第013回国会 農林委員会 第31号
昭和二十七年五月八日(木曜日)
    午前十時四十八分開議
 出席委員
   委員長 松浦 東介君
   理事 遠藤 三郎君 理事 河野 謙三君
   理事 小林 運美君 理事 井上 良二君
      宇野秀次郎君    越智  茂君
      小淵 光平君    川西  清君
      坂田 英一君    坂本  實君
      千賀 康治君    幡谷仙次郎君
      吉川 久衛君    竹村奈良一君
      足鹿  覺君
 出席政府委員
        農林政務次官  野原 正勝君
        農林事務官
        (農政局長)  小倉 武一君
 委員外の出席者
        専  門  員 岩隈  博君
        専  門  員 藤井  信君
    ―――――――――――――
五月六日
 委員佐藤親弘君、石原登君及び栗山長次郎君辞
 任につき、その補欠として田中彰治君、中馬辰
 猪君及び宇野秀次郎君が議長の指名で委員に選
 任された。
    ―――――――――――――
五月一日
 積雪寒冷単作地帯の農業振興及び予算確保等に
 関する請願(苫米地英俊君紹介)(第二四七九
 号)
 滝沢村地内国有林野拂下げ等に関する請願(山
 本猛夫君紹介)(第二五一七号)
同月七日
 福島市に営林局設置の請願(關内正一君紹介)
 (第二五四四号)
 農林漁業及び有畜農家創設資金の融通に関する
 請願(松本善壽君紹介)(第二五四五号)
 千波湖土地改良区のかんがい排水事業促進に関
 する請願(山崎猛君外一名紹介)(第二五四六
 号)
 干陸地の公共施設費及び整地費国庫補助に関す
 る請願(若林義孝君外六各紹介)(第二五四七
 号)
 急傾斜地帶農業振興臨時措置法案適用地域に島
 根県を指定の請願(大橋武夫君紹介)(第二五
 四八号)
 農林水産業施設災害復旧費国庫補師に関する請
 願(佐藤重遠君紹介)(第二五四九号)
 部落農業団体の活動促進並びに国庫補助に関す
 る請願外十七件(今井耕君紹介)(第二五五〇
 号)
 麦の銘柄別価格差の増額に関する請願(佐々木
 盛雄君紹介)(第二五九一号)
 飼料需給調整法制定に関する請願(河野議三君
 紹介)(第二五九二号)
 林道鳩打線延長に関する請願(今付忠助君紹介
 )(第二五九三号)
 水稻保温折裏苗代補助金増額の請願(竹村奈良
 一君外一名紹介)(第二五九三号)
 積雲寒冷単作地帯振興臨時措置法による補助事
 業の事業主体中に市町村を加入等の請願(松浦
 東介君紹介)(第二五九五号)
 蚕糸業振興に関する請願(小林運美君紹介)(
 第二六一五号)
の審査を本委員会に付託された。
同日
 畜犬競技法案の競技施行者として五大市を加え
 ることの陳情書(横浜市会議長嶋村力外西名)
 (第一六四九号)
 大野原開拓地の国庫補助打切
 拂下げに関する陳情書(群馬県群馬郡室田町下
 室田市川始外二百一名)(第一六五一号)
を本委員会に送付された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 小委員の補欠選任農業災害補償法の一部を改正
 する法律案(内閣提出第一〇八号)
 農業災害補償法臨時特例法案(内閣提出第二二
 七号)
 農業共済基金法案(内閣提出第一五五号)国土
 総合開発法の一部を改正する法律案に対する修
 正意見申し入れに関する件
    ―――――――――――――
○松浦委員長 これより農林委員会を開会いたします。
 農業災害補償法の一部を改正する法律案、農業災害補償法臨時特例法案及び農業共済基金法案の三案を一括して議題といたし、前会に引続き質疑を行います。千賀康治君。
○千賀委員 私のお伺いいたしますのは、まず農業災害補償制度におきましては幸い拂いもどし制度があるということになつておりますが、いまだその拂いもどし制度の実施された例を聞いておりません。これは私が寡聞にしてその例を聞いていないのか、事実全国ともにいまだ拂いもどしの制度が実施されておらぬのか、まずその点からお伺いいたします。
○小倉政府委員 御指摘のように無事拂もどしの制度は法律上あるわけです。ところが御承知のような連合会の共済事業の収支の関係でございまして、年年連合会は不定金の処理に悩んでいるというような状態でございますので、一般的には、無事拂いもどしの制度は実際上はあまり行われておらないというふうに御了承願いたいと思います。もつとも組合によりましてはやつているのも例外的にはあると思うのです。
○千賀委員 どこの組合が行つておりますか。それがおわかりになつておつたらちよつと伺いたいと思います。
○小倉政府委員 岡山県の村であるようですが、村の名前は承知しておりません。
○千賀委員 無事拂いもどしの制度があるけれども、連合会の内容が充実していない、または災害によつて欠損を重ねておるから拂いもどしができない、こういうことはわれわれは納得が行きません。これははつきり施行合に出ていることで、組合に余裕がある一場合に限つて拂いもどしをするということではないと思つております。無事が三年続けばこれに対して一割の拂いもどしはなし得ると書いておるので、組合の内容によつて拂いもどしができないというのは、どうも組合員としては納得ができないところであると思いますが、あなた方は組合の指導監督をそういうような態度でやつておいでになるのか、この点伺いたいと思います。
○小倉政府委員 もちろん事業のいかんということに必ずしも関係はございませんが、実際問題といたしまして、報告を受けた農家にしかじかの共済金を佛わなければならぬという場合に、その共済金の支拂い自体にも困難をするという事態において、被害のなかつた農家に無事拂いもどしをするということは実際問題として至難、ではないかというふうに存ずるのであります。
○千賀委員 どうもその答弁では満足できません。ちやんと規定されておる以上は、組合の内容が悪くて支拂いがやりにくいということは別の問題でありまして、その内容に対して国家が手を打つか打たぬかということは、これは当然別に考えられることである。過去の事実におきましても、組合の欠損補填のたあにわれわれは一般会計から大きな経費を出すべしという決議をいたしてやつております。かようなわけで、当然きめたことが組合の内容が貧弱なためにその実行ができぬという場合には、ただあなた方はできぬからしようがないでながめずに、当然他にうつべき手はあると思います。その点につきましては言葉を重ねることを避けてただ納得ができないという言葉でこれを集約しておきます。
 それから組合の内容が悪い、欠損が重なるという点につきまして私は特に大きな疑いを持つておりますのは、はたして公正妥当に組合の損害に正比例して保險金が支拂われておるかどうかという点であります。この点につきましてはわれわれはさらに大きな疑いを深めておるのでございますが、作報等が国家のために穀物を牧穫したその真相を調べておるのは、これはだれに利益する目的も何もないところで、まつたく虚心坦懐に行われておるので、われわれはその作報の調査を現在の日本において行われる統計の中では一番信用したいと考えておりますが、作報の統計と比べまして災害保険の調査は常にその損害額が上まわつております。これは災害保険を受ける人の希望はもちろんたくさんもらいたいということでございましようが、この利益関係のある調査は、まつたく無心に国家の実態の調査を中心として行われる作報の調査と比べて常に損害額が上まわつておるという点が、まず私どもは納得の行かぬところであります。納得が行かぬというよりも、むしろこの制度に関して根本的な欠陷があるのではないかという疑いを深めざるを得ぬのでありますが、まず主務局から、災害制度の調査が常に作報の調査を上まわつておるというその理由、原因について御説明をいただきたいと思います。
○小倉政府委員 作物報告組織によります調査と共済事業によります損害の評価の比較の問題でございますが、作物報告組織で調べております収穫高調査ないし被害高の調査と共済事業の被害の調査とは、一つは調べる基準が違うのであります。基準と申しましては語弊がございますが、共済事業の方は何と申しましても個々の筆ごとの損害を集積して、そして名目的なベースに積み上げる、作物調査の方は一筆ごとから積み上げるという、いわば事例的な調査によつて全体を推計するという形になつて参りますので、そこでおのずから方法が違います結果、その結果が違つて来ることはあり得ると思うのであります。ただ保険の方が常に常識はずれに作物報告組織による被害高の調査よりも大きいかと申しますと、必ずしもそうではありませんので、その理由は一つは作物報告組織によります牧穫高調査ないし被害高調査を、支部なり県なりあるいは全国的に共済事業の損害を評価する場合に審査の基準といたしておるわけであります。従いまして結果的にはそう開かないというのが最近の実情であります。もちろんぴつたり一致することはなかなか困難でございますが、今のところは共済組合関係の損害評価の結果を作報その他の牧穫高調査、被害高調査でもつて審査するという形で、両者の関係をつけておるわけであります。なおさらにそれを一歩進めまして、御指摘のようなことが制度的にないと、被害調査というものを一元化することもそれは十分考え得られることだと思うのでありますが、現在の共済組合制度の建前から申しまして、損害評価をまつたく統計組に依存するということはなかなか困難ではないかというふうに存じておる次第であります。
○千賀委員 さらにこの災害補償制度の保険金の支拂額が、もしもこれが国家事業でなくて民営事業のこうした作物保険であるとするならば、私はおそらく作報の統計と一致に近いものが出るか、あるいはむしろそれよりも下まわるのではないかと思います。そういう数字が出ることが実際はまじめであつて国家事業であれば、あとは野となれ山となれ、かまわぬから災害の申請にまかせてきわめてずさんな調査でどんどん支拂つて行こうというようなことは、私はすこぶるこの制度全体の将来に対しましても信頼が薄らぐ問題ではないかと思います。それどころでない。むしろこの保険にかかわる方方は、この制度があればこそ災害地国民に現金を與える唯一の方法ではないかと、いとも誇らしくこれを吹聴せられるのでありますけれども、私はこういうような考え方は非常にふまじめであり、不確かであり、またこの制度の将来に関しまして非常に暗影を投げかけるものであると思うのであります。非常に厳密な調査をいたしましてその率が高率であるために、災害地の国民に現金をつかませる手段になるということであるならば、これは非常にけつこうで、ますます助長すべきでありますけれども、ずさんな調査、どうでもいいから、一つの災害が地方に起れば、その災害地はもちろん、これを取巻く相当に広い範囲までおつき合いの災害調査が出て来るのにまかせて国家の資金を―しまいには国家の費用で裏づけられておるのだから、いくら欠損を生じてもかまわぬということで、どんどん保険金を支拂つてこれが国民に現金をつかませる唯一の方法であるという誇りを関係者に持たれることは、これは国民全体といたしましてはずいぶんやつかいなところであると思います。今回の改正の要旨は、若干金の支拂い方が、一人の一筆調査が合計になるということはございますが、しかしこれとても根本が修正されるとは考えられません。かような次第で、一番大きな欠陥といえば、一つの災害に便乗した人工災害、人造災害がどんどん起つておる過去の例、これをながめておる多数の農民諸君がこの制度に対して相当に不快を感じておる、この問題でございます。この点に関しまして私は徹底的にこの制度の欠陷を是正しなければ、大多数の国民諸君がこの制度を欣然として推進するようになつて来ないと思います。私はこの点を非常に憂慮しておりまするが、当局は私の述べましたような問題が、過去において絶対にないとお考えになつておるかまた多少その疑いがあつたとお考えになつておるか、また将来この問題に対して国民の疑いを受けないようにどうしたら是正ができるか、十分な監察ができるか、この点について御自信があれば承つておきたいと思います。
○小倉政府委員 御指摘のような損害評価にからまつての国庫の負担なりないしは農民の負担なりにつきまして非常な心配がありはしないかという御心配はごもつともだと思うのであります。私どもそれが絶対にないという確信はございません。と申しますのは、たとえば統計調査関係でやつておりまする被害調査にいたしましても、あの被害調査がどの程度の信頼性があるかということについては、收量調査あるいは面積調査と違つて、これはなかなか確信が持てない性質のものではないかと思うのであります。たといそれが相当程度の信頼性が持てるということを認めましても、さてそれを保險と結びつけます場合は、一体どういうことになるかと申しますと、保険の場合には一筆ごとにその損害かわからなくてはいけないわけです。全国ではどうだ、府県ではどうだ、村ではどうだということはわかりましても、どの農家のどの筆に損害があるかということがわからなくてはいけないわけです。現在の統計調査では実はそういう調査はいたしておりませんし、これは言うべくしてなかなかいたしかねる、そういうことでございますので、統計調査の被害調査と共済組合関係の被害評価とは、現実に一元化することは、今の制度をもつてしては非常に困難であろうと思うのであります。ただ県の範囲においての被害高はどうか、全国の段階においての被害高はどうかという場合には、そう開きがあつていいわけでは毛頭ございませんので、この点につきましては、私どもは県の被害の評価というようなことについて、妥当かどうかということを判断する場合には、作物統計の調査によりまする被害の調査を一応の基準といたしましてそれによつて妥当かどうかを審査する、それがいかがわしいと思われる場合には、さらに支部ごとに審査をいたしまして査定をするということにいたしまして、全国べースで考えますと、統計調査でやりまする被害調査と、保険でいたします損害評価とは、そう著しい開きは最近はないようになつているのであります。御心配のような点は今後だんだん気をつけて参りますが、さほど今のところないのではないかと考えているのであります。なお今申しましたように、この被害調査のやり方につきましては、いろいろ改善すべ点もあろうかと思いますので、その点は一層統計調査との関連も考えまして、今後におきまして正確を期したいと考えております。
○千賀委員 十日ほど前に、災害保険の全連の常務理事その他の諸君と、数時間この点について懇談したことがありますが、私が、災害保険は国家の裏づけに甘えて大きな欠損をするのではないかという点を強く指摘いたしますと、その人々は、いわゆる中被害の程度において非常に被害が多いから、当然各県連は欠損が重なるのだということを言つておられますが、中被害が非常に多くなるということは、被害の事実が多かつたということを裏書きできないことは、すでに過去長い経験によつて数字が算出されておる。あまり現在欠損がどんどんと出て来るほどの誤算が過去の出発においてあつたとは考えられませんが、その中被害の多いということは、ここに中被害級の便乗被害が非常に多いのではないか、この疑いは非常に強められるのでございます。この点を強く指摘いたしますと、その御連中も答弁に非常に窮せられまするが、なおさような点を裏書きするのではないかと思われるような現象は、各地において、保険組合の末端におきましては、非常に大きな事務所ができましたり、会館ができたりしつつあります。こういうような経費を、まつたく被害が生じておつて、その保険金をもらう農家の諸君からはたして徴発できるかどうか、この点についてはずいぶんわれわれは大きな疑いを持つものであります。容易に、数年ならずして大廈高楼が雲を突くということは、いわゆる中被害の便乗が――便乗被害という人々は、もちろんふところが楽なわけで、これらの方々からまとめてさような建築費が捻出されて行くのではないかというような疑いを持たざるを得ぬ。これは私らが門外漢として持つということよりも、どの地方においても、農業者自体がまつたくそういう疑いを持つ。また被害の少い県民は、被害の多い県においてどんどんと大きな事務所が立つて行くという点について、ことに感情を悪くする原因になる。どうも実際とうわさとが合致をして行く。つい間違いであろうが、あるまいが、ある推理に到達をして行かざるを得ぬというような現状であります。もしもその推理に多少でも真実性が裏づけされるとすれば、実にこれは重大なことでございまして、この点の監督などはさらにさらに厳重の度を加えて行かなければ農業者全体からこの制度を否認される日の来ることは当然であります。私の見聞しておりまするこういう事実に対しまして、私の今耳にしておる、いわゆる農民の輿論といいましようか、農民の間のうわさというものは、まつたく根も葉もない、当然そういうものははつきりと裏づけられた費用によつて事務所がどんどん立てられるのだという御説明があれば、この際はつきり言つていただけば、本事業の将来のためにけつこうだと思いますので、御説明願いたいと思います。
○小倉政府委員 いろいろの点を御指摘になつたわけでございますが、まず第一点は、不足金の生ずる理由と申しますか、さような点でございます。一般的に共済事業によります特別会計ないし連合会の収支に関する不足金の充当ということについては、特別にここに御説明を要しないと思いますが、一つは御指摘のような、戦後共済事業に対しまして認識がだんだん高まりまして、特に共済金額がふえるに従つて、災害ないし被害ということについても農民の関心が高まつて来て従来被害というものに対してあまり関心がなく、共済金を受ける機会を得なかつたような場所ないしは人にまで、被害に対する関心が強まりまして、災害の累積が起つて来るというようなこともあつたのであります。
    〔委員長退席、遠藤委員長代理着席〕
第二番目に、もちろんこれは全国一様とは申しませんが、戰争ないし戦後の国土の荒廃によりまして異常災害が起つて来る。特に気象的な関係が相当原因いたしますが、こういう関係によつて被害自体も相当多くなつて来ておるというようなことが、一つの原因ではないかというふうに思つております。なお特に連合会の不足金ということに相なりますと、連合会は御承知のように被害の全体について責任を持つわけではございませんので、異常災害の部分は国の面で責任を持つ、それ以下の通常の災害の部分については連合会が責任を持つ、そういうことになつておるのであります。ところが連合会の収入の面を見ますと、通常の段階で切りました以下において被害が起つた場合には、その被害率を集積いたしまして共済金の支拂いをする。そこでこの被害の限度がもし通常の被害一ぱいの被害が起りますと、そういうときがまた年重なると、おのずから不足金を生ぜざるを得ないというのが実は制度の建前になつておるわけです。そういう年が何年も続くということは予想いたしませんので、そういう年が続きますれば、また次には標準被害以下の年が相当続くであろうということでもつて、長期的にはバランスするという考え方でおるのであります。ところが、戦後通常被害ばかりでなしに異常被害にまで及ぶような被害が相当出て来た。その結果連合会が通常被害の限度一ぱいの責任を負わざるを得ないというようなことで、実は不足金が累積して来るという関係に相なつておるのであります。もちろんそれにつきましては、先ほど御指摘のような損害評価といつたような問題もございます。
 ところで第二段に御指摘の、共済組合ないし連合会の経理が適正に行われているかどうかということに関連してのお尋ねでございますが、この点は、従来共済事業は非常に小規模でありました。従いまして経理の監査ないし監督といつたことにつきましての人員も不備がございましたし、またそういう仕事がさほど重要であるというふうには実は考えられなかつたのであります。ところが、御指摘のように共済事業のウエートがだんだんと、農民経済から申しましても、農林省の行政から申しましても大きなウエートになつて来る。そうなりますと、これは連合会ないし共済組合の事業の監査ということが重要な問題に相なつて参るのであります。ところが現実の人員、予算あるいは法律制度ということになりますと、その点が十分監査できる建前に実はなつていなかつたのであります。従来単位組合の監査というのは、これは何年に一ぺんしかやつておらない。あるいは連合会がありましても、二、三年に一度しかやれないというふうなことが実情だつたのであります。それを、このたび御審議をお願いいたしております補償法の一部改正にもありますように、組合の事業が適正に行われているかどうかというようなことのためにも監査を行い得るようにいたしますとともに、一方農林省並びに地方庁に行政整理のさ中人員を増加していただくという措置をとりまして、今後御指摘のような点の御心配がないように指導、監督を十分いたしたいと考えておる次第であります。
○千賀委員 最後に一つお伺いをしておきたいのでありますが、百数十億に達するような費用をこの制度で農業者に還元をしておるので、非常に公正な方法で還元をされるならば、もちろんこの制度は大いに慶賀すべき制度でございますが、たとえばここに一つの例を言いますと、ある地方で気候その他の現象で、全体としてはまず平年にちよつと足らざるくらいな収穫であつた、ところがその一部分に、むろんこれは米をたくさんとりたいという原因からではありますが、硫安をやり過ぎた、石炭窒素をやり過ぎた、こういうような原因からある被害面積が起つて来た。これは当然米の牧童に不足を来し、中等程度の補償を受くべき災害になつておる。ところがこの周囲の農家であつて、気候その他の現象はあまり良好のようではないけれども、農業技術がよかつたために大した災害も受けずに済んで、平年並みか平年に一割足らぬくらいの減収で治まつておる、こういうような現象が起つた場合に、たとい肥料のやり過ぎであろうと、農業技術の拙劣なためであろうと、とにかく災害の起つた農家には当然ごの補償制度の適用を受けるはずではありますが、さて治まらぬのがこれを取巻く周囲の平年よりちよつと悪いくらいな収穫をあげた農家です。優秀な技術を持ち、一年を勤労に費した農民諸君は、おれたちは一年間よくやつたからこの程度の収穫が得られたのだ、もしもおれたちが技術が拙劣で怠けておれば、あの災害者と同じ程度の災害が起つて来るのだ、だからあの人に補償をやるならば、当然おれたちも、賞與をもらう意味においても、補償を受けなければならぬ、こういうような主張をせられる場合、過去においては、大体それらの方々も災害補償をもらう仲間に繰入れられて行つておつたのであります。これは当然りくつから言えばこういうことが行われてもよいように考えますけれども、災害補償という実際の意味から言えば、隣りに災害を受ける人があつても、どんな理由があろうとも、まずある程度の収穫をあげられておる農民は、個人経営の補償制度からはおそらく災害補償は受けられぬと思いますが、これが政府の補償事業である場合は、大体において災害補償は過去においてももらわれておつたらしい。私は過去二年間、わらじをはいて全国を行脚してよく調べましたが、大体さような例のようになつておるようであります。そこでこういうことは改められなければならぬと思いますが、どうも国家がやつておる以上は、まあその程度ならばということで大ざつぱに扱われやすい。どうしても国家事業であればそういうことになるのでありますが、将来もこういうような立場で、百十何億というような多額な金がそういう基礎の上に立つて農家に還元されて行くということは、これは相当に考えなければなりません。むしろそれならば災害の起つたところをほんとうに別の意味において調査して、その災害者に災害復旧費とかあるいは災害救済費とかいう意味で国家資金を還元してやる方がむしろ正しい場合が多いのではないかと、私は過去各地の災害地を行脚をしながら考えさせられておつたのでございます。そこで、私が今指摘をいたしましたような例が将来も行われやすいと思いますが、さような例は将来も見過して行かれますか、将来は、災害の起つた面積だけに対して厳密に補償金を支拂わせるという立場で、監督をして行かれようとお考えになりますか、その点を伺つておきます。
○小倉政府委員 御指摘の点はごもつともだと思うのであります。ただこの場合考えなければなりませんことは、共済事項をどの範囲にするかということと関係があると思うのであります。現在の補償法では、共済事項が非常に広範囲に及んでおりまして、病虫害というようなものまで含んでいるのであります。しかしながら、御指摘のような当然農家としてなすべきことをしなかつたために起きた損害というようなことにつきましては、当然補償の対象外にすることに相なるはずであります。しかし実際問題といたしまして病虫害品の起つた場合、それが農家の損害防止の怠慢であつたのか、あるいは自然的な気象等による不可抗力によるものであつたのかという認定は、なかなか困難だと思うのであります。従いまして、農家ないし組合で防止できる損害は、可及的に防止をするとい、りことに努めなければならぬと思うのであります。そういう意味におきまして、防除事業というようなことについても組合自体が非常に関心を持つておりますし、私どももできるだけの支援をしたいというふうに考えております。そういうことによりまして、損害防止を農家みずからあるいは組合みずからが努めるという指導に重点を置いてやつて行つたらばどうかと考えておるのであります。
○足鹿委員 最初に資料がございましたらお願いしたいのです。町村の共済組合長が農業協同組合長あるいは町村長と兼務をしている事例が相当あるだろうと思いますが、それらの資料がありますかどうか。またその職員についても、協同組合の技術員が共済組合の損害の評価委員を担当しておると思います。相当兼務の事例も多いと思いますが、それらについてお調べになつたものがありましたらいただきたい。それから第二が掛金の未納額、全国で年度別に未納額がどういうふうになつておりますか、それに対して町村長に強制徴収を委託された件数なり金額はどういうふうになつておりますか。未納額並びにこれに対する処置等についての何か関係資料がありましたら、お願いをしたいと思います。それから第三に共済組合を設置していない町村が全国にどれくらいありますか。また機能を停止して、ほとんど解散同様の状態にあるようなものも私は村を歩いてみますと感じますが、そういつたようなものについての資料がありましたらお願いしたい。第四に、共済組合を創設以来、まつたく共済金を受取つておらない町村、あるいは個々の農家の数字というようなものの資料をお願いしたい。
○小倉政府委員 最後の資料はなかなかむずかしいと思いますが、お話の四つの資料をできるだけ整えて御提出したいと思います。
○足鹿委員 従来資料をいただいても、審議が済んでしまつたあとである場合が多いのでありまして、それでは、私どもはせつかくいただいた資料を審議に生かすことができませんので、今お願いした資料は、でき得る限り早くお願いをいたしたいと思います。
 そこで私は災害補償法の一部を改正する法律案から逐次お尋ねを申し上げたいと思います。大体この共済制度自体に異議を持つものはおそらくないと思うのてす。しかしその内容が社会保険的な性格を持たないで、収穫保険にも満たないような、いわゆる名実が伴わないところに問題があると思うのです。それから先刻来も問題になつておる農業共済団体の運営あるいは損害評価の実際というようなことについて、相当問題があるのではないかと考えるのであります。政府は農業共済団体の運営について、単に役員の任期二年を三年以内にするとか、あるいは総会による役員の選挙を投票所による選挙に改めるというような、きわめて微々たる運用上の改正で事足りると思つておいでになるのでありますか。私どもはこのような農業共済団体の運営上の改正では問題にならないと考えておるのであります。実際の状態申し上げますと先刻資料でお願をいたしました、ように、他の県はどうか知りませんが、私どもの地方におきましては、農業協同組合が大体この事務を一手に引受けておるようなかつこうであります。町村長が兼務をしておるという事例は少いように見受けます。従つて掛金が拂えない農民がありましても、町村の農業協同組合が代拂いの形式でかわつて拂つておるのであります。それで今決算期でありますので、決算総会を協同組合がやつておりますが、各総会でこれが非常に問題になるのであります。掛金をかけられない農民の分を協同組合が立てかえておる。このように協同組合の運営自体にこの共済組合がからんで参るのであります。町村の協同組合長で兼務しておる者は、職務上押しつけられてなる場合が多いのであります。なりたくてなるのではなくて、押しつけられて共済組合長を引受けておる場合が多いのでありますが、これが協同組合自体の運営にまで非常に支障を来しておるのであります。そういつたことをよくお考えになつておるかどうか。表面に現われた未納金がかりに少くても、内容においては、そういう目に見えない末端の單位協同組合長である農業協同組合長の、非常な縁の下の力持ちがあるということをよくご承知願いたいのであります。そういつた面で、何か適当な方法をもつて協同組合との実際的な関連を持たせるような農業共済団体の運用について、当局としては御研究になつたことはないでありましようか。なるほど中央には全国的農業共済協会がありますし、府県におきましても指導連と共済連合とが別個な事務所を持つて動いております。動いておりますが、末端に入りますと、もう区別はつかないような事態になつておるのであります。そこに私は問題があろうと思う。これは運用上の大きな問題だと思う。中央の人々はややもすると、全国段階や県段階のことは一応お考えになりますが、町村の末端の加胆位細太目の実情については、御認識が浅いのではないか。その点について運用上の拔本的な対策をお考えになつたことがあるかどうか。現在どういうふうにお考えになつておるか、お伺いしたいと思います。
○小倉政府委員 共済掛金の支拂いといつたようなことに関連いたしまして、共済組合とその他の農業団体と運用上どういう関連を考えておられるかという御質問でございます。御承知の通り、末端の共済組合というものが法律制度上完全な独立形態になりましたのは、災害補償制度になつてからでございまして、それ以前は農会といつたような団体が量下部の共済団体であつたように思うのであります。さような点から見ましても、最末端における共済団体が、必ず別系統でなくてはならぬというふうには私どもは考えておりません。御指摘のような問題は実はあると思います。またお話のように、実際問題といたしまして最末端では、協同組合と共済組合は一応制度的には別物であるといたしましても、今お話のような組合と理事の関係ないし事務所の関係、ないし共済金の支拂い等に関して不可分の関係にあることも承知いたしております。そこで、そういう関連をもつと制度的に考えてくふうする余地はないかということになるわけでありますが、私はありはしないかと思うのであります。しかしその関係を制度的に考えるということになりますと、どうしても協同組合という制度の根本に若干触れざるを得ないのではないかというふうに考えております。そうなりますと農業団体全体の問題に相なりますので、事務的に若干研究はいたしております。そこで今後両団体の提携なりあるいは関連をどうするかということを、具体的にお話する段階には実はまだ至つていないのであります。
○足鹿委員 今農政局長から、事務的な対策としては検討を進めておるというお話でありますが、私はこれは制度上の非常に大きな問題であると思うのです。特に最近は農業団体の再編成の問題が非常にやかましく論議されております。一説によれば、農事会というものをつくつたらどうかというような意向もあるようであり、特に講和発効後における農村政策の推進あるいは協力機関としての農業団体が、当然新しく再編成されなければならぬ段階が来ておると考えられる節があるのでございまして、そういつた点にからんで、私はこの共済組合のあり方は、確かに根本的な問題としてお取上げにならなければならない問題だと見ておるのでありますが、政務次官は、政府としてどういうようにお考えになつておりますか、その基本的な構想がありましたらお伺いいたしたいと思います。
○野原政府委員 農業共済と一般農協との関係という問題は、十分検討した上でないと、今ここで私一個の私見を申し上げることはどうかと思います。
    〔遠藤委員長代理退席、委員長着席〕
ただ問題は、政府のやつております対農村の振興という問題を取上げたときにおきましては、御承知のごとく協同組合を育成強化いたしまして、農民の団体としてこれが真に農村の中核となり、農村の振興が実現できることを期待しておるわけであります。たまたま農業共済という一つの団体は、政府から非常な財政の援助を受けている組合でありますが、それとの関係は、末端においてはいずれも農民の利益を目的としている点から見るならば、一般の農協との間に何ら摩擦のあろうはずもないし、農業共済制度の拡充強化は帥農民の利益であり、また協同組合の育成強化にも役立つということであろう。そのことを期待しておりますが、末端に参りますと、多少その辺に食い違いがあるような面も伺つておりますので、その点は同じ政府がやります施策として、協同組合を育成しようという考え方のもとに、これはひとつ十分検討いたしまして、最も効果のある、農民に喜ばれる、また農村の振興あるいは食糧自給度の向上というような面にほんとうに貢献できるような形にあることが、一番いいのであります。もしその必要があるということであれば、その制度の問題についても、ひとつぜひ愼重に検討いたしたいと考えております。
○足鹿委員 ぜひその点については御検討を願いたいと思います。これは重要な問題でありますし、これ以上伺うこともどうかと思いますので、あえて申し上げません。
 次に同じく運営上の問題につきまして、先般来評価が非常にずさんであるというような御議論が相当行われ、そういう御議論のもとに質疑が行われておるようでありますが、その評価自体はその村における評価委員が選ばれて、農民の意思を体して評価をされるのであつて、私どもも村の評価委員をした経験もありますし、その役員をした経験も持つておりますが、そのことそれ自体は率直な農民の意思が反映して行くのである。それを適正な方面で監督をし、正しいものに対して保険金の交付が行われるのであつて、これに対してとやかく論議するということは私はどうかと思う。ただ問題は、いわゆる行政区画によつて区分されておるA村では、同じような被害のものが三割の被害に入つておる、ところがB村では、同等の被害があるが三割以下の被害に入れられて保険金がとれない。これは評価の横断的な統一がないところから起きて来る問題だと思う。異常災害の場合とか相当大きな災害の場合には、郡支部とか県の連合会等が横断的な組織をとつては行きますが、村の場合には郡支部といえども、県連合会といえども、そこまでなかなか目が届かない。私はそこら辺に一つの評価を行つて行くときの問題点があると思いますが、そういつた点について遺憾の点はないか。お認めになるならばどのような対策をお持ちになつておりますか。そういつた点について、現在の評価問題が非常に重要視されておりますので、もう少し具体的な対策をお考えになつて、当然関係法案なり、あるいは施行令なりに盛り上げられて行かなければならぬと思いますが、そういう点についてはどのようにお考えになつておりますか。
○小倉政府委員 行政区画がたまたま違うということによりまして村境の損害評価が違う、あるいは出入先関係によりまして同じ村にあつても評価の仕方が違うということは、御指摘の通りあり得ることであります。その点につきましては、連合会なり支部の評価委員がその調整をとるということを従来いたしておりますが、なおそれでは十分でありませんので、損害評価の適正を期しますために、本年度から新しく損害評価のための基準組合を府県下に若干指定いたしまして、その基準組合の損害評価のやり方を一つの評価基準といたしまして、相互のバランスと申しますか、評価の適正を期するというようなことを今回新しくやる予定にいたしております。
○足鹿委員 いろいろお伺いしたいことはありますが、重複した点もありますので、そういつた点は特に御考慮を拂わなければならない点だと思いまして、積極的な対策を講じていただきたいと思います。
 次に臨時特例に関連しまして、私はこういう特例をお設けになる御趣旨はわかるような気がいたしますが、その結果として生れることは、事実においては、農民の受取る共済金が減じて来ることになると思う。先般来また本日も他の委員からの議論を聞いておりますと、とにかく評価をもつと厳正にして行かなければならないということである。はなはだしきに至つては人工被害があるなどという放言をなさる。なぜそういうことが起るかというその原因をよく検討しないで、人工被害があるなどということを国会の席上においてお述べになることは、現在の共済制度に対する侮辱であり、これくらい重大な発言は私はないと思う。まことに不都合千万な発言であると私は憤慨ておりますが、事の当否は別として、人工被害などということはあり得るはずはない。現在の掛金に比して農民の受取る共済金が実に微々たるものであるために、自分たちがかけた何分の一でももらいたいという農民の気持が損害品評価委員に移り、そして納得の上で共済金の支拂いという形になつて来ておるのであつて、そういうことから見ますならば、これ以上にこの制度の評価方法をもつと引締めて、しかもモデル・ケースを特例法によつてつくつて行くということになると、事実においても農民は何らこういう制度には期待を持たないという結果が出て来るのであつて、私は、現在のこの臨時特例のお考え方自体としてはわからぬことはありませんけれども、その結果としては、共済金の支拂いが非常に減じて来て、若干の共済金の拂いもどしなどではおつつかない結果が出て来る。もしこういうことをおやりになるならば、そういう所こそモデル町村を各県におつくりになつて、全額国庫が御負担になつて、試験的に施行さるべきものではないかと思う。これは意見にわたりますが、そういつたものをこの臨時特例によつておやりになつて行く意思と、実際は非常に違つて来るのではないかと思う。この点について、もつと数を減してでも、いわゆる農家単位のモデル・ケースをつくつて行かれるならば、全額国費あるいは農民の掛金を要しないそういう施設を、国の施設としておやりになつて行くべきではないかと私は思うのです。これは意見でありますから、御答弁がなければあえて答弁は求めませんが、この臨時特例というものは非常におもしろくない。このままで行きますと、さなきだに少いところの農家の手取り共済金がさらに減じて行き、国庫の負担の軽減にはなつても、農民の福祉には全然プラスにならないような印象を私は受けておるのでありましてこの点について、当局に何かそうではないという確信がおありになりますれば、この際において伺つておきたいと思います。これは主として意見でありますから、御答弁がなければなくてもけつこうです。
 最後に、あとで資料をいただきましてから、私はさらにいろいろ具体的な問題についてお尋ねいたしますが、農業共済基金を今度特別におつくりになる計画を立てて法案を提出しておられます。その出資金が三十億で、半額の十五億は向う五箇年間に農民が出資をして行くということになつております。そうしますと、農民が出して行きます金が一年五億円ずつでありますから、初年度においてはわずかに二十億にしか達しません。ところが、赤字は実際においては二十八億円をオーバーしておりますから、政府が意図しておいでになりますような、共済金の敏速なる支拂いというようなことは、実際上において、このようなことでは機能が十分に発揮できないと思うのであります。むしろ全額国庫で御負担になることが、私は妥当だと考えますが、この五箇年計画で十五億というものを出された基準は、一体どこにあるのでありますか。この基準で迅速なる支拂いその他機能に何らさしつかえないとお考えになつておりますか、その点をお伺いいたしたい。
○小倉政府委員 初めに農家単位の御意見と御質問がございましたので、その点にちよつと触れますが、御指摘のように、農家単位にやりますれば、共済金を受ける農家の戸数は、おそらく減るであろうということは異論のないところだろうと思うのであります。しかしながら、共済金額が減るかどうかということになりますと、この点は必ずしも一概に一言えないのではないか。今まではいわば薄く広く補償されておつたのが、農家単位によりますれば、被害が多い農家に、厚く十分に補償するということに相なりはしないかというふうに考えております。しかしこれも実際にやつてみなければ確定的には申し上げられませんので、この点はこの程度にとどめておきます。
 次に基金の出資金の問題でありますが、政府出資十五億と、連合会からの十五億で、不足金の処理に遺憾がないかという点でございます。この点をもし長期的に考えてみますならば、御指摘のように、三十億でもつて十分であるということは、もちろん申し上げることはできないのであります。おそらくここ数年間これで大丈夫であるというためには、数十億の資金がいるのではないかというふうに思うのであります。しかしながらこの数十億を一ぺんに用意いたしましても、災害が起るかどうかということについては、必ずしも予測はできませんし、多額の資金を寝かすということは、国家財政から出すにいたしましても、農家の負担から出すにいたしましても、いずれも迷惑なことでございますので、この際は、とりあえず必要な額といたしまして三十億、そのうち十五億はただちに出資をし、農家の方の負担は五年という範囲内に分割して出資をしていただく。従つて基金ができる当初は約十六億ということに一応予定いたしておるのであります。それでは十六億ということで出発した場合に、さしあたりの不足金の処理について遺憾がないかどうかということでございますが、これも、もし出資だけでもつて処理しようといたしますならば、これはお話の通り、はなはだ不足な金であります。しかし基金の資本金としては十六億でございますが、それで不足なものは、財政資金を借り入れまして、本年度で申しますならば、約二十八億の国庫余裕金を借り入れまして、次の保険料ないし共済金が納まるまでのつなぎにするということにいたしております。基金ができますれば、十五億程度のものは、余裕金から借りた分を返しまして、爾後は共済掛金から漸次それを償還して行くということにいたして行きたいと思うのであります。そうしてだんだんと不足金の関係連合会に対する貸付を回収するという段階になりますれば、またこれがおそらく来年になるかと思いますが、そのころには基金の資本金は約十六億またもどりまして、それになお二年度の出資が加わるということになりまして、第二年度の事態に対処する、もちろんそのときも相当厖大な被害が起きますれば、資本金だけでは間に合いませんので、また必要な措置をとらなければならぬ。国庫余裕金というようなことにだけたよるということはいかがかと思いますので、場合によつては増資といつたことも考えねばならぬと思いますけれども、とりあえずといたしましては、三十億ということで出発して支障がないのではないかというふうに考えた次第であります。
○足鹿委員 よく了解することはできません。私は不完全だと思うが、そのことは水掛論になりますから、申し上げません。
 次にお伺いいたしたいのは、基金という別な機関を創設せられました。その根拠というものは一体何でありますか。私らは農林中金に御委託になつても、けつこうこの業務はやつて行けると思いますし、ことさらにこういう基金という特別な機関を御創設にならなければならない根拠がはつきりしないと思います。特に民主的な運営をはかつて行く云々というような言葉も提案理由の中に現われておるようでありますが具体的に言いますと、どういう不便があるからこういう機関を別につくらなければならぬのか、また今後の運営については、どういうふうにするから実際においてこの共済制度に裨益するのであるかという、具体的な問題についてお尋ねをいたしたいと思います。
○小倉政府委員 基金を設ける理由でございますが、これは簡単に申し上げますれば、連合会の不足金を的確、しかも早く融通するということにあるわけであります。お話のように中央金庫ということも考えられますが、従来は実は中央金庫を通して融資をしておつたわけでございます。しかしそのために中金の金繰りなり、あるいは連合会と中金との関係からいたしまして、必ずしもす早く的確に参らなかつたのであります。そこで結局は共済金の支拂いが遅れるというような事態もあり、はなはだ遺憾でございましたので、今回は補償制度の中の一つの制度として基金を設け、共済金額が的確に、敏速に支拂われるようにするというのが実は建前でございます。さような趣旨で特別の機関といたしたのであります。
○足鹿委員 きようはもう一点お伺いいたしまして、あとは資料をいただいてから、後日にまた機会がありましたら発言をお許し願いたいと思います。この半額の十五億を農民が負担する場合には、反別割でおやりになるのでありますか、あるいは農家単位でおやりになるのでありますか。この十五億の割当の具体的な方針はどういうことになるのでしようか。金額にして私ども見当がよくつきませんが、それでなくても掛金自体がなかなか今集まらない状態で、単位の組合は非常に苦しんでおる。そこへ持つて来てまた、たとい五年であろうと六年であろうと、年賦拂いにしてでもこの金を出して行くということになりますと、おそらくこれは、何か特別な御意図があれば別ですが、私は集まらないと思う。実際ほかに何かこういうものを満たして行く親心が政府にあるならば、率直にそういうことでおやりになるのがいいのであつて、名前は農民に負担をさせるのであるというような形にして従来往々ありがちな、たとえば町村を歩いてみましても、府県へ行きましても、府県の協同組合なんかはぼろぼろの事務所におりますけれども、共済組合は実にりつぱな事務所にみな入つております。われわれ協同組合運動を長いこやつておりますが、事務所なんかろくろく備品を買えないような状態でありましても、共済組合の連合会はどんどんりつぱな事務所をお建てになつておる。その事自体を私はとがめるものではありませんが、何かそこに運営上、融通の道があるようにわれわれ見受けられる。そういうふうに名前は農民の負担だということにしておいて、何か別の方法によつて実質的に出して行かれるような感じも私は受けるのでありますが、具体的に先刻申しました反別制で行かれるか、あるいは農家割、いろいろな基準があると思いますが、その方針なり、具体的な農家一戸当りがどういうことになつて行きますか。その点をもし本日ございませんければ、あとで資料としてでもけつこうでありますから、お願いをいたしたいと思います。
○小倉政府委員 十五億の出資金につきましては、これは共済組合のやりくりによつて適当に出すという趣旨ではございませんので、連合会が十五億を出資し、連合会はそのために下部の組合から、組合は組合員から徴収をするという建前にいたしております。そういうことで、農家負担ということから考えますれば、はなはだ残念なことではございますが、保険制度が政府と農家両方から成立しているということにかんがみまして、この基金の出資もやはり両方から出資をするという建前にいたしたのであります。出資のやり方につきましても、わけ方についての詳細は基金の定款、さらに連合会の定款、組合の定款によつてきまつて参るのでありますが、一応の基準といたしまして考えております点は、法律にもございますが、不足金がどの程度将来出るだろうかということは府県々々によつて若干ずつ異なりますので、そういう不足金の出方の点を、これまでの被害率を参照いたしまして、それを一つの基準にしたい。次は府県の農家の戸数なり耕地面積なり、あるいは牛馬の頭数といつたようなことも、これはその府県なり、組合の経済力というふうなことを反映しますし、また保険による、従つてまた基金制度による恩恵がどういうふうにあるかということにも関連いたしますので、そういうことを総合的に反映するものとしての総保険金額を一つの参考にいたしたいと思います。最後に、御指摘のような農家割といつたようなことも、一つの基準と相なるのではないかというふうに考えます。以上三つの基準を総合勘案いたしまして、十五億の出資を各連合会に割当てるということにいたします。また連合会が組合に割当てます場合は、以上のような点を参照して順次下に割りつける。若干連合会の段階と組合の段階とでは割振りの基準が違いますが、大体以上のような趣旨でもつて公正に割当をするという建前にいたしております。
○松浦委員長 ただいま審議中の三案に対する質疑は次会に継続することにいたします。
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○松浦委員長 この機会に小委員の補欠選任についてお諮りいたします。委員の異動に伴いまして、目下請願審査小委員が二名欠員になつております。この際その補欠を委員長において指名いたしたいと思いますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○松浦委員長 御異議ないと認めまして宇野秀次郎君、中馬辰猪君の両君を請願審査小委員に指名いたします。
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○松浦委員長 次に目下本院において審査中の国土総合開発法の一部を改正する法律案に関しましては、この農林委員会におきましても相当関係のある点もあるわけでありますが、これに関しまして小淵光平君より発言の要求がありますのでこれを許します。小淵君。
○小淵委員 経済安定委員会にかかつております国土総合開発法の一部改正法律案につきまして、この法律を改正するにあたりまして私どもよく見て参りますると、国土総合開発をするのに、農林部門においては、そのウエートから言いましても、さきに全国十九地区が特定地域として指定を受けたのでありますが、その内部においてもすでに農林関係部門が全体の六〇%以上で、あるいは治山治水ということに関係して山林の問題、あるいは農地の問題、あるいは開拓地等のこの国土開発に関係する部分が非常なウエートを占めているわけであります。この割合を占めているにもかかわらず、この法律の内容を見て参りまするならば、たとえば都道府県の総合開発計画を立てるにいたしましても、あるいは特定地域の総合開発計画を立てるにいたしましても、すべてこの法律の中を流れているものは経済安定本部長官と建設大臣と協議をし、あるいは建設大臣を通じてというようなことによつて、全部この中が織りなされているわけであります。こういう考え方から参りますと、結論におきまして六〇%以上の関係しておりまする部分、つまり林野庁の関係であるとか、あるいは農地局の関係であるとかいうようなものが、すべて建設大臣の協議あるいは建設大臣を通じてというようなことになりますると、建設省が将来かりに国土省というようなことにかわりました場合には、林野庁もあるいは農地局の一部も国土省の所管の中に自然的に、むぞうさに入るというようなことが懸念されることにもなりますし、開発計画を立てるにいたしましても、農林大臣は何らこの窓口にもなれないし、あるいは特に協議を受ける対象にもなれないということになりますと、農林関係の面に非常に大きな影響が生じますので、ただいまこの法律の一部改正が出ているのを機会といたしまして農林委員会において、この法律案の一部修正を申し入れすることについて皆さんに御賛成を得て、農林委員会として申込みをいたしたいというのが私の発言の要点であります。
 法案の第七條の二の第二項中に、「都府県は、都府県総合開発計画を作成した場合においては、建設大臣を通じてこれを内閣総理大臣に報告しなければならない。」とあるのでありますが、この「建設大臣を通じて、」というのを削つてしまうということが第一点であります。
 第二点は、第十條の中に、「資源の開発が充分に行われて居ない地域、特に災害の防除を必要とする地域又は都市及びこれに隣接する地域で特別の建設若しくは整備を必要とするもの等について経済安定本部総務長官及び建設大臣がその協議によつて特に必要があると認めて」云々ということがあるのであります。この「経済安定本部総務長官及び建設大臣がその協議によつて特に必要があると認めて」というところを、「経済審議庁長官が特に必要があると認め、関係行政機関の長と協議して」というふうに改めたいと思います。さらに同條の第二項中に、「関係各行政機関の長の意見を聞き、建設大臣は、」とありますけれども、これを削除いたしたいということであります。
 第三点は、第十四條中に「北海道開発庁長官」というのがありますが、これをただいま七條、十條で申し上げました趣旨によりまして、「関係行政機関の長」ということに改めたいというのであります。
 以上が今申入れをしようということについての理由の説明であり、内容であります。何とぞこれについて御賛成くださるよう委員長に特にお願い申し上げたいと存じます。
○松浦委員長 ただいまの小淵君の発言に対して御意見なりあるいは御質疑があれば発言を許します。
○千賀委員 内容についてはあげて賛成ではありますが、ただいまの字句については、文法から言えば妙だと思うところもありますので、今でなくてもけつこうですから、委員長の職権において適当にお改めになるようにお願いして賛成いたします。
○松浦委員長 文案につきましては、これは少し急いだ関係もありますので、のちほどお諮りいたしたいと存じます。
○竹村委員 従来の例から考えましても、こういう改正意見を申し述べることにつきましては、もちろん別に申入れなければならない場合もあるかと思うのでありますが、これは経済安定委員会にかかつておると思いますので、こういうことを申し入れる前に連合審査を申し入れるべきではないか。その結果において改めるべきものは改めるとして申し入れるのがけつこうではないか、それを省いて、いきなり委員会の案として出すのはどうかと思いますので、委員長においては至急に連合審査会を持つように申し入れをすべきであると思います。その点お諮り願いたいと思います。
○松浦委員長 竹村君に申し上げますが、本委員会の小淵君が経済安定委員会に参りまして、委員外の発言をして相当の意見を述べておられるようでございますし、また経済安定委員会におきましても、農林委員会の立場を考慮して十分善処するということにもなつております。なおその目的を達せられない場合におきましては、あらためて連合審査を要求することで御了承願いたいと思います。
 他に御発言がなければお諮りいたします。ただいま小淵君の提案になりました国土総合開発法の一部を改正する法律案に対する修正意見を本委員会の意見として経済安定委員会に申し入れることに御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○松浦委員長 御異議なしと認めさよう決しました。
 なお修正意見の文案につきましては、委員長に一任願いたいと思いますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○松浦委員長 御異議ないようでありますからさように決しました。
 次会は明九日午前十時より開会することにいたしまして、本日はこれをもつて散会いたします。
    午後零時十八分散会