第024回国会 商工委員会 第51号
昭和三十一年五月十七日(木曜日)
   午前十時二十六分開議
 出席委員
   委員長 神田  博君
   理事 小笠 公韶君 理事 鹿野 彦吉君
   理事 小平 久雄君 理事 笹本 一雄君
   理事 長谷川四郎君 理事 中崎  敏君
   理事 永井勝次郎君
      秋田 大助君    阿左美廣治君
      内田 常雄君    椎名悦三郎君
      島村 一郎君    首藤 新八君
      鈴木周次郎君    田中 角榮君
      田中 龍夫君    野田 武夫君
      濱野 清吾君    淵上房太郎君
      南  好雄君    森山 欽司君
      伊藤卯四郎君    加藤 清二君
      佐竹 新市君    多賀谷真稔君
      田中 武夫君    田中 利勝君
      松尾トシ子君    山口丈太郎君
 出席国務大臣
        通商産業大臣  石橋 湛山君
 出席政府委員
        総理府事務官
        (公正取引委員
        会事務局経済部
        長)      坂根 哲夫君
        通商産業政務次
        官       川野 芳滿君
        通商産業事務官
        (大臣官房長) 岩武 照彦君
        通商産業事務官
        (重工業局長) 鈴木 義雄君
        通商産業事務官
        (軽工業局長) 吉岡千代三君
        通商産業事務官
        (繊維局長)  小室 恒夫君
 委員外の出席者
        労働事務官
        (職業安定局失
        業対策部長)  渋谷 直蔵君
        専  門  員 越田 清七君
    ―――――――――――――
五月十七日
 委員水谷長三郎君辞任につき、その補欠として
 山口丈太郎君が議長の指名で委員に選任され
 た。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 繊維工業設備臨時措置法案(内閣提出第八三
 号)
    ―――――――――――――
○神田委員長 これより会議を開きます。
 繊維工業設備臨時措置法案を議題とし審査を進めます。質疑を継続いたします。質疑の通告がありますから、順次これを許します。松尾トシ子君。
○松尾委員 ただいま審議中の繊維工業設備臨時措置法案はまことに奇妙な法案だと思うのであります。なぜならば質問をすればするほどに、また答弁をお聞きすればするほどに複雑になってわからなくなってしまったわけです。さすがは糸の問題でこんがらかるのは当然の問題だと思いますが、糸がこんがらかってしまえば使いものにならないと仕方ないから捨ててしまうんですけれども、どうも小室繊維局長の人柄を見るとそういうわけにもいかないので、このもつれた糸口を見つけ出そうという考えから皆さんが質問の――勉強家の多賀谷眞稔さんだとか繊維の専門家の加藤さんが大へんお聞きになったあげくですけれども、二、三点御質問をいたしたいと思うのであります。
 私が繊維問題といえば、専門的には知識は皆無なんです。色合いとか柄とかそんなものはなかなかやかましく知っているのですけれども、自分の着ている着物の製造過程とか、そういったようなものは実際にはほとんどわからないという始末なのでございます。それで答弁あるいは質問の過程から感じ得たことは、日本の繊維工業者が明治以来自力でここまで発展してきておったにもかかわらず、今日になってから、政府の統制に似たもので援助をこうむるというと角が立ちますが、そういうような事態に追い込まれたのは何か特別のわけがあるのかしらという感じがするのです。と申しますのは、一章に書いてある目的の、輸出の発展とかあるいは繊維価額の安定ということはわかるのですけれども、通産省が全般的の産業の監督をしている省であるので、繊維の部分だけを取り上げて安定法を作るというところに輸出や価額安定のほかに何かあるのではないか、たとえば業界の強い要望があったとか、業界の今日の力ではどうすることもできないような事態が発生しているとかいったようなこと、悪く言うと昔より今の業界の方が自主性が乏しい、こういったような事態があるのかどうか。またこの法案が通りましたときに、業界の方に非常な得があって、通産省も今後の運営によろしきを得るのだというようなこまかい点が、もしこの法律を出すまでにあったら、事情をお聞かせ願えればけっこうだと思います。
○小室政府委員 繊維業界特にその中心となっておりました綿紡績業界が、戦前まで自由通商の旗じるしを掲げて、自主的な経済活動ということで貫いて参ったことは、御承知の通りであります。これはいろいろな事情があると思いますが、一つはわが国の綿紡績業が、いわば新興産業でありまして、内需、輸出需要ともこれを充足していくテンポがはなはだ急であったわけであります。一方世界的に見ましても、第一次大戦前は百億ヤール以上の世界の輸入需要がありました。これが第二次大戦後になりますと、六十億ヤールくらいに減っております。しかもその六十億ヤールくらいに減ったところで、日本が世界第一の輸出国であるというような事情がありまして、世界的な輸入需要も、だんだん後進国の綿業その他の発達によって減って参った。また世界の輸入需要に対する充足割合も非常に高まっておりまして、戦後は大体四十七、八億ヤールくらいのところから五十億ヤールくらいのところが世界の輸入需要であります。現在日本の綿業が占めておるのは十二、三億ヤールというのがせいぜいのところであります。それにしても四分の一の需要は日本で満たしておって、まず例年日本が世界第一の輸出国になっております。また内需の面で申しましても、綿業の内需、綿製品の内需というものは、戦後の衣料不星時代はこれは格別でありますが、衣料の需要が一段落した今日では、それほど飛躍的に伸びていかない見込みであります。合成繊維とか、化学繊維とか他のものの方がむしろ伸びていく見込みでございます。輸出の需要の面でも、内需の方でもいわば頭打ちの情勢があって、そう量的に飛躍的にふやして参りにくいという状態が一方にあります。つまり日本の綿業というものが、いわば成長し尽したような形になっておる、量的にこれ以上なかなか発展しにくいという事情が一つございます。それからもう一つは、法制的な点であります。戦前において綿業の歴史と申せば、操短と合併の歴史といってもいいような発展過程でございました。ところがその実操短というものは、今日では独禁法の関係でできない、あるいは自主的ないろいろな措置が独禁法の関係でできない、こういうような事情がありまして、その点について戦前と同じような綿業の自主性というものがなかなか貫きにくいという点もございます。それらの点がございますが、通じて申しまして、日本の輸出の三割七分をささえておる繊維産業、またそのうちの中核をなす綿業、これが今後輸出の正常な発展をはかるためには、過当な競争を排除していくということが、綿業のためにも、もちろん安定操業のためにも必要でありましょうけれども、国の利益になるという点がこの法律のねらいでございます。結局国際収支を改善して、また他国の排撃を受けることなしに日本の輸出を伸ばしていくということのためには、需給の根本的な調整をはかり、そのためにはやはり過剰設備というものを処理し、あるいは新増設というものをやる場合にも、これを秩序立ってやっていかなければならぬ、こういう点にねらいを置いておりまして、むろん綿業が反射的利益をこうむるということを否定するわけでありませんけれども、これはどちらかといえば安定した生産ができ、安定した経営ができるという点の利益でありまして、私どもはこの法律の運用によって綿製品の需給を圧迫させる、そうして不当に高い綿製品を内地に供給し、それによってボロもうけをさせる、そういうような運営をいたす考えは全然ございませんし、またそういう点を疑われると困るので、私どもは操短の撤廃についても、そういう考慮を払ってきたわけであります。
○松尾委員 何かまだちょっとばくとしてよくわからないのです。それでは角度を変えまして今後の日本の繊維産業を将来どんなふうに変えていくかを一口に一つ御説明を願いたいということと、それと同時に、これと付随してお伺いしたいことは、繊維の総合対策の需給の見通しですが、あそこにちょっと出ていたように思うのですけれども、三十五年度のいわゆる綿糸、スフ、毛糸とか、絹、麻、人絹、合成繊維とか、こういったようなものの推定、測定といいますか、こんなような数字が出ていたのですけれども、その中で見てみると、各種とも少しずつ伸びておるわけです。その伸びている中で綿糸だけが伸び方が一番少いのです。綿糸というものは中小企業が担当している部面が非常に大きい。それは資本が少くてもできるし、小さい規模でできるからだと思うのですけれども、それに引きかえて合成繊維なんかは十倍にもふえております。これらのものは相当大きな施設や資金がなくてはできないので綿糸を縮めていく。伸び方が他のものと比較して少いということは、中小企業の圧迫にもなるのではないか、こういうふうにも思われるので、この間の転換の仕方、時期が悪いと、相当大きな中小企業のしわ寄せになるのではないかと思うのですが、この辺のところを一つ将来の繊維産業のあり方と同時に御説明を願います。
○小室政府委員 将来の繊維産業のあり方を見通すことはなかなか困難でございますが、御指摘の経済五カ年計画に合せまして繊維の需給見通しを立てたわけでございまして、この間において天然繊維の伸び方が、合成繊維、化学繊維の伸びよりもはるかに少い、こういう形になっておりますことは、私どもとして産業構造、産業構成も大体こういう形になるのではなかろうかと推定しているということを申し上げていいと思うのであります。ただその間におきまして、天然繊維の使用消費を制限し、あるいは輸入を押えて、そうして値段を高くして、合成繊維、化学繊維を発達させていく、そういうふうな無理な政策をとるつもりは全然ございません。むしろ天然繊維と化学繊維、合成繊維との間の、言葉は少し妙ですが、競争的共存、天然繊維は天然繊維でいいところがあります。また合成繊維は合成繊維、化学繊維は化学繊維で加工その他について工夫をこらして、またコストも下げていく余地が非常に多いのであります。この両者がお互いに競争してコストを下げ合い、合理化をし合って、国民大衆にも安い衣料を供給し、また輸出の面でも綿にだけ頼っておれませんし、化学繊維もスフにだけ頼っておれませんので、さらに新しい繊維をどんどん輸出していく、こういうふうに考えておるのでありますが、一面繊維の需要、ことに内需について考えて参りますと、綿製品というものは一番必需品、つまり下着だとか、衛生的健康的な生活を営むにも必要なものでありますし、また値段からいっても比較的安いものであります。でありますが、ちょうどエンゲル係数という食糧の占める地位のように、綿製品というものは一わたり需要を充足してしまいますと、その量的な伸びというものは、いろいろ工夫して新しい製品が出てまた伸びている面もありますが、概して言うと、これはあまり伸びがないのが各国とも普通であります。やはりだんだん高級な加工を施した複雑な模様を持った他の繊維の方がむしろ伸びるのが例でございまして、そういう需要の趨勢から見ましても、今申したような他の繊維、特に化学繊維系統のものが需要が伸びていくということになると思いまするし、またその点は将来の日本の繊維産業を考え、また輸出産業としての将来性を考えますると、やはり化学繊維、合成繊維というものの育成には相当力を注いでいかなければならない。しかしこれは天然繊維を無理に圧迫し、その値段をつり上げたりしてやるのではなしに、合成繊維自体の産業が発達するということでやっていきたい、そのためにはあるいは金融の問題とかあるいは税制の問題で、新しいまだ確立してない産業を助成するにはやぶさかでございませんが、天然繊維を輸入制限してやるというような極端なやり方はしたくない、こういうふうに考えておるわけであります。
○松尾委員 その転換には圧迫にならないような方途を講じながらやっていく、それはけっこうなんでございます。この法律は繊維だけを取り上げておるようですが、繊維に関連した労働問題とかあるいは関連産業の育成とかいろいろな問題がありますが、国民生活、国民経済全体から見ると、こうしたものは確かに時代とともに必要になってきたような感じを受けるのですが、もう少し安全なものに支度をしながら、むしろこの法律よりも、東南アジアへ企業の進出とか、輸出とかいう市場を見つけた方がいいのではないでしょうか、その点はどうですか。
○小室政府委員 賠償問題の漸次的な解決に伴いまして、ビルマあるいはフィリピン、おそらくまた近い将来にはインドネシアというところにも企業進出の計画を立てている会社もございます。これは現在まではむしろ中南米あたりの方が企業進出の実績がございますが、今の賠償問題等の解決に伴いまして、具体的な計画もすでにございますし、東南アジアに企業的な進出をするということは十分考えられることでございます。またある程度推進していかなければならぬことだと思います。また輸出の面でも従来とも東南アジアが特に綿製品あるいはスフ織物等の重要な市場でございまして、特にインドネシアのごときはそうでありますから、今後ともこの方面に対する輸出は伸ばしていかなければなりません。賠償問題を解決すればおそらくそういうことも相当期待できるであろうと思うのであります。決してその辺をなおざりにするわけではございませんが、これらの地域に対する輸出が相当増加いたしたと仮定いたしましても、今日の綿紡績の設備は過剰であることにおいては変りはないのであります。もっとも過剰設備処理に際しては、短期的な意味の需給の調節との関係をよく考えなければなりませんから、一時的にしても需給が逼迫するような過剰設備の処理は考えておりません。
○松尾委員 よくわかりました。それで先ほどのお話によりますと、価格の上昇ということをそうむやみにやるようなことでなしに、押えていける自信があるようなことをおっしゃったのですけれども、加藤委員のお話を聞きますと、輸出タオルの問題とか、二十九条の二項の発動によって非常な値上りをしたとかいうことを聞かされておりますと、無条件でこれを信ずるわけにいかないと思うのです。これを出すということだけで綿製品なんかは二割ないし三割上ったということも聞かされております。ところがこれに対して小室繊維局長の御答弁には、一時的な理由があったから一時的にそうなったので、秋になれば安定するのだということもおっしゃいますけれども、それは事実ですか。
○小室政府委員 上半期、特に最近一週間前ぐらいにおきます綿糸布の異常な価格の高騰は、主として輸出の一時的な増大あるいはまた十大紡のストライキとか、あるいは各種の思惑、いろいろな特殊事情が重なって生じた原因でありまして、操短撤廃後においては、ほとんど連日値下りしておりまして、今日では一時ほどの異常な高騰ではございません。しかし今日の状態でもかなり高い綿製品が市場に出回っておる事実は一方では否定いたしません。しかしながら今言ったような特殊事情でありますので、夏物のシーズンもある程度過ぎまして、秋口になりますと、これは今後の輸出事情にもよることでございますが、最近の輸出契約等の状況を見ますと、一、二月、三月ごろのような水準でもございませんし、また特に大きな需要がその辺から生ずるという見通しは今のところございませんので、内需及び輸出の需要を満たして余りのある状態がまず秋口からくるのではなかろうかと想像しております。
○松尾委員 価格の点はそういうような方法で心配ないとおっしゃいますけれども、消費者の立場からここで一つ意見を述べたいのです。価格の点はそういうふうにあまり差しつかえないといいましても、現実にその品物なんです。たとえば二丈九尺あると思って買ったものが二丈六尺しかない、幅が非常に狭く、少し太った人なんかは使いものにならない。あるいは広げてみると柄が相当むらになっているとか、あるいはしみがついているとかいうことをしばしば買う方の側から見るとあるわけです。こういう点は輸出の場合には相当きびしい検査をやっているらしいですけれども、内需の場合にも検査をやったりあらゆる方面から消費者の立場を守りながら――この法律によりますと生産制限をやりませんから、この面からも生産を押えるということはいかないでしょうか。この点を一つ。
○小室政府委員 消費者の手に渡ります最終製品はおおむね布の形、織物の形であろうかと思うのであります。織物の関係は大部分が中小企業で生産しておる関係もありまして、必要があれば中小企業安定法によりまして検査を自主的にいたすこともできますし、またこれに対して強制検査というか、二十九条を発動してアウトサイダーといえどもこの検査に服するようにいたすことも可能であります。私どもはこの内需用の最終製品についても、品質表示法等によってできるだけ品質を明確に表示させて消費者に御迷惑がかからぬような方法でいきたいというので表示法もお願いしたわけでありますが、内地ものも輸出ものと同じように検査して参ることは必要性から申しますとぜひ必要であると考えますし、また織機の過剰設備の処理等に関係しまして、その面からも生産数量等をチェックして参る必要があるいは起るかと思いますので、この点については積極的に考慮したいと考えております。
○松尾委員 価格の問題と密接な関係があります外貨割当ですが、本法が通りまして登録制度が実施された暁にも、御発表になりましたいわゆる外貨割当は今年度変更するようなことがございますか。
○小室政府委員 外貨割当はある一面では輸出にリンクされて、他面では設備に対して割り当てておるのでありますが、過剰設備を抱えておる、たとえば綿紡績業のごときもの、あるいは毛紡績もやや似たような状態でありますが、これが不必要なかけ込みの増設をするようなことはできるだけ押えて参りたいということで、従来あった設備に対して設備割当をいたし、新しいかけ込みの設備に対しては設備割当はいたさないということを前から申してきておりまして、その点については私どもただいまのところ変える意思はございません。
○松尾委員 新設にはあまりめんどうを見ないということになったり、あるいは新増設の制限をやって、すでに登録しておる人たちを守っていくと新しい人たちを非常に圧迫するので、この点などもよく通産省がお取り計らいになってやるようにお願いをいたします。同時に過剰設備の整理のために共同行為を実施すると書いてありますけれども、この共同行為の実施を指示する内容について少し御説明を願えればけっこうです。
○小室政府委員 審議会でよく検討し、さらに個別的に業界の事情などもよく調べました上で過剰設備処理の大綱を指示するわけでございますが、これは結局どれだけの紡績の錘数が過剰であるかということをまず判定いたしまして、またこれを一時的な措置として封緘する、あるいは格納する――格納するというのは設備を取りはずして一応物置に入れておくというような意味でございます。あるいは綿紡からスフ綿紡に転換する、あるいは最終的に長期的に古いものからスクラップ化するというこの区分を大体示しまして、さらにまたごく小規模の業者が、織屋の場合なんかそうでございますけれども、三台持ち、五台持ちの業者がしいて織機を供出しなくても済むような、若干社会政策的な考慮等も払いまして、そういう基準をすべて大綱においては指示の中に織り込んで結論において申せば、一人一人の企業者が自分のところではどれだけのものを過剰設備として処理したらいいかということが、その指示を見ればわかるような程度にいたしたい。通産省の指示は通産省の告示という形でいたすつもりでおります。
○松尾委員 そのような結果、各業者が設備を売却していったりすることになるのだろうと思うのでありますけれども、その買い上げ機関を特に設けまして、おのおの分担金の徴収の方法とか、そういう率をきめておく必要はないのかどうか、その点を一つ……。
○小室政府委員 ただいまこういう買い上げの事務などで一番複雑であり、運用がむずかしいと思われるのは、やはり業者の数の多い織布部門であると思うのでありますが、これはただいま綿、スフにつきましても、絹、人絹につきましても、当面織機の買い上げを必要とすると思われるものについては、調整組合及びこの連合会がございますので、ここにおいて買い上げの仕事を処理させるつもりでおります。また負担金につきましては、負担金の額等はこれは指示の中に示すことになるとか思いまするが、とり方はいろいろ研究しておりまするけれども、一番理想的なとり方は、輸出ものも、内地ものも検査することによりまして、
  〔委員長退席、小平(久)委員長代理着席〕
検査数量に応じてその際にとるということが一番とりやすい形であるということでありますが、これはまだ最終的に結論が出ているわけでなく、ただいま検討中でございます。
○松尾委員 労働問題については、わが党の田中さんがおやりになるそうですから、私もやろうと思っておったのですが、これは省きます。
 このごろちょっと聞いたところでは、東洋紡が、かえズボンを相当作って、自分のところのトレードマークをつけて売り出しているそうですが、そういうことをどんどんやられますと、加工業者も、もっと小さいいろいろな機屋さんも、相当つぶれていってしまって因るのじゃないかと思いますが、こうしてくると、だんだんそういう傾向が見えてくるというのですから、そのような場合の起きたときに、通産省としてはどういう指示をするのか。あるいはまたそれがだんだん高じてきて、大企業がそのようなことをしていったときに、いわゆる何といいますか、大企業に生産が集中いたしまして、卸売価格なんかの価格協定ですか、こんなものを協定してしまったときには、一切の日本の繊維産業が大企業中心になって、中小は要らなくなってしまうような格好になるのですが、私たち消費者の面では、大へんそれをおそれているわけです。高いものでも、その協定価格があると買わざるを得なくなるというような格好で、なかなか消費者の面でもこの点が心配になりまするので、さっきのいわゆる一貫作業的なそういう大企業のやっている行為と、価格のいわゆる協定というようなものに対する不安を、一つこれを説明していただきたいと思います。
○小室政府委員 わが国の繊維産業では、中小企業は非常に多いのでありまして、特に織布部門、あるいはタオルも織布でありますが、タオルとか、あるいはメリヤス、あるいは既製服部門、これは中小企業がはなはだ多いのであります。しかもこの部門におきまして、相当大紡績等を中心にした系列化が進んでおるということも事実でございます。また最近ダイヤ・スラックスと称する東洋紡のかえズボンが問題になったことも事実でございます。私どもこれを法的、行政的にいかぬというふうに言うことも困難でありまするが、しかしながらこの中小企業の非常に多い部門におきまして、独立自営の専業者が多数存在するということが、やはり健全な産業の発達に寄与するという点は、私ども認めざるを得ないのでありまして、これはどちらかというと、大紡績等の自省自粛に待つ点が多いのでありますが、現在ワイシャツ等は各紡績競ってやっておりまして、ワイシャツはいいが、かえズボンはいかぬという理屈もなかなか立ちにくいのでありますが、しかし同時に大会社にすべての中小企業の多い部門が集中していく、系列化が極度に進んでいくということは、やはり国民の常識的な見地、あるいは社会政策的な見地、あるいは国民心理の面からいっても、あまり好ましくないという考えは持っております。
 またもう一つの価格協定でありますが、これは紡績会社等が、もし糸の価値について価格協定をする、あるいは布の売値について価格協定をする、これは独禁法違反でございますから、そういうことは私どもは承認できないと思います。また現実の問題といたしましても、そういうことは私はないと思います。もっとも大体の相場というものは、これは三品の市場もありますし、問屋の仲値というものもありますから、おのずからそれを中心に動いておりますけれども、ワイシャツ等の値を見ても、各社それぞればらばらに値段を出しておりまして、価格協定が行われておるということは、私ども考えておりません。
○松尾委員 私が質問の冒頭にお話ししましたように、糸がこんがらかったようにさっぱりわからない。私の質問も非常に散漫なんですけれども、一つこの法律を出して、ただ繊維産業の大きい方だけが救われて、中小企業がぶっつぶれてしまうことがないように、同時に消費者の立場を守りながら、うまいところ折れ合っていきたいというように考えているわけです。あとは田中さんがやるでしょうから、私はやめます。
○小平(久)委員長代理 田中武夫君。
○田中(武)委員 先日質問いたしました際に、労働省の関係の方がお見えでなかったので保留いたしておりました点を、本日は労働省の失業対策部長が見えておりますので、失業対策部長に若干の質問をいたしたい、このように考えます。失業対策部長にお伺いするのですが、あなたはこの法律が出されているということ及びこの法律の内容については、御承知でしょう。
○渋谷説明員 承知いたしております。
○田中(武)委員 この法律を通産省の繊維局が中心で作成せられるときに当って、前もって労働省等についてもあらかじめ御相談なり打ち合せ等があったのでありますか、それともそういうことはなかったでしょうか。
○渋谷説明員 通産省とは、当然これは雇用問題にも影響を及ぼして参りますので、相談をいたしております。
○田中(武)委員 それではお伺いいたしますが、今まで労働組合といいますか、労働者にありましては、生産性の向上あるいは企業の合理化、こういう名のもとに多量の首切りがあり、職場を追われております。従いまして労働者の立場からいえば、生産性の向上とか合理化、こういうことは直ちに首切りを連想するのであります。また実際この法律を見てみました場合におきましても、この法律の中心は設備の制限であります。従いましてこの法律が実施せられた場合に、紡機の製作にかかっているところの産業が、この法律のために必要がなくなる、あるいは大きく減るというようなことから、相当大きな打撃を受け、そのしわが紡機製作の工場に働いている労働者、あるいはその下請関係に働いている労働者に寄せられる、こういうことが考えられるわけです。紡機製作の関係の工場及びその下請関係に働いているところの労働者は、約二十万ともいわれており、その家族を含むならば八十万にも近くなるわけですが、この法律実施において相当な労働問題が起ると思いますが、このことについて労働省としては、ことに失業対策部長の立場から、どのような対策を考えておられるか。また本年度の失業対策の計画に当って、こういう法律を実施せられて出てくるような失業者等も考慮の上でお立てになっておるのか、本年度の失業対策の計画とあわせて御説明願いたいと思います。
○渋谷説明員 最初に失業対策全体の立て方について申し上げますると、御承知のように昨年度の失業対策事業費におきましては、一日の吸収人員を二十二万人として計上されておったのでございますが、本年度におきましては石炭の関係とかあるいは駐留軍、国連軍といったようなファクターも考慮に入れまして、三万人の吸収人員の増加を見込みまして二十五万人という予算で運営いたしておる次第でございます。
 それからただいま問題になっております繊維機械の製造の関係でございますが、労働省といたしましては、もちろん現在の日本の雇用、失業情勢というものは、決して楽観を許さない情勢でございますので、でき得る限り失業者の発生は防止して参りたいという考えに立っておるのは当然でございます。しかしながらこの紡績の関係あるいは繊維全体の関係から、どうしてもこういう措置が必要だということでございますので、この法律が実施されました結果といたしまして、繊維機械の製造業の関係に、雇用面におきましても、ある程度の影響が起きてくるのではないかということも実は憂慮いたしておる次第でございます。労働省といたしましては、でき得る限り先般通産省の省議で決定いたされましたような設備の更進を促進するとか、輸出を促進するといったような対策を適切に実施していただいて、そういった製造業の方に対するしわ寄せをできるだけ少くするように努力していただきたいということを期待しているわけでございます。その結果どの程度失業者が発生するかということにつきましては、この法律が実施されない現在におきまして正確な見通しはもちろん困難でございますけれども、当然これは大部分の方が、失業いたしますれば失業保険を受けるわけでございますので、全国の職業安定所を活用いたしまして、民間その他の関係に強力な職業紹介をやって参りたいというふうに考えているわけでございます。
  〔小平(久)委員長代理退席、委員長着席〕
○田中(武)委員 ただいま局長が言われたように、昨年よりか三万人ということになるのですが、石炭関係は昨年の国会で通りました石炭合理化の法律によって相当の失業者ができることは明らかです。また駐留軍関係が多く失業をする、これもおっしゃった通りであります。それに地方自治団体の再建整備関係で相当な首切りがあるだろうと思います。そのような中にあって、そうでなくても日本で今一番大事なのは失業対策といわれておる。そこで三万人程度で、この法律が実施せられたときに、紡機メーカー関係の労働者が職場を離れていくのを見ました場合に、とうていこのワクでは入り切れないと思います。また今失業保険とおっしゃいましたが、失業保険は一つの限度がありまして、条件によって六カ月とか五カ月とかになっておりますが、これはほんの当座だということで、この法律が通りました場合に、かりに失業が起って六カ月なり七カ月なりを失業保険をもらっておったとしても、このわずかな期間で再びもとの需要があるような状態には立ち至らないと思うわけです。今局長は、通産省の方で、この法律実施の結果が紡機製作メーカーの方に大きくしわ寄せにならないように考えていただいてというような希望を述べられましたが、実のところ先日私通産省関係にもいろいろ質問いたしましたが、これという大きな期待を持てるような対策はないようでございます。ただ二十九条の場合に伺ったように、対策を強化していきたいというような答弁があったわけです。二十九条の実施の場合に相当の失業者ができたということは事実であって、なおこの法律によってこれをやるということになれば、多くの新失業者が出るということをわれわれは推測している。従いましてこれらの関係の労働組合なり労働者は、あげてこの法律に大きな関心を持っている。われわれがこの法律案審議に当って一番大きく考えるのもこの点でございます。従いまして通産省側と労働省側とにおいて、この実施において出てくるであろうと予想される失業者を把握していただいて、それに対する対策を十分立てていただかなければならないと考えます。そこで通産省側に伺いますが、今労働省の失業対策部長は、できるだけしわ寄せが紡機製作メーカーの方に及ばないようにしていただいてということをおっしゃいました。先日も重工業局長から伺いましたが、十分な確信がある答弁を承われなかったように思いますので、もう一度ここで今失業対策部長も言われたが、失業者が出ないような確信があるかどうかということについて伺います。
○鈴木(義)政府委員 本法の施行に伴う紡織機メーカーの対策につきましては、先般来御説明申し上げていることを繰り返して恐縮でございますが、われわれといたしましては、繊維産業の設備の更新を強く促進して、それによって内需をできるだけ維持し、同時に輸出を大いに促進してできるだけ需要を確保するというようなことで生産の維持をはかりたい、こういうことについて努力いたしたいと考えているわけであります。そこで目下のところ内需関係がどんな需要があるかということを調査しております。輸出につきましては、先般説明申しました通り、輸出目標が昨年より相当ふえて参ります。ことに紡機、織機についてはふえております。これに対しまして市場開拓なり、アフター・サービスということに補助してやっていくということであります。さような次第でありまして、通産省といたしましては、何としても繊維機械関係の生産を維持するよう内需、輸出面にわたりましてできるだけの努力をしたい、こういうことで進んでいきたいと思います。
○田中(武)委員 先日私が伺ったと同じような御答弁をいただいたのです。結局議論は堂々めぐりになるだろうと思いますが、局長がおっしゃったようなことでは、十分に失業者が出ないということの保障にはならないと思います。そこで繊維局長は、繊維関係の産業の合理化のためにこの法律を作って、他の産業に影響を及ぼすということについてどの程度考えられたかということを伺います。今重工業局長のお話あるいは労働省の失業対策部長の答弁を伺いました場合に、これによって行われるところの結果起るであろうと予想される失業問題について十分なる確信がないように思いますが、あなたはどういうふうに思いますか。
○小室政府委員 一般の機械工業はそういう状況がありますが、繊維機械工業につきましても、景気の上り下りで発注量が上下いたすわけであります。これは過去の実績をごらんになればわかります。ところで最近繊維機械の設備の発注が非常に多いのは、この法律が実施されまして制限されるということを見越してのかけ込みの増設が多いということは事実でありますが、これが一段落いたしますと谷ができはしないかということが一番機械工業の方は心配であるということもわかっておりますが、私どもが新増設をまずはっきり押えたいと考えているのは、ただいまのところ紡績設備では綿紡だけであります。スフ紡とかその他の紡績設備については、この法律実施の際に新増設がどれだけ行われたかということの状況にもよりますけれども、需給状況を見まして、あまり無理な押え方をする考えは今のところは持っておりませんが、それらの点を勘案いたしますと私はこの法律の実施直後に過去の景気の変動の場合等と異なって、特に非常な不利な状態が起るというふうには私ども考えておりませんし、また更新等についてはこの機械業界のいわば谷の時期にこれをできるだけ集中させるということも配慮いたして参りたいと思いますし、また全体として申しますと、発注者であるところの繊維工業の方が安定して、ある適正な利潤を上げている状態でないと、実はふところ工合からいって発注がやはりないわけでございまして、長期的な安定策ということから言えば、むしろ紡織機の工業の方から繊維工業の方についてこういう対策を講じてもらいたいというような御希望があるくらいの方がむしろ筋ではねいかと思うわけであります。両者の共存共栄ということから長い目で見ればこれでよろしい、ただ一時的な谷があるということは、私どもわからぬわけではないのでありますが、その点につきましてはできるだけ配慮を加えていきたい、こう考えております。
○田中(武)委員 今の御答弁によりましても、一時的に谷が起るということは認められる、こういうことなんですね。一時的な問題なんですよ。将来はもちろん問題ですけれども、人間はやはり飯を食わなければならない、生活をしていくのです。ある期間の間、カエルとかヘビのように冬眠しておられるならば、一時忍んでもいいということになるんですが、生活していく以上はそうはいかねい。そこに失業対策の問題が起きるわけなんです。ところが一時的な谷が起るであろうと予想しておられるのに対して、それに対する失業の問題が十分に講じられていないというところに問題があるのです。その一時的な問題についてどのような考えておられますか。
○小室政府委員 先ほど来申しましたように、一時的な谷あるいは山ということは、機械工業にはある程度過去においてもあったことでございますが、特にこの異常な見越しの新増設が行われたあとにおきましては、かりにこの法律が通らないといたしましても、谷はかえってあるいは深くなるかもしれません。むしろある見越しのもとに新増設を計画したものが、そういう法律が通らなければこの際やめてしまおう、こういうことが起りかねない。こういう裏のことを申しますのははなはだ何でありますけれども、私どもはできるだけこの実施直後において綿紡績業界の協力を得、あるいは他の業界の協力を得て、できるだけそういう配慮を加えたいということははっきり申し上げます。一時的にしても繊維産業のために他の産業に影響を及ぼすということは、私どもは決して所管でないからどうこうという考えはありませんから、積極的に御協力申し上げるつもりでおりますけれども、しかしながらこの業界には過去においても相当上り下りがあるのでありまして、一時的な異常な需要が起ったあとでありますから、ある程度避けられないということはどうしても考えざるを得ない、こういうことであります。
○田中(武)委員 この法律を作らなくても谷はやはりあり、あるいは深まるかもしれない、こういうようにおっしゃるわけです。そこでこういう法律を作って救うというならわかるのですが、こういう法律を作ってみてもやはり谷はあるわけです。谷ができるからやむを得ない、この谷をそのままに置いておくんだ、こういうことであるならば、どこに行政があり政治があるかと言いたいわけです。そういうことが起っておることにどう善処していくかということが行政じゃないかと思うのです。その措置としてこれが適切であるかどうか、これは繊維の方にとってある程度――十大紡と存じますが、有効になるかもしれない。その他のものについてはそういう谷をますます深くするのではないか、そういうふうにしか考えられないわけです。そこできょうは大臣がお見えになっておらないので、次官にお伺いいたします。先日私は御質問の際申し上げたのですが、他の産業の犠牲の上に一つの産業の健全化をはかっていくことが望ましいかどうか、同じ兄弟であって、売春法が先日衆議院を通過いたしましたが、妹を売春婦に売って兄貴を大学へやるというようなことが、果して現在の政治から言っていいのか、その点について通産省としては全般的な産業計画をどのように考えておられるか、お伺いいたします。
○川野政府委員 繊維工業と繊維関係の機械工業とは唇歯輔車の関係にございまして、繊維工業が健全なる発達をすることは、ひいて繊維関係の機械工業の健全なる発達になろうか、かように考える次第であります。従いましてその根本でございます繊維工業の健全なる発達といった点は、過剰設備をある程度整理することの必要を痛感いたしまして、今回この法律案を出した、こういうことになるわけであります。しかしその結果一時的にせよ繊維機械工業関係にある程度の谷が生ずる、こういうような点から、先ほど来申し上げましたように、通産省としましては機械設備の更新あるいは市場の拡大促進、こういう点に力をいたしまして、そうして機械工業の打撃を最小限度に食いとめる、かように考えて施策を練っている次第でございます。
○田中(武)委員 ただいまの次官のお答えによりましても、先ほど繊維局長の言われたように、この法律実施によって機械メーカーの方に一時的な打撃がある、こういうことはお認めのようであります。それで将来その機械の更新とか等々でと、こう抽象的に言われているのですが、一つの法律を作る場合に、他に穴があくということがあらかじめわかっているならば、なぜその穴に対して穴埋めの措置を同時にお考えになって提案されなかったか、その点をお伺いいたします。
○川野政府委員 実は本法案提案と同時に、先ほど来御説明申しましたように、事務次官を中心といたしました設備の更新の促進の協議会を設けまして、そうしてその対策を練っている。さらに先般来御説明申し上げましたように、二千万円の予算も計上いたしまして、そうしてあらゆる面から市場の拡大をやっている。かような次第でございまして、決して放任いたしているようなことはないのでありますから、その点御了承をお願いしておきたいと思います。
○田中(武)委員 ただいまの次官の御答弁は、先日重工業局長からも同じような答弁がありました。事務次官を中心として機械更新のための協議会を作って、そこで相談をしてということは先日も承わりました。その際私は申し上げたのですが、これは現在ではこの目的を達して解散いたしておりますが、昨年繊維の総合対策審議会というものを作って、そこに関係者が入ってその答申に基いてこの法律を作成せられた、このように強い協議会を一方に持たれたので、この機械更新の打ち合せ協議会といいますか、これにもそのような性格を持たしてはどうか、そういう気持はないかということを私は先日承わったのですが、それについては明確な御答弁を聞いておりません。しかも私の申し上げているのは、繊維について総合対策でその関係者を入れた。そのときになぜ紡績機械関係の業者あるいは経営者あるいはそれの労働者の代表を入れなかったのか、こういうことをお伺いいたしました。そして繊維の総合対策審議会と同じような性格であり、それがきめたことは法律化してやるのだというような、強い性格を持つ紡機メーカーの協議会を作るというような気持はないか、この点についてお伺いいたします。
○鈴木(義)政府委員 ただいまの紡機メーカーの協議会を作る意図はないかというお話でありますが、今紡機メーカーなり織機メーカーの当面しております問題は、やはり需要の獲得、需要の確保ということでございます。従いまして紡機メーカーだけで協議会を作りましても十分な目的を達しないわけでありまして、先ほど申し上げております紡織機更新促進打合会は、繊維産業の代表者と紡織機メーカーの代表、それに通産省の両関係局が入りまして、それで促進を大いにやっていこう、それに必要な対策を研究し、講じていきたい、こういうことであります。輸出の面は、別途にわれわれの方が紡機メーカーの団体とよく相談しまして輸出を大いに促進する、こういうことでございます。
○田中(武)委員 ただいまの重工業局長の御答弁は先日も承わってわかっておるのです。しかしその御答弁によると、やはり同じ日本の産業であり、関連産業であるから、一方が繁栄しなければ一方も繁栄しないという因果関係は持つわけでありますが、繊維の方がどうも大きく見られて、それに関連を持つ繊維機械のメーカーの方はまま子扱いにされているような感じを受けるのです。
 ちょうど大臣がお見えになりましたので、先ほど私が質問しかけたことを繰り返して一つ大臣から御答弁を願いたいのですが、免ほど私、次官にこういう表現をもってお尋ねしたわけなんです。日本の同じ産業である、いわば同じ兄弟である繊維機械のメーカーの産業をどうもまま子扱いにしておられるように考える。ことにこの法律によって繊維の一部と申しますか、十大紡あたりは相当の利益を受けるのじゃないかと思いますが、その他においてはわれわれは疑問を持っております。一つの産業の合理化、繁栄のために法律を作る、そうしてその法律の実施によってこれに関連する産業が――一時的であると当局は言われておるが、かりに一時的であるにしても、大きな打撃があるということがわかっておりながら、一方の対策も十分立てずにこういうことをやるということは、ちょうど兄弟の一人を犠牲にして、妹を売春婦に売って兄貴を大学にやるといったようなものにも考えられるわけです。その本山としての石橋大臣は、通産大臣として全体の産業計画の上から見てそういう措置が望ましいとお考えになっておるのか。多分望ましいとお考えになったからこの法律をお出しになったのだと思いますが、なぜそれならばそういう打撃が明らかにあるということがわかっておるところの繊維の機械メーカーの措置もあわせて提案にならなかったのか、お伺いいたします。
○石橋国務大臣 私どもは、機械メーカーにしても何にしても、あるものを犠牲にして他のものを救おうというような考えは持っておりません。繊維産業について今度こういう立法をしたいというのは、結局繊維産業そのものの直接の目標はありますが、やはり関連産業というものも、少し長い目で見ればこれで生きるものと思います。繊維産業ががたがたしておって、その機械メーカーだけが繁栄するという理屈はないのですから、やはり繊維産業そのものが確立しなければ結局機械メーカーだってだめなんです。今のところさしずめは何か特殊の事情で機械メーカーが非常に景気がいい、そのいい景気をいつまでも続けろ、これはなかなか今の状況を続けることはむずかしいかもしれません。しかし繊維産業そのものが確立することは、やがて機械メーカーが現実的な形で繁栄するもの、こう私は思っております。機械そのものにつきましては、別に今回の国会にやはり合理化等についての案を出しておるわけであります。繊維機械だけの立法をするという必要は私は今ないだろう、こう思っております。
○田中(武)委員 今おっしゃいました機械工業振興臨時措置法案が提出になっておることは承知しております。しかしそれは目的が違うのです。別な目的なんです。私の申し上げておるのは、この法律実施によって当面打撃があることがはっきりしておるところの紡績機械メーカーに対する措置をどうお考えになっておるか。それを考えずにこの法律をお出しになることは、同じ兄弟の一方を犠牲にして一方を大学にやるといったようなものと一緒である。それは兄貴が大学を卒業して、いいところへ就職でもして一家が繁栄すれば、そのときは妹もよくなるだろう、こういうことかもしれません。先ほども同じような言葉を私は使ったのですが、人間は毎日食べなければ生きていられない。ヘビかカエルのように、都合の悪いときには三月なり半年なり冬眠をしておればいいというようなものならば、時期来たるのを待つという手もある。ところがこの法律によってある期間――これは一年か二年であろうかもしれませんが、大きな打撃がある。あるいは受注は皆無とも考えられるような状態にあるこの産業に対して、どのような措置をお考えになっておるのか、その措置も考えずにこの法律をお出しになったということは、やはりまま子扱いじゃないか、こういうような感じを深く持つわけです。
○石橋国務大臣 繊維機械についてはずいぶん今までやっておりまして、この法案によってなるほどある部分においては打撃もありましょう。これは整理する場合にはどうしても全部無痛で出産するというわけにはいきません。やはりお産するときにはどこかに痛みがあるということは覚悟しなければなりませんが、その痛みをなるべく少くするということはむろん最初から考えております。ですから機械の入れかえとか何かについては、十分機械メーカーの仕事があるように指導をしたい、かように考えております。今までも繊維機械については御承知のように相当補助金等も出しまして、それで機械を入れかえ、新しくするというようなことで、機械メーカーにはある程度援助がいっておると思う。ことに繊維機械が一番多いのであります。田中(武)委員お産という言葉が出たのでその例をとって申し上げましょう。お産にはある程度の苦痛が伴うものである。ところがこのごろでは無痛何とかいうものもできておるわけです。なるべく苦痛のないようにやっていくのが政治じゃないでしょうか。ことに名ある通産大臣が、そのような苦痛が伴うことは当然だから、しばらくはがまんをしろということならば、先日加藤委員も例に引かれましたが、どなたかのように、中小企業の二つや三つぶっ倒れても、首をつってもやむを得ないんだと言った大臣があったと同じようになるじゃないでしょうか、いかがでしょうか。
○石橋国務大臣 ぶっ倒れていいなんということはだれも言ったことはありませんし、また無痛出産といったって、お産するのに全然何もないということもありますまい。ですからできるだけ無痛にするということでありますから、そういうことはむろん考慮していきます。
○加藤(清)委員 関連して、大臣のいらっしゃるのを今やおそしと待ちかまえておりましたが、本法案はもう時期がきまっております。しかしその間に大臣に出ていただいて、はっきりとした御答弁をいただかないと、この法案はスムーズに通りません。こういう状況になっておりますから、せいぜい御多忙でございましょうが出ていただきたい。
 その理由について今関連して申し上げますが、大臣は大へん誤解をしていらっしゃるようでございます。繊維の生産部門を助けるために行うことが機械産業に悪影響を及ぼした場合においては、過去においてもそれぞれの手当をした、こうおっしゃいましたが、何をやっていただけたか、はっきりここで出してもらいたい。かって二十九条が行われました折にとられました対策というものは、これは救うがために施策を行なった。よりよくせんがために施策を行なって、機場や紡績に対して追い打ちをかけて、これに融資とかあるいは減税とかいう措置はとられましたが、機械に対しては何ら施策が行われていないというのが実績でございます。それに対してやったとおっしゃるならば、一体どういういいことをやっていただけたか。もしやったとおっしゃるならば、二十九年の生産が、三十年になって五二%に落ちるはずはございません。それがあるならば、重工業局長はとっくの昔にここに出してもらわなければならぬはずだ。何べんも要求しているが、出ておらぬじゃないか、それが第一点。
 第二点は、先になったらよくしてやるという話だ。ありがたいお言葉だ。先になったらどういうふうにありがたい救いの道があるか、それをはっきりと出してもらいたい。ところが、それもさることながら、二十九条ですでに体験しておる通り、タオルの二十九条でも綿機の二十九条でも同じことでございますが、これが行われた直後が問題なんです。きのうもそれを言うた。それを政府側が誤解している。実態を知らざるもはなはだしいものなんです。というのは、行われた直後二カ月、三カ月の間に仕事がなくなった。おかげで下請は倒産続出なんです。組み立ての親工場も三分の一は首切りが行われたのですよ。半年、一年が持ち切れないんだ。二年先、三年先になってからいい芽が出ると言うたって、そのときに倒れてしまったものをどうしてくれる。今同僚議員の言うた通り、妹を売春婦に売ってしまったものを、処女にして返すことができますか、これと同じなんですよ。ここが問題なんですよ。この三カ月、五カ月後に来るところの注文なしの旋風にあって、倒産続出、首切り続出、そのおかげでついに学校の子供までが――ほんとうに私は実際に行って知っているけれども、食うものがなくなって、学校に行くのをやめてワラビ取りに行ったのですよ。それだけの蓄積が労働者にあるとお考えですか。中小企業は、手形が一カ月延びただけで、銀行からびしゃっとやられるということは、あなたが一番よく御存じでしょう。だからそこの施策が行われないことには私らは納得できぬと言うのです。何べんでも同じ堂々めぐりをやってもらっておっちゃ困る。きのうも、おとといも、その前も同じ答弁だ。それなら進歩がないじゃないか、やる気がないという証拠だ。そんなことで通していくと言ったら、遺憾ながら、口では言わぬけれども、六百にも余る下請企業は死んでもよろしいということと同じ結果になる。
○石橋国務大臣 繊維産業そのものの整備をともかくしなければならぬということは、どうしても日本の産業の上から見て、これは一種の至上命令的に必要になってきているのです。そこでそれをやる場合に、なるほどいろいろの故障もございます。これはできるだけ故障のないようにすることが、むろん政治の任務でございますから、われわれとしては最善の努力をいたします。(「具体的には」と呼ぶ者あり)それは前から申し上げますように、これはもうほかに方法がないのですよ。機械の設備の更新とかなんとかいうものを促進する、そうしてできるだけ機械の需要をふやすということ以外に実は道がないと私は思うのですよ。それから今までは何をやっているか、今までは繊維産業の法案はないのでありますから、これについて何もやっておりません。しかしながら今まで御承知のように各種の繊維機械の更新というものはずいぶん行われておる。ですから、これは機械全体の更新ということで、御承知のように、補助金の名前で金を出して――実際は返してもらうのでありますけれども、府県と国と両方から金を出してやっていることは御承知の通りであります。その中の大部分は繊維機械に投入されておるのでありますから、繊維機械に対しては政府として相当のものが出ているということは事実であります。
○加藤(清)委員 これでしまいにします。大臣のおっしゃることはうそではございません。なるほど補助金は出ております。それがほとんど流れておるとおっしゃいました。それも事実でございます。しかしそれは、量からいけば、まるで二階から目薬よりももっと少い。そこが問題なんです。このことはすでに御存知のはずなんです。一回ならず二回ならず三回も過去に苦い体験を経てきている。従ってこの業界に携わる方々が死ぬか生きるかの問題であり、それから生ずる社会問題であるとして、あなたの党の市長までが反対している。そうでしょう。そこでいいかげんにこれに対して対策が生まれてしかるべきでございまするが、その施策が手にないとおっしゃるならば、まことに、おそれ多い話でございまするが、私の方には策なきにしもあらずでございます。従ってその策を出しまするから、それを大臣はまるのみにしていただけますか、いただけませんか。
○石橋国務大臣 まるのみにするお約束はできません。けれども、十分参考にして、善処いたします。
○田中(武)委員 先ほど重工業局長から御答弁いただいたんですが、大臣に一度考えてもらいたいと思う。それはこの法律実施によって繊維機械メーカーが、一時的ではあろうが、大きな打撃を受けるということは大臣もお認めになると思うのです。そこでこの対策として、重工業局長の話では、事務次官を中心としての繊維機械更新協議会ですか、打合会ですか、こういうものを作ってやるということなんです。私申し上げているのは、昨年この法案を作る基礎であるところの繊維総合対策審議会というものを作られて、そこで答申をした。その答申が基礎となってこの法案ができた。これと同じような強い性格を持つ委員会といいますか、協議会といったようなものを、紡機関係の経営者あるいは下請の業者、あるいはその労働者の代表等で構成されて、そこで紡機メーカーの今後成り立つようないろいろな施策について協議をする、そうして答申をされる。それに基いて法律を作り、保護政策をとるというようなことをやってもらえるかどうか、こういうことなんです。それに対して重工業局長は、そのような強い性格を持つ強い協議会なり委員会を作って、直ちにそれを法制化するお気持はないかどうかということをお伺いいたします。
○石橋国務大臣 私は、この対策としては、重工業局長からお答えしたやり方で行けると思っております。それから機械全般については現にいろいろな施策をしようとしておりますが、これは必要に応じて審議会でも何でも作ってやりたいと思いますが、紡機とかあるいは織機だけについて特にこの法案に結びつけて審議会を作り、これを法制化するという必要があるかどうか、これはなお検討いたしましょうが、今御質問を受けたすぐの感じでは、その必要はないのじゃないか、そこまで行かぬでもよろしいではないか、むしろ機械は機械全体として強化をする方策を講ずる方がいいのじゃないか、かように考えております。
○田中(武)委員 今国会でも機械工業振興臨時措置法案というのが提出になっております。機械全般としてそのようなことをなされるということは、これは当りまえなことです。けっこうなことです。これは普通の通産省としての行政だと思う。今私の申し上げているのは、この法律によって直接影響を受ける、直接打撃を打ける、こういうことがはっきりわかっており、当局もお認めになっておるこの法案の審議に当ってお伺いしておるので、一般的な問題でなく、この法律実施によって影響を受けるところにどのような施策を持つか、そのようなことを一緒になぜ提案せられなかったのか、また今申し上げておるような協議会なり打合会なりを強化して、そこでいろいろと検討した、あるいは答申し、陳情したことを直ちに法制化し、これに対する措置をとるということがはっきり約束せられない限りわれわれはどうも心配で、かなわぬ、こういうことなんです。いかがでしょう。
○石橋国務大臣 今後この法案に基く審議会等が構成される場合には、機械のことも考え、なおその中のメンバーとか何かを入れることもなし得るところがありますから、これは検討いたします。しかしこの法案に基いて別個に繊維機械だけの委員会を作るとか、繊維機械だけの立法をするということは今の段階では考えておりませんが、これは必要があればむろんやりますから、なお一つ検討いたしましょう。今は考えておりません。
○田中(武)委員 これはもう何回も言ったことですが、昨年できた繊維産業総合対策審議会は紡機関係の業者なりあるいはそれの労働者を代表する者が初めから入れられていなかった。それは今になって紡機メーカーのことも考えていないわけではなかった、こういうように言われているが、それを入れていないということ自体がやはり忘れられておったと思うのです。この法律に基いて四章ですか、以下の規定によってできる審議会にこういう関係の業者あるいは労働者の代表を入れてもらうということは当然だと思うのです。私はそれではなく、まま子扱いにしていないのだ、こうおっしゃるから、それなら一方でおとりになったと同じような措置を一方でなぜおとりになれないか、こう申し上げておるわけです。重ねてお伺いいたします。
○石橋国務大臣 同じことをお答えするほかにないのです。これは今までのことはとにかくとしまして、今からこの法案と対照するような繊維機械だけの法案を今出すという考えは持っておりません。これは将来の問題としてなお検討すべき時期があるかもしれませんが、今はそういう考えを持っておりません。
○田中(武)委員 重ねての御答弁でも同じことでありました。従って私も重ねて申し上げます。いかに大臣がおっしゃろうとも、腹の中ではやはり産業の構造の中において、一つ産業と他の関連産業はまま子扱いにしておるということを私は重ねて申し上げて、これはこの程度に置いておきます。
 大臣が途中にお見えになって、問題が横へそれたようですから、もう一度元へ戻って労働省にお伺いいたします。労働省としても、今労働組合なりあるいは労働者の間にあって臨時工問題が相当社会問題化しておるということは御承知の通りであります。先ほど来の通産当局の政府委員の御答弁によっても、繊維機械メーカーはいわゆる波がある。しかもこの法律実施によって谷間ができるということをお認めになっておる。こういう状態であるから、繊維機械メーカーはことに臨時工が多い、従業員の半数は、臨時工によってまかなわれておるというようなところもあるのであります。そういうよう状態に対して、労働省は臨時工問題をどのように考えておられるか、一つお伺いいたしたい。
○渋谷説明員 臨時工の問題については、私どもの考えといたしましては、臨時工というものはその身分が不安定でありますので、でき得る限り本工に切りかえていくことが望ましいのでございますけれども、これを法律によって強制するということは現在の段階ではとうてい不可能でございます。労働省としましては、企業の経営の許す範囲内でできる限り臨時工から本工に切りかえるように勧奨いたしておる次第でございます。
○田中(武)委員 臨時工問題は実際労働問題に携わっておるものとしては頭の痛い問題であります。これは部長もよく御承知の通りでありますが、この関連産業してとの紡機メーカー及びその下請に対して二十万人ほど労働者がいる、こういうように私は把握しておるわけですが、これはもちろん臨時工が入っております。先ほど失業対策の問題に関連して、部長は失業保険等とおっしゃいましたが、なるほど臨時工でも失業保険の適用はあります。しかしながら退職金とかその他のことについては一般の労働者と比べて冷遇を受けておることは御承知の通りであります。また労働組合の結成ということにおいても、ほとんど除外されております。またそれを見越して臨時工をふやしておるとも言えると思う。従ってこういう法律が出た際に、一たび業界に首切り旋風が起ったときに、一番先にやられるのは臨時工なんです。その臨時工が、また先ほど来話も出ておるように、ほんとうにその日その日を食いかねておるわけです。失業即生活苦といか、もう死に直面するというような状態も起りかねないわけです。ところが、失業対策の方では三万人ふやしておるというが、これはほんのわずかの数字であって、とてもこれによって本年度出てくるところの失業者が吸収せられるとは考えられないわけです。そこで労働省としては強く労働問題の上から立っても、この法律実施に当って最初協議があったとおっしゃいましたが、そのときに通産省に対して労働省はどのような御意見なり希望を持っておられたか、またそれに対して、この法律の中にどのようにその希望なり意見が盛られたかというようなことがありましたらお伺いいたしたい。
○渋谷説明員 先ほどお答え申し上げましたように、労働省とましては、できる限り繊維機械製造業のこれに対するしわ寄せを少くしてもらいまして、そこから出る失業者を一人でも少くなるように通産省の方で極力努力をしていただきたいというふうに要望をした次第でございます。
○田中(武)委員 失業対策部長が、部長のお立場からおっしゃるのはその通りであって、またそうでなければならぬと思う。ところが問題は、部長が希望せられたようなことが十分入っていないし、措置が講ぜられていないとわれわれは見ておるので問題にしているのです。もし講じられていないとするならば、労働省の立場からでも、これは一言言わねばならないことが労働問題に関連してあると思うのです。実はそれがないのですよ。しわ寄せがないようにしてもらいたい、こう強く要望し、通産省の方で考えてもらっておる、こうおっしゃるのだが、事実はあまり何も考えられていない。具体的に出してくるというが、今日まで何も出ていないというのが実情です。そこで失業問題、あるいはまたこれに関連して起るであろう労働争議等をわれわれは懸念いたしましてこのような質問をあえてやっておるわけです。その点について労働省としてしわ寄せが起らないという見通しがないとするならば、労働省としては、この法律に対しての御見解はいかがでしょうか。
○渋谷説明員 その点につきましては前の答弁を繰り返すようになって恐縮でございますが、通産省の方で極力しわ寄せが少くなるように努力していただきたい、通産省の方でも極力その線に沿って努力をするというふうに言っておるわけであります。
○田中(武)委員 労働省の意見はその通りであって、大臣お聞きになった通りですが、いかがですか。この法律実施に当ってほんとうに労働問題が起らないという確信がありますか。そのような労働省の希望に対して、通産省としてはどの程度考慮したか。大臣、これによって労働争議がかりに起ったら全部大臣の責任になりますが、どうですか、起らないという自信がありますか。
○石橋国務大臣 これは失業者というものを作るようでは困るのですから、通産省としても失業者のできるのは最も好ましくありませんから、できないように全力を尽すつもりであるということを申し上げるよりほかないのであります。それとやはり根本問題は、産業全体が繁栄しなければ――、失業者ができるとか失業対策を必要とするようなことではいけないのでありまして、これは先のことになっていささか理想的になりますが、実際は産業そのものの全体を繁栄させる以外に道はないと思います。そういうことから私はある程度今度の繊維工業の設備臨時措置法にしましても、そういうことで各産業の基盤を固めるということがやはり必要だ、こう考えます。
○田中(武)委員 なるほど全体の産業を繁栄させということは本にも書いてあるきれいな文句です。ところがその文句通りにならないから言っているのです。大臣はいつも貿易の問題については拡大均衡と大みえを切っておるわけです。これは大臣の信念であり、また石橋通産大臣の大きなとりえであろうと思うのです。ところがこの法律は大臣の信念である拡大均衡に逆行する法律である、このようにしか考えられないわけです。大臣は日ごろの信念に従ってこの法律をお作りになったということについて確信を持って答弁できますか、お伺いいたします。
○石橋国務大臣 私は逆行する法案とは思いません。やはりこれは根本をなすものと思いますが、ただ過渡期においてある程度いろいろなフリクションが起るということは、これは御承知の通り人間のことでありますから、どなたがおやりになりましても過渡期において一厘一分もすきがなくいくというようなことは私も申しませんけれども、過渡期のことはできるだけそういうフリクションを少くするということに努力する以外に道はないと思うのです。何も故障なしにやるということは、大体人間のことでありますから、なかなかそうはいかぬと思います。ある程度の故障はありましょう。しかし故障が起っていいという意味じゃないが、できるだけその故障を減らすように全力を注いでいく、かような覚悟でやっております。
○神田委員長 どうでしょうか、もう一時間くらいになりますから……。
○田中(武)委員 大臣、上手で言うのではないのですが、私は大臣は信念の強い人であり、大政治家だと思って尊敬しておるのです。ところが大臣の信念とはそのときそのときに当って適当に変るものであると了解いたします。
 労働省にちょっとお伺いしますが、この法律は御承知のように設備を制限する、こういうことが目的になっておる。ところが設備は制限するが生産の問題については何ら触れていないわけです。そうすると繊維局長の答弁では設備は制限する、生産は必要があれば勧告する、こういうことなんです。そうであればそこに労働強化が起ると私は了解したいのです。そのような点については労働省はどういうふうに考えておられますか。
○渋谷説明員 私の所管ではございませんから、その辺は繊維局長の方から答弁いただいた方がよろしいのではないかと思います。
○小室政府委員 合理化によりまして、繊維産業の従業員が、綿糸で言えば一コリ当り、あるいは綿布で言えば千ヤール当りというような従業員の数がだんだん減って参ってはおりますが、この法律を実施いたすことによりまして労働強化が生ずるということは私ども何ら考えておりません。
○田中(武)委員 繊維局長の答弁では、もう前から蓄音機のように同じことを言っているわけです。私は繊維局長から答弁はもう何回も聞いているから伺おうとは考えておりません。そうでないと言ったってこれは水かけ論なんです。実際やってみないとわからないことになるが、実際は設備の制限をやっておりながら生産に手を触れなければ労働強化になるのははっきりしておりますけれども、そんなことはないというのは、繊維局長はわかっておってそのように言っておられるのか、あるいは失礼ですが頭がどうかしているんじゃないか、僕はこのように思うわけです。私は労働省の部長にお伺いしておったのですが、担当でない、こういうことですが、労働省は労働者の立場から見ていただいて、こういう労働強化になるようなことを一体どういうように考えておられるかということをお伺いしたかったのですが、もし担当でないということならけっこうです。
 最後に一つお伺いしたいのですが、この法律の目的は、法文によると「繊維製品の正常な輸出の発展に寄与するため、」こうなっておるのですが、この理屈はあとからつけられたものであって、敵は本能寺にありということはよくわかるわけです。昨日か一昨日かの多賀谷委員の質問のときにもそういうことが述べられておったのですが、輸出に大きな支障を来たしておるのは設備の問題ではなく、日本の繊維業界における労働者の低賃金にあるのだということも言われております。労働省としては日本の繊維労働者の賃金問題が、たとえばアメリカの十分の一であり、イギリスの四分の一であるということは知っておられると思うのですが、輸出に大きな支障を来たしておるのはこのチープ・レーバー、低賃金の問題、かつてはソシアル・ダンピングとして反撃を受けたこの問題を解決しなければならないと思うのです。これは失業対策部長に聞くのはどうかと思うのですが、それじゃ大臣、賃金問題についてどのように考えておるか、それを解決しなければこの法律の第一条にうたっておる輸出振興の問題はほんとうには解決しないと思うのですが、どうでしょう。
○石橋国務大臣 昔から日本はソシアル・ダンピングというようなことを言われておりますが、日本の賃金がなぜ安いかということは、これは繊維産業だけではなく、根本問題でありまして、さっき機械設備を制限して生産がふえれば労働強化になるとすぐ言われたが、その間にもう一つある、それは資本投下、従って生産性がどんどん向上するということ、生産性が向上すれば労働強化ではないでしょう。生産性が向上した場合にはそれは補い得ると思います。賃金も同じことだ、結局生産性の問題に入るんじゃないかと思います。
○田中(武)委員 委員長からも督促がありましたので、これでおきたいと思います。
 最後にこれは希望として私お願いをするのですが、大臣はまま子扱いにしていない、このように言われますが、どうも御答弁なりこの法律なりを見た場合、何とおっしゃろうともそういう感じを深く持つのであります。従って先日来われわれが強く要望いたしておりますように、この法律の審議過程においてわれわれが危惧しておったような問題、すなわち繊維機械メーカーに及ぼすところの影響緩和について、これが救済についての具体的な強力な対策等を出してもらいたい、こういう点がもう一つはっきりしていないわけです。それが出ない限りは大臣が何とおっしゃろうともまま子扱いしておる、一つの産業を犠牲にして一産業の、ことに一部の繁栄を考えておるとしか申し上げられないのです。もう一度よく考えて、まだ審議の予定が二、三日ありますので、十分な対策を立てて出していただくことをお願い申し上げます。同時にこの法律の実施において私たちが危惧しているような労働問題が起らないように、万全の措置を講じていただきたい。もしこう申し上げておるのにその措置が講じられなくて、われわれの危惧の通り労働争議が激化するというようなことがあるならば、あげて責任は通産大臣にありというように了解したいと思います。そういうことのないように一つよくお願いをいたしまして質問を終ります。
○神田委員長 次は鈴木周次郎君。
○鈴木(周)委員 ちょうど大臣がお見えになっておりますので、大へんいいあんばいだと思いますが、先ほどの繊維の問題で、至上命令である程度の弾圧といいますか、逆に事実から言えば制限をしなければならない。それについて、ガラス繊維は繊維工業のうちに入るかどうかを聞いて、それから質問をしていきたいと思います。
○吉岡政府委員 ガラス繊維はその性質によりまして、その断熱性というようなものを利用いたしまして、断熱材料に使用する場合とか、あるいは電気の絶縁性を利用いたしまして絶縁材料に使用するとか、場合によりましていろいろ用途を持つものであります。ことに最近合成樹脂にこれを強化剤として加えますとか、いろいろ構造材料に非常に将来性を持つというようなことも期待されておるわけであります。その用途によりましては繊維にきわめて代替性を持つような用途に利用される場合もあり、しからざる場合もあろうかと思っております。
○鈴木(周)委員 ただいまの御答弁では、繊維でもない繊維でもある、こういうような話である。しからば綿花を利用する、あるいはその他スフというような植物性繊維あるいは合成繊維、こういうようなものに添加された場合には繊維らしく言われるが、そのものだけで織った場合には繊維ですかどうですか、あるいは逆から言えば、合成的にした繊維についてでないとも言えますが、そこら辺のはっきりした定義を聞いておきたい。
○吉岡政府委員 具体的な用途について申し上げた方がはっきりするかと思いますが、現状から申し上げますと、量的には断熱材料として石綿と類似のような用途に使われておる場合が多いわけであります。ただ将来の問題といたしまして、先ほどちょっと申し上げましたような絶縁性を利用いたしまして、たとえばモーターの巻き線に逐次代替して参る傾向がございます。従ってこういう場合には綿等の代替物として利用されるわけであります。それから合成樹脂の強化剤として利用される場合には、これはいわば今後における一つの新しい用途でございまして、ガラス繊維そのものとしての固有の用途であり、今後非常に発展を予想されるものである、こう考えております。なおアメリカ等におきましては、たとえば劇場等のカーテンでありますとか、防火の見地から防火規則によりましてガラス繊維を使用するというふうなことがきめられておるような場合もあるようでございまして、それらの場合には繊維と全く同様に織物等として利用されておる、こういう現状でございますが、それらの点につきましては、まだ日本におきましては現在試作をしておる段階である、かように御了承願えばけっこうかと存じます。
○鈴木(周)委員 ただいまの御答弁のうちで、定義がまだきまらないで、でき上ったものによって繊維であるか繊維でないかというような判定論のように承わりますが、それでお差しつかえございませんか。
○吉岡政府委員 製造の技術の面から申し上げますと、これは御承知のようにガラスを溶かしまして、これをノズルから射出するという形で作っておりますので、その面においてはいわゆる窯業の関係の技術の一環をなすものではなかろうか、かように考えております。ただ先ほど申し上げました織物等にいたします場合には、これをやはり織機にかけて織物にするわけでございますので、一般の繊維産業ときわめて類似の形態を持つ、このように考えるわけでございます。
○鈴木(周)委員 しからば先ほど大臣のおっしゃった紡績の錘数も制限し、織機も制限し、そのほかの付属設備も登録しなければ今後拡張ができない、あるいは新設ができない、そうしますと、ガラス繊維を今後やろうとするとき、ガラス繊維そのものの紡機あるいは織機の特殊なものでやっても、これは繊維のうちに入るのですか、入らないのですか、それをお聞きしたい。
○小室政府委員 それは入らないと思います。
○鈴木(周)委員 今の御答弁では入らないというお話ですが、先ほどの吉岡局長は交織する場合においては入るごときお話があった。それはどういうふうに解釈してよいのですか、二人の御意見が違っておるようですが、打ち合せて御答弁願いたい。
○石橋国務大臣 御承知のように、ガラス繊維は非常に新しいもので、日本ではこれから技術も研究していこうというのですから、まだ繊維の中へ入れるとか入れないとかいうことは繊維局できめてない。まだほんとうにこれからのものです。これが綿糸とか羊毛などにかわるようになりましたら、これは今の繊維産業として織機の制限というものが行われるでしょうが、今のところまだその必要がありませんから、軽工業局で取り扱っており、繊維局の方に移っておらないという実情であります。これは実際のものでありますからそれだけのことで、別にここでガラス繊維の定義がどうだと言われても、なかなか御答弁ができかねると思います。
○鈴木(周)委員 突然大臣からいいお話を聞きましたが、そうしますれば新しい産業に転化したという意味の繊維工業が、かりに綿花であろうがその他のものであろうが出た、商標をつければ何でもやってもいいというように、逆な解釈もあるいは推理解釈すればできるのです。そうしますと、この法律が妙なものになってくるんだが、その点まで御研究になったことがあるかどうか、事実論と推理論で違いますから、その点ははっきりしていただきたい。
○小室政府委員 先ほど簡単にお答えしたので補足いたしますが、この法律で適用になります繊維は、法律の別表で一々明らかにいたしておりまして、その範囲にガラス繊維が入っておりませんので、これは適用がない、そういうことを申し上げたわけでありまして、将来のガラス繊維発達の後におけるいろいろな問題はまたそのときに研究いたさなければならぬ、こういうふうに考えております。
○鈴木(周)委員 そうしますれば織物のわきに少しでも商標のためにガラス繊維が入っておったとしますれば、その織物及び繊維はこの法律から抜けますかどうか、一つ伺いたい。
○小室政府委員 これは別表の一つ一つの糸なり織物なりについての御説明を申さなければなりませんが、結論においてはそういうものも大部分、羊毛なり綿花なりあるいはスフなり、大部分の糸なり織物なりは、この法律の適用がございます。
○鈴木(周)委員 現在の状況においては、日本においてはガラス繊維が発達する途上にある。また世界中の織物全体においても、発達する傾向にあります。そういう場合において、今日本においてはどういう程度においてガラス繊維を今後発達させなければならない状況にあるか、また現在産業方面において、非常に需要が増しておると私は思うのだが、それに供給が足りないのか、また供給する場合において、現在日本に発達しておるのをつぶしても外国資本を入れて、そして織物とともに競争さしてもいいのかどうか、そういうことも、一つこの際お聞きしておきたい。
○吉岡政府委員 ガラス繊維は、戦争中に石綿の輸入が困難になりましたので、その代用品というような形で発足したのが最初のようでございます。しかし現在におきまして、われわれの注目すべき用途といたしましては、一つは先ほど申し上げました、絶縁性を利用いたしまして、モーター等の巻線にこれが代替されていく傾向がございます。それからいま一つは、ポリエステルと申します合成樹脂にこれを強化剤として入れることによりまして、いろいろの建築材料でありますとか、あるいは自動車、航空機というようなものの構造材料に発展していく、これは日本におきましても、すでにスクータとか、部現在使いつつあるわけでございます。ただこれらの電気関係、あるいは構造材料にこの合成樹脂の強化剤として利用いたします場合には、その化学的並びに物理的の性質に非常にむずかしい技術士の要求がございまして、これらの点について相当今後努力をする必要があるであろう。そこで現在これらの関係のガラス繊維の生産をやっている会社が二社ございますが、まだそれらの品質等の点において、十分でございませんので、潜在的の需要はあるわけでございますが、現在のところ操業度はきわめて低いわけであります。大体三割前後ではないかと考えております。
 そこで、先ほど申し上げました絶縁材料並びにいわゆるプラスチックの強化剤としての将来性を考えますと、どうしてもこの技術を至急に導入する必要があるということが考えられるわけでございます。ただその場合に、戦争中から長年これを研究しておる既存のメーカーとの関係があるわけでございますので、これらの点につきまして調整を加えまして、既存のメーカーの従来の努力なり、あるいは人的物的の設備、これをもできる限り活用し、その犠牲を少くする形におきまして、新しい技術を導入いたしたい、そういうことで、ただいま具体的に関係企業内において打ち合せが進行しておるという状況でございます。
○鈴木(周)委員 ガラス繊維ができたあとにおけるものは、まだ考慮のうちに入れていない、研究中だというお話ですが、もはや非常な勢いで、今日市場に出ていると思います。それがこの繊維からはずしておくというようなことはどうかと考えるが、どこまでも助長発達させる意味において、これをやるのかどうか、それも一つ聞いておきたい。
○吉岡政府委員 ただいま御指摘のように、今後急速にこれを助長、育成すべき必要があるということは、お話の通りでございます。ただその方法といたしまして、今この法案の対象になっておりますような繊維とは、その実情なり、またとるべき方策等におきましても、おのずから区別して考えるべき必要があるかと思います。ガラス繊維につきましては、御指摘のような趣旨によりまして、今後積極的にこれを育成するという考えで参りたいと思っております。
○鈴木(周)委員 育成途上のものが幾つも繊維では私はあると思います。繊維という名前を使ったもので、あるいは綿、あるいは動物繊維、その他合成繊維とか、幾つも種類がある。その中に新しく生れてきたものがガラス繊維だ。そのものをなぜ入れなかったかということが、先ほど答弁中にはまだきちっと出ていないようですから、それを一つお聞きしたい。また先ほど外国資本を入れてこの繊維工業を発展させる意味において、外国の特許権なり、それをやらせるという会社名とか、あるいは大資本であるか中資本であるか、その程度も、もしもここで御発表できるならば、お聞きしておきたいと思います。できないならばこれはまたいたし方ない。そういう点においても私たち今後繊維工業を発達させ、輸出産業を伸ばさなければならぬ意味からいっても、お聞きしておきたいと思います。
○小室政府委員 前半のお尋ねについてお答えいたします。この法律は繊維製品の輸出の正常化をはかるために、需給の根本的調節策として、設備の新増設を秩序立って行わしめる、そういう意味の許可制と申しますか、これが第一のねらいであります。これにつきましては、結局綿紡績なり、あるいは羊毛紡績なり、あるいは化繊の紡績なり、あるいはそれに代替し得るような紡績設備、こういうようなものを対象にしておるのでありまして、たとえばそれに代替し得ないような黄麻であるとか、サイザル麻の紡績設備などというものは、普通言う天然繊維でありますけれども、それはこの法律の対象にしておりません。今のガラス繊維のごときも、将来の発展いかんによってはそれはその際に考える必要もあるかもしれませんが、ただいまのところまだ育成段階というか、初歩の段階にありますし、繊維としてこの法律の対象になっておりまする繊維と同様に扱わなければならぬという必要はないように思いますので、これは考慮外にただいまのところは置いております。
○吉岡政府委員 技術導入の問題でございますが、このガラス繊維につきまして、世界的に最も代表的の会社でありまするアメリカのオーエンス・コーニング・ファイバー、OCFと言っておりますが、この会社の技術を旭硝子が導入したいという趣旨の申請が外資委員会に出ております。ただその場合に、先ほど申し上げました、従来これを長年研究しておりました日東紡績との関係を調整する必要があるであろうという関係から、両社間に現在いろいろな話し合いが進行中でございます。通産省といたしましては、企業局長が昨年渡米いたしました際に、先方の会社の代表社と会い、またOCFの工場も見学いたしまして、さらにスタックの井上博士が当時ちょうど同じように渡米されておりましたので、井上博士にも工場をごらんいただきまして、結論としては、やはりこの際速急にこの技術を導入する必要ありという考えを持ちました。ただその場合に従来長年研究しておった日東紡との関係を調整するという形においてこれを導入いたしたい。そのような意味から、通産省からも両社の首脳者に話し合いをいたしまして、ただいま両社間において話し合いが具体的に進行しておるという現状でございます。いろいろいきさつもございましたが、最近におきましては順調に話し合いが進行しており、近い時期に話し合いがまとまるということを期待し、またそのように指導して参りたいと考えております。
○鈴木(周)委員 ガラス繊維を使用してやる機械、紡機あるいはその他の付属設備であるという場合におきましては拡張もできる。またガラス繊維を土台にすれば更新も許可を得なくてできるということになりますれば、この法律は裏をくぐれば何でもできる。機械屋さんも何も心配することはないのだというようなことで、社会党の面々が騒ぐのは何のために騒ぐのだかわからないということに属するのですが、当局はどんなふうに感じておりますか。
○吉岡政府委員 ガラス繊維につきましての現在の問題点は、いかにして品質の優秀な製品を、また安いコストで作り出すかという点にあるわけであります。その点が解決された場合には、合成樹脂の発展に即応いたしまして、相当の需要が期待できると考えておるわけであります。従って現在におきましては、まだ実は有効需要も十分起っておらない、また有効需要を喚起するに足るだけの品質のものが国産化されていないわけでございますので、この法案の対象としておられますような意味における設備の問題等は起らないのではないか。しかし将来必要がありました場合には、さらに繊維局とも打ち合せまして善処いたしたいと思っておりますが、現状におきましては、問題点はむしろそのもとの優秀なガラス繊維そのものをいかにして作り出すか、国産化するかという点に問題があるということを御承知いただきたいと思います。
○鈴木(周)委員 事実はもはや紡機を使って試験程度は済んでおると見ている。それをこじつけて今御答弁のようですが、事実はもはやそういう時代はきてやっておるのだ。その点を御了承願えば、この際それも入れてやったらどうかと私は考えるのだが、まだ入れる気がないというのでは、先ほど私が申し上げたような悪性な方法論が出てくる。悪性なものが出てこないようにする上においては、この際入れたらどうかと思うのですが、その点どういうように考えておりますか。
○小室政府委員 この新しい法律の制限をくぐるためにガラス繊維が悪用されるような程度にまで利用されるようになりましたら、これはその際に適用範囲を拡張することは場合によっては考えたい。ただいまのところは現実の問題としてそういうふうな可能性があまりございませんので考えておりません。
○鈴木(周)委員 ただいまの御答弁を聞くと、そういう時代がこないからまだしないというお話ですが、たとえば競争会社ができた。その会社のものはもはや紡機を使ってやっているのに日本のものはまだやらないというようなことであるから、その会社ができた時分には入れるのかどうか、その点を一つ伺いたい。
○小室政府委員 ガラス繊維工業の発展いかんによっては、今の適用の問題も善処いたしたいということであります。
○鈴木(周)委員 それでは今後競争会社が内地でできそうになった場合においてはこれを弾圧してやらせる、あるいは立法措置を直ちに講ずると了承していいのですか。
○石橋国務大臣 ガラス繊維については私もしろうとでありまして詳しいことは知りませんが、少しは見て知っております。ガラス繊維がぐっと伸びてほかの繊維産業を圧倒するようなところにきてくれればいいが、今のところはそういう希望はかけられないから、局長がお答えしたように、今のところは繊維産業の方はガラス繊維を入れる必要はないと思っております。しかし将来需要が発展すれば考えなければならぬ。今大いに発展させたいという段階にあるものと承知しております。
○鈴木(周)委員 私の質問はこれで終ります。
○神田委員長 次は佐竹新市君。
○佐竹(新)委員 私は簡単に通産大臣にお尋ねするのですが、この繊維工業設備臨時措置法案は、相当長い間質疑応答が繰り返されております。ところがほとんどウナギ問答でありまして、どこをつかまえていいかわからない。政府でこの法案を通さなければならぬというのならば、この法案によって犠牲を受ける関連産業に対して具体的にこれこれのことをするということの案を出されなければならぬが、結論に少しも入っておられない。ただ委員の質問があればそれに対してこういうふうにする、ああいうふうにするというだけだ。政府の方で予算も作れるし、事務的には全部やっていかれるから、これによって犠牲を受ける産業があるなら、その産業に対してはかくかくのことをしたらどうかという具体的な案を作って示されて、これならよかろうということになって、それを附帯決議にしてやれば、あなたの方で実行されなければならぬことになる。それを何でもかんでも長い日にちを費してここで質疑応答を重ねて、そうして政府の方からいろいろな説明はされますが、結局においては法案が通ってしまったらあとは野となれ山となれということで質問が尊重されておらず、速記録に残るだけのものだ。そういう犠牲産業に対しては具体的にこれこれのことをやるのだということをあなたの方で出されて、委員会の方と折衝されて、修正がむずかしいというなら政府がこれを附帯決議の中に入れておいて実行してもらいたいということになれば納得できるが、それが一つも現われておらない。通産大臣は実務的なことをやるということをお考えになる大臣でありますから、この際どういうお考えを持たれているか、具体的な案を出して委員会と折衝してみようというお気持があるかどうか、その点を伺いたい。
○石橋国務大臣 繰り返して事務当局からも私からも申し上げたように、機械の問題については、どうしてもやはり繊維産業を合理化すると同時に、その更新を強力に推し進めるという以外にはないのであります。これは金融でありますとか、そういうことをやって更新をさせるということでありますから、これで具体的と申されましても、どれだけの機械を作れるかという今の機械産業の能力あるいは機械産業そのものがどれだけの融資ができるかということから出て参るのでありますから、これから実際に当って処置していくのが適当だろうと思います。
  〔委員長退席、小笠委員長代理着席〕
計画をして、今申すように、できるだけ更新をさせるということであります。
○佐竹(新)委員 通産大臣、それではやっぱりいつまでもウナギ問答になるのです。それはあなたは通産大臣としても、機械にはいろいろ技術の何もあろうしするから、なかなかむずかしい。ここで台数を何ぼ、そんなことまでわれわれは言うのじゃない。しかし、およそこういう法案を出されるにしては、それに対して、関連産業としてこういう犠牲を受ける者がおるであろう、これに対しては、政府としてはどうしてもこういうように一つ考えて、計画してみなければならぬというようなことが、何かここへ出てこなければならぬ。ただ御答弁だけで済ましてしまったのでは、あとではもう抜けてしまうということで、みんなの人が心配をして、質疑応答を繰り返してやられるのだが、一向にウナギ答弁なんです。だから通産大臣がここで一つ大きな腹を見せて、よしそれではおれの方では、これだけの法案を通すためにはこれだけの考えをもって計画して、これがあるがどうかということで具体的に示されないと、なかなか結論のつくものじゃないのです。だから通産大臣がそれだけの腹を持たれれば、できぬことはない。あなたの方で予算が要るならば、予算を請求すれば、国会もこれは大きな問題であればこれを認めるにやぶさかではない。そういう具体的な案をあしたから直ちにやれというのじゃない。一つの計画を持たれて、お前たちは心配することはない、おれたちの方はこういうふうに考えてこの法案を出したのだと言うことができれば、これは得心がいくのです。何のことはない。質疑応答の蒸し返しじゃいつまでも同じことです。それで通してしまって、あとでどうにもならぬということになって、陳情に行っても、なかなかそれは聞いてはもらえぬ。こういうことになるから、法案を通すときに、一つ具体的に示されたものによって法案を通したい。これはまた政治家としての、これがほんとうの政治のあり方だと私は考える。そういう点、通産大臣は大きな度量を持っておって、そして――下僚の人は事務的な問題だから、どうしても責任は通産大臣ですから、やらなければいかぬでしょうが、そこのところがもう少しはっきりすれば、私はそう長く日にちをかける必要はない、こう思うのですが、重ねて通産大臣の、そういう御計画を示される御意思があるかどうか、これをお尋ねしまして、通産大臣の答弁のいかんによっては、もう一ぺん言わしてもらわなければならぬが、そこはどうでしょう。
○石橋国務大臣 だから大きな心を持って、これはもう設備の更新その他によって機械の方も大いにめんどうを見る、こういうことをのんで下されば、これでいいんです。あなたの方も大きな気持でのんで下されば……。
○佐竹(新)委員 それじゃとにかく申し上げますが、計画というのはやっぱりはっきりしなければ、大きな気持でのめと言っても、なかなかのみにくいのですよ。そこで重ねて言っておきますが、こういう状態では、もう通産大臣の方から、しからばこうだという計画が示されぬ限りにおいては、この法案はなかなか――それは委員会においては何日に上げると言うが、やっぱり会期はずっとあるのですから、それで質問しようと思えばいつまでも質問もできるのですから、数で押し切られるということになれば、あなたの方で数で押上切られてもいいが、しかし計画くらいは示して、この段階でやらなければ、通産大臣、いけません。だからその点を私は強く要求しておきまして、もしそれがどうしても出されないということになれば、委員長、われわれはどうしても会期一ぱいはこれをやらしてもらわなければならない、かように考えます。
○石橋国務大臣 今の御質問は、御趣意は十分了承しましたが、これは実際皆さんも御承知の通り、一々の具体案を立てるのは、そう簡単にできるものじゃない。そこで政府としては、むろん失業者を作ったり、あるいは機械産業に非常な困難を来たして、毎日陳情攻めにあうことも政府自身が困るのでありますから、これは必ずやります。ただし、その案は、今度の法案の審議会等において十分検討いたしまして、どれだけのものが整理されるかということが第一にきまらなければならぬのですから、その上においてやります。かように御了承願います。
○山口(丈)委員 私は通産大臣に今の御答弁から一つ伺いますが、政府は法案を出して、それを通してから関連者の犠牲を考える、こういうように行き当りばったりの審議をいつもとるわけなんです。ですから法律案を通すに当っても、こういうふうにしてもらいたいという附帯決議などをしましても、一回もその附帯決議は重んぜられたことはありません。これはひいては議会を全く無視もしくは軽視するものである。少くともこのように影響の及ぶところきわめて大きな法律案を作って出される場合においては、その法律を施行するに当って生じまするすべての関係方面に対する具体的な計画をともに提出して、いえば水も漏らさぬ計画を立てて、そうしてその法律を成立させるに当って、まず民心を安定させて、そして法律を成立させるというのが筋道ではないかと思うのです。ところが私昭和二十七年以来議席を持って参っておりますけれども、不幸にしていまだかって一度も法律を政府が出されて、そうしてそういうような末端に至るまでの具体的な計画をともに提出された例を見ません。これははなはだ私は遺憾に思うのです。このたびも従って法案を提出せられるに当りましても、今の大臣の答弁によりますると、まず法律を施行してみて、そうして犠牲の生ずるところはそのとき考える、こういうような行き当りばったりの考え方なんです。少しも具体的にどうするかという用意がないということは、私はきわめて不謹慎なやり方ではないかと思いますけれども、大臣はどうお考えになっておりますか、根本を一つ聞かせていただきたい。
○石橋国務大臣 この法案による繊維産業そのものの整理、整備というものも、これは今お話しのように、具体的に一々こまかい案が必ずしも立っておるとは言えないのであります。これを審議会にかけて十分検討して、実際に合うように各部門について整理する、あるいは新増設等の許可をするということもこの法案によってやるのであります。従ってそれに関連する機械等の問題も、その繊維産業の整理の状況に沿うて考慮しなければならないだろうと思う。ですから、今日から、これを具体的にこまかく、これだけの機械を更新するとかいうことはむしろできないのが当然ではないかと思うのであります。これは実際に先ほどから申しますように、この法案の実施によって繊維産業に失業者がたくさん起ってくるとか、あるいはそれに関連する機械産業等に非常な困難が生ずるということは、政府自体が非常に困るのであって、できるだけそういうことがないように全努力を注ぐ覚悟でありますが、しかしそれの具体的な案というものは、これから立てざるを得ないと思いますので、そこで先ほどからお答えしておるわけであります。
○山口(丈)委員 ここは私は非常に無計画だと思うのです。大臣が言われるような手続をちゃんと先に踏まれて、そしてこの法律が出されておれば、鈴木君の言うように何も騒ぎはしないのです。これは社会党が騒いでおるのではなくて、関係者がみんな騒いでいる。先になすべきことをあとにして、あとにすべきことを先にするから、騒ぎが大きくなって、法律案を審議するに当って、無用の摩擦をも生ずることになるわけです。ですからこういうような法案の出し方自体を今後十分に政府の方では考えられてほしい。これは一つ通産大臣の政治力をもって、閣議などにおいて、通産省だけの関係ではなく、内閣全体の問題として十分考えていただきたいと思います。
 第二に私がお尋ねしたいのは、従ってこの関係からいたしますと、私どもの出ておるところにおきましても、ある市におきましてはこの法律が施行せられるということになりますと、機械製造メーカーというものは非常な打撃を受ける。従ってその地方に集団的に大きな失業問題を生ずる。このことは地方自治を受け持っておりますその市といたしましてはゆゆしい問題になる。従って市議会の議決をもって陳情をしておりますことは、大臣も御承知の通りだと思う。こういう大きな問題をはらんでいるにもかかわらず、この問題の解決を後日に譲って、まず法案を成立させようとお急ぎになる理由はどういうものでありましょうか、私はまずそれを承わりたい。
○石橋国務大臣 ある地方というお話は、どこのことか知りませんが、それは心配すれば世の中のこと切りがございませんが、私はそうえらい打撃があるとは思っておりません。打撃のないようにするつもりでございます。
○山口(丈)委員 あれだけ陳情をしておっても、どこの地方か存じませんということは、きわめて無責任だと思います。大臣御存じでなければはっきり申しますと、伊丹市であります。尼崎市であります。あるいはまた刈谷市であります。こういうような都市は、市議会の議決をもって反対の陳情をいたしておるのであります。それを大臣はどこか知らぬがというような――アメリカのことなら、それは大臣は知らないかもしれないけれども、日本国内の、しかもあなたのおひざ元のそのひざの辺です。その辺のところで議決しておるもの、そして通産省に陳情しておるものを、大臣がどこら辺か知らぬようないいかげんなお考えをお持ちになっておることは、きわめて遺憾千万、そんないいかげんな気持でこの法律をお作りになったのですか。これは私はきわめて不用意千万というだけでなくて、きわめて不謹慎な考え方で法律案を出されたと思いますが、どうですか。
○石橋国務大臣 それはあなたが指摘された全滅してしまうというような、非常に極端な打撃があるように言われるところを的確にどこだということ、あなたがどこをさされるか知りませんがと申し上げたのであります。それは私も陳情はたくさん受けております。しかしながらそんなえらい打撃を与えるつもりはありませんし、そんなえらい打撃があるとは思っておりません。
○山口(丈)委員 通産大臣が私の質問に対して挑発的に答弁をされること、それがいわば担当大臣のようにお考えになっているのではないかと思うのです。私は事を針小棒大に言っているのではありません。大臣は私の質問というものを針小棒大にとって何か挑発的に出られているのではないかと思う。伊丹地方におきましても、この法案が実際に施行せられますると、約六千名の失業者が出ると言われるのです。だからといってその企業メーカーが全滅するとは私も申しておりません。また陳情においてもそうは申しておらないのであります。しかしそのように大きな失業者を一地方において出すということは、それ自体その地方の経済上においても、あるいは産業上におきましても、あるいはまた社会上におきましても重大な問題をはらんでいるがゆえに陳情をしていると申しているのです。ですから、これらに対して具体的に政府がそれを指導し得る計画を持って法律というものは作成しなければならぬのではないかということをお尋ねしているのです。ところが大臣は何を勘違いされたのか知りませんけれども、今の大臣の答弁というものは、はなはだ心外である。人の言葉じりをつかまえて針小棒大に、挑発的に出るとは何ですか。挑発的にあなたが出るなら私も挑発的に出ますよ、いかがですか。
○石橋国務大臣 私は挑発的なことは何も言っておりません。ただあなたのおっしゃるところが的確にどこかということの御指摘がなかったからわからないけれども、むろんさっきから繰り返して申しますように、何か整理をすると――それは全然何らの破乱もないということは、これはなかなか言い切れませんが、しかしそういう破乱はできるだけ起さないように努力をいたします。
 それから繊維産業、これは持ちつ持たれつですから、繊維産業がごたごたしてしまえば、やはりそれに関連する機械産業というものも結局よくない影響を受けるのであります。とにかくこの法案は繊維産業を中心にしてこれを確立するということに重きを置きましたから、特にここへ機械とかいうものは入れてございませんが、関連産業に非常な打撃を与えるということはむろん好むところではございませんから、これはできるだけやる。現に機械の更新とか、あるいは一般に先ほど申しましたように、ここ数年来やっております機械設備の改善ということについては特に繊維機械に重きが置かれておりますから、従ってこの法案によってある地域に、特に繊維機械メーカーに大きな打撃を与えると認められれば、そこに向って何らかの機械設備の更新等について、特にその地方の機械の需要が進むように補助金その他の方法を講じましょう。かように考えております。
○加藤(清)委員 関連して。大臣の御親切なお言葉でございますので、私は直ちに実行していただきたいことがある。それはほかでもございませんが、このような状況、つまり今同僚委員が申し上げましたような悪影響はすでに二十九条の折に出来いたしているのでございます。ところが政府はこれを見て見ぬふりをしておられるのでございます。全然手当がされておりません。具体的に言えとおっしゃいますから、私は具体的に申し上げます。たとえば愛知県においては刈谷市のごときは先ほども申し上げましたように、竹中市長が、保守党の元参議院議員であり、現在市長でありまするけれども、このお方が何を好んで本委員会においてあのような血の出るような反対公述をなさったか、あれを聞いている人ならばよくわかるはずなんです。御承知の通り昔は町は寺があったから発達した、お城があったから発達した、遊郭があったから発達した、ところが今日は工場があるから発達していく、工場町なんです。愛知県の刈谷市は工場のあったおかげで発達した、トヨタのおかげで発達した、いわばトヨタ市と言うても差しつかえない町でございます。これが二十九条の発動の折に同じような答弁がなされたのでございます。私どもはそれを心配しまして、今同僚委員の申し上げましたように言うたところ、このような手当をしてやるから絶対間違いないとおっしゃった。にもかかわりませず、具体的にはどうかといえば、われわれの心配した通りの結果が生じました。すなわちここでは織機を月々六百台も作っておりました会社が、二十九条が実行されたと同時に、翌月は何台売れたか、二台しか売れておりません。その翌月は三台しか売れておりません。三カ月目は十台しか売れておりません。月々六百台売れるものが、三カ月かかって合計十五台です。その結果はどうなったか。四千人の工員のうちの約四分の一の千人は首切りになりました。臨時工は別です。臨時工は全部切られました。本工員にしてこういう状況でございます。うそでございません。下請は五百もありました。これが二百に減りました。その結果は、はっきり名前を申し上げまするが、大府産業は下請でより機を作っておりましたが、遂に全部倒産いたしました。その工員は三百余名おりました。ところがこれが路頭に迷いました。子供は学校へ行けなくなりました。そこで、先ほども申し上げましたが、遂にどうなったか。父ちゃんの収入がないために、やむなく学校をやめてワラビ取りに行きました。私は大府の山の中をその子供の手を引いて一緒に歩きました。学校へ行けないから、私は根が教員だったおかげで、山の小松の陰でその子供に学校で教えることを教えてやりました。しかしあのときの教育ほど悲しかったことは、私は一生よう忘れぬです。学校の小使でもいい、門衛でもいい、どこでもいいから雇ってくれという。しかし三百人の小使を雇うところはありません。中で十人や二十人は片づきましたが、遂に片づかないのですよ。九州で炭鉱のときにこのようなことが起きたことは、あなたは御存じでしょう。奥さんが一体どういう状況に追い込まれたか。やはり最後のものを売るより手はないじゃありませんか。こういう具体的事実がはっきりしておるにもかかわりませず、一体政府はこれに対してどのような救いの手を伸べてくれたですか。何をやってくれたのですか。やる気があったらまずこれからやってもらいたい。これはみえや酔狂でやっているのではない。毎日丸々陳情団が来ているのは、みえや酔狂じゃないのです。こういう状況に追い込まれることがわかり切っておればこそ、汽庫賃を使い、高い宿銭を使って陳情に来ているのですよ。それがわかりませんか。ほんとうに救うなら、これからまず救って下さい。
○石橋国務大臣 ただいまの加藤君のお話は十分承わりました。それだから一つできるだけやります。これは実際の話です。できないことを申し上げてもしようがないので、できるだけやると申し上げる以外にないのです。
○山口(丈)委員 今私の質問に対して大臣は、その地方で非常に大きな犠牲が出るというようなことになれば、それらについては十分の措置を考えるということですが、私はそれをぜひとも実行していただくようにこの際お願いしておきます。
 それから次に私の尋ねんといたしますのは、法律を施行いたしましても、これは紡績産業にしても決して紡績産業全体を保護することにならぬのではないか。設備の制限等によってむしろ小企業の方が大きな犠牲を払う結果が生じはしないかと私は思います。特に戦後紡績産業が非常に増加して参りましたことは、私も承知をいたしております。そして今なお戦後の紡績産業というのはきわめて経済力に乏しいものであります。根の浅いものであります。いわんや今日の紡績産業の中の中小企業というのは、大企業に比べますときわめて利潤も低うございます。こういうような産業が制限を受け、干渉を受けるということになると、今日でもその経営維持というのが非常に困難であります。それを一そう困難に陥れる結果となり、果ては大企業へのみこれを集中する結果になりはしないかと思いますが、これらについて大臣はどういうふうにお考えになっておりますか、お伺いいたします。
○石橋国務大臣 先般も申し上げましたように、私の一番憂えるのは、中小紡績というよりもむしろ織布方面、これはどうしても救わなければならぬ。しかしこれはある程度整理をしなければ救いようがないと思うので、ある程度整理をし、この間阿左美君ともお託ししましたが、たとえばもっと協同組合を強化していくという方法でこの基盤を確立しないことにはどうにもならない。そこで織布業に手をつけますと、どうしても小さいものが多いからある意味において犠牲が出てくる。そこでこれを何とか救わなければならぬということがあり、同時にこれを救うのには紡績の方の原料の供給からある程度の規制をいたしませんと、十分織布の方の規制ができないという悩みがありますので、全体の繊維産業の規制を行う、こういうことになっておる次第であります。むろんこの規制ということは、このまま野放しにして幾らでもふえて、そうしてこれが繁栄するなら一番いいでありましょうが、残念ながら現在日本の実情はそうなっておりませんので、ここである程度の規制をして、そうしてできるだけ共倒れになるのを防ぎ、同時に将来の日本の繊維産業全体の繁栄をはかる、こういう観点からこの法案を考えたわけであります。その途中に生ずる犠牲については、繰り返して申し上げますように、できるだけあらゆる方法、たとえば機械産業等についても設備の更新等に協力することによってできるだけ困難を救う、かように考えております。
○山口(丈)委員 今大臣のお答弁によりますると、むしろ織布産業方面に対しまする原料供給の規制、こういうところに非常に力をそそぐという御答弁がありました、しかし私はむしろそれ炉危険ではないかと思います。そういう思想でやりますと、ますます中小産業は窮地に追い込まれる。従ってまずこれら中小産業の倒産を未然に防止いたしますためには、少くとも紡績メーカーから提供いたしまする原料の合理的提供をまず政府は考えるべきである。第二にはその原料を受け入れてこれを加工いたします中小企業の受け入れ体制を確立してやる必要があります。これはそのような弱小企業が個々にその企業を守ろうとしても今日では不可能の事態であります。大臣がいかほど犠牲を少くしようと考えられましても、今日のような野放しのような状態におきましては、それはできるものではありません。従って私は、その合理的な材料の供給と同時に、それを受け入れて加工する加工業者につきましては、協同組合組織等々のいわゆる合理的な組織を促進させて、そしてそこに合理的な材料の供給を行わしめる、そしてここに資金の融通等の保護措置を講じてやるということにいたさなければ、この問題は大臣がいかほど犠牲は出さないようにいたしますと申されましても、その犠牲を免れることはできないと思いますが、大臣はそのような計画的な施策をしようとするお考えがあるかどうか、これが私は中小企業を救う根本の問題であろうと思いまするから、一つお聞かせを願いたと思います。
○石橋国務大臣 お説の通りでありまして、われわれも協同組合等の強化によりまして中小商工業者等の組織を強化して、さらに経済的に基盤を確立して、そうして合理的な取引ができるという方向へ今までも指導し、またできるだけの処置を講じておりますが、今後もむろんこれを続けて強化するつもりでおります。
○山口(丈)委員 次に私は、この法案を作らざるを得なくなった理由は、何と申しても世界の実情に照らしてわが国内における繊維産業の合理的な体制の確立にあると思うのであります。ところがふり返って見ますると、今日の日本の産業全体の構造から見ましても、またその一部である繊維産業の実情から海外の実情をながめてみましても、戦前とは全くその様相を異にいたしておると思うのであります。ことに戦前の日本の繊維産業が各所においてボイコットを受けました大きな原因は、何といっても日本の労働水準の低率化と、それに伴いまする価格の低率化、それと粗製品の乱造にあったと思います。やはりこれを防いで少くとも――量産はもちろん必要ではありましょうけれども、それと同時に品質の改善、また労働水準の維持と労働者の生活水準の世界水準への引き上げ、これをまず実行いたさなければ、ただ単に国内における生産の規制を人為的に行なったといたしましても、わが国の貿易産業というものは決して伸展するものではないと考えますが、大臣はどうお考えになりますか、お聞かせ願いたいと思います。
○石橋国務大臣 その点もお説の通りでありまして、単に国内の生産を減らす、規制するということだけで問題が解決するものではないと私も思います。海外に発展をするということは、日本の繊維産業としてぜひとも必要でありますが、それには品質の改善その他によって十分の競争力を持つ、それからまたこれは根本の目的として日本の国民の生活程度を上げることでありますから、繊維産業の従業者の生活がよくなるということがむろん基本であります。ただ残念ながら日本の現状においては、繊維産業だけでなく、あらゆる面において、いわゆる人口過剰でありますとか、いろいろな原因で賃金が低いということが悩みでありますが、これもぜひとも賃金を上げ、しかも価格的にも国際的の競争力があるというところまで、生産性を向上させるということが必要だと考えて、ぜひそういう方向へ指導し、また施策をしたいと考えております。
○山口(丈)委員 さらに私はお伺いをいたしますが、戦前日本の紡績輸出の最も大きな得意先であったのは旧東南アジアの植民地であったと思うのです。ところが大東亜戦争後はこれらの植民地のほとんどが独立をして、長年にわたる植民地搾取から解放せられて、自力更生の道をたどっておりますことは御承知の通りであります。従ってこれらの解放せられました国民は、自力でもって急速に世界産業水準に到達せんとして努力を払っておりますことも、また私は事実だと思うのであります。そういうようなときに当って、日本が加工品貿易をどれほど戦前のような水準で維持しようといたしましても、それは不可能の問題であります。そういたしますると、これらの国民の要望にこたうる道というのは、日本はやはり工業国として、いわゆるブラント輸出を重点的に考うる必要がある。これを考えずにいたのでは、私は日本の産業は衰微の一途をたどるばかりではなく、アメリカあるいはイギリス、ドイツ等の非常に機械産業の発達した国に日本の機械産業が駆逐せられる結果となる、従って日本経済というものはゆゆしい打撃を受けることとなると思うのであります。従って今こそこのプラント輸出というものにもっと大きな力を注ぐべきである。今私は運輸に議席を置いておりますが、外貨を獲得し、貿易というものを完成するために計画造船を実行中であります。これと何ら遜色のない重要性を持つものにわが国の機械産業の振興があると思います。そうして貿易の伸展があると思うのであります。従って紡績界の一つをとってみましても、伝え聞くところによりますと、ブラジル方面においても紡績工場を大規模に建設しようとしておる、あるいはインドにおいても大規模な紡績工場を建設しようとしておる、その他東南アジアの各地域においても同様であります。これらに率先手を染めて、そして政府としてこれらの各国に対する機械貿易の伸張を積極的に推し進めていくための国内態勢をすみやかに整備すべきではないか、これこそ私は通産省の重大な責任ではないかと思うのでありますが、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
○石橋国務大臣 その点もお説の通りで、これはわれわれも非常な努力を現在いたしております。また現に戦後の日本の貿易はだんだん軽工業品から重工業ないし生産財の方面に移りつつあることも御承知の通りですが、そうかといって繊維工業品等の輸出が今後絶対数において減るとか衰えるとかいうふうにはむろん思いません。ただ日本の貿易の重要件が一そう生産財に移っていくというだけでありまして、むろん軽工業品も伴って出るものであります。しかし、それには――戦前のことは御承知でしょうが、戦前、なぜ日本の貿易がいわゆる当時の日本の海外領土へ出たかというと、その背後には投資があった、日本からそれだけの金を貸しておった、金を貸して向うで事業を興したからそれに伴って日本の生産品、あるいは紡績製品のごときものも出たわけです。そこでこれから日本のやりますことは、どうしても東南アジアあるいは中共方面もあろうと思います炉、これはやはり投資と伴わなければならないと考えておりますので、この点も政府としては十分研究をして、何らかの日本の投資あるいは技術の輸出というような形で、向うの産業を助長し、先方の購買力をふやすことに努力を傾けるように今施策をいたしておる次第であります。
○山口(丈)委員 私は今通産大臣が申されるように、戦前は日本の資本力、投資力によって貿易の伸張をはかった、全くその通りであります。戦後日本はその投資力を失っておるのであります。けれども、一つはその資本として賠償の問題があります。日本国民にとりましては、賠償ということは非常に暗いことであります。けれども、それを転じて福とする操作もまた、政治手腕によっては必ずしも不可能ではないのであります。従って私はこの賠償等の問題にいたしましても、でき得る限り消費財の賠償をやめて、できる限りブラント輸出等のいわゆる日本の永久貿易に貢献し得るような賠償品の提供方式を考うべきではないか。このことが私は将来の日本の経済を支える重要なポイントになると考えるわけであります。こういう点におきましては、真剣にこれらを考えなければならぬと思いますが、通産大臣はこれらの点についてどういう措置をとらんとしておりますか、一応お伺いいたします。
○石橋国務大臣 政府としてはお話の通りの方針で今進んでおります。やるつもりで、現にやってもおります。
○山口(丈)委員 本会議になりましたから、私は残余の質問を保留して、一応これで休憩していただきたい。
○小笠委員長代理 本日はこの程度にとどめます。次会は明十八日午前十時より開会することとし、これにて散会いたします。
   午後一時十三分散会