第016回国会 外務委員会 第29号
昭和二十八年九月四日(金曜日)
    午前十一時四十二分開議
 出席委員
   委員長 上塚  司君
   理事 富田 健治君 理事 福田 篤泰君
   理事 並木 芳雄君 理事 田中 稔男君
   理事 戸叶 里子君
      麻生太賀吉君    佐々木盛雄君
      福井  勇君    岡田 勢一君
      喜多壯一郎君    須磨彌吉郎君
      淡谷 悠藏君    帆足  計君
      穗積 七郎君    加藤 勘十君
      中村 高一君    中村 梅吉君
      松田竹千代君    大橋 忠一君
 出席国務大臣
        法 務 大 臣 犬養  健君
        外 務 大 臣 岡崎 勝男君
        国 務 大 臣 木村篤太郎君
 委員外の出席者
        国家地方警察本
        部長官     斎藤  昇君
        保安政務次官  前田 正男君
        保安庁次長   増原 恵吉君
        保安庁長官官房
        長       上村健太郎君
        公安調査庁次長 高橋 一郎君
        外務事務官
        (欧米局長)  土屋  隼君
        外務事務官
        (条約局長)  下田 武三君
        外務事務官
        (国際協力局
        長)      伊関佑二郎君
        海上保安庁長官 山口  傳君
        専  門  員 佐藤 敏人君
        専  門  員 村瀬 忠夫君
    ―――――――――――――
八月七日
 委員佐藤榮作君辞任につき、その補欠として大
 橋武夫君が議長の指名で委員に選任された。
同月十日
 委員淡谷悠藏君、岡良一君及び川上貫一君辞任
 につき、その補欠として和田博雄君、加藤勘十
 君及び大橋忠一君が議長の指名で委員に選任さ
 れた。
同日
 委員和田博雄君辞任につきその補欠として武藤
 運十郎君が議長の指名で委員に選任された。
九月四日
 委員大橋武夫君、武藤運十郎君及び池田正之輔
 君辞任につき、その補欠として佐々木盛雄君、
 淡谷悠藏君及び中村梅吉君が議長の指名で委員
 に選任された。
    ―――――――――――――
八月十日
 国際情勢に関する件
 行政協定の実施に関する件
 石川県内灘村海岸を試射場として強制使用する
 ことに反対する決議案(山田長司君外百三十六
 名提出、決議第六号)
の閉会中審査を本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 国際情勢等に関する件
 行政協定の実施に関する件
    ―――――――――――――
○上塚委員長 これより会議を開きます。
 本日は国際情勢等に関する件及び行政協定の実施に関する件について、政府当局に対し質疑を行うことといたします。まず岡崎外務大臣よりMSA交渉に関する今日までの中間報告を聴取いたしたいと存じます。岡崎外務大臣。
○岡崎国務大臣 きようは閣議が思つたより長くかかりまして、遅刻いたしました。そこで、ただいま委員長からのお話がありますので、できるだけ簡単に申し上げます。
 MSAの交渉経過につきましては、この前八月六日に本院の本会議で報告をいたしましたが、その後約一箇月足らずの間でありますから、会談は四回開いたにとどまつております。但し、その間におきましてもいろいろ非公式な意見の交換等は行つて来ております。またその間に、アメリカ側の首席の委員が転任のために交代いたしましたので、こんなようなこともあつて、まだ非常に進捗しているというところには行つておりません。しかし、たとえば例をとつて申しますと、将来援助を受けた場合に、援助物資の差押え免除とか、あるいは免税というような条項につきましては、双方の意見が一致いたしました。協定文についても大体合意を見ております。そこで、この前八月六日の報告の中では、まだ話合いがきまつていないという問題として、顧問団の性格とその取扱いぶり、それから、相互安全保障法の五百十一条の(a)項にある各項目をどういうふうに取扱うかという点、それから、MSAの援助と日本の経済との関連性をどういうふうにいたすかという点が、話合いのおもなる問題点として申し上げたのでありますが、こういう点について、この四回の会合においてもさらに突き進んで両方の話合いを進めて来ております。
 第一に、顧問団の問題は、MSAを受けておる国ではほとんど一致したような一種の取扱いぶりがきまつておるのでありますから、あまり問題はないとも言えるのでありますが、ただ日本としては、日米安全保障条約によりまして在日米軍というものがあります。この在日米軍の地位と申しますか、これと、新しくMSAの顧問団というものとを、どういうふうな関係に置くかという点が、一つほかの国にあまりない問題でありますので、この点についていろいろ確かめてみなければならない事情もあります。アメリカ側でも、日本の意向については本国政府に請訓するようなこともありますので、まだ結論には行つておりませんが、話合いの筋は、要するにこういう点にあるのであります。
 それから第二の五百十一条の(a)項の問題につきましては、これはどこの国でもみな(a)項の六項目というものを書き上げまして、この条件を受諾するということをいたしております。もつともその書き方には、大体多くの国は六一項目をそのまま写し取つたようにして、そうしてこれに対する受諾を表明しておりますが、一、二の国は、六項目をみなごちやちやとませて一つの条文にしておるのもあります。形はいろいろありますけれども、どの国もこれを入れておりますから、この点も別に日本側としては原則上は問題がないわけであります。ただ、この前の国会におきましてもいろいろと論議がありまして、この外務委員会でも種々の意見をお述べになりましたが、その一つは、こういう義務を受諾する場合には、日本の憲法に違反する結果になりはしないかという御意見があつたと記憶しております。そこでわれわれとしましても、かかる御意見は十分尊重いたしまして、憲法に違反しない範囲内の、これは条件の受諾であるということを何らかの形で明らかにする必要はないかどうか、こういう点が主として話合いの中心になつております。もちろんアメリカ側としましても、日本側の憲法違反等を起すようなことを考えているわけじやないのでありますけれども、協定なりあるいは附属書なり、あるいは議事録等でこの点を念を押す必要はないかどうか、またかりに、はつきりさせようとすれば、どういう表現を用いればよろしいのであろうかという点が話合いの中心であります。
 それから第三の、MSAと日本の経済の関連でありますが、これはこの委員会におきましても、私からもしばしば御質問に答えて申しましたように、アメリカのMSAの援助の形はいろいろのものが一緒になつておりまして、たとえばマーシヤル計画というようなものも含まれておりますし、ポイント・フオアというようなものも含まれておりますから、相当雑然たる形になつておりますけれども、だんだんマーシヤル・ブランのようなものは、実際上防備計画――防備といいますか、軍事援助の形に置きかえられて来ておる現状でありまして、今回われわれが受けようといたしますMSAの援助というものは、少くともことしにおきましては、いわゆる――いわゆるでありますが、軍事援助という形であつて、防衛支持援助というようないわゆる経済的の援助の形は、ことしは期待ができないであろうということを申しておりましたが、しかしそれと同時にこの前の六月二十四日、二十六日の手紙にもありますように、日本政府としては、かりに防備力を増強する場合におきましても、日本の経済の安定をくつがえすような結果になることはもちろん考えておりませんし、また防備力を増強する上においては、日本の経済の安定ということが前提の問題であるというふうに言つておりまして、アメリカ側も表現の違いはありますが、同様に日本の経済を重視するという答えはいたしておるわけであります。これは要するに防備計画をただそれだけむやみに増強するとかなんとかいうことじやない、常に経済を考えてやるのだということでありますが、同時に一般にはMSAの援助を受けますれば、非常に日本の経済に直接何か経済的な援助が含まれて入つて来るのじやないかというふうに考えられておりは上ないかと思われる点もあるのであります。しかし今申しました通り、軍事的な援助というものがただいま考えられておるものであります。経済的な関連におきましては、第一には、かりに防備計画を増強しても、経済の安定をくつがえすようなことはいたさないのだという点が、一つの中心になるわけであります。
 さらにこれも申し上げてもう御承知のことでありますが、MSAの援助を受けますと、日本も東南アジアといいますか、この方面においてもアメリカのMSA援助を受ける国の一つとなるわけでありまして、その関連性におきましては、十億何がしという東南アジアに向けられます援助のその一部は、域外買付となつて日本に注文される場合もあり得る。また日本に直接援助の完成兵器等の場合でも、アメリカから全部来るというのではなくして、一部は日本において注文をいたして、アメリカ側でこれに対してドルを支払つて受取つたものを日本の保安隊なり海上警備隊なりに引渡す、こういう形もあり得るわけでありまして、この点におきましては間接ではありますが、日本の工業にある程度の潤いは来るものと考えられるのであります。
 要するに日本の経済との関連性においては、ただいま申したような防衛計画等を将来つくりますにおきましても、経済の安定は害さないという点と、日本の工業に対する注文、域外買付等による潤い、こういう二つの点があるわけであります。こういう点におきまして、われわれはその関連がどういうふうになるか、また日本の考え方はこうであるということを先方に説明することに努めております。そして将来におきましては、たとえば防衛資材と訓練というようなことばかりでなくして、いわゆる経済援助と称せられます防衛支持援助あるいはまた東南アジアの開発に関連のある技術援助、いわゆるポイント・フォアでありますが、これにつきましても、日本の資材なり日本の技術なりを用いてこの開発をするように話合いもいたしたい。またその開発の結果できました資材等は、できるだけ日本でもこれを買いつけるようにいたしたい、こういうような関連におきましては、これはまだ直接の問題ではもちろんありませんけれども、やはり日本の経済の安定に相当の関連性が将来持ち得る、こう思つているのであります。
 これが大体三つの懸案事項について、まだ結論は得ておりませんが、問題点として話し合つているところであります。
 それからもう一つ問題として、これは全部のMSAを受けておる国との間の協定にあるというわけではありませんが、少くともラテン・アメリカの諸国とか、その他にも一、二の国とは規定がありまして、平和を脅威する国に対する貿易の統制ということがあるのであります。これは非常に率直に申しますれば、共産圏の諸国に平和を脅威するような行動があつた場合に、これに対して兵器その他の軍需品を輸出しないというような、この間の国連の決議のようなことを考慮されておることと思いますが、こういう問題も一つあるのであります。これにつきましても、日本はすでに国連の決議に基きまして、また諸外国との協議によりまして、輸出の制限を行つております。従いまして平和を脅威するような国があつた場合に、その国との貿易についてある種の統制を加えるという規定を入れることは、原則としてはさしつかえないことであり、すでに日本は事実上行つておることである、こう私は考えておりますが、しかしその表現の方法その他によりまして、この間の議会におきまして、本院の中共貿易に関する決議等もあります。この決議に、表現の次第によつては、何か反するような規定になつてはいけませんから、こういう点を十分に注意いたしまして、どういうふうに取扱つたらよいかということにつきまして、ただいま話合いをいたしております。大体そういう点がおもなる点でありますが、こういう点が片づきますと、今度は実質的に、たとえばかりに援助の何パーセントが日本の国内で注文されるであろうか、援助の種類とか総額とかいうものはどの程度になるであろうか、あるいは日本にはどれがほしいというような話を進める段階になるわけであります。こうやつて交渉がだんだん進んで行くわけでありますが、今後どういう見通しであるかということにつきましては、協定文につきましてはただいまのような点が、多少ほかにもこまかい点はありますが、大体おもなる点でありまして、これはいずれも話合いができかねるという種類のものではありませんから、何らか話合いの結論が出るのもそう遠いことではないのじやないか、こう思つております。今度は別に日本に供与される援助の総額とか内容とか、こういう問題になりますと、これはいろいろまたほかの国との関連もあるようでありまして、ただいま私の見通しとしても、どの程度ということを申し上げることができませんけれども、これを今後はいろいろの角度から検討して話合いを進めることになるわけであります。アメリカの予算について見ましても、十億何千万ドルという金額はありますが、これは中国とかフイリピンとかタイとか仏印とかいうような国々に援助いたしておる現状におきまして、その十億何千万というものから、今までこれらの四国に援助しておりました額を引きますと、大体常識的には日本にどの程度――的確じやありませんが、一億以上一億五千万以内とか、一億以上一億八千万とかいうような大まかな見当は出て来るわけでありますし、またアメリカの上院の議事録などにおきましても、議論の間において日本にどのくらいというような数字をあげておるのもありますけれども、これはいずれも私はまだ的確なものというわけには行かないと考えております。こういう今後交渉の進展によりましてだんだん明らかにして行きたい、こう考えております。援助の内容の、先ほど申しました完成兵器の種類とか数量とか、その他日本に注文し得るものはどの程度あるかというような点も同様であります。
 最後に、これは私の直接の担当の問題でありませんが、防衛計画と申しますか防備計画と申しますか、そういうものと協定との関連でありますが、これは前にもちよつと申し上げましたように、アメリカ側としては日本のこういう計画の決定に何らくちばしを入れない、こういう計画の決定なりあるいはその大要なりは、一に日本政府のきめるところであるということを印しておるのは御承知の通りであります。そこでこういうものができておりますれば、もちろん協定の交渉におきまして非常に役に立ち、話合いがはつきりするということはもちろんでありますけれども、しかし前に申した通り、これは交渉自体から言いますれば、必ずしも必須の要件であつてこれがなければできないという趣旨のものではない、こう私は考えております。この点につきましては所管が違いますので、私からいろいろ申し上げるよりは保安庁長官からお話を申し上げた方が適当であろうと考えておりますが、ただそれだけのことを申し上げておきます。
 要するに経済界のいろいろの希望を聞きますと、やはりできるだけ日本の経済に寄与するようにこの話合いを進めてくれということでありますが、これはMSAの規定等をあまりよく研究しないで、何か直接に日本の経済に潤いのあるような援助が来るような期待を持つている向きもあるようでありますが、それは先ほども申したように間接にはありましよう。もちろん非常にあろうと思いますが、面接にはMSA自体からは来にくいのじやないか、こう私は考えております。
 以上が大体経過の御報告であります。
○上塚委員長 これより質疑を許します。なお先ほどの理事会の協議に基きまして、質疑の順序は政党順とし、持時間は各政党おのおの五十分ずつといたしますから、さよう御了承をお願いいたします。福田篤泰君。
○福田(篤)委員 ただいま外務大臣からかなり詳細にわたりまして、MSAの中間報告ともいわれるべき御説明がありました。まことにけつこうであります。御承知の通り現在東京においてこのMSA交渉が行われておりますので、私どもはAPだとかあるいはロイターだとか外国のソースによつてこの交渉の経過を知るがごときはまことに不明朗であります。同時に日米間ともかなり無責任な言動もあり、放言もあります。デマも相当ありますので、今後とも外務大臣におかれましては主催地が東京であり、しかも直接の当事者であり、責任のある立場から、さしつかえない範囲で積極的に交渉の経過、見通しについて、国会を通じ、特にこの委員会を通じまして、国民に広く事実をお知らせ願いたい。積極的な啓蒙的な御意見を述べられまして、国民の理解と協力を得られる外交こそ必要であろうと思うのであります。この点特に今度とも御留意を願いたいと存じます。
 これに関連しまして三日発のロイター電によりますと、月末に調印されるであろうとアメリカの国務省当局は言つておるというニュースがございますが、これに対しましてお見通しはどうでございましようか。
○岡崎国務大臣 私も新聞関係の方に聞かれましたときには、なるべく早く、つまりできれば今月一ぱいくらいで話を終りたい、こう申しておつたのでありますけれども、ちよつと今のところ、月末までに終るとは言いにくいのではないか、多少延びはしないかと思つております。もちろんこれはだんだん話をしておるうちに早くなるかもしれませんが、はつきりは申し上げられません。しかし延びるにしましても、そうえらく延びるということはない。できれば今月中にと思つておりますが、ちよつとはつきり申し上げられない現段階であります。
○福田(篤)委員 先般の外務省とアメリカ大使館との間に行われました開始前における書簡の交換におきまして、このMSA援助はいわゆる安保条約の義務以上には新しい義務を負わない、また政治的、経済的な安定を阻害してまでも援助は受けないという二つの条件、わくをきめられたことはわれわれよく承知しておりますが、巷間ある説は、新しい義務、たとえば海外の出兵だとかその他いろいろな新しい義務について、アメリカ側から申出があるとかないとかいうデマがあるのであります。この問題は、はつきりと公表せられた両者間における交渉前における公約でありますので、はたしてこの二つのわくが守られて交渉を進められておるかどうか、はつきり御言明願いたいと思います。
○岡崎国務大臣 もちろんこのたびの書簡は交渉の前提として出したのであります。アメリカ側の返事と日本側の質問とは必ずしも全部が全部きちんと食い合つてはおりませんけれども、しかし大筋においては間違いないのであります。そこでこの両方の書簡の範囲内において交渉をいたしておりますから、それを出ることはないと思います。そうしてそのアメリカの書簡にはもちろんはつきりは申しておりません。というのは、海外へ派兵というようなことがありとしましても、これは日本政府がきめるものであつて、アメリカがどうこう言うのではないという建前から、はつきりいたしておりませんけれども、あのアメリカ側の回答によりますと、そう臆測されるようなものはないのだという、つまり日本側は何らそういう種類の義務は負つていないのだということを間接には言つておる点があります。ただ一つ、今私の聞き間違いかもしれませんが、安全保障条約に負う義務以上に新しい義務は負わないのだというふうにおつしやつたと記憶上ますが、あの日本側の質問とアメリカ側の返事の点は、五百十一条の(C)項にある「軍事的の義務」というのは、安全保障条約に日本がすでに負つておる義務を出でないものである、あの軍事的義務というのは、安全保障条約にある日本の持つておる義務以上には出でないものである、こういう質問に対して、その通りである、こう答えておるのであります。従いましてかりに新しい義務と言いますれば、たとえば今までは自衛力の漸増ということを期待するというのが安保条約の趣旨であります。今度の五百十一条(a)の六項目の中には自衛力を漸増するという責任をとることになりますから、新しい義務といえばその点は義務と言えるかもしれません。しかし今おつしやつたような海外派兵というようなことは全然ないことは、これははつきり申し上げておきます。
○福田(篤)委員 先般ダレス国務長官が朝鮮視察後東京に寄られてアメリカに帰つた向後、日本の防衛力増強に関する意欲はきわめて不満足なものだというような意見表明があつたと伝えられておりますが、私はこのダレス長官の日本の防衛力増強に関する不満の意見は、どう解釈すべきであるか、具体的に言うならば、現在の吉田内閣の防衛計画に対する、あるいは自衛力に対する見解に対しての不満であるか、あるいは消費経済その他と日本の防衛予算との関連等から見た一般的な日本国民の輿論といいますか、これに対する不満であるか、政府はどう解釈しておるかをお伺いしたいと思いますが、同時に、東京におきまして、約一時間、あなたもお立ち会いになりまして、アメリカ側はアリソン大使も立ち会われて、アメリカ大使館において、吉田、ダレス両者間において、会談がございました。これについて、いろいろデマもありますし、非常に大きな問題だと思いますので、全部、あるいは何もかもというやぼなことは申しませんが、少くともさしつかえない範囲で、積極的に具体的にその内容をお漏らし願いたいと思います。
○岡崎国務大臣 政治家はいろいろの意見を述べられますから、私どもは直接自分で聞いたり、あるいは日本の責任者が聞いたことが正確な意見であると考えております。アメリカ側としましては、幾度も言うようでありますが、できるだけ早く駐留軍を引揚げて、日本自体で日本の防備はしてもらいたい、こういう希望を言つていることは、これは安全保障条約締結当時から明らかであります。なかなかしかしそういつてもできないものですから、アメリカの納税者からいいますと、かなりの税金を負担して日本に兵隊を置かなければならぬ、いつまでも置かなければならぬのかという不平もあろうかと思つております。
 従いまして、そういう点でダレス長官もアメリカの納税者の気持を察して、いろいろ申されることもあり得ることかと思つております。ただ一方において日本自体の状況から申します。と、御承知のように、占領当時に日本の軍事施設は全部破壊されておりまして跡形もないわけであります。また憲法の制定がありまして、この憲法を国内に普及するために、当時政府は特段の努力を払い、非常な大きな予算をつくつて国内にずつとその普及をいたして、軍備というものはすべきでない、また、戦力というものは保持すべきものでないということも含めて、宣伝をいたして国民に周知徹底さしたような事情でありますから、その後いろいろの情勢が変化して独立国となつた以上、自分の国は自分の国で守るべきであるということは、これは国民もみな了解しておることと思いますが、いざ実際にこれを具体的にするということになりますと、いろいろ困難がある。私はこれもダレス長官は十分御承知のことだと思います。現にアメリカの上院でも、日本には軍備を禁止している憲法があるのだということを述べたと伝えられております。こういう点で、日本の特殊なる事情もよく了解されておると思います。
 なお、ダレス長官と吉田総理との意見の交換につきましては、約一時間でありますけれども、実はその前後の時間がありますから、時間は必ずしも一時間でなく、もつとかなり短かかつたと思います。その中に、御承知のような奄美大島の問題もありましたし、それに関連して、ほかの島嶼の問題も出て参ります。従つて、そう長い時間、意見の交換をいたしたわけではないのであります。その間におきましては、いろいろの問題について相互に意見を交換いたしました。しかしその点は、奄美大畠の問題を除いては具体的な話合いというものは別にありませんでした。またこちらの意見を求められるというのではなく、こちらも自由に意見を述べ、向うも自由に意見を述べ、これは、いろいろの問題についてでありますが、そういうふうに短かい時間の中でございますから、これというふうに、はつきりとまとまつたものというほどのこともなかつたわけであります。これは前に国会でも御報告いたした通りであります。
○福田(篤)委員 今の御説明でダレス国務長官が、この大事な日米間の外交交渉の過程におきまして、日本の政府の方針について不満を述べたのではないと了解いたしたわけでありますが、先般ノーランド上院議員が参りまして、一つの意見を発表した。御承知の通り、韓国また国府の持つておる兵力から考えて、日本のような人口多数の国が、はなはだまだ熱がないではないかと言われた。どういう意見を言われてもけつこうであります。アメリカ大使館におきまして、改進党総裁重光さんともいろいろ話された、これもけつこうであります。個人の自由であります。われわれ何とも申し上げませんが、事いやしくも日米間において正式に外交談判が交渉中に、一上院議員のいろいろな放言なり、あるいは内政干渉に類するようなことを言われることはきわめて迷惑でありまして、私はダレス長官にしろ、あるいは上院議員の人々にしろ、こうして両国間において正式の外交ルートを通じて談判中は、その言動において慎重さを持つてもらいたい。この点は日本政府においてアメリカ側に御注意を願いたいと思いますが、その覚悟があるかどうか、御説明願いたい。
○岡崎国務大臣 私はノーランド上院議員の意見は――やはり意見と申しますものは、だれでも述べるのでありまして、必ずしもアメリカの人だけが述べるわけではありません。これは性質は違いますが、中共からの放送なんか、始終日本に対するいろいろの意見を述べております。これは名前を言わないから、かえつてやつかいであります。事実それは、アメリカ人の気持からいえば、人口に比べて日本の防衛力が少いということは、先ほど申し上げたように、早くアメリカの軍隊を引きたいという気持からいえば自然のことと思いますので、あえて深く問題にする必要もないのではないか、むしろ率直な意見は、これはアメリカの上院議員の意見として、やはりわれわれは十分参考にいたすべきものじやないか、こう考えております。
○福田(篤)委員 今度のMSA交渉につきまして、ある筋では、アメリカ側が日本の国連加入ということを一つの前提条件として話合いを進めているという説があります。この点についてどうお考えでありますか。
○岡崎国務大臣 私は実は直接話合いにまだ当つておりませんから、あるいはそういう点が何かの言葉の端に出たかどうか、私の承知しているところでは、そういう意見は一つも出てないと思つております。もつとも、ちよつと局長から補足させます。
○土屋説明員 ただいままでの交渉の中で、日本の国連加入を前提としもしくは慫慂する、あるいは条件とするというような発言は、アメリカ側から一切ございません。ただ協定の中には、国連憲章との関連性を持つものがあることはもちろんでありまして、そういう点から、国連憲章にこう書いてあるから、日本としても受けられることはあり得るだろう、あるいは将来日本が国連に加入するというようなことが実現した場合においては、この義務は当然日本も国連憲章に従つて負うべき義務であろうからというような説明はありましたが、それを条件あるいは慫慂するというような趣旨の言明は全然ございません。
○福田(篤)委員 先ほど、MSA問題は、軍事的援助が主たるものであり、経済的援助は従たるものであるという御説明がありました。また従たる経済的利益についても一応の御説明が外務大臣からありましたが、これに関連しまして考えられることは、もしこのMSA交渉がまとまつて調印された場合には、これは将来の問題でありますが、たとえば太平洋とか、ある一定の集団的な地域防衛協定に発展する可能性が一応考えられるわけであります。このような将来発展を考えられる問題について、何らか示唆があつたかどうか、あるいは話題に上つたのかどうか、その点について明らかにしていただきたいと思います。
○岡崎国務大臣 この経済的な国連性におきましては、たとえば先ほど申しましたように、MSAの援助の資金の中から、かりに日本側が建物をつくりたいとかあるいは港湾を直したいとかいうようなことになつたら、それはむずかしいということはあるかもしれません。しかしわれわれの考えておりますのも、ただいまのところは域外買付とか、日本に注文して保安隊に供給する武器をつくるとか、そういう種類の経済的な潤いを考えておるのであります。しかしこれは域外買付等は量にすれば将来相当多くなるかもしれない。従つて相当大きな経済的の費用を満たす場合もあり得るかと思いますが、そういう点につきましては、日本側としては原則的には異存がないのでありまして、ただ現実に、どれだけ日本に注文するかということは、これは今後の問題になります。従つて非常に意見の相違があるとは考えませんけれども、われわれとしてはとにかく今の経済は非常に困難な経済でありますから、これにできるだけ役に立つように、援助の効果をはかろうという気持はありますので、その点では必ずしも日本の希望通りには行かないことがあり得ると思つております。
 それからあとの方の御質問でありますが、地域的な集団安全保障体制というようなことに言及があつたか、あるいは日本が将来それに入るというようなことの話合いがあつたか。これは私の承知している範囲内では全然ないと思います。いろいろ意見が新聞等に出ていることはありますけれども、この話合いにおいては全然そういうことは出ておらない、こう思つております。
○福田(篤)委員 この点は少し技術問題になりますが、かりに協定がまとまりまして調印をした場合に、援助を受けた武器の機密保持につきまして、当然何らかの処置が必要であると思いますが、これに関しまして、何らかの話合いなりあるいは用意があるのでありますかどうか、その点を明らかにしていただきたいと思います。
○岡崎国務大臣 これはお話の通りでありまして、アメリカ側が今具体的にはどれということは申し上げられませんが、兵器等をこちらへまわす場合には、その中にはいろいろ外へ出ては困るような機密の問題が入つて来ることは当然と思います。従いましてアメリカ側としては、これは兵器の機密を守るという点からもそうであります。従つて、アメリカが今規定しておるような機密遵守と同様の種類のものを日本でもちやんと規定してもらいたい、こういう意見はあるのであります。これは私は当然のことだと思います。ただこれはごく簡単に申しますと、こういうことであります。たとえばアメリカである兵器の一部について、これは機密だ、こういうことになつておる。そのときに日本がいやそれは機密じやないのだといつて、機密の取扱いをしてくれないということになりますと困る。ただアメリカ側としては、この機密を漏らす場合にはどういう処罰をするとかいうようなことがありますが、その処罰その他まで厳重にアメリカと同様にしてくれということを申すのではなくて、アメリカが機密であるというものを、日本は機密でないといつて取扱われては困る。それをどういう程度に機密として取扱うか。これは日本側がきめるものであるというような種類の話合いであります。これは援助を受ける以上は当然だと思いますので、その意見には原則的には同意をいたしております。
○福田(篤)委員 この問題は、たしか同僚の戸叶委員からも御質問があつたと記憶しておりますが、武器のいわゆる規格問題、スタンダーデイゼーシヨンでありますが、これについて何らか具体的な話合いを進められておりますかどうか、この点を明らかにしていただきたいと思います。
○岡崎国務大臣 これも、私は日本としては特に必要じやないかと考えております。というのは、できますことならば、日本として域外買付も十分にやつてもらいたい。そのときによその国の注文に応ずるたびに、規格をかえるということになりますと、マシーン・ツールからしてすべてかえて行かなければならぬ。それよりは同じ工作機械でもつてつくるものは、どこの国にもあるということになれば非常に便利でありますから、これはアメリカとの交渉でありますが、それをだんだんほかへも及ぼして、規格の統一をやつてもらう。その同じ規格で日本はどんどんつくつて行けば、それが必要があればどこへもはまる、こういうことになれば非常に便利である、こういうふうに考えております。
○福田(篤)委員 最後に、現在行われている行政協定の改訂問題につきまして、さしつかえない範囲でなるべく具体的に御説明を願いたいと存じます。特に今巷間伝えられておる、これはデマであろうと思いますが、駐留軍の家族に対しまして、従来通り特権的な地位を裁判管轄権について与えるというとんでもないデマがあるのでありまして、私はそのような不明朗なことは万々あるまいと思いますが、この点についても具体的な政府の御答弁を得たいと思います。
○岡崎国務大臣 それでは委員長のお許しを得まして、行政協定の改訂の交渉につきまして、簡単に今までの経過を申し上げます。
 これは御承知のように、ことしの四月十四日に、私からマーフイー大使に対して、北大西洋条約の軍隊の地位に関する協定、すなわちいわゆるNATO協定がアメリカについて発効した上は、日本政府としてはただちに日米行政協定の第十七条第一項に規定する選択権を行使して、同協定の刑事裁判権条項、第十七条を、NATO協定の相当規定と同様に改訂する希望を持つ、こういうことを通告したわけであります。これに対しまして、八月十八日に、アリソン在京大使から、本国政府の訓令に基きまして、NATO協定は七月二十四日にアメリカの大統領の批准を得て、八月二十三日に米国について発効することになつたので、かねての日本の申出に基して日本側提案を基礎として、行政協定の第十七条を、NATO方式に改めるための交渉を開始したいということを申し出て来たのであります。
 そこで、この改訂の問題になつたわけでありますが、この改訂案と申しますものは、要するにNATO協定の該当規定を、行政協定の第十七条と入れかえんとするものでありますから、特別な問題はないとも言えるのであります。ただ新しい協定が発効する際に、これを円滑に実施するようにするためには、日米双方の間で、実施細目について十分打合せを遂げる必要があるわけであります。外務省とアメリカ大使館との間には、非公式ではありますが、予備的な会談を進めて、種々の起り得べき問題について、ごく友好的な雰囲気の中で研究を進めております。これらの点につきましては、もう少し話合いが進みますと、いずれ正確に申し上げることができるのでありますが、現在のところでは、大体次のような状況になつております。
 第一に、現在アメリカ政府は、新協定についてNATO方式を採用するということは、もう異存のないことが明らかであります。従つて、今いろいろ話合いをいたしておりますその交渉の内容と申しますものは、ほとんどその実施細目という点に集中されております。これはたとえば駐留の米軍に使用されておる施設、区域等の中で、逮捕したり、捜査したり、差押えしたりする手続はどうなるか、こういうような問題。あるいは刑事訴訟手続における人権の保障、これはどうなるか。あるいは第一次の裁判権行使の通告の手続とか、あるいは裁判権行使を放棄する手続はどうするか。あるいは犯人の身柄の取扱いはどうするか、こちらへ置いておくか、向うへ置いておくか、こういうような点がおもなるものであります。
 そこでただいま御質問にありました家族の問題でありますが、これはアメリカ側としては、アメリカの軍事法規と申しますか、ミリタリー・ロー、これに従うものについてはいずれも同じような取扱いをしてくれ、かういうことになります。これは裁判権を行使する、あるいは裁判権を放棄するというNATOの協定に基きますと、いずれにしましても日本にとつて実質的に重要なものは、公務でない限りは、日本側で裁判をするということに結果においてはなろうかと思います。ところがおそらく家族等は公務で働くということはないものと思いますから、実質的に重要なものにつきましては、結果においては家族等は日本の裁判権に服する。ただ日本にとつて軽微なもので、NATO協定だとたとえばアメリカ人間の何かの問題であるとか、アメリカの財産に対する毀損であるとか、こういうものについてはアメリカ側に裁判権を渡す、こういうことにNATOの協定がなつております。そういうものにつきましては、家族であろうとも別に私はさしつかえないのじやないかと思つております。しかしまだ具体的にそこのところの細目はきまつておりませんが、大体においてはそういうふうに考えております。
○上塚委員長 佐々木盛雄君。
○佐々木(盛)委員 外務大臣はやむを得ない事情で外出されるとのことでありますから、関係の外務省の首脳部はそのまま残つていていただきたいと思います。
 さて私はただいま保安庁長官がお見えになりましたので、主として保安庁長官を中心として質疑を行つてみたいと思います。
 最近の休会中の旅行先で、緒方副総理は、保守隊の十三万ないし十五万という増強説を唱えられております。あるいはまた輿論も大体十三万から十五万くらいの計画を、当局においていたしておることを伝えております。さらには予備役制度まで考慮しておるとも伝え、あるいは徴兵制度まで考慮されていると伝えられておるわけでありますが、私はまことに重大な問題でありますし、はなはだ遺憾なことでありますが、政府の見解もやや不統一なように見受けられます。さきの国会におきます本年度においての増強はしないというような言明から考えますと、まことに遺憾な状態でありますが、しかしながら一体どういうところまで自衛力の増強が考えられておるか、その具体的な点を率直に、公式の場において正しく表明されんことをお願い申し上げます。
○木村国務大臣 ただいま具体的にどういうところまで考えておるかという御質問でありますが、御承知の通りわれわれといたしましては独立国家になつた以上、一日も早くみずからの手によつて、みずからの自衛体制を整えたいということは、これはなかなかであります。しかしながら財政計画を無視し、国見の安定を害するような計画は立て得ないのであります。そこに非常な難点があるのであります。日本の財政力にマツチした、ここに自衛体制を整えたいといろいろ苦心しております。そこで一体保安隊をどういうぐあいに持つて行くか、この前の国会においてもしばしば論議があつたのであります。質的にこれを向上させる、すなわち装備及び精神力の面においてこれをしつかりしたものに持つて行く、またはこれを増員すべきであるか、こういう問題にぶつかるのでありますか、これはだんだんその後の情勢なりいろいろな面から考慮いたしますと、この際ある程度の増員は必要じやないかと考えておるのであります。しからばその増員のわくは、どの辺まで持つて行けば妥当であるかということになりますと、これはなかなかむずかしい問題であります。あるいは十三万案なり、十五万案なりがどうと伝えられておるのであります。われわれも一応はそういう見当のもとに立てたい、また研究いたしておるのでありますが、何といたしましても日本の財政力に相心した行き方をしなければならぬということで、ただいま各方面の資料を十分検討いたしまして、どれが妥当であるか、これが将来その線に沿つて行けるかということについて、せつかく検討中であります。ただいま具体的に、どこまで計画を立てておるかということは申し上げかねるのであります。
○佐々木(盛)委員 ただいま岡崎外務大臣からMSA交渉の内容を聞いたわけでありますが、アメリカ側からのMSAの交渉に関連して日本の自衛力増強の年次計画の要求をまつまでもなく、私は、日本独自の立場においても、祖国の防衛という点については真剣に考えなければならないのではなかろうかと考えます。従つて、MSA問題との関連性において、あるいはそれらとの関連性なき立場においても、増強の具体策として、それでは二十九年度の予算においては一体増員ということを考えておらぬのかどうか、あるいはいかなる増強策を二十九年度において考えておるのか、これらの点についてひとつ御所見を承りたいと思います。
○木村国務大臣 ただいまの御質問、ごもつともであります。三十九年度にどうするか。そこでこの二十九年度の国家の全般的の財政のあり方というものを十分検討する必要があるのではないかと考えております。われわれといたしましては、ぜひとも二十九年度において、最小限度の増員はいたしたいと考えております。しかしそれがどれだけの程度におちつくかということになりますとなかなか問題でありますので、ただいまどれだけの程度にとどめおくかということについて、せつかく検討中であります。近き将来において結論を出したいと思つております。
○佐々木(盛)委員 次に、私は先ほど来のMSA交渉の内容を承りましても、今度のMSAなるものが自由主義国家陣営の集団安全ないし個別的安全、こういう立場に立つものであることはきわめて明確なことでありますから、従つて日本の増強すべき自衛力というものが、外敵に対して備えなければならぬということは申すまでもありません。しからば日本に外敵に対抗すべき自衛力が、一体いずれにありやという問題であります。従来の政府の説明によりますと、外敵に対しては駐留軍がこれに当るのだ、保安隊は国内の警察の予備行為をするのである、補助行為をするのである、こういうような説明であつたわけでありますが、私は今日の世界の大勢をながめても、あるいは日本の置かれております今日の同情を考えましても、もはやそういう段階ではなくして、そうして保安隊そのものが外敵にも直接当らなければならぬというところまで来ておると思います。従つてこの点を一体当局はどういうふうにお考えになつておるか、もしこの保安隊をして外敵の直接侵略に対して対抗するものであるとするなれば、当然保安庁法の改正という問題が生れて来なければなりません。私はこの際率直に保安庁法を改正して、そうして国土防衛の新しい光栄ある任務を負わすということの方が、さらに妥当ではなかろうか、こういうふうにも考えるわけであります。従つて外敵に対する防衛という新しい性格をこの保安隊に負わせる、そういうふうに改組して行くということに対する政府の見解はいかがなものでありますか。
○木村国務大臣 お答えいたします。もとより保安隊はその性格、任務から申しまして、保安庁法第四条に明記されております。つまり、日本の平和と秩序を維持するために設けられたるものであります。これが主たる任務であることは、もとより論をまたないところであります。しかし駐留軍の一部部隊の引揚げというようなことになりまして、その方面の分担を保安隊が受持つということになりますと、今言う性格、任務の変更の問題が生じて来るのであります。従いまして私は率直に申しますと、保安隊の性格、任務の変更の必要上、保安庁法の改正はすべきものであるという、これは保安庁長官木村としての考えは、率直に申し上げたいのであります。しかしその時期等につきましては、ただいま適当な時期を考慮いたしております。少くともそういう方針のもとに、研究は進めておるのであります。
○佐々木(盛)委員 日本の国内的あるいは対外的な防衛の責任を担当せられております木村長官としては、もとより当然な発言であろうと思います。従つて、すみやかに保安隊なるものに新しい国土防衛の任務を附加するということは、当然必要なことである。しかもそれはMSAとの交渉にも関連して、そう将来の研究に属すべきものではなく、私はこれは早急に差迫つた問題であるというように考えるわけでありますが、その時期等につきましては、あるいは明年度からというような差辿つた問題として、当局はおとりになつていないのかどうか。その辺の点をひとつ明らかにしていただきたいと思います。
○木村国務大臣 それはなるべく早い時期において改正をいたしたい、私はこう考えております。
○佐々木(盛)委員 そうなつて参りますと、保安隊なるものの性格がかわつて参りますと、名称というふうなものについても、従つて政府は十分考慮されておるのではなかろうか。国内の治安維持というふうな、警察の補助部隊的な性格ではなくして、むしろ外敵に対して光栄ある祖国を防衛するのだというような性格を明瞭にする点から、あるいは自衛軍であるとか、あるいは防衛軍であるとか、そういうふうに性格までも形の上において明らかにして行くというふうなお考えはないでしようか。
○木村国務大臣 保安隊の性格問題に関連いたすのでありますが、保安隊が全然外敵の侵入に対してだけ対処するという考えは持つておりません。やはり主たる任務は、国内の平和と秩序を維持し、同時に外敵の侵入があつた場合においても、これに対処して行くということにすべきものであろうと私は考えております。そこでこの名称いかんの問題を今御質問になりましたが、私は名称は保安隊であつてもいいのじやないかと考えております。しかし保安隊員の気持も考えてやらなければなりません。また世間のこれに対する考え方もありましようから、それについては、私はあえて保安隊という名称を固守するものではありませんが、そういうふうなものをにらみ合せまして、ゆつくりと研究いたしたい、こう考えております。
○佐々木(盛)委員 次に最近、自衛の目的のためであつたならば、憲法第九条においてわれわれは禁止されておると考えます戦力を持つてもかまわないという説をなす人々があります。これを最も端的に代表しております政党は、申すまでもなく改進党であります。ところで私たちは、やはり簡単にこういう改進党の説に賛同することはできないという立場をとつております。もしも改進党の説のごとき考え方をもつてするならば、自衛の目的のためならば、これほど大きな軍隊を持ち、どのように大きな戦力を持つてもかまわないということになりますと、憲法というものは、あつてなきがごとき空文化してしまうわけであります。一体世界のいずれの軍隊に、建軍の目標として、侵略することを目的とした軍隊があるでありましようか。いずれも自衛のためであることは当然であります。自衛のためであると言いながら、それが往々にして侵略のために使われたという苦い経験から考えまして、われわれはあくまでも憲法の戦力の規定というものは、守りたいという考え方を持つておるわけであります。これに対して政府はどういうふうな考え方をお持ちになつておるか。おそらくは従前の考え方とかわりはないと思いますが、この際、こういう新しい説も生れているし、また現行憲法の範囲内においても、どんどん軍隊をつくつてもいいという考え方もあるようでありますから、当局の方針を明確にされたいと思います。
○木村国務大臣 最近、自衛のためであるならば戦力を持つてもさしつかえないという説もあるわけであります。しかしこの議論は何も今新しい問題ではありません。われわれの尊敬する先輩佐々木惣一博士その他彼ら学徒一派が、この説を早くからとつておるのであります。また私の友人でありますが、高柳賢三君のごときは、この憲法の条文はマニフエストウの性格を帯びたものであつて、そんなものは意味がないというような極論まで言う人もあります。すなわちこれらの人の議論によれば、自衛のためならば何も戦力を持つたつていいじやないかという議論であります。私は議論として前に傾聴に値すると申しましたが、これは一つの議論として聞くに値すると今でも考えております。しかしながら常に傾聴に値するということと、その意見に賛成であるということとは、これは別の問題であります。政府としては終始一貫、自衛のためであつても、戦力は保持し得ないのであるということを、繰返し繰返し申しておるのであります。その論拠については私は今詳しく申しませんが、この主張は今も政府としては何らかえるところはない、こう考えております。
○佐々木(盛)委員 おそらくそうであろうと思つておつたわけであります。そこで私は重ねて確認をいたしておきたいと思いますが、国の見解、政府の見解といたしましては、戦力に至らない範囲の人員、装備というものならば、それをたとい自衛軍という名において呼ぼうと、あるいは保安隊という名において呼ぼうと、そういう人員や装備、防衛力を持つことは、決して憲法九条に違反するものではない、あくまでも合憲の範囲内においてできるのだ、こういうことを前にも岡崎外務大臣も律したことがありましたが、この点につきましてもう一回明快に――その後この説があるいは後退したと見られる節もないわけではないのでありますから、明確にしていただきたいと思います。
○木村国務大臣 お答えいたします。憲法第九条第一項の規定はつづめて申しますと、要するに侵略戦争のようなことを再び繰返すことを不可能ならしむる趣旨であります。しかしこの規定によつて自衛権を否定されたわけでも何でもありません。独立国家である以上は、自衛権を持つのは当然であります。われわれがいわゆる正当防衛権を持つのと同じことであります。平和条約第三章におきましても、明らかに自衛権は認めております。また国連憲章第五十一条においても、個別的自衛権は認めておるのであります。これは私は憲法以前の問題であろうと思います。憲法第九条第一項によつて決して自衛権を否定したものではないと確信して疑いません。従いまして、戦力に至らない程度において国家が自衛権を持ち得るということは、これは当然の事理であろうと私は考えております。
○佐々木(盛)委員 次に、一体国力とにらみ合せて日本の防衛計画を立てるということでありますが、当局といたしましては一体どれぐらいを最高の限度として持ちたいというお考えを持つておるものであるか。またわれわれがMSAの受諾に伴つて防衛力を増強するということは、当然米軍の将来の引揚げということを予想の上に置いてのことでありますが、どれぐらいのところまで行けばアメリカ軍に引揚げてもらつてもさしつかえない段階にまで来るのか。一体本質からいつて、自分の国を自分で守らなければならぬことは当然のことでありますから、どういう程度まで日本の防衛力を引上げて行こうというようなお考えを、長官はお持ちになつておるか、この点を私は伺つておきたいと思います。
○木村国務大臣 特に私が申し上げたいのは、アメリカ駐留軍の引揚げについてでありますが、アメリカ駐留車というものは大きな一つの組織であります。海軍もあれば空軍もある。地上部隊もあるのであります。これに令部引揚げられて、これにかわるべきものを日本で持とうというのはとんでもないことであります。とうてい許すことはできない。そんなことは不可能であろうと私は考えます。それでアメリカでも考えておることは、いわゆる日本における地上部隊のことであります。それがこの地上部隊が幾らあるかということは、アメリカ軍の機密に属することでありますから、われわれ多少の想像はできますけれども、これは厳密なことはわかりません。また申し上げることはできないのであります。それも一時に全部引揚げられて日本がどうなるかということになりますと、その手当はなかなかむずかしいのであります。そこでアメリカ地上部隊がさしあたりどれぐらい引揚げることを希望するか、それに対して保安隊はその手当をどうすべきかということになるのであります。それらの計算なりがなかなかむずかしいのでありまして、今私は大いにその点についてくふうを凝らし、研究中であります。何万をふやせばそれでよいかということの正確なる目途は、ただいまのところ立つておりません。
○佐々木(盛)委員 時間もも一時でありますから、これで大体打切ります。そこで私は時間の関係もありますから、保安庁長官並びに外務省並びに海上保安庁長官、それらに対して質問をするわけでありますので、ひとつ一緒にまとめて質問をいたしますから、それぞれの立場から御答弁をいただきたい。それは実は竹島の領土の帰属の問題と李承晩ラインの問題に関連してのことであります。
 竹島が日本の領土でありますことは、もはや歴史的に考えましても、一点の疑問のないところであります。しかしながらこれに対しまして韓国側は、これを韓国の領土であると主張いたしておる。しかも漁民をここに上陸せしめておる。先般も新聞に写真が出ておつたようなわけであります。日本の領土はかくして明らかに侵犯をされておるわけであります。これは決していわゆる出際紛争ではなくして、明確な不法入国である、こう私は考える。従いましてその不法入国に対しましては、まず入国の取締りといたしまして、出入国管理法、これは当然適用すべきものであると考える。ところが今日までこれらの点について外務当局は一体どういうふうにして来たか。並びに海上保安庁はこれらの点をどういうふうにして来たかという点。それからさらに竹島と関連をいたしまして、同時に御答弁を願いたいのでありますが、竹島の問題とともに重大な、先刻申し上げました李承晩ラインであります。ことに国連軍の防衛水域としてクラーク・ラインというものがありましたが、これが先般実質上においては撤廃をされまして、日本の津々浦々の漁民たちはこのクラーク声明によつて非常に欣喜雀躍いたしたわけでありますが、悲しいかな、クラーク・ラインのまだ外側に、李承晩ラインというものがあるわけであります。しかも今日戦争によつて漁場を失つた日本の漁民というものは、この危険な李承晩ラインを突破して中に入つて行かなかつたならば、彼ら漁民の死活の問題となつておるようなわけであります。しかもこの竹島はそのラインの中にあるわけであります。このような公海自由の原則から考えましても、まつたく不法な李承晩ラインの一方的宣言が、いかに国際法上あるいは国際慣行上むちやくちやなことであるかということは、もちろんのことでありますが、こういう韓国側の不法な処置によつて、日本の漁民の生命線というべき漁場が、完全に封鎖されているような現状である。これを命がけで突破しなかつたならば、日本の漁民は死滅するということ以外にない。しかも伝えるところによりますと、李承晩ラインの中に入つた日本の漁船に対しましては、驚くべきことには発砲する、撃沈するというような乱暴きわまるところの政府声明を発表しているのであります。従つて日本の漁民は決死の船出をしなければならぬ。こういうことになるわけでありますが、韓国側の国際法や国際慣習を無視した不法行為によつて、日本の領土が現に侵犯され、しかも日本の漁民たちが命がけでもつて自分たちの仕事に従事しなければならぬというようなことを、日本の政府が手をこまねいて安閑として見ているということはなかろうと思います。今日まことに重大な問題が起つたと私は思います。これに対しまして外務省の見解はどういう考えを持つているか。先ほど申した李承晩ラインや並びに竹島の問題に対する外務省の考えはどうか。あるいはこれをどういうふうに処置しようとするのであるか、こういう点に対しまして外務省から明確な御答弁を願うとともに、さらに海上保安庁は何をしたか、今日までどうしていたか、伝えるところによりますと、海上保安庁が一方的に朝鮮側の海賊的な行為の跳梁にまかしたかのごとき印象を受けてまことに残念に思つている。今まではこれをどうしていたか。これからはどういうふうにこれらの漁民を保護する考えがあるか。具体的な考えを明らかにしてもらいたい。
 さらに保安庁長官にも承つておきたいのでありますが、海上警備隊はすでにフリゲート艦も持つているわけであります。従つてフリゲート艦を派遣することによつて護衛をするとか、あるいは場合によつては保安隊の兵力、保安隊の力というものを動員するとか、あるいは飛行機もすでにあることでありますから、飛行機によつて哨戒するとか、何らかのそういう対抗処置を講ずることが必要である。相手方が発砲あるいは不法に撃沈するということになれば、これに対して日本としても当然重大な覚悟をきめて対処しなければならぬと私は考える。今日まで一体何のためにアメリカからたくさんの武器を借りたり、国民も重税に悩みながらわれわれの自衛力の増強に励んでいるか。また今もつてわれわれがMSAを受諾しようとしているかという点は、まことにこのような醜態を演じたくないという民族的な悲願からやつているわけであります。従いまして、韓国のこういう不法攻撃やあるいは日本人の生命財産が海底に撃沈されて行く、日本の領土が侵犯される、こういうことに対しまして、保安隊やあるいは海上警備隊が、依然として外敵に対するものは駐留軍であつて、われわれの管轄外であるということでは、こういうような情ない独立国が一体どこにあるかと考える。従いまして一体保安庁の長官としてはどういうふうなお考えを持つておられますか、またどうされる考えでありますか、われわれは当然これらに対しては対抗措置をもつて日本の漁民を保護すべきではなかろうか。日本の領土をあくまでもわれわれは死守すべきものである。こういう考えを持つているわけでありますから、それぞれ外務省、海上保安庁並びに保安庁長官におかれまして、これに対しまして国民を納得せしめるような御答弁をひとつ願いたいと思います。
○下田説明員 竹島及び李承晩ラインの問題につきましてどう考えるか、並びにどういう措置をとつたかという御質問でございますが、実際の漁民の保護、あるいは不法入国者の取締りの措置というようなことは、これは外務省の問題ではございません。外務省がどう考えるか、措置と申しましても、外交的にどういう措置をとつたかという点を申し上げたいと思います。
 竹島が日本領土であることはまさに仰せの通りでございまして、これにつきましては何ら繰返して申し上げる必要はないと存じます。そこで竹島に韓国の漁民が入つて来る。これはたとえば外国の飛行機が領空を侵犯するというような侵犯の問題ではなくして、外国人が入国許可なくして日本の領水に無断で入つて来たという不法入国の問題でございます。従いましてこれに対する措置は警察措置でありまして、警察措置は日本側として当然行い得べき範囲においてとつて一向さしつかえない問題であると思います。
 次に李承晩ラインの問題でございますが、これも仰せの通り、公海のまん中に、これだけが自分のなわ張りだといつてかつてな線を引くということは、あらゆる従来の国際法の原則に反しておるのでありまして、これも不法である。日本はかつてこれを認めたことがない、これは御承知の通りでございます。そこでこれに対しましては公海でございますから、日本の漁船は堂々と出漁していいと思うのであります。その出漁に際して危険が感ぜられる場合は、日本の乏しい実力であるかもしれませんが、保護措置をとつて一向さしつかえないものであると思うのであります。ただ注意いたさなければなりませんのは、巨文島でありますとか、やはり島がございますので、その島のあまりに近く、三海里以内に入りますと、逆にこつちが不法入国の問題に触れます。そういう点はわが方も注意をいたさなければならない点と存ずるのであります。
 なお外交的措置の問題でございますが、竹島につきましては、これはもう何度も抗議いたしております。ことにこの夏竹島が日本領土である根拠を歴史的、地理的、民族的の詳細な資料を付して、反駁の余地のないまでに日本政府の見解を述べてあるのであります。これに対しまして韓国は逆抗議をいたして参りましたが、この逆抗議には韓国側の主張を正当づけるための何ら一言の説明もないのであります。これは現在のところこの問題を実力で解決するということは考えるべからざるものであります。不法入国者を取締るという点の実力行使はけつこうでありますが、領土権の紛争を実力で解決するということは、これは憲法第九条で国際紛争を解決するために実力を行使するのは禁ぜられておるのでありますから、その意味の実力は行使しない、あくまでも平和的手段で解決すべき問題だと存ずるのであります。しからば平和的手段にどういうものがありますかというと、これはただいままでやつております日韓間の直接交渉でありますが、これがなかなからちが明きません。あるいは第三国の調停を求めるということも考えられますし、最後に世界の法廷であるところの国際司法裁判所にこの問題を提訴して判決を仰ぐ、この際も私どもの考えでは、韓国側が何ら百日の主張の裏づけをなし得ないことを見ましても、わが方の説明をもつてすれば、国際法廷において完全にわが方が勝つという自信は私どもにあります。しかしながらいつそういう手段に訴えなければならないかということにつきましては、これは考うべき問題だと思いますが、ただちにそこまで行くべき問題とも考えない次第であります。
 李承晩ラインの問題につきましての外交的措置でございますが、この問題を取上げての話合いもございますが、日韓会談におきましてしばしば話しておるのであります。そこで御指摘の防衛水域の撤廃に関連しまして、残るところはこの不法な李承晩ラインだけの問題になりまして、最近の韓国政府の説明によりましても、李承晩ラインは軍事的のものではなくして、まつたく漁民保護の問題であるということを言つております。漁民保護の問題となりますと、わが方も漁民保護の見地に立ちましては、やはり重大な利害関係を伴うのでありまして、この問題自体が漁族の保護、漁業資源の保護という問題であるというように韓国の考えがかわりますならば、これは純粋な漁業問題として解決する方に方向を持つて行けるのでありまして、将来日韓会談が再開されました場合には、純粋の漁業の問題としてまた話合いをして解決をつけるという試みをいたしたいと存じております。
○山口説明員 私の方は海上における警察的な取締りを担当しておるものでありますので、その後の情勢を御報告申し上げます。もともと竹島問題にいたしましても、李承晩ラインの問題にいたしましても、常に外務省、農林省等関係官庁と連絡のもとに、そのときその都度対策を立てて参つたのであります。
 まず竹島問題についてその後の様子を御報告いたします。先般七月十二日に発砲事件があつたのでありますが、八月二日巡視船「へくら」が境を出まして、八月三日早朝同島の現場に再び参つたわけでありますが、同日は島には船影も人影もございません。前回取締りの際、同島において不法発砲しました向うの警官、あるいは漁夫等はすでにおりません。現地を検証をいたしましたところ、同島の一部に当時発砲したものの残骸と思われる薬莢等を発見したにとどまりまして、その後八月六日に再び巡視船「へくら」が境から出まして、翌日早朝同島に着きまして、上陸いたしまして、つぶさに見聞をいたしたのでございますが、その際も船影、人影ともに認めず、その後来た様子はございません。その際に「島根県穏地郡五箇村竹島」という標柱を立てまして、さらに越えて八日二十一日になりまして、巡視船「ながら」が朝鮮海域の特別哨戒の帰途に同島周辺の取締りをいたしましたが、異状を認めず、前回立てました標柱もそのままになつております。異状を認めませんでした。越えて八月三十一日、巡視船「へくら」がこれまた朝鮮海域の特別哨戒の帰途同島に寄つたのでありますが、何ら異状を認めませんでした。一方八月二十一日ごろ韓国政府におきましては、竹島の警備のために艦艇を派遣するとの発表がありましたが、八月三十一日現在までこれらの事実はないような模様であります。以上が発砲事件以来の竹島における現場の様子であります。今後におきまして引続き特別に参りますか、あるいはまた朝鮮海峡の特別哨戒等の帰りを利用して、随時同島の取締りに当る考えでおります。
 次に李承晩ラインの問題でございますが、国連軍による防衛海域の宣言が撤廃されました後、韓国政府におきましてはこの措置を不服とする模様であります。李承晩ラインの保護のため強硬な措置をとるようなこと、あるいはまた竹島につきましても艦艇を派遣する等の意向があるようでありますが、現在までには拿捕、臨検等の事件は具体的には現われておりません。朝鮮海峡の南海域は現在さばのまき網が出漁しております。十一月よりさらに東海域をも加えまして、約二百隻近くの以東底びきが出漁することに相なるのであります。うち百隻は従前の廃止されました防衛海域内付近において操業することに相なりますので、防衛海域の撤廃後といえども、韓国側の今後の出方いかんを十分に警戒する必要があろうかと思うのであります。従いまして出漁船に対しましては、十分にこの辺のところの注意を喚起し、相手国の領海、すなわち三海里付近には、領海それ自体に入らないことはもとよりでありますが、それに近寄ることにつきましても十分警戒をするように、今後指導して行くつもりでおります。現在これらの方面に派遣いたしております巡視船は、御案内のように第八管区、つまり舞鶴管区巡視船が交代で常に一隻は同方面に行動しておるような計画になつております。今日ただちにこれを増強するということは少し困難でございます。今後の状況いかんによつては、むろん全国的に舟艇の配置を考え直して対処しなくてはならないとも思つておりますが、ただいまのところ、ただちに増強するということはいたしかねております。なお本年に入りましてから拿捕されて未帰還のものは、二月の五日に拿捕されました第一太平丸、乗組員十二名、これと三月の十日拿捕されました松福丸、乗組員六名でありまして、李承晩ライン侵犯の理由をもつて取調べを受けておりますものは第一太平丸のみであります。なお松福丸の方は領海侵犯及び密貿容疑で逮捕されておるものであります。四月以降におきましては拿捕されたものはないのであります。
 それで今後の情勢いかんによつては、われわれとしてもこのままではいけないと思つておりますが、非常にデリケートな問題でありますので、今後につきまして、漁船みずからのある程度の自粛も要望したい、われわれの方の保護に当る船艇が不足でありますし、また水産庁それ自体でやつておられます漁業監視船ともむろん協力しておりますが、相当大量の漁船が出漁いたしますので、これらが事前に事故を防止する意味におきまして、防衛水域撤廃後といえども今後当分の間は先方の出方を見る必要がありますし、また現実に操業の形式等もなるべく集団的に固まつて行かれる必要もあろうかと思います。むろん領海等からもある程度の距離をはずしてやつてみるというようなことも必要かと思います。ただいまのところ海上保安庁としてとつております方法並びに情勢は以上の通りであります。
○木村国務大臣 ただいまの説明で大体御了承になつたと思いますが、海上の警備については第一次的に海上保安庁がその任務に当るのでありまして、海上保安庁で処置のできない場合においては、むろん保安庁の警備隊が出動することになります。すなわち保安庁法第四条におきましては、人命財産を保護するために特別の必要ある場合には出動するということになつております。従いまして今後海上保安庁においてとうてい処費のできないような事態が発生いたしますと、警備隊においても、憲法、法律の許す範囲内において十分な処置をとりたい、こう考えております。
○佐々木(盛)委員 時間も超過しておりますから簡単に申し上げますが、いかにして漁民を保護するかということについては、すでに向うは発砲し撃沈するということを声明しておりますから、もしそういう発砲撃沈の事態が起つた場合においては、単に海上保安庁はかりでなしに、海上警備隊を出動せしめて、日本人の生命財産を守らなければならぬのではないか、私はこのように考えるわけでありますが、発砲撃沈のような事態が起つた場合には、どういうふうにしてこれを保護するかという点について、明らかにしていただきたいと思います。
○木村国務大臣 その場合には、いわゆる所管の主務者において適当な処置をとらさせたいと考えておりますが、今仮定的な問題についてあらかじめ私からお答えすることは差控えたいと思います。
○上塚委員長 これにて暫時休憩いたし、午後二時より再開することといたします。
    午後一時十七分休憩
     ――――◇―――――
    午後二時二十分開議
○上塚委員長 休憩前に引続き会議を開きます。
 質疑を継続いたします。並木芳雄君。
○並木委員 私先ほど岡崎大臣の報告と、その後の答弁を聞いておつたのですけれども、率直に言つて、この一箇月間にかくも急激な変化を来したという感じを抱いて、唖然としたわけであります。閉会に入つてようやく一箇月でございますが、その間にこういう大きな変化を来した。しかも岡崎さんの顔色を見ていると、ポーカーフェースじやありませんけれども、顔色ひとつかえていない。かえるの顔に水ということがありますけれども、おそらくあのかえるの顔というのは、きようの岡崎さんの顔じやないか。動物にたとえてはなはだ恐縮ではありますけれども、そんな感じがしたのです。岡崎さんは非常に感受性の強い大臣であるにかかわらず、いつこんなに不感症になつてしまつたか、自分の病気を自覚していないのじやないか、そんな感じをほんとうに抱いたのです。自覚症状を持たない患者は、私は恐ろしいと思います。私は率直にその例を一、二あげてみますと、たとえばついこの間まで岡崎大臣は、MSA受諾に伴う軍事的義務としては、安保条約に負うところの義務にとどまるのであつて、すなわち施設の提供あるいは労務の提供、そういうような点だけでよろしい。直接防衛に当るような保安隊の増強、そういうものは必要ない。こういうような答弁をされておつたのでありますけれども、これはどういう関係で、このたびは新しい義務として起つて来たのでありますか。前からそういうことがわかつておつたのかどうか。私たちは品をすつぱくするほど大臣には、この点を前国会において忠告申し上げたつもりであります。その都度大臣は言を左右にしておつたのですけれども、一箇月足らずの間に、これが新しい義務となつて現われた。安保条約にいわれておるところの自衛力漸増の期待は、もはや期待の程度を越えて、新しい義務に進んで来たという原因はどこにあるのですか、まずお尋ねしたいと思います。
○岡崎国務大臣 私の答弁は、これは速記にあるからあとで調べて申し上げてもいいですが、私が軍事的義務と言うのは、要するに五百十一条の第三番目にある言葉であります。これについては、安全保障条約によつて日本がすでに負つておる義務で十分である。こういうことは申しましたが、それ以外に五百十一条の六項目の義務は負うことになるのであつて、これは新しく日本の負う義務であるということは、国会において申しております。別にかわつておりません。これは速記録をごらんになればわかります。
○並木委員 私はそれはおかしいと思うのです。前には、安保条約にいわれておるところの自衛力漸増ということは、これは大臣は期待はやはり期待である、義務ではございませんというふうに答弁をしておつたのです。ところがきようの先ほどの答弁ですと、新しい義務が出て来た。私はそうとつたのですけれども、安保条約にいうところの自衛力漸増はもはや義務になつた、こういうふうに私たちは了解していいのですか。義務になつたのじやないのですか。
○岡崎国務大臣 あなたの御質問は二つの問題を混同していると思います。五百十一条の第三番目、(C)項といいますか、第三項といいますか、そこには軍事的の義務を負担するということがあります。その軍事的義務というのは何であるかといいますと、これは安保条約によつて日本がすでに負つている軍事的義務である。それ以上には出ないのである。そして五百十一条の六項目というのは、いろいろのことを規定しております。これは私は、MSAを受ける以上は、この六項目は受諾すべき条件であるということは申しております。その中には防衛力を序やして行く――もとよりこれは経済上、政治上いろいろの制約はありますが、ふやして行くという義務もあるのである。こういうことは申しております。従つて安全保障条約の前文では期待であるが、今度MSAを受けるとすれば、そういうことが義務になる。義務になるが、その態様等は、これは日本政府がきめるので、いつどれだけやるかということは別にないので、ただ一般的に政治上、経済上さしつかえのない範囲内で防衛力を増強する、こういう義務であります。
○並木委員 それは大臣の答弁も二つのことを混同していると私は思うのです。五百十一条に列記されている六項目の義務というものは、その後交渉によつて生じた新しいものじやないと思います。土屋局長なんか初めからよくわかつておつた。それを今大臣は、あたかも第三項目を除いた他の五つが新たにできたようなふうに答弁せられておりますけれども、それは混同しているのじやないかと思います。それとまた、その義務に伴つて安保条約にいうところの自衛力漸増が、これが期待から義務になつて来たという答弁ですけれども、安保条約の自衛力漸増というものは、このMSAの今の三項を除く他の五項目とどういう関係があるのですか。今の答弁ですと、あたかも安保条約に期待されているところの自衛力漸増が、MSA五百十一条のただいまの他の五項目とたまたま一致するようにも私は聞いたのでありますけれども、その点をはつきりしていただきたいと思います。
○岡崎国務大臣 MSAの五百十一条の六項目というのは、いろいろのことが規定してあります。それは私が申すまでもなく御承知のことと思います。その中には、第四項目のように防衛力をふやすということも書いてあります。私の申すのは、いわゆる軍事的義務という特殊の字が使つてあることにつきましては、日本としてははつきりしなければならぬ。そこで軍事的義務というのを特にはつきりさせる意味で、先方にも質問をいたしております。先方からも返事が来ております。これははつきりして、安保条約によつて負う義務の範囲を出ない、こういうことになつているのであります。
○並木委員 私が聞きたいのは、安保条約の自衛力漸増というもののこの期待は、もはや義務である、こういうことがはつきりして来たと思うのですけれども、それはそういうふうに了解してよろしゆうございますか。
○岡崎国務大臣 MSAを受諾するということがきまりますれば、そういうふうになると思います。
○並木委員 その点は、私はどうしても指摘しておかなければならないと思うのです。大臣は、自衛力の漸増というものは、あくまで期待は期待である、こういうふうに前には言い抜けておられた。それが今日いつの間にか期待が義務にかわつて来たということは、これは大きな変化です。ですから私は、大臣がわれわれに何ゆえにそういう変化が生じたということを説明されないのだろうか、ふしぎに思うのでありますから、どうかひとつ、なぜこの一箇月の間にそういう変化を生じたか、その事情を示してもらいたい。
○岡崎国務大臣 これは先ほどから申しますように、MSAを受けるとすれど、そういうことが義務になるということは、前の国会においてはつきり申しておりますから、速記録をごらんになればわかると思います。要するにMSAを受けない場合においては、安全保障条約の前文の期待ということであり、今度受けるということになれば、これによつて新しい義務があるわけであります。ただ、いつも繰返しますが、その義務なるものは経済的、政治的いろいろな制約によつて、日本政府がどういうふうにきめるかということによるのであつて、内容は別であります。
○並木委員 義務になつて参りますれば、当然それに伴つて防衛計画というものが出て来ると思います。大臣はMSAの受諾と防衛計画とは関係がございません、無関係ですということを従来答弁しております。今の答弁ですと、当然これはMSAの受諾に伴つて自衛力漸増の――防備計画という言葉をきようは大臣は初めて使われましたが、その防備計画というものが必要になつて来ると思うのです。そうでなければ、先ほどの大臣の報告にもありましたように、これからどのくらいの額が来るとか、それからどういう形に持つて行くとか、具体的の計算は出て来ないと思うのです。そこで私は防衛計画というものが当然必要であるということをくどく前から言つておつた関係上、大臣に今日はつきりしていただきたいのですけれども、なお今日でも大臣はMSAと防衛計画、防備計画とは別個のものである、必ずしもこれは出さないでいいのだ、こういうお考えなのかどうか。また一日の午後の外務省記者団との会見で、大臣は必要ならば防備計画を出してもよろしいというふうに答弁をされております。これは新聞の記事であります。しからばその必要ならということは、どういう必要の場合に防備計画を提出されるのか。その辺のところをひとつ詳しく説明していたたきたいと思います。
○岡崎国務大臣 これもまた速記の議論になりますが、私の記憶では、私の申しておるのは、MSA交渉については防備計画なるものは必須の要件ではないと申したと記憶しております。先ほど申したように、それはあればあるに越したことはない、しかしそういうことは日本政府のきめるものであるから、そういうものがない場合にはないような交渉をいたすのであります。そこでこの間新聞会見で申したことは、並木君のおつしやるのとは少し違いまして、日本政府において防備計画等が決定しておれば、これをアメリカ側に示さない理由はない。国民にも示すがよかろう、アメリカ側にも示すがよかろう、こういうことを申したのであります。
○並木委員 それならば木村長官にお尋ねしますけれども、先ほど長官の答弁に防衛計画、保安隊の増員計画をせつかく目下検討中であるという答弁がありましたが、それはMSAとは全然関係がないのですか。私はこの際両大臣の答弁が違うことを感ずるのであります。前にMSAを受けることになりますれば、当然防衛計画も必要になろう、こういうことを木村長官は答弁されておるはずです。そこでお尋ねするのですが、その点いかがですか。
○木村国務大臣 お答えいたします。保安庁といたしましては、MSAに関係なく、防衛計画というものは立てなければならぬと考えております。その見地からわれわれはいろいろな面から検討いたしまして、ただいま防衛計画の研究中であるのであります。そこでMSA援助に基いて、これが今岡崎大臣の申されたことく、アメリカ側に提出の必要あるとするならば、喜んでわれわれは独自の見解に基いた防衛計画を提出したい、こう考えております。
○並木委員 岡崎大臣は防衛計画ができているならば提出する必要があるだろう。木村長官は提出する必要があるならば防衛計画をつくつて出すであろう。この間の答弁がしつくり行つてないと思うのです。実際防衛計画は提出する必要はあるのですか、ないのですか。その点をお尋ねします。
○岡崎国務大臣 私は木村大臣の御答弁と私のと違つておるとは思いません。木村大臣は独自の立場において今研究中である、こうおつしやつておられます。私はそれがもし今後できますれば、これは国民に隠す必要もなければ、国会に出してもいいし、あるいはアメリカ側に出してもいいのだ、何も隠すことはない、こういうことを申しております。それから今も申しましたが、どうしてもこれはなくちやならぬということじやない、向う側でも日本の防衛力の増大の時期とか態様とかいうものは、日本政府がきめるものだということでありますから、これは単なるりくつの議論でありますが、かりにことしは何もないという場合には、そのないという前提のもとにMSAの交渉をいたすよりいたし方がない、あればあるに越したことはありませんが、私の申すのは必須の要件ではない、こういうことを申しております。
○並木委員 防衛計画がなくて、どうして義務となつて来た自衛力の漸増ということを示すことができるか。また防衛計画なくして、どうして向うでMSAの金額なんかを査定することができるでしようか。どういうふうにしてやりますか。
○岡崎国務大臣 つまり日本ではたとえばMSAの五百十一条の四項なり五項なりにあるように、自衛力を増強するということをいたしますけれども、これは時期とか態様とかは日本政府がきめるのだから、今年はそういうことはないのだということになる場合もあり得るのであります。だからなければどうしてもだめだというりくつにはならぬと思います。また実際上これは一つの議論だけですけれども、今の保安隊なり海上警備隊なりの自体としても必要なものはまだ私はあろうかと思つておりますから、現状におきましてもやはり援助は必要じやないか、こういうふうに思つております。
○並木委員 それではお尋ねしますが、将来――来年度以降になるでしようけれども、防衛計画ができ上る、そして増強する、MSAを続いて受ける意思があるのかどうか。受ける場合に本年度よりは来年度、来年度よりは再来年度とだんだんこれを増額してもらう方針であるのかどうか。その点をお尋ねします。
○岡崎国務大臣 これはもちろんそういう計画ができての話でありますけれども、元来安全保障条約の前文におきましても「期待」と書いてありますけれども、期待だから何も知らぬというのではありません。あれはわれわれ日本側も調印しているのであつて、そういう期待にそむかぬように努力をすべき道義的の問題はあるのであります。従いましていろいろのほかの条件が許すならば、防衛力を漸増したいというのは政府の気持であります。ほかの条件が許すか許さないかということが、判定の基準になると考えております。MSAを将来続いて受けるつもりでわれわれは話をいたしておりますから、将来必要があればこれをふやして受けるということも当然あろうかと思つております。
○並木委員 保安隊の増員についても、大臣は前に保安隊は増員しませんと言つているのです。最初に百名かそこら、これが後に千名か二千名ぐらいはというふうにけたを一つふやして、戸叶委員につ込まれたことを御記憶でありましようけれども、とにかく保安隊の増員はしませんと答えた。それを先ほど木村長官の答弁では、増員をやる計画で進めている、また緒方さんなども方々でそういう放送をしております。これは岡崎さんも既定の事実として否定できないと思う。これもこの一箇月の間に急変した一つの大きな項目なのです。ついこの間岡崎大臣は、保安隊の増員は考えておりません、やりませんというふうに答弁したのが、かくも早くかわつたという原因はどこにあるのですか、お尋ねしておかなければならないと思います。
○岡崎国務大臣 どうも少し言葉じりをとらえられた御質問のように思いますが、私はこの前の国会における質問に答える当時においては、木村長官のお話によりましても、防備計画というものなり防衛計画ですか、まだできておらないというふうに聞いておりましたから、従つて保安隊をふやすとかふやさぬとかいうことを私がきめるのではありません。従つてもしそういう計画がない場合ならば、当然私は現状に基いてお答えをするわけであります。そうすると、たとえば予定しております海上警備隊の船で貸与を受けるというようなものが、まだ船が全部来ておりません。従つて来ますれば、それに人がよけいいるでありましよう。そういうことを予想して若干名のふえることはありましようが、ただいま私の聞いているところでは、現在において大きくふえるという計画はまだないということを御説明したのであります。
○並木委員 今日の大臣の答弁は、そういうところをどういうふうに説明されるかということが実は私どものさわりなのであります。さすがにやはり岡崎さんは頭がいいから、のらりくらりとこの前言つたことは私の認識不足でございましたなんということは絶対に言わない。また改進党のおつしやる通りでございますなんということも言わない。私はその点大臣は今日は非常に考えて来ておるだろうと思う。しかし事態は、言葉じりとかなんとかいう問題でなく、一箇月前と今日と比べてみれば、あまりに大きな変化であるということは、たれが見ても常識的に判断できるところです。従つてどうか言葉じりというようなことにとらわれずに、かわつたところははつきりかわつた、何ゆえかわつたんだ、ここはこうだというふうにお答え願いたいのです。そういうのはまだあるのです。たとえば先ほどの報告の中に、義務を受諾するに伴つて、憲法に違反をすることがないように憲法の範囲内で条件を受ける、こういうことを今政府としては考えて話合い中である、そしてこれが今の一つの中心点であるという答弁であつたのです。そうすると、私いろいろ考えてたのですけれども、政府の戦力解釈、これは戦力に至らざるものは憲法に抵触しないのだというし、海外へは出兵しないのだ、これは政府の方針できめることで、しないのだという。その他いわゆる憲法に抵触するような条項というものは、とつさの場合には私には浮かんで来ないのであります。そこでお尋ねしますけれども、MSA援助受諾に伴う憲法違反のおそれのある項目には、どういうようなことがあるのですか、お答え願います。
○岡崎国務大臣 私は前から申しますように、憲法に違反する意思なし、協定をつくる上において、形式的にも実質的にも憲法に違反するようなものはつくりませんと申し上げたのであります。それからまた、憲法に違反するかどうかということは、日本政府が決定する問題であるから、協定の中でアメリカに保証してもらうようなことはおかしいということも申しておるのであります。しかしながら、この前の国会の質問の中には、たくさんそういう点がありまして、はつきり憲法に抵触しないようにしておく必要があるのじやないかという御議論が非常にありました。御議論があるところを見ると、私がそう思つても、国民の代表である国会の多くの人が、それはそうじやない、憲法に抵触しないようなことにはつきりしておく力がいいのだという御議論があれば、自然それが国民の多数の考え方であるとも想像されますから、そこで私自身としては特に必要とも思いませんけれども、入れたつてちつともさしつかえないのでありますから、そういう点で憲法に抵触しないということをはつきりいたした方がいいのじやないかと思つて話をしているのだというのが、先ほどの説明であります。従つて、私自身はそういう必要がないくらいに実は考えておるのでありますから、どこが抵触するということは、私はないのであります。そんなことがあれば、もちろん必要があるのでありますが、特にそういう点は、私としては考えられないのであります。
○並木委員 時間が迫つて参りましたから、項目だけにいたしますけれども、先ほどの報告の中に、いわゆる共産圏への貿易の項目がありました。結局平和を脅威するような国々との間の貿易はこれは行わない、そういうような条項が入るのだと思います。これもこの前私が質問したことがあるのです。そのときにはそのようなことはないと思う、こう、う政府の答弁であつたのですが、これが今日問題として取上げられるようになりましたについては、何か世界情勢の変化、そういうものとの関連があるのかどうか。私が見ましたところでは、このMSAの法律それ自体の中には、こういう項目はなかつたと思うのです。それを特に今度の場合に――今まで締結されたMSA援助協定諸国のうちの国、一、二がそうでありますけれども、その一、二の中に日本が入つて行かなければならないという理由については、どういうふうに説明されますか。
○岡崎国務大臣 これは貿易をしないというのじやありません。貿易に対して統制をする、こういうことでありますが、この協定の中にそういう文句を入れておりますものは、一、二じやありません。もつとたくさんありますが、しかしみんなでないことはもちろん事実であります。そこでこの前私が御説明したのは、日本が実際上そういう統制をやつておるのだから必要ないのじやないか、こういうふうに考えておつたのであります。しかしアメリカ側としてはほかの国ともそういうのをやつておるのが幾つもあるから、これも入れた方がぐあいがいいというような意向のようであります。そこでもし入れるとしても、私は実際上今そういうことをやつておるのでありますから、別に主義上さしつかえないと思いますが、国会の決議の関係もあるから、その決議に反するような協定をつくつたというふうに、もし万一とられては、はなはだ困るからして、その表現等は十分考慮すべきであろう、またどういう形で入れるかという形も十分考慮すべきであろうと思つて、ただいま研究中である、こういうわけであります。
○並木委員 このMSA援助を受ける一つの条件として、政府は経済の安定が先決であるということを非常に強く主張して参りました。ところが先ほどの大臣の報告では、はたして終決の安定が先決になるかどうか、あるいはまた日本の経済に役立つかということに対しては疑問があると思うのです。この二つに対して何か具体的にアメリカの力から保証あるいは言質でもとることができましたかどうか、お尋ねいたします。
○岡崎国務大臣 これも先ほど申し上げましたけれども、繰返しますと、よく誤解される向きがありますけれども、経済の安定が先決であるとか必須であるとかいいますのは、日本の経済の現状を無視したような防衛の計画を立てるべきでないということを強調しておるのであります。それとMSAを受けることによつて、日本の経済にどの程度寄与があるか、こういうことはまた別問題であります。そこで私どもの強調しておりますのは、日本の経済の状況を無視したような防衛計画を立てるのではない、まず経済の安定が初めで、その上に立つての防衛計画である、これを強調しておるのであります。それが今お話のあとの方の、MSA援助を受けたことによつて、日本の経済に直接にどれだけの寄与があるか、これは先ほど申しましたように、ただいま考えられるのは、完成兵器の日本国内における発注及び域外買付というような種類のものであろうと考えております。
○並木委員 いろいろ政府の答弁を聞いておりますと、とにかくかなり無理があるようであります。その無理の一つは、やはり例の憲法九条の解釈論から来ていると思う。そこで私の方の党では、先般、自衛戦力であるならば、憲法改正をしなくてもよろしいということを内定したのでありますけれども、せつかくここまで、政府は改進党の言うことに、一枚々々衣を脱いで、ストリップのようになつて来たのですから、この際ついでに憲法の解釈も、改進党の主張のように変更して行く意思はないかどうか、大臣にお尋ねしたい。
○岡崎国務大臣 私は憲法学者でありませんから、またここに法務大臣もおられますから、はなはだ僣越でありますが、私の考えでは憲法第九条の第一項の点と、第二項には「前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。」と書いてありまして、その戦力というのを、どうも自衛の戦力なら別だというのは、少し解釈に無理があるのではないかと思います。これは私は憲法については、しろうとでありますから、別にオーソリテイをもつてお答えするわけではないのであります。
○並木委員 それでは最後にお尋ねいたしますけれども、私どもの見解からいたしますと、朝に夕べに政府はわれわれの主張に屈服して来た。確かに今までの経過をたどつてみれば、これはいくら岡崎さんが言いのがれをしようとしても、ここに大きな変化、説のかわつたということは認めざるを得ないと思うのです。ついて私は賢明な岡崎大臣の良識に訴えたいのであります。おそらく岡崎さんは従容として自決をする覚悟をしているのではないかと思う。それをせずしてなお今後もがんばつて行くつもりであるかどうか。今度のMSA受諾に際しては、私の方の党の立場というものは非常に重要性を持つて来ておりますので、政府の態度いかんによつては、どういう事態に立ち至らないとも限らないのであります。従つてこの際に、大臣として今までのかわつて来た経過をたどつてみて忸怩たるものがあろうと思いますから、その責任をどういうふうにとるお考えであるか、最後にお聞きして私の質問を終りたいと思います。
○岡崎国務大臣 これはどうも恐ろしいことになりましたが、私はそんなに急にかわつたとはどうも思わないのであります。従つてそれで別に忸怩としているわけじやありません。もちろんいつまでもこの地位にかじりついていたいというわけじやありませんけれども、それだけのお話で処決ですか……(「従容として自決」と呼ぶ者あり)従容として自決するわけには行かぬように思うのです。さよう御了承願いたいと思います。
○上塚委員長 須磨彌吉郎君。
○須磨委員 まず保安庁長官にお尋ねいたします。午前中の御答弁の中に、日米安全保障条約によりまする義務がだんだん発効いたしまして日本から駐留軍が引いた場合にも、日本はあたかもアメリカの空軍及び海軍だけには、たよつていてもよさそうな口調でございましたが、さようなお考えでございましようか。もしさようなお考えだとすれば、いかなる根拠に基くものでありましようか、伺います。
○木村国務大臣 お答えいたします。私は朝の御質問に対し答えたのでありますが、一体独立国家となつた以上は、みずからの手によつてみずからの国を守る、この建前をとるのは当然であります。しかしながらいかんせん、日本の国力はこれを許しません。またこれに対して憲法問題もあるのであります。そういうことに対しては同様わかつた話であります。そこで、それなれば一体日本は無手のままでいいのか、これは行きません。従いまして、われわれはできる限り方法を講じて自衛力の漸増をやりたい、こう考えておるのであります。そこで今の保安隊をどうするかということが早急の問題であるのでありますが、御承知の通り、アメリカの駐留軍の地上部隊はできる限り早くこれを引揚げたい、これはアメリカとしても当然であろう、この気持はよくわかります。またわれわれとしても、できる限り早く引揚げてもらいたい。そのときにその空白をどうするかということが問題である。その空白を埋めるために、われわれはいかなる処置をとればいいかということを考えなくちやならぬ。そこで今御質問の、しからば海と空をどうするか、こういう問題であります。現在アメリカが日本の空と海を守つておる。この態勢はどれくらいのものであるかということは、これは軍の機密である。私もわかつておりません。しかし相当のものであろうということは、疑いの余地はないのであります。それを即時に引揚げて、そのあとを日本でもつてカバーするというようなことは、これはとんでもないことだと私は思う。これこそ日本の国を破綻に陥れるような状態になると思います。そこでわれわれは日本の国力を回復してそれをカバーできるまでの間は、わが国の海と空だけは、アメリカの力によらなくちやならぬということを考えております。ただ地上の部隊だけは、何としても早急に手当をいたしたいと考えておるのであつて、現在の段階においては、アメリカに海も空も一時に引揚げてもうらというようなことは考えておりません。また引揚げてもらつちやいけない、私はこういうことを率直に申し上げたいのであります。
○須磨委員 ただいまの驚くべき御答弁には、私は何とも申しようもないほどでございます。アメリカはアメリカのことを考えております。決して日本のことだけを考えておるのでございません。日本から駐留軍を引くというときには、陸海空軍を一括して考えておるということは、われわれはこれを覚悟してかからなければならぬと思うのでございます。いやしくもさようなことについて、責任を持ちまする長官が今のようにわけて、向う様は海空はおつてくださる、ただ地上軍だけというようなことでおられたのでは、八千六百万人のわれわれはうだつが上りませんが、さような根拠はどこにございますか。条約のどこにも書いてございません。かりに、たとえばマッカーサー、リッジウエイ・ラインのごとき、そういう人たちは言つたかもしれません。あるいはウアンデンバーグという人は言つたかもしれません。けれどもこれはすべて個人的な見解でございます。国家が骨格としてたよるべき根拠は一つもございません。さようなときにさような架空の論を持つてこの保安の任に当るということは、これこそ自決の要があるように思うのでございます。どうぞもう一ぺん御答弁を願います。
○木村国務大臣 私はむしろ、今御質問のことはとんでもないことを考えております。平和条約におきましても明らかに、アメリカは日本の安全即極東の安全、ひいては世界の安全をやろうと言つております。そこでこのアメリカの陸海空軍は何のためにやつておるか。日本の安全即アメリカの安全でもあり、世界の安全でもあるのであります。これに対してアメリカは、極力大きな力を用いてやつておるのであります。われわれはこれに対し、満腔の感謝をするのでありますけれども、このこと自体がまたアメリカのためである。私は率直に言います、日本自体のためだけでもない、アメリカのためでもある。そこでアメリカはやつておる。今須磨君の仰せになつたように何も日本のためばかりではない、アメリカのためでもあるのであります。これでアメリカが東洋の平和と世界の平和を保つて行こうとするのでありますから、今、日本の経済事情を無視して日本がやり得ないからといつて、ただちに引揚げるというようなことは、私は絶対にあり得ないことと考えておる。これこそ私は認識の相違であると思う。そこでわれわれは一日も早く国力を回復して、いずれの国にもたよらずに自主自衛の体制を整えて行きたいことはやまやまであります。しかし須磨君は十分御承知であります。日本の財政において、今そんなことが許されますか。今アメリカが日本で保つておるような海や空を日本で持つということは、遺憾ながら、この方面だけは当分の間アメリカの力にたよるほか道はない、アメリカもまた必ず守るであろうと私は確信して疑わないのであります。そこでさしあたりの問題といたしましては、地上の部隊だけは日本の手によつてこの空白をカバーして行きたい、これが私の構想であります。
○須磨委員 私にもう一つ伺いたいことがありますのは、先ほどから問題になつております日本の防衛の大体の計画というものでありますが、いくらただしても、お答えにならぬ様子でございます。この計画というものは一年とか半年とか、さようなことでは立つはずはございません。ことにわが国の現在の経済状態からいたしますならば、非常な危殆に瀕したと言つてもいいような経済状態でございます。かようなことからいたしましても、経済も入れた総合的な考え方をいたしませんと、これが立ち行かぬのであります。先ほどの外務大臣の御説明の中の、MSAにおいても経済を考えておるということは、これはまことにむべなるかなの感を深くするのでありますが。そういう点からいたしましても、長期にわたります防衛計画というものをお考えにならななければ、これは意味をなさぬのでございます。きわめて私という考えで、私的な御研究を続けておられるというお言葉でございますが、その御研究は三年なり、五年なりという長期にわたる輪郭をお持ちになつているものでございましようか、それを伺いたいのでございます。
○木村国務大臣 仰せの通りであります。一体計画を立てるに、ただ明年だけということでは計画は立ちません。むろんす年次にわたつての計画は立つべきであろう、これは私は須磨君と同感であります。そこでこの年次計画はどういう点に目標を置くかということについて、これはいろいろな問題が生じます。もとより仰せになりました通り、日本の財政というものを無視して計画を立ち得られない、そんな計画を立てたところで実行不可能であります。どうしても日本の財政にマツチした計画を立てなければならぬ。そこで年次計画を立てるにいたしましてもこれは来年度どうする、その次はどうする、その次はどうする、それに相応して国民の所得とかいろいろな面から割出して行かなければならぬ、そこにむずかしい点があるのでありまして、早急にわれわれの計画の立たぬという点も、およそ御推察をくださることであろうと思います。われわれは万般の方面に考慮をたしまして、今どういう年次を目標にしてやるべきかという点について、せつかく検討中であります。
○須磨委員 いま一つ保安庁長官に伺いたいことは、今の保安隊の使用いたしております武器は、これは駐留軍からあるいは借り、あるいはもらつたのかもしれませんが、借りるにいたしましても、私の聞知しておるところによりますと、アメリカの顧問というような人から日本の連隊長――連隊長と申すか何か知りませんが、保安隊のある局部の責任とのきわめて簡単な、プライウエート・コントラクトと申しておるようでありますが、そういうものによつて貸借をしておるようであります。これは国家間の事としてはまことに異例なる事実であります。しかし占領時代から続いた今日でありますから、その異例は私は今指摘をしようと思うのではありませんが、このMSAの交渉が、私は必ずしもでき上るとは思いません。これが不成功に終るかもしれません。その場合においては、かようなる私的契約によつて、非常な事態をどう矯正なさるか。矯正するというお覚悟は今からなければ、決して日本の自主独立の考えは実行できないと思うのでございますが、それに対して御用意がございましようか、お伺いいたしたいと思います。
○木村国務大臣 これはしごくごもつともな御意見であると思います。そこで仰せの通り、ただいま保安隊で使用いたします武器は、これは今仰せになりましたような方法で大体やつておるのであります。しかしこれでは私はお互いに大きな不便があると思いまして、何とか改訂いたしたい。アメリカの方でもこれは考慮いたしております。フリゲートの貸借のような、ああいうアクトをつくつて日本とコントラクトをやろうかというような意見もあるいうでありますが、それらの点についてせつかく今交渉中であります。
 なおこのMSA援助をかりに受けないような場合、将来どうするかというようなことについて、ただいま持つております保安隊員の武器ということは、これは問題ないだろうと思いますが、その将来の手当ということに対しましては、相当われわれは考えなくちやならぬのであります。できる限りMSAの援助が受けられるように私としては希望いたす、こう考えております。しかしそこにいろいろ難点があるだろうと考えます。
○須磨委員 いま一つ保安庁、長官を煩わしたいのでございますが、実は午前の会議におきまして、竹島の問題についていろいろ御説明がございました。故意か故意でないか知りませんが、先ほどの海上保安庁長官の御説明の中には、七月十二日の砲撃事件について何ら言及するところはなかつたのでございますが、これは新聞等にも発表されまして、私ども国民の関心を非常に動かした事件でございます。すなわち海上保安庁の船が参りましたところが、砲撃を受けてそのままくびすを返して逃げて帰つたということが、真相のように私は思うのでございますが、さようであるといたしますならば、これは外務省側の先ほどの条約局長の御説明では、あれは不法入国の問題であると申されましたのでございますが、これも私は驚きにたえたる解釈だと思います。単なる不法入国と称するならば、わが横浜にたくさんの軍艦がやつて来て人が上陸するということを見ることもできません。明らかにこれは領土の問題でございます。さようなことから考えまして、私は二つ、三つの点をはつきりお答えを願いたいのでございます。かような事態が今後もし起つた場合においても、海上保安隊というものはやはり逃げて帰つて来るような御訓令がございますのでありましようかどうか、これが一つでございます。
 いま一つは、北海道においていろいろな危険に瀕した場合においては、駐留軍の出動を求めるということが明らかに新聞にも公表せられ、さような論議があつたのでございますが、もしこの竹島におきましても、今後の問題でございますが、とてもこの海上保安隊では役に立たぬというような場合に至りましたときには、北海道の場合同様の措置をおとりになるおつもりがあるのかどうか、これが第二点でございます。
 第三点にひとつ承りたいことは、アメリカ側の情報によりますと、アメリカの方ではどうもこの竹島ははつきり今日本が争つてこれをとりもどすというような措置にはあまり進まない、こういう情勢がどこかにあるようでございます。これは外務省の関係でございましようから、外務省の係官からでもお答えを願えばよいのでございますが、この三点につきまして、竹島に関しまするわれわれ国民の関心の非常に大きな例として、三つのことをはつきりと簡単にお答えを願いたい。
○木村国務大臣 海上保安庁の船が韓国の軍艦から発砲されて遁走したという、私はまだその事実は知りません。御承知の通り、保安庁と私の方とは横の連絡はありますが、縦の連絡はないのであります。あるいは私のほかにそういう報告を受けている者があるかもしれません。私自体としてはまだ報告を受けておりません。
 そこで朝申し上げました通り、漁船の保護なんかにつきましては、一時的に海上保安庁でこれをやるのであります。海上保安庁でどうしても処置がつかぬ場合におきましては、もとより私の隷下に属する警備隊が出動することになつております。しかし遺憾ながら警備隊の用いる船舶は軍艦ではないのであります。そこで朝鮮の軍艦が出動してやつて来た場合にどうするかという問題は、国際法上非常に難点があるかと思います。それらの点をかたがた考えてみますと、これは木村個人の意見になりますが、日本としても軍艦を持たなくちやならぬのではないかと、こう考えております。(笑声)それらの点は非常に大きな問題であります。
 それから第二の北海道における問題でありますが、これも私はさような報告は受けておりません。またアメリカにたよるというようなことはなかつたのではないかと考えております。これは私は日本が独立国家になつた以上は、日本の手によつてこれは処置すべき問題であろうと考えております。それらの点につきまして、将来の日本の防備のあり方、引続いては保安隊、識備隊のあり方ということについて、大きな問題が残されているのではないかと思います。これをいかに解釈するか、これはともそれ日本国民が真剣に考えなくちやならぬ問題だろう、私はこう考えております。この際このときに、ほんとうに日本の国民が真剣に考えていただきたい。われわれも全力をあげていかに処賛するかということを十分に研究いたしたい、こう考えております。
 また竹島の問題について、アメリカの意見を今仰せになりましたが、これは私は聞いておりません。
○須磨委員 木村保安庁長官はただいまの私の質問に対するお答えによつて、一審先に提起した私の質問にお答えを願つたような次第であります。なるほど軍艦はいるなとおつしやいましたが、これであります。ここがわれわれはアメリカに海空軍はたよるというような気持は捨ててかからなければ、日本の国土は扱えないと思うのであります。それだけつけ加えておきます。
 時間がございませんから、外務大臣にお伺いをいたしたいと思います。外務大臣は先月の十日本会議におきまして、奄美大島の御報告をなさいました当時、奄美犬島以外にダレス国務長官は何ら具体的なものには触れませんでしたという話でございした。これは午前にもさような断片があつたように思い起しますが、しかるにこのダレス国務長官が帰りましてから、今申しましたような日本の防衛に対する努力がないことをアイ・コンプレインド、とちやんといつております。コンプレインドという言葉は何も御説明を申すまでもないことでありまして、八月二十七日ワシントンからのロイター電報によりましても、このことによつて日本の頭をぶんなぐつたんだとうツプド・ジヤパニーズ・ナツクルズということを書いております。これは新聞記者のレトリックだととればそれまででありますが、さらにその次の通信には、アメリカはかようなゲツト・タフ・ポリシー、強硬政策だけを続けることは、アメリカのためにもならないという論文まで出ておる次第であります。そういたしますと、いま一つのことは、先ほど福田委員からの御質問にもありましたが、ノーランド議員が日本に参りましたときのあの言説でございます。これは日本は占領を終えたばかりでございますから、黙つていなければならないかもしれませんが、日本に参りまして、お前たちがやらなければ助けないぞというあの言説は、ちようど埴原大使が昔のグレープ・コンセクエンセズ、重大なる結果という言葉を使つて非常な問題を起した以上の衝動を、われわれ国民に与えたものと申さなければなりません。いかにも日本がこれから防衛に関することをやりますことは、アメリカに押しつけられてやつたごとき感情をわれわれ国民に起させても、これはしかたがないと思う次第でございます。これは大きな目で見ますと、アメリカの外交政策というものは大きく動いて来ておることを、われわ肝は感づかなければならぬと思うものでございます。すなわち、いかに金持ちといえども、アメリカの納税者のさいふは底をはたいたとは申しませんが、ある一つの限界に参つたのではないかとということが一つ、今立つております政府は共和党の政府であるということが二つ、かような意味からいたしまして、どうしても今までのようなあまり放漫な、自由主義的な考え方をもつて外国援助の政策は遂行し得ないという気持が現われておることを、私は感知しなければならぬと思うのでございます。従いまして、ただいま申しましたこの八日にダレス国務長官が総理大臣並びに外務大臣にお話になつたことも、ノーランドが期せずして羽田飛行場で申したことも、これは非常に重要なアメリカの外交政策の新転向ということをわれわれに警告をいたしたものと受取らなければ、外交を担当する者の責務を十分に果すことができないのじやないかと私は思うものでございます。さような意味から申しますならば、私はきようそれを難詰するのではありませんが、十日の本会議において奄美大島の行政権返還以外は何ら触るることはなかつたという御言明は、私は決して完全なものではなかつたと思うのでございます。重大なるわれわれ国民の関心の的だることを省いておられたのではなかろうかと思うことが一つでございますが、それはさておいて問わずとする。かような大きな転換をしておりますアメリカの政策というものを見ますれば、ひとりMSAの問題のみならず、さらにこれからちよつと伺いたいと思います行政協定の問題のみならず、今日本にみなぎらんとしております反米感情を考えますと、われわれは重大なる覚悟をしてかからなければならぬ。言いかえますれば、私は何も政府、与党、野党の区別はないと思いますが、アメリカと離るべからざる関係にありますことは申すまでもありません。さようなときにおいて反米感情がだんだんにつのつて参ることを考えますと、どうしても今申したようなアメリカの外交政策の一つの転換ということを心してこれに対処するような十分な覚悟がなければ、実にわれわれの懸念します日米関係を悪化させるようなことになる。かような懸念からいたしまして、MSAが今でき上らんとするとたんでありますが、私の感じでは、あまりぞうさなくできなさそうな感じもいたしますが、さような点等を合せまして、ただいま申しましたような私の見解に対して、ひとつ外務大臣のお考えになつておりますところを率直に伺いたい。これはひとり私のみならず、国民のひとしく聞きたいと思つておるところだと思うのでございます。
○岡崎国務大臣 いろいろお話がありましたが、アメリカの軍隊をできるだけ早く撤退させたいということ、従つて日本の自己の防衛能力を早くふやしてもらいたいという点は、実は私の見るところでは、安全保障条約を交渉しておりましたその前、平和条約の交渉の当時からアメリカ側としては強い希望であつて、われわれとしては、これはよく承知しておると思います。ダレス国務長官は、その当時は民主党の政権のもとにありましたけれども、御承知のような資格でこれちに来ておられた。そのダレスさんは今は国務長官でありますが、当時と今と考えがかわつておるとは私は思いません。当時からやはりそういう主張をしておられた。またアメリカの納税者はいくら金持ちでありましても、やはりよけいな負担をすることを好まないのは自然であります。日本におきます駐留軍は防衛分担金だけでまかなつておるわけではなく、アメリカ自体の負担もかなり大きいわけでありまして、装備にしましても給与にしましてもそうです。従つて納税者の立場から行けば、早く引いて負担を少くするという希望は、しばしば伝えられ、われわれとしては耳にたこができるくらい聞いておるわけであります。従いまして、新しく急に今始まつたとは私は考えませんけれども、しかし平和条約締結以来、あるいは安全保障条約締結以来、防衛力漸増の期待が、アメリカ側の考えておるテンポよりも、日本の方がおそいじやないかというような気持があるからして、最近においてもまた方々でそういう声も上つておる。これは認めなければならぬと思います。ただ先ほども申しましたように、日本の国内の経済情勢等もありますし、彼此勘案して保安庁長官もいろいろ苦心しておられるところだろうと思います。ノーランド議員のいろいろな発言も、そういうふうくに内でとられるとまことにこれは遺憾なことでありますが、最近はいろいろの人のいろいろの発言、たとえばマツカーシーという人の発言等もイギリスで問題になつておるようでありまして、多少いろいろな議論が横行しておると言えるかもしれません。しかし同時に今のこういう率直な気持も、けしからぬとは言つても、われわれは参考にはよく入れて考慮しなければならぬ問題だと思います。おつしやるように、われわれといたしましては、やはりこういう自衛力の漸増ということは前から考えるべきことであるけれども、経済上その他の情勢まだ熟さずというので十分なことができなかつた、もし国会の議論にしてもそういうふうに向い、国民もそういうふうに行くならば、保安庁長官も今せつかく研究中のことでありますから、前よりもさらに発展し得るものとも考えるのでございます。
 それから国内の反米感情と申しますが、これも私非常に苦心して注意しておりますが、最近のある新聞の輿論調査によりますと、これは一部ではあり申しようが、言われておるほどではないように思います。外国の通信員等もあれを見まして、今までのようにただ大きく声を出す方にばかり気をとられないで、日本全体の国民の気持として、あの輿論調査がもし正確であるならば、アメリカと友好関係を結べというのが非常に大きな数を占めておる、このように黙つておる声を十分に聞かなければならないのじやないかというようなこととを寄り寄り言つておることも聞いておりまして、非常によい傾向だとも思つております。いずれにしましても友好関係をよその田と結ぶのは当然でありますが、今の日本の現状としては、アメリカとの間に特に友好な関係を結んで行きたいと思いますので、この点については、須磨君などにも十分なる御援助を願つて、そちらの方に進みたいと考えております。
○須磨委員 簡単に法務大臣に伺いたいのでありますが、北海道においてソビエトのスパイ事件があつたのでありますが、今の東西両陣営の冷戦と申しますか、冷たい戦いの現状におきましては、北海道のみならず、東京ももちろんでありますが、日本は、津々浦々に至るまで、思想戦と申しますか、心理戦術の戦場になつておるのではなかろうかと想像いたしますが、それに対する対策をちよつと伺いたいと思います。
○犬養国務大臣 ただいま御指摘の通りでございまして、今わが国内に起つております暴力主義的な破壊運動と申しますか、これは国際的規模を背景に持つているものと考えまして、その根拠の上に国内の治安確保の方針を立てている次第でございます。まつたくその見方は須磨君と同じ見方である次第であります。
○須磨委員 私の質問は終ります。
○上塚委員長 改進党の持時間はちようど十分経過いたしております。岡田勢一君になお十分ないし十五分ぐらいの程度でお許しいたしたいと思います。岡田君。
○岡田(勢)委員 簡単にお尋ねいたします。先般第一大邦丸の拿捕事件と漁撈長の射殺事件がありまして、当時政府は韓国政府に対して厳重な抗議を申し込まれたと承つておるのでありますが、この事件は日本の水産界、漁業界だけの問題ではなく、国民全部が悲憤の涙をのんでおる事件であるのでありますが、その後政府の韓国政府に対する賠償あるいは交渉の経過はいかがでありますか、その結果をお伺いしたい。
○岡崎国務大臣 これはこの前申しました通り、抗議を申しますと同時に、損害の補償とか、今後の再発防止とか一連の措置を要求しておりますが、これに対して先方は領海侵犯であるというようなことで、逆に日本でそういうことを今後しないように注意してもらいたいと主張をいたしております。またわれわれの方でそういう事実はないというので詳細にやつておりますが、今のところまだ残念でありますが、文書において双方でやりとりをしておるという段階であります。できるだけ忍耐強くと思いますが、なかなか解決いたしません。しかし当時と違いまして、戦闘行為も終りまして、朝鮮側もだんだん平静になつて来ると思いますから、今後話合いによつてさらに進展する望みもなきにしもあらず、こう思つて忍耐強く交渉を進めております。
○岡田(勢)委員 この大邦丸の事件だけではありませず、中共方面にも、朝鮮動乱が起つてから今日まで数十隻の漁船が拿捕されておりまして、一時は機船底びき網並びにさば漁業等が非常な脅威と不安だけでなく、大きな損害が業者に与えられたのでありますが、その物的損害並びに射殺されました者に対する精神的、物的の慰安措置等け政府はどういうふうになさつておられますか。
○岡崎国務大臣 これは水産庁でいろいろ考えておられるようでありまして、実はこの問題はなかなかむずかしいのであります。たとえば政府が一々補償をするといいましても、これは税金でやらなければなりませんので、それの予算等については緊縮のこの際なかなかむずかしいと思います。一方、そういうような実際の被害がある、これをどうやつて救済するかという問題になつて参りますので、私自身もつい最近も関係の業者の代表にも会つていろいろ意見を交換しております。できるだけこの業者の生活を無理にならないようにしたいと考えておりますが、なかなか思うようにも行かないのであります。しかし水産庁の方と相談して、今後ともできるだけの努力をしたいと思つております。
○岡田(勢)委員 今日国家は、災害等に対しましては災害救助法などがありまして、いろいろの補償救済がなされております。これがもし民間の事業関係でその会社のために犠牲になつたといたしましたならば、当然その身命を犠牲にした者に対して見舞金あるいは遺族の慰安措置がとられるはずであります。国家といたしましては何も法律ばかりをたてにとつてする必要がないのではないか。このような国際紛争のために生命を犠牲にいたしました者に対しては、見舞金の名目であるとかあるいはまた災害に関する補償とは言えぬかもしれませんが、何らかの措置はとれるはずであると私は思うのであります。それくらいのことは政府としておやりになつても大したこともないと思いますが、いかがでありましよう。
 それから次にお伺いしたいのは、先般の新聞にもありましたように、国連軍の防衛ラインが撤去されましたが、そのあと韓国は、李承晩ラインは撤回しない、もし韓国の領海内に不法侵入した者に対しては砲撃し撃沈すると豪語いたして発表しております。国際紛争は非常に複雑であつて、世界の形勢は重大でありますけれども、われわれ日本人としては、身近に朝鮮が十数個師団の厖大な近代的装備の兵力を持ち、あるいは海軍までも持ち、強硬な態度で日本に臨むということを今日真剣に注目しまた注意せねばならぬと思います。もし今日までの状況のごとく、理不尽にも李承晩ラインなるものを固執いたしまして、韓国の国際法上の距離以上の所であつても、侵犯だと称して砲撃あるいは撃沈の事件が起りましたときには、どうされるつもりでありますか。
 それからもう一つは、木村保安庁長官におかれましては、このような事件が頻繁に起りつつあるこの時におきまして、単なるコースト・ガード的の存在である海上保安庁にまかせてお置きになるつもりでありますか。あるいはそれに対して保安庁のお持ちになつておられます海上警備隊を何らかの形で配備をされておりますか、あるいはまた配備をせんとしつつありますか。あるいはまた一朝有事の際がいつ起らないとも限らないと私は思いますが、その場合に備えて、アメリカ極東海軍等にあらかじめ連絡をとられまして、一朝有事の際の国民の生命、財産の保護に備える準備をなさつておられましようかどうか。この三点をお伺いしたい。
○岡崎国務大臣 初めの二点についてお答えいたします。
 第一は、今の以西底びき等の人々の補償の問題でありますが、御意見の方は水産庁等に連絡いたしまして、できるだけ考えてもらうことにいたします。
 それから第二のたとえば李承晩ラインと称するものの中で乱暴なことを先方が働いたらどうするかということにつきましては、われわれといたしましては、国際的な紛争については、少くとも武力に訴えないで平和的手段で解決するというのが、憲法の基本的精神でありますので、あくまでもこういう問題は平和的に解決いたすつもりでおります。
○木村国務大臣 第三点についてお答えいたします。この問題は、朝佐々木君の御質問に対してお答えしたはずでありますが、申すまでもなく警備隊は、海上保安庁その他の手によつてまかなうことのできないような重大な事件が起つた場合に、これに対処するのは当然であります。今後さような事態が起りまして要請がありますれば、すぐ出動いたしたいと考えております。しかしもとよりこれは憲法その他によつて非常な制約があるので、それを無視してやるということはできないのであります。その範囲内においてできるだけの処置はいたしたいと考えております。
○岡田(勢)委員 そのようななまぬるいお答えでは私は満足できないのであります。もちろん外務大臣の言われます通り、われわれは希望といたしまして、できる限り平和的交渉によつて解決いたしたいのは、これはもちろん望むところであります。しかし今長官が言われましたが、そのような事態が起つたときはというようななまぬるい時期ではないと私は思う。現に韓国政府があのような強硬な声明を出しておりますし、先ほどからいろいろ発言がありましたように、韓国の軍艦が来てわが海上保安庁の船を砲撃しておるのであります。また先ほどの御答弁にも、国家の自衛権の問題は憲法九条においても否定するものではない、あるいはサンフランシスコ平和条約の中においても、国連憲章の中においても、正当防衛的自衛権の発動はかまわないというような御答弁があつたように思います。正当防衛とは何でありましようか。わが国民の生命、財産が不当に侵害されましてから後に考えるのでは、私は間に合わないと思う。でありますから、私の先ほどの質問は、こういう急迫せんとしつつある事態に、いつ勃発するかもわからぬ不祥事に対しまして、あらかじめ備えて、海上警備隊を配置でもなさるおつもりはないか、あるいは実際に配置せられておりますかどうかということと、米軍の極東艦隊などにあらかじめ連絡をとつておりますかどうか、あるいはまた責任上から申しますと、私の考えでは、事件が起るまでもなく、保安庁におかれましてはアメリカ海軍などと事前に、こういうふうにもしなつた場合はどういたしますか、どうしてくれますかというような下打合せがあつてこそ、重任を負われた保安庁の長官であると私は思うのであります。でありますので、ただいまの御答弁では満足いたしません。もう一度お答えを願います。
○木村国務大臣 警備隊におきましては、時々各公海に出動いたしまして万遺憾なきを期しておるのであります。朝鮮海域につきましても、最近九州方面において一つの基地を持つために、今せつかくそれについて考慮いたしております。近く決定いたしたいと思つております。そういたしますと、フリゲート艦もその方面に出動が可能となつて来て、多少人心の安定にも寄与することができるかと思つております。しかし不幸にして韓国の軍艦がやつて来た場合にどう処目するかということについては、これはいわゆる日本の憲法の制約があります。いろいろな問題からなかなか容易でないということを、どうぞ十分に頭へお置きくださつて、われわれとともに御研究を願いたい。われわれとしても万遺憾なきように処置いたしたいと考えております。しかしアメリカとの問題でありますが、これはできる限り自分らの手によつてやるべきであつて、一々アメリカへ向つてそういうことで援助を求めることはどうかと考えておるのであります。従いまして今までの程度におきまして、外務省はいざ知らず、保安庁といたしましてはアメリカ軍と連絡をとつておりません。これが実情であります。
○岡田(勢)委員 まだ連絡をとつておられないとおつしやるのでありますが、それは政府の責任において、その見解においてなさることでありますから、何とも私の方からそれに対してしつこく申し上げることはいたしませんが、私としては、今日までの数十隻あるいは数名の貴重な人命、財産の犠牲に対して、国家の防衛と言うと、今の建前上語弊があるかもしれませんが、治安上あるいは防衛上と申しますか、その責任をお持ちになつておられます保安庁当局とされましては、もちろんこれはそこまでの準備がやられてしかるべきであり、木村長官のお人柄から考えまして、非常に御心配されておることと察するのであります。今後においても再三このような不詳事件が起らないように、前もつてその予防手段について相当な御準備をわれわれは希望するわけであります。
 それからもう一つ、今保安隊と称されておりますが、これはもう今の日本といたしましては、あるいはまた外国においても、アメリカにおいてもそう申しております通り、防衛力には違いないのでございまして、この防衛力に対するところの訓練あるいは育成の問題を、木村長官が御心配になつておられぬはずはないと思うのであります。昨年の一月でありましたか、初代の保安庁長官でありました吉田総理が越中島の本部を訪問されました初登庁の際に、君たちは国軍の基礎であるという激励演説をなさつたということを聞いております。剣道の達人でありますし、ことに国語については非常に御造詣の深い長官でありますから――防衛軍と申してさしつかえないと思うのでございますが、これらの保安隊の本数万の者の精神的訓練についてのお考えの基礎がないというはずはないと思うのであります。どうしてこれを警察的行動であるとかなんとかいうことで、国民の代表機関である国会で堂々と発言せられておりますことは、一朝有事の際に国家が犠牲を要求いたします隊員といたしまして、それで精神的の訓練ができて行くかどうか。私は魂の入つていない者が国家の危急存亡の際に出て行つて十分な任務が尽せるはずはないと思う。でありますので、この保安隊なる名称、あるいは軍隊でないという御発表は、その点から申しますれば、そういうことは早く改正せられまして、ほんとうの魂のこもつた防衛隊の教育というものがなされなかつたならば、一朝有事の際には支離滅裂になつて、逃げて帰つて、侵略軍に対して非常に醜態を演ずるという結果が出ることはこれは明らかであると思うのであります。でありますので、ただいまとしてのこの保安隊の精神的訓練の考え方並びに今後――憲法解釈問題はまた別でございますが、憲法を改正せなければならぬならならぬとして、これを軍として、堂々と国家の防衛軍としての建前をはつきりなさるおつもりはないのでありますかどうですか、その点について最後にお伺いしたい。
○木村国務大臣 私はその点について大分岡田君と見解を異にしております。一体保安隊の精神的基盤をどこに求めるかということが一つ問題になるのであります。ただ名称いかんによつて精神が動揺するとは考えておりません。ただいまの保安隊員はよくその任務を自覚しております。われわれこそは日本の平和と秩序を維持する大任を持つているのだ、一体一国に何が一番必要であるか、何よりも先に国内の平和と秩序を維持することが一番必要であるのだ、これなくして経済の発展も文化の興隆も何もないのだ、この大任を自分らで負つておるのだ、この自覚の伴う責任感が現在の保安隊の隊員の精神的基盤であります。このもとにおいて保安隊は育成され、またその任務を十分果しております。近く例をとつてみますと、不幸にして北九州に災害があつた。あのときの保安隊の活動ふりを十分御認識を願いたい。彼らは身を挺して救難に当つておるのであります。身の危険を顧みずにやつております。これは昔の軍隊が一朝有事の際ということと同じことなのであります。平時におきましてもさような災害のときには、みずからの危険を顧みずして、敢然としてその救助に当つておる。これはどういう精神に基くか。やはりわれわれこそは日本の平和と秩序を維持する大任を持つておるという、その自覚のもとに、その責任においてやつておるのであります。決して御心配ありません。名のいかんにかかわらず、日本の保安隊はりつばに育成されて行くと考えております。しかしここで考えさせられることは、先ほど申しました通り、この保安隊の任務、性格がこのままでいいのかということが問題だと思います。できるだけ早い機会においてこの保安隊の性格の一部をつけ加えたい、これを私は考えております。いわゆる本来の任務は国内の平和と秩序を維持するにあるのであるが、一朝外敵の侵入があつた場合においても、これに対処し得るだけの任務と性格を持たせたい、これは私の考え方であります。そういたしますと、今岡田君の仰せになりましたように、不幸にして外国の暴徒が侵入して来た場合には、彼らは堂々とこれに当つて行けるのだということが一つ加わります。これは私も好ましいことだと考えております。その場合において、この保安隊の名称いかんの問題が起るのであります。先刻も申し上げましたように、これは保安隊員みずからの考え方、世間の考え方、いろいろな考え方がありましよう。そのときまでにはわれわれはこの名称をどうかえて行くか、このままでいいかということについてゆつくり検討いたしたい、こう考えております。
○岡田(勢)委員 今の長官の御答弁概して肯定できると思いますが、そのお言葉の中に、災害救助にあたつて功績を現わされたということは、われわれもよく承知いたしております。しかし災害救助に命がけでやつておるから、あの精神訓練はできつつあるのだというお話は、長官の詭弁だと思う。災害救助などということは、事業の工場で働くのと同じで、平和的行動であります。侵略軍に対する、砲煙弾雨の中における身命を賭しての戦闘とは全然根本的に異なるのであります。そういう詭弁をおつしやられては私は納得できない。戦闘におもむいての身命を犠牲とする心構えを私はお伺いしたのであります。
○上塚委員長 次は田中稔男君。
○田中(稔)委員 六月二十四日及び二十六日の日米両国間の交換文書を見ますと、日本側では経済安定が先決条件であるとしている。ところが向う側の回答ではもつと軽く、経済的安定は考慮さるべき必要の条件であるというようなことで、この言葉のニュアンスと申しますか、この違いがずつと尾を引いて、交渉が回を重ねるごとに、その食い違いが大きくなつておるように思います。このことは外務大臣も認められて、きよう冒頭の御報告の中にも、MSA援助というものは、これは狭い意味の軍事援助に限られるものであつて、しいて経済的な効果をいえば、援助兵器の一部が日本の国内で発注されるとか、あるいはまた東南アジア諸国に対するMSA援助に伴つての域外買付が日本に向けられるだろう、こういうふうなことを言われたのであります。私はこういうふうになつてだんだん援助の純軍事的性格がはつきりして来たと思うのであります。たといその一部援助兵器の国内発注とか、東南アジア諸国に対する援助による買付というものがありましても、これはまあ日本において軍需工業を経営しておる資本家を利することはありましても、必ずしもそれが国民の生活を潤すということにはならない、経済の安定ということは必ずしも国民生活の安定ということにはならないと思う。ところがきようの朝日新聞などを見ますと、ダレスは日本の国民の耐乏生活はまだ足りない。ひとつ保安隊をもつと増強せよということを遠慮なく言つておるようであります。こういうふうに伺うの考えとこつちの考えは非常に食い違いがある。私はこの点に関連いたしまして、いよいよ日米相互防衛協定というものができます場合に、その成文の中に日本の経済及び国民生活の安定を先決条件とするというような文句を、ひとつはつきり挿入するために努力される御意思があるかどうか。またそういうことは可能であるかどうか、御所見を承りたいと思います。なおこの際申しておきますが、わが党としてはMSA援助を受けること自体にもちろん反対なのであります。私ども先ごろ日米通商航海条約が国会を通過いたしましたが、あの条約は日本を経済的にアメリカに隷属させるものであり、同時にMSA援助というものは、日本を軍事的にアメリカに隷属させるものだという見解から、根本的に反対しておるのでありますが、しかし政府が、政府の責任において、MSA援助をお受けになつて、そしてこれが日本のためになるとおつしやるならば、ひとつ国民が非常に心配しておりますから、そういう文句をこの協定の成文に挿入するために努力されたい。以上お尋ねしたいと思います。
○岡崎国務大臣 どうも田中君のお話いろいろ御注文がありますから、喜んで御注文を聞いてもよろしゆうございますが、何をやつても結局は反対だとおつしやるのでは、あまり意味がなくなるのでありまして、初めから反対である。たといそういう言葉を入れても反対であるならば、それがどれだけまじめにそういうお話をなさつておるかわかりませんが、ただひとつ申し上げておきたいのは、MSAの援助において日本の国民生活も経済もすべてのものが安定するような手品の種ではないのであります。アメリカとの間には通商航海条約もありますし、またその他ただいまいろいろ話をしているような経済安定策についても話合いが行われたのであつて、いろいろのものが重なりましてだんだん日本の経済の安定に向いたい、従いましてMSAだけやれば何でもかんでもできるような万能薬でないことだけは御承知を願いたいと思います。経済の安定ということは、つまり先ほどから繰返して申しますように、防衛力を漸増することにおいては経済の安定ということを無視してやるのではない。つまり日本の経済を破壊してまで防衛力を漸増するのではないという意味のことでありまして、これは何らかの形ですでにもう書簡としてこちらから行つておりますし、先方からも政府の訓令として返事を得ておりますから、明らかになつておるわけでありますが、また何かの形で今度の協定でもその意向は明らかにしたいと考えております。
○田中(稔)委員 私はその点は少しも明らかになつていないと思います。私どもがMSAの交渉に反対するということと、政府がMSAは日本のためになるといつてその協定の成立に努力されることはまた別問題で、政府がそういう信念でおやりになるならば、ひとつこういうふうな文句を入れていただきたいという注文を私どもがお尋ねすることは矛盾はしないと思います。同様のことになりますけれども、MSAの援助を受けます場合に、援助を受ける資格として六項目があることは御承知の通りでありますが、これを全部見ますと、どれも非常に広汎な何か包括的な規定でありまして、たとえば具体的に申しましても、第四項目にも自国の人力資源、施設及び一般的経済状態が許す限り全面的寄与を行うこと、第五項目には自国の防衛力を増大させるために必要な一切の合理的な措置をとること、こういう全面的とか一切のとかいうような非常に包括的な何でもできるように、また何でもしなければならない、そういう義務なのでありますが、私どもかねて心配しておるのはこの六項目がありますと、これは日本が自由諸国と共同して、やはり外地に出て戦うことも拒否できないという心配がある。また先ほどから戦力問題が問題になつておりましたが、私は現行憲法では戦力を保持できない、自衛のための戦力も保持できないという外務大臣の御解釈は、改進党委員の御見解よりも、私は言葉だけについて言えばよいと思う。ただ問題は政府はそういうことを言いながら、実際は戦力を蓄積しておるところに問題があるのであります。そういう憲法の解釈については、政府の方がよいと思いますが、こういう協定の資格要件というものがこのまま実現いたしますと、こういうふうな点でいろいろな心配が起る。でありますからこれも私はMSAの交渉に反対でありますけれども、政府がどうしてもこの協定をつくるために御努力なさるならば、この際協定の成文の中に、本協定を結んでも日本としては海外に出兵する義務は負わないのだ、また日本の現行憲法においては自衛のためといえども、戦力は保持できないということになつておるから、どういうことがあつても戦力は持たないのだとかいうようなことを、はつきりうたつていただきたいと思うのであります。そういうことは一体できるのでありましようか、あるいはまたそういうことに御努力なさる御意思が外務大臣にありましようか。
○岡崎国務大臣 また繰返すようですが、そういうことをうたえば賛成なんだとおつしやるならこれは筋か通りますが、うたえと言つておいて反対だと言うのはどうも私はわからない。この六項目の中にはどこにも海外に人を出すというような、そういう意味は一つも書いてありません。また私が先ほど申しましたように、今あなたのおつしやつたような海外に人を出さぬとか、あるいは戦力は持たないとかということは、日本政府のきめることでありますから、特に協定の中に入れるような必要は私は認めていないのですが、しかし前々からのお話もありますから、何らかの形で、これはもちろん憲法の認める範囲内でやるのだということを、念を押しておくのも一つの考え方だと思いまして、ただいま研究しております。
○田中(稔)委員 そこまでお考えになつておれば、もう少し具体的に――ただ憲法だけではいかぬ。やはりはつきり戦力は保持しないとか、あるいはまた出兵はしないというような具体的な文句をひとつ御挿入願いたいと思うのであります。実はそうなると、なかなか相手が頭を縦に振らないのじやないかと思うのでありまして、やはりここに問題があると思う。今出兵の心配はないとおつしやるけれども、第四項目なんか、これに基いて出兵を強要される危険は十分あると思う。
 その次に申し上げておきたいのは、今いろいろお聞きしておりますと、自由党においても改進党においても、外敵の直接侵略ということを平然とおつしやるのでありますが、私どもはどうもこういうことをあまり感じないのでありますが、外敵の直接侵略というのは一体どこの国の侵略をさしておるのでありましようか、外務大臣にお伺いいたします。
○岡崎国務大臣 今の御注文でありますが、第一に戦力は持たないということをはつきり入れろ、こういうお話ですが、あなたのおつしやることはすでに矛盾しておるように思うのです。というのは、すぐ前に戦力は持たないと言葉の上では言つておるが、実際は持つておるじやないか、こういう議論をされますと、この協定の中に戦力を持たないのだと言つたところで、何、ないしよで実際上やつておるじやないかという同じ議論が出て来るのでありますから、どうもあなたのおつしやることは矛盾のように思うのであります。書いてありさえすればわれわれもそう信ずるのだ、こうおつしやつていただけばはなはだけつこうであります。
 それからどこの国がとおつしやいますが、これはただいまのところわかりません。しかしわれわれは朝鮮の事態なども一つの参考として深く考慮をすべきものであろう、こう考えております。
○田中(稔)委員 時間がありませんから急ぎますが、マレンコフが最近のソ連の最高会議で長い演説をしておりますが、その中で日本の問題にも相当言及しております。そして日本が現在アメリカの軍事的隷属国というような形になつてしまつている。アメリカのアジアにおける橋頭堡になろうとしておる、こういうふうな表現を用いておりますが、私ども社会党左派としまして、どうも日本がアメリカのために傭兵を提供する、そして国をあげてアメリカの基地化そうとしておるという最近の傾向に対しまして、非常に憂えておるものでありますが、マレンコフのこういう平和政策を、これはゼスチュアである、あるいはごまかしであるという御見解もあろうかと思いますけれども、しかしイギリスにしてもその他西欧諸国にしましても、最近のソ連の平和政策は、やはりまじめに考慮するに値するということはみな言つておるようであります。ことにチャーチルというようなれつきとした保守派の政治家がそういうふうなことを言つておるようでありますが、岡崎外務大臣はいつかの機会に、ソ連や中国との国交の調整には努力するというようなことをおつしやつたようでありますが、そういうお考えをなお今日もお持ちになつておるかどうか。そしてまたそういうお考えをかりにお持ちになつておるとするならば、――こういうMSA援助を受けて、日本がいよいよアメリカの軍事的隷属のもとに置かれるというようなことになりましたならば、国交調整をやろうというお考えがあつてもこれはできないのでありますが、その辺について一体どういうふうにお考えになつておりますか、お伺いしたいと思います。
○岡崎国務大臣 私も新聞報道がありましたので、マレンコフ首相の演説の全文は見てみましたが、これはいろいろの形容詞があつてなかなかわかりにくいのですが、端的に私がこれを解釈しますと、日本はサンフランシスコ条約をやめ、安全保障条約を廃棄して来れば、ソ連は喜んで手を延べて平和をつくる、こういうような趣旨のように思いますので、これではこちらがいくら努力しても無理だろうと思います。それからMSAの援助は何も日本だけ受けておるわけじやありません。援助をやつておるアメリカもソ連とは友好関係にあり、援助を受けておるイギリスやフランスもソ連とは友好関係にあるのであつて、日本が援助を受けたからソ連とうまく行かない、こういうようなことはりくつにならないと私は思います。またアメリカの橋頭堡だとかいろいろな議論はありますが、これはいつも言われることでありまして、別に気にする必要はない、われわれはわれわれの自分の見解を持つておればいいのだと思います。実は最近ポーランドの情勢なんか見ますと、ソ連の軍人であつた人が国防長官になつたり、参謀長になつたり、それでもやはりソ連から見るとポーランドは独立国のようであります。はなはだふしぎな状態だと思うのであります。ですからわれわれ日本などは独立国の独立国の非常なものである、こうも言えるのじやないかと考えております。
○田中(稔)委員 ソ連とアメリカとが友好関係にあるというお言葉は、外務大臣だから外交辞令をお使いになるのはかつてでありますが、私はどうも少し外交辞令に過ぎると思う。ダレスなんかも、国務長官という責任ある地位にありながら、現在の国連を根本的に改革するというようなことを発言している。これはいわゆる新孤立主義というような見解でありましようが、結局世界を一つの国連にまとめ上げようというのでなく、アメリカの側に味方する諸国だけを集めて国連をつくろうというような結論になるような、非常にこれは危険な外交論だと思うのでありますが、今の日本の状態は、やはり結局アメリカのこういう危険な外交論に引きずられておるとしか思えないのであります。私どもは御承知の通りに、かねて自主中立の外交ということを唱えておりまして、日本の将来の国際的地位は、関係諸国の国際的協定によりまして、永世中立国として平和を保つて行きたいと思つておりますが、こういうわが党の見解からいたしますと、こういうようなMSAの援助を受け、そうしてアメリカの一方的な陣営にまつたく軍事的に結びついてしまう、これは非常に私は危険だと思う。外務大臣にこれ以上お尋ねいたしましてもいいかげんな御答弁で、成果は得られないと思いますからこの程度にいたしておきます。
 次に木村保安庁長官にお尋ねしたいのですが、須磨委員からもこれは触れられた問題で非常に重大だと思うのでありますが、私どもはかねてアメリカは、日本から早く駐留軍の引揚げをやりたいという意向であると聞かされておる。駐留軍という以上は、私どもは陸海空三軍すべて引揚げることを希望しておると思つておつたのであります。ところが木村保安庁長官によりますと、アメリカが引揚げるにしても、これは地上部隊のことである、というのは、日本側で今再軍備を――これは再軍備とあえて申しますが、再軍備をどんどん進めて参りましても、財政力の上からも地上部隊において駐留軍と交代し得るくらいであつて、とても海空両軍を引受けることはできぬというふうなお話、それはなるほど今の日本の財政力からいえばそうだろうと思う。ところがそうなりますと、結局どうなるかというとわれわれは豊富な人的資源を地上部隊として提供する。そうして海空両軍はアメリカにまかせる。しかもそれはもちろんばらばらじやないと思いますから、それが一つの統合参謀本部というようなものに統括きれるわけになりますと、私どもが最も憂えているような形、結局日本がほんとうに足軽部隊みたいなものを提供して、アメリカのためにただ奔走するというようなことになるのじやないか。そうして基地の多くはやはり海軍に関係し、空軍に関係するものがほとんど圧倒的であつて、基地が依然として日本からなくならない。そうすると、先ほどお話もあるましたが、反米感情というものがだんだん強くなつて来る。私どもは何もアメリカに対しまして故意に敵対するわけではないのであるから、アメリカとの親善関係は、むしろわが党としてもまた別に考えるところがあるのでありますが、わが党の考えは、ほんとうの対等の立場に立つ日米の友好親善をそういうことのためにかえつて阻害する、こういう心配があるのでありますが、保安庁長官はひとつこの点につきまして、やはり陸海空軍は当分――当分といいましても、私は日本の財政力からすれば、なかなかこれは遠い遠い問題だと思いますが、アメリカがおつて日本はただ地上部隊を提供するというかつこうで、日本の再軍備といいますか、防衛力というものが保持される形になる、こういうふうに御認識になつておるかどうか、さらに御答弁を願いたい。
○上塚委員長 なお田中君に申し上げますが、あなたの時間がもはや二十分を過ぎております。二十三分ほどであります。ほかの方が発言の機会を失われますから注意しておきます。
○木村国務大臣 ただいま仰せになつた通りであります。私はただいまのアメリカ駐留軍のうち、地上部隊だけは引揚げることになるのじやないかと思つております。しかしこれがただちに引揚げられるかどうか、これは疑問でありますが、その場合において、日本といたしましても、地上部隊だけは相当の手当をする必要があると考えております。海空については、これはなかなか容易にわれわれといたしましてはつくることはできません。遺憾ながらアメリカにたよるより方法がないのであります。アメリカにたよるということが日本自体のためであり、またアメリカ自体のためであり、世界平和のためであります。私は常に言うのでありますが、世界が全部軍備を撤廃いたしまして、ほんとうに平和が来ることを私は希望いたしております。それまでの間はやむを得ない処置であると私はみずからそう考えております。
○上塚委員長 次は穗積七郎君。
○穗積委員 はなはだ残念ですが、割当の時間が少いので、簡単に二、三の点についてお尋ねいたしたいと思います。第一は、防衛力増強計画についてであります。第二点は、MSA援助に伴います経済援助の内容についてお尋ねいたしたいと思います。第三点は、MSA援助に伴いますもろもろの関係から生ずる憲法との関係について、最後に犬養法務大臣がどこかにおいでになりましたから、木村長官にお尋ねいたしたいと思います。
 最初に岡崎外務大臣にお尋ねいたしますが、あなただけでなしに政府の関係閣僚は、前の国会におきまして、日本の防衛力増強をしないということをおつしやつたにかかわらず、最近になつて新聞の報道するところによりますと、あるいはまたきようの夕刊におきましても、随所において増強計画があるということをお話になつておりましたが、つらつらながめておりますと、大体八月八日ダレス、吉田さんの会見以来、この問題が逐次出て参りまして、そうして保安庁方面に増強案があるとか、あるいはまた吉田、緒方、小笠原、木村間において防衛計画の検討が始まつたとか、さらに八月二十八日に緒方さんが来年度において増強の計画があるといい、最近は九月一日に、これは外務省の御意見として発表になつておりますが、アメリカ側の見解として、MSAの援助の決定は日本の防衛計画に比例するということを外務省の意見として発表なさつておられます。従つて前の国会においては、防衛力を増強しないといい、今日その計画があるということの変化については、まさにMSA交渉の具体化に伴つて、こちらの予想しない要求がアメリカから出て出て、こういう結果になつたと見なければなりません。先ほど岡崎大臣は、これは必須の義務ではないと言われ、また計画はこちらがするのだということですが、計画は向うがつくり、義務をこちらが負うという意味ではないでしよう。しかしながら事実上MSAを受けるという条件には少くともなつておる。政治的条件であるということは言うまでもないことと思うのですが、そういう変化のいきさつは、こういうところに原因があると見てよろしゆうございましようか、どうですか、その御所見を承りたいと思います。
○岡崎国務大臣 これは午前中穗積君がおられたかどうか覚えておりませんが、並木君の質問やら福田君の御質問に対して、おつしやるような点は十分答えたと思うのです。つまり防衛の計画ですか、防備計画ですか、何かこういうものは必須の要件ではないということを私は申しました。従つてそういうものがなければ、現状に基いて必要なものを援助を受けるような交渉をするほかはない。しかしあれば、あるに越したことはあるまい、こういうことを言つておるのであります。またこの前の国会においては、木村長官もここにおられますが、まだ防備計画はない、試案の程度しかないというお話でありますから、そうすれば、いろいろの御質問に対しては、現状に基いてお答えをする以外に方法がないので、現状に基いたお答えをしておるのであります。そういうわけでありますから、今でもまだ決定したものはないわけで、ただいま研究中だということであります。従つて現在でも私はそんな計画があるということを申しておるわけじやない、さよう御承知願います。
○穗積委員 大体私の質問、すなわちこの一箇月間におきます防衛力増強の意見にかわつて来たことはMSAと関連があるということを否定なさらないで、それをそのまま承認したと私は認めます
 そこで続いてお尋ねいたしますが、前の国会において幾たびかわれわれがお尋ねしたのに対して、政府は幾たびか防衛力増強の計画はないということを明言されたにかかわらず、今日に至つて増強計画があるということをぬけぬけ言つておられるのですが、これははなはだしく政治的責任の信頼を失うもので、背信行為だとわれわれは思うので、その政治的責任について一体どういうふうな責任感を持つておられるかお尋ねいたしたいと思います。
○岡崎国務大臣 私は正直にこの前の国会にも申し上げたのでありますが、主として木村長官の受売りのようなことでありますが、木村長官は、防衛の計画はまだない、研究中であるから、将来できたら喜んで国会にもこれを提示する、こうおつしやつておつたと記憶しております。それに間違いないと思います。何も違つておらぬと考えております。
○穗積委員 私の言うのはそうではない。たといMSAを受けても、装備の改善はやる、それに使うつもりであるが、兵力数は、防衛力数は量的に増強しないということを明言されております。今日先ほどからお話のところは、そのアメリカの言葉をかりれば、兵数を増強することなんです。そういう計画があるわけです。そのことをお尋ねしている。当時防衛計画があつたとかないとか、そのことをわれわれは言つておるのではありません。MSAの援助を受けても、今の保安隊の数量はふやさないということを明言されたその責任でございます。
○岡崎国務大臣 これも先ほどから並木君にお答えした通りであります。要するに私の言うのは、もし人をふやさないとすれば、現状においては装備を改善する以外に援助の受け方はないのであります。人をふやすかふやさないかは、その当時も決定しておりませんが、いまだに決定はいたしておりません。従つてこの前の国会で御質問があれば、その当時まだふやすという計画はないのですから、もしふやすということがなければ、装備の改善ということになるのは、これは自然の勢いであります。
○穗積委員 はなはだ遺憾であります。私の聞いておるのは、計画があつたとかなかつたとかいうことではなしに、ふやさないということを明言せられておる。それを今度も同じくふやさないということの方針におかわりはないのですか。
○岡崎国務大臣 全体お考えになつていただきたいので、私は外務大臣であつて、保安隊をふやすかふやさないか決定をする人間ではないのであります。従つてどういう御質問があつても、私が保安隊の数をふやすとかふやさないとかいうことを申し上げるわけはないのであつて、ただ今はふやす計画がないということは私はよく承知しておりますから、その状況から申し上げておるのであつて、今後のことをその当時言つたわけではないのであります。
○穗積委員 まことにどうも三百代言のような御答弁で、将来ふやさないということをはつきり言われたのであります。あなたはどういう私見で言われたかどうかそんなことは知らぬが、政府の意見を代表され、MSAとの関連において防衛力を増強上ないということを言われました。それはここで繰返しておりましてもしようがありませんが、速記録で見れば明瞭になると思います。まず第一にここではつきりしておきたいことは、この前には、MSAとの関連その他において保安隊の増強計画というものは、日本の自主独立の計画に従うべきものであつて、その場合に保安隊員の数量増強の意思はないということを言われた、その政治的責任はあくまでここに残るということを私は申し上げておきたいと思います。 時間がありませんからこの防衛力計画問題について木村大臣にお尋ねいたしますが、この日本の国を日本の国民が自分で守るのはあたりまえだということを再々言つておられる。そうしてアメリカとの関係においても、一つの計画を持つておられるように先ほど来お話がございました。できるならばこの際率直に良心的にその増強の年次計画を発表していただきたいと思うのですが、おそらくはさつきからの御答弁によると、検討中だというこでお逃げになる危険がありますので、そこで二点だけお尋ねいたします。
 来年度二十九年度の予算編成はもう近づいております。従つてアメリカ側の来年度において十五万見当の増強を希望する意見が強くなつて来ております。それに対して、外務大臣の見解のごとく、アメリカのMSA援助は日本の兵力増強の計画と比例するものだということでありますならば、当然来年度予算を組む場合に、これに対応する計画をしなければならぬ。先ほどある委員の質問に対して、目下検討中であるという御返答でありましたが、もとより予算の問題は所管は大蔵大臣でありましようから、結論としてどれだけの兵数とどれだけの予算をお持ちになる計画であるかということをお尋ねするのでなしに、保安庁としては、来年度予算編成も間近に迫りまして、およそどの程度のものを大蔵省に要求されるのか。その兵力のの正確なものは検討中であるというなら、原則としてふやすかふやさないのか、その点をお尋ねいたしたいと思います。もう一点、時間がありませんから前もつて続けてお尋ねいたしたいと思います。先ほど来日本の国を自分で有るためだ、そしてまず当座は陸上部隊が必要であるということであつた、アメリカ側は三十五万ということをいつておりますが、長官はどういう計画を持つておられるか、もしないなら、アメリカ側の三十五万人の数字をお受取りになつて、これがはたして長官が構想しておられる将来の兵数として適当であるとお思いになりますか、あるいは多過ぎるとお思いになりますか、その二点を承つておきたいと思います。
○木村国務大臣 二十九年度予算において保安隊員の増強を織り込むかどうか、その数いかんという御質問でございます。私は率直に言つて二十九年度予算にはある程度のものは織り込みたいと思つております。しかし日本の財政計画から申しまして非常に難点があろうかと考えております。その間の調節をいかにすべきやということに大きな問題点があると思います。従つて、かりにふやすとして、どれだけの数をふやし得るかということについては明言はできません、目下検討中であります。
 第二点、アメリカ側で三十五万に増員を希望する、私は率直に申しましてアメリカからさような要請は受けておりません。また真実アメリカ側で三十五万人増員を考えておるかどうかも知りません。しかしこの木村は三十五万なんという数字は考えておりません。はつきり申し上げます。
○穗積委員 ついでにそれと関連してお尋ねいたしますが、最近戦争の危険というか、そういうものを感じておりますが、近い将来においてはますますむだな再軍備、あるいはアメリカの武力政策に日本が巻き込まれて行く危険を感ずるでしよう。そうすると、年寄りは別であります、あなた方が第一線に立つて保安隊にお入りになるなら別でありますが、青年層は――二十万なり、あるいは二十五万でもけつこうですが、そういうあなたが期待されるような兵数を志願制度によつて満たすということは、質的におそらく不可能でありましよう。おそらくは質の低下が来る。そういうことをお考えになるでしようから、将来は、軍隊というか保安隊というか、名前は何でもけつこうですが、法律によつて参加することを義務づける制度、すなわち昔の徴兵制度というようなものも当然考えられるべきだと思いますが、その点について、政府としてでなしに長官としての御意見――私案でもけつこうですがお尋ねいたしたい。
○木村国務大臣 一言申し上げておきます。穗積君はただいま日本の青年が全部日本の国を守るという精神がないようなことを仰せになりましたが、私はさように考えておりません。日本の青年はさようなぐうたらな者はないと考えております。むしろ日本の国をみずからの手によつて守るということになれば、敢然として守ろうじやないかという気分の者が多いと私は考えております。その点だけを私申し上げておきます。
 次に、徴兵制度のことに触れられましたが、私は徴兵制度などということは考えておりません。もちろん現段階においては応募制度で行くべきであろうと考えております。
○穗積委員 将来はどうでありますか。
○木村国務大臣 将来のことも私は同様であろうと考えております。しかし国民全体の輿論はどうなりますか、その帰趨によつてこれはかわつて来るのであろうと思います。私自体としては応募制度で行くべきではないかと考えております。
○穗積委員 この問題についてもう一度岡崎外務大臣にお尋ねしておきますが、近い将来外地派兵の問題について、今まで政府は幾たびかアメリカから要請はない、またたといそういうことがあつても、日本自体の意思としてそういうことはやらないとおつしやいました。そういう御意見におかわりはありませんか伺つておきます。
○岡崎国務大臣 全然かわりありません。
○穗積委員 そうでありますならば、われわれ最も心配いたしておりますところは、第一回、六月二十四日の公文書によつて、MSAの交渉に入りましたときに、こちらは自衛の先決条件は経済の安定であるといわれた。向うはそれを否定はしておらぬが、強くいつだのは、個別的または集団的自衛権の強化といつております。集団的自衛権の強化というのは、言うまでもなく政治的に判断すれば、MSAの協定に基いて朝鮮、日本、台湾その他を結ぶ太平洋軍事同盟、共同防衛の義務条約が想定されますが、そうであれば当然外地に派兵しないという意思を持つている以上、こういう防衛機構に対して参加する意思はないと判断してよろしゆうございますね。念のために伺つておきます。
○岡崎国務大臣 そういうような機構ができるかできないか私は承知しておりませんから、それは架空の議論に今のところはなるのであります。集団安全保障と申しますものは、たとえば日米安全保障条約も形は変でありますが、やはり一種の集団安全保障条約であつて、集団安全保障措置というのは、あなたのおつしやるようなそういう軍事同盟だけに限るものではないのであります。
○穗積委員 私のお尋ねするのは架空のことというけれども、あなたは一属吏ではない。政治的な将来の見通しを立てて、国際情勢上日本の方針を決定しなければならない外務大臣である。そういう意味で私はお尋ねするのです。将来そういうことが起きたときにどうするかということを聞いておるのです。MSA協定に続いて、さつき言つたような、たとえば数箇国を含みます太平洋防衛同盟のようなものができたときに、それに参加しないという結論になるので、外地に派兵しないということならば当然そういうことだと了解してよろしゆうございますね。
○岡崎国務大臣 そう了解されてもいいのですが、要するにまだそういう具体案は一つもどこにもないじやありませんか。しからば私の申す通り、今のところは架空の議論であるというよりしかたがない。どこかに具体案があつてそれを推進しているということならば別でありますけれども、そういうことを私は聞いておりません。
○穗積委員 まだ認識がないという御答弁に私は反対しておきます。
 次に第二点について。なおこの問題につきましては後に同僚の帆足委員からもお尋ねがあると思いますので、私は簡潔にいたしますが、MSA交渉につきまして、今までの経過を見ておりますと、こちらの義務規定だけを先にきめておつて、それにかわつて政府は盛んに宣伝いたしました経済的利益という点について、内容をさつぱり明らかにしないのみならず、こちらからも求めていない。従つてたとえば八月十四日の第六次会談におきまして、域外買付、あるいは経済技術援助の問題あるいは第三国からの援助を禁止するかしないか、こういう問題についてこちら側から多少の意見を出したようですが、それに対して新聞の報道するところでは、八月十九日の第七次会談で向うがこれらの問題を正確に条文の中あるいは附属書の中に書くことを拒否いたしております。そうでありますならば、義務規定だけは明確に条約の上で規定されて、あと経済援助をどの程度にやるか、どういう内容のものをやるかということについては、向うは義務を持ちません。言いかえるならば、これは常に政治的に、あるいはアメリカのえてかつてな利益にのみ立つてこれを左右することができる、そして日本の経済を牽制することができるのでありますが、この問題について第六次会談で要求されましたこれらの経済的なこちらの利益を文書の中で確保することに対して、今後の交渉においてこれを確保する御意思があるかどうか、明らかにしていただきたい。
○岡崎国務大臣 域外買付等はMSAに直接関係がないのであります。従つて協定の中にそういうものを書くのは筋違いだと思います。ただ関連してこういう点も十分確かめておく方がよろしいと思つてやつておる。私は協定の中にこういうものを書く意思は、全然持つておりません。
○上塚委員長 社会党左派の持時間はあと六分しかないのですが、まだ二人残つておられますから、簡潔にお願いします。
○穗積委員 議事進行について発言します。先ほどは改進党の諸君は三十分超過しておる。きよう承りますと、岡崎外務大臣は五時からどこどこだということで、公務じやなくてプライヴエートな会合にいらつしやるのだそうです。この九月四日は外務委員会が重要ななMSAの問題についてやるということは前もつてきまつておつたはずである。従つて委員長がさつき改進党の諸君に三十分を延ばされたということについて、岡崎大臣はそういうプライウエートな招待というものは、国のために延期しようという話合いができておると思つておつた。できておらぬならこれからひとつ交渉してやつていただきたいのであります。
 そこで続いてお尋ねいたしますが、もしこういう問題について、中共貿易なり域外買付あるいは技術援助、第三国からの援助について、はなはだしく不利益なる条件、あるいは将来安定継続を確約することができないならば、このMSAの問題についてわれわれが受けるべき理由がなくなつて参ります。従つて域外買付問題なり、あるいは経済技術援助なり、あるいは中共貿易の問題について、はなはだ日本の経済にプラスすることができないようであるならば、当然これは拒否すべきであるとわれわれは思うのでありますが、その点について大臣の御所見を伺つておきたいと思います。
○岡崎国務大臣 今のお話は、もし経済問題に寄与するというならば、社会党左派もMSA協定に賛成するというお話なのでしようか。それならば非常に賛成であります。(笑声)
○穗積委員 われわれの言つているのはそういうことではない。いかに自由党としても、義務だけ負つて国を売るということはけしからぬ。あなた方にはあなた方の立場があり、あなた方の背後にある軍需資本家の要望もあるでしよう。ところがどんな意味におきましても、そういうことであるならば――あなた方の政治的論理のためにわれわれは言つている。われわれが政権を担当しているなら、われわれの論理がある。私はあなた方の政治的の論理の矛盾を指摘している。経済的利益があると一方で宣伝して、一方においては広い意味における軍事的義務を負いながらこれを受けるのだ、それをやることは経済的利益があるのだという論理に立つている。その論理の矛盾を指摘している。われわれが担当しているときのことなら、あなたがこつちに来てお聞きになつたらよろしい。われわれの言つているのは、あなた方が宣伝して来られた国民に対する政治的論理の矛盾を指摘してお伺いしているのであります。政府の政治的な責任の問題であります。
○岡崎国務大臣 日本における完成兵器の注文や域外買付というものは、日本の経済に寄与するところ相当大きなものがあると私は確信いたしております。
○穗積委員 最後に木村長官に伺いたいと思いますが、実は憲法との関係であります。現在日本に駐留いたしておりますアメリカ軍は、その性格、規模において軍隊でございますか、その御解釈を承りたい。
○木村国務大臣 軍隊ということの定義いかんによりますが、穗積君はどういうものをさして軍隊と言われるのか知りません。私まだほんとうの軍隊という定義がわからぬ。(笑声)おそらく穗積君の言われることは、憲法第九条第三項の戦力に該当するのではないかという御質問だろうと思います。(穗積委員「そうです」と呼ぶ)おそらくそうだろう。(笑声)そこで今アメリカの日本に駐留しているものが、日本の憲法第九条第二項の戦力に該当するかどうか、お前はどう思うか、こういう御質問だろうと思います。そこでその内容をよく検討しなければわかりませんが、少くともアメリカの今日本に滞在しているあの空軍、海軍は相当数のものであろうと考えます。それから地上兵力はさほどでないと思いますが、とにかく一つのバランスのとれた総合実力と私は考えております。しかしながらこれがはたして戦力に該当するかどうかということを検討するには、もう少し内容を十分知る必要があろうと思つております。しかし少くとも私は戦力に近いものと考えております。(拍手)
○穗積委員 そうでありますなら、これからMSAにおいて強化しようとしている日本の実力組織、保安隊あるいは警備隊でありますが、それは将来明らかに憲法に言われるところの戦力――駐留軍にかわつて日本の防衛のために外国との戦闘をやるのでございますし、またそれにかわり得るということを想定してつくろうとしている。それを目標としている。それであるなら、そのつくろうとしているものは、その規模、性格において明らかに憲法に違反するところの戦力であると言わざるを得ないと私は思う。そこで一体どこで事実上の限界を引かれるつもりであるか。その点を一点お尋ねしたい。すなわち憲法改正は、先ほどのお話であれば、どうしてもしなければならぬと思うという御意見だつたと思う。そういう趣旨を持つておられるか、それを一点お尋ねしたい。
 それから最後にもう一点だけでありますが、自衛戦争、たとえば保安庁法を改正いたしまして外因の侵略と戦闘するというときに、はたしてそれが自衛戦争でないかどうか。自衛戦争といえども憲法に禁止していると思う。この点が二点。
 第三点は、仮定といたしまして、もし憲法第九条に違反いたしました国際条約が政府によつて結ばれましたときに、政府の法解釈に対しまする責任の位置におります法制局におきましては、憲法が優先するという考え方を持つておるという解釈がわれわれに明確にされました。これは私は正しいと思う。そのことをあなたも確認していただけると思いますが、この三点についてお尋ねをしておきたいと思います。
○木村国務大臣 まず第一点からお答えいたしましよう。日本に今駐留しておるアメリカの軍隊、すなわち陸海空軍全部が引揚げて、これにかわるべきような大規模の編成、装備を日本の軍隊が組織するということになれば、これは憲法改正問題が起るでしよう。しかし私らの今考えておるのは、さような大それたものじやないのであります。先ほど須磨君に対してお答えいたしましたように、現在アメリカが日本に駐屯いたしております空、海の部隊は、日本でこれらに速急にとつてかわるようなものを考えておりません。ただただ今の考え方といたしましては陸上部隊であります。それが全部一どきに引揚げるか、あるいは徐々に引揚げるかわかりませんが、それにかわるべきものだけは日本に持ちたい、こう考えております。しかしてさようなものを持ちましても、決して私は憲法第九条第二項の戦力に該当しないものと確信して疑いません。繰返して申します。アメリカが持つておる陸海空軍を全部引揚げて、それにかわるような大きな編成、装備を持つた軍隊を日本でつくろうということになれば、あるいは憲法改正問題が起ろうかと考えております。
 第二点は何でしたか。
○穗積委員 外国の軍隊と戦争することは自衛戦争ではないか。
○木村国務大臣 これは自衛戦争の解釈いかんによりますが、外国から不意に侵入を受けてこれを防衛するということは自衛力の発動でありますから、これは憲法上さしつかえないものと考えております。
 憲法と条約の問題に、率直に申し上げまして、私はまだ検討いたしておりません。これはどうか法制局長官からお聞きください。
○上塚委員長 帆足計君。
○帆足委員 他の同僚議員の時間の都合もありますから、ごく簡単に御質問いたします。
 先ほど同僚穗積委員のまじめな質問に対しまして保安庁長官からお答えがありましたが、そのときに、日本の青年について大いに御激励のお言葉がありました。おおむね子は父よりさとしでありまして、青年たちは保守政党の指導者諸君より多少聰明であろうと考えておりますから、別な意味において将来のことはさほど心配ないと存じておりますので、まことに御同慶の至りに存じます。
 MSAの問題は国家の安全保障に関係する至大な問題でございますが、今日は御承知のごとく水爆の時代、原爆の時代でございまして、もし国の安全保障ということをまじめに論じようといたしますならば、国の立地条件、原爆、水爆の水準、それからレーダー、ロケット砲、超音航空機等の状況についてくまなく検討した上でなければ、軽軽しく私は口にすべき問題でないと存じます。ただいままでの保守政党の皆様の御意見を聞いておりますと、あたかも床の間の五月人形をどの程度置いたらよかろうかと、じい様ばあ様たちが御議論されておるような風景でございまして、まことにゆかしいと申しますか、淳風美俗と申しますか、牧歌的風景でたいへんけつこうなことであろうと存じますが、私どもは今日の時代を原爆と水爆の時代と考えており、レーダー、ロケツト砲、超音航空機の時代と考えておりますから、この問題についてはもつと深刻にしてそうして誠実に、かつ豊富な資料に基くところの論議が必要であると考えておる。従いまして今日は時間もございませんのでこの問題を次会に譲り、もしそのお許しがありますならば、原爆、水爆の今日の性能と、数年後の見通しについて公聴会を開いてわれわれも認識を新たにし、国民諸君にも事態を知らせ、もう少し超党派的に虚心坦懐に、この問題をより広義の観点から論議してみる必要があるのではないかと思つております。先ほど外務大臣のお話がございまして、経済的な利益の問題と連関いたしまして、MSAの協定にわれわれが賛成するかわりに、対鉄のカーテン圏の貿易に対しては、必要ある場合には貿易制限の措置もせねばならぬという項目が入らねばならぬようであるけれども、表現次第では先般の中共貿易再開についての国会の決議とも矛盾するようなことのないように、厳にこれを戦略物資等に限定すべく、適当な措置、表現等について検討中であるというお話を承りました。そこでお尋ねいたしたいのですが、先日ロンドン・タイムズを見ますと、朝鮮戦争の終結はもう世界の輿論の期待するところであつて、七月二十八日のロンドン・タイムズに次のような社説が載つております。朝鮮戦争が続き、米軍とドルが非常な負担を引受けていた間は、自由世界のアジアにおける政策は、ワシントンの言いなりほうだいに支配されて来た、しかし国務省の活動家たちは、八月十七日から始まる国連総会はこのような状況の終結を意味することを知る必要がある、朝鮮戦争に圧倒的力を投じたという理由で、合衆国が自由世界の極東政策を支配し、決定することを期待することは、もはやできないであろう。英国の保守党の機関誌と言われるロンドン・タイムズがこのような発言をしておることは、世界の諸勢力の発言にそれぞれ独自の方向が始まつたことを意味するのでありまして、私たちはこれらの点も深く考慮せねばならぬ問題であると思います。今ヨーロツパ諸国は東西貿易の再開ということを大きな課題といたしておりまして、世界の経済の行き結まりは、今日、より広大な市場を見出さなければ、もはや恐慌で参つてしまうというような矛盾をも控えておるのでございます。日本の貿易は、とにかく世界の水準が一三四、五にもなつておりますときに、ようやく戦前の三〇というさんたんたる状況でございますから、先日のように満場一致、中共とも平和的な非戦略的な物資は、せめて西ヨーロッパ並に貿易したいという決議が行われたのでありますが、政府はこの趣旨に即しましてどのような交渉をなされたのか、またどのような準備を今なされつあるのか、まずこの点を外務大臣から承りたいと存じます。
○岡崎国務大臣 これはパリでもいろいろ相談しております。できるだけ各国と足並をそろえた形においてやりたい、こう思つております。
○帆足委員 ただいまのお答えではまことに抽象的でおぼつかないのでありますが、先日ノーランドという議員が参りましていろいろ話をいたしましたことにつきましては、これは新聞でも、台湾選出上院議員とかチャイナ・ロビーの人方であるとか申しておりまして、先ほども同僚議員からまことに適切なる評価がありましたから、ここで論議するほどのこともありませんけれども、ダレス国務長官が先日参りましたときに、今日の事態において中共貿易をバトル法の範囲であるならば必ずしもとがめないという意味の発言をし、さらに新聞記者団との会見におきましてダレス長官は、日本と共産中国貿易は本来日本の仕事である、今日戦略物資輸出禁止の措置をしておる連合国の中で、日本の状況はアメリカに次ぐほど厳重な状況になつておることは事実である、しかし日本は今後中国本土との貿易を拡大し得るが、まずバトル法の範囲でしてもらいたい、この程度の答弁をしておるようでございます。それであるならば、もうぼつぼつ院議の趣旨に従いまして、西ヨーロツパ並に貿易制限を緩和するということを具体的な行政措置として実行していただきたいのでありますが、ただいまの外務大臣のお話のように抽象的にせつかく努力中であるというのでは、まことに物足らぬことであると思います。また新聞等の伝えるところによりますと、西ヨーロッパ並といいましても、いわゆる西ヨーロツパ大陸並ではなくして、英国並になるおそれがあるといわれておりますが、事情が秘密にされておりますので私ども存じませんけれども、聞くところによりますと、英国はフランスその他の西ヨーロツパ諸国よりも厳重な措置を受けておるそうでございます。御承知のように英国は広大な市場を持つておりまして、鉄鋼製品等におきましても相当市場がございますから、物によつては西ヨーロツパよりも厳重な制限をされましても困らぬ国でありますが、日本は西ヨーロツパ諸国並またはそれ以上に植民地もなく、人口多く資源乏しい国でありますから、むしろ西ヨーロツパ並というよりも、西ヨーロツパより多少緩和してきめてもらうくらいでなければ、八千六百万の人口に経済的希望はないのでありまして、ダレス国務長官は日本の人口八千六百万を八百六十万と間違えておるのではあるまいかと存ぜられる節もありますので、この点適当の機会に外務大臣から一応お確かめを願いたい。と申しますのは、ただいま西ヨーロツパ諸国でアメリカの援助を受けております国はおおむね人口四、五百万から五、六百万の国々でありまして、例外は英国とフランスが四、五千万でございますけれども、この二つの国は厖大なる植民地を持つておる国々でございます。それらのことを考慮いたしますと、アメリカと密接な共同関係にあるところの西ヨーロツパ評国並を日本に許すどころか、それよりも多少は日本を緩和することの方が論理の筋道が整い、国内の生活の向上安定のためにも望ましいことでありますので、どうか外務大臣は、この問題はわれわれ社会党の者がイデオロギーに即して言つておるというふうに曲解されずに、日体経済のほんとうの実情を知つておる者であるならば、真に憂慮すべき政策の一環である、しかるがゆえにこそこれは超党派的に本会議を通つたのでございますし、そういう意気込みをもちまして、次回はとにかく慎重な交渉をひとつしていただきたいと思うのでございますが、具体的にしからばこの問題について一体どういうふうな準備をされて、今どういうふうに折衝が進んでおるかということをお尋ねしたいわけで、どうかこの問題について明確な御答弁をお願いしたいと存じます。
○岡崎国務大臣 パリ等で話をしておりますことは、お互いに発表する以外のことは申さない約束になつております。現在でもそうであります。われわれはできるだけ足並をそろえるために、日本のためのみならず、列国間相互のために努力をいたしております。また具体的ないろいろの品目等については、これは通産省の関係でありまして、通産省とよく連絡をしていたすつもりであります。
○帆足委員 外務大臣のただいまの御答弁は、この重要な問題に対する御準備が不十分で、私はまことに遺憾に存じますけれども、これ以上追究いたしましてもせんないことでありますから、どうか各党派の意のあるところを解せられまして、まだ機会も残されて、今からでもおそくないわけでありますから、次回にどうかしつかりした資料をもつて交渉のほどをお願いいたします。同時に次会にはぜひとも通産大臣、通商局長にもおいで願いまして、具体的な説明を当外務委員会としても承りたいと存じますが、これが超党派的に衆参両院を通過したということには、やはり深い理由があるわけでございますから、どうかその点をおくみとり願いまして、ただいまのような抽象的な御答弁でなくして、数字に基き、品目に基いて、もう少し真剣にこの問題を御考慮願いたいと思います。同時に今英国並にされそうになつておる状況がございますから、そういうことでなくて、いわゆる西ヨーロツパ並にしていただきたいのでございます。
 さらにもう一つ心配されておりますのは、別に極東リストというのができそうだという風聞もございまして、そうなるとカナダ、ニユージーランド、濠州並になるわけでございますが、カナダ、ニユージーランド、濠州にとつて中国に当るのがアメリカ大陸でございます。これらの国は原料国であり、食糧国でありますから、日本とカナダ、濠州が同一に取扱われることは非常に事情が違うから、これは間違つておることでございます。どちらかと申せば西ヨーロツパ並に取扱うべき立地条件にあり、西ヨーロツパより多少緩和するということが、保守政党の立場からいいましても、私は至当な論理であると存じますので、あえて申し上げた次第でございまして、次会にお尋ねいたしますが、外務大臣は院議を尊重して強硬に交渉をなさるお考えがあるか、また条項をお入れになるならば、戦略物資に限られて、広い意味にこれが適用されて、日本と大陸との貿易が不当に阻害されないようにするための御努カなり御準備をなさるおつもりがあるか、この点だけひとつ明確なる御答弁を願いまして、質問を終りたいと思います
○岡崎国務大臣 法律的に言えば、国連の決議はまだ取消されても何もしておりませんから、われわれとしては特にこの際態度を改める理由はないと思いますが、休戦もできましたし、将来のことも考えられますから、今からいろいろ研究して適当な措置を講じたいと、こう思つておるわけであります。
○上塚委員長 次は淡谷悠藏君。
○淡谷委員 岡崎外務大臣にお尋ね申しますが、さつきMSA援助を受けた場合には、平和を脅威する国に対する兵器その他の輸出の制限を行うというふうに私は承りましたが、同時にこれがまた共産主義国あるいは共産主義の圏内の国というふうに御規定なつたようでございます。この場合の平和を脅威するという国は、共産主義すなわち平和を脅威すると解すべきか、共産主義国あるいはその圏内の国家で、平和を脅威する国と解さるる特定なものであるか、これをひとつ明確に御答弁願いたいと思います。
○岡崎国務大臣 これは別に共産主義国とはきまつておりません。
○淡谷委員 そういたしますと、共産主義国でも平和を脅威するおそれのない国々とは、通商貿易その他について制限を受けないというふうに確認してよろしゆうございますか。
○岡崎国務大臣 要するに平和を脅威する国に対しては通商を制限する、こういうことであります。
○淡谷委員 繰返しのしりとり質問みたようになりますが、ではもつと具体的に申し上げまして、現在共産主義国あるいは共産主義国でなとても、日本が平和を脅威すると考えておられる国の具体的な例がございましようか、お伺いいたしたいと思います。
○岡崎国務大臣 たとえば中共は国連の決議によりまして侵略者となつております。
○淡谷委員 私の申し上げますのは、実は具体的な事例に基くのでございます。北海道の日高門別の演習地拡張につきまして、この間行つて参りましたが、この演習地拡張の想定というものは、軍艦あるいは艦船二十数隻をもつて小難港に艦砲射撃を加え、同時に離島の大島を艦砲射撃で爆砕して、津軽海峡を通つて日高門別に敵前上陸する五千のアメリカ兵、そこで上陸の演習をするという想定に基く演習地拡張だということを、日高門別町長から聞かされて参つたのでありますが、こういうふうなアメリカの想定演習と、こういうMSA援助を受けた場合の平和を脅威する国との間に、何らかの関連がありますかどうか、お伺いしたいのであります。
○岡崎国務大臣 これは別に関連はないと思いますが、ただいまの演習のことは私は承知しております。
○淡谷委員 もう一点外務大臣にお尋ねいたしますが、先ほど木村長官並びにその他の方々のお話によりまして、アメリカの地上駐留軍が次第に撤退するような方向にあることを伺つておりますが、これが撤退しましたときに、現在使つております演習地その他の基地は縮減されるつもりでございますか、あるいは拡張されるつもりでございますか、この一点をお伺いしたいのでございます。
○岡崎国務大臣 これは私よりも保安庁長官だと思いますが、保安庁で必要がなければ、そういう場合には縮減されるのじやないかと思います。
○淡谷委員 岡崎外相並びに木村長官にそこでお尋ねしたいのでございますが、日高門別の演習の実態を見て参りましたが、海岸に並んでおります戦軍、これは目下接収になつた演習地でありますが、この戦車に乗つて、吹流しをつけた飛行機に大砲を撃つているのは保安隊であります。これの指揮をしておりますのがアメリカの軍曹級の人だそうでございます。この保安隊と米軍とがアメリカの演習地の中で共同の演習をしているというのは、これは長官はつきりおわかりになつておるのでございましようか、あるいはまた岡崎外務大臣がこういう事実はお認めになつて使わしておられるのかどうか、この点を明確にしておきたいと思います。
○岡崎国務大臣 私の関係するところだけを申し上げますと、合同委員会におきまして保安隊も演習地を必要とする。駐留軍も演習地を必要とする。しかし日本の国土は狭いのであるから、でき得る限りこれは共同に使おうということにいたしております。
○淡谷委員 その御答弁は伊関国際協力局長からも伺つておりますが、その場合に米軍あるいは保安隊との間にお話のあることは、これはけつこうでございますが、補償その他の条件の問題については所管官庁が違うはずでございます。これを地元との間にはつきり了承させて、条件あるいは補償のことなどもおとりきめになつて保安隊に使わしておられるか、この点を明確にお伺いしたい。
○岡崎国務大臣 今の御質問ははつきりどうもわからないのですが、私の了解するところでは、アメリカの駐留軍が演習する場合に必要な補償は、これはアメリカ側と合同委員会等で協定してきめる、おそらく保安隊が使う場合に、何か補償の必要があればこれは保安隊で考えることと了解しております。
○淡谷委員 実例を申し上げますと、保安隊が使うのはアメリカに便乗して使つておるのがたいへん多いのでございます。たとえば先日青森県の関根で、地元が拒否したにもかかわらず、アメリカ軍との間に了解を得たと称して保安隊が入り込んで演習をいたしました。御承知の通りアメリカ軍の残した不発弾に触れまして二名死んでおる。この保安隊員の死なれたことは長官おわかりがないとは申せない。あるいは重傷を負つた者が四名、軽傷者が六名おります。それから日高門別のごときはそのために地元がたいへんあわてまして、アメリカ軍が使つておる間は補償をもらえるけれども、もし保安隊が使つたらだれが補償をするのかさつぱり交渉がございません。そのためにアメリカのこの演習地の司令官にサインを求めまして、二度も三度も懇願しまして、この演習はアメリカ軍がやるのだという保証を地元民がみずから求めて、この演習をさしておるのですが、これに対して漫然と入り込むというのはどういうことでございますか、木村長官に御答弁を願いたいと思います。
○木村国務大臣 これはよく御了承を願いたいのでありまして、保安隊はアメリカの方の高射砲隊ですか、これらの技術を学ぶことにおいてやつておるのであります。それを日本側が演習地として利用しておるわけではないのであります。ただ一時アメリカの技術を習得するためにやつておることであります。今仰せになりました万一そういう場合において地元の人たちに損害をかけたような場合においては、これは私は別途に考慮したい、こう考えております。
○淡谷委員 さつきどなたかから、竹島に韓国の軍艦が来て危害を加えた場合にどうするかという御質問がありましたが、これに対して長官は、フリゲート艦その他をもつてあの近海は警戒しておるから地元民がたいへん安心していると言われた。但し韓国の軍艦が大砲を撃つたときにはどうするのかということについては言葉を濁したようでございますが、そういう場合に韓国の軍艦が大砲を撃つたらどうするか、現在の警備隊はどのような行動をするのか、さつきはどうもごまかされたようでありますから、はつきりもう一度確かめておきます。
○木村国務大臣 ごまかしたと言われてもしかたがありません。これは事実なのです。国際法上そういうことはどうなるか。昔の国際法上の関係と今と非常に違つて来ている。ことに日本では、御承知の通り憲法第九条第二項において交戦権を否認しておるのです。これは御承知の通り交戦そのものを否認する意味におきまして、交戦国として国際法上有するところの権利を主張しないというところにある。そこで非常に難点が出て来るのであります。これは昔の国際法にはなかつたことなのであります。そういう場合に、はたして日本が自衛権の発動としてどう処理してよいのかということについては、十分検討の余地があろうと思います。率直に申し上げます。そこで私は、よほどこの憲法の問題についても考慮しなければならぬということが、具体的にできて来るのではないかと考えております。あの憲法をつくる際に、おそらくそんなことはだれも考えていなかつたことだろうと思います。私は将来この問題についてどうするかというようなことは、真剣に考慮する必要があるのではないかと思います。
 それから今の竹島の問題についても、向うの軍艦が出て来てやつた場合にどうするか。これはいろいろ考え方があるので、日本でそれに対して交渉を開始する。そうして日本の主張を十分に認めさせるように努力する。しかしそれがために向うが不法に発砲して日本の漁船を撃沈した場合にどうするか、自衛権の発動をどういうふうに行使して行くかということになると、これはなかなかやつかいな問題が生ずる。これは私は率直に申しまして、今具体的にどうして参るかということは、ごまかしじやなくほんとうの気持で考慮いたしたいと考えております。
○淡谷委員 ただいまの御答弁をもつとつ込んで聞きたいのでありますが、時間が切迫しておりますので、私のかんじんな問題に触れがたいと思いますからあまり追究はいたしませんが、そういたしますと、フリゲート艦を持ち、保安隊を持つておるのだけれども、外国の侵犯を受けたときには、国際法上どう処置してよいかわからないから、これはゆつくり研究中である。こう考えてよろしゆうございましようか。私はそれでこれは切り上げておきますが、ただいまの答弁ではどうもわからないのであります。
 私の聞きたいのは、こういうふうにアメリカ軍の演習地の中に保安隊が入り込んで演習しているという現状は、やがてアメリカ軍が撤退したあとは保安隊がこれを使うという構想がおありのように思いますが、これはどうか。これが点。
 もう一つは、その場合に地元民との大約が非常にあいまいなので、地元民に多大の迷惑を及ぼし、補償もされず、ひどいのはあなたの部下である保安隊員がこのために死んでいるこういう現実がある。さらに私は岡崎外務大臣に一言申し上げておきたいのでありますが、日本国中でたつた一つのケースである内灘の強制使用、これは国有地であるから閣議決定だけで使えるということを申しておりますが、そのために漁業権、地役権、その他個人の大事な私権が蹂躪されております。しかもこの強制使用後、三月になんなんとするのに、委員会で質問するたびに、よろしくはからうと言つておきながら、全然手がついていない。漁民は生活に困つている。出漁したものは片つぱしから刑事特別法でこれを逮捕する。一体このような不親切な演習基地り使い方がありますか。強制使用は切めてのケースでございますから、少くとも三箇月の間には、いくら深甚な考慮を払われましても、研究中でも、もう処置をつけてもよろしい。現実に漁民の生活は困つております。こういう点などを、時間がございますと私はゆつくり御質問申し上げたいのでありますけれども、時間がございませんから質問の要綱だけを申し上げて、ただ御答弁を聞いておくにとどめます。
○木村国務大臣 第一の点についてお答えいたしますが、駐留軍が引揚げた後において、その演習地域その他をどうするかという御質問でございます。てれにつきましては、あとで保安部隊が必要な場合においては、それは引続き使いたいと考えております。しかし必要でない部分は、これは返したい。しかしそれは今どう分布的に考えていいかということになりますと、はたして駐留軍がどれだけ引揚げるかまだわかつておりません。そういう点については何も考えておりません。具体的にそういう問題が起りましたら十分に考慮して、不必要なものは元の所有者にお返しをいたしたい、こう考えております。
○岡崎国務大臣 内灘の問題につきましては、私などもしろうとだもんですから、漁業につきましても耕作についても、補償はさつさとしたらいいと思つておつたわけですが、いろいろ聞いてみますと、なかなか漁業なんかでも一年間にどれだけの損失があるかというような計算は時間がかかるもののようで、はなはだまどろつこしいのでありますが、できるだけ督励をいたしまして、早く補償等をいたすように今考えてやつております。
○上塚委員長 次は戸叶里子君。
○戸叶委員 まず岡崎大臣にお伺いしたいと思いますが、MSAの援助の受入れ過程において、アメリカの案と日本の案とが食い違いました場合に、日本にいる米国の交渉委員が日本の案を受諾した場合にこれをアメリカに問い合せましても、アメリカの国会はとじております。そうするとそういうふうな日本の希望条項が入れられたものに対して、一体アメリカのどこで審議をされるかということでごいます。もしそういうことがないとすると、結局アメリカ側から押しつけられるというふうなことになりはしないかと思いますが、その点はどうでありますか。
○岡崎国務大臣 アメリカの方はもう大統領が権限を得ておりますから、行政府限りでできるのであります。日本の方は国会の承認を受ける、こういうことであります。
○戸叶委員 アメリカの場合は行政府だけでできるというお話でございました。私がこのことを質問いたしました理由は、九回かの交渉過程を見ておりまして、問題になつている点は四点かそこいらだと思います。ところがその問題で日本側が要求いたしましてもなかなか日本の言う通りにならないで、交渉がひつかかつているように思われるのでございます。そこで一体日本とアメリカとの交渉過程において、アメリカ側の意見を日本側の要求によつて直したというような点があるならば、それを具体的に御指示願いたいと思います。
○岡崎国務大臣 それはただいまのところまだ交渉の過程でありますから、はつきり申し上げる段階に来ておりませんが、これは交渉でありますから、日本の意見が通る場合もあり、アメリカの意見が通る場合もある。例はたくさんございます。いずれにいたしましても……。
○戸叶委員 そうすると、ただいまの御答弁ですと、アメリカから出された茶に対して日本側が違つた案を出しても、それが通つた例があるというふうに了承していいわけですか。
○岡崎国務大臣 その通りです。
○戸叶委員 その具体的な例をお示し願いたいと思います。
○岡崎国務大臣 いずれもう少し固まりましたら申し上げます。
○戸叶委員 固まりましてからというのはどういうわけですか。今発表されない理由を承りたいと思います。
○岡崎国務大臣 今発表できるものはみなその都度新聞等に出して発表しております。それ以外のものはまだ決定までに至らないものでありますから、アメリカの意見を日本の方に取入れたものでも、日本の意見をアメリカの方に取入れたものでも、これは原則的にはよかろということになつておりましても、まだ最終的になつてはおりませんから、もう少しお待ちにならないと、お互いに話合いの途中でありますから差控えたいと思います。
○戸叶委員 私が了承いたしました範囲では、今まで決定いたしましたものは、大体向うとこちらとの話合いがついたのであつて、日本側の主張が通つたというふうには考えられないように思いますけれども、くどいようですが、この点をもう一度伺いたいと思います。
○岡崎国務大臣 その点は決して御心配ありません。日本の主張の通つたのもたくさんございます。
○戸叶委員 御心配はないとおつしやいますけれども、岡崎大臣を信用できない面もたくさんございますので、どうもこの点には信用できませんが、今ここでその問題だけにかかわつておられませんので、次に進みたいと思います。
 このことは先程並木委員からも御発言があつたと思いますが、五百十一条の(a)項の六項目がMSAの協定の中に入れられても、これはどこの国のMSAの協定の中にも入つているものであるし、そうしてまた別に心配がない。ことに日本の場合にはそれが入つても、安保条約の義務以上を出るものではないからというふうに、この間までの委員会では答弁しておられました。ところが今日の中間報告を承りますと、この六項目全部を入れることになると国会でいろいろ問題になる。そうしてまた義務受諾の面で憲法に違反しはしないかというような議論が非常に多いので、そういうことに違反しない範囲内の受諾を何らかの形で明らかにする方法がないかどうかを今向うと話し合つていると、こういうふうな御報告がありまして、大分前の御答弁とかわつていることを今日発見したのでございます。ですけれども、もしもMSAを受入れるといたしましたならば、こういうことを書かないということはあとになつて非常に問題を起すことでございますけれども、こういうような問題を日本側が主張いたしまして、もしも認められなかつたときはどうなさるか。認められなくても何でも、もうしかたがないというふうにあきらめられるのかどうか、その点を承りたいと思います。
○岡崎国務大臣 先ほどから申しますように、MSAの五百十一条の六項目というのは、私は決してこの全部が安保条約にある義務でおしまいなんだと言つておりはしないのであります。あるいは二十四日の日本側の質問書を見てもおわかりになりますように、五百十一条の第三項でしたか、C項と書いてありましたか、三項と書いてありましたかちよつと覚えておりませんが、要するに第三番目のところに軍事的義務を履行するということがある。その軍事的義務というのは、安全保障条約によつて引受けている義務以上に出でないものと了解する、こういうふうにこちらの質問にはつきりしてあり、向うでもその通りだと言つておるのであります。その全体の六項目をその通りたと言つているのではないのであります。その点はひとつ御了解いただきたい。
 それから私は、先ほどから申しておる通り、憲法に違反するかどうかというのは日本政府がきめることであつて、日本政府は憲法違反の意思はないのだからして、これは協定やらその他のところに書く必要はない、こう今でも思つておるのですが、国会の御質問でその点に非常に言及されているということは、国民の多くの人がその点に懸念を持つておるのではないかと思うから、そこで何らかの形で入れた方がよいだろうと思つて相談をいたしておるのであります。私自身は実は必要はないというぐらいに考えておりますか、できるだけそういう点も誤解のないようにいたしたい、こういう趣旨であります。
○戸叶委員 そうしますと、岡崎大臣はこの項目が全部入れられても、決して憲法違反でないということをお認めになるわけなのでしようか。
○岡崎国務大臣 もちろんさようであります。
○戸叶委員 私はこの六項目を読んでおりまして、憲法違反でないというふりには、一体どこから出て来るのかということを非常に疑問に思います。そしてまた先ほどの御答弁と少し食い違いがあるように思いますけれども、なおこの点は、ほかの機会にもつと追究してみたいと思います。
 もう一つ伺いたいことは、先ほどからこれもやはり問題になりましたが、MSAの援助を受ける場合に、防衛力の漸増について私質問いたしましたときに、岡崎外務大臣は、初めは二百や三百というところから二千くらいになつて、今のところは増強する意思はないというふうにおつしやいました。そして先ほどからの各委員への答弁を聞いておりますと、今のところと答え、今後のことはどうにもわからない、こういうふうにおつしやいましたが、そうすると、今というのと今後というのと間の期間の差というものは、一体どの程度に解釈したらいいかを承りたい。
○岡崎国務大臣 それはこの前の国会での答弁であつて、そのときに防衛計画とか、増強計画というものはないのでありますから、そこでフリゲート艦その他の船が来れば必要な人がいるであろうと思つてそういう御答弁をいたしたのであります。今後は、ただいま木村保安庁長官のおつしやるように、今せつかく研究中だそうでありますから、その成案ができますればまたそれに応じた答弁をいたします。
○戸叶委員 そうすると、私たいへん申訳ございませんが、ますます岡崎大臣を信用できないということになる。それはその都度の答弁をなさるということで、一つの一貫した信念をお持ちにならないというふうにしか了承できないと思います。
 そこで今の岡崎外務大臣の御答弁によりますと、この前のときにはそういう答弁をしたが、今は木村保安庁長官が防衛力漸増の計画を立てていられるし、またそういうふうな情勢にもなつて来たから、きまつたらそのときにはその程度の御答弁をする、こういうふうにお答えになつたと思います。私はそうではなくて、むしろMSAの交渉の最初のときにはそういう必要をあまり感じられなかつたのが、軍事援助ということがはつきりきまつて来て、そしてMSAというものの性格かはつきり出て来たために、岡崎外務大臣もそういうふうに認めざるを得なくなつて来たというのが、ほんとうではないかと思うのですが、その点はいかがなものでしようか。
○岡崎国務大臣 どうも私を信用されないのじや御答弁してもあまり意味がありませんが、まあせつかくの御質問ですから御答弁いたしますが、私どもはあの当時予備交渉をしたとかしないとかいろいろな議論があつたときに、予備交渉はしないけれども、必要な資料等を集めて十分な研究はいたしておるということを繰返して申した。少くとも私は自分でMSAの交渉を受諾するかどうかということを考える際には、いろいろの点を私なりには研究しておつたのです。そして交渉してから初めてこれは軍事援助だとかなんだとかいつて驚いたということは私自身にはないのであります。初めからMSAはどういうものであるかということは、はばかりながら知つておつたと私は自信しております。それで経済的の寄与があるということを言つておつて、経済的の援助ということは、私は一言も言つておりません。経済的の寄与というのは、たとえば域外買付であるとか、その他の方法において日本の経済に寄与できるであろうという点を今でも信じております。しかし経済的の援助ということは言つておらないのであります。
○戸叶委員 私も今の御答弁にはまことに驚きました。それは岡崎大臣が幾たびかこの委員会でたしか軍事援助でもあるような、そしてまた経済援助でも多分にあるような御答弁をなすつたように了承していたのは私だけではないと思います。ほかの委員もそうであつたろうと思いますし、またここに速記録を持つておりますけれども、それを今一々探しているひまもございませんが、そういうものを見ましても、はつきりと軍事援助なりということを言い切られていたということは私は了承しておりません。けれども、それを今ここで申し上げても言葉じりの問題になりますから申し上げませんけれども、おそらくここにいられる委員がみなはつきり軍事援助なりと言い切られたということは信じていられないということだけは私申し上げたいと思います。
 そこで次にお伺いいたしたいのは、この安全を脅かす国への貿易制限の問題でございますが、これも先ほどたびたび出て参りまして、国会でもすでに決議がなされたから、その決議に反しないような言葉を何らか使いたいというお言葉でございましたから、ある程度了承いたしますが、ここで私一つ気になりますのは、先ごろアイゼンハウアー大統領がMSA勧告書で日本に対して東南アジア貿易の促進を説いております。このことは私どもから考えまして、どうも中共関係との貿易に何らかの影響があるのではないか、こういうふうに考えられますけれども、その点の岡崎外務大臣の御見解を承りたいと思います。
○岡崎国務大臣 私はその点は特に関係はないので、アイゼンハウアー元帥はやはり東南アジアという点に重点を置いて言つておられることと思います。ただ戸叶さんと私は多少意見が違うのじやないかと思いますが、中共貿易さえやれば、日本の経済は回復するのだというふうにお考えになると、私は非常に違うのであります。中共貿易はかりに何も支障なく行つたとしましても、今の中共の政策によりますればあまり期待はできないと思います。従いましていずれにしましても、東南アジアとの貿易ということは、日本の将来の経済自立にとつて、最も重要なことであろうと考えております。
○戸叶委員 誤解のないように申し上げておきたいのですが、私は中共貿易さえすればいいというふうには考えておりません。もちろん東南アジア貿易並びに中共貿易と両方必要だと思います。ただ東南アジア貿易だけに依存するということは、先ころの視察を通じても、非常に困難であることを感じたからでございまして、アイゼンハウアー大統領がこういうことを言われたその場合に、一体具体的に日本に対して東南アジア貿易について、どういうふうな方法を考えられてこういう発言をせられたか。何か具体的な勧告があつたかどうかを承りたいと思います。
○岡崎国務大臣 具体的には何も話がありませんが、われわれの方では、これは日本側でもまじめに考えるべき問題であるから、もし向うから何も話がなくても、こちらから必要な場合にはどしどし話をいたし行こう、こう考えております。
○戸叶委員 私はMSAのちようど交渉過程においてこういうふうな勧告が出されたというのは、日本のMSAの援助受諾に伴つてのその内容に関して、何らかの関係があるかということを考えましたからお伺いいたしましたが、岡崎さんはそれは関係がないということでございますので、そういうふうに了承したいと思います。
 そこで今もちよつと問題になりましたが、結局MSAが軍事援助である、そして経済的に寄与する方法としては、域外買付なりあるいは発注なりという形式がとられるということでございました。そこで先ほどの岡崎大臣の報告の中には、今どの程度の援助があるか、どの程度の発注があるかということはいろいろなことから言えない、まだはつきりよくわかつておらない、大体の想像はつくが言えない、こういうようなお話でございました。もしもMSAの援助を受諾なさるといたしましたならば、その調印をなさるまでに、そうした大まかな幾らの援助を受けるとか、どのくらいの発注を受けるとかいうようなそうした数字がわかつてから調印なされると思いますが、そうした数字もわからずに調印するというようなことがあるかどうかを承りたいと思います。
○岡崎国務大臣 まず第一に、私が先ほど東南アジアの問題が関係ないと言つたのは、中共貿易を何か押えるために、東南アジアのことをアイゼンハウアー大統領が言われたのじやないかというふうな御質問だと思いましたから、その点は関係がないと申したのであります。しかしMSAの関係におきましては、全然関連がないというふうに私は考えておらない。というのは、例のポイント・フォアというような計画もありまして、これに対しては今後の問題でありますが、私はある程度の関連性ができるものと思つておりまして、これには日本の技術なり機械なり、その他のもので関連性は出て来べきもの、または出て来させたいものだと考えております。
 それからMSAの交渉を調印したり何かする前に、大体のことがわからないでやるのかということですが、そんなばかなことはないのでありまして、大体のことどころでなく、はつきりしたものがわかつた上で調印することになります。
○戸叶委員 私がアイゼンハウアー大統領の例を引きましたのは、ちようどMSA援助の交渉過程であり、そしてまた中共貿易とのいろいろな問題がありましたので、その点を実は伺つたわけでございます。それで今の問題ですが、岡崎大臣の御答弁によつて、大体幾らの完成兵器であり、そしてまたどれだけの発注を受けるかということが、はつきり決定した上で調印するというふうに了承いたしました。それでMSAの交渉の中で、当然日本の国内的な立法措置を講じなければならないようなことが出て来ると思いますが、それは調印前になされますか。それとも調印ということがきまつて、すぐにそういうような立法措置をなさるか。つまり調印の前にということはむずかしいでしようが、調印前にちやんと腹案を持つて調印されるか、それとも調印されてからあとその立法措置を講じられるかどうかを伺いたいと思います。
○岡崎国務大臣 今でも、考えられるような立法措置については、研究を進めております。従いまして、大体の構想は、調印するころになればまとまると思います。しかし、もちろんこれは国会に提出しなければなりませんから、実際の具体的な案は、国会が開かれてからのことになろうかと思います。
○戸叶委員 次に一点先ほどの竹島の問題で承りたいと思いますが、先ほど午前中の自由党の方からの質問に対しまして、下田条約局長だと思いましたが、李ラインというものは、国際法上妥当でないから、当然日本の漁船は出漁してもかまわない、もしもその安全を脅かされるようなことがあるならば、何らかの保護措置をとつて行きたいというようなことを、外務省の意見としてお述べになつております。この場合の保護措置というものが何を意味するものであるかを承りたいと思います。岡崎大臣は、その点はどうお考えになられるかを承りたいと思います。
○岡崎国務大臣 保護措置と申しますものはいろいろあると思います。たとえば普通の船を出しまして、もし韓国の船が来たら注意をさせるとか、あるいはこういう水域はちよつと危険であるとかいうこともあろうと思いますし、また韓国と話し合つて保護の措置を講ずるということもありましようし、場合によつては、もつと世界的の輿論に訴えなければならぬということもあるかもしれません。いろいろ考えられると思いますが、ただある措置が不当であるとこちらが考えておりましても、先方が力をもつて来る場合もあるのであります。こういうときは、やはりその実際の実情に応じて、日本の主張を曲げることはいたしませんけれども、実際の実情に応じないで、かつてな行動をこちら側だけでとるということも、これはむずかしいのであります。たとえば歯舞、色丹というものは、だれが見ても日本の領土であつて、千島には入つておらぬということは、戸叶さんもお考えになると思いますが、しかし現実にソ連の軍隊が占拠しておれば、こつちの者がかつてにそつちに行つて行動するということもできないのであります。日本の主張はいつまでも留保しておりますが、そういうような国際法上の思わぬ障害というものがあるのでありますから、こういう点は、国際紛争を平和的に解決するという趣旨で、できるだけの措置を講ずるよりいたし方がない、こう考えております。
○戸叶委員 この間新聞に出ていたのですけれども、この問題で小滝政務次官が、何かの危害を加えたときには警備船を出してもいいというふうなことが書かれておりましたが、その点についての岡崎外務大臣のお考えはどうでしようか。
○岡崎国務大臣 警備船を出すということは、どういう意味で小滝君が言われたか知りません。私の考えでは、たとえば日本のそういう哨戒的な船が行つた場合に、先ほど保安庁長官がおつしやつたように、自衛的な措置をどの程度とれるかという問題は、これはひとつ研究しなければならぬと思います。しかしただちに自衛措置とかそういうものでなくして、あるいはその船に保護を与えたり、船に援助を与えたり、いろいろのことが考えられるのでありますから、具体的にどういうふうになるかわかりませんが、一概にそれは警戒の船を出してはいかぬというりくつもないのであります。現に水産庁その他においても、監視船等は出そうという計画もあると聞いております。私はそれはけつこうだと思つております。
○戸叶委員 今警備船とおつしやらなかつたですね。警備船はどうでしようか。
○岡崎国務大臣 警備船という船は日本にはないのですが……。
○戸叶委員 保安庁に属しているところの海上警備隊をお出しにならないかということです。その意味で小滝政務次官が言われたと私は思いますが、それでは小滝政務次官のおつしやることに、岡崎外務大臣は賛成なさらないわけですか。
○岡崎国務大臣 いや、要するにどういう船を出しましても、紛争を平和的に処理するという趣旨が貫かれておれば、さしつかえないわけであります。私は小滝君の言つたことを直接聞いておりませんから知りませんが、どの船は出していい、どの船は出していかぬということはないので、要するに問題は、平和的に問題を処理するという点が主眼であろうと考えております。
○戸叶委員 そういうふうになつて来ますと、私一点伺いたいのは、たとえば歯舞、色丹の問題なんですけれども、歯舞なんかでも漁船がよく拿捕されております。そういうような場合にも、ある程度の日本の警備隊というものを出すわけには行かないのでしようか。その点の違いを承りたいと思います。
○岡崎国務大臣 私は別に違いはないと思いますが、実際上の問題としましては、先方が不法であつても、実力の行動をする場合には、これに対して実力でもつてこたえるというのは、憲法の趣旨でないのでありますから、そこで先方の出方によつてこちらのやり方も考えなければならぬ、こういうことはあると思います。原則的には、どこへ出していかぬということはないはずだと思います。
○戸叶委員 木村保安庁長官に一点だけ伺いたいと思いますが、先ほど、保安庁法の改正を長官としては望んでいられる、そして外からの侵略に対抗できるようにするというふうなことを言われておりました。その御希望通りに進んで行くといたしましたならば、これは大切な問題だと思いますが、一体外からの侵略に対抗できるようにするだけの自衛の範囲というものは、大体どのくらいなものになるかということが問題になつて来ると思うのですが、木村保安庁長官はどういうふうにお考えになるか承りたいと思います。
○木村国務大臣 その数的の問題はなかなか困難であります。しかしながら、ただいま考えられることは、大きな侵略に対しましては、御承知の通りアメリカ駐留軍によつて空、海は控えておるのであります。考えることは陸上の防備であります。それらに対してもおよそ限度はありますが、その目標をどこに置くかとしうことは、日本の財政計画とにらみ合せてなかなか困難であります。われわれはあらゆる観点からこれを今せつかく検討しておるのであります。
○上塚委員長 次は加藤勘十君。
○加藤(勘)委員 岡崎外務大臣の中間報告に対して、今朝来同僚の委員諸君がそれぞれの角度から質問をなさつておいでになります。私はこれらの委員諸君の質問とはできるだけ重複を避けまして、別な観点からどうしても御報告だけでは納得が行かなかつた数個の点について御質問をしたいと思います。
 岡崎外務大臣から顧問団の性格とかその取扱い、五百十一条(a)項の取扱い、MSA援助と日本経済との関連等についての御報告があつたのでありますが、私はまず第一にMSAの援助と日本経済との関連の項について御質問をいたしたいと思います。今岡崎さんは、自分は交渉に入る前に相当深く研究をしておつたから、MSA援助が軍事援助に主力を置いたもので、経済援助のものではないということは知つておつた、こうおつしやいました。それはまさにその通りです。私どももMSA援助は完全に軍事援助を主体とするものである。従つてそこからこれを受けようという意見と、受けるべからずという意見とにわかれて来ておるわけです。しかしながら世間にはMSAの援助をもつて、あたかも朝鮮事変の終局に伴う特需の廃止にかわる日本経済への呼び水のごとく、日本経済の何か助け船のごとくに、非常に大きな期待をしておる向きが少くなかつたのであります。また政府は公式、非公式を問わず、いかにも経済援助があるがごとくに世間に印象せしめた。これはそういう受ける方が悪かつたかどうかは別問題といたしまして、世間にそういう印象を与えて来たことは争われないのであります。従つて今日の中間報告においても、岡崎さんが特に経済援助ではないということを力説して報告をされなければならなかつたということは、世間に大きい反響を呼び起したのであります。そこで私は五百十一条の関係等とからみ合せまして、経済援助でないということも、これをどういうように一般国民にほんとうのものを了解せしめるか、今もし外務大臣が言われたように、単にこれは軍事援助が主眼であつて、経済的には間接に域外買付であるとか、あるいは材料の発注であるとかいうようなものによつて若干の寄与はあるであろうが、それを主眼とするものでないということを発表されたならば、あたかも特需のかわりのように待ち受けていた日本経済界にとつては、非常に大きな打撃だと思います。これらの点について、そういうことを受けた国民の方が悪いので、政府のあずかり知らぬところであるといつてしまわれるのか、それともそういう国民の誤解をあらためて政府の責任において解明して、そうして今後のMSA援助の交渉を受けるについて国民の正直なる判断によつて、政府の意図に同調せしめようとされるのか、あるいは政府は自分の思うままのことをやりさえすればいい、国民がどう思おうともかつてである、こういうように思つておられるのかどうか、今後の交渉を進行せしめて行かれる上に、私は相当大きい関連を持つておると思います。まずこの点に対する外務大臣の心構えをお伺いいたしたい。
○岡崎国務大臣 私は常に正直に申しておるつもりであります。しかしこのMSAの援助には経済援助と普通いわれます防衛支持援助、こういうものもありますが、これは今年は私は困難であろうということは前の国会でも申しておるのであります。しかし今後そういうものが受けられるかもわからないのであつて、これは引続き話合いをいたしたいと考えておりますが、もし一般の国民の期待が特需にかわるようなものを期待しており、それがないので非常に失望だというお話のようにも聞きましたが、もしそうであるならば、特需にかわるようなものは私は考え得ると思う、域外買付というので相当程度特需にかわるものは当然考えられると思つております。その点が世間一般の期待であるならば、そう期待にそむくということにもならぬと思いますが、もしMSAの援助というものが、直接何かアメリカのドルでも来まして、日本の産業の資金にまわされるとかなんとかいうことを期待しておるならば、それはこの際は困難であろう、こう申しておるのであります。
○加藤(勘)委員 先ほどの外務大臣の御報告の中には、援助の形はいろいろのものが含まれておる、たとえばマーシヤル・プラン、ポイント・フォア等のごときものも加わつておる、しかし現在ではマーシヤル・ブランというものは、軍事援助の形にかわつて来ておるのであるから、今年は軍事援助の形となつて現われるこういうことの御説明がありたました。それからMSAの援助を受けると、日本経済の援助が受けられるのではないかという考えもあるようだが、目下は軍事援助である。しかしそれによつて日本の経済安定はそこなわれない、こういうわけでありますが、経済援助を受けるということは、経済安定をそこなわない。経済安定をそこなわないということと、日本経済に寄与するという点は非常に違うのです。経済安定をこわしてまでMSAの援助を受けるばかはどこの国にもない。従つて現在の日本経済が自立の方向に進みつつあるときに、それにどれだけ寄与するかということで、初めて経済的評価がなされるわけである。こういう点で軍事援助が主であるから、あまり多くを期待されては困るという先ほどの御報告の趣旨であつたと思うのですが、今のお言葉によりますと、域外買付というものが相当にあつて、これはもちろんMSA協定そのものではなくて、それに付随する第三次現象として起つて来ることを予想されておいでになると思いますが、域外買付等によつて日本の経済の自立の方向に寄与するということであるならば話は別でありますけれども、今おつしやるように、MSAの援助から何か直接に経済援助が必然的に生れて来るというようにお考えのようでありますけれども、この点もう一度はつきりけじめをつけておいていただきたい。
○岡崎国務大臣 域外買付というのは、今おつしやつたように、MSAの直接の結果じやありませんが、MSAを受けておる国が東南アジア等にもたくさんありますから、日本もその一つの国になれば、日本に対する発注ということも自然多くなるであろう。従つて朝鮮の特需が今後だんだん減ると見られれば――朝鮮の方は復興資材というようなものもありましようけれども、特需というものが減る程度のものは、域外買付で埋め合せばつくであろう、こう私は考えております。それからこのMSAによる直接の援助で経済援助と称すべきものは、いわゆる防衛支持援助と称すものでありますが、これはジエツトの機械であるとかいうようなものに対して、フランスとかイギリスとかの特殊の技能に対して、今アメリカとして援助しておるだけであるようであります、日本の場合におきましても、将来そういう日本でどうしてもつくらなければならない。これは地理的の関係もあり、材料の関係もあり、技術の関係もありましようが、東南アジア方面に必要な、そういうものが日本でつくられるのが一番よろしいということになりますれば、将来はそういうような防衛支持援助という、いわゆる経済援助も考えられると思つております。それから間接ではありますが、ポイント・フォアというようなものも日本に関連性が当然起るであろうと予想されます。これも将来の問題でありますが、日本の資材なり、技術なりあるいは機械なり、またその結果できました資源の入手ということにも日本も関連性を持つて来るから、こういう点も経済に全然関係がないとは私は申しません。MSAの援助によりましても、経済に関連のあるものもあり、また今おつしやつたような間接的ではあるが相当程度寄与するものもある、こうは思つております。
○加藤(勘)委員 そこで第二の点に入りますが、先ほども外務大臣は、日本経済の自立にとつて東南アジアは重要な関連を持つておる、こうおつしやいました。私どもも同様に重要であると考えております。そこで日本がMSAの軍事援助を受けるということになりました場合に、このことが日本と東南アジアとの経済的関係の上にどういう影響を及ぼすか。私はこの点が非常に重要だと思う。おつしやるように安価にアメリカ側の話だけを聞いておれば、アメリカが東南アジア諸国にいろいろな援助をやるからそれのおこぼれが日本に来るから、そういう意味において日本の経済自立の方向に寄与する、こういう算術的な簡単な論理は成り立つかもしれませんけれども、私はもつと深く東南アジアと日本との経済的関係を掘り下げてみなければならぬと思います。言うまでもなく、アジア諸国の中でアメリカからMSAの援助を受けておる国は、ビルマを除いてほとんど全部の国といつてもよいわけであります。しかしながらこれらの国の中で多くの国は、技術援助もしくは経済援助でありまして、軍事援助を受けておる国は、わずかに朝鮮、台湾、仏印三国の五箇国にすぎない。あとの国はいずれも経済援助もしくは技術援助であると思います。しかも私も本年一月あちらをまわつて各国の人々と話し合つて参りましたが、そのときに多くの国の人々の異口同音に言うことは、日本が戦争前のような大東亜共栄圏思想をもつて東南アジア諸国に向うならば、われわれは日本を排斥する。今日では日本が軍事的侵略能力はなくしておるから、その点は心配ないが、今われわれが一番おそれておることは、日本がアメリカの経済的手先となつて、アメリカの経済力でわれわれを支配しようというような僣越な考え方を持つておるのではないか。もしそうであるとするならば、われわれは断じて日本を受付けないであろう、こういうことをほとんど幾つかの国の人々が言つておりました。もちろんこれは一部の反政府的な立場にある野党側の人の意見であるといつてしまえばそれまでであるかもしれませんが、しかしながら今日までの国際連合のエカフェの援助さえ十分に利用されていない。いわゆるアメリカのポイント・フォアの援助はほとんど見るべきものかないということを考えてみますと、われわれは日本かMSAの援助を受けることによつて、逆に東南アジアとの経済関係がうまく行かないのではないか、こういうことを私は心配しております。もしそれが単に私一人の杞憂に終ればきわめてけつこうでありますけれども、そういう杞憂は、単に杞憂にとどまらぬのではないか、こう思いますが、この点に対して外務大臣はどのようにお考えになつておるか、お聞かせ願いたいと思います。
○岡崎国務大臣 ただいまのお話の東南アジアの諸国でおあげになりました国々のほかに、やはり軍事的援助を受けておる国はフィリピンとかタイとかいうものもあります。ありますが、総理大臣がよく自衛力漸増の問題について言われることも、やはり一つは日本の国に対する誤解がまだ十分解けておらないから勢い慎重にならざるを得ない、これも一つの理由にあげておられると思つております。おつしやるような気持は、私も東南アジアの諸国にはありますし、またようやく長い間の植民地というような桎梏から脱して独立した国としては私は当然なことだと思います。従いましてわれわれもこの点は慎重に考えて、慎重に行動しなければならぬのは当然であります。お話の点は私も同感であります。もつとも東南アジア諸国とのいろいろの問題は、それだけではなくして、賠償の問題もありますし、その他戦争中のいろいろの解等もまだ残つておる部分もありますから、こういう点も十分早く解決をいたす必要がありますが、同時に私どもも今おつしやつたような気持が相手国にあり得るということを常に考慮して行動しようと思つております。
○加藤(勘)委員 まだお尋ねたいことがたくさんありますが、時間に制限がありますから次の問題に移ります。顧問団の性格と取扱いという言葉を用いられましたが、これは任務のことだろうと思います。顧問団の性格と任務――取扱いでもけつこうでありますが、任務について一体どのような見解がアメリカ側から述べられ、日本側からこれに対して、顧問団はかくあるべきである、顧問団の活動はこうであるということについてお話が進んでおると思いますが、それはどの程度に進んでおりますか、その点明らかにされることができるならば明らかにしてもらいたいと思います。
○岡崎国務大臣 これはまだ申し上げるほどの段階に至つておりませんが、われわれの方の考えとしましては、普通の国でありますと、駐留軍というものはおりませんから顧問団だけがあるわけであります。従いましてこれは当然その国にあります。大使館なり公使館なりのもとにいるよりしかたがなくなつてしまいます。しかし日本のような場合だと、駐留軍というものがあつて、駐留軍の司令部というものもありますが、顧問団の構成メンバーの多くはアメリカの軍人でありますから、勢いどちらに所属するのだという問題もあいまいになりがちでありますが、私はできるだけこれを大使館の所属員いいたして、大使館の一部として取扱つて交渉する、すべて大使館を通じ、大使を通じてやる、こういう考えで話をいたしております。この点は向側としてはあたりまえのことだと言うかもしれませんが、われわれとしては念のためにそういう点をいろいろ考慮しまして、十分に間違いのないような措置をとりたいと思います。その他は、たとえばその顧問団の構成メンバーがいろいろあります。大使館に所属するとすれば、普通ならば大使館員でありますから、外交官の特権を与えるわけであります。しかしその顧問団の中ではいろいろの種類のものがありますから、たとえば一部のちやんとした資格のある人には外交官の特権を与え、その次の階級といいますか、その次の部類に属する人にはそれより以下の特権でいいじやないか。それからもつと下の場合には大使館で雇ておる書記であるとか雇いというような種類の人も、大使館におります以上は、ある程度特権的の取扱いもらつておりますから、そういう種類でいいじやないかというような、内容をみなわけて、全部が全部外交官の資格を与える必要もないだろうということもあります。そういうようないろいろの点がありまして、ただいま実際の内容と一緒にまた費用の点もありますが、これらについても相談をいたしております。
○加藤(勘)委員 私のお尋ねしたいことは、もう少し別な点でありましたが、要するに、現在保安隊にアメリカの軍人が顧問として来ておるが、これは兵器を貸した手前、その兵器の取扱い、軍事訓練を主にした、ある意味でいえばプライウエートな顧問団であるということが言われますが、今度MSAの条約を結んで、条約上の権利として日本に顧問団が駐在するということになりますれば、これが外交官としての取扱いを受けようとも、あるいは軍人としての取扱いを受けようとも、そういう形式上の問題ではなくして、その任務が、単に軍人が軍事訓練に当るというのか、あるいは単に兵器の取扱いを技術的に教えるというのか、さらにもつと進んで、日本から材料を買いつける場合に、材料の指示をするということがありはしないか、あるいはその材料を加工するのに、工場の設備等についてかれこれくちばしを入れるのではないか、もしそういうことになると、それの今年度の材料買付が何千万ドル、従つて、これが日本経済にどういう影響を及ぼすか、従つてそれが日本の財政面にどういう影響を及ぼすかというようなところから、財政の運営にまでくちばしを入れるようになりはしないかどうか、もしそうなれば、何と言葉で否定されても、事実上は日本の内政干渉になる、私はそれを非常に恐れます。だから、そういう財政の運営、経済もしくは生産設備の運営等に関与しないということを明確にされておく必要があると思いますが、そういう点について今日まで話が進んでおるのかおらぬのか、今後もし話をされるとするならば、その点についてどのようにお考えになつておるかどうか、こういう点をお伺いしたい。
○岡崎国務大臣 そういう御質問は自然あると思いますが、顧問団を置いておりますのは何も日本だけじやありませんのでイギリス、フランスにも、イタリアにも、方々にあるわけであります。この実績を見ますと、どこでも顧問団が内政干渉というような点で非難をされているようには私は思いません。従いまして、条文の上では、これらの品と同じような、そういう権限等には規定ができますから、条文の上でそういう点は心配はないと思いますが、実際上の問題として、今お考えのような点が日本の特殊の事情から起るようなことがあつてはなりませんので、この点は御注意の点もありますが、われわれも、内政干渉にわたるようなことのないようにというような点は、十分主眼を置いて考えております。
○加藤(勘)委員 ぜひその心構えで、これが実現されるように御努力をしてもらわなければならぬと思います。まだほかにたくさん聞きたいことがあるが、今度は木村保安庁長官にひとつお伺いしたい。
 先ほどの御答弁の中にも、自分たちとしても、駐留米軍のできるだけ早い引揚げを希望するが、今日の段階においては、空軍もしくは海軍力というものの引揚げは望んでも得られないことだし、これを望んだらたいへんなことである。要するに地上部隊であるということで、その地上部隊が引揚げた後に空白となつたものをどうするか、こういうことで、これがためには、できるだけ、今年度においても最小限度であるが増加をしたい、数や程度は目下検討中である、こういうお言葉がありました。私は、ただ形式上上つらをなでるような御意見ならばそれでもいいと思いますけれども、もう少し深く国際情勢というものを検討してみる必要がありはしないかと思う。ほんとうに国際情勢を検討してみまして、一体日本の国に武力侵略をやり得るようた国があるかないか。私は、どこの国でも、日本に武力侵略をやるならば、それはみずから世界第三次戦争を買つて出るものであると思う、そういう冒険を今日の段階において冒す国がはたしてあるかないか、こういうことを考えますと、われわれのした国際情勢の検討分析の段階においては、どこの国でも、日本に武力侵略をまつ正面からやつて来るというような国はあり得ないというわれわれの考えでありますが、これは意見の相違というようなことになつて、水かけ論になるからそれは言いませんけれども、そういうように、ある国が武力侵略をやるという前提に立てばこそ、空白を何とかしなければならぬという木村長官の憂国の言葉が出て来るのだと思います。そういう前提でないとするならば、もう、この空白を埋める地上部隊というものはまつたくかかし同然で、何の役にも立たない。もし武力によつてこの国の安全が保障されるというならば、一体なぜ昭和二十年にあの屈辱きわまる無条件降伏をやつたか。当時日本には百五十万の軍隊があり、航空機も、戦闘機を相当数持つており、海軍にも沿岸警備の船が相当あつたはずである。にもかかわらず、アメリカ軍の侵略を食いとめることができなかつたではないか。それは言うに及ばず、今日では、ほとんど原子力時代といわれておるほど兵器は原子兵器と化しておるのであります。そのときに、なまなかな地上部隊をもつてこの国の安全が守られるか。役にも立たないところの、いざというときは警備を放棄するような軍隊もしくは保安隊をつくるために、国民が莫大なる経費を負担しなければならぬ、こういうことはとうてい耐え得られないことだと私どもは信じておりますが、木村長官はどういう御見解をお持ちになつておるか。
 それからもう一つは、これは非常に不幸な引例でありますけれども、戦争前の日本の軍閥というものは、絶えず陸と海とは仮想敵国を持つておつた。そうして、いつでも軍が軍備拡張の条件として何か持ち出すときには、この仮想敵国を想定して、この上に、陸の方においてはこうだ、海の方においてはどうだということで、絶えず軍備拡張等を続けて来た。今日われわれはそういう軍備という言葉は聞きませんけれども、自衛力の漸増という言葉を聞かされておりますが、この自衛力漸増ということは、旧軍閥時代の軍備拡張のための仮想敵国を想定した考えが潜在しているのではないかと思う。幸いにしてこういう考え方が木村長官に潜在しているとは思いませんが、しかしながら、無意識の間に出て来る言葉の中には、こういう意識が、思想が潜在しているようにうかがわれるのです。われわれはそれを非常に恐れます。日本が今日自衛力漸増の名によつて仮想敵国を設ける、仮想敵国がなければ武力など蓄積する必要はなくなる、仮想敵国を設けるから初めて武力を蓄積することになるわけでありますし先ほど岡崎外務大臣は、中共は侵略国として国連から規定されておるということをおつしやいましたが、われわれは、十八度線を越えた北鮮軍の侵略行為、この武力による侵略は阻止しなければならぬというて国際連合軍が発動したことを知つております。中共軍は義勇軍の名によつてそれを実際的には援助し、実質的には力になつておつたことはよく知つておりますが、そういう点からいつて、もし中共等が自衛力漸増論者の無意識的な仮想敵国になつておりはしないかどうか。そういうことでは、ほんとうに日本が憲法に規定した世界の平和に寄与し貢献するというこの念願が達成せられないのじやないか。中ソ友好同盟条約が形式上は日本を仮想敵国にしておるようでありますけれども、これは、日本はあの当時においては仮想敵国の資格はない。それは、完全にアメリカが日本の背後におるということで、アメリカをまつ正面から現わすことができないから、日本を想定せしめるような言葉が使われておりますけれども、どこに日本の国を仮想敵国などと見る国があるか。あるならそれはおよそ国際的な盲目である。そういう国際的盲目の論議にわれわれが惑わされて、向うがそうだから、こつちもそうでなければならぬということであつては、ほんとうに世界の平和に寄与することにならぬと思うが、一体木村さんが自衛力漸増もしくは保安隊増強ということを言われるのには、そういう仮想敵国というものが頭の中に想定されておるのではないかどうか、この点をはつきり聞かしておいていただきたいと思います。
○木村国務大臣 お答えいたしますし一体世界の国で他国を侵略するというような意図を持つた国はないのじやないか、また、原子力、水爆の時代において、役に立たぬよりな軍備を持つたとこるでいたし方ないじやないかという御議論のように思います。まことに一理あると考えるのでありますが、世界で侵略を試みていない国がなれば何がゆえに各国が互いに軍備を持つのでありましようか、どこの国も他国を侵略するなんということを表に出しません。現在国際間の状態を見ますと、これはみな戦戦きようきようであります。かるがゆえに各国は莫大なる負担をして軍備に狂奔しておるのです。まことに私は悲しむべき現象であると思います。私は世界各国が、よろしく全軍備を撤廃せられんことを希望するのです。こういたしますと、全人類はおそらく平和な生活を遂げることだろうと思います。しかし現在の段階においては逆の行き方をやつている。しかも水爆を持つたソ連にしたつてアメリカにしたつて、なおかつ莫大な軍備を持つておるのであります。さつき帆足君が言われましたが、水爆、原子力の時代だから、軍備なんか必要ないのじやないかというお言葉でありましたが、あにはからんや、水爆を持つている国すら決して軍備を縮小しようとはしないのです。これはいかなることでありましようか。これは一面において私は悲しむべきことであろうと思いますが、現実はそうであります。わが日本を仮想敵国としてやつている国はおそらくなかろうという加藤君の御議論であります。それならば仕合せであります。何をか言わんやであります。しかし私は世界情勢をつらつら考えてみますのに、日本が無防備のままでおつたらどうなるかということに頭を羅かなければならぬと思います。無防備でおつてそのまま安穏な平知な生活ができるなら、私はこれほど愉快なことはありません。そういうことは夢であります。そういう夢を打つておつたならば日本の国がどうなるかということです。私はさようなことは現実を遊離した御議論であろうと思います。しかし私はどこの国を仮想敵国として日本は保安隊の増強、すなわち自衛力漸増をはかるか、私は別段どの国を相手としてとは考えておりません。少くとも日本の国は独立国となつた以上は、日本の国自体を守るだけの手当はしなければならぬ、これは私の考え方であります。そこでアメリカの駐留軍におきまして、これは日本との安全保障条約によつて防備体制はできておるのでありますが、いつまでもアメリカのごやつかいになつておることもどうかと考えます。先刻私は陸だけと言いましたが、これは私はやはり海にしても空にしても、日本の国力の許す範囲においては、何としても手当だけはしておく必要があろうと考えております。しかし世界情勢がかわりまして、さようなものはなくてもいいということになれば、これはまことに仕合せであります。私はさような時期は当分の間来ないのじやないかということを心ひそかに憂えておるものであります。しからば、ぜひとも日本では財政力の許す範囲内において、何とか処置をすべきであろうと、私はこう考えておる次第であります。
○加藤(勘)委員 最後に一つ、この点を明らかにしておきたいと思います。木村長官の今のお答えを聞きまして、われわれが感じたことは、国内における三重政権主義による武力蜂起の問題と、武力による外国の正面からの侵略とを混同しておられる。われわれもいわゆる二重政権主義による国内騒乱がないとは保証しません、あります。第二次大戦以後東ヨーロッパ諸国において行われた共産党の運動は、まさにそれなのです。しかしこれに対しては、おのずから国内治安の問題として別個に考慮すべきである、こういう点から国内治安の確保のために、そうして国内の平和を維持するためには、それだけの警察力を必要とする、われわれは警察力で十分である、こういう観点を持つておりまして、われわれは決して国際的に武力による正面からの侵略があるなどとは考えられない。少くともわれわれは、政治を現実に扱つて行く以上は、国際情勢の正確にして、そうしてできるだけ明日への関連を持つた考え方において、現実を把握して行かなければならぬが、こういうふうに行くならば、われわれは、役にも立たない保安隊を武力化するということは、何ら必要ないことであるというように考えておりまして、この点は見解の相違といえばそれまででありますが、願わくは、われわれはMSAの軍事援助は本来ならば受けるべきでない、こういう確信を持つておりますけれども、これが非常に日本に有利であるという見通しを外務省当局が持たれて、政府がそういう方針で交渉を継続されるならば、少くとも現在国民が憂えている点は明確にされなければならないのではないか、こういうふうに考えます。これは意見だけ申し上げておきます。御答弁は求めません。
○上塚委員長 中村高一君。右派の残す時間はほんとうにわずかですから、きわめて簡単にお願いします。
○中村(高)委員 今までMSAの問題が国会で議論され、委員会でも議論されて参りましたが、今日初めて軍事的な援助であるということを外務大臣から明確にされたのであります。この点は、いよいよMSAの調印が迫つて参りましたので、こういうふうな政府の態度にかわつて来られたのだと思うのでありますが、軍事的な援助でありますと、私がお尋ねいたしたいのは、従来の安保条約というものによりまして、ある点まで日本の安全は保障され、またこのアメリカとの協定によりまして、従来軍事的な援助も受けて来ておるのであります。おそらく援助を受けるということでありますならば、安保条約でも事足りるのでありますが、こうしたMSAの協定を結ぶというのには、おそらく新しい日本の義務がこのMSAにあるので、そこに大きな意味があると思うのであります、むろん安保条約におきましても、日本に義務のないわけではありませんけれども、一歩進んだ義務を日本に要求せられるというところに、特徴があるように思うのであります。一体MSAの援助というようなものは、もし協定をせられるということになりますれば、今後何年ぐらい援助を受けるのか、また援助を受けられないというような場合が生ずると思うのでありますが、アメリカ側などで三年とか四年とかという発表をいたしておりますが、援助を受けられなくなつた場合において、この協定はどういうことになるのか、これをひとつ御説明願います。
○岡崎国務大臣 MSAでことし受け得るものは、おそらく軍事援助以外にはなかろうということは、この前の国会で私は再三繰返して申しておりますから、この点は速記録をごらん願いたい。急に今言い出したわけではありません。それからこの安保条約等では、援助というものは何も規定してありませんから、安保条約で援助は受けられるのだということはありません。またアメリカの対外的な援助というものは、MSA――今度名前はかわりましたが、要するにMSAに一本にされているのであります。それから新しい義務を課するとかなんとかいう話でありますが、これはアメリカとしては、何も日本だけを目当にしてこういうものをやつているのではなくて、世界の非常に多くの国とやつているので、その条件等はみなはつきり書いてあるのでありまして、援助を受けたければこの条件を受けるべきである、この条件がいやなら援助を受けないだけの話、こういうことになるだけの話であります。それから、援助を受けなくなりますれば、協定はもちろんなくなります。
○中村(高)委員 その年限です。MSAの有効期間はどのくらいか、これをお尋ねしておきます。
○岡崎国務大臣 有効期間につきましては、一応あと二年、それから清算期間に入るというふうになつておりますが、しかし常識的に見ますと、世界の平和維持のために、アメリカが各国に援助しておる、その時期までに平和が確保されれば別でありますが、またまだ同じような状況であるということになりますれば、やはり何らかの形で続ける必要も出て来る場合があろうと思いますので、一応の時間は限られておりますが、その先のことはそのときの情勢によつてきまるのであろうと考えております。
○中村(高)委員 そうしますとこのMSAの援助に基いて、日本に軍事援助をするということは、いつまででも米軍が日本に進駐をしておるということは、アメリカの希望ではないから、すみやかに日本の持つ自衛力というものを充実して、そうしてすみやかに米軍は引揚げたいということが、このMSAの援助の一つの目標にもなつておるといわれておるのでありますが、一体ただいま外務大臣の言われましたように、情勢が変化をして来るということであれば、何らかの形でこのMSAの協定が継続をされる、そういうようなことになれば、同時に米軍が引揚げるというようなことも、やはりそういう客観的情勢とともに引揚げられないということがわれわれにも想像せられるのでありますが、一体MSAの協定をせられます交渉の過程の中において、米軍は何年くらいの計画で日本を引揚げるというようなことが、出ておりますかどうか、
○岡崎国務大臣 そういうことは、交渉の過程において出ておりません。元来MSAの問題は今年起つたのでありますが、安全保障条約は一昨年締結されて、昨年から有効になつておる。この安全保障条約を結びます当時から、アメリカ軍はこの条約は暫定的のものであつて、早く日本が防備力をつくつて、アメリカ軍は引きたいのだということを初めから言つておるのであります。従いましてこのMSAと直接に関係はなく、安全保障条約締結当時からのこれはアメリカの希望であります。
○中村(高)委員 朝鮮の休戦後、日本に駐留しております米軍の数は減つておりますかどうか。特に駐留軍の労務関係におきましては、御承知のように今協定中でありますが、順次解雇をせられて参りまして、相当多数の労務者が解雇せられております。これを米軍の方に言いますと、予算が減つて来たからというのでありますが、おそらく朝鮮の休戦とともに、相当引揚げもあるのだろうとわれわれには思えますが、一向そういうことはわからない。ただ駐留軍の労務者の方が解雇せられて来るから、だんだん引揚者もふえるし、仕事も減るのだろうと想像されるのでありますが、政府の方で具体的にそういう点がわかりますかどうか。
○岡崎国務大臣 まだ朝鮮におります。軍隊は、今のところはそのままのようであります。もつとも国内におきましては、朝鮮事変に伴つての特別の要務はそれだけ減りますから、仕事もそれだけ減るということもあり得ましよう。またアメリカの予算も現に減らされておりますから、そういう点もありましようけれども、ただいまのところは、休戦に基く軍隊の増減ということは、すぐに日本側には響いて来ておりません。
○中村(高)委員 まだ朝鮮の休戦がなつたばかりでありますからそうでありましようが、近いうちに、相当のものが引揚げるという場合があるのかどうか、その点をお尋ねいたしておるのであります。
○岡崎国務大臣 朝鮮には、かなりの部隊が行つておりますが、日本の安全を守るためには、これは海空と関連性がありますから、海、空が多ければ地上が少いでもいいというような場合もありましようけれども、大体において日本の安全を守るに足る部隊は、日本に置くことになります。その部隊は従来朝鮮事変の起る前の程度の部隊であろうと思います。従つて朝鮮の休戦が完全にできて、あそこから全部軍隊が引くというような場合が将来ありましても、これが全部日本に来るのではなくて、日本には日本の安全を守るに必要な部隊だけ来て、他はアメリカにもどるなり、他に行くなりにいたすことになると考えております。
○中村(高)委員 今朝鮮の問題が出ましたから、引続いてお尋ねしたいのは、この前の国会の終りのときに、朝鮮の休戦に基く政治会談の問題について、外務大臣から発言を求められて、外務委員会で御説明があつたのでありますが、そのときの外務大臣の説明の中には、今度朝鮮の問題についての政治会談が開かれます場合には、日本はきわめて重要関係を持つのであるから、政治会談に日本が参加できるであろうというような意味のことも言われておつたようでありましたが、今の国連の発表などを見ますと、とうてい日本が会議などに出席できそうにもないように思われますけれども、これに対して、政府は何らかの手を打たれておるのか、あるいは会談には出席の見込みがないのか、この点をお答えを願います。
○岡崎国務大臣 私は何と答えたか、その当時よく覚えておりませんが、私の言わんとする趣旨は、日本が出席するかしないかはわからない、これは別問題として、日本の意見はできるだけ反映するように努力をいたすべきであり、またそうするつもりである、こういうふうに申したと思います。しかしただいまの国連等の模様は、朝鮮出兵の各国の中から選ぶ、こういうことになつておるようでありますから、日本の出席というようなことは、今ちよつと考えられないのであろうと思つております。
○上塚委員長 中村君、持時間をすでに経過しましたが……。
○中村(高)委員 もう一つか二つでやめます。
 外務大臣の、この前の国会におきまして、日本が相当重要な関係にあるから、発言を求める機会をつくりたいということについては、われわれも賛成なのであります。しかし全然その点についてだめだろうというようなことで、引かれてしまつたのでは意味がないようでありますが、政府として、そういうことに対し折衝をしておるか、今後折衝をせられるかどうかを私は聞いておるのであります。
○岡崎国務大臣 政府としては、日本に関連のある重要な問題も当然起ろうと思いますから、できるだけ日本政府の意向が反映するように努めるつもりであります。
○中村(高)委員 これは北海道に起つた問題でありますが、ソ連人が三名と、日本人の関某という者がスパイの嫌疑で、今裁判所で裁判が係続しておるようでありますが、新聞によるとその中の二人のソ連人は帰されて、日本人の関というのと船長だけは起訴されて、裁判に付せられるということであります。日本の新聞の報道されるところによると、ソ連の前の大使館員か何かが、検察庁に向つて折衝しておるようなことが出ておりますが、外務省に対しまして、何かそういうような折衝があつたか、また今後こういうような問題が起つた場合の、外務省としての方針は、どういうことになつておりますか。
○岡崎国務大臣 ソ連代表部と称する者の残骸がありますが、これは何も資格がないものでありますから、外務省等に交渉する資格はもちろんありません。従いまして、国内におりますから個人としてのいろいろの取扱い方はありましようけれども、交渉とかなんとかいうようなかつこうにはなり得るものではないのであります。
○中村(高)委員 もう一点でおしまいにいたします。
 これは駐留軍から被害を受けております日本人の問題であります。日本人で殺されたりあるいはいろいろの損害をかけられておる。これは飛行機が落ちて損害を受けたようなこともありますが、米軍との間におきましては行政協定がありますから問題ないのでありますが、国連軍の方からの損害に対しては米軍は責任は負わぬということで、最近いろいろ問題が起つております。それは国連軍だからといつて米軍には関係ないといつてつぱねておるそうでありますが、日本人としては、米軍であるか、国連軍であるか、そういうような区別はわからないし、両方とも同じ立場であるのでありますから、この問題は日本の政府が責任を負うて処理しなければならぬ問題であると思います。そこで国連軍、たとえば朝鮮などに行つております国連軍、米軍でありまして国連軍だというのでありますが、これに対しましては国家補償については行政協定に基く扱いをせられるかどうか、たくさん問題が起つておりますから、これをはつきりしていただきたいと思います。
○岡崎国務大臣 アメリカの軍隊でありますれば、これは朝鮮に出かけましたものが帰つて来たものでも、国内では一応アメリカの駐留軍司令官の指揮下のもとに入りますから、駐留軍の一部として取扱います。ほかのイギリスであるとかその他の国連軍は、これは別問題であります。
○上塚委員長 松田竹千代君。
○松田(竹)委員 朝鮮休戦は世界でおおむね歓迎の意をもつて迎えられたのはきわめて自然でありますが、その後世界、特にアジア各地において次々に起つておる諸種の事態は、まつたく平和の風が吹いて来るような感じもない、いつ何どき何が勃発するかわからぬとさえ考えられる情勢になつて来ておると思う。このときにおいて、日本ははたしてこの世界的情勢に即応して同じテンポをもつて、外交的な事態がみな処理されておるかどうか。あまりにもスロー・モーではないか。むろん外交のことはきわめて慎重、隠忍、これが最も大事なことでありますが、私は個人としては、岡崎外相はきわめて練達堪能に外交事務を処理しておるように認めておる。しかしそれは外交事務の処理。敗れたりといえども一億に近い人口をひつさげて、人口的大国である日本の外務大臣として、あまりにも事なかれ主義に堕しておるやのうらみがある。日本は戦後米ソ対立の情勢下において非常に調子よく今日まで参つた。国民は敗戦の苦しみも、のど元過ぎれば忘れるの安易な感じになれて来ておるのではないかと、私は痛切に感じておるのであります。このときにおいて外務大臣たるものは、私はもつと気魄をもつて外交に当つてもらいたい。これが私の希望であります。質問者を軽くあしらつたりつぱねる気魄はあるようでありますが、ほんとうに私は真剣になつてもらいたいと思う。これは希望である。この見地において今し方中村委員が尋ねられた、朝鮮における政治会談において、日本は何らかの形においてこの会議に参加するの要は絶対にあると私は考える。朝鮮は今後どうなるか。朝鮮の動向いかんによつては、これはただちに日本の運命にも関係する問題であります。またただに歴史的、地理的、人種的その他経済的いろいろの関連においても、日本を除外して東亜の問題がはたして徹底的に解決できるかどうか。そういうことはできない。これは日本国民が強く要望するところであるとともに、外国もそれは認めておるところである。今度の会談には朝鮮に派兵した国にとどめるとか、いろいろの意見があるようでありますけれども、私はどうしても日本国としては何らかの形によつて参加しなければならぬと思う。なるほど派兵はしないけれども、日本は国連軍の兵站基地として、あるいは作戦の基地として、重大な関係を持つて来たことは事実である。ならば、この政治会談に日本が参加するということは、当然過ぎるほど当然である。しかるに一体どういう手を打つたか。どれだけの熱意と気魄を持つて、日本国がこの政治会談に参加できるように、どういう努力をされるかということを私は伺いたい。
○岡崎国務大臣 私も朝鮮の問題は重要であるということは、この委員会の席上でも申したのでありますが、同時にわれわれ今当面しております問題は、実は日本の経済の自立に向つてどういう手を打つか、どういうことをするかということが最も重大なときであつて、これを、言葉の表現は非常に悪いのでありますが、これに一意邁進をしなければないない時期でありまして、もしできますならば、ほかのことはあまり心配せずに、この経済の自立に向つて一意努力をいたしたいくらいに考えておるのであります。しかしお話のように、これに関連しましてもやはり朝鮮の問題も重要でありまして、日本としても相当の寄与はいたしたつもりでありますから、この会議の構成によりましては、日本の代表も出席し得る場合もあり得ると考えて、いろいろその情勢も見守り、また関係の国に話をいたしたこともありますが、ただいまのところは、もし東亜の全体の問題を討議するならば、別の会議を催すべきものであるという意見に傾いて来たようであります。従つて政治会議というものは、朝鮮の休戦に伴う朝鮮問題の処理ということに、だんだん限定されて来るのではないかと思われるのであります。その場合におきましては、今申した通り関係国はいろいろの事情がありまして、理由は別として、とにかく朝鮮派兵の国々のうちから選ふということになりますならば、日本としては、その場合にはできるだけ日本の意向が反映するように努むべきであろうと思つておりますし、また東亜の全体の問題が討議されるような会議が催される場合には、お話の通り、日本を除外してそういう会議が成功するとも考えられませんので、十分に日本の出席ということも考慮いたしたいと考えております。
○松田(竹)委員 外相のきわめて慎重な、自重的の態度は認めておるのでありますが、さればといつて、向うから何かころがつて来るのを待つておるというような態度それ自体が、私は物足らなく感ずる。なるほど日本の自立経済の達成は急速にやつてもらわなければならぬし、防衛体制も整えなければならぬ、何の余力あつてそこまで行けるかといえばそれまででありますけれども、やはり朝鮮の問題のごときは、どうしても日本と離れることのできない宿命的な問題であつて、これのほんとうに恒久的な解決を見ずには、何一つうまく行かぬのではないかと考えるのでありまして、私がもう少し気魄を持つてほしいというのはこの点であります。
 次に、朝鮮の戦争の火は消えたけれども、くすぶり方は依然としてくすぶつておる。先般マレンコフは、水素爆弾は米国の独占物ではないと言つたかと思うと、今度朝鮮で戦争の火を吹くようなことがあるならば、今度は満州を攻めるのだというダレス氏の言葉もあつたように考えるのであります。そこで私は一つの提案を外相に試みてみたい。日本は過ぐる戦争において、広島、長崎において原子爆弾の洗礼を受けた世界における唯一の国であり、唯一の国民であるということは、私はこの事実において、日本だけが特に原子爆弾の使用について、その管理について特別の発言権を持つておるものと考える。また同時にこれを二度と再び人数の上に使用せしめないという道義的な責任も受けたものと考える。ところが日本は、いまだ国際会議において出席するの機会がない、シャットアゥトされておる。だから、ソ連、米国初め個個の国に日本の主張をそれぞれ伝えるということが必要であると思う。もしそれもなお平地に波瀾を来すおそれがあるとして、自重して慎重に構えて行くというならば、せめても日本は、この人類が人類を否定するような行為は、断じて許せないという非常に強い気魄を持つて、原子爆弾、水素爆弾を国際的に三度と再び使用せしめないというような考えを持つておるということを、一方的にでも声明するの意思は外務大臣にないかどうか。これは私は、世界の平和に貢献し寄与する現在のような日本の立場において、非常に大事なことであると考えるのであるが、こういう問題について外務大臣はどうお考えになつておりますか。そういう声明書くらいは一方的にでも出す勇気をお持ちになつておるかどうか、お答え願いたいと思います。
○岡崎国務大臣 原子爆弾を使わせないということを一方的に声明することには、私はそれほどの勇気は必要はないであろうと思います。が、ただそれだけ言つても効果はないのであつて、松田さんの御意見も、実はただその声明をしろというのじやなくて、そういう人類を破壊するようなことのないように努力すべきであるということだと思います。それには現在の情勢では、ただ使つてはいかぬとか、使うことには反対だとか言つても効果は少いのであつて世界の輿論の傾向から見ましても、国連の討議から見ましても、実はそうではなくて、これを平和的なものにだけ使うように、原子力の管理を適当にいたすべきであるという点に陥つて来るので、これを武器として使えば非常に災害を起しますが、動力等に使えば非常に役に立つものであろうと思うのであります。そこでこの原子力管理の問題になりますと、今のところ、ソ連とアメリカの双方が受諾するような名案が出て来ておりません。これは双方に不信というか、信用しないような気持がありますと、いかなる案もなかなか採用されないわけであります。しかし私はこの原子力の管理ということは、やはり国連においてやるべき最も大きな問題であろうと思います。日本としましても、国連に加入することに努力したしておりますか、今のところ国連においてこそ発言権は持つておりませんが、何らかの形で将来持ち得る場合もありましようし、あるいはメンバーに加わる可能性が絶無というわけでもありませんし、国連を通じて原子力管理という方向に一歳を進めることにいたすべきであるから、当然日本もいたすべきである、こう私は考えております。
○松田(竹)委員 外相の言われるように、日本が現在の立場においてそういうことを言つてみても、何ほどの効果があるかということに対しては、私も同感です。しかしながら日本の特異の立場、先ほども申し上げたように、ただ日本だけが世界における原子爆弾の洗礼を受けた国として、私は日本がかかる声明をいたすことは非常に有意義であり、必ずしも効果は絶無とは思わない、その副産物必ずや相当のものがあるとかたく信ずるのであります。これらについては、この点だけ希望を申し上げてとどめておきます。
 さらに、朝鮮と日本との関係、これは朝鮮の政治会談の雲行きがはつきりしない今日、日韓会談を早く進めろと言つても無理な話かもしれませんが、日本と朝鮮の関係を何としても早く調整するの必要がある。現に竹島の問題にしても、これを円満裡に解決する方針である、まことにけつこうそれよりほかにないと思いますが、しかしどういう円満な方法でこれが進められるか。今の状態では日韓の感情というものは少しも融和されておらない。のみならず、事ごとにいろいろな問題について軋轢こそあれ、円満に解決するの方向に向つておるというようなことは考えられない。朝鮮においては相当の軍隊を持つており、日本は軍隊も何もない、わずかに保安隊だけにとどまつておるというような情勢である。のみならず、日本には無慮百万の朝鮮人が現に住まつておる。あるいは日本名を用い、あるいは朝鮮名を用い、これが一たび軋轢がはなはだしくなつたときに、また国内においてもどういう騒擾をかもさないとも限らない。こういうようなことを考えたときに、日韓の両国民の融和ということに対して、私はもつと考えなければならないのではないかと思います。日本の国民は、あるいは李ライン、あるいは竹高問題にいたしましても、朝鮮の国民に対して隣邦として非常な同情を持つておる。百万の朝鮮人が食うに困つており、日本ははなはだ迷惑しておる。いつでもいろいろな問題が起るたびごとに、調べてみるとそれは朝鮮人がその元をなしておつたということがある。こういう問題に対してもきわめて寛大な考え方を持つてこれに対処しておるということは、日本人が朝鮮人の民族の現状に対して、きわめて同情的であるということの証左であると私は考えます。だから日韓の国民の間の感情を融和し、日韓の会談の成功をいち早くやつてもらいたいと考えるのでありますが、岡崎外相は過ぐる国会においても、朝鮮の復興に対しては大いに協力するの用意ありということを言われておるが、これは当然過ぎるほど当然である。しかし朝鮮をして言わしめれば、何を言うておるのだ、それはみな日本の利益のためじやないかと言うかもしれない。日本は真に朝鮮の復興をこいねがうがゆえに協力するのであるけれども、先方は感情が融和されなければどうこれを解釈するかわからない。
 かかるときにおいて、私はもう一つここに提案をいたしたい。それは外相は真に人道的な見地に立つて、朝鮮は今や休戦が成つたとは言え、まだ国内は何らまとまつておらないのでありまして、医薬品など医療関係において非常な欠乏を来しておる。これはヨーロツパの小国といえども、あるいは宣教師あるいは特別の赤十字の活動などを通じてやつておる。隣邦の日本は何もしていない。私は赤十字なり何なりが日本から特別の医療団を送るということがきわめて適切であり、真に日本が朝鮮の人々と今後仲よくやつて行こうというには、まず自然の人情の発露として、そうしたものを派遣することが最も適切であると思うが、こういう問題に対して、岡崎外相はどうお考えになつておるか。これに対して熱意を持つてその実現をはかることに努力されるかどうか。そういうことは必要がない、今の段階においてそんなことは何もならぬとお考えになつておるかどうか、ひとつお伺いしたい。
○岡崎国務大臣 まず朝鮮の方でありますが、今おつしやつたことは一々ごもつともでありますが、さらに朝鮮の北鮮と南鮮の関係が一つになりませんので、それも国内に反映して困難は加わつておるのであります。しかしわれわれとしましては、朝鮮の問題について単に特需等に応じて、復興その他に援助するというだけでありませんで、現実にも、たとえばユニセフなどには相当の寄付をいたしまして、これによつて朝鮮の復興を助けておるつもりであります。しかし今お話のような医療団というようなことは、まことにこれはけつこうなお話だと思います。そのほかにも、たとえば建築であるとか、農業であるとかいろいろありましようが、医療団などは一番問題を起さないで相手方に非常に役に立つものでありますから、私は非常にけつこうだと思います。相手国の感情もありますから、実現がすぐできるかどうかは、これはわかりませんけれども、その方面に向つてできるだけ努力をいたすことは、これは私も賛成でありますので、今後ともお話のようにひとつやつてみようと思います。
○松田(竹)委員 この問題について外相が努力されるというお話を承つて、まずこの問題はこのままにいたしておきます。
 もう一つは、私は外相として最も関心を持たなければならぬと思われることですが、近ごろ起りつつある排米感情であります。排米思想、これはゆえなきにしもあらずでありましよう。行政協定、駐留軍人その他いろいろの問題がありましよう。また日本の国民性にもよる点があると思う。戦前においては排米であり、戦争中はもちろん鬼畜扱いであり、戦後はただちに米国心酔論者となる。また最近は何でも排米というようなことになつて来ておる。それはゆえあることもあるが、これは行き過ぎである。ゆえない点もある。そういうことについて外相はどう考えておるか。私は外務大臣としてこれは関心なきを得ないと思う。今、日本とアメリカとの間に締結されている諸条約を廃棄してしまつて、駐留軍に帰つてもらつて、このよりをもとしてすつかり元にもどすというわけには全然行かぬ。好むと好まざるとにかかわらず、アメリカとは協力して、日本の再建をはかつて行かなければならぬことは、日本国民の常識としてさよう心得ていると思う。反対論者もありますけれども、私は現実の問題としては、それよりほかにどういう手があるか、どういう道があるか、これよりほかにないのではないかと思う。はたしてしからば、この排米感情、排米思想に対して、外相は関心なきを得ない。これはどうしても何とかその了解を得るために努力をされなければならぬ。内灘の問題にしても、その他G――の問題にしろ、あるいは行政協定なりその他の諸条約の要点を、国民に向つてきわめてわかりやすく知らせなければならぬ。かつて私は外相にもこの問題で迫つたことがありますが、すなわち広報の問題、十分に国民に説明をするというこの点が非常に欠けておるのではないか。だから不必要なる点においてさえも、排米思想を惹起しているようなきらいなしとしないのであります。どういう方法で外務大臣はこれを緩和されようとするか。それはおれの範囲ではないと言つて無関心でおられるのか。奄美大島の返還、ああいうこともむろん日本の排米感情を融和するに有意義であつたと思うが、あるアメリカ人は、まだアメリカで日本に対して打つ手はたくさんある、しかし今むやみにそういうことをやれば、吉田内閣のクレジツトになるからやらぬのだという人さえある。それは別といたしまして、とにもかくにも日本としては、どうしても好むと好まざるとにかかわらず、現段階まで来た以上に、アメリカと協力して日本の防衛もやり、あるいは日本の自立経済の達成をやつて行かなければならぬ。この大いなる事実を前にして無意義なる、ある意味においては行き過ぎた反米感情の融和ということに対して、相当の関心を持つて岡崎外相は対処されなければならぬと思うが、どういうことをやつておられるか、どういうことをやろうとするか、ちよつとこれについてお伺いしたい。
○岡崎国務大臣 これはいろいろな方面でやらなければならぬことがたくさんあると思います。アメリカ側に対しては、奄美大島の問題も一つでありますが、今後とも日本の国民感情、国民の要望に沿うような行動をとるように、できるだけ要請をいたす必要があると思います。そのことにつきましては、たとえばクラーク大将なども、部下の将兵に対して、お前たちは一人一人がアメリカから派遣された大使と思つて、日本国民に融和するように努力せよと言つて訓示をされましたが、そういう方面でもやはり努力して行かなければならぬ。また事実上いろいろ日米の間の緊密な関係から、日本の国民が利益を得るような事実があることがやはり必要だと思います。同時に国内においてもいろいろおつしやるような誤解もあり、また説明の足らぬ点もあると思うのであります。しかし外務省といたしましては、予算の許す範囲で省員を日本各地に毎月送つておりまして、これをどこに何人送つて、そうして聴取者が何人おるということも毎月統計をとつて集めております。大体数十万の人には、ラジオとか講演だとか、何らかの形でいろいろな説明をいたしておりますし、また「世界とわれら」とか、「世界の動き」とかいうような。パンフレットも出しておりまして、これによつてもできるだけ国民に周知徹底をさせたいと考えておりますが、なかなかこれは外務一省のよくするところではないので、あらゆる努力はいたしますが、国会におきましても、できるだけこういう方面で国民が理解するように御協力願いたいと考えております。
○松田(竹)委員 予算に縛られておるから十分なことができないことは私もよく承知しております。しかしながらこれを国内のみならず、広く世界に日本の立場というものを十分に宣伝し、十分に了解してもらわなければ、日本の外交はうまく進まないのはわかり切つたことでありますから、どうぞ来年度はこういう方面にほんとうに熱意をもつて当られんことを切身して、私の質問を終ります。
○上塚委員長 本日はこれにて散会いたします。
    午後六時四十九分散会