第013回国会 農林委員会 第45号
昭和二十七年六月十二日(木曜日)
    午前十時五十三分開議
 出席委員
   委員長 松浦 東介君
   理事 遠藤 三郎君 理事 平野 三郎君
   理事 小林 運美君 理事 井上 良二君
      宇野秀次郎君   小笠原八十美君
      越智  茂君    小淵 光平君
      坂田 英一君    坂本  實君
      幡谷仙次郎君    原田 雪松君
      坂口 主税君    高倉 定助君
      石井 繁丸君    竹村奈良一君
      上林與市郎君
 出席政府委員
        農林事務官
        (農政局長)  小倉 武一君
        農林事務官
        (農地局長)  平川  守君
 委員外の出席者
        判     事
        (最高裁判所事
        務総局民事局第
        一課長)    服部 高顕君
        専  門  員 難波 理平君
        専  門  員 岩隈  博君
        専  門  員 藤井  信君
六月十二日
 委員足鹿覺君辞任につき、その補欠として上林
 與市郎君が議長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 農地法案(内閣提出第八四号)
 農地法施行法案(内閣提出第八五号)
 耕土培養法案(坂田英一君外二十三名提出、衆
 法第六二号)
    ―――――――――――――
○松浦委員長 これより農林委員会を開会いたします。
 まず耕土培養法案を議題といたし、審査を進めます。質疑または意見のある方は発言を許します。竹村奈良一君。
○竹村委員 私はまず政府の方にお聞きしたいのですが、これで大体予算は幾らぐらいございますか。それともう一つは、大体この法律が通過いたしますならば、すぐにでも実施でき得るような予想が立つておるかどうか。おそらくこういう予想が立つておると思いますが、立つておるとするならばその計画、具体的には各県に対する大体基礎的な調査等ができておるかどうか、できておるとするならばその概要をまず伺つておきたい。
○小倉政府委員 まず本事業に要します予算でございますが、本年度といたしましては、一億八千八百万円計上いたしてあります。そのうち四千五百万円は調査の方の費用でございまして、残りが事業関係の費用でございます。従いまして、この法律が通過いたしますと、予算の関係といたしましてはただちに実施し得ることになつておるのでございます。
 なお予算の関係以外に、調査のことについてもお尋ねでございますが、この耕土培養を要する土地、従来私どもは低位生産地と称しておりますが、そういう低位生産地につきましては、数年前から、ごくあらましの調査はいたしておりますので、大体どの辺に酸性土壌の面積がどのくらいある。どの辺に秋落ち田がどのくらいあるということも、一応統計的に資料ができております。御配付いたしました資料に、その点は県別の面積も出ておるかと思いますので、それでごらん置きを願いたいと思います。
○竹村委員 それから提案者にお伺いいたしますが、第三条の二号で、「その地域がおおむね密集する不良農地から成り、且つ、その地域の面積が農林大臣の定める面積以上であること。」ということになつておるわけでございますが、その農林大臣の定める面積以上というのは、一体何町を基礎にされておるのか、これもひとつ伺つておきたいと思います。
○坂田(英)委員 農林大臣の定める面積は、大体五十町歩ぐらいを見当にしております。
○竹村委員 そういたしますと、それ以下に対してはこういう施策というものが全然除外されることになるのか、これに対して何かの対策が認められますか。
○坂田(英)委員 今のこの五十町歩というのはそれだけに集団されておる所を予想するのであつて、しかしその中には酸性土壌でないもの、いわゆる秋落ち田にいたしましても、集団を意味するのであつて、実際の施行は、それ以下であつてもその範囲内において施行するということになると思います。
○竹村委員 農政局の方にお伺いいたしますが、大体五十町歩と規定された場合に、今の答弁で聞いておりますと、それ以下の秋落ち田等が含まれておつてもと言われますが、どうも私はその点がはつきりしないと思います。というのは、今後この補助を受けて改良しようとする者の立場から考えますと、そういう説明だけでは、たとえばお前のところは五十町歩以上の集団でないからだめだというようなことになつて参りますと、非常に困りますので、その点を明確にするために、農林大臣の定める区域を五十町歩以上とされたその基礎は一体どういうことですか。たとえば、日本全国の酸性土壌の土地の改良についてこの法律を適用しようとしてやろうとする場合に、五十町歩以上ときめた箇所は何箇所であるか、あるいは十町歩以上と直した場合には何箇所になるか、あるいは二十町歩以上と直した場合には何箇所になるか、こういう点がわかつておつたならば、お知らせを願いたい。
○小倉政府委員 ただいま坂田さんの方からお答えになりましたのは、五十町歩ということになつておりますが、五十町歩ということでお答えになりましたのは、これはこれまでの調査が、大体二十五町歩くらいに一点ずつ選んで土壌の性質を調べておるのであります。そこで大体二点くらいがないと、ここは不良土地帯であるというふうには必ずしも言いにくいのじやないかということで、一応地域の指定は五十町歩程度ということで押えておるのであります。従来この調査によります、集団的に五町以下の団地は、二町から五町は幾ら、あるいは十町から五十町は幾ら、五十町以上で幾らといつたような資料はございません。ただこれは一応便宜的に、あらかじめどういう範囲で仕事を進めて行くのだということでなければ、仕事がやりにくいので、一応五十町歩といことを前提にして、そこを大まかに押えまして、実際仕事をやつて行きます場合は、大体町村に五町歩くらいと考えているものでありまして、五町歩くらいの不良土壌地帯がございますれば、そこはこの法律の対象として事業を助成して参りたい、かように考えております。
○竹村委員 もう一つ承つておきたいのは、大体今年の予算は一億八千八百万円である。そのうち事務費を四千五百万円引きますと大体一億四千万円の金ですが、これで一体完成させると考えておられるのか。完成されないと私は思うのです。そういたしますと、この法律が成立いたしましたならば、次の補正予算あるいはその次の補正予算等に組まれる考えがあるのか。増額される考えがあるのか。そうしないとこれは大体中途半端になつて、選挙が済んだらやめてしまうということになると、選挙運動法案ということになりますと、農民の期待が大きくはずれますので、この点はつきり聞いておきたい。
○小倉政府委員 御趣旨のように、今申し上げました予算のみでは十分な効果は期待できません。今年度の事業から申しますと、これは非常にわずかなんでありますが、今後大体私ども考えておりますのは、七箇年計画でもつて酸性土壌、秋落ち田といつたようなものにつきまして、今技術的にこうやれば簡単に改良できるといつたことがわかつている面積をつかまえまして、それを七箇年で実施して参りたい、かように考えております。先ほど申し上げました数字は、その第一年度の事業計画である、こういうふうにお考え願いたいと思うのです。
○松浦委員長 他に御発言はございませんか。――別に御発言もなければ討論の通告もございません。これより討論を省略してただちに採決いたしたいと思いますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○松浦委員長 御異議なしと認めます。
 それでは耕土培養法案について採決いたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔総員起立〕
○松浦委員長 起立総員。よつて本案は可決すべきものと決しました。
 なおお諮りいたしますが、本案に対する衆議院規則第八十六条の規定による報告書の作成に関しましては、委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○松浦委員長 さようとりはからいます。
    ―――――――――――――
○松浦委員長 これより農地法案及び農地法施行法案を一括して議題といたし、前会に引続き質疑を行います。
 なお本案に関して最高裁判所より発言の要求がありましたときは、随時委員長において許可いたしたいと思いますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○松浦委員長 御異議なしと認めまして、さようとりはからいます。石井繁丸君。
○石井委員 最高裁判所に、この法案の実施にあたりましていろいろと関係があるので、その方面につきまして二、三御質問したいと思うのであります。
 御承知の通り、昔は小作問題と言いますと、裁判所におきましても非常に大きな問題でありまして、新潟とか秋田とか、こういう小作問題の多い県におきましては、小作担任の判事、こういう方々がありまして、県の小作官と連繋をとつて処置をいたしたのでありますが、終戦後におきましては農地開放がありまして、大体昔の小作問題というふうな形は消えて、非常に小作争議というふうな形はなくなつたのでありますが、しかしながらやはり小作調停関係の事件を相当に取扱われているようでありますが、最近の裁判所におけるところの小作調停関係、あるいは小作訴訟関係等はどのような状態になつているか、経過をお尋ねしたいと思うのであります。
○服部最高裁判所説明員 お答えを申し上げます。
 小作調停法は御承知の通り大正十三年の十二月一日から施行と相なりまして、その後逐年事件が増加いたし、過去におきまして一番小作調停事件の新受事件の多うございました年は昭和十一年の七千四百六十九件という件数が出ております。ところがその後小作調停事件は漸次減少して参りまして、終戦前年、昭和十九年におきましては千五百五十六件という状態に相なつておりまして、その後昭和二十一年になりましてから、これは農地改革の要綱が発表になつた関係も影響しているかと思われますが一躍増加いたしまして、七千五百六十件、大体におきまして昭和十一年の件数よりもやや多いというような、多数の小作調停事件の申立てを見たのでございます。しかしその後事件はずつと減少いたしまして、昭和二十六年におきましては、小作調停事件の新受事件は一千百五十四件という状態になつております。大体昭和二十五年、二十六年のころを見ますと、年間千二百件前後が新しい事件として小作調停の申立てがあるということになつているのでございます。
 個々の具体的な事件の内容につきましては、必ずしも全部について調査をすることができませんので、具体的にはわかりかねるのでございますが、昭和二十一年当時には、今申しましたような関係から農地の引上げ等に関連した事件が相当にあつたのではないかと推察できるのであります。その後は結局農地改革の進行につれまして事件がずつと減少した。裁判所から見ますと、小作農地についての紛争は非常に減つて来たということになるのでございます。
 それから今お尋ねのありました小作調停主任というような問題でございますが、裁判所といたしましては、昔の小作調停の申立て、現在では昨年の十月一日から民事調停法が施行になりまして、農事調停と呼んでおりますが、この種の事件の処理にあたりまして、争いの適正妥当な解決あるいは当事者の権利の適正な保護ということにつきまして、十分考慮をするということはもとより当然のことでございますが、しかし同時に農地政策とかあるいは農業政策というような点も十分考えて、事件を処理するように努めているわけでございます。そこで小作調停主任という問題でございますが、現在の民事調停法第七条によりまして、裁判所は裁判官の中から調停主任を指定するというふうに規定が設けられておりますので、以前と同様裁判所におきまして、は、現在におきましてもこの民事調停法第七条の趣旨にのつとりまして、毎年あらかじめ農事調停主任の裁判官を規定いたしております。その裁判官をして農事調停事件の処理に当らせておる状況でございます。なおそのほかに、この種の事件は裁判所といたしましては、特殊な知識経験を必要とする事件でございますし、同時にまた民事調停法第二十七条、二十八条等の規定によりまして、裁判所は調停をしようとするときは、小作官または小作主事の意見を必ず聞かなければならない、あるいは小作官または小作主事が小作調停の期日に出席して、調停委員会に対して意見を述べることができるというふうになつております。これらの規定の趣旨に従いまして、さらに別に裁判所規則を昨年の十月一日から設けまして、小作官あるいは小作主事以外に、さらに農業委員会から必要に応じて農事調停事件に関する紛争の経過とか、あるいは意見を聴取することにいたしております。なおこの上に今申しましたような小作官あるいは小作主事との連絡を密にする必要がございますので、現在裁判所におきましては、毎年各農地事務局の管内別に、農事調停主任裁判官と小作あるいは小作主事との協議会を開催したしております。そのほかに、あるいは各地方裁判所ごとに、その当該府県の小作主事と協議会をいたしておる例も相当にあるようでございますが、さような方法で十分に緊密な連絡をとつて、事件処理について誤りのないように処理いたしおるつもりでございます。
○石井委員 裁判所におきましては、農地開放が終つても、従前と同じように注意深い対策を立てておられる点非常に安心いたすのでございます。御承知の通り、小作地もまだ六十万町歩ばかり残つておりますが、最近の風潮としまして、土地の所有者としましても、土地の返還を求めるような傾向が多くなろうかと思うのであります。これに対して小作人組合とか農民組合も、農地開放が一段落したので、耕作者の立場に立つて活動する場面が非常に衰えておる。こういうことになりますと、どうしても裁判所におきましての調停等によつて十分適切なる処置を講じてもらわないと、耕作者の方が負けるような形になるのではないかと思います。この点最高裁判所として十分に御研究願いたい。特に農地開放におきまして少し考慮を払いまして、地主の人々にも、耕作歩積の多い小作者から土地をさいて、地主の人につくらせるようにする。また土地をとられると困難になる人には、極力土地開放をいたすようにいたしまして、その調整よろしきを得ておる所では、ほとんど保有地は残つておらない。ところがいろいろと土地柄におきまして、土地を買うなというふうな運動等によりまして、土地を買い遅れた所があつたり、あるいはまた非常に有利な小作条件でいながら、自分の土地を譲つて他の小さな小作人のめんどうを見るというような機運のなかつた所におきましては、非常に不合理な、不均衡な農地開放があつた。地主の方でも非常に土地を広げなければ農業経営が困難になるという立場におるのであります。また小作者の方におきましては、一反なり二反なりその小作地をとられると、農家として転落をするという状態が今後に現われる小作事件ではなかろうかと思われるのであります。こんなようなわけでありますから、ただいまのような処置を十分注意深くやつていただきまして、裁判所の権威ある御調停を願いたいと思うわけであります。
 なお一点、民事調停法になりまして、調停委員が総括的に任命をせられて参るのでありますが、昔は調停委員も小作調停等につきましては、よく小作問題になれた調停委員が相当に各県下にありまして、裁判所ごとに配置せられておつたのであります。ところが終戦後からは小作問題等について関心が薄らいだ関係上、またその事件等が少し遠のいた関係上、調停委員の任用等がいろいろとかわつて来ておるのではなかろうかと思います。前の民事調停委員というふうな形になつておるようでありますが、これに対して最高裁判所としてはどんな指導をされておるか、承りたいと思います。
○服部最高裁判所説明員 ただいま仰せになりました通り調停委員――この場合は農地調停委員ということになるわけでございますが、この調停委員は非常に重要な職責を持つております関係上、裁判所といたしましては、従来から調停委員の選任につきましては慎重を期して参つたのでございまして、特に農業委員の制度ができましてからは、これらを相当数委員に加える等いろいろ考慮を払つて参つたのでございます。その上昨年十月一日に民事調停法が制定になりまして、従来の小作調停の範囲が従来よりもやや広められまして、御承知の農事調停という制度になつたわけでございます。かような制度ができましたのを機会に、従来から心がけて参りました調停委員に適切な人材を得るという目的を一層完全に達成できるようにと考えまして、最高裁判所規則で昨年十月一日に調停委員規則というものを設けたのでございます。この調停委員規則では、結局調停委員の選任の基準とか、監督の方法等を定めまして、従来以上に有能な適格者を調停委員にするよう調停委員の厳選に努めておるのであります。現在調停委員規則の第五条によりまして、農事調停事件についての調停委員を選任するためには、必ずその当該地方裁判所の所在地を管轄いたしております都道府県知事の意見を聞くということにいたしておりまして、大体におきまして、都道府県知事の推薦のあつた者をさらに裁判所で調停委員としての必要な徳性、たとえていいますと、廉直とか、公正さというような点につきましても、さらに十分調査をいたした上で選任して行くという状況でございます。なおつけ加えて申し上げますと、昭和二十七年二月一日現在におきまする全国の農事調停委員の数は六千九百二十人でございまして、そのうち婦人調停委員が四十五名ございます。なおただいま申し上げました委員の中には、相当多数の農業委員を含んでいるわけでございます。
○石井委員 知事の意見等を聞きますと、おそらく農地部長等がいろいろと適任者を推薦するという形になろうと思いますが、なお今後はさきに申したように、土地問題についていろいろと深刻な場面が出ようと思うのであります。各農民委員会とかあるいは土地等に関連する農業団体の意見等も聞き、いろいろと相談を願つて、そうして非常に弱体化されたところの耕作者の立場を保護するようにとりはからつていただきたいと思うのであります。この点特に裁判所で今後選任にあたりましてはお考えがあるかどうか、承つておきたいと思います。
○服部最高裁判所説明員 ただいまお話がございました通り、農事調停事件の処理、あるいは農事調停委員の選任につきましては、なお一層十分に考慮いたしまして、適切な事件の処理、あるいは調停委員の適切な人材の獲得というような点に、十分考慮いたすつもりでおります。
○石井委員 それから抵当権の執行についてでありますけれども、この農地法は、これは立案当局の農林省側もいろいろと考慮しておるようでありますが、抵当権の執行あるいは任意競売等によつて、今後土地をなくすというふうな場面が相当できるかもしれないと思う。そこで土地が非常に高く売れるというようなことは、耕作農民が農業経営等について困窮して高金利等を借りて土地を離すというような形になろうかと思うのでありますが、農地競売にあたりまして、競落人というのはある資格条件を備えておらなければならないのでありますが、この点につきまして最高裁判所としては、その土地の競落人心ついてどういうふうな資格を要求し、どういうふうにして土地がとれるかどうかについて、適正な処理をなしておるかどうか伺いたいと思います。
○服部最高裁判所説明員 農地の競売の問題でございますが、この問題につきましては、昭和二十五年十月に静岡の地方裁判所長から照会がございまして、当時最高裁判所の事務総局におきましていろいろ研究いたしましたほか、農林省の当局とも連絡いたしまして、大体次のような手続で事件を進行することとしてはどうかというので、その趣旨の回答を当時発したのでございます。その手続と申しますのは、農地の競売につきましては、その競落人が農業耕作者として適当なものであることが必要とされると考えられます関係上、裁判所は競売の開始決定をいたします際に、都道府県知事の競買適格証明書を持つておる者に限つて競買の申出を許すということを農地の売却条件の特別な一つとしてつけ加えることにする。ただいまの条件をつけることは、民事訴訟法の六百六十二条の二の規定によつて裁判所は必要があると認めますときは適当な売却条件をつけることができることになつておりますので、この規定を適用いたしまして、都道府県知事の競買適格証明書を有する者に限つて競買を許すということを売却条件の一つとする。従いまして、競買希望者はその競買の申出をいたします前に都道府県知事に競買適格証明下付願を提出いたしまして、その証明をもらう、そしてその証明をもらつた者を競落申出人にいたしまして、その適格証明書を有する者のうちの最高の競買価額を申し出た者を最高価競買人に定める。そしてその最高価競買人が競落期日において決定いたされるわけでありますから、その決定いたしました最高価競買人は都道府県知事に最高価競買人になつたという調書の謄本を提出いたしまして、現在の農地調整法四条の許可をもらう、そしてその許可書をもらいまして、その許可書があつた場合に裁判所は競落許可決定をするという手続にいたしまして、調整法四条との関係の調整をはかることにしてはどうかということで、その趣旨の回答を出しているのであります。なお当時その回答を全国の裁判所に通知いたしましたので、はつきりしたことはわかりませんが、大体全国ともこの通知の趣旨に従つて事件を処理いたしているのではないかと存じます。
○石井委員 許可を得て競買の方の申出をする場合におきまして、実際問題として、許可を得て競落の土地を買いたいという立場に立つ人が相当に出て来ているかどうか、あるいは大体一人か二人の人が許可を得てそういうふうな申立をしているのかどうか。その点を最高裁判所、また農地局等においてもおわかりでしたら、お尋ねしておきたいと思うのであります。
○服部最高裁判所説明員 お尋ねでございますが、実はその点につきましてははつきりした統計的な数字がわかつておらないのでございます。大体全国の不動産強制競売事件は一箇年千五百件前後でないかと思われるのでございますが、その中には建物の競売もございますし、土地の競売もございますし、なお今お話になりました農地の競売も含まれていることと存ぜられるのでございますが、そのうちどの種類の土地が何件あるかということは、必ずしも明確にいたしておりませんので、はつきり申し上げかねる状況でございます。ただ二、三の裁判所につきまして調査いたしました結果では、農地の競売事件は非常に少い。その上に競売開始決定がかりにございましても、競落許可決定という最終の段階まで行く事件は非常に少いということでございまして、今お尋ねのございました何人くらい証明書をもらつて競落に参加する者があるかという点につきましては、はつきりしたことがわからない状況でございます。
○石井委員 裁判所では土地の競売価額をどういう点できめておるか。土地の価額としましては、一般の基準としては各地で固定資産の評価基準がありまして、この評価基準で土地の最低競売価額をきめておるのか、それともいろいろ鑑定人に命じまして、そして実際の民間における取引を基準としてきめておるのかどうか、また今後はきめようとするかどうか、お尋ねしたいと思います。御承知の通り、今までは一応の土地の最高価額というものがあつたのでありますが、今後それがなくなりますと、田畑等におきましては、固定資産の評価基準価額よりは実際の取引価額は高まつて来ようかと思うのであります。そこで不動産競売等につきまして、どれくらいの価額をもつてその最低価額とするかということがいろいろと影響があろうかと思うのでありますが、どの辺で最低価額を定めるか。つまり土地の価額の統制がとられた意味において、今後におきましてはどのくらいで鑑定価額をきめて行くか、これらの点についての最高裁判所の指示方針等はどうなつているか、承りたいと思います。
○服部最高裁判所説明員 競落の場合におきまする最低競売価額の決定のお尋ねでございますが、具体的にはただいま申し上げましたような事情で承知いたしておらないのでございます。民事訴訟法第六百五十五条の規定がございまして、この規定によりまして最低競売価額を決定いたしました上で競売事件を進行するということに法律で定められておりますので、結局ただいま申し上げました六百五十五条の規定によりまして、鑑定人をして不動産の土地の評価をさせる。そしてその評価価額を最低競売価額と決定して、その前提の上で競売を進行するということになろうかと存じます。ただ具体的には、裁判所の定めます鑑定人が最低競売価額の決定をいたしますにつきまして、あるいは今お話にございました固定資産税の評価価額というものを、ある程度の参考にいたすというようなことはあるかもしれないのでございますが、大体この規定によつてまかなつて行くということになろうかと存じます。
○石井委員 われわれとして、また裁判所ももちろんであろうと思いますが、農民が土地をなくすということは非常に困ることでありまして、現在の農耕地の実情からしまして、一反歩といえども耕地を減らしていいというような耕作面積の広い農家はほとんどない。二町も持つておれば大農家のうちに入るというような実情なんです。そういうふうな土地で転落農家も多い。こういうときにおきまして、借金のかたで土地を競売等によつてなくすというふうなことは、農村としましてはなはだゆゆしい問題でございます。そこで今度の農地法におきましても、はなはだ条文があいまいで、読んだだけでは見当がつかないわけでありますが、その第十六条におきまして、政府としましては、農地を抵当に入れたり、あるいはまた借金のかたで競売されるというようなことはなるべくなくしたい。できるならば第十六条の規定に基いて、農家がなかなか低金利の金融の道が得られない場合には、政府が一反歩八千円なり一万円で、大体八億ばかりの金を貸して、売渡し担保の形において一応土地を預かつておつて、それを逐次返済して、またもどす、こういうふうにはかられたいというわけで、第十六条の規定が設けられて来ておるわけであります。実際問題として農村としましては、今後農民が高金利等による抵当権執行によつて、あるいは競売によつて土地がなくなるということははなはだ好ましからざる傾向でありますので、裁判所としましても、これは積極的にどうこうということは裁判所の立場上困難であろうかと思いますが、第十六条の規定によりまして、農地を競売するというような目に農民があわないで、国家の金を低金利で借りて、非常に困つた場合はこれによつて処置をする、こういうふうな法律ができているわけでありますから、農地が競売になり、そして農民が土地をなくすということは、今後の社会不安を醸成する非常に大きな原因にもなろうかと思われますので、こういう法律のできている点を十分ごしんしやく、御研究くださいまして、競売や何かによつて、土地のブローカーあるいはまたいろいろな形によつて力のある者が土地を兼併収奪するようなことのないように、大所高所より御対策をお願いしておきたいと思うわけであります。これは調停の方面の主任とし、民事の第一課長でありますから、局長あるいは最高裁判所の各位と御協議の上、十分に対策を御研究願いたいということを最後にお願いして、質問を終りたいと思います。
○服部最高裁判所説明員 ただいまお話のございました調停事件の適切な処理あるいは農地の競売事件の適切な処理等につきましては、なお具体的に適当な方法を検討いたしまして、十分事件の処理に誤りのないようにいたしたいと存じます。
○竹村委員 私は一点だけ聞いておきたいのですが、最近警察予備隊あるいは軍事基地等のために、各地において農地が非常につぶされている現状であるのであります。たとえば農林省のいうところによりますと、警察予備隊としてはすでに一万五千町歩の土地がつぶされている。これに対して、今まで農地関係法令によつて取上げたものは、一件か二件しかない。それ以外はみな農民より無許可でとつておるということが明らかにされておるわけでございますが、そこで私の伺つておきたいのは、こういう問題をめぐりまして、小作人、従来のいわゆる直接耕作をしておる農民から、この農地の問題について調停申立て等が全国において行われたかどうか。もし行われたとするならば、それに対してどういうような態度をとつておられるのか。それからまた全然そういう申立てがなかつたといたしましたならば、おそらく今後において、もしいわゆる警察予備隊の演習地等において無断で取上げられておるという場合に、その耕作者からそれに対する調停申立てがあつた場合におきましては、あなたの方ではこの調停申立て期間中はそういう演習等に使用を許可しない。歩くとも農地を現状のままとして耕作者に耕作させつつ調停を行おうとされるかどうか。この点について伺つておきたい。
○服部最高裁判所説明員 今御質問のございました点につきましては、具体的な個々の事件がどういうふうになつておるかという点につきまして、一つ一つにつきまして十分に調査いたしておりませんので、はたしてどのような事件が現在起つておりますかどうか、あるいは過去にありましたかどうかという点につきまして、十分に承知いたしておらない状況でございます。なおさような事件が調停事件としてもし持ち出されましたときに、どういう方法で事件を処理するかということは、結局当該調停主任裁判官あるいは調停委員でもつて組織されます調停委員会で、十分に法律の規定、その他適当に具体的な事案についての事情というようなものを考慮いたしまして、決定するほかはないと思います。
○竹村委員 そこで問題になりますのは、たとえばこの警察予備隊の演習地あるいは軍事基地等につきましては、大体つくつている耕作者は反対しておるわけであります。ところがいわゆる土地の有力者と言うのか、何と言いますか、こういうものを誘致することによつて、農民以外の人が、利益を得るという考えに立つ人が、大体誘致運動をやつておる。そうなりますと、私の一番心配いたしますのは、先ほど石井委員からも御質問がありましたが、ほんとうに農民の側に立つた勤労者階級の側に立つた正しい調停委員がおられますとするならば、おそらくこの調停に当りましては、この農地をつぶすということ、あるいは問題が解決するまでは農耕地としてその農民に耕作を進めさせるという方策をとられると思いますけれども、それ以外の考えを持つておる人々が多かつた場合においては、そういう有力者の誘致運動に押されて、そうしていわゆる今までの法律的な根拠から言つても、どうしても取上ぐべき何がないにもかかわらず、そういう農地を取上げるような調停をされるという心配がされるので、私はあえてこの質問をしておるわけであります。そこで私の考えを申しますならば、たとえば勤労農民から、面接土地を取上げられる人から申立てのあつた場合は、少くともその問題の解決、本人の納得するまでは、従来各地でありましたことく、その申立てのあつた農民が、調停が完了するまでは耕作を続けて行き得るという措置をとられるのがほんとうではないか。従つてそういう措置をとられるように措置される考えはないか。この点だけ明確にしておいていただきたい。
○服部最高裁判所説明員 お話の点は、結局さような具体的事件の場合にどういう措置をとるのが最も妥当かということに帰するわけでございますが、ただいまお話のございましたような点につきましては、調停委員の選任に適切な人を得るということと、なおもう一つ、耕作の継続というような点につきましては、これは具体的な事件を個々に当りませんと、はたしてそういうことができるかどうかということは断言はできないのでございますけれども、民事調停法の第十二条に、調停のために必要があると認める場合には、当事者の申立てによつて適当な調停前の措置をすることができるという規定がございます。具体的に、さような場合にこの規定を働かすと申しますか、適用することが法律上できるかどうか、あるいは事実上適用することが適当かどうかというような点につきましては、いろいろ問題がございましようし、具体的事件によつてそれぞれ事情が違うわけでございますから、一概には申せませんけれども、これらの規定の適切な運用ということも考えられるかと存じます。ただ何分にも御質問がございました点は、具体的事件ということを離れて考えることはどうしてもできませんので、結局は具体的な事件を処理いたします裁判官なりあるいは調停委員会なりの適切な判断によつて決して行くほかはないと存じます。
○松浦委員長 これにて農地法案及び農地法施行法案に対する質疑は一応終局いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○松浦委員長 御異議ないようでありますから、さよう決します。暫時休憩いたします。
    午前十一時五十一分休憩
     ――――◇―――――
    〔休憩後は開会に至らなかつた〕