第015回国会 労働委員会 第6号
昭和二十七年十二月八日(月曜日)
    午前十一時二十二分開議
 出席委員
   委員長 田中伊三次君
   理事 石田 一松君 理事 前田 種男君
   理事 青野 武一君
      伊能繁次郎君    松山 義雄君
      持永 義夫君    菅  太郎君
      森山 欽司君    春日 一幸君
      矢尾喜三郎君    山口丈太郎君
      山花 秀雄君    石野 久男君
 出席政府委員
        大蔵政務次官  愛知 揆一君
 委員外の出席者
        日本国有鉄道
        総裁      長崎惣之助君
        専  門  員 横大路俊一君
        専  門  員 濱口金一郎君
    ―――――――――――――
十二月六日
 公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定
 に基き、国会の議決を求めるの件(内閣提出、
 議決第二号)
の審査を本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 参考人招致に関する件
 公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定
 に基き、国会の議決を求めるの件(内閣提出、
 議決第一号)
 公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定
 に基き、国会の議決を求めるの件(内閣提出、
 議決第二号)
     ――――◇―――――
○田中委員長 これより会議を開きます。
 まず公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基き、国会の議決を求めるの件(内閣提出、議決第三号)を議題といたします。政府より提案理由の説明を求めます。愛知大蔵政務次官。
○愛知政府委員 ただいま議題となりました公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基き、国会の議決を求めるの件について、その提案の理由を御説明申し上げます。本年三月二十二日に、全専売労働組合は、本年四月以降の賃金改訂に関する要求を日本専売公社に対して提出し、両当事者間で団体交渉を重ねましたが、妥結に至らず調伝段階に入り、七月三十一日、専売公社中央調停委員会は調停案を提示いたしました。これに対しては、双方ともに受諾しがたい旨を回答し、組合の申請により、八月二十三日公共企業体等仲裁委員会の仲裁手続に移行し、委員会は裁定を十一月二十七日下したのであります。
 右裁定によれば、その第一項及び第二項の実施及びこれに関連する追加経費として、昭和二十七年度予算に対し、さらに約九億三千万円を要することとなります。この追加経費は本年度予算に含まれておらず、給与総額につきましては、予算総則第六条の金額を超過することは明らかでありますので、これを支出することは予算上不可能であります。従つて、この裁定は、公共企業体等労働関係法第十六条第一項に該当するものと認められますので、本件を国会に上程いたし、御審議を願う次第であります。
 なお、現在御審議いただいております本年度予算補正案においては、本年十一月以降基準給与を一万三千七十四円として、総額約十億円の給与改善に必要な経費を計上いたしましたが、これによつても、なお裁定第一項及び第二項の実施並びにこれに関連する追加経費として約二億六千万円を必要といたします。
 以上、本件提案の理由を御説明申し上げましたが、何とぞ慎重御審議の上、国会の御意思を表明願いたいと存ずる次第でございます。
○田中委員長 次に本件について審査の必要上、参考人として専売労組の執行委員長平林剛君、公共企業体等仲裁委員会の委員長今井一男君の両君の出席を求めまして、意見の聴取をいたしたいと存じますが御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○田中委員長 御異議なしと認めまして、さように決定をいたします。
○田中委員長 次に公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基き、国会の議決を求めるの件(内閣提出、議決第一号)国鉄裁定の案件でございますが、これをも本日は議題といたします。
 前会に引続いてこの両案件について質疑をいたしたいと存じます。森山君。
○森山委員 大蔵政務次官おいでのようでありますからお伺いいたしたいと思います。資金運用部資金の翌年度繰越分についての、最も最近の会計計画をお伺いいたしたいと思います。
○愛知政府委員 資金運用部資金の最近の会計につきましては、昭和二十七年度の補正予算案とともに関係の部分を御審議願う分は提案をいたし、別途御審議を願つておるわけでございますが、ただいまの御質問は二十七年度から二十八年度にかけての問題でございましようか。
○森山委員 翌年度繰越しになるものとして御予定になつている計画が、幾らになつておるかということをお伺いしたい。
○愛知政府委員 私も今その繰越し金額の詳細なものは持つて参りませんでしたが、概略のところでございますれば二百六、七十億円になつておると記憶いたしております。
○森山委員 国鉄裁定に関連いたしまして、財源の一つとして、鉄道債券というようなアイデアがありますが、そういうアイデアについて、どういう御見解を持つておられるか、お伺いいたします。
○愛知政府委員 ただいまのお尋ねは、国鉄の、主として来年度の新線の建設あるいは電化等に関連いたしました建設の計画について、国鉄の起債の関係をどう考えておるかという御質疑だと思うのでありますが、二十八年度の国鉄の新線あるいは電化の計画につきましては、二十八年度の全体の予算の編成の考え方が、まだ十分に固まつておりませんので、数字をあげて御説明する段階に入つておりません。但し、資金運用部の資金繰り等の関係からいたしまして、他の事業関係について財政投融資の関係の均衡を考えながら、鉄道の関係に充当し得る余裕がございますれば十分に考えなければならない、こういう大体の考え方だけは固めつつあるわけでございます。
○森山委員 国鉄裁定を実施するための財源についていろいろ考えてみますと、一般会計剰余金などというものも、論理的には無理ですが、考えられる。それから今御計画になつておるもので、資金運用部資金翌年度繰越分をねらうということも考えられる。それから鉄道債券というものも、一応考えられるわけでありますが、その中で一番可能性があるのは資金運用部資金の翌年度繰越金で、今の説明によると二百六、七十億あるというようなお話です、国会がこれをどうしても実施しろということになつて参りますと、これを実施する財政的な方法としてはどういう方法が考えられるか、ひとつ愛知さんから伺いたいと思います。
○愛知政府委員 専売裁定については、本日提案をいたしまして、その御説明を申し上げたわけでありますが、国鉄の裁定につきまして、かりに国会の議決を経たということを、仮定の問題として考えます場合においては、財源的な措置としていろいろな方法が考えられると思うのであります。たとえば、これは主として経営的な賃金の問題でございますから、他の要素を考えない一番普通の考え方とすれば、やはり運賃の引上げということが、最も妥当ではなかろうかと考えられるわけであります。しかし、すでに昭和二十七年度の補正予算案に関連した考え方としては、国鉄として約三十億円の財源不足を資金運用部資金から調達をするというような便法も、暫定的には考られたわけでありますから、そういうふうな方法も、他のいろいろな要素と考え合せられて妥当であるということならば、資金運用部資金からある程度短期に借り入れるということも、あるいは可能かとも思いますけれども、要するに国会の議決があつたということをかりに考えた場合のことでありまして、これがどういうふうになるか、その結論が出ました場合には、あらためて具体的に考えさせていただきたいと思います。
○森山委員 国会の議決があつた場合、特に今回の裁定を問題にする場合において、運賃の値上げというのは、一応私は問題外になると思うのです。ですから、そうなれば、資金運用部資金の中から翌年度繰越分をねらう、それをさらに中から割愛するという以外に方法がないと思うのですが、愛知さんいかがでございますか。
○愛知政府委員 資金運用部資金の翌年度繰越分の問題でございますが、実はこれは二十五年度から二十六年度という過去一、二年の状態を考えてみますと、来年度に繰越される部分は非常に少いのでありまして、いわゆる財政全体の規模といいますか、動かし方から申しますと、散布超過が非常に多くなつて来ておる。さらに、こういう性質のものにその翌年度の繰越金を使うということになると、全体の産業計画を進めて行くための財政投融資の必要ということからいつて、来年度に非常に大きな問題を残すのではなかろうか。私の個人的な考え方ではございますが、来年度資金運用部資金の計画というものは、その比重が非常に大きくなつて来ると思うのであります。運輸関係はもちろんでございますが、その他の産業の開発等のためには、資金運用部資金の需要が非常に多くなつておる。それに対して、来年度との繰越金は、従来の実績から比べて相当少くなつて来ておる。こういう状況でございますから、私の現在の考え方としては、資金運用部資金の来年度の繰越金というものは、実に大切にしなければならぬのではなかろうか。こう考えますので、ただいまの仮定の問題を前提としてではございますが、森山さんの御意見には、にわかには賛成しがたいと考えます。
○森山委員 いや、仮定の問題ですけれども、もしここで国会としてこれを議決したらどうするのだということなんです。仮定の問題にお答えできないというのは、吉田総理以下、自由党の常套手段ですが、仮定の問題と言いましても、ここ二、三日できまるのですから、ともかくそういう場合についての一応御見解を伺つておかなければならぬ。特に大臣が来なくて、あなたが事実上の大臣みたいなものだ。あなたをそこまで信用しているのですから、もう少しはつきりしたお返事を願いたい。
○愛知政府委員 先ほども申し上げたかと思うのでありますが、今回のこの裁定の問題と直接関係があると申し上げると、言い過ぎかもしれませんが、すでに資金運用部資金からは、この国鉄の関係で三十億円出すことになつておるのでありまして、私どもの現在までの考え方としては、これ以上に資金運用部資金を使うということについては、いかがかと思うのでございます。しかし、森山さんの強調されておるがごとく、国会の意思というものは、政府側として何よりも尊重しなければならぬのでありますから、国会がそういう議決をなさつた場合には、必ずしもこれだけでなくとも、何らかの方法を考えなければならないということは、政府側としては当然のことでございますが、今日のところは、これ以上には、御追究いただきましても、はつきりお答えできないのであります。
○森山委員 われわれ国会議論する場合において、無責任な議論はしたくないと思うのであります。財政上の裏づけという問題も、これは必要最小限度には考えなければいけないと思う。それでありますから、財政上の問題として、愛知さんのような練達な方から、ともかくぎりぎり一ぱいの御返事は承らなければならない。そういう観点から見て、必要な手段というのは一体何か、私はその一例として資金運用部資金をあげたわけであります。あるいはほかにあるのかもしれない。ほかにないとすれば資金運用部資金になるかもしれない。ともかく国会の議決があつた場合においては、かたきを忍んでそこまで応じるだけの腹が一体大蔵当局にあるのかどうか、またやれるのかどうかということについてのはつきりした腹を、この際披瀝していただきたいと思います。
 それに関連して、いささか内部的な問題に入るようでありますが、そもそも今回の運賃値上げについての倍率は、二割案とか三割案とか、いろいろな案があつたそうであります。それが大蔵部内だか政府だか、いずれにしても、愛知さんに両方にまたがつておられるからよく御存じのはずですが、ともかく三割、二割、一割というのが一割におちついたということです、そういう運賃の値上げをしたということについての国鉄経理のしわ寄せ、これは今度の国鉄裁定の現実の実施面において、労働者に相当強くしわ寄せせられているということについて、愛知さんはどう考えておられるか、これもやはり政府の代表者として関達して伺つておきたい。
○愛知政府委員 まず第一に、先ほど申し上げたことを補足して申し上げますが、今度はそれならば財政当局として国鉄の裁定についてどう考えるかというふうな御趣旨をも含めたお尋ねかと思うのであります。そうだといたしますと、私ども財政当局としては、補正予算の編成に伴いまして、現在政府が考えております以上のことはできにくい。私どもとしては、諸般の情勢をいろいろ考え抜いた書く、いろいろ御不満の点もあろうかと思いますけれども、財政全般の事情から申しますれば、これ以上のことはなかなかやりにくにというふうに考えておるわけであります。でありますから、それ以上に進んで、裁定の問題について国会がどういう態度をとられるかという場合におきましては、やはり仮定の場合というふうに私どもとしては言わざるを得ない。そういつた場合に、どういう方法があるかということについては、先ほど申し上げました以上に、私としてはちよつとお答えがしにくいわけでございます。
 それから第二の運賃の問題でございますが、これまた先ほど申しましたごとく、運賃の引上げというふうなことについては、いろいろ議論もありますし、その対処策もあろうかと思いますが、私どもとしては、内部でどういう議論があつたかということは、別に今申し上げる必要はないかと思うのであります。旅客運賃は一月一日からでありますか、貨物運賃は二月から引上げを実施する、そうしてとりあえず暫定的な措置としては、足らずまいの三十億円は資金運用部から応援をする、これが現在の政府としての最善の方法である、こういうふうに私ども考えておるわけであります。
○森山委員 愛知さんの今のお答えは、私満足していないのであります。観点をかえてちよつとお伺いしたい。今の国鉄の運賃は、一般物価の水準からいいまして、高いと思つておられるか、低いと思つておられるか、伺いたい。
○愛知政府委員 これは現在の物価の全体の状況から申しまして、まず政府できめました、すなわち一割の引上げが、今日のところとしては妥当であろうと考えております。従つて、高いか低いかということについては、指数等をとつて比べました場合には低過ぎるという見方もできようかと思いますが、政策の問題として、今日のところはこれが妥当だと考えております。
○森山委員 政策の面から高いとか低いとかいうことではなくして、他の一般物価の値上りに比べて、旅客運賃の倍率は何倍、貨物運賃の倍率は何倍、一般物価の倍率は何倍、従つて政策的見地を離れて、高いか低いかということを承りたい。
○愛知政府委員 ただいまその計数は持つて参りませんでしたが、これは客観的な事実としてお答えができると思いますから、資料によつて後刻お答えすることにいたしたい。
○森山委員 裁定書によりますと「収入の本源たる運賃は、昨年十月の改正により、昭和十一年度に比べ、旅客において一〇九倍、貨物において一五七倍となつたに過ぎず、賃金の約二六〇倍、卸売物価の約三五〇倍と比較してもその権衡を得ないことは明らかであり、」云々、とあるのですが、こういう点から見たら、均衡を得ないということはあなたもお認めになりますか。
○愛知政府委員 先ほど申し上げました通り、こまかい資料をただいま持つて参りませんでしたから、それを見まして、お答えをいたしたいと思うのでありますが、今お示しの通り、仲裁裁定書昭和二十七年八月十三日、公共企業体等仲裁委員会の二十四ページの第五項目には、ただいま読み上げになりました通りのことが書いてございます。私もこの通り読むわけでございます。
○森山委員 どうも愛知さんは、まことにけしからぬのであります。あなたは非常に数字にお詳しい方なので、この数字があなたの経済常識から見て、大体間違いのない数字であるということは、お認めにならないのですか。
○愛知政府委員 でありますから、ここに書いてあることは正しいと申し上げたつもりでおります。
○森山委員 しからば、運賃が比較的低位にあることは、お認めになるでしよう。
○愛知政府委員 これはそう認めざるを得ないと思います。
○森山委員 そうすると、あなたは先ほど来お話のように、政策的には低くはないが、政策的見地を離れて、現実的には低くなることは認めざるを得ない。要するに、鉄道運賃は政策的に押えておるということになるわけですね。ですから、政策的に押えておるということが、国鉄の経理を圧迫しておる大きな一つの原因になつておるわけです。それに対して、国家としてはどの程度の保護政策と申しますか、経理的な保護政策を加えておられるのですか。
○愛知政府委員 その点については、結局先ほどの問答を繰返すことになると思うわけでありますが、そういう点もございますからこそ、この際といたしましては、資金運用部資から相当額の融資と言いますか、資金的の援助をすることになろうと思うのであります。そうすると、おそらく森山さんは、それならば来年度へ繰越した資金運用部資金をみんな国鉄に出してもよいじやないかというふうに、さらにまた質問を展開されるだろうと思いますが、――そういうことも考えられましようけれども、今度は資金運用部の立場になつて、全体の財政と融資というものを考えます場合には、さらに政策の見地から、こういう方面だけにこれを充当して使えということは、できないのじやなかろうか、そういうことを先ほども申し上げたつもりであります。
○森山委員 愛知さんはそうおつしやいますけれども、国鉄は経営面もあるけれども、労働面もあるわけですね。そうして労働面の最小限度というものは、やはり裁定の線を尊重することであろうと私は思うのであります。しかも今回の裁定の線は、社会の通念から見まして、決して高い線ではないと私は思う。しからば、最低限それを尊重するということにならなければならない。ですから、財政当局のやる仕事は、何も国鉄だけをあずかつているのではない、もつと大きな全般をおあずかりになつておるのでしようけれども、少くも政府機関としては、いろいろな経営をおあずかりになつているが、その経営と同時に、労働画もおあずかりになる。従つて、その労働面としては国鉄の場合には国鉄裁定の線を最低限度お認めになるようなお取扱いをなさるのが、私は当然であろうと思うのであります。それをなさつておらないというところに、問題があるのじやないかと私は思う。それだから、すでにあなたの言われたことは、お認めにならなければ、つじつまが少し合わなくなつている。どうしても、しわが他に寄つて来て、多少資金運用部資金の翌年度繰越分に食い込んで来れば、苦しくなるにきまつているが、労働という面を相当重く見て行けば、多少財政面において苦しくとも、財政的の立場からがまんできないかどうかということを、私はあなた方にお伺いしているのです。そこは金額の問題でしようけれども、かりに今のままで行きますと、労働組合あたりは百億だと言つている。かりにそれが五十億という計算が出るかもしれない。百億の場合はどうか、五十億の場合はどうか、一体そんな計算をしてみたことがありますか。
○愛知政府委員 私は森山さんのおつしやることも、ごもつともだと思うのでありますが、労働問題というものを軽視しているつもりは、財政当局でも決してないのであります。しかし、これは国鉄だけとか、あるいは専売だけという問題でもございませんので、一般公務員その他地方公務員等とのバランスを、常に考えて行かなければならないということから思しますと、そうそうあなたのおつしやるように、クリアカットにイエスかノーか、あるいは何十億まではいいが、何十億以上はいけないのだということは、数字を扱います財政当局の立場からいつても、ちよつと申し上げかねると思うのでありまして、その辺は御了承願いたいと思うのです。
○森山委員 公務員なんかの、バランスは、何も大蔵省あたりがお考えになるよりも、公共企業体はちやんと裁定が出ているのですから、その線を御尊重になればいいのじやないか。今お話を伺つておりますと、大蔵省はあたかも国会に優位するような印象を受けるのですが、いかがでしようか。あるいは政府といいますか、政府がきめてかかる、そうするとそういう考え方が国会に優位するがごとき印象を受けて参りますが、いかがでありましようか。少くとも裁定に対する限り、国会の承認を受けてかかるという建前になつておりますから、公務員とのバランスとか、何のバランスとかいうことについて、今おつしやつた点については、いささかいい過ぎになつておられませなか。
○愛知政府委員 ちよつと私の申し上げ方が悪かつたかもしれませんけれども――この点私先ほど一番最初にお答え申し上げたところに帰るわけではありますが、あなたは、かりに裁定があつて、その裁定をのむかのまぬかということを国会が審議をして、のんだ場合の、これが適当だといつて承認を与えた場合はどうするかとおつしやつたから、そういうときには、われわれ財政当局としていろいろ知識を働かせて、それに応ずるようにしなければならないと申し上げました。そのことと同じことなんでありまして、われわれが今あなたのおつしやるようなことを考えているとすれば、とんでもないことでありまして、仲裁委員会が裁定をして、それを国会が審議をされて、その結果がどうなろうとも、政府側、執行部としては、それに従わなければならぬ。従う場合に、どういう知恵を出して従うかということは、今度はその際の執行部である政府の方におまかせ願いたい、こういうふうに考えるわけであります。
○石田(一)委員 関連して……。今、公務員と国鉄、専売その他の公共企業体の従業員の給与の問題は、バランスをとつているとおつしやつたのですが、公務員と国鉄従業員のバランスは、どういうふうにとられたか。それならば、なぜ公共企業体の従業員と一般、たとえば私鉄あたりの従業員とのバランスをどうしておとりにならないのか。もし公務員とバランスをおとりになつて、いるならば、どういうふうにおとりになつているか。なぜ一般私鉄あたりの従業員とのバランスも考慮の中にお入れにならないか、その点を聞きたい。
○愛知政府委員 それは私の申し上げ方が足りなかつたかもしれませんけれども、国鉄の場合にいたしましても、公共企業体等仲裁委員会の裁定書の中にも、私の今申し上げましたような趣旨は出ているはずでありまして、たとえば類似の私企業の場合、あるいは最近までに至る物価の値上りであるとかいうような点については、やはり裁定をされる立場の方においても十分考慮される要素ではなかろうかと私考えましたので、その点を私も同様だと思つたものですから、国鉄だけが幾ら上げてもいい、あるいは専売だけは安くてもしかたがないという問題の筋合ではあるまいというような趣旨を、私はちよつと申し上げたつもりであります。
○石田(一)委員 企業体の従業員ではなくて、たとえば人事院勧告によつて賃金ベースを決定される公務員と、今回の、特に具体的に言えば仲裁定によつて裁定された国有鉄通の従業員とのバランスの上に立つて、今回の補正予算等も考慮された。そうでありますと、どういうバランスをおとりになつたのか、どこにバランスがあるのか、平均があるのかそこをお聞きしたいのですどちらかの方をどれだけ上げて、どちらの方をどれだけ下げたか。
○愛知政府委員 バランスをとつて具体的に何万何千という数字を申し上げたのではない。私の申し上げたのは、抽象的な考え方を申し上げただけでありまして何もどつちがどうで、どうだこうだということを、何銭何厘に至つて均衡をとるというような意味で申し上げたつもりはありません。
○石田(一)委員 そうすると、あなたは森山委員の質問に対して、仲裁裁定の決定、国鉄従業員あるいは公共企業体の従業員のペース等については、やはり一般公務員とのバランスも考えなければならないとおつしやいましたが、そんなことは御説明の理由にはならない。ただ一般的な抽象的な金銭の具体的な問題に入らないで、バランスをとつているというのなら、それはバランスをとつているのではない。それはただ言い訳をしていらつしやるにすぎない。都合の悪いときには公務員の場合をとつて公務員のバランスが低ければ高い方に合せる。高ければ一般に合せる、こういう言い訳にすぎないので、前のあなたがバランスをとるとおつしやつたことは取消さなければならない。今の委員の質問に対してなさつた御答弁は全然食い違うことでありますから、先ほどのバランスをとると言つたことはお取消しになつたらいかがですか。
○愛知政府委員 私は決して矛盾しておるとは思わないのであります。バランスをとるということが、具体的な数字でどうこう申し上げたつもりはないので、しかもバランスをとるということを、私ははつきり申し上げたかどうか、私もちよつと記憶が不十分でございますから、速記録を調べてあなたのおつしやるように不穏当なところがあれば取消します。
○石田(一)委員 私が一言申し上げたいことは、聞いておりまして、今度の国鉄の裁定と一般公務員の人事院勧告と、いろいろ比較検討してみますと、むしろバランスがとれていないと思つております。公務員とどういうところがバランスがとれておるかというと、人事院勧告の公務員ベースは五月実施しろといつたが、片方は八月からといつた、これを両方とも十一月にした、こういうことがバランスらしい。それは、バランスにはならないということを言いたかつた。だから、公務員とのバランスとか、平均とか、あるいはこういう言葉を使つてこれを説明されることには、どうも予算面からも、また実際の面からも、ちよつと私には納得できないことがあつたのでお尋ねしたので、決してあげ足をとるわけでも何でもありません。ただバランス、バランスと言われておることは、あまりただいまのような具体的な質疑応答の中では、お用いにならない方がいい。実際にはバランスはとれていない、こういうことなんであります。
○森山委員 愛知さんのは、とにかくできるだけ予算措置についてよろしくお考えを願いたいと思うのであります。
 国鉄総裁にお伺いしたいのでありますが、仲裁裁定書には、予算的に裁定の実施が可能であるというがごとき表現が出ておるのであります。特にその中に「なお国鉄は現在限度一杯の償却を行いつつあるが、これを他産業並みに考えるならば、百五十億円程度は減額されて然るべきものである。また運輸収入に対する修繕と償却の合計につき、私鉄を基準として算出すれば二百億円以上の負担軽減となり、昨年度の国鉄の比率に従えば百十億を減ずべき計算となる。」ということが出ておる。国鉄のいろいろな資料を拝見いたしますと――私、この日曜日にこれを読んたのでありますが、非常に国鉄側の御意見と食い違つておる。われわれは労働委員でありますから、仲裁裁定書というものを非常に高く評価しておつたのでありますが、あまりにも国鉄当局と仲裁裁定書との財源的な理由の説明の間に食い違いが大き過ぎますために、いずれが是なりやということについて私は苦慮いたします。財源面から、もしも仲裁裁定書というものが根拠がないものであるならば、今後仲裁裁定というものは権威を失墜するのではないかというふうにさえ感ずるのでありますが、この財源面の一部についての国鉄総裁の率直な御見解を承りたい。われわれは労働委員でありますけれども、きわめて公平な見方をしておるということを前提の上に御発言願いたい。
○長崎説明員 お答えいたします。まず裁定理由書の第七の冒頭を読みますと、これは本年度だけのことを言つているようでもありますが、前にも述べたように、本年度予算には期待し得る余裕が乏しい。本裁定実施のためには、本年度において賃金総額を百二、三十億円程度追加することを要するが本年度予算には、期待し得る余裕が乏しく、その大部分は他に俟つのほかはない、こうあるのでありまして、それから先ほどいろいろ御議論になつたような、五の「収入の本源たる運賃は、」云々というようなことがありまして、大体私は委員長のお考えもそういう面では同じである。ただ四のところが問題でしようが、「現在国鉄において最も注目すべきことは、戦災に伴う復旧復興、戦時中の酷使並びに修理不足による老朽荒廃に対する急速な修繕の要請が極めて強いことである、」――この財源をいかにすべきかという点で、いろいろと委員長は意見を述べておられるようでありますが、これは要するに、こういう資金を借入金、あるいは鉄道債券とでも申しますか、そういうものでやるのがいいのじやないか、そうする場合にはいろいろな手がまた出て来るのじやないか、こういう御意見のように私は拝聴するのであります。それが可能でありますれば、これはまたいろいろのやり方もあり、また借入金の返済をどうするかというような償還計画についても問題が起るかと存じますが、それだけに借入金が、現在までの経験から申しますと、なかなかできない。少くともそこに非常に困難があるという見地からいたしまして、これは全面的に御賛成ができないのであります。この意見自体が間違つているとは思いませんが、実際問題として、われわれの要求するような多額の復興資金とでも申しますか、早く国鉄をもとの姿に返して、さらに進んでは増収等もはかられるように、近代的な鉄道にして行きたいというような目的から申しますと、資金の要請が非常に大きいので、仲裁裁定の委員長の御意見通りには、なかなか参らないのではないか。一つの見方ではあるが、実際問題としては非常に困難があるのではないかと考えております。
○田中委員長 それでは本日はこの程度にて散会をいたします。
 次会は明九日午前十時より参考人の意見を聴取いたします。
    午後零時四分散会