第025回国会 大蔵委員会 第7号
昭和三十一年十一月三十日(金曜日)
    午前十時三十五分開議
 出席委員
   委員長 松原喜之次君
   理事 有馬 英治君 理事 黒金 泰美君
   理事 高見 三郎君 理事 藤枝 泉介君
   理事 石村 英雄君 理事 春日 一幸君
      大平 正芳君    奧村又十郎君
      加藤 高藏君    吉川 久衛君
      杉浦 武雄君    内藤 友明君
      西村 直己君    古川 丈吉君
      坊  秀男君    前田房之助君
      石山 權作君    木原津與志君
      田万 廣文君    竹谷源太郎君
      平岡忠次郎君    横錢 重吉君
      横路 節雄君    横山 利秋君
      石野 久男君
 出席政府委員
        大蔵事務官
        (主税局長)  原  純夫君
 委員外の出席者
        参  考  人
        (臨時税制調査
        会会長)    原 安三郎君
        参  考  人
        (臨時税制調査
        会副会長)   汐見 三郎君
        専  門  員 椎木 文也君
    ―――――――――――――
十一月二十九日
 昭和三十一年の年末の賞与等に対する所得税の
 臨時特例に関する法律案(石村英雄君外十二名
 提出、衆法第五号)
の審査を本委員会に付託された。
同 日
 税制改正に関する陳情書(東京都中央区日本橋
 茅場町二丁目四番地全国中小企業等協同組合中
 央会長豊田雅孝)(第三六五号)
 預金利子の免税措置に関する陳情書外一件(川
 崎商工会議所会頭根本茂外一名)(第三六六
 号)
 売上税設置反対に関する陳情書(大阪市西区西
 長堀北通三丁目十番地全日本木材市場連盟理事
 長久我俊一)(第三六八号)
 貸金業者の取締に関する陳情書(東京都北区上
 中里町一丁目十四番地太田村政研究所長太田政
 記)(第三九二号)
を本委員会に参考送付された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 税制に関する件
    ―――――――――――――
○松原委員長 これより会議を開きます。
 税制に関する件について調査を進めます。本日は明年度税制改正の問題に関連して、臨時税制調査会の審議の経過等について説明を聴取するため、臨時税制調査会の会長原安三郎君及び同副会長汐見三郎君の出席を求めております。参考人の方には、お忙しいところを御出席願いまして、ありがとうございます。
 それではまず参考人の方より臨時税制調査会の審議の経過について大略の御説明をお願いすることといたします。原安三郎君。
○原参考人 この臨時税制調査会は、昨年の七月に委嘱を受けまして発足をいたし度したが、それで三十一年度の税制のあり方についての調査を始めました。それはちょうど夏休みなども入りましたし、それから材料不足の点もありましたし、もう一つは、二十八年度に、別の調査会でありましたが、その結論が二十九年度、三十年度に実行されましたものの実績の経過、あるいは結果などの勘案もいたしましたので、一応そういうものをにらみ合せつつ、二十数回代表委員会を開きました結果、十二月の八日に、三十一年分に対して中間報告と称して答申書を出しました。そのときに研究された大ワクは、やはり今度の調査会も同じ委員で組織されておりますから、それが中間答申になっておるわけであります。三十二年度の調査は、すなわち時期がだいぶおくれたのですが、本年の一月の末から始められていたものが、ここにただいま申し上げます調査会のなり行きでございます。ただしかし、昨年の三十一年分としてわれわれが答申をしましたものの大きな柱は、再検討はいたしましたけれども、大きな変更はなく、それをそのまま実際の面に盛り上げていったという結論になっております。御存じの通り、税制のあり方というものを、理論的の面と実際の面と実施面と数段階から検討いたしまして、日本の現状における経済情勢、その他あらゆる角度からの見方を盛り込みまして、なるべく実施のできる――現在の政治情勢と申し上げたいのですが、現在の日本の情勢にあまり離れないものに持っていかなくてはならぬということが趣旨でございます。二十五年から始まりましたシャウプの勧告による税制、すなわち、これは主としてアメリカの命令で、数人の調査団が来て大急ぎで日本に確立されましたシャウプのあの税制も、その後実際面に合うようにたびたび修正されております。その修正されたものが、また最近には再修正の面もあるし、修正の足りないところを直していかなければならない面もある、いろいろそて行きますのがわれわれの任務であります。これはわれわれ調査会の委員にも、それぞれ常識を出し合っていただきましたが、なかなか忙しくて集まっていただくひまもございません。材料の収集において、一応また本年度四月以後の税収の実勢などもにらみ合せなければならないものもありますので、本年九月ごろくらいからが実際上の面の結論が出るという次第になると思います。これが一般のなり行きでありますが、そこで、昨年度考えられましたうちに本年度も続いておりますこととしては、やはり税負担が非常に重い。税によって国費をまかなっておる面が非常に多い。それでは、その税のどこが重いのかということに次に入るわけです。その重いことははっきりしております。今度は、その税の重い面がどういうふうに重いか、またその重いためにどんな結果が生じておるかというようなことを考えていますうちに、やはり税体系では、直接税と間接税と、これと関連してやはり地方税の問題に入りますが、この三つのものが重くなっておりますから、調査会はこの三本の柱をだいぶ今年度が進行してから作りまして、そして分科会で相談しながら、また分科会同士の交流もはかりながら進んできて、最近に起草段階に入っておる、こういうことであります。
 そこで今申し上げました三つの税のうちで、まず昨年から問題になっておりますものは、戦争前と比較し、また他の諸国の税制情勢から比較して、日本はいかにも、ことにシャウプの勧告以後は直接税が少し重過ぎやしないか、税として直接税という大きな柱を考えた場合に、間接税とのウエートがどうも重いのではないか、そのうちで組織もいろいろ分れますが、個人所得税がやはり重い。法人税も軽いとは申しませんが、一応個人所得税が著しく目立つ。また目立つばかりでなく、実際にいろいろな御意見を国民、税負担者から聞いておる、こういう状態になっております。その多い点は、納税者の数が戦前と比較して多い。これはいろいろな面から日本の経済状態が変っておりますから、この数字だけからは申し上げられませんが、税収といら大きな面から見て、どうも個人所得の方が国民所得と比較しても重い。直接税中では個人所得の税金を軽減する。そうしないとどうも事業意欲だとか、あるいは生産意欲にまで影響してくるのではないか。もっと心配すると、何となく働きがいのないような気持もしますばかりでなく、それがために納税道徳にまで影響してくるので、なるべく回避したい、そんな考えに入っております。経理の面からいっても、交際費だとか、旅費だとか、すなわち損金勘定に入るものの方に振りかえていって、収入の増大、消費の増大がなかったようなことにする。これは経理面からの悪影響がある。そういうものを数えてみますと、なかなかたくさんあります。でありますから、とりあえず直接税のうちでは個人所得税の面、でき得べくんば法人税、このように直接税に対する考え方をきめたわけであります。
 そうなりますと、それじゃどの程度どうするか、こういうことになります。これはこまかい問題になりますから、いずれ汐見さんも見えておりますので、後ほど御質問願いたいと思いますが、結局税源をきめまして、税源の考え方が今年の一月や二月ごろではわからないものですから、それで九月の実積が大蔵省方面から現われ、十月ごろ詳しいものが出て参りましたときは――本年度に自然増収が相当多くあったことも現われて参りました。そこで具体的にどんな程度直接税のうちの個人所得税の減税がはかられるかということを、数字で検討することができることになったわけであります。その結果、まあ一応一千億円は自然増収がある、こんな見方をいち早く考えまして、この全体を減税に持っていこう、国家の経済情勢の増大、その他国民生活の強化からいってそれは半分だけの五百億として、その残りの五百億場をもし減税にすれば、これがさっきちょっと触れました間接税のウエートをもう少し直接税よりも重くしたいという考え方、これが昨年の調査会の答申にもありました。その面について一応研究を進めたわけであります。
 もう一つはかねて問題になっておりましたのは、これも昨年の答申書にあります。すなわち租税特別措置によるもの、これは必ずしも大企業だけではありませんが、ほかの一般税負担者よりも特別の措置が講ぜられておるゆえんのもの、またはゆえんでないもの、この措置を実施しようじゃないか。終戦後経済もだいぶ正常化したし、一方からいえば財政も正常化して、税の整理をやろうというときであるから、これを減そう、すなわちこの面の検討を重ねました。こういうのは割合に時間がかかりましたが、この面からやはり初年度二百六、七十億、これは経済の情勢の動き方で変って参りますので、来年では四百億、五百億くらいできるのではないか。今申し上げました減税額千億というのですから、とりあえずは二百億、そこで間接税を推算で二百四、五十億増加することができれば、増収の五百億を加えて一千億になる。これが一応出ましたが十月ごろでありますから、その後また自然増収の問題もあるわけですが、これはしかし個人所得税だけに向っておりますから、やはり法人税も、これは別段特別措置が法人税につながっておるということではなく、別の面において法人税全体をしても軽からざる状態でありますから、個人所得をその程度で見て、もしいろいろな財源が許せば、あるいはもう少し法人関係を考えてもどうかという意見もたびたび委員中に出ましたが、そう広い面に向うこともできませんから、今のような点で一応現在の状況は進んでおります。
 しかし法人に対してどうしても何らかしてやりたい、その点から見ますと、これは少し連関しますから私の説明がちょっと詳しくなりますが、法人税も国税の法人税と地方税の法人に対する事業税、こういう法人事業税の面で軽減ができなかろうかということ、その面についてまだ割り切っておりませんが、やはり法人税を経減する面では地方税もやっていきたい。そのセンスはこういうこんなんです。どうも国税は、中央の税率は下ったから一つ地方の方もこの際下げていくということにすれば、国民も納得がいくのではないか。そのときに何をやるかというと、とりあえずは法人の面で軽減したいということから、地方税の中から法人事業税を減らすということが考えられたわけであります。この点はまだ地方税を割り切っておりません。地方税もたびたび調査会でやっておりますけれども、まだ結論を出すに至っておりませんが、そういう希望は持っており、また捨てておりません。しかしこれも税源のあることがありますから、特に地方は最近、本年度あたりから地方財政の再建を確立する案を立てて、短かきは五年、長きは十五年にわたっての案を立てておるわけでありますから、それがたまたま国税の減税によってそのしっぽを背負っていく。すなわち交付税のごとき二五%、ちょうど千億円の国税の減税によってはっきり二百五十億減る。こういう面からどうしても影響がございます。
 この千億の減税の詳しいことを申し上げようとは思いませんが、ことにその税率の面において今日われわれの考えておりますのは、今まで数回にわたる個人所得税の減税は、控除率の増大をやってきた。長い間大体据え置きになっておるといわれております個人所得税の累進率を下げていく。従来の累進率は非常に急カーブでありますために、これなども生産意欲、事業意欲を阻止しているのではないかと思いますので、この改正に力を入れましたから、自然ここに基礎控除と両方の面から納税者が減ります。こういう関係から、そのしっぽが地方税に参りますから、地方税も相当減る、こういうことが見られますが、やはり国が全体として減税したのであるから中央・地方両方税減した形が、われわれとしては税の公平性からいっていいのではないか。またことに日本の法人にかかっておる税金のうちで地方で取っている住民税中の一部、または個人所得税は必ずしも軽いとはいえませんから、この面の調整もできればいいということを考えておったのが個人所得関係の問題なんです。
 これは、必ずしも個人所得税にぜひ足並みを合せなければならぬというのではありません。そういう行き方が妥当ではないかと考えておりますが、税源の関係で、まだ実行の線を出しておりません。しかし、基礎段階ではそうしたこまかい問題には入りませんが、空気はそういうふうにいきたい、こう思っております。
 そこでいま一ぺん国税の角度に戻りまして、間接税の問題です。間接税でわれわれが一番大きく取り上げたいのは、列国の例を見、またそうあるべき姿だと思っておりますのは売上税です。ところが日本は戦争後取引高税をやりましたが、徴税関係その他いろいろな面からその運用が大へんまずかった。まるで国民全体におそれられているということなんです。おそれられたのでびっくりして全部よしてしまった。少しでもしっぽが残っておれば、またそれを築き上げていけますが、何もありませんから、前にそういう実績があるということで、一つ新税を作ろうというような形では、国民に響きますから、なかなか評判が悪い。その上にまたこの売上税は大衆課税ですから、大衆に課税するということは、一応の決心を要します。戦争ということがあれば簡単にいきますけれども、それよりも国家的な大切な問題は、一般の人たちがこれによって利益になるということでなければいかぬ。
 私は直接税を相当減らすときは、間接税の中で売上税をやれるのではないかと思ったのですが、これは二十七人のうちの一人、二十七分の一の考えですが、昨年はそういう考えを持っておりました。しかし実際面に当ってみると、あつものにこりてなますを吹く以上のいやがられ方なんです。それはもう皆さん御存じだと思いますけれども、他の調査面において直税係の方で、また売上高税ができたからといって別に訓練をした調査員を国税庁関係は持っておるわけではありませんから、自然にそれが所得税その他の調査にからむような感じを抱かせたということもありましょう。原因はいろいろありますが、今はそんなふうにやられているのですから、それをやる上にはよほど思い切ったことをしなければ、また実行できないものでは理想とは言えません。しかし文明国は、英米は別ですが、その他の国は実は相当に取っております。売上高税については、われわれは妥当であり、やるべきものであり、よけい消費すればよけい税収があるわけでありますが、今申し上げましたような国家的な必要に応じた財政支出が必要である、国民全体にわたって社会保障に役立つもの、またはそれに似たものでなければできないのではなかという感じを今持っております。しかしこれは私の考え方です。
 国民全体の税に対する考えの進歩というか、考え方の変化から実行ができるかもしれません。そこで、売上税の方はちょっと見送りの形で列国の情勢を見てやるべきものである、また取りいいものである。取りにくいという考え方もありますが、やり方によれば取りいいものであるということは、言えば言えますけれども、これは見送りまして、自然その次に参りますものは物品税です。
 その前に間接税では、砂糖消費税とか酒税とか、これは準間接税でありますけれども、専売公社の運営しているたばこの関係のもの、あるいは揮発油税などがあげられます。酒については、相当上げて参っております。今消費は戦前の状態に達していないとは言えますが、酒についてはもう上げられないのではないか。むしろ現在のものを整調していかなければならないという考え方もある。そういう点から、この面でもうあまり取れない。それから砂糖も数回上げて、昨年も上げております。砂糖消費税も消費税としては大体重いものになっておる。ガソリンの方は、今度率を上げますが、道路建設関係の道路税の値上げの関係がありますから、これはすぐわれわれの方で今考えておりまする減税のファンドには使えない。
 ところが、今申し上げましたいろいろの種類の間接税の税率などから考えますと、物品税は、中には消費的なものは三〇%、五〇%という高いものがありますが、その他のものは低い。のみならず、これは理論づけるのではありませんけれども、従前は、大体において物品はみな少く苦んでおったが、近ごろは経済情勢がよくなって相当そろい、ものの消費も、堅実であります。けれども、比較的ふえておる。やむを得ず、どうも理論はないが、物品税の増徴――増徴というのは、旧来の品物に対してリベートをふやしますから、これは整調という方向に――高過ぎるものもありましょう。今までのものも、私から見て、ちょっと無理なものがあると思いますけれども、それをどの程度まで増徴で上げるかの面、すなわち税率の免税点の低いものを高くするなどの整調、ほかに従来の物品税とにらみ合った形のもので、一応耐久的の消費について、これを一つ上げていこうじゃないか、こういう案が出ております。これは非常にむずかしい問題で、理論がない。どの品物が妥当かということは言えませんしわれわれの委員会でその品物を一々取り上げて、何をとろうか、何をよそうかということは言いかねますが、原則を何かできるだけ早く発見したい、これを実行の行政の方に回したいということが考えられます。しかしちゃんとはっきり線が出ればけっこうですが、出なければ、時間もないし、そういうことで、間接税の問題は見送っていこう、こういうことになっております。
 それでもう一つ税源に考えられております初年度四分の一、二百五十億、現在は二百七十億五千万円見ておりますが、これは推算でありますが、その程度初年度でその面から融資をしてほしいという特別措置の数字項目の整理。これはこまかいことは御質問によって申し上げますが、大体一番大きな数字は、利子の非課税。これは時限的なもので、やむを得ないものは延ばしますが、時を限ったということは、そのときまでなら一応よかろうという初めの取りきめであった。推定としまして、これは期限のあるものはよそう。やむを得ないものはつけなければならぬが、せっかくここまで特別措置をやって、税制によって仕事を援助しておるものを、大切なときに切ってしまうということは、かえってやらざるにしかずということになるおそれもあります。そういうものは特別に延ばしてもらおう、大体そういうことになります。
 それからもう一つは、利子がやはり時限的になって、非課税が相当の額になっている。これに一連の配当金を出す、これは同じ理由からやめていこう。こういうものが七項目ほどに分れまして、たとえば貯蓄奨励の利子問題、それからもう一つ資本の充実のために考えておりますが、増資に対する問題、これはもう来年一月三十一日の期限で、この一連のものは、今後やるとしても一応やめていこう。
 その次に起ってくるのは内部保留の問題、これが数項目に分れております。中には繰り延べというものもございますが、これはいろいろ調整してやっていこう。それから従来やっておりますうちの企業の近代化または設備投資の奨励をやっておるとか、償却の点でやっておりますものは残しておくし、都合によっては特別な機械設備、あるいは化学工業などについては、もう少しこれはふやしてもいいのではないかという考え方を持っております。その次に起って参りますのが輸出奨励の問題、この三つの問題があります。みなこれは時限的になっております。そのうちの輸出所得の控除の問題だけは、これは来年の十二月三十一日になっておりますけれども、これは法律が間に合わなくても少しこれを延ばさないと、ガットの加入の関係などで、まだ十分な用意ができていない国もありますが、そういう外国との準備なりもありますから、この点日本は現在の輸出増大に酔わないで、この点だけ控除は延ばしていこうという考え方を持っております。
 その次にくるのは、大正二年からあるといわれている重要産業の助成、これは現在四十四項目助成されております。この問題はいろいろ議論がありましたが、一応これは原則としてよそうじゃないか。しかしながらすでに法律で許されているものの経過的なものはいいが、ただ、今までの運用が必ずしもよろしくないという点があるので、やるとしてもちゃんとしたワクをきめて、期限のごとき、または増設の際のごとき、または増産に対する援助のごとき、こういう面をよく検討してやれるような制度にするということにいきたい、こういうことであります。
 その他特別措置としては、米穀代金の売り上げに対する一応の免税がございますが、また財産取得に対する問題とか、飛行機のガソリン税の免除の問題とか数項目ありますが、金額が多いから取ってしまえ、軽いからよしてしまえということではないのであります。今申し上げた方針のもとに特別規定を設けていくということになっております。
 これはもうその中に入っておりますが、まだきめなきゃならぬものがたくさんあります。大ざっぱに内部保留と申し上げましたが、この項目のごときも、そのうちには退職手当の問題、価格変動準備金もありますし、貸し倒れ準備金の問題もいろいろございますので、これが実行面では、皆さんにそれぞれ御研究願うと思いますが、私たちでは私たちなりの研究をしたものを、できるだけ今度の報告には詳しく書いて、そして漏れなく一般国民に対してわかりやすい答弁を作りたいと考えております。
 そこで、今直接税、それから間接税の減税の問題、この関係からくる地方税の調整の問題がありますが、私たちが税制の問題を考えるときには、むろん国、地方を通じての税制の問題の妥当性を確立する、負担の不均衡をなからしめるということが原則であります。しかし地方では税収が非常に少い。これを理想として考えてみれば、釈迦に説法でございますが、地方は地方として収支の確立ができれば、それに越したことはない。この点は、地方制度に関する調査会の制度調査、その方とにらみ合せなければ、われわれの税制の面だけでは考えられない。こういう点から、今とりあえず現在の制度によって妥当なものを求めたい。特に昨年から問題になっておりますのは、地方団体の中には富裕団体と貧弱団体、交付団体と不交付団体がある。すなわち、今申し上げました交付税をもらっていない団体、これは主として大きな都市数個でありますけれども、このほかは、法人事業税などで地方でも控除率やその他の措置は都府県でやっておりますけれども、その辺が自然にふえてかさんでくる。これを何か調整する必要があるのではなかろうか。一体地方団体四十六というものは、みな同じような文化設備もしなければならぬし、社会施設もしなければならぬし、同じような形でもっていかなければ、国全体としては考えられない。でありますから、そういう貧弱団体と富裕団体のあることは、そこに住んでおる住民の保護をしていくという点において非常に問題がございます。これは税制の面ではございませんが、一般の国民として考えていかなければならない。同じような利害関係を持つことになりますから、この点は地方制度調査会に譲らなければならぬ点もありますけれども、税制の面からも考えていかなければならぬ、こういうことであります。
 もう一つ、これはちょっと大きな問題であって、昨年からことに所得に対する課税の不平均ということをいわれておるのは、農業課税の問題であります。農林業に対して税をかけたらどうかというのは、これはこの前の中間答申にも簡単に触れられております。これは今度もたびたび検討いたしました。やはり売上税に似た性質のもので、さて実行の面においてどうか。税制としては公平妥当ということが重要でありますが、勤労所得、また営業所得、あるいはその他の事業をやっておる人から見ると、農業関係の方では、農業に対しての事業税というものがないわけであります。中には、農業県のごときは、その県の施設は、かえって農業家に対して充実した政策を実行しておるにもかかわらず、県として、県税としてのものがない、こういうことがあります。そういう点でだいぶ問題があるわけなのでございます。これも今の売上税と同じようにやらなければならぬということであって、税の均衡を保つためには、税制としてやるべきものだということで割り切っておりますけれども、実行面においてどうかということで、報告書には、われわれの考え方は書くことになる、こう思うわけであります。その他こまかいところは、地方の問題としては小さな問題でありますけれども、基地関係の税収の問題とか、あるいは最近に新しく問題にされている消防施設税の問題とか種々ございますけれども、これは小さな問題ですから、私からの大きなワクの説明にははずしておきたい。こう考えるわけなんです。
 汐見先生は副会長をやっていただいておりますけれども、税制研究会の会長で、日本のそういう研究では権威のあるお方でございますから、今度はいろいろ御調査を願っておりますから、詳しいことを、あるいは補足をしていただきます。汐見さんからお願いして、一応私の御説明は終りたいと思います。
○松原委員長 この際委員諸君に特にお断わり申し上げたいと思うことは、汐見参考人は、本日の「はと」で西下されます予定なので、十一時半過ぎまでしかおいでになることができないのであります。御了承をお願いいたします。なお原参考人は十二時半に、これまたよんどころない所用がありますので、それまでに本委員会を辞去される予定でございますので、これまた御了承をお願いいたします。
 質疑の通告がありますので、これを許します。横山利秋君。
○横山委員 時間があまりありませんし、ほかの委員の御質問もあるでしょうから、簡潔に御質問をいたしたいと思います。
 税制調査会には非常に長い間御苦労さんでございますけれども、第一にお伺いしたいのは、その調査会のものの考え方、もちろんこれは個々のお方によっては違いましょうが、大勢としてお考えになっている方向を二、三承わりたいと思います。これは今の国民の税に対する考え方が、重いということが第一であり、不公平ということが第二であり、わからないということが第三にある、こういうふうに私は理解をしておるのであります。今度の構想の中で、わからないという点については解決がどうも与えられてないようでありますが、これは別として、重いと不公平のうちにどちら重点が置かれておるのであろうかということを考えるわけであります。一千億減税は、重いから減税をするのか、それとも不公平をこの際徹底的に是正をするという意味において入り繰りを考えておるのか。どちらに結果としては重点が置かれておるのでありましょうか。この点を第一にお伺いいたします。
○原参考人 では私から申し上げます。実は両方にわたっておる点、すなわち減税すればすぐに不公平がなくなると、こういうふうなものがあればなおけっこうですが、大体そういう両方を、一石二鳥をねらったわけなんです。一石二鳥をねらいましたが、必ずしもその一石二鳥になっていない減税に堕したものもあると思いまするが、まず一例をあげますと、法人と個人との間に非常に税の不公平がありました。それは個人の負担が重くて、法人の方が軽かったということから、御存じの通り、一カ年に二万も三万も終戦後法人がふえました。これは、私ちょっと触れませんでしたけれども、今度税率の変更をして軽くするという面から、今度は約七百億くらいの減税をねらっておるわけなんです。それから基礎控除あるいは勤労所得控除なんか、そういう一連のもので三百億、両方で一千億という計算になっておりますが、税率を変えましたことによって、個人所得の重さが今度はなくなるのじゃないか。それは税率を下げ、そにれよって不公平をなくする、こういうことになるわけであります。それからもう一つ、これはまだ実行の線をはっきり出しておりませんけれども、勤労所得と株式配当、または利子所得収入によって生活しておる人を比較すると、少し勤労所得によっておる人の方が割が悪いのじゃないか。そういう点から、やはり配当控除率が二カ年間の間に三〇%になっているのを二五%に一応下げることになっておりますが、今度は相当収入の多い人が配当収入を取っている場合に、二五%ならばちょっと引き過ぎになる。すなわち法人税率の点からいって、法人が四〇%税を取られている点からいって、ああいう見方をしたわけなんですが、あれなどはやはり一応高いところの収入を持っておる人には配当控除を減そうかということで、まだ数字は決定しておりませんけれども、進めたいと思います。大体においてそういう面からも考えております。
○横山委員 いろいろとお伺いしたい点もございますから、まことに恐縮でございますが、簡潔に一つお願いをしたい。
 今両方にかかっておるというお話でございます。かりにまず第一に重いという点を考えてみまして、皆さんの結論に私そろばんを置いてみますと、所得税を納めている人は大体半分かないしは六割くらいに各階層とも均等に下げられる。低額所得者がちょっと率が多いかもしれませんが、大体において均等だという感じがいたすのでございます。どの階層が重いかということについて、調査会としてのお考えの中心がどこにあるか、私ども多少わからないのであります。
 それから不公平という点で、今のお話で二、三の問題点を提供されました。一つには、天引きされる勤労者と他の所得者が第一の問題であるとおっしゃいました。また個人と法人が第二の問題である。それから大法人と中小法人とが第三の問題である。こういうお話がいろいろなお話の中であったわけであります。その提示された三つの不公平の中心で、どれが一番重点があるかということをお伺いいたしたいと思うのです。たとえば第一の勤労者とその他の不公平を最初問題とされたわけですが、かりにその一例を取ってみますと、今度たしか五十万円までは二〇%という勤労控除をお取り上げになっておるようですが、この分ですと、今までの例からいきますと、四十万円以下にはこの恩恵はないのではないか。頭打ちを八万円から十五万円に伸ばした七万円の伸ばした分というものは、所得年間四十万円以下の人に恩恵がいかないで、その以上の人に恩恵がいく。このことが勤労者とその他の階層に対する不公平を直したことになるであろうかどうか、こういう疑問を生ずるわけです。先ほどの質問に関連して、簡潔でけっこうでございますが、その二点をお伺いいたしたい。
○汐見参考人 私原会長の説明を補佐いたしまして、答弁いたしたいと思います。重いのと不公平との問題でありますが、両方ともまつわっておるわけでございまして、租税は、書かれたる税法と行われる税法と両方あるわけで、日本の税法というのは、ごく進歩した税法で、横文字に直すと外国人がびっくりするくらい進歩した税法です。現実問題は行われている税法で、それが現実に行われているかというと、相当ゆがめられて行われているわけです。それはなぜかというと、重いために、原会長から説明がありましたように、つい交際費というものが多くなっているとかいろいろしているところがある。それからまた事業者の方がなぜ負担が軽くて給与者の方が重いかというと、これは税の計算からいえば、私は事業者は相当重いと思っております。現実問題、税務行政両方の面で、主税局の仕事と国税庁の仕事が、脚本と舞台の演技とがぴったりいかなかったところがあって、今度それを軽くすることによって、舞台の演技と脚本がしっくりいくようにやっていきたいというふうな考え方でやっているわけです。
 それから公平問題につきましていろいろ問題があると思いますが、給与所得者の方で、たとえば二〇%控除を維持しているじゃないか、たとえば二五%にしたらどうかというような議論も調査会で出たのでございます。そこになってきますと、今の税率のままでおりますと、今おっしゃっていることも必要かと思いますが、今度税率を大幅に下げていくということになりますと、事業者に対しましても給与者に対しましても、私は相当公平に行われるだろうと思っております。もし二五%に引き上げるといたしますると、農業者はどうなってくる、中小企業者の勤労の部分はどうなってくるというふうな問題も起って参りまして、また給与所得者に対する控除が諸外国――まあ国によっていろいろ違っておりますが、アメリカでは控除しておらないというような実例もありますし、二〇%の控除というのは、一つは税務行政と税法とがしっくりいってなかった、税金が重過ぎたために両方がしっくりいってなかったことに原因があるように思っておりまして、税率が重いのを軽くすることによって、その不公平は、ある程度まで是正できるのじゃないかというふうに考えておるわけでございます。
○横山委員 汐見先生のお話も一つの見方だと思うのですが、この間調査会で国税庁の長官でしたか、主税局長でしたか、お話を承わったら、就任してずっと方々歩いて回って、何といっても勤労者の問題がどこでも取り上げられて、勤労者自体が言わないで、税金を取る方の人が言っている。徴税上問題だ。そこで議論が起って、法律上の問題でなくて徴税上の問題であろうという説明がありました。それが、税金を安くしたらその不公平が果してなくなるものであろうかどうかという点で、私は百年河清を待つような気がして仕方がないのです。かりに法律上の不均衡がなく、徴税上の不均衡が起るというのでしたら、そのところを実際問題として結果論的に取り上げてみて、これをもう少し税法上で改善するよりほかないのではなかろうか、こういう点を考えておるわけなんです。議論になって恐縮ですが、もう一回だけお伺いいたします。
○汐見参考人 ただいまの問題は非常にむずかしい問題でありまして、軽くしたからといったって改まるものじゃないというお話もありますが、私は軽くすればある程度まで改まる、一つやってみたらどうかというふうに考えております。事業者に対しまして今の税率を適用するとなっていくと、おのずから手心と申しましょうか、それからいろいろ税法通りきびしくやっていくということがむずかしくなるのじゃないか。そこで、やはり税率を下げたことによりまして、執行面がよほど緩和されることになりはしないかというふうに私は思っております。ただいま御質問のような、そういう考え方の委員の方もありますが、大多数の空気は、やはり税率を低くする方が、その問題の解決に数歩を進めることになりはしないかというふうな考え方のようであります。
○横山委員 関連して原さんの方へ伺います。それでありましたら、八万円を十五万円に引き上げることの恩恵を全勤労階級に与えられなかったものであろうか。四十万円以下の人はこの恩恵がない。四十万円以上に恩恵を与えることは、一体どういう理由でなさったのであろうかということをお伺いしたいのであります。
○原参考人 これは最近、私たち給与を支給しておる方の側から考えますと四十万円以上、五十万円以上が多いのですね。それですから実際面からいって、以下の免れるという階層はそうではありませんが、給与全体からいって、相当の額に勤労者所得は達しておる。これは階層によりますけれども、われわれ事業界の面から見て相当多くなっておりますから、私は低いところへ集中するより、もう少し高い方面に問題が起ってくるのではないか、こういうことでこの意見に賛成をしましたわけであります。
○松原委員長 なおこの際申し上げますが、汐見参考人は五十分までおられるそうでございますから……。
○横山委員 多いとおっしゃるのは、税金が五十万円以上が多い、こういうことですか。
○原参考人 そういうことです。
○横山委員 私ども、おそらく戦前比較で押し立てるのではないかと思うのですが、実際今税金を払っている人の立場は、隣の八百屋さん、表のげた屋さん、あるいはお百姓と比較して、あるいは大法人と比較してというような、目の前における実体論が渦巻いていると思う。その渦巻いているもう一つ下にありますのは、生活実感というものがございます。おれのところはこんな生活をしているのに、こんなに払わなければならぬという生活実感があるとするならば、大蔵省から出ています資料もいろいろ拝見しておるのですが、やはり戦前比較よりもなおかつ生活実感、近所との比較ということになりますと、四十万円以上が税金が安くなって、四十万円以下にそのフェーバーが及ばないということについて、どうしても一般に理解させることがやや困難ではなかろうか。月に三万円以上もらっている人が恩恵を受けて、一万円、二万円の人にこの新しい恩恵がないということは、理屈でなく実感としてなかなかそしゃくできない点があるのではないかと思いますが、この点をどういうふうに調査会としては御説明をなさるのでございますか。
○汐見参考人 ただいま資料につきまして申し上げたいと思っておりますが、改正案による給与所得の負担軽減の状況であります。夫婦子供三人の場合でありますが、三十万円の給与の方が六三・二%減ることになっております。それから五十万円の給与所得者が五三・七%減る。それから七十万円の給与所得者が五〇%減ることになっております。それはなぜそういうことになるかと申しますと、基礎控除が一万円引き上げられることになります。それから扶養控除が一万円引き上げられることになります。その作用が大所得者よりも小所得者の方へきつく響いて参りますので、そういう関係で、今申しましたように六三・二%、五三・七%、五〇%がそれぞれ軽減されるということになっております。
○横山委員 今おっしゃった数字は私も承知いたしております。逆に申しますと、六三から五三になり五〇になり、それからずっと上っていきますと、たとえば二百四十万の標準家族ですと、私の計算でいくと六〇・五に上っていくのです。結局、多少のでこぼこはあるけれども、全般的にいって同じような減税ということが、私には納得できないことが一つなのでございますが、これはこの程度で御意見もわかりました。
 それからもう一つ根本的に前提としてお伺いしたいのは、お作りになるものの考え方の前提として、今日の政治上の課題として減税か積極財政かという議論がございます。お作りになる前提として、もちろん言うまでもなく独自の立場でおやりになったと思うのでございますが、やはり積極財政に転換すべきであるという一つの根拠に対して、どういう立場で一千億減税という議論をお組み立てになったのでございましょうか。全然切り離しておやりになったのでありますか。
○原参考人 これは御存じの通り、財政も正常化し、また経済情勢も正常化いたしまして、民間の方の経済も非常に振興して参りました。インフレもだいぶよくはなっております。二十八年、二十九年の均衡財政から教育ができておりますので、減税をしてもインフレにならぬという考え方を一応持っておりますけれども、全般的に考えてインフレには――英、米、独の情勢を見ても、好景気をあまり野放しにしてはいけないというので、金利を引き上げたりいろいろしておりますが、この点は日本も同じように非常に不安な点であります。そこで私は、財政の膨脹はけっこうでありますけれども、税が――税ばかりじゃありませんが、自然増収のあったものを何に使うかというと、一応税を返してやろうじゃないか。税制調査会の人が言っているからそういうふうになるおそれはありますけれども、そうも考えます。これを財政の追加需要にもっていきますと、やはりこの方がインフレになる傾向が多いのではないか。そうして民間が立ち上っておるのだから、民間に一応まかすものはまかした方がいいではないか。そうして政府の方は、むしろ財政の緊縮というと語弊がありますけれども、なるべくそういう膨脹を避けた方がいいのではないかという――もちろんこれは二十七分の一の私の意見ですが、そういうふうに考える考え方も持っております。そういう点から、減税すればインフレになりはしないかという御心配もあるのですが、これはインフレぞならぬ。というのは、一方間接税も多少ふえますし、それからもう一つは、最近、超均衡財政が実施されて以来、消費性向が確実性をもっておりますから、消費の方はいいのですがしかしながら、今言ったように一方にはインフレの不安がありますから、財政膨脹というと語弊がありますが、必要なる国家資金であり、また日本の国の発展には、列国として経済上の施設の拡充なり、また民生生活の向上も必要でありますけれども、この際民間の好景気のときはむしろ見送った方がいいのではないかという考え方も一応あったわけであります。その点私の考えも入っておりますが……。
○汐見参考人 さっきの御質問に対しまして補足いたしたいと思っております。さきに申しましたように、三十万円の夫婦及び子供三人の給与所得者は六三・二%減る。五十万円は五三・七%減る。七十万円が五〇%減る。それから百万円が四九%減る。二百万円が四二・四%減る。五百万円が三四・三%減る。一千万円が二八・七%減る。その減る分量が大体よけいになるに従って少くなっておる。それはなぜそういうふうになるかと申しますと、いろいろ原因がありますけれども、基礎控除を一万円、扶養控除を一万円引き上げた影響、それから税率が、最初一五%で出発しておりますのが、一〇%から出発することにいたしました。それでその出発の最初が低いのであります。それから五千万円超でありますけれども、ただいま最高税率が六五%になっておりますので、大所得者にもう少し負担してもらおうじゃないかということで七〇%に引き上げる、大体そういう腹案を持っております。
 それからもう一つさっきの御質問のうちで、条文のわからないのをどうかしろということでありますが、これはごもっともでございまして、納税者がわからぬばかりでなしに、税務当局もわからぬような現状であります。これはいろいろな事情もあり、あるいは占領時代の横文字を縦文字に直したような事情もあり、いろいろなこともありますので、これは一つの日本語に十分なるようにしていき、そして簡素化していきたい。たとえば租税特別措置のうちである部分はよしてしまう、ある部分は法律に入れるとかいうふうにいたしまして、法三章までは複雑な現在参りませんけれども、なるべく簡単にわかりやすくするように、これはわれわれの腕ではできませんので、主税局の方で事務当局にそれをやってもらうように、折角注文しておるようなわけであります。
○横山委員 今の原さんのお話で、私も同感と思うところが多いのですが、たとえば一千億の自然増収がある。実態論としては一千二百億という声を聞いておるのですが、その中で半分を減税に回すという構想のようであります。それだったら、その半分と言わないでも、もう少し回してもしかるべきではなかったか。なぜそういうかといいますと、今のあなたのお話と、もう一つは、半分回したあと半分が非常な大衆の反発を御存じのように受けているわけであります。この点についてはいろいろな角度からありますが、少くとも一千億減税しても、実際問題としては半分、五百億というものが増税にかわるものですから、半分の減税だというちょっとしろうとらしい議論も出ておるわけであります。そこでもう少し自然増収の方を見込めなかったかという問題が一つ。それからもう一つは、時間がありませんのでついでにお伺いしますが、先ほどお話の出ましたガソリン税の問題であります。伝えられるところによりますと、ガソリン税を国税、地方税二つで一キロリットル当り一万二千円という。この額はおそらく確定した議論じゃないと思いますが、伝えられるところによれば、そういうことであります。このガソリン税を税制調査会で取り上げられた趣旨はどういうことであるか。これは目的税であるから、道路が悪いからという趣旨でおとりになったものであろうか。税収が足らぬからということでは、目的税としてはおかしいと思います。ガソリン税を一万二千円でやりますと、消費者価格にして約二百倍くらいに上ってくるが、どういう立場であろうか、この二点を伺います。
○原参考人 ガソリン税の問題は、いつも道路と関連して参るわけなんですが、ガソリン税は大体道路に使われるという考え方で、これを他の財源に使おうとは考えなかったのです。ただ道路問題については、これは税制の関係ではございません、行政事務でありますが、交通機関の発展に従って、道路はどうしても拡張しなければならぬ。今日本は道路が一番おくれている。実はこういうみなの意見が圧倒的の空気だった、それは確かです。
 それからもう一つ一万円以上取るということになりましたのは、今申し上げました通り、日本の国におりながら列国の例をとるのはおかしいのですけれども、カナダとアメリカを除いては、日本のガソリンの税金は安い。こういうふうなことで、道路をよくするために、多少道路にウエートを置いたことは事実です。そうしてあの方の税を幾らかでも減税面に回そうという考え方ではなかったのであります。その点ありのままを申し上げます。
○横山委員 その点は少し意見になりますけれども、税制調査会としては、私は少し立論のベースが違っておると思うわけであります。これはあとで御質問も出るかもしれませんが、税制調査会というのはいかなる任務で、いかなる範囲で、いかなるベースに乗っかって議論をされておるのかという点について、実は疑いが出ておるわけであります。それと申しますのは、税制調査会が道路が悪いから道路をよくするのだという立論の根拠というのは、これは全然ベースが違いやしないだろうか。ましてや一万数千円という価額というのは、他の税との均衡論から言いましても、並みはずれた問題にすらなっているのではないか、こういうふうに私は考えるのです。それでもう一つそれに関連してお伺いしたいのは、ここ一年以上一生懸命やっていらっしゃいましたが、これによって国民が税制調査会に対して非常な関心を集めておるわけです。まさに重大な仕事をなさっておるわけです。ところがなさっておる調査会というものは、単なる大蔵大臣の諮問機関で、実はきょう御意見を拝聴することについても、どういう資格でどういうふうに御意見を伺ったらよろしいかということが、多少議論になったわけであります。そういう意味から言いますと、これだけ重大な仕事を担当なさっていらっしゃる皆さんとして、今後調査会の運営なり何なりについて御希望、御意見はないであろうか、こういうことを私は考えるのです。たとえばこれだけ重大な仕事をしておって、単に大蔵大臣の諮問機関で、日の目を見ずに――そうして大蔵大臣は何か新聞で、とても一千億の減税はできませんと妙なことを言い始めておるのでありまして、一年間の御労苦から比べますと、まことにけしからぬと私は思っておるのですが、運営についての御意見がございましたら、お二人から、一つ思いつきでもけっこうですから、お伺いしたいと思います。
○原参考人 さっきの道路の問題を考えるのは行き過ぎだということは、よくわかっておりますが、さっき前提に申し上げたように、私の方がその点では行き過ぎかもしれぬと申し上げました。ただ一方、税率を考えました点で、間接税をずっとピック・アップしていくうちに、税の負担がここらから負担し得られようじゃないかという考え方を、つい使途の方を考えないで持つ傾向もあるのです。これは是正しなければいけませんが、それはあります。
 それから今お尋ねのありました問題は、税制調査会というものは、元来は材料を全部お役所からもらうのが当り前でございまするが、やはり長期の調査機関をもって独立にやらなければいかぬものじゃないかと私は考えます。
 それからもう一つは、調査会の結論は、政府が実行できるもので、そうして現在の日本の税制として妥当かどうかという事柄を主として参りますると、やはり税制としてはどんなものだというふうに持っていくのがほんとうだと思います。でありますから、私らのものが政府で御実行ができないとかできるとかいうことについては、私たちはそれを鞭撻したり小言を言ったり、責任を追及しないわけではないのでありますけれども、その調査会の結論を出すときには、なるべく日本の自主性を見通してやらなければ、見通しのつかぬものをやったということになることは確かであります。それから税制調査会のあり方は、そういう意味からいって、どことも切り離して調査スタッフを持って、数年にわたってやるべきものではないかと思う。二十八年にできました調査会の方は、今度の調査会に七、八人入っていらっしゃいますが、昨年は本年と続いておりますが、これが今度終りましたら、おそらく御苦労されておりまするから、皆さんよされるものと思いますが、これは人は続いておりましても、調査機関というものは独立した方がいい。現在は、調査の結果というものはなるべく実行できる線に合せながら、日本の政治経済情勢から見てやったものを、政府が実行していただかぬということになっても、われわれは答申書を出せば、あとの問題について私たちは何ら申し上げることもできない、こういうことに相なっております。
○汐見参考人 私もその点につきましては、原会長と同じ意見を持っております。
○奧村委員 ただいまの横山君の最後の質問に関連してですが、今の税制調査会が政府に答申なさる立場はどういう立場であるか。それを裏返して言えば、税制調査会の性格、目的、こういうことについて先般も当委員会で議論が出たのでありますが、まだ明らかになっておりません。というのは、これは法律に基いておりませんので、先般来税制調査会のいろいろな審議の内容が新聞紙などにたくさん現われまして、国民が非常に注目しておりますけれども、その肝心の税制調査会というものはどんなものか、こう突き詰めていくと、性格がぼやけてくる。つまり国会で法律をもって作った税制調査会なれば、これは政府ももちろんその調査会を尊重しなければならぬし、国会も尊重して調査会の答申を十分受け入れなければならぬ。しかし法律に基いていない単に大蔵大臣の諮問機関である。ほんとにこれは大蔵大臣の内輪の諮問機関であるとするならば、大蔵大臣としても、調査会の答申を必ずしも全部受け入れることもないということにも相なってくるので、一体調査会というものはどういう性格か、どういう立場かということを確かめておきませんと、せっかく御苦心になりまして答申案をお出しになっても、われわれ受け入れる側としては非常に困るわけです。その点一つ当の会長さん方とよく御相談をしておいた方がいい、かように思いまして、率直にお尋ねするわけです。そのお尋ねする理由といたしましては、鳩山内閣の三つの公約の一つとして税制の根本改正をやろう、こういうことで、去年の暮れ以来政府は準備してきたので、その根本改正の政府の案を立案する際の大蔵大臣の諮問機関であるというのに対して、ただいまのお話によると、いや、昭和二十八年ごろからずっと続いておるので、あるいは委員のメンバーの方は多少の入れかえはあるが、何も鳩山内閣三大公約の税制根本改正のために特に作られたものでないというふうにも見られる。その点はどうかということ、それが一点。それからどういう立場で答申をなさるか。ということは、大蔵大臣からどういう意味で諮問を受けておられるか。つまり相談をかけられたという以上は、どんなことを相談を受けたかということですな。その意味は、税制改正として、申すまでもなく税は体系的に、また非常に連関したものでありますから、国税、地方税を通じて、体系的な一貫した改正案というものを出そうとされるのか、あるいは部分的、専門的な答申を出されようとするのか。税については非常に議論がある。たとえば保守党の自民党の考え方と社会党の考え方との間には相当食い違いがある。そこで税制調査会は、今の性格でいくと、与党の保守党の大蔵大臣の諮問でありますから、そうすると、税制調査会の性格というものはそこに規定されてくる。ただいま原会長は、政府がやりいいようにというお話なんです。そうすると税制調査会の答申というものは、自由民主党政府のやりいいようなものを作ろうということにもなってくるわけです。特に税について大切な問題は、純粋に税の理論として公平な税制を立てようとするのか、多少公平の原則は害しても産業政策の立場からやっていこうとするのか。これはいつも深刻な議論があるのでありますが、そこで調査会のメンバーの方々を拝見いたしますと、財界の代表の方方がかなりたくさんお見えになっておる。そうすると、どうも財界の代表の御意見が多いんじゃないか、こういうような感じもいたすので、そういう立場、また諮問に答える考え方というものをお尋ねいたしたいと思います。
○原参考人 ただいま私どもの申し上げたことが、言葉が足りなかったかと思いますが、二十八年の調査会はどうであったか、私は関係しておりませんので知りません。そこで、私たちの調査会は、昨年の八月二日の閣議決定できめられた調査会で、委嘱されております。でありますから、昨年の十二月八日の答申書は、内閣総理大臣あてに出しております。今御質問がございましたが、私は閣議決定できまった内容によって、その決定事項を見て就任しております。それからまた諮問されておりますのは、現在の情勢に応ずる適正な税制の調査をしろ、そして答申しろ、こういうことが一本入っておるだけであります。それからもう一つ申し上げますが、たとえば私たちのこの税制調査会の使命というものは、税の立場からのみ確実にこれがよろしい、こうは言っていますけれども、その税は日本の国に行う税なんですから、日本に合うような形をもっていかなければならぬ。さっき申し上げましたように、間接税のうちで、売上税は日本でもやっていいと思うが、また農林事業税のごときもやってもいいと思うが、これは実行ができるかできぬかということにやはり見ておかなければならぬ。でありますから、これはそのときの内閣の御便宜をはかっておるのではないのであります。調査会としての立場ををちゃんととって――さっきそう御解釈になっておるとすれば、私の説明が不十分であったと思いますが、今申し上げたように、一応は税としてすっきりした、確立したものを、われわれの乏しい知識の――あるいはその方からいえば名誉のためにちゃんとしたもので、そう歪曲したものを報告するという考えは持っておりません。その点どうぞ御了承願いたいと思います。
○松原委員長 春日君。
○春日委員 私は、これは非常に重大な問題だと思うのですが、横山君も奥村君も質問されており、なおわれわれもなかなか了解いたしかねることなんですけれども、あなた方は閣議決定によって大蔵大臣から諮問を受けられておるだけでありますから、従って国民に対しても国会に対しても何の権利も義務も拘束力もない、そういう答申案を大臣に対してなされる、こういう機関であろうと思うのです。従って案の案をお作りになるのであって、国民との間に何の直接の関係も、とにかく大臣を通じ国会を通ずるまではあり得べからざるものであると、私たちは理解しております。しかるところ、しばしばあなた方は審議の過程において――あなた方の御苦労は私どもは大いに多として敬意は表しておりますが、しかし審議の過程においてしばしば中間の報告がされておるということは、これは、私たちとしてはなかなか納得ができないのみならず、そういう意図が一体那辺にあるのであるかを疑わざるを得ないのです。たとえば案の案が審議されておる過程においてこれが発表されたということは、一体何でありましょうか。国民があなた方にそういうことを諮問したわけでもなく、国会が諮問したわけでもない。ただ単に大蔵大臣が諮問しただけのことなんです。そういう過程においてあなた方が国民に対してそういう中間の発表をされると、それがあたかも政府の意思であるとか、あるいは大蔵大臣の改正案であるかのごとく誤認を与えることによって、あるものについては非常に反対運動が起きたり、陳情運動が起きたり、業者がそのためにしばしば大会を開いたりなんかいだしまして、非常に弊害を生じておる面が少くない。これはあなたもお気づきの通りであろうと思う。あなたの方から中間発表が行われるつど猛烈な陳情が国会にもあなたの方にも政府にも行われておる。いかなる資格といかなるねらいを持ってああいう中間発表をしばしば行われたのであるか、その点を一つお伺いをいたしたいと思います。
○原参考人 私の方は昨年の十二月八日政府に出しました答申書以外に発表したことはございません。のみならず私たちの委員会では、発表をしないようにということをお互いに申し合せております。ただ経過的のことを早耳でたびたび発表されるのを、われわれは不思議に思っておるのであります。われわれ自身の煮詰めてないものを発表されることは、委員会でも非常に困るのです。でありますから、それはそういう計画的な発表もいたしませんし、またお互いの申し合せも、一切そういうことは発表しない、ことにまだ現在、ここに申し上げました程度で確定していない、起草段階で固めていくものもたくさんあるわけですから、発表はしたくない。ことに海外の例で、英国の国会の例などを伺ってみますと、税制の中で非常に大切なる論議の的になる問題は、国会の発表のときまで発表されない、こういうことでございますが、日本はその点で最近は、ことにわれわれの発表したものでも、ときどきわれわれから見て間違っておるというものもある。そうして新聞のごときも、同じ発表が新聞によって違うものもある、こういうことに相なっておるわけであります。ジャーナリズムに対する問題は、私たちはその発表をなるべく避けたい、すなわちわれわれ自身が、われわれの一般会議に起草委員会の結論をかけて後に発表したい、これが希望でありますから、私が軽率に発表したことは一つもないことをここに申し上げておきます。
○松原委員長 この件に対して政府側より発言を求められておりますので、これを許します。主税局長。
○原政府委員 ちょっと私どもも立場上一言申させていただきたいと思います。税制調査会を内閣として設けましたのは、税制改正という非常に大事な仕事を、広い視野において達識の方々に見ていただくというためのものであります。これはいろんな場合にやられることでありまして、非常に必要なことだろうと思っております。それが法律に基くか閣議決定に基くか、その辺審議会、調査会によって違いはございますが、事柄の内容からいいまして、非常にけっこうなことだと思ってやっております。それにつきまして、私どももあまり未熟の間に世間に漏れることはないようにと努めておるわけでありますが、非常な重大な関心事でありますから、各新聞はもちろん、現に当委員会においても、たいへん失礼な申し分でありますが、随時調査会の進行の度合いを知らせろというお話が非常にありました。私、初めそれはごかんべん願いたいと申しておりましたが、お許しにならぬということで、委員会の経過と政府の意見を聞かれたわけです。それじゃ問題の中身を申し上げて御検討を願うということで、自来大へん詳しく申し上げておりますが、これは税制が非常に大事な問題であることだから、データを皆様にお目にかけて研究していただくということでやっておるわけであります。そういう場合に、主として直接税の軽減というような問題は、万人が共通に見られる。間接税、特別措置というような問題になりますと、漏れるということは非常に、おっしゃる通り御迷惑がかかるというので、極力漏れないようにいたししおるわけでありますが、何さまこちらでも関心を持たれると同様、世間一般も関心を持つということで、どこからどういくのかわかりませんが漏れるということで、問題が非常に重要であるからということで御了承願いたいと思います。審議会につきまして、実は政府としてお願いしております立場でございますので、大へん横から出まして、恐縮でありますが、一言申し上げた次第であります。
○春日委員 これははなはだ原さんは失敬千万なことを申されるが、われわれ国会議員は国政調査権というものがあって、上は検事総長、総理大臣、下はこじきでも、国勢調査の必要ありとすれば、何人もここへ召還して、われわれは国政調査を進めることができる。従いまして、われわれが質問して答えることは困るというようなことは、その理由を言って答えなくてもいいことになっておる。特にその答えをわれわれが必要とする場合は、これは他の委員会を開いて、そうして宣誓を取って、さらにその質問を進めることもできるわけなんです。この税制調査会に対するわれわれの態度がああだこうだというようなことを原さんが今ここで非難めいて申されるということは、言語道断なことである。
 そこで私は本論に入りますけれども、いずれにしても申し上げたいことは、あなたの方は大臣に諮問を発せられて、大臣に答申をすれば事足りるのだから、従いましてあたかも行政機関のような、一つの有権的な資格を持つような誤認を国民に与えるような形で、しばしばこの問題を取り扱われ、さらに対外的にもアッピールされておるということについては、これは明らかに私は違反であると思う。だれがどういう工合に情報を持っているのか知らないけれども、現われることは遺憾だと言われるけれども、あなた方が自分の持っておる機関の任務というものを厳粛に理解されて、それを執行されていくということであるならば、たとえば最高裁判所の審理の過程にある問題だとか、あるいはその他の問題がとにかくどんなにでも秘密は厳に保たれておるのでありまするから、よそで保たれておる問題が、ひとり税制調査会だけ保たれないというはずはないのであって、これは当然会長である原さんの注意が欠けておったのじゃないかとすら私は考えるのであります。ために国民に与えたところの弊害というものは、はなはだ甚大である、一つの業者が東京で大会を開いたって、何十万人と北海道なり九州等からまで代表が陳情のために参る、こういうようなこと等も考えれば、私はもっと慎重に、あなた方の見解の対外的なアッピールというようなものについては、さらに慎重なる取扱いが行われてよろしかったのじゃないか。特に私がここに申し上げたいことは、たとえば十九国会に答申されましたあの繊維消費税の場合なんかでも、あなたの方は原糸に課税すべきであるという答申がされた。(「答申してない」「機関が違う」と呼ぶ者あり)構成分子は違っておるかもしれぬけれども、中に七、八名の諸君は同一人が同一審議をなさっておられるのだから申し上げるのだが、その当時に、その糸にかけるというと、糸が反対したから、生地にかける。生地が反対したから洋服屋にかけるという、そのつど全国の業者が各地において大会を開き、やがては東京において大会を開いて、業者の損害ははかり知れざるものがあった。こういうような事柄は、ひとりあなた方がほんとうに大臣に対してのみ関係を有する諮問機関としての答申を秘密に、慎重に取り扱われるなら、そういうような不必要なる衝撃を業界に与えずに済んだのではないかと私は考えておるのであります。だから私は今後においても、あなた方がこういう中間発表をするとか考え方を述べるとかいうような場合は、特にこの委員会でわれわれがそういう質問をするような場合でも、これは秘密会にするとか、あるいは大臣に対してのみ答申するのであるから、それまでお答えすることはできないとか、私はそういうことをもう少しなさるべきではなかったかと思う。
 しかし事ここに至ってしまいましては、今さらそういうような基本論を言うても追っつかないので、私はここで一つ二つの関連事項についてあなたにお伺いしたいと思うんだが、今ガソリン税の問題について御答申をなされました。これはむしろ税制というよりも、道路行政に対するあなた方の一つの意思の表示が行われていると思うのです。これは、明らかに内閣があなたの方に諮問を発しいる事柄にぴったり合った答申ではないのです。そういうようなことをあなた方に諮問をしていないと思う。内閣総理大臣が諮問をしているところをずっと項目を読んでみたところが、そんなことを聞いていない。聞いてもいないことを答申されて、全国の関係業者たちが猛烈なる反対運動をしていることなんかも、全く私がさきに申しました非難事項がそのまま当っているわけなんです。しかしせっかくそういう問題をやられたならやられたでまあ仕方がないとして、私がもう一つ伺いたいのは、そこまでの考え方をなされるならば、なお同一ケースにある問題として、あなた方がどういうふうにお考えになっているか、参考として伺いたいんだが、防火施設税というようなものをお考えになったことはないか。というのは、現在火災保険が非常に高い料率でもって、今十八社か十九社の損害保険会社の蓄積されたる流動資本というものは八百億ないし九百億という、大きな資本蓄積を行なっておる。そういうような連中は、私は当然担税力があると思う。従ってそういうような火災保険料金の中に、防火に見合うような、いわばそれが目的税の形になってくるが、そういうような防火施設税というようなものを一定の度合いその料率の中に含めて、課税せしめていく。そうして道路行政の財源を確保するように、防火行政の財源をそういう担税力のある人々から取って、地方の自治団体がその財源が非常に乏しくて困っている問題を解決することのために、ガソリン税に対する答申と同じように、あなた方がそういう考え方について申し述べる考えはなかったかどうか。またこういう問題について何ら税制調査会は論議されなかったかどうか、この点を伺っておきたい。
○原参考人 お答えいたします。一応さっきの御説明で一般論は尽きておると思いますが、今日までたびたび私は審議会のお世話をしましたが、どうも秘密にしていることがよく漏れて困るんです。実際に大切な中間報告もはなはだよくないという御意見ですが、そうしたものでないものがよく事前に漏れるわけであります。これはやはり独立の機関を持ってやらなければ、どうもその点では漏れやすいと思います。それからもう一つ、われわれの審議会も、必要に応じては少数審議をやっておりましたが、それすらどうも漏れているので、はなはだ困るということを痛感して、私は独立した機関が必要だと思っておりますが、それが大へん支障を生じていることも認めておりますから、今後はできるだけそういうことのないように努めたいと思っております。
 それから今の消防施設税の問題ですが、これは三十年度からの実際問題でありまして、討議をいたしました。これは今お話しのように、損保業者の資本金なんという問題よりも、保険をつけている契約者の数が全体の二〇%くらいで、この少数の人に負担さして一般の損害を予防するためのものに使うということは不公平でなかろうか。またもう一つは、防火だけではいけないので、今お話がありましたように、道路がなければ、この間の魚津の火事のように、ガソリン・カーが近づけなかったということがあるし、総合的にやらなければならぬ問題である。しかしながら、この施設税を作ることは、やはり損保の関係においても大切な問題であり、日本全体の問題でありますから、損保の面も確かめておりますが、損保としては火事が起きないような努力をしているようです。税金に関する限り、そういうような点で、一部のものに一般の利害が及ぶ公共事業をやらすということについて、この際無理でなかろうか、こういうことで昨年は答申いたしました。本年は約一年足らずの間に何ら新事実が起っておりませんので、同じような結論を出しました。
○春日委員 それからもう一つ伺っておきたいと思うのでありますが、税制調査会が審議に入られました当初には、売上税といようなものを創設して、そうして直接税の減税に見合う分をそちらでとにかく補完していこうというお考えがあったようであります。ところが、この売上税の問題が税制調査会の内部においていつしかほこをおさめられて、かわって物品税増徴という方向に転じられていった様子でありますが、これはそのいきさつがどういう工合になっておりますか、参考のために伺っておきます。
○原参考人 さっき申し上げましたが、当初売上税をやろうというようなことが漏れたということがおかしいのですが、実は当初ややもすると、さっき申し上げましたように、筋のある税種であるから、これは取り上げたいな、そして一般的でいいなということを感じはしましたが、これは日本に現在実施しようということを割り切ったことは一度もございません。税制調査会ではいろいろな論議はあります。二十七人おりますから、ありますけれども、それは必ず最後に集約して結論を得る。途中の発言は、これはいろいろの人の意見でありますから、それをもって論議するのが、これが中間で漏れたり何かすると、そういう誤まりを生ずるわけなんですから、その点どうぞ御承知を願いたいと思います。
○春日委員 もとより最終的な結論というものは、正式に答申案というものが大蔵大臣に提出されるまで何ら結論が得られていない、正式にはそういう事柄であると思うわけであります。ただ先般来主税局長その他あなたの方の関係者からしばしばその中間の意見を承わったところによりますと、売上税を創設すべしとの意見があった。ところがそういう情報が外部に漏れて、そうして全国の関係業者の猛烈なる反対が起き上ってきた。従ってそういうような反対の意見の強さに、まあいうならば、これは実現性というものがなかなか政治的に乏しかろう、こういうような政治的な配慮が加えられて、そうして売上税創設の問題はやめられて、転じてこれが物品税、こういう形になっていったのだ、こういう工合に聞いておる。事の真相はいかがでありますかは存じませんけれども、最終的な結論は当然まだ出ていない。何事も出ていない、これは大臣にあなたの方の最終的なる答申がなされるまでは私は出ていないと思う。だから私がこの際申し上げておきたいのは、もしもそういう伝えられておるのが事実であるといたしますならば、反対の大きいものはやめて、そうして比較的反対の少いもののところへその白羽の矢を立てていくというようなことであるならば、これは徴税行政を合理的に改正していくという当初の諮問とは相反するものであって、そういうような中においても、なおかつあまりに多く政治的な要素が加えられて、そうしてその答申がなされるということになれば、これはむしろこの国会の分野を税制調査会が荒らしておるのではないかとすら私には考えられるわけなんであります。税制調査会は、経済的立場から、それからまた徴税行政の合理的な立場から、一切の政治的な要素を離れて答申をなさるべきものである、こういう工合に私はずいざらっと期待をしておるわけでありますけれども、強い反対にはやめて、そうして物品税なら対象が少いのでその反対が弱い、弱いものに重い荷物を加えていくというような答申がもしもなされておるとするならば、これはまことに重大な事柄であろう、私はこういうふうに考えますので、あえてこの問題についても触れてお伺をしたわけであります。
 それはそれとしまして、もう一つの問題は、勤労性所得に対して経費を見てくれという陳情は、しばしば国会にも、またあなた方のお耳にも入っておると思います。事業所得の中には、資本性所得と勤労性所得とがあって、なかんずく零細業者の所得の中には、事業所得と勤労所得があるから、その勤労性所得に対しては、おのずから勤労を提供するところの経費があるので、その経費に見合う分を減税してくれという陳情があったと思う。この問題について、答申案の中には何にも触れられていないと考えられますが、これはどういうふうな問題でありますか、この点を一つお伺いいたします。
○原参考人 私たちの方は、勤労関係には相当注意を払っておりますが、今お話のようなこまかく割り切った勤労性所得というものについての末梢までの調査は、資料を集めて研究をしておりません。それをする必要があるとすれば、全員の意見によって決定したいと思っております。
 それからもう一つお話のありました、われわれは陳情があったからその意見を絶えず変えるというようなことは、大体集まっておる委員の方は、相当の常識を持っておられる方が委員に委嘱されておりますから、そういうようなことに動かされておる方はないと――私は少くともありませんが、ないと思います。その点大衆の運動があってわれわれの結論を変えるとか、ひっくり返すとかいうことはないわけなんです。これは調査会限りの問題でありますから、調査会内部のことをお尋ねがあったら申し上げますが、その点どうか御了承を願います。
○松原委員長 それでは質疑はこれをもって終りといたしまして、参考人の方に委員長より一言ごあいさつを申し上げます。
 本日はお忙しいところを長時間にわたり御出席を願い、貴重な御意見を陳述していただき、当委員会の審査に多大の参考となりましたことを、厚くお礼申し上げます。
 暫時休憩いたします。
    午後零時十八分休憩
     ――――◇―――――
    〔休憩後は開会に至らなかった〕