第015回国会 労働委員会 第12号
昭和二十七年十二月十六日(火曜日)
    午後二時二十七分開議
 出席委員
   委員長 田中伊三次君
   理事 吉武 惠市君 理事 石田 一松君
   理事 前田 種男君 理事 青野 武一君
      麻生太賀吉君    伊能繁次郎君
      今松 治郎君    大平 正芳君
      倉石 忠雄君    中  助松君
      中田 政美君    松山 義雄君
      持永 義夫君    森   清君
      山村新治郎君    菅  太郎君
      千葉 三郎君    森山 欽司君
      春日 一幸君    菊川 忠雄君
      矢尾喜三郎君    山口丈太郎君
      山花 秀雄君    石野 久男君
 出席国務大臣
        運 輸 大 臣 石井光次郎君
 出席政府委員
        労働政務次官  福田  一君
 委員外の出席者
        日本国有鉄道副
        総裁      天坊 裕彦君
        専  門  員 横大路俊一君
        専  門  員 濱口金一郎君
    ―――――――――――――
十二月十六日
 委員越智茂君、久野忠治君、高木松吉君、中山
 マサ君及び山崎岩男君辞任につき、その補欠と
 して重政誠之君、倉石忠雄君、麻生太賀吉君、
 山村新治郎君及び中助松君が議長の指名で委員
 に選任された。
同日
 委員重政誠之君辞任につき、その補欠として中
 田政美君が議長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
十二月十五日
 労働金庫法案(吉田法晴君外十四名提出、参法
 第三号)(予)
の審査を本委員会に付託された。
同日
 電産争議の早期解決に関する陳情書(東京都議
 会議長齊藤清亮外九名)(第七九三号)
 同(東京都電力協会会長土光敏夫)(第七九四
 号)
 同(群馬県議会議長金子金八)(第七九五号)
 同(広島県知事大原博夫)(第七九六号)
 電産スト防止立法に関する陳情書(福井県電気
 協会会長黒川誠一)(第七九七号)
を本委員会に送付された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定
 に基き、国会の議決を求めるの件(内閣提出、
 議決第一号)
 公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定
 に基き、国会の議決を求めるの件(内閣提出、
 議決第二号)
 日本電信電話公社職員の賃金改訂に関する件
    ―――――――――――――
○田中委員長 それではこれより労働委員会を開きます。
 公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基き、国会の議決を求めるの件(議決第一号)及び公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基き、国会の議決を求めるの件(議決第二号)を一括して議題といたしまして、質疑を継続いたします。山村君。
○山村委員 両件につきましては、質疑はこれをもつて終局せられんことを望みます。
○田中委員長 ただいまの山村君の質疑打切りの動議に御異議ありませんか。
  (「異議なし」と呼ぶ者あり)
○田中委員長 御異議なしと認め、さように決定をいたします。これによつて質疑は終局をいたしました。
 この際両件につきまして、自由党の山村君及び改進党の森山君より、いずれも発言を求められております。順次その発言を許します。まず自由党の山村君。
○山村委員 公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基き、国会の議決を求めるの件、議決第一号及び第二号につきまして、次のような二つの議決案を動議として提出いたします。
 国鉄関係につきまして
   議決案
  本件は、公共企業体等仲裁委員会
 裁定中第一項は、昭和二十七年十一
 月以降実施するものとして、これを
 承認する。
   附帯決議
 一、昭和二十七年公共企業体等仲裁委員会仲裁裁定第八号の裁定第二項、第三項及び第四項の団体交渉を速かに妥結するよう、両当事者においてできる限り努力すべきである。
 二、第四項の年末手当については、国家公務員等との均衡を実質的に考慮した額を支給し得るよう政府並びに日本国有鉄道において努力すべきことを要望する。
 専売関係
   議決案
  本件は、公共企業体等仲裁委員会裁定中第一項は、昭和二十七年十一月以降実施するものとして、これを承認する。
   附帯決議
  年末に際し支給せられる奨励手当、報償金等の額については、実質上国家公務員との均衡を失しないよう政府並びに日本専売公社において努力すること。
以上。
○田中委員長 次に森山君。
○森山委員 公共企業体等仲裁委員会の裁定に対する議決案を朗読いたします。
 国鉄関係につきましては
  公共企業体等仲裁委員会の裁定(昭和二十七年八月十三日仲裁裁定第八号)はこれを承認する。
   附帯事項
 (イ) 裁定に関し基本給の新旧給与の差額のうち八月から十月までの分については十二月中に一時金により支払うこと。
 (ロ) 政府は裁定中の年末手当について一・ニ月分を基礎として予算措置を講ずること。
 次に専売関係につきましては
  公共企業体等仲裁委員会の裁定(昭和二十七年十一月二十七日仲裁裁定第九号)はこれを承認する。
   附帯事項
 (イ) 政府は決算賞与については昭和二十八年度実施のため必要な予算上、法律上必要な措置をとること。
 (ロ) 政府は年末手当についても一・二ヶ月分を基準として、予算措置を講ずること。
 以上でありますが、若干補足して御説明を申し上げます。
 まず国鉄関係について申しますと、公共企業体等仲裁委員会の裁定、その本国会におけるところの議決の対象は、第一項、すなわち「日本国有鉄道における特定職員を除く全職員の基本給は、昭和二十七年八月以降、平均月額一万三千四百円とする」ということを、これを全面的に承認するものであります。その点ただいま自由党側から提案いたしました十一月以降という点と、趣を異にするものであります。
 この附帯事項といたしましては、その基本給の新旧給与の差額のうち、八月から十月の分については十二月に一時金として支払うこと。これは予算の積算の上におきまして、八月に繰上げて実施するのと十一月より実施いたしまして十二月一時金として支払うのでは、その額に異動を生ずるのでありますが、専売関係の裁定の場合には裁定が出された時期が十二月でありました関係上、すでにこれと同趣旨の項目がございますので、それと同じ意味においてこの附帯事項の(イ)を設けたわけでございます。
 (ロ)といたしましては、政府は裁定中の年末手当――これは裁定によりますと団体交渉によつてきめるということになつておりますが、予算措置の問題もありますので、人事院の勧告によりまして現業公務員に対する年末手当は一・二箇月分ということになつております。その額を妥当と認めまして、これを基準として予算措置を講ずることを附帯決議としておるわけであります。
 それから専売関係につきましては、議決の対象となる仲裁裁定は、その第一項、第二項両方にかかつております。すなわち第一項といたしましては「公社職員の昭和二十七年度における基準賃金は、八月以降月額平均一万三千百円とする。」第二項は「前項による新旧賃金の差額のうち、八月から十月までの分については、公社は十二月中に一時金として支払うことができる。」これをこのままわれわれは承認しようとするものであります。自由党はこれを十一月より承認するというので、昭和二十七年度補正予算と全然差がないのであります。
 附帯事項といたしまして(イ)は、決算賞与につきましては昭和二十八年度、すなわち来年度実施のため必要な予算上、法律上必要な措置をとること。これを特に書きましたゆえんは、決算賞与の問題については、すでに三年ほど前の裁定で、これを実施するように仲裁委員会から出ておつたのでありますが、今日に至るまで実施しておらなかつたのでございます。従つて、専売公社に関する限りは、この決算賞与については来年度は必ず実施し得るような予算上、法律上の必要な措置をとることを附帯決議として特に明記いたしました。この点につきましては、すでに本委員会におきまして、公社側から、これを実施いたす旨の発言があり、さらに予算委員会において、大蔵大臣より、これを実施するという御発言があつたのでありますが、念のためこの附帯決議の中に取上げたわけであります。
 (ロ)の年末手当につきましては、仲裁裁定には書いてないのでございますが、公共企業体等仲裁委員会の委員長である今井一男氏の本委員会における意見によれば、この年末手当は別途これを考慮すべきものであるという明確な発言がありましたし、この際関連がございますので、国鉄と同様、そして国鉄と同様の意味をもつて、現業国家公務員に対するところの人事院勧告に従い、一・二箇月分を基準として予算措置を講ずることというようにいたしたわけでございます。
 私ども改進党、両社会党、労農党の野党各派が、本議決案を提案いたしますゆえんのものは、公共企業体等労働関係法の第一条の目的、すなわち「公共企業体の職員の労働条件に関する苦情又は紛争の友好的且つ平和的調整を図るように団体交渉の慣行と手続とを確立することによつて、公共企業体の正常な運営を最大限に確保し、もつて公共の福祉を増進し擁護することを目的とする。」「国家の経済と国民の福祉に対する公共企業体の重要性にかんがみ、この法律で定める手続に関与する関係者は、経済的紛争をできるだけ防止し、且つ、主張の不一致を友好的に調整するために、最大限の努力を尽さなければならない。」という、この立法の目的により、さらに公労法第十六条第二項の解釈は、かかる観点から理解さるべきであり、従つて、もしそれが政府の解釈するような封建的解釈によつて本委員会でこれを議決しようとも――政府は、議決の実施については法律上の責任はない、単なる道義上の責任をとるにすぎないというような解釈をかりにとるにいたしましても、実質においてこの公共企業体等仲裁委員会の裁定はこれはのむべきものであり、これは労働政策上の最低基本線でなければならないとわれわれは信じたからであります。
 御承知の通り、電産、炭労、この両ストは、目下紛争の過程にあるのでありますが、これに対するところのすみやかなる解決の基準といたしましては、電産においては調停案、炭労においてはあつせん案を基準にすべきものであるということを、これは野党各派のみならず、政府与党も同様の意見をお持ちになつておるでありましようし、輿論もまたこれを支持しておるのであります。少くともこれらの民間産業の非常に重要なストというものに対して、これだけの見解が示されましたならば、私どもはこの裁定案は、これをそのままのむべきものであると考えましたがゆえに、以上のような議決案を提出した次第でございます。
○田中委員長 ただいまの山村、森山両君の動議につきまして、これを一括して討論に付します。討論は通告順によつてこれを許します。まず自由党伊能君。
○伊能委員 私は自由党を代表いたしまして、議決第一号に関する山村新治郎君の動議に賛成し、森山欽司君の動議に反対の討論をいたしたいと存じます。
 本件に関しましては、すでに当委員会において、数次にわたりまして慎重検討をいたして参つたのでありますが、今日の国家財政の現状から判断いたしまして、国有鉄道職員の方々の生活窮乏の状況は、まこと御同情にたえないものがあるのでありますが、その基本給は本年十一月以降平均一万三千四百円とすることも、やむを得ないと信ずる次第でございます。裁定第一号の趣旨をそのままのみますことは、望ましいことではありますが、ただいま申し上げましたような国家財政の現状からいたしまして、どうしても不可能ではないか、かように考えられるのであります。
 次に裁定第二項以下につきましては、裁定に示す通り両当事者間におきまして、すみやかに妥結に至るよう、さらに団体交渉において努力すべきであると存じます。ことに第四項の年末手当につきましては、国家公務員との均衡を考えまして、政府、国有鉄道当局並びに労働組合の間におきまして、これまた団体交渉の妥結に努力することが望ましいのでありますが、この年末手当の額については、少くとも一般職の公務員の職員の年末手当等との均衡を実質的に考慮をした額を下らない額を支給するよう、政府並びに日本国有鉄道において、あらゆる努力をなすべきもとと認める次第でありますから、国有鉄道職員の方々におかれましても、これらの事情を了といたしましてこの程度でごしんぼうを願い、ますます日本国有鉄道本来の使命達成に努力せられんことをお願いしたいと存ずる次第であります。
 次に、議決第二号に関しましては、私は山村君の動議に賛成をし、森山君の動議に反対をいたしたいと存ずるものであります。
 本件もまたこの委員会におきまして数回にわたつて慎重審議をされたのでありますが、これまたわが国の当面の財政状態からいたしまして、裁定第九号の第一項については、昭和二十七年十一月以降実施するのは、真にやむを得ないところであると信ずるのであります。森山君の動議におけるように、裁定の全部を承認することは、とうてい困難ではないかと考えるものであります。
 なお、いわゆる年末に支給される手当につきましては、裁定中には明文がありませんが、これまた政府及び専売公社が万全の努力をいたしまして、すみやかに一般公務員並のものを支給せられることを、衷心から望んでやまない次第でありまして、以上の理由から、森山君の動議にはここに反対の意を表する次第であります。(拍手)
○田中委員長 次に改進党の石田君。
○石田(一)委員 私は改進党を代表いたしまして、ただいま議題になつております二つの案件に対して、一括森山君の提出した二つの裁定を全面的に実施すべしという案に賛成をいたしまして、山村君の限定承認に反対の意思表示をせんとするものであります。
 私は、この際、何もこの労働委員会においてくどくど申し上げることは、不必要かとも存じますけれども、この仲裁裁定というものを、理由の点などをよく目を通したならば、いかなる立場にある人が、いかなる観点からこの裁定の理由書を読みましても、その人に良識というものがあるならば、この裁定は実施不可能であるとか、不合理であるとか、限定承認すべきであるとかという議論の根拠の発見にお苦しみになるということを、私は断言してはばからないものであります。でありますから、私はこの計数等について、こまかくこの裁定の理由書自体が説明をしておるのでありますから、この話は避けますけれども、ただ、ここに私は特に問題として取上げなければならぬと考えますことは、この仲裁裁定問題は、過去において公労法の立法以来、しばしばこの労働委員会では論議の的になつたものであります。しかも、第二次の吉田内閣でございましたか、当時の官房長官増田甲子七氏の、いわゆる今日あるがごとき強引な多数による公労法の解釈というもの、これが前例ではなくて悪例の形でせられまして、この安易な悪例により、しかも政府はこれを金科玉条として、今日までほとんどの裁定に前例々々とばかりに悪用して来たのであります。私は、今日ここに何も法律議論をしようという意思はございませんが、少くともあの公労法第十六条にいうところの予算上資金上という、これの支出不可能を内容とするこの予算、その予算自体が、この国会に補正予算として、現に予算委員会において審議中であるというところを見ますと、このいまだ決定しない予算自体をもつて、予算上質金上不可能な予算にこれを持つて来ることは、とうてい許されないことである。要するに、政府は、もちろんこの十六条の第二項によつて国会の承認を得なければ、支出の責任を負うものではございませんけれども、この法律の立法の趣旨は、少くとも政府が、あるいは国鉄、あるいは専売当局が、労働組合とみだりに組合側に有利な協定等をいたしまして、協定によつてこれこれの資金の支出が必要であると、国民の意思決定機関である国会に諮らずして、国家の貴重なる財政を乱すがごときことがあつてはならぬという考慮から、もしその支出をしようとする場合には、この法律は、国会の承認を求めてしなければならぬと、こういう建前をとつていると考えることが、少くとも私はこの公労法の立法の精神から、いわゆる労働者の争議権を剥奪されたものに対する保護手段としては、こう解釈することが私は正しいと考えているのであります。にもかかわらず、今日ここに提出されておりますところの二つの案にいたしましても、もちろんこれは、国会の修正――改悪と申しますか修正と申しますか、「事由を附し」となりましたけれども、そのときにおいても、予算的措置を講じてということは、これは非公式ながら、ほとんどの議員も了解していたと思うのであります。しかしながら、先ほど申し上げます吉田内閣の悪例の解釈が残つていたことをたてに、ただ「事由を附し」となつたのでありますが、第一、この国鉄の裁定に関する限りは、補正予算がいまだ提出されざるその前に、これを当委員会に提出をせられまして、全面的にこの裁定を不承認してくれというような提案趣旨の説明がなされたのであります、これは公労法の精神を踏みにじるもはなはだしいものであり、しかも、政府に対してわれわれが、これが予算的措置を講ぜられて、国会に補正予算が出た場合には、あらためてこの案件は本会議の承認を得て撤回をして、新たに提出し直すべきである。その場合には、予算的計数を整えてこれが提出さるべきであるということを質問いたしましたら、大蔵省関係の当局は、さようにわれわれも理解しておるということを言明しておるのであります。そこでこうした手続等も経ないで、しかも今日古い考えの、いわゆる当時の増田甲子七官房長官の解釈のまま、今日まで占領治下と同じような考え方でこれを解釈してやつておる。私は実に残念だと思つております。政府側あるいは与党側の方々は、国の財政上不可能なんだ、こういうことを言つておるのであります。しかし、財政上云々の問題は、これは政治的であります。すなわちこの公労法の中には、政治的考慮を払つて、これが不可能なときには、どうしていいということは書いてないのであります。少くとも、この協定あるいは裁定のあつたときには、国鉄当局がこれを政府に要求し、しかも政府は予算的措置を講じて、これだけの裁定があつたので、この全額を支出したいと思うが国会は承認するかどうか、その支出の承認を求めなければならぬ。にもかかわらず、第一回の裁定以来、国会の議決を求めるの件――議決を求めろとは書いてない、支出の承認を求めろと書いてある。私はこういう点等が、法律を無理に曲げて解釈をして、こうした悪例を残していると強く考えるのであります。
 特に、この際、私は付言をしておきたいと思いますことは、一般公務員並、一般公務員の給与と均衡をとるためにということが、しばしば用いられるのでありますけれども、そのことは、今回のこの二つの案件についていえば、公務員の賃金ベ―スの人事院勧告があつたけれども、これを政府は十一月から実施ということにしたい。その十一月からという安易な方に、裁定という法律的根拠のあるものを取扱つて、まつたく公務員の悪い方に悪い方にと、政府の考え方に考え方にと一致させようということであつて、これは公務員並にやつておるのではないということであります。今日は国鉄総裁がお見えになつていないようでありますが、私は特に記録にとどめておきたいと思いますことは、国鉄総裁は不都合千万であります。なぜかと申しますと、どの法律学者あるいはどの委員が考えましても、この裁定自体、十六条は、もちろんこれは政府は拘束しないけれども、当事者双方を拘束することだけは論をまたないのであります。にもかかわらず、現国鉄総裁である長崎氏は、まつたくこの裁定を無視するという考え方の発言をし、また団交等においても、さながら政府の大蔵省、運輸大臣のような関係で団体交渉をし、この委員会において答弁しておるのであります。自分の立場というものを忘れておるのであります。法律を知らないのであります。何十万という従業員が、争議権を奪われて、その救済方法として最後に与えられた仲裁委員会の裁定が、こういう総裁によつて、すでに国鉄当局によつて蹂躪されるということであるならば、これが政府によつて尊重され、政府によつて予算的措置が講ぜられないのは当然であります。現にその証拠に――もちろんこれは公共企業体としての性格は違いますけれども、専売公社の場合と国鉄の場合とにおきましては、総裁のこの法律の解釈の仕方、労働者に対する理解の仕方等が、財政資金の面もございましようが、いつの場合にでも専売公社の総裁の方が、この法律に近い解釈を取来つておるということは、偶然ではない。国鉄総裁の考え方が根本的に間違つておる、こういうふうに私は考えるのであります。ただいまは委員会でありまして、他にも討論者もあることでありますので、私はこの辺で省略したいと思いますけれども、少くとも、日本が独立して自主的に国会がこうしたものを判断できるという事態に立ち至つた今日、占領当時のごとく、客観情勢によつて不可能であるとか、予算上資金上不可能であるとか――池田前大蔵大臣が不可能であると考えるから、これは予算上不可能なのであるというような考え方を持つておるのであります。私は政府の大臣が、総理大臣が不可能であると考えようが考えまいが、裁定されたものは一応最終決定として、政府は予算的措置を講ずる義務を負うものと思う。しかし、金を支出する義務は、国会が承認するまではないと解する。こういうように、独立後の第一回の仲裁裁定問題に対して、よき前例を打立てるためにも、私は森山欽司君提出の動議に全面的に賛意を表し、遺憾ながら山村君の限定承認という動議には全面的に反対の意思を表するものであります。
 以上をもつて私の討論を終ります。
○田中委員長 次は、社会党の前田君。
○前田(種)委員 私は日本社会党を代表いたしまして、ただいま審議されておりますところの二つの議案を一括いたしまして、山村委員提案の趣旨に反対し、森山委員提案の内容に賛成の意を表するものでございます。くどくどしく申し上げる必要はないのです。私は公労法の制定当時からの審議にあずかつております一人といたしまして、今日依然として裁定の内容が全面的に承認されないということを、国家的に見まして、はなはだ残念に思うものでございます。昨年までは、GHQがございまして、国会が独立的な審議をしようといたしましても、一字一句に至るまで了解を得なければ、できなかつたのでございますが、今日は、もうすでにわれわれは独立国会として自由な立場に立つて国会の審議ができるのでございます。総理大臣が任命いたしますところの仲裁委員会が出します最終裁定は、公的機関によつて決定された両者を拘束するものであります。今日、世上いろいろの問題がでつち上げられまして、国家的に見ますと、ゆゆしき事態をかもしております。特に経済的な諸問題等につきましては、一体これで日本の国家が経済的に立ち直るかどうかということを、心から憂慮しておる一人であります。今や政府は、あるいは政府に協力すべき与党は、もつと公的機関を尊重する立場に立つてやらなくてはならない大事なときではないかと考えます。一体政府は、国民に向つては非合法なことはやつてはいけない。あるいは合法的な域を脱してはいけないということをいろいろ言つておりますが、政府みずからが法律を守らないやり方をやつて、はたして国民に非合法なことをやつてはならないと言い得られるかどうかという点を、静かに考えてみましたときに、今回の二つの議案のぎときは、今、自由党の発言の中には、財政上、国家の経済上許されない内容であるから、がまんをしなければならないというような発言をされましたが、この裁定の内容をのむことによつて、国家財政に響くものは、さほど大きいものではないと私は考えます。もし私たちが一歩も二歩も譲つて考えてみましたときに、この裁定を完全にのんでもさしつかえないものであるといえるのです。国鉄の場合は、二項以下の問題等について幾らか残りますが、もし年末手当を犠牲にいたしますならば、この裁定を完全実施いたしましても、絶対に国家財政には関係がないということになります。
 ただ問題は、そういうことになりますと、他の一般公務員とのつり合い上困るという点が、ただ一つの難点であると私は見ております。これに間違いないのです。国家財政には響きません。ただ国鉄、専売だけは八月実施いたしまして、一般公務員を十一月実施では、公務員関係が承知しないからというところに足をそろえようというのが、唯一の理由であるのでございます。しからば、二十七年度の予算を見ますればどうでありましようか。公共企業体は独立であるからといつて、予算的な措置も別個に扱われております。一例をあげますならば、年末手当等につきましても、一般公務員等につきましては、一箇月分の手当が予算に計上されておるにもかかわらず、国鉄、専売等につきましては、公企関係であるから一般公務員並には行かないといつて、そういう年末手当の予算も計上されていない。それは企業体が独自の立場に立つて、公務員とは別個に、それぞれの企業能力、内容等からいつて、しかるべき措置がとられなくてはならないということが議論されまして、政府もそれを承知の上でやつておるのです。都合のいいときには予算の処置もせずに、都合の悪いときには足並をそろえなければならぬというちぐはぐの理由によつて、今日裁定を一、二にするというようなやり方に、われわれは根本的に賛成することはできないのです。
 冒頭に申し上げましたように、独立後の裁定というものは、この裁定の内容が特別の関係のないだけに、国会の審議を不必要として、慣行として、これがすなおに実行されるような前例をこの機会につくらなくてはならぬというのが私の大きな願いでございます。そういたさなければ、仲裁委員会等にいたしましても、いろいろな角度から検討して結論を出しましても、結局また国会で政府がその内容についていろいろな難題を吹きかけるからということになるきらいもあります。もし政府なり国会が、すなおに裁定を尊重するという慣行をつくり出しますならば、仲裁委員会は、もつと高い、広い見地から、この内容につきましてはもつと責任を持つて十分の検討をいたしまして、責任ある結論を出すことに一段の努力が払われるものだと思います。そういう問題が軌道に乗つて、初めて日本の労使関係という問題が、あるいは労働行政の問題が、ほんとうに軌道に乗つて運営されなければならぬと私は考えます。
 こうした点等を考えてみましたときに、特に専売裁定等のごときは、他の問題の犠牲になつております。今度の補正予算にも、すでに専売は百億の剰余金を国家財政に繰入れております。それほどの厖大な企業的内容を持つておるところの専売が、他の公務員等の犠牲になつて、今日完全実施ができないというはめに追い込まれておるのでございます。しかも専売の労組にいたしましても、国鉄の労組にいたしましても、もしスト権がございますならば、堂々と今日ストをやつてでも争つておると私は考えます。このスト権のない両方の組合が、今日まで半期以上かかつて隠忍自重いたしまして、国家に協力しておるところの態度を考えてみましたときに、それに報いるに一体何があるかということを私は申し上げなくてはならぬと思います。その報いるところの内容について、いろいろな事情はありましようとも、一般公務員と公企業関係の従業員とを同一にして扱おうというところに、政府並びに与党に政治力がないと私はいわざるを得ません。こうした問題が大胆率直に法の命ずる方針に従つて結論が見出せるところに、初めて世上いろいろいわれておりますところの紛争の問題が軌道に乗ると私は考えます。こうした点等を考えてみますならば、この内容の一々をここで論議するまでもありません。私はどうしてもこの裁定が裁定通り守られてしかるべきだということを強く主張せざるを得ないのでございます。
 私はいろいろな自由党の諸君の苦労されました苦労の内容もよくわかります。全然わからぬわけではないのです。ないが、一歩譲つてこの金額と同額の金額でもつてして、裁定を完全実施するという方法もあります。国家財政に及ぼさなくてもできるのです。もし同一の金額で裁定を尊重するかしないかという点になりますならば、同額の金額をもつて裁定を完全実施するという方法が、簡単にここの議決できるはずです。私はその道を選んで、そうして国鉄の従業員に対しましても、残念なながらがまんをしてもらいたいということを言う方法もございます。決して国家財政に響くものではないのです。その点に対して勇を奮つて、こういう問題等がほんとうに正常な立場に立つて結論が見出せるように、一日も早くせなくてはならぬと考えます。
 私は、これ以上一々の問題について触れる必要がないと思いますから、以上の総括的な意味におきまして、森山委員の提案に賛成し、山村委員の提案に対しては強く反対の意思を表明する次第でございます。(拍手)
○田中委員長 次に社会党山口君。
○山口(丈)委員 私は日本社会党を代表して、山村君の提案に反対し、森山君の提案に賛成をいたすものであります。
 山村君の提案は、いわゆる限定承認を骨子とするものでありまして、しかもその理由は、公務員との関係において均衡をとらなければならぬといつておるのでありますが、人事院の勧告を、政府はそのまま実施しようとはしていないのでありまして、国鉄の裁定が約二割アツプであるから、従つて公務員のアツプも二割を骨子として引上げたい、こういうことをこの審議の過程に政府が言明をいたしております。そういたしますと、国鉄の諸君あるいは専売の諸君は、人事院の勧告にしわ寄せをされたのではなくして、自分の既得権をそのまま実行されずに、人事院の勧告の時期にずらせて、しかも自分の既得権益を放棄させようということと同じことであります。こうなりますと、それは理由にならない。しかも政府が求めておりますものは、国会に承認を求めるのではなくして、公企労法に基くところの国会の議決を要求しておる。しかもその議決の理由が、十六条の二項に基いて議決を求めておるのでありますけれども、それはこの審議の過程におきまして、専売公社におきましても、決して十六条一項の要素を備えていない。国鉄においてもしかりであります。しかも、国鉄の総裁は、三十五条によれば、仲裁裁定には服従しなければならないということは、すでに組合の要求を離れていて、組合がこれに服従しておるのであるから、従つて総裁はこれの資金を充実するために、政府に対して最大の努力をしなければならない。しかるに国鉄の総裁がこの場において言明いたしておりますことは、今までの討論で明らかにされたように、まつたく大蔵大臣の代弁を務めて、資金上あるいは予算上困離であるということを言明いたしまして、実際にこの裁定に服従するの意思を表明いたしておりません。こういうことでは、罷業権を奪われた労働者が、公労法に基いて既得権益を完全に実行されるはずがないのであります。基本権を犠牲にしておきながら、さらに国鉄の総裁は、その基本権を剥奪された労働者が得ました権利をも放棄せよと言うのと同じことであります。こういう点につきましては、国鉄の総裁はこの裁定案を実施するの熱意を欠いておると私は断ぜざるを得ないと思います。その点については、専売公社の総裁は、私は何としても、いかなることがあつても、政府に対してこの裁定の完全実施のために強力に要望をいたしておりますということを言明いたしております。この二人の総裁を比べてみますと、国鉄の総裁はきわめて不誠意なものといわなければならぬ。さらに政府におきましても、この審議の過程において明らかにされたように、専売公社においても国鉄公社においても、この裁定を実施して、資金上必ずしも困るということはないということを言つておるのであります。しかるにこれを実施しないというところに、政府はまた公企労法第十六条を悪用しておる向きがあると私は断ぜざるを得ないと思います。こういうふうなことで、労働行政全般が円滑に遂行されるとは断じていえないと思います。労働という特殊な法律行政を取扱いまする場合には、いかなることがあつても、これらの権利を完全に履行してやるという熱意を、当局者は持つべきであると思う。しかるにそれらを解決するの熱意に欠けて、実は資金があるにもかかわらず、わずかに公務員の給与を引上げると、それが直接国家の予算に関係するからということで、公企労法として独立採算制であるとか、いろいろの口実を設けて、平素には労働組合を押え、しかも公企労法によつて基本的な権利をも剥奪しておきながら、政府がこれを完全に実施するの熱意を欠いておる。この事実は、本委員会の審議の過程におきましても、労働大臣も出て来ない、運輸大臣もきようは見えておるが、実際にはその回数はきわめて少い。政府属僚にまかせておいて、そうしてわれわれの質疑には誠意のある答えをしていない、この事実を見ましても、これらの企業体におりまする労働者諸君が、きわめて冷遇されることを痛感して私は同情にたえないのであります。こういう熱意のないことで 政府が労働行政を遂行しようとするところに、今日のような矛盾の社会が生まれて、騒々しい世の中が現出されるものと考えるのでありまして、私はこの際政府に対して、これらの問題に対しての強い警告を発しておきたいと思うのであります。
 さらに、これを実施するにあたりましても、私どもの提案しておりますものは、いわゆる公企労法基本権を奪われました労働者の、唯一の権利として勧告されておりますこの権利を、完全に履行させてやることが、私は国民の代表として代議士となつておる者の当然の責務と考えております。われわれが法律をつくつて、そうしてわれわれ議会人が議会でこの法律を無視するという行為に出るならば、一体国民は何を根拠にして秩序を維持しようとするのか、何を根拠にして国民は生活を求めようとするか、その岐路に迷うと思うのであります。この際、私は、人事院の公務員ベ―スの勧告にいたしましても、あるいはこの裁定にいたしましても、これを完全に実施することによつて、まず労働行政の独立後の新しい日本の行くべき道を判然とし、よつてもつて組合のよるべき道を示して行く。このことこそが労働行政の最たるものである、かように考えるのであります。従つて、自由党の方から今提案されました動議は、きわめて条理が合つておりません。条理の立たないところに秩序を求めることは、できないのでありまして、一体こういう見解に基いて法を無視しようとするその態度自体が、私にはわからない。かようなことで、ただ数の上だけで不合理な社会をつくつて行こうとするならば、社会的な罪悪であると私は思うのであります。従つて、あくまでもこの裁定を完全に実施する。そのためには、森山委員の提案いたしましたものは、条理を尽し、われわれの正当な見解に基づくものであるとして、全幅的に賛成の意を表し、山村委員の理由なき限定承認に対しては、絶対に反対をとなえるものであります。
 以上をもつて討論を終ります。
○田中委員長 次に労農党の石野君。
○石野委員 私はただいま議題になつております二つの裁定に対しまして、森山君の提出しました動議に賛成をし、山村氏から出ました動議に対して反対の意思を、労働者農民党を代表して申し述べます。
 裁定が完全に実施されないということについては、これは非常に重大であります。すでに同僚の委員から言もわれておりますように、私どもは今国会において二つの裁定を議題に載せておるのでありますが、これが数次にわたつてまつたくほごになつており、今日においてもまたこの裁定が無視されようとしおるところに、われわれの反対する最大の論拠があるのでございます。私どもは、仲裁裁定というものは、その法律の根拠において、労働者の最大の権利である争議権というものを奪つておることを、はつきりとここでもう一度見きわめなければいけない。それゆえにこそ、裁定の完全実施は、われわれにとつて非常に重大であります。自由党の諸君は、この裁定に関しては、まつたく裁定書の内容を吟味していないと私は断じなければならないと思います。自由党の諸君は、裁定書の内容を見ていないだけではなくして、労働者の要求それ自体に対しても、むしろ無関心であるといわなければならぬと思うのでございます。われわれはこのような意味において、自由党から出されておる動議に対しては絶対に反対であります。
 裁定書の内容を見ますと、その裁定の理由は、明白に労働者の要求する線を裏づけております。裁定書はその責任において、裁定賃金はいわば必要限度の賃金と言い得ようということを明白に言つておるのであります。そしてこの裁定賃金を要求する労働者の生産力はどうであるかといえば、国鉄の場合においては、すでに戦前のそれをはるかに上まわつておるだけではなくて、戦後におけるところのいわゆる工業の一般水準をもはるかに上まわつておるものであつて、決してそれを下まわつておるものではないということを裏づけておるのであります。また人員に関してはどのように言つておるか。人員についもこのように言つておるのであります。「もはや職員数を過大と断ずることは困難であり、その生産性の回復率は一層高く評価さるべきであらう。」「人件費の相対的過少は更に明白である。」とさえうたつておるのであります。このような事実があるにもかかわらず、このように裁定委員の諸君がこれを裏づけておるにもかかわらず、国鉄当局はもとより、政府においても、これに対しては一顧だに与えていない。しばしば同僚委員が言つておるように、国鉄の総裁長崎氏は、ほとんどこのことに対して一顧だに与えないのであります。そうして長崎氏の言をかりると、まつたくそれは政府の代弁者としての立場でもつて答弁しておるのであります。われわれは、こういうような国鉄総裁に、企業の経営者としての資格があるかどうかということについては、まつたく疑問を持たなければいけない。むしろ国鉄当局者は、企業経営に関する経営者としての善意ある努力を、まつたくしていないといわなければいけない。国鉄の当局も、政府当局も、まつたくそういう努力をしていないとわれわれは断ぜなければならぬと思うのでございます。
 こういう事態の中で、国鉄裁定に対して、仲裁委員会は何を言つておるか。仲裁委員会は、企業についてのいろいろな示唆を与えておるのであります。特に今日の国鉄の経営におきましては、その工事勘定が収入のほとんど大部分を占めておることに対しては、もう一度考え直すべきであるということを、はつきり注意をしております。むしろこの経営にあたつては、政府もあるいは当局も、そうした運資の収入等によつてまかなうべきものではなくして、もつと借入金やあるいはその他の方法によつてそれを見るべきであると言つておる。また今日のこの裁定についての財源についても、いろいろな項目をあげて、国鉄内部におけるところの努力の余地があることを明示しておるのであります。それにもかかわらず、当局はそれに対する努力をしていない。また政府は、いたずらに予算上の余地がないということをもつて、今日のようなこういう提案を国会にしておるのであります。私どもは、補正予算を組まれる政府の、こういうことを全然無視した態度に対して、そういう態度はどこから出て来たかということを、糾明しなければならないと思うのであります。
 また専売公社の問題を見ましても、専売公社の総裁秋山氏は、労働者の要求はもとより、仲裁委員会の裁定についても、われわれはこの専売事業始まつて以来、今日ほど業績をあげたときはないのであつて、仲裁裁定が示すところのものは、企業経営の中からでも十分出し得る可能性があると思われる。だから、国会の皆さんは、ぜひ裁定が実施されように努力をしてくださいということを、この委員会で言つておるのであります。それにもかかわらず、自由党の諸君は、その経営の当事者が言う言葉をさえほごにして、そしてこのような理由づけをして、政府原案を死守しようとしておられるのであります。私たちはそのような理由がどこから出ておるかということを、ここで克明に究明しなければいけない。たとえば、国鉄の場合、百三億の今日の給与対策の経費を上げておりますが、それは一方では、八月実施の裁定を十一月に延ばしておる、そのこと自体、労働者のいわゆる賃金をそれだけ食い込むのであり、それと同時に、そのことは、労働者に対して超過労働をしいることを意味しておるのでありますが、また他面においては、この経費をまかなう形として、運賃収入というものを一月あるいは二月から、それぞれ旅客及び貨物において引上げようとしておるのであります。この中に含まれるものは何であるか。それは今日労働者の賃上げ要求を、国民の負担、つまり運賃の値上げというもので、国鉄の労働者と国民とを対立させることによつて、一般の反感を労働組合の中に追い込もうとする、自由党吉田内閣の悪辣なたくらみがあることを、はつきりとここに私たちは指摘しなければならないと思うのであります。
 なぜそのようなことをやるか。私たちはその根本的な原因を、過去数年間にわたるところの吉田内閣の財政政策の中から見て行かなければいけない。それは言うまでもなく、国家の財政の大部分を、いわゆる再軍備の方向に使つてしまう。圧倒的多数を再軍備の方向に使い、また軍需産業育成のために使おうとする、そういう財政政策の意図に明らかにうかがえるのであります。それが専売の労働者やあるいは国鉄の労働者のその功績を無視して、裁定委員会がりつばに明示しておるところのこの裁定を蹂躪する結果になつて来ておるのである。これは吉田内閣の反動的な政策の中に、日本をフアツシヨ的な再軍備の方向に追い込もうとする、一貫した財政政策の現われであるということを、私たちは指摘し、このような意味におけるところの山村委員から出された動議には断固反対をいたしまして、野党側から出されておりますこの動議に対して、われわれはまだ労働者の要求の十分をここで闘いとつておるものではないけれども、しかしながら、ここではこの野党各派によつて出された動議に、労農党を代表して全面的に賛成をするものであります。
○田中委員長 これにて討論は終了いたしました。
 まず議決第一号に対する山村君の動議について採決いたします。山村君の動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○田中委員長 起立十二名。
 なお、この際念のために反対の諸君の起立を求めます。
    〔反対老起立〕
○田中委員長 起立十二名。可否同数であります。よつて委員長は、国会法第五十条により、本動議を可と決することにいたします。(拍手)
 よつて本件は、公共企業体等野仲裁委員会の裁定中、第一項は、昭和二十七年十一月以降実施するものとして、これを承認すべきものと決しました。
 次に、本件に対し山村君より提出されました附帯決議案について採決いたします。この附帯決議案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○田中委員長 起立十二名。
 なお、念のために反対の諸君の起立を求めます。
    〔反対者起立〕
○田中委員長 起立十二名。可否同数であります。よつて国会法第五十条の規定により、委員長はこの附帯決議を可と決します。よつて附帯決議は決定をいたしました。従つて野党各派の議決第一号に対する森山君の動議は議決することが不必要となりました。
 次に、議決第二号に対する山村君の動議について採決いたします。この動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○田中委員長 起立十二名。
 念のため反対の諸君の起立を求めます。
    〔反対者起立〕
○田中委員長 起立十二名。可否同数であります。よつて委員長は、国会法第五十条の規定により、本動議を可とすることに決します。
 次に本件に対し、山村君より提出されました附帯決議案について採決いたします。この附帯決議案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立)
○田中委員長 起立十二名。
 反対の諸君の起立を求めます。
    〔反対者起立〕
○田中委員長 起立十二名。同否同数であります。よつて国会法第五十条により、委員長はこれを可と決することにいたします。よつてこの附帯決議案も決定いたしました。
 なお、両件に関する委員会の報告書についてお諮りをいたします。これは委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○田中委員長 御異議なしと認めて、さように決定いたします。
    ―――――――――――――
○田中委員長 なおこの際諸君にお諮りをいたします。日本電信電話公社職員の賃金改訂に関する決議案について、諸君にお諮りをいたします。この問題は重大なる段階に参つておるものと考えられますので、委員長の発議により、次のごとき決議を行いたいと思います。
 まず決議案を朗読いたします。
  日本電信電話公社職員の賃金改訂に関する決議案
  日本電信電話公社職員の賃金改訂に関する調停案に対して、政府は公共企業体等労働関係法の精神に基き、本調停案を能う限り尊重し、これを速かに実現するために善処すべきことを要望する。
 右決議する。以上であります。
 これを決議案として採択するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○田中委員長 御異議なしと認めまして、本委員会の決議といたします。
 この決議案の取扱いに関しては、委員長に御一任願いたいと存じます。
 次会は公報をもつてお知らせいたします。本日はこれをもつて散会いたします。
    午後三時三十分散会