第015回国会 本会議 第35号
昭和二十八年三月二日(月曜日)
 議事日程 第三十四号
    午後一時開議
 第一 昭和二十八年度一般会計予算
 第二 昭和二十八年度特別会計予算
 第三 昭和二十八年度政府関係機関予算
 第四 生活保護法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第五 児童福祉法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第六 民生委員法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第七 司法試験法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第八 千九百十一年六月二日にワシントンで、千九百二十五年十一月六日にへーグで、及び千九百三十四年六月二日にロンドンで修正された貨物の原産地虚偽表示の防止に関する千八百九十一年四月十四日のマドリツド協定への加入について承認を求めるの件
 第九 国有林野事業特別会計法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第十 開拓者資金融通特別会計において貸付金の財源に充てるための一般会計からする繰入金に関する法律案(内閣提出)
 第十一 漁船再保険特別会計における漁船再保険事業について生じた損失を補てんするための一般会計からする繰入金に関する法律案(内閣提出)
 第十二 製造たばこの定価の決定又は改定に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第十三 解散団体財産収入金特別会計法を廃止する法律案(内閣提出)
 第十四 アルコール専売事業特別会計法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第十五 製塩施設法の一部を改正する法律案(内閣提出)
    ―――――――――――――
 一 恩給法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
 二 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
    ―――――――――――――
●本日の会議に付した事件
 議員吉田茂君を懲罰委員会に付するの動議(淺沼稻次郎君外八名提出)
 日程第一 昭和二十八年度一般会計予算
 日程第二 昭和二十八年度特別会計予算
 日程第三 昭和二十八年度政府関係機関予算
    午後二時五十四分開議
○議長(大野伴睦君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
○議長(大野伴睦君) 淺沼稻次郎君外八名より、成規の賛成を得て、議員吉田茂君を懲罰委員会に付するの動議が提出されております。右動議を議題といたします。提出者の趣旨弁明を許します。清瀬一郎君。
    〔清瀬一郎君登壇〕
○清瀬一郎君 本動議の本文は次のごとくであります。
 議員吉田茂君を懲罰委員会に付するの動議
  右動議を提出する。
  昭和二十八年三月一日
    〔拍手〕
 吉田茂君は、本院議員の一員でありますが、さきに国会の決議により内閣総理大臣に指名せられました。同君は、本年二月二十八日午後に開かれました本院予算委員会において、議員西村榮一君の質疑に答うるに際し、ここに直接にその言葉を引用するには忍びません、およそ三色の野卑かつ下劣なる言辞を弄したのであります。(拍手)かくて、西村議員を侮辱いたしましたこの行為は、ひとり西村君に対する侮辱ばかりではなく、同時に、本院の秩序を乱し、本院の品位を傷つけたものであります。(拍手)よつて、ここに国会法第百二十一条に従つてこの動議を提出し、本件事犯を懲罰委員会の審議に付託せられんことを求むるものであります。(拍手)
 吉田君が使用いたしました野卑な三色の言葉の中の一部分は、当夜本人より取消しの申出がありましたが、ほかの部分はまだ取消されておりません。しかのみならず、右不穏言語の一部分の取消し申出によつて、かりに西村君の感情はやわらげ得られるものといたしましても、一旦受けました本院の品位の汚涜は、右申出によつてぬぐい去ることはできないのであります。議員並びに本院に対する侮辱は、同時に日本全国民に対する侮辱であります。(拍手)それゆえに、本件は、憲法並びに国会法の規定によつて、本院自律の制裁方法により処理せられなければなりません。
 世間、あるいは、吉田君は当夜内閣総理大臣として発言し行動したのでありまするから、同君今回の事犯は議院懲罰権には服さないものと申す者がありまするけれども、これは誤りであります。院内懲罰権を規定した憲法の規定には、国会議員にして他の職を兼ねておる者を除外をいたしてはおりません。(拍手)(「簡単々々」「ゆつくりやれ」と呼び、その他発言する者多し)
 諸君、昨年四月わが国が独立権を回復いたしまして以来、全国民はわが国の健全なる民主主義を発展せしめようといたしておるのであります。(拍手「簡単」と呼ぶ者あり)そのやさきに、国務大臣がかくの、ごとき言辞を吐くことは実に遺憾であります。
 ただちに同君に対して懲罰委員会に付するの表決あらんことを望みます。(拍手)
    〔発言する者多く、議場騒然〕
○議長(大野伴睦君) 懲罰の動議は討論を用いずして採決をいたすのであります。よつてただちに……(発言する者多く、議場騒然、聴取不能)静粛に願います。――この採決は記名投票をもつて行います。淺沼稻次郎君外八名提出、議員吉田茂君を懲罰委員会に付するの動議に賛成の諸君は白票、反対の諸君は青票を持参せられんことを望みます。閉鎖。
 氏名点呼を命じます。
    〔参事氏名を点呼〕
    〔各員投票〕
○議長(大野伴睦君) 投票漏れはありませんか。――投票漏れなしと認めます。投票箱閉鎖。開匣。開鎖。
 投票を計算いたさせます。
    〔参事投票を計算〕
○議長(大野伴睦君) 投票の結果を事務総長より報告いたさせます。
    〔事務総長朗読〕
 投票総数 三百五十三
  可とする者(白票)  百九十一
    〔拍手〕
  否とする者(青票)  百六十二
    〔拍手〕
○議長(大野伴睦君) 右の結果、議員吉田茂君を懲罰委員会に付するに決しました。(拍手)
    ―――――――――――――
    〔参照〕
淺沼稻次郎君外人名提出議員吉田茂君を懲罰委員会に付するの動議を可とする議員の氏名
   秋田 大助君  芦田  均君
   荒木萬壽夫君  有田 喜一君
   安東 義良君  伊東 岩男君
   井出一太郎君  石坂  繁君
   石田 一松君  五十嵐吉藏君
  生悦住貞太郎君  宇田 耕一君
   臼井 荘一君  小川 半次君
   大麻 唯男君  大川 光三君
   岡田 勢一君  加藤 高藏君
   金子與重郎君  川崎 秀二君
   菅  太郎君  菅野和太郎君
   清瀬 一郎君  楠山義太郎君
   栗田 英男君  小泉 純也君
   小島 徹三君  小畑虎之助君
   河本 敏夫君  河野 金昇君
   後藤 義隆君  佐伯 宗義君
   佐藤 芳男君  櫻内 義雄君
   笹森 順造君  笹山茂太郎君
   志賀健次郎君  椎熊 三郎君
   重光  葵君  白浜 仁吉君
   鈴木 正吾君  園田  直君
   高岡 大輔君  高倉 定助君
   高瀬  傳君  高橋 長治君
   高橋 禎一君  武部 英治君
   竹山祐太郎君  舘林三喜男君
   千葉 三郎君  堤 康次郎君
   床次 徳二君  中島 茂喜君
   中曽根康弘君  中野 四郎君
   中村 寅太君  中村庸一郎君
   長井  源君  並木 芳雄君
   楢橋  渡君  長谷川四郎君
   長谷川 崇君  平川 篤雄君
   廣瀬 正雄君  古井 喜實君
   町村 金五君  松浦周太郎君
   松野 孝一君  松本 瀧藏君
   三浦 一雄君  三木 武夫君
   宮澤 胤勇君  粟山  博君
   森田重次郎君  山下 春江君
   山手 滿男君  山本 粂吉君
  吉川 大介君 早稻田柳右エ門君
   淺沼稻次郎君  井伊 誠一君
   井上 良二君  池田 禎治君
   石井 繁丸君  今澄  勇君
   受田 新吉君  大石ヨシエ君
   大矢 省三君  岡部 周治君
   甲斐 政治君  加藤 勘十君
   春日 一幸君  片山  哲君
   川島 金次君  川島 金次君
   河上丈太郎君  菊川 忠雄君
   菊地養之輔君  木下  郁君
   熊本 虎三君  河野  密君
   杉山元治郎君  田原 春治君
   田万 廣文君  辻  文雄君
   堤 ツルヨ君  戸叶 里子君
   土井 直作君  冨吉 榮二君
   中崎  敏君  中村 高一君
   西尾 末廣君  西村 榮一君
   日野 吉夫君  平岡忠次郎君
   平野 力三君  細野三千雄君
   前田榮之助君  前田 種男君
   松井 政吉君  松尾トシ子君
   松岡 駒吉君  松前 重義君
   松本 七郎君  三宅 正一君
   三輪 壽荘君  門司  亮君
   矢尾喜三郎君  山口シヅエ君
   山下 榮二君  吉川 兼光君
   吉田 賢一君  吉田  正君
   足鹿  覺君  阿部 五郎君
   青野 武一君  赤路 友藏君
   赤松  勇君  伊藤 好道君
   井手 以誠君  稻村 順三君
   猪俣 浩三君  小川 豊明君
   加賀田 進君  加藤 清二君
   勝間田清一君  木原津與志君
   久保田鶴松君  小松  幹君
   佐々木重三君  佐藤觀次郎君
   坂本 泰良君  志村 茂治君
   島上善五郎君  下川儀太郎君
   鈴木茂三郎君  多賀谷真稔君
   田中織之進君  田中 稔男君
   楯 兼次郎君  辻原 弘市君
   永井勝次郎君  成田 知巳君
   西村 力弥君  芳賀  貢君
   長谷川 保君  原   茂君
   福田 昌子君  古屋 貞雄君
   帆足  計君  正木  清君
   森 三樹二君  八百板 正君
   八木 一男君  安平 鹿一君
   柳田 秀一君  山口丈太郎君
   山崎 始男君  山田 長司君
   山中日露史君  山本 幸一君
   横路 節雄君  和田 博雄君
   渡辺 惣蔵君  大橋 忠一君
   石野 久男君  岡田 春夫君
   黒田 寿男君  館  俊三君
   川村 継義君
 否とする議員の氏名
   阿左美廣治君  阿部 千一君
   相川 勝六君  逢澤  寛君
   古木  正君  青柳 一郎君
   赤城 宗徳君  淺香 忠雄君
   麻生太賀吉君  新井 堯爾君
   荒舩清十郎君  有田 二郎君
   伊能繁次郎君  飯塚 定輔君
   生田 和平君  池田  清君
   池田 勇人君  石井光次郎君
   犬養  健君  今松 治郎君
   今村 忠助君  岩本 信行君
   宇田  恒君  宇都宮徳馬君
   上塚  司君  植木庚子郎君
   内田 常雄君  内田 信也君
   内海 安吉君  江藤 夏雄君
  小笠原三九郎君  小川 平二君
   小澤佐重喜君  緒方 竹虎君
   尾崎 末吉君  大上  司君
   大倉 三郎君  大島 秀一君
   太田 正孝君  大西 禎夫君
   大野 市郎君  大橋 武夫君
   大平 正芳君  大村 清一君
   岡崎 勝男君  岡田 五郎君
   岡田 忠彦君  岡野 清豪君
   岡本  茂君  奧村又十郎君
   押谷 富三君  加藤 精三君
   加藤 宗平君  加藤鐐五郎君
   河原田稼吉君  勝俣  稔君
   川島正次郎君  菅家 喜六君
   木村 公平君  木村 文男君
   熊谷 憲一君  黒金 泰美君
   小金 義照君  小坂善太郎君
   小平 久雄君  小林かなえ君
   小林 絹治君  小山 長規君
   木暮武太夫君  近藤 鶴代君
   佐藤 榮作君  佐藤善一郎君
   佐藤洋之助君  迫水 久常君
   篠田 弘作君  周東 英雄君
   薄田 美朝君  鈴木 善幸君
   鈴木 直人君  田口長治郎君
   田子 一民君  田嶋 好文君
   田中伊三次君  田中 角榮君
   田中 萬逸君  高見 三郎君
   谷川  昇君  玉置 信一君
   中馬 辰猪君  塚田十一郎君
   塚原 俊郎君  綱島 正興君
   坪川 信三君  戸塚九一郎君
   徳安 稔藏君  富田 健治君
   内藤  隆君  中井 一夫君
   中田 政美君  中峠 國夫君
   中村 幸八君  中山 マサ君
   永田 良吉君  永山 忠則君
   長野 長廣君  灘尾 弘吉君
   南條 徳男君  丹羽喬四郎君
   西川 貞一君  西村 英一君
   西村 茂生君  西村 直己君
   貫井 清憲君  野澤 清人君
   羽田武嗣郎君  橋本 龍伍君
   濱田 幸雄君  林  讓治君
   原 健三郎君  馬場 元治君
   日高 忠男君  平井 義一君
   平澤 長吉君  平野 三郎君
   福井 順一君  福井 盛太君
   福田  一君  福永 健司君
   船田  中君  保利  茂君
   星島 二郎君   本多 市郎君
   本間 俊一君   前尾繁三郎君
   前田 正男君   益谷 秀次君
   増田甲子七君   松岡 俊三君
   松野 頼三君   松村 光三君
   三池  信君   三和 精一君
   水田三喜男君   南  好雄君
   宮幡  靖君   村上  勇君
   村松 久義君   持永 義夫君
   森   清君   森下 國雄君
  山口喜久一郎君   山崎 岩男君
   山崎  巖君   雪澤千代治君
   横川 重次君   吉江 勝保君
   吉武 惠市君   荻野 豊平君
   只野直三郎君   武知 勇記君
   福田 赳夫君   坊  秀男君
○議長(大野伴睦君) この際八百板正君より休憩の動議が提出されておりすす。
    〔「休憩々々」と呼び、その他発言する者多し〕
○議長(大野伴睦君) 静粛に。――静粛に。
    〔「運営委員会にかけてないぞ」と呼び、その他発言する者、離席する者多く、議場騒然〕
○備長(大野伴睦君) ……(議場騒然、聽取不能)この動議が出ましたけれども、先ほどの運営委員会の申合せと相違いたしておりますから、(拍手)……(「続行々々」と呼び、その他発言する者多く、聽取不能)……運営委員諸君がこの議場において話合いをしておりますから……。
    〔「話がついてないぞ」「その話がまとまつてからだ」「進行々々」と呼び、その他離席する者、発言する者多く、議場騒然、聽取不能〕
○議長(大野伴睦君) 静粛に願います。――議院運営委員会の申合せに反したところの休憩の動議が提出されましたが、今議場内において運営委員会の諸君が話合いを進めておられますが、まだその話合いが済まぬようであります。(拍手、笑声)
    〔離席する者、発言する者多く、議場騒然〕
○議長(大野伴睦君) 議院運営委員合の申合せの通り議事を進行いたします。(拍手、「話合いはまだできておらぬぞ」と呼び、その他発言する者多し)
     ――――◇―――――
○議長(大野伴睦君) 日程第一、昭知二十八年度一般会計予算、日程第二、昭和二十八年度特別会計予算、日程第三、昭和二十八年度政府関係機関予算、右三件を一括して議題といたします。(拍手)委員長の報告を求めます。予算委員長太田正孝君。
    〔太田正孝君登壇〕
○太田正孝君 ただいま議長から報告を求められました昭和二十八年度の予算案は、一般会計の分と特別会計の分と政府関係機関の三つからなつているものであります。この予算の持つ重大性につきましては、委員各位の質問にあたつて強調された通りであります。すなわち、独立後最初の予算である。連合国司令部の糸を引かざる、政府の立案し、われら立法府の独立の立場において審議するものであります。また、この予算は国際関係上も重大なる意味を持つているのであり、アメリカにおいて新政府の出現した直後であります。ヨーロッパにおいて欧州軍をつくるなどの緊切な問題が起つているときであります。アジアにおきましては朝鮮における戦火なお治まらず、ビルマにアジア社会党会議の行われた直後であります。こうした列国環視の間に議せられている予算であります。なお、国内的に見ましても、経済界における景気後退の色が次第に深まろうとして、産業界も国民生活も、この先どうなるかを案じているときの予算であります。この重大性を持つ予算につきまして、委員各位の問題といたしましたのは各方面にわたつております。そのうち、特に第一は、財政の規模はこれでよいか、この予算実施によりインフレを招来することはないかということであります。その第二は、政府の企てる新規計画もしくは新規事業は、はたして時局に沿う、ふさわしいものであるかということであります。その第三は、この財政をささえて行くわれら国民の負担はどうなるか、減税のこと、公債のこと、国民の負担を軽くし、新しい国家事業に応ずるための行政財政の整理はどうなつているかということにつながる問題であります。
 申すまでもなく、予算委員会におきましては、恒例により、一般施政方針に対する質疑応答がありました。外交につきましては、外務大臣の演説において強調されておりました中立是非の問題があつたのであります。内政につきましては、警察の問題、義務教育費問題、いわゆるスト制限の問題、独占禁止法問題などがきびしく論議せられ、さらに、防衛、再軍備につきましてその本質、さらに防衛費の発展性と日本憲法との関連問題が取上げられましたことは、あらためて申すまでもありません。この予算及び一般施政方針について、一般的質疑と、分科会におけるこまかい質疑が行われ、さらに民間有識者の意見を徴する公聽会が開かれましたことも、従来の例によつておるのであります。詳細は速記録についてごらんを願うこととし、ここには予算を中心とする審議の経過並びに結果を述べることにいたします。
 第一に申し述べることは、財政の規模とインフレに関する問題であります。明年度の一般会計予算は九千六百五億円、やがて一兆億円に手の届く数字であります。しかも、このほかに三十二を数うる特別会計がありまして、一般会計との間の出入りを統合整理いたしますと、すなわち一般及び特別両会計のいわゆる統計予算は一兆八千五百六十七億円の多きになるのであります。さらに、専売、鉄道などの九つの政府関係機関の予算を忘れてはならないのである。すなわち、ここに上程されている一般会計、特別会計、政府関係機関の三つの予算を統合したものの純計は二兆四千百六十六億円になるのであります。しかも、われらは、国の財政以外に、都道府県、市町村にわたる、いわゆる地方財政八千四百十七億円を負担しているのでありましてこの国と地方にわたる財政規模を統合いたしますと、二兆九千六十一億円、ざつと三兆億円となるのであります。大蔵大臣の言うごとく、一般会計に関する限りは収支の均衡を得ておりますが、ドツジ方式――総合的収支均衡をねらいとしたドツジ方式に対しては、まさしく修正されているのであります。ここに、この予算の出現によつてインフレを必然化することはないか、かりに今インフレを起さずとするも、近い将来にインフレをもたらす危険はないかということである。この点について、主として野党側の委員によつて指摘され、政府の答弁いたしましたのは、次の、ごとくであります。
 その一つは、公債三百億円、公社債二百二十億円、合せて五百二十億円を戦後初めて発行することになるが、ここにインフレの窓口が開かれているではないかというのであります。これに対し、財務当局は、この程度の公債は十分市中で消化され、しかも、財政法に定むるごとく、日本銀行の引受によらざるものであり、また現実に金融界の情勢は緩慢を呈していることも考えられるから、断じてインフレの心配はないというのであります。
 その二として、インフレの要因は国庫の対民間収支関係にあるのである、千三百二十億円の巨額に上る散布超過がインフレをもたらさないではやまぬというのであります。これに対し、政府は、これはこれまでの引揚げ超過であつたものを是正するものである上に、不況による財界の動きを見なければならない、一方には相当の滞貨があり、他方には操業短縮が行われているほど財界は沈滞しているのであるから、この際物価の上昇をもたらすようなことはない、ましてや散布された資金を還流し調整せしむべく万全を期するにおいておやというのであります。
 その三は、財政規模の拡大されたことそのものにインフレの危険を包蔵しているというのであります。しかし、財政をささえるものは、言うまでもなくわれら国民の所得であります。その国民所得が五兆六千七百億円と見込まれておるのに比べますると、一般会計は一割六分九厘に当り、前年度より、わずかではあるが、四厘ほど少いのである、またこれに一般会計以外の財政投融資二千七百七十五億円を加えるといたしましても、国民所得に対して二割一分八厘、前年度よりわずかに一厘を増加するにすぎないのであるからというのであります。
 インフレ危険として示されたものの四番目の点は、軍人恩給や保安庁の経費など、いわゆる消費的支出が多い、財政上不健全なる支出が多いではないかというのであります。さりながら、他面におきまして、自由党の提唱による食糧増産や公共土木事業などの生産的費目があり、さらに、投融出資による電源開発、海運、鉄道、電話事業などの積極的支出があることを見のがしてはならぬというのであります。
 その五は、将来防衛費などの増額のやむべからざるに至つた場合は、すでに剰余金は使い果している、減税の余地もない、今日増税に応ずべき国民の力は持つておらぬ、結局追い詰められて、公債発行によるインフレのおそれが多分にあるにあらずやというのであります。けれども、防衛費はどこまでもわが国民経済の実勢力に応ずべきものであり、アメリカなどによる増額の要望もなかろうというのであります。
 その六として、経費のむだが指摘されております。これに対して、政府はその効率的経理を行うべきことを約束いたしたのであります。
 以上が、財政の規模とインフレとの関係に対する質疑応答の大要であります。
 第二の質疑の重点は、自由党政府による新規事業についてである。この点について、野党側委員の方々は、自由党はその党利により、その公約のために財政支出を増加した、しかも費目が重点的でない、ばらばらである、食い散らしであるという批評が加えられました。これに対し、政府は、公約の実現をするということは政党内閣当然の正しい道である、財政に制約されつつも、自由党公約の線に沿いつつ新規事業をもくろんだのであるというのであります。すなわち、経済力の充実発展による積極策と、民生の安定と、文教施策等をあげ、別に防衛費による施設の充実などをはかつているというのであります。
 その第一の経済力の充実発展は、財政投融資二千八百三十五億円によつて、電源の開発、外航船の建造、中小企業や、農業、漁業の振興や、国鉄事業や、電電公社事業の整備強化などに向けるというのであります。しかし、防衛費などを削減することを主張する委員たちは、この防衛費を財源として電源開発その他の方面に一段の増額をなし得ると提唱したのでございます。しかし、それは、防衛費を削れるかどうかということによつてきまる問題であることは申すまでもありません。また、政府ほ、経済の充実は、特に食糧増産のために四百九十二億円、公共事業の遂行のために千二十一億円を計上しているのであります。しかし、委員側は、これでは食糧増産の目的を達しないということを指摘し、また外国よりの食糧買入れのやり方が不経済なる点を警告して、かかる資金を国内の食糧増産に向くべきではないか、また農民のために肥料低価政策をとるべきではないか、一旦急ある場合に最も必要なるものは食糧である、国家防衛の基調となるものは食糧であることが熱心に主張されたことを、ここにつけ加えておきます。
 新規事業の二は、民生の安定であります。このうちに、住宅問題や、社会保険や、失業対策がありますが、何といつても大きいのは軍人恩給のことであります。これは再軍備とは関係ないと政府は明言いたしました。遺家族や留守家族などの援護関係も加えまして、五百億円に上るものであります。問題となりまするのは、全体として公平を得ておるかというのであります。すなわち、文官との比較関係、いわゆる七項症に対して一時金のみであること、応召軍人の含まれていないこと、下士官以下に薄いことなどであります。さらに、社会保障の見地から取上げらるべきものではないかという質疑もありました。政府としては、公平を念として立案しておるが、主として財政上の理由からやむを得なかつたとの答弁でありました。
 その三は、文教関係、特に義務教育費全額国庫負担の問題であり、それは、地方財政交付金との関係がどうなるか、教員を国家公務員とする身分に対する問題が取上げられました。
 防衛費につきましては、二十八年度からは安全保障費五百六十億円はなくなるのでありますが、保安庁の費用におきまして、主として施設の充実などのため八百三十億円を計上することになりました。総額千四百五十億円、これは二十七年度に比べて三百五十億円を減ずる勘定でありまして、一般会計歳出に対し一割五分に当る。すなわち前年より六分見当減ずることになるのであります。この経費の本質に関する質疑は前国会以来のものであり。特にこの経費の計上されることが戦争の危険を招くものであり、これを削つて他の経費に向くべしと主張する者もあつたのでございます。政府は、戦争の危険は遠のきつつあるものと思う、また自衛費は漸増して行く、この二つの主張を繰返し述べられたのであります。
 第一の財政の規模、第二の新規事業に次いで、第三点として報告すべきことは、この財政の負担関係であります。
 自由党政府の公約による千九億円の減税につきましては、いわゆる税法上の減税であることなど、世を偽るものではないかということに対し、政府は、現実においてさきに改正された所得税を平年化し、さらに法人税、相続税、酒税等を減税するというのであります。しこうして、この問題につきましては、政府提出の資料によつて注意すべき二つの点を申し上げます。
 その一は、国税がタバコ専売益金をも加えまして八千百十四億円となり、これに地方税三千八十六億円を加えて、われら国民の負担は一兆一千六百一億円となるのであります。その国民所得に対する割合は二割四厘となりまして、二十七年度よりわずかに二厘だけ減ることになるのであります。
 その二は、直接税と間接税との関係である。今回の改正が主として所得税の軽減にある関係で、二十七年度に比べて、直接税が減り、間接税が増し、直接税が全体の五割二分一厘、間接税が四割五分三厘となるのであります。このことにつき、かかる税の組立て方式などによつて、われら国民の生活、生業に及ぼす影響を注意する委員があつたのであります。
    〔議長退席、副議長着席〕
なお、特別減税公債につきましては、インフレの点よりする根本的否定と、小所得者に対する不均衡と、金利方式などによる反対説のあつたこともつけ加えておきます。
 この国民負担の問題は、今後における国費の増加とも照し合せつつ、反射的に経費の節減に論議の及んだことは当然であります。冗費――国といわず、地方といわず、経費にむだの多いことこそ、占領行政について是正すべき緊要なることではないか、防衛費などに経費繰越しが多いではないか、一科目の中にあまりにも多額に上る経費が計上されている例として、防衛費や恩給があげられたのであります。また、一地方における裁判所建築費に一億円を投じているのではないかなどのことも、分科会において掘り下げられたのであります。さらに、人件費、物件費を通じて、行政財政の整理の急務が唱えられたことも注目に値すべきこととして御報告申します。
 以上が質疑の大要であります。
 ついで討論の段階に進みます。このとき、改進党と社会党右派とは組みかえ動議を提出し、社会党左派は、一般会計につき計数を整理された成規の修正案と、別に特別会計及び政府関係機関予算に対する組みかえ動議を提出したのであります。その趣旨と討論とは、やがて本議場に展開されると思われますから、省略いたします。ただ、そのうちの重要と思われる点を申します。
 すなわち、財源について三つの点があります。その一は、防衛費の全部もしくは一部を他の費目に向けんとしておることであります。そのうちの全額削除は、戦争の危機を回避するため等であることを強調されており、一部転用のものは、現在の経理関係などの点から見て主張されたのであります。その二は、経費の節約であります。その三は、手持ち外貨の使用であります。また減税について生活の面、所得の面などから案を具しての提唱がありました。
 次に、歳出におきましては、歳出の総額を減ずべきものとすること、生産関係に増額すべきことなどの点が注意されました。特に、組みかえなり修正の論者が経済に長期計画性をもつてすべきことを説かれたことを申し上げるのであります。
 これに対し、自由党及び同友会は、政府原案に賛成するとともに、共同提案による附帯決議をもつてしたのであります。
 採決の結果は、野党三派によるそれぞれの動議と修正とは否決されました。政府原案と附帯決議とは可決されました。その附帯決議は次の通りであります。
 第一 速かに長期に亘る経済及び財政計画を樹立し自立自主経済財政の方針を簡明すること。
 第二 財政資金の撒布超過の多額なるに備え貯蓄増強の施策を強力に推進すること。
 第三 冗費の節減の為一大財政整理を断行すること。
 第四 速かに中央地方を通ずる財政の根本的調整を行うこと。
 これに対し、大蔵大臣から、この附帯決議の趣意を尊重して行く政府の信念を示されたのであります。
 ここに、昭和二十八年三月一日夜十時過ぎ、予算委員会は案件全部を議了したのであります。
 私は、理事並びに委員各位の御協力によつて本報告をなすに至りましたことを、この際厚くお礼を申し上げる次第であります。(拍手)
○副議長(岩本信行君) 宮澤胤勇君外九名及び河野密君外五名から、一般会計予算外二件の編成替を求めるの動議が提出されております。また成田知巳君外五名から一般会計予算に対する修正案、特別会計予算及び政府関係機関予算の編成替を求めるの動議が提出されております。この際右動議及び修正案の趣旨弁明を許します。櫻内義雄君。
    〔櫻内義雄君登壇〕
○櫻内義雄君 私は、改進党を代表いたしまして、ただいま議題となつております昭和二十八年度一般会計予算案外二案に対する宮澤胤勇君外九名提案の組みかえ要求動議の趣旨説明をいたすものであります。
 まず最初に、その組替要綱について申し上げたいと思います。財源措置は総額千四億円でありまして、行政費の節約によるものが四百二十八億円であります。その内訳は、政府案に対しまして、雑給与、報償額、超過勤務手当の二割節減をいたし七十四億円、旅費ほ三割削減により三十六億円、物件費は二割を削減して百六十五億円、施設費は一割五分の削減で百十三億円、交際費の若干の節減で一億円、官庁営繕費の一部削減で二十五億円、徴税費も一部削減をいたしまして十四億円の、合計四百二十八億円であります。次に、外為特別会計のイソヴェソトリー・ファイナンスの繰入額が三百六十億円、防衛関係費繰越額中、不用額の転用百五十億円、特別減税国債の減税とりやめ六十六億円の、合計千四億円であります。
 これに見合う支出の項目を申し上げます。まず投資融資特別会計への繰入れ増加額が四百三十億円であります。その内訳は、電源開発に百七十億円、縦坑開発、鉄鋼、造船等の合理化資金といたしまして百三十億円、中小企業育成に百億円、国土総合開発に三十億円をそれぞれ増加繰入れをいたすものであります。食糧増産費の増加に百二十億円、買上げ米価に要する経費を百九十八億円、社会保障費の増加に百億円、――その内訳を申し上げますと、国民健康保険医療費の二割国庫負担に十億円、同じく再建整備費の増加十二億円、また住宅増設費七十八億円であります。義務教育全額国庫負担額の増加に五十六億円、預金利子等の課税撤廃、法人税、所得税等の軽減に百億円、及び傷痍軍人第七項症の恩給支出については、既定予算の操作によつてまかないたいと存じます。すなわち、その総額が千四億円となる次第であります。
 これより各項目について簡明直戴に御説明申し上げます。
 戦前に比較して行政費が著しく膨脹いたしておりますことは、いなめない事実でありまして、政府はしばしば行政整理を主張いたしながらも、その効果はあまり上つて参らなかつたのであります。特に今回の予算編成に際しましては、その熱意に著しく欠くるところがありまして、まことに遺憾に存ずるのであります。これがため、四百二十八億円の行政費の節約を計上いたした次第であります。政府のただいまとりつつある外資導入策と外貨活用につきましては、矛盾と誤謬を犯しておると言わざるを得ません。外為特別会計においては、昭和二十入年度末外貨保有額を十一億七千五百万ドルとし、四千二百万ドルの受取り超過としておるのでありますが、外貨を蓄積遊休せしめるよりも、輸入のわくを拡大し、入超を恐れず、低価格の石炭、産業合理化のための機材、その他民生安定の物資を輸入し、インフレを押えつつ、同時にこれに見合う円資金をイソヴエソトリー・ファイナンスより財政投資に繰入れまして、生産基盤の拡大、コストの切下げ、食糧増産のための資金等に積極的に充当いたしたいのでありまして、一億ドルの輸入増加策を実施し、外為特別会計のイソヴエソトリー三百六十億円を財源として計上いたしたのであります。
 防衛関係費の政府予定の繰越額は二百三十億円でありますが、昭和二十七年度における保安庁並びに安全保障諸費の総額は一千三百三億円でありまして、そのうち二月一日現在七百三十五億円の巨額の残があります。しかも、その残額の中で四百七十七億円は年度末までの二箇月間に使用せんとするがごとき無謀な態度に出ているのであります。(拍手)われわれは、さらに百五十億円は優に繰越し余裕あるものと認めて、これを不用額として他に転用するために計上したのであります。
 自由党の主張する特別減税国債は、日銀担保を禁止しておるので、一般消化が困難であることを別にいたしますも、正常なる金利体系を乱すとともに、この減税は一部の大企業や資本家のみを優遇する結果になりますので、むしろ、かかる公債政策の邪道をやめて、率直に一般公募の建設国債となし、減税をやめて、その結果浮く六十六億円を他の支出に振り向けたいのであります。(拍手)
 以上が財源一千四億円の説明であります。
 最近貿易規模が逐年縮小傾向をたどつておりますことは、統計で明らかでありますが、この場合の政府のとるべき態度は、世界的景気の後退の見通しに対処して、国際競争にたえ得る経済基盤を確立すべきであります。昭和二十七年度予算に対して、ただいま提案されております政府案は、消費支出において急激な増加を示しながら、他面、生産的財政投資は三百十四億円を減少しておるのであります。加うるに、年間百二十万人に上る人口の自然増加の重圧と、自衛力漸増の国際的要請を考慮に入れるとき、行政費の冗費や不急不要の事業の徹底的縮減をはかり、これを重点的に生産的投資に振り向けるのは当然であります。(拍手)すなわち、産業基盤の拡大のための積極的な財政投資として、投資融資特別会計への繰入れ増額四百三十億円を計上いたしたのでありまして、電源開発に百七十億円、縦坑開発、鉄鍋、造船等の合理化資金百三十億円、国土総合開発に三十億円の増額をいたすのであります。
 わが国の産業の中核をなすのは中小企業であります。しかるに、政府予算案による財政投資の減少と、千五百億円による散布超過は、インフレを押えるために金融の引締めが予想せられるのでありまして、その結果、金融面での中小企業への圧迫は必至でありますから、これが打開策といたしまして百億円の財政投資を計上したのであります。
 次いで、政府案における食糧増産費は、廣川農林大臣の政治力の低下に比例して大幅削減をされておりますので、五箇年間米麦一千七百万石増産達成のための不足分捕愼に百二十億円を支出いたします。わが党は、政府の生産米価石当り七千七百九十二円は、外米輸入価格よりも著しく安価である事実にかんがみ、入千五百円と改め、消費者価格をすえ置きとする二重価格制をとるために、その費用として百九十八億円を計上いたしました。
 社会保障制度に対する諸施策の積極性に欠くるところがありますので、合計百億円を増加いたしたのであります。国民健康保険の医療費の二割国庫負担は、政府案は一割五分でありますので、その負担増加額十億円、国民健康保険の再建整備費の増加十二億円、住宅増設費の七十八億円の合計であります。
 義務教育全額国庫負担につきましては、吉田首相の施政方針演説の確言にもかかわらず、給与費の支弁すらも各都道府県のサービスをまたねばならぬことが明瞭でありますので、(拍手)実給与に即せる俸給支払いのために要する経費五十六億円を計上いたしました。
 さらに、民間資本蓄積のための預金利子等課税の撤廃、法人税、所得税の軽減のために百億円を支出いたします。
 最後に、軍人恩給復活に関しまして、政府のとつた方針が、戦争中召集されて国家のために献身努力をいたしました下士官兵に薄く、上に厚い下に薄いという、政治の要諦とはまつたく逆な事実を認めねばなりません。(拍手)特に身体の一部を損傷いたしました傷痍軍人のことを考えますときに、既定予算の操作により、傷痍軍人第七項症の恩給をすみやかに支給いたしたいのであります。(拍手)
 支出面、以上の合計が一千四億円となる次第であります。
 これを要するに、本年度予算案は、独立後最初の予算編成でありますから、占領治下の惰性より脱却して、自主性をもつて行うべきでありますが、何らの気魄も見られず、逆に、官僚の事務的総花主義と、与党の党略的無方針ぶんどり主義とにそこなわれて、一貫して総合的な計画性に欠けているのであります。予算案は、政府並びに与党の政治経済政策の全般の集約的表現であることは言うまでもありません。わが党の主服する政策とは多くの隔たりを持つていることは、ただいままでの説明でも明瞭でありまして、(拍手)一部の修正をもつてしては、とうてい日本再建の輿望にこたえることはできないのであります。よつて、本組みかえ動議を提出した次第であります。各位の御賛同を得たいと存じます。(拍手)
○副島長(岩本信行君) 川島金次君。
    〔川島金次君登壇〕
○川島金次君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま話題に相なりました政府提出の予算三案に対し、わが党の立場に即して本予算の組みかえの動議を提出し、その提出の趣旨の弁明を試みんとするものでございます。
 日本の完全独立の達成のためには、まず経済的自立が伴わなければならないことは言うまでもございませんが、ことに本年度は、この経済自立達成のための自主的政策が戦後初めて国民の前において遂行されるものとして期待されたのであります。しかし、今や、はからずも自由党内の議席は至るところ歯が抜け去つたの感があり、総理大臣が懲罰動議に付せられるという国会史上未曽有の記録をつくり、まさに末期的症状ようやくおおいがたい吉田内閣ではありまするけれども、当初、いまだ国民の一部には、独立日本の進路をさし示すに足る何らかの新政策が示さるるものではないかと期待する向きもないではなかつたのであります。しかるに、本年初頭来ものものしい難航を続け、天下にその醜をさらしたあげく、辛うじてまとまりを見た新予算案は、多くの国民にはなはだしき失望を与えたばかりでなく、さらに国民大衆に深刻な不安と動揺と憤懸とを呼び起しておるのであります。
 すなわち、その第一点は防衛費の問題でございます。わが党は、再軍備に反対する立場を明らかに堅持するものでありまするが、わが国現下の実情にかんがみ、国内治安機構まで無用とする態度をあえてとるものではありません。従つて、国民経済の許す最小限度の治安機構に伴う若干の諸経費はこれを認めるにやぶさかではございません。しかし、政府は、防衛力漸増に名をかり、昨年度以来、国民経済を無視し、財政規模の実に二〇%に上る事実上の再軍備費を計上し、しかもこの二十七年度防衛予算のうち、本年一月一日現在においては八百五億に上るという未使用分を示したのでございます。いやしくも、国民の文字通りの血税をもつていたしまする政府予算案は、当初において確固たる見通しを立てて編成する責任を持つべきものでありまして、年度内に、莫大な、かくのごとき未使用分を残すがごときは、断じて許されないものであります。にもかかわらず、その未使用分八百五億の驚くべき巨額を示すに至るとは、その無責任ぶり、まさに言語道断と言わなければならぬのでございます。これがために、国民の苦痛と犠牲のほどは言うまでもありません。この無責任ぶりでありますから、二十八年度に防衛予算として計上したこの額も、おそらく年度末に至るもなお引続き重ねまして、多くの未使用分を残すであろうということは、国民のひとしく重視するとともに、その政府の真意は那辺にありやと、痛切なる憤激をすら覚えておる国民が決して少くはないのでございます。かくて、本年度もまた引続き、憲法を無視した再軍備予算が困難な国民経済の頭上にのしかかつており、まさに日本経済自立達成の前途に大きなる障害となつていることはいなめない事実であります。
 第二点は、向井蔵相が、公債政策は阿片のようなものであり、やがて日本経済を破綻に導くインフレーシヨンを招くものであると、当初は強固反対いたしておつたにかかわらず、いつの間にか、一部閣僚と与党の強引な要求に手もなく屈服して、遂に三百億といろ減税公債の発行を決定するに至つたのを初めとして、さらに一般公債においては二百二十億、合計五百二十億、かくて二十八年度における政府資金散布超過は実に一千三百億に上ることが予想され、このことがやがて蔵相の当初憂慮したごとき恐るべきインフレーシヨンの戸口をあける端緒となるであろうことが予想されるに至つたのでございます。
 第三は、義務教育費の全額国庫負担に名をかりての問題でございます。この義務教育費の国庫全額負担の問題は、政府の究極においてねらいとするところは、憲法に保障された学校職員の政治的活動を完全に封殺しようとする謀略を強行しようとする以外の何ものでもないことは、天下周知の事実でございます。(拍手)
 第四は、本年度に関する限りにおいては、実質上国家、地方ともに、いずれも予算上さしたる増減変更等々をもたらすものではないと称しておりすけれども、事実は、来る十月以降において当然に国家予算をもつて負担すべきところを、一片の経過的措置をもつて、あえて強引にも、これを地方の血税に押しつけようとする点でございます。また、このことは、ひとり地方財政上の問題にとどまらず、かくて権力の集中するところ、勢い権力の濫用を伴い、わが国戦前の警察国家への逆行なしとせぬ点であるのでございます。子の反動性は、今日国民のひとしく脅威と憤激とを呼び起していることも、またまぎれもない事実であると断言せざるを得ないのであります。
 第五には、旧軍人及びその遺家族を対象とする恩給法改正に伴う財政措置の問題でございます。政府案は、旧軍人恩給の復活に関し、戦時中現存した十七階級にわたる階級差をそのまま機械的に扱おうとしているのでありますが、われわれは、これに対し、この問題の重点を遺家族への扶助、戦傷病者、老齢者に置き、平和憲法の精神にのつとり、最も合理的な処置をとることをあえて主張しているものであるのであります。(拍手)
 第六には、政府は一千億の減税を呼称しておるが、その減税は単なる税法上の減税であるということでございます。国民がひとしく要望する減税政策は、税法上における一万円の減税ではなくて、実質上における当面千円の減税をば強く望んでおります。しかるに、事実はこれに反しまして、二十七年度所得税収予算額二千六百億円に対し、二十八年度は二千五百億円でございます。すなわち、その差はわずかに百億円であり、一方法人税のごときは、二十七年度一千八百八十億に対し、二十八年度は一千七百七十億、その差は実にわずかに百十億にしか当らないのでございます。なお勤労所得税のごときは、前年度に比較いたしましてわずかに八億七千万円にすぎず、これに反しまして、米価の引上げによる国民の負担増は実に三百三十億円であり、運賃の値上げによりまする負担増は百五十億、合せて四百八十億の巨額に上るのでございます。そのほか、吉田政府は、一月一日以降家賃の大幅な値上げを実施し、さらに地代の、これまた少からぬ値上げをいたしました。これら吉田政府の政策の犠牲が勤労大衆の肩にかかるのであろうということは、これまたまぎれもない事実であるのでございます。今、かりに、この四百八十億円の八〇%が勤労者の負担するところとなるということを考えまするならば、政府は勤労所得税を大幅に減税したというものの、その裏を返せば、逆に、その負担増は実に三百八十億に上るという、まぎれもない事実がここに露呈されるのでございまして、政府の減税政策は、いかにも数字の魔術であり、はなはだしき欺瞞以外の何ものでもないことを立証するものと申し上げねばならぬのであります。(拍手)
 さめに、政府は国民所得五兆六千億と号しておりますが、二十七年の物価平均を一〇〇といたしまする場合に、日銀の調査によりますると、生産財卸売物価指数はわずかに九九・八、さらに消費物価指数は一〇一・〇となつており、さらに一方、政府の言明するところによれば、貿易も生産も相ともに伸び悩みの実情であるというにかかわらず、二十七年度に対しまして二千九百億円に上る国民所得増を見込んでいるのは、これは明らかに水増し所得と断言せなければならないのみならず、しかも、これに対し、政府及び地方財政を通ずる純歳計は実に二兆八千億に達するとは、これまた政府のみずから公表しているところでございます。このことが事実であるといたしまするならば、国民所得の五〇%が中央地方を通じて吸い上げもれるということになるのであります。国民経済は、今なお安定の域に達しておりません。ことに勤労大衆の生活水準のごときは、今なお戦前の八五%にも回復しておらないのであります。この際、かくのごとき高率の吸上げ政策の強行は、実に国民経済を圧迫し、当然に国家予算または地方財政は勤労大衆の生活を脅威し、破壊に追いやる以外の何ものでもない財政的暴虐であると、われわれは断言せなければならないのであります。(拍手)
 第七点は、農村の現下における深刻な不況の対策であります。最近、農民経済が、依然たる低米価、肥料高、税金高に脅威され、ようやく憂うべき深刻な表情を呈しておりますることは、何人も否定できないことであります。農村の、この最近における預貯金の減少傾向を見ましただげでも、まず農村の不景気がいかに深刻化しつつあるかということを物語るものであります。
 第八の問題は、中小企業対策の点でございます。日本経済再建の重大なるにない手でありまする中小企業もまた政府の大企業本位政策の犠牲となり、中小企業の廃業は至るところに惹起いたしております。かりに、労働省が昨年発表いたしました数字によりましても、昨年一年間に、税金高あるいは不景気によるところの購買力の減少あるいは逼迫した金融難等によりまして、遂に廃業のやむなきに至りました中小企業は、実に驚くなかれ、一万六千戸に達していると公表されておるのでございます。こうしてわれわれが話をいたしておりまする間にも、一日実に五十戸以上の中小企業の、廃業のやむなきに至るものが続出いたしておる実情でございます。かくのごとき現象は、実に吉田内閣の中小企業に対する、池田蔵相以来強行されて参りました冷酷無残の経済諸政策の結果であつて、その責任はきわめて重大であると言わなければならないのであります。(拍手)
 以上のごとく、かくて国民大衆は、現実の生業と生活に苦しみ、しかも独立したとは申せ、前途に何らの希望の一片をさえも吉田内閣の手によつては与えられておらないのみならず、本予算案はまつたく確たる方針も自信もなく、文字通りの食い荒し予算であり、その無定見を遺憾なく暴露いたしたものと断言しなければならないのであります。
 よつて、わが党は、以上の見解に基き、独立日本の苦難な現段階に即して、国民経済の安定と計画約な発展を目途として、以下述ぶるような予算の全面的組みかえをば強力に要求し、かくして国民の生活と生産と防衛とを知り、国民の独立日本における生きがいと働きがいとを喚起し、かつわが国の経済的前途に大いなる希望のともし火をば点じようとする決意を有するものであります。(拍手)
 これより、おが党がここに提案いたしまする昭和二十入年度一般会計予算、昭和二十入年度特別会計予算及び同年度政府関係機関予算編成がえの内容のおもなるものを申し上げます。
 まず策一点には、防衛費、不急不要の経費を極力削減して、経済の自立、国民生活の安定のための支出を増額することでございます。
 第二は、政府提出の警察法案、義務教育学校職員法案に対しては断固反対の立場をとり、警察法につきましては現行警察制度を支持し、義務教育費の国庫負担に関しては、実質的な全額国庫負担を実現できるよう措置することを要求するものでございます。
 第三には、防衛費関係でございます。この問題は、冒頭にも述べましたことく、前年度の防衛関係費繰越分が八百五億円、防衛皮出金未使用分が七十一億円、安全保障費未使用分が三百六十一億円、保安庁費未使用分が三百七十三億円、但し、これは本年一月三十一日現在でございます。これら八百五億円の尨大な未使用の額を全額削除し、平和回復善後処理費未使用分五十五十億円、連合国財産補償費未使用分入十六億円も全額これを削除することを要求するものでございます。
 さらに続いて、昭和二十入年度の防衛関係費中、防衛支出金六百二十億円、保安庁経費の過剰分三百五十億円、警察予備隊七万五千人分を認め、ベース・アップその他諸条件の変化をわれわれは見込んだものとして立案をいたしております。従つて、この防衛支出金の六百二十億円と、保安庁経費のうちの過剩分三百五十億円を全額削除いたしまして、さらに平和回復善後処理費の百億円、連合国財産補償費の百億円、計一千百七十億円を削除することを要求いたすものであります。
 続いて第四には、経費の徹底的な節減をはかる趣旨において、一般の旅費、物件費等を、一般会計、特別会計を通じて約一割五分、すなわち合計二百六十五億円を節約することを要求するものでございます。
 第五には、減税についてでございます。この減税問題につきましては、私が冒頭に述べました事情でございますが、わが党は、次のごとき方針によりまして、実質上約一千億円の減税を断行することを主張するものでございます。その内容といたしましては、所得税については、月収二万円以下の低額所得者に対しては、これに対する免税措置をあえて断行せんとするものでございます。第二点は、物品税の整備を行い、生活必需品の物品税は廃止することでございます。さらに法人税について、中小法人、すなわちわれわれの主張から申し上げますれば、資本金およそ一千万円、その従業員は三百人以下、これらの中小企業法人に対しては、現在の法人税率四二%を、これら中小法人に限りまして三五%、すなわち七%の税率の引下げを断行しようとするものでございます。
 さらに、第六点におきましては、国家公務員に対する一千円のベース・アツプを行うという問題であります。わが党におきましては、先般における補正予算の場合におきましても、少くとも公務員に対しましては人事院の勧告ベースの即時実施を強調いたしたものでございますので、その建前にのつとりまして、この機会に、公務員に対しましては一千円のベース・アップ、その額は百四十五億円でありまして、その一千円のベース・アップは、先般人事院が勧告いたしましたペース・アップよりも若干上まわる程度であるのであります。
 第七には、米価についてでございます。私が冒頭申し上げましたごとく、今日六百万戸に上りまする農民諸君の深刻なる不景気の現状は、あえてわれわれの見るに忍びないところであるのでございます。そこで、われわれは、農村不況の当面の具体的対策といたしまして、米価審議会の答申を尊重し、石当り一万円で買い上げることを主張するものであります。但し、消費者価格につきましては、十キロ六百二十円に引下げ、その差額八百七十三億円は国家において補償することであります。右に準じまして、輸入食糧価格についても調整を行い、この費用四十八億円は一般会計より支出することを認めたのでございます。
 第八は、義務教育費全額国庫負担の建前により、定員定額制によらず、給与、教材費及び学校図書館費の実支出を全額国庫において負担するよう予算措置を講ずることであります。この金額は百二十八億円でございます。
 第九は、中小企業保護育成の見地において、国民金融公庫、商工中央金庫の政府出資金を大幅に増額いたし、国民金融公庫への投資増額五十億円、商工中金への出資五十億円にすることを主張するものでございます。
 第十は、社会保障費の大幅な引上げを断行することでございます。政府並びに自由党は、年々社会保障制度の拡充について、口を大きくして宣伝いたしておりますけれども、その実行するところきわめて冷酷であるということは、これまたいなめない事実であるのであります。(拍手)そこにおいて、わが党におきましては、まず第一に住宅金融公庫に対する出資金を増額し、第二は失業対策費を増額し、日雇い労務者の健康保険を増額し、さらに国民健康保険等の医療給付に対する補助等を増額いたしまして、この総額九十七億円を社会保障費として政府原案よりも増額をいたそうというのでございます。
 第十一には、恩給制度の改正を目途として、国民年金制度の確立をはかり、軍人等恩給費は戦傷病者、戦没者遺族等年金と改め、社会保障制度の確立されるまで暫定的措置としてその内容を合理化すること、特に普通恩給については老齢者に限り支給し、旧軍人の階級別はこれを廃止し、なお文官恩給との調整をはかることをいたそうとしておるのでございます。(拍手)
 さらに第十二として、食糧増産のために土地改良費、河川改修費、漁港修築費等に五十億円を増額せんとするのであります。
 第十三には、科学技術費といたしまして十億円を計上せんとするものでございます。政府は、民主国家の確立、平和日本の再建のために科学技術の重要性を説いておりまするが、その重要性を説くだけであつて、いまだその実行はまつたく行われず、口頭禅に終つておるという醜状であるのでありまして、わが党は、科学技術の重要性をここに再確認いたしまして、あえて政府原案に対し十億円の増額をば要求するものでございます。(拍手)
 最後に、なおこのほか保有外貨一億ドル、三百六十億円を投資特別会計に投じ、貯蓄国債三百億円はこれを削除いたしまして、残余はあげて基幹産業に投資する。
 以上の政策をもちまして、現段階における困難な国民経済の自立達成をはかるためには、まず何はともあれ、低額所得階級、生産に従事する階級、あるいは貿易の進展等にあたりまして、財政投資を思い切つて引上げる等の措置をとりまして、真に働く大衆が生きがいと働きがいのあるところの財政経済を樹立するための以上の諸政策をわれわれは確定いたしまして、このずさんまわまる、無定見きわまるところの無賃任な政府原案に対して根本的に反対をいたし、われわれ社会党の添削をいたしまする以上の組みかえ案を、あえて与党の諸君並びに吉田内閣に、強く国民の名において要求いたし、わが党の組みかえ要求の趣旨の弁明を終る次第でございます。(拍手)
○副議長(岩本信行君) 伊藤好道君。昭和二十八年度一般会計予算に対する修正案(成田知巳君外五名提出)
    〔本号の附録に掲載〕
    〔伊藤好道君登壇〕
○伊藤好道君 私は、日本社会党を代表いたしまして、政府提出の昭和二十八年度一般会計予算に対しまして、わが党の修正書の趣旨弁明をいたしたいと存じます。
 諸君、わが党は社会主義自立経済五箇年計画を持つておるのでございます。これにより、日本国民の完全なる雇用と、全国民に対する最低八千円の賃金を保障する案を策定中でございまして、本来ならば、その第一年度計画に即応いたしました予算を編成いたしたいのでございますが、今回は、政府提案の予算案に対しまして、野党として、とりあえずこれが修正案として、若干の重要施策を行うことを前提といたしまして編成いたした次第でございます。従つて、私がこれから趣旨弁明をいたしまする修正案は、必ずしもわれわれの理想を百パーセントに盛つたものではないのでございますが、しかしながら、日本の国会始まりましてから今日まで、野党が政府の予算原案に対しまして、今日わが党が作成いたしましたごとき整備した方式におきまして、しかも政府原案と根本的に対立し、日本の平和を確保し、国民生活の安定と向上、自立経済の確立を目ざしまするところの予算修正書を、提出することができましたことは、いまだかつてなかつた事実でございまして、その意味におきまして、本修正書の提出は、ひとりわが社会党の誇りでありまするばかりでなく、わが国会と民主主義政治の今後の発達にとりましても、御同慶にたえない、意義ある事態であると確信する次第でございます。(拍手)
 さらに、この修正案は、政府原案に対しまして根本的に対立した立場から編成されたものでございますが、ただ、われわれが組みかえ要求という態度をとりませんで、修正書の方式をとつたにつきましては、申すまでもなく、その方がわれわれの積極的、建設的な立場を明らかにするゆえんでございますと同時に、われわれの政策に対する予算の裏づけを行うことによりまして、われわれの現実的、具体的態度に対し広く国民大衆の理解と支持を求めようとしたからにほかなりません。
 そこで、私は、これから本修正案編成の基本的方針と、その主たる内容につきまして、概略御説明申し上げたいと存じます。第一に、われわれは、まず昭和二十八年度予算規模の縮小に対して努力を注ぎました。政府原案の、九千六百億円を越える予算の規模は、政府が説明いたしました、昭和二十八年度における世界経済の動向、あるいはわが貿易の見通し、日本の国内購買力の状況、要するにわが国民所得と、わが大衆の真の生活水準から見まして過大であることほ明らかであると存じます。この点につきましては、政府部内におきましても、経済審議庁と大蔵省との間にやや見解の相違があつたくらいでありまして、予算委員会の審議を通じて明らかにされたと私は確信いたします。しかも、予算の規模がこのように過大である結果は、結局増税と公債発行のいずれか一つ、もしくはその双方を通じまして、国民生活を圧迫いたす以外に道がないのでございますが、今日の日本の財政、金融の現状では、公債発行によるインフレーシヨンの危機が増高することは、政府原案にも明らかでございます。しかも、このことは財政と民間経済に対する圧迫となりまして、この道を通じて日本経済を不建全にし、あるいはその正常なる発展を阻害するに至ることは申すまでもございません。
 わが党の修正案は、従いまして、まず第一にこの点にも留意いたしまして、財政規模を九千三百四十億円と、政府原案よりも実に二百六十四億円の縮小を実現したのでございまして、本修正案におきまして、われわれの第一に誇りとするところでございます。もちろん、われわれは減税公債は考えたことはございません。われわれは予算内に組み込んでおりません。
 第二にわれわれが留意いたしました問題は、政治の最大最高の要諦でなければならない国民生活の安定、いな、現在の日本におきましては、国民生活の積極的な改善と向上を実現しなければならないのでありまして、その点に向いまして重点的な予算措置を講じた次第でございます。すなわち、われわれは、まず第一に、修正案におきまして、公務員の給与ベースを一万六千円と定めまして、その予算措置を講じました。農民に対しましては、生産者米価を一万円と定めまして、しかも消費者に対しては現行価格をすえ置いて、われわれの年来の主張である米価の二重価格制度を採用するとともに、その予算措置を講じました。
 次に、われわれは、他方におきまして、今日の重税、特に大衆に対する重税を減らすことを考えました特に勤労大衆に対しましては、基礎控除を十万円、扶養家族三人まで一人当り七万円、大体月平均二万円の所得者は、税金は払わなくて済むような減税措置をとつた次第であります。税金のことが出ましたので一言付加いたしますが、日本の大きな富める人たちに対する税金が著しく軽いことは、昨年末の予算委員会における公聴会において明らかにされたのでございます。これに対しまして、われわれは、一方で勤労大衆に減免税を行いますと同時に、他方、百万円以上の所得者には六〇%、三百万円以上の人たちには七〇%、五百万円超に対しては八五%程度の高率の累進賦課を行いまして、英、米、独に比して比較的負担の軽い、これらの資本家階級に対して公平なる負担をはかることを計画いたしました。これも、われわれの年来の主張を生かしたものであります。その他、法人税を的確に徴収すること、あるいは有価証券取引税の税率引上げによりまして財源の確保に努めました。
 第三に、国民生活の安定にとつて重要な社会保障費の問題につきましては、その金額を、政府案より純粋の軍人恩給の分を除きまして、そのかわりに五百億円近くの大幅な増加を行いまして、社会保障制度審議会の答申案よりもこれを充実いたしました。と同時に、特に単なる救貧対策、生活保護法的な態度より数歩を進めまして、積極的な意味のある社会保険費もしくは結核対策費等に露点的に金額を注ぎ、体系と内容を整備し、充実することに努めまして、われわれの一大政策の実現をはかつた次第でございます。(拍手)
 第四に、中小企業の問題に対しましては、中小企業金融公庫に対しまして、政府案より百億円の増加を計上いたしましたが、特に中小企業の協同化をはかるという積極的な施策のために、商工中金に対して、これまた出資の増額を行つた次第でございます。なお住宅問題につきましては、政府の原案でも、昨年度よりは若干の留意が見られるのでございますが、われわれは、新たなる構想をもつて住宅公社を設けることにいたしまして、そこへ一般会計より九十億円、預金部資金より百六十億円を出資いたしますとともに、この公社が債券を発行いたしまして資金を調達し、それによつて急速なる建築の推進をはかろうとした次第でございまして、これまた予算措置を講じた次第でございます。
 第五に、今回の予算委員会におきまして、今国会においても非常な問題となりました、義務教育学校職員法案や警察制度の改悪の問題でございますが、これによりまして、特に窮乏する地方財政に対しまして、われわれは、たとえば教育費の国庫負担の態度を明らかにいたしまして、単に義務教育職員だけでなく、高等学校、幼稚園の職員をも含めまして、その給与の八割を国庫負担とすることにして予算措置を講じました。と同時に警察制度に対しましては、国警を廃止して自治警一本とし、そうしてその財政措置を講じた次第でございます。その結果といたしまして、地方財政平衡交付金は四百七十億円を増加いたしました。また教育資材費あるいは老朽校舎の建築等につきましても考慮いたしました。地方財政の過年度の赤字を埋めますためには、全国知事会議の要望をいれて、五箇年計画によつてこれを完全に一掃するための第一年度分の予算を計上いたしました。さらに、われわれは、もちろん何の政治的意図も持ちませんから、教員は地方公務員として政治的活動を自由にすべきであるという態度をとりました。(拍手)
 この国民生活安定を中心といたしました各般の措置に対しまして、第三にわれわれが留意いたしました問題は、申し上げるまでもなく、日本の国が独立自主の経済を確立する問題、すなわち自立経済の確立に向つて、二十八年度に大いなる前進を示したいという態度を予算に取上げた次第でございます。そのために、昭和二十八年度予算におきましては、基幹産業確立への大きな前進の姿を具体的に予算化しました。しかし、もちろん財政の現状におきまして、ただ漫然と、総花的に、至るところにりよびちよび金を振りまくというようなことは、とうていできませんので、一定の計画と方針に基き、重点的、集中的に、緊要なるところに経費をかけることにいたしまして、そのために、二十八年度においては、石炭の近代化によるコストの引下げ、電源の開発、食糧増産の三つの基本的な産業と、それから現下重大なる貿易の振興に対しまして大きな留意をいたしました次第であります。従つて、われわれは、これらの点を取扱う特別の資金会計といたしまして、新たに基幹産業確立投資特別会計を設立いたしまして、重点的にこれらの重要産業に対する投資、融資を行うことにいたしました。特に貿易の振興につきましては、西ドイツで行おれておりますような特別の減税措置、輸出産業に対する減税措置七十億円を計上いたしまするとともに、中国初めアジアの諸国その他世界各国との貿易を盛んにするために、その決済資金その他の融資を試みるために、政府原案よりも五十億円ほどの資金を多く融通する措置を講じました。
 食糧の増産につきましては、政府原案の無計画な、増産五箇年計画に対する経費の削減をとりやめまして、これが経費を増加したことはもちろんでございますが、特に食糧増産の基本的条件でございます土地改良の費用に対して集中的に経費を出すことにいたしまして、恒久的、基本的な増産対策に万全を期した次第でございます。なお農林漁業金庫から、足りない分につきましては、低利かつ長期の融資を行うこととして、その財源は基幹産業の特別会計から百十億円を計上いたすことといたしました。その他一般会計におきまして、食糧増産関係、農業関係で、たとえば北の寒い地方の温床苗代費あるいはサイロ等、幾多重点的に問題を取上げて計上したのでございますが、その半面におきまして、このようにして行われまする食糧増産によりまして、輸入食糧をできるだけ、漸進的にもせよ、削減することを方針として取上げまして、二十八年度の輸入食糧価格調整補給金は四十四億円減少することに成功しております。これは、自立経済確立に向つての、金額はわずかでございますが、自負することのできる問題だろうと考えております。
 なお、こうした重点的施策の他面におきまして、第四に、われわれは冗費の節約に努めまして、一般物件費の一割天引きを行いましたし、官庁営繕費の不急分に対しては大きななたを振いまして、公安調査庁の費用、内閣調査室の費用は、われわれ年来の主張から削りました。そういう結果をもつて、ただいままでに申し上げました重点的な、集中的な予算の修正案として補正を試みた次第でございます。
 第五に申し上げなければなりませんのは、以上申し上げましたように、国民生活の向上、一万六千円のべースと一万円の生産者米価、こういうような点を実現するとともに、大きく自立経済の確立に向つて前進する修正書を作成したにかかわりませず、その総額が、最初に申し上げましたように、予算規模を九千三百四十億円に圧縮できました理由は、申し上げるまでもなく、われわれが防衛関係の費用を削減したからであります。(拍手)すなわち、防衛支出金、保安庁費の全額削除、連合国財産補償費については繰延べ、平和回復善後処理については、賠償引当てと見られる分のみを計上いたしました。すなわち、防衛関係費用の削減こそは本修正案の最後の大きな特徴でございます。
 そこで、私はこの際、われわれが防衛費用をなぜに削減したかについて、一言申し添えておきたいと思うのであります。そうして、われわれの立場を明らかにしておきたいと存ずるのであります。われわれが防衛費がいらないということは、決して一般論とか抽象論の上から、あるいは理想論として唱えるのではないのでございまして、日本の置かれている今日の実際の国際的立場からいたしまして、われわれは、防衛費の削減こそが二十八年度の予算措置としてとるべき第一の方針でなければならない、これによつて日本の安全はむしろ保障されるのだという立場をとるからでございます。(拍手)よく世間では、独立国だから軍隊を持たなければならない、独立国で軍隊のない国はどこにあるかというよ、うなお話を私も承ります。これは、ごく常識的な一般論のようでございます。しかし、それだけに、これくらい一般論、抽象論、観念論はないと私は確信するものでございます。
 第一に、日本は今日独立国でございましようか。鳩山さんや、あるいは芦田さんが、独立国だからとおつしやることは、それは御自由でございます。けつこうだと私は思います。しかし、現実の日本は、平和条約と安保条約と行政協定という、二つの条約と一つの協定によつて、手と足をしつかりと縛りつけられておるのでございます。日本は、手ぶらで、裸で、自由に国際的地位を持つておるのではありません。この三つの条約、協定に厳重に制約されて国際的存在をかち得ておるのであります。しかも、今日、これらの条約や協定は、日本の独立を保障するものであるか、日本の独立を制限し、抑圧せんとするものであるかということは、今日、日本の全国の至るところで起きておる、さまざまなる、われわれにとつて不愉快なる事件によつて、今や、私は、日本国民の一般によつて、苦しい体験を通じて経験されておることだろうと信じて疑いません。(拍手)われわれは、その意味におきまして、日本は、これから力強いお互いの広汎な国民運動、民族的闘争によりまして独立をかちとらなければならないと確信して疑いません。もし私の言がそうだといたしますならば、独立国だからという話の前提は従つてくずれたわけでございまして、鳩山さんや、吉田さんや、あるいは芦田さん、こういうような御老人の方の夢の中ぐらいにだけしか私は存在しておらないと思います。
 加うるに、現実の日本におきましては、今後つくられる軍隊は――私はこのことも申し添えておきたいのでありますが、傭兵的な属性を持つておるものだと信じます。日本の青年でつくられる日本人の軍隊が、他国の傭兵として、他国の利益と平和のために使われる国際条約上の立場に立たされるという事態に対しましては、われわれはこれを認めることができません。(拍手)しかも、こうした事態に対しまして、中ソ両国は、つとにサンフランシスコ会議のはるか以前に同盟条約を締結して、これに武力をもつて対抗せんとしているのでありますから、日本の再軍備は、日本の出女全を守るどころか、日本から平和を遠ざけ、戦争に巻き込まれる危険をむしろ増強するものであるという、われわれの見のがしてはならない事実がそこに生れて来るわけであります。
 われわれは、実に安保條約の廃棄を主張いたしますと同時に、中ソ同盟条約の廃棄を要望するものでございますが、しかし、この点の論旨を先に進めまして、私は、もしかりに百歩、二百歩あるいは千歩を譲りまして、日本が一応の独立国だといたしましても、わが日本は、一体どこの国の侵略に対してわが国を守る軍隊が必要なのでしようか。これが共産主義国家をさしておることは言うまでもありません。かつての言葉で言う仮想敵国と言えば、おそらくソ連であり、中共であるかもしれません。しかし、この二国の一つは、アメリカと並ぶ世界最大の軍事国でございまして、ソ連には原爆があるという話も聞いております。両国を合わせれば、平時において一千万人の兵員がございましよう。これに対し、日本においてこれからつくるといろ軍隊は幾らで、その兵器はどんなものでございましようか。今日の日本で唱えられている再軍備は、アメリカ政府で研究していると新聞に伝えられているところによれば、九百万人の人間が兵役に適齢した人口として日本にはあるということですが、まさか、今の再軍備論は、そういう厖大なことを考えておるのではないでしよう。十一万人の保安隊を持つこと言えも、がたがたしている日本の経済がどうなるかは、これによつて明らかでありまして、経済的混乱と破綻こそは赤色革命の絶好の温床であるということは、これは過去の歴史が明らかに実証するところであります。(拍手)
  要するに、われわれはは、かりに軍隊をつくるといたしましても、その軍事力によつて仮想敵国とせられるような国と対抗することはできないと私は思わざるを得ません。だからこそ他国が守つてくれるのだ、だから集団保障で行くのだと言われるのかもしれません。しかし、そのアメリカは、日本を守る国際法上の義務のないことは明白でございます。安保条約のどこにも、そんな保障はないのでございます。それに、日本を守らなければならないというその重大な事態は、はたしていつでありましようか。その事態こそは、平和憲法のもとの非武装の日本が武力によつて侵略されるのであります。朝鮮のことではありません。日本は朝鮮のように南北にわかれてはおりません。日本は大きな一つの存在でございます。日本が侵略されるときは、世界戦争であることは間違いありません。そんなときに、広いこの大洋の輸送路、補給路を冒して、そうして食料不足、原料不足の日本に対して、あるいは一つの基地として守るべき最後的な義務のない国が、日本のためにどうして守つてくれるでありましようか。私は、そういう際にどういう結果になるかということは、おそらくわれわれの常識のみがこれを示してくれると思います。(拍手)すなわち、われわれは、駐留軍を考慮いたしましても、軍事力によつては国の安全は保障されないのであります。
 そこで、日本の安全を守るというこの大問題は、万一他国から来るという問題ではなくて、それ以前の問題、すなわち日本が他国に侵略されるおそれをなくする、すなわち侵略の口実、言いがかり、因縁、裏をわれわれが与えないという、困難ではあるけれども、苦しい国際外交、国内政治、経済政策をとる以外に道はないと私は考えざるを得ないのであります。(拍手)よく、錠前がなければ、あるいは番犬がいなければ家があぶないといいますが、しかし、日本の財政のように、一五%も二〇%も番犬や錠前の費用にかける人は、私はどうかしていると思います。私は、そういう人は、錠前や番犬はりつぱにできましても、最後になれば、おそらく破産して家がつぶれるであろうと言わざるを得ないのであります。
 まあ、こういうたとえ話は実につまらない話でございまして、複雑な国際社会において、日本の安全の問題を論ずるのには足りませんが、私は、戦争はけんかと違うと思います。戦争は、これを強行するためには、やはり条件がいりましよう。口実がいりましよう。言いがかりがいりましよう。あるいは大義名分がなければならないでありましよう、集団的保障のもとにおいては、特にこのことは重要でありましよう。朝鮮のことは、日本には当てはまらない。朝鮮は、すでに、共産主義の侵略によつて、国が南北にわかれているのであります。
 われわれは、ここであらためて、日本の再軍備――日本の陸軍が、かつてソ連を敵とし、あるいは海軍がアメリカを敵とし、日本の政治家と外交官が二つの陣営にわかれて戦つた、あの戦前の姿を思い出します。そして、その結果は、すべての国を、両方の陣営を敵にまわして、われわれは遂に今日の事態に陥つたのであります。われわれは、この敗戦の経験を通じて、まだ明治以来われわれのたどつて来た歴史の実態を顧みて、あるいはまた、さらに進んでそれ以前の日本の歴史に考えて、私はどうしてもここで日本は新しい態度をとらなければならないと思います。日本は真に独立自主の大道を進まなければならないと信じます。(拍手)そのようにして初めて、ソ連にも一辺倒しないし、アメリカにも一辺倒してはならないという立場が生れて来るのでありまして、そこに自主中立の立場が生れて参ります。従いまして、自主中立の立場は、理論の遊戯や抽象的観念論では絶対にありません。今日の日本の国際的な立場、国内のいろいろな情勢の結果からいたしまして、実際的、具体的に独立自主の日本がとらなければならない当然の立場であると私は確信するものでございます。(拍手)しかも、この道こそは、われわれひとりではなく、アジア十数億の民族がともに進もうとしている道でございます。われわれのこの道は、もちろん、たんたんたる道ではございませんし、安易な道ではございません。しかし、われわれは、それ以外に日本が平和のうちに生活して行く道がないといたしますならば、大胆にこの困難な道を進む以外に道はありません。
 私は、ここで初めて予算の最後的な結論を申し上げたいと思います。(拍手)われわれは、この道を進むことによりまして、すなわち防衛費を削減することによりまして、ただいま申し上げましたような意味におきまして、日本の外からの侵略に対する安全の保障を獲得いたしました上に、財政上の余裕を見出しまして、そこに、最初に申し述べましたように、国民生活の安定と向上、自立経済確立の方向に力強く進むことができるのであります。(拍手)われわれの民主主義政治の発達も、実にこの国民生活の向上と自立経済確立の上にのみ。初めて花を開いて発展するものと私は確信いたします。国民生活が向上し、国民の意思が自由に十分に国会に反映されるようになりますならば、どこに火焔ビンなど飛び出す余地がございましようか。防衛費の削減は、さきには私は外からの侵略に対する安全保障の道であると申しましたが、その点から言いますならば、内からの国内分裂、あるいは内乱の問題、いわゆる間接侵略に対しましても、これを未然に防止する唯一無二の方策であるとわれわれ信じて疑いません。(拍手)
 わが党の修正案は、かようにいたしまして、形式的に、修正案として未曽有の整つた体系を備えて国会に提出できましたばかりでなく、その内容におきましても、国民生活の安定と向上、自立経済の基盤を確立し、日本の民族が平和のうちに発展し得る方向を策定いたしておるものでございます。どうか、その意味におきまして満場の諸君の御賛成を切に期待いたしてやまない次第でございます。(拍手)
○副議長(岩本信行君) 上林與市郎君。
    〔上林與市郎君登壇〕
○上林與市郎君 私は、日本社会党を代表いたしまして昭和二十八年度特別会計予算及び昭和二十八年度政府関係機関予算について、政府はこれを撤回し、別個配付いたしました議案の通り、すみやかにこれを組みかえて再提出すべしとの動議を提出するものであります。(拍手)
 組みかえ要求動議の内容の詳細については、すでに議案が配付されてありますので、その議案について御承知を願うこととし、私は、以下簡明に、特に重要な諸点について説明を申し上げまして趣旨弁明といたしたいと存じます
 本動議は、政府の、重点のない、きわめてずさんな昭和二十八年度一般会計予算に対しましてただいまわが党の伊藤君の説明せられました、国会まつて以来かつてなかつた、歴史的にして、かつ具体的な、わが党独自の修正案と不可分の関連を持つものであることは申し上げるまでもありません。従つてこの動議の背景と、一貫した基本方針は、伊藤君の説明いたしました通り、インフレーシヨン傾向の抑止のために予算の規模を縮小するとともに、国民生活の安定と向上のために、給与の改善、農民に対する米の生産者価格の値上げ、さらに都市生活者の生活安定をはかるために米価の二重価格制度の実施、非生産的支出である厖大な防衛費を全面的に削減して、真に自立経済の確立と、勤労階級の活発なる生産意欲のもとに、平和と独立の基礎である日本経済の再建を一日も早からしめんとするわが党独自の修正案と同趣旨に基くものであります。
 まず第一に給与改善についてでありますが、これは、一般会計における国家公務員の給与のための修正案の趣旨によりまして政府関係機関予算について国鉄、専売、電信電話公社職員に関する特別会計とともに、その組みかえを要求するものであります。すなわち、これを具体的に申し上げますると、日本国有鉄道に関しましては、給与ベースを一万六千円、期末手当一・九箇月分にすることにいたしたのであります。なおこれに要しまする財源の措置並びに建設資金増額のためには、一般会計よりの貸付金四十億円のほかに、資金運用部よりの貸付金九十億円を増して、基幹産業確立投資特別会計よりの貸付金百五十億円の増額をはかることにいたしました。さらに日本専売公社、日本電信電話公社以下の政府関係機関の職員給与ベースを一万六千円ベース、期末手当一・五箇月分を要求することにいたしたのでございます。
 次に、政府は口を開けば食糧増産と中小企業の振興を説き、また国民の健康を保持するための社会保障制度の充実についても、言葉や文字の上では、かなり強く宣伝することを常としておるけれども、これら施策の実現を裏づけるに足る予算的、財政投融資的措置かあるかどうかということになりますると、今回提出せられました政府の一般会計並びに特別会計予算を一瞥すれば一目瞭然であります。そこで、わが党は、農業振興政策の一環として、まず第一に、農民の汗の結晶である米の価格を――十分ではないが、供出割当署の政府買上げ基本米価を石当り一万円に引上げるとともに、さらに増産の基礎条件である土地改良等に思い切つた財政投融資を計上することにいたした次第でございます。しかし、わが国のいわゆるエンゲル係数の高い所得階層が圧倒的に多い現状においては、一面、米価の引上げは、かかる国民層の生活を極度に圧迫することになりますので、米の消費者価格は現行十キロ六百八十円にすえ置くこととし、いわゆる二重価格制度を採用することにいたしまして、零細農民、漁民及び都市生活者の生活の安定をはかろうとするものであります。
 なお、わが党は、米価一万円値上げ及び二重価格制度の実現のみではなく、一般会計及び重要産業投資特別会計全般にわたつて食糧増産費の増額に重点を注ぎ、現在政府の予算を通じて見られる食糧政策の致命的欠陥を根本的に改革せんと試みた次第であります。すなわち、政府は、現在内地米の買入れ価格よりも一トン当り約二万四千円も高い外国米を買い入れております。しかも、その外国米たるや、有毒のものもあるといつた大きな損失を国民は受けております。しかも、その食糧の輸入が、わが国の貴重な輸入規模の中で最も大きな比重を占めておることを、われわれは決して忘れてはなりません。わが党は、政府が本予算案で放棄いたしました食糧増産五箇年計画の実現に要する必要経費を、一般会計からと、投資特別会計よりの低利長期の貸付によりまして、全額これを計上し、これによつて増産した食糧の輸入節約を行うと同時に、また麦十万トンを米十万トンと代替輸入をいたしまして、これによつて輸入食糧価格調整金の節約をはかるものであります。このことにつきましては、さきの一般会計修正案で指摘された通りであります。このようにして、国内食糧の増産と、外国食糧の輸入節約の基本方針によりまして、わが党は経済自立五箇年計画案の達成をはからんとしておるものでありまして、各党各派は、日本の真の独立と復興のために、満場一致賛成し、これに努力されんことを切望してやまない次第であります。
 次に、中小企業に対しましては、単に現在窮状にある中小企業者に当面の緊急金融措置を講ずるという消極的な救済方法のみではなく、さらに進んで、中小企業が将来かかる道を進むならばその前途が明るく開けるという、積極的かつ社会主義的な観点に立ちまして、その第一歩として、わが党は、中小企業の近代化と協同化のために、金融措置に特に努力をいたした次第であります。(拍手)すなわち、開発銀行より特に中小企業の施設設備近代化の資金として百十億円の貸付金増額を行うこと、さらにまた、商工協同組合に特に優先的に貸し付ける商工組合中央金庫へは、一般会計から約三十億から五十億円の出資を計上したのであります。一般零細個人業者に対する応急金融措置は、別に中小企業金融公庫、国民金融公庫へ五十億円の配分を行つておりますが、この際特に明らかにしておきたいことは、最近中小企業金融公庫の運用に、非民主的な、おもしろからぬ現状が特に陳情されておりますし、また実際に、わが党議員団はこれの一部を確かめておりまするがゆえに、特にこの際中小企業金融公庫の運用の抜本的改革を附帯条件として提出することにいたしたのであります。
 社会保障と関連の深い住宅金融公庫に関しましては、これも従来の住宅金融公庫が、その貸付金額の乏しいことのみならず、またその運営において、真の無産者、勤労大衆にとつては、やはりいまだに高ねの花的存在である現状にかんがみ、もつと運用を民主化しなければならないという観点から、わが党は、新たに住宅建設三百万戸長期計画案の基本構想から、住宅公社を新設し、これを一本にするという新立法を今国会に提出しておりまするが、これが予算の裏づけとして、資金運用部より百六十億円の貸付、一般会計より百十億円の出資をすることとして、組みかえを要求しておるものでございます。(拍手)
 次に、わが党は、産業投資特別会計を廃止して、基幹産業確立投資特別会計を新設し、これの編成がえを提案するものであります。わが党が、なぜにかく提案するかと申しますと、政府案の投資特別会計には、目下の深まりつつある世界の恐慌的状態に対応して、わが国の最も重大なる輸出貿易に対する何らかの打開策が何ら見られず、またその資金の配付におきましても、まつたく総花主義であり、非電点的であります。(拍手)このような投資特例会計によつては、日本経済の前途に何らの光明は見出されず、十一億ドルの輸出に対して、実に七億ドル有余の特需、米軍の落しドルにたよつて存立するという従属的な日本経済の窮状は、何ら打開されないからであります。(拍手)よつて、わが党は、重点的に平和基礎産業を拡充し、その近代化、コスト引下げをはかることによつて、さらにまた輸出振興のための積極的な施策を資金面に織り込むことによつて、平和と経済自立及び繁栄への糸口をつかむことをこの資金計画によつて確立した次第であります。(拍手)
 すなわち、石炭は、縦坑近代化五箇年計画によつて、良質炭コスト引下げ、そのための効果ある機構としての国営化を目途とするものでありまするが、当面緊急の安い原料炭という要請に対しましては、中国貿易を初めとするアジア貿易の全面的再開を期するものであります。(拍手)さらにまた、将来日本経済の動力源ベースを石炭より電力ベースに切りかえるため、無理な、効率の悪い増産、労働強化を行わせないで、そのため経営の社会化、民主化をはかり、もつて労働条件の引上げと勤労意欲の向上をはからんとするものであります。電力におきましても、目下の、軍需に奉仕し、独占私物化された、しかも不正の多い電源開発を、ただちに国民大衆の福祉と、平和産業、農漁村電化に奉仕するための電源開発、公営企業たらしめるため、これが国営を目途とするものであります。
 以上の構想に基きまして、わが党は、基幹産業投資特別会計におきまして、組みかえ案通りの編成がえをなした次第であります。
 最後に特に附帯して提案いたしましたことは、一般会計財政投資のみならず、公共事業費及び食糧増産諸費、電源開発費の配分及びその使途につきまして、それが不正または放漫支出を防止するため、民主的な全国監察制度の設置を特に提案するものであります。
 以上の財源の主要な一部分として、わが党は、外為インヴエントリーその他の財政蓄積資金を活用し得る限度、すなわち十億ドルのうち二億ドルを日銀を通じて基幹産業投資特別会計へまわし、会計中の生産支出に対してのみ使用することといたした次第であります。わが党は、すでに一般会計において防衛費を全額削除し、しかも予算規模を九千三百億円台に圧縮し、しかも貯蓄公債三百億円をとりやめにいたしました関係上、インフレ要因は全然ないという計数上からの確信に基きまして、以上の措置をとつた次第であります。(拍手)
 以上をもつて組みかえ動議の趣旨弁明を終ります。(拍手)
○副議長(岩本信行君) 質疑の通告があります。順次これを許します。中曽根康弘君。
    〔中曽根康弘君登壇〕
○中曽根康弘君 万延元年三月三日、井伊大老は桜田門外で勤皇の志士に殺されました。昭和二十八年三月二日、吉田総理は、本議場において、政治的に殺されたと同然のことになつたのであります。勤皇の志士を井伊大老は刀をもつて切つても、時代の波を切ることはできなかつた。吉田総理も同じ例であります。なぜこのような事態になつたかといえば、無理をしたからであります。(拍手)今回の予算委員会の実態も、このような不幸な事件が起るような非常な無理をやつておると私は信じます。(拍手)そこで、委員会の審議は十分に尽されておらない。私は、以下四点について、太田委員長に対して質問をいたさんとするものであります。簡単に質問をいたしますから、どうぞ御親切なる答弁をお願いいたします。
 まず第一は、安全保障諸費の使い残りの問題であります。昭和二十七年度において、保安庁と安全保障諸費の経費を合計いたしまして千三百三億円中、二月一日現在で七百三十五億円の使い残りがある。しかも、そのうち四百七十七億円を二月、三月のうちに一挙に使わんとしておるのであります。このために、保安庁その他の役所におきましては非常なる冗費を使つておるということになつておるのであります。(拍手)
 政府は、予算委員会の質問におきまして、関係各省に対する予算の移しかえは全部済んでおる。従つて、予定の経費は全部年度内に消化されると答弁された。そこでわれわれ野党の委員は、しからば関係各庁においてすでに契約済みの金額が幾らあるか、契約未済の金額が幾らあるか、その資料を要求したのであります。予算の移しかえならいつでもできます。大蔵省の項目から建設省の項目に移すだけならば、一時間でも、三十分でもできます。問題は、予算の数字を移しかえることではなくて、現実に契約が何ぼ進んでいるかという問題であります。その資料をわれわれは要求したしましたが、その資料の提出がありません。そこで、私は具体的に調べてみました。建設省の例を申し上げますと、安全保障諸費の中で、建設省の道路局に急速移しかえを完了した経費が九十五億円であります。ところが、その中で支出負担行為済みのもの、すなわち契約済みのものは、わずかに二十一億円であります。残りの七十四億円というものは、予算は移しかえられたけれども、まだ使用未済という金額であります。国民からあれだけの重税を取立てておきながら、三月に入らんとして、まだこのような使い残りがあるという事実は、国会は断じて黙視することはできないのであります。(拍手)
 このような重大なる政策の失態があるにもかかわらず、予算委員会は強硬に閉じられてしまいました。この点について、委員長は政府側からいかなる答弁を得て了解したか、お尋ねいたしたいと思います。
 第二の問題は、防衛支出金の経理の問題であります。御存じのように、昨年度六百五十億円の金をアメリカの駐留軍に提出いたしまして、向うが使うことになつております。ところが、われわれの調査によりますと、その基本になつておりまする日米行政協定第二十五条違反の行為を米軍がやつているという大きなる疑問があるのであります。この問題について、われわれは予算委員会において追究しようと思いましたけれども、時間がなかつた。また政府の答弁もありませんでした。私がここで太田委員長に伺いたいと思いますことは、一体、日本側がアメリカに交付した六百五十億円、また昭和二十入年度において交付せんとする六百三十億円の金は、いかに経理されているかという問題であります。支出金の経理手続はいかになつておるか。昨年度においては、九十三億円が不動産の使用料として控除されて、残りの五百七億円が米軍に交付されている。その米軍に交付された金は、一体どこへ預けてあるのか。日本銀行との関係はどうなつているのか。それは重大なる問題なのであります。五百七億円という金が、米軍の単なる悪意によつて引出されるということになれば、金融市場に相当な影響を与えることもあります。そのほか、われわれが調べをところによりますと、アメリカはこれに相当する金額を同じく負担して、日米双方の合同勘定をもつてこれを支出して、アメリカの支出官を設けてやつているということになつている。ところが、日本側が出した五百七億円、あるいは本年度に出す六百三十億円に対して、アメリカ側から出す幾らかの金、その幾らかの金が、はつきりわかつておらない。行政協定によれば、それに対応する金額が出ていなければならねのであるが、国会において、いまだアメリカ側が幾ら提供しているかということは、はつきりわかつておらないのであります。この問題も、きわめて重大な問題であります。
 さらに重大な問題は、アメリカ側は、日本側が出したこの六百五十億円と、アメリカ側が負担しておる金とを、ごつちやまぜにして小切手を切つておるらしい。ところが、いわゆる特需なるものに対してこの小切手が支払われておるという事実がある。朝鮮事変関係であるとか、あるいは日本の安全保障に関する面にこれが支払われておるならばやむを得ない。しかるに、われわれが調べたところによると、アメリカ側は、東南アジアのMSAの援助費をこれから払つておる事実がある。あるいはさらに、国連の朝鮮救済計画費をこれから払つておる事実がある。あるいはさらに、アメリカの軍隊で日本に駐屯しておる軍人、軍属の国内消費の円を調達するために、口座をかえて、基金として使用しておるという事実もあります。これらの三点は、日本の国会として断じて黙視し得ないところでありまして、これに対して、委員長は、政府がいかなる答弁をしたか、ここで明快にお答えを願いたいと思うのであります。(拍手)
 第四の問題は、内政の問題であります。第一にお尋ねいたしたいと思いますことは、財政法違反の問題であります。このことは、政府もやや答弁をなさいました。御存じのように、今年度予算においては、国家警察の経費として二百二十億の金がこれに載つておる。ところが、政府は警察法の改正を断行しようとしておるのであります。政府の目途によれば、十月一日から新警察法が施行されて、府県単位の自治体警察になります。その警察官の給料はどこで払うか。政府は、二百二十億円の国家警察の金を、そのまま府県単位の警察官、府県吏員となつた警察官に直接支払らと言つておる。従つて、予算の組かえや予算総則の変更は必要ないと言つておるのである。しかしながら、われわれが財政法を読み、従来の予算総則の慣例を調べてみますと、御存じのように、財政法第三十二条におきましては、「各省各庁の長は、歳出予算及び継続費については、各項に定める目的の外にこれを使用することができない。」と書いてある。つまり、目的を厳重に制限しておるわけであります。ところが、国家警察の費用として国家の官吏に渡す金は、地方公共団体、自治体である府県の公吏に渡す金とは性格が違うことになる。実質的には、それは国家から地方団体に対する交付金の形になるのであつて、国家の官吏に国家が自分の金を払うのとは大きな相違があるのであります。従つ、この財政法の第三十二条を厳格に施行しようとすれば、当然予算総則の上においてその許可を求めなければならない。それに対して、政府はいかなる措置もやつておらないのであります。
 この財政法違反の問題を、向井大蔵大臣に追究いたしましたところが、大蔵大臣は、初めは補正予算を組まないと言つた。その次に組みますと言つた。その次に組まないと三転いたしまして、答弁ができなくなるや、黙秘権を行使されたのであります。この事実は、その後進展しておりません。財政法の基本、予算総則に関する根本的な重大問題であります。委員長は、これをこのまま通していいのかどうか。委員長は、いかなる法的見解をもつてこれを通さんとするか、お尋ねいたしたいと思うのであります。(拍手)
 その次にお尋ねいたしたいと思いますことは、義務教育学校職員法案の関係であります。総理大臣は、施政方針演説におきまして、次のように言つておられる。「道義の高揚は、究極において教育の作振にまつほかはありません。政府が今回義務教育費の全額国庫負担を決意し、教職員を国家公務員とするの措置をとるは、このゆえにほかならない」と言つておる。全額国庫負担を決意して、その見返りとして教職員を国家公務員とするということを総理大臣が言明されておられた。ところが、今度出て来たこの法案は、義務教育費全額国庫負担という法案ではなくして、いつの間にか義務教育学校職員法案というふうにかわつておる。しかも、その附則の十一項を読んでみると、教職員の俸給、扶養手当等々は、昭和二十八年度に限り、都道府県が負担すると書いてある。全額国庫負担と言つておきながら、この法案によれば、昭和二十八年は都道府県が負担するといつておる。この施政方針演説は、昭和二十八年の施政方針演説であつて、二、十九年の施政方針演説ではない。(拍手)何ゆえにこのような変化が行われたのであるか。のみならず、政府は全額国庫負担といつておるけれども、実際は二十億円ないし三十三億円の金が足りない。そこで府県に対して強制的に献金を命じておるということがわかつたのである。それでも足りないものは、約二万人の幽霊定員をつくつて、その金でごまかすから何とかできますという答弁をしておるのであります。
 これらの問題については、われわれ、は大いに追究せんとしたけれども、政府の明確なる答弁を得なかつた。これまた断じて見のがすべからざる重大問題であります。委員長は、これに対して、いかなる見解をもつてわれわれに答弁するか、親切なる御答弁をお願いいたします。
 最後にお尋ねいたしたいと思いますことは、減税国債の発行に関することであります。国債の発行には、財政法第二十二条に制約があります。予算総則には、歳入歳出予算、継続費、繰越明許費及び国庫債務負担行為に関する総括的規定を設ける外、左の事項に関する規定を設けるものとする。」として、その第一号に「第四条第一項但書の規定による公債又は借入金の限度額」とある。つまり、公債を出す場合には必ず予算総則に載せなければならないということが、財政法第二十二条で規定されておる。しかるに、今度の減税国債については、全然載つていないのであります。明らかに財政法第二十二条違反である。のみならず、第四条によるならば、「前項但書の規定により公債を発行し又は借入金をなす場合においては、その償還の計画を国会に提出しなければならない。」、すなわち償還計画を国会に出さなければならない。ところが、償還計画なるものはどこにも見ることができないのです。これまた明らかに財政法違反であります。
 一体、このような無理をそのまま認めてよろしいのであるか。政府側の答弁によるというと、こういう答弁をしておりました。それは、財政法第四十五条で、特別会計における特例という項がある。そこで「各特別会計において必要がある場合には、この法律の規定と異なる定めをなすことができる。」と書いてある。これで逃げられるのでありますというのであります。ところが、第四十五条は、特別会計における特例というのであつて、さきの二十二条は総則の規定であります。一般会計にも特別会計にも適用する規定であつて、しかも四十五条の特別会計における特例というこの項を正確に読めば、「特別会計において必要がある場合には、この法律の規定と異なる定めをなすことができる。」、つまり、この特別会計に違う定めをしていいということです。ここにありますように、財政法に関する特別会計、産業投資特別会計、これに違う定めを書いていいということなんです。そのことは、予算総則に何にも書かなくていいということではない。予算総則に書いた上に、この特別会計に異なることも書いてよろしい、これが法文の正確な読み方です。にもかかわらず、この特別会計にすら何も書いていない。この特別会計に関する財政法第四十五条による特例の旨も、金額も何も書いてないということは、明らかに財政法違反であります。何ゆえ、このような財政法違反や、そのほか法規違反を政府がやつておるか。
 警察法の問題、義務教育の問題、公債発行の問題、何ゆえこのような事実が起つたかというと、この予算を組んだのは、実は昨年の十二月から一月にかけてである。そのときに、予算書の目鼻がもうできておつた。ところが法律を出せと言われたのは、今から一、二週間前です。そこで、どろなわ式に法律をつくつた。だから、予算と法律が合わなくなつたのは当然であります。そのどろなわ式の馬脚が明らかに財政法違反となつて出ておるのである。(拍手)これをごまかすために、政府は強引に委員会を打切つて討論採決をやらんとしたのではないか。これらの諸点は、単に与党、野党を離れて、われわれは国民の名前において糾明しなければならない問題であります。
 私は、本日ここに吉田首相懲罰事件のこの不祥事に心を痛めながら、委員長の明確なる御答弁を要求いたしまして、質問を終る次第であります。(拍手)
    〔太田正孝君登壇〕
○太田正孝君 お答え申し上げます。質疑が尽されたかいなかは、委員会の判断せられるところでありまして、委員長たる私の判断するところではございません。しかも、質疑につきましては、実質的審議期間が十六日間でありまして、五十七時間五十人分やりました。過失五年間の平均を申し上げますと、十六日、四十七時間四十三分でございまして、十時間十五分多かつたのでございます。(拍手)
    〔「もつと答弁しろ」と呼び、その他発言する者多し〕
○副議長(岩本信行君) 御静粛に願います――。御静粛に願います。
    〔発言する者、離席する者多く、議場騒然〕
○副議長(岩本信行君) 御静粛に願います。――御静粛に願います。
 中曽根君に再質問を許しますから簡単に願います。
    〔中曽根康弘君登壇〕
    〔「答弁をしろ」と呼び、その他発言する者多し〕
○副議長(岩本信行君) 御静粛に願います。
○中曽根康弘君 ただいまの委員長の私に対する御答弁は、全国民の名前において、まじめに質問せんとしている本員に対する重大なる侮辱であると考える。(拍手、発言する者多し)私は、まじめに、安全保障費の使い残りの問題、防衛支出金の経理の問題、あるいは警察法の問題、義務教育学校職員法の問題、減税国債発行に関する問題等について、正確な資料に基いて御答弁を要求しておるのであります。決して、私は、議場を騒がせ、議事を妨害しようという意図で言つておるのではない。この安全保障費の使い残りという問題は、今日本国民が最も重大なる関心を持つておることである、また国会における論議の焦点でもあつたのであります。防衛支出金の問題にしても同じである。アメリカに出した金を、かつてに使いつぱなしでおるのでは、われわれは国会議員として職責を果しておるとは言えないのであります。(拍手)政府は、過般来、アメリカから対日援助としてよこされた二十億ドルの金額を、最近債務ということを言い出して、それを取消したか取消さないかわからないような態度で今おられる。われわれ国民は、これはもらつたものであると思つておる。アメリカから日本によこしたものについては、まだ先方は貸したとも何とも言わないのに、借金でございますというような、そういう親切な態度をとりながら、日本国民に対しては、日本国民の出しておる税金について何ら答弁を与えないとは何事ですか。(拍手)われわれは、このような態度に対して断じて許すことはできません。重ねて、まじめなる答弁を要求いたします。(拍手)
    〔太田正孝君登壇〕
○太田正孝君 私は、中曽根君の言われた事柄の内容につきまして、その重要性につきましての判断は持つておりますが、それに対するお答えは政府のすべきものでございまして、(拍手)私といたしましては、皆様方の質疑が十分にやられるようにと努力する以外にないのであり、そのことにつきましては、私としてでき得る限りの、また規則にちやんとそむかない処置をとつたので、ございまして、私として意見を述べることはできないのでございます。(拍手)
○副議長(岩本信行君) 中村高一君。
    〔中曽根康弘君「議長、再質問」と呼ぶ〕
○副議長(岩本信行君) 中村君に許しました。
    〔中曽根康弘君「議長、再質問。三回だ三回だ」と呼ぶ〕
○副議長(岩本信行君) 中村君に許しました。
    〔中村高一君登壇口〕
○中村高一君 予算一委員会の審議につきまして、太田予算委員長に対しまして質問をいたしたいと思うのであります。私の質問は、政策の内容に関しまするものは別といたしまして、委員長のとりました行動に対しまする質問を主といたしておるのであります。
    〔拍手〕
 その第一は、衆議院における予算の先議権につきまして、委員長はいかなる考慮を払われたかの点でございます。申し上げるまでもなく、憲法の第六十条におきましては、予算は先に衆議院に提出させられることになつておりますと同時に、衆議院と参議院とにおきまして異なつた決議がありました場合、あるいは意見の一致を見なかつた場合、あるいは三十日以内に議決をしないというような場合におきましては、衆議院の決議を尊重するということになつておるのでありまして、この点から考えましても、衆議院の予算の審議権というものにつきましては、参議院に比較をいたしまして明らかに優位に置かれておるということは、憲法に明らかでございます。
    〔副議長退席、議長着席〕
 しかるに、今回の予算委員会におきましての審議の経過を見ますと、本予算の提出をせられたのが一月二十九日でありまして、審議に入つたのが二月の四日であります。採決せられましたのが昨一日でありますから、実際に審議に費されました日数は二十四日間にすぎないのであります。しかるに、本日参議院に本予算が送付をせられるといたしまするならば、三月三十一日までにまる三十日の審議の期間があるのであります。参議院よりは衆議院が審議の日数をよけいとるということが、私は衆議院の予算の先議権の本質だと思います。(拍手)しかるに、衆議院においては二十四日の審議期間しか置かないのに、参議院においては三十日間の余裕を置くということは、私は予算の審議の方法におきまして納得することができないと思うのであります。(拍手)もしこれを強行をいたしますとするならば、衆議院における予算の審議権を軽んずるとともに、一つは三十日の期間をぎりぎり一ぱい無理に残しまして参議院に送るということは、憲法にありますところの参議院の審議権を軽視するというような、ことにもなるのでありますし、われわれ衆議院におきまする審議の日数というものが少かつたことに対しまして、委員長はいかにお考えになりまするか。この点について、われわれは、今後も予算の審議については衆議院に先議権があるのでありますから、あくまで衆議院の審議を十分に尽すということに慎重な考慮を払わなければならぬのであります。(拍手)こういう点について、太田委員長は、政府の要求に基いて無理に昨日打切りをするというようなことをいたしたのではないかどうか、この点について、まず、お尋ねをいたしたいのであります。(拍手)
 次は、重要法案の提出がきわめて遅延をいたして、審議にはなはだしい支障を来しておりまするが、この点について、委員長はいかなる努力を払われておりまするかをお尋ねをいたしたいのであります。すなわち、義務教育学校職員法につきましては、提出をせられましたのが二月の十九日であります。これは早い方だ。これは早い方でありまするが、その施行法のごときは二月二十一日に提出をせられておりまして、わずかにこれは六日間しかない。次は恩給法の一部改正のごときは二月二十六日に提出をせられておりまして、わずかにきのうまで二日しかないではありませんか。あるいは、警察法の、ごとき、きわめて重要な法案も、これまた提出せられたのは二月二十六日であります。あるいは私的独占禁止に関しまする改正案、これまた二十六日だ。重要法案は、予算いよいよ終るまぎわに提出せられ、たつた二日で軍要法案を審議するというようなことに対して、委員長は何ゆえに政府に向つて、そういう無理な審議について抗議を申し込まないのか。(拍手)こういう重要な議案は、十分な審議を尽さなかつたならば――予算との関連はきわめて重要でありまして、法案が通らないでおいて、法案を見ずして予算を審議するなんてばかなことは、はなはだ不見識だとわれわれは考える。(拍手)こういう点について、本田委員長は、政府にいかなる督励をし、いかなる方法によつて審議の促進をはかつたかをお尋ねいたしたいのであります。
 その次は、委員長の報告につきましては、はなはだ不満な報告でありまして、重要な点が省略をせられ、特に政府に都合のいいような報告が行われておるという点であります。たとえば吉田内閣の外交政策に関しましても、自主独立に関する政策の表明を求めましたけれども、これに対してはきわめて不明確であつたという点についても、委員長は詳細を報告いたしておりません。再軍備問題に関しましても、吉田首相は、これを行わず、さらに憲法改正も行わずと称しながら、幾多の矛盾を予算委員会において指摘せられながら、これに対する報告をきわめて簡略にして、省略をいたしております。次は、義務教育費の全額国庫負担につきましても、地方財政と国家財政との行身柱遅いに関し幾多の質問が行われて、政府の答弁は支離滅裂であつたということに関しまするところの正直な報告が少しも行われておらぬのであります。(拍手)さらに警察法に関する予算につきましても、向井大蔵大臣は補正予算を提出するかのごとき食言をいたしまして、その後は補正予算は出さないと修正をして、経過措置によつてこの警察法を提案いたしましたその経過につきましても何ら報告のないということにつきましては、委員長の報告ははなはだ簡に失し、政府に加担をした報告であつたと思いまするが、この点に関しまする委員長の御答弁をお願いいたしたいと思うのであります。(拍手)
    〔太田正孝希登壇〕
○太田正孝君 中村君にお答え申し上げます。
 第一点は、衆議院の先議権から及んで、審議不完全なりしにあらずやということでございます。わが憲法におきまして先議権のありますことは、御説の通りでございます。私も、これを尊重し、かつ実行しなければならぬと思います。審議の実質的時間につきましては、先ほども申し上げましたる通り、過去五年の、私どもの入る前の国会においてさえ、その平均時間と比べて十時間十五分も多かつたということによつても――審議につきまして、あるいは御不満がありましたかもしれませんが、私としては十分の努力を払つたことを申し上げるのであります。(拍手)
 第二点として、重要法案の提出方に対して、お前は政府に対してどういう努力を払つたかということですが、理事諸君も委員諸君もよく御承知の通り、私の小さいからだで、十分できるだけの努力をしたことを申し上げるのでございます。(拍手)
 第三点といたしまして、私の報告が不十分であり、政府に肩を持つたというお言葉で、ございました。しかし、現実はごらんくださればわかりますが、私の見たところにおいては、今まで私も予算委員長の報告を数回しておりますが、私が今までしたよりも相当に皆様方の御意見を入れたつもりでございます。しかし、これは自分のうぬぼれでございますので、そういうことのあるために、詳細は速記録についてということを申し上げましたのは、自己の不明に対して用心したからでございます。あしからず御了承を願います。(拍手)
○議長(大野伴睦君) 稻村順三君。
    〔稻村順三君登壇〕
○稻村順三君 私は、先ほどの太田委員長の予算に関する報告に対し、若干の質疑をいたしたいと存じます。
 そのうちの第一は、予算委員会が満足すべき審議ぶりを示したかどうかということでございます。周知の、ことく、予算委員会は近来まれなほど荒れました。そのために、形式の上では日曜を除いて二十三日間の日数を審議に使つたことにはなつておりますが、実質的には、先ほど委員長も申しました通り、わずかに十六日と少しでございます。これは時間的に申しまするとこれまでの予算委員会と比べて、決して少い時間ではないという答弁ではございました。しかし、私は、議員生活八年間を通じましてこの予算委員会ほど政府の人々の答弁がふまじめであり、不勉強であつたという実例を知らぬのでございます。(拍手)これは、一般会計だけでも一兆億円にもなんくとする昭和二十八年度の本予算でもありますし、その上に、米国の新しい政権樹立を契機として、再軍備問題を中心に日本政界が再編されようという胎動も見られつつある重大時における予算でもございます。ただ、これだけを考えてみても例年よりもはるかに重要なる予算であることは、常識をもつて考えることができるのでございます。それだけにまた、これだけ重要な予算であるならば、例年よりもはるかにたくさんな時間を要すること、これまた論をまたないところでございます。(拍手)現に、政府にいたしましても、占領政策是正に藉口して、義務教育学校職員法、警察法の改正法、スト規制法、独占禁止法の改正法、あるいはまた軍人恩給の復活法等の重要法案をこの国会に出しておるのでございますが、この予算のどれ一つを見ても、予算の裏づけの必要がないというような法案は一つもないのでございます。従つて、この了算について予算委員会がかような法案と関連したものを考えるだけでも、たいへんな努力が必要であることは明りかでございます。しかるに、一たび了算委員会が開かれたのを見ますと、この重要法案が、予算委員会が終るまでに提出されておらず、われわれ野党ほ、論議はしばらくおいて、かような以府の手落ちがあるにもかかわらず、ての審議を進めるために、重要法案の提出なしに予算委員会に参加したということは、いかに予算審議に熱心であつたかということ物語るものであると、かように考えるのであります。(拍手)
 ところが、審議に入つて驚いたことは、これら諸法案の主管大臣以下政府委員、また大蔵大臣以下大蔵省の政府委員も、まつたく無準備、不勉強、ふまじめでありまして、ただちにそのボロを完膚なきまでに暴露したのでございます。こうした無準備、不勉強が直接間接の原因となつて、しばしば混乱を繰返して、貴重なる審議の時間が二のために空費されるに至つたのでございます。この責任は、まつたく政府及び与党側にあるのであります。現に、混乱の最たる三つの事件をあげてみましても、すべてこれ政府及び自由党が負わなければならないものでございます。(拍手)
 予算委員会を混乱に陥れたところの一最初の事件は、何といつても十九日における向井大蔵大臣の中曽根委員に対する黙秘権の行使でございます。(拍手)警察法改正法の施行を今年中になさんとするならば、現行法を基礎として組まれておる二十八年度予算が、そのときにあたつて補正を要するかどうかという、きわめて法律的であり、事実的であるところの疑問に対して政府はまつたくなすところを知らず、答弁に窮しておつたのでございます。大蔵大臣は、十七日は、これは河野政府委員と同じように、国会を開いて補正予算を組むかのごとく答えたのでございますが、十九日には、それをしないというような答弁をいたしました。この食い違いを中曽根委員につかれますと、黙秘権を行使いたしまして、一切答えなかつたのでございます。このことは、だれよりも太田委員長が一番よく知つていると私は思います。(拍手)このために委員会が混乱したのであります。
 しかるに、政府及び与党は、当然の義務として、大蔵大臣をして誠意ある答弁をなさしめるために政治的折衝をする必要があつたのにもかかわらず、大蔵大臣の黙秘権に便乗して、ボロを出さないうちにという気持で、一方的に議事を進めようとしたのでございます。(拍手)しかも、太田委員長は、委員の発言がまだ進行中に、その委員の質疑を打切るというところの、他の委員の動議を取上げましてこれを打切つたのでございます。私は、かような打切りは、委員長が権限をもつて発言を禁止したということであればわかるのでございますが、質疑中に他の委員から動議を出されることによつて質問を打切るというようなことは、実に国会史上に悪例を残すものであると考えるのでございます。(拍手)これをもつて見ましても、この事件によつて混乱したという責任はどこにあるかということは、三尺の童子といえども明らかなところであろうと思うのであります。(拍手)その次に審議不能に陥れた事件というのは、本間事件でございます。委員でないところの自由党の本間俊一氏が、予算審議につきまして委員長と折衝中の、改進党の中曽根理事の首を絞めたことに端を発しておるのでございます。従つて、その責任がどこにあるかも、おのずから明らかでございます。しかるに、太田委員長は、これを事犯として懲罰に付すべく議長に要求しなかつたということは、その職権を忘れたものであるといわなければなりません。(拍手)
 さらに次いで起つたのが吉田総理大臣の暴言事件でございますが、これまた責任がどこにあつたかは明らかであります。
 そういたしますと、以上三つの事件がいずれも自由党並びに政府の責任である。野党の審議権放棄ということを口にしてこれを責めるということは、あたかも居直り強盗にもひとしい強弁といわなければなりません。(拍手)しかも、この事件のいずれもが、一りとして野党を納得せしめることなく、わずか少数多いということを頼んで、その責任を負うことを力をもつて忌避して形式的な審議を進めるという態度に出たのでございます。かくて、混乱に対して何ら責任上の反省もなく、すべてを野党にのみ負わせようとするようなことは、遊侠のたぐいの間では通用する道徳であるかもしれないが、議会の上では絶対に黙視し得ないところでございます。(拍手)太田委員長は、何ゆえに、今日の委員長報告に、かくのごとき審議停頓がなされたということに対して正確なるところの報告をなさなかつたのであるか、この点をお伺いしたいのでございます。(拍手)また、それと同時に、かくのごとき事態のもとになざれた予算審議が十分でなかつたという点、しかも十分でなかつたそのおもなる責任は政府にあるということを、予算委員会の主宰者としての太田委員長は認めているかどうかという二とを、御答弁願いたいのでございます。(拍手)私は、議員生活を通じまして、先ほど申し上げました通りに、これほど無責任かつ不勉強な答弁が政府によつてなされた経験を持たないものでございますが、まずその一、二を指摘してみましよう。
 第一が、岡崎外務大臣の中立否定論であります。いやしくも一国の外務大臣たるものが、一朝事あるときのために、戦争が起つたときには中立を保てないからして、今から一方にだけ結ばなければならないというがごときは、実に戦争介入の宣言であるといわなければなりません。(拍手)実に軽率といわなければならないと思うのでございます。第二は、対日援助費問題であります。これは、わが党の成田君に対して債務と心得るが、そういうふうにきまつたことではないと答弁しながら、あとで債務であることは講和会議によつてきまつておると答弁しております。なるほど、あとの答弁においては、これは取消しましたが、しかし、支払い費を予算に計上すべきかいなかに関する法的根拠につきましては、いまだ政府は何の答弁もしておりません。
 第三が、義務教育学校職員法にからまる予算上の問題であります。これは地方財政法違反であるかどうかは、まだ明確なるところの政府の所信が発表されておりません。
 第四が、警察法改正問題であります。これまた同じように、地方財政法違反の疑いが多いのでありますが、それのみならず、地方自治の侵害というようなことも考えられるのであります。この点、所管大臣はいずれも明確なる答弁ができないでおるのでございます。
 第五は、向井大蔵大臣が黙秘権を行使した、財政法三十三条違反の疑いであります。
 第六が、警察法改正を必要とする唯一の理由といたしまして、破壊活動が進行しているということで、ございましたが、しかもこの破壊活動の状況について、公安調査庁に対して明らかに資料を要求したのに対しましてこれを謙明すべき資料を提供しておらないのでございます。
 第七は、減税国債発行手続の問題でありますが、財政法二十二条違反の疑いが濃厚であるという点であります。政府は、成田委員の質問に対して、四十五条によつていると言つておりますが、それも答弁にはなつておりません。なぜかというに、法案には、法律の規定と異なる定めというものがないからでございます。
 第八には、わが国経済と重大関係を持つところの外貨予算が明らかにされておらないのであります。予算審議に際して、当然これを明らかにしなけれまならないと思うのでございます。
 かくのごとく数えあげて参りますと、まことにいとまがありません。太田委員長は、これをだれよりもよく知つているはずでございます。それゆえに、太田委員長は、政府に対してかように警告をしておるのでございます。十二日の速記録をごらんになれば明らかでございます。「ただいまの問答を聞いておりますと、政府答弁も多少未熟のように思いますので、よくお調べになつて御返答されることを希望いたします。」とさえ言つているのでございます。それでもなお委員長は、これをもつて予算委員でわれわれ議員がその職責を全うし得るようなかつこうで委員会を運営したとお考えになつていらつしやるかどうか、その点を明らかにしていただきたいと思います。(拍手)
    〔太田正孝君登壇〕
○太田正孝君 稻村君の御質問に対してお答えいたします。いろいろな点に触れられたのでございますが、一番おもなものは、審議不十分なりしにあらざるやと、こういうことでございました。私は、審議の程度につきましては、先ほど一番初めに中曽根君に対してお答え申し上げましたる通り、その判断は委員会全体によつてきめられるということを申し上げました。しかし、かような言葉よりも、分科会の、締切りをしたときを考えてみますれば、最も問題をこまかに掘り下ぐべき分科会が、第一分科会はたしかタ食前に終つたと思います。第二分科会は、これも正確な時間が速記録にあるのでございますが、七時ころ終つたと思います。問題をこまかに掘り下ぐべき分科会においてもかようでございましたが、しかし、かような例を申し上げるよりも、私としては、未熟なることを知りつつ、できるだけの努力をして審議を進めたことを、ここに申し上げるのであります。
 それから第二点といたしまして法案を出さない、これを要綱でやつて行くかということにつきましては、理事の各位とよく相談いたしました。その出し方がおそかつたことは御指摘の通りであります。しかし、私としての努力ば精一ぱいいたしましたことを、あらためて申し上げる次第であります。政府の答弁が非常に悪かつたということにつきましては、私のかれこれ申し上げる段ではございません。それは私としてただ皆様方の質問と政府の答弁を取次ぐべく、そうして議場を処理して行く以外に、私の意見を申し上げ、また批評を申し上げることはできません。
 また、混乱の起つた事件をなぜ報告しないかということでございますが、報告の事件が多うございますので、私の判断によつて重要と思われる点を申し上げたので、しかも、間違いのないように、速記録をごらん願いたいと申し上げた次第でございます。
 私としてどうしても申し上げなければならぬのは、発言の途中においてこれを打切つたというお言葉でございます。新聞におきましても、私が発言者の言を封殺したというようなお言葉がありましたが、私は、私の弁解をいたしますよりも、速記録をしつかりこらんくだされば、二月十九日のくだりにおいて、発言を太田正孝たる委員長が許して、それを発言中に中断したものはただの一回もないということを申し上げます。(拍手)
 私は終りに申し上げたいことは、言論につきましては、はなはだ口幅つたいことでございますが、私は非常に尊重しているつもりです。新聞生活十年、先ほど中曽根君が桜田事件の言葉を言われて、ぞつとして思い出したのでございますが、正宗の名刀は、人を切る、馬を切る。しかし、人の声と、馬のいななきを切ることはできないのであります。この信念で委員長として私は進んで来たことを、ここに白状いたします。(拍手)
○議長(大野伴睦君) これにて質疑は終了いたしました。
 これより討論に入ります。重政誠之君。
    〔重政誠之君登壇〕
○重政誠之君 私は、自由党を代表いたしまして、ただいま議題となつております政府提出の昭和二十八年度の予算各案に対して賛成をいたし、場野党三派がそれぞれ提出をいたしております修正案並びに組みかえ要求の動議に対し反対の意を表明せんといたすものであります。(拍手)
 私が政府提出の予算各案に賛成をいたします理由は、本予算は自主的かつ民主的に編成をせられ、ドツジ方式の修正はもとより、わが党がさきに公約をいたしました十大政策も、ことごとくこれを予算化いたしておるのであります。大局的に見れば、本予算は、現下の国際情勢に即応してわが産業経済の発展促進をはかり、かつ民生の安定をはかるにふさわしい建設的、積極的予算であると言うことができるからであります。
 本予算案におきまして、注目すべき特色は五つあると考えるのであります。その第一は、いわゆるドツジ・ラインの修正であります。占領治下において行われました諸法令、諸制度にして、わが国の実情に即応せず、すみやかに修正、改善を要すべきものは多多存するのでありまするが、わが産業経済界はもとより、ひいては社会万般にわたり最も重大なる影響力を持つところのドツジ方式による予算の編成こそは、すみやかに修正、改善を要すべき最も重大なる事項であるのであります。申すまでもなく、ドツジ方式は、新規公債の発行を抑制するとともに、すでに発行したる現存公債を漸減するという、いわゆる公債漸減の政策と、財政資金の引揚げ超過を目途とする超均衡予算との二つの方針を予算編成上の至上命題としておつたのでありますが、大戦後すでに八年を経過し、世界各国いずれもその経済界はようやく安定期に入り、景気後退の現象が顕著となつて参り、わが国におきましても、貿易は不振となり、滞貨は漸増し、操業短縮もようやく広汎に行われんとする情勢にあるのであります。中小企業の打撃はもとより、産業経済各方面にわたり、景気後退の機運がようやく濃厚にならんとしつつあるのであります。かくのごとき情勢下におきましては、すみやかに相当なる財政資金の放出をいたし、電源の開発、石炭、鉄鋼等、いわゆる基幹産業はもとより、多額の外貨を支払つて手に入れなければならぬところの食糧の輸入を防渇するための内地の食糧増産等、重要なる産業を開発促進し、不況の打開ないしは阻止に努むる政策が実行せられなければならぬと思うものであります。もとより、この場合においては、放出せられたる財政資金は、金融機関をしてこれを吸収せしむるの方策をとることは当然であります。ドツジ方式の修正、改善を要する理由は、実にここに存するのであります。本予算におきましては、特別減税国債三百億を発行して公債漸減政策を廃棄し、かつインヴエントリーの方式を廃止するとともに、過去の蓄積したる財政資金を放出して超均衡予算を打破しておるのであります。
 世上、ややもすれば、このドツジ方式の修正をもつて再びインフレーションが起るのではないか、少くともインフレの要因がそこに存するのではないかとの危惧の念を抱き、本予算が放漫財政なるがごとく唱道して、これを非難する者があるのでありまするが、われわれは断固としてその誤謬を指摘し、その所論を排撃いたすものであります。第一に、本予算が放漫な財政でないという理由は、その財政支出が前年度予算とほぼ同額であるということによつても明白であります。二十八年度一般会計歳出総額は九千六百五億円である。一般会計以外の財政投融資額を通算いたしますれば一兆二千三百八十億円と相なるのであります。この二十八年度の財政支出及び財政投融資の純計を、二十八年度の国民所得額五兆六千七百四十億円に比較いたしますれば二割一分八厘となり、これを二十七年度の財政支出及び財政投融資額と国民所得との比率二割一分七厘に比較しますれば、ほぼ同程度と相なるのであります。従つて本予算が放漫財政だからインフレを起すという所論は理由なきものと思うのであります。(拍手)
 第二の理由は、本予算において政府の発行する公社債の発行額は特別減税国債三百億、国有鉄道、電電公社等の社債二百二十億を合せまして、総額五百二十億円であるのでありまするが、減税その他発行条件に関する政府の適切なる措置とともに、貯蓄増大の現況、たとえば銀行預金の漸増の傾向が、国民消費の増大傾向に比して著しく大であるというような点から見まして、これら公社債の市中消化は完全に行われるものと確信をいたすものであります。従つて、この面にインフレの要因ありとは、とうてい首肯することはできないのであります。(拍手)もしそれ政府の公債発行の心理的影響をおそれるに至つては、あつものに懲りてなますを吹くの類と言うべきでありましよう。(拍手)
 また、本予算において、政府の放出する過去の蓄積資金等の財政資金額は三千五十五億円でありまして、散布超過と見るべき領は千三百億と見込まれるのでありますが、他面、二十八年度の産業経済界における資金需要額、これを推算いたしますれば、一兆億円と推算することができるのであります。これは昭和九年及び十年を基礎といたしました生産指数に物価騰貴率を乗じて算出をいたした額であります。その資金所要額は一兆億円と推算せられますので、これと約五千億円の通貨発行現在量とを彼此勘案いたしますれば、この程度の財政資金散布がインフレを招来すると危惧するものは、ドツジ方式によるデフレ政策を謳歌する以外の何ものでもないのであります。しかも、一面滞貨は激増して、物の裏づけがあるのみならず、大蔵大臣の言明のごとく、財政と金融との一体的運用が行われるにおいては、物価水準の上昇を来すこともないのでありましてインフレ要因が今回の財政資金散布にあるというがごときは杞憂にすぎないと断ぜざるを得ないのであります。
 本予算案において注目すべき事項の第二は、前年度予算に比して、重点を一層生産部面に指向いたし、財政支出においても、財政投融資の面においても、生産部面への支出、投融資を前年度予算に比して増額をいたしておるという点であります。すなわち、二十八年度一般予算は、前年度一般予算に比して二百八十億円増額をいたしておりますが、これはことごとく食糧増産、公共事業等の生産部面に振り向け、従つてこの部面への財政支出は、前年度に比して三百億円を増額いたしておるのであります。また、本予算におきまする財政投融資額は前年度より二百二十億円を増額し、電源開発、中小企業、農林漁業等、もつぱら生産部面への投融資の増額に振り向けられておるのであります。従つて、前年度に比し、生産部面への財政支出及び財政投融資増加額は優に五百億円を越えておるのであります。さりながら、わが産業経済の現状にかんがみますれば、財政支出は、でき得る限り消費部面への支出を節減いたし、これを生産部面へ振り向けることが、現下最も緊急の要務であると存ずるのであります。これと同時に、民間金融も生産重点主義にのつとる運営をせしむるならば、生産に寄与するところの少い無数のビルデイングの建築も、幾多の享楽施設の建設も、影をひそめるでありましよう。(拍手)かくてこそ、ひいては工業製品のコストは下り、貿易は振興し、多くを特需に依存する必要もなくなり、わが産業の基礎は強固となり、日本産業自立の基盤がここに確立をいたすのであります。この意味において、本予算が、徹底したる行財政整理により、行政上の冗費を節約し、不要不念事業の徹底的縮減をはかり、これを生産部面へ振り向け得なかつたことは遺憾でありますが、政府がしばしば言明いたしました通り、行財政整理案を今国会に提案するか、または本予算執行にあたり、この点に関する適切なる措置を講ずるか、いずれかの方法によつて、本予算をして真に独立第一年の一層画期的な意義ある予算たらしめんことを望むものであります。
 本予算において注目すべき第三の特色は、減税の措置であります。さきに二十七年度補正予算において、占領治下のシヤウプ税制を修正いたしまして、所得税中心の減税を行つたのでありますが、本予算におきましては、これを平常化するとともに、所得税、相続税、酒税等について、さらに一層の負担軽減、合理化をはかり、所得税を中心として、さきにわが党の公約いたした通り、一千億円余りの減税を行うことといたしておるのであります。
 本予算案におきまして注目すべき第四の事項は、防衛関係費が前年度千八百億円であつたものを、千四百五十億円にこれを減額するとともに、インヴェントリー・ファイナンスの方式を廃止し、あわせて七百億円の財源を浮かし、旧軍人恩給、遺家族等援護費及び留守家族援護費等に三百八億円を振り向け、その予算額五百億円余りといたしますとともに、公営住宅建設費並びに国民健康保険、日雇い労働者健康保険、厚生保険、船員保険等の社会保険費、児童保護費、結核対策費及び失業対策費等の増額に振り向け、住宅建設費として百二十五億円を計上し、社会保険等の経費として六百七十億円を計上いたし、民生安定のため積極的の施策を講じておることであります。(拍手)
 本予算において注目すべき第五の事項は、文教振興のための経費であります。ことに、義務教育の機会均等とその水準の維持向上とをはかるため、義務教育諸学校の教職員の給与費の全額及び難路教育の教材費の一部についてこれを国庫負担とする方針のもとに、九千二百億円を計上いたしておる点であります。
 以上申し述べましたほか、中小企業対策についても、国民金融公庫及び商工組合中央場金庫に対しても、財政の許す限り、引続き財政資金を導入するとともに、新たに資本金を百五億円とする中小企業金融公庫を設立いたしまして、設備資金及び長期運転資金の供給を円滑にすることをはかつておるのであります。(拍手)中小企業信用保険制度の擴充と相まつて相当の効果を期待することができるのであります。
 右のほか、わが党がさきに公約をいたしました各種の政策を実行するに仏要なる財政支出は、おおむね本予算宏に盛られておるのであります。本予算案は、国際情勢に即応して、わが国の治安を維持し、生産の増強、経済の率展、民生の安定、文教の刷新をは九り、もつて独立日本の再出発に寄与するところ、けだし少からざるものがあると思料いたすものであります。(拍手)わが党が本予算各案に賛成をするゆえんまたここに存するのであります。
 次に、野党三派よりそれぞれ提出いたされました修正案及び予算組みかえの要求動議を検討いたしまするに、その支出の面におきましては、賛意を表するにやぶさかではない事項も必ずしも少くはないのでありますが、その財源捻出の面におきましては、断じて承認をいたしがたいものがあるのであります。(拍手)すなわち、各派それぞれ提出の組みかえ要求動議の主たる財源といたしておりますものは、防衛費及び保安庁費を全額または一部削除して得たるものであります。防衛関係諸費は、日本安全保障条約の履行または祖国防衛のため必要不可欠の経費でありまして、これが削減または抹殺は断じて賛成することはできません。(拍手)また、改進党提出の組みかえ要求動議にいうところの、外為特別会計の手持ち外貨売却によりこれを財源とする案は、貿易に及ぼす影響も大でありますので、きわめて愼重なる検討を要すべき事柄でありまして、現下の国際情勢におきましては、少くとも時期尚早といわざるを得ません。この意味におきまして野党三派それぞれ提出の修正案及び予算組みかえ要求の動議に反対するものであります。(拍手)
 最後に、私は、予算委員会におきまして可決せられました自由党及び同友会提案の附帯決議につき一言いたします。右附帯決議の第一は、すでに経済界もやや安定期に入りましたので、今後予算編成にあたつては、その常道たる将来の経済及び財政の計画を樹立し、自主的自立経済政策の方針を宣明いたすことを政府に要望いたすものであります。第二及び第三は、すでに私が申し述べましたるところによつて、その必要なることは明らかでありまするから、別にここに説明を加えるまでもありません。第四は、義務教育費の全額国庫負担、警察法の改正等により、従来地方財政調整交付金制度との間に調整を要すべきものもあり、かつ根本的に地方自治制度の改善の必要もありますので、これらに関連して、中央、地方を通ずる財政の根本的調整を行う必要があるのであります。
 これをもつて私の討論を終りたいと思います。(拍手)
○議長(大野伴睦君) 鈴木正吾君。
    〔鈴木正吾君登壇〕
○鈴木正吾君 私は、改進党を代表して、次の数個の理由により本予算案に反対するものであります。
 われわれは、まず第一に、この予算案に対して、独立日本の名において反対したい患います。(拍手)われわれは反対するものでありますから、もとよりこの予算には不満足でありますが、これに賛成せられる自由党の諸君も、おそらくは私は内心不満足であられるだろうと思つておりました。ところが、ただいま重政君の御演説を聞いておりますと、礼讃また礼讃、実に自由党の十大政策とやらを、ことごとく実現した、理想的な予算のように仰せになつたのでありますが、もしこの程度の予算の中で十分に実現できるとい、うならば、自由党のお持ちになつている政策の貧困も驚くに絶えたりと私は思つているのであります。(拍手)何はともあれ、昭和二十八年度予算と銘打たれたこの予算案は、この表題を明治何年、大正何年、昭和何年と書きかえて出しても、おそらくはどこへでも向くであろうと思うくらい、つまり時代性というものが現われていない、こう思います。過去の日本における、いかなる時代に出しても、これは大して薬にはならないかもしれませんが、毒にもならなかつたであろうと思います。ただ、昭和二十八年度の予算案としては、われわれは承知ができない気持がするのであります。
 すなわち、今年は長い間の占領政策から解放せられて、日本人が、日本人のための、日本人による政治をすることができるようになつた感激と希望と興国の気魄を数字でつづつた予算を、われわれは希望しておつたのでありますが、(拍手)そのわれわれの希望に対して与えられたるものは、パンにあらずして石であつたと、こう申し上げたいのであります。独立はしましたけれど、アメリカの政治的圧力が撤退するのを、あたかも待つていましたと言わんばかりに、深刻な社会革命の因子を包蔵する大規模なるストライキが勃発し、ただに産業界に一大打撃を与えたるのみならず、一般国民の生活に甚大な脅威を与えました。幸いにストライキは破局に至らずしてやみましたが、決して根絶したわけではない。労働攻勢の風は荒く、人心は依然として社会不安の波にただよつております。貧富の懸隔はますますその度を加えて、日本の社会の中堅層であつた中産階級は、今や没落の一途をたどりつつあります。(拍手)失業者は都鄙にあふれ、不平不満の声はちまたに満ちております。眼を外に転ずれば、祖国の北辺の空はしばしば国籍不明の飛行機が現われ、それと米国機との間にすでに砲火の応酬さえ行われました。米国海軍の中立政策から解放せられた国府軍は、いつ何どき中国本土に逆上陸するかもしれない。朝鮮の戦乱はいつ果つべしとも思われず、日本の鼻先の海上では、李承晩ラインを侵したというゆえをもつて、わが国の船員が射殺せられております。数十万の同胞は、今なお異国に幽因奴隷の生活を続け、わが対外貿易は日に月に退潮の一途をたどりつつある。アイゼンハウアー大統領のロール・バツク政策が、日本にいかなる影響を与えるかも、重大なる不安の一つであります。第三次世界戦争に関する総理大臣の楽観的見通しにもかかわらず、原爆の脅威は依然として去らない。かかる内外の危局に対処して、なおかつ日本の独立と平和と安定とを約束するような経論を盛つた積極財政を国民は期待しておつたのであります。(拍手)
 こう言えば、与党の諸君は、おそらく、明年度の予算は多年にわたるドツジ方式による均衡財政を一擲し、投資特別会計を新設して、財政資金の需要を充足しようとする画期的な積極財政であると自画自讃せられるであろう。現に、先ほどの討論者もそう仰せになりました。なるほど、財政規模は九千六百五億円、昨年度に比べまして二百七十億円ふくらんだことは事実でありますが、しかしながら、われわれは、ただ予算の金額が多いから積極財政とは考えられないのであります。その使つた金が国民経済の再生産に直結し、民生の安定に役立つてこそ初めて積極財政と言うことができるのだと思うのであります。(拍手)本予算を、そういう角度から、しさいに点検いたしてみますと、そこには何ら一貫した自立経済への計画性なく、重点的な施策なく、ただ例によつて例のごとき、ぶんどり予算の結果を、あちらにも少々、こちらにも少々、右顧左眄しつつ、すべて選挙の票をかせぐに有効と思われる問題点に対して貴重な国費を総花的にばらまいたのが、今回の予算であろうと思うのであります。(拍手)ただいまの御演説をお聞きになつても、社会政策にも出した、家もつくつてやつた、何だかんだと、ずいぶんばらまかれたことを仰せになりましたが、かかる総花主義というものは、要するに、金はかかるが、仕事はおおむね中途半端に終るものであります。金額の割合に効果は上らない。国民の汗とあぶらの結晶である国費を最も効率的に使用してこそ初めて積極財政と言うことができます。こんな総花主義の予算は、放漫財政、濫費財政とは言えるかもしれないが、断じて積極財政の名に値しないものだと信ずるのであります。(拍手)第二に、われわれは、日本人の生命護持の名において本予算に反対いたします。何となれば、この予算には、年年増加する日本人の生命のかてを確保する確固たる食糧対策が盛られておりません。幸いに、吉田首相の楽観するごとき第三次世界戦争の危険が当分遠のいたとすれば、この当分の期間こそ、わが国が食糧自給対策を急速かつ強力に推進する絶好にして唯一のチャンスであるのであります。(拍手)もし、このことなく、不幸にして数年後に世界戦争が勃発し、交戦国の飛行機、潜水艦がおのおの相手国の通商航海を妨害する、そういう場合を想像いたしますと、現在のごとく食糧の約二〇%、年々三百三十万トンを海外の米麦、雑穀に依存しておるわが国民の生命がどうなるかは、思い半ばに過ぐるものがあります。この場合、原爆の災いはあるいは免れるかもしれませんが、餓死は必至の運命であります。食糧の自給なくして真の独立はあり得ない。これなくしては真の経済の自立もあり得ないことは、いまさら論議の余地のないところ。それなればこそ、吉田総理は、第一次組閣以来、食糧増産を目途とする土地改良、開墾、干拓等の事業のために累計二千億円になんなんとする巨費を投じて来ましたが、実効はほとんど上つておらなかつた。これは、イギリスの労働党内閣が、国内食糧自給度の向上を目ざして、一九四七年八月から一九五二年の末にわたる農業増産五箇年計画を樹立して、戦前比農産五〇%増を期し、三億ポンドを投じて自営農業を奨励し、懸命に努力した結果、実施二年目には早くも全農産物を通じて三五%増という驚異的な実績を上げ、これによつて、全輸入の七五%を占めた食糧輸入費の中から五億五千万ドルというドル支払いを削減し得たのに比べて、たとい彼我の間の可耕地条件の優劣を計算の中に入れても、吉田内閣の農政の貧困を痛嘆せざるを得ないのであります。(拍手)農林省は、さきに、昭和二十六年をもつて始まり昭和三十五年をもつて終る、経費八千四百億円、三千九百万石増産という厖大な農業土木十箇年計画と称するペーパー・プランを樹立いたしましたが、今度は、二十八年度から三十二年度に及ぶ第一次計画として五箇年計画を立て、総経費三千五百九億円、千七百五十万石増産という縮小再計画を発表しました。この予算書に計上せられた金額は、その計画を実現するよりははるかに少い四百九十二億円にすぎません。この五箇年計画もまた、農林省の気まぐれなペーパー・プランに帰するもののごとくに見えます。こんな不徹底な、その日暮しの食糧対策で、どうして万一の場合日本人の生命を安定することができるつもりか、まつたく寒心にたえないのであります。(拍手)
 このほか、この予算が消費予算であつて、生産面の支出に乏しい点、防衛費に年度計画のない点、一千億円を越える厖大な公共事業費が陳情政治を誘引して饗応、贈収賄、政治献金等々の政治悪をかもし出す伏魔殿化しつつある点、自立経済政策に総合的長期計画がない点等、われわれが本予算に反対する理由は多々ありますが、これらの点については、すでにわれわれの同僚が予算委員会の質疑並びに討論において鋭く批判し尽しておりますから、私は、重複を避けて視野を転じて、われわれがこの予算に反対する第三の理由を述べます。
 すなわち、われわれは、脅かされた民主主義の名においてこの予算に反対いたします。われわれは、この予算のバツク・ボーンをなす吉田内閣の政治理念はまさしく民主主義を脅かす危険性のあることを信じておるのであります。吉田首相は、その施政方針の演説において、占領行政の行き過ぎを是正する旨を強調いたしました。このこと自体ほ、もちろんわれわれも賛成であります。ただ、吉田首相は、この行き過ぎの占領政策に対して大部分の責任を負わねばならぬ立場におつた人でありますだけに、この人にしてこの言をなすのは、端的に、吉田総理がみずから、自己の政治怠慢か、政治的過失か、政治的無力かを告白したものと解せざるを得ないのであつて、まことに驚くほかはないのであります。(拍手)それはそれとして、占領行政の是正はけつこうでありますが、そしてぜひやらねばならぬ喫緊事でありますが、ただ、その是正のやり方は、あくまで民主主義のレールの上で緩急遅速を調整すべきであつて、断じて民主主義のレールを逸脱したり、後退したりしてはなりません。しかるに、現内閣の是正方策を見ると、彼此みな逆コースの感があります。
 すなわち、警察制度のごとき、国家の性格を決定する重要制度の改正にあたつては、十分の用意を整えて予算委員会の審議に付するのが当然であるのに、法案の用意さえなく、僅々四十八時間の間にすりかえなければならぬような、おそまつ千万な要綱をもつて臨み、議員の質問に答うるあたわずして議場の混乱を招き、政府みずから審議不能の事態を招来しておきながら、多数をもつて横車を押し通す非民主的理不尽をあえてしてまで成立させようとしたこの改正案の実態が何であるかといえば、警察民主化の精神を完全に蹂躪したものであつて、中央に国務大臣である警察庁長官を置き、これが全国警察官の高等人事を一手に掌握し、公安委員会を骨抜きにして単なる諮問機関たらしめようとする、超逆コースの警察国家再現案であります。これでは、まるでソ連のゲー・ぺー・ウーの日本版ではありませんか。(拍手)もし、こんな乱暴な権力を一、自党の内紛によつて生じた政局の不安にさえ解散風で脅かすような総理大臣が握つた日には、まつたく気遣いに刃物を持たせるようなもので、危険千万である。(拍手)もしやろうと思えば、反対党を弾圧して、一党独裁の専制政治をやることも、必ずしも不可能とは言えないのであります。(拍手)私は、与党諸君の冷静な良識に訴えて、われわれの主張する府県単位の自治警察案に同調せらるるよう要請したい。きのうは人の身、きようはわが身と言います。局面が一転すれつば、かかる警察フアツシヨに脅威を感ずる者があなた方でないと、たれが保証できるかと私は言いたい。(拍手)
 首相は、施政方針の演説で、義務教育費の全額国庫負担を公約いたしましたが、提出せられた義務教育学校職員法案は、首相の公約を裏切る羊頭狗肉の欺瞞であることは、だれよりも文部大臣御自身が最もよく御承知のはずだと思うのであります。この案を実行すれば、父兄や自治体の負担がかえつて重くなります。そのことは、この予算の書類を御調査になれば、ただちに明瞭になることであつてこの厳粛に国家本位で考えるべき教育制度の問題を、一党一派の選挙対策と混同し、かつ義務教育の画一主義にあともどりしようとするかのごとき危険を感ぜしめたところに、この案の非難の点があると思い正す。今に及んで、そんなことはしないと、いくら弁解しても、世間ではもう承知しません。十目の見るところ十指の指さすところそれ厳なるかなとも申しております。(拍手)
 昨年の冬、電産、炭労の大きなストライキがまさに破局に突入せんとした際、われわれは、政府の労働政策の貧困を痛嘆しつつ、しかも差迫つた産業の危機を救い、社会不安を除き、公共の福祉を守り、一般利用者大衆の利益を擁護する見地に立つて、最悪の場合は、国家の重要資源を破壊するがごときスト行為を禁止するためには、好むところではないが、何らかの法的措置を講ずることもまたやむを得ないであろうという一石を投じました。われわれは、あくまで労働者のスト権を尊重します。ゆえに、もし幸いに労働組合の良識により、国家資源を破壊するようなスト行為は行わないという責任ある保証がえられるならば、われわれは、現に上程せられておる政府のスト制限法を抹殺するに、いささかも躊躇するものではないのであります。(拍手)しかしながら、その保証が得られない現段階においては、これを期限付の臨時立法として、しばらく形勢の推移を待つほかはないと思います。この前提に立つて、われわれは政府に警告したい。すなわち、かかる立法をなさねばならぬということは、端的に政府の労働対策の貧困を最も雄介に物語る証拠であつて、政府自身は深くみずから内省、自責しなければなりません。(拍手)もし、この内省、自責の念なくしてこの法案を出したとすれば、スト制限法もまた現内閣の反動逆コース性を露骨に表明した以外の何ものでもないと申さねばなりません。
 これを要するに、吉田内閣の占領政策の行き過ぎ是正と銘打つた一連の施策のバツク・ボーンをなす政治理念は、民主主義の精神に逆行する権力集中、強権支配の封建思想であります。われわれは、人間尊重の名において、あくまで、かかるウルトラ・コンサーヴァテイヴの政治に反対せねばならぬと思うのであります。(拍手)第四に、われわれは、虐げられた農民と中小商工業者及び大衆の名において、この予算案に反対します。この予算が、自由放任、弱肉強食という、古色蒼然たる古典的資本主義によつて裏打ちせられておるからであります。
 学究的な理論闘争はやめて、単刀直入、事実と対決しましよう。日本の働く人口の四割六分は農民でありますが、その四割六分の農民が働いて受取る所得は、国民の総所得に対して、お話にならぬほどの低率であります。すなわち、敗戦直後米軍が本土に上陸して来た昭和二十年当時は、農民の受取る割合は、国民の総所得に対してわずかに一五%でありました。その翌二十一年は、農産物のやみ売り等によつて一躍二八%に急騰しましたが、食糧事情が安定し、やみのもうけがなくなるとともに、比率は漸次低下して、二十六年には一八%、二十七年には一六・五%と落ちて、今やほとんど終戦当時の農奴的境涯に転落しておるのであります。これに反し、巨大な独占資本による化学肥料の生産は、昭和二十三年には早くも戦前の水準に達し、その翌二十四年には、肥料生産は戦前の最高水準をはるかに上まわつて、農民は肥料代が払えず、各地で配給肥料の辞退が続出するのをしり目に、海外市場に出血輸出をするに至りました。かくのごとく農民と肥料会社の間に著しい経済落差を生じましたのは、巨大資本による肥料が、農民の供出する米麦の価格の騰貴率よりもはるかに上まわる騰貴率を示し、硫安工業の利潤保障を農民の負担によつてしたからであると申さねばならぬのであります。かくのごとき弱肉強食の現象は、現政府の手放しの自由放任政策から生れる当然の経済現象であります。資本は、これを自由に放任しておけば、
    〔議長退席、副議長着席〕
水の低きにつくごとく、社会全体の利益や幸福ということを無視して、ただ利潤のあるところに流れて行きます。この結果、大都市においては、宏壮なビルディングが軒を並べて立ち並び、待合とか料理屋とかカフェーとか劇場とか映画館等娯楽設備は戦前にも増して整備せられ、充実し、繁栄しておりますが、工場地帯の焼け跡は依然として雑草におおわれております。労働者が明日の労働力、活動力を養う住宅は、依然として不足しております。巨大資本の百貨店が高率の利益配当を誇つておる陰では、中小商店は相次いで倒産、閉店、夜逃げのうき目を見ておるのが現状であります。(拍手)
 政治の要諦は、まじめに働く人間を食うに困らせない世の中をつくるにあると申しますが、まじめに働いても食えない、まじめに働きたくても働く職場のない人々が、勤労意欲を失つて、パチンコ、麻雀、競輪、競馬に安価なスリルと万一の僥倖を求める。これはまさに政治の貧困を証明するものと申さなければならぬと思うのであります。(拍手)かくのごときは、みな政治の貧困のいたすところであつて、そのよつて来る原因は、弱肉強食を当然の社会現象と見る野放しの自由主義の政治、古色蒼然たる資本主義の経済にあるのであります。(拍手)われわれは、かかる放任主義を改めなければ、民生の安定と幸福を期することはできないと信ずるがゆえに、この点について小笠原通産相ないし緒方副総理に質問いたしましたところ、両大臣は、現段階においてはこれを改める必要はないと強弁しました。われわれは、今日以上にこの社会上における経済落差を深からしむるようなことがあれば、結局それは赤色革命を助長する温床となることを信ずるがゆえに、かかる予算には反対せざるを得ないのであります(拍手)
 最後に、私は、冒涜せられた議会政治の名によつて本予算に反対するものであります。予算審議の過程における幾多の紛争等は、すでに先ほどから本議場において十分おわかりのことと思いますから、私はあえてそれらの点については触れません。ただ申し上げたいことは、この予算の審議中に起つた幾多の紛争、そうして審議を停頓せしめた三つの問題の原因は、ことごとく、野党側にあらずして、政府もしくは政府党にあつたということであります。(拍手)しかも、一方において与党の委員諸君は、野党の委員と全然入れることなくして、単独で二回にわたつて委員会をお開きになりました。その審議に忠実なることは、ありがたいと感謝して百いいかもしれませんけれど、かかる議事の運営方法は、多数を頼んで少政派の言論を抑圧する、民主政治の冒涜であると私は思つておる。(拍手)
 私は申し上げたい。多数が真理であるのではない。真理であるから多数がそれについて来るというのが、議会政治の根本生命でなければなりません。(拍手)議会政治に信用がなければどうなります。もし日本で今日国民が議会を信ずるあたわずということになれば、結局議会によらざる直接行動ということは当然のことであります。だから、民主主義を維持しようというならば、われわれはあくまで、議会が国民の良識とマッチする行動をとるよりほかには民主政治を完成する道はないと思つておるのであります。(拍手)ところが、多数をもつて、さぎをからすと判決し、黒い炭を白い雪と判決することができると思うもののごとき多数党の態度は、日本の民主政治を冒涜するもはなはだしいと私は思つておる。(拍手)かくのごとき観念によつて運営せられた委員会であります。正直に申しますが、われわれは、この委員会においてなお審議しなければならぬ幾多の問題がある。たとえば、私は与党諸君に問いたい。この演壇において、先ほど中曽根君が質問したるがごとき質問を、あなた方の選挙区か国民から受けたときに、あなた方は答えることができますか。(拍手)おそらくできないだろう。(「できる」と呼び、その他発言する者あり)おそらくはできないと思います。それができないで、一体代議士としての任務が果せると思いますか。(拍手)私はそれを言いたい。われわれは、審議が十分でなかつたということが、この予算案に賛成し得ざる一つの理由であります。どうぞ、個人的に感情を離れ、議会政治の擁護、民主政治を守るために、多数で無理を押し通すというような根性を取除いていただきたい。(拍手)それはお互いのためであり、日本のためであるということを申し上げて、私の本予算案に対する反対意見を終ります。(拍手)
○副議長(岩本信行君) 河野密君。
    〔河野密君登壇〕
○河野密君 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題となりました昭和二十八年度予算各案に対して反対し、わが党提出の組みかえ動議に賛成をいたすものであります。(拍手)
 昭和二十八年度予算各案は、独立後における最初の年度予算としてきわめて重大なものでありますが、私の見るところによれば、これらの予算案には四つの欺瞞があると存じます。
 第一は、予算規模の問題であります。政府は、一般会計予算を九千六百五億円に食いとめ、危険信号とも称すべき一兆の線よりはるかに下まわる予算を圧縮編成したるがゆえに、一大成功であると自画自讃いたしておるのであります。けれども、しさいに検討を加えてみますると、前年度において、一般会計予算において支出しているもので、昭和二十八年度においては他会計に移されたものは五百三十七億円に及び、これを加えるならば、優に一兆の線を越えているのであります。また政府は、この予算と国民所得の推計五兆六千七百四十億円との比率を求め、一六・七%にして、前年度の比率一七%より、むしろ僅少ながら低下しておるからして、インフレの危険なしと断定をいたしておるのであります。しかしながら、インフレの危険ありやいなやを判定するにあたつては、予算の規模を、単に一般会計のみに限ることなく、特別会計、政府機関、地方財政をも加えて、その全貌を明らかにしなければならないのであります。すなわち、これらの予算を一括して歳出の純計を求めまするならば、二兆八千三百億円という天文学的な数字に上るのでありましてまさに国民所得の五〇%に達するのであります。しかも、これを前年度に比するならば、実額において二千億円を増し、パーセンテージにおいて〇・五%の上昇を見ておるのであります。従来一般会計に計上していたものを他会計に移し、もつて予算の総額を九千六百五億円なりと称するがごとき、厖大なる予算の全貌を隠して、単に一般会計と国民所得との比率を求め、インフレの懸念なしと断定せるがごときは、予算規模に対する政府の第一の欺瞞なりと考えるものでございます。(拍手)
 第二は、予算の中核とも称すべき防衛費の問題であります。政府は、本年度予算において、安全保障費五百六十億円を削減し、防衛支出金中三十億円を減額し、防衛費の全体としては三百五十億円を節減して千四百五十億円、総予算の一五%としたと申しておるのであります。政府がわれわれの主張に屈服をして、安全保障費五百六十億円を削除したのは当然でありまするが、表面千四百五十億円、総予算の一五%に圧縮したと称する防衛費総額も、これを内容的に検討いたしまするならば、先ほど来しばしば問題となりましたように、他に厖大なる前年度の未使用分が残つておるのであります。これを本年度予算に加えるならば、はるかに大きな数字になるのでありまして、すなわち政府の発表をそのまま信用するといたしましても、一月三十一日現在の未使用分八百億円を加えるならば二千二百五十億円、総予算の二一・五%となるのであります。また政府が言明せる本年度末の繰越し見込額三百三十一億を加えるといたしましても千七百八十一億円と相なりまして、総予算の一七%に達するのであります。しかのみならず、政府発表の数字は必ずしも信を置くに足らず、さらに多くの未使用分の隠されているのであろうことは、十分推定すべき根拠があるのであります。してみると、防衛費はさらに大きな数字に上るのであつてこれが私が第二の欺瞞なりと称するゆえんであります(拍手)
 第三は、減税の問題であります。政府は、所得税その他において一千億の減税を行うと称してもつて選挙の公約を具現するのであると、まことしやかに申しております。しかしながら、政府の宣伝する減税は、例によつて税法上の減税であつて予算上の減税にはなつておりません。これを具体的に申しますならば、前年度の税収入総額は六千八百五十三億円であるに反し、昭和二十八年度の予算案によれば七千八十億円、差引二百二十七億円の増収と相なつておるのであります。減税減税と言う反面に二百三十億の増収をはかる、これをしもわれわれは何と考うべきでありましようか。政府はこれを称して自然増収と言う。すなわち、自然増収一千億を見積り、これを削減して減税と言うのであります。けれども、昭和二十八年度において自然増収を見込むべきいかなる要因ありや。われわれは、過大なる自然増収の見積りが苛歛誅求の別名にならざるよう、政府に警告せざるを得ないのであります。(拍手)前年度以下の申告は認めないという申告納税の鉄則が自然増収の手品の種であることを忘れてはならないと思うのであります。(拍手)
 さらに留意を要するのは、地方税の増徴であります。政府は、地方財政の窮乏を救うために、特別所得税、市町村民税等の大幅なる増徴を許そうといたしております。数字の上に現われたる地方税の増収は一応百五十億に見積られておりまするが、はるかに大きな数字に達するであろうことは火を見るよりも明らかであります。かりに、中央において、政府の言うがごとく減税ありとするも、地方税においてそれを上まわる増税をこうむるは必至でありまして、中央において与えられたるものを地方において奪われるならば、何の減税ぞやと言わざるを得ないのであります。(拍手)朝三暮四とはまさにこれであつて、国民を愚弄する政策なりと言うも、あえて過言ではないでありましよう(拍手)減税政策こそは、本予算案に盛られた第三の欺瞞であると信じます。
 第四は、重要法案と本予算案との関係であります。政府が今国会に提出した法律案は、二百数十件の多きに上るとのことでありますが、その中において最も重要なるものは、警察法の改正案であり、義務教育学校職員法案でありましよう。これこそ、ある意味で政府の政治的生命をかけた重要法案なりと申しても過言でないと思います。従つて、政府が、この法案を提出するにあたつては、十分の検討を加え、これが実施に必要な予算措置を講ずべきは理の当然と言わなければなりません。しかるに、政府は、国会を軽視したのであるか、準備の不足であるか、いずれも経過措置を理由として予算の措置を講じておらないのであります。すなわち、警察法にあつては、予算総則における移用の条項によつて糊塗せんとし、義務教育費国庫負担にあつては、地方負担を強要することによつてつじつまを合せようとしておるのであります。ことに警察法にありましては、警察制度一本化の後における予算の全貌を明らかにせよと質問をいたしたのに対して、これを明らかにすることができず、ただ腰だめ的に、国民の負担増を来すことなしと繰返すのみという不誠意な状態であります。(拍手)しこうして、政府は、これら法案の実践にあたつて補正予算等は断じて出さないと、わざわざ答弁を改めおるのでありまするが、借問す、政府は、かかる重要法案が否決せられるか修正をせられたあかつきにおいては、予算の組みかえを生ずることは当然必至であるが、そのときにいかなる政治的責任をとらんとするのか。(拍手)重要法案に即する予算化を欠いておるのが、第四の欺瞞であると信ずるのであります。
 以上、昭和二十八年度の予算各案を一瞥しただけで、これが欺瞞性をただちに指摘することができるのでありまするが、さらに立ち入つて検討するならば、政府予算の矛盾は一層明白となつて参るのであります。今、一般会計予算について少しく煩をいとわず、支出の目的別に従つてこれを分類してみますならば私の計算したところによりますると、行政費と称すべきものが二六%、安全保障諸費一七・二%、社会保障諸費九・五%、産業振興費一四・七%、しかしてこの産業振興費中、中小企業振興費はわずかに〇・七%にすぎないのであります。公共事業費六・五%、地方財政平衡交付金、義務教育費を加えて一七・九%、その他と相なつております。いかに予算を各費目に総花的に割当てているかということが、きわめてはつきりいたすと存じます。しかも、その中にあつて、安全保障諸費と地方財政平衡交付金の断然トップを切つておるという事実を、われわれは見のがすことができないのであります。わが国の財政上の悩みが那辺にあるかは、この点が最も雄弁に物語つておると信ずるものであります。(拍手)さらに、これを使途別に分類してみまするならば、人件費は一一・七%、旅費、物件費九・八%、施設費九・二%、補助費、委託費等三八・八%、他会計への繰入れ一三・二形、その他一八・四%と相なつております。すなわち、これによつて見ますると、人件費、物件費、旅費など、不生産的な使途に使用せられておるものがきわめて大であることが明白であります。この数字を検討しただけでも、本予算案の内容はきわめてずさんなりと言わなければならないと思うのであります。(拍手)
 昭和二十八年度予算を実施するにあたつて、これがインフレとなるかいなやは重大なる論点と相なつておるのであります。われわれは、政府の本予算案においては、不生産的な支出があまりに大であること、貯蓄公債など公債政策の口火を切つたこと、何よりも計画性を有せず、その都度財政であること、産業政策に対する裏ずけを有せざること、産業資金の回収のための金融政策を持たざること等々の観点において、必ずやインフレを促進するものである、その勢いのおもむくところ、補正予算の提出を必至とするであろうということを、今日において予言するものであります。(拍手)そもそも、われわれがドツジ・ラインの修正を要求したゆえんのものは、ドツジ・ラインを修正して野放しの財政政策をとれということではないのであります。産業指興、生産拡充資金を支出して、一方には産業の高度化をはかり他方にはコストの切下げをなして、貿易の振興に資し、計画性ある経済復興を行えというのであります。これなしにドツジ・ラインをはずし、このときとばかりに予算ぶんどりを許すがごとき状態において、いかにしてインフレを抑止し得るでありましようか。(拍手)向井蔵相の懐抱するオーソドックスの経済理論よりするも、インフレ必至と見るのが妥当ではないかと私は思うのであります。向井蔵相は、おそらく、この予算が実質的に効果を発せられるころには、もうその地位を去つて、おらないでありましよう。(拍手)蔵相はいなくなつても、蔵相のまいた種は芽ばえて国民があぶらと汗をもつてこれを刈りとらなければならないということを、蔵相は肝に銘じていただきたいと存ずるものであります。(拍手)
 次に、本予算案審議の過程に露呈されたる政府の一般政策の貧困に対して、われわれは強く政府の無為無策を責めなければなりません。何となれば、国民が最も聞かんとしている根本は何ら政府より明らかにせられていなかつたからであります。
 その第一は、いかにしてわが国の安全を保障するかの点であります。二月二日に発せられたアイク新政権の一般教書は、世界的に反響を呼んだものでありまするが、われわれの見るところによりますると、容易に看過できない重要なる課題を幾つか含んでおるのであります。たとえてみますならば、朝鮮戦争の解決はアジア全地域の問題と関連せしめて対策を講ずべしと言つている。台湾にある中国政権を中立化せしめる政策を放棄する、いわゆる台湾政権の中立解除を行うと言つている。アメリカから援助を求むる国は、みずからそれにふさわしい努力をしなければならないと言つている。ヤルタ協定の廃棄をほのめかしておるのであります。考えようによれば、これらはいずれもわが国に重大なる影響を持つものであり、国民もこの点に重大なる関心を寄せて、いかにもしてこれが真相を知りたいとこいねがつておるのであります。私は、本国会の重要なる任務は、アメリカ新政権の外交政策によつていかなる影響がもたらされるかの点を明らかにすることであると思うのであります。(拍手)すなわち、日本国民が今衷心より知らんとしておることは、アイクの新政策によつて日本の政治がいかなる影響を受けるであろうかの点である。従つて、この問題に関しては、国民の納得の行くまで審議を尽すのが今国会の任務であるが、残念ながらその点が十分明らかにせられなかつたのであります。中国政権の中立解除について政府はどう考えるかという問いに対し、再軍備を強要せられるのではないかという問いに対し、朝鮮戦線に日本の保安隊を出動せしめるがごとき事態が生ずるのではないか等々の質疑に対して、政府の答えるところは、中国政権中立解除の趣旨は何にも知つておらない、再軍備を強要せられるがごときことはないと思う、朝鮮戦線に日本の保安隊を出動せしめることはあり得ないというがごとき、きわめて抽象的な答弁であつて、何ゆえに、しか考えるか、政府はかかる事態の生じた場合にいかなる対策をとるか、何ら積極的な説明がなかつたのであります。すなわち、ようやく急迫を告げようとする国際情勢の中にあつて、再軍備の強要をはね返し、日本の安全を保障するについて積極的なる意図と施策を表明せられていないのは、われわれのきわめて遺憾とするところであります。(拍手)
 第二に、政府はわが国の独立の完成に対して何らの方策を表示していないということであります。アイク一般教書の中で、ヤルタ協定の廃棄が暗示せられたることは、講和条約の領土条項を改訂すべしと主張するわれわれにとつて、見のがすべからざる問題であります。大西洋憲章、カイロ宣言、ヤルタ協定、ポツダム宣言、サンフランシスコ講和条約等、日本をめぐる国際政策の間には重大なる連関があるのであり、領土条項がきびしくなつたのはヤルタ協定以後であるのであります。すなわち、カイロ宣言においては、「同盟国ハ自国ノ為二何等ノ利得ヲモ欲求スルモノニ非ズ又領土拡張ノ何等ノ念ヲモ有スルモノニ非ズ」と言つておるのであります。それにもかかわらず、ヤルタ協定において、南樺太及び千島列島の帰属が決せられ、これが尾を引いてポツダム宣言となり、サンフランシスコ講和条約となつたことは周知のごとくであります。ポツダム宣言により、平和条約によつて南樺太、千島列島に対するわが国の主権は放棄せられたのでありますけれども、それをソ連に帰属せしめるとは、どこにも書いてないのであります。これをきめたものはヤルタ協定そのものだけであります。しかるに、今やヤルタ協定が廃棄せられるに至るとするならば、その影響はいかになるのでありましよう。今ただちに講和条約の改訂を望み得ないとしても、ここに新しき希望の生ずることは当然と言わなければならないと私は思う。(拍手)これに対して政府はいかなる反応を示しておるのでありましようか。何らの反応をも示しておらないのセあります。かかるに問題においてこそ、政府はその所信を披瀝して国民に訴え、国民外交を展開すべきものなりと私は信ずるものであります。(拍手)
 第三に、政府の逆コースについてであります。吉田内閣は、先ほど鈴木君も言われましたように、警察法の改正案、スト禁止法案等、一連の逆コース法律案を提出いたしております。政府は、占領治下の行き過ぎを是正すると称して、かかる立法を急いでおるのであるが、われわれは、かかる吉田内閣の施策によつて、わが国の前途に重大なる危惧なきを得ないのであります。その理由は、憲法上の問題と関連する問題であります。憲法によりますると、首相の権能はまことに広大であります。第六十八条によつて、内閣総理大臣は国務大臣を任命し、任意に罷免する権能を持つておるのであります。これによつて、吉田内閣はすでに閣僚六十数名を送迎したといわれておる。私のちよつと調べたところによつても、通産大臣は十一人、農林大臣は七人、厚生大臣は七人、文部大臣は五人という大量的なる閣僚の入れかえが行われておるのであります。しかも、さらに吉田内閣は、憲法第七条によつて、国会の解散を自由になし得るとの見解をとつておるのである。閣僚の任免が自由であり、国会の解散が首相の悉意のままに行われるとするならば、独裁的なる政治のこの間につちかわれることは当然と言わなければならぬ。(拍手)内にあつては、鶏鳴狗盗その間に集まつて側近政治が行われ、権力に阿附する官僚独善政治の拾頭を見ることは周知のごとくであります。しかしてかような首相のもとに警察権が集中せられ、文教の権力が集約せられた場合に、いかなる結果が生ずるか、おそらく想像にかたくないと信ずるものであります。そのときにおいて、もし世界のいずれかの国が日本の国を意のままに動かさんとするものがありとするならば多くの力を用うることを要しない。首相一人をとりことしてこれを意のままに駆使すれば足るのであつて、買弁内閣の出現、買弁政治の確立なしと何人も保証することができないのであります。(拍手)かりに、官僚の拾頭は忍ぶべし、側近政治の横行は恕すべしとするも、買弁政治が行われ、恒久的な国家の奴隷化ありとするならば、日本国民ははたして何人がよくこれを忍ぶでありましよう。(拍手)われわれは、吉田内閣の逆コース政策の中に、多分にその危険を看取せざるを得ないものであります。
 今や、国際情勢はますます深刻化を加え、国の安全を保障することが一切の施策と構想に後先すべきのときにあたり、吉田首相の政治は、はたしてこれにこたえているであろうか。単に昭和二十八年度予算各案の中にこれを見出し得ざるのみか、首相を初めとする閣僚の言行の中のいずこにこれを見出すことができるであろうか。ただ占領治下の惰性の上に安座して倫安を楽しむ姿をわれわれは見るにすぎないのであります。われわれは、吉田内閣の施策を一切否認する意味において、予算各案に反対し、わが党提出の組みかえ動議に賛成をいたすものであります。(拍手)
○副議長(岩本信行君) 成田知巳君。
    〔成田知巳君登壇〕
○成田知巳君 私は、日本社会党を代表いたしまして、政府提出の昭和二十八年度三予算案並びに改進党、右派社会党提案の組みかえ動議にそれぞれ反対し、わが党提出にかかる独自の修正案及び動議に対し養成の意見を述べるものであります。(拍手)
 一般会計九千六百五億円に上る昭和二十八年度一般会計予算の特徴的性格の一つは独立予算たる点にありと、政府並びに自由党の諸君は宣伝これ努めておられます。先ほどの太田委員長の報告においても、同様な意味のことを述べておられる。しかしながら、講和条約により総司令部がなくなり、予算編成にアメリカ側からの直接干渉がなくなつたというような表面的な現象にのみとらわれることなく、本予算の底に流るる基本的なるものに眼を投ずるならば、本予算は決して独立予算と申すわけには参りません。(拍手)なぜならば、予算編成の過程におきまして独立国になつたはずの日本の大蔵大臣向井忠晴氏が、アメリカの一出先官憲にすぎないマーフィー大使もうでをやりまして、防衛関係費についてその指示を受けなければ予算案の結論を出すことができなかつたこの一事を見ましても、今回の予算は決して独立予算の名に値しない、むしろ従属国の予算であると断じたいのであります。(拍手)かのサンフランシスコ条約が、形だけの独立を日本に与え、実は合法的に日本の占領支配を継続、いな強化した以外の何ものでもない、まことに悲劇的な条約であつたことく、今回の予算案は、独立予算という粉飾のもとに、日本の政治経済を戦時体制に移行せしめ、アメリカのための再軍備を強行せんとするところの、まさに日本人の血と汗で書かれたアメリカのための予算であると断ぜざるを得ないのであります。(拍手)
 従属国の予算は、自主性のない、無性格、無方針の不完全予算であることをその特徴的性格といたします。予算審議の過程において、新警察制度の実施により予算の組みかえを必要とすると言明した大蔵大臣が、数日ならずして、組みかえを行わずと前言を翻し、あるいはまたわが党の追究にあい、債務として確認されていない対日援助費を予算に計上したことはまことに不穏当でございますと答弁した大蔵大臣が、これまた旬日を出ずして前言を取消したごとき、向井大蔵大臣の不見識もさることながら、従属国予算たる本予算の性格を端的に物語るものであります。
 本予算案の特徴的性格の第二は、インフレ予算であるという点であります。政府は、インフレーションを通じて、ますます激化する恐慌を一時的に回避するとともに、アイク教書の命ずるままに、朝鮮出兵を目標として、再軍備の促進と防衛生産体制の確立を一行わんとしております。まことに皮肉な結果ではございますが、戸締りのための再軍備を主張する政府、自由党の諸君は、再軍備のために恐るべきインフレヘの戸締りをまさにはずさんとしているのであります。
 向井蔵相が、当初予算編成にあたつて、財政規模の問題ととつ組みまして公債発行に反対をするとともに、防衛費の縮減により財政規模の拡大を防がんとした態度は、資本主義経済の長期的安定を欲する金融資本の立場を代表するものでありましてわれわれとその基本的態度において異なることはもちろんでありますが、一応蔵相のインフレ回避べの努力を買うに決して私たちはやぶさかなるものではございません。しかるに、向井蔵相は、自由党の横車にあい、あえなくも予算の増額、公債発行を承認し、自由党の党利党略に屈服して、遂に筋の通つた予算よりも、国会を通しやすい予算にしてしまつた。国民のための予算よりも、自由党のための予算にしてしまつたのであります。
 今回の予算案に伏在するインフレ的性格は、何よりもその財政規模に明らかに看取されます。政府は、予算総額九千六百五億円は、国民所得五兆六千七百四十億円に対し一六・九%に当り、昨年度の一七・三%より下まわつて財政規模の縮小を見たと言つておられますが、この説明には、はなはだしい数字のごまかしがございます。計算の基礎をなす国民所得五兆六千七百四十億円が、実はつじつまを合せるために国民所得を水増しした数字の手品にすぎないことは申すまでもない。これを一応論外といたしましても、まず第一に、一般会計九千六百五億円には、投資特別会計における三百億円の減税国債と、国鉄、電電公社の社債二百二十億を加算しなければならない。しかりとすれば、総額一兆百二十五億円となり、まさに一兆億円予算であり、国民所得に対する割合は一八%、昨年度に比較して一%の増となつております。さらに、二十七年度予算と比較するときは、本予算案が当初予算である以土、当然二十七年度のそれも、当初予算たる八千五百二十七億円の国民所得に対する割合、すなわち一五・八%と比較すべきであり、かくするならば、実に本年度は昨年度に比較して二%以上の財政規模の拡大となつております。しかも、このように拡大された財政規模において、防衛生産費その他の非生産的支出が増大していることは、ますますインフレ要因となり、同時にインフレーションを通じて国民生活を圧迫する結果となることは言うまでもございません。(拍手)現在、国民の生活水準が、戦前の昭和九年―十一年の平均までに達するにほど遠いことは、政府の発表の数字においても明らかであります。このように低い国民の生活水準下において、非生産的支出を削除せずして財政規模をいたずらに増大せしめることは、民生の安定、経済回復のための最小限度の必要経費さえも犠牲に供せざるを得ないことは理の当然であります。(拍手)
 政府並びに自由党の諸君は、非生産的支出たる防衛費の削減をやつた、減少させたと宣伝していらつしやいます。太田委員長もそのように報告された。しかしながら、予算書を一読すれば明らかなことく、減少したのは安全保障諸費であります。御承知のように、安全保障諸費は、駐留軍の都心より郊外への移転費でありまして、性質上一回限りのものである。当然わく外として考えなければならない。従つて防衛費が増加したか減少したかは、防衛支出金と保安隊費プロパーで比較すべきであります。とすると、二十七年度の保安隊費は五百九十一億円、防衛支出金は六百五十億円、計一千二百四十一億円である。二十八年度は、保安隊費は実に八百三十億円、防衛支出金は六百二十億円、計千四百五十億円に達し、差引実に二百九億円の大幅増額であります。公平に委員会の事実を報告すべき太田委員長が、ことさらに防衛費は減少させたと報告されたことはまことに遺憾でありまして、右派社会党の中村議員が追究された点もこの点にあると存ずるのであります。さらに、われわれの見のがしてならないことは、防衛支出金、保安隊費、平和回復善後処理費、連合国財産補償費等の一連の防衛支出金は、繰越し明許費という形で、翌年度に繰越し使用が認められている点であります。政府の提供する資料によりますと、河野議員の指摘したことく、二十七年度の防衛関係費総額二千二百六十三億円のうち、本年一月末現在使用済み及び債務負担行為済みのものは千三百十五億円でありまして、実に九百四十八億円の巨額の金が未使用残になつておる。先ほど中曽根議員が、これを二月、三月に使うということはまことに国費の濫費であると言つた。私たちは、国費の濫費はもちろん警戒しなければいけない。しかしながら、問題はさらに深いところにある、相当な金が二十八年度に繰越され、かくして二十八年度の防衛費は二千億円を越え、このように次次に国民の血税を積み重ねて行きましてある時期、ある段階が来ると、財源が十分にある、新しく税金をとらなくてもやれると国民を寵組して、一挙に再軍備を行わんとするのが自由党吉田内閣の真のねらいであります。(拍手)財政規模の拡大と非生産的支出の増大がインフレ要因たることは明らかであるにもかかわらず、政府は、公債の発行は公募により完全に消化可能であるから心配ないと言つている。また、財政規模の拡大の原因の一つは、見返り資金、資金運用部資金等の過去の蓄積財源の放出であるから、これまたインフレの要因にならずと強弁しております。発行公債が政府の言うように完全消化されるかどうか、一応されると仮定いたしましても、問題はそれほど簡単ではございません。公債発行による資金が長期設備に投資されるならば、再生産過程に入る前に時間を必要とすることはもちろんであります。また、投資の対象が防衛生産態勢確立のための軍需生産関係にあるときは、投資は再生産過程から脱落して行くために、インフレ要因となることは明らかであります。(拍手)しかも、今回の公債発行に至つた経過を翻つて考えてみるのに、かの屈辱的安保条約を締結すると同時に、これと引きかえに約束されました三億八千万ドルの外資導入が遂に不可能となつたため、これを国内資金でまかなわんとして国内の資金動員を行わんとするのが、今回の公債発行の原因であります。このことは、民間の平和産業資金に重圧を加え、平和産業物資の価格騰貴を惹起いたしまして、インフレヘの道をたどることは火を見るより明らかであります。(拍手)政府は、過去の蓄積資金の放出はインフレ要因にならぬと言い、吉田内閣は、過去におきまして、資金蓄積のためにいわゆる超汝術財政政策の方針を強行いたしまして、見返わ資金、外為特別会計を中心とするインヴェントリーで民間の資金を吸い上げましたため、はなはだしい民間資金への圧迫となつた。そのため政府は、財政金融へのしわ寄せ、すなわちオーバー・ローンという形で問題を一時糊塗して参つておるのであります。従つて、政府が言うがごとく、過去の蓄積資金の放出だからインフレにならないというためには、その前提として、現在のオーバー・ローンを解決しなければならない。しかるに、政府は、この問題に対して何らの具体的方策の持合せがなく、無準備のままに過去の蓄積資金を放出することがインフレ要因になることは、これまた論理の当然と言わなければなりません。(拍手)
 申すまでもなく、公債発行政策をとるときは、財政の長期計画を立て、前途の見通しを立てなければなりません。しかるに、政府は、何らの長期的見通しを持つことなく、財政的にどの範囲でまかなうかという漠然たるわくさえも明らかにしておりません。このことは、一体何を物語るか。申すまでもなく、いわゆる自衛力の漸増、自衛のための再軍備を中心にした政府の財政計画なるものが、実は日本の立場で、日本の自主的判断で樹立されずして、外国の一方的意思により、外国の戦略の命ずるままに行われていることを示すものでありましてここにも不完全予算、従属国予算の特徴があらわに露呈されております。(拍手)
 純軍事費の増大に並行いたしまして軍国主義的基盤の育成、すなわち、戦争準備体制強化のための支出が増加していることも、本予算案の特徴的性格の一つであります。すなわち、投資特別会計の設定、公共事業費、特定道路の整備、義務教育費国庫負担法等は、平和的なべールをかぶつてはおりますが、その内容を少しくしさいに検討いたしますならば、そのいずれもが独占資本、封建地主その他反動勢力の政治的、経済的基盤強化の役割を受持つていることに気がつくのであります。軍人恩給の復活が再軍備に備えての旧職業軍人の懐柔策であることは申すまでもない。しかしながら、この軍事費、準軍事費の増大のみをもつてしては、戦争準備の方策としてはまだ十分ではない。このことは当の政府自身がよく承知していらつしやる。現に、岡崎外務大臣は、予算委員会においてアイク教書が日本に要求する自衛力の増強とは一体いかなる内容のものをさしておるのかとの私の質問に対しましてこう答弁していらつしやる。自衛力の増強と申しますと、すぐに保安隊の人数をふやすように考えられるが、そうではなくして道路の整備、港湾の整備、あるいは食糧の確保、あるいは大きく言えば道義の高揚ということも自衛力の漸増になるのであると答弁されておる。この岡崎外相の思想こそは、まさにかの戦時中の国家総動員体制下の考え方であります。(拍手)現に、政府は、着々と、日本の政治、経済、文化等すべての面において、戦時体制強化のために必要なる、ありとあらゆる手段をとりつつあります。その具体的の現われの一つは、電産、炭労に対するスト禁止の弾圧法規の制定、及び義務教育費国庫負担の美名のもとに教員の政治活動の自由を剥奪せんとする、かの義務教育学校職員法案等であります
 電産、炭労のスト禁止法案は、昨年末の両組合のストが政治ストであり、ストの行き過ぎを防ぎ、公益を守る必要上提案されたと言われております。また、この法案に対し反対の立場をとつておる諸君の中にも、昨年のストは政治ストであると批判しておる方が相当あるのでありますが、かくのごとき見解は、両ストの本質がどこにあるかを故意に見ようとしないかあるいはまた両ストの表面に現われた形態にのみとらわれ、その底に流れる事物の本質を見る能力なき人の言であります。周知のごとく、総評傘下の労働組合は、平和を守り抜かんとして再軍備反対を唱えて闘つて来たのでありますが、この再軍備反対の基本的態度は、そのまま昨年の両ストにおいても貫かれております。現在、総評を中心とする賃金要求の理念は、生活水準の、戦前、すなわち平和時代への復帰の要求であります。この要求の核心をなすものは、再軍備計画の進展に伴う労働強化、賃金の切下げ、低賃金の固定化に反発せんとする労働者の強い意思であります。再軍備経済の進展に正比例して、再軍備経済が進展すればするほど、その負担が労働者の肩にかかり、犠牲が労働者にしわ寄せされることは、今回の無謀なる戦争中の経験により、労働者が一番よく身をもつて体験して知つております。だからこそ、労働者は再軍備に反対し、フリゲート艦やバズーカ砲よりも賃上げを、と要求するのであります。しかるに、とにもかくにも再軍備に反対し、労働者の賃上げ要求を支持しておる人々が、日本の置かれた現実の政治経済情勢に目をやることなく、労働組合運動を狭い経済闘争のわくにのみ機械的に限定して再軍備反対の旗じるしのもとに闘う労働組合運動を政治的偏向と批判することは、まつたく論理の矛盾と言わなければなりません。(拍手)かかる軽率な無責任なる批判こそが、素朴なる国民大衆を錯覚に陥れ、資本家及びその代弁者たる自由党をして本法のごとき悪法案を提出せしむるに至つた、まさに援護射撃の役割を果していることを、それらの人々は厳粛に反省すべきであります。(拍手)
 政府は、義務教育費国庫負担の名のもとに、義務教育学校職員法案を提出している。本法案を一瞥すればただちにわかるように、政府の言う義務教育費国庫負担は、単に教職員の給料を国庫負担とするというのみであり、しかもその負担も全額でないことは、予算委員会において本多国務大臣が答弁して、国庫負担九百一億円では教員の現員現給はまかない切れません、地方自治団体の負担をお願いすると答弁されておることを見ても明らかでありますまさに羊頭狗肉の法案であります。(拍手)すなわち、本法案は、国民の義務教育費負担を軽減し、地方自治団体の財政的危機を救うどころか、かえつてこれを増大せしむるものでありまして、本法案の真のねらいこそは教員の政治活動の禁止、労働運動の弾圧にあり、教育の反動化、軍国化を企図しておることは明らかであります。(拍手)
 さらにまた、政府は、警察法改正により、現行警察制度に根本的変更を加えんとしておる。本法案が警察国家の再現を企図するものであることは世間の常識であります。さらにまた、その長官に政党人たる国務大臣が当てられることは、まさに警察の政党支配を許すものであります。(拍手)
 再軍備に狂奔する自由党吉田総理は、右手に保安隊、左の手に警察力、この両権力を一手に掌掻いたしまして、銃剣とこん棒をもつて戦争に反対し平和運動に挺身する人々に迫害と弾圧を加えて再軍備、戦争への道をまつしぐらに進んでおるのであります。(拍手)私たちは、このような姿を見るにつけまして、かの東条首相が、同時に陸軍大臣と内務大臣を兼務して権力行使をほしいままにした、あの戦争中の暗黒時代を想起して、慄然たらざるを得ないのであります。(拍手)
 かくのごとく、国家財政の面において、あるいは諸法令の面において再軍備の促進、軍国主義の復活強化を企図しておる政府は、さらに国民道義の高揚、愛国心の涵養の名のもとに精神総動員を行つて戦時体制の精神的基盤を確立せんとしておる。吉田総理は、機会あるごとに、国民道義の高揚を口にし、愛国心の涵養を説いておる。しかしながら、吉田総理及び自由党の諸君の涵養したい道義あるいは愛国心とは、古い型の封建的道義であり、極端なる軍国主義的愛国心の復活であります。(拍手)一体、政府が国民道義の高揚を政策に掲げるときは、大体その内閣の命数尽きたときであり、まさに末期的な現象であります。(拍手)政治の貧困と無為無策のため人心うみ、政局の転換が必要になつたとき、必ず政府は国民道義の高揚を叫び、みずからの責任を国民に転嫁せんとするものであります。(拍手)また政府がことさらに愛国心の涵養を説くときは、歴史の示すところによれば、戦争の前夜の訪れたときであります。
 私たちは、かのサンフランシスコ条約は戦争の条約であることを指摘して反対し焼けて参つたのでありますが私たちの予想は不幸にして的中いたしました。条約締結の必然の帰結として、政府は、傭兵、再軍備の促進により、日本の青年諸君の血を外国のために流さんとしておる。政府は、私たちが限りなく愛するこの祖国日本の土地を、アメリカの前進基地とし、不沈航空母艦としようとしております。戦争は何ものをも解決することはできません。
 私たちは、真の平和と独立を願うがゆえに、戦争体制確立のための軍事予算たる本予算案、並びに政府原案に多少の粉飾を加えたにすぎぬ改進党及び右派社会党の修正動議に、まつ向うから反対するものであります。(拍手)しこうして、自主中立外交、再軍備反対の旗じるしのもと、わが党の経済五箇年計画に基き作成されました修正案は、すなわちインフレ要因たる国債発行三百億円を廃止しながらも、防衛費その他非生産的支出の全面的削除と、高度累進課税の採用、法人税等の合理化によつて得たる財源をもちまして、まず支出面においては、財産規模において政府原案に比し約三百億円の大幅縮減を見たるにもかかわらず、一万六千円ベースの実施、二重価格則度による一万円の米価の設定、食糧、電力、石炭を三重点産業として取上げ、これに集中的に財政支出を行うとともに、国家資金の計画的、能率的配分により、災害復旧費、文教費、民生安定費、中小企業振興費等に十全の配慮を加えておるのであります。このわが党独自の修正案こそ、裏に日本の平和と繁栄を保障するにただ一つの予算案であり、それゆえにこそ、日本の全労働者の力強い支持を受ける二とはもちろん、平和を愛好するアジア諸国民の全編的なる支持を得る確信のもとに、私たちは本修正案を提出したのであります。
 以上の見地に立ちまして政府原案並びに改進党、右派社会党の動議に反対し、わが党の修正案及び動議に積極的に賛成の意見を述べるものであります。(拍手)
○副議長(岩本信行君) 坊秀男君。
    〔坊秀男君登壇〕
○坊秀男君 私は、同友会を代表して、ただいま議題となつております政府提出の予算三案に対し、委員長報告通りこれに賛意を表し、右三案に関する改進党及び両派社会党のそれぞれ組みかえ動議ないしは修正案に対し反対するものであります。
 政府提出の予算案を大観いたしますると、まず一般会計におきましては、その総領九千六百余億円を計上し、歳計の均衡をはかつております。ところが、別に特別会計において、投資特別会計の財源として、いわゆる減税国債三百億円、政府機関たる国有鉄道及び電電公社の財源といたしまして計二百二十億円、すなわち合計五百二十億円の公債を発行する予定と相なつております。申すまでもなく、九千六百億円に上る金額は、一般会計予算としては未曽有の巨額であります。しかして、この一般会計のわくの外に公債を発行せんとしております。ことに、向井蔵相は、本予算案編成の過程において、一方一千億円の減税を行い、他方、前述の五百二十億円の公債の発行を予定しております。本予算が無計画であつてインフレをはらむ危険予算なりと一部の批判の生じておりますのは、おおむね以上予算総額の巨大なこと、公債の発行が予定されていること及び予算編成の過程に基因するものと思います。しかしながら、これらの事実より帰納して、本案をインフレ予算なりとするのは、きわめて短見であります。(拍手)
 まず、予算総額の巨大なることは、終戦以来、国民経済力がようやく回復上昇して来た実績を物語るバロメーターとして理解されるべきであります。一部財源を公債に求めたことをもつて、簡単に不健全財政とすることは誤りであります。(拍手)むしろ、いわゆるドツジ式超均衡財政から弾力性ある自主的財政に一歩踏み出したと見るへきであります。(拍手)わが国は、今日まで長期にわたる占領政策の一環として、超均衡財政をしいられて来たために、租税負担が累年加重せられ、民間資金の枯渇、オーバー・ローンに苦しんで参つたのは、諸君御承知の通りでございます。(拍手)
    〔副議長退席、議長着席〕
 今や、でき上りました二十八年度予算におきましては、このきゆうくつなるドツジ・ラインの桎梏より、小さいながら一つの突破口を見つけ出し、財政において初めて占領政策より脱却したのであります。(拍手)その画期的意義を認めねばなりません。このことにつきましては、あるいは、政府が与党の公約たる減税の実現と公共事業その他経費増額要請の板ばさみに耐えずして打ち出した窮余の一策との非難もありますが、それは当りません。これを客観的に見ますならば、向井財政が、長年にわたる与論たるドツジ財政修正の声にこたえ、独立せるわが国経済の実情に即してとつた予算編成と言うべきでありましよう。
 なお、このたびの国債についても公募の方針をとつておるのであります。従つて、この方針をもつて政府の施策よろしきを得ば、通貨増発のおそれはありません。(拍手)また、本予算実行にあたり千三百億円の散布超過が予想されておりますが、貯蓄政策の強化等によつて資金の還流が行われるにおいては、何ら恐るべきものはないのであります。(拍手)ことに、われわれの注目すべきことは、終戦直後、敗戦の手傷がいまだ生々しく、わが国生産力がまつたく地に落ちたころにおける通貨の増発は、ただちに悪性インフレを招来いたしましたが、今や飛躍的に回復した現下生産力の実情のもとにおいては、通貨の作用はいささかその趣を異にするものであります。この経済実情にあつて、本予算案を実行し、またこの公債を発行いたしましても、それはただちに物価の連続的高騰を惹起し、いわゆる悪性インフレに至ることなく、放出資金は完全に政府に還流せられ、いたずらなる通貨の増発を招来することもなく、堅実なる経済基盤を持つていると言うべきであります。(拍手)この程度の資金放出は、むしろ民間資金の枯渇を潤し、さらに生産過剰によるストックを消化することによつて景気上昇の誘因とさえなるのであります。(拍手)かくのごとくして本予算案は懸念される破局的インフレ予算には絶体にあらずして、(拍手)独立第一年度にふさわしい建設的、自主的予算であります。(拍手)
 本予算案編成の根本的な考え方は、大蔵大臣の財政演説において明らかなるところであつて、われらのおおむね同調し得るところであります。また、その内容を検討いたしましても、その基本方針に即していると認められます。特に、一般的にきわめて困難視されておりました防衛費の減額等が実現せられました反面、電源の開発、住宅対策等社会対策費、国土復興、食糧増産等のための公共事業費など、産業開発、民生安定のため、前年度に比して相当多額の経費を計上しておるのであります。(拍手)全体といたしましては、きわめて平凡に見える予算ではありますが、正常なる財政常識を完全に具現しておるのがこの予算案であります。(拍手)ことに、本案を通じて流れております一貫した思想、すなわち健全財政、安定金融の一線につきましては、われらの協力援助を惜しまないところであります。(拍手)これ、われわれが本予算案に同調賛成するゆえんであります。(拍手)
 しかしながら、もとより本案についても、私はこれを完全無欠なるものと言うのではございません。ただ、野党三派各個の修正案とは比すべくもなく、ベターであると断定せざるを得ないのであります。(拍手)すなわち、たとえば右派社会党修正案によりますれば防衛関係諸費の大部分、左派社会党修正案によりますればその全額がそれぞれ削減または削除されて、この財源が他の経費に流用されることとなつております。夢の国ならいざ知らず、国内、国際情勢の現実に即し、防衛費にかくのごとき大斧鉞を加えんとするがごときことは、本末転倒もこれよりはなはだしきはないのであります。(拍手)われらの断じて承服することができないところであります。改進党の修正案におきましては、蓄積外貨資金をこの際大いに流用せんとしておりますが、これまた思わざるもはなはだしいものと言わざるを得ません。(拍手)今日日本に蓄積せられておる十一億ドルの外貨資金は、主として朝鮮動乱に基く特需によるものであります。これは言うまでもなく臨時的外貨収入であります。臨時外貨収入を、この際容易にくずしてほかに流用すべきではないと思うのであります。(拍手)これを要するに、野党三派から各個に提出せられました組みかえ案ないし修正案は、いずれも政治、経済の現実と財政の実際を無視した机上の空論にほかなりません。(拍手)反対のための反対論と断ぜざるを得ないのであります。(拍手)
 以上申し述べましたる理由によりまして、私は、独立第一年度の総合予算を一日もすみやかに成立せしめ挙国独立体制整備の営みに入らんごとを熱望してやまず、ここにベターなりと信ずる政府提出三案に賛成し、野党三派の修正各案に対して反対するゆえんのものであります。(拍手)
○議長(大野伴睦君) 中村英男君。
    〔中村英男君登壇〕
○中村英男君 私は、無所属を代表いたしまして、昭和二十八年度予算案に対する反対の態度を表明するものであります。(拍手)
 まず第一に予算規模に関してでありますが、一般会計において総額九千六百五億円でありますが、これは、昭和二十七年度予算よりも多大なる膨脹を示し、特別会計、政府関係機関を加えると二兆億円をはかるかに超過し、しかもその予算の膨脹は消費面であつて、日本経済発展向上の積極的な面に使用せられないインフレ予算と断定せざるを得ないのであります。(拍手)これは、政府の見込みで水増しをし、国民所得に徴しても明らかで、五兆六千七百億円というものの約三分の一に相当する額でございます。
 第二に国民所得の問題で日ありますが、昨年の五兆三千八百億円から、国民所得の増額を五兆六千七百億円と見込んでいるけれども、全然さようなことはありません。いわゆる米国の軍備の中だるみと、朝鮮戦争の行き詰まり、また国際情勢の悪化に徴して、日本の経済状態は横ばいの形をとつておると断言せざるを得ないのであります。今日、かように国民所得が増大するとは考えられないのであります。
 第三には、この政府の国民所得水増しと、自由党の言う一千億減税との間に、きわめて大きなからくりがあると言うことができます。自由党の減税は、いわゆる税法上の問題であり、実質的には増税になるという珍現象を来しております。(拍手)この一千億減税を国民に宣伝せんとする自由党政府の国民所得水増し予算は、国民を欺くものであり、この予算は罪悪を犯していると断ぜざるを得ないりであります。(拍手)
 第四は防衛費の関係でありますが、防衛費の一千四百五十億円は、今年度総予算の一五%を占めております政府は、昭和二十七年度予算の防衛費関係は一千八百三十六億円で、総予算の二一%より減額したと言つておりますが、昭和二十八年度の千四百五十億円に昭和二十七年度防衛関係費の未使用部分九百四十六億円を加えますると、その予算額との比率は二五%を占めております。軍備を持たないわが国であり、再軍備をしないと称する自由党政府にしては、防衛費関係の費用が二五%を占めることはまことに恐ろしいことであり、自由党の公約がいかにでたらめであるかは、この予算を見ても明らかであります。(拍手)われわれは、かくのごとき厖大な防衛関係費を節減いたしまして、経済自立と国民生活安定の方面の支出を増額すべきであると信ずるのであります。しかるに、わが国経済再建のかぎというべき輸出促進と食糧増産対策に対しましては、きわめて申訳程度の予算しか計上されていないのであります。
 第五は、不急不要の経費を削減すべきであります。行政費の厩大なることはわが国予算の特徴であつて、行政費こそ節約をすべきであります。一般会計、特別会計にわたりまして旅費、物件費を二割削減しますると、ただちに三百五十億円の財政の節約になるのであります。この財源によつて《債発行を中止できるにかかわらず、それをなさずに、不健全財政を押し通さんとナる態度は、無責任きわまる財政政策と断ぜざるを得ないのであります。(拍手)
 第六には、われわれは、政府提出の警察法改正、義務教育費国庫負担に反対するものでありますこの二大悪法案は、地方財政を崩壊の危機に追いやるのでありまして、国家の予算的措置、法的措置を地方財政の犠牲の上に樹立せんとするやり方はもつてのほかであります。(拍手)この二つの法案は、地方財政に投げられた原子爆弾と水素爆弾であると断言することができるのであります。(拍手)
 第七は減税の問題でありますが、政府の行つているものは税法上の減税にとどまり、何らの減税措置をとつていないのであります。実質的な減税に主点を置き、所得税の基礎控除を引上げ、物品税の整備を行い、生活必需物資の物品税を廃止いたしまして、法人税については中小法人の税率を三五%に引下げることに留意すべきであります。次に、減税の恩典に浴する階級はともかくといたしまして、この恩典に浴しない階級に対しては、政府はどのような措置をとるのでありましようか、米価、運賃の引上げによりまして、これらの階級はますます困窮をきわめておるのでありまして、これに対しましては、すべからく社会保障制度を充実すべきであります。
 第八には、国家公務員のペース・アツプを考慮いたしまして、米価については二重価格制をとりまして、消費者の負担を軽減し、生産者に対しましては毒生産を償う米価を保障すべきであります。(拍手)また地方財政平衡交付金も大いに増額いたしまして、地方駐政の窮乏を救うべきであります。
 第九に、今度の予算は特定産業に景気を集中するものであると断言せざるを得ないのであります。すなわち、開発銀行融資に二百七十八億、公共事業費などに百六十億、住宅投資に三十八億、計四百七十六億円の増加でありますが、これはつまり、電源開発機械、土木機械、電気機械、木材、セメント等の一部特定巨大企業に支出を集中するもので、跛行インフレの危険すこぶる大なるものがあるのであります。(拍手)これに対しまして、中小企業金融公庫の新設による増加八十五億円、農林漁業金庫への貸出し増三十二億円にすぎず、これは前記の増加に比すれば、きわめて僅小なものであります。中小企業、農林漁業等、国民生活に最も密接な関係のある方面につきましては、わずかしか計上せず特定産業のみ利する予算の組み方は、まさに自由党的性格を示すものであります。
 大体以上のごときものがわれわれの二十八年度予算案に対すみ考え方であり、以上のごとき趣旨によりまして、政府案に対し反対の意思を表明するものであります。(拍手)
○議長(大野伴睦君) これにて討論は終局いたしました。
 これより採決に入ります。まず、宮澤胤勇君外九名提出、一般会計予算外二件の編成替を求めるの動議を採決いたします。宮澤胤勇君外九名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます
    〔賛成者起立〕
○議長(大野伴睦君) 起立少数。よつて宮澤胤勇君外九名提出の動議は否決せられました。(拍手)
 次に、河野密君外三名提出、一般会計予算外二件の編成替を求めるの動議を採決いたします。河野密君外三名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(大野伴睦君) 起立少数よつて河野密君外五名提出の動議は否決せられました。次に、成田知巳君外五名提出、一般会計予算に対する修正案を採決いたします。成田知巳君外五名提出の修正案に賛成の諸君の起立を求めます
    〔賛成者起立〕
○議長(大野伴睦君) 起立少数。よつて成田知巳君外正名提出の修正案は否決せられまし。
 次に、昭和二十八年度一般会計予算の原案につき採決いたします。この採決は記名投票をもつて行います。本件の委員長報告は可決であります。昭和二十八年度一般会計予算を委員長報告の通り決するに賛成の諸君は白票、反対の諸君は青票を持参せられんことを望みます閉鎖
 氏名点呼を命じます
    〔参事氏名を点呼〕
    〔各員投票〕
○議長(大野伴睦君) 投票漏れはありませんか。―投票漏れなしと認めます。投票箱閉鎖。開匣。開鎖。
 投票を計算いたさせます。
    〔参事投票を計算〕
○饒長(大野伴睦君) 投票の結果を事務総長より報告いたさせます
    〔事務総長朗読〕
 投票総数 四百三十七
  可とする者(白票) 二百四十一
    〔拍手〕
  否とする者(青票)  百九十六
    〔拍手〕
○議長(大野伴睦君) 右の結果、昭和二十八年度一般会計予算は委員長報告の通り可決いたしました。(拍手)
    ―――――――――――――
    〔参照〕
 昭和二十八年度一般会計予算を委員長報告の通り決するを可とする議員の氏名
  阿左美廣治君  阿部 千一君
  相川 勝六君  逢澤  寛君
  青木  正君  青柳 一郎君
  赤城 宗徳君  秋山 利恭君
  淺香 忠雄君  淺利 三朗君
  麻生太賀吉君  新井 京太君
  新井 尭爾君  荒舩清十郎君
  有田 二郎君  安藤 正純君
  伊藤 郷一君  伊能繁治郎君
  飯塚 定輔君  生田 和平君
  池田  清君  池田 勇人君
  池田正之輔君  石井光次郎君
  石田 博英君  石橋 湛山君
  犬養  健君  今松 治郎君
  今村 忠助君  岩川 與助君
  岩本 信行君  宇田  恒君
  宇都宮徳馬君  上塚  司君
  植木庚子郎君  植原悦二郎君
  内田 常雄君  内海 安吉君
  江崎 真澄君  江藤 夏雄君
  遠藤 三郎君 小笠原八十美君
 小笠原三九郎君  小川 平二君
  小澤佐重喜君  緒方 竹虎君
  尾崎 末吉君  越智  茂君
  大石 武一君  大泉 寛三君
  大上  司君 大久保留次郎君
  大倉 三郎君  大島 秀一君
  太田 正孝君  大西 禎夫君
  大野 市郎君  大橋 武夫君
  大平 正芳君  大村 清一君
  岡崎 勝男君  岡田 玉郎君
  岡田 忠彦君  岡野 五郎君
  岡本  茂君  奧村又十郎君
  押谷 富三君  加藤 精三君
  加藤 宗平君  加藤常太郎君
  加藤鐐五郎君 甲斐中文治郎君
  河台 良成君  河原田稼吉君
  勝俣  稔君  川島正次郎君
  川村善八郎君  川野 芳滿君
  菅家 喜六君  木村 公平君
  木村 武雄君  木村 文男君
  北 れい吉君  久野 忠治君
  倉石 忠雄君  栗山長次郎君
  熊谷 憲一君  黒金 泰美君
  小金 義照君  小坂善太郎君
  小平 久雄君  小西 寅松君
  小林かなえ君  小林 絹治君
  小山 長規君  木暮武太夫君
  河野 一郎君  近藤 鶴代君
  佐々木秀世君  佐治 誠吉君
  佐藤 榮作君  佐藤善一郎君
  佐藤虎次郎君  佐藤洋之助君
  坂田 英一君  坂田 道太君
  迫水 久常君  重政 誠之君
  篠田 弘作君  島村 一郎君
  首藤 新八君  周東 英雄君
  薄田 美朝君  鈴木 善幸君
  鈴木 直人君  砂田 重政君
  砂原  格君  關谷 勝利君
  田口長治郎君  田子 一民君
  田嶋 好文君  田中伊三次君
  田中 角榮君  田中 萬逸君
  高木吉之助君  高木 松吉君
  高橋 英吉君  高見 三郎君
  竹尾  弌君  谷川  昇君
  玉置 信一君  中馬 辰猪君
  塚田十一郎君  塚原 俊郎君
  辻  寛一君  綱島 正興君
  坪川 信三君  寺島隆太郎君
  戸塚九一郎君  徳安 實臓君
  富田 健治君  内藤  隆君
  中  助松君  中井 一夫君
  中田 政美君  中峠 國夫君
  中野 武雄君  中村 梅吉君
  中村 幸八君  中山 マサ君
  仲川房次郎君  永田 良吉君
  永田 亮一君  永野  護君
  永山 忠則君  長野 長廣君
  灘尾 弘吉君  南條 徳男君
  丹羽喬四郎君  西川 貞一君
  西村 英一君  西村 茂生君
  西村 直己君  貫井 清憲君
  根本龍太郎君  野澤 清人君
  野原 正勝君  羽田武嗣郎君
 橋本登美三郎君  橋本 龍伍君
  濱田 幸雄君  濱地 文平君
  林  讓治君  原 健三郎君
  馬場 元治君  日高 忠男君
  平井 義一君  平澤 長吉君
  平塚常次郎君  平野 三郎君
  廣川 弘禪君  福井  勇君
  福井 順一君  福井 盛太君
  福田  一君  福永 一臣君
  福永 健司君  船田  中君
  古島 義英君  保利  茂君
  星島 二郎君  本多 市郎君
  本間 俊一君  前尾繁三郎君
  前田 正男君  牧野 良三君
  益谷 秀次君  増田甲子七君
  松浦 東介君  松岡 俊三君
  松岡 松平君  松田竹千代君
  松田 鐵藏君  松永  東君
  松野 頼三君  松本 一郎君
  松山 義雄君  松村 光三君
  三池  信君  三木 武吉君
  三和 精一君  水田三喜男君
  水谷  昇君  南  好雄君
  宮幡  靖君  明禮輝三郎君
  村上  勇君  村松 久義君
  持永 義夫君  森 幸太郎君
  森   清君  森下 國雄君
 山口喜久一郎君  山崎 岩男君
  山崎  暴君  山村新治郎君
  山本 正一君  雪澤千代治君
  横川 重次君  吉江 勝保君
  百田  茂君  吉武 惠市君
  亘  四郎君  大橋 忠一君
  荻野 豊平君  木下 垂範君
  只野直三郎君  武知 勇記君
  福田 赳夫君  坊  秀男君
  久原房之助君否とする議員の氏名
  秋田 大助君   荒木萬壽夫君
  有田 喜一君   安東 義良君
  伊東 岩男君   井出一太郎君
  石坂  繁君   五十嵐吉臓君
 生悦住貞太郎君   宇田 耕一君
  臼井 莊一君   小川 半次君
  大麻 唯男君   大川 光三君
  岡田 勢一君   加藤 高藏君
  金子與重郎君   川崎 秀二君
  菅  太郎君   菅野和太郎君
  清瀬 一郎君   楠山義太郎君
  小泉 純也君   小島 徹三君
  小畑虎之助君   河本 敏夫君
  河野 金昇君   後藤 義隆君
  佐藤 芳男君   櫻内 義雄君
  笹森 順造君   笹山茂太郎君
  志賀健次郎君   椎熊 三郎君
  重光  葵君   白浜 仁吉脅
  鈴木 正吾君   園田  直君
  高岡 大輔君   高倉 定助君
  高瀬  傳君   高騰 長治君
  高橋 禎一君   武部 英治君
  竹山祐太郎君   舘林三喜男君
  千葉 三郎君   堤 康次郎君
  床次 徳二君   中島 茂喜君
  中曽根康弘君   中野 四郎君
  中山 榮一君   中村 寅太君
  中村庸一郎君   長井  源君
  並木 芳雄君   橘橋  渡君
  長谷川四郎君   早川  崇君
  平川 篤雄君   廣瀬 正雄君
  古井 喜實君   町村 金五君
  松浦周太郎君   松野 孝一君
  松本 瀧藏弔   三浦 一雄君
  三木 武夫君   宮澤 胤勇君
  粟山  博君   森田重次郎君
  森山 欽司君   柳原 三郎君
  山下 春江君   山手 滿男君
  山本 粂吉君   吉川 大介君
早稻田柳右エ門君   淺沼稻次郎君
  井伊 誠一君   井上 良二君
  池田 禎治君   石井 繁丸君
  今澄  勇君   受田 新吉君
  大石ヨシエ君   大矢 省三君
  岡部 周治君   甲斐 政治君
  加藤 勘十君   春日 一幸君
  片山  哲君   川島 金次君
  川俣 清音君   河上丈太郎君
  菊川 忠雄君   菊地養之輔君
  木下  郁君   熊本 虎三君
  河野  密君   杉山元治郎君
  鈴木 義男君   田原 春次君
  田万 廣文君   竹谷源太郎君
  辻  文雄君   堤 ツルヨ君
  戸叶 里子君   土井 直作君
  冨吉 榮二君   中崎  敏君
  中村 高一君   西尾 末廣君
  西村 榮一君   日野 吉夫君
  平岡忠次郎君   平野 力三君
  前田榮之助君   前田 種男君
  松井 政吉君   松尾トシ子君
  松岡 駒吉君   松前 重義君
  松本 七郎君   三宅 正一君
  三輪 壽壯君   門司  亮君
  矢尾喜三郎君   山口シヅエ君
  山下 榮二君   吉川 兼光君
  吉田 賢一君   吉田  正君
  足鹿  覺君   阿部 五郎君
  青野 武一君   赤路 友藏君
  赤松  勇君   伊藤 好道君
  井手 以誠君   稻村 順三君
  猪俣 浩三君   小川 豊研君
  加賀田 進君   加藤 清二君
  勝間田清一君   上林與市郎君
  木原津與志君   久保田鶴松君
  小松  幹君   佐々木更三君
  佐藤觀次郎君   坂本 泰良君
  志村 茂治君   島上善五郎君
  下川儀太郎君   鈴木茂三郎君
  多賀谷真稔君   田中織之進君
  田中 稔男君   楯 兼次郎君
  辻原 弘市君   永井勝次郎君
  成田 知巳君   西村 力弥君
  芳賀  貢君   長谷川 保君
  原  茂君    原   彪君
  福田 昌子君   古屋 貞雄君
  帆足  計君   正木  清君
  武藤運十郎君   森 三樹二君
  八百板 正君   八木 一男君
  安平 鹿一君   柳田 秀一君
  山口丈太郎君   山崎 始男君
  山田 長司君   山中日露史君
  山花 秀雄君   山本 幸一君
  横路 節雄君   和田 博雄君
  渡辺 惣蔵君   石野 久男君
  岡田 春夫君   黒田 講男君
  館  俊三君   川村 継義君
  辻  政信君   中村 英男君
    ―――――――――――――
○議長(大野伴睦君) 次に、成田知巳君外五名提出、特別会計予算及び政府関係機関予算の編成替を求めるの動議を採決いたします。成田知巳君外五名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(大野伴睦君) 起立少数。よつて成田知巳君外五名提出の動議は否決せられました。
 次に、昭和二十八年度特別会計予算及び昭和二十八年度政府関係機関予算の原案を一括して採決いたします。両案の委員長の報告はいずれも可決であります。両案を委員長報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(大野伴睦君) 起立多数。よつて昭和二十八年度特別会計予算及び昭和二十八年度政府関係機関予算は、いずれも委員長報告の通り可決いたしました。(拍手)
 これにて昭和二十八年度予算三件は議了いたしました。
 明三日は定刻より本会議を開きます。
 本日はこれにて散会いたします。
    午後九時九分散会