第019回国会 大蔵委員会 第36号
昭和二十九年四月七日(水曜日)
    午前十時四十三分開議
 出席委員
   委員長 千葉 三郎君
   理事 淺香 忠雄君 理事 黒金 泰美君
   理事 坊  秀男君 理事 山本 勝市君
   理事 内藤 友明君 理事 久保田鶴松君
   理事 井上 良二君
      宇都宮徳馬君    大上  司君
      大平 正芳君    小西 寅松君
      島村 一郎君    苫米地英俊君
      福田 赳夫君    藤枝 泉介君
      山中 貞則君    福田 繁芳君
      本名  武君    小川 豊明君
      佐々木更三君    柴田 義男君
      春日 一幸君    平岡忠次郎君
      山村新治郎君
 出席国務大臣
       大 蔵 大 臣 小笠原三九郎君
 出席政府委員
        大蔵政務次官  植木庚子郎君
        大蔵事務官
        (管財局長)  窪谷 直光君
 委員外の出席者
        議     員 中野 四郎君
        議     員 村瀬 宣親君
        議     員 福田 喜東君
        議     員 受田 新吉君
        大蔵事務官
        (管財局閉鎖機
        関課長)    岩動 道行君
        専  門  員 椎木 文也君
        専  門  員 黒田 久太君
    ―――――――――――――
四月七日
 委員堀川恭平君辞任につき、その補欠として山
 中貞則君が議長の指名で委員に選任された。
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本日の会議に付した事件
 入場税法案(内閣提出第三〇号)
 出資の受入、預り金及び金利等の取締に関する
 法律案(内閣提出第八一号)
 証券取引法の一部を改正する法律案(内閣提出
 第八八号)
 金融機関再建整備法の一部を改正する法律案(
 内閣提出第一〇八号)
 旧日本占領地域に本店を有する会社の本邦内に
 ある財産の整理に関する政令の一部を改正する
 法律案(内閣提出第一〇九号)
 閉鎖機関令の一部を改正する法律案内閣提出第
 一一一号)
 接収解除ダイヤモンドの処理等に関する法律案
 (中野四郎君外二十一名提出、衆法第一五号)
 接収貴金属等の処理に関する法律案(内閣提出
 第一二五号)
 日本国とアメリカ合衆国との間の相互防衛援助
 協定の実施に伴う関税法等の臨時特例に関する
 法律案(内閣提出第一三三号)
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○千葉委員長 これより会議を開きます。
 本日はまず去る三月三十日、当委員会に審査を付託されました接収貴金属等の処理に関する法律案並びに去る二日付託となりました接収解除ダイヤモンドの処理等に関する法律案、日本国とアメリカ合衆国との間の相互防衛援助協定の実施に伴う関税法等の臨時特例に関する法律案の三案を一括議題として、順次提案趣旨の説明を聴取いたします。
 まず中野四郎君外二十一名提出にかかる接収解除ダイヤモンドの処理等に関する法律案について御説明を願います。中野四郎君。
○中野四郎君 接収解除ダイヤモンドの処理等に関する法律案の提案理由の説明をいたします。
 戦時中政府は、航空機、電波兵器等の生産を増強するの必要に迫られたのでありますが、これが生産上不可欠の資材はダイヤモンド工具でありまして、当時工業用ダイヤモンドは陸海軍が相当多量に南方方面から入手してい、たのでありますがすべて陸海軍工廠に受入れられまして民間にはまわらずやむなく軍需省は一般国民から装飾用ダイヤモンドを買い上げることとなり、昭和十九年七月ダイヤモンド買上実施要綱を定めて、これを各地方長官に通牒するとともに情報局は大々的の宣伝を行い、婦人会、隣組等を督励して国民の愛国心に訴え、その供出を勧奨したのであります。当時皇室におかれても、これが奨励のため、王冠を初め数々のダイヤモンドのお下渡しがあり、一般国民はこれに応じて、多数の供出をいたし、遂に目標の九倍約十六万カラツト余の大量に達したのでありますが、これを十分に利用することを得ずして終戦となり、当時駐留軍によつてこれらのダイヤモンドは、他の貴金属とともにことごとく接収せられ、その保管するところとなつたのであります。しかして平和発効とともに日本政府に引渡されたのでありまして、これらのダイヤモンドは、目下日本銀行において保管せられているのであります。しかしてこのダイヤモンドの買上げ以来、これが、鑑定、保管、運搬、接収、接収解除後における保管等の間におきまして、幾多不可解な疑惑があり、これらの疑惑を明らかにするとともに、これが処理につきましても法律上に疑義が多いのにかんがみまして、衆議院行政監察特別委員会におきまして、第十三国会以来調査を続けられたのでありますが、その結果当時陸海軍、宮内省等における不正不当、駐留軍の保管中における不正、さらに交易営団等における管理の不当、業者の暗躍等幾多不明朗なる事柄が判明し、このまま放任する場合は、遂には全国民愛国の納品が不当に処理せられることをおそれ、かつまたこれらダイヤモンドの帰属についても法律上幾多の疑義もあり、それぞれ専門の学者の意見を聴取せられました結果、第十六国会における同委員会においては立法手続により、これが解決をするにしかず、しかも、これは議員立法によることが最も適当であるとの結論に達し、この旨同委員会において決議せられたのであります。
 よつてこの決議の趣旨によりまして、この法律案を提出し、もつて国民の期待に沿わんといたす次第であります。次にこの法律案の要点につきまして申し上げたいと存じます。
 第一、これらのダイヤモンドは、戦争完遂のため全国民から供出せられた愛国の結晶ともいうべきものでありまして、終戦によりこれが目的は達せられなかつたとはいえ、この愛国の精神を無視して無意義に措置すべきものではなく、国民感情の許します費途、すなわち戦争完遂の、目的にこそ使用できなかつたが、せめても戦争犠牲者の援護のために使用せられることこそ、国民の期待に沿うところと存じまして、まず第一にはこれが援護の資に充当することといたしたのであります。
 第二には、このダイヤモンドの大部分は、国民から当時相当の対価によつて買い上げられましたものが大部分であるとは思われますが、万一にもそれ以外のダイヤモンドが会社、工場、個人等から無償で接収せられたものがあり、それが確実に立証せられました場合は、これをその権利者に返還いたしますこと、また公有のものがありました場合はこその関係の長からこれが返還を請求せしめまして、それぞれの所管に帰属せしめますこと、さらに当時軍需省は交易営団等をして買上げ業務を行わしめたのでありますが、これらの団体がダイヤモンド買上げのために経費を支出いたしましたことが立証せられましたならば、これが経費を補償いたすこととしたのであります。
 第三には、これらのダイヤモンドの換価処分、あるいは返還処置、さらに換価代金の使途等につきましては、審議会を設けまして、政府はこれが審議を得まして処理せしめるようにいたし、かつこのダイヤモンドの処理につきましては、国民の関心がきわめて深いのにかんがみまして、審議会の委員に国民の代表であります国会議員五名を任命することといたしたのであります。
 何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成あらんことをお願い申し上げます。
○千葉委員長 次に、政府提出にかかわる両法案について御説明を願います。植木大蔵政務次官。
○植木政府委員 ただいま議題となりました接収貴金属等の処理に関する法律案の提案の理由を御説明申し上げます。
 終戦後、連合国占領軍は、本邦において政府及び民間から金、銀、白金、ダイヤモンド等を接収したのでありますが、平和条約の発効と同時に、これらの貴金属等を日本政府に引渡して参りました。政府といたしましては、さきに接収貴金属等の数量等の報告に関す出る法律によつて貴金属等を接収された者から必要な報告を徴し、その内容の調査を進める一方、連合国占領軍から引渡されました貴金属等の現品調査を実施して参つたのでありますが、最近に至りようやく引渡された現品の内容も明らかになりましたので、今回いよいよこれら接収貴金属等について返還その他必要な処理をいたしますため、本法律案を提出する次第であります。
 以下、この法律案の内容の概略を御説明申し上げます。
 まず第一に、貴金属等の被接収者は、法律施行の日から五月以内に大蔵大臣に対し、その接収された貴金属等の返還を請求することとし、被接収者が右の請求をしない場合は、接収された貴金属等の所有者が、右の期間経過後二月以内に請求を行うことを認める等、返還請求の手続を定めることといたしました。
 第二に、この返還の請求に対しまして、大蔵大臣は、当該貴金属等の種類、形状、品位及び個数または総重量を証拠に基いて認定することとし、認定された貴金属等につきましては、それが政府の保管貴金属等の中で、特定する場合にはそのものを返還し、特定しない場合には、各貴金属等の種類、形状、品位及び重量に応じて、一定の順序により、残余の保管資金属等を接収貴金属等の個数または評価額の割合により按分返還することといたしました。
 第三に、接取貴金属等のうちには、交易営団、社団法人中央物資活用協会または社団法人金銀運営会が、戦時中、政府の金、銀、白金またはダイヤモンドの回収方針に基き、政府の委託を受けて民間から回収したもの、日本金属株式会社が、政府の指示に基いて、交易営団または中央物資活用協会から配給のため買入れたもの及び金銀運営会が、戦時中政府の委託により旧日本占領地域における通貨価値維持の目的をもつて、金製品を輸出するため、政府から払い下げを受けたものがありますが、これらはすべて国に帰属させるとともに、これら四団体が右貴金属等を買入れ、または加工した際の代金、手数料等をそれぞれ各団体に交付することといたしました。
 第四に、以上の認定、返還その他の重要事項の処理に万全を期するため、大蔵省に接収貴金等処理審議会を設けることといたしましたほか、認定等に対する不服の申立て、虚偽の請求に対する罰則等所要の規定を設けることといたしました。
 次に日本国とアメリカ合衆国との間の相互防衛援助協定の実施に伴う関税法等の臨時特例に関する法律案につきまして、提案の理由を御説明申し上げます。
 この法律案は、日本国とアメリカ合衆国との間の相互防衛援助協定第六条に規定されている関税、物品税等の免税条項の実施に伴いまして、関税法、物品税法等の特例を設けて、協定に基き関税等の免除を受けて輸入され、または調達された資材等の譲り受けについての制限等を設けようとするものであります。
 まず本邦政府、合衆国政府及び他の被援助国の政府以外の者が、協定の規定に基き関税、物品税または揮発油税の免税を受けて資材等を輸入し、または製造場もしくは保税地域から引取つた場合において、これらの資材等が、一定の期間内に、これらの物を受取るべき政府に引渡されたことについて証明がされないときは、特定の場合を除き、関税等の免除を受けた者から当該免除にかかる関税等を徴収することとしているのであります。
 次に、関税等の免除を受けて輸入し、または物品税等の免除を受けて国内で調達された資材等を譲り受ける場合には、その譲り受けを輸入または製造場からの移出もしくは引取りとみなして、特定の場合を除き、関税等を徴収することとしているのであります。
 以上がこの二法律案の大要でありますが、何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成あらんことを御願い申し上げます。
    ―――――――――――――
○千葉委員長 次に、旧日本占領地域に本店を有する会社の本邦内にある財産の整理に関する政令の一部を改正する法律案、閉鎖機関令の一部を改正する法律案、金融機関再建整備法の一部を改正する法律案、出資の受入、預り金及び金利等の取締に関する法律案、証券取引法の一部を改正する法律案の五案を一括議題として質疑を行います。質疑は通告順によつてこれを許します。
 この際お諮りいたします。海外同胞引揚及び遺家族援護に関する調査特別委員会委員の山下春江君並びに村瀬宣親君から、ただいま議題となりました五法案中、旧日本占領地域に本店を有する会社の本邦内にある財産の整理に関する政令の一部を改正する法律案、閉鎖機関令の一部を改正する法律案、及び金融機関再建整備法の一部を改正する法律案の三案につきまして、委員外の発言を求められておりますが、これを許可するに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○千葉委員長 御異議なしと認めます。よつて発言を許可することに決しました。村瀬宣親君。
○村瀬宣親君 今回閉鎖機関令の一部を改正する法律案等在外資産に関係のあると思われる三法律案が提出に相なつておるのであります。そこで私は、大蔵大臣に昨年からの連続した質問の御答弁をこの辺でひとつはつきりと伺つておきたいのであります。
 在外資産の問題につきましては、これをいかに政府が補償をするかという問題につきまして、はつきりした方針をいまだお示しになつておりません。サンフランシスコ平和条約は、生命の問題である捕虜については、不徹底ではありましたけれども、一応正義を守りました。しかし財産問題についてはまつたくこれを無視し、日本の政府もまたこれを承認したところに、今日この在外資産補償の問題が壁に突き当つておる根本の問題があるのであります。終戦後九年にして、待ちに待つた在外資産の一部であります送金小切手、預貯金等の支払いの道を講じようというこの三つの法案がようやく出て参つたのでありますが、この在外資産処理に対しまして、政府は、憲法第二十九条第三項との関係は、その後どのような結論に御到達になりましたか。この三つの法案を出して来られましたのは、二月二十二日の在外財産問題調査会の答申に基くと言つておられますけれども、答申に基いて、政府はこの在外資産の基本問題をどのように方針を御決定になつたのでありますか、ただ在外財産問題調査会の答申にのみおつかぶさつて、政府の基本方針はきめないでこの法律をお出しになつたのであるかどうか、この点についてまず大蔵大臣の御答弁を要求いたしたいのであります。
○小笠原国務大臣 在外財産処理の問題は、今御指摘になつたように、根本的の決定を見ておりませんでしたので、従つて村灘議員等からさきにいろいろお話もございまして、在外財産問題調査会をつくつて、大野君を委員長にお願いしまして、各方面のそれぞれの人を集めてやつておるのでありまして、今後だんだんとこれが結論に入つて参ることに相なつておりますが、とりあえず昨年は、向うから持つて帰つたものを返したらどうかというお話がございまして、現金で持つて帰つたものについて、最高一品五万円をお返しをいたす一これはできるだけのことは早くやつた方がいいという村瀬さんの御趣旨もあつて、そうやつた次第であります。次に出て来たのが送金小切手、預貯金の問題でありますが、送金小切手は、御承知のようにそのほかの書類と一緒に、引揚げられたときに税関でお預かりしておつた、これを早く返せ、何もそんな人の財産を預かる必要はないではないかという国会の御意向もありまして、お返ししたわけであります。お返しはいたしたが、支払いについては何らきめていなかつたので、今回そういう答申がありましたので、それじやできるだけということで、最高一品五万円というところを−五万円払うと大体九割ぐらい片づくかと考えておりますが、お払いすることにした次第であります。なお根本問題は引続き御検討願つておりまして、これらのものにつきましては、私どもも根本方針が立つてからやるべきでございましようが、政府としては、在外財産の問題は相当関係も広いし、また財政上のいろいろな問題もからみ合つておりますので、根本方針をきめるのはなかなか容易でない、しかしできるだけ在外同胞の方の御便宜をおはかりする必要がある、こういう見地から、こういう処理をいたしておる次第でございます。
○村瀬宣親君 私は政府の各説明員に対しましては、在外同胞引揚げ特別委員会等ですでに質問をいたしておりますので、今日は特に大蔵大臣から御答弁をいただきたいということをあらかじめ申し上げておきます。今大蔵大臣は、とりあえず五万円支払うと仰せになつたのでありますが、この三つの法律案が通りますと、一率に一応五万円はお支払いになる御方針であるかどうか。これはあといろいろな基本線に触れるのでありますけれども、今そういう御答弁がありましたから、まずその御答弁から引出してみたいと思います。
○小笠原国務大臣 それは実は払えるところが払う、こういう建前でございまして、払えぬところ――これは村瀬さんの方がよく御承知ですが、たとえばあれは三つほどありまして、私さつきこちらへ来る前に調べて来たのです。これは御参考になるかどうか、数字は残りますからちよつと申し上げておきますが、現に営業中の金融機関が十行ありまして、それが未払いの送金為替が六億八千三百万ございます。それから閉鎖機関である金融機関が十三行ありまして、それが未払いの送金為替が三十二億七千九百万ございます。それから在外会社である金融機関が十行ありまして、これはごく僅少でございます。この閉鎖機関である十三行のうちに、全額払える分がございます、しかし払いかねる分がございます。従つて、この法案で五万円払うということにいたしておりますが、五万円というのは、いわばその機関の力に応じて払う、こういうことに相なるのでございます。
○村瀬宣親君 そこで、私はまた基本的な問題に帰らねばならないのであります。一体在外資産は国家がこれを払う責任があるとお考えになるのであるかどうか。この三つの法案は、人の何とかで相撲をとるというような法案でございまして、国は一円の金も出そうとしておらない、よその機関に、お前のところに金が残つておるならば払つてやれというだけの法律案であります。そういうことならば、九年も待つは必要なかつた。引揚者が苦しい生活をしておるととは十分大臣も御存じなのでありますから、そんな政府が一円も負担をしないようなやり方ならば――、ほんとうに引揚者に温情があるならば、とつくに出しておらねばならないことなのであります。怠慢というか、こんなおそい法律案はないのであります。だから私は基本にさかのぼつてひとつ政府の方針を伺いたい。無賠償の平和条約をつくるために、七百万引揚者が粒々辛苦でためた財産を全部提供したからこそ、あの無賠償の平和条約ができたと私は思う。国民全部が負担すべきものを引揚者のみが負担をして、ああいう平和条約ができたわけなのであります。そうすれば、これは憲法第二十九条第三項に当然該当するものである、従つてこの在外財産に対する補償は国がなすべきものである、これは山下教授なども、ちやんと明らかに法理的な理由を述べて主張し続けておるところなのでありますが、その基本的な御方針はどうであるか、もうこの辺で明らかにしていただきたい。そういうものは国は知らぬのだ、ただお恵みで、かわいそうだから少し何とかできれば色をつけてやろう、こういうお考えで出発をしておるのであるか、これは当然国全体、国民全体が負担すべきものを、たまたま海外におつた者のみに犠牲を背負わしたのであるから、これは国家が当然負担すべきが原則である、しかし国力はそれに及ばないから一時これを延期するとか、その他税金等による処置によつて国力に応じたものにしようという御方針なのか、基本線はどつちでありますか。この基本の考えが、最初は一寸の違いでも、到達線に達するまでには一里も三里もの違いになつて参るのであります。従つて政府はどういう基本的な御方針でこの三つの法案をおつくりになつたのか、もう少しこれをはつきりしていただきたいのであります。
○小笠原国務大臣 大体から言いまして、実は延びておつたことについては、外交関係がもう少し早くきまるのじやないかというふうな見通しをしておつたことが、遅れておるもとである、これは以前のことでありますが、私はそういうふうに了承しております。
 それから実は払うにも、例の調整金関係の利益は出来なかつたが、言葉はちよつと悪いかもしれませんが、その後のインフレの高進によつて、いろいろの処理をしまして利益が出て来たのです。それで若干でも払えるようになつて参つた、こういうことが現実の問題であると私は思つております。
 それから全体としてこの問題を、今まで未払い送金為替とか、在外預金だけのことを申しておつたのでありますが、しかしあとの在外資産全般に関する問題は、これは相当他にいろいろな関係もありまして、ちよつとまだ私の方でも根本的結論に入つておりません。と申しますのは、たとえばこれを国が一体負担すべきものであるかどうか、それとも戦時中の諸般のものが打切りになつたごとくに、これは打切りにすべきものであるかどうか、こういうようなことも、これは率直に申し上げまして、この在外財産問題調査会等でよく取上げてもらつて、いろいろ御意見も聞き、一方私どもの方でも研究を進めて行く、また在外財産等については一方交渉も進めて行く、こういうようなこと等で、たとえばこれはちよつと例が悪いかもしれませんが、アメリカあたりにある日本人の財産も、一億ドルぐらい私的の財産がございます。ああいうものについても、たとえば西ドイツの分についても今度はもどすような話がついて来ると、日本に対しても少しまた道が開けるような感じもして来る。従つて話を進める道もついて来るというようなふうにも考えられますので、それこれ在外財産の問題は、条約ではもうとられてもしかたがないようになつているが、しかし一方ブラジルとかインドとかいうぐあいに好意的にやつてくれて、ブラジルあたりではこの間も財産をもどしてくれております。そういうことも現実にありますので、なかなか一様に論じにくいところがあるように思います。これは私の研究の足らぬところかもわかりません。それらについてまたもし御意見があれば伺つて、研究は進めて参りたいと思います。ただいまのところは、実はまだそういうはつきりした結論を出して村瀬さんにお答えするところに私としては行つておりません。
○村瀬宣親君 くどいようでありますけれども、この問題を明らかにしない限り、先へ進みましても、大事な基礎工事をしないで上に家を建てるようなことになりますので、私はなおお尋ねをいたすのでありますが、今ブラジルその他のことのお話がありましたが、後ほど正金銀行の問題についてひとつ大蔵大臣の決意を伺いたいのですが、今御答弁を伺いますと、アメリカなども、いろいろ西ドイツとの関係で払つてくれるようになるかもしれない、じつと手をこまねいて待つておるようなお言葉でありますが、政府は憲法第二十九条第三項との関係について、腹をおきめになることによつて、アメリカとの交渉も非常に影響が大きいと思うのであります。国は払わぬでよいのだという方針で、いつまでも戦争犠牲を引揚者におつかぶせたまま放任しておくならば、アメリカもそう急いで、西ドイツがどうなろうと、日本に返そうとは言わないかもしれない。しかしこれは当然国が支払うべき義務があるのだ。だから政府としてはじつとしておれないのだという決意をもつて御交渉になるならば、アメリカも早くそれらの処置はしてもらえるに違いないのであります。でありますから、憲法第二十九条第三項との関係を明らかになさるということは、今後の外交交渉においても、また政府の仕事しのやすいためにも非常に重大なることである。ことに昨年の十月二十六日に、在外資産問題に関する決議というのを引揚同胞対策審議会でしております。この引揚同胞対策審議会には、大蔵、外務、厚生、経審、建設、法務、農林、通産、運輸の九人の次官が入つておる。あなたの次官も入つてこういう決議をなすつておる。「在外財産問題は、重大なる戦後処理の問題であるとともに憲法上の問題でもあるので、政府はなるべく速やかに国会の承認を得て、新たに在外資産に関する調査審議機関を設置し、対策を樹立し、その公正、且つ、妥当なる処理を行う必要がある。右決議する。」という決議をあなたの次官もなさつておるのであります。そういたしますと、この在外財産の問題は憲法上の問題であるということを、あなたの次官も加わつて、九人の次官がちやんと決議をしておる。明らかに憲法上の問題であります。そういたしますと、今ごろこの基本的な問題がまだ解決していないのだと大蔵大臣がおつしやることは、あなたの次官が御決議になつたことと矛盾するわけでありますが、それはどういうことになりますか。
○小笠原国務大臣 その点は次官会議でそういう話があつたことは当時聞いておりましたが、しかしそれは憲法問題に直接関係がすぐあるかどうか。あるということも、今後のやはり研究問題であるというふうに私はその時分了承しておつたのですが、今の字句を伺つていると、はつきりと憲法問題に関係があるとありますので、私が聞いておつたことと少し違うが、この憲法問題についても、在外財産問題調査会は憲法学者も入つておりまして、この問題との関連についても調査していただいております。従いましてその方からも結論が出て参りますれば、その結論に従いたいと思います。次官会議で今お読みになつた憲法に関係ありというふうにどうして断じたか、そこは私にはちよつとはつきりわかりかねますが、もちろん次官のやつたことですから、私は責任は負わなければなりませんが、ちよつと意味がわかりかねておりますので、その点は、率直に申し上げて答弁はちよつと私にできかねますが、この憲法問題の関係については、在外財産調査会にはそういう方を入れまして研究してもらつております。なお現実の問題として見ますと、そういうような点もありますけれども、いろいろ財政上の問題もありまして、それを一々なかなかやりにくい点が出て来ているので、やれるものからやつて行くということが実情に合うだろうということで、実はやつて参つているというのが実情でございます。
○村瀬宣親君 「憲法上の問題でもあるので、」とはつきりあるのでありますが、それに対する答弁はきようはできないということでありますから、よく御研究なさつて、近いうちにはつきりした御答弁をいただきたいのであります。
 そこで、どのようにきまつても、財政上の問題もあるのでという今の御答弁であります。それは私は了承いたします。でありますから、基本的にこれは国家が補償すべきものであると決定したからといつて、ただちに一年以内とか三年以内に全額四十兆以上に及ぶ在外資産を全額支払えと申すのではありません。引揚者は日本の国が道義国家であるならば、また共産圏と対立する資本主義国の、いわゆる私有財産を尊重しておる国であるならば、当然私有財産を尊重せねばならぬじやないかということを言つているのであつて、日本が共産国にでも何にでもなつてよいというならば、この問題は大した問題でありません。従つて政府はいつまでもこの問題をきめないで次に進むということは、途中にいろいろな支障を来すのでありますから、憲法との関係はひとつ明らかにしておいていただきたい。
 そこで私はいよいよ各論に進んで参りますが、問題は主として正金銀行に私は集中してお聞きしたいのでありますが、その前に、朝鮮銀行におきましては、調整金その他において八十億八千万円の金が今できているようでございます。そうしてそのうち今度の法律で支払わねばならないものは、送金小切手の六億二千五百万円、預貯金の分が七億一千百万円、合計十三億三千七百万円となるが、それを全部支払つても六十七億四千三百万円という金が残るとあなたはおつしやる。また台湾銀行の方は二十九億八百万円現在金が残つておつて、この法律によつて支払う送金小切手の分が五億一千万円、外地の預金が一億一千七百万円、合計六億二千七百万円で、それを金額支払つても二十二億八千万円残るということである。ところが正金銀行の分になりますと、国内債務を今まで五五%しか支払つていないということである。五五%しか払つていないにもかかわらず、現在残つておるのは一億九千三百万だとおつしやる。そうして今度の法律によつて支払わねばならない金額は幾らになるかというと、送金為替が二十億三千五百万円あると言われる、外地預金は九十三億二千三百万円とおつしやる、百十三億五千八百万円もこの法律によつて支払わなければならないにもかかわらず、金は二億九千三百万円しかないとおつしやる。一体これは正金銀行に対するこの送金小切手や外地預金はどうなさろうとするのであるか。それは正金銀行に聞いてくれというような態度で進まれるのであるかどうか。最初私が在外財産に対してどうするつもりであるかということをお聞きしたのは、実はここに来てこの三つの法案とただちに正金銀行とが衝突してしまうのであります。台湾銀行や朝鮮銀行の送金に対しては、全額払つてもらえる。国家の保護を受けておつて、日本銀行と相当するぐらいに思つておつた正金銀行を利用したものは、一%か二%しか払つてもらえない。法律を見ると五万円まで払つてやるとあるが、実際窓口に行つてみると、一%か二%しか払つてもらえないというような、さような残酷な法律であります。これを一体政府はどうなさるおつもりですか。
○小笠原国務大臣 正金銀行は自力によりますれば、お話の通りそれだけしか払えないのでありまして、未払い送金為替についてでも、一件千五百円か二千円しか払えないような実情にあるようであります。そういう自力で払えないものはどうするか、これは一般のものと同様に扱う、こう言う以外に方法はないと思つております。台湾銀行と朝鮮銀行、これは払えるものは払つてもらう。もつとも正金銀行も在外資産があるのでありますから、こういう正金銀行の在外資産でも将来話合いによつてもどつて来れば、それに基きましてこれを支払い財源にする、こういうことはできようと思いますが、現在の状況では、ただいままで私の聞いたところでは、一件千五百円か二千円しか払えないだろう。それでそれはどうするかという村瀬さんのお話ですが、それは一般のものと同様に扱つて行く、こう言う以外には方法はないと思います。
○村瀬宣親君 私は声を荒げたくありませんけれども、そういう答弁を伺いますと、引揚者の方はほんとうに憤懣と失望を感じます。無政府主義の国ならそれでも予ろしゆうございます。私は日本の国の政府というものは、相当りくつのわかつた、よく国民に対して保護を与えてくれるものと思つておる。一般のものと同様に扱う、それは正金銀行が悪いのだから、五万円といつても千五百円でしかたがない。台湾銀行、朝鮮銀行は五万円が三十万円も払つてもらえる。それじや一体政府の法律をつくる責任というものはないと思う。ほおつておけばいいのであります。正金銀行、台湾銀行、朝鮮銀行にまかせてほおつておけはいいのであります。あなたは今一般のものと同様に扱うとおつしやいましたけれども、しかしこれは何も正金銀行が事業につまずいて倒れたものではありませんよ。正金銀行があるいは保全経済の伊藤のようなやり方をやつて、そうしてとれなくなつたのならば、それは引揚者も黙つてしんぼういたします。そうではありません。正金銀行もまじめに国の方針に基いて、大蔵省の方針に基いて任務を遂行したのであります。どこにも大して非の打ちどころはなかつた。ただ在外資産を全部賠償のかてに取上げられたから、こういう結果になつたのであります。一般のものと同様に扱うといつても、それは全然性質が違う。一般のものというのは、それはその経営者の責任において、やり方が悪くて、そうして資産を全部なくした場合には、そこへ預金した者は、それは一般のものと同様に泣寝入りよりほかにしかたがないでありましよう。でありますから私は、最初からこれを在外資産として取扱つてこの三つの法案を出したのであるか、ただよそのものだというので政府が今まで押えておつたのをちよつと解くというだけなのであるか、基本を明らかにせねば、一寸違いが三里の違いになると言つたのはそこなのであります。そこで私は申し上げるのであるが、在外資産も海外に相当あるとおつしやる。いかにも冷淡な申しようでありますけれども、あるならなぜとつてやりませんか。それは政府の任務であります。在外資産が外部にある、そのうちもどつて来るだろう、それまでほかのものは五万円もらつたが、お前は千五百円でこらえておれ、そういうことで、引揚者の今日のみじめな生活を目のあたり見た人と言えるでありましようか。在外資産が諸外国にあるのならば、それを早くとつてやつて、よそ並に、よそが五万円なら正金銀行も五万円支払つてやろうというのが政府の責任であり、あたたかい政治です。これに対してどうお考えになりますか。
○小笠原国務大臣 先ほど村瀬さんにお答えした言葉の中に、一般のものと言つた私の言葉がちよつと足りなかつたと思います。それは一般の在外資産という意味のもので、国内の一般という意味じやないのであつて、一般の人が向うで在外資産をとられたと同じようなことだ、こういう意味で申し上げた次第であります。ちようど海外におつて財産をとられた人と同じ立場に置かれておる、そういう意味で申し上げたのであつて、その点はひとつ誤解のないようにお願いいたしたいと思います。もちろん日本の在外財産の返還等については、できるだけやるのでありますが、御承知のように、たとえば話がついておところは別でありますが、ただアメリカとも機会があるごとにそういう話をしておりますが、まだ機が熟しておりません。ただ先ほど私が申したのは、これはちようど西ドイツで少しそういう話が出ておつたようですから、また話を進める潮合いになつて来たという意味で申したのであります。それからこれをなぜやめぬかとおつしやつても、中共その他の財産、南洋その他にある財産はまだ通商航海条約も締結されておらず、何もやつておりませんので、これは政府の努力が足らんじやないかと仰せになればそうかもわかりませんが、しかしやりようがないのです。どういうふうに交渉するかといつても、在外財産だけを返してくれといつてもやりようがないので、通商航海条約について話がついて、やはりそのときに話を始める、私はそういうことになろうと思います。もちろん今後とも、そういう場合には日本の財産があることですから、のみならずそれらの方々のことも私はよくわかるので、これについてはできるだけのことをするのは当然であります。ただいまのところやりようがないと思つております。
○村瀬宣親君 やりようはあると思います。それは、私がこれから次々にパキスタンその他方々の例をあげて方法を教えてあげます。しかしその前に、あなたは今中共を例にお引きになりましたが、これはやりようがありません。中共などはどうしようも、こうしようもない。こういう例をお引きになるからやりようがないと思うが、私これからいろいろスイス、ブラジル、パキスタン、インドその他について申し上げますから、よくその方針によつてやつていただきたい。しかしその前にひとつお尋ねいたすのでありますが、昭和十六年といいますと戦争前でありますが、日本政府から万国赤十字社に六千万フランを寄付するという申出をいたしておりますが、これは当時天皇陛下が裁可をされて、正式な手続によつて先方へ通告されておつたのであります。ところが通知しただけでこれは払つておらなんだ。ところが昭和二十三年、終戦後になりまして、万国赤十字社から総司令部へ電報を打つてよこしまして、あのとき約束の六千万フランは、正金銀行の預金残高の中からもらつたから、ひとつ御了承願いたいという通知が参りました。そこで当時のマツカーサー総司令部におきましては、さつそくこれを日本政府に通告いたしまして、スイス・フランの六千万フランに相当するものを、日本の政府から旧正金銀行へ補償をしてやれ、こういう通牒が来たはずでありまするが、その御処理はどのようになさいましたか。
○小笠原国務大臣 政府委員から答弁いたさせます。
○岩動説明員 その金につきましては、正金銀行は支払い受けております。
○村瀬宣親君 大蔵大臣、国から正金銀行へ支払つたのですね。
○小笠原国務大臣 そういうことは私記憶がございませんので、お尋ねに対して的確を期するために、扱つた政府委員より答弁せしめます。私の就任前のことで、的確な記憶がございません。政府より支払いを受けておるということでございます。
○村瀬宣親君 それならば、あなたは方法がないとおつしやつたけれども、スイスにおきまして、あるいはパキスタンにおいて、インドにおいて、ブラジルにおいても当然政府は支払うべきだ。なぜこれは六千万フランお支払いになりましたか、終戦後、昭和二十三年七月でありますよ。どういうわけで正金銀行へその六千万フランだけをお支払いになりましたか。
○岩動説明員 その支払いにつきましては、占領軍の指令によつて、現実の支払いが政府から正金銀行へ対してなされたわけであります。
○村瀬宣親君 占領軍の指令の有無にかかわらず、ともかくも正金銀行の金をそうやつて使つたのでありますから、これは支払うのが当然である。その論法を進めて行きますならば、あなたは中共その他は方法がないとおつしやるけれども、当然政府はこれを支払う義務があるのであります。平和条約第十六条を私はいまさら読み上げませんけれども、これは、選択により中立国にある在外資産またはそれに相当する金額を、捕虜虐待補償の資金に充てるために赤十字で取上げるということが、平和条約の第十六条にあるのでございますが、そういたしますと、この六千万フランを政府が支払つておる以上は、そのような意味で捕虜虐待の補償の資金として中立国にある正金銀行その他−その他のことは一応申し上げませんが、正金銀行のみについて申し上げますならば、正金銀行の資産を取上げたものは、当然政府が支払う責任があるわけであります。そういたしますならば、あなたは、今方法がないから台湾銀行や朝鮮銀行には五万円払つて、残りがあればなお全額も支払つてやるけれども、正金銀行の分は千五百円くらいで当分ほつておくのだとおつしやるけれども、ちやんと道は開かれておる。方法はある。それなのにあなたがなさらないという結果になるのでございますが、一体六千万フランに相当するものを正金銀行へ支払つたとすれば――しかもそれは昭和二十三年の七月でありますよ。そうすれば、今日いよいよこういう法律を出す以上は、五万円として引揚者を一応のぬか喜びでないようにさせるためには、当然この処理がなさるべきであると思うが、どのようにお考えになりますか。
○小笠原国務大臣 今の六千万フランは、私はその問題を当時知りませんが、今私の判断では、それが正金銀行へ払うべきものであるという日本側の理由でなくて、いわゆる占領下の命令に従つて払つたものである、かように考えるのであります。あとの問題につ冒してはいろいろお話がございますが、私どもとしては、やはり今のところは、そういうことについては在外財産問題調査会等の研究をまつてさらに考えますけれども、力のないものについては、これはどうしてもほかの在外財産と同じように考える以外にない、こう私は思つております。これに対して国がどうすべきかという問題は、まだ結論も出ておりませんからはつきりいたしません。しかし将来、これは国の方で正金銀行の方はこうすべきであるという結論が出て参り、国の財政状態等がそれに応じ切れるかという問題を勘案して、そのときに勘考いたしてみたいと思います。
○村瀬宣親君 スイスの六千万フランはそのように決定したそうでありますが、その残りの資産がまだあるはずであります。それは幾らありますか。そうしてそれをとるならば、千五百円でなくても、五万円私は支払えると思う。なおブラジルに約九億円くらいの在外財産があるはずであります。またインドとかパキスタンでも十数億の在外資産は払うと言つておるのであります。その金をどうやつて日本に持つて来るかということについては、いろいろ技術上の問題があると思いますが、とにかく在外財産というものは、ブラジル、インド、パキスタンにおいては日本に支払うということをはつきり言つておるのでありますから、それを一つの見返りその他にして、せつかく五万円ということを明示した法律をお出しになる以上は、少くとも五万円までについては平等に支払つてやるという処置をとるのが政府の当然の責任であると思うのでありますが、一体ブラジルやパキスタン、インド、スイス等における在外資産の中の横浜正金銀行分は幾らあつて、それをいつごろ、日本にどういう方法で取返すおつもりであるか、それを伺いたいと思います。
○小笠原国務大臣 こまかいことは政府委員より答弁いたさせますが、ブラジルの分については私承知しておりますが、これについては一応正金銀行のものを返す、しかしながらこれはブラジルにその財産をとどめてブラジルで使う、それを日本へ持つて来て使うということは向うは認めておりません。そういう条件がついております。従つてかりにブラジルの場合でありますと、その金は一銭もこちらでどうこうすることはできません。返してはくれますが、それはたとえばブラジル正金銀行というものができて向うで仕事をするか、あるいは日本人の何かができてやることになるかもしれませんが、要するにその金はブラジルで使わなければならないものになつております。そのほかのことは私承知しておりませんが、ブラジルの方は、返還するときにそういう条件をつけておるということをはつきり申し上げておきます。
○岩動説明員 私から補足的に多少御説明申し上げたいと存じます。ただいま大臣からお話がありましたように、ブラジルにつきましては、そのような条件的な状態のもとに返還をされることになつておりますが、将来これは何らかの形において日本の円資金に直して、そうして正金の清算資金に繰入れるということは、われわれいろいろな方面から検討いたして、実現ができるように研究をいたしておるわけであります。
○村瀬宣親君 十一月六日の海外同胞引揚げ特別委員会において、大蔵省の説明員の御答弁によりますと、在外資産として正金銀行の預金その他のものがもし平和条約第十六条に定められた方法により赤十字社その他に取上げられるときには、当然その分については政府が補償すべきものであるという御答弁でありますが、大蔵大臣も当然そのような御方針と思いますが、大蔵大臣のお考えを伺いたいのであります。
○岩動説明員 正金銀行のスイスの財産につきましては、これは平和条約の関係でいずれかに選択権があるわけでありまして、正金銀行自体の立場から申しますならば、これは当然私有財産の問題でありますので、それが国際赤十字にもし寄付をするということになりますれば、正金銀行自体の立場といたしましては、何らかの請求をする立場にあると存じます。これに対する政府の立場もまた別に考慮さるべき問題だと存じております。なお先ほど村瀬議員のお話に、平和条約締結前に正金銀行の金が六千万スイス・フラン移つたというお話がございましたが、その金額につきましては、私どもは一千万スイス・フランと承知しております。
○村瀬宣親君 私はどうも政府の、特に大蔵大臣の御答弁に満足が行きかねるのでありますが、先ほど大蔵大臣は、在外資産の問題はすべて在外財産問題調査会にまかしておるようなお言葉があつたのでありまするが、これは当然国会の承認を得て、総理府設置法の一部改正等によつて権威あるものにつくり上げるということを一たびたびあなたは私にも御答弁になつたのでありまするが、これはどういう経過になつておりますか、また同時に、先ほどの御答弁によれば、この調査会が結論を出せば、政府はそれに従うというような意味の御答弁があつたと思いまするが、これについていま少しはつきりした大蔵大臣の言明を得ておきたいのであります。
○小笠原国務大臣 実はあの当時非常に急いのだので、調査会をつくつたことは村湘さんの御承知の通りであります。ところが審議会で総理府の設置法の中にこれを入れるということで、今その案を相談して、あるいは本国会にも近く提出し得るかと考えておりますが、私はこの調査会の意見を尊重するということは申しましたが、調査会の意見そのものをただちに行う、こういうことは財政上その他のいろいろな問題がありまして、理論上よくてもやれぬことがあることは御承知の通りでありまして、これはちようど税制調査会とか各種の調査会、あるいは審議会等に見ますように、やはり意見を尊重してできるだけ実行に移すということは私どもやらなければならぬ務めだと思つております。しかしこれをそのまま全部をやるということは申しておりませんので、これは尊重する、こういうように考えておる次第でございます。
○村瀬宣親君 いつつくりますか。
○小笠原国務大臣 法律案の方はもう閣議は済みました。ただ提出がちよつと遅れておる。だからこの国会中には提出します。
○村瀬宣親君 もう二、三点で終りまするが、私は大蔵大臣に誠意ある数字の御答弁を願いたいのであります。正金銀行の方は千五百円しか出せないのであるかどうか。私は出せる方法があると思う。そこでブラジルには、こちらには金が来ないけれども、ちやんと払つてもらえるという金もはつきりしておるわけであります。そうすると、これは移民会社をつくるとか、向うにいろいろ開発会社をつくつて、当然政府が実施すべきものをそこで肩がわりして、そうしてこちらの金を出すという方法も、誠意があれば幾らでもできるわけであります。そこでそういう場合に、ブラジルには幾ら金があるか、またスイスには幾ら残つておるか、またインド、パキスタンにはどれだけあるか、これだけでもひとつ明らかにしてもらいたい。
○岩動説明員 ブラジルにおきましては、ただいまのところ返還を予想される金額が日本円にいたしまして約八億円程度でございます。インドにつきましては、今のところまだはつきりした数字はわかつておりませんが、あまり大した金額にはならないかと存じます。パキスタンにつきましては、まつたく不詳でございます。
○村瀬宣親君 先ほど台湾銀行、朝鮮銀行には数十億の金が、送金小切手、預貯金全額を支払つても、残ることは明らかになつたのでありますが、これに対する御処置はどうなさるおつもりでありますか。つまりこれを一時借用するという形式をとるか何らかの方法によつて、正金の送金小切手を支払うという方法を講ずる御意思があるかどうか。六十五億、二十二億というような、両方合しますれば八十八億以上の金が残るわけであります。この残る金は一体どうなさるのか、政府の金でも何でもない、これは広くいえば在外引揚者全部の者の金なんでありますが、これに対してどういう御処置をなさつておるか。
 また同時に第二会社の問題でありますが・昨年の九月に閉鎖機関令の改正をなさつたけれども、その後一つでも第二会社をお許しになりましたか。新会社がすでにできておりますか。これは台湾銀行、朝鮮銀行その他在外会社令等による在外会社との関係もありますが、その三点を伺つておきたい。
○小笠原国務大臣 詳細は政府委員から答弁させますが、今のお話のうち、台湾銀行とか朝鮮銀行の払つた分の残余についてどうするかというお話でありますが、これはそれぞれ今研究しております。第二会社あるいはそれらの事柄についても研究の対象として考えておる次第であります。ただこの金を在外財産とみなして一様にほかの者にわけるか、こういう意味のお尋ねでございましたが、政府はさような考えは持つておりません。これはやはり私も正直に申し上げて、株主のものとは考えておりませんけれども、しかしそういう法人があつて、それらの会社、銀行がそれぞれその財産を持つておるのでありまするから、おしなべて一般の財産と考えるということは、そういうような事柄については、これもやはりしまいには憲法問題まで生じて来るのじやないかと思います。従つてただいまのところ、私どもはさような考えは持つておりません。あとこまかいことは政府委員から答弁いたさせます。
○窪谷政府委員 第二会社の問題でございますが、在外資産負債を持つております閉鎖機関につきましては、目下一つだけ申請が出ておるようであります。それは近く結論が得られるのじやないかと思つております。なお朝鮮銀行、台湾銀行につきましても、第二会社をつくりたいという希望は出ております。これにつきましては、今大臣からお話になりましたように、在外財産問題調査会に諮問いたしまして、その財産の処理について、意見を聞いた上で処理をいたすべきものであるというふうに考えて、研究をいただいておるような段階であります。
○村瀬宣親君 もうこれで私は打切りますが。いろいろ急ぐようでありますから、最後に私は大蔵大臣にはつきり一つ申し上げておきたい。何度も申し上げることでありまするが、昭和二十一年石橋大蔵大臣の時代に、せめて一万五千円は引揚社の一家族当りに前払い金の形で在外資産を支払つてやらねばならないということを、閣議でおきめになつおります。これはいろいろベース・アツプその他によつて一時流用せねばならなくなつて、中途で消えたのでありまするが、閣議で百億ないし百五十億というものをちやんと計上なさつておる。昭和二十一年の一万五千円といいまするならば、今日は当然二、三十万円に値するのであります。そういう払つてやらねばならないという責任が当然国にあるという考えに政府がお立ちになるならば、この三つの法律をお出しになるときでも、正金銀行には千五百円しか払えないのだという冷淡な処置をなさることはできなかつたはずであると思うのであります。従つて戦後処理の重大課題でこの問題だけが一つ未処理になつておる。これは日本の大きな歴史の流れの中でも、この問題をいかに扱つたかということは、後世に日本が私有財産あるいは正義、道義というものをどのように扱つたかという一つのバロメーターにもなるわけであります。きようは大臣や皆がおられるから、政府委員は遠慮して御答弁なさつておるけれども、もう一度ここであなたの政府委員の言われたことを読み上げます。圧迫がなければ、あなたの方の良心的な大蔵省の職員はみなこう考えておるのであります。あなたがそこに厳然と控えておるから、今説明員はおずおずと非常にに遠慮深い答弁をなさるけれども、一度はもう言つておるのであります。すなわちどう答弁をしたかといいますと、これは大蔵省の政府委員の答弁でありますが、「もしその資産がかりにそのまま返つて来るといたしますれば」これは正金銀行のことでありまするが、「政府はそれにかわる等価のものを平条和約の規定に従つて払うことになりますので、正金銀行としては全額返つて来るということを一応予想することも間違いではないかと思います。」これがあなたの職員の答弁であります。続いて「またもし正金銀行の資産そのものを国際赤十字社に寄付をするということになりますければ、これは正金銀行の立場におきましては当然私有財産の問題に触れて参りますので、政府に対する何らかの補償要求をする立場にあると思います。」こうちやんと答弁なさつておる。これは良心的な当然のことであります。大蔵省のあなたの部下がこう良心的に考えておるのだから、当然大蔵大臣もこのあなたの部下の良心的な考えに立つて、この在外財産の問題の処理をしていただきたい。そうしてさしあたつてはこの三つの法案が直接壁にぶつかるのでありますから、正金銀行のこの資産、いわゆる送金小切手預貯金の支払いにあたりましても、五万円くらいは当然支払える道を講じていただきたいと思うのであります。これはこうしようとあなたがお考えになれば道は幾らでもあります。正金銀行の財産はブラジルにも、パキスタンにも、スイスにも、インドにもあるのでありますから、それをひとつ十分検討なさつて、払えるようなあたたかい良心的な処置を特に要求いたしまして、私は本日の質問を打切ります。
○千葉委員長 この際お諮りいたします。先刻山下春江君の委員外発言を許可するに決したのでありますが、都合によりまして、山下君のかわりに福田喜東君より委員外の発言の申出がありますので、これを許可いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○千葉委員長 御異議なしと認めます。よつて福田君に発言を許可いたします。
○福田喜東君 それではお許しを得まして、ただいま提出されております閉鎖機関令の改正に関連して、条項中、第十九条二十八の改正の趣旨はどこにあるのか、ちよつと端的に御説明をいただきたいのでございます。
○窪谷政府委員 十九条の二十八の趣旨は、閉鎖機関の中で大体清算が完了いたしまして、ただ若干の債務について支払いがなかなかできないというものを供託をいたして、閉鎖機関の清算を結了する、または信託会社等に信託をいたしまして、その残りの事務を信託会社にやらす、そうして閉鎖機関自体といたしましては、その清算を結了するというふうな趣旨でございます。
○福田喜東君 これに関連いたしまして、この中に元の満鉄も含むのか、それから満鉄全体の清算について、政府はいかなる方針を持つておられまするか、この機会にお伺いしたいのでございます。それから元満鉄社員で結成しておりまする満鉄会から、満鉄会に信託してほしいという請願書も衆議院に提出されておるのは、御承知のことと思いまするが、この特殊清算人の元満鉄の清算はどのように進捗しておるか。償権者総数でありまするとか、現在までの清算済みの人員でありまするとか、残余人員、財産総額、現在までの支払額、残余財産等につきまして、もし御調査がついておるならばお伺いしたいのでございます。
○窪谷政府委員 今お尋ねになりました数字につきましては、ちよつと手元に資料を持ち合せておりませんので、後刻御報告を申し上げたいと思いますが、国内関係の資産負債につきましてはもう大体完了に近い状態でごごいます。在外にあります資産負債につきましては、これは在外財産問題一般の問題として処理をせざるを得ないというふうに考えておる次第であります。なお満鉄につきましては、従業員の退職金等が未払いに相なつておるのでありまして、これは従来ともに満鉄の元従業員の方々の御援助を得まして、その事務をやつて参つたのでありますが、今後におきましても、同様に従業員の方の御協力を得なければ、非常に多数に散らばつております旧職員に対して、退職金の支払いを円滑にやつて行くことのできないことは仰せの通りであります。ただこの団体につきまして、今お話になりました信託の条項によりまして信託をいたすかどうかということにつきましては、相当慎重に検討をしなければならぬ問題であろうというように考えます。目下のところでは、その財産的な基礎も必ずしも十分でないように思われますので、これを信用ある信託会社等に信託をいたしまして、その信託会社と協力関係に立つということが、最も適当な措置ではなかろうかというふうに考えておりますが、満鉄会の方からの御要望もございまして、目下検討をいたしております。
○福田喜東君 今局長の御答弁で、元満鉄も含むということは大体明らかとなつたようですが、この点、間違いないですね。
○窪谷政府委員 法律の条文といたしましては、この信託の相手方を限定いたしておりませんので、法律上は可能ではございますが、信託いたすかどうかということにつきましては、また別途の検討を要すると思います。
○福田喜東君 その点もちよつとお伺いしたいのでございますが。省令の定めるところにより、信託してその債務を免れることができるということが書いてございますが、信託というのは、そうしますと信託業法に定める銀行もしくは信託会社に信託するという意味でしようかどうか。法文では特定の法人または個人にも信託できるのではないかと思われますが、この点につきまして。当局の御説明を承りたいのであります。
○窪谷政府委員 この十九条の二十八の改正案の運用といたしましては、信託の相手万は、信託固有業務について相当経験を持ち、なおかつその財産的基礎がしつかりしているものを選定すべきものだというふうに考えておりますので、第一には、信託会社というふうなものが考えられるのであります。それ以外のものに信託するかどうかということは、その相手先の財産基礎なり業務内容なりというふうなものを慎重に検討いたして。決定すべきものだというふうに考えておる次第であります。
○福田喜東君 はなはだ慎重なる御答弁で、要領を得ませんが、この信託銀行または信託会社に信託した場合は、なるほどこの満鉄の場合に考えますると、財産の保全については心配がないと言えるかもしれませんが、それだけでは供託した場合とほとんど大同小異である。要は現在七万人も残つておる満鉄の場合におきまして、一日も早く、一人でも多く、債権者に弁済することが第一義であると私は思います。かつまたこれが特殊清算人の使命でも曲ると存じまするので、満鉄会が請願しておる趣旨に沿うよう、政府において十分御考慮をいただきたいのでございます。その方法といたしましてはいろいろございましようが、満鉄会に信託した上、財産は大蔵大臣の指定する銀行に預金するとか、銀行に預金して支払い事務の指導権を満鉄会に持たせるとか、あるいはまた満鉄会の会長でございまする――どなたか知りませんが、山崎元幹さんという話も聞いておりまするが、その個人に信託することができるようにおとりはからいをいただきたいのでございます。この点につきましては、もう少し立ち入つた詳しいことをお聞きしたいのでございまするが、何分委員外発言でございまして、時間もないようでございますので、またあとの機会に譲りたいと思いますが、以上の点につきまして御意見を承りたいと思います。
○窪谷政府委員 答弁を繰返すようでございますが、ある特定の個人を指定いたしまして、その方に信託するということは、なかなか困難なことではないかというふうに考えております。その管理の方法に十全を期し得る道がありますれば、必ずしも信託会社に限定する必要はないかと思います。けれども、なかなかその辺のことにつきましては非常に困難な問題でございます。信託先の状況を十分に調査いたしませんと、これが不幸にして横の方に金が流れて行くようなことになりました場合には、どうにもあとで収拾がつかないことに相なりますので、用心に過ぎるというふうにお考えかもしれませんが、慎重に検討を要する問題だというふうに考えております。
○福田喜東君 ただいま私のお尋ねした分について全部のお答えがありませんので、もう一ぺん繰返しまするが、満鉄会の場合におきましては、なお残余人員が七万五千人残つておるのであります。この点は満鉄という厖大なる特殊会社の跡始末でございまして、しかもその残余人員をもつて、元満鉄社員で結成しておる満鉄会からの要望でございます。また組織も相当強固なものでありますので、これは信託銀行または信託会社に信託した場合、または法文の表面上から信託会社または信託銀行に信託するということでなくて、この実態をよく御考慮いただきまして、そうしてこの満鉄会というものを御信頼していただきいのであります。七万人も残つておる現在、一日も早く、一人でも多く債権者に弁済することが第一義であり、しかも残つておる人員をもつて結成しておる満鉄会であるわけでございまして、その組織も相当強固なものであるわけでございますので、そのやり方としても、この法文の趣旨にのつとりまして、これは単に機械的に信託銀行とか信託会社に信託したというのだつたら、私は相当問題が起るのではないかと思うのであります。こういう実情を十分御考慮の上、満鉄会に信託されて、その財産の管理の方法につきましては、大蔵大臣の指定する銀行に預金し、支払い事務の主導権を満鉄会に握らせるように大蔵省の方で御考慮いただきたいことを特にお願いをいたしまして、私の質問を終ります。それと同時に、今申し上げましたいろいろの調査事項につきまして、大蔵御当局の御調査をお願いいたしたいと思います。
○千葉委員長 なおこの際受田君から委員外発言の申出がありますので、これを許したいと思いますが、御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○千葉委員長 御異議なしと認めます。受田新吉君。
○受田新吉君 われわれ引揚特別委員会の委員は、この際できれば大蔵委員会と合同審査によつて、この関係三法案の審査の徹底を期したいという要望をしており、申し出たところ、大蔵委員長においては、委員外発言を自由に認めるから、どんどん出て発言してもらいたい、時間はいくらでも与えるという御回答があつたわけでございます。従つてきよう時間がなければ次会でもゆつくり質問をしたいと思います。今非常にあせつておられるようでありますから、きようはその入口だけお尋ねして、次会に質問を留保することにします。
 この閉鎖機関令の一部を改正する法律案の第十九条の二十八の問題が今問題になつておるのでありますが、私この際大蔵関係課長、局長等より特別委員会において発言されたことを総合してみまして、朝鮮、台湾等の引揚者に対して、朝鮮銀行、台湾銀行を通じて債権擁護の立場がとられる者については、法定利子まで出してでもそれを守ろうという立場がとられておるようであります。ところがこの満鉄職員の退職手当については、何らそうした利子まで考えようという態度がないようでありまするが、この差別待遇はいかなるところに根拠があるか、これが第一点であります。
 その次は、満鉄の職員に対するまだ残された支払い責任のある額は、少額ではあるが、きわめて多数の人員に及んでいる。こういうところから見て、零細なるその退職手当をもらうべき債権者たちが、その債権の擁護をされていないということに現実になつて来ているのでありますが、この問題について、信託会社あるいは信託銀行にこれを信託して、その後におけるその信託された資金の運用に基くところの利子というようなものはどういうふうになつて来るのか。それはだれの所有に帰するものか。特にそうした退職手当の債権者たちが――信託された銀行あるいは会社等において支払い事務については冷淡で、自分で積極的にその銀行や会社が債権者を探し出して支払いをしてやろうというようなあたたかい親心を持たないで、つい事務的に信託されたものを握つているという立場になりはしないか。こういう点について、政府はほんとうの債権者に徹底的に国家の責任を果そうとするにはどういう立場をとろうとするのか。この二点を御答弁いただきたいのであります。
○窪谷政府委員 朝鮮銀行、台湾銀行に対します預金の払いもどしについて利子をつけますことは、約定のあるものだけでございまして、一律に法定利息をつけるという趣旨ではございません。満鉄会の満鉄の元従業員に対しましては、満鉄の国内資産が何分にも非常に少額でありまして、そういうような利子をつけて返すというような資産の内容になつておりませんので、やむを得ないことかと存じます。
 なお信託をいたしました場合に、信託の収益が出て参るわけでありますが、それは当然満鉄の資産の増加に相なるわけであります、従いましてその増加した資金というものは、退職金の支払い資金にも充当し得るということに相なるわけでございます。
○受田新吉君 信託された資金の増殖は、満鉄の職員の収入に来すべきものであるという御答弁でありますが、この支払いにあたつて、信託銀行や信託会社というものは、そう積極的にどこに債権者がおるかといつて探し出すようなことはしないものです。できれば、銀行はそれをじつと握つている方がよほど利益になるのだから、そうした骨折りをしてまで債権者を守ろうとしません。こういう支払い事務に対する冷淡さというものに対して、そういう措置に対してどういう御構想を持つておられるか、お伺いをいたします。
○窪谷政府委員 収益が満鉄の職員に帰属するというふうに御解釈になつたようでありますが、直接にはそういうわけではございません。それは満鉄の清算資金の中に入るわけでありますので、退職金の未払いがありますれば、その清算資金の中から支払われて行くという意味において、退職金等の資金にも充当し得るということを申し上げたのであります。なお信託会社がその信託事務の扱いについて非常に冷淡ではないか、冷淡になるのではないかという御心配でございますが、まことにごもつともな御心配だと思います。従来この清算事務所におきまして退職金の支払いをいたします場合におきましても、満鉄職員の御協力なしではあの事務は今日までやつて行けなかつた。従いまして今度信託会社に信託をいたしますような場合にも、満鉄会との協力関係はどうしてもこれを条件と申しままか、条件というふうなことにして、信託会社と満鉄会とが実質上一体となつたようなかつこうにおいて運用されるような方法を考えて行かなければならぬだろうというふうに考えております。ただ私どもといたしまして、単純に信託会社に信託すればそれでいいのだというふうには考えておりません。その後の事務がどういうふうにしたら円滑に行くかといことを今検討いたしている状況でございます。
○受田新吉君 今検討しておられるようであるので、それが具体化することを待望しておるわけですが、そうすると、それが長引くとはなはだ困るわけなんであつて、私ここで第十九条の二十八の条文の解釈にあたつて、この「供託するか又は信託して、その債務を免かれることができる。」ということについては、信託された銀行もしくは会社が支払い事務に関しては、たとえば満鉄会のごとき強固な組織を持つておる、こうした法人に対してその支払い事務を委任するようなことができるような規定を設けることが可能であるかどうか、これをお尋ねしたいのであります。
○窪谷政府委員 法律上の問題といたしましては、不可能とはいえないと思います。しかしながら金銭の出納をやるということまでその満鉄会にやらせるかどうかということにつきましては、よほど慎重な考慮を要するというふうに考えます。いろいろな支払い事務の協力ということはいいと思いますけれども、その支払い資金を信託会社から満鉄会に一括して交付するという行き方がはたしていいかどうかという点につきましては、研究を要する問題だというふうに考えます。
○受田新吉君 大蔵大臣にお尋ねしますが、前に在外公館等の一時借入金の返済に関する法律が出たときに、この法律の適用を受ける人々が、その期限までに政府が非常に努力したにかかわらずずいぶん漏れた人がおります。ところがこの人々は、昭和二十六年以後はそうした国家の恩典に浴することができないで、今日ぽつりぽつりと私たちのところへも何とかならないものかという要望がされておるのでありますが、こういう点については、法律に一定の期限を付することは大事なことでありますが、その期間中に、そういう債権者たちに政府が周知徹底することに事を欠いて、そうして政府自身の努力が足りないで債権者擁護の政策をとることができなかつたとえば現実の一つの例でありますが、こういう問題をそのまま放任しておくことが正しいか、あるいは今日いま一度、いま二度と念を入れて、こうした債権者達に対してその権利を守つてあげるような政策をとるのがよいか、この点については満鉄職員の問題も同様でありますが、政府の態度としてとことんまでそうした人々を守ろうという政策をとろうとするか、あるいは一定の期間を付した後は、届出をしなかつたのが悪いのだから放任しているのだという立場でよろしいとされるのか、大臣としての御見解を伺いたいのであります。
○小笠原国務大臣 心持として申せば、受田さんが言われたあとの方で、できるだけ尽すのがよいと思いますが、しかしそれも程度がありまして、できればまあ少くとも一回ぐらいはそういう手続を尽すということが私は相当じやないかと思います。しかし実際の場合について一ぺん調べてみまして、なお政府の方で周知徹底せしめるに少し足らないことがあつたということがよくわかりますれば、この点は考えてみます。しかし期限を定めますのは、その法律があまり長く行われておることがいろいろ不自由な点があつて、期限を付しておるような次第もございます。今仰せになつた問題についてはよく考えてみます。しかし心持としては払つてあげるのが本旨ですから、政府の方に周知徹底方について足らぬところがあれば、政府の方から尽すべきものはなお残されておると思います。
○受田新吉君 今信託銀行あるいは信託会社に信託されたそうしたお金を債権者たちに渡すのに、銀行や会社というものは支払い事務に対して経験もなく、また熱意もないので、自然にこれが放任されるおそれがある、こういうことについては、政府としてはそれができるだけそういう債権者――百五十円とか二百円とか、わずかなお金ではあつても、もともと不幸な運命にぶつかつた引揚者たちに支払つてあげるようなあらゆる努力を尽す、そのために国家資金が少々かかつても、そういうことはさしつかえないのだという態度で臨まれるか、あるいはまた信託銀行でも信託会社でもまかせておいたら、あとはどうかなろうというような、そういう責任転移の形で処理をなさろうとするか、この点につきましてもあわせて御答弁を願いたいのであります。
○小笠原国務大臣 今の法の建前は、こういうふうになつておりまするけれども、信託するときに信託銀行、あるいは信託会社等に対してよくそのことを話をしまして、十分努力してもらうようにしますると一緒に、政府もたびたび機会あるごとに、今度の法律はこういうことになつておるからということをそこらに周知せしめるようにとりはからう、また一方――これは実は満鉄会から私のところへも陳情書のようなものをいただいたのです。事柄もよく私は承知しておるのでありますが、ああいう団体がおありになれば、団体で、今度どこどこが信託を受けたのだから、そこへ行けというようなことに対しているいろ御尽力を願うということも、一つの方法じやないか、こう思つております。ただ信託するときの心構えについては、よく政府の方でも話をしたい、あるいは注文をつけたいと思つております。
○受田新吉君 大蔵大臣として、そういう支払い事務についてできるだけの周知徹底と、この末端への恩典を十分浴させるように考えたいというお気持は、よくわかりました。満鉄会というものの性格についても、大臣相当御研究しておられると思いますので、私これ以上は申し上げませんが、その具体的にどう処理するかについてのすみやかなる措置を、ひとつお願いしたい。
 いま一つ私お伺いしておきたいのは、こうした閉鎖機関令等の改正法や関係諸法案が在外資産の一部としてでなく、また国内財産としてでもなく、その中間的性格のものとして考えられておるという局長、課長等のお話があつたのですが、こういうことへ政府が手をつけ初めたということは、憲法に保障される所有権とか、あるいは国際法規に認められておる私有財産の保護とかいうこういう規定に基いて、在外財産の返還について基本国策として、これは引揚者に返還させるための第一歩として、こういう法律案を用意したのであるという立場をおとりになつておられるのであるか、あるいはそういう在外財産の返還という問題とは切離して、ついこうした場当り的な暫定的な処置をとろうという立場でこういう法案をお出しになつたのか、この法案の提出の根本精神に、政府が私有財産の保護という基本的な政策を打出そうとされる用意があるかないかの重大なる問題でありまするので、この点について大蔵大臣の御所見を伺いたいのであります。これで終ります。
○小笠原国務大臣 私どもは憲法第二十九条との関連につきましては、これはいろいろ考えなければならぬ点があると思つておりまして、この点につきましては、今在外財産問題調査会の方にも憲法の専門家の方も入つてもらつて研究していただいております。私どもは、今この根本問題からお出ししておるのではなくて、実はできるだけ早くお支払いのできるものはお支払い申し上げたい、こういう趣意でやつておる次第でございまするけれども、憲法問題との関連で、在外財産問題は全部どういうふうに今後取扱うかという事柄については、これらの御答申を待つた上で政府としても確たる方針をきめたい、こういうふうに存じております。
○福田(繁)委員 私はこの際委員長にちよつと伺いたいと思うのであります。当大蔵委員会は、先般も本員が申し上げましたごとくに、与野党の議員双方ともに、いわゆる正しい理解と協力の精神のもとに、非常に円満に本日まで参つたの募ります。たまたまその議案において、おのおのの所属政党の党議が相反する場合には、多少の懸念がありましたけれども、そういうときには、御承知の通り理事会なりあるいは委員懇談会を開きまして、お互いに相譲り合うところの精神を見出しまして、これまた円満に妥結いたして、今日まで他の委員会に見ないほど平和に円満に参つたわけであります。そこで会期も迫つて参りましたが、多数重要法案も残つておりまするので、昨日きようの委員会の大体の予定を、懇談会において、委員長を中心にして大多数の委員が出席いたして、これまた円満に話しを進めたことは、委員長御承知の通り。そこで私昨日、言いかえればきようの委員会はいかように運営するかというところをお伺いいたしましたところが、全員こぞつて、ふしぎにも、この接収貴金属に関する議員立法と政府提案が本日されますので、その提案理由の説明を承りましようということを各位が申合せて、まず第一にきまつたわけであります。私はもともとこの接収貴金属の問題については、政府なり議員立法がともに同一国会に出るということは、大蔵委員会として、審議にはよほど慎重な態度をもつて臨まなければいかぬ、こういうように考えておりましたから、昨日の懇談会において、本日両方のこの提案の理由を伺つた後に、まずかんじんな品物を保管しておるところの日本銀行へ行つて、現物を調査する必要がありはしないかということを提案申し上げましたところが、その必要はあるけれども、あす――要するにきようでございます。きようは時期がどうかと思う。ことにそのときに委員長は、まつたく敬虔なる態度で、ぜひともこの際政府並びに与党に協力しようじやないか、その意味合いにおいて、二法案の提案があつたならば、まず内閣提出の一0九、一一一、一0八、言いかえるならば、旧日本占領地域に本店を有する会社の本邦内にある財産の整理に関する政令の一部を改正する法律案、閉鎖機関令の一部を改正する法律案、それから金融機関再建整備法の一部を改正する法律案、この三案の質疑を続行いたして、でき得る限り本日中に政府、与党が期待しておるごとくに、この三案ともあがるようにしてもらいたいというところの委員長から切懇なる歎願があつたわけであります。私はその委員長の懇切なる歎願がありましたために、日本銀行へ現場調査に行くということをいさぎよく撤回いたしまして、そうして委員長のお話に同意いたしたわけなのでございます。言いかえれば、今までの理事会なり懇談会の足跡から考えましても、本日の委員会は午前中に二法案の提案理由の説明があつたのでございまするから、これから引続いて、この三案の質疑がなければ、適当な時期にあげて、本日の日程を終るものと私は考えておるのでございますが、委員長はいかようにお考えになられておりますか、責任ある御回答を一応私は伺いたいと思う。
○千葉委員長 ただいまの福田君の発言は、その通りであります。なおこの三法案につきましては、当委員会で質疑者が三人残つております。しかしながら自由党その後の情勢もいろいろ変化いたしまして、至急に審議したいという気持も今朝来ありますので、この際お三人がまだ残つておりますけれども、それはあるいは明日、明後日に延期していただきまして、当委員会におきましては現在二十三の法案が付託されております。その議案の審議を進めるために、この審議方針につきまして、これから休憩をいたして協議懇談いたしたいと存じます。委員長といたしましては、ただいま福田委員にお答えした通りに、昨日におきましてはその通りでありますが、今日におきましては、休憩の上で協議懇談いたしたいと思つております。
○福田(繁)委員 委員長の本員に対する回答は、大体私は了承いたしたいと思うのでありまするが、よほど委員長考えないと、まだ会期は約四十数日ありますし、ことに相当重要法案がかかつております。一番重要法案は、大蔵大臣が必ず通過することを期待されているところの繊維税の問題である。こういう重要法案がある限り、この大蔵委員会というものは今までの慣例を尊重されて、そうしていわゆる信義をあくまで守り貫いて、そうして平和に委員会を遂行することをあくまでも守つて行かなければならぬ。ただいま委員長が言われたごとくなれば、自由党のどういうお申出か知りませんけれども、本員もここ数年議席を持つておりますが、二、三日この方格段とかわつたところの大蔵委員の法案に対する客観情募の変動は見出すことはできません。さようでございますから、どういう事情か知りませんけれども、この委員会の慣例だけは、あなたが委員長でおられる以上は忠実にお守りにならないと、今後の法案審議に非常に支障を来すと思う。よつてもし満場の諸君の同意を得て、これから休憩されて理事会を開かれるとするならば、慎重審議、今までの慣例、これを基礎においておやりくださらないことには、私は改進党としてあなたを委員長に出しておりますけれども、今後あなたの指導にあるいは協力ができないということになることをあらためて申し上げておいて、あなたの反省と御自重を私は切望いたします。
○千葉委員長 いかがでございましようか。ありていに申し上げますと、もし一方の方から動議というようなことが出ますと少しかた苦しくなりますから、むしろこの際委員長の発言といたしまして、休憩の上で全員協議会を持ちたいと思うのですが……。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○福田(繁)委員 異議ありませんけれども、きよう動議の出るはずはございません。あなたはいらつしたじやありませんか。きのうの午後の懇談会の時分には、自由党の同僚先輩皆おられて、そうして円満に話がまとまつた。それが何がゆえに動議が出すか。日本自由党ならいざ知らず、吉田自由党は決してそういう信義を破つたり、こういう政局の状態でそういう非常識なことをやるはずはございません。動議が出るはずはないと私は思うのですが、何がゆえに委員長はそういうことを頭に置かれて、不安におののいておられるか、私は非常に委員長のために惜しむわけです。そういうことは頭から一掃されて、慣例を守つてもらいたいと思う。
○千葉委員長 いかがでございましよう。ただいまの私の発言に対しては、原則的には異議がないようでありますから、暫時休憩いたしまして、ただちに懇談会に移りたいと思います。
   午後零時二十八分休憩
     ――――◇―――――
   午後三時二分開議
○千葉委員長 休憩前に引続いて会議を開きます。
 入場税法案を議題といたします。本法案につきましては大平正芳君外十三名提出、すなわち自由党並びに日本自由党共同提案にかかる修正案が委員長の手元まで提出されております。この際修正案について提出者より趣旨の説明を聴取いたします。大平正芳君。
○大平委員 ただいま議題になりました入場税法案に対する修正案を御説明申し上げます。修正案の条文はお手元に御配付申し上げておりますので、それによつて御了承願いたいと思います。
 修正部分は四箇所ございます。一つは税率の修正でございます。原案におきましては、課税標準の区分段階を四十円以下、四十円を越え七十円以下、七十円を越え百五十円以下並びに百五十円を越えると、この四段階にわかれておりますが、われわれの修正案におきましては、これは五段階にわけておるのでありまして、五十円以下、八十円以下、百三十円以下、百五十円以下、百五十円超と五段階にわけておりまして、大体税率は、原案におきましては二0%ないし五0%でございましたが、われわれの修正案におきましては、一0%から五0%に区分いたしておるわけでございます。
 第二点は、ただいま申し上げましたのは第一種でございますが、第二種の交響楽、器楽、声楽等純音楽、純オペラ等につきましての税率は、原案におきましては一人一回の人場料金が七百円を越えるときは入場料金の四割を徴収することに相なつておりまするが、第一種におきまして税率の軽減をはかりました趣旨を貫きまして、七百円を越える部分の百分の四十を削りまして、一率に百分の二十にいたした点でございます。
 第三点は、第一種の入場場所における入場税の免税点の撤廃でございます。これは原案におきましては一人一回二十円以下であるときは入場税を課さないということに相なつておるのでございますけれども、各地方の興行者の御希望も入れまして、この二十円以下の免税点設定を撤廃いたしまして、一率に一割の課税にいたしているわけでございます。
 第四点は、施行期日の関係でございますが、いろいろな経緯をけみしましてこの法案の成立が遅れましたので、「昭和二十九年四月一日から施行する。」というような原案に相なつておりましたが、これを「公布の日から起算して五日を経過した日」ということになつたのであります。
 案文は非常に複雑になつておりますけれども、今申し上げました趣旨を技術的に条文化したものでありますので、何とぞ御審議の上、御賛成を賜わらんことをお願いいたします。
○井上委員 議事進行。ただいま大平君から入場税法案に対する修正案が提案され、修正の大要について御説明かございました。ところがわれわれの手元へ配られております修正案の修正条項は、従来修正案として提案をされました各種の法案の修正案と比較をいたしまして、何と申しますか、表現方法の上において非常に複雑多数で、前があとになつたり、あとが先になつたり、とても複雑でございます。かくのごとき複雑なものを配つておいて、しかも抽象的な改正の要点だけをさつさと御説明をされても、何が何やらさつぱりわかりません。従つてこの修正案の各条項をもつとわれわれにわかりやすく成文化して出していただいた上で審議を進めることにしていただきたいと思います。
○千葉委員長 ただいま井上委員の御提案もありますが、提案者から一応条文につてはつきりよんでいただいたいたら、いかがですか。それでわからなかつたときは、あらためて井上委員の言う通りにしたいと思います。
○藤枝委員 それではかわつて私から御説明申し上げます。
 入場税法案の原案をお持ちであろうと思いますから、ひとつ御参照を願いたいと思います。
 「入場税法案に対する修正案、入場税法案の一部を次のように修正する。第四条第一項第一号中「四十円」を「五十円」に、」
 これは第四条の「一の第一種の場所」その次に「入場料金が一人一回について四十円以下であるとき」とありますその「四十円」を「五十円」にであります。それからその下の「入場料金の百分の二十」というのを「百分の十」にであります。次に「七十円」を「八十円」にとありますのは、その次の「入場料金が一人一回について四十円をこえ、七十円以下であるとき」とありますのが、さきの「四十円」が「五十円」になり、「七十円」が「八十円」になるわけであります。「百分の三十」を「百分の二十」に、「百五十円以下」を「百三十円以下」に、「百分の四十」を「百分の三十」に、「入場料金が一人一回について百五十円をこえるとき  入場料金の百分の五十」を……。
 〔「そんな読み方はない」と呼び、その他発言する者あり〕
○千葉委員長 静粛に願います。
○藤枝委員 藤枝委員御静粛にお聞き願いたいと思います。「入場料金の百分の五十」を「入場料金が一人一回について百三十円をこえ、百五十円以下であるとき「入場料金の百分の四十」、「入場料金で一人一回について百五十円をこえるとき「入場料金の百分の五十」に改め、同条第二項中「入場については、」を「入場についてその入場料金が一人一回について八十円をこえるときは、」に、「左の税率」を「入場料金の百分の二十の税率」に改め、「入場料金が一人一回について七百円以下であるとき「入場料金の百分の二十」「入場料金が一人一回について七百円をこえるとき「入場料金の百分の四十」を削る。以下はお読みいただけると思います。
○春日委員 ただいま藤枝君によつてこの条文を読んでいただいたのでありますけれども、さらに頭が錯乱して参りまして、そのわからなさの度を加えたばかりであります。これは私どもが別にその事実を歪曲して申し上げておるわけではなく、用語が前後してみたり、文字の中に文字が隠されておつたり、これはほとんど宝探しか判じものみたいで、少くとも法律の修正案としての体をなしおりません。われわれは少くともこの重要法案のこのような修正案が読めもしない、しかも説明を求めて、さらにこれに対していろいろわかるような御解説を期待しつつ、今藤枝君の条文の読み方を聴いたのでありますが、さらに一層わからない。こんなわれわれがわかりもしないものを党に持つて帰つたつて、さらにわからなくなつて、党からわれわれが叱責こうむるばかりであります。こういうものをもつて質問しようと思つたつて質問のしようもないし、研究しようと思つたつて研究のしようがない。こういうような修正案は、修正案としての資格を持つていないと私は考えますので、だれが読んでもわかるように、研究しようと思えば研究できるような、体をなした修正案とこれをとりかえていただきたい。さもなければ、われわれが審議しようと思つたつて事実上できませんので一応自由党からわかるようにお願いするために、とりあえず暫時休憩を願いたいと思います。
○千葉委員長 ただいま春日君から休憩の動議が出ております。これはいかがですか、自由党さんの方も休憩の動議に応じて、この整備をしていただいたらどうでしよう。春日君の動議のごとく休憩して懇談会に移りたいと思いますが、御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○千葉委員長 それではさようとりはからいます。
 休憩いたします。
   午後三時十六分休憩
     ――――◇―――――
  〔休憩後は開会に至らなかつた〕