第026回国会 商工委員会 第18号
昭和三十二年三月二十六日(火曜日)
   午前十時五十七分開議
 出席委員
   委員長 福田 篤泰君
   理事 小笠 公韶君 理事 鹿野 彦吉君
   理事 小平 久雄君 理事 笹本 一雄君
   理事 西村 直己君 理事 加藤 清二君
   理事 松平 忠久君
      阿左美廣治君    大倉 三郎君
      岡崎 英城君    菅  太郎君
      椎名悦三郎君    南  好雄君
      村上  勇君    横井 太郎君
      片島  港君    佐々木良作君
      佐竹 新市君    田中 武夫君
      田中 利勝君    多賀谷真稔君
      中崎  敏君    永井勝次郎君
      水谷長三郎君
 出席政府委員
        通商産業政務次
        官       長谷川四郎君
        通商産業事務官
        (通商局長)  松尾泰一郎君
        通商産業事務官
        (重工業局長) 鈴木 義雄君
 委員外の出席者
        通商産業事務官
        (通商局輸出保
        険課長)    佐々木 宏君
        通商産業事務官
        (通商局検査課
        長)      式田  敬君
        専  門  員 越田 清七君
    ―――――――――――――
三月二十二日
 委員多賀谷真稔君辞任につき、その補欠として
 岡良一君が議長の指名で委員に選任された。
同月二十五日
 委員佐竹新市君辞任につき、その補欠として堂
 森芳夫君が議長の指名で委員に選任された。
同日
 委員堂森芳夫君辞任につき、その補欠として佐
 竹新市君が議長の指名で委員に選任された。
同月二十六日
 委員片島港君辞任につき、その補欠として安平
 鹿一君が議長の指名で委員に選任された。
同日
 委員安平鹿一君辞任につき、その補欠として多
 賀谷真稔君が議長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
三月二十五日
 輸出保険法の一部を改正する法律案(内閣提出第七九号)(参議院送付)
の審査を本委員会に付託された。
三月二十二日
 石油資源開発株式会社への国家投資に関する陳情書(新潟県三島郡出雲崎町長小林謙治外二十二名)(第六三二号)
 中小企業等組織法制定に関する陳情書(大阪市東区森之宮東之町全日本洋服組合連合会長野田静夫)(第六三三号)
 舞鶴港の日ソ連絡港指定等に関する陳情書(奈良県議会議長吉川久一)(第六四〇号)
 街路灯電気料金引下げに関する陳情書(松山市二番町愛媛県商工会議所連合会頭白方太三郎)(第六九〇号)
 中小企業金融対策確立に関する陳情書(松山市二番町愛媛県商工会議所連合会頭白方太三郎)(第六九一号)
 零細企業対策に関する陳情書(松山市二番町愛媛県商工会議所連合会頭白方太三郎)(第六九二号)
 中小企業団体法制定反対に関する陳情書(大阪市北区宗是町一関西経済連合会長太田垣士郎)(第六九三号)
 中小企業関係諸法案成立促進に関する陳情書(神戸市兵庫区塚本通三の九兵庫県薬業協同組合連絡協議会長白川一夫外六名)(第六九四号)
 中小企業の海外進出及び技術移民促進に関する陳情書(東京商工会議所会頭藤山愛一郎)(第六九五号)
 電気料金調整に関する暫定措置継続実施に関する陳情書(松江市殿町島根県庁内島根県電力協議会長山本孝吉)(第六九六号)
 市房ダム発電事業の県営認可に関する陳情書(熊本県庁経済部内熊本県農業会議会長藤木英雄)(第六九七号)
 鉱害法の一部改正に関する陳情書(山口県議会議長二木謙吾)(第六九八号)
を本委員会に参考送付された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 技術士法案について科学技術振興対策特別委員会に連合審査会開会申入れに関する件輸出検査法案(内閣提出第二五号)(参議院送付)
 輸出保険法の一部を改正する法律案(内閣提出第七九号)(参議院送付)
 輸出入組合に関する件
    ―――――――――――――
○福田委員長 これより会議を開きます。
 この際連合審査会開会の件についてお諮りいたします。
 目下科学技術振興対策特別委員会において審査中の技術士法案について、同委員会に連合審査会の開会を申し入れたいと存じますが、御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○福田委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
○福田委員長 次に、去る二十日参議院より送付せられ、本委員会に付託せられました内閣提出、輸出検査法案、昨二十五日同じく参議院より送付せられ、本委員会に付託せられました内閣提出、輸出保険法の一部を改正する法律案の両案を便宜一括議題とし、審査に入ります。
 これより両案についてその趣旨の説明を求めることにいたしますが、輸出検査法案につきましては、参議院において修正された議案が原案となって本院に送付せられておりますので、本案の説明聴取に際し、参議院の修正点につきましても、便宜上政府より説明を聴取することにいたします。長谷川政務次官。
○長谷川政府委員 ただいま提出されました輸出検査法案につきまして、提案の理由を御説明申し上げます。
 御承知のように、昨年のわが国の輸出貿易は、前年に比較し二四%強の増加を見たのでありますが、今後予想されます深刻な国際競争に耐え、この好調を継続して参りますには、今後ますます企業の合理化を促進し、生産性の向上をはかりますとともに、他面輸出検査を強化し、わが国輸出品の声価の維持並びに向上をはかることが緊要であります。
 さて現行の輸出品取締法は、昭和二十三年に輸出品の声価の向上と品質の改善をはかることを目的として制定されたものでありまして、その後数度の改正が行われ、輸出品の検査制度も逐次強化されて参りましたが、何分にも現行制度は、輸出品の製造業者または輸出業者の自家表示を建前としており、政府といたしましては、単に品目の指定と品質の標準または包装条件並びにその表示様式を定めるのみでありまして、特にその表示をするのに特別の機械器具または知識経験を要するものについてのみ、例外として政府機関または政府が登録をした者の表示を強制しているにすぎないのであります。
 このような検査制度では、粗悪品の輸出を完全に防止することは困難であり、最近における輸出検査の状況を見ましても、その弊害が必ずしも少くない実情でありますので、この際一そう能率的、かつ合理的な検査制度を実施することによって輸出品の質的競争力を強化するため、本法律案を提出する次第であります。
 次に、その概要を御説明いたします。まず第一は、自家表示を建前とする現行制度を改めまして、政令で指定する貨物につきましては、原則として政府機関または政府が指定する検査機関の行う輸出検査に合格したものでたければ輸出できないこととしたことであります。
 第二は、輸出検査を的確に行うため、特に必要がある品目につきましては、その材料または製造中の検査を行い得ることとしたことであります。
 第三は、検査機関につきまして、その業務の公共的性格にかんがみ、公益法人であって、全国一円の規模の下に十分な検査設備と検査員並びに事業所を有し、公正な検査活動を行い得る者を、申請により、指定することとしたことであります。
 第四は、指定検査機関の監督につきまして、その業務規程、役員の選任、解任を認可制とするほか、事業計画、収支予算を事前に政府において検討し、役員及び検査員が不公正な検査を行なった場合には、聴聞の上、解任すべきことを命ずる等、公益上の観点から十分な監督を行い得ることとしたことであります。
 第五は、検査の特例を設けまして、指定貨物のうち、政府機関等による検査を行うことが不適当と認めるものにつきましては、自家表示を存置したことであります。
 以上が輸出検査法案の概要であります。何とぞ輸出貿易振興の見地から、本法律案を慎重御審議の上御可決あらんことをお願いいたす次第であります。
 なお、政府の提案の理由は以上の通りでありますが、参議院におきまして若干の修正を見ましたので、その内容については便宜、通商局長から御説明をいたさせます。
 次に、輸出保険法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由を御説明いたします。
 世界各国の貿易競争が激しくなるに従い、輸出市場の拡大並びに重要な輸入原材料の確保のためには、海外投資が必要であることは申すまでもありません。政府はこの趨勢にかんがみ、海外投資を促進するため昨年輸出保険法の一部を改正いたしまして、海外投資保険制度を新設したのでありますが、最近におきまして中南米、東南アジア等に対して盛んになりつつある海外投資の実情並びにこれら投資者の要望を検討いたしました結果、海外投資に伴う危険を担保する範囲を拡大し、さらに填補率、保険料率に所要の改善を加えるとともに、あわせて投資者が海外においてあげた利益を本邦に送金できないことによる損失をカバーする保険、すなわち海外投資利益保険を新設することが必要であると認められましたので、この方針に従いまして現行の輸出保険法に所要の改正を加えることといたしまして、本改正法律案を提案したのであります。
 次に、改正法律案の概要を御説明申し上げます。改正点の第一は、海外投資保険の改正であります。まず、現在の海外投資保険の名称を海外投資元本保険と改めたのでありますが、これはさきにも御説明いたしました通り、このたび海外投資利益保険を創設いたしますので、これと区別いたしますため、このように改めるわけであります。
 次に、担保危険の範囲の改善及び拡大につきまして御説明いたしますと、現行法におきましては、被投資法人が戦争、革命、内乱のような非常事態によって解散いたしました場合、投資者が株式を処分するかまたは被投資法人の清算が結了いたしたときに初めて保険金を支払うようになっておりますが、これでは保険者、被保険者ともどもに不利益をこうむることになりますので、被投資法人が解散をしたときに保険金の支払いができるように改正をいたしました。
 次は現行法におきましては、戦争、革命または内乱によって被投資法人が解散するか、事業を休止した場合に、その損失に対して保険金を支払うことになっておりますが、今回の改正におきましては、戦争、革命、内乱のほか、暴動または騒乱のように、これに準ずる事態をも加えるとともに、さらに設備や鉱業権、漁業権のように事業遂行上重要な権利を侵害される場合を加えることといたしたのであります。
 次に、保険金の算定の方法につきまして、被保険者の有利となるよう若干の改正、たとえて申しますと、収用補償金をもらった後この補償金を凍結されるような場合、これを損失金に算入する等の改正を加えております。また、填補率は、現行において六〇%でありましたが、七五%に改めることといたしました。なお、保険料率は政令で定められておりますが、現行の一年につき一・五%を一・二五%に引き下げる予定であります。
 改正点の第二は、海外投資利益保険の創設であります。この保険は、為替取引の制限または禁止、為替取引の途絶、配当金の管理、配当金の送金保証の不履行、配当金の没収というような事由によりまして、投資者が株式等の配当金を一定期間本邦に送金することができなかったことにより受ける損失を填補する保険制度であります。この保険におきまして、填補率は七五%、保険料率は一・二五%と定めております。
 以上が今回の改正の概要であります。何とぞ慎重御審議の上、御可決下さらんことをお願い申し上げます。
○松尾(泰)政府委員 いずれ参議院の代表の方から詳細御説明があろうかと思いますが、輸出検査法案に対しまする参議院の修正の要点を便宜説明さしていただきます。
 お手元に輸出検査法案に対する修正の要点というのをお配りいたしておりますので、それをごらん願いながらお聞き取りいただきたいと思います。
 まず第一点は、品質検査、材料検査等に当り、その検査基準のみでなく、その検査方法をも主務省令で具体的に定めるものとすること。政府原案におきましては、輸出検査基準を定めまして、その検査基準に合格をしたものでなければ輸出することができないという格好になっておるのでありますが、この輸出検査基準だけではなくて、その検査する方法、たとえば全品検査をするとか、あるいは抜き取り検査をするとか、あるいはまたどういうふうな抜き取り検査の方法をやるのかという検査方法が重要であるので、その検査方法をも主務省令で、検査基準とあわせて、具体的に定めるようにしろ、こういう点でございます。現在は検査方法は、国の検査機関におきましては、検査機関の長が主務大臣に届出をすることになっておりますし、また民間の登録検査機関におきましては、業務方法の一つとしまして、検査原則をきめまして、その原則を主務大臣の認可を受けることになっておるのであります。従いまして、現在におきましても一応この検査方法は、国の検査におきましても、民間の登録検査におきましても、いずれもはっきり明定をしておりますが、ただ主務省令で定めるという手続をとっていないわけであります。それを今回は主務省令ではっきりと規定をしろ、こういうのが第一点であります。
 第二、「指定検査機関の輸出検査員の選任及び解任は主務大臣の認可を受けなければその効力を生じないものとすること。」政府原案におきましては、輸出検査員の選任及び解任は、主務大臣への届出ということになっておるのであります。なお、この指定検査機関の役員の選任及び解任につきましては、主務大臣の認可制というふうになっておるのであります。検査の公正な実施を確保するという建前から、輸出検査員の身分の安定、保障のためには、検査員の選任、解任をも主務大臣の認可制にかかわらせる方がよくはないかという趣旨で、第二の項がつけ加えられたのであります。
 第三は、「この法律の規定に違反して指定貨物を輸出した者に対し、主務大臣が制裁措置として公開による聴聞をした後、輸出停止の命令をすることができるものとし、併せてこの命令違反に対する罰則(三年以下の懲役又は三十万円以下の罰金)を設けるものとすること。」政府原案におきましては、この法律の規定に違反して指定貨物を輸出した者に対しましては、罰則といたしまして、三年以下の懲役または二十万円以下の罰金を課することになっておるのでありますが、そのほかに、ここに書かれておりますように、主務大臣が公開による聴聞をした後に、法律の規定に違反した指定貨物を輸出した者に対しまして、一年以内を限って輸出停止の命令をすることができるという、いわゆる行政罰を、刑事罰とあわせて課する方が、なお法の施行の適正を期するゆえんではないかという趣旨で、この項がつけ加えられたのであります。
 簡単でございますが、参議院における輸出検査法案に対する修正点の大要は以上の通りであります。
○福田委員長 以上両案に対する質疑は後日に行うことにいたします。
    ―――――――――――――
○福田委員長 この際輸出入組合に対する問題について調査を進めたいと存じますが、御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○福田委員長 御異議なしと認めます。よって輸出入組合に関する問題について調査を進めます。質疑に入ります。通告がありますのでこれを許します。松平忠久君。
○松平委員 ただいま日本の輸出入関係についてこれを増強するための二つの法案が提案されておりますが、輸出入の増強についてはこのほかいろいろな措置があると思うのであります。政府において考えられておるものの中に輸出入銀行のクレジットの設定ということがあって、ただいま通産当局と大蔵当局との間に若干意見の相違があるというようなことを聞いておるわけであります。まずこの点について、今どういう工合になって、法案の提出等がどういう見込みになっているかということを、ちょっとお聞きしたいと思うのであります。
○松尾(泰)政府委員 あるいは大蔵事務当局の方の説明が適切かと思いますが、私どもの承知している範囲で申し上げますと、輸出入銀行法の改正におきましては、かねてから通産省におきましても研究をいたしておりまして、大蔵省とも連絡協議を重ねて参っておるのであります。それの改正の方向は、最近の諸外国に対する経済協力を活発にするという趣旨からいたしまして、いわゆる海外投資の道を拡大する、それには輸出入銀行が海外投資をする人に対しての融資をする道をできるだけ拡大をし、またいろいろの条件を緩和するという方向で、研究をして参ったわけであります。おおむね両省の意見は一致をしておるのでありますが、一、二の点におきましてまだ最終的な意見の調整ができませんために、国会提出がおくれているということに承知をしておるのであります。
○松平委員 私はやはり東南アジア方面に対する積極的な輸出入を展開していくというためには、何としても、輸出入銀行もそうでありましょうし、それからいわゆる岸さんが言っているところの国連を通ずるという方法もありましょうが、いろいろな方法をもってクレジットを設定するような方向にいかなくちゃならぬとこう思うのです。従ってこれは通産省は相当強い態度を持って政府部内においてまとめていかなければならぬ、推進していかなければならぬというふうに考えておりますので、その点は特に要望を申し上げておきます。それからもう一つは、新聞等で最近ずいぶんいろいろ出ておりますのは、いわゆる輸出入取引法の改正案をお出しになるということでありまして、これを近くお出しになるような資料を私どもいただいておるわけですが、これは大体いつごろ国会提出の運びになりますか。その見込みを一つお聞かせ願いたい。
○松尾(泰)政府委員 輸出入取引法の改正につきましては、目下鋭意作業を進めておるのでありますが、何分いろいろ連絡する個所も多うございます。法理論としてもいろいろ問題点がございますので、非常に時間がかかったのでありますが、大体調整ができたと思っておるのであります。従いましてわれわれ事務当局の者といたしましては、四月上旬、少くとも十日前ぐらいには提出ができるのではないかというふうに考えております。
○松平委員 この法案に関して、今から二週間ぐらい前でありましたか、日本経済にもかなりアウトラインのようなものが出ておりましたし、その他の新聞にも二、三見かけたのであります。それに基いてずいぶん業者の方から反対の意見が、やはり新聞に散見しておるのであります。この法案を見なければわかりませんが、一部伝えられておるところによりますと、今回のこの輸出入法の改正というものは、相当官僚統制的な色彩が濃厚である、こういうことについて非常に不満を各界に与えておるように思うのです。つまり今までのカルテルをもっと非常に強化して、通産省が権限を拡大していく、こういう点に相当反論、反撃があるのではなかろうか、こういうふうに思うのですが、それらの点はどの程度今までよりも強くするという御意向なんですか。
○松尾(泰)政府委員 今考えております輸出入取引法の改正の要点は三つあるわけです。一つは輸出組合の強化、第二は輸入業者または輸入組合のいわゆるカルテル的な協定を締結し得る場合の範囲を拡大するということ、それから第三点は、輸出品のメーカーと輸出業者との間に、現在も十ぐらい存在いたしますが、これらのいわゆる輸出品買取会社に対する監督規定の強化、あわせて独禁法の適用除外にいたそうという点であります。今申しました第二、第三の点につきましては、あまり問題はないのでありまするが、第一の輸出組合の強化の方法について若干民間で異論があるわけであります。それはただいま御説明を申し上げまするが、別段官僚統制を強化するということではないのでありまして、現在の輸出組合というものがいわゆる任意設立であり、輸出組合におきましては、三十人以上のメンバーでもって設立できるという非常に自由な任意的な組合なのであります。ところがかねてから輸出組合をもっと強化して輸出取引秩序の確立をいたすためには、アウトサイダーの規制権を輸出組合に与えるべきであるという議論が、この輸出入取引法を制定せられまして以来、非常に強かったのであります。それに即応しまして若干の改正ができてきたわけではございまするが、なかなかこの輸出組合に組合員でない者のアウトサイダーの規制権を与えるということが法理論としては非常にむずかしいということだったのでありますが、そこでしからば輸出組合の性格をいま少しく公的な性格のものに切りかえることによって、アウトサイダーの規制権を輸出組合に与えられないかというふうなことで、一時は甲、乙二種類の輸出組合を作りまして、乙類の輸出組合というのは現存の任意設立の輸出組合であり、甲類の輸出組合といいますのは、いわゆる資格者の二分の一以上の組合員を擁して、また当該商品の輸出額の三分の二ないし四分の三以上をその組合員が持っているような場合の組合を甲組合とし、その甲組合にアウトサイダーの規制権を与えてはどうかというふうな議論をしておったのであります。そういうふうに甲乙の二種類に分けますと、現在の組合でなかなか甲組合になり得ない組合があり、しいてはそれらの組合が小さな組合に分裂をしていくというふうな心配もありまして、今先生御指摘のような反対があったのであります。そこで確かにそういう議論も一理はございますので、現在の方向といたしましては、輸出組合の種類を甲乙というふうに分けませんで、現状のままにしておきまして、一定の資格要件を備える輸出組合、たとえば資格者の二分の一以上が組合員となっており、あるいは輸出総額の三分の二以上いわゆる相当額の輸出実績を組合員が持っておるというふうな組合に対しましては、主務大臣の事務の一部を取り扱わせるというふうな方向で、輸出組合の強化をはかっていってはどうだろうかというふうなラインで研究をしていく、今のところ事務当局といたしましては、大体そういうふうな方向でまとめたいというふうに考えておる次第であります。決して官僚統制を強化するというふうな趣旨で改正を意図しているのではないのであります。
○松平委員 その甲乙というふうに分けることはやめて、実質的には分けるような工合にして今やられている、こういうわけでありますが、これはいずれ法案が出てきてから詳しいことは御説明もあり、また質疑もしたいと思うのでありますが、先ほど局長の述べられた第三点に関しまして、いわゆる買取機関を指定するといいますか、それは特定な場合においては特定のメーカーに輸出品を出させるように、もしくはそこから買わせるように命令をする、こういうわけでありますが、それは通産大臣が命令することになりますか、またどういう条件のときにそういう買取機関を指定する、もしくは買い取るべき物資を指定するつもりであるか、それをちょっとここでお聞きしたいのです。
○松尾(泰)政府委員 いずれ改正法案を御審議願う際に詳細御説明申し上げたいと思いますが、現在すでにいわゆる輸出品買取会社というものが十ばかりあるのであります。ところがこれが実質的には独占形態でございますが、独禁法の除外ということに実はなっていないわけであります。率直に言うと、公正取引委員会との話し合いで必要性を認められてやかましく言わないというふうな格好になっておる、いわば法律上は非常に問題があるような形態になっておりますので、それをはっきりと合法化しよう、こういうのがまず第一のねらいであります。そこで従来の輸出入取引法の趣旨から申しますと、輸出秩序確立の方法としまして、まず輸出業者のカルテル協定を認めております。あるいは輸出価格、輸出数量の協定等も言っておるのであります。商品によりまして輸出業者だけがいわゆる税関線におきまして価格をきめて、一致した行動をとろうと思いましても、多数のメーカーがおられる、それに多数の輸出業者が組み合わさろということになりますと、輸出組合の協定によりましては、なかなか十分な効果が出て参らぬ。実際は協定を作りましても、リベートとかあるいはキック・バックとかいう方法で、海外のバイヤーに対しましては一切協定なきがごときような弊害が出ておる面が多々あるわけでございます。そこでそういうふうな輸出組合の価格または数量協定によりまして効果が上らないというふうな場合には、輸出業者とメーカーとの関係をいわば遮断する意味におきまして、中間に買取会社を作って、メーカーは全部そこの買取会社に売り、輸出業者は買取会社からいわゆる買取会社の建値で買って輸出するということにする方がより効果的であろうというふうな趣旨で、買取機関をはっきりそういう必要のある場合に指定をしようというわけでございます。これも業界がそういうことを認識されて会社を作られるということになってきませんと、やぶから棒に政府が機関を指定するということはできませんので、いわば業界の盛り上る一致した意思でもっていろいろそういう輸出組合の協定もできるし、メーカーとのいろいろな話し合いもできるが、それでも効果の薄い場合に、両者で一つ中に単一会社を作っていただいて、そこを通して輸出価格の足並みをそろえて、輸出秩序の確立を期そう、こういう趣旨なのであります。
○松平委員 そういう買取機関を新しく作るという場合には、政府はあまり干渉がましいことはせずに、業者の盛り上る意思によって作っていかせたい、こういう御答弁であったわけですが、そうしますとそれは全然業者だけにまかせておくということになるのですか。やはり適当に盛り上りを政府でも指導するというか話し合いの上でそういう機運を醸成するというお考えがあるのではなかろうかと思いますが、それが第一点。
 それからそういうものを作った場合、新たに買取機関というか特定の指定会社を作った場合において、その会社の役員だとかそういう者の任免あるいはいろいろな行為というものについて、通産省はどの程度これを監督するのか、もしくはほったらかしにしておくのか、その点の現在までの事務当局のお考えはどういうことであるか、伺いたいと思います。
○松尾(泰)政府委員 まず第二点の買取機関に対する監督の問題でございますが、これはいわば非常に強力な独占体を合法化し、独占権を認めるという建前になりますので、政府の監督を強化するという方法がいいのではないかということで、今のところの案におきましては、役員の選任、解任は認可制にする、あるいは業務方法書等も認可制にするというように考えております。
 それからお尋ねの第一点は、そういう機関の設立に対して政府はどういうふうな指導なり奨励をするかというお尋ねかと思いますが、これは商品によりまして事情が違うわけであります。要は業界がそういう機運になることが先決問題で、輸出組合の協定あるいは調整組合との間の団体協約等も現在できるわけであります。従ってそういう方法で事足りる場合は、そういう買取機関は比較的できないのではないかとわれわれは推測しているわけであります。そういう方法をとりましても輸出業者もメーカーもどうもうまくいかぬということを認識されて、初めてメーカーと輸出業者で買取機関を作られるわけであります。先ほど申しましたように、業界というのは輸出業者とかメーカーだけというのではありませんで、両方が盛り上ってそういう機運を作ろうということになってくるのが先決問題であろうかと思います。ただわれわれといたしましては、あまり小さな商品につきましてちょこちょことそういう機関がただやたらにできて、取引の自由な活動を阻害するということになっては困るわけであります。いずれ法律案御審議のときにもいろいろ御説明申し上げますが、法律の条文におきましても、こういう設立し得る場合が限定をされるのであります。従いまして業界が盛り上ってきたような場合には、われわれとしては適当な指導をいたそうと思っておりますが、業界が全然その機運になっていないときには、幾ら指導し、そういうことを申し上げてもできないわけであります。やはり業界からそういう意見が盛り上ってきて、でき上ったものが果してメーカー、輸出業者の公平な利害という点から見て問題ないかどうかをいわばチェックをするのが役所の使命ではないかというように考えておる次第であります。
○中崎委員 関連して。今通商局長から御説明があったのでありますが、この買取機関を作れば、これは排他的な独占的な運用になると思います。これはよくよくのことといいますか、そう簡単にあり得るはずのものではないと思いますが、具体的にはどういう場合を予想しておるのか、それをお尋ねしたいと思います。
○松尾(泰)政府委員 先ほども申し上げましたように、これはいわば一定のスケジュールを作りましてこういう商品についてはこう、こういう商品についてはこうというようなスケジュールを作っておるわけではないわけであります。現在こういう種類の買取機関が十あるわけであります。ところが独禁法上何ら認められておらないというので、その現在ありまする十の買取機関を合法化するというのがまず第一の目的であります。その十以外の新しい商品につきましては、先ほども繰り返して申しておりますように、業界からその必要を認めて作りたいというふうな要望があってできるのであります。従って今政府の方で、次はこの商品、その次はこの商品というような一定のスケジュールを持っておるわけではごうもないわけであります。
○中崎委員 現在すでにそういうものが存在しておるということになりますというと、現在の運用において、国民経済的に見てどういう点に不都合があるのか。そういう買取機関があるのにかかわらず、実際は収拾つかぬくらいうまく行っていないのか。たとえば対外の信用の上においても、さらに国民経済の上においても、非常に不利益な契約をそれがためにやらなければならなかったとかいうふうな具体的な事例が、目に余るような事例が、現在こういうふうなものの中にあるのかないのか、それをお尋ねしたい。
○松尾(泰)政府委員 現在ありまする十の買取機関につきましては、それぞれの必要がありまして、輸出業者も輸出品のメーカーもがお作りになったわけであります。従いまして今できましたあとは円滑に業務は進んでおると私は思うのであります。何もこの十の機関をやめて新しく十作ると申し上げておるのではないのです。十の機関を合法化する。実際は独占形態でありまするが、独禁法上はそれは適用除外ということになっておりませんので、独禁法上合法化する――という言葉は若干不正確かもしれませんが、するわけであります。たとえば一例を申し上げますならば、双眼鏡なんかで作っておるわけであります。たくさんの輸出業者がおられ、たくさんのメーカーがおられるという場合に、輸出組合でいろいろな協定を結んでも、なかなか値くずしの競争というものはおさまらぬということで、輸出業者もメーカーも、一つそれではわれわれのまん中にこういう機関を作って、そこを通してお互いに売り買いをしようじゃないか、そうすればお互いの建値というものが一つのいわば生産規制にもなり、あるいは輸出の規制にもなるということで、両者が円満に話をされてできたのがそういう買取機関であります。農林水産物についてもかなりそういうものがありますが、合計いたしまして、今申しますように今度の改正法案の対象になる現在の買取機関は十ほどあるのであります。
○中崎委員 私が聞くのは、現在そういうものがあって、それが非常にうまく行っていない、国家的に見て非常に損失になるようなことも平気でやっておるというふうなことがあるのかどうなのかということを聞いておる。その運用上の現在の実情が一体どうなっておるかということを聞いておるわけです。
○松尾(泰)政府委員 まだ率直に申しまして各会社の業務を詳細勉強いたしておりませんが、私は順調に業務を進めておる、あまりそういう摩擦はないというふうに伺っておるわけであります。
○松平委員 いずれ法案が出てから、これについてはいろいろ質問したいと思いますので、きょうはこれでやめますけれども、私はいろいろな反対意見の中の一つとしては、やはり官僚的なにおいがあるのではないか。これに対する反発がかなりあったように思うのです。そこで結局いろいろな買取機関を作るにしても、あるいは輸出入組合を強固なものにするにしても、カルテルを強化するということになると、どうしても、その権限は通産大臣に帰するわけであります。そうしますと、やはり通産省との連絡を密にしなければうまくいかぬというようなことで、人事等につきましても通産省のいわゆる古手役人をそっちの方へだんだん出していくというような傾向がないでもない。そういう逆行したところの官僚統制をやらないといっても、自然にそういうふうに人事の面でやっていくような傾向が助長されるおそれもあるので、法案の作成に当っては特にそれらの点について注意をして、いろいろな業者の意見を聞いて、摩擦のないようなものにしていただきたいことを要望いたしまして、私の質問を終ります。
○福田委員長 加藤清二君。
○加藤(清)委員 ただいま上程になっておりまする輸出検査法の一部改正、これについて時間のあるだけ二、三御質問をしてみたいと存じます。
 本法案の趣旨であるところの、わが国輸出品の声価の維持並びに向上をはかるということは、私どももこれは全面的に賛成でございます。ところが声価の維持向上でなくして、逆にぬれぎぬを着せられているという面が過去においては多々ございましたので、この際この検査法案の趣旨が最もよく発揮されるためには、検査を厳重にするのみならず、ぬれぎぬを着せられるような原因の除去等についても御考慮を払っていらっしゃると存じますので、その点てについ政府側の具体的な方法について承わりたいと思うわけでございます。具体的に申し上げますると、日本の毛製品が海外に輸出されますると、とかくその意匠が英国のイミテーションであるというわけで英国から抗議が参ります。その抗議はやがて国際間のいろいろな問題に悪影響を及ぼしておるようでございます。ところがこれは、作る側や意匠センターの関係を調査いたしてみますると、何もメーカー側が作為的にその意匠を盗んだというような例はまずまずないのであります。なぜそれではそのようなイミテーションと思われるような品物ができたかと申しますると、これは、バイヤーがこういう柄を作ってくれというて指定をしてくるのでございます。そのバイヤーが英国系であったりその他その他であったりするわけでございまして、決して日本の商社が指定をしているわけではない。作る側で見れば、向うから指定された柄を作らないことには、それこそそこで立ちどころにクレームになりまするので、その柄が英国のものであるのかあるいはアメリカの特許のものであるのか、そんなことは知らずに、言われるままに作るわけなんです。それが海外に行ってから、やれイミテーションだ、クレームだ、こういうことになり、あたかもメーカーが意匠を盗んだかのごとき印象を世間に与えます。まことにもって遺憾なことでございまするし、このことはやがて輸出の際にメーカー側がおっかなびっくりでしなければならない、こういうことに相なっておるわけでございます。この点について政府当局としてはどのような具体策、どのような御指導をあそばされていらっしゃいますか、ぜひ一つ業界のため将来輸出を振興する上においても承わりたいのであります。
○松尾(泰)政府委員 確かに意匠の模倣あるいはクレームの原因が日本の業者の過失ではなしに、先方のバイヤーからの注文によって起る場合がかなりあることは先生御指摘の通りでございます。ところがこれは一がいにバイヤーの指定してきたものだから日本側のメーカー、輸出業者の責任はないんだとも言い切れないわけでありまして、問題が起ったときには、やはりオリジンの国である日本がメンションをされてとかくの批判を受けるのであります。そこで従来そのおそれのあるような商品については、たとえば綿織物あるいは陶磁器等について一番イギリスからそういうふうな苦情が多かったので、そういうものについては、先生も御存じのように、それぞれ意匠センターとかデザイン・センターを業界でお作りになりまして、そういう事件の起らないように努力をされているのでありますが、その他の商品についても、われわれとしましては、できるだけそういうふうな意匠センターないしデザイン・センターのようなセンターができて、業界で処置ができることを希望しておるのでありますが、具体的なそういう苦情が海外から出て参ったときには、通産省としてはそういうふうな商品については、それが外国品のコピングではないのだというふうな念書をバイヤーからとって、その安全性を見て輸出をしていただくという指導をしておるのであります。率直に申して、このデザインのコピー防止対策というものは非常にむずかしい問題ではありまするが、また日本品の声価を傷つけることも非常に大きいわけであります。輸出に心がける輸出業者もメーカーも細心の努力をいたさなければならない問題かと思うのであります。それがためにあまりびくびくして活動がこそくになるということでも困りますが、実際問題としてこれは日本の評判を傷つけることが非常に大きいこともまた事実であります。その原因が先生御指摘のように、バイヤーの指図による場合も非常に多いのでありまするが、問題が起ると、結局日本側の責任ということになります関係で、関係業界も従来いろいろと努力をされておるのであります。なおわれわれもできるだけそういう問題が起らないように努力して参りたいと思っております。
○加藤(清)委員 ただいまの答弁で大体満足ではありまするが、由来日本の輸出品の声価を傷つけるものの内容は、一つには品質が悪い、それからコストが高い、このように外面的に宣伝されておるようでありまするが、ただいま局長の言葉に上りましたところの陶器だとか綿織物等々に限っては、決して品質が悪いというわけではございません。またコストが高いということも見受けられない。むしろ品質がよ過ぎて、コストが世界プライスと比較をして安過ぎるというのが現状でございます。にもかかわりませず、時折クレームなり何なりが出るのは一にかかって意匠の問題のようでございます。そこで先般意匠センターなりができたのでございまして、ここでイミテーション問題を解決しようとしていらっしゃるようでございまするが、むしろ私は検査を強化するというよりも、この繊維製品だとかあるいは陶器等々に関する限りは、この意匠センターを十分に強化拡充されるということの方が目下の急務ではないか、こう思うわけでございます。
 そこで、検査の強化よりもむしろ意匠センターの強化拡充という問題について一つ政務次官に御見解を承わりたいのでございます。この意匠センターの予算でございますが、常に綿織物にしても絹織物にしてもあるいは毛織物にしてもそうでございまするが、生産の数量とかあるいは輸出の数量は賦課金がかかってきておるようでございます。その賦課金によってほとんどの経費がまかなわれておるようでございまするが、私はむしろこの予算は輸出奨励に大いに関係がありまするので、もっと政府予算を捻出さるべきではないか、こう思います。すなわちジェトロのごときはほとんど特殊物資その他から捻出された、つまり輸出に関係ある利潤からその経営の資金がまかなわれておるようでございまするけれども、意匠センターに限っては、どうもメーカーないしは輸出者の負担で、特に小機屋あたりの乏しい利益からその経費がまかなわれておるということは少し片手落ちのような気もいたしまするが、これについて、政務次官としてはどのようにお考えでございましょうか。でき得べくんば意匠センターの費用などというものはそう大して多額ものを必要としておりませんので、この際政府の英断によってその大部分を政府資金からまかなわれるようにすれば、小さな機屋あたりはずいぶん政府の恩恵に感謝すると思いますが、いかがなものでございますか。
○長谷川政府委員 意匠センターに対する予算が少いということですが、御指摘の通りジェトロの方から一部出ておるわけでございます。私の考え方を率直に言えということですから申し上げますが、御指摘のように、もう少し考うべきだと私は考えます。従っていずれにしても今年度には間に合わないのでございますが、その点は十分考慮に入れていかなければならないと思います。一方意匠センターが強化されていけば、輸出検査法というものは強化しなくともいいのじゃないかということは、私とはちょっと見解が違うのでございます。私は今度の輸出検査法を提案するまでにいろいろの話を伺い、また調査した結果を見ますると、やはり海外に出ていってクレームのつくのは繊維製品が非常に多いということです。それはいろいろ注文のときの関係等がありまして、そのままのもので行ってもいろいろまた向うでそれに対するクレームのつけようがありましょうが、いずれにしてもその数字が多いという点についてはやはり検査は強化しなければならない。また先般来の小さい話ですが、中共の例の万年筆の問題を見ましても、輸出の検査の強化だけはすべきだ、こう考えております。
 話は戻りまして、意匠センターというものをもう少し活用しなければならないし、従って政府としてもこれらに相当の補助を見なければならぬ、こう考えます。それらは次に出てくる中小企業の団体法というようなものの面の強化によってもこれらを推進することができるというふうにも私は考えておるわけでございます。
○加藤(清)委員 大体意匠についてクレームのついた品物のメーカーの内訳を調べてみますと、これは大紡績の製品に割合に少くて中小企業者の製品に多いようでございます。この一例をもって見ましてもそうでございますが、大企業で経営する場合には、意匠のみならず品質にいたしましても、外国でどのようなものがどのようなパテントになっているか等々のことについて研究するだけの余裕、利潤というものがございます。ところが事中小企業に関しては自転車操業でありまして、次官御存じの通り税金と金利に追われておるのが実情でございまして、世界中広く行われている意匠を研究して、その後に独自のものを作るとか、あるいは相手の意匠に似ないようにするというようなことまではとうてい永久にできない。そこでぜひ一つせっかくできました意匠センターをして、その中小企業がやろうとしてやり得ないその苦しみを打開していただきたい、こう思うわけでございます。一つ次官の英断をもって、次官の任期中にこれをやられましたならば、これはりっぱな仕事として未来永劫に残る仕事であり、しかもまた中小企業も喜び、やがて日本の海外市場における日本商品の声価を上げる原因になると思いますので、ぜひ一つこれはやっていただきたいと思うわけでございます。
 もう一点だけでございまするが、先般来中国向けに出されました毛製品にクレームがついた。この輸出商は決して日本的にいっては小さい商社ではございません。日本で名だたる総合商社が輸出しておるにもかかわりませずこれにクレームがついたということで、業界からはそれの実態調査をするために中国へわざわざ出かけようじゃないかということまで相なっておるようでございます。私がこの問題について調査したところによりますると、決してメーカー側も商社側も契約違反をしたとは考えられないのでございます。仕様書をごまかして作ったとも考えられないのでございます。この点はむしろ日本の検査基準と、かの国の検査基準の相違からくるものではないか。あるいは同じ検査基準でございましても、その基準に含まれる範疇の受け取り方、相違からくるものではないか。もしそうであるとするならば、今後の輸出は、特に輸出の規格は世界共通の基準のもとに行われるように政府側からも業界に対して奨励すると同時に、そういう世界共通の基準のもとに輸出が行われるよう指導育成されるべきではないかと思いまするが、この点の実態とこの問題に関する御見解を一つ承わりたいのでございます。
○松尾(泰)政府委員 中国向けの毛織物のクレームについてでございますが、われわれの調査によりますと、中国の検験局の単なる誤解というふうに考えております。それは綿・スフ織物の収縮率三%、毛織物の収縮率六%、それまでは大体よろしいということになっておるわけであります。ところが中国の検験局では綿・スフ織物も毛織物も同じ収縮率いわゆる三%の方だ、こういうふうに誤解しておったことから問題が起ったようでありまして、その後事情がわかって大体解決の方向に向っておると聞いております。またわれわれの調査によりますと、織物類については中国の検験局にははっきりした検査基準はないように伺っている。これはあるいは調査不十分かもしれませんが、そういうように伺っておるのであります。
 それから第二点の、今後の日本の検査基準を世界共通の基準にというお話でございますが、これは中国のような国営貿易をやっておるところにおいては検査機関も単一であってはっきりはしておると思いますが、ほかの国々においては別段輸入する場合の検査基準がどうだというはっきりしたものはないわけでありまして、個々の取引の契約の中でうたわれておるというのが実情かとも思うのであります。もっとも世界的な、いわゆる行政的な検査機関ではない取引上の検査機関というものもありますが、そういうふうな機関の採用しておる検査基準なり検量方法はこれを参考にしてわれわれの検査基準の中にも取り入れるべきかとは思いますが、世界的共通の検査基準の発見は実際問題としてむずかしいのでありまして、われわれはもちろんそういうことも研究をし参考にしていかなければならぬとは思いますが、それよりも日本品が海外に出た場合に率直にいいましてあまりみっともないものが出ないようにというのがまず最初の目標ではなかろうかとも思うのであります。実際問題として雑貨にしても、あるいは先生御指摘のような中小企業の織物類にしましても、百のうち若干の件数ではありますが、悪い品種のものが出ていく。全般的には日本のものはむろんかなり品質もよくなったといわれてはおるのでありますが、中には、不心得というか、不注意のために若干の不良品が出ることによって、全体の声価を傷つける場合が多いのであります。こういう強制検査方法によって全部検査にかけてそういうことのないようにやりたい、こういうわけであります。検査基準についてはわれわれも今後研究をいたしますが、実際問題として世界共通のものということはなかなかむずかしいのではないかと考えております。
○加藤(清)委員 質問はまだたくさんありますが、時間が参ったようでありますので、残余の問題はこの次にいたします。輸出を振興させるために、日本商品の海外における声価の維持並びに向上のために、一つには検査を強化されることも賛成でございますが、思わざるぬれぎぬを日本側が着せられていたということにかんがみて、今後ぬれぎぬの原因を除去するように特段の御努力を要望いたしまして本日のところはこれで終ります。
○福田委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は明二十七日午前十時より開会することとし、これにて散会いたします。
   午後零時十一分散会