第019回国会 本会議 第51号
昭和二十九年五月十八日(火曜日)
 議事日程 第四十八号
    午後一時開議
 第一 特定の公務員の営利企業等への関与の制限に関する法律案(中村高一君外十九名提出)
 第二 国の経営する企業に勤務する職員の給与等に関する特例法案(内閣提出)
 第三 小型自動車競走法の一部を改正する法律案(川島正次郎君外十四名提出)
 第四 自転車競技法等の臨時特例に関する法律案(大西禎夫君外十六名提出)
 第五 酪農振興法案(内閣提出)
 第六 所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とアメリカ合衆国との間の条約の批准について承認を求めるの件
 第七 遺産、相続及び贈与に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とアメリカ合衆国との間の条約の批准について承認を求めるの件
 第八 外務省関係法律の整理に関する法律案(内閣提出)
 第九 裁判所法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第十 民事訴訟法等の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第十一 民事訴訟用印紙法等の一部を改正する法律案(内閣提出)
    ―――――――――――――
●本日の会議に付した事件
 島上善五郎君外十九名提出、公職選挙法の一部を改正する法律案を公職選挙法改正に関する調査特別委員会に併せ付託するの件(議長発議)
 補助金等の臨時特例等に関する法律案(内閣提出、参議院回付)
 日程第二 国の経営する企業に勤務する職員の給与等に関する特例法案(内閣提出)
 日程第三 小型自動車競走法の一部を改正する法律案(川島正次郎君外十四名提出)
 日程第四 自転車競技法等の臨時特例に関する法律案(大西禎夫君外十六名提出)
 日程第五 酪農振興法案(内閣提出)
 日程第六 所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とアメリカ合衆国との間の条約の批准について承認を求めるの件
 日程第七 遺産、相続及び贈与に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とアメリカ合衆国との間の条約の批准について承認を求めるの件
 日程第八 外務省関係法律の整理に関する法律案(内閣提出)
 日程第九 裁判所法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第十 民事訴訟法等の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第十一 民事訴訟用印紙法等の一部を改正する法律案(内閣提出)
  日本国に対する合衆国艦艇の貸与に関する協定の批准について承認を求めるの件
    午後二時五分開議
○議長(堤康次郎君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
○議長(堤康次郎君) お諮りいたします。島上善五郎君外十九名提出、公職選挙法の一部を改正する法律案は、公職選挙法改正に関する調査特別委員会にあわせ付託いたしたいと存じます。これに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(堤康次郎君) 御異議なしと認めます。よつてその通り決しました。
     ――――◇―――――
○議長(堤康次郎君) お諮りいたします。参議院から、内閣提出、補助金等の臨時特例等に関する法律案が回付されております。この際、議事日程に追加して右回付案を議題となすに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(堤康次郎君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
 補助金等の臨時特例等に関する法律案の参議院回付案を議題といたします。
○議長(堤康次郎君) 採決いたします。本案の参議院の修正に同意の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(堤康次郎君) 起立多数。よつて参議院の修正に同意するに決しました。
     ――――◇―――――
○荒舩清十郎君 日程第一は延期されんことを望みます。
○議長(堤康次郎君) 荒船君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(堤康次郎君) 御異議なしと認めます。よつて日程第一は延期するに決しました。」
     ――――◇―――――
○議長(堤康次郎君) 日程第二、国の経営する企業に勤務する職員の給与等に関する特例法案を議題といたします。委員長の報告を求めます。人事委員会理事赤城宗徳君。
    〔赤城宗徳君登壇〕
○赤城宗徳君 ただいま議題となりました国の経営する企業に勤務する職員の給与等に関する特例法案について、人事委員会における審議の経過並びにその結果を御報告申し上げます。まず、提案の趣旨等について簡単に申し上げます。郵政、国有林野、印刷、造幣及びアルコール専売の事業を行う企業に勤務する職員は、公共企業体等労働関係法の適用を受けておりまして、給与その他労働条件は団体交渉によることとなつていますが、管理または監督の地位にある者もしくは機密の事務を取扱う者は団結権が認められておりません。従つて、その給与等は一般職の職員の給与に関する法律その他一般職の国家公務員と同一の法令の適用を受けております。このため、企業の内部におきまして職員の給与その他に不均衡を生じ、またこの給与等に関する事務が複雑となつている現状にかんがみまして、この際、職員の給与の調整、事務の簡素化等をはかるために、これらの企業に勤務する職員の給与等について国家公務員法の特例を定めることといたしたのであります。
 本法案は、四月二十七日に人事委員会に付託され、四月二十八日に加藤国務大臣より提案理由の説明を聴取し、五月七日審議を開始いたしました。詳細は会議録によつて御了承をお願いいたします。
 五月十二日、山口好一君外十二名より、現行の国家公務員法との関連において字句の訂正を内容とする修正案、及び本法案による給与準則及びその他の規定が公共企業体等労働関係法による団体交渉に制約を加えるものでないという趣旨の附帯決議事項の提出があり、その趣旨弁明があつたのち、質疑を打切り、討論を省略して、ただちに採決を行つた結果、修正案は全員起立をもつて可決、さらに修正部分を除いた原案も全員起立をもつて可決されました。よつて本法案は人事委員会において修正議決すべきものと決定、なお附帯決議事項についての採決も全員起立をもつて可決せられましたので、附帯決議を付すべきものと決定した次第であります。
 以上御報告申し上げます。(拍手)
○議長(堤康次郎君) 採決いたします。本案の委員長の報告は修正であります。本案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(堤康次郎君) 御異議なしと認めます。よつて本案は委員長報告の通り決しました。
     ――――◇―――――
○議長(堤康次郎君) 日程第三、小型自動車競走法の一部を改正する法律案、日程第四、自転車競技法等の臨時特例に関する法律案、右両案を一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。通商産業委員会理事福田一君。
    〔福田一君登壇〕
○福田一君 ただいま議題となりました小型自動車競走法の一部を改正する法律案について、通商産業委員会における審議の経過並びに結果を概要御報告申し上げます。
 現行法は、制定以来その施行運用に逐次是正を加えて参つたのでありますが、最近の競走実施の実情にかんがみ、他の類似競技との間における不均衡を是正し、あわせて小型自動車競走固有の欠陥を除去する必要が生じて参りました。以上が提案の理由であります。
 次に改正の要点を申し上げます。
 第一に、施行者は都道府県及び五大都市に限られているのを、東京都においては、都のすべての特別区の組織する組合と、同一区域内に小型自動車競走場が存在する市町村とが同じく施行者となり得ることとしたのであります。
 第二に、現行法において、勝車投票の的中者に対する払いもどし金は勝車投票券の売上金の額の百分の七十五に相当する金額となつているが、払いもどし金の額が勝車投票券の額面金額に満たない場合においても、その払いもどし金の額を額面金額と規定したことであります。
 第三として、罰則について、他の類似競技との均衡を考慮し、若干の改正を加えるとともに、いわゆるのみ屋の取締りに関し罰則を加えたことであります。
 本案は、自由党川島正次郎君外十四名より提出せられ、三月三十日当委員会に付託となりました。従いまして、四月二十二日提案者を代表して川島正次郎君より提案の理由を聴取したのであります。五月十一日、十三日の二日間にわたり質疑を行つたのであります。その内容は会議録に譲ります。
 質疑終了後、討論を省略し採決いたしましたところ、総員をもつて可決した次第であります。
 次に、自転車競技法等の臨時特例に関する法律案について概要御報告申し上げます。
 御承知のごとく、自転車競技法、小型自動車競走法並びにモーターボート競走法は、それぞれ自転車、自動車、モーターボート各工業等の振興と、地方財政に寄与することを目的としておるのであります。しかるに、今年度の予算の性格にかんがみ、今年度に限り国庫納付金が停止され、これに伴いまして各産業振興費が予算面に計上されておらないのであります。しかしながら、自転車競技法等の趣旨にのつとりまして、当然産業振興費を支出することは絶対に必要なことであります。以上が本案の趣旨であります。
 次に、本案の主要な点について申し上げます。
 この法律案は、従来の国庫納入金にかわるべき納入金の制度を臨時に設けまして、これを財源として、わが国機械工業のうち、輸出機械工業部門、重要部品製造部門、機械工業の基礎工業部門における中小機械工業の設備の近代化、生産技術の向上、機械輸出の伸張その他機械工業の振興をはかるため必要な経費に充てることとするものであります。
 次に、納入金の受入れ機関として、自転車振興会連合会、小型自動車競走会連合会、全国モーターボート競走会連合会を指定いたしたのでありますが、この納入金の公的性格にかんがみまして、その使途については一切主務大臣の定める計画及び指示に従つて行わせるとともに、実務の取扱いは商工組合中央金庫に委託させることとしたのであります。
 さらに、この法律の有効期限を昭和三十年三月三十一日までとし、その期間終了時における自転車振興会連合会等の資産及び負債は、これを国に帰属することとしたのであります。これは、すでに本院を通過しました補助金等の臨時特例に関する法律により、国庫納入金の停止期間が昭和三十年三月三十一日までとなつていることに対応したものであります。
 本案は自由党大西禎夫君外十六名より提出せられたのでありますが、四月二十四日当委員会に付託せられ、四月二十七日提案者を代表し自由党福田一君より提案の理由を聴取した次第であります。四月二十八日質疑に入り、五月十一日、十三日と三日間熱心な質疑応答が提案者並びに政府委員と当委員の間に行われました。その内容については会議録を御参照願うこととします。
 十三日、質疑終了後討論に付しましたところ、社会党を代表し永井勝次郎君より反対の意見が開陳されたのであります。討論を終り即刻採決に入り、多数をもつて可決した次第であります。
 採決後、社会党加藤鐐造君より本案に対する附帯決議が提案されたので、附帯決議につき採決しましたところ、多数をもつて可決したのであります。内容は会議録に譲ります。
 右、簡単でありますが、御報告いたします。(拍手)
○議長(堤康次郎君) まず、日程第三につき採決いたします。本案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(堤康次郎君) 御異議なしと認めます。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。
 次に、日程第四につき採決いたします。本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(堤康次郎君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。
     ――――◇―――――
○議長(堤康次郎君) 日程第五、酪農振興法案を議題といたします。委員長の報告を求めます。農林委員長井出一太郎君。
    〔井出一太郎君登壇〕
○井出一太郎君 ただいま議題と相なりました、内閣提出、酪農振興法案につきまして、農林委員会におきまする審議の経過並びに結果の大要を御報告いたします。
 現下におきまするわが国農業の最大課題は、食糧生産、なかんずく動物性蛋白給源の増強と農業経営の安定向上をはかることに存するのでありまして、これがためには有畜農業の振興をはかることが特に必要であります。この目的を達成するため、昨昭和二十八年、第十六国会に有畜農家創設特別措置法を成立せしめ、これにより酪農を初め一般有畜農業の発展向上に寄与いたして参りましたが、特に酪農の発達は顕著でありまして、現在乳牛頭数三十数万頭、牛乳生産高三百五十万石を越え、戦前を凌駕するに至りましたことは、日本農業の発展上御同慶にたえないところであります。しかしながら、酪農の今後の発展につきましては必ずしも楽観し得ないものがあります。すなわち、乳牛飼養農家の飼料基盤が弱く、購入飼料に対する依存度が高いこと、乳牛の飼養密度が稀薄でありまして、集乳費が非常に高く、またこれが処理加工をいたしまする工場も小規模かつ濫立いたしております関係上非能率であり、従つて中間経費が高くなる等の諸点が悪条件としてあげられるのであります。しかも、他方、酪農振興の要請はいよいよ高まりつつあります現状にかんがみまして、この際、これら諸悪条件をすみやかに除去いたし、酪農振興の基本方向を明示いたし、もつて豊富低廉なる牛乳、乳製品を供給し得る基盤を整備いたしまするとともに、農業経営の安定向上にも資したい目的をもつて本法案を提出されたのであります。
 次に、本法案の要旨を申し上げますと、第一点は、集約酪農地域の建設であります。自然的、経済的条件等が酪農に適する地域を選定いたし、これを乳牛の飼養密度が高く、合理的に酪農を経営し得られる地域に育成しまして、飲用牛乳または乳製品原料乳の供給地域といたそうとするのであります。なお、政府は、昨年以降ジヤージー種の乳牛を輸入いたし、これをもつて乳製品原料乳地帯としての高度集約酪農地域の建設を行つて来ておるのでありますが、今後はホルスタイン種の乳牛につきましても同様の措置を行うことといたしました。その他、草地の改良を行い、また牛乳の集荷処理加工施設に対する濫立防止等の措置を講ずることといたしたのであります。
 第二点は、牛乳の取引について公正化を期したことであります。すなわち、生乳等の取引契約につきましては、当事者は、その存続期間、生乳等の売買価格及び数量、生乳等及びその代金の受渡しの方法その他の契約事項の内容を文書化し、さらにこれら生乳等取引契約について紛争を生じた場合には都道府県知事にあつせんを申請し、知事はあつせん委員を指名して公正かつすみやかに紛争を処理し得ることといたしたのであります。
 以上の二点が本法案の要旨でございます。
 本法案は去る四月十七日提出、同日本農林委員会に付託となり、提案理由の説明聴取の上審査に付し、爾来五回にわたる委員会におきまして、関係政府当局の出席を求め、必要な資料も十分提出いたさせまして、あらゆる角度から慎重なる検討を加え、この間各委員から活発なる御発言がございましたが、詳細は会議録に譲りたいと存じます。
 これらの質疑は去る十二日をもちまして終局いたし、次いで十五日、川俣委員から修正案が提出せられました。その要旨は、第一に、第一条の目的につき、酪農振興と農業経営一般との関連を明確にいたし、第二に、酪農振興計画の策定にあたつては市町村及び農業協同組合等の意見を反映させること、第三に、集約酪農地域において合理的な酪農経営を行いまするために、原案の草地偏重の傾向を是正いたし、草地のみならず耕地についても自給飼料増産の措置を行うようにしたこと、第四に、都道府県が生乳等の取引の紛争につきあつせんを行う場合、農林大臣の協力を求め得るようにいたしたのでございます。なお、それとともに、あつせん申請に要する手数料を免除いたすことにしました。第五に、酪農審議会を設けて運用の適正を期することといたしましたこと等の点であります。
 次いで、討論を省略、採決に入り、まず修正案について採決の結果、全会一致をもつて可決、次に修正部分を除く原案について採決いたし、これまた全会一致をもつて可決、よつて本法案は修正案のごとく修正議決すべきものと決した次第であります。
 次いで、足鹿委員より本法案に対する附帯決議が提出せられました。その内容は、酪農振興のために総合的基本計画の策定をなすべきこと、また集約酪農地域以外の有畜農家創設事業の進展についても遅滞せしむることのないように留意すべきであること等、八項目にわたるものでございますが、詳細は速記録に譲ります。この附帯決議について採決の結果、これまた全会一致をもつて可決いたしました。
 以上御報告を終ります。(拍手)
○議長(堤康次郎君) 採決いたします。本案の委員長の報告は修正であります。本案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(堤康次郎君) 御異議なしと認めます。よつて本案は委員長報告の通り決しました。
     ――――◇―――――
○議長(堤康次郎君) 日程第六、所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とアメリカ合衆国との間の条約の批准について承認を求めるの件、日程第七、遺産、相続及び贈与に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とアメリカ合衆国との間の条約の批准について承認を求めるの件、日程第八、外務省関係法律の整理に関する法律案、右三件を一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。外務委員会理事野田卯一君。
    〔野田卯一君登壇〕
○野田卯一君 ただいま議題となりました所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とアメリカ合衆国との間の条約の批准について承認を求めるの件、遺産、相続及び贈与に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とアメリカ合衆国との間の条約の批准について承認を求めるの件、並びに外務省関係法律の整理に関する法律案につきまして、外務委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 まず、所得税並びに相続税等に関する二条約につき御説明申し上げます。
 日米友好通商航海条約第十一条においては、両国の国民が相手国において内国課税に関する内国民待遇及び最恵国待遇を与えられることを規定し、かつ両国間における二重課税を回避するための原則的規定を設けておりますが、これを実施するためには、租税体系を異にする両国間においてこれを調整し、適正な税負担をはかるとともに、脱税を防止するための詳細な租税協定を締結する必要があります。よつて、通商条約交渉と並行して、昭和二十六年から日米両国の税務専門家が基礎的研究を行つた結果、所得に対する租税に関するものと、遺産、相続及び贈与に対する租税に関するものとの二本建による二重課税回避及び脱税防止のための専門家草案が作成されました。両国政府はこれらの草案を基礎として正式に交渉を行つて、去る四月十六日ワシントンで両国代表の間に両条約の署名が行われました。
 その内容は、所得に関するものは、前文、本文二十箇条及び末文からなつており、遺産、相続及び贈与に関するものは、前文、本文九箇条及ビ末文からなつております。有効期間はいずれも五箇年であります。その詳細なる説明は会議録に譲ることといたします。
 最後に、外務省関係法律の整理に関する法律案は、清国及び朝鮮国在留帝国臣民取締法及び居留民団法を廃止せんとするものでありまして、これらの法律は、わが国と清国及び朝鮮国との間のいわゆる不平等条約に基くわが国の特権を前提としていたのでありますが、これらの不平等条約はすでに一切無効となつているため、この二法律は死文化しておりましたわけであります。
 この二条約は四月二十一日、またこの法律案は四月三十日、それぞれ外務委員会に付託されましたので、提案理由の説明を聞き、質疑を行い、五月十五日、いずれも討論は省略し、採決の結果、全会一致をもつて、二条約は承認、及び法律案は可決すべきものと議決した次第であります。
 以上御報告申し上げます。(拍手)
○議長(堤康次郎君) まず、日程第六及び第七の両件を一括して採決いたします。両件は委員長報告の通り承認するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(堤康次郎君) 御異議なしと認めます。よつて両件は委員長報告の通り承認するに決しました。
 次に、日程第八につき採決いたします。本案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(堤康次郎君) 御異議なしと認めます。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。
     ――――◇―――――
○議長(堤康次郎君) 日程第九、裁判所法の一部を改正する法律案、音程第十、民事訴訟法等の一部を改正する法律案、日程第十一、民事訴訟用印紙法等の一部を改正する法律案、右三案を一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。法務委員長小林かなえ君。
    〔小林かなえ君登壇〕
○小林かなえ君 ただいま議題と相なりました民事訴訟法等の一部を改正する法律案、裁判所法の一部を改正する法律案並びに民事訴訟用印紙法等の一部を改正する法律案につき、提案の要旨、委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げますが、内容は相当複雑広汎にわたりますので、時間節約上、報告書を議長に提出して、速記録に全文を掲載してごらん願うこととし、ここにはその要旨の一部を申し上げます。
 まず、民事訴訟法等の一部を改正する法律案について言えば、御承知のごとく、最高裁判所における民事上告事件の審判の特例に関する法律は本月末日をもつて効力を失うこととなつておりますが、この際これに伴う何らかの措置をとらなければ、裁判制度の運用上に重大なる支障を来すこととなるので、最高裁判所の負担の調整をはかるため提出されたもので、改正の要点はおおよそ四点でありますが、ここには一々申し述べません。
 質疑終了後、各派共同の相当大幅の修正案が提出せられました。調書及び判決の方式等を最高裁の規則にゆだねる規定を削除すること、スクリーニング制度の規定中最も弊害を生ずるおそれある第三百九十九条第一項第三号を削除すること等は、その重要なるものであります。討論省略、この修正案が全会一致をもつて可決せられました。
 ここにただ一言附加したいことは、占領中に行われたわが国上訴制度の変革はわが国情と合わず、最高裁にはいまなお五千有余件の未済事件を擁する状態で、民刑を通ずる上訴制度に一大改革をしなければならぬことは爛頭の急務でございますが、政府も最高裁も各般の事情からとうてい今にわかにこれを決行しがたい状態にあるので、やむなく国会が中心となつてこれを実現しなければならぬことを法務委員会において確認し、今後小委員会を設けてこれに当ることを決意し、最高裁も政府も快くこれに協力するとの言質を得たことであります。
 次に、裁判所法の一部を改正する法律案は、簡易裁判所の事物管轄を現行法の三万円から十万円に引上げたこと、家事調査官と少年調査官とを統合して、これを家庭裁判所調査官となすこと等であります。
 最後に、民事訴訟用印紙法等の一部を改正する法律案は、物価の上昇率に従い、訴状に貼用すべき印紙の額を現在のものより三倍ないし四倍半に増額することであります。
 いずれも全会一致をもつて修正可決された次第であります。
 以上御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
○議長(堤康次郎君) 三案を一括して採決いたします。三案の委員長の報告はいずれも修正であります。三案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(堤康次郎君) 御異議なしと認めます。よつて三案は委員長報告の通り決しました。
     ――――◇―――――
○荒舩清十郎君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、日本国に対する合衆国艦艇の貸与に関する協定の批准について承認を求めるの件を議題となし、この際委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
○議長(堤康次郎君) 荒船君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(堤康次郎君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
 日本国に対する合衆国艦艇の貸与に関する協定の批准について承認を求めるの件を議題といたします。委員長の報告を求めます。外務委員長上塚司君。
    〔上塚司君登壇〕
○上塚司君 ただいま議題となりました日本国に対する合衆国艦艇の貸与に関する協定の批准について承認を求めるの件につきまして、外務委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 本協定は、本年三月日米相互防衛援助協定を締結いたしまして、わが国の防衛力の増強のために必要なる援助の授受についてとりきめを行いましたが、この協定の締結交渉と並行して、昭和二十九年度防衛力増強計画に基き、米国政府に対し駆逐艦以下十七隻の供与を要請いたしておりましたところ、最近米国政府は、駆逐艦二隻、護衛駆逐艦二隻、合計四隻の貸与を決定するに至りました。よつて、これらの艦艇の貸与に関する協定の締結方について交渉の結果、五月十四日、東京において、両国代表の間にこの協定の署名を了した次第であります。
 この協定に基いて貸与される艦艇は、日米相互防衛援助協定に従つてわが国がこれを占有し使用することになつており、協定の内容は前文、本文十箇条、末文及び一つの附属書からなり、期間五箇年でありまして、一昨年末第十五回国会において承認を得ました日米船舶貸借協定の内容とほぼ同様であります。なお、わが国が供与を要請いたしました艦艇十七隻のうち、今般貸与決定を見ました四隻以外のものについては、今後の交渉により貸与が決定次第、順次附属書に載せられることとなつております。
 この協定の成立によつてわが国の海上防衛力の増強に必要なる艦艇の貸与を受ける道が開かれ、さきに締結された相互防衛援助協定に基いて供与される他の装備品と相まつて、均衡のとれたわが自衛力の増強に資することと相なるわけであります。
 本件は五月十四日外務委員会に付託され、翌十五日、十七日及び十八日の三日にわたり委員会を開き、岡崎外務大臣から提案の理由の説明を聞き、さらに委員と政府当局との間に活発なる質疑応答が行われましたが、その詳細は委員会会議録により御了承をお願いいたします。
 続いて討論に入り、日本社会党細迫兼光君及び日本社会党戸叶里子君から、それぞれの党を代表して反対の意向を表明され、自由党福田篤泰君及び改進党須磨彌吉郎君から、それぞれの党を代表して賛成の意向が表明され、採決の結果、本日、本件は多数をもつてこれを承認すべきものと議決した次第であります。
 以上御報告申し上げます。(拍手)
○議長(堤康次郎君) これより討論に入ります。穗積七郎君。
    〔穗積七郎君登壇〕
○穗積七郎君 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題となりましたいわゆる日米間における艦艇貸与協定に対しまして反対の討論を試みんとするものでございます。(拍手)
 簡潔にその趣旨を明らかにいたします。この協定は、いわゆるMSA協定を補つて、アメリカの軍籍にあります千五百トン以上の軍艦を五年または十年間日本が借り受けまして、そして日本の海軍力を増強せんとする趣旨のものでございます。このことは、日本に参りますと、アメリカの軍籍にあります軍艦が、日本の言葉で言えば艦艇と称し、国際的には公船または軍艦に準ずるものとして取扱う趣旨であるという御答弁でございましたが、これらのことを見ますならば、すでに再々われわれが指摘いたしますごとく、現平和憲法に違反するものであることは火を見るより明らかでございます。(拍手)われわれが反対の第一の趣旨といたします点はそこにございます。
 さらに、この協定の審議にあたつて、内容を見て来ますと、政府は、二十九年度海軍力増強計画といたしまして、十七隻、二万七千トン余の艦艇を借りることを目的としてこの協定を結んでおりますが、この協定は、法律的に申しまして、今年度の十七隻以後、すなわち十八隻以上の多くの軍艦を借り受けますのに、さらに新しい協定を必要とせず、この附属書に次々に艦艇を追加して参りますならば、国会の承認を経ずして日本の海軍力が増強できるという仕組みになつている点は、われわれの断じて見のがすわけには参らぬところでございます。(拍手)また、外務省条約局長の言を借りるならば、これは海軍力を増強するためにアメリカから日本に艦艇を送り込む無制限なるパイプにほかならないのでございます。
 次にわれわれが問題にしなければならないのは、しからば、日本の政府が自主的にそのバイプから送られて来る艦艇をどこで食いとめるかということでございます。そのためには、当然政府に向つて日本の長期、最終的な海軍力増強の計画を聞かなければならないはずでございます。そこで、われわれは口をすつぱくしてこのことをただしましたが、遂に政府は最後まで海軍力増強の計画を発表しなかつたのでございます。昨年来、MSAの審議にあたりまして、政府は、常に自主的なる防衛計画の発表を約しながら、遂に今日までしなかつたことは、国際的に見まして一にアメリカの方針通りに毎年その要求に従つて兵力を増強しなければならないはめに追い込まれているから、国民に向つて、すなわち国会にあらかじめその規模を示すことができない事情に立つているからであるということは、万目の見るところ、しごく明瞭なところでございます。(拍手)従つて、このパイプは、すなわち、その計画において自主性を持たず、アメリカに従属することをもつてその能としております現内閣でありますならば、アメリカの欲する兵力増強をどんどんと日本に送り込み得るパイプ、従つてこのパイプは、日本の独立と平和を守るものではなく、日本の平和と独立を脅かすのみならず、軍事予算を通じて日本の大衆の生活を圧迫する、恐るべき、憎むべきパイプであると言わなければなりません。(拍手)
 さらに、われわれがただしたところによりますと、このたびの新計画により、今まで船舶協定によつて借り受けていました六十八隻、四万一千トン余の船舶は、今後自衛艦と称しまして、この新しい十七隻に加えて軍艦の取扱いをするわけであります。従つて、十七隻、二万七千トンを追加いたしますと、しめて六万九千トン近くになるのでございます。これをアジア諸国におきまする現在の海軍力と比較いたしますと、韓国が約一万八千トン、フイリピンが二万二千トン、タイが二万五千トン、インドネシアが一万五千トン、ビルマが六千トンでございまして、このたびの計画をもつてしましても、すでに来年度におきましては台湾政権または中共政権の海軍力に匹敵するような海軍力となるのであります。しかるに、政府は、今日のこの第一次艦艇十七隻、二万七千トンというものは、これはまだ不十分なものであるという趣旨を、保安庁長官並びに外務大臣は明らかにいたしております。かくのごとくにして見ますならば、われわれは、このパイプによつて、政府の欲するままに、国民の承認を経るところなしに、無制限に、アメリカとの話合いによつてのみこれを増強することができるということでありますので、このようなものは、今後アジア諸国に大きな脅威を与えるものでありまして、断じて賛成するわけには参りません。(拍手)
 最後に、一点この問題と関連してわれわれがつけ加えておきたいと思いますことは、すでにMSA協定審議当時も指摘いたしましたが、その後におきまするわが国を取巻きます国際情勢をながめますと、アメリカの太平洋におきまする失政続きの失敗に対しまして、最後に日本をPATOまたはSEATOの協定に組み入れて、そうして日本に増強せしめました陸海空軍の戦力をアジア全地域に使わんとすることは、ますます露骨となつて参つたのでございます。特に、承るところによりますと、吉田総理は今国会終了後アメリカに鞠躬如として伺われるようでございますが、そこで予見されますことは、一億三千万ドルないし五千万ドルの余剰農産物を買い受けた上、対日借款をお願いするかわりに、アメリカからPATOまたはSEATOの協定に参加することを強要されることは明瞭と思われるのでございます。かくのごとくなつて参りますならば、先ほど申しましたように、日本の再軍備は、われわれを守るものでなしに、かねてわれわれが指摘したように、やがて外地に出兵せしめられまして、日本を悲しむべき状態に引込む以外の何ものでもない。われわれは、この協定が立つております背後の国際的な政治関係をもながめまして、強い信念を持つてこの協定に断固反対の意思を表明するものであります。(拍手)
○議長(堤康次郎君) 戸叶里子君。
    〔戸叶里子君登壇〕
○戸叶里子君 私は、ただいま議題となりました日本国に対する合衆国艦艇の貸与に関する協定に対し、日本社会党を代表して絶対に反対するものであります。(拍手)
 政府は、昭和二十七年十二月二十二日、日米間における船舶貸与協定の批准を求めたのであります。当時の外務委員会の議論の焦点は、アメリカで軍艦として使つていたものが日本へ来ると単なる船舶になつてしまうのはどういうわけであるかということに対する質問でありました。それに対する答弁は、わけのわからない、のらりくらりの、軍備でないという軍備論でありまして、当時の改進党の松本瀧藏委員ですら、名称においても、また使用目的に関しても、戦力問題に対しても、政府の説明がきわめて抽象的であると指摘されたのであります。かくのごとく、このときからすでにごまかし軍備を政府がなしつつあるという憤りを日本国民は感じておりました。
 ところが、先ごろ日米間に相互防衛援助協定を締結し、アメリカの武器の貸与を受けてわが国の再軍備への一歩前進を行つたのであります。そこで、国内においての防衛関係二法案も、その内容も名称もかえて参りました。事ここに至つては、だれが見ても、軍隊でないとか、戦力なき軍隊とか説明してみても、納得の行く者はおそらく一人もいないでありましよう。(拍手)政府のこの説明に当つた方々も、この答弁をしながら、なぜこんな言葉を使わなくてはならないのであろうかと、その憲法違反のあり方に良心ある人は冷汗を流さざるを得ないでありましよう。(拍手)あるいはまた、質問に対する答弁として暗記をし、幾たびか繰返している間に神経が麻痺し、戦力とか戦力なき軍隊とかいう言葉を反射的に答弁してごまかし、しいて自己満足をしているかの、いずれかになつて来ていることは、何という悲しむべきことでありましよう。(拍手)
 ところが、今回は、MSA協定中の、千五百トン以上の艦艇の貸与を受ける場合には別個の協定を結ぶという条項をもととして、この艦艇貸与協定の締結となつたのであります。
 ここで注意すべきは、前の船舶協定においては、軍艦ですら日本流に言うと船舶であつたのが、今回は一応軍艦として認め、はつきりと艦艇という文字を打出して来たことであります。このことは、保安隊を自衛隊に、船舶を艦艇にと、内容は当然でありますが、その名称もはつきり再軍備への前進を打出し、かくして国民の眼と耳をならしつつ再軍備への即成事実をつくらんとしている政府の一貫したなしくずし再軍備政策の現われであります。(拍手)私は、この際、憲法違反をここまで徹底できる政府並びに与党の独善的な行為に反省を求むるものであります。(拍手)
 また、私どもが最も危険を感じることは、政府が貸与を希望した十七隻の艦艇以外の借受けの形式であります。今回の協定内には、附属書中に、一応決定した駆逐艦二隻、護衛駆逐艦二隻がしるされております。政府の答弁によると、今回この協定で貸与を予定したのは十七隻という数字を根拠にしたのであるとのことでありました。そこで、私は、もしそれ以上の艦艇を借りる場合には、新しい協定を結び、国会の批准を経るのが当然であつて、よもやこの協定に基いて附属書にその艦艇の名を連ねるというようなことをしないであろうと質問したのであります。これに対しましては、外務大臣並びに保安庁よりの答弁は、来年のことはわからない、しかし、同じようなものを同じよろな条件で借りるときには、この協定に基いて附属書に名を連ねるのみで十分であり得るというような、恐るべき考えを持つていることを暗にほのめかされたのであります。(拍手)これがもし実行されるとしたならば、国民の知らない間に、協定によらずして、無制限に新しい艦艇の名前が書き連ねられることになるでありましよう。このように、憲法の七十三条を無視した政府のあり方は、違憲であり、国会無視の独裁政治と非難されるのは当然であります。(拍手)このことは、単に政府の失敗というようなことで許さるべきではなく、将来の国民の運命に重大な影響があり、国民は何らかの秘密が日米両国政府間に横たわつているのではなかろうかとの疑惑を抱くに至るでありましよう。かくして、国民をしてますます反米思想に追いやるものは実に今日の政府である(拍手)という実証をここに示すことは、まことに遺憾とするものであります。
 次に借受の期間でありますが、さきの船舶貸与協定においては五箇年を越えない範囲であるが、合意の上でさらに五箇年を越えない程度の延期ができたのであります。ところが、今回は、五箇年以内の期間であり、日本からの要請のあつたとき、相互間の合意によつて、五箇年を越えない追加の期間、貸与期間を延長することが可能であるかどうか、あらためて協議することになつております。またアメリカ政府は、期間満了前においても、自国の防衛上必要な場合には、艦艇の返還が日本に対して要請できることになつております。これに対し、外務大臣は、日本は借りる方だから、先方からそう言われてもしかたがない、少しくらいはがまんせよという意味の答弁でありました。これは、日本国民の立場から申しますならば、何もそれほど卑屈な従属的立場に立つて貸与を受けなくてもよいではないかと、政府の自主性のない軟弱外交に不安を抱く者は私のみではないでありましよう。(拍手)
 また、六条に秘密保護の規定が設けられております。先ごろ、多くの人々の反対をも押し切つて、政府は秘密保護法を通過せしめたのであります。しかるに、今またあらためてここに艦艇に関しての秘密条項を規定したことに対し、岡崎大臣は、それほど急ぐことでもないし、この協定が結ばれた後、これに関する秘密保護について来国会にでも考えればよいと考えて、この協定中に挿入したとの見解を述べております。それほど急がないものであるならば、秘密保護法全体をもつと十分に国会において審議すべきでありまして、その方が、やたらに言論の自由を奪われるという国民の不安も除かれたでありましようし、(拍手)また追加の煩わしさもなかつたでありましよう。この点から考えてみても、汚職問題を初め救党運動に疲れ切つた現内閣のすることは、あまりにも計画性のないその場限りであつて、これ以上の政権をゆだねることの危険をさえ感ずるのであります。(拍手)
 次は、艦艇の返還についてであります。これは八条の規定でありますが、この八条の中には侵略者という字が幾たびも使われているのであつて、この条項を読んでいるうちに、一体どこから侵略を受けるような急迫した状態に追い込まれているのであろうと不安を感ずるものであります。また「いずれかの艦艇が侵略者の兵力の行動により損害を受け又は滅失したときは、日本国政府は、その損害又は滅失に対する責任を免除されるものとする。」とありますが、この点に関して、具体的な例、たとえば竹島あるいは李ラインにおいて日本漁船を護衛した艦艇があやまつて撃沈されたような場合の責任を問うたのに対し、特定の例に答えることは誤解を招くからとの理由で、最も私どもの聞きたい点に触れないのであります。従つて、その答弁の中には、具体的な個々の事実にぶつかつたときに、解釈上侵略者の定義等でむずかしい点に遭遇するのではないかとの疑念を包含しているものであります。これまた、はつきりさせておかないならば、将来問題を起すでありましよう。
 かくのごとく、この重大な協定の中には、今回の十七隻の艦艇後の貸与についての方式あるいは条文についての了解できない個所が多々あるにかかわらず、十五日と十七日の二日の委員会のみで質疑を打切ることは、まことに政府並びに与党の横暴と言わざるを得ません。(拍手)会期中に計画的に協定の審議を考えず、会期が終了に近づいたといつて、政府の不手ぎわさの責任の転嫁を私どもにするような議事の運営自体にも十分なる反省を政府に求めるものであります。(拍手)
 最後に、私が最も心配することは、このような艦艇を借り受けるならば、艦艇それ自身の費用、人員の増加等、当然それに伴つて国民の税負担は重くなつて参ります。さなきだに、東南アジアの賠償の支払いから、その他国内の社会問題の解決のため予算を必要とするとき、自衛隊を増強し、武器援助を受け、艦艇によつて海岸線を防備することは、アジア諸国からも日本の再軍備復活として警戒されるでありましよう。(拍手)このことは、日本国の将来にとつてマイナスになることでありまして、この点からも私はこの協定に反対するものであります。
 政府並びにこの協定に賛成の方々は、よろしくこの内容を検討せられ、日本の歴史に汚点を残さざるよう反省せられんことを希望して、私の反対討論にかえる次第であります。(拍手)
○議長(堤康次郎君) これにて討論は終局いたしました。
 採決いたします。本件は委員長報告の通り承認するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(堤康次郎君) 起立多数。よつて本件は委員長報告の通り承認するに決しました。
 本日はこれにて散会いたします。
    午後三時三分散会