第013回国会 予算委員会 第23号
昭和二十七年二月二十六日(火曜日)
    午後二時三十二分開議
 出席委員
   委員長 塚田十一郎君
   理事 有田 二郎君 理事 上林山榮吉君
   理事 小峯 柳多君 理事 苫米地英俊君
   理事 井出一太郎君 理事 川島 金次君
      淺利 三朗君    井手 光治君
      江崎 真澄君    江花  靜君
      遠藤 三郎君    大泉 寛三君
      尾崎 末吉君   小野瀬忠兵衞君
      小淵 光平君    角田 幸吉君
      甲木  保君    川端 佳夫君
      栗山長次郎君    黒澤富次郎君
      小坂善太郎君    佐藤 親弘君
      志田 義信君    庄司 一郎君
      鈴木 正文君    田中 角榮君
      田口長治郎君    玉置  實君
      永井 要造君    中村  清君
      中村 幸八君    西村 久之君
      南  好雄君    宮幡  靖君
      今井  耕君    川崎 秀二君
      中曽根康弘君    早川  崇君
      平川 篤雄君    藤田 義光君
      西村 榮一君    水谷長三郎君
      風早八十二君    梨木作次郎君
      山口 武秀君    田中織之進君
      成田 知巳君    小平  忠君
      世耕 弘一君    黒田 寿男君
      小林  進君
 出席国務大臣
        法 務 総 裁 木村篤太郎君
        大 蔵 大 臣 池田 勇人君
        農 林 大 臣 廣川 弘禪君
        建 設 大 臣 野田 卯一君
        国 務 大 臣 岡崎 勝男君
        国 務 大 臣 岡野 清豪君
        国 務 大 臣 周東 英雄君
        国 務 大 臣 山崎  猛君
 出席政府委員
        内閣官房長官  保利  繁君
        大蔵政務次官  西村 直己君
        大蔵事務官
        (主計局長)  河野 一之君
        農林政務次官  野原 政勝君
 委員外の出席者
        專  門  員 小林幾次郎君
        專  門  員 園山 芳造君
        專  門  員 小竹 豊治君
    ―――――――――――――
二月二十五日
 委員小金義照君、佐藤親弘君、首藤新八君、高
 塩三郎君、松本善壽君、稻葉修君、吉川久衛君、
 椎熊三郎君及び林百郎君辞任につき、その補欠
 として角田幸吉君、遠藤三郎君、中村幸八君、
 小坂善太郎君、志田義信君、中曽根康弘君、藤
 田義光君、平川篤雄君及び山口武秀君が議長の
 指名で委員に選任された。
二月二十六日
 委員北澤直吉君、小坂善太郎君、高田弥市君及
 び赤松勇君辞任につき、その補欠として黒澤富
 次郎君、田中角榮君、佐藤親弘君及び成田知巳
 君が議長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 昭和二十七年度一般会計予算
 昭和二十七年度特列会計予算
 昭和二十七年度政府関係機関予算
    ―――――――――――――
○塚田委員長 これより会議を開きます。
 昭和二十七年度一般会計予算、同じく特列会計予算、同じく政府関係機関予算の各案を議題といたします。
 川島委員より議事進行について発言を求められております。この際これを許します。川島金次君。
○川島委員 二十三日の本委員会において、われわれ野党側が提出いたしました動議に対して、與党が多数をもつてこれを否決いたしました。これは民主議会においては当然のこととは存じますが、その動議否決の直後に、間髪を入れずして質疑打切りの動議を與党側が提出し、これをわれわれは重大な提議と信じましたので、委員長並びに與党の諸君に何らか交渉をいたそうといたしましたにかかわらず、その交渉をも無視いたしまして、一方的な質疑の打切りを強行いたしましたことは、われわれ野党としてまことに遺憾に感じておるものであります。ことに野党黒田委員が当日最後の質問をいたしておりまする過程において、木村法務総裁は、われわれ国民といたしましても実に重大な発言をされました。それは、行政協定は安全保障条約にも準ずるものであるとの意味に受取れる答弁をされた。この事柄はこの委員会を通じて行われて参りました政府最高の責任者である吉田総理の見解とは、まつたく表裏相反する見解であるのであります。法務総裁は、後刻において何らかこれに対する弁解はいたしました。しかしながら、その釈明はきわめて明確を欠いたもののようにわれわれは感じたのであります。従つて黒田委員は、またわれわれ野党といたしましては、この重大な木村法務総裁の発言に対して、最高責任者である吉田首相にあらためて本委員会に出席を求め、この点を明確にされることを国民の立場において強く要求をいたしておつたのであります。しかも当日黒田委員の質疑応答の中で、この問題に関する限りにおいては、重大であるから、さらに質疑の時間を留保いたしたい旨が委員長に述べられ、当時の委員長の態度といたしましては、黒田委員のこの言葉に対して了解をいたしたとわれは理解をいたして参つたのであります。従つて私どもはなるほど二十三日の委員会において、一応與党の諸君によつて一方的に質疑は打切られておるのでありますから、もはや本委員会において政府に対して質疑をすることは妥当でないと委員長並びに與党の委員諸君が説明をされることは、一応は理解をいたします。しかしながら、かりそめにも民主国会において、ことに重大な議案を審議しまするこの委員会において、一旦質疑打切りが行われたから、もはやいかなる問題に関しても再び質疑のようなことは繰返さるべきでないということは、單なる形式論でありまして、民主国会の審議の立場から、そのりくつはわれわれは簡単には受取ることはできないのであります。しかも、それのみならず、本委員会は開会以来すでに一箇月余り、この間において與党の諸君は別として、野党各派のわれわれ委員は、本予算案の審議にあたりまして、その審議に先だつ先決な要点である安全保障費を中心とする防衛費の問題、並びにこの防衛費の根本をなす行政協定の性格及び内容に最も重大なる関心を持ち続けて参りました。われわれが審議の大半をこれに集中して参りましたゆえんのものも、国民がこの問題に重大なる関心を持つておることはもちろん、この協定の内容いかんは、今後日本民放の運命に重大なるかかわり合いを持つておるものであるとの見解に立てばこそ、われわれば国民の袋としてその審議権の責任を果したいとの責任観から、この問題に対して多くの政府との論議を重ねて参りました。しかるに政府はその都度われわれの尋ねておりまする問題に対しましては、常に具体的な答弁を避け、中には重大な問題にかかわりませず、われわれに報告するに先立つて、新聞等に発表をするような態度に出て参りましたことは、政府の国会無視の責任、断じて許されないものであると私は信じておるのであります。しかも政府はこの行政協定の内容については、いずれ国会の予算審議の過程において、必ず国民の前に明らかにするであろうということを、吉田総理はわれわれに約束をいたして参つたのであります。しかるに予算委員会開会以来、今日まですでに一箇月という長時日を経過しておるにかかわらず、行政協定の内容の全貌については、いまだ正式にわれわれは政府から何らの詳細な報告を受取つておりません。しかるに予算委員会が、質疑打切りが行われ、本日をもつて討論採決に入らんといたしておりまするやさき、どのような意味かはわかりませんが、本朝の有力な新聞は、一斉に行政協定の内容について、きわめて根拠のあることとわれわれは感じまするところの詳細な全貌について報道されておるのであります。この本朝一斉に発表されました新聞紙による行政協定の全貌は、実にわれわれが、ことにこの予算委員会開会以来、国民とともに知ろうと欲しておりました重大な事項が報道されておるのであります。しかもその内容におきましては、従来われわれが懸念をいたしました問題に対して、若干是正をされた問題もなきにしもあらずであります。がしかし、その中には従来政府がわれわれに答弁をいたして参りました事項と、まつたく相反しておる重大な事項も明確に規定されておるものがあるのであります。(拍手)しかもこの内容を検討いたしますならば、実にわが国民が政治的、経済的あるいは社会的に多くの制約を受けなければならぬ重大な事項が満載されております。わが国の主権の上に立つて、あるいは国民生活の上に立つても、きわめて重大なる事項がとりきめられておるようにわれわれは見受けたのであります。このような重大な新しい事態に対しまして、本来でありますれば、責任ある誠意ある政府でありますれば、本日開会されますさしあたつての予算委員会に、みずから最高責任者であるところの吉田総理がこれに出席をいたし、自発的にこの重大な問題について報告をなすべきことこそが、責任ある政府の当然の責務でなければならないとわれわれは信じております。しかるに本朝来、われわれ野党側の希望に対しまして、何ゆえか委員長並びに與党の理事の諸君は、この重大なる、新しい問題として提供された行政協定の全貌についての吉田総理の出席要求に対して、これを阻止しようとの態度に出ておりますることは、われわれのまつたく理解に苦しむところであるのであります。われわれ野党は、今日の内閣の最高責任者はもちろん総理大臣である、しかも新憲法による内閣の総理大臣は、他の閣僚に対して何どきでも追放することのできる重大な権力を持つております。
  (「追放じやないと呼ぶ者あり」)
 追放という言葉が当らないといたしますれば、閣僚の罷免をすることのできる権力を持つておるほど、重大な唯一の責任者であるのであります。(「その通り」)従つてわれわれ国会議員が、重大な問題に対しまして、しかも民旅の運命と国民の権利と義務に重大な影響を持つておりますこれらの問題について、この最高責任者である総理大臣の出席を求め、その責任においての明確な説明や答弁や報告を求めようとすることは、けだし当然の要求でなければならぬと私は信じております。ゆえに本朝来この新たに国民の前に示されました重大な事態に対しまする、すなわち行政協定の内容が、新聞紙の報道いたしておりまするがごときとりきめの段階になつたといたすならば、すみやかに委員長は本委員会に内閣総理大臣またはこれにかわる責任ある閣僚の出席を求められまして、この重大な問題に対する責任ある説明、報告を求められんことを、われわれは委員長に要求いたしますると同時に、前提にも申し上げました、でき得れば、これまた黒田委員に対してなされました木村法務総裁の答弁と、従来行われて参りました吉田総理大臣の答弁との間に、まつたく食い違つておる点に対する政府側の統一されたる責任のある明確な答弁を、この委員会を通じてあらためてなされんことを、われわれは野党の名において委員長に強く要請するものであります。どうぞ委員長におかれましては、すみやかにわれわれ野党連のこの要求に対して誠意ある善処のとりはからいをなされんことを望みまして、私の議事進行に対する発言を終るものであります。(拍手)
○塚田委員長 川島委員の議事進行に対して、委員長よりお答えいたします。議事進行の趣旨については了承いたしました。委員長において善処することといたします。この際暫時休憩いたします。
    午後二時四十九分休憩
     ――――◇―――――
    午後四時十七分開議
○塚田委員長 休憩前に引続き会議を開きます。
 ただいま早川崇君外十七名より、私に対して不信任動議が提出されましたから、退席いたします。
    〔委員長退席、上林山委員長代理着席〕
○上林山委員長代理 委員長が退席されましたので、委員長の指名によりまして、私が委員長の職務を行います。
 ただいま早川君外十七名より、塚田委員長に対する不信任の動議が提出されましたから、これについて議事を進めます。
 まず、その趣旨弁明を許す順序でありますが、その発言時間は五分以内とするに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」「異議あり」と呼び、その他発言する者、離席する者多く、議場騒然〕
○上林山委員長代理 賛成の方は起立を願います。
    〔賛成者起立〕
○上林山委員長代理 起立多数。よつて本件に対する発言は五分間と決しました。趣旨弁明を許します。
    〔「そんな趣旨弁明の制限がどこにあるか」「前例がある」と呼び、その他発言する者、離席する者多く、議場騒然〕
○上林山委員長代理 趣旨弁明を許します。早川崇君――早川君に発言を許しております。早川崇君。
    〔「上林山委員長代理の不信任だ。」「あまりこつけいなことをするな。」と呼び、その他発言する者多し〕
○上林山委員長代理 早川君に発言を許しております。早川崇君。
○早川委員 私は野党各派を代表いたしまして、塚田委員長の不信任案を提案し、その趣旨を説明せんとするものでございます。
 昭和二十七年度の予算の主要部分をなすものは、防衛分担金、安全保障諸費等の防衛費でございます。しかも本防衛費は、日米安全保障条約の具体化とも言うべき行政協定と、密接不可分の関係にあるものでございます。しかるに塚田委員長は、本行政協定がいまだにこの予算委員会において、十分な内容すら説明されないにもかかわらずわれわれ野党各派の本問題に対する説明の要求と、これの具体的な発表の要求に対して、これを非民主的にも葬り去り、與党委員諸君もかような措置に同意されたということは、いやしくも予算委員会の権威を失墜し、真に民主的にこの予算案を審議せんとするわれわれ野党の意図を葬り去らんとするものでありまして、断じて委員長としての職責を果したものとは言えません。さらに翻つて考えるに、私は国会というものはほんとうにその権威とその職権の十分な行使をすべきものと信ずるのであります。アメリカに例をとりましても、講和条約、日米安全保障条約の批准は、この行政協定の明確な内容の説明と、これの締結ということを条件にして、この両条約の批准をするという態度をとつておるのであります。しかるにわが日本の、しかも講和条約が締結されて、今後独立国家として船出せんとする最初のこの予算案の審議において、アメリカの方は条約の審議批准すらこの行政協定の締結を条件にしておるにもかかわらず、われわれが行政協定の内容すら具体的に示されずして、ただそれに伴つて生ずる防衛費という千八百数十億に上るところの、この予算案を質疑もせずしてこれに承認を與えるということは、私は日本民族のプライドを傷つけるのみならず、われわれの自主性を葬り、国会の権威を失墜すること前例を見ないところの遺憾なことと私は思うのであります。(「その通り」拍手)さらに私は政府のこの行政協定に対するきわめて具体的な……。
○上林山委員長代理 早川君、結論を願います。
○早川委員 真実に近い内容がすでに新聞紙上に発表せられたのを私は本日見たのであります。国権の最高機関である国会に対して、何ら具体的な行政協定の内容も示されざる前に、すでに新聞に発表せられるというようなことが、はたして民主主義の国家においてあり得るかどうか。(拍手)さらに発表されたのは新聞社の人たちの腕といたしましても。しからば何ゆえにかくも具体的に規定せられました日米行政協定に対しまして国会に十分の説明をいたした後において、これらの審議と議事に対して、少くとも一週間程度の質疑を各派に許さないかという理由を私は発見できないのでございます。(拍手)なぜなれば、この日米行政協定というのは、吉田総理が言われるように決して事務的なものではありません。(「その通り」)民族独立国家としての自主性に関する問題であります。
○上林山委員長代理 早川君に御注意申し上げます。時間がありませんから、結論をお急ぎ願います。
○早川委員 たとえば伝えられるところの日米行政協定の内容の裁判権の管轄だけを取上げても、いかにこの行政協定が講和後の日本にとつて重大な問題であるか、おわかりになるはずでございます。賢明なる塚田委員長ならわかるはずでございます。私は北大西洋条約の例をとるまでもなく、少くとも公務中の軍人にのみこの裁判管轄権が除外されるという例に対しまして、伝えられるところの日米行政協定の内容は、軍人、軍属のみとならず、家族に至るまで……。
○上林山委員長代理 早川君に御注意申し上げます。時間がありませんから、結論を願います。
○早川委員 その内容を見ましても、軍人、軍属に及ぶまで、すべて属人主義によつて貫かれておるというようなことは、はたして日本国民がこれを承知しますか。イギリス人あるいはフランス人その他の白色人種諸君とわれわれ日本人が、このような差別待遇をされて、どうしてわれわれ国会が、国民がこれに了承を與えるような予算の採決に加わることができるかどうか。賢明なる與党委員諸君の意図を私は聞きたいのであります。
 さらに非常事態の問題にいたしましても、まことに不明瞭である。戦争に入るか入らぬかというような、かような重大な問題に対してすら、何ら具体的な規定を設けないで、これを両国政府の事前あるいは事後の協議にまつというようなことで、この力の弱いわが日本が、かような規定をもつて、安んじて今後の険悪な国際情勢に対処し得るかどうかということを考えただけでも、いかにこの行政協定というものが、今後の国政、それに伴う予算の支出と関連いたしまして、民族の安危にかかわる将来の民族の自主性にかかわる重大問題と私はいわなければならないと思うのであります。
 さらに私は岡崎国務大臣が、かような裁判管轄権の問題においても、あるいは駐留地域の問題にいたしましても、本会議における言明その他と本委員会における言用とが、たびたび食い違つておるということを指摘せざるを得ないのでございます。かようなことを……。
○上林山委員長代理 早川君に御注意申し上げます。時間は経過しておりますから、結論を願います。結論をお急ぎ願います。
○早川委員 私は委員長の不信任の理由をこれから述べたい。
○上林山委員長代理 結論をお急ぎ願います。
○早川委員 この問題はそれほど重大な問題です。さらに伝えられるところの民事裁判権の規定を見ましても御承知のように、もし新聞の発表が事実とするならば、駐留軍によつて公務中與えられたわが国の財産その他に対する損害に対してはわれわれ日本はこれが損害賠償を請求することができないという規定になつておるのであります。かようなことが、はたして真に平等の原則に立ち、独立国としてわれわれ国民がこれをうのみにすることができるかどうか。それだけとりましても、私は各党の代表のいろいろな角度からの質問があろうと思う。少くとも私は四、五日の審議を盡すべきであることは、委員長代理をされておる上林山君自身も私はおそらくお認め願えるのではないか、かように私は心から思つておるのであります。
 さらに私はもう少し具体的に申し上げたいのでありますが、予算というものは……。
    〔発言する者多く、議場騒然〕
○上林山委員長代理 早川君に御注意申し上げます。時間はすでに経過しておりますから、結論をお願い申し上げます。でなければ、発言を中止するかもわかりません。
    〔「まだ本論に入らない」「簡單に言う必要なし」と呼び、その他発言するあり〕
○早川委員 それならば、私は次に内容について簡單に申し上げますが、たとえば銀行が一般の商社にお金を百万か二百万か貸すときですら、その金融をするところの使途の明細書を要求し、何に使うかということがはつきりわかつてから、初めて金を貸すのだ。いわんや国民の血税を、千八百億円というこの厖大な血税を承認するというのに、その内容が何らわからないというようなことで、どうして国民代表のわれわれがそれを追求せずして、予算の審議なり採決ができると與党の委員はお考えになるか。こう私は思う。一銀行が百万の金を貸すにも、そこまで具体的に使途を追究する。支店長よりも劣る措置であります。塚田君が、何ら使途がわからないでこれを採決に付そうというようなことは、私は国民の血税をいかに使用するかせぬかということをあずかる本予算委員会の委員長として、まことに不謹愼きわまる…。
○上林山委員長代理 早川君に最後の御注意を申し上げます。結論をお急ぎにならないと、発言を中止するかもわかりません。
    〔「脅迫するな」「何を言つておるかわからぬ」と呼び、その他発言する者多し〕
○早川委員 それでは、おわかりにならぬのであればもう少し具体的に皆さんに説明いたしましよう。たとえば行政協定の内容に示されておるように、防衛分担金に例をとりましても、六百五十億という予算を計上しておる。最初池田さんの言われた日米折半主義の原則は貫かれておらない。折半主義が貫かれておらないという理由の説明も、まことに薄弱でございます。さらに安全保障諸費の内容に至りましては三百数十億のものが、建築費というようなことでごまかしてはたしていいかどうか。それは何ら具体的な内容の説明なくして、厖大なる五百六十億円にわたるこの経費を……(「引延ばしだ」と呼び、その他発言する者多し)白紙委任状を與えようとするのでありますか。かつての軍国主義にひとしいではありませんか。(拍手)血と汗のこの結晶を、何ら内容の説明をせず、白紙委任状を出すような……。
○上林山委員長代理 早川君の発言を中止いたします。――早川君の発言を中止いたします。
    〔発言する者多く、議場騒然〕
○上林山委員長代理 これより順次討論を許します。苫米地英俊君。
    〔「不信任案が出ておる」と呼び、その他発言する者多く、議場騒然〕
○苫米地(英)委員 私はただいま提案されておりますところの委員長不信任案に対して、反対の意見を述べんといたすものであります。私は最も公平なる……。
    〔発言する者多く、議場騒然、聽取不能〕
○上林山委員長代理 議事進行中につき静粛に願います。発言中につき、静粛に願います。
    〔発言する者多く、議場騒然〕
○苫米地(英)委員 私は……。
○上林山委員長代理 発言中につき、委員は着席を願います。
    〔「国会法違反だ」と呼び、その他発言する者多し〕
○苫米地(英)委員 われわれは良識をもつてしては理解いたすことができないのであります。さて、今度の予算審議にあたりましては、委員長はきわめて円満に規則を遵守し、野党の立場を十分理解し、むしろ野党を立てるために、與党を押えて来た場合すらもしばしばあるのであります。議事の重大なるにかんがみ、これを円満に遂行するために、譲歩に譲歩を幾度も重ねて来て、われわれ與党の中にあまり弱過ぎるというような意見が出るほどまで譲歩を重ねて来たのであります。しかして質疑時間に至りましては、総計六十四時間二十九分でありました。であるのに、與党はこの間わずかに十八時間二十一分、野党は四十六時間八分を用いておるのであります。まさに二倍半であつて、與党の委員三十二名に対し、野党全部の委員が十九名であります。この割合から見れば、いかに野党に発言の機会を與えたかということは明瞭であるのであります。審議の状況について申しますれば、まずわれわれは、この安保条約の必要性、さらに安保条約が日本の提案によつてできたという、この前提に立つてこの問題を検討しなければならないのに、これをあたかも米国から押しつけられたものであるかのごとき立場に立つての議論が多く、しかもその議論は幾たびも幾たびも同じことが反復せられておつたのであります。
    〔「新聞に出ているじやないか、なぜ議会で言えないのか」と呼ぶ者あり〕
○上林山委員長代理 林君、静粛に願います。
○苫米地(英)委員 しこうしてその理由としては、政府の答弁が明確でないというておりますが、委員の多くが欠席をしておつて、答弁を聞かなかつた者が相当あるということを忘れてはならないのであります。しかも政府はでき得る限り明確に答え、われわれは相当いろいろの事実をつかんだのであります。しかるに了解しようと思わない人には、いかに親切に説いても了解しないのは当然であります。かくのごとくしてわれわれは議事進行のために幾たびか譲歩を重ね、紳士協約をいたしたのでありますが、その協約は幾たびも踏みにじられて来たのであります。われわれは野党諸君が紳士として協約をしたことを踏みにじつたために、信頼する感をすでに失つて来たのであります。かくのごときときにわれわれは議事引延ばしのために協定を破り、また反復したことを行つていることに耐え得なくなつて来たのであります。ここにおいて質疑は打切りとなつたのでありますが、これも突如だまし討ち的に打切つたごとくに言われるのでありますが、そうではなくて、われわれはその前の理事会において、打切りのことは話をいたしておつたのであります。しかるにきようになつて打切りは形式であるからして、形式にとらわれるなと申しますけれども、われわれは形式を重んじなければならない。もしこの形式を破るならば、悪例を後に残して収拾することができなくなることは明らかであります。
    〔発言する者あり〕
○上林山委員長代理 林百郎君、委員ではないはずでありますから、御発言を御遠慮願いたい。
○苫米地(英)委員 また、きようの問題としては、閣僚の意見に矛盾があるとか、新事態とかいうことが出て来ておりますが、これに対してはすでに矛盾という点は解消しているし、新事態というものに対しては、委員長はきわめて妥協的に、野党諸君の考えを満足させる提案をしておるのであります。われわれはこの線より引くことは議会の秩序を乱り、悪い先例を残すがゆえに、ここに野党の要求に応ずることができなかつたのであります。かくのごとき理由のもとに委員長不信任案を出すのは、過去四回やつたような無理、非行を重ねることであり、こういうことを予算委員会の慣例のごとくすることについては、野党の諸君に深甚なる反省を促して、私はこの不信任案に反対いたすものであります。(拍手)
○上林山委員長代理 中曽根康弘君。
○中曽根委員 予算委員長塚田十一郎君は、つとに資性温厚、学術優等であまりして、吉田総理大臣の抜擢するところとなり、予算委員長として職を続けて来たのであります。塚田十一郎君に対しまして、不信任動議が提出され、これに賛成しなまればならないということは、個人としてはきわめて遺憾でありますが、しかし国家公のためでありますから、私はここで賛成の討論をせんとするものであります。
 今日ただいまの国会における最大のは問題、日本とアメリカと行政協定の問題であります。昨日来岡崎国務相あるいは政府当局が、予算総会におきまし答弁して来たことと、本朝来新聞に出て来たところとでは、重大な相違点が出て来ております。その第一は、裁判権に関する事柄であります。その判権に関する事柄の中で、われわれが見のがしてはならないのは、刑事裁判権の管轄のほかに、民事裁判権の問題が出て来ておるのであります。本朝の有力紙の報ずるところによりますれば、民事裁判権管轄権に関して次のように書いてあります。アメリカの軍人、軍属、使用人が公務執行中に日本の国有財産に損害を與えた場合には、日本はこの損害の賠償請求権を捨てる、これも非常な異例であります。のみならず次に忘れてならないことは、米国の軍人、軍属及び使用人が公務執行中または公務外で、つまり私用上のことで、法律上責任を負うような行為をやつで、損害を與えた場合にはこのお金は日本が出す。次のように書いてある。「これによつて生ずる損害の補償請求は日本の裁判所が日本の法律によつて処理する。この場合、示談または判決によつて損害補償額がきまれば日本が日本の円でこれを支払うが、この額は合同委員会の決定する割合に従つて日米両国が分担する」と書いてある。これは驚くべき事実であります。たとえばアメリカの軍人、軍属が公務執行中あるいは私用中に日本の輝人に損害を與えた場合には、金は日本が出す。しかもその分担は合同委員会で日本とアメリカがきめるという。今の状態でですら、たとえばB二九が落つこつて民間の家を燒いたという場合には、日本政府が賠償を払つている。それですら不当であるものが、独立した日本が、公用中でやつた問題についても合同委員会の決定によつて、米国人の與えた損害を、われわれ日本人が税金を納めなければならぬということ、いかにこれが不当かということは、われわれのみならず国民が認めておるところであります。(「その通り」)かういう重大な問題が民事裁判権ですでに出て来ておる。
 その次に忘れてならないのは、刑事裁判権の問題であります。先日来われわれが質問したところによりますれば、岡崎さんは外国の慣例と比べて、日本が不平等の取扱いを受けていないと言つているけれども、大体外国の軍人、軍属がその国の裁判を受けないという場合には、まず第一は公務中である、第二は被害者も加害者もその軍人の属する国の場合である。第三番目が外国の軍隊または外国の安全を傷つける重大な犯罪の場合である。この三つの場合に限つて大体においてその国の裁判管轄権が及ばないのであります。フィリピンの場合は、この三つの場合に全般に及ばない。英国の場合にはどうかというと、アメリカの軍人が公務執行中、米国及び米軍の安全を危胎に瀕するというような場合にのみ米国が管轄権を及ぼして、あとの一般には英国が裁判権を持つておる。北大西洋条約の場合には、被害者も加害者も米国人である場合、あるいは公用中の場合に限つて裁判管轄権を米国が持つのであります。しかるに今回の日本の場合は、公用中の軍人のみならず、軍属その家族の犯罪についても、日本は裁判権を行使し得ないと書いてあり、これをわれわれが議会において追求いたしましたら、今朝来の新聞には、そういうような一、二の例外を認めて、そうして新聞の報ずるところによれば、アメリカの軍人……。
○上林山委員長代理 中曽根君に御注意申し上げます。できるだけ討論の趣旨に反しない討論を願います。
○中曽根委員 そういうような場合には、今後の協定によりますと、軍人、軍属、家族の私用中の問題についても、日本は裁判管轄権を及ぼし得ないとこということになつておるので、これは安政和親条約以下であります。このような不平等条約をわれわれが目認して承認するとすれば、われわれは再び明治年代の条約改正運動の方に進まなければならぬのであります。このような重大な問題を予算委員会において今まで討議して来たのにもかかわらず、岡崎及び吉田両国務大臣は口を縅して語らない、これが独善秘密外交、吉田内閣の特色であるのであります。この重大な問題についても認めるわけに行かぬ、これを明らかにせよというのがこの間うちのわれわれの要求であつたのである。しかるにもかかわらず強引に多数をもつてこれを打切り、本日はまたそれに関する新しい事態が出現したので、質問を認めろと言つたのにもかかわらず、委員長はまた打切つて討論採決に入ろうとしておるのであります。われわれはこのような重大な問題について絶対に国民の代表者として承服するわけに行きません。あくまでこれを追究する責任を持つておるのであります。
 そのような驚くべき強行をやろうという塚田委員長は、おそらく與党の委員の示唆によつて、あるいは強制によつてやつたのでありましよう。塚田さんの個人の人格をわれわれは信頼するから、塚田さんを難じようとは思わぬが、そういうことを強行させておる吉田内閣及び自由党に対して、われわれは国民を代表して偉大なる怒りを感ずるのであります。(拍手)岡崎国務大臣は、われわれが聞いておる範囲では自転会社の日米商会の社長であると言つておる。だから日米商会という名前からしても米国にお義理立てするのはやむを得ぬかもしれぬ。アメリカの日米商会の代理店であるかもしれぬ。しかし塚田委員長やあるいは自由党はアメリカの代理店であつてはならないのである。(拍手) しかるに現在やつておることは、日本の国会はアメリカの大政翼賛会化しようとしておるではないか。日本の国会は断じてアメリカの翼賛議会ではない。それを復活させんとしておるのが現在の自由党の諸君であつて、これは日本民族独立の危機である。日本の憲政の危機である。今度の予算総会を見ても政府は重大なる憲法違反を三つ侵しておる。第一は財政法の問題である。第二は保安隊の建設による憲法第九条戰力という条項に対する違反である。第三番目が、このような重大な行政協定と条約を正規の協定によらずして秘密のとりきめ、了解によつてやらんとすることであります。このようなことを予算委員会が目視したならばわれわれは後世から笑われる。われわれはこのような見地に立つてこの委員長を許すわけに行かぬので、塚田十一郎委員長の不信任案に対して、賛成するのであります。(拍手)
○上林山委員長代理 川島金次君。
    〔発言する者多し〕
○上林山委員長代理 委員外の発言を御注意ください。
○川島委員 私は日本社会党を代表いたしまして、ただいま上程されました塚田委員長に対する不信任案に賛成をいたすものであります。すでに提案者並びにその賛成者からも述べられましたように、われわれが今月初めからこの委員会に参加をいたしまして審議をいたしております重要な予算案のその案の中に含められております二千億に上る防衛諸費は、ただ單に予算上の問題ではありません。この防衛費の中のおもなるものをなす根底は、実に安全保障条約に伴う日米行政協定の内容が、その重大な根底をなすことは言うまでもございません。従つてわれわれ委員会は、この三十七年度、すなわち日本がともあれ独立の第一歩を踏み出すための予算であり、この予算を通じてこそ、独立後における日本の民族の運命並びに日本の政治的経済的に進むべき進路を明らかにするという重大な案件であるとの立場から、ことに行政協定の内容につきましては、国民とともに重大な関心を傾けて参つて来たのであります。しかも政府は、内閣総理大臣みずからが本会議の演説の際に、行政協定の内審については、いずれ予算案の審議の過程においてこれを明らかにする旨が確約されておるのであります。しかるにごの重大な行政協定の内容について、二十三日までの本委員会における政府と委員間との質疑応答の中で明らかにされましたことは、単に氷山の一角にしかすぎない実情であるのであります。われわれはこの予算の重大な先決要件であるべき行政協定の内容を、国民とともに知ることこそは、すなわちこの予算の審議にあたりましての先決的な要件であるという強い見地を堅持いたして参つておるのであります。
 しかるに本日の新聞紙を拝見いたしますれば、いまだ本委員会に明らかにされておらない各種の、しかも広汎な重大事項がきわめて詳細に報道されておるのであります。もしこの事柄が、政府の公式にせよ、非公式にせよ、発表されたものであるか、あるいは何らかの根拠を持つものでありといたしますならば、この重大な事案に対して、政府は国会の要求をまつまでもなく、みずから率先して、この事案に対する報告を行い、国会の民主的な審議に譲ることこそが、当然の責任でなければならないとわれわれは信じております。従つてわれわれは本日、この重要な問題に対する政府の最高責任者たる内閣総理大臣の出席を求めまして、この問題に対するところの明確な報告を聴取いたしたいと要求いたしましたことは、国会議員として、当予算委員会として、けだし当然の事柄に属するのであります。しかるに何ゆえかこれに対する委員長の措置は、何らわれわれの当然の要求に対して熱意あるところの措置を講じようといたされておらないのであります。われわれは個人的な立場においては、塚田君にしてかくのごとき不誠意な態度を示すとはよもや感じてはおりますんでした。当初における塚田委員長就任早々の予算委員会の議事の進行については、ある程度期待されたことにこたえるような点もなきにしもあらずでありました。しかるにこの委員会が漸次終末の段階に近づこうとするや、塚田委員長の議事運営の態度は、まことにわれわれの期待に反するものが、遺憾ながら多々あることを認めざるを得ないのであります。すなわち塚田委員長の委員長としての本委員会議事運営の態度は、まことに初めは処女のごとくにして、終りいよいよ脱兎のごとく、一方的、暴力的な、頑強な態度を示された事柄に対しましては、われわれはまことに衷心から憤懣の情を禁じ得ない次第であります。少くとも終戰後における本委員会の運営というものは、歴代の委員長は、できるだけ委員会における円満な協力を求めて、重要な予算案の審議に万遺憾なきを期するという態度に立つておつたのであります。しかるところ、前予算委員長である小坂君、相次いで今次の委員長塚田君の態度は、重ね重ね、まことに遺憾なる次第ではございますが、今やこの重大なる、しかも権威のある予算委員会の議事運営にあたり、完全なる能力と識見とに欠くるものなりとの断定を、われわれは下さざるを得ないことを遺憾とする次第であります。われわれは以上の見地に立ちまして、塚田委員長不信任案に対して、党を代表し賛成をいたすものであります。(拍手)
○上林山委員長代理 有田委員より発言を求められております。この際これを許します。
○有田(二)委員 これにて討論を打切り、ただちに採決せられんことを望みます。
○上林山委員長代理 ただいま有田君より提出の討論終局の動議について採決いたします。
    〔発言する者、議席する者多く、議場騒然〕
○上林山委員長代理 有田君の動議について採決をいたします。有田君の動議に賛成の諸君は起立を願います。
  〔賛成者起立〕
○上林山委員長代理 起立多数であります。よつて討論は終局いたしました。――起立多数であります。よつて討論は終局いたしました。
 これより採決をいたします。塚田委員長に対する不信任の動議に賛成の諸君は起立を願います。
    〔賛成者起立〕
○上林山委員長代理 起立少数であります。(発言する者、離席する者多く、議場騒然)――起立少数であります。よつて塚田委員長に対する不信任の動議は否決せられました。――よつて塚田委員長に対する不信任の動議は否決せられました。
    〔「議事運営を無視しているじやないか」「無効だ」と呼び、その他発言する者、離席する者多し〕
    〔上林山委員長代理退席、委員長着席〕
○塚田委員長 御着席願います。
 これより予算各案について討論に入るのでありますが、小林進君外十七名より、吉田内閣総理大臣の出席を求める緊急動議が提出されております。しかしその趣旨は明瞭でありますから、趣旨弁明及び討論を省略して、ただちに採決するに賛成の諸君の起立を願います。
    〔「撤回しろ」と呼び、その他発言する者、離席する者多く、議場騒然〕
○塚田委員長 撤回はいたしません。もう一度申し上げます。
 これより予算各案について討論に入るのでありますが、小林進君外十七名より吉田内閣総理大臣の出席を求める緊急動議が提出されております。しかしその趣旨は明瞭でありますから、趣旨弁明及び討論を省略してただちに採決するに賛成の諸君の起立を求めます。(発言する者、離席する者多く、議場騒然)委員長は事柄の趣旨が簡單、明瞭であるから趣旨弁明の必要はないと認めました。
    〔発言する者、離席する者多く、議場騒然〕
○塚田委員長 各委員の御意見は伺いましたから御着席ください。――各委員の諸君の御意見は十分伺いましたから御着席ください。――御着席ください。
    〔「採決々々」と呼び、その他発言する者多く、議場騒然〕
○塚田委員長 討論を省略してただちに採決するに賛成の諸君の起立を願います。
    〔賛成者起立〕
○塚田委員長 起立多数であります。よつてただちに採決いたします。この動議に賛成の諸君は起立を願います。
    〔賛成者起立〕
○塚田委員長 起立少数であります。よつてただいまの動議は否決されました。(拍手)
    〔「退場」「審議権の放棄だ」「アメリカの翼賛議会だ」「代議士をやめろ」と呼び、その他発言する者多く、退場する者あり〕
○塚田委員長 これより昭和二十七年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算の各案について、通告順により討論を許します。有田二郎君。
○有田(二)委員 ただいま上程されました昭和二十七年度の予算各案に対し、自由党を代表し賛成の意を表するものであります。
 以下その理由を述べたいと思います。論旨を進めるにあたつて、最初に強調したい点は、本予算案は占領下において編成され、かつ独立を目睫に控えながら現在なお占領下にあることであります。この点がとかく忘れられがちで、特に本予算審議を通じ、野党の諸君はあたかも平和条約調印即完全独立であるとの建前から論議されておつたように感ぜられましたが、錯覚もはなはだしいと言わねばなりません。一般国民の気持は本予算が実行に移されたならばどうなろうかということが関心の焦点と思われますので、この点に触れてみたいと思います。総理大臣の施政演説や大蔵大臣の財政演説で、国民の耐乏を要望されました。一体われわれの生活はどうなるだろうか、こんな大きな講和関係費が計上されたが、税金は逆もどりして高くなるのではないか。またあの片山、芦田両内閣当時のインフレが再びやつて来るのではないか、これらの問題はだれもが心配しておる点であります。独立するからには講和関係費が大きくなるのはやむを得ないと覚悟しながら、国民生活の実態から見て生活の悪化を来すような予算であつてはならぬことは申すまでもありません。明年度予算はこの点から見てどうなつておるか、また実行に移されたらどうなるかを検討してみましよう。
 第一に予算規模はその総額八千五百億余円で、本年度に比し五百九十億円の増加でありながら、しかも何ら増税措置に出ることなく、むしろ相当減税を断行せんとするものであります。その努力と勇気に対しては、国民の共感をかち得るものと確信いたすものであります。
 第二には、講和関係費を二千億余円に押えたことであります。この点はかねて相当巨額に上るものと一般に予測されておりましたものでありますが、ここにも政府の苦心の跡が察せられるのであります。一方内政費においても本年度に比し、ふやしておるのでありまして、その増額分は公共事業費、平衡交付金、社会保障費、失業対策費、文教費、食糧増産費の増額に振り向けておるのであります。従いまして本予産案によつてわれわれの生活は楽にはならぬまでも悪化するほどの要素はどこにも含まれておらぬことであります。
 そこで財政規模八千五百二十七億余円が妥当であるかどうかということが問題になつて参ります。御承知の通り、財政の規模は国民経済力に適合した限度にとどめることが基本的常識どなつております。それを具体的に申しますと、おおむね現行税法によつて見込み得る税収の範囲にとどめることであります。その税収でありますが、税収を国民所得と比較すれば、本年度も明年度もいずれも一七%となつておりまして、諸外国に比してむしろ軽いものといわねばなりません。問題は、本年度よりも七百七十三億余円もふえておる税収六千三百八十億余円がはたして見込まれ得るかという点であります。諸君御承知の通り、わが国の生産は著しく向上し、また国際収支関係も上昇し、さらに不生産的経費といわれております講和関係費の中には、雇用を引起し、生産活動の源となるものもあり、また防衛費や安全保障諸費の中には、公共事業費的なものや、平衡交付金のごとき性質を帯びておるものも相当ありますので、本予算案に見積られた税収は十分これを期待できるものと思います。ただ実際の運用面においてはいろいろの制約もあり、資金放出の時期が遅れ、あるいは制限されるごときことがあつてはならぬのであります。予算執行に当つて特にこの点に留意し、万全を期さねばならぬことは、言うまでもありません。明年度緊急の問題としては、電源開発の資金調達の問題がありますが、おそらく政府資金はこの方面に振り向けられましようし、またこれに対する外資の導入も期待されると思います。
 以上申し述べました通り、明年度の日本経済は極度にむずかしい問題を多分に含んでおりますので、これを日本経済の持つ力にふさわしい合理的なやり方が特に必要であります。大蔵大臣も将来わが国の財政に余裕が生じた場合には、優先的に国内費に充てると言明しておりますが、要は経済政策と財政政策、さらに予算と金融とのかみ合せに十分留意し、運用を誤らぬよう特に注意が肝要かと思われます。
 そこで私は総括的に見て、本予算案はわが自由党従来の主張を十分取入れてあると思いますので、これに全面的に賛成の意を表するものであります。
 以上をもつて自由党を代表し、私の賛成討論を終ります。(拍手)
○塚田委員長 他の討論通告者は在席されませんので、発言権を放棄されたものと認めます。これにて討論は終了いたしました。
 これより採決をいたします。各案を一括して、原案に賛成の諸君は起立を願います。
    〔賛成者起立〕
○塚田委員長 起立総員であります。よつて各案はいずれも原案の通り可決いたしました。(拍手)
 ただいま議決いたしました各案の報告書の作成については、委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○塚田委員長 御異議がなければ、その通り決します。これにて本予算案に関する議事は全部終了いたしました。
 本日はこれにて散会いたします。
    午後五時三十五分散会