第022回国会 内閣委員会 第28号
昭和三十年六月二十七日(月曜日)
    午前十時四十一分開議
 出席委員
   委員長 宮澤 胤勇君
   理事 高橋 禎一君 理事 辻  政信君
   理事 床次 徳二君 理事 江崎 真澄君
   理事 高橋  等君 理事 森 三樹二君
   理事 田原 春次君
      大村 清一君    林  唯義君
      保科善四郎君    眞崎 勝次君
      粟山  博君    山本 正一君
      大坪 保雄君    小金 義照君
      田中 正巳君    田村  元君
      福井 順一君    船田  中君
     茜ケ久保重光君    飛鳥田一雄君
      長谷川 保君    中村 高一君
 出席国務大臣
        内閣総理大臣  鳩山 一郎君
        外 務 大 臣 重光  葵君
        国 務 大 臣 杉原 荒太君
 出席政府委員
        内閣官房副長官 田中 榮一君
        法制局長官   林  修二君
        総理府事務官
        (恩給局長)  三橋 則雄君
        防衛政務次官  田中 久雄君
        防衛庁次長   増原 恵吉君
 委員外の出席者
        専  門  員 龜卦川 浩君
        専  門  員 小關 紹夫君
        専  門  員 安倍 三郎君
        専  門  員 遠山信一郎君
    ―――――――――――――
六月二十七日
 委員石橋政嗣君辞任につき、その補欠として長
 谷川保君が議長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
六月二十五日
 恩給法の一部を改正する法律の一部を改正する
 法律案(高橋等君外百十一名提出、衆法第二八
 号)
同日
 恩給法の一部を改正する法律の一部を改正する
 法律案(山下義信君外三名提出、参法第一二
 号)(予)
の審査を本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 恩給法の一部を改正する法律の一部を改正する
 法律案(高橋等君外百十一名提出、衆法第二八
 号)
 国防会議の構成等に関する法律案(内閣提出第
 一〇〇号)
 自衛隊法の一部を改正する法律案(内閣提出第
 八一号)
 防衛庁設置法の一部を改正する法律案(内閣提
 出第八二号)
 防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案(内
 閣提出第八三号)
    ―――――――――――――
○宮澤委員長 これより会議を開きます。
 国防会議の構成等に関する法律案、自衛隊法の一部を改正する法律案、防衛庁設置法の一部を改正する法律案及び防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案を一括議題とし、質疑を継続いたします。中村高一君。
○中村(高)委員 総理大臣がお見えになりましたから、今まで同僚の委員諸君から質問をされておりまする国防会議の問題につきまして御質問をいたしたいと思うのであります。
 この法案につきましては概括的な各党の質問がありましたばかりであって、まだ国防会議の詳しい構成の内容等についてはあまり質問はされておらないのでありますけれども、御承知のような現状では、予定されました会期も本月一ぱいで終ることになるのでありますが、このような重要法案が――他にもまだ審議中の重要法案等も相当ございますので、予定された会期といたしますと、国防会議法案のようなものはとうてい終る見込みがないとわれわれは考えておるのであります。これから逐条的にこまかい質問などが継続されるといたしまするならば、衆議院を通過することだけでもなかなか困難であるという情勢にあるのであります。今後の審議につきましてもわれわれは考えなければならぬのでありますが、会期につきましては、この国防会議の法案を通すだけの時日が現在においてはないように思うのであります。内閣としては、この法案ばかりでなくまだいろいろの重要法案等もございますが、今後の審議につきまして会期をどういうふうにしてこの重要な案件を通そうというお考えでありますか、これをまずお聞きをいたしましてわれわれの審議の資料にいたしたいと思いますので、この点をまずお尋ねいたしておきたいと存じます。
○宮澤委員長 ちょっと質疑者に申し上げますが、総理大臣は着席のまま答弁をするので御承知願います。
○鳩山国務大臣 会期をどのくらい延長するかはただいまのところまだ決定いたしておりませんけれども、相当の期間延長して、重要法案は全部協力によって可決していただきたいと考えております。
○中村(高)委員 相当期間会期を延長しなければならないというのは、われわれも考えていろいろ議論をいたしておるのでありまするが、もし会期が延長にならないとすれば、今審議を継続いたしましてもとうてい通る見込みはないのであります。国防会議というような問題は、必ずしも今どうしても通さなければならないほどの差し迫った重要性はないと私たち考えておるのでありまして、会期によりましては急ぐ必要もないことでありますし、また十分に審議の時間をとって、こういう重要法案が後日日本のために支障になるような法律であるとするならばわれわれも考えなければならぬことでありますが、相当の会期を延長しなければならないというただいまの御答弁でありますけれども、相当というのは大体お考えになっておられるのだと思うのであります。一カ月も二カ月もお延ばしになるわけでもないと思うのでありますが、相当というのをもう少し具体的にお話を願わぬと、やはりわれわれの審議の都合があるのでありまして、急いで参議院に送らなければこれが通らないということになれば、またわれわれはその考えをしなければなりませんが、相当というのについてもう少し具体的な御答弁が願いたいと存じますが、いかがでございますか。
○鳩山国務大臣 御審議の経過を見ませんと相当という期間の判定がまだできません。御審議の経過によりまして、相当という期間について御相談をしたいと思います。
○中村(高)委員 審議の経過は、現状においてはあと四、五日しかないのでありますからして、とうてい終らないということは明らかでありますけれども、そうすると会期の延長をなさることの御決定はいつごろになるのでありますか。
○鳩山国務大臣 会期は国会でおきめになるのでありますが、政府の意見としてはもう少したちましてから決定いたしたいと考えております。
○宮澤委員長 中村君、外務大臣が見えていますから、この間に飛鳥田君に一つお願いいたしたいと思います。飛鳥田君。
○飛鳥田委員 外務大臣にお伺いをしたいと思います。先般総理大臣にお伺いをしましたときに、安全保障条約、行政協定、こういう諸条約、協定があるにもかかわらず、原子爆弾を日本へ持ってくるときには、アメリカと日本の双方の同意がなければ持ってこられない、こういう話し合いがついている、こういうふうに総理大臣から御答弁がありました。そこでさらに詳しいことを伺おうといたしましたところ、それは専門の外務大臣に伺ってくれということでありましたので、伺いたいと思いますが、そういう合意がいつ、だれとだれとの間にでき上ったのか。すなわち重光さんとアメリカの軍人個人とが友人として話し合ったということでは何にも意味がありません。総理大臣がそういうふうに委員会に御報告になる以上は、当然明確な国と国との話し合いがあったはずであります。従ってだれとだれとの間にいつ、どこでそういう協定あるいは覚書ができたのか、話し合いがあったのか、こういうことを第一に明らかにしていただきたいと思います。
○重光国務大臣 御質問の要点は、アメリカが日本を原爆の基地にする意向があるかないか、ないということはどういう根拠によって言えるか、こういうことに帰着すると思うのでございまして、総理の御答弁を伺いましたが、その通りでございます。私もちょっと調べて参ったのでございますが、五月二十五日に衆議院予算委員会で、行政協定、安保条約においてはそれによってアメリカが自由に原爆を持ち込み得るのじゃないか、また従ってあるいは持ち込んでおるのじゃないかというような問題がございました。私ははっきり答えておきました。安保条約及び行政協定からは原爆を日本の承諾なくして持ち込み得るということは出てこないのだということを申し上げておきました。そしてさらに原爆を持ってくる場合においては、米国側が日本の承諾を取り付けて持ってくるだろうということを申し上げる理由がある、こういうことを申し上げておきました。その通りでございます。米国側は日本の承諾なくして原爆を持ち込むという意向のないことをそれまでにも承知をいたしておりました。しかし今せっかく、それじゃはっきりしたアメリカ側との話し合いを一つ申せということでございます。そこで、私はその後さようなことについてはさらに十分明瞭にしておく必要があると思いまして、これは五月二十五日の予算委員会でございましたが――私は五月三十一日に米国大使とこの問題について話をいたしました。その話の結果はこういうことでございます。アメリカ駐留軍は日本において原爆を保有しておらぬ、持っておらぬという事実が第一点であります。それは五月二十五日にも私は申しておきましたが、その通りでございます。そして、なお将来原爆を持ち込む場合においては、原爆を持ち込まなければならぬような国際情勢になると仮定しても、その場合は日本の承諾なくして原爆は持ち込まないのだ、こういうことを議会に対して私がはっきり申しても差しつかえないということでございました。そこでこれは米国の大使と私とのさような一つの交渉でそう言ったのでありますから、これは国と国とのはっきりした意思表示があったわけであります。それで今日は二十五日に私が説明申し上げておいたよりも、さような事実によってさらに明確に御答弁申し上げることができる状態でございますことを御報告申し上げます。
○飛鳥田委員 非常に大事なことですから、それでは繰り返して伺っておきますが、五月の三十一日に、アメリカ合衆国を代表しているアメリカ大使と、日本を代表しておられる外務大臣であるあなたとが話し合った結果、現在日本には原爆に持ち込んでいない、将来原爆を日本に持ち込む場合には日本の同意なくしては持ち込まない、こういうことを約束せられた。そういたしますと、その約束は安全保障条約、行政協定についてこの解釈に疑義があるものを一掃するもの、こう私たちは解釈をするのですが、そう解釈してよろしいですか。
○重光国務大臣 今話し合いの結果は一つ私の言葉によって了承していただきたいと思います。原爆は今日持っておらない、それは今あなたの言われた通りであります。将来は日本の承諾なくして持ち込まないとこういうことであります。持ち込む場合はと、場合の予想はいたしておらないわけであります。それから行政協定、安保条約の疑義を一掃したわけではございません。私たちは行政協定、安保条約について疑義を持っておりません。原爆を持ち込むという予想をその条約によってしておりませんから、そこでもしそれについて理論的の疑義があるとしたならば一掃した、こう考えられても差しつかえないわけでございます。
○飛鳥田委員 それは文書によるものではありませんね。
    〔「文書によらなければだめだ、口頭では意味ないよ」と呼ぶ者あり〕
○重光国務大臣 文書によるものではございません。しかしその効力は同じことであります。
○飛鳥田委員 今後こうした問題については、内閣もかわることでしょうし、人もかわりますから、できるだけ文書にしておいていただきたい。そのような努力を御注文申し上げます。
 そこで今度は総理大臣に一つだけ伺いたいのですが、先日わが党の森委員から関連質問がありましたときに、防衛出動をする、その防衛出動は侵略を受けたときに限る、こう総理大臣はお答えになりましたが、総理大臣は自衛隊法の第七十六条をいつ変更せられたのか、これを伺いたいと思うのです。防衛出動に関する自衛隊法の第七十六条は「内閣総理大臣は、外部からの武力攻撃(外部からの武力攻撃のおそれのある場合を含む。)に際して、わが国を防衛するため必要があると認める場合には、国会の承認を得て、自衛隊の全部又は一部の出動を命ずることができる。」こういうふうに明確に書いてあるわけです。ところが先日の御答弁では、外部からの武力攻撃のおそれある場合は出動させてはならないという御答弁でありました。この点について、総理大臣は明確に自衛隊法第七十六条を否認せられるつもりなのかどうかをこの際伺っておきたいと思います。
○鳩山国務大臣 防衛出動の命令は、今言われる通りの場合に出せるのでありますが、現実に武力攻撃をするのは侵略を受けた場合にするのだという意味で答えたのであります。
○飛鳥田委員 あまり私頭が悪過ぎてわからないのですが、もう少し明確に話していただけませんか。防衛出動をする場合には七十六条に基くのだけれども、現実にはやらない、こういう意味に受け取れるのです。そういたしますと、法律はこう書いてあるけれども、自衛隊の現実の運用についてはあなたの考え方に従ってやる。従って外部からの攻撃のおそれのある場合はどんなことがあっても出さない、こういうあなたの御決意のほどを披瀝された、こう考えていいですか。
○鳩山国務大臣 現実に武力を行使する場合は、やはり侵略を受けた場合にするのだという意味で答えたのであります。それでいいと思います。
○飛鳥田委員 そうしますと、七十六条の出動というやつは、現実に武力を行使しない、行ってただ立っているだけだというのですか。
○鳩山国務大臣 防衛出動の命令は、法律に書いてあることはあなたのおっしゃる通りでありますから、防衛出動の命令は、あなたのおっしゃる通りに出せると思うのでありますか、現実に武力を行使するときには、現実の侵略がなければできないと私は考えます。
○飛鳥田委員 その辺をもう少し具体的に話していただけませんか。あなたのおっしゃることがあまりよくわからないのですが……。
○鳩山国務大臣 私は自分の言ったことが正しいと考えます。
○飛鳥田委員 まあそんなことであなたと水かけ論や、こんにゃく問答をやってみたところで意味をなしませんか、少くとも一国の総理大臣が行動をせられる場合に、もっと明確な――法律の解釈についてもかくのごときあいまいさを持たない、疑義を生ずる余地のない考え方を持っていただかなければ大へんであります。出て行く者は自衛隊の諸君であり、そしてまたそのことの結果、いろいろの障害が生じ、この被害を受ける者は日本国民であります。総理大臣一人ではありません。そういう点で、こういう点についてはそれでいいのだと思うというような不確かなことでなしに、もっと明確なことをやっていただきたい。ここは単なる言葉のやりとりをしているところではありません。そこで、こういう出動を命ずることができるということは、すなわち戦うということです。戦うためにでなければ出動する必要がないわけです。従って、あなたのおっしゃるように出動するということと戦うということとをわけてしまって、二段にわけて、出動はおそれのある場合も命ずる、けれども現実に戦う場合には武力侵略のあったときだけだ、こういうような考え方では働く人が、出て行く自衛隊の人がたまらないわけです。この七十六条の防衛出動ということは、すなわち武力侵略のあった場合、そのおそれのある場合、こういう場合にはあなたが出動を命令して――国会の承認を得て命令してそれを防がせるということでなければならないのです。ほかの条文を見ましても、出動はさせた、それから戦闘命令を出すという二段構えの建前には法律はなっていませんよ。こういうことを無理に出動と戦闘と二段にわけて、あなたが二段の指揮をするというような考え方をするのは三百理屈ですよ。この間の御答弁は、実は防衛出動の七十六条をちょっと失念したのだ、こういうふうに御答弁になるなら私はそれで了承します。あるいはまた国連憲章の五十一条は、現実に武力侵略を受けたときだけしか自衛権を行使できない、こういうふうに言っている。あなたは国連の精神を尊重するのだ、こうおっしゃるなら、それもそれで私は了解します。あなたのお立場として了解いたします。しかし今のように、出動と戦闘とを二段にわけて、二段に指揮できるような三百理屈は私はちょっとうなずけないのです。もう少し明確に御答弁いただきたい。
○鳩山国務大臣 私は、こういうような条文は、戦闘行為をできるだけ避けるために制限的に解釈する方が安全だと考えております。
○森(三)委員 関連……。総理にお伺いします。あなたが大分制限的に解釈するというそういう御趣旨はよくわかりますが、しかし私は、総理は防衛庁法に基きまして陸海室の自衛隊を指揮監督する重大な責任にあるわけです。その方が、こうしたところの出動に関して根本的な理念というものを明確にされなければ、国民は重大な危殆に瀕すると思うのです。それならば、武力攻撃のおそれある場合を含むと明確に規定された場合に、それでは何のために出動さすのか。現実に日本の国土に対する侵略があるという想定のもとに出動を命令する、その出動した部隊は、それでは侵略が日本の国土に急迫をしてきている、そうした場合において何のためにあなたは出動命令をされたか、またされるであろうか、それを明確にお尋ねしたいのです。
○鳩山国務大臣 出動は戦闘の準備のため、侵略の準備のためです。侵略を防ぐため、準備のため、戦闘行為とはおのずから違います。(「侵略の準備では困る」と呼ぶ者あり)防衛の準備のため……。そういうふうに言葉じりをとらえないように……。
○森(三)委員 そうしますと、侵略を防ぐ準備とおっしゃる……。
○鳩山国務大臣 侵略の防衛のためですよ。
○森(三)委員 侵略の防衛のためだとおっしゃる。そうしますと、その出動した部隊が、現実に海上なら海上を、相手国がだんだんと日本国土侵略の様相を現実に呈しておった。ところがあなたが出動させたところの部隊は、つまり準備だけしておって、そしてあくまでも準備の態勢であって、現実に武力行使することができないのですか。出動ということは現実に武力行使することを想定して、それを前提としてなされる場合が相当多いのではないかと思う。現実に向うが海を渡って侵略を行いつつあるという場合におきましても、あなたはあくまでも準備であってよろしいのかどうか、その点を明確にされたい。
○鳩山国務大臣 相手国が侵略してこなければ、戦闘行為はできないと考えます。
○森(三)委員 しからば「外部からの武力攻撃のおそれのある場合」とはいかなる場合を指すのか。現実に仮定いたしますと、日本の国土に対して相手国が艦艇を出動してきておる。そういうような場合に、それならば日本の自衛隊があなたの命令によって出動をした。そうして現実に出動した場合に、そこに必ず衝突というものが起るだろうと思います。あなたの理論からいうならば、あくまでも準備であって、その場合において向うの相手国がそこでもって攻撃を開始したという場合においても、これに対してこちらがこれを阻止するために適当な応戦態勢とか、武力を行使することができないという理論にならざるを得ないと思うのであります。そうした問題につきまして、総理は出動ということに対しては、やはりそこに武力行来というものが前提になるのではないかと思いますが、その点明確に御答弁願いたい。
○鳩山国務大臣 相手国が侵略行為をなしたかなさないかという事実の判定は別でありますが、相手国が侵略行為をしない場合に、戦闘行為に出るということは、私は不都合だと考えるのでてります。
○森(三)委員 あなたの理論はいくらたっても現実の問題に解決を与えておらないと私は思う。相手国が武力攻撃のおそれを与えておる場合において出動ずる。そうして現実にそこでは衝突行為が起きる場合があり得ると思う。そうした場合に、あなたの理論からいうならば、現実に海上その他日本の国土を離れた場所において、戦闘が開始される場合もあり得ると思うのでありますが、総理の御見解によるならば、現実に攻撃をされましても、あくまでも準備の態勢であって、わが国の自衛隊としては、これを阻止することができないという理論が私は生れてくると思います。その点に対して御答弁を願いたいと思います。
○鳩山国務大臣 あなたの御質問のように現実に、侵略をしてきた場合にも、これはおそれのある場合だというわけにいきません。現実の侵略行為に出れば、これはもう武力行使をしたものでありますから、戦闘行為が起きるのは当然であります。それはおそれのある場合という域を脱しています。それですから、あなたの御質問自体においても、武力行使を現実にしておいて、それがまだ侵略行為でないということはいえないと思います。
○森(三)委員 そうしますと、先般総理が私に対してお答えになりましたように、武力攻撃というものは、すなわち日本の国土に対して現実に行われた場合でなければ、日本の自衛隊は武力行使ができないのだというような答弁をされる、そこに大きな矛盾があると私は思うのでありますが、この点はいかがですか。
○鳩山国務大臣 私は矛盾はないと思います。おそれがある場合に武力行使をしてもいいというのであるならば、憲法違反の疑いがありますけれども、現実に侵略行為をしておいたときには、日本の自衛権というものは当然にするものと思います。
○森(三)委員 総理の先般のお答えは、現実に日本の国土において侵略が行われた場合において、武力行使ができるんだ、このように御答弁になったのですが、それではこの七十六条のカッコの但書が全然意味をなさないではないか、このように私は質問したのですが、総理の御答弁をお聞きいたしましても、この七十六条のカッコの但書の規定というものが、総理によって十分理解ができない、かように思うのでありますが、私は関連質問ですから、飛鳥田さんの質問を続けていただくといたしまして、この点は後日において私は明確に総理よりお伺いしたいと思います。
○飛鳥田委員 今の問題の結論ですが、総理のお話を聞いておりますと、国連憲章の五十一条に、自衛権の行使は、現実に武力攻撃が加えられたときにしかやってはならない、こう規定してある。この趣旨にのっとって自衛隊法七十六条を解釈していく。そうすると単純なる自衛隊の出動は、武力攻撃のおそれある場合でも命ずるけれども、現実に自衛権の行使としての武力行使は、おそれある場合だけでは許されない。従って現実に武力行使がある場合だけにしかやらせない。こういうふうに総理のお話を伺っていると解釈できるのですが、それは確かに一つの考え方であろうと思います。だがしかし、そうした紙の上のいわゆる学説的な筋の通った考え方だけで、現実に自衛隊の方々が動けるものかどうか。これは一つ総理と増原次長あるいは長官にでも、最後に伺っておきたいと思います。これで終ります。
○宮澤委員長 中村君、外務大臣に対する質疑はありませんか。
○中村(高)委員 よろしゅうございます。
○鳩山国務大臣 私は先刻申した通りであります。防衛出動の命令はあなたのおっしゃる通りに明文があって、おそれのある場合においても防衛出動の命令はできますが、ほんとうの戦闘行為というものは、武力行使をするという行為は、侵略を受けた場合に限る方がよろしいと思うのであります。
○小金委員 飛鳥田君の質問は、それで防衛隊を動かせるか、長官か次長の意見を求められておるのです。総理大臣のことはさっきからその通り言っておられる。それを解決しなければ……。
○杉原国務大臣 防衛出動を命じ得る場合という要件は、七十六条に厳密に規定してあるわけでございます。それは現実の武力攻撃、つまり武力攻撃行為が既遂に終ってしまったという場合、さらにカッコの中にあります、「外部からの武力攻撃のおそれのある場合を含む。」というのは、非常に厳密に、ほとんど武力攻撃行為が既遂に近い、きわめて近い状態を指しておるものだと思います。しかもなおその場合に、わが国を防衛するため必要ありと認定する場合、この要件も加わっております。そういう場合につまり自衛隊が出動する。いわゆる防衛出動を命ずることができる。それは防衛出動というものが、自衛隊が武力行使を法的にし得る状態に置くということだと思います。そうして現実にこの武力を行使するというその行為そのものは、そのおそれある場合でなくして、自衛権の本質から見まして、向うから攻撃のあった場合だと、こう解釈いたします。
 それから国連憲章第五十一条のお話がございましたが、私は、国連憲章第五十一条の趣旨は、あそこに武力攻撃に際しとありますが、その際しというのは、やはりきわめて限られたる意味における、この自衛隊法にあります外部から武力攻撃のおそれのある場合を含むというのと、趣旨においては同様だと私は解釈しております。
○飛鳥田委員 御注文ですが、その国連憲章第五十一条の御解釈について、単なる御解釈でなしに、国連憲章五十一条ができ上りますまでに、どのような議論が行われたかということを十分お調べの上でそういう御解釈を発表していただきたいと思います。その討論の中で、アメリカのヴァンデンバーグ将軍などは、おそれある場合を入れなければならぬということを極力強調した。ところが現実に物理的に侵害がなければやってはいかぬということに、採決の結果なっているのです。ですからそういう自由なあなたの勝手な御解釈でなしに、そういう資料も御検討の上での御解釈をいつも述べていただきたいと思います。御注文ですから、答弁はいりません。
○中村(高)委員 ただいま論議をされましたような、いわゆる防衛のために自衛隊を出動させることについて、その可否を今度は国防会議に諮問をするということになるのでありますから、先般自衛の程度というような問題について、江崎君の質問等に関連をいたしまして、政府のいわゆる解釈の統一をされたようなものが先日の委員会で発表されたのでありますけれども、まだその点についてわれわれには理解のできない点がありますので、重ねてお尋ねをいたしておきます。一体自衛のためとは、どういう程度までその必要上戦力を持てるのかということを、先般政府の解釈が示されたのでありますけれども、われわれになお不明確であります点は、先日の政府の答弁によると、侵略に対抗し得る最小限度の自衛力を持つことができるというのでありますが、侵略に対抗し得るというのでありますから、相手があって、相手の力に応じて、対抗する力もこちらはふやすこともできるように解釈ができるのであります。もっと具体的に言いまするならば、相手が有力な兵器を持ってくる場合の対抗力と、相手が大した力を持っていない場合のこちらの自衛というようなものは違ってくると思うのであります。そうすると相手が有力になれば、それに応じてこちらも自衛力はどんどん増強していき得るのだという解釈のようにもとれるのであります。たとえば相手の侵略でありましても、鳩山総理大臣のような人が侵略してきた場合には、これは何らの力を要せずして防衛することができますけれども、もしこれが拳闘の選手やレスリングの選手なんかからやられたのでは、なかなか防衛ができないということになってくるのでありますけれども、政府の解釈する、侵略に対抗し得る最小限度の自衛力ということになりますと、相手の力によって変化があり得るものだということが前提だと思うのでありますけれども、そういう意味の御解釈でありますかどうか、はっきりしておいていただきたいと思うのであります。
○鳩山国務大臣 この間、江崎君に答弁いたしました通り、自衛のための必要にして最小の限度ということを申しましたが、私の考えでは、このごろの戦争は、なかなか独力をもってしては防衛することはできないと思います。集団安全保障あるいは安保条約、とにかく集団の力をもってせずんば防衛はできないのであります。それですから、自衛力といいましても、すべて攻撃に対して独力をもって自衛するに足る力を持ち得るということはとても日本の力ではできません。それですから、集団の力の援助を受けるまでの、ある期間内において日本を防衛する必要にして最小なる限度というように考えなければならないと考えます。
○中村(高)委員 そうすると、ただいまの御答弁によりますと、集団の力で日本のようなこういう無力な国家においては、他国の集団の防衛の力によって防衛するのだ、ただそれまでの間集団力の発動といいますか、そういうまでの間食いとめるという程度のものであればいいのだ、こういうふうな意味に今御答弁でありますけれども、今までの政府の答弁によりましては、日本自身が防衛力をだんだん増強して行くのだ、そうしてやがてはアメリカに帰ってもらうんだということが、日本の防衛の漸増方針だということが従来ずっと吉田内閣以来説明をされてきたことでありまして、今総理大臣の言うように、ずっと集団の力で日本は防衛していくのだということになると、アメリカとの間の安保条約その他のアメリカの援助による防衛というものは、ほとんど永久的にその力にたよらなければ、日本の防衛はできないのだというような意味にもとれるのであります。今までの方針からいくと、漸増方全てあって、日本自身が自衛の力を持つようになるのだ、だがら漸増していくのだ、そうしてそのうちにアメリカに帰ってもらうのだということとはちょっと違うように思われる。総理大臣の今の集団安全の防衛方針のお考えからいくと、今までのとは違うように見えますけれども。その点はいかがでありますか。
○鳩山国務大臣 ただいま私が申しました集団の力によってという意味は、アメリカも含んでおりますが、大体において国際連合に入りまして、国際連合の集団安全保障の力ということをさしたのであります。
○中村(高)委員 今の話だというと、国連の集団保障だということになると、これは現実に現在の日本の防衛を集団保障的な防衛でいくのだというのとはたいへん違うのであります。国連のいわゆる集団の安全保障による国連の軍隊というようなものは現在まだあるわけではなく、将来は国連の警察軍というようなものが出てきて、もしどこかの国が侵略をするならば、国連の警察軍によってこれを防衛する、こういう集団の保障形式については私たちもわかるのでありまして、これは理想的な防衛の方針だと思うのでありますが、現在日本がアメリカとの間にやっております防衛方針は、その国連の集団保障とはよほど違っておるのでありますが、私のお尋ねいたしておりますのは、順次自衛隊を増強していってアメリカに帰ってもらうという今までの方針でずっとやってきた、これを今度の鳩山内閣では、漸増だけは従来と同じに漸増をいたしまして、今度も自衛隊の増強が行われるのでありますが、それはやがてはアメリカの軍隊を帰すという、そういう従来の方針と同じなのかどうかということをお尋ねしておるのであります。
○鳩山国務大臣 現在はアメリカとの安全保障条約により、また行政協定によって日本が防衛せられているということは現実の事実でございます。それが将来はだんだんと日本の自衛力がふえてきて、アメリカとの安全保障条約にのみたよるということが必要でなくなるようになれば非常にけっこうだと思っております。
○中村(高)委員 よく聞えないのか、意味がよくわからないのでありますが、アメリカに帰ってもらうということを最終的にはお考えになっておるようでもあるし、どうも日本の力だけでは防衛できないから、アメリカとの地域的な集団保障によってやっていこうというのだというふうにも聞えるのでありますが、一体自衛隊の増強の最終目的というものは、日本の自衛隊だけで日本の防衛をやろうというのか、それとも引き続いてアメリカにはいてもらうんだ、日本の自衛隊を増強してみたところが、完全な防衛などはとてもできないんだから、アメリカにもいてもらう、最終目的はこのどちらなのかをお尋ねいたしておるのであります。
○鳩山国務大臣 最終目的は世界の情勢がそういうような防衛を必要としないというような事態になることを非常に望んでおりますが、もしもそういうような世界の情勢がない場合におきましては、日本の独力をもって防衛をやるということは非常に困難なことだと思います。
○中村(高)委員 結局はっきりいたさないのでありますけれども、確かに日本だけの力で防衛をするということの困難なことはわかるのでありますけれども、日本が独立国であります以上は、いつまででも外国の軍隊に守ってもらうというような形が正しい形でないということだけは総理大臣も御認識だと思うのであります。外国の軍隊が独立の国家の中におって、幾ら自分の力が足りないからというて、外国の軍隊を独立の国家の中にいつまででも駐留させることが不本意であるということについては、総理大臣もお考えにならないはずはないと思うのでありますが、たとえば最近飛行場の拡張などが非常に各地に行われつつあるのであります。こういう現実を見ますると、日本の国民が期待をいたしましても、そう簡単に引き揚げていくとはわれわれにも考えられないのでありますけれども、総理大臣自身といたしましては、日本の力で防衛できないとすれば、アメリカの駐留軍が独立国日本に長くとどまることもやむを得ないというふうにお考えになれるのか、もう一つ念を押しておきたいと存じます。
○鳩山国務大臣 日本の防衛力が不足しておる場合は、アメリカの駐留軍はやむを得ないことだと考えます。
○中村(高)委員 そうしますると、先般の政府の自衛に対する解釈からいたしまして、侵略に対抗し得る最少限度の自衛力を持つことができるというのでありますからして、そんな強いものは持てないのだという最小限度という解釈論からいたしますと、最小限度衛力によって日本は防衛できないのだから、アメリカの援助を受けることもやむを得ないというふうにわれわれには解釈できるのであります。おそらく総理大臣もそういうふうにお考えになっておると思うのでありますが、この機会に国防会議というようなものを設置することになって参りますと、将来日本の国の自衛隊の出動などについていろいろ問題が起きてくることも想像できるのであります。この際もう一つ総理大臣に承わっておきたいと思いますことは、先般も江崎君から総理大臣に質質問がありましたが、憲法改正に関する問題について、近く憲法改正のための調査会の設置法というようなものをお出しになる方針であると聞いておるのであります。鳩山総理大臣は大東亜戦争最中においても、どちらかと言いまするならば、自由主義者として、必ずしも戦争の拡大に協力したとは私は思っておらないのでありまして、あの戦争当時においては、むしろあなたは自由主義者というて、軍から好意を持たれなかったことも事実であります。表面戦わなかったといたしましても、あなたが消極的に戦争に対する拡大方針に反対しておったことも私たちは知っておるのでありますが、その後憲法の解釈についても、憲法を改正しなければ軍備を持つことはいけないのだという当初のあなたの解釈が最近変ってきたのでありますが、むしろ私は鳩山総理が当初考えておった、憲法を改正しなければ怪しげな軍隊などは持ってはいけないのだというあなたの解釈の方が、私は正しかったと思うのであります。むしろ私は、あなたが大東亜戦争以来とって参りましたその態度から考えまするならば、従来とっておったあなたの憲法解釈論の方が、私は正しかったと思うし、今でもあなたはそれが間違っておったとは考えていられないと思うのであります。むしろその方が、私たちは政治家鳩山氏として敬意を表するに足ると思っておるのでありますが、このごろになってこのあなたの尊敬に値いする態度が変ってきたのであります。いやおれは学者じゃなくて政治家だ、おそらくこういう意味かもしれませんけれども、客観的情勢が変ってきたから解釈を変えたと言うのでありますが、これはまことにあなたのために残念だと思います。その客観的情勢の変化というのはどういうところにあるのか、ぜひ一つこの機会にもう一度お尋ねしておきたいのであります。たとえば、この憲法ができた当時のアメリカの解釈と、最近におけるアメリカの解釈とが変ってきて、あれほど日本では軍隊を持ってはならないという憲法を作らせることに大きな指示を与えたアメリカが、最近では軍隊を持つことは一向差しつかえない、ニクソン副大統領のごときは、朝鮮でさえ軍隊を持っているのに、まだまごまごしているのかというような、驚くべき解釈の変化をいたしておるのでありますが、鳩山氏としてはこういうことが一つの動機になったのか、それともみずから内閣を作って、その首班として政治をおとりになって、いつまでもそういうふうに憲法を正式に解釈しておったのでは、実際政治にぶつかってどうにもならないので、やむを得ずこういう解釈論をするに至ったというのか、私は総理大臣の心境を伺って、そうして鳩山内閣の防衛方針の基本の観念をお尋ねしておきたいと思うのであります。
○鳩山国務大臣 憲法第九条が制定せられます当時の事情によりまして考えますと、アメリカは自衛のためにも軍隊を持ってはいけないというような考え方であったことは、諸君の御承知の通りであります。それですから、憲法自身が作られるときには、九条によっては自衛のためにも軍隊を持ってはいけないという意味において、あの九条が制定されたのであります。しかるにその後自衛隊法ができまして、自衛のためならば兵力を持ってもいいというようなことになったのであります。これはやはり……。(「どうしてなつた」と呼ぶ者あり)いやあなたのおっしやる通りにアメリカも変りましたし、日本の国民の考え方も違ったのであります。自衛のためならば兵力を持ってもいいということは、独立国である以上はそういうことも言えるのです。ほんとうの独立国でなかった当時はそういうことが言えなかった。ところが日本が名実ともに独立国になったときに、初めて自衛のためならば軍隊を持ってもいいということが主張できるようになった。アメリカの占領軍のいた当時においては、その主張はできなかったのです。その主張ができて、国会において自衛のためならば軍隊を持ってもいいという趣旨のもとに自衛隊法ができた今日は、私の憲法に対する解釈が変るのも、私は許さるべきことと考えます。
○中村(高)委員 どうもちょっとおかしいのでありますが、そうすると、独立前と独立後とは憲法の解釈が変ってもいいということのようであります。なるほど憲法は完全に独立をしておらないときにできたものではありますけれども、独立すれば中身が変ってもいいのだというような、そんな憲法では断じてないとわれわれは思っておるのであります。独立のいかんによって憲法の解釈が変るというような、条約できめられたからして日本の国の憲法の解釈が変ってくるというようなことは、あり得ないと思うのであります。それは何か総理大臣の勘違いであって、むしろそういう理屈の上では通らないのだけれども、現実の問題としてそうするよりほかに仕方がないのだと、そういうことをおっしゃるならば、われわれは現実の問題についてはわかるのですから……。けれども解釈を無理にゆがめて、独立前と独立後とは解釈が違ってもいいというようなことは、私は許されないことだと思いますから、もう一度お尋ねいたします。
    〔「吉田内閣時代独立していたよ。あなたは吉田内閣を攻撃していた。そこのところをはっきりしてもらいたい。」「答弁、答弁」と呼び、その他発言する者あり〕
○鳩山国務大臣 私は、私の言ったことが正しいと考えております。
    〔「わからないよ」「正しくないよ」と呼ぶ者あり〕
○小金委員 関連して。今中村委員の質問に対する総理大臣のお答えと、わが党の江崎真澄君の先般の質問に対するお答えとが、少し食い違っているような気が私はするのです。というのは、この前この問題について質問があったときに、総理大臣は憲法の解釈上自衛隊を持つということは、憲法を改正してやる方が正しいと思うけれども、しかし憲法の解釈上も自衛力ならば持てるということが現憲法制定当時から論議されておったから、自分は総理大臣になってみて、かつては憲法を改正しなければ自衛力も持たない方がいいと思ったけれども、総理大臣になってみてそういう解釈をとるというふうに私は承知した。ところが今伺っていると、アメリカの方面でもそういう解釈に変ったから、そしてまた日本の世論も、憲法を改正しないでも自衛力は持てるというふうに変ったから、自分はそうするというように、今中村君に答弁されたように私は思うのです。これは答弁の食い違いであって、意思の統一を欠いていると私は思う。のみならず、この大事な問題でそういうようなあやふやな観念を持たせるということは、非常に重大であります。これは現憲法審議の際にも、自衛力の範囲内ならばある力を持てる、それは、いわゆる戦力ではないが持てるということを、芦田憲法改正の委員長がすでにはっきり言っておられるのですから、この問題は一応そう解釈してそして自衛隊が発足している、私はこう見ているのでありますから、むしろすなおに中村さんの御意見に従って、率直に前の解釈をとられた方がいいように思うのですが、その点どうですか。
○鳩山国務大臣 そういう解釈ができる余地はもとよりあるのであります。それですから現在の憲法においても、自衛力を持ってもよろしいということを主張しているのであります。
○中村(高)委員 それじゃちっとも今までと変りがないのであって、世の中の情勢が変ったとか、アメリカが変ってきたから変ったのではなくて、あなた自身としては自衛のためであるならば軍隊を持ってもよろしいのだと終始一貫しておるならば、世間がどう変ろうとそういうことには関係ありません。自分の解釈は現在の憲法の解釈論からいたして、自衛のためならば軍隊は堂々と持って差しつかえないのだ、これであなたが貫かれるならば、私もそれは解釈論でありますからまた別の問題でありますが、いろいろ世の中が変るために憲法の解釈が変るのではまことにたよりない。たとえばほかの内閣が出てきて、そのうちに今度はアメリカの解釈がまた一転してきて、これはどうも日本に持たせない方がいいのだ、今まで持たしたことが誤りだというアメリカの大統領が出てきて、そうして今度は持たせないのだということになると、また客観的情勢の変化になって、あわてて日本は今度は持ってはならぬということになったら、全部自衛隊も解散しなければならないというような、そういうことでは全くこれは日本の憲法の解釈ももちろんでありますけれども、そんな独立国というものはないとわれわれは考えるのでありますが、もう一度そんなあいまいでなく、総理大臣としての堂々たる、きぜんとしたる態度を発表して記録の上に残しておいていただきたいと思うのであります。
○鳩山国務大臣 私は、独立国は自衛のためならば軍隊を持ってもいいということは終始一貫考えております。
○中村(高)委員 そうしますと、今まで鳩山総理大臣は、野にあるときには、自衛隊というようなものは、憲法を改正しないで持つということに対して、やみの軍隊のようなことを言うてあなたは攻撃しておられたのでありますけれども、そうすると現在の解釈の方が正しくて、今まで憲法を改正しなければだめなんだというようなことは、その方が間違いだったというようなことにも相なってくると思うのであります。これはどうもこれ以上あなたに答弁を求めてもできないことかもしれませんけれども、どうか一つ憲法の解釈というようなものに対しては、少くとも総理大臣は厳として変えない態度をとってもらわなければ、国民としては、日本の法律の基本法律でありますものを、総理大臣が情勢の変化によって解釈をいろいろに変えられるようなことでは、まことに憂慮すべき事態だと思いますので、どうか一つ一ぺんきめられたならば、態度を二、三にせられぬように私たちはお願いをしたいのであります。
 そこでこの憲法の解釈が、まだあいまいな点が少くとも九条等においてもあるということからでありましょうが、憲法改正のための調査会の設置法を提出するという準備もいたしておるようでありますが、これは現在どういう段階になっておって、本国会に憲法調査会の設置法が提出せられる準備になっておりますか、お尋ねいたします。
○鳩山国務大臣 ただいま提出についての手続につきまして検討中でございます。
○中村(高)委員 国防会議法の点につきましては今後も詳細な点について質問が継続せられるのでありますので、こまかい点については必ずしも総理大臣をわずらわさなくてもいいと思いますけれども、重要な点を二つばかりお尋ねをいたしておきたいのであります。それは、国防会議を持つということが自衛隊法の中に記載をせられておりますから、法案を提出せられることそれ自体に無理はないかもしれませんけれども、国防会議を持つということについては、先般も当委員会で質問があったのでありますが、今後自衛隊の出動というような問題に対して行き過ぎがあってはならないからこういう諮問の機関を作って、できるだけ慎重に自衛隊の出動というような問題に対してもあやまちなからしめるとか、あるいは防衛計画あるいは国防の基本方針というような問題に対して練達堪能な人々に意見を聞くというのであります。これは今までの御答弁によってわかるのでありますが、たとえばアメリカであるとかあるいはイギリスなどの国防会議、国防委員会というようなものを見ますと、いずれもそれには専門の軍人が入りまして、そうして文官でありますところの内閣の大臣に専門的知識を与えるというようなことが、相当考慮された国防会議のように思うのでありますけれども、日本の国防会議はそうではなくして、自衛隊の出動などに行き過ぎのないようにというような御答弁でありましたが、その点についてはどういうことでありますか。専門的な知識を受けたいということも国防会議の趣旨であるか、それとも行き過ぎを防ぐのだというのが国防会議を設置する趣旨なのでありますか、お尋ねをいたしておきたいと思います。
○鳩山国務大臣 国防会議の設置の目的は、昔のような軍閥ができないようにするため、政治力が支配的になるようなことを目的としたものと考えております。
○中村(高)委員 国防会議というものは、いわゆる昔のような軍閥ができたり、あるいは行き過ぎをさせないというためだとしますならば、まことにけっこうでありますが、しかし総理大臣の考えているのと現実は違ってきておるのであります。たとえば憲法をあなたは改正をすると言う、憲法を改正するということは今持っている自衛隊というようなものは憲法に疑問があるから、もっと増強する意味において憲法を改正するんだということがあなたの憲法改正の趣旨だと思うのです。こんな解釈のあいまいな中に日陰のような形で軍隊を作るということはよろしくない、持つならば堂々と持たせるんだということが憲法改正の趣旨だと思う。そうすると、これは鳩山総理大臣が考えているのとは違った形に世の中が進んでいきますが、よく私は御考慮を願わなければならぬと思います。憲法を改正して、それならば正式に軍隊を堂々と持っていいという世の中が出てきたならばあなたはどうお考えになりますか。少年自衛隊員が出てくる、陸海軍の大学もできる、職業軍人が出てくる、これがだんだん大きくなっていけば、やがて軍閥が出ないとだれが保証できますか。(「その通り」)国防会議が出てくる、やがて憲法を改正されて正式の軍隊が出るということになれば、また私は昔のように帷幄奏というようなことまでも出てきて、軍隊を動かすのにどうも一々総理大臣や何かが文句を言ったのでは困るというような形になってきて、だんだんそういう傾向になる、憲法改正して正式の軍隊を持つということになれば、そういう気運は現われてくると思う。あなたが国防会議を作るということについてできるだけそういう行き過ぎをさせない趣旨だとするならば、むしろ憲法は改正しないで今の方がいいのです。あなたは答弁をするについても最小限度の自衛力でいいなどと言ってきわめて遠慮されたような言葉を使っている。私は自衛のためならば軍隊を持てるのだと堂々と言うかと思ったら、最小限度だとかなんとかいうことを言って非常に遠慮しておられる。これがいいのです。その遠慮が国をあやまたないと思うけれども、堂々と憲法など改正していったならば、もう一回り回ってきて元になるという危険をあなたはお考えにならないかどうか。あなた自身長い間苦労して、軍閥にいじめられて、自分でも軽井沢に蟄居して戦争を避けられたあの長い間の苦労をお考えになって、うっかり憲法改正などして再び悔いを残すようなことのないように、あなたは日本の将来のために、あなたの余命幾ばくもない将来を、日本の将来をあやまたないように、さすがは鳩山総理大臣だった、日本のためには全く輝ける総理大臣だったという歴史を残していただきたいと思うのでありますが、御所見を伺います。
○鳩山国務大臣 私は日本に軍閥が生じて、あれほどひどいあやまちをしたのでありますから、再びそういうことは繰り返さないものと考えております。
○中村(高)委員 まことに善意に解釈しておられるのかあるいは甘いと言うていいのかわりませんけれども、どうか一つしっかりしていただきたいと思うのであります。
 もう一つだけでおしまいにいたしますが、国防会議の議員の数の中に民間人五人以内を置くということになっておるのであります。そうすると、大臣が五名で民間人が五名以内ということで大体バランスをとっているようにも見えるのでありますが、総理大臣は会議の主宰者でありますけれども、この「五人以内」ときめたことは何かよほど意味があるのだろうと思うのであります。五人と五人とで話がつかなかったときには総理大臣がそれを統裁することができるのか、それとも「五人以内」の以内というところがなかなか意味深長であって、五人一ぱいは置かないのだ、いつでも四人にしておけば五対四で内閣の方が勝てるのだという意味なのか、その辺のところの運営について一体総理大臣は何かお考えになっているか、考えておらなければ、防衛庁長官にでもお答えしてもらってけっこうであります。
○杉原国務大臣 お答え申し上げます。国務大臣以外の民間議員といいますか、これを構成員の中に加えるかどうか、また加える場合にその数をどうするかということは非常な問題であります。昨年のいわゆる三党折衝の際にも非常にこれは問題になったことであります。私らも実はその点は案を考えます際にも、非常に苦心したところでございます。ただ昨年のいわゆる三党折衝の結果できておりました案が、今度の法案の大体骨子になっておる次第でございますが、今のいわゆる民間議員の点につきましては、いろいろ各党の間に御意見もあったようでございますけれども、話し合いの結果といたしまして、いわゆる民間議員若干名ということになっておったと承知しております。その際もたしか自由党の御意見としては、その内閣が存続する間とか、さらに制限されたいお気持があったように承知しております。そういう点も実は私非常に傾聴しなくちゃならぬ点だろうと考えたのでありますが、今回は大体他の国務大臣の構成メンバーとつり合いのとれる最大限のところに標準をとってやった次第でございます。
○田原委員 今の民間人を五名以内という点ですが、任期は三年というふうになっております。そうしますと、かりに五人以内の民間人を決定して、三年の任期の途中で内閣がかわった場合、しこうして当然に国防方針も変った場合、これは辞職することになっておりますか。かまわず三年おるということになっておりますか。
○杉原国務大臣 この法案の趣旨といたしましては、三カ年の任期でございますから、その間に内閣がかわりましても、民間人の任期は三年継続するわけでございます。
○田原委員 その場合民間人の意見と閣僚から出ている国防会議の議員との意見が対立した場合はどうなりますか。
○杉原国務大臣 いろいろの意見があってしかるべきものだと存じます。そうして最後に、いろいろの意見を交換した結果まとまりがつかぬ場合は、その議事の規則等については議長が国防会議に諮ってきめるということに相なっておりますし、その意見の違ったときどうするかということは、その議事によってきまるわけでございますから、今ここであらかじめその運営の方法についてどうときめてかかることはできませんけれども、しかしこの国防会議の性質からいたしまして、できるだけおのずから一つの結論に到達するというふうな議事の運営の仕方が望ましいのではなかろうか、またそれでもどうしても意見が違う、多数意見、少数意見、こういうふうに分れました場合には、そのまま多数意見は多数意見、少数意見は少数意見として答申をするということが適当ではなかろうかと存じます。
○田原委員 そうすると、かりに現在の内閣は相手国というものをSならSときめた、民間人もSならSときめる、ところが内閣が変って閣僚はAならAという国を相手国として考える、ところが民間人はいつまでも今まで通りSというものを相手国としての専門家が集まっているということになると、意見が分れます。そうすると内閣は民間人の意見は聞くという程度ですから、議長が閣僚の意見をとるということになれば、これは経済閣僚懇談会と同じように、国防関係閣僚懇談会でいいのでありまして、民間人を入れることはない。民間人を入れることは責任を分担するというよりもかえって逆になる、自分の味方の民間人が逆の情勢に変る、――情勢は変り得ると思います。そうすると、集団防衛といいますけれども、私は集団攻撃もあり得ると思います。そこでこっちはある単独の一カ国を相手国と考えておった場合、それにプラスB、プラスCがたくさん出てきた場合、特に最近では奇襲作戦とかいうものが新しく考えられておりますが、ぽかっと誘導弾が突然落ちた場合にどこの国がやったのか、五カ国もの相手があって、五番目の国だろうと思ったのが、実は一の方から来たのだとなると、これは全部に対して防衛力が必要になる、そうするとこの防衛力の必要最小限度ということが非常におかしくなると思うのです。そういうごまかしや責任分散のやり方ではなくて、どうせやるならば内閣総理大臣統帥のもとに、五、六人の少数閣僚、インナキャビネットみたいな方式でやった方がいいと思う。それをやらずに最終決定権はない、任期も三年で、意見が違えばその意見は参考の程度にするというようなことならば、これは一種の顧問会議、参与という格好ではないか、これでもって何がゆえに内閣国防会議と称して出てきたのか、この点疑問を持つのですが、鳩山総理のこれに対する御答弁を願いたい。
○鳩山国務大臣 練達堪能な人を入れた方が会議がよく運営できるものと思ったのであります。
○田原委員 これは鳩山内閣のときにできた構想ではない、先ほど杉原さんも言っておったように引き継いだものであって、鳩山さんにはこういう問題について創意を持っていないのじゃないか。自由党との話し合いもあるから出したのだろうと思う。現にあなたと同じ民主党の中でも、これに対して不満と疑問を持っている者がたくさんあるのです。そういう人たちは必ずしも賛成はしていないのです。ですから、不用意に前の引き継ぎだから、三党の協定だからということだけで出すというのではなくて、あなたはあなたなりの国防に対する御見解があると思うのです。但しそれは非常にあいまいで、その日その日で変っているので、どれが本心かわからないが、たとえば防衛力の不足する限りは駐留軍を置いておくとか、独立の完成とか、あるいは必要最小限度とかいうふうに三時間くらいの間にもう四通りくらい変っておる。これは実は国防の専門家でないあなたでは無理で、内閣総理大臣ですから、十幾つの各省の問題は一々覚えておらぬかもしれないが、これは国民がみな聞きたいと思っている問題なのです。ですから、この点はもう少し割り切って、数人の閣僚の責任でやる、民間人は入れない、必要なら民間人は参与か顧問というふうにして少数閣僚制でいいと思う。それを三党の申し合せだから出したのだ、これは削ってもいいというような自信のないやり方では意味をなさぬと思う。今までの経済閣僚懇談会方式にならって、少数の閣僚懇談会方式でいけばいいのに、なぜ一体決定権のない諮問機関にすぎないような発言力の弱い民間人を五、六人入れなければならぬのか、その点をお尋ねしたいと思います。
○鳩山国務大臣 ただいまのところでは国防会議を威力あらしめるのには民間人を入れておいた方がいいというふうに考えたのであります。
○宮澤委員長 この際休憩いたしまして、午後一時より再開して質疑を継続いたします。
    午後零時十四分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時十三分開議
○宮澤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 恩給法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案を議題となし、まず提案者より提案理由の説明を求めます。高橋等君。
○高橋(等)委員 ただいま議題となりました恩給法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。本案は自民両党の共同提案にかかるものであります。
 戦没者遺家族戦傷病者老齢旧軍人の人々は、今次戦争の犠牲者中最も気の毒な方々であります。国家が英霊の祭をおごそかにいたし、遺家族を初め、これらの人々の処置を厚くすることは、平和国家、道義国家の建設発展の重大要件であることは申すまでもありません。従って、わが国の独立とともに弔慰金及び遺族年金の支給をなし、引き続いて恩給の復活を実現し、予算掛額の八%強に当る金額をこれに充てておるのであります。しかもなお、これらの人々の恩給給与は一般文官に比較してはなはだしく均衡を失しておる現状であることを遺憾といたします。国民の間に不平等があり、ことに戦争に当り国民にかわって犠牲となった人人が、終戦後十年に及ぶ今日まで、一般国民と不当な差別待遇を受けておるという事実を十分認識するときは、温情と誠意をもって事の解決に当ることが民主主義の鉄則であることは申すまでもありません。
 以上の見地に立ちまして、国家財政の現況を勘案しつつ先般来自民両党によって予算等の修正をなし、ここに文官との不均衡是正を中心としてその他必要なる改正を加えて本改正法案を上程いたした次第であります。
 この法律案におきまして、改正を加えようとするおもなる点につき御説明申し上げます。その第一点は、旧軍人及び旧準軍人並びにこれらの人々の遺族の恩給の年額の増額に関するものであります。これらの人々の恩給金額計算の基礎となる仮定俸給年額は、現在、軍人恩給廃止前に退職しまたは死亡した一般公務員、もしくはその遺族のそれに比べて少く、従って、その恩給支給水準も低くなっておりますので、一般公務員との間のかような違いをなくするため、旧軍人及び旧準軍人並びにこれらの人々の遺族の受ける恩給金額計算の基礎となっている仮定俸給年額をいわゆる一万二千円ベースの支給水準に引き上げ、かつ号俸についても、上に薄く下に厚くする精神をもって一般文官との調整をはかり、原則として四号俸、一部のものについて三号俸または二号俸を引き上げ、その恩給金額を一般公務員及びその遺族の恩給支給水準の程度まで増額いたそうとするものであります。
 ところで、その実施につきましては、国家財政に及ぼす影響を緩和する目的をもって、本年十月分から昭和三十一年六月分までの間の恩給については、現行の恩給金額にこの改正による増額分の五割に相当する金額を加えたものを給することとし、昭和三十一年七月分からこの改正通りの金額を給することといたそうとするものであります。昭和二十八年法律第百五十五号附則別表第一の改正規定並びに附則第一項及び附則第七項から第十項までの規定がこれに関するものであります。
 第二の点は、旧軍人、旧準軍人及び旧軍属の恩給の基礎在職年に引き続く一年以上七年未満の実在職年を通算することに関するものであります。現行法におきましては、これらの人々の在職年は、軍人恩給廃止前に裁定された恩給の基礎在職年に算入されていたものを除き、引き続く七年以上の実在職年に限り恩給の基礎在職年に算入されることになっておりますため、二年、三年、四年というふうに何回も応召し、前後を合しますと、普通恩給についての所要最短在職年数に達するのに年金たる恩給を給せられない場合も少くありませんので、少くとも最短在職年数に応ずる年金たる恩給を給する道を開く趣旨をもちまして、旧軍人、旧軍人または旧軍属の恩給につきましては、一年以上七年未満の在職年をもその恩給の基礎在職年に通算することといたそうとするものであります。しかし、国家財政の現状にかんがみ、現行法によって普通恩給を受ける権利を取得できる人々及びその遺族につきましては、この通算措置をしないこととし、またこの措置により恩給の基礎在職年が旧軍人、旧準軍人又は旧軍属の普通恩給についての所要最短在職年数をこえることとなる場合には、これを最短在職年数で押えることとし、この措置により、新たに普通恩給または扶助料を給せられることとなる人々がすでに一時恩給または一時扶助料を給せられていた場合におきましては、重複給与になることを避ける趣旨をもちまして、その金額を普通恩給または扶助料の年額から控除する等相当の調節をはかろうとするものであります。昭和二十八年法律第百五十五号附則第二十四条の二、附則第一項、第三項及び第四項の規定がこれに関するものであります。
 第三の点は、いわゆる戦犯者として拘禁された人々の拘禁中の期間及び傷病に関する恩給法上の取扱に関するものであります。
 ソ連、中共に抑留されているいわゆる戦犯中、旧軍人軍属であった未復員者、その他については、恩給法上未帰還公務員という制度を設け、抑留中の期間は恩給の在職期間に通算されております。よって、連合国最高司令官により抑留または逮捕せられ有罪の刑に処せられ拘禁された公務員であって、在職中の職務に関連して拘禁された者についても、恩給法上、右に準じて取り扱い、その人々の公務員としての在職年を計算するに当っては、当該公務員の普通恩給についての所要最短在職年限に達するまでを限度として、拘禁中の期間を加えることし、この措置により、初めて普通恩給または扶助料を給せられることとなる者につきましては、第二の点で申し上げましたと同じ趣旨により、一時恩給または一時扶助料を給せられた場合におきましては、その金額と年金恩給との調節をはかることとし、また、拘禁されている間に自己の責に帰することのできない事由によって傷痍を受けまたは疾病にかかった公務員につきましては、これらの者の拘禁されるに至った事情等にかんがみ、裁定庁が在職中に公務のため傷痍を受けまたは疾病にかかった場合と同視するを相当と認めたときは、その人々またはその遺族に対し、いわゆる公務傷病恩給または公務扶助料と同額の恩給を給しようとするものであります。昭和二十八年法律第百五十五号附則第二十四条の三、第二十九条の二、附則第一項及び附則第三項から第五項までの規定がこれに関するものであります。
 第四の点は別途国会に提出されております戦傷病者戦没者遺族等援護法の改正法律案におきまして、いわゆる公務死の範囲が拡張せられることになりましたので、これに伴う公務扶助料に関する規定の改正であります。
 別途国会に提出されております右援護法の改正法律案におきましては、戦地において負傷し、または疾病にかかり死亡したものであって、援護審査会の議決により公務上負傷し、または疾病にかかったものとみなされるものについては、その遺族に遺族年金または弔慰金を給せられることとなっておりますので、これらの措置に対しては、恩給法においても公務扶助料を給するよう措置しようとするものであります。昭和二十八年法律第百五十五号附則第三十五条の二の改正規定並びに附則第一項、第二項及び第三項の規定がこれに関するものであります。
 第五の点は、今次の終戦に関連する非常事態におきまして、いわゆる責任自殺をした者の遺族に給する扶助料の特例に関するものであります。
 前述の援護法の改正法律案におきましては、今次の終戦に関連する非常事態に当っていわゆる責任自殺をした旧軍人、旧準軍人または旧軍属につきまして、その死亡が公務による傷病によるものと同視すべきものと援護審査会において議決された場合には、これらの者の遺族に遺族年金及び弔慰金を支給することになっておりますので、これに対応いたしまして、これらの者の遺族に対し、昭和二十八年四月分から、公務扶助料の年額に相当する金額の扶助料を給することといたそうとするものであります。昭和二十八年法律第百五十五号附則第三十五条の三、附則第一項、第四項及び第六項の規定がこれに関するものであります。
 第六の点は、新警察法の施行に伴い、自治体警察職員から新警察法のもとにおける警察職員となった者等の恩給の特例に関するものであります。
 昨年、警察法の改正によりまして、自治体警察職員であった者が引き続き新制度の警察庁もしくは都道府県警察の職員となった場合、五大市警察の職員が五大市警察の廃止に伴い新制度の府県警察の職員となった場合及び新制度の地方公務員たる警察職員が国家公務員たる警察職員となった場合におきまして、身分切りかえ前の俸給と身分切りかえ後の俸給とを比較いたしますと、後の俸給は必ずしも前の俸給よりも多額となっておらない場合もあり、従いまして、身分切りかえ後退職して受ける恩給がかえって身分切りかえの際退職して受ける恩給よりも少くなるという結果が生じますので、身分切りかえ後に退職した者について、恩給的に不利な取扱いを受けることのないように措置をいたそうとするものであります。附則第一項及び第十一項の規定がこれに関するものであります。
 第七の点は、昭和二十三年三月の自治体警察設置前の警視庁または道府県警察部の吏員としての在職期間の通算に関するものであります。
 昭和二十三年三月に自治体警察が設けられたのでありますが、その際警視庁または道府県警察部に勤務していた吏員が、自治体警察の設置に伴い引き続きその職員となりさらに引き続き新警察制度のもとにおける警察職員となった場合におきましては、現行法ではこの自治体警察設置前の警視庁または道府県警察部に勤務する吏員としての在職期間は恩給法上の公務員としての在職年に通算されることになっておりませんので、この期間について都道府県の退隠料に関する条例の規定による退職給付を受けた場合は別としまして、この期間を恩給法上の公務員としての在職年に通算することといたそうとするものであります。附則第一項及び第十二項の規定がこれに関するものであります。なお、以上のほか総理府恩給局の旧軍人恩給事務処理要員二十名増員のため行政機関職員定員法の一部を改正することとし、その他以上の法律改正に伴う字句整理をいたそうとするものでありまして、附則第十三項及び第十四項の規定並びに昭和二十八年法律第百五十五号附則第二十六条、第二十九条及び別表第二から第五までの改正規定がこれに関するものであります。
 以上が、この法律案の提案の理由であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛同あらんことをお願いいたします。
○宮澤委員長 本案に対する質疑は次会より行います。
    ―――――――――――――
○宮澤委員長 次に国防会議の構成等に関する法律案外三案を一括議題とし、質疑を継続いたします。田村元君。
○田村委員 私は総理大臣に対しまして国防会議の問題についていささか御質問を申し上げたいと思います。
 先日来いろいろと各委員の御質問がございまして、総論におきましては大体論議し尽されたかの観がございますので、私は各論と申しますか、この法律案に条文としてあげられております内容について一、二御質問申し上げたいと思います。
 その前に私は特に全国たくさんの青年の代表として伺いたいのでございますが、国防会議が国会において審議せられる、あるいは総理は原水爆の貯蔵もまたやむなしというような放言をせられる、また一方杉原長官は九州方面の重要性を、あたかも戦略的な見地よりと思えるような発言をせられる、そうして強調せられるというふうに、今きわめて騒々しい論議が行われておるのでございますが、国民特に青年やあるいは子を持つ親たちは戦争の恐怖心に非常にかられておることも、総理あるいは長官はよく御存じであろうと存するのでございます。もちろん国を守るということ、自衛ということはわれわれその重要性を十二分に認めるのでありまして、大いに国は守っていただかなければなりませんけれども、しかしながら現在国防会議の問題を急がなければならないほど、わが国の現状と明しますか、わが国を取り巻いておる国際関係は切迫いたしておるとお考えでございましょうか、一言お尋ね申し上げます。
○鳩山国務大臣 田村君にお答えをする前に、先刻私が申し上げました言葉の中に誤解を招くおそれのある言葉があったように思われますので、この際この点を釈明しておきたいと思います。
 アメリカの意見が変ったから自分の憲法に関する意見も変ったのだと私は言ったのではないのであります。私の憲法第九条に関する解釈は、この前の委員会で申し上げました通りであります。この点誤解のないようにお願いいたします。
 田村君にお答えしますが、私は緊迫せる状態は発生はしてないと思っております。
○田村委員 この国防会議を非常にお急ぎになるという気持もわからないではございませんが、後ほど二、三指摘をいたしたいと思いますが、この法律案が非常にずさんであるということは委員各位もよく御承知の通りと思うのでございます。しかしながらそれもまた水かけ論になるかと思いますから、具体的に個々の問題を御質問申し上げたいと思います。
 すなわち国防会議設置の主目的の一つは、国務が統帥に優先する、すなわちこれを押えるということであると思うのでございますが、この法案を読みますと、国防会議の議題となる国防の基本方針あるいは防衛計画の大綱とかいうようなものをだれが策定するのか、あるいはどういうふうにして策定するのかこれがわかりません。また構成人員が軍事のしろうとばかりであるというようなことになりますと、この会議はまさに有名無実のものとなりまして、そうして逆に防衛庁の言うがままになるおそれがある、防衛庁の主張がそのままうのみにされるというおそれがあると思うのでございますが、これに対する総理の御見解をお尋ね申し上げたいと思います。
○鳩山国務大臣 そういうおそれはないと確信いたしますけれども、防衛庁長官から答弁してもらいます。
○杉原国務大臣 お答え申し上げます。この国防会議に諮らるべき事項は、いずれも国防会議に関するきわめて重要なる事柄ばかりでございます。そういう事柄につきましては、もちろん内閣が責任を持ってこれに当るべきでございますが、この内閣としての決定をいたします前に、事こういう重要なことでありますがゆえに、慎重の上にも慎重を期したい、そういう趣旨からいたしまして諮問機関として国防会議を設ける次第でございます。しこうしてただいま防衛庁の主張をそのままうのみにされるという御心配、これは防衛庁といたしましても、実は私常にそう思っておるのでありますが、防衛庁限りとしての案を立てます際にもよく今御心配の点などを深く考えて立てらるべきだと私は存じます。そうしてさらに諮問をいたします前には――もちろん諮らるべき事項はいずれもただ単に一つの省だけできめ得るような事柄でないものばかりでございます。それぞれの関係省とも緊密に連絡をし、調整をはかりまして、しかる後に最後に総理大臣の手元でこれを調整してその諮問事項をおきめになる、こういうふうにしなくちゃならぬことだと存じます。そうしてこれの趣旨が今御質問の中にありました言葉そのままを用いますれば、国務が統帥に優先する、狭い意味の政治が統帥に優位する、この点が非常に大事な点でございますから、そういう点からいたしまして、この国防会議の設置ということはかえってそれに役立つものだと私存じます。
○田村委員 ただいまの総理の御答弁でございますが、総理は当委員会におきましても何か質問をお受けになると、きわめて善意に解釈をせられたような御返答ばかりせられる。たとえばただいまもそういう危惧はないという御答弁でございますが、危惧はないというのはあなたの主観で、危惧があるからわれわれは御質問申し上げるわけであります。そういうことでございますから、この国防会議が政府の諮問機関であるというその意味すらがわれわれにははっきり来ない。たとえば国防会議というものは総理大臣の権限を幾らかでもチェックしようというのかというようなことに対しても、また疑問が生まれてくるわけでございます。それから国防会議において果して議決をせられるのかどうかということもわれわれ少しわからないのでございまして、この議決ということは、議決をされるのならばどういう形式をもって議決をされるのか。あるいは多数決ということになるのか、あるいは全員同意を必要とするのか、あるいはまた総理が皆の意見を聞きおいて決裁をされるというのでございますか。そういう点が私どもにはしっかりわかりませんから、この点を総理から御答弁を賜わりたいと思います。
○鳩山国務大臣 この国防会議は議決機関ではございませんで、全く意見を聞きただす諮問機関でございますから、国防会議の意見というものは多数決できめるものと思います。それを採用するかどうかは内閣の責任においてやるものであります。
○田村委員 議決はしないで、ただ議論を吐いてもらうのだ、しかしながら一応会議の議決を見た上はこれは総理大臣が採用するかしないかは独自に決定せられる、こういう御答弁でございますが、それならば別に多数決の議決も何も必要としない、一応聞きおかれる程度でございましたら、総理が聞きおかれたらいいのでございまして、そういう点がはっきりいたしませんので、いま一度詳しくこの議決の問題に関して御答弁を賜りたいと思います。
○鳩山国務大臣 国防会議の意見というのは国防会議の決議できまるものと考えます。それを採用するといなとは内閣の自由で、内閣の責任においてなすべきものと考えます。
○杉原国務大臣 少し補足させていただきます。ただいまの御質問は、要するに会議の議事規則の問題になってくると思います。多数決にするかあるいは全会一致にするかというような、つまり議事の方法をどうきめるか、こういう問題になると思います。その点はこの法案に予想しておりますことは、議長が会議に諮ってきめる、こういうことに相なっておる次第でございます。
○田村委員 それでは会議にかりに議決があるとしますと、その議決は総理に対してどのような拘束力もないわけでございますね。
○杉原国務大臣 これは諮問機関でございますから、法律上の拘束力はないと思います。しかしこれは非常に、実際上は総理大臣は尊重すべきものと考えております。
○小金委員 関連してお尋ねいたしますが、今国防会議の構成等に関する法律案の中で、どういう職能、権限を持つかということで、これは諮問機関だ、民間の人を入れるのは、広く知識を吸収するということと、事をきめるのに、事が事であるから慎重を期するのだと言われるのですが、防衛庁設置法ですか、それに付議事項があります。それから御承知の国防会議の構成メンバーからいって、識見の高い練達の者のうちから民間の人を入れる。そうして意見を聞くというのですから、議案についてはきわめて重要な点まで示さなければ意見が立てられないだろうと思うのですが、その場合機密の漏洩の防止ということにいっては、どういう処置をとられますか。これは非常に大事な点であって、ろくなものを出さないで、資料を示さないでおいて、意見を言えと言われても、意見が出ないだろうと思いますが、それらの関係はどうなっておりますか。
○杉原国務大臣 お説の通り非常に秘密の保持を要することが多いと存じます。それを漏らした場合にどうするかという点につきましてはいろいろ考えたのでありますが、これは特に罰則というようなものを設けなかったのであります。ただ秘密を漏らした場合には罷免の事由になることと存じます。
○小金委員 今田村君の質問はそこをついているんだろうと思いますが、そこが一番大事であって秘密事項にわたる、たとえば国防の基本方針とか防衛計画の大綱というようなものを示しておいて、それで秘密を漏らしたからといって首を切ったのではなお秘密が漏れる、これは非常に大きな矛盾ができるので、この点は一体どう考えられるか。その基本の腹が内閣においてきまらなければ、私は田村君の質問に対して、から回りをするだろうと思います。そこで関連して申し上げるのです。その点をはっきりしていただきたい。
○杉原国務大臣 国防会議の場合の特に秘密に関する罰則の点はございませんが、しかもいわゆる民間人にいたしましても、識見の高い練達の士で、しかも国会で両議院の同意を得るという、そういう人格、識見ともにりっぱな方でございますので、罰則の点はこれは国務大臣に準じまして、設けなかった次第であります。
○江崎委員 関連して……。それはおかしいですよ。それはどういうことかといいますと、練達識見の高い人ということは、法案にうたってあるので、よくわかりますが、それを信頼するというのは人情です。そしてまたそれを規制していこうということは、そこに責任の所在を明らかにする責任問題、これはおのずとやはり区別しなければなりません。そこで閣僚の場合も秘密を漏らした場合に、これが何か国の運命を決するような重大な支障を来した場合には、もちろん処罰規定がないでしょう。けれどもそこに最大の処罰である、おのずからそこに責任をとって引き下るという、責任を明らかにする場面というものがある、総辞職という場面が。ただ大臣を簡単に首を切っただけで、国の運命を左右するような大問題が解決せられるものではない。けれどもこの国防会議に諮問する事項というものは、これは国家国民にとって重大なる損害ないしは運命を決するような大きな損傷を与える場合がある。そのときにただ本人だけを首にしたから済むというようなことは、これはいわゆる諮問機関であるからといっても考えられない。そのときには一体どうするのか。当然これは処罰規定というものがそこに出てくる。あるいは議長を中心として、全部辞職するのか、ここら辺はっきりしておいて下さい。
○杉原国務大臣 私先ほど法律的な処罰規定というような点の角度からだけお答えいたしたのでありますが、政治的にかりにもしそういうことがありましたならば、これは内閣が責任をとるべきものだ、こう考えております。その点ははっきりしておきます。
○江崎委員 そうすると内閣が責任をとるべきものである、ちょっとわかったようなわからぬような御答弁ですが、そうするとその場合は議長が主催しておる諾問機関ですから、内閣は重大なる秘密が漏れたり、国家国民に重大な損害を与えたと認められる場面には総辞職というところにも行き得る、こういうことに解釈していいわけですね。格別の規定はないけれども、総辞職というところで責任の所在を明らかにする、こういう意味ですかな。
○杉原国務大臣 各場合によって具体的に最もそれに応じた責任をとらなければならぬことだと思いますが、一般的に申しましてこれはきわめて重大なことでありますから、内閣としては高い強度の責任を負うべきものだと思います。
○田村委員 私どもがこの機密の漏洩ということに対して心配するのは、鳩山総理のように放言される方がたくさんおるからわれわれは心配しておる。そういう点から申しましても、この機密漏洩というものが現在では道義責任だけで片づけられておる。ところが道義責任だけで片づけられて果していいものであるかどうか。昔は、軍刑法というものがあって、あるいはその他のたくさんのこれを戒める法律があって、そうして非常に厳格な機密漏洩の措置を講じておったのであります。ところが現在においては機密なんかどうだっていいんだ、あるいは極端に言えば、先ほどのあげ足取りになるかもしれませんが、アメリカがこれだから次はこうなっていこうという、憲法解釈がかわってくる。その前には機密の保持も何もあったものじゃないということをわれわれは非常に心配するのであります。そこで後ほどこの問題はまた総理に御質問申し上げるとして、増原次長にちょっと御質問を申し上げたいと思います。これは次長から御答弁を願いたい。長官からですとまたごまかされるおそれがありますので、増原次長からお願い申し上げたい。国防会議の機密を漏洩された場合には防衛庁は実際困るでしょう。いかがでございますか。
○増原政府委員 国防会議にかけますような国防の基方方針とか防衛計画の大綱とかに関する機密が漏れるということになりますと、これは防衛庁が困るということでなしに、国家として大いに困ることであろうと思います。
○田村委員 それでは世界各国はその国の、つまり相手国家の機密を探ろうとしてスパイ活動まで非常にやっておるというのが現状でございます。何国でスパイがつかまった、あるいは日本でもスパイをつかまえたというようなことが盛んにいわれておりますが、それほどまでに各国は防衛の大綱、基本方針というような問題に関して、秘密秘密でみな狂奔しておるのであります。いかに鳩山総理がガラス張りであると言っても、その政治の中に機密漏洩がせられたら、これはガラス張りではない。それはガラス張りをもう通り越しておる。そういうことからいたしましても、もう一回増原次長に御質問申し上げますが、実際に現在の日本の防衛方針あるいは大綱というようなものを探ろうとして外国の――これは特定外国でなくてもけっこうでありますが、外国のスパイの脅威を受けておりますかどうか、この点お聞きいたします。
○増原政府委員 ただいまのところ、まだ国防の基本方針とか防衛計画の大綱とかいうものをきめていただいておりませんので、そういうことについてどうこうということは感じておらないわけでございます。
○田村委員 それは、まだ基本方針とか大綱というものがきまっていないといえばそれまででありますが、しかしながら現在の防衛庁の中におけるいろいろな問題というものに、機密性のあるものはないということでございますか。
○増原政府委員 防衛庁でやっておりますことで、外部に知らせることを適当としないものはもちろんございます。これは防衛庁法、自衛隊法等に基きまして、それぞれ官庁機密として保護しておる、それにはそれぞれ罰則もあるという形でございます。
○田村委員 それは防衛庁の中には罰則もあるかもしれませんが、しかしながら私はこの国防会議の民間議員というものを爼上に載せて今御質問申し上げておるのでございます。それでは民間議員というものが機密漏洩をした場合において、今の増原次長の御答弁から想像いたしましても、民間議員が機密漏洩をした場合に道義責任という程度のことでこれを律するということはあまりにも大冒険である。これは実際問題としてまるっきり児戯に類する条文である、かように私は考えますが、総理の御見解をお問い申し上げます。
○鳩山国務大臣 今ちょっと聞いていなかったのですが……。
○田村委員 それではもう一回申し上げます。いつ総理に御質問申し上げるかわかりませんから、なるべくよく聞いていていただきたいと思います。機密漏洩に対する規定というものが道義責任だけである、これではまことに心もとないということから、たとえば機密が漏洩せられると、日本の将来までが非常に危ぶまれる。これは考えただけでもはだえにアワを生ずるように感じがいたすのでございますが、こういうことですべてを甘く見られて、果して国防の基本方針とかあるいは大綱というものが立てられるかどうか、こういう点においてもっときびしい罰則ということも考えられなくては、非常に困った問題になると思うのでございますが、そういう点に関する総理の御見解を、ここではっきりと表明していただきたいのであります。
○鳩山国務大臣 ただいまのところは識見ある練達堪能の人を信用していいと思っておりますけれども、よく検討いたします。
○田村委員 識見の高い練達堪能の士を信用されることは、これは非常にけっこうな崇高な総理の御精神だとは思いますけれども、しかしながら責任内閣制である鳩山内閣においても、総理大臣と外務大臣の意見が食い違って、そうしてよそから見てもまことに恥かしいようなお二人で暗闘もあるやに私どもはうかがっておるのでございますが、私の言うのは、機密をついうっかりと口を滑らす場合もある。もちろんこれを外国に売りつけるとか、あるいはその他の悪意をもってするということをもって私はすべてを申し上げておるのではありません。ついうっかりとしゃべるということは、鳩山先生は特にそういうことが多いのでございますが、そういう場合においても、なおかつ道義責任だけでお過ごしになるのかどうか、この点をもう一回はっきりとお答え願いたいのでございます。
○鳩山国務大臣 私は現在においては、ただいまの法案をもって最上のものと信じておりますけれども、よく検討をいたします。
○田村委員 それではまた少し元へ戻るようでございますが、民間人に対して特定の規定も設けないで、単に識見の高い練達の者というだけでは、これは非常に範囲が広過ぎる。こういう点において、どのような人を練達堪能の士と考えておられるかということを具体的に申していただきたいのでございます。
○鳩山国務大臣 現在においては何らの専門家ということを考えていません。一般的に見て識見があって練達堪能の人で、国会が承認する人ならば、信用してもいいと思います。
○田村委員 これはきわめて重要な問題でございます。国会が承認するということは、まことに権威のある話であります。しかしながら、これは現実の姿としては、たとえば鳩山内閣が組織されておるというときには、民主党が第一党であるというような工合でございまして、国会の承認というものは、総理大臣あるいは内閣の意向というものがそのまま議会において生きていく、つまり内閣の言う通りの承認が与えられるということもまたわれわれは考えなければならないわけでございます。そういう心配があるわけです。今のところ何も考えていない、そういうような漠然とした、たよりない民間人の規定、でございましたならば、これはいま少しくわれわれは慎重審議をして、何も今国会を通す必要もないのでございまして、こういうずさんなものよりも、もっと確実なものを作り上げる必要がある。われわれはもちろん国防会議というものに対して反対をするわけでありませんけれども、しかしながら作る以上は、国家の最高の一つの機関であるという建前から、やはり慎重審議をしなければならぬということを申し上げたいのであります。そこでこの練達堪能の士という単にこれだけの、識見の高い人というだけの解釈では、あるいは旧軍人が入ってこないとも限りませんし、あるいはまた実業家が入ってくる場合もあるでございましょう。そういう場合には旧軍閥にまた左右される、あるいはまた軍需産業というようなものと悪妥協をするというようなことが起り得ると私は思うのでごごいますが、こういう点に関して総理は果して疑念を持っておられないのかどうか、この点もお答えを願いたいと思います。
○鳩山国務大臣 そういう点に対しては十分の注意をして選任をいたします。
○田村委員 総理はいつも十分に考えるということを言われるのでございますけれども、しかしながら、この国防会議というものは、鳩山内閣が存続する間だけの国防会議ではございません。あなたのような非常に人をよく見られる方が総理大臣である間はようございますが、どのような人がなるかまたこれはわかりません。そういう点からこういう問題はもっと慎重に考えられて、法律にうたわれるとか、あるいはその他の強い拘束を持った条文を作られるとかいうようなことをしなければ、とうてい今から十年も二十年も先まで、あなたの崇高な高邁な御精神というものが続けられるとは思えないのでございます。そういう点において、あなたはこういう条文あるいは規定においては、これを再び考慮するというお気持を持っておられるか、余裕を持っておられるかということを私はお聞きいたしたいと思います。
○鳩山国務大臣 条件に付することは、いい面もありますけれども、弊害の面もありますから、条件なしに良識ある練達の人、こういうようにしたのであります。
○田村委員 私はこれでは総理とから回りをすると思うのでございますが、そういう主観的な考え方をされないで、もっと厳格に考えてもらいたい。そして十年でも二十年でも、一ぺん作った法律というものはそう簡単に転々と変えていくべきものでないという考え方からして、当初からもっと慎重な考え方をもって、この国防会議構成の法律案というものを政府はもう一回考え直していただくことはできまいかということを申し上げておるのでございますが、どうせまた御答弁は先ほどと同じと思いますから、この点はこれくらいにいたしておきます。
 とにかく現在の内閣は責任制内閣でございます。責任制内閣であるから、もちろん国防会議に対しましても責任をお取りになるということは、先ほどの御答弁でもうかがい知ったのでございます。しかしながらなお国防会議というもので論議するといっても、やはりこの内閣と協調的な構成人員を作らなければならないということは、これは大体において政治のテクニックから申しましても当然であろうと思うのでございます。そこで民間議員三年という任期をお作りになって、そして総理は途中でやめさせることをしなくてもいいというお考えを私は先ほど承わりましたが、実際において議会で承認をするという場合におきましては、たとえば鳩山内閣の場合においては、鳩山内閣という、つまり民主党という一番大きい議会勢力に乗って任命せられる。ところが任期の三年のうちにはあるいは政変が起らないとも限りません。たとえば民主党内閣がもういつまで続くかわからぬような現状でございます。その三年の間にかりに政変が起った、そして新たに作られた内閣は前内閣と国防関係における考え方が相当違うというような場合は、これは当然考えられるところでございます。そういうときに、民主党内閣のときに任命した民間議員というものが、次の内閣においてきわめて野党色を強く出してくるということもまた考えられないではございません。そういうときに第六条でありますが、「職務上の義務違反その他議員たるに適しない非行がある」と認めて罷免するということもちょっとできないかと思います。ところが実際においてただ意見を聞きおくだけだという議長の立場ということになれば、それでいいようなものだとはいいながらも、なおかつ五人もの閣僚と同数の民間議員というものが、時の内閣総理大臣すなわちこの国防会議の議長に対して強く反対の態度を出した場合には、時の総理大臣は非常に困るだろうと思うのであります。そしてまたこれでつぶれたところで、内閣はやはり責任制内閣であるということでございますが、こういうことに関して総理は、かりにあなただったらどういうふうに対処せられるか、あるいはまたこの法律はどういうふうに守られなければならぬか、あるいはまたどういうふうに解釈すべきであるかという点において総理から御答弁を願います。
○鳩山国務大臣 今あなたのおっしゃるように政党色の強い人は、良識ある練達たんのうの人とは言えないと思います。そういう人はやはり議員に選ぶときは避けなければならないと思います。
○田村委員 私は、時間がだんだん切迫いたして参りましたので、この点でもっと総理にお尋ねをいたしたいと思いますが、あとの委員からまたお尋ねをすることにいたしまして、最後に一、二問ちょっとお尋ねいたしたいと思うのであります。国防会議の事務局というものでございますが、これはどの程度のもので、どういう仕事をするのかということをお尋ねいたしたいと思います。これは長官でけっこうです。
○杉原国務大臣 事務局の構成及びその仕事でございますが、その人数は大体現在内閣官房の職員から融通いたしますのと、それから各省から派遣兼務いたしますのと合せまして、約十名内外というふうに今考えております。事務につきましては、一番私大事だと思いますのは、こういう諮問機関の事務局であります。その任務からいたしまして、議員が諮問を受けた事項についていろいろ意見を述べる、その基礎になるところの正確な資料の収集ということが非常に重要なことだと存じております。
○田村委員 これについてはもっと伺いたいのでございますが、またあとで福井委員あたりから御質問することと思います。
 次いで事務局と統合幕僚会議との関係はいかがでございますか。
○杉原国務大臣 事務局と統合幕僚会議との関係は、ずっとつながった関係はございません。御承知の通り、統合幕僚会議は防衛庁長官の補佐機関でございます。従ってこの統合幕僚会議がすぐ総理大臣に直結いたすわけでもございません。長官の補佐機関でございます。
○田村委員 それでは防衛局との関係はいかがでございますか。
○杉原国務大臣 防衛庁内の防衛局も防衛庁長官の補佐機構でございます。
○田村委員 大へん急いで申訳ないのでありますが、総理にお伺いいたしたいのは、最近徴兵制度ということを口にせられる方々が相当数ありまして、世の青少年あるいはまた子を持つ父親、母親たちは非常に恐怖心を抱いておるのでございます。これについて現在の総理大臣の徴兵制度に対するお考えというものを、ここではっきりと、簡単でようございますから申していただきたいと思います。
○鳩山国務大臣 徴兵制度については、現在は全く考えておりません。
○田村委員 それでわれわれも安心いたしたのでございます。
 最後に、要するに憲法改正もまだなされていないし、また国際間に急変ありとも考えられないというふうに総理あるいは長官の御答弁からお伺いしたのでありますが、そういう現在、しかもこのような、いわばあなた方が主観で、あるいは人を見るのに善意で見るというような御態度で御答弁をなされないと、きわめてはっきりした答弁ができないような、すなわち極端にずさんな法律案を今出してきて、そうして人心をいたずらに刺激する、あるいは不安がらせるというようなことをなさるより、むしろ、いつかの時期に憲法改正はどうせ行われるでございましょうが、そのときは明文化することがよろしいという考え方もあるわけでございますが、そういう点についての総理の御見解を伺いたいと同時に、また今こういうものを作りましても、責任制内閣あるいは総理の諮問機関というようなことから考え合せまして、この国防会議の構成人員をながめたときには、インナー・キャビネットと何ら変らない、すなわちキャビネットである。こういう場合において今これを急いで作り、そうして作り上げた上で果してこの効果と申しますか、そういうものがあるのかどうか。あってもなくても同じような国防会議であるというふうに、先ほどからの総理あるいは長官の御答弁で、私どもは思わざるを得ないのでございますが、こういうような、すなわち機密漏洩も何もできないというような国防会議、いたずらに不安を増大し、あるいはまたこの内閣のときにおいて摩擦を作るというようなこともわれわれはどうかと思うのでございまして、まことにずさんな法律案でありますが、これに対してこれはお願いでありますが、総理大臣はいま少しく慎重に考えられて、現実というものをもっとしっかりながめ把握せられて、そうして日本の百年の将来までもくずされないように、誤まらしめないように、この点をよく御勘案願いたいのでございます。先ほどの御答弁を待ちまして私の質問を終りたいと思います。
○鳩山国務大臣 長期の国防を立てるということも、現在の日本において非常に必要なことでございますから、国防会議ができれば直ちにそれを決定してもらいたいと考えております。
○田村委員 その総理の御答弁がいけないと私は申し上げる。すなわち国防会議でもそういう御答弁しかできないのでありますから、これをもっと慎重に政府の方でお考え願って、それこそ練達堪能な杉原長官を初め、田中政務次官というようなりっぱな方もおられるし、あるいはまた防衛庁の事務官の方には相当りっぱな方もおられるのでございますから、そういう方々の意見をいま一度再考していただきたい。われわれはこれを作ることに反対をするということよりも、こういうずさんなものを作られた場合に、国家の将来がどういうふうになっていくであろうかということをおそれるからこれを申し上げておるのでございます。そういう点でもっとこの法律案というものを、何人も納得のできるように、また安心して総理大臣におまかせのできるようなものにしていただきたいということを私は申し上げておるのであります。そうして先ほどの私の質問に対して、今御答弁になったことは、いささかピントがはずれておりまして、先ほど憲法改正というものをあなたはまだしないとおっしゃった。あるいはまた国際間に急変があるということも考えられない、かようにおっしゃっておられる現在において、すなわち人心をいたずらに刺激するような、こういうずさんな法律案を出してこられるというようなことをなさらないで、出されたのは仕方がないといいながら、なおかつもう一回あなたの方で再検討されることはできるのでありますから、そういうふうによく御勉強願い、先ほど申し上げたように、国家百年の計を誤まらしめないようにしてもらいたい。今ずさんなものを急いで作り上げるより、むしろいつの日かになされるであろうところの憲法改正のときにも、その憲法の条文にはっきりと明文化することの方が当を得ているのではなかろうかということを申し上げて、あなたの御見解を伺ったわけであります。先の御答弁はいささか意味が違っておりました。もう一回御答弁を伺いたいと思います。
○鳩山国務大臣 答弁は同じことを繰り返すよりいたし方がございませんが、御意見は尊重いたします。
○宮澤委員長 福井順一君。
○福井(順)委員 けさから大へん審議が重ねられましたが、政府の方であまりはっきりした答弁をされないので、国防会議の性格というものがぼやけてしまって、さっぱりはっきりしないようでありますが、この国防会議は国内的に最も重要な問題であるのみでなく、国際的にも非常に関連のある問題でありますから、現在行われているところの外交折衝などにも、これが成り行きによっては相当重大な影響を及ぼすであろうと思いますので、これはそう国の内外に疑心暗鬼が生じないように、もっとはっきりした御答弁をお願いしたいということを申し上げまして、私の質問は防衛六カ年計画の概要を一つ承わりたいと思う。
○鳩山国務大臣 防衛六カ年計画は今日はまだできておりません。
○福井(順)委員 一体この防衛六カ年計画というものは、それではどこを目標に防衛六カ年計画をされたのでありますか。先般もこれについてだいぶ論議がかわされておりましたが、仮想敵国という言葉を使うということははなはだ不穏当のようでありますから、仮想敵国という必要はありませんけれども、たとえば中共やソ連の軍事力が目標であるというような程度は言っていただかなければ、これはどうもしようがないと思いますが、一つ御答弁をお願いしたい。
○鳩山国務大臣 ソ連、中共を仮想敵国とは思いません。ただ日本は独立国家として最小限度の防衛力を持っている必要があると思うだけでございます。
○福井(順)委員 それでは防衛六カ年計画というものはできておらないとおっしゃる、これははっきりできております。私は数字もあとで申し上げますが、それはあとの問題といたしまして、今総理大臣が言われた自衛のための最小限度の戦力を持つといわれました。しからば自衛のために最小限度の兵力とはどの程度のものであるかということを一つ御答弁願いたい。
○鳩山国務大臣 私は日本の独自の、単独の力をもってしてはどこの国の攻撃にもこれを防衛するだけの力はなかなかできないと思っております。そこでとりあえず安保条約によるアメリカの援助、あるいは国際連合における集団安全保障により防衛をしてもらう、その前に幾分かの抵抗力を持つことが日本の国を守る以上は必要だ。いずれの国も仮想敵国というものは持たないのに、その国に相応するだけの自衛力は皆が持っているのでありますから、そういうふうに日本の経済力に相応するだけの最小限度の自衛力は持つことが必要だと考えているのであります。
○福井(順)委員 日本の経済力に即応したところの自衛力を持つことは必要であるとおっしゃるが、そういうことはわかり切っていることで、そこで一体最小限度の自衛力というものは数字で一体どのくらいの自衛力かということでありますが、空軍がどれだけか、海軍がどれだけか、陸軍がどれだけか、これを一つ御答弁を賜わりたい。
○鳩山国務大臣 そういう事柄は国防会議において決定せられるものと考えております。
○福井(順)委員 それは国防会議ができる前に、そういうことはもうわかり切っていることであります。しかも防衛六カ年計画というものは明らかにもうできている。これは米国では、地上陸軍が三十二万五千、十個師団、海上では、三十万トン、空軍は二千機ということを言ったと聞いておりますが、防衛庁の防衛六カ年計画は陸上軍が十八万、海上が十二万トン、空軍が千二百機、こう私は聞いております。これに対して一つもっと明確な答弁を承わりたい。
○杉原国務大臣 いろいろと伝えられているようでございますが、事実防衛庁内部におきましてもまだ研究中でございまして、成案を得ていないのは事実でございます。
○福井(順)委員 いや、成案を得ていないのは事実でありましょうが、もうすっかりできておることはできておる。従いまして、ここでこれが発表できないならば、秘密会ででも一つ審議をされるお考えがないかどうか、これは総理大臣に伺いたい。
○鳩山国務大臣 私の聞くところによれば、防衛計画というものはできていないものだそうです。
○福井(順)委員 あなたの御答弁を伺うと、防衛計画というものはできていないと今おっしゃったけれども、一国の総理大臣として私ははなはだ無責任きわまる答弁だと思います。そういうことで総理大臣というような重職が全うし得るわけがない。しかもまた外交問題にも大へん関連性があると申しましたけれども、どういう気持で、また何を根拠に外交などもやっておられるか、そういう甘い、ずさんな考えでやっておられるので、すべてが食い違ってくるのではないかと私は思うのであります。あなたは選挙中に、すぐにでも戦争終結宣言をしてもらいたい、また選挙中にでも全権をソ連に送りたいというようなことを放言しておられる。一般の国民は、これが選挙中のことでありますから、これは放言でなくしてほんとうかと思っておった。ところがとんでもない話で、これはえらい放言であります。そういうことも、今の御答弁と同じに非常に無責任な思想から起る放言だと私はいわざるを得ない。こういうことが将来の外交問題などにも非常に大きな悪影響を及ぼすものと私は思う。大体、国防会議にいたしましても、防衛六カ年計画にいたしましても、相手の国があってやることでありますから、これは相手が仮想敵国といわないまでも、たとえばソ連や中共の軍事力というものを目標としてやっておられるに違いないのであります。千島にしてもあるいは樺太あるいはバルト沿岸のソ連軍の配置状態がどうであるかというようなくらいなことはわかってやっておられることは、これは当然のことであります。それを、防衛六カ年計画は何もできておらない、これに対しては江崎委員からも再三再四追及がありましたが、そのときもできておらないと言っておられる。そういう何もできておらないということで国防会議法の審議が進められるわけがないのであります。大体この国防会議法を審議する基礎というものが何もできていないことになる。そこで私は、もう少しはっきりものを言っていただきたいということを冒頭言っておるのであります。前回の内閣委員会のあとで理事会が催されまして、どうも今のままでは、何も政府ではっきりした答弁をなさらないので、審議を続けることができない、もう少しはっきりした答弁をさしてもらいたいということを、理事会で委員長に各党から申し入れをした。委員長ははっきり、じゃあ今度は相当はっきりした答弁をさせますということで、理事会はこれを了承したのでありますけれども、一向その約束が果されておらない。そうして総理の答弁を聞きますと、まるでこれはなっていない。それからあなたがソ連との外交交渉をされておりましても、あなたの考えは大へんに甘くて、ずさんだから、選挙中に言われたこととすっかり食い違っておる。ソ連が今にも戦争終結宣言をする、今にも、あなたの思う通りの、少くとも歯舞、色丹を返してくる、抑留者は全部帰す、というようなことを言われておりましたけれども、あのロンドン会議のふたをあけてみると、ソ連全権の日本に対する提案というものは、われわれ日本国民の胸に剣を擬するような秋霜烈日たるものがある。これではとうていのめるわけがない。一体この責任を総理大臣はどうなさいますか。このままでずっとこの日ソ交渉を続けていかれるかどうか、これをまず承わりたい。
○鳩山国務大臣 日ソとの交渉はこれからだんだんと進行するものと考えております。
○福井(順)委員 だんだんと進行はするでしょう。(笑声)だんだんと進行するでしょうが、あなたが思っておられない方向に進行をするということを私は申し上げるのであります。あなたの総理大臣としての考えが大へんに甘い。そこでこれは考えを変えていただかなければならない。すべてに総理大臣の考えが甘いのであります。あのソ連の条件というものはこれは全くわからない。最初からドムニッキーというような何とも知れない男が、しかも台所から総理大臣のところへ書簡を持ってきて、あて名も日付も何もないようなものからあなたが日ソ交渉に入られたということは、近世史にはそういう例がない。しかもまた、非常に心配をいたしておりましたけれども、選挙中は日ソ交渉が間もなくできるような放言をされ、ふたをあけてみるとこういうざまであります。あのドイツのアデナウアーがやったあざやかな外交ぶり、私は鳩山総理大臣はアデナウアーのつめのあかでもせんじて飲んでもらいたいと思う。アデナウアーはソ連から招請状か来た。来たけれどもソ連に行かないでアメリカに行った。アメリカとしっかりと相談をし、その他の三国ともがっちり相談をして、しかる後にモスコーへ行こうとしている。しかも抑留者を全部帰さなければこの相談に応じない、こう言っているのであります。私は最初からそういう外交交渉を望んでおったのでありますが、私と同じようなことをアデナウアーがやっている。(笑声)まことにこれは総理としては考えられなければならない。ソ連という国は日本に対して凶状持ちであります。日本に原子爆弾が落ちて、日本が再び立てぬと見るやあの条約を破って満州に侵略してきた、こういう凶状持ちであります。それを逆にドムニッキー輩の誘引に乗せられて、うかうかと手出しをしてとんでもない目にあおうとしている。ソ連の術策に乗ろうとしている。ソ連との外交は物理外交以外に成功しないということを世界の外交家はみんな言っている。それを鳩山総理だけが実にうかうかと乗っている。今からでも私はおそくないと思うのでありますけれども、少くとも抑留者を帰さないならば――抑留者がいないということを言っているのでありますけれども、そういうばかなことを言っているならば、この抑留者の問題だけでも解決がつかなければ、断固松本さんを引き揚げるというくらいの決意で外交交渉に当らなければ成功しないと思うのであります。あなたはこれから先の何回かの交渉で、ソ連が抑留者さえ帰さないという誠意のない態度であったときでも、この全権を引き揚げようとなさいませんか。これを伺いたい。
○鳩山国務大臣 私は抑留者はソ連は帰すものと今日考えております。
○福井(順)委員 そういうふうに総理の考えはまことに甘い。甘いから事ごとに全部違ってくる。フィリピンの賠償問題にいたしましても、われわれは四億ドルと思っておった。これより上回る額というものはとうていわれわれ国民の負担にたえないと思っておった。ところが八億ドルというようなことになっている。これは国民がひとしくびっくりいたしております。日本はそれでなくても賠償その他いろいろなものを合せますと一兆円以上のものを外国に払わなければならぬことになっており、とうてい国家経済が耐え得るものではない。話に聞けば総理大臣が直接向うの代表と話をされて、八億ドルを大体内諾されたということを聞いておりますが、もう一回はっきり御答弁願いたい。
○鳩山国務大臣 八億ドルということをネリ氏と話し合いをしたということはございません。
○宮澤委員長 福井君、なるべく問題を離れないようにお願いいたします。
○福井(順)委員 私はこれは問題が離れたわけではないのでありまして、これは前奏曲であって、これから本論に入るわけでありますが、なぜ私がこういうことを申しあげるかというと、これは総理大臣に対する質問でありまして、総理大臣がかくのごとく考えが甘くては、それは国を危うくするということが私の根本の考えであります。私だけでなくても、国民の大部分が、今、朝日をさまして新聞を見ると、ああ鳩山さんがまた何か外国と約束されたのではないかというので非常にびっくりする。今国民の不安というものは鳩山さんの行動にかかっておるといっても過言ではないと私は思うであります。日ソ交渉しかり、またフィリピンとの賠償交渉しかりであります。もっと慎重にやっていただきたい。
 そこで本論に入るのでありますけれど、何も知らないかにも知らない、まだ研究してないということでは困る。外国との交渉にも、この国防会議の成り行きが非常に重大な影響を及ぼすものでありますから、はっきりしたことをもっと言っていただきたい。防衛六カ年計画というものができてないとおっしゃるならば、自衛の最小限度の兵力というものがどのくらいかということだけくらいはどうしてもここで話をしてもらわなければ、国防会議の審議を続けるというわけにはいかないのでありますが、いかがでありますか。
○杉原国務大臣 そういう点を長期計画におきまして大体のめどをつける、実はこういうことを考えておりますが、その先に防衛庁内部におきましてそういう点を研究に研究を重ねておる次第であります。今数字的に防衛庁内部として固まったものとして申し上げる段階に至っていないということを申し上げておるのでありまして、今日までもうずっと研究を重ねてきておるところでございます。いかにも私が申し上げるべきことを申し上げていないというふうにあるいはおとりになるかもしれませんが、それは私はこの考えております。まだほんとうに固まっていないものを国民に発表することはかえって国民に迷惑を及ぼす、やはり政府としては責任を持ち得るものにして、その上でないとかえって国民に御迷惑をかける、また国会に対しても責任を尽すゆえんでない、こう考えておる次第でございます。
○福井(順)委員 これは一般国民に発表ができなければ、秘密会ででもぜひ発表していただきたい。そうしないと、またあの賠償問題のように、一夜明けて目がさめると、四億ドルがぽかっと八億ドルになったということになると、国民はたいへんなことでありまして、これは何としてもできていることには間違いがないのでありますから、秘密会ででもぜひ一つ発表していただきたい。
○杉原国務大臣 六カ年計画はできておるとおっしゃいますが、今申し上げますように、今まで何回もずっと引き続いて研究をしてきております。現在もそれを継続しておる次第でございます。
○福井(順)委員 私はそういういいかげんなことであれば、国防会議の審議はおそらくうまくいかないだろうと思います。(「いかない」と呼ぶ者あり)ここにもいかないという声がありますが、それはこの前も理事会で、先ほど申し上げましたように、とてもこういうことでは審議を続けることはできないということで、委員長にももっとはっきり言っていただかなければ困る――なぜ困るかというと、国防会議というものは最も重要な問題であります。これの成り行きいかんによっては、日本民族の興亡にかかわる問題である。おそらく数百年間、数千年間、あるいは永遠に日本民族の興亡にかかわる問題である。戦争前でも国防会議というようなものがありまして、そしてこれが正しく運営されたならば、われわれはこの敗戦の苦杯はなめなかったかもわからぬ。それほど重大なる問題でありますから、何もかにもわからないというようなことでは困るのであります。もう少しはっきりと国民に知らさなければならない。私は国民の代表として、これが義務であると思う。どうか一つはっきり御答弁を願いたい。
○杉原国務大臣 御質問に対しては、私先ほどからお答え申し上げておる通りでございます。
○福井(順)委員 それではたくさん問題があるようですが、日米安全保障条約の共同防衛について、米軍と自衛隊との役割、それから両方の連絡、共同の機構、陸海空軍の規模、自衛隊の補強、こういうものを一つお答え願いたい。
○杉原国務大臣 安保条約及び行政協定をもとにして、今の御質問に関連することをこの協定の規定に即してみますと、直接これに関連するということは各個の規定を検討いたしますときわめて少い――ほとんどないくらいのことを発見する次第でございます。行政協定の二十四条であったと思いますが、日本区域において敵対行為が起った場合、また敵対為の急迫した事態が起った場合、その場合には日本区域の防衛のために両国が協議するという協議条項が入っております。その協議に基く協定というものはまだできていないのであります。
○宮澤委員長 福井君、あとの質問はまだ日にちがありますから、なるべく総理大臣に質問をするようにして下さい。
○福井(順)委員 それでは総理大臣に質問をいたしますが、とにかくこういうことでは国防会議の審議はできない。これはどうも国防会議の基礎が政府でもまだ何もできていないのじゃないか、それを一つ総理大臣に伺いたい。
○鳩山国務大臣 国防会議で長期計画を立てたいと考えておるのでありますから、国防会議ができれば、日本の自衛の態勢ができるものと思っております。
○福井(順)委員 それでは幾ら質問をしても同じことでありますから、私はまだ質問したいことがたくさんあるのでございますが、だいぶ同僚委員からの催促もありますのでこれでやめます。私は防衛六カ年計画の全貌というものにつきましては、いずれどうしても秘密会か何かでやってもらわなければならない。これに対する質問を留保し、次会に譲りまして、私の質問を終ります。
○宮澤委員長 森三樹二君。
○森(三)委員 私は去る六月二日の衆議院本会議におきまして、ただいま議題となっております国防会議の構成等に関する法律案につきまして、本会議場を通じて鳩山総理並びに関係閣僚に質疑をしたのでございます。その場合におきましては、世界の現在の情勢からいたしまして、平和勢力が台頭し、日本もまた平和を推進するところの一環をになわなければならないということを強く主張し、この国防法案のごとき再軍備政策を強行する法律案をなぜ今提案しなければならないのか。私どもは基本的に再軍備に反対するものであり、現在の国防会議法案の撤回を要求したのであります。しかしながらただいまの鳩山総理の答弁並びに杉原長官の答弁等をお聞きいたしますと、どうしてもこの基本的な問題、すなわち憲法九条に規定されてあるところの兵力の問題、あるいは武力の行使等の問題について明確なる答弁がなされておりません。私はまことに遺憾にたえないのであります。そうしてまた鳩山総理は、かつては憲法を改正しなければ再軍備はできないのだ、かように強く主張しておったにかかわらず、現在各委員から質問しますと、現行憲法のもとにおいても自衛のためならば軍隊を持つことができるのだというような、非常に豹変された御答弁をされておるのであります。現在自由主義者をもって任ずるところの鳩山総理が、かつて文部大臣といたしまして滝川幸辰氏を京大の教授から追放したことがあります。この滝川幸辰氏は現在の京大の総長になっておられるが、あなたは野におって自分が考えておる場合においては、自分の真理が正しいのだ、かようにお考えになりましたことでも、一旦朝に入りまして閣僚やあるいは総理大臣という重要なポストに置かれた場合において、自分のかっての在野時代の考え方をしばしば変更して、そうして時の亜流に属するような考え方、あるいは行政権を行使されるということは、私はまことに遺憾にたえないと思うのであります。私は、やはり鳩山総理は憲法を改正しなければ再軍備はできないのだ、こういうお考えをあくまで貫くことこそ、日本の平和と独立を守るものであり、またあなたが生命を失ったあと永久に、後世の歴史家が批判する場合、鳩山総理の態度はりっぱであった、なるほど鳩山総理の言われたことが正しかったのだということになると思う。このようなきぜんたる態度をもって、日本の政治の上にもあるいは憲法を順守して、国民の生活の安定を目途に、外交問題あるいは経済問題を立てていただかなければならない、かように考えておるのであります。あなたは野にあるときには非常に正しい考え方を持っておるけれども、一旦朝に入り政権を担当されると世論の力であるとかあるいはそのときの政治情勢の判断であるとかいって、そうして当然守らなければならないところの憲法さえも曲げた解釈をされるというがごときは、私は一国の総理大臣としてまことに遺憾にたえないのであります。私は、鳩山総理の現在の心境といたしましても、すなわち憲法を改正しなければ再軍備できないのだというお考えを持っておることが、鳩山総理の明鏡止水の心境ではなかろうかと思うのでありますが、これに対する明確なる御答弁を願いたいと思うのであります。
○鳩山国務大臣 独立国家としては主権がある、主権があれば自衛権は当然ついてくるものだというような解釈をすれば、憲法九条がありましても自衛隊は持てる。自衛隊法ができまして、それが多数をもって国会を通過いたしまして、国民の大多数の意見は現在の憲法のままで、自衛のためならば兵力を持ってもいいということになってしまったのでありますから、今日私が以前の軍隊を持つのには九条の改正が要るという説を変更いたしましたところで決して不当ではないと私は考えております。野にあったときの意見を朝に立つたがゆえに変えたというわけではありません。当の国会がともかく自衛隊を承認したのでありますから、国論の多数が、主権があれば自衛力を持ってもいいというその論が日本の意思になったということは私は考えられると思うのであります。
○森(三)委員 憲法制定当時は、アメリカの占領軍としても、あるいはまた憲法制定当時の委員会においても、これは当然自衛のためにも軍隊を持つことはできないのだという解釈であったということは、先ほどもあなた自身肯定されておる。私も当時憲法制定の委員といたしまして、芦田均氏が憲法改正の委員長として審議に当ったのでありますが、もちろんわれわれはこの憲法九条の規定を永久に順守いたしまして、いかなる自衛のためにも軍隊を持ってはならない、あるいはまた武力を行使してはならない、われわれは永久にこの憲法を守っていくという精神に立っておったのでありますが、あなたは憲法九十九条に規定されましたところのいわゆる国務大臣あるいは国会議員等の憲法順守の規定を無視されておるのかどうか。いやしくもあなたが憲法を順守いたしまして、憲法の命ずるところによって日本の国政を担当するとするならば、単にそのときの世論であるとか、あるいは国会の議決があったからといって、その自説を曲げるということは私は政治家として取らざるところである。私は、憲法改正調査委員会を設けるところのあなたの意図も、すなわちこの憲法第九条を改正しなければならないという意図であると考えるのですが、これらの問題に関しまして明確なる御答弁を願いたいと思うのであります。
○鳩山国務大臣 とにかく憲法九条は、あなたのおっしゃる通りのような意味でできたものと思います。でありますから、現在の憲法についても解釈が二、三になることはやむを得ざることだと思います。そういうような疑いのある第九条は改正した方がいいと今日でも考えております。
○森(三)委員 ちょっと語尾が明確でなかったのですが、鳩山総理は憲法を改正すべきだ、できるならば改正すればいいという御意見ですか。
○鳩山国務大臣 はあ。
○森(三)委員 それならば今回憲法調査会を設ける理由は、こうしたところの疑義を一掃し、かねてから考えておったように憲法を改正して、そうして再軍備というものを明確にしたい、それがために憲法改正の調査会も作りたいのだ、このようにあなたが明確に打ち出すならばよろしいのでありますけれども、しかし過般同僚委員から憲法改正の調査会を作るのはどういう理由だ、どういう点をあなたは改正したいのかという御質問のありましたときに、自分は国会の予算の審議権あるいは国会議員の職務権限あるいはまた最高裁判所の権限等について改正したい、このような答弁をされまして、憲法第九条の規定を改正するために自分は憲法調査会を設けたいのだ、こういう答弁はその当時一言半句もなさらなかった。そうしますと、あなたのこの前の答弁と現在の答弁とは食い違っておると思うのでございますが、いかがでございますか。
○鳩山国務大臣 憲法調査会は憲法全般にわたって審議されるものと考えております。どの条どの条ということを題目として憲法調査会を設けるつもりはございません。
○森(三)委員 あなたがそういう答弁をされればいいのですが、六月十七日の当委員会における答弁は、そういうことをあなたはおっしゃっておらない。あなたは先ほど私が言いましたような数項目に限定して、項目をあげて答弁なさっておる。ところが現在では憲法全体について改正すべき点があると思うから、これを審議したいのだ、このような前会と違った答弁をされておる。私はまことに遺憾であると思います。
○鳩山国務大臣 私は限定して言ったのではないのです。例を言っただけであります。どういう点をするのか例をあげろという質問と考えましたから、私は例示をしたのであります。限定してこれだけをやりたい、その他はやらないという意味で答弁したのではございません。
○森(三)委員 あなたは例示したとおっしゃるのでありますが、しからば憲法を改正しなくても現行憲法によって自衛隊すなわち最小限度の軍隊を持てるというあなたのお考えでありますが、私どもは憲法違反の法律に対しましては、これは憲法に規定してある通り効力がないと思う。ところでわが国の現行の裁判制度といたしましては、違憲訴訟をするところの、すなわち憲法に違反する法律を審議する裁判機構の制度というものが確立されておらない。これはアメリカ、イギリスあるいは西ドイツ等のごとき違憲裁判所というものがありませんが、当然これを作らなければならない。われわれの政党におきましては、憲法違反の法律の審判を受けるべき制度を作りましで国会に上程する、このような基本的な方針を決定し、着々とその制度の法制化を進めておりますが、将来、日本の防衛庁設置法あるいは自衛隊法等が当該機関の裁判所において憲法違反の制度であるというような判決が下りました場合においては、あなたは当然にその裁判に服さなければならないと思う。そうした場合において、私はそこに大きな矛盾が生ずると思うのでありますが、そうした場合に、あなたはその裁判に服する考え方があるかどうか。この点について明確に御答弁願いたいと思う。
○鳩山国務大臣 憲法が改正せられまして、憲法違反の裁判ができるということになった場合、その裁判所は、今の自衛隊は違憲だということに決定した場合に、私はそれに従うかという御質問ですか。
○森(三)委員 そうです。
○鳩山国務大臣 日本の憲法が改正せられまして、自衛隊法は憲法違反だというように決定せられれば、むろん当然にその裁判に従わなければならないことは、もとより論をまちません。
○森(三)委員 そうだとすれば、あなた自身も、自衛のためにも再軍備する場合にはやはり憲法を改正した方がいいのだというお考えを持っておるとするならば、私は現在の防衛庁設置法あるいは自衛隊法というものは憲法の規定に衝突するものだという、あなたがかつて持っておられた考え方はそれが正しいのだという基本的なお考え方を明確にすることが必要である、かように考えておりますが、これに対してあなたのお考えをお尋ねしたい。
○鳩山国務大臣 私は現在の憲法が自衛隊を禁止しておるとは思っておらないのです。あなたは仮定の問題をおっしゃるから、そういうような場合はどうするかとおっしゃるから、仮定の場合に、そういうふうに判決せられれば、第九条がある以上は自衛隊は持てないのだということになれば、それはそういうような場合にはむろんそれに従います。ただし現在の憲法において日本は主権がある。主権があれば自衛権がある、自衛権があれば自衛隊を持ってもよろしいということを申したのであります。私は江崎君の質問に対してその言葉を使いました。江崎君にどういう言葉を言ったかと思ってここに紙に書いてきたのがあるのですが、その通りのことを言っております。主権があれば自衛権がある、自衛権があれば自衛隊を持ってもいい、こういうことです。
○森(三)委員 総理は、そのときそのときの御都合主義的な解釈をされて答弁されておりますが、私の申し上げんとすることは、すなわちあなたが、これが正しいという解釈を持たれたことはあくまでもこれを貫くというところの精神がなければ、日本の憲法の解釈に当っても、あるいは国政の場におきましても、将来大きな禍根を残すということを私は非常に憂えておるのであります。すなわち憲法を改めなくとも自衛力が持てるというようなことは、これは最近になってあなたがそういうことを発言するのでありまして、かつてのあなたの考え方というものは、あくまでも憲法を改正しなければ、これは違憲であるというように考えておった。この変ったこと自体が非常に危険であると私は思うが、その点はいかがでありますか。
○鳩山国務大臣 繰り返すばかりですから、今まで答弁したことによって御了承を願います。
○森(三)委員 この憲法改正にから見まして、あなたは憲法調査会というものを作ろうとしておる。ところが最近鳩山総理のお考えには非常に危険なものがあると思います。憲法改正の発議権につきまして、現行憲法の解釈上は、あくまでも国会が発議権を持っており、それには三分の二以上の同意をもって発議すべきだ、このように私どもは考えておるのでありますが、いかがでありますか。
○鳩山国務大臣 あの九十六条の規定は、三分の二という制限は国民につながっておるものでありまして、国民に改正案を出すのには三分の二以上の賛成が要る。国民に憲法改正案を提出するのにはそれだけの条件があるのですが、国会に発議する場合においては、あの条項は適用しないものと思っておるのであります。政党も内閣もともに発議権はあると思っております、ただし今日、これを一党一派で提出いたしましたり、政府が提出したりして、日本の憲法が改正になるというようなことは注意しなければならないことであります。保守党も社会党も、ともに憲法改正については、すべきことはした方がよいのだというような議論になって、日本憲法は国民の総意によって改正したいということを考えておるのでありますから、提出についてはただいままだちゅうちょしております。提出するについては、何とかして保守連繋並びにこれに社会党も加わって、日本の憲法改正をしたいという気持であるのであります。
○森(三)委員 総理はなかなか虫のいいことをお考えになっておりますが、私どもは今回の総選挙によって両社会党を合せて百五十六名という、いわゆる憲法改正を阻止する勢力を獲得することができた。従ってあなたがいかに社会党も含めてとおっしゃいましても、絶対にそれに応ずることはできない。この憲法を改正しなくとも自衛のためには再軍備ができるのだというように鳩山さんの解釈論が変ってきたのも、すなわち今回の総選挙によって保守党が圧倒的な勝利を占めたならば当然憲法改正を提案しただろうと思うのでありますが、結局鳩山さんのお考えは甘くて、社会党両派が憲法改正阻止の勢力を獲得した。そこでやむを得ずあなたは考えを変更して、そうして独立国が自衛のためには現行の憲法でも自衛隊を置くことができるんだ、こういうように考えが変ってきたと私は思うのでありますが、この点はいかがですか。
○鳩山国務大臣 全くそうじゃありません。あなたの方でもこの法律が憲法違反かどうかの裁判所を設けたいと現に言っているじゃありませんか。それですから憲法を改正しまして、最高裁判所に一つの法律が憲法違反かどうかを裁判するところの裁判所を設けるということには、社会党も賛成だろうと思います。いかがですか。
○森(三)委員 私が総理大臣であれば、明確に答弁します。私は国務大臣ではないけれども、しかしあなたから問われるならばお答えしますけれども、これは私どもが憲法違反の法律であるかどうかということを審議するために、そうしたところの裁判手続の制度の法律案を上程することを私は先ほど言っておるのであります。あなたは眠っていらっしやらなければ私が申し上げたことを十分お聞きになったと思うのでありまして、それをまたさらにお聞きになるのは私はどうかと思います。われわれ自身はあくまでもこの違憲裁判所、違憲制度の手続というものを明確にしたいと思うのであります。
 なお質問を続けますけれども、私は鳩山総理がお考えを、すなわち時の世論であるとか時の政治情勢によってしばしば変更されることを非常におそれるのであります。この憲法改正の発議権というものは、非常に重要なもんであります。御承知のように、旧憲法におきましても、その前文にはこの憲法改正の発議権というものは、朕及び朕が子孫によってのみ発議するんだ。そうしてまた憲法の条項の中にも、この発議権というものは天皇自身にあるんだということを明確に規定されておる。旧憲法の欽定憲法からするならば、これは国民に主権がないのでありますから、天皇のみの主権であって、そうしてこの憲法改正の発議権が明確に旧憲法に規定されておる。その対照的なものが今日の主権在民の憲法であって、すなわち国民の意思によって議会で議決して、さらに国民投票ということになるのでありますけれども、これは政府が勝手に憲法改正の提案権を行使したり、あるいは濫用されては困る。私はあくまでもこの憲法改正の発議権というものは、この九十六条に規定されてあります。すなわちこの憲法の改正は各議院の――各議院というのですから衆議院、参議院の各議の三分の二以上の賛成で国会がこれを発議し、とあるのでありまして、発議権はあなたのおっしゃるような広義に解釈しまして、そうして政府も提案権があるんだというがごときは、将来この憲法の解釈に紛淆を起すもとであると思う。この点については総理は法制局長官の指示を得たり、あるいはあちらこちらから入れ知恵をされないで、やはり自分がほんとうに思ったところを信念を持って御答弁を願わなければ、何事についても人の意見を聞いてやられるということは、私は非常に危険だと思うのです。明確に一つ御答弁を願いたいと思う。
○鳩山国務大臣 国民に発議をいたしますには国会の三分の二の必要であることは、先刻も申しました通りであります。ただし国会においてどういう改正案ができるかというところまでは、国民に発議する前までは、国会の多数でもって成案を作るとことは差しつかえないと私は考えているのです。ただしまだ三分の二の多数でもって成案ができなければ、国会には発議ができないのでありますから、今あなたと私のやっておる論争は、何年か先の話です。だからゆっくら考えようじゃありませんか。
○森(三)委員 これはとんでもない話だ。あなたはそれならば何のために憲法改正調査委員会を作ろうとするのでありますか。すでにあなたは憲法改正の意思があるのじゃありませんか。そのときに、先の話だからゆっくり考えようじゃありませんかと言う。まことは私は遺憾にたえない。あなたは真剣になって憲法の改正に……(鳩山国務大臣「委員長」と呼ぶ)私が発言中です。憲法の改正権は国会にあるのか、あるいは政府にもあるのか、この重要なけじめをつけてもらわなければ、この憲法の改正は今後非常に大きな紛淆を来たすと思う。先般来あなたの発言はしばしば新聞紙上で私は拝見しましたけれども、何だか政府にも憲法改正の発議権があるがごとき答弁といいますか、あなたの見解を表明されておった場面があります。そこで私は事重大でありますので、いわゆる憲法改正に関しまして御答弁を願っておるわけであります。
○鳩山国務大臣 さっきも申しておるのでありますけれども、国会に対する原案提案権、これは九十六条は直接言っていないと私は思うのです。九十六条は国民に対して発議をする場合の規定なんです。それですから、国民に対して発議することは政府はできません。国会の名において、しかも三分の二以上の多数でもって初めて国民に対して発議ができるのです。その前の手続については、九十六条の規定するところではないと私は解釈するのです。
○森(三)委員 いや、そこが重大なんです。そうしますと、いわゆる内閣そのものが国会に対して憲法改正の提案権があるというような、あなたは御解釈をなさるのですか。国会に対して憲法改正の提案権があるというふうに御解釈されるとするならば、その明確なるところの根拠がなくちゃならない。ところが憲法上においてもそうしたところの明確なる規定は私はないと思う。やはりこういうものは明確なる規定をもってなさらなければならぬと思うのでございますが、総理の御所見をお尋ねしたい。
○鳩山国務大臣 私は実際において国会に原案を政府が出すという考えをきめておるわけじゃないのです。ただ法律上それができないことではないということを言っておるのです。国民に対して発議をする場合においては明確な規定がありますから、あなたのおっしゃる通りです。ただし国民に発議をするのではなく、国会に対して原案を出すという場合には、九十六条の規定以外のことであって、いつもの例に従って、原則に従って国会には政府が発議ができ、そうして多数によって原案というものの決定は国会でできる、こう考えるのです。できた場合に、これを国民に発議するのには、これは多数でなければだめだ。三分の二以上の数があって、そうして国会の名においてやらなてはならないわけであります。ぼくが言うよりは、法制局長官から答弁しますか。
○森(三)委員 ぼくが言うよりか法制局長官云々ということ自体が、私は大問題だと思うのです。私はこれからだんだんと質問していきますけれども、あなた自身が確固たるところの考えがなくしては、たとえば国防会議であろうと、自衛隊の出動であろうと、いやおれはわからないから幕僚長に聞いてくれ、あるいは防衛長官に聞いてくれというような、そういうこと自体が非常に危険なんですよ。やはりある程度自分が憲法の条文をごらんになって――もちろん私は総理大臣が日常バラをごらんになられるということ、休養をることもけっこうだと思う。しかしながら、やはり憲法の条文くらいは総理大臣としては日常ごらんになって、自分の信念を持って、やはり国会の運営、国政の運営は憲法を基準として、国務大臣も国会議員もともに憲法順守の義務を憲法で負わされておるのでありますから、憲法の解釈につきましては、一々法制局長官に指示を仰がなくても、あなたは憲法改正論者なんだから、憲法の改正の提案権というものは、国会にあるのか、あるいは政府にもあるのかという重大問題については、しばしばあなたは発言されておる。従ってあなたはその憲法に準拠したところの発言をされることは当然であります。どうしてもわからなければ法制局長官から答弁なさってもけっこうです。
○鳩山国務大臣 いいえ、私はわかっておるからたびたび答弁いたしました。ただし私だけで御満足にならぬようだから、もっとほかの人からも答弁してもらった方があたなが満足するであろうと思ったから、親切の意味で言ったのです。
○森(三)委員 私はそんな親切は要りません。私は総理自身からお聞きすることが一番満足でありまして、総理大臣以外の属僚から私はこういうことは聞きたくない。(笑声)いやしくも一国の総理大臣が知らなくてどうしますか。これは実際笑いごとじゃございません。国防会議の問題にいたしましても、あるいは憲法の解釈にいたしましても、その根本があなたの腹の心底に明確になっておらないから、答弁がこの前と今日と変って来、また四、五日すると変ってくるというような非常に不見識な答弁が行われるまことに私は遺憾であると思う。あなたが憲法改正調査委員会というものを内閣の中に置かれようとして近いうちにその法案も提出されようとしておる。先般来総理がしばしば憲法の改正の提案権についてそれが内閣にもあるのだというようなこと申されておることが新聞に見えました。鳩山総理はだれに教わったか知らないけれども、大へんなことを言い出したものだ、どうしてもこれは鳩山総理にみずから聞いてみなければならない、このように考えておりましたので、私はこの場においてあなた自身の品から内閣自体において憲法改正権があると言われておるけれども、どこにその法的な根拠があるのか、これを明確にしてもらいたいと思う。
○鳩山国務大臣 私は九十六条はこの場合の規定ではないと思います。そうして議案を一般に出す規定の適用を受けると思うのです。議案については、憲法七十二条によって内閣総理大臣は内閣を代表して議案を提出する権利を持っているのですから、その規定を受けて内閣総理大臣としての議案の提出権限がある、ただしこれを国民に発議するのにはあなたのおっしゃる通りさらに九十六条の適用を受ける、こう言っておるのです。
○森(三)委員 そういう解釈自体が非常に危険なんです。私はだから先ほども旧憲法の解釈も申し上げたのであって、この七十二条には「内閣総理大臣は、内閣を代表して議案を国会に提出し、」という規定がありますが、この議案の中には憲法の改正の案は含まれない、かように厳格に解釈しなければ、今後この憲法の解釈についても大きな誤まりを犯すと思うから総理大臣に申し上げておるのであります。しかしあなたがそうがんばるならば、これは見解の相違としてやむを得ませんけれども、これは今後憲法改正の調査委員会等におきまして、私は十分御質問をしたいと思いますから、この問題は留保いたしておきます。
 そこで次に申し上げたいのは国防計画の問題であります。何といいましても国防会議の法律案を審議するためには、今申しましたところの憲法第九条の解釈と、それから次に来たるものは何といっても国防六カ年計画というものが明確にならなければならない。鳩山総理は自分ではわからないが、国防会議を作って、そして国防会議に諮ってきめるのだとおっしゃいますけれども、私どもは危なくてそれじゃ仕方がない。かって太平洋戦争が起りましたときに御前会議が行われた。その御前会議において結局当時の大元帥は、――軍の統帥権は大元帥にあったのですが、天皇の大元帥がもしあそこで太平洋戦争をやってはいけないという腹があったとするならば、この太平洋戦争というものは起きなかったのであります。しかもあの御前会議においては枢密顧問官の石井菊次郎氏のみが、古来ドイツと交わってともに対外的な戦争をした国で得をした国はない、自分はこれは非常に危険な戦争であって反対であるということを述べられましたけれども、あとの者は陸軍、海軍のそのときの勢力に押されてしまって、ただただ沈黙してその戦争を是認してしまった。最後にその決をきめるものはやはり当時の大元帥であった。今鳩山総理はすなわちこの法律につきましてあなたは一番重大な立場に立っておる。すなわち自衛隊法第七条には、「内閣総理大臣は、内閣を代表して自衛隊の最高の指揮監督権を有する。」と規定されておる。次の八条には、「長官は、内閣総理大臣の指揮監督を受け、自衛隊の隊務を統括する。」と規定されてあります。鳩山総理が一番最高の指揮監督権者であります。そしてこれをその次に指揮監督する者は、そのそばすわっておる防衛長官であります。この二人の方々が日本の国防の大綱を構想し、立てることなくして、どうして国民が安心をしてまかしておくことができますか。私はまことにおそろしいと思うのであります。すなわち国防会議においても、あるいは幕僚会議においても、戦争熱がだんだん盛んになってくる、私はこれはもう当然そうした道を進むと思うのであります。オタマジャクシはカエルの子になる、そのカエルの子はだんだん大ガエルになってしまうのです。この自衛隊というものができましたならば、これをだんだん成長育成しようというのは人情だと思うのです。自分の子供でもそうです。生れた子供ははえば立て、立てば歩むようにとだんだん成長を祈るのは人情であります。私はここに非常な危険があると思うのです。鳩山総理あるいは杉原長官らが毅然とした態度、そして毅然とした国防計画を立てずして、これから生まれるところの国防会議に諮問してそして国防計画を立てるというがごときは、私はまことに危険きわまるものであると思う。私はどうしてもこの際国防六カ年計画というものをここに明確にされなければならないと思うのでありますが、これにつきまして鳩山総理は、国防会議を作って、その国防会議に諮問して六カ年計画を作りたいのだ、このような答弁をされておりますが、私は総理の地位の重大なることにかんがみまして、あなた自身は一体どういうような国防計画をお持ちになっておるか、少くともこの委員会において私は御発表を願いたいと思うのであります。
○鳩山国務大臣 ただいままだこれを発表することはできません。目下検討中であります。
○森(三)委員 これは昭和三十年五月九日の新聞です。これをごらん願えればわかりますが「国防白書」というものがある。ここに「杉原長官、発表を考慮」「国民の理解を求む」こういうような見出しで、あなたの写真まで出ております。それによりますと「政府は国防会議の設置を前にして防衛問題について新たな立場に立ち、国防会議で長期防衛計画が作成された機会をとらえて国防白書を作り、国民に明示して防衛に関する認識を高めたい意向のようである。」云々となっておりまして相当詳細に書いてあります。これを一々読んでいると大変時間がかかりますから私は読みませんが、とにかく現在の日本の自衛力というものは、すなわち陸海空軍についてその数というものはちゃんと明確にわかっております。わかっておりまして、本年度の予算の範囲においてどの程度のものが増強されるかということも、明確に新聞に発表になっている。ちゃんと写真まで入って発表になっている。しかも見出しは、ことしの日本三軍という見出しであります。そうして十九万六千に増勢、力の限界せいぜい一カ月、こういうようなことが書いてある。ですからあなた方がまだ国防計画はできておらぬとかなんとか言いますけれども、これはますます国民に対して疑惑を重ねるばかりであります。私は鳩山総理もそういうような国防計画について何ら構想を持っておらないというならば、これは国防会議の議長になっていただくことをやめていただかなければならぬと思う。私はおまかせすることにまことに危惧を感じ、あなたのようなという言葉を使ったら非常に失礼かもしれませんが、全く自信もなければ計画もない、このような総理大臣では、今度新たにできんとするところの国防会議の議長というがごとき重大な職責を遂行するところの能力が非常に危ぶまれるのです。これについて鳩山総理は、日本の自衛力というものは一体どの程度に現在あるのか、将来どの程度にしたいのかというようなことについてお考えになったことはないんでしょうか。私はそんなことはないと思う。一国の総理大臣として必ずそれに対する構想は持っておられると思うのでありまして、この際十分でなくてもよろしいから、自分はこういうだけの自衛力を持ちたい、これがすなわち最小限度で必要な装備なんだというものを、私は総理からお尋ねすることが可能であると考えております。御答弁願いたいと思います。
○鳩山国務大臣 遺憾ながらこれを発表することはできません。
○森(三)委員 ただいまの御答弁では、遺憾ながらこれを発表することはできませんというようなお言葉のようでありましたが、そうしますと国防計画というものはできておって、あなたが知っているけれども発表ができないという意味なのか、何にも自分は空々漠々で内容はないのだ、何も知らないから発表できないというのか、その点を明確に願いたい。
○鳩山国務大臣 防衛庁においてまだ原案ができておりません。
○森(三)委員 原案ができておりませんということは、あなたにその原案について御相談でもあったんでしょうか。原案はどの程度までできておるということなんでしょうか。原案はだんだんと今やっておって、もう少しでもってでき上るというのか、それとも半分くらいできておるというのか、その度合いだけでも一つお示しを願いたい。あなたは内閣総理大臣として――先ほども私が読みましたように、私はこれはもう何べんでも、あなたの耳にたこができるほど言いたいと思います。内閣総理大臣は内閣を代表して自衛隊の最高の指揮監督権を有する、そういう重大な職責、あなたはこれをやっているんですが、自衛隊の最高の指揮監督権があるのですよ。あなたは忘れてはなりませんよ。そういう人が全然自衛隊の現状も知らず、そうしてまたこれを将来どうしようかという構想も、たとえば将来これを何ぼにしたいのだという構想さえもないというばかな話はないと思うのです。私は参考に申し上げますが、国防計画というものは、やはり各党の諸君からどの国を一体仮想敵国としてやっているのだ、あるいは九州の方に部隊を作ろうとするのだが、それはどういう意味かというような質問がなされましたが、これは私は当然だと思います。それと同時に各国の現有勢力、こうしたものをお考えになって――われわれはもちろんしろうとです。しろうとでございますけれども、しかしおよそ各国の情勢というものは新聞、雑誌その他書物によって研究しております。それだからだんだんと演繹、帰納し、日本が一体幾らの自衛力を持たなければならないか、どれだけの艦艇や装備を持たなければならぬかというようなことは、これはしろうとでもお互いに研究し考えれば、だんだんとその先がはっきりしてくる。一体この一九五四年の各国の例をとりますと、アメリカの常備軍は百四十三万といわれておる。イギリスは五十四万九千、フランスが九十万五千、それからソ連は三百万、このようにいわれております。それからまた各国の艦隊とか戦車あるいは飛行機とか、たくさん書いてありますが、そういうようなことをだんだんと研究して、日本の現在の面積あるいは国民の数、それから日本の経済力――この経済力も昨年度よりはふえているというのですが、日本の経済力を基礎にして、将来一体どのように自衛隊を増強するのか、これはもうちゃんとことしの分やその他新聞にも発表されておる。しかるにまだわからぬとかあるいは考えていないというのでありますが、そもそも国防会議を作って、その国防会議でもっていろいろ案を作りそれからきめるということは、これは私は非常に将来に禍根を残すと思うのです。それでは私は、国防会議の議長であるところの内閣総理大臣の権限というものは全く意味をなさないと思う。結局昔のような陸、海、空軍の力によって、総理大臣はもうほんとうのロボットにされてしまうと思うのです。総理大臣や長官がちゃんと自分の基本的な考えを持って、こうしなければならないんだという考えを持って国防会議に臨むならば、おれならこう思うんだ、お前たちはどう思うんだというならばまだ話はわかる。しかし、全くの白紙でもって、何を聞かれてもわからない、ただ国防会議にロボットに出ておるものであっては、これは将来まことにおそろしいと思うのです。結局国防会議できめられた通り、ああそうでございますか、その通りにいたしましょうといって、あなたがまるで国防会議の使用人になってしまうのです。そうであってはならぬと思う。あなた自身が何もわからぬしろうとであっても、そのしろうとなりに研究をして、世界の情勢を見なければならない。そうして原水爆がいかに使われておるか――先ほど同僚委員も言いましたが、すなわち西独のアデナウアー総理が今世界各国を回っておる。インドのネール首相もモスクワからワルシャワ、ワルシャワからウイーン、そうしてロンドンに渡っておる。こういうように各国の総理大臣は他国を回って、他国の情勢を見、他国の意見を聞いて、そうして自分の国の平和と安全と独立を守ろうとしてやっておる。鳩山総理はおからだも悪いから――飛行機に乗って各国を回ってくれと言いたいのでございますが、できればむろんそれはやっていただきたい。しかしそれを言っても無理かもしれませんけれども、総理みずからが国民の安危をになって、国民の生命と財産を守り、国土を守り、生活を守るという基本的な考え方をあなたが持って敢然としてやらなければ、国防会議にあなたが出ましたところが、結局ロボットになってしまう。昔の御前会議のようになりまして、そうして戦争をやる、これから出動するのが当然でございます。日本が非常に危殆に瀕している、従って総理大臣は出動を許可すべきだというような結論が出ました場合に、ロボットでありますと、ああそうか、それでは出動に一つ判を押そうか。こんなことではわれわれは頼りなくてあなたにまかしておけないですよ。あなた自身わからぬながらも、しろうとながらも、国際情勢や各国の兵力、そうしたものを十分に研究して、国防会議でもって出動すべしという結論が出されても、あなただけは、これは出動してはいけないというだけのきぜんたる態度をもって臨まなければ、国防会議というものは何ら何味はない、私はそう思うのです。あなた方の考えるのは逆ですよ。国防会議を作って、そこでもって一つの案を――国防六カ年計画を作ってもらって、そしてそれをどうこうしようというのは逆だ。いやしくも総理大臣ともあろうものは、あるいはいやしくも防衛庁長官ともあろうものは、みずからこういうような――自分がしろうとであっても何でもかまいません、笑われようと何とおかまいない、各国の軍隊はこうなっておる、各国の艦艇や飛行機はこうなっているのだ、だからおれはこのように思うのだというようなものをお出しにならなければいけない。全然白紙でもって行って、旧軍人や何かの意見を聞いて、右からも左からも突っつき回されて、御無理ごもっともで来るような国防会議であってはならないと私は思うのです。それでありますから、この場において、あなた方はしろうとなりにも、現在の日本の自衛隊というものは、昭和三十年度には陸士自衛隊が十五万、海上自衛隊が一万九千三百、航空自衛隊が一万三百四十六、こういうふうにだんだん増強されている、従ってこれから推していけば、われわれは今後六カ年計画としては、国の経済力とにらみ合せましてこのようになったのだというようなところを出さなければ、この国防会議法を作ったところで全く何もならない。だから皆さんが恐れておるのです。結局軍閥ファッショがそこへ盛り上ってくる。もし軍閥のファッショができた場合に、鳩山さんはどうしますか。あなたはそれを押し切るだけの果敢なる勇気がありますか。先ほど来のあなたの話を聞きますと、何か知らぬがちょっとわからぬことがあるとうしろの人に聞かなければならぬ。聞くのもよろしいのです。けれども、あなた方二人がきぜんたる態度を持たなければならぬ。国防会議に行って、まるで子供が側かむずかしい事柄を見せられたように、全く頼りのないことであっては、国防会議というものは非常に有害無益だと私は思うのです。だから、同僚議員が軍閥ファッショになるじゃないかと恐れるのはそこなんです。もし軍閥ファッショがだんだん盛り上ってきたときに、あなたは押え切れますか。恐しいことだ。そこに国を危うくするところの多くのきざしが出てくると私は思うのです。従って、きょうからでもおそくない。あなた方二人とも今晩じっくり考えて、相談して、国防計画案というものをはっきり出さなければ、この審議はできないんですよ。大へんなことです。このまま国防会議を作って、そのままやって、どういう連中が集まるか知らぬけれども、将来こうしなければならぬ、ああしなければならぬ、原爆も持たなければいかぬといったような場合に――そういう意見も私は出ると思うのです。よその国で持っておって、この国で持たなければ結局対抗できない。非常に危険だと私は思う。そこで鳩山総理、あるいは杉原長官の国防計画案というものを、あなた方が考えておるだけでもよろしいです、何も考えいないとは言わせない、あなた方の考えていることだけでよろしいから、一つここでもって明確に御答弁願いたい。杉原国務大臣 国防計画の大綱はすでにできております。国防会議に総理大臣が諮らなければならないということに法律上なっておることは御承知の通りでございます。この国防計画の大鋼というものは、きわめて重要なことでありますから内閣が責任を持ってきめることではございますけれども、その決定をする前に国防会議に諮ることが必要である、こういう趣旨でおそらくできておるものと解します。従いまして、政府としてはこの国防会議に国防計画の大綱を諮るためにこそ、今こういう法律案を提出して御審議をお願いしておる次第なんであります。
○森(三)委員 国防会議に諮るとすれば、あなた方に白紙でもって臨むわけじゃないと思うのです。あなた方自身が計画を立てて諮るじゃないですか。あなた方自身が無計画でもって国防会議に諮るなんて、そんな危いことはわれわれまかされませんよ。あなたは今年の経済六カ年計画を見合うところの国防計画をやりたいというの経済審議庁にも相談されているということを聞いているのですが、そういう事実はございませか。
○杉原国務大臣 たびたび申し上げますように、防衛庁の内部におきましても慎重に研究を重ねておるところでございます。
○森(三)委員 慎重に研究を重ねているというのですが、国防会議が将来できまして、そこに出すところの案を考えているのか、それともあなたの防衛庁としての国防六カ年計画の構想を考えているのか、その点はどうですか。
○杉原国務大臣 国防に関する長期計画につきまして、六カ年計画につきまして研究を重ねておるところでございます。従来かなり研究を重ねて、私が就任後もなお研究は重ねているところでございます。
○森(三)委員 大へんよいことをお聞きした。もちろんそういうふうに熱心に研究を重ねておることであろうし、またおらねばならぬと思うのでありますが、しからばその研究ができている範囲でよいから一つ御発表願いたい。その発表なくしてはこの重大な国防会議法案の審議はできないですよ。
○杉原国務大臣 研究を重ねておりますが、まだ成案を得るに至っておりません。それはまだ研究の過程にあるので、私ら自身としては、私が決定しておりませんもので、そういうものを、先ほども申しましたが、これを今お示ししないということは、――国会に対して政府がそれを示す場合は、ほんとうに政府が責任を持つものでないといかぬと思うのです。また国民に対しても、かえってそれは迷惑となる、国民を惑わすようなことになってはいかぬ、私はそう思います。
○森(三)委員 あなた方は国防会議法案というものを通して、そうして国防会議を作ってそこでもって審議をしたい、このようにばかりおっしゃっている。しかし私は、それは危険だということを先ほどから言っている。あなた方自体案というものを作って、そうして国防会議にかけるならまだしも、国防会議でやっては、あなた方が逆に国防会議の委員諸君にこうもしろ、ああもしろと言われて、結局そこに軍閥ファッショというような仕掛のものができてくる。だから非常に恐れている。それでこの際、ちょっと問題は離れますが、国防会議を構成するメンバーであります。民間人五人以内云々というのは、旧軍人諸君は入れないということを断言できますかできないですか、その点をお尋ねします。
○杉原国務大臣 今、法案におきましては、法文にございますように、識見の高い練達の士ということでございますから、あくまでもその本旨に基いてやるべきだ、それからさらにこの国防会議そのものは、ただ単にある事項の専門家を集めるというよりは、大所高所からしてこの国防という重大なことを誤まりなからしめるということが本旨だと思うのです。そういう観点から人選を考えなければならぬと存じます。
○森(三)委員 そんなことはもう言わなくてもわかっていますよ。わかっていますが、旧軍人を入れるのか入れないのかというしぼった御答弁を願いたい。ここが非常に重大なことです。
○杉原国務大臣 この法案におきましては、今申しますように法文はなっておりますので、私がそれを特定のあるものに限って入れるとか入れぬとかいうことを、ここであらためてそういうことをすべきものじゃないと思います。実際の運用――この法律ができました後はこの法案の趣旨に従って慎重に具体的に考えなければならぬところだと考えております。
○田中(正)委員 ただいまの質問に関連いたしましてお聞きいたしたいと思うのですが、民間人議員の場合でもあるのですが、閣僚議員の場合にも関係ございますが、憲法六十六条の二項における文民の規定の解釈を一体政府はどのようにおとりになっておりますか、明確に御答弁を願いたいと思います。
○杉原国務大臣 政府の法律上の解釈といたしましては、法制局長官が正確にお答えすべきことだと思いますが、私の考えで申し上げますと、ここの文民という意味は、おそらく軍国主義的の傾向の濃厚な人でないということをいうことが大事な点かと思います。
○森(三)委員 そういうごまかし答弁ではだめです。文民というのは、憲法制定当時の問題もあって、つまり旧軍人は一切含まれない、シヴィリアンでなければいけないということであって、軍人であった者は入れてはいけないということです。それを、今日の鳩山内閣やいろいろその周囲の人がだいぶ変更したような答弁をなさっておるが、こういう点もはっきりしなければいけない。
○林(修)政府委員 今のお尋ねでございますが、憲法上文民が問題になっておりますのは、国務大臣の資格のところだけでございまして、国防会議の、ことに民間から選出いたします議員については、その問題は規定上全然ございません。この国防会議の民間から選びます議員については、「識見の高い練達の者」という要件だけがついておりますから、その点は……。
○田中(正)委員 私は民間議員だけの問題を限定してお聞きしているのではないのであります。国防会議の議員になる閣僚、議員についても、こういうような問題は重大な関係があると思いますから聞くのですが、この点につきましては、学者あるいは政治家においても解釈が非常にまちまちでございまして、憲法九条がある以上においては、これは死文であるというような解釈をするような人もあるようであります。あるいはまた相当厳格に解釈する人もあるようでありますが、この点をはっきりしておかないと、今後いろいろな問題が起る。現に鳩山内閣は、仄聞いたすところ、組閣の当初においてもこの問題で具体的な論議を巻き起したというふうに私は聞いている。従って、この点については、いま少しく明確にお話し願いたい。軍国主義的な考えを濃厚に持つ者というような、きわめて漠然たる基準を一体だれが判断するのか。従って、またそこでもって堂堂めぐり、そのときそのときの場当り解釈に陷るということになると思いますから、死文であるならば死文であるとはっきりお答えを願いたい。また多少そこに規定上の意味があるならば、あるというふうにお答え願いたいのであります。
○林(修)政府委員 この文民という言葉の解釈について、学者の間あるいは当時憲法の制定に携わった方々の間にいろいろ御意見があることは御承知のことだと思います。これにつきましては、従来私どもといたしましては、いわゆる旧軍人全部を排除する趣旨のものではなかろう、かように考えております。また、だれがきめるのか、憲法では、国務大臣の選任権は内閣総理大臣でございます。従いまして、文民たる国務大臣を選任するにつきまして、内閣総理大臣が判断して文民であるか文民でないかをきめるわけであります。これは基準が明確でないではないかという御意見が従来もございますけれども、これは国務大臣の選任という国家最高の人選の問題でありまして、従って総理大臣が政治上の責任をもってお選びになることでございまして、当然政治的の批判にさらされる問題であろう、かように考えます。たとえば今度の国防会議の議員について、識見か高くかつ練達の者という基準が書いてございます。結局その判断は内閣が一応いたしまして、国会の御同意を得るのであります。これに当らない者を任命することはもちろん法律違反でございまして、これに当る当らないということは、結局政治的に判断されることである、かように考えます。それと同じことではないかと思います。
○田中(正)委員 この問題と関係いたしますが、従来、いろいろなこういうような諮問機関の場合には、学識経験者という文字を使っているのであります。この法律に限って「識見の高い練達の者」という言葉を使っておるようでありますが、これはそういうような考えから、文言の使い方から、いわゆる文民でない者を入れないのだというような反対解釈をしてはいけないのでありますか。そういうためのサゼスチョンであるかどうかということについてお聞きしたいと思います。
○杉原国務大臣 なるほど、諮問機関の中に学識経験者というようなことを入れた例があるのであります。それはそれぞれの諮問機関の任務等によるわけでございまして、この場合にはやはり識見の高い練達の士という表現をもって、またその表現に沿うような趣旨のものが適当だろうと思って、こうした次第であります。
○江崎委員 ちょっと関連して伺います。今の法律論はともかくとしまして、こういう議論が出てきますのは、総理大臣も防衛庁長官も、識見の高い練達の人というこの法案が通れば直ちに五名入れようという、目の前にぶら下っていることだからであります。選ぶには白紙で選ぶのはけっこうでありますけれども、そういうように両議院の同意を得て任命するのは総理大臣であります。一体言葉というものはどんなふうにも解釈できるものでありまして、鳩山先生は憲法の読み方をときどき適当にお読み違いになるわけでありますが、この識見の高い練達の人という言葉くらい幅の広いものはないのでありますから、これをここに具体的に法案としてお出しになる以上、どんな人をいうのか、たとえばこれだというふうに、およそそこに具体的な線とか輪郭というものはあるはずなんです。それを、いやそれは白紙だとか、いやそれは法案が通らなければ何とも一口には言えないというが、その人を任命する任命しないにかかわらず、およその一つの輪郭というものは、お示しになったとて答弁の行き過ぎじゃないと思う。あなたが御任命になるのですよ。だからこれは、たとえばこんなようなものを構想するのだとか、こんなふうなものを思うのだというようなことぐらいははっきりある程度おっしゃっていただいていいと思うのです。おっしゃらないから一体何が出ることやらわからないから、とらえてみれば案外枯れ尾花のようなもので納得のいく人かもしれぬけれども、森君なども今一生懸命になってまゆをさか立てられる、こういうことだと思うのです。どうですか総理、僕がこのまま内閣を継続するならばまあこんなような人だというように、一つ具体的におっしゃって安心させられてはいかがですか。
    〔発言する者多し〕
○鳩山国務大臣 お答えをいたしますが、全く白紙なんです。とにかくきまっておるというようなことは臆測でありまして、全然きまっておりません。ただ学識経験ある者というと、専門家あるいは旧軍人というのを違った言葉で指摘したようにお考えになる方もありますから、そういうような考え方をなるべく抱いてもらわないようにするがために、良識あり練達の人というようにしたのであります。
○江崎委員 これは議論じゃないのでありまして、たとえばこの前自由党がこの法案を構想しましたときには、そのよしあしはともかくとして、大体前総理の経験ある人というような輪郭をおぼろげにあの当時示しておったはずです。ですから、これは民主党としても、この内閣としても大体どの程度の輪郭かくらいはおっしゃっていいですよ。そんなことをおっしゃらずに――今うしろの方からいろいろ雑音が入るように、そんなことを言ったらなお問題じゃないかというようなことで、ほおかむりでこの法案が通るものなら通してごらんなさい。そんなわけには参りません。吉田内閣のときにはある程度の輪郭――このいい悪いの判断は別です。議論じゃない。大体前総理であった者というような一つの程度を示しておったのだから、それはおっしゃった方がいいと思う。どうですか。
○鳩山国務大臣 今、江崎君の言うような、前総理たりし者という条件は、前の内閣のときにありましたが、そういうようなことも考えております。
○森(三)委員 こうしたところの重要法案を提出になられるからには、こうした国防会議を構成するメンバーは、つまり担当大臣あるいは所管大臣以外の練達の士というようなものは、大体こういう構想を持っておるものだ。前に国務大臣をやった人であるとか、あるいは総理大臣をやった人だとか、あるいはこういう経歴の人だとか、何らかそこにアウトラインを出して、そうして納得させることが私は非常に明朗な政治だと思うのです。鳩山内閣がすでに明朗政治を打ち出して、内閣の一つの目標にして、そうして国民に訴えておる。しかるにいよいよ人選になった場合、国民の納得できないような者を結局この構成員の中に入れるというようなことがあったならば、全く私は遺憾にたえないと思う。従って少くとも鳩山さんや杉原さんの頭の中には、こういうような者を入れようと思うのだという構想は、当然あってしかるべきだと思うのです。聞くところによると、もうこの国防会議の構成員に入りたいというような人が運動しているという話いろいろ聞いておりますが、こういうようなこと自体が私は非常に危険だと思う。
 そこで私はいよいよ話の本論に入りますが、結局この国防会議において、あなた方がきぜんとした一つの案を持って、そうしてこれを諮って審議するならばよろしいのでありますが、何らの原案なくして、そうして白紙でもって臨んでいって、国防会議の諸君の意見を聞いてこれをまとめるというならば、これは本末転倒もはなはだしいものである。あなた方は政府の全くの最高責任者であり、国防会議の議長であり、そうして長官である。これらの人々がその会議に臨むに当って、しっかりした信念のある案を持って臨むならいざ知らず、何ら案を持たずその国防会議に臨み、人々の意見を聞いて、それからこの国防計画を策定するというがごときは、まことに私は将来をおそれる。と同時に軍閥ファッショの台頭を私はおそれる。そういうことを申しますと、ここにおられる委員諸君の中にも非常に気にさわる人があります。もちろんわれわれは憲法に規定されたところの基本的人権を十分尊重している。その尊重した上の発言であります。けれども、われわれはかつての戦争によってああしたところの間違いを起した、かつての、あの天皇を大元帥としたところの御前会議において太平洋戦争というものを宣告布告してしまった、われわれは苦い経験がある。そこで私は少くとも一国の総理大臣であるとか国防会議の議長であるとかいう人はきぜんたる態度を持ってほしいと思うのであります。すなわち、かの第二次ヨーロッパ戦争におきましても、どうしてあのスペインが安泰を保ったか。スペインはドイツにもイタリアにもずいぶん恩義のある国でありましたけれども、遂に枢軸国の要請をはねつけ、そうしてまた連合国の要請もはねつけまして、フランコ将軍はあの戦争に参加しなかった。そこで現在のフランコ政権というものは、国内経済的にはあまり豊かではありませんけれども、とにもかくにもあのスペインという国が今日戦争の危機を免れておる。また隣のポルトガルでもそうです。あのような天然資源の非常に貧弱な国でも、現在国民は非常に豊かである。それは結局戦争に参加しなかったからである。そのために枢軸国からも、あるいは連合国からもいろいろな物質の補給を受け、そうして国内に大きな蓄積ができた。トルコもその通りであります。トルコも第一次ヨーロッパ戦争ではあの大きな打撃を受けたけれども、しかし第二次戦争ではそれにこりて戦争には参加しなかった。私どもは日本の防衛力がだんだん漸増されまして、杉原長官もやはり子供を育てるような気持になるのは、私は当然だと思う。防衛庁長官としては自分の関係の自衛隊というものを増強したいのは当然であると思いますけれども、それならば、すなわち各国の情勢、日本の国土の面積、人口、経済に比例いたしまして、どれだけの国防計画を持てばいいかというようなことは、あなたの胸三寸にあるといわなければならぬ。従って完全なものでなくてもよいから、大体このような構想を持っておりますというようなものを、あなたがここでもって発表されなければならない。新聞にはちゃんと書いてあるのです。それが言えないというのは、まことに国会の委員会というものを軽視されておる。あなたは国会の委員会が大事なのか、将来できるところの国防会議というものが大事なのか。少くとも国会は憲法の規定に基く国権の最高機関である。われわれは国民に対して重大な責任を負っておるのであります。その当該国会の委員会において、この重要なる法案を審議するに当って、あなたが国防六カ年計画の見通しさえも言われないというに至っては、当然その職を辞さなければならぬと私は思うのです。どうですか、御答弁願いたい。
○杉原国務大臣 私は申し上げるまでもなく国会を尊重するがゆえに、政府として研究中の、まだ固まらない案を出すということは、かえって私は国会を尊重するゆえんじゃないと思っております。政府が責任をもって出すものでなければならぬ、それがまた国会を尊重するゆえんである、こう考えておる次第でございます。
○森(三)委員 だんだん時間がなくなりましたから、私はもう二、三点でやめますけれども、それでは今の案を作りつつあるというのですから、できるだけ早く案を策定しまして、この当該委員会にあなたの所見を発表されて、その後に私はこの国防会議法案を審議したいと思うのでありますから、至急国防六カ年計画を発表してもらいたいと思う。
 そこで私は急いで一つ御質問申し上げます。現在ロンドンにおけるところの日ソ交渉でありますが、聞きたいことはたくさんありますが、私は国防に関連した点をお聞きしたいのであります。すなわち千島、歯舞、色丹等の島島の返還を要請しておりますが、御承知のごとく、あの千島列島に一番近接している根室には米軍も駐屯しております。そうしてそこにはまたレーダーもありますが、もしもその千島、歯舞諸島を返還した場合には、日本に駐留しておるところの駐留軍は、その島々にレーダー基地あるいは駐留軍基地というものを前進さすということは私は必至だと思うのであります。それらについて総理大臣はどのような御所見を持っておるか、答弁を願いたい。
○鳩山国務大臣 私は、米国駐留軍が前進するということはないと考えております。
○森(三)委員 それでは、一衣帯水の間に見えるところのその島々に、もしも返還があった場合においても、アメリカ駐留軍がそこに進出し、あるいはレーダー基地がそこに移転するというようなことはないということを、総理大臣はアメリカとの間においてそうさせないということを確約することができるかどうか、その点を一つ御説明願いたい。
○鳩山国務大臣 つまりソ連が日本との国交を正常化するというのが目的で占領を解くのでありますから、ソ連が戦争状態を終局させて国交を調整するというその誠意に従えば、戦争をなくなそうというのが目的でありますから、アメリカの駐留軍がそれに乗じて前進するということはあり得ないことだと私は考えておるのであります。
○森(三)委員 鳩山総理のお考えは、そういうことはあり得ないといいますが、現にべーリング海峡ではソ連機がアメリカの爆撃機を襲撃して不時着をしておる。それが損害賠償については半額を負担するというようなことをソ連から申し入れております。また昨年は北海道の根室上空において、アメリカのB29をソ連の戦闘機が撃墜した事件も起きております。そういう状態においてアメリカ軍自体はあの千島と一衣帯水のところにちゃんと駐屯し、そこにはレーダー基地があるのです。従ってもし千島の歯舞、色丹あるいは択捉等の、あの根室から目でもっても見えるような島々が返還された場合に、ソ連はこれを返還したならばおそらく目先にあるところのアメリカ軍が飛び石伝いにそこに上ってくるだろうということは当然考えておる。従って、ロンドン交渉においてもしも歯舞、色丹その他の千島列島が返還された場合においても――返還されると日本の領土になります。日本領土になりますが、その際日本政府としては、アメリカとの間における安保条約あるいは行政協定に基くならば、日本領土であるから、そこへ基地を作れといっても断わることはできない。現在でも飛行基地を地方住民の意思に反しても拡張するといっておるではありませんか。従ってそうしたところの領土が返還になった場合、そこへアメリカ軍が駐屯するといったような場合、当然これは安保条約並びに行政協定の改訂をしなければならない。この問題を解決しなければ、私は領土の返還という問題は非常に困難であると考えるのでありますが、総理大臣はきぜんとしてアメリカに対し、安保条約の改訂あるいは行政協定の改訂をこの範囲においてなすべき用意ありやいなや、お尋ねをしたいのであります。
○鳩山国務大臣 ソ連は無条件に返還するということはないと思います。無条件でなければ当然その前に日本とアメリカとの間には話し合いをするよりいたし方はないと思っております。
○森(三)委員 いたし方がないということの前提に立っては、あなたはその場合においてはアメリカと安保条約並びに行政協定の改訂をする用意ありというように私は受け取ってよろしゅうございますかどうですか。
○鳩山国務大臣 安保条約と行政協定の改正をしなくても、例外とすることはできようと思っております。
○森(三)委員 はなはだどうもその点は不明確でありますが、よういう重大問題はこの次にまたやります。
 最後に一点、これも重大問題でありますが、原水爆の問題について国民が非常に問題にしております。去る六月二十一日のこの新聞には、「北海道の死の灰」という見出しで、これはアメリカのネヴァダから蒙古の上空を越えて、地球を東から回ってきて北海道に原爆の灰が落ちた。これは北海道ばかりでなく日本本土のどこに落ちるかもわからない死の灰であります。これにつきましては気象台の三宅博士あるいは立大の田島教授は、これは人体に非常に有害な線が強かったということを言っております。総理大臣はこのことをお知りかどうか知りませんが、これはきわめて重大な問題であると思うのであります。昨年来もこの原水爆の灰が日本の国土でもって非常に影響したということはしばしば新聞に出ている。ところが本年はこれは人体に有害であるということさえも立証されて新聞に出ているのでありますが、これに関連いたしまして総理大臣は、アメリカの原水爆の実験を禁止してもらいたいという要請をなされたかどうか、またなされなかったとすれば、今後される意思があるかどうか、ということをお尋ねしたい。
○鳩山国務大臣 外務大臣から次の機会にお答えいたします。
○森(三)委員 私はまだお尋ねしたいことがたくさんありますが、とにかくわれわれはこの国防会議法案に関連しまして、日本の国防上あるいは日本の国民の生命財産を守るという方面につきまして、幾多検討しなければならぬ場面があると思うのです。こうした重大な問題を審議しないで国防会議法案か可決せられ、てそして国防会議が構成され、そしておそるべきところの軍閥ファッショ、そして日本の再軍備が着々として行われ、取り返しのつかないような状態が発生することを非常におそれているのであります。従いまして今後この国防六カ年計画が明確に当委員会に発表せられない限り、私はこの委員会の続行は不可能である、かように考えておりますので、杉原長官、あるいは鳩山総理も、次会にはぜひとも国防六カ年計画を当委員会に発表されることを強く要望するとともに、委員長におかれましてもそういうようにお取り計らいを願いたいという希望条件を付しまして、私の質問を留保し、一応他の委員に質問を譲りたいと思います。
○宮澤委員長 それでは本日はこれにて散会いたします。次回は公報をもってお知らせいたします。
    午後四時七分散会