第013回国会 予算委員会 第2号
昭和二十七年一月二十八日(月曜日)
    午前十時五十一分開議
 出席委員
   委員長 塚田十一郎君
   理事 上林山榮吉君 理事 苫米地英俊君
   理事 西村 久之君 理事 井出一太郎君
   理事 川島 金次君 理事 淺利 三朗君
      天野 公義君    江崎 真澄君
      江花  靜君    小川原政信君
      尾崎 末吉君    角田 幸吉君
      甲木  保君    川端 佳夫君
      北澤 直吉君    栗山長次郎君
      小坂善太郎君    志田 義信君
      島村 一郎君    庄司 一郎君
      鈴木 正文君    田口長治郎君
      玉置  實君    中村  清君
      中村 幸八君    南  好雄君
      宮幡  靖君    今井  耕君
      川崎 秀二君    中曽根康弘君
      早川  崇君    平川 篤雄君
      藤田 義光君    西村 榮一君
      水谷長三郎君    風早八十二君
      山口 武秀君    横田甚太郎君
      稻村 順三君    成田 知巳君
      小平  忠君    世耕 弘一君
      石野 久男君    小林  進君
 出席国務大臣
        大 蔵 大 臣 池田 勇人君
 出席政府委員
        大蔵政務次官  西村 直己君
        大蔵事務官
        (主計局長)  河野 一芝君
        大蔵事務官
        (主税局長)  平田敬一郎君
        大蔵事務官
        (理財局長)  石田  正君
        大蔵事務官
        (銀行局長)  河野通 一君
 委員外の出席者
        專  門  員 小林幾次郎君
        專  門  員 園山 芳造君
        專  門  員 小竹 豐治君
一月二十六日
 委員戸叶里子君辞任につき、その補欠として西
 村榮一君が議長の指名で委員に選任された。
一月二十八日
 委員小淵光平君、金原舜二君及び勝間田清一君
 辞任につき、その補欠として井手光治君、江花
 靜君及び成田知巳君が議長の指名で委員に選任
 された。
同日
 上林山榮吉君、井出一太郎君及び小峯柳多君が
 理事に当選した。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 理事の互選
 昭和二十七年度一般会計予算
 昭和二十七年度特別会計予算
 昭和二十七年度政府関係機関予算
○塚田委員長 会議を開きます。
 本委員会の理事は、先般委員の辞任及び理事の辞任等のため、目下二名の欠員があるのであります。つきましては、この際その補欠を選任いたしたいと存じますが、これは先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○塚田委員長 御異議がなければただちに指名いたします。
 上林山榮吉君及び小峯柳多君を理事にお願いいたします。
 なお理事中曽根康弘君より理事辞任の申出があります。これを許可するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○塚田委員長 御異議がなければこれを許可するに決しました。
 つきましては、この際その補欠を選任いたしたいと存じますが、これは先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○塚田委員長 御異議がなければ井出
 一太郎君を理事に指名いたします。
 午前の会議はこの程度にとどめまして、午後一時より会議を再開して、政府の提案説明を聽取することといたします。
 これにて暫時休憩いたします。
    午前十時五十三分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時五十五分開議
○塚田委員長 休憩前に引続き、会議を開きます。
 昭和二十七年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算、右三案を一括して議題に供します。
○川島委員 議事進行について……。私は本委員会において二十七年度予算案の大蔵大臣からの説明を受けまする前に、議事の進行についてまず新任の委員長に若干お尋ねをいたし、続いて池田大蔵大臣にもお尋ねを申し上げたいと思います。
 一昨日の本会議におきまして、民主党川崎議員が、本予算案の提出の手続について議長及び大蔵大臣に意見をただしましたに対し、答弁された議長並び大蔵大臣の答弁、われわれの納得の行かない点が多かつたので、あわせてここにあらためて委員長にまずお伺いをいたしたいと思うのであります。
 今回の昭和二十七年度通常、特別両会計にわたる予算案は、わが国が独立第一歩を踏み出す機会の上に組み立てられた予算であり、その意義きわめて重大であることは言うまでもございません。ことに私どもが重大な関心を払わざるを得ない点は、われわれの前に提出されましたこの予算案は、通常、特別両会計にわたつて、まずその総則においていずれも財政法第十四條二項及び三項に基いて編成された旨明らかにされております。しかるに現行財政法第十四條には、単なる第一項だけが現存しておりまして、二項、三項という條文は明らかにされておらない。平たく申し上げますれば、この第十四條の二項、三項という新しく附加いたされまするところの條文は、たとい昨年旧臘衆議院において通過はいたしたものの、いまだ参議院において審議中であり、しかも昨日来の情報を承るところによりますれば、ここ一週間内にその財政法の改正案が成立する見込みさえも確定しておらないのみならず、今後政府の態度いかんによりましては、参議院においてこの改正案が否決されるの運命に至るのではないかとさえ、もつぱら伝えられておるのであります。その情勢はともかくといたしまして、いずれにいたしましても、いまだに財政法の改正案は、権威ある国会の成立を見ておらないということはきわめて明白な現状でありまするにもかかわらず、政府があえてこの財政法の改正が成立いたしたもののごとく解釈し、おくめんもなくこの二十七年度の通常、特別両会計の総則においてこれを明記され、従つてそれに基いて今回の予算案の中には、部款項の各般にわたる変更はもとより、繰越明許費という新たなる項目が明記され、のみならず最もわれわれの重大な関心を持たなければならぬ点は、従来の財政法によつては認められておらないところの新たなる継続費、しかもその継続費は、向う四箇年にわたる長期におけるところの継続費が、きわめて明瞭具体的に編成、計上されている点であります。この点は川崎君が本会議で指摘いたしましたことく、いまだ財政法の改正を見ざるさ中に、かくのごとき政府の予算編成計上を行つて、国会にこれを提出することは、明らかに財政法を蹂躙し、無視するところの暴挙ではないかと質問したことは、きわめてわれわれの同感を禁ぜざるを得ないところであります。(拍手)
 しかも問題となりますのは、單にかくのごとく政府が財政法を無視いたしておるのみならず、私どもの見解をもつていたしますならば、はたして憲法の現行法を改正せずして、かくのごとき財政法の改正が可能なりやいなやという問題も、大きな問題としてわれわれは重大な関心を払わなければならぬのであります。(拍手)その具体的な例を申し上げますならば、憲法第八十六條には、「内閣は、毎会計年度の予算を作成し、国会に提出して、その審議を受け議決を経なければならない。」旧憲法におきましては、御承知のごとく、毎回の国会においてその都度予算を編成し、これを国会に提出し議決を経なければならないという條文でございましたものを、旧憲法におけるこの條文が、ややもすれば一政府の独裁に流れやすく、その弊害は遂に太平洋戰争をも惹起したりとの弊害にかんがみまして、財政法の規定を最も民主的にこれを明確にし、政府の責任を重大に拘束をいたすことが、財政精神の上に最も好ましいとの見地に基きまして、「毎会計年度の予算を作成し、」と改めたと、われわれは解釈をいたしておるのであります。この解釈に従いますれば、内閣はその都度の予算の編成と、国会に提出しますところの予算というものは、必ずやその一会計年度内に限るところの予算を作成するものであつて、他の財政法の例外な規定は別といたしましても、原則といたしましては、断じて憲法においても継続費を認めないとの趣旨が、この第八十六條にきわめて明確に規定されておるものなりとわれわれは解釈いたしておるのであります。この解釈に基いて考えまするときには、政府が目下上程されておりまする財政法の改正は、この憲法第八十六條の精神にはなはだしく抵触するものであり、これを極言いたしますならば、まさに憲法違反なりとわれわれは断ぜざるを得ないのでございます。(拍手)
 このような予算の編成並びに計上の仕方によつて提出されました予算案に対して、はたして委員長は的確なものとしてこれを受付け、本日の予算委員会の審議にかけることになつたのかどうか、その委員長の本予算案に対するところの明確な見解を表明していただきたいということが一つであります。
 次に第二点は、財政法の第二十八條によりますると、内閣は国会に予算案を提出いたしますると同時に、「国会に提出する予算には、参考のために左の書類を添附しなければならない。」これが財政法第二十八條の條文であります。しかも「左の書類を添附しなければならない。」という條件付であり、義務規定であり、しかもその書類は、およそ九項目にわたつて規定されていることは明瞭になつております。その一つは、言うまでもなく歳入予算明細書、第二には各省各庁の予定経費要求書及び国庫債務負担行為要求書、三、前々年度歳入歳出決算の総計表及び純計表、前年度歳入歳出決算見込みの総計表及び純計表並びに当該年度歳入歳出予算の総計表及び純計表、四、国庫の状況に関する前々年度末における実績並びに前年度末及び当該年度末における見込みに関する調書、五、国債及び借入金の状況に関する前々年度末における実績並びに前年度末及び当該年度末における現在高の見込み及びその償還年次表に関する調書、六、国有財産の前々年度末における現在高並びに前年度末及び当該年度末における現在高の見込みに関する調書、七、国が、出資している主要な法人の資産、負債、損益その他についての前々年度、前年度及び当該年度の状況に関する調書、八、国庫債務負担行為で翌年度以降にわたるものについての前年度末までの支出額及び支出額の見込み、当該年度以降の支出予定額並びに数会計年度にわたる事業に伴うものについてはその全体の計画その他事業等の進行状況等に関する調書、九、その他財政の状況及び予算の内容を明らかにするため必要な書類、これがただいま申し上げました、財政法第二十八條の規定であります。しかも「国会に提出する予算には、」とある。これは明らかに、国会に予算を提出すると同時に、との義務規定であるとわれわれは確信いたしておるにかかわらず、すでに、かりそめにも、この不当な財政法違反であり、憲法違反の予算の提出の形式にかかわらず、これを一歩しりぞいて認めるといたしましても、ただいま申し上げましたように、第二十八條の義務規定に基く委細の書類が、多くは添付されておらないという現実の問題であります。委員長におきましては、このような財政法に明確に規定されておるにかかわらず、そのことがなされておらない予算案の提出に対して、これがはたして合法のものであり、的確のものであるとの見解を持たれておるかどうかということを、まず承つておきたいと思うのであります。(拍手)
○塚田委員長 ただいまの川島委員からの議事進行についてのお尋ねに対してお答え申し上げます。
 まずお尋ねの第一点でありますが、この予算は、本月二十三日政府から提出されまして、同日議長から本委員会に付託を受け、目下審査中にあるのでありまして、これから委員会の審査を進行して、ただすべきものはただし、多数各位の御意見を尊重しつつ議事を進めるよりほかはないのであります。今のところ、別にいかようにするとも考えておらないのでありますが、この点につきましては、後ほど政府側から何分の意見があると思います。
 なおお尋ねの第二点でありますが、参考書類はただいまのところ両三百中に政府より提出される予定になつております。従来の慣例におきましても、大体このような状態で委員会に予算が付託されておりますので、今回も委員長においてそのようにとりはからいました次第でございます。
○川島委員 委員長に重ねてお伺いを申し上げたいと思います。ただいま委員長は内閣からこの議案が送付されたのであるというだけのお答えであります。しかもその内容についてはとのお答えでありまするが、問題は、この予算案の各款項部局にわたるところの計上された数字にわたる予算の問題をわれわれは問題にしておるのではないのであります。まずこれらの具体的な予算の内容に関する審議に先だつて、その前提となるべき予算案の提出の形式、予算案編成の形式において重大なる欠陷ありとわれわれ確信をいたしておるのであります。(拍手)この重大な欠陥ありとわれわれが確信しておりまする予算案の審議がはたして的確なりや、適法なりやということについての委員長の明確なる所見を伺いたいというのが私の、質問であるのであります。その点についてくどいようでありますが、もう一ぺん明確にあなたの御所見を承らせていただきたいと思います。
○塚田委員長 お答え申し上げます。重ねて申し上げますが、川島委員からお尋ねのような事柄も含めて本委員会において審議をすると、こういう考えで付託を受けたのであります。
○川島委員 そういうことを含めてと言いますが、そのことを含めてわれわれが審議に入ることは、この憲法違反であり、財政法については最もはなはだし違反の予算書をわれわれは一応承認した形になるのであります。従つて私どもがこの問題の明快なる政府の見解やあなたの見解が明らかにされない以上は、われわれといたしましては、このはなはだしい憲法違反の疑いのある予算書に対しての審議はできないとかように考えるものでありまして、それに対する委員長としてのまず見解を承りたいというのが私の本旨でありますので、もう一ぺんその点を、吉田内閣の委員長でもなし、大蔵大臣の委員長でもなし、超党派的な権威あるこの国会の予算委員長としての公正な立場におけるところの見解を表明されんことを望みます。(拍手)
○塚田委員長 重ねてお答え申し上げますが、提案せられ付託せられまして初めてそういう点も問題になると存じますので、川島君のお尋ねもどこまでも予算審議のうちの一つである、こういうように了解しております。
○川島委員 そういう考え方は私はよくないと思います。少くとも予算の内容にわたる具体的な事項については、提案をされ、その説明を承つた後においてわれわれが審議入るということは当然の筋道と思いますが、先ほど来申しておりますごとくに、この上程された予算案そのもの自体の形式的な手続、編成上の問題がすでに明確な憲法違反であります。財政法においてははなはだしいその法の違反によつて提出された議案であるというこの問題、この形式的な問題をまずわれわれは重大な審議の対象とし、そのために私どもはまず委員長の見解を聞くというのが私どもの質問の要旨でありますので、この予算案の手続について、率直に委員長はいかなる見解を持たれておるか。これは財政法違反でもない、いわんや憲法違反でもないという見解を持たれておるのか。それともその点について、委員長としては重大な疑義をわれわれと同様に抱かれておるのかどうか。その点についてわれわれは尋ねているのであります。
○塚田委員長 お尋ねの点は、これから各委員に御質疑願い、また政府側の意見も聞きまして決定をすべき問題であると存じますので、この機会に政府側の答弁をひとつ得たい。
○川島委員 塚田委員長はわれわれの友人の間では、最も公明な温厚な紳士として、今回の予算委員会の委員長に就任したことを、個人といたしましては心から慶祝をいたしておる。ということは、塚田委員長ならばおそらく与党の委員長にあらず、いわんや一大蔵大臣の委員長の役割などは断じて勤めないでありましよう。権威ある国会の超党派的な委員長として、この重大な昭和二十七年度の予算案の審議に対して、最も公明なるとりさばきをするであろうということを、われわれは万幅の信頼をもつて期待しておつたのであります。しかるにただいま私がまじめな立場においてお尋ねをいたしておりましたこの事柄に対する答弁は、どうも聞きようによつては、何か大蔵大臣の番頭でもあるかのごとき答弁をされております。そのようなことでなくして、率直に塚田委員長の個人的な見解もあるであろうとわれわれは察しておりますので、まことに繰返してくどいようでありますが、この点に対してどういう考え方を持たれ、おそらく委員長においても日本の財政予算等についてはわれわれにすぐるところの、精通された人であるということは衆目の見るところ、従つてこの予算案は一見していかなる性質を持つたものであり、いかに適法性を持つたものであるか、あるいは適法性を持たざるものであるかということについては、われわれより、もつとすみやかに判断できる立場にある塚田委員長であろうと、私どもは信頼をいたしておつたのでありますから、われわれのこの見解に対して、あなたはどういう見解でこの予算の手続や内容を見ておられるか。これを、もう一ぺんひとつ率直に、明快にしていただきたいことを望むものであります。
○塚田委員長 お答え申し上げます。委員長におきましては、委員会に付託され審議に入るにさしつかえないものと、こういう考え方で本委員会に臨んでおります。
○川島委員 それではお伺いいたしますが、先ほども私が申し上げましたように、この二十七年度の通常、特別両会計を通じて提出されましたあの厖大な予算の劈頭の総則の中に、この予算は財政法第十四條二項に基き、または第十四條三項に基きと明確に規定して予算を編成し、上程いたしたものであるということが明瞭にしるされてあるのであります。しかるにただいま申し上げましたように、財政法第十四條は現行法の限りにおいては一項の條文だけであつて、二項、三項はないのであります。もしありとすれば、目下参議院において審議中であるところの改正案をさすのではないかと私は思います。従つて現行に関する限りにおいては財政法第十四條は一項である、にもかかわらず二項、三項のない條文を前提としてこの予算が編成され、上程されたものと予算の総則には明白に記載されておりますが、これでも適法のものであると委員長は考えられておるかどうか、この点についてさらに明白に御見解を表明してもらいたい。
○塚田委員長 お答え申し上げます。この問題点は過去に先例もありますので、委員長におきましては適法にさしつかえないもの、こういうように考えておるわけであります。
○川島委員 一昨日の同僚川崎議員から本会議において大蔵大臣に質問をいたしました際に、大蔵大臣は前例がないわけではない、こういう答弁をされたことはわれわれも記憶いたしております。しかしながら、なるほど前例がないわけではないということについて、われわれもなかつたとは否定いたしません。しかしその前例は單なる行政上、事務上の手続の部分的な改正であつたのであります。たとえば、なおこれはわれわれが先般来政府に警告してやまないところでございましたが、たとえば予算の上においては、税制の改革を予定して、その改革の結果に伴う減税等が予算に盛られております。しかるに一方において大蔵委員会等には、その基本法である税制の改正はいまだに上程されなかつた場合もあり、あるいはまた上程されてはおつたが、いまだに衆議院すらも通過いたしておらないという事柄もあつたことは事実であります。しかしこ港われわれ野党の者がそれを全面的によろしいという前提に立つてはおりません。いまだに政府に対しては、かんじんの基本法が議会を通過しておらないではないかという警告をいつも発し、本来の立場であれば、この予算とともに一方においては税制の改正案が成立しておるということを前提とする例をとらなければならないというこを、われわれはくどくどしく政府に強く警告し、要求をいたしておつたのであります。しかしながらこの事柄は一歩しりぞいて、日本の今日の国民の大多数が重税にあえいでおり、国民経済の現状にわれわれはかんがみ、いずれ国民の負担の軽減をはかるという、すなわち消極的な問題でありますので、これを端的に言えば国民に大いなる利益をもたらし、国民の要望に沿う当面の重大な問題であろうと考えまして、政治的にこれを配慮し、その手締等についてはあまりくどい違法性をわれわれは唱えて来なかつたのであります。これはあくまでも法理論を抜きにして、国民経済生活の当面の実態にわれわれは政治的に政府とともに配慮いたしたいという結果にほかならないのでありまして、われわれはその原則の承認いたして来たという立場ではないことを、この際明確にしておきたいのであります。従つてかりに例がありといたしましても、その程度であり、いわんやさきの大蔵大臣の説明による例は、ほんの事務上の手続におけるところの部分的な改正案でありますにかかわらず、今度の予算は、長年にわたつて新たに国民の負担を継続せしむる問題であり、しかもこの予算は政治的に見ても独立の第一歩を踏み出すための重大なる意義を含んだ予算案でありますので、国民があげてこれに対しては、従来の予算以上に重大な関心を払うということは、当然の理路でなければならないと私は信じおります。それなればこそわれわれはその逆な政治的な配慮の上に立つて、かくのごとき形式的にも、憲法の上から申し上げましても、疑念のあるような手続によつて上程され、もしくは編成されたこの予算案に対しては重大な関心を持ち、その事柄に対して委員長または政府当局の明確なこれに対する所信を尋ねるということは、国民的立場において当然の責任ありと私どもは信じておりますので、この点をくどいようでありますが、繰返して尋ねておりますので、もう一ぺん率直に委員長からお答えを求めたいと私は思います。
○塚田委員長 お答え申し上げます。委員長といたしましては、議長から正式に本委員会に付託を受けましたものでありますから、これを審査いたしておるわけでありまして、それ以外にはとるべき措置はない、こういうように考えております。そこで審議が進みまして川島委員のおつしやるような疑点がはつきりし、それがまた道理に合つたものであるということになれば、当然将来改めるべきことも出て来るかもしれない、こういうように考えるわけであります。今日の段階においては審議を進めて行くのが正しいと、こういうように考えております。
○川島委員 では委員長にさらにお尋ねいたします。委員長は財政法の改正案が国会を通過いたしておること、もしくは通過しておらないことについて御承知でございますか。
○塚田委員長 承知いたしております。
○川島委員 その承知しておるということは、予算総則に明記されてありまするように、第十四條二項、三項が、まだ法律として成立しておらないということを承知いたしておると解釈してよろしいか。
○塚田委員長 さようであります。
○川島委員 といたしますれば、総則に明記されましたこの予算案は、適法であるとあなたは考えられるかどうか。
○塚田委員長 委員長といたしましては、どこまでもただいままで御答弁申し上げたように、本委員会はこのように進行してさしつかえないもの、こういうように考えております。なおこの機会に、政府側からも何らかの意見があると存じますから、あわせてお尋ねを願います。
○川島委員 この問題の審議に入るにあたりまして、委員長がいかなる見解に立つておるかということは、われわれにとつても重大な事柄なのであります。でわれわれは繰返してお尋ねいたしておるのですが、このままでさしつかえないという根拠は、いかなる根拠をもつて委員長はさような見解をとられるか、その根拠をひとつお示し願いたい。
○塚田委員長 お答え申し上げます。繰返して申し上げておりますように、予算案と財政法はときどき同時審議で進んで行くということが先例でたくさんあるのであります。従つて財政法が予算案が予定しているような形で両院を通過いたしません場合には、それに応じて予算案は当然修正されて行く、こういうように考えております。
○川島委員 委員長は大蔵大臣の答弁と大同小異で、前例があるとのことでありますけれども、私が先ほど申し上げましたように、今回の財政法の改正は、前例の改正とは著しくその性質を異にするものであります。少くとも日本の新財政法に基くところの予算の編成について根本的な変革をもたらしますところの財政法の改正なのであります。従つてこの根本的な変革は、ひいて国民経済に及ぼす影響もきわめて重大であるということは言うまでもないのであります。従つてわれわれは、この重大な欠陷を持つた予算案を委員長がわれわれに向つて審議せよという、そして審議することに何らさしつかえがないんだという見解に対しましては、われわれは承服ができかねるのでございます。委員長は現に財政法はいまだに成立をいたしておらないと明白にこれを承認しております。しかるに、繰返して申し上げますが、今度の予算の総則をごらんなさい。明らかにこの予算は財政法第十四條二項及び三項に基いて編成いたしたものであると明確に規定しておる。しかるに一方において財政法は委員長も認めたことくに成立をいたしておりません。成立をいたしておらない法律に基いてこの予算が提出されてあり、編成されておる。これでさしつかえないというのは、單なる前例があるからというだけでは、断じてわれわれの納得できないものであります。いわんや、今回の予算は、きわめて重大な財政法の変革を前提とするものである。しかもその変革に基いて今後のわが国国民経済に及ぼす影響は、従来の予算に比較してきわめて重大であるということは、委員長といえどもこれを認めるにやぶさかでないものであろうと私は信じておりますがために、このような欠陷のある予算案の審議に対しても、このまま審議に入つてさしつかえないんだ、單なる小さな前例があるからという建前だけで、審議はさしつかえないという見解に対しては、われわれは断じて承服ができかねるものであります。
 そこで委員長とこれ以上押し問答をいたしましても、むだのようでありますから、他に同僚の委員からもいずれ御意見があろうと思いますから、この程度にとどめておきまして、次に池田大蔵大臣にお尋ねを申し上げます。
 もう私が重ねて蛇足を加えて申し上げる必要はないと思いますが、まず第一に大蔵大臣は、一昨日の本会議の席上において前例があるからということでこれを答弁いたしました。しかしながらただいま私が申し上げました通り、われわれの立ばにおいては明白な財政法違反の予算であり、あわせてさらに進んでは憲法上にも実に重大な疑いある予算の編成であるということをわれわれは確信をいたしておるのでありまするけれども、この事柄について大蔵大臣はいかなる見解でおられるかということについて、重ねて明確にこの席上において明らかにしてもらいたいと思う。
○池田国務大臣 お答え申し上げます。予算と法律とが同時に審議される場合は、お話のように税法のみではございません。今国会におきましても、各種の法律案が提出され、それに必要な経費が予算案に盛られております。また各種の法律案のみならず、特別会計法等は予算と同時に行くのを通例といたしておるのであります。しこうして予算の組み方を規定する財政法の問題として特別にお考えになる節もわかります。わかりますが、昭和二十二年の財政法を初めて施行いたしました場合において、財政法が新たに設けられました場合において予算案は設けられた財政法と同時に行つておる。今お話のように第十四條二項、三項ではない。財政法全部が法律になつていないときに一緒に出ている例があることは、多年この国会で予算を審議されておる川島さんは十分御存じと思います。またもう一つ例を申し上げますれば、昭和二十四年におきまして部局別の区分を廃止する財政法改正並びに予算の移用を認めまする財政法改正が昭和二十四年度の予算と同時に提出されまして、しかもこういうことなしに済んでおることは、これまた川島さんの御存じの通りであると思います。單に第十四條二項、三項の問題じやございません。しこうして今回の問題は、財政法の改正は、さきの国会におきまして衆議院を通過し、今参議院で審議中であるのであります。従いまして私は前例から申しましても、各般の事情から申しましても、審議にさしつかえないものと政府は考えております。
 第二段の問題といたしまして、今回の財政法の改正は、継続費等重要な案件を占めておる問題であります。従つてその問題については違憲であるかどうかという問題でありますが、この問題につきましては、衆議院では通過いたしております。参議院では今審議を重ねておりまするが、私の見るところでは、学者の多数説は、今の憲法におきましても多数説としては適当であるというふうに心得ておるのであります。
○川島委員 大蔵大臣は依然として本会議の川崎君の質問に対する答弁の範囲を出ていないように承りました。私どもが現在主張いたしておりまする重大点は、従来の国会においても、法律と予算との時期上のずれの問題はなかつたわけではない。ことに財政法の改正の行われたこともある。しかしその改正は、先ほど申し上げましたように、予算編成に関する單なる事務上の手続に関する事柄がその大部分を占めておつたのであります。しかるに今回の予算編成は、あえて財政法の一大変革を伴うところの改正をすることによつて行おうといたしておる。しかもこの財政法そのものを根本的に改革いたそうとする重大な改正案が、いまだに国会で審議中にもかかわらず、すでにこの重大な変革が国会を通過し、成立し公布されたという前提に立つて予算が編成されたということは、従来の例と比較するにはあまりに重大な変革であると私はかたく信じておるのであります。従つてわれわれは何も單に形式論をつかまえて議論を繰返そうという意思は毛頭ございません。少くとも日本が独立の第一歩を踏み出すときであり、その踏み出すがために、今回の予算の内容に重大なる意味を含んでおることも言うまでもないのであります。いわんや財政法の精神。憲法に違反する疑いあるかのごとき根本的な変革を企図し、その変革を企図されたことがすでに通過いたしたものとして予算を編成し、これを上程したということについては、そこに重大な政府の手続上の欠陷があるということを、われわれは指摘せざるを得ないのであります。従つてこのような従来の例があるからということによつてのみ、この問題が妥当であるという根拠というものは、われわれは納得ができないのでありまして、その事柄が合法性であるということは、單なる小さな例でなくして、他にわれわれ国民がもつと納得でき喜る程度の根拠を知りたいのであります。その意味で先ほど来委員長にもお尋ねし、重ねて大蔵大臣にも承つておるのでありますが、その根拠についてわれわれに納得の行く程度の説明をもう一ぺん願いたいと思う。
○池田国務大臣 お答え申し上げます。昭和二十二年度の予算は、財政法がまだ一度も国会に出ていないとき、すなわち成立していなかつたときに、成立を予定いたしまして予算案を提案したのであります。しかして審議を経ました。ちようどあなたの議論をもつてすれば、財政法がないのだから、ないものを土台として予算を組んだから審議しない、こういう議論になると思います。しかしそれはそうなつておらぬのであります。新たに財政法を設ける法案と予算案と同時に出しているのであります。そうして審議を願つております。その後においても、財政法の改正と、その改正に基いての予算案が一緒に行つた場合もあるのであります。しかして財政法改正案の内容が違憲なりやいなやという問題と、財政法の改正と、その改正を見越しての予算案の提出という問題は、別個の問題であると私は考えます。財政法の改正案が万が一にも通らぬときは通らぬだけの問題で、予算案をかえればいい。財政法が衆議院を通過して参議院で審議中だから、それによつて盛つた予算案を審議できないということは、私は前例を無視していることだと考えているのであります。何ら違法性はないと私は考えます。
○川島委員 では続いてお伺いいたします。このような重大な予算と関連を持つ、しかも予算編成の前提をなす財政法の改正というものは、原則として予算案の新しい編成の前に、必要とあれば財政法の改正を上程し、しかもその改正案が成立した後において、初めてその財政法に基いて予算を編成することが最も好ましい形であると私は思うが、その点については大蔵大臣はいかなる見解を持たれておるか。
○池田国務大臣 財政法の改正案ができまして、しかる後に予算案を出すことが望ましいことは、何人も同様だと思います。しかし実際問題といたしまして、財政法の改正をして、そうしてその改正案によつて翌年度の予算を組むということになりますと、時間的ずれがある。また特別会計法を設けるにいたしましても、また各種の立法をいたすにつきましても、立法してから予算を組むということになりますと、御承知の通り総予算案は前年度の十二月中に出すことをもつて常例とすると書いてあります。しかる場合においては、財政法の改正は臨時国会か、あるいは前年の国会で審議しなければならぬということになりますと、政治の運営上よほど支障を来す危險がありますので、私は理論的には、そういう基本法を早く制定して、しかる後に予算を組むことが望ましいこととは思いますが、しかし実際問題といたしまして、一年に一回の国会という場合において、財政法を改正したいときに、財政法の改正案を十二月の上旬に出して、二月、三月までに改正案が両院を通過しなければ予算案を組めないということは、多年経験のある川島君にはおわかりのことと思います。
○川島委員 大蔵大臣は、この種の重大なる予算に関係のある法律というものは、具体的に言えば財政法の根本的な変革をするような手続というものは、予算の編成に先だつてとられることが最も望ましい道だと了承しておるらしい。しかるにそれがなかなかできないというのは奇怪であります。一年に一ぺんの国会だからという説明でありまするが、つい先日は臨時国会を召集しております。おそらく政府においても、今度の予算からこういう問題を取扱うということは、あらかじめ予定されておつたことと思う。従つて国会の審議の上において遺憾なき形をとるためにも、少くとも大蔵大臣は、財政法のこのような根本的な変更は、さきの臨時国会において提出されるべきが当然の責任ではなかつたかと私は思う。にもかかわらずそれはできないので、時間のずれ云々でかくのごときに至つたということは、政治家の責任を口頭禪でのがれようとする以外の何ものでもないと私には考えられるのであります。
 そこでさらにお伺いいたしますが、先ほど私が委員長にお尋ねいたしました憲法第八十六條の問題であります。大蔵大臣は財政法の改正と憲法との問題は別個であるというけれども、いやしくもこの憲法第八十六條以下の財政に関する條章に従つてできたのが今日の財政法であります。従つて財政法の改正は即憲法につながつておるということは言うまでもないことである。しかるにその憲法の第八十六條には「毎会計年度の予算」云々とあるのであります。旧憲法には「国家ノ歳入歳出ハ毎年予算ヲ以テ」という表現でされておる。しかるに新しい憲法においては「毎会計年度の予算」、こういう規定を明白にいたしておりますることは、少くともこの文理解釈から申し上げますれば、われわれの見解をもつていたしますれば、予算というものは、他の憲法並びに今日行われておる財政法の特例を除いたほかは、これを具体的に申し上げますれば、明確な次年度以降に繰越されて行くところの継続費の具体的な計上は、禁止しているものであるという解釈をわれわれはとるものであります。そういう解釈から申し上げますならば、今度の財政法の改正は、少くとも憲法を改正いたさなければ不可能ではないかとのわれわれは見地をとつているのでありますが、その点についての大蔵大臣の見解をお尋ねいたしたいと思います。
○池田国務大臣 憲法第八十六條の解釈につきましては、毎会計年度というのは必ずしも一年をさすものでないということは、先ほど申し上げたように学者の多数説でございます。しかして、財政法の改正につきまして、憲法違反なりというようなお話でございますが、さきの臨時国会におきまして、財政法の改正は共産党を含む全会一致で憲法違反にあらずとして通過しているのであります。
○川島委員 われわれはこの問題を重大に取扱う必要ありとして、今日ただいまここに出ている予算が審議されようといたしているので、この問題を取扱つているのであります。しかもただいま大蔵大臣の説明によれば、毎会計年度というのは、必ずしもその一年に限つたものでないとの説は、学者の多数説だというけれども、しからば何ゆえに今度の財政法を改正する挙に出たか。もし大蔵大臣のように学者の多数がこの会計年度についてそのようなゆとりのある解釈が多数であり、しかも政府としても、その多数の説に賛成であるという立場をとるならば、あらためて財政法の今回の継続費に関する限りにおいて改正をする必要はないということになる。(拍手)その点を、しかも今回ぎようぎようしく財政法の改正を明確に提出しているというその根拠について、大蔵大臣の説明とははなはだしい矛盾があると思いますが、その点はいかがでありますか。
○池田国務大臣 重ねてお答え申し上げます。毎会計年度で予算をつくるのでありますが、特殊の費目につきましては必ずしも一年たるを要しないということが多数学者の説でございます。従いまして継続費というものが考えられるのは、その必ずしも一会計年度というものは一年に限らないというところに根拠を置いて考えておるのであります。そういう考え方を財政法にはつきり置くことが、事柄を明らかにするものだというので、財政法の改正を提案いたしたのであります。しこうしてこの提案につきましては、もちろん参議院は継続中でございますが、衆議院におきましては社会党並びに民主党も御賛成いただいたことと私は考えているのであります。
○川島委員 大蔵大臣の意見は少々意外に感じております。大蔵大臣はこの八十六條の問題に関する限りにおいては、率爾として多数学者の意見なりと主張されます。大蔵大臣は従来多数の学者が非難をし、批評をいたしておる問題についても、あえてその多数の学者の説に反して、ときには新しい法律を設け、あるいは税制等の問題についての具体的な処理をして来たところの事例は繰返してあります。しかるにこの問題に関しては、多数の学者の説であるからそれでよろしいのだ。もしそういうことになりますと、従来多数の学者が大蔵大臣の態度に対して非なりといたしていることもずいぶんあつたが、そのときにはそれにほおかむりをして、今回のこの憲法上の問題に限つては、多数の学者の説が支持しているから、それでさしつかえないというこの大蔵大臣の見解は、首鼠両端もはなはだしい極言であると私は思いますが、その点はどういうふうに感じているか。今後大蔵大臣は学界において多数の学者がその説を支持するものとすれば、いつでも大蔵大臣たるものは無條件にその多数の学説に従うという見解をもつて進むものであるか、それをお伺いしたい。
○池田国務大臣 私は多数の学者の定説も聞きますし、また少数の学者であつても、それがいいと思いましたらいたします。ただ問題は衆議院は全会一致で、参議院で議論がある、違憲論が多い。あるいは合同会議というようなことが聞えましたので、参議院における学者の説を聞いておりますので御参考に申し上げただけでございます。多数の学者の説の通りにこの大蔵大臣はやりません。少数の学者の言うことも聞きます。その場合々々その問題々々について適当の道を考えるのであります。
○川島委員 最後に委員長に一言。本財政法の改正をめぐつての予算との関係並びに憲法上との関係については、私どもの見解と委員長並びに政府当局の見解とは、はなはだしい懸隔を示していることが明瞭になりました。そこでこの事柄は今後の予算の審議について非常に重大な関連がありますので、委員長においては、この問題を明確にいたしまする一つの方法として、財政法に関するところの権威、あるいは憲法上に関するところの権威者をこの委員会に招致いたしまして、これらの見識、学識のある人たちの意見を聽取することが適当の道であろうと考えます。(拍手)そこでそのような民主的な適当の道を開いていただくことをわれわれは要求いたしたいと思いますが、これに対して委員長の善処を求めたいと私は思うのであります。これに関する委員長の御見解をお尋ねしておきたいと思います。
○塚田委員長 川島委員の御希望に対しては、各委員にお諮りした上で決定をいたしたいと存じます。
○川島委員 それでは今のわれわれの希望を委員長は十分に採択するということを了承いたしまして、いずれまだ委員長並びに大蔵大臣には私の立場上から申し上げたい意見がありまするが、大分時間がたちましたので、残るお尋ねにつきましては一応留保いたしまして、私の議事進行に関する発言はこれをもつて打切つておきたいと思います。(拍手)
○塚田委員長 ただいまの議事進行に関連して、石野久男君より発言を求められております。この際これを許します。
○石野委員 委員長にただいま川島委員からお尋ねいたしましたことの答弁に関連して、関連質問をいたします。先ほどこの予算案の審議については、委員長からすでに委員会に付託になつているので、審議に入つてさしつかえないものと思うということを言われた。これについて川島委員からいろいろと質問がされましたが、十分な答弁がされてないと思います。私はこの際この点を明確にするために委員長に一点だけお尋ねいたしたい。
 委員長はこの委員会において委員長の職責を果されるについて、必ずそれは委員会の運営についての考え方、あるいはその準拠さるべき法規等を十分御承知の上で行われるものであろうと思います。その点について私はあらためて委員長にそういう法規について十分尊重される意思がおありになるかどうかということをはつきりお尋ねしたい。なぜかというと、それは先ほど財政法第十四條の問題に関連して、すでに委員長はこの予算が提出されるにあたつて、予算総則の中に盛られております財政法第十四條二項、三項の問題については、現になおそれが法律になつていないということを承認されているわけでございます。それにもかかわらず、先ほど言われております審議に入つてさしつかえないということの意思表示があられたことについては、その点非常に疑問に思うのでございます。委員長に、その職責を果すについて、はたしてその根拠法律というものはどういうものであるかということについて、ここではつきりした御意見を承つておきたい。これが私の関連する質問なのであります。はつきりした意思の表明を願いたい。
○塚田委員長 委員長におきましては、どこまでも法規及び慣例を尊重して、本委員会の審議を進めて参ります。
○石野委員 法規及び慣例をと言われましたその法規でありますが、これはくどいようでありますけれども、財政・法第十四條はまだ成立していないという点を、はつきり確認されての上でそのお言葉をおつしやられるのかどうか、いま一度お伺いいたしたいと思います。
○塚田委員長 はつきり確認した上でただいまのことは申し上げたのであります。
○石野委員 確認した上でこれの審議に入るということは違法である、そういう考え方は持つておられないのですか。
○塚田委員長 それらの点につきましては、さきに川島委員にお答えした通りに、財政法が成立いたしません場合には、それに従つて予算案が直る、こういうように考えて審議を進めて参るつもりであります。
○石野委員 ただいまの御意見は、これの審議に入るにあたつて、それらの点を委員長は明確にしてその審議に入ることと理解してよろしいのですか。
○塚田委員長 よろしゆうございます。
 なお小林進君より議事進行について発言を求められておりますから、この際これを許します。小林君。
○小林(進)委員 先ほどから質問が繰返されているようでありますが、川島君並びに蔵相のやりとりの中に、全会一致で衆議院を通過したから提出してもさしつかえないというお言葉があつたのでございますが、衆議院を通過して参議院で審議中だからこれは違法でないという、その法律的な根拠は一体どこにあるのか、これをお示し願いたいと思います。委員長にお尋ねしておきたいと思います。
    〔発言する者あり〕
○塚田委員長 靜粛に願います。
○小林(進)委員 それではあらためて委員長にお尋ねいたします。衆議院を通過したからよい、目下参議院でこれを継続審議中だから違法でないという法律的な根拠は、どこにあるかをお伺いいたしたいと思います。
○塚田委員長 お答えいたします。そのような答弁は委員長から申し上げたのではなくて、大蔵大臣からの答弁であつたと思います。
○小林(進)委員 もし、衆議院を通過したからもはや提出してもよい、法律的根挺はないけれども、出してさしつかえがないというようなことになりますと、こういう解釈がだんだん拡張せられて、今度は衆議院に提出中だから違法でないというりくつもつきましよう。あるいはまたさらに拡張せられて、将来衆議院か参議院に提出の準備中だからさしつかえない、こういうふうな問題が出て来るおそれがあるのであります。そういうようなことでなく、解釈を厳格にして、あくまでも法律に準拠してわれわれが議する、これが民主政治のルールであります。このルールを否定せられるということは、われわれ断固排撃しなければならぬのでありまして、この民主政治のルール、あくまでも明確なる法律に準拠して、われわれが審議をするというこの原則に誤るところがないかどうか、いま一度私は委員長からお答弁をお願いいたしたいと思うのであります。
○塚田委員長 委員長におきましても、準拠する法律ができ上つた上で、その通りに予算が組まれることは望ましいとは思いますけれども、予算の成立の時期、また準拠する法律の修正を必要と考えた時期、そういうような都合で、やむを得ず同時審議というようなことになる場合がたびたびあり、またそういうような場合には、本院においては先例としてそれをそのままお扱いになつておつたということにかんがみまして、本審議はこのまま継続されてしかるべきものと、こういうように考えております。
○小林(進)委員 いま一点お伺いいたしたいのであります。よく先例という言葉を用いられて、二十二年、二十四年の予算審議の場合の財政法の改正あるいは上程の問題を持ち出されるのでありますが、彼我対照いたしまして、今度の問題が同様であるとお考えになるところに、池田蔵相の頭の血のめぐりを非常にわれわれ疑わざるを得ないのでありまして、いやしくもこのたびの問題は手続の問題にあらずして、しばしば川島委員が述べましたことく、本来予算の審議は毎会計年度ごとにこれを切つて嚴格に予算の処理をして行く、最も会計は嚴格にやるというのがわが国の憲法の建前であり、財政法の建前であり、予算の建前であつたのであります。こういう予算の実体が、このたびは大変革であります。これは実体法上における大変革である。大変革、大革命を行つて、今度は継続費の審議を行うというようなことは重大なる問題でありまして、しかも先ほど言わるるように、憲法はむしろ会計年度を一年くらいに区切るということを本旨にしている。まつたく憲法の従来のあり方とは反対の方向に行こうとするようなこういう実体上の基本問題を、いまだ法律も整わざるにこれを行わるるということは少くとも違法ではないか。違法でなくても、委員長みずからの心情においてまことに遺憾とせられるのか、あるいは遺憾ではない、あたりまえである、こうお考えになるのか。その点を私はお聞きしておきたいのであります。
○塚田委員長 小林委員の御意見はつつしんで承りました。私のこれに対するお答えは先ほど来しばしば申し上げた通りであります。
○小林(進)委員 いま一点お伺いいたしたいのであります。現在衆議院を通過して参議院に移つている問題について衆議院を全会一致で通過したからさしつかえがないとさつき池田蔵相が言われたのであります。たしか一昨日の本会議場では違法でないというようにお答えになつたようでありますけれども、本日の答弁ではさしつかえない、違法という言葉はなかつたのでありまして、いずれにしてもこの問題では大いに蔵相を追究しなければならないと思いまするが、現在わが国会において二院制度が採用せられて、二院を通過しなければ法律として効力を発生しないという国会法の建前より、一院を通過したからさしつかえない、違法でないというような答弁が一体正しいか正しくないか、この問題について私は委員長としての見解を承つておきたいのであります。
○塚田委員長 お答えいたします。違法でないとは委員長は考えておりません。しかしまだその完全でない部分を慣例によつて補つてこの委員会の審議を進めて行く方が、国民のためにも仕合せであると考えて、審議を継続しているわけであります。
○小林(進)委員 私はとうていこの問題は承服できないのでありますが、先ほどの川島委員の発言に対して、公聽会あるいはその他の方法によつて、この違憲問題を愼重に審議することについて委員長も善処するという御答弁がありましたから、私は不満足ながら私の関連質問をこれをもつて終りたいと思います。
○塚田委員長 ただいまの議事進行に関連して、なお風早八十二君から発言を求められておりますから、この際これを許します。風早八十二君。
○風早委員 委員長にお尋ねしますが、先ほど大蔵大臣は二十二年度の先例を引かれまして、二十二年度において財政法がまだ提案されたばかりで、これと同時に予算の審議が始まつたという先例を引かれたのであります。しかしながら、今回は形の上では一見この先例に似ておるようでありますが、実質が違つておる。今回は財政法の改正の内容が問題になります。財政法の改正が継続費に関連して問題になつておるからこそ、参議院でなかなか通過しない。衆議院において、わが党を含めて全野党がこれに賛成したというのは、私は率直に申して、まだこの問題がわれわれ野党もだまされておつたという点はあると思うのであります。これは率直に認めます。しかしながらこれは審議の過程で明らかになつておりますので、われわれは参議院も衆議院も総合してこの運営をやつておるわけです。従つて参議院においてはあくまでこの問題を究明する。この問題の要点の一つは、この継続費が、一つの臨時軍事費的な性格を持つておるということであります。この前の戰争時におきまして、臨時軍事費というものがあつた。これは年々この予算を継続して計上いたしまして、そうして一般会計からも結局これを切り離して、その内容についても、結局はもう軍の命令次第で、十分にその審議を国会でやらせないというような性格のものになつて来ておつたのであります。今度の継続費の問題もやはりこれに関連しておるというところに、われわれははつきり注意を向けなければならぬ。第二にはこの問題は自由党の選挙政策として、いわば選挙運動の先付小切手というものをこの継続で組んで行くという問題もあると思うのであります。こういう問題があるからこそ参議院において今もんでおるわけです。つまりこの改正そのものに問題があるわけです。でありますから、この昭和二十二年における財政法と予算との並行審議という問題と、今回のこの予算を先にやるという問題とは、形は似ておるようであるが、内容が違うというところに問題がある。先ほど川島委員からも、国民生活に及ぼす影響という問題を出しておるのも、この意味であると思う。そういう点についての、私は委員長としての見解を承つておきたいと思います。なぜならば、委員長はわれわれ全委員の超党派的な委員長として、今後長いこの予算の審議に当つて委員長が真にわれわれの支持、支援を得て、その運営をやれるかどうかというところにかかつております。この点で、誠意のある御答弁を願いたいと思います。
○塚田委員長 お答え申し上げます。委員長におきましてはもちろん今まで誠意ある答弁を申し上げておるのでありまして、この問題につきましては今まで申し上げた以外に、委員長においては意見はございません。
○風早委員 誠意のある答弁というのは言葉の上ではないのでありまして、実際にこの問題についてどういう見解を持つておられるか、つまり財政法の今度の改正は、これは実質問題に関連しておる、この点について委員長はどういう見解をとつておられるかということです。
○塚田委員長 お答え申し上げます。それらの点はどこまでも参議院における財政法の審議の進行と関連いたしまして、あれが参議院において通過いたしません場合には、その時期においておのずから本予算案が適当に修正され、そうして本予算案が本委員会を上るまでにはそういう問題は解消する、こういう見通しの上に立つて審議しておるわけであります。
○風早委員 いまだにまだ審議中であり、しかもその内容が、今後の日本国民に対しての非常に危險な臨軍費的な内容を持ち、さらに自由党の選挙運動にもこれが関連しておる、こういうことが内容になつておるということに問題があるのであります。私どもはその点をまつたくほおかむりで、これが通らなければ通らないとき、そのときの話だ、こういうような御答弁は、これはまつたくわれわれは納得が行かない。そういう予算委員会における審議のやり方に対しては、断固反対せざるを得ないのであります。委員長の態度に対するわれわれの意見を表明しておきます。
○塚田委員長 なお中曽根委員より議事進行について発言を求められております。これを許します。中曽根康弘君。
○中曽根委員 私は昭和二十七年度一般会計予算の提出に関しまして、委員長並びに大蔵大臣に質問をいたしておきたいと思います。
 まず委員長にお尋ねいたしますが、この昭和二十七年一般会計予算なるものは、国会の権威を保持して、しかも政府が従来の公約を、ここにおいて政府諸公がやつて来られた公言を履行した予算であるとみなされるかみなされないか、委員長の御所見をまず承りたい。
○塚田委員長 お答え申し上げます。履行した予算であると委員長においては確信いたしております。
○中曽根委員 しからばお尋ねいたしますが、昭和二十七年度一般会計予算の中に、安全保障費五百六十億という項目があります。それから防衛支出金六百五十億という項目があります。この二つの項目は、前国会において論議の中心になつたところであり、国民がまたこれに対しては最も重大なる関心を持つておつたところでありまして、この点に関するわれわれの政府に対する要求は、行政協定の内容を示せ、示さないうちは、これらの安全保障條約あるいは平和條約、その他の問題にとりかかるわけに行かぬという、われわれの要求をしておつたのであります。それに対して政府は、吉田総理大臣並びに池田大蔵大臣ともに答えたことは、内容が明確になり次第、その場その場で法律または予算で出すと言つておる。ところが今度出て来た予算案を見れば、内容が明確になつておるかといえば、断じて明確になつてない。この点について委員長はいかにお考えになりますか。
○塚田委員長 お答え申し上げます。ただいまの中曽根委員のお尋ねは、内容の審議になつておると思いまするので、大臣の説明を聞きまして、内容の審議に入りました際に……。(発言する者多し)
○中曽根委員 内容の審議ではない。政府が予算案を提出するときには、今まで約束したことを履行して提出されなければならない。従つて約束が履行されておるか、されておらないかによつて、われわれは予算案の審議に対する態度をきめるのである。しかるに、その出て来ました一般会計予算を見てみますれば、今まで政府が約束したものとは違うことを盛つて予算案が提出されて来ている。従つて提出の根拠が違うのである。その点に関する政府の説明並びに委員長の見解を私は求めておるのであります。
○塚田委員長 お答えいたします。委員長におきましては、どこまでも、ただいま中曽根委員のお尋ねのような件は、審議が行われた上において明らかになる、こういうように了解いたしております。
○中曽根委員 委員長は内容の審議に入つてからこれを取扱うと言つておるけれども、一応この内容を見てみなければ、政府が約束したことが履行されておるかどうかわからないわけである。そこで試みに安全保障諸費というところを読んでごらんなさい。この予算案に出て来たところでは、(項)の項目に、「安全保障諸費に必要な経費」として五百六十億円が計上されておる。ところがその説明の中に何が書いてあるかといえば、「安全保障に関し諸般の措置を講ずる必要が生ずるので、そのため必要な経費である。」ということが書いてあるだけである。ところがここで今まで政府が答えて来たことは、予算を出すときには必ず内容を明確にして出すと言つておる。ところがこれだけでは明確になつておらぬ。しかもこの問題は、前国会以来この国会の論議の中心であつた問題であつて、これを軽軽にしてわれわれは見のがすわけに行かないのであります。この点に関する委員長の見解をまず承りたいのであります。
○塚田委員長 繰返してお答え申し上げますが、私は中曽根委員のお尋ねの件は、予算案の内容になつておる、こういうように考えますから、どこまでも大臣の説明を聞いて、その上で内容審議において御議論願いたい、こういうように考えます。
○中曽根委員 私は委員長とは見解を異にいたします。今度の国会及び前国会において、われわれが国民の代表者として一番関心を持つて論議に精力を集中したところは、この行政協定の問題であつた。従つて予算が提出される場合には、必ずその内容が明確にされて政府の所信がはつきりして、金が伴つて出て来ると私は了解しておつた。そういうことを政府は約束して来た。ところがここへ出て来たのはどうであるかというと、公式の文書において出て来ておらぬ。従つて政府は従来ここで言つて来た公言に対して食言しておるということになるのであつて、その点に関する明確なる説明をわれわれは要求するのである。委員長の答弁を要求します。
○塚田委員長 幾たびお尋ねをいただきましても、委員長におきましては、前にお答えいたした通りに考えておりますので、これ以上は……。(発言する者多し)
○中曽根委員 委員長、こういう雑音が多くては、委員長の発言が聞えないから整理してもらいたい。委員長の答弁をもう一回聞かせてもらいたい。
○塚田委員長 重ねてお答え申し上げます。委員長におきましは、幾たびお尋ねいただきましても、この問題は予算の審議に入つてからの問題だと考えますので、その機会にひとつ。
○中曽根委員 私がなぜ委員長にこのことを申し上げるかというと、アメリカの上院において、平和條約及び安全保障條約のことが今論議されておる。しかしやはりその中心は行政協定になるだろうと見られておる。従つて、アメリカの上院の議員が、それらの問題を議論し、あるいは予算についていろいろ検討する場合には、行政協定の成立を待つてから、彼らはこれに対する結論を下すと言つておるのである。しかるに、日本の国会においては、その内容の片鱗すらわからぬ。そういう状態でわれわれがこれを審議できますか。国会の権威においては、アメリカといえども日本といえども同じであります。日本の国会はアメリカの国会に従属するものではありません。従つて、対等の立場においてわれわれはこの問題を審議したいのであります。行政協定の内容を示されないで、予算だけを審議をしろということは、日本の国会がアメリカの国会に従属するということの立場をとるのであつて、日本の国会の権威に関することであります。この点に関して委員長の見解を求めておるのであります。
    〔発言する者多し〕
○塚田委員長 御靜粛に願います。委員長の答えは、何べん繰返しましても同じでございます。
○中曽根委員 私は、塚田委員長は自由党に珍しい公平な方であると思います。そうしてかねてより同僚として、塚田委員長は資性温厚、見識人にすぐれた、まつたく自由党には珍しい方であると敬意を表しております。しかるに、その委員長が、委員長という公職にあつて、国会の権威に関するこういう重大な問題をなおざりにせられるということは遺憾千万にたえない。これは自由党の委員長とか民主党の委員長とかいう立場を離れて、私は、日本が独立にさしかかるこのときに国会の権威を確立しなければならないと思う。その意味において私は委員長に見解を求めておる。今の御答弁では納得ができません。(「答弁無用」「内容の審議だよ」と呼ぶ者あり)――しからばもう少しつつ込んで申し上げます。池田大蔵大臣及び吉田総理大臣は、前国会以来、この場所において、政府は仮定の問題には答えられないと言つて来た。そしていつも逃げて来た。ところが今度はどうか。行政協定の内容がわからぬのに、金が出て来るというはずはない。そこで池田大蔵大臣は、想像して組んだと言つておる。しからば、これは仮定の上に立つた想像の予算であつて、国家予算としてははなはだずさんなものであり、確定した国家予算とは言えないのである。想像予算にすぎないのである。(拍手)こういうような予算を出して来て予算と言えますか。(「内容を見ろ」と呼ぶ者あり)内容を見て言えといつたつて、内容がないじやないか。何にも書いてない。何に使うか書いてないじやないか。一体アメリカから武器を購入するために使うのか、あるいは人件費に使うのか、通信関係の諸費に使うのなそれが公式の文書の上に書いてない。内容を見ろといつたつて、ないものを見るわけには行かぬ。これが問題なんである。委員長の御見解をもう一回聞きたい。とにかく、今まで政府は仮定の問題には答えられないと言つて逃げて来た。ところが今の仮定の問題に対して、答えを出して、金を盛つて来ておる。この食言をどうしますか。しからば私は池田大蔵大臣に所見を求めたいと思うのであります。
○池田国務大臣 防衛支出金並びに安全保障諸費の内容につきましては、いずれ全体の説明を終りまして詳しく申し上げたいと思います。しかし何分にも行政協定がまだはつきりきまつておりませんので、私が考え得られる点を列挙いたして、そうして御審議を願うことにしておるのであります。一応説明をお聞きくださいましてから、御質問にお答えいたしたいと思います。
○中曽根委員 池田大蔵大臣の今の御答弁にはやや誠意が認められる。(笑声)ややである。しかし今まで政府、特に吉田総理大臣がこの席で公言して来たことはまつたく違うのである。言葉の上における問題ではないのです。国民はこの公式の文書を見ておるわけであります。これは法律上あるいは予算上の効果を有するものであります。これを見てごらんなさい。たとえば厚生省でも大蔵省でも、金の使い方については一銭一厘までびしやつと書いてある。人件費に至つては、まつたく一銭一厘――はつきり言うならば切手の一銭五厘の値段に対するものでこれは記載されておるわけであります。しかるにこの安全保障條約に関する問題についてはどうかといえば、御存じのように、五百六十億円とポツンと出ておるだけである、あるいは六百五十億円と出ておるだけである。この両方を合計した千二百十億円という金は、八千五百億円の七分の一強であります。しかも政府は、御存じのように全国遺家族が一番今待望しておる遺家族の国家補償費、傷病兵の国家補償費、こういう問題については、百七十四億に減らしておる、一銭一厘を惜しんで減らしておる。それに憤慨した橋本前厚生大臣は、憤然席を立つて大臣をやめた。(拍手)敵ながらあつばれであります。(笑声)そういうふうに、遺家族に対しては金を惜しみながら、国民の血税をしぼつた千二百十億円という金が、使途不明のままでここにのつかつているということは、政府が今まで約束して来たこととたいへん違うのでありまして、国民の代表として、われわれはこれを無條件に受取るわけに行かないのであります。従つて、池田大蔵大臣がこの行政協定に関する自分の見通し、内容、今まで約束して来たこと、こういうことをここではつきり言つてもらいたい。その内容をわれわれが了解したときに、われわれは予算の審議に入ります。それがない限り、われわれは予算全体の審議に入るわけに行かぬ。冒頭にあたつてそれを言つてもらいたい。今まで政府が約束したことに違反しているから私は申し上げる。委員長の処置を望みます。
○塚田委員長 お答えいたします。委員長におきましては、どう考えましても、中曽根委員のお尋ねのような点は、審議に入つて問題になる。たとえば、これが想像に基いて予算を組んであるものであるかどうか。またそうでなくとも、この五百六十億もしくは六百五十億が、本委員会としては賛成できない性質のものであるかどうか。そういうことは、どこまでも審議において問題になるのだ、こういうように考えております。従つて、審議に付するということには問題はないと考えております。
○中曽根委員 私は重ねて申し上げておきまするが、なぜ私がこういうことを言うかといえば、おそらく今年の春にはわれわれ待望の独立の日が来るでしよう。その独立の日を迎えるときに、今までのような考え方では、国会が国民に対する責任を果すことができないのであります。国会の権威においては、日本の国会もアメリカの国会も同等であります。アメリカの国会が政府に対して要求していることは、日本の国会がまた日本の政府に対して要求することでなければならぬ。しかし今までは占領下にあつた関係で、われわれはいろいろな客観情勢も考えて、愼むべきことは愼んで来た。しかしこの行政協定に関しては、国民の血税千二百億円に関係するものであり、かつまたいよいよ日本が独立して自主国会になるというスタートの問題であります。従つてこのような重要問題について、われわれは妥協したり、安易な考えでごまかすわけに行かないのです。日本が独立するためには、日本の国会が最初に独立しなければならない、外国の権威から独立しなければならない、そのスタートであります。国会が外国の権威から独立しないで、どうして国民に独立するなどと言えますか。政府に独立するなどと言えますか。国会がすべての中心になつて、あらゆる面において独立が行われなければならないのであります。そういう意味において、アメリカの国会がアメリカの政府に要求しておることを、日本の国会が日本の政府に要求しておるのであつて、正当な主張であります。従つて従来政府が言つて来たことをここで事現して、先にやつてもらいたいということを要求しておるのであります。
○小平(忠)委員 関連して……。ただいまの中曽根委員の質問に対しまして、私はきわめて重大なる問題でありますので、関連して質問を委員長にいたしたいのであります。そのことは、昭和二十七年度の一般会計予算の中で今日独立への第一歩を踏み出そうとするときに、その内容に防衛支出に六百五十億円、安全保障諸費として五百六十億円というものが計上されているのでありますが、これは先般の一月十八日の閣議において、この決定を見た際に、はたしてその内容がいかなるものであるかということについて、今回再開国会劈頭において池田大蔵大臣の財政演説においていかに説明されるか、私は関心を持つておりました。しかるにその内容はこれからやるのである。すなわち今議論されておりまするように、小さな金額の内容ならいざ知らず、六百億、五百億、合せて千億を突破するような内容がわからないという予算の提出は、古今東西いずれの国を探してもないと思います。一体委員長はこの内容について、どのようにお考えになるか。すなわちこの内容がわからないままで出したものを委員長は受理をして、審議に入つていいという考えをお持ちであるかどうか、これをまず承ります。
○塚田委員長 お答えいたします。委員長においては、一応委員会の審議に付してさしつかえない程度に内容が明らかになつておる、従つてなお不明な点は委員会の審議の経過において明らかにしていただく、こういうように運びたいと考えております。
○小平(忠)委員 ただいま委員長は、あくまでも審議に入つてからとおつしやるのでありますが、私はこの問題は――今回最も重要なる行政協定をいたしまして、具体的にきめなければならぬところの防衛支出金であるとか、あるいは安全保障の諸費については、政府はおそらく近くラスク特使が参りますので、その結果を待つて今度の国会に予算案を出すのではなかろうかというように昨年の末ごろは考えておつたのであります。もしこの予算案を上程されるというならば、私は日本国政府としましても、ラスク特使の来訪を待つだけでなく、その事前にわが国政府の代表を遠く向うに派遣して、その内容を具体的にいたしましてもよかつたのではなかろうか。政府においてそういう具体的な措置がなされたかということを考えてみますと、なされていない。向うからラスク特使が来て、それで話の内容をきめて出すというならば、予算案を出すのを待つた方がいい。そういう根本的な疑義をはらんでいるにかかわらず、委員長はこういう問題は審議に入つてからやるべきだということは、根本的に了解できない。従つてこの問題について委員長はいかに考えるか、もう一ぺんお聞きいたしたいと思います。
○塚田委員長 お答えいたします。小平委員の意見はつつしんで承りましたが、委員長の答えは前に申し上げました通りであります。さよう御了承願います。
○中曽根委員 ただいま小平君にお答えされた委員長の言葉の中に、この予算は、特に安全保障諸費に必要な経費というところは、国会に提出して、しかも審議してよろしいという程度の内容があると認めておるという発言がありました。しかし予算書を読んでみれば、ただいま読みました通りに、「安全保障に関し諸般の措置を講ずる必要が生ずるので、そのために必要な経費である。これだけ書いてあるだけである。これだけでは厖大な六百五十億円というものの内容がはつきりなつておるとは言えない。大蔵省の予算の中を読んでみても、貴金属調査委託費として十二万円余のものがはつきり載つておる。わずか十二万円の金を載せるだけでも、このように明細に国民の前に知らせておるわけであります。五百六十億という厖大な金を出しておきながら、しかもあの戰死者遺家族の補償費まで削つてこういうものをふやしておきながら、こういう抽象的なあいまいな言葉で説明が済んでおるとは言えないのであります。これは今まで一番関心を持つた問題であり、しかもこの場所において吉田総理大臣や池田大蔵大臣が公言したことであるので、私は重ねて要求しておるのであります。池田大蔵大臣は過般想像してこれを組んだというようなことを言われておる。この想像して組んだということ自体が、今までの公言に対する食言なのであります。政府の大元である吉田総理大臣は、仮定の問題には答えられないと言つて来た。池田大蔵大臣が想像して組んだということは、仮定のもとに組んだことであり、確定しておらない。従つてこの予算は概算見積書であつて、予算書ではない。おそらくこの中には、相当余つて来るものもあるだろうし、わけのわからぬものもあるだろうし、客観情勢でほかに使わなければならぬものも出て来るだろうし、そういうことがはつきりしないで、概算見積書として出て来たものを、予算書としてわれわれは審議するわけには行きません。想像的予算書で審議するわけには行かぬのであります。これは今まで政府がわれわれに言つて来たことをわれわれが実行しているにすぎない。そういう点について私は委員長並びに大蔵大臣の明確なる見解を知らしていただきたいと思つております。
○塚田委員長 お答えいたします。委員長の意見は、先ほど小平君に申し上げました通り、本委員会において審議をしていただく程度に明らかになつております。だからして、御審議願つて、なおその上で不足の点は、これからの説明その他によつて補足して行く、そうして最後にこれを認めるべきか、認めるべきでないかを決定していただく、こういうふうに考えております。
○中曽根委員 水かけ論のようになるわけでありますが、これは最も重大な問題ですから、私は讓歩いたしません。あなたは明らかになつておると言うけれども、わずか十二万円の金についても、貴金属調査委託費という明確な説明が載つておるわけです。五百六十億という厖大な金に関して、「安全保障に関し諸般の措置を講ずる必要が生ずるので、そのため必要な経費である。」それだけしか載つていない。これでもつて説明があるとは考えられないじやありませんか。塚田委員長のような聰明な委員長が、そういう言葉で韜晦されても、われわれは妥協いたしません。これは国会の権威において明らかにしておくべきことであります。委員長のもう少し納得の行く説明を私は要求いたします。
○塚田委員長 これ以上のお答えはございません。
○中曽根委員 しからば私は、大蔵大臣に御見解をお示し願いたいと思います。今までの約束と違うところでありますから、その点について特に納得の行くように御説明いただきたいと思います。
○池田国務大臣 予算全体につきまして説明をしながら、内容について御説明を申し上げたいと思うのであります。予算の全体を説明しながら、今御質問の内容を説明してよろしゆうございますか。
○中曽根委員 私たちはこれを予算書として受取らなければならぬ、従つてこれを予算書としての効力を認めるか認めないか、あるいは今まで政府が約束したことにちやんとのつとつて出して来た予算であるかどうかということを、事前に審査しなければならぬ。しかる後に内容に入らなければならぬ、そういう観点からすれば、今まで約束して来たことと違約してこれができて来ておるわけです。従つてその違約したことに関する説明を先に私要求いたしまして、しかる後に予算の説明に入つていただきたい、こういうことが私の要望であります。
○池田国務大臣 御承知のように、今回の防衛支出金は、終戰処理費とはその性費を異にしておるのでありまするが、終戰処理費の計上の仕方につきましても、九百数十億円一本に出しまして、そうして目を設定して大蔵大臣が使用する、こういうことで今まで了承を得て来たのであります。従いまして実質的には米軍の駐留に関する費用でございますが、一応六百五十億を出しまして、その内容につきましては、これから御説明いたしたいと考えるのであります。それからまた五百六十億円の安全保障諸費につきましても、これは特に目を設定いたしまして、四百億円の施設費とか、百六十億円の物件費とかその他を計上いたしておるのであります。だからその内容をお聞きくだされば、今までの例をお考えになれば、何も約束を違えたような予算ではございません。はつきりした予算書でございます。
○中曽根委員 池田大蔵大臣は話を聞けばわかると言われておりまするけれども、その程度の話を聞いたんではわからない。この大蔵省所管一般会計予算参照書、これが大体予算の説明をしておるわけです。この説明にはほかの経費についてはあらゆる問題の明細がこまかく載つております。ところが安全保障諸費という面については何も書いてない。しかも私がこれをなぜ言うかというと、繰返して言うように、アメリカの国会においては、ともかくこういうものが先にはつきりしないうちは審議にかからぬと言われておる。これは国会として正しいではないか。日本の国会はアメリカ以上の権威を持つていなければならぬ。そういう意味で私はこの独立にさしかかる際に、国会の権威を確立しておく必要があるので、特に申し上げておるのであります。委員長の善処を望みます。向うはとにかくはつきりしないうちは審議にかからぬという、だからわざわざラスク特使を派遣して、こういう労力をとつておられるわけであります。国会の権威においては、日本もアメリカも同じことであります。ただいままでの委員長並びに大蔵大臣の御答弁では、われわれは釈然とすることができません。しかし予算案の審議を進めることは国民の要望でもあります。従つて私はこの問題を留保いたしまして、ともかく予算案の説明にあたつて、冒頭にあたつて大蔵大臣がこの点に関して明確なる、しかも詳細なる説明をなされんことを要望いたしまして、私はこの問題を留保しておきます。(拍手)
○塚田委員長 本日はこの程度にとどめまして、明日は午前十時より委員会を開会いたし、政府の提案説明を聽取することといたします。
 これにて散会いたします。
    午後三時五十二分散会