第016回国会 農林委員会 第37号
昭和二十八年十月十七日(土曜日)
    午前十時二十四分開議
 出席委員
   委員長 井出一太郎君
   理事 足立 篤郎君 理事 綱島 正興君
   理事 平野 三郎君 理事 金子與重郎君
   理事 足鹿  覺君 理事 安藤  覺君
      小枝 一雄君    佐々木盛雄君
      佐藤善一郎君    佐藤洋之助君
      福田 喜東君    松岡 俊三君
      松山 義雄君    吉川 久衛君
      井谷 正吉君    芳賀  貢君
      原   茂君    川俣 清音君
      中澤 茂一君    日野 吉夫君
 出席国務大臣
        農 林 大 臣 保利  茂君
 委員外の出席者
        大蔵事務官
        (主計局次長) 原  純夫君
        農林事務官
        (大臣官房長) 渡部 伍良君
        農林事務官
        (農林経済局
        長)      小倉 武一君
        農林事務官
        (農林経済局統
        計調査部長)  安田善一郎君
        農林事務官
        (農地局長)  平川  守君
        農林事務官
        (農業改良局
        長)      塩見友之助君
        農林事務官
        (畜産局長)  大坪 藤市君
        食糧庁長官   前谷 重夫君
        農 林 技 官
        (林野庁業務部
        長)      石谷 憲男君
        参  考  人
        (中央気象台予
        報部予報課長) 伊藤  博君
        参  考  人
        (中央気象台観
        測部産業気象課
        長)      大後 美保君
        参  考  人
        (中央気象台気
        象研究所予報研
        究室長)    荒川 秀俊君
        参  考  人
        (東京大学農学
        部教授)    戸苅 義次君
        参  考  人
        (北海道立農業
        試験場上川支場
        長)      浜  浪夫君
        参  考  人
        (東京大学経済
        学部教授)   近藤 康男君
        専  門  員 岩隈  博君
        専  門  員 藤井  信君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 小委員の補欠選任
 昭和二十八年産米の作況について説明聴取
 冷害対策に関する件
 農業気象及び農業技術問題に関して参考人より
 意見聴取
    ―――――――――――――
○井出委員長 これより会議を開きます。
 本日午前中は冷害凶作対策の一環として、ここに御出席を願いました参考人各位より農業技術に関する問題、農業気象に関する諸般の問題等につきまして御意見を承ることにいたします。
 本日は参考人各位におかれましては、御多忙中御出席をいただきましてありがとうございました。申すまでもなく、本年の春先以来の天候はまことに不順きわまりないものでございまして、高緯度地方や内陸の高地は数十年来の冷害に見舞われ、本年産米の収穫は非常な減収が見込まれておりまして、わが国の食糧政策の面からも、また農家経済の面から見ましても、容易ならぬ事態に直面いたしておりますことは、郷承知の通りであります。本委員会はこれらの問題について万全の措置を講ずべく、鋭意努力いたしておりますが、先般各地に委員を派遣して被害地の実情をつぶさに調査しましたところ、耐冷品種の造成、その普及または生産条件、農耕技術の改善等の農業技術の問題、あるいは長期にわたる気象の予測、天候の変化に応ずる農耕作業上の注意事項の徹底等の気象観測と農業との結びつきの問題が強く述べられたのであります。これらの問題につきましては、たとえば品種改良の問題一つを取上げましても、安全品種か、多取穫品種の問題や、本年は冷害の徴候が劃合に早く見られながら、なぜ晩生値が相当播種されたか筆の技術と経済との関係等、幾多微妙な問題があると思いますが、このような点につきまして、今年の冷伊に際してそれぞれの立場において身をもつて経験せられ、また研究せられましたところを御開陳願いたいと思うのであります。
 それではこれより御意見を伺うことにいたしますが、時間の関係上お一人当りおおよそ二十分程度にお願いいたすごとにいたしまして、一応全部の御意見を承つた上で、委員各位の御質疑を願うことにいたしますので、さよう御了承願います。
 それではまず中央気象台予報部予報課長伊藤博君にお願いいたします。
○伊藤参考人 中央気象台予報課長の伊藤でございます。私からは今年の気象のあらましと、現在季節予報というものをどうやつておるかということか簡単に御説明申し上げたいと思います。
 非常に大まかに見まして、今年の春から夏にかけましての天候は不順でございました。今から約数十年前から気象の観測が行われておるわけでございますが、東北地方全般につきまして、七月と八月を取出しまして平均的に温度を見て参りますと、長年の間にかなりの高い、あるいは低いという変化が出ております。そういたしましてこの数十年間を平均いたしますと、東北地方全般としての平均は約二十二・七度でございます。なお長い変動がございますので、最近十年間の平均を求めますと二十三・五度となつております。最近十年は割合に気温の高いときが続いたということになります。ことしの七、八月はどうであつたかと申しますと、東北全般を平均いたしますと約二十二度になつております。でございますから数十年間の平均から行きますと、全般的には約〇・七度、最近の十年の経過から見ますと約一・五度低温であつたということになるわけでございます。
 それから日照につきましても、過去明治の終りごろから観測がございますが、日照の方はことしは非常に少いのでありまして、最近の例について見ますと、昭和九年及び昭和十六年に次いでの日照不足でございます。その間の状況をもう少しこまかく見て参りますと、たとえばことしの四月の初めから、一月を三つにわけまして各旬ごとに平均を見て参ります。別に刷りものが差上げてございますけれども、これはあとで大後君の方から御説明があると思います。東北地方と北海道を対象にいたしまして、今年の旬別の気温を見て参りますと、四月の上旬は全般に温度が高うございました。しかし四月の中旬、下旬、五月の上旬、中旬はいずれも平年より温度が低くなつております。五月の下句は平年よりも若干高く、六月の上旬はまた低くなつておる。六月の中旬、下旬は高い所も、低い所もございまして、これは平年並といつたところであります。それから七月の上旬、中旬は全般に平年より低くなつております。下旬に入りましてから若干平年より高くなりましたが、八月の上旬にはまた平年より低い。八月の中旬は地域的に平年より高い所もあり、低い所もありました。この八月の下旬になりまして、東北及び北海道に相当強い低温が長続きをしたわけでありまして、これが九月の上旬及び中和まで及んでいたわけであります。
 それから日照の方は平年よりも多い少いというのがほぼ交互に出ておりましたが、七月の下旬から九月一ぱい東北地方ではほとんど平年以下でございました。北海道の方では八月の下旬、九月の上旬及び中旬は若干平年より多かつたのでありますが、東北の方は七月下旬以降九月一ぱいまでずつと平年よりも日照が少かつたという状態でございます。
 降水量の方は、資料はございますが、夏の間の降水量は、大ざつぱに見ますと平年とそれほど大きな違いはないのでございます。ただ時期的に、あるいは場所によりまして大雨の降つた所も出ております。非常に簡単でございますが、今年の気象の経過の概要と過去との大ざつぱな比較を一応申し上げたわけでございます。
 それからこういうような気象の変動が予想できるかどうか、あるいは季節予報というものはどうやつておるかということについて簡単に御説明いたしますと、去る昭和九年の凶作以来気象台といたしましては、長期にわたる予報が重要であるということを認識いたしまして、いろいろ資料の整備その他技術的な面につきまして、検討をいたして参りまして、約十年くらい前から、何とか季節予報らしきものを発表していたわけでございます。現状といたしましては、ある一つの方法をもつてかなり長い先の天候の予想をするということは、かなりむずかしいわけでございますが、いろいろな方法を総合いたしまして、大体季節予報というものを最近経営的に発表いたしておつたわけでございます。今年はどういう予報を出したかと申しますと、おもに気温について申しますると、五月の初めでございますが、五月の気温といたしましては、高温と低温の変化が大きい。それから五月の中旬及び月末には一時やや強い低温が現われる。それから四季を通じても北海道の方は低温であるというような予想をいたしております。それからちよつと順序が逆になりましたが、現在どのくらいの回数で予想を発表しておるかと申しますと、前月の末に翌月一箇月間の予報を一回経常的に発表いたします。それから三箇月の予想は、たとえば五月でありますと、五月、六月、七月という三箇月の予想を五月の初めに発表いたします。これを経常的に続けております。
 それから組織的に申しますと、中央気象台といたしましては、全国を対象にした長期予報をいたします。それから全国を十地区にわけまして、各地域ごとに中央気象台の発表を元にいたしまして、それぞれ地域的な特性を加えまして、各地域の長期予報を発表するということにいたしております。
 ちよつと話が前後いたしまして恐縮でございますが、五月の初めには五月及び六月、七月という予報を発表したわけでありまして、先ほどは五月の分でございましたが、六月の予想といたしましては、上旬末からしばらくは温度は高いが、下旬には低温が現われる。ことによるとかなり強い低温になるかもしれない。それから七月、やはり五月の初めに予想いたしました七月の気温でございますが、月全般を通じては例年よりも低いが、中旬の初めまたは月半ばに一時夏らしい天候が予想される。その後また変動が現われる予想である、こういう形の予想を出しております。なお六月の初め、七月の初め、八月の初めというぐあいに、毎月一回ずつ向う三箇月間の長期予報を発表いたしておる次第でございます。全般的に見まして、ことしは春以来、温度につきましては手放しでは楽観ができないという趣旨のことをたびたび発表いたして参つたわけでございます。ただ現状といたしましては、三箇月予報でございますとおおむね一箇月単位の平均的な予想をいたします。それから一箇月の場合においては旬ごとの概況の予想をやつておるわけでございます。温度の全般的な推移につきましてはあまり大きな違いはなかつたかと思いますが、ただ各地区的には、たとえば八月の下旬に低温であると申しましても、その低温の程度、そういつたこまかい点になりますと、必ずしもまだ技術的に十分な成果は上つておらないかと思う次第でございます。
 非常に簡単でございますが、私の説明はこれをもつて一応終らせていただきます。
○井出委員長 次は中央気象台観測部産業気象課長大後美保君。
○大後参考人 私中央気象台の大後でございます。私は、大体ことしの冷害と今までの冷害との比較をまず最初に簡単に申し上げようと思います。
 皆さんのお手元に刷りものを差上げてありますけれども、それを一応ごらん願います。まず最初の札幌ですが、札幌を見ますとこのジグザグに高くなつたり低くなつたりしている、これが温度の変化を示しているわけであります。それから割に平滑な曲線で示されているものは平年の値を示しております。それでこれを見ますと、いつが温度が低いということがわかるわけでありますが、大体稲作に冷害のような年には気象が大きな影響を与えるわけですが、この影響としては温度が低いということと、それから日照が不足するようなこと、この二つが大きな影響を与えるわけです。それでしかもその与える時期によつて、その影響が非常に違つて参ります。今までのいろいろな研究の結果を見ますと、非常に大ざつぱですが、大体のところを見ますとう出穂の前十日から十五日くらいのころの低温、これが一番大きな影響を与えるようであります。その次がちようど出穂開花期、それから出穂前二十五日から三十日、それから出穂後五日から十日、そのような順序らしい。それでそういうことを頭に置いてこの図を見ていただきますと、たとえば八月の、大体北海道を代表して札幌をあげておるのでありますが、実際は旭川の方がもう少し条件が悪いのですが、北海道ではいつもの年よりも三日くらい出穂が遅れておりまして、大体いつもの年よりも三日くらい出穂が遅れておりまして、八月の十三日前後ごろが大体最盛期に当つています。そうしますと、それから十日から五日くらいあとに当る大事だという時期が、温度がこれでごらんになつてもわかりますように、非常に下つております。それからもう一つは六月から七月の中旬ごろまでがずつと下つて参ります。この二つの条件がことしの冷害には非常に響いているのではないか、こういうふうに考えています。今までの年をずつと比較してみますと、大体似た年としては昭和二十年があげられます。大体昭和二十年に近いものではないかというような感じを受けます。この図を見てもわかりますけれども、たとえば大正二年、これは非常な大凶作の年ですが、この年になりますと、五月から九月までずつと温度は平年よりも下まわつておる。ですからこういうような非常な冷害ではないですが、少くとも昭和二十年ぐらいに似ているのではないかというような感じを受けました。それから今日照がきくと申し上げましたけれども、日照の方は北海道は必ずしもことしは少くはありません。
 次に青森へ参りますと、青森は穂の出るのが非常に遅れて、いつもの年よりも大体ならしてみて五日ぐらい遅れています。そうすると八月二十三日ごろといいますと、ちようどそのときからあとがこの図で見てもわかりますように、温度が下つているわけです。このときには幸いのことには日照はそれほど少くはなかつた。それともう一つは、その六月の初めに温度が下つたことがあるのですが、このときには非常に日照も少かつた。それから七月の初めにやはり温度が下つています。こういう三つの温度が下つたのと、この不順な天候、これがきいているのではないか。この年も大体比較して言いますと昭和二十年に大体似たものとなつています。
 それから次に岩手ですが、若干というのはこの表で占うと宮古というのが岩手県です。古い気象の観測の資料はこの宮古でないとありませんものですから、ここで宮古をとつたのですが、必ずしもこれが岩手県を代表しているものではありませんけれども、岩手県は大体いつもの年よりも五日くらい穂の出るのが遅れていて、八月十九日ごろになつています。そうしますと、この図を見てもわかりますように、ちようどそのあとが非常に温度が下つています。それからもう一つ、七月に非常に温度が下つている所があります。この二つが非常にきいているので、この岩手県としては、大体大ざつぱに見ますと、昭和六年の温度の経過に割によく似ているということが言えます。
 次に石巻という所がありますが、石巻というのは宮城県に入ります。宮城県は六月の初めと七月の初めと八月の下旬と九月の初めに平均の温度が非常に下つている所がありますけれども、こういうところがきいて来ているので、やはり穂の出るのはいつもの年より五日ほど遅れて八月十九日ごろであります。ですからその穂の出るころを基準にして、温度が下つたところがはたしてきいたかきかないかということの大体の見当をつけてみることができると思うのです。そしてこの宮城県は大体昭和六年に似たものであります。
 次に秋田県に参りますと、秋田県では穂が出るのは大体いつもの年より、ならして二日くらい遅れていて、八月十五日くらいが最盛期となつております。そうしますとここは八月十五日からあと九月の上旬までが非常に温度が下つております。これは温度が下ると同時に、ここは日照も少かつたのですが、それまでは多少下つたり上つたりしておりますけれども、大した問題はないので、ここが多少マイナスにきいておるのではないかというような気がします。この年は大体今までの冷害の年でいいますと、昭和六年、それから昭和十年にも多少似ております。比較してごらんになればよくわかります。
 次に山形県ですが、山形県はいつもの年よりも穂の出るのが大体ならして五日くらい遅れていて、八月十五日くらいになつております。そうしますと、ちようど八月十五日の少しあとから温度がずつと下つて来まして、ここは温度が下つたばかりでなく、非常に日照も少くなつております。それからよた、これが影響したわけですが、七月の上旬に非常に温度が下つた所があります。これはちようど幼穂の形成初期に当つていて、このときも非常に稲にとつて大事なときですが、このときに温度が下つたばかりでなく、日照も下つておる。これが割にきいているのではないかと思います。大体経過としては昭和六年に似たものであります。
 次に福島県ですが、福島県はほかの県と違つて割に大きな特徴は、大体七月終り、八月の初めごろからずつと九月にかけて引続いて日照が非常に不足しております。しかもこの八月下旬に価度がずつと下つています、こういつにことが相当大きく響いていると思います。しかも成育が非常に遅れていて、ならして大体八日くらい、八月二十二日ごろ出穂ということになつております。この福島県は昭和二十年と昭和六年に大体よく似ていると思います。
 大体ただいままでの冷害との比較、それからことしの天候の経過の特徴というようなものはそういうようなことでありまして、大ざつぱに見ますと、昭和六年と昭和二十年に大体似たような経過をたどつているというように思われます。
 次にこういうふうに天候というものが収穫高に大きく響いて来るわけですが、大体私たちが前から調べたところ乞見ますと、天候の影響というものが収量が多くなつたり少くなつたりする原因なんですが、その収量が多くなつたり少くなつたりする変動の状態は、明治の初めから現在までずつと比較してみますと、それほど変化がない。稲の収量というものは明治の初めから見ると倍以上にも上つているというふうに非常に収穫高はふえていますけれども、その変動の状態というものはあまりかわつていない。言いかえれば、そういう稲作に対する気象の影響は、以前と今とではかわりがない。ですから、言いかえれば、農業技術は非常に進んで来ているのですが、その割に天候の影響はあまり避けられていないというふうな感じもします。
 それからもう一つ、ことしの長期予想の問題ですが、これについては伊藤さんの方から詳しい御説明がありましたけれども、この天候の長期予想とそれの利用の問題ですが、天候の長期予想を中央気象台でしまして、それをうまく利用すれば、もちろんある程度災害を避けて行くことができるわけですが、実はこの利用の仕方が非常にむずかしいのではないかと思います。それは前にもよくそういうことがありましたけれども、ことしは旱魃になるのではないかといつたところが、旱魃にならなかつた。そのときに、旱魃に対応していろいろなことをやつていて、かえつて損をしたというようなこともあるのです。それでその利用の仕方ということについて、もう少し考える必要があるのではないかとも思つています。幸いことしなどは、春先から、気象台が割に温度が低いという予想をする以前から、何となく世間で、冷害になるのではないかという、流言に近いものかもわかりませんけれども、そういううわさが飛んでいまして、私のところにもよくそういう問合せが来ていました。そうして夏の長期予想がなされた。これについても、農林省とよく打合せて、そしてまあ私たちとしては万全の策を講じて来たつもりです。ですが、まだまだその利用の仕方について相当今後考える必要があるのではないかと思います。これは私個人の意見ですけれども、そういうようなことを考えております。私の説明はこれで終ります。
○井出委員長 次は中央気象台気象研究所予報研究室長、東京大学講師荒川秀俊君にお願いします。
○荒川参考人 私は予報の研究をいたしておる者でございます。
 今明日の天気予報というものは、相当な自信を持つて世間様にも発表できるように前々からなつております。第二次大戦を境にいたしまして、五日程度あるいは十日程度くらいの天気予報は、学問的な根拠を持つて大体できるというような確信を得るまでに気象学が最近進歩いたしました。ところが一箇月とか一箇月先、ことしの秋、ことしの冬というような、十日以上の長期の予想に対しましては、正直のところわれわれはいまだその学問的なほんとうの基礎を持つておりません。これはただいまも気象台の方々からお話がございましたように、長期予報は出しております、最善を尽して長期予報を出しておりますが、いかんせんその学問的な、物理学的、力学的な根拠がございませんので、その発表の仕方も迫力を欠き、信念を欠いているうらみが多少――多少ではなくたくさんある。従つて皆様にもそういう心持が通じまして、気象台の発表、特に長期予想の発表に対しては、皆さんも確信をもつて信頼をしていただいていないところであろうと思います。私たちもその点をたいへん遺憾に思つておりまして、何とかして長期予想を科学的な、すなわち物理学的ないし力学的根拠を持つた長期予想法を確立したいと思つておる次第でございます。
 話を転じまして、食糧問題につながりを持ちます夏の温度の予報というのは、これは特に戦争中は食糧の自給自足を叫ばれまして、この夏季の温度の予想法というものは古くから研究がなされ、ただいまお話がありました大正二年の大冷害ころからは、非常に夏季の温度の予想というものを主にした長期予報法を研究いたしておる人がたくさんございました。その方法は幾つかあげることができますが、皆さんの御存じのような幾つかの方法がございます。
 第一には、千島方面あるいは東北地方の東海岸を洗つております親潮寒流、あの寒流が非常に冷たいときはどうもいかぬ。今日も非常に親潮寒流が冷たかつたのでありますが、そういう冷たい年には夏東北地方が寒くなる。結局親潮寒流が強いのは、その前の年にオホーツク海方面に張りました氷が徐々に解けて、初夏のころ三陸沖の方に流れて来るわけでありますから、そのオホーツク海方面の氷の状況とか、いろいろそういうものを、冬の間あるいは春の間に知つておきますれば、これは相当に役に立つ方法でございます。戦争中は、気象台も農林省あたりから大分補助がございまして、才ホーツク海の方へ観測船を派遣したり、あるいはオホーツク海に飛行機を飛ばしまして、流氷の様子を見たりいたしておりました。そういう方法か第一にございます。
 第二に、大気の中に温濁がある。たとえばクラカトアの火山が大爆発をするというようなことがございますと、その噴煙が非常に高い成層圏の方まで舞い上りまして、そうしてその噴煙のために世界中にそのちりがばらまかれる。そのために、明治十七年でありますか、日本あたりでも、クラカトアの噴煙のために太陽が赤く見える。真昼間でも赤く見えるというようなふうになりました。もちろんそういたしますと、太陽から来る熱を中途ではね返してしまいますから、世界中が温度が冷たくなる。その結果でありましよう、明治十七年には、東北地方あるいは北海道方面に大凶作がございました。それは結局地上に到達する日射が低い。これは、全世界的に少くなります。この全世界的に日射が少くなるということは、たとえばクラカトアの爆発のときに日射が全世界的に少くなつたというようなことは、ハンフリースというような学者の統計したものもございます。実際私はキンボールというアメリカの日射の関係の研究者の集めました資料によりまして、世界中での日射の弱かつた年を調べますと、明治十七年ごろ、それから明治三十五年、大正二年ごろに非常に日射が少なかつた。それはもちろんどつかで火山の爆発というものが起つたせいでありしまようが、実際そういう日射が全世界的に下つているときに必ずそれに伴つて日本でも凶作が起るというようなことが第二にあげられます考え方かと思うのでございます。
 それから第三には、これはあまり信頼を置くことにはできませんが、天候に周期がある。大体これは亡くなられた藤原咲平博士の研究によりますと、八十一年ぐらいの周期で凶作が起つているというようなことを言われております。
 それから第四春日に、太陽黒点が極大に達する年、極小に達する印の前後には凶作が起りやすい。これは元農事試験場におりました安藤広太郎博士が言い出したのでありますが、太陽長点は十一年周期をもつて増したり減つたりしております。そうすると十一年の間に極大が一回極小が一回ありまして、その前後の年を込めると六年間でありますから、十一年間の間に六年間は凶作の心配があるというと、これはへんな話でありまして、実際はそういう傾向はあまりないようでございます。これについてはまたあとで申します。
 それから第五番目の考え方は、前の年に寒くて、ことに冬の季節風が盛んでございまして、山門部に非常にたくさんの雪が降つたような年は、どうも稲作が悪いらしい。それは山間部にたくさん雪が積つておりますと、春の終りから夏の初めごろになつてようやく雪解け水が下流に流れて来ますが、その雪解け水はもちろん冷たいですから、その冷たい水か流れて来るために苗の育ちが悪い、あるいは植付の時期が遅れるということになつて、やはり凶作が起りやすい。昭和九年の不作なんかは多分にそういう傾向があるということであります。
 大体この五つぐらいはかなりな根拠があると考えられる次第でございます。
 それでただいま気象台の予報課長や産業気象課長からお話がありましたように、一箇月程度あるいは三箇月程度の長期予想は、気象台から、非常な確信を打つてではございませんが、一応の統計的に見た考え方を発表されているのですが、その精度を今後も上げて行きたい。何とかして物理学的な根拠に立つて、私たちも自信かあるという予報を出してみたい。そうして皆さんにもこれは科学的な基礎を持つた予報であるという迫力を持つた、信頼をされていただけるような予報を出すように研究を進めて行きたいと思つている次第であります。
 それについて、これも物理学的に非常に信頼性の高いものではございませんが、一つの考え方をここでお話したいと思います。ここにありますものは、理科年表に載つております太陽黒点の昔からの変化をあげたものであります。これは前後二百年間ございます。大体信頼できる材料としては二百年間の太陽黒点の変化がわかつております。これは天文台から出ております理科年表からとりました。三年ずつ平均をいたしまして、黒点の数をずつと調べて横に年数をとり、総数には三年ずつ移動平均いたしました太陽黒点を描いて、先ほど申しましたように、大体高低が十一年に一回ずつ極大に達し、極小に達して変動しております。この極大の値の平均をとつたのがこの値、両側に変動の振れ、これはわれわれ確率論の立場から耳よして、標準偏差とかあるいは蓋然誤差とかいうような、ある理論的な幅があるのですが、その幅を両側にとつてみました。この幅以上に出た極大が、歴史以来五回あります。ところがこの五回といいましても、歴史的な前の四回に対応して必ず大飢饉が起つておるということでございます。この極大のところに天明の大飢饉――これは津軽領だけでも約十万人の餓死者を出したという大飢饉でございました。この天保の大飢饉、これも天明の大飢饉に劣らない――それほどのスケールではありませんが、やはり天明に劣らない大飢饉でございました。この年には、それに政治が悪くて、平価の切下げがあつたりいたしましたので、飢饉が倍加いたしまして、いわゆる大塩平八郎の天保の乱なんかが起つたのであります。この極大に対応いたしまして、慶応二年と明治二年に、やはり相当な凶作――これは天明、天保の飢饉ほどではございませんが、戦乱のあつた年でありますから、よけい飢饉の害が多かつたと思われます。しかしこのころは外国との貿易がもはやできておりましたので、外米を輸入いたしまして時をしのいだのでありますから、大飢饉というまでに至らなかつたようでございます。そうして見ますと、この側は非常にくさいように思われる。ことにこの次極大がいつ来るかといいますと、やはり確率論的に推定いたしますと、九五七、八年ごろに極大が来る。その極大の値がどれくらいかというと、〇九、この赤線より外へ出ます。これはいろいろ推定の仕方にもよるわけでございますが、そういうことであります。そうしますと、このところにやはり相当な、何かしら不安があるのではないかと思われる節があるのであります。これは物理学的な非常にしつかりした基礎があるわけではないのでございますが、過去の統計から推して例外なしにこういうことが起つていることに対応して、何かしら不安を感ずるということをお話しいたした次第であります。
○井出委員長 次に東京大学農学部教授戸苅義次君にお願いいたします。
○戸苅参考人 私は東京大学で作物学の講座を担任いたしておりますが、稲の冷害は苗腐れ病というようなものがありますけれども、そういうのを別といたしますと、稲の穂ができるまでは、つまり葉つぱや茎が成長しております間は、冷害というようなことはほとんど考えなくてもよろしいのであります。穂ができ始まりましてからの低温あるいは光が少いというようなことが大きく響くのでありますが、その大切な時期は、先ほど大後課長からお話がありましたように、穂の出る二十日くらい前、同じく穂の出る前の十日から十四日くらい、それから開花の時期、これが非常に大切なものであります。この時期に低温にやられますと致命傷をこうむるのであります。昭和九年の冷害は、まさにこの大切な時期に低温が来ましたために起りました冷害でありますが、今年の冷害はこれに比べますと形が大いに違つております。茎の中で小さな穂ができ始めて行く間に起りましたところの低温というのは、北海道の部にございましたけれども、大部分は、その点は免れておつたのであります。それから出穂開花の時期も非常に大切でありますが、この時期に低温になりましても、もう穂は形成されておるものですから、外に出ましてから穂が冷害を受けておるか受けていないかということはなかなかわかりにくいのであります。まだ茎の中に入つております穂が冷害を受けますと、出て参りました穂に小さなぺらぺらいたしました薄い紙ぺらのようなもみ、それからもみが全然形成されていない、こういうようなことになつておりますから、これはもう一目すぐわかるのであります。ところが穂の出かかつたころの低温でありますと、穂はともかく形成されております。しかし花粉が雌蘂の柱頭につきましても受精がうまく行われない百で、ただ花粉の刺激で、脂肪でありますところのもみだけは幾分太る。しかしその中には澱粉がたまらない。つぶしてみると、水のようなものが入つている。砂糖水なのですが、そういうものが入つておりまして、澱粉は形成されない。これはわれわれの言葉では偽稔生、こういうふうに申しております。そういう現象を非常に伴つておりますので、外から見たのでは、ある程度もみもふくらんで参りますし、なかなか見わけがつかないのであります。それからもうつ別の面から局ますと、稲は言うまでもなく葉つぱで同化作用を行いまして、その同化作用の結果できますところの砂糖とか澱粉というようなものは、一時茎並びに葉つぱの中でも葉鞘という部分にたくわえられます。そうして穗くわえられた澱粉がそちらの方に移つが出るに従いましてその茎や葉鞘にたて参ります。そうして穂が実つて行くのであります。この場合、穂が出るまでに茎や葉つぱにたくわえられ、これが最高極大になるのでありますが、この値は、つまり穂が出るまでにたくわえられた澱粉というものは全玄米生産の三分の一にしかならない。結局あとの三分の二というのは穂が出た後に新しく葉つぱで澱粉がつくられて、それがもみの方に移つて行く、こう考えなければならないのであります。そうしますと、今年の低温は、穂が出るまでの大切な時期は大体において免れておりますが、穂が出ましてから登熟するまで、つまり八月下旬から九月一ぱい、こういうところの低温が大きく響きまして、出穂のころの低温は穂の形成には影響がないから、外部からはなかなか見にくかつた。それからその後に低温がずつと続いておりますから三分の二、七割を支配いたしますところの澱粉の形成に非常に障害が多かつた。それで外観は、今年も平年までは行くまいけれども、ある程度とれそうだというようになりますし、温度が回復すれば頭をたれて来るというふうに考えられておつたのが、最後まで低温が続いて、非常に大切な七制の澱粉の生産をやります時期の低温、それから開花のころの低温を、今まであまり経験がなかつたこともありましようし、みすみすと申しますか、やむを得ず見のがしたということのために、最近になつてこの冷害の現象が非常に現われて来たということになろうかと思います。最もこういうことに拍車をかけましたのは品種の関係か非常に多かつたと思います。昭和九年の冷害以来東北各県には冷害試験地というのができまして、栽培の方法あるいは稲の品種の改良、こういうことをやりましてよい品種ができておりますが、何と申しましても、こういつたような品種は冷害に対しては確かに強いのでありますが、収量ということになりますと、とうてい多収品種には及ばないのであります。昨年、一昨年とよい天候が続きますと、どうしてもたくさんとりたいというような気持から、多収品種の方に動きます。多収品種は大体において奥手になります。その奥手であるというようなことが先ほど申しましたような関係を一層助長いたしまして、非常に悲惨な冷害の結果になつた、こういうことだと思います。
 そこでつくりました品種のうちでも、遠野一号、二号、あるいは藤坂二号、三号というのは相当強いのでありますが、こういうのは普通の土地ではまつたく収量は少いのであります。特別の冷害地はやむを得ずこれをつくりますが、少くとも免れるだろうという望みのある所はいこういう品種はとてもつくりそうもないのであります。藤坂五号になりますと、二号、三号より冷害に対しては弱いのでありますが、形としては多収の形を備えておりますので、ある程度これが普及して参る、こういつたような形になつております。何と申しましても、関東地方の千本系統の稲であるとかあるいは東北の農林十号、二十九号、こういつたようなものがその地帯としては奥手であり、かつことしの異常な気象に影響されまして、こんな現象を招いたと考えられるのであります。そこでこれに対する考え方なのですが、先ほど申しました稲の成育のうちで穂ができます初のころの研究は非常によく進んでおりました。しかしながら花を開く時期から成熟して参ります間の研究というものが大きな穴になつておりまして、ほとんどやられていないといつてもいいくらいなのであります。
 なお話は別でありますが、ことし九州の水害で東北地方の稲を向うに持つて参りましてつくつておりますが これは晩植になつております関係で、穂の出方がおそいのであります。そういたしますと、これらの稲は九州地方でも実りがよくないのであります。その理由は、東北地方の品種は、大体において八月の初めから八月の二十日ごろまでには出穂いたしまして、まだ温度が高いうちに成熟して行く品種であります。つまり温度が高い状態で澱粉がたくわえられて行くという性質を持つております。これは九州の秋が長いと申しましても、東北の夏よりは温度が低いのでありますから、そういうところへ持つて参りますと、実りがよくない。稲は品種によつて性質が非常に違いまして、あるものは温度が非常に高い状態でよく実りますし、あるものは温度が比較的低くても実り得る。こういうふうに要求温度というものが違つております。従つて東北地方の品種は、ことしのような冷害に対して、穂が出て成熟いたします間の温度が比較的低くても登熟するような品種をつくつて行くことが必要で、これは先ほど申しましたような例からして、決して夢ではないと考えられるのであります。具体的には藤坂五号のような品種をもつと多収にするか、あるいは農林十号のような品種に耐冷性を与えるというようなことになりますが、これらのことは品種の改良でありまして、一つの品種の改良はまず十年かかるのでありますからして、早急に今行うわけにに行かぬ。そこで一つの対策は、藤坂五号のような品種を是が非でも多収にするということ、こういう栽培法は今までの技術でも考えられますし、一、二年の研究でも成果があげ得ると考えられますので、そういうような点に重点を置き、一方において冷害にも抵抗できますところの品種を改良して行く、こういう事業を一本でやるということが、今後東北地方の冷害に対しますところの大切なやり方だと思います。特にこの品種の改良も、現在は一つの品種改良の試験室というものが一町歩から一町五反歩くらいを持ちまして、そうして農夫をも入れまして四、五人の職員がやつておるのでありますが、こういうのを拡充いたして参りますれば、いい品種が出ることは疑いないのでありますが、その基礎といたしまして、先ほど申しましたように、研究の大きな穴になつておりますところの、開花から成熟に至ります間の同化作用の養分の蓄積、この研究を根本的にやらなければならない。これのためにはやはり人工気象というようなものの研究室が必要だと考えられます。アメリカにはサイクロトロンに対しますところのハイトトロンというものがありますが、ハイトというのは植物でありまして、トロンというのはああいつたアイソトープのようなものをつくり出す場所につける名前であります。これは光とか温度、湿度、あらゆる天然の気象要素を人工的に調節できる設備になつておりまして、そのうちでも重要な温度、光、湿度、こういうものを調節いたしますような研究室のもとでありますれば、さつき申しましたような研究が比較的容易に行える。そういうものをもとにいたしまして、品種の改良をやつて行くということが大切であり、またさしあたつては現在の品種をりつぱにつくつて行く技術を一、二年で生み出して行く、部分的には来年ただちにこれを実行に移す、こういうことが必要だと考えられます。またこれが大切だと考えます。
○井出委員長 次は北海道立農業試験場上川支場長浜浪夫君にお願いします。
○浜参考人 私、ただいま御紹介にあずかりました北海道立農業試験場上川支場長の浜浪夫であります。時間もありませんので、私は主として北海道を中心にして、品種関係と耕種方面について申し上げたいと思います。
 北海道の稲作は、歴史から申しますと、元禄年間にもすでにその濫觴が見られるというようなきわめて古い歴史を持つております。しかしその後冷害面作にたたかれかれやつて来たのであります。明治に入りまして、いわゆる松前幕府時代に特に松前邦広という藩主が非常に農業に熱心でございまして、この方がいろいろな奨励をされたわけであります。しかしその前にも函館戦争で今までできた水田がすつかりつぶれたというような非常な惨害にたたかれて来ておるわけであります。そういうような苦難の道を歩みまして、そのうちに明治の末期になりまして試験場ができた。この試験場ができました結果、品種改良というものはずつと進んで参りました。このために北海道の稲作は一躍飛躍をしまして、前途に光明を見出したわけであります。もちろんこの品種改良以外にも、北海道は御承知のごとく河川がたくさんありまして、しかも水量が豊富であり、水質も良好であるため、早くから潅漑設備が完備したということも原因でありますが、私は品種改良というものが今日の隆盛に至つた、新潟県に次ぐわが国でも主要な稲作地帯となつた一つの大きな理由だと信じております。大体昔は赤毛という品種を用いていたわけでありますが、その後ただいま申しましたように品種試験場が出来まして、品種改良が始められて、赤毛から坊主という系統を純系淘汰によつて生み出したわけであります。さらに坊主を改良いたしまして、これも純系淘汰によつて坊主二号とか五号とか、あるいは昔旭川特選米といわれておりました坊主六号とかいう品種がつくられたわけであります。しかしながらこの純系淘汰という方法ではなかなか品種改良も前途が伸びませんので、ここで行き詰まりを来しまして、その後府県の品種と道内の品種との人工交配によりまして新品種を育成しようという計画が行われました。これもいわゆる技術的の話で申訳ありませんが、短日処理という方法によりまして府県の品種を北海道に持つて参つて、早く穂を出させて、それと道内の品種とをかけ合すというような方法に成功したわけであります。そういたしまして、府県の血を入れて北海道の品種を改良することによつて初めて成育に成功いたしましたのが、御承知でもありましようが、富国という品種であります。これは昭和九年に完成して奨励品種として世の中に行われております。この品種改良はきわめて画期的のものでありまして、従来の坊主系統に比べますと、一割以上二割近くの増収を示したのであります。その後従来ずつと府県の品種の血を入れて品種改良をどんどん進めております。それから以後農林九号あるいは農林十一号というようなごくわせからあるいは農林十五号、十九号、二十号、こういうような品種が続々と出て参りました。現在では相当多収な品種まで育成されるというような段階に至つたわけであります。
 ところがこの冷害というのが、明治九年から昭和九年までの六十年間の統計を見ますと、この六十年間に冷害凶作は十五回あります。それから豊作が十五回あります。平年作は三十回であります。結局四年に一回冷害凶作というものがあるということになります。しかしこれも四年に一回きちんきちんと冷害が起れば、われわれ技術面の方も非常に助かるのでありますが、そうは行かないのでありまして、これを統計的に見ますとそういうことになりますが、冷害が二年も続くこともあるかと思えば、あるいは昨年までのように割によい年が五年も六年も続くということもあり、なかなかこの点はめんどうなのであります。こういう冷害凶作というものは、従来少くとも昭和十五年以前までの考え方といたしましては、いわゆる遅延型の冷害――成育が遅延して冷害が起きる、こういう考えでありました。この遅延型の冷害を防ぐには、品種改良でもつてわせをつくればいい。わせさえつくれば遅延型の冷害を免れる、こういう理論で品種改良を進めておつたのですが、昭和十六年の冷害を契機といたしまして、水稲の冷害にはこの遅延型以外にもう一つ、障害型の冷害というものがあるということがはつきりしたのであります。この障害型は先ほど大後先生等からお話がありましたように、出穂前の九日、十日ないし十五日前後のいわゆる減数分裂期を控えました中心のときに低温にあうと、花粉母細胞そのものが障害を受けるのであります。こういうことがはつきりしました。従つてそういう障害を受けたものは、いかに開花が旺盛であり、あるいは受粉作用そのものが旺盛でありましても、花粉がすでに死んでいるわけです。従つてそういうものは全部不稔になる、こういう恐るべき冷害があるということがわかつたわけであります。従いまして品種改良の面におきましても、従来のようにわせばかりつくつておつたのではだめだ、いかにわせをつくつても、今言いましたように、そのわせが成育の過程において低温にぶつかれば障害を受ける。おくてであつてもその成育の時期にちようど低温にぶつかれば障害が起きる。そういうことでありまして、わせばかりでなく、障害に強い品種を育成しなければならぬということが、品種改良の面では重大な問題として浮び上つたわけであります。そこで現在私の方では上川ばかりではなく、北海道の品種といたしまして、旭南の一部を除きまして網走、留萌、十勝、胆振、日高というに全道の品種を育成しているのでありまして、最近におきましては、この時期というものももちろん大切でありますが、この障害型という点に重点を置いて、いわゆる耐冷性の品種の育成ということに力を注いでいるわけであります。これは非常に育成上の操作がめんどうでありまして、たとえばこの障害型の冷害を検定するといたしましても、これはもちろん冷水をかけ流しまして出穂の遅延を見るとかいう方法をとるわけであります。それから先ほどおつしやいました危険期の過程にある穂を持つて来てこれを冷温で処理いたしまして、これを検微鏡によつて検微鏡検定を行いまして、花粉のいたむ率を見まして、そしてその系統の強い弱いを判定いたしまして、弱いものはどんどん振つて行く、こういうようなきわめて複雑な操作を行つているわけであります。そういうようなことを行つておりまして、現在ではどうやらこうやら私どもでも品種改良を何とかやつているわけでありますが、お手元にあります写真は、農林委員の諸先生方が本年九月の十一日においでになりまして、つぶさにごらんになつたわけでありますが、それなどは一例でありまして、現在お手元にありますのは中生でありますが、相当な粒数を持つたいいものが出つつあるわけですが。そのほかに早生もございますし、中生もございます。いろいろございますが、一例を写真にとりまして差上げたわけであります。これらはまだ代数がことし三年であります。従いまして、私ども技術者といたしましては、こういう粒数の多いものが、しかも大体固定しているものもある程度出たということで、将来を楽しみにしているわけでありますが、しかしまだ何と申しましても、先ほど申し上げました通り、耐冷性の検定というようなことは済んでおりません。そのほかに耐病性の検定もまだやらなければなりません。あるいは耐倒伏性の検定もやらなければならぬ。こういうわけで、いろいろまだ検討する余地が十分あるのでありまして、現在完成されたものではありませんけれども、こういうものが出ておる、ということを御紹介申し上げたわけであります。何にいたしましても、道の方も予算が非常に財源が乏しくて、実は昨年から道議会の方にも試験場の整備拡充ということをお願いいたしまして、定員あるいは予算という面で極力お願いしておるわけですが、なかなか思うように行かないわけであります。そういう方面でもう少し力づけていただければ、より一層われわれが励みをもつて品種の完成に向えるということができると思うのでありますが、時間もございませんので概略品種関係について申し上げたわけであります。今後も品種というものは、やはり冷害ということを考えれば、特に北海道におきましては附冷性の強い、しかも安全確収な品種を上手に組み合せて農家の方に栽培していただくことが最も大切なことである、こう考えておるわけであります。
 次に耕種法の部面で申し上げたいと思います。耕種法もいろいろ範囲が広うございますが、私がか閲して申し上げたいことは、やはり北海道における稲作増産の第一手段であります温冷床のことについてであります。北海道における温冷床と、府県の御奨励になつております保温折衷苗しろ、それと北海道にもあるいわゆる保温折衷苗しろ、この三つが技術的にちよつと錯綜しておりますので、これについてあらかじめ御説明申し上げたいと思います。府県の保温折衷と北海道の保温折衷とは、苗しろの様式がちよつとばかり違うのであります。府県の保温折衷は、苗しろを練りまして練床にして、それに種をまいて紙をかぶせるのであります。北海道の場合は練らないのでありまして、おか苗しろにするのであります。これが北海道の保温折衷であります。これは府県の保温折衷と同じ名前では非常に指導上こんがらがりますので、私の方ではこれを紙被覆おか苗しろと申しております。この保温折衷は、私の記憶では、昭和二十四年の九月にたしか原村の冷害試験地で講習会がありましたときに、私が参りまして北海道の温冷床と比べましていろいろ研究して参つたわけであります。その後二十五年の十二月には東北六県の保温苗しろ協議会がございました。このときにも保温折衷と北海道の温冷床、それから今の北海道の保温折衷苗しろ、すなわち紙被覆苗しろ、こういうものを検討したわけであります。その結果北海道ではやはり米の増産の第一としては温冷床だろうということを技術的に検討して見通しをつけて参つたわけであります。前後しましたが、同じ年の十月には琴似の本場におきまして、寺尾博先生が全指連の嘱託になつておいでになりまして、府県の保温折衷と北海道の温冷床を比較検討したわけであります。そして事の性質、耐冷性、収量すべての点を検討しまして、北海道はやはり温冷床で行くべきだというような結論が生れたわけであります。その後二十六年の三月には農業改良局の夏作物の会議がありまして、このときにも私の方から成績を持つて行きまして、各府県の権威者の方方に御検討をいただいております。さらに同年の九月には東北六県と北海道の保温苗しろの比較検討会がありまして、これにも成績を出しました。こういうようないきさつをたどりまして、北海道ではどうしても温冷床が第一手段である、府県のいわゆる練床式の保温折衷は北海道にはまず入る必要はないだろう、入り得れば道南の暖かい地方ではよかろうというような結論になつておりまして、府県の保温折衷苗しろは津軽海峡を渡らないということになりまして、今まで私どもの指導方針はそれによつて出ておるわけであります。そして北海道の保温折衷苗しろ、すなわち紙被覆苗しろ、この苗しろは技術的に見まして非常に危険性があるわけであります。時間がありませんのでこまかいことは申し上げませんが、種をまきまして紙をかけて、ある時期になつてこれをとるのであります。そのとる時期が北海道の春さきの寒い、低温の時期ではなかなかうまく行かないのであります。従いまして、申し上げますればあまり早くまけない。少くとも温冷床などより早くまけない。ある程度時期が遅くなければいけない、こういうようなことが考えられます。従いまして、収量というような点を検討いたしましても、北海道では水苗しろあるいは直播栽培、こういう普通栽培に比べては、多少は安全性があるという程度でありまして、ほんとうの増産からいい、安全性からいえば、温冷床にはとてもかなわない、こういう結論が出ているわけであります。従いまして北海道の農家が米をたくさんとるというためには、どうしても温冷床でなければならぬというので、これを第一義に指導して参つているわけであります。ところがこの点については、今年農林委員の諾先生方にごらんをいただきまして、この温冷床がいかに普通栽培に比べていいかということは、お手元に写真が行つていると思いますが、それをごらんになつてもわかる通りであります。こういう年にこそこの温冷床の効果というものがきわめて明瞭に発揮されるわけであります。ところが、これは私からこういうことを申し上げていいかどうかわかりませんが、温冷床には、従来助成金があつたわけであります。この奨励金が現在打切られまして、保温折衷に奨励金が出た。従いまして北海道の場合は、府県並みに、北海道の保温折衷に助成金が流れているわけであります。ところがわれわれ技術方面から見ますと、保温折衷は増産の第二義手段であります。従いましてわれわれが指導する場合には、保温折衷いわゆる紙かけ苗しろあるいは普通苗しろとかあるいは直播、こういう普通栽培の一部をかえてやるのはよろしいけれども、米をたくさんとる場合には温冷床をやつて、紙被覆をやつてくれるなよ、こういうふうに第一線において農家を指導しているわけであります。しかし農家の方からいたしますと、国から補助のあるものは、当然積極的に奨励しているのじやないか、こういう錯覚をえて起しやすいのであります。そこでわれわれ第一線において農家とつながりを持ちまして、現地で指導もし、研究もしている者にとりましては、そこに非常に苦衷があるわけであります。しかもことしのような場合には、はつきり温冷床がいい。この北海道の保温折衷苗しろにおきましては、御承知の通り五月の十八日に知がおりました。この霜でひどくやられている。従つて今年は多少農家も北海道の保温折衷に対しましては考え直しただろうと思いますが、そういうような危険性がはつきりわかるわけであります。もちろん温冷床もやられましたけれども、その程度は保温折衷の方がひどかつたわけであります。そういうようなわけでありまして、私どもも奨励する場合には、何と申しますか、いわゆる両耳をふさいで鈴を振るというようなかつこうで、この紙かけ苗しろの方は指導しておるが、結局においては積極的には指導しておらないわけです。積極的にやるのはこの温冷床なんであります。そこでそういうような食い違いが助成の方と技術面とであるわけであります。従いまして私ども第一線におる技術者といたしましては、北海道の場合は温冷床にそういう国のお助けがあれば、私どもの指導方針とぴつたり合いまして、強力に温冷床を奨励して行くのにまことに都合がいいのであります。それが残念ながら北海道におきましては、保温折衷の方に助成があるというような形でありまして、現地におるわれわれは非常に苦衷を感じておるわけであります。これも農林委員の方々がおいでになりましたときに、私は率直に私の思いますことを申し上げたはずでございます。この点、こういうことをこういう席で申し上げてよいかどうかわかりませんが、私は技術の指導者として、心から率直にこれを申し上げまして、でき得るならば今後北海道の稲作安定のためにその補助をいただくならば、この温冷床をぜひ主体に願いたいと考えておるわけであります。
 さらに今の紙被覆の問題でありますが、これは技術的に見ましてある程度大きくなつてから紙をはぐ、そのはいだあとは自然の外気、日光に当るわけであります。従つて苗そのものは非常に強くなる。強くなるけれども危険性が多いということ、それが問題なんです。技術的にいいますと、早く日光に当る。農家がその理論をのみ込んだならば、その理論を今度は温冷床の方に移して行くということになりますれば、現在やつている北海道農家の温冷床の技術も非常に進歩の見込みがあるのでございます。従いまして、私ども技術者といたしましては、おそらくこの紙かけ萌しろというものもそう長くはあるまい、やはり今年のような冷害を受けてみれば、温冷床でなければならぬということになつて、将来温冷床はどんどんふえる傾向にあるのではないかと思います。そうして現在行つておりますこの紙かけ苗しろを全部温冷床に移すということになれば、北海道の稲作といたしましてはまことにけつこうなんであります。現在三百万坪くらいございましようか、そういうものも府県の保温折衷と違いまして、北海道では坪六合という厚まきであります。保温折衷は、私ども不勉強でわかりませんが、たしか三合かそこらの薄まきだと思います。北海道では六合という、稲といたしましては厚まきでございます。これは温冷床の資材も高いしなかなか手もかかるというわけで、実際栽培可能の播種量の極点を押えているわけであります。これより多かつたらだめであります。従いまして現在北海道におきましては、坪当り六合まきまして四坪で一反を植えるということになつております。従いまして、これをせめて六坪くらいに伸ばす坪四合くらいまいて六坪くらいまで伸ばすということになりますと、さらに健苗が育成されまして、こういう冷害年にはなお一層の増産が得られるということが確実でありますので、この温冷床につきましては、現在の反別をそのままいたしましても、今言つた技術面から見ますと、さらにいい苗をつくるということにいたしますれば、温冷床の坪数を増さなければならぬ。さらに水まきの一部分、こういうものも温冷床にかわる部分があるのであります。北海道の温冷床は将来においてはやり方、指導のいかんによつては、いろいろな面から非常に北海道の稲作安定には重要なかぎを握つておるものでございます。
 以上時間がございませんで非常に急ぎましたが、品種改良の分と耕種関係の温冷床、この二つを取上げて申し上げたわけでありますが、多少とも御参考になればまことに幸いだと思います。以上で私のお話を終ります。
○井出委員長 最後に東京大学教授近藤康男君にお願いいたします。
○近藤参考人 私は大学で農政学をやつておる者でありまして、今までの参考人の方々のように、具体的な資料を持つて皆さんにお教え申し上げることは何もないのであります。ただ災害の問題について私の考え方を申し上げますれば、これから皆さんの御審議なさる場合の多少の御参考になるかと思うわけであります。
 第一に申し上げたいことは、この災害、非常な凶作といつてもいいこの食糧状食のために、国内においても日本は食糧増産はできないのだ、もう食糧増産はあきらめた方がいいだろう、こういう考えが起きはしないかと思いますが、その考え方は間違つておるという点であります。明治二十六年だつたと思いますが、綿花は、そのころまでは日本の国内で紡績に利用するものを大体自給しておつた。国内の綿花を保護するために外国から来るものに関税をかける。ところが明治二十六年だつたと思いますが、綿の非常な不作がありまして、とてもこれでは原料綿が足りないというようなことで綿の関税を撤廃しまして、それを境にして、日本の綿花は日本の農業からは完全に脱落して行つたのでありますが、政治というものはそういうことがしばしばあるわけでありまして、私はそういうことを非常におそれるのであります。綿と食糧とは非常な違いがあるのであります。申すまでもなく食糧を輸入しておりますために、毎年外貨の三分の一を使つておりますし、価格の調整のためには数百億の財政負担になつておるわけでありまして、食糧自給ということは経済自立のためにはどうしても欠くべからざる課題であると、私などは考えるのであります。そういう点を考えていただきたいと思うのであります。
 災害の問題というのは、陳情に来ておられる方などに、こういうふうにするぞとか、また消費者にはこういうふうにして食糧は心配ないようにするぞという当面のこともありますけれども、その当面のさばき方が、同時に国家百年の考え方の線に沿つてさばいていただきたい、こういうわけであります。ことに今の点もう一つ食糧増産についてこの際忘れてはならぬという意味で補うべき点は、MSAなどで食糧も援助してやるぞというようなことでありますが、外国から入れる食糧が、米はもちろん麦にしましても、そんなに安くなることを期待していいかどうかということについて、これは見通しにそれぞれ違いがあるかと思いますが、私などはこれが十九世紀あるいは二十世紀初頭とは違いまして、いわゆる国家独占資本と言われておる時代でありまして、たくさんとれたからといつて、その国から輸入する米や麦が安くこちらの手に入るということは、必ずしもならないという告げ、十九世紀と違う点を考えなければならぬという点を、今の食糧の増産という問題を考える場合には、ぜひ考えなければいけない点だろうと思うのであります。その点が一つであります。
 第三の点は、災害の応急復旧あるいは非常に困る農家に対して救援をする、こういうこともありますが、その生産力水準を高めるという意味からしまして、私が申し立てる重要な問題は二つだと思うのであります。畜産を考慮しなければならないという点が一つと、もう一つは、農業改良、あるいは増産という観点からして重要なことは、先ほど品種改良のお話などもありましたが、そういうことにあわせてもう一つ重要なのは水と農具、この問題を考えなければならぬという点であります。
 畜産の点につきましては、これは冷害地などを見ればことにそうでありますが、日本の農業政策は、明治以来大体において稲作本位だつたのであります。そのために知らず知らず長い間稲をつくるのに無理しているということであります。ことにことしなどはこういう年にあつてみますと、その点が山村では非常に一般にはつきりしていると思うのであります。こういう年に限つて、草はよくできて乳はよく出たという話をよく聞くのであります。これはやはりこれから考慮しなければならぬ点であります。ことに乳とか肉とかいう蛋白質を重点に考えることは、最も効率的に食糧政策を考える行き方でありまして、これは農業だけでは解決できない問題で、漁業の方も同時に考える。農業の方では畜産を考えるということだろうと思うのであります。牛乳を農家がたくさん飲むようになつたので、やみ米をたくさん売ることができるようになつたという話は、皆さんもきつと方々でお聞きになつているだろうと思うのでありますが、その点農家が自家用としても乳や肉や卵やそういうものをとることが一つの大切な点じやないかと思うのであります。そのためには、たとえば衛生という観点から、屠殺とかああいうことがずいぶんやかましいのでありますが、自給用というようなことを考えに入れますと、ああいう制度をひとつ検討する余地があるのではないか。
 もう一つ今の蛋白質政策にならなければならぬということで注を加えますならば、私ついきのうまで岩手県の宮古という漁港へ行つておつたのでありますが、そこでこういう話を聞いたのであります。それはあの辺の漁夫は、魚のとれない間は毎日網を湯げるのにえらい重筋労働でありまして、どうしても六合米がなければならぬ。ところが魚がとれるようになりますと四合で済む。それはつまり蛋白質を米からとつているということのために、米としてはむだをしているということであります。そういうのは日本の漁夫だけではなくて、日本の農家全体がそういう状態だろうと思うのであります。五合飯を食うというのは、まさに蛋白質不足の結果なんであります。魚や肉や乳や、そういうものを農家が安く食べられるようにすることが、やはり長い目で見ると重要な点だろうと思うのであります。それが一つと、今の畜産の関係で申しますと、もちろん言うまでもなく最も重要な点は、畜産をやるための土地の問題であります。山林か開拓か、そういう問題の出し方ではなくて、山林か採草地かというのが一つあるはずだと思うのであります。日本の林業、ことに国有林のあり方というものは、災害、そしてまた長い目で見ると食料政策というものから見て、ひとつ十分に再検討されるべきものじやないか。私は農地改革で日本の地主制はなくなつたといいますけれども、日本の国土の六割、七割を占めている山がああいう状態である限り、地主制がなくなつたとは言えないと思うのであります。この点は別といたしまして、水害の関係できつと、山が荒れる、治山治水だ、これが災害の根本対策だ、そういう考え方が支配しておると思うのでありますが、一体それをそのまま受取つていいかどうか、ことに木が足りない、太はもう何年かすると、三十年も切ると日本には一つも木がなくなる、こういう計算でありますが、その計算がほんとうに正しい統計に立つておるかどうかという点、私は非常に疑問に思うのであります。伐木調整資金を、いつだかのあの法律で出すようになつておるわけでありますが、つまり木を切るのを制限する、それに対して二十億でありましたか、国が資金を出されるわけでありますが、一体あれは山持ちをかわいがり過ぎることになつておりはしないかという私は疑問を持つておるのであります。前に私農林省の調査統計局長をしておりましたときに、土地調査ということをやろうということを周東英雄さんがしきりに言つておられまして、私も賛成したのです。ただ賛成するけれども、山からやりましよう、周東さんは田畑からやりましようとたしか言つておられたと思いますが、私は山からやりましようということを言つたことを覚えておるのでありますが、この山の問題というものが非常にあいまいであり、私はむしろ補助金などがむだに使われているんじやないか、そういうことを疑問に思うのであります。これは食糧政策に関連して、ことに国有林などのあり方に関連して十分な御審議を、私はしていただいた方がいいんじやないかと思うのであります。山が荒れる荒れる、あるいは非常な濫伐をしたというのは、これは木一般がないのじやなくて、切り出すのに楽に切り出して、もうけやすいような木がなくなつておる、こういうことじやないかと私は思うのでありますが、あるいはその実態を調査すれば間違いかもしれませんけれども、そういう点を御検討をいただきたいと思うのであります。その畜産の関係が一つ。
 それからもう一つの点は、農業のあり方というものを、今までは品種改良と肥料、こういうことで言つておりますけれども、むしろこれからの重点は農具であり、そして水利ということじやないかと思うのであります。統計で計算をしてみますと、昭和年代の初めごろを境にしまして――それまではいろいろな形で与える肥料を、作物が全部吸収して、それ以上を作物は自分の実や茎にする、生産されるわけであります。ところが昭和年代を境にしましてそれ以後は、与えた肥料全部を作物は吸収しておらないのであります。むだに与えておる。これを有効に使わせるためにはどうするかということが、日本の農学のこれからの課題だと私は思うのであります。それはやはり深耕という、あの多収穫競争などにいい成績を上げた人は、みな例外なしに六寸耕しておる。だからどういう方式をとつたら日本中の人が、特殊の人は別ですが、六寸の深耕ができるようになるだろうかということが、日本の農業、農学、農政の課題だろうと思うのであります。それは今までの人間の手の労働、それから牛馬を使う、あの鋤による耕転の様式には限度が来ておるのであつて、どうしてもそこを破らなければ、一般に深耕をして、同じ面積からたくさんとることができないと思うのであります。それにはやはり農具、機械力を農業へ取入れる、こういう課題が中心にならないといけないんじやないかと思うのであります。こしにその農具の問題を言いますのは、深耕という点も一つありますが、もう一つ農具の問題で言わなければならぬ点は、冷害の年などで、たしか昭和十九年のときの冷害でありましたか、田植えが数日違つたためにたいへん収穫が違う。こういう例は、ことしもそうだと思うのでありますが、あつたわけであります。その田植えを、どうしてある農家が早く、ある農家が遅れるかという問題であります。それはやはり労力の問題、寸は大田植えと申しまして、地主の大田植えをまずしまして、それから小作人が自分のめいめいの田植えをするというのが習慣であつたと思うのでありますが、それでもよくわかりますように、ことに東北などでは早く植えた方が安全であるということ。それを考えると、田植えのころのあの忙がしいときの労力を最も軽くするということが、増産のためには欠くべからざることでありまして、ことに二毛作というようなことを考えますと、労力が足らぬ、やりきれないから二毛作がやれないという、そういう場合がたくさんあるわけであります。二毛作で麦なり菜種なりを増収しようとすれば、耕転――耕転に限りませんけれども、つまり耕作を楽にする。人間の労働力の限界というものを一つの課題にして、その能率をあげるような仕方を取入れることだと思うのであります。のみならずこれは農家の立場として申しますならば、今日の農家は米や麦だけでは食つて行けない。何かほかの作物をやりたい。たとえば酪農をやりたいというのは、ことに終戦後は天下を風擁したわけでありますが、牛をやりたい、あるいは山を開いてなしを一反植えたい、そうして農家の所得をふやしたいというのが一般だと思いますが、その牛をやつたり、なしをやつたりするのには、これは田植えやあるいは田の草とり、つまり稲作の方が元のままでは決してできないのであります。稲作の方に近代的な方法を取入れるということでなければ牛を入れることはできない、なしを入れてもうけるということはできないのであります。そういうことを考えますと、どうしても労働の経済という観点から、農具という問題が中心になるのであります。たとえば三町歩五年間に開拓して、成功検査にパスしないとだめだ、こういうことでありますが、三町歩必要なんだけれども、しかし労力が今の人間労働だけでやるんでは、三町歩はなかなか開拓できない。開拓しながら耕作はできないというそこの問題、これを考えて、むしろ開拓なども、面積は少しでよろしい、そのかわり集約的にやる、収入の足らぬところはほかの方法を考えるというようなことが必要なんじやないかと思うのであります。
 それから同じ問題を冷害に関係して言えば、たとえばいもちが出た、村中出て消毒しましようと言つても、今うちは田の草が済まないとかいうことでサボるのが出て来るというので、うまく行かないという話を至るところで聞くわけであります。その問題を解決するのは、やはり農具の研究、それから土壌――今までは化学的な肥料をやるというようなことでありましたけれども、実はすきとかそんなものを研究するのには物理的な研究が必要ということに農学の方ではなつて来ると思うのであります。政治といたしましては、農具やあるいは水――水のことは説明しませんでしたけれども、水であるとかあるいは国がやつた方がはるかに能率が上るようなことにこの予算やエネルギーを集中するということが大事な点であろうと思います。
 この二つの点をきようは申し上げたいと思うのでありますが、なお補いにもう一つの点を申しますと、こういう災害のときに当然共済制度、保険制度というものが問題になるわけであります。あの保険制度、特別会計の困難というような問題もあつて、あれを再検討するという段階のようでありますが、あの価格政策と、あの共済制度と申しましようか、保険制度と申しましようか、そういうものをやはり一体として考えるということが一つの課題だと思うのであります。価格政策と保険制度を一体として考えるべきでないか。そうして本来あの保険制度というものは、個別的にはつきりわかる災害に限つておる限りは、保険という形をとれるでしようけれども、広いいもちであるとか、冷害であるとかいうようなものをあの中に入れるということは、保険という形では無理なのであつて、これはむしろどつちかというと、日本のあの共済制度というのは、社会保障制度という色彩を強く持つ運命にあると私は思うのであります。それと価格政策と、こうなる場合、値段を上げればいいのだ。値段を上るだけでいいかということになると、私はそうは行かないだろうと思うのであります。というのは、むしろ米を売る余地のある者とその余地のない、自分のうちで食べるのを主とするという農家の階層の差がありますから、それを考慮に入れますと、特にことしの場合の農業政策の重点というものは、価格政策もさることでありますが、価格政策とあわせて、あるいはむしろ価格政策以上に社会保障制度という意味で、共済制度、保険制度というものを考えることが必要ではなかろうか。金融という形であれを切りかえるという考えがあるように新聞で見ましたけれども、金融という形は一つの行き方だと思うのです。制度としては考えられますけれども、金融という形であの保障制度、共済制度というものを置きかえた場合に、末端でどうなるかということを考えますと、日本の辰村の現状から行きますと、これは今までの行き方よりは、さらにほんとうに米がとれなくて困つた人には金か行かないということになるのではないかと思うのであります。
 私のあとつけ足す点は、これは供出制度、つまり今私が申しますことの前提としてあることは、ほかのものが自由になつておつて、米だけがとにかく統制されておる。その前提、そういうことが第一の問題なんであつて、もし統制するなら完全な統制をするということでなくちやならぬ。おそらく正しい方向はそういう方向だと思う。統制を撤廃するという方向でなくて、統制を強化し、単に今のままで強化するというのではなくて、完全な形をつくり出すということだと思うのであります。そういう意味で、そういう場合に共済制度と価格政策をあわせて考慮する必要があると思うのであります。そういうことを考える必要は、最初に委員長からお話がありました、なぜおくてをみなつくるのだろうという御質問でありましたけれども、つまり農民は所得がほしいのであつて、そのことが根本であるのだ。あぶないことはわかつておつても、みなおくてばかりつくる。そういう農家が早中晩あわせてつくるという農家に早くなれるような政策を持つて行つていただきたい。そういうことを希望するわけであります。
 はなはだ乱暴なことを申したようでありますけれども、私の考え方を申しまして、これから御審議なさる場合の御参考にしていただけば幸いと存じております。
○井出委員長 これにて参考人諸君の公述は終りました。
 ただいま述べられた諸点に対する質疑の申出がありますので、逐次これを許します。松岡俊三君。
○松岡委員 私は昭和六年当時のことを回顧しまして、はたして寒流の調査が今日心配ないかどうか。初めて雪害問題が起りましたときに、親潮今の寒流の調査のために特に観測船をつくつたのである。この観測船によつてようやくその後の問題が順調に進んでおつたかのように承つておるのでございますが、ただいまお話を承りますれば、それほどに観測船の必要がないかのようにも思われるのでございます。今日、戦争以来オホーツク海方面の氷塊がどの辺まで来たときにはどうなるかということが、今の観測船によつてできておつたのではなかろうかと思うのでございます。それから戦争のためにオホーツク海方面の氷塊がどこまで行つているかということが観測でき得ない状態が、今日のような冷害をもう少し早くこれを予告して国民に警告を与えるというぐあいに行つておつたらばと、私は思うのでございす。この戦争のためにオホーツク海方面の氷塊の調査がどの程度になつておるか、またこれはどういうあんばいに関係があるか、何らの心配なくして今日に至つておるかどうか。事外交上の問題にも関することでありますからして、オホーツク海方面の氷塊の観測はむずかしかつたことはわれわれも了承するのでありますが、もしオホーツク海方面の氷塊の観測がなし得なかつた結果、ここに至つたということであつたならば、これに対する善処の道をわれわれは講じなければならぬのである。これらに対する施設並びに今日まで戦争後においてなし来つた状況を、どんなふうにお考えになつていらしやるか。関係の気象観測方面からお答えいただければありがたいと存ずる次第であります。また同時に、これと関連して、農林省においてどんなあんばいにこれと連絡をとつておつたか。また従来文部省であつたものが運輸省の管轄に属したがために気象観測の上においてどんなふうになつておるかというような点を明らかにする必要があります。そこで気象台のお方に、これに関するわれわれの納得の行くようなお答えをいただければありがたいと存ずる次第であります。
○伊藤参考人 私からお答えを申し上げます。私は海洋観測の方の直接の担当責任者ではございませんが、本日は海洋関係の者が出席いたしておりませんので、ちよつとかわつてお答えをするような形になりますが、あらかじめ御了承を願いたいと思います。
 先ほど荒川さんからも御説明がありましたように、東北の凶冷と親潮寒流の間には、かなりの関係があるということはよく存じておるわけでございます。気象台といたしましても、海洋の御側のために現在では函館、八戸から船を出しまして、海洋の観測をいたしております。また海洋ばかりではございませんが、いろいろの情勢で三陸の沖合い――北緯三十九度、東経百五十三度かなりの沖合いになりますが、ここで気象と海洋の観測とあわせて、これは常時観測をいたしております。
 それからオホーツク海の方のことにつきましては、ただい御質問にもございましたように、ただいまのところはオーホツク海に行つて観測をする、あるいは飛行機を飛ばせて観測をするということは、非常に困難な現状でございます。それからもう一つ申し上げておきたいのでございますが、凶冷に対しまして親潮の影響が大きいことは確かでございますが、ただ海洋の温度だけではございませんで、海洋の温度が低いしかも気象的に見まして空気の温度も低い、あるいは日照が少いというようなことが全部一度に重なりますと、そこで非常な凶作が起るのではなかろうかと考えられておる次第でございます。ただいまのところ、いろいろな情勢で確かに広い範囲の――広い範囲と申しますか、オホーツク海まで含めました海洋の観測というものは、非常に困難な情勢でありまして、私どもといたしましても、その方の十分の資料はとれないわけでございますが、現在は先ほども申し上げましたような三つの所の観測で、不足ではございますが、一応の状況は押えておると存ずる次第でございます。
○松岡委員 従来は観測船をもつてオホーツク海方面の氷塊を調査しておつた。それが今日はできない、飛行機でもできないところに不幸にして今回の冷害になつた、もちろん冷害には日照その他の関係があることは申すまでもありませんが、今回の冷害の現状に照らして、よほどこつちの方の銚子あたりまでも寒流が来たのではないか、茨城県、千葉県の一部にさえも冷害が出る、太平洋岸があの惨たる状態になつておるのはみな親潮の関係である、はなはだ専門の方には何ですが、われわれはそのように思う。また現実として太平洋岸がすこぶるひどい、そのすこぶるひどいところにオホーツク海方面の氷塊を、従来までは観測船によつて調べておつたものが今日できなかつた。そこで決して気象台の方々に云々だという意味ではございませんから、この誤解のないようにしていただきますが、われわれとしては、もし従来のようなぐあいに観測船があつて、オホーツク海方面の氷塊がここまで来たらこういうあんばいになるから、ことしはどういうあんばいになるかということが、あらかじめ警告が国民に与えられてしかるべきであつたと思う。それが今日できなかつた結果として不幸な目にあつておる。しからばこれを、今日外交上の問題から種々むずかしい点はあるけれども、今後においてどう面すべきかということについては、非常に懸念なきを得ないのであります。ことに先ほどのようなぐあいに、四、五年たつと問題の起るようなぐあいに、われわれは、ほとんど庭石を渡つて歩くようなぐあいに冷害が東北においてあることは経験しておるのでありますが、幸いにしてこの間まではなかつた、それがことしはあるのでありますから、今の観測船によつてオホーツク海方面の氷塊の存在箇所を確かめることのできない今日でも、決して心配がないのかどうか。どういうあんばいにしたらよいか。そこのところを正直に、実情はこの通りでまことに残念だけれども、こうこうだというふうなぐあいに、われわれにお示しをいただければ、われわれとしてこれに対処することを考えなければならぬ。こうこうだからただいまのように函館その他においてこうやつておるから、これで十分だ、観測船の必要はないとは言わなくても、なくとも心配はないのかどうかということを私はお聞きしたいのであります。重ねてお尋ねいたします。
○伊藤参考人 先ほどもちよつとお答え申しておきましたように、ただいまの現状で、海洋の観測につきましても私ども決して十分とは考えておらないわけでございます。できればもう少し広い範囲の海洋の資料もとりたいわけでございます。気象の方も同様でございます。海洋につきましても気象につきましても、もう少し広い範囲の資料がとりたいのでございます。
○足立委員 戸苅先生に参考に一点お伺いしたいのですが、先生は十三号台風による強風害地帯を御視察くださつたそうでございまして、私静岡県でございますが、あの白穂の被害に実は農民はぼう然自失としておるのであります。以前アイオン台風でやはり同様な被害を受けたことがございますが、あの当時の記憶によりますと、おくての稲が風害によりまして白糖がありましたが、いわゆるなかてにつきましては比較的被害が少い。今回は大分様相がかわつておりまして、なかてにつきましても、日を経るに従つてますます悪化するような状態になつておりますが、これは塩分が強かつたのではないかというような説も行われておりますが、先生がみずから現地を御視察になりましたところによつて、これを学理的に御説明願えれば非常に幸いであります。いかがでございましようか。
○戸苅参考人 冷害ではないのですが、静岡の今度の九月二十五日の台風では、お話のようになかてがやられておりますが、これが今までの台風の経験から申しますと、穂が出ましてから一週間以上経過しております場合には、被害が非常に軽かつたのでございますが、今度の、特に静岡でありますが、非常にそういう点が異つております。その理由は、稲の食べますところの玄米が入りますもみでありますが、このもみは茎の方から導管と申します養分の通り道通りまして、養分が稲の玄米の方に移行されまして、そこで蓄積されるということになるのであります、ところが今度の静岡の場合を見ますと、その大事な養分の通路になります穂首から上、稲の穂の部分でありますが、穂の部分のまん中に太い一本の軸がありまして、その軸から枝がわかれる、その枝からまた小さな枝がわかれて、その末端にも実がついておる、こうゆう形になつておりますが、その通路がやられております。その理由は、詳細な研究をむろん欠いておるのでありますが、推察いたしますと、ことしの稲が低温寡照であつたために、穂の軸のところ及びその軸から出ております枝が非常にやわらかくできておる、そこに太平洋から吹いて参ります潮風、これはおそらく瀬戸内とか、あるいは愛知県の三河湾などに比べますと、風自身も強かつただろうと思われますし、また塩の含まれておりますところの分量も多い、こういうことのために、やわらかいところに塩の付着が多かつたと考えられます。
 それからもう一つは、これは気象の方の御意見がいいと思うのでありますが、湿度が非常に低い。六〇%くらいに関係湿度が下つております。そして雨を伴つていない。われわれの方でフエイン現象と申しておりますが、風が山を越しました場合には、含まれておりますところの水分を山の一面に吹かせまして、山を越したところの風は、かわいた風になるのでありますが、地勢の関係は十分検討しておりませんが、ともかく結果としてそういう結果になりまして、塩分の多い太平洋の潮風が来たことと、それから稲のできがやわらかかつたこと、それから今申しましたようにフエインのような現象を生じまして、湿度が低かつたこと、雨が少なかつたこと、こんなようなことのために、結果として稲の穂軸及び穂軸から出ておりますところの枝が破壊されておる。そのためにせつかく葉つぱで同化されましたものが穂の方に移つて行こうといたしましても、それができないような関係から、静岡、特に静岡市付近がひどいのでありますか おくてはもちろんのこと、なかてまで多くやられまして、白穗でないものもその後実のりがとまるというような現象のために、静岡の被害は見かけよりはむしろ大きい、こういうことが想像されるのであります。
 ついででありますが、愛知及び静岡の浜松の沿岸の方では、潮水が直接浸入した一分が多いのでありまして、これは数目のうちに死んでしまう、こういうわけでありまして、これも収量ゼロであります。しかしその部分というのが潮風の吹き込んだ部分に比べますと、その範囲は比較的狭い、こういう関係になります。むしろ浜名湖から愛知県にかけましては堤防決壊、塩水の浸入、土木のあと片ずけは嘱大な勘定となるという惨状であります。静岡の方は収量は低いが、あと始末だけは比較的簡単だ、こういうふうに考えております。
○足立委員 戸苅先生にもう一点伺いますが、今お話の塩水が入りまして枯れたのでありますが、この塩抜きということはなかなかたいへんな仕事だと思います。一体水田の場合に塩分は零点何パーセントくらいまではさしつかえないものでしようか、今後の除塩の対策はどういうふうにしたらよいものでしようか、そういう点について、ひとつお教えを願いたいと思います。
○戸苅参考人 これは専門の方がよいかと思うのでありますが、大体麦は比較的塩分に対しては強いのでありまして、〇・二%以下の塩分でありますれば大体においてさしつかえないのであります。海水の正味の程度は〇・三%以上ございますので、このままではきつい塩分になりますから、除塩をしなければならない、除塩をいたしますのに一番よいのは、真水がありますれば、それを冬の間にもかけ流すことができるような水利の状態でありますれば、最も都合がよいわけであります。その場合に特に石灰を施しますと、塩の中にはにがりになつております硫酸マグネシユームが含まれておりますが、これに石灰を施しますれば、石灰の中のカルシユームと結合をいたしまして、硫酸石灰つまり石膏になりまして、これが水に溶けて流れ出ますから、それで硫酸の方の害を除いてしまうことができます。それから石灰をやりますと物理的に土壌の構造をよくいたしますので、かりに塩分がやや多くても、稲なり麦なりの成育に比較的さしつかえない、こんなふうになります。除塩の方法は農業土木あるいは農芸化学、そういう方面で専門的にそれぞれお考えになると思いますし、また県の農事試験場ですでにいろいろな所から土をとつて参りまして、分析もやつておりますし、除塩の方法及びその対策は、部分々々では直接麦をまきましてその発芽状態を調べる、そういうようなことをやつておりまして、遺憾のないように期しているわけであります。これは大仕掛のことになるので、具体的にまた最も合理的な方法をとらなければなりませんが、原則といたしまして塩分は〇・二%くらいにいたしたい、それには真水が非常に必要であろう、石灰が効果があるだろう、耗転でみぞを掘ることによつて、雨がありますればよく流し出しますし、それから場合によりましては、塩分があまり深く入つていない場合、たいてい三寸くらいしか入つていないはずですが、こういうような場合にはむしろそのままにしておいて、水の分量が豊富でありますれば、どんどん真水をかけ流すだけで除塩ができるのではないか、つまり場合々々によりまして対策は違うのじやないかと考えます。そういう方法を組み合せてやればできると思います。ただ麦は比較的稲よりも強いものですからいいのですが、麦がよくできても来年の夏の田植えのときに塩分が〇・二%以上ありますと、稲の成育が悪く赤くなつて参ります。その場合に、その水を排除して、新しい水を入れてやることが可能でありますればよいのでありますが、それができなければせつかく植えた稲がだめになる、麦の場合にはさしつかえなくても、稲の場合にはまた心配が起るということがありますので、稲のことまで考えて対策を講じなければならないと考えております。
○足立委員 浜さんに一点伺いたいと思いますが、さつきお話の紙被覆陸苗しろと温冷床とはどういうふうに逢いますか。どうも私どもしろとでよくわかりませんが、実はせんだつてもいろいろ御説明を伺い、温冷床の必要性ということはよくわかりましたし、また農業政策として考える場合に、その補助政策も必要であるという先ほどの御意見まつたく同感でありますが、その温冷床の場合の費用等もあわせてわかりやすく御説明願えませんか。
○浜参考人 御説明申し上げます。北海道の温冷床からまず御説明申し上げますが、これは畑地を起しまして普通に整地をいたしまして、その上にいわゆるフレームをつくる――わく板でございますが、そしてその上に油障子をかけるわけでございます。これが温冷床であります。また播種などは、大体普通の播種と同じように、やはりまきまして、その上にもみがら粉炭をやつておるわけでありまして、大体これは似ております。ただ先ほど申し上げましたように底土を練らない。府県の場合は、床土を練つて揚げ床にしておいて、その上に種もみをまいて極上をして行く。あれでなく、大体畑地で陸苗しろ、紙被覆陸苗しろというものは、府県でいうところのいわゆる保温折衷苗しろであります。これはちようど今申し上げました冷床のわくを使わないで、じかに陸苗しろの上に紙をかけておく、こういう方法であります。ですからこれは府県の保温折衷苗しろと大体似ているが、今申し上げました通り底土を練らない、従いまして灌漑の設備もないわけです。純然たる陸苗しろ、そういう方法を用いております。
 それから経費は、大体私の記憶が間違いなければ、温冷床の方は障子代といたしまして坪四百五、六十円だと思います。それから紙の費用が大体七十円くらい、わく材が大体坪一斗二升ぐらいいりますが、これが三百円ぐらいでしようか。
○足立委員 一反歩当りどれぐらいですか。
○浜参考人 ですから坪当りにしますと、八百三、四十円になりましようか。これが本田反当り現在は四坪で奨励しておるわけであります。ですから反当にしますと、八百三、四十円の約四倍、三千三百円ぐらいになります。
○足立委員 本田反当ですか。
○浜参考人 そうです。四坪の苗しろで本田一反歩当りですから、本田一反分の苗しろ費用としてただいま申し上げましたようなことになるわけであります。もう一度念のために申し上げますが、障子が四百四、五十円、それから紙が油も入れてでありますが七十円、わく材といたしまして大体三百円見当、結局坪当り八百三十円ぐらいになりますが、これが反当り四坪で三千三百円になりましようか。本田反当りに必要な苗しろの資材の経費はこういうことになるわけであります。
○足立委員 温冷床という言葉が非常にふしぎな名前なんですが、どういう理由で温冷床というのですか。
○浜参考人 これは当初北海道でこの苗しろで奨励します場合は温床であつたわけです。底土の中に醸数物を入れまして、あの蔬菜式の温床であつたのです。産英式の温床で水稲を育苗します場合には、技術的に非常にめんどうであるというので、醸熱物を中に入れないで陸苗しろそのままです。これは農家の場合に安全であるし、収量の点においても温床にそう劣らない、こういうのであります。従つてこれは純然たる術語で申し上げますれば冷床というのがほんとうなんでしようが、いわゆる術語になりますと、両者総合して温冷床ということで言いならしております。あたたかい冷床というのは変ですが、そういうぐあいで言つております。
○川俣委員 私は浜さんにちよつとお伺いしたいのですが、政府が食糧五年計画、十箇年計画を立てております。その中で耕種改善あるいは土地改良を非常に高く評価いたしまして食糧計画を立てておるわけであります。そういう立場から実はお尋ねするのですが、私北海道の実情はわかりませんが、今度東北をまわりまして、各種耕地改良のために非常に努力を払つておられることにつきましては敬意を表するのですが、どうもあまり研究室にとじ込もり過ぎて、自信があり過ぎて、品種改善の上にさらに考慮しなければならぬ点が相当落ちておるのではないかと思われる点があるのです。学者が非常に良心的に、自信があり過ぎるということは決して悪いことじやないのでしようが、実は欠陥が出て来ておるのではないか。これはもちろん予算の裏づけがないためにそういう結果が出て来るのではないかと思います。ここに青森県の農事試験場の藤坂試験地の水稲育成品種の特性概要というのが出ております。これによりますと、藤坂四号あたりは一番耐病性には広く、いもち病に対してほとんど無である、こういう宣伝が出ております。青森県におきましては、かに成仏がいいようでありますが、穂高県へ参りますと、むしろ藤坂四号、五号の方がいもち病に冒されております。在来あそこにあります愛国系統の陸羽一三二号の方が、実は病気に冒されていない現状を見て来たのです。そうすると学者は、自分のところのつくつたものは宣伝これ努めるけれども、こうした実際に農家に渡つた場合にどういうような変化が来ておるか、あるいはその改善されたものがどの程度に変化しておるかというような研究が、どうも足りないのではないか、あまり自信があり過ぎて、自分の研究所でつくつたものが万全だというような考え方があり過ぎるじやないか、これは予算的な十分な裏づけがないために、つくつた耕種を十分見てまわれないという欠陥があると思います。ことに国立でなく県立になりましたために、県外へ出るようなことが不足になつて来たという結果、こういう点がたびたび現われるじやないかと思いますが、これに対する御見解をひとつお尋ねしたい。
 もう一つ、これは相当に品種改善をされまして、もう十分固定されてからおそらくこれは出されておるものだと思いますけれども、学者が固定したと言つても、実際また地方に移つて参りますと変化が出るのではないか、こう思われる点があるのですけれども、研究場の中における固定が、実際農家が使つた場合にはたして固定しているかどうかという疑問の点も出て来ると思うのです。この点についての御見解を承りたい。
○浜参考人 私から第一の御質問に対してお答え申し上げます。品種につきましては、府県も北海道も同様だと存じますけれども、一つの場で育成された品種が必ずしもよそへ行つていい効果を上げ得ない、期待の効果を上げたいということは、これは実際にあり得るわけなんですけれども、現在われわれの研究事業としてやつておりますことは、大体その品柄をつくるまでの育成系統の地帯、気候を基準としました地帯別で試験を終えておるわけであります。しかしながらよく考えますと、稲の適応性と申しますか、これは気候ばかりではほんとうは不十分なんでありまして、ことに御笠間のように、稲の耐病性ということになりますと、土壌的な関係も相当大きく影響するわけであります。従いまして、現在のような段階における気候というような点について試験をするという以外に、土壌別にもやはり大きく綱を張りて、これを十分検討するという、こういう適応性の研究が必要だというふうに考えます。その点は府県の方でもおやりになつておるかもしれませんが、北海道におきましては、まだそこまでは実は進んでおらないのであります。従いまして、品種の心性といたしましても、その育成上において葉いもちなりあるいは穂首いもちなり、あるいは節いもちなりの検定は一応しておりますが、それを土壌別に一体どうかというところまでは残念ながらやはりこれは経費と人というような関係から、手が伸びておりません。これは将来ともやはり万全を期して行くという上からは、試験研究機関はそこまで綿密に調査いたしまして、そうしてはつきりしたその品種の指導方法、適応性というものを出して、それから農家につくつていただくということになりますれば、ただいまの御質問の杞憂はある程度解消されるのではないかというふうに考えております。
○戸苅参考人 ちよつと今のに関連いたしますが、まことにごもつともな御不審の点だと思いますが、いもち病に関しましては二つございます。二つというのは、一つはいもち病菌と申しておりますけれども、これは一つの種類ではなくて、実に幾つかの系統があります。たの系統が地帯によつて違つておる。北海道のいもち菌、それから内地の青森のいもち菌、福島のいもち菌、これは十分な調査ができておりませんが、とにかく違つたタイプのものがたくさん含まれておるということが事実なんです。それからもう一つ、いもち菌といわれておりますものにこういうふうなタイプのものがあるのです。そのタイプは、常にとは申しませんけれども、非常にかわりやすい面を持つておる。ある一つの系統、AならAという系統といたしましても、それはいつもAという系統を続けるかと申しますと、そうではない。それがほかの形にかわつて参ります。たとえばボルドーなんかをやりますと、今度はボルドーに了して強い首が趣き残つて行くという面がしよつちゆう起つております。それからもう一つ、稲の万自身も固定しておると申しておりますけれども、実は学者は固定しているとは決して思つていない。ただ実用上さしつかえない程度の技術者が出しているのを見ておるのでありまして、実用的な固定でありまして、純粋に固定しているものでは決してないのであります。でありますから、稲の方もたとえばいもち病に対します耐病性というものが、やはり違つた場所へ持つて参りますとかわりますし、また同じ場所でも長くそれが保持されるというのではなくて、かわつて参ります。そういつたような関係で、藤坂で強い藤坂五号が福島において弱かつたというようなことはあり得るわけであります。その問題に関しましては、また別な面から考えなければならないので、いもち菌というのは、ある程度低温のときにも出るけれども、またごく低温になりますと、かえつて出ない。ことし青森県でも藤坂から下北の方にかけましてはいもち病が割合に少いのでありますが、というのは、あまりに低温に過ぎて出なかつたと考えられます。そういうことがありますので、地帯によつて強いという品種がある場所で弱いというようなことは十分あり得るわけであります。
 只それからもう一つは、第二の方の御質問の、純粋に固定したと考えられるものが、実はそうではないのではなかろうかというお話、その通りでございまして、今まで申しましたことによつておわかりのように、実用的に固定しているものを出しているということ、その固定も時代とともにかわつて行く性質を持つているというようなことから、農林何号とかあるいは最近源氏名でつけておりますが、こういう名前で出されておりますものもかわつて参ります。従いまして、ここに試験場では原々種あるいは原種圃あるいは採取圃というようなものを設けまして、できるだけその品種の特性を保持したものを農家の手に渡すように、たとえば六割三年更新とか三年更新とかいうようなことをやつておるわけであります。しかし、この方法も原々種及び原種は一本植えにいたしまして、違つた形のものはただちに除くようにいたしております。最初から一本植えにすればいいのですが、費用の点でそうも参りませんので、収量を上げる関係から普通栽培をとるところが多いようであります。こういう点をもつと強化して参りますれば、今御質問になりましたような点は、ずつと除かれて行くものと考えております。
○川俣委員 そこでちようど改良局長が来ておりますから、今私が質問した、あるいは参考人から答弁がありましたことを参考にいたしまして、今のような試験場の不備な程度におきましては、政府及び農林省が高く評価いたしております、耕種の改善によつて食糧の増産をはかるのだというようなことは、これはから宣伝だということになる。ほんとうに耕種を改善して、食糧増産計画を立てるといたしますれば、今のような趣旨を十分考えて、将来試験場等に対しまして、相当な施策を当てると同時に、経費をかけて行かなければならぬと思うのですが、これに対する見解はどうでありますか。
○塩見説明員 おつしやる通りでありますが、耕種改善による増産は、農民は試験場通りの成績は発揮できないという前提で、その何分の一かを計上してやつておるわけであります。それが試験場に近づくような栽培法を農民の方がとれるとすれば、その増産の程度というものは、もつともつと上り得るわけであります。その点に欠陥があるわけであります。ただいまお話のありました藤坂五号につきましても、戸苅教授からお話がありましたような状況であります。そのほかに藤坂で検定をいたしましても、藤坂五号の中でいもちに割合に強いもの、弱いものが現にわかれつつあります。これにつきましては、これを育成いたしました田中場長が、昨年からこれは単に青森県にだけ伸びる品種ではない、全国的に伸びる品種であるというふうなことになりますと、南に行くに従つて、いもちに対する抵抗性というものは相当問題になるというような見地から、さらにいもちに対する検定をやりながら、あの中からよりいもちに強いものを選抜中であるわけであります。御参考に申し上げておきますが、藤坂五号というのは、藤坂試験地でできましたのが十年、藤坂五号が世に出ましたのが昭和二十四年でございます。初めて出しましたときには、約五十町歩足らずのものをまきつけております。それがその翌年には農家の方で非常に尊重されまして、三千町歩台に上ります。二十六年度には九千町歩に行つております。二十七年度には一万三千町歩、二十八年度、本年度は青森児のみで一万七千町歩という飛躍的な進歩をしておるわけであります。農家がそれだけつくるというふうなそういう品種であるがゆえに、これはもつと大きく伸びる。大きく伸びるならば、青森県だけでは検定は不十分でありますので、各地の方に配付いたしまして、そうして各地からのいもちに対する検定についての疑問等が出ておる。それで田中場長としては、その点についてさらに品種を、藤坂五号の中でいもちに強い品種の選別に今努力中なわけであります。そういうふうな点につきまして、従来の品種の改良普及のやり方というものが、幾らかその効果を減殺されるような形でしか行われていない。私本年就任しまして、その点をもつと強化する必要があるというような意味からいたしまして、品種改良に対して、一つの場所で交配育成をやつて固定してしまつて、固定してしまつたものだけを各地に配布しまして、それでそれが奨励品種としていいか悪いかという点を検定をしてもらつて出すというふうなやり方が、従来のやり方です。また固定する途中において、いもちとかその他に対する特殊な性質についての検定は、別に適当な試験地でやつてはおりますが、もつと総合的な意味での検定は、必ずしもやつておらないわけです。そういうふうな意味からして欠陥はあるわけでございまして、育成途中において交配四代、五代というふうなところのものでも、これは大きく全国的に伸びる可能性があるというふうなものは、ほかの県の試験場なり、その他適当なる試験地において、固定する前に試験をやるというふうな形で来年においては試験予算を要求しておるわけです。
 そのほかにもう一つ、農民の方に持つて参りますときには、農民の方にはいろいろの栽培慣行もありますし、単に気象だけではなくて、土壌の関係なんかが相当大きく関連いたします。場所場所によつて、土壌の条件次第では、窒素の出方その他の関係からして、いもちが相当危険な場所もあります。比較的それが楽な場所もあります。そういうような意味からいたしますと、一県の中でも、過去において三箇所くらいの試験をやつておるような状態であります。予算的には二箇所になつておりますが、二十年ほど前には三箇所くらいだつたと思います。それでは不足しておるので、少くも平均二十箇所ぐらいのものを、稲については試験をしなければならぬ。固定したものに対する試験として、康正決定試験としまして、一県について平均二十箇所くらいを、大蔵省に要求しておるわけであります。大蔵省の方の立場は、そういう仕事になると奨励事業だ、奨励事業なら国がやる必要はないのだ、それは県にやらせればいいのだというふうな見解でありますが、私の方から見ますと、現在の県財政の均衡状態から、ある県においては五箇所ぐらいやる。ある県は二百所ぐらいやる。実際に農民の要望に従つたところまでは、現実には入つておらないわけです。これは私らの方から見ますれば、現在の地方財政の状態にかんがみまして、やはり政府として一県平均二十箇所くらいを、そういう奨励品種として原種決定試験というものはやりたいという考え方で、予算は要求しておるわけです。今般の場合でも、たとえば農林十号のごときは、福島県で奨励品種にして、そのものが浜通りにおいて相当な被害を受けております。これは先ほど戸苅教授が話されたように、出穂、開花、及びそれ以後の登熟についての基本的な試験研究が十分にできておりません。そういう点は、前の九年のときの冷害は、七月中旬からかなり低温になりましたから、出穂前の部分について、かなりな検討は、基礎的にやられておりますが、出穂以後登熟にかけての部分は、必ずしも十分にやつておられません。そのやり方は、出穂以前の部分に比べますと、研究方法としてはむずかしさはあるわけですけれども、可能性はあるわけです。そういうものについては要求はしております。農林十号は山陰で育成されました品位でございます。それで耐冷性というふうな点について、十分な検討を経ないま士にあそこに奨励されたというのが、一体どこから来ているかというと、そういうふうな育成だけでなくて、奨励品種を決定する、あるいはそういう品種に対してのその地方での必要な研究をしてやるという機構において欠けておるわけでありますが、その点について十分な形でやつて参りたい、こう考えておるわけです。品種改良という問題は、やはり農業では非常に重大な問題でございますので、その点は年度当初にそれを根本的に検討し直しまして、それで、そういうふうな予算の仕組みにしておるわけです。ただこれを大蔵省が認めてくれるかどうかということは、来年度予算での問題でございますが、私の方は、ぜひこれを実現させたい。これは冷害があつたわけですから、その意味から言えば、なお強化しなければならぬと思つております。その点については、育種に携わつております各技術者の意見を附きましても、その形態をとつてくれるなら自信を持てる、そういう形態をとられれば、今の耕種改善による増産というのは、もつと上げ得る、こういうことをみな申しております。こういう状態になつております。
 なお、失礼でございますが、先ほど松岡さんからのお話の、気象調査の問題でございます。これにつきましては、先ほど気政令の方からお答えのあつたような状態でございますか、農林省には、改良局の方では、気象学者は、定員もないしおらないわけてございます。面接かなりむずかしいところの海洋学であるとか、気象学とかにおきましては、とつ組みがたいわけでございます。しかしながらこの冷害に対しての問題は、農林省としては大きな要求を持つておるわけです。でき得るならば、機構としましては、稲を播種する前に、長期予報においてわかれば、品種の選択から苗のつくり方から――苗が半作と申されておりますが、実際東北、北海道では、苗は七分作と見てもいいわけです。それを死命を制するような時期において、それがはつきりわかれば、非常に冷害対策としては進むわけです。それができないとしましても、あと移植以後において手がないわけではない。たとえば肥料のやり方であるとか、病虫害防除に対する準備であるとか、水を落すとか、あるいは除草を早めにして、場合によればおそくなれば回数を一回ぐらい切るとか、いろいろな方法は場所々々によつてあるわけです。それに対して、予報でもできればかなりな手は打てるわけです。そういうような意味において、私どもの方は専門的なものは持つておらないわけですけれども、これは二十一日に水路部、海洋気象台、それから水産庁の水温調査の結果がかなりありますから、それらのデータを今まとめてもらつております。それを十分検討した上で、これに対する対策をしたいと考えております。
○川俣委員 今主務局長からるる説明があつたのでありますが、非常にりつぱな御説明ですけれども、要は品種の改良ということになりますと、予算に年々でこぼこがありましたりすると、長年月日を要する品種の改良等については、当事者がかわることにより、あるいは大蔵省の主計官のかわることによりましてでこぼこになりますと、品種の改良ができない。今あなたの御説明の中に、奨励は国がやるべきでなくて、地方がやるべきだというような考え方は、大蔵省がそういう言を発したということになれば重大なことです。なぜかと申しますと、今日のような食糧事情の逼迫した状態においては、奨励の仕方がいい悪いという状態ではありません。何とかして食糧を確保しなければならないという重大なことを、大蔵省の事務官、あるいは主計官あたりがかつてに解釈して、奨励だから国がやるべきでないということになりますと、この責任はどうする、今日の食糧不足の責任を大蔵省の事務官が負えますか、しやつちよこ立ちをしたつて、首を切つたつてできないでしよう。このような……。
○井出委員長 川俣君に御注意申し上げますが、午後もありますから、質問は参考人に限定願いたいと思います。
○川俣委員 参考人がせつかくこれだけおられて、ただこれを開きつぱなしで――改良局長が聞きつぱなしということはないでしようけれども、るる述べられたことについて、やはりこれは責任を持つて予算化しなければならないと思いますから、これは午後さらに局長に伺うことにします。
 次に近藤さんにお尋ねいたしたいのですが、近藤さんは本論から離れて幼齢林の伐採調整資金について、あれはどうも何に使われたかわからぬというお話でしたが、これは事実か伺いたいむだに使われているとすればもつたいないことですから、やめなければならない。あなたは学者ですから、想像だけではなく、基礎があつてのお話だと思いますが、この点について伺いたい。
 それから国有林のあり方について御議論があつたようですが、国有林と採草地の日本の分布状態は十分御承知だと思いますが、採草地及び森林地の均衡はどの程度がよろしいのか、この二点について伺いたい。
○近藤参考人 幼齢林の伐採につきまして私が先ほど申し上げました意味一は、たとえばあれを設けた意味は、つまり伐採を制限する。だから森林業者は困つているだろうという意味であれが設けられたわけでありますが、ところが国家森林計画ということになつております。あの国家計画というものの実質を見ますと、それまであの制度以前に森林組合が施業案をつくつておりました。それを大体積み重ねて、その合計が国家計画になつておるのじやないかという私の観察であります。そうすれば、実はそれまでとあまりかわつておらないのであつて、今までやつておつたのをそのまま国家計画ということにして、名前は国家計画になるから、その事業主は困つているだろう、そこで二十億なら二十億出そう、こういうことはむだじやなかろうか。ことにあれは二十七年あたりでありましたか、申請と伐採を比べますと、伐採を許可する範囲は、たしか毎年成長する範囲ということになつておると思いますが、申請した量は許可してよろしいという範囲よりもむしろ少かつたのじやなかつたかと思うのであります。そういう状態ならばあの制度はいらないじやないか、こういう観察を私は持つておるのであります。
 それから第二の点は、これは私では申し上げかねるのでありまして、採草地と森林地とどういう割合かということは、つまり畜産の状態、それから林業の方から言えば、用材と薪炭林との需要のあり方等からおのずから規定さるべきことでありまして、現状でどうかということになりますと、これは何分畜産がまだそれほど進んでおらないわけでありますから、現状を急にかえるということではないと思いますが、しかし今までよりはもつと畜産をやるのに便利なように、山の利用の仕方を考えることが必要じやなかろうかと思います。あと数字的には申し上げかねますけれども、考え方としてはそういうことではないかと思います。
○川俣委員 今のに続いてちよつとお尋ねしたいのですが、牧野の問題について、今度新庄に来ておりますデンマーク人に言わせますと、日本の牧野は、面積よりも改良が必要である。デンマークにおいてはむしろ非常に気候条件が悪い、地理的条件が悪いにかかわらず、自然を克服して、牧野の改良によつて相当やつている。日本は少し多過ぎて、少しむだに使つているのではないかという議論をされております。特に採草地については、火をつけて焼くようなことになつておつて、何らの改善になつていない。これで行けば、日本を全部牧野にしてもなお予想畜産数量にならないのではないかというような、極端な議論を吐いております。これは参考ですから、これぐらいにしておきますが、前の幼齢林の伐採調整資金については、今日九州の災害及び朝鮮の復興から、木材の需要が非常に高まつて参りましたために、幼齢林の伐採、特にパルプ業者等が相当幼齢林の伐採を企図いたしておるようでありまして、今度も、木材の値上りによるところの相当数量の幼齢林の伐採が行われようとしておるようであります。私はまだ数字をはつきり持つておりませんが、不許可になつておる石数が相当ふえておるようですが、それでもやはりなお出さない方がいいというふうにお考えですか。これはそのまま許可してやつた方がよろしいかどうか。これは不許可になつた場合におもに出さなければならない結果が出て来る。そうすると、許可した方がよろしいのか、あるいは伐採を訂可せずに調整資金を出した方がよろしいか、伐採をそのまま認めて行つた方がよろしいか、この点については、どういうふうにお考えですか。
○近藤参考人 申請の内容を私よく知りませんから、どちらがよろしいかという答えはいたしかねるかと思うのでありますが、やはり森林は国家大計のもとでありますから、ことに国土の荒廃というようなことをもちろん十分に考慮に入れて、それを処理しなければならぬわけであります。ただ許可してよろしいという範囲を越しております場合には、これはそういう意味であの制度が設けられたわけでありますから、私が先ほど申し上げましたように、二十七年の状態ではむしろ足りない状態であつた、そういう状態のもとでの観察であります。ただ先ほどもあの統計に疑問があると私申しましたけれども、あの計算の基礎、つまり許可をする範囲というものが、一体あれでよろしいかどうかということについて、政府はもちろん、国会も御検討いただきたいと思うわけであります。もつと許してもよろしい、もつと切れるはずだ、私の印象から言えばそういうことであります。というのは、先ほどもちよつと申しましたけれども、足りない足りないというのは、里山に近い方、つまり林道とかに相当の費用をかけないで出せるところでしようということであつた、それを国などとしたは、むしろ林道の開発のようなことに金をかけて、それで足りないと言わないでも済むような、そういう施策が必要ではないかというふうに考えます。
○足鹿委員 私は三つほどお尋ねをいたします。
 最初に荒川先生、大後先生どちらでもけつこうでありますが、長期予報の確立の必要なことを非常に御力説になつて、私も同感なんです。またその利用の方法についても、必ずしも徹底をしておらないという御趣旨であつたように思いますが、現在行われている利用方法における欠陥は、どういう点にあるとお考えになるのでありましようか。また長期予報というものを農民が活用しない。それには絶対確実だと断言ししれないという悩みもあるようでありますが、これに対する農民とのつながり、あるいはその農民とあなた方との間にあつて、中間的に第一線で指導している人々との関連性、そういつたようなことについて、現在の機構における欠陥、またその欠陥があれば、具体的にどういう措置を講ずればよろしいか、そういうようなことについて御所見がありましたならば、最初に承りたい。
○荒川参考人 私の考えでは、先ほど申し上げましたように、物理学的なはつきりした基礎を持つた十日以上先の長期予報は、今世界中どこでも出されていない。いろいろ試みはありますけれども、どれもわれわれ気象学者の間で公認されるような、はつきり受容されるような物理学的基礎を持つた長期方法は、今までにないわけであります。それでわれわれの気持といたしましては、学問的な基礎を持つた長期予報の方法を何とかして確立したいものだという、われわれ研究者としては希望でございます。従つて私たちといたしましては、学問的な基礎のないものをしいて押しつけるだけの気魄は持つておりません。ですから、受取られる方も、それだけの気魄を受取らないと思われるのでございますが、そこに相当なギヤツプがあると思います。
○大後参考人 ただいま荒川さんからお話がありましたように、簡単に申し上げますと、長期予報に対して自信がないわけであります。気象台の方としましても、技術者としてのほんとうの自信がないために、非常に積極的にその自信を持つて交渉するというふうな行き方はしていないわけであります。しかし学問的な基礎に立つ自信がなくても、これが百パーセント当るならばよいわけなのですが、現状としては、必ずしも全部が全部当るというわけには行かないわけです。私の気持としては、これの使い方がやはり一番大事だということになると思うのですが、大体私たち技術者の立場としては、今の長期予報の段階でしたならば、これを利用する場合に、それを信じてその通りやつて非常に大きな損害を受けるというような場合には、使つていただきたくない気持を持つておるわけです。それでこれを利用して、もし当らなくとも大して損害はない、しかし当つた場合には非常にそれ以上に有利になるという場合はずいぶんあるわけです。またそういう例はたくさんありますから、そういう場合には、それをどんどん積極的に使つていただきたいと思うわけです。ところが今言いました自信のないものは、そういう面にまでもかえつて奨励しないという面が出て来ておるわけです。たとえば、これを利用すれば非常に利益が上るという面にまでも、自信がないために思い切つて奨励できないというようなきらいも多少あるわけです。そういつた点を、今後はもう少しいろいろ考えてやつて行かなければならないと思いますが、もう一つは長期予想と関連して、長期予想ばかりでなく、もう少し短かい予想、先ほど荒川さんのお話にありましたように、気象台では旬日予想という十日ぐらい先までの予想をやつているのですが、この方ですと、いわゆる長期予想から比べると物理的な基礎も多少あるわけです。もちろん翌日の天気予報というようなものもあるので、割に自信を持つて、長い間発表もずつと続けているわけなんですが、ああいう短期的なものを農業の方に利用する場合にも、どうも現在のところではあまり十分ではないと思うのです。それには科学的な理由もあり、非常にいろいろな理由もあるのですが、その一つはやはり今の長期予想と同じような問題で、日々の天気予報、それから旬日予想というようなものを農業に利用しても、非常に利益が上ることがあるのですけれども、この場合に、今の発表だけでは一体どのくらいまでそれを信じてやればいいかということは、おそらくわからないと思うのです。それでそういうことも考えに入れて、ほんとうに農村の人が使えるような形にしてやるということ、そこまで飛躍するということが非常に大事な問題だろうと思います。農業というのは、いろいろ農業技術も非常に発達して来ていますけれども、その発達して来ている技術は、技術として取上げたときは固定されたものなんですが、現実の農業技術というものは毎日行われているわけなんです。その日その日に行われている農業そのものをうまく導いて行くというか、そういう組織が現在一つもないのではないかと思つているわけです。私の方では終戦以後、現在の天候の経過と、今後の天候の見通しと、それに伴う農業五の注意事項、そういう点を全部考えに入れて、ラジオで放送しています。そういつた行き方もだんだん普及して来ていますけれども、そういつた行き方は日本だけでなく、日本は今あまりよく行つていないと思うのですが、ドイツだとか外国ではかなりよく行つているところがあるわけです。ところが日本でそれをもう少しうまくやろうとしましても、気象の方は気象台の方でやりますが、農業の方まで気象台でやるわけには行かない。それで農業の場合にに農林省の方にお願いしなければならないのですが、そういう日日の動きに対して、日々にそういうことをやるという組織は持つておりません。そのためにそういうものもほんとうにうまく利用し切れないとう感じのところもございます。
○足鹿委員 いろいろとまだ伺いたいのでありますが、また別の機会に伺うことにいたしまして、ありがとうございました。
 次に近藤先生に、先刻日本の農業政策の今後の動向というようなことについて言及をされ、畜産の振興、農具、水利、あわせて土壌というような新たなる農政の施行を御発表になつたわけですが、残念ながら水利の問題については御割愛になつたようであります。私は水利と申しましてもきわめて限定して申し上げたい。それは今度の冷害との関係もあるのです。水の問題で今一番問題になりますのは、冷たい水が田に流れ込むいわゆる冷水の害、いま一つは鉱毒による灌漑水の害、いま一つは、この冷水の問題と関連もあるのですが、発電工事等によつて灌漑用水が長距離区間を、ほとんど太陽の日の目に当らないで、ヒューム管等によつて導水をされる、それによる灌漑地域における甚大な被害というものを、先般私ども北海理に参りまして東川遊水池を見学をしたときに、しみじみ感じた。二十四キロの間に、今商工省がやらんとしておる発電計画がもし実施になる場合には、正確なことは忘れましたが、四キロぐらいしか日の目に会わない、あとは全部導水管である、それによる灌漑地帯二千町歩が越えるように私は記憶しておるのであります。これらの水田に発電計画がさらに大きな影響を及ぼす。またこの水利施設が破壊され、新たに築造される場合におけるいろいろな不便不利は申すまでもありませんが、大体今問題になりますのはそういつたような問題で、基本的な水利問題は今日は別でありますが、そういつたことについて何か御所見がないでありましようか。この冷水問題について、たとえば温水ため池をつくる、あるいは、それに類似した遊水施設をつくると申しましても、これは予算の関係もあり、なかなか農民の資力では成り立たない、あるいは迂回水路をつくれば面積が減つて来る。しかし迂回水路をつくることによつて、先生のおつしやる一つの有畜農業に必要な野草の採取等の利便もありますが、そういつたことは別としまして、何かこの冷水対策に一つの具体的な進歩した対策はあり得ないのかどうか、そういつた水の関係について、もう少し薀蓄を傾けていただきたい。
○近藤参考人 私よりは、戸苅さんの方がきつといいかと思うのでありますが、技術的にこういうのが非常にいいという知識は、何もないのです。私の申しました意味は、とにかく今の冷水にいたしましても、それから鉱毒水にいたしましても、ダムをやるために水が冷たくなるという問題にいたしましても、これはいろいろありましようけれども、結局金をかけなければならぬということだと思うのです。金をかけなければ私はやつぱりだめだと思う。金をかけないで、それをうまく済ますような方法があればけつこうですが、食糧増産をするということならば、それに対して金をかける必要があるだろうということだけを、私は申し上げたかつたわけであります。今の畑灌漑ということが、非常に畑の生産力を高める有効な道であるというようなことが、今のダムの冷水というようなものを処理する場合に、同時に考える必要があるわけであります。それから、畜産の話がさつき出ましたけれども、やはり御意見がありましたように、牧野を、ただ自然の草を刈るというのではなくて、つまり採草地として土地改良をしていい草をとる、場合によつては肥料もやるということをしなければならぬわけでありますから、それにはやはり水を供給するということであるわけですから、やはり技術的にはいろいろくふうがあり、場合々々によつて、いい方法というのは一つじやないと思いますが、結局それは相当な金がかかるということは覚悟しなければならぬ。それを予算がないからしかたがなしというのではなくて、その方を第一に考えることが、国会で審議される場合に、食糧政策としては大切ではないかということを幸し上げたかつたわけであります。
○足鹿委員 最後に戸苅先生に伺いたいのでありますが、今の水の問題について、これは過日の農林委員会でも、鉱毒の問題が切実な問題として相当論議をされました。今私が申しました発電計画に基く低位生産地帯、特に冷害区域における冷水被害の問題等は、相当深刻だろうと思う。その東川の遊水池を見たのですが、なかなか規模も大きいしよくできておると思いましたが、それをつくるまでは電気会社は一応関係する。つくつてからの維持なんていうものは、当初の約束を忘れてしまつて、一つもとり合わないという農民の不満もある。これはもつともなことだと私は思うのであります。今笑つた話でありますが、これはしろうと考えでありますけれども、相手が電気会社ですから、電熱を利用して少し水の温度を上げるように、電気を供給させたらどうかというようなじようだんを飛ばしたのでありますが、この冷水対策というものは、非常に原始的な域を一つも出ていない。何かこれには近代科学なり近代的な技術を取入れて来るならば、これに対してはもう少し処置があるのではないかという印象を、私は持つているわけであります。作物学の方から見た水温の上昇の問題について、特に冷害地帯における水温上昇に対する技術的な考察等について、御所見をこの機会に承りたい。
 それからいま一つ、やはり戸苅先生でありますが、さつきのお話で私どもよくわかつたのでありますが、二化めい虫等については――二化に限りません、めい虫被害については、よい悪いは別として、ホリドールという画期的な薬剤の輸入、内地における生産によつて、完全防除ができるようになつた。そのために大きな犠牲を払つておりますが、少くとも効果はある。しかしいもちに対しては、依然として何十年来の銅製剤を使い、最近セレサン石灰というような新たな薬剤もできましたが、しかしきわめてこれも近代科学の面から見ますと、何か物足りないという感じを持つわけであります。本年の凶作の大きな要素は、もちろん気象の変化による冷害であることは言うまでもございませんが、これに原因する登熟不能、あるいは若干の登熟を見たものに対する穂首いもち、あるいは節いもち、あるいは穂首ずり込みいもちというように、あらゆるいもちの形態が、全国にわたつて頻発している。この被害は見のがすことができない。この程度に食いとめたということも、農民の必死の努力と、指導者の懸命の活動によつて、幸いこの程度で食いとめておつた。これをほつておいたらどういうことになつておつたかわかりません。そういつた点について、農業政策上における植物防疫上の問題であるとか、そういう問題は別の機会に伺うことにいたしまして、私はホリドール的な意向をいもちに対して期待できるのかできないのか。何かそういうような点について御研究の端緒でもあり、御所見がございましたら、外国の事例等でもけつこうでありますが、ひとつお話が聞きたい。
 それからいま一つ、これはとつぴなことで恐縮でありますが、別に他意はありませんから御了解願いたいのですが、最近麦であるとかあるいは豆等に多いのでありますが、ミチユーリン農法なるものが各地に非常に宣伝され、また相当実際化されている。そうして少くとも麦なりその他の作物に対しては、成果をあげていると私どもの友人も育つておりますが、こういつた、民間農法ということはどうかと思いますが、これらと冷害対策、あるいは一般の日本の耕種改善上におけるミチユーリン農法――通俗ヤロビ農法だといつておりますが、これらの点をどういうように評価しておられますか。少くとも現実に農民がこれをやつている。これはりくつではなくて事実なんです。効果のないことはやらない。私どもはしろうとでありますから、どこがいいのか悪いのかということは軽々に判断もつきません。わずかな時間で先生のこれに対する御批判等は承りたくないのでありますが、これについて率直なる御所見を伺いたい。またこれは直接冷害地帯における水稲の耕種改善に取入れるべき要素があるかないかの問題でありますが、少くとも二毛作のきく寒冷地帯に対して、ヤロビ農法の裏作に貢献するところは相当あるのではないかという説を聞くのであります。そういつた点について、戸苅先生のこれに対する御所見を第三点として承りたい。以上であります。
○戸苅参考人 第一の冷水の問題でありますが、冷水の研究というようなものは比較的少くて、大体外国あたりでは、そういう無理して稲をつくらないというわけでありますから、日本のようなこういう冷水あるいは冷害を受けるような地帯で稲作を行うというようなことがないわけでありまして、こういう意味で世界的にもそういう研究が少いのであります。はなはだ材料が少くて残念でありますが、大体摂氏の二十三度から二十八度くらいの間の水温でありますと、摂氏の一度水温が上昇することに一割増収する、逆に申しますれば、二十八度から二十三度まで下るに従つて、一度下れば一割ずつ減収しておる、こういう状態であります。従つてこの水温を高めるということは、稲の増収の方から考えますと大切な問題であります。もつとも研究が全然ないわけではありませんで、たとえば二十五度それから三十度、三十二度とか、いろいろな温度で試験をしたのは、たとえば大原農業研究所の近藤万太郎先生、それから私の前の前の教授でありました吉川博士などによりまして行われておりますけれども、それらはいずれも植付の初めから終りまで一定の三十度あるいは三十八度、二十五度というような温度で終始いたしておりまして、自然状態の月とともに温度がかわつて行くことを考慮に入れていないということがありますので、部分部分を説明するにはよろしいのでありますが、稲の成育、従つて収量ということを目標にいたしますと、不備なものしか考えられないのであります。自然状態で水温と収量との関係は、大体今申しましたように真夏のころの水温、これが二十三度から二十八度の間でありますと、一度によつて一割ずつ増収あるいは減収、こういうふうになることであります。それから二十度以下になりますと成育は非常に悪くて、穂は出にくいか、あるいは出ても冷害を受ける、こういうふうになつてしまうのであります。実際問題といたしましては、浅く灌水いたしまして、太陽熱によるところの熱の捕獲量を多くする、従つて水温を上げる、あるいは植付を並木植えと申しまして、うね間の方を広げまして株間の方を詰めて、太陽光線を十分に吸収させるといつたようなこと、それから迂回水路を設けまして、たんぼに灌漑されるまでにできるだけ太陽熱を吸収するようにする方法、その場合にあぜ道に背の低い草ならいいですが、背の高い草をはやしてしまいますと、水路が陰になつては何にもならないのでありますからしてあぜはできるだけ太陽光線が入りますように掃除しなければならないのであります。それから一つのたんぼに水が入りますと、水口のところは温度が低くて、水じりに行くに従つて温度が高まるのは言うまでもないのであります。従つて成育を均一にして、どれもこれも助けようというわけで、一つのたんぼの中へ取入れます冷や水の取入品の場所を変更する、こういうような方法で、稲株としては全体を通じて比較的高く水温を与えたような結果にする、こういつたようなことが農業技術の形としてとられておるのであります。
 最近ダムなんかができまして、その水をたんぼの方へ引く、先ほどお話のようなことで冷水温ということが問題になつておりますが、このためには温水ため池をつくろうというようなことがありますが、温水ため池も水の温度が高いのは表面でありまして、下の方へ行きますと低くなりがちでありますので、できるだけ取入口を上の方から取るというようなことも考えられております。それから発電でありますので、電熱はかなり豊富だから、何かこれを水温上昇に使つてはというようなことは、私どもといたしましても考えられることでありまして、何かそんなふうに使いたい。元鹿児島高等学校の教授の荒本さんがおやりになりました太陽熱利用のふろをわかすというようなこと、あんなようなことも若干長い水路について考えられはしないか、またそうよういつたようなところに電力がだんだん豊富に出て参りますれば、それを使つて水温を一度でも上昇さすというようなことも、実際に研究しかつやるべきことだと思うのでありますが、現在こういうようなことが技術として成り立つているわけでないのであります。はなはだ不十分でありますが、とにかく冷水は一度上昇しますと一割増収するいうようなことから、水温は高めて行くというような方向に持つて行かなければならない。従来今まで申しましたようないろいろな方法がとられておりますけれども、もつと効果の高い方法も考えて行かなければならない。またその可能性も研究してみる必要があると考えております。
 第二のいもち病に対する問題でありますが、お話の通り、長い間ボルドーでありました。つい最近になりましてセレサン石灰が出るようになりまして、これはボルドー液に比べますと、その効果ははるかに高いものであります。めい虫に対しまするホリドールというような画期的なものがこの病原菌に対して出るかどうかということはたいへん問題でありまして、どうもそういう意味での見通しは立ちかねるのであります。ただこのいもち病菌は、菌の胞子が稲の葉つばにつきまして、その表面から中に侵入いたして、稲の葉つぱは御承知の細胞と申しますものからでき上つておりますが、その細胞を一つずつ襲撃して拡大して行く病菌であります。この病菌に対しましては、その侵入の一番初めになります場所をふさぐ。これはいもち病菌が葉つぱの上で発芽いたしますと、足を伸ばしまして稲の葉つばなり穂首なりに食い込んで参りますところの場所を探します。その場所は稲の葉つぱのうちで機動細胞と申す部分でありまして、それは旱魃になつたようなときに稲の葉つぱをきりきりと巻いてしまう、つまり水分調節をやる部分でありますが、その部分から侵入いたします。幸いなことにその部分は根から吸収されました珪酸が沈澱しやすい場所でありまして、その機動細胞に、珪酸というのはガラスですが、このガラスが沈澱いたしますと、いもち病菌はそこから足を伸ばして侵入することかできない。ガラスのよろいを着たようなかつこうになるわけであります。その珪酸を最も多く含んでおりますのは稲わら初め禾本科の植物でありまして、これを堆肥としてやればいもち病に対する効果が強いというのは、そういうところに原因があるわけであります。こういつたようなことが言われますと、いろいろなガラスを取扱つております商社あたりが、こういつた珪酸はどうかというようなことですぐに売り出そうとしたりいたしますが、そういうものは非常にアルカリ性が強いために、稲には効果がないのであります。このアルカリ性を硫酸で中和してやらなければならないのでありまして、すぐには水ガラスのようなものは用いるわけに行かないのでありますが、ともかく禾本科を主体にします堆肥からの珪酸は非常に有効でありまして、いねのいもち病の防除には非常に役に立つ、こういう面が一つあります。
 もう一つは、このいもち菌が侵入いたしますと一つの細胞を食うのでありますが、その細胞はたちまち自分の身を滅ぼしてしまつて、つまり犠牲になつて、いもち菌が穂に繁殖して行くのを防ぐという性質を持つている稲があります。細胞の一番重要な部分は原形質というのでありますが、この原形質を破壊していもち病が侵入して来ますと、自分で自殺してしまつて、もうほかへやらない。言い忘れましたが、いもち病菌は活物寄生といつて死んだ葉つぱにはつかない。生きている葉つぱだけにつく菌でありますので、死んでしまうとそれにはつくわけには行かない。そのいもち菌も心中してしまうことになるわけであります。そういう性質を稲は持つているのでありまして、前者のガラスよろいを着ることによつて効果が高いのは日本の稲であります。それから細胞自身が自殺いたしましていもち菌の蔓延を防いでしまいますのは、インド、ジャワあたりの外国の稲であります。外国の稲のそういう意味の耐病性を日本の稲につけ加えて行くということが、いもち菌に対しますところの最もいい方法と考えられまして、これは数年前から姫路にあります中国農事試験場では、すでにこれを実施しております。またそのほかの試験場も徐々にこれを行いつあります。そういつた方面でいもち病の防除をして行く、出ないようにして行くという考え方が、のろいようでも結局一番早いのではないか、こう考えます。ホリドールのようなものが出てくれますとたいへんいいと思いますけれども、珪酸法をやるといつた栽培の面から、あるいは今申しましたような意味での品種改良の面から、いもち病に処して行くのが一番いいのじやないかと思います。
 それから第三のミチユーリン農法でありますが、これは「ヤロビの谷間」というような本も出ておりますが、これはもともと、たとえば冬作物の麦なんかでありますと、ある低温に、つまり冬の寒い温度に遭遇しないと穂ができない、こういう性質を持つておりますものが大部分であります。これが普通の秋まき、日本で秋にまきますところの麦はそういう性質を持つております。それから北海道の一部及び滿州でつくられております春まき麦というのはそういう必要がない。低温に遭遇しなくても葉ができ、穂ができ、実ができる、こういうものであります。従つてロシヤのような寒いところでは秋まき性の麦、秋にまきますところの麦を春まく必要が起つて来るのであります。従つて、秋まくべき麦を春まいては穂が出ませんから、これは冬の厳寒を経過すると同じように、まく前に低温で、たとえば摂氏の零度ないし五度ぐらいの温度に二週間とか三週間置きまして、そうして人工的に冬を経過させれば、それを春まきましても今度は穂が出てくれる。そういうところで実用的な効果を持つて行くものでございます。そうしまして、たとえば北海道の寒い所で、秋まきの麦しかない、これを春まかなければならないという場合には、チユーリン農法と申します低温に遭遇させるということをやりますれば、大きな効果を期待することができるのであります。ところが内地の大部分は秋麦をまくのでありますから、冬の寒さを経過しなければならないということを人工的にやる必要はないわけなんであります。従つて学問的には非常におもしろいものでありますが、実用上は、増収という見地からはさほど大きな意味はない、こういうふうに考えます。ただ人工的に前もつて低温に遭遇いたしますと、それだけ麦の進み方が違うのであります。つまり普通にまきます場合、処理をしないでまきますのに比べますと、一枚でも三枚でも葉つぱがもう進んでおるから、結局早まきをしたと同じような効果を持つという意味で、非常にうまく合理的に使いますれば、二毛作の問題に若干関係して来るところが部分的にはあるのではないかということが想像されますけれども、その二、三日というようなことは、もつとほかの面で考える方が一般的でありますので、まだこれを二毛作問題に結びつけようというような試みはないように考えております。稲につきましても同様でありまして、稲の方は低温の処理ではなくて、高温の処理であります。温水の処理でありますが、これをいたしまして増収しようというのが長野県あたりでことし言われております。これは直接私は調べておりませんが、調べに行つた人々の報告を承りますと、ともかく現在のところミチユーリンあるいはヤロビを使つたために稲が減収していることはない。増収というようなことも見られないけれども、減収と見受けるようなことは一つもない。それで増収というようなことが言われているのは、おそらくヤロビあるいは、チユーリン農法ということを使うことによつて――ミチユーリンとかヤロビとかいうことは、要するに温度で処理するということなんですが、温度で処理したということに付随して、これはヤロビ農法をやるんだ、チユーリン農法をやるんだというようなところから、肥料のやり方、管理の仕方全般が、ヤロビあるいは、チユーリンという名前に引きずられて、普通にやります場合よりも的確に、合理的に行われている。こういうために効果が多いのだろう。そういう面で増収しているということが実際ではなかろうか、こんなふうに考えております。それで要点を申しますと、ミチユーリンの方は低温あるいは高温によつて出穂を可能ならしめるようなことが必要である地帯には利用することができるけれども、実際日本においてはそういう場面は非常に少いと考えてよろしいのではないか。従つて実用的には現在のところそう大きい効果をもたらしていない。これが行われて増収しているというのは、それに伴うほかの管理がいいためだろう。現在のところ幸いにヤロビの稲作は減収ということはないようでありますから、その点は非常にありがたいと思つております。
 それから三毛作の問題でありますが、このヤロビを使うことも一つの方法ですが、それがやはり東北地方の単作地帯の二毛作というようなことが言われておりますが、それは品種とか栽培とか全般的に解決して行かなければならない。品種改良の技術者は晩植用の品種をつくればいい、そういうふうに考えておりますけれども、それではいけない。やはり植付時期を多少でも早くするために機械か、畜力を導入いたしまして、そうして麦と稲のかち合う時期の労働をできるだけ平均化し、あるいは少くして行くといつたような面、それから稲及び麦の成育を助長するために、泥炭地あたりの排水の問題、また排水がよくなれば上から暖かい水が入つて来ますから、温度も上昇する。こういつた農作業の問題や品種の問題や栽培の問題、あるいは肥料なんかも、東北地方の稲作は大体基肥にやるのが普通でありますが、これなんか基肥にやつてしまつたんでもうとりもどすことができないというような肥料のやり方も、大いに研究して行かなければいけない。そういう全般を通じて二毛作の問題はやるべきであつて、これは、チユーリンあるいはヤロビだけで部分的にもやろうとするのは本筋でない、こんなふうに考えます。
○平野(三)委員 本日は参考人の方々からきわめて有益なる御意見を拝承いたし、まことにありがとうございました。先ほど委員長のお話にもありましたように、今年度の冷害が国民生活に及ぼす深刻なる影響にかんがみまして、国会としては、特に本農林常任委員会としては、休会中にも委員会を開きまして、この問題に対処いたしておるわけでありまするが、冷害は近くまた起る可能性があり、特に災害は連続するというような傾向がありまして、すでに明年度における対策も立てておかなければならない、こういうときに当つておるわけであります。今までの日本の農業政策が、いささか多収穫方式に偏しておるというような点から考えましても、この際農業政策の転換をはかるということも必要でありまして、こういう点において非常な参考になりましたことを厚く御礼を申し上げる次第でございます。
 ただ一言、御意見を承つてこういうことを申し上げるのは失礼かと存じますけれども、毛ほど近藤先生の御意見の中に、幼齢林に対する採伐調整資金の財政支出はむだであるというようなお言葉があつたようでございましたが、これはまことに聞き逃しがたいことでございますので、一言だけ申し上げておきたいと存じます。これは森林法の改正によつて、当然政治上の道義として起つておる問題でありまして、これは単に私ども自由党だけの意見ではなく森林法は全会一致をもつて成立をしておりますから、国会の意思であり、また国会としても伐採調整資金の必要を慰めておるのであります。近藤先生の御意見の中に、森林組合が委託管理しておつたものが国の形にかわつたから、それだけの理由で伐採調整資金を出すというようなことは無意味であるというようなお話がありましたが、森林組合の委託時代においては、伐採を制限するという規定は全然なかつたわけであります。森林法の改正によつて初めてそうした強制力を生じたために起つて来た問題でございまするから、この点はひとつよくお考えいただきたいと思います。少くともお言葉の中に、二十七年度の伐採調整資金に対する需要額が減少しておるというようなお話がありましたことも、そういう事実は全然ないわけであつて、これは林業統計を調べますならば、明らかになりますけれども、伐採調整資金に対する需要はますます増加しておるのでありまして、この点は学者の御意見として承つておくだけで、論争する意思はございませんけれども、十分この点は林業統計などをさらにお調べいただきたいということを申し上げる次第であります。
 きようはたいへん長時間にわたり恐縮であります。まことにありがとうございました。
○井出委員長 以上をもつて午前中の会議を終ることにいたします。参考人各位におかれましては、長時間にわたりその蘊蓄を傾けられ、かつ質問に対しても懇切なお答えをいただきまして、当面の冷害凶作対策に資するところきわめて多大であつたと信じます。ここに委員一同を代表して厚くお礼申し上げます。
 暫時休憩いたします。
    午後二時十一分休憩
     ――――◇―――――
    午後三時二十四分開議
○井出委員長 休憩前に引続き会議を開きます。
 この際お諮りいたします。農業災害補償制度に関する小委員綱島正興君より小委員を辞任いたしたいとの申出があります。これを許可するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○井出委員長 御異議なしと認めます。つきましては、その補欠の選任をする必要がありますが、これは委員長において指名するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○井出委員長 御異議なしと認めます。それでは平野三郎君を小委員に指名いたしました。
    ―――――――――――――
○井出委員長 冷害凶作対策に関しまして、議事を進めます。
 まず順序といたしまして、先般の本委員会において、九月十五日現在の本年産米の作況について当局の説明を求めましたが、その後の十三号台風等の被害等をも取入れた最近の作況についてこの際説明を求めます。安田統計調査部長。
○安田説明員 それでは私から大臣にかわりまして最近の米の、あらためて調査をいたしました結果について御報告を申し上げます。
 今回の調査は、かねてこの農林委員会からもその意味をお問いただしになりまして、お答えを申し上げてありますような意味におきまする十月五日現在の作柄の状況でございます。これは前本委員会におきまして、九月三十日現在において全国調査をあらためてやるように、作柄も相当変化しているようであるからということの金子委員からの御要請に応じましていたしましたるものでございますが、そのときの御要請に応じまして、私どもの調査機構の下部に調査を実施いたさせますと、十月五日が適当だと判断いたしましてそういたしました。その結果をまず先に申し上げますと、調査は各都道府県別及び全国の収穫高について調査をいたしておるわけでありますが、これを九月十五日現在の、以前御報告申し上げました作況との比較において、まず作況指数として申し上げますと、水稲では、過般九月十五日現在で全国において八九%を示しておりましたものが、六%下りまして八三%と相なりまして、相当の減収見込みでございます。陸稲におきましては、九月十五日現在において九六%を示しておりました作況は、十月五日現在におきまして、これまた六%収穫低下の見込みでございまして、指数に表わしますと九〇%というわけでございます。御配付を申し上げました全国、北海道以下の各地底の本年度の作況指数は、その表にあります通りでございます。これを県別の指数に表わしますと、次の表のようでございますが、水稲において作柄低下が最も顕著なる所は、関東地方を第一とし、東海地方を第二といたしまして、北陸地方第三、東山地方を第四、また言い忘れましたが、第一と同じくらい下りました所が近畿においてもございます。陸稲におきまして、作柄低下がその後の約二十日同において示されましたものは、東北地方において一七%、次は近畿、東海、関東というような順序でございます。申し上げるまでもなく北海道、東北におきましては、冷害の進行あるいはいもち、特に穂首いもちの進行がひどいということによりますし、東海、近畿、その他中国、四国におきましては、いろいろの被害がございまして、第十三号台風を中心にいたしまして、塩水、淡水、塩風等の被害によるものもございますし、いもち等もございます。九州においては、ほぼ水稲において作柄を維持しておりますが、一方好調を示す反面、めい虫等の被害は相当増加をいたしております。陸稲におきましては、主として大勢を占めるのは、主産地の関東と南九州でありますが、関東においては、水稲のいもちに合せまして低温障害、九州においては、水稲において作柄を維持あるいは一部においては良好を示しております反面、旱魃の被害が出ておる次第であります。これを石数で申し上げますと、水稲においては全国におきまして五千三百万八千八百石、陸稲におきまして百四十万六千四百七十石でございまして、水陸合計では五千四百四十一万五千二百七十石でございます。
 まずその結論から申しますと、この数字は、水稲におきましては、九月十五日現在の前調査に比しまして三百五十六万八千百石の減でございまして、平年比といたしましては約一千五十九万石の減を示し、前年かなりの豊作を示しました作柄に比しましては、約一千百五十万石の減少でございます。前年は実収高において比較をいたしました。陸稲におきましては、九月十五日現在の当時の成育状況の調査に比しましては十万三千五百十石の減少でございまして、平年比といたしましては約十六万八千石、昨年の実収高に比しましては約二十四万石の減でございまして、水陸合計におきましては、九月十五日現在比においては三百六十七万一千六百十石の減少を見込まれる次第でございますが、昨年比といたしましては約一千七十六万石、昨年実収高比においては約一千百七十四万石の大幅な減少を来しました。
 これを最近における大冷害の年といわれます昭和九年に比較いたしますと、おもに冷害の進行、穂首いもちの最近における進行に、突如として起りました第十三号台風の影響が非常に多くございまして、その基礎には前会以前に御説明しましたような低温、寡照、多雨の条件、あるいはその前の各地における水害、豪雨、風害というようなものをかえまして、昭和九年比におきましては、昭和二十年の終戦の年、統計がほとんど乱れてあらためて統計機構をつくらなければならないというような時期の年を除きますと、昭和元年以降においては、生産の減少の著しきことにおいては昭和九年の次でございまして、昭和九年に比ベて二百二十一万六千九百六十石の減が見込まれる次第でございます。次の冷害の年に比べますとそれは昭和十六年であろうと思いますが、水稲だけで九十一万一千八百七十石の増、こういう見込みであるわけであります。
 もし時間がございましたらおもなる点だけの御説明を追加いたしたいと思いますが、いかがでございましようか。
○井出委員長 どうぞ。
○安田説明員 それでは委員長の御指示に従いまして、要点についてその数字を御説明申し上げます。
 本年の作況についての経過でございますが、九月十五日以後について当委員会ですでに御報告申し上げました以外のことを申し上げることにいたしたいと思います。十月五日現在の作況についての特徴を申し上げますと、特に冷害が顕著になりましたこと、穂首いもちの進行が相当進みましたこと、第十三号台風の風水件などによる作況の全国的な著しい低下等があるのでありますが、これらのために被害地方が拡大いたしますのと、かつて被害地方であつた地域においても被害程度の進行が著しく現われましたことと、比較的作柄がよいままに推移しておりました地方、旨いかえますれば箱根を越えたような西日本の地方で、水害地を除いたような場合、特に西南地方におきまする場合がそうでありますが、その比較的作柄がよいままに推移した地方が著しく減少を示したことでございます。
 まず十三号台風の被害について申し上げますと、九月二十五日に来襲いたしましたこの台風は、進路に当つておりました東海三県を初めといたしまして、近畿、中国、四国、北陸、東山のほか、関東、東北地方にも及びまして、ほとんど影響がなかつた地方は北海道その他一、二の県等にすぎないのであります。これを形態別に被害状況を申し上げますと、総被害面積約五十八万八千町歩、浸水、冠水、倒伏、特に風害、潮風上、流失埋没、各種の形態を示しまして、その減収量は大約百九十一万五千石以上と見積られるのであります。
 次に十三号台風の被害地域について申し上げますと、被害面積のひどかつた所は、東海、近畿、四国、福井を中心にした北陸、関東その他でありまして、北海道においても若干あるほどであります。減収量の地区別にひどかつた所は、東海三県、近畿、北陸、四国、関東、中国のような順序でございます。
 冷害につきましては、本年の冷害は、この前も御説明いたしましたように、昭和九年当時のような場合と違いまして、主として八月下旬以降の低温障害と寡照によるものでありますので、中晩稲の開花受精障害、登熟障害が意外に――意外というよりは異常に重い被害の深さを持つておるようでございます。なお本年は成育初期の低温、寡照、多雨によりまして、一般に成育が遅れておりましたことと、各府県で、北日本においても晩稲の作付面積が非常にふえておりましたことなどによりまして、影響が大きく思われました。従いまして晩生種が特に影響が大きいと患われます。この場合低温、寡照、多雨もございましたので、この冷害を与えました低温はいもち病の併発を見ることが多くありました。また関東付近さらには十三号台風の関係県は、潮風害等の影響が低温障害といもちと混来しまして、非常に大きい被害を現わしたことによる作柄の大変化と思うのであります。
 なお今後の点につきましては、気温の関係といたしましては、いつ霜がおりるかなどということにおいて、充実、登熟が停止いたしますので、非常に影響が大でありますが、一部ではございますが、十月十五日には北海道、青森、岩手、福島の一部に霜がおりたことがございます。
 穂首いもちの点につきましても影響は大でございますが、成育初期に葉いもちが相当広範囲に出ましたものは、農薬の施用等特段の努力がせられまして、かなり押えられておりましたが、北日本の冷害地帯は八月下旬以降の低温、寡照、多雨によりまして、この作柄の終りの方におきまして、穂首いもちの広範囲な発生が見られました。また北日本冷害地以外、すなわち日本のまん中あたりにおきましても、九月下旬以降穂首いもちの発生と拡大が見られます。
 二化めい虫につきましては、一化期の被害がひどかつたのでありますが、これの防除の努力は相当あつたと思いますが、それを越えまして、最近に至り西日本、特に九州、中国、四国の方面において二化期の発生が現われて、なお進行いたしております。一部には非常に珍しい、また影響深刻な三化めい虫も宮崎県などには発生をいたしております。そのおもなる被害の面積また減収里、その程度などにつきましては、御配付の表にございますように、ブロック別に計上いたしました。ごらんを願いたいと思います。
 陸稲につきましても、先ほど申し上げましたような状況で、その作況の大勢をきめる関東と北九州が同様であるわけでございます。あとなお御質問がございましたら、あまりこれで時間をとるのもいかがかと思いますので、お答えを申し上げるようにいたしまして、これでとどめたいと思いますが、農林省の例年定期的な全国一斉調査としましては、九月十五日に次いで十月十五日現在調査をすることになつておりましたが、今回は間に当委員会の金子委員の重ねての御要望と委員会の決議に従いまして、新たに十月十五日現在調査に準ずる全国一斉の調査をいたしたものでございまして、作況調査圃における調査ばかりでなしに、全県におきまする作物調査方式によります標本室の稔雲粒数、その稔不稔の粒数の割合、その玄米の歩合、上米になるかくず米になるかの歩合を、極力実測地におきまして調べまして、被害調査におきましては、これは見まわり調査において一応全部の調査をする建前のもとに、各階層別をわけまして、そうしてその階層、甚多中小怪の階層ごとにまた標本を調べまして、全国的に各県にわたつて、一部まだ定期調査、十月中旬において行うべき実測の調査ができませんような晩稲などにおきましては、特にそのうちのものを適宜段落で選びまして、そうしてあるいは皮をむくとか、光線を当てて稔実度合いを調べるなど、そういたしました調査でございます。
○井出委員長 これより質疑を行います。質疑は通告順にこれを許します。
 なお本日は五時半程度をもつて一応打切りたいと考えておりまして、来週本委員会を、後刻理事会にお諮りして開く予定でありますから、残りました質疑はその際に譲つていただきたいと考えます。本日は農林省は大臣以下首脳者ほとんど全員来ておられますし、大蔵省よりは原主計局次長が見えております。最初に足立篤郎君。――おられませんから吉川久衛君。
○吉川(久)委員 大蔵省がお見えになつたことはよほどの御勉強で、珍しいことである。先ほど事務局からぜひ出ていただくようにお願いいたしましたところが、急に職員が新聞記者になりかわりまして、お断りをされたというようなこともございまして、何かこの委員会を非常に軽視されているのではないかということを、私も実はいささか憤慨をいたしていたのでございますか、たまたま次長がおいでくださいましたので、他の同僚議員から相当お尋ねをしたいことがあるようでございますから、私の質疑はできるだけ、時間もございませんから簡潔にいたしたいと思います。
 ただいま農林省の統計調査部長から、十月五日現在の作況の御報告がありましたが、私は相当広範囲にわたつて見て参りましたけれども、地区によつてどうしても納得のできないものがございます。まだこれはどの程度まで信用していいかということについては、私は相当疑問がございます。それからもう一つ、ことしのような凶作型の年には、これは豊作のときと全然逆でございまして、豊作のときには、見たよりも刈つてその量の多いのに驚き、あるいはこいて驚き、ひいて驚くというのでありますが、本年はもう食い継ぎのないところに参りますと、早出し供出なんかしないで、食い継ぎに使つておりますが、そこに行つて見て参りますと、見た目よりも、はなはだしく刈つてその量の少いのに驚き、こいて驚き、ひいて驚き、食つて栄養のないのに驚くとさえいわれております。そういうことでございますから、次回の作況調査にあたつては、ひとつ十分慎重にお考えおきを願いたい、おとりはからいを願いたいということを、私は警告申し上げて、前会の農林省の冷害対策要綱について、数点ただしておきたいと思います。
 はなはだ農林大臣に申訳ございませんが、前会私のお伺いいたしましたこのいもちに対しては、三割以上の被害のあつたもので、六〇%まで保険金を交付するということになつておりますが、これは単なる病ではなくて冷害であるから、当然一〇〇%交付するものである、こういうように大臣はおつしやいました。この点は非常に多くの農民が心配をいたしている問題でありますから、私は大臣の去る二日のお答えは、まことにその通りで、時宜を得たものと考えますが、なおこの点について、この席でもう一ぺん明らかにお答えおきを願いたいと思います。
○保利国務大臣 それはそういうふうに今日も考え、また今後も取扱つて行く考えであります。
○吉川(久)委員 次に営農資金の問題でございますけれども、この要綱によりますと、営農資金の融通を確保するために、利子補給及び損失補償の措置を講ずるとございますが、私が各地を歩きまして感じたことは、凍霜害その他の問題に関連をいたしまして、この利子補給やあるいは損失補償を市町村までに分担をさせるということになりますと、費用町村はしり込みをいたします。そのために借りなければならない金が借りられないということになりまして、非常に営農に影響を及ぼしますので、この点については御遺漏はないと思いますけれども、それについてどういうようにお考えになつておりますか。
 それからついでにもう一つ、融資の問題に関連をいたしまして、農手の利用できないところの農家がございます。こういうものに対して、農手の借りかえ資金のような金融でなくて、自作農の維持資金の、あの制度をもつと合法的なものにして、そして適切な融資の措置を講ずるということについて、何かお考えはないかとお尋ねいたしきたら、渡部官房長は、いろいろとその問題についてはただいま検討中であるということでございましたが、その御検討の結果をお答え願いたいと思います。長野県に農業信用基金制度というものができておりますが、貧弱な一県でできておりますところのこの制度では、一農家に対してわずか一万円というような、貧弱な融資の制度でございまして、これはどうしても国がこのような制度を持つか、さもなければ、国がこの各県の制度をバツク・アップするような、そういうお考えを持たれるかどうか、そういう点についてまずお答えを願います。
○渡部説明員 ただいまの第一点の、営農資金に対する利子補給及び損失補償の地方団体の負担の分でありますが、これは今までの凍霜害及び二号台風並びに西日本の風水害に対する営農資金に関する法律によりまして、政府と地方公共団体が半分ずつ負担する、こういう原則になつております。そのうち地方公共団体の負担する部分については、一部市町村で負担することということにしておるのであります。この負担の割合は県に一任しておりますので、お話のような市町村で負担の困難な分は、当然府県でお持ち願えることと、私の方では了承しておるのであります。
○平川説明員 自作農創設維持の資金を、災害農家に対して融資をして活用するということにつきましては、私どもといたしましてもその必要性は感じているわけでございます。ただ何分にも災害対策としてはまつたく新しい方法になりますので、なおいま少し検討の時間を与えていただきたいと思います。
○吉川(久)委員 ただいまの平川局長のお答えでございますと、このきわめて零細な農家に対するところの金融措置というものが、他の現在まであるところの、すなわち従来の制度でもつてしては不十分というよりは、ほとんど不可能な状態なんです。こういうものを見ないと食糧の増産確保というよりも、もつと社会問題として重大な問題が起るのではないかということを、私は憂慮いたしておりますので、こういう点について大臣はどういうようにお考えでございますか。農林中金等を煩わしてまわされるところの資金というものは、こういう零細農家に対してはほとんど今まで考えてもらつたこともないし、将来もおそらく期待できないように思うのでございますが、こういうものに対して、何か大臣御所見がありましたら……。
○保利国務大臣 この間から吉川さんの御意見もありましたから、そういう方向でできないか、とにかく事務当局で少し研究を急いでやつてもらいたいということでやつている結果が、今の話の通りであります。いろいろの考え方はあるだろうと思いますが、どれもなかなか壁にぶつかりまして、結論が出て来てない状態であります。
○吉川(久)委員 ここは壁にぶつかるような問題でないのです。やろうと思えばできるのです。これはもう大臣ができないというのならわれわれがやらなければなりませんが、そうむずかしい問題ではないわけです。それよりも第一、今のこの制度というものはインチキきわまる制度なんです。これはもう厳格にいえば違憲行為でございますよ。ですからこれをすみやかに合法的な制度にするということは、決して壁にぶつかるような問題でないと思う。やらなければならない問題であるということを深く御認識くださいまして、ひとつできるだけすみやかにこの冷害に間に合うように考えていただきたいと思います。
 それから次に私は、冷害対策の要綱の項を追うてもう三点ばかり伺いますが、等外米についての問題でございます。これについてはどういうような具体的なお考え方を持つておりますか、まずそれが一点。それから供出を促進させませんと非常にめんどうな問題が起ると思うのでございます。私は各地を調査をして歩いているうちに痛感をいたしました問題は、今のような政府の手ぬるいやり方では、ほとんど私は供米は行われないのではないかという心配をいたします。一つは、もつとすみやかに精麦の手配などをして、そうして供米を促進するような、保有米を割出して供出をさせるような、そういうことについての具体的な手を打つてあるのか、どうなのか、それが一点。それからもう一つ、これまた歩いていて聞かされたことでございますが、政府は何か通牒を出しまして、完遂奨励金八百円をあとで支払うのだというようなお考えのようでございますが、農家の諸君は、あとで支払うなどということは、これはわれわれ農民を偽るのであつて、基本米価に繰入れられなければならないものを、政府あるいは与党の諸君が、これは党の面子等もあつて、二重価格制度になつては困るということから、ああいう完遂奨励金というまことに奇妙な制度をとつたのであるけれども、その本質は、あくまでも完遂のための奨励金であるということになつていたのであつて、基本米価と区別のないものであると考えていたのに、小笠原大蔵大臣が参議院において、完遂した村の完遂した農家というようなことをおつしやつたことが新聞で報道されまして、農民はこれはあとまわしにされるところを見ると、なるほどわれわれをごまかすのだというようにとりまして、それじやわれわれも今度は政府にだまされない、供出はひとつ拒否しよう。そうして一箇村全体で義務供出割当の数量の額が出て来ない場合には一人も供出をしなくてもよろしいのだ、村全体をまとめて保有米以上のものがあつた場合に初めてその分量だけ供出ができるのだ、われわれはあくまでも村単位で行くのだ、個人個人はいくら余裕があつても、村を総合しての計算でやつて、個人としては供出を拒否すべきであるというような運動がある地方には起つております。こういうことになつて参りますと、これも政府の期待するような食糧の確保ということは絶対にできません。これは先日私は非公式に食糧庁長官に伺いましたら、知事会議のときの知事の答申に基くものであるとおつしやいましたけれども、私は知事諸君と見解を異にいたします。この点について、これは基本米価に織り込むものではないとおつしやるなら、それでもけつこうでございますが、われわれはそうは解しないのでありますから、これを同時に支払つて――先に支払わなくてもよろしい。今行き詰まつたところの農家の諸君は、先の百よりも今の五十ですよ。この昔の人のことわざのように、目先のものにもうつかみかかろうとしておりますから、この点をひとつよくお考えくださいまして、知事諸君の答申か何か知りませんけれども、政府で出された通牒は撤回されて、そうして同時に支払うような措置をとられるかどうか。私はこれはとつていただきたいと思いますが、この点について大臣はどういうようにお考えでございますか。
○保利国務大臣 私も先日東北地方数県を歩きまして、供出の事情等も視察をして参つたのでございますが、ただいまお話の、収量の少い際にも、農家としては経済の上から行きましても、収量が少くても保有米の中からでも供出をして経済を立てて行くという考えは、強く起つて来る。これは当然の必要から起きて来るわけであります。そこでただいまお話の、そういう農家に、あるいはむしろ勧奨的に、奨励的に精麦を特別の価格で払下げてそういう農家に対して政府も協力して行くという処置をいたしておつたわけでございますが、案外その処置が徹底してないうらみを、実は私も感じました。一応私どものとつております処置は、そういう農家に対して、精麦の特別価格は御承知のように二十キロ八百円ということでお渡しておる。これは実際現地の県庁の話を聞き、あるいは農家のお話をじかに聞いてみますと、大体納得を得られておる。これは少し徹底を欠いておるきらいがあるのじやないか、さらにただちに徹底をいたしますように、あるいは相当大部のポスター等を用意するというようなことで徹底をいたして、農家の御協力もいただいて参りたい、こういうふうに考えておるわけであります。
 それから完遂奨励金のことは、これは性格論はちよつとおきまして、結論を申し上げますれば、私どもといたしましては、供出をしていただく方につきましては必ずお支払いをいたします。但しその支払い時期につきましては、吉川さんの御意見のように、完遂を確保するための完遂奨励金であるから、従つて供出の第一線に立つて責任を持つておられる県知事あるいは、農業委員会等の裁量に、ある程度まかさなければならぬ、そういう考えでおるわけでございます。これは県知事あるいは農業委員の方々と御相談をいたしましたときに、どうしてもそれがよかろうという結論でそういうことをいたしておるわけで、決して私ども一方的にいたしておるわけでもないので、そういうふうに御了解をお願いいたします。
○前谷説明員 吉川さんにお答え申し上げます。等外米の件でございますが、等外米につきましては、御承知のように昨年度におきましては、政府の供出の関係におきまして四等米を買つておつたわけでございますが、今年度は五等米につきましても供出数量の中に入れておるわけでございます。さらに等外米につきましては、これを上下にわけまして、等外米の上につきましては、これを超過供出のわく内に入れるということで政府は買上げて参りたい、かように考えております。従いまして等外米の歩どまりの差によりまして、これを決定いたして参るわけでございまして、目下早急に規格をきめましてこれを告示いたしたい。ただ大体そういう規格の見当がついておりますので、府県に対しましては、こういう規格でもつて等外米を買い上げるということを御通知申し上げております。
○吉川(久)委員 今大臣のお答えで、私は安心をいたしましたが、どうも不徹底なところを申し上げますと、今大臣のおつしやつた通り、政府のお考えが徹底しないために、どんどん部落有林、村有林を切つて、そうして二十キロ裸百円ぐらいの麦を買い込んでおります。これはできるだけ供出に協力しようというまことにまことのある農民諸君だと私は思うのです。山が濫伐されないようにするためにも、せつかくそういうお考えがあるならば、もう少し私は徹底をさしていただきたいと思います。それから完遂奨励金の問題も、これは県におまかせになつているのだつたら、通牒なんかわざわざ出さぬでもいい。大臣はおそらくこの通牒の穂継ぎに決済の判を押されなかつたんじやないかと思う。これは次官限りで御処理なさつたのでしよう。だから大臣のお考えとそこに少し齟齬があるのでございますから、これは通牒訂正の通牒をお出しになつて、そしてこれは県にまかせる、うまくやれということをひとつおつしやつていただきたい。
 それから食糧庁長官のお答えにございましたが、格外の上は、ひとつ供出を盛んにするためにもわくの中に入れていただく、下はわくの外にする、こういうおとりはからいになさつた方が、今後食糧確保に非常に好都合になつて、あなた方のおやりになる需給の上にたいへん好都合になろうと思いますので、これは私希望を申し上げておきます。それからもしなんでしたら、そういうことができるかどうかということも、お答えを願えればけつこうであります。
 それから次に、この間金子委員がお尋ねをいたして、資料もできたら報告してくれ、提出してくれということを申しておりました。次の食糧確保の問題に関連をいたして、大麦と裸麦を、日本でフルに耕地を利用するならば、一体どのくらいの増産ができるか、作付がどのくらいの面積できるかというようなことを、ひとつ資料として提供されたいという要望をされてあるのでございますが、そういう資料はまだ私たちの手元に参つておりませんが、今この際、その点を明らかにしていただきたいと思います。
 それから麦の増産について、私が国民運動を起す御意思はないかと言つたら、これは吉川君の方がよく知つているから、ひとつ教えてくれたらやると大臣はおつしやいましたが、これはすみやかに臨時国会を開くということで、私はその使命の大半は過ぎると思いますから、その点を御配慮願いたい。
 それから種子の対策について、これは具体的にどういうようになつておりますのか、しかも種もみの価格はどの程度になつおりますか、その点をひとつお答え願いたい。
○前谷説明員 お答え申し上げますが、等外米につきましては、われわれ先ほど申し上げましたように、超過供出につきまして、等外米の上をこれに繰入れるというふうに考えておりまするのは、御承知のように、各県との御相談におきましては、一応義務供出としてはこれをお願いする、しかも超過供出といたしまして、この程度のものはぜひひとつ確保するようにおはらかいを願いたい、こういうふうに実務供出と同時に、超過供出のある程度の数量もお願いしておるわけであります。従いまして超過供出を促進する意味におきまして、等外米の上をこれに入れて参りたい、かように考えているわけでございます。なお供出奨励金につきましては、われわれ通牒いたしましたが、大臣のお考えとはまつたく同様でございまして、ただ各県の知事さんの御意見によりまして、支払い時期につきましては、大体市町村の完遂の協会には支払います。その他の場合におきましては、知事さんの申出によりましてその期間をおきめいたしましよう、こういう趣旨で御通牒を申し上げておるのでありまして、大臣のお考えと何ら違いはないことを御了承願いたいと思います。
 それから種もみ価格につきましては、御承知のように三十七キロ半につきまして千八百五十円ということにいたしておるわけでございまして、一般のもみ供出より一七%上げて行くということにいたしております。さらにまたこれは供出のわく内にいたしまして、各種の奨励金がつくことに本年特別の処置をいたしたわけでございます。
○吉川(久)委員 ただいまの長官のお答えの程度では、種もみの確保は非常に困難でございますので、これは他の同僚委員から重ねて、もつとつつ込んだお尋ねがあろうと思いますが、この点は十分ひとつ、もつと深いお考えを願いたいと思います。種子の確保はきわめて重要な問題だと思います。
 最後に私の伺つておきたいことは、積寒法によりますところの土地改良の問題でございます。この土地改良の区域の問題が、いつも問題になるのでございますが、その面積が二十町歩以上ということになつております。農林省は農林委員会等の意見をくんで、五町歩以上の小団地でもできるようにしたいという御希望だそうでございますけれども、大蔵省が二十町歩以上でなければ相ならぬ。それで主計官を呼んでその理由はとお尋ねをしたら、あまり小さいものが方々にたくさんできると、目が行き届かないということでございました。そこでわれわれの同僚議員が、それじや青森県にあつたあの不正事件はどうしたんだと言いましたら、あれは面積が広過ぎて目が行き届かなかつた、こういうお返事でございました。そういつたような具体的な問題等もございますが、この際はそういうことでなくて、もつと食糧をいかにして確保するかというそういう問題と、それから非常に被害をこうむつて、生活に窮しておるところの農民を救済するという意味においても、これは少くとも五町歩ぐらいの小団地をも認めるということでなければ、食糧の確保は絶対にできないと思います。町村長の会同あるいは府県知事の会同においては、三町歩ということを強調いたしておりますけれども、私はかねてからの主張でございますので、どうも三町歩と言いたいのでございますが、私の主張を急に曲げるわけに参りませんから、そのかわり私は一歩も譲ることはできないこの五町歩説を、大蔵省はどう考えるか、農林大臣はどのようにお考えになりますか。それから前谷長官あるいは官房長は、先ほどの私の麦についての質問に対して御答弁がありませんから、これもひとつ明確にお答えをお願いしたい。
○渡部説明員 麦の増産の可能性につきましては、ただ単に面積だけの問題でありませんで、そのほかの諸条件を検討する必要がありますので、目下資料を作成中であります。もうしばらくお待ちを願いたいと思います。
○原説明員 小団地の土地改良の問題は、強い御要望でありますので、十分研究いたして参りたいと思います。ただこの際申し上げておきたいのは、事柄が中央の財政と地方の財政との間で――農事に限りません。いろいろな問題につきまして、どこで線を引いて参るかということにつきまして、われわれ広くいろいろな場合に同様な問題にぶつかりまして、頭を悩ましておるわけであります。概して申しまして、小さいものをなるべく国でやつてほしい、やりましようという方向に来ておりますけれども、これは財源というような見地から、おのづから限度がございますので、その点で全般的に問題があるということでございます。それらを考え合せまして、十分研究して参りたいと思います。
○吉川(久)委員 私は質疑を打切るつもりでいたのでございますが、実は大蔵省の原次長のお言葉でございますが、今初めてそういうことを聞いて、それはきわめて重要な事項であるから、十分これから研究をしたいというように私には聞えるのでございます。頭のいい大蔵省ぶりを発揮しないで、事務的でなくて、もつと人間味のあるお答えを願いたいと思うのです。これは今始まつた問題ではないのです。もうすでに積寒法ができるときからの問題でございます。あなたは幾たびかお聞き及びのはずなんです。これから研究するということでなくて、これはどうしてもやらなければならぬと思いますから、やるようにどうするのだというあなたの御決心を、ここで披瀝してもらいたいと思います。
○原説明員 なかなか決心を簡単に披瀝いたせませんのは、残念でございます。私は九月一日に主計局次長を拝命いたしましたので、勉強が足りませんで、申し上げ方があるいはそつけない申し上げ方だつたかもしれませんが、その点はひとつお許し願いたいと思います。
○金子委員 関連して……。今官房長は、日本の食糧の基本問題として、いかに輸入食糧を防ぐかという観点から行くならば、今即座に食生活の改善はできない、そして人造米というような邪道にまで入らなければならぬときに、昔から食つている大麦、裸麦をもう少し転用して、輸入するなら小麦にまつた方が国家的ではないか。これは政府も考えているところだ。だからこそ、この間急遽これをやれと言つたにもかかわらず、きのう改良局長に言つたら、改良局長は知らぬ顔をしている。何でそんなふまじめなことをやるのですか。きのう改良局長に私は話したら、麦の転作の問題は、単に畑の面積だけによらず、農民の作付の関係、あるいは土質の酸性に対する対抗性というようなことがあつて、一朝一夕にはそう簡単には解決できないというようなことを言うけれども、そんなことはぼくらのような百姓の方がよく知つている。そんなことよりも、問題は政治なんです。いつ麦をまくか。いつまで考えたらわかるのか。一月、二月考えたら、麦はもうまいてしまいます。だから麦をまく前に、農民の意識の上に、価格政策なり、あるいは助成策なり、何らかの形において、来年は麦まきには大麦を多くした方が得だということを、農民諸君に知らせることが、私は政治だと思う。これに間に合わなければ、来年の三月ごろになつて、大麦、裸の増産をしようと考えても間に合いません。だからそんな学者ぶつたことを言つていないで、大ざつぱにでもいいから、一つの方向を持つことが、この際大切だと思う。そういうことによつて、来年十二月にとれる米と、来年七月、八月にとれる米に準ずる食糧を、早くとるということが大切だからこそ、この間要求した。物好きに言つたわけではない。その点はふまじめですよ。その点に対して大臣は、ぜひあなたは責任をもつて、小麦は買つたらいい、大麦、裸は飲用麦をふやしたいということは、あなたもこの前ちよつとおつしやつたことがあるのでありますが、これに対して、この委員会が開かれている間に、政府の意図をはつきりしていただきたい。お願いいたします。
○保利国務大臣 私は大麦、裸につきましては、もう全然同感でございます。それはまた農林省全体の考えもそこにあるわけでございまして、先般の麦の価格決定にあたりましても、大麦、裸を優遇する価格措置をとつておりますのも、そこにあるわけでございます。今年の凶作に対応いたしまして、食糧の上に貢献して参りますのも、そこは一番大きい手だと思つておるわけでございます。すみやかに増産対策を立てまして、これはもうとにかく目に見えてまきつけなければならぬわけでございます。手落ちのないように、一応計画を立てまして、御批判をいただくようにいたさせたいと思います。そう御了承を願いたいと思います。(吉川(久)委員「大臣、立つたついでに五町歩の答弁を願います。」と呼ぶ)
 先ほどの吉川さんの小団地の土地改良の問題でありますが、私も今回まわりました地方で、異口同音に要請せられますのは、この小団地の土地改良であります。今回の凶作は、むろん平坦地帯も相当広大な面積がいかれておりますけれども、やはり一番被害の度合いの高い所は、山間部でございます。としますれば、どうしてもそこに土地改廃をしようとすれば、二十町歩以下の小団地を取上げなければ、あれの適用にはならぬということは、実際だと思うのです。そこでただ当面の凶作対策として、小団地の扱いをどうするかということは、今研究をいたしておりますけれども、私は、やはり凶作対策の手段としては、まず農家飯米を確保するということが第一。第二は、やはりしかるべき手段を講じて現金収入の道を、とにかくこれはせつぱ詰まつて目の前でやらなければならぬじやないか。小団地の問題は、むろん急速に研究を進めてもらわなければならぬと思つておりますが、山間部地帯でありますだけに――むろん一概には言えないと思いますけれども、国有林の利用できる所は、これはできるだけ国有林を利用することによつて、現金収入の道をはかつて行く。手取り早いところで行く。かたがた小団地の問題は、小団地の問題で進めて行く。適地適応でやつて行かなければいかぬじやないか。その必要は、これは認めざるを得ないわけであります。
○吉川(久)委員 どうも大臣おかしいですよ。山間部の被害が非常にひどかつた、そういう所は山を利用して行つたらいいじやないか、こうおつしやるのです。そうかと思うと、やはりそういう小団地が必要であるということを、東北各地を歩いて痛切に感じたとおつしやるのでしよう。私は山の利用もさることながら、これはぜひやらなければならないと思いますけれども、山をやたらに切るということよりも、もつと土地を改良して、冷害にかからないように、増産のできるような措置をして、しかもその工事をやることが救農事業になるというのでしよう。そうすれば、大蔵省はこれに金をつぎ込んでも、これはやがて帰つて来るのですよ。大蔵省でつぎ込んだ金はどぶに捨てるのじやない。損してしまうのじやない。だからむだ金ではない。生きて帰つて来るのです。それを考えたならば、一挙両得なんです。この際これをなぜできないのか。私は職を賭してもやりますよと、私が農林大臣だつたらそう言いますよ。大臣どうですか。
○保利国務大臣 それはそういう必要を認めておりますから、そういうことで研究をいたさせておりますというのは、財政当局と交渉いたしておるわけでございますから、もう少し時間を貸していただきたいと思います。そうやつて今日までも土地改良というものにはずいぶんつぎ込んで来ておるのであります。私がこの間東北の方を見まして、目につきましたことを率直に申し上げますと、あるいはお叱りを受けるかもしれませんけれども、そういう苦しい中から財政投資をして土地改良をする、それに応じていわゆる耕作技術といいますか、技術指導よりの改良の面というものが、ほとんど伴つていないということは、これはあるいは極端かもしれませんけれども、たとえば知がずつとまわつて目につきましたのは、通し苗しろというのが依然としてほとんど大部の苗しろの部分を占めておる。これが今度の冷害でも、保温折衷苗しろは相当の威力を発揮しておる。それは漸年にそれが及んでおるわけでございましよう。ところがやはりこれはいろいろ理由はあるのだろうと思いますが、目につきますのは、伝統的な昔ながらの苗立てをしておる。そして一年中田を遊ばしておる。もし保温折衷等の技術改良が相伴つておりますならば、その村の、あるいは農家の経済上に対するプラスは、非常なものではないかということを私は感じたわけでございますから、土地改良に力を入れて行きますれば、あわせて技術改良というものがどうしてもマッチしなければ、せつかく金をかけてもあまり大したことはないということになつておるのを見たのであります。今度はそういうところは十分注意して行くつもりであります。
○松岡委員 関連して御質問します。大臣は先般東北を親しくごらんになつたから、この点は特に認識を新たにしただろうと私は思う。まだ大蔵省ではわからない。そもそも積寒法が出たという第一条の目的はどこにあつたか。土地改良は食糧増産が目的なんだ。あるいは遅れたる地方、貧困なる地方、寒冷地等によつて非常に困つた所に、初めて積寒法を用いようとした第一条の目的はどこにあるか。第一条の目的からいつたならば、今回の冷害地が特に山間部に多いということは大臣が申されたる通り、事実ごらんになつた通りである。その山間部において二十町歩あるいは五町歩これはできる。さらにもつと小団地において三町歩にせんければならぬことは当然だ。これはすなわち参議院、衆議院一団となつた積寒議員連盟が、先般新たに決議して政府に申し入れたところである。また積寒法の審議委員会においてもこれを認めておる。知事会議あるいは団体の会議においてもこれを要請しておるのでありますけれども積寒審議委員会においても三町歩というものを決定しておる。こういうぐあいになつてこそ初めて積寒法の第一条の目的を達する。いずれの日にか遅れた地方が水平線上に出るか、政府の力がなければ、いずれの日にかできるのか、雪害問題の起つたのもこれである。積寒法の起つたのもこれである。今回の冷害においてさらにこれを実証しておる。しかるにこの二十町歩だ、あるいは五町歩だというよりも、ほんとうに冷害というものを克服せしめるという上から見たならば、三町歩の山間部も、はなはだ遅れたるあわれなる地方こそが、ほんとうに政府が見てやるのが至当だろうと私は思うのである。私は大臣が先般私とともによくごらんになつたから、この点は必ず御認識なされたものと思う。ただわからないのは大蔵省だろうと思うから、大蔵省からぜひともひとつ、重要な人があの実際を目認しなければ、私はこの認識を新たにすることはできなかろうと思う。金を出すのを渋るのは当然である。私は与党の議員でこれだけのことを言うのはよくよくです。大臣は先般ごらんになつたから認識はできたことと思いますが、あるいは大蔵省の主計局の方がおいでになつているといいますから、今の五町歩ではいけない、三町歩によつて初めて山間部の者が助かるという点を、とくと認識をいただくとともに、大臣に向つてはこの点に十分の御考慮をいただいて、あえて御返答を求めばいたしません。これだけを要請して関連質問を終ります。
○川俣委員 低位生産性のいわゆる山間部の小団地の土地改良の問題ですが、この山間部の低位生産性というのは二つの意味があると思うのです。一つは平坦地と比べて年々の収量が少いということ。もう一つは、五年なり十年なりの月日から見て、比較的冷害その他の気候条件によつて凶作がときどき来るところから来るところの低位生産地と二つあると思う。こういう所の土地改良が遅れておりますることは、これは政策の貧困からだということになると思いますが、私はそういう議論は今いたしません。大蔵省がいつでも問題にしておりまするのは、経済効果がどの程度現われるかどうかによつて補助をするのだという建前を、今までとつておられるようであります。ところが低位生産性の所ほど効果が多いのです。これはお認めになると思うのですが、どうでしようか。
○原説明員 そういうお話でございます。
○川俣委員 そういうお話だということになつておりますが、今まで大蔵省が出し渋つておつたのはどういうことですか。あなたは最近拝命されたといたしましても、前からとつております政策については御承知のはずです。それを知らずにその職につかれるはずはないと思う。おそらく引継ぎも行われておるでありましよう。今までの伝統も御承知の上で、おそらくその職に当つておられると思う。過去がどうであろうと知らずにその職にあるということは、許されないことだと思う。私は過去がどういうことであろうとも、その職につかれた以上過去の歴史を十分御承知になつておられると思う。過去において小規模な所について補助を出されなかつたが、一体どういう理由で出されなかつたか、その理由がはつきりしなくてもあなたは承知するのか、これから研究するといつても答弁になりませんよ。研究にならぬと思う。どういうわけで出されなかつたか。まで話を聞いてわかつたら出されるのかどうか、これは財政規模は別ですよ。出されるという意思があるのかどうか、問題は財政規模にあるのか、その方針がいいのか悪いのか、この点を田らかにしてもらいたい。
○原説明員 小団地の改良、それからただいまお話のありましたような事業、いずれもけつこうな必要な事業だと考えております。ただ国の財政の財源、それに対しまして財政需要というものは御存じの通りに非常に多い。そうしてこまかい事業までやつてもらいたい。やりたいという気持はありますけれども、そこまで踏み込んでやつて行くという段になりますと、やはりその財源を、たとえばどこから持つて行かなければいけないか、そうすると端的に申しますと、中央地方の財源配分というようなところまで問題になつて参ります。そういうような見地から、私どもといたしましては、率直に申しますれば、最近における補助その他の出資があまりに細分化されて、重点的に徹してないというふうな気持のところが多数出て参りますので、かなりに深い問題として考えなくちやいけないというふうに考えておる次第でございますので、ひとつ御了察を願いたいと思います。
○川俣委員 どうも財政出資が細分化されることによつて財政規模が乱れる、こういうふうにも聞えますし、またその補助が細分化されることによつてどの程度効果が上つているのかどうかということがはつきりつかみ得ない、こういうふうにも聞えますが、もしも後段であるといたしまするならば、これは大蔵省のあえて監督を要しない点です。五町歩とか三町歩とかいうものになりますと、自分のつくつておる周辺でありますから、これは大蔵省よりもむしろつくつておる農民の監督の方が厳重です。大蔵省の旅費を持つて行く監督よりも、むしろ地元において自分の付近の土地改良事業がもしもまずく行きますならば、その損害は国の損害以上に農民の損害となつて現われて来るために、小規模であればあるほど、これは農民にとりましては、もつと監督しなければならない性質のものとなつて現われて来る。非常に大規模なことになりますと、大きな請負師がこれを計画いたしますために、なかなか農民のこれに対する監督が行き届かないのでありますけれども、五町歩とか三町歩とかいうものになりますと、自分のつくつておる田を中心として隣り近所の土地改良事業でありますから、これはおそらくなかなかやかましいだろうということが想像せられる。従いまして、こういう点が監督が行き届かぬから、あるいは予算が細分化されるからと言いますけれども、細分化されて悪いということは、経済効果が上らないから悪いということになるだろうと思う。むしろ大蔵省がそういう態度でおりますために、あえてわざわざ細分化するような法律ができております。積寒法あるいは湿田単作地帯、いろいろな土地改良事業がわざわざ法律によつて出て来るということは、大蔵省の態度があいまいでありますから、法律によつて強制して行かなければならないという結果になつておる。好まないような細分化が法律によつて現に出て来ている。むしろ積極的にこういう問題を解決されることによつて、細分化されない方向に行くのであろうと思う。この点についてどうですか。
○原説明員 小さい事業にまで補助を出してほしいというお話がいろいろ出て参ります。いずれ出せれば出したいという気持はあるのでありますが、総体の財源におきまして、国がそこまで見るまで行かないということと、それからこまかいために地方的にやつていただきたいというような気持になり、その辺の線の引き方がかわつて参りますときは、同時に財源の配分関係もかえていただきませんと、ごらんの通り率直に申しまして、今回の補正予算にしましても、どうまとめ得るかというので、事務的にも非常に苦慮いたしておるわけなんで、そういう点をひとつ御了察いただきたいと申したわけでございます。
○川俣委員 予算が細分化されることによつてだんだん補助総額がふえて行くから、こういうような御心配である。それでありますから、そういう御心配をなさるならば、今日のような冷害の起ることの方を先に御心配になることが必要じやないかと思う。それで五千四百万石がとれないという事態になつて参りましたために、この損害は実に大きいのです。手を打つべきところに小さな金を投じておきますれば、大きな災害なりあるいは小害なんか起きないでしまう。この大災害を起すというようなことについては、これは自然的なものだ。小さな土地改良は、これは大蔵省のにらみによつて命を出したりあるいは出さなかつたりできる。大蔵省の手の届くところはそんな小さなところだけですよ。わずか山間部の農民を押えるくらいのところまでの能力はあるかもしれないが、大さな災害は抑え得ないと思います。これは抑え得ないのじやなくて、大蔵省の金の出し万がけちなために、大蔵省に対する天罰ですよ。やり方が悪いために天罰が来たのだ。そのために臨時国会を召集して、大きな懲罰を大蔵省に加えなければならない結果になつて来るのだ。こんなことでわざわざ臨時国会を開く必要はない。大蔵省のやり方が悪いために、どうしても臨時国会を召集して、大蔵省に懲罰を加えなければならぬような事態が起きた。私はそう思う。これは天罰だと考えて御考慮願わなければならぬと思う。私の質問はあとに護ります。
○井出委員長 足鹿覧君。
○足鹿委員 私は今足元に火のついておる緊急な問題から逐次お尋ねを申し上げたいと思います。
 まず最初に供出の状況について、先般の米価審議会におきまして満場一致の答申をもちまして、数項の附帯決議をつけまして、その附帯決議のある部分は採用されておりますが、必ずしも満足すべき状態ではありません。特に当面の緊急な問題としまして早場米の問題でありますが、これは昨日も非公開の委員会で同僚の芳賀委員からも御質疑があつたのでありますが、時間の関係上具体的な核心に何ら触れることができなかつたので、あらためてきようお伺いいたします。大臣は現在の早場米の供出状況にかんがみて、この期限を延長し、場合によつてはその奨励金額の大幅引上げを考えるということも言つておられますが、現在の状況にかんがみてどのようにお考えになつておりますか。
 なお食糧庁長官に昨年の十月五日と十月十五日現在の同期における早場米の供出数量、その対比の資料を口頭でもけつこうでありますから、この際御免表を願います。
○保利国務大臣 この早場奨励金の問題は、私の考えとしましては、その時期を、何といつても作が遅れているたけは十分延長いたしたつもりでございます。これは現地に参りましても、自分としては一応これでよかつたという感じを打つておるわけであります。問題は、今場合によれば延ばし、あるいは増大するというようなことをどういうところで申し上げたか、もしそうでありますれば、私の感じでは、とにかく早場奨励金が絵に描いたもちであつてはいかぬ。これはもう実際それが供出に非常に協力をいただく農家に均霑して行くようにならなければならぬ。それにはどうしても自然的条件が伴つておらなければならぬし、自然的条件が非常に悪い、たとえばちようど供出の時期に、雨ばかり降つて調製もできないというような天候がずつと続くようであれば、考えなければいかぬかなという感じは確かに持つておりました。早場地帯の天候は、伺いましたところ、九月中以後ずつと非常にいいように私は聞いて参つております。事実出ておりますところは、相当大きく出ておるわけでございますから、現在のところ私としては、期間の再延長とかあるいは奨励金をさらにどうするというような、手直しをする考えは持つておりません。
○前谷説明員 本年の現在までの供出状況につきましては、ただいまお手刀にお配りいたしました表にございますように、全国といたしまして二百七万二千石となつておるわけでございます。これはその別の欄にございまするように、十月の十六日あるいは十四日こいう数字がございまするのは、これは末端から十五日現在までのものの支払い証票が上つて参つたものを集計しに日付でございまして、この日付から勘案いたしますると、地方によりますると、まだ最終日でありまする十月十五日現在のものが、この中に含まれておらない場合も予想されるわけでございます。これの総額といたしましての二百七万石につきましては、当初私たちといたしましては、本年の早場米につきましては、作況等も考えまして、そうして総体といたしまして千七百二十五万石程度のものを予想いたしたわけでございまして、その際におきまする第一期の予想は百二十五万石程度と予想いたしておつたわけでございます。幸いただいまお手元にお配りいたしましたように、この予想数量を突破して、二百万石に達しておるわけでございますが、昨年同期にいたしますると、昨年は大体第一期といたしましては、御承知のように十月五日でございますが、この場合におきましては二百七十万石ということになつておるわけでございます。
○足鹿委員 政府が内輪に予想されたものとほぼ近いということはけつこうでありますが、ただ問題は、やはり本年の凶作対策の一環として、川口の延長並びに金額の増額ということが、これは米価審議会においても、あれだけもめた金員会でも、この附帯決議の伺題に関する限りはまつたく一秒を要しなかつたのです。みんなの意見が完全に一致しておつたのであります。それはやはりその背景として、本年の実質の農家の所得を有利にしてあげたいという意図があり、また大臣自身もその審議会の席上において、まだはつきりは言えないが、状況によつてそのこともあり得るということを言つておつたわけなんであります。大体言いますと一期の千三百円というものがすでに一昨日で期日が切れてしまつている。できればこの委員会が十五日に開かれたならば、きわめて機宜を得た論議もできたことであろうと思います。がこれを遡及して行くということも実際的に見て困難だろうと思いますが、今後の考え方として、今のところはまだ考えておらぬということでありますが、大体二期について期限をもつと調整し、のるいは金額についても研究する御用意はないのでしようか。これは天候がいいから大体順調な供出を示している、こういう大臣の御答弁ではござい致すが、しかしそれは早く金が得たいからなんです。農家としてはこれはもう今年は全部とつてみたところで少いし、一日でも急げ急げという気持でそりなつているのでありまして、それを見て順調である、政府が予想しておつたものに近いからその必要ないということは、これは凶作対策の一環という一つの重大な御認識の点について、少し欠くるところがありはしないか、そういう印象も受けるのであります。これは私案でありますけれども、現在の一期がどうにもならないとするならば――私は不満でありますが、どうにもならないとするならば、二期の期限を三期まで下げる。三川の期限を四期まで繰下げるというようなことは、今からでもでき得ます。三期の期限が二十五日でしたか三十日でしたか、もうわずかしかありません。いずれにいたしましても、そういつた点でただいまから農民の切実な要望にこたえるように、御研究になる御意思はないのでありましようか。今のところはそういうお気持のようでありますが、これをひとつ研究してみようというお気持にはおなりになれないのでありますか、その点ひとつ御親切にお答えを願いたい。
○保利国務大臣 御意見は十分拝聴いたしますが、私といたしましては、供田の状況、あるいは天候の状況につきましては、細心の注意を払つて参りたいと存じておりますが、あるいは誤解を生ずるおそれもございますから、はなはだ足鹿さんの意に満たないかも存じませんが、ただいまこれを動かす考えは全然ございません。それだけははつきりと申し上げておいた方が、むしろ誤解を起さないでいいのじやないかと思います。研究は細心の注意を払つておきますけれども、ただいまそういう考えは全然持つておりませんことを御了承願います。
○足鹿委員 そういう御意思のようでありますから、それはそれなりに一応本日のところは打切つておきますが、少くとも細心の注意を払つて御研究になるということについては、私は今後当局の御研究の結果をよく見つめて行きたいと思います。
 これに関連いたしまして、全体の供出問題についてのでありますが、だんだん府県の供出も曲りなりに進行しておるようでありますが、突然本日われわれ委員会に御報告になるまでに、五千四百五十万石という相当の大きな減収の数字が出て、世の中を驚かしておると思います。その出所がどうであつたかというようなことについては、私はあえて追究いたしません。いろいろな方面から御調査になつたでありましようが、しかし問題は、これによつて生ずる昭和二十九年度における食糧の需給計画があるはずであります。これは幾たびか委員会におきましても、作況の状態がつかめたときには、政府としては需給計画の従来のものを改訂して審議会に供するということを言つておる。ただ、今安田統計部長から作況の御報告があつただけで、食糧庁からほ何らこれについては出ておりませんが、需給計画については改訂は要しないのですか、どういうおつもりなんでしようか。
○保利国務大臣 今年の作況が、すでに十月五日現在をもつていたしましても、こういう数字を示しておりますから、従つて来米穀年度の食糧事情につきましては、一般消費者の関心もきわめて大なるものがあるということも、私どもよく承知をいたしておるわけであります。従いまして、来米穀年度の需給計画につきましては、そう気休めなことを申しておくわけには参らないのでございます。私どもとしましては、八月中旬以降の見通されます徴候からいたしまして、むろんぼんやりと十月五日の作況を待つておつたわけではございませんので、できるだけ外地食糧等につきましても、内々尽すべき手段は尽して参つております。従いまして、消費者に著しく御迷惑をかけるということは、何としても避けなければならないことでありますので、そういうことで内部で準備をいたしております。従いまして、来米穀年度の需給計画を責任を持つて申し上げるにつきましては、やはり第一の供給源は、凶作といえども二十八年産米でありますから、従つて二十八年産米の供出数量のいかんが、やはり全体に大きく及んで参りますから、供出の達成がはたしてどこまでこぎつけ得ますか、むろん私どもとしては一石でも多きを望みますけれども、しかしながら、さればといつて、そうむちやなことができようはずもございませんし、とにかくもし百万石の相違が出て参りますと、現在の配給の実際から行きますと、約一週間分の動きがそこに生じて来るということになるわけでございます。従つて、まず内地産米の供出がどこまで確保できるかということで、現在、あるいは精麦の特別払下げ等の処置をとりつ、私どもとしてはできるだけの処置を講じまして産米供出達成に全力を注ぎ、必ず私どもとして、適当の時期に責任を持つて需給計画を御批判をいただくようにいたしたいと思いますから、しばらく余裕をいただくように、これは切にお願し申し上げておきます。
○足鹿委員 食糧に対する国民の関心と申しますか不安感は、本日のこの発表によつていよいよ深まつて来ると思います。これは当然であろうと思う。それだけに政府としては、実現の可能である需給推算というものの必要も迫つて来るわけでありまして、その日にちがずれればずれるほど揣摩臆測を加え、またいらざる取越し苦労も加わりまして、一極の社会的な不安を醸成することもまた免れないと思う。これは大臣がいやしくも一国の食糧を双肩にになつておいでになるわけでありまして、私どもは別に早期に発表されていることをむやみに迫る考えはありません。ありませんが、しかし今述べましたように、その時間がずれて来れば来るだけ、いろいろ取締りをいかに厳重になさつても、やみの温床となり、またやみ価格の高騰はしないまでも、引下げに役立たない。また一方において、農民に対して協力を要請されながら、本日の新聞によれば、台湾米の四万トン輸入について国府の了解を得たというふうな輸入計画が続々と出て来るということになると、内地の農民は体どう考えるか。外米を入れて来るつもりであるから、まあ自分たちの方も供出は苦しんだから、少しはこらえてもらわなければやりきれない、こういう反射的な気持も出て来ざるを得ない。これは人間ですから、そうあつちやならぬですが、あり得ると思う。従つて本日すぐとは言いませんが、少くとも国民に向つて、農民に対しても協力を強く要請されて行くためには、政府の権威ある需給推算は、必要であり、またそれを早期に発表されることは、政府の責任において、私は早くおやりにならなければならぬと思います。これは早急に確たる方針を御発表になることを、強く私は要望しておきたいと思う。
 これは私の計算でありますから、大ざつばな計算でありますが、今後の供出の見通しということであります。それから先刻申しました早場米の問題についても、作況が意外におもしろくないというような点について、政府もいろいろと内地米については優遇の措置を講じておるという具体的な現われがやはり伴わないと、供出も政府が期待されるように進んで行かないのではないかと思う。そういう意味から私は早場米問題については、特にお考えにならなければならぬことを要請したのでありますが、私の計算では、八三%、五千四百万石という数字が出るのであります。過日の農林委員会に発表されました数字、これは米価審議会のときと一緒でありますが、八九%、五千八百八万石、それから米価審議会の一番最初の懇談会のときに、大臣も前谷さんもお出になつておつたが、あのときはにこにこ顔で九一%、六千百八十万石を想定されておつた。この六千百八十万石の収穫予想高を根拠として、二千五百五十万石のいわゆる内地米確保の対策を立て、それに百十万トンの輸入米を加えて、来年度における食糧需給はたいこ判であると豪語しておられたはずだと思う。これはよく御記憶の通りであります。しかるに先月の初旬の、たしか五日であつたと思いますが、わずか一箇月余りの間に、少くとも政府が当初発表されました六千百八十万石の収穫予想が、すでに七百八十万石割つておる。これはゆゆしぎ大きな数字であります。もしかりに五千四百四十一万石が今後絶対に減らないとしても、これから自家保有米三千六百万石を差引きますれば、供出可能量は千八百万石に足りない数字になるではありませんか。もうこういう具体的な数字が目の予算で出て来ておる。需給推算を改めるにしてみても、内地米に対するところの確保の対策というものは、政府が積極的な施策を講じられない限り、これはふえることは断じてないと私は思う。非常に言い過ぎであろうと思いますが、政府は需給推算のうちで、供出が二千二百万石ということを言つておいでになつたのでありますが、おそらく二千二百万石はおろか、二千万石の台がくずれはしまいかと私は心配しておる。大体需給推算というものは、内地米について百万石などという大きな狂いのあるということは、政府の考え方が甘いか、あるいは少しずさんであるかということにほかならない。大体もう見当はついておるのです。おそらく二千万石のはなは、あつても幾らもありますまい。悪くすれば二千万石も割るかもしれない。こういう推定に立てば、需給推算は立つではありませんか。しからば内地米を、今後報奨施策を考えて、さらに供出意欲を促進して、幾ら幾ら、足りないところは麦によつて幾ら、外米が幾らというふうに、私は大体の見当はつくはずだと思う。すでにその具体的な用意をもつて、この蓬莱米の輸入等についてもおやりになつておるに相違ない。でありますから、私はいたずらに責めるのではありませんが、この閉会中にわざわざ農林委員会を開いて、凶作対策をやつておる。そしてあなた方もおいでになつて、真摯な検討を不眠不休でやつておる。この実情をよくごらんになつて、もう少しわれわれが納得するような、新聞紙に小出しにお出しになる前に、少くともこういう方向でやつて行こうと思うという骨組みを示し、われわれもそれに対して建設的な協力をする態勢を立てて行かなければ、政府が何ぼさか立ちされましても、ことしの米はなかなか簡単に行きますまい。そういうことを私は特に申し上げておきたいと思う。ことしの米を二千万石以上幾らとるという見込みでありますか。おそらくこれは大きな数字は期待できないと私は思います。
 そこで今後の問題でありますが、七千七百円の基本米価にプラス五百円、八千二百円を本年に限つての基本米価であると、先般の農林委員会で農林大臣は言明されました。その八千二百円というものは、米価審議会の答申に基いて凶作加算を加えたものを基本米価とされたのであります。その五百円を一応概算されたものは、少くとも六千百八十万石と五千八百八万石との間においてこれを見当をつけておいでになるでしよう。その点専門的に前谷さんどうですか。
○前谷説明員 減収加算額につきましては、先般申し上げましたように、現在五百円ということで基本米価の中に加算をいたしたわけでございます。先般の米価審議会にもございましたように、減収加算額につきましては、麦の場合においては一定の方式によつてその算定方式等もきまつておるわけでありますが、米につきましては、算定方式についてもすでにいろいろ御意見もあることでございますので、算定方式につきましても十分検討いたし、また実収高につきまして、本年末には明瞭になると思いますので、それにつきましてわれわれとしては十分検討いたしたいと考えておるわけであります。
○足鹿委員 そんなことを聞いているのではないですよ。五百円というものは、要するにあの当時の九一%の作況が八九%になつた。これを米価審議会の追究にあつて御発表になつたでしよう。これではいかぬというので、政府も熟慮された結果、五百円というものは凶作加算ということであつたが、当時の農林大臣の言明では、これを基本米価に入れたのではないですか。何を根拠にして五百円というものを出されたのですか。これは米価審議会においても、とりあえず本年の作況にかんがみて凶作加算五百円を支払う、概算払いをする。後、算定方式を定めて米価審議会に諮つて追加精算払いをするとはつきり答申を出し、また大臣もその答申の趣旨をくんでおられたはずなんです。この間の農林委員会では、五百円のはなはあまりなかろうというふうにも腹があつたように聞きましたが、これはまあ、想像です。これはよけいあつてもいいのです。それでこの間の作況は五千八百八万石、今日は八三で当時よりは六%下つた五千四百四十一万石になれば、おそらくこれについて五百円というものが、ひとつへんだ数字で出るならば、これについてまだ追払いがあるということは、常識ですよ。それすら算式がきまらないからできぬというならば、それじや前谷さん、五百円というものをきめておいて、この五百円に合わすような算式を出すつもりですか。そんなばかなことは許しませんよ。そこをもう少しはつきり言つていただきたい。
○前谷説明員 減収加算額につきましては、先般の米価審議会におきましても、とりあえず五百円ということでもつて加算をするようにという答申もございましたので、それに応じまして私たちも五百円の加算をいたして参つたわけでございます。御承知のように、本年末におきましては実収高も確定いたすことでございますし、その前に十分算定方式につきましても御相談をいたしまして、そうしてその算定方式によつてこれをきめて参りたいということを申し上げたのでございます。
○足鹿委員 前谷さんは同じことばかり繰返すので、それでは大臣に伺いますが、大臣も前谷食糧庁長官と同じですか。もう出してもいいころですよ。もう腹をぶちまけてください。早場米についてははつきり言われた。しかし慎重な注意をもつてやるとか、今後の含みを残すなどとなかなか想で、しつぽをつかまえさせぬ。ふだんならそれでいいかもしれぬが、もうすでに五千四百五十万石というべらぼうな減収がもう統計の上に出ている。実際はもつと悪いのですよ。だから供出の状況を見て需給推算を立てるということを、先ほど大臣は言われたが、供出の状況はこの数字から見て悪くなる一方ですよ。よくなると考えているのですか。悪くなるという一つの目標のもとに、凶作加算の問題についても、五百円の概算払いのほかに算式は大体こういう算式でやつて、なお精算払いについては、この見当なら見当ということを聞くことができるかどうかということを、私は聞いているのです。この前はどうも五百円でしんどまりだ、あつてもほんのはした程度というような印象を受けましたから、八九%のときで作況が動いておらないときならそれでよろしい。しかしまた大きく揺れているのですからね。とするならば、凶作加算による基本米価の本年に限り引上げということであるならば、当然凶作加算の率は動いて行かなければならないはずだと私は思う。それが常識ですよ。それがなぜ言えないのですか。ある程度それに対しては農民に教えてやつてください。政府の態度、大臣の所見――この間現地を見てよくおわかりでしよう。それくらいのことがここで言えないはずはないと思う。これは農民に対する一つの親切でもあるし、政治に対する農民の信頼感を裏切ることになりはしませんか。もうこういう事態が統計の上ではつきり出ている。私どもが府県の統計を根拠にしてやつて行くなら、これはまた違うでしよう。しかし政府の機関でこういう数字が歴然と出ておるにもかかわらず、まだこれに対して需給計画も立たない。供出状態もにらみ合さなければならない。まだ供出が政府の予定通りに行くのだというような幻想を抱いておいでになるところに、私は少し甘いところがありはしないかと心配するのです。どうですか、大臣。
○保利国務大臣 お答えしますが、足鹿君の言われるように、需給推算をどうするか、二千万石のときはどうするか、あるいは二千五百万石のときはどうするか、そんなことを数字的に紙上計画を立てることは何でもないと思います。ただとにかく、内地の実際の供出数量と見合つて消費者大衆に真に責任を持つて安心の行く需給推算を発表いたすのには、おのずからそれは時期があろうかと存じます。私どもは消費者の御迷惑にならないように、ただいま一生懸命やつておるわけです。だからほんとうに責任を持つて御批判を願う需給計画については、もうしばらく時間をかしていただきたい、こう申し上げておるわけであります。
 凶作加算額につきましては、これは足鹿君は委員でおられるわけですから、米価審議会の御意見はもうよくわかつていらつしやると思います。そのときの附帯事項は、凶作度を早急に把握して、さしあたり行当り五百円の減収加算額を概算払いすること、なお減収加算については、審議会においてその算定方式を検討し、精算すること、とございます。それで、私の方でもいろいろ考えはあります。考えはありますけれども、米価審議会の御意見もございますから、また米価審議会で、私といたしましても、算定方式については審議会の御意見を伺いますということを明しておるわけでございますから、できるだけすみやかに米価解議会の算定方式の決定に関しての意見も承つて、そうしてこの問題を扱いたい、こう申し上げておるわけであります。
○足鹿委員 そうすると、米価審議会は今月中にでもお開きになりますか。今の長官のお話によると、算式についてはあれこれ研究しているというのでありますが、大体算式の見当はつきましたか。麦の算定方式と米の豊凶係数の加算方式とは必ずしも同じでないというような御意見でありましたが、大体の構想ができたころに米価審議会をお開きになるのですか。政府にどんな御構想があろうと、米価審議会に諮つて凶作加算の問題をやると今大臣の御答弁がありました。私はそれを聞いて米価審議会の早期開催を大いに期待しておりますが、算式ができたときに米価審議会をお開きになる。これは政府としてはまあ都合がよいでしよう。しかし米価審議会としては、やはり算式についての権威ある答申をみずからの自主性によつて樹立して行くのであつて、その参考に政府の意見があるならば聴取させていただくということもあり得る。従来はそうなんです。ですから算定方式ができなければ米価審議会は開けぬのですか。いつごろお開きになるのですか。これは早くおやりになることが私は大事だと思うのです。米価審議会に諮つて豊凶係数の算式をきめて、それから政府が態度をきめてやるということになると、いつごろになるのですか。なるべく一つの見当は示してやるべきだと思うのです。これ以上くどいから申し上げませんが、米価審議会と算式との関係はどうなりますか。
○前谷説明員 お答えいたします。ただいまも大臣が読み上げましたように、米価審議会の御答申におきましては、算定方式についても十分検討したい、こういうお話でございますので、その算定方式につきまして、われわれといたしましても十分検討いたしますと同時に、御意見を伺いたいという考え方をいたしておるわけでございます。御承知のように、最後の実収高が確定いたしますのが本年末でございます。算定方式でございますので、その方式に従いますれば、おのずから実収商が出て参りますとその総額も当然出て来るわけであります。算定方式につきましてわれわれも検討いたしますと同時に、さらに審議会の議長とも今後の方法論につきましていろいろ御相談をいたしておる次第でございまして、米価審議会の日取等のことにつきましては、現在のところまだ確定いたしておらない次第でございます。
○井出委員長 予定の時間になつておりますが、まだ長いのですか。
○足鹿委員 もうちよつと……。
 それから蓬莱米の輸入価格のCIF値段ですが、四万トンについて大体二百二十三ドルないし二百二十五ドル、これは相当よい価格のように思いますが、石当りにして何ぼになりますか。この蓬莱米という米は大体内地米に準ずる米だと思いますが、何ぼになりますか。これで大体ことしの政府の内地米買上げに対する標準が出て来ると思う。幾らになりますか。正確に言つてください。
○前谷説明員 ただいま蓬莱米につきましての御質問でございますが、御承知のように台湾米につきましては、台湾政府におきまして一つの輸出統制と申しますか、輸出割当をいたしておるわけであります。昨年度におきましても、もちろん台湾米を買つておるわけであります。今回台湾米の輸入につきまして四万トンの契約ができたことは事実でございます。価格につきましては、まだこれは調印もいたしておりませんので正確に――この価格につきましては、他にも影響するところがございますので差控えたいと思いますが、従来の取引価格で申しますと、大体CIF価格でやつておるわけであります。今トン当りに直しますと、御承知のように一ドルのレートで御換算を願いたいと思いますが、この価格につきましては、具体的な取引条件その他につきましての問題もございますので、今ちよつと申し上げかねる状態になつております。
○足鹿委員 それではFOBでは幾らになりますか。私も輸入の妨げになるようなことまで聞きたいとは思わぬが、あとでお聞かせ願えますか。公開の席上では取引上その他の点においてさしつかえるというならば、しいて私は伺いたくない。これは私は日本の米の価値を決定づける一番よい材料だと思う。蓬莱米は大体において内地米に準ずべきものだと私は思います。品質を見たわけではありませんからわかりませんが、FOBでは何ドルにつくのですか。
○保利国務大臣 この外米の問題というのは非常にデリケートでございます。これはもう足鹿さんよく御承知の通り。価格の問題等につきましては特に私はそうだと思うのでございますが、つまり日本がこういうふうな状態でございますから、足元につけこまれると申しますとなんですが、つけこまれると言つた方が端的だと思います。そういうことで、必ずしもそれが妥当価格であるかどうかということから行きますと、私はむしろ国民経済上外米に支払つている支出くらい大きいロスはないと考えているわけであります。(「その通り」)そこでどうしても……(「だから上げなさいと呼ぶ者あり」)それだから、上げるということならば簡単なことでございますけれども、私はそうは必ずしも考えておりません。私はやはり今後の問題としましては、今年は異常作柄のもとでございますし、一度に食生活を切りかえろといつても、これも無理でございますから、あえてその不合理とロスの犠牲を払つても、外米に対して十分の手当はいたして参りますけれども、方針としては、やはりあくまでこの外米を減らして行くという方向になくちやならぬ。その外米につきましてはいろいろまた御批判もあろうかと存じますけれども、当面まず私どもとして心配いたしておりますのは、いかにして消費者各位に御迷惑をかけないように食糧を確保するか、その一環としてやつているわけでございますし、食糧庁長官にもその操作上非常に苦心があろうと思いますから、どうぞひとつこの問題はその程度で御容赦をいただきたいと思うのでございます。
○井出委員長 平野君から、先ほど来関連質問の和要求がございますので、平野三郎君。
○平野(三)委員 私は本日は政府に対して何ら質疑をする予定を持つていなかつたのでありまするが、先ほど大蔵省の政府委員の方の御答弁を承つておりますると、はなはだ大きな不安と疑問を持つに至りましたので、関連してごく簡単に一点だけお尋ねをいたしたいと思うのであります。
 先ほど原主計局次長の御答弁の中に、川俣委員の質問に対して、大蔵省としては土地改良事業の補助については、細分化して行く傾向があるので、これを重点的に押えて行くのだ、こういうようなお気持があるようなお言葉がございました。もちろんそのことについては、私どもはいろいろ意見を持つているわけであつて、いずれゆつくり論争いたしたいと思つておりますが、それは後日に譲りまして、少くも当面の補正予算の編成にあたつて、まさかそうした気持を持つて行かれるようなことはなかろうと思うので、本年についてはもちろん例外的にお考えになつていると思うわけでありますが、そういうお話がありましたので、念のためにお尋ねをするのであります。今回の凶作については、先ほど安田統計部長から正式の農林省の発表がありました通り、五千五百万石を割るという古今未曽有の大凶作であり、これがために本委員会も、全力をあげて今対処しているわけでありまするが、政府とせられては、先般農林大臣からこの、凶作対策についていろいろな抱負の御開陳がございました。その中で、特に今回のこの被害農家に対しては現金収入の道を与える必要がある、そのためには積寒法によるところの土地改良事業についての緊急の予算を組んで行くというような、まことに適切な、われわれとしては満腔の敬意と賛意と表するような御方針が表明をせられておつたわけであります。これについて、たとえばそのこまかい具体的な農林省の計画を、農林省が出されたものについて申しましても、たとえば「九、緊急救農土木事業について、(1)積寒地帯に対し土地改良及び開拓事業を左の通り新規又は繰上げ実施し団体営かんがい排水、小規模土地改良及び温水施設事業について補助率を(現行五割米満の補助率を総て五刑とする)引上げ、事業効果と併せて被害農家の賃金収入の途を講ずる。(右に要する経費)記(イ)県営かんがい排水及び開墾事業については僅かの事業費追加で工事の完成し得るもの或は事業効果の発生するもの又は土工を主とするものとした。(ロ)団体営かんがい排水及び小規模土地改良事業については昭和二十八年度好業重の五割増とした。(ハ)温水施設については昭和二十八年度府県要望地区数と採択地区数との差を対象とする。(2)治山事業及び林道事業の新規又は繰上実施を行う。(イ)治山事業については、海岸砂地造林、海岸防風林、防潮林等について海岸防災林の造成を実施し、併せて小規模林地荒廃復旧事業を実施する。(右に要する経費)(ロ)林道事業については、簡易林道の開設について半額国庫助成する。(右に要する国庫補助額)」はこれだけだ、これは空白になつておりまするこういうことが出ているわけで、こうした農林省の方針と、先ほどあなたのお話になつたことは全然食い違つておるわけであります。しかしあなたの御意見は、将来の一般方針として、これは後日に論争することにして、少くも当面において、今年の補正予算の編成にあたつては、まさか今のあなたのお考えのことを適用するようなことは万々なかろうと思いまするが、先ほどそういうようなお話があつたので、念のためにお尋ねをするわけであります。そういうことがないというお答えだけでけつこうですけれども、はつきりお答えを承りたいと思います。
○原説明員 ことしの作が非常に悪い、これはたいへんである、そのために救済その他いろいろの手段を講じなければならぬということは、農林当局と全然同意見に考えております。財政の方をやつておりますものといたしましては、そういう措置に幾らお金がかかるかということを、実はただいまそちらに伺つている途中でございます。それらを全部聞きまして、何分にもそのやりたいことはみんなやりたいと思うのでございますが、御存じの通りこのつじつまが合うか合わぬかというところでございますので、それを見ました上でせいぜい力を尽して参るというふうにいたしたいと思いまして、先ほど申し上げましたことを一般論として考えておるわけであります。また凶作の際に、異常な事態ということはおつしやる通りであると思いますが、同時にそういう際はほかでも財政需要が御存じの通り非常に多いということでございますので、それらを全部の間に総合的なバランスをとつてやらなければならぬ。バランスをとります結果、なかなか全部に御満足が行かぬということになるかもしれませんが、その辺はどうぞあしからずお願いいたします。
○芳賀委員 私は足鹿委員の質問に関連して大臣にお尋ねしたいわけですが、第一点は、十月二、三日の委員会においても、当委員会といたしましては、超党派的な決議をもつてすみやかに救農臨時国会を召集すべきであるという申入れを行つておるわけであります。しかし現在の段階においても、いまだ政府は救農臨時国会をいつ開催するかというふうなけはいは全然見えないのであります。特に農林大臣は、約一週間にわたつて東北地方の冷害の実情をつぶさに踏査されて来たはずです。しかも大臣は前回の委員会において、昭和九年に時の農林大臣山崎達之輔氏が災害地をくまなく踏査して、そうして適切なる人情味のある施策の手を延ばしたということを敷衍しておるわけですが、きよう大臣にお目にかかつて、大臣が東北のあの深刻な冷害の様を見てどれだけの大きな感銘を受けて、現在の施策の上にそれを集現しようという熱意がどこにあるか、まつたく判断に苦しむのであります。これは政治家の通例かもしれませんけれども、面をかむつたような表情でたんたんとして答弁をされておる。しかも先ほど足鹿委員が言われた供出期限の問題等については、東北地方をまわつたときに非常に天気がよかつた、天気が悪ければさらに考慮しなければならぬと考えておつたけれども、非常に好天続きであつたので、早場米の期限をさらに延長する意思は絶対にないということを表明されておるわけですが、大臣が巡視された当時の東北の冷害地帯において、天気のいい日にはたして早場米を出すための作業をしておつたかどうかということであります。ほんとうに天気のいい日に、当時の農民は稲刈りをやつておつたか、早場米を出すための仕事をやつていたかということを向きたいのであります。その実例として、青森県においては、二千五百現在において二千石しかまだ出ておらぬ。岩手県においてはわずかに二百石であります。宮城県においても三千三百七十七石、福島においては二千六百一九十石、実に微々たるものであります。北海道のごときも一万九千石で、全体の義務供出の七十万石の割当に比べて、一万九千石しか出ておらぬということになると、今年の米の割当について、冷害地帯に対してある程度政治的な配慮を持つというその考え方、しかも減収加算というものは、この深刻なる冷害の地帯においては、何ら十分な潤いを持つておらぬのであります。むしろこの表でも見る通り、鹿児島とか宮崎とか、基準反収よりも百パーセント上まわつておるような地帯において、この五百円の減収加算というものの恩恵に浴させることができるのであります。そういう場合において、ほんとうに政治的の一つの含みを持つて、凶作地帯の米価に勘案を加えようとする場合においては、一つは供出量に対するある程度の配慮を行うと同時に、もう一つは供出の期限を可能な範囲内において延長して、そうして実質的の米価によるところの所得を得せしめるということの施策が、必要であるということを考えるわけでありますが、大臣はまつたく冷然として、これ以上延ばす考えはございませんということを言つておるわけですが、ほんとうに深刻な被害を受けておるところの早場地帯に対して、まつたく考慮の余地を持つておらぬのかということを伺いたいのであります。
 それからもう一つは、今年度の米の供出の価格の上におきましても、五等米以外の等外米についても、これを供出の対象とすることになつておるわけでありますが、等外米の上の部は超過供出の対象にするが、しかしながら義務供出の対象にはしないということを大臣も言つておられるわけであります。この点につきましては、安田統計部長もおりますので、よくおわかりと思いますが、一例をあげれば、私たち農林委員会の北海道の調査の場合に、旭川を中心とした地帯の作報のサンプル調査のあとを確認したわけであります。ここは本年度においても、一番基準反収の高い所でありまして、平年においても一石九斗七升であります。それから今年の基準反収は二百一斗であります。それに対して作況の指数は六六%であり、昨年度の作況に対しては五八%という報告を受けたのであります。そういう地帯においても、旭川市とほかの四箇村で九千六百町歩の水田の耕作面積があるわけでありますが、この作報の文所の集めたところのサンプルは、九千六百町歩のうちわずかに百四箇所の標本をとつて、それで適正な収穫の調査がどうしてできるかということであります。しかも被害反別の把握というものは、ますます困難になると同時に、さらに段ぶるいにかけた場合において、これらの地帯におきましては、七段ぶるいにかけた場合にはほとんど検査米と等外米が半々であるというような実情もわれわれは聞いておるわけであります。そういたしますと、実際に冷害地帯から供出される米の質というものは、検査米として合格する数量は、この統計調査部の調査の報告よりも下まわるということが十分予測できるのであります。そういう場合において、この等外米の処理をどうするかということが問題になるのであつて、しかも上の部は総合配給用にまわすという場合において、なぜこれを基本的な義務供出の中に入れることができないかということが疑問になつて来るわけであります。私は、政府はせめて等外米の上の部だけでも義務供出のわく内に入れるということをすみやかに決定して、これを発表すべきでないかというふうに考えておるわけでありますが、私の質問した三点、救農臨時国会をいつ召集することに政府の手順は進んでおるのか、それから冷害地帯に対する早場米の供出期限再延長の問題をどういうふうにお考えになるか、それから等外米の上の部を義務供出のわく中に入れるお考えがあるかないかというこの三点について、特に東北地方の冷害をつぶさに確認された大臣の感懐の中から、ひとつ率直にお答え願いたいのであります。
○保利国務大臣 芳賀さん御承知のように、早場地帯の供出状況につきましても、これは今年に限らず、どういう理由でございますか私はそこまで突きとめておりませんけれども、青森、岩手などという所は、従来とも第一期の供出というものはほとんど一%かそこらという状態で、まあ一番早期の高知だとか福井だとか新潟といつた所は、非常に早く出ておるわけであります。現に新潟は今年にしましても、十五日までに九十九万石から出ておる。必ずしも今年の処置が非常に間違つておつたということは、私はそうではないように考えております。東北を歩いて来て天候状況はどうだつたか百おそらくこれは私だけ歩いたわけではございません、委員の方はほとんどお歩きになつておるから申し上げるまでもないと思いますが、十三号台風の前後から天候はずつと回復して来ておる。ずつと好天が続いておる。もしあの天候の回復がもう二週間早かつたならばこういう結果をある程度とりもどしておつたのではないかということは、どこへ行きましても伺つたことであつて、天候状況は十三号台風前後から、外でも内でも作業をされる者には非常に恵まれた天候にあつたろう、そういう印象を持つて私は帰りました。現実に今日お配りいたしております買入れ状況にいたしましても、絶対に例年の足取りをもつて行つておるという状態でありまして、これは先ほど足鹿さんに申し上げたところで、ひとつ御了解願いたいと思います。
 臨時国会の問題につきましては、これは私が申し上げてはどうかと思いますけれども、私どもとしましても、できるだけ予算措置をすみやかに講じまして、国会の御審議を願うように持つて行きたい。昭和九年の例をお引きでございましたが、実際申しまして、冷害対策といたしましては、今月中にももし開くということになれば、非常に準備を急がなければならぬということで、私ども農林省は、ほとんど連日連夜夜間作業までやつて準備をいたしておるわけであります。昭和九年のときの例を見ますると、十一月二十七日に議会を召集せられております。それはもちろん東北の冷害対策が中心であります。その他九州、四国の旱魃、北陸の水害という一連の災害対策を講ぜられてあつた。時期的に今月中といいますと、私どもとしましても非常に忙殺されますけれども、しかしとにかく現況はすみやかに処置をやらなければならぬという認識を持つて帰つて来た。そのことをまた閣議においても申しておるわけでございます。
○前谷説明員 等外米につきましては、供出をいかに多く確保するかという御趣旨のお話だと拝察したわけでありますが、御承知のように、われわれ各県にお願いいたしまする場合におきましても、義務供出のほかにひとつこれだけの超過供出をお願いしたい、かようにお話合いをいたしておるわけであります。その超過供出をお願いいたしまする場合におきまして、ただいまも足鹿委員に申し上げましたように、昨年度とはかわりまして、今年の作柄もございますので、特に等外の等というものをつくつて、これはやはり供出をいかにしたら適当にやつて行けるかということて、そういう考え方をいたしたわけであります。その点はどうか御了承願いたいと思います。
○芳賀委員 長官のお考えはまつたく逆なんです。問題は義務供出に等外米を入れない場合においては、とにかく政府は楽な割当をしたつもりでおつても、実際災害地の末端へ行くと、今年の割当は安易なものではない。義務供出をする場合に上米を出してしまうということになると、自家保有というのはほとんどくず米を中心とした悪い米しか残らない。そのあとで余りがあつたならば、等外米を超過供出をつけて買い上げてやるというようなお考えかもしらぬけれども、まず耕作農民にどんな米を食わす考えであるかということから、先に考えてもらわなければならぬ。余裕があつた場合には、黙つておつても当然上米でも何でも供出します、超過供出をするのだから。それよりも、まず一定量を確保する、しかもこれが総合配給としても間に合うのだという確認の上に立つた場合において、これは当然義務供出のわく内に入れてもさしつかえないのではないかと考えられるわけであります。そのくらいの勇断の処置ができなくては、救農国会を開いたり、手を打つことはできないと思うのですが、この点については、長官に対してはなかなか大きな問題であると思うので、農林大臣から直接腹のあるところを聞かしてもらいたいのであります。
○前谷説明員 筆外米の問題でございますけれども、たびたび同じことを申し上げるわけでありますが、これは供出に対する考え方によると思います。私たちといたしましては、各都道府県へ供出割当をする場合におきましては、作況の問題でございますとか、保有量の問題等、いろいろ各県とお話合いを経ていたわけであります。さらにそれに対して超過供出といたしまして御無理を願うという意味におきまして、等外米を超過供出の中に入れて参りたいというわけでございまして、昨年は御承知のように四等米という形でやつておつたわけでございますが、本年は私たちも十分、心を入れかえたと申しますか、十分考えたつもりでございますので、どうかひとつ御了承をいただきたいと思います。
○芳賀委員 私は食糧庁長官でなくて、大臣に聞いておるのです。大臣は人造米を提唱されるほどであるが、人造米なんかつくるよりも、やはり等外米であつても、当然米の範疇に入つて配給にまわせるものであるならば、これは当然義務供出のわく内に入れた方が、順序としてもいいのではないかと思いますが、大臣はどうお考えになつておりますか。
○保利国務大臣 実際ことしの米は凶作でございますから、品質もずいぶん落ちております。それがどこまで配給食糧にまわし得るかということは非常に問題だと思つておるわけでございます。消費者に不満はありましても、まわせるだけの下等米は、当然あなたの言われるような扱いにしなければならぬ。しかし、今人造米と比較されてどうこうと申されますが、人造米は何もそれをいくら提出したからといつて、これで配給いたしましたと申すものではありません。それは好き好きもありますし、人造米も研究が進んでいるから、これも一つの補助措置として一概に排斥することはない、食べていただけばこれもけつこうだ。だから、これも食べられる、食べてみようという方には、食べられるチャンスを提供するということは、あるいはそれは、食糧政策からいえば邪道といわれるかもしれませんけれども、好み好みがあるわけでございましようから、ハンでよい方もあればうどんだという方もある。どちらにしても、米以外の一なりそういうものが消費せられるということは、私は国として奨励すべきであろうと思う。従つて、パンでなければならぬ、うどんでなければならぬというような考え方でなしに、とにかく並べられるだけのものを並べて、どれでもひとつ召し上つていただきたいというふうにすることがほんとうじやないかと考えております。従つて、等外米の扱いにつきましても、消費者に多少御不満はありましても、配給できる限りのものはどの面におきましても供出の対象として取扱つて行かなければならぬ。これは当然のことであると思います。
○足鹿委員 最後に主計局の原さんと安田統計部長に伺つて、私の質疑はまだたくさんありますが、今日のところは打切りたいと思います。
 原次長に伺いますが、本年百十万トンの当初の輸入米計画に改訂を加えて、巷間に流布されておるのは、少くとも五十万トンの量をさらに追加輸入する、こういうことになつておりますが、五十万トン買えるか買えないか、これは値段の方もあるでしよう。この間シャムの国会の代表の方がおいでになりまして、合理的価格で買い上げるならば、シャムはたくさん米を持つているからどうぞというごあいさつがございました。外国の米を買おうと思えば、これは商行為であつて、内地の農民からむざむざと引上げるようなわけには参りません。ある一定の、相当の価格で、しかも相中が納得しなければ買えないのです。それに対する財政需要の検討はどういうふうになりますか、五十万トン追加した場合にはどの程度輸入補給金の増額等をお見込みになつておりますか。大体、午前中もまた先ほどからも意見がありましたが、大蔵省当局のものの考え方が、私にはわかりません。現実に輸入すれば、すでに本予算において三百八十億、うち六十三億程度の麦の補給金が組まれており、あとのものを米として、それを百十万トンとすれば、五十万トンの増量を期待すれば、さらに少くとも百五、六十億財政需要がふえるわけなんです。農民の早場米のわずかな金額すらも出す意思がないというふうに、内地米に対してはきわめて冷静な態度でありました。おそらくそういうことでは、内地の農民が、納得して政府の施策に協力するかどうか、私は非常に疑わしいと思います。内地の農民に対しては、凶作加算の問題についても言えない、早場米の少々の期日の延長もいけない、金額の増額も考えてみておらぬ、慎重に研究する、等外米の義務供出についても、それはいかぬ、何もかもみないかぬいかぬ。内地の農民に対して、もう少しあたたかい手を伸べて行けば、輸入米の節減ができるということをお考えになりませんか。これはそろばんを常に持つておいでになる財政当局としては、内地の早場米とかあるいは等外米とかあるいは凶作係数の基本米価への織込みの引上げによつて、農民ンにある程度協力を求めて、少くとも百万石でも百五十万石でも多く入れた方が、輸入補給金と比べてどれくらい国家財政の上に役立つかわからないと私は思う。今までにしたつて、一万二千円が一万三千円で入れているじやありませんか。ことし米はもう足元を見られておる。おそらくそれ以下でくれるようなことはありますまい。一体財政当局はどう考えておりますか。二十町歩でなければ基準面積がとやかく、あるいは五町歩についても何やかやとさつきのどなたかの質問に対しては、趣旨に応じたかのごとく応ぜざるがごとく、最後は逃げておりますが、そういうふうで、内地の農民政策に対してはきわめて冷静で、つましやかな政府当局が、外米に対しては少くとも五十万トンを買おうと今まで言つている。新たにその財政需要は幾らになる。今後増量すれば何ぼになるかという、いわゆる試算はどういうふうになつておりますか。これはないとは言えますまい。ひとつ事務当局から伺いたい。
○保利国務大臣 私に対する御質問ではございませんけれども、まるで政府が早期供出奨励等については全然考えていないといわれるような――、いろいろお立場もありましようけれども、私どもとしましても、実際の今年の作況からいたしまして、また天候の状況からいたしまして、そのために十日間の大幅の延長もいたしておるわけでございます。そうしてそのことは従来の供出の実績から見まして、また今年の供出状況から見ましても、必ずしも延ばし方が短かかつたというものは、これは客観的に見まして私はなかろうと思うのであります。そういう点は、ひとつあまりひどい誤解を持たれないようにお願いいたしたいと思います。それだけ私からお願いを申し上げておきます。
○原説明員 米の輸入は需給計画の一環になるものでありますが、先ほど来農林当局からお話がありました通り、農林当局も全体の需給をりつぱに収めるというつもりをもつて鋭意御苦心のところであります。われわれその間に経過的にお話を伺つておりますけれども、最終的にこうというところまでまだ来てない、研究の段階でございます。かたがた先ほど大臣以下お話のありました通り、いろいろ国際取引上の問題もございますので、私がいわゆる追加輸入するということを申し上げるのはいささか行き過ぎではないかと思いますので、差控えさしていただきます。
○足鹿委員 次長、そういうことを聞いておるのではないのです。内地にもう少しいろいろな点で考慮をした方が、財政投資が少くて済むのではないかということを私は言つておるのですよ。そういうことを大蔵省はお考えになつておるかどうか。そういう点からいろいろな点で農林省が案を立てても大蔵省でみなひつかかつてしまう。財政を扱う者としては、いいかげんな、あれにもいいこれにもいいということは言えますまい。それはわれわれだつてわかりますよ。わかりますがしかし今年のような特殊な場合において、輸入米を五十万トン以上入れるのがいいのか、これを十万トン削るか二十万トン削ることによつて、内地の各般の施策が生きて来るのではないですか。そこを私は、もう少し大蔵当局がお考えにならなければならぬのではないかと言つておるのです。当然そういうことはあり得ることでしよう。そういうことについて大蔵当局は少くとも計算を立て、そうして今年は未曽有の凶作である、従つて食糧不安に対しての特別な御認識を持つて事に進んで行かれるかどうか。これは大蔵大臣にお聞きするのがほんとうでしようが、実際はあなたたちが大体の考え方を大臣に呑ませておる。それで原さんに伺うわけです。とにかく輸入米を必要とする現実は隠せない。何ぼで入るかということが、「いたくなければ、後日また聞きますが、口の食糧事情に支障があることを私どもは望んでおりませんから別に聞きますが、とにかく輸入量を少めて行く、その少められたいわゆる財政の余裕を内地米に対して出して行くという考え方に、勇断をもつて行けば、結果として輸入米の節減ができるのです。今のところを見ると、いわゆる大蔵省が内地の問題については何でも押え行く、しかしそれでは国民が食えないから、輸入することについてはやむを得ないとお考えになつておられるのではないかとすらわれわれは考えざるを得ない。これは国民が食つて行くのには必要なことでしよう。しかしそういうことでは内地の農民はたまりませんよ。まず私は手取り早く、この価格問題が政府の考え方の試金石だと思う。これについてすらもろくすつぼな今後の進歩がなければ、他の救農施策なんというものは、大体において見当がつく。これはやり得ることなんです。国の財政事情の面においてどちらが有利かということでやり得るのです。だから私はしつこく言うのです。その点はどうでしよう。大蔵省は、少くともそういう認識に立つて物事を運んでいただきたいと私は思います。
○原説明員 輸入食糧関係の輸入補給金相当額が計上されておりまするが、輸入がふえるということになると、それはまたふえる。これを節減いたしたいということは、もうおつしやる通りで、補給金は極力減らす方向、ない方向に持つて参りたいというふうに考えております。これは差出がましいのですが、内地の食糧消費がだんだんかわつて来る。たとえば今米は補給金がよけい出るのでありますが、麦は御承知の通り補給金なしで入るという状態でありますので、そういう面の消費の転換というようなことにつきましても、できる限りそういう方向になつてくれれはよろしいというようなことも、いろいろ考えておるわけであります。高い外米を輸入しなければならないのだから、口内の供出価格を高くというお話でございますが、この凶作であるので、出すのも非常にむずかしかろうということで、いろいろ各種奨励金あるいは凶作係数というようなところでわれわれできる限り奮発して出すという気構えは、先ほど来農林当局の言われたところと全然同じ気持でおるわけでございますが、率直に申しまして、輸入米に払う代金を払つて行けというお話ではないのでしようけれども、そつちにつけて行くということになりますと、国内の物価全般に及ぼす影響というようなことから考えましても、いまさかいかがと思います。端的に申しまして、われわれは米の輸入による補給金がいらないという方向にだんだん持つて行くことを、むしろ望んでおるわけで、国内の供出につきましては、輸入米を基準にしてという考えでなしに、本年は非常な凶作であるし、農民にお出しいただくにもたいへん苦労が多いということを考えまして、できる限り奮発して出すということでおりますので、御了承をいただきたいと思います。
○足鹿委員 まだ不満でありますし、もつと尋ねたいことがありますが、これはまだ機会もあろうと思いますから、大蔵省に対する土間は後日に讓ります。
 次の問題は、冒頭御発表になりました十月五日現在における稲の作況についてでありますが、この調査は異例の調査として、出先を督励されてお集めになりました御苦心は私よくわかります。その御努力に対しては敬意を表するものでありますが、察するに標本田の調査を繰上けておやりになつたものではないかと思う。推定実収高の坪刈り調査はなさつておらないと思う。そこでこの標本田の調査の方法を考えてみまするのに、私は鳥取県の西伯郡の事例を調べて来ました。約七千町歩を管轄する作物統計事務所の標本田は百三十五箇所にすぎません。これは山間、平坦、中間地帯の上中下九つにわけて行われたものであると承知いたしております。これにおそらく間違いはないと思う。こういう方法で全国的におやりになつたものであると思います。従つてこれはあくまでも標本田の調査であり、しかも七千町歩にわずか百三十五箇所、一〇パーセントにはちよつと強ですが、その程度のものをやつておる。聞くところによると、収穫皆無地がもしこれに該当しておつた場合は、これを除いておるということであります。そういたしますと、収穫皆無地の被害統計というものはどこにありますか。各府県別の原因別の被害統計というものはどこにございましようか。少くとも原因別の被害面積、それから起きた収穫減というものと、あるいは五割以上とか、あるいは三割以上とかという現在の共済がやつておるものと、これが大体において合わねばこの的確性というものは判断できないように思います。従つてこれはまだ中間調査であり、十一月中旬と聞いておりますが、推定実収高の坪刈り調査の結果、今のところ統計調査部として推定せられる大体の予想はどういう予想になるでありましようか。これは困難なことをお尋ねするようでありますが、私の言いたいことは、どうもこの標本田の調査といい、あるいは八月十五日の概況調査といい、あるいは実収高の坪刈り調査といい、そのたまたま收穫皆無や、異常な地帯になつたときには、これを除外してしまつておりますから、大体の線としては大きいものが出て来るのではないか。別に收穫皆無の被害統計というものがあつて、そうしてこの統計とは別に何かこれが符合するような組織があるならば、これは納得できます。全体を通じてみてこのような異常な凶作のときにおける統計のやり方というものに、何か私は実情にびつたりしないものがあるように思います。しかも鳥取県においては、昭和二十七年において百九十九人の職員が百七十人に減じられておる。全国的には相当の人間が減つておる。しかもその人々が昼夜をわかたず、農民の協力を得て現地の調査に当つておるはずだ。これだけの調査をしただけ余分であります。しかも先般の行政機構改革のときに首切りの問題を起して、そうして現地の諸君は、いかにしたならば農村の実情に即し得るかということを考えても、法規に縛られて事実上動けない。そういう悩みを第一線の諸君たちは訴えておりました。そうして苦労して出したものが、本日の五千四百五十万石という数字になつておるのでおりますから、私の感覚から言いますたらば、まだまだこれは減収が高くなつて来る。今言いました全滅したところはのけておるのですから、この統計法上何かどこかに実情にそぐわないような仕組みがあるのじやないか、これを改正するにはどうしたらいいのか、現状に即し、そうして国の施策の根拠もつくり、農民の協力をも得られるような、もう少し実情に即したものをつくり上げることはできないのか。どうも私どもは非常にこの点疑問を持つております。しかもこれは農民の心理といいますか、サンプリングのたんぼに当つた百姓は、平生は惰農であつても、ふまじめな農民であつても、農林省の指定調査田になつたというと、一つのものでも、草の一本もよけいとつたり、あるいはこやしも少々よけいにやつたり、あるいは田車も一回よけい押して、そうしてりつばな稲をつくろうという、また逆な農民特有な純朴な気持ちも出ております。従つてこの統計というものが、ややもすれば実情よりも高いものに高いものにと出て来る。そういつたものの累積が、どうしても統計全体としては何かそぐわぬものになりはしないか。そうしてあとからあとへと追つて来て、急場に問に会いかねるのではないか、こういう私どもは感じを持つておりますが、全体としてこの統計法に基いておやりになりますところの統計の実施面において、全般を通じてもう少し実情に合つたような、しかも農民の信頼も得られ、協力が得られるようなりつぱなものに仕上げて行く必要があると思う。すでにもう欠陥はお気づきになつていると思いますが、そういうことについて御意見はいかがでありましよう。もし部長で困難であれば、大臣にもあわせてお願いしてけつこうであります。
○安田説明員 私で困難であれば大臣もという御意見でございますので、私が先に申し上げまして、あとであるいは必要に応じましては大臣にもお答え願うこととしまして、御意見に対して意見を申し上げます。ただその中で、公職にあります私個人の意見として申し上げるか、個人の私として意見を申し上げるかにいささか判断を迷うところが、御意見ないしは御質問の中にはございますので、その点で御趣旨に沿いませんでしたならば御了承を得たいとあらかじめ思つております。と申しますのは、調査方法ないしは統計学のこと、それを農業に適用する場合のこと、理論上、行政の実施上ばかりでなしに、これが現在の日本の農村社会におつて、もつと農村なりあるいは農村に関係する人が納得するようにするにはどうすればいいかという点、この両者を合せていい統計か所定の予算と労力と行政能力でもつてできるかどうかを含めまして、これらについて御意見と御質問がありましたから、私はさように感じました。それに応じまして申し上げます。
 第一は、調査圃――調査田とおつしやいましたが、私どもは作况調査圃と言つておりますが、これは数は比較的比較的詳しく分解して調査するもので、このほかにできるだけ数多くとる標本筆の調査があるわけであります。その足鹿委員のおつしやつた調査田の少いことと、それに応じまして統計をどう出すかということでありますが、本来一筆々々調べた全国全作付地の全筆を調べるか、あるいはそれに近い区域作付地、筆数におきまして調査をし、かつ実測をしまして、その際に土地に対するばかりでなしに、人に対してもこれを聞きまして、そうしてその正しい作成方法をとりまして、数字をまとめれば足鹿委員のやつしやる通りになるのであります。しかるに惜しむらくは本年度予算においては、従来から元々少い予算である上に、さらに予算の節減もございまして、定員の問題も、御指摘のように必要よりはたいへんに少い定員労力でございまして、それで足鹿委員のおつしやるようにしたいのか、私どもの希望と要請でございますが、それに近い、それに沿うたような調査は、この労力と予算ではいたすことはできません。そこで国会が御審議になりました定員法の定員と、国会が御審議になりました予算の範囲内で、私どもは行政機関として調査をしなければならぬのであります。すなわちその範囲内でもつて最も能率をあげることが私どものなすべきことだろうと存じておるのであります。そこで所定の労力と定員によりまして標本調査理論という方法に基づく調査方法をとつております。その標本を成育時期と作付地とに当てはめまして、作況調査圃という調査の農家と、それから時期が進みますと――と申しますのは十月五日現在以降の調査でありますが、農家の田畑の中からの筆を、県ごとに平均約手八百とりまして、それの数が少いですから、それからその標本で実測をした結果とを両者見まして推計をいたします。そればかりでなしに、推計学の理論をもつてその標本をとる際に、全体の耗地を二町ごとに限りまして、その他、地方などに応じ、また耕地整理をしているかどうか等によりまして作付地を区別いたしまして、二町歩ごと限つた少い標本の単位区、言いかえますと、予算と労力に沿うとそれしかできない標本が、それぞれ代表する母集団というものをわけて、そのわけ方によつて全体どうなるかという推計をいたす方法をとつているわけであります。この方法をとることが一番能率的で一番正確で、またこの労力、予算では、ただいま申しましたような程度しかできない予算と定員にあるからであります。またこの方法は、現在程度には、少くとも独立した統計組織で専門職員がいるので、今の程度できるのであります。それが約半年前から計画予定した成育時期ごとの定期調査の中間に、全国的な臨時の実施調査が、新たに国会等の要請に応じて加わりますと、職員の中に病人も非常にたくさん出て、所要の経費をもまた支払えないように現在なつておるのでありまり。そこで足鹿委員が作況調査田と申されましたのは、私の申しました県に約二百ほど置いておりまするところの、作況を非常にこまかく調べる場合の作況調査団の方をおつしやつたのだろうと思いますが、その標本をとつて推計する場合に、少数ですが別にやつておりまする、試験場的な技術による詳細な分解的調査をする気象感応試験の結果を加えて、そうしてこれを確めて推計を出しておるわけであります。
 さらにまたもう一つ御質問になりました、収穫皆無ないしは皆損というような問題につきましては、別途被害事故と被害原因をどの地域に受けましたかを一応全作付地について、まず職員が調査員の力を借りてずつと見まわりまして、御指摘の作況調査田とか、あるいは芳賀委員の何筆をとつたかというその筆ではありませんで、被上地域全体について、これを甚、多、中、軽、少の五階層にわけまして、その中で階層に応じて、それぞれの被害の標本をあらためてとりまして、そうして多年研究しておりまする、こういう成育時期には、こういう形態をとつた場合には、こういう減収があるという尺度を当てはめまして、減収度をはかるわけであります。従つてその場合収穫皆無であります場合は、まず目で見て、これは収穫皆無階層であつて、そこの標本をとつた場合に、収穫皆無の尺度が当てはまる場合には、別途行つている作付面積調査に照して、その面積全体が収穫皆無の面積になる。それ以下何割々々の減収になるという階層別のものでありまして、その基礎にする甚、多、中、軽、少の程度が、最初の見まわりの階層と違います場合は、その中でとりました標本によつて組み直して改めるわけであります。その結果、その被害面積は、おのずから原因別と程度別の延面積になります。その減収尺度を当てはめる場合は、収量を標本調査圃とか、調査筆の調査結果とか、あるいはこれに検見を加えてやります場合にも、ある程度出て来ます。半年反収の中にも、ある程度の平均的な被害による減収が当然入つておるのでありますが、被害が発生することに被害による減収調査をいたします場合には、その平年反収からどれだけの減収と見るがよいかを、被害尺度を当てはめる場合に考えて調査するのであります。こうして調べました収量調査と被害減収量調査との両者が、平年反収を考えて一致するようにいたしまして、収穫予想高を決定いたしておるわけであります。
 今後これをいかにするかと申しますならば、昭和二十四年から私どもの統計調査部では、七千人も定員が減少されておる現状でございますので、そこで同一方法によりましても、もつと労力と経費が多く必要であります。農民や農業関係者にもつと納得の行くような調査を実施する場合には、定期調査においてもつと経費と労力を多く要します。ことしのように被害その他の臨時調査がたびたび数多くある場合には、なお多くいると思います。そうでない、全体を土地と人について一々に調査する方法や、ないしはそれに近い方法で、それに近づくに従つての調査をする場合は、もつとたくさんの調査定員と経費がいると思います。そうでない場合、しかしその方法をとるのでも、単に人に対して聞取りしたり、目で見たりするだけでは、その限りにおいては絶対に正確なものになることはございません。なお今回の調査は、その労力、経費上の制約から来ます場合の最大限度できる調査に応じまして、また稲の成育時期に応じまして、九月十五日現在におきまして稲の出穂後三十五日、そのころが稲の成育状況が中間的には最も推定ができやすいころだという状況でありますが、この場合は作況調査圃がおもな調査の中心となつた推計であります。ところがもちろん日本では、北から南、東から西に、稲の成育時期がまた品種によつても違います。早中晩性の種類に応じて、その作付面積を調べるわけでありますが、もちろんその違いに応じて推計を加えるわけであります。一番調査結果が定確に近いのは、収灘期における推定実収高調査であり、調査としてはこれが最後でありますが、これは坪刈りをして、もみを乾燥をしまして、脱穀調製をして調べまして、この場合には作況調査圃も一つの判断材料にいたしますが、多くの一般標本筆を刈つて測量して、上米とくず米との重量を調べ、また品質をできるだけ調べたものをもつて被害調査等と照しまして、標本が表わす全作付地の母集団から全生産量を推計するわけであります。けれどもこの調査は各県各地に応じまして、たとえば水稲ならば、稲が水田にある時期においてやりませんと、実測してできません。拙定実収高調査までの稲の成育過程に応じた各調査は、時期ごとに一番遅い時期で現地調査をし、そしてなるべく早く集計結果ができるようにしておりますが、しかしどの土地でも全部一斉に実測をするならば、調査に要する定員労力が何十倍の人もいりますので、一回の調査に一週間前後をかけてやつておるわけであります。しかしその限りにおいては、推定実数高調査は成育の最終の時期をねらいまして、各地ばらばらに行います。しかし予想時期において全国の予想収穫高を推計することは、各種の政治上、行政上、経済上その他の要請がありますので、その刈取期以前に数回の作柄概況調査と予想収穫高調査をやります。この全国の稲の予想収穫高調査は、以前に年に二四やつたこともありますが、ことしは年に一回の定期調査を行う予算になつておるわけであります。その一回が十月十五日現在で調査することとして予定しておつたわけであります。今のこの予想収穫高調査の内容を、定期調査の一つであるが、そのすぐ一回前の九月十五日の作柄概況調査の内容に比べますと、後者の方が作況調査圃の調査結果においても数が少い、そのかわり詳しく調べて、推定が多いことに比べまして、予想収穫高調査の場合は、作況調査圃の調査等のほかに、一般標本筆の相当多い数の調査で、坪当りの稔実粒数とか、その上米となる玄米粒の重さのぐあいとか、検査に通らないような米と、通る米とを加えた場合のすり落ち玄米の重量とかいうもの等を調査して出しまして、それから見ましたならば、各地ごとに階層をわけましたものに応じて、ことしは平年反収に比して何ぼの反収になるだろうか、すなわち何石何斗になるだろうかということを出しまして、その無積の結果、名県ごとにどうなるかを算出するのであります。またこの標本筆、調査圃でない方の標本筆でありますが、そういうものから推計学を応用しまして、各地ごとに全体の推計をする――この算式などはまことにむずかしくて、簡単に御説明してもおわかりにくいのじやないかと想像をいたしますけれども、推計学の方式に従つて出して来ておるわけであります。
○井出委員長 福田喜東君、簡潔にお願いします。
○福田(喜)委員 私は簡単に、今回の凶作対策の農山村の金融、ことに伐調資金を中心として、大臣並びに主計当局に御意見を承りたいのであります。
 御承知のごとく伐採調整資金は、今日におきまして農山村金融、不動産担保の金融として、政府資金の現状におきましては、ほとんど唯一のものである。今回の水害、冷害等によりまして、山地の地帯の耕地が荒され、また冷害等によりまして収穫皆無の地が非常に多く、今日の生活それ自身にも事欠く状況は私が今さらここで申し上げるまでもないことでございますが、午前中の参考人の方の議論によりますと、伐調資金が大業者、ことに大資本家の擁護のみに立つておるというような議論も出たようでございますから、私は特に大臣にお伺いするわけでございます。
 わが国の森林経営の形態は、きわめて零細化されておりまして、全山林所有者四百万人のうち、一町歩未満が七二%を占めておりまして、これらの森林所有者は、戦時戦後伐期に至つたものはほとんど伐採し尽しまして、わずかに今日幼齢林を中心として残つておるような実情であるわけであります。これら木材所有者は生活のためにやむを得ず、ことに今日の凶作の場合におきましては、幼齢樹林も伐採しようとしておるのが、実情でございます。これは国土保全、あるいは治山治水の上からいたしまして、まことにゆゆしい事柄でございます。これを切ろうとする場合におきましては、新森林法によりまして伐採許可を受けなければならないことは、これは申すまでもないことでございまして、許可も、受けようとすれば不許可になるものが多い。法律はこれが不許可になる場合は、今申しました伐採調整資金を出すことになつておるのでありますが、本年の予算額では、その不許可林にとうてい融資の万全を期することができないほどの少額であります。今や水害とか冷害等のために、不許可林分も食わんがためには、生きんがためにはあえてこれを切つてしまおうといつてやつておるのが、現在の実情であります。こういう機運であります。この幼齢樹林等を切つたがために水害のもとを起す。それも食わんがためにこういうものを切つておる。しかも伐調資金は農山村における唯一の不動産担保の金融である。これが今回の凶作対策においては非常な意味があるときに、私はこの問題につきまして、大臣がどういうお考えを持つておられるか、主計当局のお考えはどうかということを第一に承りたいのであります。私の申し上げんとすることは、政府はまずこの資金について、資金わくを拡大し、濫伐を防止して、治山治水の完璧を期せられる御意向はないかということでございます。
    〔発言する者あり〕
○井出委員長 静粛に願います。
○保利国務大臣 伐調資金の問題につきましては、ただいま門田さんお話のように、とにかく生活資金にも困るというような地帯では、先のことは考えておりません。山が荒れてもしかたがないというようなことになりがちでございます。さなきだに治山治水のやかましい折からでございますし、私どもとしましても、ぜひこの場合の資金わくをもう少しふやしまして、御要望に沿わなければならぬ。それが同時に国益を守るゆえんではないかというように考えまして、ただいま折衝をいたしておるわけであります。どこまで御期待に沿えますか……。
○福田(喜)委員 過日福島県に行われました山林復興大会におきまして、農林関係の資金関係につきまして、伐調資金のことが非常に討議の中心になつたわけでございまして、これは私はうわさ話でございますから、確たることは存じませんが、大臣がそのときに、伐調のことはだれからも聞かなかつたよということを省内でお話になつたようでございますけれども、もし事実でなかつたら私は喜んで取消しますけれども、そういうふうな状況で、われわれとしては、この伐調が今日の災害対策といたしまして非常な意味を持つておるということを、十分御認識いただきたい。
 それから不許可林分に融資するとするならば、われわれは今後におきまして、約十数億の金がいると思いますが、現在林野庁が大蔵当局に申請しておる金は、おそらく四億四千万くらいだということを承つておりますが、この点につきましてどうでございますか、これをもう少し拡大する意図ありやいなや、これは大臣並びに主計当局の御意見を承つてみたいと思います。
○保利国務大臣 東北に参りましたときに、さぞ伐調資金の問題がやかましかつたろうということをどなたかおつしやいましたから、伐調資金の問題は、実はあまり出なかつたということを私は申し上げた。しかしそれはちようど福島に山林の大会がございまして、それらの方々はほとんど福島に集結されておられた。福島において熱心にそのことが取上げられておることを巨細に承知いたしております。その必要を痛感いたしております。私どもとしましては、できるだけひとつ大幅にと思つておりますけれども、なかなか全体の調整の上から行きましても問題だろうと存じまして、できるだけひとつやらしていただきたいと考えております。
○福田(喜)委員 最後にこれは大蔵省の原さんの御答弁をいただきたいのでございますが、原さんに対しましては、特にこの伐調資金というのは、現在の要綱の扱い方をもう少しかえていただきまして、私が申し上げましたように、これは山林担保の不動産金融としては唯一のものだろうと思います。そうしてこういうふうな凶作の対策といたしましては、私はこういうときにこそ、使途の自由なるこういうものについて一役を買わしていただきたい。そうして農村における凶災の場合における活用というものについて特に御配慮をいただきたいのでございまして、現在のやり方について、根本的なる検討を加え直していただきたいというのが私たちの主張でございます。おそらく山林関係のわれわれ委員会の委員も同じ意見だろうと思います。
 それから第二点は、農林省内におきます各県の配分についての操作でございますが、これは大臣にもちよつとお耳に入れておきますが、これは不許可林分がもとになつて、融資の各県別のわくというものがきまるだろうと思います。そこで私たちちよつとふに落ちぬのは、これは大分の例をとつてはなはだ恐縮でございますが、県の名前は申しませんが、民有林が大分県の何分の一というほど少い所に、伐調のわくが大分県の倍ぐらい行つておる。これは幼齢樹林がそこにそんなにあるはずはないのでございますが、私どもとしては、どうもふに落ちぬのでございますが、聞きましたところ、これは県の申請だけをもとにしておるのだ、こういうことでございます。県の申請だけをもとにしますれば、政治力の強いところと弱いところとで大分相違がありますが、これはひとつ大臣の御監督をいただきまして、そこのところは実際実情に適合するように、この配分について御配慮をいただきたいのでございます。
 それから水害地の実情、これも自分の県のことを申し上げて恐縮でございますが、今回の水害におきまして壊滅的打撃を受けた所におきましては、伐調資金が今申し上げたような意味において、非常に重要な意味を持つております。こういう所におきまして、三億円の申請というものをやつたわけですが、こういう所はほかにいわゆる産業はないのでございます。こういう場合におきまして、この林業、ことに伐調資金の持つ意味というものは非常に重要な意味がありますから、これは大蔵当局もよく川認識の上、十分その配分については御配慮をいただきたい。
 それから、これは立つたついででございますが、小倉さんにちよつとお尋ねしますが、小水力発電の問題でございます。この資金わくの問題につきまして、今非常にお苦しみのようで、これは受電関係も一緒でございますが、これはどうなつておりましようか。大蔵当局に対する交渉の経緯等も、さしつかえなければお間かせ願いたいと思います。
○保利国務大臣 代調資金の各県配分等につきまして、これはおそらく御指摘であれば私は――あまり深く何しておりませんと申しては、はなはだ無責任でございますけれども、御指摘のような事態があるとすれば、むろんいろいろ理由はあると存じますけれども、そういつたような勢力関係で資金が不公平に行くというようなことは、これは絶対にございませんということを申し上げなければならぬと思います。そういうことは十分注意いたします。
○福田(喜)委員 そういうことがあつたというのじやないですけれども、何か県当局の申請の誤りがあつたと思いますけれども、多少レザーヴがあるそうですから、ひとつ十分御考慮を願いたい。
○保利国務大臣 私の方も十分気をつけて取扱うようにいたしたいと思います。
○原説明員 御趣旨は十分伺いましたので、ただいま伺つております補正予算のとりまとめに際しまして、他とのバランスをよく見まして決定して参りたいと思います。
○小倉説明員 小水力の発電ないし火力発電、受電施設等につきまする融資につきましては、年々相当増額いたして参つておりますけれども、まだ需要にはなかなか応じられない状況でございますことは、御指摘の通りでございまして、私どもといたしましては、補正予算等の機会がございますれば、増額の要求をいたしたい、こういうつもりでおります。
○井出委員長 川俣清音君、一問に限り許します。
○川俣委員 これは大臣にぜひ聞いておいていただきたい。今あなたの専門でなくても簡単にわかることだと思うのですが、いわゆる本材の需給が逼迫して来ると、木材価格が上つて来る。そうなつて参りますと、幼齢林を伐採しようという機運が出て来る。この幼齢林を抑えることが治山治水の上から必要だということで伐採を押えるわけです。この伐採を押えてだれが一番もうかるかという問題なんです。だれが一番利益を受けるかというと、伐採可能な立木を持つておるものが一番利益を受けることになる。伐採可能な立木をたくさん持つておるのは林野庁だ、こういうことになる。そうすると、国有林野が一帯利益の恩典を受けるのであるから、そちらから調整資金を出せないはずはないわけです。そういうことでしたら大蔵省もあえて反対するわけではないと思う。ひとつもうかるところから損をするところに出したらどうかという論拠が成り立つのではないかと思いますが、大臣はいかがですか
○保利国務大臣 そういうふうな考え方になりますれば、私は十分成り立つようになると思いますが、よくこれは林野庁において研究をしてもらうようにいたしたいと思います。
○井出委員長 それでは来週の日程は、来る十九日月曜に農業災害補償制度に関する小委員会、二十日農林委員会、二十一日造林及び治山治水に関する小委員会及び農業共済制度に関する小委員会、とりあえずこいう順序で進めたいと考えます。
 本日はこれにて散会いたします。
    午後六時五十四分散会