第024回国会 決算委員会 第41号
昭和三十一年六月二日(土曜日)
    午後二時三十分開議
 出席委員
   委員長 上林與市郎君
   理事 生田 宏一君 理事 關谷 勝利君
   理事 田中 彰治君 理事 本名  武君
   理事 山本 猛夫君 理事 坂本 泰良君
   理事 吉田 賢一君
      赤澤 正道君    臼井 莊一君
     小笠原八十美君    櫻内 義雄君
      椎名悦三郎君    床次 徳二君
      松岡 松平君    神近 市子君
      小松  幹君    佐竹 新市君
      山田 長司君
 出席政府委員
        防衛政務次官  永山 忠則君
        防衛庁次長   増原 恵吉君
        防衛庁参事官
        (長官官房長) 門叶 宗雄君
        防衛庁参事官
        (経理局長)  北島 武雄君
        防衛庁参事官
        (装備局長)  小山 雄二君
        検     事
        (大臣官房経理
        部長)     竹内 壽平君
 委員外の出席者
        防衛庁課長
        (経理局監査課
        長)      小笠原喜郎君
        防衛庁課長
        (装備局管理課
        長)      竹田 達夫君
        防衛庁課長
        (装備局船舶課
        長)      芥川 輝孝君
        防衛庁事務官
        (調達実施本部
        長)      武内 征平君
        防衛庁事務官
        (調達実施本部
        契約部長)   石井由太郎君
        大蔵事務官
        (管財局国有財
        産第一課長)  天野 四郎君
        専  門  員 黒田 久太君
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六月二日
 委員原彪君辞任につき、その補欠として小松幹
 君が議長の指名で委員に選任された。
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本日の会議に付した案件
 歳入歳出の実況(パッカード・マリン・エンジ
 ンの払下げ及び購入等)に関する件請願
 一 国有財産の不当処分取消に関する請願(吉
   田賢一君紹介)(第二二三一号)
 二 同(吉田賢一君紹介)(第二二七五号)
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○上林委員長 これより会議を開きます。
 この際御報告申し上げることがあります。すなわち去る五月十六日の委員会におきまして、山本猛夫委員より、佐竹委員紹介の傍聴人の問題等について、委員長に対しお尋ねがありましたが、五月八日の決算委員会の傍聴人関係につきまして調査を行なっておりますのは、議運における院内の秩序及び警察に関する小委員会でありますので、委員長としましては調査の上報告するということでございましたが、本日事務総長及び警務部長に会いまして、調査されたことにつきましてお聞きしたのでありますが、七名の護国団員が佐竹新市君の紹介で傍聴のため入場した事実はないということであります。
 以上御報告申し上げます。
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○上林委員長 本日の請願日程第一、国有財産の不当処分取り消しに関する請願、吉田賢一君紹介、文書表番号第二二三一号、及び日程第二、同吉田賢一君紹介、文書表番号第二二七五号は同趣旨でありますので、一括して議題に供します。
 まず右両請願につきまして、紹介議員よりその趣旨の紹介説明を求めます。吉田賢一君。
○吉田(賢)委員 簡単に趣旨だけを朗読申し上げます。
 国有財産不当処分取り消しに関する請願の件、さきに提出いたした首題の件につきまして、添付別紙の通りの補充書を提出することにいたします。なお先の請願書は、この際朗読を省略さしていただきますが、要するに大阪市内北区北錦町の一万七百余坪の土地と、都島地区におけるいわゆる延原観太郎所有地の一万九千余坪とをほとんど等価にて交換しました件について、これが取り消し方の請願でございます。つきましてはこの請願に補充の文書を提出いたしました次第です。要するにそれは両者の価格の評定が適切にあらずということがその理由になっておりましたので、なおこれを根拠づけるべく、大阪の合同審議鑑定書、鑑定人佃順蔵外十一名の鑑定を要請いたしまして、その結果鑑定価格は北区北錦町の土地につきましては、これは一坪の価格二万二千円なり、同都島区友渕町の延原の土地につきましては、一坪五千五百円なり、これをもって相当と思料するという鑑定が出ておりますので、ことに大阪市議会におきましても、都島に拘置所移転の問題が十分論議されており、反対の意向が表明されておるのでありますし、かつまた過日参議院の法務委員会における同一案件の請願につきましては採択になっており、また衆議院の法務委員会においても採択になっておるやに聞きますので、それらの趣旨を勘案せられまして、何とぞよろしくお願い申し上げたいのであります。
○上林委員長 次に政府当局より以上の請願について所見を求めます。法務省竹内政府委員。
○竹内政府委員 大阪拘置所の移転改築のための敷地といたしまして、国有地たる大阪市北区北錦町の敷地一万一千九十二坪二合一勺と、延原観太郎氏所有の同市都島区友渕町善源寺町所在延原製作所跡の敷地一万九千百七十六坪七合二勺及び建物延べ二千三百八十六坪四合九勺を交換いたしましたが、これは次の評価額に基いて行われたものでございます。国有地につきましては、坪当り平均単価一万三千五百二十八円、延原所有の土地につきましては坪当り平均単価六千円、建物につきましては坪当り平均一万八百四十六円となっております。この評価は近畿財務局に依頼して行なったものでございまして、近畿財務局におきましては相続税課税標準価額、土地評価関係の精通者といたしまして大阪商事店主、住友信託銀行本店不動産部副長、北税務署主税課資産税係、安田銀行大阪支店不動産課長、三菱信託銀行大阪支店長代理、その他数名の者からの意見、さらに安田信託銀行の鑑定などを参酌いたしまして慎重に諸般の事情を考慮して厳正に評価したものでございまして、右の評価額はきわめて適正のものと認められるのでございます。かような厳正な評価に基きまして本件交換手続を進めているものでございまして、国有財産を不当に廉価に処分した事実はないと確信いたしておるものでございますから、御賢察を賜わりたいのでございます。
○上林委員長 次に大蔵省天野説明員。
○天野説明員 行政財産は原則といたしまして各省各庁の長が管理することになっております。そうして各省各庁の長が行政財産を取得する場合につきましては、大蔵大臣に協議する建前になっております。この建前に基きまして昨年暮れ法務省からこのような土地を交換したいからどうたろうというような御意見があったわけでございます。私どもの方といたしましては、そのような場合にまず第一にそのような交換が適正であるかどうかという点を慎重に検討いたします。その他またいろいろ検討いたしますが、特に現在問題になっておりまする評価の点につきましては一段と慎重を期しまして、誤まりないように努力いたした次第でございます。そうして本件につきましてはただいま説明がありましたように、精通者の意見を十分取り入れて、まず第一に売買実例がないかどうか、あるいはその場合には精通者の意見はどうたろうか、さらに固定資産税あるいは相続税の課税の標準はどうだろうか、その他いろいろな解釈を加味いたしまして適正な価格を算定いたしたのでございます。現在の北錦町の方の土地につきましては相続税の課税標準の中に安田信託、三菱信託、勧業銀行、勧業不動産等の意見を十分聞きましたし、さらに交換いたしますところの毒源寺町の万の土地につきましても旭税務署、安田信託、勧業不動産、勧業銀行、このような専門家の意見を十分聞きまして、いろいろと慎重に検討いたしました結果、本件のような交換が成立したわけでございますが、この評価の点につきましてはわれわれは確信を持って適正であると信じております。
○上林委員長 それでは右両件につきまする審査は一応この程度といたします。
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○上林委員長 次に歳入歳出の実況(パッカード・マリン・エンジンの払下げ及び購入等に関する件)について調査を進めます。
 本件につきましては張る四月十九日、昭和二十九年度決算について審議中に問題となり、四月三十日国政調査案件として調査を始めましてからでも、七回にわたりまして船田長官を初め防衛庁当局に対して質疑を行い、証人十一名、参考人人名を喚問して、それぞれ証言を求め、あるいは実情を聴取して参ったのでありますが、本日本件につきまして結論を出したいと存ずるのでございます。それでは山本猛夫君及び吉田賢一君よりお手元に配付してあります通り、それぞれ本件に関する決議案が提出されておりますので、この際右両決議案につきまして議事を進めます。まず両案より順次趣旨説明を求めることといたします。山本猛夫君、御発言を願います。
○山本(猛)委員 まず、御説明を申し上げる前に決議案文を朗読いたします。
   決議案
  防衛庁が高速救命艇用として富士重工株式会社より購入したるパッカード・マリン・エンヂン六基(所有者は株式会社間組)を七千五百万円(一基当り千二百五十万円)で購入したことにつき本委員会に於いて真相を調査した結果は左の通りである。
  パッカード・マリン・エンヂンはアメリカ本国に於ける新品価格は当時約三千万円と称せられ、また、パッカード・マリン・エンヂンより数段性能の劣る伊太利製のイソタエンヂンは二千二百万円であることが確められた。本パッカード・マリン・エンヂンはアメリカ軍の放出物資として払下げを受けたものであるが、一部の部品の不足があったので、伊藤忠商店の手を通じて不足部品をアメリカより購入せしめ、富士重工株式会社に委託し、完全無欠の新品同様の優秀品としたことも確められている。更に防衛庁は購入に際しては関東財務局へ本品の評価を依頼し、財務局より時価千三百五十万円との回答を得て、時価に比して低廉で買入れたものである。
  依而本件につき不当、不正と認められるべき事実はない。
  右決議する。
      衆議院決算常任委員会
 本決議案につきまして御説明を申し上げます。すなわち七万二千円のものが千二百五十万円という価格になったのだというところに疑惑が持たれまして始まりました本件の調査事項は、その真相の調査の結果は、七万二千円というものは、当時全く不要になりました当マリン・エンジンがくず鉄として払い下げられました価格でございます。そして、この決議案文にもございまするように、順次情勢が変りまして、買い求めました当局が必要を生ずるに至って、さらに本品が部品を購入せられ、さらに調整が行われました結果、完全無欠な優秀なマリン・エンヂンと相なって参ったのでございます。
 以上によりまして、本品は時価よりも低廉な価格をもって買い入れたのでありますから、いずれの点から見ましても、防衛庁のとりました措置には手落ちがないとわれわれは考えるのでございます。委員長の御説明のように、数回以上にわたりまして調査の結果、われわれは何ら防衛庁には不正不当がないと判定いたします結果、かような決議案を提出いたした次第でございます。
○上林委員長 次に、吉田賢一君趣旨の説明を願います。
○吉田(賢)委員 私は社会党を代表いたしまして、このたびの防衛庁が購入いたしましたパッカード・マリン・エンヂン問題につきまして、次の通り決議案を可決せられんことを動議として提出いたします。
  案文の朗読をいたします。
   決議案
  防衛庁の中古ガソリンエンヂン購入の問題は、当委員会が特に多数の証人を喚問し慎重なる調査をなした経過にかんがみ、行政府と商人と政界のつながりを露骨に表明して腐敗社会の典型的な断層の観があり、財政粛正の観点から幾多の問題を提起した近来最も注目すべき案件の一つである。
 依って当委員会は特に次の通り決議し、政府の猛省を促さんとするものである。
 一、防衛庁のパッカード・マリン・エンヂンの購入は明かに不当に高価に買い入れたものであって、予算のらん費、経理不当の甚しいものである。
 二、防衛庁職員らは公共の利益のために忠実にその職務を行わねばならないのに不拘、ブローカーの暗躍におどり、売主に暴利を得せしめ、国損を被らしめ行政府の信頼を甚しく失墜し、国民の信託に背く重大なる背任的行為を為したものである。
 三、防衛庁長官らは責任を回避し、毫も反省の色なく、更に制度上、行政上責任の処在必ずしも明確でないのに乗じて重要職員の転任、出席の拒否等、委員会の調査に甚しく非協力の態度を採ったことは遺憾である。
 四、防衛庁長官は行政の長として引責辞職し、その他関係職員については、それぞれ責任を明かにすべきである。
 五、装備品等の購入につき国損を被らしめ業者には納入の差止め、その他適当なる措置を採るべきである。
 六、綱紀を粛正し、予算執行を厳正にして国費濫費の根絶を期すべきである。
 政府は右の各事項について、殊に複雑なる事実の経過と国民の深い疑惑と世論のきびしい批判と要望に鑑みて、速かに適切なる措置を採られたい。
 右決議する。
  昭和三十一年六月二日
      衆議院決算常任委員会
 私はこれにつきまして趣旨を御説明申し上げたいと思います。なお防衛庁の職員各位には個人的には何らの恩怨も利害もございません。ただ一に近来の社会の風潮にかんがみまして、国民の血税が大切に使われなければならぬという強い要請がありまするので、以下数段にわたりまして御説明申し上げます。従って、これらの決議の趣旨につきましても、どうぞ高い観点からお聞きを願って、この意のあるところを十分にお考えを願いたいのであります。
 第一に、当委員会におきまして一番問題になりましたことは、この中古エンジンを防衛庁が購入しましたことは、果して会計経理上、予算の執行上不正不当なものであるのか、あるいは不正不当が全然ないのか、こういう点でございました。そこで私は、この場合これが明らかに不当高価の購入であると断定をいたしておるその趣旨を皆さんに明らかにしておきたいと思うのであります。といいますのは、なるほど長官の御答弁があったり等々いたしまして、当初七万二千円で放出をせられ、十万五百円で購入をいたした松庫商店、それから三友産業という名前が現われて、間組が五十万円前後でこれを購入しておる。それを千二百五十万円で買った防衛庁ではあるけれども、その間数年を経過しておるので、何ら以前の安い値段との関係は顧慮する必要はないという趣旨の御答弁が実はあるのであります。おそらくこれが、あなた方のお考えなり、また今自民党の御説明になりました、不当のないという根拠になっておるのであろうかと思うのであります。しかしながらこの点は一つはっきりしておいてもらいたいのであります。これがよしんばパッカードの本国における、つまりアメリカにおけるパッカード・エンジンの新品が幾らであるにしろ、またイソタのエンジンが税込み幾らになるにいたしましても、そういうことが根拠に千二百五十万円が妥当な価額であるというのは、国民はだれもそんなことは信じませんです。なぜならば、たとい三年五年と時間が経過しておっても、間組が買い受けましたのは二十七年の七月なんです。二十七年の七月からずっと売り込みの運動が行われておるのであります。数年経過いたしておりましても、やはりその価格の前歴、経過というものは、厳重に査定をしておかねばならぬはずであります。そんならば購入いたしました五十万円、売却いたしました十万五百円というものは、重要な根拠にされねばならぬ。パッカード会社はもう作っておりません。そんなものを根拠にするというこの自民党案が、まことに筋の通らないものであることはもちろんですが、防衛庁当局も新品が幾らであるという――イソタが税込み二千万円で入るというようなことが根拠であるということは、これはもう単に弁解にすぎません。やはりこれは当初の当委員会における石井部長の御説明の方が、自然な御説明だと思う。それは、一億四千七百万円を間組が支払っておるので、それから割っていくと千二百五十万円が妥当でないか、という意味合いであったと思うのです。つまり一億四千七百万円を間組が出しておるということを、重大な根拠にしておられたんだが、むしろその方が自然ですよ。やはりこの際は、間組が果して何ほど出したのかということをほんとうに検討することが、価格を決定する重要な要素でなければならぬと思う。また法令の上から予定価格を算出するにいたしましても、売主である間組がどれほどの生産価格を出したのであるか、どれほどの利益を与えることが相当かということを検討しなければならぬのは当然であります。
 こういうふうに考えて参りますると、果して間組が千二百五十万円で売ることが相当であったのかどうかということを、反面から観察することも必要になってくる。そこで関東財務局に価格の評定を依頼した。依頼するについてはエンジンのあらゆる経歴から価格関係などを、みな参考資料に出したはずであります。それならば当初の米軍が放出した価格――スクラップ並みとして扱ったものを十万五百円で売却した経緯、あるいはまたその間に何人かのブローカーも暗躍した辺まで、明らかに実態を調査した上での依頼でなければなりません。またこれは証言等に徴しましても、あるいはいろいろと出ておる資料に徴しましてもそれは明らかなんだ。それならば価格形成の要素というものについて、間組が一億四千七百万円を富士重工に対して出しておることが荒唐無稽であるということは、証言を待つまでもなく明らかなことであります。証言もそう言っておりますし、それは明らかなんです。それならばそれに疑いを持たなくちゃならぬ。それを全然してないということになって参ります。のみならず、その間にブローカーに数千万円渡したの、三友産業に千五百万円の名義料を渡したの、――三友産業は申すまでもなく、破産会社にひとしい会社であります。税務署の台帳から名前が消えてしまっておるというような、担税能力のない会社である。しかもその領収証発行の名義人が、会社の所在も知らなければ、社長も社らないというような、つまり正木でありますが、――実情なんであります。こういうわけでありますから、この価格の経過あるいは品物の経歴について考えますならば、一体この価格は何ほどが妥当かということは、これはもうたやすく出てくるんです。そこで必然三百万円は間組が金を出したということになります。けれども証言によりますれば、払ったものはわずかに機械代が千六十万円と、そのほかに富士重工に対する千七百万円、その他に大森トラクターに若干払っておる。あるいは倉庫料が若干要っておると見て、大半は意味のない金であることは歴然としておるのであります。そのほか富士重工に対して支払いました一基百五十万円の修理費とか、あるいはまた伊藤忠から購入いたしました部分品の代金とか、その他利益を一〇%と、かりに考えました数額を計算いたしますと、やはり最高に見積りまして三百数十万円にしかならぬのであります。そこで四百万円と一応値段をきめて契約部長の方では、間組つまり富士と交渉しておられるのであります。でありますから、それならば、私どもは妥当な線と認めることもやぶさかでないのであります。しかもその経緯が明らかである――価格並びに物の移動の経過が明らかであるにかかわらず、これを十分に示して折衝をすることをしなかったということは、一体何ということでありますか。今日漫然と、パッカードの新品が幾らであるとか、イソタが幾らであるとかいうようなことは、これは社会を瞞着するものであります。この意味におきまして自民党の案は、全く社会の疑いを晴らすことはできないのです。社会は疑っておるのです。真相は何かを究明することが本委員会の使命なんであります。イソタの新品が二千万円しますとか、パッカードが三千万円するとか、そんなことでは国民の疑いを解明することはできません。のみならず防衛庁におきましても、このような価格形成の要素につきまして、十分な検討を遂げているにかかわらず、これを千万円以上で買うということは、経理担当官として、予算執行の責任者としましては、まことに穏当を欠く措置と申さねばなりません。少くとも私どもは、予算がこのようにして使われる場合には、これは幾多の例の一つとして考えたいのでありますが、このようにして使われますならば、国の予算というものは、もう幾らありましても足りないということすら考えさせられるのでございます。でありますので、これらの点から考えまして、不当経理であり予算の乱費であったということについては、私はほとんど議論の余地がないと思うのであります。これを強弁するということは、全く堅白異同の弁であって、ただ弁解をするために弁解をするということであります。
 それから、大体防衛庁の方々は、何か官庁としての特権意識があるのではないだろうか。私はしばしばこの決算委員会における防衛庁の予算執行の跡を検討するときに、皆さんの口から出る言葉が、何か、たとえば財政法、会計法、また予決令、憲法の財政規定というようなものにとらわれない、一つの特権的な地位が防衛庁当局にあるというお考えがあるのではないだろうかと思う。たとえば防衛庁というものは自衛隊を擁しているのである。自衛隊は常に臨戦の態勢をとっておらねばならぬのであるから、従って常に戦時的、機動的にものを動かしていかねばならない。それを平和的な財政法とか会計法とか予決令みたいなものに縛られたならば、とうてい防衛庁の予算には適合しないというお考えがあるのではないかとさえ私は思うのであります。予算の執行の跡を見ましても、どうも防衛、自衛、軍といったようなものが、政治に非常に優越しているような根本的なお考えが潜在しておるように思われてならぬ。であるからその答えるところも、何が悪いのだ、こういうことであります。たとえば当委員会においても、同僚辻委員の質問に対して石井契約部長のごときも、ふんまんやる方なきがごとき態度をもって答弁しておられました。実に私は心外に思った。国民は疑惑を持っているのです。われわれも疑惑を持っておる。まことにけしからぬ。ブローカーの暗躍によって莫大な金がともかく浪費されたらしい。その跡をわれわれは追及して、真に正しい価格形成を発見しようとする努力をしつつあるときに、何が悪いのだという態度をもって、のしかかるような態度をもって挑戦的にこられるということは、私はあらゆる省庁の決算に参加いたしましたけれども初めてなんです。防衛庁のみなんです。こんな態度で防衛庁予算が執行せられて、防衛庁予算の批難事項を検討していくというようなときに、こんな方によってやられたならば大へんだという感を深うしたのであります。何ら個人的には恩怨もないけれども、実にそういう感を深うするのが防衛庁の皆さんの態度であったと私は思います。申すまでもなく公共の利益に奉仕する以外には、何ら私はあなたらのほんとうの立場はないと思う。個人的に、あるいは商社のために、あるいはまた政界のために、そういうことは要らざることです。一に国民全体のために奉仕していただくべき立場であろうと私は思う。憲法並びに国家公務員法は直接に適用がないにいたしましても、精神はやはりこれを行わねばなりません。やはり全体の奉仕者といたしまして謙虚な気持で予算を執行してもらわなければならぬと思う。しかるにかかわらず名前は富士重工であるけれども、間組に対して一基に数百万円の利益を与えるというようなことは一体どういうわけですか。もちろんそれは利益を得ていないと言うかもしれないけれども、それはブローカーなどに金をまき散らしたのである。政治家に金をまいたのである。要らぬことに金を使ったのである。そんなものは正常な経費ではないのであります。正常な経費でない限りは乱費と言うよりしようがない。乱費したものまで国民が背負い込まなければならぬということでは国民は納得しません。そこにあなたらは、ほんとうに公共のために奉仕なさるという職務に違反しておられるのではないかと思うのであります。私どもはそういう意味におきまして、強くあなたらの御反省を促したいのであります。
 この事件が起りまして以来、ちまたに満ちている声もお聞きになりましょう。常識はまことにとうといものであります。われわれは健全な常識に耳を傾けなくてはなりません。中古エンジンというような言葉が子供の言葉として、あるいはまた新聞等によりましていろいろ使われておりますということは、ほんとうに耳を傾けるべきであります。このことを考えましたときに、行政府が本案件によりましてその信頼を国民から失墜しましたことはきわめて顕著なものでございます。こういうことについても、やはり責任を感じるということは、とりもなおさず皆さんのお立場でありますから、責任を感じなければなりません。この点について自民党は何らその決議案で触れておられないのは、まことに遺憾千万であります。
 かつまた防衛庁の、当委員会におけるこの案件の調査に対しましておとりなさった態度で、さらに私は指摘しておかねばならぬことがある。それは第三に述べておるのであります。第一長官は責任を回避しておると思う。きょうも長官は見えておりません。見えておりませんのみならず、たとえば久保装備局長が調査途中におきまして、マリン・エンジンの件ではありませんけれども、検査院批難事項について、あの方の前任時代のことを調査しておりましたときに、突如翌日当委員会から姿をお消しになった。どうして来られないのだと言うと、もうよそへ転任してしまったのだ、けれども装備局長がおるからよく答えはできるというお答えなんです。ところが装備局長お答え願おうと言ってもとんとわからない。なぜならばきのう就任したばかりである。そういうようなことで一体よいのですか。何のこだわりもなく、ほんとうに正しいことを求めて真実を追及していこうとするわれわれの態度に対しまして、こんな非協力な態度はあったものではない。ことにまたはっきりしておかなければならぬことは、幕僚長の出席を拒否なさったことであります。幕僚長は国会に行政に超然とした権力を持った人ではないのであります。地位ではないのです。職務ではないのです。昔の軍が全盛をきわめました時代のそういうことを夢みたら大へんですよ。幕僚長といえとも国の予算を使う責任者である。何となれば、幕僚監部が予算執行について備品調達につきましていろいろ計画なさり要求をなさる、そのもとである幕僚長が当委員会に出席することを拒否して、装備局長のみにまかそうとする。それではだめですそういう態度はまことに遺憾だ。これらの重要な職員の転任の問題あるいは出席を拒否なさった幕僚長の問題は、当委員会がこの重要なる案件を調査するに対して非協力の態度をおとりになった顕著な事実であって、われわれはまことに遺憾であるといわなければならぬのでございます。
 ことに防衛庁におきまして、この問題については国民に対しても責めを感じていただきたいのであります。なるほど自分は俯仰天地に恥じないのだとおっしゃりはいたしますけれども、われわれがどんなにひいき目に見ましても、常識で考えまして、どんなに弁解しようといたしましても、少くともこれは皆さんに過失がなかったとは言えません。国民に対して申しわけない、済まぬという気持がなければならぬのに、全然それがない。たとえば長官のごときは、訴訟するならしてみろ、刑事事件にするならしてみろというような放言すらなさっている。こんなことで決算委員会の調査ができますか。またそんな乱暴な言をはきます大臣はあったためしがない。総理大臣がこの委員会に出て述べましたところによりましても、信賞必罰であります。私の意見に共感を覚えたとおっしゃっておるのであります。同意見であるとおっしゃっておるのであります。私はかかる観点からこの問題を論じておるのです。少くとも防衛庁長官は辞職することをもって恥としないようにしてほしかったのであります。たとえば昔のことを小松委員あるいは辻委員からもお述べになりました。シーメンス・シュッケルト会社の例のいわゆるシーメンス事件が起りましたときなんか、あのときわれわれは子供心にも聞いておりましたが、海軍のサーベルをつって電車に乗るとうしろから指をさして、あいつ収賄者であるというようなことを言われやしないかと実は言ったものであります。これほどにひんしゅくして内閣は総辞職した。ある大将の人が私に言いました。あのときに前途有為なりっぱな軍人があったけれども、しかし国軍の将来のためにこれらの前途ある青年をみなやめさせたのです。その大将は当時人事課におった方であります。そういうように当時は、軍国思想のよしあしは別として、人その責任を感ずるということはまことに峻烈であったのであります。どんな職でもどんな地位でもどんな行政府でも、すべて公けのために奉仕する立場の者が責任を感じないということで、一日たりともその仕事を全うできますか。ここに重大なる意義があるのであります。シーメンス事件のときのことを思いますならば、ほんとうにえりを正して、古人が涙をもって馬謖を切ったいさぎよい勇壮な姿に感謝しなければならぬ。しかるに今日は全然それがない。国会において裁判するならしてみろ、刑事事件にするならしてみろ、そういう放言は一体あるのでしょうか。みんな国民は疑っているのですよ。疑うべきいろいろな事情が明らかになっている。証人は言っておる。うそでたらめの証拠が用いられておる。そういうことが明らかになっておるのでありますから、そういうときに、いやしくも国民の血税を使ってこれは申しわけないということがほんとうにあるならば、辞職するということが多くの人のために、また国のために、国民のためにとるべき道でないかと思うのだけれども、てんとして辞職をしない。まことにこれは残念千万であります。でありまするので、私は長官初めその他関係の方におきましてそれぞれ責任を明らかにしていただく意味におきまして、この第四を御説明申し上げたのであります。
 いま一つ申し上げておきたいことは、装備品の購入が莫大な量になっております。二十九年度でも千三百十八億でありまするが、この莫大な量に上っております幾多の装備品を通じて国損を与えましたところの商人があるわけであります。国損を与えた商人には今後は納入の差しどめとかその他適当な措置をとるということが最も必要でないかと思うのであります。これは政府に対して要請するところでございまするけれども、またかかることを転機といたしまして、綱紀を一そう厳粛にすることは当然でございます。予算の執行を厳正にするということが綱紀の振粛の基礎であることは、今日世論は一致しておるのではないかと思います。どんなりっぱな機構を作りましてもだめであります。ことにあなたの方におきましてはいろいろとむずかしい制度を作っておられる。ことに需品等の購入につきましてはいろいろと責任の分担の制度も作っておられる。しかし制度よりもやはり綱紀が大事であります。人間が大事であります。その行いが大事であります。でありまするから、予算執行を厳格にするということはこの期におきまして最も強調しなければならぬ。かくして国費の乱費を根絶することが必要であろうと考えるのでございます。
 このように論じ来たりますると、国民がこの案件につきましてともかく近来にない一つの社会の典型的な事件として見ましたことは、まことに国のためにも政治のためにも有意義なことであったと思うのであります。複雑な過程をたどって数年間猛烈な売り込みの運動が行われて、ブローカーが暗躍するわ、政治家が踊るわ、そして湯水のように金は使うわ、二百万円近い飲み食い費は使われてしまうわ、わけのわからぬ金があちこち飛んでいくわという経過をたどって、登場人物が多数に出て参りました案件でございます。こういう複雑な経過をたどっておりまするに対して、国民は深い疑惑を持って国会にその真相を明らかにすべきことを要請しておるのでございます。従ってまた世論はきびしい批判を加えております。世論は強い要望をしております。綱紀を一新するのはこのときだというふうに要請をしておるのであります。当委員会の名誉と国会の責任とまた国会の審議権の権威のために、日本の国政のほんとうの振粛のために、綱紀振粛のために私は自民党の決議案にはどうしても同意することはできません。自民党の決議案の御趣旨は全く防衛庁の御答弁になりました趣旨そのままのような感がいたします。そのままのようなことでは国民は納得いたしません。やはり国民が疑っておるところには解明を与え、国民が要望しておるところに対しましては適切な案を出すことが委員会の当然の責任であろうと思うのであります。まことにこれですら不徹底だというそしりを免れないかと思いまするけれども、かかる意味合いにおきまして、国家のために国会のために、また国の財政の振粛のために、この中古エンジン事件の一つの解決のあり方といたしまして、いろいろな立場を捨てて、どうぞ公正な立場に立って満場の諸君が御同意賜わらんことをひたすらにお願いを申し上げたいのであります。
 以上をもって私の提案の趣旨説明を終りたいと思います。
  (拍手)
○上林委員長 次に両決議案につきまして一括して討論に付します。通告がありますので、順次これを許します。生田宏一君。
○生田委員 私は、山本君の提案しました決議案に賛成をして、吉田賢一君の提出しました決議案には反対をいたそうとするものです。
 その理由を申し上げますると、山本君の出しました決議案につきましては、その趣旨が徹底をしておると思いまするので今さら説明の必要もないかと思いますが、この際特に私が主張したいと思いまするのは、防衛庁が物品を購入いたしまするときに、会計経理上今度の場合が不当であったかどうかという問題を吉田賢一君はいろいろの角度から述べられておりまするが、もともと官庁における物品購入は時価をもって購入するのが建前でございます。それで、このパッカード・マリン・エンジンがいかほどの時価を持っておるかということをまず判断をすることが大切でございます。この点に関しましては、すでに関東財務局において評価されました一千三百二十万円が時価として正当な価格であるのは間違いありません。ただし、その間に議論の生じまするのは、非常に原価を安く買ったものを業者並びにブローカーが過当につり上げて防衛庁に売り込んだという経過が論議の対象になって、そして議論が出てくるのじゃないかと思いまするが、もし元が安いものであるかという理由で、時価よりはうんとまけた値段で買わねばならぬということを主張いたしますと、相対づくを基調とする取引としては成り立たぬわけであります。そこでその間の経過を見てみますると、確かにアメリカ軍の放出は七万二千円で安かったということになりますので、この損失ということにつきますると、アメリカ軍の関係のことであり、アメリカ軍がアメリカ軍の立場においてこれが安かったか高かったかということを判断すべきことである。それが日本の手に渡って以後に約四百万円近くの修繕費やいろいろのものがかかって、その間に関係業者の方ではいろいろと失費をした。そういうような申し立てをしてきて防衛庁に対してこれを売り込んでおる。その真偽につきましては、この問題がここで論議になりまするまでには、防衛庁としてはその事実を――業者の申し出を信じてその裏の実際の事情は知らないのですから、どうしてもそういうことを考えてみますると、十五台に対しては一億四千七百万円の金を支払っておるのだという計算書を防衛庁に見せ、防衛庁はこれを参考としてその真実性を考えてそれを買い入れておる。それが時価以下の千二百万円で買ったというならば、会計経理上は防衛庁に不当があろうとは考えられないのでございます。もしかりに元が安かったから安く買える、元が高ければ高く買ってよろしいということになりますれば、非常に元が高いものであれば防衛庁は時価をこえてまでも買わねばならぬ、そういうような相対的な理屈さえも考えられるのでございますが、会計経理というものから言いまするならば、防衛庁においては、別に不当はなかった、こういうように断ぜざるを得ない。それは官庁の物品購入は、時価をもって買うということが原則でございまするから、不当があったかなかったかということになりまするならば、不当があったとは言われない、こういうような防衛庁の見解は、むしろこれを是認すべきではないか。ただしもし防衛庁の中にそのようなからくりがあったということを前もって知っておって、業者と結託をしてこのものを買い入れたということになりまするなら、これは話は別物でございます。ところがその点につきましても、当委員会は証人を十一人呼んで参りましたし、七人の参考人を呼んで詳しく調べてみましたけれども、防衛庁がこのような事情を事前に業者から知らされておる事実はないということも判明いたしましたし、また業者と防衛庁との間における交渉というものが、一般的な商行為の範囲を出ていない。しかも特にまれにある品物であって、競争相手のない品物であり、これは特命によって、特約によって買わねばならぬという性質のものといたしましては、防衛庁と業者との交渉というものは、表面的に見るならば、これは商行為を逸脱してやったとは見られない。もしその間において意思の疎通があったならば、これは別でございまするが、そのようなことはないということは、証人によっても的確にこれを説明することはできない。また防衛庁といたしましても、そのようなことはないと言っております。
 ただ社会党の吉田君から出まして参りましたこの中で、一言私が特に目をとめておりまするのは、「行政府と商人と政界のつながりを露骨に表明した腐敗社会の典型的な断層の観があり、」ということにつきましては、私はこう断ずることは早計であるし、何らそれに根拠はありません。何となれば、政界の人がどのような具体的事実をあげて、商人との間にどのような結託があったという具体的な事実は、何一つ当委員会においては明らかになっていないのです。ことに証人たちの証言になりますると、たとえば最も大切な菊岡証人と沢証人との間における証言は全然食い違っておって、いずれに信憑性があるかわからない、またその全部が信ずべからざるものであるかもわからない。その問題は当委員会の証人尋問によって明らかにすることができない範囲に属する。あるいはこれは司直の手で糾明したならばわかるかもしれませんが、これ以上委員会がこの問題に深入りすることは、ほとんど不可能な状態において委員会の証人の証言というものは打ち切られておる。そうしてみますると、この問題はある程度は推測、判断によって結論を出しておると思われますので、このような判断をいたしますることは、私は賛成ができないと思うのです。そこで、私はもし防衛庁が時価より高いものを買って、国家のために会計経理上損失をかけておるものでありましたならば、防衛庁に対しては、その不当を追及しなければなりませんが、明らかに時価以内で買っているといたしましたならば、そこに不当はない、こういう結論を持っておる次第でございます。
 また防衛庁長官の態度に関する問題が第三の項に出ておりまするが、防衛庁長官はもし不当不正の事実があるならば、これを委員会において詳しく調べてもらいたい、もしその事実が出てくるならば、自分は責任をとります、こう言っておりまするので、私は防衛庁長官が責任を回避しておるとは見られない。ただしわれわわれといたしましても、防衛庁長官が、事のいかんにかかわらず、この委員会においてパッカード・マリン・エンジン購入の問題が議論の対象になって、世間の視聴を集めておるということについては、この問題がなぜこのように世人の視聴を集めておるかということを常識的に判断をして、そして十分に将来考慮を払ってもらうように、その御意見を当委員会において示していただくことについては、多少不足のきらいがありましたけれども、しかし責任を回避しておるということは私には受け取れない、こう思うのです。この際私として特に申し上げておきたいと思いますのは、もし商人に不当なる利益と申しますか、莫大な利益がありました場合においては、むしろその利益に対しましては、正当なる税をかけるべきものである、そういうことを特にこの際強調しておきたいと思うのでございます。
 以上によりまして私は大体の討論を終った次第でございますが、山本猛夫君の提出いたしました決議案に賛成をして、吉田賢一君の提出いたしました決議案には反対をいたします。
○上林委員長 次に坂本泰良君。
○坂本委員 私は吉田委員の提出されましたわが社会党の決議案に賛成をいたして、その討論をいたしたいと存じます。
 私はまず第一に、ただいま山本委員が読まれたこの決議案を見て、自由民主党は正常な常識を持っておられるかどうかということを疑い、失望するどころか憤りを感じたような次第であります。自由民主党ほどの大政党が、このような問題について、時価がそれくらいあるから不正不当はない、こういう子供みたような決議案を作られるということを、友党である自由民主党のために私は非常に惜しむものであります。いかに不正不当がないと申しましても七万二千円のものが千二百五十万円になったことについては、国民ひとしく不審に思っておるのであります。七万二千円が千二百五十万円になった、これが正当の商取引であるとは断じて言えないのであります。もちろん七万二千円に対しては金利もありましょう、また部分品もありましょう。しかしそういうのを加えても、せいぜいこれは二百万くらいのものなんです。防衛庁は最初四百万円で交渉したということを申しておるのであります。それがどうしてこんなに値段を高く見て、一億四千何百万円というにせの領収証を、防衛庁ともあろうものが見抜くことができずに、何でこんなに金が上っておるのだろう、一億四千数百万円の領収証はあるけれども、七万二千円のものがどうして八百万円にもなっておるかというところに、どうして思いをいたさなかったか。これは証人が出てきて、ここで私が五百万もらいました、だれには二百万やりました、だれには百万やりましたと言って、ブローカーのでたらめにとった金を積算して、そうして一億四千何百万になる。これは資本主義制度をとりました。この価格算定の方式から申しましても、断じて許すことはできないのでありまして、商取引ということは断じて言えないのであります。もちろん人が介在いたしましたならば、ブローカーの費用はあるでありましょう。しかしながら七万二千円が二百倍もはね上るような、ブローカーの手数をやるようなことを日本の官庁がやっておる。防衛庁がやっておる。これでほんとうに国民のためにやっておる防衛庁と言われるのでありましょうか。この事実に対して、大自由民主党が、これをかばうようなこの決議案に対して、私は何といってもまことに遺憾にたえないのであります。
  〔発言する者多し〕
○上林委員長 御静粛に願います。
○坂本委員 それで戦前においては治安維持法という法律がありました。国民は発言を許されなかったのであります。口から先出れば治安維持法という法律で懲役にぶち込まれたのであります。でありますから、ああいう戦争に負けるというような状態ができたのでありましょう。このマリン・エンジンの一事を見ましても、防衛庁は予算をうんと獲得して、そしてその予算を昔の軍事費と同じように使う、ここに欠点があるのであります。あに中古エンジンだけではないのであります。昭和二十九年度のあの決算を見ましても、あの予算の終りの三月に何億という金を出して会計検査院の指摘を受けておるではありませんか。これの代表的なうみの現われがこの中古エンジンの七万二千円を千二百五十万に買い上げたというところのものであります。この出費は、ブローカーのあの費用にかけておる。何で商行為でありましょう。こういう大きな問題を、単に時価にして安いのだ、あるいはほかの品物より安いのだという結論を擁護するような自由民主党ですか。これは断じて諸君を批判するでありましょう。これを省みて恥と思わぬのですか。おのれを省みて恥と思わぬのか、私は非常に遺憾にたえないのであります。
 第二は、この問題に対しては自由民主党の大野伴睦氏、砂田重政氏、小林元海軍中将の名前が出ておるのであります。この決算委員会は捜査機関ではないから、身柄を拘束して徹底的にべることはできない。しかしながらこの問題は近く明らかになると思うのであります。この自由民主党の決議案は、いろいろあるけれども、この二つの問題を取り上げてもこれを隠蔽するための一片の紙であり、決議であると言われてもやむを得ないと存ずるのであります。
 第三に、本件の問題を静かに考えまして、その責任を考えるときにおいて私は四つあると思うのであります。その第一は道義上の責任であります。その第二は制度上の責任でありましょう。その第三は政治上の責任であります。しこうしてその第四は刑事上の責任であるのであります。いかにりっぱなことを言ってごまかしても。道義上の責任は回避することはできないでありましょう。これが第一段階であります。
 第二の段階は制度上の責任であります。先ほど吉田委員の指摘されましたように、防衛庁の物資購入に対するところの制度上の欠陥があるのであります。時間がないから申し上げませんが、私は防衛庁長官として、防衛庁行政の最高責任者として、制度上の欠陥からでも辞職すべき責任がある。かように考えるのであります。増原次長以下は、この点については道義上の責任と合せて、国民の代表者であり、憲法第十五条の国民の奉仕者である公務員として、その責任を考えるべきであると考えるのであります。
 次に政治上の責任であるのであります。先ほど吉田委員も指摘せられましたように、あのシーメンス大疑獄事件におきましては、それに連座した諸君は刑事上いろいろの処分を受けたのであります。私はここに申し上げたいのは、あのシーメンス事件におきましては、その事件に直接関係なかった者であっても、あの摘発された当時においてその地位にあった責任者は、それぞれ免職その他峻烈なる懲戒の処分を受けたのであります。そうして当時の日本の海軍の名誉と地位を保持したのであります。現在の防衛庁の諸君は、この点に思いをいたしましたならば、単に商売人の弁解みたようなことを考えずに、もっと最高法律である憲法第十五条の国民の奉仕者である、国民のための公務員であるという自信と誇りを持ってその職に当って、この答弁においてもあやまち、間違いは間違いとしてその所信を申し述べて、そうして責任があるならばいさぎよく責任をとるべきであります。春秋に富む諸君は、これに責任をとったならば、それはまたその態度において、その国民の奉仕者たる責任において、必ず復活するでありましょう。私は、旧陸海軍はやはりそれだけの自信と確信があった、今はその点に欠けるところがあると思います。そこでこの財政上の素乱について、どうしてここにわれわれがこの決算委員会で指摘をしなければならないか。昭和二十八年もそうであったでしょう。あるいは二十九年度もまだ半分しか進んでおりませんがそうでありましょう。これはやはり国民の奉仕者としての防衛庁に重大なる責任があると存ずるのであります。
 そうしてこの第四の刑事上の責任は、われわれこの決算委員会としてはこれを捜査することは困難でありましょう、それぞれの刑事上の捜査機関において向後これを徹底的に糾明されることをわれわれは期待いたし、共同正犯として、捜査機関における捜査権の発動を要望いたします。かようにいたしまして、自由民主党の決議案も、防衛庁の諸君の弁解も、一間組のためには善良なサーヴァントでありましょう。しかしながら国民は断じてこれを許さないのである。
  〔「無礼なことを言うな」と呼ぶ者
   あり〕
○上林委員長 御静粛に願います。
○坂本委員 何といってもこういうような決議案をここに出した以上は、国民が批判して、そうして多数で諸君たちが押し切っても必ず批判を受けるのである。だから自由民主党の諸君はこういうわが社会党の決議案に賛成して、撤回すべきが至当であると存ずるのであります。
 以上をもって終ります。(拍手)
○上林委員長 これにて討論は終局いたしました。
 採決いたします。まず日本社会党吉田賢一君提出の決議案について採決いたします。吉田君提出の決議案文の通り本委員会において決議するに賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
○上林委員長 起立少数。よって吉田君提出の決議案は否決されました。
 次に山本君提出の決議案について採決いたします。山本君提出の決議案文の通り、本委員会において決議するに賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
○上林委員長 起立多数。よって山本君提出の決議案文の通り本委員会において決議するに決しました。
 ただいまの本委員会におきまする決議は、委員長において関係大臣あて参考送付することといたしますから、御了承願っておきます。
 この際暫時休憩いたします。
  午後三時四十一分休憩
     ――――◇―――――
  〔休憩後は開会に至らなかった〕