第013回国会 予算委員会 第6号
昭和二十七年二月一日(金曜日)
    午前十時二十九分開議
 出席委員
   委員長 塚田十一郎君
   理事 有田 二郎君 理事 上林山榮吉君
   理事 小峯 柳多君 理事 西村 久之君
   理事 井出一太郎君 理事 川島 金次君
      天野 公義君    江花  靜君
      尾崎 末吉君   小野瀬忠兵衞君
      角田 幸吉君    甲木  保君
      川端 佳夫君    北澤 直吉君
      栗山長次郎君    小坂善太郎君
      志田 義信君    島村 一郎君
      庄司 一郎君    鈴木 正文君
      田口長治郎君    玉置  實君
      永井 要造君    中村 幸八君
      南  好雄君    今井  耕君
      川崎 秀二君    中曽根康弘君
      早川  崇君    平川 篤雄君
      藤田 義光君    西村 榮一君
      水谷長三郎君    風早八十二君
      横田甚太郎君    稻村 順三君
      小平  忠君    世耕 弘一君
      石野 久男君    小林  進君
 出席国務大臣
        内閣総理大臣  吉田  茂君
        法 務 総 裁 木村篤太郎君
        大 蔵 大 臣 池田 勇人君
        文 部 大 臣 天野 貞祐君
        通商産業大臣  高橋龍太郎君
        労 働 大 臣
        厚 生 大 臣 吉武 惠市君
        国 務 大 臣 大橋 武夫君
        国 務 大 臣 岡崎 勝男君
        国 務 大 臣 岡野 清豪君
        国 務 大 臣 周東 英雄君
        国 務 大 臣 山崎  猛君
 出席政府委員
        内閣官房長官  保利  茂君
        大蔵政務次官  西村 直己君
        大蔵事務官
        (主計局長)  河野 一之君
 委員外の出席者
        専  門  員 小林幾次郎君
        専  門  員 園山 芳造君
        専  門  員 小竹 豊治君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 昭和二十七年度一般会計予算
 昭和二十七年度特別会計予算
 昭和二十七年度政府関係機関予算
    ―――――――――――――
○塚田委員長 会議を開きます。
 本予算の各案を議題に供します。昨日に引続きまして内閣総理大臣に対する質疑に入ります。西村榮一君。
○西村(榮)委員 私は本日主として総理大臣に対しまして、中国問題並びに日米防衛協定から来る行政協定の内容、並びに昨日御答弁になりました防衛力の具体的な処置について、大綱をお伺いいたしたいと思うのであります。詳細のことは後日主管大臣から承るといたしまして、以上の三点は国策上の大綱として総理大臣にお伺いいたしたいのであります。健康の許す限り総理大臣の御答弁を煩わしたいと思うのであります。昨日のようにことごとく所管大臣をして答弁せしめるということであれば、せつかく本日総理大臣に対して質問せんとする私の趣旨に反する。同時に、私は、日本の健康と総理大臣の健康を害するような質問はしないつもりでありまするから、どうか御安心の上に御答弁を願いたいと思うのであります。
 まず第一に私がお伺いしておきたいことは、十二月の二十四日総理大臣はダレス氏に対して書簡を送られました。これについて何かアメリカから具体的な御返事がありましたかどうか、お漏らしを願いたい。
○吉田国務大臣 具体的の返事というのはどういうことですか。
○西村(榮)委員 あなたの書簡の趣旨に対して、外交辞令以外に何か御回答がございましたか。
○吉田国務大臣 これはこの間の国会でありましたか、どこかで私も説明いたしたように、私がそういう考えを持つておると言つたところが、ダレス氏が何か書面に書いてくれないかということでありましたから、私のかねて考えているところを書面に述べただけであります。そしてそれに対しては返事を受くべき筋合いのものでもない。私の考えておるところを述べただけであります。
○西村(榮)委員 吉田書簡に対して何かイギリスとの間においてお話合いがありましたか。あるいはまたその後イギリスとの間において生じた――たとえば本日の新聞を見ますると、イーデン外相はイギリスの議会で、野党の質問に答えて、日本と中国との問題は、講和成立後日本にまかされておるという点にはかわりがないという御答弁をなすつておる。私は、あなたがダレス氏に対してお送りになつた書簡の後に生じたイギリスの動向について、何か国民に知らしておいていただくことがないかどうか、御感想を承りたい。なぜ私はこのことをあなたに御質問するかといえば、少くともあの書簡から生ずる東南アジアの開発の問題、並びに東南アジア市場において、イギリスと日本との間においては調整すべき多くの問題が発生いたしましたるがゆえに、イギリスの動向についての御感想を承つておきたいと思います。
○吉田国務大臣 御承知のごとく、今日は、諸外国に対しての政府としての直接通信は、ある限られた範囲、つまり事務上の範囲以上に出ないのであります。従つて、私の書簡に対してイギリスがこう考えるとか、あるいは抗議とかいうようなことは何ら受取つておりません。ただ私の承知するところでは――私的に承知するところでは、イギリス側も私の書簡に対して了解したということを間接に私信として承知しております。
○西村(榮)委員 次にお伺いしたいことは、あなたの書簡にも示されておりますし、また過般来の議会における御答弁においては、台湾政権を今統治している地域に局限し、かつまた将来統治するであろう地域との間において修好関係を結ぶということを承るのでありますが、そうしまするとあなたは、ことさらとは言わないが、議会における答弁において――書簡には出ておりませんが、言葉の使い方はいつも台湾政府という名称を使われておるのであります。この書簡と過般の答弁の内容とを相関連して考えてみますると、これは台湾政府として、局地政権としての限定承認というように解釈できるのでありますが、さように解釈しておいてさしつかえありませんか。
○吉田国務大臣 限定承認という定義にもよりますが、いずれにしても、台湾政府と言つたのは、あたかも東京政府、ワシントン政府という呼び名のごとき便宜の言葉でありまして、正確に申せば、台湾国民政府とでも言うのでありましようが、通俗の言葉で、あたかも東京政府は、あるいはワシントン政府というがごとく、あるいは北京政府というがごとき意味合いで、私の台湾政府という言葉は使つたのであります。またあの書簡にあります通り、現に台湾国民政府は、ある限られた地域の上に統治の実態を示しておるのでありますから、その事実を認めてこれと条約関係に入るというだけの趣意であります。
○西村(榮)委員 そうすると、大体において、今の台湾政府が支配の及ぶ範囲における地域の住民との間に修好条約を結ぶ、こういうことになりますね。デリケートな問題ですから、局地政権としての限定承認であるとかなんとかいう言葉は今は避けるにしても、大体実質的には、台湾並びに将来かの国が領有するであろう地域との修好関係を結ぶ、こういうことになりますね。
○吉田国務大臣 その通りであります。
○西村(榮)委員 その通りであるといたしまするならば、これはかつての前例――一種の亡命政権の承認ということを申し上げると、はなはだ失礼になりますが、あるいは亡命政権の承認という形も含まれているし、同時にこれは、交戦団体としての特殊なる地域に対する限定承認とも解釈できるのでありまして、きのうの岡崎さんの答弁並びに総理大臣の答弁を拝借いたしまするならば、今は中共と即時修好条約を結ぶ条件というものは、あらゆる角度から生じていないが、中共が将来いろいろの条件を具備して来れば、近隣親善の立場において修好条約を結ぶこともあり得るというような御答弁をなすつたのでありますが、外交としてはこれは正しいと私は考えている。そうするならば、私がここにお尋ねしておきたいと思うことは、きのうの答弁が外交上の常識であるといたしまして、日本の今日の事情上やむを得ずして台湾の局地政権を承認せんとするならば、進んで中共を相手にせずという声明のしんにゆうのかけ方というものは、私は、過般来の答弁とは少し違つて来ているのではないかと考えるのでありますが、いかがでありましようか。
○吉田国務大臣 お答えをいたします。この間本会議において答弁したと思いますが、条約には、いわゆる中国政府のいずれかを選ぶということは、日本政府の自由な選択にまかされる――イーデン外相が指摘しておられるように、この問題と、台湾政権とある条約関係に入ろうということとは、これは意味合いが違うことは申した通りであります。そうして今お尋ねの中国といいますか、北京政府と日本との間に、ある条約関係、平和関係に入るというような事態が生ずれば、これはけつこうなことだと思います。北京政府との間にいい関係を生じたい、善隣関係を持ちたいという、私の趣意というか、日本政府の趣意から考えてみても、中国との間にある条約に入り得る状態が生ずれば、まことにけつこうなことである。それが一層進んで、中国政府として承認をするというか、中国政府の選択を北京政府に対してできるというようなことができれば、これもけつこうであります。しかしそれにはいろいろな要件がありますが、私は相手にせずなどということは申したことはないつもりであります。これは近衛公とは少し違うことを御承知おき願います。
○西村(榮)委員 今の御説明を承つて、国民はやや安堵したと思うのであります。そこで私は、今さしあたり台湾政府を承認することにおいて、当分の間中共との国交が断絶するということは、これは実質上予想せねばならぬのであります。同時に七百五十万の台湾島民と修好条約を結ぶという結果は、四億五千万の中共民衆と敵対関係に入るということの政治上、軍事上、経済上のマイナス面というものを考えてみまするならば、日本政府が今日の段階において、諸般の事情上やむを得ず、この冒険を冒して台湾政府を承認しなければならないといたしまするならば、当然先ほど申しましたように、軍事上、政治上あるいは経済上のマイナス面が生ずるのであります。このマイナス面に対して、一体どういうふうな補い方をつけて行くのかどうか。少くとも吉田書簡が発せられた上からは、その問題について失うべきところをどう補つて行くかという点については、アメリカとの間において当然……。(発言する者あり)私が質問しているのだ有田君……。(有田委員「こつちはやじつているんだよ。」と呼ぶ)委員長、有田君がやじつていますから注意してください。
○塚田委員長 御静粛に願います。
○西村(榮)委員 私は当然その失うべきところは、日本として確保しておかなければならぬと思います。たとえて申しまするならば、総理は口癖のように、中国からの貿易は大したことはない、こうおつしやる。私はそれは一部の見方だと思う。中共の貿易が日本経済の起死回生の政策であると主張することも行き過ぎではあるが、アジア大陸と日本との関連を無視して、日本の経済の再建と国防上の安定はあり得ません。従つて、このどちらにも行き過ぎないで、この問題を解決いたしておきまするならば――たとえていえば、中国から輸入される鉄鉱石にいたしましても、石炭にいたしましても、これは今日アメリカから仰ぐことにおいて二倍ないし二倍半以上の経済上のマイナス面が生ずる。同時に軍事上、政治上の多くのマイナス面が生ずるのであります。吉田書簡を出される前に、これらの問題についてどういうふうな解決をしておかれたか、承つておきたいと思います。
○吉田国務大臣 台湾政府を承認――というとおかしくありますが、ある条約関係に入るとして、それがマイナスということも行き過ぎであると思います。これはよくお考えを願いたいと思います。
○西村(榮)委員 私がお伺いしたのは、現実の経済問題、現実の軍事上、国防上の問題、政治上の問題、現に計数から見て七百五十万の民衆との握手によつて、四億五千万の民衆との将来の握手の道が、善隣関係が断たれるとすれば、そこに当然、現実にマイナス面が生じて来ているのじやないか。私はそれらのマイナス面を補う――七百五十万の民衆と握手することにおいて、四億五千万の民衆との握手の手が断たれる、当然そこにはマイナス面が生ずる。けれども一面、こういうふうな補い方があるのだという点を、外交当局としては当然準備しておかれなければならぬのでありまして、はなはだ失礼ですが、重ねてこの点を御答弁願います。
○吉田国務大臣 これは昨日も岡崎国務大臣から答弁があつたと思いますが、現に中共は管理貿易をやつておるので、お話のように石炭が来るとか来ないとか、来るときまればともかくでありますけれども、来ないかもしれません。しかしアメリカからは参ります。またその他の国からも参りますが、中国の貿易は管理貿易になつておりますから、そう簡単に来るとは――石炭が向うにあつても必ず来るとはきまらない。また四億の民があるということは事実であります。しかしながらこの四億の民と日本との間において、たとえば朝鮮問題、国連関係等においてある関係ができておる以上は、これを無視するわけには行かない。これを無視することがかえつて他の国との間の関係を悪くするとも考えられますから、必ずマイナスだと断定されるのは少し早くはないか。また台湾国民政府とある条約に入ることによつて、北京政府の方でも、それでは自分の方とも話合いをしようという気になるかもしれません。マイナスになるかプラスになるか、今後の発展にまたなければならないと思います。
○西村(榮)委員 一つの国に対して二つの修好条約を結ぶということは、これは外交上あり得ません。これは前に承認した政権を取消して、新しい事態に即応して、次の政権を承認するかいなやということであります。あるいは亡命政権として承認するか、あるいは交戦国として特殊な限定承認をするか以外にはあり得ないのでありまして、ただいまの御答弁は、外務大臣の外交専門家としての答弁には、私はならないと思うのでありますが、しかし時間の関係上、その問題は押し問答をしておることを避けましよう。ただ私がこの際、総理大臣に承つておきたいことは、昨年の十一月ですか、前国会において外務大臣はこういうふうな御答弁をなすつた。もしも中国共産党が日本に対する騒擾並びに内乱に対して、教唆並びに干渉さえしなければ、同時に中国共産党地域が希望するならば、上海に商務官事務所を置いて通商条約を取結んで行くことは、私の希望するところであるということを参議院において述べられたのであるが、私は今日の外交の常識上から行きまして、この考え方、この取扱い方が最も常識的であると思うのであります。なぜこういうふうな常識的な外交政策をとられないで、突如として吉田書簡を発せられたかということは、ふしぎに思うのであります。そこで私が今日重ねてお伺いしたいことは、参議院のこの御答弁は、今日でも吉田総理大臣はその方針は妥当だとお考えになつておるか、はなはだ何ですが、念のためにお伺いしておきたい。
○吉田国務大臣 これは先ほど申した通り、他の条件さえ許すならば、中国との間にただに在外事務所を置くのみならず、外交関係に入つてもいいのであります。しかしながら、今日は他の条件が許さないから、単に商売だけでは考えられない面もあります。
○西村(榮)委員 この参議院における吉田総理大臣の答弁が国際的に反響を呼び起して、そして、そのわび証文の一つとして、吉田書簡というものを出さざるを得なくなつたといううわさもありますが、それは今日問題にいたしません。けれども、ここに吉田さんにお伺いしておきたいと思うことは、吉田書簡は、私はこの文面から申しますると、吉田茂個人の外交政策の意思表示であつて、これは拘束力を伴う国際約束ではない、こう思うのですが、いかがでしよう。
○吉田国務大臣 これは日本政府の意見を書簡として述べたのであつて、全権委任状を持つてダレスとの間に条約を結んだのではありませんから、お話のように、もしこれが条約ということであるが――条約とは言われなかつたが、何とか言われたが、全然私文書ではないのであります。私文書というべきものではありません。総理大臣の地位におる私あるいは外務大臣の地位におる私が、政府の外交方針はこうだと述べたのでありますから、全然ほごにはいたしません。しかしながら、拘束力があるとかないとか、それがどういう拘束力であるかということについては、条約と同じ効力があるとお考えくださると間違います。
○西村(榮)委員 この吉田書簡が一国の国策を意思表示する外交文書であるといたしますならば、これは当然日本国総理大臣兼外務大臣吉田茂から、アメリカの外交当局者たるアチソン国務長官に対して出された外交文書というものが、一国の正式な外交文書であろうと思うのであります。ダレス氏は、日本に来られる場合には、一時的に特命全権大使としての資格を付与されておいでになる場合もあるが、彼は国務省の一顧問であります。外交の責任者ではありません。同時に、あなたが発せられた文書は、何ら上に職名を書いておりません。これが公文書でありまするならば、なぜ総理大臣兼外務大臣吉田茂から、アメリカの外交責任者たるアチソン国務長官に文書をお出しにならないのか。私は、これは吉田茂個人の外交政策の希望的な意思表示だと解釈しておるのです。いかがでしよう。
○吉田国務大臣 御解釈は御自由であります。
○西村(榮)委員 解釈は自由であるという吉田さんの答弁でありますが、あなたの出された文書が、真に日本国を代表するものならば、なぜ総理大臣兼外務大臣という職名において、向うの外交当局者に出されないか。解釈は自由でありません。これは国の運命に影響を及ぼす重要な問題であるのであります。ここに私がそのことを申し上げるのは、講和条約の中には、中国選択問題は、いずれを選択するかということは、日本にまかされておるのであります。従つて、日本にまかされておるということは、日本が独立して、日本の外交交渉権が確立された後において、初めてなされるべきものであるのであります。このことを考えてみると、今や吉田茂個人の外交政策の意思表示として、あなたの親友ダレス氏に書簡を送られたんだ、自分はこう解釈し、しかも、それは国際外交の上において何らの拘束力を持たない。従つて中国問題の処理は、日本の独立権の回復の後においてなさるべきだ、こう私は解釈するのだが、いかがですか。
○吉田国務大臣 あなたの御解釈にまかせます。
○西村(榮)委員 この問題はきわめてデリケートでありますから、いずれかの機会になお御質問申し上げたいと思います。
 先ほどの総理大臣の答弁によつて、台湾政府を承認する結果生ずる軍事上、国防上、政治上、経済上のマイナス面についても何らのとりきめがない、同時にイギリスとの間においては具体的な調整がないということがここに明らかにされたのであります。この中国問題のみならず、国の外交の問題について、外交の専門家たる吉田さんに申し上げることは、はなはだおこがましい話でありますが、この際考えておかなければならないことは、それらのマイナス面に対してどういうふうな補い方がされておるのか、どういうふうな補強の方法がされておるのかということを国民に納得させずして、この問題をやるということは、自主的外交ではないと思う。特に率直に申しまするならば、アメリカのアジア政策、対日政策、極東政策は絶えず動揺がちであるということを総理大臣は銘記していただかなければならない。かつては国民政府を支持し、あるいはこれを放棄するがごとき言動をなし、あるいはまたこれを支持するがごとき方針をとりつつ、しかも朝鮮問題の今日の動乱は、アメリカが終戦当時声明いたしました五箇年信託統治方式を途中で放棄したことにおいて、朝鮮動乱の一つの原因が発生して来ておる。極東政策ことごとく動揺と混乱のうちにアメリカの政策が進められておるということを考えてみまするならば、特定国の方針に盲従して、わが国の百年のアジア政策を誤つてはならないと思うのでありまして、これがゆえに私はあなたに御質問申し上げ、かつまた将来の外交政策についての御反省を促したいと思うのですが、時間の節約上次に移ります。
 次に私があなたにお尋ねいたしたいと思うことは、日米安全保障条約についての行政協定が今日交渉中であります。詳しいことはいずれまた岡崎さんから御説明を承りたいと思いますが、きのうもそうです。また着任の即日もそうですが、アメリカのラスク氏が声明していわく、この行政協定はまつたく日米対等の立場においてなさるべきものであつて、日米両国の利益と平和のために貢献する条約を、これから協議せんとしておるのであるということを声明されたのであります。しからば日米対等の立場においてこの条約を取扱われるということでありますならば、なぜ日本が講和条約の法律的効力が発生された後において、真に日本が独立国家としての内外ともの態勢を整え、自主的に判断のできる態勢ができてから対等の立場において、世界の自由と平和、アジアの平和、日本の安定のために協議をされなかつたのか。今向うから来られて対等の立場でやるのだといつたところで、アメリカは大軍を率いて日本を占領いたしております。そしてなお日本が独立の法的効力を発生していないこのときに、対等にして平等なる立場において協議を開くといいましても、それには国民は少しく別な考えを抱くでありましよう。なぜこれが独立後になされなかつたかということについて、総理大臣の御説明を承りたい。
○吉田国務大臣 これは対等だと向うが言つておるのでありますから、対等と御承知を願いたい。また、今のところは予備交渉であります。いかなる協定を結ぶか、その協定が成立するまでには、まだ時間もあるでありましよう。自然条約が発効した後に成立するということになるでありましよう。
○西村(榮)委員 ただいま総理大臣は、現在は予備交渉の段階である、こう言われたのであります。これはきわめて重要な御声明であります。そこで私はそれならば、今は予備交渉しておくが、正式な調印というもの、正式なとりきめというものは、講和条約が法律的に成立した後になされるということに解釈して、今はまだ打合せの下準備だというふうに解釈してよろしゆうございますか。
○吉田国務大臣 その通りであります。
○西村(榮)委員 その通りであるということで、私は安心いたしました。どうかただいまの御声明を総理大臣はいつまでも銘記しておいていただきたい。本来ならば、日本は講和条約を結んだ、講和条約を結んで、法律的形態が整つた後において、日米安全保障条約というものが結ばれる、その日米安全保障条約が結ばれた後に行政協定が結ばれるという、三つの段階を経てやつてこそ、初めて対等のものである。しかしながら、今予備交渉である、正式の調印ととりきめは、日本が独立した後においてなされるのだということを承りまして、私はやや安心いたしました。どうかその点はお忘れないようにお願いいたしたいと思います。
 そこで、こまかい財政上の問題は大蔵大臣にお伺いたしまするから、後日に譲りたいと思います。大まかな点を総理大臣にお伺いしておきたいと思うととは、この行政協定に伴つて、日本には防衛費並びに安全保障処理費六百五十億円と五百六十億円という費目が組まれておるのです。しからば、今予備交渉であり、正式な調印は講和条約の後において発生するのだというにもかかわらず、今その条約が成立していないにもかかわらず、この費目を盛られたという理由はどこにございますか、承つておきたい。
○池田国務大臣 行政協定が結ばれることを予想いたしまして、私がその内容等を察知すると申しますか、大体予定いたしまして、予算を組んだわけであります。
○西村(榮)委員 大蔵大臣にはやがて十分にあなたの該博な意見を承りたいと思います。きようはとりあえず総理大臣に御質問しております。総理大臣はただいま予備交渉である、正式な調印は独立後になされると言われた。私はその御答弁がありだからこそ、深くはお尋ねしなかつた。行政協定の内容というものは、これは単なる行政上のとりきめではありません。これは国民の権利義務並びに税金その他において日本の主権の制約を伴うところの、重大なる、憲法上にも関係があるものでありますから、私は今総理大臣が独立後においてなされるという言明を信じて、その質疑の中に入らなかつた。しかるに予備交渉の中に成立を予想するというだけでは、これは今のお話とは違うのでありまして、従つてなぜそのことを今予算の中に組まれねばならなかつたかということを、重ねて総理大臣から、ひとつその大綱だけをお伺いいたしたいと思います。
○吉田国務大臣 これは大蔵大臣からお答えいたします。
○池田国務大臣 ただいまお答えした通りであります。
○西村(榮)委員 それでは私は、この問題は具体的なことは大蔵大臣に後日御質問申し上げますが、とりあえず総理大臣にお伺いしておきたいことは、こまかいことは別です。なぜ日本がこの防衛分担金を支出しなければならなかつたかという、そしてまた、将来日本が独立後において条約を結ばれれば、それを支出せねばならぬ日本には義務があるのだということでありまするならば、日本が防衛分担金を負担しなければならぬところの義務条項について、私は総理大臣の見解を承りたい。これは総理大臣に聞いておるのだから、総理大臣からお答え願いたい。
○吉田国務大臣 岡崎国務大臣の方が正確でありますから……。
○岡崎国務大臣 日本の防衛を、とりあえず自分の方に力がありませんので、アメリカに依頼するのでありますから、われわれの方ででき得る限りの費用を分担するのは当然と心得ております。
○西村(榮)委員 きようは総理大臣に対する質問の時間であるということは、先ほど申し上げた。だから具体的な問題は国務大臣から聞きましよう。総理大臣から、ただ単に、何がゆえに日本が防衛の費用を分担せねばならぬのであるか、率直に、簡単でいいから、これを承りたい。
○吉田国務大臣 私は昨日も申した通り、私が出席したその席において、私にかわつて答弁された国務大臣の答弁は、ことごとく私の答弁であり、責任は私が負います。
○西村(榮)委員 しからば私はお尋ねするが、今岡崎国務大臣は、日本から日本の防衛をアメリカに依頼したのであるから、防衛費を分担する義務があるのだという御声明をなさつた。しからば私はあなたにお伺いしたいが、日米安全保障条約のどこに、日本を防衛するというアメリカの義務規定が存在いたしておりますか。日本国政府はアメリカ政府に対して日本の防衛のために軍を置いてくれという懇請はした。しかしこの日米防衛協定のどこに、日本を防衛してやるという義務条項が明確に法律に規定されておるかどうか承りたい。
○岡崎国務大臣 今西村君が言われた通り、日本の防衛を日本側が懇請し、アメリカがこれを承知したのでありますから、当然これはアメリカが防衛することになるはずであります。
○西村(榮)委員 私はアメリカが日本を防衛してやるという義務条項が、日米安全保障条約のどこにあるかということを承つておる。
○岡崎国務大臣 でありまするから、そこに書いてあるところに書いてある。
○西村(榮)委員 日本の防衛に対するアメリカの義務条項は、どこにもありません。もう一ぺん見てごらんなさい。議会における答弁並びに政府のしばしばの声明の中に、日米安全保障条約は日米相互の防衛協定でやるということをしばしば言われ、その一つのモデルとして北大西洋同盟、米比協定をとられた。しかしながら、北大西洋同盟の欧州各国との条約の中に何と書いてあるかというと、加盟国は加盟国に対して加えられる一艦、一機、一隻の攻撃といえども、これは全加盟国への攻撃とみなして、共同防衛に立つということを、北大西洋同盟は明確にされている。しかるに日米安全保障協定においては、日本の要請によつて、アメリカ軍はここに軍をとどめるということは書いてあるけれども、その内容はアジアの平和と安定のために日本並びに日本の周辺に軍をとどめるということが書いてあるだけで、日本の防衛に対しては、日本への攻撃をアメリカ合衆国への攻撃とみなし、日本の防衛のためにはどれだけの兵力を置いて、どういうふうにしてどうするという義務条項が明確に書いていない、これがどこにありますか、承りたい。
○岡崎国務大臣 北大西洋条約等はお互いに軍隊を持つている国の間の協定であります。(「アイスランドは持つていない」と呼ぶ者あり)日本においては遺憾ながら軍隊がないのでありますから、形態がおのずから異なるのは当然であります。
○西村(榮)委員 それならばその問題はこれは時間がございませんから、後に岡崎君に別にお話を承りたいと思います。私はきようは総理大臣に質問しておるのでございます。総理大臣にお伺いしたい。ということは、ここに防衛分担金六百五十億円、あるいは安全保障諸費五百六十億円という費目が組まれておるのであります。私は米比協定にしても、あるいは北大西洋条約にしても、他国の軍隊がその国に駐留するために、その国の財政分担金というものは聞いておりません。一体どこにありますか承つておきたい。
○池田国務大臣 最近の例によりますと、アメリカの空軍が英国に、またアメリカの軍隊がフランスに駐留いたします場合におきましては、その費用の一部を駐留せられておる国が負担するということが例になつておるのであります。しこうして防衛分担金ということは行政協定によつてきまりますので、私はあえて分担という言葉を使わずに、防衛支出金という言葉で表わしておるのであります。これが行政協定が成立いたしましたら、実質は防衛分担金になりますが、まだ分担という観念は入れておりません。
○西村(榮)委員 私は総理大臣に聞いておるのですから、総理大臣にお答え願いたい。たとえばイギリスを例にとられたのでありますが、イギリスにしてもフランスにしても、アメリカ軍隊が駐留するために費用は分担しておりません。これは基地に対する無償提供の限度にとどまつております。同時にアメリカがこれらの諸国に対して要する費用は別な積立てをいたしております。私はここにこれら軍隊を持つておる国と対等のあれはできないといたしまするならば、米比協定にその例をとつてみますと、一九四九年の十月に制定された米国とフイリピンとにおける協定の中にどういうことが書いてあるかと申しますと、アメリカがフイリピンの軍事教練その他に対して軍事顧問団を送る場合においては、アメリカはアメリカの軍事顧問団に対しては、アメリカ軍隊としての等級、資格はそのまま継続するが、それに要する費用はフイリピン政府が分担せなければならぬということだけは書いてあります。アメリカとフイリピンの条約においてもしかりでありまして、私はどこに他国の軍隊がそこに駐屯するために、その国がその費用を分担しておるという例は聞きません。(「満州にある」と呼ぶ者あり)特にヨーロツパにおきましては、一八%ないし二四%というものが大体フランスその他に対して軍事援助をいたしておるのであります。アメリカ軍が駐屯するために負担するこれらの諸国の費用の分担は基地の無償提供であります。その限度にとどまつておる。フイリピンにおいてしかり、しかるに一体何がゆえに日本は日本の防衛の義務条項が明確にされていないこの日米安全保障条約に対し、日本が防衛費用を半分以上分担せねばならぬのであるか、日本に軍隊がないとおつしやつた。私は日本に軍隊がないということにつきましては、別な角度から申し上げたいと思うのでありますが、これは日本の責任ではありません。そこで私はなぜ日本がこれらの諸国と前例を破つて防衛分担金半額以上を負担しなければならないのであるか、この理由をひとつ国民の前に総理大臣は明確にしていただきたい。
○池田国務大臣 西村君は米軍の駐留しておる場合において、駐留国に負担が何もないと、こういうお話でございまするが、私の調べたところではそうでございません。駐留される国の負担はその国が軍備にどれだけ金を出しておるか、経済力がどうであるかということによつてきまるのでございます。アメリカの空軍がイギリスにおります場合におきまして、基地と申しますか、施設の賃貸料並びに鉄道運賃はイギリスで負担しておるのであります。
○西村(榮)委員 ただいまの池田君の答弁は詭弁もはなはだしい。(「その通り」)アメリカがヨーロツパ各国に援助しておるのは軍事援助費です。アメリカ軍が駐留するために費用を分担しておるかいなやということなんです。あなたはどこでお調べになつたか、私の調べたのは政府の調べたものです。これを上げましよう。どこに分担しています。その軍事援助費は各国の財政と軍備の規模に応じて一八%ないし二四%がアメリカが軍事援助しておる。アメリカ軍がヨーロツパに駐兵するために負担する各国の義務は、それは基地無償提供以外に何もありません。もしも他国の軍隊がその国に駐兵するために費用を分担しなければならぬという前例があるといたしまするならば、それは占領国に対する被占領国が分担するところの敗戦条約によつて生ずるところの進駐軍の分担費用、あるいは植民地国家が自分の主権国家に向つて支払う義務づけを、力関係でさせられた隷属国家の予算以外の何ものでもありません。(「その通り」)今うしろの方から満州にその例があるとおつしやつた、満州国のどこに例がありますか、満州国は日満議定書に従つて、日本は満州の防衛に従事する、満州の防衛を全責任を持つという日満議定書によつて、満州国防衛の義務条項は日本は明確に負いつつも、なおかつこの満州国の防衛は日本の国防上必要なりという良心と正義に従つて、防衛費は満州国に負担せしめておらなかつたのであります。横暴にして帝国主義的なりと世間が言い、世界各国が称し、この日本のばか者どももまたそれを呼称した日本の軍隊にしても、それだけの良心と正義心はあつた。満州の防衛は日満議定書における共同防衛というレツテルを張つているが、日本の国防上必要なりとして、これは満州国に負担をかけるべきではないという立場から日本が全額負担しておつた。かすかにかけたのは、後年太平洋戦争の後において、日本が財政的に窮迫して、満州は日本に対する寄贈の形において、日本に向つて満州国が寄贈して来たことがある、それ以外にあるというならその文献を示していただきたい。満州国が日本に向つて防衛分担金を負担したという事実があるなら示していただきたい。どこにもそれはない。満州国が真に法律的に独立して、日本の財政窮乏を見かねて、太平洋戦争の後において寄贈の形において出した以外にはない。従つて世界各国を見まして、他国の軍隊が駐兵するために、その国が財政負担をしたという例は占領されている被占領国であるとか、あるいは植民地国家が主権国に向つて支払うみつぎもの的な分担金以外にはありません。あるとするならば、例を示していただきたい。これは政府で調べた資料だ、これをごらんなさい、どこにある、その例が承りたい、どこにある。
○池田国務大臣 先ほどお答えした通りであります。大蔵省の資料にそういうことがないとおつしやるなら、その資料を……。私はイギリスにおきましては、アメリカの空軍の費用の一部を負担しておると考えております。
○西村(榮)委員 かりに大蔵大臣がそのことを自信を持つて言われるならば、この防衛分担金あるいは五百六十億円の第二次分担金的な性格を予算に計上される上からは、各国の例はこうなつております、これはこうなつております、だから日本もこれだけ負担せねばならぬのだという親切な統計と資料をお配りになつてからされたらいい。なつておるだろう――どこにもなつてない。なつておるとすれば金額と条件と事実を明示していただきたい。
○池田国務大臣 先ほどお答えした通りで、私は駐留国が負担しているという確信を持つておりますから答えておるのであります。しこうしてその条件は各国とも違つておると聞いております。すなわち経済力あるいはその国の持つておる軍事力によつて差等があるのであります。
○西村(榮)委員 確信を持つて言われるならば統計を示してもらいたい、具体的に示してもらいたい。官吏もそこにおられる。あなたの幕僚もそこにおられる。具体的にその例があつたら示してもらいたい。
○池田国務大臣 具体的に数字で示せと言つても、そうは行きません。従いまして今私が言つておるように、イギリスにおきましては、レソトとトランスポーテーシヨンをやつております。フランスにおきましては、それ以外にフランス軍がドイツに駐留しておるところの条件その他を加味いたしまして、いろいろな条項でできておると考えておるのであります。
○西村(榮)委員 私にここに資料がある。上げましよう。政府の資料だ。上げましよう。どこにもない。受取りなさい。これを見て答弁なさい。どこにあるか。重ねて言うが、あなたがあれだけの厖大なる予算を組んで――あなたの緻密な頭と計数的な考え方から行くならば、あなたは大蔵省に三十年もおられた。予算を提出するなら当然その各国の例と条件を示して予算を審議なさるのがあたりまえだ。こういうようなことがあるだろうという腰だめでは困ります。しかもこれは政府の資料だ。上げましよう。受取りなさい。これで答弁なさい。
○池田国務大臣 アメリカと各国とのいろいろな話合いでできておるのでありますから、私は一々その話合いをここでひろうするだけの資料をただいま持つておりません。しかし日本の国情その他の条件から考えて、財政演説で申し上げましたように、兵力を完全に行使する力がないので、しかもアメリカの駐留を希望している関係上、ある程度の負担は当然すべきであると考えて予算を出しておるのであります。
○西村(榮)委員 私はこれは少しおかしいと思う。アメリカからその話を聞いて日本の予算を組んだという大蔵大臣の答弁、私は少くともあなたは日本の大蔵大臣だと思つておる。日本の大蔵大臣として、国民の税金から出す上からは、アメリカはこう言うたが、しからば一体どこに前例があつて、どういうふうにして出されておるのであるかという点を詳細に調べ上げて、これならばアメリカの要求に応じてもいい、これならば各国の例より少し高過ぎるということで折衝されるのがあたりまえだ。アメリカの一存でのみ、あなたはアメリカから聞いたというのであるが、あなたは日本の大蔵大臣でしよう。アメリカの大蔵大臣ですか。日本の大蔵大臣ならば、あれだけの厖大なる予算を提出するならば、なぜ各国の例をもつと詳細に調べて、同時に条件はどうか、同時にこの防衛分担金を分担する上からは、アメリカの日本防衛に対する義務条項はこういうふうにしてもらいたい、行政協定の内容に向つてあなたは確信あるはずだ、行政協定の内容において日本の防衛について何か確信がありますか、日本の大蔵大臣ならばお答えなさい。
○池田国務大臣 御質問の点がはつきりいたしませんが、私は防衛力を持たない日本としては、アメリカの駐留を希望しておりまして……。
    〔発言する者多し〕
○塚田委員長 静粛に願います。
○池田国務大臣 その負担につきましては六百五十億円を適当として出しておるのであります。しこうしてこれを出すのにどういう資料によつたか、どういう考え方によつたかというのは、ただいま申し上げた通りであります。しかも財政演説で申しておりますように、アメリカが日本駐留によつて負担する金額は相当厖大なものであります。しこうして六百五十億円という防衛支出金は、日本においてアメリカが現地調達をいたしまする労務関係、あるいは備品あるいは運輸、通信等の費用の大体半分と心得ておるのであります。これによつて私は六百五十億を……。しこうしてイギリスとアメリカとの場合は知つておりますが、フランスあるいはドイツとの関係はなかなかやつかいなもので、私はあなたの資料があればあとで拝見いたしますが、こういう資料ばかりによつてきまる問題ではありません。わが国の財政状態その他できまるのであるのであります。
○西村(榮)委員 私は大蔵大臣ははなはだ御多忙であろうと思つたから、ここで政府のお調べになつた資料があるから、政府の資料によつて答えなさい。これをわざわざ私は差上げると言つておる。しかるに資料は当てにならぬとおつしやる。何が当てにならぬですか。私はそこで申し上げておきたいことは、他国の軍隊が駐兵するためにその国が分担する費用というものは、それは独立国家にはありません。
    〔発言する者多く、議場騒然〕
○塚田委員長 御静粛に願います。
○西村(榮)委員 米比協定にしても、これはフイリピンがアメリカ軍を軍事顧問として招聘したときにのみ、その給料を支払うことになつておる。そこで私は時間について有田君から注意がありましたから、有田君はいつ委員長になつたか知らぬが、有田君から注意がありましたから、私は結論に入ります。
 そこで私は、この時間の乏しい中に押し問答をしてもしようがありません。私は総理大臣にお伺いいたしたいことは、この予算はどこから見ましても、この防衛金を中心とする予算というものは、ずさんきわまりなきものです。しかもこれは日本が自主的に編成された予算であるとも見えない。今の討論によつて明らかなのです。そこで私は総理大臣にお伺いしたいのでありますが、一時本予算案は、日本が独立するまで暫定予算を組まれて、講和条約が成立いたしまして、そこで真に独立して自主的にものがきめられるようになつてから独立予算というものをお組みになつたらどうか。とりあえず今は暫定予算をひとつ組んで、当面の行政にさしつかえないようになすつたらどうか、こう思うのでありますが、いかがでしよう。
○池田国務大臣 そういう考えは持つておりません。
○西村(榮)委員 それは見解の相違でありまするから……。
 最後に私はお伺いいたしたいのでありますが、昨日中曽根君の質問に対しまして、総理大臣は、予備隊は本年十月に打切つて、将来は防衛隊を新しくつくるという注目すべき御発言がありました。そこで、警察予備隊と防衛隊との間においては、どういう相違があるのですか。警察予備隊を切りかえて防衛隊に名称をかえるという、その真の目的はどこにございますか。一応承つておきたい。
    〔「総理大臣やれ」と呼ぶ者あり〕
○大橋国務大臣 総理の命令によりまして……(発言する者あり)総理の責任において、かわつてお答えを申し上げます。
 警察予備隊は一昨年創設当初から、一応二箇年の期限をもちまして、一般隊員を募集いたしてございます。ちようど今年十月にその期限になりまするので、ただいままで募集いたしておりまする隊員諸君につきましては、一応の期限が参るわけでございます。従いまして、その際には、退職者に対しては、一定の退職金を支給して、その後の措置を別途に考えると、こういう方針で進んで参つたわけでございます。現状を考えますと、警察予備隊のごとき国内治安のための組織は、わが国といたしまして今後においても当然なかるべからざるものと考えまするので、その機会にこれを増強いたしまするとともに、その名称等も適切なるものに改めたい、こう考えておるわけであります。もとよりこれは現行憲法のわく内におきまして、国内治安維持のために必要なる組織として再編成をいたしたいと存じます。
○西村(榮)委員 私はきのうの総理大臣の発言に対してお尋ねしておるのです、きのう総理大臣が発言されたから……。警察予備隊と防衛隊とはどう違つておるのでしようか。総理大臣の発言に対して私は質問しておるのですから、総理大臣からお答え願いたい。
○吉田国務大臣 総理大臣にかわつて国務大臣から答弁してもらいます。
○大橋国務大臣 十月以後におきまして再編成されまするものは、現在の警察予備隊が基礎となりまして、大体これに準じて組織されるものでございます。その名称につきましては、昨日一応総理から防衛隊という、仮の名称を申し上げてあるわけでございまして、この名称につきましても、別にただいま正式にどうというふうにきまつておりません。あるいは保安隊というような名前が、その内容から見まして適当ではないかと考えるわけでございます。
○塚田委員長 西村君に申し上げますが、割当の時間が過ぎておりますので、あと一問に限つて、ひとつおとりまとめのほどをお願いいたします。
○西村(榮)委員 それではやむを得ません。私は総理大臣が、なぜ自分のきのうの発言に対してお答えがないのか、私は総理大臣の心境を疑うのです。これは変な話です。自分の発言を他人に答えさせるということは、はなはだ理解できない……。
    〔発言する者多し〕
○塚田委員長 御静粛に願います。
○西村(榮)委員 けれども私は他の同僚議員によつてこの問題が明らかにされると思いまするので、委員長の御寛容なるはからいで、最後の一問に対して許可を与えていただいたのでありまするから、私はこれ以上粘ろうとは思いませんが、いずれ他の機会に申し上げたいと思います。けれどもここに問題になることは、この防衛隊の性格というものは、これは普通の国内警察から、警察予備隊が再軍備的性格に一歩前進したのである。この防衛隊は二歩前進したものでありまして、私はこれは再軍備の方向に向つて驀進しておると思う、これを世間で称してやみの再軍備だといわれておる。なぜ日本が正々堂々と、今日の国際情勢と国内情勢から必要が生じて来るならば、憲法とにらみ合せて、国民感情とにらみ合せて、国民にそれを問うて、なぜ正々堂々と日本の自衛力の問題に向つて解決に前進しないか、私はこのやみの再軍備なりといわれる世間の疑惑はどこから来ておるかというと、これは日本の財政負担と日本の青年によつて、外国の傭兵的軍備を建設せんとする陰謀であるからこそ、これはやみの再軍備的な傾向をとらざるを得ない。(拍手)現に警察予備隊においても同様これを基礎としておる。私は大橋君を相手に討論しようとは思いません。しかし総理大臣がお答えにならぬのでありますから、やむを得ないのでありますが、警察取締り規定には国民の有する限度の凶器に対応する武器を行使することを限界として、警察には武装せしめる。しかるに今日の警察予備隊は、機関銃、対戦車砲並びにきのうラジオで承れば、あなたは空軍並びに駆逐艦その他を用意する、こう言うておるのでありますが、これは明らかに国民の有する限度の凶器に対応する武器を警察官に持たせて、治安維持に任ずるという警察取締り規定に背反するのである。同時に問題は、一体この防衛隊の統帥をだれがなすのであるか、ここに問題が起きて来る。(「総理大臣だ」と呼ぶ者あり)この防衛隊の統帥が総理大臣という言葉がありましたが、総理大臣がやるならば、総理大臣は大元帥陛下的の地位になつて来る。一国の防衛力を持つものは元帥の地位にある。この憲法上の矛盾はどう解決されるか。これをまず承りたい。次に私は承つておきたいことは、今日の再軍備をするかしないかという問題の……(「一問じやない、二問になるぞ」と呼ぶ者あり)一問の継続です。最後の一問の継続です。(発言する者あり)静かに聞きなさい。あなた方がやじつていたら、長く、半日、夕方までなるから、私の質問を簡単に終らせようと思つたら、与党席は静かになさい。私は日本の国民は、日本の国土を防衛するためのあらゆる義務を負うことに少しも躊躇しないと思う。けれども日本が再軍備するかしないか、それが自衛力の名においてなされようとも、あるいは警察予備隊、防衛隊の名によつてなされようとも、日本がその自衛力を強化し、再軍備的な性格を持つ、攻撃用の自衛力を持つというためには、次の三点が解決されておらなければならぬ。
 まず第一に、その自衛力の性格と構成であります。これは民主主義の発展の未発達の今日の段階においてこの自衛力の性格と構成というものが、明確にされておらなければならぬ。
 第二には、財政の問題です。これは大蔵大臣も聞いておいていただきたいのでありますが、私はあなたがしばしば言われたように、日本の財政の問題において、これはラジオでしばしば放送され、あるいは政府が断片的に声明されたようなこの防衛隊の構想をそのまま承りましても、これは日本の財政が四十億ドルないし四十五億ドルかかる、一体この財政負担は、だれがする、だれがするかということなんです。私は今日本国民にこの財政の負担をする能力は全然ないと思います。ということはなぜかといえば、日本が終戦直後徹底的武装解除をされたには二つの要素があります。一つは日本に対する連合国の懲罰的意味があつた。もう一つは日本を徹底的に武装解除しても、日本の安定とアジアの平和が保たれるというアメリカの対極東政策があつた。しからば今日七年経過して、日本に軍をとどめてやらなければ日本の防衛ができない。同時に日本にみずから守る態勢を、日本に兵力を付与しなければ、日本の安全とアジアの平和が保たれぬとアメリカの極東政策が一大方向転換したからには、これは七年前のアメリカの世界政策の見通しの誤りです。しからばなぜその日本に対する自衛力増強の建設費はアメリカが負担すべく大蔵大臣は粘らないのか。当然粘るのはあたりまえだ。同時に第三点において重要な点は統帥権の問題です。私は大蔵大臣に申し上げておこう。当時、六年前に日本の国内にあつた海軍の兵力を徹底的に武装解除されたのが概算現在価格では十八億ドルです。海外にあるところの軍事力、国内における地上並びにその他の施設を合せますると、私は概算して二百億ドルという莫大なる日本の兵器生産並びに武装力が解除されたと推定する。これは当然アメリカが日本に再軍備をさせなければならぬ、自衛力を持たせなければならぬというのなら――私は再軍備するとかしないとかいうことの意思表示は今日いたしません。けれどもするとしても、まず第一にその問題を解決して行かなければならぬことが大蔵大臣の責任ではないか。第三番目に総理大臣並びに大橋国務大臣に努力しておいていただかなければならぬ点は統帥の問題です。一体日本の自衛力はだれが統帥するか。警察予備隊と称し、防衛力と称して、実質はこれは再軍備的の要素を持つておる。それを一体たれが統帥するのですか。国内においての統帥権の問題はさておきまして、私はここに明確にしておきたいと思うことは、日本の国土を防衛するために日本の青年はあらゆる義務を負うことに躊躇いたしません。けれども問題は、それは日本の国土を防衛するため、自分の熱愛する国を防衛するための犠牲心であり、義務である。かの世界政策によつて日本の青年が朝鮮に戦わしめられ、アジア大陸で戦わしめられ、仏印で戦わしめられ、あるいは場合によればヨーロッパに転用されるという、他国の世界政策のために日本の青年の血の一滴も流してはならぬのであります。私はこれを考えますならば、問題は独立の統帥権を日本に与えて、その自衛力は日本の自衛に限定して、他に転用しないという確約が関係諸国から得られるかどうか。この三点を私は明確にしなければ、日本国民は再軍備するともしないともということは考えられない。今日日本国民は大きな悩みに直面しております。日本の国は自分たちで守らなければならぬ。一体日本の国を守るものはたれか。アメリカの兵隊ではない。他国の兵隊ではない。しかも太平洋の奥深くにすわつておる国とは違う。一衣帯水を隔てて日本の状態は危険の状態にある。この国を守るのは日本国民以外にはないということを悩みつつも、しかも防衛力、自衛力という名においてやみの再軍備をせしめられた結果、その兵力を外国の世界政策のために転用されるということをおそれて、日本国民はこの問題について明確なる判断が下しかねておるのであります。従つて私は最後の委員長から許された質問の中にお伺いしておきたいことは、この自衛力の性格と構成、第二には財政の問題、第三においては統帥の問題、これを現内閣は最後の国家に対する奉公として粘られるかどうか。当然私は粘るべきだと思う。大蔵大臣並びに大橋国務大臣の御意見を承りたい。
○大橋国務大臣 まず最初にお答えを申しておきますが、ラジオ等において空軍とか駆逐艦の計画を放送しておるということでございますが、そういう計画は全然ございませんし、またそういうことについて私何人にもお話を申し上げたことはございません。
 それから御質問の中で第一の性格、構成についてという点でございますが、現在におきまして、政府といたしましては再軍備をするという考えのないことはしばしば総理から申し上げました。現在の警察予備隊、またその後に考えておりまする保安隊というような構想につきましても、これは今日の日本国憲法のわく内において、国内治安維持のために必要なる万全の措置を講じて参りたいという考えでございまして、これは再軍備というようなものとは性格にまつたく異なつておると存ずるのであります。なおこの点につきまして、警察予備隊あるいは保安隊というような国内治安のための自衛組織が、将来外国の世界政策の道具として使われるようなおそれがないかという御懸念でございますが、わが国の警察予備隊あるいは保安隊というような組織は、これはわが国憲法の範囲内におきまして、憲法の規定に従つて組織せられるものでございまして、それは完全にわが国の自主的な管理のもとにあるわけでございますから、この運用につきましては、他国の指示に従いというようなことは、憲法上当然考えられないわけでございます。この点はごうも御心配を煩わす必要はないと考えております。
 次にこの予備隊等についての統帥の法律的の関係はどうであるか、こういうことでございますが、現在の警察予備隊令によりますと、内閣総理大臣が最高の指揮をいたすことに相なつておるのでございます。この内閣総理大臣は憲法上国会の指名によるものであり、その指名権者でありますところの国会というものは国民と一体の最高機関でございますから、警察予備隊の統帥というものは、当然国会及び内閣を通じまして、主権者たるわが国民の完全なる掌握のもとにある、こう私は考える次第であります。
○池田国務大臣 再軍備とかあるいはこれに要する費用が二十億ドル、四十億ドル、こういうお話でございますが、そういうことは私は考えておりません。それから予算の編成にあたつてがんばるとか、がんばらないとか、粘れとか、粘らないとかいうことでしたが、私としては日本の財政経済上最もよい予算を信念を持つてこさえておる次第でございます。
○西村(榮)委員 これで質問を終ります。
○塚田委員長 横田甚太郎君。
○横田委員 総理大臣に伺います。自由党の吉田総理といえども、もし条件さえ許すなれば、外国軍隊であるところのアメリカ軍が日本から一日も早く帰ることをお望みですか。お望みでないですか。この点を第一に伺いたいのです。
○岡崎国務大臣 国際の平和が確立し、日本の自衛力が完備したときは、アメリカ軍は帰るといつておりますし、われわれも、帰ることを庶幾しております。
○横田委員 岡崎さんの答弁を聞いているのじやないのです。塚田さん、あなたは委員長だからもつとしつかりしなさい。私はきようは原稿二つこしらえてあるのです。一つは総理が答えた場合、一つは答えなかつた場合はかつてに演説しますよ。程度があるじやないか。ほかの党だつたら総理がまず立つて、たとい小さいことでも所管大臣に答えさせますといつて後他の大臣が答えるのです。きようの毎日新聞を見ると、共産党の演説を聞いたら、腹痛がなおると言つておる。それに今の態度は何だ。程度がある。大体私たちがこういうことを聞きますというのは、日本の国内問題で一番大きな問題は、占領下の七年間の思い出は非常に苦しかつた。搾取の面においても、政治的な弾圧の面においてもむちやなんだ。七年間の生活を通じまして、右といわず左といわず、やじつている自由党の諸君でさえも、一日も早く占領軍が帰つてもらいたいと思つておるはずだ。(「質問じやない」と呼ぶ者あり)答えないからおれはかつてに言うのだ。どうして一日も早く日本の独立を回復するかということが大問題なんです。そのとき自由党はサンフランシスコ講和会議に連なるこの線こそは独立の道だ、こう言うのだ。そうすると、野党であるところのわれわれは、外国軍隊が駐屯するような独立がどこにあるのだと言う。そうすると自由党は簡単に、英国の例を見てみなさいと言う。英国は落ちぶれて米国に借金をしておる国です。そういう悪い例ばかり引く必要はないじやないか、独立を保つためには、やつかいしごくな外国軍隊は早く帰つてもらわなければならない、これが中心課題なんです。だから私は聞くのです。総理の端的な気持で、一日本人として、また日本の政治を今まで三年間、かつて気ままにやつて来た総理大臣として、外国軍隊が早く帰ることを望まれるか、望まれないかということが中心課題であつて、これを望むというのであるなれば、われわれは好意的にならざるを得ないし、望まない、アメリカに連なるというのであれば、これはもう日本の大臣でないと言わざるを得ない。そういう意味合いにおいて私は聞くのですが、総理大臣のお答えを聞きたい。
○岡崎国務大臣 先ほど答弁した通りであります。
    〔発言する者多く、議場騒然〕
○塚田委員長 委員外の御発言は御遠慮願います。
○横田委員 それでは答えないのだつたらこちらは長い質問をします。大体日本の国は独立国の道を歩んでおるのじやない。だんだん植民地化の道が悪質になつて来ておるじやないか。あなたがほれて学界から呼んで来た天野さんの今の世間の評価は何だ。今の日本の道徳の確立を云々する、その道徳が確立できないところの条件がずいぶんあるじやないか。だから物笑いになる一々例をあげてみると、アメリカの兵隊が日本に来て一番先にやつたのは、西欧民主主義の宣伝だつた。西欧民主主義の中心とは何だ。基本的人権の確立だ。基本的人権の一番目ざわりになるのは何だ。籠の鳥だ。それゆえその解放なんだ。いわゆる公娼制度があるということはいけないことだ。これを解放しなくちやならないということをはつきり言つた。そしてやつた結果が一体何だ。昭和二十一年に解放したときよりか公娼の数はふえておる。特飲店は倍になつておる。そのとき一万足らずの公娼であつたものが、今日においてはすでに二十万を越えておるということは、大橋さんが率いておるところの国警の統計によつても明らかである。これだつたら基本的人権というものの内容が何だかわからぬじやないか。しかも私が聞きたいのは、立川に富士銀行支店というのがある。そこにこのパンパン諸君が預ける預金は一千万円に上るといわれておる。さらに外国為替管理委員会の推定によると、彼女らに集まるところの一年間のもうけは、二百七十億から二百八十億に相当する外貨をかせいでおるといわれる。もちろんこれで外貨がかせげるかもしれませんが、こういう形において、外国人と好まない形で売淫をやるということでは、一体日本の国内の娘さんたちの考えはどうなるのだ、それを聞きたい。私の近くの大阪に……(「共産党もつといいのを出せ」と呼ぶ者あり)答えるのだつたらあたりまえのことを言うが……(発言する者多し)。こういう点から見ますと、日本人と結婚してやがて破綻するであろう家庭生活の中に苦しんでおれということを、日本の政府が言えると思うか。しかもパンパンの問題はアメリカの新聞で見たところが、非常に物笑いになつておる。吉田氏がアメリカとの親交を望んでおるにもかかわらず、日本から来たやみの女は困るということが新聞に出ておるじやないか。こういうときに道徳の確立を説くから、天野さんが言うことは、吉田さんがほれても、国民全体の中では物笑いになつておる。パチンコ屋はどうなつておる。現在では東京だけでも五千軒からできておる。この暮れには、どんどん開店するパチンコ屋に贈る花輪のために、花輪屋さんが大きな景気になりまして、戦争中の英霊に贈るときの花輪よりか、パチンコ屋の開店祝いに贈る方がぼろかつたということがいわれておる。芸者も東京だけでも一日三人ずつふえておるということも事実です。博多人形も占領前は優雅なかつこうをしておつた。その博多人形が、アメリカの軍人の好みによつて、はだかでなければならぬというので、はだかにされておる。
    〔発言する者多し〕
○塚田委員長 横田君にちよつと申し上げますが……。
○横田委員 おれに言う前に総理大臣に言えよ。
○塚田委員長 十分用語に御配慮の上、質疑を進められんことを望みます。
    〔発言する者多し〕
○塚田委員長 私語を禁じます。御静粛に願います。――御静粛に願います。横田君に重ねて申し上げます。用語について十分御配慮の上、質疑を進められんことを望みます。
○横田委員 それでは私もあつさりしますから、総理も少しあつさりして答弁されるように願いたい。私が大体伺いたいのは、労働者は話さえわかれば働くと思うのです。ところが働かないという。そうするとこれは不逞のやからだというようなことを一国の総理が言い出す。ここにその例が一つある。その例はごうだ。生きた事実をあげると小さい問題だと言われるが、事実を立証せずにわれわれは質問することはできない。これは日本に起つたところの一つの事実を基礎にしてまじめに言うのですから、総理大臣に伺います。これはあなたが一年間の政治をやられる過程におきまして、常に言われるところの不逞のやからとか、あるいは天皇の問題について退位を云々するのは非国民だとか、先日も本会議で口をすべらして今の日本を帝国政府だ、こういうことを言われる中に私たちの疑問が出て来る。そこで聞きたいのですが、吹田に大きな鉄道の操車場があることは御存じでありましよう。これは政府の治安対策の中心になつております。ここで働いておりますところの二十三の青年は、ことし入つたのではなしに、三年間勤続しているのであります。これは国鉄においてもはつきりした職業を持つておりまして、連結手をやつておるのであります。この人が〇・八の給料が上りまして、本俸が三千八百五十円です。地域給が七百五十円で、連結手当が千円、これ以外に徹夜をいたしますと――これは大体一箇月に十日間します。一日が三十円で三百円もらう。この人が引かれるものは、寮費として百円、そうして基本給のうちから税金として三百円引かれます。操友会というところに入らなければいけないがために、そこへ入りますと、そこで三十五円引かれます。共済費は三百八円引かれます。現場食費は六百三十九円引かれます。それから親和会費が三十円引かれて、寮食費といたしまして千三百円ほどの金が引かれてしまうのであります。そうしますと、この人は手取りが三千二百円になるのであります。その三千二百円で生活できるか、労働者の生活内容がどうなるかということを考えていただきたい。この人たちはどうしてもやつて行けない。やつて行けないから何とかして、いわゆる給料が上るように運動しようといたしますと、組合を利用する以外に方法がない。そういたしますと、組合運動の先頭に立つ者は赤だといつてレツド・パージをされるのであります。こういうふうな内容でありますから、政府が一生懸命で職場で働けと言つたところが、働けない。内容がこうであるから、組合運動にたよつて行く。その組合幹部がいろいろの形において買収されて行く、そうして幹部が労働組合の大衆の意見を代表し得なくなつて来る。今後の日本の再建のためには、労働者と農民の協力を願わなければならないにもかかわらず、かえつて逆になつて行く結果がここにある。これを単に不逞のやからという言葉、あるいはこれは好ましくないというような言葉で解決できる問題であるかないかということを考えていただきたい。この点において今後労働者並びに農民に対して、政府が金や物をよけい出す。もつとはつきり言いましたならば、十分労働に相当するものを出すということについてどういうふうにお考えですか、お尋ねしたい。
○吉田国務大臣 労働大臣からお答えいたします。
○吉武国務大臣 お答えをいたします。ただいま国鉄従業員の給与についての御質問がございましたが、この点は詳細に調べなければわかりませんが、今日の国鉄といわず、他の公務員にいたしましても、日本の国情の許す限り、それが改善には努めて来ておるつもりでございます。総理がかつて不逞のやからというお言葉をお使いになつたということは、まじめに働かれまする労働者のことを言われたのではございません。今日といえども一部には故意に国を乱すという者もおることを御指摘になつたのであります。
○横田委員 私の聞きたいのは、調べてもらつて答えてもらわなければならないほどのこまかいことではないのです。札の読み方だけじやないのです。私は労働者をもつと優遇し、農村に金を出すような財政的なやり方があるということを考えておられるか、考えておられないかということを聞きたいのです。アメリカ軍占領下にやりましたというころの基本的人権の確立もむだになつた。農村におきますところの農地解放も、このごろの新聞論調をもつてみますと、解放された農地を売ろうか、娘を売ろうかというような深刻な農村の姿でありまして、ことに農村におきましては次男坊、三男坊の問題が大きく取上げられているのです。だから吉武さんがお答えになりましたような給料のため、供米価格の札の読み方、札の多い少いを言つておるのではないのでありまして、日本の財政政策の中に、町を殺人兵器をぶら下げて歩いている殺人犯の集団のようなものには金を多く出すように予算を組む。しかも戦争で痛めつけられた未亡人とか、まじめに働いている人たちには、協力でき得ないところの安い給与を与える政治をやる、このやり方を聞いているのです。そこで私はこう思うのです。現に日本では金が足りないのではない、あるのである。戦後において一体どのくらいもうけたのでしようか。これは昭和二十六年の上半期におけるところの日本の各社の決算報告の中からもはつきり出ております。これは銀行を例にとりますと、大体帝国、千代田、大阪あるいは富士、三和、第一、東京、協和、大和、神戸、ここらの利潤率は、償却を過大にやるために大して高くはならないが、それでも六十億円で資本金の九割六分の純利益を上げている。紡績十社は、鐘紡、東洋紡、大日本紡、日清、呉羽、倉敷、日東、大和、敷島、富士――繊維商社が続々倒産して行く中で、ひとり紡績十社だけが昭和二十六年十月の決算だけで半年間に二百四十億の純益を上げて、平均して年に資本金四億あるいは二十一億の約五倍の利潤率になつたことがわかつた。そこで株主には最低四割から最高八割の配当をつけておる。あるいは日清紡の株を額面で一千万円持つておる人には、ふところ手をしていて八百万円の配当が入ることになる。これはアメリカが日本をアメリカ綿花の輸出市場として確保するためにどんなに不景気でも、犠牲は中小商社にかぶせて、綿花を消費する大メーカーには、銀行から十分金を貸して、設備などをどんどん拡張させる方針をとつておる。私はこういう点で伺いたいのは、片一方は働いておる人が困つておるにかかわらず、片一方資本家はこんなにもうけておるのであります。ここで大きな一つの問題が出て来る。この利益に連なる人たちは、この利益を保証してくれたところの占領中の政治が甘くて忘れられない。そうしてこれは吉田氏を中心とするところの占領下日本の搾取階級である。これはサンフランシスコ平和会議で、アメリカ軍にどうしても帰つてもらつては困るという頼みの現われとしての、日米安全保障条約にすがる外国軍隊に番をしてもらつての独立なり講和で日本をやつて行こうとする人口であります。ところがわれわれはそうではないのであります。そこで勢い国内における対立というものは、吉武さんの今の答弁によりますと、これは一部の不健全な分子があるということを言われるのでありますが、それは本質をぼやかしたもので、こういう事実を知つては協力できないのですから、真相を知る人は、勢い反米的、反青田的にならざるを得ない。だから日本の現下におきましては、非常にレジスタンス文学が盛んでありまして、外国軍隊によつて侵害され、そうして圧迫され搾取された。これをいかにして自己の主権を回復し、他国の軍隊をおつぱらうかということが中心になつているところの小説や読物がどんどん読まれている。講和問題に関する雑誌「世界」の売れ行きが、アメリカの占領軍当局の気をもましたほど売れたということが言われておるのであります。だから私がここで要約いたしまして尋ねたいことは、吉田自由党政権のもとにおきましては、今後もなおあの労働者にはわかりにくい、食いにくい妙な賃金ベースの形をずつと押しつけて、そうしてこれで生活できない人に対しては、あくまでも弾圧方針をとつて行かれるつもりなのか、そうでないのかということを承りたいのであります。
○吉武国務大臣 お答えをいたします。先ほど紡績の例を御引用になりましたが、今日労使ともに非常に御協力を願つて漸次事業が回復いたしますることは、私は非常に御同慶にたえないと思うのでありまして、その利益につきましては紡績においても今日よほど賃金水準はかつてよりも格段の改善がなされたと私は信じております。
 なお今後の労働問題についてのお尋ねでございますが、憲法に保障されましたところの基本的人権は極力これを尊重して労働者の福祉のために努力するつもりでおります。
○横田委員 その基本的人権の内容を聞きたいのでございまするが、これを聞いておりますとつられて総理に逃げられますから、これは一般質問のときに聞きます。
 私は次に総理に聞きたい。こういうようなことは単に日本国内に起つている現象ではなく、世界各地に起つている現象である。たとえばイランにおいてはイランの石油を返せ、なぜ英国人はこんなものをイラン人から取上げているのか、エジプトにおきましてはスエズ運河を返せ、これはエジプト人の要求である、インドにおきましてはインドにある領土の一片だに他国の人にかつてにさせることは許さない。中国におきましてはアメリカにかつてにもうけさせ過ぎては困る、これが世界の動きであります。こういう世界の動きについて吉田氏は知つておるのか、知つておらないのか、知つておるとすれば、こういうふうなことに対して、一国の総理として、やがて世界政策を持たなくてはならないところの日本国の総理として、どういうふうにお考えですかということを承りたいのです。
○吉田国務大臣 労働大臣よりお答えいたします。
○吉武国務大臣 もう一度はつきり御質問になりませんと、ちよつと返答できません。
○横田委員 労働大臣とエジプトのスエズ運河とイランの石油問題とどんな関係があるのでしようか。あんまり人をばかにするな。何をとぼけるのだ。
    〔「こういうことに対して答えるのは総理大臣以外にない」「共産党に応援するな」と呼び、その他発言する者あり〕
○塚田委員長 静粛に願います。
○吉田国務大臣 お答え申し上げます。私は日本の外務大臣として、そういう問題に対して答弁をする責任を持ちません。
○横田委員 これはどういうわけですか。こういうような世界の動きに対してお考えを議会で発表できないのですか。総理はダレス氏の召使ですか。ダレス氏に台湾のことはいち早く報告する。これが問題になつた。ダレス氏が頼んだのでもアメリカが頼んだのでもない。自分の意思でやつたというのが総理の答えだ。だが世界各国の論調は、アメリカが日本を圧迫したのだと、こう言つておるのです。これが世界の問題の中心である。だから日本の総理大臣たる人は、はつきりした世界観を発表すべきだ。それとも吉田さんは占領が終つたし、アメリカ軍が駐留というような形で残るだけだから、これで荷がおりた、ここらでさつさと退陣するというなら話は別で、これは追及しないが、そうでなかつたら、こういうようなアジア・アラブに起りました民族問題、しかもこれは四つの自由と言つて、ルーズヴエルトが要求し、はつきりとわれわれ人類に約束しましたところのその線につながるものである。これに対してはつきりした考えや、外交方針を持たずして、総理大臣、外務大臣などと、そんななまいきなことを言うな。だから答えてください。
○吉田国務大臣 お答えはいたしません。
○横田委員 私の質問時間が短かいですが、総理大臣が人間になるまで待ちましよう。やめてください。こんなばからしい答弁は聞いておれない。石油の問題を聞いても、労働大臣に答えさせますというようなばかなことを……。
○塚田委員長 ちよつと速記をとめて。
    〔速記中止〕
○塚田委員長 速記を始めて。午前の会議はこの程度にとめまして、午後は正一時より委員会を再開して質疑を継続することといたします。
 これにて休憩いたします。
    午後零時十六分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時二十一分開議
○塚田委員長 休憩前に引続き会議を開きます。
 稻村委員より議事進行について発言を求められております。この際これを許します。稻村順三君。
○稻村委員 昨日中曽根委員の質問に対して、総理より、警察予備隊を防衛隊に切りかえるという答弁がありました。この点は、国内の国民大衆にとりましても、また海外の、ことに日本の武力のいろいろなえ異郷を受けた諸国の反響ということを考えましても、きわめて重要な発言であつたと思うのであります。きようの答弁を聞いておりますと、これは仮称であるというような答弁でありまして、警察予備隊とも構想において大した相違はないような話でありました。しかしそれくらいの答弁では、この重要になつた問題を緩和できるような段階では、すでにないと思うのであります。従いまして、総理大臣及び担当の各閣僚に対し、この問題に対する質疑がいろいろな議員からあるでありましようが、この質疑に対して、確定的なものでなくてもよろしい。大体固まりつつある構想でありましても、もしその構想があるならば、それを発表するのが当然である、私はかように考えております。それが国民大衆及び国外の人々に対して政府の態度を明確にし、誤解を招かない原因になる、こういうふうに私は考えております。従つてこの問題に関する質疑に対して、政府は概略の構想を発表するか、それともまた新聞その他に書かれている問題に関しましても、一応政府の見解をこの委員会なり、本会議なりにおいて発表するのが当然である、かように考えまして、この点私たちは政府に対して、その処置を要望する次第であります。
○塚田委員長 ただいまの議事進行は、政府もお聞き及びの通りであります。政府においてもしかるべくおとりはからいをお願いいたします。
 これより午前に引続きまして質疑に入ります。横田甚太郎君。
○横田委員 あくまでも総理大臣に答弁をお願いします。この問題でこじれますのは、大体は親米、反米ということについて、日本の政治家が非常に気を使い過ぎるからではないかと思います。私元来は反米派ではなかつたのですが、要は占領期間を通じて見ましたアメリカのやり方があんまりである。それゆえ勢いアメリカの施策に対して、反米的にならざるを得ないのが私たちの立場なんです。しかも国会は、親米政策で日本が栄えるか、反米政策で日本が栄えるかということが論議の中心になつて、今こそ遠慮なしにこの問題をやらなければならぬときだと私は思うのであります。日本の議会で日本のことをやらないで、アメリカの議会でかえつて日本人の問題を論議していることが多い、そういうことがはつきり言えるのです。特にアメリカにあくまでもたよつて行こうとする自由党の行き方にその点が強い。日本が外貨獲得のためにやつておりましたまぐろにさえも、無税であつたのに一ポンドに三セントの税金をかける。しかもきのうのアメリカの議会の公聴会を報じました新聞記事によりますと、まぐろをアメリカに入れてはいけない、文句を言わずに日本はほかに販路を求めろ、こういうように証言をしているものがあります。だから聞くのです。私が一番初めに疑問を持ちましたのは、アメリカの軍隊が日本に入つて来まして、名前は連合軍であるがアメリカ軍が主体である。この主体であるところのアメリカ軍は、日本人というものは、元来戦争によつて膨脹した国民である。だから日本で一番先に日本人に教えなくちやならないのは、戦争はもうからないものだということであつた。これがマツカーサー施策の中心であり、当時のワシントンの指令であつたと思うのであります。ところが今の日本におきましては、やはり戦争はもうかるものだという行き方であつて、戦後と戦前とほとんどかわりがない日本が再現したということが言われるのであります。そこで大きな問題が出て来ます。アメリカが日本で約束し、世界で約束しました戦争はもうからないものだというようなことを――進み行く世界の進歩の中において、アメリカは間違わない指導的立場にあるかないかということについて、疑問がわいて来るのであります。アメリカ独占資本の利益を私たちが調べました資料によりますと、戦時中アメリカが五箇年間にもうけました金は千七十億ドルであります。日本の金に直しまして三十八兆五千二百億円であります。戦後五箇年間、一九四六年から一九五〇年までの間にもうけましたもうけは、千五百八十億ドルでありまして、五十六兆八千五百億円のもうけになつております。同時に、非常に困つたことがあるのです。しかも朝鮮事変が起りまして一九五一年の一月から九月までに、このわずか九箇月間に七百四十六億ドルの金をもうけております。これは日本の金に直しまして二十六兆八千五百六十億円でありまして、アメリカの経済的な仕組みはこれだけ戦争というものによつてもうかる産業構造になつているのであります。もつと酷評いたしますと、もうかるのは戦争であつて、もうかるような、こういうような戦争政策をやらないで、平和政策をとるというようなことは、アメリカの経済から見ましたどきには変態経済であつて、戦時経済こそが、浪費経済こそがアメリカ経済の本道である、こういうようなことが言われるではなかろうかと私は思うのであります。だからアメリカといたしましては、一切合財何をすればもうかるか、ここから出発している。アメリカ指導下の日本の財政もまたここから来ているのであります。日本では事実上増税でありながら、減税だという。その基礎はどこにあるかといえば、国民所得が上つているという。この国民所得を例にとりますと、二十五年には三兆五千八百五十一億円であつた。二十六年には四兆六千五百八十億円であつた。二十七年には五兆三百七十億円である、こういうような形でふえているのであります。そうすると、日本のもうけというものは朝鮮事変、朝鮮に非常に不幸なことが起り、世界の危機を見越して人殺しの道具をこしらえる過程においてかせぐ金である。そこで聞きたいのは、われわれ日本はアメリカと違つて、戦争によつて非常に被害を受けた国である。この被害を受けた人たちを先に救済し、これがなくなつて初めて日本の国の軍備とか、あるいは守るとかいうような内容ができて来るではなかろうかと私は思うのです。ところがアメリカの行き方に連なつて行きますと、人殺しの道具をこしらえ、人殺しの軍隊を準備する過程において一時のやりくりがつくのだから、このかせぎの中において日本をやり直す。そうしてこの犠牲者が救済されるというような行き方を、とつていられるではなかろうかと思うので、この点に対して吉田総理にお伺いいたします。
○吉田国務大臣 お尋ねの要点は、結局アメリカが日本に対して親日であるかないか、日本に対して親切であるかないかということであろうと思いますが、私の拝見いたすところでは、今日の繁栄、あるいは戦後の食糧不足の場合に日本に対して食糧を補給したとか、いろいろな事実から、過去六年間の占領中に日本が今日の繁栄を来すに至つたのは、これは米国の政策によるものであると確信しております。それが、今お話のようなもうかるとかもうからぬとかいうことだけではない――これは保証の限りではありませんが、私はそう考えるのであります。
 次に、警察予備隊についてさつき御質問がありましたが、警察予備隊は、朝鮮事変の当時、急速なる海外の変化に応じて一応編成いたしたのであります。ゆえに、その任期といいますか、二箇年の期限でもつて一応警察予備隊を編成したのであります。その二箇年の期限が今年の十月に来るのであります。その後において、日本の治安あるいは独立安全を保護するにはどうしたらいいか。この問題はやがてまた行政協定等の問題にもなりますから、ただいまの趣意だけお答えします。
○横田委員 午前中に時間を食い過ぎましたので、もつと聞きたいのですが……。大体きのう言われましたところの、警察予備隊が防衛隊にかわり、保安隊にかわるということは、どちらにかわるかわからないが、とにかくかわるらしい。これは単に九月に期限が切れるからというだけの問題ではないだろうと思う。予備隊の内容が非常にかわつて来た。この充実を現わすには不適当であるから、防衛隊という名前になつたのではなかろうか、こう思うのですが、その点はどうでありましよう。
○吉田国務大臣 それは御想像にまかせます。私の説明が本筋であります。
○横田委員 そういたしますと、これは政府側からとつてもらいました資料なんですが、それによりますと、大体日本の警察予備隊は、警察の予備隊でありながら非常に多くのものを持つている。たとえばアメリカの場合を調べてもらいましたところが、アメリカの二ユーヨークの警察は飛行機を四台持つて、そうして軽機関銃をちよつと持つているだけだ。そうであるにもかかわらず、日本の場合には非常にたくさんの装備を持つている。こういうふうになつているのですから、日本が一番多くの軍備を、戦いの道具を用意しておる武装隊を持ちながら、何を好んで警察予備隊というような名前を使つておらなくちやならないのか。その点に対する配慮をお伺いしたい。
○吉田国務大臣 これは治安の目的でありますから、警察予備隊というのであります。
○横田委員 そういたしますと、日本の国においては治安の目的であつて、これは警察予備隊だ、こう言われる。ところが外国においては、これを軍隊だと思つている。しかもその外国が、総理のきらわれる中共だつたらまた別問題なんですが、総理が一番すかれ隷属されるアメリカにおいて、これが軍隊だ、こう見ておる。ここに問題が起つて来るのです。そこで聞きたいのは、日本の国内において、総理がこれを警察予備隊だと思つておつて、そこの防衛指揮官になられたときに、アメリカの方におきましては、これを軍隊として扱つた場合にどうなつて来るか、これが一つ。
 ここに一つの例があります。それによりますと、これは国際新聞の報道なんですが、これにはこういうことが書いてある。二ユーズウイーク誌国際事情担当主任ハリー・カーンという人が、予備隊ルポルタージユをやつている。米国人は予備隊をどう見ているか。このルポルタージユはこれに回答を与えている。ラツパが鳴ると各中隊は練兵場に横隊でさつと気をつけの姿勢をとつた。かれらは―ー1小銃を肩にし、右に方向転換し、米国式歩調で行進を始めた。かれらは検閲台の前を通過するとき「頭右」の号令で一せいにさつと動作をとつた。この光景は日本における米国軍の閲兵と言える。だがこの軍隊は米国人ではなくて日本人だつた。かれらは公式には国家警察予備隊と呼ばれる。しかし検閲後私はこのいわゆる警官が小銃、バズーカ砲、臼砲を発射し、野戦の通信訓練を実施するのを見た。この検閲の対象となつた約四百名の幹部卒業生は、すべて旧日本帝国軍の佐官、大尉級の軍人であり、今度追放が解除されるとともに日本の新しい軍隊に地位を得たのだ。この新しい日本軍隊は現在七万五千で、全国の約五十のキャンプに配属されている。この軍隊は四箇師団にわけられているが、最大の単一部隊は大隊となつている。師団演習をやるのはおそらく一九五二年であろうが、参謀部はすでにつくられた。小火器は火砲で補充できることになつている。西欧軍と比べると装備は豊富だ。各隊に訓練のために配属されている米国将校は、予備隊結成以来十七箇月間の仕事に誇りを持つている。しかし日本人は、一部の例外はあるが――吉田首相もその一人ではあるが、特に予備隊、一般に再軍備をきらい、これを信用しない。最も重大なことは、これらの日本人が予備隊を米国の傭兵だと見ていることだ。しかし予備隊の有益であることを忘れてはいかぬ、こういうことが書いてある。これは明らかに軍隊です。しかも西欧にできているところの軍隊よりも、装備がいいということが書かれてあるのだが、ここで「頭右」ということを命ぜられているのは、これはだれのためにだれに命ぜられているのか。だれに閲兵されているのか。日本人の金でつくつた日本人の生命と肉体が、日本を占領し、日本の利害を左右しておつた米国資本と、その派遣した軍隊の司令官の前に閲兵させられて、「頭右」している姿なんです。ここでなお吉田総理が、これは軍隊ではないと強弁を張られるんだつたら、張られたらいい。その場合に、一番最初の問題に移るのだが、あなたがあくまでも警察予備隊だと言つているときに、アメリカではこれを軍隊として扱つている。ここに集まつた人命というものは、一体どういうふうな扱いを受け、どう煩悶し、どういうふうな屈辱を感ずるでしようか。ここに集まつた人は白骨への道を歩んでおるのであります。これはあなたの白骨を要求しているのではない。警察予備隊に奉職いたしましたところの、現在七万五千の人たちが白骨になれと要求されておる姿であります。だからその点をはつきりとお答え願いたい。もう一回要約いたします。要は、あなたは警察予備隊であつて軍隊と関係ないように言われるが、アメリカにおいては、これは軍隊と解釈しておる。その解釈の違いで、日本とその警察予備隊は非常に不名譽をこうむつておるのではなかろうか、今後どうなるかということを承りたい。
○吉田国務大臣 警察予備隊は警察予備隊であります。外国の批評は、私どもは責任を負わない。
○横田委員 外国のいうことを聞かないと言われますけれども、これは朝鮮事変でアメリカ軍が非常に苦戦に陥つた場合に、あわててできたどろなわ式の軍隊が警察予備隊であつて、その性格づけはそのときにできなかつたのではなかろうかと思うのであります。そこをはつきりしてもらいたい。これがはつきりして来ますと、警察予備隊というような名前では、吉田さん一人だけが笑われるのでなく、もしこれにつき合う閣僚があるとすれば、それもみな物笑いの種になる結果になるのではなかろうか。内容に充実を欠いたのでありまして、その欠いた結果といたしましては、しまいにはとんでもない結果になるのではないかと思います。なぜかというと、このごろの新聞をごらんになればわかると思うのですが、日本人の白骨の放置されてある島はどこにあるか。これは何によつてなつたか。戦争によつてなつたんじやないですか。だから初めに私が申しましたように、日本におきましては、再軍備とかあるいは日本軍隊の創設というようなものは、ブルジヨア政党の立場からでも、日本の前の戦争によつて犠牲になりました人たちが苦情を言わなくなり、街頭から白衣の、しかも楽器をひつさげて、哀れな言葉で十円札をねだつている姿がなくなつたときに、言える問題ではなかろうかと思います。そこで二百三十億のこれらの人に渡すところの金を組まれたが、これでは非常に足りません。だからこの国会から次の国会に移るまでに、これらの人に対してはもつと金をたくさん出すところの、戦争犠牲者であるゆえに生活の苦しみをまずなくすという政策に、転換される意思があるかないかということを承りたい。
○池田国務大臣 前々日よりずつと述べておる通りでございます。
○横田委員 自衛というようなものは、大体日本に守らねばならぬ内容さえありましたならば、これは自衛を云云しなくてもいいのであります。守るべき内容がないから、自衛を云々されると思うのであります。一例をとりますと、中国から、ソビエトから赤い軍隊が入つて来るから防がなくてはならない、こう言われますけれども、今日日本の国内に問題になつているのは――鼻の高いのはソビエト人だけではない。中国人のごときは日本人とよく似ている。今日本におる目の色の違つた、鼻の高いのはアメリカの軍隊であつて、これは終戦処理費を食い過ぎて、日本の金をかつてにたくさん使い過ぎるということが問題になつておる。だから今おるところの外国軍隊は早く帰つてもらえというのが国民の要求だ。この言葉に対しまして、まだ入りて来るか入つて来ないかわからぬところの軍隊が入つて来るから、アメリカが居すわつております。それではどうぞいてくださいというような自由党のやり方が正しいかということです。一番最初に総理に伺いましたときに、自由党の人たちが茶化して聞きませんでしたが、日本の国においては守るべき大衆生活の基準も法もないのであります。この制度を推し進めて行きますと、農村におきましても、三等米の値打のある米は、四等米でとられて、米価は合法的に引下げられ略奪されているのであります。労働者の給料は先ほど言つたように安いのであります。税金は上らないが、国民所得を計算上げて、これだけもうかつているから出せというような形で、ふんだくられているのであります。だから私が総理に伺いたいのは、吉田総理と吉田内閣を構成するこの勢力が、占領下において非常な利益を受けておる。この利益を守るために、これを失いたくないというのと、米国軍隊の保護で米国が一国で非常に特権を得過ぎておる。これを守るために、どうしても守らねばならない軍事的重圧を加えておく危機を醸成している。占領下の六年間のいわゆる施政が、戦争はもうからないものだという線を逸脱しまして、戦争以外に再建の道がないというような方向に進まされておるのではないか。だから今後の日本の繁栄に対しては、吉田総理大臣といたしましては、どういうふうな形における繁栄を、はつきり構想の中に描いておられるか、これを承りたいのであります。
○池田国務大臣 終戦以来年々国民生活も向上し、経済力も強くなつております。今までの政策を続行する考えであります。
○横田委員 次は条約の問題について聞きたいのですが、技術的なこまかいことは聞きません。要は日本におきましては、今度の講和条約をそのままで行けというところの派と、これではいけないという派がはつきりわかれているのであります。そうしてこの講和条約というものは、自由党の総理に言わせますと、国民の意思を代表している。なぜといつて、国会においては、自由党は過ぎし三年前に絶対多数を占めた、こう言われるのであります。そういたしますと、参議院においても条約に対して、特に安保条約に対して反対の人たちが三分の一あつたのですから、選挙があり、今後議会のいろいろ党派の構成がかわつて来まして、条約反対派がたくさんふえて来た場合において、これは議会勢力によつてのみこの条約を破棄できるのか。その場合アメリカ――アメリカといえば、アメリカに聞けというでしようから、総理大臣はそういうものに対する見通しは、どういうふうにお考えでしようか。
○吉田国務大臣 わが党の方針に対する信望はいまだ衰えずと考えますから、今後も同じこの政策で邁進いたします。
○横田委員 わが党に対する信望は衰えずと強弁を張られて、吉田さんが一人考えておられても、お気の毒にも来年の一月までです。それから後のことを聞いているのでありまして、日本の国は吉田さんの生命とは関係なしに、別にあるのです。国の方はずいぶん長いのです。これは非常にお気の毒なんですが、あなたよりか私の方が、このままで行きますと、長く生きるのですから、そのときの責任からも、未来人として私はあなたに対して聞いているのです。おそらく次の選挙、次の選挙と重ねて自由党の多数が破れたとき――これは議会政治の常則であつて、日本の憲政史をひもどいてみれば、過半数を占めた党が次の選挙に勝つた例が少いのであります。だからその場合における議会勢力の構成によつては、講和条約は議会勢力の意思表示によつてかえられるものか、かえられたいものか、その間に密約があるかないかということを承りたいのであります。
○吉田国務大臣 密約は何にもありません。こうして来年一月後においても、わが党は絶対多数を占める確信を持つております。
○横田委員 それではその点は特に重要だから、もう一回聞いておきますが、議会勢力にもし変化が起つたときにはかえられるという宣伝、煽動をやつてもいいんですか。この点はどうですか。
○吉田国務大臣 よく意味はわからないが、一体条約というものは、一旦締結した以上は、そうむやみに一方的な意思だけでかえられないということが、国際法の常則であります。共産党といえどもそのくらいはわかつておるのじやないか。
○横田委員 それがわかつておるならば、ヤルタ協定に対してアメリカのやつがごろつきのようなことをなぜ言つているのか。あれは国際条約と違うのか。ヤルタ協定についてどんなことを言つているか。だから聞いているんだ。要は条約破棄の問題は今後の問題であつて、あなたとアメリカの気をもましたらそれでいいんだ。
 今度は台湾問題を伺います。台湾政府と吉田総理は修好条約を結ぶと言われるのですが、これはごまかしもはなはだしいと思うのです。なぜかと申しますと、今度の戦争の場合には、日本は台湾国、台湾島に対しまして宣戦布告をした覚えはないのであります。中国本土に対して宣戦を布告したのであります。一国を構成いたしますためには、主権と領土と人民、この三つのものがない限りにおいては、一つの国を構成しないと私は思うのであります。戦争が起りましたときには、中国本土四億七千五百万人の人たちが問題でありました。台湾は問題ではなかつたのであります。これは戦争の過程において、日本が暴力で奪つたものとして、やがて日本から離るべき島になつておつて、今離された島になつているのではなかろうかと思うのであります。だから台湾に対しまして修好条約を結ぶということは、非常に総理大臣もお困りのようで、台湾というものは中国全土の主権者であるようにアメリカの新聞では報じている。しかし日本の総理はその点をはつきりせずに、このごろになつて来ますと、台湾政府、台湾政府と言われますが、台湾政府というような一つの国を構成する場合には、西欧民主主義の常則によりましても、自由に表明された人民の意思が必要である。しかるに台湾においては一回も選挙があつたことはない。ただ中国におりました武器を持つた将軍が、戦争に負けてあわててそのまま台湾に逃げ込んで、先住島民五百万をむちやくちやに押えつけて収奪しているのである。だから亡命政権であるか、あるいは台湾にできました海賊の主権の存在か、わからなくなつて来る。そこで総理に聞きたいのでありますが、台湾政府は一体一国のはつきりした政府なんでしようか。また講和のときに対象になる政府なんでしようか。それとも国の利益のために、ごまかしのために言つている一つの傀儡政権であるか。もう一つ大きな問題になつて来るのは、こういうことを言つているのではないか。台湾の人たちは、どうしても中国本土に対する主権を認めろと言つている。主権を認めろと言つているが、もし中国本土に対する主権を認めるのであるならば、亡命政権がやがて中国本土に侵入するときに、助けてくれということになつて来る。その場合において軍事援助もいといませんということを、承知でやられるところの修好条約かということが一つであります。こういうようなことをやられますと、あだ討ちを必要としますところの弱いへなへな武士が、どうしても勝てないところに討ち入るのに、日本の吉田さんはひまで警察予備隊までこしらえているから、ちよつと手伝うてくれといつて、返り討ちになるのをわかつておりながら誘い出し、日本を破滅させる道だと思う。そういう意味において、台湾政府の概念というものをはつきり承りたい。
○吉田国務大臣 台湾政権なるものはアメリカ政府も承認しております。国連もこれは承認しております。日本ばかりではないのであります。でありますから、厳然たる政府であります。
○横田委員 厳然たる政府というような、りつぱな厳然という言葉が現わすところの台湾の状態は一体、どうなんですか。一国が一国と同盟を結び、あるいは修好条約を結び、あるいは外交を論議する場合においては、その国の経済力が問題になつて来ると思うのであります。ここに一つの例があります。台湾から入つて来ますところの米は非常に値が高いんです。一トンが百九十ドルで入つております。これは日本の金に直しますと六万八千四百円、一石の値段は一万三百六十三円です。これを消費者価格九千三百円で売りますと、台湾から入つて来ますところの米を一石売るたびに、千六十三円ずつ損するんです。しかも戦前におきましては五百万石の米が入つておつて、五百万石の米を日本に輸出するために、台湾の人たちは雑穀を食うておつた。ところが現下の台湾からは五百万石は入らずに、通産省の人に聞きますと、わずかに六十六万石しか入つて来ません。これが入らないのは、そういう理由によるのでありまして、通産省が出されましたところのあの台湾貿易の手引を見ますと、こういうことが出ております。「台湾の経済は七十万といわれる国民党の軍隊と政府の独占企業によつて痛めつけられている。これがために常に経済危機が潜在し、省民の不満が絶えない。政府の低利融資や為替の割当は、おもに国営企業にまわされるので、一般民間企業は潤うことができず、従つてやみ金利は非常に高く五十年二月には百円に対して日歩〇・六元であつた。一方主食の絶対的不足からその価格は高水準を割ることができず、一般物価も従つて高かつた。官営企業の内情は、腐敗その極に達しており、支出は放漫で原料は浪費され、生産量は低下しコストは高くなり、その結果台湾を外国品のダンピング市場たらしめることに貢献しておるのみで、諸工場は休業ないし半休業の状態に陥り、米国資本の導入によつてようやく維持されているにすぎない。また耕地面積は約八十六万ヘクタールで、日本人の所有は二〇%であつたが、終戦後、全部国民党政府に没収されたため、現在台湾最大の地主は国民党による台湾省政府である。また日本人経営の企業も同時に接収され、官僚資本の財産となつた。一方アルミ工業にはレイノルズ・メタル、電力に対してはウエスチング・ハウス、その他製糖業、肥料工業、セメント製造業、樟脳、製塩等に米国資本が入つており、南部の石油精製の利権も米国に与えられている。そのほかいわゆる米華共同農村復興委員会の活動を通じて、台湾の農業生産は調整を受け、台湾の経済は純粋な植民地型になつている。」こういうような台湾であるということを、総理はよく御存じなんですか。厳として国際的に存在するというところの台湾の経済的な状態は、一体どんなものであると思つておられるのか。ここと輸出入いたしましたところが、うんと買つてくれて、うんと売つてくれても五千万ドルぐらいなものである。日本の貿易は十七億ドルを目標にしているのであつて、中国におきましては、たしかこれは大阪日日新聞の最近の報道によりますと、日本の金に直しまして、今日の中共貿易は日本を対象としたときに、六億ドルの輸出入は可能であろうということが、はつきり言われておるのであります。こうなつて来ますと、何も得をしないところの台湾、しかもこれはアメリカの人に言わせますと、台湾は日本に米を与えるところである、砂糖を与えるところであると言つております。与えられた米は高いのであります。こんな内容のないところのアメリカの植民地にひとしい台湾と修好条約を結ぶということは、アメリカの植民地的政権の中心である吉田政権と、アメリカの植民地である台湾の政権との修好条約になつてしまうと思うのです。これは非常に解釈のしにくい修好条約なんですが、その点に対して特に台湾の内情に対して、詳しく御説明を願いたいのです。
○吉田国務大臣 他国と条約を結ぶ場合に、一々経済状況を調べて結ぶべきものではない。その国が統治の主体であるかどうかを目標にして、相手方とこの条約に入ることが、国の利益であると考えれば入る。
○横田委員 その国の利益であると考えればとはつきり言われたのですが、国の利益がはつきりあると考えられた経済的基礎は、どこにあると聞いておるのです。
○吉田国務大臣 これ以上は答弁しない。
○塚田委員長 御答弁がないそうであります。
○横田委員 それから中国本土は日本の近くに厳としてあるのです。しかもこれはアメリカへ行くよりか近いのです。ここから買いますところの一切の原料は安くて、しかもここでは非常にいろいろなものが売れる。最近の農地改革の成功によりまして、中国におきましては、太い糸で織りましたところの布より、細い糸で織つたところの布が喜ばれる。無地よりも縞ものが喜ばれる。そこでは非常に真空管を要求しておるということを、雑誌中央公論までが報じております。中国においてはそういうふうに日本に売りたい、買いたいという気持があるのに、しいてやらさないという状態に置かれておるのです。このことについては一般質問のときにゆつくり承りますが、現に中国政権というものが、中国本土に厳然としてあるのですから、これに対して一体どういうような態度をおとりになるかということを承りたい。今後の修好関係です。これも一ぺん答えたと言われるでしようが、その点についてもう一ぺんはつきり承りたい。
○吉田国務大臣 すでに答弁いたしましたから答弁をいたしません。
○横田委員 それでは中国政権というものは、このままながめておつても、アメリカの論調のようにやがて滅ぶべきものと、こういうような考えでおられるのですか。
○吉田国務大臣 よその国の政府は私が批評いたす限りでない……。
○横田委員 よその国の政治に対してとやかく考えずにおられるのは、占領下の政府であるときのことです。これから中国をうんと気にしなくてはならないために、議会では今問題になつている人殺しの費用をうんと組んでおられるのじやないか。その相手方がソ連であり、中国であるからというあなたに伺うのです。よその国だからとやかく言いませんというような盲外交だから、野党の方から問責の決議を云々しなければならぬのだ。総理は中国のことを知らぬのか。これから研究するのか国内においてはあなたたちに非常に圧迫されて、中共のことを知るなと言われておる立場にある私でさえ、これだけ知つておるのに、総理がよもや知らないとは言えない。私はこの点について、中共に対する今後の総理の認識を改めるがために、政府機関をお持ちになる意思があるかないか、このことを承りたい。
○吉田国務大臣 あるといなとにかかわらず、外務大臣としてむやみによその国の政権を批評いたすことは差控えます。
○横田委員 そういたしますと、かつて総理大臣は、中共が好むならば上海に在外事務所を持ちたいと言われたが、持つ場合にはどういう手続をとられるはずであつたのですか。
○吉田国務大臣 これはたとえであります。台湾において在外事務所を設ける。これは貿易のためであるということを説明するために、もし通商の目的でもつて在外事務所を置いてくれということがあるならば喜んで置く。しかしながらそれはほかの条件がありますけれども、貿易だけのことならば在外事務所は喜んで置く、そう言つたのであります。
○横田委員 在外事務所を貿易のためならば喜んで置くというのは、盲であるところの外務外臣としては、どういう形で置くようにされるのですかということを聞いているのです。
○吉田国務大臣 答弁しません。
○塚田委員長 御答弁がないそうであります。
○横田委員 世界経済会議のことを伺います。岡崎国務相は山口君の本会議におけるところの質問に対しまして、こういう会議の内容をよく知つているな、こういうことを言つておられる。こちらの方では、政府のいろいろの配慮をする人が、こんなことを知らないでよく済ましておられるな、ということを言つてあきれておる。これはエコノミストと申します毎日新聞が出しておる雑誌であります。しかもこれは出しておるところの日が古いのです。それによりましてもはつきりと出ておりますことは、「諸国民の生活水準を向上し、各国間の経済的協力を復活させるため、ソ連で国際経済会議を開くことを決定」した。こういうことが前提となりまして、「出席者一同は国際経済関係がいよいよ悪化しており、このため多くの国の国民生活水準が危機にさらされていることを確認し、国際経済会議を開くことに決定した。この会議には、見解の相違を問わず、ただ国際的な経済協力をすすめたいと希望する経済学者や実業家、農業経営者、商人、技師、労働組合代表が参加する。」こういうふうに書いてある。しかも自由党の方が安心されるように、「この会議は色々な国や、色々な経済社会制度が、平和に協調出来る方法をみいだそうとするもので、それぞれの経済社会制度のすぐれた点を云々するような討論は、一切さけるはずである。」と書いてあるのです。アメリカのことを悪いとか、ソ連のことを悪いとかいうのではなく、特に日本の占領はけしからぬというのではないのでありまして、日本とソ連が十分に通商して、ともに栄え、ともに得するところのやり方を相談しよう、こういうことを言つておる。こういうような会合に、総理の意見としては日本からだれか行くことを喜ばれるか、喜ばれないかということをはつきりと承りたい。
○吉田国務大臣 政府はまだ公然の、公式の交渉を受けておりませんから、受けた後に決定いたします。
○塚田委員長 横田君に申し上げます。大体時間でありますが、あと一、二分程度で御質疑なすつてくださる場合に限りまして、もう一問だけお許しいたします。
○横田委員 私が総理に望みたいことは、貿易というもの――国と国のもののやりとりというものは、とにかく非常に激烈な競争の中にたたき込んだときに、買う方が得をするのだと思うのであります。その場合に、こちらに弱味強味があるときに、関税の問題があるのだと思うのであります。今日のようにアメリカ一国に左右されておりまして、アメリカの余つたものを日本に押しつけられる。特にアメリカの古服を日本人にたくさん着せられるようなこの状態のもとにおきましては、非常に日本が売り買いにおいて国際的に損をしている。だからここで当然日本人的感覚をとりもどして、ソビエトに対して、あるいは中共に対して、いわゆるこれらの国々に対しまして、日本は戦争ではもうからない国になれと仕込まれた国なんですから、平和的に立つて行くためには、これこれのものをこれだけ買いたいというような意思表示をはつきりして、アメリカの人たちを少し気をもませてやるような方法をとられたならば、かえつて日本の方が得ではなかろうかと思うのでありますが、こういうような点におけるところのお考えはどうですか。この点をはつきり伺つておきます。
○吉田国務大臣 日本はアメリカだけと貿易をいたしておりません。世界各国を相手にいたして貿易をいたしておるのであります。
○塚田委員長 横田君の発言中、もし不穏当の箇所がありますれば、速記録を取調べの上適当に処置することといたします。稻村順三君。
○稻村委員 先ほど議事進行に関して申しましたように、昨日の総理の警察予備隊を防衛隊に切りかえるという説明は、日本国民並びに諸外国の国民大衆に対して、非常に誤解を起させやすいことであつたと思うのであります。いな私はおそらく今朝の新聞報道は、これが大々的に外国の新聞にも載つておることであろうと思うのでありまして、すでに相当の誤解を起しておると解釈して、さしつかえないと思うのであります。従いまして私たちが質問することに対しまして、総理大臣は何も議員に対して内閣の体面、総理大臣としての体面などということを考えて、これをぼかすというような言い方ではなくて、実に国民の誤解、外国の輿論というようなものの誤解を解くということを、第一に念頭に置いて答弁していただきたい。私はそういうことを前提として質問申し上げます。
 吉田総理並びに大橋、木村の両国務大臣は、過日の本会議では再軍備しないということを言明しております。しかるに昨日の委員会で総理大臣は、警察予備隊を防衛隊に切りかえると答弁いたしました。これに関しましてきよう大橋国務大臣は、憲法の規定する範囲内でこれを行うというふうな答弁もしておりますし、また防衛隊ということは仮称であつて、保安隊という名前も考えられる、こう言つております。その理由といたしまして、九月になると警察予備隊――今募集しておるところの警察予備隊は、これはもうすでに満期になる、それで十月から新しく出発しなければならぬ、こういうふうに私聞いておつたのであります。そうなりますと、九月といえばもうあと半年少しでございます。このことが切れるということはいまさら考えるのでなくして、すでに国内治安とか、防衛とか、いろいろやかましく言われておるときには、すでに言われておつたのでありますから、すでにこのことが見通されておつたはずである。そうすれば本会議におけるところの大橋国務大臣も、木村国務大臣も、やはりその構想は多少持つておられたはずだと思うのであります。そうしますと警察予備隊と、防衛隊あるいは保安隊というこの二つのものとの間に、どういう関連性を持たなければならないかということは、これは大体政府でもはつきりおわかりのことと思うのでありまして、この二つのものが単なる警察予備隊を延長したものであるか、それとも組織上、制度上多少の変更が加えられるものであるか、この点からまず第一に明らかにしていただきたいと思います。
○吉田国務大臣 その説明は先ほどの説明で出尽しておると思うのであります。あとは所管大臣からお答えいたさせます。
○大橋国務大臣 警察予備隊を防衛隊あるいは保安隊に改組改編する。この場合に、憲法のわく内におきまして再軍備を許されておらないわが国でございますので、あくまでも国内治安の確保のための組織として参るという点につきましては、その性格がまつたく同じことであると考えております。しかしながら二年間の経験によりまして、現在の制度において、多少補足することが適切であると認められる地方につきましては、これを改編いたしまして、より一層国内治安のために有効な施設として改編をいたしたい、こう考えております。
○稻村委員 そこで大体本質的には警察予備隊と同じものであり、これの延長である、単なる名前をかえたものにすぎない、こういうふうに解釈してよろしいですか。
○大橋国務大臣 国内治安のための組織であるという点におきましては、現在のものの延長であるとお考えになつて、一向さしつかえないと思います。
○稻村委員 もう一つ、これはきわめて重要なことでありますので、関連して質問いたしますが、先ほど大橋国務大臣は、二年間の経験によつて、組織上、制度上の多少の変更が加えられると申しておりましたが、詳しいことは申しません。そのうちの最も特徴的な変更はどこにあるのか。それくらいはやはり構想としてお持ちのはずだと思います。従つて特徴的なものをここに三つでも五つでもいいですから、羅列的でよろしゆうございます。あげてみてください。
○大橋国務大臣 これはなお研究中に属しておる事柄でございまして、まだ申し上げる段階になつておりません。
○稻村委員 そうしますと、本質的なものは変更が加えられない、ただ末梢の部分だけかえられる、こういうようなもし意見であるならば、これは警察予備隊を一年延期する、あるいは警察予備隊は満期になつても、これは延長するという声明の方が、はるかに国民並びに諸外国に対するところの誤解を招かない。であるにもかかわらず、保安隊、防衛隊というふうに名前を別にして、組織上、制度上異なるもののごとく宣伝されたのは、単なる言葉だけの問題として、外交的にも国内政治の上においても、見のがせないものがあると思うのであります。単なる言葉の上ならば、何がゆえにこういう誤解を招くような表現を使つたか。その点の感想を伺いたい。
○大橋国務大臣 予備隊本来の性格その他から見まして、かような新しい名称をつけることが、より適切に内容を示すものである、こう考えておるからでございます。
○稻村委員 それでは次に行きますが、そうすると今度の予備隊は防衛という意味のものも言つておりますが、これは治安に主力を置くのか。それとも防衛に主力を置くのか。防衛とは対外的な問題であります。治安とは国内的な問題であります。その役割はダブるところもありましようけれども、これは大体区別がつくものであります。その点治安を主とするものか、防衛を主とするものか、御見解を伺いたい。
○大橋国務大臣 警察予備隊の目的といたすところは、あくまでも国内の治安を確保するということでございます。従いまして、国内の治安を阻害するすべての原因に対しまして、実力をもつて措置をいたすというのがその使命を考えております。
○稻村委員 治安と防衛のどちらに主眼があるかということは、非常に重大な問題でありまして、しかもこれは装備の点に非常に関係を持つて参ります。治安というようなものを主眼とするのならば、国内治安の取締りの対象として考えられるものは、主としてどういうものでありますか。その点を明確にしていただきたい。
○大橋国務大臣 国内の治安をあくまでも確保するというのが、予備隊の使命でございまするから、その活動の対象となりまするものは、国内治安を害する一切の原因であると存じます。
○稻村委員 国内治安の一切というようなことでもつてごまかすというと、これはたいへんな問題になります。なぜかといいますと、国内治安というものは、国内の治安を乱すというようなものには、大体はつきりした対象があるはずであります。たとえば集団強盗であるとか、あるいはまたどういう団体によつてか内乱の危険がある、だからしてその団体を取締る条件であるとか、あるいはまたそういうふうに国内の治安というものは――大体私たちは外国の場合になりますと、外国のいろいろな国によつて、出方いかんによつて相当判定が困難でありましようが、国内の場合においては案外はつきりしている、こういうように考えるのでありますが、その点について具体的なところを二、三例をあげていただきたい。
○大橋国務大臣 国内の治安を確保いたしますには、治安を害する一切の原因に対して対処し得るがごとく、施設する必要があると存じます。しかして御指摘のように、殺人とか強盗、こういうようなものも確かに国内治安を害するものでございまするが、これらは警察予備隊の主たる活動の目的ではなくして、それはむしろ普通一般警察の対象となることが多いと存じます。警察予備隊は、一般警察力の処理し得ないような大規模な原因に対しまして、国内の治安を確保して行くということを目標といたしております。
○稻村委員 そうすると、ここに国内の治安を維持すべき対象というようなものが、非常に限定されて参ります。そうすると、さような治安を撹乱するとおぼしいものが、どういうような装備を持たなければならないかということについて、よくおわかりのことと思うのです。それならば、私が二ユース映画に見たような、野砲も使つたり、バズーカ砲も使つたり、ことに、聞いているところによりますと、高射砲の練習もしている――それは私は見たわけではございませんが、二ユース映画で見たところでは少くとも野砲、バズーカ砲を持つて演習しているところの写真がちやんと出ておりました。そうしますと、そういうふうなものを使わなければならない、ことに高射砲なども使わなければならないというような、大規模な治安撹乱者というものが想定されるのであるかどうか。この点をはつきりと御見解を伺いたい。
○大橋国務大臣 国外の勢力によりまする煽動あるいは干渉による大規模なる内乱騒擾というごときものも、わが国の現状として必ずしもなきことを保しがたいという理由によりまして、現在日米安全保障条約におきましては、かようなる場合において米軍の援助を仰ぐ、こういうことになつておるわけでございまして、内外の情勢から考えますると、現在の予備隊の持つておりまする程度の装備は、国内の治安を確保する上から申しまして、絶対必要であると考えておるのであります。
○稻村委員 それならば、もつと具体的に入つて聞きますが、今度の増原警察予備隊長官は、バズーカ砲、それからたしか高射砲も入つておつたと思いますが、そういう装備を必要とするようなことを言つておりましたが、そういうものを必要とするのかどうか。その点もお聞きいたします。
○大橋国務大臣 予備隊は現在におきましては、小銃、軽機関銃並びにバズーカ砲を装備いたしております。高射砲それから大砲等につきましては、なお持つておりません。
○稻村委員 バズーカ砲は、主として戦車を撃つためのものだというふうに、私たちは解釈しておるのでありますが、日本内地において戦車をもつて内乱を起すような団体があるという想定のもとに、こういうものを持たせておるのかどうか、それも聞きます。
○大橋国務大臣 バズーカというのは、必ずしも戦車に限つたものではございません。これは接近いたしております密集部隊を射撃するに適当な装備であります。
○稻村委員 もう一つ装備のことについてお伺いいたしますが、それならば、この前に二ユース映画に出たところの大砲を操縦する訓練というのは、あれはどういうためにああいう二ユース映画がとられたのか。そのいきさつを――これは重要な事件です。軍隊じやないという意見を発表した以上は、ああいうものを持つているか持つていないかということは、これは重要な問題です。それを何ゆえに二ユース映画――あれは全然単なる役者を雇つてとつた仮想の映画でありますか。それともほんとうの警察予備隊の映画であるか。その点をはつきりとここで御意見を伺いたいのです。
○大橋国務大臣 私はしばらく映画を見ておりませんので、どういう映画を御指摘になつておるかわかりませんが、小口径の火器につきまして、その使用方法を予備隊に訓練をいたしておるという事実はございます。
○稻村委員 そうしますと、ここで非常に重大な問題になります。バズーカ砲と軽機関銃と、それから重機関銃と小銃しか装備として持つていないということになつたのに、今度は小口径の火砲の訓練をしているということになれば、これは現在そういう装備は持つておらなくても、近き将来においてそういう装備を持つということを、意味していると思うのでありますが、そう解釈してさしつかえありませんか。
○大橋国務大臣 いつからそういう装備を持つという計画は全然ございません。
○稻村委員 これに対する訓練をしているということを承認しておるものとすれば、いつから持つかわからないなどというのは要するに言いのがれにすぎません。近いうちに持つということを前提として、こういうことをなされておるというふうに考えるのであります。しかしこれはもうこんにやく問答になると思いますから、これ以上のことは申し上げませんが、とにもかくにもこういうふうな装備を持つておるということ、しかも先ほど申しました通り、どろぼうやこそどろ、それからばくち打ちというようなものを取締るためには、普通の警察があればよろしい。そうすると集団的戦闘の団体をつくるということを意味するのでありますが、これは国内治安その他を――防衛とかいうことを別にして、そういう集団的戦闘の組織をつくるものが、この警察予備隊あるいは保安隊あるいは防衛隊と呼ばれているものであると解釈して、さしつかえありませんか。
○大橋国務大臣 国内治安を維持するために、必要欠くべからざる実力的な組織をつくるというのが警察予備隊でございます。
○稻村委員 その装備の劣悪、あるいは装備の優秀ということを別にいたしまして、今の答弁によりまして、少くとも地上において集団的に小口径の火器まで準備したところの装備をもつて戦う、一つの集団ということになりますと、憲法の九条の中にいわれておりますところの「前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。」ということになつている。これは治安や防衛ということは別といたしまして、今の事柄からいえば一つの地上軍というか、地上の隊と申しましようか、それが集団的な、近代的なある程度の装備を持つて、地上的集団戦闘というものをなす組織であれば、これは戦力の一つにならないかどうか。憲法の中では防衛のためだから、あるいは治安のためだからという区別はしておりません。単なる「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。」集団的に戦うところの力というものはこれを保持し得ない、こういう意味に解釈しておるのでありますが、この点はつきりとした憲法上の解釈をお願いしたい。
○木村国務大臣 その点に対して私から御答弁いたします。憲法第九条に国際紛争を解決する手段として武力は永久に持たない、こう書いてある。しこうして第二項において、その目的のために陸海空軍その他の戦力を保有しないということであります。そこで問題は国際紛争を解決するために武力を持たないのである、行使をしないのであるから、その目的のために戦力を持たないということになると、この目的というのは国際紛争解決のための目的だけであるか、あるいは自衛のためにはそれは除外しておるのかどうか、こういう議論があるのであります。しかしその議論のよしあしは別として、総理がしばしば申されたように日本の現段階においては軍力を持たない。いわゆる再軍備をしない。これははつきり言つております、そこでこの再軍備の問題は、この第二項の陸海空軍その他の戦力の限界いかんという問題に帰着するのであります。問題の要点は、現在の警察予備隊はこの憲法第九条第二項の戦力といえるかどうか、これであります。そこで私はこの戦力をどういうぐあいに解釈するか。これは国際社会の通念によつてきめるべきものであると、私は確信しております。この戦力というのは戦争を遂行し得るに有効適切なる兵力、こう解釈しておるのであります。しこうして近代においてはこの戦争の力というのはどういうものをいうのか。これは軍隊としての十分なる装備を持つて戦い得る力でなければならぬ。ところが現段階における日本の警察予備隊なるものは、さような編制も何も持つていない。ただ日本の治安確保のために必要なる力しか持つていないから、この憲法第九条の戦力には当らない。これは私の解釈であります。
○稻村委員 この戦力という問題は、これは単に前項の目的ということよりも、私たちはもつと大きく解釈しなければならぬ、こういうふうに考えておるのでありますが、もう一つわれわれにとつてこれくらいな装備ならば戦力にならない、こういう解釈よりも、私たちは組織とその組織によるところの戦闘の組織を持つか持たぬか。これが結局私は戦力か戦力でないかという規定をするものだと思うのであります。ハズーカ砲を持つておるから、小銃くらいだから軍隊でないというならば、それでは事実南方諸国における反乱軍のある部分のごときは、これは軍隊とは言えないはずである。ところが結局を言えば、ホー・チーミン軍であるとかあるいは何々軍というものは、私はやはり軍隊と言えると思う。要はどれだけの装備を持つておるということではなくして、戦闘の組織、野戦の態勢をとつているかいないか。これがわれわれにとつて非常に重要な問題だと思う。今度の警察予備隊がそういうものではないということを、はつきりと言い得るところの確信があるならば、その確信を持てる条件をここにあげていただきたいのです。
○木村国務大臣 問題は要するに国際紛争解決の手段としての武力の関係であります。現在の予備隊においてはさような編制、装備は持つてない。かるがゆえに憲法第九条二項の戦力に相当していない、いわゆる再軍備に当らない、こう申し上げておるのであります。
○稻村委員 それならばお尋ねいたしますが、再軍備しても――これは実際上の再軍備です。再軍備しても国際紛争解決のためのものではなかつたならば憲法に抵触しない、こういう考え方を持つておるのかどうか。その点もお尋ねいたします。
○木村国務大臣 お答えいたします。ただいまの御質問は国際紛争解決の手段でない武力であれば、いわゆる自衛力を持つていいかどうか、その場合に憲法に違反しないかどうかということでありますが、この憲法の問題については有力な説が二説あります。あなたの仰せのように自衛のためにも軍備は持つていけないのだという説もあります。また自衛のためならば、国際紛争解決の目的としなければ、軍備を持つてもいいのだという議論もあります。しかしその両説いずれを可とし否とする問題は別といたしまして、現政府においては再軍備はしない、こうはつきり申し上げます。
    〔「それは説明にならぬ」と呼ぶ者あり〕
○稻村委員 そこで実際今言われておるように説明にはならぬ。そういうふうな再軍備というものは、国際紛争解決の手段としての再軍備でないにしても、とにかく国内の治安維持のための武装力の強化であつても、その仮想敵国に対して戦闘を開始する装備と組織を持つているということは、これは目標が違つても再軍備でありますが、こういう再軍備は、今日の憲法のもとにおいて可能だという確信を、政府は持つておるかどうかということを質問しているのです。
○木村国務大臣 お答えいたします。確信の問題じやなくして事実問題として、警察予備隊はさような兵力編成の力を持つていないと、こう申し上げるのであります。
○稻村委員 私の言うのは、先ほど申しました通り、その力は今持つていないかもしれない。力を問題にしているんじやない。さつきから言つているように、制度と組織の上から問題にしている。国内の、たとい治安のためであつても、反乱なら反乱を予想して、しかも戦闘的な反乱というものを予想して、それに対応する一個の集団的な訓練と組織を持つておれば、それは軍隊じやないか。こういう軍隊というものは各国の例としてもあり得ます。そういうものでもやはり軍隊であり、それは軍備ではないか、これを私は問うているのです。これも軍備だと思うが、その程度の軍備であれば憲法には違反しない、こういう解釈なのかどうか。
○木村国務大臣 稻村君のお説を承つておりますと、軍隊という言葉の魔術にかかつておるのだろうと思います。私はそう考える。そこで一体警察予備隊は、この憲法第九条第二項の戦力に相当するかどうか。これが問題であろうと思う。警察予備隊はあなたの仰せになりましたように、そういう軍事力遂行の目的にも使われない。また使える能力のないきわめて軽微な装備しかないということを申し上げておるのです。
○稻村委員 それならばちよつと観点をかえまして、もしもアメリカがよその国と戦闘を開始したとき、そのときにはこの警察予備隊というものは、これと協力する義務を与えられているかどうか。外敵との戦いの場合に、その協力をするだけの義務が与えられておるのかどうか。また今後与えられることがあるのかどうか。この点をお尋ねいたします。
○大橋国務大臣 現在におきましては、警察予備隊について何ら米軍と協力するというような約束はございません。
○稻村委員 行政協定の中にも、そういうことが約束せしめられるという可能性があるかないか、はつきりないと答弁できるかどうか、それをお尋ねいたします。
○岡崎国務大臣 行政協定は、アメリカ軍の国内における駐留に関する事項を規定するのでありまして、そういう問題は全然入つておりません。
○稻村委員 最後にもう一つお尋ねして、これも重要なことですから、はつきりと御答弁願いたいと思うのでありますが、きのう総理大臣の防衛隊に関するところの言明とともに、朝日新聞、読売新聞などは、政府の持つているところの防衛隊に対する構想というようなものを発表しております。これはもちろん新聞が一個の想像をたくましゆうしてやるものだから、これに対して責任はない、こういうことは言えるかもしれません。しかし私たちは、たといこれが新聞の創作であつたといたしましても、こういう記事が出れば、これは全部外国に向つて報道されるのです。そうすると、これは非常に多くの誤解を外国にも招くことは、これは明らかであります。従いまして、もしもこれが全部うそであるならば、うそであるという政府の声明をここではつきり出していただきたい。そうして単にうそである、現在のところはそんな意思はないなどと言つたら、将来あるというやはり誤解を受けます。従つてそういうものは全部うそであつて、将来といえどもこういう構想は絶対に持たないであろうという言明をしないと、外国から非常な大きな、探られないでもいい腹を探られる危険がありますので、この点政府においてここで明確に言明する意思ありやいなやを、総理大臣にお尋ねしたいと思う。
○大橋国務大臣 御質問において指摘された新聞記事の内容を承りませんのでわかりませんが、おそらく警察予備隊は将来こういうふうになるんじやないかという、将来の計画についての構想が報道されておる。それが事実なりやいなやという御趣旨じやないかと思います。政府といたしましては、すでにたびたび申し上げましたごとく、警察予備隊の増強につきましては、来年度におきましては十一万に人員を増加いたします。この点につきましては、本予算において御審議を願つておる次第でございまするが、これ以外に何らの計画はございません。将来についてはどうかという点でございまするが、警察予備隊は国内治安のための組織でございまするから、国内治安の必要に応じまして、その力を必要ならば増加するということは、これは当然のことでございますが、しかし新聞に伝えられるごとく、二十八年度において三十万にするというような計画は全然持つておりません。
○稻村委員 そうなりますと、今度読売新聞に特に書いてありましたところの服部案、稻田案というような案がありまして、これらの案によりますと、三十二万の地上部隊、それからフリゲート艦等六十隻、それから航空機幾らとかいうようなことが伝えられておるのでありますが、これが、今のところその計画はないということになると、今の考えにおいては、こういう計画は憲法がある限りにおいては絶対にしない。そうしてここ当分の間は――ここ当分の間というのは来年などというのではなくて、ここ少くとも十年間くらいは憲法を改正する意思なし、こういうはつきりしたところの確信を持つておるのかどうか。この点をひとつ聞きたい。
    〔発言する者多し〕
○塚田委員長 御静粛に願います。
○大橋国務大臣 稻村案あるいは何々案というような計画は、政府としては持つておりません。なお憲法改正はどうかということでございまするが、これは発案権は国会にあるわけであります。政府としては特にそれを希望するという考えは、全然今日持つておりません。
○稻村委員 今の憲法改正と関連してお尋ねいたしますけれども、憲法改正についてはいろいろな意見がございますが、今大橋国務大臣の申したところによりますと、政府は全然憲法に関しては発案権を持たないものだ、こういう解釈と解してよろしゆうございますか。
○大橋国務大臣 ただいま私がお答え申し上げたことにつきまして、重ねて御質問でございまするが、憲法に関しての発案権は、憲法の規定に定める通りと心得ております。
○稻村委員 そうしますと、もう一つお尋ねしたいのでありますが、憲法の九条の解釈を盛んに云々する人がありますが、この憲法の九条の改正というのは、単なる改正ではなくて、これは実を言うと全憲法の破棄だというふうな解釈もあります。それはなぜかというと、憲法の前文自身の中に、すでにそれを意味するようなものが書かれているからであろうと思うのであります。この前文の中に、日本国民は、「われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたつて自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないようにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。」というふうになつておりまして、この前文によりますと、先ほど木村国務大臣が言われた通りに、単なる暴力だとか国際的紛争云々というような限られたものではなくて、戦争全体を否認するという意味において、よかれあしかれ日本国民が戦争の惨禍からのがれるということを前提とする絶対平和主義の立場から、ここに憲法を制定ずるというふうになつて、これが憲法の精神となつて貫かれていると思うのであります。そうしますと、この九条の改正ということは、これは単なる九条の改正にとどまらずして、全憲法の破棄というふうに解釈されることになると思うのでありますが、この点どうお考えになるか答弁を願いたいと思います。
○木村国務大臣 それは改正であると思います。
○塚田委員長 お時間でございます。
○稻村委員 非常に不親切きわまる答弁であつて、国民が聞きたいと思つているところはそんなところではありません。しかしもう持ち時間がないので、私の質問はこれでやめることにいたします。
○塚田委員長 小平忠君。
○小平(忠)委員 総理大臣は先般の施政方針演説の中におきましても、さらにまた本委員会の開会劈頭からも、終始一貫、わが国は絶対に再軍備をやらないと言明されておるのであります。この点に関しましては私もまつたく同感でありまして、日本の国力、経済力から見まする場合に、再軍備などとうてい考えられないことだと私は思うのであります。しかるにそのような一貫されて参りました総理大臣の言明にもかかわらず、今回提示されました予算書の内容を伺いますると、ただいまも論議されておりますように、まさに再軍備の一歩手前であるかのような疑惑を持たれるのであります。その理由なり内容につきましては、いまさら申し上げるまでもなく、今回の平和回復講和関係の諸経費として計上されております、二千億になんなんとする経費の内容につきましてもその通りであります。さらに昨日の民主党中曽根君の質問に対しまして、総理大臣が答弁せられたように、予備隊を解体して防衛隊を設置する考えであるというようなことをもつてしても、これはまさにそういうことが言われるのであります。そこで私は、そのような政府の一貫して参つた再軍備反対論に関しまして、国の最高機関としての国会のこの予算委員会の席上におきまして、国民の意思を率直に訴え、また政府の所信を明確にただしておかなければならぬことがあるのであります。
 その第一点は、警察予備隊はあくまでも国内治安の維持確保のためであるとおつしやるのであるならば、今日七万五千の予備隊というものがあるのでありますが、明年度においてさらに三万五千増員いたしまして、十一万の予備隊に拡充をするという理由につきましては、国内治安確保について、昨年や一昨年よりも緊迫しておるような状態がはたしてあるのかないのか。三万五千人増員をしなければならぬという理由が明白でないのであります。この点について総理大臣の御所見をお伺いいたします。
○吉田国務大臣 大橋国務大臣からお答えをいたします。
○大橋国務大臣 来年度におきまする増員につきましては、内外の情勢を検討いたしまして、国内治安確保のためにはこれだけの増員が必要である、かような認識の上に増員いたすことにいたしたのであります。
○小平(忠)委員 ただいまの御答弁では、必要であるという理由がいささかも明確でありません。そこで私は、これは総理大臣にお伺いいたしたいのであります。先般わが党の松本委員長が、全権代理として総理にお伴をして参つたのでありますが、わが党の最終的態度を決するときに、外相官邸に総理大臣を松本委員長とともに私がお伺いをいたしたときの総理の言明でございますけれども、この外相官邸にお尋ねをいたしたときの言明を通じまして、さらに国会においての正式なる御答弁でも、再軍備については反対であるということを明確に話されております。その内容はどうかといいますと、日本はまだ再軍備の力がない。それよりも、まず何といつても、日本が独立国家として第一歩を踏み出すときに、第一に考えなければならぬことは――ただいまもチヤーチルの大戦回顧録を読んでおつた。その中で非常に私は感銘したものがある。それは、戦争後にまずやらねばならぬことは何かというと、戦争によつて犠牲を受けた戦争犠牲者に対する生活安定だということである。これをまず国は全力をあげてやらなければならぬ。さらに、敗戦によつて苦しんでいるところの農山漁民、中小企業、勤労大衆の生活安定を考えなければならぬ。この施策に重点を置いて、国力が次第に出て来て、自分の国が他国の侵略を受けてはならぬという愛国心の発露から――これは命令的ではなく、自然的に発する愛国心の熱情によつて、この国を守ろうではないか、軍隊をつくろうというような意思が、国民の中からわき出た場合においては、十年後あるいは二十年後においては考えられないことでもないであろうが、目下のところではとうていそういうことは考えるべきことではない。こういうことは日米安全保障条約に調印をする前提として総理大臣がはつきりおつしやつた。そういうようなことから考えてみまするときに、今回の予算の内容あるいは昨日の言明、ただいまの質疑応答の中で総理大臣にかわつて言明されているところの閣僚の方々の言明を見ますると、私は非常に理解に苦しむのであります。特に総理大臣を初めとして閣僚が、いかに現在の予備隊が戦力の保有ではないと言明されましても、おそらく警察というものに銃火器あるいは火砲――火砲の大小は問わず、警察に銃火器や火砲を持たして訓練しているというような例は、私は古今東西民族の歴史の上において、その例はないと思う。そういう観点から見れば、これは憲法第九条の条章に根本的に反することを私は確信いたします。従いましてこれはただいま憲法改正論に稻村君が触れたのでありますが、総理大臣は、あくまでも現在の予備隊というものは、再軍備の前提ではない、戦力の保有ではないということをおつしやるのでありますが、これは常識的観点から見ましても許されない。従いまして再軍備をしないという観点に立ちましても、私は日本国の最もわれわれが尊重すべき憲法に、相反するようなことをあえてなすべきではないと思う。従いまして憲法を改正する、すなわちそういう疑惑を払拭する、再軍備ではないが、現在の憲法の条章に相反するから、憲法を改正するというお考えは総理大臣になかろうか、その点をお伺いしたいのであります。
○吉田国務大臣 憲法改正の考えはございません。
○小平(忠)委員 しからば憲法改正の御意思がないとすれば、これは吉田内閣においてそうおつしやつておられましても、その憲法改正の総意というものは、これは国会であります。国会はすなわち国民の多数をもつて選挙せられた議員によつて決せられると思うのであります。
    〔委員長退席、上林山委員長代理着席〕
しかし国民の大多数は再軍備に反対である。私も再軍備は絶対反対である。しかし現実に行われている事柄が再軍備の前提、いな再軍備に突入しているということが、国民の率直な感情であると私は思います。従いましてこの際内閣は解散をして、国民に信を問うべきであると考えるのでありますが、総理大臣の御所見を伺いたい。
○吉田国務大臣 解散する考えもありません。
○小平(忠)委員 それでは私は問題を次に移しまして、本問題と重要な関連を持つ、まず独立国家の第一歩を踏み出す際に、総理大臣が国会においても、あるいは記者団会見等においてもたびたび論議され、触れられておる問題題は、戦争犠牲者に対する生活安定、生活援護の問題でありますが、先ほどこの点については私が申し上げた通りであります。まず再軍備という問題よりも、確かに今回の予算の上に現われております問題として、百七十四億という戦争犠牲者に対するところの援護費というものが計上されております。この問題については、先般総理大臣の言明から見ますときに、これはきわめて僅少である。特に先般、橋本前厚生大臣の辞任の際の声明を見ますときに、私は感慨深く見たのであります。橋本前厚生大臣はこう言つておる。「根本観念において戦死者の妻や子、父、母等に対し戦死者に代つて扶養の責任を果すことおよび傷痍軍人をしてその日の生活に窮せしめぬことは、いやしくも独立国たる限り、その第一日から国家の果すべき最小限の義務でなければならぬ、これは党派を超えた国家の問題であり、私は吉田首相の晩節をあやまらせぬためにも、一自由党員として所信の実現に努力する」これは実にりつぱな所信であろうと思う。吉田内閣の閣僚として、最後までその所信を貫くために努力する前橋本厚生大臣のこの考えは、まことにりつぱである。
    〔上林山委員長代理退席、委員長着席〕
私は今後も具体的予算の内容について、さらに明日から各閣僚に対して質疑が展開されると思うのでありますが、この内容に入りまして私はやはり大きな問題として、この戦争犠牲者に対する生活安定、援護の問題が取上げられなければならぬと思うのであります。まずその審議に入るに先だつて、従来の総理の所信から総合いたしまして、この際この予算の増額を総理大臣はなされるお考えはないか、お伺いしたいのであります。
○池田国務大臣 この問題につきましては、一昨日るる申し上げておるのでございます。われわれとしては、できるだけ軍人の遺家族並びに傷痍軍人の方々に出したいと考えておるのでありますが、ただいまのところ財政の状況、国民の負担の関係から申しまして、この程度でやむを得ずやつて行きたい。しかし将来の問題といたしましては、できるだけ援護の手を伸ばしたいと考えておるのであります。
○小平(忠)委員 私は総理大臣にお伺いしたのでありますが、実は先般総理大臣はあの熱情をもつておつしやられた。私も総理大臣のお考え方については、党派は違いますが、非常に敬服をいたして、これに対して総理大臣に御答弁をいただきたいと思つたのでありますが、まことに遺憾であります。
 次にこれはきわめて重要な問題でありますので、総理大臣にお伺いしたいと思うのでありますが、本年度予算編成の特色として、食糧増産という観点から、食糧問題の解決に全吉田内閣が非常に重点を置かれておりますことについては、まことに私は同慶の至りであります。ことに本年度の予算から、さらに明年度は百億円を増額しております。しかし振りかえつてみますのに、食糧増産のために百億円を増額しておいて、そうして反対に輸入食糧はどうかといいますと、三十一万トン本年度より明年度は輸入食糧の計画を増加しておる。これは非常に理解に苦しむのであります。一方百億円の金を投じて食糧増産に重点を注ぐのだから、輸入食糧は極力少くしていいはずである。にもかかわらず、これを逆比例に輸入食糧をふやすというこの問題については、私は根本的に現在の政府の考え方と、予算面に現われて参りましたところの計数とは、これはまつたく相反すると思います。同時にもう一つ重大な問題は、私はこのような問題に触れたくはないのでありますが、実は日本の現状として、食糧を増産する。もう一つは、非常に狭められた土地、国土の非常に小さい現在の四つの島に、八千四百万の国民が生活の困窮の中に苦しんでおるということを考えてみますと、まず人口問題と食糧問題の解決、これが当面する非常に大きな問題だろうと私は思うのでありますが、これに対しましても総理大臣は、このように先般おつしやつておるのであります。どういうふうにおつしやつたかというと、先般私が総理大臣の外相官邸に行つたときにも、濠州の外相が来たときに、日本は毎年百五十万くらいの人口がふえて行くのであるが、これはただちに移民政策を考えなければならぬと思うがどうか、という話があつたので、それはあなた非常に大きな認識不足である。日本には北海道という島がある。北海道にはまだ一千万の人口収容が可能であるということを申し上げた、とおつしやつた。これは決して私たちが伺つたのではございません。総理自身からその話をされた。それですなわち一千万の人口を収容することが可能であるということは、北海道開発を本腰を入れてやるということの裏づけなのであります。それは現に吉田総理もおつしやられ、現吉田内閣は昨年のあの通常国会の末期において、会期を再び延長して北海道開発法の一部改正をして、北海道の開発を本腰を入れてやる。その際きわめて重要な発言があつたのであります。どういうことかというと、北海道の開発には、従来のように四十億や五十億ではこれは焼石に水である。いわゆる国土計画、開発計画を立てて、国策として年間少くとも二、三百億の金を投じてやる。さらに予算の編成についても、それを出しやすいように考えてやるということを言明せられて、われわれ野党といえどもこの法案に賛成しました。しかるに今回予算に現われておる内容を見ますと、確かに増額はされておりますが、昨年め八十五億に対して、百十四、五億の程度では了解に苦しむのであります。その根本的な問題は、公共事業費のわく内に入れておいて、それで本州、四国、九州等とにらみ合せる。これは確かに対立があります。現に自由党の増田幹事長が総務会において、北海道の一般公共事業費を百二十億ときめた。ところが前総務会長であつて、現廣川農林大臣は、総務会長時代に、北海道には二百億くらいの金を押しつけることに努力しよう。ところが農林大臣になつたとたんに、その自由党の総務会で、百二十億にきめたのに対して、安本の事務的査定は百十億であつた。それを最後の閣議決定の際に四億下まわつて、一般公共事業費を百六億にしてしまつた。その四億の減少は、食糧増産関係、農業関係の予算である。これは決して廣川農林大臣が悪いのでもなければ、あるいは増田幹事長が悪いのでもない。その北海道開発予算というものを、公共事業費の内地府県の中にぶち込んで、競合するからいけないのだ。現にこれに対して北海道は多過ぎるという攻撃が本州、四国、九州の代議士からあつたということを聞いております。私はこういう構想のもとに、北海道の開発を進めては、永久にその緒につかぬと思う。ですから、かつて朝鮮、満州、台湾等を開発したように、あくまで国策として五箇年計画なら五箇年計画を樹立して――政府が五箇年計画を樹立されておるのでありますから、これに基いて、全然別わくとして費目を計上して、年次ごとに予算をきめてやるという方法をとらねばならぬというのが、第一点であります。
 さらに北海道開発をやることは絶対に必要なんでありますから、やはりこれをやるためには兼任大臣ではだめなんであります。現在野田建設大臣が北海道開発庁長官を兼ねておりますが、これは専任大臣を置くべきである、こういうように私は考えておるのであります。こうすることが、日本の現下最も重要であります食糧問題、あるいは人口問題解決の重要なるかぎである、こう私は考えておるのでありますが、総理大臣の御所見をお伺いしたいのであります。
○池田国務大臣 御質問の第一点の食糧増産対策費として、本年は直接の関係で百億円ばかり、また災害復旧、河川等におきまして、間接にも相当ふえているのであります。しかるところ輸入の主食の量がふえた、矛盾ではないかということは、人口増加等でございます。しこうして食糧関係の出費は、ただちに昨年から効果が全部上がるわけでもございません。主として人口増加によるものであります。
 次の北海道開発につきましては、お話の通り昨年よりも相当ふえております。内地でふえたのよりも北海道がふえた率が多いので、政府といたしましては北海道開発にできるだけの力を注いでいる次第でございます。
 なお専任大臣を置くという問題については、今機構関係で研究しておられると思います。
○塚田委員長 お時間です。
○小平(忠)委員 もう一点。
○塚田委員長 それじやごく短かく……。
○小平(忠)委員 それでは時間が参つておりますので、簡単にあと一点お伺いして、私の質問を終りたいと思います。私は本日は総理大臣に対する質疑でありますから、総理大臣にお伺いしたいと思つたのでありますが、御回答がないので、まことに遺憾であります。
 最後にただ一点だけ、ぜひ総理大臣の御回答をいただきたいと思いますことは、今講和独立第一歩を踏み出そうとする現状におきまして、国民の大きな関心事は解散であります。総理は絶対に解散はやらない、こう言明いたしておりますものの、しかし場合によつては五月解散するのでなかろうか、五月やるのだというようなことから、非常に浮足立つているのは事実であります。現在閣僚の中におかれても、選挙区において他の代議士が国会の報告演説に行くと人気がよかつたから、たいへんだということになりまして、土曜、日曜に出かけて行くというようなことを耳にするのであります。実はこの問題について、単に解散は絶対にやらないということだけでなくて、どういう理由によつて解散はやらないかということを、国会を通じて私は明らかにしていただきたい。そうしないと、国会の審議も安心してできない。こういうことを見るときに、私はきわめて遺憾であります。従つて総理大臣から、いかなる理由によつて国会は解散をしないかということを、明確にしていただきたいという点が第一点。次は今回の来るべき解散において、選挙法の改正が行われるという問題について、従来の公職選挙法を大幅に改正する。特に先般総理大臣が記者団に、都道府県知事の選挙についてはこの公選制を改めて、かつて行われた官選知事制度にいたしたいというようなことを、新聞紙上で漏れ承つたのでありますが、これは事実なりやいなや。さらに選挙区の問題でありますが、小選挙区を総理大臣は強硬にやるのだということも漏れ承つたのでありますが、この三点について総理大臣にお伺いいたしまして、私の質問を終ります。
○吉田国務大臣 場合によつても解散はいたしません。
 また選挙区、選挙法の改正等については研究はいたしておりますが、まだ決定をいたしておりません。
○塚田委員長 世耕弘一君。
○世耕委員 私に割当てられた時間が少々でありますから、要点だけをかいつまんでお尋ねいたします。できれば御親切に御回答願いたい。
 先ほど来再軍備問題が非常にやかましく論議されておりましたが、この点にちよつと私は触れてみたいと思う。それは再軍備問題に直接の関係を持ちませんが、警察予備隊が七万五千人からさらに三万五千人増大されるということを、総理並びに大蔵大臣の御演説の中でも説明されておりました。それは不必要じやないかと言いたい。それはどういうことかと申しますれば、人をふやすより機械をふやしたらいいじやないか、その方が経済的じやないかというのです。従来の国防はえてして人をふやすことによつて、国防が充実したと考えておつた。今日はすでに科学、機械化時代である。一台の機械が数十人の力を代用するということがある。数百億の予算をお使いになるのであつたなら、なぜ科学兵器をもつとお使いになるような経済的なお考えが起らなかつたか。先ほど来戦車がどうの、あるいは飛行機がどうのというお話がありましたが、私は飛行機大いに使うべし。これは文明の利器である。また大砲一発撃つことによつて、治安が維持できるならけつこうなことだと思う。機械化の真理はここにあるのじやないかと思う。三万五千人を急に増大なさるのについては、機械の装備が十分行き届いておりますか。機械の装備のないところで人海戦術をやつても、近ごろははやらない。無力です。治安の維持は確保できません。御経験はおありになるでしよう。こういう点を数字に明るい大蔵大臣は、きつと何かつつ込んで御研究なさつたことだと思う。ことに木村法務総裁も明敏な頭の持主である。必ずやこの科学的な解決に何かお考えがおありになるだろうと思う。これはあるいは総理にお尋ねするよりも、むしろ専門々々のお方からお答え願つた方が時間の節約であろうと思うから、まずこの点をお尋ねいたします。
○池田国務大臣 お話の通りでございまして、人をふやすよりも施設あるいは器具の方に金を入れたらいい。それはその通りで、予算を見ましても、警察予備隊の費用の過半と申しまするか、六、七割というものは人件費以外でありまして、最も要しますのは自動車、通信機、こういうものであるのでございます。
○世耕委員 法務総裁並びに他の関係閣僚からの御意見はございませんか。
○大橋国務大臣 ただいま大蔵大臣から申し上げました通り、予備隊におきましても御趣旨の通り、人をふやすよりは機械力の増強を心がけ、施設装備という点を非常に重視いたしております。これは今後においてもさような方針を続けたいと思います。
○世耕委員 念のために申しておきますが、大砲を持つたから、バズーカ砲を持つたから、飛行機を持つたからと、そういうことは遠慮する必要はない。治安を確保するという目標に対して、私は思いきつた設備をなさる必要があると思います。この点は特に強く要望いたしておきます。
 次の問題は――農林大臣は来ておりませんか。
○塚田委員長 農林大臣は本日は欠席であります。
○世耕委員 それでは念のために、総理大臣にも聞いておいていただきたいと思います。農林大臣は非常に養鶏を御趣味のように承つております。ところが鶏は砂を食べるかということを私は言いたい。最近におけるところの家庭用の配給の米の中には、たくさんの砂が入つておる。これはどういうわけなのだ。この点が非常に重要なのであります。食糧対策は非常にけつこうでございますが、質を無視して量に走るから、こういうふうに国民に砂を食わせるようになつて来る。最近においては、カナダかどつかから来る小麦の中には、鼻の落ちる薬品が入つていると言つて大騒ぎしておる。新聞に発表されております。私は前年の予算委員会においてもそれを説いておる。国民に何を食わせるのか。そういう点において統制撤廃ということが自由党であげられておつたのであるが、この賢明な処置がいつの間にかひつ込められてしまつた。あれでは何にもならない。それで私が大蔵大臣にお尋ねしてみたいと思うことは、これは総理大臣もぜひ聞いておいていただきたい。ずいぶん食糧対策について厖大な予算をとつてくださつたことは感謝いたします。けれどもその食糧対策についてのねらいは、はずれていはせぬかと私は言いたい。一例を申し上げます。これも時間がありませんから省略いたしますが、私が科学的に分析し、研究したところをまず前提として申し上げますならば、米の蛋白源を調べてみると、百分の六しかない。ところがおそばの中には百分の十二ある。結論から言えばなぜそばを食わないかと言いたい。しかもその中には胃腸薬があり、血圧を低下せしめるルチンというものが入つておる。(笑声)笑いごとではありません。最近においてそばの値段が上つたというのはドイツから買いに来ているからだ。その原因はどこにあるか御研究になりましたか。しかもそばは栄養的に見て重要な価値があるということは、もう科学的に何ら議論がない。しからば今度は年収から考えても――私は農林省でこの間調べて来た。手放しではない。一反歩から一石五斗とれるという統計が出ている。しかもそれは春、夏、秋と三回とれる。一反歩で一石五斗とれるそばをなぜ奨励なさらないのか。今日は米の主食を――また鶏の話が出ますが、農林大臣に聞こうと思うが、鶏に白米ばかり食わしてごらんなさい。どういう結果になるか。日本人に白米ばかり食わしておつたらどうか。頭が狂つて来ます。なぜ総合的な食糧ということを農林省は考えてくれないのか。学問を何してどこに学の目が働いておるのかと言いたい。数百億のこの増産計画を論ずるのだつたら、なぜその方面にもう少し力を注いでくれないのか。予算が少し見当違いの予算を組まれておるのではないかと言いたい。これは長くなりますから、私はただ予備知識だけを申し上げます。これはひとりそばの問題ばかりではございません。日本の文化の根本は主食の総合的食糧から出発しなければ、ほんとうの日本の国家というものは成り立たぬという理論の上に私は立つのです。統計を示すとめんどうになりますから申しませんが、賢明なる総理大臣並びに大蔵大臣は特にこの点に御注意願います。
 それからまた少しめんどうな問題をお尋ねいたします。昨年のお正月、ことしも同様だと思いましたが、総理大臣は愛国至誠の観念並びにその精神を振興せしめるということを御発表になりました。じかに聞いたのではない。新聞にそう発表したから間違いないと思いますが、その愛国至誠の精神を国民に振興するのについては、いかなる方途をお持ちになつておるかということを実はお伺いしたい。これはほかの大臣じやちよつと困る。総理からごく簡明でよろしゆうございます。ただ御信念だけ承つておけば、国民は満足するであろうと思うからお尋ねいたします。
○吉田国務大臣 私が愛国至誠と申したのは、この日本の現在の状況、敗戦の間から国を再建するためには、国民の愛国至誠の精神が吐露せられなければ再建はむずかしい、そうありたいものであるという熱心なる希望から、私の年頭の辞に入れたわけであります。
○世耕委員 実は方法を示していただけば国民は満足するだろうと思いましたが、お持合せがなさそうだから、これ以上お尋ねすることはかえつてやぼと思いますから、私の方からその点少し申し上げます。
 こういうことが言われております。北條執権の第一と言われておつた北條泰時が、栂尾の増高弁明恵上人に聞かれた場合、自分だけ一人努めてこれを行うといえども、衆従わざればいかんせんという問答をされております。そのときに際して高弁は、かたからず、足下の心あるのみ、古人いわく、その身直ければ、すなわち影曲らず、そのまつりごと正しければ、すなわち国乱れず、正なるものは欲なきものなり、こう言つておる。総理大臣が愛国至誠の範をお示しになれば、おのずから大衆は動くものであるということを、私はこの際指摘したい。というて現在の社会は、しからばいかなる状況にあるか、かように申し上げれば、総理の直轄する輩下、いわゆる部下の中に多くの犯罪者が現われて来ておる。(「その通り」)これは総理として常に日夜御苦心なさることと思うが、何かお考えがなくちやならないと思うのであります。これは御返事を今いただかなくてもけつこうであります。(笑声)ただ私の言うのは、総理の今後の施策の上に、私はその実をお示し願えればけつこうだと思います。
 それともう一つはなはだこれはかた苦しいことであるけれども、精神問題で大事なところですから、少しお許しを願いたいと思いますが、私情をもつて人に恩を売るよりも、公正な議論をして味方をつくる方がよい。新しき友人を求むるよりも、旧友と親交を厚くすることがよろしい。人目に立つような風がわりな節義よりも、平生の行いを慎みて、あやまちなきが大切であるということが古語に出ております。それでもう一つ私が申し上げたいことは、望臣ということが支那の本に出ております。器量ゆるやかにして、財祿を惜しまず散じ、人を集め、友を集め、寄らしめ、そうしてわが輿望をもつぱらにす、これ望臣なりといつておる。望臣が近ごろ大分ふえたのじやないかと心配しておる。(笑声)その器大なりといえども、いまだ実の大臣というべからず。望臣とは人望の臣下という意味で、世間の大勢の人にほめられる。さも頼もしい人のように見えるけれども、それは人望を集めるために力を尽しているだけで、実際は国のためにおのれを犠牲にするという考えのないもので、かくのごときものが勢力があつても、その地位や勢力におごるというようなことでは、国を救うことができない、こういうようなことを過去の聖人は説いております。
 それともう一つは、昨日中曽根君が天皇退位の問題に論及されましたが、私もその意のあるところは傾聴いたしました。同時にまた総理のお答えももつともだと私は思いましたが、過去におけるところの歴代の日本の天皇のあり方ということについて、一応われわれはこの際調べておく必要があるのではないか。一條天皇の時代に、非常に御仁慈が深くあらせられて、ある年の冬、天皇がにわかに御衣を脱がせたもうた。皇后様が驚いてはせ寄つて、その天皇の御衣を押しとどめたところ、天皇の仰せられるには、昔醍醐の院は寒夜に御衣を脱いで、下民の苦しみを哀れみたまえり、今や寒気特にはげし、よつて院の芳蹤――足跡を追い奉らんとするのみ、こういうことを仰せられております。私は知らず知らず感激の涙を催すものであります。このことは元正天皇の御時にも、同様なことがわれわれの歴史に表われております。しかも早越相次ぎ水害が起つたときに、これは朕の徳が足りないから天が怒つてかようなことになつたのだ。朕の不徳だと歎かせたもうたのであります。われわれ政治に志す者の考えなければならぬところではないかと思う。かようなところから綱紀粛正という心構えが出発して来なければ、ほんとうの日本の善政というものは、私はあるものではないと考えるのであります。
 もう一つの例は、明治天皇の御製であります。これは文部大臣もよく御存じでありましよう。明治天皇は日光に御用邸があるにもかかわらず、おそらく崩御あそばす前ももちろん、後も同様でありますが、日光へ御避暑、御避寒等をなさらなかつた。英国のマクドナルド大使が、日光は非常によいところであるが、陛下もときどきおいでになりますかとお尋ねしたときに、明治大帝は、いや忙しいのでいまだ一度も行つたことがないと仰せられておる。この大帝の御徳が、今日敗戦後の日本においても、今年のお正月のあの多数の民衆が参拝する気持と、私はつながるものだと思うのであります。お互いの今日の国情はみな行き詰まつております。けれどもお互いに愛といつくしみ合いがあつてこそ、われわれの平和が確立する。また海外の信用もおのずからそこで復帰できものと私は思うのであります。精神復興の非常に大事であるということは、ここにおいて明らかではないかと私は思うのであります。時間がありませんからそれ以上のことを申しませんが、これについて総理なり文部大臣は何か御発言があつてしかるべきだと思います。
○吉田国務大臣 御意見はつつしんで伺つておきます。
○塚田委員長 世耕君、お時間ですから……。石野久男君。――発言を許しましたが……。(発言する者あり)それではごく簡単に要点をつまんで、いま一点だけお許しいたします。
○世耕委員 実はまだ数点大事なことで、ぜひ政府の諸公に聞いていただかなければならぬことがあるのでございますが、時間がないというから遠慮いたします。ただ私は文教政策に対して一つお尋ねしておきたいのだが、憲法によりますると、教育の機会均等というものが与えられておる。けれども実際問題から言うて、教育の機会均等は与えられておらない。卑近な例を申しますと、私立大学では最近月謝の値上げが行われるでしよう。おそらく年額二万円に相当する。ところが官立大学の月謝は現在三千円、従つて六千円に上げるという文部省の案があるようであります。これはどういうわけでありますか。私立大学並に二万円に上げたらいいでしよう。いい先生があつて、設備がうんとよい国立大学の学生にだけ、どうしてそれだけの待遇をしなくちやならぬか。いやおれは秀才だからというかもしれぬ。それは秀才もあるでしよう。秀才もあるけれども、大半の者が三年がかりで入学しておりますよ。その意味においてブルジヨアの子弟じやないか。ブルジヨアの子弟にそんなに安い月謝で、しかも特別の施設のある国立大学で、国家が損してまで教育しなくちやならぬか。それなら私学へもつと振興費を渡したらどうか。これは大蔵大臣もぜひ聞いていただきたい。月謝がかりに国立大学で一万円上げたとすれば、十億出て来ますよ。その十億をほんとうの天才教育に振り向けたらいかがですか。ここにまた機会均等の例が失われておる。まだ大事なことはたくさんここに持つておりますけれども、いかんせん時間がない。時間制度でやられておるのだからしかたがないが、国家のために非常に惜しい。かような矛盾が幾らもある。これは大蔵大臣もぜひ聞いておいてください。重ねて申しますが、これはもう最後です。官立大学の月謝は今三千円です。それを六千円に上げるという話題が出て、これはもうじき実行なさる。ところが私学の方は一様に上げて二万円に相当すると思う。かりに遠慮して一万円に上げても十億出て来ますよ。官立に行つている生徒は約十一万八千、私学は十八万、それから短期大学を入れて二十万くらいに相当しますよ。国家はどれだけ私学の振興費に金を出されておるか。そのための振興資金にといつて十億要求したら、わずか二億何千万に削つて来た。これは大蔵大臣は金の勘定ばかりしておつて、教育の機会均等とほんとうの意味の教育の方は、少しおろそかになつておると思う。これは考え直してもらわなくちやならぬ。十億出て来るのですよ。その理由はもう少し言わなければわからぬが、これだけは承知しておいてもらいたい。
 それからもう一つ総理大臣につけ加えて言いたいことは、国立大学に国費を二百億から投じております。今年の予算も二百億でしよう。その二百億を投じても国立大学で赤い旗を振らしているじやないか。しかも国立大学に武装警官が行かなければ納まらぬような大学は、あれは何ですか。国民はこれについて満足しますか。京都大学のごときは、国民の象徴とみずから信ぜられ、われわれの尊敬する天皇が来たのに、労働歌を歌つて迎えているじやないか。プラカードを立てているじやないか。あれを秀才と言えますか。文部大臣は、少し見当がはずれておりますよ。
○塚田委員長 世耕委員に申し上げますが、時間も大分過ぎておりますから、要点だけつまんで……。
○世耕委員 まだ言いたいことはあるけれども、私は決してでたらめな、いいかげんな人気取りのお話を申し上げたつもりはない。また総理大臣に敬意を払つてお尋ねはしておりますよ。あげ足取りの質問をしたはずはありません。どうかゆつくり御研究を願いたい。また機会があつたら、もつと別の観点からお話を申し上げて、御協力を願いたいと思います。ありがとうございました。
○塚田委員長 石野久男君。
○石野委員 昨日の本委員会での中曽根委員に対する総理の答弁の中で、中国の選択問題に関して、本日ここで答弁する確信がないから答弁しないと言われた。われわれは今回の講和条約の問題に対しては、いろいろな意味で非常に大きな疑惑を持ち、また反対の意見を持つております。特に今回の日米安全保障条約によつて日本が世界の他の半面に備えようとして、はたして日本に真の平和が回復するものであるかどうかということに、非常に疑念を持つております。それとともに、次の大きな戦争の準備、少くともその防衛のためのものであるかというふうにさえ、疑惑を持つておるのでございます。特にわれわれ若い世代の者にとつては、これは真剣な問題であります。従つて私は講和条約を契機として、これから先われわれが歩んで行く道については、重大な関心を持つておる。昨日総理は、今日世界において最も大きな関心事になつている吉田書簡に関連して、中国の選択の問題に関する真摯なる質問に対して、総理大臣しかも外務大臣という資格において、確信がないということを言われた。これは非常に心外であります。はたして総理はこの問題について、ほんとうに確信を持つていないのかどうか。それともそれは言えないという理由があるのかどうか、はつきりここで御答弁を願いたい。
○吉田国務大臣 私の申した確信がないというのは、中曽根君の堂々たる書生論に対して、私は御答弁するだけの確信がないと言つたのであります。
○石野委員 総理が中曽根君の堂々たる考え方に対する確信がない……(「間違えるな、考え方じやない、書生論だ」と呼ぶ者あり)書生論というのは、それはいろいろと考え方がありましよう。私は中曽根君の代弁はいたしませんが、少くともわれわれは国会の議員として国会を構成しているという立場から、国民の信託を得て政治をやつている。総理は国会の選挙の後にこの国政を預かつているのであり、しかもまた憲法の条章によつても、憲法第七十三条にははつきりと「法律を誠実に執行し、国務を総理すること。」ということが言われ、また第六十五条によつて、行政権を内閣が持つておるのであります。従つて議員がその国の政治に対していろいろな疑義を持ち、またそれに対するいろいろな質問をすることに対しては、少くとも総理はそれに答えるだけの確信がなければ、国の政治を預かるという資格はないと私たちは考えておるが、総理ははたしてそういう信託にこたえるだけの確信がないと言われるのであるかどうか、いま一度お聞きしたい。
○吉田国務大臣 私の答弁は前言の通りであります。
○石野委員 私は時間が非常に少いので、一つところによどむことができない。われわれは今日以後日本がほんとうに世界の各国に伍して、独立を確保し平和を確保するためには、少くとも世界の平和の中において、われわれの平和を確保しなければいけないと思つておる。総理はしばしば今国会になつてからのわれわれに対する答弁においても、世界との善隣友好関係において、特にソ連等に対しては、絶対に条約を結ぶことは考えていないというような答弁をしております。私は少くとも日本の将来のためには、対立する米ソの関係の中にあつて、少くとも日本はそのいずれに対しても、親米であり親ソでなければならないと考えておるのでありまするが、総理ははたしてどのようにお考えになつておりますか。
○岡崎国務大臣 お説はごもつともかもしれませんが、現実の状況をわれわれは十分認識しなければならぬわけでありまして、われわれの行い、ことに総理の方針はもつぱら現実の状況に基いて行動しておるのであります。
○石野委員 アジアにおける平和、特に善隣友好の関係をしばしば説いております外務大臣、それから将来の外務大臣のそのお言葉に、私たちはそれこそ実際にそれをやつてほしいという念願を持つております。中共に対する考え方は、吉田さんやあるいは将来の外務大臣がどう言われようとも、今日日本の経済人は、食つて行こうとする日本国民のすべてのものは、中国の経済との相互関係において――もちろん東南アジアの諸国、あるいはインド諸国との善隣関係も必要でありましようが、それ以上に日本という国は、中共のその国土と、その人民との間に友好関係を持たなければならぬということを、念願しておるのであります。それにもかかわらず吉田書簡は、それをことさらに忌避するかのごとき状態になつておる。これは非常に遺憾であります。私はこの機会に吉田さんにお尋ねいたしますが、総理は日本人が将来生きて行くために、これから一層強く中共を理解する、そういう態度をとつて行くこと、またそれを奨励するという考え方、そういうものを総理として、また外務大臣としてお持ちであるかどうかということを、はつきりわれわれに示していただきたい。
○岡崎国務大臣 われわれも中共国民を十分認識するということは、最も歓迎するところであり、望むところであります。ただ現在の中共政府の性格からして、ただいまのところ条約関係に入るのは困難であるということを、吉田書簡で述べておるのであります。
○石野委員 ダレス民はアメリカの上院で、この中共問題についていろいろなことを答弁されておる。その中に、日本にある程度の経済援助をしてやれば、中共貿易は日本にとつては不要だ、ソ連は日本の工業力をねらつているから、米国は日本を手離してはならないというようなことを言つておる。はたして吉田さんも同じようにこのような考えを持つておられるのかどうか、御所見を承りたい。
○岡崎国務大臣 ダレス大使の言われたことは私は承知しておりません。中共との間の貿易は、ただいまありとしてもごく少しであります。しかしながら、現在安定本部長官等の演説にあります通り、日本の経済は漸次良好な方面に向いております。これは事実中共との貿易がなくても、十分経済が立ち直りつつある証拠であろうと考えております。
○石野委員 将来の外務大臣がそう言うけれども、実際、現に産業をやつておる日本の産業人は、特に中小商工業者は、漸次よき方向に進んでおるというにもかかわらず、中共貿易を絶対必要としておる。ことに鉄鉱、石炭、粘結炭のごときはもとよりのこと、あるいはタングステンのごときに至つては、重工業は今やバイトがなくて作業ができないというような状態にまで、追い込められて来ておるという事実を知つておるはずだ。そういう事実を直視しなければならぬ。それでなおかつ今のようなぬけぬけとした言葉が言えるということは、実にわれわれは心外でありまして、この機会にもつと積極的に中国を理解するという態度が、政府によつて示されなかつたならば、日本の将来が危ぶまれる、こういうように考えるのでありますが、いま一度そういう点についての総理の所見を承りたい。
○岡崎国務大臣 御意見は御意見として承りますが、われわれの考えはただいま申し上げた通りであります。
○石野委員 中共の問題については、私は真剣に考えなければならないものがある思うので、もつともつと聞きたいことがありますが、時間の関係で一応ここでおきます。昨日から特にわれわれが耳新しく驚いたことは、総理初め大橋国務相によつて、警察予備隊が今年十月以降改編される、防衛隊になるということを言われたことでございます。この防衛隊の問題について、いろいろと各方面から聞かれている。しかしながら、自由党の諸君にとつては、それはわかつているかもしれないけれども、国民はわからない。特にわれわれは、この問題を契機としていろいろと報ぜられるところによりますと、この防衛隊の性格はほとんど軍隊の性格――今もそうでありますが、もう一層強く軍隊の方向へ進んで行くということがはつきりしておるのであります。ことに警察予備隊に入つております隊員の諸君は、入るときと入つてから後の傾向は非常に違つて来たが、自分たちの身分的な関係は、どういうふうになるかということを心配している。新聞等に報ぜられるところによると、少くともこれから後の警察予備隊に対しては、身分的に自分の意思において隊員を離脱することはできない、こう考えられているというふうに言われております。はたして防衛隊というものあるいは保安隊というものが出て来るときにおいて、政府はそのような考え方を持つておるかどうか、はつきりこの機会に知らしていただきたい。
○大橋国務大臣 先ほど申し上げました通り、警察予備隊をこの秋に――ちようど現在入つておりまする隊員の当初の予定の期間が満了いたしまするので、その機会に国内治安の確保という本来の目的から見まして、より一層適切な組織に改編しようというのが、防衛隊あるいは保安隊というような構想でございます。
○石野委員 総理に尋ねたことを、あとから来て的はずれの答弁をされては困る。時間が非常に短かいのだから、もう少し政府は責任を持つた答弁をしてもらいたい。聞きたいことは、防衛隊の変革によつて、これに属しておるところの予備隊員の身分的なものが、どういうふうにかわるかということを、はつきり知らしていただきたい。
○大橋国務大臣 この予備隊が切りかえということになるのでございますが、これは一応名称並びにその内容等を整備するという意味でございまして、全然別個のものであるというふうなものではございません。従いまして、現在おる隊員でなお引続き新しい機構に奉職いたしたいというものは、これに引続き勤務していただくというふうな措置を講ずべきものと思います。
○石野委員 新しい措置はどういうものであるかということを……。構想がおそらくあるだろうと思います。
○大橋国務大臣 これはいろいろ研究すべき事項がなお残つておりますので、目下十分に研究をいたしておる次第でございまして、いずれ成案を得ましたならば、十分御審議をいただかなければならぬと考えます。
○石野委員 私は、昨日から急に防衛隊に組織がえをする、制度がえをするのだという政府の所信に驚いているのであります。私は心からここで吉田さんに誠意ある意見を聞きたいのでありますが、予備隊はその成立の当初において、すでに国会を無視した形で政令で出ている。われわれは二箇年の予備隊の存続は、期限を経てここで新しいものに組みかえられる場合には、少くともそれ以後この予備隊に対するいろいろな世論があるのだから、国会の意見も聞いて、そうして予備隊の改編なり存続なりということをせられるのが、それが法治国のほんとうの取扱い方であろうと思う。われわれは、この問題はむしろ憲法の第九条の問題に触れて、逆に憲法に違反しているものであるという立場で反対するのである。しかしそれを多数で押し切ろうとする吉田内閣のやり方に対しては、国民はまつたく憤懣を持つている。皆さんはバズーカ砲を持ちあるいは小口径の大砲まで持つても、これをまだ戦力じやない、軍隊じやないと言うけれども、それはただ口の先のことだけであつて、あなた方がそういうように言つている間に、ずるずるべつたりに日本は再び軍隊を持つことになり、日本の若い青年はみな軍人になつてしまうのだ。諸君は六年前あの戦争が終つたときの気持を、もう一ぺん振り返つてみなければいけない。われわれは、あの戦争が終つて厚木の飛行場にマツカーサー元帥が上陸したときに、どういう気持でおつたか。おそらく諸君自身この戦争が終つたときにほつとしたに違いない。そしてだれが再び軍隊をもつて戦いをしようと考えたであろうか。子供を持つ親は、家内を持つ夫は、おそらく自分の妻や子供をどうしたらほんとうに守れるかということを、真剣に考えたに違いない。ところが今その軍隊が、あなた方がそういうように言つておる間に着々とできて行く。私は憲法の前文にも書かれておりますように、政府の行為によつて再び戦争が行われないようにという、前文の趣旨が生かされなければいけないと思つておる。それにもかかわらず、政府はその圧倒的な多数と、そうして外部からの力の応援を得て、これを強硬に国民の上に押しつけて行こうとしておる。私は三年前の誤られた形において選ばれた諸君のその議会内の力というものが、今現に日本の中にどういう形に現われておるかということを、はつきり知る必要がある。
    〔発言する者多し〕
○塚田委員長 静粛に願います。
○石野委員 われわれは決して日本に再び軍隊を持とうということを考えてはいないはずである。警察予備隊の問題について、あるいは木村法務総裁が何と言おうとも、大橋国務相が何と言おうとも、われわれはこれは軍隊であるというように考えておる。そういうものを持つてはいけないと考えておる。総理ははたして現在のこの警察予備隊を、それでもなお国民は軍隊であると思つてはいないとおつしやられるのでありましようか。諸君はまたほんとうに国民の信託を得て政治をするために、国民の気持を心から聞こうという気持がないのかどうか。私は善良なる、そうしてほんとうに愛国心をしばしば説く吉田総理大臣は、もつと日本の国の将来と、日本の民族の将来というものを考えて、こういう問題については真剣に、ほんとうに日本人という立場から、これに対する真剣な御答弁をいただきたい。
○大橋国務大臣 政府といたしましては、石野君も私どもと同様に正しく選ばれて国会議員になられた、こう考えておつたのでありまするが、ただいまのお話を承つておりますると、石野君は何か三年前に誤られた方法で選出された、こういうふうに、まことに意外なお言葉を承つた次第であります。政府といたしましては、憲法の護持につきましては、最も責任を痛感いたしておるのでございまして、従いまして警察予備隊がいかに改編せられましても、あくまで憲法の認めたわく内において、国内治安の組織としてこれを維持して行く、こういうかたい決意を持つておることを申し上げます。
○石野委員 そこで私は……。(「スタンド・プレーをやるなよ」と呼ぶ者あり)決して私はスタンド・プレーとか、そういうものをやるつもりはないわけです。ほんとうに日本の国の将来を真剣になつて考えるならば、われわれは知らず知らずのうちに軍隊を持ちつつある。何と言おうと、バズーカ砲とか、あるいは小口径の大砲というものを必要とするような、日本の治安の不安がどこにあるのかということを、私は思わざるを得ない。はたしてそういう不安が日本の八千万国民のどこにあるという認識に基いて、そういうものが出ておるのか、どういう階層の諸君が、そういうような脅威を与えておるのかということをはつきり、それならば木村氏でも、あるいは大橋氏でもよろしい、伺いたい。
○木村国務大臣 警察予備隊は決して軍隊ではありません。これは戦争目的に使用するものでは断じてないということをここに申し上げます。しかして日本の治安確保のために、その目的のためにつくつておる。もし日本の治安が乱れたらどうなりますか。戦争よりもつと悲惨な状態になる。それが現在です。それで治安を確保するために、この予備隊をつくろうというのであります。はつきり私は申し上げます。
○塚田委員長 石野君に申しますが、時間であります。小林進君。
○小林(進)委員 総理にお伺いいたしまするが、私も時間がありませんので、詳しいことはお尋ねできないのであります。もつともあまり詳しいことを聞いて、明治二十七年の数字を上げられたり、帝国議会の外交論を聞くことも目的ではありませんので、この点私勘案して御質問いたしたいと思うのであります。実は国民の一人として今までの論争を冷静にお聞きしておつたのでありまするが、私は今までの論争の中でも、まだ国民の大半が持つておりまする軍備、国防に関する疑点というものが、一つも払拭されていないということを痛感いたしたのでありまして、重複いたしまするが、一応国民の立場から、率直な言葉でお尋ねいたしたいと思うのでございます。
 これは総理もお聞きになつたと思うのでありまするが、二週間ばかり前の街頭録音におきましても、これは松坂屋の前でありますが、現われました人たちはほとんど全部、再軍備に反対をいたしておるのであります。ところがこの空気はまた、地方の都市あるいは農村に行きましても、まさに充満している空気でありまして、私はこの点石野君や共産党諸君とまつたく異なる立場から、はなはだこれを憂えておるのであります。まずその国民の再軍備に反対だという意向は、これを砕いて言えば、米国の軍隊が日本に駐屯することに反対だという思想であります。あるいはまた、警察予備隊を強化することが反対であるという意見であります。国民の重い税金の三分の一に近いところの二千億くらいの多額の金を、こうした軍備費に投入することは、反対だという意であります。この反対だという意見はどこに根拠があるかと言えば、何ゆえにこの軍備が必要であるかという、その必要性を端的に聞きたいのであります。その必要性がわからないために、軍備反対の意見が充満いたしておるのであります。従つて政府は、率直大胆にこれを説明していただかなければならないと思うのでありまするが、国民にわかりやすいように、いま一回首相の口を通じてお聞きいたしたいと思うのであります。
○大橋国務大臣 総理の指名によりまして、かわつてお答え申し上げます。なぜ警察予備隊の強化が必要であるかという御質問でございますが、これは今日の国際情勢並びに国内の情勢を考えまするならば、その必要であるということはおのずから明白である、こう私は確信しております。
○小林(進)委員 その国際的情勢の分析でありますが、その分析をいま少し明確に、親切に、具体的に示してもらわなければならない。これがおのずから明白だとおつしやいますが、だんだん中央を離れると、これがぼけて来るのであります。ぼけて来るがゆえに、国民は迷うのでありますが、いま少し国際情勢の、軍隊の駐屯を必要とするという点、それを具体的にお示しを願いたいと思うのであります。
○大橋国務大臣 すでに安全保障条約におきましては、今日日本は武装を解除されておる。しかしながら国内におきましては、無責任なる軍国主義がなお影を没するに至つておらない。従つて日本の防衛ということにつきましては、これが極東の平和あるいは世界の平和、また国民の幸福と安全ということを守るために、絶対に必要であるという趣旨がうたわれておるわけであります。私どもは国際情勢の分析といたしましては、かような事態を考えておるわけでございます。従いまして、今日わが国といたしましては、国内の治安を確保するということにつきましては、かような情勢を考え合せまして、十分な考慮を必要とすると存じます。
○小林(進)委員 どうも政府当局の説明が私は弱いと思うのであります。これで国民を納得させ得ると思われたら、確かに間違いであります。私は率直に申し上げまするが、国民の意向の中には――これは決してためにするものではありません。こういうことを言つております。御参考までに申し上げる。アメリカの世界制覇の一環として、日本に軍隊を駐屯し、日本に警察という名前の軍隊を置くのである。反対にソビエトは平和を愛する。平和を愛しまするけれども、アメリカこそが世界制覇を目的としてこういう進攻作戦を続けておるのである。(「共産党の宣伝だ」と呼ぶ者あり)こういうことを言うのは共産党の宣伝であるかもしれません。宣伝にしても、共産党員にあらざる多くの国民がこれを口にするところに、国家の将来にはなはだ不安定を持つておるのでありまして、こういうことを私は憂えるとともに、いま一つの問題は国内治安の問題であります。
 この治安の問題でも、木村法相はテーブルをたたいて憤激せられたけれども、ちりとも響かない。一体なぜ国内治安に七万の警察予備隊を十一万にする、新聞報道によれば二十八年度一ぱいで三十一万にする、こういうふうな強力な警察、軍隊まで持つて、治安維持のために国内を押えなければならないほどの危険性が、一体国内のどこにあるか。これは国民は知らぬのであります。国内治安に名をかりて、やはり軍備の進行を続けているごまかしである。アメリカの御命令の通りに動いているごまかしの言葉だという感じの方が強いのでありまして、その必要性をいま少し大胆率直に説明していただかなければ、とうてい国民は納得することはできないのであります。しかも警察予備隊が、現在聞くところによりますと、アメリカの号令を受けつけ、アメリカの訓練を受け、アメリカの兵器を持ち、アメリカ式の調練をしている。すなわち一旦何かアメリカの世界制覇の戦争のときは、われわれこの警察予備隊はその号令にすぐ入つて、同じ兵器を持つて、その下部の下士なり兵隊として、アメリカの上級士官の命令のもとに、われわれは戦場のたまよけになるのだ、そんな警察予備隊、そんなものにわれわれはどうしてついて行けるか、だから再軍備反対だ、駐屯軍反対だという声が強いのであります。この点を私はもう一ぺん明確にお教えいただきたいのであります。
○大橋国務大臣 国内の治安を乱します原因は、ひとり国内に存するばかりでなく、今日の世界の実情から申しますと国内、国外を通じて考えて行かなければならぬと思います。私は今日の国内治安を確保いたしますために、内外の情勢を考えますると、現在程度の警察予備隊の装備なり、また実力というものは絶対に必要である、こう考えておるわけであります。
○小林(進)委員 まだ私は納得できないのであります。しかし時間の関係上次に移りますが、ともかくこのたびの政府が組まれました予算においても、首相の施政方針演説においても、みずからの国家の独立の態勢を整えるという、その自主性が少しも見えていないことを、はなはだ遺憾とするものであります。ともかくわれわれはこの軍備の問題でも、あるいは警察予備隊の問題でも、焦点は独立というところに行かなければならぬ。いかにわが日本を完全に独立国として建設するかという、その方向に焦点を合せなければならぬのでありますが、この独立という焦点から見まする場合に、今われわれはまだ日米安全保障協定で、片務的な慈恵的な条約を押しつけられ、その半一分以上の費用を分担しているというぶざまは、これは独立の焦点からはずれております。願わくばそういうことを早く解消して、独立の態勢の方向に強く踏み出すという信念を、政府に持つてもらわなければならぬ。また一方警察予備隊でありますが、七万五千を十一万にする。十一万を三十一万にいたしましても、今のように目的のない単に治安を守るというだけの、あいまい模糊の、軍隊にして軍隊にあらず、警察にして警察にあらずという、こんな形のものが何ぼ数を増しても、最後の日本の国防、治安を守るような一線の力にはならぬ、そう私は思うのでありまして、ここに警察予備隊よりもやはり保安隊なら保安隊でよろしい。自衛軍なら自衛軍でよろしい。軍隊といえば治安を守る警察とは精神が違うのです。独立と自衛という確固たる精神の訓練がまず第一段です。この精神訓練をつぎ込んで、精神要素でたたき上げた質のよいりつぱなものをつくるということが大切なのでありまして、私はそんなあいまい模糊の目的のもとに、五百四十億という血も涙もあるような金を警察予備隊に出すということは、はなはだ残念なのでありまして、この際私が政府にむしろ要求いたしたいことは、国民の生活とにらみ合せて、最小限度の自衛軍を持つということです。そうしてこの自衛軍には独立と自衛の精神をたたき込んで、そうして一方にはこうした片務的な慈恵的な日米安全保障協定などというものは、これを廃棄する方向へ堂々と私は進むべきであると思う。そのためにはまた憲法問題でありまするが、木村法相がとかくの言をなしておられるけれども、あんなのは牽強附会の論であります。いずれにしても、わが日本憲法のごときは、危惧があつたら危惧がないようにすつきりすべきだと思う。そんな幾つも危惧があるような憲法をりくつにして、警察予備隊だのとつまらないことを言うよりは、それは困難でありましようが、この憲法をりつぱに改正するという、そういう堂々たる態度で民族の独立の方向へ、私は巨歩を踏み出して行くべきではないかと思うのでありますが、これに対する政府の御所見を承りたいと思います。
○大橋国務大臣 警察予備隊といたしましては、もとより独立自衛のための組織であります。独立自衛を目標といたしまして、その精神訓練をいたすべきことは言うまでもないのでございまして、政府といたしましても、創設以来この点に意を注いでおる次第でございます、しかし諸般の事情から、今日までこの点においていろいろ世間から批判のあるところでございますが、政府といたしましては深くかんがみまして、今後この点につき一段と努力をいたしたいと存ずるわけでございます。
○小林(進)委員 この点についていま一点お伺いしたいのでありまするが、私は国民の輿論に聞いて、国民生活を圧迫しない程度の、最小限度の自衛軍を持つべしという主張であります。総理のきようの新聞に発表せられた防衛隊であります。これも防衛軍と名づけて、そうしてヴアンデンバーグ決議などというようなもので、先ほども御答弁がありましたが、自衛軍がないからこそ片務的な慈恵的な条約を結ばれた、こういうことを早く改めて、今自衛軍を創設して、同時に日米安全保障協定の、こういう片務的な条約をただちに改正する方向へ政府が努力する、こういう御意思があるかないか。これも承つておきたいと思います。
○大橋国務大臣 政府といたしましては、今日憲法の条章にのつとつて、予備隊の組織をいたし、また来るべき改組にあたりましても、この憲法のわく内において措置いたしたいと考えておるのでございます。
○小林(進)委員 日米安全保障費についてお伺いいたしたいと思うのでありまするが、六百五十億円が国防分担金、あとの五百六十億円が安全保障費と、こう言われるのでありまするが、この安全保障費の内容はいまだ示されない。われわれに言わせれば、これはすなわち一方には国防分担金の予備費である。アメリカさんが国防分担金の六百五十億をとつておいて、なお先へ行つて足りない場合には政府をちくちくつつかれる。そのときの用意に予備費として五百六十億を組んでいられる。同時にこれはまた国会に対して白紙委任状を要求される費用である。いやしくも国民の税金の血と涙と汗の結晶である五百六十億の内容を示さずして、白紙委任状でこれを承認せいというがごときは、断じて私は民主憲法下に許さるべき行為ではないと思う。政府はこれをやむなき特例であるから、これ一つだけはかんべんしてもらいたいとおつしやるのか。将来ともこうした無法な行為を繰返される意向であるかどうか。これを私は承つておきたいと思うのであります。
○池田国務大臣 安全保障諸費は防衛支出金の予備費では絶対にありません。ここにはつきり申し上げておきます。しこうして安全保障諸費の内訳は、予算の目として出しておりますように、施設費四百億、器材費百五十億、その他庁費あるいは旅費等でございます。
○小林(進)委員 実に内容も示さずして、絶対にそうじやないなどという蔵相の心臓には、まことに敬服いたしましたが、時間がございませんので次へ参ります。
 次に講和関係の費用でありまするが、政府は講和関係費と銘打つて、二千三十三億円を計上せられたのでありますが、その内容を見れば、まさに千八百億、九割までが軍事費であります。講和関係の費用というのは合計して二百十億、一割であります。これは項目のつけ方が間違つております。蔵相にお教えいたしておきたいと思います。わずか一割にすぎない。そういうようなごまかしの項目を出されるのでありますが、それはそれとしてこの二百十億の外交費の中に、賠償問題、外債問題、見返り資金の問題、連合国財産の処理の問題等、これは実に将来莫大な費用が含まれるのであります。まだ今年度はこういう交渉が、どうもまとまりそうがないからというので、二百十億で済んだ。将来これがどれだけのものになるか、私どもは実に戦標を禁じ得ないのでありまして、しかもこうした大きな問題、外交問題でも、講和問題でも、対等の講和条約だ、慈恵の講和条約だ、信頼と信義の講和条約だと、あらゆる題目を並べて喜ばしておいたが、最近見るとフイリピンに行き、インドネシアが来て、ああでもない、こうでもないと言つておるのです。国民の生活が幾つあつてもたまらないような賠償の交渉が、あつちでもこつちでも出て来た。何だ、だまされたという感じが、国民に非常に強いのであります。しかるに首相のこのたびの施政方針演説の中にも、こうした賠償問題に対する政府の方針というものが一つも示されていない。どうか私は
 この席上で、こうした賠償、見返り資金、そういつた一連の講和問題に対するところの、首相の施政の御意見を承りたいと思うのであります。
○池田国務大臣 賠償の問題につきましては、平和条約第十四条の精神にのつとつて参ります。これが政府の方針でございます。しかして外債の支払い、対日援助支払いにつきましては、われわれは借りたものは返す、こういう考えであります。
○小林(進)委員 私はこの問題につきましては、かつてなくなつたルーズヴエルトとチヤーチルの申合せ、あるいは太平洋憲章の精神にものつとつて、あくまでも私は無賠償の原則で行くべきだと思う。世界の掲げた正義は、無賠償の原則です。何をわれわれは恐れて、そんなものを払う払うと、一四条にばかりこだわる必要はないと思うのでありますが、その講和条約の第十四条にも――現在フィリピンは、十四条の役務賠償のほかに、金銭賠償もやるということを言つておるのであります。これに対する政府の見解を承りたい。同時に、時間がありませんので続けますが、対日援助見返資金の問題であります。この見返り資金も、終戦処理費と、願わくは私は差引いてもらいたいと思います。見返り資金の方は、合計して二十億であるかもしれませんが、これに対してわれわれの方は六千億円、一ドルが十五円で計算したときも、一ドル百円前後で計算したときもあるのでありますから、差引けばこつちの方がよけい出しておる。これは公定価格の三百六十円で計算するとして、大体二十億ドルくらいになると思いますが、ここでひとつちよんと入れて、幕にするといつた方がよろしいと思う。(笑声)何しろ国民生活が立たなければ生きて行けないのでありますから……。
 それから外債の支払いでありますが、これも政府の方は方針をお示しにならない。ならないが、私はこの外債支払いの問題や、あるいは利息の延滞の問題等も含めて、願わくは国民生活と勘案して、毎年度私は百億円程度にとどめてもらいたいと思います。これが私の考え方です。百億円以上は払わないと、こういうところに蔵相の心臓の強いところを発揮してもらいたいと思います。
 それから連合国財産の補償でありますが、これも私が申し上げるまでもなく、わが日本は敗戦と同時に、対外の資産は全部取上げられた。原則として取上げられた。私どもの計算によれば、その価格は、現在の価格で見積つて六、七十兆億円になるのじやないかと思う。五、六十兆億にしましても莫大な金だ。そういう対外の資産を、吉田総理の判こ一つで全部取上げられた。全部取上げられておきながら、そつちの方はパーにして、そして今度連合国の日本における損害だけは、いわば賠償をせい、補償をせいということで、このたびの予算にも組まれている。どこが一体対等の講和条約であるか。どこが一体友情と恩義の講和条約であるか。向うがパーならこつちもパー、お前の方が払わないならこつちも払わないといつたように、なぜ交渉ができないのか。私は、政府はそういう腹をきめて、連合国の対日財産の補償などというようなものは、これはごかんべん願うように、ひとつ御交渉願いたいと思うのでありますが、これについての政府の御所信を承りたいと思うのであります。
○池田国務大臣 まず第一に賠償の問題でございますが、これは今予備交渉に入つております。あくまで平和条約十四条の役務賠償の線で行きたいと考えております。金銭賠償の要求は、ありましても、私は平和条約十四条の精神に反すると考えております。
 次に対日援助資金は、終戦処理費と差引いたらどうかという御意見であります。これは性質が違いますので、差引くわけには行かないと私は考えております。
 次に外債の支払いにつきましては、これは各外債につきまして年限、条件が違つておりますので、あなたが今おつしやるように、毎年百億円くらいでがまんしろ、こういうお話でございますが、相手のあることですし、また百億円以下で済めばそれに越したことはないが、今政府が支払いの方針を発表するということは、適当でないと考えております。
 次に連合国人財産補償につきましては、条約の規定に基き、先に国会で議決をしたのでございまして、毎年百億円払うことになりますが、大体総額は二百六、七十億円と考えております。
○塚田委員長 小林君に申し上げます。時間でございますし、ことに小林委員は、最後に時間切れを予想して、幾つかの質問をおとりまとめになつておるようでありますから、これで本日は打切りにいたしたいと思いますから……。
○小林(進)委員 それではあと一問で終りたいと思いますが、それは領土の帰属問題でありますが……。
○塚田委員長 小林君、許しません。
○小林(進)委員 委員長、これで終ります。現在アメリカの国会で……。
○塚田委員長 小林君。許可があるまでは発言しないでください。
    〔発言する者多し〕
○塚田委員長 それでは速記をとめて。
    〔速記中止〕
○塚田委員長 速記を始めてください。それでは申合せによりまして、いま一問だけ、時間を詰めて、なるべく質疑の要旨だけおつしやつていただきたいと思います。
○小林(進)委員 それでは、公平なる委員長のお許しを得ましたので、かいつまんでひとつ質問を申し述べたいと思いますが、それは領土の帰属問題であります。現在アメリカの国会で、ヤルタ協定が相当論ぜられているようであります。ヤルタ協定は戦時中におけるやみ取引の協定であることは、私が申すまでもないことであります。アメリカの国会では、これが効力なしというふうに決定するような段階にあるかに、報道せられておるのでありますが、このたびの講和条約の根底に、このヤルタ協定が横たわつておることは、これは否定できない事実であります。従つてこの講和条約の根底にあるヤルタ協定が、アメリカの国会で効力なしと決定せられるならば、当然われわれの南樺太、千島の帰属問題も、ここで新たなる脚光を浴びて来なければならないと思うのであります。本来われわれは南樺太、千島というようなものをとられる理由はない。そこにヤルタ協定が一つあつた、こう私どもは信じておるのでありますが、これが現在否決せられるならば、この千島、南樺太の帰属について、いま一度政府は関係国に強力なる申入れをしてもらいたいと思うのでありますが、これに対する御意見と、いま一つは、奄美大島と小笠原とそれから沖縄と、二十九度以南の領土の問題についてでありますが、これに対しては、アメリカはただ戦略的な目的のためにのみ、これを信託統治するということをいわれておるのでありますが、この戦略的の目的のためにのみ必要であるとするならば、今度日米安全保障協定において結ばれるところの、あるいは立川とか、あるいは横須賀とか、その他四十五箇所の軍事基地と、これは同等に扱つてよろしい。何もわれわれの統治権にまで立入つて信託統治する必要がないと思うのでありまして、これが戦略的に必要であるとするならば、日米安全保障協定一本に基いて、統治権はわが日本に返してもらう、こういうふうな強力な申入れを政府がしてもらいたいと私は思うのでありますが、これに対する政府の御所見を承りたいと思うのであります。
○吉田国務大臣 ヤルタ協定は、これは連合国間の協定でありまして、政府はこれに何らの関与すべき権限を持つておりません。
 それから二十九度以南の小笠原その他は、これは平和条約にて規定してある通りであります。
○塚田委員長 本日はこの程度にとどめまして、明日は午前十時より委員会を開会して、一般質疑を継続することといたします。
 これにて散会いたします。
    午後四時二十一分散会