第016回国会 外務委員会 第10号
昭和二十八年七月四日(土曜日)
    午前十時五十七分開議
 出席委員
   委員長 上塚  司君
   理事 今村 忠助君 理事 福田 篤泰君
   理事 並木 芳雄君 理事 戸叶 里子君
   理事 池田 正之輔君
      麻生太賀吉君    宇都宮徳馬君
      尾関 義一君    岡田 勢一君
      喜多壯一郎君    須磨彌吉郎君
      帆足  計君    穗積 七郎君
      加藤 勘十君    大橋 忠一君
 出席政府委員
        外務政務次官  小滝  彬君
        外務事務官
        (大臣官房長) 大江  晃君
        外務事務官
        (欧米局長)  土屋  隼君
        外務事務官
        (経済局長)  黄田多喜夫君
        外務事務官
        (條約局長)  下田 武三君
 委員外の出席者
        専  門  員 佐藤 敏人君
        専  門  員 村瀬 忠夫君
    ―――――――――――――
七月三日
 委員松田竹千代君辞任につき、その補欠として
 石橋湛山君が議長の指名で委員に選任された。
七月四日
 委員金光庸夫君、増田甲子七君及び西尾末廣君
 辞任につき、その補欠として尾関義一君、宇都
 宮徳馬君及び岡良一君が議長の指名で委員に選
 任された。
    ―――――――――――――
七月二日
 淺間地区に駐留軍淺間演習地設置反対の請願(
 田中稔男君紹介)(第二二八二号)
の審査を本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
同月一日
 沖繩、奄美大島並びに小笠原諸島の日本復帰に
 関する陳情書外一件(日本青年団協議会会長二
 宮尊徳外一名)(第五二〇号)
を本委員会に送付された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 国の援助等を必要とする帰国者に関する領事官
 の職務等に関する法律案(内閣提出第四八号)
 在外公館の名称及び位置を定める法律等の一部
 を改正する法律案(内閣提出第五三号)
 戦争犠牲者の保護に関する千九百四十九年八月
 十二日のジユネーヴ諸條約への加入について承
 認を求めるの件(條約第二号)
 日本国とアメリカ合衆国との間の友好通商航海
 條約の批准について承認を求めるの件(條約第
 九号)
 国際小麦協定を修正更新する協定の受諾につい
 て承認を求めるの件(條約第一〇号)
 団結権及び団体交渉権についての原則の適用に
 関する條約(第九十八号)の批准について承認
 を求めるの件(條約第一二号)
 工業及び商業における労働監督に関する條約(
 第八十一号)の批准について承認を求めるの件
 (條約第一三号)
 職業安定組織の構成に関する條約(第八十八
 号)の批准について承認を求めるの件(條約第
 一四号)
 国際情勢等に関する件
    ―――――――――――――
○上塚委員長 これより会議を開きます。
 まず日本国とアメリカ合衆国との間の友好通商航海條約の批准について承認を求めるの件につきまして政府より提案理由の説明を求めます。小瀧政務次官。
    ―――――――――――――
○小滝政府委員 ただいま議題となりました日本国とアメリカ合衆国との間の友好通商航海條約の批准について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。
 日米両国間における現在の通商航海関係は、サンフランシスコ平和條約第十二條の規定によつて規律されているわけでありますが、この規定は、暫定的な性質のものであるばかりでなく、わが国にとつて十分な待遇保障を規定しているとは申せません。従つて、政府は、まず米国との間に平等互恵の立場に立ち、かつ、包括的な待遇保障を含む新しい通商航海條約を締結するため、一昨年末から在京米国政府代表との間で非公式な折衝を始めました。わが国にとりましては、戦後初めて締結する通商航海條約でありますから、慎重の上にも慎重を期して交渉いたしました結果、ようやく本年二月下旬に至りまして、わが国の主張を十分に取り入れた條約案の妥結を見ましたので、條文、字句の整理を施した上四月二日に岡崎大臣とマーフイー前米国大使との間に署名調印を了した次第であります。
 日米両国間の通商航海関係は、この條約によつて初めて安定した基礎の上に置かれることとなるわけでありまして、両国間の友好関係並びに両国民の間の一層緊密な経済的及び文化的関係を促進するところが大きいと認められますので、ここにこの協定の批准について御承認を求める次第であります。
 慎重御審議の上、本件につきすみやかに御承認あらんことを希望いたします。
○上塚委員長 本件の質疑は次会に譲ることといたします。
    ―――――――――――――
○上塚委員長 次に国の援助等を必要とする帰国者に関する領事官の職務等に関する法律案、在外公館の名称及び位置を定める法律等の一部を改正する法律案、戦争犠牲者の保護に関する千九百四十九年八月十二日のジュネーヴ諸條約への加入について承認を求めるの件、国際小麦協定を修正更新する協定の受諾について承認を求めるの件、団結権及び団体交渉権についての原則の適用に関する條約の批准について承認を求めるの件、工業及び商業における労働監督に関する條約の批准について承認を求めるの件、職業安定組織の構成に関する條約の批准について承認を求めるの件、以上一括議題とし、質疑を行います。並木芳雄君。
○並木委員 在外公館ですけれども、大韓民国とフィリピンについてはどういうふうになつておりますか。
○大江政府委員 大韓民国とフィリピンは、本年度の予算の中に、大韓民国については大使館と釜山に領事館を置く。それからフィリピンにも大使館を置くということを予算案の中にも認められてありますけれども、韓国及びフィリピンとの交渉におきまして、まだ正式の大使館、領事館を向うに置くことを、先方が承知いたしませんので、とりあえずフィリピンに対しましては在外事務所をマニラにいております。韓国につきましては先方はもちろんこちらに代表部を出しておりまして、わが方も何らかの形で出したいという話はいたしておりますが、まだ実現はいたしておりません。
○並木委員 朝鮮休戦の見通しはどうなるかわかりませんが、大体休戦の運びに至る模様であります。その場合に統一ができずに南と北で二つの政権ができるような場合には、日本としてはどういう態度で臨んで行く所存であるか、伺つておきたいと思います。
○大江政府委員 朝鮮の休戦が成立したと仮定いたしまして、現在までの日本と韓国との関係におきましては、南鮮の李承晩政権を相手として交渉して参つておるわけであります。引続いて国交関係においても南鮮との関係において、国交関係を進めて行くことになると思います。
○並木委員 外国から日本に対して公館を設ける計画についてはどのようなことが見込まれておりますか。
○大江政府委員 現在すでに西欧各国は大体日本に大使館、公使館あるいは領事館を置いて参つております。最近特に日本に公使館あるいは領事館を置くというのは、中南米諸国、あるいは中近東諸国から一、二話が参つておるというふうに考えておりますが、まだ正式にそういうふうな決定をしたという事例は、最近はありません。
○並木委員 次に国の援助等を必要とする帰国者に関する領事館の職務等に関する法律案でありますが、これについては相当数国の援助を必要とする帰国者があるように提案理由の中に出ております。どのくらいの数がどういう方面にいるのか、それを説明してもらいたい。
○大江政府委員 平和條約が発効いたしましてから、現在までに今回の法律によつて扱うような事例といたしましては、大体六、七件ございます。人員にいたしますと、あもいは日本の漁船が海難にあいまして、相当多数の漁民が困つて、これを送還するというものもありますので、数が相当ございますが、大体今回の法律によりまして処置をとらなければならぬという人数は大体三十人分を計上いたしてございます。現在のところは昭和二十七年にシンガポールから約七名の海難によります漁夫を送還して参りました。また香港から三名ばかり返しました。その他欧州方面から三名、これはドイツから一名、スペインから一名、フランスから一名、こういうふうにぼつぼつ帰つて参りました。従いまして大体三十人くらいの予定で予算は組んでございます。
○並木委員 朝鮮の南の方に帰国を望んでいる邦人が九百名でしたか、いるということを前に外務委員会でも取上げたことがあるのです。あれはその後どうなつておりますか。
○大江政府委員 最近帰国を希望している連中の実情は実は承知いたしておりませんが、もしそういう人々の帰国をいたします場合には、別途の特別引揚措置によりまして、措置をするということになるのであります。
○並木委員 あの方々はどういうわけで引揚げて来られないのですか。その事情はわかつておりませんか。
○大江政府委員 担当の局長がおりませんので、はつきりとした現状と人数がわかりませんが、追つて調べまして御回答申し上げたいと思います。
○並木委員 次に国際小麦協定についてお尋ねしておきます。この説明書の中に輸出国と輸入国との間の意見の相違がはなはだしかつたということが出ておりますが、いかなる意見の相違があつたのか、これをお伺いしておきます。
○下田政府委員 会議で最もはなはだしい意見の相違がありましたのは、小麦の価格をいかにきめるかという点であります。
○並木委員 その点で英国はこの協定の最高価格が高過ぎるとしてこれに署名しなかつたというのでありますが、英国が参加しなければ取扱われる小麦の数量についてどういう影響をもたらすものであるか、伺つておきたいと思います。
○下田政府委員 英国は小麦の最高価格を二ドル五セントにすることに対して反対いたしました。ぎりぎりのところ二ドルまでならいいという見解であつたのでありますが、結局会議の多数の意見は二ドル五セントという最高価格の採用にきまりましたので、それに対して不満を表明いたしましてこの協定には署名いたさなかつたのであります。そうしますとイギリスの買入れ保証数量だけを全当事国の買入れ保証数量から差引きまして、残りの保証数量を当時国でわけるということになると思います。
○並木委員 その数量はどのくらいでしようか。
○下田政府委員 千百二十八万九千トンとなる見込みでございます。
○並木委員 この会議には日本からも代表が参加したと思いますけれども、日本としては何か申入れをしたかどうか。もし希望を申し述べたとしたら、それはどういう結果になつたか聞きたいのであります。
○下田政府委員 先ほどの答弁で千百三十八万九千トンと申しましたが、これはイギリスの分を差引きました残りでございまして、イギリスの買入れ保証数量として予定されておりましたのは四百八十一万八千トンでございます。
 なお日本が会議におきまして最も強く主張いたしましたことは、日本の買入れ保証数量を増加してくれということであります。御承知のように、日本は年間三百万トンの小麦あるいは米を輸入せざるを得ないのでありますが、そのうち小麦は百五、六十万トンというものを輸入しております。しかるに、現行協定では、わずかに五十万トンしかこの協定による買入れの便宜がなかつたわけであります。そこでこれを、できれば大幅に増額してもらいたいということを申し入れまして、結局現行の五十万トンを倍の百万トンにすることに成功いたしたわけであります。そういたしますと、ただいまの国際市場価格で申しますと、百万トンの小麦をこの協定による安い値段で買うことができる結果、年間八百万ドル程度の外貨の節約ができる次第でございます。
○並木委員 今までの実績で実際日本はどういうふうに買付をして、そうして市場価格に比較して、どのくらいの利益をこの協定によつてこうむつているか、示していた、だきたい。
○下田政府委員 最近三年間のわが国の輸入実績を見ますと、昭和二十五年度におきまして百四十六万トン、昭和二十六年度におきまして百五十三万二千トン、昭和二十七年度におきまして百五十九万六千トン輸入しておりまして、昭和二十八年度の輸入計画は百五十七万三千トンとなつております。
○並木委員 今までこの協定によつて、市場価格と比較して実際に日本が利益を受けたその数量、価格の総額をお尋ねいたします。
○下田政府委員 後ほど経済局の担当官が参りますから、そちらの方から答弁させていただきたいと思います。
○小滝政府委員 私は補足的に、概括的なところを御説明いたします。今アメリカで二ドル二十セントとして、その割合で五十万トンについては安くなるわけであります。それが今度百万トンになると、価格は二ドル五セント・ワン・ブッシェルということになつておりますが、なおかつ十五セント以上ブッシェルについて安く買える。そうなれば年間に見て大体八百万ドルくらいさもなかりせば払つたであろうという金を節約することができる。これが大体のところであります。
○並木委員 それではもう一点、年間百万トンの小麦を輸入するとなると、船積みの方は相当の混雑を来すと思われます。三日目に一万トンずつ来る勘定になりますから、船積みの手当などは円滑に行くのかどうか、その計画について。
○小滝政府委員 従来も百五十万トンから百六十万トン輸入しており、しかもあまり大きな困難もなしに輸入しておりますから、協定によつて百万トン入れたからといつても、さらに協定外の小麦を五十万トンから六十万トン入れなければならない。今までとは事情があまりかわらないので、特別な混雑を来すとは私は予想しておりません。
○須磨委員 関連質問をお許し願います。忘れて参りまして手元にないのでございますが、在外公館のうち、東アフリカでモンバサをおやめになり、ナイロビにおつくりになる御計画であつたように覚えておりますが、さようでございますか。
○小滝政府委員 その通りであります。私も、詳細な事務的なことは存じませんが、あの地方を相当よく知つておるつもりでございます。ところが最近に至りましては、日本の船がそうたくさん行くわけではない。ナイロビは政庁の所在地であつて、あそこにいて交渉した方がよろしいので、つくるなら東アフリカでは何としてもナイロビに門かなければならない、これが私は外務省の考えだと思います。
○須磨委員 どのくらいのステータスのものでありますか。
○小滝政府委員 領事館で三人を予定いたしております。
○須磨委員 実は私はあそこに参つて調べたことがあるのでありますが、御承知のようにナイロビは、あの辺の中心地であるのみならず、大英帝国と称するものが海外に持つておる一番大きなポストだと思います。そこに、御承知のように最近はモウモウ運動という民族運動が起つて、まさにアフリカの大問題になつておる。それからお隣の南阿のマラン首相の首唱します南阿植民地を大英帝国から独立するという運動は、まさにあのナイロビのモウモウ運動とも関係があるということで、国際情勢上の大問題となつておる次第であります。そういたしまして大体あそこは今アフリカ地方における情報その他の中心地といわれておるのであります。どうせナイロビにおこしらえになりますならば、領事館のごとき施設でなく、いま少しく大きなものをこしらえることはいかがかと思うのであります。と申しますことは、大正十五年私どもがあそこに行つてあそこに総領事館を置くという案を立てましたところが、当時の財政が許さないで、モンバサに領事館を置いてしまつたのであります。またその誤りを繰返すことを私はおそれますので、どうせおこしらえなさいますならば、もつと大きなものを置いた方がいいかと思うのでありますが、いかがでありますか。
○小滝政府委員 須磨委員のおつしやることは、まことにごもつともでございまして、私どももできるだけスタツフを充実いたしまして、重要な調査もいたさせたり、いろいろ今後のこともさせたいというように考えております。幸いにして皆様の御支持を受けまして、これから予算の手配もできるようになれば、ぜひそういたしたいと考えております。ただ他とのつり合い、またさらに重要な点でまだ欠けておる点もありますので、不十分であることは私も十分承知しておりますが、須磨委員のおつしやるように、ぜひ早くもつとこれを拡充いたしたいと考えております。
○須磨委員 さような御同意を私はまことに愉快とするものでありますが、それならば、将来ということに残さずに、ひとつこの機会にそれを充実されることをとりはからつたらいかがでございましようか。それからいま一つけ加えたいことは、ナイジエリアというアフリカの中枢になる新しい国ができるということもあり、それぞれの問題につきまして、これからは第三ブロック的な運動があそこで醒醸されることが非常に多いのでありますから、こういうところに先に手を打たれる意味におきましても、今から早く、領事館というような名義でなくて、あそこに一つのミツシヨンを置き、少くとも十数名の人間を派遣するくらいの予算を組んでおとりになつたらいかがでございますか。それをとる仕組みができるようなぐあいになつておりますかどうか、ちよつと伺いたい。
○小滝政府委員 実はあの近所のプレトリア、これもやつと四人を出すというような実情なのであります。あそこの独立国で四人というような実情で、はなはだ心細い限りであります。今度すぐこれをとりはからうということもできかねると存じますが、ぜひ御趣旨に沿うように速急実行するよう、当局といたしましても指導いたしまして、とりはからいたいと考えております。
○上塚委員長 それでは戸叶里子君。
○戸叶委員 在外公館の名称及び位置を定める法律等の一部を改正する法律案で伺いたいのですが、まだ日本と国交を回復していないで、ミツシヨンか何かの形で日本にだけ来ていて、日本から行つていない国、それからまた日本だけが行つていて日本に来ていない国の例を教えていただきたい。
○大江政府委員 数は正確に今すぐ出て参りませんが、たとえばポルトガル、これは中立国でございまして、本来ならすでに相互に公使館の交換をいたすべきでありますが、先方はこちらに代表部を置いております。それから先ほど申し上げました韓国が、やはり代表部を置いております。それからイスラエルが公使館を置いておりますが、どちらはまだ公使館を設置いたしておりません。先方がこちらに置きましてわが方が置いてないところは、大体今の三国がおもなものだと思います。わが方が出しておりまして先方が来ておらないところは、大分ございますが、それは一つは南米のチリーでございます。それからわが方が兼任いたしまして兼轄をさしておりますところで、先方が来ておらない国は大分ございます。それは中南米のコスタリカ、あるいは今度この法案によつて認められますキューバ、エジプトがまだ参つておりません。まだいろいろこまかい国がございますが、詳細はさらに調査の上書面でもつてお知らせいたします。
○戸叶委員 そういうふうな場合において、日本にだけ来ている場合に、日本からそういう国にミツシヨンを置こうとするようなことはできないのでしようか。
○大江政府委員 ただいま御質問の趣旨は韓国なんかが例だと思いますが、これは原則的には先方もこれを拒否しているわけでまないのでございまして、ただ現実に戦争その他の状態が続いておるので、まだ時期が悪いといつて延ばしておるのであります。そういう事態が参りますれば、いつでもこちらからミツシヨンを出すなり、あるいは大使館の設興が可能だと考えております。
○戸叶委員 次に国際小麦協定を修正更新する協定について質疑をしたいと思いますが、今度のこの修正更新する協定と現行の協定とを比べてみて、全体から見たときの大きな違いを教えていただきたい。たとえば輸入国にとつてこういう点が有利であるから修正更新したとか、あるいは輸出国にとつてこういう点が有利であるからこういうふうに修正更新したとか、そういつた点を教えていただきたい。
○黄田政府委員  一番大きな違いは、日本に関します限り、数量が非常に大きくなつているということでございます。御承知のように去年は日本の輸入量は五十万トンでございましたが、これが百万トンになりました。ということは、これが日本に関する限り一番大きな違いでございます。御承知のように日本は大体百六十万トンぐらい毎年輸入しております。これはIWAだけではございません、全体でございます。それが去年は五十万トンしか、われわれが考えておりますIWAの利益にあずかり得なかつたというのが、今後百万トンに数量増加いたします。ということが、一番大きな点でございます。それで価格でございますが、これは現行の協定では最高の基準価格が一ドル八十セント、最低が一ドル二十セントであります。これが今度の協定では二ドル玉セントと一ドル五十五セントということになつております。それから数量は現行協定すなわち去年の八月からことしの七月三十一日までの一箇年の保証数量は、合計が千五百八十一万十ンでございましたが、今度の協定では保証数量が千六百二十万トンということに増加しております。これが大きな違いであります。
○戸叶委員 英国がこの協定に入らなかつた理由は、最高価格が高過ぎるからだといわれておりますけれども、しかし英国が小麦の消費量が非常に多いということは有名なことです。そこで英国がそれではこの協定に入らないで、どういうふうにしてその不足分を埋め合して行くという自信を持つたのか、あるいは自由に買うという気持でこの協定に入らなかつたと思いますけれども、そうするとイギリスの考え方では、この協定にきめられた価格よりも、小麦の世界的な豊作あるいは過剰生産によつて、小麦の価格が協定に入らなくても協定よりも安い価格になるかもしれないというような見通しをつけて、入らなかつたのではないかと思われますが、その点はどうなんですか。
○黄田政府委員 ただいまおつしやいました通り、イギリスが今度の協定に入りませんでしたのは、是低価格に問題があつたのではないのでありまして、最高価格に問題があつたのであります。イギリスの方は最高二ドルということを申しまして、ニヂル五セントではいやだということを申したのでございます。つまりイギリスは四百何十万トンだけ毎年買いますので、それが五セントだけ違いますと何百万ドルかの違いになる。これに非常な重点を置きまして、最高価格が二ドル五セントではいやだというので入らなかつたわけでございます。従いましてこれが最低価格が一ドル五十五セントよりもずつと下つて来て、その最低価格で買うことを強要されるのは困るという考えではないのであります。それからイギリスが入らなかつたならば、一体イギリスはどういうソースから買うのであろうという点に関しましては、これは私どもどうやるか、的確なことはむろん知るわけはないのでございすけれども、御承知のように濠州とはイギリスは毎年一定量買うという約束をしております。ただ濠州の収穫総量はむろんイギリスの要求を満たすほどたくさんでございません。そのほかにカナダともむろん特殊関係がございます。カナダからも相当数量を買う、それによつて補つて行くということにするのだろうと考えております。
○戸叶委員 価格の問題は非常に重大な問題で、小麦の価格に対する自由党の政調案と農林省案との食い違いから農林大臣の辞任まで及んだといわれておりますが、そこで国際小麦協定の価格というものが、何か日本の小麦の値段に今後影響を及ぼすようなことはないか、どうかをお伺いいたします。
○下田政府委員 この協定の原則は、やはり最低価格と最高価格の間で、自由に買入国と輸出国とがきめる値段で買うのが建前なのであります。でございますから、普通は話合いでかつてな値段で買えるわけであります。どういう場合に最低価格や最高価格が意味を狩つて来るかと申しますと、日本のように食糧を輸入しなければならない国が、どうしても小麦を買えないという事態が起つたといたします。そうしますと、協定によりまして、小麦理事会に買入れの援助の申出をいたすことができることになつております。援助の申入れを受けますと、理事会の方では、それではどういう種類の小麦を幾ら日本に売るということを申し出なさいと当事国に通知してやります。そうしますと、当事国の方は、売りたいと思う国があれば申出をするわけであります。ところが売りたいという国がない場合には、さらに今度は小麦理事会から申し出なければならないという申出の義務を課することができるわけであります。そうしますと、その義務に応じまして申出をする。その場合でも、申出の義務によつて申し出た場合でも、なお価格は申し出た国と日本との間の相談ずくでやられることになるわけであります。そこで最後に相談ずくでもなお価格がきまらないという場合に、初めて国際小麦が、それではこれだけの価格でということで、価格を指示することができることになつております。ですから、価格が小麦理事会の手によつて人為的にきめられるということは、いよいよぎりぎりの最後の場合なのであります。しかしその場合でも、協定の最高価格以上に買うことは絶対にあり得ない。
○戸叶委員 もう一点伺いたいことは、アメリカの小麦の作付面積は大体どのくらいでしようか。そしてそれが今縮小しているか、それともそのままであるか。私あるところでアメリカの作付面積が縮小されつあるというようなことを聞いたんですが、そういう事実があるかどうか、お伺いいたします。
○小滝政府委員 農林省の係官が参つておりませんので、責任ある答弁をする者がおりませんが、大体のところを私から申し上げます。
 アメリカでは、御承知のように非常に増産しておりまして、これに困つておるということは私どもも率直に認めております。しかしアメリカの方は作付面積の制限ということは、今まで綿などでやつた経験もございますので、将来やるかもしれませんが、現在のところは支持価格制度を設けまして、たしか今の支持価格は二ドル二十一セントであると記憶しております。そうすると、二ドル二十一セントより、あるいは将来アメリカの政府が困り切つて下げなければならないことになるかもしれないけれども、しかし現在において二ドル二十一セント。しかりといたせば、この八月から発足するところのこの協定で買う場合は、二ドル五セントでありますから、なおかつ十六セント有利な点があるという関係になつておる次第でありますが、詳細は農林省の方からこの次の会にでも説明することにいたします。
○黄田政府委員 先ほど並木委員から、小麦協定によりまして買い付けた結果、去年はどれほどの外貨の節約になつておるかという御質問がございましたが、去年の数量はアメリカのものを約四十万トン買つております。それがポートランドで九十六ドルの普通の市価でございますが、これをIWAで買いまして七十三ドル、従いまして一トンについて二十薫ドルの差がありますが、これを四十万トン買いましたので、九百二十万ドル、それからカナダのものを十万トン買いましたが、これは普通ならば九十ドルでございますのを、同じく七十三ドルで買いまして、十七ドルの差がございます。これが十万トンで百七十万ドル、合計約一千万ドル、これだけ外貨の節約ができたと
 いうことになります。
○並木委員 協定による小麦の船積み関係はどうなつておりますか。外国船による輸送と日本船による輸送との割合はどういう実績を示しておるか。こちらの希望とすれば、できるだけ日本船で輸送したいというのは無理はないと思う。買付のときにそういう條件をつけることができないものかどうか。その辺のところを……。
○黄田政府委員 IWAの小麦の買付には何らの制限がございませんので、利用し得る船は何でも使える。従いましてわが方といたしましては、日本の船をできるだけ使う。また現にそういうふうになつております。
○並木委員 実績はどうなつておるか。
○黄田政府委員 ただいまちよつと宙に覚えておりませんので、調べまして御報告申し上げます。
○上塚委員長 よろしゆうございますか。
○並木委員 いいです。
○上塚委員長 ただいまの各件に関する質疑はこの程度といたしまして次に移ります。
    ―――――――――――――
○上塚委員長 国際情勢等について質疑を行います。なお外務大臣及び保安庁長官は、ただいま予算委員会に出席中であります。よつて午前中本委員会に出席することはむずかしいと存じます。通告順によりまして質疑を許します。戸叶里子君。
○戸叶委員 私はMSAの問題について少し伺いたいと思います。MSA援助を受けたあとにおいて、日米合同委員会の役割は一体どういうことになるか。もちろん行政協定の関係で日米合同委員会は必要ではございますけれども、このMSAの問題とも全然無関心ではいられないと思いますが、その役割、MSAに関する関係はどうなるかをお伺いいたします。
○下田政府委員 これはまだ話し合つてみなければわからない問題でございますが、もしMSA協定ができますと、やはりその協定の実施に関連いたしまして、常時実施の細目を協議する機関が必要になるのではないかと思います。そういう機関をつくるといたしましても、これを日米合同委員会と同じものでやるか、あるいは別個の機関でやるか、またその機関の構成をどういうようにするかという点は、すべて話合いで今後きまる問題となると存じます。
○戸叶委員 話合いできまるにいたしましても、政府としては、何か日米合同委員会をもそうした交渉の中に加える意思がおありになりますか。
○下田政府委員 行政協定は米軍の日本における配備を規律する協定でありまして、MSA協定はこれとまつたく違う目的の協定でございますので、たとい何らかの機関をつくるといたしましても、同じもので両方を兼ねさせるということは不可能だと存じます。どうしても別個の機関が必要になつて来るかと存じます。
○戸叶委員 次にお伺いしたいことは、MSAの援助の交渉について日本側で委員会を設けられるか、設けられないか、まだおわかりにならないようですけれども、大体先ころの新聞によりますと、外務省側からの三局長と、それから向うのアメリカ大使館の方々と交渉をなさるように了承いたしておりますが、そうした場合に、日本側だけで交渉を開始して、そして米国の方のそれに関係のある省との交渉は全然せずに、日本側だけで交渉をされるのか、あるいはまた交渉の過程において、いろいろな問題を向うのアメリカの担当省に問合せをしながらやられるかどうかを伺いたいと思います。
○小滝政府委員 新聞に日本側の代表というようなものが載つておりましたが、あれは多少考えておらないわけではございませんけれども、まだ交渉は始まつておりませんし、確定的なものではございません。向うの代表団の規模がどういうものであるか、またあるいは細目の委員会でもつくるようになれば人がよけいいるかもわからないし、こちらの方ではだれがやるかということはきまつておるわけではございません。しかし問題が外務省だけの問題ではなしに、他の保安庁とか、大蔵省も関係がありますので、そういう方にも出ていただかなければならなくなるだろうというふうに考えております。交渉いたします場合には、もちろん来週になつて会つてみなければわかりませんけれども、日本側に対抗する交渉の相手方は、主として大使館の館員をもつて構成せられるであろうというふうに期待しております。
○戸叶委員 そうすると、日本で大体交渉されていて、そしてアメリカのMSA関係の官庁に日本側から問い合せるというような交渉をすることは全然なさらないわけですね。
○小滝政府委員 外交交渉におきましては、どこの国でも大使館が直接内地の官庁に当るということは行わないのが国際上の慣例でございまして、直接その衝に当ることはないのであります。しかしこの交渉地は一応東京でやるということになつております。特別な情報が必要であるという場合には、在米大使館の方が多少情報を集めることはあるとしましても、交渉自体はあくまで東京で行われるということに御了承願いたいと思います。
○戸叶委員 七月一日の新聞だつたと思いますが、日本に何かジエツト機の工場がつくられるというようなことがいわれておりましたけれども、それはMSA援助に関係があるものであるかどうかということと、こういうふうな援助によつて何か新しい設備工場を日本で計画されておられるかどうかを伺いたいと思います。
○小滝政府委員 まだ交渉を開始いたしておりませんので、単に来週早々開始しようというところまで話合いがついただけでありまして、具体的話合いは全然行われておりません。
○戸叶委員 MSAのいろいろ集められた情報から勘案いたしまして、MSAの援助を通して、日本が東南アジアの開発に協力ができるというようなことがあるかどうか、あるとすれば具体的に一体どういうことがあるのですか。
○下田政府委員 先日のアメリカ大使館の回答にもございましたように、日本がMSA計画に参加する場合には、オフ・シヨアー・プロキユアメントといいますか、域外調達あるいは域外買付を日本でする機会を増進するというような返事がございました。これは申すまでもなく、日本以外の国に対する援助物品を日本に注文するということでございますから、御指摘のような事態が発生する可能性はあると思います。
○戸叶委員 それについて具体的の例をちよつとおつしやつてください。
○下田政府委員 これは日本以外の第三国に対する軍事援助で与える物品、そういうものを日本に発注する、あるいは技術援助で与えるものを日本でつくるということになりますから、結局アメリカが第三国に与えておる軍事、経済、技術援助の対象となるものを日本へ注文する、きわめて範囲の広い問題になると思います。
○戸叶委員 そういうことと関係があるのですが、アメリカが日本に材料をよこして、注文をして、次に一つの製品として買付をするとき、ドルで日本に支払いをする場合に、そのドルをカバーするために、何か物資でもつて日本に援助を与えるというような場合が想像されませんか。
○下田政府委員 そういう場合も想像されると思います。日本は鉄その他の資源が非常に貧弱な国でありますから、ドルのキヤツシユをくれるかわりに、そういう原材料をアメリカで買つて、それを日本に供与するという場合も考えられると存じます。
○戸叶委員 ドルのかわりに何か過剰の農産物を日本に与えるというようなことは想像されないでしようか。新聞の記事によりますと、ワシントン二十九日発の中で、米対外援助の修正案というような見出しで出ておりましたけれども、ドルのかわりに過剰の農産物を被援助国に与えたらどうかというようなことが問題にされたようでございますが、たとえば小麦などのアメリカの過剰生産をどこかにはかなければならないというので、日本に援助の形で送つてよこすというようなことは考えられないでしようか。
○下田政府委員 日本に過剰小麦を持つて来るということ自体は全然考えられません。ユーゴスラビアあるいは近東方面への経済援助は、マーシヤル・プランのあと継ぎのような援助ではありますが、そういう場合には、食糧不足の国に食糧を送るというようなことが行われますから、アメリカの過剰小麦をそつちにまわすということは考えられますが、日本の場合には、今のところアメリカ側でいう軍事援助の範疇に属する援助でありますから、農産物を送るというようなことば考えられないと思います。
○上塚委員長 戸叶君にお諮りいたしますが、もうすでに二十分お許ししたのですが、なお多数の通告者がありますから……。
○戸叶委員 もう一点だけ……。相互防衛援助協定なるものは日本からの草案でなくて、アメリカ側から、アメリカと諸国との間の相互防衛協定をひな型とした草案が提出されるというようなことを私は伺つたのですが、その場合に日本側としては何の草案も持たずに白紙の形で臨んで行かれるかどうかお伺いいたします。
○下田政府委員 これもおそらく第一回の会合で打合されることになる問題たろうと思いますが、どちらから出しても実はいいのでありますが、どつちが先に出す方が得策かどうかということは、それぞれどういう問題が議せられるかということによつて、その場合場合に考えなければならないことでありまして、必ずしもわが方から出した方が得であるとは限らない。むしろ先方から出したものを直して行くという方が得な場合もあるわけであります。しかしこれはまだ当つてみないとわかりませんので、今のところ何とも申し上げられません。
○戸叶委員 私は先方側から出された方が得な場合があるということはちよつと了解に苦しむわけです。そういう草案をつくらなければならないとするならは――私どもは反対ですが、そういう草案をつくらなければならないとするならば、やはり何か日本に適したものをつくる、日本をよく知つておるのは日本人でなければならない。向うの人の方が日本のことをよく知つておるとは言えないと思います。そういう意味から言いましても、どちらから出してもいいということになるならば、日本も一つの草案を持つて臨まれたならば、そしてお互いに話し合つた上で妥協するといいますか、歩み寄るという形の方がいいのじやないかと思いますが、その点はどうなんでしよう。
○下田政府委員 御意見ごもつともと存じますが、これは場合によることでありまして、たとえば先般御承認を得ました航空協定、これは実は各国ともばらばらないろいろな協定をやつておりますので、日本としてはいろいろな国と一度に航空協定を結ぶについて、別々の違つた協定を結ぶのでは煩にたえない。また国会に御承認を求めるにあたりましても、協定ごとに違つたのでは、御審議に非常に御不便だろう、従つて日本でモデル案というものをつくりまして、日本の典型案をわが方から出したために、大体各国との協定はほとんど同じような協定にまとめ上げることができました。しかしMSA協定は、なるほど各国とたくさんの協定がございますが、元は実はアメリカでありまして、アメリカのMSAアクトの適用という問題を含んでおりますので、外国の場合には大体アメリカ側から案を出しておるのではないかと思います。しかしこれはそうだからといつて、必ずしも受けて立つ必要はないのでありまして、一にぶつかつてみまして、そのときでどつちから出すかということをきめなければならない問題でありますので、ただいまのところ何とも申し上げられません。
○上塚委員長 それでは暫時休憩いたします。午後は一時半から再開いたします。
    午前十一時五十五分休憩
     ――――◇―――――
    午後三時四十六分開議
○上塚委員長 休憩前に引続き会議を開きます。
 国の援助等を必要とする帰国者に関する領事官の職務等に関する法律案及び在外公館の名称及び位置を定める法律等の一部を改正する法律案を一括して議題といたします。ただいまの両案につきまして御質疑はございませんか。――御質疑はないようであり、討論の通告もございませんので、たたちに採決いたします。両案をそれぞれ原案の通り可決するに御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○上塚委員長 御異議なしと認めます。よつて両案は原案の通り可決いたしました。
 なおただいま採決いたしました両案に関する報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じます。御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○上塚委員長 御異議ないと認めます。よつてさようとりはからいます。
    ―――――――――――――
○上塚委員長 この際お諮りいたしたいことがあります。それは参考人招致の件でございますが、駐留軍の基地接収問題につきまして本委員会に参考人を招致し、その意見を聴取いたしたいと存じます。これにつきましては先般来の理事会において人選等につき種々協議いたして参りましたが、大体においてまとまりましたので、印刷のでき次第委員各位に配付いたしたいと存じます。ただいまの基地接収問題に関しましてその箇所の選定、人選、意見の聴取のー時等は理事会に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○上塚委員長 御異議がなければさよう決定いたします。
 なお委員各位に一言御報告を申し上げます。去る六月二十七日フイリピン共和国キリノ大統領は、七月四日の同国独立記念日に、モンテインルパ拘禁中の日本戦犯者全部に対し特赦の措置をとることを決定した旨大統領府から公表せられました。この措置は、本人及びその家族はもちろん日本国民がこぞつて衷心喜びとするところであります。よつて翌二十八日早急に外務委員会理事会、次いで外務委員会打合会を開きまして会議の結果、この際衆議院は院議をもつてキリノ大統領に対し感謝決議が行われることとなり、すでに両案とも満場一致をもつて通過いたしました。この段御報告を申し上げます。
 本日はこれにて散会いたします。
    午後三時五十一分散会