第016回国会 厚生委員会 第5号
昭和二十八年六月二十三日(火曜日)
    午前十時四十一分開議
 出席委員
   委員長 小島 徹三君
   理事 青柳 一郎君 理事 中川源一郎君
   理事 古屋 菊男君 理事 長谷川 保君
   理事 堤 ツルヨ君 理事 中川 俊思君
      越智  茂君    加藤鐐五郎君
      助川 良平君    田中  元君
      降旗 徳弥君    安井 大吉君
      山口六郎次君    中野 四郎君
      山下 春江君    萩元たけ子君
      柳田 秀一君    岡  良一君
      有田 八郎君
 出席政府委員
        厚生政務次官  中山 マサ君
        厚生事務官
        (保険局長)  久下 勝次君
        厚 生 技 官
        (公衆衛生局環
        境衛生部長)  楠木 正康君
 委員外の出席者
        厚 生 技 官
        (公衆衛生局環
        境衛生部乳肉衛
        生課長)    阿曽村千春君
        専  門  員 川井 章知君
        専  門  員 引地亮太郎君
        専  門  員 山本 正世君
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 六月二十三日
 委員長正路君辞任につき、その補欠として岡良
 一君が議長の指名で委員に選任された。
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六月二十日
 日雇労働者健康保険法案(内閣提出第六〇号)
 日雇労働者健康保険法案(八木一男君外十名提
 出、衆法第六号)
同月二十二日
 船員保険法の一部を改正する法律案(内閣提出
 第七二号)
同月二十日
 戦傷病者戦沒者遺族等援護法の一部改正に関す
 る請願(荒舩清十郎君紹介)(第一二〇一号)
の審査を本委員会に付託された。
同月二十二日
 新公園法制定に関する陳情書(大分市長上田
 保)(第三六七号)
 食肉加工業対策に関する陳情書(社団法人日本
 食肉加工協会理事長保谷千代松)(第三六八
 号)
を本委員会に送付された。
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本日の会議に付した事件
 と畜場法案(内閣提出第一七号)
 健康保険法の一部を改正する法律案(内閣提出
 第五〇号)
 厚生年金保険法の一部を改正する法律案(内閣
 提出第五一号)
 船員保険法の一部を改正する法律案(内閣提出
 第七二号)
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○小島委員長 これより会議を開きます。
 まず健康保険法の一部を改正する法律案、厚生年金保険法の一部を改正する法律案、船員保険法の一部を改正する法律案、以上三法案を一括して議題とし、審議に入ります。まず中山厚生政務次官より提案趣旨の説明を聴取したいと存じます。中山政務次官。
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○中山政府委員 ただいま上程されました健康保険法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由を説明申し上げます。
 健康保険事業は、創設以来今日まで二十六年の間、種々の悪条件を克服して、よく発展の道をたどつて参りましたが、特に終戦後は著しい普及率を示し、社会保険の中核として労働者の生活安定に、ますます大きな役割を果しつつあるのであります。しかしながらいまだ本制度の適用を受けない者もまた相当の数に上つておりまして、本制度の拡充に対する要望はきわめて強く、また他面においては、最近の社会的、経済的情勢の推移に応ずる必要がありますので、ここに次のような諸点について、法律改正をいたしたいと存ずるのであります。
 まず改正の第一点は、現行の適用範囲を拡大し、新たに、土木、建築、教育、研究、調査、医療、通信、報道、社会福祉及び更生緊急保護の事業を適用事業とすること。
 第二点は、標準報酬を現行最低二千円から最高二万四千円までの十九等級を改め、三千円から三万六千円の二十等級とするとともに、標準報酬の決定を定時に行うこと。
 第三点は、療養の給付期間を現行二年から三年に延長することであります。
 以上、改正法案の内容のあらましを説明申し上げた次第でございます。
 次に厚生年金保険法の一部を改正する法律案の提案理由を御説明申し上げます。
 厚生年金保険におきましては、最近の社会的経済的情勢の推移にかんがみまして、健康保険法と同様に、強制適用の範囲を土木、建築、教育、研究、調査、疾病の治療、助産その他医療及び社会福祉等の事業にまで拡張いたしまするとともに、事務的簡素化をはかる等のために、標準報酬は毎年一回定時に決定することにいたしたいと存じます。また、本法の障害給付の廃疾認定時期は、健康保険法による療養の給付期間満了のときとなつておりますが、今回同法の療養の給付期間を三年に延長することに改正いたしたいと存じますので、これに伴いまして、所要の改正をいたしたいと存じます。
 以上が厚生年金保険法の一部を改正する法律案を今国会に提案した理由でございます。
 次に船員保険法の一部を改正する法律案を審議せられるにあたりまして、本法案の提案理由を説明申し上げます。
 今回の改正は、船員保険制度の拡充をはかるため、療養の給付、傷病手当金及び家族療養費につきまして、その支給期間を一年延長して、療養の給付または家族療養費の支給の開始の日以後三年を限度とすることとともに、これに関連して廃疾の認定の時期等について所要の調整を行い、もつて被保険者の福祉を増進することといたしたのであります。
 以上が船員保険法の一部を改正する法律案を今国会に提出した理由でありますが、何とぞすみやかに御審議の上、可決されますようお願い申し上げる次第であります。
○小島委員長 次に質疑に入ることになるのでありますが、この三法案は付託になつたばかりでありますので、質疑は次会に譲ることにいたしたいと存じます。
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○小島委員長 次にと畜場法案を議題とし、質疑を続行いたします。長谷川保君。
○長谷川(保)委員 第八条に屠畜場の使用料及び屠殺解体料についてのことが書かれておりますが、その額はどれくらいに押えているのでありましようか。一応の押えがありますならばお知らせいただきたい。
○阿曽村説明員 お答え申し上げます。屠場の使用料及び屠殺解体料につきましては、従来は法律にはありませんで、省令に都道府県知事の認可制になつておつたわけでございますけれども、現在は失効いたしておりまして、自由になつておる関係上、非常に高低がございます。それで今後これが認可制になりますれば、これは都道府県知事の裁量でございますけれども、まず全国平均をしてみまして、最高的なものを考えまして、大体五百円程度という線で押えたいというふうに考えております。
○長谷川(保)委員 今のは使用料でしようか、解体料でしようか。
○阿曽村説明員 使用料が最高五百円、それから屠殺解体料が最高五百円というふうに押えております。
○長谷川(保)委員 それぞれ大家畜もあり、小家畜もあるのですが、その獣畜の種類によつてかわつておるのでありましようか。その点を……。
○阿曽村説明員 ただいま申し上げましたのは、大動物の最高価格でありまして、従いまして豚とか緬、山羊等の種類によりまして、ただいま申し上げた数字は、豚あたりはその半額、山羊あたりになるとさらにその半額というふうに押えたいと思います。
○長谷川(保)委員 この屠殺の手数料が食肉の値段に取入れられるというところから、一般食肉業者からは屠殺手数料の値下げ運動があるようでありますけれども、現在大体ただいまおつしやいましたような金額でやられておるのでありましようか、今後こうなるというのでありましようか。今後こうであるとすれば現在の値段はどのくらい慣習上行われておりますか。
○阿曽村説明員 ただいまは屠場使用料におきましては、千円が最高になつております。それから屠殺解体料が最高は千五百円になつております。従いまして今後におきましては、そういう千円であるとかあるいは千五百円というようなものは押えまして、現在の最高よりもずつと安くしたいというふうに考えておるのでございます。
○長谷川(保)委員 このところは非常にむずかしいところだと思うのです。あまり安くすると屠殺業者の方が生活に困る、またその業者の特殊な事情もありますから、そこが非常に問題だと思うのですが、これだけ下げまして職業として成り立つて参りますお見通しでしようか。
○阿曽村説明員 従来の千円ないし千五百円と申しますのは、きわめて例外的な場合でございまして、平均いたしますと大体五百円ないし六百円程度になつておると思われますので、従来よりは多少の値下りはございましようけれども、それによる生活ということは、今後の屠殺頭数の増加によりまして補われて行くのではないかというふうに考えております。
○小島委員長 他に御質疑はございませんか。――他に御質疑もないようでございますから、本案の質疑は終了したものと認めるに御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○小島委員長 御異議もないようでございますから、本案の質疑は終了したものと認めます。
 次に本案の討論に入ります。中川源一郎君。
○中川(源)委員 屠畜場の法案でございますが、これにつきましては、何分小さな屠場が各地に多数できると見なければならない。もちろんそういう場合には検査の不十分というようなことがあるやもしれないというおそれがありまするので、そういう場合には十分な注意をして、そして検査を十分に行うよう、いやしくも健康上妨げになるような検査を行わないように、十分注意をするという条件をつけて賛成すべきであると存じます。そういう希望条件をつけて、自由党を代表して賛成いたします。
○小島委員長 古屋菊男君。
○古屋(菊)委員 改進党を代表してこの法案に賛成いたしますが、この法案によつて、何分にも屠畜が簡易化されて、一般の食肉の確保のためにけつこうだと思います。ただ解体その他については、その処理について十分に監督して、環境衛生に注意を払つていただきたい、こういう附帯条件をつけ加えて賛成いたします。
○小島委員長 長谷川保君。
○長谷川(保)委員 日本社会党を代表して、と畜場法案について希望条件をつけまして賛成せんとするものであります。
 まず第一に、本法律によりまして相当大きな影響をこうむるのではないかと思われますものに、いわゆる部落の問題がございます。今日まで長い間かかりまして、いわゆる部落の環境改善等に官民ともに努力して参つたのでありますが、もしこの簡易屠場が普及するという意味が、不幸にして部落の周辺に簡易屠場がたくさんできるということになりますと、そこに大きな環境衛生上、風教上の問題が出て来ると思います。従いまして第四条の設置場所につきましての許可等につきましては、十分御留意をいただきまして、いわゆる部落の解放、改善のためにこれが妨げにならないように十分な留意をしていただかなければならないと思うのであります。
 第二の問題は、合理的な屠殺料、解体料、屠場の使用料の算出の問題であります。それらの使用料あるいは屠殺料、解体料が安ければ、当然食肉の値段も下つて参る、ということは一般的には非常によいことになりますが、同時に屠殺業者の生活の脅威ということになりましては困るのでありまして、これらの点につきまし十分合理的な料金を算出するように、当局におきまして指導せられますように希望いたします。
 第三は、食肉衛生の見地からでありますが、とかく今日までの屠場の現状というものは、この点が非常にルーズになつております。どうもそこに相当不正が行われまして、食肉衛生上好ましからざる事実がございます。斃死のものを何とかごまかして通すとか、病畜を押し通すとかいう点もございます。その点民間の獣医諸君を動員いたしましてなさるというようなお話でございますが、その点相当に厳重に御監督なさらないと、食肉衛生上非常に困る問題が起りはしないかと思う。そういう点につきまして当局の十分な御監督、御指導を願うものであります。
 以上三点を希望いたしまして、日本社会党は日本全体の、ことに農村の食料改善のために、また有畜農家の利益のため、一般国民の食料改善のために本案に賛成します。
○小島委員長 堤ツルヨ君。
○堤(ツ)委員 私は社会党を代表いたしまして、と畜場法案に賛成するものでありますが、ただいま長谷川委員がおつしやいましたように、政府当局に厳重に衛生面から入つた監督をしていただかなければならない問題がふえると思うのであります。どういたしましても数多くできて、そうして目が届かないというような結果が出て来るのではないか。従つて厚生省におかれましては、都道府県に十分な指令を出されまして、緊密な連繋のもといかがわしい食肉か横行するようなことにならないようにしていただきたい。
 それからもうひとつは、やはりこれも使用料の問題でありますが、決してこれが高くかかつてはならないということでございます。これを業とする方々が、これの使用料なり解体料のために、その料金を一般大衆の負担にかけて、そうしてどんどん値上りして行くような結果になつてはならない。でありまするから、各都道府県について全国的に合理的な料金をひとつ検討されて、むらのないようにされたいということをお願いをしておきたいと思います。想像以上に農村におきましては環境衛生知識というものははなはだ低調でありまして、私はどの程度までこれがほんとうに理想的な簡易屠場の目的を達せるかどうかということに懸念を持つものでございます。ことに先ほど長谷川委員から力説されましたように、特殊部落の問題につきましては、われわれこの委員会におきましても、前国会において特別委員会を設置してこれが検討を進め、政府のなお強い施策を望んで来たのでございますが、簡易屠場が周辺にたくさんできるということによつて、せつかく高まつて参りましたところの生活改善の面に悪影響を及ぼすようなことがあつてはならないということを、非常に痛感するものでございますから、そうして特殊部落の近辺に関しましては全国的に検討されまして、ひとつ中央から数を限られるような処置でもなさつて善処されたいということを要望しておきたいと思います。
 以上をもつて賛成いたします。
○小島委員長 以上をもつて討論は終了いたしました。
 これよりと畜場法案の採決に入ります。本案を原案の通り可決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔総員起立〕
○小島委員長 起立総員。よつて本案は原案の通り可決いたされました。
 なお本案に関する委員会の報告書の作成に関しましては、委員長に御一任題いたいと存じますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○小島委員長 御異議なしと認め、その通りにいたします。
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○岡(良)委員 議事進行について委員長に特にお願いをいたしたいと思いますが、ただいま提案になつておりまする厚生年金保険法あるいは健康保険法、船員保険法等の一部改正、この問題をわれわれが討論し、また検討するにあたりましては、でき得べくんばこれを一括上程をしていただいて、お互いに社会保障の実現という立場に立つて、責任ある政府の所見を伺い、さらにそのあとでは各法案を別途に検討、審議をするというふうに運びたいと思うのであります。従来厚生委員会にはともすれば大臣の出席はきわめてまれであり、また関係閣僚に至つてはほとんど出席してくれない。しかしながら今日わが国の前途も、また国民の生活もまことに予断を許さないような事態にありまするので、われわれは社会保障制度実現という展望と構想の上に立つて、まず三案を一括上程をし、そうして厚生大臣は必ず出席をする、また必要とある場合には関係閣僚も必ずその出席を求め、しかる後に三案を別途に検討、審議をする、こういうふうに議事をお進めいただくようにお願いいたします。
○小島委員長 岡君にお答えいたします。三案は一括をして本日上程いたしております。なお関係閣僚につきましては委員長から出席をするように十分申しておきます。
 本日はこれをもつて散会いたします。次会は明二十四日午前十時より開会いたします。
    午前十一時七分散会
     ――――◇―――――