第013回国会 本会議 第4号
昭和二十六年十二月十五日(土曜日)
 議事日程 第四号
    午後一時開議
   質 問
 一 ダレス、吉田会談に関する緊給質問(竹山祐太郎君提出)
 二 第七次造船に関する緊急質問(大山省三君提出)
 三 麦類作付面積減少に関する緊急質問(竹村奈良一君提出)
 四 再軍備及び中国政府との国交等政府の外交方針に関する緊急質問(赤松勇君提出)
    ―――――――――――――
●本日の会議に付した事件
 両院法規委員辞任の件
 両院法規委員の補欠選挙
 議事進行に関する動議(椎熊三郎君提出)
 土井直作君の議事進行に関する発言第七次浩船に関する緊急質問(大矢省三君提出)
 麦類作付面積減少に関する緊急質問(竹村奈良一君提出)
 再軍備及び中国政府との国交等政府の外交方針に関する緊急質問(赤松勇君提出)
 宮内庁法の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)
 国家公務員法等の一部を改正する法律案(本院提出、参議院回付)
 国家公務員法等の一部を改正する法律案(本院議決案)
    午後二時二十五分開議
○議長(林讓治君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
○議長(林讓治君) お諮りいたします。両院法規委員会の委員田中不破三君から委員辞任の申出があります。これを許可するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(林讓治君) 御異議なしと認めます。よつて許可するに決しました。
     ――――◇―――――
○議長(林讓治君) つきましては、委員に一名の欠員を生じましたので、この際両院法規委員会の本員の補欠選挙を行います。
    ―――――――――――――
○福永健司君 両院法規委員会の委員の選挙は、その手続を省略して、議長において指名せられんことを望みます。
○議長(林讓治君) 福永君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(林讓治君) 御異議なしと認めます。よつて議長は牧野寛索君を両院法規委員会の委員に指名いたします。(拍手)
     ――――◇―――――
○議長(林讓治君) 椎熊三郎君から議事進行に関する動議が提出されております。この際これを許します。椎熊三郎君。
    〔椎熊三郎君登壇〕
○椎熊三郎君 本日のこの本会議に、われわれは非常に重大な緊急質問をいたそうと存じております。お手元に配付されましたる日程表にも、その質問の第一に、ダレス、吉田会談に関する緊急質問が、わが党の竹山祐太郎君から提出されてございます。昨日の運営委員会におきましては、これが取上げられて、本日上程することに決定しておつた問題でございます。しかるに、本日開かれましたる運営委員会におきまして、與党側の委員よりの説明によると、この重大なる質問があるにもかかわりませず、総理大臣にして外務大臣を兼職せらるる吉田さんは、所労のため登院いたしかねるとのことでございました。しかも先般来、土曜日になるとお病気にならるる惡習慣を持つておられる。(拍手)それはともかくといたしまして、病気とあらば、これはやむを得ないのであります。
 私どもは、ダレス、吉田、この両者の会談は、今や日本民族の運命を決する重大なる会談であると心得ております。さきに、われわれは、講和條約並びに安保條約を承認いたしました。従つて、この安保條約の内容につきましては、行政協定にゆだねる多くの重大問題があつたことは諸君御承知の通り。しかも、その内容は、国民としては知る由もない。ダレスさんは、そのために日本に来られておる。先旧来、吉田総理大臣との会談は、数回にわたつて、しかも数時間にわたつて行われております。新聞紙の報ずるところによれば、この会談の内容は、実に重大なる内容を包蔵しておるように思われます。本日の新聞によると、この会談の内容の一部分が世間に漏れたということで、外務次官井口君が進退伺いを出したということである。これほど重大な問題なんだ。しかも、新聞の報ずるところによると、わが国の再軍備の問題が明確に伝えられておる。国連憲章によると、これの加盟責任を持つ国は武装兵力と援助と便益を提供しなければならぬと書いてある。しかも、すでに講和條約締結の当初より、日本におけるこの武装兵力の問題は、日本政府との間に了解済みであるとのダレスさんの意見が新聞紙上に伝わつております。しかるに、吉田総理大臣は、昨年以来今日に至るまで、国会の開かるるごとに、軍隊は断じて持たないと言明しておる。
 われわれは、この逼迫せる国際情勢下にあつて、わが国が自主独立権を持つとき、はたしてわが国の防衛はだれがするのか、その内容こそは、まさに民族の運命を決する重大問題でなければならぬ。こういう問題がまさに論議せられておる、――諸君はこれを笑うが、これを聞かずに諸君は国に帰れるか。諸君、これほど重大なる案件が国の運命を賭して論じられておる際、国会開会中、一国の総理大臣、しかも外務大臣は、みずから進んでも議会を通じて国民に了解を遂げることこそ責任ある政治家の態度ではあるまいか。(拍手)
 しかるに、吉田さん生来の行動は、常に議会を軽視し、事あれば議会への登院をやめて、しかも、あるいは箱根であるとか、大磯であるとか、この重大なる時局に、彼はいつも遁走しておるような形を見せておる。無責任もはなはだしいではないか。日本の国家がどうなるかという心配の最中に、議会でこれほどの質問が出たことを知りつつ、彼は回避するの態度に出ておる。日本の将来の発展上、この重大なる段階に、民主主義国会がこんなに軽蔑せらるるということは、日本の前途に暗影を投ずるものだと思うのであります。(拍手)
 この竹山祐太郎君提出の質問は、ダレス・吉由会談の内容に関しての緊急質問なんです。政府は與党側を通じて運営委員会に言うことには、総理大臣が病気だから代理の者をもつて答弁せしむる、これは何事だ。(「それでいいよ」と呼ぶ者あり)何がいいか。だれがダレスと吉田の会談の代理ができる。ダレスと吉田が会談したんですぞ。一国の最高の外交責任者を度外視してこれ以下の者、会談にも立ち会わぬ者が、どうしてこの答弁ができるというのか。(拍手)
 私どもは、何も政府をいじめるのでない。病気とあらばやむを得ぬ。明日からは国会は自然休会に入りそうですが、幸いなるかな、院議をもつて休会を決定しだのではない。従つて、重要案件あらば、いつでも国会は開かるるの状態にございます。国家内外の情勢から見て、まことに機宜の処置であつたと私は思う。自然休会をひとまず申し合せたとは言い條、これほどの重大問題が案件として提議せられておる以上、あすから国会を休むなどということは、国民の前には言われぬでじよう。すなわち、われわれは、来る十七日月曜日に特に本会議を開いて、吉田総理大臣の出席を求め、わが党の竹山祐太郎君から、国民を代表し、議会を通じて、この重大案件に対する質疑を展開したいのでございます。
 諸君、たれがこれに反対することができましようか。十七日本会議を開くことを、多数の暴力的行動によつつ圧迫し、これを葬り去らんとするがごとき行動は、多数党といたしましても、與党といたしましても、国会の権威をみずから冒涜し、国会の自殺行為であると私は思う。(拍手)そういうことでは、われわれは、時局重大の際、国民の負託にこたえて、その職責を全うしたことには相ならないのでございます。自由党の諸君も静かにこのことを考慮せられて、民族の運命を決するの日、この重大なる問題を聞かんとする国民の要望にこたえて、私の十二月十七日午後一時をもつて本会議を開くべしとの動議には、ぜひとも諸君は賛成していただきたいのであります。
 外交問題ですから、非常に微妙な点もございましよう。私は、あえて国家のために不利益になる点を楊子でほじくるような意地悪行動をするというのではないのです。ほんとうにわれわれの聞きたいめは、一体日本は安全保障條約の内容にるいてどういう方向に進むかということなんです。官田さんは、繰返して軍備反対を唱えておる。それが真意かどうか、軍備に反対で、どうして国連憲章にうたうところの責任を分担することができるのか、こういう点を聞きたいのです。諸君も、政党政派的な、ちつぽけなる感情を度外視して、民族のために、日本のために、来る十七日、郷里に帰るのを一日延ばして本会議を開くべし。私は、ここに緊急動議として、十二月十七日本会議を開くべしとの動議を提出いたします。満場の諸君の御賛成を期待いたします。(拍手)
○議長(林讓治君) 椎熊君提出の動議につき採決いたします。この採決は、正規の要求たありますから記名投票をもつて行います。椎熊君提出の動議に賛成の諸君は白票、反対の諸君は青票を持参せられんことを望みます。閉鎖。
 氏名点呼を命じます。
    〔参事氏名を点呼〕
    〔各員投票〕
○議長(林讓治君) 投票漏れはありませんか。――投票漏れなしと認めます。投票箱閉鎖。開匣。開鎖。
 投票を計算いたさせます。
    〔参事投票を計算〕
○議長(林讓治君) 撰票の結果を事務
 総長より報告いたさせます。
    〔事務総長朗読〕
  投票総数 二百二十一
   可とする者(白票)   七十
    〔拍手〕
   否とする者(青票) 百五十一
    〔拍手〕
○議長(林讓治君) 右の結果、椎熊君提出の動議は否決されました。
    ―――――――――――――
    〔参照〕
椎熊三郎君提出議事進行に関する動議を可とする議員の氏名
  芦田  均君  荒木萬壽夫君
  今井  耕君  小野  孝君
  吉川 久衛君  小林 達美君
  小松 勇次君  河野 金昇君
  坂口 主税君  志賀健次郎君
  椎熊 三郎君  清藤 唯七君
  竹山祐太郎君  床次 徳二君
  中島 茂貴君  並木 芳雄君
  林  好次君  平川 篤雄君
  増田 連也君  松本 瀧藏君
  三木 武夫君  村瀬 宣親君
  柳原 三郎君  山手 滿男君
  山本、利壽君  吉田  安君早稻田柳右エ門君  井上 良二君
  石井 繁丸君  石川金次郎君
  大矢 省三君  岡  良一君
  川島 金次君  佐竹 新市君
  鈴木 義男君  田万 廣文君
  堤 ツルヨ君  戸叶 里子君
  土井 直作君  西村 榮一君
  松井 政吉君  松澤 兼人君
  三宅 正一君  門司  亮君
  井之口政雄君  池田 峯雄君
  江崎 一治君  風早八十二君
  柄澤登志子君  木村  榮君
  田中 堯平君  田島 ひで君
  田代 文久君  高田 富之君
  竹村奈良一君  立花 敏男君
  中西伊之助君  梨木作次郎君
  林  百郎君  深澤 義守君
  渡部 義通君  赤松  勇君
  上林與市郎君  成田 知巳君
  八百板 正君  寺崎  覺君
  岡田 春夫君  浦口 鉄男君
  松谷 天光君  小林 信一君
 否とする議員の氏名
  阿左美廣治君  逢澤  寛君
  足立 篤郎君  青木 孝義君
  青木  正君  青柳 一郎君
  淺利 三朗君  天野 公義君
  有田 二郎君  井上 知治君
  伊藤 郷一君  飯塚 定輔君
  池田 勇人君  石原  登君
  稻田 直道君  今村長太郎君
  岩本 信行君  宇野秀次郎君
  江崎 真澄君  江花  靜君
  小川原政信君  小澤佐重喜君
  小高 熹郎君 小野瀬忠兵衞君
  小淵 光平君  尾崎 末吉君
  尾関 義一君  越智  茂君
  大石 武一君  大泉 寛三君
  大澤嘉平治君  岡崎 勝男君
  岡田 五郎君  岡西 明貞君
 岡村利右衞門君  鹿野 彦吉君
  鍛冶 良作君  角田 幸吉君
  甲木  保君  上林山榮吉君
  川西  清君  川野 芳滿君
  川端 佳夫君  木村 公平君
  菊池 義郎君  北川 定務君
  北澤 直吉君  金原 舜二君
  倉石 忠雄君  黒澤富次郎君
  小金 義照君  小平 久雄君
  小玉 治行君  小西 英雄君
  小山 長規君  近藤 鶴代君
  佐々木秀世君  佐々木盛雄君
  佐瀬 昌三君  佐藤 重遠君
  坂田 英一君  坂田 道太君
  坂本  實君  篠田 弘作君
  島田 末信君  澁谷雄太郎君
  島村 一郎君  瀬戸山三男君
  關谷 勝利君  千賀 康治君
  田中伊三次君  田中 啓一君
  田中 重彌君  田中  元君
  田中不破三君  田中 萬逸君
  田中百 豊君  高木吉之助君
  高木 松吉君  高塩 三郎君
  高田 弥市君  高橋 英吉君
  高橋 權六君  高橋  等君
  玉置  實君  中馬 辰猪君
  圓司 安正君  辻  寛一君
  坪内 八郎君  坪川 信三君
  寺本  齋君  苫米地英俊君
  奈良 治二君  内藤  隆君
   中垣 國男君  中野 武雄君
   中村 幸八君  中村 純一君
   中山 マサ君  仲内 憲治君
   夏堀源三郎君  二階堂 進君
   西村 英一君  西村 久之君
   根本龍太郎君  野原 正勝君
  橋本登美三郎君  橋本 龍伍君
   原田 雪松君  平井 義一君
   平澤 長吉君  平島 良一君
   平野 三郎君  福井  勇君
   福田 篤泰君  福田 喜東君
   福永 一臣君  福永 健司君
   藤井 平治君  藤枝 泉介君
   渕  通義君  淵上房太郎君
   船越  弘君  古島 義英君
   降旗 徳弥君  保利  茂君
   細田 榮藏君  本間 俊一君
   前田 正男君  牧野 寛索君
   増田甲子七君  益谷 秀次君
   松井 豊吉君  松田 鐵藏君
   丸山 直友君  三池  信君
   三宅 則義君  水田三喜男君
   水谷  昇君  宮原幸三郎君
   守島 伍郎君  森 幸太郎君
   八木 一郎君  柳澤 義男君
   山口 好一君  山口六郎次君
   山崎 岩男君  山崎  猛君
   山本 猛夫君  吉田吉太郎君
   吉武 惠市君
     ――――◇―――――
○議長(林讓治君) 土井直作君より、首相の欠席について議事進行に関する発言を求められております。この際これを許します。土井直作君。
    〔土井直作君登壇〕
○土井直作君 私は、本日の日程に相なつておりまするダレス、吉田会談に対しまする緊急質問の答弁に対しましては、当然総理大臣がみずからこの議席を通してその内容を発表すべきであると考えておりましたところ、吉田総理は病気のゆえをもちまして本日登院されなかつたのであります。私が過去における吉田総理大臣の態度を見て参りまするに、今まで吉田総理大臣が登院いたしましたところの日数というものは、きわめて少いのであります。(拍手)ただに前臨時議会のみならず、あるいは前々、すなわち国会が開かれまする都度、吉田総理大臣は議院に登院すること少く、そのために議事の運営に幾多の支障を来し、その都度会期を延長するような、ぶざまなことがしばしば繰返されたのであります。(拍手)今回病気のゆえをもつて本日登院しないということは、生理的な現象であるから、これまたやむを得ないかもしれませんけれども、総理の最近の活動情勢を見ておりまするならば、きわめて健康なる状態で、あるいは吉田・ダレスの会談、しかも昨日はユニオン・クラブの会議等にも参会しておるような状態であります。(拍手)これらの事実の上から見まするならば、われわれは吉田さんが本日登院されないということについて多くの疑問を感ずる次第であります。
 由来、議会軽視は、そのよつて生れ来るもののきわめて恐るべきもののあることを知らなければならないのであります。国民はすべて議会を信頼し、この議会を通してわが日本の政治のあり方を把握しておるのであります。もし吉田総理みずから議会を軽視するがごとき行動が今後しばしば繰返されるならば、国民は議会を信用しなくなるでありましよう。国会が国民の信頼から離れて参りまするならば、そこに保守反動的な暴力政治、フアツシヨ的政治が抬頭し、あるいは極左的な、議会否認の、暴力によつて政権を獲得しようとするところの運動が起つて参るのであります。あくまでも議会を通して政治を国民の前に解明し、その信頼の上において日本の将来の運命を開拓して行かなければならないということは理の当然であります。
 しかるに、吉田総理が登院しないという事柄に対しては、しばしばわれわれが仄聞するところによれば、吉田総理の側近が、あるいは一名お茶坊主といわれておるそうでありまするが、これらの人々が、吉田総理のわがままを是認することによつて、このワン・マンぶりを是認することによつて吉田さんの価値を高めようとする、きわめてエクセントリツクな考え方が存しておるところに大きな禍根があるといわざるを得ないのであります。(拍手)われわれは、少くとも議会政治に対して十分なる信頼を置き、あるいは十分にその価値を高めて行くような方法をお互い議員同士がはからなければなりません。従つて、與党の方々も、吉田さんが登院しない――ことに重大な外交問題について、あるいは外務委員会等が開かれ、吉田さんに出席を求める場合には、これに対しまして、できるだけ出席をさして、そうして議員諸君の質問に答えらるべきである。また今回のごとき、国をあげてきわめて重大な問題であるところの吉田・ダレス会談のごときは、議員の方から緊急質問をする前に、まずみずから進んで、このことをやはりこの本会議を通じて国民に十分知らしめるということ、これがあつてしかるべきだと私は思うのであります。(拍手)われわれは、こういう立場から、吉田さんがなぜ今日登院されないか、病気の実情はどうなのであるか、きのうまではぴんぴんして活動していた人が、きよう急に登院しないということは、この質問に答えたくないというところの、すなわち議院を軽視する態度に出たのではなかというう一つの疑いを感ぜざるを得ないのであります。(拍手)かるがゆえに、私は議事進行をもちまして、吉田さんの病気並びに登院しないところの事情をこの本会議を通じてつまびらかにしていただきたいということを、この際質問申し上げる次第であります。(拍手)
○議長(林讓治君) 土井君の議事進行の発言はお聞き及びの通りでありますから、政府において御答弁がありますればこの際に願います。国務大臣益谷秀次君。
    〔国務大臣益谷秀次君登壇〕
○国務大臣(益谷秀次君) 吉田総理大臣が先般から病気でありましたことは、皆様御承知の通りであります。いまだ病気は平癒いたさないので、遺憾ながら登院することができないのであります。何とぞ御了承を賜わりたいと存じます。(拍手)
○議長(林讓治君) 林百郎君より首相の健康につい議事進行の発言を求められておりますが、ただいま、これについて土井君より発言があり、政府においてすでにお答えになつておりますから、林君の発言は本日は保留いたしておきます。
     ――――◇―――――
○議長(林讓治君) 質問一は、内閣総理大臣欠席のため提出者より保留の申出があります。
     ――――◇―――――
○議長(林讓治君) 緊急質問二ないし四を逐次許可するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(林讓治君) 御異議なしと認めます。
 質問二 第七次造船に関する緊急質問を許可いたします。大矢省三君。
    〔大矢省三君登壇〕
○大矢省三君 私は、日本社会党を代表いたしまして、第七次造船計画に関し、各関係大臣に対して質問を行わんとするものであります。さきに本会議におきまして満場一致通過をいたしました船腹増強決議案の一環といたしまして、第七次後期造船計画、すなわち二十方総トンの計画を発表され、また関係大臣においてそれぞれ審議されておつたことは、皆様御承知の通りであります。これが変更になつた理由を、特に関係の山崎運輸、池田大蔵両大臣に対して御質問を申し上げたいのであります。
 御承知ごとく、講和條約の発効を目前に控えまして、日本の自主独立は時間の問題であります。独立後の日本の最も重大な問題は自立経済の確立でありまして、貿易による外貨の獲得、その他海運事業にまつところきわめて大なるものがあるのであります。なかんずく造船計画が海運事業に及ぼす重要性は言うまでもないことでありまして、ために政府は四百万総トンを目標として造船計画を樹立したのでありますが、第六次計画の昨年度までにおきまして、約七十万総トン近くの完成を見たのであります。しかして、問題の第七次の四十万総トンの計画の中の後期分として二十万トンの建造計画をしたのでありますが、運輸省当局は約七十億の見返り資金を大蔵省に要求して、二十万総トンの造船計画に努力して参つたということであります。
 ところが、第十二臨時国会におきまして、地田大蔵大臣は、造船資金としての見返り資金を三十五億円、すなわち計画の約半分であるところの十万総トンに限ると言つたのであります。ために問題になりまして、この開発銀行の肩がわり分二十億円を融資し、十五万総トンの妥協案があつたということも新聞が報じておるのでありますが、いずくんぞ知らん、最近におきまして新聞の報ずるところによりますと、これが約半分近いところの十一万八千トンに減ぜられたということであります。今申しました、満場一致ここで決議された船腹増強決議案が、逆にそれを減じておるという、こういう実に奇怪なる結果を新聞紙上で見たのであります。
 その結果といたしまして、造船並びに海連事業に及ぼす影響はきわめて重大でありまして、政府も、附帯決議と申しまするか、申合せと申しまするか、いわゆる追加建造として、明年の一月から三月までに、できるだけ早い機会にこの計画を実現する、すなわち十五万総トンの建造に努力するということの申合せをしたということであります。かかる重要な造船計画を、いとも簡單に変更されたということは、私は、政府当局、特にこの関係大臣において海運事業に対する認識がきわめて不足である、熱意が足りないのではないか思うのであります。さらにまた、この国会の決議を非常に軽視して、逆に減ずるというがごとき態度をとつたことは、はなはだ遺憾と思うのであります。
 日本の海運界は、戦時中とはいえ、かつては六百三十万トンの船舶を持つており、世界の第三位を占めておつたのでありますが、終戰後百二十万トンに減じて、しかもこれがボロ船でありまして、その後着々と復興はいたしておりますが、なお現在において、輸入物資の二三%しか日本船は用を足しておらないのでありまして、はなはだ心細いきわみであります。
 さらにこの計画の変更に伴つて大きな社会問題となつておることを、私どもは見のがすことができないのであります。今度のこの計画によつて中流以下の造艦所、すなわち石川島、藤永田、函館、日本鋼管等が除外されて、経営者側はもちろんのこと、従業員その他が非常なる当惑をしておるのであります。従つて、このまま進めて行きまするならば、勢い人員整理断行のやむなきに至つて、これは多くの従業員にとつても死活の問題であります。中には崩壊の一歩手前にいるものがあることを、われわれは特に憂慮しておるのであります。また、この浩船界に欠くべからざる優秀技術員が必然的に分散することと相なるのでありまして、将来の造船界に対する重大問題であるのであります。
 さらに、それのみではない。この造船界におきましては、ほとんど関連産業が多くの下請事業をやつておりますから、これまた大きな影響でありまして、これらの波及によつて、いわゆる関連産業が、失業問題で深刻な衝撃を受けておるのであります。今試みに造船界の現状を見てみますならば、約十二万人熟練工がおるのであります。そのうちの四万人が失業し、整理の対象となるのでおります。関連産業は約それの倍でありまして、八万人であります。これらを合しますると、約十二万の熟練工が失業者と相なるのでありまして、これに三人ないし五人の家族を合せますと、約四十数万人に上る人々の死活の問題と相なるのであります。ことに、この失業者の退職手当といたしまして――もし整理いたしまするならば、これは相当に俸給が高いのでありまするから、一人当り五万円としましても造船界で約二十億円、関連産業を四万円と見積りましても約三十二億、両方合せて約五十数億円の退職手当がいるのであります。そのほかに、失業いたしますると、失業手当というのがありまして、これは法規の定むるところによりまして、六箇月間というものはその人の收入の六割を支給するのでありますから、これが平均一万四千円の收入がありまして、それの六割、それを六箇月計算いたしますと約六十億円であります。この合計が百十数億円に上るのであります。池田さんは非常にそろばんのかたい人でありますから――これほどの多額な金を要する。わずか二十億か三十億の金を出さないために、こういう莫大な費用を、いわゆる業者並びに政府その他から支出しなければならぬということになるのでありまするから、私は特にこれは考慮を願いたいと思います。
 由来、自由党は、大企業家のみを保護して中小企業を絶えず圧迫しておるのであります。こういう非人道的なことをなしておるのでありますが、今度のこの問題といい、かつてここで問題となりましたところの食糧統制撤廃の問題といい、行政整理の問題といい、あらゆる失政をしておりますが、これはことごとく閣僚の間の対立から来るのであります。内閣の不統一から来るのであります。ある人はこう言うのであります。今の内閣は吉田内閣でなくて池田内閣だと言つておる。この池田さんの強引に対して、運輸大臣の非常な政治力の欠如がこの結果を見たということを、新聞紙その他で批評しておるのであります。私が政府並びに関係者に申したいことは、日本の独立後の自立経済に不可欠な問題である海運事業の持つ使命のきわめて重大なることを認識していただきたいということであります。
 この際私がまずお聞きしたいことは、内閣不統一の暴露の結果こういうことになりまして、はなはだ答弁がしにくいかと思いますが、一体なぜ初期の計画の二十万総トンが十一万八千トンになつたのであるかというこの経過、いきさつを、山崎運輸大臣並びにこの資金関係の大蔵大臣から答弁願いたいのであります。
 第二に、この建造資金は、開発銀行の融資その他にこれをゆだねないで、今日の市中銀行にこれをしわ寄せするということでは、とうてい実現が困難なのである。従つて、計画を立てて、いわゆる市中銀行に融資を求めたために日本銀行の反撃を食つて、そしてこれが実現困難であつたということを聞きますが、一歩進めてこの開発銀行の融資と肩がわりをして、この計画を進める御意思があるかどうかということもお聞きしたいのであります。
 さらに、先ほど申しました、一月から三月まで追加建造に努力するという決議をなされたのでありまするが、その見通しはいかん。もしその見通しがありますならば、いわゆる繰上げ建造と申しますか、来年の一月から三月までの間に、除外された中流造船業者に対して繰上げの計画造船に着手するという御意思、御計画があられるかどうか。
 さらに、中小業者は年末を前に控えて資金難でおりますからして、これらの計画実施の着手に至るまでの間、つなぎ資金というものを出す親切と申しますか、これらに対する対策があられるかどうかということであります。
 最後に、この海運界の重要性にかんがみまして、今日までの計画遂行を見まするに、はなはだ心細く感ずるのでありますが、来年度の計画は間違いなくやられるのかどうか。これはこの機会に十分各関係大臣から答弁がなければ、業者も従業員もきわめて不安でありますから、この来年度の計画をいかに考えておられるかということをお聞きしたいのであります。
 今申しました、この海運業の重大性にかんがみまして、政府はもつと熱意を持ち、それから日本の将来に向つて計画を所期の通りに推進するよう、私はこの答弁に多くの期待を持つておりますから、どうか私が今申しました五つの項目に対して大蔵大臣並びに山崎運輸大臣の答弁をお願いいたしまして、私の質問を終りたいと思います。(拍手)
    〔国務大臣山崎猛君登壇〕
○国務大臣(山崎猛君) 大矢君の御質問にお答えいたします。
 第一のお尋ねは、建造トン数が当初の計画よりも減トンされたのはどういうわけか、その経過いかんということであつたように承りました。申し上げるまでもなく、戰後の日本が立ち上る上において船腹の増強、すなわち海運政策の樹立ということが主要なる問題であるということは、ただいま大矢君の御指摘の通り、私も御同感であるのであります。船腹はもちろん増強せざるを得ないのでありますけれども、これはことごとく資金の関係を離れることができないのであります。しかして、その資金は経済力、すなわち国力であるのであります。国力の調節をはからずして、ただいたずらに造船事業だけを、船腹だけを拡張するということはできないのであります。国家全般の調整を見て、しかして国策に沿うところの船腹の増強が行われなければならないはずなのであります。
 ただいま御指摘に相なつたように、第七次後期は二十万トンの建造の計画であつたはずだと言われるのでありまするけれども、もちろんこれは二十万トンより以上建造することは、政府の心から望むところであるのであります。しかしながら、それはただいま申し上げた通りに、経済力、国力と見合つて初めてこの所期の計画が成立ち得るのでありまして、ただいたずらに計画を主張し強調しただけでは、決して船腹増強はできないのであります。実際を離れて計画はあり得ないのであります。すなわち、この実際の面に即応して、国勢全般と調子を見合せて、そのおちつくところにおちつかしめたのが、すなわち約十二万トンの建造計画なのであります。もちろん将来におきましても、この建造は随時追加計画を立てて行くということに相なつておるのであります。従来は第何次、第何次というようなことで、わくをきめて、きゆうくつな範囲内でその造船の目的を達するという形をとつたのでありますけれども、先般の政府の方針としましては、そういうきゆうくつな考えをとらずに、資金の手当ができさえすれば随時あとから追加建造をするということに方針をかえておるのであります。従いまして、将来の一月―三月の追加建造のごときは、この閣議決定の線に沿うて資金の用意をして、着々その計画を進めたい、かように考えているのであります。
 その他金融に関する方面につきましては大蔵大臣によりお答えすることと考えます。(拍手)
    〔国務大臣池田勇人君登壇〕
○国務大臣(池田勇人君) お答え申し上げまするが、私はさきの国会の財政演説で、見返り資金から百三十五億円を電力、造船に出すということを申し上げておるのであります。当初から三十五億円の見返り資金を造艦に使うという考えでおつたのであります。ただ單価の問題がありますので、十万トンとはきめておりません。私は当初の計画通り三十五億円で造船をしようとするのであります。御承知の通り、吉田内閣ができまして、昭和二十四年以来百二十万トン新造、改造いたしたのであります。これに要しまする見返り資金は、合計四百三十億円でございます。しかして、これと同額あるいはそれ以上の民間資金が出ておりますので、千億以上の金を造船に使つておるのであります。今までの内閣で、こんな大量の造船をやつた内閣はないのであります。(拍手)しかも、今後におきましてもなお金の許す限りにおいて造船をいたすつもりであるのであります。
 次に開発銀行の肩がわり融資でございますが、御承知の通り、ただいまの市中銀行は商業金融を主としておる建前であるにかかわらず、長期資金が相当出ておるということは、健全な金融でないから、長期資金は開発銀行を設けて、余裕がある場合に肩がわりをするという建前をとつておるのであります。しかして、造船資金のごとき長期資金を市中銀行から開発銀行が肩がわりして、そしてまた市中銀行が造船資金を出すのならば、肩がわりの理由、効果はないのであります。そういうことは、開発銀行設立の建前から申し上げましても、また金融の健全化から申し上げましても、できない相談であるのであります。御了承を願います。(拍手)
 次に一―三月の見通し、つなぎ資金につきましては、ただいま運輸大臣がお答えになりました通り、われわれは造船資金にまわし得る金を極力見つけて、失業者のないように、個々の造船所について対策を講じて行きたいと考えております。
 第四番目に、将来の造船計画というお話でございますが、御承知の通り、本年三十万トンをつくりまして、そうしてこれには二百二十億円余りの見返り資金を出すことになつておるのであります。今回の十二万トンにいたしましても、これは後期分として、来年度やはり三十六億円いります。しかして、今まで四十万トンとかいう計画をいたしておりましたが、四十万トンの船を一年につくりますと、これには六百数十億円の金がいるのであります。金を探さなければ将来の見通しは申し上げられないのであります。(拍手)
     ――――◇―――――
○議長(林讓治君) 麦類作付面積減少に関する緊急質問を許可いたします。竹村奈良一君。
    〔竹村奈良一君登壇〕
○竹村奈良一君 私は、日本共産党を代表いたしまして、麦類の作付面積減少に関する質問をいたしたいのであります。
 まず第十二国会の十一月中旬の農林委員会におきまして、今年度の麦類の作付は、少くとも全国的に見て二割以上の減少が行われるであろう、このことは日本の食糧自給の建前から憂慮すべき大問題であると、私は警告いたしたのであります。これに対する政府の対策を質問したのに対しまして、根本農林大臣は、これに対する具体策は後刻検討の上発表すると答弁したのでありますけれども、現在全国的に、麦の作付面積は、私の警告通りに二割を越える減反が見られておるのであります。特に関西地方におけるところの麦類生産府県におきましては、少くとも三割以上の減反があると思うのであります。どころで政府は、これに対していまだ何らの具体策を示していないが、これに対する具体的な政府の所信をまず第一にお伺いいたしたいのであります。
 一体、この減反の原因はどこにあるか。根本的に言うならば、政府の食糧自給、経済自立の政策が口に唱えられておるのみであつて、実質的にはそれが放棄されておる点にあると思うのであります。日本の食糧不足を輸入によつて補つて行く、輸入依存に重点が置かれておる。すなわち、日米経済協力の名のもとに、平和産業並びに国民生活に必要な財政支出を引締めて、そうして物価を押え、低米価で低賃金を生み出して行くことが原則としてとられておるために、結局は常に農業部門をその経済の下積みにするという考え方が一貫して強行されているからであります。
 その具体的な現われは、食糧の輸入価格が、先方の言い値で、高いものをそのまま押しつけられながら、国内産麦の買入れ価格はいまだに決定されていない現状であります。二十六年度においては、当初予算において、二十五年度より対米価比率を低いところに押えたのでありますけれども、二十七年度において対米価比率を幾らにするかということが明らかにされていないのであります。このことは、本年度の米価決定にあたりましても、生産費計算によるならば、少くとも石当り一万円は必要であるにもかかわらず、政府は七千三十円でこれを押え、お手盛りの米価審議会においてすら七千五百円以上の米価を答申されたにもかかわらず、これを踏みにじつている。これが、日米経済協力の名のもとに低米価政策を強行する具体的な現われであると私は思うのであります。政府は、二十七年度麦類の買入れにあたつて対米価比率を幾らにしようと考えているのか、すなわち石当り幾らで買い入れようと考えているのか、その方針をお伺いいたしたいのであります。
 次に、政府は裏類の統制を廃止すると言明しておりますが、それはいつからやるつもりか。またそれに対するいわゆる法的措置は、一体議会にはかつておやりになるのかどうか、その点をはつきりお伺いいたしたいのであります。米の統制を十一月まで続けて、麦類のみは自由販売にするというその政策が、また現在の麦価未決定とともに麦類減反の主要な原因であるが、この点を明らかにされたい。
 第四点といたしましては、この減反による減收を政府は輸入によつて補おうとするならば、それが政府の根本方針であるとはいえ、ますます日本農業の外国農業への隷属化と、食糧を押えられたわが国は、今後の日本民族独立をみずから放棄して、植民地化への途をたどるとおもうのでありますが、一体二十七年度は、麦類においてどれだけ輸入し、米においてどれだけ輸入する考えであるか、明らかにされたいのであります。
 まず、こうした国内における麦類の減反を防止する方法として、少くとも生産費を中心として麦価を決定し、これを政府が保障して買い上げることにあるのだが、このことを行わないことには、日米経済協力の本質として、日本をアジアの反共の拠とし、講和後におけるところのアメリカ駐留軍の防衛任務を中心として動いて、そうして軍需資材の生産によつて軍需経済を優先せしめ、一切の資金はこれに注ぎ込み、日本農業は最もその被害を多く受けることになり、多少米価を上げても、その代金は税金で取上げ、結局においては、その金は政府から軍需面に支出されるものと思うが、これに対する政府の考え方は一体どうか。
 農民が生産費を中心として麦価の決定、米価の決定を要求するならば、政府は常に消費者を引合いに出しまして、米麦価の値上げは消費者の負担増大となることを口にして農民の要求を押えて来たが、しかしながら、政府が再軍備や日米経済協力の名のもとに行われる軍需生産を中止するならば、このことは簡單に解決できる問題である。たとえば、本年度の供出二千五百五十万石を石一万円で買い入れたとしても、政府が決定した七千三十円とは石三千円弱の開きであるが、総額とするならば、その差は七百七十億円で済むのであります。本年度の補正予算を見ましても、国民生活を破滅に追いやるところの再軍備の隠し金が、少く見積つて優に八百億を越えることは、予算審議においても明らかにされているのであります。従つてこうした計画を放棄するならば、消費者価格を現行にすえ置いて、生産者農民の要求通り、石当り一万円で買い上げることは十分でき得ることであります。農林大臣は、こうした点について二重価格制をとる考えがあるかどうか。この点をはつきりお伺いしたいのであります。
 もし、こうした再軍備や極東におけるところの反共の拠点としての役割を放棄せず、外国の指示の通りこの政策を続けるならば、それは日本農業を破壊し、国内食糧自給態勢を放棄して、明らかに日本国民の政府ではなくして、完全な外国の植民地としての政府であるということを断ぜざるを得ないと思うのであります。この点に関してもおそらく答弁はでき得ないと思うが、しかしながら、もしでき得なかつたならば、それは明らかに自分がみずからアメリカの出先としての政府であると認められるものであるということを断言して、私の質問を終る次第であります。(拍手)
    〔国務大臣根本龍太郎君登壇〕
○国務大臣(根本龍太郎君) お答えいたします。
 昨年以来今年にかけて麦の作付面積が減少しているという御指摘でありますが、これは事実でございます。しかし、この原因に関する観察はまつたくその所見を異にしているのであります。御承知のように、戰時中から戰後、いわゆる強制割当をいたしております。従いまして、作付強制のために、従来は他の有利なる作物をつくることが農民として望ましいにもかかわらず、これができなかつたのであります。それが御承知のように、二十五年から作付強制を撤廃したのであります。そのために、畑作地において、あるいは養蚕に転化し、あるいは野菜類、こういうものに転化したものの多いことは事実であります。この点については、竹村さんと意見を異にしております。
 第二の点は、二十七年度の産麦について対米比価をどうするかということでありますが、現在われわれの考えは、おおむね現行の対米比価で考えております。
 それから価格についてはどうするかということでありますが、これは御承知のように、従前の事前割当と違いまして、事後割当でございます。従いまして本年において五月末の農業パリテイで計算したと同じく、二十七年度産の麦につきましては、やはり五月末の農業パリティの決定するときに決定したいと存じます。
 その次に、統制撤廃の時期はどうかということでありますが、これはしばしば先般の国会において申し上げました通り、一月以降適当なる時期に、諸般の検討が十分できたときに実施したいと思つております。未確定でございます。
 その次に、麦類の不作に対していかなる対策を講ずるかということでありまするが、これは二つの問題になると存じます。もちろん、われわれといたしましては、主食の増産についてはあらゆる政策を集中して参りたいと思つております。従つて、今後あるいは畑地灌漑等のごとき、特に稻作の安定と増産のために必要なる施策、こういうことをとるのみならず、あるいは病虫害の予防駆除、こういう方面によりまして反收を増加せしめるということが一つ、それから土地改良あるいは開墾その他による土地の造成に基く増産、これが一つであります。そうして、なおかつこのような自給度を高めましても、現実においては毎年百二十万以上に達する人口の増を、ただちにこれによつて満足させることができませんので、その不足分については輸入によらなければならぬということは、これは何人といえども否定できないところの事実だろうと思います。
 その次に、輸入の数量についての見通しでございまするが、来年におきましても大体三百七十万トン程度の輸入が必要であると考えております。そのうち約八十万トン程度が米でありまして、残余は麦類、かように考えております。
 その次に、二重価格制度をとるかどうかということでございまするが、われわれは原則として二重価格は考えておりません。しかしながら、現をにおきましてもいわゆる輸入補給金というものがあるごとく、これも一つの二重価格制度でありまするから、いわゆる国内産のものについて二重価格制度をとれとの御意見だろうと思いますが、今われわれは、その考えを持つておりません。今後の検討の対象といたしたいと存じております。(拍手)
     ――――◇―――――
○議長(林讓治君) 質問四、再軍備及び中国政府との国交等政府の外交方針に関する緊急質問を許可いたします。赤松勇君。
    〔赤松勇君登壇〕
○赤松勇君 私は、日本社会党第二十三控室を代表いたしまして、再軍備及び中国との講和に関する政府の外交方針について質問をしたいと思うのでございます。
 昨十四日正午、丸の内ユニオン・クラブにおいて、ダレス大使は、平等な主権国の協力と題して演説をされまして中立と非武装は過去のものであると断定し、さらに武装兵力の援助と便益をいつでも提供しなければならないと、国連憲章原則を繰返して、このような原則は対日平和條約に織り込まれ、日米安全保障條約にも反映されたと強調し、まず便宜の供與を日本の義務として要求されたのであります。
 かかることは、すでに両條約批准の際に明白に予測されたことでございまするが、当時、吉田内閣総理大臣は、憲法は改正しない、再軍備は経済上、社会上の條件からやらないと言つておられたのでございます。ダレス大使の構想はもちろん、両條約のたどる道は、明らかに日本の再軍備の道であります。四年前、連合国の指導によりまして、非武装、中立の平和憲法を制定し、国際紛争に武力を用いることを永久に放棄することをば決意いたしました日本人は、今や再び銃をとるかとらないかという重大な関頭に立たされているのでございます。この点につきまして、政府はどのように考えておるのであるか。もし政府が、伝えられるように、警察予備隊の量的な、または質的な増強によつて再軍備の実を上げて行くとするならば、国民の目をくらまし、ひそかに憲法を侵すことになるとわれわれは考えるのであります。この際あらためて政府の警察予備隊に対する態度及び施策を問いたいと思うのでございます。
 次に私が政府にお尋ねしたいことは、中国との講和を、中共政府と国府のいずれに求めんとしておるかという点であります。われわれが今日までしばしば指摘いたしました通り、日本国民は、第二次大戰によつて中国国民に
 與えた、はかり知れない大きな犠牲に対しまして、重大なる責任を感じております。それゆえにこそ、中国国民と日本とは一日も早く友好を回復し、アジアの隣人として共存共栄の道が切り開かれることをば希望してきたのでございますが、吉田内閣は中国を講和から除外した米英原案なるものを批准したのでございす。われわれは、このことをば心から遺憾としておるのでございます。
 世界の一部では、かかる事態は中国が毛政権と蒋政権にわかれておるためであると、その責任を中国自体に帰せしめようとしておるのでございます。そして、分裂した中国を各国の利益に従つて支援し、中国民衆の最大の不幸を招きつつあるばかりでなく、アジアの不安の最大の原因をつくりつつあるかに見えるのでございます。しかしながら、アジアに生活し、アジアに繁栄の基礎を持ち、アジアの平和を守らなければならない日本といたしましては、こうした諸国の態度とは根本的に異なつたものがなければならないと私どもは考えておるのでございます。われわれは、まず二つの中国の悩みを他人事として考えるわけには参りません。中国民衆が一つの政権を持ち、統一と平和が中国にもたらされるであろうことを、われわれは切に希望してやみません。この統一と平和に貢献せんとする態度こそが日本の態度でなければならぬのであります。また、われわれ日本のとるべき態度は、アジア平和の見地からなされるべきものであると、私どもはかたく信じております。
 アジアは総じて、世界歴史始まつて以来の不幸に今見舞われておる。朝鮮の三十八度線、仏印のホー・チミン対パオ・ダイの争い、あるいは台湾と本土と二分された中国、こうした二つのアジアと、その中にかもし出されるアジア民衆の不幸は、はたしてアジア自体の責任であるかどうかということをもわれわれは反省してみなければなりません。私どもは、断じてそうとは思わない。数世紀にわたつての西欧諸国の植民地政策、極度に窮乏したアジアをめぐつて今日の米ソの対立がアジアの不幸を生み、アジアの不幸を増大しておるのでございます。アジアの民衆には責任はない。アジアの平和を危機に陷れる一切の支配をアジアから駆逐することがアジア民衆の真の心であると私どもは信じておるのでございます。
 それゆえに、アジアの日本は、真の隣人として中国民衆に対する態度、政策は独自のものでなければなりません。その一つは、明らかにアジアの恒久平和と、アジア民衆の真の和解であります。アジア民族の統一、アジア民族の平和と和解、このことに貢献する外交政策が、とりもなおさず日本の外交政策の根本義でなければならないと確信しておるのでございます。しかるに、世上吉田内閣はいち早く国府と講和を締結せんとしておるやに伝えられておるのでございますが、もとよりわれわれは、国府を日本の敵とする必要はない。友好を回復することに反対する理由は何ら発見することもできない。問題は、国府を承認し、これと講和を締結することによつて、中国の統一とアジアの平和に及ぼす重大なる悪影響を考えなければならないのでございます。
 この際特に私が国会を通して明白にしておきたいことは、アメリカ合衆国は、あるいはその戰略的目的から国府との提携を希望するでございましよう。しかし、それはアメリカの戰略的目的であつて、アジアにある日本の條件と理想とは全然別個のものであるということを明らかにしなければなりません。日本の恒久的繁栄と平和の見地から日本が独自の方策を持つことは、日本の当然の自由であり、当然の権利であるとわれわれ思うのでございます。中国民衆の圧倒的多数が中共政府を支持しているこの事実は、すでに世界が承認しつつあるのであります。現にその最たるものはイギリスであります。思想と外交を混同してはなりません。民衆が選び、民衆が決定する政府が、たといわれわれの思想と根本的に異なるものがあるといたしましても、われわれ外国人は、それに干渉する何らの権利もないのでございます。ましてや日本の態度は、そこに好惡があつては断じてならぬのであります。こうした日本の根本的態度が、日本の経済的利益を越えて重要であります。政府は、この中国に対して今後いかに対処して行こうとされるのであるか、この際われわれは政府の明確なる答弁を煩わしたい。
 なお、ただいま参議院の議院運営委員会におきましては、吉田総理の出席を要求いたしまして、さらに自然休会に反対して、十七日再び国会を開いて吉田総理の出席を要求しておるようでございます。
 また私どもは、過日本院に対しまして、平和憲法擁護、再軍備反対に関する決議案を、成田知巳君外七名の名において提出いたしました。すなわち
  政府は、戰争放棄の新憲法擁護の方針を宣明し再軍備に対する国民不安を一掃すべし。
   理由
  内外情勢の緊迫に藉口し世上軽々に再軍備を口にし、平和憲法の改正等も論議する考があることは、誠に遺憾である。
  この際政府は、よろしく戰争放棄を明示してある新憲法の精神に基き、再軍備の非なるゆえんを宣明し、再軍備反対、中和憲法護持の確乎不抜の大方針を天下に明示すべきである。
 この決議案を私どもは運営委員会に提出をいたしまして、ただいま委員会に付託されておる。
 今や、国会のみなならず全国民は、このことにつきまして、吉田内閣の明確なる外交方針を鮮明にすべきことを強く要求しておるのでございます。(拍手)この際、この国会並びに国民の要望にこたえて、吉田内閣はすみやかに中共承認に関する外交方針並びに平和憲法をあくまで護持するのであるかどうか。もし警察予備隊を、量的にも質的にも軍隊化するといたしますならば、これこそ平和憲法を侵害するものであり、破壊するものであると断ぜざるを得ないのでございます。かつて、新憲法制定のあの国会におきまして、現にこの議政壇上におきまして、われわれは平和憲法の擁護をば全世界に宣明し、この憲法を通しまして、平和確保の宣言を行つたのでございます。情勢の変化によつて国是をゆるがせにすることは、断じて許されません。すみやかに政府は、この点について、内外に対し大胆率直に外交方針を明示されんことを要求いたしまして、私の緊急質問を終ることにいたします。(拍手)
    〔国務大臣益谷秀次君登壇〕
○国務大臣(益谷秀次君) 赤松君の御質問に対してお答えを申し上げます。
 国連を中心といたします集団的安全保障態勢が現在の中心的考えであるというダレス氏の御意見には、まつたく同意であります。政府の再軍備に対する見解は、従来しばしば繰返し答弁をいたしました通りであります。
 また、警察予備隊は治安確保のためのものでありまして、その目的は何ら憲法に違反するものではありません。また治安確保の必要の上から警察予備隊の装備並びに訓練の強化をはかることは当然であります。
 講和についての中国選択の問題に関する点につきましても、政府の所見はしばしば繰返して申上げてあります。将来の客観的情勢の推移を待つ心算であります。
 その他は御意見でありますから答弁をいたしません。(拍手)
     ――――◇―――――
○山本猛夫君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、内閣提出、宮内庁法の一部を改正する法律案を議題となし、この際委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
○議長(林讓治君) 山本君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(林讓治君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
 宮内庁法の一部を改正する法律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。内閣委員長八木一郎君。
    〔八木一郎君登壇〕
○八木一郎君 ただいま議題となりました宮内庁法の一部を改正する法律案について、内閣委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 本案は、宮内庁の内部部局のうち、皇太后に関する事務をつかさどる皇大后宮職が、貞明皇后の崩御により不要となりましだので、これを廃止しようとするものであります。しかして、この職の廃止に伴い皇太后宮大夫並びに皇太后宮女官長及び皇太后宮女官の職もそれぞれ廃止されますので、それらの職を削るよう特別職の職員の給與に関する法律を附則において改正し、明年一月一日から施行しようとするものであります。
 本案は、予備審査のため、十二月十日、本委員会に付託され、ただちに政府の説明を聞き、十二月十四日参議院の送付を受け、本日討論省略、採決の結果、全会一致をもつて原案の通り可決いたしました。
 以上御報告申し上げます。(拍手)
○議長(林讓治君) 採決いたします。本案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(林讓治君) 御異議なしと認めます。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。
 参議院より回付される予定の法案を待つため、この際暫時休憩いたします。
    午後三時四十七分休憩
     ――――◇―――――
    午後五時四十二分開議
○議長(林讓治君) 休憩前に引続き会議を開きます。
     ――――◇―――――
○議長(林讓治君) 参議院から、本院提出、国家公務員法等の一部を改正する法律案が回付せられました。この際議事日程に追加して右回付案を議題となすに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(林讓治君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。国家公務員法等の一部を改正する法律案の参議院回付案を議題といたします。
    ―――――――――――――
○議長(林讓治君) 採決いたします。本案の参議院の修正に同意の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(林讓治君) 起立少数。よつて参議院の修正に同意せざることに決しました。
     ――――◇―――――
○山本猛夫君 憲法第五十九條第二項に基いて再議決のため、国家公務員法案を議題とせられんことを望みます。
○議長(林讓治君) 山本君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(林讓治君) 御異議なしと認めます。よつて国家公務員法等の一部を改三する法律案の本院議決案を議題といたします。
 だだちに採決いたします。本案はさきに本院において議決の通り可決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(林讓治君) 起立者、出席議員の三分の二以上と認めます。よつて本案はさきの議決の通り可決せられました。(拍手)
 本日はこれにて散会いたします。
    午後五時四十四分散会