第024回国会 地方行政委員会 第64号
昭和三十一年十月二十六日(金曜日)
    午前十一時十五分開議
 出席委員
   委員長 大矢 省三君
   理事 亀山 孝一君 理事 鈴木 直人君
   理事 永田 亮一君 理事 吉田 重延君
   理事 北山 愛郎君 理事 中井徳次郎君
      青木  正君    大森 玉木君
      川崎末五郎君    小泉 純也君
      纐纈 彌三君    櫻内 義雄君
      渡海元三郎君    徳田與吉郎君
      山本 正一君    淡谷 悠藏君
      加賀田 進君    五島 虎雄君
      櫻井 奎夫君    中村 高一君
      前田榮之助君    門司  亮君
 委員外の出席者
        総理府事務官
        (首都圏整備委
        員会事務局長) 吉岡 惠一君
        警察庁長官   石井 榮三君
        警  視  監
        (警察庁警備部
        長)      山口 喜雄君
        総理府事務官
        (自治庁財政部
        長)      小林與三次君
        総理府事務官
        (自治庁税務部
        長)      奧野 誠亮君
        大蔵事務官
        (主計局長)  森永貞一郎君
        大蔵事務官
        (主税局税制第
        二課長)    吉國 二郎君
        大蔵事務官
        (管財局国有財
        産第一課長)  天野 四郎君
        大蔵事務官
        (主計官)   相澤 英之君
        建設事務官
        (計画局長)  町田  稔君
        参  考  人
        (警視総監)  江口見登留君
        参  考  人
        (警視庁警備第
        一部長)    藤本 好雄君
        専  門  員 圓地與四松君
    ―――――――――――――
十月二十六日
 委員木崎茂男君、森清君、山崎巖君、坂本泰良
 君及び西村力弥君辞任につき、その補欠として
 小泉純也君、山本正一君、大森玉木君、前田榮
 之助君及び淡谷悠藏君が議長の指名で委員に選
 任された。
同日
 委員大森玉木君、小泉純也君、山本正一君及び
 淡谷悠藏君辞任につき、その補欠として山崎巖
 君、木崎茂男君、森清君及び西村力弥君が議長
 の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 地方自治及び地方財政に関する件
 警察に関する件
    ―――――――――――――
○大矢委員長 これより会議を開きます。
 本日の議題は、警察に関する件について調査を進めます。なお参考人として決定をいただいた井出第八本部長は、病気で出席ができないという通知がございました。江口警視総監、藤本警備第一部長、参考人両名とも出席されております。警察庁から石井警察庁長官、山口警備部長両名が出席されております。
 それでは発言の通告がございますので、順次これを許します。淡谷君。
○淡谷委員 警視総監にお伺いしたいと思います。
 この間の委員会で明らかにされました通り、今度の砂川における警察官の行動というのは、全然上部の命令が守られていない。これは二千人の警察予備隊が、警棒と称する武器を使って多数の負傷者を出したことが、上部の命令を順法しないことによって起ったものだとするならば、将来の警察行政上ゆゆしい問題であると思うのであります。果してあのような命令があったかなかったかを、現地の警察官について十分問いただすつもりで、一応第八方面の本部長の出席を求めておったのでありますが、病気だというので本日は出席されておりません。はなはだ遺憾なことでありますが、日をあらためてこれはさらに追及する所存であります。
 先般要求いたしました警察官以外の負傷者についてお取調べができたかどうか、資料などの御提出をお願いしたいと思います。
○江口参考人 この前から提出を要求されております資料は間もなく届くと思うのでございますが、その前に、警察官以外の負傷者の状況について説明しろということでございますが、数字にわたっておりますので、とりあえず藤本君から御説明を申し上げることにいたします。資料はあとで差し上げます。
○藤本参考人 労組、学生等の負傷の状況について申し上げます。労組、学生等の負傷者を取り扱いました病院でございますが、これは支援協について聞いたところでございますが、取扱い病院は、負傷者の入院の取扱いをいたしましたのは支援協の方で指定いたしまして、立川の国立立川病院だけである、こういうふうなことでございます。その他、村山療養所、立川保健所、立川診療所等におきましては、医師、看護婦を現場に派遣いたしまして治療を行なった、こういうことでございますが、入院治療は行なっておりません、それで国立の立川病院の取扱い状況でございますが、これは受診者総数が、十二、十三日、それからそれ以後十四、十五、十六日と、こうございますが、合せまして七十七名ございます。その内訳は、受診後入院をいたしました者が四十三名、治療だけで帰った者が三十四名、合計七十七名、こういう状況でございます。その入院された方々の自後の治療の経過状況でございますが、漸次退院をせられまして、二十五日現在で五名の方がなお入院をしておられる、こういう状況でございます。
 なお現場における治療の状況でございますが、これは国立の村山療養所におきまして派遣された医師、看護婦等から七名ないし八名が、まだ現場で療養をされておる、こういうことであります。都の衛生局の立川保健所におきましては、約五十名の者を現場で治療をしておる、こういうことでございます。それから立川診療所につきましては、調査に参りましたが、十二、十三日とも現場で治療に当ったということだけで、その他回答がございませんので、詳しいことはわかりません。
 なお支援協につきまして、十月十七日に立川警察署の係員が参りまして負傷者の処置状況を聞いたのでございますが、支援協といたしましては、十月十二日に二百九十三名、十三日に千一名、計千二百九十四名の負傷者があった、こういう旨が長谷副議長からお知らせがあったのでありますが、どういうところに負傷をしたのか、治療の経過はどうなっておるかというようなことは判然としておらない、こういう状況でございます。
○淡谷委員 負傷者の負傷部位は、私が見たところでは顔面、頭部等に相当の傷を受けておる人がございました。ああいうふうな傷はどういう原因から起ったと考えておりますか、警備部長におお伺いしたい。
○藤本参考人 私の方で十月十八日現在で入院をしておられます方十名につきまして調査いたしましたところによりますと、負傷の部位につきましては、後頭部挫傷四週間というのが一名、それから、前胸部挫傷一名、左の肩の骨の打撲というのが一名、それから右足親指の骨折というのが一人、前胸部挫傷というのが二人、右側の腹部の挫傷というのが一人、上腹部挫傷が二人、下腹部挫傷が一人、こういうふうになっておりまして、後頭部挫傷というのが一名あるわけでございますが、どういう関係でそういうところに負傷をしたかということは、現場を見ておりませんのではっきりしたことはわかりませんが、私ども考えますのに、やはり非常に混乱した場面で、非常に激しい抵抗が行われましたので、警察官が警棒を使用してそういう抵抗の排除に当りました際に、もみ合いの過程において、そういうところに負傷をされたものである、かように見ております。
○淡谷委員 本日現場に出動しました予備隊の責任者が出席されないことは非常に残念でございますが、おそらく藤本警備部長も、現場の状態は見ておられないだろうと思う。決して御想像のような形ではなくて、無抵抗の者を引っぱり出して、混乱する前に傷を与えた例がございます。これはこの前の委員会で、はっきりお認めになっておりました通り、非常に今度は行き過ぎがあり、かつ命令も徹底されなかったことが確認されておりますが、この負傷者を出した警棒の使用等について、全然行き過ぎがなかったとあなたはきょうまた強弁なさるか、あるいは行き過ぎたのだから、将来はこういうことが起らないようにというお考えなのか、その点を明らかにしておきたい。
○江口参考人 警棒の使用方法につきまして行き過ぎがなかったかというお話でございますが、行き過ぎがあったとしましても、それは混乱の最中におけるやむを得ない警棒の使用方法の結果、そういう行き違いができたものもあるのじゃないか、従って警棒の使用で、はなはだ不都合な者があったからこれを処分するというようなところまでは、私取り上げるほどのことではないのではないか、こう考えております。
○淡谷委員 ここ二、三日冷却期間が経過しましてからは、警視総監の態度は変ってきておると思う。最初あなたは、ああいうふうな事態を起しましたのは非常に残念だと言っておられたが、今度はああいうことが当然だというように変っておられる。何があなたの心境を変えられたのですか。あの警察予備隊の行動は当りまえであり、あれでいいのだというようにあなたは開き直るつもりですかどうですか。
○江口参考人 私ももちろんこの前から双方に多数の負傷者を出したということはまことに遺憾であり、その点についての責めは感じておるということは申し上げました。それから警棒の使用について行き過ぎが多いという発言をなさる方が多いので、その点は十分調査いたします、その結果お答え申し上げますということで調査して参りましたところ、やはりああいう大混乱時における警察官自体も相当な負傷をしておるものでありますから、それを排除するため、あるいは現行犯を検挙するため警棒の使用があった。それはその前申し上げましたように、場合によっては現行犯人を制御するという意味から警棒を使用しても差しつかえないという警察官職務執行法の規定に基いて警棒を使用したものであります。決してこの前と答弁を二にしておるというようなことはありません。
○門司委員 この際ちょっと私から資料についてお聞きしておきたいのですが、これはわれわれが要求した資料と違います、一番大事なところが書いてない。われわれが要求した資料は、書いてあるものがそちらに渡してありますから、見ていただけばわかりますが、負傷の箇所と負傷の種類を知らせてくれということは出しておる。要するに警棒使用がどういう傷害を与えておるか知りたいために書いてある。警視庁の方でけがをした人間は書いてあるが、けがさせられた方が書いてないのは作為的です、これはどういうわけですか。警察官の負傷の箇所、種類は書いてあって、一般の負傷者の資料を出さぬということはどういうわけですか。病院を調べたらわかるでしょう。
○藤本参考人 お尋ねの点につきましては、先ほど御質問に応じてお答え申し上げましたが、労組や学生等の負傷の状況につきまして支援協の事務所に参りましていろいろお尋ねをしたのでございますが、先ほども申し上げましたように、負傷の部位とか治療の経過等は判然としない、こういうお答えでありましたので、その点はここに触れていないわけであります。なお入院者につきまして、在院されている十名の方々について調査したところでわかりました点につきましては、これは先ほどお答えを申し上げた通りでございます。その他私ども病院についていろいろ調査をいたしたのでありますが、病院によりましては全然そういう点の回答はできない、こういうお答えのところもございまして御希望の通り調査があるいはできなかったかと思います。そういう意味でございます。
○門司委員 今その事情だけを説明しておりますが、これは病院に行かれたならわかるはずです。病院に入院した者をそのまま帰しておるはずはない。名前もわかつて、治療の場所もわかっておるはずです。だからどうしてあなた方はこういうことをしたのですか、出す資料はもう少し明確に出したらどうですか。今のような答弁で一体ごまかそうといったってごまかせますか。現在入院している諸君がいるでしょう。これだって調べればわかるでしょう。全部わからぬわけではないでしょう。一たん治療して帰った人は、どこを治療して帰ったかわからないはずはないでしょう。病院でわからぬはずはない。あなたの方で調べなければ私の方で調べるよりほかはない。出せないのなら出せないと言いなさい、私の方で調べていきますから。この前も委員会で話がありましたように、最初の委員会で私があなた方に要求したのは、この前の委員会で横路君が言ったように、警棒を使用して他人に傷害を与えた場合は、警察官は上司に報告しなければならない義務がある。だからもしあなた方がそれは報告できないというのなら、警棒を使用して負傷させたものではないという断定ができますか。警察官の義務行為ですよ。警察官の義務行為を怠っておって、それを公けにできないという理屈がありますか。一体あなた方は警察官に何をやらせているのですか。警察官は警棒を使用して被疑者であろうとだれであろうと傷害を与えた場合は、直ちに上司に報告しなければならない。署長に報告しなければならない。これは警察官としての義務事項なんだ、それがわからないという理屈はないでしょう。それをあなた方がどこまでも隠しているから、こういうものを私どもは調べなければならないという結論が出てくる。だれも好きこのんで勝手にけがをしたわけじゃないでしょう。何かに当らなければけがなんてしやしませんよ。人間がもみ合っただけでけがをするはずはない。これは何もわれわれが要求しなくても警察でわからなければならないはずです。これは警察官としての義務事項なんだ。当然の義務行為で、警察の上司に報告されてないとするならば、あなた方は警察官に何を教育しているのか。そのくらいのことが出せなくってどうするんです。もしそうだったらこの前の江口警視総監の回答の速記録を持ってきます。報告事項となっているから、報告させて後日報告しますとちゃんと言っている。もう少しはっきりしたものを持ってきなさい。わからないものはわからないでいい、わかっただけでもいいです。
○江口参考人 私この前も申し上げたと思うのでありますが、病院につきまして、その氏名なりその負傷の部位なりについて調査いたしたいと思ったのでありますが、病院によってはその協力が得られない病院もございます。あるいはこちらの多少の手落ちもございまして、そこまで強く調査をお願いしなかったという面もございます。学生などにつきましては自分の氏名などを知られるということを非常にいやがる向きもあるのだそうでございます。従いまして、時間をかければあるいはもう少し詳しいものがとれるかとも思いまするが、今までの調査の結果はこの程度しか出ておりません。門司さんがそれじゃもう少し調べるだけ調べてみろということならば、これからでも調査してみたいと思いますが、とりあえずこの十人の現在入院しておる人についてのみは詳細調べることができたのでございますけれども、それ以外につきましては、ただいま申し上げましたような理由がございまして、資料が不十分であった点はまことに相済まぬと思います。
○門司委員 資料が不十分であるということはまことに親切がなさ過ぎる。入院して治療するのを医者は無料でやっているわけではないでしょう。医者の責任もありますよ。だから治療した場合はちゃんと何か書いてあるにきまっております。名前が多少違っておっても――あるいはどさくさのときに少しの軽傷くらいで、何かほうたいをして軽い治療だけで帰った諸君の名前はわからないかもしれない。しかし少くともここに書いてある七十何人かはどうなってけがをしているかというくらいはわかるはずです。いまだに入院しておる者もおりますし……。今までの報告ではそうなっている。だから要求した資料だけは正確なものを出してもらいたい。わからないものはわからないでいい。それがまるきり調査してない。こういう不誠意なことでは、いつまでたってもこの問題は解決しません。警察官自身が当然行わなければならぬ義務行為なんだ。その義務行為を怠っていて、それでいいんだという理屈は成り立たぬと思う。むしろあなた方が調査されるよりも、あなた方の部下である警察官がその届出の行為をする義務があると思うのです。非常に混乱しておったときだから、相手方がだれだかわからぬという言いわけもできるでしょう。しかしそれができなければそれとして、完全にわかっておるものくらいは報告していただかないと結末がつかない。あなた方のけがした人間だけはきれいに出ておって、一般のけがさしたものに対しては責任を負わないという態度はよくないですよ。一般に負傷さしたことについて警視庁はどう考えておるか。それでいいとお考えになっておるのか、行き過ぎがあって済まなかったと思うのか、その点をこの機会に一つ明確にしておいていただきたい。
○江口参考人 先ほども淡谷さんのお話がありましたが、多数の負傷者を出したことについては、まことに相済まぬと思っております。十分今後におきましてもこういう事態の生じないように、一そう努力をしていきたいと考えております。
○淡谷委員 今度の事件に出ました予備隊の一人が良心の呵責にたえかねて死んだという事実がございます。現場であのようなことをしました警官が、あの砂川という問題について非常に悩みまして、死ぬほどの良心の責めを感じておる。その警官に対して命を下したあなた方自体がこの不祥事に対して、あまりにも今の御返答では良心が足らぬと思います。そういうふうな訓練の仕方をしておりますから、こういう場合にはこんな不測の不祥事が起ってくる。今度提出されました資料の中の警棒使用の形式、そのかまえ方の八というのはみずからを防ぐかまえ方でございますか、それともなぐるかまえ方でございますか、どういうふうに解釈しておりますか。
○藤本参考人 資料に載せました警棒使用の形式は、警棒の基本的な使用の形でございます。もちろん警棒は警察官が公務を執行いたします場合に、いろいろ使用する形式があるのでありまして、一般的にやはり職務執行に応じますために、必要最小限度の使用が認められておるわけであります。その使用の場合につきましては、職務執行法第七条にも規定をいたしておるのでございますが、職務執行法第七条の規定によりまして、長期三年以上の犯罪を犯した者であって、凶悪な者については、これを逮捕しまたはその逃亡を防ぐために警棒を使用する、こういうことが認められておるのでございます。この際には警棒は武器として使用されると思うのであります。そういう場合におきましては相手方が非常な反撃をしてくるというような場合、これを抑止するというような形において使用される、こういう場合もあるのでございます。その状況に応じまして使い方には方法があるのでございます。
○淡谷委員 どうぞ私の質問をそらさないでいただきたい。かまえ方の八というのは人をなぐるかまえ方ですか、あるいは自分を守るかまえ方ですか、どうなんですか。
○藤本参考人 ここに出しておりますのは防御のかまえの形式でございます。
○淡谷委員 さっき部長から話がありました警察官の職務執行法の第七条、この正当防衛もしくは緊急避難に相当しないことは後頭部に挫傷を受けている者がある。こん棒によって後頭部をぶんなぐるということは決して緊急避難でもなければ正当防衛でもない当然の証拠であります。後頭部をぶんなぐったり、胸を突き上げたりする方法は、いかに警棒が乱暴に使われたかということのりっぱな証拠なんであります。しかもこの前に言いました通り、あなた方の出されました資料によりましても、あるいは警棒の使用についても、ほとんどがこの規則を踏みにじって、大上段に振りかぶったようなやり方をしている。あなた方はこういうようななさり方に対して将来もやらせるのだという心持なのか。今度のようなこんな犠牲者を出しましても、あえてこんな警棒の使用法をやらせるのだというお考え方ならばそれでよろしいが、どうですか、この点は。
○藤本参考人 警棒の使用によって後頭部に負傷をした者があるというお尋ねにつきましては、先ほどちょっと触れてお答えを申し上げたのでございますが、ああいう非常な混乱の際でございますので、そういうもみ合いの際に、あるいは警棒によって後頭部に負傷をするというようなこともあろうかと思います。ただ私ども今回の指導に際しましては、できるだけ事故を防止して、負傷者を少くするという基本的な方針で参ったのでございまして、そのためにすべての警察官に指導の場合における詳細な心得を印刷いたしましてこれを把持させる。同時にその点の非常な徹底をはかったのであります。しかるにお話では、たとえば警棒を上に振り上げてはいかぬと言っているのに、現実に振り上げた者があるじゃないか、こういうようなお尋ねでございますが、これはいろいろ具体的な場合について検討しなければならないと思いますが、全体的に申し上げまして、われわれがあの事態に対処いたしまして、できるだけ事故を少く措置したい、こういう考えでおりましたにもかかわらず、警察の当然の公務執行に反対をする労組あるいは全学連等の反撃と申しますか、攻撃と申しますか、これは非常に激しいものでありまして、そういう点につきましては、私どもの方にも十分資料を持っているのでございます。そのために当日十三名の公務執行妨害による検挙者も出ているような状況でございます。こういう激しい反抗にあいます場合には、われわれとしてはその反抗を正当防衛で防ぐという場面もあろうと思うのでございます。そういう場合におきましては、この構えの中にもございますように、上から落ちかかるものについては、あるいは警棒を若干上に上げて防ぐこともあろうかと思うのでございます。なお公務執行妨害によって狂暴な暴行に出たような者を逮捕するというような場合においては、第七条によって必要最小限度の警棒使用ということもあろうかと思うのでございます。
○淡谷委員 どうも私はきょうのあなたの答弁の態度は、前回とは大へん違っていると思う。前回のあなたの答弁の趣旨はもうお忘れになっている。前回ははっきり出動行為を守っていないことを確認されているが、また警棒の使い方にも行き過ぎがあったことをはっきり認めているが、それを今度は坐り直して裏を返して反撃をしようとしている。そんなふうではとても今後完全な警察行政の執行はできない。一体今度の予備隊はただ交通妨害を排除する、あるいは測量班の測量を実行させる、これだけの話なんでしょう。凶悪な犯人逮捕じゃない。しかもあなた方責任者は現場にはちっとも顔を出していない。顔を出していませんから、ちっとも知っていない。あの当時の実態というものは決してあなた方が今日この席上で強弁されるような事態ではなかった。この間も再々言っておりましたが、立川警察署長がすでに十分なる警告を与えていない。立ち向つた予備隊にまた十分な警告を与えていない。このことははっきりしている。あなた方は何の資料によってそういうことが行われた、何の資料によってはげしい攻撃が行われたとこうおっしゃるのですか。あなた方の使っております部下、しかもあなた方の命令を守らなかった部下の報告に基いてあなた方は答弁されている。無責任きわまるものです。一体どういう根拠があってはげしい抵抗があった、あるいはまた正当防衛である、自分の身を守るための防衛だったとおっしゃるのですか。根拠を伺いたい。
○藤本参考人 私はこの前の委員会におきましても、負傷者がたくさん出たことは非常に遺憾でありますけれども、それは反対をされる方々の反撃が非常に激しかったことに原因があるということを申し上げたのであります。その後われわれもニュース映画あるいは警察でとりました当時の写真等もございますので、そういうもので検討いたしましても、あの場合に多数の石が飛んでいる、あるいは木の根が飛んでいるというような状況はすでに出ているわけでございますが、なお私の方に相当の証拠写真がございますので、御要望があればこれは出せる面は出して差しつかえないと思いますが、そういうものに明らかに反対をされる方々の暴行の事実がはっきり出ているわけでございます。なお、私ども非常に残念に思いましたのは、当時状況を視察いたしておりました私服の警察官が多数の組合員の中に引きずり込まれまして、ある者は人事不省に陥るというような非常に激しい攻撃が加えられているのであります。そういう事実もはっきりして参り、暴行を働いた人は検挙をされているわけでございますが、なお当時警察官に二百八十五名に及ぶ負傷者が出たという事実、それから現に一人入院いたしておりますが、その者は投石によって耳に石が当りまして、そのため、しばらくはそれを感じないでおったのでございますが、内出血があるという事実がわかりまして、その後入院し、現在でも将来治療の結果がどういうふうになるかわからないという状況にある、こういう事実もございます。またこぶし大の非常に大きい石によって耳の下に大きな傷を受け、三針も四針も縫ったというように、現実に警察官がこれらの暴力行為によって負傷したという事実からも、その攻撃は決して無抵抗というような程度のものではなかったということがはっきりいたしていると思うのであります。
○北山委員 関連して。ただいままでのいろいろな答弁を聞いてみますと、砂川の十二、十三日の事件について、新聞なりラジオ、テレビなり、そういうものに報道されたこととはまるで違うことを、警察側では調査をし答弁をしているというのは、たとえばほとんど全部の新聞、そういうものは、労組支援団体の方が積極的に激しい攻撃をしたのではなくて、警察の方が攻撃をしたということを書いておるのですよ。たとえばすでに十三日の毎日新聞では、大見出しで「喚声をあげなぐる、ける、装甲車、ピケ隊に突入」と書いてある。それから十四日の朝日新聞には「暴徒のような警官隊」という見出しで書いて、内容もそういうことを書いておる。それから十六日の朝日新聞には「統制がない警官隊」と書いてある。それから十四日の読売新聞には「スクラムに警棒の雨」という見出しで書いてある。その内容においても、どれも支援団体が積極的に警官隊に打ってかかったというようなことは書いておらない。警察の方が積極的に警棒でもってなぐる、ける、やったということが書いてある。そういうことをあなた方は否定しておる。これは白日のもとで、数千人の人の見る前で行われた事実なのです。もしもあなた方がそのようなことでもってごまかそうとするならば、そうするとほとんど一切の新聞の記事や、あるいはラジオやテレビやニュース、そういうものはみなうそだということになる。うそだというならば、なぜあなた方は、この新聞の記事が名誉棄損であり、あるいは警察の侮辱であるといって訴えないのですか。一体これを認めるのですか、認めないのですか。ああいう記事がうそかどうか、どうなんです。否定するのですか。そんなごまかしではだめですよ。
○江口参考人 当時新聞記事にただいまお話のような内容のことが盛られたことは事実でございます。そういう記事が出始めましたのは、たしか十三日の夕刊からだと思います。従って十二日から相当の混乱が起ったということもわれわれ想像できますし、あのニュース写真、あるいは新聞報道なりによりまして、相当その方も調査をいたしたのでございますが、現実にわれわれがそういう資料を提供してもらいたいということを申し入れまして、写真とかフィルムなどを貸していただいたカメラ社もございます。ところがわれわれが見ましたニュースなりあるいはテレビなり、それから提供を受けましたいろいろな資料なりを見ましても、新聞の記事になっている現実の姿は、カメラにとったものには出てきておらぬのであります。従いまして報道されておる記事がそのまま全部真実を伝えているかどうかということにつきましも、われわれは疑問を持ったのでございます。従いまして資料が整った今日におきましては、いまだ特に不法行為を意識的に行なっておるという警察官をつかむことができないのであります。そういう事情にあるのであります。
○北山委員 そうすると、写真とかニュース、テレビ等にうつってないものは、記事として書かれてあってもそれは真実とは認めないというならば、なぜあなた方はそういう新聞記事に対して抗議しないのですか。なぜ抗議をしないのですか。重大なる警察に対する名誉棄損じゃないですか。侮辱じゃないですか。警察の威信失墜じゃないですか。それをなぜやらないのですか。攻撃したものが警察であり、大多数のけが人が、警棒をもって突いたりなぐったりしたことによって起きたということは、社会党が言っているのじゃなくして……。(「社会党が指導したのじゃないか」と呼び、その他発言する者あり)現地の数千の報道機関が……(発言する者多し)報道機関が見ておる。そして報道しておる。これがうそだというならなぜ抗議しないか。なぜ言えないか。
    〔「そんなこと言えた義理じゃないじゃないか」と呼び、その他発言する者あり〕
○大矢委員長 お静かに願います。
○北山委員 静かにしなさい。――なぜ抗議をしない。なぜこれは記事が間違っておるからといって取り消しを要求しないか。そして七社の報道機関の抗議に対しては陳謝をしておるじゃないか。報道機関の分だけは認めて、それ以外のものは否定しようというのですか、どうなのですか。
○江口参考人 もちろん報道機関から抗議を受けたこともございます。これにつきましてはやはり相当調査の上でお答えしようということになっております。抗議するしないはわれわれの考え方いかんによるのでございますが、またそれらのことにつきまして各新聞社とは随時話し合いをするつもりでございます。
○北山委員 警察……(発言する者あり)静かに聞きなさい。(発言する者あり)委員会で何も暴力を振っているのではないのだから……。
    〔発言する者あり〕
○大矢委員長 お静かに願います。
○北山委員 警察が、久保警備課長が十五日の朝日新聞に書いておりますが、なぐる、けるは厳禁していたが、これが無視されたのは非常に残念なことだと言って、こういうことを認めているじゃないですか。これもうそだというのですか。
○江口参考人 ただいま申し上げましたが、とにかく行き過ぎがあったということにつきましても調査をしたのでございますが、当時としてはやむを得なかった行き過ぎであるというふうに、われわれは考えておるのでありまして、新聞で、今どういうところをお読みになりましたかちょっと聞えませんでしたが、われわれはそういう不法行為があったということを前提として、新聞社に対して謝罪をしたというような事実はございません。ただそういうことがあれば誤解を解くために、われわれとしては話し合ったことはございますけれども、われわれの方から謝罪したという事実はございません。
○淡谷委員 どうもきょうは自民党の諸君がちょっと声援がひどいので、警視総監も……(発言する者あり)ただこんなヤジウマみたいな騒音によって、あなたが責任回避をしたと思ったら大間違いですよ。もっと冷静に考えなさい。(「ヤジウマとは何だ」と呼び、その他発言する者あり)前回の速記録と違っている。(「ヤジウマとは何だ」「審議に応じているじゃないか」と呼び、その他発言する者あり)審議ができないじゃないか。
○大矢委員長 お静かに願います。(発言する者あり)お静かに願います。
○淡谷委員 警視総監にお願いしたい。警視総監、あなたはもっとおちついてこの事態を直視してほしい。あなたの今までの答弁によると、こういう事態は当然であるといったふうに受け取れる。前回のあなたの答弁をひっくり返して、このような結果を招いたのは当然であると、あなたははっきり言われますか。
○江口参考人 この前いろいろ御質疑を受けましたが、その後詳細に調査をいたしまして、特に特定の警察官を処分しなければならないような不法行為は認められなかった、やむを得ない行き過ぎであったということを言っておるのであります。
○淡谷委員 それじゃはっきり確認したいのですが、あなたはこの前の答弁を全部ひっくり返してしまって、今度の事件は当然であった、今後もこういう事態が起るかもしれないということをおっしゃるのですか。
○江口参考人 私は別にこの前の答弁をひっくり返しているわけじゃございません。この前は主として、調査の上でお答えしますということを強く申し上げた次第でございます。
○淡谷委員 それじゃ後日速記録を照らし合せて、あなたの発言がどう違っているか、はっきり申し上げましょう。しかしこういうふうになりますと、明らかに今度の砂川の行動は、あなた方の命令によって起った事件である、警視総監なりあるいは警察庁長官なりがはっきり初めから企図して、こういうような結果を予想してなされた行動であるということを確認してもよろしいのですか。
○江口参考人 ああいう多数の負傷者が出るというようなことを予想して、予備隊を出動させたのではございません。
○淡谷委員 そこに今回われわれがこの事態をもっと基本的に検討したいという熱意があるのであります。ああいうふうな事態が起らないようにといって、われわれが十数日警告したはずです、予告したはずです、当日混乱の中に身を置いてとめたはずです。あるいは法務委員会では、一回現地へ行ってあの実情を確めろということを、わが党の委員が強く主張したはずです。それを全然拒否しましたのは自民党の諸君だ。今になってさまざまなことを言っておりますけれども、あなた自体が責任を回避して現場に行かなかった。この点は一体どうなんです。われわれはああいうふうな事態になることを予測しまして、あなた方に十分警告した。それを用いないであなた方が行動を起した結果、こういうふうな事態を起して、それが当然だと言っておる。その矛盾をあなた方はどうお考えになっておるか、はっきりお答え願いましょう。
○江口参考人 どうも御質問の御趣旨がよくわかりかねますが、何か現場にわれわれが行かなかったことが非常に矛盾ではないかというふうなことでございますが、われわれは現場の指揮は現場の指揮官にまかしたのでございまして、最初からの警備計画は十分目を通しておりますし、その線に沿って現地の部隊が活動したものと、かように考えておりますから、われわれ自身が現場に出なかったということ自体が、何か矛盾を引き起したものというふうには考えておりません。
○淡谷委員 あなたはそういうふうに逃げますけれども、あなたが出しておる命令と現場の状態とがはっきり行き違いを来たしておるから、われわれは質問しておる。あなたのきょうの答弁というものは、あなたの命令に違背した部下の言うことをそのまま信じまして、われわれに抗議をしておる。ところが実際現場ではあなたの命を与えました現場の指揮官が、これはとんでもない思い違いだと言っておる。それならば堂々と、きょう、なぜ――病気かもしれませんけれども、井出第八方面本部長が出て来て、あなたの命令によってやった結果が当然だとはっきり言わぬのか。これは病気ですから仕方がございませんが、これは明らかに現場の実情と、あなた方の今日までとられた状態というものは違っておりますから、われわれはどうしても現場の責任者に出てもらわなければ、この責任追及はやめるわけにはいきません。前回非常にまじめにあなたが予備隊というもののあり方と、今度の行動に対して良心的な答弁をされたのが、きょうはどういう風の吹き回しか非常に開き直って、前回の言葉を全部取り消してまでも強弁されることははなはだ遺憾に思います。そういうふうに間違った調査に基いて答弁されるならば、もはやあなたに対して私は質問する必要を認めません。あらためて現場のあなた方の命令を受けた責任者の出席を求めましてもう一ぺん追及いたします。
○門司委員 いろいろ御議論もあるようですが、警察官としての法規を十分守ってもらいたいということ、さっきのことですが、この報告書を読んでみますと、一番最初委員会で私の方の資料の要求に応じていないということを、さっき申し上げましたが、これを読んでみますと、「各予備隊よりの警察官警棒、警じょう使用及び取扱規程に基く報告はなかった。」と書いてある。「なお、本庁及び各予備隊長において具体的事実の調査を行ったが、現在のところ警棒の不当使用の事実は判明していない。」こういうふうに書いてある。だから問題は、警棒使用規程というものがどこから出てきておるかということは、警察官の職務執行法の七条から出てきておるのでしょう。警察官の職務執行法の第七条において武器を使用することができる範囲が書かれておる。しかしそれにおいてもそれが正当な理由と認めるときということが一番しまいにはっきり書いてある。従って警察官の上司としては、警察官がかりにこれに書いてある三年以上の懲役もしくは禁固に処するような重大犯人を逮捕する場合に、やむを得ざる防御の処置として使った武器の使用についても、その結果は上司に報告しなければならないということが警察官の義務行為なんです。その義務行為が警察官に行われていないという事実は一体何を物語るか。少くともあの警棒使用の規則というものは、ただ規則だけをこしらえたわけじゃない。警察官の職務執行法の七条をうけた、この七条をなお明確ならしめるためにちゃんとこういう規程があるのである。従ってその行為が不当であるかないかということは、この報告を受けなければわからぬはずである。報告がなくて不当は認められないということは、どうしてこういう報告書があなたの方は書けるのです。報告があって初めて、こういう警棒の使用をした、そのために相手方はこういう負傷をした、しかしそれが不当であったかなかったかということは、その後あなた方が判断すべきである。警察官といえども、不当のために傷害を与えた場合は刑罰に処することは当りまえでしょう。警察官だから何をやってもいいという規則はどこにもないでしょう。警察官が他人に傷害を与えてもいいという規定があるなら出しなさい。われわれはそういう法律をこしらえた覚えはない。警察官の職務執行法の七条を受けた規定に基いて、なぜ一体警察として当然なすべき報告がなされないかということである。警棒並びに警じょうを使った報告はないと書いてある。だから私は最初にどういうけがをしておるのか、けがの場所はどの辺が多いのか、いわゆる乱闘時におけるこういう武器の使用の実際というものを知りたいから、われわれはちゃんと最初からあなた方に要求しておる。これはあなた方の方でわかっていなければならぬ。こういうところに、こういうけがをしておる。しかしこれはこういう事態であって、従って警察官の落度ではない、不当ではない、不法行為ではないということが立証されなければならないはずである。報告を受けないで、前回にも報告がなかったと書いておいて、そうしてわれわれの調査した範囲ではそういう不当はなかった、こう書いてある。こういうふうなめちゃくちゃなことで一体警察官の規律が保てますか。警察官だっていい人ばかりではございませんよ。少くとも日本の国民の生命と財産をあずかる第一線におる警察官は、ことに警察というものは、この法律だけは忠実に守ってもらいたい。警察官がこういう法律を忠実に守らないで、そうして警察官のやったことは何でもいいのだという肯定のもとに仕事をされてはたまらぬ。それでは警察ファッショです。だから警察も一つ責任を明らかにしてもらわなければならぬ。悪いとかいいとかいうことははっきりできるでしょう。私は法律に書いてあるから、法律の通りにやりなさいと言っているのです。
○江口参考人 その点について先ほどから門司さんの御質問があるのでございますが、またそれに対して御答弁すると、その御答弁がお気に入らぬかと思いますが、この警察官警棒、警じょう使用取扱規程に基いて報告される各警察官からの報告でございますが、これは危害を与えた場合には報告しろ、こうなっております。私の答弁でまたお気に入らぬかと思いますが、警察官個人としては意識的に傷害を与えたという意識がないのでございます。ですから一人も出てきていないのであります。ですからその答弁はお気に入らぬかと思いますけれども、何も法律に違反しておるわけではないのでございまして、法律はできるだけ執行する、そのほかに隊長及び本庁におきまして別に調べておりますけれども、今までのところそういう事態をはっきりとつかむことはできないということでございます。
○門司委員 今のような御答弁はちょっとおかしいのです。どうも傷害を与えた意識がないからと言われるが、そうすると警棒に頭の方がぶつかったということになると思うのですが、警棒に頭がぶつかったということは、この前もちょっと淡谷君からお話がありましたけれども、五尺六寸も五尺八寸もあるような者の頭が、使用された警棒の下に行ったということは、どう考えても考えられない。意識するとせざるとにかかわらず、棒を振り回しているところに頭が行って当ってけがをしたという場合でも、警察官はそれでいいという理屈はないと思う。むろん傷害を与えるという意識がなかったならば、明らかにそれは過失は過失として、けがをさせた事実は事実として私は認めなければならないと思う。私は警察官をそう悪くは解釈したくはありません。警察官がなぐってやろうという心がまえでなぐりつけたという考え方に、これを解釈しようとは考えておりません。警察官はおそらくやり過ぎであった、行き過ぎであった、それについ興奮して棒を振り回しているうちにどこかに当ったということで、それを警察官が意識していないから報告をする義務がないということになると、将来これはえらいことになると思う。これは警察の首脳部は一つ考えてもらいたいと思う、これは警察の元締めの警察庁の長官はどう考えておるか。あなたの方から出ている規則ですよ。ちゃんと警察庁から出ている警棒使用の規則にそういうことが書いてあるのです。それを警視庁が忠実に守らないで、総監の答弁のように意識しなければ報告しなくたっていいということになると、これは将来えらい問題を起すと思う。たといいかなる犯罪人であろうと、けがをさせていいという理屈は私はないと思う、凶悪犯罪の容疑者だからといって、その人間にけがをさせてもいいという規則はどこにもないと思う、やむを得ざる場合だけと、武器使用の範囲はきめられているはずだ。だから今の警視総監の答弁はめちゃくちゃだと思うのだが、警察庁の長官はこれをどう考えられますか。こういうものが明確になってこないから、正しい議論ができないのです。従ってそれを正しい議論をするための資料に、一番最初に求めた一つの資料であります。われわれは庁方だけを見て、庁方だけの判断をしようとは考えておらない。少くとも将来の警察行政をどうするかということを考える場合には、やはりこういうものが明らかにならないと考えられない。行き過ぎがあってもやむを得ない、警棒でけがをした者があるかもしれないが、それは警察官の意識的行為でないから、報告しなくたっていいのだということが平気で言われるようになると、これは私はえらいことになると思う。こうなると一人々々の警察官をここに呼んできて、意識してやったか、意識しないでやったかということを一々聞かなければ、しまいにはわからないことになってしまう。これは一つ警察庁の長官の方から、そういう問題に対する御答弁を願っておきたい。
○石井説明員 警察官の警棒が不当に使用されて、相手にけがを与えるというようなことがあってはならぬことは、あらためて申すまでもないことでございます。今回の砂川の十二日、十三日のあの取締りに際しての問題につきましては、先ほど警視総監からお答えした通りが実情であると、私は今のところ承知をいたしておるのであります。しかし私どもが今日まで調査したところにおいては、ただいま警視総監がお答えした通りでありますが、もし皆様方いろいろはっきりした証拠でもお持ちになっておって、どういう場合にどの巡査がどうしたということをはっきり御存じでありますならば、むしろ教えていただきたいと思うのでありまして、今日までのところ、警視庁といたしましてはあらゆる方法を講じて、警視庁本庁みずから、また各予備隊長において具体的事実の調査を十分にいたしたのでありますが、現在のところ警棒の不当使用の事実が判明をいたさない、こういう状況であるのであります。もし御存じのはっきりした証拠がありますならば、一つお示しを願いたいと思います。
○門司委員 今非常に挑戦的のお言葉がありましたが、現在入院している者、あるいは入院した者の負傷の場所すら、あなたの方では調べてないでしょう。調べてないと報告しているでしょう。それで警察は一体何を調べるのです。警察官がやったことはすべて是なりとして、いかなる傷害を与えても警察は調査しなくてもいいのだということですか。私どもは最初からそのことを要求している。病院に入った者はどこにどういうけがをしたのか、これは何によってのけがだということもあなた方は何も調べない。警察官であろうと、非行のあった警察官をなぜ取り締らないのだ、なぜそれをはっきり調査しないのだ。今日までわれわれが資料として要求したものを出せないじゃないですか、調査さえできていないでしょう。もし石井長官がそんなことを今言うならば、傷害の場所、その傷害が何で傷害したものかということをはっきりしてもらいたい。打撲傷であるならば何かでなぐられたことに間違いない。警察官がなぐったのだとすれば警棒以外にないでしょう。それが不当であったか、なかったかということは別の問題だ。鉄かぶとでもってけがをさせた場合もあるでしょう、両方が武器を持ってけんかはしていないはずです。お互いが武器を持っておっても、あなた方はそれを調べる義務がある、鑑識課で調べてごらんなさい。強盗や傷害罪など、みなそこで調べているでしょう。何で切ったのか、何でやったのかということを、犯罪事実の捜査においてやっているでしょう、これはあなた方の商売ですよ。警察官のやった行為だけが調べられないという理屈はどこにもないでしょう。今もし立川に入院している諸君がかりに三人でも五人でもまだおったとすれば、それらの諸君が何によって傷害を受けたのかということを、あなた方は当然調べなければならぬ義務があるのです。警察当局はそういう義務を怠っておって、証拠を出してくれということは何事です。あなた方で証拠を調べてこしらえて下さい。なぜそれが出せないのです。要求したのは何日です、十四日でしょう、十四日に私は要求しておるはずだ。それがいまだにあなた方は調査しておらない。そうして今になって証拠があったら出してくれとは何ということだ。なぜはっきり調べて出してこないのです。どうして調べられないのです。あなたがそういうことを言うなら、どうしてそんなことが調べられないのか、それを聞きましょう。少くとも他人に傷害を与えておる行為ですよ。何人が傷害を与えたかということは、あなた方は調査する義務があるでしょう。
○江口参考人 先ほども申し上げましたが、今入院しております十名につきましては、先ほど淡谷さんの質問にお答え申し上げた通りでございまして、それ以外の点につきましては調査があまり徹底しておりませんで、門司さんの要求された資料になってないのは、はなはだ遺憾でございますが、今後ももう一度当ってみまして――ただお断りしておきますことは、当ってみましても協力を得られない病院があるということを、一つ御承知おきいただきたいのであります。なお努力してみたいと思います。
○門司委員 協力を得られないというのはおかしいじゃないですか。これは個人の自由意思だから、あるいは拒否する人もあるかもしれない。しかし少くとも傷害が起っておる。これは、一つの傷害事件があったと考えてごらんなさい。どういう傷害があったか調査ができないで、そのままでいいということはないでしょう。これは告訴がなかったからということで、あなた方は逃げられるかもしれないが、告訴があったかなかったかにかかわらず、傷害があったということは事実だ。その事件の結末はそういうものができなければつかないはずです。あるいはなぐった人は何人であるかということはわからないかもしれない。しかし少くともけがはどこがけがしておって、どういう傷であるか、凶器は何であったかというくらいのことは、あなた方でわかるはずだ。私は最初からその報告を求めているのだ。私がここでこうして論争をいたしておりますと、いかにも警察いじめのような気がするかもしれない。しかし少くともこういう事件が起って国民が絶えずこれを注視しておりますときには、警察官に非行があれば非行として、行き過ぎがあれば行き過ぎとして事件の内容を明らかにして、警察行政の建て直しをしなければならない。国民がいつまでも、警察は暴虐の行為をやるものだ、警察官のやった行為は隠蔽されるものだというようなことで、住民の協力がなくて一体警察行政が勤まりますか。権力だけで警察行政が勤まると考えたら大きな誤まりですよ。いいものはいい、悪いものは悪いとして、警察官の中からも行き過ぎがあったなら、それを処罰するというくらいに警察行政に対しては、襟度がなければ、私は正しい日本の警察はできないと思う。ことに今の警察が、従来の自治警察であったものが、国家警察になっておることは、何といっても間違いない。幹部は全部国家公務員だから。そういう時代にこういう事件を起して、それがしかも警察官の方では不当行為がなかったというようなことを書いておって、警察官が当然上司に報告しなければならないことが怠られておる、それをそのまま警察の上司が見のがしていくというようなことであって、そうしてしかも証拠があったら出してこいということは、一体何事だというのだ。私ははっきり言うが、今入院しておる五人の諸君の傷害事件について警察はどれだけ調査したか、その加害者はだれであったか、なぜ調べないか、それで一体警察が勤まりますか。何人が加害者であったかということは警察が調べる仕事だ。それを出せとは何ということだ。われわれに犯罪捜査の権限が与えられておるわけはない。少くともあの場合にけがさしたというのは、そんなら警察官以外にだれかありますか。警棒の傷以外に、あるいは鉄かぶとの裂傷以外に何か傷がありますか。警棒を使ったことは事実なんです。たとい頭の方が警棒にぶつかったのだという解釈ができても、そのことによってけがしたものであるかどうかというのには、やはり証拠がなければならない。そういう逆の証拠が必要になる。そのあなたたちの証拠を求めますよ。警棒に頭がぶつかったのかどうかという証拠を出してこいと言ったら、もし出そうとしても出やしますまい。けがしたことは事実なんです。事実を前においておいて、両方で想像の議論だけしておっても始まらぬと思う。だから、その事実に基いて警察は調査をする義務があると思うのです。こういうことでこの問題を片づけようとされるなら、これは一つの問題ですよ。もうこうなればしょうがないから、一つ公安委員長の大麻さんに出てもらわなければならぬ。
○石井説明員 警察のあり方につきましては、当委員会におきましても、今日まで私たびたび申し上げたことでありまして、絶えず謙虚に反省して、行き過ぎのないようにしなければならぬことは、申すまでもないところであります。もし不幸にして行き過ぎのあった場合にはこれを反省し、また将来そうしたことを再び繰り返さぬように戒めていかなければならぬ、またその責任の追及ということについても、十分処置をとっていかなければならぬということは、かねがね私が方針として参っておるところでございます。これは御理解をいただいておることだと思うのでございます。
 ただいま問題の点につきまして、先ほどお答えいたしたのが、何か私が挑戦的な言辞を弄したようにお受け取りになったようでございますが、私の言葉があるいは適切でなかったためにそういう誤解を生じたのでありますならば、あらためて御了承を得たいと思うのであります。私ども現在までのところ、警視庁においてあらゆる方法を講じて調査をした結果では、警棒の不当使用の事実が判明をしておらない、こういうふうに総監も答えられておるのであるし、私もそう思っておるのであります。これでもうすべて調査は終ったというのではないのでありまして、さらに調査しまして、不幸にして行き過ぎがありますならば、これに対して善処しなければならぬということは、あらためて申すまでもないのであります。そういう意味におきまして、もし御存じのはっきりした証拠がありますならばお示しをいただければ、われわれはそれを率直に受け入れ、謙虚に反省する資料にしたい、こういう気持で私が申し上げたのでありますが、言葉が足りないためにあるいは誤解を生じたことがありますならば、あらためてその点は御了承を願いたいと思うのであります。
 なお病院に入院しておる十名の者についてどの点に負傷の部位があったかというようなことについては、藤本警備第一部長からお答えした通りであります。それが何の原因で、どういう状況でけがをしたかというような点についての詳細な報告がまだできておりませんのは遺憾でございますが、もしそういう点まで御要望でありますならば、さらに警視庁の方で十分に調査をさせまして、あらためて不足の分を補足させていただきたい、かように思うのであります。
 なおこの際申し上げておきますが、けがをした者がすべて警察官の警棒によるけがであるというふうに即断されるのは、いかがかと思うのでありまして、けがをする場合というものはいろいろあったであろうと思うのであります。あの非常に混乱した場合でありますので、私、果してそういったものがすべてであるというのではありませんが、中にはお互い同士、味方同士が――あの混乱の中で長い竹棒のようなものを持っておられた方もありますので、そういうものが当ってけがをしたという場合もありましょうし、あるいはお互いにもみ合っているうちに、必ずしも平坦なところではない、でこぼこなところでありますし、木株等もあるところでありますから、何かの拍子にすべってそういう木株等にぶつかってけがをしたというようなこともありましょうし、いろんな原因が考えられるのじゃなかろうかと考えられるのでありまして、けがをしたすべての原因が、警棒の不当使用によるものというふうに即断するのはいかがか、かように思うのであります。もしそうした点がありますならば、今後十分にその点も調査をいたしまして、先ほど申しました通り、不幸にして警棒の不当使用という事実がありますならば、これに対しては善処したい、こう思っております。
○門司委員 今のせっかくの長官の答弁ですが、私はそのつもりで、だから出してもらいたいと言っているのです。われわれもむやみに警棒でやったのだ、何でやったのだというのではない。傷の場合、われわれはしろうとなりに、傷の場所あるいは傷の種類を見れば、大体これは何でけがをしたかくらいのことはわかるはずだ。だからその資料を求めているのに、あなたがお出しにならない。それに基かなければ正しい判断ができないから聞いているのです。何もわれわれは警棒だけでなぐったとは考えていない。と同時にもう一つこの際考えてもらいたいことは、警察官の職務執行法の七条に書いてありますことは、警察官が被疑者に対して負傷その他の傷害を与えた場合に、これがいかに正当な場合であったか、警察官はその事件で免責される規定がここに設けられてある。それは、その行為に対する警察官の免責規定だ。だからこの規定からくるこの警棒の使用規則というものは、当然それに関連をしていなければならぬ。従ってあなたの方としては、当然それが出てこなければならぬはずだ。そういうことはもう少しわれわれの態度を考えて、一つはっきり出してもらいたい。あなたは何と言われたって、同僚の淡谷君の頭に警棒が当っておることは事実なんですからね。それでそれがよかったか悪かったかということは別の問題として、今の御答弁がもしそのまま受け取れるならば、至急一つ調査をしてもらいたい。そうしてそれがいかなる原因で、どうなったかということは調査ができるはずだ、できないとは私は考えられない。千何百名を全部調べろとは言わない、できる範囲のことを求めておるのです。だからもしあなたの方で困難でできなければ、私の方で出して、その犯人をあなたの方で捜査をさせましょう。こうしたけがをしたのについては、そこに動員された警官がいるのだから、それをあなたの方で捜査してもらいましょう、あなた方はまたそれを捜査する義務がある。ここまでくればそういう議論をするようになる。だからこの場合は、ぜひ最初に要求した資料は厳格に一つ出してもらいたい。
 それからもう一つ警視総監にこの場合はっきり頼みたいことは、今もしばしば言われておりますように、あなた方がここで話した、いわゆる上司の命令と、下の部下が警棒を使用することを号令したときの考え方というものがどこにあったかということは、本人が来なければこれはわからぬです。これはやむを得ざる状況のときに、そういう警棒を使ってもいい、またこれに書いてありますように、正当な理由のあったとき、他に手段がないと考えられたときに、この武器を使ってもいいとこの法律には書いてある。それでそういう状態であったかどうかということは、これは現場にいた当人が来なければわからぬ。あなたは事実を見ていない、報告だけを聞いておるから。だから現場の指揮官にぜひ来てもらいたいと言っておるのですが、一向お出にならない。いつまでたってもこういう議論を繰り返さなければならぬ。警視総監、一つ責任をもって方面隊長の出席をさしてもらわぬと、この問題はいつまでやっても片づかぬ。警視総監に一つこれは頼んでおきます。
○北山委員 静かになりましたから、先ほどの問題を少し……。私は小手先のやりとりはしたくないのです。それで石井さんにもそれから警視総監にもお伺いしたいのですが、そういうような御答弁であると、私は先ほども申し上げたような、朝日新聞の十四日に、「暴徒のような警官隊」と書いてありますよ、それから十六日には「統制がない警官隊」と書いてありますよ。これは新聞がこういう見出しで書くということは、重大なことだと思うのです。それを裏づけるようないろいろなことがあったから、そういうことを書いたのではないかと思います。警察にとっては非常な汚点なんですね。警察の威信が失墜する、こんなことを書かれたのでは。暴徒のような警官隊とか、あるいは統制のない警官隊という言葉を認めるのですか認めないのですか、どうなんですか。
○江口参考人 もちろんわれわれとしては、そういう字句を認めたいとは思いません。
○北山委員 認めないなら認めないような行動をすべきじゃないですか。暴徒のような警官隊というようなことを警察が言われて、そういう記事を書かれてそれで黙っているという手はないでしょう。黙っているとするならば、これはどうやら暴徒のようなことをやったのじゃないかという疑い、それは全国民が持っておる。自民党の与党の人はそう信じないらしいんですが、国民はそう思っておる。もしもそうじゃないとするならば、そうじゃないということを明らかにしなければならぬでしょう。ただ調べた結果はどうもわかりませんでは、これからなお調べますでは、あまりにほおかむりの態度です。これで警察がいいかと言うのです。これだけのことを言われて、全国民に報道されてそれをあなた方は確信を持って警察のあの行動は不可避である、やむを得ない行動である、正しい、不当ではないと言うならば、新聞に抗議するなり取り消しを要求するなりすべきじゃないですか。それじゃなかったら警察に対する疑惑というものが解けない。石井さんどう思うんです。
○石井説明員 先ほど警視総監のお答えしました通り、私どもも暴徒化した警察の部隊であるというふうには思っておりません。しかし一たびそういうふうに報道されたということは、確かに北山さんの御説の通り、私どもまことに不名誉に思います。この不誉名を挽回するためには、まず真実はこうであるということを十分にはっきりさせて、おわかりいただかなければ、ただ単に新聞に記事訂正を申し入れたところで、新聞の慣例として、簡単に取り上げていただけるものではないというふうに考えております。今日までいろいろ調査をいたしておりますゆえんのものもそこにあるのでありまして、真実を発見し、実態はこうである、真相はこうであるということをわれわれもはっきりつかみ、そしてまた国会等におきまして、こういう委員会等の席上を通じまして、真相を十分国民に知っていただくような機会を活用いたすというふうにいたしまして、新聞に当初報道せられたのは必ずしも全部ほんとうじゃなかったということがわかっていただけるような時期が、一日も早く来たらんことを念願をしておる次第であります。
○北山委員 そういうことを明らかにすることについて、今までのような警察の御調査ではいけないので、そこで私は委員会にもそういう必要上調査小委員会等を設けて、警察を正しく運営させる立場から、砂川についての調査をすべきである、かようなことを前から申しておるのです。
 次に質問したいのは、例の予備隊員の一人、第四予備隊の第三中隊の井戸という巡査が自殺されたわけです。その中隊長にあてた遺書を新聞で見たのですが、砂川問題についても、どちらが悪いの、こちらが悪いの――しかしながら私がこのようなことをしてしまって中隊長さんにはお因りのことと存じますが、深くおわびします。同室の者を深く責めないで下さい、こう書いてある。この遺書から見ると、何か砂川事件の際に行動したことについて、何か井戸さんは責められるものを感じておったのではないか、しかもそれは井戸さん自身のみならず、中隊長、中隊の中にあるほかの同僚についても、やはり責められるようなものがあったんじゃないか、そこで最後に、同室の者を深く責めないで下さい、こう書いてあると思うのです。この間の事情について、警視庁としてはどういう調査をしたか、この遺書について私どもは非常に疑問を持っているのですが、わかっておるところを一つお話し願いたい。
○藤本参考人 四予備の井戸巡査が自殺をせられましたことは、非常に気の毒に存じております。なお今本人の自殺の原因についていろいろお尋ねがございましたので、なくなった故人の問題につきまして、とやかく申し上げまするのは本意ではございませんが、そういう関係から、われわれの調査したところを、一つこの際はっきり申し上げておきたいと思うのであります。
 井戸巡査というのは、昭和七年に生まれ、現在二十四才でございます。二十六年の五月巡査を拝命いたしまして、本年の一月二十四日に予備隊に来た者でございます。本人は元来からだの弱い方でございまして、約三年前から不眠症で寝られないということで睡眠薬を服用しておりました。主治医がおるわけでございますが、その人について調査をいたしますと、本年の八月に大腸カタルをわずらいまして衰弱いたしました。体力的に衰弱した関係から、さらに睡眠薬の服用を重ね、量も多くなりまして、神経衰弱のような症状を呈して、不眠の状態が増強しておったという状況でございます。
 本人が砂川に出動したときの状況でございますが、十月十二日に出動いたしましたときには、申し上げましたように、平素から病弱でもございましたし、いろいろ疲労の点も認められますので、その日は輸送して参りました自動車の警戒に当りまして、第一線には出なかったのでございます。次いで十三日におきましては、砂川町の役場のやぐらの下で、交通妨害の目的で置かれてありました二台の自動車の側面を通りまして、前方で多くの労組あるいは学生の方が妨害されておりますので、これを排除する目的で出ましたところ、出たとたんに、かえって相手方から棒でなぐられまして、そのために左前膊部の骨折、また石が当りまして、左の人さし指に擦傷を負って、すぐ第一線から退いておるのでございます。
 その後の本人の言動についても調査いたしたのでありますが、本人はその後ずっと引きこもっておりまして、自殺いたしますまで隊の方には出勤をしなかったのでございます。砂川の問題については論評するというようなこともあまりなかったようでございますが、友人に語った言葉によりますと、今度は全くひどくやられた、あのようにひどくやられるとは思わなかったというようなことも言っております。なお十四日の日に女の友人に会っておるのでございますが、そのとき本人は、砂川の事件に関しての新聞記事は相当でたらめが多い。これは本人がその友人に語ったというのでございますが、その女の人が、新聞というものは常に中正な立場にあるのだから、それならば、今お話もございましたが、なぜ抗議しないのかという、こういうことを聞きましたところが、何しろ向う側は非常に戦術がうまくて、警察というものを目のかたきにしておるので、どうしようもなかった、出たとたんに太いくいで腕をなぐられ、おまけに石を投げられて指をけがした、こういうようなことを言っておるのであります。そういうのが、現われました砂川に関する本人の言動でございます。
 なお遺書の点につきましては、これは中隊長あての遺書が一番問題にされておるのでございますが、それにはこういうように書いてあります。まず最初に「自分は重々悪いこととは知りながら、将来に対する不安からこのような結果となってしまいました。深く深くおわび申し上げます。何事も将来がなくては生きていくことができないものとしみじみ感じました。」と、前段に生きていく将来に対する不安で、こういう結果になって相済まぬということを言っておるのであります。その次にお話のありました「砂川の問題にしても自分としてはどっちがいいのか、どっちが悪いのかということを批判する考えは少しもありません」。こういうことを言っておるのであります。なお本人が母親への遺書とともにつめを残したということでございますが、これは調べてみました結果相当古いつめでございまして、親指の根元からはがれたつめがあるのでございますが、死にました本人につきましては、そのときにおきましてはそれがはがれたという状況はないのでございまして、相当古いつめがあったというようなこと、それから本人の以前の言動等にも、もう自分は三十までしか生きていないのだとか、あるいは警察に入って数ヵ月たったころの日記等によりましても、自分はもう死にたいのだというようなことも見えておりまして、かねて相当重い神経衰弱で睡眠薬を使用しておったというような状況から、やはりそういうことが基本的には問題であると思うのであります。もちろん、砂川でああいう激しい場面にぶつかりまして、ひどい負傷をしたということも本人の自殺についての一つのショックになるとは思うのでございます。実情はさようでございますので、ここで調査いたしましたところを申し上げておきます。
○北山委員 そのような多少の解釈を含めての御説明でございますが、私どもはこのような砂川の問題について、現地に出動した予備隊員の一人が――これは井戸さんばかりじゃないと思うのですが、やはり警官の中にも砂川の問題は、果してどっちがいいのか悪いのかという疑いを持っておる。これはおそらく国民の相当多数の人もそう思っておると思うのです。警察全体としても、おそらく警察の主要な幹部の中でも、ああいう基地問題について、果して国民のためにほんとうに利益になるかどうかわからぬような問題のために、単に法を守るというような立場から、警官まで出して血を流さなければならぬ立場に立たされるということについては、警察官としてできるならばこれを避けたいという気持があるのは私は当然だと思う。だから最初にも申し上げた通りで、警察は火中のクリを拾ったのだ、われわれ社会党の態度は警察に火中のクリを拾わせまい、別な政治的な解決でもってやってもらいたい、こういう態度で行っているのである。ところが残念ながらああいう結果になってしまった。だから私は、この井戸さんのような気持あるいは迷った気持、どちらがいいか悪いか、こういう問題について、やはり警察全体として考えてもらいたいと思う。またそういう立場から出てきた結果について対処してもらいたいと思う。それも先ほども申し上げた通り暗やみの中で、こそこそと行われたことではないのです、あのような何千人もの衆人環視の中で行われた事実で、しかも報道機関が天下に書いていることをそのままに認めない。何か個々の巡査について調査をしてみなければ、証拠がなければわからぬというような態度は、私は警察としてのほんとうの良心的な態度でないと思う。私はできたことについても、そういう点でこの巡査のような気持で、良心的に警察の幹部は考えてもらいたいと同時に、一体ああいうような集団的な行動の場合に、警察官は今後どういうふうにやるか。私は井出本部長に十四日に聞いたところが、ああいう集団行動の場合には、警棒というものは横にかまえて押していくように使うべきものであって、突くように使うべきものではない、こういうことを井出本部長が言っておるのです。しかも相手は武器を持っておらぬのです。ただスクラムを組んで、警察の攻撃に対して、これを守っているというような、いわば無抵抗の抵抗というような形において警棒で突いたり、なぐったりするように使うことが一体許されるのですか。これは石井さんにも、警視総監にも聞きたい。今後の問題もありますからこの点を確かめたい。
○石井説明員 無抵抗の抵抗とおっしゃいましたけれども、たびたび警視総監や藤本警備部長からもお答えいたしましたように、十二、十三両日でもって警察官が二百八十五名もけが人を出しておるという点から見ましても、相当強力な抵抗があったということは否定できないと思うのであります。警察としましては実力排除のために必要最小限度の時間的にもわずかの時間、また部隊のすべてでなくて、一部の部隊の者が警棒を使用したにすぎないのでありまして、その警棒の使い方も、ただいま北山委員のお話の通り、実力を排除するために横にかまえて使うというのが最も常識的な本来の使い方でありますが、あまりにも相手の抵抗か強いため自分自身の防衛のために、いろいろのかまえ方を活用しなければならぬという場面が多々あったものと思うのであります。今後ともこうした警備出動の場合に、むろんわれわれとしましては行き過ぎのあることは厳に戒めなければならぬと思っております。そういう意味からいたしましても、今回の事案につきましては、十分に苦い体験と申しますか、これを反省し、もし不幸にして行き過ぎがあるならば、そうした点は再び繰り返すことのないようにしたいということは、私かねがね申し上げておる通りであります。そういう意味で十分真相の調査もいたしておるわけでございますが、現在まで判明したところでは、警棒の不当使用等はないということを申し上げておる状況でございます。
○北山委員 警視総監がお帰りのようでありますから、一つだけお伺いしておきます。ちょっと話は違うのですけれども、警察官がああいうところに出動した場合には、何か出動手当というようなものがつくのですか。そしてそれはどの程度につくのですか。
○江口参考人 出動手当というものはございません。
○北山委員 そうすると、ああいう場合に出たときは、出動手当とかなんとかいう名目は別にしても何も出ないのですか。何か手当は出ないのですか。
○江口参考人 その出た時間とまでは申せませんが、超過勤務手当が一部出るのと、それから月額旅費と称するものもございますので、普通の勤務に服した場合と同じように見まして、ああいう出動をしたからといって、特別の手当は考慮いたしておりません。
○北山委員 それはまあ去年の砂川の問題もありますけれども、そうすると問題を砂川に限っても出動をした場合には、普通の規定による超過勤務以外には、出動についての手当というのは出ないのですか。――出ておりませんね。
○江口参考人 月額旅費は出ております。
○大矢委員長 永田君。
○永田委員 それでは順序を追って、ちょっと御質問したいと思いますが、時間がありませんから簡単にいたします。
 まず十二日までの相手方の行動からちょっと聞きたいのですが、たしか警官が初めて出たのは十二日だと思いますが、十月四日以来、新聞などで見ると、社会党の党員だとか労働組合員、学生が大ぜい現地に動員されていたということでありますけれども、警察が出動するまで、一体彼らはどんなことをやっていたのか、それをまず伺いたいと思います。
○江口参考人 お話の通り警察が出動いたしましたのは十二日と十三日でございますが、測量が行われましたのは十月の四日からでございます。従って十月四日から十三日に至るまでの間、常に測量班の前には社会党の国会議員さん、あるいは都議会議員さんなどがその先頭に立ちましてその周囲に秘書の方とかあるいは労働組合の幹部とか、さらには労働組合員、学生、地元民などがこれを遠巻きにしまして、そうして測量班に対峙しまして、話し合いで解決しようとか責任者を出せとかいうことで、いわば話し合い戦術と申しますか、そういうものがとられたのでありまして、測量班員が一歩でも前進しようとしますと、これを力で阻止をする。体力で阻止をする。ときにはその周囲におる労組員、学生がスクラムを組んでその通行を妨害する。これが四日から八日間にわたりまして、十数回にわたり繰り返されたのでありますが、その間四日の日と十日の日でしたか、調達局の職員が六名、測量会社の職員が一名、都の立会人一名合計八人が傷害を受けておるのでありまして、話し合いと申しますが、話し合い戦術という言葉が明らかにしておりますように、単なる話し合いだけではない、もう実力阻止に近いものがあったというふうにわれわれは認めたのでございまして、いよいよこの状態では放っておけない、違法の程度も非常に濃くなってきた、その他にもいろいろ法律違反が行われているというような判断から、十二日に出動を開始したというようなわけであります。
○永田委員 今お話があった話し合い戦術というものの違法性の問題ですが、一体社会党議員団によって行われた話し合い戦術というものが、よくわからぬけれども、どういうことなのか、あるいは合法的なものであったかどうかということと、それからもう一つその十二日までに私服警官がずいぶん傷害を受けたということを聞いておるのです。私服警官が入っていこうとしたら、ピケラインでこづきまわされたり、なぐられたりしたということを聞いておるのですが、その二つについて十二日までの事案をお話し願いたい。
○江口参考人 話し合い戦術という言葉が表わしておりますように、測量させないための、言葉は話し合いでございますが、阻止するということを、そういう言葉で言い表わしているにすぎないのではないか、かように考えております。従いまして単なる話し合いをしようというだけならば、今までの状態は、まだ違法にはならないと思っておった時期もあるのでございます。それは七日ごろまでは現在の程度の測量班に対する話し合いの態度というものは、まだ違法とまではいくまいといわれておった時期もあるのでありますが、そのうしろに何千人もの労組員たちがバックする、あるいは付近において気勢を上げるというような事態もだんだん濃化して参りますし、結局それらの事態は暴行脅迫がそれに加わりますれば、公務執行妨害になりましょう。それに至らないまでの間は、公務執行妨害の容疑として取り締るというわけには参りません。しかしながら、話し合いをしないという者の前に立ちふさがって、その進路をふさぐということは、道路交通取締法違反でありますし、また軽犯罪法違反になるわけであります。それらの違法状態を排除するために、しばしば警告を行なって、なお立ちのきませんので実力で排除したというのが、実情でございます。
 それから私服警察官に対するいやがらせと申しますか妨害と申しますか、それは私服警察官はもう警察部隊を出動させる前から、現地に数十人を出しまして、状況の視察あるいは写真の撮影、あるいは不法行為の予防等に当らせておったのでありますが、その当時からすでに学生や労組員が方々にピケを張りまして、その私服員の通行を阻止しておったのであります。その前に立ちふさがっては、何しに来た、どこへ行くのか、通さないわけではないが、ここから先は氏名を明らかにしてくれ、身分を明らかにしてくれ、あるいは闘争本部の了解を得て通ってくれというような口実を設けて、私服員の通行が妨害されておったのであります。その妨害も、当初はただ執拗に食い下って通行をおくらせるというだけの程度でございましたが、次第に阻止行為が強化して参りまして、七日ごろからは実力でこれを阻止する。あるいは私服員を発見した場合は――ことに十二日、十三日の状況でございますが、発見した場合はこれを大ぜいで取り囲んで、なぐる、けるの暴行をする。私服員は腕章をつけておりません。腕章をつけていないのは私服員と条件派の人たちだけなんです。従って一ぺんにわかるといえばわかるのでありまして、それらの私服員に対しまして、警察から来ておるだろうということで、相当の傷害を受けたというような実情になっております。
○永田委員 私は十二日まで警察が黙っていたが、なぜ出動しなかったかということを非常に遺憾に思うのです。新聞でずっと見ておったのですが、現地で適法な測量行為が行われている。それを毎日々々阻止されている。組合員や学生やほかの者がやってきて、測量しようとするのを阻止する。ほんとうにわれわれは新聞を見て歯がゆい気持を持っておった。なぜ十二日まで出動しなかったのか、このことを一つ伺いたいのと、それから十二日に出動したのは、ほんとうにかんにん袋の緒が切れて出たのではないか、こう思うのですが、十二日に出動した理由、それから出動したことについて調達局から要請があったかどうか、この三点について答弁を求めます。
○江口参考人 四日から測量が始まりまして、十一日まで続いて、十二日からいよいよ警察部隊が出動したわけでありますが、なぜ十二日まで出なかったかという御質問でございます。四日に測量を始めた、その日からすでに傷害を受けた者がございます。しかもその前に立ちふさがって通行を許さないというようなことは、ただいま申し上げましたような各種の法律違反になるわけであります。ですから、最初から違法がなかったとは申しません。しかしながら、十月四日一日の事態のみを見て大ぜいの警察官を出動させて実力でそれを排除するということがいいか悪いか、まだ早過ぎはしないかというような慎重な態度を持っておったわけであります。しかもそれに適用するたとえば軽犯罪法とか、あるいは道路交通取締法とか、あるいは土地収用法違反とか、そういうような事態に対する法規の適用上の解釈の問題、運用の問題、これも非常にむずかしいのであります。どういう場合にそれならば、制止をして聞かれなかったときに実力行使ができるかどうかということは、法律的に非常にむずかしいのであります。それらの点につきまして、われわれすでに四日から違法な行為があることは認めておりましたが、それがだんだん日にちがたつにつれて、その違法性が濃度化していくのみならず、われわれとしましてはその違法性についての解釈につきまして、警察庁とも打ち合せ、あるいは検事局とも打ち合せ、あるいは法務省とも打ち合せて、ようやくその場合に対する法規の解釈上の結論などが、十一日ごろに固まったのであります。一面におきましては十六日までに全測量を終るということでございますので、十二日から調達庁におきましては万難を排して測量をやるという強い意気込みが示されたわけでございます。そういうようなことになりますれば、現地における激突は必ず相当なものになるであろう、これを排除するためにはどうしても警察が出なければならないというようなこと、さらに地元の条件派に対する反対派のいやがらせ、あるいは条件派の人のものは買うなとか、あるいは条件派の子供が通っておれば通すなとか、あるいは条件派の婦人がなぐられるとか、非常に不安におびえておる、その程度もますますひどくなってくる、それらのことが固まりまして、いよいよ十二日は出動せざるを得ないという態度をきめたわけであります。それから調達庁からの要請でございますが、これは八日の夕方に、都の調達局長から藤本警備第一部長のところに対しまして出動の要請がきております。しかし出動の要請がきたからといって、直ちに出動すべきものと警察としては考えなかったのでございます。いろいろな事情を判断しながら独自の立場で、その出動する時期を考えて十二日ときめたわけでございます。
○永田委員 話は飛ぶかもしれませんが、相手方の動員した数ですね。それから態勢、こういうものについてちょっと伺いたいのですが、十二日と十三日にはずいぶん莫大な人間を寄せ集めたということを聞いておるのですが、一体どのくらいの人をかき集めてきたのか、その数が大体わかっているかどうか。それから伝えられるところによると、そういう集めてきたものをリードする人たちが、測量班だとか警察官に対して実力で阻止をする訓練を前にやっておった、警官に対してこれをどういうふうに阻止するかという訓練を毎日やっておったということを聞いておるのですが、そういう事実があったかどうか伺いたいと思います。
○江口参考人 十二日に動員されました数は二千九百名でございます。これはわれわれの計算した数字でございますから、はっきりしておるかどうかは別問題としまして、われわれが調査したところによれば二千九百名。そのうち地元が百五十名、労組員が約千九百名、全学連が約五百名、議員団その他が約三百五十名、十三日には約五千名が動員されております。地元が百七十名、労組員が二千七百名、全学連が千四百名、議員団その他が約七百三十名となっておりまして、十月一日からの動員延べ人員は、支援協の発表によりますと六万一千人に達する、こういっております。それから毎日阿豆佐味神社に集まったこれらの反対派が、どういうことをやっておったかということにつきましては、これは私自身もテレビで見たのでありますが、数人が一重、二重になり、前に竹棒を横たえて突撃する様子などもテレビで見ております。それからこれはわれわれの察知したところでありますが、いわゆる作戦と申しましてA号作戦、B号作戦、C号作戦というようなものが立てられておったようでありまして、それらの作戦に応じたいわゆる闘争訓練というものが、竹ざおや旗ざおを持ってスクラムを組んだりして、あるいは指揮者の警笛によって前進をしたり後退をしたり、ときには喊声をあげて突入したりする訓練が行われておりまして、十二日の午前中には特に活発に行われたということになっております。A号作戦というのは、道路の両側でスクラムを組んで、まん中を一人二人がやっと通れるようにする。B号作戦というのは道路で横にスクラムを組み、ときには自動車などを利用して測量班や警察官の通過を阻止する。C号作戦というのは測量予定地に大勢が集結して立ち入り調査を実力で阻止するという作戦のことをC号作戦、このような言葉を使って訓練をしておったことが事実のように思われます。
○永田委員 今のいろいろな作戦を伺いまして、実に用意周到に準備を整えておったということがよくわかったのでありますが、さらにそれだけ大勢の人間を集めたということも、私今聞いてびっくりしたのでありますが、これだけの大勢の人間を集めるのには、ぞいぶん金がかかっただろうと思うのです。伝えられるところによりますと、学生だとか労働組合の人にはみんな日当を払ったということを聞いておるのです。先ほど北山委員から警官の方のそういう話がありましたのでお伺いするわけですが、あるところ――名前は伏せまするけれども、ある大学のアルバイトの学生が毎日何百人かいるのに、その日に限ってもう全部砂川へ出払ってしまって、アルバイトを雇いに行ったけれども、学生はいなかったということを聞いているのです。この連中に一体どのくらい日当を払ったのか、あるいは労働組合、労働者の人にどのくらい払ったか。また聞くところによりますと、社会党の議員に対しても日当が払われたということを聞いておるのです。そういうことについてもわかっておればお聞かせ願いたい。あるよその国から金が出たというようなことを言っておる人もあるのであります。もしもそういう金の出どころがわかっておれば、その金額などをお知らせ願いたいと思います。
○江口参考人 ただいま永田さんからの御質問でございますが、その全部にお答えするだけの詳しい資料は実はまだできておりません。また今後そういうことが調査でき得るかどうかも確約いたしかねるのでございますが、今までわれわれが調べた範囲内で、ただいまの御質問にお答えし得る範囲のものは、次のようなものでございます。労働組合に対する出動手当と申しますか、これは各単産について聞きに行って教えてもらった数字でございますから、これは間違いないと思いますが、都教組のうち、ある区の教組におきましては、昼向うへ応援に出ました場合には六百円ないし七百円、夜泊ってくれば千円、これが一番大きい額になっております。それから都職労では昼が三百円、夜泊れば五百円、それ以下のもずっとありますが、たとえば全日通などは一番少くて昼の部が百円で、夜の部が二百円、それから国鉄では昼出れば二百円、夜行けば五百円、多数ございますがそんな程度でございます。学生、全学連に対して何か金が出ているのではないかということでございますが、これは今のところよくわかりません。各学校によって違うと思いまするし、最初はやはり学生の自弁で出ておったような気配もございます。しかも学生自身が向うに行きまして、昼飯代を四十円ずつ払った。つまり交通費と昼飯代を払って、自弁で出ていったようなことも聞いております。それではあまりかわいそうだということで、後には弁当代は払わなくなったというようなことも聞いております。ある日のごときはバスを二十台雇い上げて、一台二万円でございますから、四十万円ほどの金を使って学生を動員して、一斉に応援しておるというような事態も承知いたしております。そのほか国会議員さんに日当が出ているとか、よその国から金が来ているのではないかというようなことについては、これは私はあり得ないことだと思いますし、今後調査しましてもそういうデータは出てこないと思います。
○永田委員 次に無届け集会のことをちょっと伺いますが、応援の団体が毎日々々大勢やってきて、デモをやったり何かしておる。これは明らかに公安条例の違反だと思うのですが、この点はどうですか。
○江口参考人 確かに公安条例違反の事例も多々あったのでございます。従って現地の第八方面本部長は、しばしばそれを警告したのでございますが、この程度のことが何が公安条例違反だ、それ以前のもっと非常に重大な根本問題があるというようなことで、その制止の声も聞かれずに済んだわけでございまするし、それかといってそれを取締ると申しましても、非常な大部隊が阿豆佐味神社に集まっておるわけでございますから、それに実力を行使するということも、非常に困難が伴うというようなことを考えまして、その点の取り締りは特に強化はいたさなかったのでございます。
○永田委員 次に条件派に対して圧迫を加えたということを聞いておるのです。応援団体が現地へあんなに大勢なだれ込む前は、ある条件で妥結しようという現地民が相当あったように思うのです。そういうことを新聞なんかで私は承知しておったんです。ところが応援団体が大勢現地へ出かけていって、わいわい言い出してから、聞くところによると、そういう団体の連中が、条件派の者に対して非常に圧迫を加えた、あるいは傷害まで起したということを聞いておるのですが、その条件派に対する、この連中の圧迫の状況をお知らせ願いたいと思います。
○江口参考人 先ほどちょっとその点に触れてお話申し上げたと思いまするが、いろいろ条件派に対するいやがらせがあったことは事実でございます。一々具体的に申し上げますれば、十月の五日に条件派の方のある婦人が、反対派の人から顔面を数回にわたって殴打されて、五日間の傷害を負っております。それから十月十二日の朝には、条件派の某氏のあき小屋の中に応援の労組員などが立ち入っては困ると思って、それをくぎづけしてあったのを、そのくぎづけを破壊してその小屋の中に入って、そこにあった古材などを使用してたき火を行なって、火災発生の危険を生ぜしめたというようなこともございます。あるいは十一になる男の子が役場の前を通ろうとしたら、あれは条件派の子供だから通すなということを言われた。その他商店などでも、雑貨商が一軒あるのですが、そこで買物をしようとする者がおると、条件派の家で買物をするやつがあるかといって阻止した。あるいは野菜の行商をやっておる人がおるのですが、これが行商に行くのをピケで阻止されまして事実上営業不能に陥った。あるいは条件派の家の中に私服員がいないかということで、反対派や応援団体の者が家の中をのぞく。あるいは役場付近に住んでいる条件派の人たちの前には、連日自宅付近でピケが張られまして、たびたび出入が阻止されたり、またばかやろうと面罵されたりなどした事例などもございまして、婦人などは夜間はこわくて買物にも出られないという事態もございました。しかもそれが先ほど申しましたように、私服警察員と条件派だけが何らの腕章もしていないものですから、それが条件派の人であるかどうかというようなことはすぐわかるわけでありまして、それらのことにつきましても、地元では非常に不安がって、早く警察官を出動させて地元の秩序を維持してもらいたいという要望は、前からされておったのであります。
○鈴木(直)委員 関連して。東京大学学生新聞の昭和三十一年十月十五日号学生論壇、あるいはアカハタの十月十八日から十九日号の座談会に「砂川はこうして守られた」という記事がある。それに「砂川基地反対闘争に参加して」という早稲田大学の第一文学部三年の斎藤吉見という者の書いたものがある。それを見ますと、たとえば現地の情勢ですが、「半鐘が鳴って測量隊の侵入を知らせた。闘争本部のスピーカーは全員配置につけ、と叫んだ。乱闘服の私と友人の学生共産党員は第三ゲートに向って走った」云々。「私は友人の共産党員と顔を見合せ苦笑した。「自分で交通費を出し、握りめしに四十円を出してまで砂川にやってくるのは学生だけだ。人気の出るのも無理ないさ。淺沼書記長も野坂第一書記も大いにほめておだてているわけさ、」その共産党員はこう私にささやいた」云々と書いてある。「三日目にはもう闘争以外に楽しみはなくなった」云々とそのアカハタに書いてあるのですが、これを見ますと、彼らはやはり「測量隊の侵入」を、「測量の目的」を妨害するということが、この群衆の目的であったということがはっきりしているわけです。今までの質疑応答によりますと、ただそこに何にもない群衆が集まっていたのだ。そこへ警察官が行って暴行したんだというような印象を受けるようなふうに問題が進められておりまするが、この共産党の機関紙のアカハタの偽わらざる座談会を見ますと、やはりその目的は国が測量しようとするその測量を妨害する目的のもとに計画的に、意識的にかり集められているものであるということがはっきりしておるのです。今の答弁によりましても、それをするために相当の日当も払っておるところを見ますと、実際においてそういう考え方を持っていない人までもかり集められて、日当をもらってやっているということである。事実私は社会党の国会議員の方々でもそうだろうと思う。あの十二日にここで地方行政委員会が開かれることになっていた。ところが社会党の本部の方々から向うの応援に来いと言われて、ことの地方行政委員の方々も実際弱っておった。実際は行きたくないというような格好をしておられた。本部の、来いという命令で、党の命令だから仕方がないといって行った人もあったようだ。結局この問題は相当深い計画のもとに計画されて、そこに動員されてきているということがはっきりしていると思うのです。ここに「闘争本部のスピーカーは全員配置につけ、と叫んだ。」とある。闘争本部が設けられて、うわさによりますと、その闘争本部の計画が共産党に関係しているところで行われているということを、相当有力筋から聞いております。この文章を見ましても、「乱闘服の私」と書いてあるから、おそらく乱闘するために特別の服を着ていったのだろう。乱闘服と書いてある。そうして友人の学生共産党員ということが書いてあるので、共産党に入っている学生が行っているのです。従ってこれは表面は合法的な仮面をかぶっておるけれども、その表面と実際とは違いまして、単に合法の仮面をかぶった戦術をとっておるにすぎない。これは相当弁護士が研究したでしょう。こうすれば警察も手をつけられない。今委員会で聞きますと、警察も軽犯罪法とか交通取締法の疑いがあるというきり法律的には解釈できないようなやり方をしているんだから、これは非常に現在の法制上の盲点をうまくついた大衆運動にすぎない。きわめて悪質な意図を持った、現在の法制を研究して終局の目的を達成しようとするところの遠大なる運動なんです。これをずっと読んでみてもわかる通り、一つの闘争なんだ。党員についても、共産党の党内における出世のために砂川闘争を戦う。そうしてうんと戦って、警察からでも検挙されれば、党員として出世するという、そういう内容を持ったものなんだ。そうしてこれはすでに、社会の何も知らない人たちは、そこに行われた乱闘とか、そういうものをニュースとか写真とかによって報道されて、いかにも警察官が暴行をしているようなふうにそれがカムフラージュされて、国会内における委員会におきましても、主として警察官の暴行に興味を持たして、それをニュース・カメラにとって、警察官が無事の民を暴行したのであるという。割の悪いのは警察官だけだ。この前の委員会を私は聞いておりまして、かわいそうに思いました。まるで警察官だけが暴行して国会議員からしかられておる。演説の上手な国会議員がかわるがわる立って、役人を、警察の者をしかっておる。ところが地方行政委員はお互いに知っておる警察隊長なり長官だからいじめられない。それで関係のない、現地におって、ここをつつかれたあそこをつつかれたという人がかわるがわる来てその事実をあげて、これはどうした、あれはどうしたと言ってしかりつける。それをニュース・カメラがとる、それを報道する。そうして国民はこの記事によって、砂川事件というものは何でも無事の民が集まったのを、警察が勝手に行って、警棒を振った結果生じたのだというふうに印象づけられているというのが、私は砂川事件の表面に現われてきた事実じゃないかと思う。これはゆがめられている問題だと思う。だから砂川問題というのは、もっと全般的に検討されるべき問題であると考えておるのであります。少くともこの記事を見まして、また今の同僚の永田委員の質問に対する答弁に関連して質問するのでありますけれども、こういう計画のもとに行われたものに対して、現在の警察はそういう秘密的な内容を調査するというようなことは、占領下において従来の特高的なやり方はやってはいかぬという考え方になって今まできておりますから、おそらくそういう情報は深く察知していないと思います。あるいは公安調査庁の方でよく知っておられるかもしれませんけれども、おりませんから今質問はできませんが、こういう闘争本部を作って、砂川問題を中心として、これを基地反対闘争に結びつけ、先ほどの大衆訓練をした。暴力革命というところまで考えておるのかどうかわかりませんが、あるいは共産党員はそういうふうに考えているかもしれない。それが指導的な役割をとって、社会党の議員にはそれがわからなくて、大衆のためだと思ってやっていたかもしれない、利用されていたのかもしれない。往々にして問題が起ると共産党は暴力革命の秘密的な考え方をして、それに好意を持っておる合法性を持っている政党なり組合を利用し、それをかき立てて成功したということを考えているかもしれません。そういうことも思われる。社会党員の人たちは非常に良心的にやっておられたかもしれぬが、うまく国会議員をあやつったというものが深いところにあるかもしれないとも思われるのであります。もちろんその資金がどこから出たかというようなことについては、ただいまはっきりした資料もありませんけれども、もっと深いところに根拠があるのではないかというふうにもアカハタを通じて推察をするのでありますが、この共産党の計画とこれとはどんなふうな関連にあったのか、その点がわかっておるならお知らせ願いたい。
○江口参考人 ただいまの砂川と共産党との関係はどんなふうであったかということでございますが、お話にもありましたように特高的な活動は一切いたしておりませんので、裏面の事情は警察として存じておりません。しかし共産党の党首と申しますか、幹部を初め、相当な方たちが現地に出られて激励をしておられたことは事実でございます。
○永田委員 今鈴木さんから乱闘服の問題が出たので、それとよく似ている問題を私も聞きたいのですが、聞くところによると応援団体がたくさんやってきた自動車が、大部分赤十字のマークをつけたまま入ってきた、それで警察では赤十字の救護班か何かと思って通した。ところがあにはからんや応援団体の連中がたくさん入っておったということを聞くのです。そのために警備活動が大いに混乱させられた。あるいはまた女の子の学生たちが赤十字の腕章をつけて救護班員だといって偽わって、警官の線を突破して大勢中に入ってきてスパイ活動をやった。そういうことを聞いておるのですが、その状況についてわかっておったらお知らせ願います。
○江口参考人 支援協の自動車で前面に赤十字のマークをつけておりましたものがあったことは事実であります。しかしながら常にその中に医師あるいは看護婦が乗っておったかと申しますと、実は乗っていなかったようにわれわれは見ておるのであります。あるいはそういうマークをつけた、から車で、その自動車を運転して妨害したりあるいはその自動車を利用して応援の労組員たちが現場深く突入してきて、そこで車の中から激励するというようなことがあったことは事実であります。
 それからこれは大部分が応援に出ました女子学生だと思いますが、全学連という腕章の上に赤十字のマークをつけまして、さも赤十字から来ておるような格好をしながら、警察官の部隊の中をマークを見せながら、突破して連絡をとったり、これはその現場で聞いたある私服警官の報告でございますが、赤十字のマークをつけた腕章を四百本作ったそうです。ところがその四百本がまたたく間になくなって、あと作ってちょうだいよと言っていたという話を聞いております。これらの人がいわゆる救護班として負傷者を、たとえば逮捕しようとする負傷者をかばうというような格好をとったり、あるいは最後の測量地にあります栗原某氏の家を仮救護所のような格好にしつらえまして、そこへそれらの婦人、赤十字をつけた女子学生たちが出て非常に激励もするし、負傷者の手当にも当るということで、相当たくさんの赤十字の腕章が乱出されたということは、われわれの方としても見当づけておる次第であります。
○亀山委員 今伺いました赤十字の記章、標章の乱用の禁止は国際条約にはっきりきめてあることです。(笑声)非常にむずかしい問題だと思う。これを速記録に残されることは日本のためにも不利だと思うのです。これはゆゆしい問題なんです。今お笑いになったけれども、赤十字の記章、標章の乱用ということは非常にゆゆしき問題です。従ってこれを速記録にお残しになるかどうかということは、日本のために一つ委員長にお考えを願いたいと思うのです。
○永田委員 もう一つ最後に伺いたいのですが、十三日の出動時間の問題です。十二日にあの乱闘をやったので、何か聞くところによりますと警察の方では全部の予備隊を待機させておった。早朝にこれを出動させて、十三日にはああいう混乱をしないように未然に防ぐ計画をちゃんと立てておったということであります。ところが社会党の議員諸君が夜中にやってきて、午前九時まで出動を延ばしてほしいと言われたために、予備隊の出動がおくれた、そのために十三日にはまたあんな忌まわしい事件が起きた。もしも社会党の諸君がそういうことを申し入れておらなかったならば、十三日のあの悲劇は未然に防がれたのじゃないかという気がするのです。私なんかが考えると、悪くいえばこれは一種の謀略じゃなかったかという気持さえもするのですが、その事情を一つ詳しくお話し願いたいと思います。
○石井説明員 ただいま御質問の点は、私の責任においてやりましたことでございますので、私からお答えをいたします。
 十二日に御承知のように警備部隊が初めて出動いたしまして、双方に若干のけが人を出したということにかんがみまして、十二日の夜、名前は差しさわりもございましょうから申し上げませんが、社会党のある幹部の方が、たしか午後十一時過ぎであったかと思いますが、私のところにお見えになりました。そして今お話のように、あすの警察の出動を見合してくれないか、こういうお申し出があったのであります。私はそのとき申し上げたのでありますが、十二日の警察の出動によって警察官の方にも、また相手の方にも若干のけが人を出した。これはまことに嘆かわしい事態である。そうしたことを私自身としても繰り返したくない。事が円満に運ぶことは望ましいことであるので、その点はまさしく先生方のおっしゃる気持はよくわかるのでありますが、御承知の通り、十月十六日までに調達庁としてはどうしても測量を完了しなければならない。その目的通り測量を完了するためには、十二日以前の十一日まではとにかくまだ時間もあるということもありまして、いわゆる話し合い戦術に引きずられまして、測量隊は出かけて事ならずして引き上げるということを連日繰り返してきたわけでありますが、十二日以後はもうそういう戦術に、まんまとひっかかっておるわけにいかないということで、強力に妨害を排除してでも測量に着手したいということで出ることになりましたので、それまで違法の状態が累積しておったのでありますが、もうこの段階では測量隊がそういう強硬態度で出るという以上、警察として放任して参れないということで、先ほど来警視総監がお話ししておりました通り、警察としましては最後の出動の決意をいたしまして、十二日に出たような次第でございます。従いまして、十二日に双方に若干のけが人を出したことは遺憾であるけれども、測量をどうしても強行するということである以上、その政府の方針が変更されない、中止されない限りは、十三日に警察としては出動をとりやめるというわけに参らない。どうしても警察の出動をとりやめてほしいとおっしゃるのであるならば、その前提である測量の中止ということについて政府の責任者なり、あるいは与党の幹部の方々とお話し合いになって、円満に話がつくというのであるならば、それは一つの方法で、測量が中止されればこんな問題が起らない、警察も出ないで済むということになるわけだから、まずその前提となる問題をお取り上げになって、必要な方面に折衝をされるのが適当ではなかろうか、こういうふうに私は申し上げたのであります。まさにその通りである、そこで自分たちとしても今晩からあしたの朝にかけて、最後の努力を払って、事態の円満解決のために善処したい、一つあすの出動を、時間的に若干でも猶予してもらえないだろうか、聞くところによると、早朝から警察を出動させるということになっておるようだが、それを一つ時間的に猶予してもらえないだろうか、こういうお話がありました。一体それでは何時ごろまでに先生方は最後の事態円満解決のための策をおとりになるのですかと伺いましたところ、午前中くらい待ってもらえぬだろうか、こういうのであります。午前中お待ちするということになりますれば、十二日の例に徹して考えましても、十二日は午後警察が出動しまして押し合い、へし合いをした結果、結局午後五時近くになりまして、遂に測量に着手することができずして、むなしく一日を経過したというような状況にかんがみましても、これはなかなかそう簡単に参らない。午前中から出動するという態勢でなければ、十三日もむなしく一日をまた過ごすということになるのではないかと私判断をいたしましたので、午前中お待ちするというような悠長なことはできない。先生方のおっしゃる気持はよくわかるし、私もでき得べくんば混乱を起さずして、事態が円満に解決されるということは望ましいのでありますから、最後の最善を尽すための時間的猶予をということでありますならば、早朝あらゆる方策をおとりになるための最小限の時間をということならば、それは考えてみましょう、こういう御返事をいたしたのであります。結局その結論といたしまして、御承知のように測量は午前八時から午後五時までにするということになっておりますので、その八時間の測量を、それでは一時間くらい見送って、午前九時ごろから測量を開始する、そのころ警察の出動をするというふうに、私としては一応判断を下しまして、そういう御返事を申し上げた次第であります。私はあくまで社会党の先生方が、文字通り私にお約束された通り誠心誠意をもって、事態の円満解決のために最善を尽されるものと期待をいたしておったのであります。従いまして、警察が出ないということならば、御反対の立場をとっておられる労組その他の方々も、何も朝早くから現場に出向かれる必要はなかろうと思うのであります。にもかかわらず、早朝から相当多数の者が動員されて現場の配置についておられたということから考えまして私があまりにも人がよ過ぎて、まんまと一ぱいひっかかったという感じがいたしたのであります。先ほど御指摘の通り、自分の方の態勢を有利にするたあの牽制として、警察の出動を時間的におくらせるという巧妙な手が打たれたのじゃないかという御指摘は、あるいはそれが当っておるかとも、私今になって考えておるのであります。その点は、私としましてはまことに遺憾でありまして、私は、そうではなくてどこまでも最善を尽されるものと期待をし、また尽されたものと信じたいのであります。そこで警察の出動を若干おくらすということによってあの事態が起った、もしそうでなかったらどうであったかということは、これは同時に同じような場面を実際にやってみるわけにも参りませんので、比較はできないかと思うのであります。そういう見方もあるいはできましょうが、またいわゆる正攻法でない奇襲作戦をわれわれがとったということによってかえって相手方を刺激し、そのために混乱に一層の輪をかけるということになることも考え得られますので、果していずれのやり方が結果的にはよかったかということは、これはいろいろ議論の余地もあろうかと思うのであります。この点は、その議論の是非はいずれにいたしましても、私の責任においてとりました措置でございますので、総監にかわりまして私からお答え申し上げます。
○永田委員 今の御答弁によって非常に明瞭にその間の事情がわかりました。
 もう一点だけ伺います。それは、この前の委員会のときに社会党の茜ケ久保君外何人かが来られて、国会議員に対して警察官が暴行をした、これこれの全治何週間とかの傷を負った者が何十人もおるというようなことを言って警察官の行為に対して非常な非難をしておったようであります。しかし私は考えてみるのに、大体国会議員がああいうところに行くのが間違っておるのではないかと思う。安全保障条約にしても行政協定にしても、国と国との話し合いでこういうものができておる。議会活動を通じてこれがけしからぬというのであるならば、これを直すべきである、この理論を正面から国民に訴えるべきであったと私は思うのであります。そうして国民の判断が社会党がいいか悪いかということをきめるのであります。これが民主主義なんです。これが議会主義なんであります。もしも原爆の基地になっては困るというのであるならば、これは政府をしてアメリカとよく折衝させればいいわけです。現地に大勢押し寄せていってわいわい言ったって何にもならない。こんなことでは決して目的を達成できるものじゃないと思うのです。社会党ももうじき政権に近づいておる大政党でありますから、もう少し議会政治というものをよく理解されれば、こういうことはなかったんじゃないか、特に労働組合とか学生たちが、もしも自分たちから進んで行こうというふうなことを言っておったならば、社会党の諸君はそれを控えさせてしかるべきではなかったか、そうして中央においてこの問題を解決すべきであった、かように考えるのであります。これは私の意見でありますが、しかしこの前の委員会で、警察官が国会議員を傷つけたということで、非常に激怒された議員が多数おられました。警察官が意識して国会議員に暴行したということは万々一ないとは思いますけれども、そういうことがほんとにあったのかどうかということだけを、最後に聞きたいと思います。
○江口参考人 淡谷さん、西村さん、そのほか数人から現場において警察官のために負傷したということを、詳細に御報告になっておられますが、私どもとしましては、国会議員であることを意識して特に乱暴に扱って、けがをさしたというようなことは万々あるまいと思っております。むしろ現地においては、国会議員さんにしても、都議会議員さんにしても、非常に丁重な応対をしたものだとわれわれは聞いておりますが、ただ直接みずから手足を使われて妨害行為に出ておられなくとも、そばで大いにそれを激励鼓舞しておるという状態が二、三あったのであります。これらはやはり警察の立場から見ますならば、公務執行妨害そのものと見なすことができるわけでございまして、それを排除するというような際に非常に激怒されまして、そこで多少の混乱が起ってその際負傷されたといわれておるのでありますが警察の立場としましては、意識しながら特にそういう傷を与えたということではないのであります。やはり混乱の際において、あるいはその妨害行為を除去しようとする際のもみ合いから、けがをされたのではないか、かように思うのでありまして、一面、他の報告を見ますれば、某国会議員あるいは某都議会議員に対しては、実はこういうような態度で当ったという、むしろ逆の立場の報告もきておるような次第であります。決して意識的にそういうふうにしたとは、われわれは感じていない次第であります。
○北山委員 先ほどの十三日早朝の出動の問題ですが、私ちょっと疑問に思ったものですからお尋ねするのですが、この前の委員会では、今回の砂川の出動は警視総監の責任において出動したんだ、こういうお話なんです。ですからいつ何時に出動するかどうかということは、警視庁の方できめることであって、警察庁は直接にはそういうことは意識されておらないように聞いておるのですが、今のようなお話ですと、何時まで待ってくれということについて、石井警察庁長官の方から指示されて、それで警視庁が動くという関係になっておるのですか。そうなると、今までの警視総監の答弁はおかしい。これは現地の問題であって、現地の判断によって警視総監が判断をしてやったのだと、はっきりと明言されたでしょう。だれにどう言われたからというわけではない。やはり自主的な判断でやられたに違いない。石井長官のお話では待たしたんだというが、一々そういう指示を受けて出動したりしなかったりするのですか。これは矛盾しておる。この点をはっきりしてもらいたい。
○石井説明員 私の言葉が足りなかったために、そういう誤解をされたのだと思います。先ほど申し上げた際に、警視総監と私の関係を申し上げなかったので、そういう誤解をされたものと思うのでありますが、むろん私が一存できめてそういうふうに指示をいたしたのではございません。そういう話を受けたのが私で、それを私が総監に連絡をとりまして、最終的には総監の責任において総監が決断されるわけでありますが、いわば私は、せっかく社会党の先生方からそういう申し出もあったので、こういうふうにするのも一案ではなかろうかということで、いわゆるアドヴァイスをしたわけであります。それを総監が了承されたので、私はそれをまた私をたずねてこられた先生方にお取次をした、こういうことになるのであります。やはり警視総監は、現場の最高責任者として出動計画その他すべてに采配をふるわれたということには、何ら変りはないのであります。警視総監と私の内部関係を先ほどの答弁の際に言い漏らしたために、そういう御疑念を与えたのではないかと思いますので、この際訂正をいたしておきます。
○北山委員 それともう一つ、そういう事態の収拾について、警察官ができるだけ出ないように、社会党がお願いをしたということは、社会党としては決してペテンにかけるというようなつもりじゃない、そのことは長官もよくおわかりだと思う。私どもはこの基地問題については、大麻国務大臣も言っている通りで、基地問題は基地問題で、警察は警察だということを再三言っているでしょう。ですから、基地問題というものは非常に深刻な問題であって、この国土の相当部分を基地に提供して、しかもそれが原水爆基地になるのじゃないか、あるいは国際情勢が平和の方向に向っているときに、なぜそんな基地の拡張しなければならぬかというようなことについて、国民の相当部分が疑いを持っている。また現実に砂川へ行ってみればおわかりの通りで、あの町の通りのまん中を、飛行場の滑走路でぶった切られてしまう。そういうようなものに土地を取られてしまう砂川の人たちの立場を守り、できるならばこれは政府と政府との間において解決してもらいたいと思ったから、政府に対しても鈴木委員長から何べんもそういう呼びかけをしているのだ、そういう努力なんだ、ペテンにかけるというようなつもりじゃない、そういうことは長官もよく御存じだと思うのですが、残念ながらこの問題について、政府も与党も逃げ回っておって、はっきりと正面からこの問題と取っ組もうとしない、そうして警察に押しつけてしまった。ここに悲劇があるのです。だから、その点から見るならば警察は気の毒だと私どもは思っている。火中のクリを拾ったのだ。しかも今度の測量がどうして十六日までに済まなければならぬかということについて、石井長官自身も疑いを持ったのじゃありませんか。委員会の席上ではっきり言っているでしょう。なぜ十六日までに測量が完了しなければならぬかわからないと言っている。それがまた警察の出動と結びついているのでしょうが、測量を延ばせば警察は出ないで済むでしょう。だから長官自身も、社会党の方からそういう申し出があったときに、でき得るならば、警察が出たり、実力行使をして負傷者がまた出るというような不祥事が起らないように、そういう気持で努力されていたに違いないと私は信じている。決して社会党はそんな気持でやっておるのじゃないということは、これは答弁をいただかなくてもいいのですが、私はここではっきりしておきたい。
 なおお伺いしておきたいのは総監ですが、十三日の朝に総監は鉄帽を使わせないようにしたいという指示をされた。ところが現地の部隊長はやはり使わしてくれということで、うやむやになって黙認されておるのです。そういうように総監の気持は、鉄帽を使えば負傷者が出るということがわかっておった。だから使わせまいとしたのです。ところが現地の部隊長はそれに従わない。そういうように総監の意向というものが現地に伝達されて、指示の通りに行われておらない。その事実については一体どうなんですか。
○江口参考人 十三日の鉄帽使用の問題でございますが、鉄帽は御承知のように十二日はつけていっておりません。これもこの前の委員会でしばしば申し上げましたが、そのために非常に石を投げられたりして負傷しております。十二日からすでに現地の部隊としては鉄帽をかぶって出たいという強い希望を表明したのでありますが、しかし現実に出てみて、そういう負傷をしたかどうかということが表に現われてもいない先から、鉄帽をかぶっていくことはならぬということで、警備一部長の強硬な指示で、十二日はかぶせなかったのです。ところが非常にけがをしまして十三日に、それではやむを得ないから鉄帽をかぶることを承認しようということで、かぶって出たのであります。私は鉄帽の使用を差しとめるということをした覚えはございません。十二日の夜、私の公舎にもたくさんの社会党の国会議員の方が見えまして、十二日には鉄帽を用いておりませんから、鉄帽の問題は出ておりません。ただ警棒の使い方が行き過ぎがあって、相当けがをしたから、あすは出てもらわないことを希望するが、もし出るなら、警棒を持たずに出てもらいたい、こういう強い要望がございました。私もそれだけでは判断いたしかねますので、電話で連絡をとりまして、私の考えも話したのでありますが、しかし私は現地の実際をいろいろまのあたりつかんでおりませんから、十二日の事情など詳しく現場の話を聞きましたところ、ああいうスクラムを組んでいるときに、スクラムをはずすのに、警棒を用いて制止するほか、とうてい素手ではやれないという実情などを詳細にそのときに承知いたしましてそれでやはり私は今いろいろと研究もし相談もしてみたが、出動するとなれば、警棒を持たせないわけにはいかないということを、私の家に見えた議員さんには申し上げてあるのでございます。そういう事情でございますので、御了承いただきたいと思います。
○北山委員 この委員会であったか、どの機会であったか、とにかく当日十三日の出動には、たしか総監は鉄帽を使わないようにというような意向を表明された。ところがやはり現地の方からの強い要請でそのままになった。この委員会で、たしかそのことをあなたは言明したはずである。あなたの言う通りになっていない。私はいろいろ総合判断をいたしますと、どうもこの問題について総監や石井長官はだらしがない、弱腰であるというような現地部隊長の強い勢いに吹きあげられておるのじゃないか、こういうふうに疑われる節もある。これは推量ですが、おまけに与党の方が盛んに激励するものですから、態度が一変してしまったのです。それでいいのかどうか。あなた方はどんなに小手先の答弁をしても、やはりあの直後、あの事件をまのあたり見た報道の記事あるいは写真というようなものが全国にばらまかれておる。あの暴徒のような警官隊という印象を打ち消すことはできない。その世論というか、そういう報道に対してあなた方は挑戦しなければならぬわけです。
 これは別として、もう一点お伺いしておきたいのはこの鉄帽についてですが、鉄帽については、この席でもたしか、鉄帽を使えばそのために負傷者が出るということを言われたはずだ。負傷者を出さないで、しかも頭を守るというような方法があるはずなんです。しかも警視庁には、たしかそういうような鉄帽でない、ふちがあぶなくないような服制があるはずなんですが、なぜそれを使わないのですか。
○江口参考人 この前の委員会でも私申し上げましたように、現在の予備隊のかぶって出ます鉄帽は、ああいう大混乱の際におきましては、それでけがをするものがあるであろうということも想像できます。従いましてこの前の委員会では、あの素材なり格好なりについては、今後この事件を教訓として考え直さなければなるまいということは申しました。しかし予算の都合もあり、いつまでに、どういう形で、どういう素材のものに取りかえるかということは、ただいま言明はできませんが、今、北山さんのおっしゃった違った帽子というのは、交通巡査のかぶっている帽子じゃなかと思いますが、これはきわめてわずかしかございませんし、あれはそういう混乱の場合に出るときに使用しても、そう防御的な効果はないものと考えております。
○大矢委員長 ちょっと私最後に時間がないから一つだけ……。この十三日あれだけ多数の警官を出したことが正しかったと今なお考えておられるかどうか。十二日の本委員会で、昨年のあの衝突といい、十二日の衝突を見て、十三日にもし実力行使をするならば、これは双方感情的にもなっておるから、重大問題が起きる。そこでこれは何とか冷却期間を置く必要がある。そこで、不幸にして総監はここに見えなかったけれども、警察庁に私から特に明日は実力行使をしないように、何とか妥結するように話がつかないものかどうかということで、最後にこれは総監に伝えていただきたいということを私は申した。それはわれわれしろうとでもわかるように、あの状態を続けてやるならば、これは必ず重大問題が起きるということを察知したのです。そこで問題は、私どもいろいろ聞いておりますと、十六日までにどうしても測量をやらなければならぬ、こういうから、あなたたちがそういうふうに決意したわけだと思う。ところが実際問題は二時間で済んだ。三本かくいを打っただけである。それならなぜ十二日以降は話さなかったかということです。その時期においてあやまっていなかったかどうか、あれは正しい、ああいう事件が起きてもやむを得ぬのだ、あれは覚悟の上でやったのだ、こう考えておられるかどうか。こういうことが二度三度あった、今後もう一ぺん繰り返すのでは、警官もたまらぬし、住民もたまらぬ。そういうことをわれわれ予期しておって、それを伝えたかどうか、あるいはそれを今なお石井さんの話によると、いろいろ努力されたができなかったということで、何かペテンにかかったという話もさいぜんからあったのですが、そういうわれわれのおもんばかったことを伝えられたか、あるいは伝え聞いたが、やむを得なかった、しかもあの処置が正しく、あれよりか方法がなかったと今なお考えていられるかどうか、これは将来のために非常に重要な問題ですから、これだけ一つお尋ねしておきます。
○江口参考人 今回の出動に当っての反省と申しますか、あの出動が正しかったか、正しくなかったかという御質問に対しましては、測量が行われ、それに対する妨害行為があり、さらにそれを阻止する場合に、実力行使に対してまた強烈な抵抗があるというような場合には、これはやはり排除するのが警察の目的でございますから、その使命はやむを得ないものと考えております。しかし時期につきましては、われわれの立場といたしましても、石井長官からもお話がありましたように、測量が行われなければああいう事態は起らなかったということは、われわれ肝に深く銘じているところでありまして、測量が延期されれば、先ほど北山さんのお話がありましたように、われわれ自身にも二百七、八十名の負傷者を出さなくて済んだわけであります。しかしそうかといって、この前もお答えしましたけれども、警察はただ眼前の現実の違法を取り締るというだけでございまして、それよりさかのぼっていろいろな原因を考えながら、警察力を執行するかどうかということを判断しておりても、これは警察の聞違いでないかと思います。従いまして十三日に出ました警察官自体といたしましても、本日の自分らの出動はやむを得ない、正しかったものである、こういうふうに各自が信念を持っているように聞いている次第でございまして、ただやり方自体については、なお今後も相当考慮すべき余地があるであろうというふうに考えております。
○淡谷委員 警視総監おいでのようですから、警視総監に一つお伺いしたいのですが、きょうの警視総監の態度というのは非常に残念です。前回は少くともなまなましい現実に対して、非常に公平なる警察として十分反省すべき点は反省した点がございましたが、考えているうちに何かふてぶてしい調子が出てしまっている。特にさっきの与党の永田委員そのほかの御質問に対してなされた答弁というものは、あまりに意識的です。私はやはり警察というものはどうあろうとも公平でありたい、そうあるべきだと思っています。それがある一方の方に偏して、強弁してまでも自分の立場を守ろうというのは、ああいう不祥事件をかもしたあとの警視総監としては、まことに心外にたえない。あなたは四日に傷害の事実があったと言われておりますが、四日には一体どういう傷害の事実があったのですか。
○江口参考人 お答えします。先般の委員会で私いろいろお答えを申し上げましたが、そのときにはわれわれの方としまして資料がまだ集まっていなかったのであります。従いまして常に私は調査中でございますから、そういう点がございましたならば善処いたしますというふうにだけしか、御答弁できなかったのでありますが、今日におきましては、相手の資料がまとまりましたので、相当具体的に御答弁ができるようになったのでございまして、それをこの前ただあやまってばかりいたのにきょうは強弁されると言われますが、時期が相当たっておりますし、でき上った資料に基いて答弁しなければならない点は相当詳細に答弁しなければならない、かように考えて答弁しておるわけでございます。四日の負傷者につきましては、午前十一時五十分ごろ八洲測量株式会社の戸村秀という測量課長が、サンダルばきの男から左下腿部をけとばされて、挫傷を受けております。それから午後三時五十分ごろは立川調達事務所有馬純徳事務官がメモを取り上げられ、これを返してもらいたいと言って議員団の中に入りましたところ、メモは数人の手から手にリレーされて取り返すことができず、そのときにそのもみ合いで議員某氏から左まぶたの上部を引きさかれて、全治十日間の傷害を受けております。それから東京調達局不動産部第一課員本田清治、これが阻止されている状況を写真撮影しようとしたところ、やはり妨害されて左下腿部及び右手甲に全治四日間の傷を受けております。東京都外務室管理課長松井福司という人は、左下腿部に全治五日間の傷を受けております。まだずいぶんございますが、その程度でよろしゅうございますか。
○淡谷委員 思い違いじゃありませんか。それは八日じゃないですか。
○江口参考人 四日でございます。
○淡谷委員 間違いありませんか。
○江口参考人 間違いございません。これは新聞にも出たところでありますから間違いありません。
○淡谷委員 この資料を見ますと、あなたは大へん気負っておられますが、前回出されました警察官の傷害の調べというものは詳細をきわめている。さっき門司委員からも言われた通り、今度の資料というものは負傷者の氏名さえ出ておりません。調べ方が非常に一方的に片寄っている。たとえばわれわれの話し合いにつきましても、あなたはたびたび話し合い戦術ということを言われている。あるいはまた石井長官は話し合い戦術にひっかかったと言われている。こうなりますと、公平にふるまわなければならないあなた方の立場は、すでに警察官の立場を逸脱した主観があると思います。たとえば測量隊の行動につきましても、あなたは測量隊だけについて調べている。一体出てきましたところの測量隊はどのような行動をしたのか、どのような態度をとったのか、ちっとも調べていない。ただ向うの言いなり次第にひっかかっているというのが、今度の大失敗を招いた原因であると思います。もう少しわれわれの言うことを虚心坦懐に聞いて、話し合い戦術にひっかかったというような先入観念を捨てて、警察が介入したならば介入したでよろしいから、この調達庁の測量につきまして、いろいろ法律上疑いがあるとか、また行政措置としても困った点があるから、何とか話し合いを続けようというわれわれの誠心誠意が、警察官としてのあなた方に曲げてとられるということははなはだ心外であります。これだけの調査では満足できませんから、少くともこういうような調査に当られる場合には、もっと公平な立場から虚心坦懐にこの事態を解消するように御努力を願いたい。きょうの態度はあまりに一方的であり、一方を善、一方を悪ときめている。しかもあなたが再々言われております通り、この基地拡張に関しての基本問題についてはあなた方は触れたくないらしい。また触れるということもない。与党の議員が触れないのはかってでありますが、われわれとしては、かようなことについてはもっと掘り下げて参りたい。けれども警察活動に関しましてこっちから追及されておりますのは、警察自体なのであります。警察の行動に対して追及されておる。具体的な行動について追及されておる。それについていわばこっちから追及されておりますこの警察が、当事者だけの言うことを聞いて、こっちの言うことに対しては疑いを持って臨むということになれば、とうていこれは公平なる調査はできない。この点は一つ十分に御反省願いたい。今の四日か八日かについては私の方でも調べますけれども、われわれ現地を見ましたけれども、少くとも四日にはこういう事態は認めておりません。これだけ私はあなたに対する警告として申し上げておきます。
○大矢委員長 それでは午前の会議はこの程度にして、午後は二時半に再開いたします。
 暫時休憩いたします。
    午後二時七分休憩
     ――――◇―――――
    午後三時十四分開議
○大矢委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 地方自治及び地方財政に関する件について調査を進めます。発言の通告がありますから順次これを許します。なおただいま出席の説明員は吉岡惠一君、首都圏整備委員会事務局長であります。中村君。
○中村(高)委員 首都圏整備法の問題につきまして、政府の見解を承わりたいのでございますが、御承知の通りに東京都の人口がすでに八百万をこえまして、このままの状況で推移しますならば、やがては一千万以上の人口になることも遠くないと思うのでありまするが、さきに国会を通過いたしました首都圏整備法の趣旨としまするところは、言うまでもなくこの東京都に不自然に集まって参りまする人口の増加からくるいろいろの施設の上におきます行き詰まり、住宅あるいは交通等の非常な混乱等を、あるいは衛生的な見地等からきわめて遠大な目的を持って東京都の将来を考えられたものでありますから、その法の内容自体についてわれわれ反対をするものではございませんけれども、これが実施に当りましていろいろの支障が発生し、または発生しようといたしておりまするので、この際政府からそれらの問題についてお尋ねをしておくことが、今後の実施計画の上におきまして、必要だと存じまするから、お聞きしたいのでありまするが、この遠大な計画を実行しまするとするならば、非常な多額の予算を伴い、相当の長年月を目標にしなければ、この首都圏の整備はできないと思うのでありまするけれども、一体政府の構想としては、首都圏の整備をどういう予算の内容と、どういう実施計画に基いて、何年くらいを想定せられておるのかどうかが一つと、それからこれがもう実施になっておるのでありまするけれども、三十二年度の予算に対してはどういう計画ができておりまするか。われわれが聞くところによりますると、埼玉県とか千葉県とかあるいは神奈川県、山梨県等の隣接の府県等は、必ずしもまだ東京都との歩調も合っておらない。むしろ東京都の犠牲になるのではないかというような意見さえあることも聞いておるのでありまして、必ずしも全面的に協力態勢にもなっておらぬようであります。さらにまた大蔵省関係等にもいろいろの意見があるそうでありますから、一応そういう点についての大綱の御説明を願ってから、政府関係等の質問をいたしたいと思います。
○吉岡説明員 首都圏に関しますお尋ねでありますが、首都圏の計画を何年ぐらいに立てるか、ただいま首都圏整備計画というものを立てる予定で審議会にお諮りをしておるのであります。その首都圏整備計画におきましては、大体二十年くらいを目途といたしまして、さしあたり十年くらいの計画を立てたいつもりで、いろいろの準備を進めております。それから整備計画の全体の総額の話でありますが、これはまだ総額どのくらいになるということは申し上げるまでに参っておりません。さしあたりの予定といたしましては三十二年度、つまり明年度の事業を整備計画として立てるべきいろいろの項目のうち、特に重要だと考えられまする項目を選びまして、事実上計画を立てておる状況であります。正式な整備計画というものはまだ立っていないのであります。その事実上の計画に基きまして既成市街地並びに近郊地帯につきましては、各省にお願いをして、各省から大蔵省に予算の要求をしていただいております。ただ市街地開発区域につきましては、整備委員会において予算を大蔵省に要求をいたしておるわけであります。
○中村(高)委員 今の予算の内容でありまするけれども、既成市街地あるいは近郊地帯について各省から予算が要求されるというのでありまするけれども、大体現在のところでおわかりになっておるところがありましたならば、御説明を願いたい。それから開発地帯については整備委員会から、三十二年度に要求されるものは、もう準備ができておると思うのでありますけれども、これはどのくらいでありましょうか。
○吉岡説明員 各省から要求していただいておりますものは、宅地の整備関係の事業でありますとか、あるいは建築物の高層化の問題、また住宅の整備関係の予算、それから義務教育施設の関係の予算、それから上下水道、それに道路等、そういうものの予算全部合計いたしまして、首都圏関係として約三百五十億程度の予算を各省に分けて要求をしていただいております。その中には、先ほど申しました緑地関係の近郊地帯に関係するものも含んでおります。それから市街地開発区域関係の予算は約七億程度の予算でありますが、これは街路でありますとか、あるいは用地関係、それから学校関係等の予算を含んでおります。
○中村(高)委員 ただいまの御説明によりますると、これから市街地に対する住宅の建設に対する制限も行われるでありましょうし、開発地帯などにつきましては、これから開発に必要な法律等が制定をせられるのだろうと思うのでありまして、首都圏整備法では大綱だけしかありませんので、おそらくただいま説明をされまするような整備計画あるいは事業計画というものについては、それぞれの法律あるいは政令による指定等が行われることになると思うのであります。現在そういう実施計画をいたすについて必要と思われる法令の準備をせられておると思いまするけれども、どんなものを今準備しておるのでありましようか。
○吉岡説明員 首都圏整備法に基きます政令というのがあるのであります。地区の指定でありますとか、それからいろいろ重要な計画に掲げるべき根幹事項を定める政令があります。これはまだ公布に相なっておりませんので、それの準備を進めておるわけであります。それから首都圏整備法で予想しております法律が二つあるのであります。つまり既成市街地内の工場の制限でありますとかその他の制限の法律、それから市街地開発区域に関する法律、この二つの法律が予想されておるのであります。これもこの次の国会にはできるだけ出したい準備で、私どもの事務当局としては考えて準備を進めております。そのほかいろいろ計画実施をいたします関係で、ほかの関係の法令の改正が必要になってくるものがあります。これらについては関係の当局と折衝をいたしております。
○中村(高)委員 実施計画を実行する上にいろいろの法律が必要であり、また政令の準備も当然せられると思うのでありますが、問題になりまするのは、この首都圏整備法についても、憲法上の議論が出ておったと思うのであります。いわゆる特定の地域に指定されますところの法律でありまするからして、これは住民の意思を問うのが当然ではないか。なるほど憲法には九十五条によりまするならば、「一の地方公共團體のみに適用される特別法は、」とあるのでありまするけれども、今後ただいま説明のありましたような市街地の住宅の制限であるとか、あるいは開発地帯に必要な法律というものは、特定の住民にだけ適用せられる法律でありまして、一体これが住民投票をせずにやり得るのかどうか、そういうことについても政府では考えておると思うのであります。なるほど憲法では「一の地方公共團體」とは書いてありますけれども、その趣旨は私は一つと限るべきものではなくて、一つでもあるいは二つでもとにかく国家、国民全体に適用せられる法律ではなくて、特定の住民にだけいろいろの制限を負わせるというような場合においては、やはり住民の意思を聞くのが私たちは当然だと思うのでありまして、憲法学者などの中にも、必ずしも一つの地方団体ではない、一つでも二つでもあるいは三つでも、特定の地域であるならばそれは住民の意思を聞くべきだという憲法上の議論などもあるのであります。どうしてそういう点についてわれわれが強調するかと申しますると、すでに近郊地帯として指定を受けようとする住民から、この法律に対する非常な反対の意見が表明せられておりまするのは、緑地の指定を受けますると、住宅を建設するについて敷地の一割とかあるいは二割以上は建てられないとかいうこまかい制限が課せられる。そういたしますると、土地の利用というものがそこなわれるばかりでなく、地価ももう暴落する、売り物にはならないというような、土地所有者に対して非常に大きな制限が加えられるのであります。その上にこの計画を見ますると、たとえば緑地地帯の指定を受けますものが都心から十五キロ離れたところで、緑地地帯を十キロの幅で作るというのでありますから、この十キロの幅に入りますものはいずれも所有権に対する大きな制限を受けることになって、土地の所有者は今恐慌を来たしておるのであります。一体こういうような法律をこれから作っていこうというような場合においても、やはり住民の意思を聞くのが当然ではないかと思うのでありますけれども、これらに対して政府ではどういうふうな御所見でありましょうか。
○吉岡説明員 憲法九十五条との関係でありますが、これはこの法律が制定されるときいろいろ論議があったようであります。この法律を制定するについては、住民投票の必要はないということで進まれたようであります。これに対する政府の見解としては、私ども申し述べる限りでありませんが、事務当局といたしましては、それで差しつかえないものと考えております。また今の近郊地帯に入る地域の権利義務の制限の問題であります。これは近郊地帯に入ったから直ちに権利を制限したり、義務を負わしたりすることにはならぬのであります。そういう権利を制限するような場合には、さらに法律が要るものと考えております。
○中村(高)委員 近郊地帯ならば近郊地帯の指定をするという問題はこれからの問題でありますけれども、おそらく実施ということになれば、ただいま御説明のように土地の所有権に対するいろいろの制限なども出てくるのでありますから、法律化せられることは当然だとわれわれも考えておるのでありますが、こういう問題についてはやはり住民の意思を聞いて――特定地帯に及ぼす法律でありますから、憲法の趣旨に従って行うべきがわれわれは当然だと思っておりますから、それについては政府におかれましても十分に御検討をせられまして、これから出てきますそういう各種の法律については、全く特定の住民にだけ施行せられる法律でありますから、その点については御研究を願いまして対処してもらいたいと思うのであります。
 その次にお聞きしておきたいのは、まだ計画だけであって、今の御説明によりますならば近郊地帯の地域の指定さえまだきまっていないのが実情であ措置をいたしておるのでありますが、これは明らかに私たちは行き過ぎだと思っておるのであります。たとえばある町で住宅公団から、住宅を建設したいというので土地を物色して話し合いが出て、町議会に諮って賛成もしてきまったものを、東京都の役人の方から、ここは近郊地帯に指定されるのだから家など建てることはならぬ、やめろと言ってとうとうやめさせられたところがあります。これはもう二、三あるのであります。これなどは現在住宅を建設する計画ができて土地の売買まで話が進行したものを、まだそこが緑地地帯に指定せられるかどうかもきまらないうちに、そういうことを予想して行政措置を強行するというようなことは行き過ぎだと思うのでありますけれども、この点についてはどういう御所見でありましょうか。
○吉岡説明員 住宅公団のような団体がどこへうちを建てるかということは、これは任意な問題でありまして将来近郊地帯になり、そこへあまりごみごみしたうちを建てないという方針が予想される場合、それをなるべく避けていくということは、私は行政の方針としては別に差しつかえないのではないかと考えております。
○中村(高)委員 それではお尋ねしますけれども、東京都内にはいずれも都市計画法と土地区画整理法に基きまして都市計画が実施をされておりまして、そうしていずれも道路を予定し、あるいは緑地を予定し、指定し、住宅の建設を予定をして都市計画が進んでおるのであります。特に区画整理法などによりますと、住宅地を建設することを目的とするというようなこの法律の趣旨にのっとりますならば、明らかにこれは新しい都市を建設するという目標をもって都市計画法も土地区画整理法も長い間実施をされて、順次これが実行されて都市が建設されつつあるのでありまして、各市にも町にも都市計画法に基いて家を建て、あるいは道路を作るべくどんどん進行しておるのであります。片方では家を建てることが進行しておる。ところが片方では首都圏整備法でそこは緑地に指定されるのだからだめだと言う。明らかにこれは矛盾でありまして、この都市計画法や土地区画整理法と首都圏整備法との調節――片方は作れと言い、片方は作ってはならないと言う、そうして市にしてもあるいは町にしてもどんどん計画を実施しておる。中には緑地として指定をされて、もうそこは住宅は建てられないことにきまったというところもある。実際にこういう進行をさせておきながら、片方ではその進行過程において、いきなり今度は家を建ててはならないという法律が重なってくる。一体この調整を政府ではどうしようとするのか。それでは実際に携わっておる市長などはどうしていいかわからなくなるという非常な心配を持っておるのでありまして、東京都の都市計画の担当者なども、こうやってうちを建てるために一生懸命やっておるところへ、上の方からやってはならないということになってくるとどうなるのか心配です、ということを言っておる。現に都市計画の職員さえも自分でやりながら、ここまで計画してここまでやってきて、やっちゃいけないということではどういうふうになるんでしょうか、と心配しておるのですが、そういう調整はどういうふうにお計らいをされるのでしょうか。
○吉岡説明員 都市計画との関係でありますが、現在きまっております都市計画に基いてそのままやっておられることと考えるのであります。ただ首都圏整備法関係の計画ができました場合は、それに基いて都市計画の方を変えていただく問題になる。ただ先ほど申されたように、住宅公団であるとか、あるいは住宅協会というような、つまり都なり何なりとの関係の深いところでは、行政の方針として、ある程度事実上将来のことを予想したやり方をやられるかもわかりませんが、住民に対してはそういう制限等をやられるはずはないと思います。これはもちろん都市計画の問題でありまして、私どもの方の直接の関係でありませんので、そういうことだと想像いたします。
○大矢委員長 ちょっと中村君、主計局長が四時までしかおられませんし、理事会の申し合せもありますので……。
 それでは政府側から森永主計局長、相澤主計官、吉岡税務第二課長、それから自治庁の税務部長が出席されております。
 質問の通告によりまして鈴木君。
○鈴木(直)委員 私は大蔵当局と自治庁当局に質問をいたしたいと思うのであります。
 本年の四月六日の当地方行政委員会におきまして、国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律案が決議されたのでありますが、その際に附帯決議といたしまして「アメリカ合衆国の軍隊及び国際連合の軍隊が使用する固定資産並に旧軍港施設所在の市町村に対し、政府は国から当該固定資産に対する交付金相当額を交付する等の措置を講ずること。」という附帯決議が行われたのであります。これに類する決議が参議院地方行政委員会でも、内容的にはちょっと違いますけれども、行われておるように承知しているのであります。その際に自治庁長官としましては、この実現を期するために努力するというような御答弁があったと思います。この問題について、政府が現在予算の編成をする過程にあると思うのでありますが、その過程において、政府内においてどのように進行しているか、どういう考えをもって進んでいるかということをお聞きしたいというのが、私の質問の要点であります。もちろん現在予算はそれぞれ各省において検討されておることでもありますし、あるいは与党におきましても、現在予算編成についていろいろ検討をし、研究をしている最中でございますから、最終的にどのようになるという点については、あるいはまだ御答弁はできないと思うのでありまするが、この問題についてはぜひ三十二年度の予算において、この附帯決議の実現を期したいと当委員会は考えておるのであります。従いまして、政府側の関心を高めて鞭撻する意味をもって質問をするのであります。この決議が行われました理由については、詳細に申し上げる必要はないわけでございまするが、現在国または地方公共団体が所有する固定資産のうちに、アメリカ合衆国軍隊が、日本国とアメリカ合衆国との間の安保条約の第三条に基く行政協定に基いて使っているもの、また国連の軍隊が日本国に有する国連の軍隊の地位に関する協定に基いて使用しているものというものが相当あるはずであります。政府当局においてもその調査はできておると考えているのであります。しかもこれらの基地関係施設の所在している市町村は、約百八十市町村に及ぶということも聞いておるのでありまして、これらの市町村は、他の市町村に見られない多額の財政支出と国に対する協力とを余儀なくされておることは、御承知の通りであります。しかもこういう軍事施設は、飛行場とか演習場というような例に徴しても明らかなように、通常市町村の区域内において広大な地域を占めておりまして、しかもそれが市町村における市街地の中心と目されている地域を広範に占めておる場合が多いのであります。しかもこれらの財産は国または市町村の所有するものであります関係で、固定資産税を課税することはできません。従って固定資産より財政収入を得る道は、全く閉ざされているということは御承知の通りなんです。また市町村の産業経済その他各種の面における発展が阻害されてその繁栄が遮断されている向きも多いということは事実なんであります。従いましてこれらの市町村に対して、国は固定資産税相当額の何らかの財政的な措置をするということが当然であると思うのであります。しからばこれに対して地方交付税、特別交付税のような措置でもってやったらどうかというような議論もあると思います。参議院の地方行政委員会の附帯決議を見ますと、「特別交付金交付等適切なる方途を講ずること。」となっておりますから、同じくこれは地方交付税ではありませんが、地方交付税でもってそこの市町村に特別な措置をしたらいいじゃないかという議論もあるのでありますが、それは地方交付税の建前と性質が違うことは今さら申し上げる必要もないと思います。従ってこの地方交付税をもってこれをカバーするということは、地方交付税制度そのものから見て不適当であるわけでありまして、従いましてこれはどうしても特殊な事情でありますので、やはり特別の交付金のようなものを、国において考えることが妥当な措置だと思うのであります。もちろんこれらのものは国の予算全体に関係することでありますから、いろいろ予算編成過程において捻出しなければならぬ問題で、大蔵当局においても相当頭を悩まされる問題だと思うのでありますけれども、この基地問題というものは、日本の現在の置かれておる国際的立場から見ましても、きわめて重要な問題でございます。御承知の砂川基地問題なども世間に現われておりますように、相当やはり国際的、国内的に重要な問題でございますので、この基地問題を解決するということは、ただ単に事務的な問題だけから考えらるべき問題ではないということを考えまして、私の所属する自由民主党においても、今回特別に基地問題のための特別委員会を設けまして、検討を開始いたしておるような状態でございますが、先般の附帯決議において決議されました項目につきましては、十分政府におきましても関心を持たれまして、この三十二年度の予算の上において現われてくるようにしたい、こう考えておりますので、現在どのように経過がなっておりまするか、自治庁と大蔵当局から一応御報告を承わり、またその考え方についても承わっておきたいと考える次第であります。
○森永説明員 ただいま御質問の中にもお話がございましたように、来年度予算は目下鋭意編成の作業をいたしておる最中でございまして、ただいまの問題につきましても、政府としての結論は出ておりません。予算の要求といたしましては、調達庁と自治庁の両方からダブってこの問題について要求が出ております。もっとも調達庁の方は基地関係だけでございますが、自治庁の方はさらに防衛庁の飛行場、演習揚等を加えた形で要求が出て参っております。金額がやはり相当大きいわけでございまして、財源的にも相当問題がございます。ただいま困っているだろうというようなお話がございましたが、その通り財源的にも実は非常に当惑をいたしておる問題でございますが、建前の問題としても、これはもちろん大蔵省としての意見ないしは政府としての意見ではございませんが、私ども実は若干疑問点を抱いておるわけでございまして、そういう建前の問題並びに財源の両方の観点から検討をいたしておる。いずれ年末から一月にかけまして、予算編成が行われるわけでございますが、その際までに慎重に検討いたしまして結論を出したい、さように考えておるわけでございます。
 しからば、まあ個人的にせよ、建前の問題でどういう点に疑問を持っておるか、これは個人の意見でございますから、ここは申し上げるべき場所でないかもしれませんが、率直に私どもが抱いておりまする疑問点を御披露することを場お許しいただきまして申し上げますと、第一は昨年来国有の財産につきましても、いわゆる雑種財産的なもの、あるいは宿舎その他純公共的目的に供せられないものにつきましては、固定資産税にかわる交付金を払うことになったのでございますが、この基地等の問題は、なるほど日本政府が直接使用しておるものではございませんが、先ほどお示しがございましたように、安全保障条約ないしは行政協定によりまして国土防衛の用に供するために、これをアメリカ合衆国の用に供しているわけでございまして、防衛目的という高度の公共目的に供しておるものではないかと思う次第でございます。こういう高度の公共目的に供しておるものにつきまして、他の宿舎と同じように観念いたしまして、国が固定資産税にかわる交付金を払うのは、建前の問題からしてまずいかがなものであろうか、その点につきまして若干の疑問、疑念を抱いておるわけであります。
 第二点は、こういう問題が出て参りましたゆえんのものは、結局ただいまもお話がございましたように、基地等が所在する市町村の財政状態に関連しての問題であるわけでございます。しかりとすれば、やはりこれを財政問題として、財政状態に即して解決する方途がないであろうか。今日の制度におきましても、基地等が大部分を占めておる、従って固定資産税が取れない、従って財政が困っておるという場合には、それは当然交付税の計算に、完全ではないかもしれませんが、反映せられておるわけでございます。しかしその反映の仕方が、もしそれでは不十分であるとするならば、交付税、特別交付税等の活用なり何なり、もっと各所在市町村の財政状態に即した特別交付税の配分の仕方もあるのではあるまいか、そういう方法によってこの問題を解決する方途があるのではあるまいか、というような考え方を持っておるわけでございます。もしこれを公共目的に供するものといえども、固定資産税にかわる交付金を交付するのだということになりますと、これはなかなかむずかしい問題にも発展するわけでございます。たとえば国有の、基地目的以外の飛行場は一体どうするのか、これらの問題もございましょうし、さらにまた公共目的に供している行政財産それ自身への問題も含んでおるわけでございますので、そういう点も考え合せまして、この問題の処理には慎重の上にも慎重を期したい、さような考え方をもって臨んでおる次第でございます。
○奧野説明員 基地関係の固定資産の相当部分につきましては、国有資産等所在市町村交付金の範囲に加えた方がよろしいのではないだろうか、こういうような考え方を自治庁事務当局としては持っているわけであります。そういたしますと、法律の改正なりあるいは国の予算計上などを要するのでありますので、大蔵省といろいろ話し合いをしている最中でございます。また臨時税制調査会におきましても、基地関係についてどのような制度をとることがよろしいかということが、現に議論になっているわけであります。今主計局長の方からいろいろ御意見がございまして、別にここで討論しようという意味で申し上げているわけではございませんが、私たちが基地関係の固定資産について、国有資産等所在市町村交付金制度のとられている資産との関係を見て参りますと、かなり類似のものもあるのじゃないだろうか、こういうように思っているわけでありまして、どの程度まで対象に加えていくかということにつきましては、いろいろ問題があろうかと思います。しかしながらたとえば駐留軍の家族が一千人、二千人と集団をして市街地を形成して居住しているわけであります。その中には売店などもございましょうし、映画館などもあるわけであります。そういうところが、全体的に土地も家屋も、地元の町村としては固定資産税収入が入ってこないのであります。この春、この法律を作りますときにも、多少問題がございました。ただその際に、自衛隊などの使っている資産との関係もあるので、直ちにこれを交付金に加えるということには問題がある、こういう点については、政府部内でもみな一致しておったわけであります。しかしながら一々とってみますと、たとえば自衛隊の職員に貸し付けている家屋、これも国有資産等所在市町村交付金の対象に現になっているわけであります。自衛隊の職員に貸し付けている家屋と、駐留軍の家族に貸し付けている家屋との間には、実態には何も違いがないじゃないか。
    〔委員長退席、亀山委員長代理着席〕
国有資産等所在市町村交付金制度のできましたゆえんは、一つは固定資産の使用状況が固定資産税の課税客体になっている固定資産と類似しているということが一つの問題であります。もう一つは、地元市町村との間の受益関係がある。たとえば消防施設も設けなければならない、衛生施設も充実しなければならない、道路施設を設けなければならない、そういうところから出発をしていると思うのであります。ただ国有でありますから、直ちに課税の形をとることは適当でない。そこで交付金制度ができて参ったと思うのであります。たまたま駐留軍に対して貸しつけている資産につきましては、行政協定等によりまして、アメリカ合衆国政府に負担を課することができないわけであります。そこが一般の貸付資産との間に違っておるわけでありますが、一般の貸付債においても借り受ける人間に負担させるか、国の一般会計で負担させるか。これは国の方針によってきめられる問題でありますから、そうだとすれば駐留軍に貸し付けている資産の相当部分については交付金の対象にした方がいいのじゃないか。こういうようなことで大蔵省といろいろ話し合いをして参りたいと存じておるわけであります。
 なお地方交付税制度の問題がございましたが、これは、私たちはやはり税制で解決できる限りは解決した上で、地方交付税制度の問題があるのじゃないか、こういうような考え方を持っておるわけであります。あまりこまかいことを言うのもいかがかと思いますので遠慮させていただきたいと思います。ただ一応事務当局としては今申し上げましたような考えで、政府部内で統一した考え方がとられるように検討して参りたいと存じておるわけであります。
○鈴木(直)委員 この問題については他の委員からも五名ほど通告があるようですから、私は長く議論はいたしません。駐留軍関係の施設、基地関係の施設という問題については、先般の附帯決議もありましたので、政府側においてもその実現を期しつつある。こう考えましてその過程をお聞きしたわけでありますが、さらに自衛隊が使っておる施設という問題であります。前の国会で附帯決議を出す場合に、自衛隊も含めるかどうかということを、実はいろいろ検討をいたした次第であります。そうすると自衛隊というものは国が特殊的な自衛のために使っておるのだが、それ以外に国有財産というものがずいぶんあるはずだ。たとえば東京におきましても各省とかこの国会なんかは国の建物である。だからこの国会からは固定資産税を東京都は取ることができない。だからその分だけは国が交付金でやれということも考えられるわけであります。しかしながら現実の場合になかなかそれも困難である。ですからあらゆる固定資産について取るべき固定資産税を全部市町村にやれということも、理論的には正しいけれども、実情においてそれはできないであろうというようなことも考えたりいたしまして、そうして米軍の軍事基地に限ったような次第でございます。しかしながらその後いろいろ検討いたしてみまするに、自衛隊というものは特殊的な目的を持ったものである。もちろんこれは米軍が使うこととは違う、日本の国が使っておるわけではありまするけれども、この自衛隊の設置されておる市町村の財政状態を見ましても、あるいは非常にそのために米軍基地と同じような迷惑をこの市町村は受けておる、ただ一方は国の自衛隊が使っておる、一方は米軍が使っておるというだけである、こういうような清勢から、やはりこれは自衛隊についても一緒にそれをやったらいいではないかという考え方も現在は持っておるような次第でございます。
 先ほどは米軍施設だけのことについてお聞きしたのでありますが、さらに自衛隊の問題についてもやはり同様に、一緒に解決すべきではないかというふうに、個人的にこれは考えておる次第であります。従いましてこの点はあるいは自治庁あるいは大蔵省としてどんなふうにお考えでありますか。今主計局長の答弁では、自衛隊については自治庁から申請が来ているというようなお話がありましたから、おそらく自治庁におきましても米軍基地だけでなく、自衛隊の分についても地方財政の立場から見れば、同じように財政の迷惑がかかっているのだから出すべきであるというような考え方で提案しているのではないかと思いますが、それについての自治庁の見解もお聞きしたいと思います。われわれとしましては、この二つが実現されるように希望して、それに対する答弁も伺って私の質問を終ります。
○奧野説明員 自衛隊の使用しております固定資産でありましても、たとえば職員に貸し付けている住宅のようなもの、こういうものにつきましては、現在国有資産所在市町村交付金の対象になっているわけでございます。同じような資産が駐留軍関係で非常に膨大なものがあるわけであります。これが全然交付金の対象になっていない。ここに私は基本的な問題があるように存じておるわけであります。ただ自衛隊に限らず駐留軍の問題もそうでありますが、飛行場とか演習地域になって参りますと、市町村の中で非常に膨大な地域をその関係で占有してしまうという問題もありますし、また拡張して参りますと、従来民有地であって固定資産税が課されている、国有地になれば固定資産税も課されなくなる。しかも騒音等のために学校でも防音装置をしていかなければならぬというふうに、逆に財政需要がふえて参るわけであります。そういうふうになって参りますと、国有資産所在市町村交付金の対象になっておる一般の貸付資産とは多少趣きを異にするわけでありますが、そういうふうなところも配慮してこの拡張に入れた方がよいではないか、こういう考え方を私たちは持っておるわけであります。そういう意味で大蔵省との間になお話し合いをしていきたいというふうに存じておるわけであります。
○森永説明員 先ほどの私のお答えは駐留軍関係を主として申し上げましたが、駐留軍の使用に供していることもこれは高度の公共的目的のものだというようなことを申し上げたのでありますが、自衛隊の持っております演習揚等につきましては、もっと広く同じようなことが言えるのではないかと存じまして特に触れなかったわけでございます。自治庁税務部長は宿舎等の関係をお話しになりましたのでありますが、これは駐留軍なり防衛庁が使っております財産にもいろいろ種類がございます。両極端で議論をしておりますが、それではいつまでもこれは平行線ということになるわけでありまして、私は宿舎問題というようなごく一部の極端なものでなくて、全般的な意味から先ほどのお答えを申し上げておりますことを重ねて御了承いただきたいと思います。
○亀山委員長代理 先ほど大矢委員長から申し上げました通り森永主計局長が時間の都合で四時過ぎには退席せられますので、どうかそのおつもりで森永主計局長にまず質問を優先的に集中してお願いいたします。
○門司委員 私は今同僚の鈴木委員からこの前の国会で衆参両院における附帯決議の内容と、その実施の方法についての御質問がありましたが、それに対する森永主計局長の答弁について一応考え方を一つ変えてもらいたい、具体的な質問に入る前に一応考え直しをしていただきたい、こう考えております。それは一つは高度の国家施設の関係からというお話がございましたが、高度の国家施設であろうとなかろうと、国家目的のために使用されるもののために、一つの公共団体だけが犠牲をしいられるという原則は、私はどこにもないと思います。従ってこれはそういう国家目的であるから、その自治体はその犠牲を忍ばなければならないというものの考え方は、今日の新しい自治法のもとにおける、新しい憲法のもとにおける自治行政の考え方から考えて参りますと、非常に大きな誤りではないかと私は考える、このことは御承知のように、憲法の九十四条には明らかに地方の公共団体はその財産を管理し行政を執行する権能を持っておるということが保障されておる、その限りにおける国と地方団体との相互関係は、従来の国家目的であればすべてが犠牲にされるという天皇制のもとに行われたのとは、私は違うと思う。新しい憲法のもとにおける今日の地方自治体というものは、明らかに憲法に保障されておるのである。この点は一つ十分お考え直しをいただきたい。
 それからもう一つ財政処置についての答弁の中に、もし財政の処置において非常に窮屈な面があるなら、それは交付金あるいは特別交付金等によってまかなうべきではないかというような御答弁があったのでありますが、これこそ非常に大きな誤まりであります。地方自治体の財政の基礎をなすものは、その一つの自治体の区域内における財産あるいは課税その他からくる収入によってまかなわれるべきものであって、自主財源である。この自主財源を国の施策であるからといって、大きく阻害しておって、それが一般の財政需要あるいは収入というような形で論じらるべきではない。もしそういう疑いがあるなら、大蔵省の方で一つ交付税の法律を読んでもらいたい。どこまでいっても今日の自治体というものは、その区域内におけるすべてのものからくる税収入というものが、基本的の財政収入にならなければならない。それが国のために阻害されておる。そうしてその財政需要からくる一つの欠陥を交付税でまかなえということは、私は非常に大きな誤まりではないかと思う。特に特別交付税は一体どういうところにこれを支給しようとしておるのか、そういう国家目的のために非常に大きな犠牲になっておるというところに、特別交付税を支給すべきではないと私は思う。特別交付税はどういうところに支給するということになっておるか、読んでごらんなさい。大蔵省がこういう誤まったものの考え方の上に立って議論されるということは、非常に迷惑だと思う。やはり地方の自治体というものは、その自治体の中において当然納付さるべき物件を対象にしたものをその自治体の自主財源として考え、その自主財源を基礎にして交付税の算定の基礎をこしらえるべきものだ。こういうことを一つよく大蔵省は考えてもらいたい。これを何でもかでも足りないものは交付税で出せばいいというものの考え方では、将来に大きな問題をこしらえると思う。同時にそういう問題について、一つ御答弁が願えれば、この際大蔵省の見解を伺いたい。私の言うことが間違っておるのか、あるいは大蔵省の言うことが正しいのか、一つ御答弁願いたい。
○森永説明員 この席で議論めいたことを申し上げるつもりは毛頭ないのでございますが、ただいまのお尋ねに率直に私の気持を申し上げます。私は何も国家的目的のためには、あらゆるものを犠牲にせよといったような意味で申し上げているわけではございません。今まで国有の財産には固定資産税がかからなかったから、地方財政の対策の一環として昨年来国有のものでも公共の目的に供しないものには、固定資産税にかわる交付金を交付するということになったわけでございますが、その制度の問題として、公共目的とは何か、基地は公共目的の中に入るべきものではあるまいか、そういう市町村交付金制度をめぐる問題として申し上げているわけでございまして、国家的目的のためにあらゆる犠牲を忍べというような暴論を吐いているつもりはないということを、まず御了承をいただきたいと思います。
 それから第二点の自主財源をできるだけ充実をして、足りないところ、あるいはへんぱになるところを交付税でまかなうのが建前だ、その原則論には私どもも同感でございます。さてその自主財源としてこの市町村交付金制度が問題になってくるわけでございまして、市町村交付金制度のあり方として考える場合に、この公共目的の範囲をどう考えるか、そういう問題でございますから、今の原則論に何も私は異議を唱えているわけではないのでございます。交付金のあり方として考える場合に、どこまでいくのが適当であるかという問題として申し上げているわけでございます。その場合にもし基地その他に現行法通りに交付金をやらないということになると、中にはいろいろお困りになっていらっしゃるようなところもございましょう。その場合にはその困っておられる財政状態に即して考える必要も出てくるわけでございまして、その困っている財政状態を調整する役割を果すのが、とりもなおさず交付金制度ではないか、交付金制度でも私はある程度そこに反映されていると思いますが、それをもって反映のさせ方が足りないとすれば、特別交付税の活用を考えていただく。これはもちろん現行法ではなかなか簡単にいかないかもしれません。しかしいろいろと法律を改正していただいて、工夫していただくという余地もあるわけでございまして、そういう問題も含めて私どもの立場を申し上げているわけでございます。
 なおもう一度念のために申し上げますが、この問題につきましては、先ほど奥野部長からも話されました通り、目下大蔵省と自治庁の間、あるいはもっとさかのぼって大蔵省の中で検討中の問題でありまして、結論を得ておりませんので、その点は重ねて御了承をいただきたいと思います。
○門司委員 結論を得ていないというなら、大事なことだから、なおもう一度聞いておきたいと思うのですが、今の交付金の問題についてもう一つ考えてもらいたいのは、足りない分は交付金で何とかする、それでなお足りない分は何とか考えなければならぬということになれば、これは幾らかお考えになっているということは、片りんだけはうかがい知ることができるのでありますが、御承知のように交付金の性格と交付金自体とを考えてごらんなさい。あなたの言い分とは違うかもしれぬが、交付金は限られているでしょう。交付金は交付金本来の使命である積み上げ方式に対し、足りない分だけを国が全額支給するという建前を保障しておりません。法律自身はそういう建前になっておりますけれども、実際は百分の二十五という限定された範囲内において配分が行われていることは事実です。しかもその中に特別交付税というものは別途にわけられている。従って国の施策によってこういう施設はたくさんある。これは私がここで数字を言うより、あなたの方にははっきりした数字があるでしょう。大体接収地の土地において一億九千七百五十五万一千坪、この推定価格は四百九十三億円、家屋が二百八十五万六千坪、推定価格で一千五十二億、償却資産をもしこれに入れるとすれば九百七十億、合計して二千五百十五億、これは米軍が使っている、いわゆる接収財産に対する見積り額です。自衛隊で使っております土地が九千二十六万三千坪、推定価格は大体七十八億、家屋が七十六万五千坪、推定価格が二百六十六億、償却資産が九十四億であって、合計して大体四百三十八億、これを両方合計いたして参りますと、二千九百五十三億という非常に大きな数字になって参ります。こういう大きな数字が自衛隊という国の特別の一つの施設というか、その問題と、それから行政協定に基く、あるいは安保条約に基く接収地があるのであります。この広大なものがあることによって起る地方の自治体の収入減というものを、今のようなお考えで、もし交付税その他でまかなわるべきだということになりますと、逆の面からいって参りますと、他の町村あるいは府県で当然受くべき交付金というものが受けられない。ここに食われるという形が出てくるわけでしょう。それは先ほども申し上げておりますように、百分の二十五というように数字が限ってあるから、財政需要と財政収入額とのアンバランスを積み上げ方式によって、補償するというならば、これは一応あなた方の意見というものがあるいは成り立つかもしれない。しかしそうではないでしょう。もし大蔵省がそういうことを言うならば、あの交付税を交付税本来の姿に戻してもらって、積み上げ方式によって、それが五千億足らなければ大蔵省が五千億出す、三千億足らなければ三千億出す、そういうことが言えますか。あなた方にはそれは言えぬでしょう。結局限定された中でそれを分け合うのである。分け合う場合も特定の地域に非常にたくさんのウエートがかかっておりますことは、他の市町村の方がそれだけ分け前を少くもらうということにならざるを得ない。従って毎年毎年配分の基準を変えているでしょう。配分の基準というものは、本来からいえば変えるべき筋合いのものではないのである。ところが自治庁から出しておる書類を見てごらんなさい。毎年毎年配分の基準は変っている。変っているということは全体の金高にワクがあるから、そのワクに当てはめようとするからだ。この交付税の本来の行き方に相反している現状から見ても、私は交付税をこれに当てはめるというやり方は誤まりだと思う。もしそういう考え方であるとするならば、非常に大きな問題が出てくる。だからこの考え方は大蔵省ではぜひ一つ考え方を直してもらいたい。そういうことを私はここに考えておるのでありますが、大蔵省はそれについてもし御答弁ができるならば、一つどういうお考えをお持ちになっているか、基地の問題とこの交付税の関連性をどういうふうに一体お考えになっておるか、伺いたい。
    〔亀山委員長代理退席、委員長着席〕
○森永説明員 第一段は、私が先ほど申し上げましたことの敷衍でございますが、私が申し上げましたのは、各地方団体の収支の状況、これに基地があるかどうかということが影響があるわけでありますが、その影響を受けた姿の収支が、これが交付税の配分の基準になっておるわけでありまして、その意味で普通交付税の配付に際しましても、基地があって歳入が少いという状態は、これはある程度反映されておるはずではないか。もし普通交付税の配付でカバーできない要素、十分反映できないという要素があるとするならば、これは特別交付税という制度もあることだし、特別交付税の配付に際して何とかもう少し工夫があるのではあるまいかという意味を申し上げたのでございまして、その点御了承いただきたいと思います。
 第二段に、交付税との関係でございますが、交付税はこれは地方の財政需要と財政収入を見計らいまして、全体としてこのくらいは足らぬというところで交付税率がきまっておるわけであります。足りるか足りないか、これはしょっちゅう議論があるところでございまして、私の方は皆さんに足りているというふうに申しますし、また一方の方は足りないというような、しょっちゅう議論のあるところでございますが、少くとも建前といたしましては、財政収入と財政需要との差額の不足を交付税で見るというやり方になっておるわけでありまして、それを分けるに際しまして、各地方団体の事情、これをできるだけ忠実に反映させる。人間のやることでございますから、忠実の程度には限りがあるということになりましょうが、しかし現行の制度でも、先ほど申し上げましたように、基地があって固定資産税の収入が少い、しかも歳出が多いということでございますならば、その事情は完璧にとは申しませんが、ある程度反映をされるということになりておるのではないか、さようなふうに考える次第でございまして、御質問の趣旨を完全に理解しないで、あるいは見当違いのお答えを申し上げておるかもしれませんが、私は交付税と基地固定資産税との関係につきましては、さように考えております。
○門司委員 そういう答弁ではちょっと困りますな。もう少し交付税の本質というものを十分見てもらって、そうして基地から来る地方の自治体の影響がどうであるかということを、親切に一つ考えていただきたい。かりに横須賀の例をとってみても、大体横須賀の市街地と思われる場所の何%が接収されているか。こういう問題は都市経済においては非常に大きな問題。それから駐留軍がいることのために普通の都市と違った支出が一体どのくらい行われるかということ等についても、大蔵省が詳細に調べたデータがございますか。私の方で調査した資料は、少し古いかもしれませんが、神奈川県における調査の表がもし必要なら、私の方から出してもよろしゅうございます。年度別に項目別に出したのが私の手元にございます。これは駐留軍がいることのためにそういう大きな他都市に見られない、他の団体に見られない特別の支出が行われている。もう一つ実例をあげて申し上げておきますが、たとえば横浜の例をごらんなさい。本牧の小学校というものは、駐留軍があそこにたくさんおります関係から、ついにアメリカン・スクールとして占領されておったので、横浜市で使う目安がほとんどつかなくなってきた。それで大蔵省に買い上げてもらっているでしょう。その価格と新しく学校を建てる場合の差額は一体どうなっておりますか。これは特別の負担ですよ。こういうものも出てくるのであります。それからもう一つの大きな問題は、接収されている地域における風俗習慣等から来るいろいろな市街施設、あるいはこれに対する行政上の処置というようなものは、これは政府の基準財政需要額の中に十分にめんどうを見られていないということは、あなた方おわかりだと思う。特別のそうした支出をたくさん持っている。こういう問題は一つ一つについて十分検討してもらいたい。そうでないと、今のようなお考えで、交付税との関係があるようなないような御答弁しかできないようなことに私はなると思う。もし大蔵省がそういう御答弁をなさるなら、一体大蔵省はそういう事実に基いてどれだけ一体調査されているのか、大蔵省側の調査を出してもらいたい。どういうことになっているのか、それを事実と突き合せる必要が私はあると思う。大蔵省で調査された事実があるなら、この際一つその事実を示してもらいたい。
○森永説明員 この問題につきましては、私どももできるだけ所在市町村の財政の実情を知りたいと思いまして、断片的ではございますが、若干調べたものも持って検討いたしております。なおただいまお手元に資料があるようなお話でございましたが、もしその資料も見せていただくことができますなら、喜んで拝見いたしたいと存じます。なお特別の負担があるというような例がございました。私はその小学校の例は覚えておりませんが、いろいろそういう例はございましょう。私どもの方でもこういう一般税制の問題でなく、個々の問題につきましては、たとえば呉の場合とか、あるいは工場のそばの学校の防音装置であるとか、最小必要限度のことはいろいろと配慮いたしてきておりますことも申し上げておきたいと存じます。
○門司委員 あと一つ二つでおしまいにしたいと思いますが、もう一つはっきり大蔵省が考えてもらわなければならぬことは、さっき冒頭に申し上げましたように、今日の日本の自治体というものが、国の下部機構という組織の中に入ることは、御承知の通りであります。これは憲法なり自治法にはっきり明示されている。一つの独立した人格としてそれが認められていることは自治法に書いてある通りであります。そういうものの考え方からこの前の国会に出て参りましたいわゆる国有財産等に対する所在市町村の固定資産税というものが出て参ります。この考え方から今日の基地の問題を考えて参りますと、私はこれは当然だと思う。なるほど行政協定の十三条には、アメリカの軍隊の使っているもの等については、税金あるいは税金に類似したものをかけてはならないということは書いてあるけれども、これはアメリカにかけることができないということであって、日本政府はその自治体の歳入欠陥を補てんすることのために出してはならないという規定では私はないと思う。だから結局この二十四国会で出た国有資産等の所在町村に交付金をやるという法律のできました趣旨から見て参りますならば、今日問題になっておりますところの、たといアメリカ軍が使っておりましても、当然これは国の資産であることに間違いないものである。あるいは自衛隊が使っておりましてもこれもやはり国の財産であることに間違いない。地方の公共団体を一つの人格として認める場合には、当然それ相当額のものは国がやはり支出してやる、そしてそれぞれの所在市町村というものが当然健全なる財政の上に打ち立てられていく。そういうものがあるから国が補助金を与える、交付金を与えるというものの考え方でなく、財政調整金というものの考え方でもなく、実際のものとしての考え方の上に立って、これを処置することが私は正しいと思う。交付税はあくまでも調整財源であることに間違いないのですから、そういう考え方に対してもしお考えがあるなら、この際もう一応大蔵省の御意見を承わりたいと思います。
○森永説明員 先ほど来申し上げておりますことにつけ加えて申し上げることはございません。
○門司委員 これ以上答弁ができないというならあと質問してもしようがないと思うが、もう一度最後に聞いておきたいと思いますことは、これと同じようなケースというよりも、むしろ法律的に見れば非常に重要な法案になっておりまする例の一つの地方公共団体のみに適用いたされまする特別法の問題、これは御承知のように広島平和記念都市建設法以下これに該当するものが旧軍港市転換法であるとか、あるいは長崎の国際文化都市建設法であるとかあるいは東京の、今なくなりましたが首都建設法であるとか、さらに横浜の国際港都建設法、神戸も同じでありますが、こういう都市が十八ばかりあるわけであります。これについて一体大蔵省はどういう考え方と処置を今日までされてきたか。この法律は普通の簡単な法律ではございません。国会が発案してその地域の住民の住民投票に付して成立した法律であります。従って法律の性質からいえばきわめて重大な法律であります。国会議員だけがきめた法律ではないのです。いわゆる憲法の九十五条にのっとった法律であって、法律的の価値からいえば非常に重要な法律であります。この法律が施行されてから今日まで、大蔵省はほとんど何もやっていないでしょう。私はもうきょうは時間がありませんから各都市別にこれはどうだ、あれはどうだということは聞きません。大蔵省の考え方を一つはっきり聞いておきたい。いわゆるこの法律の四条あるいは五条等に大体同じようなことを書いておりますが、国有財産法の二十八条にかかわらず国有財産の処置については便宜を与える、あるいはあとう限りの財政援助をするということは、ほとんどこの十八の都市に対するきまり文句である。これが単なる国会のその地方々々に対するゼスチュアというようなものの考え方で、この法律が扱われたということになりますると、法律自体の考え方からいって非常に迷惑する。国会だけでこしらえた法律なら別であります。憲法と同じような形を持っておる。憲法が国会の発案で国民の投票に付するのと同じである。国会が発案して地方住民の意思決定によってこの法律がきめられておる。これに対して大蔵省が今日までどういう処置をとってきたのか。将来この法律に対してどういう考えを持っておられるか、これを明らかにしておきたいと思います。
○森永説明員 ただいまお示しのございました諸法律に基きまする事業内容は、都市計画であるとかあるいは港湾修築あるいは道路事業とか、そういった項目であろうと存じますが、それらの各事業種別にいかなる援助をしてきたか、いかなる事業を実施してきたか、これにつきましては先般のこの委員会におきまして、お尋ねがございまして、私の方といたしましても即刻各省に照会いたしまして、その内容を取りまとめつつございます。内容が判明し次第、資料を提出いたしたいと存じます。私どももこれらの法律の点につきましては、できるだけ尊重いたして参ったつもりでございますが、何分にも御承知のような過去数年来の財政状態でございまするので、必ずしも十分でなかったかもしれません。しかしたとえばその乏しい中にも広島、長崎両都市の広範な戦災復興事業の実施あるいは平和記念施設等の実施につきましては、補助金を相当出しておりまするし、また旧軍港都市につきましては国有財産の払い下げによる工場誘致、産業の振興のほか道路港湾の整備というようなこともやって参りました。また最近呉におきましては、雇用増大のための特別事業を実施しております。また横浜、神戸におきましては、港湾の修築あるいは道路整備等の事業を相当の規模で実施いたしておるつもりでございます。これらの両都市につきましては戦災復興区画整備事業も実施いたしております。そういったように特に重点を置いてきたことも少くないわけでございます。乏しい財源、苦しい財政の中でできるだけ差し繰ってやって参りましたことは御了承をいただきたいと思います。先ほど申し上げましたように従来乏しい財政、非常に苦しい財政でございましたので、決して十分ではなかったかもしれませんが、政府としてはできるだけの措置をとったつもりでございまするし、今後も計画の線に沿いまして努力をいたして参りたい、さように考えております。
○門司委員 この前係官のも弁では、あまり地方からいろいろな事業計画というものが出されなかったのでというような変な答弁がございましたが、幸いきょうは局長が参っておりますから伺いますが、各省あるいは各自治体からこういうことをやりたいという事業計画が立って参りまするならば、大蔵省は必ずこれに応じていただけるということがこの機会に御答弁ができるかどうか。それからもう一つは、広島その他の問題でありまするが、現実に昭和二十八年までは広島の都市計画に対する補助金あるいは長崎の計画に対する補助金は、三分の二を出しておったが、二十九年からこれを二分の一に削っておる。これは事実です。そういう広島、長崎等のいわゆる三分の二がもらえるものと考えて施行して参りました都市計画の費用に非常に大きな齟齬を来しておることは御存じでしょう。それを知らないとは言えないでしょう、削ったことは事実なんですから。これでは今の答弁のようにあまり親切にしているということは言えぬと思う、私はきわめて不親切だと思う。そのことが都市の財政計画に非常に大きな影響を及ぼしておることも事実であります。
○森永説明員 御承知のように都市計画、港湾漁港の修築、道路等の整備、これは公共事業という、より広い計画の中に入っておるわけでございます。そのより広い計画の中で特別都市がどういうふうになっておるか、これについては先ほど申し上げましたように、資料で一つお答えをいたすつもりでおります。今後計画を持ってくれば、それを全部うのみにするかという御質問でございますれば、これはやはり全体の公共事業のバランスもございますし、財政の関係もございますから、まあうのみにするというおつもりでもいらっしゃらないと思いますが、それはちょっと無理でございます。できるだけ努力をいたしますということをお答えして御了承願いたいと思います。それから広島の補助率を削ったではないか、これはなるほど昭和二十六年ごろ補助率が減っておるそうです。これは責任のがれを申し上げて恐縮ですが、実はそのころは経済企画庁で公共事業の認定をいたしておりましてそのころ以来引き下げられた補助率をそのまま私どもも適用しておるということでございますから、この点も一つ御了承願いたいと存じます。
○大矢委員長 小泉君。
○小泉委員 先ほど委員長から御注意がありまして、時間がないから簡単にせよということでございますから、私は鈴木、門司両委員の質問に関連いたしまして、きわめて簡単に主計局長のこれからの考え方を承わっておきたいと思うのであります。本問題が先刻また国会の問題となりましたのは何も事新しいのではなくて、数年前から横須賀、呉、佐世保、舞鶴等の四軍港市を中心といたしまして、このままの状態ではとうてい市の財政というものはいかんとも方法がつかないという実情から、中央の政治問題に発展をして参ったのでございます。たまたま二十四国会におきまして国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律というものが制定をされまして、それでは一つこういう法律の精神を拡充して、旧軍港市における財政を匡救してもらいたいということから、先ほど来の衆参両院における附帯決議の決定となりまして、当局においてもこの附帯決議の精神に沿うて、次の国会においては何らか実現の方法にこぎつけるというのであったのでありまして、その次の機会というのが、ただいま審議されておりまする昭和三十二年度の予算において、この附帯決議の裏づけをしてもらいたいというのが、当委員会においても、また自由民主党、日本社会党、これは両党が超党派的の問題といたしまして、この実現をば切望いたしておるのであります。先ほど来承わりますると、大蔵省内においてまだ根本的な意見の調整ができておらないというお答えでございます。その間の事情についても私どもは了解ができる点もあるのでございますが、先ほど自治庁の奥野税務部長からお話がありました通り、ああいう考え方からして、われわれはどうしても大蔵省が自治庁、防衛庁、特別調達庁の意見にできるだけ同調するような考え方を持って、この四旧軍港市の財政状態という現実をば見ていただきたいということを要望するのでございます。申し上げるまでもなく、戦前においてもこの四軍港市というものは、ほとんど当時の陸海軍によって市の大部分の目抜きの施設が使われておりまして、市の税収入というものの大部分が、国家目的に使用さるる公共建物ということで税収入というものが貧弱であった。これではあまりにも国家のいわゆる犠牲をば一部のものだけが不当にしょわされておるからということからいたしまして、御承知でもございましょうが、当時は軍港助成金という名において、この不当なる犠牲を緩和するの方策が国会においてとられてあったのでございます。私ども今日、旧軍港市民並びに本委員会、また旧軍港市出身の議員団の間にありまする考え方の根本は、この不当なる犠牲をば国家が何らかの方法において匡救する必要があるのではないか、またその義務があるのではないか、そこで特別交付税の調整によってこれをやるというのは、とうてい不可能な問題であり、また制度の上から見ても、これが適当な措置でないということは先ほど門司委員の質問においても明らかでありまして、私どもが希望いたしておりまするのは、いわゆる税財政匡救のために新しき制度を何らか確立していただいて、この困っておる市町村の財政の現状をば打開していただきたいということを要望してやまないのでございます。先ほど来森永主計局長が税の特別交付金の対象となり得るかどうかというような、いわゆる課税の対象としての理論的なお話にも多少触れられましたが、そういうことはこの場合抜きにいたしまして、鈴木、門司両委員の御質問、私が今関連して申し上げる趣旨にのっとって、今後大蔵省としては本問題解決のために何らかのいわゆる制度の確立をいたして、これを匡救しなければならぬのである、そういうことに努力をするものであるというお考えがございまするかどうか、本問題解決に対する大蔵省方面の考え方についての御意見をお漏らしいただきたいのであります。
○森永説明員 先ほど来お答え申し上げましたように、目下まだ検討中の問題でございまして、結論は得ておりません。私どもといたしましては、この問題につきましては慎重に検討いたしたいというふうに存じております。
○小泉委員 再度申し上げますが、やはり特別のいわゆる制度、法律をもってこの問題を解決しなければならないという方向に、この上とも大蔵省側が御理解と御尽力を賜わりまするよう要望いたしまして私の質問を終ります。
○前田(榮)委員 もう大へん時間が経過したようでありますから、森永局長にごく簡単に御質問申し上げたいのですが、この問題は私はいまさら議論をしようとは思っておらない。鈴木、門司両委員からもいろいろ委員全体の心持を代表的に現わしていただいたものだと思うのでありますが、ただこの前の議会における国有資産所在市町村の交付金の問題の議決は、ただ単にすらすらっといいかげんな審議をして通したものではなくて、衆参両院とも内容にまで立ち入って論議をされ、このことが委員会ばかりでなしに、本会議で全会一致で両院とも議決をされた問題なのであります。それとあわせて現実には、今自由民主党においても社会党においても、額のいかんは別といたしまして、これをやはり実施せしめる方向に政策審議会やその他の議が進んでおるのであります。つまり各与野党を通じて、やはり議会は両院が全会一致をもって議決をした、ただ大蔵省が今それをがんばっておるという形に現われております。しかもきょう森永局長の御答弁を聞いておりますると、まだ大蔵省は正式には態度を決定されておらない、ただしいて私個人の意見として申し上げますればという前提で、森永局長の心持を申されたというような形になっております。ところがこの大蔵省の予算に関する主管局長の心持というものは、一番われわれが注目するところでありまして、他の管財局長やなんかが言うたのならば、ああそうかといって済むのですが、そういうわけに参らない。そこで私が税制の議論でなしに一言あなたの心持を聞いておきたいのは、この四軍港ばかりでなしに、こういう関連しておる国有財産を背負っておるそれがために、固定資産税等の財政収入というものが、非常な困難に立ち至って困っておる市町村の問題といたしまして、ことに四軍港は特別に他の市町村のこういう自主財源の問題等から考えて、現実に今日の状態では他の都市よりも非常に不遇な立場に立っておるから、これはその不遇な立場を何とかせなければならぬものだ、この点をお考えになっていただいておるかどうか。いや四軍港やその他はそんなに困っておりはせぬのだ、そう心配することはないものだというように、一律的な状態で見ておられるのか、私は今御答弁を聞いていると、そういう点に森永局長は御同情がないのではないかというようにさえ聞いたのですが、その点一つ交付金や特別交付金でやるということにするか、今の国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律というものに加えたものにするか、どっちにするかということは別にいたしまして、何とかせねばならぬものだくらいは考えておられるかどうか。このくらいのことだけは一つお明かし願って、御同情のあることになるのかならぬのか聞いておかないと、目がさめないという状態ですから……。
○森永説明員 予算というものは実は大蔵省の主計局だけで作るわけじゃございませんで、大蔵省には省議もございまするし、また閣議なり与党にも連絡するというようなことで、まとまって参るわけであります。従いまして特に主計局長の意見がどうということはございませんので、省内においても衆知を集めましてこの問題は慎重に検討するということになっておりますから、お含みおきいただきたいと思います。
 基地所在市町村に同情していないのかというお尋ねがございましたが、非常に困っておられるところもあるということは、よく承知しております。しかしいろいろございましょう。非常に困っておられるところもあるし、それほど因っていないところもございましょうし、また困っていないところもございましょう。その困っておる度合いに応じて措置をするのには、私は先ほどのことを繰り返すことになりますが、交付税制度を、もう少し活用せらるる方がいいのじゃないか。これは私見ですから先ほど申し上げましたように大蔵省の意見じゃございません。まだきまっておりませんから、その点は御了承いただきたいと思います。
○前田(榮)委員 ちょっと簡単ですが、その交付税によって処分するということは大蔵省としてはきわめてずるい考え方です。これを交付する主管は自治庁にある。そして総額は予算の関係で大蔵省から金をこれだけでまかなえというので、その配分の直接担当の主管省は自治庁である。それで自治庁の方はそれをもらって、ただいま申し上げるような国有財産だけの問題で片づけるわけにはいかないということから、門司君が言われたようなことになる。あなたはほんとうの責任を自治庁に転嫁するような言い分のように考えられるが、それは大へんな不安がわれわれはあるのであって、それについても、ほんとうに同情しておるならやはりみずから責任を持ってやるというような形を、大蔵省はとってもらいたいというところに、いろいろな論点があるのでありますから、一つその点をもう一度御同情を持って現実に即してやっていただくように希望申し上げておきます。
○山本(正)委員 私は主計局長にきわめて簡単にお尋ね申し上げたい。今まで同僚委員諸君が、いろいろこの問題の内容及び処置について、条理を尽してむしろあなたにお尋ねするというよりも懇願要請するという方向で申し上げておる。あなたのそれに対するお答えも非常に理解を持って臨んでおられるということを私はよく理解いたします。あなたが主計局長として非常に熱心な御方針であるということは私はむしろ敬意を表する。しかしあくまでも国会の意思というものは尊重していただかなければならぬ。繰り返し申し上げておりますが、前国会における衆参両院の附帯決議の趣旨というものはきわめて明確であります。先ほどお話のようにこの問題の処置についてはそれぞれ検討中であるから、ここで御返事ができないということはごもっともであります。具体的の結論をここで伺おうとして臨んでおるのではありません。ただその検討する態度、検討されて後の処置についてのあなたの心構えを伺いたいという言葉で同僚小泉君、門司君からあなたに申し上げた。心構えは今日すでに持っておらなければならぬはずです。また持っていただかなければならない。でありまするから私は端的に申し上げまするが、国会の意思はあくまでも尊重いたします、前国会における附帯決議の趣旨は十分理解しております、これは尊重いたします、そして諸般の事情の許す限りにおいて、どこまでもそれが実現に努力をいたします、これだけの言葉は、関係主計局長として明確にこの委員会にお答えになるべきものであると私は思う。私はぜひまたそうしていただきたいと思う。多くは申しません。それだけ一つ。
○森永説明員 先ほど来申し上げておりまするように、この問題の解決のためにはどうしたらよいかということを、目下慎重に鋭意検討中でございますので、ただいませっかくのお尋ねがございまして、ただ一言言えばいいとおっしゃいましたのでございますが、その一言がなかなか今日は申し上げられないのでございまして、この辺は一つお察しいただきたいと思います。
○中井委員 ちょっとお尋ねしますが、基地の問題と少し離れるのでございますが、きのうから二日にわたりまして、地方財政を中心に熱心に検討を続けたのでございますが、昨日は主税局長が参りましていろいろ御説明になりました。きょうもまた主計局長の話を伺っておりますが、総合しまして一点だけ私はある事実について御質問申し上げたいと思いまするのは、日本の財政全体について大蔵省の皆さんは、どういうふうなお考えを持っておられるのか。日本の財政ということになりますると、私は国の財政だけではなかろうと考えるのでありまして、国の財政と地方財政と両方合せまして初めて、日本の財政全体をあなた方大蔵省の皆さん方が総合的に御判断をなされなければならないと考えておるのであります。そしてこのことは本委員会だけじゃありません。本会議でも予算委員会でもわれわれはしばしば申しました。といいまするのは、ここ数年来国の財政は黒字であるということになっておりまするが、地方財政は非常に困難であります。このことを何とかしようというのが、ここ二、三年の大問題になってきております。すなわち地方財政におきましては五千億に余る地方債がたまっておる。これの利払いができないから国から助成金でももらおうじゃないか、あるいは借りかえをどうこうしようとか、あるいは将来にわたりましてはできるだけ起債を少くいたしましょうとか、あるいは現在の赤字については地方財政再建整備法を出しまして、四苦八苦いたしておる。そういう状態において大蔵省は総合的に日本の財政全体を御判断いただかなければいかぬと思うのでありますが、そういう観点からここ二週間ほど前でありしたか、突如として大蔵省側の放送でありましょう、新聞に大きく一千億の減税というのが出て参りました。きのうも門司委員から御質問がありましたが、私どの観点からいたしますると、一千億の減税まことにけっこうであります。できればけっこうでありますが、そういうものを総合的な財政という面から見ますると、そういう話が出るときにはまず第一に地方財政はどうであろうか、国は一千億余ったが地方はどうであろうか、まず減税をする前に地方の方に国の財源を回すべきではないかというふうな話は、私は必ず出ておらなければならぬというふうに判断をするのであります。ところが実際はどうもそうではなくて、減税の放送がありまして二、三日しましたら、そうなると地方財政は困るから、今度はちょっと住民税の方の率を上げようじゃないかというふうなことによってまた大きな問題になってくる。こうなりますると私は国全体の財政計画の総合性というものについて非常に疑問を持つのであります。一体それはだれが総合的に見ていくのであるか、私は政府の責任であると思う。今の地方自治体の財源というものは条例できめられるものじゃございません。全部法律できまることになっております。そういう観点からしまして、私は一千億の減税の問題の場合に、地方財政はどういうふうにして取り上げられたのであるか。一千億国だけでできるとするならば、それを七百億にしよう、六百億にしておこう、そうして四百億は地方に回してやるというふうな話が、当然最初に出なくてはならぬと私は思うのでありますが、そういう問題について主計局長さんその他係の皆さんが、先ほど省議の話が出ましたが、省議をお開きになる場合にどういう程度の話になっておりますか、その事実の点をちょっと述べていただきたいと思います。
○森永説明員 財政の健全化はもちろん国だけでなく、地方もあわせて望まれるわけでございまして、国のみが富んで地方が貧しいということでは困るわけでございます。従いまして最近の地方財政の実情にも即しまして、昨年来相当思い切った財源措置が講ぜられたわけでございまして、国も地方も財政の健全化を望む点につきましては、私ども全然同感でございます。ただ自治庁と大蔵省との間に、相状の認識につきまして時たま意見の相違を来たすこともございますが、これはいずれ予算編成の過程を通じまして総合的に調整されまして、政府としての意見がまとまって参るわけでございまして、政府としての総合的な態度がそれでまとまって参る、そういう筋道になろうかと存じます。一千億減税の前に、地方の財政のことを議論したかというお尋ねでございますが、これは私、直接減税の方の問題を所管いたしておりませんが、内部では、あるいは税制調査会の席上等におきましては、国の減税の地方に対する影響はどうであろうか、そういった問題も含めて、いろいろ真剣な御論議が行われましたし、委員会だけでなくて、私どもの部内あるいは自治庁と大蔵省との間でも、そういう問題につきましては忌憚のない意見が取りかわされまして議論が行われておる。これもまだ税制調査会が結論を出しておりませんし、いわんや大蔵省としての、ないしは政府としての結論も出ておりませんが、政府の態度がまとまりますまでの間におきましては、十分関係各局間におきましてそれらの点につきましての論議が尽されるわけでございますので、御了承いただきたいと思います。
○中井委員 今の御答弁で、私必ずしも満足はできないのでありますが、どうも国と地方との予算の関連におきまして、国の予算の半分ぐらいは地方に対する補助金、助成金というふうな関連になってくると思うのでありますが、そういうものの整理というふうな場合に、今の財政の体系を見ますと、国の財政は九〇%までは税収入である。地方は一兆億をこえる予算のうち税収入はわずか四千億である。こういう基本的な点において私は大きな欠陥があると思う。そこで一千億の減税などという大そうなことができるのならば、当然私はこの間の勘案におきましてやはり地方の税収入というか、自己財源というか、そういうものをもっとふやすことによって、これまでのさまざまの非常に錯綜した、複雑した地方と国との関係を、少しでもすっきりしたものに持っていくというふうな考え方をするのが、私はすなおな考え方じゃないかと思うのです。また五千億の起債の整理の問題についても、金利をどうするとか、国から利子について助成をいたすとかいうことは、何としてもすっきりした形ではない。そのことは私は認めていただけると思う。そういうことになれば、まず何よりも減税の前にそういう問題を片づけていくというのが、財政の大きな問題からいったら筋道だと思うのでありますが、実際は必ずしもそうは行っていない。そうは行っていないところに私は日本の地方財政の悲劇があるように思います。そういう面について、今の大蔵省の御答弁は、どうしても国の財政が第一義的になる。第一義的けっこうでありますが、二義的と一義的との間に差があり過ぎて、二、三日たって、あ、忘れておった、それでは地方の方にえらい影響を及ぼす、それじゃしょうがない、地方財政の方はちょっと税金をよけいとれ――結局鳩山さんは減税をやるけれども、知事さんや町長さんや村長さんは増税していくというふうなことで、どうもやり方としては非常にまずいように私は思うのでありますが、そういう面について、ほんとうに何ものにもとらわれない事務当局は、すなおな財政の見地から大いにがんばってもらいたいと思いますので、今こんな質問をしたのですが、いかがでございますか、お尋ねいたしました私の意味がわかりましたろうか、その点について見解を一つ聞かしていただきたい。
○森永説明員 実は昨今のような経済界の情勢に即しまして、だいぶん自然増収も多いようでございますし、実はこの自然増収は地方の方にも相当現われておる。まあ普通国民所得の面で考えられます程度の伸びよりも、もっと大きな程度の伸びが予想されるわけでありますが、そういうときには、国も地方もできるだけ歳出の膨張を押えて、国も地方もできるだけ減税をする努力を、まずすべきではあるまいかというふうに考えます。国の方のことは私も直接の担当でございますのでよくわかっておりますが、地方の方では歳出の増加にどういうものがあるか、それはいろいろ国と違った事情もございましょうし、国と同率で減税をするというわけにいかぬということもございましょうが、努力の目標といたしましては、できるだけ国も地方も減税をする、国民負担を国税、地方税を通じて軽からしめる、そういう努力をまずすべきではないか、そういうふうに考えておるわけでございます。地方につきましては国と違って財政の弾力性がない、財政構造が違うということもありましょうし、それらの点は非常によく考えなければいけませんので、国と同日に論ずることはできないかもしれませんが、少くとも努力の目標としては地方もできるだけ歳出の膨張を押え、できるだけ租税負担を減らすということをやっていかなければならないのではないか、かように考えておる次第であります。
 補助金と自主財源についてのお話がございましたが、今国は補助金を非常にたくさん抱えておりまして、それがいわば地方に対するひもつきになりまして、いろいろの問題を生んでおります。この現状につきましては、地方自治の方向から申しますと、できるだけ補助金という形を減らして、自主財源をふやしたいという根本的な方向につきましては必ずしも異議を唱えるものではございません。従来ここ二、三年間微力ではございましたが、できるだけそういう方向で努力して参ったつもりでございます。ところがここにはやはりいろんな問題がございます。各省の立場からする地方自治への期待、やはり補助金でないと十分期待できないのではないかという不安も、各省の側にはあるようでございます。いろんな事情がございまして、思うようにこの補助金を整理して自主財源に回すことができないで今日まで来ておりますが、地方自治という観点から考えれば、できるだけ補助金をやめて自主財源をふやす、そういう方向をとるべきであるということは、私個人としては同感でございます。
○中井委員 そういうようなお考えであるならば、一千億の減税は、まず私は地方の自主財源の方に回すべきものであろう、こう思うのですが、いかがですか。それから、先ほどあなたは地方も減税すべきだ――それは当然です。しかし、できないから無理やりに赤字起債を、ことしあたりでも減らしたといっても七百億ばかり出しておるわけであります。今日本の財政全体を見ると、国だけは黒字でもって赤字じゃないと言っておりますが、両方合わすと依然として赤字公債を発行しておる。こういうことについてもっと抜本的な信念的な態度でもって大蔵官僚が臨んでいただきたい、私はこう思いますので、この点もう一ぺん念を押しておきます。
○森永説明員 一千億の補助金を大幅に整理いたしますと、国の歳出はそれだけ減るわけでございまして、補助金以外の財源が地方に何らかの形で自主財源としていくことは可能になるわけでございますが、先ほど申し上げましたように、その方向でいろいろ努力して参りましても、結果はなかなか思うように参らぬわけでございまして、なかなかそう簡単に割り切れる問題ではございません。その方向で努力はいたすつもりでございますが、そう大幅に補助金を減らして、自主財源に回すということがすぐにできるかどうか、この点につきましては自信がございません。
○吉田(重)委員 先ほどから各委員からの御質問で、国有資産等の所在市町村に対する財政措置につきまして、大蔵省の主計局長の御答弁をお聞きしたのでございますが、その中で、慎重に研究をいたすつもりである、三十二年度の予算にはそういう方針で取り組むんだというような御答弁をお聞きしたのであります。先ほど山本委員からは、国会の附帯決議については、満場一致のことでもございますし、尊重してお考え願えるかどうかという、率直な御質問があったのでございます。どうすればいいかということに対して慎重に考えていくということは、主計局長としては、国会の附帯決議を軽視せずに十分尊重して、そうして慎重にこれを推し進めていくというように了解いたしたいと思います。これに対して主計局長のお気持が変っておれば、お話を願いたいと思うのですが……。
○森永説明員 先ほど来るる申し上げましたように、なかなか重大な問題でございますので、慎重の上にも慎重を期しまして、十分検討いたすつもりでおります。
○大矢委員長 どうも国会の両院の本会議で満場一致決定したものが、尊重しますということがここで言えないようでは、後日もう一度委員会を開いて、お伺いしなければいけない。検討中検討中と言っても、尊重して検討してもらわなければ――そのことが言えないということでは、一体われわれは何をしたかわからぬ。
○森永説明員 国会の御決議は尊重しなければならぬことはむろんでございます。ただしこの決議は衆参両院ニュアンスもございますし、また具体的な問題につきましてはいろいろ問題があるわけでございますので、先ほど来申し上げておりますようなことで、慎重の上にも慎重を期して検討をいたすということでございます。
○大矢委員長 大蔵省関係はこの程度にします。
    ―――――――――――――
○大矢委員長 それでは首都圏の問題について中村高一君。
○中村(高)委員 先ほど質問の途中でありましたが、都市計画法とかあるいは土地区画整理法で現在行われておるものと、今度の法律との調整について心配はないというような意味の御答弁でございましたけれども、まだあまりはっきりしておらぬのであります。現在都市計画を行われておる都心から十五キロ――いわゆる旧市街地に接近しておる自治体では、これを旧市街地の中に変更をしてもらいたい、同じではないか。二十三区と同じ状態にある市を、別に近郊地帯として分けることの方が無理であって、旧二十三区と同じような隣接の市に対しては、これを旧市域と同じような市街地に指定してもらいたいというような要求が最近非常に起ってきたのであります。これは近郊地帯として指定される不利益からのがれようとする地方公共団体の強い要望でありまするけれども、そういうことを勘案してみまするときに、一体近郊地帯を現在世間に流布されておるようなおおむね十キロというような指定あるいは旧市街地というものが都心から十五キロというものは、すでに決定して動かされない形になっておるのかどうか、これはまだ動かし得るプランであるのかどうか、それを非常に心配しておりますから、はっきりさしておいていただきたい。
○吉岡説明員 近郊地帯の区域の問題でございますが、これは先般首都圏整備委員会にあります審議会で、一番外の線と内の線を一応きめたのであります。従って私どもとしては、一番外の線と内の線は将来変える気持はございません。ただその中におきまして市街地がないところが相当ございます。市街地がないところまで近郊地帯ということでいろいろな施策を取り運んでいった場合に、近郊地帯そのものがほんとうに最初から希望したような形になるかどうか非常に疑問がございます。従ってそこはいわゆる穴をあけるという問題になるのでございます。この点を今事務当局で検討いたしております。近郊地帯に入るとされる市町村からのいろいろの御意見などはよく承知いたしております。これは実情をよく調査しまして、現地もよく納得をしていただいた上で正式にきめたいと考えております。これは結局正式にきめる場合は政令できめることになります。
○中村(高)委員 そうすると、近郊地帯に指定をされても、指定をされたその地帯のものは全部緑地帯としての制限を受けるのではなくして、そこに穴をあけるということは、例外を設けようという趣旨だと思うのでありますが、例外を認めることはむろんけつこうであります。旧市街地と同じような形に発展しているところが相当あるのでありますから、その穴をあけるのはいいのでありますが、現在すでに緑地として指定されておるところが相当あります。神社のあるところ、あるいは小金井などには東京都としての大きな緑地帯があるし、あるいは飛行場のようなものもありますし、そういうようなものを逆に穴にして、穴をあけるということを、今あなたの言われたように市街地を穴にするのではなくして、逆に緑地を方々に作っておいて、それ以外のものは別に制限をしない。つまり一定の幅の中に入ったものが全部制限地域ではなくして、その中に現在ある緑地というようなものを生かす、あるいはもしこれが足りなければ現在指定されておる緑地を利用して大きくしてもいいが、それを穴にしてこれだけが制限を受ける、その他のものは市街地として同じような扱いを受ける、こういうことができないかどうか。
○吉岡説明員 近郊地帯をきめる際に、現在緑地地域に指定をされておるものは全部入れました。ところがその緑地地域だけでそれ以外は制限をやめたらどうかというお話のようであります。緑地地域は、地図でごらんになればわかるのでありますが、きわめて面積が狭いのでございます。これでは首都圏整備法で考えました近郊地帯というものの目的は、ちょっと達せられないのじゃないかと考えております。
○中村(高)委員 それはいかにもその通り、現在の緑地というものは少な過ぎるという議論はあると思います。だから、たとえば現在ある緑地なら緑地の周辺をつけ加えて、そうして別に今度は緑地というものを指定する、その他のものははずす、こういうことができるならば理屈はわかりますけれども、一定のベルトを作って、その中に入ったならば全部制限を受けるというのは、あまりにしゃくし定木であるとわれわれは考えるのであります。住民諸君の意思もそういう点にあると私は思います。今度の緑地を作るという目的を見ますると、いわゆる膨張をここで食いとめるのだ、そして災害を防止するため、あるいは衛生的見地からここに緑地を作るということなのですが、そういう目的からするならば、既成市街地の中にもっと緑地を作ることの方が理屈に合う。このごみごみしたところを、一体今後衛生的にあるいは災害防止のためにどうやっていくか、このごみごみした二十三区の中にこそ緑地を作るべきだ。たとえば、個人の邸宅なんかで買収すればできる余地のあるものが、まだまだ幾らでもあるのですから、これを国家で買収していって緑地にする。それならばほんとうにこの密集した地域の中に衛生的見地あるいは災害防止なんかはできるけれども、あんなベルトを作ってもらったところが、二十三区の諸君はこれによって利益を受けることはできないのです。これは大きな見地からベルトを作るという構想だと思う。戦争や何かのときに防火地帯を作って延焼を防止するというようなことはあり得るけれども、衛生とか災害をよけるためというならば、むしろ密集地帯の中に置くのがほんとうですよ。それをその付近に機械的にベルトを作るというような机上のプランを立てて、これでいい気になる、災害も防止できる、衛生も守れるなんということでは、あまりに考えが机上プラン過ぎると思う。ほんとうにそういう見地からやるならば、至るところに青山があるのがほんとうの親切な都市計画だと思う。それを一所に持ってきて、機械的にベルトを作って、そしてここは緑地だなどということは、全く死んだ計画だと私は思う。だからこういうしわ寄せができてしまっておるのだろうと思います。ですから、ベルトならベルトという構想は必ずしも悪いとは言わぬから、この中に入ったものはみんな制限を受けるというのではなくして、一定の緑地というようなものを指定して、その他は別に制限を受けないというならば理屈はわかる。同時にそういうものは旧市内の中にも作る、むしろそういうことに努力すべきであって、予算上の関係などは――むろんあることはわかります。また現在もうある都市をいろいろの形で作り変えることの困難性もわかるけれども、これは個人の住宅などでまだ非常にたくさんのものがあるのですから、そういうものに国家は金を出してでもやるということの方が私は理屈に合うと思う。ベルトを作るような構想はあまりにしゃくし定木的な机上プランだと思うけれども、いかがですか。
○吉岡説明員 今のお話は、首都圏整備法成立のとき相当論ぜられた問題ではないかと思うのです。地帯を作ってある程度の制限をすることは、都市計画の専門家の集まりでも、大体それが現在の大都市の膨張を抑制するためには一番いい方法だとされておりますし、また現にこれはわが国に持ってきてすぐ適用されるわけではないのでありますが、ロンドン等ではそういう方法を講じられておるようであります。相当な各方面の意見が、そういうことでなければということで、こういうことになったのでしょうが、ただ、近郊地帯に入りましたものに、どこにどういう制限をやっていくかということは、今後法律を作らなければならぬ問題でありまして近郊地帯に入ったからすぐ制限を受けるという問題ではないと私は考えております。
○中村(高)委員 この法律にも、関係行政機関の長、関係都県及び審議会なりで意見を聞いて、一たんきめられた首都圏整備計画も変更することができるという規定があるわけですね。これを見ると、相当ゆとりのある計画を考えておられるのだろうと思いまするから、これからは一つ特殊のこのベルトの中に入ったものにだけ不当な制限と不当な損失を与えることのできるだけないように考えて私はやってもらいたいと思う。
 それから、どうしても制限を受けるものに対しては、一体それは法律のしわ寄せでありまするから、この緑地を指定されたものだけに損失を与えるという理屈は立たない。それに対しては国家からその損失に、相当の補償をすることを立法せられるときには考えられるのかどうか、この法律でも、開発地帯に対しては国の補助をするというが法規がちゃんと書いてある。開発地帯に対しては学校を作る場合には補助してやるというような規定がちゃんとあって、近郊地帯の損失に対しては全然これが法規の中にないのです。そういう場合、制限を不当に受けたものに対する点は、今後どういうふうに考慮せられておりますか。
○吉岡説明員 近郊地帯がある程度損失を受けるということは、おそらく考えられる問題と思いますが、それにつきましては、やはりそれ相当な補償を考えるべきものだ、イギリス等におきましても、いわゆる近郊地帯に相当する区域に対して、まん中の利益を受けるところから税金の形でありますか、つまびらかにいたしておりませんが醵出をして、それを補償の形とか、あるいは公共施設を作る金等で投資をしている格好になっておる。わが国においては、既成市街地なりあるいは国からある程度の金を出して、やはり補償的な意味の施設をするなり、あるいは補償をするなりすることは考えるべきだと思います。しかしそれは、近郊地帯の制限をするとして、その制限をする法律を作るときに考えるべき問題だと思います。
○中村(高)委員 その点も一つ十分に考慮していただきたいのでありますが、この計画によりますと、今後人口を抑制する面もあると思うのです。東京のまん中の人口を抑制して、周辺地帯を開発してそっちに引き受けてもらう、そのためには、埼玉県にも千葉県にも神奈川県にも山梨県にもお手伝いして引き受けてもらう、これもわかるのです。そういうこともわかるのでありまするけれども、各府県側はこれに対する協力態勢といいますか、お引き受けしましょうということではないらしいのでありまするけれども、そういうことに対してはどんな手が打たれておるのでありますか。
○吉岡説明員 人口を引き受けることにつきましては、結局市街地開発区域の問題でありますが、これに対しては各府県とも非常に賛成なんであります。今お話のありましたのは、いわゆる近郊地帯に入るところが住民の間には多少不満というか、東京の犠牲になるというような気持がないでもないように考えるのでありまして、その辺は先ほど申しました近郊地帯の補償その他の措置において、十分各府県が東京都と協力をして、首都圏全体がうまく行くように考えるべき問題だと考えております。
○中村(高)委員 そうすると、この計画によると、大体旧市内の人口はこのくらいに押えて、それから近郊地帯はこのくらいにして、新しく開発する都市は人口このくらいという何らかの構想をもって、新しい人口の開発を按配しようという配分計画というようなものがあって、自然にはもう伸びられない、伸びるならばその制限の範囲内において伸ばそうというような、何かそういう人口の抑制計画というものが、これには含まれておりますか。
○吉岡説明員 人口の配分計画は、基本計画というものを先般審議会で決定をいたしまして、まだ最終的にきまってはおりませんが、大体既成市街地から外へ二十年間に二百七十万人くらい出そう、こういうおよその目標を立てております。
○中村(高)委員 この首都圏整備法の二十九条によりますと、地方の公共団体などはこの計画に対してはできる限り協力をしなければならないということになっておりまして、押しつける意味ではないと思うのですが、首都圏整備計画を立てても、地方はこれにできる限り協力してくれろ、こういうのであります。これは強制はしないという意味にもとれるのであります。もし協力したくなければ協力しなくてもいいようにもとれるのでありますけれども、そういう程度のものなのか、それとも、そうは書いてあるけれども、協力をしなければいろいろの点で遠回しにその地方団体を協力させるような形にするという意味なのか、法律としては私はまことに珍らしい法律だと思うのでありまするが、できるだけ協力しなければならないという趣旨は、これはどういうところから生れたものなのでありましようか。
○吉岡説明員 関係地方公共団体が協力をしなければならないということは、これは計画を立てるとき関係地方団体とも折衝をし、十分納得の上で計画を私どもは実際に立てるつもりであります。従ってその計画は実行してもらえると思うのでもります。ただ、こういう首都圏の整備のような問題は、実行をしないからといって制裁を付して、それで実行の確保をはかるという問題ではないと考えまして、こういう規定になっておると思います。
○中村(高)委員 最後に一つ。その趣旨はよくわかりましたが、問題は、もう法律であるから非常に強制的なもので押しつけられてきて、国家総動員法みたいにぐいぐい、きめられたことだからというような――それほどの強いことは言うておりませんけれども、東京都の現地に来られる諸君などは、国家の計画だから協力しろというようなことで、まるで高圧的な態度をとっておると言って、びっくりしておるのでありまするけれども、こういう法律の趣旨からいたしまするならば、できるだけ協力して新しい都市を建設しようという趣旨でありますから、住民が非常に不利益を受けるようなことにならないように、それから市街地に編入してもらいたいというようなもっともな理由のあるものに対しては、十分に住民の意思を尊重するという建前で、運用をしてもらいたいという希望をつけておしまいにいたしたいと存じます。
○吉岡説明員 御趣旨の点はよく承知いたしました。
○大矢委員長 それでは時間もだいぶ経過しておりまするから、本日はこれにて散会いたします。
    午後五時三十六分散会