第013回国会 経済安定委員会 第27号
昭和二十七年五月二十四日(土曜日)
    午後二時三十七分開議
 出席委員
  委員長 前田 正男君
   理事 志田 義信君 理事 多田  勇君
   理事 永井 英修君 理事 有田 喜一君
     小野瀬忠兵衞君    圖司 安正君
      奈良 治二君    福井  勇君
      福田 喜東君    渕  通義君
      細田 榮藏君    西村 榮一君
 出席政府委員
        総理府事務官
        (行政管理庁管
        理部長)    中川  融君
 委員外の出席者
        専  門  員 円地與四松君
        専  門  員 芦田清治郎君
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五月二十四日
 委員中崎敏君辞任につき、その補欠として西村
 榮一君が議長の指名で委員に選任された。
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本日の会議に付した事件
 経済審議庁設置法案に対する修正申入れに関す
 る件
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○前田委員長 これより会議を開きます。
 経済審議庁設置法案に対する修正申入れに関する件について発言を求められておりますので、この際これを許します。西村榮一君。
○西村(榮)委員 経済審議庁設置法案に対する修正案を提案したいと思つておるのであります。私の修正提案の根拠といたしまするところは、かつて経済安定本部設置法が、青木国務大臣によつて提案せられたところによりまするならば、この経済安定本部は、日本の経済が安定し、経済の自立態勢が確立し、かつ日本が国際競争に耐えられるだけの経済的に強力になるまで、経済安定の総合的企画官庁として経済安定本部を設置するものであるという提案理由の説明がなされたのであります。越えて内閣委員長たる齋藤隆夫君も、同様なる趣旨を強調されまして、本会議において承認せられておるのであります。しからば現下のわが国の国情が、一体経済安定本部が設置された当時の情勢と今日の情勢とを比較対照いたしまして、その任務がはたして終れるかいなやということを検討いたしてみまするならば、私は残念ながら、現下の国際情勢を考えてみて、われわれと密接な関係を持つておるアメリカの経済のとり方を考えてみまするならば、この経済安定本部がわが国に設置されました後において、アメリカの経済安定局は、戦時生産総動員本部というものに発展強化いたしまして、今日戦時生産局本部が統制を行つておりまするものは、実に五十七万種に及んでおるのであります。しかも五十六品目にわたる稀少物資は、今日民間における所有を厳禁いたしておりまして、この稀少物資は国家みずからの統制において按分配給しておる現状であります。自由主義国家、資本主義国家といわれるアメリカにおきましても、かくのごとき高度の計画経済をとらざるを得ないことは、現下の国際情勢の険悪さを物語るものでありまして、私はこの際わが国が考えておかなければならぬことは、自由主義経済である、あるいは統制経済であるというようなイデオロギーの論争の段階ではなくして、いかにして日本の経済を建て直して行くか、いかにして乏しい物資を有効に活用して、物と人と資金との按分調整をして、より高い段階に日本の経済を発展せしむるかということが、現下日本の置かれた緊急なる課題でなければなりません。そこには自由主義経済あるいは資本主義経済、社会主義経済あるいは計画経済というような、イデオロギーの論争ということよりも、むしろ現実はそのことを要求しておると私は思つておるのであります。従つて今日のわが国における政党において、自由主義を信奉する政党あり、あるいは社会主義を信奉する政党ありといえども、ここにわが国が現実に四六%の領土を失い、しかも海外の貿易は制約されて、かつてあつたところの、アジア大陸等の貿易物資の交流も今日制約を受けておる段階におきまして、ことさら窮迫を告げるところのこの経済状況において、物と人と資金との高能率的な活用の仕方というものの計画性が必要ではないか、そういたしますならば、かつて青木国務大臣において述べられた経済安定本部設置法案の目的等は、今日ますます多々必要とはなつておるけれども、これを解消したり、あるいは縮減したりする事情というものは、国内的にも国際的にも発生しておらないのであります。従つて私は何と申しましても、いかなるイデオロギーに基く政党にあつても、あるいは内閣においても、この人と物と資金との競合の統制あるいは高能率的な活用というものが、現下のわが国における至上命令であるといたしまするならば、私は今ここに経済安定本部の拡大強化的な修正案を提案せざるを得ないのであります。
 私は以上の趣旨に基きまして、修正案の要綱を朗読いたします。
   総合企画本部設置法案要綱
 第一 目的
   この法律は、総合企画本部の所
  掌事務の範囲及び権限を明確に定
  めるとともに、その所掌する事務
  を能率的に遂行するに足る組織を
  定めることを目的とするものとす
  ること。
 第二 設置
  (一) 本部の長は、総合企画本部総
   裁とし、内閣総理大臣をもつて
   充てるものとすること。
  (二) 本部に、総務長官を置き、国
   務大臣をもつて充てるものとす
   ること。
  (三) 本部に、副長官一人を置くも
   のとすること。このことは、なぜ総理大臣を本部の総裁として置かなければならぬかと申しまするならば、国務大臣としての併立的な地位としてではなしに、これを総合企画するといたしますならば、それの総合企画したものを実行しなければなりません。その実行の指示権は、併例的な国務大臣の地位よりも、むしろ総合企画本部の最高指導者は、総理大臣がこれを兼任するというところで総合企画されたものを、各省において遵法するという態勢をとるために、第二の設置要綱の中に総裁を総理大臣といたした理由であります。
 第三 任務
   本部は、左に掲げる国の行政事
  務を一体的に遂行する責任を負う
  行政機関とするものとすること。
  一 経済に関する基本的な政策の
   企画立案
  二 関係行政機関の事務の総合調
  三 長期経済計画の策定
  四 総合国力の分析及び測定
  五 国の予算及び決算の作成
  六 外国人の投資及び事業活動の
   調整
  七 各行政機関の行政運営の監察
  八 内外の経済動向及び国民所得
   等に関する調査及び分析この第三の中に、従来と違つておりますることは、第三の任務の五における予算の編成権の問題、七の各行政機関の行政運営の監査の問題が新しく加えられたのであります。申すまでもなくこの政府の原案を見ましても、任務の中の第八の中に、「内外の経済動向及び国民所得等に関する調査及び分析」とあるのでありますが、この国民所得の策定、算定並びに調査分析、経済の統合、これはことごとくその国の予算編成上の基礎的な條件になつておるのでありまして、従つて国民所得を策定する、算定する機関が、当然国の予算を編成するの必要があるのではないか。特に国家の予算は一省の専管に属すべきものではなくして、内閣総理大臣の直属の機関において国の予算を編成するということは、近来の財政編成史の上において、各国の趨勢であるし、日本またしばしば輿論がこれを支持しておるのであります。従つて一省の専管から離れて、総理大臣の直属下に総合企画官庁としての立場からこれを司るということは、私は論ずるまでもなく理の当然であろうと思うのであります。かくして経済を中心とする総合国家計画を樹立いたしまするならば、その樹立した計画が実行されておるかいなやというところの、行政運営の監察をするという必要も生じて来るのでありまして、従つて第三の任務の條項の第七の中に「各行政機関の行政運営の監察」という項目を設けた次第であるのであります。
 第四 権限
   本部は、この法律に規定する所掌事務を遂行するため、左に掲げる権限を有するものとすること。但し、その権限の行使は、法律(法律に基く命令を含む。)に従つてなされなければならないものとすること。
 一 経済に関する基本的な政策及び計画について企画立案し、並びに関係行政機関の事務の総合調整を行うこと。
 二 所掌事務を遂行するため、関係行政機関の長に対して必要な事項を命ずること。
 三 国の予算、決算及び会計に関する制度を統一すること。
 四 国の予算及び決算を作成すること。
 五 国の予備費を管理すること。
 六 各省各庁の支出負担行為又は支拂の計画を承認すること。
 七 各省各庁の小切手又は国庫金振替書につき認証を行うこと。
 八 国の予算の執行に関し、報告の徴収、実地監査及び指示を行うこと。
 九 国の財務の統轄の立場からする地方公共団体の財務の調整に関すること。
 十 各行政機関の事務の実施状況を監察し必要な勧告を行うこと。
 十一 前号の監察に関連して公共企業体の業務及び国の委任又は補助に係る業務の実施に関する必要な調査を行うこと。
 十二 前各号に掲げるものの外、法律(法律に基く命令を含む。)に基き、本部に属せしめられた権限
第五 内部部局本部に、総裁官、房及び左の九局を置くものとすること。
 予算局
 財政金融局
 産業局
 貿易局
 物価民生局
 国土開発局
 科学技術局
 調査統計局
 監察局
第六 特別な職
(一) 本部に審議官十人以内を置くものとすること。
(二) 総裁官房に官房長及び次長二人を置くものとすること。
(三) 予算局、産業局、国土開発局及び監察局にそれぞれ次長二人、財政金融局、貿易局、物価民生局、科学技局及び調査統計局にそれぞれ次長一人を置くものとすること。
(四) 各局を通じ、調査官二十人以内を置くものとすること。
第七 附属機関本部の附属機関として、左に掲げる機関を置くものとすること。
 経済審議会
 国土総合開発審議会
 資源調査会
 電源開発調整審議会
 物資需給調整審議会
第八 地方支分部局
(一) 本部に、地方支分部局として、地方監察局を置くものとすること。
(二) 地方監察局は左の八局とすること。
 札幌監察局
 仙台監察局
 東京監察局
 名古屋監察局
 大阪監察局
 広島監察局
 高松監察局
 福岡監察局
第九 外局
  本部の外局として、外資委員会を置くものとすること。
 以上をもちまして、私は総合企画本部設置法案に対する修正の各條を御説明申し上げた次第でありまして、これは冒頭申し上げましたように、決してイデオロギー的なものじやなくして、現下置かれた日本の総合企画官庁として最低限これだけの機構を必要とすると確信いたしましたがゆえに、この修正案を提案した次第であります。何とぞ本委員会の同僚各議員におかれましては、本修正案の趣旨に御賛同あらんことを切望するのであります。しかしながら私は以上の修正案を提案いたしましたけれども、自分の願うところは、何とかして日本の今日の状況下においては、総合企画官庁の強力なるものを必要とする、こう確信いたしまするがゆえに、各党それぞれのお立場もあるでありましようから、私は社会党の立場から以上の修正案を最少限度のものとして提案いたしたのであります。しかし本法が修正されて、より総合的な企画官庁としての役割を果すために、他党との間において最大公約数においてそれを一本にまとめるということでございまするならば、この修正案につき幸しては、また皆さんと協定するの用意があるということをここに私は付言するのであります。同時に私は同僚各位にここにお考えおきを願わなければならぬことは、これはなるほど率直に申し上げますならば、今日衆議院においては、自由党は絶対多数をお持ちになつているのでありますが、しかしここに経済審議庁設置法案というものの修正案をかりに否決されるというようなことがございまして、それが参議院にまわりまして、再度この修正案が盛り返して来て衆議院に回付されるというようなことがございまするならば、これは手数がかかるのみならず、衆議院としてのいろいろな立場上はなはだ遺憾な点が生ずると思うのであります。従つて私は今提案いたしました修正案の原案通りの御修正を何とぞ切にこいねがうのであります。しかしながらそれとともに、より以上本経済審議庁が拡大強化されて、これが発展的な方向に向うということをより以上私はこいねがいまするがゆえに、各党との間における最大公約数の一致点を見出しまして、衆議院は一本の修正案を出したいという念願の方が、より以上優位を占めているというのが私の心境であります。どうか本修正案に皆さんの御賛同をお願い申し上げまして、私の修正案の説明を終ります。
○前田委員長 今の御意見に対しましては、実はこの委員会は、この設置法案は正式に付託になつておりませんので、われわれの委員会からは修正の申出をすることになるわけでありますので、その点は御了承願いたいと思うのでありますが、さらに有田喜一君から発言を求められておりますので、この際これを許します。
○有田(喜)委員 今回経済安定本部が廃止されまして経済審議庁が設置されることに相なつているようでありますが、この審議庁設置法を見ますと、各省でやつたことの跡始末といいますか、問題の起つたときにそれを総合調整をする跡始末的な仕事が大部分のようでありまして、日本の経済の基本を立てて行くいわゆる根本的な基本政策の企画立案というような面が欠けておるように思うのであります。今日の日本の経済の実情を見ますと、実に底の浅い日本経済でありまして、今日のような状態をそのままほつておいては、日本のいわゆる完全独立、民生の安定ということはなかなか期しがたいのであります。かようなことを考えますと、できるだけむだなき経済、そしてその経済の計画性を持たすということは、私はきわめて緊要であると思うのであります。もとよりかつて行われました統制経済、すなわち日本のいわゆる干渉経済ということはこれは避けなければなりませんけれども、一つの目標と基本的な計画というものは、あくまでこれを立てて行かなくてはならぬと思うのであります。日本の各行政官庁を見ますと、このいわゆる安本にかわるべき経済審議庁でこのことをやるよりほかに適当な官庁がないと思います。その意味におきましてこの経済審議庁を盛り立てて行つて、真の日本の経済のぴりつとした基本をここできめるような官庁にしたいと私は考えるのであります。人員を少くしたりあるいは機構を小さくすることは私は賛成でありますけれども、しかしあつてもなくてもいいような役所を残すということは私は賛成できない。置くからにはぴりつとした基本をしつかり握るところの官庁を置いて、日本の経済の行く道を誤らないようにするということが私は根本であると思うのであります。
 かような見地に立ちまして、私はこの経済審議庁設置法案について、改進党の委員を代表した一つの修正案を提案したいと思います。
 第一には、今申しましたような見地に立ちまして、経済審議庁の名称を直していただきたい。すなわちこれを経済企画庁に改めること、名は体を現わすでありますから、名称はどつちでもいいというものの、経済企画庁という名称にかえることの修正意見を出したいと思います。それから自由党から出されておりますところの企画立案、いわゆる経済に関する基本的政策の企画立案、これはどうしても入れなくてはならぬことである。なおさような基本的な計画を立てて行く上におきまして、経済企画庁におきまして予算編成の方針というものを策定する、方針の策定、これはどうしてもやらなくちやならぬ。現在大蔵省が予算編成権を持つておりますが、本来ならば、これを内閣の一部、すなわちこの経済企画庁に移すべきだと考えますが、現実の面を考えまして、今ただちに大蔵省の設置法まで改革するということは、実際問題からどうかと思いますので、私は予算編成方針の策定を、この経済企画庁にやらすこういうことを考えております。なお自由党案からも出ておりますように、外国為替予算案の準備、これは日本の貿易政策の根本であります。またこれが同時に、日本の経済を左右するところの、非常な重要な役割を持つておるので、こういうことも当然私はこの企画庁の仕事としてやるべきだと考えております。なお機構をあまり大きくすることは好みませんけれども、今申しましたようなことをやるについては、今の三部制ではあまりに小さすぎる。そこで私はこの企画庁を長官官房、そして四部を設けて、官房はいわゆる庶務的な仕事をさせる。そして四部は、調整部、計画部開発部、調査部、こう四つにわけて、調整部で各省事務のいろいろの調整をやる。計画部で基本的な、いわゆる長期経済計画を立てる。開発部で、いわゆる国土総合開発、並びに公共事業のいろいろな調整、計画的なことをやる。調査部はこの原案通りの統計その他の調査にあたる。こういうような行き方がいいと思います。それから申し遅れましたが、最後に修正したいところは、公共事業に関する問題でありますが、原案では「国土総合開発及び国土調査に関すること。」ということがうたわれております。また自由党の案によりますと、「公共事業の計画及びこれに要する資金に関する必要な総合調整に関すること。」ということがうたわれております。自由党の案は原案よりもり一歩進んでおりますが、私はもう一歩これを進めまして、單に公共事業の総合調整に限ることなく、公共事業の基本的な政策、並びにその計画ということをやる必要がある。あわせてそれに関連するところの資金に関する、いわゆる基本的な政策計画もあわせてやる。そうしないと、今日の公共事業の全体から見ますと、各省それぞれのなわ張りといいますか、いわゆるセクシヨナリズムと申しますか、これは悪い意味ではなく、各省それぞれ自分の仕事が大事だという、責任感から出ておることが多いのだと思いますが、農林省、あるいは建設省、あるいは運輸省、関係各省がこの公共事業で非常に強いのであります。それがわけのわからぬ大蔵省の予算の面からのみによつてこれが左右されると、実際の面を非常に誤ることが多い。そこでその総合企画庁であるところのこの役所において、公共事業の基本政策、並びに計画を樹立するということが、きわめて私は重大なことと考えます。かような趣旨で、私は本設置法を修正いたしたいと思うのでありますが、これを法文的に、以下改進党の修正案を読んで、速記に残していただきたいと思います。
   の行政機関の所掌に属さない総合的経済政策の企画立案、並びに経済に関する基本的な政策及び計画の企画立案、並びに総合調整に関すること。
  十一、前各号に掲げるものの外企画庁の所掌事務で他部の所掌に属さない事務に関すること。
  第八條第四号を削る。
  第八條を第九條とし、第九條を第十一條とし、第十條を第十二條とし、第十一條を第十三條とし、第九條の次に次の一條を加える。
  (開発部の事務)
 第十條 開発部においては、左の事務をつかさどる。
  一、公共事業及びこれに要する資金に関する基本的政策及び計画の立案及び総合調整に関すること。
  二、国土総合開発に関すること。
  三、国土調査に関すること。
 第十一條及び第十三條中「審議庁」を「企画庁」に改める。
  附則第二項中「審議庁」を「企画庁」に改める。
  (以下省略)
 大体以上の通りでありますが、條文整理を少し急いだ関係上、あるいは少しミスがあろうと思いますけれども、趣旨は冒頭申し上げましたような意味でこの修正案がつくられたのでありますから、どうか各党ともこの修正案に御賛成を願いまして、そうして願わくは、経済安定委員会といたしましては、ここに一本の強力なる企画庁設置法をつくつて、これを内閣委員会に提案し、そうして日本のこの重大なる経済の樹立に誤りを来さないよう、ひとつ皆様の御共鳴を得たいと思うのであります。どうかよろしくお願い申し上げます。
○前田委員長 ただいまお述べになりました社会党及び改進党の経済審議庁設置法案に対する修正意見に対し、またさきに述べました自由党の提案の修正意見等に対しまして鳩首協議いたしたいと思いますので、これより懇談に入りたいと思います。
  本日はこれにて散会いたします。
    午後三時十五分散会