第013回国会 郵政委員会 第12号
昭和二十七年四月二十二日(火曜日)
    午前十時五十三分開議
 出席委員
   委員長 尾関 義一君
   理事 飯塚 定輔君
      石原  登君    玉置  實君
      坪川 信三君    平島 良一君
      降旗 徳弥君    牧野 寛索君
      宮原幸三郎君    山本 猛夫君
      椎熊 三郎君    石川金次郎君
      田代 文久君
 出席国務大臣
        郵 政 大 臣 佐藤 榮作君
 出席政府委員
        郵政政務次官  寺本  齋君
        郵政事務官
        (郵政局長)  松井 一郎君
        郵政事務官
        (簡易保険局
        長)      白根 玉喜君
 委員外の出席者
        郵政事務次官  大野 勝三君
        專  門  員 稲田  穰君
        專  門  員 山戸 利生君
    ―――――――――――――
四月二十一日
 委員山本猛夫君辞任につき、その補欠として中
 野武雄君が議長の指名で委員に選任された。
同月二十二日
 委員橘直治君、中野武雄君、森下孝君、三木武
 夫君及び受田新吉君辞任につき、その補欠とし
 て平島良一君、山本猛夫君、石原登君、椎熊三
 郎君及び石川金次郎君が議長の指名で委員に選
 任された。
    ―――――――――――――
四月十五日
 長田山添地内に無集配特定郵便局設置の請願(
 荒木萬壽夫君紹介)(第二一八〇号)
 簡易生命保険及び郵便年金積立金の運用に関す
 る請願(荒木萬壽夫君紹介)(第二一八一号)
 同外二件(植原悦二郎君紹介)(第二一八二
 号)
 同外二件(小林運美君紹介)(第二一八三号)
 同(松木弘君紹介)(第二二〇九号)
 同(小坂善太郎君紹介)(第二二一〇号)
 同(今村忠助君紹介)(第二二三八号)
 赤穂町福岡地区に無集配特定郵便局設置の請願
 (今村忠助君紹介)(第二二三九号)
の審査を本委員会に付託された。
同月十六日
 簡易保険及び郵便年金の積立金運用に関する陳
 情書外一件(長野県町村会会長小出一男外一
 名)(第一三六三号)
 同外四件(新潟県南蒲原郡中之島村長小柳三郎
 次外四名)(第一三六四号)
 同(佐賀県議会議長田中虎登)(第一三六五
 号)
 簡易保険積立金独立運用再開反対の陳情書外八
 件(愛知県知多郡西浦町長久田慶三外十三名)
 (第一三六六号)
 同外一件(三重県志摩郡和具町長浜口吉五郎外
 三名)(第一三六七号)
 同(広島県議会議長檜山袖四郎)(第一三六八
 号)
を本委員会に送付された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 簡易生命保険法の一部を改正する法律案(内閣
 提出第二一号)
 日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障條約
 第三條に基く行政協定の実施に伴う郵便法の特
 例に関する法律案(内閣提出第一六一号)
    ―――――――――――――
○尾関委員長 これより郵政委員会を開会いたします。
 日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障條約第三條に基く行政協定の実施に伴う郵便法の特例に関する法律案を議題とし、質疑に入ります。田代文久君。
○田代委員 これは結局根本的に申しまして、日本の郵政事業がアメリカのために非常に強力に侵犯されるというところに大問題があるわけなんですが、まずそれの真相をはつきりさせる前に、現在郵政関係の事業が大体どういう実情で占領軍に利用されているか、また大体どこにアメリカ関係の專用の郵政局をつくろうとしておるかという、その実情をまず御説明願いたいと思います。
○松井政府委員 御承知のごとく、現在もアメリカ軍の駐在に伴いましてアメリカ関係の軍事郵便局というものは、部隊のあるところには必ず置かれておる実情になつております。しかしこれは軍の問題でありますから、どこにあるということをここで申し上げるのは、また私自身も必ずしもはつきり知つておるわけではございませんから、その点に対するお答えは差控えさせていただきたいと思います。ただ向うが軍事郵便局を置きまして、運営しているということだけは申し上げてさしつかえないと思います。
○田代委員 そういうばかな答弁はないと私は思う。大体日本の郵政事業、しかもそれがとにかく外国人によつて利用されるという実情にある場合に、どこでこれが利用されておるか知らぬ、どこにあるか政府当局自身がわからないというばかげたことがありますか。はつきり答弁願いたいと思います。
○大野説明員 ちよつとただいまの答弁に、私補足を加えさせていただくのでありますが、お尋ねの趣旨は、日本の郵政の機関を現在どういうふうに進駐軍が利用しておるかというような趣旨のお尋ねであつたと思うのですが、そういうものは現在ございません。日本の現在の郵政機関は、日本の国民の方々が利用されるだけであつて、進駐軍関係の利用に供しているというものはございません。
○田代委員 そうすると、将来はどうです。つまりこの法律がその点を大体明示していると思うのですが、将来アメリカがどこにそういうアメリカ専用の郵政局をつくつて、そしてどういう特権を持つてこれを利用するか。そういう点がはつきりわからなければ、この法案に対して賛成するとか、反対するとかいうことは私はできないと思う。私の尋ねていることはそれであつて、また私が尋ねるまでもなく、政府はまずそれを説明してくださらなければはつきりしないと思う。
○松井政府委員 私の方の施設を直接利用するようなことは、どこまでも向う自身の軍事郵便局の問題でありますから、将来も起ることはないと思います。
○田代委員 だから、それを大体どことどこに向うは置こうと思うのか。少くとも向うは、これで見ますように、これを運営する権利を有する、義務を有するということは一つも言つていない。だから権利は日本のわれわれが向うに無條件に提供するというのです。だから提供する場合に、これがとにかくどういう形で提供するのであるかということを知らなければ、私たちは納得行かないのです。
○松井政府委員 軍事郵便局の性質からいたしまして、軍の駐在するところに置かれることであることは当然であります。軍のいないところに軍事郵便局を置かれることはないと思います。従つて軍がどこに置かれるかということは、私どもが今はつきりそれを知つているわけじやございません。
○田代委員 ところが私たちはそれが知りたいのです。つまり日本のどことどこに駐在するかということです。(「それはスパイになるじやないか」と呼ぶ者あり)じようだんじやない。これは日本の国内ですよ。だから少くとも郵政省としてはどことどこにこれをおつくりになるか、どこですかということを、政府は少くとも聞く必要がある。それを聞くこともなくしてこういうことをやつておるのですか。
○松井政府委員 郵政省がつくるわけじやございませんので、これは向うさんがおつくりになりますし、また軍の性質上、そういうものは固定しておらないのであります。必ず時と必要によつていろいろ移動する問題が起つて来ると思います。従つて今ここでどことどこというようなことを、私どもからお話する限りじやないと思います。
○田代委員 お話する限りじやないといつて、移動するならおよそ見当がつくだろうと思う。それから現在も大体どことどこにどういうあれがあつてそして大体将来こういうことになりましようということくらいのことがわからずに、こういう法案を提出してどうします。まつたくそれはアメリカの代弁者じやないですか。少くとも日本の政治をやり、郵政事業を預かる者がそういうふうな答弁だつたら、日本の国民は満足できますか。(「わからないものはわからないじやないか」と呼ぶ者あり)わからないといつても、これははつきりさしてもらわなければ審議ができない。(「軍隊はどことどこに置くか、そんなこと郵政省がわかるか」と呼ぶ者あり)あなたに言つているのではない。
 なおお聞きしますが、少くとも政府は、どうなるか、また将来どうなりますかというようなことくらい聞く権利はあるのじやないですか。それはできませんか。初めからそれをやつてないと思う。なぜやらないか。少くとも日本の国民だ。われわれは税金を拂つて、しかもいろいろ権利を與え、特権を與えておる。どうしますか。これは明らかに売国政策だ。無條件に彼らに提供するのとちつともかわりないじやないですか。少くともこういう審議にかけるならば、将来こういうことになると思います。またこういうことを尋ねましたら、こういう回答だというくらいは言つてもいいと思う。(「軍の機密は一体どうしてわかる」と呼ぶ者あり)それはわれわれにとつて関係ない。
 なお再質問いたしますが、大体私が今聞いたように、どこに置いて、将来どんなふうに移動しますかというようなことを、日本の郵政当局また日本政府は、これをお聞きになる腹がおありかどうか、あらためて聞きます。
○寺本政府委員 今田代委員のお尋ねのようなことは、われわれから考えれば少し常識を逸しておると思う。将来ともそういうことを聞く意思はございません。
○田代委員 ただいまの政府当局の御説明によりまして、また態度によりまして、いかに日本のわれわれが一つの郵政の面から見ても愚弄され、まつたくアメリカのために一切を骨抜きにされ、無條件に提供しておるという点が現われております。なおこれは今後日本の国民に訴える必要があるのでありますが、答弁ができないということがはつきりいたしましたので、一応その点は打切ります。
 この法案によりますと、向うに権利だけがあつて、しかも義務はあるかないか書いてありませんが、向うは義務は負わないのですか。その点を御質問いたします。
○松井政府委員 義務とおつしやることは、もう少し具体的におつしやつていただけないでしようか。たとえばこれを置く必要とか、そういう意味でございましようか。
○田代委員 もちろんそうであります。
○松井政府委員 それは一般の問題でありまして、さしあたり軍事郵便局ということは、ただ軍の駐留に伴いまして、その活動上必要だということで向う自身の手において置かれるもので、こちらには何ら負担をかけるものではない、こういう形のものでございます。
○田代委員 そうしますと、施設費とかあるいは維持費というようなものは、これは日本は全然負担しないということになるのですか。
○松井政府委員 これはおそらく軍の駐留費一般の問題と同一に処理せらるべき問題だろうと思います。特に私どもの方でそのための施設費を負担するというようなことはございません。
○田代委員 私の方でと言われますけれども、結局これはアメリカの経費によつてまかなわれるものではないということを、そういう言葉で表現されたと思うのですが、そのように理解していいですか。これは軍関係であろうと何であろうと、問題はわれわれ日本の納税者としましては、日本の税金、つまり日本の国の予算が、これの施設なりあるいは維持の方にまわるかどうかという問題なんです。
○松井政府委員 軍事郵便局を置きましても、われわれが郵政特別会計としてこれを負担すべきものは何もありません。
○田代委員 その点はわかつておるのですが、そうでない面なんです。つまり私が先ほどから繰返して言いますように、郵政の方からかりにこれを出すことがないといたしましても、日本全体の国家予算から出るということになれば、そこに問題がある。私はその点をはつきりさしてもらいたいということを言つておるわけです。
○松井政府委員 その点になりますと、私ども郵政当局者としてはお答えする限りじやないと思いますから、一般問題として適当な機会にお尋ね願いたいと思います。
○田代委員 これは郵政当局としてお答えする性質のものではない、そういうばかげたことはないと思うのです。これは明らかに日本の国の政治なんだ。それは局長なり次官なんかがすることはできないかもしれないけれども、国務大臣は当然やらなければならない。そういう非常識な答弁によつてごまかされることは、日本の国民をとうてい納得させることはできないと思います。なお質問しますが、大体ここで使われる従業員は日本人ですか、それともアメリカ人ですか。
○松井政府委員 私どもはその点はよくわかりませんですが、おそらく向うは原則として向うの方でおやりになるだろうと思つておりますが、あるいは必要上日本人をお使いになるようなことが絶対にないということも、ここでは申し上げかねるのであります。
○田代委員 私は非常に言語道断だと思うのですが、日本人が使われるか、あるいはまたアメリカ人が使われるかというような問題は、日本の郵政事業としては実に大問題です。だからどうして郵政当局はこういう法案をお出しになるのだ。提案されるという場合には、これは大体どうなりますか、日本人をお使いになりますか、お使いになりませんか、お使いになるならば大体どういう條件で、どういう労働時間で、どういう賃金でやられるかというようなことを尋ねるのは当然だと思う。そういうことも全然聞かずに郵政事業を預かり、またこういう法案を出すというのは大体どういうことです。大体今後もそういうことをお尋ねになる意向はないですか。
○寺本政府委員 先ほどから田代君の御質問は、これは安全保障協定に基くものでありまして、われわれの郵政当局からこれを詳細にわけて答弁する限りでないと思います。またアメリカ人自身がやられるか、日本人を使うかどうかということを、今後われわれとしても立ち入つて向うに問いただす意向はございません。
○田代委員 大体これはいかに骨抜きになつておるかということは明らかなんですが、それでは大事な点をもう一つお尋ねします。
 この郵便法の中で、「第二十一條に基き、合衆国軍隊の構成員及び軍属並びにそれらの家族の利用する」云々ということになつておりますが、これを利用する範囲は、軍隊の構成員、軍属並びに家族だけに限りますか、それともこれ以外にもこういう特権を持つた郵便局を利用されることになるのですか、その点いかがです。
○松井政府委員 ただいまのお尋ねでございますが、これははつきりとここに明文に掲げてございますように、「合衆国軍隊の構成員及び軍属並びにそれらの家族」これにはつきりと限定されるべき性質のものでございまして、それ以外のものがこの郵便局を利用するということは考えられないことであります。
○田代委員 そうしますとわれわれ議員に政府から配付されましたラスクと岡崎国務大臣の議事録第二十一條によりますと、ラスク氏が「私は、通常海外で同様の特権を與えられている合衆国の政府のその他の官吏及び職員が合衆国軍事郵便局を利用することに異議がないものと了解する。」これに対して岡崎氏は「異議がない。」と述べたというのでありますが、私はこの意図には明らかに今答弁されました。これらの軍隊の構成員、軍属並びに家族以外の政府またその他の官吏及び職員がこれを利用するということが非常に広い形で、このラスク・岡崎会談では話がまとまつておるように思いますが、これは、従つて、ラスクと岡崎の会談なるものは、実際に適用される場合には効力があるかないかという点を御答弁願いたいと私は思います。
○松井政府委員 私どもはわざわざこういう法律を法案として国会に御審議をお願いしたのでありますから、この法案の條文に書いてある限度においてのみ、軍事郵便局の利用をお願いしたい、かように奪えております。
○田代委員 そうしますとラスク・岡崎会談は無効ですか。それが非常に問題なんです。これをはつきりしていただきたいと思います。
○寺本政府委員 今の田代委員の御質問は、先ほど松井郵務局長が御答弁申し上げた通りに承知していただきたいと思つております。
○田代委員 そうするとこれは次官だから、大政治家ですから、この点は御答弁願えると思うのですが、このラスク・岡崎会談が無効であるかどうか、今ここにはつきり出ておりませんが、これは諸君みな御研究なさつたと思うのです。われわれも非常にこれは大事な問題だと思つている。法案には家族までしか来てないけれども、会談では非常に幅が広げられておる。実際にこんなに幅が広げられておるならば、條文にはつきり明記するなり、これに出さない限り、実際に適用する場合において非常に幅の広い形で出す。なお申しますと、こういう形で出されますと、実際に家族以外にアメリカ人、外国人がどんどん来まして、どんなことでもしていいということになる。これはこういう方面における完全なる治外法権ということになる。なおただいま答弁ができなければ私は大臣の出席をお願いしまして、はつきり責任のある御回答をお願いすることにいたします。
○石原(登)委員 私はこの法律は、日本の安全をアメリカ軍に守つてもらおうという以上当然の法律であつて、こういうような困難な中になかなかうまくできた法律だ、かように考えております。それはどうしてかといいますと、これはよく考えればわかるのですが、日本の帝国軍隊がいるとき、日本の郵政事業がこの帝国軍隊の軍事行動に協力するという意味で、外地にまでも郵便局を設置したことは共産党の諸君も知つているのであつて、これは通信の確保のないところには国防の安全がないことは当然であります。そういう意味で私はこの法律は正しいと思います。ただ一、二点疑問がありますから、この点についてお尋ねいたしたいと思います。
 その第一点は、合衆国の軍隊の構成は日本と違いまして、日本の場合は純粋な軍に従事する軍属あるいは軍隊であります。日本ではかつてどういうような戰争をいたしましても、その家族が戰場に出て行くとか、あるいはそういうような軍事基地に行くというような事例はなかつたのでありますが、私どもが占領下六年間の経験から見ますと、アメリカの家族も一つの軍隊の構成要素として来ている。さようになりますと、今日本には各地にUSハウスがありまして、そこにいわゆる軍隊の家族が住まつておりまして、そういうところの郵便は現在日本の郵便局で配達している、そういうふうに了解しているのですが、占領行政が済んでしまつて、この法律案が実施されることになつた場合、そういうUSハウスに対するところの配達だとかは、日本の郵便局でおやりになるのか、あるいはアメリカの軍事郵便局でやつて、日本の郵便局では一切おかまいしないというようなことになるのですか、これをちよつと答弁していただきたい。
○松井政府委員 日本の郵便局で引受けたものは、もちろんUSハウスであろうと何であろうと全部日本が配達いたします。向うの間の相互の通信になりますと、これはそこまで配達されますか、あるいはAPO自身で窓口交付ということになりますか、その点については私どももどちらでなければならぬということは申しておりません。おそらく向うの便宜上、常識で考えればぼつぼつとあるようなところへわざわざ配達するということはしないのじやないかと考えられます。あるいはある程度まとまつておるところには配達が行われるかもしれません。
○石原(登)委員 この法律によりますと、配達にしようが何にしようが、特例ですから一向さしつかえないと思います。ただその場合向うが一通、二通配達するのはめんどうだというので、日本の郵政当局にその配達を依頼される場合が起るのじやないかと考えられるわけでありますが、そういうことは予想されませんか。もし予想されるとすれば、その場合の料金のとりきめについてはどういうようにお考えでありますか。
○松井政府委員 軍事郵便局に差出されたもので、軍隊の構成員、軍属並びにそれらの家族あてのものの配達事務だけを日本の郵便局がやるということは、向うからもその意思はございませんし、私どもの方もそういう業務をする意思はただいまのところ持つておりません。
○石原(登)委員 それでよくわかります。そこで今度は一般的に出される、日本の郵便局に投函した郵便は、国内郵便だとこういうような観点に立つて処理される場合、たとい向うの軍人であつても、軍属であつても、家族であつても、当然日本人と同様の料金を拂つて配達するものだ、あるいは取扱われるものだ、こういうふうに今は了解したいのでありますが、その点はいかがでありますか。
○松井政府委員 ただいまのお尋ねの通りでございます。日本の郵便局は日本人と同じ資格において利用するということが許されております。
○石原(登)委員 ただいまの答弁ではつきりいたしました。そこで事郵便の取扱いに関する限りは、たといアメリカの軍隊であろうとも、日本であろうとも、同一の立場によつて取扱われるわけで、決して治外法権ではない。ただ問題はアメリカの軍人に対して、昔の日本の戰時郵便局的なものを許容しようということにわれわれは了解いたしますので、この点は当然のことだ、かように私は考えます。
 それから郵務局長にお尋ねいたします。今郵務局長から私の質問に対して、将来も日本の郵便局でアメリカの軍事郵便を配達することはないだろう、こういうような御答弁があつたのですが、この條文をしさいに検討してみますと、どうもそういうことでは実際軍事郵便の運営ができないのじやないかと思います。と申しますのは、郵便というものはしろうとが何するのと違つて、施設あるいは区域の中だけで運用されるものではなくて、今のようにUSハウスが日本全国至るところに点在している限り、そこにずつと配達しなければ、郵便本来の使命は達成できない。この法文によりますと、とにかく軍事郵便局を合衆国の軍隊が使用するところの施設あるいは区域内に設置する。もちろんその区域内はけつこうですが、そこで引受けた郵便を、たとえば北海道にやるとか、あるいは北海道の町のどこかに配達するとかいう場合には、当然その施設の区域外に配達しなければならないのであつて、どうもこの條文から見て、区域外に対しては全然権能がないということになりますと、郵便は政府が管掌する限り、他の人がこれを配達する業務はできない、しかもこの條文によつてもそういうことを明らかにしてないということになりますと、当然区域以外のところに対する配達の業務は、日本政府に依存せざるを得ない、こういうことにならざるを得ないと思うのですが、ここのところは非常に文句がどうかと思いますけれども、二十一條の後段の方の解釈と同様に解釈していらつしやるか、ここのところをちよつとお伺いしておきたいと思います。
○松井政府委員 ただいまお尋ねになりました点でありますが、もちろん日本国内に軍事郵便局は何箇所か設置されるのでありまして、その軍事郵便局相互間における郵便物の送達の事務というものは、これは当然合衆国側においてもみずからなす権利をこの法律によつて取得するわけであります。それ以外にわたつて配達されるかどうかという問題でございますが、これは従来そういうこともやつておりませんでしたし、今までも向うからそういう要望もございません。もちろん私たちの方で配達業務を請負うということになりますれば、それ相当の対策の問題が起きて来ると思います。現在までに私どもが向う側の関係者とお話しておる限りにおきましては、こうした軍人、軍属あての郵便を引受けたものに対して、一々配達までやらせるという考えは向うも持つておりません。そういう意味からして私どもも、ことさら向うからの要望もないのに、そういう道を開く必要もないのではないかと考えております。
○石原(登)委員 そうしますと、今まではむろん占領下でありますから、向うはいろいろなことをやつておりますが、その軍人の家族その他にあてた郵便はその部隊あてに来ており、その部隊の軍人が自分の家族に来たものだというので、それを持ち帰つて家族に渡す、こういうようなしきたりになつているのですか。
○松井政府委員 私ども実は内部の配達の業務をそこまで詳細に承知いたしておりませんが、おそらくそういうような形で取扱われているのではないかと思います。
○石原(登)委員 そういうことで、私は大いに満足なわけです。私どもは若干不満もあつたわけです。どうもこの点、家族にまでというような印象だつたのですが、今のような取扱いになつておるということになりますと、これはいささかも正常な日本の郵便業務に対して制約を與えるものではない、何ら実害を與えるものではない、向うが受けた手紙を内部的に何するというだけの問題ですから、問題は非常に簡單だと考えております。しかしながら将来起ることは――きのうの新聞のように、朝鮮の問題あたりがガタガタして来る場合、軍隊が朝鮮に渡つて戰線に出たとかいうような場合に、郵便の送達という点に非常に不都合が起つて来る。そうして当然日本政府の郵政機関を利用するような事態も必ず起つて来ると思いますし、その場合は当然これは軍事郵便の手を離れて、一般の郵便物として取扱わるべきものだと考えますから、この点のことは十分留意されて、そういうような方向に取扱われるよう特に要望をいたしておきたいと思います。
○松井政府委員 軍事郵便局がこういう形で置かれましても、アメリカ側の関係者の方々が日本の郵便をお使いになることは何らさしつかえないのでありまして、もしも自分の宅まで特に配達を必要とするならば、日本の郵便局を利用してもらつてもいいのでございます。この軍事郵便局というものは、向うの側において最小限必要なもの、そういう意味において、そうまで広くこれを広げて行く必要もないじやないか、かように考えております。
○尾関委員長 ちよつと速記をとめ
 て。
    〔速記中止〕
○尾関委員長 速記を始めてください。田代君。
○田代委員 郵政大臣に質問いたしますが、先ほど来政府委員に対しまして、米軍関係の郵政局の設置とか、あるいはまたそれの維持等につきましての予算関係は、日本が非常に大きく負担しなければならないということが大体わかつておるので、その内容はどうであるか、また将来どういう方面へそういう局なんかを設置されるかという点について、政府当局はアメリカの方の意図をおたたきになつたことがあるかどうかという点を質問いたしましたところが、そういうことはわれわれはあずかり知らない、幾ら経費がかかるかどうかということも知らないというような形で、ちつともわれわれの納得が行かないのでありますが、その点大臣は今後また現在アメリカに対して、どういうふうに郵政局を設置し、それをどことどこに置くかということや、またそれに日本人をかりに使うとすれば、その労働條件はどうしてくれるのだというような点をお聞きになつたことがあるかどうか。またそれをお聞きにならないとすれば、将来もそういうことをお聞きにならないかどうかという点をお尋ねしたいと思います。
○佐藤国務大臣 事務当局から実情をるる御説明申し上げたと思いますが、場ただいまお尋ねになりましたような諸点は、郵政省の関知するところではないのであります。従いまして、先ほど来事務当局が御説明した点を、私からも繰返して申し上げるだけでございます。
○田代委員 それに対する経費が幾らかかるというようなことも、これは郵政省に関係がないとは私には考えられないのですが、それはどういうわけですか。
○大野説明員 先ほどお答え申し上げましたように、これはまつたく日本の郵便独占に対する例外を設けるという趣旨の法律でありまして、軍事用郵便の施設、経営その他全部は駐留軍の方でおやりになることで、こちらにはそういう面では関係がございません。従つて経費の負担云々というようなことも、郵政会計には生じて参らぬわけであります。
○田代委員 郵政関係には直接それが響いて参らなくても、先ほどから申しましたように、日本の予算として非常に関係が深く、しかもそれは明らかに郵政省との関係があることははつきりいたしておりますので、直接郵政予算に関係がないとしましても、少くとも国民の政府なんですから、これが大体どういうふうになつているか、またどういうふうに予算の関係がなるかということくらいは、お聞きになるのが普通だろうと思う。またそれは当然聞くべきだと思う。
○佐藤国務大臣 ただいまのお尋ねの点は、多分に田代委員の御意見のように伺いますが、私どもといたしましては、郵政省に直接関係があるものにつきましては十分検討いたしますが、それに直接関係のない部分は、他の部門にまかしてあるわけであります。
○田代委員 はなはだ不満ですが、もう一つかんじんな点を質問いたします。先ほど来これは全然御答弁がないのですが、「日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障條約第三條に基く行政協定第二十一條に基き、合衆国軍隊の構成員及び軍属並びにその家族の利用する」となつておりまして、この提案されました法律案では、條文が家族までで切つてあります。また政府当局の先ほどの答弁でも、これより以上には決して範囲は広まらないものであるということでありましたけれども、私たち議員にまわりました岡崎・ラスク会談の議事録の第二十一條によりますと、ラスク氏が「私は、通常海外で同様の特権を與えられている合衆国の政府のその他の官吏及び職員が合衆国軍事郵便局を利用することに異議がないものと了解する。」と述べたのに対しまして、岡崎氏は「異議がない。」と述べたということになつておるのであります。私たちの常識的な理解からいいますと、このラスク・岡崎会談というものは單なる雑談をやつたりなんかしたものではなくて、はつきりした條文と同じような内容を持つた効力があるというように理解しておるのですが、そのラスク・岡崎会談におきましては、軍属並びにその家族までではなくて、合衆国の政府のその他の官吏及び職員ということになりまして、非常に範囲が広くなつております。政府のその他の官吏ということになると、これはどういうことになりますか、この点も非常に疑問なんですが、たとえば州官吏ということになるかもしれませんが、とにかく非常に幅が広くなつて来ると、ここに出ておる法案とその幅の広さが、実際上は非常に食い違つて来るのではないかという疑問を持つわけです。それに対しまして岡崎・ラスク会談において広げられている幅というものは、実際無効であるかどうかという質問に対しまして、政府側の再三の答弁によりますと、家族以外にはこれは適用されませんという御答弁なんですが、そうなりますと、結局ラスク・岡崎会談なるものは無効であるということにならなければならないが、無効であるということを政府が御承認になるかどうかというのが私の質問であります。
○佐藤国務大臣 岡崎・ラスク会談が無効か有効かという御議論は、実は私どもの関與する点ではないように思いますが、ただしいて意見を申しますれば、今御審議いただいております範囲で、軍事郵便の利用の範囲ははつきりいたしておるわけであります。従いまして、これと広狭があるという点はもちろん御議論の存するところだと思いますが、あの岡崎・ラスク会談の趣旨は、通常受ける便益の範囲という点に特に趣意が存するわけでありますので、かように考えますと、しいて主張が異なつておるとも実は考えられないのであります。田代さんの御尋ねは多分に田代さんの御意見であられるように私ども拝聴するのでありますが、私どもの理解する点におきましては、外国人が通常受ける便益の範囲から考えますると、ただいま御審議をいただいております法案の範囲と、大体一致するものと私ども考えております。
○田代委員 なお念のために申し上げますが、ラスク会談による合衆国の政府のその他の官吏及び職員というものも当然これを利用する、つまりそういう権限を持つということと一致するというふうに理解していいのではないかという御答弁になるのでありますね。
○佐藤国務大臣 通常の状態において受ける便益という点に主たる意味があるように思います。
○田代委員 ただいまの答弁に対しまして満足できないし、またこういう問題に対してあまり関與されないというような大臣の御答弁ですが、これもまた他日討論するといたしますけれども、日本の国民の政府でありますならば、こういう問題に対しましては、もう少しはつきり腹をきめて、聞くことは聞き、またただすべきはただしてもらわないと、とにかく現在の日本の立場とアメリカの立場というものは、非常に強者と弱者の立場に立つております。非常に現在はいいような話になつておりましても、実際はそれが施行されるということになりますと、非常に悪い形がどんどんやられるということは、これはもう国際的な、社会的な通念であります。であればこそ、少くとも日本の国を背負い、民主政治をやるという場合におきましては、はつきり私は聞いていただきたいということを要望いたしまして、一応質問を終りたいと思います。
○尾関委員長 これにて質疑は終了いたしました。
 これより日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障條約第三條に基く行政協定の実施に伴う郵便法の特例に関する法律案を議題とし、討論を省略して採決いたします。本案の原案に賛成の諸君の御起立を願います。
    〔賛成者起立〕
○尾関委員長 起立多数。よつて本案は原案通り可決いたしました。
 この際お諮りいたします。衆議院規則第八十六條により、報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○尾関委員長 御異議なしと認めます。よつてさように決しました。
    ―――――――――――――
○尾関委員長 引続き簡易生命保険法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を続けます。椎熊三郎君。
○椎熊委員 当委員会に初めて出席したので、今までの経過はわかりませんから、将来この委員会に列席する者として心得ておきたいと思うのですが、当委員会にはすでに簡易保険の額を増額する法律案が出たように記憶しておるのですが、まだ出ておらぬのかどうか。
○尾関委員長 お答えいたします。提出になつて、目下審議を継続しております。
○椎熊委員 それで私はこれからその審議に加わるのだから、参考までに質問しておきたいのですが、質疑継続中ですか。
○尾関委員長 まだ継続中です。
○椎熊委員 どうも今国会は、政府のどういう都合か、予想されておつた法案の出方が非常におそい。そのために国会が非常に活発でないという世間から非難を受けておる。われわれ他の委員会に関係しておりますが、ぶら下つている法案はほとんどないほどに始末がついておるのに、大分前から出ておる当委員会の法案に限つて、審議が遅遅として進まないという現状は、これは私は本委員会の責任だと思うのです。ことにきよう可決したこの法案より先に出ておる。審議の順序を転倒しておる。そういうことは私は国会の運営上はなはだ遺憾にたえない。端からどんどん一生懸命勉強して、これを決定して行くということでなければいかぬと思う。承れば政府部内においては、いろいろ論議があつて、一致しないという点があるとのことです。そういうような場合こそ、最も立法府の機能を発揮しなければならぬ。政府の閣僚間のいろいろな事情で困つておるような問題は、独自の見解でわれわれが片つぱしからきめて行かなければならぬ。それだけの見識がなければならぬ。ことに政府原案は、五万円を八万円にすると私は聞いておるのですが、もしそうだとすれば、それは非常に上げ方に不合理があるので、もつと大幅に上げてしかるべきだ。それが民間保険に影響するかどうかというような問題も勘案して、それを無視してはいかぬけれども、今日十万や十五万円値上げしても、すでに民間保險では三十万円の無審査保険をやつておる。決して私は不当な上げ方ではないと思う。長い間国会の要望でもあつた。私は短かい間ではあるが郵政省の、当時の逓信省の飯も食つた。当時従業員、それから職員諸君、ことに幹部におかれましては、この増額についてはずいぶん苦労した歴史がある。われわれのときはわずか三万円に引上げたいというのを、閣議の反対にあつて、当時の大臣は悲憤糠働して帰つて来た。私は政務次官であつたが、閣議に飛び込んで二万五千円にしたという経験は、今の保険局長も御承知の通り、この問題はその後における物価その他の経済情勢に勘案して、今の状態では断じて不適当であるということは天下の輿論であります。郵政省の職員のみならず、一般大衆においても、そのことは非常に期待した点なんです。こういう法案が、わずかに五万円を八万円に上げる、それでも決しかねるというなら、この郵政委員会は無力たといわれても、私ははなはだ遺憾ではあるが、そういうそしりを免れないと思う。委員長におかれましては、当委員会の権威のために、即刻この審議を進められて、結論に到達されんことを私は希望いたします。
○尾関委員長 椎熊委員の御意見ごもつともであります。質疑は終了したわけではございませんけれども、案件そのものに関していろいろ議論もあるようでありまして、今日に至りましたが、至急本委員会においても結末をつけたいと考えております。
○石原(登)委員 私近時非常に意外な陳情を各地で受けまして、はなはだ遺憾に考えておるわけですが、それに関連いたしまして、私は郵政当局に警告を発したいと思います。と申しますのは、最近簡易保険の運用権の問題に関しまして、私どもの予想に反しまして、あらゆる方面から、これが郵政省において運営されることについて非常に猛烈な反対の陳情を、ひんぴんとして受けるのであります。この問題については、申すまでもなく衆参両院において、これは郵政省で運営すべきだということを決議いたしました。この決議はもちろん国民の決議でございます。全然異論はないはずでございます。しかるに最近そういうような国民一致の要望を無視するような陳情が、各方面から来ておるということは、こういうような事態に対するところの国民に対する認識について、郵政省の熱意が足りない、あるいは手落ちがあろうかと私どもは一応考えざるを得ないわけでございます。これはきわめて遺憾なことでございますから、この点については十分と御留意を願いたい。そこでこれに関連して、私は委員長に特に要望いたしたいと思いますが、こういうふうに委員会の意思あるいは国会の意思、言いかえますと国民の意思とはまつたく反対の陳情あるいは請願が出て来るということは、どうもおかしいと考えますので、そういうような反対の陳情をしていられる人たちが、真にそのような認識に立つておられるのかどうか。もしそういうような認識に立つていらつしやらないのであれば、われわれ国会としても、あるいはまた政府としても、親切にその本質を納得させるところの義務があると考えますので、これは私はだれということを申し上げませんが、委員長において次回の委員会には、適当にこういう人をお呼び出し願つて、それで真にそういうように思い込んでいるのであるか、あるいは何らかの誤解で、そういうような陳情をしているのであるか、この点を十分に探究していただきたい、かようなことを私は特に要望をいたしたいと思います。もう一つは、簡易保険の運用権の問題について、政府は大体どのような方法をもつて、この保険の運用権が郵政省に帰らなければならないのだという正しい意見を周知宣伝しておられるか、この点について郵政大臣の答弁をお聞きいたしたいと思います。次に私の提案に対して、委員長の御答弁を求めたい。かように考えております。
○佐藤国務大臣 ひとり運用権の問題ばかりでなく、すべての問題でありますが、国会は最高の権威でありますので、国会の御意向というものが決議等になつておりますものにつきましては、私どもは当然その趣旨を体して、所要の手続を完了する、これが私どもの責務である、かように実は考えておる次第であります。ただいまの運用権の問題につきましては、すでに衆参両院におきまして、委員会等において決議もいたされておるのであります。早急にこれが対策を講じたいと、せつかく研究いたしておるような次第でございます。
○椎熊委員 これは私もずいぶん力こぶを入れておる問題ですから、あなたによくわかつてもらいたいのです。政府はよくわかつているのです。政府関係では、郵政大臣の腕のためしどころです。これで成功するかしないかで、値打がきまる。だから政府には大して言うことができないのですが、最近非常に遺憾なる国会内のできごとに発展して、私は愕然としておる。それはこの問題が遅々として進まないから、今與党たるあなたの党の政調会長と私は交渉を開始した。これは権威ある国会の、しかも満場一致の決議のある問題です。これを推進しようじやないかという話を私が持つて参りましたところが、水田政調会長はこれには反対だと、私に反対を言明した。今国会内の絶対多数を持つておるあなたの党が、しかも政調会長が、国会の意思を無視してこれに反対だということはどういう意味か、水田君は私どもと同様に、終戰後三回も当選しておる。この決議には率先して賛成しておる。この点を私につつ込まれたところ、当時は実は方針をつまびらかにしなかつた、また当時と今日では社会情勢も違つておる、今はそれをやつてはならぬ時期だ、こういう暴論を吐いておるのです。私は他党の政調会長と議論をする必要もないので、あなた、それは間違つておるという注意だけを喚起して、わかれて帰つて来たのですが、あなたのような熱心な主張者があるなら、政府に質問する前に、まず自由党の精神統一をして、しかる後に強力なる活動をしてもらいたい。私はわが国会の決議尊重の意味において、あなたには賛成するが、あなたの党派内の精神分裂症状に対しては、はなはだ遺憾に存ずるものであります。どうか即刻帰つてお調べ願いたい。
○石原(登)委員 椎熊委員から私に対して言われましたから、私も弁明いたします。水田君がどういうような話を椎熊委員との間にされたか、私は全然存じませんけれども、私は少くとも自由党の政調会長として、国会の決議の趣旨を無視するような発言は断じてできないものだろうと思う。これは單なる水田個人の意見として申し上げたのであろうと確信をいたします。そこで私が問題にしているのは、最近どうも一つの意図によつて行われている、こう推理されるところの陳情がひんぴんと来ている。これは非常に遺憾なことである。特に簡易保険の本質は、これは郵便貯金の貯金と違う。これはその契約者の金であつて、その人たちの共同の利益によつて分配され、運営されねばならない性質の問題であるだけに、この問題については特に考えなければならない、こういう趣旨であります。たとえば民間の保険会社でも、県から利益代表者というものを契約者の中から選んで、そういう人の意見を体して会社の運営に当つている。この保険も、官営ではありますけれども、決して役所の保険ではない契約者の保険だ。さような場合は当然簡易保険の場合でも、契約利益者の意思を十分にくみとるような方法を考えなくてはならないし、当委員会の審議の方向も、そういうものでなくてはならないのであります。これを單なる政府事業であるからというので、政府一方の都合によつて、そういう大衆の利益を蹂躙する、こういうようなやり方について、私は非常に不満でありまするゆえに、こういうような発言をしたわけであります。その点はどうか政府としても御了承願いたい。
 それから先ほど申し上げました委員長は、最近の陳情者の意思を十分本委員会で確かめたいと提案しました私の提案に対して、どういうふうにお取扱いくださるか、その点について委員長の御答弁を求めます。
○尾関委員長 委員長としては、最近の陳情がいかなる意図によるかということは、つまびらかにいたしませんけれども、たとえば賛成、反対というような強いところの陳情が来ておるということはよく知つております。しかしこれはいずれも書面であります。従つてその言い分は、いずれの陳情にもありましようけれども、要するに本委員会でいずれに決するかということを決したいと思います。これをまた石原君のおつしやるごとく、趣旨はこういうものであるということを陳情者に一々徹底させるというような方法は、ごもつともではありますが、委員会としてはなかなか困難な問題だと思います。いかなる代表者を呼んで聞くとか、あるいは反対派の代表者を呼んで聞くとかいうことも、方法としてはなかなか困難です。しかしこの点はなお考慮いたします。いずれにしても先の椎熊委員のお話の通り、急速に簡易保険の問題の審議を結了いたしたいと思います。同時に運用権の問題については、いまだ未提出でありますけれども、少くとも委員会の決議によつて行動したいと思います。
○石原(登)委員 私が申し上げておるのは、こういう重大な問題、しかもわれわれは国民の輿論に立つてやらなければならないのでありますが、今陳情が何々村役場とか、あるいは何々村の村長、町長、こういう人から来ておる。しかもその内容というのは、みんな一様に同一の理由でありますけれども、その理由はわれわれの納得できない理由なんです。だから私は陳情者の全部を呼ぶというわけではありませんが、そういう人が真にそういうことを痛感しているのかどうかということを確かめたい。もし痛感しているのなら、そのあやまちを指摘したい。もしそうでないならば、われわれが国会で審議して得られたところの正しい結論を、十分にお教えして上げたい、かように考えますがゆえに、どうしても呼んで、国民に新たに認識していただきたい、こういう趣旨でありますからぜひ近い機会に、本委員会にそういう機会をつくつてもらいたい。これはただ單に本委員会の権威だけでなしに、国民に本問題に対するところの正しい認識を得せしめるために、また国会の権威のために、非常に重要な問題であると私は認識いたしますがゆえに、こういうように国民の輿論が、国会でなしに、他の面からの一つの動きによつて、誤つた方向に持つて行かれるような危険のないように、これは十分に委員長もお考えになつて、委員会運営の方法について御研究を願いたい。こういうことを申し上げて、特にこの問題の取扱いについては、一段と熱心に御研究願いたいと思います。
○尾関委員長 拝聽しておきます。
○山本(猛)委員 この際大臣もおいででございますから、簡易保険法の一部を改正する法律案について二、三お尋ねいたしたい。政府の原案は、最高額を八万円におきめになつたのでございますが、どこにその根拠があるか。昭和二十年現在を見てみますと、簡易保險の最高額は二千円であつた。その当時の物価指数から見ますと、今日は百二倍以上になつておる。しからば昭和二十年に二千円でありまして、物品は今日百二倍以上になつておるのでありますから、これは二十万円でもいいと思うのでありますが、この点政府はどういうところに根拠を置いて、最高額八万円というふうにおきめになつたか、これをひとつ御説明願いたい。
○佐藤国務大臣 この点は今まで当委員会において、政府がしばしば御説明を申し上げたのでありますが、ただいま問題になりました簡易保険の最高額は、いろいろの條件等を勘案いたしまして決定しなければならないように思うのであります。ただ單に物価の点だけでも、実は決しかねるのであります。物価の点、もう一つは民間保険に及ぼす影響、さらにまた保険事業の実態、これらの点から結論を出さざるを得ないのであります。それらの諸点を勘案いたしました結果、八万円が適当なり、かように政府といたしましては決定をいたしたような次第であります。物価の点はただいま言われまするごとく、倍率等から見ますれば、相当の金額まで引上げてしかるべきだと思います。しかし民間保険の方の現状は非常な苦しい状況にあるやに見受けるのであります。ことに最近の保険の実態が、無審査保険の方向に重点が置かれておるやに考えられるのであります。この民間保険の無審査の平均が、七万円をちよつと越した程度に資料では相なつておりますので、私ども民間保険の会社自身というものについて特別な関心を持つわけではなく、民間の保険業者が集めます民間資金というもの、この資金の使い方等に特に重点を置いて考えますと、民間保険は民間保険として十分民間資金を吸收し得るようにぜひともいたさなければ、国の経済としてはバランスのとれたものにならないだろう、こういうことを実は考える次第であります。それらの点を勘案いたしまして、この際特に民間保険に対して圧迫を與えるということは、国の経済活動の面から見て必ずしも当を得たものではないと考えまして、この点で八万円というようにいたしたわけであります。この民間保険に影響を與えないという観点から考えますれば、現状のまますえ置いたならばどうか、こういう御意見もあろうかと思いますが、この点は簡易保険業の実態から見まして、やはりこれを引上げざるを得ない。また一般の利用者等の要望にも沿わなければならない。かような観点でただいま申し上げるような八万円が適当なりというような結論に到達いたした次第であります。
○山本(猛)委員 民間業の無審査の平均数が七万円というお説でありますが、その数字は郵政大臣のお考え違いではないかと思います。われわれは十二、三万と聞いておる。その点はよろしいのでありますが、それでは民間保険業を助けるために、簡易保険を利用する人たちを犠牲にしてもよろしいというふうにお考えになつておきめになつたかのようにも聞えますけれども、いろいろなことを勘案してとおつしやるのでございますが、簡易保険の性質というものは、これは民営に対する官営であるとか、あるいは民業に対する官業であるとかいつたような性質のものではなく、簡易保険の性格というものは、これは社会保障制度の一環を行くものであるとわれわれ考えておりますが、大臣はどうお考えになつておりますか。そうしてそういういろいろなことを勘案してとおつしやるのでありますが、もしわれわれの考えますように、簡易保険というものが零細な経済生活をする人たちのための、民心の安定のために設けられる社会保障制度の一環を行くものであるという性格が認められるならば、零細な経済生活をする人たちが、もし子供を残してそこの主人公がなくなつて行つた。そうするとその子供をかかえて、子供の母親がお葬式を済ませて、何箇月その子供をかかえて生きて行けるかというところに焦点があると思うのですが、その八万円ではたしてそういうことができるかどうか、この点をお尋ねしておきたい。
○佐藤国務大臣 簡易保険は、御承知のように社会保障的性格を多分に持つておるものであります。また民間の無審査保険も、同様なものを持つておると思います。この意味において、社会保障的な性格を持つならば、それだけの目的を達成するような制度を設けろと言われることも一応りつぱな御議論だと思いますが、ただいまの国の経済状況なり、また金融状況等から勘案しますと、この制度の使命だけを貫くというわけに行きかねる点は、あるいは御了承がいただけるのではないかと思います。と申しますのは、簡易保険、これは官あるいは民、同様でありますが、その資金は、ただ社会保障的な性格を持つだけでかき集められるわけのものでもない。同時にそれは有用な経済活動に資するようにいろいろ使われるわけであります。そういたしますと、官の持つ資金、運用部資金に入ります資金と、民間資金として蓄積されるものとの間におきましては、金融的性格もそれぞれ違うのであります。これらの点を勘案することも、政治の総合的な結論から見まして、当然なことだと思うのであります。
○山本(猛)委員 私のお尋ねしておるのは、その八万円で子供をかかえて夫に死にわかれた場合にお葬式を済ませて、何箇月生きて行けるかといつたようなことが、勘案される中に入れられなかつたかどうか、こういうことであります。
○佐藤国務大臣 ただいま申し上げましたように社会保障制度といたしましての使命、ただこれだけが社会保障制度の目的を達するものだというふうに、一つのものだけに限定するわけに行かないと思います。従いましてそれらが持つ諸影響を勘案して、総合的な結論を出すより方法はないのであります。従いまして非常に簡單なお尋ねで、これだけで十分の処置ができるかと言われますならば、それは不十分だということははつきりおわかりだと思います。私も同様であります。
○山本(猛)委員 それではいずれかの機会に、これが正式の議題になりました場合にお尋ねをいたすことにいたしますが、私は政府原案では不十分であると思いますから、さらにお尋ねすることを残して、きようはこれでやめておきますが、これで打切つたわけではございません、さよう御了承を願います。
○尾関委員長 本日はこれにて散会いたします。次会は明二十三日午後一時より開会いたします。
    午後零時二十七分散会