第016回国会 法務委員会 第25号
昭和二十八年七月二十九日(水曜日)
    午後二時十一分開議
 出席委員
   委員長 小林かなえ君
   理事 鍛冶 良作君 理事 佐瀬 昌三君
   理事 田嶋 好文君 理事 吉田  安君
   理事 古屋 貞雄君 理事 花村 四郎君
      大橋 武夫君    林  信雄君
      高橋 禎一君    中村三之丞君
      飛鳥田一雄君    猪俣 浩三君
      細迫 兼光君    木下  郁君
      佐竹 晴記君    木村 武雄君
      岡田 春夫君
 出席政府委員
        法務政務次官  三浦寅之助君
        法務事務官
        (保護局長)  齋藤 三郎君
        法務事務官
        (人権擁護局
        長)      戸田 正直君
 委員外の出席者
        参  考  人
        (警視総監)  田中 榮一君
        大蔵事務官
        (主計官)   鳩山威一郎君
        専  門  員 村  教三君
        専  門  員 小木 貞一君
    ―――――――――――――
七月二十九日
 委員鈴木茂三郎君辞任につき、その補欠として
 飛鳥田一雄君が議長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 人権擁護に関する件
 法務行政に関する件
    ―――――――――――――
○小林委員長 これより会議を開きます。
 人権擁護に関する件及び法務行政に関する件について調査を行います。
 お諮りいたします。本件につきまして参考人として警規総盛田中榮一君より説明あるいは意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議はありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○小林委員長 御異議なしと認め、さようとりはからいます。
 発言の通告がありますから、順次これを許します。林信雄君。
○林(信)委員 私の発言は、主として大蔵当局の意見を聞きたいのであります。大蔵省のどなたがお見えになつておるのでありましようか。
○小林委員長 鳩山主計宮が説明員として来ております。
○林(信)委員 鳩山主計官はたしか法務関係を御担任になつて、予算関係をお扱いになつておると承知しておるがそうなんでございましようか。
○鳩山説明員 さようでございます。
○林(信)委員 あなたでけつこうだと思いますが、実を言いますと、同じ国家財政を切り盛りする仕事に携わつておられまする大蔵省関係の各位の中にも自然に、また立場によつて、考え方の違うようなことになるのもあり得ると思うのであります。そういう点から参りますと、法務関係の財政をお取扱いになつておられますところから、私の考えでは、法務関係に深い理解を持ち、非常な熱意をお示しくだすつておる方だと思います。そういたしますと、実は私のぶちまけんとしますような事柄に対しては、あなたに聞いていただきますることは、あるいは屋上屋を架するものであると思うのであります。その点はやや遺憾に思いますが、いずれにいたしましても大蔵当局の御一人といたしまして、ひとつ率直な御答弁を願いたいと思うのであります。
 まず第一に一般的に考えまして、由来法務省と言わなかつた司法省時代から、現在の法務行政というものを一括いたしまして、法務行政というものは非常にじみでありました。予算関係において大蔵省が非常に熱意がないのであります。言葉をかえれば、また理解が薄いというところから、予算関係について非常に不利益を受けておるということがあらゆる点に現われて来ている、こういう世論なんです。古い世論です。従いましてそういうことが実際どの程度かにあり得るということを考えまする関係の法務省関係の者におきましては、ざつくばらんに言つてうれしくないと思います。何となくそこにうれしくない気持、不満があるということに、今度は実務的な熱意に影響して来るのではないかということをわれわれは憂えておるわけであります。世論必ずしも正しいとは思いませんが、一般的に世論を裏書きするようなものでありましようか、それともそうではなくて、こういう場合には他省との比較、比率関係等が事態を明瞭にしてくれると思うのであります。あまりこまかい数字にわたつてもどうかと思いますが、具体的にかように見られるところから、それが肯定さるべきことであるのであるのか、否定さるべきことであるのか、納得の行く御説明をこの委員会を通じて法務省関係の者に私は示してもらいたいと思う。
○鳩山説明員 ただいまの問題につきまして私漠然たる感じといたしまして、法務行政に関する経費が非常に不足しておるような気が、ごく大ざつぱに考えましてやはりそういつた面があるのではないかと率直に感じておる次第であります。何ゆえにそういうふうに法務行政の予算が苦しいかということにつきましては、いろいろと理由があるかと思いますが、最近特にいろいろその場その場の政策が予算の上に非常に大きくかぶさつて参つておる。そのためにじみな一般のいわゆる行政事務をやつておるもの、こういつたものの経費は例年その節約をされて参ります。そういつた際に大体食糧行政とかあるいは厚生行政とか、そういつた非常に政策的な、大きな政策として取上げられる面にじみな事務、予算が少しずつ削られて行く、こういつた面が確かに大ざつぱな議論としてあるということを私は率直に感じておる次第であります。今後この予算の実行につきまして特に注意して参らなければならない点があると存じますが、また来年度り予算編成につきましては、このようは従来から少しずつ苦しくなつて来ておるというような面につきまして、私どもといたしましてはできるだけの努力をいたしまして、法務行政に支障のないような予算を明年度、あるいは今年度、何らかの措置がありましたらその際にはできるだけの努力をいたしたいと考えております。
○林(信)委員 前提いたしますように、その熱意をもつてやつていただいておるだろうと思うのであります。今お話を聞きますと、あなた自身もやはりその予算面において薄いということを一般的に感じられている。これは長い間の因襲的なものになつておるのではないかと思うのであります。
    〔委員長退席、佐瀬委員長代理着席〕
何らかの方法で画期的に何とか持ち直す名案はないものであるか。いつのときも治安を守り、正義を発現する法務関係において、それが重要なことであることは一応だれもわかつておらなければならぬはずだ、それがとかく陰のもの扱い、ばか者扱いみたいな感じに取扱われとということは、これは要するに考え方の問題でありまして、幸いにして時代はエポツク・メーキングな時代では今日ないのですが、今日を含めて長い世代からいたしますれば、十分その時期にある。この民主主義を確立し、あるいはせんとする時期におきまして、その根幹をなしますものは何といいましても正義の発現にあらねばならぬと思うのであります。その正義を確立し、これを発現する最後のものは、法務関係の所管庁であろうと思う。かようなことを考え合せましても、この時期、この時代に、何とかひとつ名案を持つて、大蔵省関係のあなた以外の人に思いを新たにしてもらう対策等が何かないものでしようか。これは一種の御相談的な御質問なんですが、部内においてただ財政的なやりくりから、金がないのだから、在来この比率で来たのだから、あるいはここに新しい制度が現れても、在来の比較上この程度のものでよろしいだろうといつたような惰性で来るままの予算の配分では、私は新しく踏み出そうとする法務省の熱意が非常に阻害されると思う。かような点について、何とかそちらの関係において法務行政関係に対する再認識をされ、結論として出まする予算の配分について、今あなたの嗟嘆せられますようなことのない、もう少し満足の行く予算関係の配分等を得る方法はないものか、またあなた方自身でどうこうということができないとお考えになるならば、われわれはお示しを得て、われわれがまた分担すべき分野がありますればやつてみたいと思う。どうかひとつさような点について御答弁願いたい。
○鳩山説明員 どうもなかなか私のお答え申し上げることのできることでないような御質問でございますが、結局のところは法務行政が現状において非常に不満であるという、その具体的な裏づけから出発いたしまして、予算でございますからすべてこまかい内訳が出ております。その個々の問題をよく検討いたしまして、不十分なところを具体的に調べ上げて参るという以外に、私ども事務屋といたしましてはお答えすることはできないと思います。画期的な法務行政を拡充されるという御趣旨につきましては、私どももまだ御答弁し得るだけの見識を持つておらないものでございますから、私どもでできます具体的な問題と取組みましてから、個々にその方面についてお答えをいたしたいと存じます。どうぞよろしく御了承願います。
○林(信)委員 しからばお言葉の中にありました具体的な事柄について伺いますが、先刻あなたから、事務費の点について非常に薄い、努力はしているが、そう行かなかつたというようなお話がありました。それは具体的にいいますと、いわゆる事務費ですから、人件費を除いた一般的な施設費等も入るのでございますか、それとももつと小さい事務費なんでございますか、その内容を伺いたい。
○鳩山説明員 私が先ほど申し上げました、特に普通の行政官庁の運営費といつたような種類の経費につきまして、人件費についても経常的に人員の増加を押える、むしろ逆に国家公務員はなるべく減らして参るという思想が、これは相当強く輿論としてもあるかと思いますし、またわれわれの予算査定の根本的な考え方に相当強く支配されているということがございます。そのほかに人件費以外の諸経費につきましても、そのときの政策によつて政策的な経費が急に大きくふえるという面と比較いたしますと、普通の行政運営に要する経費が伸びていないということが言えるのじやないか、こういう考えでございます。
○林(信)委員 その範囲について詳しく承つて後にしたいと思いますけれども、具体的に端的に伺います。裁判官なり検察官なり、その他事務官級、書記官級等の研修のことがあります。自然そのための経費の要求をおそらく法務省はお世話になつて来たのだろうと思います。これも漏れ聞くところなのでありますけれども、それらのこともやはり大蔵省関係の予算のあんばいから、今までのようには行かなくなり、あるいは打切りになるとか、その回数が減らされるとか、その範囲が狭くなるとかいうようなことで、まだまだ多数の裁判官なり検察官なりその他の諸君について研修を受けざる人がある。これは私から講義めいたことを申し上げることもないのでありますけれども、流れる水は常に生々として生きておりましよう。腐ることもないかもしれません。動きのとまつたときにはやはり水も腐り得るのであります。腐ることがあるのであります。人の性能などというものは、常にみがきをかけて行くことにより進歩することが望ましいのでありますが、その進歩をとどめますと、それは実はとどまるにあらずして退歩であるということをわれわれは自覚しなければならぬ。あれこれ考え合せまして、りくつを申し上げるまでもなく、研修は、いささかでむ裁判なり検察事務なりに関係を持つております者は、――警察関係も含むのでありますが、まことにいいことだと思うのでありますが、どうもさような根本的な対策が予算の関係から非常に制約を受けておる。しかもそれが打切りみたいになるのではないか、そうはつきりしているとは聞きませんけれども、そういう危惧の念を持つておる。具体的な問題なのですが、あなたの御関係なさる範囲においてそんなことなのでしようか、それともそうじやないのでしようか。
○鳩山説明員 研修に要します経費につきまして、当初私どものつくりました今年度予算におきましては前年よりは増しておつたのでありますが、全般的な行政費の節約という方針が閣議できめられまして、これはあらゆる科目をやるのだという原則に基きましてやりましたので、結局義務的な経費とか、どうしても節約できないというようなものにつきましそは、節約をやりませんものもございますし、あるいは節約率を少くしたというのもございます。なおそれによりまして、節約方針を織り込みまして御審議を願いましたのですが、その後またさらにもつと節約をするというような方針が定められたのであります。そのために当初計画されました研修計画というものがそのままでは実行できないような段階になつたのであります。私どもの立場といたしまして、節約というようなことは非常に無理だということはよく存じております。ただ全般的にあらゆる官庁を通じてこういう方針でやるのだという方針が政府といたしましてきめられました場合に、この部面だけを節約しないということはなかなか困難でございます。結局のところ、当初計画された通りの研修より節約された部分だけは減少せざるを得ない現状の結果になつておると思つております。
○林(信)委員 その点の具体的なことをもうちよつとお伺いいたしたいと思います。当初大蔵省でも理解せられて、この程度の研修費ならばよかろうと言つたのはどのくらいで、それが閣議でどの程度に削減せられたのであるか。そうしてさらに国会において、すなわち衆議院の予算委員会、結局は本会議ですが、そこにおいて、普通行政費の削減を食つたためにどれだけ削減されたか、数字でうるさければパーセンテージでおつしやつていただいてもけつこうですが、一応数字で簡単にお答え願いたい。
○鳩山説明員 数字のことにつきまして誤りがあると申訳ございませんので、正確なことは今ただちに調べましてこの席でお答えいたしたいと思いますが、当初の額は、本研修所の経費として五千三百万円、そのうちで特に検察官の研修経費といたしまして二千万円、それから検察研修費といたしまして一千万円、このようなものが実際の経費として組まれたおつたのであります。節約後の数字につきましては、ただちに連絡をとりまして正確な数字を取調べますから、ちよつとお待ちを願います。
○林(信)委員 研修関係につきましては、簡単でございますが、さような二、三の質問によりまして私の気持もおくみとりを願つたかと思います。従つて、御迷惑ながら一段の御尽力を願いたいと思います。
 大まかに、今度は人の方を離れまして物の関係でございますが、御承知のように、裁判所でだんだん改築せられましてきれいになりましたものがあります。法務省関係も検察庁関係もまた改築せられましてきれいになつたものもありますが、まだまだ取残されてさんたんたる姿であるものもあることはこれはお耳に入つているだろうと思い申し上げるまでもないのでありますが、正義の殿堂であるべき裁判所関係、なかんずく法廷の設備等がさんたんたるものであるために、表現が強過ぎるかもしれませんが、まことにお粗末でありますために、法廷の威厳を備えない、著しく裁判官なりひいては裁判の威信を失墜するというようなことが痛切に考えられておることも、これはおそらく御存じになつておるだろうと思います。さような関係から改築のこともおいおいになされておると思うのでありますが、深く思いをそこにいたしまするならば、これらのことも熱意によりましていま少しく急速なる改築等がなされていいのではないかと思います。なお物の関係におきましては、――これは刑務行政になつて参りまするが、刑務所に至りますれば、東京の有名なる刑務所におきましてもかなり時代遅れの状態にあるのではないかと思います。先般もこの委員会におきまして視察等の計画がせられておりましたが、国会の審議関係から流れておるのでありまして、最近のものは私は行かないから知りませんが、古いものは私もよく視察に出かけて行つたことがあります。私の今頭に浮んで参りますことは、所によりましては、昔の徳川幕政時代の牢屋そのままのものが残つて使われている。これは一例でありますが、そういうようなことから推して知るべく、その他の設備におきましてもまことにお粗末であるために、それによつて起る事故等もないではないのです。これは裁判の威信とは別でありまするけれども、刑務所の設備というものがはなはだしく粗末であるために、刑務行政に携つておりまする第一線の看守等がはなはだしく収容者に軽侮の念をもつて見られるということもなきにしもあらず、いな、私はあると思う。これは看守等の教養の問題にも大いに由来すると思うのでありますけれども、物的設備の粗末なことは決して無関係ではないと思う。これらを考えますときに、同じような言葉で表現いたしますが、これらのものにつきましても画期的な計画を立てておやりになつておりますか。そうやつていただかなければ、このじみな法務行政関係を刷新することははなはだしく困難であり、時期においてもはなはだしく遅れると思うがどうでしようか。これに対してどんなお気持を持つておられるかお聞きしたい。
○鳩山説明員 裁判所並びに法務省関係の施設につきまして、なお非常に不十分であるという御意見でございますが、私ども決してこれで十分とは存じておりませんけれども、官庁の建前といたしまして、裁判所及び検察庁、その他刑務所関係、これは政府自体といたしましても今までも相当重点を置いてやつて参つているような次第でございます。しかし、何分建物自体が相当不足しておりまして、たとえば教育関係などにおきましても、一説によりますとまだ百何十万坪というような危険校舎があると言われておりますが、このように中央並びに地方を通じまして厖大な建設をしなければならぬような時期に遭遇しておりまして、各分野においてバランスをとりつつ建物の充実をはかりたいという方針であります。裁判所並びに法務省関係が、特に他の行政分野から建物の面で非常に遅れているということは、私の今まで聞いております範囲ではまずないのではないかと思います。相当一生懸命充実に力を注いでいるということを御了承願いたいと思います。
○林(信)委員 他の官庁関係と比較して遅れていないと言われるのでありますが、それはあなたの見方の問題だろうと思うのです。それは他省においても、ひどい建物であつたり、狭隘な事務室を持つて苦労しているところもないではないけれども、一般的にながめまして、国民だれが見ましても、裁判所あるいは検察庁、なかんずく刑務所まで入れますと、他の諸官庁に比べまして非常な見劣りだと思う。その現われといたしましては、新しく改築にかかつておると言われますけれども、かかつておりますその建築をパーセンテージで申しますならば、百のものならば五十ぐらいに切り詰めてやつて、新しく建物ができたけれども、パーならばいいか、元の建物よりも狭くなるというようなものも出て来つつあるようであります。そこで伺いたいと思いまするのは、あなたは大体やつて行かれておるところを見ておられるようですけれども、法務省関係で、その中の裁判所関係の営繕費を見ましても、十億を越えておつたようなものが、それを下まわつておるように私は見ております。今度の削減によりまして、さらに下まわるのではないかと懸念されるのであります。従つて、検察庁関係におきましても、十二、三億もありましたこれらのものも、またその下を行くのではないか。今年度の予算では、これは具体的にどうなつておりますか。数字がございましたならば……。
○鳩山説明員 二十八年度におきまして、正確な数字は取調べますが、法務省施設には……。
○林(信)委員 ついでに、ここ数年ぐらいで漸増しつつあるか、漸減しつつあるか、そういう点で、あらましお聞きしたい。増減のぐあいがどうなつておるか。
○鳩山説明員 本年度は約十億が計上されておると思います。裁判所は、前年度が約六億幾らであつたかと思います。本年度は約八億であります。それで前年度に比べますと、前年度は大体十億程度で、今度も十億程度です。その前に、家庭裁判所などを新設した時期がありまして、あるいは臨時に一時に非常に法務関係に施設費をよけい計上した年があるかと存じますが、一応その整理も終りましたので、経常的な事態に対処いたしました経費として、大体十億前後を計上しておると思います。
○林(信)委員 お話のようにそれは一時的なものもありましようし、数字だけでは言えないかもしれませんが、数字は何といつても動かせない事実なんですから、これは大きな参考になる。そういうものをながめましても、私はどうもそれらの物的な施設面においても、大蔵省の方でもう少し熱意を持つて、平たく言いますならば、かわいがつてもらいたいと思う。そうでなけば、先刻もちよつと一言いたしたように、せつかく新築計画をやりましても、計画だけはりつぱだつたけれども、できるものは結局不自由なものができる。耕しい近代的な建物を計画しながら、それには暖房設備一つない。私は真接現場を見て来たのでありますが、弁護士の控室はあるけれども一応接間がない。おそらくは廊下のすみで関係者に面会しなければならない。それは弁護応士接室の問題だけでなくて、調停委員の部屋にしましても、どこもここもきゆうくつになる。こういうことになるほど近代的らしいものをそこに建てて、将来の増築を考えて構内は広くとつてあるものの、しかし実際のものはかなり不自然なものになつてしまう。これではどうも、その舎屋において勤務いたします者の職務上の熱意に関係して来るだろうと思う。建てますものも、無用なものを建てているわけではありませんから、わずかのことで効率的に役に立つ建物をつくりたい。そういう点から参りますと、やはり先だつものは金でありまして、予算の面で少しくゆつくりしてもらいましたならば、はでにする場所でもないのですから、有用の中の有用に充てられまして、さような面もたいへん助かる。重ねて御意見を承る必要もありませんが、ぜひいま少しく熱意を希望するわけです。大体気持がわかつていただければよろしいのでありますから、こまかい問題は端折ります。
    〔佐瀬委員長代理退席、委員長着席)
 そこでこの際、人権擁護委員法に対しまして、法務省の関係の方にお尋ねしたいと思います。これはさきに提案されて、この委員会を通過いたしました法律自体には関係がないのでありますが、結論を最初に申し上げますと、人権擁護委員の給与というものは全然ない。これは法律に明らかにしてあるところであります。これは納得も行くのでありますが、少くとも費用の弁償があらねばならぬということで、この法律はできておると思います。しかるに具体的な費用弁償がどうなつておるかということを聞いてみますと、全然もらつていない。もつとも、もらおうともしない。従つてやらない。弁償を受ける権利はあるけれども、これをぜひとらなければならぬという法規があるわけではないから、もらわないことは自由かもしれませんけれども、それだからといつて、請求がないからやらないということで、一体考え方として――実際的には請求しなければやれないのでございましよう。しかしそういう風潮をそうでなく改めるという行き方はあり得ると思う。これはいずれにしても費用弁償ですから、わずかなことですが、こういう重要な任務をやつてもらいますのに、法務省関係のその他の司法保護委員なり、あるいは調停委員なり、これらの諸君の比較からいたしましても、無給与ということで一体いいのでありましようか。これは根本的な問題だと思う。いまさら私が法律をひつくり返しまして、とかくのことを申す必要もないかもしれませんが、人権擁護委員に課せられますところの使命が、わざわざあげつらつてありますことは、御存じの通りであります。すなわち、「国民の基本的人権が侵犯されることのないように監視し、若し、これが侵犯された場合には、その救済のため、すみやかに適切な処置を採るとともに、常に自由人権思想の普及高揚に努めることをもつてその使命とする。」この使命の一面を見ましても、あるいはその職務として列挙せられますものを見ましても、言葉は義務とは書いてありませんが、人権擁護委員の義務として見るべきものを取上げましても、これらの委員諸君は「常に人格識見の向上とその職務を行う上に必要な法律上の知識及び技術の習得に努め、」使命より流れ出るものとしてかようなものを要求して、「積極的態度をもつてその識務を遂行しなければならない。」という要求を法律はしておるのであります。元来が人格識見あり、これらの法律上の知識技術の習得のある方を任命しておるのでありますが、これにプラスいたしまして、さらにこれらのものを遂行すべく要求しておる、あるいは付随的なものとしましては秘密保持の義務、立ち入つて差別的または優先的な取扱いをしてはいかぬとか、政党または政治的目的のために利用されるなとか、その人の事業関係にまで立ち入つて、人権擁護委員たることにふさわしくない事業はやつてもらいたくないとか、またそのような事業を営むことを目的とする会社その他の団体の役職員になつてもらいたくないとか一いろいろ制約的にかようなことを要求せられるのであります。かつ「職務上の義務に違反し、又は職務を怠つた」ということによつても解嘱するのだというようなことで、悪くいえばおどしつけておるのであります。余は一文もやらずに、実際問題としては実費弁償すらやらずに、大きな使命のためにいわば身を挺して、からだ全体を法務大臣に預けて、この仕事をやれと命令しておるのがこの法律のできた形のようであります。実際にごあいさつ等については御丁寧にごあいさつにまわつておるかもしれませんが、法の成文から参りますれば大きな要求をしておるのです。それでもこの使命達成のために喜んでやつてくれているのだからそれでよろしいといえばそれつきりかもしれませんが、およそ人間が人間に対するならば、人間が人間に対する礼もなくてはならぬ。礼から申しましても、これはあまりにもこれらの諸君に対しまして、とるべき礼ではないように思われるのであります。一般的にかような問題はどのようにお考えになりますか。
○戸田政府委員 お答えいたします。人権擁護委員に対しまして非常に重要なしかも困難なお仕事をお願いしておきながら、給与もあげておらないことはたいへん申訳ないことだと思います。御承知のように人権擁護委員の実費弁償費は一人について一年間千円ということになつております。そこでただいま先生から御指摘のございましたように、人権委員の方の中にはこまかいいろいろの実費を請求するのを快しとしないといいますか、めんどうくさいと申しますか、あるいは非常に人権擁護に熱意を持つて、多少の自腹を切つてもよいのだというような考え方の方もいろいろございまして、実は実費を請求されない方も非常に多いかと思います。しかし実費を請求しないからやらないでそのままでよろしいのだというような態度を決してとつておるわけではございません。地方の法務局四十九局において多少いろいろの取扱い方も違うかと存じますが、委員の方に会同等に来ていただきましたときに手当を差上げているところもございますし、また旅費を格別に出しておるところもございますから、必ずしも全部の委員の方が実費弁償を受取つておらないようなことはない、かように考えております。中には先ほど申し上げましたようにほとんど実費を請求されないで、非常に犠牲を払つて負担をせられておるということも承つております。そこでこの一年の千円の実費弁償費で一体いいのかどうかとおつしやいますと、これは常識でもおわかりの通り、年間千円の実費弁償金で決して十分だということはもちろん考えておりません。また手当等も差上げるのが至当だと考えております。ただ報酬ということは人権擁護委員の仕事の性質上どうかということも考えておりましたし、また御承知のごとくこの仕事は終戦後できた制度でありまして、どの程度の仕事になるかということも政府としても十分よく了解しておりませんでしたので、一応弁償金千円ということに大体目途をつけたのだろうと思うのであります。たいへんくどいようでございますが、千円の弁償金では十分な仕事もできませんし、十分だとは考えておりませんで、でき得れば、この弁償金ももう少し増額していただき、そうして委員の方のお手当も弁償金の中から差上げられればずつといいのじやないかと考えております。ただ従来年間千円というような定められたわく内でございますので、委員の皆さんに非常に重要なお仕事をお願いしておきながら、これといつて発表できますような予算的処置も考えておりませんことはたいへん申訳ないと存じます。
○林(信)委員 同じような気持でやつていただいている点については異論ないのでありますが、ただいまのお言葉の中に、委員たることの職務の性質からその給与のことはどうであろうかというようなお言葉がございました。一応考えられる問題だと思うのです。しかしそれを言つたならば、国家的な職務に当りまする者はだれももらわないでやる方が一番公平無私にやれるかもしれない。ところがそうは行かない。おのずからそこには、それに献身いたします者には生活のための給与がなくてはならないでしよう。擁護関係におきましても、いわゆる自腹を切つてということは、金はわずかにしましても、言うべくしてなかなかやりにくいことなんであります。それをしもやつておられまする現在の人権擁護委員には多大の敬意を表しますけれども、それだからといつて、晏如としれこれをながめていることはどうであろう。すなわち人の問題でありますから、人の問題におきましては、この場合法律自体が示しておりますように、その推薦された者に対しまする委嘱ははなはだしく厳重にしぼつて御委嘱と申し上げているわけです。これはまたわざわざ読み上げるまでもございませんが、「人格識見高く、広く社会の実情に通じ、人権擁護について理解のある社会事業家、教育者、報道新聞の業務に携わる者等及び弁護士会その他婦人、労働者、青年等の団体であつて真接間接に人権の擁護を目的とし、又はこれを支持する団体の構成員の中から、その市町村の議会の意見を聞いて、」云々ということである。
    〔委員長退席、田嶋委員長代理着席〕
これらに関する若干の修正的改正がなされたことは過般の通りでありますが、この文に見えますように、人格識見高く、広く社会の実情に通じておられまするこれらの人々に対しまして、その給与があるから職務を二、三にするとかしなとかいうようなことを思うということは、すでにこれは失礼な話であります。要は人の問題なんですから、人を得ておりますれば、その人に対する礼を尽すべきである。結局元に返りますが、私はどうもこの法律を通じました国家としての――あなたの礼儀ではありませんが、国家としての礼儀がないと思いますので、特段の御配慮を願うべきではないかと思います。
 これに関連いたしまして伺いますが、さような観点に立つ立たないにいたしましても、人権擁護委員は、今あなたの話されるところによりますれば、まだ一種のテスト時代のように言われますけれども、少くとも私の知つております地方の人権擁護委員は、非常に厳正な立場で、非常に熱意を持つてやつておる。これは委嘱のこと等が非常に厳格にできて、その措置を誤つておられない結果と思つて敬意を表しますが、これらの諸君に対して人権擁護の面からどの程度に立ち入ることを御当局はお考になつておるのでございましようか。実際において非常に熱意は持つておりますけれども、はたして行政面の人権の侵犯せられた場合に、どれだけに立ち入つて、どれだけのことができるかということを躊躇せられておる向きがある。熱意を持つて常にその思想の普及、高揚といつたようなことについては、これは何でもないから非常に力を入れる。侵犯せられて訴えて参られたような者には、非常な熱意もここに見られるのでありますが、人権を侵犯せられた者がすべて擁護委員の手元に訴えて来るとは限らない。しかるに世評により、簡単な場合は新聞等によつても疑うに足る場合もしばしば見受けられる。これらの場合に自発的にどの程度立ち入れるか。もつと具体的に言いますれば、警察等において人権蹂躙のことがあつて、かりに法廷なら法廷に現われます。あるいはそれらの関係弁護士会等においてうわさが出たとします。そうした場合に進んでどこまで立ち入つてどうやれるか躊躇しておられる。この点についてどんなものでありましようか、伺います。
○戸田政府委員 人権というものは、先ほど林先生からお話がございましたように、人権思想の普及、高揚と、人権侵犯事件の調査情報の収集等が主たるものでありまして、非常に広範囲な仕事を持つております。そこで人権擁護委員が、ただいま例をあげましたように、侵犯事件についてどの程度に立ち入るといいますか、仕事ができるかと申しますと、人権擁護委員に人権を侵害された者が申告をする場合と、それから新聞、ラジオ等によります、情報の認知、必ずしも新聞ラジオだけではございませんが、情報によつて認知した場合に、入権擁護委員はただちにその人権について調査をいたすことができることになつておるのであります。その場合に調査をいたしますについて、この人権擁護の仕事というものが、先ほどから申し上げておりますように、非常に重要であり、また同時に困難な仕事であります。人権擁護委員の方が、必ずしも人権侵害事件を全部の委員の方が、先ほど先生から申されますように、委嘱いたします場合に、法律には非常にしぼつてございますが、重要な仕事をただちに、どの人権擁護委員の方もできるかどうか。多少失礼な言い方のように思いますが、都市の委員の方、これは主として学者や弁護士の方が多うございまして、大体学者とか弁護士さんなんかそう心配はないのであります。市町村等に参りますと、必ずしもこの人権問題というものが、委員の方が任命されたからといつて、そうただちにこれを適切に処理することがはたしてできるかどうかといいうことに、まだ多少の疑いもございますし、また人権擁護の仕事上、やはり役所と民間の人権擁護委員というものが、協力してやるという建前がまだいいのじやないかというふうに考えておりますので、人権擁護委員の方が調査をされました場合、また重要な事件について調査をされます場合に、法務局あるいは地方法務局に連絡をしまして、協力して仕事をする。もちろん単独で仕事をいたすことはできますが、協力して仕事をしていただくことが、最もふさわしいのではなかろうかと考えるのでありまして、実際問題としましても、人権擁護委員の方が、その地方において、非常に大きな問題を起しておりますような事件については、各法務局に連絡をして協力して調査をし、事件を処理いたしておるというのが実情でございます。
○林(信)委員 法文を見ましても、第二条にその使命として掲げられておるところの言葉は、「その救済のため、すみやかに適切な処置を採る」すなわちこの人権が侵犯された場合の処置として、「その救済のために、すみやかに適切な処置を採るとともに、」云々ということで、この言葉をもつていたしますならば、相当立ち入つた処置ができるかのようにも思われる。これを第十一条に持つて参りまして、委員の職務として掲げられますものを拾つて参りますと、やや狭められた感がある。十一条の第三号、今局長の言われた文言の入つておるその三号なんですが、これによりますと、「人権侵犯事件につき、その救済のため、調査及び情報の収集をなし、法務大臣への報告、関係機関への勧告」これまで考えてみますと、せいぜい力強いものが勧告の程度なんです。せつかく調査をし、情報を収集して、それを大臣に報告することと勧告だけなんです。これでは私はせつかく現地の人権擁護に当る第一線の人の仕事としては――仕事をしない人の気持から行けば簡単明瞭でよろしゆうございますが、熱意を持つてやります者には、あきたらないものがある。一々請託を受けるわけではないが、せつかく訴えて来られましたような場合、世論に従つて立ち入つて、何とか処置をしようとする者が、単なる法務大臣への報告や、関係機関への勧告のみでとどめるとしますならば、残念な場合があろうかと思うのであります。しかしながら法はそれに続きまして、勧告にとどめずして「等適切な処理を講ずること。」とあるのでありますから、ややまた広まつた感がある。これを広めて考えますれば、勧告だけにはとどまらないのだ。立ち入つてその過ちを再び起さないように、緊急的な措置もありましようが、恒久的なものまでも立ち入つて、そこに再びあやまちなからしめるだけの権威ある行動にも移れるもののようであります。そこまで行けるのでありましようか。例示されておる勧告までが非常に強いもので、あとは枝葉末節の処置しかできないものか、どこまである力と考えればよろしいか。
○戸田政府委員 人権擁護委員の使命につきましては人権擁護委員法に書かれておりますので、一応建前としては人権擁護委員が単独に人権侵犯事件を調査し、処理することができることに相なつておるようでございますが、先ほどもちよつと申し上げましたように、この仕事は非常に重要なしかも困難な仕事である。人権擁護をするということが国民に非常に重大な影響を与えますだけに、非常に慎重にやらなければならぬというような建前から、委員の方の能力が足りないというようなことを申し上げるのでなくて、やはり一応法務省の人権擁護委員であります関係上協力してやるのが最も適当だというようなことから、人権について調査を必要とするような事件につきましては、当該法務局及び地方法務局に連絡をして協議をして調査するということが今の段階ではよろしいのじやないかというので、人権擁護委員執務規程でさように定めておるのでございます。しかしこれがいつまでもこのままでいいとは考えておりませんので、委員の方が十分な研修というか、言葉はたいへん失礼かと思いますが、委員の方にも十分研究できますときが参りましたならば、こうした執務規程も、必要な個々の事件を直接調査し、また処理されることが最もふさわしいというふうには考えておりますが、今のところまででは一応調査を要しますような重要な事件につきましては、各当該法務局あるいは地方法務局に連絡をして、協力をして調査をし、処理をするということがよろしいのではないかというふうに考えております。
○林(信)委員 先刻から言つておつたようなことで、せつかく熱意を持つてやります者の芽をつまないように、伸び伸びとやるだけのことを、りつぱな人物がやるのですからやらしてもらいたいということと、鳩山さんには御迷惑でしたが、こういうことで法務御当局の方に苦言を呈しなければならぬようなことも、やはりこれは予算に非常な関係を持つて、予算が少くてすでにわれわれ今やつおります刑法の関係の保護観察関係におきましても、予算関係等がすぐ頭に出て来るのであります。どうぞ一段の御尽力を願いたい。一応これでやめておきます。
○木村(武)委員 福水官房長官の出席を要求しておるのですけれども、いまだ何らの音さたがありませんが、どうなつておりますか。
○田嶋委員長代理 実は委員部の方から私の方へ連絡がありまして、極力呼んでおります。見つかり次第出るそうでありますが、まだ見つからないそうであります。決しあ誠意を失つているわけではありません。
 岡田君発言してください。
○岡田(春)委員 数日前の委員会において、東京都下の足立区に起りました事件に関連して白骨団なるものの暗殺団の十三名の暗殺陰謀が企てられているという話をわれわれは耳にいたしておりまして、この問題について事が事であるだけに厳重に調査を願いたいという要求をいたしたのでございます。これについて犬養法務大臣は、事件がお話の通りであるならばきわめて重大であるから、法務省としてもしかるべき担当において即刻調査をいたしたい、こういうような答弁がありまして、ちようどときたまたま田中警視総監が法務委員会の傍聴として参加しておられましたので、それに関連してぜひ警視総監の管轄の西新井署の事件であるだけに即刻御調査を願いたいということを要求をいたしました。その後委員会が終りましてから口頭ではありましたが、書面等につきましても警視総監にこれを手渡しまして、その内容を警視総監にもお伝えをいたしたわけなのでございますが、その調査の結果をまず警視総監から伺いたいと思います。
 それからまた法務大臣から、即刻しかるべき担当において調査をいたして報告をいたしたい、かように回答がございまして、口頭で検察庁と人権擁護局と両方において調査をしたいという意味の答弁もありましたので、これについても法務省当局からその調査の結果を伺いたい、かように考えております。まず第一に警視総監から細詳なる経過を承りたいと思います。
○田中参考人 過日ちようど私法務委員会を傍聴しておりましたときに、岡田委員の御発言の途中から承つたのでありますが、前段の十三名の白骨団、これにつきましては私聞き漏らしておりましたので、実は後段の西新井警察署管内の民団並びに民愛青のいろいろないきさつにつきましてさつそく調査いたしました。この点だけを私から一応御回答申し上げたいと思います。なおその白骨団云々の問題につきましては私自身もひとつよく調査してみたいと考えておりますが、その際に岡田議員からいただきました資料をもとにいたしましていろいろ調査をしてみたいのであります。私がこれから申し上げますことは警察として調べた調査でありますので、あるいは多少事実に相違しておる点あるいは事が前後しておる点があるかもしれませんが、一応申し上げてみたいと思います。
 今回の西新井署管内におきまする民団世びに民愛青の争議は、その紛糾の原因といたしましては足立区本木町一丁目九百三十五番地に植村ゴム会社というこれはゴム製の運動靴を製造している会社でございますが、そこに従業員が約三十名ほどいますうち、北鮮系と認められる従業員が二、三名あるということであります。社長は韓国居留民団員の植村、これは日本名であります。植村は四十三才でありまして、この従業員は夏季手当要求中であつたのでありますが、七月十日付近在日朝鮮民主愛国青年同盟員、民愛青員と申しますが、夏季手当を支払わぬ植村ゴムの横暴云々のビラを前記植村工場の前の電柱に張つたので、植村が「関係者以外の者が干渉するのはけしからぬ」といつてこれをとりはがしたところ、民愛青員四名に取囲まれ、うち一名にその場で殴打されたため植村は、足立区本木町一丁目八百十番地、在日朝鮮統一民主戦線足立委員事務所に抗議したところ、そのとき同所にて民愛青執行委員鄭忠權はその非をさとり民愛青名義をもつて植村に対しわび状を入れたのでその場は一応治つたのでありますが、本月十二日午後五時ごろ民愛青幹部朴明漢、康賞基等が植村方に押しかけ「個人名義のわび状ならさしつかえないが民愛青名義では困るから返せ」と談じ込んだが植村はとうとうそれを返さなかつた。同日午後十時ごろ民愛青四、五名が足立区本木町一丁目九百三十六番地民団事務所前で民団員と口論し殴打した上、さらに民団事務所の看板を持ち去つたと民団側が称していることが民団足立支部と民戦・民愛青足立支部との紛争の原因となつたのであります。
 そこで七月十三日の状況を申し上げますと、民団側は午前中より約五十名くらいが民団事務所に集合しており、民愛青側は民団側集合の状況を察知して北鮮系朝鮮人に呼びかける一方王子高校生約百名位を動員、足立区本木町一丁目都立第四朝鮮人小学校に待機させたのであります。
 そこで午後四時三十分、民愛青幹部文景南外二名が西新井警察署警備主任に面会を求め、民団側が動員しているから警戒してもらいたいと申入れ、また民団側幹部も民愛青が動員しているからと同様の申入れを双方から受けたのであります。そこでただちにその旨署長に報告し、署長は、私服員三名、制服員五名を一組として双方に派遣して、事端を起さざるよう説得に努めましたが、民団側においては全員飲酒しており、代表をやつて交渉すると称しているために、事態の発生を予想し、その旨西新井橋派出所に待機中の警戒員に連絡したのであります。一方民愛青側は説得を受け、一応退散いたしました。なお警察署には事態警戒のため署員を待機せしめたのであります。同日午後六時五十分ごろ民団側は警察署員の説得を聞かず、民愛青と交渉すると称し代表らしいものを先に立て、約四十名くらいが、約二、三百メートル離れた近距離にある民愛青事務所に向つたので、私服員より制服警戒員に連絡したが、その間民戦事務所にいたり、留守居と残務処理のため残つていた四名に対し、「看板を返せ」と押問答のあげく附近の民愛青が出て来たため、署員の制止も及ばず、遂に民愛青員との乱闘となり、民愛青員四名の負傷者を出し、またこれを制止した私服警察官三名もまた殴打されるに至つたのであります。
 民団側の暴行の報により、ただちに警察署より警戒部隊を出動させるとともに、警視庁予備隊の応援を得て事態の鎮圧に努めたのであります。事態鎮圧後暴行容疑者として民団側六名を検挙したのであります。しかして午後十時三十分ごろ民戦男女三十名ぐらいが西新井署に来署し、代表三名が署長に面会し、また同時刻ごろ民団代表五名も来署、署長に面会を求め、双方とも公平に措置するよう要望し引揚げたが、それぞれ各事務所に約二十名ぐらいが残留し、対峙していたので、これが警戒を行つたのであります。
 その後の状況といたしましては、七月十四日民団系は五十名くらい集合し、民戦系は八十名くらい集合し、おのおのピケを張つて互に警戒していたので、署長は双方に対し平穏裡に解散するよう説得する一方、事態発生に備え、視察、警邏を強化するとともに、警戒態勢を整えていたのであります。
 七月十五日民団系は一応事務所は解散したるようにして各所にピケを張り、民戦側は事務所に約五十名くらい集合し、夕刻より朝鮮人小学校に移動、各所にピケを張つて警戒していたので、署長は前日同様再び代表者を招致説得に努めつつ、警備は前日同様継続して行つたのであります。
 七月十六日民団側は民戦がこん棒、ラムネびん、硫酸等を用意し、大挙動員して民団襲撃という情報が入つている以上、あくまで防衛態勢は解除できなかつたわけであります。
 民戦側は彼等の暴力行為はわれわれは黙視できない、さもなくば自衛上動員待機もやむを得ないと双方とも譲らず、事務所周辺にピケを張り相対峙していたため、三度説得に努めたるも両者の空気は険悪化していることが察せられたので、双方の事務所周辺の警戒を厳重にしていたところ、十七日午前一時四十分ごろ民戦側は三十名あて三隊にわかれビラ張りと称しこん棒を所持して行動に出たので、警戒中の次席の指揮する部隊はこれが民団との接触を防止し、これを解散せしめるよう阻止していたところ、民団事務所付近のピケがこれを認め、民団事務所より約二十名くらいが同様こん棒をもつて出て来て、双方とも投石し始めたが、次席が部隊を率い、中間に位置し、双方を鎮圧阻止解散せしめたのであります。
 七月十八日以降につきましては、七月十八日は民団・民戦共警戒のため人員が集合していたが、十九日以降民団は昼間一、二名を事務所に残していたが深夜五十名くらい集合して、夜明け前に全員帰宅して民戦は昼間四、五名ないし十四、五名午後十一時ごろより六十名乃至三十名くらい集合し、民団事務所周辺へのビラ張り等を行い、その都度阻止されているのであります。警戒態勢は七月十七日以降、夜間予備隊一箇小隊を配置警戒に当らせたのであります。
 以上今までの大体の情勢でございまするが、その後の情勢はどういうことになつておるかと申しますると、警察といたしましては十三日の午後十四時三十分から署長室において双方に対して、外部の応援勢力を解散することを理由に紳士協定、和解策を講じましたところ、一応双方が納得して引揚げてもらつたのであります。そこで一応口頭和解策を講じましたが、十六日早朝民戦側の二、三の者が民団の事務所に侵略をした事件が発生いたしましたので、十六日午後五時から夜の十二時にわたり、双方に対し文書、交換和解策を講じましたが、遂に回答を得ることができず、明日に持ち越したのであります。
 さらに民戦側の民団側に対する挑発事件が惹起したので、この交渉を中止せざるを得なくなつたのであります。その後最近におきまして、七月二十八日午後三時三十分から午後六時三十分まで、人権擁護委員の方と法務事務官、それから署長、民戦側の代表二名、民団側の代表二名、これらの人々が集まりまして和解工作をいろいろ協議をいたしております。
 二十八日には両者間に意見の相違がございまして、遂に解決には至らなかつたのでありまするが、さらに三十日午後一時からこれらの人々が再び集まりまして、今後の和解工作について協議をする予定でございます。現在までに検挙しておる者は何名あるかと申しますと、七月十三日の事件におきまして五名、七月十六日の事件におきまして二名、なお七月十六日の事件につきましては、今後もさらに容疑者を逮捕すべく捜査を継続いたしております。なおその節五名の検挙者を出して、すぐに釈放したのは不当ではないかというお話でございましたが、これは事態がはつきりいたしましたし、本人らが逃亡するおそれもございませんし、一応在宅調べとしてなお捜査を継続いたしたのでありますが、大体事件は調書もできまして、これはすでに検察庁に身柄をつけずに、事件としてこれをすでに送つております。今後検察庁におきまして、さらにこれに関する捜査が続行されるものと考えておる次第であります。
 それからなお本件に関しまして、警察署の態度でありますが、お話によりますと、警察署のやり方が民同側に有利に警備をして、民鮮側に不利であつたというような意味に私は聞いたのでありますが、警察はこうした紛争の中に介入することは当然できないのであり、警察といたしましてはこうした紛争はあくまで厳正公平の立場においてこれを解決せねばならないと考えております。また現在署長以下もさような心構えで極力誠意を持つて両者の代表者を集めて和平工作といいますか、平和のうちに調停をして本事件を円満に解決するように、最善の努力をいたしております。ただこの問題につきまして、率直に申し上げますが、西新井警察署の本事件に対する情勢判断というものが、少し甘過ぎた。これは私どもは率直に認めざるを得ないのであります。こうした民鮮、民国の争議というものは、これは管内各所に今までも起つております。ややともいたしますると、双方において、あるいはその問題の経過いかんによりましては、集団的に双方がなぐり込みをかけたり、あるいはなぐり込みをかけられたり、あるいは個人の住宅を襲撃したり、あるいは路上において突如襲撃をしたり、そうした事件が再三起つておるのであります。かような点から、われわれといたしましてはこうした紛争につきましては、最悪の事態を常に予想して警戒態勢を整えておつたのでありますが、今次の事件につきましては、若干情勢判断が甘過ぎたのではないか。従つてその警戒の点において、少し遺憾の点があつたのではないかということもわれわれは率直にこれを認めるのであります。従つて西新井警察署におきましても、十七日以後完全に警戒態勢をしきまして、われわれは必要があるならば、幾らでも予備隊を出すからということで今相当厳重に警戒をいたしまして、再びこうした不詳事件が発生しないように、十分に注意を重ねておる次第であります。
 そこでわれわれといたしましては、警察はあくまで厳正公平な態度で事件の解決をできればあつせんもして調停いたしたい、かように考えておりますので、いろいろ今も申し上げましたごとくに、人権擁護委員の方にもお出ましを願い、法務事務官の方にもお出ましを願つて、署長だけでありますと、あるいはまたどつちかにひいきしておるのではないかという誤解もあるようでありますから、人権擁護委員の方にも御立会願つて、ただいま何とか一日も早くこの事件の円満に解決するように努力をいたしておりますので、また民団、北鮮両方におきましても、感情にかられずに、冷静にこの問題を解決して、一日も早く何とか円満解決するようにわれわれは念願をいたしておる次第でおります。
○三浦政府委員 ただいま警察側から詳細な報告があつたのでありますが、法務省側といたしましても、検察庁側といたしましても、ただいまの報告の通りでありまして、その程度より以上は今のところわかつておらないのであります。御了承願いたいのであります。
○岡田(春)委員 三浦さんにお伺いするのもあれですが、検察庁はその程度よりわかつておりませんというのは、警視庁の報告に基いて、検察庁がその報告を聞いた程度であつて、それ以上はわからない、そういう意味なんですか、どうなんです。
○三浦政府委員 現在の調査の段階においては、今警察側から報告を受けた程度であります。まだ調査はしておるけれども、それ以上のことはまだわかつておらないわけであります。
○岡田(春)委員 この間犬養法務大臣がはつきり答弁をされているのは、検察庁自体としても独自の活動として調査をいたします、こういう意味だつた。今のお話を聞いていると、何だか警視庁の報告を聞いて、検察庁が大体その程度であろう、その程度しかわかりませんと三浦さんが言つているような感じがしてしようがない。そこで実際に調査をされているのであるならば、具体的にどういう資料があつて、こういうようにという、委員会のわれわれの常識として、おそらく御報告があるはずだと考えるのでありますが、これは前に、三浦君がそのときおられなかつたので、あまり責めるのもどうかと思いますけれども、その点は非常に重要な点ですが、検察庁としても独自活動として積極的に調べていただきたいと思うのです。この点を要望いたしておきます。
 それから昨日この問題について、弁護士例から告訴しておりますが、これについてはなぜか検察庁側ではこれを取合わないかのごとき態度をとつております。というところから判断いたしましても、何か検察庁としては独自な活動をすることによつて調査をしているというのではなくて、警視庁の報告を待つて、あるいは現在のところまだ検察庁としては調査をしておらないために、わからないために、そういう告訴に対してきわめて冷淡な態度をとつているのではないかと思うのであります。しかしこの事件はあとでもつと具体的に思し上げますけれども、事人間の生命に関する問題で、十三人の人が暗殺の計画を立てられてその対象になつて、十三人を殺したならば二百万円の金を出そう、こういう話までできていると伝えられておるのであります。それだけに検察庁としては、やはりこの際厳重に、しかも早急に調べていただくことが、ぜひとも必要であると思います。従つてこの点について強く私としては要望をいたしておきます。
○三浦政府委員 ただいまの御趣旨に沿うように、十分に、至急調査することにいたします。
○高橋(禎)委員 今の問題に関連するわけですが、法務省の人権擁護局というものは、一体どういうところに力を入れて仕事をしておるのですか、それをひとつ承りたい。
○戸田政府委員 抽象的に申し上げると、憲法に規定されております国民の基本的人権を擁護するのが目的でございます。
○高橋(禎)委員 そこで、先ほど岡田君が質問をしておりましたようなお話は、お聞きになつてよくおわかりでしようが、そういう問題については、人権擁護局は一体どういう処置をおとりになるお考えですか、それを承りたい。
○戸田政府委員 ただいま東京法務局の人権擁護部でもつて調査をいたしておるということだけで、その後詳細な報告をまだ受けておりません。ただいま調査中であります。
○高橋(禎)委員 そうすると、今のような問題が起りましたときには、検察庁の方では犯罪の捜査をやる、人権擁護局としてはその調査をされるというのは、どういうところに重点を置いて調査し、どう処分しようと考えておられるか。
○戸田政府委員 人権擁護局としては、人権蹂躙があつたかなかつたかというところに重点を置いて調査いたします。そこで人権蹂躙があつたかなかつたかということを調査いたしますには、勢い諸般の事情も調査しなければならないかと存じますが、本件の場合、人権蹂躙があつたかなかつたかは私まだ承知いたしておりませんが、ただ報告によると、東京法務局においてただいま調査をしておるという程度であります。人権蹂躙がなければ私の方には関係ない事件だと思います。
○岡田(春)委員 警視総監のお見えになるのを実はお待ちしておつたのですが、先ほどの報告によると、十三日に民戦の事務所で暴力事件が起つたために五名の者を逮捕した、しかしそのあとにおいて一応一切の調べが済んだので釈放して、在宅捜査の形でそのままに置いてあるというお話でございます。ところがこの事件については、私たちの調べておる限りにおいては、被害者が五名出ておるが、被害者について何ら被害の事情の調査をやつておりません。被害事情の調査をやらないで、しかもどういう観点から逮捕したのか知りませんが、五名の者を逮捕して、さらにその場合において、西新井の警察においては硫酸びんが三個押収になつておるはずである。民団側の投げた硫酸びんが三個ある。このように硫酸びんまで使つた危険な事件に対して、逃亡のおそれがないというような簡単な考えで、在宅捜査というような形で釈放するということ自体が、先ほど警視総監の言われたように、西新井の署の考え方が非常に甘いということを明らかにしておると思います。しかもその十三日の事件が起る直前において、民団、民戦の両方に対してそれぞれ警官を派遣して、そうして両団体に対しての解散を要求したと言つておるのですが、この場合において、民団に対しては山田という公安主任外七名の者が行つております。しかもこれが、先ほどの警視総監の報告にもあつた通り、話がつかなかつたと言つておるが、山田公安主任外七名、合計八名の諸君がそこで一緒に酒盛りをやつておつたということになつておるのです。だからこれを手ぬるかつたという一般的な表現で言えばそれきりかもしれませんが、こんなことでは事件の解決ができるはずはないのであります。こういう点についても、警視総監としてもつと内部にまで入つた具体的な調査をしていただかなければ、私はこの問題の解決はつかないと思います。この点について今までの御報告を聞いておると、具体的な報告がないようでありますが、被害者に対する被害の事情調査、あるいは硫酸びんの三個があるはずであるが、こういう点についてももしおわかりになつておるならば、まず伺つておきたいと思います。
○田中参考人 その五名の捜査につきましては、すでに事件として検事局の方に書類を送致いたしておりますので、大体において証拠その他もはつきりさせた上でやつておるものと私は考えておりますが、今お話のように被害者の調査がないということはまことにおかしな話でありまして、われわれもそういうことを今お聞きした以上は、さらにもう一回再調査をしてみます。それから硫酸びん三個については、これはおそらくあるかもしれません。あるとすれば、これは当然証拠物件として検察庁の方に送致しなければならないものでありますから、これも押収してあると思います。
 それから民団側に山田公安主任外七名が行つて、ともに酒盛りに参加していたというお話ですが、これまた非常におかしな話でありまして、署の方では酒盛りに参加した事実は全然ない、こういうふうに私には報告しておられますから、さらに掘り下げてもう一回再調査してみましよう。
○岡田(春)委員 あまり時間をとらないように能率を上げて伺いたいのでありますが、先ほどの御報告を伺つておると、十五日の夜にも民団並びに民戦に対して解散を要求して大体話がついたという話がありました。それからその前に十三日にも、これは両方に解散をしてもらうように要求をして、警察側としては民団は解散したのだから、民戦も解散してもらいたいということを山田という公安主任が民戦に対して言つて来ておるわけです。ところが実質的においては解散をしなかつた。その証拠に先ほど警視総監から言われた通りに、すぐその直後に約四十名の人が民戦の事務所を襲つて五人のけが人を出しておる。こういうような事件が起つておるわけです。しかもその十五日の晩にも解散をしたと言いながら、そのあとで実際に二人のけが人を出しておるわけです。その名前はこの前もちよつと申しましたが、鄭石根というのと具永基という二人の人であります。この二人の被害者に対する加害者を実際に逮捕されたかどうか。この点が御報告によると必ずしも明確になつておりません。それからそのあとで、先ほど座談的に警視総監がおられなかつたときに話をしたのでありますが、その後においても、単に相対する民団と民戦とのけんかだけの問題として、警視総監に扱つてもらいたくない。これは日本人たちにもずいぶんけが人が出ているのであります。
 そのけが人の例を私ここで申し上げますが、十六日の夜民団の事務所の前を通りかかつたとうふ屋がけがをしております。これはどういう名目でけがをされているかと言うと、とうふ屋が売つてまわつていると、お前は民戦のスパイだろうというので、突如なぐられた。
 それから十七日の朝、これまた牛乳屋さんであります。毎朝牛乳屋さんが牛乳を配るのはあたりまえですが、民団の事務所の前を通りかかると、これに対してもけがをさせられた。
 また暴力国のジープが日本の婦人をひいて、そのために民国側が損害賠償十二万円を請求されている。こういうような事実も起つております。その近辺がいわば非常に不安な恐慌状態に陥つているのでございます。ですから警視総監も御存じでしようが、足立区の区議会においても、これが問題になつて、本会議を開き、都議会においても警務委員会を開くというようなことで、これは新聞の上では伝えておりませんけれども、きわめて重大な問題として、あそこの半ば恐慌状態についてみなが注目している問題なのであります。こういう点についても現在のところ御報告がないのであります。
 また二十一日にも夜九時半ごろに事件が起つておりますし、そのあと警察の方で警戒態勢を強めて云々と言つておられますが、実際にはその後の状態も何らかわりはないのであります。
 二十七日にも事件が起つております。そのようにしてひんぴんとしてその以後においても事故が起つているのであります。こういう点についての御報告が全然行われておりません。しかもこういう暴力事件がこのようにひんぴんと起るならば、一連の関連の事件として、これはやはり勾留をして厳重にその関連の事項その他を調査して行くというのが当然のことではないかと思うのですが、最初の十三日の問題だけは解決したから身柄は釈放して、在宅捜査のまま置いたんだというような程度では、根本問題についての解決に私はならぬと思うのです。こういうような事実について御存じがあるかどうか、もし御存じがあるならば、これについてはどういうような措置をとられておるか、こういう点もお伺いをいたしたいと思います。
○田中参考人 お話の七月十六日の拉致事件でありますか、これにつきましては現在二名を逮捕しておりますが、先ほど私から申し述べましたごとくに、まだほかに犯人がおるものと認めて事件を調査継続中でありますから、この点御了承願います。
 それから十六日の朝民団の前を通過したとうふ屋がなぐられた。それから牛乳屋がなぐられたというようなことは、私今初耳でありますので、そういうことがあるかどうか、さらに再調査をしてみたいと思います。
 二十一日同じく二十七日の事件につきましてもまだ報告を受けておりませんから、これもさつそく調査をいたしてみます。私どもの考えといたしましては、双方の単純なけんかだとは絶対に考えておりません。これはもつと深刻な問題が背景にあるものと考えておりますので、事件の取扱いにつきましては、相当慎重なる態度で臨んでいるはずであります。いずれにいたしましてもこうしたことがありますことは、付近の一般の何ら関係のない住民に非常に不安動揺を与えることでありますので、こういう点から考えても早急にこの禍根を一掃して、事件を円満に解決することが急場の問題であると思いますので、ただいま最善の努力をいたしております。
○岡田(春)委員 捜査を願うためにも、具体的に簡単に申し上げておいた方がいいと思いますが、七月二十七日の事件というのは、午後九時半ごろ本木町の関原通のそば屋つばめ屋で三人の者が暴行されている、康賞キ、林炳元ほか一名、これに対してもそれぞれ全治一週間の傷害が与えられている。そして現在のところいまだ犯人が逮捕されないで、そのままになつているようであります。ところが、私この前の委員会においても申し上げたのでありますが、何か民団を擁護するかのごとく、半面民戦をたたきつけるかのごとき態度で警察側が捜査をやつておるのはけしからぬと申し上げたのは、そういうように民戦側にどんどん被害者が出ているのに、これに対する態度がほとんど行われておらない。たとえば十六日未明の具永基に対する事件の場合にしても、民戦側の幹部からその加害者の住所まで教えているのに、そのままになつているという事実もあり、その半面けさなどは民戦がビラを張つただけで、そのビラを張つたことについて直接張つてない者までも巻添えにして現行犯で逮捕をしているのであります。民戦の場合に対してはその付近におつた者までも含めて現行犯で逮捕しながら、民団側は相当けがを与えながらもそのまま放置しておるということであるならば、これは明らかに民団に肩を持つた態度で捜査をやつておるとしかわれわれは考えられないと思うのであります。こういう意味でも警視総監として厳重にお調べ願いたいと思います。
 それからお調べを願う関係上、一つ具体的な事実を申し上げておきますが、たしか七月十八日か十九日でございますが、足立区における民団の総会で、民戦の幹部十三名の暗殺の謀議を行つております。そしてこの暗殺をやつた場合に二百万円を出そうというようなことにまで及んだという話があります。これについてはもし必要であれば、私は証人を出してもいいのであります。その謀議に参加しておりました人の証人を出してもいいのであります。というのは、その相談が出ましたときにそういうようなことをやるはのきわめてよろしくないというので、民団の中のある幹部が、そういう暴力的な方法で問題を解決しようとすることには反対だといつて退場した人があるのであります。その人がはつきりその事実を知つているのであります。こういう事実についても、先ほど警視総監は報告をされておりません。こういう事実を調査しなければ、この問題の解決が出て来ないのであります。そういう意味から、こういう点については、ぜひ厳重な御調査を願いたいと思います。前回の委員会において、この前後の関係を詳細に申し上げておりますから、委員会の速記録をとつて読んでいただけば、前後の事情がわかると思います。簡単に申し上げるならば、白骨団と称する暴力団体が、これを受取つているといううわさも聞いているのであります。ですから、こういう事実をもつと確かめていただかなければならないと思うのであります。こういう前後の関係は、民団の責任者に対して調べていただくならば、当然これは出て来るはずなのであります。そういう点もひとつ厳重にお調べを願いたいと思います。それからまた、その後においてひんぴんとして、ただいま申し上げた十三名の幹部に対して、幹部の家が個人的に夜半、夜夜中襲撃をされております。現在までに襲撃をされている人は、八人であります。これは単に足立区に限らず、東京都下の全地区にわたつて散在する十三名の幹部に対してそういう襲撃事件が起つているのであります。こういう点なんかもぜひ調べていただかなければなりません。しかもこの襲撃の際に使つているジープの番号がわれわれの方でわかつております。これは新宿のナンバー五二二三であります。これは仮ナンバーです。こういう点をお調べになつたら、当然わかるはずなんです。何だか私の方で今これを言つていると、自分で言いながら戸まどいするような感じがするのだが、私の方が詳しく知つていて、警視庁の方があまり詳しく知らないというようなことでは、どうもこれは警視庁というものも大して当てにならないのじやないかという感じがするのであります。どつちが調べる方だかわかないようで、もつとひとつ厳重にお調べを願いたいと思います。場合によつては、これは委員長に請求をいたしまして、西新井署の署長も参考人として御出頭願うような場合もあるかもしれませんが、まあきようのところは警視総監の調査に期待をいたしまして、私はこの程度に終えておきますが、現在のところわかつております点は以上の通りであります。やはり根本的にひとつこの問題については調べていただいて、十三名の人が生命の危険にさらされることのないように、ひとつ根本的に御解決を願いたいと思うのであります。事件は事件として解決して、やはりそういうような危険の状態のないように特に要望いたしておきます。
○田中参考人 御質問の御趣旨、御要望の点はよく了承いたしました。警察といたしましては、あくまで厳正公平な立場で、正しい態度で本件に対処いたしたいと考えております。またもし警察署の出先におきまして、かりにも今お話のような態度がありましたならば、これはまことに残念なことであります。これはただちに是正させるようにいたしたいと思いますから、どうぞわれわれを御信頼願つて、今後ひとつ捜査に御一任願いたいと思います。
○岡田(春)委員 法務省の関係も、大体以上申し上げたので、事件の概略はおわかりになつたと思いますが、必要があるならば、またあとでいろいろと申し上げてもよろしいのです。しかしこれは速記をとめるということは別にして、いろいろな参考資料等も差上げたいと思いますが、そういうように事件としてはきわめて重大な事件でありますので、早急に措置を講ぜられるように強く要望いたしておきます。
○三浦政府委員 いろいろの御覧よくわかりました。もしそういうような参考のいろいろな資料があれば、やはりちようだいした方がいいと思います。それによつて十分調査いたします。
○田嶋委員長代理 では暫時休憩いたします。
    午後四時六分休憩
     ――――◇―――――
    〔休憩後は開会に至らなかつた〕