第016回国会 外務委員会 第22号
昭和二十八年七月二十九日(水曜日)
    午後二時四十八分開議
 出席委員
   委員長 上塚  司君
   理事 今村 忠助君 理事 富田 健治君
   理事 福田 篤泰君 理事 並木 芳雄君
   理事 田中 稔男君 理事 戸叶 里子君
   理事 池田正之輔君
      麻生太賀吉君    押谷 富三君
      加藤 精三君    佐々木盛雄君
      中村  清君    野田 卯一君
      持永 義夫君    吉田 重延君
      岡田 勢一君    喜多壯一郎君
      須磨彌吉郎君    帆足  計君
      穗積 七郎君    和田 博雄君
      岡  良一君    中村 高一君
      川上 貫一君
 出席国務大臣
        外 務 大 臣 岡崎 勝男君
 出席政府委員
        外務政務次官  小滝  彬君
        外務事務官
        (経済局長)  黄田多喜夫君
        外務事務官
        (条約局長)  下田 武三君
 委員外の出席者
        外務省参事官  森  治樹君
        外務事務官
        (経済局次長) 小田部謙一君
        専  門  員 佐藤 敏人君
        専  門  員 村瀬 忠夫君
    ―――――――――――――
七月二十八日
 委員川崎秀二君辞任につき、その補欠として岡
 田勢一君が議長の指名で委員に選任された。
同月二十九日
 委員麻生太賀吉君、金光庸夫君、佐々木盛雄君、中山マサ君、福井勇君及び増田甲子七君辞任に
 つき、その補欠として押谷富三君、吉田重延、
 池田勇人君、中村清君、持永義夫君及び加藤精
 三君が議長の指名で委員に選任された。
同日
 委員池田勇人君辞任につき、その補欠として佐
 々木盛雄君が議長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 日本国とアメリカ合衆国との間の友好通商航海
 条約の批准について承認を求めるの件(条約第
 九号)
    ―――――――――――――
○上塚委員長 これより会議を開きます。
 日本国とアメリカ合衆国との間の友好通商航海条約の批准について承認を求めるの件の質疑を継続いたします。穗積七郎君。
○穗積委員 簡潔にお尋ねいたします。占領中の既得権を認めたことについて、この前ちよつとお話がありましたが、一体どういう理由で、無法律、無外交状態、日本からすればいわばそういう主権の白紙状態におつたときの、その実績、既成事実を、既得権として認めるというふうなことは、どうも納得が行かぬのですが、どういう事情でございましようか。
○黄田政府委員 占領中の既得権というものを認めておるという点でございますが、これは交渉の途中におきまして、占領中の既得権を認めるというふうな、そんな誤つたことはとてもできるものではないという議論がありまして、私もむろんそういう意見でありましたし、今でもそうであります。但し占領中のものを認めているというのは、これは銀行業務だけでありまして、それも、けさもお話いたしましたけれども、ナシヨナル・シテイ・バンクというものは戦争前からおりまして、預金業務、信託業務というものをやつていたのであります。それから占領中やつて参りましたものがバンク・オフ・アメリカとチエース・ナシヨナル、この二つであります。これが占領期間中のスキヤツプの許可を得まして営業いたしておりました。
○穗積委員 それは大体わかつておりますから、どういうわけでそうなつたのか、時間が延びますから簡単に願います。
○黄田政府委員 占領中のものがそのほかにあるのかということに関しましては、そういうものは一切認める意思はないというので、向うと交渉いたしました結果、向うにも、これを除いて占領中に得たものがあるかどうか。そんなものがあつたらそれは何も認めてもらう意思はないということを、向うもはつきりいたしました。そういたしますとせんじ詰めて参りますと、それだけであります。しかもそれらの業務は戦前からも向うがやつておりまして、けさほども御説明申し上げましたように日本経済の復興、あるいは発展に寄与しておつたし、将来もするであろうということを認めましたので、それらについてのみ認めておるわけであります。
○穗積委員 のみということでありますが、実はわれわれが申すまでもなく、釈迦に説法でございますが、高度資本主義におきまして、金融が経済を支配する力というものは圧倒的なものであります。そういう意味で、これと農地に対します既得権とふりかえるというようなことは、私にはとうてい考えられない。そういう経済的な比較、比重は別問題としまして、法理的に、政治的に考えまして、占領中というものは主権が活動しないときなのです。白紙状態です。国家としては、そしてまた向うとしても、何もそのときは友好関係が回復しておつて、日本において実績を得たものではなく、こちらは無意思、無抵抗時代にやつた事実を既得権とするには、権利存在の理由がないと思うのです。既得権ということは権利義務の関係があつてできて来る。占有権にしても何でもそうです。そういう法律的に無主権状態の中に、一体権利義務関係というものがあるのかということです。それはないと思うのです。一体民主主義国であるアメリカがこんなことを言い出すのが大体おかしい。そういうことからいえば通らぬりくつが通るようになつて来ます。一事が万事でございますから、今おつしやつた通り、ほんの二、三の例だけだということでありますが、決してそうではない。のみならず先ほどもお話いたしました通り、今までは実質的には寄与したかもしれぬ。しかし将来は必ずしも永久に寄与するとは言えない。非常に大きな問題であります。
 続いてお尋ねいたしますが、金融機関については先ほど福田さんからも専門的な御意見があつて伺いましたが、続いてこちら側から、たとえばカリフオルニア東京銀行とか、住友銀行が炭行業務を許されておるということでありますが、日本に対しましてはアメリカの支店が預金業務をすることが許されておる。ところがこちら側では支店は許されておらないでしよう。そうでなくて向うの法人設立の手続がなければできないと思うのです。さらにわれわれ仄聞するところによりますと、一番大事なニューヨーク州の州法というものは、ニューヨーク州の中に本店のない銀行、会社は、ニューヨーク州の中に支店を設けることができないという法律があるやに伺つておりますが、その事実を伺いたいし、同時にもしありとすれば、これは非常に不均衡な取扱いではないか。ニユーヨーク州のことは別といたしましても、第一国と国との間で、こつちは向うの法人設立の手続をしなければならない。向うは支店を持つて来てすることができる。これはいざという非常の事態の際に非常な違いが生じて来ます。おつしやる通り、法人設立手続も簡単にできるから、何も支店でなくても法人設立手続をすればいいではないか。東京銀行、住友銀行はやつているとおつしやるかもしれませんが、非常の事態が起きた場合に、外国の会社とその国内の法人設立手続をとつた会社とは、その取扱い方が非常に違つて来ると思います。そういう点については何も互恵、平等でもないし、非常な悪平等でありますが、その理由はどういうところにあるか。
 もう一つはニユーヨーク州のその事実は、私つまびらかにいたしませんが、事実そういうことがありましようかどうか。あるとすればすみの方の農業地帯のテキサス州ならば別だが、一番重要なニユーヨーク州のどまん中の心臓部において、そういう支店の設立が認められないということになると、大きな不均衡な状態になると思いますが、それを伺いたい。
○黄田政府委員 既得権の問題と、各州によつて法律が違うがゆえにこの取扱いが違うという問題とは、全然別の問題でありまして、既得権として銀行業務を行い得るものは、今までおります四つの銀行だけであります。それ以外のものに関しましては預金業務、信託業務を許すか、許さないかは、将来の問題といたしましては、制限業種に入つておりますのでわが方の自由であります。
 それから州によつて取扱いが違うということもおつしやる通りでありまして、ある州は支店の設立を許す、ある州は外国法人の支店の設立は許さないというふうに向うはなつております。カリフォルニアの場合には、外国の支店の設立は許さない、あるいはそれらには預金業務、信託業務のような銀行業務を行わせないということにもなつております。但しそれらは議定書の第四によりまして、わが方においても将来の問題といたしましては、それらの州に対しては同様の措置をとり得るということになつておりますので、既得権の問題と将来の問題とは全然別の問題であります。
 それからニユーヨークステートにつきましては、外国のあれのみならず、おつしやる通り他州で設立されたものでも許されておらない。但しこの州法というものは、百年以上前につくられたものでありまして、それがいまだに効力を持つているという関係にはなつておりますけれども、おそらく今新しい州の法律というものは、そういうことを漸次廃止の方向に持つて行つており、ニューヨークステートにおいてもおそらくそういう方向に行くであろうということを観測されておるのであります。
○穗積委員 向うは支店でできるが、こつちは法人設立許可を得ないとできないという下十等ですが、それはどこに理由があるのですか。合理的な理由を説明していただきたい。
○黄田政府委員 先ほど申しましたように、州によつて一律的な取扱いではありませんので、州によりましては支店を設置し得る、しかもそれらが預金業務、信託業務も行い得るというところもあります。そうでなくて支店は困る、州によつて法人を設立してくれという州もあります。それらはその州によりまして将来の問題といたしましては、同等の態度を日本もとり得るということが議定書の第四に書いてあるわけであります。
○穗積委員 それではあれでございますか、こちらの制限は、向うの州法のミニマムなところですね、制限の一番高いところを基準にして、国内法で制限ができるということですか。そうしますとアメリカのある州法で、向うの法人設立の手続をとらないものは銀行業務ができないということになると、日本全土において、同様にアメリカの支店ではいけないのであつて、日本の法人の設立許可を求めてからやれということにできますか。つまり一番きびしい制限のミニマムのところで同様な取扱いができるか。マキシマムのところでやつたらほかのところは漏れてしまいます。ですからこちらの権利のミニマムのところで同様な取扱いができるか、マキシマムでやるのか、どちらでやるのか。
○黄田政府委員 州の法律によつて、この州はどういうふうにやつておる、そして銀行にはどうやつておる、B州ではどうやつておるということで、その取扱いを異にし得るのでありまして、ヤキシマムとか、ミニマムとかいう問題が起る余地はないと思うのであります。この州でレジスターしてあるところの銀行が、こちらに来てやりたいという場合に、その州が外国に対して許していないというふうなものに対しては、日本もそれを許さないというふうに、州ごとによつて取扱いが異なるわけであります。
○穗積委員 それはそういう州がありましても、向うから来る能力があるところは来る。ところが、こちらから行きたいところは、そういう州には行つても意味がなくて、もつときびしいところに行つた方が効果的だという場合がありましよう。州法が違つておりますから、向うから来る州、向うがこつちへ支店を開設したいという法人の所在する州、その州へこつちも行きたいというなら別ですが、向うから来る法人の所在する州にはこつちは行きたくない。「行けばいい」と呼ぶ者あり)行つたつて意味がない。行きたいと思うときには、その州法では制限が一方的にきびしいという場合に、そういうジグザグが出て参りますね、そうでしよう。従つて私は日本の国内法は、向うの州法のつまり一番制限のきびしいところを基準にして制定することができるとすべきが当然だと思う。それならば平等になる。
○下田政府委員 そこがアメリカの特別な国柄であるゆえんでありまして、アメリカの各ステートは、実はある意味では一つの国家みたいなものでありまして、それぞれの憲法及び法律を持つておるわけであります。そこで御指摘のように、ニユーヨーク州の外国会社に対する制限か強いといたしますと、日本はニユーヨーク州で設立された会社に対してはそれと同等の強い制限ができるわけでありますし、カリフォルニアの何がゆるいとすると、カリフオルニアの会社に対しては日本でもゆるく扱うということになります。
○穗積委員 それでは向うのアメリカの法人設立手続をとらなければ銀行業務ができない州、その州に本店がある向うの銀行が日本へ来るときには、同様に日本の国内法の法人設立手続をとらなければいけない、こういうことはできるわけですね。問題はない州があつたとき、こちらはその州へは行きたくない。
○黄田政府委員 前段は仰せになりました通りであります。それから後段は、向うの州でそういうものを何でも自由にやらせるということになつたら、こつちも自由にやらせる、こういうわけであります。
○穗積委員 そこに非常にジグザグな不公平が出て来ることになると思うのです。時間がありませんので、もう少しそれを追究したいと思うのですが、十八条に独占的な行為を禁止する規定がございますが、これは輸出入組合はどうなるか。私がお尋ねする趣旨はこういうことでございます。独占行為に対する日本人の考え方と、アメリカの法律によるアメリカの人たちの独占行為に対する態度やら考え方というものとは、いささか開きがありはしないか。従つてこの程度のことは独占行為の中へ入らないというふうな理解をもつて条約を結んでおつた。そうすると向うは非常にきびしいので、ちよつとしたことでもすぐ独占行為の中に入つて来るというような解釈になつて来ますと、これもやはりそういう措置をとることになつて来るのではないか。たとえばこの間参考人の菱沼さんからお話もありましたが、輸出入組合なんかも当然すぐ問題になるのではないかと思いますが、どうですか。
○黄田政府委員 御指摘の通り、アメリカの独占禁止法――シヤーマン・アクトでございますけれども、これがアメリカはよその国に比べまして、相当強いところの独占禁止法というものを持つております。しかし戦後日本にできました独占禁止法、これはそれよりももつと峻厳なものでありまして、たとえばアメリカの方におきましては輸出に関する限りにおいては、カルテルあるいは価格協定というふうなものを認め得るようなしかけになつておりましたけれども、日本においては、それも何もできなかつた非常に峻厳であつたわけでありまして、それで独占禁止法の緩和ということを叫ばれましたのも、私は当然なことだと思つておるのであります。従つて現在問題となつておりますところの輸出組合が、はたして競争を制限するような段階にまで至つておるかどうかということは、これは解釈をまずやるのは日本でありまして、日本におきましてはそういうものは何も競争制限まで行くものではないというつもりでこれを緩和する。しかし向うでこれはとてもたいへんな問題であるということを言いましたならば、ここに規定してありますのは、そういう制限的商取引というふうなものは、ともすれば自由なる貿易の、あるいは産業の発展ということに害があるというプリンシプルは両方とも認める。そしてそういうものがあつたならば、ただちに相寄つて協議しようということがあるので、自分の方の今やつておる段階においてはそういうものじやないものと思つておりましても、向うから来ましたら、これはひとつ協議の事項にしようではないかということを言つて来るだけのことであります。
○穗積委員 そうすると恐れることは、協議事項になりますから、最初はこつちが独占的行為であるかないかを判定する。おそらく今までの日本の輸出入組合はその中に入らないとわれわれの通念では考える。それを日本では判定して決定する、それは条約違反ではない。ところが向うから見るとそうだということになると、一方的に最後の決定をする権限はこつちにはないのであつて、向うと協議しなければならぬ義務にもなるし、協議をするというと、向うの経済的圧力が実際はものを言う法律によらず、政治力でものを解決するということになる。協議事項があるということはすべて弱者にとつて不利であつて、強者にとつてすべて有利に話が出て来ることを懸念するのであります。そうなると独占的な行為について相当問題があると思うがどうですか。意見が対立したときにはどうなりますか。
○黄田政府委員 ここに規定しておりますのは、そういうことについてもし問題があつた場合には、協議して有害な影響があると認めた場合には、その有害な影響というものを除去するにつき必要なる措置をとることを同意するということでありまして、従いましてまず問題が起りましたときに、それがそうであるかどうかということの認定ということに関して、まず協議が成立しなければなりません。そういう場合に協議が成立しなかつたら、それはもうそこでおしまいでございまして、それ以上進展を見ないわけであります。それから強者、弱者というお言葉をお使いになりましたけれども、両国間の貿易関係におきましては、実はこれは日本の方が非常な輸入をしておる非常な大得意でありまして、従いまして強者というふうな問題は政治的の問題で、この問題に関しては私は必ずしも向うが強者でこつちが弱者であるというふうには考えておりません。
○穗積委員 そうとは私は思わないのであつて、輸入の面だけが経済関係ではありません。特にMSAの援助を受けるということになると、非常な発言権が向うにございますので、江戸のかたきを長崎で討つくらいはわけはない。強者、弱者の判断は別にありますが、そうすると協議が決裂した場合には一体どうなるか、そのままでこつちの意見が通るわけですか
○下田政府委員 これは独占禁止法的な構成を持つておりますので、もし協議がととのわない場合に、その慣行によつて被害をこうむつたと思う向うの商社なり会社なりは、結局日本法による保護を求めざるを得ない。そこで裁判所に訴えます。どうも日本の輸出組合はかつてなことをして困るといつて、アメリカの貿易商社が裁判所に訴えましても、日本の裁判所は日本の法令を独自の見地から解釈いたしまして判決を下すのでありますから、とことんのところで裁判ざたになれば、やはり日本が自主的に日本自身の法律を解釈して、適当な判決を下すことになると思います。
○穗積委員 この条文を見ますと、日本語で、国の通商に有害な影響を与えることがあるということですが、あるのでなしに、あるかもしれないという意味でございましようね。これは原文ではどうなつているか知りませんが、あるかもしれないですから、おそらくはメイというような言葉が使つてあるのじやなかろうかと思うのです。そうすると未然からこういうことが問題になりますね。そういうような事実がひどく発生した場合でなくて、発生するおそれがある情勢に対しても、すでに協議事項にひつかけられて来るということになるわけでございますか。これはつまらぬことのようですが、条文の解釈上ちよつとお尋ねしておきたいのです。
○黄田政府委員 これらの慣習がある場合には、有害なる影響を及ぼす」とがある――おつしやる通り、これはあるかもしれない、こういうことです。そこでそういうあるかもしらぬ、ないかもしらぬ、あるというふうな場合にはそのときにこの問で協議する、こういうことであります。
○穗積委員 そういう場合であれば、事実が現われて来たときというときに――法律はすべて事実を問題にするので、可能性を問題にするのじやないのですから、そういう条件に切りかえるべきだとわれわれは思います。
 条文上の問題が明らかになりましたから、続いてちよつとお尋ねしておきます。きのう川上委員からもちよつとお尋ねがありましたが、制限業種をとらの首をとつたようにおつしやいましたけれども、それについて一体どういう制限規定を設けるのか。アメリカに対してのどういう制限――つまり柵を結ぶのか。結ぶことができるということであつて、それはこつちでやるわけですから、結ばなくてもいいわけでございましよう。ですから柵を結ばなければ、これはちつとも保護規定にならぬわけです。これこれのことをすると書いてない。そういうことをする権利を留保することができると書いてありますから、こつちが柵を結ばなければ自由だし、一尺の柵だつたならばまたいで通れるが、六尺ならまたいで通れぬということでありますから、柵次第でその条文が生きたり死んだりするわけです。だからどういう内容のものを、どこで、だれがきめるのか、どういうお考えであるのか、それをもう少し具体的にお尋ねしたい。これは条文の終りの方を見ますと、批准書は交換されて一月の後に効力が発生しますから、立ちどころに潮のごとくいろいろの問題が起きて来ると思います。だから並行して御意見を伺わぬと、これは審議ができないということになりますね。
○黄田政府委員 ここに掲げてあります制限業種に関しましては、どんな柵を設けようともこれは自由であります。従いましてたとえば造船業については外資の株式を所有し得る範囲は二〇%に限る、あるいはガス事業に関してはこれを一〇%に限るというようなことをきめるのは、日本の独自の考えできめるわけであります。従いましてそれをだれがきめるのかと申しますれば、これはあるいはこの造船業界の要望に基いて所管官庁で法律をつくるということもありましようし、あるいは国会の方の御発議によつてその法律をおつくりになる、それはこつちの自由であります。
○上塚委員長 穗積君、きようは発言の通告者が十二人あります。それで一応持時間を終えていただいて、余裕の時間がありましたならば、さらに残りの発言を許しますから……。
○穗積委員 もうすぐ済みます。私はまだ二分超過しているだけです。ちやんと鉄道時計を持つております。
 ちよつとお尋ねしますが、ここで制限業種というのをとつてわれわれの産業の要素を保護するのだといつて、鬼の首をとつたように言われた。しかもこの制限業種は世界に例を見ないほど広いのだと手放しでございますが、そういうことてわれわれを納得させようというならば、結ぶところの柵は何ですか、少くともこの条約が効力を発生すると同時に、その柵が何であるかということをきめる法律がここに一緒に提案されなければならぬはずです。そんなばかな手落ちはございませんでしよう。われわれをもつて言わしめるならば、その法律を一緒に審議し、しかもその法律の効力の発生の時期がきまつて、しかる後に向うへ批准書をやつて交換して、そのタイミングを合すべきだと思うのです。法律は無抵抗状態です。こつちできめることができるという、そういう権利を留保されておるだけであつて、何をきめるかということはちつとも書いてない。しかも何でもきめられるというが、何でもきめられると思つておる間にどろぼうが入る、あるいは水が家の中に入つて来るということがございますから、いつどういうことをされるつもりなのか。これはどうしてもあなた方が御努力なさつて、アメリカが納得しないのにあらゆる抵抗を試みてやつとここまで確保したという、それだけ確保する以上は保護しなければならぬ。ですから確保をはかるならば、その柵を結ばずして用意ドンというようなばかなことはない。だからスタートするまでにそのハンデイキャップはきめておかなければならぬ。そのハイデイキヤツプをつけることは可能であるということを言つておいて、ハイデイキヤツプをつけないでスタートする、そんな手落ちはないはずです。国内法律についての御所見を承りたい。
○黄田政府委員 制限業種というのは、将来どういう必要が起るかもしれないということから、なるべくそれを広くしてくれという要望もありましたし、今現在ただちにこれをどういうふうにしなければならぬのだという、非常に緊急であるというものだけではないのであります。従いましてそれが相当広くなつておる当初の原案におきましては、その他将来必要と認むるというようなことも実は入れようとしたという状態でありましたけれども、それではあんまりあいまい模糊として、投資する方ではそういうことが将来心配で投資もできないということで、これだけの業種に限つたのであります。従いまして今ただちにそういうことがどこに必要であるか、あるいはどういう関係が最も稀薄であるか、これは雑多なものが入つております。従いましてこれに関しては、そういう制限が必要だという事態が起りましたならば、ただちにそういうことをやります。それじやそれまではあぶないじやないかというお話でありますけれども、今のところでは御承知のようにスクリーンをなし得るという規定がありますので、そういう心配はない、こういう状況であります。
○穗積委員 これはきのうの参考人がすべて賛成だということを言われましたが、われわれの仄聞するところでは非常に反対が強かつたと聞いた。大蔵省通産省も反対だと聞いている。財界も反対が強いにきまつている。しかしこれらの人は今になつて公の席上で反対しないのは、今の日本の経済が特需を中心としたアメリカ経済との関係が深いため――中共貿易でもそうですけれども、下手に事を構え――ねこに鈴輪をつけたいのだが、自分がつけるとあぶないということで、内に不満を蔵しながら黙つておるということです。おそらくこれは財界の実情から見れば、今おつしやるようにすべてが一律に同時ということではございません。保護を必要とするものがあるにきまつておる。従つて私はそういう意味で伺つておくのです。法というものは最後の一人を守るためにできておるのであります。そういう趣旨で伺つておる。ですからその点をもう一ぺんあらためて伺いたいと思います。これで一応打切りますが、また夜お願いします。
 事のついででありますから、もう一点だけお伺いしておきます。例の講和条約第十二条を見ますと、何か四年間に相手の国及び会社に対して連合国が日本人及びその会社に与える待遇と同様の待遇をお互いに与えなければならぬという規定があつたかに記憶いたしておりますが、その規定が生きて来て、アメリカ側に今後四年間に許すことのあるべき既得権の中に入るか入らぬか、その点をちよつと明らかにしておきたいと思います。これは法律解釈上重大であります。
○下田政府委員 御質問の前段につきましては、およそ条約の規定には何々するということをただちにアウトライトにきめる規定と、何々する権利を留保するという二つの規定の仕方がございます。何々するとアウトライトに条約できめた場合には、なるほど御説のように、それじやどういうことをするのだということが判明しなければ審議できないのはごもつともだと思うのでありますが、単に権利を留保するということだつたら、それは各般の情勢を勘案して将来おもむろにやつてさしつかえないものだろうと思います。
 あとの平和条約との関係につきましては、十二条で明らかにしておりますように、通商航海条約が締結されるまで、次の待遇を与えるということになつておりますので、従いましてこの条約が御承認を経まして発効いたしますれば、この十二条にとつてかわりまして、十二条は消えてしまうわけでございます。
○穗積委員 まだお尋ねしたいのですが、夜にお願いすることにしまして、これでやめます。
○上塚委員長 川上貫一君。
○川上委員 今ちようど穗積委員が重要な質問をされておりますので、それについてお尋ねいたします。制限業種がきまつておりますが、これはきのうの説明によると、外資の導入その他の関係もあるので、いろいろなことを勘案して、その時分にその程度はきめるという御返答であつたのでありますが、私聞きたいのは、外資の導入の関係上、その他の必要上で、株の取得をたとえば九〇%まで認めることもできる。こういう時分には、国内法ではたとえば四九%以上は認めないとかなんとかいうことのお考えはなさそうに思いますが、これはどうなりますか。簡単でけつこうです。質問の時間が答弁も一緒に入るようですから、答弁はまことに簡単にしてもらいたい。そうだとか、そうでないとか、これでよろしい。
○黄田政府委員 制限業種に関しましては、何パーセントということをきめるのはかつてであります。幾らでもできます。
○川上委員 そうすれば九〇%まで認めるときめてもいいですか。
○黄田政府委員 さようでございます。
○川上委員 それで私は穗積委員が質問したんだと思う。制限業種でも何でもない。九〇%まででも、一〇〇%まででも認められることを、ちやんと残してある。法文の上で権利を留保することができるとかなんとか、ちよつと書いてあるだけだ。ここに問題がある。これは非常に重大だ。
 それから次には、鉄鋼、機械、化学、車両、土建は制限業種のうちに入つておりませんが、これはどういうわけなんですか。
○黄田政府委員 九〇%でも一〇〇%でもよろしいというふうなものは、制限業種にする必要はないのであります。制限業種にしております以上は、全然禁止するということも自由でありますし、一〇%に限るということも自由であります。それから今お述べになりましたような鉄鋼業とか、車両とかいうものは、もしそれらのものも全部入れるということになりますれば、これはほとんど制限業種のみで、ほかに外資の導入をする余地が少しもないということになるでありましよう。それから制限業種を広くするか狭くするかという議論の対象でありますけれども、これらのものはむしろ外資が入つて来る方が望ましいのであつて、従つて安心して入つて来られるようにという考慮が強い業種でございますので、入つていないというわけであります。
○川上委員 わかりました。今の政府の答弁によると、たとえば電気事業は外資の導入を政府は期待しておるようでありますが、こういう場合に必要があれば、不動産の取得を、株の取得を九〇%まで認めてもかまわない、こういうこともあり得るという答弁でありましたから、これは明らかに記録に残しておいていただきたい。
 次に聞きたいことは、東南アジアでも、中南米でも、重要産業の株は五〇%以上は外資には許さぬ、こういうようになつておると思う。ところが日本では制限業種とは書いてありますけれども、今の御答弁でも、一%しか認めぬというのも自由であり、一〇〇%認めるのも自由である。ただ制限してあるんだぞというてあるだけだ。こういうような規定をなぜしなければならなかつたか。日本がまさか東南アジアや中南米諸国の、まことに小さい国と同じようになりたいというお考えでもありますまいが、この点は一体どうなるか。簡単な説明でいいです。
○黄田政府委員 一〇〇%認めるというものでは、制限業種にした理由はないのであります。従いまして何パーセントにするかという必要限度は日本が認定するのでありまして、おそらく制限業種にいたしましたものに関しましては、株をどのくらいまで認めるかという立法があります場合には、五〇%以下というふうなことになる公算が非常に多いだろうと思います。それから東南アジアの方においては、そういうことをやつておるとおつしやいますけれども、日本においてもこれらの制限業種に関しては、やろうと思えばこれもできるのでございます。
○川上委員 そういう言いのがれはいかぬ。制限するということを規定してあるんじやない。制限をする権利を留保しておるだけだ。留保をやめたつていい。一〇〇%やつたつていい。制限してある以上は九〇%はやれぬ。そんなりくつは出ません。これは制限するものなりとしてあるのではない。制限の権利を留保してあるだけだ。やめたつていい。だから九〇%やれる、こういうもんだからあかん。だからひどい条約だ、米・コロンビア条約だというのです。これは重大問題ですから、ここであなたと私と討論したつてだめです。こういうことは、あなたじやなくて、もつと上の方の人がこそこそやつてしまうので、ここで討論したつてだめだと思います。わかりました。これで私のこの問題に関する質問は打切ります。
 鉄鋼業をなぜ制限業種に入れなかつたか、これを伺いたい。
○黄田政府委員 鉄鋼業はもつと外資を導入いたしまして、企業の合理化をやつて、もつとコストの引下げをやりまして、輸出の方に振り向けるべき商業の典型的なものではないかと考えるのであります。御承知のように日本の鉄は非常に高い。これは一割五分から二割くらい高いといわれております。従いまして、これを合理化いたしますためには、外資の導入をはかるということが早道であろうと思うのであります。そういう観点が主となりまして、鉄鋼業は制限業種に入つていないのであります。
○川上委員 そうすればここに制限をしていない業種は、外資をどんどん入れたいから、この産業には制限しなかつたのだ、こう理解してよろしいか。
○黄田政府委員 そういう考慮が強く働いています。
○川上委員 そうすればこの制限の問題その他は、日本の産業を保護するという見地に立つておるのじやなくて、外資を導入する便宜のためにつくつた条約であると理解してけつこうでありますか。
○下田政府委員 この条約を流れる根本思想は、憲法と同じように、何人といえども、職業選択の自由を許すという非常に重要なものであります。世界にこういう門戸開放的な通商条約を必要とする国がもしありとするならば、日本こそ領土狭少で資源少く、しかも資本は少いのでありますから、門戸を開放いたしまして相手国の必要な資本を入れるとともに、また日本人はどこの国に行つても、その国民と同じように活動ができるということが必要である点におきましては、通商航海条約の根本原則も忍法の根本原則も私は同じであると思うのであります。それで日本人の才能と勤勉さをもつてすれば、どこの国に行きましても、その国人と同じ待遇を与えられるならば決して負けないという強い自信のもとに、この根本精神があるのだろうと思うのであります。
○川上委員 議論になりますから、私は議論はしたくないのです。したくないが、一応聞いておきたいことは、かつて日本が華中鉄道に五〇%をとつた、国鉄がとりました。このために華中鉄道の支配権は全部日本側で持つた例がある。華北鉄道の五〇%以上を満鉄がとつた、このためにこの鉄道が全部日本人の支配権になつて、完全に掌握された例がある。大同炭鉱の五〇%以上を日本の株が押えた、このためにこれまた完全に日本の支配に属した。この形を通じて、日本は満洲国を制圧したのです。それゆえに汪兆銘政権といえども、日本の株の取得を四九%以上はどうしても認めなかつた。あの売国政権といわれた汪兆銘でも認めなかつた。日本の軍閥でも、さすがに汪兆銘に五〇%の株の獲得をすることはできなかつた。ところが今度は日本は九〇%も出るのをやろう、そうしてこつちもよそへ行つてやるというのです。大きな話です。日本が外国を植民地にするような、そんなことができますか。アメリカは日本に来て現にやつておる、私はこの点について議論をしたくない。私の考えでは、これは驚くべき条約であるということを申し上げておいて、次の賛同に移りたい。時間がないからまことに残念です。この点においてもし意見があればいくらでも意見を闘わしたいが、委員長が三十分ぐらいしか今の時間はないと言うので、まことに残念でありますが、次の質問に移ります。
 鉱業権はこれはどうなりますか。相互主義ということになつておりますが、議定書第四項の相互主義というのは、どういう内容のものでありますか。
○黄田政府委員 先ほどおつしやいました華北鉄道その他は全部制限業種になつておりますので、九〇%やるとかあるいは八〇%やるとかいうことは、これはもうこつちのかつてなのでございます。従いまして四〇%に切ろうと、三〇%に切ろうと、これはわが方のきめべき事項であります。
 それから鉱業の問題でございますけれども、この鉱業権と申しますのも制限業種になつておりまして、七条一項にございます「天然資源の開発」ということに入つております。
○川上委員 相互主義というのは……。
○黄田政府委員 ただそれをいかにやるかということがこの議定書の四に書いてある点でありまして、その二つの関係がどうなるかということは、条約局長からお筆いたします。
○下田政府委員 御質問は相互主義という点の意味だろうと思いますが、御承知のように日本の鉱業法は「日本国民又は日本国法人でなければ、鉱業権者となることができない。但し、条約に別段の定があるときは、この限りでない。」と規定しております。従いまして、もしアメリカのある州で日本人にも鉱業権の使用を認めるというのでごいましたならば、その州の人間が日本に参りました場合には相互主義で認めてやる、そういうことになるだろうと存じております。
○川上委員 わかりました。それでありますからこの鉱業権並びに租鉱権というものも制限業種のうちに入つておりますけれども、議定書第四項によつてこれは完全なる除外をしたものではなくて、双方の申合せ、向うとの関係で何ぼでも鉱業権並びに租鉱権を渡すことができる、こう解釈いたします。
 次に質問したいのは、制限業種につ
 いても既得権を認めておるのでありますが、既得権というのは、現在政府の方々が言つておるのはおそらく銀行の預金とか、信託業務とか、呉の造船所とかその他であろうと思うのでありますが、アメリカのこれだけが既得権であるという内容を公表したものがありますか。
○下田政府委員 前の質問に関連しまして、こう解釈するとおつしやいましたことが私ども誤りであると存じますので、その点をちよつと申し上げさせていただきたいのであります。鉱業権につきましても相互主義ではありますが、制限業種であることにはかわりはないのであります。従いましてこれを五〇%以上の株を持たないということは、相互主義のもとに向うになお許しつつ、制限するということはできる次第でございます。
 それから既得権という問題につきましては、いろいろ誤解を生みやすいのでございますが、まず日本が認めた既得権、これは占領中の既得権というのは不正確なのであります。つまり占領なかりせば認めなかつた既得権であるかのごとくに解されるのでありますが、決してそういうものではございません。これは占領があるなしにかかわりせまず、日本法によつてそれぞれ日本の官庁が自主的見地によつて許していいと認めたものが既得権になつております。
 それからこの第八条第二項の既得権の規定は、実は将来を見ての規定でありまして、各国が制限をする権利を留保しておりますので、将来制限をいたすかもしれません。その場合には、将来制限がなされるまでに業務を行つたものについては引続き認めようというのが主眼でございます。なおアメリカにおいて、日本人にどういう既得権があるかという点につきましては……。
○川上委員 それは聞いておりません。けつこうです。そうすれば二つの質問になりますが、鉱業法第十七条並びに第八十七条には、外国人は鉱業権及び租鉱権を有しないとはつきり書いてある。これとの関係はどうなるか、これが一問。
 いま一つは、既得権は日本の政府でかつてにきめると言うのですが、そんなことはこの条約の上でどこに書いてありますか。アメリカがこれが既得権だと言うて出して来たらどうするか、これをはねのけるのはどの条項によつてやるのか。
○森説明員 ただいま条約局長から御説明いたしました点について補足して申し上げます。議定書第四項で鉱業権に関して相互お義をとつておりますのは、「第七条4に関しては、」云々ということが書いてございます。第七条の四というものは制限業種に対する最恵国待遇の規定でございます。従いまして特定の例を申し上げますれば、日本が鉱業法に従いまして外国人に鉱業権を与えないという場合は、すべての外国人に与えない限りは問題を生ずる余地がないのであります。しかしながら日本の鉱業法がもし改正せられまして特定の国の外国人に許されますと、アメリカ人にも許さなければならないというのが七条第四項の規定でございます、しかしそういう場合においても、アメリカにおいて許していない場合には、日本で許す必要がないというのが議定書四項の規定でございます。
○川上委員 いま一つの、日本で既得権をかつてにきめるというが、その法的根拠は何か。
○黄田政府委員 これは、既得権というものはかつてにきめるとおつしやいますけれども、ただいまあるものが何であるか、それだけしかないのでございます。また株をきわめて少く、もうほんとうに問題にならないぐらいものを持つているものがあるかもしれませんけれども、これは論外といたしまして、ただいまありますものは銀行業務だけ、こういうことであります。
○川上委員 私が聞いておるのはそれじやない。今の条約局長の答弁は、これこれが既得権であるということは日本政府の権限できめるのだ、こう言われた。私はこれに疑問を持つておる。そういう法的根拠がどこから出て来るのか。アメリカは既得権を公表しておらぬじやないか。そうすると今度これが既得権であるということを持ち出して来たらどうするかというこの問題であります。
○下田政府委員 アメリカ四十八州の州法によつて、日本人がなし得る業種はたくさんあります。それ全部が既得権になるわけであります。つまり将来にアメリカがそれを制限しようとしましても、そのときまでに日本人が四十八州で行つて来た業務は既得権として尊重される、そういうわけであります。
○川上委員 既得権は銀行の預金信託業務、たとえば造船所というようなものじやない。アメリカが何を持ち出して来るかわからぬということが一つと、向うでやつておれば認めると言いますが、向うでは何もやつていませんよ。またやれません。やつているのはアメリカが日本に来てやつているのです。日本がもしも向うに行つても、経済活動も何もできるはずがない。これは明らかな嵐実なんです。こんな競争なんかできつこない。元来アメリカは門戸開放の形をとつておる、アメリカは心配ないのです。日本がこのような状態になつておるからこそアメリカと同じように門戸の開放はできない。それが国内産業の保護の立場である、それがスターリング・ブロツクの形である、これが為替管理の立場である、これが輸入制限の立場である。アメリカは輸入制限をしていない。アメリカは何も輸出保護をしていない。野放しにしておる。アメリカはこれができる。この方が有利なんだ。これをやられたのではアメリカ以外の国、ことに日本のような状態になつておる国においては、南米もしかり、東南アジアもしかり、イギリスでさえもこのような形ではたまらぬようになるというのが事実です。それは向うがやつておるからやれるというのは、これはほんまのべテンで、やれつこないのです。現実にわれわれは理解せざるを得ないのです。こういう答弁でありますから、実際はできぬことをやろうとしておるということが明らかになつたのですから、質問はこれでけつこうです。条約局長は首を振つておりますが、首を振られてもそれはいけません。そうちやんとなつておる。そういうことになると、これはもう論議の余地はない。
 次に、外国銀行の既得権でありますが、この外国銀行の既得権が、ちやんと残つておる。現在アメリカの銀行は全体で日本銀行の二十倍の資本を持つておる。これが貿易金融においては決定的な今支配権を持つておる。輸入のための信用状は、この四つの外銀がうんと言わなければ、実際はやれぬような状態になつておる。これが事実です。また輸出でかせいだ外貨は無利子または年二分の定期で預けられる。非常に低利です。こういう自由がまかせられている銀行が残つておる。それが日本にいる外国商社を援助して、貿易取引において日本の商社を従属させていることは事実なんだ。これを既得権だといつて認める。このことについて認める。このことについて全銀協は一つも反対がありませんでしたか。銀行業務をやつておる日本の銀行業、これはわれわれの立場からいえばあまり大きくなつてはびこつてもらつては困るのであるが、しかしながらこの日本の独占的金融業がこれには賛成でしたか、どうですか。こんなことをしてしまつて日本の金融業は一体立ちますか。日米通商航海条約は、占領中に築いたところのこの大きな特権を全部既得権として金融に関する限り認めるのであります。自由な活動を許しておつて、これで日本の経済が自主だとか、貿易の独立だとか、こんなことができるとお考えになりますか、これが一つ。こういうことを日本の巨大銀行は許しておるかどうかということが一つ。日本の為替専門銀行ができておるが、これが対抗できるかということが一つ。この百二点をひとつ御答弁願います。
○黄田政府委員 七条二項に書いてございます制限業務になし得るというのは、預金業務と信託業務であります。そのうち主として問題となりますのは、おそらく預金業務でございます。しかしただいまのところ預金業務を行つて、それで預金がどれくらいあるかということを申し上げますと、これはきわめてわずかなものでありまして、ほとんど論ずるに足りないくらいの額であります。従いましてその方から来る脅威というようなものは、さほど問題にする余地はないと考えます。
 それから為替の業務でございますが、これは制限業務ではないのでありまして、かつてにでき得るという業務でございます。為替の業務をなし得ないというのでありますならば、外国銀行は他国に進出して行く必要はほとんどないわけであります。従いまして為替業務におきまして、業務を行つて輸出あるいは輸入の方の助けになるということは明らかなことでありまして、歓迎はすべきことですらあると思います。日本の貿易等におきまして、たとえばユーザンスの問題というような場合には、外国銀行の協力を得るということが必要なのでございます。従いましてその点では、これは問題にする必要があるとは考えておりません。
 それからこれを条約に挿入いたしま際には、むろん銀行協会等ともよく御相談いたしましたが、非常な難点があるという御意見ではございませんでした。
○川上委員 そうすれば、銀行の方で重大な反対があるという証拠を出したいと思うが、大丈夫自信を持ちますか。
○黄田政府委員 銀行の方面に御相談申し上げましたけれども、さしたる異議があつたわけではございません。
○川上委員 この問題は後に留保いたしますが、あと幾ら時間がありますか。
○上塚委員長 五分ほどあります。
○川上委員 五分ありますから、この五分はあとに残させていただいて、あとでこの五分分をやらせてもらいます。
○上塚委員長 帆足計君。
○帆足委員 通商航海条約に、自由諸国に協力いたしますための輸出禁止のような処置がとり得るという条項がありますが、現存鉄のカーテンのかなたに対して輸出を自制しておりますのは、どういう法的根拠に基いてやつておるか。また制約を受けて、たとえば中国向けの貿易が制限されているが、この法的根拠はどういうことになつておりますか。
○下田政府委員 平和条約の第五条に、国連憲章のあるものの義務をすでに引受けておりますが、趣旨は被侵略者に対しあらゆる援助をなす、また侵略者側に対してはいかなる援助も与えないという国連憲章第二条の義務でございますから、それを日本は、国連加盟前から平和条約によりまして義務として負つているわけであります。そこで中共に対するある種の貨物の輸出を制限するというのは、その国連憲章の趣旨とまつたく同趣旨のところからとられている措置でありまして、日本は、その趣旨に応じてある種の物の輸出を制限しているわけでございます。
○帆足委員 そのようなことでございますならば、これは一般的、抽象的、自主的、道義的協力と見ることができると思いますが、それがおざおざ西ヨーロツパにはいいことでも、日本だけに禁止せられておる。たとえばきようは満場一致で中日貿易促進決議案が通つたのですが、自由党の諸君も満場一致賛成いたしました。それならば本日ただちに政府では措置ができるはずでありますが、それがわざわざ英国なり西ヨーロッパと日本が差別待遇を受けておる、その差別待遇はだれがし、いかなる法規に基いて、われわれはかくのごとき不合理なる差別待遇を甘受しておるということになつておるのでありましようか。
○黄田政府委員 ただいま条約局長から申し上げました通り、侵略国に対しては、ある種の戦略的物資の輸出をとめるということになつております。これはこの条約でもそうでございますけれども、国連の方でそういう決議をいたしまして、ある種の戦略的なものは出さないということになつております。従いましてそれに基きまして、わが国におきましても中共あるいは北鮮あるいはソ連というような国に、それぞれ差はございますけれども、一定の貨物の輸出を禁止するという措置をとつていたわけでございます。本日決議があつたそうでございますが、これも新鮮における情勢が静謐になるというようなことでありますれば、もちろんその方にも影響があるものと存じております。
○帆足委員 MSAに基く協定を結ぶとすれば、鉄のカーテンのかなたの輸出制限について、今後アメリカと相談せねばならぬという義務が生ずるというふうに雑誌などにはよく書いてございますが、ただいままでの交渉で、そういうことが問題になつたでしようか。または今後そういうことが問題になる可能性があるでしようか。
○下田政府委員 これはMSAに基く援助に限りませず、バトル法によりまして、アメリカから援助を受ける国は、やはり共産側に対する輸出統制に協力、同調するということになつておりますので、MSAを受けるから、初めて日本がそういう義務を負うという関係ではないのであります。
 また第二の点につきましては、当然この問題も交渉の話には上つておりますが、今のところどういう形になりますか、また入れるか入れないかも未定でございます。
○帆足委員 そうういう文句が入るといたしますと、きようの国会の決議案の趣旨にももとることになる。なお特に日本は北アジア大陸とは非常に大きな潜在的経済的関係にありますので、こういう問題は自主的に判断することが望ましいと思いますが、協定の条文の中にこれが入りますと、ただいまのように道義的な自制であるならば一般の輿論も納得するでありましようが、協定の条文の中に入りますと、自国の貿易について一々アアメリカのおさしずを仰ぐという結果になります。アメリカは自給自足のできる国でありますから、これは平気の平左でありましようが、われわれは月給自足のできない海国でありますから、かくのごとき条項が条文となつて入つて、こまかく縛られることはすべての国民の望むところではないと思いますが、政府当局の見通しはどうでありましようか。今後やはり条文の中に入る可能性がありますか、あるとすれば政府当局としてはなるべく入らないように努力するというお考えでありしようか。
○下田政府委員 今のところただ話題に上つておる程度でありまして、どういう形になつて現われるか、また全然現われないかという点につきましては、全然見通しも立ちません。もう少し交渉を重ねて参らないと立たないと思います。
○帆足委員 過去において日本の中国への貿易、平常の昭和九年において実は一八%も占めておりました。当時の金額を今にかえますと、数億ドルを越えるわけでございます。こういう大きな問題を控えておるのでございまして、アメリカの軍事援助の金額と中国との貿易の金額は、大体同じくらいの金額になつておりまして、そういうものが必要とあらば、アジア大陸の貿易で補わなければならぬということは、もう経済学昔の常識でもありますし、人の力によつてはどうにもならぬ立地的な宿命でありますので、多少話題に上つたと言われますけれども、どういうことが話題に上つたのでしようか、お聞かせ願いたいと思います。
○黄田政府委員 ただいまおあげになりましたパーセンテージ、これは一八%だとおつしやいましたけれども、当時と今と違いますのは、そのころ中国に対する貿易と申しますものは、おそらく一般の区域を含んでおりますので、パーセンテージの話は異議がありますけれども、触れないことにいたします。
○下田政府委員 MSAの方へ入るといたしますれば、これはおそらく侵略者、あるいは侵略国家というふうな表現になるのではないかと考えます。従いまして今それをただちに具体的にどこというふうなことで、しかもそういうものがあつた場合に、ただちに中共が相手だというふうなことは、これは仮想でございまして、必ずしもそうではないのであります。今の中共貿易あるいはソビエトの貿易というふうなものに対して今の制限が継続されるかどうかということは、これらの方面における情勢がどういうふうになつて行くかという二とにかかる点が非常に多いだろうと思います。
○帆足委員 侵略国という名前になつておる国でありますれば、今日あるしかたのない一面もあるかと思いますが、かりに中共が国連加盟になりまして、戦争がこれで完全に済むという事態になりましたならば、ただ鉄のカーテンのかなたであるというだけをもつてこれが適用されるということになると、私は不合理だと思いますが、ただいまの局長の言われるように侵略国であるということであるならば、まだ多少は論理的筋も私は立とうと思いますけれども、ただ鉄のカーテンのかなたということだけで貿易がとめられるということになると、これは十七世紀前にもどるようなことになりますので、不合理だと思いますが、いかがお考えですか。
○黄田政府委員 中共が国連の加入を認められるというふうな場合になりましたならば、鉄のカーテンはすでになくなつて、カーテンはおろされた、あるいは上げられたということになるのは当然だろうと思います。そういう場合には、むろん何らの異議がないという時代が来るだろうと思います。
○帆足委員 きよう中国貿易促進の決議案が自由党を含めて、満場一致国会を通過いたしましたことは御同慶の至りである。同時に岡崎外相が反対なさるかと思つておりましたところが、実は賛成であるというお心持を伺いまして、意外でもあり、慶祝にたえないことであると存じますが、しかりとするならば、この国会の意を体して、外務省当局は今後西欧並に日本の貿易を進め、また西欧並に渡航の制限を緩和するということを、どのように具体化するお考えでございましようか。ゆるゆると御研究の上、国際情勢を見ながらなされることでありましようが、本会議では一、二分のお答えでありましたので、さらに外務委員会においてお考えのほどを承りたいと思います。
○岡崎国務大臣 これは本日の決議の趣旨もありますから、今までとはまた角度をかえて考える必要があると思います。院議は当然尊重しなけれどならぬ、こう考えております。そこで朝鮮の休戦はでき上りましたけれども、国連の決議はまだ取消されておらないわけであります。だから法律的にいえば、むろん従来の態度を変更すべき理由はないと私は考えておりますが、これは法律的な問題であつて、実際上は気分においてもだんだんかわつて来ると思います。これは政治会議の模様にもよりましようが、とにかく休戦ということは一つの大きな事実でありますから、だんだん考え方もかわつて来得るし、全体の気持も違つて来るだろうと考えております。そこでたとい国連の決議が存続いたしておる際でも、自由主義諸国の考え方が多少でもかわるようになつて来ますれば、まだ今休戦の初まりですから、そこまで行つておりませんでしようが、そうすればまたその間に多少なりとも考え方の違つて来ることによりまして、取扱いの違いも出て来得ると思つております。いずれにしましても、もし休戦なりあるいは国連の決議がやめられたというような事態になりましたときに、ほかの西欧の諸国は中共に対して大いに商売をやつて、日本が立ち遅れて、うまく行かないということのないように、十分これから手配もいたし、用意もいたし、また事情をよく見きわめた上で、適当な処置を講じたい、ただいまのところはこういうふうに考えております。
○帆足委員 外務大臣から、前に比べますとやや私どもの理解し得るような表現と内容を持つたお答えがありましたことを多とするものでありますが、あと持時間三分間でございますので、渡航課長でも見えましたら、また最後の結末もつけねばなりませんから、きようはこれで質問を打切ります。
○上塚委員長 岡良一君。
○岡委員 外務大臣にお伺いいたします。この条約はちようど四月の選挙のまつただ中に、国民もわれわれもどちらかといえば、もつぱら自分のことにあくせくしている間に、こういう問題が出たようなかつこうでございますが、本来、非常に重要な条約でもある。従つて本国会中に上げないで、十分に審議を尽す意味において、これは継続審議などの方法をとつてでも、十分に審議を尽すべきものであると思いますが、政府としてはどうしても本国会開会中に上げたいという御意思なのでしようか、率直なところをお伺いいたしたい。
○岡崎国務大臣 選挙中にこの協定を調印しましたことについては、もうここで繰返し繰返し御説明をいたしております。お話のように、国会議員があげて選挙に没頭しておりますときに、同じ国会議員でありながら、不幸にして外務大臣をしておるために、選挙に没頭せずしてかかる調印までしなければならぬということはまことに私もつらかつたのであります。しかし行政の責任を持つている以上は、やるべきことはやらなければならぬので、調印をいたしたわけでありますが、すでにアメリカにおきましても批准を了しておりまして、せつかく調印をいたした以上は、調印をしたことが国会を拘束するわけじやありませんけれども、先方も批准を了しておりますれば、こういう条約は一日も早く成立さして、そして日米の貿易なり通商なりの関係を安定させることが、国にとつて最も利益のあることと私は信じております。従いまして、国会に対して強要するわけには行きませんけれども、私の希望として申し上げれば、ぜひこの会期中に成立させるようにひとつ御審議を願いたい、こう強く考えております。
○岡委員 私どもの党といたしましては、別に作為をもつて審議の引延ばしをしようなどという考えはないのであります。しかし審議の慎重を期する意味において、会期中にというある特定の期限のうちでということでは、十分な審議ができないのではないかという点に、うらみを残しているわけでありますが、さてそれでは今ほど条約局長のお話では、本条約は民主主義に基くもろもろの自由というものが基本的な精神であると言われた、私どもこの条約を通覧いたしますると、なるほど民主主義に基く自由というものは当然のことながら、条約の明文に現われたところでは、むしろいわゆる資本主義の立場に立つ自由なる経済活動の自由、こういう点に大幅なウエートがかかつているように感ぜられるのでありますが、その点はいかがでありますか。
○下田政府委員 先ほど私は民主主義ということは申さなかつたのでございまして、自由に門戸を解放する主義というのがこの条約の根本精神でございます。つまり締約国の国民は相手国に参りますれば、できるだけ内国民と同じ待遇を与える、第三国人にある待遇を与えるならば、それよりも決して不利でない待遇を与えるというところに、根本の特色があるのでございますから、これは日本が独立後順次外国と条約を結ぶにあたりまして、貫かなければならない精神だろうと思うのであります。つまりソ連のように領土広大な国でしたら、自分だけで十分活動ができるかもしれませんが、日本のように領土狭小であり、資源が貧弱であり、また資本も育成されておらぬのでありますから、どこの国へ行つてもその国と同じ地歩で十分活躍ができるということが必要であるのであります。但しそのためには現段階においては、アメリカの資本力なり技術力なりがすぐれておりますので、その点の考慮は十分いたしておるつもりであります。この点につきましては経済局長から詳しく説明しておりますように、要するに、通商条約は長い間の国家間の交渉の基本条約でございますので、根本精神としてはやはり長い目でものを見て考えてなくてはいかぬ。そこでさしあたつての戦後の日本の経済状態とアメリカの経済状態とを比べまして、やはり一定の制限措置はどうしてもやむを得ない。その点の兼ね合いがこの条約の一番大きな問題だと存ずるのであります。
○岡委員 私がお尋ねしている点は、重ねて申し上げますと、現在アメリカの政権にしても、日本の政権にしても、その性格は大体資本主義政権であろうと思う。その両政権の間に結ばれているこの通商航海条約というものは、明文においては主として経済活動の自由という意味における門戸開放の立場が強調されているように考えるのであるが、そのように理解をしていいかということをお尋ねしておるのであります。
○下田政府委員 先ほど川上さんからも資本主義社会機構に基く経済活動であるということをことさらに強調されて観念されたようにお見受けしたのでございますが、これは実はその面も確かにございます。けれども個々の日本人が外国に入国し、滞在している間にどういう待遇を受けるかということが一番大きな問題でございます。通商航海条約は水と空気のようにどこにでもあまねく通ずる国際交通の門を開くものでございまして、日本人がたくさん海外に発展いたしますために、自由にあらゆる業種の部面において活動できるということが、この企業の進出の問題に関して一つの大きな主眼点であると思うのであります。
○岡委員 それでは重ねてお伺いいたしますが、たとえば御承知のように、わが党は社会主義の政策を主張力説いたしております。従つてわが党はたとえば鉄鋼なり電力なり食糧なりについては重点的にこれを年次計画に移して、化学肥料なり化学繊維なり造船、石炭などもこれを公共的管理に移し、ものによつては国有に移す。従つて貿易なり金融の面においても公共的な管理を持たなければ、日本の経済自立は達成されないというのがわれわれの根本的主張であります。そこでそういう政権ができた場合において、この通商航海条約というものは、かかる政権の基本的な行き方から日本の経済自立の基本政策というものとは矛盾することになつて、この通商航海条約の大きな部分が廃棄の運命にあわなければならないようなものではなかろうかということ、あるいはまたそういうような段階にさしかかつた場合に、この通商航海条約が何らかの道を開いているのかどうかという点を、条約の締結をせられた当事者からお聞きしたい。
○黄田政府委員 一国の政府が資本主義観念を持つておるか、あるいは社会主義的要素を含んだものであるかということは、直接的にはこの日米通商航海条約にはほとんど関係はございません。ただ御指摘になりましたような、たとえば貿易は国家貿易にするとか、あるいは石炭鉱業、鉄鋼業を含む国家管理にするというふうなことが行われましたと仮定いたしますと、それに関連する条文はございます。たとえば国家貿易のことが第十七条に規定してございますけれども、国家貿易をやるというふうな場合でも、やはり商業的考慮によつてやろうじやないか、つまり政治的にある国はイデオロギーが違うからそういうところから買うのはよして、ほかのところから買うというのではなくて、貿易をやる以上は、やはり商業的考慮に基いてやろうじやないかということに関する条文がございます。それからたとえば炭鉱とかあるいは鉄鋼業とかいうふうなものを国家管理に移すような場合に、その中にたとえば外国――本条約におきましてはアメリカでございますけれども、アメリカの資本あるいは利益というものが包含されているというふうな場合には、管理を移すのでございますから十分なることをやろうということが六条に規定してございます。この二つが、もしそういうことが起りました場合に起り得る問題でございまして、規定に関しましては根本的にあるいは直接的に関係はございません。
○岡委員 政府としてはわが国の弱体な産業を保護しながら、一面外資の導入をもはかつて行きたいという、いわば首鼠両端の立場で苦心をされたという点は、われわれも了承いたします。しかし先ほども川上君が指摘いたしましたように、鉄鋼業のような問題、あるいは銀行業務においても既得権は認めるというので預金、信託は認められておる。われわれは公共管理の立場に立つて、金融対策という政策から見ても、そういう段階においては、この通商航海条約が大きな改訂の運命になるのではないかということを私どもは考えておるわけですが、それは譲りまして、逐条的になりますが、第三条のいろいろな、いわば社会保障的な法律の適用を内国民待遇として与えられると言われておりますが、日本の方ではいかなる法律が日本に居住するアメリカ人に与えられるか、アメリカに居住する日本人にはいかなる社会的法律が適用されますか。
○黄田政府委員 日本の法令におきまして第三条第一項に該当するものといたしましては、たとえば労働基準法、船員法、労働者災害補償保険法というふうなものがございます。これらに類似いたしますところの法律はむろんアメリカにございまして、それがどういう法律の名前であるかということは私存じませんけれども類似の法律がございます。それが向うにおいては適用になるというわけでございます。
○岡委員 健康保険法はどうでしよう。
○下田政府委員 健康保険法も適用がございます。
○岡委員 アメリカに居住する日本人については、アメリカの社会保障に関するいかなる立法が適用されますか。
○下田政府委員 アメリカはフエデラル・ローでない、四十八州でいろいろな法律をつくつておりますので一概に申し上げられません。
○岡委員 この条約が締結された場合には、その州において老年の扶助料であるとか、あるいは家族の扶助であるとか、あるいは健康保険もわずかな州には行われておりますが、そういうものはやはりその州に行けば日本人はその適用を受けるのですか。
○下田政府委員 仰せの通りでございます。
○岡委員 とにかくアメリカは非常に富裕な国であるだけに、社会保障の立法というものは非常に遅れていると私どもは見ておる。従つて日本は健康保険、労災その他いろいろ今お示しのような法律の適用を日本に在住するアメリカ人が適用を受ける。しかし日本人はきわめて片務的な形において、適用を受ける部面が少いと思う。なるほど身体障害者福祉法、児童福祉法のごときは発達しておるかもしれませんが、一番大事な健康保険法のごときは世界として非常に低い発達下にある。しかも年金法は発達しておるといつても、この支給は二十年から二十五年業務に服さなければ受けられない、実質的にはその法律の恩恵を受けることはできない。そうなるといわば日本の納税者の負担において維持されておる社会立法が、日本に居住するアメリカ人には厚く受けられるが、その制度が未発達なアメリカに居住する日本人はきわめて片手落ちな、非常にへんぱな形でしか受けられない。健康保険法が未発達であるということは非常に遺憾であると思う。これは外務省も御承知と思うが、現にパキスタンあたりに行つている日本人の一番大きな悩みは健康問題です。これは医者にかかるとたいへんなお金がかかる、みなそのことで困つている。現にカラチの大使館も何とか家族の保護を、大使館の諸君も家族だけでも含めてくれというので病院等に対する予算も請求されていると思うのでありますが、そういう状況でアメリカに行つた場合には受けられないようなかつこうじやないかと思う。その詳細をもしあなたの方でお調べがあつたならば承りたい。
○下田政府委員 第三条の社会保障が不公平に適用になるとおつしやいますが、私どもはむしろその反対であると思うのであります。第三項の療養、疾病等による保険は、なるほどアメリカは健康保険が発達していないかもしれませんが、しかし一方富める国だけに、チヤリテーによる無料病院、無料施設、そういうところに入つてただで療養を受ける機会は日本よりはるかに多いのであります。第一項の方の災害の保険のごときは、これはアメリカにおいては給付は日本と比較にならないほど大きな給付をもらえるのでありまして、人間の数からいいましても日本人はアメリカに六万八千人おつて、これに反して米人で日本におるものは七千人しかおりません、人間の数から申しましても、災害保険給付の額から申しましても、第三条はかえつて日本として非常に有利な規定であろうと思うのであります。
○岡委員 それはぼくは非常に実際に即さないと思う。なるほどアメリカでは慈善病院はたくさんあるが、慈善病院に入院し、診療を受ける場合でもやはり適格者でなければならない。日本人がアメリカに行つて、アメリカのある意味において国民外交の立場から言うならば代表して働く者が、一旦病気に襲われて働けなくなつたという場合、アメリカのいわば遺言などによつて主としてつくられている慈善病院の慈恵に浴さなければならない、アメリカにおいて健康がそこなわれた場合における健康そのものを保障しようとする法律によつて当然の権利として保障されずに、そういう慈恵的施設によつて保障されなければならないということに、あなたが安易な期待を持つているということは、いささか下見識じやないかと思う。しかし私もその実態についてはよく知りませんが、ただ文章等においてわずかに知つているばかりであつて、もしそういうものの恩恵に浴さない場合のアメリカの医療費はとほうもないものであり、これは日本の医療と比べて問題にならない。従つてそういう点から、せつかくアメリカに日本人が居留しておつて一たび病を得た場合は、非常に生活上窮状に陥るのではないかということが心配である。それに対して国の法律、州の法律をもつて健康を保障する、あるいは傷病の手当金の支給を受けるという制度は非常に未発達だ、しかしながらこういう点はもつと現地の実情をよく調査になつて、そういう点について通算のない措置を、日本側はもつと積極的に講ぜられる必要があるのではないか。これは私の危惧かもしれませんが持つておりますので、十分な御調査を願いたい。
○上塚委員長 外務大臣は五時までしかこちらにおられることができませんので、外務大臣に対する質問者がたくさんございますから、一応ここで……。
○岡委員 それでは私は外務大臣にお尋ねをいたします。せつかく今御交渉の間でありますから、ただ私どもの推定から申し上げるのではありますが、たとえば今問題になつておりますMSAの援助を日本が受けるということに相なりまして、防衛支持援助が日本にやつて来る、日本が受ける。そこで、たとえば工作機械というようなものを日本の政府がアメリカから引渡しを受け、これを日本の工場に売り渡す。そこでその工作機械を通じていわば単純兵器が生産されるということになる。そこでその生産された単純兵器が、たとえば域外調達というようなことで東南アジアなりに向けられ、または、その工場の規模が拡大されれば、保安隊の装備にもこれが向けられるということに相なろうと思うのでありますが、そういうような場合において、アメリカの資本が――兵器産業は制限外になつておるようでありますが、入つて参りまして、そこでその資本との合弁の形において、いわゆる政府が引受けた工作機械をその工場が引受けるというような形において、日本の兵器産業というものがやられて行き、今後MSAの援助を受けるということになり、それがさらにだんだんと進んで参りますと、そういう事態になつて来るというようなことを私どもは予想いたすのでありますが、いかがでしようか。
○岡崎国務大臣 私どもが今までやつて参りました結果は、実は兵器産業等も必要で、これを発達させたいと思つておるのでありますが、日本の資金は、まず優先的には、国内の電源開発とかその他基幹産業にできる限り振り向けたいものでありますから、いわゆる軍需産業に向う金というものが比較的制限されて十分でなかつたのであります。そこで、今まで防衛支持援助を受け得るような系統立つた軍需生産の計画もできなかつたわけであります。その間においてアメリカの資本でも入れれば、この方面は日本の資本を使わずして相当充実できると思つて、今までずいぶん努力もいたしてみましたが、なかなかこちらの方には入つて参りません。むしろ私どもは、入つて来れば非常に成功じやないかと――これは結果においての御意見はいろいろありましようが、外資導入の点からいえば成功じやないかとさえ思うくらいなのですが、なかなか入つて参りません。そういうふうな御懸念は一応頭の中で考えられますし、われわれも考えておりますが、どうも支配権をとられるほどの外資はとても入つて来ないのじやないかと実は現在思つております。
○岡委員 重ねてお伺いいたしますが、私どもこれを文書で拝見いたしますと、特需などにおいて、いわゆる受注条件というものが非常に悪い。たとえば飛行機の一時間の修理賃金が日本では九十セントだ、あるいは台湾では
 一ドル何十セントだというような数字を見ましたが、とにかくその数字を見ると、日本は非常に悪い。そこで、私が申し上げましたような形で、防衛支持援助で日本の工場が払渡しを受け、その工場にアメリカの資本が入つて、そこでそういう劣悪な労働条件のもとに兵器生産がなされなければならないということになると、政府の言われるところの、MSA援助によつて日本のプラスになるどころか、かえつて日本の労働条件が悪化し、また日本の労働者が搾取されるというような形さえも予想されるわけでありますが、その点について何かはつきりした保障をこの機会に与えていただければけつこうだと思いますが、その見通しについて承りたい。
○岡崎国務大臣 おつしやるような防衛支持援助は、実はこの前もここで申したのでありますが、今度の交渉では来そうもないのであります。というのは、向うの予算もきまつておりますし、この項目を一〇%だけ動かすということはありますけれども、日本の場合にどうも来るかどうかわからない、来年度においてひとつ来るように努力をいたしてみようと思つているような実情でありますので、まだそういうような具体的なところまで話もしておりませんし、正確なお答えはできないのであります。しかし、防衛支持援助にせよ何にせよ、一般の労働条件よりも悪いような条件を、少くともアメリカが関係しているものに対して認めるようなことは私はいたさないつもりでおります。
○岡委員 第五条の第一項について外務大臣の意見を伺いたいのですが、実は、私どもも自然科学者の一人として日本の原子爆弾による災害については大きな関心を持つているわけです。そこで第五条の第二項によれば、「両締約国は、特にそれぞれの領域内における生産力の増進及び生活水準の向上のため、科学及び技術に関する知識の交換及び利用を促進することに協力することを約束する。」とうたわれてある。言うまでもなく、原子力の開放を通じて、これが単に人間を殺傷するための武器としてではなく、現にすでにアイソトープのごときは非常に広く利用されており、また動力源となつていろいろな方面にも活用されようというような空気になつて来ておる。ところが今日1われわれは反米的な考え方から言うのではないのだが、日本は世界における原爆洗礼のただ一つの民族である。世界の科学者の叡知の最高といわれる原子力の開放、それに基いてつくられたものが武器となつて瞬時の間に日本人の二十三万の同胞の命が失われており、しかもこういう爆発災害の事故に対しては近代の医学というものはまつたく無力であつたということが証明されておる。従つてこういうわが民族の体験を基調とし、政治的な意図を越えて、純粋に科学的な立場においてこの問題を十分に研究し、あるいは臨床的な経験あるいは病理的な経験を探究し、この事績をまとめて、私ども日本の自然科学者としても、また日本政府としても世界に公にする、そのことが、文化国家としての、また平和国家としての日本の正しい態度ではないかと思います。前回の国会においても、片山氏がみずから強く主張しておられるのでありますが、わが党はそういう考え方を大いに持つております。ところが、この原子爆弾の災害に基く臨床ないしは病理等の実際の報告というものは、これが公にされることがきわめて忌避されておる。その結果として、世界の学界も求めてなおかつその手にし得ないというようなことになつておる。そこで端的に結論を申しますならば、人間の叡知の最高の達成である原子力の開放、これが近代医学をもつてしては、みずからの無力を嘆ぜせしめねばならないような、最も貴重な生命の殺傷にのみ利用されているということについて、そのただ一つの体験者である日本民族としては、わが国の科学者を大きく動員して、この臨床的なあるいは病理的な体験というものをまとめて、これを――アメリカも独自にやつておる、日本の学術会議も独自にやつておる、しかも双方ともまだそれを公に発表しておらない。こういうことは非常にわが国の文化国家、平和国家としての建前からしても遺憾だと私は思うのでありまして、やはりこういり問題はこの際、この条約にうたわれておるように、日米がもつと協力して、お互いがしつかりそれらの調査を済ましておるのだから、これを一本にまとめて全世界に訴える。こういうような純粋な科学的な立場における取上げ方が必要ではないかと思います。私どもは、必要でないかと思うというよりも、こうあるべきだと念願をしておるのであるが、この点、この問題の取扱い方について、外務大臣は一体これまでどういうふうにお取扱いになつておられたのであろうかという点について伺いたいと思います。
○岡崎国務大臣 私は実はそういう日米両方で独自にやつておる研究というものが、どの程度に進んでいるか内容は知らないのであります。また、従つてそれをお互いに見せ合つて交換した方がいいであろうかどうであろうかという判断も、実はわからないのでありますが、お話のような程度のことならば、これは自分だけでやつているよりも一緒になつて公開してやつた方がいいという常識的な気持は出て来るわけであります。そういう趣旨も、日本側が希望すれば、この条約ができればこの五条に基いて先方にも話し合う根拠もできるであろう、こう考えております。
○上塚委員長 岡君、あなたに三十分お許したのですから、もう…。
○岡委員 希望だけです。この問題は文部省が主としてやつておられるのですが、非常に遠慮深くやつておられますので、せつかくこういう条約もできることでありますから、適当な機会に文省の方から、この問題の取扱い方をどうやつておられるかということについて、一応御報告を求めたいと思うので、委員長からしかるべき機会を御提供願いたいと思います。
○上塚委員長 並木芳雄君。
○並木委員 大臣にお尋ねします。先ほど川上委員の質問にあつたのですが、第七条の第二項の制限業種、これは「限度を定める権利を留保する。」となつております。ですから限度を定める権利を留保するのでありますから、日本が限度を定めなくてもよろしい。場合によつては自由にしてもいいじやないかという質問応答があつたわけです。この点重要でございますから、大臣はどういう心構えで調印をされたか、今後厳重な制限を付して、そしてこういうものは一切自由にしないのだという心構えで調印に臨まれたか。それとも将来場合によつては、この限度というものをゆるめてもいいのか、あるいは場合によれば撤廃してもいいのか。そういう含みもあるのかどうか、そこのところをお尋ねしておきます。
○岡崎国務大臣 この中で通例外国人に許さないことが常識になつておるものもありますが、中には外国人にほかの国では許しておるものもあるわけであります。少しこれは制限業種が広くなつておるように思つております。そこで日本の場合は、もちろんこれは自分の判断でやるわけでありますが、そこにゆとりを残して、必ずしも全部禁止するというのではなくして、もし必要があつてこつちの利益と思えば、これはゆるめてもいいじやないか。しかし原則としては、こういうものは日本側に留保した方が安全であろうと思いますので留保はいたしますが、条約でもつてこれは全然禁止するということまでの必要はない。こちらの自由にしておけば事足りるじやないか。その方が弾力性があるのではないか、こう思つております。
○並木委員 その場合に、川上委員は向うの力に押されて、だんだんこちらの意思に沿わない、こちらの利益と思つて制限を撤廃するならばいいけれども、そうでなく力に押されて、やむなくそうさせられる場合があり得るのではないかという質問をしたわけなのです。そういう場合には絶対やらない、大臣はそういう覚悟であろうと思いますけれども、この際はつきり答弁をしておいていただきたいと思います。
○岡崎国務大臣 もちろんお話のようなことは十分考えておりまして、向うの圧力によつてというようなことは全然考えておりません。この間もちよつとお話が出たと思いますが、たとえば自由職業に関する留保につきましても、日本では全然禁止する必要はないと私は思つております。自由職業といえども、英語の先生なんか現に雇つておるのですから、やはりこれは留保しておいて、自分の方の必要の範囲内においては、一陣的に英語の先生を雇つてもいいように、ほかの方も弾力性をつけて置こう、こういうことだけであります。
○並木委員 ただ心配なのは、やはり向うからいろいろの援助を受けたりします。そうするとどうしても日本の政府としては力が弱くなるのじやないかと思う。たとえば今問題になつております対米債務の問題であります。二十数億ドルという、政府は債務と心得ている、私たちはこれは債務ではなくて、もらつたものだと思つている。それが解決していないと、今後これがどのようになるかということが不安になつて、場合によつては圧力になつて来るかもしれないのです。これは大臣どうなのですか。大臣は最近アメリカへでも行つて交渉するという話もありますが、交渉して来るのですか。それからおそらくアメリカとしては負けてくれるだろうと思うのですが、そこのところはどうなのです。
○岡崎国務大臣 第一に制限業種についてのお話でありますが、これは今申した通りでありまして、こちらの必要と認めないものがあれば十分に制限をいたします。またいいかげんなことをしておいても、並木委員のような厳重な人がこういう委員会におられれば、とうていそんなことをしてごまかすわけには行かないのでありますから、これは大丈夫だと思います。政府はもちろんそのつもりでおります。
 それからガリオア等の債務と心得ているという問題につきましては、われわれはやはりこれは債務と心得ておりますし、またドイツ等の例を見ましても、やはり返債をしておる部分もあるのでありまして、これは今後話してみなければわかりませんけれども、こういう借金については、しいて借りた方から急いで話す方がいいだろうか、これは気を長くしてもいいじやないかと思つております。こういう問題につきましても、私が行つて話すというのはどうでありましようか、まだそういうことについては、全然きめたことはないのであります。その時分まで外務大臣をしておるかどうか、これもわからないのであります。(笑声)
○並木委員 このことについて、アメリカの方から何か日本の政府に話はありませんか。
○岡崎国務大臣 これも何べんか申したと思いますが、占領中から債務と認めろという話はありませんけれども、こういうものについての数額をとにかくはつきりしておこうじやないかという話はあるのであります。しかしこちらの準備がまだ整つておりませんので、やつておりません。
○並木委員 もしこれが債務として、実際に日本が返さなければならないようなことになると、かなり大きな負担になると思うのです。またこれが圧力になつて来るのではないかと私ども思うのです。幸いそういうことがないことを私は望んでおります。おそらくないと思いますけれども、ドイツの列でも幾らかは払つておりますが、もし払うとすれば、あれはどういう形で返済することになるのでしようか、ドルで返すのでしようか、ドルで返さなくてもいい、日本の国内における一種の蓄積円として、日本の方で円として、それを何かに転換して行くものであるか、あるいは役務であるか、そういうような点はいかがでしようか。
○岡崎国務大臣 これはまずどれだけの援助が来たかということは、数字で突き合せてみなければわからぬわけであります。数字がはつきりしたときに、今度はそのどれを、どういうふうに、いつ返すかという話が出て来るわけであります。その前には国会の承認も必要とするということになりますので、ちよつと実際やつてみないうちはわかりません。今おつしやつたようないろいろな方法があり得ると思います。これはちよつと何とも申し上げられないのであります。
○並木委員 そうするとこの問題と関連して、例の朝鮮へ持つて行つた物資に対する四千万ドル何がしかの、これは日本の債権の方ですが、その点はどうなつておりますか。今の大臣のお話ですと、対米債務の点も、正直のところ大して話も進んでいなければ、政府としてもどうにかなるだろうくらいの程度でおるらしいのです。そうするとこの四千万ドルの方もそんなような調子なのですか。それともこの方はちやんと取立てるという段取りが進んでおりますか。
○岡崎国務大臣 これはとにかく商取引に基いた債権でありますから、別個に取扱いたいと思つて今まで交渉しております。しかし今おつしやいました広義の対日援助という中には、実は貿易関係とみなされて額もきまり、支払いの方法も大体きまつているようなものもありますし、また額と支払いの方法がきまらないが、実際これは債務と認めて払わなければならない性質と思われるものもあるのであります。そのようなものを今まで実はこちらでも別に手をつけてはいないわけであつて、これだけを、こつちの方は貧乏だから早く払えというように特別に支払いまでさせるかということになりますと、なかなかこれはむずかしい問題がありますので、現在進展をいたしてないというのが実情であります。
○並木委員 対米債務の点については、アメリカとしてはおそらく日本に支払えという意思は持つていないだろう、ただ今負けてやるということを言えば、日本に対してはフィリピンとかインドネシアとかその他賠償を要求しておる国々もあるのだから、日本が苦しい立場に置かれるであろうというような意味で、アメリカとしては取立てて意思はないけれども、言葉を濁しておるのだという説をなす者もあるのです。これに対しては、大臣はどういうふうにお考えでありますか。
○岡崎国務大臣 アメリカの従来の非常に好意的な考え方から言うと、そういうような希望的観測を持つ人があるのも自然でありましよう。その点私には何とも申し上げられない。というのは、全然そういう趣旨の話を聞いていないからであります。
○上塚委員長 岡田勢一君。
○岡田(勢)委員 大臣が間もなく御用事だそうですから大臣にお尋ねいたします。並木さんの質問に関連いたしまして対米債務の問題でございますが、前の第一次大戦のあとで、敵国でありましたドイツ、オーストリアに対する賠償問題も、最後に大幅に棒引きをされたということを聞いております。また連合軍でありましたフランス、イギリス等に対するいわゆる戦債、こういうものも大幅に戦後数年たつてアメリカで棒引きをしたということを聞いておるのですけれども、そういうことについて大臣は御記憶がございますか。
○岡崎国務大臣 記憶しております。
○岡田(勢)委員 先ほどアメリカへ対米債務の減額交渉には今のところ行くつもりはないというお話でありましたが、こういう賠償の問題であるとか、あるいは今のガリオア、イロア等の援助資金の債権に対する問題につきましては、時日が経過すればするほど請求の意思が稀薄になつて来るのは、今までの欧州においてもそういう傾向になつておると私は思います。そこで吉田総理が渡米をされるとかいう新聞も出ておつたようでありますけれども、これはアメリカの納税者の金がこういう援助債権になつたのでございますから、今のところ、急激にアメリカ国民を刺激するような交渉の仕方ではまずいのではなかろうかと思います。アメリカから日本に駐在しておられます代表機関を通じて、徐々に減額あるいは棒引きの交渉を、刺激しない範囲でなさつたらいいのではないかと思いますが、私は専門家ではないのであります。そこらの呼吸を外務省とせられては相当にお考えくださらなければらなぬと思うのでありますが、それらについてどういうお考えでございましようか。
○岡崎国務大臣 吉田総理が渡米という話も、実はまだほんとうのところは何もきまつておりません。新聞には出ておりましたけれども、あれはあの新聞記事だけの話で、まだきまつておりません。それから大体の考え方としては、そういう対日援助の金等については今おつしやつたような考え方で進もうと思つております。
○岡田(勢)委員 私は何も日本人が卑屈に考えまして、外国に対する債務をねこばばにしたらいいというような考えではございませんが、われわれは有史以来の一大悲劇であります敗戦というどん底に落ち込んでおります。この現実からいたしまして、何も金持の国のアメリカさんに無理にみえを張つて、債務を全部弁済するのだというような態度はしないでもいいと思います。
 それからもう一つは、フイリピンの中間協定が御承知の通り衆議院において批准されました。これは私もその当時申しておりましたように、両国の国交回復なりまたフィリピンの国民感情の融和、東南アジアに対するわれわれ日本人の進出等の見地から、まず賠償を実行に移したという見地から、中間協定の沈船引揚げ実現を早急に希望しておつたものでありまして、この点はよろしいのでありますが、これもやはり対米債務の問題と同じに、賠償総額の問題があとに残つておるわけであります。これらについてもりくつは同じりくつに考えられると思うのであります。何もずるい考えで時をかせぐというわけではございませんが、これの最後的の総額の協定というものはなるべく日にちが延びてから、いわゆる戦争に対する恨みと申しますか、だんだん日がたつに従いまして薄れて参る潮どきを待つて、総額の協定をなさるべきではないかとも存じます。同時にまた大臣の先日の答弁で言われましたように、ヴエトナムあるいはインドネシアその他の国も待つておるわけでありますが、それらの国も、何も日本が苦しい貧乏の中から、みえを張つてよけい払うという考えはお持ちにならないと思います。こういうことはあるいは公開の席上の御発言なされぬかもしれませんが、一応お考えを承つておきたい。
○岡崎国務大臣 賠償につきましては、中間賠償協定が今日参議院も承認されまして、いよいよこれは翼の承認を得たということになります。ちようど戦犯の釈放等が行われました直後に、こういう措置が国会でとられたことは、非常に好結果であろうと私は喜んでおります。しかしながら今の総額等のお話でありますが、これはアメリカと日本との関係のように相手が非常に金持というのではなくて、むしろ日本と同様に困難な経済状態におります、あるいは日本以上に困難な場合もあるかもしれない。しかもこれは戦争のために、ことに日本軍が占領しておつたために生じた損害を補填しようというのが賠償の趣旨でありますから、これは実に戦争による災害の補填という意味であつて、長く時間がたてばたつほど、ほんとうの意味は薄らいで行くのであります。また相手国もすみやかに戦争による損害を復旧したいという強い希望を持つておる。すでに平和条約発効以来一年余りになりますが、これはアメリカのようにほうつておいても相手は金持だから平気だというそういう考えもありませんが、そういう事情とはよほど違いますから、私はできるだけ誠意をもつてすみやかにやはり日本の条約上約束した義務は果すべきであろう、こう考えておりますが、お話のようにほかの国の状態もまだきまつておりません。従つてつい延び延びになつておりますが、これは決して故意に延ばすというようなつもりでやつておるのではなくて、できるだけ早く解決をいたしたい、こういうつもりでおります。
○岡田(勢)委員 次にこの日米通商航海条約は、何かアメリカとコロンビアとの間に締結された条約をモデルにしてつくられたとかいう話を聞いておりますか、そういうことでありましようか、またこの条約の総体的の組立て、編纂と申しましようか、このやり方は、従来からの外交上の何か慣例あるいはフオーム等があつて、その型によられて、こういう編纂になつて来たものでございましようか、どうでありましようか、お伺いいたします。
○岡崎国務大臣 これはコロンビア等の通商条約も参照にはいたしましたが、それだけではないのでありまして、ほかの通商条約もいろいろ参照いたしました。いろいろこの間もコロンビアの条約にはないのが日本のに入つておるのはどういうわけかという御質問もあつたようでありますが、大体の趣旨は、通商航海条約というのは一定の形があるのでありまして、それが時代に応じてだんだん進化して行くといいますか、変化して来る面が出て来る。この条約におきましては今までと多少違いますのは、たとえば相互主義を非常に強調しておる点とか、あるいは制限業種を非常に拡張しておる点とか、その他日本の経済が戦争前のように平常状態でなくして、戦後まだ疲弊から脱しておらないために、特殊の規定を設けなければならぬいろいろの考慮がありまして、特殊の規定が大分ありますけれども、大体の趣旨はやはり普通の友好通商航海条約、このラインに沿つておるわけであります。
○岡田(勢)委員 ところがこの種のいわゆる国と国との十年間にわたる条約でありますし、すべての折衝、今後の協定の基礎になるものでございますから、重大でありますが、今われわれが考えますと、戦争前の長い間における日本とアメリカとの関係、あるいはその他の交戦国との関係は、太平洋戦争というようなことによつて一変して参つたと思います。また世界の情勢もこの大戦によつてよほど変化をいたしておりますし、また第一日本といたしましての国際的地位、あるいはまた日本人の経済力というものが、問題にならないほど雲泥の差と申しましようか、非常に低下しておる。その弱い方に激変をいたしました日本の地位と日本人の財力とによつて、当然アメリカとの間の通商航海条約もそれを基本に織り込んで、相当な変化を要求せなければならぬと思われるのでありますが、今大臣は新しく挿入した条項あるいは日本の経済困難について特殊の条項を設けたとおつしやるのでありますが、吉田政府は初めからそういう意識を持つて、十分にわれわれ国民が満足できるようにとの考慮を親切に払われてでき上つたものでありますか、どうでありましようか。
○岡崎国務大臣 これは非常にむずかしい問題で、実はこの条約を通じて考慮が払われたのはその点であります。これがつまりアメリカと日本だけの条約であつて、ほかに何も関係がないものならばまたこれは考え方が違つてできるわけであります。大体一度こういうものを結びますと、この趣旨でほかの国とも条約を結ぶというのは当然でありますし、またそういう趣旨で進むわけであります。そこでアメリカの方の資本力が強いからこれを防ぐというようなかつこうの条約にしますと、今度日本が方々へ出て行こうというときに出て行かれないというようなことにもなりますので、できるだけ自由にどこへでも企業の発展ができるようにと考えつつ、ただアメリカとの場合は相手の資本力が非常に大きいから、これに圧倒されないだけの何か特殊の規定を設けなければならぬ、こういう点で調整が非常にむずかしかつたわけであります。初めからこの点が主としてこの条約の一番の中心になつて考えられて来ております。今の程度であればアメリカの方の圧力を回避するにもまずまず適当であろうし、そういう特殊の規定を除けば今度日本がよその国と協定を結んだときにも、日本の企業の進出等がまずでき得るだけの保障はとり得る、こう考えたのがこの条約である、こう申し上げてよろしいと思います。
○岡田(勢)委員 今お聞きしましたように、相当の考慮が払われたということでございます。しからば日本の政府といたしましても、この大戦による激変を十分意識されておやりになられたことと思いますが、今現実の問題としましてわれわれ日本の力が、さきにも申しましたように非常に弱いものになつております。ことに敗戦早々、独立と申しましてもまだすベての真の独立を獲得して、経済の自立をしておるというのでは決してございません。ことに今の情勢から申しますと、先ほども大臣が言われましたように、すでにアメリカにおいては本条約の批准をしておる。同時にまた日本はこの困難な経済の現状を、早く通商航海条約等を締結しまして、貿易あるいは経済活動を活発に復興せなければならぬ、今国内的にも経済が非常に困難で行き詰まりつつあるというようなときでありますので、私らは早くこの条約の批准を完成いたさなければならぬと思われます。そこで私たちは重大な条約であるから、こういう激変しつつある過渡期においては、ゆつくり時間と労力を惜しみなく使つて十二分に検討をして、完全なものだという確信をつけて批准をいたしたい、こういうのが建前でありますけれども、今はなかなか遷延が許されないという事情がここにございます。われわれは不満な点はありましようとも、日本の利益のために――アメリカのためにではございません。日本の国民の利益のために、この通商航海条約を今国会中になるべく批准をして、効力を発生させたいという念願で一ぱいでございます。従いましてこの中に書かれてありますすべての条項というものが、今早々の間にラフな審議を進めておることは許されません。また今日戦後の国際情勢なり、日本の経済もだんだん変化して参ることでございましようし、将来においてこの条約の各条文の中にある欠陥を発見するということは、今からおそらく考えておいてもいいのではないか。もしそうした場合には日本の政府は十年間の国と国との厳格な契約ではあるけれども、交渉をして一部改訂をするという可能性ありやいなや、あるいはまた政府といたされましても、今後におきましてそのような欠陥を発見された場合には、日本国民の利益のためあるいは相互の利益のために、一部改訂を主唱するお考えがあるかどうかということをお尋ねいたしたいと思います。
○岡崎国務大臣 改訂ということは、両国で合意に達すれば規定がなくてもできるのは当然でありますが、一年余りも両国でいろいろ相談した結果のものでありますから、当事者としては、この条約の規定の中にはほとんどどこにも欠陥はないものと信じております。ただ第二十四条にもありますように、「各締約国は、他方の締約国がこの条約の実施に関する事項について行う申入れに対しては、好意的考慮を払い、且つ、その申入れに関する協議のため適当な機会を与えなければならない。」ということになつておりまして、条約の文句はそれとしましても、実施の面においていろいろ問題になる点がないとも限りませんので、こういう場合には十分両方とも好意的に考慮を払つて、実施に支障のないようにしよう、こういう意味の規定を特に設けたような次第であります。
○岡田(勢)委員 その御答弁はよくわかるのでありますが、今といたしましては大臣のおつしやるように、この条約の各条文が完全無欠なものであると信ずる、こういう御答弁は当然のことであろうと存じます。しかし今日までのいろいろの経験上、あるいは今の変転きわまりない国際情勢、あるいは日本が今後相当経済復興に発展をして行くという希望的見解等から考えまして、この条約の一部に、おそらく日本として将来都合の悪い条項を発見することは、これはあり得ることであろうと存じます。その場合には、やはり相互の了解がむろん必要でありますけれども、政府としては、そういう場合には、それの改訂を提案するのに努力をするという御熱意があるかどうかということをお聞きしたわけであります。
○岡崎国務大臣 ただいまのお尋ねにつきましては、今私から改訂の問題を云々することは差控えたいと思いますが、実際上はお話のような趣旨のことが起りますれば、これは今の日米関係は非常に友好的でありまして、相互に理解は非常に深いのでありますから、そのような場合には、適当な措置を講ずることは日本ばかりではない、アメリカとしても喜んでこれはやることと思います。
○岡田(勢)委員 終戦後日本には御承知の通りに進駐軍が参りまして、いろいろ日本の内地におきましてわれわれが寒心にたえない問題が起つております。特に最近にはアメリカの兵隊の甘言に乗せられて、日本の純真な婦人が日本内地で結婚をしまして、あるいはまた結婚をした者をアメリカに兵隊さんが帰る時分には多く捨てて帰られるようでありますが、幸いにアメリカに一緒に行つている人も、向うに行きますと、やはり何か人種的差別感が今でも相当にあるのかいたしまして、大勢向うで離婚をされて困つておるということであります。これらのこの日本の婦人たちに対する日本内地における保護あるいは保障はもちろんのことでありますが、アメリカに行きましてからのこうした不幸な日本婦人に対する保護措置、保障措置というものの実情はどうなつておりましようか。
○岡崎国務大臣 これは実際上いろいろ言葉も違いますれば、習慣も違いますから、やつかいな問題も起る場合もあり、また逆に非常に成功しておる場合もあると思うのでありますが、そういうようなことで、訴訟等につきましては、この何条でしたか、規定もありまして、この条約が発効しますれば、条約に基いても当然そういう権利は保護されることになります。
○岡田(勢)委員 この条約のこの文章にはすべて平等、互恵あるいは内国民待遇というようなことが随所にうたわれておるのでありまして、文章だけの面から見ますとまことにけつこうであります。しかしながらわれわれが数十年以前から身をもつて体験しております一つの不満な点は、どうしても白人種の有色人種に対する差別感と軽侮感であります。それに加えますに世界一厖大な強力な財力を持つておりますアメリカと、われわれ戦争の結果どん底に追い込まれて、ことに経済的にも貧弱になりました日本との間に、往々にして意見の衝突をいたしましたときなどについて、協議とかあるいは協定とかいうことになりましても、どうしても現実の問題として弱い者が押されるごとになります。しかも遠く離れましてアメリカに働きに行つておりますとか、あるいはそうした結婚等の関係で行つて、向うで不運な目にあつている者の保護等については、政府の方では、外交機関を通じて保護をしてやらなければならない問題であるし、また商取引の問題についても、トラブルが起つて調停とかなんとかいう場合にも、どうしても日本の政府が十分に強力に保護政策と申しましようか、援護政策をとつてやらなければいかぬと思います。それらについても、外務省としては、この条約締結に際して、十分な含みをもつてそのお気持をもつておやりになつたかどうか、お伺いしたいのであります。
○岡崎国務大臣 これは法文の上からいえば、大使、公使、領事等は、みな居留民の保護ということが第一の目的に置いてある。当然法律上の問題にしなければならぬ義務でもあるのですが、ことに最近のような状況では、政治問題は比較的今のところ多くないのでありまして、領事等はもちろんでありますが、大使、公使に至りましても、いわゆる経済外交と申しますか、経済面に主力を注いでいる現状であります。居留民の保護はもちろんでありますが、その他クレームとかいろいろな問題がありましようが、これらは人が少いので手がまわらぬということもありますが、手のまわる範囲で、できるだけこういうことをやらせるようにいたしております。またこういうことに対処できるような訓練をいたして、外交はいたしておるつもりであります。
○並木委員 大臣は席を立たれるそうですから、私どもの議事の進行上お尋ねをしておきたいと思います。会期延長の話も今起つております。もしMSAの交渉があと十日くらいでできるならば、十日くらいならば会期を延長してもよいのではないかという声もある。そこでMSAの大体でき上る見通しをちよつとお伺いしたい。十日くらいでできるか、あるいは一月くらいかかるのか。すぐ臨時国会を開かなければなりませんから、その辺のところをひとつ伺つておきたいと思います。
○岡崎国務大臣 MSAの交渉は、ほんとうのことを言いますとまだ序の口であります。援助の実態は協定文ではないわけでありまして、その実態の面に非常に時間がかかる。こちらも研究しなければなりませんし、また要請しなければならぬものもいろいろあると思います。従いましていつできるということは、もちろん今のところ言うだけの材料はありませんが、少くとも十日くらいで話がまとまるということは、今の状況ではちよつとあり得ない。一箇月くらいかかるか、一箇月以上かかるか、そこのところは今のところはつきり申せられません。実際の話はまだこれからやります。
○岡田(勢)委員 第二十一条第二項の除外規定であります。この除外規定は、ここに「アメリカ合衆国又はその準州若しくは属地が相互に与え、又はキューバ共和国、フィリピン共和国、太平洋諸島の信託統治地域若しくはパナマ運河地帯に与える利益については、適用しないものとする。」と書かれてありますが、この除外規定がもし広義に過大に解釈いたされることになりますと、日本の船舶あるいは貿易等に対して相当な障害が予想されるのであります。ここに書いてありますその解釈の方法、取扱いもありますが、日本政府としては、これらの地域に航行いたします船舶、あるいはまたこれらの港を根拠地として取引をいたします貿易物資に対して、どういうお考えでございましよう。過大の解釈によつて、もし不利な影響を与えられることになるということがあつた場合に、どういうお考えでありましようか。
○黄田政府委員 この二十一条第二項の規定は、ここにも書いてございますように、貨物に関する最恵国待遇ということがございまして、シツビングとか、そういうものには適用はございません。これは関税に関する問題でございまして、「アメリカ合衆国又はその準州若しくは属地」が地域的の関係で相互に与え、歴史的にキユーバとフイリピンに関しては相互国間に特別の条約がございまして、それはどの国にも均霑させていないという関係になつておりますので、それが日本にも同様であるというだけのことでございまして、船の方には関係はございません。
○岡田(勢)委員 黄田さん、それはあなたの御見解が少し違うと思う。貨物に対する影響は、当然その貨物を積み取りに行く、また積んで行きました船舶すなわちシツビングに関係して参ります。税関の取扱い等につきましても、そのシツピツングに十分関係ができて来るのでありますから、それは少し違うと思います。
○黄田政府委員 たとえばフィリピンを例にとつてみますと、フイリピンから出る品物がアメリカに行く場合、たとえば砂糖でございますが、砂糖が出て行くという場合には、その関税が、同一商品が日本に来る場合と差別的待遇を受けるということだけでございまして、今岡田さんのおつしやいましたシツビングの方には、直接的な関係はないのであります。
○上塚委員長 岡田君、大臣への質問者がまだありますし、大臣が急がれますからして、大臣以外の人に対してはちよつと譲つていただいて、またあとでお願いいたします。中村高一君。
○中村(高)委員 大臣に外債のことについてお尋ねをしておきたいのであります。現在日本がアメリカの国家援助あるいは融資というようなものを受けておるのでありますが、将来援助を打切られ、あるいはMSAの援助を打切られるというような場合におきましては、日本としては将来また外債募集というような問題が起つて来ると思うのであります。国と国との債務については現在行われておるのでありますが、いわゆる外債、一般の国民に募集をするというような――戦争前に日本の国が仏貨公債であるとか、あるいはイギリスその他の国などに公債を仰いだようなことをやつておりますが、こういう政策がまた必要な場合も生じて来ると思うのであります。この外債政策につきましてはどういうような見通しであるか、それが一つ。もう一つは戦争前の日本の外債がどういう状況になつておりますか、その支払い、たとえば日本の円の換算率というようなものが非常にかわりつつありますが、こういうようなものに対する外債の支払いとの関係がどういうふうになつておりますか。こまかいことは局長でもいいのですが、私の聞きたいのは、外債の募集について、日本の政府としてやがてそういう問題が起つて来ると思うのでありますが、それに対する見通しというようなものをひとつ大臣からお聞きしたい。
○岡崎国務大臣 一体外債を募集するかどうかということは、これは今のところ政府としては特別きまつた考えは持つておりませんが、将来お話のように外債募集をすべきである、またする必要があるという場合も来るでありましよう。ただいまは、津島壽一氏が行きまして、英米関係の外債は話がついて、現に支払いを行いつあるわけであります。フランスの方のいわゆる仏貨公債の一部は、話がまだついておりません。これは多分来月か再来月あたり話を始めることになると思います。ほとんど東京市の元の債務以外には話がつかぬじやないかと思つております。こういうものが話がついて適当な支払いが行われるということになりますならば、これでまた将来の外債募集の基礎もできるというわけであります。外債支払いの条件等は、私は今そらで覚えておりませんが、発表しておりますから資料等は十分あります。ここにいるだれかが覚えているかもしれません。そういう状況であります。
○中村(高)委員 外債につきまして、おそらくこれは国際関係もありましようし、今のような状況でただちに外債募集などができるかどうかは別といたしまして、戦争の疲弊あるいは日本経済の実情からいたしまして、たとえば電源の開発などについては、国策として日本が取入れておるのでありますからして、どういう形でできるかわかりませんが、一般の国民の自由な意思による外債の募集というふうなものは過去においても行われておつたし、またこれが自由の意思によつて行われるということは、国交の一つの調整の役目もするのでありますからして、国家と国家との外債というふうなものよりは、政治的意味のない、国民的な外交というか、国民的な援助というようなものを受けることの方が、われわれは望ましいことでありまして、政治的な一つのひもつきの援助を受けるというようなことは、非常に議論があるのでありますからして、われわれは進んで自由なる国民的な意思によつて援助を受けるのがいいと思うのでありますが、この通商航海条約などにおきましては、そういうような点については一体どういう考慮が払われておるのでありましようか。
○岡崎国務大臣 お話の点は私も同感でありまして、これは信用の回復ということが第一でありますから、すぐにどうということは別としまして、将来そういうことは当然考えるべきものだと思います。またそのほかにもたとえば、性格が多少違つておりますが、世界銀行などは日本も出資をいたしまして、その結果世界銀行という、いわば国際連合の下部機構である、一般的な、どこの国にも偏しないという建前を持つている銀行等からの融資の道も開かれておるわけであります。そういう意味ではいろいろの考慮が払われると思いますが、この通商航海条約には特にそういうふうな特別な規定はありませんけれども、これは外債等を募集し得る条件ができますれば、実際上募集することは何ら妨げはないのでありまして、通商航海条約にそういう規定を特に置く必要はないと考えております。
○中村(高)委員 もう一つ大臣にお尋ねしておきたいのは、土地問題についてでありますが、これから外国人が日本に入つて来る場合が多く出て来ると思うのであります。昔は横浜あるいは神戸あたりに外国人に一定の場所を指定して、永代借という、ちよつと日本の国内の法律には通用のしないような特殊な土地の貸借がありまして、さうして横浜などではもう永代借権というもので、外人はほとんど永代借でありますから、所有権と同様なものだと思うのでありますが、おそらく永久にものを貸すということは、結局永久に所有権を取得したと同じことだと思うのであります。おそらくこれは、所有権を与えるということは、いろいろの政治的考慮から外国人に日本の土地を持たせるということはいけないのだ、ことに日本のような、こんな狭い所を自由に買われてしまつたなら、四国あたりを買おうというような者があるいは出て来ないとも限らぬ、おそらくいろいろな事情があつて、ああいう永代借というような言葉が出て来ておつたのだろうと思うのであります。今度のこの通商条約では貸借も所有も、一切おかまいなしに自由にできるということになつておるのでありますが、昔の永代借なんというようなものと、この点については一体どういう考慮が払われておるのでありましようか。
○下田政府委員 永代借地権は戦前、不平等条約時代の最後の遺物として昭和年代まで残つておりましたが、関係国との交渉によりまして、これを五年の期間かかつて解消することに話がまとまりまして、その五年目の期間がちようど太平洋戦争勃発後にかかつたものでありますが、戦後平和条約発効後、平和条約の規定によりまして、関係国がどういう態度にて参るかと注目しておつたのでありますが、いずれも戦前の条約の効力を認めるという通告をいたして参りまして、そうして戦争の勃発にもかかわらず、永代借地権は永久に消滅することになつた次第でございます。従いまして土地の取得ということは、この条約で書いてありますように、締約国の関係法令で認められる不動産に関する権利その他の権利の中に、土地の所有権も認められることになるわけでございます。
○中村(高)委員 その問題はあとでまたお尋ねをするとして、大臣がおられます間に、ドルとポンドの交換性の問題がいまだに回復をいたしておらぬのでありますが、東南アジアとの貿易というようなものに関連をいたしまして、おそらくこのドルとポンドとの交換性の問題については、日本にとつてはきわめて重要な問題でありまして、この点は現在どういうふうな進行をいたしておりますか、また交換性が事実回復をせられる見込みがあるかどうか、お尋ねをいたします。
○岡崎国務大臣 この問題は今イギリスのコモンウエルスといつて、あの曲目相会議でも常に議論があるところでありまして、一般的には望ましいと考えられておりますけれども、ポンドにつきましては、カナダとか濠州その他いろいろの国によつてその実情も違いますし、またその利害関係も異なるものですから、なかなか意見がまとまらなかつたようであります。しかしまた事実そこまで行くだけのはつきりした基盤ができておるかどうか、これにもまだ多少疑問の点もありましようが、もし何か兌換制というようなものができるとすれば、ほかの国の通貨よりはポンドが一番可能性があるのではないかという程度には思われますし、またイギリス等にもこれを非常に早く実現すべきであるという議論もありまして、努力をいたしておりますから、必ずしもこれはだめなものだというふうには参りませんけれども、ただ急にそういうことができるかどうか、ちよつと私どもにはまだ見当がつきません。
 なお先ほどの御答弁でちよつと申し落しましたが、通商条約の第五条の第一項には「いずれの一方の締約国も、他方の締約国の国民又は会社が自国の経済的発展のため必要な資本、技能、技芸及び技術を衡平な条件で取得することを不当に妨げてはならない。」という消極的な規定はここにあります。
○上塚委員長 戸叶里子君。
○戸叶委員 大臣はお忙しいようですから、二、三点だけ伺いたいと思います。
 まずこの条約のねらいの一つとして、外資の導入が考えられていると思います。しかし外資の導入ということは、現在の世界情勢のもとでは、なかなか期待することが困難のようにも思われます。そしてまた今まで外資導入は口で唱えておりましたにもかかわらず、なかなか入つて来なかつた、こういうふうないきさつから見まして、一体この条約によつて一変して外資が入つて来るというような見通しでもおありになるかどうかを承りたいと思います。
○岡崎国務大臣 これは先ほどからずつと議論のある中心でありまして、外資を導入するのには、できるだけよい条件を与えなければならぬわけでありますが、よい条件を与え過ぎれば、今度は日本の産業経済を支配されるという心配が出て来るものですから、そこにどこで一体筋を引くかというむずかしい問題があります。条約上では今までかりに外資の入るのが困難であつたとすれば、この規定でその条約上の障害は除き得たということは言えると思いますが、実際上の資本というものは、私が申し上げるまでもなく非常に臆病なものでありますから、資本が入つて来るだけの実際上の条件、また資本を呼び寄せるだけの好条件がこちらにあるかどうかということが実際上の問題でありまして、条約ができたからといつて、すぐにどんどん入つて来るかどうかということではなくて、条約ができれば、あとは国内の産業の構造なり、あるいは将来の見通しがよい場合には入つて来るだけの門が開かれておる、こういう程度であろうと考えます。
○戸叶委員 それでは一応門は開くけれども、そのあとにどの程度にどうなるかはわからないというふうに承知してよいわけですか。
○岡崎国務大臣 法律的に見ればその通りでありまして、これからわれわれがこれを実際に応用すべく努力をさらに続けるわけであります。
○戸叶委員 もう一つ伺いたいことは、ちよつと触れられたと思いますが、私はつきりした答弁を承らなかつたように思いますけれども、最近西欧諸国で米国の関税障壁のことを盛んに言われております。そしてまたそれに対する非難の声は高いのでございます。日本におきましては、まぐろだとかあるいはその他でいろいろ問題になつておりますが、こういうような通商航海条約を結ぶにあたりまして、その中に関税障壁を除くというような誠意がアメリカにおいて披瀝されてもよいと思いますけれども、そういうような点がこの条約の中に一体見受けられるかどうかを承りたいと思います。
○岡崎国務大臣 アメリカでもいろいろ議論がありまして、この間のように絹スカーフのようなものが関税に関する委員会において値上げをするようにということを大統領に勧告いたしたくらいでありまして、それをやらないでおるのが実情で精一ぱいの努力をいたしたようなわけであります。ヨーロツパからもいつも言われるような援助よりもトレードであるというような議論で、関税を引下げるようにという努力をしておりますが、アメリカとしてもなかなか国内では相当に生産高が高いのでありますから、これを保護しなければならぬという議論もずいぶんあるわけであります。その点はアメリカ側としてもでき得る限りの努力をいたすことはこの交渉を通じてよくわかつておりますが、実際上どれだけ効果が上るかということは、今後の実施を見なければわからないわけであります。条約でただきめておりますことは、最恵国待遇でありまして、つまりよその国に劣るような待遇はされないということだけははつきりしておるわけであります。
○戸叶委員 この条約の交渉の過程において、そういうふうな関税障壁というものを取除かれるようにということを、はたして日本側が申し出られたでしようか。
○岡崎国務大臣 この条約の話合いの途中でも、まぐろの関税の問題とか、絹スカーフの問題もあつたわけでありまして、その都度話合いはされたわけであります。しかしそういうものは実際上の問題でありますから、条約と直接は関係ないわけでありますが、条約を交渉をしておる際でもあり、こんなものをやられてはたいへんだというような気持は、アメリカ側の政府にもあつたと十分想像されるのであります。
○戸叶委員 私どもはヨーロッパで言つておるまでもなく、やはり援助を受けるよりも貿易を盛んにして行くべきだと思います。そこで考えられますことは、米国における関税障壁というものが一日も早く解決されなければなりませんが、こういうような通商航海条約を結ぶにあたりましても、そういう点に何ら誠意が示されていないという点を見ましても、まことに遺憾の意を表するよりほかしかたがない、こう考えるわけであります。
 第三点に伺いたいことは、この条約によつて文化的な関係が促進されるというようなことが書かれておりましたが、どういう意味において文化的関係が促進されるのでしようか。
○岡崎国務大臣 これは実際にやつてみなければ、どういうことといつて具体的にはこういうわくをつくつておるだけでありますから、このわくの中で実際にはやるわけでありますが、またそれと別にフランス国との間につくつたような文化協定というものをつくる要があるかもしれません。ただ通商条約としてもできる限りこういう点について一定の規定をつくりまして、こういうものも通商の発展ということのバツク・グラウンドとしてはもちろん必要なのでありますから、こういう点につきましても規定を設けたいと思つております。このわくの中で今度は実際上お互いに努力する、これは要するにこういう問題についても、内国民待遇とか最恵国待遇を与えるということが三であります。ほかの国がやつておるときに、日本だけが仲間はずれにされるということはない、そういうつもりで規定を設けたのであります。あとは実際上の努力によつてなされる、こういうことになります。
○戸叶委員 もう一点伺いたいことは、戦争後日本に来ていたアメリカの軍人が、しばらく滞在している間に商人になつた場合、そういう人たちの扱い方というものはどういうふうになるのでしようか。
○下田政府委員 軍人である間は行政協定に基く待遇を受けるわけでございますが、これが渡航目的を変更いたしまして平商人になるという場合には、日本側で許可を与えなければならないわけであります。許可を与えました以上は、一般的な通商航海条約の定める待遇を受けるということになるわけであります。
○上塚委員長 ちよつと速記をやめてください。
    〔速記中止〕
○上塚委員長 速記を始めて。
 これにて暫時休憩いたします。午後七時より再開して質疑を継続いたします。
    午後五時四十五分休憩
     ――――◇―――――
    午後七時二十分開議
○上塚委員長 休憩前に引続き会議を開きます。
 質疑を継続いたします。並木芳雄君。
○並木委員 条約局長にお尋ねいたします。きよう岡崎大臣が日米友好通商条約に関して、条約の修正ができるという答弁をされたと私は記憶しております。もしできるものならば、この条約については修正を希望する方面が多いと思うのです。ただ私は今までやや漠然とではありましたけれども、条約は国会で修正できないというふうに感じておりました。ですから岡崎大臣の答弁がはたして修正できるものであるか、この際再確認をしてほしいと思う。
○下田政府委員 実は大臣さしつかえがありますので、もし必要な場合には自分自身は後日補足的説明をする機会があると思うけれども、もしその点について御質問があつたら、私からかわつて大臣の意のあるところを補足的に申し上げてくれという御依頼がありましたので、大臣の意を受けてお答えいたす次第でございますが、先ほどの大臣の答弁は言葉の足らない点がございましたので、補足的に申しますと、これは日本国憲法に明白に書いてありますように、憲法第七十三条に条約の締結は、これは内閣のなすべきこととなつております。つまり三権分立の大原則によりまして、立法は国会条約の締結、これは外交交渉の所産でございますから、行政権の作用としての外交交渉は、これは内閣というようにきめておりまして、ただ条約を締結するには、国会の承認を求めなければならないとなつております。照法の建前はきわめて明白だろうと思うのであります。そこでもし修正するということがありましたら、これは国会がなさるのではなくて、国会が修正を希望されるような場合には、希望される旨の意思表示は、これはもちろん自由になされるところだろうと思いますし、決議の形をもちましても、あるいは条約承認に際しての附帯決議のような御形式でもけつこうだと思いますが、修正の希望を表明されることは御随意だと思いますが、修正すること自体は、これはあくまでも政府におきまして外交交渉で行う。そういうことは憲法の規定によつてきわめて明白だろうと思うのでありまして、その明白な点がもし問題になりますことがあるといけませんから、私から補足的に説明せよ、ということでございますので、その点を申し上げる次第であります。
○並木委員 憲法六十条と六十一条の関係ですが、六十一条では「条約の締結に必要な国会の承認については、前条第二項の規定を準用する。」とあります。そうして前条、すなわち第六十条第二項を見ますと、「両議院の協議会を開いても意見が一致しないとき」云云という条項があります。これはどういうことを意味しますか。参議院で衆議院と異なつた議決をした場合というのがあるのです。それは予算についてそうある。それを六十一条で準用しております。その関係を説明してもらいたい。
○下田政府委員 その六十一条の規定は、あたかも予算につきまして、両院の意見が一致しなかつた場合には、衆議院の決議を優先せしめるという規定でございますが、条約につきましても、衆議院が承認し、参議院が承認しなかつたというような事態がかりに起つたいたしますれば、やはり衆議院の承認が結局において優先するという意味におきまして、予算審議に関します規定を、条約につきましても準用する、そういうことであろうと存じております。
○並木委員 そうすると、衆議院で可決して、参議院で否決をした場合、こういうことですか。六十条でいう「参議院で衆議院と異なつた議決をした場合」、これは衆議院で可決をして参議院で否決をした場合、つまり参議院で修正した場合は含みませんか。
○下田政府委員 その逆の場合もあり得ると思います。衆議院でも、これは参議院で可決された場合でも、これは衆議院の議決が優先するということだろうと思います。
○並木委員 しかし修正するという場合は含まないとおつしやるのですね。
○下田政府委員 修正の点につきましては、先ほど申し上げましたように、国会には条約の修正権がございませんから、どだいもし修正を希望される旨の決議が両院の片方におして成立し、片方において成立しなかつたといたしますれば、これは政府としましては国会の一致した意見がないととつて行動するほかないと思うのでございます。
○並木委員 そういう意味にこれをとつておるのですか。そうすると、それを受けて、私は実は国会法あるいは憲法違反じやないかと思う。国会法の八十三条を見ると、議案を処理する方法がいろいろ書いてあります。その中で「乙議院において甲議院の送付案を修正したときは、これを甲議院に回付する。」というのがあります。八十三条の三項です。これははつきり条約案も含んでおる議案でございます。そうすると、その取扱いがその他の条文にあるのですけれども、この条項は私は憲法違反になるのじやないかと思うのですが、どう説明されますか。
○下田政府委員 私は外務省の人間でございますので、そういうことにつきまして権威あるお答えを申し上げる地位にないのでありますが、ただお答えしておきたいのは、これは修正――片方で通つたものを片方で修正した場合に、また回付するということだろうと思います。ところが問題になつております条約につきましては、どだい国会に修正権がないのでありますから、片方の可決したものを片方で修正するという事態も初めから起り得ないのではないかと思います。
○並木委員 そうすると、この議案という中に条約案を含まないということになつて、変なことになるわけです。議案という以上は、法律案、条約案、決算案、その他のものを含むわけでしよう。そうすると、それが送付案を修正したときはこれを甲議院に回付するということがはつきり書いてある以上は、おかしいじやないですか。
○下田政府委員 つまりこの修正した場合に、他の院に回付することなのですが、条約につきましては、どちらの院でも修正するという事態がどだい起り得ないのでございますから、この場合は条約には適用がない規定だろうと思います。
○並木委員 条約に適用がないという解釈ですか。その中に条約の場合を除くとはつきり書いてあればいいのですけれども、その点はかなりあいまいだと思うのですが、いかがですか。
○下田政府委員 なお法律案は、法律案自身が案件なのでございますが、条約につきましては、このテキストは単なる資料にしかすぎないのでありま丁。この何々条約を締結するについて承認を求めるの件という一枚の大きな活字で印刷してあるのがあります。あれ自体が案件なのであります。つまり法律案に相当するものは、あの一枚のぺらぺらの何々条約を締結するについて承認を求むる件というのが案件なのです。
○並木委員 それではこれは問題をあとに残しておきます。
 もう一つ、もし国会で修正の決議あるいは附帯決議によつて希望条項を述べたということが可決された場合には、政府はどういう措置をとられますか。まさかこれをほうつておくわけには行かぬと思うのです。どういう措置をおとりになりますか。
○下田政府委員 これも私から答弁すべき問題ではないと思いますが、両院か一致してそういう決議を可決なさいました場合には、民主政治のもとにおきましては、両院の御趣旨に沿つて政府として善処いたすのが当然のことであると存じます。
○並木委員 念を押します。その場合に承認して修正決議をするのでしようか。つまりそういうことしかあり得ないわけですね。承認しないでただ修正決議をしてこれを行政府に返すということはあり得ますか。
○下田政府委員 修正決議でなくて条約をつくつたり、あるいは改訂したりすることは政府の権限に属することでありますから、修正せよという希望を決議でおやりになるのだろうと思います。これは行政協定の改訂問題につきましても改訂の御希望は出ております。まだ決議になつてはおらないかと思いますが、そういう修正をしろという御希望を御表明なさるのは当然なされることだと思います。ただ国会が自分で条約を修正するということだけは、これは三権分立でございますから、できないと思います。
○並木委員 それはわかります。そうすると私が今聞きたいのは、承認というものを与えないで、つまり修正の決議をするわけです。そういう場合でなければあり得ないわけです。承認をしてしまつて修正の決議を出すのはおかしい、たとえばできないならできないでわれわれがこの承認を与えないで修正案を出して、その修正案をわれわれが決議をして可決する、そうすれば今条約局長の言う憲法違反にならない修正決議というものはなされる、それによつて政府は先方と再交渉を開始するという段取りになると思いますが、その通りと了解してよろしゆうございますか。
○下田政府委員 憲法七十三条の国会の承認は、包括的に承認するか、しからざれば否決するかのどちらかでありまして、ただその決議に際して附帯して、この条約の実施についてはこういう点を注意しろとか、あるいはこういう点は不満であるから将来修正してもらいたい、そういう御希望を附帯決議として承認の決議においておつけになることは十分あり得ることだと思います。また現に今までもあつたことだと思います。
○川上委員 今条約局長の答弁を聞いておると、修正はできぬというようなお話です。ところが大臣は修正はできると言うた。これはどういうことになるのですか。
○下田政府委員 大臣は国会は修正できるということを言われまして、すぐそのあとで修正の希望をお述べになりますと言い直されておるのであります。しかしうつかり誤つて修正できるとお答えになりましたので、あとですぐ訂正されました。いろいろ誤解が起るといけませんから、大臣がただいまさしつかえがあるので、私から大臣の意のあるところを補足的に説明せよということで、今私、お答え申し上げておるわけであります。
○川上委員 それはいかぬです。大臣が元来修正できるものだと思つておつたからそういう答弁をしている。今まで条約を政府はやつて、そうして何かよそからかどうか知らぬが、注意を受けたがどうかわからぬが、とにかく発言するまでは修正できるものとして考えておつたに違いない。そうでなければ、こういう重大な問題を大臣ともあろうものが間違うはずはない。つまり実際に発言をするその前までは修正ができると考えておつたのだ、この重大なる問題を修正ができると考えてやつて来ておつたという事実がある、この責任を一体どうする。これを言いかえましたところで、今まで長い間、もう数年間続いてこれはやつている。その交渉の過程で国会で修正ができると思つて大臣はやつておつたに違いない、このことは明らかだと思うが、このことはどういうことになるか。
○下田政府委員 大臣は国会で修正できると思つておつたということは明らかな事実だと言われるが、その正反対を大臣は考えておられた。いかなる人間にも言い違いということはございますが、言い違いをなさいまして、そのすぐあとで訂正されたわけであります。
○川上委員 大臣がこういう重大な問題の、言い違いといつてもこんなことは通りません。初めからそういう考えがなければそういうものは出るはずがない。われわれのようなもの、国家の責任を持つたものでも、全然考えていないことを言うものではない。だからこれは修正できますということを言うたのは、そう考えておつたに違いない、だからそういう発言が出て来る。われわれはこういう解釈でなければ解釈の仕方がない。特にまたわざわざあなたにそこへ来てもろうてこの言い訳をしておいてくれというようなことは、どうしてもそばで何か忠告を受けたとか、これは困つたことになつたというような示唆でもなければ、こんなことはできはしない。これをたれがしたのか初めて大臣気がつかれたに違いない。今までまつたく間違うたことを考えておつた、間違つておつたことを考えておつて数箇年間にわたつてこの交渉をしている、この責任は私は重大だと思う、これはどう思いますか。
○下田政府委員 条約の締結は外務省の主管事務で最も重要なものの一つでありますから、特に憲法でも規定されているような重大な仕事でありまして、私ども日常外務大臣と接しておりまして、大臣がそういう誤つた解釈をしておられることは絶対にないことを私自身よく存じております。さつきのは完全にどなたでもなさるような言い違いをなされて、それが気がつかれてすぐ言い直されたのでありますから、その言い違いをそう重大視されるのはどうかと思う。
○戸叶委員 私もこの前MSAの協定の問題で、たしか大臣にもしもそれが調印されて、そのあといろいろ修正したいような場合があつたとき、どうしたらいいかというようなことを伺いましたときに、たしかその場合に、国会で修正したらいいというふうにお答えになつたように記憶しております。これは速記を見てみなければわかりませんから、調べてみる上にいたしますが、そのとき以来私の頭の中には、この条約が修正できるかしらということが、おぼろげながら残つておるように思うのでありますけれども、そういうふうにして考えてみますと、きようの大臣の発言は、あながち意になかつたということは言えないじやないか、私はそう考えます。しかし大臣がいらしやいませんから、ここで欠席裁判をすることもできませんので、もう一度確かめてからあらためて伺つてみたいと思います。
 そこで条約局長にお伺いいたしたいことは、先ほど国会で希望条項を附帯決議として条約につけることができる、こうおつしやつたわけですね。――そういたしますと、それを政府は善処するとおつしやいましたが、善処というのはどういうことになるのでしようか。
○下田政府委員 これは国会のおつしやることがごもつともでございましたならば、その線に沿つて相手国と交渉をするということになると思うのです。
○戸叶委員 そうすると、もしも私どもの希望条項があつたならば、それをつけるといたします。そうすると政府はそれをあらためて交渉し直すことになるわけですね。
○下田政府委員 それは調印して間もないものをすぐ御破算にするというようなことの適否ということは、これはやはり外交関係に責任を持つ政府の決定することでありまして、あるいは適当なときに適当な修正をするというようになる場合も多いと思います。
○戸叶委員 今のは先ほどおつしやつたこととちよつと違うように思うのですが、そうするとたとえばこういう日米通商航海条約の場合で、もしも私どもがこういう点をかえてもらいたいというふうな希望条項を付した場合に、政府はそのときにはそのままに過しておいて、適当な時期にこれを向うに交渉する、こういうふうに了承していいわけなのでしようか。またそうであるといたしましたならば、一体適当な時期というのは、どのくらいを見て適当な時期とおつしやるわけですか。
○下田政府委員 この条約にも協議条項というのもございます。でございますから、政府の判断いたします適当な時期に措置をとるということになると思つております。
○戸叶委員 もうちよつと具体的に、政府の考える適当な時期ということを説明していただけないでしようか。
○下田政府委員 条約に署名調印しまして、すぐ心がかわつて――国会の御意思であろうと、政府の意思であろうと、対外的には一つの日本国の意思でございますから、日本国の意思が短時日のうちにそうかわるということは、私は対外的には非常におもしろくないことであろうと思うのであります。でございますから原則といたしましてはやはり憲法七十三条に書いてありますように、包括的に承認する、あるいは包括的に否認するというのが私は常道だろうと思います。しかし否認してしまつ惜しい、多少の価値があるというような場合に、あるいは条約の内容に不満を持たれる場合、あるいは条約のこのままでは実施に懸念を持たれる場合に、それぞれ国会の御意志として、希望を附帯条項として承認の際におつけになるということは、これはまたやはり国会の御自由だろうと思うのであります。
○戸叶委員 私はますますわからなくなつて来たのです。それはもしも急に希望条項を向うに申し述べるならば、日本国の意思がそんなにかわるということはおかしい、だから協議して適当な時期と、こういうふうにおつしやいましたが、希望条項というものは調印されたその条約自体に対して私どもが持つているわけなのです。だから意思がかわつたとか、かわらないとかいう問題じやないわけです。その内容自身に私どもは問題を持つて、希望条項をつけているわけです。ですから意思がかわつたとか、かわらないとかいうのでなくて、すぐそのまま希望条項を向うに折衝されることができるかどうかという、その点を伺つているわけです。
○黄田政府委員 希望条項がどういう形であるかということによつてむろん違うわけでごていまして、けさほどからいろいろ御発言がございましたように、実施に際しては両国の経済力に差があるということを十分念頭に入れてやれよというような希望条項もございましようし、あるいは条約の内容が変更になるというふうなこともあろうかと存ずるのであります。もし前者の場合でございますならば、それはその御趣旨に沿つて、政府の方でその御趣旨を実現するようにやる。後者の場合でありますならば、これはまつたく新しいことになりますので、あらためて交渉をやり直さなければならない。従いましてただいま調印されました条約は効力を発生しないで、また無条約状態が続かざるを得ない。これはまことに嘆かわしい状態だと私なんかは思うのでありますけれども、そういう状態にならざるを得ないわけであります。
○戸叶委員 後者の場合とおつしやつた方がちよつと聞き取れなかつたのですけれども、もう一度伺わせていただきたいと思います。
○黄田政府委員 後者の場合と申し上げましたのは、条約の内容に変更を来すというふうな場合でございます。この場合には、それを実現するためにはあらためて交渉をし直さなければ、相手側がある次第でございますから、それを一方的に実現することはできません。従いましてまたあらためて条約の再交渉ということになりまして、また向うもそういうことをつけますならば、これはいつまでたつても条約ができないというふうな、われわれからすればまことに嘆かわしい状態がそこに起るということになると思います。
○戸叶委員 それは問題の数によることでありまして、一つなり二つの問題の内容に変化を来すような場合に、向うもいろいろ言つて来る、こちらもいろいろ言つて行く。そこで条約が締結されないで、嘆かわしいということも起り得るかもしれませんけれども、最も重要な問題の一、二の点で、その内容に関するものではありますが、もしもこれをかえたいというようなことを国会が申し出ました場合に、日本の政府としてはこれをあらためて交渉し直すことはできるわけですね。
○黄田政府委員 その通りでございます。交渉し直さざるを得ないということになるわけでございます。
○戸叶委員 そうすると必ずしも修正とは言えませんけれども、修正する権利がないということは言えないわけだろうと思いますが、条約局長はどうでしようか。
○下田政府委員 修正を希望なさる意思表示、決議なり何なりをなさる権利はあると思いますが、修正権はないと思います。
○戸叶委員 条約は一つの国だけではなくて相手国を必要とするものですから、もちろん日本の国だけでその条約の修正ということはあり得ないということは私どももわかつております。ただそういうふうに希望条項というか、修正する希望を述べられるということが、今の御答弁でもはつきりいたしました。そうすると、先ほど大臣の言われた修正することもできるということも、あながち間違つていなかつたというふうに私どもは考えられますけれども、その点はどうなのでしようか。
○下田政府委員 大臣の御趣旨は、国会が修正を御希望なさる意思表示をなさることはできる、そう御自身でも思つておられたことを、短かく修正おできになる、そういうふうに言い間違えられたのであります。
○川上委員 もう一ついでに聞いておきたい。条約局長はすぐあとで大臣が言いかえたと言われたのですが、そのすぐあとというのはいつのことです。
○下田政府委員 加藤さんの第一の御質問に対して、すぐそのあとの第二の御質問で言い直されたと思います。
○川上委員 速記録は間違いありませんか。
○下田政府委員 速記録を見ませんとはつきりしたことは申せませんが、私の記憶ではその直後にすぐに言い直されたと思います。
○川上委員 私はその時分にもここにおつたのですが、加藤君の質問のときには言い直された記憶がない。これは速記録を見て明らかにする必要がある。これをいいかげんにされては困る。間違うて御答弁になつて修正ができますと言つて、すぐいや実は修正はできませんと、こう言い直したのなら、間違えたということになりますが、実際において速記録を調べてすぐでなかつたならば、私のさきに主張したことが正しいということになる。これはひとつ速記録を具体的に調べて問題にしてもらいたい。もしもこれがすぐでないということになれば、やはり外務大臣は、そうできるものだと思つて過去久しきにわたり条約の交渉をしたに違いない。こうなりますと、これは非常に重大な問題であると思う。問題をまるで取違えて交渉しておつたということになるならば、これはまつたく違憲、違法な精神をもつて交渉しておつたことになる。これを私は留保しておきます。速記録を調べることを要求するとともに、われわれも速記録をとりたいと思いますから、私の質問をこれだけで留保しておきますが、留保でありますからまだ結論に達しておらぬ、これだけ申し上げておきます。条約局長の答弁で、速記も調べておらぬということだから、明らかになつておりません。すぐ言いかえたということを断言なさるけれども、この断言は独断じやないか、速記録を見た上でなければそういう断言は条約局長もできないはずだと思います。
○中村(高)委員 今この条約の修正問題が出ておるのですが、おそらくは不満な点が委員の中にありますので、他の法律案のように何か修正でもできるならばということがただいまの論議だと思うのであります。希望条件などとというものは、従来の取扱い上はたくさんの法案にわれわれがつけておりますけれども、政府は希望であるから承つておくということで、希望として聞き流してせいぜい考えておく程度であります。もしこれが国会でそういうことになるとすれば、附帯の決議でもつけるということになるのだろうと思うのでありますが、一体国会が修正をしろという希望の附帯決議ができるのか、そうではなくしてやはりアメリカの上院でやつたように、条約の中のこの条文のここは保留する――国会は承認を求められておるのでありますから、この点については承認ができないということの自由はむろん国会になければならぬのでありまして、希望の条件とか附帯決議ではなくして、国会の審議権としてこれこれの条文は保留する、こういうことはわれわれはできるのだと思うのですが、その点についてどういうふうにお考えになりますか。
○下田政府委員 どこの国でもそうでありますが、条約に対して国会が協賛権を持つております国では、その国会の協賛または承認は、条約全体に対する包括的の承認もしくは包括的の否決でございます。従つてある条文、第一条は承認するが他はだめだとか、あるいは他は全部いいが第一条は否決するというような部分的な承認ということは、これはどこの国でも行われないことでありまして、承認なさるかどうかということは、条約全体の包括的なものを対象となさつて言えることだと存じます。
○中村(高)委員 そうするとアメリカの上院で保留したということは、たとえば日本人の自由職業について保留するというならば、あの条項については保留したのであるからして、われわれも三年間なら三年間の問題について保留するということは同じことだと思うのです。向うができてこつちができないということはどうも理解ができない。あなたの言うようだと、全体を否認するか認めるか以外にないというが、アメリカの方が保留ができてこつちができないというのでは、それ自体でも不平等に思われるがどうですか。
○下田政府委員 アメリカの条約を可決いたしましたときのミニツツがまだ届いておりませんので、どういう形式になつておるかはわかりませんが、私どもの理解するところでは、やはり附帯の決議を付して承認されたのだろうと思うのです。
○中村(高)委員 向うが附帯決議をして保留ができるならば、何もこつちは全部そのままうのみにせねばならぬということはないのでありますからして、こつちも附帯決議で保留する。そうすればあなた方が心配するように、条約全体が効力を発生しないということはなくして、その点だけが保留されて、あとの条約は効力を発生するということになるのですが、向うがそうしたのだから同じことじやないですか。
○下田政府委員 条約は法律と違いまして、片一方の国の意思だけで決定できませんので、もし国会がどういうところが不満であるから修正するように希望するというような附帯決議をなさいましたならば、これはまたその点について外交交渉をしなければならぬのです。
○中村(高)委員 修正をしろというのではなくして、ここはわれわれはどうしても納得ができないから保留するというのです。別に修正をしてくれろというのではない。われわれの方では、国会としてはこの点はどうも承認ができないから保留するが、両者の間であらためてこの点について協議なり何なりして、われわれが認められるものがまわつて来たならば、それはまた認めることがあるかもしれないけれども、今のところでは承認ができないから、その部分だけを保留するということは、向うがやれるのだからこちらもやれるのだろうと思うが、なぜこちらでできないのか、根拠があるならば説明してもらいたい。
○下田政府委員 保留されるということだつたら、結局その条文は承認しないわけでありますから、あるいは削除してくれという御希望だつたらまた削除方について相手国と交渉するということになるのです。
○中村(高)委員 そうじやない、全部削除しろというのじやない。たとえば旧株の取得を制限するということ自体についてはわれわれは賛成であつても、三年間だけ旧株取得を制限するというこの三年間というのがわれわれどうも承認ができない。別にわれわれはそれを全部削つてしまえとか、全部修正しろというのではなくて、そのほんのちよつぴりの部分が保留されたのであつて、条約自体の効力には問題ないと思うが、そういうこともできないのですか。
○下田政府委員 理論的には不可能だとは言えないと思います。ただきわめて不明確な事態が生ずるということになりますので、実際問題として困るたけであります。
○中村(高)委員 そうすると、それは法律論としてはできると思うが、政治論としてはいろいろ困難な情勢が出る、さように了解してよろしいですか。
○下田政府委員 その通りであります。
○和田委員 今中村君との間に質疑応答をおやりになつた問題でありますが、結局条約の場合には修正はできない。修正という意思を表明するためには、附帯決議なりあるいは留保という形でならできる、裏返していえばそういうふうに解釈してよろしいですか。
○下田政府委員 修正は国会がおできにならないということを申し上げたので、交渉の結果政府は修正することができます。
○帆足委員 それでは附帯条項をつけますと、その附帯条項に従つて、政府は、交渉を必要とするときは、先方と何らかの形において交渉するというようなことになりますか。
○下田政府委員 政府がその国会の附帯決議をごもつともであると思いましたら、それによつて善処することになると思います。
○帆足委員 この附帯決議は、最高の意思として多数をもつて可決されておるときに、政府はそれによつて拘束されて誠意をもつて先方と交渉しようということにはならないのですか。
○下田政府委員 多数をもつて可決された場合には、民主主義のルールに基いてその国会の旧恩が当然尊重さるべきだろうと思います。
○帆足委員 しからば先ほどの条約局長の言と多少食い違いがあるのですが、誠意をもつて交渉に当る、こういうことになると了承してよろしいですか。
○下田政府委員 ただ政府として、司会に対しまして、政府はこういう考えを持つております、あるいは政府の意図がまだ徹底しないという場合におきましては、十分御説明する機会をやはり持つて、しかる後善処すべきだと思います。
○川上委員 議事進行につい申し上げます。私さきに質問しましたが、どうもはつきりしませんから、ただちに委員長の手元で速記録を取寄せて、ここで明らかにすることを要求したい。
○上塚委員長 速記録は速記課においてすでに翻訳ができておるかどうかまだわかりませんから、一応これから事務当局をして調べさせまして、御報告をいたしましよう。
○川上委員 しかしこれはできておるかできておらぬかわからぬという問題ではなくて、私は相当重大な問題だと思う。それですからもしできておらなかつたら、委員長の方からすぐその翻訳をさせて、そうしてこの委員会がいつまで続くのか私は承知しませんが、今晩この速記録の全文をただちにここで明らかにしてもらわぬと、私は納得することはできない点がある。速記録を見まして、はたして条約局長が言われる通りであるならば、これは私の思い過ぎであつたかもわかりません。この点を特にお願いしたい。
○小滝政府委員 先ほどから川上委員がいろいろ大臣の真意がどこにあつたかを御質問になつておりますけれども、私はあるいは大臣の言葉がたりなかつただけであつて、これまで条約締結に長く当つて来た岡崎大臣がそういうことを誤解しておろうはずはないと思います。条約締結につきましては段階がありまして、交渉の段階、調印の段階、批准交換の段階がある、これは大臣も今までずつとやつて来たことでありまして、調印が済みまして批准ということになれば、それを全体的に受けるか受けないか、それを確定行為として確定する行為でありまして、この最終行為の途中において、一度調印されたものが修正されるというような場合は、今までの国際観念からもございませんし、もちろん留保をつけるというような場合はある、しかし今までずつとこうした問題を取扱つて来た大臣が、そういうわれわれが何十年やつて参りました条約締結行為に関して誤解をしておつたということは、どうしてもわれわれとしては想像できないところでありまして、これはもちろん速記録をごらんになれば訂正された点もわかると思いますが、私は大臣がそんなきわめて初歩的な点で間違つた考えを持つていたはずは絶対ないということを思うのであります。
○川上委員 それならちよつとお伺いするのですが、私もそう思うのです。私も実は外務大臣が今まで長い間間違つておつたであろうということは考えたくない。しかしわざわざ条約局長が来てその言い訳をしなければならぬような発言をしておることは事実なんです。もしもはつきりしておるのならば、条約局長がここへ来られて、そうしてそのことをいろいろ言われる必要はない。速記録を見よう、こう言つたらすぐあなたがわざわざ来てそう言つておられる、そこで私は速記録を要求しておるのです。もしもそれが速記録にちやんとそうなつておるなら、速記録を見なさい、はつきりするから、これでもういいはずだ。ところがいろいろ問題が起つたり、そういうはずはないんだというようなことをいろいろ弁解なさることがすでにおかしい、だからこれは議論しても始まらぬから速記録を見ようじやありませんか、ということを今言つておるわけです。
○小滝政府委員 私はこの留保について、大臣は留保ということは批准にあたつてなし得る場合があるということを言われたものと考えます。アメリカの方の今度の留保につきましても、一方的に留保すればそれで日本が承知しなくてもいいというような考えを持つておるわけではないのでありまして、アメリカ側の申出によりましても、日本側がアメリカのつけるところの留保に同意するということを前提として、この条約の批准を認めてさしつかえないということを、アメリカの上院も言つておる次第であります。でありますからこの留保の点をあるいは大臣が修正というような言葉を使われたので誤解が生じたのではないか、こう考えております。
○川上委員 私はそういうことをここでいろいろ言われる必要はないのだと思う。私の聞いておるところでは、私の聞き違いがあるかもしれませんが、ここで修正ができる、修正ができたならば、これはまたアメリカの議会において交渉して何とかやつてもらわなければならぬといつた意味の発言だつたと記憶しておるのでありますから、そこで速記録をということを私は言つておる、もしもこれが速記録ではつきりしておるのであつたら、政務次官がここへ来られて、外務大臣ともあろう者がそんなことを言うはずがないというようなことを弁解なさる必要はないのであつて、速記録の通りでありますとお答えになつたらけつこうだと思うのであります。いろいろ弁解なさるのはどうも何だかおかしい、何でそんな弁解が必要なのか、速記録の通りだと言つたら一ぺんに解決するのです。
○上塚委員長 質問はございませんか。――和田博雄君。
○和田委員 私は日米通商航海条約でこの前大筋のところだけ聞いたのですが、この間公聴会の公述人の諸君の意見を聞いておつても、われわれが心配しておつたことをやはり心配されておつたわけですが、その中で租税協定を早く結んでくれということを盛んに言つておつたのです。この点については私も租税協定は非常に必要だと思つておる者の一人ですが、大体これについて政府としては今どの程度の腹案を持たれておるのか、そういうものがあれば、向うとの間の関係はどういうようになつておるのか、もちろんこの日米通商航海条約が成立してからの問題であるとは思いますか、どの程度の腹案を持たれておるかをお聞きしておきたいと思うのであります。
○黄田政府委員 二重課税防止法でございますが、これはもう相当長い間非公式ながら交渉いたしまして、一応の腹案を得ております。それで最後の段階を本条約ができましたならばすみやかにやりたいと考えております。これは大まかな話はほとんどつきまして、ただ一、二の点でまだ完全な合意が成立しておりませんが、ほとんど最後的な段階まで来ております。
○和田委員 この前もお聞きして私が非常に心配になつておるのは慣行の問題です。例をとれば輸出組合といつたような問題が、十八条関係ですが、非常にあいまいな点がある。実際問題としては、日本とアメリカの関係からいえば、われわれの方としては輸出組合のようなものを認めることの方がむしろ必要である。これはもう常識的にもそうだと思うのです。この点については将来実際いろいろな具体的な問題が起つて来た場合に、私はやはり困つた情勢が出て来るのではないかと思うのですが、外務省の方としては、この輸出紹介なんかは、日本側に相当の理由があれば十分できるのだという了解のもとにこういう十八条のような規定が入つたのか、この問題は日本の貿易の問題を考える場合に、実際心配になるのです。たとえば今現にまぐろの冷凍の問題であるとかいろいろな問題が起りつつあるのであつて、その点についてアメリカとしても従来やはり国内産業の保護ということは、これはアメリカはあまり貿易をやらなくても自給自足ができるような国でありながら、その保護主義の主張というものは、一面において関税問題なんかについては非常に強い国柄であることは御承知の通りであります。そういう点について、この規定の場合には外務省としてはどういう程度に話し合われたのか、またどの程度の先の見通しを持つて外務省は事に当つたのか、そういう点をいま一応はつきりしておいてもらいたいという点が一点であります。
 それからもう一つこの間の参考人のときに、私時間がなくて質問しませんでしたが、菱沼君が、将来アメリカとの貿易は非常に将来性がある、アメリカは日本にとつては非常に将来性のある市場であると言われて、その上は立つてこれについてのいろいろな希望や意見を述べられたのですが、私はどうもその点については根本の認識が違うのであつて、アメリカが日本にとつて将来性のある、ことに北米が将来性のある市場だという認識で、もしもこの相互の友好通商航海条約を結んだとすれば、これはとんでもないことになると思いますが、外務省としてはそういう点についてはどういうような意見であつたのか。またその点についてはたして将来性のある市場であると考えられておるかどうか、その点についても一応当局の御意見を聞いておきたいと思うのであります。
○黄田政府委員 まず第一点の十八条に規定してありますところの競争制限的な規定の幅がどのくらいであろうかという点でございます。これは和田さんは特に御承知の通り、日本で独占禁止法というものができまして、そのアイデアはあくまで自由企業、自由競争というアイデアのもとにできておつたのであります。これはむろん一面において、その理由とするところ、ジヤステイフアイされるところが私自身もここにあろうと見るのであります。ただアメリカにおきましてやつておりますクレイトン法、シヤーマン法、これを中心といたしますところの独占禁止法というものと、それから日本が当初つくりましたところの独占禁止法というものとの間には非常な径庭がございます。また世界の各国を見ましても、独占禁止法的なアイデアをとつておりますのは、これはほとんどアメリカだけでございまして、イギリスにおいてもこういうのはございませんし、ドイツにおいてもなかつたのでございます。従いましてその幅が非常に広いということが事実厳として存在していたのであります。そこで輸出組合のようなものについてでございますけれども、これは戦前において輸出組合的なものが相当幅の広い活動をいたしまして、独占的なあるいは取引制限的な点にまで活動を広げて行つたという点もまたあるのでございます。従いまして、ガツトなんかに加入いたします際に、そういう古い悪い習慣というようなものがあつてはならない、また復活されてはならないというので、独占禁止法のねらいというふうなものも、一応正当化されていたのでありますけれども、しかもその考え方が非常に広過ぎたいということから、修正のまことに道理のある主張をされたのでありますが、さて今ありますところの輸出組合というふうな程度のものでは、これは私の方といたしましては、取引制限的なところまで行くものではない、今の日本の状況におきましてはそういうものがかえつて必要である、つまりあまりに激烈なる競争の結果、アンダーセリングの競争が非常にはげしくて、かえつてその方の害毒がひどいというようなことか、考えまして、今の提案されておりますような輸出組合程度のものでは、十八条の対象になる協議の目的とすべきものではないというふうな考え方をいたしております。それからアメリカとの貿易の点でございますけれども、これは二年前までは一四半期が約四千五百万ドル、年間にいたしまして一億八千万ドルくらいございまして、これが最近は一・四半期五千万ドルを越えております。従いまして年間で一億ドル以上ということになつております。そういう点からせんだつてのたしかジェトロの参考人だつたと思いますけれども、将来の貿易は有望であろうということを申されたのだろうと思います。今年の上半期を見ましても、オープン・アカウント地域も、スターリング地域も――スターリング地域はことのほかひどいのでございますけれども、非常な減少を示しております。しかるにドル地域なかんずくアメリカに対しましては、相当の上昇カーブを示しておりまして、その内容は鉄製品なんかも相当あるのでございます。このようにオープンとポンド地域が非常な激減を示しておるにもかかわらず、ドル地域に対しては相当のアツプ・カーブを示しておるということは、アメリカとの貿易がしかく絶望すべきものではないということを、この間ジエトロの方が言われた理由であろうと思うのであります。しかしながらこの両国間の貿易を比べますと、むろん入超の非常にはなはだしい例でございますので、これがカバーできる、あるいはバランスするくらいに、両国の貿易がそのくらいまで行くものとは私自身もそこまで楽観をしておるわけではございません。
 それから関税の問題がどうなつておるかというお話でございましたけれども、まぐろとか犬くぎとかあるいは絹スカーフというようなものに関しましては、あるものに関しましては関税委員会のレコメンデーシヨンにもかかわらず、実現を見ずしておるというふうな状態になつております。
○和田委員 岡崎君とわが党の加藤君との間の質疑応答で、例の修正の問題については速記録を今写して来たのですが、やはり岡崎さんとしてははつきり国会としての修正権も、また否決権も両方とも認めておる答弁をしておる。それで今私が下田条約局長に尋ねたときの下田君の答えと、明らかにこれは矛盾します。これはどつちかが間違いだと思うのです。それでおそらくこれは、国務大臣としての岡崎君の方が間違いだと思います。これは明らかに失言だと思います。それから今小瀧政務次官が言われたように非常にプリミテイヴな問題を岡崎国務大臣は知らなかつた。あるいは知つておつたのかどうか知らないが、こういう間違つたことを言つておるというのは事実なのであつて、この点は私は外務委員長として速記録を調査されまして、この委員会において事態をはつきりさしておく必要があろうと思います。その点をちよつと質問のついでに言つておきます。
 それからもう一つ質問を続けますが、どうもこの三年間の問題がまだ何か割切れずに残つているような感じがするのです。旧株取得の三年の期限の問題です。私はこれを三年で切つたという根拠は日本側としては相当な根拠がやはりなければならぬし、またあつたのではないかと思うのです。その点をやはり明瞭にしていただきたいと思うのです。ただ株の再評価をするのに三年くらいやれば十分であろうというだけの理由なのか。これだけの条約を結んで、相互主義によつてお互いに平等の立場に立つてやつて行こうとする以上は、日本経済の安定なり自立なりの点について、やはりこの三年というものが大きな意味を持つて来るだけに、政府側としては相当な用意がなければならぬと思うのです。これは外務省だけの問題ではなくて、政府全体の問題だと思いますが、こういう点についてやはり政府側としてはこの三年間はとにかく制限はできるけれども、三年のあとはもう本来なら原則としては旧株取得についても制限はできなくなつて来るわけでありまして、しかもこの条約は十年という長い期限のものでありますだけに、三年で切つた点については、もう少し納得の行く根拠を政府として示していただきたい、こう思います。実際どういう点で三年ということにしたか。初めは五年という主張さえあつたということを産業界の諸君は言つておつたわけでありますが、政府側としてはどういう考え方であつたか。これは何べんも質問された問題ですけれども、事柄が相当重要だと思いますので、もう一度くどいようですが、繰返してはつきりした御答弁を願いたいと思います。
○小滝政府委員 この点は和田委員もおつしやいましたけれども、何べんも質問を受けた点でございます。私どもの考えといたしましては、これはあるいは和田委員に満足を与えないかとも思いますけれども、現在大体五千億の株式がある。そこで増資などを考えまして年に大体千五百億はふえる。そうすると三年間に四千五百億、大体現在の倍になる。しかも現在において株式の外国人の所有高というものは、アメリカ人のみならず、ほかのものを加えてやつと百億円にしか達してない。しかりとすれば、今後再評価もどの程度円満に進みますか知りませんが、とにかく増資によつて株式の総額は倍くらいになつて、その間にアメリカ人の旧株取得の勢いというものはどれだけ伸びて行くか知らないが、いずれにしましてもこれまでの進みぐあいから考えてみますと、日本に円で貯蓄していても興味がないので、大体これまでの状況からしましても送金保証のつかない旧株の取得というものは、ほとんどノミナルなものでありまして、数字にあげても意味がないくらいわずかなものでありますので、外資法をうまく運用することによつて、送金保証のない旧株取得というものはそう恐れることはないという考え方で、まず三年あればその点は懸念すべきものはないであろうという考え方で、三年という年限をきめた次第であります。
○穗積委員 関連質問で、ちよつとお願いいたします。
 ついでですから伺つておきますが、年限の問題ですね。この三年間というのは初めから非常に不明確だつたのですが、これは二十四条の協議事項の中に入るかということです。条文の法理的には入り得るというお話であつたので、あなたにもう一つお尋ねしておきますが、この有効期間十箇年というのも協議事項の中に入りますか。当然入り得るわけですね。
○下田政府委員 当然入ると思います。十箇年の期限が近づきましたときに協議いたしまして、これを延長するかあるいはもうやめるかというようなことは、協議事項の対象になると思います。
○穗積委員 いや私のお尋ねいたしましたのはそうじやなくて、四、五年やつてみた、そうしたらとてもかなわぬということで、この十箇年間はやめてもらいたいということで、五年ないし四年に短縮するということなのです。そういう意味の協議ですね。実施に関する協議。今おつしやるのはその十箇年間が間近になつて来たから切りかえるかどうかという協議でしよう。そんなことは協議事項などということを使わぬでも、どの法律でもどの条約でも同じことだと思う。更新するか、これで打切るかという協議ではございません。わざわざ協議事項というものがついております以上は、さつきも言つた旧株取得の年限を三箇年にしておつたが、二年ばかりやつてみてあと一年ではとても再評価できないということでもつて、これを五年に延ばしてもらいたいということを協議にかける。それからまたその三箇年間の期間が過ぎて、そうして今度は一年間やつてみたが、そうしたらほとんど日本の株式市場がアメリカ資本に食い荒された、これではとてもやつて行けないというので、この条約そのものを一ぺんやめてしまう。十箇年間を五年間で打切る。そういうふうにこれを協議する。それは一方的な条約廃棄でなしに、合理的な話合いによる条約の失効状態を持ち来すことができるかどうかというお尋ねなのです。
○下田政府委員 もちろん協議条項の適用対象になります。但しこれは日本側が一方的にはできないことで、新たなる合意として条約の有効期間の短縮、結局期間に関する条項の修正ということになると思います。
○穗積委員 条約局長はさつきの速記をお読みになりましたか。
○下田政府委員 ただいま拝見いたしました。
○穗積委員 さつきの川上委員に対するところの発言は誤りであることを発見されましたか。
○下田政府委員 私の申し上げた通りだと思つております。
○穗積委員 それでは一ぺん読み合せてみましよう。委員長、ちよつと読み合せてください。修正はしておられません。
○上塚委員長 速記録はいま少しく、どこから読んで行くか調べて……。(笑声)――それはそつちへ持つて行くことを許しておりません。
○穗積委員 それでは私が写して来たやつを読みますよ。間違つておつたら言つてください。「国会としては、これは修正することも否決することも可能であります。ただかりに修正されました場合にどうなるかと申しますと、先方はすでに批准いたしておりますから、今度修正になりますと、また新たなる交渉を要して、先方の批准は結局違うものを批准したことになりますから、効力は発生しないということになりましまして、新たなる交渉になり得る、これは法律的な意見でございます。」法律的にはまさに修正可能だということを言つている。
○加藤(精)委員 修正可能な本条約を、不信任を食つた内閣が、その期間においてどうしても早く結ばなければならなかつた理由の要点だけお尋ねいたします。
○岡崎国務大臣 これは今中崎君に御説明いたしましたのでほとんど尽きておりますが、修正可能である条約というのは、私の意味で言えば、いかなる条約でも修正可能なのであつて、この条約だけが修正可能だという意味ではございません。」念が入つていますよ。すべての条約が修正可能だというのです。そんなことがわからぬかというのです。
○上塚委員長 なお読んでください。
○穗積委員 「そうして条約につきましては、先ほど申したように、長い間交渉をして、いざ調印ということになつて、国会が解散せられた。従つて今までの方針通り調印をいたしておくのが、これが正当なやり方であつて、も調印して効力を発生するということになりますれば、それは国会の解散中にやるべきことではありませんけれども、国会の承認が第一の条件でありますから、国会にすみやかに提出する意味においても、調印をいたしておくということが適当であろうと思つて調印いたしたのであります。」
○上塚委員長 なお読んでください――次はこちらから読みましよう。
○加藤(精)委員 そうすると、これは修正してもよろしい、こういうことなんですね。
○岡崎国務大臣 国会が修正をされるということは、要するに修正の意思表示を決議等でされることになりましよう。そうすると政府はその意思に基いて、今までの交渉をやめて新しい交渉を始めるということになるわけであります。」
○穗積委員 お聞きになりましたか。――どこに取消したということがありますか。
○下田政府委員 私は、取消したとは申し上げてないのであります。言い面されたと言つておるのです。つまり加藤さんが、修正は国会の権限であるかのごとく、国会が修正権を持つているかのごとくおとりになつたようなので、大臣はすぐ、それは意思表示の決議をされることである、決議の趣旨に従つて実際の修正は政府が交渉してやるのだ、そういうふうに言い直しておられるのです。そこでなおかつ、大臣がさしつかえで来られませんので、私の意思としてではなくて、大臣御自身の意思を私が代弁申し上げて補足的説明を先ほど申し上げたのでございます。
    〔発言する者あり〕
○上塚委員長 静粛に願います。
○穗積委員 さつきのお話では、条約はそのまま承認をするか、これを否決するか、しからずんば附帯条件をつけるか、いずれかの方法でやるのだというお話でしよう。それに対して実行権はあるのじやないけれども、修正の意思表示をすることができる、政府はその国会の決議にオブライジされて、もう一ぺん交渉をし直す義務があるということを言つておられるわけでしよう。ところがさつきおつしやつたのは、修正することはいけない。そのままうのみにするか、全然とらないか、しからずんば多少内容の修正にわたるかもしれないが、修正してはいけないのであつて、附帯条件をつけてこれを通すかというふうにおつしやつたと思います。その点が問題になつたのです。だからさつきのお話とは違いますので、従つてこれはどうなりますか。
    〔発言する者あり〕
○上塚委員長 静かに。――静粛に願います。
○和田委員 どうもこの速記録を読んでみますと、初めには、国会としては修正することも否決することも可能と言い、その途中でこれを敷衍してもつと詳しく述べて、最後に行つておそらく岡崎君は、はつと気がついたのかどうか知らぬが、国会が修正するというのは、結局その修正の意思表示の仕方は、こういう決議になるであろうと言つて、その修正のやり方を最後に述べられたと思うのです。しかし修正は、一応これはできるという前提にどこまでも文脈としては考えられるのであつて、だからここのところは、これで法律論ということを言つておられますから、法律解釈の点からいつても、憲法との関係からいつても、はつきりしておく必要があると思うのです。それで国務大臣がこういうあやふやな、間違いにもすぐ通ずるようなあいまいなことを言われおつたのでは、ますます議論が混乱するだけでありますので、ぼくたちとしては、これはやはりはつきりさしてもらいたいと思います。ここに言う「意思表示を決議等でされることになりましよう。」という点が、ちようど私がこの部屋に入つて来たときに、あなたと他の委員と質疑応答されておつた問題だと思うのです。そのときにぼくは、結局修正の意思表示というものは、留保という形でやるよりほかにはないじやないか、まあ留保という形で一応修正の意思表示がそれに包含されて出て来るのだという意味の質問をしたわけなのですが、事実そうだろうと思うのです。実際問題としては、修正の希望条件を述べろと言つたつて、そんなことはほとんど意味がないので、やはり留保するということがきけば、留保という形でやつた方が明瞭だとわれわれ思うのです、国会としては。この点は、もう岡崎君の明瞭な誤りだと思うので、やはり委員長として岡崎外務大臣に、これははつきりと訂正をするなら訂正をするように、ちやんとしてもらいたいのであります。あやふやな解釈でこの問題を済ますというのではなしに、やはり間違いならば間違いとして、はつきりその意思表示をしておいた方がよいと思う。そういうようにひとつ岡崎外務大臣を呼んで来てやつてもらいたいと思います。解釈は、言葉をとつてどつちへ行きこつちへ行きやつて行けば、いくらでも議論が出て来ると思う。そういう点で、その点はひとつ委員長において十分なおとりはからいを願いたいと思います。
○上塚委員長 和田君にお答えいたします。和田君はあとからお見えになつたので、そのいきさつがわかつておらないようですが、この問題について並木君から質疑があつた。それに対して下田条約局長は、大臣の意思をもつて答えをしておられる。特に大臣の意思ということをうたつて釈明しておられたのです。それがために先ほど来の間答となつておつたのです。もし必要であれば、今大臣は外国使臣と会つておるのですが、時間が都合がつけばここへ来てもらつてはつきりと大臣の考えを言つてもらうこともできるわけです。
○和田委員 私はそういういきさつも聞いて承知しております。しかしやはりこの発言をされたあとで下田君が取消すようにしてもらいたいということをわざわざ言つて来ておられる。しかしそれはやはり公式に大臣がちやんとわれわれの質問に答えて、それで取消されるのが私は筋だろうと思う。大臣の意思を体してという下田局長の話では私は了承しかねる。もちろんそういう便宜的な手段も考えられますが、いやしくもこういう大きな問題で、小瀧君の言葉をもつてすれば、プリミテイヴな解釈をもつてすら間違いをしておるのなら、やはり外務大臣が堂々と取消したらいいと思うのです。そうしてもらいたい。
○佐々木(盛)委員 議事進行について。私はただいま問題になつております岡崎外務大臣の答弁の問題でありますが、なるほど岡崎外務大臣が、条約は国会において修正することもできれば、否決することもできると言つたその言葉、そのところだけを取上げますならば、これは国会に条約の修正権があろうはずがないのでありまして、少くとも外交官の経験を持つた人から申しますならば、これはまつたく初歩のことであります。でありますから、その点に関しましては少しく明確を欠く点があるかもわかりませんが、その後段におきまして、次第に説明を加えて行つて、その修正とは要するに修正の意思表示を決議することであるといつて、それを具体的に説明をいたしております。しかもその後に及んで局長の地位にあるかんじんな、条約を専門に担当しております条約局長が出て参りまして、大臣の命によつて、これは誤解があつてはいけないが、こういう意味であるということを明らかにされておる。大臣の命によりということは大臣の意思表示なのです。それをしもさらに突き進んで、いたずらに難くせをつけて議事の遷延をはかるということは、良識ある当委員会委員のやることではなかろうと私は考える。従つてかような問題はもうきわめて明々白々なることでありまして、いたずらに片言隻句をとらえてお互いにあげ足をとるということはやめて、そうしてこのかんじんな条約の内容について審議を進められるように、委員長においておとりはからいを願いたいと思います。
○和田委員 そういうふうに言われれば、私もいろいろなことを言いたくなる。私はとにかく審議はしておる。とにかく今大臣の命によつて、こう言いますといつて取消されるくらいなら、大臣自身で来られて取消されることはちつとも拒否する理由はない。大臣が来て一言おしやべりになればいい。それを来られなくてこのままでいいのだということは、その考え方がおかしいと思う。審議は十分進めて、質問も現にしておる。しかしこれを読んでみて、片言隻句じやない、文脈をずつとたどつてみれば、やはりあいまいなのです。ですからその点をはつきりしさえすればいいのであつて、問題はきわめて簡単だと思う。そういうふうにおとりはからいを願いたい。
○上塚委員長 和田君に申し上げますが、先ほど申しました通り、大臣は外国使臣と会つて、今晩は約束があつたために来られなかつたのです。それがために条約局長をして言わしめた。もし必要であれば――もうすでに向うの会見等が済んでおれば来られることができるだろうと思う。
○佐々木(盛)委員 大臣のお言葉の中には決して取消さなければならぬというところは一箇所もないと思います。大臣の言つた内容というものを順を追つて読んで行きましたならば、決して論理が矛盾しておるわけではなく、ただ大臣の言つたことの中に足らないところがあるならば、それを補足説明をするようなことはあつても、言つた前言を取消さなければならぬというような箇所はどこにもない。しかもここには外務大臣にかわつて次官もお見えになつておるのです。条約を専門に担当しておられますところの条約局長もお見えになつております。その他関係の局長もお見えになつておるのですから、これらの外務省の首脳部が集まつて、実はかくかくかようの意思であるということを表明されておるのに、今日この場合に外務大臣を呼んで来て、ここで再びそういつた問題の枝葉末節をとらえてあげ足とりをするということは、あまり良識ある人たちのやることじやないと思います。従つて私はもう少し議事を進められるようにお願いいたします。
○和田委員 私は議事はやります。質問はどこまでも続けて行きます。しかし下僚をして取消させるくらいの誠意のある大臣ならば、手がすいたら出て来て自分で取消されてもちつともかまわない。何もあげ足をとらえて言つておるのではない。ですから審議は進めて行つている間に大臣が来てそれを取消されたらいいじやありませんか。そういうようにやりましよう。
○上塚委員長 質疑を継続願います。和田博雄君。
○和田委員 銀行業務で貸出しの業務は自由になつているわけですが、これはさしあたつてはおそらく制限する必要もなかつたというような点からそうなつたと思うのですが、実は貸出しと預金とは、ちようど輸出と輸入の関係のようなものであつて、いやしくも銀行業務を取上げる以上は、両方が関連して考えられなければならぬと私は思うのですが、なぜ貸出し業務だけを自由にしたのか、この点はどうもちよつと輪の一つが欠けているように私どもは思うのです。ことに預金業務だけについては制限があつても、貸出しは無制限だという形は、この前も酒井君が言つておつたように、すぐはいろいろ問題が起らないけれども、日本の産業の支配という見地から考えると、貸出し業務を無制限にしたことは、日本銀行と外国の銀行との間のいろいろな点での債務の点からいつても、やはり銀行というものはあらゆる産業に対する点では窓口になるのですから、ことに貸出しというものがその点では非常に重要な点であると私たちは考えているのですが、何かこれには特殊の事情があつて貸出し業務の方は無制限にして、そうして預金なり、信託業務だけを制限するということになつたのですか、何かそこに特別なアメリカ側の主張あるいは現実の今の国際情勢なり、あるいは国内情勢からいつて、特にこれを無制限にしなければならなかつた理由でもあつたのでしようか。
○黄田政府委員 貸付業務を自由にいたしまて、制限業務の範囲外に置いておるということに関しましては、向うの主張とか国際情勢とかいうことは何にもございません。大体貸付業務と申しますものは預金の額に関連が非常にあるものでありまして、オーバー・ローンという問題も日本にはございますけれども、原則といたしましては貸付の範囲というものは、預金の額によつて左右されるということでございます。従いまして預金業務の方を許しましても、その預金の額というものが先ほど申し上げましたように大した額ではないのでありまして、従いまして貸付の方もそれによつて左右されるであろうということ、それからもう一つは預金と信託ということを除きますれば、そのほかに貸付と為替というものしか、銀行業務の大きなフアンクシヨンはないのでございますけれども、預金と信託は制限業種であるといたしますと、その上につけ加えまして貸付というものも制限だということになりますと、銀行業務というものはほとんどびつこになりまして、外国に支店を設けて銀行業務を行う理由は一体何だろうということになりますと、これは銀行業務の否認ということにすらなり得るのでございますから、そういう理由から貸付というものは制限業種にいたさなかつたわけでありまして、何も向うの主張とか国際情勢とかいうものではございません。
○和田委員 それはちよつと納得が行きかねるのですが、今はたとい預金がそう多くなくても、銀行というものは預金を創造することによつて、どんどん貸しているのがほんとうの銀行業務だと思うのです。信用の創造ということを実際にはやつているのである。ですから外国の支店が支店だけとして切り離して考えられるという場合には、あるいは多少のそういうような制限があるかもしれませんが、外国の銀行というものは、支店と本店との関係は実際はどうなつているのですか、やはり本店、支店の関係であつて、その間には内地の本店、支店の関係のような関係がやはりあるだろうと思います。外資の導入とかなんとかいう関係はあつても、銀行自体は、非常に信用を持つておるものであれば、これは預金業務の方を制限しておけば、貸出しを自由にしておいても大丈夫だという結論には必ずしもならぬように思うのですが、実際はどういうように動くのか、その点どういうようにお考えですか。
○黄田政府委員 この点は仰せのような心配の点もあるというので、実は調べてみたのですが、本店と支店との関係というものがあつて、バツクに本店があつて、幾らでもどんどん必要資金をつぎ込むというふうな経営の仕方はしていないようでございます。支店の経営は支店のやり得る範囲内でやるというのが、アメリカのやり方であるということも判明いたしましたので、本店と支店との関係において、本店がうしろに控えてどんどんバツクしてやらせるということではないということを調査いたしております。
○和田委員 そうすると、内地では、外国銀行というものは預金の創造ということはできないわけですか。たとえば一千万円借りたいというときに、口座を銀行の方へつくつて、預金があるから一千万円貸すというように、現実の預金というものがなくても、預金を創造することによつて、貸付をやつて行く、こういうことは禁ぜられるのでございますか。
○黄田政府委員 法律的にあるいは法規的に、内部的に禁ぜられているかどうかということは、これはおそらくそういうことはないでありましよう。但し今までの実際のやり方というものは、そういうふうにはやつていないようでございます。
○和田委員 しかしとにかく、もしもそれが禁ぜられていないということになれば、預金の創造による貸出しということは自由だということになれば、預金業務を制限したということがほとんど意味がないことになつてしまうのじやないですか。銀行ですから、それは金を貸す場合に、必ずしもたくさんの預金を持つておるとは限らぬ。やはりそこで信用をつくつて貸して行くというのが今の資本主義の場合は常道なのです。だからその点について、あなたのお話のように制限がないということになれば、預金業務を制限したということが、経済的には少くともほとんど無意味だということに私どもは考えられるのですが、その点どうなのでしよう。
○黄田政府委員 これは今までの経験によりましても、外国の銀行が地位を濫用と申しますか、利用して、他国の経済を撹乱する、少くとも日本においては、そういうことが今までにおいてもなかつたし、将来もそういうことはおそらくないだろうという点、それから先ほど申しました、向うの慣習というふうなことから、仰せのような心配はないという結論を得たわけであります。
○和田委員 その点が私は非常に不安なのであつて、心配です。なぜなら、この日米通商航海条約をつくつた趣旨は、やはり日本の経済の安定ということをどこまでも私は前提に置いていると思うのです。だから三年間という、旧株の今後の取得についても制限を設け、そうして輸出なり輸入なりについても必要な場合には制限を設けて、とにかく日本の経済の安定ということを、この日米通商航海条約というものによつてはかつて行く。日本の経済が安定して来れば、やはり銀行としては今までやらなくたつて、そういうような産業投資は少くともやると考えるのが私は常識だと思うのです。ことに日本の産業の支配をしようとするときに、銀行の貸出しを通じてやつて行くということは、これは最も容易な、そして最も目立たない一番簡単な方法であります。だから預金業務というものを制限したということの本旨が、そもそも日本の産業というものの支配という点について、外国銀行が一役を演ずることを、とにかくチェックしようという根本思想であつたのだろうとぼくは思うのです。ところがその点が実際上、運営の面においてはこれは制限がないと同じだということになれば、これはもう何のために一体制限業務をつくつたのかわからないことになりはしませんか。その点は一体どうなのですか。
○小田部説明員 この通商航海条約の十一条をごらんになりますと、資金の移動にあたりましては、出る方を制限するときには、内国民待遇及び最恵国待遇を与えなければならぬということが規定してあるたけでございます。従いまして、資金が外国から日本に流れて来る、本店から支店に流れて行くということを制限する為替管理法を制定するということは、これによつて禁じられておりません。もつとも現在の為替管理法では、入る方は縛つておりませんけれども、将来とも入る方を縛るということは条約に何らの拘束規定はございませんから、できますから、御心配のような事態が起りましたならば、為替管理法をそのときに施行いたしまして、そうして本店から支店の方へ資金がたくさん流れるということも統制できるとい、ふうに解釈しております。
○和田委員 その問題ではないのです。その問題も一つです。本店から支店の方へ外国の資本が入つて来るということも、これは可能だし、今でもできる。私の聞いておるのはそれではない、日本に現有あるところの外国銀行が、日本の産業に対して金を貸そうとする、しかしそこには預金の点からいつて、預金はなるほど制限されているからあまりないかもしれない、預金業務は扱わないから……。しかし事実その外国銀行の投資しようとする産業が非常に信用があるならば、預金を創造して、あるものとして、自分でつくつて、そうして貸出しをする、これは銀行がどこでもやつておることなのです。預金創造――必ずしもぼくが預金をしておらなくても、ぼくが非常に信用があつて、ぼくの事業が利潤の高いものであるならば、銀行がほんとうに貸そうと思えは、預金を創造して貸して行く、だから預金業務というものの制限が、そういう点について何らの効果を持たないということであるならば、事実外国資本による内地の産業の支配というものは可能であるし、過去においてあまりなかつたといつても、日本の経済が安定し、また外国資本の動向さえかわるならば、いつでも起り得る事態ではないか。そうであるならば、なぜ一体貸出しの方は無制限にしたのか。政府の意図はまつたくそこで、預金の方だけを制限した意図というものはなくなるとひとしいではないかということをお聞きしておるのです。その点については実際どうなんですかね。(「預金の創造は禁止されている」と呼ぶ者あり)だからそれをはつきり言えばいい。だからできないかということを聞いているのだ。具体的に、できないならばできないとはつきり言えばいい。
○黄田政府委員 本店と支店との間におきまして、ただいま申し上げましたように、本店からの送金というものをチェックし得るということになりますと、あとの資金のソースというものは、日本銀行からの借入金ということになりまして、この借入金の額はただいま非常にわずかであります。この方のソースもこれまたチエツクし得るということになりますので、御説明のような御心配はいらないということになると思います。
○和田委員 わかりましたが、私はわかつたけれども、私の考えていることと、あなたの考えていることは違うと思うのです。銀行の業務について預金創造、信用創造をやる。それは実際預金を受入れるのと同じ結果を帳簿の上でつくる、それで貸出しをやるのです。だからそういうこともできないのだということであれば、事態ははつきりするわけです。そういう点で、そうだということであれば、私もこの質問に関する限りは了承します。私は一時やめます。
○池田(正)委員 緊急動議を提出いたします。
 もう時間もおそいし、この程度で十分皆さん御論議なさつたようですから、質問を打切つて、めんどうくさいから、このままただちに採決した方がいいと思います。採決の動議を提出いたします。
○上塚委員長 きのうからの理事会の打合せ決定事項は、今日は質問を打切る程度にとどめて、明日討論をなし、採決をするということに決定いたしております。これはすでに速記録においてもはつきりいたしておりますから、さようにいたします。
    〔「質疑打切り、ただちに採決」「動議を採決しろ」と呼ぶ者あり〕
○上塚委員長 池田君の動議を採決いたします。
    〔「採決するなら委員を点呼をしろ」と呼ぶ者あり〕
○上塚委員長 事務当局をして委員の点呼をせしめます。
 中山マサ君は辞退いたしまして、中村清君が補欠となりました。麻生太賀吉君」が辞退しまして、押谷富三君が委員となりました。増田甲子七君が辞退して加藤精三君が委員となりました。福井勇君のかわりに持永義夫君、金光庸夫君のかわりに吉田重延君が委員となりました。
 よつて採決いたします。池田君の動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
    〔「議事進行」と呼び、その他発言する者、離席する者多く、議場騒然〕
○上塚委員長 静粛に願います。池田君の動議は……。
    〔発言する者多く、議場騒然〕
○上塚委員長 重ねて宣言します。(発言する者多し)あらためて宣言します。池田君の動議は質疑を打切つて、ただちに討論をやめて、採決すべしとの動議であります。
    〔「反対」、「動議が違う」と呼び、その他発言する者多く、議場騒然〕
○上塚委員長 採決します……。(「議事進行」と呼び、その他発言する者、離席する者多く、議場騒然、聴取不能)池田君の動議は否決せられました。
    〔「議事進行」と呼び、その他発言する者多く、議場騒然〕
○佐々木(盛)委員 議事進行に関して動議を提出いたします。
 当委員会の日米友好通商航海条約に対する各委員の熱心な審議も相当長時間にわたつて行われましたし、すでに本日も夜もふけて参りましたし、もうこの辺で各委員の御意見も十分出尽したようでありますから、この辺で質疑を打切られ、明日は当委員会の開会劈頭におきまして討論を行い、ただちに採決されんことを望みます。
    〔発言する者、離席する者多く、議場騒然〕
○上塚委員長 佐々木君の動議に賛成の人の起立を望みます。
    〔賛成者起立〕
    〔「議事進行」と呼び、その他発言する者多し〕
○上塚委員長 起立多数。佐々木君の動議は成立しました。
    〔「議事進行」と呼び、その他発言する者、離席する者多く、議場騒然〕
○上塚委員長 本日はこれをもつて散会します。
    午後九時十四分散会