました。(拍手)
     ――――◇―――――
○議長(林讓治君) 日程第八、輸出取引法案を議題といたします。委員長の報告を求めます。通商産業委員会理事小川平二君。
    〔小川平二君登壇〕
○小川平二君 ただいま議題となりました輸出取引法案について、通商産業委員会における審議の経過並びに結果概略御報告申し上げます。
 今日国際経済社会に復帰いたしましたわが国が、広く世界各国と正常な通商関係を回復して、より一層貿易を拡大して参りますためには、公正な国際慣行を遵守することが最も肝要であることは申すまでもないところであります。しかしながら、わが国の経済の特殊性から申しまして、輸出取引がとかく過度の競争に陷り、仕向国の工業所有権等を侵害したり、あるいは仕向国の関係産業または輸入業者に不安並びに損失を與えた事例も見られますので、この際国際的信用を高めるために、不公正な輸出取引を防止するとともに、輸出取引の秩序を確立するために、輸出業者の協定または輸出組合の設立を認める制度が緊要なことと認められるのであります。以上が本法案の提案の理由でありまして、その主要点は大要次の通りであります。第一に、仕向国における工業所有権の侵害等の不公正な輸出取引を防止いたしますとともに、その違反者に対しては必要な制裁を課することになつております。第二には、輸出価格が低いため、仕向国産業の利益を著しく害しあるいは輸出価格が変動し、輸出取引の成立が困難となる場合等に限つて、輸出品の価格、品質、数量等について輸出業者の協定を認めることになつておるのであります。第三としまして、民主的な輸出組合の設立を認めまして、不公正な輸出取引の防止及び輸出業者の共通の利益増進のための業務を行わしめるほか、輸出業者の協定の場合と同様の趣旨で、組合員の遵守すべき基準を決定し得ることといたしてあります。第四には、輸出業者の協定及び輸出組合の決定につきましては、独占禁止法及び事業者団体法の適用を除外することになつております。第五としまして、通商産業省に諮問機関として輸出取引審議会を設置して、民間業界の意見を取入れ、本法の運用の円滑を期することになつております。以上が本法案の要点であります。本法案は、五月十九日当委員会に付託となり、二十一日政府委員より提案理由の説明を聽取いたし、翌二十三日質疑に入り、二十七日、二十八日、二十九、三十日、六月二日並びに三日と連続して政府委員との間に質疑応答がかわされたのであります。その内容につきましては会議録を御参照願うことといたします。六月三日、質疑終了後、討論に付しましたるところ、自由党を代表して私より賛意を表し、改進党山手滿男君、日本社会党今澄勇君よりも、それぞれ党を代表し、将来の希望條件を付して賛成の意見が述べられたのであります。さらに共産党を代表して横田甚太郎君からは反対の意見を述べられたのであります。引続いて採決に入りましたところ、多数をもつて可決した次第であります。以上御報告申し上げます。(拍手)
○議長(林讓治君) 討論の通告があります。これを許します。横田甚太郎君。
    〔横田甚太郎君登壇〕
○横田甚太郎君 輸出取引法案を提出している自由党は、現下ますます深刻化して来た日本の輸出入の不振を打開する熱意もなく、能力も喪失しているではないか。自由党は、何国の、だれの利益のために輸出を云々しているのであろう。貿易は日本の利益のために考えなくてはならないのに、アメリカへの気がねが先で、日本の利害得失をあとにしている。自由党吉田政権がアメリカに心中立てするほど、アメリカは日本のために考えてはいない。過去の実績より検討しよう。戰前、日本の輸出入は、隣邦中国と強く結ばれていた。満、関、支――台湾を除く輸出は、日本の総輸出額の二〇%を占めていたといわれている。それが戰後は、輸出、昭和二十五年五・八%、二十六年〇・七%、戰前、輸入は、十年間平均一二・二%であつたものが、戰後は二十五年四%、二十六年一%と、アメリカの干渉で、二〇%も占めていた貿易が、最近はほとんど皆無になつてしまつた。中共貿易が一九五一年不振であつたのは、引合いがなかつたためではない。中国の要求する物資をアメリカが輸出させなかつたからだ。それゆえ、せめて元の二〇%の輸出へと日本の各界業者が中ソ貿易のために努力してなぜ悪いのだ。市場は一度失えば、その回復は容易ではない。領土は狭小、資源は貧弱な日本が、有利な海外市場の喪失を強要するアメリカの政策と、その政策代行者に反抗するのはあたりまえだ。日本独立の裏づけをなし、日本経済自立を背負う日本の産業は、その正常なる発展のために、隣邦中国、ソ連との貿易を望んでいる。それゆえにこそ、日本の代表的紳士淑女である緑風会の高良女史、改進党の宮腰氏、業界の帆足氏が、自由党の笑うべき旅券法の禁をけ飛ばして、歓迎うず巻くモスクワヘ、北山京へと旅立つたのだ。アメリカ化した吉田政府と、通産、外務の官僚が、米人の順位のままに、いかにして日本の貿易を細らせ、弱らせ、麻痺させようかと縣命になつて苦しんでいるとき、自由党とアメリカ人の好まぬ日本の民間、政界の有志は、小気味よくも、購買力旺盛な中ソにあつて、貿易輸出入おのおの三千万ポンド、総額邦貨にして六百億円の取引に調印しているではないか。中国は買うのだ。日本へ売るのだ。しかも、中国市場は、戰前とは根本的にその性格をかえてしまつた。
 気の毒にも、欲にほうけたアメリカと自由党には、かわつてしまつた中ソの人民の力による富と開発の社会主義建設の大事業が理解できないのだ。一九二九年以降、各国が競つて関税引上げ等で貿易を阻害し、世界が不況に見舞われていたとき、新興の力ものものしいソ通の社会主義建設は、莫大なる物資の海外発注となつて、欧州諸国の不況を救つたとまでいわれている。中国では、国内改革なつて、その国威はものすごく、世界を荒す戰争鬼アメリカを朝鮮でてんてこ舞いさせつつ、国内で、歴代政権のなし得なかつた大偉業、准河治水に成功する大建設計画を並行し、中国の人心と自然を変貌させつつある。今日の中国を論じてはおそい。あすの中国を知る努力を怠るな。中国への貿易を今日一日遅らせることは、われわれ日本の輸出入に百年の悔いを残すことである。トン百三十ドルのアメリカの悪質大豆を買わせられて、日本の主婦と業者がなぜ苦しまねばならないのだ。良質の大豆を、中国よりトン百ドル前後で買おうじやないか。樺太には、トン八ドル五十セントの良質石炭がある。石炭を、鉄鉱を、マンガン鉱、塩、落花生等を輸入しよう。日本から自転車、自動車、ブリキ板、電気器具から農業機械、何でも輸出すればいいのだ。中国を荒したのは日本人ではないか。日本人は中国復興の義務がある。アメリカがぐずぐず言つたら、そのときこそ、自由党よ、やじつておらずに言うんだ。君たちが選挙区で言つている、から念仏を忘れず、アメリカ人に言うんだよ。四月二十八日を忘れたのか、と言つてやれ。自由党にすれば、この日は日本の独立の日ではないか。バトル法はアメリカ議会で議決された法律であり、アメリカの主権は他国に及ばないはずだ。ケム修正條項は、苦しくなつて来たアメリカ経済が悲鳴をあげた高利貸しの泣言だ。そのケム修正條項さえが悲鳴をあげてしまつた。他国の有利な輸出入貿易を妨害するなら、その償い、損害補償として世界の各国に、アメリカが、援助金ではない、わび金を持つて来るのが当然だ。バトル法やケム修正條項、こんなものは世界の笑いものだ。だれが守つているのか。さればこそ、パリ・リストがあり、ポジテイヴ・リストがあり、やきもちやきのアメリカ軍人が充満して、妨害の限りを盡している。日本よりの物資が、香港に、昭和二十六年二百二十一億五千八百万円輸出され、二十億九千五百二十万円が輸入されている。そのうちの九十八億一千万円の繊維品、三十四億六千六百八十万円の金属製品が中共地区に再輸出されているであろうといわれている。にもかかわらず、アメリカから押しつけられた輸出貿易管理令を日本は忠実に守ると言つている。せめてバトル法までの制限緩和が輿論になつているのに、日本の現外務大臣岡崎氏は、世界に率先し、輸出貿易管理令まで、世界の中ソ貿易を逆転させる範を示そうとしておりますと答えている。岡崎氏は、日本の外務大臣ではないつもりなのか。それとも、岡崎氏の暦は、まだ一九五二年四月二十八日以前になつているのであろうか。輸出貿易管理令では、温州みかん、ゆり根、カン詰、寒天まで中国への輸出を禁止していたのだ。そんなことをしているから、日本の寒天でアメリカは細菌戰のための黴菌を培養しているのじやないかと皮肉られるのだ。中国に売れるまぐろカン詰まで輸出禁止をして、その結果一体どうなつたのか。アメリカに一ポンド三セントの関税でおどかされ、ミシン、陶磁器と、アメリカは日本の物をけちくさく小言つけて、よう買いはしないではないか。アメリカがこんなにもけちになつて来たのだから、一九二九年の関税戰開始の再来を想起し、今から中国への輸出に懸命になろうじやないか。それを妨害する外務大臣なんか、再び官僚の古かごの中にたたき込むか、アメリカヘほうり出してしまえ。この頑迷な外務大臣に加えるに、行政協定で富士全山をアメリカ軍に奉り、立川の井戸水をガソリン臭くし、住民を困らせるワンマン総理が後押しをして、中共貿易を妨害している。これと鬪わねばならない通産の責任大臣高橋氏は、国会での質問に対しまして、なるべく聞かずにいただきたいと、ぼけがまわつている。また独立後の通産行政の抱負を聞かれて、私には抱負はありませんと、とぼけている。このような人が、外務の、通産の責任者であり、その上に古島氏なき後のワンマン総理の專横があつて、日本の貿易がうまく行くはずがあるものか。バトル法は、そのどこを見ても、アメリカヘの脅威と安全のためにとつたアメリカ本位の処置だと各所に書いてあつて、日本のためにとは一言半句も書いてはない。アメリカの脅威と安全は、アメリカだけで四苦八苦すればよい。日本人が手助けせねばならない義理合いは少しもない。アメリカの集団安全保障は、南鮮今日の事態が示すごとく、捕虜は従わず、その数さえ不明になり、身に寸鉄も帯びない人々を撃ち殺し、人家を焼き、治安を乱し、国会議員を逮捕し、議会をじやまものとし、遂にはアメリカ人と、その使用人、李承晩氏とがけんかをし、国土を荒廃させる最も好ましくない世相を現出させることではないか。のろうても余りある朝鮮の事実が示す、これがアメリカの集団安全保障と国連協力の実相だ。日本にもこれが輸入されて来た。日本の事態を見よ。南鮮の政情を輸入して、官界は腐敗し、巡査はばらばらになり、まともなかつこうで残つた巡査は暴力団となり、五千円の鉄かぶとは、巡査個人の自由なる判断を押えつけ、持つ棒は長く延ばされ、ピストルは日本国民の急所にねらい撃ちされ、警察はあだ討ちと人殺し請負人の凶状持ちの屯所にかわつてしまつたじやないか。最後に、簡單な事実を述べて結論とします。例は自動車であります。一九五〇年、世界各国が持つ自動車台数は七千余万台だと記録されている。そのうち、アメリカは五千余万台持つている。アメリカ人は三人に一台の割で自動車を持つていることになつている。中国は八千七百人に一台の割だといわれている。日本にも自動車産業もあり、日本製乗用車は劣つているが、日本製トラツクは、文化の遅れた東洋に向くといわれている。この條件を生かして、トラツクを今こそ中国へ輸出せねばならないときなのだが、質と価格が問題だ。一九五〇年、アメリカの生産は八百万台、英国五十二万台、カナダ二十八万台といわれているのに、日本の生産は二、三千台じやないか。自動車は大量生産が生命だ。従つて、米国製大型車が、輸入税四割、物品税二割で、大体百三十万円、欧州の小型車なら八十万円ぐらいで買えるはずだ。このとき、日本の小型車は百万円前後もしている。しかも性能は向うがいいようだ。これで競争して、どちらが有利なのか。競争には不利な、これほど弱い産業を日本は育てて行かねばならないのに、みずから市場をほうるために、中共貿易を、バトル法適用国より以上に禁止しようとは、よくも言えたものだ。日本の自動車を、三人に一台持つているアメリカへ売るのと、八千七百人に一台しか持つていない中国に売るのと、どちらが商売がしやすいのだ。これほどはつきりした経済の常則を無視してまで日本の貿易をゆがめて、それでも自由党は日本人によつて選挙された政党だといえるのか。政府は、朝鮮戰争が片づいたら何とかなるというが、戰争が片づけば、アメリカの品物と競争して不利な條件にある日本製品を中ソに入れる自信があるか。アメリカにそそのかされて、日本の先人苦心の地、日本伝来の有利な中国市場を失うおろかしさをやめよ。日本のために、世界平和のために、隣邦中ソとの輸出入を盛んにやろうじやないか。そのためにじやまになる朝鮮干渉戰争なんかやめちまえ。アメリカ軍を朝鮮と日本から撤退させように、国民の力を統一して鬪おう。世界と日本に必要なことはこのことだけだ。これを妨害する、買弁化した自由党吉田政府は、日本の各所にその暴力的権力を日ごとに乱され、治安の混乱、政治的不安の中に……。
○議長(林讓治君) 時間が過ぎましたから簡單に願います。
○横田甚太郎君(続) その政治生命を終るであろう。犬と格下げで総理に反対する自由党農林委員の健鬪は痛快だつた。ワンマン氏の專横にたてつけば、ニユース映画が走つて来る。自由党員は、党を固めることではない、党の統制の乱れることのみを日本の各界から求められているのだ。日本では、国会で制定された法を守ること自体が違法行為のようになつてしまつた。法を乱し秩序が生れようとしているのが日本の現状だ。国会は法を無視して法案を議決している。この法案の質疑応答は、三人の委員でやつたときがある。採決のときは、委員長代理を交えて七名であつた。議会で定足数を無視するなら、選挙も定員も不要だ。二のように国会と国政が混乱しているから世間が騒がしくなるのだ。世情騒然を云々するより、国会のあり方でも考えよ。本末を転倒する自由党よ。日本貿易の常態は中ソとの取引が先であつて、その実現まで、こんな小刀細工の手遊び法案は、あつて益なきことだ。よつて日本共産党は、自由党の輸出取引法案には絶対反対であります。(拍手)
○議長(林讓治君) これにて討論は終局いたしました。採決いたします。本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(林讓治君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。
     ――――◇―――――
○議長(林讓治君) 日程第九、公共工事の前拂金保証事業に関する法律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。建設委員長松本一郎君。
    〔松本一郎君登壇〕
○松本一郎君 ただいま議題となりました公共工事の前拂金保証事業に関する法律案につきまして、建設委員会における審議の経過並びに結果を御報告いたします。
    〔議長退席、副議長着席〕
まず本法案の提案の理由について説明いたします。御承知のように、国または地方公共団体の発注する公共工事の年間工事量は全建設工事量の半ば以上を占める厖大なるものになつておりますが、最近、これらの公共工事の着工資金の調達が、請負業者にとつてきわめて困難な問題となつております。その結果、公共工事全般にわたつて工期の遅延、工業費の増大等を招来いたし、公共工事の適正な遂行を阻害することが憂慮されておりまして、公社工事に関して前提金制度を確立することが要望されておるのであります。本法案におきまして、公共工事の前拂金保証事業を営む者について登録の実施及び前拂金保証事業の運営の準則等を定め、公共工事の前拂金の実施の確保を期したいというのが本案の趣旨であります。次に、本法案の要旨について申し上げます。第一に、この法律案の適用ある公共工事は、国、日本国有鉄道、日本專売公社または地方公共団体その他の公共団体の発注する土木建築に関する工事のほかに、資源の開発等についての重要な土木建築に関する工事であつて、建設大臣の指定するものを考えております。第二に、前拂金保証事業を営もうとするときは登録を必要とし、登録申請者が三千万円以下の会社、その他一定の要件を欠く場合は、建設大臣が登録を拒否することとなつております。第三は、保証事業会社の公正な運営と健全な経営を確保するため、保証約款の承認、保証基金の積立て、審査請求その他必要な規定を設けております。本法律案は、去る四月三日建設委員会に付託され、四月十五日提案理由の説明を求め、爾後八回にわたり愼重に審査をいたした次第であります。次に、質疑応答の主なる点を申し上げます。第一は、設立される会社の数は少数に限定せず、少くとも地方ブロツク別程度に設置すべしとする点でありますが、これに対しては、現在数社を考慮中であり、本委員会の意見を参考としてきめて行きたいという答弁であります。第二は保証の対象及び保証限度等の事業方法書の内容についてでありますが、保証の対象は一件五十万円以上の公共工事について適用することとし、保証限度は債務残高が自己資本の二十倍を越えないようにするという答弁でございました。第三は地方財政に対する影響についてでありますが、これに対しては、この制度は地方公共団体に対し前拂金を強制するものではなく、予算交付の迅速化等の措置によつて地方公共団体が前拂金制度を活用できるように措置を講じたいということでありました。第四は保証事業会社の運営の問題についてでありますが、これに対しては、的確なる指導監督によつて、中小業者が大業者に比し特に圧迫されないよう適正なる運営を期したいということでありました。その他、保証事業会社の性格の問題、独占禁止法との関係、資本構成の問題、保証料算定の根拠等、長時日にわたり質疑応答を重ねたのでありますが、その詳細に関しましては速記録に譲りたいと存じます。次いで、一昨三日質疑を打切り、討論を省略して採決いたしましたところ、全会一致をもつて本法律案は原案の通り可決すべきものと決した次第であります。右御報告いたします。
○副議長(岩本信行君) 採決いたします。本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○副議長(岩本信行君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。(拍手)
     ――――◇―――――
○副議長(岩本信行君) 日程第十一は委員長提出の議案でありますから、委員会の審査を省略するに御異議ありませんかつ
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(岩本信行君) 御異議なしと認めます。日程第十一、消防法の一部を改正する法律案を議題といたします。提出者の趣旨弁明を許します。地方行政委員会理事吉田吉太郎君。
    〔吉田吉太郎君登壇〕
○吉田吉太郎君 ただいま上程せられました消防法の一部を改正する法律案の、地方行政委員会における起草の経過並びにその大要について御説明申し上げます。御承知の通り、消防法は昭和二十三年七月成立公布せられ、昭和二十五年五月一部改正が行われまして、現在に至つておりますが、その完璧を期するため所要の改正を行う必要を認めまして、地方行政委員会においては、昨年十二月十五日、消防に関する小委員会を設け、消防組織法の一部改正の法律案に対する修正案の審議とともに、鋭意消防法の改正案の起草に当つたのであります。小委員会は四回開会して調査審議を重ねました結果、五月三十一日、小委員会において、賛成多数をもつて小委員会の成案を得ましたので、同日、川本小委員長より、本委員会において、小委員会の起草の経過並びに結果について報告があり、六月四日質疑を終了し、かつ同日討論を終局いたし、次いで小委員長報告の成案を地方行政委員会の成案となし、これを委員会提出の法律案とすることに賛成多数をもつて決した次第であります。次に改正案の大要を申し上げますれば、これは消防法第二十五條第二項、第二十九條第五項、第三十六條に関係を持つものでありまして、消防法の規定の上から義務づけられているところの、一般民間人が所定の事由により死亡したり、負傷したり、疾病にかかつたり、あるいは廃疾となつた場合を顧慮し、これらの者のために対処しようとするものであります。すなわち、火災その他の災害が発生した場合、当該消防等の対象物の関係者、その他命令で定めてある者は、消防隊が災害現場に到着するまで消火、延焼防止、人命救助を行うべき義務を負わされており、そして、かような場合には、災害の現場付近にある者も同様に消火、延焼防止、人命救助に協力すべき義務を負わされているのでありますが、これによる災厄に対して、現行法上は補償の規定がないのでありまして、このままでは消防法の運用上支障を来すおそれもあり、かつ被災者に対してまことに気の毒であることも考えられますので、その人たちが消火その他消防作業等に従事したために死亡したり、負傷したり、疾病にかかつたり、あるいは廃疾となつた場合には、市町村はその條例の定めるところによつて療養その他の給付を行うものとすることを規定しようとするものであります。なお消防吏員または消防団員は、緊急の必要があるときは、災害現場付近にある者を消火その他の消防作業等に従事させることができることになつているのでありますが、当該災害現場付近にある者が、その消防作業に従事したために死亡したり、負傷したり、疾病にかかつたり、あるいは廃疾となりました場合にも、右と同様に処遇されることにいたそうとするものであります。以上、本改正案の提案の経過、理由並びにその大要を御説明申し上げます。何とぞ御審議の上、御可決あらんことをお願い申し上げます。
○副議長(岩本信行君) 採決いたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○副議長(岩本信行君) 起立多数。よつて本案は可決いたしました。(拍手)
     ――――◇―――――
○福永健司君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわちこの際、公職選挙法改正に関する調査特別委員長提出、公職選挙法の一部を改正する法律案は、委員会の審査を省略してこの際これを上程し、その審議を進められんことを望みます。
○副議長(岩本信行君) 福永君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(岩本信行君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。公職選挙法の一部を改正する法律案を議題といたします。提出者の趣旨弁明を許します。公職選挙法改正に関する調査特別委員長小澤佐重喜君。
    〔小澤佐重喜君登壇〕
○小澤佐重喜君 ただいま議題に供されました公職選挙法の一部を改正する法律案の提案趣旨並びにその理由を説明せんとするものであります。公職選挙法の改正につきましては、第十回国会の昨年五月八日、委員二十五名よりなる特別委員会が設置せられまして以来、引続き第十一回、第十二回国会を経て、今次第十三回国会においても同一委員会を設け、その間一年有余にわたり継続して公職選挙法改正に関する調査を進めて参つたことは、御承知の通りであります。まず、本案の内容の説明に先だちまして、特別委員会における調査の経過の概要を簡單に御説明申し上げます。委員会におきましては、まず委員十二名よりなる小委員会を設けまして改正案要綱の審議立案に当ることといたし、またこれと並行いたしまして、全国選挙管理委員会並びに関係取締り当局からも参考意見を聽取いたして審議に資し、さらに審査に入るにあたりましても、さきに行われた地方選挙の実情を現地について調査する必要を認め、委員を四班にわけて全国各地に派遣いたし、地方選挙管理委員会、地方議会並びに現地の取締り関係機関とも十二分に意見の交換を行い、その選挙の実情をただして、これらの生きた資料を参酌いたしまして、改正案要綱の作成に万全を期して参つた次第であります。かくいたしまして、長期間にわたつて、委員諸君にはきわめて熱心なる論議検討を重ね、慎重調査の結果、昨四日小委員会の成案を得、次いで本日、共産党、社会党第二十三控室を除く各派の賛成をもつて特別委員会の成案を決定し、本案の提出を見るに至つた次第であります。以上、特別委員会における調査の概要を申し述べましたが、以上、本案の内容について御説明をいたします。本案の各改正條項につきましては、逐一説明いたすことは長時間を要しまするので、詳細につきましては、委員会の会議録並びに議長の許可を得て速記録に掲載する報告書によつて御承知を願いたいと存ずるものであります。まず第一は選挙運動に関する改正の点でありまするが、選挙運動の適正化をはかるための措置といたしまして選挙運動の期間を短縮した点であります。衆議院議員のみについて申しますれば、最大限現行三十日間の選挙運動期間を二十五日間とし、五日間短縮することにいたしたのであります。選挙事務所につきましては、衆議院議員、参議院地方選出議員及び都道府県の各選挙における選挙事務所の数を、現行二箇所を一箇所に減少することにいたしました。
 また未成年者の選挙運動の禁止に関する規定を新設いたしましたが、これは未成年者の選挙運動及び未成年者を使用して選挙運動をすることをともに禁止いたしたのであります。次は戸別訪問についてでありまするが、戸別訪問は候補者といえども全面的に禁止し、選挙期日後のあいさつ行為としての戸別訪問もまた全面的に禁止することにいたしたのであります。戸別訪問につきましては、現行法において百三十八條に但書が設けられ、公職の候補者が親族、平素親交の間柄にある知己その他密接な間柄にある者を訪問する場合の戸別訪問はさしつかえないということに相なつておるのでありますが、この但書を削除し、戸別訪問を禁止することにいたしたのであります。なおこの禁止の趣旨は、候補者が社交上の目的をもつて訪問することを禁止する意味でないことは理の当然でありまして、この点特にここに明確にいたしておく次第であります。次に署名運動の禁止でありますが、これは何人も選挙に関し投票を得もしくは得しめない目的をもつて選挙人に対し署名運動をすることができないものといたしたのであります。次に自動車、拡声機及び船舶の使用についての改正点でありますが、衆議院、参議院地方区、都道府県、五大市の選挙におきましては、現行は自動車一台と船舶一隻並びに拡声機二そろいでありますのを、自動車または船舶いずれか一つ、拡声機一そろいに減らすこととし、参議院全国区の選挙につきましては、現行自動車三台と船舶二隻となつておりますのを、自動車または船舶を通じて三台または三隻とし、五大市を除く市及び町村の選挙におきましては、自動車または船舶を禁止し、拡声機は一そろいとすることにいたしました。次は文書図画の掲示についてでありますが、文書図画のうち、選挙運動用ポスターの掲示は、参議院全国選出議員の選挙の場合を除き全面的に禁止することといたし、連呼行為に使用される諸車にはポスター、立札及びちようちんの掲示を認めることといたしました。次に新聞紙、雑誌の報道及び評論等の自由に関する新しい規制措置でありますが、これは、いわゆる選挙目当ての新聞紙または雑誌が選挙の公正を害し、特殊の候補者と結びつく弊害を除去するため、選挙運動期間中に限り、選挙法上定義する新聞紙及び雑誌についてのみ選挙に関する報道及び評論等の自由を認めることといたしたのでありまして、これは新聞紙にあつては毎月三回以上、雑誌にあつては毎月一回以上、号を追つて定期に有償領布するものであること、第三種郵便物の認可のあるものであること、当該選挙の選挙の期日の公示または告示の日以前一年以来引続いて発行するものであること、新聞紙にあつては社団法人たる新聞協会の会員、雑誌にあつては社団法人たる出版協会の会員であること、以上の條件を具備することを要するものといたしたのであります。なお言論買收の取締りといたしましては、新聞紙、雑誌の不法利用等の制限規定を新設するとともに、新聞紙、雑誌等の人気投票の掲載を禁止することにいたしたのであります。次は選挙運動放送の制限でありますが、この法律に規定する場合のほか、一切の放送設備を使用して放送することができないものといたしました。次に衆議院議員選挙の特例に関する点についてでありますが、まず無料はがきの枚数につきましては、現行三万枚を一万枚に減少することとし、選挙公報の掲載文の字数を、現行五百字を千五百字に増すことにいたしたのであります。個人演説会の開催につきましては、その回数を候補者一人につき四十回以内に制限することとし、いかなる名義をもつてするも、選挙運動のための座談会、建物その他の施設において行う演説会は右の個人演説会とみなし、候補者が共同し、または候補者のために合同して演説会を行う場合においても、その都度各候補者についてそれぞれ一回として計算することとし、天災その他不可抗力による場合のほかは、実施しなかつた回数も算入することといたしました。なお個人演説会表示のための掲示については、公営において立札一個を、また候補者の負担において、ちようちん一個を掲示し得ることとするとともに、個人演読会告知用のポスターを、候補者一人につき四百枚を交付することといたしたのであります。次に法定以外の演説会につきましては、この法律に定める立会演説会及び個人演説会以外の演説会はすべてこれを禁止することといたしました。また選挙運動費用につきましては、経済の実情に即せしめるため、その基準額を現行二円から四円に引上げ、これを法定することといたしました。次は選挙運動期間中の政党その他の政治団体の政治活動について新たに規制を加えた点でありますが、まずこの場合の政党その他の政治団体とは、全国を通じて二十五名以上の候補者を有するものに限ることといたし、それらの政治活動のうち、政談演説会の開催は一選挙区につき一回とし、ポスターの掲示は、政策の普及宣伝用または演説の告知用として一選挙区について千枚以内とし、そのポスターには候補者の氏名を記載してはならないことといたしたのであります。もちろん、その候補者とは、当該選挙区より立候補する候補者のことであります。また政策の普及宣伝及び演説の告知のために使用する自動車については、政党その他の政治団体の本部及び支部を通じて、所属議員候補者が二十五人以上百人未満の場合は三台以内、百人以上二百人未満の場合は五台以内、二百人以上は八台以内とし、以上の政治活動の規制は衆議院議員の総選挙に限つて適用し、再選挙及び補欠選挙についてはこれを適用しないことといたしたのであります。なお政党その他の政治団体の発行する新聞紙及び雑誌については、いずれか一つに限り選挙に関する報道及び評論の掲載の自由を認めることといたしました。次に選挙公営に関する点について、以下簡單に申し上げます。まず政見放送につきましては、新たに民間放送利用の道を開くこととし、公営立会演説会につきましては、市町村について開催標準たる人口單位を引下げて、その開催の主体を拡充することとし、任意制公営立会演説会の制度については、都道府県及び五大市の議員の選挙の場合にも拡充することと改め、選挙公報につきましては、すべての地方選挙についても原則として選挙公報を発行し得るように改め、また投票所内の氏名等の掲示制度を新設し、投票記載所のボツクスごとに、候補者の氏名及び党派別を公営により掲示せしめることといたしたのであります。第二は選挙運動費用に関してでありますが、選挙運動の收支報告書の提出の簡素化をはかるため、中間報告を廃止し、選挙期日から十五日以内に清算の上、一回報告させることといたしました。なお実費弁償及び報酬の基準額につきまして、当該選挙管理委員会は選挙運動に従事する者に対する弁償及び労務者に対する報酬についての基準額を定めることができる旨の規定を新設いたしたのであります。第三は選挙管理上の改正点でありますが、まず選挙期日の公示または告示期間を短縮することといたし、これは、さきに申し上げました選挙運動期間の短縮と相まち、衆議院議員及び知事、都道府県会議員、教育委員並びに五大市を除く市の長、議員、教育委員につきましては、それぞれ現行より五日間を短縮し、町村の長、議員、教育委員につきましては、現行より十日間を短縮することといたしました。次に代理投票における補助者の不正行為を取締るための規定を設けるとともに、不在者投票に伴う弊害を除去するため、いわゆる在宅投票を廃止することといたしました。次に、同一氏名等の投票を有効とする道を開き、その投票は開票区ごとの他の有効投票数に比例して按分加算することといたしました。次に供託金及び公営分担金についてでありますが、公営分担金はこれを廃止し、供託金はおおむね現行の供託金及び分担金の額を加えたものの倍額に増加することとし、衆議院議員については十万円といたしたのであります。供託金の沒收については、選挙期日前十日以内に立候補を辞退した場合に限らず、それ以前に立候補を辞退した場合においても、原則的としてこれを沒收することと改めたのであります。次に長の決選投票制度を廃止することとともに、法定得票数を四分の一に引下げ、これに達するもののないときは再選挙を行うものといたしたのであります。第四は罰則についてでありますが、詐偽投票罪の未途を罰する旨の規定並びに禁止規定の新設に伴う所要の罰則を設けたのであります。第五は争訟に関してでありまして、当選の効力に関する争訟における潜在無効投票の処理に関する規定を新設いたしたのであります。最後に第六として施行期日でありますが、政令を定めるための準備期間及び改正規定についての地方の啓蒙期間を勘案して、本年九月一日より施行し、衆議院議員の選挙に関しましては、次の総選挙から施行することといたした次第であります。以上が本改正案の要点であります。何とぞ皆さんの御賛同をお願いしたいのであります。(拍手)
○副議長(岩本信行君) 採決いたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○副議長(岩本信行君) 起立多数。
    〔「討論だ討論だ」「散会々々」と呼ぶ者あり〕
○副議長(岩本信行君) 御参考までに申し上げますけれども、採決もいたしたし、なおかつ討論の申立てはありません。よつて本案は可決いたしました。本日はこれにて散会いたします。
    午後六時十六分散会