第022回国会 外務委員会 第20号
昭和三十年六月十六日(木曜日)
    午前十時三十九分開議
 出席委員
   委員長 植原悦二郎君
   理事 大橋 忠一君 理事 菊池 義郎君
   理事 須磨彌吉郎君 理事 北澤 直吉君
   理事 福永 一臣君 理事 穗積 七郎君
   理事 松本 七郎君
      伊東 隆治君    草野一郎平君
      高岡 大輔君    並木 芳雄君
      犬養  健君    福田 篤泰君
      渡邊 良夫君    稻村 隆一君
      高津 正道君    細迫 兼光君
      森島 守人君    和田 博雄君
      西尾 末廣君    松岡 駒吉君
      久保田 豊君
 出席国務大臣
        外 務 大 臣 重光  葵君
        文 部 大 臣 松村 謙三君
        国 務 大 臣 高碕達之助君
 出席政府委員
        総理府事務官
        (経済審議庁総
        務部長)    酒井 俊彦君
        外務省参事官  寺岡 洪平君
        外務省参事官  安藤 吉光君
        外務事務官
        (経済局長)  湯川 盛夫君
        外務事務官
        (条約局長)  下田 武三君
        農林政務次官  吉川 久衛君
        農林事務官
        (農地局長)  渡部 伍良君
        通商産業政務次
        官       島村 一郎君
        通商産業事務官
        (通商局長)  板垣  修君
 委員外の出席者
        外務事務官
        (アジア局第一
        課長)     小沢 武夫君
        外務事務官
        (経済局次長) 西山  昭君
        農林事務官
        (食糧庁業務第
        二部輸入計画課
        長)      丹羽雅次郎君
        専  門  員 佐藤 敏人君
        専  門  員 村瀬 忠夫君
    ―――――――――――――
六月十五日
 私有財産不可侵の原則確認に関する請願(受田
 新吉君紹介)(第二三一二号)
の審査を本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 連合審査会開会に関する件
 農産物に関する日本国とアメリカ合衆国との間
 の協定の締結について承認を求めるの件(条約
 第一五号)
 国際情勢等に関する件
    ―――――――――――――
○植原委員長 これより会議を開きます。
 農産物に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定の締結について承認を求めるの件を議題といたします。
 お諮りいたします。本件につきましては農林委員会より連合審査会を開かれたいとの申し出がありますので、この際これを受諾したいと存じますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○植原委員長 御異議なければさように決定いたします。
 なお開会の時日につきましては、理事会の協議に基きまして明十七日午前十時より開会いたしたいと存じますので、さよう御承知を願います。
    ―――――――――――――
○植原委員長 これより本件に関して通告順によりまして質疑を許します。須磨彌吉郎君。
○須磨委員 農産物に関します協定は非常にお急ぎの様子に見受けられますが、これはどういうわけでお急ぎになりますのか、その御説明をいただきたいと思います。
○下田政府委員 この協定を急ぎます理由は、農産物を供与いたしますアメリカ側の大統領に、本会計年度において現地通貨により外国に農産物を売る権限があるのですが、それが来たる六月三十日をもって終了してしまうわけでございます。もっとも現実の買付につきましては、日本側から頼みまして、九月まで延長するという便宜の措置を認めてくれましたが、しかし買付承認をするという権限が来たる三十日で切れてしまうわけです。でございますから、三十日一ぱいに日本が承認して発効いたしましたのでは、実はおそいのでございまして、アメリカの政府当局におきまして何万トンという膨大な農産物の買付承認書をつくる事務的手続の余裕を見ますと、どうしても数日の間の余裕を見てやらなければなりません。従いまして六月三十日から数日を引きますと、できますならば二十日過ぎ、なるべく早いころに両院の御承認を得まして、日本側政府から協定承認の通告をいたす手はずとしていただきたい、そう存じておるわけでございます。
○須磨委員 大体お急ぎになる理由はわかりましたが、この協定は昨年におきましては二本建になっておったと記憶いたしますが、今度の協定は一本建でございます。それはどういうわけで一本建になっておるか、御説明をいただきたい。
○下田政府委員 仰せの通り昨年は、農産物の購入に関する協定と日米間の経済措置に関する協定と二本建になっております。しかるに本年は農産物の協定一本に相なっております。その理由は、昨年度におきましては、積立円の使用ということが本年度とまるで変った性質のものであるのみならず、投資の保証に関する条項というような全く別問題も規定いたしましたので、これを一本にいたしますのは内容かつ形式の点から見まして、おかしいという点から二本にいたしたのでありますが、本年度はそういう事情がございませんので、一本といたした次第でございます。
○須磨委員 それでもまだはっきりいたしませんが、それでは本年の協定と、昨年三月でございましたか昨年の協定との差異点のおもなるものを御摘出願いたい。
○下田政府委員 昨年度の協定とのおもなる相違点は、ただいま申し上げました形式が二本であったのが一本になったという点のほかに、まず第一に、この農産物の売却ということが行われますアメリカの根基法規がまるで変ってしまいます。御承知のように昨年はMSA法の五百五十条に基きまして日本は買い付けたものでございます。MSA法は申すまでもなく、外国に対する軍事援助という観点からできたものでありますが、今度は軍事援助というような軍事的観点は全然なく、純経済的の取引としてアメリカの余剰農産物を外国に売るというだけの、純経済的の立場から売るという建前でできました米国の農産物法、それに基いて行うことになったという根基法規の点が大きな違いでございます。その他本年度は、昨年度にはございませんでした農産物そのものの贈与ということが加わりました点、また取引を行います農産物の額が昨年度に比べまして大きくなりました点、また昨年度は積立代金のうち二割が贈与として生きるということに相なっておりましたが、本年度は積立代金のうち七割、約六千万ドル近いものを四十年の長期低利借款として借り受けるという内容の点におきまして、これまた大きな差があるわけでございます。
○須磨委員 今度の協定の第一条によりますと、八千五百万ドルという金高だけは出してございますが、これによって受け入れます数量については何らの規定がありませんが、この数量についておわかりになっておる部分をお示し願いたいと思います。
○酒井政府委員 お答え申し上げます。ただいまの八千五百万ドルでございますが、これによって買い付けます概算の農産物の種類、数量を申し上げますと、この農産物の価格は国際的な価格で買いますので、価格が変動いたしますと若干数量は狂うのでございますが、小麦が三十四万トン、これはいずれも概算でございます。それから大麦が五万五千トン、米が十万トン、綿花が十七万五千俵、葉タバコが二千七百トン、大体以上のようなことになります。ただ先ほど申し上げましたように、これは買付の価格が今後変動いたしますと、買付数量に若干の狂いがくるかと思います。
○須磨委員 私は協定について大体の輪郭を得たのでございますが、これによって余剰農産物が日本に、今申されたようないろいろなものが入って参るわけでございますが、高碕長官にお伺いいたしたいのでありますけれども、これが入って参りますために、去年の本委員会においてもいろいろ問題があったのでございますが、これによってわが日本の中における農産物の生産によりまする市場、そういうものに非常な著しい影響がないものかどうか、この点の大体のお話を承わりたいと思います。
○高碕国務大臣 この問題はよほど慎重に考慮いたしたのでありますが、農林当局において検討いたしました結果、国内の農業生産に圧迫を加えないという結論に到達したのであります。
○須磨委員 いま一つ外務大臣にお伺いいたしたいのでございますが、今度のこの協定はアメリカの対外政策、ことに対外援助政策の一環として行われておることはもちろん言うまでもないことでございます。去年の分は、先ほどの条約局長のお示しのごとく、MSAの五百五十条によって起ったのでありますけれども、今後これはアメリカの対外政策の一環として行われるということは、まぎれもない事実だと思うのであります。従いましてこれは今年のみならず、来年もまただんだん続いて参ることと思いますが、アメリカの対外政策というものはまたいろいろな情勢によって変ってくることもあるわけであります。そういうようなお見通しをお立てになって、あるいは来年度における見通しについてもお考えおきになっておられますものであるか、外務大臣から伺いたいと思います。
○重光国務大臣 アメリカ側の政策としてはお話の通りだろうと思います。しかしこの協定は今回限りのものである、現状においてこの協定を結んだ方が日本側の利益である、こう判断して結んでいるわけでございます。そこで来年どうするかということについては、やはり来年諸般の情勢を考慮して、きめなければならぬ問題だと思っております。日本側の利益を基礎として判断して差しつかえない問題だ、こう思っております。
○須磨委員 わかりました。時間が余っておりますが、これで終ります。
○植原委員長 稻村隆一君。
○稻村委員 高碕経審長官は本会議で本協定は来年度も受け入れたい、こう言っております。もし受け入れるといたしますならば、六月十一日の産経の夕刊にアメリカの五五―六会計年度の極東向け対外救済援助計画の内訳を報道しておりますが、これとの関係はどうなりますか、お伺いしたい。
○高碕国務大臣 私はアメリカの対外経済援助計画ということについてはよく存じません。ただ私が希望しておりますことは――今回の協定は相当わが国のために有利である、こういうことを感じております。従いまして数量だとか、あるいは種類を何にするかというようなことにつきましては、実情に応じて検討しなければなりませんが、もしアメリカが初めの予定のごとく、三カ年間に十億ドルという余剰農産物を輸入するという権限を大統領が持っていて、その第一年をやったわけでありますから、あと続いて二年あるとすれば、本年のような状況ならば、私は来年は引き続いて契約したいという希望でございますが、これは政府といたしましてまだ全体に決定したことではございませんから、さよう御承知を願っておきたいと思います。
○稻村委員 外務大臣の方はどうでしょうか。
○重光国務大臣 私の先ほどの説明は公けの説明でございます。しかし今高碕長官の言われるように、同じような状況が来年も続いたならば、わが方の希望としては、またかような協定を結びたい、こういうわけでございます。それは私もそう思います。しかしながら私の説明いたしました通りに、来年は来年で諸般の情勢から新たに考究しなければならぬ問題だ、こう考えております。
○稻村委員 この協定の実施の際の付属文書はどうなっているのですか。付属文書の資料があったら提出いただきたいのです。付属文書の中で日本にとって非常に不利なことがあるといううわさがあるのですが、それは事実かどうかお伺いしたい。
○下田政府委員 本協定の付属文書といたしましては交換公文と議事録がございます。これは農産物の本協定に規定しましたことのワク内におきまして、その細目を規定し、あるいは協定の規定についての解釈等を定めましたこまかい事項につきましてばかり定めましたものでありまして、協定のワクを踏み出したような点、あるいは日本に不利な点というような点は全然ございません。
○稻村委員 共同防衛のための一千七百万ドルの支出分は、住宅建設以外にはどう使っているのか、具体的に品種と数量等を御答弁願いたい。
○下田政府委員 共同防衛のためという字を使っておりますが、これはアメリカの法律におきまして共同防衛という字を使っている、もっともこれは無理もないことでありまして、援助を受ける各国に共通して言い得ることは、やはり共同防衛という広範な観念で規定した方がいいために、アメリカの法律でこういう字を使っておりますので、そのためにその字が協定に入ってきたわけでありますが、しかしこれは全然日米間の協定につきましては軍事的意味のないものでございます。これにつきましては交換公文ではっきり軍人、軍属のハウジィング、住宅建設費だけに使うということが定めてございます。
○稻村委員 日本側が償還する五千九百五十万ドルは米側がどういうふうに使うか、これについては詳細な取りきめがないときは、日本経済に不利な使用法をされるおそれがあると思うのですが、この点いかがですか。
○酒井政府委員 日本側が借款いたします五千九百五十万ドル相当の金を返済いたしました場合に、アメリカがそれをどう使うかということについては、アメリカ側といたしましては自由に使えるわけでありますが、ただ日本経済に非常に不利な影響を与えないように十分考慮してくれるはずになっております。
○稻村委員 協定の第五条(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、これはすべてドル収入源を意味すると私思うのですが、同時に積立円で日本にある重要資材を入手されるという不利なことになると思うのですが、その点いかがですか。
○西山説明員 お答えいたします。協定第五条の五つの目的、使途につきましては、アメリカの公法四百八十号の法律、本件の基礎となる法律に関連しているわけでございますが、いずれの目的も日本に対しまして特別に不利になるということはないのみならず、有利な点も見込まれているわけでございます。
○稻村委員 財政投融資計画の二百十四億の支出については、アメリカ側とどのような話し合いがあったのでしょうか。それから政府は、日本は自主的にこれを使用すると言明しておりますが、個々の事業計画ごとに米国側の了解を求めるとか、あるいは資金の支出は事業遂行状況に応じて一件ごとにアメリカ側の事前了解を得るとか、あるいは資金が計画以外に流用されぬよう日本政府が保証するなどのひもがついているように思われるのですが、この点御説明を願いたいと思います。昨年のMSA三十六億は防衛力増強のための贈与だったのが、今度は経済力拡大のための貸付だから、アメリカの利害関係とも密接な関係があるので、アメリカ側は細目協定に際して、いろいろ注文をつけてくると思うのですが、この点もお聞きしたいと思います。
○高碕国務大臣 その問題につきましては昨年の三月のMSA協定の一千万ドルの日本に譲渡されたものの円貨を使用するについて種々雑多な条件がついて、いまだに困らされておるのであります。それにかんがみまして今回の五千九百五十万ドルについてはギフトとしてもらったのではなくて、長期で借りておるわけであります。この使い道につきましては大体の大ワクだけは先方の了解を得ました。たとえばこれを農産物の開発に使うとか、電源開発に使うとか、生産性向上のために使うとか、その大ワクだけは了解を得ておりますが、あとの問題につきましては全部自主的にこれを使う、細則については文句を言わないという了解をはっきり得ております。ただしその結果については、長期に借金をしておるのでありますから、その結果を報告する義務があります。これはどこから金を借りても借り主に対しての報告は当然だと思いますが、それだけの義務はついております。
○稻村委員 百八十二億の電源開発は予定としてはどこに実施するようになっておるのですか。三十億の農業開発計画ではいかなる配分を予定しておるか。愛知用水、八郎潟、北海道の泥炭地への支出をそこからするのですか。支出するとすれば、来年度以降の貸付額はどういう考えでやるつもりでありますか、長官の御答弁をお伺いいたします。
○高碕国務大臣 電源開発につきましては、どこにこれを回すということは、電源開発事情で自主的にきめるわけでありまして、このうちの幾らをどこへ回すということはきめておりません。これは電源開発に使う、どちらへでも回せるようになっております。それから三十億の方の問題につきましては、ただいまこれは愛知用水の方の予定をしておりますが、あるいは内部の関係上一部分をどこかへ回すということになるかもしれませんが、農地開発に使うということだけははっきりしております。それから一億五千万円というものは生産性本部の拡充に使う、こういう計画でございます。
○稻村委員 食管会計の小麦輸入予定量は二百二十四万トンで、対米通常輸入量は七十五万トン、小麦協定による小麦は百万トン、余剰農産物が三十四万トンとなっておりますが、全部でアメリカから二百十万トン入って、あとは十四万トンしか残らない。それでカナダやアルゼンチンとも日本は貿易しなければならぬのですから、こういうことでこれらの国と正常な貿易ができるかどうか。昨年度のカナダとアルゼンチンの貿易はどうなっておるか、それを御説明願いたいのです。
○渡部政府委員 ただいま小麦のお話がありましたが、小麦の三十年度の総予定量は二百二十四万トンをこちらへちょうだいするように書いてあります。その中でアメリカに期待する分が百十四万九千トンになっております。普通の場合であれば、過去三カ年の平均をとりますとアメリカから大体七十五万トンくらい来ておりますので、三十四万トンをプラスして買ってもほかの国に影響を与えるということはないという考えでそうきめておるのであります。なお小麦協定との関係でありますが、小麦協定の関係は小麦協定参加国からその協定に参加している条件に従って買うということでありまして、どこの国からなんぼ買うということはそのときどきの状況によってきめるのでありまして、価格等について協定国間に取りきめがありますけれども、数量についてはきめがしてあるというわけではないのであります。
○稻村委員 米の輸入量は対米通常輸入量が二十万トン、余剰農産物が十万トンとすると、残りの約百万トンは一体どこから入れる予定でありますか。重光外務大臣は、種々検討して東南アジアとの貿易関係を決して阻害しないという結論に達した、こう言っておられますが、石橋通産大臣は先方の輸出能力、それから品質、価格を検討して、各国が要求し、日本が受け入れられる限り受け入れると言っておられますが、これについて数字をあげて、できることなら詳細なお答弁を願いたいのです。
○渡部政府委員 お話のように米は三十会計年度に買い付けなければならないのが百三十二万トンでありまして、そのうち約三十三万トンが通常輸入プラス十万トンのただいま問題になっております余剰農産物で買うことになっております。従いまして残りの百万トンは主として東南アジアから買うことになります。そのうちタイにつきましては二十万トンないし三十万トンを買い付けるという協定ができております。ビルマにつきましても同様に二十万トンを買うという協定ができております。従いましてそれ以上の数量につきましては、タイ、ビルマから協定以上に買うこともよろしいし、そのほかの国から買うこともよろしい、それは日本側が有利と思うところから買う、こういうことになります。
○稻村委員 見返りの一部分は農産物市場の開拓用として支出される、こういう協定がありますが、この内容は一体どうなっておりますか。
○高碕国務大臣 これは日本側の経済にじゃまにならぬようにしてもらいたい、こういうことで、こちらの希望条件としてはたとえば日本のパン食を奨励する、これは小麦が売れることになりますからパン食を奨励する、あるいはマカロニーのようなものであるとか、そういうような方面の宣伝に使うように一つやってもらいたいという希望を申し出ております。
○稻村委員 千二百万ドルの学童用の贈与分ですが、小麦と粉乳になっておりますが、その割合は一体どうなっておるのでしょうか。それからこれは現在ようやく普及しております日本の酪農農家に対して非常なる圧迫になると思うのですが、その点どう考えておられるか聞きたいのであります。
○高碕国務大臣 小麦及び脱脂乳で千二百万ドル、綿花で三百万ドル、こういうことになっておりますが、小麦は約八万トン、脱脂乳が七千トン、こういう割合になっております。ただいまの御質問は、脱脂乳が入ってくることは、日本の乳製品の製造に非常にじゃまにならぬかということでございますが、脱脂乳はすでに相当輸入しておるわけなのでございます。私はこれはさしつかえないと存じております。
○稻村委員 文部省の方来ておられますか。
○植原委員長 文部大臣は参議院の委員会に出ておるので来られませんが、都合でき次第来るから、文部大臣の質問は留保して下さい。――北澤直吉君。
○北澤委員 数点についてお尋ねしたいのであります。まず第一点は、今度の協定によって米を十万トン買うことになったわけでありますが、どういう事情によって米を十万トン買うことになったか、そのいきさつをお話し願いたいと思います。
○渡部政府委員 米は日本の需給事情から申しまして、先ほどちょっと御説明申し上げましたように、こちらに有利なところから買うというのが農林省の建前であります。たまたまアメリカの方にも米がよけいある。従って通常輸入量よりもよけい買ったらよろしい。向うの方からも買ってもらいたい、こちらも買ってもよろしいということで、十万トンを買うことにきめたのであります。
○北澤委員 これは非常に重大な問題でありまして、日本に米を売ることを希望している国は世界に多いのであります。東南アジア諸国あるいはイラン、イタリア、そういう国はみんな、日本が米を買ってくれるならば、日本の品物を相当買ってもいい、こういっております。従って、日本の輸出貿易を増進するという見地から申しますれば、そういう国から米を買ってやれば、東南アジア、中近東、イタリア、そういう方面に対する日本の輸出貿易が非常にふえるのであります。それを十万トン、アメリカで買ったがために、少くもその十万トンだけはよそから買えない。それだけ日本の輸出貿易伸張に妨げになるというふうにわれわれは考えるのでありますが、一体政府はどういう考えで、この米十万トンをアメリカから買うことにしたのでありますか。
○渡部政府委員 ごもっともなお話であります。そういう諸般の事情は十分検討いたしまして、ちょうど昨年から南方米については、黄変米等のいろいろな問題が出ておりますし、ことしは、先ほど申し上げましたように、本会計年度特別会計として百三十万トン余りも要るということになりました。東南アジアのみならず、イタリア、スペイン、エジプトあるいは南米等々の各地の米の供給状況あるいは品質状況、価格の状況、そういうものをみらみ合せまして、お話のような東南アジアの貿易伸張について最大限の考慮を払った上、なおかつ十万トンはアメリカからよけい買ってもよろしいということに、各省の間で相談してきめたのであります。
○北澤委員 私どもが聞いている範囲では、たとえばイランのごときは、日本でせめて二万トンくらい買ってくれれば、日本の品物を相当買ってもいいという話、イタリアの場合は、大体一万トンから二万トン買ってくれれば、相当日本の品物を買ってもよろしい、こういう話があるわけであります。もしアメリカから十万トンこれを買わないで、たとえばイランから二万トン、あるいはイタリアから二万トン、そういうふうに買いますれば、この地方に対する日本品の輸出が非常に伸びてくると私は思うのでありますが、特に政府が米をアメリカから余剰農産物で買うことは、日本で希望しなくて、むしろアメリカの方から要求されて日本はやむを得ず受けたのだと思いますが、そういうふうによそから米を買えば日本の輸出の増進になるのに、どうしても日本として米を十万トン承諾しなければならなかったかどうか。その辺の事情を一つ大臣から伺いたいと思います。
○高碕国務大臣 昨年の十月にこの交渉はアメリカにおいてされておったわけでありますが、ただいま御質問のようなことも私は聞いております。アメリカとすれば、米が非常に余剰農産物になっておりますから、これを取ってくれ、こういう申し出があり、それに対していろいろな条件が折衝されました結果、それならば七割までは日本に貸す、あるいは八割でしたか、そういういろいろめんどうな折衝がありまして、各方面から考慮した結果、結局これだけプラスされることに相なったのであります。これについてはお説のごとく、将来日本の貿易を促進する上において――ただいまのお話以外に南米のエクアドルあたりからも、米を買ってくれればこれだけ物を買うと言っておりますが、米の問題は、よほど慎重にやらなければならぬことは、品質の問題が非常にあります。アメリカの米については品質上の問題はない。そのほかについては相当品質の欠陥がある。こういうことも考慮せなければならぬ。こういう各方面から考慮された結果、この十万トンを買っていいじゃないかという結論に到達いたした次第であります。
○北澤委員 米十万トンはやむを得ず買ったというわけでありまして、その事情も多少了とする点もありますが、とにかく日本が一年間に百三十二万トンの米を買うことは、日本の輸出を増進する大きな武器なのです。米を買ってやるから日本の物を買えということならば、話ができるのであります。従って日本が年々百二十万トン買うということは、ぜひとも将来日本の輸出貿易伸張という見地から大いに考えてもらいたい。米の買い先もそういう意味で考えてもらいたいと思います。先ほど政府から答弁がありまして、来年もまたアメリカの余剰農産物を買うというお話であったのでありますが、来年はぜひ米を買わないで、米以外のものを買ってもらいたいということを要望いたしておきます。
 それから農産物の価格でございますが、先ほど政府の答弁では市場価格で買うという話でありますが、アメリカにおいてはこういうものは支持価格、要するに農産物が非常に豊作で余って、従って一般の農産物の値段が下っておる。そこで政府がこれにサポートを与えて価格のつり上げをやっておりますが、今度日本がこれを買う場合は、一体政府の支持価格で買うのかどうか、これを伺いたい。
○高碕国務大臣 お説のごとく支持価格というものは、非常に高いです。これは倉敷科、保管科がかかっております。今度買いますのは、これは全部競争価格で、世界の競争するマーケット・プライスで買う。これは従いまして、余剰農産物であるからというものでなくて、普通の商取引、つまり、現在向うの輸出業者が売るものを、日本の現在の輸入業者が買い取る。そして普通の取引をもって実行いたしまして、その支払いの条件において政府がこれを肩がわりする、こういうことに相なるわけでありまして、支持価格とは全然違っておりますから、さよう御承知願いたいと思います。
○北澤委員 そうしますと、アメリカ国内の輸出の場合の市場価格はわかりましたが、アメリカのそういう価格と、今度の買い入れ価格との間に、あまり違いないのでありますか、同じでありますか。非常に豊作で、農産物の値段が国内の相場も下っておると思いますが、一体その点はどうなのでありますか。安い値段で日本は買うのでありますか。
○高碕国務大臣 一般に申しまして、アメリカの国内価格というものは、輸出価格よりも値が高いのです。輸出価格というものは非常に安くしております。競争の結果安くしておりますから、その値段でとるわけであります。現在の支持価格とわれわれが今度引き受けるものとは、五割くらい違いがあるように私は考えております。
○北澤委員 次の問題に移りますが、この協定によりますと、今度日本が余剰農産物を買うのは、「世界市場における農産物価格を不当にくずし、アメリカ合衆国のこれらの農産物の通常の市場取引を排除し、又は世界の自由諸国間の貿易関係を実質的に害することがないように合理的な注意が払われるべきことを合意する。」こうありますが、先ほどの政府の説明によりますと、日本は通常の輸入量は買う、それ以上のものを今度余剰農産物で買うというのでありますが、そうなりますと、ざっくばらんに申しまして、日本で必要のないものを買うような感じを私は受けるのであります。通常取引のものは別にあります。それ以上のものをこの協定で買うということになりますと、日本では必要のないものを買うという誤解も、そういう印象を受けるのでありますが、一体この点はどうなのでありますか。
○西山説明員 通常輸入量の算定に当りましては、日本の外貨事情、それから過去数年の実績等を勘案いたしますので、必ずしも過去三年の現実の輸入量というわけではございません。たとえば麦の統制撤廃に際しましては、ストックの維持のために、相当緊急輸入をいたしたわけでございますし、また過去におきまして、凶作その他によりまして、輸入をいたしました場合にも、相当数量を多く輸入したわけでありますが、それらの点につきましては、こういう性格のものが通常の輸入量と考えられないということを十分に説明いたしまして、現実の輸入量よりも、相当下回った数量を通常輸入量として算定いたしておるわけでございます。実際問題といたしまして、三十年度の輸入必要量からいたしますと、通常輸入量と、それからアメリカの余剰農産物によって買付いたします数量と合計いたしましたものが、日本としましては、いわば当然必要な数量になるわけでありまして、その辺そういう事情でございますから、特にむだな輸入をいたしておるわけではございません。
○北澤委員 ただいまの政府からの答弁で大体了承をいたします。
 それでは次の問題に移りますが、この八千五百万ドルに相当する円の積立金の三〇%はアメリカ政府が使うということになっておるのでありますが、もしアメリカがこういうふうに積み立てた日本円を使って、アメリカの必要なものを買うということになりますと、従来アメリカがドルを払って、いわゆる特需形式で日本で買っているものが減る。つまり、特需によるドル収入が、その面だけ減るというふうになると思います。それでなくても特需の収入がだんだん減って参りまして、日本の国際収支がだんだん悪化してくるということは御承知の通りでありますが、従来ドルで買ったものを円で買うということになると、その分だけドルの収入が減ると思うのでありますが、その点はどういうふうになっておりますか。従来の特需で買うものをそのままにして、それ以外のものを円で買うというわけでありますか。特需の収入が減るかどうか、この点を伺いたいと思います。
○高碕国務大臣 先ほど私申し上げましたように、三〇%のうち千七百万ドルというものは大体住宅を作るということでありますから、これを向うからドルを持ってきて払ってくれればドル収入になる。こういうことになるかもしれませんが、こちらといたしましては、住宅がふえることになります。ただ五百五十万ドルだけは外国へ輸出するものについて当然ドルがかせげるのを、それだけ減る、こういうふうな結果になると思いますが、その他のものにつきましては、第五条の(3)の宣伝だとか、(4)の国の国際教育交換活動、そういうようなものについても大きな影響はないと思いますが、ただ五百五十万ドルだけは、幾らかドル収入になるものが減る、こういうふうな気がいたしますから、それだけは御指摘のごとく考えられますが、三割全部が減るわけではないと存じます。
○北澤委員 そうしますと大体五百万ドル見当のドル収入が減るというふうに了解をいたします。
 それから次に伺いたい点は、今度は余剰農産物協定が非常におくれましたのは、いわゆるドル条項をつけるかっけないかということのために、ほとんど半年以上かかったわけでありますが、ところがいよいよまとまってみますと、実際上はドル条項をつけたと同じような結果になってしまった。八千五百万ドルの七割をドルで借款をするけれども、その支払いは日本側の選択によって、ドルで払うかあるいは円で払うかする。しかもその利息は、ドルの場合には三分、円の場合には四分というわけでありまして、およそ半年間も争って出てきた結果は、争わないでも同じような元のままになってしまったというふうに思うのでありますが、半年もアメリカとの間に話をして、そのために協定の締結がおくれたということは、私は日本側から申しますと、結局実益がなかったと思うのでありますが、一体政府はこれに対してどういう考えを持っておられますか、伺いたい。
○高碕国務大臣 結果から申しますとそう違わないのじゃないかということは、お説の通りでありますが、ところが最初われわれが予定しておりましたことは、円で借りて円で払うということになっておりまして、これはドル条項がついていない、こういう考えでおったわけであります。ところが円で借りてそれにドル条項がついておるということを政府が認めるということになると、これはほかに影響するところが非常に多いわけであります。かりに一例を申しますれば、ここに映画会社があって、それで日本に円を持っておる、その円をあるところが長期で借りた場合に、返すときにドル条項がついたというふうな取引を認めるということはできないわけであります。政府自身がそういうできないことを認めるということは、他に影響するところが非常に重大だと考えたから、ドル条項をつけるということは困る。それならばドルで借り、ドルで返すことにしてもらいたい。あるいはドルで借りておいて、そのときの工合によって返さないというふうにきめたわけです。これは根本的の問題として非常に重大だと政府は考えたのです。
○北澤委員 政府がそういうふうなお考えで交渉されたことはわかるのでありますが、しかし最後の結果は、これは形はドル条項はついておりませんが、実質的にはついておる。従って先ほどのお話の映画会社の場合なども、向うから実質的ドル条項はついている、そう言われてもしようがないのです。そういうわけで私どもの考えは、こういう問題で半年も議論をするよりも、もっと大きなポイント、たとえば借款の割合を七割を八割にするとか、もっと大きな問題についてアメリカとの間に話し合いをすべきであって、こういう形式の問題で半年も交渉をおくらすことは、日本にとって得策ではないと考えるのですがそれに対するお考えをお聞きいたしたいと思います。
○高碕国務大臣 お説ごもっともで、一日も早くこれは解決いたしたい、こういう考えでおりましたが、何しろドル条項は絶対つける、こういうのです。それではドル条項がつくならば短期にしたらどうかというようなことも考えられまして、いろいろな点を考えてあれこれ交渉したのであります。結局だんだん探ってみると、アメリカが現在他国と取引しておる方法、つまり長期で貸し付けている方法は全部ドル条項がついておる、だから日本だけ特殊に扱うことができないということが最後にわかりまして、それならばこの方法よりほかにないといってやったのが現在となった方法でございます。これは多少延びましたが、ドル条項のつかない、ドルで借りてドルで払う、これを日本の都合で円にかえることができるということをやったことは、私は日本のために相当有利になっておる、こう存じております。
○北澤委員 もう一点だけ。それで問題は借款の利息の問題ですが、政府はドル借款の場合は利息は三分でいい、こういうふうに従来説明しておったのでありますが、今度これによりますと、ドルで払う場合には三分、円で払う場合には四分というようになりまして、もとのもくあみ、やはり四分払うことになるわけでありますが、この利息はやはり円で払う場合も三分というふうに主張できなかったものでありますかどうか、この点伺って私の質問を終ります。
○高碕国務大臣 これは初めから二分五厘という考えでいろいろ交渉しておったわけでありますが、据置期間三年間、これを無利息にする、こういうことに相なりますと、四十年年賦にすると、三分にいたしますと二分五厘幾らになるというようなことになりまして、相当有利になる、こういうことできめたわけであります。それでその点はお話のごとく、あの手この手でいろいろ折衝した結果、結論がこうなったことは御承認を願いたいと存ずるわけでございます。
○植原委員長 穗積七郎君。
○穗積委員 最初にお尋ねいたしますが、これはわれわれに言わしめますと、買い付けました金のうちの何パーセントかを日本の財政投融資に借款として利用できるというところに、日本の飛びついた一番の理由があると思うのです。ですからそのほかは、こういう余剰農産物を特別の協定によって買いませんでも、通常貿易をもって買い得るのに、こういういろいろなオブリゲーションを負いました買付協定になってきたと思うのです。そこでこの問題は前内閣からの交渉経過をたどっておりますので、最初に私は、内閣の責任上、前内閣がどこまで交渉されて、現内閣はどこから交渉を引き継がれたか、その点を最初に明らかにしておいていただきたいのです。すなわちわれわれが仄聞するところによりますと、吉田内閣当時に、昨年渡米されました理由の一つもここにあったと思うのでありますが、約一億二千万ドルの買い付けを予定し、しかもその贈与分はそのうちの約三〇%を見込んで、残額は借款として成立せしめて、もうすでにとらぬタヌキの皮算用でいろいろな投資の計画も立てていかれたわけですが、これがくずれて一億ドルになり、しかもその贈与分はたった一千五百万ドルとなった。しかも残りました八千五百万ドルの借款につきましては、金利並びに返済義務が今お話のありましたようにドル換算になっております。こういうような苛酷な条件がついて参ったのでありますが、一体現内閣は交渉の経過におきまして、どこから受け継がれて、どこから現内閣の責任として交渉なすったのか、それを最初に明らかにしていただきたい。
○高碕国務大臣 前内閣が交渉されておりましたのは、全体の余剰農産物を引き受ける金額として一億ドル、そのうちの千五百万ドルは贈与として日本にもらう、あとの八千五百万ドルにつきましては、そのうちの三割はアメリカ側が円で使う、七割は日本に円で借款をして、円で返す、こういうふうなことに相なっておったのであります。金利の点につきましても、また期限の点につきましても、あるいは私ども非常に苦労いたしましたドル借款、ドル・クローズというものにつきましても、まだ何ら触れていなかった状態でございまして、その状態のままでわれわれは引き継いで、それから後現内閣が責任をもって交渉に当ったわけであります。
○穗積委員 そうしますと、当初見込みました買い付けの総額と、それから贈与のワクと借款のワクについては前内閣が決定して、その後の細目協定はほぼ現内閣の責任において交渉されたと理解いたします。
 そこで最初に、きょうこまかいことについては質問すべき点が多々ございますので、それはあとで事務当局にもお尋ねしたいと思って残しておきますが、委員長もその点お含みおき下さい。きょうは最初の総括質問ですから、これは経済的な面からいえば高碕長官、国際関係からいえば重光外務大臣ですが、両方から一つお尋ねしたいのです。
 この問題は実は農産物問題で日本の農業経営にも関係いたしておることでございますから、こういう取引協定をされる場合におきましては、世界における農産物市場の将来への見通しも一応立てなければならぬと思うのです。その点について一体どういう見通しを持っておられるのか。買う方が弱いのか、買う方が強い市況になりつつあるのか、その点の認識をお尋ねしたい。第一アメリカにおいて見ますと、アメリカは現在小麦その他綿花におきましても、すでに一年分の消費量以上の滞貨状態でございます。そしてこのままで参りますならば、海に捨てるか焼き捨てるか以外には処理のしようがない。対外貿易をとってみますと、二十八年度から二十九年度にかけ、農産物の輸出状況は漸減いたしております。こういう状況でございます。従ってドル条項のつきました、いわばドル換算による返済の条項のついたような、または相当高い金利のついたような、そしてまたその借りる金が、向うの事後承諾ではありますが、さっきの御答弁はわれわれの理解とは違っておるのであって、単なる報告義務ではないと思う。その点は後にお尋ねいたしますが、そういう義務を負ってまで受ける理由がないとわれわれは思うのです。昨年の小麦協定におきましても、英国はすでに賢明にもこの協定に参加しないで、フリー・マーケットで買い付けようというような態度をとっているやさきでございまして、日本としては、先ほど北澤委員からも自由党でありながら賢明なる御指摘がありましたが、これは単に不足なる農産物を輸入するだけでなくて、輸出も考えなければなりません。そういう点を考えてみますと、第一に最近の世界における農産物のマーケットに対する状況の判断と将来の見通しについて、その基本的なお見通しを両大臣に一つお聞きしておきたいのです。
○高碕国務大臣 終戦後われわれは食糧を得るために非常に苦心をいたしまして、当時はほとんどセラーズ・マーケット、食糧品はとても手に入らぬ、頭を下げて買いに行った、こういうことは事実でありますが、それから逐次世界各国の食糧品は増産されて参りまして、今日では非常に生産過剰になっておるという状態であります。そこで私は、将来においてこの状態は当分持続するものだ、もちろんアメリカ方面におきましてはいろいろ生産制限をやっておりますが、これは大勢的にいって今後のマーケットはだんだんバイヤーズ・マーケット、買手の市場になってくる、こういうふうに私どもは想像いたしております。
○穗積委員 従って、私はそういう認識に立っておられるならば、少くともこの細目協定に対しては、現内閣の特に高碕長官は経済的なベテランであるにかかわらず、その交渉に当られこの締結に当って主役を勤められたその認識と、そういう政治的な取引をなすったこととは、私はいささか食い違ってやしないかと思うのでありますが、御所感はいかがでございますか。前の内閣から話が続いてきて、この際内閣をとって、前内閣の責任ではあったけれども、もうすでにできかかった話をこわすわけにはいかぬ、しかもその内容、条件におきましては、前内閣の交渉の過程におきましても、当初見込みましたより非常にシビヤーなものになってきているわけですね、数量の面につきましても借款の額にしましても。今年度二百十四億といいますと、財政投融資がだんだん減ってきておりますから、昨年度でもすでに財政投融資が減ってきたのを開銀の繰越金でやっとカバーしてきた。これを今年度二百十四億でやっとカバーできるかできないかという状態、それのみに飛びついてなさったのか。前内閣の交渉の経過を打ち切るわけにいかぬというのでなすったのか、これは大事なことであります。将来のこともあります。昨年度の五十四年度法によって協定が結ばれておりますからそうなるといろいろなオブリゲーションが予約されております際に当りまして、先ほどは一回分と仰せられましたが、決してそうではない。これは将来にとって大事な問題でありますから、長官の特に良心的な御答弁をお願いしたい。
○高碕国務大臣 これはいろいろ見方があります。これは日本のために有利であったとか不利であったとか、あるいはこのとりきめが下手であったとか上手であったということの批評はありますが、私は考えまして、なるほどアメリカ側になってみれば余剰農産物として非常に因っているということも事実であります。すでにリバティ型の船で四百何十そうも小麦を持っておるということも聞いております。実情を見ておりますが困っているのであります。しかし日本といたしましては、これだけの食糧は絶対に必要であるという数量でありまして、これは何としても現在の為替の……。
○穗積委員 買うのはいいのですよ、フリー・マーケットで買ったらよいじゃありませんか。
○高碕国務大臣 オープン・マーケットで買うということもありますが、オープン・マーケットで買いますと現在のわれわれの持っておる為替がそれだけ減るわけであります。現在の為替のバランスをとるという上におきまして、これを長期で借りるということは、現在の財政状態からいって、どうしてもわれわれはとらなければならぬという状態であります。しかもこの金利につきましても決して高いものではない、世界の市場の金利は今安いようでありますけれども、それでもこの三年間の据置を無利息にし、三分にすれば、千五百万ドルをただでもらえるということを考慮に入れれば、一分何厘というふうな二分に満たない金利になります。こういうふうな点から考慮いたしますと、この取引というものは私は日本のために非常に有利とそう信じております。これは良心的に信じておりますからさよう御承知願いたいと思います。
○穗積委員 それは本年度に関する点を見ますと、なるほどそうかもしれないが、そこで実は――これは認識の問題ですが、さっきのあなた自身の言葉の中で私は矛盾があると思うのですけれども、あなたは自覚されないで良心だと言ってみえを切って済んでおられるが、あとで冷静にあなたの論理をとれば、これは明らかに前段の国際経済市況に対する認識とこの協定の結び方は、矛盾があるといわざるを得ないと私は思うのですが、これは議論になりますから、それはそれとして前に進みますが、これはいろいろな義務規定がございます。義務規定の協定の内容については一々あとで御質問したいと思っていますが、それは後にいたしまして、まず大臣ですから総括的な点だけお尋ねしたい。
 これは正確に申しますならば、農産物貿易の促進及び援助に関する千九百五十四年法によってこの協定が結ばれたと言わざるを得ない。従って、特に問題になりますのは百一条の(a)項であります。これは読んで字のごとく、「合衆国の通常の市場取引を擁護し」云々と書いてある。これはこの法律の中へ入りません。余剰農産物の中に入っていないわけですね。さらにわれわれが見落してはいけないのは百六条だと思います。百六条におきましては、「十分な繰越及びドル獲得のための輸出見込をこえているか又はこえることが合理的に期待されるものをいう。」とあって、そのものだけについてでございます。従って、この両方とも通常貿易を侵害しない、通常貿易で売れるところまでは売っておいて、それ以上はとうてい売れないから、これを海に捨てるか焼く以外にないというものだけを、今ありがたくて何ともこたえられぬとおっしゃった円貨で買えるという協定で持ってくるのだということになっております。さすれば、これはちょっとお尋ねいたしておきますが、通常取引は、もう大体承認を与え予約いたしまして、そうしてその上積みとして、この余剰農産物による買付プラス・アルファでございますね。従ってこれはあなたか重光さんか、両方に対してお尋ねするのが適当だと思うのですが、通常取引に対しますアメリカに対する予約、あるいは日本政府の計画を最初にお示しをいただきたいのであります。
○西山説明員 通常輸入量としては、先ほど御説明申し上げましたように、実際の日本の輸入量からいたしまして、いわゆる通常輸入量という数量と、それから現実に通常輸入量を上回りまして、オーバー・アンド・アバーヴで買います数量と合計したものが、日本の全輸入量のワク内にはまるようにわれわれは考えておるわけでございます。
○穗積委員 それはわかっています。そんなことは聞いているのじゃないのです。総計が日本のためになるということじゃなくて、通常輸入の分と、余剰の買付とどういうふうな話がしてあるかということを聞いているのです。
○西山説明員 通常輸入量につきましては、品目別に通常輸入量幾らと踏み、それからその上にオーバー・アンド・アバーヴが幾らということになっております。
○穗積委員 そうしますと、通常輸入は、すでに年々買付に対して計画があり、しかもこれをアメリカに予約しておると理解してよろしゅうございますね。これは大臣からお願いします。
○高碕国務大臣 御質問にお答えいたしますが、これは数量を幾らとかいうことをきめたわけではなくて、大体の話し合いをしておるだけの話でありまして、これだけのものを必ず買うという予約はいたしておりません。
○穗積委員 小麦について七十五万トン、大麦二十万トン、米二十万トン、綿花二十七万俵、タバコ二千九百トン、こういうような計画をお立てになったことは、前内閣であるか、現在の経審庁で継承されたか存じませんが、そういう計画数字は立てたことがあるかどうか、それをアメリカに示したことがあるかどうか、そのことを伺っておきます。この点ははっきりお答えいただきたい。何も逃げる必要はないでしよう。
○酒井政府委員 この数量につきましてはお話のように前内閣当時に話がございました。通常輸入はどういうふうな話し合いになっておるかということでございますが、これは一応目安としては話は出ましたけれども、約束はいたしておりません。
○穗積委員 約束にはならぬにいたしましても、今申しました大体の数字は当らぬといえども遠からずでございますか。
○酒井政府委員 先ほず申し上げましたように、過去三カ年の平均から緊急輸入等をとりまして、それを平均いたしまして計画としての数字は大体そういうことでございます。
○穗積委員 そうしますとこれは相当な問題だと思うのです。この協定に当って法律上の責任は別といたしまして、現在のアメリカと日本との関係、特に保守党の皆さんのアメリカに対する態度等から見ますと、条約文に成規に法律的なオブリゲーションとして規定してはいないとか、あるいは今度のウラニウム問題でもそうですが、交換文書で書くからどうだとか、談話の中でやるからどうだというようなことを言いますが、こういうことを事前に約束していると、必ずとっちめられているのです。だから向うへ示したことがある以上は、この通常輸入の約束については、長期にわたって国際的な食糧状況、マーケットの市況がどうなろうと、アメリカに対して独占的に買い付けるというような話がほとんど進んでいると見ていいと思うのです。そういうことになると非常に重大だと思うのですが、一体どういうおつもりでこんな話をなさったのか、あなたではなしに、交渉関係ですから重光外務大臣か高碕さんから御答弁をわずらわしたいのです。
○高碕国務大臣 ことしの取引につきましてはただいまお話のごとく、通常輸入の上に余剰農産物を持ってきても、何ら日本に差しつかえないという結論でやったのでございます。さて来年はどうするかという問題でありますが、来年の問題につきましては有利であった場合には私は買い付けたい、こういう考えであります。けれども日本が余剰農産物を買うことによって、今穗積さんのおっしゃったように非常なオブリゲーションになるということなら断わります。それははっきりしておりますから、さよう御了承願いたいと思います。
○穗積委員 あなたはここでそういうことをお尋ねしますと、不利なら断わるといってみえをお切りになるが、実は日本の保守党政権の方々は、アメリカに対してはそういうみえを切ったことはないのです。何かどこかの議事録に載っておったというので、これでじわじわ責め立てられると大がいかぶとをぬいでしまっている。この交渉の経過を見ておってもそうです。これは額だけでなしに、シビヤーになってきているじゃないですか、ですから私はこれは非常に重大な問題だと思うのです。これはぜひとももう一ぺん答弁してもらいたいのだが、実はきょうは午前中の質問については時間の割当をしてありますから、私は総括質問中ひとまずあと二点だけについて重要な質問をして、それで打ち切って、後にまた次の番が回ってきたとぎにお尋ねいたしますが……。
○植原委員長 穗積君の時間はもう一ぱいです。時間は励行するということでしたから、それはこの次に回します。
○穗積委員 もう一問だけですからやらして下さい。
○植原委員長 それでは時間が大切ですから、あなたの質問を単刀直入におやり下さい。
○穗積委員 それでは簡単に言います。問題をはぐらかされるから、ちゃんと説明しておかないとわからないと思うので申し上げますが、先ほど言いましたように、国際的な農産物の市況の判断に立つのならなおさらです。昨年度のMSA小麦の受け取りに対しましても、すでにアメリカの農業恐慌を日本の中へ持ち込んできたような端緒が見られるわけです。私は顕著だとは言いませんが、端緒が見られます。MSA協定による小麦のために日本の麦価に影響を及ぼしたことは事実でございます。それから今度は乳製品の脱脂乳を外国から入れるということをすでに長官はお答えになりました。脱脂乳ではないが、牛乳その他の乳製品は国内でも過剰生産になって、中小業者はまさにつぶれんとしている。練乳とは品物が違うからといっても、需要は同じなのです。相場次第でどっちにでもいく需要なのです。国内のすでに生産過剰になっている乳製品に対する影響、酪農農家に対する買い取り価格への影響、一升四円二、三十銭が四円を割るという地区が随所に出てきておりますけれども、その上に拍車をかけるということを私は数字の上ではっきり言える。今年度の農産物輸入計画も国内の小麦価格に影響しないというのは事実と違うのです。どういう認識に立ってそうおっしゃるのか。
 さらにもう一点追加しておきます。この借りたものに対して、使うのは事後報告でいいとおっしゃいましたが、これは事実上は事後承認になっているでしょう。大臣は自由に使える、報告の義務があるだけだ、内容については向うから何らのサゼスチョンも、アドヴァイスも受けないと言うけれども、単なる報告義務ではなくて事後承認だとわれわれは理解しているのですが、その点交渉に当られたあなたがはっきりしておらぬと、これは外交交渉ですから、こちらであなたがその言っても、アメリカにそうじやなかったと言われると困る。事後承認であるのか、単なる内容についての報告義務であるのか、この二点をお答え願いたい。
○高碕国務大臣 この使用については、何に使うという大ワクにつきましては承認を得ておりますが、あとの使ったものについては事後報告ということに相なっております。
○穗積委員 前の部分はどうですか。国内農産物に対する影響、あれは違いますよ。現にもう影響しているではありませんか。
○高碕国務大臣 私は現在のところ、今度あちらから買いました綿花、タバコ、大麦、小麦につきましては、大なる影響はないと存じております。脱脂乳のことにつきましては学童給食ということでもらっておりますから、これにつきましては多少影響があるとは思いますけれども、これはもらって学童にやるのだということでありますから、そのやり方いかんによりましては影響はないと存じております。
○植原委員長 稲村君、あなたの時間の範囲において文部大臣にお尋ね下さい。
○稻村委員 実は学童給食の問題ですが、本会議で文部大臣に御質問したのですが、はっきりしないのです。それで委員会で詳細に御答弁願いたい。学童給食を有料にするということは、対米折衝の過程でどうもアメリカから了解を得られなかったのじゃないかと私どもは疑っておるのです。文部省内でもいろいろ意見の対立があるという話を聞いておりますが、贈与分を有料にするというのはどういう考えであるか。その金は一体何に使うのか。加工賃十八億五千万円との関係は一体どうなっておるか、この点一つ詳細に御説明願いたいのです。
○松村国務大臣 細目の交渉は今日まで続いて参りましたが、かねて御質問の御趣旨もあったりしましたので、私、高碕経審長官ともに向うの当事者と直接会ってこちらの希望をよく話しました。もちろん非公式でございますけれども、それらのことは文部省の計画にまかせるというふうに大体の了解を得たと考えております。従いまして、これからその趣旨に基きまして、全面的のそれらの品物の措置につきまして文部省の計画を立てるつもりでおるのでありまして、原則としては大体文部省の計画をもととするということに了解ができるのではないかという期待を持っておるわけでございます。
○稻村委員 有料にするということですが、その金は一体何に使うのですか。
○松村国務大臣 実はそれらにつきましては、有料にして、そして出た経費につきましては――実は給食そのものについて根本的に検討して、さらに完備をしたいということが、文教委員会全体の空気でございまして、そこに特別の学校給食の委員会を作ろうという話も今出ておるのであります。その計画と相待って、たとえば学校給食の設備のまだできないものとか、あるいは酪農との関係をよくするとか、そういう面に使うべきであろうと考えますけれども、文部省といたしまして今後そういう委員会との相談等によって方針をきめたい、こういうふうに考えております。
○植原委員長 細迫君。
○細迫委員 外務大臣でも経審長官でも外務省当局の方でもいいですが、たしかMSA小麦のときには交換文書、岡崎・アリソン交換文書というものがありました。この交渉に当って何か交換文書あるいは公式な議事録というようなものはありませんですか。
○下田政府委員 先ほどちょっと御説明申し上げましたが、本協定の付属文書といたしまして交換公文と議事録がございます。いずれも協定事項のワク内におきましてその細目を取りきめておるわけでございます。
○細迫委員 それはもう配付してありますか。
○下田政府委員 まだ御要請に接しませんが、御要請がございましたら、もちろん秘密でも何でもないものでございますからお手元に差し上げます。
○細迫委員 この取り寄せば後に理事を通じてお願いすることにいたします。これはMSA協定に基くものとは違いますので、償還せねばならぬお金でございますから、歳入歳出というような予算上の処置が伴わなければならぬと思うのですが、そこはどういうふうにお考えになっておりますか、あるいはどういうふうに処置せられておりますか。
○酒井政府委員 その点は近くこれに関する特別会計法と、それから予算措置ということは出るであろうと思います。
○細迫委員 決定的にはなっていないようなお口ぶりですが……。
○酒井政府委員 決定いたしておりますから、提出の時期がまだいつというふうにはっきりいたしておりませんが出すことになっております。
○細迫委員 特別会計を作られるという方針ですね。――前のMSAのときの質問応答によって政府の御答弁があったのですが、小麦の関係で申しますと、平年度は約百五十万トン程度輸入すればいい状態である、ところが今年は凶作であったから二百万トンを輸入せねばならぬ、こういう御答弁があってそのまま信じておるのでありますが、この二千二百五十万ドルは二百二十四万トンに当るのではないかと思います。もし数字が間違っていたら御指摘願いたいのですが、二百万トンよりもなお多い数字のように思うのであります。去年の作柄は私の聞くところでは別に凶作ではない。平年作であれば百五十万トン輸入を必要とするということで、少し買い過ぎじゃないか、必要以上の輸入じゃないかと思うのでありますが、その点に関する合理的な御説明を農林省の方が適当と思いますから御答弁願います。
○渡部政府委員 昨年MSA協定のときの御説明では、百五十万トンか百六十万トン、普通のときの状態ならばその程度でまかなえるのみじゃないかというお話であったというふうに聞きますが、確かにそういうことはあったと思います。それは過去の輸入の趨勢から見ましてそういうことになって、年々の日本の作柄と、それから御承知のように輸入食糧は買付、輸送に相当の時間のかかるものでありますから、きっちりとアライバルがどうなるかということがわからないわけです。そこでそのときの模様によって多少の出入りが出てくる、こういうことになってくるわけです。そこで百六十万トンでいいものが、凶作の関係で二百万トン以上をその当時は買わなければならぬということになっておったと思います。それが今度の場合には二百二十四万トン、これはこっちへ今会計年度に到着するベースで二百二十四万トン、こういう試算をしておるのであります。到着ベースと買付ベースとの間には一割程度の出入りがあることは御了承を願わなければいかぬと思いますが、そのふえた理由は、前年度からの凶作でありますからもっと入れたいのだけれども、外貨事情等を勘案してぎりぎりのところを入れておった。ところがぎりぎりでは国内の需給がまかなえない。それからもう一つは、御承知のように人口増あるいは粉食奨励によって小麦の消費の増、こういうことを通常必要な手持ちを持つこととあわせて見込みまして、ことしは二百二十四万トンときめたのであります。決してこの数字はこの協定をやるがためによげいにしたのではなくして、農林省としましては国内の食糧需給から必要の最小限度を持てばいいのでありますから、全く事務的に必要な数字をはじいた、こういうことになります。
○細迫委員 どうも苦しいように思うのです。納得はしません。大体この百五十万トンが平年では必要であるということは、全体の輸入量についておっしゃったことだと私は思うのです。小麦全体の必要量ですが、そうすると小麦については全部アメリカから輸入するということが第一に出てきます。そうじゃありませんか。それと同時にまた必要以上に買っているものだという疑いが依然として残らざるを得ないのです。日本における小麦の生産状態、消費状況、これらの差引から初めてあなたの合理的な答弁が出てくると思うのですよ。できれば合理的に納得できる御答弁を願いたい。
○渡部政府委員 数字的に御説明申し上げます。場合によっては今の買付到着を表にして見ていただかないと、御納得がなかなかいきにくいかと思いますが、できる範囲で申し上げます。もしそれで御納得をいただけなければあとで資料で差し上げます。その方の担当課長が来ておりますから……。
○丹羽説明員 ちょっと事務的に御説明申し上げます。これは実績でございますが、二十九年度に小麦を入れました数字は二百十万六千トンでございます。三十会計年度の数字がただいまお話に出ました二百二十四万四千トンでありまして、その間に十四万程度ふえておりますことは事実でございます。かようにふえましたのは、四月一日の政府の麦のストックが四十九万トンであったのでございますが、二九を私どもの理想といたしましては、毎年その時期には三カ月程度を持ちたいということで、六十三万トンのストックに来年の三月には持って参りたい。これは食糧操作上の観点からストックを六十三万トンにいたしました関係上、そこで十数万トンふえておるわけでございまして、昨年に比しまして、ことしの輸入食糧というものが需給操作面以外の要素からいじくられたということはございません。それからなおちょっと御参考に申し上げたいのでございますが、二千二百五十万ドルは小麦の量にいたしまして、先ほど御説明いたしました通り三十四万トンでございまして、二百十万トンのごく一部の数字でございます。
○細迫委員 まだよくわからないのですが、またあとで詳しくお話を聞くことにいたします。
 次に船賃のことですが、アメリカとの間において普通の輸出入物資を運ぶのに、一体日本の船はどれくらいの部分使っておるでしょうか。
○丹羽説明員 今正確な資料をちょっと手元に持っておりませんが、食糧の場合はアメリカの船で二、三割と記憶いたしております。
○細迫委員 その他の質問はあとに回します。
○植原委員長 久保田豊君。
○久保田(豊)委員 いろいろこまかい点はあとでお伺いすることにいたしまして、大筋だけ高碕長官にお伺いしたいと思います。さっきからの御答弁を聞いておりますと、大体この協定は今後において有利だと思えばやる、しかし有利でないと思えば本年度限りで打ち切ると言っておられるが、決してそうでないと思う。アメリカの方では御承知の通り三カ年の計画で、十億ドルの予算ですでに措置をとっておる。最近の新聞では、すでに次年度に対します対日余剰農産物の援助輸出について対策の相談をしておる。この問題が日本側で問題になったときも、当初から大体三カ年計画で四億五千万ドル程度のものを持って来たい、こういうのが吉田内閣時代からの方針であった。しかもそれだけでなくて、すでに農林省の立てておられる、たとえば愛知用水の計画の中には、当初計画ではその資金が二百五十億円も振り込まれておる。最近変更になったが、その中にも大体八十六億円というものがこの農産物援助資金の見返り資金から振り込まれておる。もしこれらがあなたの言うように、来年から不利だったら打ち切るということになりましたら、私は愛知用水の計画のごときはことしだけ始めても、来年から資金の手当が何もできない。八郎潟もそうです。北海道の泥炭地もそうだし、根室、釧路もそうです。こういう状況から見て、あなたが来年もし不利だったらやめてしまう、しかし大体有利だと思うからそういう場合にやるということは全く詭弁だと思う。今の内閣は前内閣当時からの方針をそのまま受け継いで、さらにこれを拡大しなければならないような全体の財政計画の上に立っていろいろこれをやっていかれるよりほかないのだが、この点について明確な御答弁をいただきたい。あなたが思いつきで来年不利になったらやめようなんと言ったって、われわれはとうていそんなことを信用できない。もしそうならば、その場合においては農地計画なり何なり、こういうものをどういうふうにやるかというはっきりした方針がなければ、あなたのような無責任なことは言えないと思うのですが、この点についてはどうか。来年度以降もこの問題が続くものと国民全体が考えるその第一年度として、われわれはこの問題を慎重に討議しなければならぬと思うが、その点についてはどうかということを第一に伺いたい。
○高碕国務大臣 アメリカの方においては、お話のごとく三年間に十億ドルの範囲において大統領に権限をゆだねておる。三億ドルはギフトとし、七億ドルは貸し付ける、こういうことをきめております。これはその通りであります。しかし日本におきましては、三年間と約束したことは断じてありません。私は現状に即して良心的に考えて有利ならばやる、私は現在においては有利と信じておりますからやりたいと存じております。今の愛知用水の問題をどうするとかいうようなお話でありますが、これはかりにできなくても、一部分でありますから、見返り資金がなくてもこれを継続するだけのことはほかの財政投融資をもって充てたい、こう存じておりますが、そういう無理をするよりもやはりこれを借りて使った方がいいということになれば、有利であるかいなかということはいろいろな方面から検討しなければ決しかねますが、各方面から検討してこれが有利だということになれば継続していただきたい、こういう所存でございます。
○久保田(豊)委員 もう一点お伺いしますが、もし次年度以降これが国民全体から見て不利だということになったならば、あなたは来年からやらぬという言明がここでできますか。
○高碕国務大臣 国民全体が考えて、これが不利だということになれば実行いたしません。
○久保田(豊)委員 それではその点は大臣がそう言われるのですから、今大臣に聞いてもしようがない、農林大臣が来たらなお追及いたしますが、おりませんからやめておきます。
 そこでさっきから問題になったのは、この協定の基本精神は、アメリカの五十四年法というもので、通常のアメリカの農産物の対外輸出を擁護するということが明確になっております。従ってこれでもって取り扱われるものは、当然余剰農産物ということになるわけであります。さっきからのお話で、次年度の計画量のうちで小麦が七十五万トン、大麦が二十万トン、米が二十万トン、綿花が二十七万五千俵、葉タバコが二千九百トン、こういったものは一応予定として向うと話し合ったが、約束はしてないというお話だが、これは一般輸入、普通輸入の正確な約束があるなしにかかわらずこれを押しつける、わかり切った話です。そこでこの両方と今度のものを合せると相当大きな量になる。それだけならまだいい。ところがこの協定にもはっきりある通り、六月三十日までに一応の決定をしなければならぬ、さっきの御説明で九月の三十日までに現物取引をしなければならない、これは要するにことしの農産物の全体の国内の需給の中に入ってくるわけです。これは下半期に非常に寄せられまして、下半期は穀物が当然非常にだぶつくことになると思う。さらにその上にわれわれが心配することは、あなたが今来年度はやらないとおっしゃったが、言外に大体やるということを予定しておる。来年度同じようなことをやるとしたら、この十月以降において、つまり六月以降の五五年度のものと同じようなものをやるということになると、日本の来米穀年度にはアメリカの余剰農産物あるいはアメリカの普通農産物というものが日本にうんと入ってくることになる。これをやられないとあなたはおっしゃられるが、われわれはどうもそう理解できない。そこで政府が今立てておりますような来年度の食糧輸入計画では、米が百三十二万トン、小麦が二百二十四万トン、大麦が六十七万トン、大体こういうことになっておる。これらは五五年度のものを全然予想してないのかどうか、本年度のもので来年度に繰り越しがどれくらいになるか、こういう点を検討された上でおきめになったことかどうか。これはもう明白です。もし来年度これだけの同じものが行われるということになれば、少くとも日本の食糧生産者の立場からいえば、来年は麦も米も大だぶつきになる。当然そうなる。この点についてのお見通しはどうか、またその計画が三十年度の食糧輸入計画の中に組み込まれているのかどうか、農林省としては来年度もし同じように継続するとすれば、こういうところに対する処置をどうするかということを具体的に御答弁いただきたいと思います。
○渡部政府委員 ただいま御指摘になりました米、麦、大麦の三十会計年度の輸入量の中には、ただいま問題になっておりますアメリカのこの六月で終る会計年度までに買い付ける農産物の分を織り込んでおるだけであります。アメリカの来会計年度に余剰農産物として処理されるものについては、先ほどから高碕大臣のお話がありましたように、日本側は今のところ全然白紙であります。その来年をどうするかという農林省としての態度につきましては、来年度の需給計画を立てまして、その中で各地から米、小麦、大麦について買い先の状況を判断いたしまして、もしことしと同様またはそれより有利に余剰農産物が買えるということになりますれば、当然取り上げられることになりますが、ただいまのところは、アメリカの来会計年度に属する余剰農産物については全然白紙であります。
○久保田(豊)委員 それはどうもちょっとおかしい。大体ことしのこれから入れるところの小麦三十四万トン、大麦五万トン、米の十万トンというものは、これはもうすでに普通ならば、ドル条項に対する問題がなければ早くきまって、現物が入っていなければならぬ問題です。それがドル条項等にひっかかっておくれたから、やむを得ず先方に対して特別の措置をお願いして、そうして六月三十日に向うの大統領の権限は切れる、それを九月までにやってもらおうということでやっておる。ほとんど大部分というものは次年度に繰り越しになりますよ。来年度のものをもしやるとすれば、ことしのようなばかなことを向うが承知するはずはありません。どうしたってこれは早目にきめることにきまっている。そうすれば来年度の計画の中にもしやるとすれば、これは早目にきまっておらなければならぬ。もしやらないとするならば、今あなた方が出しておる食糧計画を全般的に変更するよりほかしようがない。そうしなければ五五年度のものは三十一年度に繰り越すということよりほかにない。こういうことに対する処置がなくて、国会に対する処置として外麦、外米の輸入計画をただ数字でごまかしたって、そういうようなわけにはいかないと思う。ただ、今のように全然計画はしておりません、考えておりませんということだけでは満足できない。もう一度この点に対する詳しい説明を願いたい。
○渡部政府委員 私どもの方で三十年度、すなわちことしの四月から来年の二月までの会計年度の需給計画としましては、現実にその間に到着する数字をもとにするより以外にないのであります。それがアメリカの会計年度からいえば、ことしの六月で終るアメリカの会計年度に処理すべき数量でありますので、そのものが現実に到着するのは、おそらく最後の船は十二月か一月にずれるものがあると思います。それで本会計年度の計画を組んだのであります。それ以上に、アメリカのことしの七月から始まります新しい会計年度の余剰農産物を処理する問題につきましては、お話のようにアメリカとしてはできるだけ早く処理したいということになると思います。しかし日本の需給計画としましては、ことしの需給計画としては済んでおるのでありますから、それをもらわなくてよろしいのでありますから、今の内訳で、あるいはほかのカナダ、オーストラリアに予定しておったものが、そっちの状況が悪くて買えない、あるいは値段が高くて買えないということになって、そうしてアメリカの来会計年度の余剰農産物を買った方が有利だということになりますれば、あるいは三月までに三十年度の日本の食糧需給計画を変えるということもあるかもしれません。しかし原則的にはもう今までの、今出ておる数字によって来春三月までに終ることしの日本の会計年度の分は済んでおりますから、アメリカの七月から始まります来会計年度に処理すべきものは、当然三十一会計年度の日本の食糧需給計画の中で処理されなければならない、こういうことになるわけであります。
○久保田(豊)委員 どうも今の説明では納得いきませんが、あとでまた詳しくお聞きいたします。
 その次に高碕さんにお伺いをいたしたいのは、さっきのあなたの御答弁では、今度買い付ける価格、これは大体国際マーケット・プライスでやる、こういうお話だったのです。同時に、買い付ける物は、いわゆる市場在貨だ、こういうようなお話だった。もしそうだとすれば、私第一にお伺いしたいのは、そういう点をどうして明確に協定の中に入れておかないのかということが第一、それからアメリカの五十四年法の規定の中ではそうではない。取り扱うものについてはCCCの蔵入れをしておるものか担保設定をしておるものあるいはそれを予定されたものを主として処分することになろうと思う。来る品物はほんとうの市場で自由価格として取引をされている品物が来る。あるいはCCCのいわゆる蔵入れをしておるものが来るのか、あるいは担保設定をしてとったものが来るのか、何が来るのかという点も価格との関係で御説明をいただきたい、こう思います。
○高碕国務大臣 これは協定におきましては、CCCで蔵入れしておるものとか、そういうものでなくて、全体的に見て、これは普通の取引として普通の商社が普通の輸出業者から買うというやり方でやっておりますから、あるいはその中に入っておるかもしれませんが、そういうことは品質なりによって定めるものでありまして、価格等につきましてもほんとうのマーケット・プライスで買うわけでございますから、向うの方が悪いものを売るあるいは古くなったものをこっちに押しつける、こういうことは断じてありません。
○久保田(豊)委員 その通りならいいのですが、今の御説明の中でも、あるいはその中にはCCCの蔵入れ品なり担保品がまざって来るかもしれぬということのようにも聞える。もしCCCの蔵入れ品なり担保品が入って来るということになれば、価格はあなたの言われるようには簡単にならないと思う。この点がまだどうしても一つ疑問です。
 もう一つは、アメリカの一般の新聞等によく出ておりますが、大体CCCに入ったもの、蔵入れをしておるものは古いし、そして物が非常に悪い。特に小麦のごときは一どんなものであっても、CCCでは大体担保価格にそう大して開きがないので、量をふやすために質をどしどし落して、製粉できるのは大体において二割くらいしかないといっている新聞さえある。そういうものが入ってきては非常に困る。そこでそういう点については、そうでないというなら、そうでないというはっきりした取りきめなり約束なりがあるのかどうか。
 さらにもう一つお伺いしたいのは、そういう品が今までも入ってきていないとは限らない。そういう場合に、どこでだれが検査をするのか。同時に検査をして品物が悪い場合にはどういう措置をとるのか、こういうことがこの本協定にはないにしても相当重大なる問題になる。それに対して安い安いといったって、実際には悪いものが無検査で押しつけられて入ってくるということでは何にも安くはならぬ、今までの場合、そういうことばかり日本側としては食っておる。この前のMSAの麦についてもそういううわさがどんどん飛んでおります。これについてはどのような交渉をされ、どのような取りきめを細目協定なり何なりでされておるか、この点を御説明いただきたいと思います。
○西山説明員 価格の点につきましては、もとになります公法第四百八十号の精神もそうでありますし、日本とアメリカとで結びました協定もそうでありますが、でき得る限り普通の商業経路を通じて本件の取引を行うことになっておりまして、アメリカ側とわが方とのはっきりした了解といたしましては、値段の点は先ほど御説明がありましたように、世界的な競争値段で買うということになっておるわけであります。従いまして日本の輸入業者が具体的な取引におきまして、値段及び品質等におきまして競争的でない不利な条件にある、ほかからの買付に比べて不利であるというような判定をいたしました場合には、もちろん契約をいたさなくてもよろしいわけでございまして、そのような競争的な条件が満足をされない限りは、日本側としましては必ずしもこの八千五百万ドルを買い付ける必要はないわけでございます。この点につきましては公文の交換をもちまして、アメリカ側とも了解を取りつけてあるわけでございます。それからクレームその他につきましても、これは通常の取引の措置と同じように解決をするようになっておりまして、本件の取扱いをきめました農務省の規則にもかように書いてありますし、細目の具体的な実施の話し合いにおいても、そういうようになっておる次第でございます。
○久保田(豊)委員 その程度の御答弁ではまだ満足できませんが、時間がないので次に移ります。
 これは特に大臣にお聞きいたしておきたいと思います。日本の国民経済全般にとってももちろんでありますが、特に日本の国民経済との連関における日本の農業という点から考えますと、今度の余剰農産物は、実は日本農業の破壊を一段と深めるものであります。これだけの圧力が加わってくることが、今問題になっております食糧統廃の一つの基礎になります。同時に価格面その他においても、これが大きな圧迫になっておる。さらに今年の予算等に現われた通り、農業増産関係の経費を削る唯一の根拠はこれであります。こういう点で私どもは根本的に不賛成であります。この中でたった一つプラスになると思われるのは、さっきからお話がありました通り、この借り入れ分の一部が、愛知用水その他に使われる、こういうことです。政府の当初の計画では、大体において愛知用水の総額三百七十何億の計画のうち、世界銀行から借りる分が三十六億、農産物の見返り資金が二百五十億、そのうちの約百三十億は贈与の分と予定して農林省は計画を立てておられる、きのうあたり発表されたものによると、その計画はすっかり変更になりまして、世界銀行からの三十六億はそのまま、余剰農産物の見返り資金が八十六億、大体において四分の一に減っている。それからあと国庫補助が百三十二億、借入金が百二十二億、こういうことになっている。どうしてこういうふうに変ったのか、さっきお話がありましたが、来年度以降はやめるというならば、この計画をどういうふうに立て直すか、この事情をもう一応はっきりお伺いをいたしたい。
 もう一つ、これが日本の農業にとって非常なプラスだと言われる。しかしながらこういう資金計画でやられた場合の愛知用水のいわゆる水利計画が、現在政府がいっておるように、三万三千町歩がそのまま実現をするといたしまして、そうして百三十何億の国庫補助があるといたしましても、今の四分なりのあれでもってずっと計算をしてみますと、反当の水利費がこれによりますと償却金が元利合せますと二千円近くなります。おそらく三万三千町歩をそのままあそこで実現をするということは考えられない。農林省で今までやられましたあらゆる水利事業のいわゆる書面上の受益面積と実際上の受益面積は、大体において五割もいけばいいところです。せいぜいいって六割くらいです。しかもあれは非常に複雑多岐になる。その上に持ってきて第一段階の愛知用水の公社によりまする元利償却金が二カ年間で大体二千円近くになる。第二段、第三段の水利費賦課その他が加わりますと、おそらく多いところでは反当りの水利費が五千円以上になろうと思う。五千円以上の水利費を取られて果して今日の低米価のもとでもって百姓は増産ができるとお考えになっているのかどうか。私どもの経験からいうと、こんなことではとうてい増産にならない。結局アメリカの始末に困った麦なり米なりを持ってきて、その一部を申しわけ的に農業開発というようなことに使って、その結果は今農林省のやっておる多くの土地開発事業がそうであるように、農民の負担を増して農民経済を圧迫するだけです。そこでこういう点についてはどのようなお見通しを持って検討をされてやったのか、こういう点について政府としては最も基本的な対策をとって、この金をここに使えるならば、ほんとうに百姓が喜んでやれるような増産計画をする意思があるかどうか。特にさっきの高碕さんのお話のように、来年度工合が悪ければやめてしまう。特に法律まで作って、公社で総裁とかなんとかえらい役まで作って、世界銀行から借金をして、そうしてあなたは簡単にいやなら来年からやめると言いますが、そんなことができるはずはない。あなた自身するはずがないじゃありませんか。しかもその結果は、資金計画その他からいって愛知用水というものは完全に農民のための計画にならぬ。これらに対してどのようにお考えになるか。こまかい点についてはあとでいろいろ伺いますが、あなたの答弁はあまり無責任です。こういう点だけ一つはっきり御答弁願います。
○高碕国務大臣 ただいまの御意見にお答えいたしますが、私は先ほど申しました通りに、本年輸入いたさんとする余剰農産物については日本の農業に大きな差しさわりを来たさない、こういうことであります。
 来年度のことにつきまして、もし来年この余剰農産物を取らなかったときには、愛知用水は八十何億としておるが、そのうち本年は三十億しか見てない。あとの残りはどうするか、こういう御質問であると思いますが、これは愛知用水に着手いたしました以上は、余剰農産物を入れることが国のためによくないという結論に達しますれば、これは来年度はやめて、それは別に政府資金をもってまかなっていきたい、こういうふうに考えておるわけでありますから、その御心配はなくしていいと思います。
 そういうようなわけでありまして、余剰農産物を入れるのがいいか悪いかということは、ある程度農業方面に一時はじゃまになるかもしれませんが、永久の政策からいえば、場合によれば愛知用水の金がほかから得られない、それならここへ入れてみようじゃないか、こういうことも考えられます。政府といたしましては決して農業を等閑視するわけではありません。また食糧自給ということにつきましては、単純に経済問題だけでなくて、これは社会問題として日本の国土開発からしても、いろいろな点から考えまして、食糧増産ということは非常に重要視して考えておるわけなのでありますから、さよう御承知願いたいと思います。
○久保田(豊)委員 いろいろお聞きしたいし、今のような御答弁ではどうもわれわれは納得できないが、しかし時間がありませんからやめますが、この協定の中でもはっきりといっておる。これはどっちにしましても今月の三十日までに国会の承認は得なければならぬことになっておる。これはアメリカの方の関係もそうなっておる。しかしこれはなかなかそう簡単に参りますまいと思う。高碕さんなり政府の御当局はこれが日本のためになるとお考えになっておるかもしれませんが、私どもはそう考えておりません。逆だと考えております。そこでこれがなかなか通らないような場合も考えられる。その場合にはどうする御所存ですか。あるいは七月になってこっちが通っても、参議院の方でなおこれは検討されると思うのです。与党その他の諸君が盛んに急いで、委員長がどしどし言われるのはそこらに意図があるのかと思いますが、通らなかった場合はどうされますか。特に約束をされております今度の約五十万トンの農産物輸入の処理はどうされますか、これをはっきり明らかにしていただきたいと思います。
○高碕国務大臣 五十万トンの問題はこれは普通取引に変えますから問題ないと思いますが、しかしながらこれはどうしても通してもらわなければ困るわけですから、ぜひお願いいたします。
○植原委員長 これにて暫時休憩いたします。午後二時より再開することにいたします。
    午後零時四十六分休憩
     ――――◇―――――
    午後二時二十二分開議
○植原委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。国際情勢等に関する件につきまして、政府当局に質疑を行うことといたします。通告順によりまして質疑を許します。穗積七郎君。
○穗積委員 外務大臣に簡単にお尋ねいたしますが、けさの各新聞紙を拝見いたしますと、日ソ交渉の第二回会談において、ソ連側代表からの提案の発表がございました。これは仄聞するところによりますと、昨日外務大臣がわざわざ各社の編集局長をお招きになって、ああいう発表をなさったということですが、一体どういう意図をもってこういう発表をなさったのか。外務省当局の説明はさっぱり入っていないわけです。従ってもし大臣が御発表になりますならば、当然外務大臣としては、こういう問題があるが、なお努力して妥結に至るように力を注ぎたいという趣旨のことを言われるべきですが、ああいうふうに言いっぱなしにしますと、国民に、何かソ連側の不当な言い分によって、この交渉が決裂するのならやむを得ないという印象を与える材料にとられぬとも限らないとわれわれは憂えるわけですが、外務大臣がああいう形式で発表なさいました政治的な御意図を一つ明らかにしておいていただきたい。
○重光国務大臣 日ソ交渉のその後の発展については、私は今日この委員会でその報告をする機会が与えられるだろうと思っておったわけでございます。それでその報告をするわけでございますが、今のような御質問がありましたから、その御質問に先にお答えします。
 私は外交一般、世界情勢一般の動きについて、新聞社の特に幹部の人たちと定時に会合いたして、われわれの持っておる情報等を供給することを努めておりまして、昨日その定時の会合がございました。そこで一般国際情勢について質問応答をもっていろいろ説明をいたしたのでございます。そのときに、たまたま日ソ交渉の日に当りましたか、ちょうど新聞情報が少し入っておりましたので、それをもとにして質問がありましたから、その質問に答えて、私が得ておりました報告――その報告は、十四日の会議の報告はまだほとんど入っておりませんでした。ごく予報的のものが一、二入っておりましたから、そのことについて説明をいたしたことは事実でございます。しかしながらこれに対して意見を加えるとか、もしくは批評をするとかいうことはことさら避けたのでございます。事実をありのままこういう報道があるということを申したのでございます。むろん私としましては議会に対して報告する機会があることを予期しておったものですから、その前に、たとい情報を持っておっても、新聞に発表することはいたさないつもりであったのでございます。さようなわけで、むろんその会合は記事にするための会合ではない。一般の国際情勢について情報を交換し、意見を交換するという会であります。さようなわけでありますから意見の交換はいろいろやりましたが、その場において政府の意見であるとか意図を持ってやったことは一つもございません。またそうすることはかえってよくないことなのでありますから、そういたしませんでした。そこでそれをもととしてというわけではないと私は思います。御承知の通りにサンフランシスコのラジオでもニューヨークのラジオでも、ロンドンのBBCでもどんどんやってきております。それが主とした材料になっていろいろ新聞記事が出ておることと思います。その記事の取り扱い方は、もし意図がありとするならば私どもの意図に反したことがかなりあります。私はきょうもその不満を述べたくらいでした。さような状態であるのであります。しかし新聞社の主任の人々と国際情勢について、正確な知識をこちらも供給し、また新聞社の方面の状況をも聞くということは、これはわれわれの仕事としてやらなければならぬことだ、こう私は考えておる次第でございます。
 そこで、これで答弁をいたしたわけでありますが、今の御質問に関連して私は日ソ交渉のことをお話しようかと思うのですが、答弁はこれで終ります。
○穗積委員 一流新聞社の、しかも責任者をお招きになってお話になったことですから、話の内容については新聞報道通りだとわれわれは理解いたします。時間がありませんから実際を申しますというと、新聞社発表とわれわれ国会に対する委員会を通じての発表とは性質が違うわけで、別個の問題でございますから、当然ここにおいてもより正確に発表して報告していただき、同時にそれに対する政府の態度も伺うべきだと思うのですが、そういうわけで時間がありませんから、その煩を避けまして、あの発表は一流新聞社の報道として一応信用いたしまして、それに基いて少し質疑をいたしたいのでございます。
 ソ連側の国交回復の形式、すなわち講和条約でいきたいということ、領土の問題、帰還の問題、それから航行の問題等、おもに四つ提案された問題でございますが、大臣はかの方のああいう提案に対して、どういう認識を持っておられるのか。苛酷なものであって、これでは話にならぬという認識をお持ちになるのか、当然な向うの言い分であって、両方とも最初は一応腹一ぱいの言い分を言って、そこでだんだん歩み寄って話をするのであるから、ある意味では当然であって、このことが何ら交渉に暗い影をさすものでないという認識をお持ちになっておられるのか。大臣のそれに対する認識を伺っておきたいと思います。
○重光国務大臣 私は委員長にちょっと伺います。この問題が今討論をされようというのですが、私は経過説明をしようと思うが、それを先にさしてもらうわけにはいきませんか。
○松本(七)委員 議事進行について。この問題は、時間の制限もありますから、経過報告だけは別ワクとして、大臣に今経過報告をしていただいて、そして穗積さんの質問を継続するのが一番いいと思います。
○植原委員長 委員長に対して議事進行の発言がありました。これをいかに取り扱うかということは、どうか委員長におまかせを願いたい。経過報告を外務大臣がなさりたいということだから、その経過報告を伺って、質問応答することが、両者に対して便宜だと思います。それでこの場合に、外務大臣から経過報告を願って、質問応答に対しては先刻定めた通りの時間でいくことを御承知願いたい。
○重光国務大臣 日ソ交渉の七日の交渉の状況は、御報告申した通りでございます。それに引き続いて、その後の経過を御報告いたします。
 七日の交渉においてお話申しておいた通りに、まずわが松本全権から日本側の立場及び主張について、全面的に陳述を行なったということを申し上げました。しからばその内容いかんということになるわけでありますが、その内容は遺憾ながら申し上げるわけにはいかない、こう報告をしておいた。何となれば、交渉において発表するときめたこと以外は発表しないというので、向うも、また松本全権側もそれをかたく守っているわけで、その約束を無視するわけには私としても参りません。しかしながらこのこと自身は、日本の国民にとっては非常に重大な問題である。大よそのところは少くともこれを感ずるようにしておかなければいかぬ、こういう見地をもって、松本全権の主張した内容は、私がすでにもう議会に対してはっきりと申し上げている政府の方針、また所見、それを主張したのであるということを申し上げたのでありますが、それによって実際は尽きてもいるし、またそれによってすべて御了解を得ることだとそのときに思っておった。また御了解を得たことと思っておりました。さてそれに対して七日の交渉においては、ソ連側のマリク全権が、これは広範にわたることであるから、次回においてゆっくり検討してソ連側の意向、ソ連側の主張を述べよう、こういうことで会議が終ったのである。こういうことを御報告を申し上げた。
 そこでその会議が十四日に開かれたわけであります。ソ連大使館でしたか、の順で開かれた。この会議におきまして、ソ連側は約束の通りにソ連側の主張、立場を全面的に述べたのでございます。それは前回に日本側の立場の陳述を聞いて、それに対する回答の意味でもあったわけであります。全面的にソ連の立場及び主張を述べた。しからばその内容いかんということになります。この内容いかんということは、先ほど前回の場合について申した通りの理由をもって、私はこれを申し述べることはできない立場におります。しかしそれが大体どういうものであるかということは、日本国民として知るべき権利があると私は思います。従いまして私がどういうものであるかということを大体間接な方法で申し上げることも、許されることだと思います。それはソ連の主張及び立場は、大体においてサンフランシスコ平和条約が三年有余前に調印されたときに、ソ連のグロムイコ全権がソ連の提案として出した内容と大同小異のものである、こういうことを申して差しつかえないと思うのであります。これはソ連の立場は、そのとき以来変っておらぬということを示すので、ソ連としても私がそれだけのことを言っても、何も根底的に秘密の問題ではないと思います。さようなことであるのであります。
 そこで日本側の何がすべて出た、向う側の主張も出たわけであります。そうなりますと、松本全権はこれから取り組んでやっさもっさやらなければならぬことになる。しかし松本全権は、その内容に入る前に、ソ連側に対して一つ日本側の要望があるという前置きをもって持ち出したのが、抑留者の帰還の問題であります。抑留者の帰還の問題に対する日本側の主張は、松本全権の主張したことそれ自身を繰り返さなくても、もう御承知の通りであります。松本全権はこれを大所からもまた数字をあげても、詳細にかつまた非常に強く要求をして、この問題は交渉自身の問題でない問題であって、交渉を離れてもこれは解決しなければならぬ、さような問題であるわけであるから、今、日ソの間に正常国交を回復して友好関係に進んでみたいという場合には、特にこの問題が必要であるか、かような問題を解決することによってさらに交渉は円満にいくのであるから、むしろこれを先決問題としてすみやかに解決してもらいたいということを強く要請をいたしたのであります。これに対してソ連マリク全権は、この問題はもうすでに解決をしておった問題である。そうして解決していない戦犯その他のまだ残っておる抑留者は、平和条約でもできればすぐ解決する問題じゃないか、こういうふうに軽く応待をいたしたのでありますが、松本全権は、そういう問題じゃない、これは非常な重大な問題で、ぜひともこの問題を解決して空気をよくして、交渉の前途を明るくするようにすることが最も必要なことである、これは人道上の見地からいっても最も重要なことであるというようなことで、非常に強くこれを要請をして、そうしてマリク全権はこのことについてまた十分に考慮してみようというような意味を述べて、そしてもう時間は二時間半もたったので、他の問題――これは先決問題ということになってきておるわけであります。それからまたマリク大使も、これは交渉の問題と離れても考えなければならぬ問題だということには首肯しておるのでありますから、考えてみようということで、そこで時間切れになったということで、あとの問題は次に一つやろうということで別れておるのでございます。これが十四日の交渉の状況でございます。
 これをもって見ますと、これから先は私のこれに対する感想でございますが、日本側が自分の立場及び主張の全部を出し、ソ連側もそのときに出しておる、こういうことであるのであります。ソ連側も国交の正常化をするためには平和条約を作ろうというはっきりした考えでもって、平和条約を作るという下ごしらえで案を出しておるわけであります。そうでありますから平和条約を作ろうというのは、両方とも考えがそこに一致するわけであります。その平和条約の内容をどういう工合に作るかということについては非常な差があるということは、今の私の説明によっても大体御感得のことだろうと思う。そこでその差のある主張をこれからもみ合って、主張の差のないようにして結論を得るようにしなければならぬ、これが交渉であります。それで初め立ち会ったときには主張が差があるということは、これは当然のことである。それがために今すぐ交渉が見込みがあるとかないとかいうことを考えることは、これは一体早計であるのみならず、むしろ交渉の常識に反しておることだと私は思っております。これはすべてすらすらいくとは私も考えない。順調という言葉を用いるのはどうかと思うけれども、交渉としては、何と申しますか常軌の通りにいっておるのだ、こう申し上げて差しつかえないと思う。しかし今後どうなるか、これは何人も予想することはできません。主張の異なっておることの多いことは、これは言わなくてもわかっておることでありますが、しかし妥結をすることが不可能とはだれも言うことはできません。交渉はこれから進めるべきである。そこで、それじゃ政府の立場はどういうことでいくか、こういうことになります。政府の立場は少しも変りません。政府の立場については、この問題についてはずいぶん多くの機会において国会の討論を経ておりますし、大体国会の意のあるところも了承しておるわけでありますから、その上に立った政府の交渉方針は少しも変りません。主張すべきはあくまで主張し、そうしてできるだけ主張を貫徹をして、国交正常化の目的を達しようという方針には少しも変りはございません。さような工合にして進むわけでございます。次回は二十一日にやるという情報が来ておりますから、その後にいずれ機会を見て御報告をいたすことにいたします。
 ついでながら申し上げますが、この日ソ交渉については、各方面とも非常に注目をしておるので、世界の各方面からいろいろな電信が入ります。内容も推察したりいろいろしております。しかし大部分は推測記事だ、また観測記事だと思っております。それには非常に参考になるものもありますけれども、要するに観測を中心にしたものだと私は思っております。大体以上であります。
○穗積委員 ただいま日本の国内におきましては、一部において、特にアメリカの意を迎えるにきゅうきゅうとしておる諸君の間には、ソ連側の提案は非常に無理解なものであるというような、ソ連側の責任に帰してこの交渉が挫折することを希望する向きの動きも相当あるのであります。従って私はきょうは、発表の方式等についてはまだ問題がありますが、時間がありませんから、今後こういう問題についての発表に対しましては、そういう動きに利用されて、この交渉が挫折するような世論を形成していくことを重々警戒していただきたいということを第一に希望いたしておきます。同時に今のソ連側の申し入れに対します大臣のお考えに対しましては、これは大体われわれも了とすることができるのであって、このことによって何ら交渉の将来に暗い影がさすものではないという認識に対しましては、私どもも全く同感でございますから、どうぞ今後ともこういう問題が出ましても、あくまで粘り強く誠意を持ってその妥結に努力していただきたいと思うのです。
 そこで、そういう希望を申し述べまして、今の問題についてちょっとお尋ねいたしますが、他の三つの問題については、新聞発表の通りに理解してよろしゅうございますか。
○重光国務大臣 ちょっと私も一言させていただきたいと思います。日本の国内においてこの交渉を非常にきらっておる向きもあるだろうと思います。お話の通りだろうと思います。しかしまた同時に何でもかんでもこれを成立させていったがいいという意見もまたあるのであります。これも事実でございます。私どもといたしましては、交渉に乗り出した以上は、最後の日本の最も利益とする方向に向けて、そうして妥結をさせたい、正常化の目的を達したいという方針でもって進んでおることは御承知の通りでございます。その場合において国内の世論をどうしようとか、こうしようとかいうことは――われわれのところはむしろ受け身でございますので、そういうことはわれわれの力でできるものではございません。しかしながら正確なことを考える材料を国民に与えるということはわれわれの義務だ、こう思っております。そこで国民に正確に報告もし、正確に伝えて一般に通じようと努力するということでございまして、お話の、ぜひこれをいい結果をもたらすように十分やれというその御激励は非常に私は感謝いたします。そのつもりでやります。
 今お尋ねの点は、ちょっと私にはわからなかったのですが、交渉の中の項目のことじゃございませんか。
○穗積委員 向うの申し入れの領土返還問題並びに航行の自由の問題……。
○重光国務大臣 そのことについて私の意見なりをここで討論することは避けさせていただきたいと思います。そうなれば私はロンドンではっきりきめた共同コミュニケ以外はすべて発表しないという趣旨にももとりますし、これは不信を来たすおそれがありますから、どうか一つこれだけは――陰で議論をすることは私もしてよろしゅございますが、どうかお許しを願います。
○穗積委員 それでは双方における申し合せを尊重するということはわれわれも了とできることでございますから、これから発表し得るものにつきましては、当委員会を通じまして、国民に進んで発表されて、さらに相手方との間で信義に反しない程度でその所信を明らかにしていただきたい。それだけ申して、これは交渉の最中でございますからあまり追及いたしません。
 そこで私はもう一点伺います。アメリカとの濃縮ウランの受け入れに対しまして、昨日、二十日を目標にして調印をすることを指示する電報をお打ちになったような報道がございます。そこでこのことについてお尋ねいたします。問題になりました第九条を全部われわれははずすべきだと思うのに、交換公文の中にこれを記載しておきたい、こういう御趣旨のようでございますが、もしそれが真であるとすれば、どういうわけで、この際これを全部おはずしになってしまわないで、何か未練がましく交換公文の中に残すという手続をおとりになったか、交換公文のその意図について大臣にお尋ねする。
 第二には、条約局長から交換公文の国際法上の効力の問題について、局長はどういうようにお考えになっておられるか、外務省当局の立場を代表して御答弁をいただいておきたいと思います。
○重光国務大臣 濃縮ウランの問題は、今までの問題と全然違った問題でございますが、この濃縮ウランの交渉の経過及び政府としての意向は、もうはっきり申し上げた通りでございます。その通りに進んでおります。第九条の問題というのは、トルコとアメリカとの問題に関する協定の第九条であります。これはわれわれの情報によると、トルコの希望によって第九条を入れたということでございます。第九条は、将来の電力発電の問題であります。そこでこれは濃縮ウランの協定の議題に直接関係のない問題である。直接関係のない問題をこの協定に入れる必要がないという理由で、これをはずすことをこっちから要求をいたしたのでございます。そこで向うもそれに応じて協定の中にはこれを入れることのないことになったのであります。ただその内容を議事録に入れるとか、また他の方法によって記録にとどめておくということの善悪、利害得失を考えなければなりません。そこでこの問題に直接関連がないといっても、かような問題について、トルコなどは条文にしておいた方が利益があるというふうに考えたことであります。将来日本が希望するにおいては、日本側の希望に対し、アメリカ側は、そういう問題について日本を援助することの言質だけは取っておいた方が、日本の国の利益であるというふうに実は考えておるのでございます。なぜかと申しますと、これはずいぶん御議論のあったいわゆるひもつきとかなんとかいう問題には全然関係なくして、日本側が援助を希望するときに日本側を援助する、こういうことはむしろ実際は一方的でありますが、そういうような言質を取りつけておくことは利益ではないかと考える。もしそのくらいな程度の、協定の本文にも何にも入らぬ程度で、そのくらいの言質を得ることができるならば、私は日本のために、日本の科学進歩のためにいいことだと考える。しかし繰り返して申しますが、それがために、アメリカが日本に対して何か管理するとか、コントロールするとか、いわゆるひもつきだったら全然お話にならぬ。ひもつきでない限りは、それが明らかになれば、私はそのくらいなことはいいと考えている次第であります。これが今日の態度でございます。
○下田政府委員 御指摘の交換公文の問題でございますが、御承知のように、交換公文には二種類ございます。一つは条約そのものと同様に、当事国間の法律的権利義務を定める。これは交換公文と称しても、実質は条約と変りございません。一番大きな例は、御審議を願いました日華平和条約の交換公文におきまして、本条約は現に国民政府の支配している地域であると条約の適用範囲自体を交換公文で実はきめておるわけであります。これなどは、最も重い内容を持つ交換公文であります。従いまして、こういうものは国会に提出いたしまして御審議を得なければならないものであります。第二種のものは、協定と同じように法律的に当事国を縛るということでなくて、協定に掲げた事項に関連するような事柄についての了解なり、あるいは解釈なりにつきまして、当事国の考え方を明らかにするという趣旨のものでございます。今回の交換公文は、その後者に属するわけでございます。
○穗積委員 議事進行で委員長にお尋ねしたいのですが、私の方の党の委員で、質問を通告しておる委員の時間を少しさいて、私の持ち時間にいただきたいのですが、お許しをいただけますか。
○植原委員長 それは今北澤君が申し出て、合同することはならぬ、一人ずつする、こういうことでここできまったのですから、そうお含みを願いたい。
○穗積委員 きまっておりますか。
○植原委員長 北澤君が合同提案をしたけれども、それはいけないということで……。
○穗積委員 それは欠席しておるからいけないのであって……。
○植原委員長 欠席出席にかかわらず、党に二人あって、それを一本の時間にすることはならぬ、一人ずつ十五分ずっということですから、そのお含みで願います。
○穗積委員 それではちょっと待って下さい。全部の委員の質問が終りましたあとで、持ち時間を十五分のところを十分に削って、あと残していただいて、その時間をあとでいただくことはできますか。
○植原委員長 それもまたそのときにならなければ、今は委員長としては何も言えないのです。
○穗積委員 お尋ねいたしますが、今の、希望するならばということなのです。発電計画を希望する場合においては、アメリカ側がこれに協力をするということなのですが、もし日本がそういうものを入れておけば、その計画を持った場合には、他の国に先んじてまずアメリカから受けなければならないと理解するのが政治的な常識になってくるだろう、向うの言い分になってくるだろうと思うのです。その発電の計画を持って、その場合にアメリカからは全然受けないで、イギリスまたはソ連からのみ受けるというようなことは何ら差しつかえないと解釈しておられるかどうか。後々のために明らかにしておいていただきたい。
 それからもう一点は、この前高碕長官は、アメリカのみならずソ連またはイギリスが日本に貸与または売却の意思がある場合には、これを受ける用意があるという御答弁をこの委員会においてなさいました。そこで、特に今度ソ連側からは、原子炉平和利用に関する原子力会議に藤岡委員長をお呼びになって、藤岡さんは行かれるようですが、そういうやさきでもありますし、幸いにしてたまたまロンドン会議を開いておられるわけですから、その会議の機会を通じて、こちらからイギリスまたはソ連に対して、他の国の事情を調査した上で、その受け入れを申し入れるおつもりはお持ちになって差しつかえないと思うが、大臣の御所見はどうであるか、その点をお伺いしておきます。
○重光国務大臣 ソ連問題に何か非常にからまった御質問のように伺いますが、私は、実際こちらがそういう希望をするならばアメリカ側も応分の援助をしよう、日本の持っていないような技術についてそういうような言質を今取っておく、そういう場合に、そういう言質を取れるのに取っておかなかったら、お前実に間の抜けた話じゃなかったかといって、あとから非常に締められるようなことになりはしないかと実はおそれるのであります。こういう無害のものは私は差しつかえないように思うが、あまりからまれると何だかわけがわからなくなる。それで、今お話の点ですが、これはお話すればわかると思います。それは何もないのです。だから、理屈からいえば、ソ連からでも、どこからでも取り得るわけです。ただし私は言います。(穗積委員「ソ連またはイギリスからだけ取ることができるかというのです」と呼ぶ)できます。何もそれは拘束を受ける必要はない。しかし将来どうなるか知りませんけれども、ソ連からそういう交渉をするような事態になるということを今すぐ予想して、取りたいとか取りたくないとかという方針を申し上げるわけにはいかないということは御了解を得たいと思うのです。だから、これはこの程度でどうでしょうか。
○穗積委員 第二点の点についてはどうですか。ソ連またはイギリスに対しての問題。
○重光国務大臣 それはもういいです。今申す通り、できるです。
○穗積委員 やる御意思はないかということです。
○重光国務大臣 それは今申し上げました通り、今申し上げるわけにはいきませんね。それは、すべてそのときに政治問題にからまるのです。そのときにこそからまってくるのだろうと私は思います。
○植原委員長 松岡駒吉君。
○松岡(駒)委員 ただいまの問題に関連する問題ですが、ちょっとお聞きしたいのですけれども、今の外務大臣の御答弁、さらに先般の条約局長の答弁によれば、日本の方が逆にひもをアメリカにつけるのだということにわれわれには理解し得るのです。必要ならば日本に相談をしなければならないということを意味する、そのことを条約の中に入れるということは、アメリカの体面上アメリカがそれを好まなかったので交換文書によるということになさったのであるか。むしろトルコの九条のごときあいまいなものでなくて、交換文書の中に明らかになるような趣旨を第九条として挿入することを避けられた理由はどこにあるのでしょうか。
○重光国務大臣 それは、何もアメリカ側の方でむずかしくこの問題を取り上げているわけではないのでございます。そこで、九条をはずすということもアメリカ側では異存は少しもなかったのです。それで、それならば日本が希望するときに援助するということに対しても、アメリカ側としては、その言質を与えることはそれはそれでよかろうと、ごくあっさりとそういうことに了承しているわけでございます。そこで九条をはずしたというその趣旨は、先ほど申し上げた通りに、これは議題でないからはずした、こういうことなのでございます。そこでトルコの条約があるからこんがらかってきますが、トルコの条約の九条というものはアメリカ側からひもをつけたのではない。それこそ今お話の通り、トルコ側から言えば、トルコ側の方からひもをつけたというふうになると思ったかもしれません。しかし日本の場合は、言質を記録にとどめておくという程度のものであって、これがひもつきであるとかなんとかいうのは少し行き過ぎたように思うのです。われわれは少しもそういうような大きな意味にとっておりませんから、そのことを申し上げます。
○松岡(駒)委員 お言いになることをただ表面的にすらっと聞くことでは、問題は解決しないので、大体この問題で日米の間に交渉が試みられるということになりましたとき以来、第九条はアメリカが日本に付するところのひもであるという見解がむしろ圧倒的といっていいようで、ことに学術会議なんかにおけるものの考え方に、そういう傾向をわれわれは見ておるのであります。その種の議論というものは、単なるウラニウムの問題ばかりではなくて、日米外交の上にとかく日本がアメリカからひもをつけられる、アメリカの方に追従し、迎合に終始しているという印象を与えておることは日本の外交のためにも決して喜ぶべきことではないし、このことがまた国内の治安の上にも影響のあることは私が指摘するまでもなく、外務大臣は十分御存じのはずである。従ってさかのぼって論ずるならば、ひもつき、ひもつきといわれた場合において、トルコが逆にひもをつけている、科学的な技術的な意味におけるトルコの実力にかんがみれば、むしろトルコがアメリカに対してひもをつけて、アメリカは相談に応じなければならないということを義務づけていることが初めからおわかりになっておるならば、日本としては一部で行われるようなひもつきというものではなくて、逆にひもをつけることを、トルコとの間の条文以上に明確になし得るという可能性についての明確なる見解を、外務当局は委員会において表明せられるのが当然でなかったかと思うのであります。そのことが今日まで一回もなくして交換公文というような方法のとられることは、やはり何か秘密的な外交というものがそこに伏在する、この種の猜疑心を一段とかき立てまして、そうして事実それがひもでないならば、日本にとっても迷惑なことであるが、相手方のアメリカに対してもこれは迷惑を与えることになっているわけであります。その種のことは日本が逆にひもをつけ得るという確信があるならば、なぜ今までにそういうことを明確になされなかったか。それから九条は、無理に入れなければならぬことでないからはずしてもらいたいといったら、向うもすらっとはずしてくれたというけれども、私がただいま申し上げたような意味において、逆に日本がひもをつけ得るという九条であるとするならば、トルコとの間の条約の趣旨よりももう少し明確にこれをなし得るということであるならば、むしろ入れることの方が正しかったのではないか。これについては大臣は一体どうお考えになりますか。
○重光国務大臣 そのいきさつを言えば私にも言い分があります。学術会議で、そういう材料はすべてあったにもかかわらず、ひもつきとかなんとかいう問題は議論も何もなかったのです。そうして濃縮ウランの交渉は早く進めてなるべく早く妥結をするようにというのが学術会議の決議です。その決議を政府としては閣議で了承して、それじゃそうやろうじゃないかといって始めたのです。始めたところが主としてこの議会において、これを政治的に観察されたかどうか知らぬけれども、これがひもつきであるという議論があっちにもこっちにも出てきて、いかに本ひもつきであるかのごとき印象が出てきておる。それでまた今度はいろいろなことが起ってきたのであります。これは事実であります。しかし私はそれを何も言うのではない。さようなことまで考えなければならぬと私は思うのであります。そこで学術会議の決議のあった日でありましたか、その翌日でありましたか、こういうことはすべて自主的に考えなければならぬ、いわゆるひもつきなどは絶対にいかぬのだという御意見のあるところはよく頭に置いて進んでいって――このトルコの第九条は私はひもつきじゃないと思う。すらっと読んでも、どう見てもそうじゃないと思うけれども、さような議論が非常に心配が多い。その御心配はごもっともだと私も思いましたから、これは一つはずしてもらった方がいい。のみならずそれは何もそういうことではずしてもらわなくても、この主題目ではないから、主題目でないものを入れる必要はないじゃないか、これは私は正当な議論だと思うのです。それではずしたのです。それも全部はずしたままにして、その後に問題になりました記録に残すというようなことについてまでも必要がない。その方があっさりしていていいと私は思った。ところがまたいろいろ議論がありまして国会外の議論で、それは惜しいとかいろいろありました。そこでそれならば、何もこちらに義務のつかない、それだけの言質をとるくらいはけっこうである、将来それを取りはずしたといって責められる責任も相当感じなければならぬのだから、そのくらいのことならば議会の御承認を得ることはでき得る、こう思ったのであります。そこで国家としての利益から見てもその方がいい、こういうふうに思ったわけでございます。さようなわけでありますから、私といたしましてはさような事態を一つ御了解をいただきたい、こう切に思うわけでございます。
○松岡(駒)委員 これを発電に用いることが可能であるという段階になったときに、今は学術研究のためであろうとも相当な費用を投じてやることですから、問題は別だ、そういうものの考え方はむしろ国に対しても忠実な考え方ではないと思う。これに対してはやはり費用のかかる問題であります。費用をかけた結果が、それを利用し得るということになる。そのときに利用しようと思っても、日本の自主的な判断において相談をかけようと思っても、相談に応じなくてもよろしいというような無責任な態度であってもらっては、せっかく研究のために投資したものがそれだけ損失をかもしますから、そういうことのないようにということを考えなければならぬ。別な問題だと大臣がお考えになることは、私はちょっと簡単に賛成できぬものがあります。しかし大体事情はわかりました。そのことはそれでよろしいといたします。
 多分本会議が済むころと思いまして、私はゆっくり参りましたので、さきに同僚議員にお答えになったことでありますし、あるいは進んで何か御報告もあったことと思いますので、私のために時間をつぶすことはよくないと思いますが、日ソの交渉について幅がある、柔軟性がある態度であることは大へんけっこうだと思います。今朝の新聞を見て心配していたのでありますが、私は何を先にとか、向うの希望に簡単に乗ることによって交渉を成立せしめよとか、そういう簡単なことを言うのではありません。相手が相手ですから、根気よく時間をかけてもおやりいただくことをこの際希望として申し上げておきます。
 それにつけてもちょっとお尋ねしたいことは日ソ、中日等の貿易あるいは国交の問題はきわめて重要であるのでありますが、文字通り一衣帯水の韓国との間における外交関係というものは一体どうなっておるか。この際最近の事情を一応お聞かせ願いたいと思います。
○重光国務大臣 韓国との関係、これも私本委員会ではなかったかと思いますが他で御説明をいたしましたが、これは実は今非常に心外な状況であることを申し上げなければならぬのを遺憾といたします。心外と申しましても、特にこれがどうというわけではございませんけれども、韓国との関係は私どもが政府に入りまして後に最も早く手をつけ、最も重要視した問題なのであります。そこで一時は非常によくいく形勢でありました。そしてあるいは具体的に本委員会でも報告をし得るような時期に達するのじゃないかと思って非常に喜んだ時代があったのであります。全体の交渉は内交渉でありました。内交渉と申しましても、向うの責任者とこちらの責任者が交渉して大っぴらにやったのじゃない、内交渉ですから。ところが中途にして、それも数カ月前あたりから、急にどうもよくなくなりました。それはわれわれに言わせれば韓国側の誤解と言いたいのでございます。それはどういうことかというと、日本は韓国の不倶戴天の敵である北鮮といろいろ協定をしたり、また正常関係を結ぼうとしておるということがちらほら見える。議会における質問応答毛そういうことがある。これはけしからぬことであるというので、韓国の政府当局が非常にそれを怒りまして、それがだんだん激しくなって、京城では排日のデモンストレーションまで起るというような状態にまでなりました。そこでこの内交渉は、せっかく大局の点については非常に進んだのでありますが、それがすっかりとぎれてしまいました。これをまた元に戻したいと思ってしきりに努力はいたしておりますが、まだそこまでに至りませんことを非常に残念に思います。しかしこれも日本側の善意が十分に了解され、また無理なことが向うにあっても、隣国のことでもありますし、こちらもあらゆる忍耐をして善意を持って終始一貫接触していけば、また時期が来はしないかと思っておりますが、こういうふうな非常に困難な事態に立っておるのでございます。しかしさようなつもりで、またさような心組みで、この問題を処理していって他日を期したい、こう思っておる次第でございます。
○松岡(駒)委員 大臣は大体私の希望しておるような考えでいらしゃるように了解しました。なお何といいましても、韓国の場合におきましては、日本以上に小国でありますし、かつての韓国に対する日本人の責任も一段と強く感じなければならない節もあると思うのであります。李承晩大統領があまりに感情的であるように伝えられておるけれども、それも彼が亡命するまでのいろいろな事情等をある程度知っておる私どもとしては、一応は無理からぬ感情だとも考えられますので、これは向うがどうかしてくればというようなことでなく、こちらで積極的に全面的に日本の外交を回復していただくというように特に努力を願いたいと思います。
○植原委員長 菊池義郎君。
○菊池委員 外務大臣にお伺いしたいと思いますが、ただいま日本政府がソ連との交渉において解決に向って努力しておりますところのいわゆる五つの懸案のうちで、国連加盟の問題をソ連に交渉するということは、どうもちょっと筋違いのような感じがいたしますが、これについて大臣はどうお考えでありますか。正面切って懸案として掲げるということも、他の加盟国に対してどういう影響を与えるかということも考えなければならぬと思うのでありますが、今まで日本の政府といたしまして、独立後に国連加盟を他の国連加盟国に要請しておられるかどうか。もし要請しないといたしますならば、まつ先にソ連に対してそういうことを持ち出すということは、外交上ちょっと穏やかでもないように考えますが、これについてどうお考えになりますか。
○重光国務大臣 日ソ国交が回復すればソ連もじゃますまいと思います。だから国際連合加盟の問題を一番先に交渉の条件みたいにして取り上げる必要もないと私は思います。しかしソ連が日本の国際連合加盟に反対してきたことも事実でありますから、この機会にそういう反対を撤回してもらうということを話すのは時宜に適したことだ、こう考えております。
○菊池委員 他の加盟国に対しまして日本の国連加盟を要請せられたのですか。
○重光国務大臣 それはしょっちゅうやっております。
○菊池委員 われわれはソ連と日本と国際法上の戦争があったかどうかということも、はなはだ疑問であると考えているのでありますが、中立条約をじゅうりんして日本に打ちかかってきて、そうして侵略を企てた。しかも一方的に宣戦の布告をし、一方的に略奪、侵略をやっておる。しかも日本がこれに対して宣戦の布告もしなかった、こういう場合に何によって国際法上の戦争というものの効果が発生するのか、これがさつぱりわからぬ。ただミズーリ号の上でソ連の名前を連ねておった降伏文書に署名したというだけで、戦争があったということを認められることになりますかどうか、その点ちょっと伺いたい。
○下田政府委員 御承知のように戦争は、いかに条約に違反しようと、またいかに不正な目的であろうと、現実に敵対行為が一日でも一時間でもあったならば、それによって戦争状態は発生するというように国際法上相なっております。
○菊池委員 それは古い考えであって、今日はおそらく国際法学者としてもそういう説はとらぬと私は思うのであります。しかしもう戦争があったものとして認めているわけでありますから、それをどうこう言うわけではありません。それで大へんな権益をさらってしまったわけでありますが、これに対しては日本としては損害賠償を一切要求せぬつもりでありますか。
○重光国務大臣 それもやはり交渉の内容に触れることとして私は議論をいたしたくないのでございますが、ソ連が中立条約を犯して一方的に宣戦を布告したということは、これは私も事実のように思います。しかしソ連はまた違った言い分を持っております。さようなわけでありますから、今日国交の正常化をはかろうというこの交渉において、そこから言い立てをすればこれはもう交渉をしない方がいいのです。まあそういうようなところは、世界の批判にも、全部といかなくてもある程度までまかせて、また機会があったら、向うの出方次第によっては、そういうことも言わなければならぬでしょう。そこは一つそういうくらいの程度でどうかと思うのであります。
○菊池委員 それからきのうも問題になりましたが、フィリピンの賠償でございます。これは今日の新聞を見ると、こちらの方と向うの方とはっきり八億ドルに了解がついておるように新聞の記事が出ておりますが、これはどうでございますか。
○重光国務大臣 フィリピンの賠償問題は、もうこの前ここで御説明をした通りでございます。八億というのはフィリピン側の数字でございます。四億というのは日本側の数字であります。その中を打ち割ってと申し上げたわけでございますが、さような考え方でもって、われわれが四億でなければ一切いかぬのだという態度を示せばこれは破裂でございますから、そこに向うの言い分も加えていろいろ検討をしたのです。そのうちは実際の賠償は御承知の通りに現物賠償で、現物賠償四億というものをこれは少し増さなければいかぬじゃないか。問題にならぬといっては、もう初めからけんかはわかっている。そこでこれを増す、しかしこれを八億にするということは日本としては耐え得るところではないから、これはまた別のものをなにしよう。フィリピンの情報によると、別に民間借款で金を出して、そうして額は増したというふうに向うではこれを了解し得るように、しかし実際賠償額としては日本自身の腹はそう全部痛むのじゃないというようないろいろなことも、これは交渉でございますから、まとめるためには考えなければなりません。それから八億々々といって、お前出すようにしたのは言語道断じゃないか、あれは三億でいいんだといわれる、三億も出しちゃいかぬといわれる。しかしそれじゃいかぬので、向うは八億という数字は何とかして出るように計算してみたい、こういうことです。こっちは八億は出せぬから、しかしあるいは借款といい、あるいは何という名義でいくと、必ずしも四億だけじゃなくて済むというふうな工合にして、一つ半分くらいなところで実質上打ち割っていこうという大まかな考え方を私は持っておるのですが、それじゃいかぬでしょうか。このフィリピンの問題はどうしても片づけていただく、片づけるのは、政府もそうでありますが、やはり国会も片づけてもらわなければならぬ。そうして日本が将来東南アジア方面に行く道を開くということが大きな道だろうと思います。政治的に開く、また経済的に開く。そこでこの際、一億、二億のことはあまりとらわれぬでいいと私はみえを張りたいのです。(「とんでもないことだ」と呼ぶ者あり)それだから、それは御議論はありましょう。ありましょうけれども、それにあまりとらわれておると、将来の大きな損失を招くということだけをここで申し上げておきます。
○菊池委員 急ぐ必要は毛頭ないと考えております。どうか八億と四億の……。
    〔「倍になったじゃないか」と呼ぶ者あり〕
○重光国務大臣 数字は言わないで下さい。
○菊池委員 それからこの賠償の交渉をするときに、永野護氏であるとか、岸信介あるいは池田勇人あるいは藤山愛一郎というような人を入れるということが伝えられておりますが、それは事実でございますか。
○重光国務大臣 どうかさっきの数字は、私見でもこの席じゃやめて下さい。なかなかそうはいきません。そこで、そういうことはございません。まだ人選とかなんとかいうことは全然やっておりません。要するに、これはどこまでで固まり得るかということを今押し詰めておる時期でございます。
○菊池委員 どうかこういう賠償の交渉なんかには今あげたようなしろうとを選ばれないで、フィリピンの当時の事情をよく知っておる人を民間から拾い上げて交渉に当らせた方が一番いいと私は考えております。希望として申し上げておきます。
 それからこの前お伺いしたことでありますが、米国の上院外交委員長のジョージ議員の意見に同調いたしまして、日本の対支貿易のワクを緩和したがいいということを米国の下院の外交委員長も言っておりますが、日本といたしましては、このワクの緩和についてこれまで米国に交渉いたしましたか。もちろんそうなければならぬと思いますが、具体的に教えていただきたいと思うのでございます。
○重光国務大臣 そのワクの緩和の問題は非常に複雑な手続を経なければならぬ、交渉の段階を経なければならぬようです。これはゼネヴァ及びパリにおけるココムの関係とか関税関係その他の詳しいことは、もしお入り用ならば関係の者をして説明させましょう。私よりもその法が正確でございますから。
○菊池委員 それから政府は近く国会に海外移住振興会社法案を提出する考えであるということが伝えられておりますが、これは事実でございましょうか。
○重光国務大臣 事実です。
○菊池委員 それには農業移民のほかに、漁業移民とか、あるいは鉱山に関する技術者の移民、あるいは機械工業関係の移民、あるいは医療関係の移民等各種の業者を取り入れた方がいいと思うのでありますが、そういう構想を持っておられるかどうでしょうか。
○重光国務大臣 それはいろいろそういうようなことを考えております。
○菊池委員 われわれは南米よりも表南洋の方が日本の移民のはけ口として一番いいように考える。国交が回復した暁におきまして、むしろ表南洋方面に移民を出すべきであると考えておるのであります。私は実地に向うを見て参りました。日本人の住むには実に好適のところであると考えておりますが、外務省といたしましては表南洋よりも南米の方がやはりいいと考えておられますか。どちらがいいと考えておられますか。
○重光国務大臣 移民は受け入れ態勢のいいところからやっていきたい、こう考えております。
○菊池委員 それからこれは小さな話でございますが、原爆おとめがアメリカに行きましていろいろと世話になっております。これは向うからたとい招待してきましても、一応断わるべきであると私は思う。ほんとうに体裁が悪い。原爆の病気を日本でもって治療することのできないいかにも野蛮国のような印象を世界に与えはせぬかというような考えも考慮に入れなければならぬと思うのでございます。これからああいう招聘がアメリカからあっても、これは婉曲に辞退すべきであろうと思うのですが、政府はどうお考えでありますか。
○重光国務大臣 御意見はよく伺って、考慮に入れてやりましょう。
○植原委員長 菊池君、簡単に願います。
○菊池委員 それから外務省はユネスコに非常に力を入れて、日本からも代表者を出しているようでございますが、ユネスコの運動よりもむしろ世界連邦の運動に力を注ぐべきが当然であると私は考えておる。ユネスコなんて要するにあれは道徳的な運動で、何ら世界の平和に貢献するものじゃない。これまでああいった運動は、繰り返し繰り返し宗教家その他の文化人が行いましたけれども、結局戦争になっておる。世界連邦となりますと、これは地球上にある七十幾つの国家を一つにまとめて、そうして同一の憲法を持ち、軍隊を持って、初めから戦争を起すことのできない法治世界をこの地球上に樹立しようという大きな理想を持っておる運動であります。この運動こそ政府は助くべきであると思う。すでに欧州の十七カ国は、国会の中に世界連邦建設の委員会があり、アメリカ四十八州の中の二十六州の議会に、これまた世界連邦建設の委員会が設けられ、盛んに論議をしておる。そういうわけで、世界の指導者はほとんどみな賛成者になっておるのでありますが、この世界連邦についてどうお考えになっておりますか。
○重光国務大臣 私はユネスコも非常に大きな役割をしておると思っております。しかし世界連邦のごときものが、なるべく早い時期に実現をすることになることは、私も国際人として非常に熱心に希望するところでございます。どうか皆さん方の御尽力によって、少しでも早く実現するようにいたしたいと思います。
○植原委員長 北澤直吉君。
○北澤委員 私はまず最初に日ソ交渉の問題についてお伺いしたのでありますが、先ほど外務大臣から、去る十四日におきますソ連の全権からの提案は、大体サンフランシスコ平和会議においてソ連側が出した提案と大同小異である、こういうふうにお話があったのであります。ところがこの国会におきます総理大臣及び外務大臣の御答弁によりますと、ソ連はサンフランシスコ平和会議においては、今申しました提案を固執してとうとう平和条約には調印しなかったのでありますが、その後ソ連の政策は非常に変った。いわゆる平和共存の政策に変ってきた。それからまた戦争を避ける、こういう方針に変ってきた。また外務大臣の答弁では、ソ連の方も日本の立場をよく尊重するということであろうから、現在のところ日米協力関係についてはソ連もこれを認めるであろう。こういうふうな答弁をして参つたのでありますが、今回のソ連の提案を見ますと、いかに今の鳩山総理及び重光外務大臣のソ連に対する認識が、甘かったかということを私どもは痛切に感ずるわけでありますが、外務大臣はこれに対してどういうような御心境でございましょうか、お答えを願います。
○重光国務大臣 私どもは、ソ連がどういう態度でこの交渉に臨んでくるかということについて、はっきりした見通しを実はつけ得なかったのでございます。またそういうことについて判断を申し上げたつもりはないのであります。これはどう出てくるかわからぬと申し上げたのです。そこでこれは甘いも辛いもないと思います。しかしソ連の出方が、そう日本側の希望する通りに来るものではないということだけは、これは国際情勢にやや通じておる者は判断にかたからぬことだ、こう思うのであります。
○北澤委員 外務大臣のソ連に対する認識が甘いとは、私は思いませんが、鳩山総理は今すぐにも日ソ交渉はできる。総選挙の前にもソ連は戦争状態終結宣言をするかもしれぬ。それからドムニツキーに会ったときにも、歯舞、色丹は返すような話をした。あるいは抑留邦人の問題も解決するごとくに言った。こういうふうに鳩山総理がこの国会において述べられておるところを見ると、非常に甘い。ごく簡単に、ソ連が日本側の希望に応ずるような考え方を鳩山総理は持っておられたのであります。そしてまたこの国会におきましても、はっきり言明しております。そういうように非常に甘い考え方については、私どもは機会あるごとに政府に反省を促したのでありますが、いよいよ今回の日ソ交渉におけるソ連の提案を見ますと、私どもの警告した通りに、ソ連の方はなかなか渋い、甘くないということになったのでありまして、私どもは政府が今後日ソ交捗を進めるにつきましては、ソ連が決してそういう甘い相手でないということをくれぐれも頭に置いて、一つ交渉なさってもらいたいことを要望するわけであります。
 もう一つ伺いたいことは、ソ連はこの前のサンフランシスコ会議におきましては、先ほど申しましたような提案を固執して調印しなかったのでありますが、今回の日ソ交渉におきましては、一体あの案から相当折れる、あれを相当譲歩するという見通しでありますかどうか。もしソ連が桑港会議のような態度をどこまでも固執するというようなことであれば、日ソ交渉はなかなかまとまらぬのでありますが、ソ連は一応あのように提案はしましたが、桑港会議とは違ってある程度これを譲歩する、こういう何か見通しがあるのでありますか、この点を伺っておきたいと思います。
○重光国務大臣 その将来の見通しについて申し上げると、またあとから、お前違ったのじゃないかとやかましく言われるかもしれませんけれども、私は常識論として、ソ連の態度は違ってきたと思うのであります。その理由は、それはサンフランシスコ条約のときには、ああいうサンフランシスコ体制にはソ連は絶対に入らない、意見が根底から違うということで、あれは調印をしないで拒絶したわけであります。しかしその後、特に去年の秋ごろからの情勢を見ると、とにかく日本との間に国交を正常化したいということを、これはたびたび正式に表明しているのでありますから、それだけでも違ったと思うのです。しかし今回のソ連の主張、立場を見ると、全部が全部私はサンフランシスコ条約当時とは同じだと申し上げたわけではありません。大同小異だと申し上げたのです。それはやはりむずかしいことがたくさんあるのでございますから、その点から言えばそう変りはないわけですが、しかし、とにかく交渉して、一つ国交を調整しようではないかというところまできたことは、私は違っていると思う。そこで将来、それじゃ全部譲歩の余地も妥協の余地も何もないものとしてこれを見るべきかというと、私はそれはそうは見ないがいいと思います。また見るべきものじゃないと思うし、交渉をやる以上は、そうは見ない方がいい、こう思うのでございます。
○北澤委員 そうしますと、日本側の立場とソ連の立場が、今度の交渉ではっきりしたわけでありまして、その交渉の過程において、これがどういうふうに調整されるかということは、今後の問題であろうと思いますが、もし今後の交渉におきまして、サンフランシスコ条約と違ったような平和条約が、日本とソ連との間にできる場合におきましては、例の平和条約の第二十六条によって、ほかの連合国はこれに均霑することになると思うのでありますが、一体その点はどうなりますか。
○重光国務大臣 私はそういうことを議論するような事態が早く来ることを希望いたしているわけでございますが、それは理屈上そうなりましょう。理屈上そうなりましょうが、それは先のこととして考えていいように今は思っております。ソ連に与える場合にはほかの国にも均霑するということは、おそらくそれは均霑するでしょう。しかし、ちょっとそういうことも想像ができませんので、今は、理屈としては均霑すると申し上げておきます。
○北澤委員 この条約の解釈として、とにかく二十六条の規定の通りにやるということがわかりまして、その点はこれで打ち切ります。
 次の問題は、先ほども質問があったのでありますが、フィリピンの賠償の問題でございます。私どもの聞いているところによりますと、八億ドルの賠償額については、外務大臣と高碕経審長官は大体フィリピン側に内諾を与え、それを鳩山総理が文書にしてフィリピンに出しているということを、私どもは信ずべき筋から聞いておるわけです。こういうふうに重大な問題を、総理が文書をもって相手国に通告するというふうなことは、重大な問題だと私は思うのでありますが、そういう事実があったのかどうか、この機会にはっきりお聞きしておきたいと思います。
○重光国務大臣 それはどこで得られた情報か知りませんが、非常に真相と違っておるようです。これは、先ほど申し上げる通りに、向うの賠償交渉の主任のネリ大使が東京に来て、賠償問題の交渉に当った際に、高碕長官、私、その他外務省員と、その賠償交渉について意見の交換をしたことは事実でございます。これは先ほど繰り返し繰り返し申し上げた通りです。そうして向うは十億から八億までおりてきた。こちらは四億の線は譲れない、特に毎年二千五百万ドル以上の支払い能力は日本にないのであるということを繰り返し繰り返し、その線で折衝をし、また話し合いをしたのであります。しかしそこで動かぬじゃしょうがないから、いろいろな何で、こういう案もある、ああいう案もあると、向うも出し、こっちもそれに応答したということは事実であります。しかし、向うの言っておる通りに八億の賠償を出すということを承諾したことは少しもございません。これは事実に反したことであります。それ
 からまたそれについて、鳩山総理にネリ大使がいとまごいに行った際に、その問題がまた出たことも事実であります。事実でありますが、政府の考え方としては、フィリピン側の案をこしらえて、それを固めて――たとえば大野・ガルシア協定をこしらえて、それが向うの都合で破れたわけですが、そんなことのないように、はっきり固めてこっちに持ってくれば、またその方を検討してみよう、こういう態度なのです。これは、われわれとしてもそうであるし、また鳩山総理としてもそういう応答をしてネリ大使は帰ったわけであります。そこでネリ大使はわれわれとの話し合いを基礎にして、いろいろ材料を持って――それを向うがどういうふうに解釈したか、向うの都合のいいように解釈した部分もありましょう、またそれについて向うとしてはいろいろ不満の点もあるでしょうが、それを基礎として今向うが固めておるわけなので、その向うの意見がしっかり固まりました上でそれをこちらに持ち出して、こちらはそれを考慮に入れてこちらの態度を決定しょう、こういう段階に相なっておるわけであります。だからその事情のもとにすべてのことを御判断願いたいと思うのであります。われわれ政府部内において行動が違っておるとか、考え方が違っておるということは一切ないのであります。またそうやらなければ――フィリピンが一度申し出たことをすぐまたどんどん変えるようなことをしてはいけませんから、そういうような状態になってはいけないと思います。
○北澤委員 けさの新聞によりますと、フィリピン政府の公式の発表として、八億ドルの賠償額については高碕長官との間に暫定的な了解ができているということが出ている。従ってフィリピン側がそういうふうに了解する何かの言質を、フィリピン側に日本が与えたのではないかと思うのであります。それからまた先ほど申しましたように、鳩山総理が単に口頭ばかりでなく、文書にしてフィリピン側に八億ドルでよろしいというようなことを与えたということでありますが、これは非常に重大な問題でありまして、しかもこういう大きな問題を、外務大臣あるいは大蔵大臣あるいは経審長官あるいは総理大臣、こういう間においてばらばらにやっている、しかも新聞などを見ますと、大蔵大臣は全然そんなことを知らないと現に新聞でいっている。こういうように大蔵大臣も知らないような八億ドル賠償について、総理がオーケーをするというようなことは、いかに内部不統一の鳩山内閣であっても、これは実に驚き入った次第だと思うのであります。しからば今後の交渉において政府は八億ドルの線はもっと引き下げる確信があるかどうか、この点を伺って私の質問を終ります。
○重光国務大臣 今繰り返し申し上げます通りのような事情でございます。そこで八億ドルというのは、これまた先ほど私が申しました通り、フィリピン側がしょっちゅう申しておることで、十億を八億にしたというわけでありますが、この八億ドルを賠償額として受諾することはございません。先ほど御説明申し上げた通りに、フィリピン側に満足を与えるために若干の形式などのことを考えておるということは申し上げましたが、しかし賠償の実質として八億ドルを受諾することは、これはできない相談であります。しかしそういうようなことはフィリピン側の案を見て、その上で十分検討して政府の意見を固めました上は、また国会に対しても御相談をいたしたい、こういうふうに考えておる次第がございます。
○北澤委員 その八億ドルの問題でありますが、新聞報道では現物賠償が五億ドル、現金賠償が二千万ドル、役務賠償三千万ドル、経済協力が二億五千万ドル、こういうふうに出ておりますが、とにかく四億の線を八億に持っていくというのは、日本の支払い能力から申しまして大へんなことでございますし、もしフィリピンに対してそういうふうなことになりますと、これがビルマの賠償に響き、インドネシアの賠償に響くわけでありますので、日本の経済状態特に国内の経済につきましては、一兆円予算という大へんなことをやっておるが、そういう賠償の額のことになると、ついずるずるになってしまう。こういうふうなこともありまして、このフィリピンの賠償問題は非常に重大なことでありますので、そう簡単に四億の線からどんどんこれを上げていいということではないのでありますから、私どもこの問題については党としても十分研究いたしますが、一つ政府としてもこの上とも慎重を期せられるように要望いたしまして、私の質問を終ります。
○植原委員長 松本七郎君。
○松本(七)委員 質問に入る前に、議事進行について委員長にちょっとお伺いしたい。この前から総理大臣の出席を求めておりますが、一向出てきていただけない。やはりときどき出てきていただかないと、一般質問、国際情勢に関する質問で総理の質問がたまって、結局それを優先しなければならぬということになって、山積している案件が進まないということになりますから、一つときどきはこの委員会に出てきていただくように、委員長から当局にお取り計らい願いたい。きょうは一体どうされますか。
○植原委員長 承知いたしました。ときどき、つとめてできるだけ……。
○松本(七)委員 きょうの返事はどうなのですか。
○植原委員長 きょうは国防会議の関係で出ておるそうでございまして、来られません。
○松本(七)委員 それでは総理に少しお伺いしたいことがありますが、そういうわけですから、できるだけ外務大臣かわってこの問題に御答弁をお願いしたいと思います。
 本日の新聞によりますと、四国で左派社会党の鈴木委員長の談話が発表されておる。ソビエトから最初にああいうふうな話が出てきた、それについては当然政府からまた社会党の両委員長に対しても相談があるだろう。というのは、松本全権を派遣される前に、鳩山総理が両委員長に会われた場合に、今後もこういう重要な問題が起るたびに相談したいということを言われたというような意味の談話を発表されておるのです。これは重要な交渉に関する問題ですから、当然外務大臣もそのことについては関与されておるだろうと思うのですが、そういう方針で進んでおられるのか、これは事実と反するのかどうか、明らかにしていただきたいと思います。
○重光国務大臣 総理の考え方は、そういう方向に向いておったと私も思っております。いずれよく相談をした上で、はっきりしたことは申し上げます。
○松本(七)委員 そうすると外務大臣とされては、ソビエトから何かの提案がある都度、重要な時期に際会するたびごとに、やはり野党の委員長と相談していった方が慎重を期する上からいいというお考えですか。
○重光国務大臣 私はかねて申し上げておった通り、かような大きな外交問題は、超党派的に考えるべきだと常に思っております。さような意味において、党派の別なく重要な方々、特に党首あたりによく了解していただきたい、その手段をとりたい、こう思っております。ただ事ごとにそれを一々どの場合にどうするかということを、具体的に今それをお約束をするということは、少し行き過ぎておるかと思いますが、そういうつもりでやりたいと思っております。
○松本(七)委員 自由党の緒方総裁に対しても同じ態度で臨まれますか。
○重光国務大臣 党派の別なく、私はやりたいと思っております。
○松本(七)委員 先ほどの大臣の御報告によりましても、ソビエト側も全面的な陳述に出てきて、一切の問題に対するソビエトの側の意見というものをおそらく開陳をせられたと想像するのでございます。これも結局日本側が最初に全面的の陳述をやり、全部の問題をさらけ出して、こちらの希望を述べたから、必然的に向うも、しからば自分の方はこういう考えだということにならざるを得ないだろうと思います。それで交渉のやり方として、最初から全面的陳述を打って出したが、交渉をまとめるのによかったか、あるいはそういうふうに早く全面的陳述をしない方がよかったのじゃないか。そこのところの判断が国内でもいろいろなされておるのですが、ソビエト側から全面的な陳述に出てきた今日、やはりこのやり方の方がよかったとお考えでございますか。
○重光国務大臣 よかったと思います。思いますけれども、このことについて私は、さらに細部にわたって討議することはいたしたくないことを申し上げます。
○松本(七)委員 全面的に最初に陳述するということについては、政府が松本全権に訓令してこれをやらせたのか、あるいは松本全権の自由裁量で、最初に全面的陳述をされたのか。
○重光国務大臣 松本全権の行動は、政府の訓令によってすべて行動しておると御承知を願いたいと思います。
○松本(七)委員 先ほどの穗積さんの御質問に対するお答えで、おもな新聞、報道関係の首脳部とそういう会談をしたいということでございますが、これも今後重要な問題の起るたびにやられる方針でございますか。
○重光国務大臣 これは外務省の仕事として、今度に限ったことではありません、従来やっておるのでございます。その会合が昨日ございました。
○松本(七)委員 これは交渉の過程では、外電からもいろいろなことが入ってきましょうし、雑音が入ると思う。ですからやはり重要な問題については、公式な発表ということ以外に、なるべく雑音が入らないように、問題が起きた場合には、すみやかな機会にやはり国会に進んで報告していただくことが一番いいと思うのですが、この点に対する外務大臣のお考えを承わりたい。
○重光国務大臣 全くその通りに考えておりますから、私は今日特に要求をして、報告を皆さん方にいたしたわけでございます。
○松本(七)委員 フィリピンの賠償問題についても、先ほど御答弁がありまして、総理大臣が八億ドルというものに内諾を与えた事実はないということははっきりしたのですが、特に賠償問題なんかの交渉過程においては、それぞれ自分の方を有利に解決したいために、いろいろな宣伝も、流されるでございましょうし、いろいろな雑音も入ると思う。すでに外電の伝うるところによっても、一萬田大蔵大臣を鳩山総理大臣は罷免することを考えておる、こういうことまで言われておるのです。そうすると日本の国民に、政府が何かやみ取引でもしているような印象をだんだん深く与えて、両国民の感情上非常におもしろくないものができるのではないかと思いますが、先ほど八億の内諾は、そういう事実がないということをはっきり言明していただきましたから、それといたしまして、一萬田大蔵大臣との関係について、はっきりした事実をここに明らかにしていただきたいと思います。
○重光国務大臣 いろいろなことについて内外から新聞、通信の報道があることは、雑音があることは御承知の通りであります。どうか雑音には迷わされぬようにお願いいたします。それがためにも、私は説明を申し上げるのでございます。私が申し上げたように、ネリ大使としてはネリ大使としての案を持っている、また希望案があるわけであります。それについてはネリ大使が日本側の意向をも十分考慮して、そうして自分の案を練ろうといって持って帰った案があるのでございます。それはネリ大使の案でございます。それが基礎になってだんだんフィリピン側のなにをまとめておる状況でございます。さようなことは大蔵大臣も、ネリ大使の帰るときなどには一緒におりまして、よく事情は知っておられると思うのであります。しかし大蔵大臣としては、なかなか賠償などはそう払えるものじゃないといって、賠償を支払うことについて難色を示しておることはこれは事実でございます。しかしながらそれは政府の方針が分れておるものではなかろうと私は思います。さようなことは、大蔵大臣としては私は当然のことだと思います。しかし成案ができた上でこれを判断して、日本国としてこれを受くべきかどうかということを判断する場合に意見がまとまることができなければ、これは意見の不一致があると私は言い得ると思います。しかし大蔵大臣としてできるだけこの賠償額を小さく、少くしてもらいたいということは当然のことであり、またそのことについてはわれわれも少しも異存はないのであります。ただこれは相手があってやることであるから、そこにできるだけ一つ妥協に導かなければならぬという考えをもってすれば、少しぐらいの勉強はしなければならぬのじゃないかということはあるわけであります。しかし今申すようなわけでありますから、賠償問題の交渉過程において閣内の不一致は、私はないと申し上げてさしつかえないと思います。もっともなるべく賠償額を少くしたいという意見を大蔵大臣が持っておられるということは、これはその通りでございます。それでありのままに私は今われわれの間のことを申し上げた次第でございます。
○松本(七)委員 こういう問題で大臣の間に意見の相違があるということは当然だし、それはあってもいいと思うのです。最後にきちっとまとめていきさえすればいいのですから、それはいいと思うのです。また大蔵大臣としてはなるべくこれを少く済まそうというお考えになりがちでしょうし、総理大臣が全体を考えて、まあなるべく甘くここらで妥協したいというお気持になることもあり得ることだと思うのです。ただ問題はそういうことが一々相手方にどういうふうな印象を与えるかというようなことから、言葉づかいだとかそういうことについてよほど慎重を期していただかないと、問題は複雑化すると思います。それは、自分としてはもう少しあなた方、フィリピン側の満足いくようにしたい、こういうことをちつよと言っても、向うではこれは総理が内諾を与えたのだというふうに解釈しないとも限らない。そういうところを私は伺っておるのであって、どうもわれわれはもう少しあなた方の言う通りに希望に沿いたいけれども、大蔵大臣ががんこで困ってね、とこう言えばこれは大蔵大臣を罷免するのかというふうにも取り得ます。ですからそういうことをうかつに言われた事実があるのではなかろうかと思ったものですから、私は聞いておるのですが、いかがですか。
○重光国務大臣 そういうことは事実ありません。ありませんけれども、フィリピンの新聞、通信と申しますか、ずいぶん雑音の多いところでありまして、たとえば賠償問題に対して日本が向うの議会の議員を一々買収したとかなんとか、盛んにそういう種類のことを新聞報道いたします。さようなわけでありますから、これもそういう種類の一つの雑音と私どもは思っておるわけであります。もっともしかしそういう報道についてはネリ大使ははっきりとこれを否定しております。公式に、向うでそういうような報道があるけれども、全然自分らの知っておるところとは事実に反するのだ、こういうことではっきり否定をなさっておられます。さような次第であります。
○松本(七)委員 そういう報道関係の内情等を知らない日本国民としては、やはりああいう外電を通じていろいろな疑惑を生ずるのですから、日本政府としてもやはりこういう問題については遠慮することなく、どんどん声明を出すとか、事実をはっきりさせるために、もっと積極的にやっていただいていいと思います。
○重光国務大臣 それはやっております。
○松本(七)委員 それから時間もありませんから端折よりたいと思いますが、濃縮ウランのことについて先ほどのあなたの御答弁を聞いておりますと、ひもつきでないということをもう当然の前提にして一切のことを考えておられる。ひもつきでないので非常にいいことなんだ、そのいいことが、せっかく学術会議で順調に進みつつあったのに、国会の論議で妙なことになったので、問題がこじれた、こう言わぬばかりに御説明をなさったのですが、大臣がひもつきでないと考えておられるところに実は問題があるのです。われわれから見た場合には、まだまだ釈然としない問題があるから国会で問題にしておるわけです。ですから、そういうふうに非常に正直にその表面だけを取って、これはもう非常にけっこうなことだ、こう考えられるそのことについて、やはり別の考え方がある場合に初めてそういうことが国会で問題になってくるのですから、これはむしろ慎重を期する上から国会の論議というものは歓迎されていいと思いますが、先ほどの大臣の御答弁ですと、何か国会の論議が迷惑千万と言わぬばかりの御説明でしたので、この点はもしそれが誤解であるとすれば、そうでないということをもう少しはっきりしていただきたいと同時に、もう一つ伺いたいのは、前には了解事項にしたいと言っておられましたが、了解事項というのとそれから交換公文というものとはまた違うと思います。了解事項とそれから協定の中に入れるちょうど中間を取ったのが私は交換公文ではないかと思います。それほど言質をとることに意義があるのならば、なぜこの際協定の中に正式に入れないのか。その点は大臣の考えられる通りにすっきりさした方がいい。いろいろ議論があるのですからすっきりさして、将来は将来でまた議論をしたらいいと思いますが、その点を伺いたいと思います。
○植原委員長 松本君時間が参りましたから……。
○重光国務大臣 今のお尋ねは御議論の点が多いと思いますが、私は国会の議論が迷惑なんてそんなことは言ったことも思ったこともございません。そうあまりひがまれぬでも私はいいと思うが、(笑声)私は、この国会が議論なども率直に受け取って、第九条の問題でも私の感じから言えばずいぶん行き過ぎたような御議論がたくさんあるように思ったけれども、しかしこれは今あなたの言われる通りで、そういうようなことはやはり考慮しなければいけない。そこでそういうことも考慮に入れて、トルコとアメリカとの関係の九条の問題はドロップした方がいい、それでドロップしたのです。あっさりいった方がいいと思ってそうしたのです。あまり裏から裏をいってみてもこれはどうかと思うのです。
 そこで、了解事項というのは、今聞きますればそれが了解事項なんだそうです。言質をとる方法ですから、これを議事録にするとかどういう形式にするとかいうようなことは、これはもうそのときの便宜によって、私はそうさしつかえないと思う。協定に入れぬということであれば、御議論の点も避けられるわけだから、私はそれで実はいいと思っておるのであります。
○松本(七)委員 言葉は、迷惑だとはおっしゃいませんけれども、今も国会の議論を聞いておると行き過ぎた議論があったと言われる、われわれは、そういう点を言っておる。一体どこが行き過ぎておりますか、それを具体的に一つ聞きたい。
○重光国務大臣 それはトルコとの条約の第九条が、どこまでもひもつきだというふうなそれ一本の議論は私は行き過ぎておると思うのです。ひもつきというのは、それじゃどこがひもつきだというのですか。別にそれをどうというわけで私は申し上げたわけでもなんでもない。ただそういう感じを申し上げただけです。
○植原委員長 高津君。
    〔「関連して一分間だけ」と呼ぶ者あり〕
○植原委員長 関連を許せばきりがないから時間を制限して、関連は許さぬという原則をとっているから、高津君のあとでどうぞ。高津正道君。
○高津委員 外務大臣に質問します。吉田内閣の外交は実に気前よく千島もあるいは歯舞、色丹もサンフランシスコに出かけていって手放したのでございます。国民運動はその回復を願って官民ともに今苦労する段階に至っておると思うのでありますが、重光さんの鳩山内閣ができて、日本の腹づもりはビルマに対して一億ドル踏んであったはずなのが、二億ドル、さらにその合弁事業に対して五千万ドルというようにけたがはね上ったのであります。今度は内容は八億ドル、いろいろ分れておるようで、説明がいろいろされておりますけれども、フィリピンに対する四億ドルの腹づもりであったものが、どういう内容であるにせよ、区分けがどう説明されるにせよ、八億ドルというように飛び上ったということは、これは日本の国民は私は支持しないのではあるまいか、こう思うのであります。外務大臣のお考えはその点はどうですか。
○重光国務大臣 むろん四億ドル以上出したくないということは、これは初めからわかりきっておることであります。しかしそれならばフィリピンとの関係は、ああいう変則な関係――戦争状態とはいいませんけれども、ああいう非常に不規則な関係をそのままに放置しておいていいかということは、これまただれも希望しない。それではどうしてフィリピンとの正常関係を樹立することができるかというと、賠償の問題を解決しなければいけない。解決する方法は、結局これはせんじ詰めれば賠償額の問題になるのであります。そこに何とか妥協の方法を考えるよりほかにいい方法はないと思う。何か方法でもあれば教えていただきたい。ないと思う。そこでその中間のものをあれかこれかといって探すのは、当然交渉の任務であろうと思うのであります。そこで大体さような方針がいかぬというならばこれは一つの方針としてはっきりする。しかしこれは何とか妥結したいということになりますならば、いろいろな方法、中間妥協の線を探すということは、これは当然のことであろうと考えるのであります。しかしそれがすぐ非常な、何といいますか、軟弱であるとかなんとかいうこととは、直接の関係はないようにわれわれは考えておるのであります。さような意味で説明を申し上げたわけであります。
○高津委員 日本が妥協する、あるいは譲る、それ以外の方法がない、ほかに解決の方式があれば言えというように、きょうは外相はなかなか積極的であるが、私からいえばフィリピンから賠償問題の外交使節が来たり、あるいはフィリピンの観光客が来てみて、ビルディングはどんどん建つし、外国の高級車は洪水のように東京を流れておるし、財政投融資を見てもずいぶん放漫のきらいがあるし、軍事費には幾らでも金をかけるし、政府のイニシアによって国論は次第々々に逆コースに行くようだ、これでは日本はまだこっちにやってくるんじゃないか、余裕もありそうだ、そういうような政治であれば向うが、日本の最初の切り出しの一番最後の線の四億ドル、それを承知しないのは当りまえだと思うのです。私は外交の方針が変るならば、ビルマの二億ドルと別口の五千万ドルなんというものは、半分にでも四分の一にでもなるのだ。われわれは案があるのですよ。今の政府だってそうできるのです。今の政府というのは、向うの相手方の政府がそうであっても、われわれのやり方ではできるのだという考え方を社会党は持っております。それでお聞きしますが、先ほど外務大臣は東南アジア貿易のためならば一億や二億は――これはドルですよ。一億や二億は増してもやむを得ないと言われたと私は記憶しますが、果してあなたはそう言われたのでしたか。あらためてこれを聞いて、その前提の上に立ってもう少しあなたにお尋ねしたいと思う。
○重光国務大臣 私は東南アジアの貿易を非常に重要視しているので、これを促進したいあまり、そのために賠償問題のごときは少しの譲歩をしてもその目的を達するということならば考えなければならぬ、こういう趣旨でそういうことを申し上げました。しかしそれはその額について言質を与えたというようにはおとり下さらぬことを希望します。
○高津委員 戦争が済んでから十年になるし、戦争を始めた責任者たちはだんだんその子供に世代を譲りつつあるわけです。すでに世代の変ったのもあるし、そうしてこれからフィリピンとの賠償は十五年だ、十七年だというような長期にわたるもののようでありますが、それで次のゼネレーションのわれわれの子や孫がずっとこの賠償を払っていかねばならぬので、これは現在ちょうど一九五五年の外交の当局あるいは行政の当局になっておる者が、大蔵省、通産省、外務省などで相談をし、そうしてこの内閣の成功をあせっておるところのそういう御大将の前に諮って、そしてこれを国論の支持を得たものなりとして責任を持ってやっておられるが、この賠償は将来大きな問題になるのです。それらのことを考えないで――東南アジアに対する貿易がいかに重大であるかということがわからぬほど社会党はやぼじゃないですよ。よくわかっておるけれども、あまり気前がよ過ぎると思って私は質問をするのでありますが、今向うの新聞などでわれわれが見る内容は、もうどうにもならないものであるか、まだ動くものであるか、その点を聞きたい。
○重光国務大臣 その点はたびたび御説明いたす通り、向うの案でございまして、それがこちらに申し出された上で、わが方の態度をきめなければならぬ問題であります。
○森島委員 ただいま濃縮ウランの問題につきまして松本委員と重光外務大臣との間に、国会のこの問題の取扱い方について御議論があったようでございますが、私が承知しておるところによりますと、この問題がこんがらかったのは二つ原因がある。一つは、政府の方においては協定と申しますか、何らかのとりきめができた場合に、これを国会の審議に付するやいなやという点が問題になった。この点につきましては、当初重光大臣は、内容のいかんによっては国会の審議に付する、こういう御答弁を数回繰り返された。これが何らかあるのじゃないかというような感想を、委員会ないし国会に与えたものと私は信じております。第二といたしましては、政府のこの問題の取扱い方はきわめて不手ぎわだった。この問題が現実の問題になりましたときに、どなたでしたか忘れましたけれども、資料の提出を求められたのでありますが、当初政府は紙一枚くらいの原子力法の百二十三条ですか、これを原文のままお出しになった。その後翻訳をお出しになった。その資料の提出が非常におくれておったということにも原因があるのじゃないかというので、私は国会の態度を御批判になるよりも、むしろ政府自体のお取扱いに不手ぎわなところがあったと信じております。この点につきまして大臣の御答弁を伺っておきたい、こう存ずるのでございます。
○重光国務大臣 さように御批判をいただくことは、これは御自由だと思います。私は濃縮ウランのことがどういう形式で約束になるかということは初めのうちは予想がつきませんでした。中途にしてああいう約束の形になり、そこで議会に提出するということをはっきり申し上げておいたわけであります。初めは内容いかんによると、こう申し上げたわけで、その通りであります。今予想されるような、また今できつつあるような形式ならば、これを議会に提出する、それで提出すると申し上げたのであります。取扱いに拙劣な点があったかもしれませんけれども、それは御容赦を願って、なるたけ一つこの問題の御了解を得たい、こう思っておる次第でございます。
○森島委員 私が了解しておるところによりますと、トルコとの条約を典型として話を進められるというのが当初の御方針じゃなかったかと思いました。もしその通り進むといたしますならば、当然協定なり何なりの格好をとることが予想され得ることなのです。その点につきまして、私はただいまの大臣の御答弁をそのまままともに受け取ることはできないのでありますけれども、ともかくも国会の審議に付されることに御決定になりました点につきましては満足の意を表しまして、私の質問を打ち切ります。
○穗積委員 私どもの方の委員の持ち時間が少し余っておりますので、この際賠償問題に関連してお尋ねしておきたいと思います。それはビルマとの賠償問題でございますが、これは二月からずっと交渉しておって、今日その後の動きがほとんど途絶状態になっているので、はなはだわれわれ遺憾に思っておるわけでございます。そこでさっきのフィリピンの問題同様、これは誠意をもって妥結すべきものだと思うのですが、そこでこれが停頓いたしております理由について、向う側から賠償物資として日本の業者に取引を契約いたします場合に、日本側ではその業者の選択を日本政府の推薦によってやる。向う側は自由選択でいきたいという意思表示をしている。そこに一つの食い違いがある。もう一つは年間の賠償額を日本銀行の中にビルマ政府の特別会計として積み立てておいて、そして向うが選択した業者から欲する品物を引き取るときに、それを日本銀行の特別会計の口から支払っていきたいという考えを向うは持ち、こちらはそれでは困るから、日本政府の所管の特別会計にしておいて、そうして今の推薦制によります業者との取引が決定したならば、日本政府の支出においてこれを払っていきたい。これらの点が、その他もございましょうが、この賠償交渉が停滞いたしておりますおもなる理由であるかのごとく、われわれは聞き及んでおります。そこで実はこの前もちょっと事務当局の方にお尋ねいたしたのでございますが、そのときには大臣がお見えにならなかったので、あらためてお尋ねしようという約束で、今日まで留保されている問題ですが、今申しました二点が大体おもな点でございますから、そこでそのことをまず最初に伺って、そのほかもしありましたら報告していただきたい。その上で具体的に時間のある限り質問いたしたいと思っております。
○重光国務大臣 そういう問題にも関連がありまして、主として支払いの方法について話し合いがおくれておったのだそうでございます。そこで支払いの方法について今話し合いが行われておりますが、これが片づけば両国の合意に達する状況に相なっているのだそうでございます。そこで今御質問のような詳しいことは一つ係の者によって御説明をさせていただきます。
○穗積委員 それでは先ほど言いました推薦制によるか、向うの政府の自由選択によるか、これはもうすでに解決したと申しますか、日本政府の推薦制の方式はこれを撤回して、そうしてビルマ側が要求いたしますように、業者の選択については向うの全くの自主性を認める方針であると理解してよろしゅうございますか。
○下田政府委員 その問題は実は協定ができたときに大体片づいている問題でございまして、向うはやはり自由に業者を選択したいという建前で、わが方はそれは実は困るのでありますけれども、しかしその点は譲歩いたしてあるわけであります。ということは、一々の契約は日本政府においてチェックできますから、結局向うに選ばしても野放図なことに陥ることはないと、その確信いたしましたので、先方の希望をいれてやっておるわけであります。
○穗積委員 その今の契約を許すか許さないかは、どこで何を基準にしておやりになりますか。
○下田政府委員 これはまだ実際には動いておりませんすれども、動き出しました暁には、外務省の賠償部なり、あるいは大蔵省の当該関係が個々の契約の内容を審査いたしまして、その契約条件その他が適当であるかどうかということを調べまして、調べた上で許可するわけであります。
○穗積委員 それは普通の貿易取引の場合と当然同様に取扱い条件その他についてなすべきだと私は考えますが、政府は一体どういう方針をお持ちになっておられますか。
○下田政府委員 普通のコマーシャル・ベースになるべきでありますが、しかし日本側の業者が競争いたしまして、自分のところで安く落して、なるべく賠償事業をたくさんやろうという希望から、不当に価格の引き下げに陥らないように、そういう点が一番日本政府としては懸念する点であって、チェックの際もそういう点をよく検討する、そういう建前になっております。
○穗積委員 私の申しておるのは、一般貿易取引の場合と同様条件でやるべきであると思うが、それとは別に何か別ワクの条件をお作りになるおつもりであるかどうかということを聞いているのです。
○小沢説明員 お答えいたします。貿易の問題と賠償の問題とは、これは御承知と思いますが、貿易の場合は外貨収入が入るということで賠償と違うわけです。従いましてそのやり方について完全に貿易と同じように扱うことにつきましては、いわゆる外貨収入があるかどうかという問題でちょっと違う点があるのであります。従いましてそういう点については目下検討中でございます。これは近く結論に到達するだろうとわれわれは考えております。
○穗積委員 それは非常に大事な点でございまして、これは実は下手なチェックをなさると、向うの自由選択の条件にまかせたことにならないのですよ。あくまでこちらが推薦制をとって――われわれひがんでおるわけではございませんが、曲解するならば、政府がその取引に対していろいろ文句をつけて、好ましからざる取引だということでこれをチェックしてしまう。そうすると好む商社、好むメーカーとの取引をのみ許すようになる、そうするとそこに利権が一つ生じてくる危険がある。それからもう一つはやはり限られたメーカー、商社にのみその取引を独占的に許す結果になって、それがやがては貿易上におけるカルテルを対外的には結成するような疑い――疑いじゃない、これは事実としてその作用をなすわけです。ですからその点はもとより、今おっしゃった通りに、価格の問題について不当な乱売をどんどんやられると、賠償額のワクに当然達すべきであるにかかわらず達しないというような事実が生じますから、これは価格その他のことについては取締りをなすべきだし、また契約をしておきながら契約の品物とは違った悪いものをやって日本の信用を落してもいけない。また契約を不履行に陥れるようなことがあってもいけない。そういうことに対するバック、アップをしたり監督をすることはけっこうでございますが、私が今申し上げておりますことは、商社の選択、メーカーの選択、並びに価格等につきましては、これは大体貿易の場合におきましても国際信用があることでございますから、政府はある程度の監督なり助言をすべきだ、これは当然だと思うのです。そのときにこのビルマとの賠償支払いに関して、特別に何らかの特権を政府が持ち込んで、名を捨てて実を取るというような結果になることでは、これは相手を欺くものであるし、国内においても政治的ないろいろの弊害を生ずると私どもは思うのです。ですからその条件については今申しました通りに、国際的な貿易上の常識を逸脱しないようにやるべきだと思うのですが、このことについてはいずれ近く案ができるということですから、案ができたら一ぺんお示しをいただきたい。今日はまだ案を作成中であるからお答えができないということですけれども、どういう機関でどういう基準でおやりになるのか、決定をされたらここの委員会において質問をいたしますから、報告をしていただきたい。そのことを一つここで確約をしておいていただきたいと思うのです。御答弁をお願いします。
○下田政府委員 詳しいことはきまってからお目にかけますが、ただ一つ、ただいまから申し上げられますことは御懸念のような点は御心配ないということでございます。それはビルマからも賠償コミッションが参りまして、日本政府との間に合同委員会というものができるわけであります。かりに仰せのような好む特定の業者にやらせたいから、チェックして契約を日本政府が承認しないということはとうていあり得ません。日本政府が承認しない場合には十分理由を説明しなければなりませんから……。
○穗積委員 それは合同委員会でやるわけですか。
○下田政府委員 そうでございます。これは協定にも書いてございますから、正当な理由なしに承認しないというようなことは発生いたしません。
○穗積委員 支払い方法について説明を願いたい。どういう点が食い違っておるか、政府の方針をお伺いしたい。
○小沢説明員 お答えいたします。それは総額の問題とも関連があるのですが、当初日本側としましては、ビルマ賠償実施のための特別会計制度を作ってやりたいという考えで進んで参りました。それに対しまして、ビルマ側は協定面にあるように、年平均二千万ドルの数字が出ているのですから、できるだけそれを盛り込んでもらいたいという希望がありました。それからさらにその支払いにつきましては、その金を業者が自由に使えると申しますか、業者の要求に応じて支払いができる、あるいは前払いと申しますか、そういうものができるような方法を考えてもらいたい、そういうような要望がありまして、現在日本側とやや食い違ったところがありまして、日本側としましては、そういう点をビルマ側と十分連絡いたしまして、むしろ特別会計制度でやるかやらないかという問題と、もう一つビルマ側の要望は、日本の賠償を実施する業者に対する支払いの問題を円滑にやる方法と、この二点についてさらに検討して一案を作ろうということになっております。
○穗積委員 さっき私が質問した点についてはどうですか。食い違いの点――私はちょっとわれわれの聞いておるところを申し上げたのですが、日本銀行に特別会計として年間の賠償額を積み立てておきたい、そして向うが自由に使う、使うのはもとより国内ですから、日本側は政府に特別会計を設けて、業者の要求によって勝手に支払う、支払い方法についても、委員会で出た話を審査してそれがよいということで、しかる後に政府からその都度支払うという方法、それはあくまで両方とも対立状態でございますか。その点は基本の点ですから一つ説明していただきたい。
○小沢説明員 現在ビルマ側は依然として年間七十二億を払えるように、日本側が用意してもらいたいということが大体の要求であります。第二点には、日本の賠償を実施する業者に対する銀行の支払いを簡易な方法でやってもらいたいという要望があります。これに対しまして、日本側としましては、この際特別会計制度というものを依然として固執するかどうかという問題について、現在再検討を加えております。それからさらにその方がビルマ側の希望に沿うようなやり方ができるのではないかと考えた行き方です。さらにそれではそういう方法をとることによって、ビルマ側の要望する一般業者に対する金融の簡易な支払い方法が考えられるかどうかということについても現在考えております。これは近く結論に達するのではないかとわれわれは期待しておるわけでございます。
○穗積委員 大体問題はだんだん歩み寄ってきておるようですから大へん御同慶にたえません。そこで最後にお尋ねをいたしたいと思いますのは、これからの政府の方針でございますが、この交渉はほぼいつごろまでにこれを妥結したいと思うか。すこぶる可能性があるという見通しに立っておられるか、その点をちょっと最後に伺っておきたいと思います。
○小沢説明員 政府といたしましては、協定はもうすでに発効しておるわけでありますから、できるだけ早く――現在懸案の点が解決すれば賠償の実施に至るわけですから、できるだけ早くやりたいという考えで現在努力しております。見通しとしましては、はっきりしたことは現在見通しがつきかねるわけなのですが、できたらここ一カ月ぐらいに何とかしたいという考えを持っております。しかしこれは何分相手国がある問題でありますが、そういうような考えで現在進んでおります。
○穗積委員 それではこの問題はこれで打ち切ります。
○植原委員長 国際情勢等に関する件に対する通告者の質疑は一応終りました。
    ―――――――――――――
○植原委員長 この際、農産物協定に関する質疑の留保された点を継続いたします。稻村隆一君。
○稻村委員 実は農林大臣に質問したいと思っておったのですが、農林大臣がおりませんから……。
○植原委員長 農林政務次官がおります。
○稻村委員 それでは高碕長官と農林次官に質問したいのですが、さっき高碕長官は学童給食用として乳粉を七千トン入れる、こう申しました。こういうことは小さい問題のようでありますけれども、非常に大きな問題だと思っております。それで日本の農業生産力はもう限界に達しておるのです。漁業ももう前途見込みはない。どうしても畜産以外にないのです。畜産ならまだ面積が相当ありますから、日本の食糧の自給政策を確立するためには、どうしても畜産以外にないのです。その意味から政府も酪農農家を非常に奨励したのですが、こういうことをやると酪農家は自滅するのです。私この点は農林大臣にもよく聞かなければならぬと思ったのですが、日本は戦前食糧は自給自足であった。ところが敗戦によって三百万トンないし四百万トンの食糧を輸入しなければならないことになった。こういうことは実におそるべきことなので、どうして外貨をかせぐか。私はただ足らないから輸入するというふうなことでは国は滅びると思う。そこでイギリスのような貿易でもって立っておる国なら、食糧を相当量輸入したって貿易でかせげる。ところが特に敗戦日本はそうはいかない。今の政府のやり方は、全然逆行したようなことばかりやっておる。食う物を借金でもってやるというふうな経済政策は最も不健全な経済政策で、これは一家の経済から見たってわかるのです。どうしてもこれは、第一に国内の増産にたよらなければならない。それには畜産以外にない。そういう工合に、事は小さいようであるが、七千トンも粉乳を持ってきて、そうして酪農家をいじめて二葉のうちに刈り取ってしまう、こういうことをやるのはどうか、そう私は思うのです。
○高碕国務大臣 私は現在の日本の食生活を改善する上におきまして、もっともっと牛乳を飲まさなければだめだ、そうしなければ日本の畜産業はほんとうに増加しないと思っております。現在日本の畜牛は、私はよく存じませんが、大体四十万頭だと聞いております。四十万頭でももう飼料がないとか、あるいは消費が伸びないとかいっておるようなことでは、ほんとうに日本の畜産というものは立っていかない、もともっと消費を増加しなければならない、こういう考えに立っておるわけです。その意味から申しまして、現在学童にただで給食して、ただでくれるものがあれば、七千トンの粉乳をもって彼らに十分供給して、牛乳を飲むということを習わすことは必要だと思うのであります。この意味におきましてあるいは端的に、一時的に申しますとちょっと乳製業者を圧迫したというふうな感じがありますけれども、やがてはこれで大きく消費が増加する、こういうふうに私は感じております。
○稻村委員 農林大臣に質問しようと思ったのですが、おいでになりませんから……。
○植原委員長 農林政務次官がおりますから……。
○稻村委員 大臣でなければどうも……。それでは留保します。
○植原委員長 どうも留保保留は困ります。穗積七郎君。特にあなたは外務大臣をおとめになったらどうぞ。
○穗積委員 外務大臣にちょっとお尋ねしますが、私は午前中に農産物の国際市場の見通しについて高碕長官に伺ったのです。そうしたら長官も私と全く同様の認識に立っておられて、これからはもうバイヤーの優位な市況になるということは認めておられます。そうしてわれわれの判断によりますと、おそらくアメリカの今の資本主義経済の中においては過剰生産問題が随所に出てきておって、相当深刻な状態ではないかと思うのでありますが、その中で特に問題になるのは、一九二九年のごとくやはり農業恐慌から始まる危険性が――これは私は事実として、感情や主義主張ではなくて、客観的に見てそういう可能性があると思うのです。そうなりますと、さっきの取引の問題もそうですが、特に外務大臣にお残りいただいてお尋ねしたかったのです。経済のことについてはあとでまた高碕長官からいろいろ伺いたいと思うのでありますが、特に重光大臣にお尋ねしたいのは、非常に長期にわたるいわゆる借款をして、そうしてそれをドル換算で支払うということになっております。そうすると将来における円とドルのレートの問題で、これがドル支払いの協定になったということに対して、日本の円価の国際信用が非常に薄い、むしろ非常な危惧を持ってアメリカからも見られておるということが、国際的に日本の信用に関するというようなお考えをもって、できるだけこれは避けたいというふうな意向も当局は持っておられるということを伺いましたが、そういう面子の問題でなくて、事実の経済の利害得失から見まして一体どういうふうにお考えになっておられますか。国内物価等の見通しや日本と他の国との見通しを立てますと、やはり今は三百六十円レートというものに変化が来る可能性が相当あるのではないかというふうに私は思うのですが、大臣はこういう問題について一体どういう認識を持っておられてこういう協定に臨まれたか、その問題についてちょっと御所感を伺っておきたいと思います。
○重光国務大臣 私はその大きな、食糧を中心とした世界経済の問題を非常に自信をもって申し上げるわけには参りません。はなはだ不敏でございます。しかし私は今後の世界の食糧事情は従来と非常に違った方向に行くだろう、こうは思います。思いますが、それも各国々によってよほど事情が違うものがあることをこっちが承知していつも交渉に当らなければならぬ、こういうふうに実は私ども考えておるのです。そこで今概括的な将来の円の問題でございます。これを非常に長期でやって――これは長期の点は非常に有利なのでございますが、しかし長期であるに従っていろいろな将来の円のヴァリューとかなんとかいうことについて、十分の考慮を払わなければならぬということもまた出てくるのであります。従いまして私はこの借金についても円払いでもよい、ドル払いでもいい。こちらの選択によってそれが行われるのだということは、私はよほど自由に考えたのです。それは非常はいいことだと考えたのです。私の経済の知識をもってしてその点は少し考え過ぎたかもしれませんが、これは私は将来のギャランティとして非常にいいことだと思って実はそれに賛成をしたわけでございます。そこで将来のことはいつも同じようにやるのじゃない。将来事情に応じて変え得るということをしょっちゅう考える必要がある、こういうふうに考えてやっておるわけなのであります。
○穗積委員 それは私はこの協定に入る前提として、ドルと円とのレートの問題について見通しを伺ったわけですが、私の認識も、アメリカの認識も、あなたの認識も全く一致していると思うのです。すなわちこのままのフィックスの状態ではあり得ぬだろうという点で、向うもやはりドル換算を要求しておるわけです。ですからそうなりますと、やはりこの問題は非常に重要な問題だと思うのです。従ってさっきおっしゃったように、当面から見ますと、三十年度予算における財政投融資の不足分を二百十四億カバーできるのだということは飛びつきたいことでございましょう。政府の今の苦しい軍事予算の中から見ますと、しかもそれが長期だというので、のど元過ぐれば熱さを忘れるころに、今度あとでえらい不消化物になって、荷物になってくるというような結果があると思うのです。長官はさきにおっしゃいましたが、年利二分見当に当る、つまり贈与分を入れてみるとそれは非常に低利だというふうなお考えを持っておられますか。これは元金が問題なのです。その点まだ私はどうも納得がいかないのです。認識については同じなのです。そういう認識に立てば立つほど、私はこれはフィックスの円払いにすべきだ。しかも日本も相当責任を持って、われわれは自立経済に持っていき、経済安定をやろうとし、アメリカもそれを援助しようとするならば、そういう信義と友愛の関係に立っている日米関係であるなら、ますます今の日本の価格安定政策に対して協力する行為と信念を持って見れば、これはやはり円払いで当然であるべきだったというふうに思うのですが、そこに何というか、向うも日本の将来の円の地位については不安を持っておる。そして同時に損をしないようにというアメリカの一流の経済的コマーシャル・ベースといいますか、エゴイズムがはっきり入っているのだというふうに私ども思うのですが、どういうものでございましょうか。これはとらわれることなしに、国の将来のために憂うるのですから、一つあまり責任問題を追及するという前提で聞いておるというふうにお考えになると逃げ支度になるかもしれませんが、そうではなしに、そういう問題をもう少しまじめにここで討議しておきたいと思うのです。ですからもう一ぺん恐縮でございますが、今度は高碕長官はその交渉にお当りになったのですから、しかも最初私が伺ったように、こういうこまかい細目協定については、吉田内閣の責任ではなくて現内閣の責任であるというお答えでありましたから、どうぞ一つもう少し聞かしておいていただきたい。
○高碕国務大臣 ただいまの穗積さんの御心配は私は非常にごもっともな点だと思っております。長期に借款をする意味においては、その考えは十分考えておかなければならぬ。できますれば円で借りてフィックスの円で返せるということは非常に望んだわけであります。そこで初め実は政府は吉田内閣の時代に交渉しておったのでは、その点はそうだと思っておられるのです。ところがいよいよ交渉に入ってみると、よそのものを見るとやはりみなドル・クローズがついているのございます。そこでわれわれは交渉の経過といたしまして、それじゃ短期にしようじゃないか、それで四十年と言わずに、十年なら十年ぐらいにしてそれでフィックスでやれないかということも実は交渉したのであります。そういうことで非常に日にちをとったのでありますが、どうしてもこれはできないということであります。どこの国とでもこうやっている、こういうわけであります。私は一面において円で借りて円で返すということなら問題はないが、その円にドル・クローズがつくということは、これはほかの問題に非常に影響する点なのでありまして、なぜかと申しますと、日本にはまだ法律はありませんが、アメリカの法律でも、イギリスの法律でも、その国の通貨で借りた借金が、その国の為替の変動によってその借金が変更するということは認めないということになっておるわけであります。今、日本にはその実例はございませんが、かりにけさ申しましたような工合に、ここにある会社があって、たとえば映画会社がたくさんの円を持っておる、その円を借りるときに映画会社はこれはドル・クローズなら貸してやるとこう言っておる、そこで十年なら十年の先のドル・クローズで契約をしたとする、その契約は私は日本政府は無効と認めるべきものだと思うのです。それは現にアメリカでもイギリスでも実行しておるのであります。しからばそういうふうな個人の取引においては無効とすべきものを、政府と政府との間ですべきものじゃないということは、私は原則論としてこれはいけない、従ってこれはドルで借りておいてドルで返さなければならぬ、こういうわけでありますから、あるいはドルで返すということに私は考えたのでありますが、それは利息も安いということと、もう少し打ち明けてお話しをいたしますと、大体一年に支払います金額は大体二百万ドルか三百万ドルでドルで払います。ところが今アメリカの大使館がここで使っておりますドルは一年に三百万ドルぐらい使っておるわけです。それはアメリカからドルを持ってきて、それを円にかえてここで金を使うわけです。ところが日本がかりに円貨で払うとすると、そのドルを持ってこないで円で支払う、かりにドル貨で払ってもドル貨をあっちへ持って行かずにここで円にして使ってくれる、こういうふうな方法もあるのでありますから、私も日本の情勢いかんにより、一文でも利息の安いドル貨をもってドルで払う、これはよいじゃないかという初めの結論だったわけです。そこでもう一つ打ち明けて申しますと、今度は世界銀行が文句を言ってきたわけであります。これはもうお聞きでありましょうが、世界銀行が文句を言うことは文句にならぬと渋ったわけでありますけれども、そこに世界銀行で文句を言ってきたものだから、そこで日本の一方的意思によって、場合によっては円で払うということに変えた、これが今日までの成り行きをごく露骨に申し上げたわけです。
○穗積委員 やはり私は今の政府がこの苦しい軍事予算の中で長期の――最初はもっと多くのものを皮算用したわけですが、結局それがちびられて二百十四億になったわけですが、この財政投融資の不足分を何とかしてカバーしたいということにあまりに飛びかかり過ぎて、貧乏人が明日の百円よりはきょうの五十円の方が必要なんだということで、ついつまらぬ証文に判をつくという式で、私はこれは今の御説明ですけれども、どうしても国の将来の経済のためにプラスだとは思えないのです。その点は長官もきっとこのことに関する限りは、これはどうもまずいと思いながら、その方は見ないようにして、こっちはより多くこういう利益もあるからということで、メリットだけ見て、マイナスの方はほおかぶりしておやりになったのではないかと思うのです。しかしこれはまだ幸いにして協定の原則からいけば一年限りのことです。ですけれども今の借金はあとに残るわけですから、残った以上は、来年度この協定のあれをやめても、今年度借りる分の借款というのはこれはあとに残って、今の義務条項は残るわけですから、これはミステークだと思うのですが、そうお思いになりませんか。
○高碕国務大臣 私はこの資金をもって電力を開発し、それから農業を開発することによって農産物を増産すれば、日本はそれだけいいではないか、電力も開発すればそれだけいいではないか、こういうわけであります。それで四十年と申しますけれども、これは私はあなたよりも借金したことは多いからよくわかっておりますが、借金をした以上は、これは三年過ぎまして――四十年年賦になっておりますけれども、今度は日本の国の経済がいいということになれば、そのときに払えるわけなのでございますから、経済の情勢がよければ、私はこれは長期の方を借りておいた方が得だと思います。これは決して言いわけに言うのではありません。私は信念を持って、ほんとうに良心的にお答えしておるわけであります。
○穗積委員 その問題は、あと議論になりますからその程度にいたしますが、せっかく大臣に残っていただいたので、あと残しておきましたことをもうちょっとお伺いしたいのです。向うの五十四年法の三百四条について外務大臣にお伺いいたします。これによりますと、この法律のもとであります法律の目的、協定の趣旨というものは、これはもうすでにお読みになったと思いますが、特に重要な点は、「ソヴィエト社会主義共和国連邦又はソヴィエト社会主義共和国連邦の支配若しくは統制を受けている国との食料品、原材料及び市場の取引について独立することを援助し、」として、これは明らかに東西対立の意識に立っておることが明瞭でございます。そういう目的をもって、すなわち共産主義諸国からの独立を援助したい、それとの取引その他を、独立というよりは、より多くアメリカに引きつけておきたいという趣旨が、この法律には明文となってうたわれておるわけです。従って先ほど申しましたように、他の委員によっても指摘されたように、単に円で買えるという利益だけを見ないで、買う以上は日本で輸出がより多くできるという点をわれわれは見なければならぬと思う。これは現内閣の重要政策の一つであると考えるのです。さらにもう一つは、いみじくもわれわれが長年期待しておりました、東西の間に立って、一辺倒ではなくて、いずれの国とも窓を開いていきたいということで、ソ連との国交調整を進められ、またソ連、中共その他との貿易の窓も開いていきたいと言っておられる今の内閣の外交の基本方針とも、いささかこの点で食い違いがあると思うのです。はっきりこういうような意図を持ち、それが事実こういう協定の内容を見ますと現われて参りました。この協定だけではなくて、この協定を通じまして――なるほど円では買える、買った金の一部はもらえる、借金はできるということですが、実はその輸入に見返る輸出が逆になってきていると思うのです。そういう点は何も共産主義諸国に限りません。日本の東南アジアに対する取引、またカナダ、アルゼンチンとの取引に対しましても、同様のことが言えると思うのです。そういう点について一体総合的な御判断をなさいましたかどうか。私どもはこの問題については、現内閣の外交方針と、アメリカの意図もしかることながら、これを受けました日本の政府のこの協定に対する御方針がいささか矛盾するものだと思うのです。御所見どうでございましょうか。
○重光国務大臣 これは非常に検討を要する問題であることはもちろんのことであります。検討をしたのでございますが、このアメリカの国内法の考え方をそのままこちらの協定に取り入れたわけではむろんないのでございます。協定において拘束力を受けておるわけじゃないと、われわれはその了解のもとにこれを進めたわけでございます。
○穗積委員 それはわかっております。私はそれを言っておるのじゃない。この条文が協定の中へ生きてオブリゲーションを持っておるということではない。だけれども、この線に沿って、そういう政治的な意図に沿って、そういう協定が、その結果が出ておる、こういうことです。それはあとで具体的に事務当局の方や農林省の方の話を伺いたいのですが、特に高碕長官について申しますれば、今の日本としては、輸入する場合には輸出のための利益も考えなければいけないと思うのです。そういう点で門戸を閉ざしておるということなのです。それがいみじくもこの協定に合致しておるということなのです。それは口で言っておる東西貿易の問題と矛盾している、こう思うのです。そういうことを言っておるんですよ。――条約局長にお答えいただく必要はない。この条文が協定のどこに生きておるかということを質問しているのではない。こういう政治的の意図が実現して、そのために今の政府の貿易政策なり外交政策と矛盾するのじゃないか、そういう根本の認識について外務大臣に特にお尋ねしておるわけです。
○重光国務大臣 アメリカの政策はわれわれの政策と必ずしも一致しないかもしれませんけれども、われわれの方で拘束を受けなければ、われわれの方はそれでわれわれ自身の政策を遂行し得る、こう思うのですが、そうならぬですかね。ちょっと条約局長の意見を聞いて下さい。
○下田政府委員 ただいま外務大臣からお答えになりました通りでございます。これは穗積委員もよく御承知のように、同じ条でアメリカからもらったものを共産側に渡してはいかぬということが書いてございますが、アメリカの議会に対して説明するアメリカ政府の考え方自体につきましては、日本は全然協定に触れておりません。これは日本の関知せざるところでございますから一つ御了承願います。
○穗積委員 私は特に両大臣にお残りいただきましたのでお尋ねいたしたのですが、本日はこの程度にして次会にまたお尋ねいたしますから、一つよろしく御協力をお願い申し上げます。
○植原委員長 久保田豊君。
○久保田(豊)委員 私は少しこまかい点についてお聞きをしたいと思うのであります。午前中のいろいろの御答弁の中で、この引き取る価格はほんとうのいわゆる国際マーケット・プライスだというお話でありましたが、これは少し矛盾があるように思うのです。日本は片方においては、普通のものを買う場合には御承知の通り国際小麦協定によって、実際には価格についてはある程度制約を受けておるわけです。ほんとうの国際価格だと実際にはそれよりもっと低いのです。最近はそうでもないが、たとえばカナダの小麦のごときはアメリカの小麦より安いのですよ。それで、何で実際にこの価格をきめられるのかということ、これが第一点で、どうもさっきの御説明だけではわからない。特にこれから先はこの点は非常に大きな変動もあろうかと思います。特に一九五四年法――この五十四年法でなくて、五十四年農業法によりますと、来年度から向うの平衡価格もずっと下ってくるようになっています。そういう場合にただ単なる国際のマーケット・プライスで買うといっても、実際に引き取る場合にはどういうふうな価格でとられるのですか。この点がどうもまだ納得がいかない。たとえば一九五四年法でも五五年以降については向うのパリティ指数もずっと落ちております。従って平衡価格も落ちております。従って支持価格もずっと少くなる、こういうことになる。それでも全体の国際価格よりはアメリカの国内の普通の市場の取引価格は高いはずです。ところが国際マーケット・プライス、こう言われる。それは何をさして言っておるのか、それをもう少し明確にしてもらいたい。そういう点で協定ができておるのかできておらないのか。大体交換書簡を見ましてもこれははっきりしていないのです。交換書簡の中の第一条に「協定第一条の規定に基き、及び第四条にいう「通常の市場取引」に基いて日本国が行う合衆国の農産物の購入は、世界市場における競争価格で行われるべきものと了解される。」こういうのがありますが、これはどういう意味か。今度買うものの意味ではないように思う。これは普通取引の場合の、つまり小麦協定に基くもののように思うが、この買い入れ価格の関係は実際にどうなっておるのかという点を第一点にお聞きしたいわけです。
○西山説明員 価格の点は、小麦につきましては御指摘のように、IWA、国際小麦協定の支持価格がございまして、アメリカ政府は輸出用に補助金を出しておるわけでございます。従いまして実質的には輸出用の値段というものは普通の、国際小麦協定の関係で買い付けますよその国の値段とも、本質的に換算しますとほぼ同じじゃないかと考えられるわけであります。しかしながら小麦につきましても、アメリカから買います小麦は、いわばソフト系の小麦でありまして、必ずしもカナダの小麦とは同一のものではないわけであります。またアルゼンチンから買います小麦は、またカナダあるいはアメリカの小麦とも品質を異にいたしまして、わが国におきます用途から見ますと、必要の向きが違うわけでございまして、そういう面から若干の価格差はございますが、品質あるいは値段その他の競争条件を考えまして、通常に輸入業者が、あるいは食糧庁がテンダーをいたします場合に、普通の買付をいたします場合と同じ考慮で値段の判定をいたすわけでございます。
○久保田(豊)委員 それではその次にもう一つそれに連関した問題をお聞きいたしますが、さっきちょっと御説明がありましたが、アメリカの一九五四年法がそのままこの協定には適用されないということを言っております。しかし大体アメリカの五十四年法が基礎になっていることは事実です。そこでたとえば余剰農産物に関する五十四年法をとってみますと「民間貿易経路が、民間所有の在庫品及び商品金融会社所有の在庫品の売却に関して最大限に使用されることを確保するため適当な措置を執ること。」この第百一条の(a)(b)等についてみますと、買う品物は、くどいようですが、CCCの蔵入れ品もしくは担保で取った品か、あるいは普通の市場品か、これと価格の問題が非常にひっかかってくる。それがもしCCC関係の品物でないということになれば、本年度にとれた市場品だけということになる。取引の対象になるものは、古いものは多少ありましょうが、アメリカの通常からいえば、古いものの大部分はCCCに入っておる、新しいものはない、この関係はどうなっておるか。このアメリカの法律の目的から言うと、どうしてもCCCがあれだけの品物を持っておって、それが全然日本にはやれない、この協定の対象にはしない、それでもって全然新しいCCCに関係のない、いわゆる一般の市場在庫だけを対象にするということはどうも考えられない。この点については何らかの話し合いができておるのか、あるいはどういうふうな協定になっておるのか、この点を一つはっきりお答えを願いたい。
○西山説明員 買い付けます今の市場の点につきましては、御指摘のようにCCCから買ってもよろしければ、CCC以外の普通のサプライアーから買ってもよろしいということになっておるわけであります。CCCの品物につきましては保管費だとかあるいは手数料その他がかさみますので、当然売払値段が高くなることは予想せられます。四百八十号の法律は初めにおきましては、普通のサプライアーがこの法律に基きまして、外国に余剰農産物の処理として売ります場合には、その売った部分につきましては、あとからCCCのストックから買い戻すという条項があったわけであります。そういう条項がありますと値段が高くなる関係もございますので、私どもといたしましてはアメリカ政府に働きかけて、そのような買い戻しの条項があることは非常に困る、競争価格で買い付けるという趣旨にも反するからということで交渉いたしまして、この買い戻しの条項というものは修正をされまして削除されたわけであります。従いまして現在の状況におきましては、価格は先ほど申し上げましたように、確実に競争価格であってよろしいわけであります。CCCの建値も必ずしも固定をしたわけではございませず、やはりマーケットの状況を見まして若干の上げ下げもあり得るわけでありまして、万一CCCのストックしか物がないというような場合におきまして、CCCのストックの売り渡し値段が非常に高くて、日本の普通の買付条件から見まして、きわめて不利であるというような場合には、もちろんわが国としては買う必要がないわけであります。
○久保田(豊)委員 それで大体わかりましたが、もう一つの点は、これも農林省にお伺いしたい。ことしのアメリカからの普通一般の買付分がまだ相当残っておると思うので、それにこれから六月から九月まで約五十万トンというものを新規に買い付けるということになると、ざっくばらんに言いまして、日本の買付が相当集中するわけです。そういう場合にこういう制約のもとで安く物が買えるか、この点に対する見通しはどうなのか、日本側の買付がある程度集中することになりはせぬか、こういう点が考えられるのであります。この点についてはどうかという点を一点お伺いしておきます。
○丹羽説明員 食糧庁の輸入計画課長でございますが、お答えいたします。先ほどいろいろお話もございましたが、アメリカから小麦、加州米等を普通の場合においても買付をいたしております。先般来いろいろお話の出ました通常輸入量というものは、アメリカの考え方では、昨年の七月からことしの六月までを考えております。先ほど数字の御指摘もございました程度の量は、普通の形におきまして、順次ことしの六月までにその程度のものは買っておるわけであります。従いましてアメリカとの関係におきましては、余剰農産物のこの協定の批准が得られますれば、これに基きます余剰分としての米の十万トンと、麦の三十四万トンないしグラントの八万トンを今後入れるわけでございまして、それ以外に船繰りなり、こちらの港の状況なり、需給事情を見て、自由の立場で私どもは輸入の方針を決定することができるわけでございますので、御心配のような点はない、かように考えております。
○久保田(豊)委員 それではこれから九月まで、あるいは十月まで普通輸入はしない、もっぱらこれは、協定された約五十万トン、これだけを買おうというのですか。
○丹羽説明員 私どもは、今後六月以降の期別の具体的な輸入計画は今立てておりませんが、目下のところは、アメリカから九月までの間に今申しました余剰農産物を運ぶといたしますれば、これ以上のものは大量には無理であろうと考えております。
○久保田(豊)委員 日本側の農林省としてはそういうお考えかもしれないが、その点についてアメリカ側とはっきり話し合いがついておるかどうか。というのは、この趣旨はあくまで一般普通輸入を圧迫しないようにするということが一番基本になっておる。日本が普通輸入の品物を九月なり十月まで一つも買わない、この協定のものだけを買おうということで向うが納得するものかどうかということが一つ非常に疑問になる。もう一つは、かりに九月までそうとしたとすれば、日本の三十年度の一般輸入の計画は、今度はそのあとにずっと買付は寄せてこなければならぬ、結果としてはそういうことになるのではないか、こういうふうに予想されるが、この点、アメリカとの間にどういう話し合いになっておるのか。あなた方の、今言ったように当分九月まではこの協定でもってできた約五十万トンだけを入れる、そのあとのものは、多少は入れるかもしれないが、入れないということでアメリカ側が納得するかどうか。これは必ず向うの市場に影響があると思うが、この点についてはどう思うか。
○西山説明員 ただいま農林省より御説明がありましたように、米につきましても、いわゆる通常輸入の分は大部分買付を済ましております。小麦につきましては完了いたしております。大麦につきましても買付は済んでおります。原綿につきましては約九万四千俵残っておるのであります。葉タバコにつきましては買付は完了しておるわけであります。従いまして、アメリカとの間では、通常輸入量と大体想定されます数量と、協定に基く数量は、買付条件、価格その他が一応満足であればわが方が買い付けるという約束になっておりまして、アメリカ側としましても、協定上のそういう条件を満足されまして、日本側が今後の期間に、残っております協上定の品目を買い付けることについては異議がないものと了解しております。もっとも一般のアメリカの小麦その他の輸出業者が、通常の輸出のものについて並行して買ってくれという希望を表明することは考えられるのでありますが、実際問題といたしまして、先ほど御指摘がありましたように、船賃あるいはリザーヴその他の点からいいまして、日本側といたしましては最も有利な条件で買い付けることが大きいねらいでございますので、この辺を考慮いたしまして適宜に考えるべきでありまして、何ら義務を負っていないわけであります。
○久保田(豊)委員 そこで買付の具体的な点を少しお伺いします。これによると民間の貿易通路で買うということですが、アメリカの方は日本によこす金を一応向うの輸出業者にやるということになっておりますね。それを日本の方では従来のような指定輸入業者が向うへ行ってどういうふうな格好で買うのか。そういう場合、アメリカ側の方でも輸出業者がやる以上は、相当なマージンを取られると思う。それと同時に、それに関連して、半分向うの船を使わなければならぬということになっている。船賃の関係あるいは保険料の関係、日本の商社を使う場合と比べてそういう点具体的にどうなっているか。そのやり方によっては向うは非常に有利な立場になりはせぬか、こういうことも考えられるのでお聞きしたい。
○丹羽説明員 買い入れの具体的な点につきまして御説明いたします。今御指摘の通り、通常の輸入経路をできる限り使用すると協定に書いてございます通り、私どもといたしましても、買い入れの実務面につきましては、食糧庁が一般の食糧を入れておりますやり方と全然同じやり方で輸入を行うつもりでございます。具体的に申しますれば、食糧庁が品質、買う場合の予定価格というものを定めております。そうして関係の業者に入札をさせるわけであります。その業者が相手方のシッパーとその条件の範囲内で日本に持って来れるかどうかということの商談をし、ととのえばそれを運んで参る、こういう形になるわけでございます。なお品質の点につきましても午前中御懸念がございましたが、食糧庁が入札を公示いたします場合、たとえば米につきましてはアメリカの農務省の規定のナンバー・ツー以上のものでなければならない、こういうふうに公示をいたしまして、その条件のものを輸入業者をして輸入せしめるわけであります。
○久保田(豊)委員 だいぶわかりました。そこで大きな点を高碕さんにお伺いいたしたいと思うのであります。全般として日本の食糧輸入は年々ふえております。二十九年度は二十八年度の凶作のあとを受けて、相当特別輸入をしているわけです。それにもかかわらず、三十年度はなおそれよりふえている。これは日本に特別に有利だというが、向うとしても非常に依存関係が強くなってくると思う。特に考えられるのは米でありますが、米のアメリカからの輸入は年々ふえている。それに今年は特に十万トンふえて、三十二万トン入れなければならぬ。その入れる大部分は、農林省の意図は、これが準内地米だというところにみそがあるのではないかと思うのです。その準内地米とアメリカでは一般にだんだん増産させている。しかもアメリカでは、準内地米の向けどこは日本以外にない。さっきの御説明では来年度は減してしまう、こういう景気のよいお話でありましたが、そんな景気のよい日本の情勢ではないと思う。アメリカの計画としましても、日本のいろいろな計画を総合して見ても、今後二年なり三年なりはどうしても続けることになると思う。そういうことになると、米の対米依存性といいますか――麦についてもそうでありますが、そういうものはある程度固定化してくる。ここ三年なら三年、あるいは一年なら一年きりであとはどこへ行ってもよいということは、口では言えますけれども、現実はなかなかそうはいかないと思う。向うは日本を目当にしてどんどん準内地米の増産をしている。その場合に、今の日本とアメリカとの全体の関係で、日本がそれにそっぽを向いてほかに行くということは考えられないと思う。そういう想定から行くと、この協定は全般としてそうですし、特に米の面についてはアメリカの日本向けの米の増産を刺激し、結局日本の食糧の少くとも米についての部分に大きく依存してくる、こういうふうに考えられる。特にそういう点から見て、片方においてはたとえばアジアその他の各国からの米の輸入が非常に窮屈になってくる。ことに将来中国との間における米や何かの問題に対して、これが非常に大きな障害になると私どもは考える。現実にアメリカで日本向けの米の増産が大きくなった場合非常に大きな障害になってくる。しかも今の日本とアメリカとの全体の政治関係や経済関係のもとで、日本の身動きできない関係が必ず出てくる。そういう点があるからこそ、米や何かの輸入については、当初農林省の方にも相当難色があったということを聞いておる。これらについては、今の内閣がいつまで続くかわかりませんが、これは一内閣の責任の問題ではありません。これは日本の貿易なり経済構想なり全体にひっかかる大きな問題だと思うのですが、これについてはどういうようなお見通しと判断のもとでこういうことをされたのでありますか。特にアメリカから日本に米を入れることについては農林省にも相当反対があった。それを押し切ってなおかつ、こういうことをやられた根拠、これを一つお聞かせ願いたいと思う。
○高碕国務大臣 ただいま久保田さんの御質問の点は私も全く同感でございまして、米の輸入ということはよほど考慮しなければならぬ問題であると思います。昨年十万トンとるということになりましたのは、七割を長期に貸すとかあるいは三割をどうするとか、いろいろないきさつの結果十万トンをとったのでありまして、十万トン米を入れるということにつきましては、昨年来政府は相当心配して、いろいろな点から考慮して決定されたということは事実でございます。いわんや今後こういう問題になりますと、よほど米の問題は考慮しなければならぬ。ただいまのお話は私も非常に同感でありまして、現在の世界の米の産額を最近の情勢において見ますと、世界どの国も米はやはり減っておるようであります。ひとりアメリカだけがふえておるというようなことは、そういうふうな御懸念のある点があると存じまして、私どもも今のお話のことはよく考慮に入れまして、将来のことは考えていきたいと存じております。
○久保田(豊)委員 もう一点高碕さんにお伺いをいたしますが、アメリカの方の使用分の使い方については、政府との間にすでに話し合いがついておるのではないかと思います。日本の方で約六千万ドル、アメリカの方が九十二億円くらいこっちで国内の円で積んで使う分があるわけです。これは将来にいろいろ問題があると思いますが、このうちで少くとも七億二千万円を米国農産物の新市場開拓のために使うことになっておる。さっきのあなたの御説明では、アメリカ産の麦をうまく食わせることやマカロニを食わせるために日本で使うというのだが、この七億二千万円というのはおそらくビキニの補償金より大きい。それだけのものがアメリカの農産物――農産物といっても主として余剰農産物を日本に食わせる、日本における新市場の開拓に使う。これがどんなふうに使われるか、貿易の関係はどうあれ、国内の食糧事情というものはアメリカ一辺倒になってしまわざるを得ないと思う。しかもこれが毎年こういうところに使われて、今後三年も四年も、食糧は何でもアメリカからということになったら、非常に悪い影響を与えてくると思う。少くとも食糧ないしは農業を中心とした日本の経済自立を考える場合には、今まで政府がいったような経済自立だ、食糧自給だというような方向とは、実はまるで逆な方向を歩まざるを得ないようなことになってくる。具体的にはこの七億二千万円というものはどういうふうに使われるのか。これは全くアメリカの自由になっておりますが、これはいわば宣伝費です。これが作用することによって、日本の国内の農産物市場に相当大きな影響があると思う。これらについては全然野放しで向うに使わせるというのか、あるいは日本の政府としてもこれについては相当大きな発言力を持っておるのか、具体的に何に使うのか、これを一つお示しを願いたい。
○高碕国務大臣 ただいまの御指摘の点は、私どもよほど考慮しておる問題でございまして、アメリカとの協定においては、日本の経済に対して大きな影響を与えないということが根本の原則でありますから、日本の経済に差しさわりのあるようなことに使われると困る、将来の日本の食生活の改善のためにそれを使用してもらう。同時に日本の人を外国へやる、またアメリカの人がこっちへ来る、その米国及び日本の公務員及び事業家の交換、訪問のために使用されるというふうなことが協定の本文の中に入っておるわけであります。できるだけ今の御趣旨に沿うように今後折衝を進めていきたいと存じておりますが、まだ具体的にどうというようなことは取りきめをいたしておりません。
○久保田(豊)委員 今のお話では私は不十分だと思う。そのようなアメリカへ行くための経費は別にこのうちから二億七千万円とってある。今の七億二千万円というのは国内の、アメリカの農産物の市場開拓のためにだけ使われる。これがどう使われるかということは、具体的に御相談がないということですが、あるいは一部ではこれを今度はいよいよ具体的な方策として、中学校の子供に給食なり何なりを始める経費に使うのではないかというようなうわさまで飛んでおります。そういうことになりますと、これは相当大きな問題に実はなろうと思います。この点をもう一度お伺いしたい。
 それからこの九十二億のうちで一番大きなものは、共同防衛のための軍事装備、資材、施設並びに役務の調達が六十一億二千万円、それから第三国のための物品購入または役務の調達に関する融資として十九億八千万円、大体こういうことに協定がなっておるようです。これは具体的にどういうふうなものに使われるのか、この点についても、日本側は何か発言権があるのかないのか、この点を一つ御説明をいただきたいと思います。
○西山説明員 各項目の使途につきましては、協定の本文におきましては、形式上四百八十号の法律の各項に掲げられておる使途についての表現を取り入れてありますが、具体的な使途につきましては、日米の交換公文によりまして、しぼってあるわけでございます。御指摘の千七百万ドル相当の共同防衛関係の使途と申しますのは、日本におきまするアメリカの軍人軍属の宿舎の建設に充てることに、日米間で了解がなっておるわけでございます。
○久保田(豊)委員 それではもう少しこまかい点をお伺いいたしますが、贈与分の五十四億円、これは贈与ということですからただだ、こう思うのですが、これに対して農林省の方ではこれをどんなふうにお扱いになるのか。大体において小麦が八万トン、それから脱脂粉乳が七千四百トン、こういうことになっておる。ところがさっき文部大臣はこの経費はただでやるのじゃない、多少金をとって学校の給食施設をやるのに使うのだということを言っておりましたが、これは具体的にどういうふうに――管理費その他を加えたもので、実際の給食にただでやるのか、この点がはっきりしない。というのはなぜかというと、これによって八万トンの小麦が来るわけです。むろん加工費や何かは要ります。要りますが片方農林省としては一般会計から約十六億の学校給食費というものを見ておられます。これは大体学校でパンをくれる、麦をやる、その場合の半額を補助するということになっておる。ただでもらったものにさらに加えてやるということはおかしな話です。これはどういうふうに使われるか、しかも学校給食計画によりますと、二十二グラムが幾らといってちゃんと父兄から金をとることになっておる。この金も相当に入るのではないか。ただもらったものを、しかも政府が半額を出してやるということは、どう考えてもそろばんが合わないことです。それからもう一つは脱脂粉乳ですが、全部でこれによると贈与の分が七千四百トン、これを農林省の計画によるとポンド当り八円八十銭の計算になっております。これはどういうところから出ておるのか。さらにこれもおそらく条件がついておると思いますが、CCCの脱脂粉乳を一万トン入れることになっておる。これは十八円幾らということでもって大体予算に計上されておる。両者合せて約七億ばかりになる。そのほかにことしは日本の国内の脱脂粉乳を二千トン――単価はポンド当りが七十八円ぐらいになる。そこで高過ぎて困るからというので、政府として六千六百万円の補助金を出しておる、こういう計算だってどうしてもわれわれはその間の経緯がわからない。その後この協定ができることによってこういうふうに変ったのだ、変ったとすれば食管会計なり一般会計は、その変った面については、はっきりと訂正をしなければならぬはずです。さっき文部大臣が言ったように、ここでは多少金をとるが、金の余わたものは何にするかと言ったら、学校給食の施設を作るようにしよう、あるいは酪農の施設を学校と結びつけてやると言う。これは高温殺菌の施設のことだろうと思いますが、その方に使おうということは全く予算書にないことなのです。この点についてどんなふうにやられるつもりか、この点がはっきりしない。これは一つはっきり説明を願いたい。
○西山説明員 贈与分の取扱いにつきましては、現在米国側とまだ細目の点につきまして話し合い中でございまして、最終的に決定いたしていないわけでございます。しかしながら一応の考え方といたしましては、向うの贈与を受ける方法といたしましては、アメリカの舷側渡しまでがただになっておるわけであります。従いまして日本側としましては船賃を負担しなければいけないわけでございます。それからもちろん国内の輸送費その他諸掛りも負担せざるを得ないわけでございまして、完全にただになるわけではないわけでございますが、考え方といたしましては、なるべくこの贈与の趣旨を生かしまして、現在の学校給食法で配給しております児童及びそれに加えまして保育所の児童、あるいは学校給食の適用を受けております範囲を若干拡大いたしまして、この贈与分を加えました拡大した活用方法を考えておるわけでございます。
○久保田(豊)委員 それだけの説明じゃわからない。もしそういう計画があるなら、収支を明細にしたところの計画をはっきり出してもらいたい。特に今八万トンのものがただ来ておる。そのただ来ておるものは、それに多少船賃も要るといったって、これは単価に割ってみたら少いものだと思います。そんなに高いものであるはずがない。それがどうして農林省としては、それにさらに十六億何がしの補助金を出さなければならぬか、この点も説明してもらいたい。
○丹羽説明員 学童給食の関係につきましては、細部的には目下打ち合せ中でございまして、まだ結論を得ておりませんが、今御指摘の点につきましては、次のような関係に相なっております。それは在来八万五千トン程度のものにつきまして十数億の補助金を出しまして、学童給食を実施いたしております。今度贈与で参ります八万トンは、その外に合計十数万トンの学童給食の計画をいたしております。そこで贈与分の方の八万トンにつきましては、今外務省の方から御説明いたしました通り、コストとしては、アメリカからの海上運賃、港における諸掛り、あるいは国内の運送賃等を見るわけです。それから在来やっておりました方につきましては、もちろんその政府の売り値と補助金との関係で、原価がきまって参るわけであります。両方を総合したものが全体としてのコストになるわけであります。そういうコストのかかったものを、どういう値段で、どういう方法で、最終的に学童に配るかというその具体的細目につきましては、今打ち合せ中でございます。
○久保田(豊)委員 そうしますと、大体今度の贈与分が八万トン入ってきたから、学校給食のワクを今までの倍にするというわけですね。そこで高碕さんに伺いますが、これには五十何億の金がかかる。拡充されたものが、一年でもって来年は都合が悪ければ打ち切られるというようなことが、今の財政事情からいってできますか。来年は都合が悪ければ切ってしまう、来年はアメリカとの関係を切ったから、学童給食を締めてくるという、そんな目先のきかないことならやらない方がいいと思う。一年ばかりアメリカの余ったものをもらって学校給食をやってみて、来年は工合が悪かったらやめてしまうということになれば、学校給食のワクを狭めなければそれだけの財政負担をしなければならぬということになるが、そういう見通しについてはどうですか。この点を伺いたいと思います。
○高碕国務大臣 今の御指摘のような点がありますから、どの点において日本は損をするか、どの点において益をするか、あれやこれやをよく考え合せて、最大公約数でこれは利益になるということならきめるわけでありまして、最大公約数で悪ければやめるわけでありますから、その点は御了解を願いたいと思います。
○久保田(豊)委員 なお追及するようですが、学校給食の問題は、麦だけならいいが、脱脂粉乳も入ってくる。これは今年の協定では七千四百トンがただで入ってくるが、それだけでは今年のように学校給食のワクを大きくするためには足らないから、一万トンの脱脂粉乳をアメリカから入れることになっているが、これはひもつきではないかと思う。片方においては、安いものを学校給食にやらなければならぬという点で、大体において一万トン入れると思うが、片方においては、アメリカの方からいえば、今アメリカは脱脂粉乳を持って困っておりますから、政府の説明によれば、CCCですか、ひもつきで一万トン――一万トンというのは大きなものです。日本内地の脱脂粉乳の総生産量からいうと非常に大きいものだ。一万七千四百トンは大体三百五十万ポンドくらいです。そうすると、日本の一年間にできる脱脂粉乳の三分の一以上、場合によれば四割にもなりますが、こういうものがひもつきで入ってくることになります。しかもこれが片方はおそらく運賃だけで八円八十銭、片方は運賃か何か加えたのでしょうが、とにかく十八円幾ら、日本のものはどんなにやっても七十八円、それでしようがないから六千六百万円の補助金をやって二千トンしか使わない。ここでこんなことを言う必要はないが、学校給食分として入ってきたところのCCCなり、あるいはこの贈与分の脱脂粉乳が、やみに流れていることは事実だ。これが日本の乳価を圧迫する大きな原因です。そういうもとを作るようなことをしている。この点については、もっと何かほかに考え方がありそうなものだ。ざっくばらんに言いまして、今日本の酪農家は四苦八苦の状態です。その一つの大きな原因は、アメリカの過剰乳製品が入ってくることだ。特にその過剰乳製品が現実にくるのは、この学校給食分です。この贈与分のこの協定が土台になってCCCのものが入ってきて、これが酪農家圧迫の大きな原因になっているのは事実です。なるべく安いものを取って安いものをやることはわかりますが、ここらに何か方法はないか。これらについては、どういうふうなお考えを持っておるか。この点が断ち切れない限り、日本の酪農の危機は根本的に去らないと思う。この点については、どういうふうにお考えになりますか。
○高碕国務大臣 ただいまの久保田さんの御指摘の問題は、かつて農林大臣からも、アメリカから供給された脱脂粉乳がやみに出ていて、これが日本の酪農に非常な打撃を加えているということはよく承わっておりまして、各方面からよく聞いております。このことにつきましては、どうしても、いかなる方法を用いても、これが今後やみに出ないで、学童に給食して、そうして学童を牛乳に親しましめるということの根本の趣旨に、もとらないように十分努力することに努めたいと存じます。
○久保田(豊)委員 最後に結論的に申し上げますが、高碕さんは、総合的に、最大公約数でこれを入れることが、日本の国民経済全体のプラスだ、こういう判断からことしはやった、来年もそういう判断が出ればやるつもりだ、こういうお考えのようですが、政府全体がそのように思っておられるようです。部分的にはいろいろありますが、これが全体として日本の農業に対する非常に大きな圧迫材料です。これがあるからこそ、今の政府が、今のような無責任ないろいろの政策をやれる。これがなくなれば、今のような無責任な米価の問題についても、あるいは集荷の問題についても、あるいは増産の問題についても、あらゆる問題についてもっと私はうまく行くと思います。なるほどあなたのように目先勘定をすれば多少得になりましょう。しかしながら、大きな目から見れば、日本の国民経済の基礎であるところの農業というものが根本的に破壊されることになる。アメリカに対する従属ということを深めることによって日本の農業の独立性がなくなる。この点が下手に行けば将来においては、フィリピンの農業のような植民地的農業になる危険性を持っている。畜産などはっきりそうです。こういう点を十分に洞察をされて、さっき穗積委員が言われたように、世界の全体の農業市場との関係、この状況はどうなるかを考え、そうしてその中で日本が全体として輸出貿易を盛んにし、その引き水としての農産物の、いわゆる食糧の輸入ということを、日本の農業なり日本の経済全体の自立との関係において総合的に考えられなければ、日本の経済のほんとうの自立はできないと思う。こういうふうにざっくばらんに言えば、これによって一部の人たちはいいかもしれないけれども、私たち少くとも日本の農民は、あるいは国民は、基本的な意味において、ちっともこれによってプラスになっていない、大きなマイナスをしょってくることになりますが、こういう点について高碕さんはどんなふうな見通しを持っておいでになるのか。あなたが、来年工合が悪ければ打ち切ると言うその根拠は、この圧迫があるからだと私は考える。それ以外にはあなたがびくびくされるようなことはないと思うが、この点についてはどんなふうにお考えになっているか、これを最後に総合的にお伺いして私の質問を終りたいと思います。
○高碕国務大臣 農業方面に非常な御経験と御造詣のある久保田さんの御意見としてこれが出ることは、ごもっともだと私は存じます。しかし、日本全体の経済をまかなっていくという方面から考えましたならば、これはまだまだ考慮すべき点があると存じますが、しかしただいまの御意見は非常に有力なる御意見として、今後の施策をとります上において有力な参考といたしたいと存じます。
○植原委員長 明日は外務、農林の連合委員会を午前十時から開くことになっております。詳しい日程は公報をもって御報告いたします。
 朝以来の委員諸君の御努力に対しては非常に感謝いたします。
 今日はこれにて散会いたします。
    午後六時五分散会