第024回国会 文教委員会 第47号
昭和三十一年七月十六日(月曜日)
   午前十一時二十五分開議
 出席委員
   委員長 佐藤觀次郎君
   理事 赤城 宗徳君 理事 高村 坂彦君
   理事 米田 吉盛君 理事 辻原 弘市君
   理事 山崎 始男君
      池田 清志君    北村徳太郎君
      草野一郎平君    田中 久雄君
      並木 芳雄君    眞崎 勝次君
      町村 金五君    山口 好一君
      大西 正道君    小牧 次生君
      鈴木 義男君    高津 正道君
      野原  覺君    平田 ヒデ君
      小林 信一君
 出席国務大臣
        文 部 大 臣 清瀬 一郎君
 委員外の出席者
        文部事務官
        (大臣官房総務
        参事官)    齋藤  正君
        文部事務官
        (初等中等教育
        局長)     緒方 信一君
        文部事務官
        (初等中等教育
        局教科書課長) 安達 健二君
        文部事務官
        (社会教育局
        長)      内藤譽三郎君
        文部事務官
        (管理局教育施
        設部助成課長) 今村 武俊君
        専  門  員 石井  勗君
    ―――――――――――――
六月三日
 委員鈴木義男君及び八木一男君辞任につき、そ
 の補欠として山本幸一君及び木下哲君が議長の
 指名で委員に選任された。
同月十三日
 委員加藤精三君辞任につき、その補欠として田
 中伊三次君が議長の指名で委員に選任された。
同日
 委員田中伊三次君辞任につき、その補欠として
 加藤精三君が議長の指名で委員に選任された。
七月十六日
 委員稻葉修君、杉浦武雄君、八木一郎君、河野
 正君、木下哲君及び山本幸一君辞任につき、そ
 の補欠として池田清志君、眞崎勝次君、草野一
 郎平君、池田禎治君、大西正道君及び鈴木義男
 君が議長の指名で委員に選任された。
同日
 委員池田清志君、草野一郎平君、眞崎勝次君、
 池田禎治君、大西正道君及び鈴木義男君辞任に
 つき、その補欠として稻葉修君、八木一郎君、
 杉浦武雄君、河野正君、木下哲君及び山本幸一
 君が議長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
六月二日
 国立及び公立の義務教育諸学校の児童及び生徒
 の災害補償に関する法律案(山崎始男君外六名
 提出、衆法第八号)
 教育公務員特例法及び教育公務員特例法第三十
 二条の規定の適用を受ける公立学校職員等につ
 いて学校看護婦としての在職を準教育職員とし
 ての在職とみなすことに関する法律の一部を改
 正する法律案(坂田道太君外四名提出、衆法第
 五二号)
 教育委員会制度に関する件
 学校教育及び社会教育に関する件
 文化財に関する件
 宗教に関する件
の閉会中審査を本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 国立及び公立の義務教育諸学校の児童及び生徒
 の災害補償に関する法律案(山崎始男君外六名
 提出、衆法第八号)
 教科書問題に関する件
 男女共学制度及び町村合併に伴う学校統合等に
 関する件
    ―――――――――――――
○佐藤委員長 これより会議を開きます。
 本日は国立及び公立の義務教育諸学校の児童及び生徒の災害補償に関する法律案並びに教育公務員特例法及び教育公務員特例法第三十二条の規定の適用を受ける公立学校職員等について学校看護婦としての在職を準教育職員としての在職とみなすことに関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、質疑に入ります。
 なお審査の都合上文教行政に関する質疑もあわせ行うことといたします。質疑の通告がありますのでこれを許します。辻原弘市君。
○辻原委員 だいぶしばらく委員会もございませんでしたので、この機会に大臣に四、五点について見解を明らかにしておいていただきたいという問題について若干の質問をいたしたいと思います。
 最初にこれは当委員会としても重要な問題でありますのでお伺いいたしますが、それは前国会、それから前々国会にわれわれ社会党の方から特に紫雲丸問題等の経過から、児童に対する災害補償の問題を取り上げまして、児童生徒に対する災害補償に関する法律案の提出をいたしておりました。二回の国会を通じまして、政府に所見をただしました結果、われわれが提出いたしました法案の趣旨にきわめて賛成である、こういう御答弁を今日いただいておるのであります。前々国会に提出いたしましたのは審議未了に相なりましたけれども、前国会に提案をいたしましたわが党提案にかかる法律案は、ただいま継続審議になりまして、本日の議題にも相なっておるのであります。しかるところ昨日私新聞を拝見いたしますると、朝日新聞に次のような記事が載っておるのであります。それはすでに各県においてこの児童災害の問題を取り上げて、自主的な任意組合を結成してその措置を講じておる点について、その保険業務の取扱いが保険法等の違反のおそれがあるという大蔵当局あるいは法務当局等の見解があったために、これを改組すべきであるという建前のもとに、文部省においては所管課長を招集して、学校安全会なるものを新規に組織をいたしまして、そして全国的な従来の取扱いを一元化せられているような記事が載っているのであります。新聞等にはこの学校安全会の今後の運営についての問題点も列挙いたしておりますが、ここでお伺いいたしたいのは、現行保険法等を私、詳しく存じませんけれども、いわゆる法律の措置がないからして保険法等の抵触の問題が生まれる、こう常識的に解している。ところがすでに国会においてこの問題を法律化しようという建前で進んでいるやさきに、将来の構想としてすでにこの安全会という形での運営構想を決定され、発表されている向きがいささかわれわれとしてもふに落ちがたい。と申しますのは、今日の任意組合組織で運営が不十分であるならば、なぜ積極的に文部省としては法律措置をとられなかったか。法律措置をとらないで、現在の関係法規の範囲内で彌縫的な策をとられるような消極策に出たことば、今まで文部当局が、大臣も言明されたように、この種の問題については国会が立法化しようという考えに賛成するという今までのお答えとは、著しく実際問題として異なってきていると思う。この点についての大臣の所見をまずお伺いしておきたい。
○清瀬国務大臣 お答えが逆になるかしれませんが、この災害に対する保険の制度は、これは大きな制度であります。で、こういう制度を抽象的にいいと考えましても、新たにこれを設けるためにはその実態調査が必要でございます。それゆえに文部省は、本年は全国にわたって詳細な実態調査を今なしつつあります。その結果によりましてこの保険制度を樹立すべきである、樹立するとすればいかなる形でするかを決定いたし、皆様に御審議をわずらわすことになると思っておるのであります。しかるに昨年の春ごろから、今質問者の御指摘の通りいろいろと災害も起ることでありますから、自主的に生徒側で金を積み立てて、そうして災害のあった場合に補償する、こういうふうなことを考えた場所がございまするのです。そこで、商法の保険の規則、また保険業法を調べて、はっきりそれはいけないとは書いてありませんけれども、保険の趣意から見て、一定の者から醵出をしてそれを集めて災害に充てるという、保険金と給付とが連絡するということで、これは保険業法の許可を得なければならぬという解釈が起ると見えまして、政府の他の部局、大蔵省の保険課なりあるいは法務省等において異存があったのであります。そこでまあそう言われてみればそれも理屈があることでありますから、本年の六月二十五日にその旨を知事及び教育委員会に全国的に通知をいたしました。そこで社会党さんからもこういう案が出ておりまするし、また政府の方も実態調査をしておりますが、しかしそれらの結果を待たずして遠足等の災害も現にあることでありますから、そのための準備として任意的にやろうというのであったら、保険業法に抵触しないように、すなわち掛金と給付との連絡を断ちまして、掛金に該当する方はただの寄付金、それからして事故があった時分には別の機関ではかるところの見舞金、こういうことでやるならば、現在の民法、商法及び保険業法の関係でさしつかえはあるまい、あなた方の立法それ自身がものになるか、私どもが将来提案すべきものが立法化されるか、それまでの間に児童の安全をはかるためにやるのであったら、そういうことでやれぬこともない、こういうふうな態度をとっておるのであって、この間某新聞で安全会とかなんとかいう会名までもつけて、こちらが指導してやらせるような記事がありましたが、そこまでは踏み込んでおりません。
○辻原委員 このように理解をしてよろしいかどうか、やはり法的な措置をとって児童生徒の災害補償を解決していこうという根本的な考え方は、これは従来通り堅持をしておる、その立法化がどういう形でできるか、調査の期間等が必要なので、それまでの暫定措置として、現在の補償組合、各府県で任意に作られている補償連合を、大蔵省やあるいは法務省が保険業法等の建前から問題にされておるので、その問題にされておるのを回避するために、それを合法的なものに形を改める、それだけの目的で、恒久的な一つの災害補償の具体策として、安全会というのが正式な名前であるか何であるかは知りませんけれども、そういう形でやるのではなしに、あくまでそれは暫定措置である、こういうようなお考えであるか、私は今大臣の御答弁をそのように承わったのですが、その点をもう少しはっきりしていただきたいということが一点。
 いま一つは、お話にありましたごとく、この構想によりますれば、具体的な内容はわかりませんけれども、寄付金でまかなって、そうしていわゆる見舞金という形で反対給付をする、あくまでそういう建前だろうと思うのであります。そういたしますと、一般的に言われている共済組合であるとか、あるいは災害補償組合であるとか、そういったような父兄が請求権を持つ完全な補償組合という形にはならない、従ってこの点には、通常上の相当な問題が残されることは明らかであるので、そういう点は、これは暫定措置であるからやむを得ないとして、運営上できる限り解決をしていくという建前で進む、こういう構想であるのか、その二つをもう少しはっきりしていただきたい。
 それから第一の調査が完了すれば、文部省としても腹をきめて提案をしたい、こういうお話なんですが、私どもの知る範囲においては、この問題はすでに相当もう期間も経過しておりますし、調査といったところでやっている府県は明白なんですから、なおやっている府県の状況に照らし合せて、保険課長等の主管課長会議もしばしば開かれたようにも思いますし、かなりの精密な調査ができ上っておるのだと思います。そういたしますと、なお調査に日にちがかかるということでありますが、私はそう調査に日子がかかるものとは判断できないのであります。そういたしますと、大臣がそれが完了すれば提出をいたしたいというこのことは、少くとも次期通常国会等においては事務的には可能ではないかと考えますが、何らかの構想をまとめて、法律上の措置としてこの問題を国会に提案される時期は次期通常国会と、こういうふうに判断して差しつかえないかどうか、この点をはっきりお示しを願いたいと思います。
○清瀬国務大臣 今の二つのお問いですが、第一の問題は、やはり暫定的の措置と見ておるのであります。暫定でないとちょっとこれが保険でもなし、でありますから、一方でとるのは寄付名義でとって、贈るのは贈与名義で贈る、まあそうしなければ保険業法に触れそうなんで、無理にそういうことをしておりますけれども、しかしながら実際はこれは連絡しておるものです。そういうことはやっぱり法律がないから、暫定のものとお考え願いたい。あなたのお見込み通りです。
 二番目の御質問は、掛金と給付とを断ち切ったがために、給付の方は贈与という方式になります。従って、法律上は請求権はないといわなければならぬ。しかし事実上は、私も寄付したのだ、うちの子供がけがしたのだからもらえそうなものだという言い分は立ちますけれども、それを法律上の請求権にすると、今言った大蔵省の保険課長の見解には反すると思います。請求権はない。
 調査は本年度中に調査するということにしておりますから、来国会に必ず提案ができるという約束は今いたしかねますが、なるべく勉強いたしたいと思っております。
○辻原委員 最後に大臣が言われました、本年度中に調査をするということだから、次期国会というふうには明確にならぬというお話でありますけれども、さきにも申しましたように、ともかく最近の児童災害というものは非常にふえてきている傾向にあります。これは単に修学旅行とか、あるいは海水浴とか、あるいは校内での運動競技による災害とかいうことばかりでなしに、登校、下校等における交通事故等も、最近の統計を見ますと非常にふえております。一方家庭等の貧困も手伝って、この問題はやはり教育上ゆゆしい問題でありますから、調査に念を入れられることもけっこうでありますけれども、ある程度の調査が完了いたしましたならば、やはり措置をとるということの方が適切であると思います。またこの安全会が発足をいたしまして、これから恒久的になりますと、いろんな問題が発生すると思います。だから大臣が暫定措置と言われたことはしごくけっこうだと思いますから、この暫定措置が恒久化されて、いろいろぶつぶつ問題が出て、せっかく作ったものが意味がないような、かえって欠陥を持つようなものになっては因りますから、暫定措置はあくまで短い暫定措置として、まあ通常国会と申しましても、少くともこれは年度末ぎりぎり、さらに場合によれば年度を越す場合もあるのですが、どうか一つ次の通常国会には努力をせられて、長い間の懸案を解決されるように、この点は特に大臣に要望を申し上げておきたいと思います。安全会の具体的な問題はいずれまた別の機会にいたしたいと思います。
 次の問題は、同じように新聞ばかり引き出して申しわけありませんが、七月十一日の朝日新聞に、十日に大臣が記者会見をされたそのときに、今の新教育の建前から申しますと非常に重要な問題である男女共学について触れられておるようであります。いつものことでありますが、記者会見でのことであるから新聞は一言一句それを認めるわけにいかぬ、こうお話になるかもわかりませんが、しかしこの朝日新聞には相当はっきり出ております。それは大臣が、男女共学は弊害があるので考慮すべき段階にきていると語り、前国会で廃案となった臨時教育審議会の成立したときには、共学制をどうするかについてこれを審議会の諮問事項として、そうしてその改廃をきめたい、こういうことなんであります。このことはまあ常識的でありますけれども、さらに大臣の一つの所見として、男女共学は非常に弊害が伴うので、臨時教育審議会等に、さきにも諮問事項といたしたいと考えておった教育基本法の改正をあわせやって、そうして共学制を廃止の方向に持っていきたい、こういうような意味のことが述べられておるように新聞には出ておるのであります。このことは大臣お間違いがないかどうか、まず承わっておきたい。
○清瀬国務大臣 間違いがあります。あれはこういうことなんです。私が徳島県へ紅露みつ参議院議員の応援に行っておりましたら、徳島県の県会関係の人が、男女共学をやめてくれという意味の陳情じゃありませんが、まあ話があったんです。私は、それはやめられません日本の法律では男女共学は認めなければならぬという規則があります。しかし各方面で注意される問題でありまするから、研究はさせます、こういう答えをしたのです。それが徳島から東京へ電話なり通信があったと見えまして、十日の日は初めて東京の会見でしたが、どういうふうな通信があったか知りませんが、いきなり記者の方が、男女共学を大臣は禁止するとおっしゃった、どういうふうにしてやりますかといったような意見があった。私のうしろにいた人で、どの社の人が言ったかちょっと記憶しませんが、私は徳島で言ったと同じ話をしました。諸君も知っておられる通り男女は互いに敬重して共学はこれを認めなければならぬという規則があって、直ちにやめるということはできない。けれどもこれがいいことであるか悪いことであるかについて世間で論ぜられておる。こうなってみれば文部省としてはこれを調査しなければならぬ、実態の調査をしなければならぬという話をしたのであります。調査の結果まとまったら、こういう問題は、それは今文部省はどういうことでもいきなり世間に提案しておりませんから、適当な機関に諮ることもあり得る、こういうことなんです。私の話の全体の調子は、男女共学を私の力でやめるということはできないものだ。けれども今日の学校の制度上、重要なことであり、世間で非常に神経的に、やめる方も実はいろいろなことをおっしゃるのですね。必ずしも性の問題じゃないが、しかし思春期の男女ですから、目と目とかち合ってもある感覚を起すような時代に一緒にやることはどうだといったようなことですね。(笑声)それからまたこのごろの太陽族の話とまぜまして非常に悪いということを私の方へ言うてくる人もあるのです。またしかし男女の機会均等は、これも憲法上の原則なんだ、これを今やめるなんということは、これは非常に日本の制度を後退させるものだといって、これもまた非常に強い議論なんです。こういう両論がある以上は、まず文部省としては、実態調査をしなければならぬというので、正式に私が部局に命令を発したというんじゃありませんけれども、部局では実態調査にかかるような態勢をとっております。それから日本国内の実態及び世論の実際のみならず、一体外国でどもするだろうか、私がほのかに聞いておるのに、フランスなどでは禁じておるようであります。アメリカは共学制、しかしながらアメリカにおいてもこのころ両論があるようなんです、これらのことをよく調べまして、皆様にも参考資料を提出いたしたい、かように思っております。そういう状態であります。それゆえ私が共学制廃止をそこで唱道したということは正確じゃないんです。なお打ちあけて申しまするが、記者諸君に清瀬が、共学制を廃止するなんという記事を書いたら因るぞといってくぎをさした次第であったんです。
○辻原委員 廃止するための事務的な手続がどうであるとかこうであるとかあるいは民主的なやり方をどうするかというようなことは別にしまして、きょうはざっくばらんに大臣の御所見を承わっているわけですから、文部大臣はやはり男女共学は弊害がある、そういうふうに認められて、所要の手続さえ経れば、一つ廃止の方向に進めたい、こういうふうにお考えになっていることは、これは間違いないですね。その点をはっきりしていただきたい。私が廃止すると申したんじゃない、それはしかるべき機関等にかけて、世論を徴してやるのだ、こういうふうに言われると、何か歯の上に布がかぶさっておりまして、真意が明確にならぬのです。だから率直に、今太陽族の話も出ましたが、私どもも太陽族の――きょうの社説にもずいぶん出ておりますが、この問題はまゆをひそめるのです。そういういろいろな事柄があります。しかもそれを取り上げる映画、演劇等の傾向に対しても必ずしも釈然としない点もあります。それやこれや大臣も考えあわされたんでしょう。そういうことで、ともかく共学制ということはよく検討して廃止したい、こうお考えになっているのか、それともしかるべき機関にかけて検討されようというのは、お考えがなければ検討したいという気は起らないと思いますが、その点はどうも否定されておるようであるし肯定されておるようであるし、はっきりつかめませんけれども、そこは一つ廃止をいたしたい、こう言われるのであるか。そういたしませんと、私の次の質問がはっきりできないですから、一つ遠慮なしにおっしゃっていただきたい。
○清瀬国務大臣 第一の御質問は、去る十日の記者会見の話を某新聞が書いたのがこの通りかという事実の話でありましたから、今申した通りの事実だと言ったのです。今のお問いは、もう一つ立ち入って、それはそれとして別に、清瀬は今廃止を考えておるか、維持を考えておるか。その第二の問いに対しては、私はまだ思案を決しておりません。事実決しておりません。重要な、英語で言えばタッチといいますか、ちょっと触れればすぐ敏感にくる問題でありまして、私まだどっちとも決しておりません。このくらい父兄の方も、また教育者の方も重要な問題としておられますから、これを文部当局としてほうっておくわけにいきませんから、実態の調査をほんとうに科学的にいたしまして、その資料に基いて最後の断を――断というとおかしいが、心をきめたいと思います。心をきめましても、これは私一個でどうこうするわけのものじゃございません、現在法律があることですから……。そういうことであります。
○辻原委員 今のお話を承わりますると、結論が未定だということです。未定ということは、従来の共学制の欠陥を克服して、ますますこの共学による教育実績を上げようという方向をとるか、ないしは共学というものは非常に欠陥を含んでおって、太陽族がたくさん生まれてくる。どうもそういうことは教育上好ましくない。社会的に考えても好ましくない。だから、これをやめよう。結局二つに一つしかないわけです。しかし問題は、結論が出てないというのはどっちでもないということです。どっちでもないのに新聞にこういうことを発表するということは、非常に軽率である。かりに記者団会見でその問題についての意見を求められたとしても、その発表は――私が先ほどお伺いいたしましたら、その通りでございますと言う。その通りでございますということは、男女共学は弊害があるとこういうことです。しかもあなたが選挙でしたか、どこかお回りになって、県議会からも要望があった。県議会の要望というのは、県議会が一致してそういう議決をされて要望されたのかどうであるかは不明でありますけれども、しかし昭和二十八年にも岐阜県等において、当時の自由党からそういう要望が政府にあったという事実が、ここにも記載されております。その他やはり共学制について反対の意見も相当今日までありました。あったけれども、ともかく十年たったのですから、だんだんと共学実施の学校がふえてき、父兄が理解を持ってきていることは事実です。また従来懸念されたその弊害というものも、教育上の努力によって克服されているということも事実であります。そういうような世論がいずれにもある。どっちの世論が多いかというようなことは、この席上で申し上げるべきじゃないと思うのですが、ともかく世論がいずれにもあるときに、あなたの発表されたのは、弊害があると断定された。弊害があるから、これを諮問して、しかるべき手続によってこれを決定したいという、そこにおのずからあなたのお考えというものがにじみ出ていると私は判断する。大臣は、男女共学はどうも目と目と合すだけでも火花が散る、こういうことはどうもあまり好ましくない、そこでこれを改めていきたい、このことの構想を発表されたんだ。そういたしますと、現在まで共学制によって相当無理な努力をしてきているところは、一大衝撃だ。そういう事態を早急に廃止したいという結論をお持ちになって、早急に処理させるということは、行政上の措置としては、これはいい悪いは別として、一つの方法でありましょう。ところが今のお答えのように、結論を出していないんだ。結論を出していないでこういうことをするのは困ります。これは非常に実際の教育をやっている者、また実際の学校の運営をやっている者、実際の教育行政をやっている教育委員会などを戸惑いさせる。これは非常に私は困ると思うのです。どうなのでしょうか、そういうことは……。あなたはその結論を今持っていない。しかし出される結論はいつなんですか。それをお伺いしたい。
○清瀬国務大臣 あなたの今のお問いは、ちょっと違っておるのです。あなたの第一問に対しては、私は否定しておるんですよ。私がそんな発表をしたんじゃないと言っておるのです。それに、未定の間にこういう発表をするのはけしからぬと言ってお責めになりましたけれども、第一問に対して、男女共学を廃するとか、あるいは弊害があると認めたとか、そういうことを私が言ったのじゃないという答えをしておるのですよ。今は法律があることだから、これを廃するなんということはできません。けれども反対の論も非常に強い論があるし、賛成の論も非常に強い支持者がある。しかして重大なことだから調査させる、こういう意味のことを言うたんだという、否定の答えをしておるのです。それをあなたは、一番初めのお問いのことで私が肯定したような前提で論を立てられますけれども、それは違っております。これは実際重大な問題じゃございませんか。しかして反対論者もあり、また賛成論者もあり、それがどっちも実にきまじめで言っておられるのだから、こういう時分には国としては実態をよく調査しまして、ほんとうにどうなっておるのか、学校は何ぼ共学をやっておるかとか、何ぼ減ったとか、そういう外形のことじゃなくして、反対論者の言う事実は一体誇張されておりはせぬか、賛成論者の言うことも、これも正当の論理であるかどうか、それからまた諸外国においてはどういうことをやっておるかという客観的の調査を十分にやって後に断定を下すべきものだと思います。初めからいい悪いということをきめて調査をしますと、調査に色がつくんです。調査の終るまでは断定をしないわけです。もう少し科学精神に生きたような調査をしたい、私こう考えております。
○辻原委員 そうすると私はちょっと大臣のさいぜんのお答えを間違ってとったようですが、そうすると全然、男女共学について弊害があるとか、これを廃止するための検討をするとかいうような発表をした事実はない、こう言われるのですね。
○清瀬国務大臣 ことさらに発表した事実はないのです。ただ、ある人の問に対して、私は廃止しようとは思っておらぬ、しかしながら両論があるからして業態の調査をしますというんです。そのうちの反対論を私がディスクライブした時分に言ったことはありましょう。また支持論者の支持の議論をディスクライブしたことはありましょう。しかし私は調査を命ずるのですから、私自身の意見はきめておらぬということは終始一貫しております。
○辻原委員 今のお話によりますと、きわめて常識的な穏当な、問に対するお答えですね。男女共学はどうなんですか。今検討いたしたいと思います、両論があります、だからこの際調査を命じて、しかるべき調査の結果を待って一つこの問題について研究をしたい、これなら世間を騒がせるようなことはないわけです。ところが天下の大新聞朝日新聞は、言葉の端々の表現は別として――言葉の端々は、これは聞く人によって、またデスクで編集する人の腕によっていろいろあると思います。しかしとり方の全く反対のような表現は、いやしくも大新聞はしないと思う。ところが十一日のみならず、十二日の朝日新聞にもこの問題を取り上げておる。さらに学者あるいは文化人等もさっそくこの問題を取り上げて、文芸欄等においてもこれに対する批判を下しておる。それはすべて文相が男女共学は弊害があるという前提において、近くこれを再検討して、結論は私はっきり申すと、これはまた違うとおっしゃられるかもしれぬけれども、弊害があり、再検討する。三段論法ではないが、結論は必ず廃止をしたいということなんです。そういう意味合いで、十一、十二、十三の三日間にわたって朝日新聞が取り上げております。すると、この記事は、全く朝日新聞は大臣の言ったことを取り間違って書いたということになるわけでしょうね。それならまあ大臣の男女共学――少くとも教育の基本に関する重要な発表は穏当であったと思うのですけれども、そうするならば穏当でない書き方をしたのは朝日新聞だ、そういうふうに了解していいですか。これはもうすでに非常な部数を持っている新聞が全国に何して、しかも文相談話に対する見解というものが、文部事務当局の話も出ておれば、関係しておる高等学校の校長さんの意見も出ておれば、学者の意見も出ている、いろいろ出ているわけです。これはいわゆる文部大臣の廃止をしたいという見解を示されたということによる反響なのです。そうでないならばこれを訂正される必要がありますね。そういうことはない、男女共学については廃止しようなんということは考えていない、しかし両論があるから、それをどうしようというのか、その辺のところをもう少し明確にしないといかぬと思うのです。両論があるからともかく廃止しないというなら、その片一方の反対論について、誤解のあるものは誤解を解くし、あるいは共学についての現在における欠陥はこれを是正するような方法を講じたい、こういうふうなもう少し念の入った説明が付加されないと、大臣の真意というのは全く百八十度間違ってとられているのです。のみならず、これもあなたの今のお答えからいうと、念が入り過ぎていると思うのだが、教育基本法第五条、これが男女共学についての明文化されておる重要な点であるから、従って共学制をとらなければならぬのじゃないけれども、共学制は当然認めなければならぬ、この点に触れてもやはり検討して改正をしなければならぬというようなことも書いておりました、相当具体的ですよ。男女共学を廃止しないで維持強化しようというのなら、この基本法の第五条なんかに触れる必要はありません。しかしそれにも触れて見解を示されているということは、あほうでない以上、そのことを受け取れば、これは廃止をしたいという大臣の考えであるなあということはわかります。それをこの委員会においては全然考えておりませんと今お答えになっておる。この前の十日に発表されたことの波紋と反響と、それからきょう言われたそのことについては非常なギャップがあるのですから、従ってどうしようとするのか、その点について発表される場合にはもう少し腹がきまっておらなければならぬと思うのです。まあ日本の政府の場合には何もなしに、ただ行き当りばったりやるという傾向がよくありますけれども、しかしいやしくも私は、清瀬大臣のような賢明なお方はそういうことでなしに、やはり御自分でしっかり信念をきめられて腹を持たれ、方針を確立されて、ただいかにそれを民主的に、あるいは事務手続上疎漏のないようにしようかということだけが次の問題として残されておるのじゃないですか。ですから廃止しようとするのか、それを維持強化しようとするのか、大臣の大臣としての責任ある見解というものをこの際やはり発表なさる責任があると思います。新聞だけ責任を負わすということはいけない……。
○清瀬国務大臣 非常に重要なことでありまするから、実態を調査して、それから外国のやり方等も調査いたしまして、その後に私の心をきめたいと思っております。
○辻原委員 男女共学の問題については文部当局は昭和二十八年以降正確な調査はしていない。そうすると大臣は、ともかく問われたから答えたにしろ、重要な共学の問題について誤解を生むような答弁は、私は少くとも大臣個人の責任でやったんだろうと思う。文部当局が正確な調査を持ってかくかくの方向にいかなければならぬという意味で、それを受けて大臣が見解を述べたんじゃなしに、少くとも調査をやっていない事実から――やっていない事実ということは従来の方針通り、共学については欠陥を克服しつつ伸ばしていこう、こういうふうな文部当局の方針であろう。それを大臣が突如として見解を発表したということは、これはあくまでは私は大臣個人の責任だと思います。従って個人の責任ならなおさら間違って伝えている朝日新聞の記事あなたの言を借りて申せば明らかに間違って伝えております。ここにありますが、表題も何も廃止を考慮と、でんと大きな見出しで書かれている、読まれたと思うのでありますが、しかもその冒頭の記事には弊害があると断定しております。これは朝日新聞に取り消しを要求されましたか、されていないとするならばされますか、その点をはっきりしていただきたい。それならば大臣の答弁を了承いたしましょう。
○清瀬国務大臣 取り消しは要求しませんでした。ただ朝日新聞だけが書いておるので、ほかの新聞も書いておりませんし、一々新聞の記事について取り消しの必要はなかろうと思って取り消しはいたしておりません。しかしながらほかの社あるいは放送局等より照会があった時分に、あれは違っておるということはたびたび言っておきました。ひとり私がそういう発表をしないのみならず、別れるときに、諸君、清瀬は男女共学廃止に賛成だと言ったと書いてはならぬぞ――それはちょっと冗談まじりの口調でありましたけれども、むしろそうでないということは、あの当時言っておるはずです。しかしながら新聞記事はそのくらいのことは実はあるのですね。それゆえに一々神経質に取り消しの申出はしなかったのです。それだけのことです。
○辻原委員 大臣が新聞をあまり尊重されていないように私は承わりましたのです。新聞というのはしょっ中そういうようにちょいちょい間違いがある。しかし私はこれは重要なことだと思うのです。大新聞というものは私は、私自身は非常にこれに対する信頼感を置いております。それは、かりに御本人がどういう否定をされようとも、その言われたニュアンス、感じ方、こういうものから敏感に感じ取って、新聞人はそれを一つの思想として表現していると思うのです。しかしそれをも大臣が軽く、新聞などというものはということで否定をされ、まあ取り消しを要求するまでのこともなかろう、こういうふうに言われたので何をかいわんやでありますが、しかし少くとも大臣の考えとそれから一般新聞を読んでいる読者の考えとはだいぶん違います。少くとも天下の朝日新聞あるいは毎日新聞、読売新聞、その他たくさんの有名新聞の記事というものは、これは非常な信頼感を持って読むのです。ですからこそ個人がいろいろな名誉毀損等の問題がこれに出たときはいち早くそれを取り消し、正確に直して一般に誤解のないようにやっているので、これが世の常識だと思います。大臣はその常識をおとりにならぬということでありますから、それはやむを得ないでしょう。しかしこれは事実非常に影響を与えておりますから、その誤解を解くために新聞の取り消しをいたされないでも――すでに共学をずっと熱心にやってこられた各学校等においては深刻な影響を受けていることは事実です。私も見解を求められました。ほんとうにこれをやってしまうのでしょうかと尋ねられて、これは文部大臣のことですからわかりません、こう私はお答えしておいたのですけれども、そういうときに、今ここで絶対に男女共学を廃止するような考え方は持っておりません、ただ実態調査をこれからやって、そして正確に世論というものの動向を推しはかってみます、ここまでなんだということを、もう少しあなたの趣旨を徹底させる必要があると思います。それでも私は舌足らずだと思うのです。実態の調査をやって、さてその次に何をやるのだろう、いいものならば育てて強化していくということならば、そういう方向の一つのニュアンスというものが出ていなければならぬ。またそれが出ていると、現在一生懸命にやっているところは安心をする、また欠陥のあるところは何とか早く欠陥を克服しなければいかぬ、こういうことになる。ところが、さて何が出るか、鬼が出るかジャが出るかわからぬということでは、これはやはり共学に関する限り、私はその学校の運営なり教育に対してある一種の水をさした、こういうふうにとられてもやむを得ないのです。だから繰り返し申し上げません。やらぬとおっしゃる大臣に、やったというではないかと幾ら責めたって、これは押し問答です。ですから、やらぬということはここで私は十分承わって、今後の調査の成り行きを見守りたいと思うのですが、その言明は、将来またあれはあのときの情勢でしたなんということにならぬように、これは大臣も十分腹を持ってお答えを願っておきたいと思います。今何かつけたしておかれることがあるならば、今の場合に言われておいた方がいいのではないかと思う。
○清瀬国務大臣 つけたしたいことが一つあるのです。朝日新聞本社には取り消しの要求はしませんでしたけれども、同じ社で経営しておる週刊前日というものがあります。それが三日ほど後に来まして、私が今あなたとの問答と同じ意味を――この間の本紙に書いてあることは違っておる、こうだと同じことを言うておきました。いずれ数日中に発行されることと思います。僕があの当時言うたことは廃止しないと言うたので、本紙で書いてあることは間違いだ、実はこうだと言って、今あなたに言ったのと同じことを言っておきました。
○平田委員 大臣のただいま辻原さんにお答えになった御答弁に関連してちょっとお尋ねいたしますが、文部省の管轄は幼稚園から大学まででございますけれども、幼稚園は共学などと申せませんが、男女共学の可否の焦点であります。一体どこにあるのでございましょうか。もう少し申しますが、先ほど目と目を見てもというようなことをおっしゃいましたけれども、そういたしますと、問題はそちらの方にあるといたしますと、これは男女七才にして席を同じうせずというふうな考え方もございますし、それから小学校でも、早い子供は五年生ころから問題もあると思います。それを一々取り上げましたらとても大へんでございますが、ただいまとにかく科学的に調査をするのだというお答えでございますと、これはどこに焦点を置いて調査をなされるのでしょうか、幼稚園から大学までですと何年もかかると思うのですが、ちょっとお尋ねいたします。
○清瀬国務大臣 それは中学と高等学校についてでございます。この間の十日の話でも、いずれこれはジョークでありましょうが、調査は幼稚園もやるのかという問いが出ましたが、幼稚園はやりませんとお答えしておきました。ところが新聞の漫画には、幼稚園の男の子と女の子と書いてその間をのこぎりをもって私が切るようなのが出ておりましたが、(笑声)幼稚園の調査はいたしません。ただ大学は学術の研究ですから、女の方も研究してもらわなければなりません。主として中学、高等学校について調べようと思っております。
○平田委員 これは私の接した女子の大学に学んでいる生徒でございますけれども、大臣は一体こんなことをおっしゃってわれわれを締め出すつもりかしらといって柳眉をさか立てております。これは大臣にとってなかなか穏やかでない問題であると思いますけれども、そういう点はこの委員会ではっきりおっしゃって下すった方がいいと思います。女子の大学の方になりますと、法律とか経済とかそういうものはなくなりまして、そちらの方の勉強をしようという女の子は一体どこへ行ったらいいかということで真剣になって、大臣がちょっとそういうことをおっしゃっただけでも、女の子たちはとても神経質になって考えているようでございまして、大臣は大へんお人がよくて、愛すべき性質を多分に持っていらっしゃるのですから、ちょっとだれか質問しますと、それをすぐお取り上げになって、まじめにお答えになり過ぎるのじゃないかと思うのです。(笑声)それが全国的に広がるという点を大臣は慎重にお答えになって、承っておきましょうという程度ですと問題は起らないのじゃないかと思うのでございますが、女の大学生たちを安心させるために、一言声を大きくして、そういう共学ということは私は賛成なんだ、共学はどこまでもこれを伸ばしていかなければならぬのだという声を聞かせていただきたいと思います。
○清瀬国務大臣 今おっしゃる通りで、女子が大学に行くことは禁じようと思っておりません。大きな声で申し上げます。
 そのほかの私に対する御忠告は非常によく当っていると思うのです。私が正直にするということは、友人も言ってくれております。これから慎しみます。あなたのおっしゃることは、従ってよく承わっておきます。
○辻原委員 時間がありませんので、次の問題を伺いたいと思います。それは教科書に関する問題であります。前国会で政府が出しました教科書法案は、審議未了になりました。ところが、それもその後の新聞等にちらほらしておるのでありますが、次期通常国会にはあらためてこれを提案いたしたい、こういうことを申されておりますが、そういうような方針をお考えになっているのかどうか、教科書法案をあらためて次の通常国会に提案するのかしないのか、これをまず承わっておきます。
○清瀬国務大臣 提案しようと思っております。
○辻原委員 かりにあなたが次期通常国会に提案するといたしましても、それは予算上から見れば明年度のことになると思います。ところが本年度の予算には約六千三百万円程度の教科書法の成立にからむ文部予算が計上せられておりました。これは教科書法案の審議あるいは予算の審議におきましても、教科書法案の成立と相待つ予算措置であるということが明瞭であります。しかも法文の中に書かれておりました、たとえば教科書発行審議会あるいは教科書検定審議会ないしは法律上は明文に出ておりませんけれども、しかしこれも大臣の御答弁からこの教科書法案と一体として運用するのだという形における教科書調査官等々の費用が相当こまかく分けて入っておるのであります。締めて六千三百万円。聞くところによりますと、法案が審議未了になりまして、いわゆる教科書制度というものは少くとも好むと好まざるとにかかわらず、現行のいわゆる教科書の諸制度に基いて実施をしなければならぬ建前になっております、にもかかわらず、この予算を文部当局においては本年度執行しようという考えを持っておるということは、一体どういうことなのか。その点を一つはっきりお伺いをいたしておきます。
○清瀬国務大臣 あの教科書法案は、御承知の通り教科書に関する一つの体系を作ったコードのように編さんしてあります。それゆえに、あそこに書いてあることは、法律でなければならぬ立法事項ばかりじゃないのです。行政でもできるけれども、前後の続き上そこを書いていった方が一つのコードの体をなすというので、本来は法律じゃなくてもできることがたくさんあります。教科書法案は全体としては、審議は未了に終りましたが、しかしその中で行政でできることは、国家のためにやることが良心的であろうと思います。それゆえに、たとえば検定のことははや文部省設置法で検定は文部大臣の権限であり、責任であるのです。この検定を正確にして、非常な事実の誤まりなり、あるいは一方の方への思想の偏向ということはよく調査すべしということは、これはだれが考えてもよく調査することが悪いと言う人はなかろうと思う。それゆえによく調査するように私はやろうと思っております。しかしながら立法事項、たとえば発行者の登録とかいったようなことは、立法がなければできぬことでありますから、これはやらないつもりであります。さようなことで、あれには触れましても、本来触れぬでも済んだ行政事項はいいことはやっていこう、かように思っております。
○辻原委員 行政事項でやれる、やれないの問題は、よし厳密にいえばあったにいたしましても、すでにかくかくの内容を一つのロジックを組み立てて、そうしてこういう形において教科書法を作りたい、教科書制度を確立したいということで国会に提案した。ところが国会においてそれを審議未了にしたということは、これはなお検討の余地があるということなんです。国会すなわち国民の意思が、これについて直ちにその構想を認めるわけにいかぬという形においてこれが審議未了と相なった。ということは、一種の国会の意思をきめたということなんです。それを行政事項でやれるからといって、そのうちの必要部分を取り出してきて、これを行政当局がやるということは、実際の国政の運用という大きな立場から考えて、私はまことに重大な問題であると思います。しかもそれがずっと以前に審議未了になって、それでは今日だれが考えてもどうにも工合が悪い、従って、法律上の措置としては一たん国会にかけたが、その後それについての新しい決定はできないままになっている。それでは因るというので行政措置としておやりになるという場合であるならば、これはある程度その事実を認めることができるかもわかりません。しかしようやくその点について、十分ではなかったけれども相当量の、重要部分についての討議が行われて、その結果意思が確定された。その後において直ちに行政当局がそういうふうなやり方をやるということは、私は国会の意思というものをきわめて軽視する一つの大きな例であると思います。これは大臣はどういうふうにお考えになりますか。
○清瀬国務大臣 国会における意思を私は軽視する考えはちっともありません。国会及び国会でできた法律は、どこどこまでも守ろうと思っております。ただしかしすでに法律で文部大臣にゆだねられたところの事項、これは良心的に考えて、国のために早くやる方がいいという時分には、これはやる方がいいのだと思っております。それを憲法上も政治道徳上も阻止する理由はないと私考えております。
○辻原委員 それはおかしいと思います。しかも最初に私がお尋ねをいたしましたら、もう一ぺん出してくる、こうおっしゃった。もう一ぺん出してくる前に、その法律の内容の一部分であるものを抜き出して、行政措置として、悪く言えば既成事実を作ってしまおうというようなこと、そういうやり方は幾らあなたが国会の決議、運営というもの、あるいは政治道徳、そういうものから見て何ら背反しない、こう言われても、事実やっていることは、これはすでに国会が一度その問題について検討し、なおその次に検討の場を持っているという事態の中において、行政府が自分の考える一つの構想というものをすでに実施しようという、これは明らかに私はやり方として普通のやり方ではないと思うのです。しかしこれはあなたがそうでないとまた押し返されるからその点については私の見解だけを申し上げておきますが、しかしそれは正しいやり方でないということはあなたが抗弁されましても万人が認められるでしょう。
 なお参考に承わっておきますが、今あなたの説明された何か教科書についての調査、これは調査とかりに銘打てば、それは随時法律と関係なしにやれるでしょう。その予算も使えるでしょう。最初に私が質問したが、今度の六千三百万円の予算というものはそういうような随時いつでも使える予算ではなくして、法律と密接な関係を持っているものが相当部分あるのです。そうするとあなたが行政府の責任で行政執行されようという予算の費目というものは一体何々なのか。法律と関係してこれは法案成立後でなければそういう形に金を使って運営していくことができないとお考えになる部分はどの点であるか、これを私は細目にわたって伺っておきたいと思う。
○清瀬国務大臣 私もそれを本日申し上げる方がよかろうと考えておったのでありますが、こういうことにしようと思っております。
 今言った検定、これは厳重にいたしたいと思っております。
 調査官は、予算には四十五名要求して承認を得ておりますけれども、もはや年度も半分ぐらいはきておりまするし、人を選ぶこともなかなか容易じゃありませんから、四十五名一ぱいまでは使わないでいこう、半分そこそこでいこうと思っております。
 それから審議会の委員、これも非常に大切なことでありまするが、これはもしいい人が推挙できればやはり八十人は委託したいと思っております。
 もう一つ、教科書を父兄なり委員なり先生方によく見てもらうために、年中にわたっての教科書調査機関――教科書センターを六百カ所ほど作る考えであります。これは、できれば作って一日も早く教科書を父兄諸君に見てもらいたい。前に問題となりました審査以前に予備審査で却下することは、多少権利に関することですから、やらないつもりであります。
 それから登録制度ですね、発行者及び配給者の登録制度は これはできません。資格を欠いたら登録せぬというのですから、立法化しなければできませんからこれはやらないつもりであります。
 もう一つ大切なことは、世間でいう統一採択――郡市の区域または郡市を合せた区域で採択する、あれも法律がなければできませんからやらないつもりです。
 大体おもなことはこういうことです。
○辻原委員 内容の点はわかりましたが、そうすると予算との関係はどうなりますか。今言った検定を強化する、それから検定審議会の八十人の委員を新しく選任いたしたい、調査官は可能な限り雇いたい、教科書センターを置きたい、いいこともありますし悪いこともありますが、そうすると、六千三百万円は全部執行可能だという前提ですか。
○清瀬国務大臣 全部は使いません。それが何割ほどになりますか、あるいは局長が計算しているかしりませんが……。第一、今登録制度も採択もやめておりますし、委員の手当はごくわずかなものですね、もっとたくさん差し上げたらいいのじゃないかと思いますが。それと調査官は半分ほど、教科書センターの補助金、このくらいのものが使えるのじゃないかと思います。
○辻原委員 事務当局でけっこうですから、どのくらいのものがそれで使用可能になって、どういう費用が残るか、その点をちょっと伺いたい。
○緒方説明員 ただいま大臣から御説明があったのでございますが、大体予算の、今六千三百万とおっしゃいますものは、四千三百万が調査官を除いたほかの経費でございます。そこでこれは大体経費を支出することに相なります。調査官が千九百万ございますけれども、これは大臣がただいまお話しのように、大体半分くらいの見当で支出していきたいと思っております。これはこまかくは大蔵省と協議をいたしますけれども、ただ調査官を若干減員いたしますと、非常勤の調査官が足りなくなりますので、その方に経費を回す必要がございますから、そこの計算はもう少し精密にいたしませんと、まだはっきり出ておりません。一応概算いたしまして、調査官に要する経費の減と非常勤の調査官に対して、それを組みかえる必要がありますから、それを考えまして、約七百万円くらいは予算の不用が出る、かように考えております。
○辻原委員 外貌だけはわかりました。私が申し上げたいことは、法律を出そうと言われるし、法律が審議未了となったその結果から見て、純粋に行政府としてやれることとやれないことがあると思います。法律の中に含まれているような一つの性格がにじみ出ているような問題を、法律の結論を待たないで行政府がどんどん執行していくという考え方は好ましくないということを申し上げておきたいのです。
 時間がありませんので最後に大臣に要望いたしておきます。
 それは二十九年に町村合併ができましてから、自来ずっと懸案でありました町村における学校統合の問題です。管理局長がお見えになっておりませんようですから、こまかい問題は省きますが、大臣にお答え願いたいと思います。それば昨年、われわれが立法化をしようと思って、いろいろ準備をいたしましたところ、大蔵省の方でこれは認められたという文部省からの話がありましたので、町村合併を促進する建前としても、また新しい学校を新しい村作りの中に作り上げるということも、非常に意味のある仕事でもありますから、われわれは大蔵当局のその予算上の措置を大いに歓迎した。ところが仏作って魂入れずでありまして、その予算が私の記憶では三億であったと思います。ところがずっと私どもが各府県を回りましても、この町村合併に伴う新しい建築の要望というものは非常に多い。私の県などでも相当精選をいたしまして、確実に合併した、新規学校を建築するという見きわめのついたところだけを拾い上げましても、これは五校をはるかに上回っております。ところが聞くところによると、文部省の配分方式としては一県に一つ、この原則は動かさない。のみならずこれは本年度において状況を勘案してきめるということになっておるらしい。最近予算配分の時期がきまして、おそらく各府県はその獲得にやっきになっておると思いますが、いかんせん一県一つということでありますから、かりに他の府県と比べて事情が同じようなものがあったとしても、その府県に二ないし三あった場合には、それはだめだということになる。これは予算上まことに文部事務当局としても苦しいところだと思います。問題は結局町村合併の中で重要な学校統合という仕事に対する予算上の措置が不足しているということです。どんなにしても今の時代の中におけるこの町村合併という問題は、クローズ・アップされている大きな問題ですし、しかもこれは山間僻地に行けば行くほど学校統合という問題は大きな地域の問題であり、社会問題でもあり、教育問題であるわけであります。そういう観点から文部大臣はこの問題にうんと腰を入れられて、合併を促進され、りっぱな学校を建てるということに専念されることは、私は当然だと思いますので、臨時国会はやらぬとあなたの方では言っているらしいですが、これもやるようにして、その機会に補正予算として出すような御努力を大臣としてはなさってはどうかと考えますので、その点について一つ御見解を伺っておきたいと思います。
○清瀬国務大臣 今あなたのおっしゃる通りに私も感じております。今もお話があった通り三億円で町村合併の結果、統合の校舎を作るわけです。これは一県一つくらいなことになるのです。ところが県によってやはりどうしても二つとおっしゃって有力な代議士諸君で御説明にいらっしゃる人もほとんど毎日あります。これは今年は仕方がないからして、この情勢に顧みて次の年度においては一つ十分にやっていきたい。本来町村を統合するという目的のうちには学校の統合ということが大きな目的であったのですから、初めに立ち返ってそのことは十分にやっていきたい、こう思っております。
○今村説明員 私も大臣のおっしゃったことと同じに考えております。
○辻原委員 私は相当実情をながめてきておりますし、こまかい点については助成課長、管理局長にもただしますが、大臣の御努力が願いたいと思うのです。しかしきょうはそういうことよりもむしろ臨時国会をやられるべく大臣に御努力願って、明年度というお話でありますが、明年度まで待てないという問題も相当ありますから、補正等の措置も講じるということをあわせ含んで努力する、こういうことで、できれば私は自治庁、大蔵省も出席を願い――ほんとうは事務当局はもちろん一生懸命だろうと思いますので、事務当局にお話申し上げる必要はないので、むしろ大臣と、金の番をやっている大蔵省、起債をやっている自治庁というところに、学校統合、校舎建築に対する問題が地域的に重要性を帯びつつあるということをしっかり腹の中に入れていただいて、けちくさいことを言わないで、一つこの問題は国の大きな施策として推進していただくようにとくとお願いを申し上げたかったのですが、大臣が努力をされるということでありますので、これ以上こまかい点については申し上げません。これは大臣大きな政治力をお持ちになっていらっしゃるのでありますから、大蔵省その他にも――私は決して予算の分捕りをしようという意味ではなしに、施策の推進をする裏づけの意味で御努力願いたいと思います。
 私の質問は以上で終ります。
○高津委員 関連して。私は教科書法案についてただ一点大臣の所見をただしたいと思います。
 教科書法案が第二十四国会で審議未了で廃案になった、これは国会の意思決定でありますが、今大臣は行政措置で自分のやり得ることであると言って三つあげられたのでありますが、たとえば検定強化の点について申しましても、あなたのような思想であり、また文部省の最近の官僚の動く傾向から見て、このようなスタッフで検定強化をされては大へんなことになるという点が一番大きな論点であったわけであります。それで一番論争点になったところを行政措置でやってしまうというのは、四十五名を二十五名にとどめるのかもしらんけれども、それは政治道徳上許すことができない問題だと私は思う。大臣はこれを何でもないことだ、やることをやるのだ、こういうことをいわれるのであるかどうか、その点を明らかにしてもらいたいと思います。
○清瀬国務大臣 先刻も答えました通り、検定をよくやるということにだれも反対はあるまいと思うのです。しかし私がそれを細工して、ある一定の方向でやるならこれは悪いことです。しかしながら今までの検定に疎漏があると認めた以上はこれを丁寧にやる、こういうことについては私は道徳上の非難はない、かように考えております。
○高津委員 誤植などが多いというのは、月給を取っている諸君がもう少し本気になればあんなことはどうにでもなるし、それからまた教科書会社へその点について勧告をすれば、その点は私は改まると思うのです。要するに偏向の是正という名をかりて、世界の大勢に反して保守的に、反動的に教科書の内容をいじくるという、そこが一番の問題点なのです。それをやってはいかぬというので、われわれは一生懸命にあの法案に反対したわけであります。だから、今あなたの説明によれば誤植等のこともあるが、思想の偏向を是正するのだ、こう言われるが、そこが危くてしようがない。それにわれわれは一番反対したのであります。しかるにこれをやるのは何でもないと言われるが、政治道徳上やはりあるでしょう、反対党に対しても、世間というものもあるし……。一番大事なところをやってしまうというのじゃひどいですよ。あらためて大臣の答弁を要求します。
○清瀬国務大臣 私はそういうふうな悪いことをしようという考えはないのです。子供にはいい教科書を与えたいというので、無色透明な、検定を厳密にするだけであって、何か私がいかにも反動的に教科書をためようとするといったようなことですが、そういう考えはございません。それはもう丁寧にするだけのことです。
○高津委員 大臣のように、この法案のあらゆる説明の場合に、山口日記だとかいろいろな実例をあげて、すなわち左寄りだ左寄りだ、これは是正しなければならないということを一生懸命言われた人が、無色透明の検定をやると言われても、どんどん右へ引っぱられる。全く最近の新しい世界情勢に日本だけが、失脚しつつあるダレスに引っぱられて、まだあとを追うという姿をわれわれは見ておれぬのですよ。こういう時代逆行を自分の行政の権限内だといって押し切るというのは、自由民主党がその人気を高めるゆえんかといえば、それにさえもマイナスになるという、今やそういう実情でさえもあるのです。どうしてそんなにそこをがんこに御主張になるのか。また文部省のスタッフも、大臣それはようございますというような態度でついていくのか、全く私は了解に苦しむ。
○清瀬国務大臣 今申しまする通り、世界の趨勢に反するといったようなことはやらないつもりであります。良心に訴えて国のために最善のことをするのであります。
○山崎(始)委員 それではちょっと簡単にお尋ねいたします。先ほど辻原委員の方からも、もうほとんど聞いておりますので、その中で少しばかり簡単にお尋ねしたいと思いますが、児童生徒災害補償法に関しまして、先ほどの大臣の御答弁ではいま少し不明瞭な点があるように感じますのでありますが、現在各地方で共済制度による補償組合ができて、それに対して大蔵省あるいは法務省あたりから異論が出て、その結論としていわゆる見舞金制度のような、要するに法的な裏づけのない一つの安全会といいますか、そういうものが適当であろうという結論になった。それについて先ほどの質問で、これは一つの暫定措置である、いくいくは立法化したいというふうな御気持があるようなふうな答弁にも伺えたのでございますが、ところがそれは次の通常国会までに各地の実態調査をして、資料を集めてそれからきめたい、このような御答弁であったのであります。この点について私一つお聞きしておきたいことは、現在の文部省の御方針として、これをいわゆる単独立法として立法化して育成をしたいという熱意がおありになるのかないのか、もっと具体的に言いますると、実態調査をするのに時間がかかるから、次の通常国会には間に合わぬという言葉を、われわれが希望的な気持でもって考えますと、それならばその次の通常国会にはできるのであろうかというふうな――希望的な気持を持てばそういうふうな解釈もできる。ところが、ややもいたしますると役人の逃げ言葉としていつもそういう言葉が使われるのでありますが、私お尋ねいたしたいことは、この実態調査をした暁において、現在の文部省の初中局の方針としては、単独立法を何とかして資料が集まったら作りたいという、そこに情熱というか、熱意というか、そういうようなものが十分おありになるのかどうか、その点を一つ明確にしておいていただきたいのであります。
○清瀬国務大臣 児童の災害について適当な補償の制度は要るものと思っております。しかしながらこれは大きな法律ですから、ことに保険などといいますと災害をどの範囲にきめるか、すなわち学校の管理監督の範囲内でないといけまいと思うのです。同じ子供でも、うちでやけどしたといったような場合はのけなければならぬだろう、どこに線を引くかということ、それからフリーケンシーですね、こういうものがどのくらい起るのだといったようなことも調べないと、無鉄砲なことはできませんから、情熱の余り、あまり軽率なことはできないと思っております。一ぺんこさえますと、なかなかこれは永久のものになりますから、何事についても私ら情熱をもって政治に参与しておるつもりであります。しかしながら情熱の余り軽率なことをいたしたくない、かように思っておるのであります。これで御推察を願いたいのであります。
○山崎(始)委員 どうもそこが私物足らないのですが、それはなるほどおっしゃる通りに非常に大きな法律です。大きな法律でございますが、私たちが前国会に児童生徒災害補償法を出しておりまして、目下継続審議に相なっておりますが、金額的に私たちが調べました資料では、あの法律に基きまして大体一億二千万という数字が出ております。この法律はその取り上げ方のいかんによりますと非常に大きな金額も要するわけでありますが、また取り上げ方のその規模によりまして、いずれにしてもこの趣旨というものは非常にりっぱなんだから、多少でも法律としての芽だけでも出しておきたい、言いかえますとこの趣旨はけっこうだから、多少でも育成を早くしたいという、そこの大臣のお気持が非常に私は大切なんじゃないか。だからただ言葉の上で大きな法律だと言われれば非常に大きな法律だと申し上げたいのでありますが、またその金銭的な面から申しましても、小さな法律から芽を育てていくという方法もあるわけで、ただ問題は文部当局としてのこの法律に対する熱意、熱情の問題であります。そこを私はお尋ねしておるのであります。まあいいかげんな答弁をしてこの場合はお茶を濁しておけば、どうせその次の通常国会までには何とかなるだろうというようなお気持から答弁をされておるのかどうかということをお尋ねしておる。だから、いま少しあなたが熱情があるならば――三十万円の調査費を組まれておることも私は知っておりますが、何とかして次の通常国会には芽だけでも出しておいてやらなければというお気持が実はほしいのです。先ほどの御答弁では、次の通常国会までにはその実態調査が間に合わぬかもしれないという御答弁、そこは味わいというものが非常に違ってくるのです。
 重ねてお尋ねいたしますが、大臣とすれば、その実態調査が集まれば何とか自分の在任中に小さな芽だけでも出してやろうというだけの御熱意がおありになるかならないか、イエスかノーか、あまり長い御返事は要りませんから、どうぞ核心に触れた御答弁をお願いしたい。
○清瀬国務大臣 そのことのみならず、私は政治上の主張はすべて熱情を持ってやっておるのであります。しかしながら自分の在任中にちょっと芽だけ出して手柄にしようなんという、そんな考えは持っておりません。国のために最善の考慮をいたして、私の力が及ばなければ後にくるりっぱな方がおやりになってもちっともかまわぬことでありますから、公明に正大に、かつまた熱情を胸に蔵して、しこうしてあわてず急がず最善のことをやっていく、こういうことでございます。
○山崎(始)委員 どうも私はあなたの御答弁を聞いておりますと、さっぱりわからないのです。だから私はあなたの御答弁に一つのワクをはめてお尋ねしているのです。この児童災害補償法に対し、できるならば次の通常国会までくらいには間に合わせてやりたいというお気持があなたにあるかどうかということを聞いておるのです。だからほかのことは要りませんから、その点だけ一つ御答弁願いたい。
○清瀬国務大臣 何事も怠ることはいけませんから、なるべく最大の努力、最大のスピードでやりますけれども、次の通常国会という線を引かれますと、直ちにイエスというわけには参りません。今やっておる計画は本年度中の調べということで、本年度といえば昭和三十二年三月三十一日まで、そうしますと、次の通常国会は十二月に開きますから、そこに幾らかの食い違いがあるのです。これは大きな法律ですから、出すなら初めに出さないといけませんし、それを今ここで肯定的にそういたしますと言うわけにはいきませんが、なるべくは精力的に調査を進めます。
○山崎(始)委員 次にいま一つ、先ほどの男女共学の問題ですが、これも実はあなたの御答弁を聞いておりましてわかったようなわからぬような結論なんです。先ほど名委員からお尋ねですから、私はくどくどお聞きいたしませんが、先ほどの男女共学に関する御答弁で、中学校と高等学校に限定してこれの実態調査に今着手しておる、こう言われますね。そういたしますと、私たちが想像いたしますと、幼稚園、小学校、大学を別にしてやる、その点から考えまして、中学校、高等学校に限定しているというところに男女共学の問題が、いわゆる性の目ざめといいますか、性的なものとなり関連を持って、この実態調査にかかっていらっしゃるように推察できるのであります。そういたしますと、先ほど大臣は男女共学の問題に対して、自分は朝日新聞に答えたようなことは言うておらぬと言われまするが、中学校、高等学校に限定して実態調査をしているということの現実ですね。その現実というものは、あなたのお気持の中には、この男女共学の問題というものは、やはり今日の性の問題、性の混乱といいますか、そういうことに対して非常に関連があるから実態調査を始めているんだ、こういうふうに考えられるのであります。してみると、なたのお気持の中には、何とかして、この男女共学という問題は再検討せなければならない。その再検討せなければならないという気持の中には、いわゆる男女共学制度というものを別学の方向へ進めなければならない、それの方が妥当であるというようなお気持がひそんでいらっしゃるのではないかと思えるのでありますが、この点に関していま少し率直な御答弁を願いたい。
○清瀬国務大臣 先刻も繰り返しお答えしました通り、私は男女共学反対論者でもまた賛成論者でもないのです。調べた上でよく考えて、そのときに心をきめます。しかしながら男女共学反対論者の心持はこうであろうということは言っております。賛成論者の心持はこうであろうということも言っております。どっちも私自身の主観じゃございません。
○山崎(始)委員 そうすると、男女共学の実態調査をやられるというのは、今までもときどきやっていらっしゃるはずです。昭和二十七年あたりでも男女共学の実態調査をやられておる記録もあるようでありますが、最近になっては、今大臣が御答弁になったように、実態調査に大がかりに着手されたのは、今度が久しぶりといいますか、そういうことになるわけだと思うのでありますが、そういうふうな実態調査をされるという事柄自体が、やはり現在の制度を育成しよう、すなわち共学の制度を育成しようという趣旨から実態調査をされているのか、再検討せなければいけないという趣旨から実態調査をされておるのか、実態調査をするという現実がある以上は、それには原因がなければならないと思うのですが、その点はどうなんですか。
○清瀬国務大臣 その原因は、国内にどっちも熱心な両論があるということが原因であります。
○山崎(始)委員 もうそれよりお問いいたしません、これは水かけ論ですから。
 ちょうど内藤局長の顔が見えますので、この機会にちょっとお尋ねいたします。
 前国会で万国著作権に関する法律案というものが、満場一致で衆議院を通りました。われわれといたしますと、参議院の方でもって先議されまして、通っておりますので、いささか異論がございましたが、どっちかといったら私らはがまんをして通したのです。それについて局長は、このお休みの間に万国著作権に関する国際会議へ御出席になられたはずでございますが、当然この法律に関するあらゆる関連事項というものが、この会議の席上であなたからも御報告になり、あるいは他国の事情も御研究になってお帰りになったと思いますが、その国際会議にお行きになりました報告といいますか、一つその様子を簡単にこの席で御発表をお願いしたい。
○内藤説明員 今度の国際会議で問題になりました点は、先般この委員会で御審議いただきました万国条約の批准に伴いまして、条約自体で十二カ国きまっておりまして、この十二九国が委員会を構成する第一回の委員会でございまして、各国の批准の状況及び国内立法についての措置の報告がございました。
 第二点は、今後万国条約の実施についていろいろと問題もありますので、そういう実情についてさらに検討をするということで、たとえば日本でCのつけ方を大体巻末につけておりますので、巻末につけて差しつかえないかどうか、日本としてはこういう慣行でいくというような意思表示もしております。それから映画の場合にどういう表示をするとか、日本がそういう点では比較的最も関心を持っておりましたもので、各国からまだそういう報告は出ておりませんでした。日本の報告をきっかけに、各国とも十分調査をユネスコがいたしまして、この次の機会に提出するということでありました。
 それから第三点は、いわゆる隣接権と申しまして、セカンド・ライト、すなわち著書とかそういう著作権のあるものを使って演奏する出演芸術家の権利を保護する、あるいはラジオ、テレビ、こういうようないわゆるセカンド・ライト――最初のコピー・ライトでなくて、コピー・ライトに付随する、コピー・ライトを使って演出するものです。そのセカンド・ライトをどうするかという問題が、今度の会議の中心議題になったわけでありますが、これは非常に大きな問題でございまして、従来ベルン条約でもいろいろ論議され、すでにベルン同盟からの草案がありまして、日本からも回答済みでありますが、このベルン同盟の関係と、これに対してILOが相当の意見を持っておりますのでILO、それからユネスコ事務局、この二者が今後協力して何らかの結論を見出すように努力するということで、これは本論に入らなかったのであります。相当その前提として著作権というような、少くともセカンド・ライトという点についてILOが関与するのでは、著作権の性質からいかがかと思うというような強い発言も、アメリカからございました。しかしいずれにしても結論は、三者が協力してこの問題の解決に当るということで話は終ったわけでございます。それから新聞報道関係の権利をどうするか、新聞や報道はニュースでございますので、これ自体には著作権はないのですが、時差を利用して新聞種をとるというような問題がございますので、すでにイタリアあたりでは時間の制限を認めておりますので、時間的な保護をする必要があるかどうか、こういうような問題が議題になりましたが、いずれも今後の検討に待つということになりまして、今度は毎年ございますので、来年米国の多分ワシントンで第二回の会議が開かれると思いますが、そのときには十分な各国の資料もあわせまして相当具体的な論議に入ると思うのであります。第一回でありましたので、主として議事手続とかそういう点に相当時日を要しました。
 簡単ですが、以上でございます。
○山崎(始)委員 ちょっと関連してお尋ねいたしておきますが、前国会であの法律が通過した後に、日本の業者で登録されたのは何人くらいありますか。法律が通過してまだ日にちがたっておりませんので、いま少し様子を見なければわからないと思いますが、登録された人が何件くらいあるか、ちょっと参考のために知らしていただきたい。
○内藤説明員 まだ法案の趣旨の徹底を十分いたしておる最中でございますし、その最中に出かけてしまったのですが、帰ってから登録件数を聞いておりませんので、明日申し上げさせていただきたいと思います。
○佐藤委員長 本日はこの程度とし、次会は明十七日午前十時三十分より開会いたします。
 これにて散会いたします。
   午後一時六分散会