第016回国会 本会議 第9号
昭和二十八年六月十八日(木曜日)
 議事日程 第九号
    午後一時開議
 一 国務大臣の演説に対する質疑(前会の続)
    ―――――――――――――
●本日の会議に付した事件
 国務大臣の演説に対する質疑(前会の続)
    午後二時十分開議
○議長(堤康次郎君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 一 国務大臣の演説に対する質疑(前会の続)
○議長(堤康次郎君) 国務大臣の演説に対する質疑を継続いたします。須磨彌吉郎君。
    〔須磨彌吉郎君登壇〕
○須磨彌吉郎君 一昨日以来この議場において繰広げられたる政策論議に対して、私は熱心に耳を傾けました一人であります。しかし、不幸にして、吉田内閣総理大臣を初め閣僚諸公の施政演説には、少からず失望の感を禁じ得なかつたのであります。(拍手)私は、ここに改進党を代表いたしまして、もつぱら外交並びに国防の若干の問題につきまして内閣の方針をただしたいと思うものであります。(拍手)
 まず第一に、過去三箇年にわたつて世界第三次戦争の模型ともいうべき惨禍に見舞われました韓国の問題についてでございます。昭和二十五年六月二十五日動乱勃発の際、わが国政府の要路が、不用意にも、この動乱は天佑であると暴言したと伝えられておりまするが、いやしくも一衣帯水の間にあり、しかも長きにわたる伝統的関係を持つた隣邦が不幸な惨禍にあうことは、同じアジアの民族として同憂にたえないのは当然でございます。(拍手)この意味から申しましても、近く休戦の運びとなるということは、東西両陣営対立混乱の世界に一道の光明を投ずるものと思われます。けれども、事実におきましては、この休戦協定後においてこそ、今まで忘れられておりました幾多の困難なる問題が続出するものと予想されます。さればこそ、韓国李承晩大統領は、朝鮮の統一が達成されないのならば、二千万の韓国民はむしろ死を選ぶという悲願を絶叫しております。この心境は、われわれとして、まことに同情にたえないものがあります。(拍手)同大統領は、休戦のあかつきには、アメリカにおいて韓国の防衛を担当してくれるよう協定を求めておるのは、またやむを得ないところでありましよう。元来、朝鮮の安全保障につきましては、アイゼンハウアー大統領は、上院の同意を条件といたしまして、休戦後には韓国の安全を保障する条約を結ぶ用意があると言つておりまするが、これにつきましては、すでに米国においても反対の声があり、いずれは国際連合の機構において何らか的確の措置がとられるときが参るのでございましよう。このことは、ひとり韓国のみならず、実はわが国の安全とも密接な関係を持つものでありまするから、政府はこの問題につきましていかなる所信をお持ちになつておりまするか、御明示を願いたいのであります。(拍手)
 これに関連いたしまして、今月十二日、米国下院外交委員会は、対外援助法案討議の際にあたりまして、アジアの自由諸国民の共同防衛をはかるために、国連憲章に基き太平洋条約を締結することに強い関心を持つておるということを書き加えておると伝えられております。かたがた、太平洋における非共産主義諸国を打つて一丸とするという太平洋条約の構想は、実は米国を初め各方面において、つとに研究されておつたのであります。いずれは、わが日本及び韓国を含みまするこの種条約を真剣に考慮するの日が来るものと思うのでありまするが、この点に関しまする政府の御見解も伺つておきたいと思うものであります。(拍手)
 元来、日韓の両国は相隣する友邦でありまするから、近年各種の不祥事件が頻発しつつあることは、東亜和平のため遺憾にたえません。たとえば、先般起りました漁業問題、第一、第二大邦丸事件でございます。あの船の船員が韓国の水上監視隊のために射殺された問題は、いまなお未解決になつておる様子でございまするが、その後の経過を承りたいものでございます。また、明らかにわが島根県に所属しておりまする竹島という島は、あたかも韓国の領土でもあるかのごとくに取扱われておると聞いておるのでありまするが、これに関する真相も承りたいものであります。これらの問題は、さまつの案件として放置しがたいものであります。この種のわだかまりは、いかに処理されつつありまするか、今や日韓会談も開催中だと承りまするが、この点特に承りたいと思うものであります。(拍手)
 第二にお尋ねいたしたいのは、中共との問題でございます。朝鮮休戦のあとに来るものこそ重大なる様相を呈すると思われるのでございまするが、ことに中共とソ連邦との関係につきましては、申すまでもなく十分なる警戒を必要とするのでございまするが、少くとも中共との貿易が、休戦の成立に次いで事実上具体化される傾向になつて参りますることは、自然の勢いだと思うものであります。現に休戦の成立近しと報ぜられまする昨今は、中共貿易の事例が日とともに増加しつつありと伝えられますが、すでに昨年のごときも、連合国側の船舶百九十二隻が中共向けに就航いたしております。延べ四百四十五航海も中共地域と往来をしておりまするのみならず、相当量の米国の製品をも中共に運搬しつつあることが公に認められておるのであります。このことは、国務省の経済担当官でありまするレデイ氏のごときもこれを指摘いたしまして、中共貿易を完全に禁止するということはもはや不可能であると述べておるのであります。また、今月十二日付のワシントン・スターズという新聞のごときは、その論説欄におきまして、日本の経済が逼迫を加えるにあたつて、日本が中共との貿易を再開するということは、もちろん幾多の困難があり、簡単な問題ではないし、速急に解決を見る問題ではないけれども、日本が窮迫に瀕する前に、米国もこの問題の解決に一臂の労をとることは、米国のためでもあると力説しておる次第であります。(拍手)
 先日来、政府は、中共との貿易は期待薄であるとなして、しかもその根底とするところは、貿易量が少いということを申しておられるようでありまするが、貿易は生きものでございます。また中共との貿易は、量の問題よりも、政治的にも結果を生むものでございます。結局は、日本人が聖徳太子の時代以来伝統的になれて参りましたアジア大陸との橋渡しを回復するということは、すなわち日本人のアジア世界に対して感ずる郷愁を慰めるものでありまして、世界の情勢が大転換を来さんとする今日、また他面、友愛善隣の精神から見ましても、実に喫緊なる問題であると存ずるものであります。(拍手)この大局から、政府は、漸進的にもせよ、この問題に乗り出されまして、一定の制限のみにこだわらずに、積極的にこれを促進するための措置に乗り出すの御用意がないものでございましようか。過日、岡崎外務大臣の申されまするごとく、経済だけを離し得ないということはこれは事実ではございましようか。しかしながら、これと同時に、経済の交通がただちにイデオロギーの付随を来すという偏見を捨てることもまた必要だと思うのであります。(拍手)かくのごとき大局的な見地から真剣なる御討究を願い上げ、かつその用意を承りたいと思うものでございます。(拍手)
 第三にお尋ねをいたしたいのは、わが日本の経済外交という面についてでございます。この点で最も惜しまるることは、朝鮮動乱以来三年の間、わが経済当局に一貫した指導精神がなかつたばかりに、一時的であり変態的でありまする特需というものに依存をして来た事実であります。貿易立国を国是として参りました日本にとつて、特需の雰囲気がかくも深く広く浸透いたして来たことは、過日大蔵大臣も告白せられましたけれども、日本の人心を虫ばみ、しかもその弊が日本人の血管の中まで及んでいると申して過言でないのであります。しからば、日本人をしてこの特需の弊から離脱させますることにつきましては何ら具体案の御提示がないのでありますが、輸入を減少して輸出を増大するということ以外には実はないのでございましよう。
 日本の輸出貿易不振の原因につきましては、政府においてもすでに御承知でございます。しかし、貿易振興の実際政策については、今までほとんど見るべきものを示されてはおらないのであります。この点につきましては、英国、ドイツ等の貿易政策に比べまして、まさに天地霄壤の差があると思うのであります。(拍手)なかんずくドイツの海外貿易は驚くべき躍進を示しまして、たとえば輸出品目全般にわたる関税の取扱いにつきまして特別の措置をとるなど、貿易助成の方策がまんべんなく講ぜられておりまするとともに、労働攻勢のごときはきわめてまれにしか見られない実情でございます。さらに、会社の運営のごときは、コーペラチオン、すなわち組合の仕組みを取入れるというごとく、画期的手段がとられているのであります。政府は、これらの方策についても、他山の石として研究を遂げられるとともに、この日独両国間に経済的の連繋をとられることについても、早くに及んで方策をとらるることが必要であります。(拍手)しからずんば、日本とドイツの間にも、かつて日本と英国との間に見たような、海外市場争奪戦ともいうべき、見苦しくしてかつ困難なる問題が続出することを懸念するものでございます。これらの点につきまして、政府は積極的な御方策を講ずる意図を持つものでありましようかどうか。特にこの点は、経済諸大臣のお話もございましようが、特に岡崎外務大臣より、この点について具体策を聴取したいものであります。(拍手)
 第四の問題としてお尋ねいたしたいのは、第四次吉田内閣は、選挙管理中、日米通商航海条約を調印した事実がございますが、まず、かくも早々の間にこの条約を片づけねばならなかつた根本的特別の理由を伺いたいものでございます。(拍手)さらに、安政四年の日米仮条約はしばらくおくといたしましても、明治四十四年の条約等は、時勢の変化とはいえ、何ら御参照にならず、米国とコロンビアとの間の条約をひな型としたものと思われまするが、これは何か特別な理由があるものでございましようか。
 過日、岡崎外務大臣は、幾多の利点を有するものと断じておられましたが、事実はこれに反し、平等互恵を根本とする条約において、わが方に不利なる数点を含むことは解釈に苦しむものであります。(拍手)たとえば、占領中に米国が得ておりました既得権をそのまま認めておるというのは、これはいかなるわけでございましようか。(拍手)また、三年後には米国人は日本において株式を自由に取得ができるということになつております。(拍手)こういたしますと、皆さん、この制限業種以外の日本の重要産業が、場合によつては将来米国人に掌握されてしまうおそれがあると思うものであります。(拍手)さらに国別の差別待遇措置を禁じておりますから、米国からの高い鉄鉱石でございますとか、石炭でありますとか、綿花、小麦などの押しつけ輸入を断つて一中国またはソ連からの廉価なものを求めるということはできないことにしたのは何のためでございましようか。(拍手)その上、米国からの輸入制限につきましては、占領中に押しつけられた輸入の実績をそのまま将来も尊重するとされたのは、これまたいかなる理由でございましようか。(拍手)また米国人の事業活動は、すべての種類の商業、工業、金融業その他の活動に及んでおりまして、内国民待遇が与えられ、制限業種はあるけれども、きわめて少数で、たとえばわが日本に欠くべからざる鉄鋼業または化学肥料製造業などの重要産業さえ省かれておりますることは、いかなるわけでございましようか。その他なお数点について、日本産業擁護の考慮が十分には払われていなかつたことを、きわめて遺憾とするものであります。(拍手)
 第五番目にお尋ねをいたしたいことは、領土の問題でございます。領土の問題は、日本人の歴史の問題でございます。日本人の魂の問題でございます、国会開会ごとに問題になつておるのでございますが、琉球列島や小笠原諸島の日本復帰に関する問題は、特にその住民等の請願、陳情等もありまして、しばしば問題にされるのでありまするが、その中でも奄美大島は、元来薩摩の一部であります。ちようどこれ様であります。しかも、その復帰運動が一層最近活発になりましたことは、たとえば奄美大島の特産物でございまする大島つむぎが、戦前は二十八万反でありましたのが、現在はわずか四万二千反に激減しておるという状態で、その惨状見るに忍びざるものがあるのであります。(拍手)
 元来、サンフランシスコ平和条約第三条の規定によりまして、米国は、米国一箇国の考慮だけで、この琉球諸島や小笠原諸島は日本に復帰させることもでき得るのであります。
    〔議長退席、副議長着席〕
この点は、昨日も吉田総理大臣が認められたのでありまするから、この際政府は、米国に積極的な交渉をお続けになり、たとえば少くとも奄美大島の行政権ぐらいはこの際復帰させて見せるという御勇気はございませんでしようか。(拍手)このことは、ひとり奄美大島の住民の渇望を満たさせ得るのみならず、私が申し上げたいのは、内灘その他の基地問題にかかわりまする反米的雰囲気を一掃し去ることにも役立たせることができるのであります。(拍手)従いまして今の時期において、この領土問題について米国側と御交渉なさいまするには、朝鮮休戦成立のことともあわせまして、一つの好機会であると思われまするが、いかがでありまするか。(拍手)
 第六には、内灘の問題についていささか質疑をいたしたいのでありまするが、政府が行政的な取扱い方に欠くるところがあり、ことに内灘試射場に関連いたしまして食言の問題があつたと聞いております。すなわち、林屋前国務大臣が、地元住民からは一時使用の了解を得たが、これを中央の方には永久使用の承認を得たと報告して、かくのごとき食言が原因となつておつて、そのために国際関係を悪化せしむるがごときは策を得たるものでないと思うのであります。(拍手)この行政上の取扱いぶりが因をなしまして、いたずらに反米的気勢を結果したことでありまするが、この基地の問題は、さらに今後他に幾多の事例をも控えておる時節柄でございますから、行政上の齟齬から国際上穏やかならざる事態を引起すことは、まことに国民として懸念にたえません。何らかこれに対処する恒久的、具体的な方策を伺いたいものでございます。(拍手)
 第七の問題は、昨日、木村長官が、防衛五箇年計画についての談話に関しまして、新聞記事には責任がないとお答えになり、さらに自衛軍は憲法の偉反でないという学説には傾聴に値すると御答弁があつたのであります。けれども、他面私の申し上げたいのは、新聞もまた天下の公器であります。(拍手)九日福岡での談話の後、十一日御帰京の際、飛行場で、男なら対決しようとおつしやりながら、福岡の談話は全然事実無根だと否定はしておきながら、翌十二日、内閣記者団との御会見におきましては、実は五箇年計画という見出しは困るんだよと仰せられ、この種のことを研究するのは保安庁の義務でもあり、その実現に努めており、この種の案は、総理大臣はまだ見ておらないかもしれぬが、お手元に出してある旨を語つたと聞いたのであります。(拍手)また別途、長官は精励恪勤でありまして、軍事専門家や経団連の人々をしても舌を巻かせるがごとき名案を御研究に相なつたと聞いておりますが、はたしてしからば、長官も男ならば、あつさりとその御名案をごひろうなさつても私はよいと思います。(拍手)警察予備隊が保安隊となり、いつの間にか、政府の説明は何でありましようとも、軍隊のようなものができ上つたと世間では考えておるのが実相でございます。このことが青少年の教育の上にも少からざる悪影響を及ぼしておることは事実でございます。よつて、私は、いま一度長官のきわめて率直なる所懐を承知したいものでございます。
 しかも、今朝米国のニユースによりますと、米国海軍委員会では、すでにわが日本保安隊増強の了解のもとに対日軍事援助を考究中だというのでございます。あわせてこの実相を承りたいのでございますが、かくのごとく、わが当局と米国当局の申すことが食い違つておりまするが、どちらかがほんとうで、どちらかがうそでございましよう。今のところ、アメリカが全部うそだと思つてよろしいのでありましようか、これを伺いたいのでございます。(拍手)
 従来、政府は、警察隊の範囲を出るものは日本には必要がないという態度を続けて来たのでありますが、一昨年九月、サンフランシスコの平和会議の際に、トルーマン前大統領は、太平洋の地域的防衛協力というものはあるが、この防衛協定がこれから発展するその発展は、いずれ創設せらることあるべき日本防衛軍と一緒になるものであると申した言葉がありますが、はたしてしからば、この点から見ましても、日本の内外において、結局日本は今申しました日本防衛軍を早晩創設するであろうことを期待して来たのでありますが、政府の施策はここに出ず、常に自衛軍といえども憲法によつて禁ぜられておるという見解を持して参つたのであります。
 しかしながら、このことは、五月五日のダレス国務長官の上下合同外交委員会の席上における言明によつて、いささか食い違いを見せて来ました。その言明におきましては、日本は共産主義膨脹の極東の主たる目標の一つである、日米安全保障条約のもとにおいて、その経済力の許す限り、直接または関接の侵略から自国を防衛するための責任を漸進的にとるものと期待しておる、このために、極東の安全保障の計画は、日本の国内安全保障と国内防衛のために武器の資金を提供するの用意がある、と表明したのであります。これが注目すべき問題となりまして、いわゆるMSAの援助ば、一昨日岡崎外務大臣のお言葉によりますと、もしもこれがわが国の自衛の増強に有益であり、国民の経済面に寄与するものであるならば、これを受入れることはあると断定されたのであります。
 しかし、外国筋の伝えるところによれば、このMSAの問題は、実は今に始まつたことではない。伊関外務省国際協力局長が、去る一月ワシントンで、米国国防省から、この七月から三億から四億ドルの額をMSA援助として受けることができるという趣旨を聞かされているのであります。(拍手)また、これと同様の提案が、国会解散の前日でございます、すなわち三月十四日、国務省の東北アジア局長でありまするケニツド・ヤング氏から、東京におきましてもこれが繰返されたと言われておるのであります。そうしてみますると、この経過をたどつてみれば、政府は相当の期間MSA問題については考慮を尽しているに相違ないと思うのでありますが、これを知つているのを知らないと言つて国会の耳をおおうのを、名づけて官僚的秘密外交と言うのであります。(拍手)
 しかるに、一昨十六日公表せられました相互安全保障に関する聴聞会の記録によりますると、MSAの問題は、すでに新木大使、クラーク大将、アリソン駐日大使等の間において、つとに交渉が進められ、日本に対する軍事援助双務協定が取上げられておると、公式な発表となつたのであります。すでに特命全権大使たる新木氏が、任地ワシントンにおいて、かかる重要折衝に当つていながら、いまだ政府に報告を怠つておるというのでありまするならば、至急召還するの御用意があつてしかるべきだと思うのであります。(拍手)
 ここに問題となつて参りますることは、はたしてこのMSA援助を受けることになり、無償の軍事援助を受諾するということになりまするならば、政府は従来の見解をかえて自衛軍の創設に乗り出すということになることは、論理の当然であります。(拍手)また、その軍事援助を受けまするためには、米国の相互援助法の規定によりまして、日米間に軍事援助協定の締結が必要となるのでありますが、この種の協定は、さきにインドネシアなどでは議会において拒否された例もあると聞きますが、政府においては、もちろんこの種協定は国会に付議せらるの用意があるものと思われますが、いかがでありますか。(拍手)さらに、この種協定は、各国の例によりますと、交換公文または協定の二つの形式にわかれておりまするが、相互保障制度の進行状態の最近の報告において、前大統領トルーマン氏が、この形式の援助は、与えるものと与えられるものといつた一種の慈善事業的の形で行われることは旧式であり、不健全でもあると力説しておりますが、これらのいきさつをたどりまして、もし日本が受ける場合には、かような今までの様式を避けて、特別様式の申合せにするという交渉をなさつたらいかがなものでございましようか。(拍手)
 以上三つのことは、わが国防衛に関するところでありますから、最も重要なる関心の的でございます。一つの政府の問題でもありません。一つの党派の問題でもございません。この防衛は、まさに国及び国民の休戚にかかわる重要なる問題であります。(拍手)日本の安全に重大な関係を及ぼすものでありますから、政府は、いたずらに従来の行きがかりを固執して、ただ体裁のみを整えることはおやめになつて、虚心坦懐に、その意のあるところを、ざつくりと御表明なさつてはいかがでありましようか。
 スターリンの死後、ソ連邦の平和攻勢によりまして、世界はいかにも多少その緊張をゆるめた感はございますが、前にも申しましたことく、これは冷たい戦争の一つの段階にすぎないものであります。いささかのゆだんもなりがたいのであります。時局はますます重大な局画に直面しつつあると申してもさしつかえないのであります。従いまして、政府は、この大局を失わず、独善秘密の外交などというそしりを生ずるがごとき、国民の信頼を失することは御注意になりまして、特にこの際信義をもつてこの重大問題にお答えくださらんことを要求するものであります。(拍手)至誠なきところに政治も外交もありません。信なくして国滅ぶと申されます。いたずらなる平和論に迎合せんがために防衛の問題を等閑に付することもよくはありませんが、軍備を渇仰して戦争に憧慢するのも、これまたよくありません。かような見地から、特に信義を内外に博するという気魂をもつて、関係閣僚からこの重大問題に対する回答を求めるものであります。
 私は、初めて今回議席を得た者でありまするが、ここ数日来の当国会の論議の実情を見まして、実は砂をかむがごとき応答に驚き入つておるものであります。(拍手)異なるものは政府と野党であるかもしれませんけれども、結局は、国事のために憂いを同じゆうする――同憂の者の集まりでございます。重ねて、もつとお打明けになり、もつと虚心坦懐なる御答弁を求めまして、私の質問を終ろうとするもりであります。
    〔国務大臣吉田茂君登壇〕
○国務大臣(吉田茂君) 須磨君にお答えをいたします。
 日本と朝鮮の関係は、お話の通り、歴史的にも、地理的にも、また善隣の関係から申しても、この両国の関係ははなはだ重要なものであり、従つてまた、朝鮮の復興はわれわれの最も関心を有するところであります。その朝鮮の問題が、朝鮮の事態はいまだ定まるがごとくして定まらざるものがあり、これからどう発展いたすか、一にその安定復興をわれわれは希望してやまないのでありますが、その事態において、将来この関係をどうするか、今日政府が軽々しくその関係を考えることはできないのであります。いわんや、安全保障条約を結んだらどうか、これは趣意においてわれわれも賛成であります。朝鮮が、事態が平穏になり、安全が保障され、確固たる基礎のもとに置かれるということは、われわれは常に望んでやまないのでありますが、しかしながら、この安全保障条約なるものの内容はどうであるか、これは政府として十分検討しなければならないのであります。いわんや、安全保障条約に武力を含むものであるならば、軍事援助とか軍事協力とかいうふうなことがあるならば、これは政府としては考えられないところであります。
 また、中共貿易についてはしばしば申しておるのであります。善隣関係から申しても、日本の貿易立国の上から申しても、中共はもちろんのこと、その他アジアの諸国との間に最も友好な経済的提携ができるならば、これは日本としても望ましいところであります。これは、朝鮮休戦を契機にするしないにかかわらず、政府としては最もこれを希望いたしておるのであります。今後機会があれば、この貿易伸展のためには十分の努力ををいたすつもりであります。
 その他は主管大臣からお答えいたします。
    〔国務大臣岡崎勝男君登壇〕
○国務大臣(岡崎勝男君) 第一は大邦丸の事件でありまするが、韓国との間に、この問題はまだ交渉中でありまして、まだ解決はいたしておりません。
 竹島の問題につきましては、これが日本の領土であることは問題ありません。今いろいろの点で注意をいたしております。
 貿易振興策につきましては、従来もやつておりましたけれども、十分でなかつたのでありまして、この際決意を新たにして、大いにこの方面に努力をするつもりでおります。
 ドイツとの問題につきましては、ドイツも自由貿易を標榜して立つておるのでありまして、ただいま輸出市場の開拓を大いにやつておりますが、この際ドイツと市場協定を結ぶというようなところまでは、まだ事態が進んでおらないように考えております。
 通商条約につきましては、私はこれは最も新しい形のものであると思つておりますが、この締結に先だちましては、関係各省はもちろん、業界やその他いろいろの方面の意見を参照したのであります。例の三年間の問題につきましても、一方においては、われわれとしては外資を導入するに容易なるような道を講じなければなりません。同時に、蓄積円によつて日本の経済が乱されるということは避けなければなりませんので、三年の間には資本再評価等も十分行われるであろうと考えまして、この期間を設けたようなわけであります。そして、いろいろの問題については主として相互主議によつて行つておりまするが、ただ、占領中の既得権を認めたという事実は全然ございません。
 小笠原島や奄美大島等の問題につきましては、お話のような趣旨で従来も交渉をいたしておりまするが、今後も十分努力するつもりでおります。
 内灘等の施設につきましては、今後とも十分住民の意向を参照いたしまして、またこれに基いての不利不便等につきましては遺憾のない措置を講ずるつもりでおります。(発言する者多し)
 MSAの問題につきましては、MSAの法律や、諸外国とアメリカと結びました協定等の事例はよく研究いたしておりまするが、これがわが国に適用される場合の具体的の内容等につきましては、まだ明らかでないところが多分にあるのであります。それで、お話のように重要な問題でございますから、できるだけ慎重に検討いたしたいと考えておりますが、須磨君は何か誤解をされておるようで、新木駐米大使がかかる交渉をいたしたという事実は全然ないことを申し上げておきます。なお政府は、この問題の処理にあたりましても、憲法に違反するようなことはないのはもちろんでありまして、またできるだけ早く国民にも十分わかるように説明をいたしたいと考えております。まだ話をいたしておりませんから早いのでありまするが、もしかりに協定等ができる場合には、国会に付議することとなろうと考えております。
    〔国務大臣木村篤太郎君登壇〕
○国務大臣(木村篤太郎君) 須磨君にお答えいたします。
 昨旦三浦君にお答え申し上げた通り、防衛五箇年計画なるものを発表した事実は毛頭ございません。ただ、私といたしましては将来国外の治安情勢の変化に応じてわが国の警備力を増加する必要がある場合において、いかように増加すべきであるがという一応の見当を立てたい、この点について、一部局に対して調査を命じたのであります。これはまだ庁内の決定した意見とはなつておりません。一応の私の見当としての試案を命じただけのことであります。この意味のことを私は新聞記者に申したのであります。これが事の真相であつて、防衛五箇年計画なるものは毛頭も発表した覚えはありません。
 次に、アメリカから、防衛計画について、私に対して何らの要請もなければ、また交渉もないことは、ここではつきり申し上げておきます。
    〔国務大臣岡野清豪君登壇〕
○国務大臣(岡野清豪君) 貿易のことにつきましていろいろ御指導をこうむりまして、たいへんけつこうであります。西ドイツとの問題でございますが、これが経済提携というように私聞き取りましたが、経済提携でございますと、貿易協定はできておる次第であります。もしこれが西ドイツとの間の市場協定ということになりますと、ただいまのところ国際貿易憲章がございますので、この趣旨にかんがみまして、そういう措置は考えておりませんことを申し上げます。
    〔須磨彌吉郎君登壇〕
○須磨彌吉郎君 ただいま一応の御答弁がありましたが、砂どころでない、岩でもかんだような感じがいたします。一つも真相を伝えていただけません。私は多くの問題について不満を感ずるものでございますが、特に重要なる防衛の問題につきまして、政府が今までどうしたとか、そういうものは考えたが発表しなかつたとか、そういうさまつな手続を伺つているのではございません。ほんとうに防衛をやるお気持かどうかを聞きたいのであります。
 ことに、きよう見ましたアメリカの公式発表によりますと、アメリカの国防次官補でございますフランク・ナツシユという人が、はつきり申しております。日本は防衛をやらないで、じつとしておる――エクスキユーズと書いてありますが、その言いのがれのためには憲法の規定を使うけれども、それとは関係なく、ずるずるつと、ものは動いておると書いてございます。(拍手)この、ずるずるつと、ということであります。私の聞きたいのは、ずるずるつと、ということは、日本国民はいやでございます。やるならやると、何とかはつきり言つていただきたい。このことをもう一ぺん総理大臣並びに長官から伺いたいものでございます。(拍手)
    〔国務大臣吉田茂君登壇〕
○国務大臣(吉田茂君) 日本政府として、日本の防衛について関心がない、考えておらないということは、あり得べからざることでございます。私の内閣あるいは現在の日本政府の考え方、防衛方針については、この間もはつきり申しております。今日においては、こうも変更する考えはありません。一定不変の考えでもつて、防衛問題については十分研究をなし、またこれを実施する考えでおります。
    〔国務大臣木村篤太郎君登壇〕
○国務大臣(木村篤太郎君) お答えいたします。独立国家として、みずからの国をみずから防衛しなければならぬということは、これは当然であります。しかしながら、現在の段階においては、日本の経済力はとうていこれを許さない。従いまして、わずかに内地の治安をいかにして維持して行くべきかについて、われわれは大いに関心を持ち、これに頭をしぼつておるのであります。今の段階においては、保安隊増員ということはいたしませんが、訓練の強化と装備の改善充実によつて、これを日本の治安維持のために持つて行きたい、こう考えて日夜努力しておる次第であります。
○副議長(原彪君) 安平鹿一君。
    〔安平鹿一君登壇〕
○安平鹿一君 私は、日本社会党を代表いたしまして、総理大臣の施政演説に対して、特に労働問題並びに基地の問題に対しまして、やや具体的にお尋ねしたいと存じます。(拍手)
 まず私は労働行政に対してお尋ね申しまするが、さきの総理大臣の演説の中で、わが国の物価のコスト高が国際市場への進出に一大支障なるにかんがみまして、基礎産業の合理化を極力推進し、コスト引下げによる国際競争力の培養をはかる所存であるとのことでありました。今日、日本の物価のコスト高は、吉田内閣自身の片面講和に基く向米一辺倒の特需経済依存のための原料高がその主たる原因であることを知らなければならないのであります。(拍手)だからこそ、今日朝鮮問題が、休戦という、われわれ国民にとりましてまことに喜ばしき平和への希望に直面しておりながら、日本の経済が混乱と危機に見舞われておるという悲しむべき事態に立ち至つたのであります。(拍手)昨日わが党委員長が述べられたことく、アジア貿易を促進し、自立経済への道を開くことがコスト引下げの唯一の道であると信ずるのであります。合理化もここに基調を置いて進められなければならないことは、私が申すまでもございません。しかるところ、総理は、頭の中では、従来とり来つた資本家的合理化、すなわち労働者の賃下げ、労働強化、首切りにより、特需経済の破綻を労働階級への苛酷なる弾圧と犠牲に求め、よつてコストを引下げまして、国際市場への進出を企図するものと思われるのでありますが、総理のお述べになつた、いわゆる産業の合理化とはいかなる内容のものか、具体的にお示し願いたいのであります。(拍手)
 第二に、政府はすでにスト規制法案を本国会に提出されておりまするが、吉田総理は、さきの十三国会におきまして、憲法に保障された労働者のストライキ権を抑圧し、労働者の基本的人権を侵害する緊急調整制を、全労働者及び各界の反対にもかかわらず成立せしめたことは、御承知の通りであります。この制度を昨年の争議にあたつて適用したことも――昨年の炭労の争議にあたつて適用したことも、これまた御存じの通りでございます。ここに至つて、この昨年起つた炭鉱の大ストライキも、法の命ずるがままにストを中止し、法の目的は完全にこれによつて達せられたのでございます。しかも、十三国会以来、同法令はわずかにたつた一度の発動しか経験を持つに至らないのであります。しかるに、今またスト禁止法を提案せんとするがごときは、屋上屋を重ねるにひとしい、実に愚かなことと言わなければならないのであります。(拍手)かかる弾圧をもつて資本家的合理化政策を強行するならば、遂に破壊防止法が破壊を呼び、スト規制法がストを招くであろうことを知らなければならないのであります。(拍手)ことに、本案は、昨年の炭鉱争議にその根拠を求めておるようでありまするけれども、当時の炭鉱労働者は、坑外夫わずかに七千五百円、坑内夫一万二千円のきわめて低い賃金で、地下数千尺で、命を的に国の資源を掘り起す労働者諸君であります。これら労働者諸君は、女房子供とともに共かせぎをしなければ食つて行けない状態であることは、いまさら私が申し上げるまでもございません。それが、莫大なる利益をむさぼつておる炭鉱資本家に、食えるだけの賃金を要求することは当然ではありませんか。それが何ゆえ悪いのでありますか。この切実なる労働者の要求を無視して、いたずらに法律をもつて弾圧することは、資本家はもうけるだけもうけろ、労働者は文句を言わずに働けというにほかならないのであります。もし、こういうことであるならば、戦時中の東条の労働行政と、どこに選ぶところがございましようか。労働者をして喜んで生産に協力させ得なかつた東条は、遂に国を滅ぼしたのであります。賢明なる総理は、東条の轍を踏むことなく、スト規制法案を撤回し、労働者が喜んで生産に協力し得る労働政策を樹立するの意思はないか。この所見を承りたいのであります。(拍手)
 第三に、政府はわが国の民主的労働組合を育成すると言いなから、事実は民主的労働組合の分裂を策しておるのではないかとさえ考えられる政策をとつておるのであります。(拍手)この点において、労働大臣は、労働組合育成のための具体案をお示し願いたいと思うのであります。
 もう一つ小坂労働大臣にお尋ねしておきたいことは、さきに労働組合、資本家及び学識経験者の三者で労働問題協議会を提唱しておきながら、一方にはスト規制法案を議会に提出するがごときは、労働者を欺瞞するもはなはだしいと言わなければならないのであります。(拍手)あえて労働大臣の答弁を求める次第であります。
 第四に、失業問題について、総理は、乏しい財源の中から失業対策費を増額したと、あたかも鬼の首でもとつたようなことを言われたのでありまするけれども、今日の失業者は、総理府の発表を見ましても、昨年三月四十二万人であつたものが、本年の三月には六十一万人に増加しておるとのことでございます。しかし、この発表は完全失業者の数字のみでございまして、潜在失業者を加えるならば優に七百万を越える厖大な失業者があると言わなければならないのであります。このように失業者が年ごとに増加しておることは御承知の通りであります。一方においては資本家的合理化を進め、どしどし首を切りながら、一方においては失業対策費を増額いたしましても、結局はいたちごつこに終るだけでございまして、最終的受取人であるところの失業者の生活は一向に楽にならないということにお気づき願いたいのであります。失業対策を所管大臣は抜本的に組み立てる意思があるかないかをお伺いいたしたいのでございます。(拍手)
 第五に、今日の国家公務員及び公共企業体に従事する労働者は、占領下における圧力で、憲法で保障されたスト権を奪われ、労働者の基本的人権を失つたのであります。これに対しまして、政府は、人事院の勧告及び中労委の調停裁定は尊重しなければならない義務があるように思われるのであります。今日までに起つた官公労組及び公共企業体の紛争に対し、人事院の勧告を初めといたしまして、中労委の調停、裁定等が満足に実行ざれたためしがないのであります。かくのごとく、政府みずからが法の精神と権威を失い、これがために無用の紛争をますます深刻にしておるのであります。しかし、スト権を奪われましたこれらの諸君は、極度に生活の困窮に陥つておるのが現在の状態でございます。今日、官公労組は、ベース・アツプと夏季手当一箇月分を要求しておるのでございます。政府は当然この要求を受け入れるべきだと考えるのでありまするが、政府の所見を伺いたいと存ずるのであります。(拍手)
 第六に、駐留軍の問題についてお伺いしたいのであります。今日駐留軍に働いておる労務者は約十九万人に及んでおるのであります。これらの労務者は、驚くべき悪い条件のもとに、涙をのみ、歯を食いしばつて、米軍の無慈悲な待遇のもとに働かされておるのであります。(拍手)もちろん、これらの悪条件は、政府の結んだ行政協定に因をなし、米国の管理権、裁判権等、広大なる治外法権に存在することは言うまでもありません。その一例をあげれば、昨年、米国の極東司令部に勤務する労務者四百五十名が、予告なしに解雇された事件があるのであります。この事件は労働基準局も御承知のことと思うのでありますが、当局も基準法違反を認められておりながら、何らこれに対する解決の方法が見出されないままに今日に及んでおるのであります。もちろん、その中には、紛争解決のために労資協議会なるものがありますけれども、これは単に名のみでございまして、米軍が協議会に参加を拒否すれば、団体交渉すら開くことができないのでございます。このように、一方的通告で大量的に首切りが行われ、しかも、基準法に定められた予告手当すら受取ることが、これらの労働者はできないのであります。これらの労働者は、空腹に泣き、恐怖におびえているのが、今日の状態であります。これらの労務者は、これ以上もはや働く者の権利の侵害は許さるべきでない、ぎりぎりのところにまで来ておるということを知らなければならないのであります。(拍手)こういう事件に対して、労働大臣はいかような対策をお持ちになつておるか、お聞かせ願いたいのであります。
 以上は、私の労働問題に対する、やや具体的にわたつた質問でございます。明確に御答弁が願いたいのであります。
 次に、木村保安庁長官に御質問を申し上げます。木村保安庁長官は、去る六月九日、福岡におきまして、わが国の防衛計画を明らかにいたしましたが、それによりますると、陸軍二十万五千、航空部隊一千五百三十六、うちジエツト機が四百六十という内容のものでございます。こういう事実を考えてみまする場合、明々白々たる戦力でありまして、従つて、かかる計画は平和憲法に違反するものと思うが、木村長官はどのようにお考えになつておるか。(拍手)さらに木村長官は、去る十二日に、この計画の内容を確認するとともに、この計画を実現するには、現在の志願制度では無理であるので、徴募制を考えなければならないとの見解を発表しておるのであります。政府は明らかに徴兵制を採用する計画を持つておると考えられるが、木村長官の考えを承りたい。さらに木村長官は、九日の談話において、二十万以上の軍隊を持つことは現在の法制上容易なことではない旨を語り、憲法改正をほのめかしておるのであります。この計画を実行するには、また憲法を改正しなければならぬと思うが、木村長官の見解をただしたいのであります。
 さらに緒方副総理は、十二日、木村長官の計画は個人的な見解ならばよろしいと言つておるようでありまするけれども、木村長官は、吉田内閣の国務大臣であり、保安庁長官であることは間違いないのであります。保安庁がかかる計画を立てておるのは当然であり、また義務であると言明しておるのでもわかりまするように、この計画は木村氏個人の見解ではなくして、政府の国務大臣として、保安庁の責任者として行われておるのであります。緒方副総理は、これは単なる個人的の見解であり、また個人的見解であるならば、憲法に違反しようと、国民をそのことによつて混乱させようと、何を言うてもかまわないというのか、御見解をお聞きしたいのであります。(拍手)
 さらに、木村計画をもつてするならば、MSA援助及びすでに組まれておる軍事費のほかに、少くとも二千億円の軍事費を必要とすることは明らかであります。これは少くともインフレを招き、重大なる経済混乱を来し、国民に与える影響は甚大であると考えるのであります。国民生活の立場から、経済審議庁長官は、この計画についていかなる考えを持つておるか、この際お伺いしたいのでございます。
 さらに、この計画は、MSA援助を予想して出されるものであると思うのでありまするが、MSAがひもつきであることは、昨日鈴木委員長が明らかにいたした通りであります。MSAと結ぶ木村計画は、日本を戦争に引きずり込み、日本の肉弾傭兵制度を打立てようとするものであります。総理が既定方針で進むとするならば、この木村長官の言明は明らかに政府の方針と食い違つておるのであります。総理は木村長官を罷免する意思があるかどうかを承りておきたいのであります。(拍手)
 次に、私は、軍事基地の問題につきまして、これまた具体的に聞きたいと思うのであります。第一に、今日日本が当面する最も重要な課題は、日本の独立と平和が日に日に虫ばまれて行く現状をいかに打開するかということでございます。わが党が、講和条約、安保条約並びに行政協定に対しまして、祖国の平和と独立を売り渡す条約であるとの観点から反対して参つたことは、御承知の通りであります。今、日本の現状は、不幸にも私どもの心配した通り、祖国の権威は地に落ち、独立という美名のもとに特定国の隷属国となり下りつつあるのが現実の姿でございます。(拍手)また、朝鮮事変の解決の糸口は、世界の平和を大きく目ざして躍動しておりますのにもかかわりませず、日本が不幸にも血なまぐさい硝煙の基地と化しておるのであります。
 わが国の基地は、本年一月の調査によりますれば、七百三十三箇所を数えております。その面積は三億一千万坪と言われておるのでありますが、政府はさきに軍事施設の返還を発表し、基地数は減少したとの放送がなされたのでありまするけれども、その返還されたものは、戦略的価値を失つた一時使用の若干の減少を見たのみでございまして、むしろ無制限永久基地は逆に増加しておるという、嘆かわしい事実を申さなければならないのでございます。(拍手)ことに見のがせないこれらの特徴は、数に変化はございませんけれども、実質的に基地の拡張をはかるという、この著しい特徴が最近出て参つていることを見のがすわけに参らないのであります。本年五月現在において解除されたものが二箇所、縮小されたものが七箇所、これに対しまして、追加されたものが十六、拡張されたものが四十七の多きに達している事実は、この間の特徴を雄弁に物語つているのでございます。
 かくのごとく、全国至るところ基地として、農民の土地も、漁民の海も侵され、奪われております。こうした基地は、外国の例によりますならば、フイリピンにおいては九十九箇年の間に二十九箇所、英国は四箇年の間に十箇所と定められているにもかかわらず、日本の行政協定は無期限で、しかも数も無制限で、今日まで一箇年の間に七百三十三箇所の基地が設けられているのであります。政府はさらにこれ以上の基地をお認めになるつもりであるかどうか。総理の明確なる御答弁をお願いしたいのであります。(拍手)
 さらに、これらの全国的な七百三十三箇所の基地では、すべて大きな問題を引起しておるのでありますが、この一々を申し上げる時間がございません。(「常任委員会でやれ」と呼ぶ者あり)ここに北海道の一例と、内灘との二つの例を取上げまして、あとは常任委員会等において詳細に質問をしたいと存ずるのであります。
 まず第一に、北海道の日高門別町は、高射砲演習地として七十三町歩を接収せられまして、昭和二十六年に五十三日間も演習地に使用したのでありまするけれども、漁家のこうむりました被害に対して、全額で八十万円、一戸当り二千円という、真にすずめの涙程度の見舞金を交付されたにすぎないのでございます。ところが、昭和二十七年度には、漁家の損害は約六百万円に上つておりますのにもかかわらず、今日に至るもなお一銭の支給もなしておらないのみか、今回さらに上陸用舟艇による上陸演習を始めるために、その数十倍に上る三千五百町歩を接収されようとしておりまして、日高門別の農民漁民はあげてこれに反対をしておるのでありまするが、このように最初の施設より数十倍に上るような施設を今後政府は考え、また承知しておるかいなかをお答え願いたいのであります。(拍手)
 次に内灘問題について申し上げたいのでありますけれども、今日、内灘問題は政治問題に発展しておるのであります。あたかも従属国である日本の縮図として、日本国民の怒りを込めた注目の的となつておるのであります。内灘は、すでに御承知の通り、当初政府と住民との間において四箇月間に限り使用するという期限付の了解のもとに、基地として使用されたのでございます。この明確なる期限の四月三十日を経過しておるにもかかわらず、これを撤去せざるのみか、逆に無期限使用の方針を一方的にとりきめるに至つたことが、今日流血の悲惨事を引起した原因であると思うのであります。現在までの現地報告によりますれば、十日、十三日、十四日には、それぞれ一名ずつの住民が警官になぐられ、五センチを越える負傷をした者を出し、いまなお三百名の住民は、着弾五百メートルの近くにある森に、死を賭してすわり込みをやつておるのであります。一方、富山、福井、大阪管区における警察学校の生徒等を合せますれば、優に一千八百名の警官が出動いたしまして、事態はますます険悪なる空気に包まれつつあるのでございます。政府の約束不履行によつて引起されたこの事件に対して、政府はその責任を明らかにされたいのであります。
 さらに、本月五日、十日、政府は伊関国際協力局長及び田中副官房長官を現地に派遣したのでありまするけれども、この際両君は、問題の現地内灘駅に下車せずに、石動の倶利加羅峠を越えて金閣ホテルに至りまして、しかも警官隊五十名を先頭に県庁入りをして、帰りには小松からアメリカの飛行機に乗せられて逃げて帰つたとの話でございます。(拍手)しかも、見のがせない事実は、これら両君は、日米協定の合同委員会の要請であるからという口実で、金の補償で解決を迫つたとのことでございまするが、かかることは、片手に強権を握り、片手に札束を握つて、金で解決しようという下劣なやり方であると言わなければならないのであります。(拍手)政府は、金さえ出せば解決できると思つておりましようが、内灘の住民の要求は、金ではなくて、常に総理の唱えておりまする道義に基く約束の履行を迫つておることを知らなければならないのであります。(拍手)住民の郷土愛や独立心までも金で買おうとすることは、それはできないことであります。この両君の、地元民の意思を無視した、非民主的にして一方的な態度が、かえつて地元住民の怒りをかり立てておる。こういう事実をいかに考えておるか。今後地元民の意思を十分に反映せしめるため、基地の決定は住民の民主的な投票できめるか、あるいはその他の処置を講じ、紛争の解決をはかる意思があるかいなかをお尋ねしたいのであります。
 次に、今日問題となつております浅間山の山麓基地の問題でございます。ただに附近住民の生活権を脅かすだけではなくて、今日浅間山は、地震学会を中心とする日本の学界の問題となりつつあるのであります。当地は、火山、地震の歴史的に重要な研究地でありまして、その成果が世界的に期待されておるという事情にありまして、特に学界は強硬に反対するに至つたのでございます。これはアメリカ一辺倒の政治が遂に学問の権威と自由を侵害するに至つた具体的な事実でございます。(拍手)また奈良は、京都とともに、日本における最大の文化財集中地として国際的に認められておることは、御承知の通りであります。文化財保護に関する国際条約が明年度とりきめられる運びになつておることは、昨年パリにおきまして、ユネスコの総会決定に基き開かれました世界各国の政府、専門家の会議において決定を見ておるのであります。しかるに、政府は、京都、奈良、浅間山等が問題となつて紛糾を重ねておりまする一昨々日、六月十五日に、あわてふためいて、国際条約の特別保護下に置くように要請するところの文書を各関係国に送つたとのことでございまするが、まことに許しがたき政府の怠慢であると言わざるを得ないのであります。(拍手)政府は、浅間山を初めといたしまして、各地の文化財保護物に対し、紛争を起す以前に積極的な努力が払われなかつたところに、今日の紛争のおもなるものがあると思うのでございます。私はまことにこの政府の態度は不可解千万と言わなければならないのでありまするが、この間の説明を願いたい。さらに所管大臣は、現に基地化し、またはされんとしておる京都、奈良、浅間山等の文化財保護物の基地化反対を積極的になされる御意思があるかどうか、御答弁を願いたい。
 次に、私は、日本の基地が国民の教育上に与える影響についてお尋ねしたい。基地の子供たちは、爆音や砲音に悩み、勉強のできないことを切々として訴え、小さき胸を痛めておるのであります。また風紀のはなはだしい頽廃は、勤労意欲の喪失、青少年の不良化に拍車をかけ、著しく学力を低下せしめておるのであります。さらに基地における人権蹂躙は目に余るものがあり、もろくも生命を奪われ、貞操を犯されつつあることは、政府閣僚の諸君もよく御存じの通りであります。文部大臣はいかにしてこの教育を守られるかを伺いたいのであります。
 最後に伺いたいことは、朝鮮事変の解決によりまして、在朝鮮国連軍が大量に、しかも長期にわたつて日本に駐留するということが伝えられておるのであります。朝鮮事変も解決し、世界は平和を目ざして歩もうとするとき、日本の国民は、これ以上一人の駐留軍とい、どもまつぴらごめんでございます。(拍手)これは単に私の要求ではなくて、全国民の強い要求でございます。従つて、政府は、これらの事実を明らかにされるとともに、かかる申入れに対し断固これを拒否すべきであると思うが、政府にその決意ありやいなや、お答え願いたいのであります。今や、国民の声は独立を求め、祖国を他・国の軍事基地とすることに絶対反対をするとともに、武装を放棄いたしました日本こそ平和のための拠点となるべき名誉をになえと訴えておるのであります。私はこの程度で基地に関する質問を終りといたす次第であります。
 次に、私は六月西日本を襲いました風水害の対策についてお尋ねしたいのであります。本月上旬襲来いたしました暴風豪雨の被害は、愛媛、岡山、福岡ほか西日本の十七県を中心にいたしまして、ほとんど全国に及び、その期間は長期にわたつておるのであります。時あたかも麦、菜種等の収穫最盛期にあたりまして、農産物を中心として家屋、土木、耕地、畜産、林野、水産、炭鉱、教育施設等、きわめて広汎にわたる被害をこうむつたのでございます。その被害総額は実に三百六十一億三千六百五十八万二千円に達しておりまして、近来まれに見る天災であつたのでございます。従いまして、災害復旧に努むべきはもちろんでありますけれども、特に農産物は所定の法規によつては復旧し得ない特異の災害でありますので、農業再生産を確保し、農民生活の危機を救うためには、新たな立法措置を講じ、または特別措置をはかつて、緊急に次の対策を樹立する必要ありと考えるのでございます。すなわち、農産物については利子補給による長期営農資金を早急に貸し出すこと、菜種及び果樹など農業災害対策対象外の農産物に対して、同法に準じて特別補償を行うこと、検査規格を緩和し、等外品の無制限政府買上げを行うこと、災害農家の飯米確保等の処置を講ずるほか、公共事業の災害復旧を初めといたしまして、各関係被害の救済措置を実行すべきであると考えておるのであります。(拍手)半歳の長きにわたる辛苦の結晶を一瞬にして無にいたしました罹災者の打撃を考え、その早急な実現を要求いたしまして、農林大臣の方針を承りたいのでございます。問題がはなはだ具体的にわたりましたので、具体的に御答弁を願いたいと存ずるのであります。
 以上で質問を終りたいと存じます。(拍手)
    〔国務大臣吉田茂君登壇〕
○国務大臣(吉田茂君) スト禁止法案を引込ます意思がないかというお尋ねでありますが、これに対してお答えをいたします。本法案を提出いたしましたのは、昨年の電産、炭労争議の際における事態にかんがみまして、公共の福祉と争議権との間の調和をはかることがその主たる目的であります。本法案は、従来から違法または正当ならざる行為の範囲が明確でないので、これを明確にするのがその趣意であります。すなわち、緊急調整の制度とは違うのであります。お答をいたします。
    〔国務大臣小坂善太郎君登壇〕
○国務大臣(小坂善太郎君) 安平君の数々の質問を五点にまとめてお答え申し上げます。
 第一点は、民主的労組の育成方針いかん。労働問題協議会を提唱しておきながら、スト規制法案を出したその関係はどうであるか。こういうことであります。私は、労働問題を一部の労使間の問題だけにしないで、これを日本経済の自立なり国民経済との関連におきまして、全国民の問題として取上げることを期待いたしまして、この趣旨で労働問題協議会を提唱しておるのであります。労使間に政府が介入いたすということは特に避ける方針でございまするから、育成というような言葉は避けたいと存じまするが、こうした健全な世論の良識を背景として民主的労組が伸びて行くことを期待しておるものであります。なおスト規制法案につきましては、ただいま総理の御答弁がありまして御承知のことでございますが、この法案は前国会におきまして本院を通過いたしております。その後におきまして特段の変化もないのでありまするが、政府といたしましては、院議尊重の建前からいたしましても、これを提出するのが当然であると考えております。
 第二点は、失業の問題であります。失業対策につきましては、これのみで取上げられることは無理でありまして、他の経済政策との関連において取上げるべきものでありまするが、全国にわたりまする職業安定機関の活動を促進いたしまして、雇用の円滑なる調整に努めまするとともに、公共事業等への投資の増大によりまして雇用量の拡大をはかり、他面におきまして、失業保険対策、職業安定補導事業の効率的な運営と相まちまして失業対策事業の強化拡充を行いまして、その万全を期することといたしております。これがために、本年度におきましては、失業保険、失業対策費等におきまして相当の増額を行いました次第でございます。
 第三点は、国家公務員法並びに公労法の改正を行うごとについての御意見でございましたが、これは申すまでもなく、国家公務員は国民全体に奉仕するものでありまして、この点におきまして、公務員は一般の私企業における労働者とその性格を異にいたしておるのであります。従いまして、争議行為を行いますることは、国民全体の奉仕者という立場からも、また公共の福祉の立場からも許されないことは明らかであると思うのであります。しかしながら、であるからどいいまして、公務員の生活が脅かされるというがごとき事態を発生することは許されないことでありまして、その身分保障、利益保護につきましては諸般の措置が講ぜられなければならないと思つておるのであります。かかる見地からいたしまして、国家公務員法、公労法、その他一連の法律が制定されておるのでありまするが、政府といたしましては、法律の運用について従来ともその趣旨が十分達せられますよう、公務員の生活保障等に万全の措置を講じているところであります。なお公労法の改正等につきましては各種の御意見があるようでございまするが、これにつきましては、政府は、右の立法の趣旨に即応しながら、慎重に検討いたしたいと思つております。(拍手)
 第四点は極東海軍の問題でございまするが、これは目下調達庁におきまして米軍との間に折衝いたしております。
 右御答弁申し上げます。
    〔国務大臣木村篤太郎君登壇〕
○国務大臣(木村篤太郎君) 安平君にお答えいたします。安平君が申されましたような防衛計画を発表したことは断じてありません。また、徴募制度をとることを考えなければならないというようなことを申した事実もありません。ただいま徴募制度なんかをとるようなことは考えておりません。(拍手)
    〔国務大臣岡崎勝男君登壇〕
○国務大臣(岡崎勝男君) 駐留軍の必要とする施設につきましては、条約に基き提供いたしておるのでありますが、これをどの程度やるかということは、一般的には申されません。必要の最小限度提供することにいたしております。
 内灘の問題につきましては、でき得る限り継続して使用いたしたいと考えましたが、現地におきましては、風紀の問題や米軍との摩擦等を非常に懸念いたしましたので、とりあえず四箇月やつてみる、その上で、そういう問題がなかつたならば、さらに継続して使いたいと考えております。ところが、風紀等の問題は別に出て参りませんので、引続き使用を交渉したのであります。この問題につきましては、外部からの扇動がずいぶんだくさんありましたが、只今のところは、幸いに平静に至つております。(「外部とは何だと呼び、その他発言する者多し、拍手)
 なお朝鮮問題につきましては、いまだ前途ははつきりいたしておりませんが、日本としては国連との協力に努力するつもりであります。
    〔離席する者、発言する者多く、議場騒然〕
    〔国務大臣大達茂雄君登壇〕
○国務大臣(大達茂雄君) 浅間山麓の基地化の問題に関連いたしまして、地震の観測にどの程度の影響があるか。この問題につきましては、先ほど現地におきまして、日米双方立会いの上で実験をいたしました。ただいまでは、その実験の結果を日米専門家の手で調べております。その結論が出ました上で、純粋に学問的に善処したい、かように存じでおります。
    〔国務大臣内田信也君登壇〕
○国務大臣(内田信也君) 西日本の風水害に対しましては、とりあえず農業共済におきまずる共済金の概算払いを早急に実行いたしますとともに、助成金措置及び金融措置を講じまして被害農家の再生産に尽したく、なお食糧としての麦を貸し付ける考えでございます。
    〔安平鹿一君登壇〕
○安平鹿一君 外務大臣に再質問をいたします。今の内灘の問題は、先ほど私が御質問を申し上げた通り、その内容は、地元住民の意志を蹂躙して、一方的に政府が独断によつてきめたことに原因があるのでありまして、外部からの扇動は絶対にありません。(発言する者あり)もし外部からの扇動があると言うならば、その事実を具体的に申し述べてもらいたいのであります。
    〔「答弁の必要なし」「答弁々々」と呼び、その他発言する者多く、議場騒然〕
    〔国務大臣岡崎勝男君登壇〕
○国務大臣(岡崎勝男君) 当時の状況は、その当時の新聞等にもよく伝えられておりますので、それをごらん願います。
    〔発言する者、離席する者多く、議場騒然〕
    〔安平鹿一君登壇〕
○安平鹿一君 私は……。
○副議長(原彪君) 安平君にちよつと御注意申し上げます。時間が経過しておりますから、ごく簡単に願います。
○安平鹿一君(続) 議長から御注意がありますので、私は簡単に三べん質問を繰返します。
 先ほどから木村長官の問題が本議場の問題となつておりましたときに、新聞は当てにならないとのことであつた。ところが、今外務大臣の御答弁によりまするならば、新聞の報道が真実なりとのお答えでございまするが、この食い違いはいかなる理由によるか、お答え願いたいのであります。
    〔国務大臣岡崎勝男君登壇〕
○国務大臣(岡崎勝男君) 当時の新聞には写真等も載つております。
○副議長(原彪君) 井上良二君。
    〔井上良二君登壇〕
○井上良二君 私は、日本社会党を代表いたしまして、吉田内閣の施政方針に対し、わが国の独立達成と平和を守るための基礎条件たる経済自立の具体的な方針について、以下数点質問を行わんとするものであります。(拍手)
 政府は、先日、本議場において、施政方針の演説の中に、朝鮮動乱休戦後の外交、経済政策のうちで、特に経済自立態勢の確立をうたい、いかにも政府が経済自立に全力を注がんとするがごとき所見を述べているのでありますが、朝鮮動乱の休戦が伝えられますや、わが国産業と経済界に重大な影響を与え、特需の減少の予想と、国際的な物価の低落による海外への輸出の不振と相まつて、今やわが国綿紡、鉄鋼、石炭等の重要産業は、それぞれ事業を縮小し、あるいは閉鎖し、労働者の賃下げと首切りという資本の攻勢が勤労大衆の上にのしかかりつつあり、他方、中小企業者は営業不振に陥り、商品のストツクが増大し、売掛と金融難と不渡り手形に苦しめられ、その上重税とやみ金利に追いまわされており、また働く農民も、打続く農業災害と農産物の価格の低落にあえいでいる実情であります。かくのごとく、現に起りつつあるわが国経済界の不安動揺に対してさえ、政府の施政方針には何らこれに対処する積極的な対策を見出すことができないのであります。(拍手)これは、思うに、政府が現下の世界情勢の変化と、それに伴うわが国経済の重大危機について十分な認識を欠き、事態を楽観し過ぎた結果であると言われても、何事も弁明はできません。正常なる貿易収入でない特需を中心とする臨時的な外貨収入に依存することなく、わが国の経済自立を達成せんとするには、単に総花的な政策の羅列ではなく有効にして適切なる具体的政策が、総合的な計画経済のもとに長期にわたつて実行されることが必要であるが、この点に対して、政府は一体どう考えておるか。日本経済の自立を目標とした長期の経済計画を総合的に樹立実行する意思があるかないかを伺いたいのであります。(拍手)もし政府において総合的な自立計画が立案されておりますならば、それをこの際本議場において発表されたいと思うのであります。
 次に、わが国経済自立の上に重大な支障となつています二、三の問題について伺いたい。
 まず、今日の正常貿易の拡大の大きな支障となつている生産コストの引下げの問題でありますが、わが国の輸出商品が国際的に割高であることから、生産コストの引下げの問題が当面の大きな課題となつている。この問題について、総理も、先日の施政方針演説の中において、わが国物価のコスト高が国際市場への進出に一大支障となつているのにかんがみ、基礎産業の合理化を極力促進し、コスト引下げによる国際競争力を培養すると言い、小笠原大蔵大臣、岡野通産大臣も、生産コスト引下げに関してそれぞれ必要な意見を述べておるのであります。この貿易振興のための生産コストの引下げは一体何を意味するかということであります。生産コストを引下げるために企業を合理化する場合、ともすれば、その対象を働く労働者に求め、賃下げと首切り等による勤労大衆の犠牲の上に行われる危険があり、このことはかえつて勤労大衆の不安を高め、国民経済を混乱に導く結果を生むおそれもあると思うが、政府の所見はいかがであるか承りたいのであります。(拍手)
 産業合理化の目標は、労働大衆にしわ寄せをするにあらずして、生産設備の近代化と技術の向上を中心とするものでなければなりません。従来唱えられ、また実行されて来た産業の合理化は、労働大衆の賃下げと首切り等の犠牲によつて行われて来たのであつて、自由主義経済の上に立つ吉田内閣が今日行わんとする産業合理化もまた労働大衆の犠牲の上に行わんとするものではないかということであります。もし政府が、労働者を犠牲にすることなく産業の合理化を達成する方法があると言うなれば、その対策をここに明確に示されたいのであります。(拍手)われわれの考えるところによれば、労働者を犠牲にすることなしに産業の合理化を行わんとするならば、まず重要産業と金融を国家管理の方向に推し進めなければなりません。(拍手)また産業設備の近代化に一体どのくらいの所要資金を準備しておるか、その計画と、その資金の具体的な内容をこの際発表されたいと思うのであります。
 産業設備の近代化と生産の合理化と相並んでコストの引下げに重大な関係のあります問題は、電力と石炭が常に高いという問題であります。そこで、わが国の燃料、動力源の一つである石炭に対しては、今日まで多額の国家資金を投じ、特別な増産奨励を行つて来たにかかわらず、炭価は依然として海外に比して非常に高く、ために、わが国産業の四割は、やむなく外炭と重油に依存しているありさまであります。岡野通産相は、この高炭価を約二割方引下げるため、四百五十億の巨額な資金を投じて炭鉱施設の近代化を推し進めんとしているが、今日わが国産業の生産を現状のまま維持するとして、それに必要な石炭は、一体いつになつたら政府の言う二割方の値下げが実現されるかを、岡野大臣はこの際明確にされたいと思うのであります。(拍手)
 わが国の炭鉱の多くはすでに老朽化し、またその近代化も容易でない今日、日本の熱源、動力源は、今後、より多く水力による発電に求めねばならない。この関係から、電源の開発を飛躍的に強化拡大せねばならぬ実情に迫られております。政府は、昭和三十二年までに水力発電で三百九十八万キロワツトの出力増加を予定しているようであるが、現在調査されている未開発の電源はおよそ二千万キロワツトと言われ、このうち今日まで六百六十万キロワツトが開発されているにすぎません。そこで、政府は、現在の開発計画をさらに拡大するとともに、この電源開発を民間の営利を目的とする会社にまかせず、国内資金を思い切つて集中的につぎ込み、政府みずからの手で急速に開発すべきであると思うが、政府の所見を伺いたいのであります。(拍手)
 また最近、各電力会社が再び電力料金の引上げを策しているが、最近の貯炭の増加による炭価の先安と、豊水に恵まれている実情から、何ら電力料金を値上げする要素は起つていないのであります。(拍手)私どもは、この事実から、この電力料金の不当の値上げには断固反対をするものであります。(拍手)政府は、この電力会社の料金値上げをいかに阻止せんとするか、この際その態度を明らかにしてもらいたいのであります。(拍手)
 第二に伺いたいのは、政府の貿易政策についてであります。政府は、貿易の振興政策として、輸出市場の拡大、輸出産業の振興を唱え、輸出産業と原材料の輸入に対する免税、金利の引下げ等の方策をとると言つているが、しからば、これらの方策を政府はどの貿易産業と、いずれの原材料の輸入に適用せんとするか。今後、日本の輸出産業は、重工業製品を初めとして、綿紡にかわる化学繊維、合成樹脂等の国産原料による新興産業と化学肥料に至るまで、広範囲にわたつて育成されねばならないが、政府はどの産業を特に優先的に育成せんとするか、具体的に説明を願いたいのであります。(拍手)
 次に、輸出市場に関してでありますが、各国の輸出市場の獲得競争は、多くの同僚からも申されました通り、日を追うてはげしく、特に日本が求めんとする東南アジアヘの進出には、米英を初め西欧各国がしのぎを削つているありさまでありますから、日本が、この中に立つて、コスト高の商品で一体どこの国のどの地域に新しい日本商品の市場を獲得せんとするか、この点に対して岡崎外相から具体的に御説明を願いたい。(拍手)また諸外国は、市場獲得には国家みずから多くの努力をさいている現在、わが国のみが積極的な外交的処置を講じないことは、貿易政策上何よりも大きな手抜かりであると思うが、政府はいかに考えられておるか。(拍手)同時に、この市場の開拓に関連して、政府は中共貿易にはあまり期待ができないと言つて来ながら、岡野通産相は、中共貿易をきわめて重視しており、西欧並に制限物資の緩和をはかりたいと昨日答弁しておるが、しからば、一体、いつから、いかなる物資を、どのような条件で輸出の緩和をせんとするか、通産大臣から具体的にご説明を願いたいのであります。(拍手)
 次に、日本が東南アジアに輸出市場を求めようとする場合、当然米英を中心とする諸外国との間の競争に巻き込まれ、諸国は日本商品に対して高い関税を課して対抗すると考えられるが、政府は、この関税障壁に対して、通商の自由を主張して強硬な経済外交を貫き、現に締結されている通商条約の改訂をも行い得る勇気を持つておるか、岡崎外相に伺いたいのであります。(拍手)
 第三に伺いたいのは、経済自立の一大支柱たる食糧自給対策と、これに関連する農業政策について数点伺いたいのであります。
 御承知のように、わが国は、年間三百万トンの食糧不足を補うために、十一億ドルの外貨収入の中から、その三割に近い四億余ドルの外貨を投じて外国食糧の輸入を仰いでおるのでありますが、このことは、日本経済の自立にとつて大きな支障となるばかりでなく、国際収支の上からも強い批判の対象となつているのであります。政府みずからこの事態を緩和せんとして、第一次吉田内閣以来、食糧の自給態勢の確立を唱えて参り、また本年度においても、食糧増産対策をうたつているのでありますが、はたしてその成果は今日までどれだけ上つているかを伺いたいのであります。(拍手)
 昭和二十四年以来吉田内閣が投下した食糧増産経費は総額約一千億に上り、その増産効果は、土地改良だけで三百五十万石と言われているのでありますが、人口増加や農業災害等を勘案するといえども、政府の産米の供出割合い、当は年々減額され、反対に輸入食糧は、二十四米穀年度では砂糖を含めて二百二十万トンにすぎなかつたものが、二十七年度には三百二十万トンと、この間百万トンも輸入は増加しているのであります。(拍手)今日まで約一千億の国家資金をつぎ込んで行つて来た増産効果は、一体どこに現われているか。(拍手)この点について農林大臣及び経済審議庁長官の明確なる御答弁を承りたいのであります。この巨額の経費をつぎ込みながら、増産効果が具体的につかみ得ないのは、自由党吉田内閣の農業政策が、都市資本の蓄積をはかるため、農民に低米価による供出と過剰人口を背負わして、農家経済に重圧を加え、他方、政府の食糧政策が常に動揺し、無定見を暴露した結果であります。(拍手)さらに政府は、現実に米の統制撤廃が不可能であるにかかわらず、今にも統制をはずすかのごとく、無責任な宣伝をして来た。この不謹慎きわまる政府の態度が、多額の国費を食糧増産につぎ込みながら、その成果を具体的につかみ得ない結果を招来したもので、政府の責任は重大であります。(拍手)内田農相の責任ある答弁を承りたい。
 次に、今まさに植付期に入つた本年度産米に対し、政府は、従前通りの平年作で二千八百万石を見当とする供出割当を行い、政府の一手買上げと、現在の配給方式を継続する方針であるか、それとも米の統制を撤廃するつもりであるかを伺いたい。もし政府が、食糧確保の見地から米の供出割当を継続するとせば、昨年度産米の割当二千五百四十万石を各府県に対して行つたと公表しながら、この割当に不満を持つて強硬にその減額を主張した県に対しては秘密裡に減額割当を行つたと聞いているが、これは事実かどうか。万一かかる事実があつたとすれば、本年度産米の供出は容易ならざる混乱が予想されると思うが、政府はいかなる対策を持つているかを伺いたい。(拍手)
 さらに、あわせて伺つておきたいことは、現に主要食糧が中間端境期にあつて、過ぐる凍霜害、台風第二号等による災害は、本年産麦に予想外の被害を与えたため、麦の収穫により自家用飯米を節約して売るつもりであつた農家が、飯米を他に売り渡すことができなくなつた結果、やみ米の価格は大都市において一挙に七、八十円も暴騰している。この麦の減収と米の自由価格の暴騰は、本年産米の集荷に、またさらに買上げ価格にも重大な支障を来すと思うが、政府はいかにこの事実を考えておるか、率直に伺いたいと思うのであります。(拍手)
 私ども日本社会党は、かねてから吉田内閣の食糧対策に対する無定見について強く警告を与え、日本における食糧問題の解決は、耕地の拡張、改良並びに耕種の改善等による米麦の飛躍的な増産と並行して、畜産の画期的振興をはかり、水産業の育成と相まつて、蛋白、脂肪給源を確保することにより、国民の食生活を根本的に改善するにあらざれば、食糧問題の解決はとうていはかり得ないことを主張して来たのであります。(拍手)しかるに、政府は、この蛋白、脂肪給源の確保と価格の引下げに努力せず、反対に酒米を増加し、酒の税金を引下げながら、砂糖の消費税は二割つり上げて、さらに外米の輸入を外麦に振りかえんとしていることは、金持は米を食い貧乏人は麦を食えという自由党の階級的食糧政策の露骨な現われであり、断じて勤労大衆の承服することのできないところであります。(拍手)今日、勤労大衆の家庭が粉食を進んでとり得ないのは、蛋白質と脂肪類が価格的にやみ米を買うよりも割高であるためであり、この価格問題を解決せずして外米輸入を漸増させることは、少数の巨大な製粉会社の私腹を肥やすだけであることに政府は気づかないかどうか。(拍手)総合的栄養食糧の普及の見地から外麦の輸入を増加するとせば、これと並行して肉類、卵、牛乳、砂糖等の価格の引下げに何ゆえに政府は具体的な対策をとらないのか。いつになつたら働く勤労者の台所に安い蛋白質と脂肪の食糧が充実されるかを、具体的に農林大臣は示してもらいたい。(拍手)
 次に、国内で食糧増産を遂行するためには、農産物の価格を、拡大再生産費を償う価格に保証しなければなりません。そこで、まず伺いたいことは、政府は本年産米価格をいかに決定せんとするかであります。先日開かれた米価審議会において、本年産米の価格の決定の前提となる産麦価格の決定にあたり、政府は審議会の意向を十分に参酌せず、一方的にすでに予算化している点を指摘されるや、内田農相は、すでに国会にその予算が提出されているにかかわらず、私はまだ本年産麦価を予算化した覚えはないから、政府として産麦予算価格はまだ決定していないと答弁しているが、現在国会に提出されている食管会計に計上されている予算麦価は、政府の正式決定したものではないのか。農相の言う通りであるとすれば、政府が国会に対し、所管大臣さえ知らない予算麦価を提出していることになり、このことは政府部内の不統一を暴露するのみならず、国会を侮辱するもはなはだしいものであつて、(拍手)政府の責任はきわめて重大であります。また、万一農相がうつかりしている間に予算価格がきめられたとしたら、重大な予算麦価の決定さえも知らないような農林大臣は、農林行政を担当する資格なしと断定されてもやむを得ないと思うが、この点、総理大臣、農相の所見を伺いたいのであります。(拍手)また大蔵大臣は、予算麦価の決定を農林大臣に相談しなかつたかどうか、明らかにしてもらいたいのであります。
 なお、本年産麦価格の決定は、秋の米価決定に重要な関連がありますので、この際政府に確かめておきたいことは、米価審議会が決定せる新麦の二重価格制を中心とした答申案を政府は採用するかどうか、それとも予算価格で押し切るつもりか、万一政府が予算価格で押し通そうとした場合、かりに国会において予算が修正され、自由価格制にのつとつた新麦価がその修正に盛られたとすれば、農相及び蔵相はいかなる責任を負おうとするか、また政府は、本年の産米価格を昨年のようにパリテイ指数を土台にした計算方式を採用しようとするか、それとも、最近の経済情勢を勘案して、農家経済の実態を把握して、国際価格にさや寄せをする必要を感ずるかどうか、石一万円以上の採算の合う価格に決定する意思があるかどうかをこの際明確にされたい。(拍手)
 次に、かんしよ、大豆、菜種等の重要農産物について、価格支持制度を確立するか、または農産物金融倉庫制度のごときものを採用する意思はないか、また政府は、これらの農産物の値下りに対して、いかなる対策を考えているか、あわせて承りたいのであります。
 先般全国各地に重大な被害をもたらした凍霜害について、いまだ応急対策も完了しないうちに、西日本一帯を襲つた台風第二号によつて農作物と農業施設は重大な被害を受けているが、政府はこれに対して、まことに抽象的にして、ほとんど見るべき具体的な政策を立て得ないのは一体どういうことか。いま少し問題の重大性を考えて、真剣にこの問題の早急な対策を立て、実施する意思があるかどうか、この際承りたいのであります。(拍手)
 また、農業災害に関連して、現在の農業共済制度は、共済金の支払いの遅延、その他いろいろな批判を受けているが、政府はこの制度の根本的な改正についていかなる見解を持つているか、この際承つておきたいのであります。(拍手)
 この食糧増産に関連して、肥料の問題がきわめて重大な段階に立つておりますが、政府は今後いかなる肥料政策をとらんとするか。すなわち、肥料は国内食糧の増産の重要資材として取扱うか、それとも輸出産業として育成するのか、国内農業生産の増大に主力を置く場合に、輸出価格と国内価格をいかに調整せんとするか、また肥料の海外市場価格と国内価格との均衡をいかにはからんとするかを承りたい。米麦の価格は、皆様も御承知の通り、低米価で統制を加えながら、海外に安い肥料を輸出して、国内産よりも二、三千円も高い外米を買うような農業政策が、一体世界のどこの国にあると思うか。(拍手)政府は何ゆえに肥料価格の安定に関する立法措置を講じないのか、また国内価格がどうしても海外市場価格を大幅に上まわる場合、政府は海外から安い肥料の輸入を認めるか、さらに肥料価格の引下げに対して、いかなる肥料産業合理化についての対策を立てておるか、この際明らかにしていただきたいのであります。
 なお、農業生産力の増強と農村民主化を徹底する意味から、農業団体の再編成を行わんとしておるのでありますが、政府はこれに対していかなる対策を一体持つておるか、この際この議場で明らかにしてもらいたい。
 第四に、政府は、経済の自立政策に並行して、いかに国民生活の安定をはからんとするかであります。吉田総理は、国民生活の安定は前内閣以来の信条であると述べておりますが、遺憾ながら、総理が単に信条としているだけでは、実質的な国民生活の安定向上は望むことはできません。(拍手)それどころか、朝鮮動乱の休戦が予想されて以来、不景気の襲来とともに、国民生活の不安が高まりつつある今日、政府は国民生活の安定について具体的に何をなさんとするか。失業対策費のわずかの増額や、水増し増税と相殺される名目的減税をもつて、あたかも民生安定なれりとするのは、歴代吉田内閣がとつて来た欺瞞政策であつて、勤労国民の強い憤激を買つているところであります。(拍手)われわれは、あくまで、完全雇用と再低賃金制の確立を通じ、国民生活水準を引上げ、社会保障制度の完全実施を目標とすることが何よりも急務であると信ずるが、政府はいかなる見解を持つているか。また公務員の給与べースは、人事院の勧告があればそれに従うか、いつから一体これを改訂実施する見込みであるか、夏季手当は具体的に大蔵大臣がきめると言うが、一体いつきめてそれを発表するか、この際それを明らかにされたい。(拍手)特に労働大臣は、最低賃金制度に対していかなる考え方を持ちこれを確立する意思があるかを、あわせて伺いたい。
 次に、今日の国民生活を最も圧迫している重税について、政府は、本年度税制の大幅な改正を行い、国民負担を軽減すると言つているが、政府の税制改革は常に文字通りの制度改革にすぎず、依然として年所得三十万円以下という低額所得者が所得税総額の八割を負担するという現状では、とうてい国民の税負担が公平とは言えません。(拍手)われわれ社会党は、三人家族で一箇月二万円の生活費はどうしても必要であるという見地から、年収二十四万円以下の所得者は免税すべき旨を主張しておるのでありますが、政府はこれを実施する意思があるかどうか、この際明確にされたいと思います。(拍手)富裕税を廃止し、株の売買利得に対しての課税を改めるほど金持に親切な政府が、何ゆえ低額所得者の血のにじむ税金の軽減に最大の力を注がないのか、この関係を具体的に説明願いたい。(拍手)また、給与所得者と同じく重税に苦しめられておる者に中小企業者があり、特に最近購買力の低下による商品の滞貨は、金融難と相まつて中小企業者を倒産に追い込んでいるが、わが国中小企業の生産力は全産業の六三%を占める地位にありながら、その金融状況は全国銀行の貸出高のわずかに二七%を受けているにすぎないのであります。政府は、この金融難を打開するために、本年度予算にさらに百億円の資金わくを与えているが、この中小企業への資金わくが少いために、中小企業を対象とする金融機関は、回収可能な有利な条件のあるものに融資され、とうてい火急の場合の金融に役立つていないのであります。従つて、追い詰められた中小企業者は、やむなくやみ金融機関の高利のえさとなつて、ますますこれらやみ金融機関を太らしている現状を、何と政府は考えるか。(拍手)政府は、中小企業者を倒産とやみ金融の高利から救うために、いかにこの金融梗塞を打開せんとするか、具体的にして実行力の伴う政策をこの際明らかにされたいのであります。(拍手)
 最後に、吉田総理に対して、政局担当の責任について伺いたいのであります。吉田総理は、自由党の総裁として、自由党の政策を背負い、先般組閣して本国会に臨んでおるが、その与党自由党は、本院の過半数を占めていない以上、政府として国会に臨むにあたつて、当然内閣の信任投票を求め、国会が過半数の信任を与えた場合初めて吉田内閣としての責任ある国政担当の資格が生れると思うのでございます。(拍手)しかるに、吉田内閣は、国会に過半数の支持を持たないのに、この国会に対して、内閣の重大政策を盛る予算案や重要法律案、条約承認の要求をしておりますが、これこそまつたく民主政治の本義をわきまえざる独裁的行為であると断じても過言ではないのであります、(拍手)今日自由党を除くいずれの政党が吉田内閣に協力すると表明をしておりますか。日本を取巻くこの重要な国際情勢の中において、過半数の支持を得ず、万一政府提出の予算案、重要法案が、政府の意図に反し修正され、あるいは否決された場合、吉田内閣はいかなる措置に出んとするか。政局の安定を望んでおる国民の前に、この際政局担当の責任者として、この点、明確にお答えを願いたいのであります。
 以上、私は各項にわたる質問を行いました。私の質問はきわめて具体的な点に関しておりますので、関係閣僚の親切なる御答弁を要求いたします。(拍手)
    〔国務大臣吉田茂君登壇〕
○国務大臣(吉田茂君) お答えをいたします。私は、過日この国会において首班として政局担当を命ぜられたのであります。諸君の御推薦によつて、この政局担当の資格があるのであります。そのもとに重要法案、予算案等を提出いたしたりは、決して独裁でもなければ、民主主義に反するわけではないのであります。民主主義に従つて私は政局を担当し、しこうして予算その他重要法案を提出いたしたのであります。国民は、この政局の安定を望み、独立後の日本として、独立の基盤をすみやかに確立するように希望いたしておるのであります。この希望に従つて予算を提出し、重要法案を提出いたしたのであります。この予算、この重要法案を諸君が賛成せられるかせられないか。諸君は、国家の安定を希望せられるならば、あるいは国民の輿望に沿うつもりならば、すみやかにこの予算案に賛成せられんことを、重要法案を可決せられんことを希望いたします。(拍手)
    〔国務大臣岡野清豪君登壇〕
○国務大臣(岡野清豪君) お答え申し上げます。
 いかにも長期計画がなくて、無軌道、自由放任でやつておるというお話であります。しかし、これは少し当らないのでございまして、例をあげて申しますれば、われわれとして基幹産業につきましては総合計画を持つております。申し上げますれば、第一に、石炭を五箇年間に四百五十億仰せの通りに注ぎ込んで、そうして物価はやはり二〇%、すなわち二割下げることの目標をもつて進んでおります。そのほか鉄鋼は、二十六年から大体九百億円の見込みで設備の近代化をしております。また電力も三十二年度末までに五百五十万キロワツトの発電をさせたいと思つております。また合成繊維も五箇年間に一億ポンドとして国内の自給度の向上をはかり、また食糧の増産もしておりまして、要は、タイム・テーブルに書いておるごとく、東京を出まして何時何分に横浜に着く、何時何分に豊橋に着くというようなことは私たちもいたしておりませんけれども、西に向つてこの方面のことはこういうふうにして行くということは、ちやんと腹づもりを持つております。どうか御了承を願います。
 それから電源開発の問題でございますが、なるほどこれは考え方の違いでございます。国家の直営工事としてやつたらどうかという御意見でございますが、しかし、私どもといたしましては、やはりこれは開発会社を中心として資金の効率的使用をやつて行きたいと思います。もう一つ考えておることは、納税者の金をもつて国家が全部やつてしまうということよりは、民間に創意くふうをいろいろさせてやるという方が、いい仕事ができるという考えであります。
 それからまた、基幹産業を国家管理としたらどうかというようなこともございましたが、これも先ほど申し上げました通りの理由でございます。それから、どの部門の産業をどういうふうに育成して行くか、一々これをあげろということでございますが、しかし、今われわれといたしましては、輸出貿易第一主義でやつておりまして、しかも日本に基礎のあり、もしくは育つて行けば進んで行くというようなものがあればやりますが、非常に広汎な経済活動をしておりますから、これを一々あげましたら相当の時間がかかりますけれども、今、現状において日本で行われているところの各種の事業を、実情に合せて輸出促進の方向に向つて育成して行きたいと思つております。
 それから中共貿易のことでございますが、私は中共貿易を何とか進めて行きたいと思いますが、これは平和条約にちやんと書いてあります通り、国連協力というものは日本の義務でございますから、これは世界的に見て、その線に沿うて、その範囲内において、できるだけの伸展をさして行きたい。それから、どういう品目が日本から出て、どういう品物が向うから来るというようなことを示せと仰せになりますけれども、しかし、これは戦前とは大分様子が違つておりまして、戦前の考えをもつて今の考えを推し進めるわけには参りません。そこで、われわれが今やつておりますことは、できるだけ、日本の品物であつて向うが買つてくれるものを、国際的に見てどういうふうに取扱つたらいいかということを言つているのですが、これを一々さらけ出すことは、商売の秘密をさらけ出すのと同じことであつて、ほかの競争に負けますから、私はきまるまでは申し上げません。
 肥料の問題でございますが、これは今もたいへん問題になつておりまして、輸出の肥料と国内向けの肥料を見ると、輸出の値段が非常に低いものだから、内地の消費者から利益をとつて、そうして外国へ出血輸出しているというような御議論もあるようでございます。そこで、ただいま安定帯価格というものをつくりまして、関係各省できめて、内地で売らしておりますが、それと輸出価格の関係につきましては、肥料対策委員会で今白熱の議論をして研究中でございますが、追つて結論が出ると思います。
 中小企業の金融の問題でございますが、これも、私は元金融業者でございまして、ことに中小企業に対しては苦心して参つたわけであります。今後国家資金を相当につぎ込んでやつて行きたいと思いますが、しかし、要は中小企業を金融の対象にすることが根本的に必要なわけであります。しかし、そんなことを言つて待つておられませんから、一面において中小企業者が借りられて行くという態勢をつくらせるべく努力をすると同時に、先ほど仰せのごとく、今回中小企業金融金庫に百億円を出す予定にでおります。そのほか、商工中金の強化とか拡充とか、市中銀行の融資の円滑化をはかるとか、また保険制度を改善するとか、信用保証協会を法制化するというようなことを考えておる次第でございます。
 大体私の御答弁はこれで終ります。
    〔国務大臣小笠原三九郎君登壇)
○国務大臣(小笠原三九郎君) お答えいたします。
 産業の合理化をするために、賃下げ、首切り等を勤労大衆の犠牲でやるのではないかというお話でございましたが、私どもは、日本経済の自立態勢を確立するためには、究極の目的が国民生活水準の向上にあると考えるものでありまして、従つて、経済合理化の過程におきましても、賃金の切下げ等による方法は極力これを避けまして、特需等の収入にたよらず、しかも生活水準及び雇用水準を維持しつつ、国際収支の均衡をはかる方向に向つて努力いたしたい所存であります。このためには、御承知のごとく財政投融資の増強が必要でありまするので、これによる設備の近代化を通じて経済の合理化を達成したいと考えており、昭和二十八年度予算案におきましても、この趣旨を織り込んで財政投融資の金額を増加いたしておる次第であります。
 給与ベースの引上げ等についてのお詰でございましたが、最近の物価水準及び消費水準がほぼ横ばいの傾向にありますることは御承知の通りでありまして、わが国経済の置かれておる現状から見まして、官民を問わず、給料の引上げということには多ぐの問題がありまするとともに、公務員の給与は国の財政に及ぼす影響がきわめて大きくて、財源の点から言つても、現在ただちに給与改訂を行うのが困難なことは御承知の通りであります。従いまして、夏季手当等の問題につきましても、この困難な財政事情を勘案しつつ考慮いたしておる次第でございます。
 年収二十四万円以下の者は免税をすべきだというお話につきましては、実は昭和二十五年度以降数次にわたつて行つておりまする減税は、物価及び生計費の騰貴率以上に率が調整、減税されておるのでありまして、実質的の減税になつていることは御承知の通りであります。特に今回の減税におきましては、最近の物価及び生計費は前に申し上げた通り横ばいを続けておりますから、そのまま実質的の減税となるものと考えます。なお二十四万円以下の給与所得者を免税せよとの御意見につきましては、実はこれをやりますると、八百億円ないし一千億円の減収と相なりまするので、今月の財政事情のもとにおいては、ただちに実行し得ませんが、しかし昭和二十九年以降におきまして、できる限り減税財源を捻出して、逐次減税を実行して参りたいと考えておる次第でございます。
 その他いろいろ問題がございましたが、これは他の機会に申し上げさせていただきます。(拍手)
    〔国務大臣岡野清豪君登壇〕
○国務大臣(岡野清豪君) 申し落しましたが、電力料金はさしあたり上げる意思にございません。(拍手)
    〔国務大臣岡崎勝男君登壇〕
○国務大臣(岡崎勝男君) 貿易の増大の市場をアジアのどの国に求めるかというお話でございますが、今日、日本は、アジアのあらゆる国に対して大なり小なり商品の輸出をいたしておりますので、どの国ということはなくして、ただこれをできるだけ増大する意味であります。
 また関税障壁を除く具体的方法のお尋ねでありまするが、もちろんお話のように通商協定や貿易協定を通じてその努力をいたしまするが、さらに、われわれの輸出増大ばかりを考えずに、相手方の物を買う方にも努力をいたしまして、これによりましてでぎるだけ関税障壁を除去したい、こう考えております。(拍手)
    〔国務大臣内田信也君登壇〕
○国務大臣(内田信也君) ただいまのお尋ねにお答えいたします。
 土地改良その他増産計画を実行しておつても、輸入食糧が一向減らぬじやないかというお尋ねでございましたが、まさに輸入食糧の数字から見ますると横ばい状態でありまして、何ら減つておりません。それは数字の示すところでございます。しかしながら、一方において耕地が二万町歩も毎年工場その他で減少しまして、また人口が百万人もふえて来るのでございまして、食糧の自然の需要が二百三十万石も毎年ふえておる。それをカバーして輸入食糧が同一であるということは、すなわち反面において、内地の食糧が増産されたという実証であると存ずるのでございます。現に耕地が、ただいま申し上げる通り毎年二万町歩ずつ減少しておるにかかわらず、実際においては逆に二万町歩ふえておるということは、差引四万町歩の新しい耕地ができたという証拠と存ずるのでございます。また裏作をつくりまして、つまり一毛作を二毛作にして裏作をつくつて、それで菜種をつくる。その菜種が数年間に二倍半にもふえておるということは、これまた食糧増産の結果でありまして、ただ米、麦だけをとつて論ずるのは誤りだと私は存ずるのでございます。
 なお、供出米割当を本年はどうするかというお尋ねでございましたが、本年はまだどのくらいの収穫になるか、海のものか山のものか見当がつきませんから、これは収穫の見きわめがついてから実行すべきものでありますが、しかし、主義といたしましては、供出割当は実行いたしまして、配給も従来の通りの方式で実行いたすつもりでございます。
 それから自由米、すなわち俗にいうやみ米が騰貴しておることについてのお尋ねでございましたが、これにはわれわれは関心を持ちまして、あるいはこれは、昨年度米を、例の一万五百円の超過供出奨励金のために、農家がすつかり売り払つちやつて、それでもつで今農家のふところにないのであるか、あるいは昨今の天候からして、買いだめをする者があるのではないかというようなことを取調べるべく、現地に人を派して取調べ中でございます。
 それから、今年の米価決定の方式はどうするかといろお尋ねでございますが、麦は御承知の通わバリテイ方式によつて計算いたしましたが、米はバリテイと生産費と合せて計算に入れて勘定いたすつもりでございます。
 また、この間麦の価格を制定するにあたつて、閣議でも決定したのかどうしたのかというお尋ねでございますが、これは米価審議会に提出する原案を閣議に出して米価審議会の答申が出た上変更あるべき了解のもとに決定したりであります。しかして、もしも原案の価格が米価審議会の答申に基いて変更された場合は、その金はどうするかというお尋ねでございますが、これは食糧管理特別会計の予備費でもつて処置いたしたいと存ずるのであります。
 それから、重要農産物の価格維持についてのお話でございますが、菜種とか、あるいは切りぼし甘藷というようなものについては、価格維持の方法を考慮いたしております。
 それから肥料についてのお尋ねでございますが、これは、申すまでもなく、内地の需要に重点を置きまして、輸出をも育成して行くという点でもつて、これによつて豊富低廉なる肥料を国内に供給するという眼目でやつております、これにつきましては、輸出をすれば、今日の相場からいえば出血になる。その出血をどうするかということでございますが、これはどこからが出血であるかどい引ことは、生産費を取調べなければわかりませんから、生産費を取調べるところの法律を私は出すつもりでございます。生産費を、強制的に各会社について、法律によつて取調べる手続をとるつもりでございます。それから団体法につきましては、農業委員会法の一部改正、それから農協の組合法の一部改正法律案を提出しておりますから、御了承を願います。(拍手)
○副議長(原彪君) 井上君より再質問があるとの申出がありますから、これを許します。井上良二君。
    〔「労働大臣の答弁がないぞ」呼ぶ者あり〕
○副議長(原彪君) 労働大臣から答弁があるそうですから、これをを許します。労働大臣小坂善太郎君。
    〔国務大臣小坂善太郎君登壇〕
○国務大臣(小坂善太郎君) 最低賃金につきましては、労働基準法に基きまして、昭和二十五年十一月以降、中央賃金審議会にその審議を煩わしておるのでございます。また一方、一昨年十一月に、中央賃金審議会の議決に基きまして、絹、人絹織物、玉糸、座繰り製糸、手すきの和紙並びに家具、建具製造業の各種につきまして専門審議会が設置せられまして、専門的な実地視察をなしまして、慎重審議をいたしておる次第でございます。政府といたしましては、この答申を持ちまして善処いたしたいと考えております。(拍手)
○副議長(原彪君) 井上良二君。
    〔井上良二君登壇〕
○井上良二君 ただいま私の質問に対して各所管大臣からきわめて御親切なる御答弁がございましたが、私は皆さんにお断りをしておきたいのは、社会党に与えられました時間がまだ十五分ございます。従つて、この際特に重要と思われる政府の答弁に対して二、三質問をいたします。
 その一つは、総理のものの考え方ですね。総理が組閣をしたということは、国会の多数の指名であるからいい。もちろん、組閣をされることは御自由です。ただ、組閣をして国政を担当いたします場合は、当然国会の過半数の支持が必要であります。過半数の支持のない場合は、現実にあなたの重要政策は行われません。そこを私は聞いておるのであります。従つて、この点に対して、あなたがほんとうに吉田内閣の重要政策に賛成を求めようとするならば、それぞれあなた方と同じ立場に立つ党に対して、具体的に政策の協定を求むべきであります。政策の協定を具体的に求めずして、しかも内閣の信任を問わずして、過半数に足らない勢力をもつて、こういう重要な予算案、法律案を出すところに問題はありませんかということを私は聞いておるのであります。(拍手)この点を明確にしてもらいたい。
 それから、ただいま大蔵大臣からは、私の質問の中で、夏季手当に関する質問に対してお答えがございません。この点に対して、明確に大蔵大臣の御所見を伺いたい。
 それから食糧問題、農業政策に関して、ただいま内田農相からいろいろお話がございましたが、あなたは、農林大臣として、それで一体農政が担当できるとお考えですか。(拍手)これは近く予算総会が開かれますので、総理に私は申し上げておきますが、今私が質問したことに対して満足に答弁できぬような、しかもその内容たるや噴飯に値する答弁をしておるような人が、予算総会において一体どういうお答えができますか。この際、あなたは、この点に対して、日本の農政を担当する上からも、この問題は真剣に考えなければなりません。
 特に輸入食糧が、二十四年から昨年に至るまでに百万トンも増加しておる。従来、内地産の米に対しまして、大体平年作で二千八百万石の割当が普通でありました。それを昨年二千五百万石以下の割当をしております。この大きな開きに対して、単に耕地が、災害あるいはまた道路、建築等の敷地で、流失、埋没したとかいうことで、この数字を一体どう割当なされますか。あなたの言つておる輸入食糧の横ばいという数字は一体なんです。(拍手)そんなべらぼうなことを、あなたは国会を通して言えませんよ。
 さらにまた、本年度の供出割当に対してどうするか、本年度産米の米価に対してどうするか、その米価算出の基礎はどうするか、産麦の価格決定に対する考え方はどうかと聞いておるのに対して――一体あなたは予算案を国会へ出しておるではありませんか。本年の米はこれで買う、これだけ政府は買い入れるつもりであるという予算を出しているのと違うのですか。あの予算は、うその予算ですか。そんなべらぼうな答弁をされてはたまつたものではない。あなたは今晩ゆつくり自分の所管の予算書を見なさいよ。(「うそを言え」と呼ぶ者あり)事実じやないか。私は何もうそを言つていない。予算書にはつきり書いてあるものを、うそ八百のでたらめな答弁をして、それで一体責任のある農林大臣と言えますか。(拍手)そこを私はあなたに聞いておる。
 さらにまた、肥料の価格に対しても、一体肥料の価格を電力と同じように考えて、豊富低廉な肥料とはどういうことです。肥料の反当施肥量はきまつているのです。それをよけいくれても、こつちはいらぬのですよ。(拍手)外国よりも国内価格が二、三百円も高くて、外国よりも日本の米が二、三千円も安いということを、あなたはどう考えるかということを聞いておる。この問題を解決せにやいけませんと、あなたに聞いておる。これがあなたにわかりませんか。(拍手)そういう点を、もつと具体的に、はつきりとひとつ。私は何もあなたを無理に責めているのではありませんから、よくそこらを感違いせぬように御答弁をお願いいたします。(拍手)
    〔国務大臣吉田茂君登壇〕
○国務大臣(吉田茂君) お答えいたします。
 絶対多数を持つておらない内閣としては信任を問えということでありますが、そういう原則は私は承知いたしておりません。しかしながら、諸君において、もし欲するならば、内閣の不信任案を出されたらよかろうと思う。また、内閣諸大臣は責任をもつて答えておるのであります。この答弁に諸君が満足するかしないか、不満足であつたら、十分お尋ねになつたらよかろうと思います。(拍手)
    〔国務大臣小笠原三九郎君登壇〕
○国務大臣(小笠原三九郎君) 夏季手当の問題につきましては、先ほど御答弁申し上げておりまするから、速記録をごらん願いまするが、困難なる財政事情のもとでもございますので、なおとくと考えておる次第でございます。(拍手)
    〔国務大臣内田信也君登壇〕
○国務大臣(内田信也君) 私が輸入食糧は横ばいと申し上げましたのは、一昨年が八十八万トンで、昨年が九十二万トンで、今度の会計年度における予想が九十万トンですから、横ばいと私は申し上げたのでございます。なお、このこまかい数字については、いずれ委員会でお尋ねについてお答えいたします。
 なお肥料につきまして、内地が高くて、外地が安いということは事実で、大体輸出も少し上つて来まして、安定帯価格に接近しつつあるようでございますが、しかも外国へ輸出するだけの量をつくらなければ、かえつて単価が高くなるから、やはり輸出も育成しなければならぬということでございます。しこうして、その輸出が、先ほど申し上げました通り、出血を農民にかけては相済みませんから、その出血をいかにするかということについては、肥料対策委員会で近日のうちに答申案が出るつもりでございますが、いずれにいたしましても、先ほど申し上げました通り、どれだげが出血かということは、各会社の生産費を調査しなければなりません。その生産費を調査することが今では不可能になつておるのです。ゆえに、法律をもつてこの各会社の生産費を強制的に調査する方法を目下検討中と申し上げたのでございます。(拍手)
 なお、日本は、内地米は安く買つて、外から高く買う。このことはまことに遺憾でございます。しかし、それは、今日内地米の農民の手取りは八千五百四十一円についておりますが、外国米はCIFでもつて一万千五百円見当についております。まことに遺憾でありますが、申すまでもなく、この一万一千五百円という外国米の値段は、外国の農民の手取りではございませんで、政府が集めてコントロールして、それで日本に売るのでございまして、それでまことに遺憾にたえませんから、相手がまとめて日本へ九十万トンも高く売りつけるということについて、いかにしたらこれを防ぎ得るかということについて、目下これを協議中でございます。それで、米価は九月の米価審議会で決定するのでありますが、それが予算単価と異なる場合においては、必要な予算上の措置を講ずるつもりでございます。(拍手)
    ―――――――――――――
○今村忠助君 国務大臣の演説に対する残余の質疑は延期し、明十九日定刻より本会議を開きこれを継続することとし、本日はこれにて散会せられんことを望みます。
○副議長(原彪君) 今村君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(原彪君) 御異議なしと認めます。よつて動議のごとく決しました。
 本日はこれにて散会いたします。
    午後五時十七分散会