第016回国会 予算委員会 第4号
昭和二十八年五月二十九日(金曜日)
    午前十時四十二分開議
 出席委員
   委員長 尾崎 末吉君
   理事 小峯 柳多君 理事 西村 直己君
   理事 西村 久之君 理事 川崎 秀二君
   理事 八百板 正君 理事 今澄  勇君
   理事 山本 勝市君
      相川 勝六君    植木庚子郎君
      江藤 夏雄君    倉石 忠雄君
      迫水 久常君    庄司 一郎君
      鈴木 正文君    富田 健治君
      灘尾 弘吉君    羽田武嗣郎君
      葉梨新五郎君    橋本 龍伍君
      原田  憲君    船越  弘君
      本間 俊一君    八木 一郎君
      安井 大吉君    山口六郎次君
      稻葉  修君    小山倉之助君
      河野 金昇君    河本 敏夫君
      中曽根康弘君    中村三之丞君
      古井 喜實君    青野 武一君
      伊藤 好道君    福田 昌子君
      武藤運十郎君    八木 一男君
      横路 節雄君    和田 博雄君
      加藤 鐐造君    小平  忠君
      河野  密君    長  正路君
      中村 高一君    平野 力三君
      三宅 正一君    吉川 兼光君
      河野 一郎君    世耕 弘一君
      中村 梅吉君    松田竹千代君
      黒田 寿男君    福田 赳夫君
 出席国務大臣
        国 務 大 臣 緒方 竹虎君
        法 務 大 臣 犬養  健君
        外 務 大 臣 岡崎 勝男君
       大 蔵 大 臣 小笠原三九郎君
        文 部 大 臣 大達 茂雄君
        厚 生 大 臣 山縣 勝見君
        農 林 大 臣 内田 信也君
        通商産業大臣  岡野 清豪君
        運 輸 大 臣 石井光次郎君
        郵 政 大 臣 塚田十一郎君
        労 働 大 臣 小坂善太郎君
        建 設 大 臣 戸塚九一郎君
        国 務 大 臣 安藤 正純君
        国 務 大 臣 大野 伴睦君
       国 務 大 臣 大野木秀次郎君
        国 務 大 臣 木村篤太郎君
 出席政府委員
        大蔵事務官
        (主計局)   河野 一之君
        文部事務官
        (大学学術局
        長)      稻田 清助君
        文部事務官
        (管理局長)  近藤 直人君
        厚生事務官
        (保険局長)  久下 勝次君
        通商産業事務官
        (大臣官房長) 石原 武夫君
 委員外の出席者
        専  門  員 小林幾次郎君
        専  門  員 園山 芳造君
        専  門  員 小竹 豊治君
    ―――――――――――――
五月二十九日
 委員小林絹治君、中村清君、原健三郎君、山崎
 厳君、加藤鐐造君、吉川兼光君、石橋湛山君及
 び北れい吉君辞任につき、その補欠として橋本
 龍伍君、原田憲君、山口六郎次君、安井大吉君、
 中村高一君、長正路君、河野一郎君及び松田竹
 千代君が議長の指名で委員に選任された。
同日
 委員河野一郎君辞任につき、その補欠として中
 村梅吉君が議長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 国政調査承認要求の件
 昭和二十八年度一般会計暫定予算補正(第1
 号)
 昭和二十八年度特別会計暫定予算補正(第1
 号)
 昭和二十八年度政府関係機関暫定予算補正(第
 1号)
    ―――――――――――――
○尾崎委員長 これより会議を開きます。
 昭和二十八年度一般会計暫定予算補正(第1号)外二件を一括議題といたします。質疑を継続いたします。八百板正君。
○八百板委員 日本社会党両派を代表いたしまして、大蔵大臣にあらためてお尋ねを申し上げたいと存じます。
 公務員の給与の改善については、とりあえず〇・五の夏期手当を、一・〇、すなわち一箇月分とせられたいが、政府の所見はどうかと尋ねましたに対し、福永官房長官は考慮すると答えたのでありますが、この考慮とは、一箇月分支給の実現の具体化について考慮すると解してよろしいか、大蔵大臣としてのお答えを願いたいと存じます。
○小笠原国務大臣 御質疑の点につきましては、とくと考えたいと存じております。
○尾崎委員長 福田昌子君。
○福田(昌)委員 おとめしてたいへん恐縮に存じますが、昨日伺つておりましたら七月の暫定予算は、二十八年度の本予算を先に出してからその後にお出しになるというお話でございましたが、どういうわけでございますか。
○小笠原国務大臣 二十八年度の本予算につきましては、新政策等ずつと盛り込みましたものを出しますわけで、それを出して、そのうちのものを七月分だけ切り離す。審議の都合上その方針に基いて出すわけでありますので、七月分をあとにいたす、こういうことになるわけでございます。
○福田(昌)委員 そういたしますと、七月分の暫定予算というのは、その内容においては、二十八年度の本予算と大体同じ政策が盛られておるということになるわけでございますか。
○小笠原国務大臣 福田さん御承知のごとく、暫定予算というものは、まあ言いますと、政務の運行上欠くべからざるものだけに実はなつております。ただそのときの事情で、どうしても季節的にやらなければならぬもの等につきましては、六月でも、ちようど北海道あるいは東北等の積雪寒冷地帯等に対する処置をとりましたようなぐあいに、そういうものを盛つた次第でございますが、本予算とは全然性質も違いますので、一方では本予算を出しておきながら、他方に、大体骨格予算というものをそれに盛り込んだ七月分をお出しする次第でございます。
○福田(昌)委員 私どもは大体今度の暫定予算におきまして、四、五月分の参議院の特別緊急集会においてつくられたそういう予算と、六月、七月の予算とは、おのずから名前は暫定でありましても性格において異なつておるのだと考えておるのでございます。私は七月の暫定予算というものは、かような意味におきまして、実は二十八年度の骨格予算のその政策の大部分を、暫定予算であつても七月の予算には盛るから、多少遅れるのかと思つて解釈いたしましておりましたが、伺つてみますとそうでもないということでございます。それでしたらなぜ六月分と七月分の予算を御一緒にして、四、五月分の予算を一緒になさつたと同じような形でお出しにならないのですか。
○小笠原国務大臣 御承知のごとく、いろいろ法律案をお出しいたしおりますので、その間に法律案が通りますと、法律に伴う費用は出さなければならぬことに相なります。従いまして、この七月分をお出しするまでの間にいろいろ法律が通りますことも考えられます。たとえば物品税などはこの間通りました。ああいうこともございますので、それで七月分というものは六月分と全然区別して考えなければならぬ次第でございます。
○福田(昌)委員 私どもといたしましては、いずれにいたしましても、国家予算のしかも三分の一というものをこういうようなこま切れな暫定予算に出されるということにつきましては、非常にいろいろな点に支障が出て参るのでございます。そういう点を非常に心配いたすのでございまして、ことに国民生活の弱い面にいろいろな圧迫が加わるということを考えますと、暫定予算というものは政府におかれてもよほどお考えいただきたいと思います。この四、五月分の暫定予算、ことに暫定予算という性格の上から、骨格予算を必要最小限度にとどめたというその御意思によりまして、私どもがむしろ当然暫定予算でも入れてしかるべきだと考えております費目さえ落ちている。たとえば文部省関係の予算におきましては、老朽校舎の復興費十二億というものも空白になつております。また私どもの関係の深い国民健康保険の医療給付金の赤字の国庫負担にしましても、これはもう各党共同で決議案も出しまして、各党共同でこのことは賛成いたしておる政策のものであつたのでございますが、暫定予算ではその給付金の八割の国庫負担というものが少しも盛られていないというような状態でございます。また労働関係におきましては、緊急失業対策費というものが全部削減されておりますために、日雇い労務者は今日におきましては非常にあぶれがたくさん出ておる。この職業を求めてあぶれた労働者が嘆いておる姿は、今日どこの職業安定所に参りましても、ただちに目につく状態になつておるのでございまして、こういう人たちが、ことに国民生活の各階層におきましても一番困つた人たちが、なお一層この暫定予算において圧迫を受けておるというような状態でございます。小学校の生徒がときどき待避訓練もしなければならないような危険な倒れかかつた校舎において、相かわらず修理もできずに授業を続けなければならないということが、そのままに取残されておりますが、こういう点私どもとしては許すべからざることだと存じます。政府側は民生の安定とか、あるいはまた国民大衆のための社会保障の前進ということを言われますが、こういうふうにこういう骨格予算という名におきまして必要である国民大衆の生活の安定のためにとらなければならない予算さえとれないということになりますと、とうてい政府が民生の安定のため熱心な政策をとつておるとは言いがたい感じがいたしまして、非常に遺憾に思うのであります。ことにこういうこま切れ予算になりますと、各省の要求というものが簡単に大蔵省によつて踏みにじられます。たとえば一箇月分の越年資金予算に対しましても、昨年は特別手当として実質的に一・二五だけ出されておつたはずでございますが、その昨年とられておりましたところの実質的な内容からいたしましても、本年度〇・五に打切られるということは非常に異議があるわけでございますが、こういつた〇・五に打切られて予算を組まれたということに対しましても、こういう暫定予算でございますから、今後の交渉に非常に困難を来すのでございます。ことにこの〇・五の越盆手当にいたしましても、たとえば先ほど申し上げました自由労務者に対しましては、ことしは全然考えられてないというような状態でございます。昨年におきましては一応三日分でございましたか、幾日分かの越盆手当というものが支給されておりますが、これも全然考えられてないということになりますと、ますます大衆の生活を無視した暫定予算、また政府の予算の編成だといわなければならないのであります。こういう点に対しまして大蔵大臣が一体民生の安定ということに対してどういうふうに考えておられるかということをお伺いいたしたいのでございます。
○小笠原国務大臣 暫定予算の性質上やむを得ないのでございますが、民生安定については十分私どもも心を用いておりますので、本予算編成の際にとくと考慮し、それらの点に対する施策を盛り込みたいと考えております。
○福田(昌)委員 骨格予算で組めないという御答弁に伺いましたが、六月、七月の予算は暫定予算でありましても、政府自体が組もうと思えば組めないものではないわけでございますから、どうか大蔵大臣も民生の安定ということをお考でありましたら、今からでも遅くはないのでございますから、一般勤労者に対する〇・五箇月の越盆手当、また自由労務者に対する越盆資金というものも、この暫定予算において御配慮いただくようにお願いしたいのであります。これで終ります。
○尾崎委員長 文部大臣、厚生大臣にお願いいたします。
○福田(昌)委員 文部大臣にお尋ねいたしたいのでございますが、私どもは敗戦国日本の再建というものは、何といいましても日本の国民的な優秀な能力を百パーセントに活用いたしまして、日本の技術工業の進出によつて日本の再建をはかつて参りたいと考えております。文部大臣はこれに対してどうお考えでございますか、お尋ねいたしておきます。
○大達国務大臣 お答えいたします。ただいまお話がありました技術工業の発達によりまして国家の再建をしたい、この点は私もまつたく同感であります。
○福田(昌)委員 日本を工業立国として発展させたいというお考えにおいてはまつたく御同感だということを承りました。さようにいたしますと、何と申しましても教育の根幹におきまして科学教育、ことに小、中・学校におきましては理科の教育というものが相当文部省におきましては大きくお考えにならなければならない問題だと思うのですが、このうち小学校から高等学校までの理科の教育に対して一体どういう予算をとつておられるか、どうお考えであるかということをお示しいただをたい。
○大達国務大臣 小学校、中学校、高等学校における理科教育に対する設備の充実、これは非常に急を要する問題でありまして、従来とても文部省におきましてはその必要を認めてその充実に努力しているのでありますが、しかしこれは非常に金がかかるのであります。一応の基準に達せしめるだけでも数百億を要するということでありまして、遺憾ながら今日に至るまで財政的な措置の関係から、予算にこれを計上することができないのであります。しかしながらただいま仰せになりましたように、理科教育は文化国家建設の基礎でありまして、非常に重要な使命を持つておりますので、今後ともその充実、振興につきまして、特に努力をいたしたいと存じます。
○福田(昌)委員 今文部大臣の御答弁によりまして、一応理科教育の基礎的な準備を持ちたいという御希望を承ることができました。しかし実質的に今小学校や中学校あるいは高等学校の理科教育というものが、どういう状態に置かれておるかということをまだ御存じないのではないかという気がいたすのでございます。今日の義務教育学校におきます理科教育の状況というものは、まつたくさんたんたるものでございまして、理科の実験教室に、ビーカーや試験管が一本もないという教室がありますし、またビーカーや試験管だけで、あとは何もない、割れたら補充がきかないというようなさんたんたる状況のところが、幾らもあるのでございます。また一応一通りの実験ができるというような設備を持つております学校というものは、全国を調べもしても、せいぜい一割、よく行つて二割の程度であるのでありまして、今日育ち行く日本の青少年が、こういうような学校において勉強いたしますから、理科教育の根本と申しますか、概要も学びとることができずに、学校を出ているというような状態でございます。実験の装備を黒板に書いて、こうすればこうなるというような、まつたく絵に描いたぼたもちの味を味わえというようなことで、理科教育はなされておるのでございます。これではこれから育ち行く日本の青少年が工業立国である日本の政策に沿うような大人として、日本人として育つことは不可能であると考えるのでございます。こういう点を考えました場合、文部当局におきましても、今日の基礎教育のそれぞれの姿を十分検討いたされまして、一刻も早くこの重大な理科教育の整備拡充のために、大蔵省とも交渉されまして、英断をもつて予算の大幅な獲得をお願いいたしたいのでございます。ただいま大臣の御答弁によりますと、いかにも多少はこの理科教育振興のために、予算がとられておるかに聞えますが、実質的には少しもとられていないのでございます。文部省の費目をごらんいただきましても、理科教育の整備のために使われる予算というものはないのでございまして、こういう点よろしく御配慮いただきたいと思うのでございます。
 重ねてお伺いいたしたいのは、大学教育におきますこういつた研究機関に対して、どの程度の予算がとられておるかということでございます。
○大達国務大臣 お答えいたします。国立大学における科学研究の費用といたしましては、昭和二十八年度の六月の暫定予算といたしまして、教官の研究費として約一億八千八百万円を計上いたしております。これは月割りの一箇月分であります。それからなお、科学研究費でありますが、これは学術の研究振興の重要性にかんがみまして、ただいま申し上げました教官研究費のほかに、科学研究費交付金というものがあります。それから科学試験研究費補助金、こういう費目がありまして、その科学研究交付金等は、重要な基礎研究の進歩をはかるという方に使われております。それから、科学試験研究費補助金というものは、この基礎研究から、応用研究の方へ参ります過程を特に育成促進する、こういう両方の費目によりまして、とにかく人文、自然両科学分野の基礎研究と応用研究の推進に努めておる次第であります。なお、そのほかにも科学研究助成補助金、輸入機械購入費補助金、研究の成果刊行費の補助金、こういうものが設けられておりまして、二十七年度におきまして、この総額が五億六千万円、今度は四、五、六の三箇月分を含めまして、暫定予算として一億七千七百五十万円が要求されておるのであります。
○福田(昌)委員 なるほど文部省の予算費目を見ますと、一応そういう名前の項目があがつております。大体昨年度と同じような形であるということが想像できますが、これをこまかに実質的な問題について考えてみますと、まつたく各大学の研究室に配分されております研究費というものは、実に微々たるものでございます。いろいろ実験を要しない、あまり実験器具を必要としない研究室におきましては、大体年間研究費としては十万前後でございます。またたとえば医学とか工学関係、あるいはまた農学関係といつたような研究室で相当の実験器具を必要とし、薬品も必要とする、その他諸般の設備を必要とするような、そういう研究室に対しましても、せいぜい年間三十万前後が割当てられておるのでございます。しかもその中から実験室用の電燈代、ガス代、水道代というものを払わなければならぬということになりますと、実質的にほんとうの研究はちつともできない、遊んでいてもそれくらいのものはいるということになりまして、せつかく有能の士がたくさんおります大学の研究室でも、研究費用がないためにせつかくの能力をもてあましているというような惜しい現状に置かれております。これではいくら政府が科学振興ということを唱えましても、実質的に一歩も前進できない、日本の発展もこれでは期しがたいということになつて参るのでありまして、こういうことをよく御勘案いただきまして、この各部門に対する研究費というものを、文部当局として大きく英断をもつて御配慮いただきたいと思うのであります。たとえば、同じように戦争に敗けました国、ドイツなんかの例を見ましても、ドイツの各大学の研究機関に渡されます研究費というものは、実験研究を要する研究教室には、一つの教室あてに、日本の貨幣に換算いたしましても、約一億に近い研究費というものが年間予算として出されております。もつともドイツは戦争前から工業立国、ことにその豊富なる資源、鉄鉱石や石炭をもつて、ドイツの科学技術というものは、世界の指導的立場にあつたわけでございます。しかも戦後なおドイツは敗けて疲弊した国家財政の中から科学技術というものを尊重いたしまして、それだけの英断をもつて研究機関にも配慮している状態でありますから、そういう国柄と日本とは、ただちに比較するということはできないかと思いますが、日本の研究機関が年間わずかに三十万円、一億ということから比較いたしますと、これはもう私どもは感心してばかりはおられない。将来に影響する大きな問題を提供して来ると思うのです。こういう状態ですから、御承知のように、ドイツの科学技術というものは非常な発展を遂げまして、結局今日のドイツの輸出貿易の非常な長足の進歩をもたらしているわけでございます。これにはもちろん一つには外交交渉あるいは輸出振興に対する政策的ないろいろな施策が、これを助けていることは申すまでもないところでございますが、日本ではまずい外交政策の上に、また貿易に対するいろいろな助成的な方法が皆無である上に、しかもこの科学技術に対しまして、日本の政府、ことに文部当局の予算的な配分において、このような情たい状態でありますから、とうてい日本の科学的な貿易製品の発達をもつて市場を獲得するということは困難なことだと私は考えるのでございます。こういう意味におきましても、今日の基礎研究機関の研究費というものは、よほどお考えをいただきたいと思います。今後こういうような予算関係の折衝におきまして、科学教育の予算を二十八年度の編成においても増額する御意思があるかどうかということを、この際承つておきたいのであります。
○大達国務大臣 科学振興の重要性にかんがみまして、現在の予算が十分ということはできないという点につきましては、私もまつたく同感であります。今後できるだけこの科学研究費の増額をはかつて参りたいと思つております。なおわずかな経費でありましても、できるだけそれが有効に使用せられるよう、各研究室に対する配分を適切にするというような点につきましても、今後十分考慮して参りたいと思います。
○福田(昌)委員 ついでにお尋ね申し上げておきたいと思うのですが、関係の大臣がおられませんから申し上げるだけにとどまるかと思いますが、こういうように日本は全般的に科学技術を軽視しております。この傾向は官庁におきましても技術屋を非常に冷遇するというような形になつておるのでありまして、今日の日本の官庁というものは、特権的な事務官僚によりまして、政策の重要ポストが占められておるというような状態で、技術屋は非常に冷遇されておるのでございます。従いまして行政の面におきましても、科学的な行政というものがおろそかになりがちであります。従つて日本の行政においてはむだの多い、合理性のない行政がしかれておるというような結果にもなるのでありまして、この点はよく私は政府としてお考えいただきたいと思います。関係大臣がおられませんから、この点お聞きおきいただいてけつこうです。
 次に文部大臣にもう一点お伺いしておきたいことは、この間の新聞で見せていただいたのでありますが、大臣の御就任の記者会見におきまして、新聞記者の方が文部大臣として文部省の予算はこれからどういうような心構えで折衝するかというようなお話に対しまして、文部省の仕事というものは、生産的な仕事でないから予算は大してとれない、従来と、同じだというような御答弁があつたように伺いますが、あれはほんとうでございましようか。
○大達国務大臣 お答えいたします。私はつきり記憶をいたしませんが、そのときのお話はそう間単な一問一答ではなくて、まあ大いに文部省予算をとるようにということで、むろんそういうことにしたいけれども、今日の財政から見ても、文部省の仕事は生産的な仕事でないものが多いから、なかなかそう簡単にも行くまい、こういうふうな意味で返事をしたと思います。
○尾崎委員長 福田君に御了解を願いますが、厚生大臣が参議院の方から要求が再々参つておりますから、厚生大臣に対する御質問を先にお願いします。
○福田(昌)委員 それではもう一点だけ文部大臣にお尋ねしておきます。今御答弁を伺いまして多少は理解させていただいたのでございますが、文部大臣が、相かわらず文部行政というものはこれは生産的な仕事でないとはつきりお考えになつておるということは、非常に遺憾に思うのであります。なるほどしろうと的に考えますと、文部行政は生産的な仕事でないような感じがいたしますが、しかし人をつくるという根本的な大きな仕事を文部省は持つておるのだということを考えますと、これは他の省よりもつと重要な大きな生産的な仕事に携わつつていると申しても、これは言い過ぎではないのであります。そういうような非常な自負と抱負を持つて文部行政に当られ、大切な人つくりをするのだ、しかも今後の国家を背負う重大な人をつくる責任のある仕事だということを、予算の折衝におきましてもお考えいただきたいと思います。
○大達国務大臣 念のために、お考え違いのないように申し上げておきますが、私は決して文部省の仕事が不生産的な仕事であるというような意味でお話いたしたのではないのであります。目先に生産が上とにくいという、ごく目先の話の意味でしたのでありまして、むろん科学技術の振興、またただいまお話になりましたような人をつくる、これが工業立国の基礎であり、産業生産の根本であることは申すまでもないのであります。その点は私もただいまお話になりましたことと同様の考えを持つております。その点御承知を願いたいと思います。
○福田(昌)委員 厚生大臣にお伺いいたしたいと思いますが、私どもは日本の今日の人口は非常に過剰人口人口だと考えておりますが、厚生大臣はこの日本の人口現状に対して、どういうようなお考えでいらしやいましようか。
○山縣国務大臣 お答え申し上げます。たびたびこの委員会で日本の人口問題について数字をあげて申し上げて参つておりますので詳細に申し上げませんが、昭和二十七年度において大体千分の十五程度、百二十万程度でしようか、ふえておる。ことに生産年齢人口がふえて九十万ぐらいになつておる。これは将来の大きな問題でありましよう。従つて最近、戦後における人口の増加は、一時ほどではありませんけれども、なお相当考慮すべき点もある。従つてこれに対しましては、前国会においても提案をいたしたのでありますが、人口問題審議会を設けて、各般の見地からこの問題を解決いたして行きたい。重要な問題として政府も考慮いたして参りたいと考えております。
○福田(昌)委員 人口問題に関しますいろいろな委員会が持たれ、研究会が持たれたのは、私ども耳にたこができるほど承知いたしております。今年になりましても厚生省におかれましては厚生省の設置法の一部を改正いたしまして、人口問題審議会というのをおつくりになるというように伺つておりますが、毎年々々、いつまでもこういう審議会や委員会をつくりまして、盛んに研究論議ばかりいたしておりますが、いつまでたつても結論は出ない。そのうちに日本の人口はますますふえて行くというような状態であるのであります。もちろん国力の増強における人口の増加ということは望むべきことでありますが、しかし問題は、過ぎたるは及ばざるがごとしというような言葉もあります。そういう点に対しまして、ことに日本の将来の民生の安定というような点から考えましても、日本の人口対策というものは早急に結論を出さなければならない段階にあると思います。いつまでも荏苒日を過しておるということは、私どもとしてきわめて遺憾に存じます。だれが見ましても日本に一歩足を踏み入れまして一番先に感ずることは、何と人間が多いことかということでございます。大映の永田社長さんでしたが、外国をまわつて来られて日本に帰つたとたんに、何と人間が多いのだろうかということでびつくりしたというようなことを新聞に書いておられましたが、まつたく日本人でもそういうことを感ずるぼどに日本人の人口というものは相当過多な状態になつております。これをこのまま黙認するということであれば、これはもう昭和四十年をまたずして、間もなく一億を突破するだろうということはだれも考えております。この人口過剰に対しましては、資源乏しい日本の国の人口扶養力と照し合せまして、諸外国の人がむしろ心配しているような状態、それに引きかえ日本の政府当局は案外のんびりしているというような感じにとれるのであります。これまた審議会をおつくりになりまして、いろいろ方法を御研究になるかと存じますが、私どもはさようなのんびりした事態を許さないように考えるのであります。厚生当局としてはできるだけこの人口対策に対しての処置をおとりにならなければならないと思いますが、ただいまのところどういうお考えでお進みになるか、お気持をお聞かせいた、だきたいと思います。
○山縣国務大臣 人口問題はこれまたたびたび申し上げておる問題でありますが、単に厚生省だけの施策をもつてしては万全でありませんで、たとえば人口問題審議会等におきましても、これまたかねて申し上げております通り、大体五つほどの各面から検討いたしたい、資源の問題とか、あるいは産業構造の問題とか、これはもちろん日本の産業を興して人口の吸收力をふやすということが積極的に大事でありますから、そういうふうな問題につきましては、これは外務省あるいは通産省等においても考慮をいたす、厚生省といたしましてもそういうふうな問題について総合的に審議会を設けて検討をいたす、もちろんこれは検討倒れではいけないのでありますからできる、だけ早く結論を出して実施をいたす、厚生省といたしましては、たとえば昭和二十三年の優生保護法、これを昭和二十六年に閣議決定をいたして、その実施を促進いたしておる。なおまた二十七年におきましては改正をいたして、御承知の通り、保護相談所を設けるとか、指導員をふやしてやつて行くというふうな、優生保護、受胎調節の面等を中心に厚生省は善処いたしておりますが、もちろんまだ多々遺憾な点がございますので、今後とも善処を期して、お説の通りの方向に向つて行きたいと考えております。
○福田(昌)委員 人口問題の解決が厚生省だけではおできにならないことは、これはお伺いするまでもないことでございます。当然人口扶養力の増大の観点からいたしまして、農林関係とも、大蔵関係とも、通産関係とも協議しなければならない事項であることは申し上げるまでもないところでございます。しかし私が厚生大臣にお伺い申し上げております限りは、厚生行政の範囲内のことでお伺い申し上げているのでございまして、ただいまの厚生大臣としての御答弁によりますと、バス・コントロールとか、あるいはまた優生保護法の実施、普及に積極的になるというふうに伺えたのでございます。このことは私どもといたしましても非常にありがたい答弁だと思うのでございます。しかし実際を考えてみますと、お話ほどには熱心にお考えいただいてないのではないかということを、予算の上から考えさせられるのでございます。たとえば優生保護法のうちにおきましても、ことに悪質遺伝を防止いたしますために、強制断種手術の項目があるのでございます。その強制断種手術に対しましては、その手術の費用を政府が負担するというような建前から予算をとられておりますが、実際強制断種手術を必要といたしております人たちに対しましても、十分な手術をすることができないほどこの予算は僅少であるのでございます。大体二十六年度の優生断種手術の対象者の人員というものは、四百八十人から五百人未満だと思つておりますが、この程度の強制断種手術では、優生保護法の趣旨にはほど遠いといわなければならないのでございます。なぜかと申しますと、こういう悪質遺伝防止のための強制断種手術と申しますのは、これは民族の逆淘汰を防ぐ意味におきましても、またさかさまに社会の経済を破壊し、社会の秩序、安寧を乱すというような意味におきましても、これはゆるがせにできない問題であるのでございます。そういう悪質遺伝を持つております人が、こういう強制断種の項目があるにもかかわらず、利用できないというような状態にあるのでございます。これを諸外国の例をとつてみますと、一応文明国といわれる国々はみなこの優生断種手術というものをとり入れております。アメリカなんかでも二十九州から三十州におきまして、この強制断種手術というものをとつているのでありますが、アメリカのごとく物を持つており、しかもその人口密度は日本よりはるかに少い国におきましても、悪質遺伝防止のために強制断種手術を非常に活用いたしております。カリフオルニア一州におきましても、年度は忘れましたが、大体一万人近い人が強制断種手術を受けておるというような状態にあるのであります。ところが日本では、今申し上げましたように、人口は多過ぎるほど、あり余るほどあり、しかも統計の上から見まして悪質遺伝の人は相当にあるのであります。今日学者の発表によりますと、強制断種手術を受ける必要があるという人は、年間約二十万人ぐらいあるだろうという発表をなされておるのでありますが、それにもかかわらず実質的にはわずかに四百人から五百人の程度であります。予算的にはばまれてできないということは、私どもといたしまして、あまり優生保護に熱心な対策とは受取れないのでございます、今後厚生大臣といたしまして、こういう民族優生の立場から、この優生保護に対してどの程度進んだ予算的な措置をおとりになるお考えであるか、伺わせていただきたいと思います。
○山縣国務大臣 優生断種についての御高説拝聴いたしまして、私もまつたく同感であります。これらの点に対しては、国といたしましても、民族の将来のためにも努力をいたさなければならぬ点でございます。お説は拝聴いたしましたし、また優生保護法を制定いたした趣旨もそこにあるのであります。従つて優生保護法の建前といたしましては、さような悪質遺伝をいたします者に対しては、国庫負担をするという建前になつております。ただその運用についてあるいは遺憾の点もあるかと思いますが、法律の建前は、断種に対して国庫負担でもつて民族の将来を遺憾のないようにするということになつております。ただ仰せの通りに、予算の計上あるいはまた実際の運用上において遺憾の点も多かろうと思いますから、今後それらに対しましては善処いたしたいと考えております。
○福田(昌)委員 予算が暫定予算になりましたそのことのために、社会保険の医療関係者が、非常に熱望いたしておりました国民健康保険の医療給付金の赤字の政府補助が打切られておりますが、これなんかはもう各政党ともぜひ必要であるというようなことで、毎国会決議案を出されておつたような問題でございますので、当然私は骨格予算である暫定予算においても組んでしかるべきであると考えておつたのでありますが、これらが落ちております。なぜこれは落されたのか承りたい思います。
○山縣国務大臣 これもお話の通りに誓えますが、先ほど来大蔵大臣がるるお話になりました通り、給付費に対する国民健康保険の国庫負担と申しますることは、ただいまのお話の裏をかえしますれば、従来なかなか論議があつてできなかつた問題であります。従つて前国会においてもいろいろ論議があり、解散いたしましたために、せつかく組みました予算が流れましたが、子の予算には、われわれといたしましては、初めて給付に対する国庫負担を実現いたしたのでございます。しかしそれに対しましてはいろいろ論議がございまして、従つてさような政策といいましても、内容的には最も大きな政策的なものでございますから、暫定予算の性格としてこれは遠慮して、もらわなかつたのであります。但し六月の暫定予算には、ごらんになりますとあります通り、これはおそらく私はおしかりを受けるのではないかと心配をいたしておつたのでありますが、二億二千万円というものを組んでおります。これは給付費の国庫負担にかわるものであります。昨年一年間に四億六百万円という交付金があつた。一箇月二億二千万円でその半分も組んでおりますのは、これはあるいはおしかりを受けるのではないかと心配をいたしておつたくらいでありますから、さようにいたして実質的に御説の通りにいたしております。なおまた今後七月の暫定予算あるいはその他におきましては十分考慮をいたして参りたいと考えております。
○福田(昌)委員 国民健康保険の助成のために、暫定予算においても予算をお組みいただいたことは承知いたしております。私のお尋ね申し上げましたのは、それではなくて、療養の給付のいわば支払い基金の赤字の補填のための補助というものが全然講ぜられていないので、そういう点についてお尋ねしたわけでございます。
○山縣国務大臣 これはいずれ近く本予算も組まれると思いますから、その際には十分に考慮をいたします。これは今後大蔵当局とも御相談をいたさなければならぬ点でございますが、できれば遡及するとかいろいろなことをいたしまして、結果的にはさような赤字の解消に努力いたしたいと考えております。
○福田(昌)委員 その可能性でございますが、この三月の解散国会において予定されておつた程度の赤字補填のための補助というものは二十九億かと思いますが、その程度のものは必ず出せるという御自信がおありになりますか。
○山縣国務大臣 これまた今後の国会の御審議あるいは閣議等においても、全体の国家財政のにらみ合いによつて決することでございますが、私といたしましては努力いたしたいと考えております。
○尾崎委員長 福田君、ちよつと恐れ入りますが御了解願います。参議院の本会議から正式にお呼出しがありましたから御了承願います。
○福田(昌)委員 それでは一言だけ伺いたいのでありますが、今度日雇労働者健康保険法をお出しになりますか。
○山縣国務大臣 ただいま政府において検討いたしておりますから、いずれ決定いたしましたら……。
○八木(一男)委員 関連して――山縣厚生大臣に、日雇労働者健康保険法ゑ一どういう内容でお出しになるのか、それをひとつ伺いたい。
○山縣国務大臣 この点は、政府は今回の提出法案等につきましては、まだ正式に閣議においても検討いたしておりませんので、われわれといたしましては、今正確にこの委員会において申し上げることはできませんが、きまりましたらまたあとの機会に申し上げたいと思います。
○八木(一男)委員 日雇労働者健康保険法は、十五特別国会に初めて提出されまして衆議院を一応通過したわけでございますが、あれを初めて御提出になつた御熱意には敬意を表するものでございます。あの内容は非常に内容としては発案しておりませんで、二十九億の給付金に対する国庫負担がなくなつて、三億の事務費負担のみでありますので、療養に対しては三箇月の給付しかございません。また傷病手当金がなく、仏つくつて魂を入れずというような内容でございます。また分娩関係の給付もございませんので、男女の労働者に対する扱いも非常に違つているという内容も含んでおります。また適用範囲も非常に少く、給付条件に対する条件も非常に苛酷であるというような内容であります。厚生大臣といたされましては、もちろん十分な内容のものを出される気持をお持ちだと存じますが、今度の予算編成の前に、十分な内容を持つた、そうして少くとも四十二億円以上の国庫負担の裏づけを持つたものを出される御決意があるかどうか、はつきりと承つておきたいと思います。
○山縣国務大臣 お答え申し上げます。この点はたびたび申しました通り、皆さんも予算の編成あるいは法案提出等の従来のいきさつは十分御承知でありますから、この際厚生大臣から決意をということを仰せられましても、われわれとしては、いろいろな事情を勘案いたし、なおまた今後予算の編成を勘案して決定はいたすべきでありますので、この点を御了承願いたいと思います。
○尾崎委員長 御参考までに申し上げますが、参議院本会議の正式の御要求は許さないわけには行きませんから、念のため御了解願いたいと思います。少々御猶予を願います。
○尾崎委員長 八木君より関連質問の申し出があります。これを許します。八木一男君。
○八木(一)委員 大蔵大臣に質問いたします。この前の第十五特別国会におきまして日雇労働者健康保険法が提出されたのでございますが、それが予算の衆議院を通過しました三月二日後に委員会がいろいろと討議をされました。それで左右両社会党から日雇労働者健康保険法に関する修正案を出しましたところ、その討論過程中におきまして、修正案の方が非常によいということを大体全委員が認められておつたわけでございます。ところが最後の討論におきまして、会議録をごらんになつていただけばわかりますが、永山委員が自由党を代表いたされまして、修正案の内容には全幅的に賛成するけれども、すでに予算が衆議院を通過して参議院にまわつているのでこの点で非常にぐあいが悪いという意見で、修正案に反対をせられたわけでございます。このようなことははなはだ不都合なことであると思うわけでございます。ですから今度予算を組まれる場合に、厚生省当局のこの日雇労働者健康保険法の立案に関する予算編成に関しましては、大蔵省といたしましてはこの第十五特別国会における、委員会の審議の内容を十分検討されて、これの予算の裏づけをしていただく必要があると存じますが、その点に関しまする大蔵大臣の御見解を承りたいと存じます。
○小笠原国務大臣 本予算編成のと身に十分研究してみたいと存じております。
○八木(一)委員 さらにもう一回大蔵大臣にお願いをしておきたいと存じます。これは厚生省所管でございますから、大蔵大臣は十分には御存じないと存じますけれども、健康保険というものは今非常に生活の苦しい場合に労働者にとつてただ一つのたよりでございまして、これあるがためにやや安んじて生活することができるという状態にあると思うわけでございます。ところが一般の労働者以上に非常に生活の困窮しております日雇い労働者、安定所関係の人々とか何々組というところに働く人々とかまたは付添看護婦というような人々は、この健康保険法がないために非常に困つた状態に置かれております。一回病気になるとほとんど一家離散、あるいは一家心中というところに追い込まれるような危険性が多分にあるわけでございまして、この状態を直視せられまして、政府の方で日雇労働者健康保険法を第十五特別国会において出されました点については十分に敬意を表するわけでございますが、その立案せられました厚生省の内容が、予算の編成のときに大蔵省で大なたを振われまして、私の存じているところでは三十二億円の原案が事務費のみの三億円に減されました関係上、その給付内容が問題にならないほどに非常に低下したわけでございます。一例を申し上げますと、療養給付のみでございましても、それが三箇月で打切られる。これではちよつと長い病気では半分なおりかけてまた逆もどりするというような状況になります。また傷病手当金がございませんので、日雇い労働者の諸君は医者に安静を命ぜられても、その安静の命令に従わないで、毎日の糧を稼ぐために、薬を飲みながら出なければならない、労働をしなければならない。医者の薬も何も役に立たないというような、仏つくつて魂入れずという内容になつているわけであります。また分娩、埋葬に関するような給付は、一つもその内容に盛られておりません。そういうことは国庫負担が非常に少ないためによるわけでございますので、どうかこの点につきまして大蔵当局といたしましては、予算編成上でいろいろと御苦心があることはわかつておりますけれども、この百万になんなんとする非常に困つた人の状態を救うために、ぜひこの予算が必要であると存じますが、その点につきまして、大蔵大臣が今度おかわりになりましたので、先ほど御答弁がございましたが、重ねて、前の政府案よりもよほどましな、そして衆議院の厚生委員会において全幅的な賛意を表せられました両社会党の修正案程度まで、予算の裏づけをされる御決意があるかどうか、はつきりと承りたいと存ずる次第でございます。
○小笠原国務大臣 率直に申し上げますと、三十数億の金でございまして、現在の財政状態ではいかがかと考えられますが、本予算のときになお考えさしていただきます。
○八木(一)委員 大蔵大臣の十分なる御配慮をお願いいたしまして、質問を打切ります。
○尾崎委員長 加藤鐐造君。
○加藤(鐐造)委員 私は主として外務大臣に対して外交問題を中心として質問したいと考えておりましたが、外務大臣がどうしても来られないということでございますので、本予算の成立を急ぐ時間的な関係上その点は了承いたしますが、今後は予算委員会の権威においてこういうことは了承しがたいのでございますから、委員長は十分御承知おきを願いたいと存じます。
 そこで私は主として通産大臣に御質問をいたしたいと思いますが、まず第一に、日本の経済の脆弱性というものから貿易の回復がまだ十分でない。しかも最近非常に後退しつつあるということは、すでに今までの同僚各位の御質問において十分述べられているのでございますが、この点について最近いろいろと政府の方策あるいは通産省の方針というものが新聞等に現われておりますが、私は日本の貿易の振興ということは、日本経済の現在の世界経済における後進性から見まして、何といつてもアジア貿易の促進が必要であると思うのであります。この点について今まで自由党吉田内閣によつて何らの具体策も立つておりません。これはいろいろアジア特に東南アジア各国との友好関係が回復しておらない、特に賠償関係が未解決であるという点に、おもな原因があると思うのでありますが、しかしそれは別といたしましても、その他にいろいろな方策はあろうと思うのでございます。そこで通産大臣にこのアジア貿易の促進についての大体の御意見を承りたい。特に私が今申し上げました賠償問題との関連性ということは、非常に重視しなければならないと考えます。経済的にまだ未開発状態にありますアジア各国の開発ということは、やはり日本との関連性においていろいろ考えなければならないと思うわけでありますが、その点については賠償の根本方針が、相手国がなお今日日本に対して懲罰と報復の方針をとろうとしておるという点に難点があろうと思うのであります。しかし私はアジア各国、特にフイリピン、インドネシア等が、日本との経済提携によつて、その経済的な発展をはかろうといたしますならば、この賠償問題をそういう方向においてうまく利用することが必要ではないかと思うのであります。そういう点についてまず通産大臣のお考えを承りたいと思います。
○岡崎国務大臣 お答えを申し上げます。お説の通りに、アジア地区におきまして、われわれは商売をするのが一番便利であると同時に、非常に利益が多いのであります。そこでそういう方面を促進することが今の貿易を振興して行き、同時に国内の経済を発表して行くのに一番役立つと思います。ただお説の通りに、昔と違いまして、まだ戦後の賠償問題が片づいていない国が東南アジア方面にありますので、それが一つの貿易に対するがんをなしております。しかしできるだけ努力をしまして、早く解決せんとしておりますが、何分相手があることでありまして、これが十分なる促進ができておりません。しかし通産省としまして考えますことは、お説のように、やはりアジア貿易を非常に促進したいと考えて努力しておる次第であります。それでわれわれが今考えておりますことは、まず外交交渉によつて通商協定または貿易協定というようなものをやることに努力しておるわけであります。先般来日英会談も円満に進んで行きまして、今まで輸入制限をしておつたところも多少緩和をしてくれるというようなことによりまして、また一方におきまして、われわれが品物をつくろうといたしましても、相手方で十分日本の品物のいいことや日本の技術というものの理解が足りないということがありましたので、できるだけ通商派遣団をつくりまして、各方面にこれを送つて、そうして日本の生産品のいいところ、また向うでこうしてもらいたいというようなことを言つてもらう。またこれは予算はつぷれましたけれども、実は二箇所ほど技術相談室というものを設けまして、そうして向うへ技術者並びに商売に堪能な人を常置いたしまして、そして向うの業界の方とよく相談し、また向うから日本の商品買付について、それに対するあらゆる知識を提供する、こういうことをいたしたいと思つております。どういたしましても、二十七年には非常に輸出が減りまして、十一億六千八百万ドルくらいにしかなつておりませんが、しかしわれわれといたしまして二十八年度は、十二億ないし十三億程度まで輸出を増進するいろいろな計画を立てております。それからもう一つ輸入の方をみますと、二十七年は十七億九千万ぐらいになりまして、そしてその前年度の十六億に比べて相当な進展をしております。これはよくいわれることでありますが、貿易というものはバランスを合せるのがいい、そして輸出がいけなければ輸入を切るというのが、これが一番たやすい道でございますけれども、日本はもう一つそれに考えをいたさなければならないことは、原料資材というものがほとんど外国から輸入されるものでありますから、輸入を押えるということは、結局ある期間をおいてそれだけ輸出が減るという結果を招来しますから、私は輸入を押えるということは最後の手にしまして、輸出をする方向でいろいろ考えておる次第でございます。われわれといたしましては、今後特需の問題もありますが、正常貿易によつて貿易のバランスを合せて行きたい、こういう念願のもとに、せつかくいろいろ苦心をしておるわけであります。
○加藤(鐐造)委員 今日本の輸出が非常に阻害されておるということは、世界的なドル不足の状態の中に各国が輸入制限をしておるということでございます。特にアジア各国が極度のドル不足から、非常に強い輸入制限を打出しておるということが、全部ではありませんが、一つの大きな原因になつておりますが、これに対して何ら政府としては対策を講ずる考えはないのかということをお伺いしたいのでございます。特に私は日本の政府に考えてもらわなければならないことは、外務省と通産省とが十分なる有機的な関係において対策を立て、仕事をしておらないという点に、やはりこの貿易の阻害されておる大きな原因があると思うわけであります。その点については外務大臣にお聞きすることでございますが、通産省としてはどういう考えを持つておいでになるか承りたい。
○岡野国務大臣 お答え申し上げます。外務省と通産省がわかれておりますので、やることが、実質は一致しておりますけれども、表現のしかたがかわつているものだから、何か一致していないように見えるかもしれませんが、ただいま貿易振興につきましては、外務省と通産省は実に緊密な連絡をとつてこれに従つておるわけでございまして、外務省が通商協定を結ぶとか何とかいう場合には、むろん通産省の役人を一緒に加えまして、またその交渉に行く前にも、常に外務省と通産省とは十分連絡しておる次第でございまして、私はその点におきまして、もし形の上でもそういうように一致していないようなことがございますれば、これは形の上でも十分御納得の行くような仕事の運び方を研究して行きたいと思います。私といたしましては、何と申しましても、先ほど申し上げましたように、いい品物が非常に安くできましても、これを買つてくれる方面が買うという心を起し、同時に買う力を向うに与えてやらなければ、どうしても貿易の振興はできませんから、この点におきましては、われわれが内地において生産費を引下げるというようなことに対して努力すると同時に、またこれを売るところの市場を確保するということが、反面の一大重大問題でございますから、これはどうしても外務省、通産省というものが打つて一丸となつてやつて行かなければいかぬことであります。それが、実買上はできておりますけれども、皆様方のおめがねで見て何かわかれておるようなことになりますと、これは遺憾な点でございますから、形の上でもそういうことのないように配慮いたして行きたいと思つております。
○加藤(鐐造)委員 今通産大臣が言われました、輸出振興のためには、良品廉売という方針をとらなければいかぬという問題ですが、この問題について最近いろいろな考えを通産省が発表しておられるのであります。それは主として原料高ということで、炭価の問題を取上げられておるようであります。炭価の問題は同僚今澄君からいろいろ聞きましたので、私は重ねて質問はいたさないつもりでございますが、ただこの石炭の値段を下げるということを、単に金融の面あるいは税金の面というような点だけで考えて、もつと根本的な問題を忘れておるのではないかと思うのであります。というのは、いわゆる基礎産業であるところの石炭の問題を今日野放しにしておくということが、結局日本の産業の自立化を非常に妨げておるというふうに思うものでございます。自由党のいわゆる自由主義経済政策のために、石炭の統制を一ぺんにはずされたという点に、私非常な問題があると思うのでありますが、その点について最近通産大臣は、何かこれに対するある程度の統制をしなければならぬというようなことをどこかで言つておられたように――あるいは他の閣僚であつたかもしれませんが、記憶しております。その点について考えを承りたいのが一つと、それからももう一つは、企業の合理化を推進しなければいけないということで、最近輸出の上における二重価格制というようなものを、ときどき政府の方針として発表されております。独占禁止法を大幅に改正して、そうした方法をとろうというような考えがしばしば発表されておりますが、その点について大臣はどういうようにお考えでありますか。
○岡野国務大臣 お答え申し上げます。まず第一の点の炭価の問題ですが、これは御承知のように、ただいま実は貯炭が非常にふえておりまして、しかも値段は高いというような異常な経済情勢をとつております。そこでこれを問題は別でございますが、その炭価が高いためにいろいろの産業にコスト高をもたらすから、炭価を引下げろというようなことも出て来ますが、これはなかなかむずかしい問題ございまして、昨年ストライキのありましたときは、鉄道も輸送できないような石炭飢饉に陥つたこともあります。それから今年になりましてから非常によく出まして、二月には四百二十万トン、三月には四百七十万トン出たというようなこともございまして、ことしの石炭の増産高は約五千万トンを出やせぬかというようなことも考える次第でございます。そこでこの石炭に対する対策は相当考えなければならぬ、それかと申しまして、弱小企業がつぶれて行つてしまうようなドラステイツクな政策をとることも、これは非常に考えなければならぬ。どの炭鉱も立つて行くようにして、同時に炭価も下げて行くということにいたして行きたいと考えて、通産省としてもいろいろ研究中であります。
 二重価格の問題は、ただいませつかく検討しているところでございまして、今ここで確信を持つて御答弁申し上げる立場に立つておりませんから、いましばらくお待ちを願いたいと思います。
○加藤(鐐造)委員 もう一つの問題は、ちよつと今言い落しましたが、いわゆる独禁法を改正して、企業のカルテル化をはかるというような意見があるように聞いたのでありますが、この点についてはどうお考えになりますか。
○岡野国務大臣 カルテルというものは原則として禁止すべきものではないか、これが独禁法のできました根本精神でございます。しかしときによりますと、業者を救うていくという意味におきましては、あるいは自発的にカルテルに似たような処置も出て来るのではないかと思いますけれども、しかし私といたしましてはまだ就任早々でございますまして、この点については十分研究を積んでおりませんので、はつきりした御答弁を申し上げかねます。
○加藤(鐐造)委員 時間が過ぎますので、次の問題に移りたいと思います。
 現在日本の産業の特質は、中小企業が特に脆弱であるという点でございます。中小企業をいかにして育成するかということが、やはり日本の自立経済達成の一つの方途であり、民生安定の手段であると考えておりますが、これにつきましても従来いろいろと国会で論議され、問題が取上げられて来ましたが、特は現在雑貨工業が非常な行き詰まりを来しているのは、やはり輸出貿易の極端な阻害にあるわけでございます。
 そこでこの中小企業の行き詰まりを打開するために、どういう方法を考えておられるかという問題でございますか、私は時間を急ぐ関係上、私の方から問題を提起してお伺いしたいと思いますが、まず第一には、金融問題でございます。中小企業に対する金融対策というものは、従来いろいろと考えられまして、中小企業に対する金融保険の問題、あるいはまたいわゆる金融公庫、特に中小企業金融公庫というような、特殊な金融機関を設けるというような考えも持つておられる。前国会にもこの問題が法律として提起されております。しかし私はそうした機関だけをつくりましても、中小企業、特に小企業に対しての金融の道はなかなか開かれない。たとえば金融保険については金融業者がこれを扱うことをできるだけ避けるようにしております。これは岡野通生大臣が金融界出身でございますから、よく御承知であろうと思いますが、また新たに設けられようとしておりますところの中小企業金融公庫というようなものも、その代行を銀行にさせるということになりますならば、結局従来の取引関係におけるわくの中にはうり込まれるというようなことで、新たにこれを設けた意義というものがほとんどそこに見出されないということ、特に零細企業に対しての融資は、いかなる機関ができても、あまり利用をさせるような方針をこの金融機関がとらないということが、従来の中小企業の金融についての悩みでございました。この問題について、ほんとうにそうした零細企業を保護育成するという考えでありますならば――不能率な企業は切り捨てるという考えでありますれば別でありますが、そういう零細企業を生かして行くことが日本の経済の発展の一つの道であるとお考えになりますならば、この問題については、もつと具体的に零細企業を金融面において生かして行くという政策がなければならないと思うのであります。
 それからもう一つは、生産過剰の問題でございます。中小企業の特質は、わずかな資金ですぐ企業が始められるということでありますが、これが今日いわゆる中小企業が不況に対して非常に深刻な苦境に陥る一つの大きな原因でございまして、これに対しましては、昨年中小企業安定法というものが設けられましたが、しかしこれは独禁法に抵触するという理由のもとに、そうした生産設備の制限というようなことについては何らの対策が講ぜられておりません。この点については私は、協同組合法の強化ということが必要ではないか、こうした簡単に始められる中小企業に対してある程度の新規開業を制限するということはやむを得ない方法だと考えるのであります。そういうような点を考えて参りますと、私は商工協同組合の強化ということが一番必要ではないかと考えるのでございます。金融面につきましても、やはり協同組合法に基くところのいわゆる信用組合というものが強化される必要がある。これは特に現在は農業協同組合にのみ適用されておりますが、商工協同組合におきましても、やはり金融事業を扱わせるという制度を設けるべきであると考えるのでございます。特に都会地におきましては信用金庫というものが今日設けられることになつておりますが、しかしこれはやはり比較的都会地でございまして、協同組合を組織しておるような零細企業には十分に利用せられないうらみもあるのでございます。そういう点について、私がこまかく申し上げる必要もないことと思いますが、協同組合の強化という点についての通産大臣の御意見を承りたい。私はいわゆる独占禁止法を緩和して大企業のカルテル化をはかり、それによつて中小企業を圧迫するという行き方ではなくて、独占禁止法の緩和、あるいはそれに付随するところの事業者団体法の第四条の撤廃というようなものは、中小企業の育成の面において考えるべきではないかと考えるのでございますが、この点についての御意見を承りたいと思います。
○岡野国務大臣 お答え申し上げます。中小企業の件につきましてただいまいろいろと伺いましたが、実は私ども金融専門家として考えておりますことは、今お説を承りますと非常な御卓見で、もう私が申し上げることもないような気がいたします。なるほどいろいろ金融の制度ができましても、中小企業はなかなか金が借りられない、これはお説の通りでございます。そこで私どもといたしましては、今後中小企業が金融の対象になり得るというように、あなたの御心配の点をやはり拡充して行かなければならぬと思います。そこでまず私どもの考えといたしましてはなぜ金融の対象にならぬか、いくら制度を設けましても金が貸せられないかということは、結局受入れ態勢の企業家の側にある、こう私は見ております。そこでやはり企業態勢を金融の対象になり得るように直して行くように話を進めて行きたいと考えますが、それには今まで考えております企業診断などもいたしまして、その企業の経理経営の方法について相談に乗り、指導して行く、こういうこともしていきたいと思います。また大企業との関連ももう少し密接にしていくことがほんとうではないかと思います。そこで私は昨年、実は文部大臣として、今年度大学卒業者が非常に就職困難になつておりましたので、これを考えまして、就職と同時に、中小企業を堅実にしていくという意味におきまして、大企業から推薦さして、中小企業に大学卒業者をとる、そして今まで放慢というような――これは無知識であつたから放慢であつたのでありますが、放慢もしくは無軌道な経営をやつているのを、大学を出た人がこれにタツチしてうまくやつていくという方向に指導していくのが一つの手だと考えたことがあります。いずれにいたしましても、あなたのお考えの通りに、中小企業はまず第一に金融が必要である。その金融に対しては、私が申し上げたいと思うことをあなたがおつしやつたのであります。それはその通りでございますから、今後そういう方面においていろいろ受入れ態勢の組織合理化、また融資を受け得るような態勢にしていくように指導していきたいと思います。
 それからまた生産過剰の問題につきましては、これはお説の通り、協同組合を強化して、弱小企業が生産過剰によつて倒れていかないようにしていきたい、こう私は考えております。
○加藤(鐐造)委員 時間を急ぎますので、最後に一点だけ承りたいと思います。中共貿易については、先ほど来通産大臣は非常な熱意を示されました。そこに大蔵大臣の考え方といろいろな食い違いが出てくるほど熱意を示されたことは、私も非常に心強く感ずるわけでございますが、中共というような共産主義国家との取引の場合には、特に決済の問題が非常にむずかしいと思うのでございます。その決済の方法をどういうふうに考えておられるか。かりに通産大臣が言われたように、相手国の商社との間に引合いが整つた場合におきましても、決済の問題は相当むずかしいと思うのであります。これはおそらくバーター制をとる以外には方法はないと思いますが、バーター制をとりましても、管理貿易を強度にやつており、しかも共産主義国家である相手との間におきまするバーター取引というものは、なかなかむずかしいのではないかと考えるわけでありますが、その点についての具体的な御意見を承りたい。
○岡野国務大臣 中共貿易につきましては、何か閣内に食い違いがあるというようなお説でございますが、そういうことはございません。むろんわれわれといたしましては、今まで通り国連に協力するという意味において貿易上の制約を受けておりますけれども、その国連協力の線、それに触れない点におきましては、私は貿易を促進すべきだというを考え持つております。そこで、これがいつも問題になることでございますが、金融でございます。金融は、ドルは中共に対して凍結されておりますから、これは使うわけには行きませんけれども、しかしポンドならできるわけであります。ポンドとバーターと、この三つの道によつて促進していきたいと考えております。わずかでありましようけれども、少しでも輸出貿易を促進するという意味においては、今後もできるだけその方面に関心を持つていきたいと考えております。
○加藤(鐐造)委員 大蔵大臣がおいでになりますから、もう一つ最後に一点だけ大蔵大臣に承つておきたいことは二十八年度予算の骨格でございます。アウトラインでございますが、最近の新聞を見ますと、前国会に提出した予算を踏襲するというようなことも出ております。また一方においては改進党の政策を相当のむであろうというようなことも言つております。改進党の政策をのまなければ改進党の協力が得られないという苦衷もお察しするのでありますが、そうした自由党の政策、改進党の政策というものを相当にのんで行くとすれば、予算は相当膨脹するのではないか、こういう問題がございます。従つて予算の総額は大体どの程度に押えられるか、相当膨脹するかどうかという問題。それからすでに暫定予算で今年は半年を過ぎるわけでありますが、下半期になりますと、財政資金が一時に放出されて、そこからインフレが促進するようなことになるのではないかと思いますが、これの対策を簡単に承りたい。
○小笠原国務大臣 二十八年度の本予算につきましては、さきに提出して衆議院の協賛を経たあの予算を中心として、多少その後の情勢も織り込むかもしれませんが、大体来月の中ごろ提出いたします。目下検討いたしておりますので、それまでちよつとお待ちを願いたいと存じております。
 さらにこの下期になつて財政投融資等が盛んに行われてインフレになるおそれはないかというお話でございましたが、私どもは今日の日本をインフレに持つて行くことは絶対に避けなければならぬということを考えておりますので、もし財政の投融資等が、いわゆる非常に散布超過となるようなおそれがある場合には、金融上の操作によつて、いわゆる財政、金融の一体化と申しますか、有機化ということによつて、さようなことのないように、措置して参りたい考えでございます。
○加藤(鐐造)委員 おそらくそうした金融面における操作、特に民間金融面における操作によつて押えられるであろうという答弁であると思つたわけでありますが、そういうやり方になつて参りますと、やはり中小企業に対する金融的な非常な圧迫になつてくるわけであります。われわれはそれを非常におそれるわけでありますが、特に日本の経済状態がこうした時期でありますから、そういう点について大蔵大臣は特に考慮されるかどうか一応承りたい。
○小笠原国務大臣 日本における中小企業の重要性にかんがみまして、これが困るような措置はいたさない、私どもはできるだけ助成、育成したい考えのもとにおりますから、金融上の措置いにつても万遺憾なきことを期します。
○尾崎委員長 古井喜實君。
○古井委員 緒方副総理にきわめて簡単に御質問いたしたいと思います。前国会に政府が御提案になつたあのいわゆる五大法案についてであります。政府部内においてこの取扱いについていろいろ御検討中のように承知しております。もうそろそろこれに対する能度がおきまりになる時期ではないかと思うのであります。もし、あのいわゆる五大法案に対する考えが結論に来ましたものであるならば、どう扱われるのかということについてお伺いいたしたいと思います。
○緒方国務大臣 この内閣は性質上新たな内閣でありますが、第四次吉田内閣も第五次吉田内閣も同じく自由党を基盤としておりますので、第四次吉田内閣の際に国会に提出いたしました、今御質問のいわゆる五大法案に対する方針はかえないつもりでおります。でありますが、御承知のような過半数を持たない少数党内閣でありますので、その法案の提出につきましても十分政治事情を勘案いたしまして決定いたしたいと思つておるのであります。ただいま申し上げてよいと思いますのは、独占禁止法の緩和に関する法律案、これは貿易を促進する上からもほとんど全面的の要請になつておると思いますし、従いまして国会の通過もまず無事に行くのじやないかと考えますので、これは本予算と同時に提出いたしたい考えであります。さらに元軍人の恩給でありますが、これも、社会的に見まして、受給者の生活の実情から見まして、また国会の情勢から見ましても、大体通過するのではないかという考えから提案いたしたいつもりでおります。ほかのスト制限に関する法律案、義務教育学校職員法案、それから警察法の改正につきましては、ただいま申し上げましたような事情で、十分に政治情勢を見まして、慎重に決定をいたしたい。ただいまその程度の状態にある次第であります。
○古井委員 ただいまの御答弁で、今日の段階における状況はわかりました。つきましては、義務教育費国庫負担関係の前回の法案、あの通りのかつこうのものにつきましては、なかなか論議が多いと思います。不満足な点がすこぶる多いとわれわれは考えておる。警察法についても、またあの通りのものが議論を起さないかどうか保証の限りでないと思います。いろいろな点を十分御参酌の上で適切な態度をおきめになることを希望いたしまして、質問を終ることにいたします。
○尾崎委員長 この際委員長より凍霜害対策の問題について政府にただしいと思います。本問題につきましては、各会派よりそれぞれ質疑が行われました次第もありまして、委員長といたしましても、この際本問題に対する政府の所見をただしておきたい次第であります。
○小笠原国務大臣 今度の稀有の凍霜害に対しましては、私ども心より被害を受けられた方々に御同情申し上げるものであります。従いまして、各派より御要望の点につきましても十分考慮いたしまして、なるべく御期待に沿うよう予算を編成いたして、予算あるいは予備金の支出その他についてとりはからう所存であります。本日中に閣議を開きまして最後の決定をいたす所存でございます。大体皆様方の御期待に沿う方針でございますから、御了承願いたいと存じます。
○山本(勝)委員 関連の質問をいたします。実はただいまよく聞いておりませんでしたけれども、今理事から聞きますと、凍霜害の対策費として五億八千万円を政府が出すというお答えがあつたということでありますが、その中に野菜とくだものを含んでおりますかどうか、その点をお尋ねいたします。
○小笠原国務大臣 ただいまその内容、金額についてまだ検討しておりますが、お示しになつた数字は大体それに近いものを計上する考えでおります。
○山本(勝)委員 われわれの党といたしましては、もちろん他の桑その他の問題は言うまでもありませんけれども、野菜並びにくだものもその中に含まれることが絶対に必要だという考えを持つておりますので、その点について、今後御折衝をされる上に、どういうふうな態度で農林省と御折衝されるか、もう一度承つておきたいと思います。
○小笠原国務大臣 農林当局の意向もよく聞きました上でとりきめたいと存じております。
○山本(勝)委員 農林当局の意向は別といたしまして、大蔵当局の意向はいかがでございましよう。
○小笠原国務大臣 これは主管が農林省の方になつておりまして、私どもの方は財政の方だけの問題でございますから、よく相談いたしました上でとりきめたいと思つております。
○山本(勝)委員 それではあとでもう一度農林大臣に対して質問をすることとして、質問を留保いたします。
○平野(力)委員 関連して……。私は、ただいま大蔵大臣の委員長に対する答弁を聞いてはなはだ驚いたのでありますが、私どもの了承しておる範囲におきましては、本日いやしくも大蔵大臣がこの予算委員会において委員長の質問にお答えになる限りは、もう少し具体的なものであるべきことを確信しておつたのです。私どもが各派共通の要求として農林大臣、大蔵大臣に要求しておりますものは、過般国会を通りました四月、五月の暫定予算のうちの予備費六億、これのほとんど全額というものを霜害対策として放出するということで、またこれを大蔵大臣は各派の団体の代表者に対して言明をせられおると、かようにわれわれは了承したのです。もしここに、単にただいまのような、霜害地が気の毒であるとか、善処するとかいうような程度ならば、何を好んでこの予算委員会において今ごろになつてそういう答弁を要求せられるか。私は、いやしくも委員長が質問をせられた限りにおいては、大蔵大臣としてもう少し具体的な答弁を要求する。
○小笠原国務大臣 今実は数字を詰めておりますので、数字的なお返事はちよつと差控えさせていただきますが、申し上げた通り、大体五億数千万のものを出したいということで、今事務的に数字を詰めております。その点を御了承願いたいと思うのであります。従いまして、閣議も実は決定を経ておりませんので、最終の、いつどれにどう出すかというようなことはちよつと申し上げるわけに行きませんが、さつき申した通り、本日中にきめますから、きめ次第出すことにいたします。
○平野(力)委員 数字を詰めているとおつしやいますが、詰めているという言葉がよくわからないのです。私どもは、五億八千九百七十四万四千四百円という数字を大蔵大臣が了承して、本日中にこれを閣議決定をして発表せられると、そういうふうに了承してこの予算の審議にも当つておつた。もちろんこれは、閣議で決定しておらないから、閣議決定であるという発表ができないというお話であるならばそれは了承する。しかし大蔵大臣自体としては、この数字をもつて閣議に臨むのだ、こういうふうにするのだという言明がなければ、ここで委員長の質問に対して答弁をせられたつて何の役にも立たない。また、非常に真剣に考えて霜害対策で全国から来ている者は、大蔵大臣からさような抽象的なことをこの予算委員会で聞こうとは思つていない。もう一回はつきり五億八千九百万円と、この数字をもつて大蔵大臣としては閣議に臨んで、これをきよう中に決定して責任をとるというお話を願いたい。
○小笠原国務大臣 数字は大体その通りでありますけれども、内容の割振りがありますので、最後のことが申し上げにくいと、こう申したのであります。
○平野(力)委員 そういたしますと、どの部分が農林中金の方へまわるものであるとか、あるいは肥料代金としてどれだけ補助をするとか、あるいは病害虫駆除として幾ら出すとか、蚕種代の補助金として幾ら出すとか、こういうような細目の内容については今検討中だ。しかし今申し上げましたような項目についここの五億八千万円というものを割振る、これは本日中に閣議で決定される、こういうように了承していいですね。
○小笠原国務大臣 大体その通りでございます。
○平野(力)委員 それでは、大蔵大臣は、本日中に閣議において五億八千九百万円の霜害対策の予備費を出すということを決定すると、この予算委員会において言明せられたということを了承いたしまして、私はこの質問を終ります。
○河野(一)委員 関連してお伺いします。大蔵大臣のただいまの御答弁を承つておりまして、先ほど同僚山本勝市君から御質問いたしました点についてなお重ねておただしをいたしたいと思います。
 未曽有の霜害でございますので、従来とかく霜害に対する対策は、統計等また調査等ずさんな点から十分に処置がとられなかつた点があることは御承知の通りであります。ところがそういう関係で、従来の感覚で多少も内容は承つておりますが、特に大蔵当局は、前例がない、従来そういうふうなものに出したことはないというようなことで、費目等についても非常に冷酷にお取扱いのようであります。私たちは、金額は今お話の通り五億八千九百万円でけつこうでありますが、その内容を、どういう農作物に一番被害が多かつたか、どういう農作物にやらなければいかぬかということを、従来の例があるとかないとかいうことでなしに、全体に公平に渡るようにしなければいかぬと思うのです。その意味から最近においては、戦争後盛んになつて参りました、特に大都市の付近の果樹園、蔬菜園というものの霜害が非常に大きいのであります。しかもこれは金額の点から参りますと、養蚕地帯にも匹敵するほど被害が大きいのであります。ところがこれについて何ら考慮を払われぬやに承ることは、はなはだ遺憾であります。これについてどういうお考えであるかということを承りたいのであります。
○小笠原国務大臣 今お話の点はよく了承いたしております。
○河野(一)委員 了承しておるという御答弁は、そういう点について予算措置が講じてある、講ずるつもりであるということでございますか、どうでございますか。
○小笠原国務大臣 御趣意に沿うように今いろいろやつておりまして、ちよつと数字のはつきりしたところを申しにくいと申したのはその点であります。
○河野(一)委員 総額がきまつておつて内容がわからない。これは主要な費目が縦横にずれるとか、少しこまかな点ならわかりますけれども、これに入れるか入れぬかという問題について――それでは蔬菜、果樹等についても、金額の多寡は別として補助をするということに了承してよろしゆうございますか。
○小笠原国務大臣 金額の中で操作して、さような御趣旨に沿いたいと思つております。
○河野(一)委員 あまり長くなつてもどうかと思いますからこの程度にとどめますが、今申し上げました通り、また小笠原さんの選挙区もそういう被害が非常に多いので、そういう点も十分御承知だろろうと思いますから、あとでまたこういう問題でとやかくないように特に善処せられんことを希望いたしまして、私の質問を終ります。
○尾崎委員長 福田昌子君。
○福田(昌)委員 外務大臣にお伺いいたしたいのでございますが、去る三月十日フイリピン沖拿捕されました第三海洋丸の拿捕事件がございますが、その後の結果はどうなつておりますか、お尋ねしたいと思います。
○岡崎国務大臣 ただいま詳細な資料をここに持つておりませんので、あるいはこまかい点で間違いがあるかもしれませんが、御承知のようにこれはかつお船でありまして、フィリピンの領海に入つたという理由のようでありますが、拿捕されましてその後全員が二十何日か抑留されて、その間に暴行を受けたというようなことがあつて、そうして遂に帰還を許されて四月の何日ですか鹿児島に帰つて来た。そこで問題は、一体領海に入つたのかどうかという点があり、それから各種の損害がある。もし正当に漁撈に従事しておつたとすれば、それを拿捕して非常な損害を与えた。こういうことで船主からはたしか千何百万円ですか、損害賠償の要求が出ておつたと思います。実はこの問題につきましてはいろいろの点があるのでありまして、元来公海であるかないかという船の位置の問題が一つあります。それから日本はあらゆる場合に三マイルという沿岸の範囲を主張しておりますが、外国のうちにはこれを六マイルと主張したりあるいは二十マイルと主張したり、あるいはもつと主張しておる国もありまして、いろいろ国際的な紛争のあることは事実であります。これは世界の多数の国は三マイルと言つておりますから、大体国際慣例としては三マイルということは間違いないのでありますが、国によつてはその主張を異にしておるところもあります。それから暴行を受けたという点につきましても、いろいろ調査をしておりまして、現にごく最近に、鹿児島県の水産部長ですか上京して事実を報告することになつております。われわれもその事実を聞くことにいたしておるのでありまして、こういう点を慎重に調査いたしまして、そしてこちら側の主張もはつきりいたしましたところで、フィリピン側にも十分な交渉をいたそう、こういう考えでございます。
○福田(昌)委員 聞くところによりますと、何でも非常な虐待をされたということを伺つております。しかも残念なことには、これに関しまして外務省の出先機関もこれを無視して、何らの対策にも当つておれなかつたということでありますが、真偽のほどは存じませんが、そういうことを伺いました。このことは外務省の出先機関のとられた態度としては、何ら関知せずというような態度をとられたのがほんとうであれば、非常に遺憾に思うのでありまして、この点大臣として適当な御処置をお願いしたいと思います。またこの問題は、賠償問題を控えておりますフイリピンに対します今後の問題にも、いろいろな形で影響が大きいと思うのでございます。フイリピンの日本に対します対日感清というようなものも、これによつてある程度そんたくされるというような点もあるかと思うのでございますが、政府はこの第三海洋丸のこういつた虐待事件に対して、どの程度の交渉をフイリピン当局との間になされるか承りたいのであります。
○岡崎国務大臣 フイリピンにおける出先の在外事務所でもいろいろ苦心をいたしておつたようでありますが、しかし事実連絡が不十分で、現地にも参つておらなかつたようであります。在外事務所としては、国民の利益保護等を第一に考えるのは当然でありますから、さらによく調査はいたしますけれども、少くとも今後こういうことのないようには十分措置をするつもりでおります。
 それから実際にこれが不法の監禁といいますか、拿捕といいますか、ひつぱつて行つたのは不法の行為であるということになりますれば、フイリピンの感情がありましようし、賠償問題もいろいろありましようけれども、やはり不法なものは不法であるとはつきりいたして交渉する方が、かえつて長い目で見れば友好関係を増すゆえんでもあろうと思いますので、その点については別に遠慮する必要もないし、また日本の主張すべきところは十分主張いたすつもりでおりますが、損害の額等につきましてはいまだ調査中でありますから、まだはつきりしたことは申し上げられないのであります。
○福田(昌)委員 東南アジアの賠償問題でございますが、大体フィリピンの賠償問題に対します交渉は、どの程度に進展しておりますか。ことにこの三月十二日に調印されました沈船引揚協定、これは賠償問題とどういう形においてなされておるのか、伺いたいと思います。
○岡崎国務大臣 実は賠償を支払うということは、平和条約に調印するということが法律上は前提なのであります。平和条約を批准して初めてその国か賠償を得る権利を得るわけでありますから、われわれの方からいえば、平和条約を批准することが先決問題だという主張をいたしておるわけであります。ところが相手方では、うつかり批准をしてしまえば、賠償をごまかしてしまいはせぬかという懸念というと語弊があるかもしれませんが、そういうような多少の憂いもありまして、批准する前に賠償についての確約をとるべきである、こういう考えで、賠償の問題が片づかなければ批准はしないというような、簡単に言えば主張をいたしておるし、われわれの方は批准をしなければ賠償は払えない建前になつておるという主張をいたしておつたのが従来の経過でありますが、そういう水かけ論をして、鶏が先か卵が先かという議論をしておつてもしかたがありませんから、われわれとしてはできるだけの誠意を示すために、少くともはつきりしております沈船引揚げのようなものならば、平和条約の批准前にも日本としては実行する気持もあるんだということで、沈船の引揚げに関する中間の協定をつくりまして、これが国会の承認を得るならば、平和条約の批准前でも引揚げを実行いたしましよう。そして日本の誠意を十分はつきりしましようということで、その協定をつくつたわけであります。しかしフイリピンの国内におきましては、大統領選挙を控えまして、いろいろ政情も複雑でありまして、はたして今後大統領選挙前に平和条約の批准が行われるやいなやということは、ちよつと見通しがつかないのであります。またインドネシアその他の国におきましても、いろいろの国内の事情もありまして、あまり進んでおりませんけれども、今後も具体的に話は進めるつもりでおります。
○福田(昌)委員 フイリピンの沈船引揚協定は、賠償問題といたしましては、どの程度の解決になるのでございましようか。沈船引揚協定によつて生れて来る結果というものは、フイリピンの賠償問題、具体的なものはわかつておりませんけれども、どの程度の解決に役立つものでございましようか。
○岡崎国務大臣 これは賠償の総額がきまつておりませんし、引揚げの方は大体沈んでおる船がどれだけで、その中で引揚げ得るものはどれだけということがわかつておりますから、全体のどの部分ということは、総額の方がきまらないと言えませんけれども引揚げによる費用は、日本の円で三十億ないし四十億の範囲くらいじやないかと思つております。総額の方は今申しました通りまだわからないのであります。しかし相当にこれは日本側の誠意と申しますか、賠償に対する考え方をはつきりさせる役に立つと考えております。
○福田(昌)委員 前後いたしますが、第三海洋丸のようなフイリピンによる拿捕事件というものは、従来もあつたものでございますか、今回が初めての問題でございますか。
○岡崎国務大臣 独立前には例のマッカーサー・ラインがありまして、そのためにその向う側に出た船に対してフイリピンから拿捕された事件は数回あつたと記憶しております。しかしその後は今回が初めてじやないかと思つております。
○福田(昌)委員 総理が首班御指名前に、東南アジアの開発と貿易振興のために適当な、審議会と申しますか、委員会をつくるような閣議での御発言があつたということが新聞に出ておりました。この首相が言われる東南アジアというのは、どこを中心にして言つておられるのか承つておきます。
○岡崎国務大臣 これは一般に東南アジアといわれておりますし、また国によつては東南アジアと南アジアというのにわけておるところもありまして、正確な範囲は言えないのでありますが、大体普通にアジアと称するものの中で、今全然国交のない中共地区とかソ連地区のアジアの部分を除きましたその他を大体対象にいたしておりますが、しかしこれは個々の国と国との間の折衝になりますから、その中でも、何か仕事のできる国とできない国は当然起るだろうと思います。
○福田(昌)委員 東南アジアの開発または貿易振興ということは、昨今に始まつた問題ではございませんし、ずつと前から関連しておる問題でございますが、こういう東南アジアの開発とか貿易の振興と申しましても、私どもといたしましては、何といつてもやはりそういつたことは東南アジアの国々の賠償問題を片づけるということが先議ではなかろうかという感じがいたします。賠償問題を片づける、そうしてそういつたことは東南アジアの国々との友好善隣の関係が生れて来ない限り、貿易の発展ということは非常に困難じやないかということを感ずるのでございます。審議会をおつくりになり、いろいろ研究することは必要でありますが、まずそういつた去好関係を結ぶことが必要ではないか。こういうことは早くからやりませんと、結局貿易の発展を将来に追いやつてしまうし、その間に欧州各国が東南アジアにいろいろな形で貿易市場の獲得もいたしましようし、あるいはまた東南アジアの開発にも乗り出して来る、現に来つつある状態でありますから、日本としても早急に考えなければならなぬ問題だろうと思います。そういうような意味におきましても、ともかく東南アジアの開発、貿易の振興のために政府がより一層お考えになつておられることは非常に私どもとして喜ばしく感じますが、しかしこの問題は今申し上げましたように、一刻も猶予できない重大な問題と思いますから、早急にそういつたアジアと日本との友好関係の開拓に御努力をいただきたいと思います。
 もう一点お伺いいたしたいのは、MSAの問題が最近非常に大きく取上げられて参つております。政府の御答弁によりますと、ことに昨日の外務委員会の御答弁によりますと、これは六月一ぱいまでに受諾するということを返事しなければならないような状態にまで来ておるということで、記事を読ませていただいたのでございますが、しかし予算委員会における外務大臣や総理の御答弁を聞いておりますと、研究してない、知らぬ、存ぜぬに近いような御答弁があるのでありまして、非常に私ども遺憾に思つております。やつぱりこれは日本が受諾し、しかも六月一ぱいに受諾の返事をすべきもので、外務委員会で答弁なさつたことは政府も大体承諾なさつておる御意思であるかどうかということを伺わせていただきたいと思います。
○岡崎国務大臣 東南アジアについての御意見はまことにおつしやる通りでありますから、できるだけ御意見に沿うように努力をいたします。
 MSAにつきましてはいろいろいわれておりますが、実はアメリカ自体の法律の修正もまだ成立してないようなわけでありますので、私ども直接には承知いたしておりません。六月一ぱいに何かつくらなければならぬということでもない、幅の広いものだと考えておりますが、しかしかりに早くつくらなければならないにしましても、これは日本の経済にも、また国全般の方針にも大きな影響のあるものでありますから、十分考慮してみなければならぬわけでありまして、必ずしも幾日までにというようなことにはならないと思つております。
○福田(昌)委員 私新聞で読んだので、詳しくは読んでおりませんが、外務委員会では、MSAのアメリカの対日政策というものは軍事援助で無償であり、しかも六月一ぱいに一応受諾するという返事をすることになつておるというようにちやんと外務当局から言明されたと伺つたのですが、今お伺いしますと、どうもそういうことでもないような御意向に聞えるのでございます。昨日の外務委員会の外務当局の御答弁は間違いであつたわけでございましようか。
○岡崎国務大臣 あれは事務官の答弁でありますから、法律等をよく読みまして、その原則を述べたものであります。原則にはおのずから例外があるわけでありまして、必ずしもその原則通り動くということはないと思います。
○福田(昌)委員 私どもは、大体物事は原則というか、条約というものが正しいものだと思つておりましたが、それがあまり正しくなくて、原則通り動かなくてもいいというお話でございました。原則通り動かなくてもいいということになれば、世の中の秩序、基準というものは保てなくなるようで私の頭が混乱いたしますが、それはさて妬きまして、昨日の外務当局の発表なさつた新聞発表は、信頼が置けないということに解釈してよろしいのでございましようか。
○岡崎国務大臣 今申しました通り、これは法律等がありますから、それをずつと読んで行けば原則はそうなるということであつて、それに必要な場合、実際に例外――原則によらないであとの方で協定のできたものも事実あるのでありまして、一通りの原則しか事務当局としては述べられないわけであります。私は、原則である以上は例外もあつて一向さしつかえないと考えております。
○福田(昌)委員 事務当局と政治家としての外務大臣のお考えと、違いがあることはある程度やむを得ないと思いますが、しかしああいうふうに新聞記事に出ますと、大衆は事務当局の御答弁とは考えませずに、日本の立場として了解するのでありますから、その点新聞発表も外務当局として御注意いただきたいと思うのでございます。
 もう一つお尋ねいたしたい点は、このMSAを日本政府が受諾されるやいなやは目下いろいろ御検討中というお話でございますが、いろいろ御検討の結果、もしこれを受諾なさるといたしましたならば、受諾したことが東南アジアの各国に対しましてどのような影響を及ぼすかということについては、どういうふうにお考えでございましようか。
○岡崎国務大臣 これは話合いをしておりませんから、どういう話合いになるかによるのでありまして、どういう話合いをするかによつて東南アジアにどういう影響があるかということになりますので、これはまだ影響があるかないか、またどういうものがあるかということを申し上げる段階ではないと思いますが、そういう点も十分考えてきめたいと思つております。
○福田(昌)委員 MSAに関するそのものも研究中であり、受諾するかしないかもわからないということの御答弁でありますし、従いまして東南アジアヘの影響ということも当然御答弁いただけないことかとは存じておりましたが、しかし私どもが新聞に出ておりますMSAのアメリカ側の対日援助政策というものを見ますと、ことにMSAの援助の貸出しの条件というようなものを見ますと、東南アジアと日本との関連においてMSAの援助を考えておるということが、私ども想像できるのでございます。従いまして日本がMSAの援助を受けるということになりますれば、東南アジアへのいろいろな影響というものは絶対に無視することができないと思うわけでございます。ところがこの東南アジアの各国、ことにビルマとかあるいはインドネシア、パキスタンという国は、たしかMSAの援助を断つておる国でございます。こういつた東南アジアの国々は、MSAの中におきましても、ことに技術援助を受けておる国であります。軍事援助とは関係が薄い技術援助を受けておるこういつたビルマやインドネシアでさえも、このMSAの援助を断るというような状態であります。従いましてこの断るその感情の裏というものは、これを通して来ることが予想されるアメリカの干渉というものを、好ましく思わないから断つておるということが言えると思うのでありますが、こういう東南アジアの国々との関連において考えなければならないMSAに対しまする日本の態度というものは、相当慎重でなければならないと私は思うのでございます。幸いにして目下研究中であるということでございますから、どうかこういう東南アジアとの関連におきましてよく御研究いただきまして、MSAに対する軽率な行動をおとりいただかないようにお願いいたしたいのでございます。
○尾崎委員長 これにて質疑は終局いたしました。
 午後二時より再開し、討論、採決に入ることといたしまして、暫時休憩いたします。
    午後一時八分休憩
     ――――◇―――――
   午後二時四十八分開議
○尾崎委員長 休憩前に引続き会議を開きます。
 この際日本社会党両派提案として、八百板正君外十四名より、政府に対し、暫定予算補正三案の組みかえを求めるの動議が提出されております。まずその趣旨弁明を求めます。今澄男君。
    ―――――――――――――
   昭和二十八年度一般会計暫定予算補正(第1号)、昭和二十八年度特別会計暫定予算補正(特第1号)及び昭和二十八年度政府関係機関暫定予算補正(機第1号)の編成替を求めるの動議
 昭和二十八年度一般会計暫定予算補正(第1号)、昭和二十八年度特別会計暫定予算補正(特第1号)及び昭和二十八年度政府関係機関暫定予算補正(機第1号)については、政府は撤回し、左記要綱により速やかに組替えをなし、再提出することを要求する。
  右の動議を提出する。
   昭和二十八年五月二十九日
   提出者
    八百板 正  青野 武一
    伊藤 好道  福田 昌子
    武藤運十郎  八木 一男
    横路 節雄  和田 博雄
    今澄  勇  加藤 鐐造
    小平  忠  河野  密
    平野 力三  三宅 正一
    吉川 兼光
   賛成者
 阿部五郎外百二十名
    記
 一 国家公務員、地方公務員の夏季手当を一箇月支給すること(一三二億円増額)。
 二 凍霜害対策として
  イ 特別国家補償及び助成費として一〇億円を新たに計上すること。
  ロ 租税の減免措置を行うこと(五億円減税)。
 三 中共引揚者等の援護費を含む援護資金の増額を行うこと(五億円増額)。
 四 国民健康保険の国庫負担の増額を計上すること(五億円増額)。
 五 失業対策費の増額を行い、日雇労務者の夏季手当に充当すること(四億円増額)。
 六 母子福祉資金貸付の経費を計上すること(三億円増額)。
 七 積雪寒冷単作地帯における公共事業費等を増額すること(五億円増額)。
 八 右の財源として、六月分保安庁経費三三億円を削除し、他は国庫余裕金及び大蔵省証券の発行によること。
    ―――――――――――――
○今澄委員 私は社会党両派を代表いたしまして、昭和二十八年度一般会計暫定予算補正(第1号)、昭和二十八年特別会計暫定予算補正(特第1号)及び昭和二十八年度政府関係機関暫定予算補正(機第1号の)編成がえを求めるの動議を提出いたします。
 今回は暫定予算とは申しながら、私どもは三箇月にわたる政府的な空白のために深刻なる様相を呈しておりまする日本の現状にかんがみるときに、まず第一番に中央地方を通ずる税制の根本的改革、第二番に公務員の給与の改訂、第三番に米価の二重価格の実施、第四番に大規模なる中小企業対策の実施、第五番に財政投融資の計画化と、貿易振興政策の具現等々の重大な案件が山積いたしておると思うのであります。けれどもこれらは一応今回の暫定予算であるという特殊事情にかんがみて、本予算編成の場合に実現するものといたしましても、なお緊急に当面どうしてもやらなければならない問題が数々あるわけでございまして、本暫定予算案を了承するわけに断じて参りません。そこで私どもは、これらの政府の原案を撤回し、以下述べまするところの要項によつて、すみやかに組みかえをなし、再出発することを要請いたすものであります。
 その第一は、「国家公務員、地方公務員の真率手当を一箇月支給すること(一三二億円増額)。」、これは暫定予算とはいいながら、六月の期末手当については当然私はこの予算を盛らなければならないと思います。
 第二点は、「凍霜害対策として」、イ「特別国家補償及び助成費として一〇億円を新たに計上すること。」、これは速効性施肥の農薬補助などの緊急支出分、営農資金貸付利子補給等をこの中に含んでおるのであります。口「租税の減免措置を行うこと(五億円減税)。」
 三、「中共引揚者等の援護費を含む援護資金の増額を行うこと(五億円増額)。」
 四、「国民健康保険の国庫負担の増額を計上すること(五億円増額)。」
 五、「失業対策費の増額を行い、日雇労務者の夏季手当に充当すること(四億円増額)。」、これは昨年末と同様の措置において、金額を組み入れておるのであります。
 六、「母子福祉資金・貸付の経費を計上すること(三億円増額)。」
 七、「積雪寒冷単作地帯における公共事業費等を増額すること(五億円増額)。」、これは今計上しなければ、本年度の予算案をもつて実施することが不可能になるという意味合いにおいて、この暫定予算に計上を望むものであります。
 八、「右の財源として、六月分の保安庁経費三三億円を削除し、他は国庫余裕金及び大蔵省証券の発行によること。」床安庁の経費は前からの残額が引継がれておりますから、この金額を削除いたしても、その運営に支障はないものとの観点からこれを削除いたすのであります。
 以上、本動議の大要を説明いたしまして、各位の御賛同を仰ぐ次第であります。(拍手)
○尾崎委員長 これにて暫定予算補正三案に対する編成が之を求めるの動議の趣旨説明は終りました。
 ただいまより暫定予算補正三案に対する編成がえを求めるの動議及び政府原案を一括して討論に付します。西村直己君。
○西村(直)委員 ただいま議題となりました昭和二十八年度一般会計、特別会計、政府関係機関の暫定予算につきまして、自由党を代表いたしまして政府原案に賛成をいたし、社会党の編成がえを求めまする動議には不賛成の意を表明いたすものであります。
 さきに参議院緊急集会におきまして成立し、去る二十七日本院において同意いたしましたいわゆる昭和二十八年度四、五月分暫定予算に続き、六月以降の予算措置につきましては、新内閣におきましてなるべくすみやかに昭和二十八年度本予算案をつくりなして国会に提出すべきことはもちろんでございますが、特別国会が五月十八日に召集されました関係上、国会におきまする予算案の審議期間等の関係から見まして、五月中に本予算の成立は期しがたいことは明白であります。従つて、政府がさしあたり六月分の暫定予算を作成し、既定の四、五月分暫定予算に追加し、昭和二十八年四月一日から六月三十日までの期間にかかるものとして本件を提案いたしましたことは、諸般の状況にかんがみまして、経過措置といたしましては了解し得るのであります。しこういたしまして、今回補正せられましたいわゆる六月分暫定予算もまた四月、五月分暫定予算などと同じように、国政運用上真に必要とされる最小限度の予算を計上するにとどめまして、原則としては政策的経費及び新規計画は計上していないのでありますが、ただ他面四、五月分暫定予算の実効に照らしまして、明白に訂正を要するものや、季節的に必要な点につきましては配慮がされておる点については、政府の財政措置としては当を得たものと考えるものであります。
 すなわち、第一点としては、一般行政費は原則として国政運用上必要最小限の経費にとどめておりますが、公務員のいわゆるお盆手当として期末手当を計上いたしたこともその一つと考えられます。
 第二に、公共事業費、食糧増産対策費及びその他の建設事業費について、工事の施行時期等の関係を考えまして、前年度よりの継続工事のうち、特に東北、北海道、北陸等の積雪寒冷地の事業を促進することに重点を置いたり、または出水期を控えて、河川工事などの促進をはかるための土木費について若干増額をはかつておる点でございます。
 また第三点といたしましては、地方財政につきまして、今回は四、五月分暫定予算の実績に徴して、地方財政収支の状況や、期末手当支給の事情等も勘案いたしまして、短期融資百六十億円、地方債三十億円の収入を見込みました上、さらにこの際必要とする地方財政平衡交付金二百八十億円を計上いたしましたことは、年度当初来問題となつておりました地方財政の窮迫に対しては相当の緩和をすることと考えられるのであります。従つて本予算案は、原則としては四、五月分暫定予算と同じ建前をとりましたとはいいますけれども、今述べましたような措置を加味することにより、さらには資金運用部資金、見返り資金等による財政投融資の面におきましても百八十一億の支出を見込みまして、電力などの重点産業や中小企業金融に対してその円滑化をはかつていることは、いわゆる政治空白等から生じやすい経済異の混乱というようなものの排除軽減には、十分配意されておると指摘することができると思うのであります。
 以上の理由によりまして、私は政府提案に関しまする原案に賛成の意を表する次第であります。
 次に社会党の編成がえ動議につきましては、考慮すべき重要なものもございますが、目下政府は本予算を編成中でございまして、いずれ本予算審議の際に当然論議さるべきものと考えられまずから、この際は国政運用に支障を来さぬというような点から、本予算のつなぎとして、本補正案は原案の通り可決すべきものと信じまして、この動議には賛成がいたしがたいのであります。
 なおこの際一言付言をいたしたい点があります。それは過般関東、中部、その他の地帯を初め、全国多数府県の桑、茶、麦、果樹等の農作物に対しまして多大の被害を与えましたいわゆる税有の凍霜害に際しましては、わが自由党におきましても率先してこれが対策を考究いたし、政府にその実現を大いに要望いたしておりましたところ、今回この予算の審議の過程におきましても、政府からこれに対しては十分なる考慮をする旨の明言がございました。すなわちあるいは速効肥料において、病虫害の防除、農薬の助成等におきまして、あるいは営農資金の低利融資の点におきまして、あるいは租税の減免措置の点におきまして、画期的な措置をとられておる点につきましては、被容農民にかわりまして謝意を表する次第であります。以上賛成の理由を申し上げます。(拍手)
○尾崎委員長 河野金昇君。
○河野(金)委員 六月分の暫定予算に対しましては、四、五月分の暫定予算のときと同じく政策的の経費は少いのであります。しかしながらこの審議の過程において、今話が出ておりました凍霜害対策費として、わが党は五億八千万円の要求をしたのであります。これが認められない場合は、本予算をわれわれは否決するつもりでおりました。今日政治的にその問題は解決したわけであります。従いまして本格的な予算審議は、本予算が上程されましたときに譲りまして、この際は特にわれわれはこの暫定予算に対しては、四、五月分と同じような意味において賛成をいたします。(拍手)
○尾崎委員長 伊藤好道君。
○伊藤(好)委員 私は日本社会党を代表いたしまして、政府の暫定予算三案に反対し、両派社会党の出しました編成がえの動議に賛成するものでございます。
 簡単にその理由を申し上げます。六月の暫定予算は、同じ暫定予算という名前がついておりますが、四月及び五月の暫定予算とはその性格が異なつておることは、同志の成田君その他から委員会において質問し、明らかにされたところでございます。しかも今日の日本の経済界の実情は、暫定予算が六月まで三箇月も続き、七月もまた暫定予算が施行されそうな今日の状態におきましては、非常な悪影響を受けるものと心配をせられるのであります。これは特に民間経済に詳しい小笠原蔵相においては十分御承知のことと私どもは信ずるのであります。従いまして暫定予算とはいいながら、解散によつて新たに衆議院あるいは参議院を構成されたわけでありますので、同じ暫定予算の名のもとではございますが、できる限りここで日本の経済や国民生活に対して配慮をした政策が織り込まれて一向さしつかえないと、私は信ずるのであります。ところが、その点については遺憾ながら十分考慮が払われておりません。この際特に暫定予算であるということの本旨にのつとれば、これは各党が一致して大体承認し得るような問題については、できるだけ盛り込むべきであると私は思います。一例をあげれば、ただいま問題になりました凍霜害関係の経費のごときは、ぜひとも六月の暫定予算の中にきちつと織り込んで提出されて一向さしつかえないと私は信ずるのであります。ところが、そういうものが少しも織り込まれておりません。従いまして六月の暫定予算がこのまま施行されたましたならば、日本の経済や国民生活に対しまして、三箇月も引続いた暫定予算が施行されるのでございますから、私は著しい悪影響を与えるであろうと信ずるものでございます。ことに今日の日本経済は、輸出貿易の減少傾向に見ましても、物価の状態を見ましても、国民所得の状態に見ましても、非常に憂慮されなければならない重大な事態でございますので、この際私どもは、財政が日本の経済において重要な位置を占めておることを十分考慮します場合に、どうしても六月の政府の原案には賛成いたしかねるのであります。
 第二の理由といたしましては、私どもは、この六月の暫定予算が、やはり日本で一番重大な政策上の対立を起しておりまする、いわゆる再軍備に関する経費を計上いたします点においてこれに反対するものでございます。これはいまさらくどくどと申し上げるまでもございません。むしろ暫定予算の性質から見ればこういう経費を計上しないで、各党が大体一致し得る問題の経費を計上すべきであろうと信ずるであります。
 従いまして第三に、この六月の暫定予算からは、われわれは七月以降の本予算に対する移りかわり、あるいは本予算に対する将来の見通し、こういうものを何ら与えられないのでありまして、これまた日本の経済や国民生活に非常な不安を与えるものであるというふうに考えざるを得ません。
 度は以上三点の理由をあげ、政府の原案に反対いたしますと同時に、暫定予算のことであり、非常に日限が迫られておりますので、われわれの組みかえの動議においても、最小限度の問題以外には取上げられておりません。従いまして決して十分だとは考えませんが、とりあえずわれわれの編成が動議を取上げて、本予算をそういうふうに編成がえされることについて賛意を表しまして、私の政府原案反対、動議に賛成する討論にかえる次第であります。(拍手)
○尾崎委員長 小平忠君。
○小平(忠)委員 私は日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題となつておりまする両社会党共同提案の組みかえ動議に賛成いたし、政府提出の原案に反対をするものであります。
 第四次吉田内閣は、御承知のように、去る三月十四日の野党四派の不信任案をつきつけられまして、最も重要であります昭和二十八年度の国家予算に対しましては何らの措置を講ぜず、無謀きわまる解散を断行いたしたのであります。そのために、四、五月の暫定予算はもちろんのこと、六月も、さらに七月も暫定予算によらなければならないという、この政治的空白状態を招来せしめまして、そのために国民生活はきわめて不安に陥り、経済自立の方策はまつたく停頓するに至つているのであります。このことはまさに吉田内閣の責任であつて、われわれは断じて許し得ない問題であります。ただいま議題となつております六月分の暫定予算について、その内容を検討いたしてみますれば、政府は現下経済情勢のきわめて窮迫いたしておることを知りながら、これに応ずべき何らの施策を示していない点であります。たとえば公共事業費や食糧増産費等に対します新規事業費はまつたく計上されておりません。継続事業にのみ限られておるのであります。すなわち、東北、北海道、北陸などの積雪寒冷単作地帯におきまする公共事業費は、おそくとも今六月の暫定予算に計上されなければ、時期的に実施することは不可能になつて来る現状であります。さらに政府の二十八年度本予算編成がきわめて怠慢であることであります。六月の暫定予算はわれわれは承知できますが、さらに七月も暫定予算によらなければならぬということは、これは繰返して申し上げますが、まつたく言語道断というべきでありまして、かかる政治的空白をつくつた責任はきわめて重大であると私はいわなければならないと思うのであります。しかしながら、われわれはこの政治的空白を傍観視するわけには参らないのでありまして、中央、地方を通じます税制の根本的改革、あるいは米価の二重価格制の実施、社会保障費の増額、大幅なる中小企業対策の実施、あるいは財政投融資の計画化等の基本的方針は、本予算編成の場合に実現する覚悟でありますが、当面の問題として、緊急に必要であります次の諸点につきましては、すみやかに組みかえを断行すべきであると思うのであります。すなわち、国家公務員、地方公務員の期末手当一箇月分百三十二億円、凍霜害対策といたしまして、自由党なりあるいは改進党の諸君から政治的取引によつて五億八千万をただいまきめたとかいうような話がありますが、実情はこのような金額によつてとうてい満足し得るものではありません。従つてわれわれはここに十五億円を組みかえ要求として出したのであります。(「十億だよ。」と呼ぶ者あり)その次の条項を見てください。さらに中共引揚者などの援護費を含む援護資金の増額五億円、国民健康保険の国庫負担の増額分として五億円、さらに失業対策費の増額を行い、日雇い労務者の夏季手当四億円、母子福祉資金の貸付の経費三億円、さらに積雪寒冷単作地帯におきまする公共事業費の増額五億円などをすみやかに予算化いたしまして、当面の事態を収拾することは当然の処置といわなければならないと思うのであります。
 以上のような理由によりまして、わが党は両社会党共同提案の組みかえ動議に賛成し、政府原案に反対するものであります。(拍手)
○尾崎委員長 山本勝市君。
○山本(勝)委員 自由党を代表いたしまして、提案になりました二つの予算案に対するわが党の考えを申し上げます。
 両社会党の提案されました編成がえの動議に対しては、私どもの考えと一致した点もございますけれども、根本的に考えの違う点がございますので、これに賛成いたしません。
 政府の原案についてでありますが、先ほど大蔵大臣から、今回の凍霜害に対する対策費として五億八千万円ばかりを出すということでありましたが、その中に野菜、くだものに対する救済分も含んでおるというように了承して、この政府原案に賛成をいたします。もちろんこの賛成は、これから理由を申し上げますが、満幅の賛成というわけではないのでありますけれども、何分にも今回のごとき長い間の空白のために、日本経済界は予算の成立というものを待ち望んでおるのでありますから、若干の不満がございましても、結局これを承認することがよいという結論になつたのであります。しかし先ほどの凍霜害に対する政府の五億八千万円の支出に関して、これを承認しないということであれば、この予算案をのむわけにはいかぬという態度を続けて来たのでありましたけれども、その点はさきに申します通り、われわれ委員会の一致の要望がいれられましたので、予算案をのむことになつたのであります。
 この予算案に対する不満の若干を申しますが、第一私はこのような日本の財界の実情から考えて、政府の能度がはなはだ緊張を欠いておると思わざるを得ないのです。私の昨日の質問に対して、農林大臣は病気で寝ておつたために、農林委員会で各派一致して決定いたしました凍霜害対策の決議をまだ知らないというふうなことを言われたので、驚いたのであります。毎日々々陳情が来ておる。そして各党とも一生懸命になつてその対策に苦心をしておる。その結果農林委員会理事会及び委員会で決定いたしましたことを、きのうになつてまだ農林大臣がこれを承知していないというふうなことは、大臣も大臣だし、これを輔佐する事務官僚も事務官僚だと思うのであります。また先ほど古井委員の質問に対しまして、緒方副総理の答弁は、改進党の五大政策に対して政府はいかなる態度であるかという質問に答えて、独占禁止法の緩和に関する問題と、軍人の恩給復活に関することはこれをやるつもりだが、しかし他の三つの法案に関しては、何分にも少数党であるから、自由党の第四次吉田内閣の延長ではあるけれども、何しろ数が少い今日の情勢――まあ言葉は多少違うかもしれませんが、意味はそういう意味であります。出したものか出さぬものか考慮中だというふうなことでありましたが、いやしくも内閣を引受けた限りは、たとい少数党であろうとも、大切な問題として提案したものを、今ごろになつて出そうか出すまいかというふうなことでありましては、とうてい二十八年度の本予算の編成の見通しがつかぬということは当然のことであります。先般大体六月の中ごろには出したい、あるいは七月の暫定予算は本予算よりも少し遅れるかもしれないといつたような、いろいろな答弁もございましたが、今ごろ重大なる法案の半ば以上を、出そうか出すまいか迷つておるような状況では、いつごろ本予算が出せるものかわからぬというのがおそらくほんとうではなかろうかと思うのであります。その上に、何しろ審議の期間が短かい六月の暫定予算である。この月のうちに参議院を通過しなければならぬということから、われわれは審議を急ぎ、熱心に審議をいたしましたけれども、しかしながら私どもの党のごときは、四名の委員に対して質問の割当てられたものがわずかに一時間足らずである。しかもその一時間というのは、答弁の時間も含めての一時間であります。議事課で聞いてみますと、そんなばかなことがあるものか、質問の時間が一時間と言えば、正味の質問の時間が一時間であつて、答弁の時間を含むという、そんなばかなことはないということを議事課でも言つておりますけれども、この予算委員会におきましては、慣習とかなんとか委員長が申されて、答弁時間まで質問の時間に入つておる。しかもある大臣のごときは長々と答弁をされ(「そうだそうだ」と呼ぶ者あり)簡単明瞭に答弁してもらいたいと要求したにかかわらず長々と答弁され、またある大臣のごときは答弁の必要はないと申し上げたにかかわらず、わざわざ出て来て答弁をされた。(笑声)悪意でされたとは思いません。質問の時間を少くしてやろうという悪意でやられたものとは毛頭考えませんけれども、しかし実際の結果はそれで質問の時間がそがれておるのであります。大体二日間であげてくれ、参議院で日曜は休みたいというから、私は日曜は休まずにこちらを三日間にしろということで、理事会でも、日曜も参議院でやつてもらうことにいたしましたけれども、大体選挙が済んでから一箇月以内に国会を召集しなければならぬという法律でありまして、四月十九日に選挙が行われたのでありますから、それを五月の十八日まで、――もう一日遅れればだめになるという日まで置いておく必要はないと私は思う。一箇月以内に召集すべしというのでありますから、このように予算が不成立で、天下ごうごうとして予算の成立を待つておる時期である。一日、二日が大切なのでありますから、一箇月以内といいますれば、せめて二十日とか二十五日とたつたときに召集することができなかつたのか。おそらくできたのだけれども、ふんどしがゆるんでおるからこういうことになつたのではなかろうかと思う。私は質問の中でも申しましたけれども、そのときに見えておられなかつた大臣の方々。尊敬する先輩の大臣の方々もおられますから、私は重ねて簡単に申しますけれども、私は参議院の知り合いの方々に、どの方に尋ねてみましても答えは一つであります。不信任案が通過したときに、もし政府が参議院の緑風会その他の方々に、この予算がもし通らなかつたら日本の経済界に大なる打撃を与えるのだから、どうかここ一週間の間に予算を通してもらいたいといつて、予算を通してから解散をすることにしたらどうかということを申しますと、どの参議院の方も五日はかからぬ、二日で必ず通せると答えておるのであります。すでに一月の二十九日でありましたか、二十八年度の予算は衆議院に提出されたのであります。従つて衆議院が一箇月の問審議を続けている間は参議院においては予備審査を続けておるのであります。およそ予算に関心を持つておる方々は、その二十八年度の政府原案というものを手にしていろいろ頭をしぼつておるのであります。ここに一箇月、しかも三月一日に衆議院の予算委員会を通過し、翌二日に本会議において決議され、その翌日の三日には参議院に予算案が送付されております。そういたしますと、不信任案が提出されました三月十四日までの間には予備審査の一箇月、加うるに十四日間は参議院ですでに審査をしておるのであります。もしこれに憲法六十九条の認めておる十日間の余裕を与えるといたしましたら、参議院は予備審査の一箇月は別といたしましても、正式に二十四日間審議をすることができるのであります。法律上ぎりぎり結着、最大限までひつぱつてみましても、御承知のごとく参議院で一箇月たちますと予算は成立してしまうのです。その最大限ぎりぎりの、まさかの場合の最大限を考えましても、二十四日と一箇月ではわずかに六日間の差にすぎない。従つて参議院の方々が申されるごとく、もし政府が参議院に頭を下げて、予算不成立の日本経済に及ぼす大なる打撃を訴えて、予算通過を懇請いたしましたとしたら、私はこれの予算原案は通過して、日本の経済はかくのごとき予算の空白から来る損害を受けないで済んだと今日もかたく信じております。そういう同じ気持が、選挙が終りましてから一箇月という期間をぎりぎり結着の五月十八日に国会を召集するという手続をとらしめた。その結果この予算委員会におきましては、われわれにわずかに合計二日、正味から申しますと割当は十時間であつた。十時間でこの予算を審議しろというのです。私どもには最初から四十八時間しか当つていない。こういうふうなことでやれと申ましても、実際いろいろ議論はいたしますけれども、ほんとうの審議というものは何人といえどもできるわけではない。そういう意味で私は非常な不満を持つておるのであります。おるのでありますが、最初に申しました通り、もうきよう通さなければ、あす、あさつての二日間で参議院を通らなければ、またしても国民が迷惑をする、こういう意味で私どもの方では賛成をすることにいたしましたのであります。
 いろいろなお申し上げたいこともございますけたども、大体の要旨を申し上げて私の賛成の理由といたします。
○尾崎委員長 黒田壽男君。
○黒田委員 私は労農党を代表いたしまして本予算案に対する見解を申し述べます。私はこの予算案には反対であり、政府に急速にこれを組みかえて再提出することを要求したいと考えておりましたが、組みかえ要求の内容はただいま動議として御提出になりました案の中に大体において含まれておりますので、別個に提案する必要なしと考えたのであります。組みかえ案の内容は、歳出の部分におきまして、広い意味の民生安定という見地から適当な要求を含んでおり、理想を申しますれば限りもございませんが、予算の性質が暫定予算であるという観点からこれを見まして、当面妥当な要求を含む案と考えまして、これに賛成をいたしたいと思います。
 次に原案反対の理由を申し述べてみたいと思います。組みかえ案が財源の部分におきまして、保安庁の経費を全面的に削除し、これを財源の一部に充てておりますことは、私どもの考え方と完全に一致するものであります。私は、この削除されるべき保安庁経費を原案が含んでおるということそのことを、反対の最も大きな理由としたいと思います。私どもの目から見れば、保安庁制度はいろいろな意味におきましてわが国政治のがんであると思います。一、二をすれば命とりになるような危険を内包しておる制度であると私は考えます。その前身である警察予備隊は、だれが一体これをこしらえようと考えたのであるか。断じて吉田内閣の創意によつて創設せられたものではありません。マッカーサー元帥の命令によつて創設せられたものであります。マッカーサー元帥の命令はすなわち米国の対日政策の具体的な現われでありますから、警察予備隊をつくることを考えついたものは、日本政府ではなくて米国政府であつたといわなければなりません。その予備隊が保安隊に発展いたしましたのは日米安全保障条約に基き自衛力を漸次に増強するという政策の実行にほかなりません。さらにそれは近くMSA軍事援助によりまして正式に軍隊と名のつくものに発展しようとしておるのであります。そうしてこの部隊が無償で米国軍隊の武器の貸与を受けておるということは重大であると私は思います。外務省の官僚諸君は、無償であるということが何らかわが国の利益になるというように吹聴しておいでになります。自衛力設定論者が自衛力を持つことがわが国独立の条件であるかのごとく主張しておりますけれども、その自衛論者が、現実に外国の武器を無償で借受けて武装させられておる部隊をつくつておるのであります。これは断じて独立国の独立部隊ではありません。武器貸与国の意のままになる部隊以外の何ものでもないのであります。加うるに武器貸与国の軍隊がわが国に駐屯しておるという事情をあわせて考えますならば、吉田内閣の対米政策のもとに存在する保安隊は、米国への、わが国の軍事的隷属の結び日になる役割を勤める制度になつておると私は考えます。わが国の独立のために、かかる制度に絶対に反対しなければならぬと思うのであります。その上に、保安隊の増強という政策に現われております吉田内閣の政策は、わが国の経済全体を、武器生産に支柱を求める再軍備生産に転換させようとしております。これはわが国産業の再建策といたしましては、最悪の邪道であると私どもは考えます。国民の熱望による中国等との貿易をあえて遮断いたしまして、正常な貿易政策の確立によりまして、景気の回復をはかるという正道をあえて回避し、貿易不振より来る経済の赤字を、外国発注の兵器生産及び保安隊発注の兵器生産という特殊な需要によつて補おうとしておるのが、吉田内閣の財政経済政策であると考えます。これは国民生活を窮迫に落し、わが国を、戦争政策に引きずり込むものでありますから、平和と国民生活の安定のために、断じて私どもはこのような政策に賛成することはできません。このような政策を内包しておる原案にもまた私どもは断じて賛成することができないのであります。
 その他の理由もございますが、時間の関係等もございますので、以上をもつて私の反対討論といたします。(拍手)
○尾崎委員長 これにて討論は終局いたしました。
 これより採決に入ります。まず八百板正君外十四名より提出せられた、暫定予算補正三案に対する編成がえを求めるの動議を採決いたします。これに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○尾崎委員長 起立少数。よつて本動議は否決されました。
 次に昭和二十八年度一般会計暫定予算補正(第1号)外二案を一括して採決いたします。本三案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○尾崎委員長 起立多数。よつて暫定予算補正三案はいずれも原案の通り可決されました。(拍手)
 なお本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○尾崎委員長 御異議なしと認めます。よつてさよう決しました。
 この際大蔵大臣より発言を求められております。これを許します。小笠原大蔵大臣。
○小笠原国務大臣 凍霜害対策費については、数字整理の関係上若干の出入りを生ずるかもはかられませんが、約五億八千万円を計上し、本日中に閣議決定をいたす所存であります。(拍手)
    ―――――――――――――
○尾崎委員長 なおこの際お諮りいたします。本会期中におきましても、予算の実施状況等につきまして、国政調査を行いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○尾崎委員長 御異議なしと認めます。つきましては、本件に関しては議長の承認を求めなければなりませんが、その手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○尾崎委員長 御異議なしと認めます。それでは委員長において所要の手続をとることといたします。
 本日はこれにて散会いたします。
    午後三時三十五分散会