第024回国会 内閣委員会 第50号
昭和三十一年五月二十一日(月曜日)
   午後一時四十一分開議
 出席委員
   委員長 山本 粂吉君
   理事 大平 正芳君 理事 保科善四郎君
   理事 石橋 政嗣君 理事 受田 新吉君
      大坪 保雄君    大村 清一君
      北 れい吉君    薄田 美朝君
      辻  政信君    床次 徳二君
      福井 順一君    真崎 勝次君
      粟山  博君    横井 太郎君
      井手 以誠君
 出席政府委員
        総理府事務官
        (恩給局長)  八巻淳之輔君
        厚生事務官
        (引揚援護局
        長)      田邊 繁雄君
 委員外の出席者
        専  門  員 安倍 三郎君
    ―――――――――――――
五月十八日
 国務大臣の私企業等への関与の制限に関する法
 律案(参議院提出、参法第一号)
の審査を本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 旧軍人等の遺族に対する恩給等の特例に関する
 法律案(大平正芳君外十一名提出、衆法第五五
 号)
    ―――――――――――――
○山本委員長 これより会議を開きます。
 旧軍人等の遺族に対する恩給等の特例に関する法律案を議題とし、これより質疑に入ります。通告がありますので順次これを許します。受田新吉君。
○受田委員 この法案は提出者におかれましては旧軍人等の遺族に対する恩給等の特例に関する法律策としてお出しになっておられるのでありますが、この法律題名についてまずお伺いしたいのであります。旧軍人等の遺族に対する恩給等、この「等」の説明をお願い申し上げたいと思います。
○大平委員 これは法律のタイトルの問題でございまして、中身は御承知のように恩給法の特例等援護法の特例を内容といたしております。そこで一定の財政負担をいたしまして、この種の恵まれざる方々にどうして対処するかという場合に、同じ金額でございましてもその人たちの御満足がいくようなタイトルをとることが政治的に賢明だと思いまして、題名につきましては党内におきましてもいろいろな論蔵がかわされたのでございますが、結論といたしまして恩給等の特例法案という格好で打ち出すことが賢明だと判断いたしまして、今お手元に差し上げたような名前にいたしたわけでございます。
○受田委員 恩給等というこの「等」、これは恩給のほかにどういうものが考えられておるのでありますか。そうしてその考えられておるものと、恩給とのウエートはどちらに置かれておるのでありますか、御答弁願います。
○大平委員 恩給のほかに遺族年金を考えておりますが、ウエートから申しますと、お説のように若干援護的な内容の方が重いわけでございますが、恩給等と打ち出す方が先ほど私が繰り返して申しましたように、受ける方の感じはよろしいのではないか、そういう判断でございます。
○受田委員 遺族年金の方に重点が置かれてあるのであるが、これを聞く方の感じが恩給という方がいいからという御趣旨のように了解したのでありまするが、恩給と掲げる方が遺族年金と掲げるよりも、これを受ける方の側の人の印象がいいという根拠をお示し願いたいのであります。
○大平委員 御承知のように、ただいま文官恩給にいたしましても、軍人恩給にいたしましても、これは大きくいいまして社会政策の一貫という性格を少くとも持っておると思います。それで受田君の属する社会党方面におきましては、すべてを御破算にいたしまして、社会政策的な観点から恩給を考え直したいというような御意向もあられるように仄聞いたしておるわけでございますが、受ける方の立場から申しますと、やはりこれは国家に奉仕した場合に、国家から受ける恩給だ、こういう観念で一貫していただく方がよろしいという世論もございます。それから今御提案申し上げておりまする内地死亡の問題を取り上げるにいたしましても、これは援護法の領域で援護法列車に乗せるよりも、どうしても恩給という名前においてやってくれ、公務による死亡であるからそういう取扱いにすべきではないかという議論が党内におきましても圧倒的でございました。そういう事情を考慮いたしまして今申し上げましたような措置にいたしたのでございます。
○受田委員 党内におけるいろいろな要望等が恩給とやる方がいいんだ、社会党は社会保障政策の推進の意味から遺族年金という方がいいんだとも思われるというお言葉があったわけでありますが、私はそういうことを乗り越えて、この法案の性格から考えて、今大平さんの御説の恩給に関連する規定は扶助料給与の特例である第三条に掲げられてあるのであって、この法律の最初の重点である遺族年金の支給の特別は第二条に掲げられてある。従ってこの遺族年金の支給の特例と恩給、すなわち公務扶助料給与の特例等を天びんにかけた場合に、どっちへ重点を置いたらいいかということになれば、恩給の方は、まず遺族年金の支給を根底にしてなされている特別措置であって、当然遺族年金の支給がこの法案の中心に立つべき性格のものである。われわれはそうした党派的な立場でなくて、この法案の性格から考えて、法律の内容から考えて、そう見られるのでありまするが、いかがでございましょうか。
○大平委員 おっしゃる通り、内容的には遺族年金の部分が圧倒的にウエートが重いということは御指摘の通りだと思います。しかしこの法案によりますと、最終的には恩給として給与される仕組みにいたしておりまするので、少くとも対支給者の関係におきましては恩給という衣をかぶって支給されるようになっております。これは立法の技術の問題でございまして、内容がそういう措置を講じたことによって変っておるわけではございませんので、どういう衣をつけて差し上げるかということだけとして御了解を願えれば仕合せだと思います。
○受田委員 私はまず今回のこの自民党の皆さんが御提出になられた法案に対しては、その法律の趣旨において、今まで救われなかった旧軍人あるいは準軍人の遺族を守ってあげるという意味においての一前進である点においては、これに同意を表するものです。しかしこの法律をお出しになるのについては、当然ここに掲げられてありまする内地死亡の旧軍人及び準軍人の方々と全く同等の立場にある多くの方々がおいでるのです。その方々を差し置いて、これだけを抜いて法案にされたわけでありまするので、そこにわれわれは一つの問題を差し狭まざるを得ないのです。でき得べくんば今問題にされている戦争犠牲者、特に国家の至上命令で動いた人々の御遺族を守るという意味においては党派を越えていかに措置すべきかを考えてこの法案を提出すべきであった。自民党のみが党内でいろいろ御研究をされると同時に、野党である社会党にも当然御相談をいただいて、予算的にも十分考慮を払いながら、いかなる順序で御遺族をお救いしたらいいかという話し合いをすべきであったと思うのです。ところが何らわれわれに御相談がなく、自民党内部だけでこれをお進めになられた事情を御説明願いたいのであります。
○大平委員 戦争犠牲者対策全体につきましては、わが党におきましても委員会を作りまして、今御指摘のような、今回の法案の対象になっていない方々をも含めまして、総合的に考えなければならぬというような党議の決定がございます。しかしながらその作業は今まで進んでおりません。ただしかしこの法律案を提案するにいたしまして、私たちの心組みといたしましては、今受田委員御指摘のような対象をも、頭に置きまして考えたわけでございまして、こういったもの全体をまとめまして、総合的にピクチュアを描きまして、そういったところで御相談申し上げるのが順序だと思いますが、今問題になっておりまする内地死亡の問題は、そういった戦争犠牲者の方々の中でも、一番公務性の濃厚な、かつ過去におきましても一番問題になっておりました焦点でございますので、とりあえずこの問題だけは処理の糸口をつけておきたいという念願で、取り急ぎ御提案申し上げたような次第でございます。いずれ本法律案ができまして、社会党側と御相談申し上げようと思っておりましたが、内部の事情にわたって恐縮でございますが、政府の方が財政上の都合その他でずいぶん強い抵抗を示しましたので、国会に提案する直前に法律案がまとまりましたような次第でございます。委員会におきまして、とっくり御協議御批判を願う機会があろうからということで、取り急ぎ提案いたしましたような次第でございますので、這般の事情は一つ御了承を願いたいと思います。
○受田委員 こうした人道的な背景を持つ法案は、できるだけ野党と話し合いをして拠出すべきであり、もし野党との話し合いがつかない場合に、初めて与党が立案提出されるというのが順序である、私はかように考えておる。
  〔委員長退席、保科委員長代理着席〕
私今から御指摘申し上げる点においては、与党の諸君がずいぶん御苦労をいただいている点も数々見受けられまするけれども、考え方によったならば、ある一部の人を救うて同等の立場にある他の人々が救われていないという片手落ちも見られることであるし、これはこの委員会に出される前に、十分野党と話し合いをして検討を加えて、ある程度の成案を得て、自民党の政策として御決定になってもおそくない。予算の御都合があるならばその点は与党として別の立場で御検討をいただけばいいのであると思うのでありますが、御見解を重ねてお伺いしたいのであります。
○大平委員 今申しましたような事情で、提案直前に政府との話し合いがついた、国会の会期末も間近に迫っておりますので、そういった時間的余裕がなかったことを非常に遺憾に思います。しかしすでに提案されて御審議を願っておりますので、この段階でもう一ぺん撤回いたしまして社会党とのお話をつけて提案するというような手間は、できるだけ省略させていただきまして、委員会の席上で一つ御批判の点は聴取いたしまして、もし非常に致命的な欠陥がございますればまたわれわれ考慮するにやぶさかでない、こう思います。
○受田委員 私はこの法案を御用意された大平さんとして十分御決意のほどがあろうと思うのでありまするが、現段階において軍人遺族の扶助料が、いわゆる恩給亡国の対象のごとく世間に喧伝されて、生きた軍人に対する恩給あるいは生きた文官に対する恩給と同格に見られて、国家のために生命を投げ出された方々の御遺族としては、はなはだお気の毒な批判を受けている向きがあるわけなのです。従って少くとも恩給亡国の対象に考えられるような法案をお作りになられて、これらの御遺族に対して何らか心の奥に暗い気持を持たれるような形に、結果的になりはしないか。むしろそういう観点から考えたならば、ここにこの法律の性格をはっきりと、旧軍人等の遺族に対する遺族年金等の特例に関する法律案としてお出しになっておかれる方が、これらの英霊の御遺族に対しての社会の批判を受けることも少くて済むのじゃないか、かように私は考えるのです。この法案をよくながめてみますると、提案の御趣旨にも書いてある通り「これら旧軍人等の遺族に対して遺族年金または扶助料を支給いたそうとするのが、その骨子であります。」と遺族年金に重点が置かれ「または扶助料」として扶助料があとへつけてある。この提案の趣旨の点から言いまして、もしその重みを扶助料に置かれるならば、扶助料または遺族年金の支給をいたそうとするのが、その骨子でありますと提案理由にも書かるべきであるのでありまするけれども、この法律案の提案理由の説明にはそう書いてある。それからさらにこれをずっと進んでみますると、提案理由の説明の中に「第二点は、恩給法との関係について規定いたしたものでありまして、」と、恩給法との関係規定のように掲げられて、恩給法との関係は単なる関係規定をここへあげたというような印象を与える提案理由の説明が書かれてありまするが、これらを考えると、むしろ遺族年金をはっきりとうたって、しかる後それに恩給で特例が規定されてあるという形の法律案にした方が、遺族に対しての恩給亡国論に対する防壁にもなるし、またこの法案の性格からいって、骨子としてうたわれている提案理由の説明からいっても、その方が妥当ではないかと思うのでありますが、御見解をお伺いしたいのであります。
○大平委員 受田委員のおっしゃること、内容的にはもっともだし、また遺族の方々に対する思いやりで傾聴いたしたわけでございますが、ただいま一口に恩給亡国と申しますけれども、私どもそういった見解に必ずしもくみしておりません。というのは、いずれにせよこれだけの大戦争をやりましてこの跡始末をつけないと、新しい日本の出発というのはあり得ないことなので、財政上の都合もさることながら、やることだけはやらなければならぬのじゃないか、それについて非常にうしろめたい感じを持つべきじゃないと思います。西独等と比較いたしましても、決して日本の今の旧軍人御遺族の方々に対する給付は上等といえないと思います。やるだけのことはやらなければなるまい。かつ財政負担といたしましても、ずっと経常的に千億の経費が、二十年、三十年のあとまで続くというような問題じゃございません。ピークが今年、来年というときで、先が見えていることでございますから、やるだけのことはやるべきじゃないか。恩給亡国の声が一部にあることは承知いたしておりますが、それにもかかわらずわれわれといたしましては、戦争犠牲者に対する対策を立てねばならぬというかたい決意を持っておるわけでございます。ただ法案の体裁といたしまして、また内容との関連におきまして、遺族年金というタイトルの方がよろしいじゃないかということになりますと、それも私は確かに傾聴に値する見解だろうと思いますが、私どもはこれを恩給という衣をつけた方がよろしいと判断したわけでありまして、そこに参りますと、技術的な見解の相違になろうかと思うのでございまして、それは繰り返し申しましたような事情でございますので、曲げて一つ御了承願いたい、こう思います。
○受田委員 恩給局長の見解をわずらわしたいのでありますが、この法律案の性格から言いまして、第三条に規定してあります扶助料の給与の特例を中心にして、あたかも恩給法の重みをぐっと浮び出させたような題名をつけることが是か非か。あなたのお役人としての御見解を伺いたいのであります。
○八巻政府委員 問題はもっぱら立法技術上の問題のみのように考えられるのでありますが、内容におきましては、形式的に申し上げますと、確かに援護法の改正、そして援護法の改正に伴って恩給法の改正という形になっておる。しかしながら技術的な面から言いますと、援護法でこれこれの対象の人が、これこれの事由で死亡した場合に、いわゆる特別弔慰金の対象になっている遺族という人たちを、援護法の三十四条の一項の弔慰金を受けた者とみなすということによりまして、そのみなされた方々に対して恩給法の三十五条の二を通して扶助料を給するということになって参りますと、実質的には恩給としての扶助料というものを終局的に給しようというねらいであります。従いまして実質的な面から言いますと、扶助料をその人に給しよう、こういうような内容になって参るわけであります。従いまして実質的な面を抑えて題名を書くか、あるいは法律の各条文の改正点の重みといいますか、そちらの方にウェートをおいて題目をつけるか、こういう問題だと私は考えております。
○受田委員 回り回って扶助料にいくことになるので、実質的には恩給の改正特例であり、また形式的に見たら援護法の改正を中心にうたっているのであるから、その方へ重みを置くべきである。その形式、実質いずれを重んずるかによって、題名が決せらるべきものである、かような意味に了解してよろしゅうございますか。
○八巻政府委員 その通りであります。
○受田委員 そうしますと、法律を作る技術の上において、こうした特例ができることは歓迎すベきかどうか、御答弁を願いたいのであります。
○八巻政府委員 恩給法の特例と申しますか、恩給法本来の体系以外の法律で恩給に関することがうたわれておると言いますか、それに対する特例を設けるということが最近多くなってきたのでありますが、恩給法の一般的な制度そのものに対する変更というものが、ほかの法律でなされるということに対しては、私はそれはあくまで恩給法そのものをいじってほしい、こういうふうに申し上げておるのでございます。ただしかしながら本来の制度というものを変えるのじゃなくて、それに対する特例である、こういう意味におきましては恩給法の法源と申しますか、恩給法全体の法体系というものは、恩給法ばかりでなく、いろいろな法律が横並びにもたくさんあるわけでありまして、そうした包括的な広い意味での恩給法という意味におきましては、そういう特例というものがあることはやむを得ない。むしろ見方によりましては、恩給法の本法というものはあくまで維持していって、ある一定のしぼられた対象のために、ある特定の新しいシステムを考えていくというものといたしましては、本法の中に溶け込ませないで、別建てのものにするということも一つの考え方として許されるのではないだろうか、こう思っております。
○受田委員 法源の議論も格別でありますけれども、私は恩給局長といたされまして、最近恩給法の特例にまぎらわしいものが他の法律の中に時折――今回地方自治法の改正案に見られるように、恩給法の改正をいじくるような規定が挿入されてみたり、あるいは今度は公共企業体の職員の場合の規定がそちらの委員会で作られておったりして、あなたとしてははなはだ不愉快なお気持がされるのではないかと御同情申し上げておるのでありますが、あなたに対する御同情でなくて、少くとも恩給法体系というものがきちんと備わっている限りにおいては、恩給法で改正すべき点はこの恩給法でやればよいし、援護法で改正すべきものは援護法でやればいいのであって、技術を簡単にするために、こうしてまとめて法律をお出しになるというようなところに、また問題がひそんでおると思うのです。従ってこの法律の根本問題を今お尋ねしておるのでありますが、引揚援護局長としては、援護法の改正というものが中心にさるべきものであって、その中に恩給の規定を、ここにうたわれている扶助料支給の特例をちょっぴり加えておくという方が、むしろ法体系からいったならば完璧ではないかと私は思うのでありますが、援護局側の御意見はいかがでありますか。
○田邉政府委員 戦没者遺族等の援護法の趣旨につきましては、たびたび申し上げております通り、軍人遺族等に対する扶助料等の支給について、それが復活する前の暫定的な措置を主眼として立法されたということはたびたび申し上げた通りでございます。一方法律全体を通じまして、そういう趣旨をもって随所に規定が置かれておるわけであります。従って遺族援護法は二十七年の四月から実施されたわけでありますが、二十八年の八月から軍人恩給が復活されました後におきましては、援護法で裁定になりましたもののうち、軍人恩給に振りかわり得るものはすべてそちらの方に振りかわる、こういう建前をとってきたわけであります。それで軍人の死亡等に対する公務の認定につきましては、従来からもいろいろのいきさつもございましたが、大東亜戦争ことにその末期における戦況の特殊性から、今回特別の立法措置が講ぜられたもの こういうふうに了解しているわけです。従いまして今回の立法におきまして、恩給に関する特別立法という形を主眼といたしておりますが、ただ技術的には従来から、援護法で裁定をしてそれが恩給に振りかわるというやり方をとっている。これはもっぱら裁定を促進するという技術上の便宜から出ておるわけでありまして、そういった措置を従来もとっておる関係上、技術的な裁定の便宜という点から、一応援護法を通してそれから恩給に移るという形式をとっているわけであります。趣旨から申しますれば、どこまでも恩給に対して公務扶助料は支給するというような趣旨であるように了解しております。
○受田委員 恩給法によって救おうという趣旨である、ただその過程として援護法を利用しているにとどまるものだ、こういうことになりますと、ここでさらに一つ問題が起るわけなんでありますが、この法案にはこの支給の内容を、全額を支給することなくしていわゆる障害年金あるいは増加恩給の受給者が平病死した場合における比率をいただくにとどまっておるという理由は、どこから出た理由でございましょう。
○大平委員 今この法律で処遇しようとする対象につきましては、従来の法制主は救う道がなかったのであります。公務死という認定の範囲を広めて救うということにした場合に、在来の公務死と、今問題になっておる公務死とをフラットに同じ平面で考えたらいいか、それとも若干の差等をつけるのが妥当じゃないか、この点いろいろな論議がかわされたのでございますが、結論といたしまして、なるほど戦争の様相は変って参りましたし、また戦争末期におきましては、軍人召集の基準も変ってきましたので、公務死の範囲を若干拡張するのが実態に合っておるだろうという判断のもとに、しからばそういった拡張をされました公務死の処遇は、在来明治政魔以来ずっとやってきておりました厳格な要件を具備いたしました公務死と同等の処遇までいくのは、若干客観的な公平を失いはしないかという判断でございますが、しかしこれを若干差等をつけるといたしましても、どこまでにするかという問題は、今御指摘がございました平病死のところより下げるのが妥当でなかろうかというような判断で、一応御提案申し上げましたような率にいたしたわけでございます。これはもっぱらそういった諸般の条件を考慮いたしました政策的な判断でございますので、いろいろな御意見があろうかと思いますけれども、最上限、最下限を考える場合に、既往の法制の構造も考えて、このあたりに位さすのが一番妥当じゃないか、こういう判断でやったわけであります。
○受田委員 恩給局長に伺いますが、恩給法の体系の上において、障害年金や増加恩給を受ける人が、平病死した場合における率を基準にして公務死の扶助料をつけるということは、恩給法の体系からいって妥当かどうかを御答弁を願いたい。
○八巻政府委員 恩給法では御承知の通り、公務と認定されるかどうかということで公務扶助料かあるいは全く何もないかといういずれかであります。従いまして、そうした中間的な率の公務扶助料に準ずるような別な扶助料というものを、恒久的な一般的な制度として考えるということは、いかがかと考えますので、この御提案の趣旨は、一定の対象をしぼりまして、一定の悪条件の勤務環境のもとで職務に関連して負傷しあるいは病気にかかって死亡した、こういうふうな対象をしぼりまして特別な措置を講じようということでありまして、全く例外的な措置である、こういうふうに考えております。
○受田委員 例外的な措置がこの法案の別表となってここに現われておるのでありますが、この別表をさらに検討さしていただきますと、この別表の中で准士官以下は同率でありますが、
  〔保科委員長代理退席、委員長着席〕
それから上にはさらにまた差等がついておる。こういうような基準が打ち立てられておりますが、これについては恩給局長はいかがお考えでありましょうか。
○八巻政府委員 その率をおきめになりました御趣旨は、承わりますと増加恩給を受ける者が平病死した場合の率ということで一応原則を立てて、恩給につきましては七割五分、それから遺族年金に関係いたしましては六割という基準を打ち立てたと思うのでございますが、上の方に参りますにつれて、尉官、佐官、将官になりますにつれて、七割五分から漸次低下して、公務扶助料の六割というところまで低下さしておるということは、上薄下厚と申しますか、そうした精神を勘案し、また扶助料の金額の計算につきましては、それぞれ退職または死亡当時の階級に応ずる俸給年額というものが基礎となっておりますので、おのずから高い方の方々は相当恩給が高いということで、そういうふうなことも考えまして上の方を幾分低目にしておる、こういうふうになっております。
○受田委員 この階級別の倍率というものは、何を基準にされたのでしょうか。
○大平委員 今申しましたような、上欄にありますように、平病死の率がございます。今度七割五分という線を一応表に現わしてみましたら、平病死よりも将官、佐官ではずっと高くなっておることはまずいではないかということで、若干スライドを置いて下限を十割にしたということでございまして、別に合理的な根拠はこのカーブにあるわけじゃございません。ただ上溝下厚の精神をできるだけくんで、こういう立法の性質から、するのが適当じゃないかと判断いたしたのでございます。
○受田委員 そうしますとこの倍率は軍人恩給の倍率を考慮したことになるのでございましょうか。あるいはいいかげんにやられたのでしょうか。
○大平委員 軍人恩給の倍率を考慮したわけじゃございませんで、ただ今度の立法の性質から申しまして、この程度が妥当じゃないか。全く新しい観点からカーブを描いたわけです。
○受田委員 非常に苦労されているあとは歴然としておるのでありますが、私はこの法律が今恩給局長のお説によりましても、全く例外である。公務扶助料の体系から言っても、これは例外である。こういうものがどんどんできると、これは困る。例外ということは困るということなんであって、例外を作ることは歓迎すべきではないということになると思うのでありまするが、恩給局長さん、例外ということは歓迎すべきではないという意味が含まれていましょうか、いかがでしょうか。
○八巻政府委員 まあこういうふうな措置は特例的にお考えいただきたいと思うので、こういうような措置が漸次拡大されて行くということにつきましては、そういうことのないように希望いたすわけであります。
○受田委員 恩給局が拡大されることのないように希望している法案が今出ているわけなんでありますが、できれば私はこの際提出者としては、今の予算の都合でこういう法案ができたということにならないで、ある程度の筋を通さなければならぬ。もし予算の都合ということになるならば、この内地死亡の人々のみならず、他の人々もあわせて考慮して予算の御考慮を払うべきであって、そのいずれから見ても、与党の出されたこの案は何だかこじつけの案のような印象を受けるのでありますが、大平さんどういうお考えでございましょうか。
○大平委員 受田さんの抱いておるような不満を私も持っております。ただ法律より実態の方が先に先行しますので、戦後のこういった段階で処理しなければいけない案件がたくさんございます。それを法体系の上においてどう載せるかという問題は、予算の問題と別にあるわけでございまして、先ほどからいろいろ御指摘がありましたように、恩給法体系の上でこれは歓迎すべきものではないという御判断も、私も同じような判断を持っておりますし、恩給局長も内心私は歓迎していないだろうと思います。ただ処理しなければならぬ実態がとにかく目前にございますので、これを当面何とか消化していかなければならぬというのが、やはり政治の一つの任務であろうと思います。そこで恩給法は明治政府以来ずっと非常に厳重な要件を兵備して、公務死というものを判定してきた。この体系を今この段階で考え直して、練り面していくというには、過去の実績から申しまして、また過去の実績との権衡をも考慮いたしますと、非常に早急にこれをいじることは軽率のそしりを免れない。従ってできるだけ恩給法は処女性を持たせておきたいと私ども考えております。従ってこれを特例法案にしたというのも、そこに一つの原因、理由があったわけであります。予算の問題から申しますと、御指摘のように、この問題だけでなく、ほかに後続的に処理しなければならぬ問題がたくさんございます。そういったものも一緒に総合的に判断して判定を下すというのが、順序として、仰せの通り、もっともしごくのことと思うのでございまするが、またそういった問題を全部集めまして、総合的に処断して参るというまでには、作業的にも、時期的にも機が熟しておりませんので、御協力を得まして、できるだけ早い機会に
 そういったものを取り上げて、制度の上に載せていくような努力をしなければなるまいと考えておるわけでございます。要するに実態の方が先行し、かつこんとんとしておりますので、とりあえず手がかりをつかみまして、早急に処理することを要する案件から、一つ一つ地道に取り上げていって片づけて参りまして、こういった問題が全部片づいた暁におきまして、法体系の問題を恩給法上どのように位さしていくかということは、見直して考えてしかるべきじゃないか、そういうふうな心組みで立法いたしたわけでございます。
○受田委員 その立法精神が非常に遠大であることについて御説明があったわけでありますが、私はこの法律案でどうも解せないところがまだ幾つも出てくるわけなんですが、公務死に準じた取扱いをする内地死亡者、その死亡者はこの法律案にうたってある通り、その職務に関連して死亡した場合は、すなわち公務に殉じた死亡者として取り扱われるでしょう。ところが普通の病気になって、関連して死んだという方々と、それからもう一つ国の強制命令で学徒動員等によって無理やりに特定の工場に勤務せしめられて、壮烈なる戦死を遂げられた人とあるわけですね。そういう場合に、一方はその職務に関連して死亡した人であって、職務を行う途中で普通の病気になって死亡した人も、職務関連の病気で死亡したらいいことになる。ところが一方は動員で出動せしめられて、いやとは言えぬ、国家総動員法の発動で、この援護法の三十四条の五項、六項などに掲げられた方々というのは、悲壮な決意で強制徴収されたと同じ結果になっている。その人々は爆弾の落下とともに壮烈な戦死を遂げた。壮烈な戦死を遂げた方はほうっておいて、職務に関連して死亡した人の方は恩給を支給するということに対する御見解をお答え願いたい。
○大平委員 それは先ほどからも申し述べております通り、今回の法案は、処遇の対象といたしました方々以外にも、総動員下にありまして公務死を遂げられた方が多いということ、またその人たちに対して何らかの対策を講じなければならぬという心がまえでおりますことも、先ほど申し上げた通りでございます。ただそういったたくさんの戦争犠牲者層をどうしてこれを処置していくかという場合に、まず最初に片づけなければならないのは何かということで、軍人恩給の復活が見られた。その次にこの問題を取り上げてきた。具体的な個々の事実を判断いたしますと、総動員法に動員を受けた方々の受けた御労苦の方が、あるいはお気の毒な方があるだろうと思います。ただ制度の問題といたしまして、一つのカテゴリーごとに片づけていっておりますので、われわれの判断では、まず軍人恩給に次いではこの問題を第二番目に片づけるというのが妥当じゃないか。あと後続する問題につきましては、これから鋭意検討を遂げまして、できるだけ早い機会に解決の糸口を見出さなければなるまい、そう存じている次第でございます。
○受田委員 この法案には、その職務に関連して負傷しまたは疾病にかかり、そして在職期間あるいは在職期間を経過して後一年以内に死亡したと書いてありまして、郷里へ帰ってあたたかい父母の手当のもとになくなられた方もあるわけです。そのあたたかい父母の手当のもとに病気の治療をしながらなくなられた人々と、あの戦争末期の苛烈な段階で、空襲のために壮烈な戦死を遂げられた学徒動員その他強制徴集された方々の御遺族と比べたときに、あの終戦前の非常に苦しいところで敵機の襲来を受けて一挙に生命を失って、そのからだをこっぱみじんに飛ばされた人の御遺族にしてみたら――内地で軍務に勤めて病気にかかった、そして自分のうちにおって一年ほど治療して死んでいった人々と比べたときに、その御遺族にしたならば、親のあたたかい看護でなくなった人々に比べるならば、苛烈な戦死を遂げられた学徒動員あるいは強制徴集された方々の方がはるかにお気の毒だと私は思うのです。ところがこの法律案には、そういうあたたかい最後の手当を受ける機会のあった方々の方が先へ救われて、永久に帰ってこない、何ら親の看護も受けることなく、こっぱみじんにからだを打ち砕かれた若き学徒その他の強制徴集者の方があと回しにされるということは、順序として私は考えなければいけないのではないかと思うのです。いかがでございましょうか。
○大平委員 それは先ほど申し上げましたように、そういう事情はあったことと思うわけでございます。できるならばそういうように個々の具体的な事実に即した立法ができたらいいのですけれども、一つのカテゴリーを対象にして立法を考えるという以外に、今の立法技術は出来ませんので、まずこういう階層を先に片づけるという順序をとらざるを得なかったというわけでございます。そういう方に対する同情の念においては決して眠っておるわけじゃございませんで、ただ立法の段階的な順序といたしまして、こういう赤紙召集を受けて拘束状態に置かれて公務死を遂げられた方を先にする方が、客観的に妥当じゃないかということを申し上げたまででございます。今あげられましたような個々の事例を一々問題にしますと、カテゴリーの中には特にお気の毒な方もありましょうし、あるいはそのカテゴリーの中にはそうお気の毒でない人もおありと思います。しかし立法技術がそういったものを個々的に救い上げるということがむずかしいので、一まとめにいたしまして、特定の信を段階的に順次処置していっておるというように御了解願いたいと思います。
○受田委員 私、大平さんにお尋ねしますが、内地で疾病もしくは負傷にかかり、職務に関連してなくなられた方方の場合と、それから壮烈な戦死を遂げた人々の場合、特に沖縄なども入るわけでありまするが、これは少くとも応じ基準で、同列で取り扱わなければいけない。しかもあの若い生命を失わしめた動員学徒の人々というのは、これは親にしてみたならばあきらめ切れないことなのである。この点においては内地で壮烈な戦死をした人を取り去って、赤紙召集とはいいながら、親のもとで最後の看護をされて息を引き取っていった立場の方と差等をつけて、そのあとの力を先へ立てていくような扱い方については、私はほんとうに人道を尊重し、戦争犠牲者の方々を公平に取り扱うという精神からいったならば、提案者はこれは片手落ちの法案をお出しになったと指摘せざるを得ません。少くとも赤紙召集で出動された、そして内地勤務しておるうちに職務に関連して発病された、そして戦い終って一年うちへ帰って治療しておられるうちにとうとうなくなられた。もちろん職務に関連した病気であって、それでなくなられたという点においては、われわれはひとしくこれをお守りしなければならぬと思いますが、一方は永久に帰ってこない死骸となって、爆弾の下であえなくこの世を去っていかれた気の毒な人です。こっぱみじんにからだが打ち砕かれたそのかわいい学徒は、進んで自分が死んでいったのではなくして、強制的に国家総動員法あるいは学徒動員令によって出動せしめられて、そうして苛烈な戦闘の中を職務に邁進してなくなられた。親にしてみれば忘れ得ぬことだし、前途をむなしく放らしていったその青年もあきらめ切れないことだと思うのですがね。これを比較したときに、少くとも自民党のあなた方としては、はなばなしく散っていったその人を取り残して、病気で自分のうちで十分手当を受けて死んでいかれた人もあるのでありますから、そういう方を先に取り扱うということは、人道的に見ても許されないことだ。もしおやりになるならば、双方を同じような取扱いにせらるべきだ。一方は旧軍人であり、あるいは旧準軍人であるから、それで恩給法の適用を受けるから、まずそのカテゴリーから救え、このカテゴリーはどれで、このカテゴリーはこれだとおっしゃっておりますが、恩給法で救える方を先に救うて、恩給法で救われないものを先に救わぬということは、これは政策としてはまずい。もともと援護法というものは、恩給法で救われぬ人をさしあたり救う意味で援護法はできたのである。そうして援護法でまずもって救っておいて、恩給法にぜひ転換せしめるというやり方であったのであって、この点においてはもう一度救われた人の方はもう一応救われている人だ、遺族年金を一度もらっている人が恩給法の切りかえで処理される、ほかに全然遺族年金も何ももらっておらぬで、たった三万円の弔慰金だけもらって、その一家の柱となるべき人を失ったために家庭は暗やみのような生活をしている人は、遺族年金の支給さえもやらぬというやり方は、これは順序が違っておりはしませんか。
○大平委員 お気持の上では受田さんと全然同感です。ただこれを立法として取り上げる順序といたしましては、先ほど申しましたように、赤紙召集を受けて、拘束状態に置かれておった方を先にするんだという判断に基いてやりましたわけでございまして、今御指摘のようなケースにつきましても、今後検討を加えまして、早急に処遇の方薬を打ち出してみたい、こう念願いたしておるわけでございます。
○受田委員 引揚援護局長田邊さんは、この内地公務死を救うことについて、内地で公務に準じてなくなられた――公務死に準じて取扱いを受ける方々を今回救済することについて、一切御異議ありませんか。
○田邉政府委員 公務の認定につきましては、戦争前から恩給法によって多年にわたって行政慣例でやっておったのでありますが、どうもその基準といいますか、実際の認定に当りましては今度の戦争の、ことに末期における特殊性に十分対応し得ないといううらみがあるように考えられるわけであります。ことに戦地においてはその点がはなはだしかった、また内地におきましては、戦争末期における内地の状態は相当戦場にひとしいものがあったように考えられるのであります。個々の裁定に当っております側としてはその感を濃くしておったのでございますが、これは個々の行政の運営によっては、根本的になかなか改善しがたい点がありますので、今回国会立法として提案されたものであろうと推察しております。昨年戦地におけるあのような立法をなさった以上、均衡上やむを得ないのではないかと思います。
○受田委員 昨年戦地の分の取扱いをやった以上は、内地の分も同等に取扱わなければならぬということでありますが、ここにその職務に関連して負傷しあるいは疾病にかかったその方をさらに第三条では、その恩給法の一部を改正する法律の附則第三十五条の二第一項の規定の適用についても云々としてあります。この恩給法への切りかえは厚生大臣が認定したらその通りばっさりいくわけですね。そういう大事な認定をされて恩給法上の保護を受ける立場にあることになるわけなんですが、恩給局長はだから厚生大臣が裁定したのをそのままうのみにしなければならぬ。職務に関連して負傷しあるいは疾病にかかったという、関連という解釈ははなはだ微妙なものであるけれども、そういうものに対しての決定権は、結局厚生大臣にあるということになりますが、厚生大臣はしっかりできますか。
○田邉政府委員 これは現在でも弔慰金の支給に当りまして実際の認定をいたしておるわけであります。御承知の通り弔慰金には二通りありまして、公務によって死亡したものと認定された場合の弔慰金というのがございます。それから職務に関連して死亡した場合と認定された場合に支給する弔慰金と二本立になって今日まで運営されてきたのであります。従って今度新しく制定されます法規の運用におきましても、すでに認定されております弔慰金の実績がございますので、そのものに基いて運営いたして参りますれば可能であると考えております。ただこの法律におきましては、対象は営内に居住すべき者という限定がついておりますので、その点について従来のよりも範囲を狭めて実施しなければならないと思っております。
○受田委員 大平さん、大へん相済まぬのでありますが、私はあなた方ができるだけ御遺族を守ってあげたいというお気持はよくわかります。その気持がわかるだけによけいまたここで考えていただかなければならぬのですが、少くともこの法律によって一方弔慰金を受けており、かつ遺族年金も受けておるその方は、今度この法律によって恩給法の恩典にも浴するのだ。一方同じ条件にある、いやもっと苛烈な条件にある方は、たった三万円の特別弔慰金の方で片づけられて何ら遺族年金ももらっておらぬということになってきておるのでありますが、国家総動員法の発動に基いて動員された気の毒な方方を、せめてこの法律を修正されて遺族年金の支給の対象まで引き上げるくらいの熱情をお持ちではありませんか。
○大平委員 この法律は恩給法的に申しますと、公務死の範囲の拡張という観念でいくわけです。今申しましたようなのは、今までの在来の恩給法の考え方からは、恩給の特例法案で取り扱う対象でないだろうと思います。別の単行立法が要ると思います。先ほど申しましたように、そういった問題のケースにつきまして早急に検討いたしまして結論を得たいと思っております。提出者といたしましては別の単行法が要ると思っております。
○受田委員 この法律で第二条によって遺族年金を受ける人々で、第三条の扶助料給与への切りかえをされない立場の人は全然ありませんか。全部三条で切りかえをされることになりますか。
○大平委員 今の点は、遺族の身分関係によりまして、内縁の妻、孫とかいうものは恩給に切りかえられません。
○受田委員 そこで問題が起るわけです。恩給法の適用の対象にならない人人は第二条で抑えられるわけです。抑えられた方々はここにうたったように六割しかお手当をもらえない。そうすると、この法律は第二条が中心になるべきであって、第二条の中で条件の熟した者だけが第三条で救われるということになる。法律の体系からいったら第二条の中の一部が救われる第三条の規定がある法律を、第三条を中心に恩給等の特例等を掲げることは、法体系からいって妥当であるかどうか、もう一度恩給局長と援護局長にお尋ねいたしたい。
○八巻政府委員 先ほども申しましたように、実質的な面におきましては、第三十四条一項の弔慰金のレッテルが今度張られるその人たちが恩給の方に移行するということになりまして、終局的には恩給という形で支給される。その中には今御指摘がありましたように、内縁の妻、孫とかいうような遺族の身分関係によりまして恩給法のレールに乗らないものがございます。しかしながら全体の件数から申しますと、その件数は非常にパーセンテージが少いという意味におきましては、量的な面で相当ウェートが恩給の方に置かれているというように考えております。
○田邉政府委員 これは実質的には恩給における内地等の公務死の協定基準を緩和したものと了解されるのでありますが、立法技術的にはずばり恩給によってその公務の範囲を拡大するやり方をとらずに、従来のやっている行政実例を活用する意味におきまして、裁定の便宜から一応厚生省におきまして、それを認定といいますか証明しまして、恩給局の方にそれを出すというやり方をとっているわけであります。実質的にはどこまでも恩給によって公務扶助料の支給範囲を拡大することがねらいであると考えます。
○受田委員 どうも釈然としません。実質的には恩給法の公務扶助料を支給するように切りかえる措置だと言っておられますが、第二条は、援護法の精神に基いて恩給法では厳格なワクでしぼられて、これの適用を受けることのできない今の内縁関係の人々までも救われておるのです。その一部が第三条によって恩給法で救われておるのです。今恩給局長は件数の取扱いが多いとおっしゃっておられたが、少くとも第二条の恩典に浴する人々の一部が第三条で救われるということに、形式的にいっても、また事実上いってもなると思う。一部です。一部の人を救うための第三条の規定をこの法律の中心に置いておられるというところに問題があると思うのです。第二条によって広範に、遺族年金の受給対象を拡大した、その中のごく一部が第三条によって恩給法の適用を受けることになったということであるならば、当然この法律案は旧軍人等の遺族に対する遺族年金等の特例に関する法律案とすべきであって、恩給ということになると、恩給をもらえない人がここに入っておる。遺族年金といったら、遺族年金は当然みな入るのだから、入らない方の恩給を上に置いて、全部入っておる遺族年金の方を隠しておるというやり方は問題じゃないですか。御答弁願いたいです。
○八巻政府委員 ただいま件数の点につきまして言及いたしたのでございますが、その対象件数と申しますと、結局現在特別弔慰金を受けている方々のうち、この法律の結果遺族年金に切りかえられる、それがまた公務扶助料に準じたものに切りかえられるということになるわけでありますが、現在特別弔慰金を受けておる全体の件数の方々は、むしろ厚生省の方がそれを握っておられるわけでありますが、そのうちのごく一部分のものが内緑の妻であり、あるいは孫であるというふうな、恩給法のレールに乗らないというものでありまして、大部分のものは恩給法の方に移り変る、こういう意味におきまして、現在特別弔慰金を受けておる大多数のものは、この法律の実施によりまして、恩給の方に移り変っていくであろう、こういうふうに申し上げたわけでございます。
○受田委員 私はこの題名がどうも気にかかってしようがないのですが、もし局長さんの御意向により、あるいは大平さんの御趣旨によるならば――局長さんは私の見解にやや近いところがある。大平さんの御趣旨によるならば、援護法の改正でまず第二条をさっと救っておいて、そして別に恩給の特例法を出して、今の準じた公務死の取扱いをするという二本の法律でやる力が筋が通るですよ。これ一本の法律にしようとしたからこういうことになった、しかも一本の法律にするならば、私がはっきり申し上げたように、適用がされていない人が一部ある。一部の人しか適用されていない恩給の方を取り上げて、全部適用になるところの遺族年金の方をはずすような題名は、この法律の題名としては不適当である、かように私は考えるのですが、これは一つ至急法制局長官をお呼び願いたいです。
 次は、私はもう一つここで重大な問題があると思うのでありますが、この法案の実施は、この規定によりますと、昭和三十二年の一月分以降ということになっております。これは何を根拠にされたのであるか、御答弁願いたい。
○大平委員 できるだけ早い機会にやりたい、でき得れば本年度からやりたいのでございますが、すでに三十一年度の予算は成立を見ております。従って明年の一月分、予算的には来年度の予算でまかなうことができる一番早い機会、そういうふうな観点で一月一日ときめたわけであります。
○受田委員 政府の方としては、こういう法律によって予算の制約を受けると、予算の提出権を持つ立場から一つのワクをはめられる。予算の提出権は国会にはない。国会ではその予算を直す以外にはない。その予算を出す政府側としてみれば、予算の提出期以前にこういうちゃんとした予約的な予算をあてがわれているということは、これは憲法の規定に対して云々ということは別としても、非常な圧力を加えられると思うが、いかがお考えであるか、御答弁願います。
○大平委員 仰せの通り政府の予算編成に当りまして圧力を加えることは事実だと思います。ただこれは私どもの判断では程度の問題でございまして、とにかく凡有の事象をかかえてフアイナンスしていかなければならない、予算案に何ら漏れなく実体についての措置がとられて参るかというと、それもなかなか技術的に困難であろうと思います。従って補正予算という問題も年度中に起り得る可能性があることは御承知の通りでございます。慣例といたしまして、こういった来年度の予算を最初に約束づけてしまうということは決してけっこうな慣例ではないと思います。でき得ることならばこういうことがないようにあらかじめ措置をするのが妥当だと思うのでございますが、本件に限りましては、予算編成の作業が大体終りかけたころから急に問題になりまして、予算案の成立までにどうしてもこれを包容さすことができなかった平信がございましたので、やむなくこういった間道によりまして措置いたしたわけでございます。今後はできるだけこういうことがないようには注意いたしたいと思いますが、事態やむを得なかったのでございまして、その点御了解願いたいと思います。
○受田委員 この法律の実施に伴う予算は、平年度において幾らであるか、それから一月から三月までの三月間本年度分が入っているのですが、それが幾らであるか、及びその内容が、この遺族年金の第二条による遺族年金の対象になるものを何名と見、また第三条の扶助料切りかえのものを何名と見て数字が出たかもお示し願いたいのであります。
○大平委員 それは法律案の末尾にもつけておきましたが、平年度十一億円の見込みです。その積算の基礎につきましては、政府側から御答弁願いたいと思います。
○八巻政府委員 この法律案の実施によりまして、その対象の数は、現在の特別弔慰金の件数を土台といたしまして大体三万六千人と抑えて、その平年額が約十一億、そういうことになります。
○受田委員 遺族年金の方へそのまま置かれる内縁の妻とかあるいは戸籍上の事情で残されている人とか、こういう人々はどのくらいありますか。
○田邉政府委員 正確なことはちょっとわからないのでございますが、大体の推測といたしましては、件数にして多くて五百件ぐらい、予算といたしましては平年度約千五百万円ないし二千万円見当と推測いたしております。
○受田委員 この際われわれとしては、さっき申し上げたような事情で、当然この内地死亡と同格において取り扱うべき旧国家総動員法の発動で死没した人々も考えなければならないし、旧共済組合令の適用を受けられない死没軍属も考えられなければいけないし、あるいは戸籍関係で受給権を失格している人も考えられなければならない、さらにはそのほか特に事実上の養育者である人々で、その死亡者の祭祀を扱っている人々も救わなければならない、こういう諸般の問題をあわせ考えなければならないのです。それらに対して予算がどのくらい要るかということをいろいろ検討されたと思うのでありまするが、当然これらを同時に措置しなければならない人々及びそれに伴う予算はどのくらいあるかをどう検討されたか、御答弁を願いたいと思います。
○大平委員 正確な数字は了承いたしておりませんけれども、大体今仰せのような問題をこのレベルにおいて処理して参りますと、平年度約五十億くらいになるか、こういう判断でおります。
○受田委員 平年度約五十億でこのレベルの人々が一応救われるという御計算のようであります。われわれもその同レベルの人を同等にお救い申し上げたい、さように考えて、今日まで党派を越えてこれらの関係者にもその処遇の御期待を願うように申してきたわけです。しかしきょう措置されたこの法案では、そのごく一部が救われているにすぎないのであります。この際政府にお尋ねするが、国家総動員法の発動、すなわち学徒動員、国民義勇隊、女子挺身隊、報道班員あるいは沖繩の少年兵、こういう人々で一体どのくらいの該当者があるか、また現に援護法三十四条のこれらの関係に伴うところの三万円の特別弔慰金を支給されている人々の人員が幾らあるか、御答弁を願いたいと思います。
○田邉政府委員 三十四条によります三万円の弔慰金を支給すべき対象件数は約十四万人と踏んでおります。
○受田委員 支給すべき対象が約十四万人ですが、現に三万円を支給されている人は幾らですか。
○田邉政府委員 これは現在事務が少しおくれている点もございますが、今日の最低人員は三万一千人でございます。
○受田委員 非常に問題になる点もありまするので、これはまた次会に譲ることにしまして、きょうはごく一部の質問にとどめておきます。今田邉さんより約三万一千件の弔慰金の支給がされていることを指摘されたわけですが、昨年の援護法の改正で、その適用範囲が広がっておる、それらをまた追加していく。つまり、満洲の義勇隊のごときを含めたのですから、そういうのでまた広がっていく。だんだん広がってきて毎年ふえていくと思うのですけれども、われわれが一応今対象にするのは、現に弔慰金を支給されている人です。その人をまず救って、それから、新しく弔慰金の適用者になる人は、これから厚生省がどんどん骨折ってくれますから、その方でまず弔慰金を支給する手続をさせておいて、そして一ぺんもらっている人を今度遺族年金の対象の方に振りかえていく、こういうことになりますので、三万一千人の人を会、度の遺族年金の対象に考えていけばいいのであります。これは予算的な措置においても、今のあなたが計算された三万六千人ばかりの人に比べたらはるかに少いのだから、これは同時にあわせ考えるべきだ。現に弔慰金を支給されている人の中で、内地死亡だけを取り上げて、これが残されているのですから、同時に救済すべきだ。法体系としてはそれが順序です。それを含めた遺族援助資金をやり、遺族法の改正をやって、その末尾に恩給措置のできる規定をちょっぴりつけておいてもいいわけです。そういういろいろな手がある。それをあなた方は省いておられる。そこに問題があるわけなんで、直ちに再検討をしていただいて、一つこの法案に対する修正点は那辺にありやということも御検討をお願いしたい。法律の建前からして私がさっきからお尋ねしている問題など十分御検討いただきたい。われわれは原則としては、こういうように御遺族が一歩一歩救われていく法律や精神には賛成だが、そのあなた方の出し方が納得がいかぬところがある。広く多くの人々を平等に救うていくという考え方に転換すべきだ、かように考えているということを申し上げて、今日は法務局もおいでぬようですから、第一日の質問を一応終ります。
○山本委員長 大村君。
○大村委員 この際法の適用について簡単にお尋ねしておきたいと思います。それは、士官学校の学生が敵機の空襲によりまして死亡した、そして死亡の際見習士官に就任した、この種のものは恩給法上準軍人であると思われますが、今後この法律案によって遺族年金を受ける資格があると思うのであります。ただ法文を読んでみますと、「営内に居住すべき者」というように表現されておりますが、士官学校の学生は、士官学校の宿舎内に居住すべき者ではございますが、士官学校の宿舎が営内ということがいえるかどうかという点において、字句上の疑義はあるのです。しかし大局から見ますと、士官学校内に居住すべき義務を持っておるのでありますから、営内と回視してよろしいものと思うのであります。この種の問題が実際の恩給支給におきまして、たびたび問題になりますが、一つの実例に基きまして、提案者または恩給局長の御見解をこの際承わってみたいと思います。
○大平委員 法律の運用の問題でありますので、恐縮でございますが、政府側から御答弁をお願いいたします。
○八巻政府委員 この法律の第二条にございますように、この区域における在職ということにつきまして、準軍人の在職と申しますか、就職というのは、恩給法では、戦務に服する、あるいは戒厳地境内の勤務、あるいはまた外国の錬成に服するということに準軍人の服務というものをしぼっております。そこで今お尋ねの事案におきまして、敵機の空襲に際してそれに応戦したというそのこと自体が、戦勝であるかどうかということできまってくるわけでありまして、それが戦務であるということになりますれば、在職期間ということになるわけであります。戦務というものがいかなるものであるかということもまた恩給法上きめられておるのでありまして、そのきめられた幅における職務であるということになれば、当然在職期間に入る、こういうことになると存じます。
○大村委員 ただいまの市例につきましての解釈をきょうでなくてもいいから、正確に、次会までに解釈上のことをお答え願いたいと思います。もし解釈がわれわれの意に満たなければ、この際法律の修正を考えてもらわなければならないと思います。
○山本委員長 八巻政府委員に委員長からも御要請申し上げます。どうなれば、こうなればなどとあいまいなことでは困りますから、次会の委員会までに正確にお答えできるよう御調査の上御答弁願います。
○辻委員 私は法案の提出者の一人として、質問ではなくて、この法律を適用される解釈を統一する意味におきまして、一言発言しておきます。それは第二条に「当該旧軍人等で営内に居住すべき者が、」と適用範囲をしぼっております。この営内に居住すべき者ということがいろいろの場合に解釈されます。昔のことを申しますと、陸軍では営内居住というものは、新任の曹長以下兵を営内居住として、給与上の差別をつけておったのであります。それから上の准士官、将校及び古参の下士官は営外居住の給与を受けておったのでございます。ここに書いてある「営内に再任すべき者」というのは、われわれ立案者の気持は、そういう給与上の区分ではないのでありまして、現実において、たとえば満州の国境の第一戦の陣地を守備しておる、これは将校であっても、古参下士官であっても給与は営外給与を受けております。現実の任務を遂行する意味におきまして、常時あの穴ぐらのコンクリートの陣地の中に生活しておったのでございます。そのために非常に健康を害してなくなった者が少くない。また内地におきましても、たとえば九州の離れ小高に陣地を構築しておった、これは中隊長でありましたが、その中隊長が営外居住であるけれども、任務上どうしてもその離島を離れることができないということで、散兵ごうに長い間寝起きしておりまして、それが原因で虫様突起炎を起して死んだという実例があるのであります。海上においても同様であろうと思います。海上部隊以外に陸上に勤務している海兵団の隊員にそういう者があると思います。そこでわれわれの立案した当時の気持は、給与上の区分ではなく、勤務に基いて現実の事態をさしているのであります。そこで適用に当って間違いのないように、はっきり政府の関係者に聞いておいていただきたい。そのことを記録にとどめておきます。
○受田委員 私要望しておきたいことが一つあるのです。それは戦死者をお祭りする靖国神社の取扱いですが、靖国神社は今は政府機関ではない。ところが靖国神社の祭神の取扱いについて厚生省がタッチしている。厚生省は靖国神社に対していろいろな便宜を供与している。いろいろの政府のやる仕事を靖国神社に委託しているとかいうようなことが相当あるようでありますので、靖国神社の祭神の取扱い、靖国神社の経理等――今靖国神社を特別法人としてこれを立法化して、憲法八十九条の規定にかかわらず国がある程度補助するか、あるいはすべきでないとか、いろいろ議論をされているのであるが、この際こうした議論の対象になっている靖国神社の実態をつまびらかにしていく必要がありますので、次会におきまして靖国神社の経理、あるいは機構、あるいはいろいろの義務の内容等について、政府において適切な資料を御提供され、質問にお答えできるように願いたいと思うのであります。
○田邉政府委員 ただいま受田委員より靖国神社に対して厚生省が何かいろいろと積極的に関与しているようなお話がございましたが、おそらく戦死者の合祀を促進する意味におきまして、厚生省がいろいろと資料を収集していることをさしておられるのではないかと思いますが、政府はどこから照会がありましても、戦死者がだれだれで遺族がどこにおられるかということを聞かれれば、お教えするのは当然でありまして、靖国神社におきましては、そのことをわれわれに知らしてほしいという要望も内々あるようでありまするので、今までばらばらにやっておりまして、きわめて能率が悪かったものをまとめて、これを名簿のようなものを書いて、靖国神社に戦死者の名前、住所、戦死の場所を教えるだけにとどまっております。靖国神社の経理及び事務は、何ら政府としては関係いたしておらないのであります。できるだけ合祀が促進されるよう、現行法の範囲内において許せる限りの便宜を提供するということでありますので、御了承願いたいと思います。
○受田委員 靖国神社の機構、事務等についての厚生省の関係は、今あなたが御便宜をはかっておられる点は、祭神の調査に対しての一部が示されたのでありまするが、そのほかにまだ政府各部門において、靖国神社との関連もあることだと思います。靖国神社の専務当局の責任者及び靖国神社を管轄する政府の責任者を一人ずつお呼びしていただいて、せっかくりっぱな英霊をお祭りする神社としての新面目を発揮するようにわれわれはしなければならぬ。そこで十分われわれは実態を確かめておく必要がある、かように考えるのであります。この法案に直接関連のある大事なお宮のことでありまするから、委員長において適切な処置をされんことをお願いいたします。
○山本委員長 受田委員の御希望に沿うよう政府当局と打ち合せをして、次回の委員会にできるだけの資料を提出いたすようにお取り計らいいたします。
 なお八巻政府委員にお願いを申し上げておきますが、明後日の午前中で本法案の質疑を打ち切る予定になっておりますので、どうか一つできるだけ資料をお集め下さって、御答弁のできますようお取り計らい願いとう存じます。
 本日はこれにて散会いたします。
  午後三時二十三分散会