第013回国会 郵政委員会 第6号
昭和二十七年二月二十七日(水曜日)
    午前十一時十四分開議
 出席委員
   委員長 尾関 義一君
   理事 飯塚 定輔君 理事 山本 久雄君
   理事 受田 新吉君
      池田正之輔君    石原  登君
      江崎 真澄君    小西 寅松君
      坪川 信三君    降旗 徳弥君
      山本 猛夫君    椎熊 三郎君
      田代 文久君
 出席国務大臣
        郵 政 大 臣 佐藤 榮作君
 出席政府委員
        郵政政務次官  寺本  齋君
        郵政事務官
        (貯金局長)  小野 吉郎君
        郵政事務官
        (簡易保險局
        長)      白根 玉喜君
 委員外の出席者
        郵政事務次官  大野 勝三君
        専  門  員 稻田  穰君
        専  門  員 山戸 利生君
    ―――――――――――――
二月二十七日
 委員小野孝君弁任につき、その補欠として椎熊
 三郎君が議長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
二月二十三日
 真穴村大島に簡易郵便局設置の請願(中村純一
 君外一名紹介)(第九七二号)
の審査を本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 簡易生命保險法の一部を改正する法律案(内閣
 提出第二一号)
 郵便貯金法の一部を改正する法律案(内閣提出
 第三六号)
    ―――――――――――――
○尾関委員長 これより郵政委員会を開会いたします。
 前会に引続き郵便貯金法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を続行いたします。質疑の通告がありますので、これを許します。受田新吉君。
○受田委員 この前の委員会で資料の提出を願つておきましたが、今度の法律の改正においてもなお従来の月掛貯金その他の特殊貯金を一括して、通常郵便貯金と同率にするというあの貯金の該当の数がまだ示されておりませんが、これに対して御答弁をいただきたいと思います。
○小野政府委員 これは九種目の廃止された貯金があるわけでございますが、それを総括いたしまして、概数を申し上げますと、口座の数にいたしまして約八十一万六千口ございます。金額は一億九千三百万円余でございます。
○受田委員 金額にしてまことに蓼々たるものではありますが、この貯金の取扱いを今後すみやかに措置をする用意をしておられるか、あるいは依然としてこの原簿を当時の加入者の意思を尊重して厳重に続行しようとせられるか、その意図をお伺いしたいと思います。
○小野政府委員 この点につきましては、前会もいろいろ御指摘を受けたのでございますが、私どもといたしましても、こういつた廃止された貯金につきまして、現在できるだけ手数のかからないような別整理にいたしておりまして、現実には大した手数はかかつておらないのであります。それにいたしましても特に今回の改正におきまして、こういう種目のものは通常貯金になるとかいうような規定を設けました関係から、できるだけ早期に整理いたしまして、通常貯金に切りかえをさせよう、こういう別口座のものの特別処置も廃止して行きたい、かように考えております。
○受田委員 さらに郵便貯金法によるところの利率の改正でありますが、通常郵便貯金を大幅に引上げ、その他もこれについたわけですけれども、この改正案によると、積立郵便貯金と定額郵便貯金が、その期間内に解約拂いもどしされる場合に、その解約防止のための措置として、三分という懲罰的な利率の減額がされておるのでありまするが、この点前回の委員会でお尋ね申し上げた通り、預金者に便益を供與するという意味から言つたならば、まことにこれは遺憾なことであります。ところが三分という懲罰的な利率にさせられるこの貯金は、定額にしましても積立にしましても、加入者は当局の奨励があつて零細な資金を預金をして来ておるのであつて、ぞれがやむなく途中で解約された場合に、通常郵便貯金の三分九厘六毛をはるかに下まわる三分で処理されるということは、国家として非常に不親切であるということは、この前指摘した通りです。この点、貯金の募集にあたつて当局が無理やりに定額や積立にこれを参加させて、そうして途中でやむなく支拂いをするというような事例がしばしば起ると、これは国が奨励をしたばかりに三分九厘六毛の利子がもらえるものを、三分に減らされるということになるのですから、非常に問題が重大だと思うのでありますが、期間内の拂出しの率がどのくらいになつておるのか。積立をするという契約をして定期郵便貯金のお仲間入りをさせてもらつた者が、期間内すなわち積立の場合は二年、それから定額の場合は六箇月以内に解約する率が実際の上でどのくらいあるのか、お尋ねを申し上げます。
○小野政府委員 総体的に申しまして、ざつと総件数の四%くらいが解約になるというような実情でございます。
○受田委員 四%というとこれは軽視できない数字だと思います。百人のうち四人はこの減額された懲罰的な利率で利子を支拂われるということになるのでありますが、通常郵便貯金であるならば、その月の十五日までに貯金したものは、翌月一日に出してもちやんと一月分の利子がいただける。積立貯金の場合に、こつこつと二年の期間満了の直前まで積み立てたものでも、病気その他でやむなく出す場合は三分で支拂われるということになると、その間の預金意欲というものはむしろ積立の方にあるのであつて、通常貯金でたつた半箇月で利子をかせぐのと、二年間誠実に積み立てたものとどちらを大事にするかということはおよそわかることなのですが、こういう場合に期間満了に近いものは、その途中解約が非常に気の毒な結果になると思うのであります。これは初めこういう條件で貯金せよという條件を了承させて貯金させるのだから、さしつかえないということが言えはしまするけれども、一般大衆はまだ年三分という利率で解約されるのだということが徹底していないで、そういう長期の預金をした場合に非常に気の毒だと思うのですが、こういう点について政府としてはこの利率の懲罰的な意義を十分預金者に話して、定額貯金や積立貯金の募集にあたつて強制をしないように、割当があるからといつて無理やりに募集に応じさせた、そうしてやむなく途中解約は三分の懲罰的な支拂いをするということになると、非常に政府の責任が重大だと思うのですが、この点についての御意見を伺いたいのです。
○小野政府委員 御指摘の点につきましては、よく私ども検討をいたしたのでございますが、奨励の面におきまして非常な強制を加えるということにつきましては、努めてこれを避けておるような実情でありまして、制度の内容を十分に御説明いたした上で、入つていただくということになつております。従いまして今回の利率の関係につきましても、期間内拂いもどしにおいては、非常に低い率の利子が支拂われるといつた点は行き違いのないように、事前に十分納得していただいた上で入つていただく、かように運んで参りたいと思います。御指摘の通常貯金についても三分九厘六毛の利子が付せられるにかかわらず、積立貯金、定額貯金の期間内の拂いもどしについて、通常貯金の三分九厘六毛よりもはるかに低い三分の利子をつけることは、非常に妥当でないではないかという御指摘ごもつともでございます。私どもも郵便貯金の国民に奉仕しなければならない事業の性格から申しましても、一般の銀行等におきまして定期預金の期間内拂いもどしについて、あるいは全然利子をつけないような措置も民間にはあるわけでありますが、公益事業としての郵便貯金の性格から申しますと、少くとも通常貯金程度の利子は付したいと思います。積立貯金、定額貯金は、一定の約束せられた期間継続することを條件にいたしまして採算をとつておるのでございまして、期間内拂いもどしというようなことは採算上考慮しておらないわけであります。事業の採算の面から申しまして、そういつた期間内の拂いもどしにつきまして、高い利子を支拂うことは困難なような情勢にございます。しかもこの点につきましては私ども、少くとも通常貯金程度の利息を付することは必要であると考えるのでありまして、将来十分に考慮を拂つて参りたいと思うのでありますが、御承知の通り本法案につきましては、諸般の手続を完了いたします点につきまして、いろいろ苦慮いたしたのでありまして、前臨時国会の会期中にもわれわれ提案非常に希望いたしまして、努力いたしたのでありますが、そういつた利率の関係が事業の将来の経営の内容に影響する面等についていろいろな批判がありまして、なかなか簡単に参らなかつたのであります。今回やつとそういつた面の諸般の手続を完了する運びに相なつたわけでありますが、特に定額貯金の利率の点につきましては、この事業が外勤の人手その他の関係から、コストが非常に割高であるというような面から、いろいろな批判があるわけであります。そのいう面から、今万端の準備を十分に遂げます上から申しますと、この点については、御指摘の点はよくわかるのでありますが、この程度にしないと諸般の手続が完了しないという状況でありまして、一応そういつたことにとりきめたのであります。将来そういつた状況も考慮いたしまして、積立貯金の経営の合理化をはかりますと同時に、少くとも通常貯金程度の利子は付し得るような方向に考慮いたして参りたいと考えます。
○受田委員 積立、定額郵便貯金の場合に、期間内拂いもどしをするときの手続はいかようにされておりまするか。
○小野政府委員 期間内拂いもどしにつきましては、郵便貯金法に規定がございまして、積立貯金につきましては法第四十五條、定額貯金につきましては同じく法の第五十二條によりまして、期間内拂いもどしをしたい人から郵政大臣あてに申請をする、これは郵便局長限りで処理いたしております。積立、定額貯金ともに、期間内に生計困難によつて拂いもどしをしたい、こういう申請がありますと、そういうものにつきまして、はたしてその通りであるかどうかを審査をした上で、承認をするというような取扱いになつておりますが、現実には決してかれこれめんどうな審査をいたさないのでありまして、大体御要望の通りに拂いもどしを認めておるような実情でございます。
○受田委員 郵便局長などの中に、この法の適用を厳正に考え過ぎて、生計の状況などを調査する名のもとに、数日を要するというようなことがあつた場合、せつかくこうした貯金を無理やりにさせられて、病気その他の理由で途中解約をしようというものが、この法に基けば申請をしなければならぬことになる、そうなると支拂いまでの期日が相当かかるということが想像されます。意地の悪い郵便局長などが、その場ですぐ処理をしないで、ちよつと待つてくれと言つて日数をかけて重みをつけ、貫録を示すようなことがあつた場合には、非常に問題があると思いますが、この法の適用を厳正に考えると、そういう場合は考えられませんか。
○小野政府委員 この号文の適用につきましては、われわれ常にこの取扱いについて、郵便貯金の利用者に郵便貯金を愛する気持をそがないような取扱いをするように指導いたしておるわけでございます。これは一に法適用の場合の指導の問題であろうと思うのでおりますが、郵便局長としましてもいろいろ貯蓄の成績を上げなければなりません。そういう面から郵便貯金に対する悪感情を残すことは非常にまずいのでありまして、局長自身もそういつた申出に対しましては、十分に請求者の気持をくんで処理しておるはずでございまして、こういう面からいろいろなトラブルが起きた例は、私どもとしてあまり存じておらないような現況でございます。
○受田委員 そうしますと途中の解約の申請があつた場合には、即時通常貯金の支拂いと同様の措置で実質的に支拂いがされることになりますか。
○小野政府委員 その通りござざいます。特に積立貯金につきましては、原簿も郵便局長が持つておりまするから、その場合ただちに現金にかわるというような処理に相なつておるわけでございます。
○尾関委員長 田代文久君。
○田代委員 昭和二十七年度の資金運用部計画に対する比較の資料を本日いただきましたが、これは先日郵政大臣に対して、資金運用部の金の使途につきまして、われわれとしてはこれが再軍備のために使われる危険が非常にあるので、その点どうかということを質問いたしましたが、そうではないということを言われたのです。そこでなお少し聞きたいのですが、翌年度への繰越金は、昭和二十六年度におきましては四百八十二億であつたのが、二十七年度におきましては六百七十五億、約二百億見当の厖大な繰越しになつておりますが、これは大体どういう理由によるものであるか、お伺いいたします。
○小野政府委員 この関係理由につきましては、私どもさほどつまびらかでないのでありますが、来年度の運用につきましても、計画自体の中にまだ金融債というものが全然頭を載せておりません。これは見返り資金等の関係におきまして、どうしても国債を資金運用部において当初考えておりました以上に引受けなければならないというような状況に相なつておるのでありまして、その点から非常に国債の保有金が多くなつております。しかし一応認められました金融債の関係につきましても、将来の情勢を勘案しながら、必要なる金融債を何とか計画に織り込んで行きたい、こういうこともわれわれとして考えておりますし、そういう面から翌年度への持越しの資金の点に多少の弾力がつけてあるのではないか、かように考えております。
○田代委員 国債の買入れ額も昨年度は百四十億、それが今年度の予定では三百億というような、昨年度の倍額以上のものが組んであります。ただいまの説明によりますと、この繰越金がいかに使われるかについて一向見通しがつかない、わからないというようなことを言われたようでありますが、大体こういうことでよいものでしようが、その点はつきりしていただきたいと思います。
○小野政府委員 この点につきましては、運用計画は一まず二十七年度の大体の全貌を最近決定されたのでありますが、二十七年度に入りましては各四半期ごとに具体的な計画を細分して行くわけであります。こういうような過程において漸次明確になつて参ろうと考えます。
○田代委員 こういう繰越金というような何が何やらわからないような金が、六百七十五億というふうにたくさんポケツトにとつてあるということは、しばしば申しますように、これは現在のウオール街の指示によるというように私たちは確信するのでありますが、日本の再軍備ということが着々と進られつつあるときに、こういうような国民には全然わからないような厖大な金がいざというときにはぱつと出されて、そうしてこれでやつてしまうという危険がいつもはらまれておる、それが実際にここに現われておるように考えるのですが、そういう危険はお感じにならないかどうか。実際に平和産業を発展させ、日本国民の民生を安定させるためにこういう厖大なる資金が使われるのかどうか、その点をはつきりさせていただきたいと思います。
○小野政府委員 この点につきましては、二十六年度の計画の状況をごらんくださつても、二十七年の大体の状況を御推察願つてもおわかりだろうと思うのでありますが、われわれとしては直接に御指摘のような運用の意図は持つておらないのでありまして資金運用部の審議会におきましてもごらんの通り、あるいは必要な国債の引受けであるとか、またはこういつた政府資金の特質から申しまして、特に郵便貯金の資金は、資金運用部資金の六〇%に近い金額になつておるのでありますが、そういつた郵便貯金の事業の本質、使命、性格等からも勘案いたしまして、地方の公共施設、産業開発に役立つような地方還元ということも、四十数パーセントの額において考えられておるという実情でありまして、御指摘のような方向に対する運用面というものは全然考えておらないわけであります。
○田代委員 国債の引受けなどによつて、事実これが再軍備、あるい特に大資本へその資金をまわすというような形になることは明らかでありまして、政府の今の答弁では満足するわけには行かないのであります。
 もう一つ電気通信事業特別会計は、二十六年度においてはわずか二十五億であつたものが、二十七年度においては百三十五億という四倍も五倍もの厖大なふくれ方をしておるのですが、これはどういうわけでこんなになつたのか、その理由をひとつ説明願います。
○佐藤国務大臣 今年の電気通信省は今御指摘のように百三十五億であります。この表に載つております二十五億は、二十六年度予算の補正予算として追加した分で、もとといたしましては百三十五億余り、合計して百六十億を二十六年度は使つておるわけです。むしろこの補正予算を加えると、二十七年度は電気通信省の関係といたしましては金額が減つておるように記憶いたしております。
○田代委員 そうするとこの資料は間違いですが、補正とかなんとかいうことはなくて、はつきり昭和二十六年度計画として出しておりますが……。
○佐藤国務大臣 その点たしか電気通信省は見返り資金の方から借りたのではないかと思います。それでこれに載つておる費目が違つておるのではないかと思います。金額といたしましては、ただいま申し上げるように百六十億を昨年は工事関係で使つております。
○田代委員 郵政関係でもこの行政協定に関する質問はまだ十分されておらないし、それから郵政大臣自身も積極的にこの内容はこうですという協力を求める意味においてのお話がまだないのでありますが、巷間伝えられるところによると、電気通信事業は大体外国に握られて、半身不随の状態に陷つておるといわれております。ほんとうに日本の民生安定のために多額の金が使われるのではなくて、そういう形に使われるということになれば、これは全国民の不満とし、反対するところになるのでありますが、そういう心配はないかどうかという点について大臣の所見を伺いたいと思います。
○佐藤国務大臣 ただいまお尋ねのうちにもありましたように、行政協定の内容はまだつまびらかにできない状態にあります。しかし行政協定をいたしまするのは、独立後の状況のもとにおいて行政協定が締結されますので、対等の立場において、われわれの主張すべきことは大分主張いたしまして、行政協定が円満に、双方の合意のもとに結ばれる、こういう経過をたどつておるわけであります。従いましてただいま御心配のような点は絶対にないということを明言いたしておきます。
○田代委員 絶対にないというのは大臣の口の先だけでありまして、実際に国民は大いに心配いたしております。事実行政協定の内容がどういうものであるかという点につきましては、われわれ国会議員が知る前に天下の大新聞がはつきり発表しておる。いかに大臣が口頭をもちまして国民を欺瞞されようとしておるかという点がはつきりするわけでありますが、これは後ほどに味を残しまして、一応これをもちまして質問を打切ります。
○尾関委員長 山本久雄君。
○山本(久)委員 私はこの機会に、一般郵便貯金についてのお尋ねをしたいと思います。戰時中全国で百五十都市が戰災をこうむつたのでありますが、その戰災都市のうちでも、ことに廣島市は原爆をこうむつたために、二十数万人の人が立ちどころに死亡したわけなのであります。従いましてこの死亡者の中の貯金者は、その遺家族が、子供が疎開しておつて子供だけ残つたというわけで、幾ら貯金をしておつたか、どうなつておつたかということはちつともわからぬ。この被害額は相当あります。例をあげて申しますと、銀行方面では、当時の金で一億数千万円という預金が、そのまま拂いもどしをしないということであつたのであります。当時私は市の助役をしておりましたので、銀行方面へこの話を談じ込みましたところが、銀行のいわくは、いや、実は預金者がとりに来られないのもありまするが、貸付が全然回収できないようになりましたので、それでざつと相殺したようなわけでありますというような答弁でありましたが、なお追究いたしました結果、銀行方面からは、市に対して社会事業費として相当額を当時寄付させた例があるのであります。一方郵便貯金におきましては、その後どういうふうになつておりますか、原簿が残つておるのでありますから、あの二十年の八月以降から貯金を一切出し入れをしないのを見れば、これはもうはつきり死亡者であつて引出しをしないということはわかろうと思うのであります。そこで今日ただいまその件数なりあるいは金額なりを御答弁願おうと思いませんが、これに対して措置をどういうふうにされるかということと、それから後日でよろしゆうございますから、全国的にどのくらいか、ことに廣島、長崎、この両市は特別な都市でありますから相当額に上ろうと思いますので、この点の調査の資料を提供してもらいたいと思います。
○小野政府委員 今そういつた都市別の件数、金額の持合せがございませんが、大体全体的に申しますと、そういつた戰災によつて原簿がなくなつた、あるいは預金者自体の行方がわからないというような貯金の整備につきましては、終戰以来早急整備を目標にいたしまして、努力いたして参つておるのであります。今日の段階では、大体全体の羅災原簿の六〇%は復旧できておりますが、大正十二年の関東大震災のときの復旧状況も、大体六〇%くらいのところで、それ以上いろいろ努力いたしましても出ないような状態で、処理を打切つたような状態であります。戰災の関係につきましては、罹災の範囲が非常に全国的でございますし、また事柄自体も、何とか早く復旧して、その辺の関係をはつきり明確にしなければならぬ問題でありますので、処理の状況としては相当進捗しているわけですが、なお打切ることなく、努めてそういつた原簿の復旧について努力をしているわけであります。御要求のそういつたこまかい調書につきましては、後日調査して出したいと思います。
○山本(久)委員 大体わかりました。今日までに六年数箇月も経過しておるのでありますが、それまでにこの貯金者、つまり引出す者のなくなつた場合のものに対して、これを周知せしめるべく何らかの措置をとられたでありましようか、どうでありましようか、その経過を伺いたいと思います。
○小野政府委員 これは各郵便局方面に十分にそういたことを徹底させ、いろいろ新聞、ラジオを通じ、利用できるものはできるだけ利用いたしまして極力努力をすると同時に、権利者の申出を促進するように努力を拂つて参つたわけであります。特に原簿を所管しております地方貯金局方面においては、わかる範囲において、通信によつて本人に通帳の提出を願うとか、いろいろ努力をして参つておるわけであります。
○山本(久)委員 貯金局の方で、推定で今拂いもどしを要求しない者がどのくらいあるかということがわかれば、それを聞かせてもらいたいと思います。
○小野政府委員 羅災の全体の件数は今はつきりしないのでありますが、いずれそういつた資料をつくりましてお届けしたいと思います。
○尾関委員長 他に質疑はありませんか。――別に御質疑もないようでありますので、質疑は終了したものと認めます。これより本案について討論に入ります。討論の通告があります。これを許します。山本久雄君。
○山本(久)委員 本法律案につきましては、大衆性を加味して最も適切なものだと存じますので、私は自由党を代表して、本案に賛成いたします。
○尾関委員長 推熊三郎君。
○椎熊委員 改進党は本案に全面的に賛成いたします。
○尾関委員長 受田新吉君。
○受田委員 日本社会党は、この案に対しまして原則として賛成をいたします。大衆の便益供與という立場、特に貯蓄将励の線に沿つた利率の引上げについては、異存はありりません。問題は、先ほど来質疑でしばしば申し述べましたごとく、政府自身が懲罰的な利率の設定をして、途中解約者の防止を防ごうとしていることに対しての利率の差がはなだし過ぎるということです。しかも貯蓄奨励に名をかりて、強制的に積立貯金や定額貯金をさせるあまり、やむなく預金者となつた者が、特殊の事情が発生して途中で解約をする場合に、通常貯金の利率よりもはるかに下のものでそれを與えられることについては、よほど問題がある。しかしながら運用の面において当局が徹底的に預金者の便をはかるように、貯蓄奨励に名をかりて、定額貯金、積立貯金を無理やりに押しつけることがないように、また解約にあたつては十分手心を加えて、満期になりそうな場合には満期まで待たせるとか、さらに預金をするときに、この法の精神を十分周知徹底さして、途中から解約する者に予期しない結果が起らないように、十分の措置をとつていただくならばよいと思うのであります。今後この法の実施後において、当然懲罰的利率が問題にされることでありますが、その実施に政府当局が十分心して、万遺憾なきを期せられんことを要望して賛成をするものであります。
○尾関委員長 田代文久君。
○田代委員 私は日本共産党を代表して、本案に反対するものであります。
 理由といたしましては、一応零細な貯金の利子を上げる、またわくをふくらますということは、国民にわかりやすいようでありますけれども、実は本質的に重大なる危険をその中にはらんでおるのでありまして、われわれが反対しなければならない現在の客観情勢が、どういうところにあるかをまず見る必要があると思うのであります。現在まさに強引に締結されんとしつつある行政協定の内容、また安全保障條約、講和條約を見ましても、その中心的なポイントは、再軍備という点にあろうかと思うのであります。そういう情勢の中に本案が提出されておるというところに、重大なる政治的な問題があるのでありまして、本委員会における同僚委員の質問ではつきりいたしたことは、簡易保険を含めますと、二千億に余る厖大な大資金であるにかかわらず、一人当りの預金高の平均は、政府の説明によれば千円余りの零細なるものであります。千円ばかり預けて、かりに利子が五分になつたところで、どれくらいの利益を国民は得るであろうか、千円か二千円預けて、それによつて預金者がいかほど利益を受けるであろうか、ほとんど問題にならないと思う。また実際において、労働者は現在全般的に見て貯金の余力は持たない、低賃金の中に非常に苦しんでおるのであります。私は炭鉱の事情は特によく知つておるのでありますが、炭鉱などの労働者諸君は、貯金するどころではなく、その日が食えない。しかも頼母子講にかかつて、それに首がまわらないで、給料をもらつたとたんにもう借金の天引をされるというような形になつておるような事態であります。結局このねらうところは何であるかというと、税金の方でとれない部分までも、国家の名において吸収するということになる。しかもそのようにして集めた金は、われわれが過去において苦い経験をしておりますように、これが戦時インフレになつた場合にどうなるか。わずかの金は凍結されあるいは封鎖されるということになりまして、使いたい金も使えないという悲惨な状態になつたことは、われわれのいまなおひしひしと感じておる次第あります。しかもまたこれほど厖大な資金の使途でございますが、政府は、これは軍用には使わない、また大金持、独占資本のためにこれを使うようなことはございませんということを口の先では言われますけれども、実際においてはまつたくその反対であることははつきりしております。そうでないならば、こういう貯金をなさつて、なぜ地方に還元しないのであるか。つまりこれを地方へ返すという問題につきましては、大臣自身が、大蔵省に握られておるからこちらに返さなくてはならぬという、その抽象論に対しては賛成いたしておりますけれども、実際上においては還元できない。国会で決議しても、実際にはそういうふうになつておらない。大蔵省金融資本がこれを握つて使う。使い先は明らかに再軍備の方向であり、飛行機の生産あるいは戦車の生産ということがもりうすでに始まり、それをめぐつての利権が、現在大資本家の中で競争の的になつておることは御承知の通りであります。また先ほど私が質問いたしましたように、厖大な繰越資金を持つており、これがいざというときに何に使われるか、これははつきりしておる。次にこれは明らかに逓信従業員の労働強化になるということであります。政府といたしましては、昨年度においては四百億でありましたのが、本年度六百二十億という貯金の純増を見越しておるのであります。一方においては、先日の質問に対する政府の答弁によりましても、貯金関係だけでも四千人の首切りということを言つておる。人員を整理するのに、努力目標は五割も六割もふえるということになると、必然的に強制割当となり、労働強化になることは、火を見るより明らかであります。この法案はその内容をよく知らない民衆にとつては、表面は何だか賛成してもいいのじやないかというような印象を受けますけれども、本質的には耐乏生活を強要し、あるいは愛国貯金運動を展開し、貯金報国という方向に持つて行くことは明確なことであります。結局これは日本の独自の政策というよりは、むしろウオール街の金融政策の実行の一端を背負つておるということがはつきり言えるのであります。われわれはかくのごとき意味におきまして反対するものであります。
○尾関委員長 これにて討論は終局いたしました。
 これより郵便貯金法の一部を改正する法律案について採決いたします。本案を原案の通り可決すべきものと決するに賛成の諸君の起立を願います。
    〔賛成者起立〕
○尾関委員長 起立多数。よつて本案は原案の通り可決すべきものと決しました。
 なお本案に関する報告書につきましては、委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ありませんが。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○尾関委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
○尾関委員長 次に簡易生命保険法の一部を改正する法律案を議題とし、前会に引続き質疑を継続いたします。質疑の通告がありますのでこれを許します。受田新吉君。
○受田委員 先般の委員会において私より政府当局に対し、郵便年金の取扱いを今後どうしようかという問題を、簡易保険事業とあわせて御質問申し上げたのであります。簡易保険は今度最高制限額を引上げて、民衆へのサービスをはかろうとしておるときに、郵便年金は依然として現状にあらしめるということは、それでなくてさえも利用者がきわめて蓼々たるときに、一層郵便年金の必要性を無視することになると思うのでありますが、政府は郵便年金の事業をどう考えておるのか。これを将来どのように民衆へのサービスに結びつけようとするのか、簡易保険局長の御答弁をいただき、必要あれば大臣の御答弁をいただきたいと思います。
○白根(玉)政府委員 郵便年金につきまして、非常に御同情的な御質問がありまして、非常にありがたくお礼を申し上げる次第であります。お答え申し上げますと、御承知のように郵便年金につきましては、伸びがあまりよくないのであります。と申しますのは、簡易保険の方が早く建て直らなければならないような事情もございまして、実はその方へ主力を注いで参つたのでございます。二十五年度より新たに郵便年金の目標額を示して、二十五年よりある程度の力を傾注するようにして参つたのであります。同年度におきましては二億七千万円程度の実績を示しました。昨年度におきましては、さらに目標額を三億円にいたし実績は五億円程度を確保いたしたのでございます。しかしながらこれは金が入るだけでなくして、郵便年金の制度をさらに擴充する必要があるのでございます。最近の金利情勢等から考えまして、郵便年金の料率につきましても改正をいたし、予定料率の引下げ等を考えまして、郵便年金が利用できるような環境をさらに強化して参りたい、かように存じておる次第であります。
○受田委員 郵便年金の料率を改訂するという問題などに考慮を拂つておられるようでありますが、もう一つ民間保険は四月から保険料率を引下げるという態度を持つております。簡易保険は料率の問題には触れないで、制限額を引上げるだけにとどめたのでございますが、将来それを考えようとしておられるのであるか、この点をお尋ねしたい。
○白根(玉)政府委員 おつしやる通りに民間側といたしましては、四月一日から料率を引下げるという模様であります。従いまして簡易保険としてどうするかという御質問でありますが、私の方といたしましては、御承知のように民間ではすでに利益配当をやつております。従いまして簡易保険におきましても、余力ができればすみやかに民間で申します利益配当、私の方で申しますと長期還付金と申しておりますが、これをできるだけ早く復活いたしたい。その上でさらに事業の基礎が確実になりまして、見通しがつく限りにおきましては、料率の引下げにつきましても考慮いたしたい。私どもといたしましてはまず長期還付金を復活いたしまして、その上で事業の基礎を見きわめつつ、できるだけ早い機会におきまして、料率の引下げ等についても研究いたしたい。かように存じておる次第であります。
○受田委員 最後にこの法案の政府提出は、すでに相当以前になされたにかかわらず、この委員会がいつまでもこの法案をもてあましておるというこは、まことに不愉快な話なのでありますが、すでに相当審議は進捗して参つております。しかもこの便益を供與されるところの大衆は、これを待ちわびておる線も強力なものがある。この点何らかの方法によつてこれを早く解決したいと思うのであります。われわれとしても政府当局の意図は十分了承しておるのであるし、なお願わくは民間保険の事業について、民間保険の事業者が要望している点を、時間が許せば一応この委員会でも、参考人としてでもよいから発言を許して、その意向を聞いて、審議の徹底を期することも考えなければならぬと思うのでありますが、この点について、この委員会がなお長期にわたる懸念があれば、委員長において適当な方法によつてそういう方面の意向も聞き、審議の徹底を期せられたいと思いますが、いかがでありますか。
○尾関委員長 受田委員の御意見はごもつともでありまして、なお十分考慮いたして善処いたしたいと思います。
 本日はこの程度にとどめ、次回は公報をもつてお知らせすることにいたします。
  これにて散会いたします。
    午後零時七分散会