第024回国会 外務委員会 第61号
昭和三十一年七月二十八日(土曜日)
    午前十時二十九分開議
 出席委員
   委員長 前尾繁三郎君
   理事 北澤 直吉君 理事 須磨彌吉郎君
   理事 高岡 大輔君 理事 山本 利壽君
   理事 穗積 七郎君 理事 松本 七郎君
      伊東 隆治君    植原悦二郎君
      菊池 義郎君    山本 正一君
      田中織之進君    田中 稔男君
      戸叶 里子君    福田 昌子君
      森島 守人君    岡田 春夫君
 出席国務大臣
        国 務 大 臣 高碕達之助君
 委員外の出席者
        法務事務官
        (入国管理局
        長)      内田 藤雄君
        検     事
        (入国管理局入
        国審査課長)  田村 坂雄君
        外務省参事官  高橋 通敏君
        外務事務官
        (アジア局長) 中川  融君
        外務事務官
        (欧米局長)  千葉  皓君
        外務事務官
        (経済局長)  湯川 盛夫君
        外務事務官
        (移住局長)  矢口 麓蔵君
        外務事務官
        (移住局渡航課
        長)      遠藤 又男君
        専  門  員 佐藤 敏人君
    ―――――――――――――
七月二十八日
 委員池田正之輔君、風見章君及び勝間田清一君
 辞任につき、その補欠として山本正一君、和田
 博雄君及び穗積七郎君が議民の指名で委員に選
 任された。
同日
 委員山本正一君辞任につき、その補欠として池
 田正之輔君が議長の指名で委員に選任された。
同日
 理事穗積七郎君同月二十二日委員辞任につき、
 その補欠として同君が理事に当選した。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 理事の互選
 国際情勢等に関する件
    ―――――――――――――
○前尾委員長 これより会議を開きます。
 この際理事の補欠選任についてお諮りいたします。理事穗積七郎君が去る二十三日委員を辞任せられ、本日再び同委員に選任せられましたが、そのため理事が一名欠員となっておりますので、この際理事の補欠選任を行いたいと存じますが、これは再び穗積七郎君を理事に指名することにいたしまして御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○前尾委員長 御異議がなければさように決定いたします。
    ―――――――――――――
○前尾委員長 国際情勢等に関する件について質疑を許します。森島守人君。
○松本(七)委員 議事進行。きょうの委員会には、外務事務次官の門脇さんの出席要求を、委員長を通じてしたはずなんですが、肝心の委員長が妙なことを言って、門脇次官は出席する必要がないというような、はなはだけしからぬことを言われるので、私は委員長の意見を確かめたいと思います。それは渡航の問題に関係がありますので、高碕外務大臣も臨時ではありますが、重要な事項ですからよくわれわれの意見を聞いておいてもらいたいのですが、委員長は、事務次官は国会に出席する必要はないのだ。事務に支障を来たすからということでこれを拒否されるのですが、私どももなるべく国会活動が行政事務に支障を来たさないように配慮しなければならぬことは当然なんですけれども、事務次官は事務全般に対する責任者であるし、また私どもが全般的な判断から、事務次官であろうがだれであろうが、出席を求めてそして質問する必要がありと、こう認めた場合には、当然これを要求しなければならない。その要求に対しては当然出席の義務があるのです。何も事務次官は出席しないでいいとか、あるいはわれわれ国会として事務次官は出席を求めてはならぬというような規定はどこにもない。ですから形式でなしに、実質的にわれわれは事務次官の出席を求める必要ありと認めて要求した場合には、当然委員長はそのままわれわれの要求を向うに伝える義務がある。それにもかかわらずそれもやらないで、それで委員長自身がいや出る必要はないのだ。これはまるであなた国会議員、あるいは委員長の立場を捨てたようなものなんです。これは大蔵官僚の立場なんです。今日高碕さんによく聞いておいてもらいたい。旅券の制限の問題は、憲法違反の疑い十分あるような重大問題を、内規のような形で作って、しかもその事務当局の中心である局長、課長はどういう趣旨でもって、どういう理由でもってこれが拒否されたるかという内容にわたっては全然御存じない。説明する権限が与えられておらないのです。一体われわれはそれをどこに持っていったらいいのか。外務大臣にこれを追及してもその内規なるものを発表しない。そして次官会議というものを作って、そこでこれをきめるのだ、そういう運営がなされておる。この各省の次官が出ておりますわれわれの管轄である外務関係は、外務次官がこれに出てやっておるのです。実際にそういう運営をやっておる以上は、われわれとしてどのような理由でこれを制限するか。この理由については当然担当次官であるところの門脇さんの出席を求めてこれを聞くのは、われわれのむしろ責任なんです。これをなぜ委員長は全然われわれの要求を伝えることさえしないで拒否するのか。委員長の一つ考えをここで明らかにしていただきたい。
○前尾委員長 御承知のように、国会に対する担当者として、政務次官の制度があり、専務次官は国会の関係ではなしに、事務を担当しておるのでありまして、国会開会中も御承知の通りに政府委員ではありません。従って閉会中といえども、やはり国会開会中に準ずるものであって、閉会だからだれを呼んでもいいというものではないと思います。ことに次官は特別の権限を持っておるわけではなしに、しかも大臣が出ておられるのでありましたら、特別に説明の補助をさせるというのでありましたらよろしいのでありますが、そうでなしに政府側のそういう考えではなしに、大臣が出ておられるのでありましたら、大臣が担当者でありますし、さらに政府委員として国会中には担当しております局長が出れば、それで窓口は開いておる。あくまでそういうことであって、内部の内容がどうあろうとも、筋はやはり権限のある大臣あるいは正長に御質問願っていくのが本筋だと思います。ただ非常に個人的な、たとえば特別な個人的な問題かあって、それをおただしになるというのでありましたらこれは別であります。しかし、事、事務に関しては私はその筋をとっていくのが国会法の建前だと、かように信じておりますので、大臣も出席しておられ、また担当局長も出席されておるのでありますから、私はその必要を認めぬと申し上げても差しつかえないと思っております。
○岡田委員 関連。委員長の今の解釈については、私はもう少し伺わなければいけない。それはただいまの委員長の答弁を伺っておると、局長は、これは主管局長としてと言うのだけれども、事務次官は所管ではないとおっしゃるのですか。その点が第一点。
 第二の点は国会の運営上においては政務次官と事務次官と二人おる。その政務と事務との両次官というものは大臣を補佐する意味において二人おる。政務次官がこの委員会に出席し得る状態にあるならば、これは本来政務次官が出席するのが当りまえでしょう。しかし今日の状態としては政務次官が外国におって不在の状態において、次官の地位においてその専務を管掌すべき地位にあるというような場合においては、当然これは事務次官が出席すべきものである。しかも高碕外務大臣代理は正式に外務大臣の仕事を現在しておられますけれども、しかしついせんだって重光外務大臣と一時的にこれはかわられたという関係から見て、外務省の行政事務の本来の運営をやはり実際の今までの前後の実情から考えてみて、やっているものとすれば当然事務次官がその責任者として出るべきものた。今日の情勢ではそういうように解釈せざるを得ない。局長の権限で果し得ることと、事務次官として果し得ることと、これは行政事務上において、これは権限上の問題において当然違う点のあることはあなたもおわかりのことであります。政務次官がおらない今日、しかも重光外務大臣がおらない今日においては、担当者であるところの事務次官が出席するのは当然であると私は考えているのだが、こういう点について、どのように解釈されますか。
○前尾委員長 事務次官の所管は、これは外務省全般にわたるという意味ではあるいは所管かもわかりません。しかしこれは権限のない補助者です。(「権限はあります」と呼ぶ者あり)それは大臣が出ておられるのですから、補助者である事務次官の出席は必ずしも必要とは思いません。(「こっちが要求しているのだ」と呼ぶ者あり)従って事務次官の、それは個人の問題なら別ですよ、仕事の問題であったら大臣が出ておられるので、もし大臣が必要と認められるなら、これはまた別の問題です。
○田中(織)委員 関連して。それは閉会中はいわゆる関係の局長も政府委員ではないのです。これは説明員という立場で出るのでありますが、私はそういう点から見ればやはり事務次官もこれは同じことだと思うのです。従って国会の開会中特に政府委員として政務次官が出る場合は、事務次官は出ないのは、これは通例でありますが、国会閉会中でありますから、政務次官はその意味において政務次官という立場で、これは国会の開会中及び閉会中の区別はございませんが、特に閉会中におきましては、私は現在の状況においては政務次官は不在なのです。その意味で特に、もちろん大臣を補佐する立場でありますけれども、大臣が出ているから事務次官が出なくていいという論拠は私はないと思います。その意味において、委員側から事務次官の出席を要求することが現実に行われておるのでありますから、委員長としてはそれをやはり事務次官に通じて委員会へ出席させるようにすることは、私は委員長としての当然の職責だと思うのです。その意味で、委員長のお考えで事務次官を出席させるとかさせないとかいうことは、これはいささか委員長の権限を逸脱した行為だと思います。その意味において、どういう事項で事務次官の出席を求めたか私は存じませんが、事務次官の出席要求をいたしましたときには、事務次官が特別に省務に非常な差しさわりのある場合はもちろんわれわれは別の機会を待たなければならぬと思いますけれども、ぜひとも事務次官に出ていただくように委員長においてお取り次いでいただくことは当然やっていただかなければならぬと思います。
○前尾委員長 田中委員のおっしゃる閉会中という問題は、やはり開会中に準じて閉会中にやるというのが私は建前だと思うのです。それで開会中よりも閉会会中の方が重であったり、またよけいだれでも呼び出すということになっても、私は国会の秩序が保てぬのじゃないかということを心配しておるのです。
 それから、なおきょう外務事務次官の都合を聞きますと、十時から豪州の首相訪日のため豪州大使と打ち合せをするそうです。それから十一時からアルゼンチンの大使と懸案についての話し合いがあるそうでありまして、その仕事の都合からいいましても、きょうはちょっと出られないということでありますから、念のためにつけ加えて申し上げておきます。
○田中(織)委員 ただいまの委員長のあとの事情は、僕が申し上げたように、そういう事情があれば、委員会へ出ていただきたいといっても出ていただけない場合も私はあり得ると思います。しかし前段の点は、閉会中の委員会は開会中に準じてやるのだ、それは委員長として委員会の性格を認識しないもはなはだしいと私は思うのです。国会が常任委員会制度を設けたということは、国会の閉会中においてもやはり常時国会の機能を発揮させなければならぬからで、ある意味から見れば常任委員会制度は閉会中においてこそ私は重大な問題だと思うのです。その意味において委員会の権威なりあるいは委員会の果しまする職責その他については、閉会中であろうと開会中であろうとその点は区別はないのです。その意味から見て、私は委員長はもう少し国会の権威、常任委員会の権威という立場から、委員が所管事項について事務次官の出席を求めなければならぬという事態には、当然行政府に対して、事務次官であろうとだれであろうと、出席を求めるだけの権威を持って今後の委員会の運営に当っていただきたいことを重ねて希望いたしておきます。
○前尾委員長 これは閉会中は開会中より私は何も権限が薄いと申しておるのではなしに、閉会中も閉会中と同じようにやっていかなければなりませんが、そういう意味で政府委員でも何でもないのですから、特別に個人的に聞かなければならぬという事情でもありましたから別ですが、一つ御了承願いたいと思います。
  森島守人君。
○森島委員 私は高碕外務大臣代理と申しますか、高碕さんに御質問する前に、一言ただいま論議になりました事務次官を呼ぶか呼ばぬかの問題について所見を述べたいと思います。事務次官を呼ぶことが必要になったのは中共行きの旅券の問題だと私は拝察しておりますが、旅券の問題になりますと次官会議において最後の決定をします。閣僚会議で秘めるか認めぬかということを事実上は次官会議において決定を見る。その意味からいって移住局長の出席だけでは不十分です。次官会議における決定の内容等について質問をする場合には、この際特にほかの例は別としても、事務次官の出席を求めることが私は絶対に必要だと思う。委員長においてこの特殊な事態を御考慮になって各委員からの要求の通り御決定になっていただきたい、こう要望してやまない次第でございます。
 高碕さんに御質問するのですが、第一に高碕さんが御担任になっておりましたフィリピンの賠償問題、これに関連しまして、私は重光さんに迫りてビルマやインドネシアから増額の要求が来ないかということを質問いたしました。その際重光さんはきわめて楽観的な見解を述べて、そのおそれはないという一言でこれを片づけておられたのであります。しかるに二十七日の朝日新聞によりますと、私が懸念しておりました通り、ビルマ政府からは、将来決定さるべきインドネシアと同額を要求したいということで非公式に太田ビルマ駐在大使に申し出があったということを伝えておりますが、その点は事実でございますか、どうでございますか。またこれに対していかに対処せらるるおつもりであるか、御見解を付いたいと思います。
○高碕国務大臣 森島さんのお問いにお答えする前に、一応委員各位にごあいさつ申し上げたいと思います。
 先般重光外務大臣が日ソ交渉のために参りまして、その留守中を私に外務大臣代理をしろ、こういうふうな命令が入ったのでありますが、御承知のごとく私は外務省の仕事につきましてはきわめてふなれでございまして、特に先ほど御質問の、次官が出席するかせぬか、こういう問題になりますと、まるで私はよく存じないわけでありまて、この点につきましてははなはだ申し訳ないのであります。私できるだけ重光大臣の留守中にはこういう委員会に出席さしていただきまして、皆様方の御意見をよくお聞き申し上げて十分の頭を作りたい。同時にまた外務省の方ともよく折衡しまして勉強いたしたいと存じます。この上とも十分御支援と御後援あらんことを切にお願い申し上げましてごあいさつといたします。
 それではただいまの御質問の点でございますが、ビルマとの間には賠償協定の中に、他日日本が全体の賠償を完了したときに、日本の負担力いかん、他の被賠償国との交渉いかんによって、ビルマ政府はある程度の要求を得るということが一項あるわけでありますから、そういう意味からでもございましょうが、お話のごとく二十七日か二十八日か存じませんが、最近ビルマ側から、フィリピンの賠償額と同様という意味でないが、インドネシアとの賠償額がきまれば少くともインドネシアの賠償額と同様にしてくれないか、こういうきわめて非公式な申し出があったということは私聞いております。これにつきましては相当理由があるのでありますが、われわれ日本側といたしましても理由があることでありますから、そのまま受け入れることはできない、こう存じております。十分了解のいくようにビルマ側とも話し合いたい、こう存じております。これは結局はインドネシアとの賠償がきまってからの問題でございますが、きまった後においてこのインドネシアとの賠償額とビルマの賠償額に差が起った、こういう場合はよく説明いたしたいと存じておるわけであります。
○森島委員 ではついでに私原水爆の実験禁止の問題に移りたいのですが、先日の委員会で岡田委員の御質問に対して、重光さん並びに外務省事務当局はきわめてあいまいな返事をしておる。下田条約局長は、一々事前に通告はしないということになっておるというので、米国側の責任解除の件に触れておられますが、米国政府の発表とも思われますが、十二日付のワシントンの電報です。これは朝日の支局からきていますが、これによりますと、重光外相からの問い合せはまだ受け受っていない。日米両国は今年度ビキニ実験開始に先だって覚書を交換し、これを公表したが、その後いかなる伝達も回答も交換も行われていない。米国は関係各国に対し、実験期間、危険区域等を通報したが、毎回の実験を知らせるとは言っていないということでございまして、重光さんは、アメリカに通報したのだ、しかしその内容は一々何日にだれがどういったというようなことは言えないのだ、こういうふうな御答弁です。しかしそのときに外務事務当局との打ち合せと申しますか、非常に周章ろうばいしたような様子でございましたが、ほんとうに外務省が、当時重光さんが言われておりました通り、その事前通告のなかった実験に対して一々外務省からその理由をただして、これを米国政府に対して照会をとられたことがあるかないか、その点を明確に御答弁願いたいと思います。
○中川説明員 原水爆実験に当りましては、当初アメリカ側からはすでに皆様御承知のように、四月の二十日から八月の末日に至るまでの期間、原水爆実験をする予定であるから、危険区域に立ち入らないでもらいたいという通告があったわけであります。この通告に対しまして、日本側としては漫然とこの長い期間いつ実験するかもわからぬということでは、わが方の予防措置その他につきましても非常に支障があるので、個々の実験の際にぜひ知らしてもらいたいということを、四月の二十日ごろだったといますが、先方に申し入れたのであります。この申し入れに対しまして、これは在京米国大使館と行なったのでありますが、それに対しまして先方はそれを本国に取り次ぐということを申して、取り次いだと思うのでありますが、その後返答がないのでありまして、その後も再三その問題についての返事がないかということを問い合せておったのであります。一方実験そのものは――最初の実験はたしか四月の二十日ごろですかにありまして、その後さらに第二回の実験があった。これは初め予定していた時期よりも、三回ぐらいにわたって少しおくれておりましたけれども、この最初の二回の実験に当りましては、アメリカ側は新聞記者の同行を許しました。従って実験があったという事実そのものは、積極的には発表しなかったのでありますが、新聞記事として日本にも大きく伝わってきたのであります。従って最初の二回の実験につきましては、日本側としてもその実験があったということを的確に把握できまして、船に対して警告を発する等の必要な予防措置を講じたのであります。その後アメリカ側は新聞記者を連れての実験ということはやらなくなってしまったのであります。しかしながら新聞には何ら出ないのでありますが、日本の中央気象台におきまして、日本全国にある測候所で探知いたしましたところによりますと、いろいろふだんと違った気圧の振動が感知されるということがしばしば起ったのでありまして、その結果、大体ビキニにおいて原爆実験が行われたのではなかろうかという推測がされたのであります。これが通計五回ございました。一番最後の分は非常に最近でありますが、先週の土曜日、日曜日の二回続けてそういうことを観測したのであります。これに先だちまして、日本側としては中央気象台からの調査によりまして、こういう実験が行われておるのではないかというふうに想像されましたので、こちらの調査の結果をアメリカ大使館側に一括して通知いたしまして、日本側からはすでに先般個々の実験について通知するように申し入れてあるけれども、その後中央気象台で調べたところによると、このような異常な気圧振動が感受されておる。従って原爆実験がビキニで行われておるものと推測せざるを得ないのであるけれども、これはほんとうであるかどうか、またこういうことが行われるならば、日本の船に危険の通知をしなければならないから、ぜひ実験ごとに通報してもらいたいという要望をしたのであります。要望はアメリカ大使館から本国政府にこれを伝達するという回答があったのでありますが、それからしばらくいたしまして、アメリカ側は実験の中止を声明いたしました。従って回答に接しないままに、今年度はアメリカの原水爆実験は終ったという通知を受けておるのであります。
 以上が本件に関する経緯でございます。
○森島委員 私が質問しようとするのは、過去の経過ではない。日本政府がいかなる態度に出たか、いかなる方針によってこれを処理したかという点に重きを置いておる。政府としては三月三十日、衆議院公報にアメリカの回答を御発表になって、その後のいきさつは一切御発表になっていない。私は国民生活に非常に、大きい影響を持つ問題ですから、少くともただいま局長から御説明になったアメリカ側との往復のいきさつは、はっきり国民の前にこれを公表されることを切望してやまない次第でございます。これはまた政府として、外務省として、日本国民に対してとるべき措置である、こう信じておるのでございますが、その点はいかに取り計らわれるつもりであるか、この点明快に御答弁願いたい。
○中川説明員 政府のとりました措置は、ただいま申しました知りでございますが、今申しました趣旨をさらに外務省の情報文化局を通じまして、新聞の方にも書いていただくように措置をとりたいと考えております。
○森島委員 私はそれだけでは不十分だと思います。いかなる措置を何月何日にとった、これに対してアメリカの回答はどうあったということを――当初の要求とアメリカ側の同符はすでに発表されておるのです。これと同様な形式において、発表して国民に厳重な注意を与えるということが、政府としてとるべき措置だと思うのですが、この点はどうですか。
 それからこれをやっていなかったということは、外務事務当局として非常な懈念であると私は信じます。その点はいかが考えておられますか。
○中川説明員 ただいま森島委員の御指摘になりましたような御趣旨に沿って、必要な措置をとりたいと考えております。
 なお、従来新聞に経緯を発表しなかったということでおしかりがあったわけでございますが、これは御承知のように、やはり日本からの申し入れに対して、できるだけアメリカ側からの的確な回答を得たいという意味合いから、交渉中は交渉内容については発表しないというのが原則でございますので、発表がおくれたわけでございますが、本問題は、大体において実験も終りまして一段落ついたと思いますので、この経緯についてはこれを発表いたしたいと思います。
○森島委員 これは事後になって経緯を発表されても、危険を防止するという点については、国民に対して何らの警告を与え得ない。外務省の市務、局のやり方はこれまで怠慢過ぎる。沖繩の問題にしましても、国会の決議を伝達した、伝達したと言っておられますが、一体いつどういうふうにして伝達したかということについては、何ら政府側から公表がない。交渉中の事件だから発表できない、こうおっしゃいますが、これは事柄の性質によるものである。しかもこれは高碕さんが大臣になられたのですが、去年の六月の何日か、重光さんは、松本全権とマリク全権との間にコミュニケ以外は発表しないという確約かあったにかかわらず、これを無視して国会に交渉の内容をさらけ出したという例もある。原水爆禁止の問題は、外務省が率先してこれを国民に知らすということは、外務当局の責任であり、義務である、こう信じております。今後はそういうふうな責任回避と申しますか、懈怠のおそれのないように、いち早く措置をとられんことを切望してやまない次第でございます。この点一つ十分に御留意あらんことを要望いたします。
○松本(七)委員 関連して、高碕臨時外務大臣に伺っておきたいのですが、この原水爆実験禁止の問題について、当然今までも閣僚の一人としていろいろ御意見はあっただろうと思いますか、最近はイギリスのイーデン首相でさえ、今までの原子力の管理問題と結びつけなければ、実験禁止も考えておらないような立場を一歩前進して、実験禁止そのものを切り離してでも何らかの形でやろうという意向も出してきておるわけです。今局長の御説明にもありましたが、アメリカは本年度の計画の実験はもう終ってしまったのです。今後こういう問題についてどういう基本的な態度で日本が臨むのか。従来と少しも変らないのか。これは従来よりやはりもっと前進した考え方で私は対処しなければ、国際的に取り残されると思うのですが、大臣としての所見を伺いたい。原水爆の禁止についての問題。
 それからもう一つは、さっき出ました賠償の問題について、新聞の伝えるところによりますと、インドネシアの賠償を早く片づけるためにわざわざ高碕さんを臨時外務大臣にしたのだ。初めはこの賠償問題を中心に高碕さんを当てにしておったのたが、諸般の情勢から全般的な臨時の外務大臣ということになったというふうに伝えられておるのですが、その間のいきさつ、並びに依然としてインドネシア賠償は早期に解決したい御方針か、新聞のこれも報道によりますると、事務当局ではどうもあまり早くしない方がいいのじゃないか、インドネシア側の受け入れ態勢ができておらないので、その調査を十分やってから慎重にやりたいという、事務当局はずいぶん慎重論のようですが、大臣の御意見を伺っておきたい。この三点です。
○高碕国務大臣 原水爆の実験の禁止につきましては、これは政府としては確固不動の精神でどうしてもやめてもらいたい。この精神は変えないつもりでございます。これはどこまでも主張する考えでございます。ただし相手方があることでありますから、この主張が通るか通らぬかということは別でございますが、その方針は変えたいつもりであります。
 それからインドネシアの賠償問題につきましては、相手国の受け入れ態勢がどうこうということは、越権しごくのことでございまして、そういうふうなことになってわれわれがこれを延ばすとか延ばさぬとかいうふうなことを言うのは大間違いだと思います。かりにそういう意見があったならば、私は反対いたします。どこまでも日本といたしますれば、インドネシアとの賠償問題は早期に解決したい、こういう精神で進みたいと思います。
 それからもう一つ、私の外務大臣の臨時代理につきましては、私は元来経済問題のことについて、外務省の方針につきまして、いろいろ助言をいたしておりました関係上、重光外務大臣の留守中は経済問題、特に賠償問題等については私はこれに携わる、こういう考えで、またそういうつもりでおったのでございますが、いろいろ外国の使節等が最近参ります関係上、鳩山総理の肉体的の関係等もございまして、全体の外務大臣代理になれ、こういうことで取りきめられたわけでございます。まあ頭の方は鳩山さんの意見に従いまして、鳩山さんのからだの足らぬところだけをある程度補うという程度になると思います。
○松本(七)委員 それじゃ国会に対する出席はどうするのですか。頭と体、それは二人で一つになるのですか。総理大臣と一緒に一つ出てきてもらえますか。
○高碕国務大臣 外務大臣代理といたしまして、私は国会には出席させていただきます。
○森島委員 からだだけ代理するとおっしゃるのですが、私の望むところは、頭の代理もしていただきたいと思います。鳩山さんのようなふらついた頭では今後起ってくる日ソ交渉の問題などについて、最後の断を下すことはできぬと思います。高碕さんの勇断を希望せざるを得ないのです。
 原水爆の問題に戻りますが、英米両国と国際連合との回答は、政府からすでに発表されておりますが、ソ連からは今正式な回答が来てないように私は思っておりますが、これは事務当局でけっこうですから、御答弁願いたい。
○千葉説明員 ただいま森島委員より御指摘の通り、ソ連側からの回答は最近までなかったわけでありますが、去る七月十八日、ニューヨークにおきまして、加瀬国連大使に対しまして、日本側の申し入れに対する回答として、七月十六日モスクワにおきまして、ソ連の最高会議において採択されました要望の英文のものが手交されまして、これを日本の国会に伝達するようにということでございまして、ただいま衆議院並びに参議院の事務局に送達手続中でございます。ただいまとりあえずコピーしたものを差し上げてございます。
○森島委員 ソ連の回答を見ますとソ連の回答でありませんが、最高会議の決定の際に、シェピーロフ外務大臣が二つの方法を提示しております。国連のワク内での協定、それから他国も後日参加できる米英ソ三国間の協定、第三には、三国政府がそれぞれ原水爆の実験を中止する旨の公式な宣言を行う、この三つの方法を提示しております。それからただいまも松本委員からお話のありました通り、従来は実験は禁止できないというふうな態度をとっておりましたイーデンも一歩を進めて、実験の制限なら話し合いをしてもいいというようなことを言っております。ただいま高碕大臣の御発言を聞きますと、まことにわが意を得た御回答でございまして、私も意を強うする。しかし従来のこの委員会における討議の模様から見ますと、外務省の事務当局は、実験を禁止する実体的な条約がないから、従って日本からこれを要望することもできぬのだというふうな、きわめて消極的な態度をとっておられたのか事実でございます。私は、この際世界的な風潮にかんがみまして、一歩を進めて実験禁止のために最善の努力を払われるのが日本政府の責任である、こう思いますが、この点につきましてなお一応確認の意味でもって御答弁をわずらわしたい、こう存じます。
○高碕国務大臣 私は昨年バンドン会議に参りましたときにもはっきり日本の態度を申し上げたごとく、今日世界各国におきまして、原水爆によって実際の被害を受けたのは日本人だけでございます。この日本人といたしまして原水爆が戦争用に使われるということについては十分発言し得る権利があることと存じております。その意味におきまして日本の発言力というものは相当世界でも強いものであるということを信ずるわけであります。その意味から申しまして、原水爆を戦争に使うということは反対である、従ってこれを実験するということは反対であるということははっきりしておる、これはどこまでも押していくべきものと存じております。ただいまの御説のごとく十分それで進みたいと存じております。
○森島委員 そこで米国の回答を見ますと、依然として原水爆の実験をすることか世界の平和を促進し、侵略と戦争を阻止する主要な要素であるというふうなことを言っております。これを要するに、力の平和ということに共調を置いておるものと思うのであります。重光大臣はこの席上において、しばしば力の平和だということを述べて、これを是認する態度をとっておられる。鳩山総理もこれを裏書するかのごとき発言をなさったことが再三にわたっております。イギリスもこれと同様な思想に立っておったと思いますが、最近の英連邦会議の決定等を見ますと、イギリスにもその態度に変化の兆が現われてきておると私は見ておるのであります。たとえば、これは外務省から御発表になっている週報ですから、おそらく間違いないと思いますが、その中で、イーデン首相の東西の緊張緩和のため米ソの中間に立ってかけ橋を渡し、平和を求めようとする政策を、各首相は支持する旨を保証したという、ことがはっきり書いてあります。今秋の大統領選挙後訪米し、明年再度巨頭会談を開きたいとのイーデン首相の意向にも賛同したということで、イギリスの態度を見ましても、平和の方向へ大きく第一歩を踏み出しておることは明らかであります。しかるに日本の外交政策を見ますと、依然として対米一辺倒、あくまでも自由主義国家と心中をするんだといわんばかりの政策をとっておられるように私は思う。そのほかにもチトーとネールとナセルの三者会談につきまして発表せられたコミュニケを見ますと、この中にも第一に、水爆実験は国際道義を侵すだけでなく、人類に危険を与え、大気を汚染するおそれがあるから、その中止を要請する旨を掲げておるのでありまして、世界の情勢を見ますと、やはり平和の方向へ進んでおることは間違いない。ビルマやインドが従来から率先してこの態度をとっておったことは申すまでもありません。なおこれは御承知のことと思いますが、アイスランドやセイロン等の最近の外交方針を見ましても、これは話し合いの平和という方向に大きく動いており、しかも軍事基地を撤廃するというところまで相当思い切った政策をとっておる。私はこの際日本政府としても、従来の外交方針に百八十度の転換とはいかぬでも、相当考慮を加えて、新しい方向へ外交政策を向けることが必要だ、こう確信いたしておるのでございますが、大臣の御所見はいかがでございましょうか。
○高碕国務大臣 従来の外交方針から百八十度の転換ということについては、私ちょっと御了解しかねる点でありますが、原水爆の実験につきましては、これは国会の決議もありましたから、どこまでもこれをやめてもらいたい、この方針は先ほどお答え申しました通りであります。ただし相手方があることでありまして、英米各員にしてみれば、世界の平和を保つためにはこれをやらなければならぬ、こういう見解を立てるのもあるいは一理あると思いますが、しかしこれは彼らの言う主張でありまして、われわれといたしましては全然それに賛成することはできない、こういう大勢でありますから、自分の立場は十分主張していきたい、これは従前の方針とちっとも変らないと私は信じておりますが、百八十度の転換ということについては、私ちょっと御了解しかねるわけであります。
○岡田委員 ちょっと今のに関連して伺いたいのですが、原水爆の実験をやっているとすれば、今までの経験によると、アメリカ、イギリス、ソビエト、この三つであることはおわかりの通り。それから日本の立場は、先ほどバンドン会議の経過を通じての大臣のお話の通りに、原水爆の実験を禁止してもらいたいという権利すらあるというほど強い主張を持っておられる。とするならば、ただいま森島議員の言われたように、その三つの国の中でソビエトは実験の禁止をしてもいい、その方法についてまで具体的な提案をしている。それからもう一つの実験の国であるイギリスは、そういう原水爆の実験については話し合う用意があるということをイーデン首相が言っております。とするならば、あと一つ残っているのはアメリカだけだ、こういうことになるわけです。アメリカが実験の禁止について何らかの意思表示を行なって、今後においては実験の問題についてはやらないというようなことを明らかに主張して、この三国の間で話し合いがきまれば、実験の禁止というのは事実上行われることになる、こういう町方しなってきているわけです。こういう時勢になってきているだけに、日本の政府はこの際強くこの点について主張しなければならぬと私は思います。今までも強く主張してきたとおっしゃるならば、この機会に、アメリカもやめてもらいたい、そして三国の間で話し合いをしてもらいたいという政府としての態度を明らかにする義務があると私は考える。こういう点は今までしているのだからいいじゃないかでなくて、こういう新しい事態に立ったときにおいて、新たに政府が具体的な態度を声明するなり、何らかの意思表示をするということが私は必要だと思うのですが、この点についてはいかようにお考えになりますか。特にこれは重要な事態に立っていると思いますので、一つ高碕大臣から、バンドン会議においてはっきりと態度を表明されたような、その根本の方針を明らかにされることが私は必要だと思う。この委員会で態度を明らかにされるのも一つの方法だと私は思いますので、この機会に明確な態度を表明していただきたいと考えます。
○高碕国務大臣 ただいまの岡田委員の御質問に対しましては これは森島委員のお話と違って、百八十度の転換でなくて、従前やっておった方針が手ぬるいじゃないか、これをさらにこの際強くやらぬか、こういう御意見でございまして、私はこれは非常に尊重して承わる考えでございます。それでできますだけこれは実験が中止できるように十分の努力をいたしたい、(岡田委員「あとの二つはやめると言っているのですから、アメリカに対してどうするかということなんです。」と呼ぶ)この点につきましては、まだ相手力の状態もわかりませんし、またこれは実際問題として、交渉するしにおいて日本が頼むというだけの程度でありまして、押えるというだけの力がないことは非常に遺憾でありますが、かりに日本が原水爆の実験をする力をソ連と同じくあるいはアメリカのような工合に持っておって、自分がやめるいうことになれば、これは相当発言力が強くなろうと思いますが、ただわれわれは被害者としてお願いする、こういうだけの程度であります。けれどもこれは主張すべき点は主張せなければならぬと存じております。
○森島委員 あと一問だけお尋ねして終ります。私はもうすでに今岡田委員から言われたように、原水爆の禁止の問題については、国会の決議を伝達するというふうな程度では済まない、日本政府がみずからイニシアチブをとって、三国に積極的に働きかけて、禁止させるだけの意気込みをもって交渉を開始されることが必要だと存じておる。私が百八十度の転換と言ったのはこの点だけじゃない。世界の大勢を見て、従来とっておられた力の平和の政策、アメリカ一辺倒の外交政策を徐々に清算される必要な時期に来ているのじゃないか、こういうふうに私は感じているのですが、この点につきましては別に御答弁は求めません。ただ政府がみずからイニシアチブをとって実験禁止の実現に熱意を持って交渉を始められるかどうか、この点を大体のラインでもいいですから承われれば仕合せと存ずるのでございます。
 もう一つあわせて委員長にお願いしたいのですが、外務省ではいろいろアメリカと折衝した、こう言っておられますから、アメリカ、イギリス等に対して御折衝になったそのつどの往復公文を、資料としてこの委員会に御提出願いたい。これは委員長からぜひとも実現するようにお取り計らいを願います。
○前尾委員長 できますね。
○中川説明員 この点はアメリカ側と打ち合せた上でなければやはりできませんので、アメリカ側と打ち合せた上において御連結いたしたいと思います。(森島委員「日本が出したものだけでも……」と呼ぶ)そういうわけにいかないのでありまして、これは双方の話もございますから。
○森島委員 その点については私は疑問を持っている。この種の問題が、アメリカ側と相談の上でなければ発表できないというのも私はどうかと思う。それじゃ日本側だけの照会文等を御発表になったらいい、私は外交慣例のことも知っております。アメリカと御相談の上で御発表になっても差しつかえないと思いますが、一つ確実に委員会に出すようにお取り計らいを願いまして質問を終ります。
○前尾委員長 田中稔男君。
○田中(稔)委員 高碕外相代理にお伺いしたいと思います。外相代理というよりも私どもは新外相を迎えた気持でおるのであります。そのまま一つやっていただきたいのでありますが、そういうわけでございますから、新大臣就任の抱負を一つきょうこの席で披露していただきたいと思います。
 そこで、最近の報道によりますと、国連の中のアジア・アフリカ・グループが、日本の国連加盟を支持する旨の決議か決定かしたそうであります。これが事実であるかどうか。そうしてこのことにつきまして外相代理の御所見を聞きたいと思います。
○高碕国務大臣 これはいろいろ議論がございましたが、私どもがバンドン会議に参りましたときに、公式の席上においては、私は何ら国連加入のことについて議論をしなかったのでありますが、各代表の方々に個別に会いまして、ぜひ国連加入については御賛同を願いたいということをお願いしておったわけなのであります。これはそういうことがあったためかどうかは存じませんが、その後日本が国連にああいうふうに加入できなくなったことにつきましては、現在アジア・アフリカ諸国においては非常に同情的でございまして、今のお話のごとく、実際的に国定加入について支持するということが積極的に進んでおるということは事実でございます。
○田中(稔)委員 そうすると今度、AAグループが日本の国連加盟を支持したことは、高碕さんのバンドン会議における外交の成果の一つだということにもなるわけですが、バンドン会議に高碕さんが出席されましたことは、日本外交史における重大なできごとだと思うのであります。バンドン会議は御承知の通りに、世界平和と協力の促進についての宣言というものを、閉会に当りまして発表いたしました。これは十の項目から成っております非常にりっぱな宣言であります。ところでこの宣言に盛られたいわゆるバンドン精神というのが、今後世界の平和、外交に大きな寄与をすると思うのです。そして高碕全権もバンドン会議からお帰りになりまして、公式、非公式の席でこのバンドン精神を盛んに称揚されたのであります。私どももまた同様であります。そこでこのAAグループにはたしか日本も現在は加わっていると思いますが、AAグループにも入り、またバンドン会議にも日本として積極的に協力したという実績から申しましても、このバンドン会議の次の会議が、エジプトのカイロその他で、あるいは年内、あるいは来年早々開かれるであろうというような報道もあるのでありますが、こういうふうに、第二回のバンドン会議がアジア・アフリカのどこかで開かれるということにつきまして、政府は一体どういうお考えを持っておられるか、またそういう場合には、これに積極的に参加する御意向があるかどうか、一つ特に高碕さんにこの御答弁を承わりたいと思います。
○高碕国務大臣 ただいまニューヨークにおける国連の中のAA会議には加瀬大使が入りまして、AAへ会議には日本は参加しておるわけであります。それからAA会議は昨年バンドン会議のときに、この次はカイロで開こうじゃないか、こういう話がありました。ところが一部分の御意見ではこれは来年開こう、つまりことし開こうという意見もありましたか、当時ネールだとか今問題になっておりますエジプトのナセルあたりが、これは一年置きにしようじゃないか、こういう考えであったようであります。こういう話を聞いておりまして、私は来年開かれるのだと存じます。その場合には当然日本も欣然これに参加して、今度は多少日本の力も強くなっておりますから――はっきり申しますと、第一回のAA会議につきましては、実は日本は沈黙の態度をとりまして、できるだけ公開の席上においては議論をしない、よく聞こう、こういう考えでおったわけなのでありますが、この次には相当の発言力をもって日本の意見も申し述べる、こういう考えで私は非常に積極論こぎといます。
○田中(稔)委員 確かにその通りであって、高碕さんはバンドンにおいでになりましたか、一つできるだけ消極的な態度で、あまり発言をしないようにというのが政府の訓令の内容であったように聞いております。ところがそれにもかかわらず、高碕さんは胸中うつぼつたるものがあって、一つ大いにアジア・アフリカ諸国の指導者と胸襟を開いて語りたいというお気持であった、それがいろいろな言動に現われまして、周恩来とも非公式に会見されたということは、これは私は当時の日本の外務省はいやな顔をしたのではないかと思いますが、そういう努力もされ、そうして帰ってきて盛んにバンドン会議の成果についていろいろ御報告もあったわけでありますが、私は高碕さんのそのお気持を尊重して、さらに質問を続けたいと思います。
 そこで今申しましたように、バンドン会議に日本が全権を送ったということは、日本の外交史上大へんな事件だと思うし、そうしてこのAA会議というものを貫いて流れる精神、外交方針というものは中立政策であって、中立外交であることは申すまでもないわけであります。だから日本が現在とっておりますところのアメリカ一辺倒の外交政策、公式の外交政策からすれば、バンドン会議に参加し、バンドン精神を賛美するという立場は、幾らか邪道ということになるわけであります。しかしながら私ども野党の立場からすれば、この邪道こそ実は日本外交のまさに行くべき正道であって、こういう正道を歩まなければ、日本はアジアにおける孤児になるということをかねて主張して参ったのであります。そこで私は新外相代理の抱負を聞きたいと言いましたが、今までのお話はごあいさつ程度で、外交に関する御所見ということではなかったのでありますが、一つ高崎さんの胸中うつぼつたるバンドン精神というようなこと、それを一つ積極的にここで披露していただきたいと思います。
 そこでバンドン会議で採択された十項目の宣言でありますが、これは一々御記憶はないかもしれませんが、こういうふうな項目を私は読み上げてもよろしいか、相当長いから略しますが、こういうものについて、一つ日本外交は一体どういうふうにこれに対処したらよいか、そういうことについて一つお話をお聞きしたいと思います。私は特に具体的な問題でこれにこう答えろという設問はしないのでありますが、この際一つフリー・トーキングの形でお話をしていただきたいと思います。
 それから関連して、実はこのごろ盛んに東南アジア、東南アジアということを言われまして、最近はフィリピンとの賠償問題を解決したら財界の大物がずらりと経済使節団として行かれる、あるいは中近東方面にも何かそういう御計画がある。いろいろございまして、アジア・アフリカに対する日本の関心は非常に高まっておる。またこれは日本のためにも非常に必要なことでありますが、そういうことを片一方でやっておきながら、アジア・アフリカ諸国に対する日本への外交の指導理念といいますか、根本的だ考え方がはっきりしていなければこれはそういう企画はすべて失敗するにきまっておる。だからその場合に向米一辺倒の従来の霞ケ関のオーソドックスの外交方針でいけば、これは必ず失敗する。そこがバンドン精神によって救われる道だと思いますが、そういう意味において、個々の具体的な問題をわれわれが考える場合に、バンドン今会議の成果、バンドン精神というものは非常に不要なことになるわけでありますから、そういうことで少し抽象的になってもよろしゅうございますから、自由な気持でお話し願いたい。
○高碕国務大臣 非常にむずかしい御質問でございますが、私の感じておるところだけを率直、簡単に申し述べたいと存じます。アジア・アフリカ各国は、御承知のごとく長い間白色人種の圧迫のもとに、植民政策の犠牲となって今日まできておった。これを解放するということはどうしても焦眉の急であり、そして基本人権を尊重しつつ、人種を超越し、民族を超越し、各国平等の立場においてこれを経済的、政治的に発展しなければならない、この念願に燃えておるのであります。これは私ども日本民族といたしましても、過去の歴史から見、現状に即しましても、当然共鳴すべき点でありまして、これにつきましては何ら反対する理由はない。この根本精神のもとにわれわれはAA会議の一員として、兄弟として一緒に手をつないでこれに参加すべきものだ、この精神は曲げることができないのであります。ただその間におきまして日本民族が今日まであやまちをいたしましたことは、常に日本民族はそういうことを口にしながら、心の中で白色人種を尊敬し、同じ人種を軽べつするという感じがあったのであります。これは今日まで日本民族が相手方から反感を持たれた重要なる一点だと私は信ずるのであります。今後この方針を貫徹いたすにつきましては、できるだけ日本民族は優越性があるとか、工業国であるとか、自分の方が偉いのだとか、こういううぬぼれを捨ててしまって、同じ兄弟である、自分が兄貴づらをしないのだという感じをもって、同じ立場において、自分の身を堅持し、自分の身を謙遜し、そしてあの人たちと手を携えて、あの人たちのために尽すということをまず最初にやるべきだ。いわんや今日におきましては賠償のごときは解決していないというわけでありますから、こういう問題を一口も早く解決して、そして日本はあの同じ同胞、AA会議に参加する人たちと同じ立場において、あの人たちを尊敬しつつ、あの人たちの立場を向上せしめ、生活を向上せしめるようなことに日本民族は十分努力する、この考えでいって、仲よく手を携えて、同じ立場で進みたい。これが今後進むべき方針だと存じております。はなはだ簡単でありますが、私の所見を忌憚なく申し述べたわけであります。
○松本(七)委員 関連して。今の問題について、心がまえは御説明になったわけですが、具体的には結局今後の日本が新中国とどういう関係を結んでいくかということになるだろうと思います。これはいずれまた後に田中さんから質問が出るでしょうから、そのとき必要があれば関連して質問しますが、その前に一つ、経済の専門家である高碕さんの観測をお伺いしたいのは、インドの動向なのです。アメリカで今後のインドがどのような方向をとるかということについてはいろいろな観測があるようですが、このアメリカのいわゆる大資本系統の観測に二通りあるのです。一つはアジアの後進諸国というものは、依然として旧来の植民地的な、つまり原料なりあるいは農産物を先進国に輸出し、先進国の工業製品を輸入するという、そういう段階からあまり出ないであろうというような、従来通りの観測をしておるものか一部にある。それからまた一部にはいやもう新しい資本主義国家として、インドは将来飛躍的に伸びていくだろう、そのインドの資本主義としての発展に応じて、今までの古い、先進的な資本主義国家も、また、このインドを中心として若返ってくるだろう、資本主議全体の若返りの役をインドの経済が中心になって果すであろう、こういう見通しをアメリカの資本家の一部にはまたしておる者があるわけですね。そうかというと、これは必ずしもそうじゃない、今の国民会議派はこれは社会主義を唱えてもいないし、社会会主義へ向ってはおらないようです。これはいわば国家資本主義ですけれども、このインドのとろうとしておる国家資本主義の形態というものは、いわゆるファシズムの国家資本主義とは違って、十分に他国の帝国主義を脱却する一つの経済の動向として、これに大きな進歩的な意義を認め、その先に通ずるものはやはり社会主義陣営との提携にあるのではないか、こういう見通しも一方にはあるわけなのです。高崎さんとしてこのインドの経済の動向というものを将来どういうふうに見ておられるか。これが日本がアジアに対処する一つの大きな経済的な基盤をどこに求めるかということの大事な観測点になると私は思いますので、この点を一つ高碕さんの御意見を伺わしていただきたい。
○高碕国務大臣 ただいま松本委員の御賛同でございますが、これは相手国の状態でありまして、これを観察することにつきましては、なかなか困難な点もありまして、今こうだとかああだとか、われわれが結論を出すのにはよほど危険性があると思っておりますが、大体の考えといたしまして、私は東南アジア各国におきましては、これは事のいかんにかかわらず社会主義の傾向を帯びて経済的の発展を来たしておるものだ、こういうふうな感じを持っております、従いましてこれに対抗するためには、従前の資本主義的な考え方をもっていっては相当の欠陥があるだろう、こういうふうな感じをもって進みたいと思っております。これはインドだけではありません。概括的に全体においてそういうふうな空気が流れておるという私の観察であります。
○田中(稔)委員 今の高碕外相代理の私に対する御答弁はいわば心がまえというべきもので、心がまえという点においては異議はないが、しかしどうも歴史的ないろいろな動向だとか、社会、経済的な内容というものについては何ら触れておらず、私の質問に対する答弁としては不満足でありますが、いろいろ抽象的な論議を繰り返しておっても仕方がないから、一つ具体的な問題を出したいと思うのだが、それはエジプトのスエズ運河接収です。スエズというものはいわば英国帝国主義の東方侵略の玄関なんです。ここから入ってきたわけです。この玄関のスエズ運河を建設するに当っては数十万のエジプト人民と、それから莫大なエジプトの資材が使われた。そして長い間これによって大もうけをしたのがイギリス帝国主義であり、あるいはヨーロッパの帝国主義であったのでありますが、今度アスワン・ハイ・ダムの経済援助の問題とからみまして、ナセル首相がこれを接収するという思い切った措置に出た。これは日本の問題ではありません。またアメリカの問題でも、イギリスの問題でもない。しかしながらこの問題はアメリカの大統領選挙や、イギリスの政変なんかとは、とても比べものにならぬような重大なものです。しかもこれがわが国も加わっているAAグループの一つでありますエジプトにおいて起った。エジプトとしてはまさにこれは運命をかけた大問題です。これにつきまして外務大臣が触れないでおく、さわらぬ神にたたりなしという態度ならばそれはいたし方がないが、先ほどからの高碕さんのきわめて真摯な態度、特にまたバンドン精神に対する御理解、こういうことから考えまして、このことについて日本の政府の責任者として一体どういう御所見を持っておられるか一つ御発表をいただくことは、私は今後日本の東南アジア外交あるいはさらにまた世界外交をやる上にも、非常にこれは大事なことで、いわばこれは日本に与えられた試金石だと思う。これをどう見るか。イギリスと同じようにただそれが国際法上不当だという形式的な論議をやって、この問題の背後にあるあの沸き上ったエジプトの人民の要求というものを軽くあしらうというような態度をとるのは――これは答えにくい問題でありますから答えないというなら何ですが、しかしながらあなたが勇気があるなら大胆に御所見を発表していただきたい。
○高碕国務大臣 私はエジプトのナセルの立場になってみれば、ああいうふうな主張をすることは無理からぬと思いますことは、元来があの会社の株はエジプトが持っておったものをイギリスに売ってしまったわけなのでありますから、力が強くなれば取り戻す、こういう態度は当然だと思いますけれども、今日のあの状態につきましては突然でありまして、ちっとも研究しておりませんから、どうしてもやはり条約がどの程度の条約になっておるか、条約の違反をするということは、これはいかに同情しておっても条約違反に対してはわれわれは賛成することができないわけでありますから、そういうような点も十分に考えまして自分たちの意見もきめたいと思いますが、今日はまだこれを発表する時期に到達しておりません。さよう御承知願います。
○田中(稔)委員 私はそれだけで満足です。ナセル大統領の気持がわかるという御答弁です。ところがあなたがナセル大統領の地位にあればあんなこともやりかねないというような御答弁、(笑声)そのように承わっておきます。これ以上聞くのは残酷でありますから……。
 そこで私はこれから本論に入るわけですが、委員長よく聞いておいてもらいたいですが、バンドン会議に行き、バンドン精神を高く評価された高碕全権、しかもまた周恩来とバンドンでお会いになった高碕さん、周恩来と二度非公式にお会いになりましたね。そのとき周恩来という人物を非常に高く買われた高碕さん。そうしてバンドンに中国を代表して出席した代表はもちろん台湾の代表じゃないですね。北京の代表だった。そうして周恩来を中国の代表としてあなたはお話しになったというのですね。そういうことをバンドンでしておきながら、日本に帰ってみれば東京ではどうなっているかというと、日華平和条約は台湾のあの残存政権との間に結ばれておって、あの六億の人口を持った広大な中国の大陸を代表する北京政府は、日本政府からはこれは全く無視されておる。これは私は非常に奇怪な事実だと思う。あなたがほんとうに政治家として誠意がある方なら、ここに当然矛盾をお感じにならなければならぬと私は思うのですね。そこでこの周恩来の方からは、御承知の通りに何回もいろいろな話しかけがきている、モーションがきておる。ここにおる松本七郎君と田中織之進君とが一昨年でしたか昨年ですか、周恩来と会ったときも、どうか一つ鳩山首相に北京に来てもらいたいというようなことの伝言もありました。それからそのことについて鳩山さんに私が聞いたら、自分は出かけてもいいというようなきわめて気軽な御答弁がありましたが、その後ジュネーヴにおいて中華人民共和国の沈平総領事から日本の田付総領事に対しまして、二回にわたってやはり申し入れがあった。いろいろな懸案についてお話し合いをしたい、だから一つ日本政府の代表を北京によこしてほしい。これはちゃんとした外交文書であります。日付は一九五五年の八月十七日と越えて十一月四日、この二回にわたって行われた。さらにまたその周総理がことしの一月三十日、中国人民政商会議の全国委員会におきまして同様の提案をしておるわけですね。日本は満州事変以来十何年、ほんとうに中国に対して迷惑のかけっぱなしですね。満州においでになったあなたよく御存じの通りに。そうして戦争損害についての賠償を求められればこれは天文学的な数字に達する。そういうものは一銭も要求しないと言っている。そうして大へんな虐殺と略奪と凌辱が行われて、ほんとうに中国の国民にすればたまらないと思うのですよ。戦犯に対する待遇は御承知の通りですね。だから戦犯が日本に帰って参りましても、日本の今の一般的の考え方と全く違って、ほんとうに心からざんげしている。余生を中国との友好とアジアの平和にささげたいと言っている。これは何も強制された気持ではないですね。こういう際に迷惑をかけた日本の方がアメリカの方ばかり向いて、中国には背中を向けている。こういう状態がいつまで続いていいかどうか、これはあなたならわかると思う。一方、日ソの国交回復の交渉はいよいよまた再開されて、重光さんか出かけていった。これは私は何とかまとまるだろうと思うし、ぜひまとめていただきたいと思うのだが、そういう際であり、御承知の通り、世界全体の動向も平和地域の拡大、平和外交、平和共存、こういう事態である。こういう際になぜ一体中国との国交回復について日本政府は何らの努力を試みないのか。これは重光さんなら今まで何回も聞いて、もうきまり切った御答弁がありますけれども、バンドンにおいでになった高碕さんとして、重光さんと少し違った角度から、違った感覚で一つこの問題につきまして、新外相代理就任のこの際、一つ御答弁をいただきたいと思う。これはいいかげんな答弁でごまかす手もありますけれども、あなたの誠実さはそれを許さぬと思う。どうか一つ――なぜ中国との国交回復について日本政府は、これだけ周恩来から何回も呼びかけがあるのにこたえないのか。それは台湾との関係があるとか、中国は朝鮮戦争で侵略者だとか、いろいろありましょう。ありましょうけれども、そんなことは言いわけなんだ。朝鮮戦争の侵略者と国交回復できぬなら、イギリスはあの朝鮮戦争に国連軍に加わっておって、そうして自分は北京との間で国交を、完全ではありませんが半分くらい回復した、こういうことを現にやっている。なぜ日本だけやれぬのか。それはアメリカのだんなの言うことを聞かなければならぬ二号の立場という、そういう答弁ならいいけれども、それはまたあまり形式的な答弁だと思う。アジア局長さんかでなく、高碕さんが一つ堂々と答えて下さい。
○高碕国務大臣 ただいま田中委員の御質問に対しましては、私は心の中からその矛盾がある、自分の腹の底に矛盾があるということは、これははっきり白状いたします。全体の日本の方針につきましても見てみれば、中国の状態がああいうふうに変化して参ったわけでありますから、一方台湾政府との関係あるいはアメリカとの関係、一方は現実の問題等を考慮しますと、そこに大きな矛盾があるわけであります。この矛盾をどういうふうに妥結するかということは非常にむずかしい問題でありますが、一日も早くこの矛盾を妥結するということに進めなければならぬ、これだけの精神で進みたいと思いますが、今具体的にどうするのだ、こうやるのだと私の考えを申し上げることはきょうは一つごかんべん願いたいと思います。
○田中(稔)委員 今の御答弁で一応満足します。あなたの御誠意ある御答弁ですが、要するに日本と中国との国交を正常化する、あるいはまた回復するというために日本政府としては、いろいろな困難はあるけれども、これを打開する努力はしなければならぬ、こういう御答弁だったと思いますが、それでよろしゅうございますね。その努力するということについてもう一ぺん……。
○高碕国務大臣 ただいま御質問のごとく、こういう矛盾があるということは両国のためにはなはだ悲しむべきことでありますから、できるだけこれを打開すベく努力したいと思います。
○松本(七)委員 今の問題で高碕さんに一つあなたの在任中に従来以上にやっていただけるかどうか確認しておきたい問題は、中国との貿易の問題です。これは御承知のように、マレーにしても、また引き続いてインドネシアもゴムの輸出禁止を緩和する動きが出てきておるし、また今月の十六日にはカナダが対共産圏の輸出禁止を撤廃しております。そういう動きがどんどんと他国には出ているのですから、もうこれは、早く日本も具体的に従来より以上の努力をしなければおくれをとるばかりなのです。これはちょうど絶好の機会だと思いますが、高碕さん、一つ具体的にこれを前進させる御決意はあるでしょうか。
○高碕国務大臣 私はいつまでこの代理をやっておるかわかりませんが、私が代理をやっておる範囲におきましては今の御説には全く賛成でございまして、できるだけ妥結したい、こう存じております。
○田中(稔)委員 そこで、今の松本君が関連して質問したことだが、私はそれを聞きたかったのです。その話は一応ありましたが、もう一つ具体的な問題があるのです。それは、ことしの秋北京と上海で開く日本の見本市に出品の不許可になった品目が相当あるのであります。しかし日本がこれを中国に持ち出して、こういうものが日本でできますという返事をする場合に、やはりこれはできるだけ日本の工業力を、言葉は少し語弊があるが、誇示するに足る見本を出さないと、二流、三流の品物だけを出したのではばかにされると思う。ところが戦略物資云々でこれはだめになっている。これはここではっきり御答弁を願わなくてもよろしいか、ただ、関係各省にそれぞれ私とももまた陳情しておりますが、どうか日本の現在の工業力を十分中国の人々に知らせるに足るような見本をそろえて出品できるように、一つ外相代理において十分御努力を願いたい、こういうふうにお願いいたします。これは希望でありますが、それについてちょっと御答弁をいただきたい。
○高碕国務大臣 お説のごとく、私どもは同感でございます。同じ出品をするなれば、日本の最高製品を、一番いいものを持っていって日本の国力というものを示したい。これによって中国人が日本の工業力に対する理解を得られるわけでありますから、ちゃちなものをやるよりもむしろいいものをやって、ちゃちなものはやめた方がいいだろう、この考えは私は全く同感でございます。ただここにココムというものがあるのでありますから、これを今緩和すべく努力をしておるときに、これに障害を来たすようなことはなるべく避けたい、こう思って善処しております。
○田中(稔)委員 この機会に関連して御質問したいのですが、ジュネーヴにおいて中華人民共和国とアメリカの大使が何回も会談をやっておる。七月二十六日の会談は五十四回目です。そうして今度は五十五回目の会談を八月八日にやる。五十何回も会談をしておるが、これは抑留者の問題だということであります。そういう今までの情報でありましたが、抑留者の問題だけでこんなに何回も会合するわけはなかろうから、私どもの推測では、そのほかの中国とのいろいろな懸案、たとえば台湾問題その他、こういうことを話し合いをしているのだと思う。今までたびたび聞きますけれども、これについてのインフォーメーションはきわめて不十分でありますので、これはあなたでなくてもよろしゅうございますから、外務省のアジア局長かだれかからでいいから、この駐米大使の会談についての情報がありましたら一つお聞きしたい。
○中川説明員 ジュネーヴにおいて約一カ年にわたってアメリカと中共の間に大使レベルの会談が行われているわけでありますが、一向これが片づかないことは御指摘の通りであります。主たる問題の相違点といいますか、問題がある点は、結局アメリカ側は、台湾海峡も含めて中共側が国際問題の解決に当って武力を用いないという保障をまず出すようにということが主張でありますが、それに対して中共側は、国際問題の解決について武力を用いないということには賛成であるけれども、それには台湾問題は含まない、つまり台湾は自分の内政問題であるということはやはり堅持しているわけでありまして、その点についての意見か合わないのが根本の相違点であります。なお中共側は、こういう大使の会談では不十分であるから、さらに一段上の、つまり外務大臣レベルの会談をやろうじゃないかということを申し入れておりますが、これに対してアメリカ側はその時期にあらずということをいっております。われわれの得ておる情報は大体さようなことであります。
○田中(稔)委員 そこで高碕さんにぜひお聞きしたいが、日本はジュネーヴで総領事級の話し合いをしておる。つまり向うの沈平とこっちの田付とが話し合いをしておるわけです。アメリカでは今度は大使レベルの話し合いをしておるわけです。中国は大使級の話をレベル・アップして、今度は外相同士の話、周恩来とダレスが話をしてくれといったら、アメリカはそれは困るといっている。しかし大使級の会談は続けておる。すでに五十四回にも及んでいる。これはアメリカと中華人民共和国でしょう。だとすると、これは日本以上に対立した関係ですね。それがそういうことをやっているならば、日本政府が、総領事級じゃなくもう一つ上げて大使級の会談ぐらいをジュネーヴかどこかで一体なぜやれないのか。そうしてこれは、何も中華人民共和国を承認していないでもできることでしょう。アメリカだって承認していなくたってやっているのですからね。だから、中華人民共和国を日本が承認していなくても、漁業問題でも、引き揚げ問題でも、貿易問題でも、いろいろなことがありますから、それについての話し合いをすることだけぐらいならば差しつかえないと思う。差しつかえないと思うので、どうか一つ、総領事級の話し合いをレベル・アップして、大使級の話し合いをしてもらいたい。それは、ニューデリーでもジュネーヴでもどこでもいいから、こういうことをぜひあなたは考えてもらいたいが、どうですか。
○高碕国務大臣 現在ジュネーヴにはこちらの総領半が行っております関係上、総領事が交渉の衝に当っているわけであります。特別の場合にはさらにそういうふうなもっとハイ・レベルの方の交渉も考えなければならぬと思っておりますが、十分検討いたしたいと存じております。
○田中(稔)委員 その次は旅券問題だか、旅券問題は御承知のように妙なことになって、今全部とまっているが、しかし最近元軍人が十何名行くことになった。それから三重県あたりでも、いわゆる公務員を除いてあと旅券が出たということですが、これはさっきどなたからかお話があったが、東京地裁で最近判決がありまして、昭和二十八年の国慶節の祝賀代表団に対する旅券拒否が政府の敗訴になっている。こういう旅券を勝手にとめるということは全く基本的人権を無視することでありますが、今度またいよいよ国慶節も近まって、また向うから、日本の国会議員の超党派的な議員団の来訪を希望するというような意思表示が慣例によって必ず来ると思う。わが党でも淺沼書記長あたりまで出かけていきたいと思っているわけですが、今までに逆行してこれをだんだんと締めていくというようなことはないと思う。アメリカだって空軍参謀統長トワイニング以下、この間モスクワの航空祭に呼ばれていったのでありますから、今度はアイゼンハワー大統領は、逆に、もしソ連が国防相ウィルソンを呼ぶならば、こっちはジューコフ国防相を呼ぼうというようなことをこの間書っておったようなわけです。これもアメリカに対する遠慮ならば要らないが、旅券について妙な制限の基準が一体外務省にはあるのですか。あなたは知らないかもしれぬけれども、事務当局はそのことを隠して、秘密にして、憲法に保障された日本人の渡航の権利を今じゅうりんしているのです。こんなばかなことはない。しかもさっき言ったように、東京地裁ではそんなことをしてはいかぬという一審の判決があった。このことはあなたも外相代理に出られた今でありますから、撤廃するということは言えないでしょうけれども、そういうけしからぬことは再検討するくらいの御答弁をいただきたいと思いますが、どうでしょうか。
○矢口説明員 お答え申し上げます。御承知の通りこと上の四月に海外渡航に関する事務上の参考資料のごときものを作ったわけでありますが、それを改変するかどうかということに結局は落ちるのではないかと思います。今度の裁判の判決につきましては、関係当局、特に法務省を中心といたしまして慎重審議、現段階において討議中でございます。それで、それに対しましてどういう措置をとりますかは今のところまだ結論が出ておりませんけれども、大体見通しといたしましてはあの判決に対しましては承認できないという意向が強いのであります。従いましてそういう情勢でございますから、ことしの四月に作りました内規のようなもの、そういうようなものを改変すべき情勢が新たに起ってきたとは、われわれ事務当局は判断いたしておらないのでございます。
  〔穗積委員「入管の判決に対する御所見は」と呼ぶ〕
○内田説明員 私の方は旅券の発給の問題につきまして、実際上いろいろ御連絡を受けておりますけれども、実はあまり発言いたす地位にはおりません。その判決につきましても法務省の意見ということでありましたらば、私はそれをお答えする地位にもおりませんし、現在私の了解しておりますところでは、その判決に対してどう対処するかということを、目下協議中の段階にあるのでございます。私といたしましてはそれ以上お答えいたしかねます。
○田中(稔)委員 そこで今の移住局長にお聞きしますが、一体そういう内規かできておるということは、どういう憲法上の根拠、法律上の根拠によってそういうことができておるのですか、それを秘密にして発表しないのですか。
○矢口説明員 このことにつきましては、この前の国会におきまして重光大臣から種々御返答申し上げたのでありまして、その後別段変っていないと私は了解しております。大臣の言われましたことは御承知でありましょうけれども、念のため申し上げますけれども、事務上の一つの参考資料として心がまえの一つの資料としてああいうものを、内規を作ったのだ、でありますからそれが絶対的の基準であるわけじゃない。個々の場合々々に応じてそういうことを頭に浮かべつつ判断していくというわけであって、これは発表いたしますると、かえってこれが絶対的な規約のごとき印象を皆様に与えますので、かくのごときことは避けたいという観点から、大臣は御発表にならなかったと私は了解しております。
○田中(稔)委員 そこで今度は高碕さんに聞きたいのですが、今お聞きのようなわけで、渡航の自由というのは御承知のように憲法で規定された基本的人権ですから、それを著しく制限するような内規のようなものを国民に秘密にして外房当局が握っておるということは、とにかくいいことじゃないのですね。それで今直ちにあなたに内規をやめろという御答弁は要求いたしませんが、ただこの内規を、これは情勢もずいぶん変ったから――与党内の情勢も変っているのですが、そういう諸情勢とにらみ合せて再検討してみたいという御意思があれば私はそれでけっこうだと思います。それ以上のことは私は要求しません。今やめろとは言わないから、再検討する御用意があるかどうか、それをお聞きしたい。
○高碕国務大臣 この問題は本年の四月、そういう問題が閣議に出ましたときにいろいろな意見がありましたが、国際情勢の変化によりまして、これは相当考えなければならぬ。著しく国の利益に反するといった場合には、これはいかなる場合でも基本的人権は尊重しなければならぬが、これは国家としてはとめなければならぬ点もあると思いますが、一体どの程度において国の利益に反するかといった点は、これは国際情勢の変化によって変るべきものと思いますから、私もこれを確固不動のものとしてきめることは間違いだと思います。従って今後の情勢の変化によって再検討いたしたいと存じております。
○田中(稔)委員 最後に一問、これで私は終りますが、そういうのはこっちから出る場合ですが、今度は入る場合、長崎の原水爆反対世界平和大集会が行われ、東京大会が八月六日、長崎では八月九日以降でありますが、各国の代表がこれに参加する。ところが大体これは今度は入国ができるのでありますが、残ったのは東独の代表と朝鮮民主主義人民共和国、俗に言う北鮮でありますが、この代表だけが今入国ができないということになっております。このことにつきましては実はここであまりにぎりぎりの御答弁を要求するのは私まずいと思いますし、きのうあたりから大臣あるいは法務大臣、それから各省の局長の諸君にいろいろ陳情しておりますから、十分話はわかっていただいておると思います。この席で御答弁願いたいことは、それは二つに国が分れているという関係もありましょう。ありましょうがたとえば東独は昨年入っている実績があるのです。昨年は来ているのだ。その昨年来たのを今年いかぬというのはおかしいのだ。また西独から異議があったといったって、アメリカからのプレッシャーなら――アメリカからの圧力ならば事のいい悪いは別として、現在の政府が現在のような外交政策をとっておる関係上、アメリカからの抗議なら、政治的に相当重大な考慮を払うのもやむを得ぬと思うけれども、西独あたりからそんなことを言うてきても、それをけったってどうということはない。向うからの抗議の内容もそんな厳重な抗議じゃないらしいのです。文面を聞きますと、東独からだけ代表が行ったのでは、その代表が全ドイツを代表するように誤解されるおそれがあるから何とか善処願いたいという程度のことだ。これははっきり言うと、内田さんからお話があったわけだから、そんな西独からの力の弱い申し入れにこだわって、昨年入った東独代表を入れぬというのはおかしい。それからまた北鮮ですが、国会議員であれ、経済人であれ、文化人であれ、もう今まで百人以上行っているんだ。しかもすべて国賓として遇せられておる。これは政府が喜んで承認して行ったことじゃなく、むしろ外務省はしかめつらでおったわけですけれども、しかしながらとにかくそうして行って友好の実はすでに上っている。こういうときに――三名来るというのを韓雪之さん一人にしぼろうといっておる。韓雪之さんは日本の大学を出た人で作家なんだ。その一人が来るのに、しかも原水爆反対ということは、われわれ国会における神聖な決議でもあったんです。それで今世界の世論がどうなっておるか、松本君がさっき申し上げた通りであります。こういう際に原水爆を人類の平和のために、これを一つ禁止しよう、反対しようという会合で、平和のための集会である。そういうことに韓国の李承晩が苦い顔をするからというようなことで、入れぬということは、実に日本の政府もあまりにも独自性がないと思うのだな。繰り返して言うが、アメリカからの抗議が来たなら私ども、これは私どもではおかしいと思うけれども、政府が、それだからどうも二号の手前、だんなさんに済まないというのでごきげんを損じては困るからというので、あれするのなら私どもはそれは粋をきかして了承するが、しかしながら李承晩やアデナウアーあたりからの何かちょっとした抗議におびえて――平和の大道を歩もうとする日本でしょう。原水爆反対は世界のうちで日本が一番イニシアチブをとらなければならぬ立場でしょう。広島、長崎、ビキニ等を日本は体験して、すでに国会でも決議しておることです。きのう内田さんあたりも盛んにぐちをこぼされておったが、それは事務当局の苦しい立場もいろいろあろうと思うのですが、しかしながら日本には内閣があるのじゃないですか。日本は事務官僚だけで政治をやっておるのじゃない、その上に内閣があって、これが責任を持って政治を執行するのですから、しかもあなたは外務大臣代理になられた。これは御答弁を要求するとあなたが苦しいかもしれぬが、一つあなたが閣内の意見をまとめて、必要なら総理大臣の判断を求めて、われわれも直訴してもいいけれども、なるべく去年のようなことはしたくないから、あなたが一つ責任を持って善処していただくように、特に要望申し上げまして私の質問を終ります。
○内田説明員 御訂正願いたいと思いますが、私は西独がこういうことを言ってきたという意味で申し上げたのではございません。西独から申し入れがあって、なぜ申し入れたかということの想像として、あるいはそういうことを考えているかもしれない、こういう意味で申し上げたのでありますから、西独がそういう申し入れをしたという意味におとりいただきましたら誤解でございますので御了解いただきます。
○穗積委員 関連して伺いたいのですが、ちょっとその前に、高碕長官が外務大臣代理になられたことを私は歓迎いたします。それから田中君も言ったように、あなたはそのまますわっておられた方がいいと思います。一つそういうふうに党内、閣内で御努力なさることを日本人民のために希望いたします。
 それから今の原水爆禁止大会のこと並びに入国管ことですが、これは先ほどあなたの御趣旨もそうだし、国会の趣旨もそうだし、でございますから、私は当然原則としてはこれは承認して入れらるべきであって、個々については、またいろいろな事情があればそれは検討して、その上で正当な理由があればそれを示してもらいたい。納得のいくような理由であるなら承認するけれども、われわれは今まで示されたところでは納得がいかないので、政府は口と腹と違うのじゃないか、うそを言っているのじゃないかということで、われわれは承服するわけにいかぬのですが、そういう原則はお認め願っていいでしよう。国を問う必要はない、人種を問う必要もない、主義主張も問う必要はない、各国の、地球上に生きているすべての人の権利として、人道上の問題として原水爆はやめてもらいたい、こういう要望をする大会をやるのに、政府がそういうことに政治的な判断をするのは行き過ぎだと思います。ソビエトに向っては、人道上の問題だから早く人を帰せ、そういうことを言っておきながら、一番直接の関係ある人道上の原水爆禁止のことについて、そういうあらぬ憶測をしたり、あらぬノイローゼにかかられて、こういうことの可否を決定するということは私は筋違いだと思うが、そういう原則について大臣のお考えを伺いたい、これが一点です、今までの事務当局がまだ許可をお出しにならぬことは、まだ最終的な決定じゃないとわれわれは理解しているのですが、そういうふうに理解してよろしいかどうか。
 それからもう一つは、昨年の大会には、鳩山総理が非常に賛成されまして、入国のことについても鳩山総理自身が閣僚の蒙を開いて努力せられて、その上に趣旨は大賛成だということでメッセージを下さった、しかもそのときの私どもえの話は、自分が行ってメッセージを読みたいのだけれども、からだがこういう調子だし、政務も端であるから、特に松本副長官を私の代理としてわざわざ派遣いたしましょうというような熱意を示された。ですから第二問としてお尋ねしたいのは、新任外務大臣並びに総理が先ほど言われた、ような原水爆に反対されるならば、今年度の世界大会に総理並びに外務大臣のメッセージを出されることが、私は国際的にも国民に対しても非常に適切だと思うが、それについてはあなたはどういうふうにお感じになっておられるか、総理と一ぺん相談されて、そういうことを取り計らわれる意思があるかどうか、これを第二問として関連してお尋ねいたします。
○高碕国務大臣 ただいまの北鮮の代表者の入国問題は、これは急速に解決しなければならぬ問題で、時日も切迫していることでありますから、法務省とも十分打ち合わせまして結論を出したいと思っておりますが、ただいま私はそれについて結論を申し上げんことは困難だと思っております。なお総理のメッセージ等につきましてもよく協議いたしまして取りきめたいと存じておりまして、これは参考としては非常にいい御意見だと、私は信じております。
○穗積委員 この際総理だけでなくて、外務大臣も、総理と御相談の上でお出しになるように御研究いただきたいと思う、それでいいでしょう。
○高碕国務大臣 そういうふうにいたします。
○松本(七)委員 高碕さんにこの問題について一つ申し上げておきたいことは、だいぶ前に、今年もなた長崎大会が行われる予定で、着々と日本では準備を進めておった。同時にこの入国の問題については特に重光外務大臣に出席していただいて御所見を聞いたわけなのですが、あの慎重居士の重光さんなら、そのときになって考えましょうくらいの返事が普通なのです。ところが今回は、入国についではできるだけ順調にいくように努力しましょうという答弁心あったのですから、そのことを特に高碕さんはよく銘記しておいて、いただきたい。
 それからこの問題について先般私は門脇事務次官にお目かかっていろいろ懇談したのです。そういう経過があったので、特にきょうはここに出席していただくことを要求したわけですが、それはさっき論議いたしましたから繰り返しませんけれども、そのときに門脇次官は、この問題は法務省が主管だ、こう言われるのです。それなら法務省において全部差しつかえないという結論が出た場合には、外務省は異議を申し立てないか、全部入国が順調にいくのかと念を押したところが、いやそれは必ずしもそうとは言えない、こう逃げられるわけなのです。誠意が認められない。従って先ほど田中稔男さんもしきりに言っておられましたが、事務が政務を引きずるようなことのないように、あくまでも閣議決定を尊重し、そうして外務大臣、臨時ではあっても今全般的に担当される高碕さんなのですから、あなたの判断によって、政務が事務に優先するように、この原則をくずさないようにお運びを願いたいことを特に強調しておきたいと思う。
○前尾委員長 高碕長官より日本、ネパールの国交開始にかんしまして報告したいとの申し出がありますから、これを許します。
○高碕国務大臣 ネパールとの国交関係開設に関する件につきまして本委員会の御了承を得たいと思っております。ネパールとわが国との間には従来国交関係がなかったのでありますが、政府はアジア諸国との外交関係を増進する見地から、同国との外交関係を樹立すべく交渉中でありましたが、両国官の意思が完全に一致しましたものですから、本日両国間においてこの趣旨の共同発表を行うことに相なりました。つきましては両国間の外交使節の交換が最近行われることに相なりましたから、この点について本委員会の御了承を願いたいとおもいます。(拍手)
○前尾委員長 菊池義郎君。
○菊池委員 至って具体的に簡単に御質問申し上げたいと思います。高碕大臣、外務大臣も兼任せられて大へん御苦労に存じます。
 先ほど松本君の質問に対しまして、インドネシアの賠償解決は早期にこれをやりたいという御意見を漏らされたのでありますが、倭島公使もインドネシアの五カ年計画に織り込むためになるべく早く妥協したいという意向を持っておられるということでありましたが、これを急ぐのは、単にインドネしあの都合ばかり考えず、日本の都合も考えなければならぬという意味においてどうかと私は思うのでありますが、長官はこういうことを御存知でございましょうか。われわれは戦争が勃発して日本が南方諸国を占領した直後にずっと向うを回りましてその損害の状況をみんな見て参りました。フィリピンは非常に反日的でありましたために大へんな損害を受けております。日本がかけた損害よりも向うがマッカーサーの命令によってゲリラ戦を展開して、橋をこわす、鉄道を破壊する、それからホテルを焼く、学校までも焼く、そして日本軍の進撃を妨害する、あるいは宿泊を妨害するといったようなわけで、その損害が非常に多い。ところがインドネシアは最初から協調的であり、非常に親日的でありましたために、日本軍から受けた損害がほとんどない。フィリピンに比べるならば、ほとんど何十分の一にすぎないであろうといわれているくらいであります。われわれも現場を見て参りましたのでございますが、そういう点は御視察になられたのでございましょうか、どうでございましょうか、お伺いしたい。
○高碕国務大臣 そのために私は直接視察をいたしておりませんが、先般バンドン会議に参りましたときに、できるだけそういう方面はよく見てきたわけでございますが、御説のごとくインドネシアが戦争において受けた損害というものは、日本との戦争でなくして、むしろ独立戦争で受けた損害が多い、こういうことも見られると思いますが、ただし日本といたしましては、占領期間中兵站基地としてあのインドネシアから多数の労力を生発し、多数の物資を徴発した、こういう事実もあるのでありますから、こういうふうな点が先方が賠償を要求する大きな理由だ、こう存じておるわけであります。これらの点はよく折衝しなければならぬと思いますが、今のお話のごとくフィリピンとは戦災の受け方がよほど起っておる、こういうふうに私は感じております。
○菊池委員 新聞の報ずるところによりますと、日本のインドネシアに対するところの賠償は、その額において大体フィリピンとビルマとの中間ぐらいというふうに報ぜられて、おりますが、日本政府といたしましては、そういったような構想でございましょうか、お差しつかえなければお漏らしを願いたいと思います。
○高碕国務大臣 ただいまの御質問にお答えいたしますが、最近に交渉に入りたいというときでございますから、内容につきましてはどうか一つ今申し上げることを遠慮させていただきたいと思います。その点御承認を願いたいと存じます。
○菊池委員 それでは大体いつごろからその交渉を始めるのでしょうか。
○高碕国務大臣 ただいまジャカルタにおります倭島公使が帰ってきておるわけでありますが、これとさらにもう少しよく打ち合せいたしまして、できるだけ早い機会に倭島公使を現地に帰したいと思いますが、それが交渉に入る初めだ、こう存じております。
○菊池委員 向うの政党もみな意見が違っておる、日本の賠償の受け入れ態勢もできていない、それのみならず、向うからまだ何とも日本に対して要求してこないのに、こちらから先に持ちかける手は外交政策上どんなものか、こういうことも考えられるのでございます。こういう点についてはどういうふうにお考えになりますか。
○高碕国務大臣 先方の政情が安定していないとかいうことは、私は先ほどお答え申しました通りに、これは日本が揣摩憶測するということは先方に対して申しわけのないことだと思います。私はむしろ日本として考えるべき問題だと思いますが、今お話のごとく全然向うから申し出がないじゃないか、こういうことでありますが、そういうことでなく、現地におりました倭島公使にいろいろ話し合いがあったものでございますから、従いまして、今日倭島公使に対して日本の腹案をある程度作って帰すということは、私は国際的の関係上必要だ、こう存じております。
○菊池委員 われわれはいつも考えることでありますが、南方諸国が独立したのは何といっても日本のおかげである。もちろん国際法的にはっきりと独立ができたのは終戦直後であります。が、実際には戦争中にすでに日本が独立させて、そうしてこの独立の厳然たる事実を宗主国家としても認めざるを得ないことになって結局独立を認めたのであります。そうすれば結局は、これはそれぞれの宗主国家が独立させたというよりも、日本が独立させたといって差しつかえないと思うのでございます。この意味におきまして、この大きな日本の業績は賠償の際には大きく値踏みしなければならぬ同月であろうと思うのでございますが、このことについて向うと話し合ったようなことはございますか。そういうことを話しました場合に向うはどういうことを言いますか、それを一つ参考のために聞かせていただきたい。
○高碕国務大臣 まあ日本としてそういうふうな見方をすることも、あるいは考え方とすれば無理ない点かと思いますが、しからば日本がインドネシア独立のためにあれだけの戦争をやったかといえば、それはそうでもないということになりますし、これは見方々々によって違うことでございます。そういうふうな問題につきましては、まだ両国の間で正式に話し合ったことはないのでありまして、倭島公使がある程度私的の会見においてそういう話をし合っていることだと私は想像いたしておりますが、まだそれははっきり本人からは聞いておりません。
○菊池委員 インドネシアの独立のためにはスカルノとかハッタとか、ああいった革命の志士が何十回となく牢獄に入って非常な苦心惨たんをしておったのでありますが、日本のおかげでもって多年の悲願を実現することができたようなわけでありますから、日本から賠償を取るどころの騒ぎではない。そんなものは帳消しにして、向うの方から日本に対してあべこべにみつぎものを持ってくるのが当りまえだと思うのであります。大体サンフランシスコ条約が締結せられますときに、南方諸国全体の賠償については物資によらず、金銭によらず、すべて労力提供の形において総額十億ドルの見通しであった。それがフィリピンだけでもって五億五千万ドル、民間借款を加えて八億ドルというような膨大なものになってしまった。それでわれわれは、インドネシアがこれにならい、ビルマがさらに再要求をする、ヴェトナム、ラオスなどがさらにまた膨大な要求をしたら、日本の財政は破綻に瀕するのではないかということをしばしば言っておりますけれども、政府の答弁は、いつも楽観し切ったような答弁であったのでございます。聞くところによりますと、インドネシアとしてはフィリピンの賠償額以下は困るということを言っておるようでありますが、もしインドネシアの要求をそのままにのみ、さらにその他の南方諸国の要求をそのままにいれるといたしますと、多少譲歩があったところで大へんなものに、何千億になってしまう。そうすれば日本は立つ瀬がなくなってしまう。それを一体何によって補うのか。賠償を払うことによって、それ以上の、つまりエビでタイをつる式の、それ以上の利益があるというのならば別でありますが、大して見通しがない、そういった利益の見通しがないのであります。こういう点についてどういうふうにお考えになっておられましょうか。
○高碕国務大臣 ただいま賠償金額についてのお話がございましたが、これはわれわれ国民を代表する上におきまして、できるだけ低く話をつけることに当然努力をいたすべきだと存じておりますが、これも相手のあることですから、相手を理解せしめなければならぬ、それにつきましては、問題といたしまして現在の国民経済、日本の経済からこの賠償が実行し得るかいなやということは、これは十分検討する要があると存じまして、この点についての検討は終えておるわけであります。そういうことは、もしかりに約束をしても実行できなかったときには、さらに悪い結果を来たす。どうしても約束すれば、これは実行し得る、それには国民の経済が負担できるかどうか、こういう点は十分考慮をしておるわけであります。この額につきましては、これはみなそれぞれ議論があるところでありますが、できるだけ私どもは低く取りきめたい、こういう考えは御同様御同感でございます。これは相手のあることでありますので、相手の立場も尊重して、しかるべきところに協定を成立させたい、こう考えております。
○菊池委員 アジア局長にお伺いしたいと思いますが、過般カンボジアの開発の問題が非常に活気を呈して話題に上っていたのでありますが、最近まるで火の消えたようになってしまった。その後どういう状況になっておりますか、その点を簡単に御説明願います。
○中川説明員 カンボジアにつきましては、御承知のように一昨年の暮れ、カンボジアが日本に対する賠償を放棄するという措置をとってくれたのであります。その際に日本はそれに対して感謝するとともに、日本側としてはお礼の志として経済協力ということをできるだけカンボジアにいたしましょうということを約束しておるのであります。
 なお先般カンボジアとの間に友好条約が締結されました際にも、その中の一項目といたしまして、経済その他の協力についてカンボジアと別に取りきめを結ぼう、こういうことが書いてあるのであります。一方カンボジアにおきましても、日本側に高原都市といいますか、暑いときに避暑するような都市を一つ作ってもらいたいというオファーがあったのでありまして、それにつきましては二月日本から調査団を出しまして現地を調査いたしたのであります。従って今後日本としてはその高原都市建設問題に関連いたしまして、果して具体的にどのような経済協力をカンボジアとの間にできるかということについての具体案を日本が作って、カンボジアにこれを示す段取りになるわけでございます。その点につきましては、今政府部内でいろいろ検討中でございます。近く現地におります大使にも一時帰朝してもらいまして、その問題についてはカンボジアの真意をはっきり確かめて、カンボジアにとりましても最も希望するような内容の取りきめをぜひ作りまして、カンボジアとの間に経済協力に関する協定を結びたい、かように考えております。
○菊池委員 われわれの憂うるところは、向うの総理大臣が日本に対してああいうことを言っておる反面に、直ちに中共に呼びかけて経済協力を求める。またソ連にも経済協力を求めるというように八方美人式の外交を展開している。もし中共なんぞの力が伸びて参りますと、せっかく日本が協力いたしましても、それが直ちに押されてしまって、水泡に帰するようなことがあるのではないかということが一番心配になるので、こういう点について外務当局はどういうようなお考えを打っておりますか。
○中川説明員 御指摘のように、カンボジアの政府当局は、これは日本、アメリカ等のみならず、共産圏の諸国ともいろいろ交通往来いたしまして、経済協力等の協定等もできて声明等が発せられておるのであります。これにつきましてカンボジア側の基本的態度は、やはり両陣営の中にあって、いわば中立的態度をとって、いずれの陣営にも属さず、世界の各国と友好関係を結ぶということか、カンボジアの外交方針のようであります。その方針はその方針といたしまして、日本といたしましては先ほど申しましたような賠償放棄に伴う日本のいわばカンボジアに対する経済協力という一つの約束をしてありますので、これにつきましては誠意を持ってこれを実現化したいと考えております。従ってこれは日本の感謝の気持の表われであります。将来カンボジアの国際状況がたとえば変るというような場合をあらかじめ今から考えまして、それによって日本の態度を、経済協力の内容をいろいろ変えるというようなことは、ただいまとるべき措置ではないと考えて、誠意を持ってこれを実施したいと考えております。
○菊池委員 それから今度の日ソ交渉のやり方について、どなたでもよろしゅうございますが、お話を聞かせていただきたいと思います。日ソ交渉について、今までロンドンでもって交渉を進めておりましたあの交渉の内容については、これは日ソ両国ともにこれをすでに承認したものとして、今までに話のまとまった以外の点だけについての話し合いをやるのでありますか。それから今度の会議は一たんこれを御破算にしまして、なんでもかんでも全部初めから出発してやるというやり方なんですか。どちらなんでございましょうか。
○高橋説明員 この点は御承知の通りロンドン会議におきましては、大体債主問題を除きましては、一応まとまったというところまでいったわけでございます。そこで今度開始される交渉がどういうふうな方向で運ばれますか、実は私は申しかねるのでございますか、おそらく一応まとまったところが基本として進められるのではないかと考えますので、今後の発展によりまして、どういうふうになるか、ちよっとわからないのでございます。
○菊池委員 それではこれもどなたでもよろしゅうございますが、日本がソ連に対して国連加盟を支持することを要求、要望いたします際に、向うがモンゴールあるいは中共あたりとからんできた場合、これに対してどういう出方に出るかということをわれわれは非常に心配しておるのでありますが、全権が立つ前から、こういうことは外務省では話し合っておられると思いますが、もしお話しできればお聞かせいただきたいと思います。
○高橋説明員 国連加盟に関しましてはロンドン交渉時代からソ連は日本の加入を支持すると、御承知の通りずっと言い続けて参っております。おそらくこのことは今度の交渉でも変らないと思っておりますが、大体そういう状況だと思います。
○菊池委員 終ります。
○前尾委員長 福田昌子君。
○福田(昌)委員 きょうの新聞でしたか見ますと、マレー連邦の総領事や、インドネシヤの倭島公使が帰ってこられたようであります。倭島公使は対インドネシア賠償問題もあろうかと思いますが、マレー連邦の総領事の帰朝というものは、当面の問題としては何か問題が起っておりますか、その点をまずお尋ねしたいと思います。もう一点は、マレー連邦に対する政府御当局の今後の経済外交政策はどういう政策をおとりになるのでしょうか、この点をあわせてお伺いしたいと思います。
○中川説明員 シンガポールにおります総領事の方が帰ってこられたのでありますが、大体その任務は、シンガポール及びマレー半島は近くイギリスからある程度の独立をいたしまして、一つの政治単位になるという予定になっております。マレー連邦につきましては、大体間違いなく明年六、七月ごろにはこれがイギリス本国からある程度の独立をするということになっております。シンガポールにつきましても大体同じような時期に独立するという方針でもってイギリスとの間に交渉か行われておるのでありますが、そのような現地でのいろいろな政治状況、イギリスとの交渉状況というものを的確に聴取いたしまして、今後日本がそれではシンガポール及びマレーがある程度の独立をいたしました際に、これに対してどのような外交機関を設置するかというふうな問題につきまして、日本政府の方針を今から固めておきたいと思いまして、二宮シンガポール総領事に帰朝していただいたわけでございます。なお、それと付随いたしましてシンガポール及びマレーから約四十五人の訪日通商使節団が三十日に来ることになっております。この人たちは有力なビジネス・マンでありまして、日本との貿易を促進したいということで日本に半月間滞在いたしまして、さらにそれから中共に行くことになっておりますが、この人たちにこの日本の状況をもっと詳細に見てもらうという意味合いから、二宮総領事の意見を聞くということで特に帰っていただいたわけであります。なお、外交通商関係につきましては、通商につきましては、御承知のようにシンガポールは日本にとって非常に有利なマーケットでありまして、日本からシンガポールへ売り込む額が年に数千万ドルに達しておるのでありまして、非常に有望なマーケットでありますので、今後なお発展させていきたいと思っております。なお外交につきましては現地の事情をよく総領事から聞きまして、他の国に負けることなく、むしろ他の国よりも進んでそれらのアジアの新興国に対しては友好関係を樹立していきたい、かように考えます。
○福田(昌)委員 マレー連邦の将来につきましてもそれは非常な朗報でございまして、それはけっこうなことであります。このことは日本にとりましても今後の対マレー連邦政策を考えなければならない時期にきておると思います。今まではいろいろと英国の排撃を受けまして、マレー連邦との経済的な交流というものがなかなかできなかった政治情勢にあったのですが、来年を期してマレー連邦自体が英国の自治領になるなり、あるいはまた何らかの独立国の形をとって参るということになりますと、この際マレー連邦との日本の友好関係というものはこれはいい機会でございますから、政府としてはアジアに対する一つの試金石としても十分に御配慮をいただきたい。外相代理にお尋ねしたいのでありますが、来年のことでございますから、今から約束ということはむずかしいと思いますが、マレー連邦が独立いたしましたらこれに対して大使を交換なさる御意思があるかどうか。それくらいの外交使節をもってこの地の経済政策、友好政策に対処する御意思があるかどうか、この点を伺わせていただきたいと思います。
○高碕国務大臣 マレー連邦との経済及び政治的の関係は非常に密接だと思いまして、ただいま福田委員のおっしゃったごとく、日本とすれば非常に重要な地点と存じまして、国交回復と同時にわれわれはあちらに大使館を置きたい。こういうことで予算措置をも講じておるわけなのであります。大使の交換をいたしたいと思います。
○福田(昌)委員 そのマレー連邦から最近四十五人の訪日通商使節団が来られるということでありますが、これは非常に将来の国交調整さらにまた友好関係また経済交流において重要なことでありますから、この人たちに対する応待も政府として可能な限りの方法をしていただきたいと思います。
 それから重ねてお尋ねさせていただきたいのであります。先ほど菊池委員の御質問で聞かしていただいたのでありますが、インドネシアの独立なんかも日本がしてやったんだというような御意見もございましたが、私どもは日本のかつての軍部がほんとうに人道的な民主的な民族解放の立場からインドネシアの独立に必ずしも援助したとは端的には考えられないのであります。賠償問題の交渉に当って日本があまり思い上った態度をとるということは考えなければならぬことだと思います。この点につきまして先ほど高碕長官は、日本人はアジア人に対して非常に蔑視感が強かった、白人崇拝の気持にまっしぐらであって、同じアジアの同胞に対してはむしろ差別待遇をとっておったことを改めなければならぬというお話がございましたが、 この点はことに私たち反省しなければならない点だと思います。そういう点につきまして私どもの立場から見ますと、必ずしも今日の外務省の首脳部の方々の態度というものか、アジア人に対して白人と同等に人権を尊重しておるとは考えられない点があります。こういう点に対しまして高碕外相代理の発言を非常にありがたく私ども拝聴したのでありますが、そのお気持をぜひ外務御当局の、ことに有数な地位にある局長さん方々に特に吹き込んでいただきたいと思うのであります。
 そこでお尋ねいたしたいのでありますが、インドネシアの賠償は当面起って参る情勢にありますが、その前に高碕長官はフィリピンとの賠償使節の団長とされましてお出かけいただきまして、非常な御功績をおあげいただいたことは私ども多といたしておりますが、フィリピンの連中は日本の政府のあり方、ことにまた親米一辺倒の日本政府のあり方に対して、多少の御批判があった思いますが、その点について高碕長官の忌憚ない御意見を聞かしていただきたいと思います。これは委員会にそういうことをお伺いしていいかどうかわかりませんから、ごく座談的なお気持ででも御答弁願いたいと思います。
○高碕国務大臣 私はフィリピンに参りましたときに、本国会において御報告いたしましたごとく、私ども最初の観察は誤まっておった点があるのであります。これは露骨に申しますとフィリピンは非常な親米の国だ、こういうふうに感じておったのであります。これは私どもの予想を裏切っておった、こういう事実もあります。これは一に民族的な意識に燃えておったということであります。また従前われわれといたしましても東南アジアだけでなく、アジア・アフリカの会議に出席する人たちに対しては顔の色も同じ色でもあるしするから、つい近親感の結果でしょうが、どうもあまり近しい結果それとなしに白人に対するよりも考え方が違ってくるわけです。これをうまくやれば私は非常にいい点だと思いますが、自分の兄弟と話をするときは、どうもそれは非常に楽になると同時に幾らか軽蔑しやすいというような点も起るわけでありますが、これが今までは非常に高じてしまって、そして一方白人に対する待遇よりもアジア・アフリカの民族に対する態度が、どうも日本人の考え方がときどき聞違ってくる。この事実はあるわけでありますから、それはできるだけ是正していって、どこまでもよく交わって相敬し合って参りたい。尊敬して交わっていく、この精神は捨てない方針で進みたい、こう存じております。
○福田(昌)委員 ただいまの高碕長官の御答弁を伺いまして、私も非常に賛意を表するのでございますが、フィリピンが日本の内地において考えますときには非常に親米的であろうと考えておりました。そのことが実はフィリピンに参ってみると案に相違して、アメリカに対する経済的なきずなを非常に警戒しておるという点は、私ども非常に味わうべき言葉であり態度だと思います。こういう点は日本の政府の対米政策におきましてもぜひ他山の石として、参考として今後の政策において御配慮いただきたいと思います。
 同じような意味におきましてインドネシアの賠償におきましても、私はインドネシアの独立は日本がしてやったというような思い上った気持ではいけないと思うのであります。結局白人のアジア支配に対する反感からインドネシア人の日本人に対する親密感というものがああいう機会を与え、独立への方向をたどらせたのでありまして、そのことを日本人はよく反省しておかなければならないと思います。そういうヨーロッパの支配に対してアジア民族か民族意識を持って立ち上ろうとして、ずっと前からもがいておりました。そういった国々が戦後新しく独立した今日において、むしろ日本がアメリカ一辺倒の外交政策を取っている、経済的な深いアメリカの支配下に置かれつつあるということは、今までアジアの指導的立場にあった日本としては特に考え直してもらいたい点だと思います。賠償問題に対するいろいろな交渉もさることでありますが、日本人自体といたしまして、日本政府としてもこの際非常な御反省を願いたい点だと思うのであります。賠償問題につきましてはまたの機会にお尋ねさせていただくといたしまして、当面の問題といたしまして、やはりことに南方の問題として沖繩八十万同胞の今日の人権じゅうりんの問題が起っておりますが、これに対しまして沖繩の代表団の方々が日本本国に来られていろいろ御陳情がございました。その後も政府御当局の善処をしていただくという抽象的な言葉のみでこれが立ち消えになっておりますが、これに対しまして外相代理は積極的にどういう御処置をおとり下さるのでございましょうか。この点を重ねてお伺いさせていただきます。
○高碕国務大臣 アジア民族に対する今後の日本人の態度としましては、福田委員の御質問またお考えとは全く同感でございまして、その方針は曲げないつもりで進みたいと思っております。沖繩の問題につきましては、私詳しいことはただいまよく検討いたしておりませんですが、大体といたしまして、条約において日本は沖繩に対しては権利をもって発言するということはでき得ない、こういうふうに存じております。ただし沖繩人は日本人であるし、また潜在主権があるというふうな点から考えまして、沖繩の人たちの希望、考えていることを、アメリカに対して十分取り次いでいくということは努力いたす、こういう方針で進みたいと存じておりますが、なお詳細のことにつきましては政府委員からお答えいたします。
○福田(昌)委員 そういう現行の平和条約の点から制約されております日本政府の沖繩に対する立場につきましては、前にも十分お聞かせいただいたのでありますが、それだからといって、沖繩八十万の日本国民を見殺しにするということはできないことだと思います。条約上は日本の政府はそういう発言権のない立場に置かれておるが、この八十万の沖繩島民の人権を擁護するために、その困難な中からどういう措置をとられるかということが、私が今お伺い申し上げました御質問の趣旨であったのであります。この行き詰まっている問題にどういう措置をおとりになる御意思であるか、この点をお伺いしたいと思います。
○中川説明員 現在どのようなことをやっておるかということにつきまして、簡単に御説明いたしたいと思います。
 御承知のように、沖繩住民の方々の代表が約一カ月近く東京に滞在されまして、その方々から現地の状況、要望等を詳細にお聞きしたのでありますが、その詳細にお聞きいたしました現地の方々の強い要望を、またこれを日本政府の要望といたしましてアメリカ側に提示して、アメリカ側の善処を求めておるのが現状でございます。これに対しまして、アメリカ当月といたしましても十分これらの要望というものは考慮したい、従ってその趣旨で目下具体的な案を研究中である、こういうのがまた現状であります。なお今後とも日本側から何らか具体的な要望なり案なり等の提示があれば、喜んでこれも聞きましょうというのが、今のアメリカ側の態度でございます。この点につきましても、またよく沖繩現地と連絡いたしまして、沖繩からまた何らかの新しい要望等がありますれば、またそれをアメリカに強力に推進したい、かように考えております。
○岡田委員 関連して。沖繩の問題についてちょっと伺っておきたいのですか、どうも沖繩の問題については、冷却期間を置いてたな上げをしていくということが、日本政府の考え方らしい。そういうような形で、話はしているのだ、しているのだと言いながら、時間をかせいでいくということで、来年に延ばしていこうというような底意が見えてしょうがない。こういうようなことでは、沖繩八十万住民の諸君に対しては日本として非常に申しわけないことだと思う。ほんとうにこの問題を解決する熱意があるのかどうか。こういうことで、一つ新大臣としての高碕さんにはっきり伺っておかなければならない点が第一点。
 それから第二の点は、それに関連して参りますが、冷却させようというのは、日本政府とアメリカとがなれ合いでやっているという感じを受ける。それはどうしてかというと、日本の国会から調査団を派遣するということに対しても、何でも聞くところによると、アメリカの軍部当局は今調査団をよこされることは困るといって拒否しているというような話がある。国会ではすでに調査団の派遣という問題については、運営委員会その他において決定をしておる。それがいまだに行かれておられないというのは、何かアメリカ側からそういうような意見があって、日本の政府が黙っているものなのかどうなのか、こういう問題、また旅券の問題についてどういうような経緯になっているのか、たな上げというような考えで、調査団をやることをもう一カ月か二カ月延ばしてしまおうというような考えを持っておるのじゃないかと思うのですが、旅券の発給についての交渉の経過を伺いたいという点が、第二の点であります。
 第三の点は、これはちょっと沖繩とやや違うかもしれませんが、さっきちょっと関連して伺おうと思ったのですが、ついでに伺っておきます。七月十四日に自衛隊の水町という空将が団長になって、七人の軍事使節団という名目で台湾を訪問しております。これは九日間滞在して、いろいろな軍事施設を調査しておるようであります。こういう点を考えてみると、現在の憲法から見ると、日本の自衛隊が外国に対して軍事使節団を派遣し得るというようなことは、これは当然あり得ないことだと思います。ところがこういう点について、実は船田長官に来ていただくように再三要求しておるのですが、いまだに見えておらない。こういう事実がほんとうにあったのかなかったのか。これは外務省の旅券の方あるいは入管の方をお調べになればわかるはずであります。しかももう帰ってきているはずです。大体十日間の予定で出ておるはずですが、こういう事実がほんとうにあったのかどうか、そうして何のために行かれたのか、こういう点について、きょうおわかりにならなければ、この次の委員会にでも御報告を願いたいと思います。この三つの点だけ伺っておきます。
○高碕国務大臣 沖繩の問題は、冷却期間を置いてそれからだらだらやるのだというふうなことは、かりにそういうふうな考えがあったとすれば大間違いであります。そういうことは断じてないように、急速に進めるべきものは進めていかなければならぬというふうに存じております。問題はそんなに大きい、こんがらかる問題ではないだろうと思うのです。その要求等も私は聞いておりますが、三カ条か四カ条あったと思います。こういうことはやはり沖繩民のために日本は十分アメリカに折衝すべきだ。あるいは一時払いがいかぬとか、これを分割払いにするとか、あるいは今後拡張をしないとか、あるいは施設についてこれは賠償してもらうとか、こういうふうな具体的な案になっておりますから、それは何も必ずしも冷却期間を置いて、これがよくなるわけでも何でもありません。こういうものは着々と進んでいくものだと思っておりますから、これは何かの誤解ではなかろうかと存じております。
 なお、台湾問題その他の点につきましては、政府委員からお答えいたします。
○中川説明員 現地調査団を国会から沖繩に出すという問題につきましては、政府の事務当局としては、実はそういう御要望を国会からは受けておりません。しかし私、聞いておるところでは、外務大臣がその問題につきましては、直接アメリカ大使と話されたことがあると聞いております。これに対しましては、アメリカ側からまだはっきりした返事が来ていないというのが現状であるように承知いたしております。なお、政府当局としても沖繩に現地視察団を出したいという希望は、われわれからもアメリカ側に申し出ております。これについても同様まだはっきりした返事を受け取っていないのであります。
 なお、防衛庁の職員が台湾に約十日間行っておったということはわれわれ承知しております。これは友好国である台湾の当局から、日本の防衛庁の当局が招待された、自分のところの施設その他を見てもらいたいということで招待されたから行くということでありましたので、われわれもそれにつきましては別にこれに対して意見は言わなかったのであります。差しつかえないことと考えておったのであります。これはもちろん、アメリカには非常に大ぜいの防衛庁の職員が行って、視察旅行等をいたしております。イギリス等、ヨーロッパにも行ったことがあるので、友好国である以上、台湾に行きましても、特にそれによって憲法違反というような事態にはならないと、かようにわれわれは考えております。
○岡田委員 その場合に台湾での扱いは、軍人としての扱いであったのではありませんか、どうなんですか。
○中川説明員 防衛庁の職員としての扱いであった、かように存じております。
○岡田委員 その防衛庁の職員というのは、軍人という扱いではないのですか。というのは、具体的に言いますと、到着と同時に閲兵が行われて、礼砲が十三発撃たれて、そういう式のものが行われている。これは日本の新聞にない。外国の新聞に詳細に出ている。だから私伺っておるのです。日本の新聞になぜこれを出さなかったかというと、外務省あるいは自衛隊の方で抑えたのじゃないかと思うから私伺っておるのです。軍人としての正式の礼式をもって迎えられておるのじゃないかと思うのですが、いかがでございますか。
○中川説明員 礼砲を撃ったかどうかということは、私報告を受けておりません。従ってその点についての情報を持ち合せませんので、何とも申しかねますが、これはもちろん防衛庁の正式の職員として向うは受けておるわけでございます。
○福田(昌)委員 沖繩問題につきまして、高碕外相代理の御答弁を伺いますと、調査団の沖繩への派遣の問題がいろいろ遷延することは、そういうことはあり得ないし、あったとすれば、これは非常によろしくないことだからそういうことがないように御注意下さるということで、私ども非常に満足をいたすのでございますが、現実の問題を考えますと、その高碕外相がおっしゃられたあり得べからざることが、外務当局の態度としてあっておるのでございます。沖繩問題に対しては、きわめて冷淡であり、アメリカ側も沖繩に日本の国会議員の調査団の行くことを喜ばない、その態度にそのまま押し流されているという状態でございまして、私どもとしてはきわめて遺憾でございます。同胞八十万の日本人が苦しめられておる今日この際、一日も早くこの沖繩の現状、なおまたこの人権じゅうりんの実態というものを調査しなければならない、そして今後の交渉に移さなければならないという一日も急がなければならない事態であるのに、そういう遷延策をとられて、そのまま外務省が引きずられておることは非常に遺憾でありますから、どうか新しい大臣の御感賞をもちまして、そういうことがないように、積極的にアメリカ側との折衝をしていただきたいと思います。
 なお沖繩の問題に対しまして、つくづく私たちが遺憾に思いますのは、日本には南方連絡事務局というものがありながら、沖繩の実態につきましては、つぶさに知られるところが少いということでございます。八十万同胞の塗炭の苦しみを日本の政府が十分に知っていないということは、いかにも残念であります。南方連絡事務局に伺いますと、非常に御努力をなさっておられるのでございますが、何しろ予算の関係とか、人員の関係で十分できていないといううらみも多分にあると思います。私は従いまして南方連絡事務局のその機構を強化して――沖繩の実態を十分知るためには、やはりこの際外務御当局の英断をもってこの部局を強化するということが必要であり、沖繩住民に対する十分な調査と、それによる援護というものを打ち出す前提としてその部局の強化ということが絶対条件として必要と思いますから、これに対しての早急の御措置をお願いしたいと思います。これについての長官の御抱負なり御意見を伺わさしていただきたいと思います。それと当面の問題として調査団の派遣について早急に御配慮願いたいと思いますが、この点についての御答弁を伺いたいと思います。
○高碕国務大臣 調査団派遣につきましては、できるだけ早くこれを実行し得るように努力いたしたいと思います。
 なお南方連絡事務局の問題につきましては、これを強化しろという意見は、各方面から相当強く申し出があるのであります。これは予算措置も伴うことでありますから、その点をよく考慮いたしまして、できるだけこれを早く強化するような方針で進みたいと存じております。
○福田(昌)委員 重ねてお願い申し上げたいことは、アジア局長の御答弁から伺いましても、局長御自身としては非常な御努力をいただいておるわけでありますが、全般の外務御当局の今の形での御運動では、すでに限界がきておると思うのであります。沖繩問題の解決一つにおきましても、すでに限界がきておると思います。従いまして、沖繩の問題を解決するためにも、外務御当局の新しい角度からの積極政策というものがぜひ必要であります。そういう現下の急務にこたえてお留守番でおありになるかもしれませんが、私どもが期待いたしております高碕長官が外相代理の任におつきいただいたということは、私どもとしては、ほんとにありがたいことだと思っております。その高碕外相代理の新しい御感覚で、外務省に一つ活をお入れいただきたいと思うのでございます。
 なお重ねてお願い申し上げたいことは、先ほどの長官の御答弁によりましても、沖繩の問題は、何といっても平和条約にはばまれておって、日本の発言権がきわめて僅少であるという御答弁でございましたが、まことにその通りでございます。従いまして沖繩の問題の完全な解決は、結局はどう考えても平和条約の第三条の改訂以外には根本的な解決はないのであります。従って平和条約の第三条の改訂に対して御努力なさる意思があるかどうか、その点を重ねてお伺いさせていただきたいと思います。
○高碕国務大臣 いろいろお話が、ございましたが、私は駑馬にむちうって十分努力いたしたいと思いますから、十分御支援を願いたいと思います。
 またアメリカに対する平和条約第三条の改訂の問題につきましては、全く御同感でございますが、どうしても交渉するということは、これを仕上げる、でき上げるということが目的でありまして、それにはおのずから時期であるとか、また方法等があるものであります。十分慎重に考慮してこれを完徹するような時期、その方法等につきましてもよく考慮いたしたいと存じております。
○福田(昌)委員 あとの質問の方が待っていらっしゃいますからもうやめます。ただいま高碕長官のその御決意を伺いまして、私ども非常に満足いたしますが、どうかその御決意、その趣旨で今後の条約改訂に御努力をいただきたいと思います。
 なお当面の問題といたしまして、この南方連絡事務局の強化ということを早急に御決定いただけるかどうか、この点重ねてはっきりお伺いいたしたいと思います。
○高碕国務大臣 これは先ほどお答えいたしました通りに、予算が伴うものでありまして、実行し得るのはいつということは予算の関係上言明できませんですが、事務的にどういうふうにやるかということについては十分熱心に研究しております。
○福田(昌)委員 臨時国会もうわさになっておることでありますから、ぜひその機会をのがさずに、その点を御配慮いただきたいと思います。
 もう時間がないので、もう一点だけこの際伺わせていただきたいことは、いよいよ日ソ交渉が始まりますが、結局その交渉の問題点は、領土条項にあるわけでございます。その領土条項につきましていろいろソ連側との折衝の際に、日本側の意見と食い違いが出て、参りました場合に、全権団から日本政府に請訓を仰ぐということがあるだろうと思うのでありますが、そういう場合に対する政府の御態度といたしまして、領土条項は最悪の場合でもどういう形において進めたい、これをのめない場合には決裂もやむを得ないというお考えであるのかどうか、あるいはまたともかく条約だけ、国交調整だけは成立させたいというお考えであるかどうか、政府当局の御態度をこの際伺っておきたいと思います。
○高碕国務大臣 日ソ交渉問題は国としても非常に重要な問題であります。ただいまようやく重光外務大臣が、自分が身を挺してその衝に当る、こういう状態でありまして、その結果においてどういうふうな請訓が来るかということはただいまから予測できないのでありまして、そのときに初めて私どもは考慮いたしたいと思います。その交渉の最中にこういう工合にこうくればこうと返事するというようなことを申し上げるということは、現在の段階におきましてはなはだよろしくないと思いますから、その点はごかんべん願いたいと思います。
○福田(昌)委員 それは外交問題でありますから、つまびらかな御答弁をいただく方が無理であるかと思います。
 そこで重ねてお願い申し上げたいのは、今日の日ソ交渉におきまして最も大きなガンは、よく自民党の方は国論の統一ということをおっしゃいますが、私は国論の統一よりも何よりも前に、自民党内にその党の一致した御意見がない点が一番のガンだと思います。従いまして自民党内の日ソ交渉に対する一致した御意見こそ御決定いただく先決の問題であると思うのでありますが、これに対して外相代理はどういう御努力をお払いになっておるか、伺いたいと思います。
○高碕国務大臣 この問題は単に自民党だけでなく、国民全体の支持を得なければならぬ点だと存じております。まただれでも各自がやはり各自の意見があることは事実でありまして、これを今まとめるということは、やはり多数によってまとめなければならぬと存じておるわけでありまして、結局先ほどお答えいたしました通りに、交渉の経過によりまして、これはひとり自民党だけでなくて、国会等にもお諮りいたしまして考慮いたしたい、こう存じておるわけであります。
○前尾委員長 田中織之進君。
○田中(織)委員 電光さんがソ連へ日ソ交渉で行かれ、外相代理として高碕さんが就任せられたことを、われわれは非常に歓迎するものであります。実は私、一昨晩党の松本治一郎顧問と京都まで参ったのでありますが、たまたま本日外務委員会が開かれて、高碕外相代理が初めて本委員会に出席される予定がわかりましたので、昨夜夜行で帰って参ったわけであります。
 実はほかでもございませんが、ことしの四月にわが党の松本顧問がアフリカのモロッコ、チュニジア、アルジェリア三国を訪問いたしまして、帰って参りましてから、高碕国務大臣また重光外務大臣と松本顧問がお会いになりましてこれら三国との国交の開始並びに特に本年の十月にチュニジアの首都チュニスで国際見本市が開催されます機会に、これら北アフリカの三国と日本との今後の経済提携の関係から、できるならばこの見本市への参加、もしできないといたしましても、できるだけこの地域への経済調査団の派遣等について御考慮を願いたいということをそれぞれお話申し上げておいたのであります。ちょうど時期的に、見本市の十月には、ただいま御決定になっても困難な情勢になったわけでありますが、見本市等の問題の機会に調査団派遣等も、これを具体的な日程に私はしていただきたいと思いまして、実は京都から帰って参ったわけであります。
 そこで私そのことについて外相代理から正式に一つ御回答をいただきたいと思うのでありますが、その前段といたしまして、先ほどわが党の森島委員からも申しましたように、国際情勢はいわゆる力の外交から平和外交、話し合い外交へ大きく転換して参ったということは、これは何人も否定することのできない事実だと思うのであります。そこで日本の外交政策においても、大きな一つの転換が求められておることは、政府当局も認められる通りだと思うのであります。その転換の方向といたしましては、在来のアメリカその他の自由主義国家と日本の提携の問題は、これは既定の事実として進めていくことに、わが社会党といたしましてもあえて異論を唱えるものではないのであります。従いまして今後の日本の外交政策の転換で期待される面は、今度幸い一両日中に再開せられます日ソ交渉のいわゆる早期妥結による国交の回復を契機といたしまする共産圏の請国、特にバルカンあるいは東欧のソ連の衛星国との間の国交回復の問題が一つの大きな目標であり、もう一つの問題はやはりアジア・アフリカのいわゆるバンドン諸国との一そう緊密な提携の問題だ、こういうふうに私は考えるのであります。その意味で、前段にまず共産圏との外交の問題については、日ソ交渉がぜひまとまることを希望いたしますとともに、先ほど田中稔男君あるいは松本七郎君等からお話がございました日中の国交回復の問題が、当然次の課題として政府は何としても踏み切らなければならぬ時期に来ておると思うのでありますが、当面私は、日ソ交渉に引き続いて起ります問題は、ルーマニア ポーランド、チェコスロバキア、ハンガリア、ブルガリア、これらのいわゆるソ連の衛星国との国交回復の問題であろうと思うのであります。この点について、特にルーマニアの関係につきましては、昨年国会から訪ソ議員団が出まして、そのうちわが党の田原春次君あるいは帆足計君が別個に東欧諸国を回りまして、ルーマニアとの間には、ルーマニアの石油二万トンを日本へ輸入する、それのバーターとして日本の機械類あるいは繊維品等のバーター貿易について、ルーマニア政府との間に一種の協定ができて参っておりまして、この点について石橋通産大臣あるいは外務省の経済局長の方にもすでに田原君等から連絡をいたしておることと思うのでありますが、これもまだ実は未決定になっておるわけであります。これはブルガリアその他についても同じようなことが言えるわけでありますが、さらに最近、本日はこの委員会に傍聴に参っておりますが、私ら社会党で漁民関係の仕事をしておる元本院の議員でありました渋谷昇次君がカナダにおける北太平洋の漁民会議に出席をいたしました機会に、ソ連、中国等を歴訪いたしまして、たまたま北京でハンガリアの大使及び大使館員と会談をいたした際に、ハンガリアの国の方針といたしまして、日本との国交の回復並びに経済的な交流の点について、北京大使はぜひとも日本との接触を打つように指示を受けてきておるということが、北京におけるハンガリア大使との関係で明確になってきておるわけであります。歴史的な関係から申しまして、ハンガリアは第二次大戦のときには日本と枢軸関係にあったことも御承知の通りであります。そういう点では、衛星国のうちでも特に深い関係を持ち得るものだと私は考えるのであります。そういう意味でこれらの国との国交回復の問題、及びそれに付随した経済外交を進めるという点について、外務省としてこの際新しく踏み切っていただかなければならぬ段階に来ておるのではないかと思うのであります。その点については外相代理に就任早々ではございますが、この点について積極的に御心配をいただきたいと思うのでありますが、その点の御意向をまず伺いたいと思います。なおこの点については、本月十九日の読売新聞紙によりますると、重光外相の談話といたしまして、明年度において、先ほど福田委員、からお話のありましたマレーの大使館を初めといたしまして、二十一の在外公館を新設する、その計画の中にポーランド、チェコスロバキア、ルーマニア、ハンガリア、ブルガリアの諸国には公使館を設置するという計画を立てたが、たまたま日ソ交渉が再開せられるというような関係で、もし日ソ交渉が再開されれば、明年度を待たずして、本年度の予備費等の関係ででも交換設置にまで進めたいということで、これは一応明年度の計画からはずしたということが、読売新聞の報道にも出ておるのであります。外務省としてもすでに事務的にはそういう面の準備も整えられておろうかと私は思うのでありますが、日ソ交渉もぜひ妥結しなければならぬという情勢にあることは御承知の通りで、急速に進めていただきたいのでありますが、この点について高碕大臣の御構想を伺っておきたいと思います。
○高碕国務大臣 第一の御質問の、先般松本治一郎さんからお話がありました北アフリカの、チュニジア、モロッコ、アルジェリアの問題でありますが、これは、私は非常に賛成したのです。そうしてできるだけこの経済関係を密接にしたい、この十月の見本市にはできるだけ参加するようにしたいと思って、事務当局とも打ち合せをいたしたのであります。現状においては御承知のごとくモロッコとチュニジアは独立をいたしまして、日本は率先して独立を承認したわけであります。アルジェリアはまだ懸案中でございますが、少くともチュニスにおける見本市にはそういう意味からいっても参加したいと思いまして、カイロにあります日本見本市の方から調査に参りまして、できるだけやろうじゃないかということになったのであります。しかし御承知のように時期も十月に切迫いたしておりますことと、第一に、参加する場合にはあまりちゃちなことをやると、かえってマイナスになるわけでありまして、いつか私はコロンボにおける日本の見本市を現地において見たのでありますが、これはほんとうの当業者だけがきわめてちゃちな見本市に参加した結果、かえって日本の工業力を疑わしめることになったのです。行く以上は、政府は十分力を注いで、そうして一番いいものを持っていって陳列しようと思っておりましたが、今回は予算の関係だとかそういうようなことから、この十月には間に合わぬということになったのであります。これは松本さんに御報告しようと思っておりましたが、まだそのチャンスがなかったので、よろしくお取次願いたいと思っておるわけであります。
 それから共産圏に対する国交の回復ということは、私も全く同感でございまして、中共との国交回復よりも非常に楽で台湾のような問題がありませんから、日ソ交渉の発展によりまして急速に、来年度を待たず国交回復をしていきたい、こういう考えで進んでおるわけであります。
○田中(織)委員 共産圏の関係につきましては、日ソ交渉も先が見えたようなものでありますから、私は強力に進めていただきたいと思うのです。これはただ単に国交回復だけの問題ではなくて、経済外交の面からも、私はやはりそれらの国々を除外するわけにはいかないと思うのです。私も、ルーマニアと日本との友好協会の関係の役員をいたしておりますが、田原君たちが向うとの間で提携して参りました油につきましては相当の問題がありますけれども、しかしバーターで参りまするものは日本として、ぜひ海外へ出したい。繊維品を主といたしまして、当然日本が輸出品として出し得るものなのであります。そういうような関係が、すでにルーマニアとの間では油が二万トン、金額にいたしますと大体二億程度のバーター貿易だと思いますが、すでに民間の関係においてそういうようなものが出ておりますれば、問題はやはり外務省の経済外交という面からも、こういうようなものを具体化させるように、ルーマニア側からは日本側が十分な受入れ態勢ができないものでありますから、実は矢のような催促を受けておりますような関係がございますので、これは外務省だけでいかない問題ではあろうと思いますが通産省とも御相談になって考えていただきたい。なおハンガリーの関係についても、もしそういう御意向であればわれわれの方といたしましては、北京の大使館との民間における連絡を通じて、まず国交回復に引続いて行われる経済的な関係については、貿易の品目等についてもある程度の打合せ等の仕事がわれわれの方でやれる手がかりもございますので、いろいろまた外務省にも御連絡を申し上げるというようにいたしたいと思うのでありますが、この点一つ積極的なお力添えを願いたいと思っております。
 それから北アフリカ三国の関係は、ただいま高碕大臣のお述べになりましたようにアルジェリアは独立問題がペンディングになっておりますけれども、すでにモロッコ、チュニジアについては日本政府も承認したというただいまの御答弁でございますが、昨日の夕刊によりますと、一昨日の安保理事会ではチュニジアの国連加盟も安保理事会で承認をされて、ことしの十一月の国連総会には提案をされるというような段階にまできているのであります。後ほど大臣にも、松本さんがこの三国へ行って参りました簡単な旅行記を差し上げたいと思いますけれども、それによりますると、すでにアメリカももちろん承認をいたしました。アメリカ及びソ連がこれらの三国に対しましてそれぞれ経済的な手を伸ばしております。ところがアメリカ並びにソ連はそれぞれやはり政治的な意味を持っておるのに対して、日本が少くともアメリカやソ連とは違った立場において何ら政治的な野心というか、そういうものをこれらの三国に持たない関係から、特にモロッコにいたしましても、チュニジアにいたしましても、日本との経済的な資本と技術、それと日本製品というものを受け入れたいということについて非常な念願を持っておるのであります。見本市はいろいろ時期的な関係から考えまして、本年は間に合わないという点は私も非常に遺憾でありますけれども、やむを得ないことだと思うのでありますが、私数日前に通産省の石原事務次官に対して実はこのお話も申し上げたのであります。見本市には間に合わないといたしましても、この機会にやはりこれらの方面への経済調査団、そういうようなものの派遣を考えなければならぬというようなことを実は石原通産事務次官との間でも話が出て参ったのであります。それで高碕さんが松本さんとお会いになったときに、私も一緒におりました関係から、また今後の大臣の御意向を伺ったら、見本市の予算はないといたしましても、調査団を派遣するというようなことについては、予算のやりくりはできないでもないというような大臣の御意向も廊下でございましたが伺ったのでございますので、この点は一つ積極的に進めていただきたいと思うのでありますが、いかがなものでしょうか。なお最近に長沼さんがヨーロッパを回られるのでありますが、いわゆる通商査察使というか、民間の藤山さんなどそういうような方々を、外務省としていわゆる経済外交の点から査察使としてヨーロッパ等の各地に派遣するという計画が発表になっておるのであります。できればやはり長沼さんのような人とか、東南アジアに行かれる藤山さんにでも足を伸ばしていただいてもけっこうであります。そういう形でもよいのでありますが、これは松本さんが現地でもチュニジアの政府との約束もありますので、何らかの形で日本政府が派遣するということは、松本さんとしても連絡しなければならぬ義務が実はあるわけなのです。同時にこの点については松木さんが帰りに一たんパリへ引き揚げたときに、西村大使との間でのお話合いができておるわけであります。チュニジア及びモロッコについてはパリにそれぞれ高等弁務官がおるわけでありますから、パリの大使館としてもそれら両国の弁務官事務所と連絡をとって、本省の方へ連絡するというようなことにもなっておったように私は松本君から伺っておるのです。そういう点から特にチュニジア、モロッコ、アルジェリア等への経済調査団の派遣について、年内にも何らか適当な機会があれば私は派遣していただきたいと考えます。それが進めていただけるかどうか。
 それからもう一つは、これはあるいは事務当局の方にお考え願わなければならぬかと思うのでありますが、明年度の二十一在外公館の新設が計画されておりますが、マレーなどは、先ほどのアジア局長の答弁では、明年には新しい政治形態をとり、何らかの形で独立するだろう、そういうことになれば大使館を新設するという計画があるようでありますが、すでにモロッコ、チュニジアはそれぞれ独立して、日本も承認しておるということになれば、私は当然これらの国に公館を持たなければならぬ、かように考えるのでありますが、外務省として、これらの独立したチュニジア、モロッコについては、明年度において公館を開設せられる御意思があるかどうか、この二点を伺いたいと思います。
○高碕国務大臣 お説のごとく中近東及びアフリカの各国は、日本との経済的な提携については東南アジアのような工合に誤解をしていないのです。東南アジアに対しては誤解されても仕方がない歴史があったけれども、そういうものがないだけ非常に気持が違うのでございまして、ただ一つ問題といたしますことは、日本の工業力がこんなに発達しておるということを、中近東及びアフリカの人たちは知らないわけであります。バンドン会議に日本できの時計を持っていくと、こんな時計が日本にできるのか、こんなカメラが日本にできるのかと疑問を抱いて、先方の人たちが日本にわざわざ視察にきた実情もあるようなわけでありますから、今後はできるだけ日本の国情を知らしめるということが必要であると同時に、日本の視察団を送る。また先方からもできるだけ来てもらうということが経済外交上最も必要だと思うのであります。幸いにいたしまして短期間といえども私外務大臣を兼任いたします以上は、経済企画庁、通産省、大蔵省と従前よりも連絡をよくとりたいと思いますから、この機会に中近東及びアフリカに対するこの経済外交の推進につきましては、できるだけ努力いたしたいと思います。
 またチュニジア、モロッコに対する在外公館の設置につきましては、事務当局も今検討いたしておりますから、できるだけこれを実現いたしたいと思います。
○田中(織)委員 いつまで外相代理におなりになるかわからないと、先ほどから大臣もおっしゃっておられますが、短かい期間であろうとも、これは重光外務大臣も賛成をせられておる点でございますので、特に積極的に――たとえば留守居番でありましても、一つ進めていただきたい。幸い経済企画庁の長官を兼ねておられますし、通産省の方には私らの方からもお話を申し上げて賛成をいただいておりますので、どうか一つこの点を積極的にお進め願うことを希望いたしておきます。
 それから最後にこれはその問題とは直接関連のない問題でありますが、ただいま福田委員から最後に特にお話しになりました沖繩の問題についてであります。外相代理に就任されて間もないことでありますし、沖繩問題の今当面の具体的なことについては、あるいは十分お引き継ぎを受けられておらないかもしれませんが、問題は先ほどの高碕大臣の御答弁のように、あるいはいわゆる四原則の中にある賃料の一括払い反対の問題を、分割払いにすればよいのだ、そういうような割り切った問題では必ずしも解決できない問題だと思う。補償の問題にいたしましても、あるいは一方二千エーカーの新規接収等のプライス勧告の問題にいたしましても、われわれが今まで知り得たところによると、アメリカ側がプライス勧告を撤回するというようなことはそう考えられない。その意味から見て沖繩問題は、先ほど福田委員の質問に高碕大臣がお答えになったような具体的な問題に発展しておりますけれども、その具体的な問題はやはりアメリカが沖繩の軍事基地をいつまで持っていく、軍事基地として領有していく方針であるかという根本的な問題に触れた問題で、私は非常に大きな問題だと思う。しかも問題は四原則に現われている問題を、経済的に幾らかでも緩和されればいいというようなことでは、現地の八十万の人たちは納得しないということも、これははっきりいたしておるのであります。問題は経済的な問題ではないのであります。その意味から高碕大臣も御承知のように、国会はあなたも参加いたしまして沖繩の施政権を日本に返還させる、こういうところに国会の意思決定もしておるのであります。従って施政権の返還という基本的な問題に触れて、アメリカとの間に非常に執拗な、また熱意を持った折衝、交渉を続けていただかないことには、沖繩問題は解決しない問題だというふうに理解されるのであります。その意味で私は重光さんには特にソ同盟に出かける前に、現地の人たちに何らか明るい希望が持てるように積極的な解決の、少くともめどでもつけておいてくれということを二十三日にはお願いをしたわけです。するとあした一日ある、二十四日にも自分がアメリカ大使にも会うてやるとここで約束されました。新聞紙によりますと、二十四日には約一時間にわたってアリソン大使と会見したということを見ました。特に沖繩問題に触れられたことと思って、やはり重光さんが国会で言明された通り、出発直前まで努力された点を、私は認めるにやぶさかではないのであります。どうか一つ大臣におかれましても、この問題は急を要するが、しかし沖繩の軍事占領という根幹に触れた問題になってきておりますから、よく問題の実相をおつかみになって、積極的に――これは重光大臣から特に引き継ぎを受けておられる問題だと思いますから、アメリカとの間の折衝を活発に一つやっていただきたいと希望するものであります。
 そこで最後に、これは外務当局にむしろお願いしたい問題であります。それは国会からの調査団の派遣の問題でありますが、国会議員団は衆議院の方は社会党二名、自民党五名、それに国会の事務局から一名の六名を派遣するということに自民党と社会党との国会対策委員長会議及び国会で正式に決定をいたしております。ところが事務当局にはまだその旅券等について手続をしておらないという先ほどの中川アジア局長の答弁を聞いて、これは国会側としても怠慢だと思います。私はそういうことではならないと思うのでありますが、新聞紙の伝えるところによると、このことについて自民党の方からアメリカ大使館の方の意向を聞いたところが、現地の情勢もあるので時期はすぐ行くということは適当でないという意向が、アメリカ大使館側から自民党の方でキャッチをしたので実は手続をおくらしておるのだ、こういうような新聞の報道もあるのでありますが、私は自民党がかりに正式な手続をして、あるいは外務省を通じて、軍政下に置かれているのでありますから、アメリカの承認がなければ旅券というか、向うのいう沖繩へは入れない、こういう関係にあることは了解できるのでありますけれども、事前にそういうことの意向が、向うの希望意見が述べられたからというような形でこれは私は引っ込むわけにはいかない。国会として正式に調査団を派遣するという決定をしたものを、アメリカ側の都合だけでこれを入れない、ものそういうことをアメリカがやるとすれば、これだけ沖繩問題が国際的な問題になっているときに、日本の本国から――日本の領土の一部なのですから、日本の本国から調査団が行くことについてアメリカが拒否しているというような態度が世界に明らかになった場合には、アメリカの立場こそ不利になれ、決してアメリカにとってプラスにはならないと思う。私は決してアメリカはそういうけちな態度をとらないと思う。もしアメリカがそういうけちな態度をとっているとすれば、先ほど岡田委員からも質問がありましたように、私は冷却期間だとか時期をずらす形において現地の反対が、気勢が弱まるのをとにかく待つために――今弱まりかけている、あるいはものすごい切りくずしをやっているという情報もあります。そこで日本の国会から、いわば本国とでも申しますか、国会の国民代表が参るということは、確かに現地の人たちを元気づける、そういうようなことをされては困るというような考え方でおるなら、アメリカはどうしても日本の国会の調査団を受け入れないというなら、受け入れないということを世界に明らかにすることが、沖繩問題に対する世界の世論というものを日本が受けることになる。そういう意味でこういう問題は向うの意向を憶測するというようなことではなくて、端的に私は向うへぶつけてもらいたい。その意味で重ねてこれはアジア局長から伺いたいと思いますけれども、国会から自民党三名、社会党二名の人選もきまっておるのでありますが、調査団派遣についての向うへ渡る旅券について、外務当局に国会側から正式にまだ手続をとっていないのか。もし手続をとっていて、それが何らかアメリカ側の意向で旅券が下付されないという事情にあるならあるということをはっきり言って下さい。私はもしアメリカがそういうけちな態度をとっているなら、そういうことを明らかにすることによって世界の批判を受けるべき筋合いの問題だと思う。いかがですか。
○中川説明員 先ほどもちょっと申し上げましたが、国会から沖繩視察団を派遣されるということについて、事務当局には何ら今のところ御連絡がございません。しかし別途大臣がアメリカ大使にそのことについて話されておるということも私も聞いておりますので、あるいはそういう方法をとられたのかと思いますが、私どもの方には直接には国会側からそういう御要請を受けてはおりません。
○田中(織)委員 それではこれは私の方の党も国会の構成員として参加するのでありますから、国会側から私は正式に手続をとらせるようにいたします。
 そこで特に外務大臣代理にお願いをしたいのは、そういう手続が正式にとられました場合に、私はこういう問題を向うの意向がどうだというようなことでおくらしていくことは、やはり冷却期間に政府が加担しているのじゃないか、そういうようないわば痛くない腹を探られることになると思う。これは国際自由労連でも調査に行って、大きな沖繩における現地の島民あげての反対運動というものは、これは刻々世界に報道されている問題なのです。そういう意味からアメリカとして日本の国会の権威を無視してまで、国会議員団が向うへ入ることを私は拒否するはずがないと思う。その意味で国会から正式に手続をとらせるように、私の方の党も加わるのでありますからいたしたいと思いますが、そういうときには一つ政府として、特に外務省として、外務大臣の方で国会の調査団が現地へ参れますように、特別にあっせんの労をとっていただきたいと思うのでありますが、その点についての高碕大臣の御所信を伺って私の質問を終ります。
○高碕国務大臣 沖繩問題は単純なる経済問題でなくて、今のお話のごとく非常に根深く、やはり政治問題にからんでくるわけでありまして、これは私ははなはだ遺憾ながら、よくまだ研究いたしておりませんからどうこうということは申し上げかねますが、御趣旨は私は賛成でございます。努力したいと思います。
 国会の議員の派遣の問題につきましては、そういうものをだらだらとしておくことはいかぬと思います。どういうわけでこれはできないのかということを、できるだけはっきりするということは、これは事態を解決するゆえんだ、こう存じておりますから、そういう場合には、できるかできないかわかりませんが、どういうわけでできないだろうか、どういうこれは理由だというようなこともはっきりいたしたいと存じております。これはできるだけ早く実行いたしたいと存じております。
○前尾委員長 松本七郎君。
○松本(七)委員 時間が大へんおそくなりましたので、ごく簡単に、しかもかけ足で二、三点お伺いしておきたいと思います。
 先ほど申し忘れましたが、旅券制限問題について、だいぶ前の委員会で、重光外務大臣とそれから総理大臣が出席されたことがあるのです。そのときにこの旅券制限の問題を出しましたところが、総理大臣は全然御存じなかったのです。新たにそういう内規みたいなものを作って、そうして大幅に今中国あるいはソ連への渡航を制限しておるという事実を全然知らないと言明された。これは非常に重要な問題であって、先ほどから政府当局は、矢口さんが大臣の答弁そのままをまたここで繰り返されたのですが、事務を処理する上の参考にすぎないのだと言われるけれども、実際には大量なものが、県会あるいは市会あるいは役人特に公務員については、ほとんど原則上これを許さないという立場で制限されておるのです。そういう事実を総理大臣が知らないということは、これは大へんなことですから、私はそのあとの委員会だったと思いますが、外務大臣に、それならばすみやかに総理大臣に十分この実情を知らせるべきだ、御承知のようにこれは吉田内閣当時は全然そっぽを向いて、中国、ソ連には全くやらないというかたい方針だったんですね。鳩山内閣でこれを大幅にゆるめたわけです。それは公約もされたのです。一たんゆるめて、今度は鳩山総理大臣の知らないうちに大幅の制限をしてきているというのが今日の実情なのです。ですから私は高碕国務大臣にお願いしたいのは、こういう重要な問題が起っているのです。出国の制限の問題、それからこの八月九日からの長崎大会における外国代表の入国の問題等については、つぶさにこの実情を高碕大臣から総理大臣にお話を願って、そうして一たんあのようにゆるめたものをこのように締めておることの不当である点、また裁判事件もああいう結末になったことを詳しく御報告願って、すみやかに善処されるようにお願いしたいのですが、その御決意を承わっておきたい。
○高碕国務大臣 ことしの四月に中共に入る人たちの中で日本人の数が非常に多い、こういうふうなことの話を聞いたことがあります。その当時、つまりそういうふうにある一つの申し合せ、心がまえの事項につきまして話し合いがあったということも承わっておりますが、これを総理は全然知らなかったということは、私、今初めて承わるわけなのであります。あるいは総理は非常にほかの仕事が忙しい結果お聞き取りを願わなかったかと存じますが、そういう場合ははなはだ遺憾だと存じますから、今日の情勢等は私は総理ともよくお話しいたしまして、まず最初事務当局から全体の報告を聞きました上において善処いたしたいと存じております。
○松本(七)委員 それからこの沖繩問題は、さっき福田委員から南方連絡事務局をもっと充実したらどうだというようなお話があったが、これは予算の関係で急にはできないという御答弁だったのですが、各省がもっと協力すればもっと事務ははかどると思います。たとえば厚生省などはもっと現地に出かけて、そうして南方連絡事務局と協力して事務をどんどんはかどらしたいという希望は持っているようですから、問題はやはり渡航なのです。渡航が自由にできないところに隘路があるのです。ですから、こういう点をもっと具体的に大臣のお力によって今後打開していただきたいと思いますが、どうですか。
○高碕国務大臣 御指摘のごとく各省の連絡が欠けておるということは私は認めます。これはできるだけ各省の連絡をとっていけば、あるいは実行し得るのだろうと思いますが、それにつきましては、どこに隘路があるかということをできるだけ早く見つけて、その隘路の打開に努力したいと存じております。
○松本(七)委員 それから沖繩の現地では、現地のいわゆる四団体協議会が、日本政府を含めてアメリカ軍司令部と会談したいという希望を持っているようですが、これはまことに当然の要望だろうと思いますが、日本政府としてはそれに進んで参加して、この打開に努力されるお考えはございましょうか。
○高碕国務大臣 今の御説は、そういう申し出があれば当然われわれはやはり一緒になって打開に努力すべきものだと存じておりますが、実際上の問題につきましてはアジア局長から御答弁いたします。
○中川説明員 ただいま御指摘になりましたような、現地で今後対米折衝するに当って、日本政府も一緒に入れて三者間でやりたいという希望が表明されたやの新聞報道は私も見たのでありますが、現地の代表が帰られる際に、現地で何か話がはっきりきまれば必ず何らかの形で連絡するから、ぜひ日本政府の協力をお願いするということで帰られたのでありまして、われわれとしてはもっと的確なはっきりした現地からの意思表示を待ってからしたいと考えております。しかし、もしそういう申し出があれば、これはもとよりわれわれとしては異存がないところであります。そういう形でやりたいということをアメリカ側に申し入れるということには異存はございません。
○松本(七)委員 それからもう一つ、沖繩の問題ですが、沖繩問題の根本になっておる国際情勢、アジアの情勢と、日米の共同防衛の立場から、沖繩をアメリカが軍事的に重視しているということが根本になっておるわけですね。その日米共同防衛ということを再検討する時期にきておるのではないか、これを私は重光さんにもしばしば聞いておるのですが、先般伺ったときは、重光さんとしてはまだその時期ではないというお考えのようでしたが、高碕さん自身の情勢判断というものを聞かしていただきたいのです。もしこれが再検討する時期でないとすれば、一体どういうところに理由があるのか。あの朝鮮動乱がおさまってから、またジュネーヴ会談から、その後特に本年になってから世界は急激に変りつつある。欧州ばかりでなしに、アジアにおいても、日米間の共同防衛ということから、進んで全部のアジア諸国が一緒になって、せめて集団安全保障というようなところまで進む時期にもうきておると私どもは思うのです。バンドン精神を体されておる高碕さんは、おそらくその考え方に賛成だろうと思うのですが、大臣の考え方をここでお聞きしておきたい。
○高碕国務大臣 これは国際情勢の変化にもよることでありますけれども、日本といたしますれば、これで自分で独立し得るやいなやという自衛力の強化というものに関連して考えていきたい、こう自分も思うのであります。
○松本(七)委員 新たな問題を含んでおりますが、さらに突っ込んだ顧問はきょうは控えておきたいと思います。
 最後に、ソビエト漁業代表部が正式に認められたのですが、非常に人員不足で忙しい思いをしていると聞いているのですけれども、代表部としては五名さらに認めてほしいということで、政府はこれを認めて何名か来たのでしょうか。さらに五名必要だというので要求しているということでございますが、その間のいきさつと、五名要求された場合にはこれを認められる方針かどうか承わっておきたい。
○高橋説明員 ただいまの問題は、確かにあと五名追加入国を求めてきておるわけでございますが、今のところ、目下考慮中と申し上げて、もう少し研究させていただきたいと思うのでございます。と申しますのは、その五名の中には、たとえば事務の下級職員でございますとか、そういうふうな、わざわざ入国しなくても日本で間に合うのじゃないかというふうな職員までも含めているのではないかというようなこともありますけれども、もう少し研究さしていただきたいと思っております。
○前尾委員長 本日はこれにて散会いたします。
   午後一時五十七分散会