第024回国会 本会議 第26号
昭和三十一年三月二十三日(金曜日)
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  昭和三十一年三月二十三日
    午後一時 本会議
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○本日の会議に付した案件
 内閣提出公職選挙法の一部を改正する法律案の撤回を求めるの動議(淺沼稻次郎君外二名提出)
 公職選挙法の一部を改正する法律案(内閣提出)及び公職選挙法の一部を改正する法律案(中村高一君外四名提出)の趣旨説明及び質疑
 公職選挙法改正に関する調査特別委員会の委員の員数を三十五人とするの件(議長発議)
    午後六時四十四分開議
○議長(益谷秀次君) これより会議を開きます。
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○議長(益谷秀次君) 淺沼稻次郎君外二名から、内閣提出公職選挙法の一部を改正する法律案の撤回を求めるの動議が提出されております。右動議を議題といたします。
 採決いたします。本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(益谷秀次君) 起立少数。よって、淺沼稻次郎君外二名提出の動議は否決されました。
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○議長(益谷秀次君) この際、国会法第五十六条の二の規定により、内閣提出、公職選挙法の一部を改正する法律茶及び中村高一君外四名提出、公職選革法の一部を改正する法律案の趣旨の説明を順次求めます。
 国務大臣太田正孝君。
    〔国務大臣太田正孝君登壇〕
○国務大臣(太田正孝君) ただいま提案せられました公職選挙法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 政府は、昨年五月、選挙制度調査会に対し、選挙区制その他選挙制度の改正を要すべき点について諮問をいたしたのでありますが、三月十三日、主として衆議院議員の選挙についての答申があったのでございます。
 思うに、現在のわが国の政治において最も必要なことは、政局を安定せしめ、国民多数の支持を保つ政党を基盤とする政府が責任をもって内外にわたる政策を遂行することにあるのでございます。(拍手)しこうして、政府といたしましては、小選挙区制の採用こそ、この目的を達成する最大の要件であると思うのであります。(拍手)また、小選挙区制のもとにおきましては、同一選挙区において同一党派に属する候補者各個人が当選を相競うという欠点がなくなり、選挙はおのずから政党の掲げる施策を中心として相争われることとなります。(拍手)従って、国民としては、選挙権の行使に当って、簡明直截に政党の主張を判断することができるようになり、政策本位に立脚する真の政党政治の発達を促すことになりますとともに、公明選挙の理想をも達成することができると信ずるのでございます。(拍手)もちろん、反面、小選挙区制度にも短所もあり、反対論も存在し得ることは否定できません。しかしながら、およそ制度には絶対的なものはあり得ないのであって要は、他の制度とその長短を比較検討し、相対的にすぐれた制度を採用すべきものであると考えるのでございます。
 政府は、このような考え方に基きまして、選挙制度調査会の答申を基礎として、衆議院議員の選挙に小選挙区制を採用することを中心とするこの法律案を提出した次第でございます。(拍手)
 以下、改正案の主要な事項につきまして、概要を御説明申し上げます。
 第一は、衆議院の選挙につき、議員定数を四百九十七人としたことでございます。現行制度より三十名を増加するのでございます。これは、現行定員を昨年十月一日施行いたしました国勢調査の新人口数によって都道府県に按分し、現行議員定数より減少する都道府県に対しては現行定数を維持することといたしたのでございます。大正八年の小選挙区制実施の際におきましては、一躍八十三名の増員が行われまして、ほぼ現行定数に近い四百六十四人とせられ、自来人口の著しき膨張があったにもかかわらず、増員はほとんど行われなかったのでございます。また、現行議員定数の都道府県別定数が決定されましたのは昭和二十二年でありますが、戦後の急激な人口の膨張と、戦後の混乱時に定めました議員定数は、現在となっては著しく実情に沿わなくなって参ったのでございます。政府は、議員定数の増加をなるべく少くするため、やむを得ないものとして、結局三十人の増員を行うことといたした次第でございます。その結果、議員一人当りの人口は、全国平均で十七万九千六百二十八人となるのでございます。第二に、選挙区の区割りの原則を申し上げます。
 その一は、各選挙区の人口は、離れ島、山間地域等の特殊な事情のある場合を除きまして、なるべく当該都道府県の議員一人当りの平均人口に近からしめたのでございます。その二は、選挙区となすべき一団の地域は、地勢、交通、人情、行政的沿革等、諸般の事情を総合的に考慮して定めたのでございます。その三は、いわゆる飛び地の選挙区は原則として設けないことといたしました。その四は、町村の区域はこれを分割しないこと。その五は、平均人口以下の市及び区の区域は、原則としてこれを分割しないこと。その六は、特別の事情のない限り、郡の区域は尊重いたしますこと。その七は、やむを得ざる場合のほか、現行選挙区の境界にわたる選挙区は設定しないことといたしたのでございます。以上述べました諸原則に従いまして区割りを行なったのでございます。
 選挙制度調査会の答申では、すべて一人区としておるのでございますが、人口の不平均または地形等を勘案いたしまして、二人区を設定することが適当と考えられるものがありますので、政府といたしましては、結局二人区を設置することとし、一人区四百五十十区、二人区二十区、計四百七十七区といたしたのでございます。なお、今後の町村合併による市町村の区域の変更が予想されまするので、衆議院議員選挙区審査会を設置して、行政区画の変更による選挙区改訂の公正を期したのでございます。
 第三は、さきにも申し述べましたごとく、個人本位の選挙制度を政党中心の選挙制度に改めまして、政党の候補者の公認制度を確立いたしますとともに、選挙運動期間中における政党の政治活動の規制を合理化し、その政治活動が選挙運動にわたっても妨げないものとしたことでございます。このため、衆議院議員の選挙におきましては、政党を代表し、その公認候補者として立候補するためには、その政党の総裁、委員長などの発行する公認証明書を提出しなければならないこととしたのであります。また、一つの政党の公認候補者となつた者は、同時に他の政党の公認候補者となることができないことといたしております。なお、政党は、一つの選挙区において選挙すべき議員の数をこえる数の候補者に公認証明書を発行することができないこととしたのでございます。政党及びその構成員は、公認候補者を有する選挙区におきましては、他の候補者を推薦しまたは支持してはならないこと、政党の公認を受けない候補者は、その政党に所属する旨を公表して選挙運動をすることができないことなどを規定いたしておるのでございます。また、小選挙区制の採用に伴いまして、政治活動と選挙運動との区別がきわめて困難となることが予想されまするので、特定の政治活動が選挙運動にわたることを認めるものとし、その際、政党の選挙運動が候補者の選挙運動よりも有利な条件で行われることを防止いたしますため、政治活動においても一定の規制を加えることといたしたのでございます。なお、立会演説会につきましてはこれを存置すべしという議論もありますが、立会演説会は、本来、多数の立候補者があった場合に、候補者を一堂に会し、有権者の判断を容易ならしめる方法として考案され、相当の効果をあげたものでございますが、小選挙区制の実施に伴いまして、政党の政策の識別理解には立会演説会を必要とせず、むしろ演説会場の混乱が起るなどの弊害も予想されまするので、これを廃止いたしますとともに、他方、政党中心の演説会の制度を大幅に認めることとしております。このほか、個人演説会の制度は従前通り存置することは言うまでもございません。
 第四は、連座制の強化のために附帯訴訟の制度を採用いたしたことでございます。選挙の公正確保のために、かつての衆議院議員選挙法時代にありました附帯訴訟の制度を復活いたしまして、訴訟の促進と連座制の強化とをはかりたいと存ずるのでございます。ただ、現行の訴訟法には附帯訴訟の制度がございませんので、別にこれを法律をもって定めるものといたしたのでございます。
 第五は、選挙運動の期間を短縮し、法定選挙費用を引き下げたことでございます。すなわち、選挙区の区域が狭小となることに伴い、選挙運動の期間を五日間短縮し、運動費用は、候補者一人について、十五万円程度引き下げて、六十万円程度といたしたのでございます。そのほか、立候補の辞退は選挙の期日前五日まででなければできないものとし、供託金の額を二十万円に引き上げ、繰り上げ補充は、同点者の場合に限って、議員の任期中行い得るものとするなどの改正を行いたいと考えておるのでございます。
 以上がこの法律案の提案の趣旨及び内容の概要でございます。何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いいたします。(拍手)
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○議長(益谷秀次君) 提出者鈴木義男君。
    〔鈴木義男君登壇〕
○鈴木義男君 私は、われわれが提案いたしておりまする選挙法中の一部改正法律案について、その提案の趣旨を説明せんとするものであります。(拍手)選挙法をむやみにいじりたがるのは、その政界が内面的に欠陥がある、自信のない証拠でありまして、あまり感心しないことであります。(拍手)しかし、やむを得ないものがあるとすれば、いかにして選挙を通じて正しい世論の反映を策することができるかという方向に務むべきものであります。(拍手)選挙区をいじるということは、その政党が主義政策で勝つという自信のない証拠であって、最も末の問題を一番先に持ち出したといわなければならないのであります。(拍手)わが国においても、政治資金が正しく獲得され、そして、清く正しい選挙が行われるならば、現行選挙法でもりっぱに政局は安定し得るのであって、小細工を用いる必要はないのであります。水の流れるように、そのつどの選挙において多数を制する政党が政局を担当すればよいのであります。ある党だけが長く政権の座にすわろうなどとたくらむのが、そもそも非民主的、非立憲的であって、さたの限りであります。(拍手)
 わが国の選挙のあり方については、明治から今日に至るまで、常に最も抜本塞源的な大切なことが忘れられて、正しい世論の発揚が妨げられておるのであります。それは、どうしたならば、不浄な金、正しくない金が政治に動くことを阻止できるかということであり、(拍手)次には、金の種類は問わないが、どうしたなら、平時と選挙時とを通じて、投票を買収するというような忌まわしい現象を払拭することができるかということであります。これらが、最初であって、かつ最後の根本問題であります。そこで、われわれは、メスをそこに入れた根本的治療法を今回の提案において試みたものであります。良心的にわが政界の浄化を思うものは、何人も反対のできない提案であります。(拍手)
 内閣の選挙制度調査会においても、この調査会の審議のやり方、採決のやり方に対しましては、われわれは心からの憤りを禁じ得ないものでありますが、たとえば、蝋山政道委員が最も適切な修正案を出した。小選挙区の致命的失陥、すなわち死票が多過ぎる。ある県に例をとるならば、保守党は四十万から四十五万取って、十二の定員全部を獲得できるのであります。社会党は、その県において三十万票を取るが、一人の代議士も出すことができなくなる予定であります。西ドイツのドント式比例代表法というものは、御承知のように、定員の六割までは選挙で出させるが、あとの四割は、比例代表的にその死票を数えて、死票の多寡によって政党が指名する候補者を当選せしめるのであります。これによって、ほぼ国民の世論というものが公平に反映され、同時に、政局の安定をもたらすことができる案でありまして、相当少数意見も代表される特徴を持っておるので、星島委員も、この案を聞いたときに、まことによい案を出された、しかし、おそきに過ぎたと言われて、葬り去ったのであります。(拍手)しかし、何がおそきに過ぎたか。小委員会後最初の総会にしか出すチャンスはなく、そのとき出したのに、歯牙にもかけない。こんなことなら委員になるのではなかったと、蝋山君は憤慨したのであります。(拍手)われわれは、慎重審議を尽すべく、質疑を続けておったのであります。ことに、私が質問続行中、質疑の打ち切りならまだしも、まだ何も討論もしておらないのに、一切の討論を打ち切って、採決々々と叫んで、混乱と怒号のうちに多数可決を宣言してしまったのであります。あの種の委員会において、いまだかつて見たことのない横車表決であります。(拍手)
 小委員会は、約半歳、十二回、その結論なるものが総会に報告されたのが三月の十日であります。その日のうちに採決してしまおうとしたのである。もう少し審議せよというわれわれの要請もだしがたく、翌々日の十二日に開いて、今度こそは、しゃにむにやってしまったのであります。中村菊男委員の修正動議も、蝋山委員の修正動議も議にも諮らず、完全に無視してしまったのであります。自民党や政府が十五日の提案に間に合せようとの暴力的強行手段であります。(拍手)われわれは、あの決議は無効のものと見ておるのであります。その結果、一昨々日の本会議において、三宅、中村君等の指摘した通り、矢部貞治委員にしても、御手洗辰雄委員にしても、憤激の言葉を漏らしておるわけであります。
 これらの事情は、いずれ委員会等において詳細明らかにして究明もいたすつもりでありまするが、その採決の有効無効は別として、調査会の答申案には、一そう厳格に政治資金の規正をはかるべし、そうして、すべて公表させ、監査することを可能にせよと申しておるのであります。また、あっせん収賄罪を規定すべしとうたっておるのであります。(拍手)われわれは、前からこれを提唱しておるのであります。今日、わが国の政治家が手にする金のうち、何%が清く正しい金であるかを反省されたいのであります。(拍手)
 独占資本、財閥、財界連盟というようなところから来る金には、大てい政治を一部特権者に歪曲載るひもがついておるのである。(拍手)そうでなければ、造船汚職に見るように、国民の血税を盗むのたぐいであります。(拍手)一切の請負や土木工事、補助金等には油虫がついておる。(拍手)余剰農産物を輸入する。外米を買う。砂糖、石油、バナナを輸入する。肥料を輸出する。これらに常に冥加金がついておる。上の好むところ下これにならうで、地方政治家も、国会議員も、あるいは農協に、あるいは県信連に、県販連に、共済組合に、森林組合連合会に、畜産組合に等々、あらゆる組合に冥加金を命じておるのである。(拍手)公金どろぼうにあらずして何ぞやと申し上げたい。(拍手)これ、われわれが政治資金規正法の改正案を提案した理由であります。(拍手)政治資金規正法については、ただいま提案しておる範囲ではありませんから、説明することは省略いたしておきますが、これは、政党の本部、支部に対して、あるいはその責任者に対して、一切の国または公共企業体、またはその他の国家から、あるいは地方公共団体、公共企業体等から利益を受ける者から一切献金をすることを禁じ、これを受くる者は三年以下の禁固または五万円以下の罰金に処するという規正をいたしておるのであります。(拍手)
 次に、最も憎むべきものは、あっせん収賄であります。かの殖産金庫、保全経済会等の破綻に際して、数千万円の金がそれぞれの政治家の手に渡ったと推定されている。これは、何とか救済してやろうと、ほのめかすことによって献金されるものであつて、涜職というよりは詐欺に類するものであるが、(拍手)いずれにしても、手にすべからざる金であることは間違いない。物を輸入する、その許可を得るべくあっせんしてやる、鉄道を敷くあっせんをしてやる、橋をかけてやる、道路を直してやる、許可、認可の口添えをする、役所に陳情をしてやる、すべてに車代以上の手数料が取られるのである。(拍手)はなはだしきは、陳情や、あっせん依頼に行くと、幾ら持ってきたかと聞く政治家がおるのであります。(拍手)政界の実力者といわれるような者ほど、この種の巨頭であり、常習者であるのが例であります。(拍手)かくて、国民は、政治家を貧官汚吏のたぐいと同視し、少しも尊敬せず、みずからも国会議員になるのは利権にありつくためと心得て、国利民福などは眼中にない政治家が生まれてくるのであります。(拍手)政治家が信用を失墜していること、今日よりはなはだしきはないのであります。(拍手)
 同じ金をとつても、職務関係があれば罪となり、職務関係なく、あっせん、口添えしてやっただけであるというために免れるというのは、すこぶる不合理である。政治の腐敗はこういうところから起る。石川五右衛門の徒に政治をまかせておるに近いものである。(拍手)南アメリカのある国においては、政治家がわいろをとることは平気である。国民もこれをとがめない。あるいは、わいろもとるけれども、仕事もすると言って、尊敬するのである。ゆえに、過酷のようでありますけれども、選挙制度調査会すら、あっせん収賄罪を規定せよと答申をしておるのである。われわれも、ぜひこれを提案したいと考えております。政府が提案しないならば、われわれはこれを立法化するに努力するつもりであります。
 以上は、政治に不浄の金の動く根源の排除である。これを前提として、選挙の浄化をはからなければならないと信ずる。金銭、物品、利益等によって誘導されている投票は、それ自身、公、正な世論の発動ではないのであります。(拍手)ある意味において、選挙区などは問題ではないというべきである。万悪のもとは、選挙にいろいろな形を変えて買収が行われるというところにあるのであります。選挙法の改正を論ずるならば、その改正は、常に選挙の民主化、明朗化、公明化の方向において論ぜらるべきでありまして、断じてその逆の方向であってはならないのであります。(拍手)ゆえに、ただいま議題となったような区制を論ずることはそもそも末であって、わが国の政治を正しい軌道に乗せまするためには、区制の変更などよりは、もっと先に手をつけるべき問題があると、われわれは考えておるのであります。(拍手)政治の腐敗は常に選挙の腐敗から起るものであります。よって、選挙と政治とが清い手で行われることを第一に確保しなければならないと信ずるものであります。(拍手)
 そのために、われわれは、別に政治資金規正法の改正法案を出しておるのでありますが、これと相待って、徹底的に明朗化いたしますために、候補者が国、公共企業体または地方公共団体から恩恵を受けておる企業、会社、法人その他一定の団体等から選挙資金をもらってはならないという規定を設けようとするものであります。(拍手)すなわち、現行法第百九十九条においては、国、公共企業体及び地方公共団体と特殊の利害関係のある者からの寄付を禁止するにとどめているのでありますが、今回これを拡大いたしまして、国または地方公共団体から補助金、奨励金、助成金、負担金その他これらに準ずる交付金の交付を受けている会社その他の法人、国または地方公共団体から貸付金等の財政援助または直接もしくは間接に利子補給金、損失補償等の財政援助を受けている会社その他の法人、国または地方公共団体が資本金の全部または一部を出資している会社その他の法人、国または地方公共団体が資本金の全部を出資している会社その他の法人から出資を受けている会社その他の法人、国または公共団体が借入金の元金または利子の支払いを保証している会社その他の法人を新たに追加いたしまするとともに、その第二項において、これらの寄付をしてはならない期間を定めて、さらに第三項において、前記各号に掲げる者を主たる構成員とする団体または連合体もまた寄付をしてはならないことといたしたのであります。これに関連いたしまして、第二百条に新たに第三項を設けて、寄付の勧誘、要求等をしてはならない期間を定め、また第四項においては、百九十九条第三項に定める団体、連合体に対する寄付の勧誘、要求等をしてはならない期間等をも新たに規定した次第であります。(拍手)
 次に、この提案においては、選挙における腐敗と卑劣なる競争等を排除いたしますために、不法なる選挙運動によって当選人が当選を失う、いわゆる連座の場合を著しく拡張いたしたのであります。(拍手)従来は、総括主宰者または出納責任者が罪を犯し刑に処せられた場合にのみ、候補者はその当選を失ったのでありまするが、これにもただし書きがついておりまして、候補者が相当の注意、監督をしたときにはその責めを免れることになっておりまして、せっかくの規定も空文になっておったのであります。(拍手)よって、本法案におきましては、そういう免責規定はこれを認めないことにしたのであります。候補者は常にその責めに任ずべきものと信ずるのであります。
 また、せっかくこの規定がありましても、用意周到に総括主宰者や出納責任者は刑事責任を免れておりながら、相当数の選挙違反を出す場合が少くないのでありまするから、免れて恥なき者をなからしめんがために、これらの者と全く関係なく、一種の義侠心から選挙違反をやつたというような場合は除き、何らかの意味で意思の疎通があって選挙違反を生じたと目せられまする限り、やはり当選の効力を失うものといたしたのであります。(拍手)前の出納責任者、総括主宰者の場合は、罪に処せられますれば当然資格を失うのであります。ただいま、太田長官が、検事の附帯訴訟をもって当選の効力を失わしめると言っておるが、そんななまぬるいことをやらないのであります。これはまは何年かかるかわからない。そこで、ただし、この意思を通じてなした――あとで払ってやるとか、当てにしてやったとかいうような場合でありますが、その場合は意思を通じたかいなかについて争う余地を存せしめますために、訴訟に訴えることを許しておるのであります。これは一見過酷に見えますけれども、このくらいにしなければ、とうていわが国において短期間に公明選挙を招来することはできないと信ずるからであります。イギリスの選挙が一件の買収もないとされまするのは、選挙制度調査会においても、高橋君以下三人の人を派遣して選挙の実際を視察せしめましたけれども、いかに探しても、イギリスにはただの一件も買収犯というものがないということを確かめて帰って参つたのであります。この一件の買収もないとされますのは、あらゆる違反が累を候補者に及ぼし、以後十年間立候補ができないようにいたしておるたまものであるといわれておることは、十分に参考とすべきものであります。(拍手)
 また、さらに、用意周到に無責任の形において買収等が行われますることを防ぎますために、総括主宰者、出納責任者等と意思を通じたるといなとを問わず、一定の当選者に関して選挙違反がありました以上は、それらの影響のもとにあったと推定されまする投票は、自分は金はもらったが、別の人に投票したとよく申し立てるのであるが、そういうことは認めないのである。もらった以上は、みなそれはその人の投票を無効として累計いたしまして、当選の票数から減票いたし、その結果当選を失う場合もあり得ることを規定いたしたのであります。(拍手)これまた、粛正選挙の先進国たるイギリスの選挙法の規定を取り入れたものであります。あらゆる買収行為は、要するに、当選させたいために行われるのでありますから、どんな巧妙な買収も、結局累を当選者に及ぼし、失格させるおそれがあるぞということが周知徹底されまするならば、よほどこれら卑劣なる行為に出る者が少くなるのではないかと存ずるのであります。(拍手)
 また、わが国の選挙界において最もひんしゅくすべきものは、選挙期間中の買収でなくして、私どもが名づけて慢性買収と称する一連の行為であります。(拍手)選挙に打って出ようとする者は、常時その選挙区内を培養いたしまして、いろいろな方法によって利益を供与いたしておるのであります。なるほど、露骨な現金による買収は幾らか減りつつある。それでも、統計を見ると、まだまだ多いのでありまして、福島県などは千三百名もこの間の選挙で検挙されておる。選挙区が広いために、買収だけでは出てこれない特徴がまだあるのでありまするが、これが小さくなった場合を考えますると、戦慄を覚えるのであります。(拍手)遺憾ながら、農村と都会ではよほど違いまするが、わが国の大部分が農村であることを考慮に入れなければならぬ。選挙民の大部分は、国家政策に理解と興味を持つよりは、いい意味において人物本位であり、情実本位であります。ゆえに、常に地方的な利益の誘導をやる。鉄道をかけてやる、道路、港湾、発電、河川の改修、いろいろなものをひっさげて、選挙公報を読んでみると、百名以上の候補者諸君が明らかに地方的利益の誘導罪を犯しておるのであります。(拍手)
 その他、常に義理人情にからませて戸別訪問をやる。ある町長の選挙に、ある者は三回訪問をした、ある者は二回訪問をした、三回来てくれたから、あの人に投票しようという。現実に、私は選挙民の感想を聞いたのです。あるいは、集会があると、どこからともなく酒が届く。あるいは青年団――最も憂うべきは、純真なるべき青年を蠧毒するものは地方のこのボス政治家でありまして、常に集会があると酒を届け、その良心を麻痺させるのであります。あるいは集会に寄付をし、お祭りに寄付をし、あらゆる行事に寄付をする、供応接待をする、あるいは牛馬の世話をする、山林、用水の世話をする。冠婚葬祭には、その親疎、地位、身分を問わず、不相応な贈りものをするのであります。はなはだしきは、犬猫が生まれたといってはお祝いを届け、お寺の屋根がえをするといっては寄付をする。ある選挙には、村民がみな義理として夫役を提供し、三日間ずつ出て、区内の戸別訪問に従事すること、エジプトのイナゴのごとき状況を呈するのであります。(拍手)
 また、りっぱな選良といわれる者が小使になってしまうのでありまして、金を借りる世話、就職の世話、入学の世話、アルバイトの世話、これはよい方であります。してやつてよろしい。しかし、選挙区が小さくなるほど一人一人と接触して、東京見物の世話――熱海まで、大宮まで出迎えに行った人がこの中にもおるはずだ。(拍手)議会の見物、宮城の清掃、会館においてごちそうする、今月の払いが一万円になった、二万円になったと口説くのを聞いたことがあります。はなはだしきは、バスに同乗して、べーレン・ビューラー、熊引きというところのいなかの人々を、ここは宮城でございます、ここは警視庁でございますというように、案内をして歩く者すらあると言われております。(拍手)少くとも、まんべんなくおせじを振りまく者が、結局選挙において勝ちを制するというのであります。
 このように、選挙区が小さくなれば小さくなるほど、まんべんなくこれを行うのでありまして、候補者は莫大な財を費し、選挙民の良心を麻痺せしめ、選挙界を腐敗せしめること、これより大なるはないのであります。(拍手)いわゆる利権政治も、かかる競争から起るのであります。よって、本法案におきましては、選挙前六ヵ月が時効の限界でありましたのを、選挙前二年に改めまして、立候補前二年まではさかのぼって検挙することができることとし、この種の慢性買収の弊を抜本的に排除しようといたしたのであります。(拍手)
 なお、選挙制度調査会において提案をいたしておりまする、選挙の公正を守るための監視委員会というものをこしらえることも、われわれの提案せんとするところであります。私どもは、今日の選挙界から排撃すべきものは、手を変え品を変えた買収でありまして、これさえ排除されますならば、普通の選挙運動はいかに活発にやつてもよろしいと考えておるのであります。そのために、公営はもっともっと拡充すべきものと存ずるのであります。そのため、本法案においては、現行法に明文がありませんので、立会演説会のごときは多々ますます弁ずる、少くとも三十回以上は各候補者についてこれをやらなければならぬと規定をいたしたのであります。個人演説会は六十回以下ということにいたしたのであります。無料はがきの枚数やポスターも多くし、政見放送も、できるだけテレビジョンも活用するようにいたしたのであります。また、貧乏な者でも立候補できるようにすることは正しい政治のあり方と信じまして、供託金は現行の十万円を維持することといたしたのであります。
 昨今、しきりに、選挙区を小さくしろという論が行われておるのでありますが、選挙区の変更よりは、ただいま私が申し述べるようなことの方が、はるかに腐敗を防止し、選挙費用を少からしめ、公正にして明朗な世論の発揚に役立つ先決問題であると信ずるのであります。(拍手)すべての解決は、まずこれを行なってからだということを申し上げたい。汚れたる手で作り出す多数というがごときは、国家を滅ぼす以外の何ものでもないということを、よく御記憶願いたいのであります。(拍手)
 真に良心的に国家の前途を憂える諸君は、満場一致われわれの提案に賛成され、可決されんことをこいねがう次第であります。(拍手)
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○議長(益谷秀次君) 太田国務大臣の説明に対し、質疑の通告があります。順次これを許します。
 島上善五郎君。
    〔島上善五郎君登壇〕
○島上善五郎君 私は、日本社会党を代表して、ただいま上程されました公職選挙法の一部を改正する法律案につきまして、鳩山総理大臣に、重要な二、三の点について質問を試みんとするものであります。(拍手)法案の具体的な内容につきましては、あまりにも問題点が多く、質問すべきことが多いので、太田長官に対しては後日ゆっくりと質問をいたすことにいたします。(拍手)
 総理に伺いたい第一点は、今回の公職選挙法改正と憲法改正との関連性についてであります。鳩山総理は、かねてから、憲法改正を自己の最大の政治的任務とし、これを悲願として、その実現に努めておることは、周知の事実であります。(拍手)そのために、前国会にも、今国会にも、憲法調査会法案を提案しているのであります。しかし、たとい、憲法調査会法案が政府の予期通りに通過し、この調査会がまた総理の期待する結論を出したといたしましても、衆議院において三分の一以上の憲法改正反対者が現に存在している今日においては、改正の手続すらできないことは、総理もよく承知しているところであります。そこで、憲法改正の悲願を達成せんとすれば、その前提として、衆参両院における反対派を三分の一以下に押えるということが、政府の立場からはどうしても必要なのであります。ところが、もし現行法のままで選挙を行うと仮定しますれば、昨年いわゆる鳩山ブームの絶頂にあった当時と比較して、失政と失言、黒星続きで、国民から非難と失望を浴びておりまする今日では、保守党が激減して革新派がふえるであろうということは、これは公正な第三者の一致した観察であります。(拍手)これでは、いかに悲願だと言って力んでみたところで、憲法改正はできない。そこで、憲法を改正するには小選挙区制をとらなければならないということが、政府の方からは当然考えることに相なるのであります。すなわち、今回の小選挙区制は憲法改正の前提であり、その地ならしであるということは、明々白々たる事実であります。(拍手)
 鳩山総理は、このごろ、ひどい健忘症にかかっておるので、思い起せと言っても無理かもしれませんが、去年、新聞記者会見で、憲法改正は私の悲願である、そのために小選挙区制に改めたい、こう記者会見で語っております。(拍手)また、ここには持ってきておりませんが、自由民主党、あなたの方の党の幹部が、武士の情で名前は言いませんけれども、大新聞のアンケートに、憲法を改正するには小選挙区制を採用する以外にありませんと、ちゃんと答えているのであります。(拍手)国民は、ことごとく、憲法改正のための小選挙区制であると信じ切っておる。新聞や雑誌も、みなそう書いている。特に、憲法改正を熱心に要請しておるアメリカさん――ニューヨーク・タイムスでは、憲法改正のために小選挙区制をとるのは当然であると、大いに鳩山内閣を叱咤督励しているではありませんか。(拍手)しかるに、ただいま提案の理由を伺いましても、あるいは鳩山総理や与党幹部の最近の言動を見ましても、極力両者の関連性に触れることを避けて否定し、弁明これ努めているのでございます。一体、何がゆえに、一番大事なこの問題に触れることを、さながら悪いことでもするように否定するのでありましょうか。
 私は、ここで憲法改正の是非を論じようとは思いません。しかし、憲法改正是なりと鳩山総理大臣が確信しているのであるならば、そして、そのために衆議院の三分の二以上を占めなければならない、こうお考えであるならば、このことを堂々と国民に訴えたらよろしいではないですか。(拍手)あるいは、きょうの答弁でも、憲法改正とは関係ありませんと、紋切り型のお答えをするかもしれません。しかし、それでは、私が納得できないばかりではなく、国民が断じて納得いたしません。(拍手)二大政党制による政局安定、選挙費軽減による政界の浄化などと、もっともらしいことを言っておりますが、かの一昨年六月、国会の混乱した直後に、自粛三法の一つとして、選挙法改正が取り上げられたこと、そうして大幅な改正が行われたことは、皆さんも御存じだと思う。当時は、いわゆる五党分立、政界は不安定、疑獄、汚職事件で腐敗、堕落その極に達しておった。もし政局の安定、政界の浄化ということを理由とするならば、そのときこそが最も必要な当時であった。しかるに、その自粛三法の一つとして公職選挙法改正が取り上げられたとき、諸君の中からは、小選挙区制にしようということを、ついに一言も言われなかったではありませんか。(拍手)そして、昨年重光・ダレス会談を行なって防衛六ヵ年計画を本格的に推進しようとしておりまする今日、急に、何ものかに追い立てられるように、小選挙区制、小選挙区制と言っておることは、客観的にも、憲法改正、本格的な再軍備のための小選挙区制であるということが、りっぱに証明されておるのであります。(拍手)鳩山総理大臣、総理大臣は、今までは保守党の政治家の中では比較的率直であると、国民に思われておりました。そこで、私は、率直にお答えになる方が、鳩山総理のためにも、政府のためにもなると、友愛精神をもって警告して、率直なる答弁を求めんとするものであります。(拍手)
 次に総理大臣に伺いたいのは、今回の政府提案の公職選挙法の改正の基本的な考え方についてであります。提案されました法律案の文書によりますと、「議会政治の健全な発達を図るため、衆議院議員の選挙について、小選挙区制を採用し、候補者の公認制度を確立し、あわせて選挙の際における政党の政治活動の規制を合理化し、もって民主政治の基盤を強化する」、こういっております。もし議会政治の健全なる発達と民主政治の基盤強化ということがほんとうであるならば、私は選挙法改正の際に最も大事な基本的な問題として、第一には、人民の意思、選挙民の意思を、より多く、より的確に政治に反映させるということが考えられなければならない、(拍手)第二には党と党が公正に争うルールを確立し、尊重するということでなければならないと思う。(拍手)そして、先ほどわが党の鈴木議員も申されましたように、一面において、不正腐敗の選挙を徹底的に排除するとともに、他面においては、政党も国民も、公然の場において、自由闊達に選挙運動を行い、あるいはこれを受けることができるようにすべきものであると考える。選挙法改正は、党略を離れて、このような高い見地から検討すべきものであると考えます。同時に、また、国会構成の基礎を定める重要な法律でありまするから、主権者たる国民の世論に聞きまして、各党の公明な話し合いをもととして慎重になすべきものであると考えます。おそらく、私は一般論としては、鳩山総理大臣もこのような考えを否定されることはあるまいと思いますが、これに関する総理の御所見を承わりたい。(拍手)
 次に、総理に、いま少しく具体的な点について伺いたい。その第一は、小選挙区制は、死票が非常に多くなり、国民の意思をより多く政治に反映せしめるという民主主義の原理に反するものであります。もし候補者が一対一である場合には、五一%の票が生き、四九%の票が死んでしまう。三人の候補者で争う場合には、四〇%の票が生きて、六〇%の票が死んでしまう。現に、一九五一年のイギリスの選挙において示しましたように、得票数においては多い労働党が、議席の数では二十五議席も少いというような矛盾した現象をしばしば生むのであります。その上、あとで述べますが、勝手にきめました狭い区域に制限されるということは、選挙民にとって、候補者選択の自由が著しく制限されることになりますから、当然棄権が増大するのであります。国民多数の意思が政治に反映しない。棄権が増大する。ですからこそ、西ドイツにおけるがごとく、小選挙区制を採用する場合といえども、死票を生かすための比例代表制が加味される方式が最近行われるようになったのであります。死票と棄権の増加によって国民多数の意思が政治から除外されてしまうというような、こういう民主主義に反する事実に対して、政府案は何らの考慮をも払われておりませんが、総理大臣はこのようなことに対してどうお考えになっているか、伺いたい。(拍手)
 次にお伺いしたいのは、少し痛いところにさわるかもしれませんが、党と党が公正に争うルールの問題であります。議会政治の健全な発達、二大政党制による政局の安定とは、今回の提案の最大の理由であります。そのためには、党と党が公正に争うルールを打ち立てるということが何よりも必要であります。総理は、今までしばしばフェア・プレーということを言いました。また、十二月二日のこの議場における施政演説の中で、こういうことを言っております。「民主政治は断じて力による政治であってはなりません。」「新内閣は絶対多数の上に立ちながらも、少数党の意見を十分聞いて民主政治を守り、どこまでも謙虚な態度で国民の声に耳を傾けまして、国民とともに歩む明朗な政治を行う決意にあふれております。」こういうのです。総理大臣は、よもや、これをお忘れになっていないと思う。
 そこで、伺いたいのは、今度の政府案、特にその選挙区割り、これが一体公正なルールということに相なりましょうか。(拍手)どうして与党の現職議員の当選を確保するか、どうして社会党の強い地盤を分断して保守党の落選者の復活をはかるか、このような党利党略によって貫かれておりますことは、歴然たる事実であります。(拍手)選挙制度調査会の区割りが大幅に変更されましたのは、いわゆる党内調整のためであります 党内調整とは何ぞや。この郡をおれの方へくっつけてくれ、この市を二つに割ってくれ、おやじの生まれた村をこっちへくっつけてくれ、こういうような、いわゆるゲリマンダリング以上の、ハトマンダリングとこのごろ言っておりますが、ハトマンダリングがこの区割りを作った思想ではありませんか。ひょうたん型を作ったり、飛び石型を作ったり、たんざく型を作ったり、いろいろの不自然な選挙区を作る。先ほど、太田長官が、選挙区割りの幾つかの原則を述べられましたが、あの原則なるものは、実にでたらめ、出ほうだいといわざるを得ません。(拍手)私は、いずれ、あのりっぱな原則に照らして、選挙法の委員会において、完膚なきまでに党利党略を国民の前に暴露しようと考えておりますが、そのときにどんな顔をして答弁するか、今から楽しみにして待っております。(拍手)
 また、小選挙区制としての筋を通すのでありますならば、当然、全部一人区にすべきものであります。われわれは小選挙区に反対でありますが、理論的には当然一人にする。ところが、二十も二人区を設けた。この二人区を設けたあとを見てごらんなさい。福岡や北海道の炭坑地帯、神戸市内、その他、革新派が強くて、一人区にすれば全部社会党に取られてしまう、こういうところに無理に二人区を作る。それから、岩手、広島、秋田、ああいう不便なところに、わざわざ郡を四つも五つも六つも合せて二人区を作る。小澤君と椎名君の二人の調整がつかない、高橋君と重政君の調整がつかない、こういう理由から二人区を作ったことは、諸君が何と弁解しても、これは動かすことができない事実であります。(拍手)東京などは、行政区を二つにも三つにも分けて、区会議員よりも狭い選挙区を作った。そして、いなかでは、峠を越えて、よその選挙区を回らなければならぬ。島の一部を割って、こっちの対岸の郡とくっつけた。こういうような、あきれ果ててものが言えないような党利党略が今度の選挙区割りであります。(拍手)
 総理大臣はスポーツがお好きのようでありますが、一体、野球のルールが一方のチームによって勝手に変えられたり、相撲の土俵が横綱の都合のよいように変えられたりということが許されてよろしいことでしょうか。(拍手)もし、このように、国会構成の基礎である選挙法、特にその選挙区割りが、多数派の都合のよいように、いつでも勝手に変えられるといたしますれば、そのようなもとにおいては、二大政党制も、民主政治も、もはや存在の余地がないのであります。(拍手)一九二二年、ムソリーニが政権を取って第一にやったのは選挙法改正で、比較多数を取った党が議席の三分の二を占めるという、べらぼうな改正をやった、そして、ファッショ独裁の基礎を築きました。この事実を思い合せますならば、今回の政府提案はムソリーニの思想と共通的なものがある。(拍手)まさに保守永久政権を目ざす一党独裁であり、クーデターにひとしい暴案であると断ぜざるを得ません。(拍手)総理は、一体、民主政治の名のもとに、このような党利党略、得手勝手が許されてよいとお考えになるかどうか。
 おそらく、これは案であるから、国会で十分に御審議を願いたい、その過程で間違いがあったら修正をしましょうと、こう言われるかもしれませんが、それは三百代言にひとしい遁辞にすぎません。「民主政治は断じて力による政治であってはなりません」「新内閣は絶対多数の上に立ちながらも、少数党の意見を十分聞いて民主政治を守り、」この言葉を思い合していただきたい。この昨年十二月の言葉を思い合していただきたい。民主政治は世論の政治であります。今回の政府案に対する世論を、総理はどのように判断しておるか。
 最近の大新聞、地方新聞の論説は、筆をそろえて、痛烈に政府案を非難しております。(拍手)ある新聞のごときは、民主主義の名に隠れた強盗行為である、こう言っております。(拍手)強盗――あんまりありがたい名前でもなかろうと思う。一昨日の文化放送の、わが党の淺沼書記長が出ました街頭討論会のごときは、東京では、六百人の聴衆の中で政府案に賛成する者たった一人、(拍手)大阪では、四百人の中でたった二人。(拍手)選挙制度調査会の委員で、政府のために一生懸命働いた。小選挙区に賛成する委員諸君の中でも、その多数は、あまりにもひどい政府案に対して、政府は撤回をして練り直せ、こう言っているのであります。(拍手)世論はごうごうたる非難で、政府案はまさに四面楚歌の中にあると言ってもよろしい。(拍手)どこまでも謙虚な態度で国民の声に耳を傾けますと言ったこの総理大臣が、このような世論の動きに耳を傾けて考え直すのが当然ではないかと私は思います。(拍手)総理は、この世論の前に考え直す意思があるかどうかを、はっきりとお答え願いたいと存じます。(拍手、「時間々々」と呼ぶ者あり)
 われわれがこの法案に反対しておりますゆえんのものは、世間の一部が言うように、単に社会党に不利だからという、そういう小乗的な意味ではありません。このように世論を無視し、眼中に国家国民なく、党利党略、私利私欲、このような暴案がおくめんもなく国会に出されて、多数を頼んで国会を通過するということになりましたならば、日本の民主政治が根底から破壊されてしまうから反対であります。(拍手)われわれは、民主的な方法によって日本の政治の改革をなそうとしております。国民もまたそれを望んでおります。しかし、この民主的な道がふさがれてしまいましたならば、そのあ
 とは一体どうなると思いますか。民主主義の残骸の上にテロが横行し、国民互いに血を流すというような暗たんたる事態を想像することは、容易にできることであります。総理大臣は、それとも、総理大臣がかって文部大臣として進歩的な学者を弾圧したり、国民が、特高警察のもとに、言論も集会も出版、結社の自由もことごとく剥奪されておりましたあの暗黒時代、あの暗黒時代を、夢よもう一度と待ち望んでいるとでもおっしゃるのでございましょうか。(拍手)
 総理大臣、総理大臣は、総理としての政治的生命は、どう考えても、あまり長くはありません。人のまさに死なんとするとき、その言やよし。(拍手)どんな悪人でも、最後には一つくらいよいことを言ったり、したりするものであります。(拍手)鳩山ブームといわれて国民に親しまれたあなたが、最後に天人ともに許さないこの暴案を押し通して、反動政治家としての不滅の悪名を残すということは、あなたのためにも国家のためにも断じてとらざるところであります。(拍手)
 私は、最後にもう一つだけ簡単に伺いたい。それは、内閣の諮問機関である選挙制度調査会の答申についてであります。
○議長(益谷秀次君) 島上君、なるべく簡単に願います。
○島上善五郎君(続) 選挙制度調査会は、あの結末が、きわめて非民主的に混乱のうちに答申を行なったのでありますが、そのことについてはあとで詳しく追究するとしまして、この調査会の答申を、先ほどの太田長官の言葉をそのままかりて申しますと、調査会の答申に基礎を置いた、こう言っておる。しかし、第一に、区制と区画割りにおいて調査会の答申を無視しております。さらに、また、小選挙区制を行うとするならば、これに伴って起きるところの弊害と危険、買収、供応、その他おそるべき危険を阻止するために、調査会は、連座制を思い切って強化すべし、政治資金の規正を行うべし、あっせん収賄罪の立法措置を行うべし、立会演説はこれを増加すべし、こういう答申をしているのであります。ところが、選挙制度調査会の委員諸君が憤慨しておるように、この調査会の答申は全く無視されて、弊履のごとく捨てて顧みられてはおりません。一体、選挙制度調査会の答申を基礎にしたとか、尊重したとか言いますが、幾ら言葉は重宝だと言っても、よくもそうずうずうしくも白々しいことが言えたものだと私はあきれ返る。(拍手)どこに一体調査会の答申を尊重しておるか。このように調査会の答申を無視しておるということは、調査会の諸君の努力を踏みにじり侮辱することであるばかりではなく、国民を欺瞞する行為であるといわなければなりません。(拍手)
    〔「時間だ」と呼び、その他発言する者多し〕
○議長(益谷秀次君) 島上君、簡単に願います。
○島上善五郎君(続) 私は、このような諮問機関を一体何のために作ったのかと言いた、このように調査会の答申を無視した理由、これを総理大臣にお伺いいたしたい。
 以上、私はきわめて簡単に要点だけを質問いたしましたが、国民が注目している問題でございますから、率直、明快に御答弁をいただきたいと存じます。(拍手)
    〔国務大臣鳩山一郎君登壇〕
○国務大臣(鳩山一郎君) 島上君の質問に答えます。
 第一の御質問は、憲法改正と本改正案との関連性でございました。小選挙区制は憲法改正とは全く別個の問題であります。関連ありません。(拍手)
 第二に、本改正案の基本的の考え方について御質問がありましたが、小選挙区制採用の基本的の考え方は、公明選挙の理想を達成するがためであります。
 第三に、死票が出る欠点があるということでございますが、死票が出ることを救済いたしますためには、比例代表制をとるよりほかに道がないのであります。この制度の欠陥は、御承知の通りに、小党分立をするおそれがありまするから、これを採用しなかったのであります。(拍手)
 第四に、世論に従えということでありまして、この案が党利党略にできたというような御質問でありましたが、断じてそういうことはございません。(拍手、発言する者外し)
 第五に、選挙制度調査会の答申についてどう考えるか、何ゆえ連座制をとらなかったかという御質問がございましたが、政府は、選挙制度調査会の答申の趣旨を尊重いたしまして、地勢、八口、交通、行政、沿革等、諸般の事情を総合いたしまして区画制を作ったのでありまして、決して党利党略によって区画制を作ったわけではございません。(発言する者多し)
 大体において御質問にお答えいたしたと存じます。(拍手)
○議長(益谷秀次君) 小山亮君。
    〔小山亮君登壇〕
○小山亮君 ただいま島上君の質問に対して総理が御答弁になりました。その御答弁を伺いまして、おそらくは、私の質問に対しても、鳩山総理は、やはりああいうような心にもない御答弁をなさることだろうと私は思います。しかしながら、私はどうしてもこれは鳩山総理にお伺いをしなければならぬと考えましたので、あえて質問に出た次第であります。
 今回の政府の提案、この小選挙区制案というものが一たび世上に発表されまして以来、小選挙区に対するところの是か否かという議論は、これは当然の議論でありますから、日本じゅうに、いろいろな立場において、いろいろな意見が発表されて参っておりました。しかしながら、自民党が政府案として提出しましたこの政府案が一たび世上に発表されますると、全国津々浦々で、あらゆる階層の人々が、これに対して非難攻撃を加えておる。(拍手)おそらく、一人の人といえども、これを弁護し、一人の人といえども、これに賛成をする人はないと私は思う。自民党の諸君の中の私の尊敬するような人々は、この法案に対しては、まゆをひそめて、この法案というものは全く不当な、無理な法案であるということを認めておられるのであります。(拍手)
 およそ、物事というものには表裏がありますように、賛否両論は必ずございます。でありますから、小選挙区がいいか、中選挙区がいいかということに対しては、ずいぶんやかましく論議されるのは当然なんです。しかしながら、この法案に対しては、もう論議の宗地がない。論議をする必要もない。これが世間に現われますと、ただ世人かあぜんとして、ものを言うことができなかった。(拍手)やがて、これに対して、こう然たる非難の声が起ったのであります。一人として、これに対して賛成する者がない。世の中のたとえに、どろぼうにも三分の理というのがある。どろぼうにも三分の理があって、どろぼうでも弁護する者がある。しかるに、これに対しては、一人として弁護する者が日本じゅうにいない。(拍手)この、露骨な、おくめんのない、恥知らずの、自党本位の法案を、八千万国民の前に出すということは、私は、そのずうずうしさにまことに驚く。(拍手)
 これは、私が言うだけではありません。反対党の選挙区をずたずたにちょん切って、戦おうとしても戦えないようにして、これをたたきつけようとするところの、反対党をなぶり殺しにするところの反対派虐殺案なんだ。(拍手)こんな案を出して、これでフェア・プレーだとか、これで公明なる政治なんだということは片腹痛い。(拍手)
 かつて、戦争中に、東条軍閥内閣が、戦争を遂行し、反対派の意見を屈服さして、自分の意思を遂行させるために翼賛政治会というものを作りました。推薦選挙を行なって、推薦をせざる者はどんな力のある人でも当選のできないような乱暴な選挙を行いました。そのとき、鳩山さん、あなたは敢然としてこれと戦ったじゃないですか。(拍手)その推薦選挙に反対されたじゃないですか。あなたが、その翼政会の代議士会において敢然としてこれに反対し、そのときの幹部と戦って、ついに少数で敗れて、即日あなたは東京を去って軽井沢に行かれた。それ以来、戦争が済むまでは軽井沢におられて、一ぺんも出てこられなかった姿を私は知っております。私は、そのときに、鳩山さんという人の本心を見抜いたような気がした。しかるに、今日あなたのやられることはどうですか。東条内閣と同じことですよ。(拍手)推薦選挙と同じことですよ。小選挙区制をもって代議士を脅かしておるではないですか。この法案は、憲法改正を行わんとするところの、その準備工作であると申します。鳩山さんはそうでないと言った。そうでないと言っても、私はそうであると思う。
 しかし、それ以上にもっと重大なることは何であるか。自由党と民主党が卒然として合流した。党内はなかなか統制がきかない。従って、現幹部は、どうして強力なる党内の統制をするかということに心を砕いた。そこで、その結果、こういうものをやって、自分の力のもとに、公認を受けないやっは議会に出られないようにして、これを縛りつけようとするのだ。(拍手)その結果はどうですか。議会における反対党は、制度を変えて虐殺をしようとする。自分の党内におけるところの反対派は、公認、非公認によってこれを縛りつけて、議席を得させないようにして、自分の思う通りにしようというのだ。そうすると、結局は、さっき島上君が指摘したように、一種の一国一党を夢見て行なっておるところの統制ではないか。(拍手)代議士の統制のために作ろうとしておるのではないですか。どこに理由がありますか。どこに民主がありますか。これこそ議会政治の自殺でなくて何でありますか。
 私は、かようなことを鳩山さんに言いたくはない。言いたくはないが、事ここに至っては、どうしてもあなたに反省を求めなければならない。あなたは、長い開議会政治擁護のために戦ってこられた名誉ある歴史を持っておられる。しかも、父君以来二代にわたるところの、政治的な、りっぱな経歴を持っておられる。それが、こんなことをして、日本の議会政治を葬るようなことをして、どうして、あなた……。(議場騒然、聴取不能)こんなことをしておる、あなたの党内の人の、そういうようなおもしろからざる企てに対しては、断固としてあなたが許さないのが、党の総裁としての当然のことじゃないですか。(拍手)
 私は、今日これをだれが立案したか知りません。ハトマンダリング法案であるとか、あるいはミキマンダリング法案であるとか、キシマンダリング法案であるとかいわれますが、そのどれがどうだか私は知らないけれども、おそらく、鳩山さんは、本心からこういうものをやろうと考えておいでにはならないと私は考える。あなたは、ほんとうに自分の良心に従って、正しいと思うことをやっていただきたい。先ほど、もうこういうものを出してから、どうにも法がないじゃないかということを言われましたが、そうじゃない。だれでも、世の中にはあやまちのない人はないのです。間違ったら、なぜ改めないか。間違ったことを改めないでいるために、ついに日本は戦争に負け滅びたじゃないですか。(拍手)自分がいけないと思ったことは、勇敢に、率直にこれを取り消すか、あるいは抜本的な修正を加えるかという方法を、なぜおとりにならないか、私は、ここに、鳩山さんのこれに対する良心的な御答弁を伺いたい。
 もう一つ、第二は、この小選挙区法案によって、二大政党の理想的な対立をさせるような形態を作りたいとおっしゃる。約五百人くらいの与党の候補者に対して、反対党がやはりそれと同数の候補者を立てるということになりましょうが、しかしながら、現実の事実をいったら、反対党の候補者は立ちません。そんなにたくさんおりはしないのだから。そうしますと、現実のこととすれば、無所属、中立がたくさん出てくるでしょう。無所属、中立がたくさん出てきて、自民党と、しのぎを削って争ったらどうなりますか。あなた方の反対の党派がたくさん出てくるじゃないですか。第二党も第三党も第四党も出てくるじゃないですか。そうすれば、多数党政治をあなた方が作るじゃないですか。私どもは、このくらいのことは鳩山さんが考えておいでになると思うが、政党法なんというものを作って、議員を権力で縛りつける。結社の自由を認めたる憲法議会において、そんなことができますか。(拍手)一つの間違ったことをやるがために、もう一つ間違ったことをやらんとする。(拍手)私は、この点についても、あなたのお考えを伺いたい。
 もう一つ、第三の問題は、大よそ法律というものは、正義を擁護するという建前に立たなければならぬでしょう。正義を擁護しない法律なんかあるか。悪いことをする者を擁護するような法律があったら大へんじゃないか。この法律には、その正しい者を守るという精神がどこにありますか。めちゃくちゃに悪いことをしている。法律自体が間違ったことをやっている。天下万民が認めないことである。私は、あなたの友人の中から、あなたの知人の中から、大勢の人々が、あなたにもうこんな間違ったことをおやめなさいと言って、ずいぶんたくさん忠告が来ているだろうと思う。たくさんの、あなた方の親切な友だちから、尊敬するあなた方の友だちから、こういうことをおやめなさいと言って、ずいぶんあなた方に忠告が来ているはずなんだ。しかるに、それを無視して、世論を無視して、謙虚な気持にならないで、傲慢な気持で、あなた方がこの法案を押し切ろうとすることは、天下に災いを残すだけなんだ。(拍手)
 もし、こういう、八千万の国民が認めても、一人でも、この法律はよくない、間違っているということがはっきりわかっているような法律を通した場合に、どうなりますか。法律というものは、正しい意味でできるのじゃない、正義を守るためにできるのじゃない、これは、権力を持ったやつが、自分勝手に、法律をどんなにでも作り変えることができるのだという観念を頭の中に入れ込んだら、法に対して国民が軽べつをしますよ。法律を軽視する。(拍手)順法精神が喪失する。順法精神が喪失して、あらゆる法律に対して国民がこれを守らないということになったら、国の秩序が乱れて、国家動乱の基をあなた方が招来することになるじゃありませんか。私はよく考えていただきたいと思う。(拍手)一党一派が勝つか勝たないかの問題じゃない。国家百年のことをお考えなさい。この点に対して、この順法精神に対して、どうあなたはお考えになるか、その観念を、私は鳩山さんから伺いたい。さらに、最後に、太田自治庁長官に伺いたい。太田君は、戦前から、その聡明さにおいて、私は尊敬しているところの政治家である。その太田君がこの法律を作ってお出しになるには、あなたもずいぶんいやな気持でお出しになったに違いないと思う。反対党を虐殺するような法案、反対党が立とうとしても立てないように手足を縛りつけておいて、そうして、これをたたきつけるような卑怯未練な選挙を行おうとする、こういうような法案を、太田君が心から喜んでお出しになったとは私は考えない。(拍手)なぜ、あなたは、こういう法案であってはいかぬとおっしゃらないのか。どうして、敢然として、こういうものに対してあなた自身の考えを織り込まないか。あなたは、伴食大臣のいすに、そんなに恋々としていたいのか。(拍手)昔の気骨稜々たる太田正孝君がどこにある。あなたは、この際、こんな間違った法をけとばして、敢然としていすを投げて、そうして、昔の、りっぱな、本然たる太田正孝君の姿に立ち返る気はないか。あえてあなたの答弁を要求する。
 以上、私は四つの問題をここに質問しまして、御答弁をわずらわしたい。(拍手)
    〔国務大臣鳩山一郎君登壇〕
○国務大臣(鳩山一郎君) ただいまの小山君の御議論は、結局、このたびの小選挙区法案は党利党略によってできておるものであるということを前提として御議論なさったので、その党利党略によるという根拠は、区制案によって小山君はそういうような観測をなされたのだと思いますが、この区制案につきましては、よほどの注意をもって公正にやったものでございます。(拍手)今回の区画案は、選挙制度調査会の答申の趣旨に従いまして、地勢、人口、交通、行政的沿革等、諸般の事情を総合いたしまして作成したもので、この区画案を作るのには、ほんとうに真剣に、誠実にやったものと私は確信をしております。この土台のもとに、私に対して二、三の質問がありましたが、これは太田君から答弁してもらうことにいたします。
 これで私に対する質問の答弁にいたします。(拍手)
    〔国務大臣太田正孝君登壇〕
○国務大臣(太田正孝君) 小山君にお答えいたします。旧友として私に対する御忠告は感謝いたします。
 問題は、小選挙区制度、今回政府の提案したこの法案は、党利党略によっているかどうかという問題であります。第一は、選挙制度調査会の答申を顧みなかったということでございますが、区制は四百七十七であります。そのうちに全然調査会の案に手を入れなかったものは二百六十あるのであります。しかも、……。
    〔発言する者多く、議場騒然、聴取不能〕
○議長(益谷秀次君) 静粛に願います。
○国務大臣(太田正孝君)(続) しかも、残る……(議場騒然、聴取不能)問題となりますものは、第一は……(議場騒然、聴取不能)第二は、いわゆるゲリマンダーの問題であります。第三は、社会党を落すがためにやったかという問題であります。
 私は、選挙制度調査会の皆さん方が一生懸命に案を作って下すったことについては感謝いたします。しかしながら、一人一区制に無理のある場合があることも認めたのでございます。すなわち、茨城県日立ブロック、埼玉県大宮ブロックのごときものは、ここに一人区とすることの無理があったのでございます。私どもは、地勢、人口の上からして二人区にすることがよいと認めたからであります。申し上げるまでもなく、緑風会の案におきましても、最初百二十三区を設けておるのでございます。また、その後に改訂しても七十六となっております。明治二十二年、大正八年における選挙法においても同様であります。私どもは、二人区にしたことは間違いないと思います。一体、選挙制度というものは、ただ一つあるものではないのでございます。
    〔発言する者多く、議場騒然〕
○議長(益谷秀次君) 静粛に願います。
○国務大臣(太田正孝君)(続) また、私は、社会党を落すがためにかような条を作ったのではございません。これは確言しておきます。最後の投票をきめるものは国民であります。その国民に向って党利党略でもって対すべきものでないことは、私の説明を要しないことであります。(拍手)
○議長(益谷秀次君) 先ほどの鈴大君の発言中、もし不穏当の言辞があれば、速記録を取調べの上、適当の措置をとることといたします。
 これにて質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
○議長(益谷秀次君) お諮りいたします。公職選挙法改正に関する調査特別委員会の委員の員数を三十五名とするに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(益谷秀次君) 御異議なしと認めます。よって、その通り決しました。
 増加の特別委員は追って指名いたします。
     ――――◇―――――
○議長(益谷秀次君) 本日はこれにて散会いたします。
    午後八時三十六分散会