第013回国会 本会議 第51号
昭和二十七年六月七日(土曜日)
 議事日程 第五十号
    午後一時開議
 第一 昭和二十四年度一般会計歳入歳出決算、昭和二十四年度特別会計歳入歳出決算及び昭和二十四年度政府関係機関収入支出決算
 第二 畜犬競技法案(原田雪松君外四十四名提出)
 第三 伊東国際観光温泉文化都市建設法の一部を改正する法律案(遠藤三郎君外九名提出)
 第四 公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法の一部を改正する法律案(淺利三朗君外二十五名提出)
 第五 犯罪者予防更生法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第六 裁判所侮辱制裁法案(第十回国会、田嶋好文君外四名提出)
 第七 図書館法の一部を改正する法律案(内閣提出参議院送付)
 第八 中華民国との平和條約の締結について承認を求めるの件
 第九 国際連合の特権及び免除に関する国際連合と日本国との間の協定の締結について承認を求めるの件
 第十 千九百二十八年十二月十四日にジユネーヴで署名された経済統計に関する国際條約、議定書及び附属書並びに千九百二十八年十二月十四日にジユネーヴで署名された経済統計に関する国際條約を改正する議定書及び附属書の締結について承認を求めるの件
 第十一 貴金属管理法の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)
 第十二 緊要物資輸入基金特別会計法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第十三 地方自治法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第十四 警察官等に協力援助した者の災害給付に関する法律案(川本末治君外八名提出)
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 公明選挙推進に関する決議案(小澤佐重喜君外十名提出)
 水産資源保護法の一部を改正する法律案(本院提出、参議院回付)
 日程第一 昭和二十四年度一般会計歳入歳出決算、昭和二十四年度特別会計歳入歳出決算及び昭和二十四年度政府関係機関収入支出決算
 日程第四 公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法の一部を改正する法律案(淺利三朗君外二十五名提出)
 日程第五 犯罪者予防更生法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第六 裁判所侮辱制裁法案(第十回国会、田嶋好文君外四名提出)
 日程第七 図書館法の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)
 日程第八 中華民国との平和條約の締結について承認を求めるの件
 日程第九 国際連合の特権及び免除に関する国際通合と日本国との間の協定の締結について承認を求めるの件
 日程第十 千九百二十八年十二月十四日にジユネーヴで署名された経済統計に関する国際條約、議定書及び附属書並びに千九百二十八年十二月十四日にジユネーヴで署名された経済統計に関する国際條約を改正する議定書及び附属書の締結について承認を求めるの件
 日程第十一 貴金属管理法の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)
 日程第十二 緊要物資輸入基金特別会計法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第十三 地方自治法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第十四 警察官等に協力援助した者の災害給付に関する法律案(川本末治君外八名提出)
 漁船乗組員給與保険法案(田口長治郎君外十四名提出)
    午後二時二十一分開議
○議長(林讓治君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
    (委員会審査省略要求事件)
○福永健司君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、小澤佐重喜君外十名提出、公明選挙推進に関する決議案は、提出者の要求の通り委員会の審査を省略してこの際これを上程し、その審議を進められんことを望みます。
○議長(林讓治君) 福永君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(林讓治君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
 公明選挙推進に関する決議案を議題といたします。提出者の趣旨弁明を許します。小澤佐重喜君。
    ―――――――――――――
    〔小澤佐重喜君登壇〕
○小澤佐重喜君 私は、共産党を除く各派を代表いたしまして、ただいま議題に供されておりまする公明選挙推進に関する決議案提案の趣旨を説明いたしたいと存ずるのであります。
 まず決議案の案文を朗読いたします。
  公明選挙推進に関する決議案
  最近の世相を見るに、来るべき衆議院議員の総選挙を目指して事前運動が全国到る処で公然と展開されていることは、疑うべからざる事実である。かくては選挙の公正を害し、延いては政治の腐敗を招くに至るべきことは火をみるよりも明らかである。われわれは、選挙粛正の必要今日より急なるを知らない。本院が今回公職選挙法の改正を企図した所以の一も実にまたここに存するのである。
  しかしながら公明なる選挙運動は、單に一片の法規の改正をもつて能くし得るところではない。その大前提として、選挙に対する国民の自覚を深めるため選挙粛正の一大国民運動を展開するとともに、事前運動の違反なることを国民に徹底せしめ、一罰百戒の実を挙げるためその取締を励行する必要があると痛感する。
 宜しく、政府は、右の趣旨に則り、早急に最善の措置を講ずべきである。
 右決議する。
以上であります。(拍手)
 およそ最近の世相を見まするに、政治、経済、文化等、社会の全般にわたつて、幾多の重要かつ困難な問題が山積しておりまするが、なかんずく事選挙に関しましては、最も憂慮すべき事態が現われていることは、すでに諸君の御承知の通りであります。すなわち、来るべき衆議院議員の総選挙を目ざした事前運動が、全国各地で盛んに展開されていることは周知の事実でありまして、その事前運動たるや、すこぶる悪質をきわめ、しかも公々然と行われていることは、まことに遺憾にたえない次第であります。
 そもそも待望久しい講和を迎えたわが国が、光輝ある、しかも多事多端な独立の第一夢を踏み出したこのときにあたり、まず要請されるものは正しい民主政治の確立であるのであります。しかして、民主政治の基礎は選挙にあり、選挙が公正明期に行われるところに初めて正しい民主政治が確立されるものであると存ずる次第であります。しかるに、最近の選挙に関する情勢は、前述いたしましたように、まことに憂慮すべき状態にあり、もしこのような状態が持続される場合においては、選挙の公正を害し、ひいては民主政治の腐敗堕落を招くに至るべきことは、火を見るよりも明らかであります。われわれは、撰挙粛正の必要が今日ほど急務なるを知らないのであります。
 御承知の通り、本院が今回公職選挙法の改正を行つたその目的の一つもまた実にここに存するのであります。すなわち、選挙運動に適正な制限を加えるとともに、選挙運動費用の縮減をはかり、もつて選挙の公正の明朗北を期した次第であります。しかしながら、選挙運動の公正明朗化は、單に一片の法規の改正をもつてのみ、よくこれをなし得るところではありません。その大前提といたしましては、まず選挙の意義ないしはその重要性について、あまねく国民諸君の自覚を深めしむると同時に、またわれわれもよくこれを自粛自戒をなすにあらざれば、選挙粛正は百年河清を待つにひとしいと思うのであります。(拍手)しかして、粛正の方策につきましてはいろいろあると存じますが、この際政府においては、民間の自発的な運動と呼応しつつ、選挙粛正に関する一大国民運動を展開することが急務であり、さらに悪質なる事前運動が違法にして恥ずべきものであることを国民に周知徹底せしむるとともに、一罰百戒の実をあげるため、その取締りを励行する必要があると信ずるのであります。
 事前運動については、世上往々にして法の不備を云々し、その取締りの不可能を説くものがありますが、その見解の誤れることは多言を要しないところでありまして、事前運動を選挙運動期間以前に現実に摘発して取締ることは法的にも可能であり、しかも悪質な事犯については絶対にこれを放置すべきでないと存ずるのであります。
 よつて、政府は、以上の趣旨にのつとり、早急に最善の措置を講ずべきものと認めまして、ここに本決議案を提出するに至つた次第であります。何とぞ御賛同のほどをお願いいたします。(拍手)
○議長(林讓治君) 討論の通告があります。これを許します。風早八十二君。
    〔風早八十二君登壇〕
○風早八十二君 私は、日本共産党を代表し、この決議案に反対の意思を代表いたすものであります。
 大体、すでに本国会に対して、あのインチキなる選挙法改正案を出しておるこの提案者たち、その同じ提案者たちは、この決議案を提出者する、その提出者の資格がないとわれわれは断言せざるを得ない。この決議案は、表面上の理由は別として、まつたく利己的であり、欺瞞的であり、この決議案はそれ自身一つの選挙対策であることを指摘したいのであります。最近自由党によつて行われておるところの、まつたく国会を私物化し、国会を選挙運動の場としておる数々の事実は目に余るものがあるのでありますが、この決議案そのものも、またその一つの例にすぎないのである。
 まず第一の反対理由は、今回選挙法の改正が企図せられておりますが、その改正の企図選挙粛正にありと述べておる点であります。吉田政府が現在最も恐れておるものは国民大衆であります。国民を敵としておるところの吉田政府が最も恐れておるのは国民だ。アメリカ製の二つの條約並びに売国的な行政協定を單独で調印、締結した吉田政府は、国民大衆の反対を押し切つて、日本の軍事基地化、日本民族の奴隷化の道を一路歩んで来たことは周知の通りでありますが、かかる売国政策、戰争政策に反対する国民大衆は、今や全国的な規模において、実力行使をもつて立ち上りつつあるのであります。
 四月十二日、四月十八日、この第一波、第二波のゼネストを鬪い、さらに五月一日、諸君も御承知の通り、メーデーのあの激烈なる鬪いを経まして、今や国民大衆の憤激の高まりは、まさに本日から開始せられた三百万労働者の第三波ゼネストに決起せんとしておるのであります。しかも、立ち上りつつあるのは、單に労働者だけではありません。来る六月十日には、おそらく諸君の地盤であろうと思いますが、全国数百万の中小企業家の仕表が、東京四谷において総決起全国大会を開いて、吉田内閣を糾彈せんとしておるのであります。莫大な土地と漁場を軍事基地として奪われた農漁民は、場所によつては、まさに一揆的様相を帯びた、革命的なる鬪争に立ち上りつつあります。これら全国民的な大衆鬪争の高まりは、必然的に売国両條約破棄、行政協定破棄の鋭い政治批判が、吉田政府とその與党及びこれら売国條約に賛成し、日本の軍事植民地化に賛成する各政党に集中せられ始めたことは申すまでもないのであります。
 今や、自由党を初め、売国政策、戰争政策を支持する一切の政党は、完全に独立と平和を求める国民大衆の包囲の中に階つておる。彼らは、この国民大衆の鋭い政治批判の重囲の中で選挙戰を迎えなければならないという、まことにお気の毒なる立場に退い込まれておるのである。ここにおいて、まさにこの公職選挙法の改正法案提出の本質的な原因がある。ここから、このいわゆる改正案、すなわち改惡案のねらいは次の二つであることは当然であります。
 すなわち、国民大衆の選挙運動、政治活動の徹底的な制限、国会及び地方議会への国民大衆の真の代表の選出を極力制限することであります。そのために、改正案は、第一に、選挙運動期間を大幅に短縮しておる。第二に、供託金を一挙三倍の十万円に引上げておる。第三に、満二十歳以下の青少年の選挙運動を全面的に禁止しておる。第四に、最も大衆的な政治活動であるところの署名運動を禁止しておる。次に、無料はがきを三分の一に減少しておる。さらに、選挙運動用のポスターを全面的に禁止しようというのが、そのねらいであります。
 最も重要な改正案は、新聞、雑誌の報道及び評論の自由の禁止であります。これはまさに憲法に規定せられた言論、出版の自由、表現の自由を蹂躙するもはなはだしいものであるといわざるを得ない。しかも、禁止の條件として、第三種郵便物の認可なきものを禁止し、あるいは日本新聞協会もしくは日本出版協会の会員以外のものを禁止するなど、まつたく無謀きわまる條件を付しており、憲法に保障する基本的権利を蹂躙するもはなはだしいものだ。彼らは、国民大衆を恐れるとともに、輿論機関、報道機関にも完全に恐れおののいて、完全にこれから孤立しておることを、みずから暴露しておるのであります。さらに、かかる言論抑圧の方向は、演説会に対する徹底的な制限となりつつあります。個人演説会を、あらゆる形を問わず四十回に制限する。街頭演説会は、一時にわずか一回と制限する。最後に、さらに重大な制限は、政党の政治活動の制限であります。政党の政治活動の制限、これは一体どういうことだ。選挙運動にあらざる政党の政治活動を、なぜこの選挙法の改正案で制限するのか。これはまさに政党みずからの否定である。自殺行為でなければなりません。
 一体、アメリカ帝国主義は、日本に対して、今後これからいかなる支配形態をとろうとしておるのか。アメリカ帝国主義は、今のこの日本の政党に、まだ民主主義的なる要素が少しでもある限りは、この政党というものを彼らは信頼しておらない。彼らが今信頼しておる、日本における唯一の機構は、これはまさに植民地官僚、吉田、池田等を初め、日本の植民地官僚以外には何ものもない。この植民地官僚を通じて、これから日本の支配を彼らは完了しようとしておる。諸君自身は今否定せられようとしておる。これがアメリカ帝国主義の方針だ。(発言する者多し)このアメリカ帝国主義の方針が、国会を否定し、日本の政党を否定し、この重大なる性格を帶びて来ているときに、諸君みずからが主張しなければならないこの国会の権威を、みずから自殺行為によつて滅ぼすとは何事であるか。
○議長(林讓治君) 議題の範囲をあまり越えないように討論を願います。
○風早八十二君(続) さらに、改正案が、既成政党の立場を擁護するという、まつたく利己的な立場から、少数革新政党の選挙運動を極度に制限し、現在の反国民的反動政策を維持継続せんとしておる点を指摘しておきたい。
 かくのごときが、改正案の無謀きわまる反国民的、売国的な内容でありますが、われわれは、この改惡法案のみが支配階級の選挙対策と思つてはならない。実は政府は、選挙管理委員会を廃止し、自治庁長官が選挙の運営管理を掌握し、同時に直接選挙取締りの任に当る全警察組織を総理大臣が掌握するように警察法を改惡せんとしておるのであります。これとこれとは不可分なんです。よく聞いておいてもらいたい。自治庁長官が選挙の運営管理を掌握し得るようにするということは、これは自由党の選挙対策委員長が全国の選挙の運営管理をやり得るということを意味する。しかも、警察は総理大臣吉田茂氏の掌中にあるのであるから、結局選挙は、まさにかつての翼賛選挙であり、平承晩の選挙とまつたくその線を異にしないことになるのであります。
○議長(林讓治君) 申合せの時間が過ぎておりますから、簡單に結論を願います。
○風早八十二君(続) 以上のごとく、提案者自由党は、まつたく反動的、植民地的選挙対策をとらざるを得ないはめに落ち込んでおる。かつ、現実にそれを着々と実行しつつある。売国性というのは、ここにその本質がある。アメリカの帝国主義が新しく日本に方向つけたそのやり方、諸君はみずからそれに屈服しようとしておる。そこに売国性がある。かかる自由党は、この決議案を提出する一片の資格もありません。
 本決議案は、みずからの醜惡な選挙対策を隠蔽し、国民を欺瞞するところの役割を果すものであります。本質的には、この決議案自身、まことに惡辣な選挙運動そのものである。さらにこれを突き進めてみれば、その売国的な性格、アメリカの新しい日本支配の性格、これに屈服することによつて、日本の民主主義を、とことんまでみずから奪い去つてしまう。
 こういうような意味におきまして、私はこの決議案に対して絶対に反対せざるを得ないものであります。(拍手)
○議長(林讓治君) これにて討論は終局いたしました。
 採決いたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(林讓治君) 起立多数。よつて本案は可決いたしました。(拍手)
 この際山崎国務大臣から発言を求められております。これを許します。国務大臣山時猛君。
    〔国務大臣山崎猛君登壇〕
○国務大臣(山崎猛君) ただいまの御決議に対しましては、その時機においてきわめて適したるものと考え、その御趣旨においては同感、同憂であります。政府は、十分に決議の御趣旨を尊重いたしまして、最善を盡して善処せんとするものであります。(拍手)
     ――――◇―――――
○議長(林讓治君) 参議院から、本院提出、水産資源保護法の一部を改正する法律案が回付されております。この際議事日程に追加して右回付案を議題となすに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(林讓治君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
 水産資源保護法の一部を改正する法律案の参議院回付案を議題といたします。
    ―――――――――――――
○議長(林讓治君) 本案の参議院の修正に同意するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(林讓治君) 御異議なしと認めます。よつて参議院の修正に同意するに決しました。
     ――――◇―――――
○議長(林讓治君) 日程第一、昭和二十四年度一般会計歳入歳出決算、昭和二十四年度特別会計歳入歳出決算及び昭和二十四年度政府関係機関收入支出決算を議題といたします。委員長の報告を求めます。決算委員長中垣國男君。
    〔中垣國男君登壇〕
○中垣國男君 ただいま議題となりました昭和二十四年度一般会計歳入歳出決算、同特別会計歳入歳出決算並びに同政府関係機関收入支出決算につきまして、決算委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 まず昭和二十四年度一般会計決算の概要を申し上げますと、歳入の決算額は七千五百八十六億余円、歳出の決算額は六千九百九十四億余円でありまして、差引五百九十一億余円の剰余を生じております。この決算額を予算額と比較いたしますと、歳入は百七十二億余円の増加、歳出は四百三十二億余円の減少となつております。同年度一般会計の国の債務で翌年度以降に繰越しましたものは、国庫債務負担行為五十四億余円、公債二千五百四十四億余円、借入金七百二十億余円、元臨時軍事費特別会計の借入金七十億余円、計三千三百八十九億余円となつております。
 次に同年度特別会計決算について見ますと、特別会計の数は三十四でありまして、各特別会計の歳入決算額の合計は一兆八千三百九十四億余円、歳出決算額の合計は一兆七千五百七十二億余円であります。これと一般会計決算額との合計は、歳入二兆五千九百八十億余円、歳出二兆四千五百六十七億余円となりますが、これら一般会計及び各特別会計相互の間には相当多額の重複額がありますので、これらを控除調整した決算の純計額は、概算、歳入一兆六千余億円、歳出一兆五千余億円となる計算であります。
 次は同年度政府関係機関の決算であります。本年度における政府関係機関の数は二十一でありまして、決算額の総計は、收入一兆四千四百六十九億余円、支出一兆三千百七十五億余円となつております。
 以上は決算の大要であります。本委員会は、二十六年五月二十三日以来会議を重ねまして、政府提出の資料、会計検査院の検査報告等に基き、政府当局、会計検査院の説明を聽取し、あるいは委員諸君が各地方に出向かれまして調査いたされるなど、愼重審議を重ねて参つた次第であります。委員会におきまする審議経過の詳細は速記録についてごらんいただくことといたしまして、次に本決算審議の際、名委員諸君におかれまして、特に将来にわたり政府並びに会計検査院当局に善処を促されました重要事項につきまして御報告申し上げます。
 まずその第一は、職員の不正行為の増加であります。会計事務職員が不正行為により国または政府関係機関に損害を與えた事例として会計検査院より指摘されましたものは、総計百四十七件、六億七千三百余万円に上つておりまして、そのうち翌年度末までに補填されるに至らなかつた額は二億七千六百余万円であります。これを前年度不正行為四十四件、五千四百三十余万円、二十二年度十件、二百七十余万円に比較いたしますと著しい増加であります。
 不正行為の態様としましては、出納職員またはその補助者たる関係職員が、支拂い金額につけがけをして、その差額を領得したもの、小切手用紙及び官印を盗用して偽造小切手を振り出したもの等が数えられます。職員の不正行為を防止するには、いかなる対策を講ずべきか。これにつきましては、委員会の席上において、三宅委員、田中角榮委員、大上委員、菅家委員等が論議せられているのでありまして、その大要を申し上げますれば、これには、まず第一に職員の道義心の高揚、責任観念の強化はもちろんでありますが、これと同時に、会計帳簿等の整備、直属上司による監督の徹底化を期することであります。これによつて会計経理の内部牽制組織並びに監督組織を確立して、日常の事務処理にゆるみを與えず、不正を行う余地なからしめることが最も肝要であります。この監督組織、内部牽制組織を末端の地方出先機関に至るまで整備充実することによつて不正防止を期すべきであるというのが、各委員の御要望でありました。
 第二は、架空の名義による支拂いその他不法の経理についてであります。国庫に納入すべき歳入金を一時手元に保留し、あるいは事実に基かない架空支出等の操作により捻出した特別資金を手元に保有して、これを別途に経理している事例が見られることであります。これは二十四年度において三十四件、五億四千六百余万円となつておりまして、その性質から見まして特に惡性なるものと言わざるを得ないのであります。すなわち、歳入の徴收に関して、国に納付すべき歳入金を納付せず、出納職員でないものが保管し、これらを予算外に使用して、歳入金などの立てかえ使用に充てる事例が見られます。他方、経費の使用に関しまして、関係書類を作為し、または正当支出額につけがけを行つて支出し、その捻出金を別途に保管経理して、もともと支拂計画の示達がないか、またはその示達領では不足するところに随時使用している事例が見られるのであります。
 今、二十四年度決算検査報告に指摘されております三十四件、五億四千六百余万円を各所管別に見ますと、大蔵省五件、二千四百余万円、農林省三件、一億七千三百余万円、通産省一件、四十六万余円、これらは予算外に建物を購入したり、事務所経費に充当し、あるいは事業費に立てかえ使用する等に使われておつたものであります。また建設省所管三件、三千余万円は、直轄河川工事事務所におきまして、架空人夫賃等により捻出した資金を、工事費、年末手当、借入金等、予算以上に、あるいは予算以外の費途に充てているものであります。この他は各種公団関係でありまして、食糧配給公団二件、一億二千二百余万円、食料品配給公団七件、九千九百余万円、価格調整公団三件、五千九百余万円が、そのおもなるものであります。これらは、職員の給與等に充当したもの六千三百余万円のほか、別途に民間会社に融資したり、あるいは会議費、交際費、職員の厚生費等に充てる等の不当支出を行つておるのであります。
 本問題につきまして、田中角榮委員は、これら特別資金の捻出は大部分証拠書類の作為によつてなされるもので、これがひいては架空経理にまる留保金を関係者がほしいままに領得消費するに至る等、犯罪の誘因となるものであるから、嚴重に注意しなければならないと政府に要望されたのであります。
 第三は、公団の経理に関してであります。戰後重要物資の経済統制を運営するため、二十二年度以来、産業復興公団以下十五公団が設立されたのでありますが、その後経済の好転等に伴いまして、二十四年度中に五公団が解散され、さらに今日までには残つた全部が解散されておる状況であります。各公団を通じて経理上妥当でないと認められましたところは、先に申し上げましたもののほか、商品売渡し代金の回收努力が十分でなく、多額の売掛金を残しているもの、これは検査院の報告では五億五千八百余万円に上つております。また保管商品の管理が十分でなく、ほしいままに他に処分されたものが、鉱工品貿易公団において九千四百余万円に上つておる状況であります。
 これら公団における不当経理の発生は、各委員が指摘されたごとく、戰後の窮迫した需給状態下において、重要物資の配給統制を、当初から存続期間が短期、一時的なものとして発足した公団のごとき組織により、また訓練不足な職員にゆだねたことによるものでありまして、その間、一部関係職員の責任観念の欠如によつて、はなはだ芳ばしからざる事態を惹起したことは、まことに遺憾であります。各委員諸君は、政府並びに検査院当局に対し、今後ともこれら諸公団の残務結了を嚴重に督励されるよう要望いたした次第であります。
 最後には、会計検査院の検査機能の充実強化についてであります。戰後、会計検査院の決算検査報告に指摘せられる批難件数は累年増加の傾向にありまして、二十一年度百七十五件、二十二年度三百七十八件、二十三年度六百十三件、二十四年度七百五十件となつております。しかも、これら批難事項の一つ一つを取上げてみますれば、毎年同種同様の内容を持つた事項が大部分でありまして、すでに検査院の批難を受けた事例が引続き繰返されておる状態であります。これにつきましては、会計監督の独立最高機関たる会計検査院における検査機能が十分発揮せられないため、かような会計経理の紊乱が跡を絶たないのだという声が一部には強いのであります。もちろん、会計経理の法規違反、不正事件の増加は、行為者自身を強く責めるべきでありますが、会計検査院の検査が徹底的に行われていたならば、ある程度は防ぎ得るものではなかろうかといわれておるのでありまして、この点につきましては、由中角榮委員、菅家委員、三宅委員、畠山委員等が、繰返し本委員会において強調されておるところであります。会計上の監督は、ひとり会計検査院にとどまらず、会計法第四十六條の規定に基き大蔵大臣が行う監査、あるいは各官庁内部の監督組織等、幾多並行してなされているのでありますが、われわれは特に不覊独立の機関たる会計検査院の検査に期待するところが大であります。
 以上申し上げましたところは、本委員会の審議におきまして、各委員諸君が特に強調されて政府に要望いたした事柄であります。政府並びに会計検査院当局におかれては、予算執行の適正化と、会計経理の公正なる処理によつて国費の有効なる支出をはかられるよう努力せられんことを期待いたすものであります。
 決算委員会は、五月九日をもつて本件に対する質疑を終了いたしまして、二十一日に至り、自由党渕委員より、本決算に対して会計検査院指摘の処置当を得ないもの七百六十件について、それぞれ政府に対し将来の注意と善処とを促すとともに、他の事項については異議がないものとすべき旨の動議が提出されました。
 続いて討論に入り、渕委員の動議に対して、自由党三宅委員より賛成、改進党畠山委員、社会党熊本委員より反対の趣旨の御発言があつたのであります。
 次いで採決に入りましたが、多数をもつて自由党渕委員の動議の通り議決いたした次第であります。
 以上御報告を終ります。(拍手)
○議長(林讓治君) 採決いたします。本案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(林讓治君) 起立多数。よつて本件は委員長報告の通り決しました。
     ――――◇―――――
○福永健司君 日程第二及び第三は延期されんことを望みます。
○議長(林讓治君) 福永君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(林讓治君) 御異議なしと認めます。よつて日程第二及び第三は延期するに決しました。
     ――――◇―――――
○議長(林讓治君) 日程第四、公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法の一部を改正する法律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。建設委員瀬戸山三男君。
    〔瀬戸山三男君登壇〕
○瀬戸山三男君 ただいま議題となりました、淺利三朗君外二十五名提出、公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法の一部を改正する法律案につきまして、建設委員会における審査の経過並びに結果について御報告いたします。
 まず本法案の趣旨について申し上げます。本法案は昨年第十国会において制定され、災害復旧事業費に対する国の負担について一応の原則はきまつたのでありますが、法施行の状況にかんがみ、次の二点を改正せんとするものであります。
 すなわち、第一は、現行法におきましては、災害にかかつた施設を原形に復旧することが著しく困難または不適当な場合において、これにかわるべき必要な施設をすることは当然災害復旧事業であるとされているにかかわらず、その事業費に対する国の負担については、原形に復旧するものとした場合に要する金額のみについて三分の二から全額までスライドして負担することとし、それから超過した部分については、これを改良工事とみなし、改良工事の際、国が負担または補助している場合の例によつてその費用を負担しているのであります。かくのごとく、原形に復旧することが困難な災害復旧事業を、費用の上から原形復旧を超過工事と区分することは、災害の実情より考慮して妥当でなく、理論上も不合理のそしりを免れないのであります。さらに、彈力性に乏しい地方公共団体の財政をも考慮して、この際二の超過事業という考え方をやめ、すべての災害復旧事業は、一率に地方公共団体の標準税收入に比例して国がその費用を負担することとし、災害復旧事業費に対する国の負担方法を合理化せんとするものであります。
 第二は、現行法においては、一箇所の工事の費用が十五万円に満たないものは災害復旧事業の対象にしなかつたのでありますが、災害の実情にかんがみてこれを改正し、五大市を除く市町村においては、この最低線を十万円まで引下げんとするものであります。
 しかして、第一の改正規定は、その取扱いの公平を期するため、過年度に発生した災害で、昭和二十七年三月三十一日現在において国の負担金の交付を受けていなかつたものについても適用させることとなつており、第二の改正規定につきましては、過年度にさかのぼつて再査定をすることは不可能でありますので、二十七年災害から適用いたすことと相なつております。
 本法律案は、去る二日建設委員会に付託され、翌三日提案者より提案の理由の説明を求め、愼重に審査をいたしました。質疑応答の詳細に関しましては速記録に讓ることといたします。
 かくて、一昨五日質疑を終了し、討論に入りましたところ、共産党を除く各派を代表して田中角榮君より賛成の旨、共産党を代表して池田峯雄君より反対の旨それぞれ論があり、次いで採決いたしましたところ、多数をもつて原案の通り可決すべきものと決した次第であります。
 右簡單に御報告申し上げます。(拍手)
○議長(林讓治君) 採決いたします。本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(林讓治君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。(拍手)
     ――――◇―――――
○議長(林讓治君) 日程第五、犯罪者予防更生法の一部を改正する法律案、日程第六、裁判所侮辱制裁法案、右両案を一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。法務委員長佐瀬昌三君。
    〔佐瀬昌三君登壇〕
○佐瀬昌三君 ただいま議題となりました犯罪者予防更生法の一部を改正する法律案につきまして、法務委員会における審議の経過及び結果を御報告申し上げます。
 今回の改正のおもなる点は、第一に、現行法上いわゆる仮釈放は、原則として本人との面接を必要條件としておりますのを、裁量によりまして面接を省略して行い得ることといたし、もつて取扱いに彈力性を持たせようとするのであります。第二に、現行法上いわゆる引致は、仮出獄中の者だけに対して行うことができるのでありますが、保護観察に付されている者に対しましても、所在不明となつた場合、あるいは呼出しをしても本人が応じない場合等は、裁判官の発する引致状によつて引致し得るように改正しようとするものであります。第三に、現行法上仮出獄の停止に関する規定は簡略に過ぎますので、これを保護観察の停止に改めるとともに、その停止の取消しについて若干の改正をいたさんとしたのであります。第四に、現行法上引致された者の留置の対象は仮出獄中の者だけに限られておりますが、仮退院中の者に対しましても審理のため留置の必要がありますので、これに応じ得るように改正しようというのであります。以上が本案提出の要旨であります。
 さて、法務委員会の審議におきましては、仮釈放の際、中央委員会の規則で面接を省略し得るように改正しようとしておるが、その内容はいかなるものであるかとの質問に対しまして、政府より、本規則は目下起草中であるが、おもに再犯のおそれがない者や、構外作業をとまり込みでやつておる者で、成績優良の者などを対象とするものである旨の答弁がありました。また保護観察に付されている者を引致するのは、政府原案では警察官、警察吏員または保護観察官に行わせるものとしているが、これは妥当を欠くのではないかとり質問があつたのであります。これに対し、政府からは、この質問の趣旨はまことに適切であつて、この場合の引致は刑事手続によるものではないから、第一義的には保護観察官が行うべきであつて、保護観察官が行うことが困難であると認めたときに、地方委員会から警察官または警察吏員に依頼して引致を行わせるのが適当である旨の答弁があつたのであります。
 次いで、自由党から修正の動議が提出されたのであります。その修正案の内容は、右質疑にありました通り、第四十一條第五項のいわゆる引致は原則として保護観察官に行わせる趣旨に改めること及び施行期日を本年五月一日とあるのを公布の日と改めるほか、字句、條文について若干の整理をいたすものであります。
 かくて、質疑を終了し、討論省略の上、採決に入り、まず修正案に対する採決をいたした結果、日本共産党を除く多数をもつて可決された次第であります。次いで修正部分を除く原案を採決いたしましたところ、また日本共産党を除く多数をもつて可決され、かくして本案は修正議決された次第であります。
 次に裁判所侮辱制裁法案について御報告申し上げます。
 まずその提案の理由を申し上げますと、最近わが国民の一部には裁判所の審理を妨害し、あるいは裁判所の威信を害するがごとき事件を惹起し、まことに遺憾なる事態が続出しておるのであります。もしこのままに放任するときは、遂に司法の機能に重大な支障を生ずるおそれなしとしないのであります。よつて、裁判所に対する侮辱行為に対し制裁を設け、これを阻止せんとするものでありますが、ここにいわゆる裁判所侮辱とは、裁判所または裁判官が法廷または法廷外で事件を審判するにあたり、その面前において、あるいはまた裁判官の知ることのでき得る場所において、命じた事項を行わず、また裁判所がとつた措置に従わず、その他裁判所の威信を害する行状を言うのでありまして、この裁判所侮辱をした者に対し百日以下の監置または五万円以下の過料を科そうとするものであり、従つて、これはいわゆる刑罰ではなく、行政罰もしくは秩序罰といわれるものに該当するものであります。さらに普通の刑事事件と異なる点は、検察官の起訴を待たずに、裁判官がみずからの発意に基いてその制裁手続を開始できることが認められておるのであります。以上が本案の要旨であります。
 さて、法務委員会におきましては、去る第十国会中、すなわち昭和二十六年五月七日、本法案が付託されるや、同月二十七日公聽会を開きましたが、反対論のおもなるものは、第一に、アメリカの裁判所侮辱は、日米の社会の事情と裁判所の伝統を異にし、日本の裁判所にただちにこれを移すことはできない。第二に、すでに裁判所法中に審判妨害罪の規定があるから、これを活用すればよろしい。第三に、いわゆる不告不理の原則と裁判官除斥主義等は裁判所の公正を維持する支柱であるが、この法案はこれと矛盾しておるというような点でありました。
 その後、第十一国会及び第十二国会と継続審議をなし、社会事情の推移を展望いたし、法案内容の検討を続けて来ましたところ、第十三国会に入り、修正すべきものありとの結論に達し、去る六月六日、自由党及び改進党の共同提案をもつて修正案が提出されたのであります。
 この修正案の内容は、第一に、題名を変更して法廷等の秩序維持に関する法律案と改め、かつ内容を修正いたし、本法案の性格を、裁判所の威信保持とともに、法廷内外の秩序紊乱に対する対策立法と見ること、第二、制裁を軽くし、監置は二十日間以内とし、過料は三万円以下とすること、第三、制裁に関する裁判等につき除斥期間を設けること、第四に、制裁に関する裁判の取消しがあつた場合には、刑事補償法を準用して救済の道を開くこと等であります。
 次いで採決に入りましたところ、修正案及び修正部分を除く原案は総員起立可決された次第であります。かくして裁判所侮辱制裁法案は修正議決された次第であります。
 以上、簡單に御報告申し上げます。(拍手)
○議長(林讓治君) 討論の通告があります。これを許します。加藤充君。
    〔加藤充君登壇〕
○加藤充君 日本共産党は、まず裁判所侮辱制裁法案に絶対反対するものであります。
 諸君、何人も裁判を受ける権利を奪われないということは、裁判所の権威を規定したものではありません。国民の基本的人権の侵すべからざることを制度的に現わしたものであります。裁判官は断じて一般国民よりも上位の権威を有するものではありません。裁判の対審及び判決は公開法廷で行う、政治犯罪、出版に関する犯罪または国民の権利が問題になつておる事件の対審は常に公開しなければならないということは、裁判は国民に対して責任を持たねばならないことを明確に規定したものであります。
 元来、公共の福祉あるいは公共の治安などという空漠、卑劣な言葉によつて人権を蹂躙したり制限したりすることは許されないことであります。政府がそういうことをやるならば、国民は何どきでもその政府を変更し、または廃止し、新政府を樹立する権利を有することは自明の理である。国民は專制と圧迫に対抗する権利を有し、その最後の手段として政府に反逆する権利を有しておる。人権の歴史は権力との徹底的抗争の歴史であつたことを知るべきであります。しかるに、人民広場の愛国行進に対して鬼畜のごとく発砲し、数百名を殺傷した。続いて、数千人に対する不法不当な取調べ、検挙、投獄を強行した。しかも、その勾留理由の開示の公判にあたつては、バリケードを築き、多数の武裝警官を動員した。これは政府の狂暴な売国フアツシヨの蛮行が暴露されることをおそれたためであります。(拍手)
 吉田政府とその一味は、日本を米国の軍事植民地につくりかえた講和、安保両條約を承認した。行政協定によつて米軍に強大な権利、権力、権能を與え、歴史上その比を見ざるがごとき屈辱的治外法権を認めさせられたではないか。そうして、アメリカ軍事による日本の永久占領、日本の再軍備、日本を基地とする侵略戰争、フアシズムの復活等の反国民的政策を強行するために、刑事特別法、破防法等を多数で押し通したではないか。今日、日本の社会不安、従つて裁判問題の本質と原因は、実に売国政府吉田が、この売国、戰争、反動政治を恥知らずに強行しているところにあるのであります。
 警察官、検事、予審判事どもが、彼らのいう職務執行に際して、国民を拷問にかけ、生命を奪い、あるいは越権、法律違反を敢行したことは、公知の事実である。それを見て見ぬふりをしたり、拷問による不当な自白を採用したり、あるいは長期にわたる不当拘禁をしたりしなかつた判事が一人もいなかつたことも隠れなき事実であります。彼らは、まつたく一体となつて、神聖不可侵の天皇の裁判として、この許すべからざる不法不当を冷然と強行し続けたのであります。今日も、この本質は依然温存、継続、強行されさえしております。現在、判事の大部分、特に高級裁判官は戰争時代からの判事であり、戰後新任の判事のうちにも、最も反動、残忍な旧植民地の判事、検事の横すべり者どもが相当多数含まれておることも明らかである。しかも、現最高裁判所長官田中耕太郎は、彼の独善的、好戰的憲法無視の言動のために、吉田三市郎君外八十余名の弁護士諸君から、裁判官彈劾法による訴追請求を受けているという始末である。日本国民大衆は、警察官、検事、判事一体となつて、中和と自由を求めるすべての国民に加えた、あの残虐な諸事実と体験を断じて忘れてはいないのだ。われわれは、独立と平和と自由のために、主権在民の民主主義のために、無反省にして恥知らず、石頭の裁判官を糾彈し、その免官、免職を要求するものである。
 本法案は、米国帝国主義者と吉田政府の意のままに、刑事特別法、破防法などの売国反動諸法律を働かせるためのものである。神聖を押しつけて、強権によつて審理を盡さず、問答無用的な暗黒裁判の強行を合法化するためのものである。本法案は、裁判所の売国フアツシヨ化法案である。この本質は、その糾問主義その他いわゆる裁判所侮辱に対する審判手続のうちにも、そのきたないしりを隠し切れずに、はつきりと出しているではないか。
 最後に、わが党は犯罪者予防更正法の一部を改正する法律案にも反対である。犯罪、社会不安の原因を除去することが先決問題である。いわゆる、ひつぱつたり、ほうり込んだりすることによつて断じて犯罪者予防更正の実を上げることはできないからであります。
○議長(林讓治君) これにて討論は終局いたしました。
 両案を一括して採決いたします。両案の委員長の報告はいずれも修正であります。両案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(林讓治君) 起立多数。よつて両案とも委員長報告の通り決しました。
     ――――◇―――――
○議長(林讓治君) 日程第七、図書館法の一部を改正する法律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。文部委員長竹尾弌君。
○竹尾弌君 ただいま議題となりました図書館法の一部を改正する法律案について、本案の概要及び委員会における審査の結果を簡單に御報告申し上げます。
 御承知のように、去る第七国会におきまして図書館法が制定されて以来、新しい図書館制度の確立と相まちまして、短時日の間に、わが国の図書館の新設、復旧について著しい進歩発展を示しているのであります。また図書館奉仕の機能の面におきましても、閲覽方法の改善、移動図書館の活動等、各種の新しい図書館奉仕が進展しつつあるのであります。しかも、特に図書館発展の原動力とも考えられる專門職員の養成充実につきましては格別の努力がなされ、昭和二十六年度におきましては、すでに一千二百人の資格付與の講習が実施されているのであります。
 本案は、かくのごとき図書館法の規定に基きまする講習実施の実績にかんがみて、この講習を一層効果的、計画的に行い得るようにするために、現行法の一部を改正しようとする趣旨のものであります。
 さて、改正は次の二点にわたつております。すなわち、その第一は、図書館の司書及び司書補の資格を付與するための講習は、現行法によりますると、教育学部、学芸学部を有する大学ばかりでありますが、今度は、その大学ばかりでなく、教育学部あるいは学芸学部を有しない大学においても行い得るように改めようとするのであります。
 次に改正の第二点は、図書館の司書及び司書補の暫定資格を、現行法による公私立図書館、国立国会図書館及び大学附属図書館職員だけにとどまらず、大学以外の学校に付属する図書館に勤務しておる職員で、教識免許状を有する者及び教諭免許状を有するものとみなされる者についても同様に與えることによつて講習受講の機会を與えるように改めようとするものであります。さて、本案は、去る三月十七日、予備審査のため本委員会に付託となり、十九日政府から提案理由の説明を聽取いたしまして、同月二十八日、各委員からきわめて熱心なる質疑がなされ、政府より、またこれに対して懇切なる応答がございました。
 かくて、六月六日質疑を終了、討論を省略して採決の結果、全会一致をもつて原案通り可決すべきものと決定した次第でございます。
 以上御報告申し上げます。
○議長(林讓治君) 採決いたします。本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸者の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(林讓治君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。
     ――――◇―――――
○議長(林讓治君) 日程第八、中華民国との平和條約の締結について承認を求めるの件を議題といたします。委員長の報告を求めます。外務委員長仲内憲治君。
    〔仲内憲治君登壇〕
○仲内憲治君 ただいま議題となりました中華民国との平和條約の締結について承認を求めるの件について、外務委員会における審議の経過並びに結果を報告申し上げます。
 本件は、五月十四日内閣から衆議院に提出され、本委員会に付託されましたので、六回にわたり委員会を開き、愼重審議を重ねました。政府当局の説明によりますれば、政府は究極において日本の隣邦である中国との間に全面的平和及び通商関係を樹立することが望ましいと考えて来たのでありますが、他面において、中国はカイロ宣言及びポツダム宣言の当事国であるにもかかわらず、種々の事情によりサン・フランシスコ平和條約の当事国となるに至らなかつたのであります。これがため、たとえば同條約の規定によつて、わが国が権利を放棄した台湾及び澎湖諸島との関係においても、これを現に支配する中華民国との間の平和関係が回復されるに至らず、双方の間に種々の不都合を生じておるのであります。よつて、政府は、昨年十二月二十四日の吉田・ダレス書簡において、中華民国政府が希望するならば、なるべくすみやかに同政府との間に、サンフランシスコ條約に示された諸原則に従つて、正常な関係を再開する條約を締結する用意があるという意図を明らかにしており、またさらに本年二月十六日に、中華民国政府と戰争状態を終了し、正常関係を再開するための條約を締結するため、台北に全権委員を派遣し、約二箇月半にわたる交渉の結果、四月二十八日、平和條約が両国全権委員によつて署名調印されたのであります。
 本條約は、本文十四箇條並びに條約と不可分の一部をなす一つの議定書及び交換公文からなつており、別に同意された議事録が署名されました。本條約審議の詳細については委員会議録に讓ることとし、特にその内容につき注目を要する諸点をあげれば
 一、本條約の條項は、中華民国に関しては、中華民国政府の支配下に現にあり、または今後入るすべての領域に適用ある旨を定め、適用範囲を明確にしていること。
 二、両国間の戰争状態の存在の結果として生じた問題の解決については、原則としてサンフランシスコ平和條約の相当規定に従うこととし、特に本條約に別段の規定あるものはこれによることとしたこと。
 三、サンフランシスコ條約第十四條(a)1において、わが国は当該連合国に対して役務賠償を提供すべきことを約しているが、中華民国はその利益を自発的に放棄したこと。
 四、サンフランシスコ條約第十一條の戰争犯罪人に関する規定は特に適用を除外することとした結果、中華民国関係の戰争犯罪人につき、その釈放その他の措置はまつたく日本国政府の手中にまかされることとなつたこと。
 五、両国はなるべくすみやかに通商航海條約を締結することを約し、まず本條約効力発生後一年間の通商航海に関する双務的最惠国待遇につきとりきめを結んだこと。
 六、両国はなるべくすみやかに民間航空運送に関する協定及び公海における漁業に関する協定を締結することを約したこと。
 七、台湾及び澎湖諸島にある日本国及び国民の財産等の処理並びに日本国における中華民国の当局及び住民の財産等の処理は両国間で特別とりきめを行うこととしたこと。
 八、いわゆる台湾籍民で中華民国国籍を有する者は中国の国民として取扱われることとし、無国籍者のできる不都合を除去したこと。等であります
 次いで、委員と政府当局との間に活撥な質疑応答が行われ、まず委員から、台湾及び澎湖諸島は桑港倹約により日本の帰属を離れたのであるが、これを特定国の帰属とするには連合国間で決定することになつており、今日までいまだ最終的決定を見ておらないのであるから、これをただちに中華民国領土と見ることはできないのではないか、かつ現に中国本土の支配を失つておる中華民国は、わが国と條約を結ぶ権限ありや等の質問がありましたが、これに対して、政府当局としては、中華民国政府は台湾及び澎湖諸島を現に支配しており、かつ中国政府として諸外国からも承認され、現在国際連台において中国の議席、発言権及び投票権を有し、その他の国際條約にも加入しておるのであるから、その支配しておる領域に限り適用される條約を結ぶのは最も常識的であり、現実の事態に即した措置であると考えられる、第一次世界大戰以後、国際法の原則や慣例も非常に働いており、これに類似する事例も少くない、ことに日本にある多数の台湾出身の人々は、何らかの措置を講じなければ無国籍人となつて、取扱い上にも不都合となる等の事情もあるとの答弁がありました。また、日本と台湾との間の貿易の状況についての委員の質問に対して、政府側から、昨年の統計によれば、輸出では機械類、化学肥料、繊維品等四千七百万ドル、輸入では砂糖、米、塩等五千百万ドル、合計一億ドル程度であつた、本條約締結の結果、貿易は一層増進されることを期待しており、本年は輸出入各七千万ドル、合計一億四千万ドルには上る見込みであるとの説明がありました
 政府当局に対する質疑終了の後討論に入り、それぞれ党を代表して、自由党の佐々木委員、改進党の並木委員から賛成の意見、日本社会党の戸叶委員、日本共産党の林委員、日本社会党第二十二控室の勝間田委員及び労働者農民党の黒田委員から反対の意見が述べられ、討論を終り、採決の結果、本委員会は多数をもつて本件を承認すべきものと議決した次第であります。
 右報告を申し上げます。(拍手)
○議長(林讓治君) これより討論に入ります。戸叶里子君。
    〔戸叶里子君登壇〕
○戸叶里子君 私は、ただいま上程ざれました日華條約に対して、社会党を代表して反対するものであります。以下、その反対の理由を申し述べます。
 わが国は、サンフランシスコ平和條約第二條(b)において、台湾及び澎湖諸島に対するすべての権利、権原及び請求権を放棄したのであります。しかしながら、その後台湾及び澎湖島の帰属は、いまだに明確に決定づけられておりません。ただ、はつきりしていることは、この地域を国民政府が現実に支配しているという事実でありますが、その国民政府は、かつてのごとく、名実ともに中華民国全体を支配している主権者ではなく、中国の本土は人民共和政府が支配するところとなつております。従つて、今日中国においては、現実的に所属の明確化されていない台湾、澎湖島を支配している中華民国国民政府と、中国人民共和政府との二つの政府が存在しているわけであります。吉田首相は、十二月四日にダレス氏に書簡を選り、わが国は中共政権と二国間條約を締結する意思のないということをはつきり述べております。もちろん、今日の場合、台湾、澎湖島の支配者と現実的調整を行うことは、あるいは必要とされるでありましようが、しかしながら、それだからといつて、政府の締結した日華条約のような形で国際條約を結ぶことが妥当であるとは信じられません。日華條約を締結したことよりも、日華條約の締結によつてもたらされた惡影響の方が多いという事実を考えるとき、われわれはこの條約に反対せざるを得ないのであります。
 まず第一に、條約を結んだ相手方なる国民政府に対する政府の認識がきわめて曖昧模糊としているのであります。岡崎外務大臣のごときは、戰時中に英国政府が亡命政権と條約を結んだ例があるとの例を引いてこれを弁護し、次にこれを失言なりとして取消し、そして国民政府の憤激を買つた事実さえあるのであります。岡崎外相は、この條約はダレス氏にあてた吉田書簡の趣旨によつてつくられたものであり、中華民国政府は国連に代表者を出しており、一般に認められた政府であるから、その意味で條約文を作成したと主張しております。しかし、はたして中華民国政府が中国の正統な政府であるとして世界各国が認めているかどうかを調べてみますに、本年度一月十七日の朝日新聞によつてもわかりますように、国民政府を承認している国は十入箇国であり、中共承認の国が二十六箇国となつていて、中共承認の方がはるかに多く、アジアの諸国はほとんど中共政権を承認しているのであります。このことは、中共承認の方がよいとか惡いとかの問題ではなく、その国々の立場から検討して適当と思われる方法をとつていることを示しております。
 昨年六月の米英会談において、日本が中国についていずれの政権を選ぶべきかについては日本にまかせるということになつたのであります。従つて、わが国においては、あらゆる角度から検討した上、中国全体と友好関係を結ぶよう、愼重な態度で努力を拂うことが必要であります。それにかかわらず、吉田書簡においては、中共を誹謗し、将来中共との国交調節をわざわざむずかしくするかのような書き方をしているのでありますが、かかる行為は、その意図が那辺にあるか、了解に苦しむものであります。
 また岡崎外相は、外交の基本原則の一つに善隣友好の原則を述べられましたが、この論理を進めて行くならば、当然政府は、人民共和政府との間にも、これと並行して條約を締結しなければならないと思うのであります。戰時中ならば、他国から侵略されて国土を失つた亡命政権との條約ということも考えられますが、台湾の国民政府がいわゆる亡命政権でないにしても、かつての領土の支配権を喪失し、現実的には單に所属未決定の台湾、澎湖島のみの支配を行つている際に、これと日華係約を締結することは、日華條約の本質的価値を捨て去り、あたかも亡命政権的性格を持つた政府と條約を締結したかのごとき感を一般に抱かせております。これでは、日華條約そのものの真の意味における権威を失うことになると思うのであります。政府が種々考慮の上、この條約を作成されたという條約の條文は、いたずらに政府の苦慮と煩悶がその中ににじみ出ているにすぎなく、何人といえども日華條約の内容をすなおに了解しがたいのでありますが、このことは、この條約の一大欠点であります。
 第二は、吉田首相は、ダレス氏との書簡において、「日本政府は、究極において、日本の隣邦である中国との間に全面的な政治的平和及び通商関係を樹立することを希望するものであります。」と、日華條約に対する考え方を述べておりますが、この日華條約によつて、中国との間に全面的な政治的平和及び通商関係を樹立するとは何人も考えられないのであります。中国の取扱いの困難さは、米英両国の会談においても、人民共和政府と国民政府とそのいずれを選ぶべきかの問題で議論が対立し、中国の二つの政府のいずれを選ぶべきかに対しては、前に述べた通り、その選択権を日本政府にゆだねたほどであります。しかるに、吉田首相は、国会にこれを相談し、輿論にこれを諮ることなく、独断で国民政府を選び、あまつさえ、ダレス書簡においては中共政府を誹謗しているのであります。この態度は、明らかに中国における国民政府のみに加担し、中共を敵視したことを意味するのであります。少くとも一国における主権の確立は、その国における人民の帰趨によつて定むへきであります。日本が放棄した台湾、澎湖島の帰属のごときは、台湾人民の自由にして公正なる人民投票によつてその所属を決定するなり、あるいはその人民の意思によつて独立を敢行するなりすべきでありまして、外来権力が人為的にこれを支配し、ゆがむべきではありません。しかるに、日本政府が、従来の行きがかりを理由として、一方的な独善的選択によつてこの條約を結んだことは、軽率のそしりを免れないでありましよう。(拍手)
 第三に、日本が外交を通じて国際的地位を確立するとともに努力を拂わなければならないのは、自立経済の確立であります。日華條約といいながらも、この條約は台湾及び澎湖島の支配者との條約にすぎないのでありますが、それによつて、通商その他においていかなる利益を收めることができるか、きわめて疑問であります。戰前、日本と台湾との取引においては、米、砂糖がそのおもなるものでありましたが、その生産は減じ、大陸よりの多量の亡命者の移住によつて、日本が期待するがごとき米の輸入は困難であり、砂糖のごときも、コストの面からいつて、他国との競争には耐えられないでありましよう。現在のところ、日華條約の締結によつて日本の経済利益を促進させるための材料は、ほとんど見当らないのであります。
 これと比較して、中共との貿易を打開するようにとの声は国民の輿論となつておるのであります。日本産業復興の上に、中共貿易は万難を排して進めなければならないときに、吉田内閣は、中共貿易は楽観を許さずとか、またこれを期待してはならないというような態度で、中共貿易の打開に熱意を示しておりません。政府與党のごときは、英国が中共を承認していたのにもかかわらず、先般香港より商社が引揚げを断行せざるを得なかつたことをもつて、中共承認は英国労働党の外交的失敗などと非難しておりますが、これは中国の実情並びに英国外交の実態を知らざることはなはだしいものであります。(拍手)
 中共政府は、戰後の混乱から建設段階に入るのに従つて計画経済を行い、国家貿易を行うに至るや、旧来の英国その他の帝国主義的貿易政策が清算を要請せられることは当然のことであり、もはや中国を植民地として搾取するがごとき貿易行為は成り立たなくなつたのであります。そこで、阿片戰争以来の香港を牙城としての英国の帝国主義的貿易商の総引揚げとなつたのであり、今日では、英国の貿易業者並びに英国の政府は、イーデン外相すら、この中国における事態の変化を了承し、これに即応すべくあらゆる手段を講じて、中共貿易の打開に奔走しているのが現実であります。日本政府のごとく、手をこまね、徳川時代の鎖国主義外交のようなばかげた態度をもつて、隣国との関係を切断している愚かさは、世界の各国から、むしろ奇異の眼をもつて見られるでありましよう。(拍手)このようなやり方では、日本の自立経済の確立はきわめて困難であるといわざるを得ないのであります。
 以上述べたように、中国本土を含まない條約は、日本と中国との関係の善隣友好を阻害し、ひいてはアジアの不安を醸成するものであり、さらに経済的提携の促進を阻止するものであります。このことは、すなわち今後の日本の外交の基本たるべきアジアの平和並びにアジアの繁栄に逆行するものであります。また、将来かかる軽率な外交的措置が日本外交の基調なりとの海外からの疑惑をも防がなければなりすません。私たちは、民族百年の計に根ざし、民衆の輿論を背景に、真の国民外交を樹立しなければなりません。それには、かかるあいまい不明朗な、自主性のない秘密外交の生んだ畸型兒、日華條約には反対せざるを得ません。
 以上をもつて私の反対討論を終ります。(拍手)
○議長(林讓治君) 佐々木盛雄君。
    〔佐々木盛雄君登壇〕
○佐々木盛雄君 私は、自由党を代表いたしまして、日華平和條約に承認を與えることに賛成の見解を表明せんとするものであります。
 中華民国は、日本と交戰した連合国四大国の一つでありましたが、現在は台湾、澎湖島に施政を行う中華民国政府と、大陸を支配する中華人民共和国政府との二つの政権が一つの主権を争つておるのであります。そうして、中華民国政府に対しましては、アメリカ初め自由主義国家陣営等三十七箇国が承認を與えておるのに対し、中共政権を承認するものは、ソ連並びにその共産主義陣営を初め、イギリス、インドその他を合せて二十六箇国という、きわめて複雑微妙なる国際関係の実情にかんがみ、サンフランシスコにおける対日平和会議には中国代表の招請を見なかつたのであります。そして、二つの中国のいずれを選んで講和條約を締結するかは、もつぱら日本の自主的決定にゆだねられたのであります。しからば、この二つの中国のいずれを選択するかの問題でありますが、私は、今ここに、中共政権との講和がいかに実現困難なものであるかを申し述べてみたいと思うのであります。
 今日、いずれの共産主義国といえども、ソ連への絶対的従属関係なしには存在し得ないことは、共産主義の鉄則であります。この鉄則に立つて、中共もまたソ連との間に、日本を仮想敵国とし、中ソ軍事同盟を締結し、日本への侵略に虎視たんたんたる実情であります。満州事変以来、二十箇年間の久しきにわたつて、日本軍は大陸を完膚なきまでに蹂躙し、その間、日本は中国国民に対して莫大なる損害を與えたのにもかかわらず、戰い終つた蒋介石主席は、暴に報いるに暴をもつてせず、徳をもつてともに手を握らんとの好意あふれる態度をもつてわれに臨んだのに対し、一方中共政権は、今もつて幾数万の日本人同胞を不法にも抑留しておりまする実情は、留守家族や遺家族たちとともに、われわれ国民のひとしく痛憤にたえざるところであります。(拍手)これらの点のみより見ましても、中共には、日本に対する敵意こそあれ、友情の一片とても発見することはできないのであります。
 一部左翼主義政党並びに国民の間には、中共貿易の必要性をことさらに過大評価ないし宣伝し、従つて中共政権との講和締結を主張する者がありますが、しかし、中共との講和締結が今日の国際関係においてほとんど不可能であることは、ただいま申し述べた通りであります。かりに百歩を讓つて、中共との講和が現状のもとにおいて実現したと仮定いたしましても、はたして彼らの希望するごとき貿易、通商が期待されるかどうかは、まことに疑いなきを得ないのであります。
 一九三六年、すなわち支那事変前における、当時の満州国をも含めた大陸全域とわが国との貿易比率は、日本の輸出入総額に対して、輸出におきまして二四・四%であり、また輸出入においてはわずかに一四・三%にすぎないのでありまして、しかもこの割台は、ただいま申しましたごとく、日本の実質的支配下にあり、そしてまた大陸貿易の大部分を占めておりました満州国をも含めたものでありまして、それでいて、なおかつ当時の東南アジア地域との貿易比率には、はるかに及ばなかつたのであります。
 この事実によつて見まするも、今日中共政権の支配下にある大陸地域とわが国との貿易は、かりに何らの障害なく再開し得たといたしたしましても、それがわが国の対外貿易総額において占める割合はきわめて少きものであることはいうまでもないのであります。しかも、一面におきましては、すでに申し述べましたごとく中ソ軍事同盟あり、そして日本が彼らの仮想敵国である限りにおいて、日本側の希望するごとき貿易の実現を期し得ないことはもちろんであり、他方におきましてはバトル法あり、自由主義国家陣営の一員たる日本が果すべき役割を考えまするならば、手放しの中共貿易楽観論のごときは、まつたく痴人の白日夢か、しからざれば謀略宣伝以外の何ものでもないのであります。(拍手)
 特に私は、この際、イギリスが過去二百年の長きにわたる対華商権と三億ポンドの権益を放棄して中共地域からの総引揚げを余儀なくされた事実を指摘しなければなりません。共産主義国家との経済提携が、現下の国際情勢のもとにおいてはいかに困難なものであり、利害矛盾するものであるかということにつきましては、イギリス国内においても強い反対論があつたにもかかわらず、三年前、当時の労働党政府は、あえて中共政権の承認を強行いたしたのであります。しかし、在華権益を擁護せんとして中共承認の媚態をあえて送つたイギリスが、その反対給付としてもたらされたものは在華商権に対する仮借なき圧迫であり、遂には全面的引揚げをすら行わざるを得ぬ破局に追い込まれたのであります。このイギリス労働党が味わつた中共政策失敗の苦き経験は、昨今わが国における共産主義に対する甘い見方から、中共貿易論や対ソ経済接近論にうき身をやつしておりまする社会主義者やその同調者たちに対し、まことにとうとき、生きた教訓といわなければなりません。(拍手)
 しかも、中共政権は、国際連合によつて侵略国として非難されておる。その結果、国際連合は、すでに中共に対して、ある種の経済的制裁の措置をとつておるのであります。日本は、サンフランシスコ平和條約第五條におきまして、国際連合が憲章に従つてとるいかなる行動についても国際連合にあらゆる援助を與え、かつ、国際連合が防止行動または強制行動をとる国に対しても援助の供與を愼むことを確約いたしておるのでありまするから、この平和條約並びに国際連合憲章の規定から考えましても、中共が今日のごとき侵略行為を放棄して、真の平和愛好国家とならざる限り、日本との経済提携の樹立が不可能なことはいうまでもないのであります。
 それのみならず、吉田首相がダレス大使に送つた書簡に明らかにしておりまするごとく、日本の憲法制度や議会政治を暴力をもつて転覆せんとする日本共産党の陰謀を中共政府が援助しつつあると信ずべき幾多の理由が歴然たる今日、日本国民として、もし一片の愛国心だにあるなれば、中共政権との平和條約締結の意思なきことは、もとより当然といわなければなりません。
 もとより、日本は、終局においては、われらの善隣中国との間に全面的中和及び通商関係を樹立することを希望するものであることはもちろんではありますが、しかし、不幸にも二つの中国政府が互いに一つの主権を争つておる今日の段階におきましては、現に国際連合において中国の議席、発言権及び投票権を持ち、そして国際連合加盟国の大部分と外交関係を維持しておる中華民国政府と日本との間に平和條約を実現することこそが可能であり、かつまた最も賢明なる措置であると信ずるのであります。(拍手)
 今回の日華平和條約におきましては、中華民国はみずから進んで戰争犯罪人の釈放を承認し、役務賠償の要求権を放棄し、また通商経済関係においては双務主義の上に立つものでありまして、サンフランシスコ平和條約以上に和解と信頼の理念に徹したものでありますることは、日華両国政府並びに両国民が、その歴史的、地理的善隣関係の特殊性を認識し、過去の一切の惡夢を清算して、ここに新しき協力関係を永遠の将来に築かんとする清新かつ真摯なる心構えの現われでありまして、まことに喜びにたえないところであります。(拍手)
 私は、この平和條約が自由主義国家群を結ぶ親善友好の鎖にさらにたくましき一環を加えるものとして、アジア、ひいては世界の安定と平和と繁栄のために多大の貢献をもたらすべきものであることを確信して、私の賛成討論を終る次第であります。(拍手)
○議長(林讓治君) 林百郎君。
    〔林百郎君登壇)
○林百郎君 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となつておる日華政府に反対をする。
 政府は、一体蒋介石政権などというものがあると、まじめに考えているのでありましようか。一体蒋介石とは何者でありますか。中国人民から、中国をアメリカに売り渡す民族の敵として追い拂われて台湾に逃げ込んで、一旦はアメリカにすら見離されたものではありませんか。(拍手)一旦棺桶に入れられたものが、また引ずり出されて、これをアメリカ第七艦隊で守護してやつて、その軍事予算の三分の二をアメリカによつてまかなつております。これは文字通りアメリカの飼馬であります。(拍手)これは文字通り国府の残存集団ではありませんか。領土もなければ国民もない。しかも、革命によつておつぼらわれたものであつてみれば亡命政権でもない。こんな政権が、一体外交史上あつたでありましようか。(拍手)さすが政府でさえも、蒋介石政権には領土もありません、国民もありません、このような政権はかつで例がないが、実情やむを得ないことであるとわけのわからない答弁をしておるのであります。このように、アメリカ政府と單独講和を結んだ━━━━━━━━━━━━━━━━━のであります。
 政府は、蒋介石は国連に代表を送つておるから合法政権であるという。一体、中国の政権の決定者はだれでありませうか。中国の人民以外にあるはずはないのであります。一国の主権者を他人がきめ得るはずはないのであります。これは明らかに中国四億八千万の人民に対する重大な侮辱であります。(拍手)中国に、一九四九年の革命によつて、新たに中華人民共和国の政権ができたことは、これは嚴然たる事実であります。カイロ宣言にもかかわらず、台湾、澎湖島の帰属がまだ不明だというような、このような説明は、重大な国際協定の違反であります
 一体、政府は、なぜこのような、ばかげたとりきめをしなければならないのか。理由は明らかだ。ダレスがこれをさせておるのであります。(拍手)ダレスが吉田を強制したのであります。これはアメリカの意思なのであります。このアメリカの強圧は、イギリスですら非難しておるではありませんか。アメリカは、アジアにおける自分の侵略基地台湾を、日本と台湾人の血と肉彈で守らせたいのであります。(拍手)
 この條約は、明らかに北太平洋統一軍結成の一つの布石であります。この條約は、明らかに中国、ソ同盟を敵とするアメリカ政府のアジアにおける新たな信略戰争の決意を示すものであります。(拍手)これは、フランスにおいて、フランス人民から手ひどい目にあつたリツジウエイの北大西洋統一軍のアジア版であります。だからこそ、この條約の調印後、その手が中国人の血で汚されておる、岡村寧次を含む戰犯八十八名がただちに釈放ざれたのであります。
 吉田政府は本来、むしろ日本軍国主義者の長年月にわたる中国に対する侵略と犠牲に対しては、降伏国として当然贖罪し、謝罪すべきものであります。しかるに、日華條約はかえつて新たな復讐戰を布告しておるものであります。われわれは、日本の人民とともに、かかる国際協定に違反する背信行為は徹底的に糾彈するものであります。われわれは、フランス人民がデユクロを先頭に北大西洋同盟に反対したように、全アジアの同胞をお互いに殺戮させ、お互いにアジア人同士に血を流させる、このアメリカの戰争屋どもの陰險なたくらみ、日華條約に、アジア人民の名において断固反対するものであります。
 一体、皆さん、歴史的に、地理的に、日本が隣国の中国を敵としてやつて行けるはずがないのであります。貿易問題一つ見ても明らかではありませんか。諸君は、つい先日の新聞で、本年度の貿易が昨年に比べて大幅ながた落ちになつたことを報道しておることは、万々御承知のことだと思うのであります。アメリカの関税引上げ、まぐろのカン詰の関税引上げは、日本の経済に致命的な打撃を與えまして、倒産するものが続出して来ました。今や、その唯一の活路は中日貿易によるほかはないというのが事業界の強い要望であることは、自由党の諸君すら承知しているところであります。今や日本の産業界は、自由党のごとく、ソ連や中共は赤だから貿易しないなどと、ばかなことは、だれも言つておりません。現に油脂工業界では、アメリカからの惡質大豆二十万トンのごときはこれを拒絶する、損害の賠償を請求するとともに、将来は中国からの大豆に切りかえるべきであるという強硬な決議がされているではありませんか。日華條約は、この民族の総意をまつたく踏みにじるものであります。この両国民の利益のために、中日貿易を不可能にし、それによつて日本の全経済をアメリカの経済に従属させて、戰争準備に奉仕させるような結果になるこの條約には、われわれ絶対反対するものであります。
 ところが、岡崎外務大臣は、日本こそ自由国家群の先頭に立つて、最も嚴重に中共貿易を禁止したと、あたかもドン・キホーテとヒトラーを兼ねた、歯の浮くようなアメリカ媚態の言辞を弄しておるのであります。そうして、マーフイーと吉田の忠実な茶坊主ぶりを発揮しておるのであります。おのれ一身の政権欲保持のために、日本の人民の利益など完全に忘れ去つているのが岡崎国務大臣なのであります。一体、吉田政府は、みずからの外交があるなどと考えていることが笑止千万であります。世間では、吉田外交を、マーフイーの召使い外交と呼んでいるのであります。六百名の人員を配し、かつての総司令部と同様の機能を持つアメリカ大使館は、嚴然として日本政府の上に君臨して、彼らの承諾がなくしては、また役らのもとにお千度を踏まなくては、ブリ一枚の貿易すらすることができないではありませんか。(拍手)
 しかし、諸君、この実質的の諸君の支配者、諸君の御主人は、朝鮮でどんな目にあつておりますか。ドツド事件を見たまえ。アメリカのドツド准将は、朝鮮人の捕虜め捕虜となりまして、わび状を入れまして、捕虜会議の決定によつて、ようやく釈放されましたこれは朝鮮におけるアメリカ帝国主義者のみじめな敗北の姿の象徴ではありませんか。(拍手)李承晩に至りましては、どうでありますか。自分に反対する国会議員は全部逮捕投獄して、戒嚴令をしくことによつて、朝鮮のすみつこの釜山で、ようやく自分の命だけを保つている状態ではありませんか。主人が主人なら、しもべもしもべであります。この運命が、やがて吉田政府とその一味の運命であることを、自由党の諸君、よく知つておきたまえ。
 このダレスによつて筋書きの書かれた日華條約は、中国四億八千万の人民と平和、友好、団結の中で生活して、両国民の利益のために相互に貿易することを望んでおる日本の国民の意思をまつたく蹂躙するものでありまして、これは明らかに不法かつ無謀なものであります。(拍手)このようなとりきめをする吉田政府とその一味は、すでに日本国民を代表する資格はありません。諸君はみずからの政権の座から即刻おりなさい。日本共産党は、日本国民の名においてこれを要求します。(拍手)諸君が、━━━に、国家の権力によつて、いつまでも自分の政権の座に居すわろうとするならば、日本の人民は━━━━━━━━━━━━━━━よりほかにしかたがないのであります。五・一メーデー、五・三〇デモ、続いて本日から行われる第三波ゼネストは、この革命ののろしであることを、諸君は十分知るべきであります。五月一日メーデー、三百万人の反抗は、やがて八千万の全国民の吉田内閣打倒、民族解放、民主政府樹立の革命のあらしと怒濤となつて諸君を押しつぶしてしまうでありましよう。吉田茂、蒋介石、李承晩、このアジアの戰争屋どもは、近い日に、その主人であるアメリカ帝国主義者どもとともにアジアから追放されることを、自由党の諸君よ、肝に銘じておきたまえ。(拍手)
○議長(林讓治君) 先刻の林君の発言中、不穏当の言辞があるならば、速記録を取調べの上、適当の処置をとることといたします。
 山本利壽君。
    〔山本利壽君登壇〕
○山本利壽君 ただいま議題となつております日華講和條約が、わが国にとつて重要な條約であることは申すまでもありません。わが改進党は、本條約の批准について賛意を表するにやぶさかなものではありませんが、この機会において、日本国民が抱いている一抹の不安の念を本議場に表明することは、立法府の一員として当然の職責であると信ずるのであります。
 今回の條約が、昨年秋サンフランシスコで締結されました講和條約と一連の関係を持つておりますことは明白なる事実でありまして、講和会議の結果、はつきりと自由国家群に加盟したわが国、ことに向米一辺倒と呼ばれている吉田内閣の外交といたしましては、これ以外に選ぶべき道はないのであります。日支事変以来、大東亜戰争へかけて、わが国が相手として戰つたのは蒋介石政権であり、この国民政府は、将来わが国が加盟せんとする国際連合にあつて、現に正式の発言権を持つておるのであります。政府機関そのものは、共産軍によつて台湾に追い込まれるのやむなきに至つておりますけれども、われわれは、今日でもなお中国本土においては、多数の民衆は必ずしも共産主義政治を喜ばず、国民政府を支持しているものと信じ、これらの諸点を総合勘案いたしまして、本條約に賛成の態度を決定いたしたのであります。(拍手)しかしながら、今回の條約締結にあたつての吉田内閣の外交折衝ぶりは拙劣そのものでありまして、十四箇條よりなる條約文は作成いたしましたけれども、その過程においては、国民政府側の憤懣を買い、中共政府を不必要に刺激し、さらに米国にさえ多大の疑惑を抱かしめたと聞くのであります。
 昨年九月に行われたサンフランシスコ会議に、中国代表として中共政府を招くか、国民政府を招くかということが、連合国間、ことに米英両国間においてもその意見は一致しなかつたのでありまして、その結果、二者いずれを選ぶかは日本に一任されたのであります。選択権を與えられたからには、わが国独自の考えで決定してよろしいのであつて、そのいずれを相手国として定めましても、英国や米国にさしずされて選択したという感じを何人にも與えてはならないのであります。独立後最初の平和條約をあくまでも自立的に行つたという感じを與え得るならば、わが国民の喜びと誇りは急激に高揚されたでありましようし、相手国も、日本国民の心からの選択によつて平和條約を結んだとなれば、その感激も一段と深かつたに違いないと思うのであります。しかるに、昨年十二月十四日、吉田首相は、アメリカの誤解を解くために、ダレス大使あて書簡を送り、結局は国民政府と平和條約を結ぶ意向のあることを述べたのであります。米国の誤解を解くとは、とりもなおさず、吉田内閣をして、ただ一筋しかないことに対してまでアメリカの疑惑を受けていたということであり、外交の拙劣さを示すものといわなければなりません。
 昨年十月、本院において講和條約審議の際、一議員より指摘されましたように、当時定員九十八名の米国上院議員の中で五十六名までが、日本と中共との間に正式な外交関係の結ばれることには反対であるとの意思を表明した事実、及び日本が国民政府を條約の相手としなければ、講和條約に対して米国上院の批准を得ることは困難であろうとの情報は、早くよりわが国に伝わつていたのであります。しかるに、吉田内閣は、依然として首鼠両端を持して、態度を明白にしなかつたのであります。それがダレス氏の第三回目の訪日となつたことは歴然たる事実であります。そこで、わが政府は、あわてふためいて、ダレス氏あての書簡を出したことは、世界周知の事実であります。これがため、日華平和條約は、日本独自の発意というよりも、アメリカの圧力によるかのごとき印象を與えたことは、まことに遺憾千万であります。
 次に、わが政府は、今回の條約締結に関しての交換公文において、わざわざ、この條約の條項が、中華民国政府の支配下に現にあり、または今後入る領域に適用する旨明確にしておるのであります。蒋介石政権が現に支配しているところといえば台湾及び澎湖島にすぎない。しかもそれは、法的に蒋介石政権の領土ではありません。しかして、今後入るべき領域とは中国本土をさすのでありましようが、それは将来あるかもしれず、ないかもしれぬ、不確定のことであります。このいらざる語句の明記によつて、わが政府は、現国民政府を領土を持たざる政府であると極印を押して、中国本土の反共的大衆の前に国民党政府の権威を軽からしめたことは、有害無益の処置といわなければなりません。蒋介石政権を法的に亡命政権であるかのごとき感じを與え、実質的にも一地方政権に過ぎないような扱いをしたことは、反対に中共政権が中国本土を完全に支配しておるというふうに認めたことであつて、これでは、わが国の政府は、国民政府を支持しようとするのか、反対に中共政府の実力を宣伝しているのかわからないといわなければなりません。
 わが国は、米国を初め自由国家群から心からなる友情をもつて講和を與えられ、その反対に、ソ連を中心とする共産主義国家群からは強き反撃を受けたのであります。しかも、米国を中心とする国連軍は、現在朝鮮において血を流して戰つており、米国とわが国とは安全保障條約を結んでおる間柄であります。かく考えるときにわが政府の国際場裡において処する道はただ一筋であり、明確に運命づけられておるのであります。吉田政府が、いかにソ連または中共政府に対して秋波を送つたとて、それはこつけい以外の何ものでもないのであります。中国四億五千万の民衆の中に、日本国との提携を望む者は、現在のところ国民党とその支持者のほかにはありません。しかるに、吉田外交のなすところは常に明確を欠き、曖昧模糊して、敵味方ともその判断に苦しむことが多いのであります。今回の場合においても、吉田政府は旗幟を鮮明にして、国民政府を真の友としてあくまで援助するという態度に出るべきでありました。蒋介石政権としては、共産党の暴力によつて政府機関を一時台湾に移さざるを得なかつたけれども、中国本土の民衆の心は自分たちの方にあると考えておるのであります。わが政府が国民政府と條約を結ぶからには、この立場を十分に理解し、支持して、台湾政府を鼓舞するとともに、彼らと一丸となつて、中国本土における民衆の心をわが方に引きつけるのでなければ、吉田政府のやる外交としては意味がないのであります。
○議長(林讓治君) 申合せ時間がありますから、簡單にお願いいたします。
○山本利壽君(続) 私は、ここに、政治の関係と通商航海との間には一応の伸縮性のあることを十分認めるものであることを申し添えなければなりません。歴史的に、かような例は多数あるのであります。一国の独立ということには、その国の経済の運営が自主的になされるということが大切であります。独立後の日本の海外通商政策は、世界の政治経済情勢、とりわけアジアの政治経済情勢に対する正確な理解の上に立てられなければなりません。われわれは、原料資源の輸入先及び工業製品の諭出市場としてのアジア大陸を忘れることはできません。戰争と侵略による大東亜共栄圏は過去のものとして、アジア諸国との通商政策は、わが国の経済自立に重要な要素であります。しかるに、現政府におきましては、何ら一貫したる自立政策も善隣外交もなく、中共貿易については無用に偏狭な態度をとつて、業者の活動意欲を阻害しているかに見えるのは、いかがなものでありましようか。
 わが改進党は、大局的見地から、今回の日華平和條約に賛成するものでありますが、その交渉過程において、あまりにも遺憾と思われた諸点を指摘いたしまして、現内閣の外交手腕が全国民に多大の不安を與えている事実にかんがみ、今後かようなあやまちを再び繰返さないことを切望するものであります。(拍手)
○議長(林讓治君) 黒田寿男君。
    〔黒田寿男君登壇〕
○黒田寿男君 私は、労働者農民党を代表いたしまして、日華條約の承認に反対をいたします。
 他の議員諸君によりまして、政治的及び経済的見地からの反対論が十分に展開されておりますので、私はこの見地からする立論は省略いたします。そして、他の議員諸君によつて述べられなかつた点につきまして、若干私の本條約不承認の理由を明らかにしてみたいと思います。(拍手)
 第一の反対理由は、この日華條約は日本と中国との間の二国間の條約ではあり得ない、従つてこの條約を日本と中国との平和條約として承認することはできないというのが、わが党の見解であります。日華條約は、サンフランシスコ平和條約の諸原則に従つて締結せられ、その内容も、條約の本文について申しますれば、サンフランシスコ條約中の当該事項を取扱つた條文にならつて作成せられておりますから、特別に取上げて論議の対象にしなければならぬほどのものではないのであります。この條約の特異点、サンフランシスコ條約に比べてみまして特に著しい特徴をなしておると思われます点は、むしろ議定書や交換公文の中に現われておるのであります。今日は、時間の制限上、私は一つだけ問題を取上げてみたいと思います。
 第一号交換公文の中で、この條約の條項は、中華民国に対しては、中華民国の支配下に現にあり、また今後入るすべての領域に適用があるということを、両国政府によりまして合意せられた事項として、特に明らかにしてあるのであります。そして、外務省の説明書は、現に中華民国の支配下にある領域としては台湾及び澎湖島があると解説をしておるのであります。すなわち、中国本土が現実に中華民国の支配下にないことは、両政府ともこれを認めておるのであります。また、今後支配下に入る領域というその地域が中国本土をねらつておるということも、常識上当然にそう解釈されるところであります。しかし、未来のことははかり知ることはできません。いわんや、中国本土が再びあの腐敗した蒋介石政権の支配下に置かれることを予想することは、現下の情勢からいたしましては、非常識の一つに属すると私は考えるのであります。これを要するに、中国の本土が現実に中華民国の支配下にないこと、台湾、澎湖諸島のみが現実の支配下にあるにすぎないこと、従つて、この條約の條項は台湾及び澎湖島に適用せられるにすぎず、中国本土に適用せられるものでないということも明らかであると私は考えます。
 いかなる條約がわが国と中国との間に締結せられる場合も、それが中国とわが国との條約であるためには――中国本土を領域とする国家を代表して日本と條約を結ぶ政府がいかなる政治的性格のものでありましようとも――この條約は、発効と同時に、ただちに中国本土に適用せられるものでなければならないのであります。しかるに、日華條約は、交換公文第一号で明らかにせられておりますように、その條項は台湾及び澎湖諸島に適用せられるにすぎません。中国本土に適用せられるものでは現実にはないのであります。この事実は、いかなる政治的見解をとる者も認めないわけには行きません。そこで、この條約は、中国本土その他いかなる中国領土に適用される條約でもないのでありますから、従つて、他の何らかの契約であるといたしましても、中国と日本との二国間の條約でないということだけは、私は明々白々であると考えるのであります。(拍手)従つて、私どもは、このようなものを日本と中国との平和條約として認めるということは断じてできないのであります。
 第二に、しからばこの條約は台湾及び澎湖諸島に適用せられる條約であるか、こう考えてみますと、私はそうでもないと思う。そうでもないというだけではなくて、そうではあり得ないと私は考えるのであります。従つて、この條約を台湾及び澎湖諸島に適用される條約として承認するということも、私どもには賛成できない。何とならば……(発言する者多し)何とならば……(「何とならばどうした」と呼ぶ者あり)何とならば(笑声)台湾及び澎湖島は、サンフランシスコ條約によりましても、また日華條約それ自身によりましても、蒋介石政権を代表者とする、いわゆる中華民国なる国家の領土に帰属したものとはいまだ確認せられていないのであります。ただ、蒋介石政権が軍事力と警察力をもつて、事実上この地域とその住民の上に支配権を振つておるというにすぎません。ただこれだけのことにすぎないのであります。中華民国国民政府は、いわゆる中華民国の領土でないこの地域に適用せられる條約を他の国と締結する権限は私はないと思います。もし、そのようなことが許されるとしますならば、それは国際法を無視し、人民の意思を無視して、軍事力をもつて既成事実をつくり上げて行きさえすれば、それが法的にも認められるということになつて、これは民主主義の大原則に反するのであります。(拍手)繰返して言えば、中華民国国民政府は、いわゆる中華民国なる国の領土でないところの台湾及び澎湖島に適用せられる條約と締結する権限はないのでありますから、かような條約をかりに締結して入ましても、これは効力のない條約であります。(拍手)私どもは、このように権限のないものによつて、かつてにある地域に適用する條約として締結せられたようなものを、日本国民の常識のある判断といたしまして承認することはできないのであります。
 そこで、これを要するに、この條約は中国との平和條約でもありません。台湾、澎湖諸島に適用せられる條約でも私はないと思う。一体、それでは何であるか。これを考えてみなければならぬ。要するに、單なる蒋介石グループという独裁的、非近代的、軍閥的政権、それは今ではいわゆる残存政権に落ちぶれてしまつておる。自分でひとり立ちもできません。ようやく他の国の援助によつて、かろうじて生存を続けておりますところの一地方政権、この政権との何らかの約束であるというにすぎないと私は思うのであります。(拍手)国家と国家との條約として、国会の承認を求め得られるような、気のきいた條約では断じてない。(拍手)私どもは、国会の権威のために、このようなみじめな約束を承認することはできないのであります。
 諸君、私どもの目から見ると、日本の支配階級は、いつもへまばかりやる。かつて蒋介石政権が重慶において中国の正統政府を名乗つておりましたときに、そして、今から考えれば、それが中国の正統政府であつたのでありますが、その当時、日本の支配階級は何をしましたか。汪兆銘に、にせ政権をつくらせて、それが中国の政権だといつて、その当時に、今から考えれば正統政権であつた重慶を相手にせずというような間違いをやつたのであります。(拍手)そういう誤りをやつて、今日また何をやつていますか。常識上、どう考えましても、あの中国の大陸は、もはや蒋介石政権によつて支配せられていないのであります。イギリスのごとき健全なる常識を持つものは、その政体の好ましいと、好ましくないにかかわらず、とにかく現実に中国の本土を支配し、中国の人民が支持しておるその政権を中国の政権と認めるよりほかないと見ておる。しかるに、日本の支配階級は今度はこの政権を排斥して、一地方政権に落ちぶれており、われわれから見れば幽霊政権にすぎないこの蒋介石政権を、またもや、これが中国の政権であると認めようとしておるのである。日本の支配階級は、繰返し繰返し、何という間違つたことばかりやることかと私は思う。こういう政府によつて日本の外交政策が支配されておつては、不幸になるのは日本の国民だけであります。繰返して言う。間違つた中国対策ばかりやつておる。その大きな間違いの一つを今またやつておりますところのこの吉田内閣の外交政策に基く中華條約に対しましては、私どもは断じてこれを承認することができないのであります。(拍手)
○議長(林讓治君) これにて討論は終局いたしました。
 採決いたします。本件は委員長報告の通り承認するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(林讓治君) 起立多数。よつて本件は委員長報告の通り承認するに決しました。(拍手)
     ――――◇―――――
○議長(林讓治君) 日程第九、国際連合の特権及び免除に関する国際連合と日本国との間の協定の締結について承認を求めるの件、日程第十、千九百二十八年十二月十四日にジユネーヴで署名された経済統計に関する国際條約、議定書及び附属書並びに千九百二十八年十二月十四日にジユネーヴで署名された経済統計に関する国際条約を改正する議定書及び附属書の締結について承認を求めるの件、右両件を一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。外務委員長仲内憲治君。
    〔仲内憲治君登壇〕
○仲内憲治君 ただいま議題となりました、国際連合の特権及び免除に関する国際連合と日本国との間の協定の締結について承認を求めるの件、千九百二十八年十二月十四日にジユネーヴで署名された経済統計に関する国際條約、議定書及び附属書並びに千九百二十八年十二月十四日にジユネーヴで署名された経済統計に関する国際條約を改正する議定書及び附属書の締結について承認を求めるの件の二條約案件に関し、外務委員会における審議の経過並びに結果について御報告申し上げます。
 両條約案件は、いずれも五月十三日に本委員会に付託されましたので、本委員会は数回にわたり愼重に審議を重ねましたが、その審議の内容については、これを委員会議録に讓ることといたします。
 両案件はいずれも政府提出の案件でありますので、政府当局の説明と本委員会における審議の経過に基きまして両案件の概要を申し上げることといたします。
 まず第一の案件について申し上げますに、国際連合憲章第百四條、第百五條は、国際連合並びに加盟国の代表者及び国際連合の役員が国際連合の任務遂行及びその目的の達成に必要な特権及び免除を享有することを規定しております。わが国はいまだ国際連台に加盟いたしてはおりませんが、国際連合の目的を促進するために協力することを希望し、日本国の領域において、何時たるかを問わず、所属の諸機関によつて代表されている国際連合並びに日本に駐在しまたは日本国を通過する国際連合加盟国の代表者及び同機構の職員に対し、国際連合憲章第百四條及び第百五條に従つて、国際連合の任務の遂行及び国際通合の目的達成のために必要とみなされる特権及び免除を與えることにいたしまして、国際連合の特権及び免除に関する條約を基準とし、その一面わが国が現在国連に加盟していないという現実を勘案して、政府は国際連合との間に協定案を妥結し、本年四月二十三日に仮調印の手続をとり、署名の日から効力を生ずることにしたとのことであります。
    〔議長退席、副議長着席〕
 次に、第二の案件について申し上げます。まず一九二八年の経済統計に関する国際條約及び議定書の成立についてでありますが、この條約及び議定書は、一九二八年、国際連盟主催のもとにジユネーヴで開催された経済統計に関する国際会議で成立したものでありまして、同条約は、その第十四條の規定に基いて一九三〇年十二月十四日に効力を生じ、現在の当事国は二十八箇国となつているのであります。わが政府は、経済統計の分野における国際協力を積極的に遂行するために同條約に加盟することに決定いたしましたが、批准を得ないままに今日まで過ぎて来たのであります。
 次に一九二八年の経済統計に関する国際條約は、国際連盟に一定の義務及び任務を與えていたのでありますが、国際連盟が解体されましたために、これらの義務及び任務を国際連合に與える目的で作成された改正議定書が、一九四八年十二月九日、パリにおいて関係各国によりて署名され、同日その第五條の規定に基き効力を生じておるのであります。また附属書に掲げられた一九二八年の條約の改正は、同條に基き、十五箇国が改正議定書の当時国となつた一九五〇年十月九日に効力を生じておるのであります。しかして、本改正議定書の当時国は現在の十七箇国となつております。わが国は、この條約の当事国となることによつて、一定種類の経済統計の国際的、統一的方法による作成及び発表並びに締約国間における交換という国際協力に参加するとともに、関係各国の経済統計を入手することができるという利益があるとのことがあげられております。わが国は、平和條約署名に際し行つた宣言中に、本條約に加入する意思を明らかにしておりますので、今回すでに署名した一九二八年の條約を批准し、かつ一九四八年の改正議定書を受諾することによつてその責めを果し得るわけであるとのことであります。
 政府当局に対する両案件についての質疑終了後、第一に、国際連合の特権及び免除に関する国際連合と日本国との間の協定の締結について承認を求めるの件を議題となし、討論、採決の結果、賛成者多数をもつて本委員会は本件を承認することに決定いたしました。
 第二に、千九百二十八年十二月十四日にジユネーヴで署名された経済統計に関する国際條約、議定書及び附属書並びに千九百二十八年十二月十四日にジユネーヴで署名された経済統計に関する国際條約を改正する議定書及び附属書の締結について承認を求めるの件を議題となし、討論、採決の結果、本委員会は賛成者多数をもつて本件を承認することに決定いたしました。
 以上御報告を申し上げます。(拍手)
○副議長(岩本信行君) まず日程第九につき採決いたします。本件は委員長報告の通り承認するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○副議長(岩本信行君) 起立多数。よつて本件は委員長報告の通り承認するに決しました。
 次に日程第十につき採決いたします、本件は委員長報告の通り承認するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○副議長(岩本信行君) 起立多数。よつて本件は委員長報告の通り承認するに決しました。
     ――――◇―――――
○副議長(岩本信行君) 日程第十一、貴金属管理法の一部を改正する法律案、日程第十二、緊要物資輸入基金特別会計法の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。大蔵委員会理事奧村又十郎君。
    〔奧村又十郎君登壇〕
○奧村又十郎君 ただいま議題となりました二法律案について、大蔵委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 まず第一に、貴金属管理法の一部を改正する法律案について申し上げます。
 この法律案は、銀地金につきましては最近における需給の状況等にかんがみ、また白金族地金につきましては、別途成立いたしました国際的供給不足物資等の需給調整に関する臨時措置に関する法律にゆだねることがむしろ適切であることにかんがみまして、これらの銀及び白金族地金に関する貴金属管理法による規制を撤廃いたしますとともに、一方、国際経済上欠くことのできない金については、その生産を確保し、かつその増産をはかることが肝要でありますので、加工用のため政府所有の金地金を直接需要者に売却する現在の制度を改めまして、需要者に対しては従来通り割当を行うことといたしますが、その割当に見合う金地金は、政府に金を納入した金鉱業者等に対しまして、それぞれの納入量に応じて売りもどした後、金鉱業者等からこれをプレミアム付価格で需要者に売却することを認めることといたし、なおこれに伴いまして、加工用金売りさばき業者に関する所要の規定を設けようとするものであります。
 本案につきましては、審議の結果、去る五月三十一日質疑を打切り、昨六日、討論を省略の上、ただちに採決いたしましたところ、起立多数をもつて原案の通り可決いたしました。
 次に、緊要物資輸入基金特別会計法の一部を改正する法律案について申し上げます。
 この法律案は、従来緊要物資輸入基金は特殊需要に応ずるため政府において緊急に取得することを必要とする物資の輸入に運用することになつているのでありますが、今回その運用する物資の範囲を、国際的とりきめに基いて、日本国に割当てられた物資及び外国における輸出統制物資等で、政府以外のものによる輸入が困難なもの、または政府による輸入を有利とするもののうち、政府が取得することの緊要な物資に改めようとするものであります。
 本案につきましては、審議の結果、去る四日質疑を打切り、昨六日、討論を省略の上、ただちに採決いたしましたところ、起立多数をもつて原案の通り可決いたしました。
 右御報告申し上げます。(拍手)
○副議長(岩本信行君) 両案を一括して採決いたします。両案の委員長の報告はいずれも可決であります。両案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○副議長(岩本信行君) 起立多数。よつて両案とも委員長報告の通り可決いたしました。
     ――――◇―――――
○副議長(岩本信行君) 日程第十三、地方自治法の一部を改正する法律案、日程第十四、警察官等に協力援助した者の災害給付に関する法律案、右両案を一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。地方行政委員会理事河原伊三郎君。
    〔河原伊三郎君登壇〕
○河原伊三郎君 ただいま議題となりました地方自治法の一部を改正する法律案につきまして、地方行政委員会における審議の経過並びに結果の概要を御報告申し上げます。
 まず最初に本法案の内容の概略を申し上げたいと思います。そもそも政府が今回の改正を意図したゆえんのものは、政府の説明するところによりますれば、新憲法とともに自治法が施行せられてより本年でちようど満五年、時あたかもわが国が独立の日を迎えることになりましたので、この機会におきまして、本法施行の既往の実績と、いまだ脆弱の域を脱せぬわが地方自治の現状並びに独立後の新情勢とに深く思いをいたし、地方自治の基盤をいよいよ確実にするとともに、国民負担の軽減をはかり、さらに進んで地方自治の運営における不合理を是正して、地方自治に対する信頼の念を高めようとするにあるのであります。従いまして、本法案の内容は複雑かつ広範囲にわたり、また相当画期的な改正を含んでおりますが、改正の目標としては大よそ次のごとき主眼点を持つておるのであります。
 その第一点は、地方公共団体の自主的な事務処理を保障することにより、地方自治の強化をはかるとともに、その運営の合理化に役立たせようとした点であります。その第二点は、地方公共団体の組織及び運営の簡素化及び能率化をはかつた点であります。その第三点は、地方公共団体の組織及び運営の合理化をはかる点であります。
 以下、改正の主要事項を具体的に列挙いたしますれば、まず改正目標の第一点に属する事項といたしましては、地方公共団体及び地方公共団体の執行機関に処理を義務づけている事務並びに地方公共団体に設置を義務づけている行政機関及び職員等をすべて別表として地方自治法中に掲げることとし、現在おびただしい数に上つている地方団体及びその機関に対するいわゆる委任事務や必置行政機関及び職員等を一目瞭然たらしめ、もつて地方公共団体の自主的な事務処理の確保に便ならしめたこと、また地方公共団体または地方共公団体の機関に事務を委任し、または経費を負担さるには必ず法律またはこれに基く政令によらなければならないこととし、従来総理府令、法務府令、省令その他の政令以外の命令によつて委任し、または負担させておつたものについては、ひの法律施行後一年以内に、法律については必要な改正の措置をとらなければならないこととし、総理府令、法務府令、省令その他の政令以外の命令については、法律に基く政令に改めなければならないこととして、地方自治の保障をさらに厚くすることとしたこと、さらに議員定数の定め方その他地方公共団体の組織についても、その組織及び運営の簡素化に努めつつも、なお地方公共団体が自主的にこれを決定し得る建前を基本とすることに改めて、地方の自主性の確保をはかることができるような配慮を加えたことなのであります。
 次に改正目標の第二点に属する事項といたしましては、まず地方公共団体の議会については、第一に、議員の定数の法定主義を改めて、法律には議員定数決定の場合の基準のみを定め、議員定数は地方公共団体が條例で自主的に定めることができるようにするとともに、法律に掲げる基準定数はおおむね戰前の定数に近いものとし、第二に、議会制度合理化の措置として、定例会制度を通常会制度に改めるとともに、議員より臨時会招集の請求のあつた場合には、都道府県にあつては三十日、市町村にあつては二十日以内に必ずこれを招集しなければならないものとし、さらに議員全員の改選または長の更送のあつた場合には必ず臨時会を招集しなければならないものとしたこと。
 次に地方公共団体の執行機関については、まず第一に、都道府県の局部に関し、現在法律上必置の局が七、部が六で、事実上は任意設置を含めて六ないし十二の局や部が設けられているのを、人口段階別に最低四部、最高八局部の基準を法定することに改め、都道府県知事は條例で局や部の数を増減し、局部の名称または所掌事務を変更することができることとしたこと。
 第二に、都道府県の副知事及び副出納長並びに市の助役の設置を任意制に改め、選挙管理委員は都道府県及び五大市にあつては四人、その他の市及び町村にあつては三人とし、四人の監査委員を置くことができる市は政令で指定する市に限ることとしたこと。
 第三に、各種委員会の委員及び監査委員は非常動を建前とすることに改め、地方公共団体の長と委員会との協力関係に関すも規定を整備して、委員会の事務局または出先機関等の簡素化に資しようとしたこと。
 第四に、地方公共団体がその事務を共同処理し、もしくは他の地方公共団体に委託し、または行政機関もしくは職員等を共同設置することによつて、その組織及び運営の簡素化及び能率化をはかることができるようにするため、新たに地方公共団体の協議会、地方公共団体の機関または職員の共同設置及び地方公共団体の事務の委託に関する手続その他の規定を設けることとしたこと。
 さらに、大都市行政に関しては、特別市の行政区及び都の特別区の区長の公選制を廃止するほか、都については、さらに特別区の性格、都区の間における事務の配分、都区の関係の調整の方法等に改正を加えて、二軍機構、二重行政的の弊を排除し、大都市における行政の統一的かつ能率的な処理をできるだけ確保しようとしたこと。すなわち、特別区については、その実態に即するように、大都市の内部的部分団体としてその性格に変更を加えて、都と特別区の一体的関係を明確にするとともに、特別区の区域内の都民に身近な事務は原則として特別区が処理することとし、都及び特別区間並びに特別区相互間の事務処理の一体化をできるだけ確保すると同時に、特別区の性格にかんがみ、その自治権との調和をはかるため、区長の公選制度を改めて、都知事が、特別区の議会の議員の選挙権を有する年齢満二十五年以上の者について、特別区の議会の同意を得て選任することに改めようということであります。
 最後に、改正目標の第三点に属する事項といたしましては、まず市町村の規模の合理化について、都道府県知事に市町村の廃置分合または境界変更の計画を立て、これを関係市町村に勧告する権限を認めることとし、この勧告に基く市町村の廃置分合または境界変更については、国の関係行政機関にこれを促進するため必要な措置を講ずべき義務を課することとしたこと。次に市町村の境界に関する争論その他地方公共団体相互の間または地方公共団体の機関相互の間における紛争を、なるべく当事者の互讓により円満かつ迅速に解決するために、自治紛争調停委員を設けることとし、これは常置の制をとらず、事件ごとに任命する臨時の機関としたこと。さらに、国と地方公共団体との間の合理的な協力関係設定の必要上、地方公共団体の自主性を尊重しつつ、国または都道府県がその有する技術、知識、経験等をもつて、できるだけ地方公共団体に協力する態勢を確立するため、主務大臣並びに都道府県知事及び都道府県の委員等に技術的な助言、勧告、情報提供等、非権力的な関與を認めることとしたことであります。
 以上が本法案の内容の概要でありますが、これらの改正点は、いずれもさきに行政事務の再配分に関して政府及び国会に対してなされた地方行政調査委員会議の勧告の趣旨により、あるいは政令諮問委員会の答申または地方行政簡素化本部における研究の成果等に基き、政府当局が現段階において比較的早急に実施すべき改正として立案したものでありまして、爾余の地方制度の全般にわたる根本的改革に至りましては、近く設置せられることになつている地方制度調査会の愼重な調査研究をまつて立案しようとの意図を持つているのであります。
 さて、本法案は、去る四月二十三日地方行政委員会に付託せられたのでありますが、本委員会は、同月二十五日、岡野国務大臣から提案理由の説明を聽取、爾来一箇月余、ほとんど連日委員会を開き、委員と政府当局との間には熱心な質疑応答が行われ、その間、五月十九日には、東京都議会議長菊池君外十三人に及ぶ関係各界代表者、学識経験者等を招いて公聽会を開き、同月二十三日には茨城県知事友末君外七人の地方公共団体の理事者及び議会のそれぞれの全国的代表者等を参考人として招致してその意見を聽取するなど、本法案の重要性にかんがみ、きわめて愼重に審議を重ねたのであります。審議の過程における質疑応答や論議の詳細は、複雑多岐にわたりますので、すべて会議録についてごらんを願うこととし、ここには論議の中心となりました若干の点について御報告いたすにとどめたいと存じます。
 まず第一に、総括的質疑といたしまして、今回の改正案を大観するとき、政府の将来における自治行政に対する考え方が織り込まれているように見受けられるが、政府ははたしていかなる見解をもつて本案を立案したか、またどこに将来の自治行政の基礎を置くか、地方議会の議員定員の低減といいい、特別区の区長の任命制といい、あるいはまた都道府県の部局制に関する政府に対する協議、そのほか市町村の廃合や境界変更に関する都道府県知事の勧告、監査委員や選挙管理委員会の設置問題等を通じて、政府は地方行政の簡素合理化の名のもとに、むしろ地方自治を圧縮し、中央集権に逆行せしめる意図を包蔵するものではないかという質疑があつたのでありますが、これに対して政府は、今回の改正は、神戸委員会並びに政令諮問委員会を参考にすると同時に、地方の行政簡素化ということを主題として立案したもので、この地方の行政簡素化ということに非常に重点が置かれており、政府としては、あくまでも市町村を基礎として、民主主義の基盤たる自治行政の完全なる発展を期しておるのであつて、ただ地方行政の組織及び運営を独立後のわが国の現状に即応せしめ、合理化し、これによつて地方自治運営の不合理、不経済等に名をかりて地方自治に対する不信の声の台頭するのを避けようとしたものである旨の答弁があつたのであります。
 次に地方議会に関する問題といたしましては、議員の定数を減少するほか、定例会制度を廃して通常会と臨時会の制度をとつたことは地方行政における住民の意思の発現の機会を少からしめ、議会活動を制限して、民主主義の進展をはばむものではないかとの論議があつたのでありますが、議員定員は、これを機械的一律に法定するものではなく、人口数に段階を設けて、ただ基準となるべき数を示すにとどまり、地方は條例をもつて、その実情に応じて増減し得るものであり、また議会の臨時会はその必要に応じて何回でも開き得るもので、議員の側からも招集を請求し得るものであるから、かような心配はなく、かえつて地方の自主性を拡大し、議会制度運営の合理化をはかつたものである旨政府は答弁をいたしたのであります。
 さらに都道府県における部局の定めにつきましては、行政機構の改革は、單に機構の変改をなすのでは意味をなさず、住民の側から見て真に簡素であり能率的でなくてはならぬから、また地方ごとに違つた事情もあるから、むしろ政府が地方に干渉がましい、いわゆる機構いじりをなすべきではないとの論、及びこれとは反対に、現在の府県庁の機構は頭が大き過ぎ、末端が貧弱であるような情景を呈しているから、徹底的な縮小を行う必要があると考えるが、政府は何ゆえこれを強行規定としなかつたかとの説があつたのでありますが、政府はこれに対し、現在の実情は、府県の大小や財政、産業等にはなはだしい差があるにもかかわらず、大体同じような部局を持つており、現行法の必置部局制と任意部局制では、十分に地方の実情に適合させ、一面簡素化をもはかりたいので、これを改めて、標準部局を法律に掲げ、その決定は地方の自主性を尊重してこれを任意にしたのであつて、自己の都道府県の組織をいかように簡素化するか、あるいは合理化するか、また能率化するかということは、できるだけ各地方団体の自主性によつて決定せしめるようにすることが地方自治の本旨にも合するゆえんであると考えるとの答弁を行つたのであります。
 最も論議の対象となりましたものは、特別区長の任命制の問題であります。すなわち、東京都における都と区との関係の現状にかんがみ行政の簡素合理化ないし大都市行政の一元的統一の見地から、特別区の区長は、区民の中から、区議会の同意を得て都知事が任命するように改めようとすることに対しまして、これは憲法第九十三條第二項の、地方公共団体の長はその地方公共団体の住民が直接選挙するという規定との関係において直接選挙制でなくすることはいかがであるか、またこの点に関連して、特別区の性格ははたしていかなるものであるか、区長の任命制はやがて府県知事の任命制につながるもりではないか、また都と区との関連において、都民の自治行政はどの段階において行わせようとするのか、区民が区長に親しみを持つて初めてよい自治政治が行われるのであるから区長は公選制が望ましく、また事務能率の向上、行政の簡素化のためにも、現在の区を自治区と認め、できるだけ区民に近接する事務を区に委讓することが望ましい、さらに進んで、将来府県制を根本的に検討する場合には、特別区は、現行自治法第一條のいわゆる特別地方公共団体のわくをはずして、むしろ普通地方公共団体に組みかえた方がよいとの論議があつたのであります。
 政府は、これらの問題に対し、次のような見解を明らかにしました。まず憲法問題については、憲法がその長の直接選挙制を要求しているのは、都道府県、市町村のごとき普遍的、基礎的な地方公共団体を意味するのであつて、特殊な性格を有する地方公共団体に対して、一律に公選制の原則を適用することを憲法は意図していない、都区の関係においては、都の区域全体が基盤的な地方公共団体であつて、都の長である都知事の公選は絶対に必要な原則であるが、都のもとにおける特別な地方公共団体であるところの特別区について、その長を直接選挙にするかいなかということは、憲法上の問題というよりも、自治政策上の問題であつて、都という一つの大都市社会の実態に最もよく合致するような制度を自治法上に考えればよいと考える。従つてこの改正も憲法に違反するものではない、特別区の性格は自治区ではあるが、基礎的、普遍的な地方公共団体ではなく、制限された権能を持つ特別な地方団体である、沿革や現実から見て、もとより單なる行政区ではないが、さりとて、これに一切の権限を大幅に與えて完全自治区の方向に進めることは、能率的にも、財政的にも、大都市の一体性から見てとり得ないところである、また区長任命制は、特別市の市長や都道府県知事の任命制とは何のかかわりもないことであつて、特別市は、本来一般の市よりもさらに強い権限を持つた市であり、府県とともに基礎的な地方公共団体であるから、それらの長の任命は性質上不可能なことであり、また政府としては、さような意図は毛頭持つものではないと述べたのであります。
 最後に、今後の自治行政の展望に関する問題として、現在地方行政において大きな部分を占める委任事務については、その相当分量はむしろ固有事務に移して、自治行政の対象とした方が民主主義の建前上よいのではないか、また今回の改正では單に議員の定数減や機構の縮小が考えられているが、地方団体が真に自主的に自己の責任において事務を執行するには、どうしても財政的に責任を持ち得る形式が必要である、現行の平衡交付金あるいは地方税制、さらに起債等の取扱いは自主的運営の余地が非常に少いから、われわれの負担というものと、地方団体の機構というものとの関連性をもつと明確ならしめる必要がある、また国と市町村との中間機関としての府県の性格をいかに考えるか等の論に対しましては、政府は、できるだけ地方に対する委任事務を制圧して、委任でなければ性質上できないもののみを残し、地方に委讓し得るものは全部その固有事務に順次まかせて行きたい、今回の改正法案において、地方に委任されているようなものを全部別表に掲げて、自治法上に総括的に明示し、今後は国会の定める法律によらなければ地方に事務を委任されないとしたのもその趣旨であること、また自治行政における財政どの関連は、單に地方税のみならず、国税との関係もあり、卒衡交付金その他地方制度の全般については、これを総合的に検討すべきであり、府県のあり方と道州制、市町村の適正規模等、これら問題の一切はあげて地方制度調査会にまつべく、その目的のためにこの調査会を設置しようとするものであるとの答弁をいたしたのであります。
 かくて、昨六月六日質疑を終了したのでありますが、本法案は、以上のように幾多の重要な問題点を含んでおりますので、審議の過程において、委員の間に本法案に対する修正の議が進められ、討論に先だち、野村委員より、自由党、改進党の両党共同提案になる修正の動議が提案せられたのであります。修正案の内容は次の通りであります。
 修正の第一点、地方議会制度に関連いたしましては、まず議員の基準定員に関する改正規定を削除して、議員定員数は現行通りとする。但し、都道府県の議会の議員の定数についても、條例をもつてこれを減少することができることとするように改める。次に、通常会、臨時会に関する改正規定を改めて定例会と臨時会の現行制度を存置することとし、ただ定例会の開催回数は、現行の毎年六回以上招集を毎年四回招集に改めることとする。さらにこれに関連して、普通地方公共団体の長は、おそくも年度開始前、都道府県及び五大市にあつては三十日、その他の市及び町村にあつては二十旧までに当該年度予算を議会に提出するようにしなければならない旨を定める規定を新設する。
 修正の第二点、都道府県における事務分掌の局部の制度に関連いたしましては、まず都の置くべき標準部局の中に主税局、港湾局の二局を加え、それぞれ税務行政、港湾行政を所管せしめることとする。また道及び人口二百五十万以上の府県には建築部を置き、住宅及び建築に関する事項を分掌せしめることとする。
 修正の第三点、特別市に関する改正規定を削除または改めて、特別市の行政区の区長及び選挙管理委員会は現行法通りとする。すなわち、区長は公選、選挙管理委員会は存置するものとする。
 修正の第四点、特別区に関する問題につきましては、まず区長の任命制に関する改正規定を改めて、区長は特別区の議会が都知事の同意を得てこれを選任することに改め、なおこの法律施行の際、現にその職にある特別区の区長は、改正後の本法のこの規定にかかわらず、その任期中に限りなお従前の例によつて在職するものとする。
 次に、特別区の名称に関する第二百八十一條第一項の改正規定を改め、現行法通りとし、同條第二項に掲げられたる事務、すなわち特別区が処理すべき公共事務及び行政事務として改正法案が新たに法定した事務の中に、現在特別区が処理しているところの診療所、小売市場、共同作業場を設置し、及び管理することを加えることとする。
 また都は、特別区に属する事務及びその区長または委員会もしくは委員の権限に属する事務の処理または管理もしくは執行に要する経費の財源について、政令の定めるところにより、特別区の意見を聞いて、條例で都と特別区及び特別区相互の間の調整上必要な措置を講じなければならないこととするため新たな規定を設ける。
 なお、特別区が現に有する競馬法第一條の指定は引続きその効力を有するものとするため、競馬法の適用については、当分の間、市は特別区を含むものとする旨本法案附則の改正條項を改める。
 その他字句の整理等法文の整備を行う。
 右の修正案について趣旨の弁明があり、次いで門司委員より、日本社会党、日本社会党第二十三控室及び社会民主党の三党共同提案になる修正案が提案され、その趣旨弁明があつたのでありますが、その内容は次の通りであります。
 一、市の廃置分合をしようとするとき、都道府県知事は、内閣総理大臣に、あらかじめ協議をしなければならないことにしようとする第七條の改正規定を改めて、この協議を要しないものとする。
 二、所属未定地の編入に関する内閣の処分権を定めた第七條の二の改正規定を削除する。
 三、市町村の規模の適正化をはかるための都道府県知事の勧告権に関する第八條の二の改正規定を削除する。
 四、市町村の境界に関する争論が調停または裁定によつて解決し、市町村の境界が確定した場合の効力の発生を内閣総理大臣の告示にかからしめている第九條第七項の改正規定及びこれを準用している第九條の二第六項の改正規定中「及び第七項」を削る。
 五、地方議会の議員の定数に関する第九十條、第九十一條の改正規定を改めて現行通りとする。但し、都道府県の議会の議員についても條例をもつてその数を減少することができることとする。
 六、地方議会の定例会及び臨時会に関する第二百條の改正部分を削り現行通りとする。
 七、第百五十八條の改正規定を改めて、都の置くべき局として主税局と港湾局の二を加え、道及び人口二百五十万以上の府県に建築部を置くこととする。
 八、特別市の行政区の選挙管理委員会はこれを現行通り存置するため、第二百七十條の改正に関する部分を削除する。
 九、特別区の区長の選任に関する第二百八十一條の二の改正に関する部分を創る。
 十、第二百八十二條の二として一條を新設して、「都は、特別区の処理する業務に要する財源について、特別区との協議により、充分な財源を確保できるように財源措置を講じなければならない。」と定める。
 十一、改正前の規定により設けた都道府県の局部のうち、道における建築部並びに府県における農地部、労働都及び建築部については、なお従前の例により存続させることができるものとし、都道府県におけるその他の局部については、この法律施行の日から起算して五月以内に限り、なお従前の例により存続させることができるものとするため、附則第七項をそのように改める。
 以上二つの修正案に対する質疑応答があり、次いで、これらの修正案並びに原案を一括して討論に付しましたが、大泉委員は自由党を、床次委員は改進党をそれぞれ代表して、ともに自由、改進両党の共同提案になる第一の修正案並びにこの修正部分を除く原案に賛成、第二の修正案には、第一の修正案と共通する部分を除いて反対の意を表され、大矢委員は日本社会党を、八百板委員は日本社会党第二十三控室を、さらに大石委員は社会民主党をそれぞれ代表して、三党共同提案になる第二の修正案に賛成、これと一致する部分を除く第一の修正案に反対、従つて第一の修正案の修正部分を除く原案に反対の意を表されました。
 次いで採決に入りましたが、まず二つの修正案の共通部分については賛成総員をもつて可決され、次にこの共通部分を除く第二の修正案は賛成少数をもつて否決されました。この共通部分を除く第一の修正案は賛成多数をもつて可決され、最後にすでに修正可決と議決せられた部分を除く原案は賛成多数をもつて可決せられました。かくて本法案は修正議決すべきものと議決せられた次第であります。
 右御報告申し上げます。
 次に、ただいま議題となりました警察官等に協力援助した者の災害給付に関する法律案につき、地方行政委員会における審議の経過並びに結果の概要を報告いたします。
 まず本案を提出いたしました理由は、職務によらないで、国家地方警察の警察官または市町村警察の警察吏員に協力援助し、災害を受けた者に対して、国または地方公共団体が療養その他の給付を行う制度を確立せんとするものであります。
 警察に協力援助して災害を受けた者に対する給付は、従来、明治十五年太政官達第六十七号「一般人民二シテ巡査同様ノ働ヲナシ死傷セシ者ノ弔祭扶助療治料支給方」によつて行われて来たのでありますが、この太政官達は、日本国憲法の施行に伴つてその効力を失うこととなつたのでありまして、現在それにかわるべきものがなく、警察官または警察吏員に協力援助して、そのために災害を受けても、それについての法的の救済方法が確定していないため統一を欠いて、とかく紛議をかもしやすく、その実効性を欠いているのであります。そこで、これら警察官等に協力援助して、そのため災害を受けた者について、その本人及び遺族に対して必要と認められる給付を行い、これら警察に協力、援助したことに対する公的な救済手段をとる必要があると存ずるのであります。
 次に、本案の内容について簡單に説明いたします。この法案は、本文十三條及び附則一項からなつております。
 まず第一條は、この法律の目的について定めてあります。
 第二條は、職務執行中の国家地方警察の警察官または市町村警察の警察吏員が援助を求めた場合、その他これに協力援助することが相当と認められる場合に、職務によらないで、当該警察官等の職務遂行に協力援助した者が、そのため災害を受けました場合に、国または地方公共団体がその療養その他の給付をする責めに任ずることを規定したものであります
 第三條は、給付を行う者について定めたのであります。すなわち、協力援助者が、一、国家地方警察の警察官に協力援助した場合、二、都道府県公安委員会の要求により援助におもむいた自治体警察の警察吏員に協力援助した場合、三、国家非常事態の布告のあつた際において、派遣を命ぜられて職務を執行する自治体警察の警察吏員に協力援助した場合には国が給付を行うこととし、二、三以外の場合における自治体警察の警察吏員に協力援助した場合には当該地方公共団体が給付を行うことといたし、あわせて、自治体警察相互間の援助の際には、援助を要求した地方公共団体において給付を行うことといたしたのであります。
 第四條は、この法律に基き給付を実施する機関として、国が行うべき給付の実施機関は国家地方警察本部とし、地方公共団体が行うべき給付の実施機関は、当該地方公共団体が條令で定めることとしたのであります。
 第五條は給付の種類について規定したものでありまして、すなわち、一、療養給付、二、障害給付、三、遺族給付、四、葬祭給付、五、打切給付の五種類といたし、特に必要がある場合には休業給付をすることができるといたしたのであります。
 第六條は、本法により国の行う給付の範囲、金額及び支給の方法その他給付に関し必要な事項は国家公務員災害補償法の規定を参酌して政令で定めることといたしたのであります。地方公共団体が行う給付の範囲については、当該地方公共団体がこの政令の規定に準じて條例で定めることとしたのであります。
 第七條においては、国または地方公共団体がこの法律に基く給付を行つたときの損害賠償の免責について規定し、第八條において給付を受けるべき者が、他の法令による給付または補償を受けたときは、その限度においてこの法律に基く給付の責めを免れるものとし、かつ第三者より損害賠償を受けたときは、その価額の限度においてこの給付の責めを免れるものとし、あわせて第三者に対する損害賠償の請求権の取得について規定したのであります。
 次に第九條ないし第十三條において、時効、給付を受ける権利の保護、非課税及び戸籍の無料証明について、他の災害補償の法律の規定に準じて本法に規定することとしたのであります。
 最後に附則において、この法律の施行の日を公布の日から三月を経過した日からとしたのであります。
 以上が本案の提出理由及びその内容の大要であります。
 本案は、五月三十日、川本末治君外八名から衆法第五十六号として提出せられ、同日、本委員会に付託せられました。本委員会においては、六月二日委員会を開いて、提出者から法案提出の理由を聽取した上、引続き質疑応答を行い、愼重審議の結果、六月六日質疑を打切り、同日討論採決の結果、多数をもつて原案の通り可決すべきものと議決いたした次第であります。
 右御報告申し上げます。(拍手)
○副議長(岩本信行君) 両案中、日程第十三、地方自治法の一部を改正する法律案に対しては、門司亮君外五名から成規により修正案が提出されております。この際修正案の趣旨弁明を許します。門司亮君。
    ―――――――――――――
    〔門司亮君登壇〕
○門司亮君 私は、日本社会党、さらに日本社会党第二十三控室、労農党、社会民主党、農民協同党、各党共同提案になつております、ただいま議題になりました地方自治法の一部改正に関する法律案に対する修正案について説明せんとするものであります。この法案の内容につきましては、先ほど委員長の報告の中に、私どもの修正部分についてもかなり詳細にわたつて御報告がありましたので、私はきわめて簡單に要点だけを申し上げて、皆さんの御了承と、さらに御賛成をお願いいたしたいと思うのであります。
 この改正案の出ました理由は、政府に言わせますると、神戸勧告に基くものであるということが一つの理由であり、さらに法的には、自治庁設置法に関する限りにおいての当然の修正でなければならないというのがその理由であります。ことに、その中で問題になりますものは、行政の簡素化を大体これによつて行わんとしておるということであります。以上の三つの理由から今回の改正案が出て参つたのでありまするが、この法案の改正の部分並びに内容を見てみますると、明らかに官治行政への逆行でありまして、民主行政の破壞であると申し上げてもさしつかえないような條文がございますので、従いまして、われわれは民主行政を徹底せしめるることのために、ここに修正の案を提案いたした次第であります。
 修正の内容は、第七條の二項を削りまして――この第七條の二項は、法案によりますると、都道府県あるいは市町村の合併をいたしまする場合、あるいは廃合いたしまする場合等における処置についてでありまするが、條文によりますると、「前項の規定により市の廃置分合をしようとするときは、都道府県知事は、予め内閣総理大臣に協議しなればならない。」と書いておるのであります。しかしながら、その前項によりますると、廃置分合は、当該市町村の議会が議決いたしまして、さらに当該都道府県議会がこれを議決することになつておりますので、その廃置分合、境界の変更等を事前に内閣総理大臣に協議するというようなことは、きわめてこれは大きな行き過ぎであります。先ほど申し上げましたように、当該市町村が合併を議決いたしまして、なおこれで不十分の点があるとするならば、現行法にありまするように、都道府県の議会がさらにこれを承認して、そうして議決されましたものが、ただちにこれが内閣総理大臣に報告されて、関係諸官庁に通達されれば事は足りるのであります。しかるに、あらかじめその合併のためには内閣総理大臣に相談しなければならないというようなことは、きわめて中央集権的な、大きな行き過ぎであるということをいわなければならないのであります。
 従いまして、この趣旨から出て参りまして、第八條の二もやはり修正しようとするものであります。第八條の二の改正條文を読んでみますと、「都道府県知事は、市町村が第二條第十項の規定によりその規模の適正化を図るのを援助するため、市町村の廃置分合又は市町村の境界変更の計画を定め、これを関係市町村に勧告することができる。」とあるのであります。この條文は、前の七條の二項を受けて立つておりまして、七條の二項の中には、先ほど申し上げましたように、あらかじめ内閣総理大臣に相談をしなければならないと書いてある。そうして、この條文では、市町村の合併を知事が計画いたしまして、その計画いたしましたものを当該市町村に勧告するということになつておる。一方においては、知事の意見をあらかじめ内閣総理大臣に相談し、さらに知事はこれを市町村に勧告するというようなことは、いかにも地方自治体の自主性を失うものであります。今日の地方の自治体の規模が適正でないということは、だれにもわかつておると私は思う。しかしながら、適正でないからといつて、これを適正にすることのために、知事はあらかじめ内閣総理大臣に相談し、さらに知事が独自の立場で計画して、これを市町村に勧告するということは、いかにも自主性を無視して、そうして官僚の画一的の地方自治体の合併が行われるということになつて参りまするならば、住民の意思決定機関である市町村議会をきわめて軽んずる結果になつて、明らかに知事並びに内閣の中央集権による強制的の廃置分合が行われるであろうということを憂慮するものであります。
 次に第九條の七項を削りたいと思うのでありまするが、第九條七項の改正條文は、「前項の規定による告示があつたときは、関係市町村の境界について第七條第一項又は第三項及び第六項の規定による処分があつたものとみなし、これらの処分の効力は、当該告示により生ずる。」、こういう前項の通達があつたときには、ただちに告示することになつておるのであります。その効力の発生と、これが時間的の問題が、この九條の改正案であります。すなわち、時間的の問題というのは、前項において合併いたしましたことを内閣総理大臣に通告をして、そうして内閣総理大臣は、ただちに関係官庁にこれを報告すれば、私どもは事は足りると思う。なおその次にこういう條文を設けて、そうして内閣総理大臣が告示のときにその効力が発生するということになつて参りますると、告示と通告を受けた時間的ずれの間において何らかの政治的工作が行われるようなすきを與えるということになつて参りまして、せつかく自治体が合併その他を規定いたしました間に政治的の問題を引起すような危險性を持つておりますので、われわれはこの條文を削除いたしたいと考えているのであります。
 次に第九十條でありますが、第九十條を修正いたさんといたしておりまする私どもの趣旨といたしましては、改正條文は、都道府県議員の定数減でありますが、今日日本の地方自治体というものは、御存じのように、あるいは都道府県あるいは市町村の議員の数が非常に多いといわれております。しかしながら、いまだ欧米のようにはつきりとした自治体の確立ができておらない、ことに戰災あるいは長い間の戰争のために、自治体の事業というものがたくさん残つておりまするときに、ただアメリカと同じように、機械的に議員の定数を減らして行くというようなことになつて参りまするならば、幾多の事業を持つておりまする自治体におきましては、十分なる住民の意思の反映を議会にすることができ得ない。従つて、住民の希望するような自治行政が行われないであろうということは、私はどなたもうなずけると思うのであります。こういう意味におきまして、いたずらな機械的の議員の縮減に対しましては、私どもはこれに反対をすると同時に、この條文を改めますることのためには、当然これは、その都道府県の議会の自主性においてこれを減少することができるような條文を挿入いたしたいと考えまして、その條文を挿入いたしました次第であります。
 次に第九十一條も同じような趣旨でありまして、市町村の議員におきましては、現行法におきましても、特にこれを減少し得る規定がございまするが、「特に」という文字を使つておりまして、幾らかこれに制約をいたしておりまするので、私どもは、この「特に」の二字をけずつて、まつたく自主的に市町村の議員の定員を減らすことのできるようにすることは、現下の民主行政の上におきましては最も妥当なる措置として、政府の考えております、機械的にこれを減らすということについて修正を加えて参つたのであります。
 次に第百二條の改正でありますが、私どもが第百二條に対しまして修正を加えて参りましたのは、改正條文によりますならば会期の短縮が書かれております。現行年六回でありますものを、年一回の通常会として、他は臨時会に讓る、こう書いております。現在のわが国の実情から考えて参りますならば、年六回は多いといつておりますが、しかしながら、事務再配分等によりまして、地方の自治体の仕事は非常にたくさんふえております。従つて、行政上の幾多の問題を残しておりますので、これが單に年一回の通常会として、他は臨時会にするということになつて参りますると、住民の意思が十分に反映しないであろうということが言えると思いますと同時に、この裏に隠れておるものは一体何であるかということを、一応われわれは知らなければならない。すなわち、それは臨時会が開かれるのでありますが、その臨時会に知事はいろいろの問題を提案することができるということを書いておる。従つて、当然事前に十分に審議をしなければならないものを、知事はこの臨時会のその最後の日というようなときに往々これを提案いたして参りまして、十分に議会の審議をすることなくしてこれを押し切ろうとすることが、これまでの幾多の例で、私どもははつきりいたしておりますので、民主政治のあり方の建前の上から申しまするならば、当然これを現行通りにすることが正しいと考えて、これを現行通りにしようとするのであります。
 さらに第百五十八條の規定でありますが、これは東京都における主税局あるいは東京都における港湾局の設置であります。この問題は、東京都は、皆さんも御承知のように、国の予算の一割以上の大きな予算を持つておりますので、やはり主税局というものを設ける必要があるのではないかということ、さらに港湾局に至りましては、今日の自治行政の上では、港湾行政は市町村の行政にゆだねられておりまするが、東京都は御承知のように両方の自治体の性格を持つておりまするので、当然東京都には港湾局の一局を設けて、港湾行政に対する十分の処置をとることが正しいと考えて参りまして、この二局を創設せんとするものであります。さらに建築部に至りましては、道及び人口二百五十万以上の府県に対しましては、住宅その他の関係から考えて参りまして、当然建築部を置くことが私どもは妥当と考えて、この降順を修正いたしたいと考えておるのであります。
 次に二百七十六條でありまするが、二百七十六條におきまして政府原案を削ろうといたしておりまするのは、先ほど委員長の報告にもありましたように、今日行政区の選挙管理委員会を廃止しようとすることに対しましては、現在行政区におきましては、おのおの府県並びに市議会の選挙を行つておりまするので、選挙を行いまするところにやはり選挙管理委員会があけて、選挙を十分に管理するということが正しい理論であるとして、これを存置しようとする考えであります。
 次に第二百八十一條の二の改正の分を創るということでありますが、これは東京都の区長の任命制が原案に出て参つておりまするので、民主政治の建前から、さらに憲法の建前から、当然自治体に対しましては、自治体の長は明らかに住民の公選によらなければならないということを憲法に明記いたしておりまする以上は、少くとも固有の事務を持つておりまする東京都のいわゆる特別区の区長に対しましては公選とすることが正しいとして、政府原案を削除いたしたいと考えておるのであります。
 次に第二百八十二條の二は、以上の理由によりまして、特別区の財源確保のために、政府は当然特別区に対しましては、都区協議の上に財源的措置を講じなければならないという一項をつけ加えたのであります。
 さらに最後に、附則の第七項に現在必要応にじて設置されておりまする府県にありましては、農地部あるいは労働部、建築部というふうなものが存続されなければならないといたしまして、附則の第七項にこれを明記いたしたのであります。御承知のように、今日農地部あるいは労働部というものは、わが国の現下の情勢におきましてはきわめて重要なる部門を受持つものでありまして、農地改革が行われたとは申しながら、いまだ山林原野の開放は行われておりません。さらに牧野の開放等を考えて参りまするときに、幾多の農地の問題を残しておりまする現状におきましては、当然農地部が現在必要として置かれておりまする府県に対しましてはこれを存置し、ことに労働部に至りましては、きわめて重要なる問題であるにかかわらず、政府原案におきましては、この労働部を現在存置いたしておりまするところにおいてもこれを削除しようとする案でありまするが、これは政府みずからが、いかに労働行政に対し心無関心であるかということを暴露した、一つの大きな現われであろうと私は考えておりますので、現在必要であるとして設けておりまする労働部は、これは必ず置かなければならないということに改めたいと思うのであります。
 さらに建築部にいたしましても、道及び二百五十万以上の府県に対しては、必置部として、先ほど申し上げましたように置きまするが、さらにその他の府県におきましても、現在建築部を持つておりまする府県に対しましては、これを存置することにいたして参つたのであります。
 以上は、きわめて簡單でございまするが、私どもの本案に対する修正の意見であります。何とぞ十分御審議の上、御賛同あらんことをお願いいたしまして、私の修正案に対する説明を終る次第であります。(拍手)
○副議長(岩本信行君) これより討論に入ります。野村專太郎君。
    〔野村專太郎君登壇〕
○野村專太郎君 私は、自由党を代表し、地方自治法の一部を改正する法律案につき、自由党、改進党共同提案にかかる修正案並びに修正部分を除いた原案に対し賛成し、社会党外二党提出の共通せざる部分の修正に反対するものであります。
 現行の地方自治制度は、新憲法の精神に基き、わが国民主化の基盤を確立するために、従来の官治的、中央集権的地方制度にかわつて、まつたく新しい理念と構想のもとに立案実施せられました、まことに画期的な制度ということができるものでありまするが、その実際の運用にあたりましては、戰後の山積する惡條件も加わつて、地方自治関係者の不断の努力にもかかわらず、必ずしもすべてが円滑に参つたとは言えないと思うのであります。しかしながら、今日待望の独立を迎え、すべの情勢が大きく変転を遂げようとしておるときにあたつて、他の諸制度と同様、地方自治制度についても再検討の必要が叫ばれるに至つていますことは、また当然であるといわなければなりません。政府が、地方自治制度の過去五年間の実績をつぶさに検討し、さらに時勢の変転に即応せしめるべく、今回地方自治法の相当広汎にわたる改正を企図されたことは、時宜にかなつた措置であると存ずるのであります。
 この法案を見ますと、基本方針として、第一には、地方自治の強化をはかるとともに、その運営の合理化に資すること、第二には、国民負担の軽減をはかるために、地方公共団体の組織及び運営の簡素化及び能率化をはかること、第三には、同じく組織、運営を合理的ならしめること、この三点であろうと思うのであります。
 第一の方針は、もちろん方針そのものとしては当然であるのみならず、その方針のもとに行われた個々の改正点は、おおむねその趣旨に沿うものであると認められるのであつて、私はこれに賛意を表するものであります。
 第二の方針、すなわち簡素化、能率化という点については、もとより行政の簡素化なり能率化なりは時代の要請でありまして、そのこと自身に異論はないのでありますが、この趣旨に基く個々の改正点について見まするときに、その中には、簡素化なり能率化なりに急なるの余り、地方自治の確立ないし育成の方向にいささか逆行するかに思われるものが見出されるのであります。
 まず地方公共団体の議会について、議員定数の法定主義を改めて、法律には議員定数決定の場合の基準のみを定め、個々の団体について條例をもつてみずから定め得ることと改めてあるのでありまするが、健全なる自治を地方のそれぞれの実情に沿うよう自主的に決定するものとして、その方向には賛成するものであります。地方行政調査委員会議の勧告によりますれば、現行の五割程度となつておるようでありますが、これに対して、政府原案は一割ないし二割減を考えております。地方の財政が逼迫を告げておりまするときに、なるべくこれを簡素にし、能率的な行政の運営を期待さるべきではありますが、反面、現議員の大部分がなお三年の任期を残しておる現実に徴し、各般の状況より、軽々に決すべきでないと信ずるものであります。政府は、近く地方制度調査会が発足されるのでありまするから、この問題は同会において愼重に研究すべきであると思うのであります。
 次に、議会制度の合理化をはかる措置として、定例会制度を通常会制度に改め、議員の請求によつて一定日時内に臨時会を招集すべきものとする改正案に対しましては、現在の定例会六回以上は、過去の実績に徴し、その準備に忙殺され、事務能率のむだを生じやすいことは認められるのでありますが、年一回の通常会に限定することは、臨時会がいつでも開けるとはいえ、議会軽視の印象を與えることはいなみ得ないと思うのであります。
 第三に、機構につきましては、都道府県の局部について、現在の必置部、任意部の規定を改めて、人口段階による局部の基準を法定する方式をとり、條例により増減できることに改め、なおその数を減少させた点につきましては、住宅事情の重要性にかんがみ、東京都については建築局が都の局の基準にあるに対しまして、今回、現在九府県に設置いたしております建築部中、人口二百五十万以上の府県にこれが設置を見ますことは、住宅問題解決と国土再建のために大いに望ましい処置であろうと思います。都については、さらに昨年地方自治法を改正して局に追加した主税局及び港湾局がまつたく除外されておりますることは、それぞれの重要度にかんがみまして、條例で置き得るとはいえなお不安定であり、特に都の港湾局については、東京港は六百四十万の人口を擁する首都の世界的玄関口でありまして、将来における発展並びに国家的重要性に思いをいたしますれば、当然存置すべきものであると私は考えるのであります。
 最後に、大都市における行政の統一的かつ能率的な処理を確保する趣旨から、特別市の行政区及び都の特別区の区長の公選制を廃止するほか、都については、さらに特別区の性格、都区間における事務の配分、都区の関係の調整方法等に改正を加えているのでありますが、特別区については、自治法が市制を適用し、基礎的公共団体であると認めておるのに反しまして、関係法規がこれに伴わない関係から、都区間に深刻なる対立を続け、首都行政に暗影を投げかけておつたのはすこぶる遺憾でありましたが、今回の修正によりまして、自治区である特別区の性格は保全され、住民の身近な事務事業の法定を見ましたことは、当を得たことと思うのであります。問題の違憲論をめぐつて論議されました区長につきましては、都知事の同意を得て特別区の議会が選任すると修正されたのは、都区相互の関連性と首都行政の運営上、過去の歴史と現実よりすこぶる当を得たものであり、本来は住民の直接選挙でありまするが、その公選制を含み、区議会の選任は、私らはその運営に多大の期待をかけ、この選任方式は、日本の民主化が徹底し、身につき、完成された将来に対しては、能率的な手段として大いに味わうべきものがあると信じております。特別区の財政に対しては、自治区である限り、みずから保有すべく法定するのが当然と思いますが、都区の特殊性より、都條例によつて区の事務事業の遂行によつて十分の財源を充当調整し、これによつて都区一体の行政の成果を上げ、円満なる運営を期待してやまないのであります。なお、今回法定を見なかつた特別区の委任事業のうちの福祉事務所の設置については、都区共同連署で政府に要請するように意見の一致を見ておるようでありますから、政府はこの実現に対しては大いに努力すべきであろうと考えます。
 かくして、全体といたしまして、この法案は神戸勧告を尊重しながら、地方自治の諸種の難問題と真劍に取組んで、地方自治の確立、育成の方向を強化するとともに、あわせて行政の簡素化、能率化、合理化の目的をも達しようとする、きわめて困難な改正をこの程度まで盛り込まれましたことに対しては、私は政府の努力と勇断に敬意を捧げ、自由党、改進党共同提案の修正を含む原案に賛成し、社会党外二党の提案にかかる修正案に対しては反対するものであります。(拍手)
○副議長(岩本信行君) 大矢省三君。
    〔大矢省三君登壇〕
○大矢省三君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題となつておりまする地方自治法の一部を改正する法律案並びに警察官等に援力援助した者の災害給付に関する法律案に対して反対するものであります。また、門司議員から説明のありました社会党外共同修正案に対して賛成の意を表したいと思うのであります。
 民主政治の確立は、その基盤である地方自治体の健全なる発展と強固なる基礎の上に確立しなければならぬことは申すまでもないのでありまして、そのためには、地方議会に住民の意思が率直に完全に反映されて運営されなければならないのであります。本法律案は、地方自治体の弱体化をはかり、中央集権への方針をとつておるのでありまして、その現われが自治法の改正となつて現われたのであります。今、政府の提案理由の説明を承りますと、その目的とするところは、地方公共団体の組織を簡素化し、その運営の合理化をはかつて、国民負担を少しでも軽減しようというのであります。しかるに、本法案の内容をつぶさに検討いたしますと、これは地方自治の破壞であり、民主政治の逆行であつて、かつての官僚支配への中央集権であり、自治体への干渉圧迫であります。すなわち、改正にあらずして改惡であると断ぜざるを得ないのであります。
 私は、以下、反対の理由を説明申し上げます。まず第一に、市町村の廃置分合をする場合、内閣総理大臣に協議し、承認を得なければならないと規定しておるのであります。知事は市町村の配置分合計画を立てて関係市町村に勧告することができるようにしてあるのでありますが、これまた明らかに関係住民の意思を無視し、干渉であります。
 第二には、地方議会に対する問題といたしまして、法案第九十一條の議員定数の縮減であります。また、第百二條の定例会を廃止して、通常会と臨時会に制限いたしておることでありまして、これまた明らかに議会を軽視し、住民の意思の反映を阻止するところの、いわゆる民主政治の逆行であります。
 第三には、法律案第百五十八條の都道府県の標準局部を法定し、特に建築部並びに労働部、各種委員会の制限を規定しておるのであります。これまた自治運営に重大なる支障を来すことは必然であります。
 第四には、法案第二百四十五條の三に、内閣総理大臣、主務大臣及び都道府県知事の強力なる勧告権あるいは協議権が規定されてあるのでありまして、これは政府と知事の監督権強化でありまして、中央集権となり、官僚独裁を強化しようというのであります。
 第五には、いわゆる政令で指定しておりますところの五大都市の区にある選挙管理委員会を廃止する、すなわち二百七十六條の規定の削除であります。これは議会政治の基礎であるところの選挙が公正に行われることが不可能と相なるのでありまして、はなはだ民主政治に対して遺憾なことであります。
 第六には、この法案中最も問題になりましたところの、東京都の特別区の区長の住民の直接選挙を廃止いたしまして、これを都知事の任命制にしようとしたことであります。御承知のごとく、憲法第九十三條には次のような規定がなされているのであります。すなわち「地方公共団体には、法律の定めるところにより、その議事機関として議会を設置する。地方公共団体の長、その議会の議員及び法律の定めるその他の吏員は、その地方公共団の住民が、直接これを選挙する。」とあるのであります。しかるに、住民の直接選挙を廃止して都知事の任命制としたことは、これまさに憲法違反であります。すなわち自治の蹂躙であるのであります。この点は、先ほどの修正案によつて多少変更しておりまするが、内容はちつともかわつておらないのであります。すなわち、政府の修正案は、都知事が区会の同意を得て任命するということになつておつたものを、それを反対に、内容は同じでありまするが、区会が都知事の同意を得て任命すると修正されておりますが、実質はちつともかわつておらないのであります。
 以上、本法案のどれを一つ取上げてみましても、すなわち改正にあらざる改惡であります。民主政治の基盤たる地方自治体の弱体化と中央集権化以外の何ものでもないのであります。思うに、日本の敗戰後、幸か不幸か、連合軍の日本民主化のために幾多の施策が行われたのでありますが、爾来七年間の長きにわたつて、占領期間中、日本の民主化のために、いわゆる画期的な、すなわち平和憲法の制定を初め、あらゆる立法措置が講じられたのでありまするが、なかんずく、この地方自治についてはこれを確立し、憲法の第九章においては地方自治の條項がきめられ、自治法の制定を見たのであります。すなわち、親憲法の主権在民の原則によりまして、首長及び議員等は住民直接の選挙によつてこれを選び、これをまた罷免することができるようになつたのであります。その他、自治運営と発展のために、選挙管理委員会あるいは人事、教育、労働、農地、監査委員会等、各種委員会が設けられ、また治安維持のために、住民みずからの責任において自治体警察があり、また消防を持ち、これに努力して参つたのでありますが、日本は、民主政治の確立のためには、まだ日が浅いのでありまして、今後あらゆる困難が予想されるのであります。いかなる困難といえども、これを克服して、真の民主化のために、政府はもちろんのこと、国民もまた最善の努力をし、かたい決意を持つてこれ永完遂に当らなければならぬことは申すまでもないのであります。
 しかるに、現吉田内閣は、日本の民主化と逆行するところの一部金融資本家及び官僚をバツクとして、官僚独裁、かつての警察国家を夢みまして、これが実現のために狂奔しつつあるのであります。すなわち、先般本院を通過いたしました破壞活動防止法、あるいは労働三法の改惡といい、はたまた憲法の保障するところの労働者の団結権、言論、集会等を制限するところの集団示威運動等の秩序保持に関する法律案並びに警察法の一部を改正する法律案を提出しておるのであります。この内容は、国家警察長官及び東京都の警視総監を内閣総理大臣が任命するとあるのであります。この政府の手によつて警察権を掌握して、すなわち警察国家、警察政治を行おうとするところの陰謀の、これまた現われであります。また警察官等に協力援助した者の災害給付に関する法律案が今上程になつておりますが、これは、かつての太政官布告にありますところの岡つ引の復活であります。ことに、いわゆるスパイ警察を再現しようとする危險を多く持つておるのであります。かかる民主主義に逆行するところの意図たる計画を持つて提案した本自治法改正案並びに警察官等に協力援助した者の災害給付に関する法律案に対しては、私ども断固として反対するのであります。
 以上をもつて私の討論を終りたいと思うのであります。(拍手)
○副議長(岩本信行君) 床次徳二君。
    〔床次徳二君登壇〕
○床次徳二君 私は、改進党を代表いたしまして、ただいま上程せられました地方自治法の改正案中、改進党並びに自由党の修正案に賛成し、なおこの修正案を除きましたところの原案に賛成の意を表するものであります。(拍手)従つて、社会党その他の修正案に対しましては反対の意を表するものであります。
 以下、簡單に賛成の趣旨を申し上げたいと思うのですが、第一に、政府は改正案によりまして地方公共団体の組織及び運営の簡素化と能率化を行わんとしたのであります。しかし、その改正の内容を見ておりますと、ようやく固まらんとしておりますところの民主化の基礎を犠牲といたしまして、ややもすれば官僚中央集権的な改正に堕するおそれが見られたのであります。私どもは、今日でき得る限り民主政治の基盤を涵養するところの必要を認め、いわゆる民主化の逆行を絶対に防止いたしたく考えたのでありまして、この見地より修正を行つたのであります。すなわち、議員定数あるいは議会開会の度数等を緩和修正いたしまするとともに、六大都市におきますところの区選挙管理委員会等を引続き存続せしめて、真に市町村民の手によるところの公明なる自治を運営せしめ、並びに選挙運営に当らせることを考えたのであります。この点に関しましては、各位の御賛成を得たいと思うのであります。
 第二に、今回の自治法の改正に伴いまして、特別市の問題が紛糾いたしたのでありますが、これは関係府県のみならず、関係都市におきまして、すこぶる大きな問題となり、あるいはこれが都市並びに農村の対立にまで激化せんとすることになつたことは、各位の熟知せられておるところであります。これは一に政府の特別市の問題に関する無定見並びに研究の怠慢を物語るものと存ずるのでありまするが、なお関係者におけるところの運動方法にすこぶる行き過ぎがあつたことも、これまた紛議を大にしたゆえんであると存じます。私どもは、常に民主政治の基盤といたしまして地方自治の発展を念願いたしておるのであります。近く設置せられるところの地方制度調査会におきまして、十分この点を審議せられることを必要とすると思うのでありまするが、私どもは、その審議の結果に徴し、将来地方の自治を一層強化拡充いたしまして、市町村を基礎的な地方団体といたすと同時に、現在の都道府県の制度も再検討し、さらに将来の道州制をも考慮する必要があると思うのであります。これと同時に、特別市並びにその残存府県の問題を処理することが適当であると存ずるのであります。幸いに、この方針に関しては関係者の了解を得て解決を見たことは、同慶にたえないのであります。
 第三は東京都の特別区の問題でありまして、東京都の特別区の性格を変更し、また区長を任命制に改めんとするために非常に大きな問題が生じたことは、御承知の通りであります。元来、これは都民の自治生活には重大なる関係があるのでありまして、長い間紛争を重ねておつたことは、まことに遺憾であつたのであります。わが党といたしましては、あくまで都民の健全なる自治生活を確保せんとして努力したのでありまするが、幸いにして、今回都区関係者の間におきまして妥協が成立いたしましたることは、理論的にはさておきまして、一応今回の案をもちまして、東京都の特殊性にかんがみましてこの案を実施せしめ、でき得る限り都区の運営を調節いたしまして、将来必要と認めますところの行政事務につきましても調整せしむることが妥当と信ずるのであります。都民をして、真に自己の手により、自己の日常生活に直接関係のありますことを処理せしむることが、今後自治のために最も適当と信じまして賛成する次第であります。
 最後に、今日地方行政事務の確立に関しましては、政府におきましては、その再配分並びにその財源につきましての考慮が十分でなかつたのであります。とりあえず応急のことを今回の法案において規定しておるのでありまするがこれはすみやかに再配分を決定し、真に地方の事務に関しましては必要なる財源を確保すべきものと考えておるのであります。事務につきまして可急的すみやかに整理を行いまするととも、その地方の自主性の保障を行い、その裏づけをなすべきものでありまして、これによりまして、真に地方の発展を期待することができると思います。今日義務教育費の国庫負担が論ぜられておりまするが、一にこれは地方財源の少な過ぎることによりまするところの一例でありますが、この点に関しましては、政府はすみやかに事務の整理並びに財源の確保の処置を講じまして、今回地方自治法の改正せられました趣旨の徹底を期せられることを必要と存ずるのであります。
 以上、簡單でありますが、地方自治法に対するわが党の態度を明らかにいたしまして、わが党並びに自由党の修正案に賛成するものであります。(拍手)
○副議長(岩本信行君) 立花敏男君。
    〔立花敏男君登壇〕
○立花敏男君 私は、日本共産党を代表いたしまして、ただいま提出されました自由党修正案を含みます地方自治法の一部改正法案に対して反対し、これに対して野党各派から提案されました修正案に賛成、さらに残りました警察官等に協力援助した者の災害給付に関する法律案には反対の意思を表明せんとするものであります。
 まず第一に、地方自治法の一部改正法案でありますが、この法案は、明らかに、サンフランシスコ單独講和條約と、日本占領の継続を規定するところの行政協定に忠実なる吉田政府が、これら売国條約の実現のために不可欠であるところの植民地官僚の中央集権化を企図する以外の何ものでもないということであります。(拍手)吉田内閣の売国政策の結果、もはや地方自治の存続を許すことすらできなくなつて来たことを明白に暴露しておるのであります。新しい日本民主化の基礎としての地方の自治が、今や完全に否定されようとしておるのであります。
 今、吉田政府は、地方自治体に対しまして、四百十四億に達する地方税の大増税を敢行し、住民登録、予備隊募集の新徴兵事務を強制し、全国至るところの自治体の中から厖大なる軍事基地を取上げようとしておるのであります。その他、アメリカ帝国主義の要求するところの日本の再軍備、日本の植民地化のための厖大な仕事が、地方に多量に押しつけられておるのであります。これらの反国民的な政策に対しまして、全国民的な規模の反対鬪争が全国的に燃え上りつつあるのは、むしろ当然の現象といわなければならないのであります。この反対鬪争を押し切つて、なお売国軍事植民地政策を強行するためには、どういたしましても、権力の末端機構であるところの自治体自身を完全に官僚化し、中央集権化を強行し、地方自治を否定せざるを得ないのが、売国吉田政府の必然の帰結であります。
 今や、憲法に明記されました地方の自治は、吉田政府の売国政策の必然の結果といたしまして完全に否定されようとしておることは明瞭であります。このことは、この地方自治法改正法案を初め、地方財政平衡交付金法案、消防組織法案、警察法案等々、多くの地方関係の法律案の一部改正の中に、中央より地方に対するところの勧告権、指示権、助言権等々が至るところに規定されておるといち事実をもつて明白に証明されておるのであります。
 さらに、かかる官僚的中央集権化の必然の結果といたしまして、地方における民主主義が極度に制限されようとしておる事実であります。すなわち、地方議会の開会の制限と、地方議員の数の減少とを規定しておることがその現われであります。すなわち、従来、年間六回開いておりました府県会等の通常会を年一回に制限せんといたし、さらに地方議員の数を約二〇%、人員にいたしまして全国で二万六千人の地方議員を縮減しようといたしておるのであります。一方、政府は、国家警察を五千名増員し、自治体警察を無制限に増加し得ることとし、さらに警察予備隊は十一万より十八万への急増を企図いたしておりますことは周知の通りであります。国民の代表である地方議員を二万六千人減少いたしまして、警察予備隊を十数万人に増員せんとするところの吉田政府の政策のどこに一体民主主義がありましようか。
 現在の吉田政府の向米一辺倒の軍事産業偏重の産業経済政策は、今や農業を初めとする地方産業、平和産業を完全に崩壞せしめつつあるのでありまして、その結果、地方民の生活が完全に破壞されつつあることは、何人もこれを否定することができない嚴然たる事実であります。従つて、国民の政治的関心は、中央、地方を問わず、急速に高まりつつあるのであります。しかるに、国民大衆の政治への関心と関與を極度に恐れる吉田政府は、地方議会への大衆の代表の進出を極度に制限せんとしておるのであります。本改正案の中における地方議員の定員の縮減は、少数革新政党の地方議会への進出を妨害せんとするものである。何となれば、今回の定員縮減の結果、一町村における議員の数はわずかに十人以下に減少せしめられる場合があるのであります。吉田政府は、明らかに農村地方における革新陣営の議会進出を排除し、農村青年をアメリカの傭兵として徴集し、軍事予算のため税金を收奪し、安価なる奴隷労働の供給源をつくり上げて、アメリカのための軍事工場に多量に送り込まんとしておる魂胆は明白であります。
 次に指摘せねばならないことは、本改正案によりまして、民生関係の行政機関が大幅に縮小あるいは廃止されようとしておることであります。たとえば、各府県において、労働部、建築部、衛生部、商工部等々の従来の部局を廃止または縮小せんとする規定があるのでありますが、このことは、地方の人民のための行政が明らかにアメリカのための厖大なる軍事植民地予算の犠牲に供されつつあることを明白に示しておるものと言わざるを得ないのであります。
 以上のごとく、本案の本質はアメリカ帝国主義に奉仕するためのものであることは明白でありますが、この売国的性格を最も端的に暴露しておるものが東京都の区長の任命制であります。この規定は明らかに憲法違反の規定でありますが、問題は、單なる條文の解釈ではなしに、なまなましい現実の問題であります。すなわち、今や東京都の周辺は、極東第五空軍司令部の存在する横田基地を初め、無数の軍事基地及び軍需工場によつて取巻かれ、それが遠く延びまして武蔵野、相模原をおおうて、はるかに横須賀の軍港に通なつておるのであります。その中心である東京都は明らかに補給基地であり、兵站基地であると同時に、東京都自身が多数の軍事施設と軍需工場を持つところの一大軍事拠点であります。われわれは、四月二十八日以後においても、アメリカのGHQがそつくりそのまま東京都のまん中に嚴存しておる事実は決して忘れてはいないのであります。この嚴然たるアメリカの軍事基地のうちに日本人の民主主義が存在し得ると考えること自体が、そもそも間違いであります。問題は、さらにそれが強化されようとしておるという点であります。一体なぜか。侵略戰争が近づいたのである。日本国民の隷属と、日本国民の收奪がますます強化される必要が生じたからである。
 われわれは、区長の任命制と警視総監の任命制が同時に行われようとしておる事実を注目しなければなりません。しかも、その警視総監が、最近ひんぴんと日本の愛国者を射殺しておることを、われわれは断じて忘れないのであります。東條軍閥が中国を侵略したときのことを思い起しましよう。一国の軍隊が他国を侵略する場合は、必ずまずその首都をねらうのであります。首都を奪つて、まず着手する工作が、傀儡首長をつくり上げることであります。東京都は、日本軍閥の占領下の、かつて北京、南京あるいは奉天と一体どこが違うか。(拍手)従つて、区長任命制を排撃せんとするならば、アメリカの占領軍の東京都及びその周辺よりの即時撤退を要求すべきであります。(拍手)
 しかも、重大なことは、問題は單に東京に限られていないのであります。東京都を押し広げましたのが、すなわち植民地日本の実態であります。区長任命制は、明らかに売国吉田政府に通ずるものであります。自由党の修正案は、この本質を少しも改善するものではなぐ、本法案の売国的、植民地的性格は依然として継続し、日本の軍事植民地化のことしての役割を果すものに間違いがないのであります。
 日本共産党は、断固として、かかる売国法案に反対して、かかる売国法案を提出いたしました政府の即時退陣を要求し、最後に、日本を植民地化し、日本の行政を植民地官僚化せんとするところのアメリカ占領軍の即時撤退を要求するものであります。最後に、日本社会党の提出されました修正案に対しましては、政府原案に含みましたところの欠点の多くの部分を除去するものであるということを認めまして賛意を表したいと思います。
 次に警察官等に対する協力援助に関する法律案でありますが、日本の現在の警察がまつたく凶暴化し、ひんぴんとして多数の日本国民を殺傷している事実は、全国民の憤激の的であります。最近の国民の大衆的規模の鬪争は、政府與党をして周章狼狽させまして、現在の武裝警官ではまだ足りず、先般、全国二百万の消防団員をその下請機関とするところの消防組織法を、本院を通過せしめております。しかも、なお大衆の高まりに対しては、まだそれでも足りないのであります。この法案によつて、何ら関係のないところの一般国民を、警察の要求に基いて彈圧政策に協力せしめんとしておるのであります。提案者は、この法案の趣旨を、警察協力者の受けた災害傷病を補償する云々と称しているが、これはまつたく欺瞞であります。何となれば、補償の財源については何ら規定がないからであります。法案のねらいが、警察が一般国民に対して持つところの協力の要求権を規定せんとしていることにあることは明白であります。
○副議長(岩本信行君) 立花君に申し上げます。時間が来ておりますから簡潔に願います。
○立花敏男君(続) 愛国的五・一メーデーの虐殺と、五・三〇記念日の虐殺を経験し、日本警察の売国的残虐行為を目のあたりに認識した全国民は、かかる売国警察への協力などを容認することは断じてできないのであります。この法案は、多少の金品による買收によつて、たかだかスパイあるいは少数の町のごろつきどもを暴力的警察の周辺に集めるにすぎないでありましよう。
 日本共産党は、現在の警察をより一層暴力団化し、スパイを奨励し、暴力団を養成し、愛国的国民運動を彈圧せんとするところの本法案には断固反対であります。(拍手)
○副議長(岩本信行君) 八百板正君。
    〔八百板正君登壇〕
○八百板正君 私は、日本社会党第二十三控室を代表して、政府の出した地方自治法の一部改正に反対、自由党、改進党提出の一部修正に反対し、社会党、労農党、社会民主党、農民協同党の共同の修正案に賛成の意を表し、あわせて警察官等に協力援助した者の災害給付に関する法律案に反対の意思を明らかにするものであります。すでに問題の要点はしぼられて明らかにされておりますので、なるべく簡潔に、三つの点に限り意見を述べることといたします。
 まず第一は、自治体の自主性が弱くなり、中央政府の指示、勧告、さらには干渉が強くなるということであります。すなわち、七條、八條、九條七項などの改正点について見ますと、自治体の廃置分合、境界の変更などについて争いが起つたときには、当事者の間で意見が一致し、それぞれ議会の議決が一致したならそれでよいのであります。ここで確定するのでありますが、ところが改正では、総理大臣に届け出た後、総理大臣が告示しなければ効力が発生しないということになつておる。元来、自治体の意思決定は議会の決議で定まるものであつて、それを総理大臣が告示しなければ効力が発生しないというようなことは、自治体を子供扱いにし、意思決定の能力なき、いわば禁治産者扱いにするものであつて、後見人たる内閣の許可主義をとつたものとも言うべきものであります。申すまでもなく、自治体とは、治められるものではなく、みずから治めるものであります。中央政府の下部機関としての自治体などというものはあり得ないのであつて、民主主義の基盤たる自治体の独立と自主性を保つということは、まことに重要なことと言わなければならないのであります。
 次に問題としたい点は、地方議会の定例会の回数を減らしたという点であります。費用がかかるから簡潔にする。すなわち、議会の開催数を従来六回以上とあつたものを一回とする。地方議員の定員数を減らされてはたいへんだというので、地方の陳情がやかましくて、これでは選挙が不利だというので修正案が出されまして、定員数の方は元のままになりましたが、議今回数の方は中をとつて四回にするという修正案が出ております。私は、こういう無定見な修正というものは支持することができないと申し上げたいのであります。地方議会は、民主政治の訓練の場として、これほどよいところはないのであります。納税者の目の届くところで十分に論議され、住民の手の届くところで議題に取組むという地方議会こそは、何回開かれても、これが多過ぎるということはないのであります。治められるものではない、みずから治めるものであるという、この自治のあり方について、まだ成長の過程にありまするところの今日の日本において、デモクラシーの学校ともなるべき議会は、多少のむだがあつてもよいのであります。戰争で人殺しをする專制政治への逆行、そのための軍事費などのむだと比べまするならば、人間社会の進歩と幸福のためには、むしろ支挑うべき貴重なるむだとこそ言うべきでありましよう。簡素化とは、中央集権化された少数指導者によつて、有無を言わせず、すみやかに行われる能率主義であると考えるならば、それは日本を再び元来た道へ誤らしめるものであると申さなければならないのであります。
 次に第三に取上げたいことは、区長任命の問題であります。党内意見の統一すら困難に追い込まれましたところのこの問題は、妥協修正案として、自由党、改進党より、区議会が都知事の同意を得て選任するというふうに改められております。選任というのは選挙ではないのであります。また都知事の同意ということは、同意しないという権限をも含むものであります。ただ、いたずらに権限の混淆混迷を招くのみであつて、これでは簡素化の趣旨がかえつて混迷複雑化となつたということは、賢明なる提案者もすでにお気づきのことと存ずる次第であります。憲法は、自治体の長の直接選挙を定めております。ところが、この案では、事実上任命と同様でございます。そもそも選挙による機関が減つて、任命による機関が次第に増加するという法律改正の傾向は、政治が民衆のための政治でなく、指導者や役人のために、下人民があるという考え方に向いて行く傾向であつて、主権在民の憲法からだんだん離れ、権力国家、フアシズムへの道につながるものといわなければならないのであります。区長任命は、やがて市町村長、府県知事の任命へと発展し、民主政治の基盤たる地方自治は、かくて次第にその影を失うに至るであろうということを憂慮せざるを得ないのであります。
 以上三点について意見を述べたのでありまするが、最近、独立だというので、アメリカの占領政策から来たいろいろの法律はこの際再検討し、改正しなければならないという声があるのであります。もちろん、アメリカの日本軍事占領政策は、戰いの基となつたものを削りとるというにあつたのであります。二度と立てないように力の集中を分散するために、経済力の集中を排除し、国家権力の集中を排除するために、権力の地方分権をはかつた。これは、もちろん帝国主義日本の弱体化の政策であつたことは、その通りでございましよう。同時に、平和的民主国家の建設のためには、捨てがたい多くのものを残していることを忘れてはならないのであります。
 一部の人々は、独立日本は占領政策の行き過ぎを是正する段階だと言つて、警察の一本化を考え、自治体警察までを総理大臣の指導下に置くことをよいと言つたり、消防まで中央の指揮で号令をかけられるようにしようとし、火災以外にも動員しようと考えたり、とかく中央集権の道を急ぎつつあるのであります。かつて内務省が、地方団体を手足のごとく動かした時代にもどそうというような考え方が、これが占領政策から離れた独立政治の道だと思う者がありまするならば、日本を誤るもまことに大なるものといわなければならないのであります。(拍手)今、自治体の問題は、上からのさしずをやりやすくするということではないのであります。みずからの政治をやるのに必要な金が足りない、いかにしてこの財源を確保するかということが、今日の地方自治の問題であります。腹を減らしておいて、あれやこれやとさしずして、中央の支配をやりやすくするという、このようなやり方は、民主政治家の断じてとらないところであります。行き過ぎは、もどるといつても、振出しにもどることではないのであります。
 ここに、民主主義逆行の政府案、自由、改進党の修正案に反対し、門司君の説明した私どもの共同の修正案に対し賛成の意を明らかにするものであります。(拍手)
○副議長(岩本信行君) これにて討論は終局いたしました。
 これより地方自治法の一部を改正する法律案に対する門司亮君外五名提出の修正案につき採決するのでありますが、本修正案中、都の主税局及び港湾局に関する点、道及び人口二百五十万以上の府県の建築部に関する点、行政区選挙管理委員会存置の点は委員会の修正と同一でありますから、この共通部分を除いた他の修正案につき採決いたします。門司亮君外五名提出の修正案中、委員会の修正と共通部分を除いた修正に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○副議長(岩本信行君) 起立少数。よつて共通部分を除いた門司亮君外五名提出の修正案は否決されました。
 次に、委員会の修正と、門司亮君外五名提出の修正案中共通り部分につき採決いたします。この共通部分に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○副議長(岩本信行君) 起立多数。よつて共通部分は可決されました。
    〔「異議あり」と呼ぶ者あり〕
○副議長(岩本信行君) 次に共通部分を除いた委員会修正につき採決いたします。共通部分を除いた委員会修正に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○副議長(岩本信行君) 起立多数。よつて共通部分を除いた委員会修正は可決せられました。(「異議あり」と呼ぶ者あり)
 次に、ただしま修正議決した部分を除いたその他の原案につき採決いたします。修正部分を除いた原案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○副議長(岩本信行君) 起立多数。よつて修正部分を除いた原案は可決せられました。
    〔「異議あり」と呼ぶ者あり〕
○副議長(岩本信行君) 議長の宣告に対し異議があるとのことでありますが、異議の申立てには出席議員の五分の一以上を要します。異議ある方の起立を求めます。
    〔異議申立者起立〕
○副議長(岩本信行君) 五分の一ありません。よつて異議の申立ては成立いたしません。
 次に日程第十四につき採決いたします。本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○副議長(岩本信行君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。
     ――――◇―――――
○福永健司君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、田口長治郎君外十四名提出、漁船乗組員給與保険法案を議題とし、この際委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
○副議長(岩本信行君) 福永君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(岩本信行君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
 漁船乗組員給與保険法案を議題といたします。委員長の報告を求めます。水産委員会理事田口長治郎君。
    〔田口長治郎君登壇〕
○田口長治郎君 ただいま議題となりました漁船乗組員給與保険法案につきまして、水産委員会における審議の経過並びに結果を御報告いたします。
 終戰以来、支那東海及び黄海あるいは北海道近海等の諸海域におきましては、日本漁船約四百隻が拿捕され、四千三百名以上の乗組員とともに抑留をされておるのであります。しかも、これらの海域は、底びき網その他の漁業の好漁場でありまして、わが国漁業の振興上から申しましても、国民の食生活から申しましても重大なる影響を持つておるのであります。そこで、昨年四月には漁船保険法を改正いたしまして、漁船については拿捕、抑留による損害填補の道を開いたことは御存じの通りであります。漁業経営者にとりまして、その唯一の生産手段でありまするところの漁船が拿捕され、乗組員が抑留されますことはまことに深刻な打撃であるばかりでなしに、これがもとになりまして、経営は極度に逼迫しておる状態であります。しかも、かかる経営者の窮乏は、とりもなおさず、抑留されておる乗組員に対する給與の支拂いを遅延せしめ、あるいは不能とし、留守家族の生活は不安に陷り、ひいては乗組員の生産意欲を阻害するおそれが多分にあるのであります。もちろん、本問題の解決は、今後の外交的手段により、漁船が拿捕抑留されるような事態がないように改善されることが最も望ましい次第でありまして、現下の国際情勢が安定して、関係国との間に公正妥当なる漁業協定ができることを望んでやまないのでありまするが、その時期の来るまで、このたびの処置をとりまして善処せんとするものであります。
 次に、法案の内容について簡單に御説明申し上げます。まず第一点は、この保険を漁船損害補償法による漁船保険組合に経営させることであります。第二に、政府は漁船保険組合の保険責任を再保険することであります。第三に、契約金額は漁船ごとに乗組員の月額給與の総額を越えてはならぬ、またその百分の六十を下つてはならない、こういうことをきめておる次第でございます。
 第四に、保険料はすべて事業主の負担として、乗組員に負担させない、こういうことになつているのであります。第五は保険契約でありまして、事業主は、漁船ごとに乗組員二分の一以上の者が保険に加入することを申し出たときには、正当な理由がなければ、これをこばむことができない、こういうことに規定しているのであります。第六に保険金の支拂い期間でございますが、抑留の日から日本に帰つて上陸した日までを保険金の支拂い期間としているのであります。以上が、提案の理由と、その内容の大要であります。
 水産委員会といたしましては、本問題の重要性にかんがみまして、去る五月十日、小委員会に付託をして調査を進めることにいたしたのであります。小委員会におきましては、愼重審議を重ねました結果、以上のような内容の成案を得ましたので、六月五日、小委員長の私外十四名の議員から提出され、翌六日水産委員会に付託された次第であります。
 水産委員会といたしましては、本七日委員会を開きまして、本案を議題として審査し、まず小委員長に提案理由の説明を求めましたところ、提案理由並びに小委員会における審議の経過について詳細なる説明があり、引続き質疑に入りましたが、すでに多数の委員からなる小委員会において審議いたしました案でありますので、別に質疑もなく、討論を省略して採決いたしましたところ、全会一致をもつて原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。
 以上御報告申し上げます(拍手)
○副議長(岩本信行君) 採決いたします。本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○副議長(岩本信行君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。
 この際一言いたします。先刻の林百郎君の討論中の言辞につきまして速記録を取調べましたところ、「━━━━
    ━━━━━━━━━━━━━
 この際一言いたします。先刻の林百郎君の討論中の言辞につきまして速記録を取調べましたところ、「━━━━点及び「━━━に……いつまでも自分の政権の座に居すわろうとするならば、日本の人民は━━━━━━━━━━━━━━よりほかしかたがない」と言われている点、右の「━━」及び「━━━━━━━━━━━━」という点は不穏当と認められますから、林君にその取消しを求めるはずでありましたが、林君は自席においでになりませんでしたから、議長は職権をもちまして、ただいまの点を取消しを命じます。
 本日はこれにて散会いたします。
    午後六時四十五分散会