第013回国会 厚生委員会 第37号
昭和二十七年六月七日(土曜日)
    午前十一時三十六分開議
 出席委員
   委員長代理理事 亘  四郎君
   理事 青柳 一郎君 理事 丸山 直友君
   理事 金子與重郎君
      新井 京太君    高橋  等君
      堀川 恭平君    松永 佛骨君
      松井 豊吉君    松谷天光光君
      堤 ツルヨ君    苅田アサノ君
      福田 昌子君
 出席政府委員
        厚生事務官
        (医務局次長) 高田 浩運君
        厚生事務官
        (保險局長)  久下 勝次君
        厚 生 技 官
        (医務局長)  阿部 敏雄君
 委員外の出席者
        総理府事務官
        (地方財政委員
        会財務部監理課
        長)      細郷 道一君
        厚生事務官
        (保險局厚生年
        金保險課長)  和泉 武夫君
        專  門  員 川井 章知君
        專  門  員 引地亮太郎君
        專  門  員 山本 正世君
    ―――――――――――――
六月二日
 母子福祉法制定の請願(高橋等君紹介)(第三
 三七三号)
 同外二件(堤ツルヨ君紹介)(第三三七四号)
 同外四件(多田勇君紹介)(第三三九八号)
 栄養改善法制定に関する請願(堤ツルヨ君紹
 介)(第三三七五号)
 同(田嶋好文君紹介)(第三三七六号)
 同(鈴木善幸君紹介)(第三三七七号)
 同(若林義孝君紹介)(第三三七八号)
 同(大野伴睦君紹介)(第三三七九号)
 同(田中元君紹介)(第三三八〇号)
 同(田口長治郎君紹介)(第三三八一号)
 同(小西寅松君紹介)(第三三九九号)
 同(青柳一郎君紹介)(第三四〇〇号)
 同(鈴木正文君紹介)(第三四〇一号)
 同(武藤嘉一君紹介)(第三四二一号)
の審査を本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
六月三日
 母子福祉法制定促進に関する陳情書(広島県議
 会議長檜山袖四郎)(第二一一六号)
を本委員会に送付された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 小委員追加選任
 医療制度に関する件
    ―――――――――――――
○亘委員長代理 これより会議を開きます。
 都合により委員長が不在でございますので、私が委員長の職を勤めます。
 まず小委員追加選任の件についてお諮りいたします。当委員会に設置されてあります国立公園に関する小委員会は、現在小委員本名よりなつておりますが、これを小委員十一名よりなる小委員会とし、高橋等君を同小委員に追加選任することに御異議はございませんか。
  (「異議なし」と呼ぶ者あり)
○亘委員長代理 御異議なきものと認め、そのように決します。
○亘委員長代理 次に医療制度に関する件に関し、厚生年金保險の積立金運用の貸付條件について、松谷委員より発言を求められておりますので、これを許可いたします。松谷委員。
○松谷委員 私は、去る五月二十一日付で、二十七年度の地方債の起債方針につきまして、地財委事務局長の名前をもちまして、各都道府県知事あてに指示されました例の病院事業許可の予定額中、資金運用部引受け予定の十六億円のうち、約六億円を厚生年金積立金の還元融資とするという通牒につきまして、お伺いをいたしたいと思います。
 厚生当局と、それから地財委の両方にお尋ねをいたしたいのでありますが、かねてから、この厚生年金積立金の還元融資については、私ども厚生委員会といたしましても、非常に念願をいたしておりましたところであり、今回のこうした問題については、非常に喜び、額はとにかくといたしまして、感謝しているものでございますが、その通達の要綱その他を拝見いたしまして、二、三の疑義がございます。初めに伺いたいのは、この地財委がお出しになりました六億円の還元融資をするという、まずこの額をおきめになつた一つの根本的な理由、それは地財委独断でこれを御決定になつたものであるか、あるいは厚生当局と御相談の上でこれを御決定になつたものであるか。額と申しますと非常に部分的なあれになりますが、今回の厚生年金の還元融資という大きな面から考えていただいてもけつこう。だと思います。
○細郷説明員 きようちよつと政府委員が他の委員会に出ておりますので、私監理課長でございますが、かわつて御答弁申し上げます。
 ただいま御指摘の六億円の還元融資の額の決定につきましては、私の方よりも、むしろ厚生当局から御答弁願う方がいいかと思うのでございますが、当初厚生省と大蔵省の間において御折衝がありまして、その結果きまつた六億円を、現在直接に還元融資する方法が法的にございませんために、地方債をもつてかえてもらいたい、こういうことで決定をいたしましたので、額の決定については、私どものいもばあずかり知らぬところでございます。
○久下政府委員 私の方から簡単にいきさつを申し上げておきたいと思います。御承知の通り厚生年金保險の積立金の問題につきましては、厚生年金制度ができましたとき以来、もともと労働者である被保險者の金を積み立てたものでありますので、諸外国の例によりましても、労働者の利益のために安全にかつ有効に還元し、これを利用するというような要望が強かつたのであります。終戰直後、連合軍当局の指令によりまして、預金部資金が、一切地方公共団体あるいは特殊銀行等、特定のもの以外には貸し出せないことになつて、そのことが現在資金運用部資金法に引継がれて今日に至つておるわけであります。厚生省といたしましては、そうした各方面からの御要望もありまするので実は従来、間断なく財政当局、特に大蔵当局と折衝をしておつたのであります。二十七年度の資金運用部資金の運用計画をつくるにあたりまして、こうした各方面の要望にこたえますために、現在の資金運用部資金法の制度のわくの中におきまして、何とかやつてみようというような考え方を大蔵当局が取入れてくれまして、その計画の中に、病院建設の資金として六億を入れてみようというような案が相談があつたのであります。私の方としては、現在毎月本数億円の金が余裕金として預金部に預託されておるような実情でもありまするので、とうてい年間六億円くらいの還元融資では、一般の被保險者あるいは事業主等が満足するものでないと思いまして、この増額につきまして、すぐにその時から話合いをしておつたのであります。何分にも現在の制度が、先ほど申したようなことでもありまするし、地方債という一つの特殊な形式をかりませんと出せないというような事情もありまするし、全体の資金計画の関係もありまするしということでありますので、それでは、ないよりもけつこうであるから、六億でも満足するが、しかしこの問題は、これをもつてわれわれとしては満足しておらぬのである、この程度で糊塗するということでは、とうてい一般の被保險者も納得し得ないであろうということを申し入れまして、一応六億というものを計画の中に入れてもらつたといういきさつでございます。
○松谷委員 そういたしますと、大体この地財委がお出しになつた通牒の問題は、根本的に厚生省と御相談の上でこれが出されたというふうに解釈して、よろしゆうございますか。
○久下政府委員 今申し上げたような程度において、相談がございました。つまり、金額は向うから計画案を示しまして、その増額方を要望いたしましたけれども、その金額は動かなくて、今後の問題を留保しながら、一応これで了承したということでございます。
○松谷委員 私の質問の申上げ方がたいへんまずかつたので、御答弁がしにくかつたと思いますが、六億円の額の問題は次の問題といたしまして、この厚生年金の還元融資という大きな面について、この通達を出されるにあたつて、厚生省と地財委との御連絡がございましたかという、初めの大きな面からお聞きしておるのであります。
○久下政府委員 十分密接に連絡をとつております。
○松谷委員 そこで地財委の細郷課長にお尋ねしたいのでありますが、ただいま久下局長のお話によりますと、六億円という額は、厚生省としては決して満足するものではない、今後もなおこれを要求したいという希望を持つて、一応厚生省としては了承されたという御答弁があつたのでございますが、地財委とされてはいかがでございましようか。その点の先の見通し、あるいはこれを御決定になりました際の含みがございましたら、伺いたいと思います。
○細郷説明員 実は、この六億円という額の大小につきましては、私どもの方といたしましては、はたしてこれが適当なのかどうかということについては、われわれの所管上はつきりしたことはわからないのでございますが、ただ今度の場合、先ほど申し上げましたように、地方債の形をとつて還元融資が行われている。そういう点から、地方債のわくを実質的には六億円だけさいている形になつているわけであります。すなわち、この六億円をも含めまして、本年度の資金運用部資金の地方債に充てる六百五十億というものが、定められているわけであります。従いまして、私の方といたしましては、あとはそれだけの地方団体の地方債の額が減るわけでございますので、地方財政の面から見れば、おもしろくないことでございます。それゆえに、この通牒にも書いてございますように、地方団体の財政との間に、うまく妥協のつくものについてこれを認めるという書き方をしてあるわけであります。従つて、将来これが増額なされます場合には、少くとも地方債という実質的なわく以上にプラス、アルフアーとしてふえるものでありますならば、私どもの方としてはあえて短む理由はないと、こういうふうに考えております。
○松谷委員 ただいまの御説明をいただいて、大体了承できたのでありますが、これは厚生省の方でも要求をいたしておりますように、この六億というもので、医療機関の設備に対する完全な要求というものがとても実施されないことは、厚生省の言われる通りで、私どもは、より強く御要求を申し上げたいと思うのでございます。また、ただいまの御説明で、地方債でなければ、というお話があるのでありますが、これはどうもちよつと現状の財政、大蔵省当局のお考えその他から参りまして、どうもそう楽観はできないものだと思うのでございますが、地方債の中では、もうこれ以上に何ともならないという御答弁と了承してよろしゆうございますか。
○細郷説明員 さようでございます。
○松谷委員 それでは問題を他にかえまして、課長にも、お実情は十分に御了承いただきまして、ひとつ無理ではございましようが、一層の御努力をお願いしたいという希望を申し上げておきたいと思うのであります。
 それから、この通牒に基きましての「厚生年金保險積立金の還元融資実施要領」というものが出されておりますが、これによりますと、この目的のところを見てみましても、あるいは融資の対象を見てみましても、ここに、ことに先ほど御答弁のような、厚生省と十二分の密接な連絡をとつて、これがなされたという御答弁からは、ちよつと私ふに落ちないのでございますが、それはこの文章を見てみましても「昭和二十七年度地方債発行予定額のうち六億円を限り、厚生年金保險法の適用を受ける事業主の連合体又は健康保險組合等の法人の営む病院建設事業に融資し、以て厚生年金保險積立金の還元融資の実を挙げるとともに、同保險の被保險者及びその家族並びに所在一般住民の福祉増進に寄与するものとする。」という目的が掲げられておりまするし、融資の対象の中の2の場合でございますが「融資対象事業が、各都道府県医療機関整備の観点からみて必要と認められる病院の設置又は増築事業であつてその病院の利用については、厚生年金保險の被保險者及びその家族のみならず、一般住民にも公開するものであること。」と、こうございますが、具体的な融資に当られる地財委のお考えによつてこれが文章化されたのか、あるいはこれ自体をも厚生省がお求めになつておられたのか、御相談があつたのかどうかを、重ねて伺いたいと思います。
○細郷説明員 この点については、十分相談をいたしまして、合意の上で出しております。
○松谷委員 それならば、厚生省にもお伺いしたいのでございますが、私どもが記憶いたしますところによりますと、医療法によりましても、医師並びに歯科医師でない者が病院を設立する場合には、医療法によつて都道府県知事の認可を受けなければならないとなつておりますが、少くとも健康保險組合の被保險者あるいは事業主の連合体が主体になるその設立の場合には、やはりその受診者は被保險者に限られる、あるいは被保險者の家族に限られるということが受診の範囲になつて、そういう範囲を示すことによつて都道府県知事の許可が与えられている、こういうふうに解釈をいたして湘つたのでございますが、こういう文章がここに指示されるということになりますと、厚生年金保險法の適用を受ける事業主の連合体あるいは健康保險組合の被保險者を中心にした病院が、一般住民にも公開するものであるというこの言葉と、矛盾があるような気がいたすのでございますが、この場合はどういうふうに解釈をし、実施の上にお考えを持つておられるか。
○久下政府委員 その点は、私からお答えを申し上げたいと思いますが、地方財政委員会事務局長から出ました通牒には、確かにお話のような表現がしてございます。この点につきましては、表現されました文章の上だけでというよりも、むしろ私どもが地方財政委員会当局と話合いをいたしました基本的な考え方を申し上げました方が、御了解をいただけるのではないかと思うのであります。
 先ほども細郷課長からお話のありましたように、また私どもも、それはある程度無理もないことと思うのでありますが、今度の還元融資が、資金運用部資金法の現在の法則のわく内においてやらなければなならないという基本的な制約がございますので、還元融資をするにしましても、結局は地方債という形式をとらなければならないというところに、問題があるわけでございます。つまり、具体的に申し上げますと、地方債というのは、一般地方公共団体が、自己の区域内の住民のための利益をはかるということが、市町村の本来の目的でありますために、その市町村が、形式的にも起債するということでありますと、財政当局としては、先ほど細郷課長からお話のありましたような気持になるわけでございます。しかしながら、また逆にこの還元融資そのものの建前から申しますと、本来ならば、地方債という形式をとらずに、直接必要な向きに貸出しができるようにすることが、私どもとしては望ましいのであります。ただこのことは、現在の法律の改正をいたしませんと、実行できませんので、地方債を担当している地方財政委員会当局には、実は非常に理論的にも実際的にも迷惑なことでありますが、この形式を借りまして、又貸しをするというような形式をとらざるを得なかつたのであります。
 そこで、基本的な考え方といたしましては、あくまでも還元融資という意味が、被保險者の利益のためにこの金が使われるということは、地方財政委員会当局も、私どもの方も、完全に一致した気持でございます。従つて、原則的、主体的には、これによつて建てられる病院は、主として厚生年金被保險者の利益のために利用されるという実体を持つておりますことを希望するといいますか、それに限定するということは、これまた地方財政委員会と私どもの考え方は、一致しておるわけであります。その原則に対する例外的な考え方といたしまして、しかしやはり地方債の形式を借り、形式的には地方団体としても、この融資につきましては、債務償還の責任を負うわけであります。そういう意味におきまして、余裕のある場合には、市町村一般住民にも利用させるようにしてもらいたい、またそういう性格のものが望ましいという財政委員会の方の御要望もありましたので、またこのことは、私どもの部内の医務局などの考えでもありましたので、そういう意味合いにおきまして、所在一般住民の利用にも供するという趣旨が書かれておると、私は了解しておるのであります。従つて、原則的な考え方としては、両方に異存はないわけでありますが、この表現を、ただそういうことを理解なしに読みますと、あるいは表現上逆な意味の解釈が出て来るような表現になつておるかもしれませんけれども、あくまでも、その点は地方財政委員会当局とは、十分話合いがついておるのでありまして、精神が以上申し上げたような点にありますことを、御了承願いたいと思います。
○松谷委員 ただいまの御説明で、その精神のあるところは十分了承いたしましたつそれについては、何ら異議はございません。ただ、この融資の対象を具体的に決定いたします責任は、どこにございましようか。
○久下政府委員 形式的には、地方財政委員会でございますが、実質的には、私の方でも希望をとりまして、よく実態を調査をしまして、財政委員会当局と相談をしてきめて参りたいという話合いになつております。
○松谷委員 もつと具体的にそれを申しますと、一応窓口は地方財政委員会である、具体的の決定は厚生省であると考えてよろしゆうございましようか。
○細郷説明員 ちよつと御参考に、今の病院の起債の状況をお話した方が便利かと思うのでございますが、本年度の全国の府県、市町村から出て参りました病院の起債要求額が現在八十億でございます。それに対しまして本年度起債のわくとして私どもの方で用意しておりますものが、預金部運用資金として十六億、その他の資金、俗に公募と申しますが、これが五億、合せて二十一億あるわけでございます。そのうち先ほど来のお話の預金部資金の十六億のうちの六億は還元融資でございますので、残ります公募も合せての約十五億が、八十億に対する数字になるわけでございます。お話の通り非常にきゆうくつな状況でございますし、また一面、厚生省の方といたしましても、公的医療機関の整備に非常にお力を入れておられますので、私の方も、なるべくそれに沿うようにという趣旨から、年々病院起債については、若干ずつなりともふやして参つたわけでございますけれども、そういつた要望も一面ございますので、こういう還元融資だけということで参りますと、その間の調整が十分とりにくいのではないか、そこでこういう通牒を出したわけでございまして、この通牒の中にもございますように、還元融資の目的も達するが、あわせてそこの所在の公共団体のかねての要望も、なるべくあわせて達するようにしたいという気持から、こういう通牒になつておるわけでございます。従いまして、その事業主体と当該地方公共団体との間で十分な協議ができたものを申請をしていただく。なお、ここで地方団体にとりましては、もちろん転貸の場合の危険負担というものがあるわけでございます。そういう点もございますので、十分な協議をした上で申請していただきましたならば、その整つたものにつきまして、私どもの方も一つの判断の基準をもつて――厚生省の方としても、もちろんあると思いますので、その点につきましては、両者よく協議をいたしまして、両方の意見を調節したものを取上げたい、こういう気持であります。
○松谷委員 ただいまの説明で了承いたしましたが、この通達の中では、ただいま御説明いただきましたように、地方公共団体と事業主体との協議の結果、それを提出してほしいという御希望でございますね。その具体的なものを――私はまだ全部を見ておりませんが、はつきり明文化されておるのですか。
○細郷説明員 お配りいたしました「厚生年金保險積立金の還元融資実施要領」のうちの三の融資の対象のうちの4でありますが、「事業の実施内容、資金の転貸に伴う危険負担等の諸事項について当該地方公共団体と事業主体との間に協議の調つたものであること。」というふうに書いてございます。
○松谷委員 具体的になりますが、参考までに伺つておきたいと思うのでございます。要求の前提條件が、地方公共団体との協議ということになつておりますから、もちろんそれを経てからのことではございますが、たとえば「事業主の連合体」というふうな言葉が使つてございますが、これをもう少し打明けて、具体的な例を御説明いただきたいのでございます。たとセば厚生連のようなものも、この事業主の連合体というものに含まれるかどうかという点を、参考までに伺つておきたいと思います。
○久下政府委員 具体的な例をあげてのお話でございますが、私どもの考え方は、先ほど申し上げましたように、この資金は、被保險者である労働者の利益のために利用される施設ができ上るということが、あくまでも目的でございます。そういうことから考えますと、厚生連は確かにある意味では――いわゆる法人の事務所になりまして、その職員そのものが厚生年金保險の被保險者である、そういう意味合いにおきまして、厚生年金保險法の事業所の主体であるかもしれませんが、しかし厚生連そのものの存立の目的から申しますと、特定の勤労者のための利益をはかる仕事をするということは、私はこの目的に沿うものではないと思うのであります。そういう意味合いから、原則的な考え方としては、厚生連がただちにここに書いておりますような範疇に入つて来るものとは理解しておらないのでございます。もちろん、いろいろ例外的な場合、あるいは特殊な場合もありますので、一概に否定的に申すわけではございませんが、今申し上げましたような理由で、厚生年金保險法の事業主体であるにいたしましても、その法人そのものの本来の存立の目的というものがあるのでございますから、その辺のことと、またそれが実際に行います事業の実態というようなものとも考え合せまして、決定をすべきだと思います。建前としては、今申し上げましたように理解をしておるのでございます。
○松谷委員 ただいまの御説明を伺つて、私は初めから伺つて了承した御答弁が、何かくつがえされたような気がするのでございます。これは具体的な例になりますので、いかがかと思いますが、それの一例を厚生連にとつたにすぎないのでございますが、厚生連のような性格を持つ団体が営みますところの病院というものの建設について、これが適用を受けることができないということになりますと、今後の融資の対象の御決定というものは、はたして先ほどから御説明いただいておりますような精神にのつとつた御決定が、一体いただけるのかどうか。そうなりますと、先ほど還元融資の性質から出て来るのだというお話でもつて了承をいたしました、いわゆる被保險者だけがその利益を受けるところの病院という一つの利限があるにもかかわらず、ここには一般の住民の福祉ということも添えてうたつてある。それは一つの還元融資というものを、上り一つの公共団体全体への福融というものに持つて行かなければならないという、その精神から出て来た解釈ということによつて、ともすれば裏をとられがちな、あるいは字句通りに行けば非常に矛盾のある一つの文章というものを私は感じたのでございます。何か先ほどからの御答弁いただいている御説明と、ただいま具体的な例をあげまして、厚生連の営む病院はその対象ではないと考えるという御答弁との間に、私は食い違いがどうも感じられるのでございますが、もう少しそこのところの御説明をちようだいしたいと思います。なお、こ罰は地財委の方にもその御見解を伺つておきたいと思います。
○久下政府委員 私の答弁に対する重ねての御質問でありますので、まず私からお答てをいたしますが、私は実は先ほど来申し上げておることと矛盾をしておらないと考えておるのであります。と申しますのは、農業協同組合を例にあげてのお話でございますから、それをまた例にとつて行きたいと思いますが、私から申すまでもなく、農業協同組合は病院の経営を相当たくさんやつております。これはあくまでもその組合員でありますところの農家の利用施設としてやつておるのでありまして、それがまた本来の目的であると思うのであります。それがまた同時に、農業協同組合の存立の目的でもあると思うのであります。そういう意味の病院をやることが建前になつております農業協同組合が、この資金を利用することによつて、存立の目的と直接の関連がないと思われまする一般勤労者の利益をはかるような病院の経営をするということは、そういう意味において一般的、原則的には矛盾があるのではないだろうか。そういう意味において、ただちに農業協同組合がこの融資の対象として――他の例をあげて申し上げますと、たとえば健康保險組合というものがございますが、そういうものと同列に、同じ趣旨で取扱わるべき性質のものであるかどうかということを、申し上げたわけであります。
○細郷説明員 私の方は、今回の還元融資の事業主体については、最も素朴に考えまして、工場、事業場の非常に多いような、俗にいわれる労働都市、そういうところにおいて、病院が非常に不足しておるとか、あるいは病院がないというような場合に、これをつくるならば、先ほど申し上げました医療機関という面から見ましても、地方団体の面から見ましても、あわせて還元融資の面から見ましても、妥当ではないかという見解から、現在のところは今厚生省当局の御答弁になつたような考え方を、やはり持つておるわけであります。
○松谷委員 一応ただいまの御説明は、厚生当局の御意見、あるいはまた地財委の御意見として承つておきたいと思います。まだ私の申し上げたいことも多々ございますが、これは他の委員からの質問もございましようし、時間をとることでございますので、また機会を別にいたしまして、局長ともいろいろと意見交換をさせていただきたいと思います。ただいま地財委のお方の御説明にも詳しく、ございましたように、ことに、今回は労働都市を中心にしてこの融資の対象としたいというお話でございます。もちろん、労働都市にその助成の必要なことも、十分認めなければならないと思うのでございますが、と申しまして、一方それでは都市の毎にこれを考えて、農村にまつたくこれを考えないという行き方も、私はどうかと思うのでございます。ことに、私どもがしろうとの目から一応分布を見てみましても、労働関係の、ことに労働都市方面には、工場その他の厚生施設というものは、農村に比べまして、より完備している。完全な完備とまでは申しませんけれども、農村に比べた場合には、まだ医療施設というものが充実している。これはほんの常識で考えたところでございますがそういえるのではないかと思うのでございます。それに引きかえまして、農村地帯の医療機関というものは、無医村の場所もまだ多々ございますし、無医村ならずとも、医療施設というものは非常に貧困でございます。ことに、先ほど例にとりました厚生連などの担当いたしております病院その他が、地方公共団体にどれだけの利益を与えるかということも、ひとつ十二分にお含みいただきたいと思うのでございます。農村地方に営まれますこうした事業団体が、先ほどから伺つております、今回の対象の一つの條件である公共団体との協議ということを経て、当局に要求をなされました場合には、今回の行き方が、労働都市に限るのだという、その狭いお考えでなしに、地方公共団体との協議を経て来たものであるならば、ひとつ十二分に御考慮をいただきまして、最も公平な――わずか六億ではございますけれども、できる限り全国に平等なと申しますか、言葉はいかがかと思いますが、妥当な対象の御決定を煩わしたいと思うのでございます。なおいろいろ具体的な問題が出ました際に、協議をさせていただきまして、御当局の御協力を得たいと思つております。一応私の質問を終ります。
○亘委員長代理 丸山直友君。
○丸山委員 ただいま松谷委員からいろいろ御質問になりましたことに対する御答弁を承つておりまして、ややその間の経緯は、私としても了承する点もあるのでございますが、しかし問題となりますのは、これは公文書であるということであります。しかもこれを受取る者は、府県知事なのであります。府県知事がこういうものを公文書として受取りまして、ただいまの久下局長から御答弁になりましたことが、そのままにこの文章から受取れるか。これは受取れません、絶対に受取れません。そういうことは書いてないのである。「厚生年金保險の被保險考及びその家族のみならず、一般住民にも公開するものであること」――これは條件であります。この條件に当らないものは融資を受けることはできないのだ、そういうふうに受ける。ただいまの御答弁とは、その間に矛盾がある。公開するということを原則としてうたつてある。その病院設立の事業が、一般住民を対象とするものであることを明確にしたもの6なければ、この條項に当てはまらないということは、この文章から見て明確なんです。しかも、それを決定する場合には協議をする。先ほどの御答弁であると、地財委は決定権を持つているが、保險局長と相談をしてきめるということであります。しかし、この第四項を見ますと、当該地方公共団体と事業主体との間に協議をする。それがきまれば、実権を持つておる地財委が、それに対して融資をするのであります。久下局長がこれに関与するということは、この文章には何ら出ておりません。それについて、どういうふうにお考えになるか。ただ私が心配しますことは、大体この健康保険組合等の法人の営む病院、あるいは他の事業主の組織するものは、一般住民に公開するということを原則としておるものではないはずであります。一方にそういうことが鉄則としてきまつておる。しかもこの中には、一般住民に公開するということが、融資の鉄則として書いてある。この鉄則の間に矛盾がある。この矛盾を、あなたはどういう方法で御解決になるのか。たとえば、地方の府県知事は、この文章をいかように受取るとお考えになるか、その点に対する明確な御答弁を願いたい。
○久下政府委員 先ほども松谷委員の御質問にお答えをいたしたのでありますが、確かにこの実施要領には、一般住民の福祉をあわせて増進することを要件としておりますが、実際にその点は、地方債という形式を借りてこの融資が行われます限り、地方債を扱つておられます地方財政委員会の考え方が、そういう点にありますことを了承いたしたのであります。しかし、これはあくまでも主体は、原則的には被保險者の利益のために利用されるという実体があり、その例外的といいますか、附随的に、余裕のある限り所在一般住民の利用にも供することを條件とするというふうに、私は理解をしておるのであります。そういう点につきまして、具体的の場合は一概に言えませんので、実際に出て参りました申請書によつて判断をしなければならぬことは、お話のあつた通りであります。私はその点につきましては、別途都道府県知事に通知を出しまして、地財委に正式な申請をいたしましたときには、その写しを厚生省保險局に提出をするようにということを通知を出してございます。その書類によりまして、あと地財委との相談のことは、これは政府部内の話合いの問題でありますので、先ほど来申し上げておりますように、両当局了解の上に、そうとう形式によりまして、正式には地財委に出ますが、その写しが私どもの方に出て参りますそれによつて判断をして、双方の意見の調整をして行くというような手続をとりたいと思つております。
○丸山委員 久下局長の精神は、先ほどから了承しているのですが、この文章は、ただいまの久下局長の御答弁とは全然違う印象を与えるのであります。よくごらんになればわかる。「その病院の利用については、厚生年金保險の被保險者及びその家族のみならず、一般住民にも公開するものであること」ということが、この條項の原則なんです。厚生年金保險の被保險者及びその家族を主体とするものであつて、一般住民にも場合によつたら公開するということを、多少軽くうたつているのではない。「その家族のみならず」、それだけではいけない、一般住民にも公開するということが、重要なる條件なんです。ただいまの御答弁と文章から受ける印象とは、全然違う。これはどういうことであるか。あなたのお考えについては、わかる。これを受けた地方の府県知事は、この文章をどういうふうに解釈するか。これは日本人の普通の文章を見る上から見れば、当然なんです。表現の方法がまるで誤つている。こういうものを出して、一体よろしいのか。この文章を出すことについて、御協議になつたのかどうか、それをしつかり承りたい。
○細郷説明員 文章につきましては、先ほど来何度も申し上げますように、十分協議いたしたのであります。ただいまの御質問の点に関連いたしますが、もちろんここの第二項のところの「家族のみならず、一般住民にも公開する」ということは、先ほど来申し上げております現在の病院の充足状況、あるいは地方債の病院用に振り向けられる額の問題、あるいは厚生省でやはりおとりになつております医療機関の整備といつたような問題みんなが、折衝の結果の表現でありますので、表現そのものがそうであつても、たとえば、次の第三項には「厚生年金保險の被保險者及びその家族の数がその地域を管轄する市又は町村住民の相当数以上を占めていること」といつたようなところで、大いにその趣旨を表わした、こういう考えで、この文章を書いたのでございます。
○丸山委員 先ほどから申し上げておるように、そいうう御精神はわかつておるというのです。しかし、この文章からは、そういう意味はちつとも現われておらないということです。府県知事がこの文章を見た場合に、そういうふうに理解するはずがない。これは日本人が文章を読んだ場合にあたりまえなんだ。厚生年金の被保險者及び家族というものを、一般住民に灸開することの方に主点がある。この文章の結論は、ちつともあなたのお考えになつておるようなことは出ておらない。しからば、一般住民に公開するということが原則であるならば、厚生年金保險の積立金は、一般住民の利益になることならば、こういうことでなくても、厚生年金の被保險者プラス一般住民、つまり日本全国民、それの利益になる施設であるならば、何もこういうことでなくとも、もつとたくさん融資を出したらいいじやないですか、そういう結論が自然に出て来る。医務局長にちよつと伺いたい。この文章から出て来ることによりますと、医療体系は相当乱れると思いますが、医務局長は、その御相談にあずかりましたかどうですか。
○阿部政府委員 先ほど細郷課長から御答弁申し上げましたように、最近地方庁の…。
○丸山委員 いらないことは言わなくてもいい。相談を受けたかどうかということを聞いているのです。
○阿部政府委員 相談は受けております。
○丸山委員 医務局長は、この文章に御相談をお受けになつたそうですが、この文章によつて、医療体系といたしまして、健康保險組合あるいは厚生年金保險法の適用を受ける事業主の連合体が組織する医療法人、そういうものは一般住民にも公開することを原則とするような線でこれから行くということを、御決心になつておるのかどうか、その点をはつきり……。
○阿部政府委員 お答え申し上げます。この通牒によつて、保險組合その他の、元来その利用範囲だけで制限すべき診療機関が、一般に公開することを、そういう原則を認めたかというお話でありますが、今度のいきさつから申し上げまして、地方で公的の医療機関をつくるという希望が非常にたくさん出て参りました。その額が八十数億になつております。従つて、この還元融資におきまして、その利用の対象は、勤労者の福利増進にあるわけでございますから、この還元融資の利用される範囲は、今久下局長から申されましたように、健康保險その他の診療機関を主体とするが、それと同時に、地方の公的医療機関にも、そのゆとりがあればまわしていただくという趣旨から、この問題は、そんなに医療体系を乱すものではないと考えまして、この考え方に賛成したわけであります。
○丸山委員 ただいまの御答弁は、私の質問に対する御答弁ではございません。私は、こういう文章で表わされて、健康保險組合、厚生年金保險法の適用を受ける事業主の連合体が組織する医療法人、こういう一般住民に公開するということを原則とするものでないはずのものが、こういう文章で、一般住民に公開するということが条件になつて来た場合、将来医療体系として、こういうものが被保險者を対象とするの出なくて、一般住民に公開するという原則をお認めになるかどうかということなんです。その原則をお認めになつたら、医療体系がどうなるかということなんです。
○阿部政府委員 健康保險組合の病院にゆとりがある場合には、組合員外の利用もある程度認めております。今度の融資は、地方債というものを融資するという建前になつておりますので、この際に限つてはこの程度で認めたいと思つて、賛成したわけであります。
○丸山委員 どうせ満足な答弁は得られないようであります。しからば、この文章から地方の都道府県知事の受ける印象は、ただいま御答弁になつたことや、御説明になつたことと全然違う印象を当然受けます。これは私が県知事であつても、当然そう考える。よつて、保險局といたしましては、ただいま御答弁になつた趣旨を、この文章のほかに次官通牒その他の方法をもつて、各都道府県知事に御通牒になる意思があるかどうか。その点を明確になさる意思があるかどうか。地方債というものは、その地方住民一般の利益をはかる目的以外にはないので、その形をとるためにこういうことが必要であつて、それが主たる目的ではないの荘。一般住民に公開するということが主たる條件ではないのだ、一部分において使つてもいいのだというふうな軽い意味であるということを、誤解のないように御通牒になる意思があるかどうか。そういう御意思がないということになると、これは私は問題になると思います。
○久下政府委員 実はその御趣旨をそのままそこに書いたようにはなつておらないのでありますが、地方財政委員会事務局長の通牒は、本年五月二十一日付でございますが、二十八日付をもちまして、私の名前で都道府県知事に通牒が出ております。その表現は、ただいまの問題に直接触れてはおりませんけれども、その本文に、地方財政委員会事務局長より通牒をせられたところであるが、当該病院の設置または増築が、主として厚生年金保險の被保險考及びその家族の福利増進を目的としている点にかんがみ、それが実施については前記通牒による云々というようなことる書きまして、ある程度これの融資を受ける団体等につきましても例示をしたり、それから、先ほど申し上げました地方財政委員会の方に一切の手続をしたならば、その旨を必ず当局に届けるようにというような通知を出しておるのでございます。それで私は、実はその点を私が申すのもいかがかと思うのでありますが、私どもの理解は先ほで来申しておりますことであり、同時にまた、このことが地方財政委員会の事務局長の通牒の本文には、厚生年金保險法の適用を受ける事業主の連合体が組織する医療法人または健康保險組合等の法人の営む病院建設事業に、地方公共団体が起債し、これを転貸することになつて還元融資とか、そういうことになつたというような基本的原則がうたつてございますので、それらと符節を合せた表現になつておりますし、またこのことは、実は先般全国の保險課所長会議を開きました際にも、私どもそういう趣旨を申してごげいますので、御要望の点は、すでに私どもの考えでは徹底しておるつもりでございます。
○丸山委員 そういう通牒が出ておることは私は存じませんでしたので、申し上げておつたのでありますが、その点誤解のないように、十分なる処置をとられたいということを要望いたしますが、ただいまの後段の御説明では、ちよつと私は納得しかねます。それは今の地方の府県知事に出した文章に、これこれの営むこれこれに地方債を起債してこれに転貸することになつたから間違いないとおつしやるその後段は間違つておる。「あるが」、その次に「要領によつて」と書いてある、その要領の方が主点であります。その要領は、一般住民に公開するということが重点であります。後段の御説明は全然納得できない。
 医務局長に、最後にお尋ねいたします。融資の対象としては健康保險の被保險者、厚生年金保險法の適用を受ける被保險者を主体とするものであつて、一般住民に公開するということは基本的な條件ではない。そういうふうに医療体系をかえて行く意思はないということを、明確に御答弁くださいませんか。どうも明確な御答弁がないのでありますが、ただこの場合はそう思うというだけの話で、医療体系はどうお考えになつておるということに対して、さつき御答弁がなかつたので、その点だけは明瞭にもう一度御答弁願いたい。
○阿部政府委員 医療体系といたしましては、健康保險組合の病院は、今の利用者を対象とすべきであつて、余裕があれば一般の民衆も診療してよろしい、組合員外の診療もある程度認めるということでありまして、これを原則とするという考えは、今のところはございません。
○丸山委員 了承いたしました。
○福田(昌)委員 丸山委員の御質問に対する御答弁をお伺いしておりましたが、よくわからない点がございますので、重ねてお尋ねいたします。
 まず阿部医務局長にお尋ねいたしたいのですが、この融資の対象になつております今問題にしておられるところの「一般住民にも公開するものであること」というこの文句は、こう書いてあるけれども、これを読んだ場合、これは無視してもよろしいという御答弁としか受取れないのですが、地方でそのように解釈してよろしいのですか。
○阿部政府委員 いや、そういう意味ではございません。今回の、地方の実態から公的の医療機関をつくりたい、それについて、起債をたくさん申請して来ておるのでございます。しかし、わくが非常に少いので、それでこの融資においても、もしゆとりがあれば、地方の公的医療機関、すなわち一般の人を対象とする医療機関、できるだけそつちの方にまわしてもらいたいという趣旨でございまして、今の御質問のようなのとは、ちよつと違うと思います。
○福田(昌)委員 もしそうであるといたしましたならば、その融資の予算的な面において考えられるときに、一般住民にも公開するものであるという文句をおつけになつたらいいと思うのであります。今現実にそういう状態でないときに、こういう文句をおつけになるということにおいては、私は初めからこういう文句はつけてあるけれども、これを読んだ地方自治体においては、この文句を少しも尊重する必要はないという意味において、おつけになつたとしか受取れないのでございますが、重ねて御説明いただきたいと思います。
○久下政府委員 便宜私からお答え申し上げます。先ほど来御説明を申し上げておる通りに、この融資が地方債という、本来一般住民の利益の増進をはかるべき公共団体に貸し付けられまして、それからさらに事業主体に転貸されるというのが原則的な建前になつております。そこで形式的には地方債の形をとるにすぎないとも申せますが、また同時に、法律的に申しますと、地方公共団体は、この債務の弁済につきまして責任を負うわけでございます。そういう意味合いから、地財委の当局といたしましては、附随的でもこういう條件をつけてもらわないと、地方債の衣を着せるのに困るからというような話があり、私どもとしても、それはもつともでありまして、実態から見ましても、そこにりつぱな病院ができまして、それが工場の労働者だけが利用しておつて一般の人は指をくわえて見ておらなければならないというような実態も適当でないと思いまして、余裕のある限り、一般の住民にも公開をして、利用させたらいいのではないだろうか。少くとも今度の六億につきましては、医療機関の現状から見まして、その程度の考え方で措置してよろしいのではないかというふうに考えましたので、地財委の御要望をいれまして、あるいは表現上、丸山先生のおつしやるように、適当でない点があるかとも思いますけれども、気持におきましては、さような考え方でこの文章を地財委から出していただくことにし、医療局の方にも、私の方から御相談申し上げて御了解を願つたというのが、実情でございます。
○福田(昌)委員 厚生当局の御説明の御趣旨は、よくわかるのでございます。そういう御趣旨であれば、そういう文章にしていただきたいというのが、私どものお尋ねしている要点でございます一地方債のいろいろな手続上、またその文句の合理性の上から、一般住民にも公開するということを使いたいのであれば、そういう意味で、事実は一般住民にも公開するものでないけれども、合法的な文句として、それは必要だからつけ加えておるということを正直におつしやつたらいいと思うのであります。そうでない、この文句の通りであるということの御答弁であるならば、将来この融資の対象になるところの事業は、一般住民にも公開するような取扱いにするのだという腹案、あるいはまた近いうちにそうするというお考えがあつて、そうなされたことであるか、どつちかにおきめにならなければ、曖昧模糊として、こういう文句であつては、ただごまかしの文句であつて、地方債のただ一つの手続としてこういう文句を使わなければならない、ただごまかしに使つておるのだというようにしか私どもは考へられませんし、またこれを受取つた地方でも、こういう文句は書いてありますが、なに、これはごまかしで、いいかげんに読んでおつたらいいのだという無責任な考え方をするのは当然であるし、そうでなければ、この対象事業に対するところのいろいろな指示ができないと思うのです。もう少し厚生当局は、おつしやることはよくわかるのでありますが、その気持をなぜ正直に文章にお書きにならないかということなんです。
○久下政府委員 私から重ねてお答え申し上げたいと思いますが、実は丸山先生の先ほどのお話と、今おつしやつたこととは逆でございまして、一般住民に公開することが原則であるような印象を受けて、少くとも私が先ほど来申し上げておりますような趣旨と反するというようなお話でございました。それは大体了解していただけるように存じますが、今の福田先生のお話は、またこれを一般住民に公開するのは、やつてもやらなくてもいいのだというように御了解のようでございますが、そういう意味ではないのでございまして、実は医務局とも話合いをし、私どもの方は、実は地財委との間に立ちまして、いろいろと連絡をいたしましたので、私から申し上げるのでございますが、今回の六億の融資によつてでき上ります病院は、地域的に申しまして、そこに厚生年金保險の被保險者が相当数おり、しかも病院が少いので、厚生年金保險の被保險者も困つておりますと同時に、一般の住民も困つておるような地域を第一義的に考えまして、そういうところに病院をつくつて行く程度で、この六億円では、その程度であろうということを考えまして、その意味で今回の六億の問題につきましては、厚生年金保險の被保險者の利益還元、還元融資ということが主体的な考え方ではありますけれども、日本の現在の医療機関の整備の情況かな見て、今申し上げたような地域を選び、またそういう意味で、一般の住民にも余裕のある限り利用をしてもらうということを條件にしておるつもりでございます。
○福田(昌)委員 その御説明は、私よくわかるのです。わかるのですが、丸山さんのような解釈もできるし、私のような解釈もできるというところに、この文章の曖昧模糊としたものがあるから、それを正直に御訂正なさつたらいかがですかということを、私は言つておるのです。それができないために、時間を費して、いろいろなまわりくどい答弁をしていただくに及ばないのです。こういうごまかしの文章を書いて地方に押しつけるという気持が、私ども不愉快だということなんです。その点をもう少し御説明願いたい。正直にやつていただきたいということなんです。
○細郷説明員 私も、この文章の作成には、現実に参画したものでございますから、申し上げたいと思います。先ほどもちよつと触れましたように、現在地方債のわくを決定する場合に、地方の最小限度の需要を見積つて、それに見合うものとして、地方債のわくを決定をしておるわけであります。従いまして、六百五十億本年運用部の資金から出ますが、その額については、それに見合う歳出が上つておるということが前提となつておるわけであります。その中から六億円をさくという関係上、これを還元融資だけということでは、どうしても私の方としてはその中をさくことはできない立場にあるわけであります。そういう意味で、今御質問になつた一般公開も、それはまやかしだとおつしやいますが、そうではないのでありまして、実際に一般公開をしていただきたい、そういうことでこの文書ができておると御解釈願いたいのであります。
○福田(昌)委員 細郷課長のご説明もまたよくわかるのです。では医務局長にお尋ねしたいのですが、そういう一般大衆に公開するということをお約束の上できまつたとおつしやるのですが、そういうことを引受けておられるのですか、そのことをお伺いしたい。そうしませんと、一般大衆というものは、はなはだ迷惑をするのです。一般大衆の福祉増進ということは、あらゆる場合に、ためにする名目に使われますが、一般大衆というものは、案外福祉増進にあずからない。こういうごまかしは、私どもは好まないから、お尋ねしておるのです。
○松谷委員 福田委員のにあわせて、一つ関連ですから……。もつと具体的な例を引いてお尋ねしたいのでございますが、今までの建前から参りますと、たとえば健康保險の組合によるところの病院、あるいは厚生年金保險法を適用されるところの事業主の連合体によるところの病院、そういうものが地方にございましても、その被保險者でない私どもは、遠慮して医療を受けなかつたのでございます。しかし、今度こういうような通牒が出まして、地財委のような御解釈があり、そしてまた、ことにそれを了承された厚生省ということになりますと、私どもは、そうした被保險者ならざる私どもも、当然医療を受ける資格があるというふうに認識をかえて行かなければならないと思うのでございますが、その場合に私は、問題は医療法にもかかつて来るのではないかと思います。医療法を改正して、一般にそういう特別、病院をも開放する御意思がおありになるのかどうか。そういう点を、はつきりしていただきたいと思うのでございます。
○高田(浩)政府委員 今松谷委員から御質問のありました医療法の改正でございますが、これは医療法を改正する必要はないと存じます。
○福田(昌)委員 医療法の改正は必要としないでしよう。でしようが、この一般住民にも公開するものであるかどうかという運営に対しての御答弁が一向ないようですが、そのことをまずはつきりお伺いしたいのです。
○高田(浩)政府委員 先ほど来、保險局長から申し上げておりますように、それは本質的に申し上げれば、たとえば健康保險組合等が設けます病院というものは、その組合員の利用を主としてやつて行くということは、当然のことであるわけであります。その本質的な趣旨というものは、この場合もかわらないわけでございますが、今度の起債に関する特殊の措置からいたしまして、先ほど来保險局長が申し上げておりますように、その根本の趣旨に沿つて一般の住民に対しても診療を行うことがある、公開をするということになつておるのであります。
○福田(昌)委員 具体的には、この融資の対象になつておる病院に、被保險者でもないし、この従来の解釈から言いますと、治療を受けることができないと思つて遠慮しておつた向きが、治療を受けに行つたとしますと、それはどうなさるのですか、これからは全部お引受なさるのですか。
○久下政府委員 病院の経営の監督の方までは、私どものことではございませんが、起債に関連する問題でございますので、私の考えておりますことを、特に具体的なお話でございますので、申し上げたいと思います。
 先ほど来申し上げておりますように、あくまでもこの融資は、厚生年金被保險者が積み立てた金を還元融資するという精神でありますので、これによつてできました病院の経営の主たる目的は、そうした被保險者及びその家族の利用に供するというのが建前と考えております。しかしながら、先ほど来申したような、また地財委方面の御要望もありいたしましたので、余裕のある限り、一般住民の利用にも公開をするということにいたしたのでありまして、これは結局病院の実態によつてどうなりますか、今の具体的なお尋ねには何とも申し上げかねるのでありますけれども、一般の住民がみてもらいたいといつて外来に来、あるいは入院を望んで参りましても、時間的に、あるいは入院設備の余裕がないということであれば、これはやむを得ずお断りする以外はないと思うのであります。それはやはり病院運営の建前として、今申したような考え方で、その範囲内において、また一般の人に利用していただくということに考えておるわけであります。
○福田(昌)委員 ただいまの久下局長のお話を承つておりますと、こういう文句にしなければ地財委の了解を得られないから、こういう文句にしたのだ、具体的な問題になれば、それはその持ち場持ち場でかつてに御判断願うのであつて、われわれの権限ではないというような御答弁で、結局、厚生省はきわめて無責任で、地財委の御意向をくんで一般住民にも公開するというような文句を入れたのだ、ということになるのですが、地財委は、それでよろしいのですか。
○細郷説明員 これは先ほど来何度も申し上げておりますので、十分おわかりのことと思いますが……。(「わからない」と呼ぶ者あり)やはり公開はしていただかなければならない、単なる文字ではない、こういうことであります。
○福田(昌)委員 それじや事実が了解できないじやありませんか。
○松谷委員 先ほどの久下局長の御答弁では、余裕がなければ一般の住民は断るのだ、やむを得ないじやないか、こういうお話でございますが、そういたしますと、私は、この融資を受ける対象から、地財委の御説明によると、漏れるではないかと思う。一般住民をそこで扱うことができない、一般に公開することができない。これは本来その病院の建前が、厚生省側からお考えになつて、余裕がなければ一般には公開しないでいいのだ、これは先ほどから丸山委員の御質問になつておられる、厚生省側の原則だと思うのでございます。今まではそれを了承いたします。一般住民は、むしろ住民の方から遠慮しておりました。ところが、今福田委員も御質問になられたように、こういう通牒によつて、そういう厚生省の建前がかわつたのだ。地方公共団体との協議の結果、その起債を要求いたしました場合に、対象として受入れた以上は、やはり余裕があるということを、地方公共団体と十分に折衝の上、一般にも公開できるという一つの本来の厚生省側の立場にプラスして、私はおそらく地財委の一つの対象のわくに入るのだと思うのでございますがその場合に、一般には公開できないのだということになれば、私は対象の資格を失うものだ、こう解釈できるのではないかと思いますが、その辺はいかがで、ございましようか。
○久下政府委員 たいへん話が具体的な問題になりますので、実は私どもも、どういうところから申請が出て参りますかということは、まだ見当もつかないような状態でございます。そういうときに判断をする考え方といたしましては、先ほどもちよつと申し上げたのでありますが、地域的にまず病院が少く、病院の必要があるということが一つの要件でございます。同時にまた、その地域におきまして、厚生年金保險の被保險者が住民の相当多数を占めておる。これは多ければ多いほど私たちの立場としては、そういうところは優先すべきものだと考えております。私どもはそういう意味合いにおきまして、病院がなく、かつ厚生年金保險の被保險者が多いところに対しまして、とりあえずこの十六億円の融資をして参りたいという考えでございますので、そこにできました病院は、そのできました病院の経営方針を、被保險者だけで一般住民には利用させないのだ、門戸をとじてしまうのだというような建前で運営するのではなくて、一般の人も利用してくださいということでやらせるつもりでございます。そうなりますれば、自然住民の多数が被保險者でございますから、そのときに、あなたは被保險者でないから待つていなさいということは不自然でございまして、実際問題としては、適当にそこは運用されて行くのじやないか。問題は、どういうところにこの融資を認めて行くかという実際の処理の問題であると思います。そういう意味でありますので、私ども実はまだそこまで地財委とも話し合つておりませんし、具体的な申請が出ました場合に、また同時に――これは私から申し上げていいかどうかわかりませんが、地方財政委員会と私どもとは立場の相違がございますので、その間にあるいは個々の具体的な問題を御引例になつて御質問いただきますと、解釈の違いが出て来るかもしれませんが、しかしながら、そういうところにつきましては、先ほど申し上げましたように、少くともわれわれは、この精神で地財委の当局と、具体的な問題について、どれを優先的に認めるかというような話合いをするつもりでおります。
○松谷委員 先ほどの御答弁と今の御答弁と、少し食い違いがあると思うのであります。そうすると、先ほどお話になりました、余裕がなければやむを得ない、一般大衆の診療はしなくてもしかたがないのではないかという御説明は、お取消しになると了解してよろしゆうございますか。
○久下政府委員 私は取消す必要を感じないのであります。と申しますのは、患者が具体的に病院に来た場合に、断わるかどうかという意味でお尋ねだつたので、そういうつもりでお答えしたのであります。つまり患者が具体的に、外来診療に来て、診察をしてくださいといつて来た場合に、もうきようは満員ですからということでお断りするのはやむを得ないと思います。あるいは入院をしたいと思つても、たまたまそのときに被保答者の申込みが早く来て……(「いつも断れる」と呼び、その他発言する者あり)ですから、そういう病院経営の方針としては、一般の者にも利用していただく。従つて、李等に開放するわけでありますが、実際は、つくられておるところは、被保險者の多いところにつくられておりますから、従つてこの還元融資の目的が達成されるであろうというのが、私どもの考えでございます。
○松谷委員 くどいようでございますけれども、私どもは、むしろその具体的な問題が大事なことだと思うのでございます。今考えておかなければなりませんのは、ただいまのお話によりますと、一ぱいだからきようはもう診療を打切るのだ、あるいは一ぱいだから――入院の問題はベツドその他の関係もございますから、別問題でございますが、少くとも診療を依頼せられた場合には一ぱいだからもうやめるのだ、ことに被保險者でないから、一般の者だから断るのだということになると、私は大いに問題があると思うのでございます。これが営利を目的とした病院ならば別でございます。しかし、少くとも今回のこの建前は、営利を目的にせずということが、一項うたつてあるというところに、私は当然、ことにこの還元融資であり、国家の財源を使つているところのそうした病院の性格であるならば、診療しなければならないという義務があると思うのであります。そういう建前からしご、地財委の方で言われるように、とにかく一般に公開するということをぜひ條件にしてほしいという、またそれを了承されてこれを厚生省側でも了とされた。先ほどの御説明でも余裕のある限りやらなければならないという御説明であるならば、一ぱいだから断つてもいいということは――それは現実から参りまして、どういう具体的なその場の処置がとられるか、私はその病院を預かる者の良識によつて決定されると思うのでございます。少くとも厚生省の建前として、本省の御意見として、断つてもいいというようなことを考えておいでになるとするならば、この地財委の御意見とは、はなはだ相違するものがあつて、一つの法律を運営して行こうとするのに、一つの通牒を実施しようとするのに、私はそれほどの相違があつては、これは将来はなはだ心配になると思うのであります。そういう点を、もう少し局長にもお考えをいただきたいと思います。
○久下政府委員 私の申し上げておりますことは、さつきの場合とその次の場合と、場合を異にしたことを頭に描いてお答えしておりますので、お答えが二つになつて申訳ないのでありますが、私の申し上げましたのは、たとえば外来診療を受けようとして参りましたのが、すでに外来診療の時間を過ぎておつた場合に、それを無制限に受けろというのは、実際上無理であろう、急患その他の場合は別でございますが……。そういう意味で申し上げたのであります。従つて、病院経営の方針として、一般住民は一切診療をどんな時間内に来ても、余裕があつても受付けないというような建前をとることは、今度の六億の融資によつて建てられる病院の経営としては、地財委の意見もあり、そういうことをするのは適当ではないと考えて、こういう方針を承認した、こう申し上げておるのであります。
○亘委員長代理 金子委員。
○金子委員 ただいまの丸山委員、松谷さん、あるいはその他の方々からも、いろいろと質問が出ておりまして、私ここで聞いておりましても、こんな問答は、晩方までやつたつて終えないと思います。言うことがみな違うのだから、行つたり来たり、行つたり来たりすれば、一向に先に行かないので、地財委の考え方も、局長の考え方も、医務局長の考え方も、みな違うのでありまして、それでさつき言つたことと今度言うことと、また違うのでありまして、こういうことを何べんやつても、これは問題にならぬと思うのであります。
 そこで質問の方向をかえてお伺いしたいことは、ただいま丸山委員の質問されました一般住民にも公開するものであるということを、しかも、その上に持つていつて「家族のみならず」としてはつきりしてあるという問題と、それからその次には、三割以上の関係保險者があるということと、こういう二つの矛盾があるのでありますが、その矛盾の問題は、ただいま申し上げたように、いつになつても、これは解決つかぬような、きつね問答のようなことをやつておるわけであります。そこで別な観点からお伺いしたいのは、その市または町の住民のうち、二割以上の厚生年金保險の該当者があるということを、ここで條件にしますと、現段階の医療機関というものが、さなきだに都市中心になつておる、開業医もその通り、その他の保險病院も同じ立場にあるのに、どうしてこういうところに、より以上病院を集中しなければならないという、そういう病院体系をおとりになるのか、これは厚生省として、医務局長にまずお伺いした方が正しいと思いますので、御答弁を願いたいと思います。
○阿部政府委員 都市に、たださえ医療機関が集中しておるのに、なぜここへ持つて来て、またこの案の結果も都市に集中することになるのだ、それに対して、どういう医務局の方針かというお問いのように了解したのでありますが、私の方といたしましては、大体人口と病院のベットということを考慮いたしまして、そうして余分なその標準から行きまして、あまり医療機関の密集するようなところに病院をつくりたくない、かようにかねがね考えておるのであります。地方から起債等で病院整備の問題を持つて参りましても、その点において取捨選択した御意見を出しておるという状況であります。従いまして、この問題につきましても、おそらく余分なものが都市に集中するというようなことは、考えられぬのであります、かように考えます。
○金子委員 あなたの答弁は、少しも理が詰んでおらぬのですけれども今あなたは、病院統計を持つておられるでしよう。あなたのところから出ておる病院統計を見てごらんなさい。現在都市の医療機関のあり方と、全体のあり方から見たパーセンテージを見れば、明らかに都市の方が、開業医あるいはその他のものを合せたときに、医療機関が集中しておるということは統計に出ておる。そうすると、三割以上ということをやると、実際こういうことを言うけれども、ここは統計からいうと、病院をつくることはないという結論になりますよ。
○阿部政府委員 お説の通り、都市には病院は集中しております。しかし、病院の必要性を都市、農村とわけますと、都市の方がよけい必要であるという私の方の標準になつておりますので、従いまして、たとえば大都市については人口一万人について四十ベット、それからその他の都市におきましては二十五ベットです。それから農村においては十五ベット、これは医療制度審議会の答申によりまして、一応基準をつけておるのでございます。そういう点におきましては、その程度の比率が、大体病院の充実の状態じやないか、かように考える次第でございます。
○高田(浩)政府委員 補足して……。お話のように都市以外の地域におきまして医療機関が今後相当整備をしなければならぬということについては、私どもも同感でございます。その意味において、市町村あるいは府県等が病院を建てるについて起債を申請しました場合に、その辺のところも十分考えながら、地方財政当局に対しては要望もし骨も折つておるわけでございます。その意味において都市以外のいわゆる農村地方と申しますか、そういう方面における医療機関の整備についても、十分熱意を持つてやつておるつもりでございますから、今度の措置につきましてもそういう全般の方針に沿つたらいいんじやないかというお話のように、あるいは思うのでございますが、今回の特別の融資は、先ほど来いろいろ質疑応答が重ねられておりますように、特殊の性格を持つたものでございますので、従いまして、その性格をはずれて融資をするということは、やはりこれは本来の趣旨から好ましくないのじやないか。しかし、同じ都市と申しましても相当医療機関が整備されておるところもあるし、あるいは比較的に薄いところもあるわけでございます。その辺の医療機関の整備についての計画と申しますか、考え方については、十分地方の施設計画の線に沿つてこれが運営されるべきである、その意味において、先ほど来お話が出ております要領においても、医療機関整備計言の建造てやるということになつておる次第でおります。
○金子委員 あなたは、医療機関の整備をなるべく機会均等ならしめるように方策をとつておる、そう言つておきながら、この條件に当てはまるところは、郡部や地方にはないのです、大体において、都市は工業都市というものが中心、一番この條件に当てはまるわけですから、そういう点から行きますと、そういう地帯は病院が集中されておることは事実であつて、しかもあなたの方は、しかも医務局長は、大都市とか都市になるほど医療機関が重要性があつて、農村にはないんだ。そんなばかなことが、常識として考えられるものですか。それはそういうことじやないのです。今までの統計から行くと、病院を経営する場合に、都市でなければ経営ができないから、自然にそういうふうになつているのですたとえば、国民健康保險の病院であつても、どうしてもその町の、あるいはその地方の重要都市にその病院の位置を持つて行かないと、病院の経営上成り立たない。そういうふうな経営の面から集中して来ているのであつて、自然の必要性から、患者あるいは診療を受ける人たちの必要性から病院、医療機関というものが都市に集中されているのではないのであつて、その経営の面というものが一番大きなウエートを占めて、人口稠密なところに行く。それは、たとえば人口三万の地帯においては商業が成り立たないけれども、人口稠密のところでは商業が成り立つのと同一である。一つは経営の面からそう来ているのであつて、あなたの都市に医療機関がたくさん必要であり、その他の三万の地帯においては医療機関が必要じやないというような考えは、私は絶対に承認できない。それは現実がこうなつているのは、経営の点から来ているのであります。この問答は、時間が来ておりますから、くどいことは言いませんが、こういうふうな矛盾が来ているということは、医務局長にお伺いしたいことは、問題は、日本の医療体系というものがめちやめちやな形にある。そうして病院という立場から行けば、あくまで公益性を持つて機会均等でなくちやならぬものが、ときには特権病院があり、そうしてまた、ここのところに一つの特権病院をつくろうとする。この特権病院をなくそうとする地財委の考え方をもつてすれば、この医療法の病院のあり方について。現行法に矛盾がこういうところから起つているのであつて、これはたれそれがかかる病院である、これはかかつちやならぬ病院であるというようなあり方、またそれによつて受益者の機会均等が得られないような姿が一体好ましいのか。これは一日も早く近き将来にできるだけかえたいという意向なのか。それに対して、医務当局はどう考えているのですか。
○阿部政府委員 先ほどお答えがまずかつたたあに少し誤解を受けたかと思うのでありますが、私は、大都会には病院がベットが非常に必要であるいなかにはいらない、こういうことを申し上げたのではございません。それからまた、病院のわれわれの考えている整備体系、すなわち、かりにベッド数でいいますと、これは確かに経営上の立場からこれだけ大都会に必要だ、農村には少くて済む、こういうことを申し上げているのではありません、これは医療審議会におきまして、大体日本の医療整備というものをどういうふうにやつて行くかという一つの目標を定めまして、その定めたのが、先ほど申し上げた数字になつたものでありまして、それに従つてわれわれはそれにかなつたものは、病院の整備はあとにまわしまして、かなわぬ方面へは、ぜひその線までは少くとも引上げて行きたいという計画を持つているのでございます。ところが、実際問題につきましては、経費の関係その他におきまして、なかなか理想通りに行つておりませんが、一つの現在の目標としてそれを持つているのでありまして、今後また審議会でいろいろ検討いたしまして、社会の経済状態その他の状況からかんがみて、この数字がかわつて行くかもしれません。とにかく現在のところは、一応その線を持つているということでございます。
 それから、あとでお話になりました現在の医療体系というものが、いろいろな経営の病院があつて、利用者が一様に恩恵がこうむれないという問題につきましては、私どもも、多少そういう点を感じている点もありまして、これは漸次改めて行きたい。すなわち、医療体系を今後一層合理的なものにして行きたいという気持は、十分に持つております。
○金子委員 最後に一つ保險局長にお尋ねします。今の融資は厚生年金であるから、厚生年金関係者の利用機関の病院に融資する、これを主体にするんだ。今の医療体系から行くと、一応そうなるのでありますが、しかし、こういうふうなことで、今度は共済の積立金は、共済に関係した人たちがこれを利用するのだ、こういうふうにおのおのの階層が行きますと、今のいわゆる社会保障的な社会保險制度に恵まれた人たちは、どんどんいろいろな独自の立場によつて医療機関を持つし、現行の医療制度が非常にちんばになつておるから、そのちんばの一番低い立場にある国民諸君は、ますます医療機関がないという結論が出ると思いますが、それに対して、どういうふうにお考えになりますか。
○久下政府委員 お話の通り、この制度が将来ともこういうかつこうでますます拡大されて行くようなことになりますと、そういう事態になりますし、またそういう事態は必ずしも医療体系として望ましいことではないと考えておるのでございます。ただ、こういう形式でこの問題が取上げられました趣旨のものは、一つには、むしろお話のような行き方で病院をやつて行くんだとすれば、一般の公共団体あたりが最も適当であるというふうに考えております。そういうところに対する起債のわくを広げることを、従来話に聞きます。一方におきまして、実際問題としては、先ほど医務局長のお話にもありましたように、厚生年金保險被保險者の相当密集しておる地域におきまして、病院のないところもあるというのが実情でございます。そういう面におきまして、この還元融資の問題は一面において年来のやかましい問題でありますから、そういう意味で、こういうような方法で病院のための還元融資をするということは、将来の問題は別として、現実に即しますると合理的なことであるという、意味で、賛成をしておるものであります。また実際にこれをやつてみました結果、それがどういうところからどういうぐあいに現われて参りますか、その辺のところもにらみ合せをいたしまして、今後の交渉をしたいと思います。
 ことに、一言御質問とは離れますが、申し加えたいと思いますのは、私ども厚生年金保險の積立金は、病院だけでいいとは考えておりません。住宅の問題でございますとか、その他諸事業があり得るはずでございます。そういう方面に将来ともわくは広げて参りたい、そういうふうな交渉をするつもりでございます。
○金子委員 この要綱の疑問の点に対しては、私は了解いたしません。非常な矛盾が二つ並べてあつて、これはどう説明したつて、それを了解するわけには行きませんが、そのことは、これ以上質問いたしましたところで、それは時間の空費でありまして、何にもならぬと思いますから申し上げませんが、私といたしましては、今の医療機関のあり方、今の社会保險のあり方そのものに、矛盾が非常に多い。その中でその矛盾にまた輪をかけるような形において施設をふやして行くというこの貸付のあり方に対しては、非常に不満を持ちます。しかしながら、厚生年金の積立金であるから、関係者に還元して貸せという、そのこと自体は、あながち私は理が通らぬとは思わないけれども、今、一番私どもが厚生関係の矛盾として考えておる社会保障制度の、非常にまちくなあり方、同時にまた、医療体系の、一方には特権貴族階級があるかと思うと、一方にはこじきの階級があるというような、それほど相違があるいろいろな医療体系の中で、またそのセクシヨンをより以上強くして行く、こういうふうな融資のあり方は、将来災いをなすとも、医療体系全体、あるいは保險体系全体の上から行くならば、決してプラスにはならないということを強く申し上げまして、私の質問を終ります。
○亘委員長代理 丸山直友君。
○丸山委員 最後に一言申し上げます。地財委の細郷監理課長の御見解によりますと、この條文はこのまま解釈すべきものであつて、一般住民にも公開するという原則の確立せられておるものでなければならぬという御見解のように承つたのであります。厚生省の方のお話を承りますと、こういうふうな性質の病院は、被保險者を主として対象とするものであつて、ただある特定の條件のもとにおいて一般住民に公開することもあり得るということであつて、そり間に食い違いがあるのは明瞭であります。従つて、これを実際に行います場合におきましては、協定が完全にでき得るはずがないのであります。それが完全にできましたというふうな形で融資をせられた場合には、この條項のどちらかに触れて来ることが必ずあります。これは将来において明確にする機会があると私は思います。一方において、もし一般住民に公開するということを原則とされずに貸し出されたということになると、会計検査院から、必ず違法行為だといつて、その融資は摘発せられるでございましよう。私は、そういうことを将来に予想いたしまして、この問題は、本日をもつて終了しない。しかし時間もおそいから、この程度で本日はとどめて、この問題は将来に残るということを宣言して終りたいと思います。
○福田(昌)委員 何べん聞いてもわからないから、お尋ねしますが、時間内に一般住民たる患者が参りました場合には、この対象になる病院は、治療を引受けるのですか。
○久下政府委員 具体的なお話でありますが先ほど申しました通り、この病院建設のために融資をいたします場合に、具体的な場所の決定は、御意見があるようでありますけれども、厚生年金保險の積立金の還元融資をするという、この融資の根本目的に合致するような地域と場所とを選びたいと思つております。その結果できました病院の経営の方針としては、被保險者のみの利用に供すべきであつて、一般住民の利用は断るというような経営方針でなくて、一般住民も利用できろような経営方針をとることを條件としてやる、こういう考えであります。
○福田(昌)委員 久下保險局長に一言苦言を呈します。久下局長は、前々から詭弁学の大家ですから、それによつて私どもは非常に悩まされて来ましたが、どうかこれからは、もう少し正直な、そういつたペーパー・プランのような、ああ言えばこう、こう言えばああというような御答弁は、多少御反省願いたいと思います。これ以上追究しても同じですから、一応久下局長にお尋ねすることはやめます。
 次に、阿部局長にお尋ねします。こういうような地財委に対して、いわば責任のない、一応地財委の了解を得るために、一般大衆の福祉ということを利用するような文句をお使いになつていらつしやいますが、こういう言葉をお使いになるに対しまして、今日の日本の医療体系に対して責任をお感じにならないかどうかということを、お尋ねいたします。
○阿部政府委員 御質問の趣旨が、十分によくわかりませんけれども、医務局といたしましては、今問題になつております病院が、一般の診療者をよけい引受けてもらえば、それだけ医療の整備ができますから、私はけつこうだと思います。
○福田(昌)委員 質問の趣旨がわからなければ、もう一ぺん申し上げます。一般住民がこういう特殊病院を利用しようとした場合、断るとも引受けるとも、具体的な形においては何らの御指示がないと、一般住民が困ることは必定ですが、そういうような曖昧模糊としたことに対して、日本の医療体系を実際に運営しておられる医務局長として、責任をお感じにならないかどうかということを、お尋ねしておるのであります。
○高田(浩)政府委員 御承知のように、医療法に上りまして、正当な事由がなければ、診療の求めがあつた場合に、これを断つてはいけないということになつておるわけであります。今回できます病院が、いわゆる非公開ということになりますれば、その非公開という理由で断ることが正当な事由になるかならないかという問題になると思います。が、先ほど来のお話にありますように、公開ということになつておりますので、従いまして、一般住民なるがゆえに断るということは、医療法の規定に抵触するものと思います。
○福田(昌)委員 いろいろな知恵をつけていただいて、よくわかるのですが、医療法に抵触するから――患者を断る場合には診療時間が切れましたとか、満員であるからといつて断れというようなことを、医務局長や次長から承りましたが、そういうお答えは事務的じやないかと思うのです。実は医務局自体の日本の医療制度、また運営に対する態度は無責任だと思います。こういう点についてこれ以上聞く必要がないので、聞きませんが、大きに御反省を願いたいと思います。
○松谷委員 この問題は、丸山委員、また福田委員の言われた通りに、きようの御答弁だけでは解決しない、またあとに問題が残ると思います。ことに今日の医務局の御答弁、あるいはまた保險局長の御答弁などで、医療行政の面、医療体系の面において、もつと検討しなければならない問題が、たくさん課題として委員会に与れられたと思つておりますので、別の機会におきまして、十二分にこれを議題として検討いたしたいと思いますので、そうした機会を、今会期中にぜひ一度お持ちいただきたい。これは委員長に希望いたします。
 なお、この際あわせて伺つておきたいのは現在の厚生年金及び厚生保險の積立金は、一体どのくらいになつておるかということであります。
○久下政府委員 本年の五月末現在の状況の数字を持つて来ておりますので申し上げます。余裕金が、百四十六億八千百三十九万九千円。余裕金と申しますのは、昭和二十六年度中の保險料の徴収と若干の給付業務がございますので、そうした費用を差引きまして残りました金で、余裕金という名目で預金部資金に預託しておるものであります。それから、二十五年度末までの積立金が五月末日現在で三百六十三億八千百四十五万五千円になつております。先ほど申し上げました二十六年度の余裕金も、二十六年度の決算が済みますと積立金に振りかえられる金でございます。そういたしますと、両方合計いたしまして五月末日現在で五百十億六千二百八十五万四千円が厚生年金、厚生保險特別会計の年金勘定における余裕金及び積立金の総額でございます。
○松谷委員 五百十億余りの厚生年金の積立金がありながら、毎々問題になりますように、いわゆる厚生行政の上に、医療のみならず、国民の生活保障の面にこれが使われないということは、厚生省も考えて進んでおられると思いますが、私ども長年遺憾に思つておるところでございます。今度額は六億でございますが、幸い地方債のお世話をいただけることになりましたが、地方債のわく内で運営するということになると、地方財政委員会にも相当御迷惑がかかつて来て、先ほどからの意見のいろいろ実施の上においての食い違い等も、これは地財委にははなはだ御迷惑な話だと思います。しかもまた、これを受ける厚生省の側にしても、いろいろな面において不便である。この点ひとつ、厚生省は一日も早く脱皮するように御努力をいただきたい。先ほど局長の御答弁にも、ちらつと出ておりましたが、ひとつこの五百億が十二分に活用できるように、大域当局と御交渉をいただきたいと思いす。聞くところによりますと、最近郵便年金は、郵政大臣の所管で、郵政省の意図する事業に振り向けられることになつた模様でありますので、最も急を要する厚生行政の上に、この五百千億が一日も早く使われるように、委員会ともどもこの問題を取上げて、強力に推し進めたいと思いますが、そういう点についての大蔵省との交渉は、一体現在どの程度まで運んでいるのか経過がわかりましたら、この際承つておきたいと思います。
○久下政府委員 ただいまお尋ねの問題につきましては、私ども全然同じように考えておるのでございますが、それを具体化いたしますためには、現在の資金運用部資金法の改正を必要とするものと考えております。確かにお話のように、地方債のわくを借りてやるということは、地方財政委員会の当局としても、地方債というものの根本的な性格から考えまして無理のありますことは、私どもも承知しております。大蔵当局には、すでに再三事務的に、こういう形式でなしに本来の目的を達し得るような方法で処理ができるようにしてもらいたいと申入れもしてございます。できるだけ早い機会に今申したような考え方で、精神が具体化しますように交渉を進めるつもりでありますが、ただいまのところとしてはそういう漠然としたお答え以上のことを申し上げる段階に至つておりませんので、御了承いただきたいと思います。
○亘委員長代理 それでは本日はこれにて散会いたします。
    午後一時二十八分散会