第013回国会 本会議 第57号
昭和二十七年六月十九日(木曜日)
 議事日程 第五十六号
    午後一時開議
 第一 外資に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出参議院回付)
 第二 農地法案(内閣提出)
 第三 農地法施行法案(内閣提出)
 第四 電波法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第五 国会職員法等の一部を改正する法律案(石田博英君外一名提出)
 第六 衆議院事務局職員定員規程の一部を改正する規程案(石田博英君外一名提出)
 第七 衆議院法制局職員定員規程の一部を改正する規程案(石田博英君外一名提出)
 第八 水産業協同組合法の一部を改正する法律案(参議院提出)
 第九 農林漁業組合再建整備法の一部を改正する法律案(鈴木善幸君外十五名提出)
 第十 産業教育振興法の一部を改正する法律案(若林義孝君外二十二名提出)
 第十一 航空法案(内閣提出)
 第十二 日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障條約に基く行政協定の実施に伴う航空法の特例に関する法律案(内閣提出)
 第十三 旅行あつ旋業法案(参議院提出)
 第十四 国立国会図書館法第二十條の規定により行政各部門に置かれる支部図書館及びその職員に関する法律の一部を改正する法律案(図書館運営委員長提出)
    ―――――――――――――
●本日の会議に付した事件
 村上運輸大臣の日暮里駅における旅客死傷事故についての報告
 日程第一 外資に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院回付)
 日程第二 農地法案(内閣提出)
 日程第三 農地法施行法案(内閣提出)
 日程第四 電波法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第五 国会職員法等の一部を改正する法律案(石田博英君外一名提出)
 日程第六 衆議院事務局職員定員規程の一部を改正する規程案(石田博英君外一名提出)
 日程第七 衆議院法制局職員定員規程の一部を改正する規程案(石田博英君外一名提出)
 日程第八 水産業協同組合法の一部を改正する法律案(参議院提出)
 日程第九 農林漁業組合再建整備法の一部を改正する法律案(鈴木善幸君外十五名提出)
 日程第十 産業教育振興法の一部を改正する法律案(若林義孝君外二十二名提出)
 日程第十一 航空法案(内閣提出)
 日程第十二 日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障條約に基く行政協定の実施に伴う航空法の特例に関する法律案(内閣提出)
 日程第十三 旅行あつ旋業法案(参議院提出)
 日程第十四 国立国会図書館法第二十條の規定により行政各部門に置かれる支部図書館及びその職員に関する法律の一部を改正する法律案(図書館運営委員長提出)
 私的独占の禁止及び公正攻引の確保に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
 昭和二十六年産米穀の超過供出等についての奨励金に対する所得税の臨時特例に関する法律案(佐藤重遠君外二十三名提出)
    午後二時十七分開議
○副議長(岩本信行君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
○副議長(岩本信行君) 運輸大臣から、日暮里駅における旅客死傷事故について発言を求められております。この際これを許します。運輸大臣村上義一君。
    〔国務大臣村上義一君登壇〕
○国務大臣(村上義一君) 昨十八日午前七時四十五分ごろ、日暮里駅の鷲谷駅寄り跨線橋の山手線側突当りのはめ板の下部が破損いたしまして、このために旅客十数名が線路上に転落せられたその瞬間に、東神奈川発の大宮行き第六五四号電車が進入いたしましたために、即死三名、入院後死亡四名、重傷五名、軽傷一名、合計十三名の死傷者を生じたという悲惨なる事故を発生いたしましたことは、まことに遺憾に存ずるところであります。なお、この電車の進入後、電車の屋根に墜落せられた数名の方々は、辛うじて無事なるを得ましたが、不幸にして死亡せられたる方々に対しましては、ただちにその御遺族に連絡いたしまして、丁重な取扱いをいたしました。また負傷せられた方々は、ただちに東大病院、下谷病院、淡路病院にお送りいたしまして、それぞれ手当をいたしている次第であります。
 この悲惨事の原因につきましては、当日午前一時半ごろ、上野駅の地平信号扱所におきまして、電気信号関係機械から発火しまして、小火災を発生いたしました。そのために、関係転轍器などはすべて電気機械力によつて動かすことができないということに相なりまして、そのため列車の運行が混乱に陥りまして、東北線、高崎線の通勤列車を直接上野駅に到着せしむることができない、一時日暮里駅に臨時停車させたために、これらの乗りかえ客と、さらに常磐線の乗りかえ客と競合しまして、平常に比べまして、跨線橋がはなはだしく混雑しておつたのであります。また、たまたま大宮行き電車が進入して参りましたので、乗客がこれに乗車すべく殺到せられたために、行き詰りのはめ板に異常な圧力が加わりまして、はめ板の下部を破損したものと認められるのであります。
 このような不祥事故を惹起いたしましたことは、まことに遺憾にたえないところであります。特に、おなくなりになりました方々、御遺族の方々、また負傷されました方々に対しましては、真に申訳ないところであります。国鉄におきましては、十分に敬弔慰藉の方途を講ずることはもちろん、将来この種の事故の再発しないように十分の対策を講ずることにいたしておるのでありまするが、運輸大臣といたしましても、その対策をすみやかに実施いたすよう最善を盡す所存でおる次第であります。
 以上御報告申し上げます。(拍手)
    〔「大臣の責任はどうした」と呼び、その他発言する者あり〕
○副議長(岩本信行君) 御静粛に願います。
     ――――◇―――――
○副議長(岩本信行君) 日程第一、外資に関する法律の一部を改正する法律案の参議院回付案を議題といたします。
    ―――――――――――――
○副議長(岩本信行君) 採決いたします。本案の参議院の修正に同意の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○副議長(岩本信行君) 起立多数。よつて参議院の修正に同意するに決しました。
     ――――◇―――――
○副議長(岩本信行君) 日程第二、農地法案、日程第三、農地法施行法案、右両案を一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。農林委員千賀康治君。
    〔千賀康治君登壇〕
○千賀康治君 ただいま議題となりました、内閣提出、農地法案並びに農地法施行法案に関しまして、農林委員会における審議の経過及び結果の大要を御報告申し上げます。
 戰後わが国農業政策の基本原則として採用されました農地改革の果して来た役割、その意義、内容につきましては、ここにあらためて詳しく御説明申し上げる要もないほど周知の事実であります。幣原内閣によつて立案せられ、第一次吉田内閣当時、第九十帝国議会を通過成立いたしました。いわゆる第二次農地改革関係諸法律は、農村における地主的社会経済構造の改変を意図した占領政策の重要な一環としまして実施せられて以来、今日まで六年の歳月をけみし、その間、農地の強制譲渡に関するポツダム政令の公布を見、官民のカを結集し、あらゆる悪條件を排除しまして、自作農の急速かつ広汎なる創設という、史したぐいまれなる難事業をなし遂げ、講和発効直後の今日、まさにその第一段階を画しようとしておるのであります。今後におきまする課題は、かくしで創設せられた自作農を育成し、小作関係の調整をはかつて耕作権を保護し、かつ未墾地の開放を引続き実施いたしまして、新農地制度の基盤の上に、農業政策の他の部面の実施とあわせて、いわゆる農村の民主化、農業の近代化という農地改革の成果の恒久化の目的を貫徹することであります。
 今回政府より提案せられました農地法案は、ポツダム政令が失効しますのを機会に、農地改革の基礎法令でありました農地調整法、自作農創設特別措置法並びにこの二法の適用を受けるべき土地の譲渡に関する政令の三法令を一本に合体して、錯雑難解な形式を簡素化し、あわせて若干の点に改正を加えられておるのであります。以下、新法案の大綱について御説明申し上げることといたします。
 まず、従来同様、地主制度に徹底的な制限を課しまして、不在地主は引続き一切これを認めず、在村地主は内地平均一町歩、北海道四町歩に制限する。しかして、この制限に抵触する土地が生じた場合におきましては、市町村農業委員会がこれを公示し、一定の期間内に許可を受けて譲渡せしめることとし、その期間内に譲渡しない場合、創設地を小作に出した場合または所有者の申出があつた場合におきましては、国がこれを買収することとし、もつて地主制度への逆転を抑制しておるのであります。また農地、採草放牧地の賃貸借の解除、解約、すなわち、いわゆる小作地の取上げはすべて知事の許可制とし、小作料の定額金納制、減額請求権、小作契約の文書化等につきましても、すべて従前の通り、耕作権の保護に欠けないよう、それぞれ適当な措置をとつておるのであります。
 次に農地等につきまして、新たに権利の設定を行い、あるいは権利の移転を行うときには、特定の場合を除いて知事の許可を必要とし、また知事がその許可を與え得ない場合として、イ、小作地について、その小作農以外の者が所有権を得ようとするとき、ロ、農業者以外の者が権利を得ようとするとき、ハ、権利の取得により、法定面積、すなわち内地平均三町歩を越えるに至るとき、ニ、権利を取得しようとする者が現に内地平均三反歩未満の経営者であるとき等を列挙しておるのでありまして、いわゆる中堅自作農主義のもとに農地の移動を認める建前を明白に打出しておるのであります。また、農地等を他の用途に転用しようとするとき、または転用目的で権利を移転しようとするときについても、特定の場合を除いて、五千坪を越えるときは農林大臣の、それ以下は知事の許可をそれぞれ必要とするとなし、国土狭小にして国民生存の根基たる貴重な農地がむやみに壊廃せられないように、一定の制限を課しておるのであります。
 薪炭林、採草地についての利用権の設定のための協議請求権等の規定もそのまま存続させ、また未墾地の取得等、未墾地関係の規定につきましては、従来省令などで定めておりました開拓審議会関係事項を法律事項に引上げる等の手続をとつているのであります。しかして、国が今日までに取得した未墾地のうち、開拓に適しないものは旧所有者に返還すべしという一般の要望にこたえて、今回そのための措置を講じて参つておるのであります。農地担保金融制度の実施に関しましては、現在可否の両論が行われておりますが、本法におきましては、自作農の転落防止という当面の要請に対する応急対策としまして、自作地を国が買収し、それをただちに本人に売り渡して、長期低利の年賦拂いとして返還させるという手段を講じておるのであります。
 農地法案に盛られましたおもな内容は以上のごとくでありまするが、本法の施行に伴う関係法律の整理、経過措置等は、これを別に農地法施行法案に規定しておるのであります。
 これら二法案は、三月十八日に本委員会に付託となり、その直後提案理由の説明を受けたのでありますが、委員会といたしましては、諸般の都合によりまして、六月六日より本格的な審議に入り、爾来数回の会議において検討を遂げ、一昨十七日討論採決に移る段取りと相なつたのであります。それに先だちまして、自由党遠藤委員より、共産党を除く各派を代表して、農地法案に対する修正案が提出されました。
 修正案の内容は、原案の第四條へ第五條並びに第二十條におきまして、五千坪以下の農地を農地以外のものに転用する場合、転用のため権利を移動する場合並びに農地または採草放牧地の賃貸借の当事者が、賃貸借の解除をなし、解約の申入れをし、合意による解約をなし、または賃貸借の更新をしない旨の通知をする場合におきまして、それぞれ都道府県知事の許可を受けなければならないことと相なつておりまするが、農地等の壊廃または小作地の取上げ等をできるだけ抑制するため、知事がその許可を與えるに先だつて、都道府県農業委員会の意見を聞かなければならないように改めようというのであります。
 そこで、この修正案並びに修正部分を除く農地法原案及び農地法施行法案を一括議題といたし、討論に付したのであります。改進党は吉川久衛君が代表いたされまして、今後本法の運営にあたり、農村民主化に逆行しないよう注意すべきであるという点を特に強調せられて、修正案、修正部分を除く農地法原案及び農地法施行法案に賛成の意を表され、次に日本社会党を代表して井上良二君は、本案自体にも種々の問題があるが、総合的な農業政策を実行し、都市資本に収奪されない態勢を整備して、中堅農家の育成に完璧を期すべきであることを主張されて、修正案、原案ともに賛成する旨を述べられ、次いで日本共産党の竹村奈良一君は、農地改革は農民解放の旗じるしを掲げておつても、実質的には何ら農民の地位の改善に役立つておらないという基本的な認識に基き、修正案並びに原案に対して反対をせられたのであります。最後に、日本社会党第二十三控室の足鹿覺君は、本法案は地主制度の復元、富農擁護、在村地主の温存、土地取上げの黙認、農業委員の反動化等八項目にわたり不満とすべき余地があり、すみやかに第三次農地改革を断行すべきであるという條件を付して修正案並びに原案に賛成する旨の意見が開陳されたのであります。
 討論終結の後、採決いたしましたところ、修正案、修正部分を除く農地法原案並びに農地法施行法案はいずれも多数をもつて可決すべきものと決した次第であります。
 以上をもつて御報告を終ることといたします。(拍手)
○副議長(岩本信行君) 討論の通告があります。順次これを許します。竹村奈良一君。
    〔竹村奈良一君登壇〕
○竹村奈良一君 私は、日本共産党を代表し、ただいま提出されました両法案並びに修正案に対し、日本民族発展の見地から断固反対するものであります。
 そもそも戰後のいわゆる農地改革は、米日の反動主義者によつて、農業問題を民主的に解決しようとする勤労農民の闘争を挫折させ、帝国主義者の抑圧に対して闘う国民大衆を分裂せしめることによつて日本の民族支配を容易に行おうとする立場からなされたものである。従つて、この改革、地主の土地所有を根絶させないばかりか、かえつて逆に温存し、富農を強化し、地主の債務奴隷を維持して、働く農民の独占資本への従属性を増大せしめたにすぎないのであります。農村の現状は、このことを何よりも雄弁に物語つている。ほとんど日常茶飯事と化した農家の人身売買、耕作放棄の激増、農業手形の利用者、青田売り、農村次三男の失業者の増大、肥料を買いたくても買えないところの農民、そのために悲鳴をあげる肥料業者、あるいは再建整備も燒石に水の農業協同組合、入植後経営が成り立たずして、年々三割は農業を放棄するところの開拓者、アメリカ軍によつて土地をとられ、弾雨のもとに身を挺して取入れる農民等々、数えれば無限にあります。この一つ一つに四千万農民の血の苦しみが含まれているのであります。これが農地改革の実態である。
 この悲惨な農地改革の本質をほかし、あたかもアメリカ占領軍が農民に恩惠を與えたものであるかのごとく宣伝これ努めるため、旧農地法の目的には、およそ本心とはうらはらの、農村の民主的傾向の推進をはかる云々と、うたい文句が挿入されていたのであります。ところが、今回提出された農地法にいたつては、この農村民主化の字句すらその條文から抹殺して、従来の欺瞞的衣を脱ぎ捨てている。このことこそ、一般的反動攻勢の波に乗つた農地法が一体何を意図しているか、きわめて端的に表明しているのであります。
 法案の内容を検討いたしますと、随所にこの反動化が見られる。たとえば、零細農民に対する露骨な圧迫の例として第三條をあげることができる。すなわち、この條文によれば、北海道で二町歩、内地で三反歩未満の農家は、新たに土地を拡張することを許可しないとあるのであります。六百万農家のうち、四分の一に当る約百五十万の三反百姓は、二の條文によつて、農地拡大の希望を全く失つているのであります。しかも、逆に、国家権力による土地取上げは許可を必要としないとあり、これで、アメリカ軍の基地や、従来問題になつておりました予備隊の演習地等は遠慮なく取上げられ、その上、八百万町歩に及ぶところの開墾可能地はまつたく放任し、山林等は一切地主的土地所有にゆだねているのであります。しかも、開墾可能地としてすでに買収済みの土地も、開拓民の生活難から開墾できなかつたものは旧地主に返還して、一方開拓審議会を設けて、開拓を実質的に停止せしめているのであります。なお、保守勢力を集めた農業委員会を、バツクに、地主の土地取上げを可能にするような、あいまいな條項を多く採用して、地主復活をはかつているのであります。その他、土地価格、小作料、入会権等、すべて地主を擁護し、小作人を圧迫し、貧しい農民は耕作放棄を余儀なくするように仕向けている。
 このような、きわめて反農民的な農地改革は、いやしくも農地改革の名に値しないものであるといわざるを得ない。われわれは、現実に農村を民主化して、真に地主制度及び地主勢力を一掃し、働く農民に土地を確保せしめる真の農地改革を要求する。それは、国民生活にある、いろいろな種類の封建的な残りかすを一掃して、農民の生活水準を向上することにある。従つて、耕作地の問題だけでなく、山林地帯、荒地、灌漑その他の農業施設、農産物の価格、税金等も農地改革の内容に含まれる。農民にとつて欠くことのできない山林地帯は、農民たちの間に分配することが必要だ。これらの耕作することのできる地帯は畑にかえる。草刈り場や牧場にできる地域では、土地改良の仕事が必要である。植林は農民自身の手で行い、また新しい灌漑施設の改良と建設は、農民組織の共同の力でなされなければならないのであります。農業生産の大発展と、その基礎の上に立つ農民の生活水準の向上、これこそ真の土地改良であり、日本民族の発展を約束する土地改革である。今、日本の農業にとつて必要なのは、この真の土地改革を断行する実力ある政府である。それは、労働者と農民を基礎とし、売国奴を除く全国民の統一により、いかなる権力の圧制と弾圧をも排除することによつて、必ずやかちとられるものである。(拍手)
 隣邦中国の歴史はこれを証明している。アメリカ侵略主義者の援助を受けた蒋介石は、土地改革を行わず、いわゆる土豪劣紳の搾取を応援し、高級官僚と結託して、勤労農民を徹底的にしいたげ盡した結果は、革命的土地改革を断行した労働者、農民、民族資本家の政府とその軍隊によつて国外に放逐され、わずかにアメリカの第七艦隊の援護のもとに、台湾の一孤島に余命を保つているにすぎない。これこそはまた吉田政府の運命である。革命的な農地改革こそ、その民族の発展を約束するもりだ。
 かつて明治維新によつて、農民は土地を與えられるものと信じていた。だが、農民には與えられなかつた。かくて、地租改正反対の農民暴動が全国各地に勃発したのである。たとえば三重県松阪に起つたものは、明治九年十二月十七日、一万余の農民が豊原村に集まり、示威運動を行い、翌十八日には、三井等の富豪もたき出を行つて百姓の、ごきげんをとつたが、彼等は三井のむすびを地に投げ捨て、かえつてこれを燒打ちした。このときの火災で燒失した民家は九十二戸を数え、このため松阪町から苦情が出て、以来、三井は松阪から放逐されたのである。一方、宇治山田方面では、気勢を上げた農民軍は、伊勢神宮襲撃の気配を見せ、三十日午前十時には、三重郡大矢知村にある監獄に迫つた。午前十一時頃になると、農民軍は喊声をあげて監獄に肉薄し、わらに火をつけて投げ込み、これを全燒させんとした。獄吏は、かくてはいたし方なく、一時解放するにより、めいめいいずこなりとも逃げ延びよと囚人たちを解放した。囚人たちのうち若干は農民軍に混入し、囚人中よわ指揮者数名を出した云々と、当時の記録は残しておるのである。
 徳川時代の農奴さながらに搾取と屈辱を受けた農民は、百姓一撲から、あの大正、昭和の小作争議へと、農民闘争の歴史を、彼らの血でつづりたのであります。明治に解放されなかつた農民は、今また再び、今回の農地改革によつてつかまされたものが幻にすぎないことをはつきり知つた。かくて、農民は、今こそ真の農民解放、すなわち革命的土地改革の実現を要求している……。
○副議長(岩本信行君) 竹村君に申し上げます。申合せの時間が参りましたから簡潔に願います。
○竹村奈良一君(続) マツカーサー農地改革によつて得たものが、娘の身売りと、息子の予備隊志願にほかならないことを知つた農民、税金と強権供出と低米価とによつて、貧困と抑圧以外の何ものも約束されなかつた農民、二千年来常に下積みにされ、進歩と発展から取残されて来た農民は、今こそ屈辱の歴史を一掃し、真の解放と発展とを目ぎして、断固たる行動に立ち上りつつある。
 彼らの要求は、寄生地主、皇室及び大土地所有者の土地を沒収して、無償でわけ與えよということであります。これを実力をもつて実現する民族解放民主政府の樹立である。この要求をもつて立ち上つた農民の力は、いかなる暴力政権といえども絶対にはばむことはできない。
 日本共産党は、この農民の革命的土地改革の要求に対し、この実現に向つて、民族解放、民主統一戰線の強化と発展をはかるがゆえに、この農民的土地改革を抹殺し、戰後のごまかし農地改革をもさらに輪をかけて反動的にするこの新農地法に対し、断固反対するものであります。(拍手)
○副議長(岩本信行君) 吉川久衛君。
    〔吉川久衛君登壇〕
○吉川久衛君 私は、ただいま上程されております農地法案及び農地法施行法案の二案について、改進党を代表して賛成するものでありますが、農地法案については、各派共同で修正案が提出された趣旨にかんがみまして、政府に要望事項を付言しておくものであります。(拍手)
 農地改革は、わが国で戰後行われた三大改新の一つであつて、その主目標は農村の民主化であり、農業生産力の増強であります。数世紀にわたるわが国農村の封建制を打破して積弊を一掃することなくしては、農村の民主化は不可能であることは申すまでもないのであります。わが国の農地改革は、この農村の民主化のためには相当の成果を収め得たものと考えられるのであるが、今回独立が回復するや、各方面に、いわゆる復古調というか、民主化の逆コースが現われ、農地改革の面にも同様な傾向を見るに至つたかの観があるのである。すなわち、現行法においては、農村の民主的傾向を促進することを明確にうたつているのに対して、本法案にはそれが削除されている。また條項の中にも、民主的村づくりの基本である農業委員会の存在を無視したような箇所は、第四條、第五條、第二十條等に散見するのである。これらのことは、農地改革の成果を逆転せしめるおそれあるものとして、十分か警戒をしなければならないのであります。民主化に逆行するおそれありとして、修正案を各派こぞつて提案せられるに至つた事態をもつて見ても、それを証明するに十分であります。
 農地改革に関しては、地主の中には、ある一部の行き過ぎのために、泣いても泣き切れない犠牲をしいられた者もあつたと思います。しかし、日本の改新のために、忍ぶべからざるところを忍んで改革に協力した。その尊い犠牲を無視してはならないと思うのであります。彼らは、当時のできごとを恨んではいない。ただ、公明に、順調に日本の民主化が行われ、新しい国家に生れかわることをむしろ期待すべきであり、期待しているのであります。このとき、この愛国的人々の期待を裏切つてはならない。
 政府原案の各所に、この民主化逆行の傾向の認められることは、本制度運営にあたつて特に留意しなければならない点であります。(拍手)すなわち、フランス革命における農地解放の轍を再びここに踏んではならないことである。農地改革の成果も、その後の対策を誤り、法の運用を誤ることによつて、民族の混乱と、むだと、同胞間の嫉視対立のほか何ものをも得られないことを、歴史はわれわれに物語つてくれているのであります。すなわち、農村の民主化を目ざしながらも、まつたく逆の効果となることをわれわれはおそれるのであります。
 本法制定の精神は、自作農創設特別措置法、農地調整法等の統合整備であつても、これら現行諸法の立法当時の精神はあくまでも継承されなければ、仏つくつて魂入れずどころのものではないのであります。せつかく軌道に乗りかかつた農村民主化の明るい光明はまつたく逆の形になつてしまうことをわれわれはおそれるのである。農業生産力に国家再建の重点を置かねばならぬかが国の前途に大きな支障を来すものであると思うものであります。
 その農業生産力の増強の問題であるが、法案第一條には、耕作者の権利を保護し云々とあるが、開拓者に対する米軍や予備隊の用地接収に関する今日までの政府のなされた言明は、はなはだ不明確かつ不十分なもので、血とあぶらの結晶で切り開いて来た開拓農民の不安は、今や絶望におののいているのであります。土地の農業上の利用関係を調整するといつて、過小農家を無視しているかのごとき疑いを持たせることもまた厳戒を要するところである。
 自作農を急速かつ広汎に創設するという農地改革の第一段階を終つたということがいわれているのであるが、この成果の維持こそ、きわめて困難かつ重要な事業である。この課題解決のために農家経営の零細化を防がなければならないのであるが、その具体的対策が立てられていないのであります。経済的困難から自作農の転落するのを防止するための、低利長期の農地担保金融制度のごとき重要な措置も、なおざりにされているのであります。これらの問題に対しては、政府は責任をもつて、すみやかに対策の具現をなすべきであります。
 「耕作者の地位の安定と農業生産力の増進とを図ることを目的とする。」と法案第一條に明記しながらも、政府の現に行いつつある政策は、まつたくこれと矛盾しているのであります。例をあげてみると、肥料需給調整法案のごときは、通産省及びメーカーの反対にあつて流れ去り、また有畜農家の創設により、農業生産力の向上と国民栄養確保の見地から飼料需給の調整の必要を認め、野党各派は、今国会にこれに関する法案を提出したところ、與党たる自由党もその法案の起草と成案に参加しながら、一部業者の反対策動に乗せられ、多数の力をたのんで、その法案の成立通過に全然熱意を示さず、これを握りつぶさんとしているがごときことなどであります。これをしも、政府與党たる自由党が農村に協力的な精神を持つていると言えるでありましようか。(拍手)政府與党は、かくのごとき態度をすみやかに改めることなくして、いかなる法律制度を策定するとも、農民の地位は安定されず、農業生産力は増強しないのであります。
 農業生産力の増強なくして、この八千四百万を越える厖大なる国民の生活の安定も、国民経済の復興も期待すべくもないのであります。政府は、農地解放の二大目標である、農村における民主化の傾向の促進をはかること及び農業生産力発展達成のための最善の措置をとり、政府原案にあるところの疑点の一掃に努め、足らざるところはこれを補い、制度運用に対しては公明にして愼重ならんことを要望いたしまして、本案に賛意を表する次第であります。(拍手)
○副議長(岩本信行君) 石井繁丸君。
    〔石井繁丸君登壇〕
○石井繁丸君 ただいま上程されました両法案に対しまして、日本社会党を代表しまして賛成の意を表するものであります。
 われわれが言うまでもなく、建設の功はやすく、守成の功はなしがたし、こういわれるわけでありまして、農地の解放は非常に大きな勢いになつと達成されましたが、この解放せられましたる農地をいかにして維持して行くか、いかにして今後あやまちを犯さないようにするか、こういう点は非常に重大なる問題でありまして、この見地に立ちまして、一応農地局一年の努力によつて、この法案は成果を得たものでありまするが、しかしながら、この法律は非常に幅が広いのでありまして、この法律の運営いかんということが、この法律の精神を生かし、あるいは法律の精神を滅却いたすものであります。大きな点につきましては、竹村君あるいは吉川君が申し上げましたから、私は、以下、今後この法案運営上重要なる事項を数点にわたつて申し上げまして、社会党の本法案に冠する根本的見解を披瀝いたしたいと思うものであります。
 第一に大きな問題として、御承知の通り、本法案は、自作農を維持すると申しておりますが、この法律におきましては、自作農の幅が非常に広いのであります。三反歩の農家から三町歩の農家をもつて、一応自作農の農家といつておるのである。ここで、この法律をどういう点に力を入れて運営するかということによりまして、非常に大きな結果が生じて来るのであります。つまり、二町歩あるいは三町歩の農家を今後大いに育成しようという考え、あるいは平均耕作反別を保持している農家を維持育成しようという考え、あるいは過小農家を保護しようという考えにおきましては、非常に相違が生じて来るのであります。大きな三町歩の農家を保護し、そうして一町歩以下の農家を阻止するというところの富農政策をとりますと、富農、貧農の対立が起きることになるのでありまして、社会党といたしましては、この法律は漫然と自作農の維持を考えておるけれども、中心としましては、村の平均耕作反別を維持しておるところの、これらの農家に対して重点を置いて運営をすべきものであると、かようなる実際的見地に立ちまして自作農の維持を考えて行くものであります。(拍手)
 第二番目に、この法律におきましては、今後農民がどういう点から農地をなくすであろうかと、こういうつつ込みが足りないのであります。農民は、ただいまも申しました通り、農地の解放は受けたが、その解放を受けた土地を次第になくしつつあるのであります。班田その他いろいろな農地制度の改革はありましたが、その効果はなかなか維持できない。われわれは、今後の農民が農地をなくすという点は、あるいは抵当権の実行、あるいは競売、つまり借金のかた等によつて、そうして農地の価格について何らの制約がない、こういう場面から農民が農地を大いになくすのではなかろうかと考えるのであります。そこで、この法案を適用いたす上におきまして、あるいはこの法案におきまして、担当権の設定の禁止、あるいは許可條項をつけるとか、あるいは任意競売制を禁止するとか、借金のかたによつて農民が土地を失う。こういう場面をなくす必要があるのではないか。われわれがこの点を法案の修正に入れなかつたのは、最高裁判所において最近の競売の結果を聞きますと、農地の競売は一箇年二、三百件足らずであるというようなことでありまするから、今後さような欠陥が現われたときにおきましては、社会党は、抵当権の設定、任意競売を禁止いたしまして、農民の土地を守るという用意を持つておるものであります。(拍手)
 それから共産党は、三反歩以下の農民に土地をとらせる機会がない、これははなはだよろしくないというのでありますが、社会党は、これに対しまして非常に見解が相違するのであります。御承知の通り、今後土地を持たない者が農民となるときにおきましては、どういう人が土地を買うかと申しますると、飯米を確保せんとするところの、都市の資力のある人が、資力にあかして土地を買うのであります。現在の土地価格におきましては、過小農家はなかなか土地を買えないというのが実情である。こういう点を考えてみますと、この三反歩以下の農民に土地を與える機会というものをいかにするかということは、軽々に判断ができないことでありまして、政令等におきまして十分この対策を講じ、これらの、ほんとうに必要とする農民に土地が獲得され、都市におけるところの力のある人々が、米の飯が食べたいからといつて土地を取得することができないようにしなければいかぬ。さような点におきまして、われわれとしましては、この運営につきましては、今後最大の関心を拂つて行きたいと思つておるのであります。
 次に利用関係の調整でありますが、日本におきましては、まだ自由党の農地改革の不徹底のために、六十万町歩の農地が残つておるのであります。これは実にうるさい農地であります。吉川君もただいま言われましたが、地主は、あるいは五反か六反つくつておる。どうしても小作地の四、五反がほしいというところの小作地であります。また、これを借りておるところの小作農民は、これはまた五、六反の農民でありまして、そのうち二反ないし三反借りておる。これをとりたいという地主も、非常に土地に対する執着力がある。これをつくつておる小作農民も、これをとられては農業経営ができないというのが実態であります。これをどう運営調整いたして行くか。これは、共産党であろうと自由党であろうと、あるいは改進党であろうと、またわれわれ社会党であろうと、非常に営む問題であります。何人も簡單に解決のできない大きな問題であります。これに対しまして、まずこの法案を、耕作者を中心としてその地位を保つように運営する。そのためには、この実際の衝に当るところの小作官あるいは農事調停委員、これらにおきまして、十分その入を得なければならないのであります。われわれは、最高裁判所の調停の担当者等を委員会に呼びまして、それらの点について十分の処置をとるように申しておいたのでありまするが、また農林省に対しても、今後のその運営につきまして、十分に戒心を拂わなければ不測の災いがここにあるということを予言してはばからないものであります。
 次に、この法案の一番大きな欠陥として、御承知の通り、農地調整法第三條には、農地が余つた、病人あるいはその他によつて土地が余つた、こういう人々の土地を簡單に利用せしむる簡易小作制度があつたのでありまするが、今度の法案は、それを抜いておるのであります。條文全体、あちらこちらを拾うと、そういう趣旨が残つておると政府は言つておりまするが、この重大なる点を閑却いたしておるのであります。今後、小作地は、本来の意味における賃貸借が新しく発生しようとはわれわれは考えません。おそらく、今後新しい賃貸借は発生しなかろうと思う。そこで、少い土地でつくらなければならない、これらの人々に対するところの処置、簡易小作制度……。
○副議長(岩本信行君) 石井君に申し上げます。時間が参りましたから結論を願います。
○石井繁丸君(続) これにつきまして、十分なる態度をとらなければならない。われわれとしましては、この点を十分に考慮に入れて運営をし、農業委員会の活用等をはかりたいと考えておるわけであります。
 なお、政府の怠慢の点は、例の採草牧野地の利用権設定、これにつきまして、法案を農地調整法時代からつくりましたが、ほとんどこれを実施いたしておらないのであります。有名無実でありまするが、採草牧野地に対する利用権の設定は、今後農村の堆肥増産上喫緊の問題でありまして、大いにこれを宣伝して、利用をしなければならない。われわれは、山林開放を叫ぶ立場よりしまして、この法律の十分なる運営を考えておるわけであります。
 最後に申し上げたいことは、国に対する買取り請求権でありまするが、農林省は、担保権を設定して、土地を農林省が買上げる八億円の費用というような問題を言つておりまするが、農民が土地を離さなければならないことは、どういう場面からできるかというと、御承知の通り、相続税が高いこと、あるいは資産再評価税の高いこと、あるいは譲渡所得税が高いということによつて生ずる。つまり、農地を政府が買上げて金融措置をするよりは、これらの農民に加重される三重圧法案、重圧を加える税法案の改正が一番重大であるとして、われわれとしましては、各国会ごとに、農民負担の軽減の意味において言つておるわけでありますが、今後政府は、土地を買上げて金融をするより、そういう税制における農民負担の軽減を根本方針から考えることが重要であるとして、われわれ社会党はこれを強く強調いたすものであります。
 以上、要点を述べたのでありまするが、最後に申し上げたいことは、この法律は、われわれあるいは改進党、第二十三控室も賛成いたすごとくに、自由党の提案しましたる法律としましては、比較的によくできた法案であります。(笑声)われわれは、かような見地より、党派を超越して、率先して賛成をいたすものであります。しかしながら、この法案の欠陥として、第八十條で、解放されたる山林等も、この不適地は、またもとの山林の所有者にもどすというような傾向の法律ができておるのであります。また自由党としましても。
○副議長(岩本信行君) 石井君、結論を願います。
○石井繁丸君(続) 自由党といたしましても、この解放された土地が安過ぎたり、農地が安過ぎたといつて、これらに対しまして、何か反動的な措置、あるいは土地を取上げるというようなことを喧伝せられておる向きもあります。しかしながら、日本の農地解放のこの保全育成というものが実に重大であり、そうしてこの法律を最も正しく運営し、なお欠陥はこれを是正せしめることは、日本の農村の今後のために絶対に必要であるという点を、自由党に対しまして一言申添えまして、賛成の趣旨弁明を終るものであります。(拍手)
○副議長(岩本信行君) 是鹿覺君。
    〔足鹿覺君登壇〕
○足鹿覺君 ただいま上程されておりまする農地法案並びに同法施行法案に対し、日本社会党第二十三控室は、條件を付しまして賛成せんとするものであります。以下、わが党の基本的かつ具体的な態度を明確にいたしたいと存ずる次第であります。
 現行の農地関係の法令は、講和発効により、ポツダム政令が来る十月二十五日限り失効いたしますので、新たなる立法措置のない限り、土地台張法から賃貸価格が削られ、自作農創設特別措置法の買収価格の規定が無効となることとなりまして、今後不在地主や、一町歩以上の小作地を持つ地主が発生しても、これを放任するのほかなく、また一方、自作農維持金融も、政府への買取り申込みはポ政令にある規定でありまするから、これが失効いたしまするならば、当然金融の道もふさがれることとなるのであります。このまま放任しておけば、せつかくの終戰後の農地改革は、ポ政令の失効に伴つて逆転して行くおそれがあるわけであります。そこで、政令の趣旨を立法化し、農地関係法令を一本として恒久化せんとするところに本法の中心があるのであります。従つて、一部には本法の成立を喜ばない立場の者もあつたようでありまして、農林委員会に法案が付託されました三月十八日以来、三箇月有余もほとんど審議をしないままに放任をいたされておりました状況から見ましても、この法案をめぐり、きわめて微妙なものが動きつつあつたことを、われわれは見のがすことができないものであります。
 わが党は、かかる点にかんがみまして、農地制度の空白を避ける立場から、またその空白のもたらす農民に及ぼす影響を愼重に考えまして、不満ではありまするが、一応本法の成立に賛成をいたしまするとともに、本法案の問題点を指摘し、これがすみやかなる是正のために、政府が率直な態度をもつて検討し、次期国会に全面的な本法案の改正案を提出することを強く要求し、これを附帯條件として、以下の理由をもつて賛成いたしたいと存ずるのであります。
 具体的な諸点の第一点として、本法には、地主的土地所有制度への復元の余地が與えられておる傾向が見受けられるのであります。すなわち、その一つは農地の買受け資格についてでありますが、現行法は、農地取得後三反歩になれば買受けの資格ありと認められておりましたものを、本法は、現在三反歩以上耕作しておらない限り買受けの資格を與えないと限定しており、このことは、わが国の零細農家の農地取得を不当に押えつけるものであると言わなければなりません。従つて、現行法のごとく、取得後三反歩となすべきことが当然であると主張いたしたいのであります。さらにまた、零細農が農地を手に入れようといたしましても、土地価格は原則的に統制をせられず、双方の協議にまつてきめられることとなつておりまするから、資金に余裕を持たない貧農は、土地を手放すことはありましても、土地を手に入れることが、今後ますます現実的には困難となるであろうという点を指摘いたしたいのであります。
 第二点には、現行法では三町歩以上の農地所有は制限されておるにもかかわらず、本法案では、この制限を事実上撤廃しております。かつまた、農地の移動は市町村農業委員会が行うことといたしておるのでありますが、事実上の結果として、貧農の借金苦から来る農地の手放しは、もし農業委員会が一歩その運営を誤まりました場合には、半ば公然と行われる危険性があるということを指摘しなければなりません。従つて、本法の運用に当る農業委員会の整備と、これが民主的運営の保障ともいうべき階層別委員の選挙を伴うがごとき農業委員会法の改正をもあわせて行うことが必要であることをわれわれは主張いたし、これがための措置が講ぜられておらないことを、はなはだ遺憾に存ずるものであります。
 第三点は、本法では、本法施行前の在村地主所有の一町歩以上の小作地は政府の買収対象としていないのでありますが、これは明らかに地主に対して土地所有の温存をはからんとするものと言わなければなりません。農地法案の施行の前後にかかわらず、制限面積を越える一切の小作地に対しては強制譲渡の措置を講ずべきものであることを主張いたしたいのであります。
 第四に重要な点は、本法案の二十條におきまして、地主に耕作能力があり、小作人は農地を取上げられても生活に困らない場合には、地主の土地取上げを認めるがごとき表現になつておりまするが、小作地の地主への返還規定はこれを削除するとともに、さらに、いかなる理由によるにもかかわらず、地主の小作地取止げは許さないという厳重な措置を講ずべきであろうと存ずるのであります。
 第五点は、買収される土地の農業用施設は、市町村農業委員会の認定によりて買収、非買収を決定することとしておりますが、農業委員会の認定が常に適切であるという保障はありません。また農業用施設の妥当ならざる温存は、土地支配のよりどころを残すということになりますから、これは創設農家がその創設地における農業上の利用のために必要として買入れ申入れのある場合に買収を行うこととすべきであり、なお買入れ申入れの期限は制限すべきではないことを主張するものであります。
 第六点は、国が管理する買収済みの土地、立木、工作物または権利について、第八十條第二項は、買収前の所有者に売り拂うべき場合あることを規定しておりますけれども、この措置は旧地主の復位を認めるものでありますから、当該條項は全面的に削除をすることが妥当であると存じます。もし、どうしても所属がえがやむを得ない場合がありますならば、民有共同地とするか、あるいは開拓農協または農業協同組合の管理とするがごとき措置を講ずべきものと考えるのであります。
 第七点は、土地収用法は農作法に優先して適用される関係にありますが、土地の所有、利用を保障するため、農地に対する保護規定を明らかにして、土地収用法の発動を制限する措置を講ずべきであろうと存じます。
 第八点といたしまして、一括して指摘いたしたい事項は、開拓審議会には開拓民代表を委員として入れること、第八十三條は現行法通りとすることが妥当であること、第十二條の対価については最高価格をもきめるべきこと、小作契約文書化をもし地主が拒んだ場合の罰則規定を設けること、薪炭林などの利用権を拡充し、明文化すること等が大体指摘し得られると存じます。
 以上、私は重要なる事項をあげましたが、右に述べました諸点のみならず、詳細にわたつて検討いたしました場合には、いまだ相当の問題点がありますが、これは省略いたします。
 これを要するに、本法案は、中農あるいは富農暦の培養に重点が置かれておりまして、その精神が本法案の全体を支配しつつありますため、零細過小農が本法案に期待を持つことはきわあて少いといわなければなりません。法案のうたつておる農地改革の原則維持ということが、地主的自作農がねらつている地主的土地所有への逆転のくさびとなるかは、はなはだ疑問と申さなければなりません。何ゆえなれば、最近における農村状況は、零細農はいよいよ貧農化し、次々と農地の手放しを余儀なくする悲惨な事態に直面しつつあります。この傾向に拍車を加える経済的、社会的諸條件がますます農村を支配しつつあるのであります。従つて、かかる現状において、きわめて事務的な本法案が、はたしてどれだけの力を発揮し得るかは自明であり、多くを期待し得ないではないかと考えられるのであります。
 わが党は、かかる観点から、結論として、山林、原野、遊休土地を含む一切の地主所有地、国有地を解放する第三次農地改革を実施し、農地改革の成果維持と、これが完成のための措置を講ずべきことを強く要求いたしまして本法案に賛成をし、なお各派共同の修正箇所につきましても賛意を表する次第であります。(拍手)
○副議長(岩本信行君) これにて討論は終局いたしました。
 両案を一括して採決いたします。日程第二の委員長の報告は修正でありまして、日程第三の委員長の報告は可決であります。両案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○副議長(岩本信行君) 起立多数。よつて両案とも委員長報告の通り決しました。
     ――――◇―――――
○副議長(岩本信行君) 日程第四、電波法の一部を改正する法律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。電気通信委員会理事福永一臣君。
    〔福永一臣君登壇〕
○福永一臣君 ただいま議題となりました電波法の一部を改正する法律案に関しまして、電気通信委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 本法律案は内閣提出にかかるものでありますが、その提案の理由は、政府の説明によれば、主として国際民間航空條約並びに海上における人命の安全のための一九四八年の国際條約の二つに基いて、国内法制たる電波法の一部を整備する必要を生じたことに存するのであります。これを少しく敷衍して申し述べれば、まず、過般平和條約締結に際し、わが政府は国際民間航空條約参加申請の意思があることを宣言したほか、平和條約第十三條におきましても、わが国は国際航空條約の当事国となるまで同條約の規定並びに同條約附属書の標準、方式及び手続を実施することを規定しておるのでありまして、この規定に基き、航空法の制定とともに、電波法中に航空無線局に関する各般の規定を設ける必要を生じて参つたのであります。また、現行電波法の船舶航行の安全のための無線局に関する規定は、一九二九年の海上における人命の安全のための国際條約の規定に従つたものでありますが、この條約は一九四八年ロンドンにおいて更新され、わが政府は、平和條約締結の際、この條約にも正式に加入する意思があることを宣言し、すでにその手続が進められておるのでありまして、本條約加入に伴い、船舶安全法とともに、電波法中の船舶無線局に関する規定にも一部改正を加える必要があり、これがため政府は本法律案を推断したというのであります。
 法律案の内容の主要なものをあげれば、その一、無線局の免許の欠格事由の適用除外といたしまして、本邦内各地間の航空の用に供される外国航空機の無線局を加えたこと、並びに電波法施行後の実績に照し、電波法または放送法の規定に違反して処罰された者及び無線局の免許を取消された者に対する免許拒否の規定を緩和したこと。その二、無線局の有効通達距離、機器の検定等の規定を航空無線関係にも及ぼしたこと及び義務船舶局の設置の位置、連絡設備等の規定を拡充したこと。その三、無線局の従事者に関し、新たに航空級無線通信士の資格と航空機通信長の配置を規定したこと、第一級及び第二級の無線通信士の従事範囲に、船舶無線に準じて航空無線の通信操作及び技術操作を加えたこと並びに聽守員級無線通信士の資格を廃止したこと。その四、無線局の運用に関し、新たに航空無線の通信連絡、運用義務時間、聽取義務等の基本規定を設け、その細目規定は電波監理委員会規則にゆだねたこと、並びに船舶局の運用義務時間及び聽守義務時間を拡充し、運用義務時間外の聽守は緊急自動受信機によつて行うことができるものとしたこと。その五、外国の船舶局または航空機局に関し、無線局の免許及び無線従事者に関する規定を適用しないこと、並びにこれらの局の運用は遭難通信、緊急通信、安全通信、非常通信及び公衆通信業務を行う無線局との間の通信に限るものとしたことなどであります。
 なお附則において、施行期日につきまして、船舶局の設備、運用義務時間及び聽守義務に関する改正規定は、海上における人命の安全のための国際條約の効力発生の日たる本年十一月十九日とし、その他の改正規定は公布の日から施行すること、及び経過措置につきまして、無線通信士の資格に関し、現に聽守員級の資絡を有する者は、その免許の有効期間内は、なお従前の例により聽守を行うことができるものとしているのであります。
 以上、法律案の概略につき御説明いたしたのでありますが、電気通信委員会におきましては、五月十日、本案の付託を受け、同月十五日以降数回にわたつて委員会を開き、政府の提案理由を聽取し、質疑を行いましたほか、利害関係を有する方面から二名の参考人を招き、その意見を徴し、審議を遂げたのであります。
 質疑応答の内容といたしましては、無線従事者の資格及び従事範囲、船舶局の運用義務及び聽守義務その他について、航空法案、船舶安全法、関係條約等の規定をめぐり、すこぶる多岐にわたつておりますが、これらの詳細はすべて会議録に譲りたいと存じます。
 かくて、委員会は去る十七日質疑を終了したのでありますが、委員多数の意見として、政府提出原案に若干の修正を加える必要があるとの結論に達し、十七日の委員会席上、自由党、改進党及び日本社会党の各党所属委員の共同提案として、本法律案に対する修正案が提出され、自由党の橋本登美三郎君が趣旨の説明に当られたのであります。
 修正案の内容は、原案二箇條の修正、附則一項の追加及び現行附則一項の削除でありまして、その趣旨は次に申し上げまする二点となるものでありますが、これよりその概要を御説明申し上げたいと存じます。
 第一点は、第二級無線通信士の従事範囲に関する修正であります。すなわち、いわゆる近海第一区の区域内における船舶局の通信は、戰前にはその大部分が国内通信に属しておりましたが、わが国の領土喪失に伴つて、戰後は国際通信となつたものでありまして、這般の関係にかんがみ、電波法制定の際、附則第九項の経過規定を設けまして、昭和二十八年五月末日までは第二級通信士がこの区域内の国際通信を独立して操作できるものとしたのでありますが、既往二年間の実績及び国際電気通信條約の規定に照し、この経過措置を恒久的措置として規定することを妥当と認めまして、修正案は現行附則第九項を削除し、これと同趣旨の規定を本則第四十條に加えようとするものであります。
 第二点は聽守義務に関する規定の修正でありまして、原案の第六十五條においては、第二種局はすべて常時聽守を要することとしているのでありますが、修正案は、海上における人命の安全のための国際條約の規定に照し、同條を修正して、第二種局乙については、国際航海に従事する旅客船に限り常時聽守とし、その他は運用義務時間中の聽守とすることに改めるとともに、第二種局甲及び国際航海に従事する旅客船の第二種局乙の聽守義務時間を、海上における人命の安全のための国際條約の猶予規定に一致させるため、附則に一項を加えて、改正法律施行後二年間は運用義務時間中の聽守をもつて足るものと定めようとするものであります。
    〔副議長退席、議長着席〕
 以上、修正案の御説明を終つたのでありますが、委員会は一昨日討論を行い、自由党を代表して高塩三郎君、改進党を代表して椎熊三郎君、日本社会党を代表して松井政吉君は、いずれも本法案に対する修正案及び修正部分を除く原案に対し賛成の意見を述べられ、日本共産党を代表して加藤充君は、本法案の修正案及び原案に反対の意見を述べられたのであります。
 委員会は引続き採決に入りまして、電波法の一部を改正する法律案に対する修正案、同じく修正部分を除く原案の順序をもつて賛否を諮りましたところ、いずれも多数をもつてこれを可決いたしたのでありまして、すなわち本法律案は修正議決を見た次第であります。
 これをもつて御報告を終ります。(拍手)
○議長(林讓治君) 採決いたします。本案の委員長の報告は修正であります。本案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(林讓治君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り決しました。
     ――――◇―――――
○議長(林讓治君) 日程第五、国会職員法等の一部を改正する法律案、日程第六、衆議院事務局職員定員規程の一部を改正する規程案、日程第七、衆議院法制局職員定員規程の一部を改正する規程案、右三案を一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。議院運営委員中川俊思君。
    〔中川俊思君登壇〕
○中川俊思君 ただいま議題となりました国会職員法等の一部を改正する法律案外二件につき、その内容を概略御説明申し上げるとともに、議院運営委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 まず国会職員法等の一部を改正する法律案につき御説明申し上げます。国会職員は本年一月一日より一般職から特別職となりましたので、国会職員法等を改正して不備の点を是正する必要があります。その改正の主要な点を申し上げますと次の通りであります。
 第一に、国会職員の範囲を拡張して今回新たに主事補その他の職員を加えること、第二に、国家公務員法と同様の趣旨で、新たに不利益処分を受けた職員の苦情処理の制度を設けること、第三に、病気休職等、職員の休職期間及び休職給につき政府職員との均衡をはかること、第四に、国会職員の組合の結成に関して規定を設けること、第五に、国会職員の政治的行為の制限を規定すること、第六に、常任委員会専門員については、一般の国会職員に関する分限、保障、服務、懲戒の規定の適用を除外すること、第七に、旅費及び公務災害の補償の根拠規定を設けること、第八に、職員の能率増進計画に関し新たに規定を設けることなどでありまして、以上の諸点は国家公務員法等の趣旨に沿うたものであります。
 次に衆議院事務局職員定員規程の一部を改正する規程案につき御説明申し上げますれば、その改正の要点は、第一は、休職者を定員外の扱いとすること、第二は、主事補等の職員の定員は事務総長が予算の範囲内で定めることとすること、第三は、行政整理、新規増員及び臨時定員を本定員に移しかえることなどにより参事と主事の定員を変更することであります。
 なお衆議院法制局職員定員規定の一部を改正する規程案の改正の要点は、第一、休職者を定員外の扱いとすること、第二、主事補等の職員の定員を法制局長が予算の範囲内で定めることとすることであります。
 以上の三件は、議院運営委員会庶務小委員会で愼重に検討の上成案を起草し、去る六月十七日議院運営委員会に付託せられ、昨十八日多数をもつて可決せられたのであります、何とぞ御賛成を願います。
 右御報告申し上げます。(拍手)
○議長(林讓治君) 三案を一括して採決いたします。三案の委員長の報告はいずれも可決であります。三案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(林讓治君) 起立多数。よつて三案とも委員長報告の通り可決いたしました。(拍手)
     ――――◇―――――
○議長(林讓治君) 日程第八、水産業協同組合法の一部を改正する法律案、日程第九、農林漁業組合再建整備法の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。水産委員長川村善八郎君。
    〔川村善八郎君登壇〕
○川村善八郎君 ただいま議題となりました水産業協同組合法の一部を改正する法律案及び農林漁業組合再建整備法の一部を改正する法律案につきまして、水産委員会における審議の経過並びに結果について御報告いたします。
 まず水産業協同組会法の一部を改正する法律案について御説明申し上げます。本案は参議院の議員提出であつて、去る六月九日、当水産委員会に付託されたものであります。翌十日、参議院議員木下辰雄君より提案理由を聽取し、ただちに質疑に入つたのであります。
 まず原案の要旨を御説明いたします。従来、水産業協同組合連合会は、その地区が都道府県の区域を超えないこと、あるいはまた所属員たる組合の数が三百を越えないこと、この二点について規模の制限があつたのであります。この規模の制限規定を撤廃せんとするものでありますから、もちろんこの趣旨については水産委員といたしましては賛成でありますが、この規模の制限を撤廃した後に起るであろう事態等について、その後数回にわたつて委員会を開き、愼重に審議をいたしました結果、過去におけるこの種の全国的組織の前例、あるいは発達途上にある現在の漁業協同組合の実態等からいたしまして、規模の制限を撤廃しつぱなしでは危険がなきにしもあらずとして、この点について修正を加えることに、六月十三日の理事会及び翌十四日の委員会において意見がまとまつたのであります。昨十八日委員会を開き、本件の審議を進めるにあたり、松田鐵藏君より次の修正案が提出されましたので、ただちに趣旨弁明を聞いたのであります。
 その内容を簡單に申し上げます。水産業協同組合法の規定により連合会が行うことができる十三の事業のうち、全国を地区とする連合会については、特に重大なる影響を持つこと等を考慮して、所属員の事業に必要な物資の供給及び共同利用に関する施設並びに漁獲物等の運搬、加工、保管または販売、あるいは般だまり等漁業設備、以上四つの事業についてこれを行わんとするときには、農林大臣の認可を受けなければならないように義務づけるほか、毎年事業計画書その他必要なる書類を農林大臣に提出することにし、もしこの認可を受けた事業が健全に行われていないと認めたときは認可の取消しをすることができるようにした次第であります。もちろん、全国を地区とする連合会以外の連合会については何らの規制もいたしておらないのであります。
 以上が修正案の内容でありまして、本修正案について質疑をいたしましたところ、小松委員より、修正案の趣旨は水産業協同組合法の根本精神に反するものではないか、あるいは石原委員からは、水産業協同組合法は全般的に改正する必要がある等の意見があり、それぞれ修正案提出者より答弁があり、結局本修正案は暫定的措置として必要であるとの結論を得て質疑を終り、討論を省略して、ただちに修正案及び原案について採決いたしましたところ、いずれも全会一致をもつて可決すべきものと決定いたした次第であります。
 次に、農林漁業組合再建整備法の一部を改正する法律案について御説明申し上げます。この法律案は非常に簡單な内容のものでありますので、提案理由及び内容を一括して御説明申し上げます。
 第十回国会において制定された農林漁業組合再建整備法により、組合は再建整備計画を立て、再建に努力を続けているのであります。御存じのように、現行法の第四條の再建整備の目標には二点ありまして、第一点は、固定化債権と固定化在庫品を資金化することを規定し、第二点は、固定資産と欠損金の合計以上になるまで自己資本を増加しなければならないことになつているのであります。現下の漁業協同組合及び同連合会においては、第二の点に関連して不合理の点が若干生じて参つたのであります。すなわち、農林漁業資金融通法等により、組合は製氷冷凍施設等の設備資金の融資を受けられることになつているのでありますが、もし再建整備組合がこのような割賦償還の長期資金の融資を受けて以上のような設備をした場合には、固定資産がそれだけ増加するわけでありますので、現行法により、五年以内に自己資本をそれに相当する額だけ増加しなければならないのであります。現在でも相当多額の増資をしなければならない状態である上に、さらに償還期限の到来していないものについても増資することは、きわめて困難なことでございます。ゆえに、現行法の第四條に一項を加えて、自己資本の算定にあたつては、固定資産の取得または拡充のための借入金のうちで、いまだ返済期限の来ていない残額については、固定資産の価額の算定から除くことができるとしたのであります。従つて、残額に相当する分だけの自己資本の増資をしなくともよいことにして、この再建整備組合の目的達成を容易ならしめようとしたのであります。以上が本案の提案理由及び内容の要旨であります。
 本案は、六月十八日、鈴木善幸君外十五名の水産委員なり提出せられ、水産委員会に付託されたものでありまして、同日、本委員会において鈴木君よわ提案理由の説明を聞いたのであります。この改正案は、まことに適切なる改正であるため、質疑の発言もなく、従つて討論の通告もなかつたので、これを省略し、採決いたしましたところ、全員賛成をもつて可決すべきものと決定した次第であります。
 以上御報告申し上げます。(拍手)
○議長(林讓治君) まず日程第八につき採決いたします。本案の委員長の報告は修正であります。本案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(林讓治君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り決しました。
 次に日程第九につき採決いたします。本案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(林讓治君) 御異議なしと認めます。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。
     ――――◇―――――
○議長(林讓治君) 日程第十、産業教育振興法の一部を改正する法律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。文部委員長竹尾弌君。
    〔竹尾弌君登壇〕
○竹尾弌君 ただいま議題になりました産業教育振興法の一部を改正する法律案につきまして、その内容の概略を御説明申し上げますとともに、審議の経過を御報告いたします。
 産業教育振興法は、さきの第十国会において成立したのでございますが、これが実施後の状況にかんがみまして、次の諸点について改正する必要を生じたのであります。
 まずその第一点は、この法律によりますると、産業教育の振興をはかる責任者は地方公共団体ということになつておりましたが、地方公共団体のみならず、国自身も産業教育の振興に当るというように改めたのであります。
 次に第二点といたしまして、産業教育は実験実習をもつて生命といたしますので、産業教育関係から生じまする収益を、従来の予算のほかに、できるだけその実験実習に必要な経費としてこれを還元せしめることによりまして、一層その教育効果をあげ得るようにしようとするものであります。
 次に第三点として、産業教育は技術の教育が中心となりますので、優秀な技術と経験を持つ教員を比較的多数必要といたします。しかるに、これらの教員は、他の学科に従事する教員に比較して、その勤務時間が長くなる上に、苦労も多いのでありますが、一方におきまして、かような技術者は、民間での待遇が一般に上まわつておりますために、優秀な教員を得ることが困難な事情にあるのでございます。従いまして、その待遇、資格及び定員等について特別な措置を講じ、その障害を取除く必要があるのであります。
 最後に第四点といたしまして、産業教育に要する教科書は、その内容が多種多様にわかれておりますが、これを使用する部数が、その部門によつてはきわめて少い上に、技術に関するものが多いのでありますから、年とともに、その進歩に応じて頻繁に改訂をしなければならないのであります。従いまして、その編修、検定ないし発行、特に価格に関し特別な措置を講ずる必要があるのであります。
 なお、以上第二点以下の具体的な措置については幾多の法令の改正にまたなければなりませんので、ここにはまずその基本精神だけを掲げまして、今後の方向を指示することにいたしたのであります。
 本法案は、去る五月二日文部委員会に付託せられたのでありますが、爾来愼重な審議をこらしまして、六月十八日質疑を終了いたしましたところ、坂本泰良君より修正案が提出せられました。
 次いで、討論を省略、右修正案及び原案を一括採決いたしました結果、修正案は起立少数をもつて否決せられ、原案の通り全会一致をもつて可決せられました。
 以上をもつて御報告を終ります。(拍手)
○議長(林讓治君) 採決いたします。本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(林讓治君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。
     ――――◇―――――
○議長(林讓治君) 日程第十一、航空法案、日程第十二、日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障條約に基く行政協定の実施に伴う航空法の特例に関する法律案、日程第十三、旅行あつ旋業法案、右三案を一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。運輸委員長岡村利右衞門君。
  (岡村利右衞門君登壇〕
○岡村利右衞門君 ただいま一括上程になりました航空法案、日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障條約に基く行政協定の実施に伴う航空法の特例に関する法律案及び旅行あつ旋業法案につき、運輸委員会における審査の経過並びに結果を報告いたします。
 まず航空法案の趣旨を簡單に説明いたします。
 終戰後におけるわが国の航空活動は、連合国最高司令官の指令及び覺書により全面的に禁止され、その後昭和二十五年六月に発せられた覺書により、日本国内における航空運送事業の営業活動のみが許されていたにすぎませんが、昨年九月締結された平和條約には、わが国の航空活動については何らの制限を付しておりません。従つて、同條約の効力発生後は、全面的な自由が回復されることになつたのであります。しかるに、航空に関する現行法規といたしましては、国内航空運送事業会と外国人の国際航空運送事業に関する政令の二つのポツダム政令がありますが、いずれも今後の事態に適用するには不適当かつ不十分でありますので、これを廃止いたしまして、新しい観点から航空活動の全般について所要の規定を設けようとするのが、本法案の趣旨であります。
 次に、その内容のおもなる点を申し上げます。国際民間航空條約の規定及び同條約の附属書として採択されている標準、方式及び手続に従い、航空機の耐空性に関する基準、航空従業者の資格、航空保安施設の設置及び管理の基準、航空機の運航方法等を定めることともに、航空運送事業の秩序を確立して、航空事業の健全な発達をはかるため必要な規定を内容としているものであります。
 本法案は、去る四月二十八日、本委員会に付託され、五月七日政府より提案理由の説明を聽取し、委員会を開くこと十回、また通商産業委員会と六回にわたり連合審査会を行う等、愼重に審査を行い、熱心なる質疑が行われ、特に生産施設、製造過程、耐空性等に関する検査は運輸省で一括一元的に行うべきであると各委員会が強く主張し、航空小委員会における参考人の意見も同様であります。その他詳細は会議録に譲ることにいたします。
 次に尾崎末吉君より修正案が提出されましたが、その趣旨及び内容を申し上げますと、航空機の耐空性に関する検査の責任の所在を明確にすることと、検査行政を円滑にするため第十條第六項及び第七項並びにこれが関係條項を削除しようとするものであります。
 かくて、修正案並びに原案について討論に入り、日本共産党を代表して江崎一治君より両案に対し反対の意見が述べられました。
 次いで修正案について採決の結果、起立多数をもつて可決され、引続き修正部分を除く原案について採決いたしましたところ、これまた起立多数をもつて可決され、本法案は修正議決すべきものと決定しだ次第であります。
 次に、航空法の特例に関する法律案について申し上げます。
 まず本法案の趣旨を簡單に説明いたします。日本国とアヌリカ合衆国との間の安全保障條約に基く行政協定の実施に伴いまして、日本国に駐留する合衆国軍隊が使用する飛行場、航空保安施設、航空機及びその乗組員について、行政協定第二條、第三條及び第四條の規定により、航空法の適用について特例を設けようとするのが、本法案の趣旨であります。
 次に、その内容の要点を申し上げます。まず第一点は、駐留軍が使用する飛行場または航空保安施設を設置する際には航空庁長官の許可を要しないことといたそうとするのであります。第二点は、合衆国によつて、合衆国のために、また合衆国の管理のもとに、公の目的で運航される航空機及び乗組員につきましては、耐空証明、指定無線通信機器の検査、技能証明、操縦教育証明、外国航空機の本邦への飛来、外国航空機の国内使用、外国航空機の軍需品の輸送及び航空法第百三十一條による証明書等の承認等、これらの規定の適用を除外しようとするのであります。第三点は、航空法第六章の規定は、政令で定めるものを除き適用しないことといたそうとするのであります。
 本法案は、四月二十八日、本委員会に付託され、五月七日政府より提案理由の説明を聽取し、六月十八日討論に入り、日本共産党を代表して江崎一治君より反対の意見が述べられました。
 かくて、採決の結果、本法案は多数をもつて政府原案通り可決すべきものと議決いたした次第であります。
 次に、旅行あつ旋業法案について申し上げます。
 本法案は、去る五月二十七日、予備審査として本委員会に付託され、同月三十日、提出者より提案理由の説明を聽取し、次いで六月十三日、本付託され、愼重に審査したのであります。
 本法案の趣旨を申し上げますと、最近における外客の来訪及び邦人の国内旅行の増加に伴い、邦人及び外国人を対象とする旅行あつせん業者の数も急激に増加いたしましたが、その中には悪質業者も少くなく、種々好ましからぬ事件を惹起しておる状態であります。従つて、これをこのまま放任しておきますと、国内旅行者の健全化を阻害するのみではなく、わが国国際観光事業の将来に暗影を投じ、国際親善、友好関係にも悪影響を及ぼす懸念があります。よつて、旅行あつせん業に対する指導監督を行うこととし、その健全なる育成をはかり、もつて内外旅客の待遇の向上に資そうとするのであります。
 次に本法案の内容は、旅行あつせん業者に対し登録制をとること、営業保証金を供託せしめること、あつせん料を届け出させること、営業の停止、登録の取消しをなし得ること等を定めようとするものであります。
 本法案に対しましては熱心な質疑応答がかわされたのでありますが、その詳細は会議録に譲りたいと存じます。
 かくて、本月十七日質疑を終了し、昨十八日討論を省略いたしまして採決の結果、多数をもつて本法案は原案通り可決すべきものと決した次第であります。
 以上報告申し上げます。(拍手)
○議長(林讓治君) 討論の通告があります。順次これを許します。山口シヅエ君。
    〔山口シヅエ君登壇〕
○山口シヅエ君 私は、日本社会党を代表して、ただいま上程されております航空法案に対する修正に反対をいたします。
 日本の講和独立とともに、航空機の製造並びに運航が許されることになりましたので、ここに航空機の航行の安全をはかり、航空事業の発達を期するための航空法案と、航空機工業の健全な発達をはかるための航空機製造法案とが提出されたのであります。従つて、日本の航空事業の発達のために、この両法案は車の両輪のごとく相関連し、相助関係にあるものであります。従つて、終戰以来まつたく空白状態にあつたわが国航空機の製造と、航行事業の急速な発達のために、両法案は首尾一貫した方針のもとに、最も有効適切な運用がはかられなければならないのであります。
 本航空法案の基本的な考え方は、航空機の製造に関する検査は通商産業省が行い、安全性に関する検査は運輸省が行うという建前であります。そして、安全性の検査をする必要のために、航空長官は航空機の製造過程について検査ができるということになつております。ただいま削除の提案がありました第十條の六項、七項は、以上述べた本法案の基本的な考えに従つて、航空長官が安全性の確保のために行う検査は、当該航空機の製造を行う工場の従業員であつて、政令で定めるもの、または通商産業大臣が運輸大臣と協議して指定する通商産業省の職員に行わせることとし、航空長官はこの検査に当る通産省の職員を指揮監督することができるというのであります。われわれの考えによりますれば、航空機の製造は通産省が検査し、航空庁は完成した航空機の受取り検査をすればよいのであつて、航空庁が製造過程に立ち入つて検査をすれば、二重検査の弊害を生ずると思うのであります。第十條の六項の規定は、この二重検査を最小限度にとどめようとする考慮から来たものなのであります。しかるに、これを削除すれば、製造過程について行う検査は一体だれが行うかがあいまいとなり、結局通産、運輸両省の間で話合いをしてきめなければならないのでありますが、そういうことは当然法律で明瞭に規定すべきものと思うのでございます。(拍手)もし話合いできめないとすれば、航空庁がやることになつて、いよいよ二重監督の弊害を助長することになり、本案の基本的な考え方がくずれて来るのであります。航空機製造法第八條に、製造した航空機について通商産業大臣の確認を受けなければならぬと明記されております。このようにして、いわばなわ張り争いから来る二重監督によつて迷惑をこうむるものは製造業者でありますが、そのために不測り損失を受けることもあるのでございます。
 聞くところによれば、與党内部で運輸、通産両省の立場にわかれて、はげしいなわ張り争いが行われた結果、以上のような妥協案が成立したということでございます。航空機の製造に重大な影響を及ぼす検査制度の問題が法律に明記されず、責任の所在をあいまいにして紛争を将来に残すとすれば、日本の航空機製造の将来のために決して得策ではないと信ずるものでございます。(拍手)
 第十條第六項の規定については、責任の所在をさらに明確にし、検査を一元化する方向への修正であるならば納得できるのでありますが、これを削除して一層あいまいにし、航空行政を複雑煩瑣にすることは絶対反対せざるを得ないのであります。
 以上、修正案に反対の理由を簡單に申し述べた次第でございます。(拍手)
○議長(林讓治君) 江崎一治君。
    〔江崎一治君登壇〕
○江崎一治君 私は、ただいま上程されました航空法案並びに日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障條約に基く行政協定の実施に伴う航空法の特例に関する法律案に対しまして、日本共産党を代表して反対するのであります。以下、その反対の理由を明らかにしたいと考えるのでございます。
 まず第一番に航空法案について述べますが、諸君もよく御存じの通り、この法案は、運輸委員会に付託されまして以来数十日の長きにわたつて、まつたくたなざらしになつておつた、いわく因縁つきの海案であります。この間、政府部内においては、本法案及び通産委員会所管の航空機製造法案をめぐつて、運輸、通産両省間に醜悪なる権限争いを続け、昨十八日に至るもいまだ意見の一致を見るに至らず、これに対する閣議の裁定も今や馬耳東風という乱脈ぶりであつたのであります。この両省のなわばり争いも、要するに航空関係業者の利潤争奪戰と密接に関連しておるのでありまして、彼らのねらいは日本の民間航空活動にあらずして、アメリカ占領軍が発注するだろうところの軍用航空機材にあることは、今や明瞭であるのでございます。本法案は、わが民間航空の基礎を確立し、航空の安全とその健全なる発達をはかることをもつて目的としておるといいますが、その実際は、行政協定の実施に伴う本法の特例に関する法律案によつてまつたく骨抜きになり、残るものは、アメリカ帝国主義者とその手先である売国奴との合作により、日本の民間航空事業並びに日本の航空関係従業者をあげてアメリカ帝国主義に奉仕させ、アジア侵略の要員に仕上げんとするところの隠れたねらいがあるのであります。何と驚くべき奸知にたけた立法詐術ではありませんか。
 諸君、今こそ、多くの日本人の生命を一瞬にして奪つた、あのもく星号墜落事件を思い出すべきであると考えるのであります。もく星号は、マーチンの二〇二型といいまして、アメリカの飛行機操縦士協会から乗務を拒絶されていたばかりか、アメリカの民間航空局から設計変更まで命ぜられたしろものであります。日航は、こんなボロ飛行機をノースウエスト航空会社から平身低頭して借り受けたのでありますが、さてこのボロ飛行機には、百六十五万ドル、邦貨に換算いたしますと五億九千四百万円という莫大な保険契約が結ばれておつたのであります。日航は遭難者三十三名に対しそれぞれ百万円支拂つたので、その総額は三千三百万円となるのでありますが、かりにこの全金額をノースウエストが支拂つたとしても、残りの五億六千百万円が、ボロ飛行機と交換に、ノースウエスト航空会社のふところにころがり込む勘定と相成るわけであります。抜け目のない狡猾な人種のことを、われわれは、ころんでもただでは起きないやつだと言います。ノースウエスト航空会社は、三十七名の人命と、一台のボロ飛行機の代償に、五億余円の不当利得を得たのであります。これこそ航空法の本質であり、吉田・岡崎外交の本質を遺憾なく現わしたものといわなければなりません。
 さらに驚くべきことは、行政協定の実施に伴う航空法の特例に関する法律案であります。この法案の内容を一口で申し上げますと、アメリカ占領軍に対して、日本国内の航空行政の一切をあげて白紙委任したことになるのでありまして、これによつて、日本の航空庁長官はアメリカ極東空軍のよき召使となるでありましよう。
 まず第一に、飛行場設置に関して言えば、アメリカ占領軍は、いつでも、すきな地点に、ほしいだけの土地を日本の国民から取上げて、飛行場を建設することができるのであります。第二に、アメリカ占領軍の飛行機は、航空法で禁止されているところの編隊飛行をやろうと、超低空飛行をやろうと、宙返りをやろうと、飛行禁止の区域を飛ぼうと、一切おかまいなしであります。その上に、国籍の表示の義務すら負わないのであります。第三に、航空法で禁止しておるところの航空機からの物件の投下、落下傘の降下、爆発物の輸送の禁止及び航空機の燈火による表示等の義務がないのであります。これでは、日本の空はすでに日本人の空ではありません。
 日本の空と日本の領土内に設けられた航空基地は、アメリカ帝国主義者のアジア侵略の基地となり、平和を愛するアジア五億の人民に対する殺戮の根拠地となるばかりか、ひいてはわが日本国民を再び戰争の惨禍に陥れるはめに至ることは、火を見るよりも明らかであります。時も時、昨日、ラジオ放送は、米軍軍事基地に近接した地域の日本国民に対し、防空訓練に協力するよう勧告しておるのであります。真に日本の民族の独立と平和を愛する日本人ならば、何人といえども、この両法案に反対せざるを得ないと考えるのであります。
 日本共産党は、かかる売国的両法案に対し絶対に反対するとともに、その粉砕のために今後徹底的に闘うことを明確にしておきます。(拍手)
○議長(林讓治君) 石野久男君。
    〔石野久男君登壇〕
○石野久男君 私は、労働者農民党を代表して、ただいま上程されておる航空法案及び航空法の特例に関する両案に対して反対し、同時に、自由党から提出されておりまする修正案にも反対の意思を表明するものであります。
 航空法を制定する目的は、第一條が明示しておるごとくに、民間航空の発達のために航行の安全をはかる方法を規定し、かつこの事業の秩序を確立する点にあります。近代における総合工業といわれる航空機を十二分に活用できる航空業を育成発達せしめることは、わが国の産業経済施策として必要であることをわれわれはまた認めるのでございます。しかるにもかかわらず、われわれがあえて本法案に反対せざるを得ない理由は、次の諸点であります。
 第一に、本法案の立案過程並びに法案の内容を通じて、行政所管に関するきわめて不明朗な経緯があり、法の効果発生後において、法が意図する航空の発達のため、ぬぐい切れぬ疑義を内包していることであります。去る四月九日、もく星号の惨事は、わが国航空史上に幾多の得がたい教訓と示唆とを與えたものであると信ずるのであります。営業面については、政府の監督のもとに、日本航空会社がその衝に当り、所有、運航、整備についてはノースウエスト航空会社が責任に任じている事実は、この惨事の収拾のために多くの難問題を提起しております。航空事業についての最近のこの実例は、本法制定の審議にきわめて重要な予見を與えておるものであります。
 さきに航空に関する諸研究をゆだねられた航空審議会は、きわめてわずかの反対を除いて、政府に航空行政上の一元化の必要なることを答申しているのであります。しかるに、吉田内閣は、四月二十八日閣議決定を行つて、きわめて不可解なる指示をしたのでございます。型式証明、耐空証明から、航空機の安全性に関する行政上の責任は運輸大臣にゆだね、生産施設及び生産技術検査の責めを通産大臣に所管せしめることに規定されているのでありますが、このことは航空行政上きわめて重大なことであり、航空の全面的直接責任の地位にある大場航空庁長官をして、運輸・通産連合委員会の席上、航空行政に対する困難と危惧が感ぜられ、安全の責任がとれないとまで言わしめておるのであり、また同長官をして、こういうことでは航空行政上の思想の一部を変更せねばならぬとさえ言わせておるのであります。この混乱が本法の内容として包蔵されておるのであります。だからこそ、自由党内部においてすら、幾たびかにわたる折衝が代議士会あるいは政調会で行われて、難澁と醜態を暴露したではありませんか。
 吉田内閣のもとに設置せられた航空審議会の答申が、閣議で通産省と運輸省とにけんか両成敗的な措置をされたことは、放置できない不祥事であります。党内または閣内における諸関係が、一国の法律の中に明朗性を欠いた形で現われるということは、許しがたいことであるといわなければならないのであります。しかも、法案自体の中には、担当当局が安心してその業務につくことに危惧を生ぜしめるような事態があるということは、重要視しなければならないことであります。もく星号の惨事がいまだ耳新しいものであるだけに、一層強く航空行政の基本的考察が要望せられている際に、閣内または党内の派閥や利害に左右される、悪臭紛々たる感じのする本法の不明朗性は、将来に禍根を残すものであると断ぜなければならないのであります。自由党の諸氏が提案する修正案をもつてしても、この基本的な面から発生する弊害は除去することができ得ないものであると信ずるがゆえに、わが党は、立法の責任の立場からも、国民のための国民経済的見地からも、本法案に反対するものであります。
 第二点は、本法施行にあたつて行われる行為及び制限がきわめて非民主的な取扱いに終始していることであり、このため大衆のこうむるであろう被害に対する何らの救済策がないということであります。第三十九條が規定する申請の審査にあたつてなされる行為は、利害関係者による公聽会がわずかばかりの救済策でありますが、四十條の告示が行われた後には、ぼとんど救済策がありません。四十九條の物件制限が行われるに及ぶと、近隣地の受ける被害は、けだし想像に絶するものがあるということは、過去の経験に徴して、われわれは想起しなければならない事実であります。これに加うるに、第百六十一條の十六号によつて土地収用法の改正が行われるに及んでは、付近の住民にとつては万事休するということになるのであります。すでに上程されている航空機製造法案とともに、これらの製造業者、運航業者に手厚い施策が行われようとしている本法案は、大工業資本と銀行資本に奉仕して、大衆を収奪する内容を持つているといことに対して、われわれは反対するのであります。
 第三点は、本法案は、民間航空事業の発達を期待しているにもかかわらず、むしろそれとは別個に、すでに政府が明示しているサンフランシスコ條約から行政協定に及ぶ一連の日本再軍備の方向と軌を一にしているということであります。この法案が上程されると同時に、学生航空連盟が発足し、航空に関する諸活動が頻発して来ているということは、私どもに戰時中の学生航空隊、少年航空兵を想起せしめるのであります。本法案第八十七條の規定する無操縦者航空機に関する規定は、近時航空機の発達がわれわれの予想以上に進歩しているという現実並びに航空機は当分米国のものを輸入することを前提としている日本の実情のもとでは、いろいろの疑義を持たしめるのであります。
 また本法は、国際民間航空條約の規定の趣旨に従つてつくられたものであることは、提案説明者によつて明らかにされているのでありますが、この国際民間航空條約は、各国が軍備を保持し、軍用機を使用することを建前としているものであります。本法案の提案者は、日本国憲法第九條において、軍備特に空軍に触れて、それらを所持することを否定しておる規定については、何らの考慮を拂つていないのみか、そのような状況下における航空の発達を考慮して本法の立案に当つたものとは思考されないのであります。かかる意味からして、本法案は、民間航空の発達の美名に隠れて、米国航空事業家及び資本家のわが国における販路の安定と確保のための役立ちを背負い、公然の秘密として着々進められている再軍備への基礎作業だと断ぜざるを得ないのであります。(拍手)
 同時に上程となつている行政協定の実施に伴う航空法の特例に関する法律案は、最も具体的に現われた、このよい例であると思うのであります。軍備を持たず、独立を呼号する日本は、国際民間航空條約の第一條に「締約国は、各国がその領土上の空間において完全且つ排他的な主権を有することを承認する。」と明瞭に規定している主権が、この特例によつて排除されるのであります。私は重ねて言う。民間航空の美名に隠れて再軍備を用意し、利害関係によつて法の内容が混乱されている航空法案及びこの法案で自国の主権をみずから放棄する内容を持つ特例法案に対して、労働者農民党は絶対に反対することを表明いたしまして、私の討論を終る次第であります。(拍手)
○議長(林讓治君) これにて討論は終局いたしました。
 まず日程第十一につき採決いたします。本案の委員長の報告は修正であります。本案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(林讓治君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り決しました。(拍手)
 次に日程第十二につき採決いたします。本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(林讓治君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。(拍手)
 次に日程第十三につき採決いたします。本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(林讓治君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。(拍手)
     ――――◇―――――
○議長(林讓治君) 日程第十四は委員長提出の議案でありますから、委員会の審査を省略するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(林讓治君) 御異議なしと認めます。
 日程第十四、国立国会図書館法第二十條の規定により行政各部門に置かれる支部図書館及びその職員に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。提出者の趣旨弁明を許します。図書館運営委員長菊池義郎君。
    〔菊池義郎君登壇〕
○菊池義郎君 ただいま議題となりました国立国会図書館法第二十條の規定により行政各部門に置かれる支部図書館及びその職員に関する法律の一部を改正する法律案について、その提案の理由を簡單に御説明申し上げます。
 行政各部門の二十支部図書館の設置の確認と、これらの支部図書館に専任の職員を置くため、昭和二十四年法律第百一号として、国立国会図書館法第七十條の規定により行政各部門に置かれる支部図書館及びその職員に関する法律が制定されましたが、その後、支部日本学術会議図書館その他の新しい支部図書館の設置を見るに至り、地方既設支部図書館の廃止があり、また今度り行政機構改革諸法案が成立いたしますれば、これに伴つて支部図書館の一部廃止、名称の変更等も行わなければなりませんので、所要の改正を行うため本法律案を提出いたした次第であります。
 何とぞ愼重御審議の上、すみやかに御賛同あらんことをお願いいたします。
○議長(林讓治君) 採決いたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(林讓治君) 起立多数。よつて本案は可決いたしました。
     ――――◇―――――
○福永健司君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、内閣提出、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案を議題となし、この際委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
○議長(林讓治君) 福永君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(林讓治君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。経済安定委員福田喜東君。
    〔福田喜東君登壇〕
○福田喜東君 ただいま議題となりました私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案について、委員会における審議の経過並びに結果を御報告いたします。
 本改正案は、行政機構の簡素化と合理化をはかるために、公正取引委員会の組織及び権限を規定する私的独占禁止法第八章の規定に所要の改正を加えることを目的としたものであります。
 その主要なる改正点を申し上げますれば、第一は、委員の定数を七人から五人に減少せしめ、これに伴つて、委員会の議事定足数を、委員長を含めて四人から三人に減少せしめたことであります。
 第二は、事務局に新たに事務局長を置くとともに、部の改廃を行い、従来の総務部を官房とし、従来の調査部、商事部及び審査部の三部を経済部及び審査部の二部に縮小したことであります。
 第三は、委員長及び委員の任命方法に関して、他の諸委員会の例にならいまして、国会閉会または衆議院解散の場合においては、総理大臣はひとまず委員長または委員を任命し、事後に両議院の同意を得ればよいように改めるとともに、従来任命一般につき單に衆議院の同意のみで足つていたのを、両議院の同意を必要とするように改めたことであります。
 第四は、審判官の法定化であります。従来、審判官の地位が法律上不明確でありましたので、新たに規定を設けて審判官の地位の向上をはかり、実際の審判を主宰する審判官を五人以内置くこととして、迅速、公平なる事件処理を期することとしたのであります。
 第五は、国家行政組織法に基き、都の所掌事務を法定化したことであります。
 本案につきましては、去る五月二十日に提案理由の説明を聽取し、引続き六月六日及び九日に審議を行いましたが、その詳細については委員会の速記録をごらんくださるようお願いいたします。
 かくて、本日、本改正案の討論を行いましたが、自由党を代表して私が賛成の意見を述べるとともに、私的独占禁止法の根本的改正が必要であるから、政府においてはすみやかにその準備をなすべきことを要望し、改進党を代表して笹山委員が、日本経済の実情に合致するよう、経済民主化のため私的独占禁止法の根本的改正を要望して賛成の意見を述べられました。
 次に採決に入りましたが、全員一致をもつて原案の通り可決いたしました。
 右御報告を申し上げます。
○議長(林讓治君) 採決いたします。本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(林讓治君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。
     ――――◇―――――
○福永健司君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、佐藤重遠君外二十三名提出、昭和二十六年産米穀の超過供出等についての奨励金に対する所得税の臨時特例に関する法律案を議題となし、この際委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
○議長(林讓治君) 福永君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(林讓治君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
 昭和二十六年産米穀の超過供出等についての奨励金に対する所得税の臨時特例に関する法律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。大蔵委員長佐藤重遠君。
    〔佐藤重遠君登壇〕
○佐藤重遠君 ただいま議題となりました昭和二十六年産米穀の超過供出等についての奨励金に対する所得税の臨時特例に関する法律案について、大蔵委員会における審議の経過並びに結果を簡單に御報告申し上げます。
 御承知の通り、昭和二十六年産米穀の生産高は、災害等の事情によりまして約六千二十七万石にとどまり、前年の約六千四百三十三万石に対しまして相当の減収となつたのでありまして、このため、供出割当数量も、前年の約二千八百八十四万石に対して、約二千四百四十七万石に減額されるに至つたのであります。ここにおいて、配給食糧確保のために、供出完遂はもちろんのこと、進んで超過供出にまつ必要が非常に強くなつたりでありますが、一方、この間諸般の状況から供出割当が遅延する等の事情があり、供出面において種々の困難を生じたのであります。
 そこで、政府においては、右のような特殊の事情にかんがみまして、超過供出の促進に資するために、いわゆる超過供出奨励金を交付するとともに、匿名供出を認め、さらにこれに関連して、超過供出奨励金に対する昭和二十七年分の所得税については、何らかの措置によりこれを課税対象から除外することを考慮する旨の発表があつたのでございます。これらの措置によりまして、幸い農民諸君の協力を得、供出成績も逐次上昇し、本年五月末現在の供出数量は約二千五百十六万石に達し、各農家についての超過供出数量も総額約百四十余万石に達するものと推定されるに至つたのでございまして、国民生活の安定に資するところ少くないものと存ずるのであります。
 しかして、超過供出奨励金に対する所得税につきましては、あるいは政府の行政的措置により、これを課税しないこととするという意見もあつたのでございますが、これでは所得税法の適用上困難な問題があると認められ、措置の徹底を欠くおそれもあると考えられますので、これを立法により明確にすることが適当であると認め、ここに本法律案を提出することとした次第でございます。しかして、この措置を講ずることといたしましたゆえんは、もつぱら以上に述べましたような、やむを得ない特殊の事情及び経緯に基くものでありますから、本法律案も、二十六年産米穀についての一年限りの臨時立法としているのであります。
 この法律案は、不肖佐藤重遠外二十二名の提出にかかるものでありまして、本日、提案者小山長規君の提案理由の説明を聽取し、即日質疑を打切り、ただちに討論を省略の上採決いたしましたところ、起立総員をもつて原案の通り可決いたしました。
 右御報告申し上げます。(拍手)
○議長(林讓治君) 採決いたします。本案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(林讓治君) 御異議なしと認めます。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。
 明二十日は定刻より本会議を開きます。本日はこれにて散会いたします。
    午後四時四十二分散会