第026回国会 商工委員会 第33号
昭和三十二年四月二十七日(土曜日)
   午前十一時二十八分開議
 出席委員
  委員長 福田 篤泰君
   理事 小笠 公韶君 理事 鹿野 彦吉君
   理事 小平 久雄君 理事 笹本 一雄君
   理事 西村 直己君 理事 加藤 清二君
   理事 松平 忠久君
      有馬 英治君    池田 清志君
      内田 常雄君    岡崎 英城君
      亀山 孝一君    纐纈 彌三君
      佐々木秀世君    齋藤 憲三君
      篠田 弘作君    首藤 新八君
      田中 正巳君    中村庸一郎君
      永山 忠則君    藤枝 泉介君
      松澤 雄藏君    南  好雄君
      村上  勇君    山本 猛夫君
      山本 利壽君    春日 一幸君
      片島  港君    佐竹 新市君
      田中 利勝君    多賀谷眞稔君
      永井勝次郎君    帆足  計君
 出席国務大臣
        通商産業大臣  水田三喜男君
 出席政府委員
        総理府事務官
        (公正取引委員
        会事務局長)  坂根 哲夫君
        通商産業事務官
        (大臣官房長) 松尾 金藏君
        中小企業庁長官 川上 爲治君
         通商産業事務
         官(中小企業
         庁振興部長) 今井 善衞君
    ―――――――――――――
四月二十五日
 委員八木昇君辞任につき、その補欠として鈴木
 義男君が議長の指名で委員に選任された。
同月二十六日
 委員春日一幸君辞任につき、その補欠として武
 藤運十郎君が議長の指名で委員に選任された。
同月二十七日
 阿左美廣治君、岡崎英城君、川野芳滿君、菅太
 郎君、椎名悦三郎君、鈴木周次郎君、田中彰治
 君、福井順一君、前田正男君、横井太郎君、西
 村彰一君及び武藤運十郎君辞任につき、その補
 欠として松澤雄藏君、藤枝泉介君、纐纈彌三君
 、山本猛夫君、永山忠則君、山本利壽君、有馬
 英治君、亀山孝一君、田中正巳君、池田清志君
 、多賀谷眞稔君及び春日一幸君が議長の指名で
 委員に選任された。
    ―――――――――――――
四月二十六日
 電子工業振興臨時措置法案(内閣提出第一四四号)(参議院送付)
の審査を本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 中小企業団体法案(内閣提出第一三〇号)
 中小企業団体法の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律案(内閣提出第一五二号)
 中小企業組織法案(水谷長三郎君外二十三名提出、衆法第二号)
 中小企業組織法の施行に伴う関係法律の整理に関する法律案(水谷長三郎君外二十三名提出、衆法第七号)
 中小企業の産業分野の確保に関する法律案(水谷長三郎君外二十三名提出、衆法第五号)
 商業調整法案(水谷長三郎君外二十三名提出、衆法第六号)
 派遣委員の報告聴取
    ―――――――――――――
○福田委員長 これより会議を開きます。
 中小企業団体法案、中小企業団体法の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律案、中小企業組織法案、中小企業組織法の施行に伴う関係法律の整理に関する法律案、中小企業の産業分野の確保に関する法律案、商業調整法案、以上各案を一括議題といたします。
 今般、中小企業団体法案、中小企業組織法案外二案審査のため、大阪、名古屋に委員を派遣し、昨二十六日、現地の関係者よりこれらの法案について意見を聴取いたしたのでありますが、この際、派遣委員よりそれぞれその御報告を願います。首藤新八君。
○首藤委員 ただいま委員長から御指名がありましたので、私から、昨日大阪で開催いたした会議の経過について概略御報告申し上げます。
 私どもは、中小企業団体法案並びに中小企業組織法案外二案の審査のため、大阪市に派遣され、昨二十六日同市において現地調査会を開きまして、広く各界の意見を聞いて参りました。この現地調査会の経過等につきまして、ごく簡単に御報告申し上げることといたします。
 派遣委員は小平久雄君、横井太郎君、水谷長三郎君、田中武夫君及び首藤新八の五名でありまして、調査室より越田室長外一名が同行いたし、なお現地におきましては、川上中小企業庁長官及び吉岡大阪通商産業局長等の政府の方々が出席されました。
 現地調査会は、大阪市中之島公会堂の会議室におきまして午前十時に開会いたし、まず小平班長からあいさつを行い、あわせて会開催の趣旨説明、派遣委員及び意見陳述者の紹介並びに会議運営方針の説明を行いました。
 次に、政府提出の中小企業団体法案につきまして、川上中小企業庁長官より提案の理由と法案の内容の御説明を願い、引き続き日本社会党提出の中小企業組織法案、中小企業の産業分野の確保に関する法律案及び商業調整法案の提案理由と内容につきまして、水谷長三郎君より御説明をいただきました。
 次に、意見陳述者からの意見聴取に移りましたが、まず日本綿スフ織物工業協同組合連合会副会長桝野竜太郎君の御意見は、若干の修正要望をつけ加えて政府案に賛成、社会党案には賛成できないという趣旨でありました。
 次に、日本マッチ調整組合理事長永木広次君の御意見は、若干の修正要望を付して政府案に賛成でありました。
 次に、大阪市立大学教授藤田敬三君の御意見は、中小企業者の自覚なくして、上から法律を与えることは好ましくないという趣旨でありました。
 次に、全日本労働組合大阪地方協議会代表岡野正雄君の御意見は、政府案、社会党案とも成果が期待できないというものでありました。
 次に、大阪府小売商団体連絡協議会会長吉村義照君の御意見は、全面的に政府案に賛成するという趣旨でありました。
 次に、日本薬剤士協会特別調査委員会会長滝川末一君の御意見は、政府案に反対、社会党案に賛成でありました。
 次に、大阪地評福祉対策部長西村清馬君の御意見は、政府案、社会党案とも成果が期待できないという趣旨でありました。
 次に、大阪中小企業同志会会長小西聖夫君の御意見は、政府案に賛成し、社会党案は研究していないが、双方の話し合いで成立することを希望するという趣旨でありました。
 次に、関西経済連合会事務局長工藤友恵君の御意見は、政府案、社会党案の両方に反対でありました。
 最後に、大阪府中小企業等協同組合中央会副会長石橋助司君の御意見は、政府案に賛成でありました。
 意見の陳述を終り、引き続き委員側より意見陳述者に対し、種々質疑を行いました後、現地調査会を散会した次第であります。
 なお、意見及び質疑等の詳細は、速記録を取りまとめの上、後日委員会会議録に記載し、各位の御参考に供することといたしたいと存じ、しかるべく委員長のお取り計らいをお願いいたします。
 はなはだ簡単ながら御報告を終ります。
○福田委員長 小笠公韶君。
○小笠委員 中小企業団体法案並びに中小企業組織法案外二案の審査のため、議長の承認を得まして名古屋市に派遣され、昨二十六日同市商工会議所において現地調査会を開き、広く各方面の意見を聴取して参りました。現地調査会の経過を、ごく簡単に御報告申し上げます。
 派遣委員は、自由民主党阿左美廣治君、日本社会党永井勝次郎君及び小笠公韶の三名でありまして、政府側より中小企業庁振興部長今井善衛君及び福井名古屋通商産業局長等の方々が出席されました。
 現地調査会は、名古屋商工会議所の会議室におきまして午前十時に開会いたし、私から班長あいさつを行い、会開催の趣旨説明、派遣委員及び意見陳述者の紹介、並びに会議運営の順序について詳細の説明を行いました。
 次に、政府提案の中小企業団体法案につき、今井振興部長より提案の理由とその内容について、詳細な御説明があり、引き続いて日本社会党提案の中小企業組織法案外二案の提案理由と内容につきまして、永井勝次郎君より御説明が行われました。
 次に、意見陳述者からの意見聴取に移りました。意見開陳者は次に申し上げる九人の方々であります。愛知県中小企業等協同組合中央会会長江崎富次郎君、名古屋商工会議所中小企業委員長永井嘉吉君、日本毛織物工業協同組合理事長渡辺治彦君、名古屋教員組合委員長竹内茂君、愛知県時計小売商組合連合会会長恩田茂一君、日本陶業連盟専務理事三井弘三君、愛知県下駄工業協同組合理事長村瀬重時君、NEP協同組合理事長間瀬鋼平君、名古屋国鉄労働組合副委員長竹内弘君、以上でありますが、その賛否は、中小企業団体法案については、七人より賛成の意見の開陳があり、その早急なる成立の希望を述べられました。
 その後質疑に入り、派遣委員と陳述者の間に熱心に長い時間にわたり行われました。その陳述者の意見並びに質疑の内容については、会議録に記載することに委員長において取り計らいをお願いし、各位の御参考に供することとします。
 以上簡単ですが御報告申し上げます。
○福田委員長 ただいま派遣委員よりお申し出がありました通り、両現地調査会の会議の速記録は、委員会会議録に掲載するに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○福田委員長 御異議なしと認めさよう決定いたします。
 ちょっと速記をとめて……。
  〔速記中止〕
○福田委員長 速記を始めて。
 この際暫時休憩いたします。
   午後零時五十一分休憩
     ――――◇―――――
   午後四時四十二分開議
○福田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 中小企業団体法案、中小企業団体法の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律案、中小企業組織法案、中小企業組織法の施行に伴う関係法律の整理に関する法律案、中小企業の産業分野の確保に関する法律案及び商業調整法案、以上、各案を一括議題とし、質疑を継続いたします。加藤清二君。
○加藤(清)委員 すでに皆さん御承知の通り、本法案につきましては与野党ともきわめて熱心でございまして、その妥結点を見るべく、別室においてその話し合いがスムーズに進められておるわけでございます。しかし私どもの質問はまだずいぶん残っているわけでございまして、これが質問を完了しない先に、質疑打ち切りとか、あるいは多数によって少数の意見を踏みにじっていくということになりますと、御承知の国会運営の正常化という岸内閣の金看板に傷がつくわけでございまするが、大臣はこの点についてどうお考えになっていますか、これが第一点でございます。
 第二点は、今度は法律の内容について触れまするが、団体法及びその他関連の法律がもし実施に移された場合に、過去の中小企業に関するあまたの法律のうち、どの法律とどの法律が無効になるかという問題。まずそれだけ伺います。
○水田国務大臣 審議は十分尽していただきたいと思いまして、私ども政府委員はけさ早くからここに参っているのですが、まだ御審議がないようなわけでございます。
 それから第二点の無効になる法律は、大体、中小企業安定法だけでございます。
○加藤(清)委員 きのう、きょう、急遽きわめて御熱心になられたことは私も認めますが、この熱心さと時間の経過とをにらみ合せまして、すでに私どもは本年の国会の当初、二月に法案を出しているわけでございますので、この点も御了承の上、いろいろ今後の態度をおきめ願いたいということを最初に切望しておきたいのであります。決して責任のなすり合いをするわけではございませんが、十分に審議を尽し合うということが最も国会の正常化に役立つことになるのではないかと思われるからでございます。そこで、この法案が通過することによって廃止ないしは効果が薄らぐという点をにらみ合せてみますと、ここに重大な問題が惹起されるのでございます。それがため、ただいまも別室において話し合いが行われておるわけです。御承知の通り、本法の五十六条によって数量の調整は可能とお見受けいたしますが、設備の調整、特に新規設備の問題等については制限規定とみなされるものがございません。ところが、中小企業安定法第二十九条の一項及び二項の適用をぜひにというので、政府の許可を取っている業界があまたあるのでございます。また先般の繊維設備制限法により、設備の制限が必要かつ緊急であるので、それが目下具体的に進行しつつあるのでございます。ところが、本法案が通りますと、業界のこの既得権は抹殺されるおそれが十分にあるのでございます。この点いかように対処なさろうとしていらっしゃるのか、まず基本的に大臣のお考えを承わり、こう対処してこう欠点を補うのだという点を具体的に長官から承わりたいのでございますが、私が今申し上げております事柄は必ずしも社会党ひとりの意見ではなく、私の非常に親しい保守党の議員の各位からもぜひこの点は正しい修正をしていただきたいという陳情があるからでございます。
○川上政府委員 現在の中小企業安定法の第二十九条の二の命令につきましては、私どもこの中小企業団体法を立案するに当りましていろいろ検討いたしたのですが、結局これは新規営業についての禁止ということになるのではないかという意見が法制局の内部においてだいぶ出まして、現在認められておることではあるけれども法律論的にどうかということで、では何か、方法はないかといろいろ検討したところ、全く同じではございませんが、この十七条第一項の一号によりましてそのものの設備に関する制限、いわゆる使用の制限というようなことによって措置することができるのじゃないか。最初は新設そのものについて認めるけれども、組合に入ってその設備を使用することについて制限をするということによって目的は果し得るのじゃないか。また五十六条の命令によってこの組合においてやっておる使用制限の調整事業をアウトサイダーに適用させるというようなことによって大体目的は果し得るのじゃないかというような考えによりまして、私どもの方としてはこの二十九条の二の命令というのをこの法案の中には入れなかったのであります。これはこの前も申し上げましたが、いろいろ法律論的に問題があるわけでございまして、私個人の意見を申し上げるのはどうかと思いますけれども、現在安定法によって認められておるんだからいいではないかというような、あるいは素朴な議論であるかもしれませんが、そういうような気持もいたすわけでありますけれども、いろいろ検討したところが、どうも今まで安定法によって認められておるけれども、法律的におかしいからほかにいい方法があれば、それによってやったらいいじゃないかということになりまして、実は今申し上げたようなことによってある程度行けるんじゃないかということになったわけでございます。
○加藤(清)委員 これは大臣にも聞きたいのですがね。長官、今どう妥結点を見出すかというんで、真剣勝負の話し合いが別室で行われておる最中でございまするので、この席だけをうまくのがれて、それであとはさようなら、野となれ山となれ、そういう考え方の御答弁はこの際は御遠慮願いたいのでございます。ほんとうに悪ければ悪い、直すなら直す、こういうふうにしなくてはいかぬ。向うでは今これを直すという方向に向っておるのであります。それは私が一番最初に提起したのです。何も強制加入とか団体交渉の問題よりも、さしあたってこの問題が必要だからというので、今行われておる。
 それで、よろしゅうございますか、長官と大臣、中小企業安定法二十九条の第一項及び第二項の命令によってすでに獲得している既得権が今度の法律では喪失されるということでございますよ。
 それから第二点は、中小企業安定法二十九条第一項、第二項と同じ趣旨によって、ついさきの国会で繊維設備制限法なるものが通ったばかりでございますよ。業界では今この方向に従ってずっと調整が行われつつあるんですよ。そのやさきに、半年を出ずしてまた追い打ちして、今度は別途の法律が出てきたわけだ。前のは新規設備はいけない、増設は認めないということなんだ。ところが今度の法律によると、新規設備もよろしいということになった。どうしてそうなったかは私は推察するにやぶさかでない。なぜかならば、本法案は全部十ぱ一からげにしちゃって網を打ったのでございますから、各業態々々の進歩の程度に沿ったものができていないということなんです。一番程度の低いものをやったわけです。あるいは中間かもしれぬ。ところが業界においてはすでにそういう経験を何度も経て、いろいろな苦難を越えて、そうして進歩したところへ来ているわけです。それがぐっと引き下げられてくる勘定でございます。運用の妙とか、うまくいけば、こうおっしゃいますが、それでは業界はどっちの法律を聞いてやるのですか。私はどっちの法律を聞くんでしょう、そこを教えて下さい。
○水田国務大臣 昨日阿左美委員の御質問のときお答えしましたように、私どもが安定法の二十九条の条文を除いた理由は、きのう説明した通りでございますが、しかし実際においてすでに安定法において踏み切っている問題でございますので、法律論的には若干の問題があっても、実際の中小企業の不況克服のために必要だという実情から見てそういう規定の方がいいということでございますれば、あえて私どもは別に反対しない、国会の御決定に対して政府は異論を述べないということはきのう申し上げた通りでございます。
○加藤(清)委員 長官も大臣もこの方にしたいというのでございます。いいから変えたということでございますが、今度の新しい今かかっている法案によれば、これは既得権が喪失する結果が生じてきますよ。喪失する方がいいんですか。喪失する方がいいんだとおっしゃるならば、つい半年ばかり前に何がゆえに設備制限法というものを出さなければいけなかったのか。これは私からいえば、私の考えでなしに、政府のついこの間の考え方を正しいとするならば、今度の法案は改悪ということになるわけです。しかもこれがこの間の法律が通って、いろいろ二、三年体験して見た結果、こういう欠点が出たからこうだというならまだ話はわかる。この間の法律は審議会にかかって今その方向に向って審議会においては決定しよう、その段階がまだ決定線も出ていない、化繊のごときはまだ決定線も出ていない。そういうやさきに、まるっきり違った、設備はどれだけしてもよろしい、こういう法案を出されるということは、いかに抗弁されようとも私はこの法案がいいとは言われない。もしこの方がいいというなら、つい半年前にはうそをおっしゃった。今日審議会においてはそのうそに従って審議を進めておる、こういうことになるわけでございますが、それなら業界の権威を集めて行われておる審議会に何のかんばせあってか通産大臣は相まみえようとなさるのでございますか。
○水田国務大臣 ですから私の考えはさきに述べた通りでございます。
○加藤(清)委員 わかりました。大臣も長官も、これは悪いと気がついたから、改めるにやぶさかでない、こういうことでございますね。
○川上政府委員 その通りであります。
○加藤(清)委員 まことにけっこうな考え方で、そういう高潔なお考えを持っていらっしゃるならば、私はこういう大臣にはますます尊敬の念を深めるのみでございます。
 さてその次にかかる良識高き大臣にもう一つぜひ聞いてもらわなければならぬ問題がございます。同じような既得権が剥奪されるということでございますが、中小企業者を救うためにこのたびの法案が行われようとしております。しかしこの法案はいわゆる過去の中小企業の法律と比較して見ますると、違う点は、強制加入と団体交渉というところ、ここが一番のみそでございますが、その団体交渉の面はいつの間にやら骨抜きにされて、相手方はこの応諾の義務が喪失しておるようでございます。従って今度の法律ができたおかげで、この新しく挿入される点は強制加入の点と、それから分野が全域に及んだ、こういう点でございますが、言葉をかえて言いますと、これは中小企業の難渋しておる融資、税制、原料高の製品安、部内の競争激烈等々の問題のうち、特に政府及び銀行ないしは大企業に向って行わなければならないあまたの問題があるはずですが、これが、ほとんど団体交渉権の権はあっても、相手の義務のないおかげで喪失した。要は自分らの仲間を制御することと、それから不況カクテルを結んで値段のつり上げをやる、こういうところにこのウエートがやむなくいっちゃったようでございます。あえてやむなくと言いましょう。そこで、この犠牲になるものが、消費生活協同組合でございます。この点をかつて別な面から与党の議員が総理大臣に聞かれましたところ、運用の妙と、こう言われましたが、私は、いかに運用の妙がありましても、なお消費生活協同組合なり同類の農業協同組合に及ぼす影響というものは除去されないだろう、こう思いまするが、この点、中小企業を救うに急の余り、同じように法律をもって保護、育成、強化されておりまするこの生協ないしは農協というものを圧迫して助からなければならないというものでございましょうか。この点も修正の用意があるでございましょうか。
○川上政府委員 現在消費生活協同組合におきましては、厚生省あるいは府県の監督のもとにいろいろ事業をやっておるわけでございますが、私どもとしましては、この消費生活協同組合が本来の目的を果しつつ健全な発達をするということは、これはまことにけっこうなことではないかというふうに考えておるわけでございます。ただ、たまたま地方で問題を起しておりますように、いろいろ員外利用の問題とか、そういう問題が出て参りまして、中小企業者といろいろ紛争をいたしておるわけでございます。これはいろいろな販売の方法とかそういう問題につきまして、少くとも一般の中小企業者とお互いにその分野を守りつつ、協調していくということが大事ではないかというふうに考えます。従いまして、第二十九条の組合交渉につきましても、やはり生活協同組合を対象にいたしまして、いろいろ相談をし合って、そうしてお互いに協調していくようにさせたいという意味から、この消費生活協同組合というものを、われわれとしましては、やはりこの対象として考えておるわけでございまして、これを今やめるというようなことは考えておりませんが、しかし消費生活協同組合のあらゆるものについてそういう措置をとるというようなことは考えていないわけでございまして、府県におきまして非常に問題を起しておる、また起しそうなものについて、各府県知事の申請によりまして、われわれの方としましては、政令で指定をしていきたいというふうに考えておるわけでございます。
○加藤(清)委員 その長官のお答えを聞いておりますと、全くスムーズにいくように受け取れる。ところがもし中小企業の団体にそういう権限を与えたために行き過ぎがある、こうみなされた場合にはどうなさいますか。これは大臣にお尋ねします。
○水田国務大臣 御承知のように、組合交渉についてはいろいろな制約がございますので、そういう行き過ぎは私どもはないと思っていますが、かりに行き過ぎがあったとすれば、当然この交渉はまとまりませんし、従って政府がこれに勧告を出すというようなことはいたさないということになりますので、そういう行き過ぎは事実上私はないだろうと考えております。
○加藤(清)委員 だから私どもはそういう答えが出るから実態の調査表と政令を、ぜひこの審議の過程において出していただきたいということを申し上げておるわけなんです。ところが実態調査は三年かからないと出てこないということで、拙速をとうとぶからということですから……。私は、本法案が上程されようというこの空気になったのみで、すでに権限が与えられたかのごとく誤認している業界があって、それが消費生活協同組合に大きな圧迫を加えているという実態を申し上げてみたいと存じます。
 第一番は、おやじのすねをかじっております大学の学生、特に大臣や長官の母校には、消費生活協同組合が、学生を主体として行われているのでございます。この経費は安いほどいいか、高いほどいいかといったら、いかに大臣が財産家でも、長官がお金持ちでも、子供の学費は少くて済むほどいいじゃないか、こう思われるわけでございます。そこで学生の諸君、特にあなたの母校は頭のいい生徒さんばかりお集まりでございますので、実地訓練の意味をも兼ねまして、本位田博士のあの理論を実地に移していらっしゃるわけでございます。ここで扱っております図書でございますが、これは全部の出版会社の全量からいけば大したものでございませんが、わずか定価よりも引いておる。これは消費生活協同組合の精神でございます。またこれはジュネーヴにおけるILOの国際会議においても認められておることである。わが国の法律においても、すでに認められておることであります。当然でございます。しかもジュネーヴの勧告は、これを一そう助長することが、消費者の経済生活を向上するゆえんの道であるからというので、各国の加盟政府に対してはサゼスチョンが行われておるはずでございます。さてこういう状況下にありますにもかかわりませず、この図書の販売取扱い店は、この学生のささやかなる希望をもこのたびは抹殺し去ろうとの意図に出まして、ここでは定価通りに売ればよし、もししからずんば本は分けてやらない、いや、定価通りに売りますからと言うても、なおあまたあまたの図書は削り去られていっているという事実が、この統計に現われているのでございます。
 私はここに一例のみを申し上げました。薬においてもしかりでございます。カメラにおいてもしかりでございます。レンズにおいてもしかりでございます。もし例がそれでもなお足りないとおっしゃるならば、私は時間さえ許されれば、うんとこさ材料を持ってきているのですから、一つよく大臣にもわかっていただいて――この際幸い公取の事務局長もいらっしゃるのでございますから、この法律が出る、通るという声を聞いただけで水鳥の羽音に驚かずに、逆にもうもらったかのごとく権限を振りかざしている業界のあることを憂えればこそお尋ねするわけでございます。
○川上政府委員 私どもの方としましては、今加藤先生のおっしゃいましたような、そういう消費生活協同組合を、その事業を束縛しようというような考えは少しも持っていないわけでございまして、現在地方においても非常に問題を起しておりまして、中小企業者がそのために非常に困っておるというようなものについて、この組合交渉の措置によりましてその調整をしたいというふうに考えておるわけでございます。先ほど申し上げましたように、特にそういう問題を起しており、また起すおそれが非常にあるというようなものについては、府県知事の申請によりて私どもの方としましてはこの政令で指定をしていきたいというふうに考えておるわけでございまして、今例示されましたようなそういうものは当然私は対象にならないのじゃないかと考えるわけでございます。この二十九条の規定によりましても、また三十条の規定によりましても、組合交渉する場合においてはその調整事業にどうしても関係する者でなければならないとか、あるいは交渉する場合においては組合協約の内容とかその申し出の相手方について総会の承認を受けなければいけないとか、その他勧告につきましてもいろいろな条件を付しておるわけでございまして、われわれとしましてはただむちゃくちゃにそういうものを許すというようなことは毛頭考えていないわけでございます。
○坂根政府委員 ただいまの問題は、私の方の法律から申しますと、二十八年の改正の際に再販価格の維持契約条項がございまして――しかし消費生活協同組合というものは、再販価格の維持契約の適用除外団体になっております。従ってその適用除外団体が割り引いて売ったからといって、それに対して本を供給しないということになれば、独禁法上の問題が起る可能性が出て来ると思います。
○加藤(清)委員 私もそう思えばこそお尋ねしたわけでございます。本法律がまだ適用以前において、なおかくのごとき例が政府のおひざ元の通産大臣の母校において行われておるというのが実態なんです。ましていわんやいろいろな手続を経てとおっしゃいまするが、その手続を経る先にやってしまっているのだからこれをどうするか。その最高責任者である中小企業の長官にお尋ねしたところ、かくかくの手続だからそんなことはあり得ないとか――これはあるのです。あり得ないとおっしゃればやむを得ぬから、名前から何から全部言いますが、薬品においては武田製薬で二十六品目以上もうすでにこれを行なっております。公取がおっしゃいました再販価格の維持契約、この問題が適用されている。だからこれはこういう法律の関係の除外例になっているはずだ。にもかかわらず法律は除外してくれても今度はおれらの言う通りを聞かなければお前のところは品物を流すところから除外するときておるのだから、法律除外よりもおそろしいのは品物から除外されることなんだ。だから売ろうと思っても売れない。全然できない。ということはすでに厚生省の生活協同組合法によって許されている行為が、一方的な断定、一方的な交渉によって抹殺されてしまっておる、こういうことでございます。これに対して、私はぜひ厚生大臣を呼んでこの対象のことをお尋ねしたいのでございますが、通産大臣にはこうお尋ねいたしましょう。これに対してどうお考えでございますか。それからまた先ほど申し上げましたように、国際連合のILOの会議においてはこの運動は助長さるべきであるということが各参加加盟国にサゼスチョンされております。そこでガヴァメント・オフィスにおいては、この問いに対していなと答える場合には、そのよって来たる原因及び諸条件を備えて、これをILOに具申しなければならない。こういうことに相なっておることは、賢明な博識な大臣でいらっしゃるから、よく御存じのはずでございます。それが今日ここで行われておる。行われておることは、消費生活協同組合の方々がこの法律は反対だ、この法律は困ると、こういって陳情にいらっしゃる大きな原因になっておるわけでございます。すべからく大臣はこの不安とこの懸念を除去されることが最も賢明ではないかと思いますがゆえにお尋ねするわけでございます。
○水田国務大臣 ただいまのようなことが行われておる事実がもしありとしますと、結局これは独禁法で取り締るよりほかはないと考えますので、これは実情を十分調査いたします。
○加藤(清)委員 通産大臣は独禁法で処理するとこうおっしゃいますが、公取としてはこのことは耳に入っておりますか。それとも手が少いためにまだ調査不十分とおっしゃいますか。
 次にこのことは相手が学生でございますので、これは学生大会には何回か出ておるのですよ。私の言っておることは、何もこの際こういうことで大臣をいじめてやろうとかどうとかいうことを言っておるのではない。具体的に起きておるのですから、もしこれがことしのILOの国際連合の会議に持ち出されたとしたら、日本の恥を世界中にさらさなければならぬことになる。だから、これは未然に防ぐべきではないかと思えばこそお尋ねしておるのです。このことの決定された時期は、御承知でございましょうが、昭和二十七年のパキスタンのカラチ会議においてきめられておるのでございます。ところでその当時はオブザーバーでございましたが、加盟しております以上は、今やその決定にはわが国といえども従わなければならない、こういうわけでございます。そこで大臣としてはそういうことがあなたの後輩の口から、学生の世界会議に出てしまって、それで取り上げられたということになりますと、私自身も商工委員をやっておって、そんなことに気がつかぬのはけしからぬじゃないかということになって、本委員会の責任もまた問われる結果になりますから、事前に何とか御対処願いたい。こういう意味において聞いておるわけでございます。さて大臣の……。
○水田国務大臣 そういう事例があれば、公取とも相談して取り締ることにいたします。
○加藤(清)委員 それではこの問題については至急に具体的措置に出ていただきたいと存じます。私の申し上げているのは決して空理空論ではございません。事態やむなくなって陳情に来られた具体的事実でございますから、一つ至急お願いしとうございます。
○水田国務大臣 承知しました。
○加藤(清)委員 すでに御案内の通り法律の行われない先からこういう行き過ぎもございまするが、この法律が行われた後にもこのような具体的な事実が起り得るであろうことは想像にかたくないのであります。それは業界の実態を御存じの方ならば当然わかることでございまするが、もし組合を結成いたしまして、メーカーに対して中継ぎ、再販あるいは消費者の団体が品物を分けてもらいたいと言うて交渉したところ、別途の組合が、その品物はわが組合のみに分けてくれ、よそへ流してくれちゃ困るのだ、こういうことでそれが決議になり決定になった場合には、その流れに沿っている組合はよろしゅうございますが、他の組合は倒産、首つりが行われてくるわけでございます。こういうことがあった場合に、長官としては行政指導をどのように行われようとしているか。なぜかならば、これは強制加入の問題から発生し得ること、思考し得ることであるからでございます。
○川上政府委員 同じ条件で販売することについて、一方の組合だけに販売して、一方の組合に対しましては販売をさせないというようなことは独禁法違反であると考えられますので、そういうものは私どもの方としましては組合交渉についてはさせないということに考えます。そういうことは絶対によくないというふうに考えております。
○加藤(清)委員 お説に賛成いたします。絶対によくないことでございます。しかしその絶対によくないことが行われておる例を私は今消費生活協同組合にとりました。さにあらずして、仲間同士においてもなおかつ行われておるという実態を私は持っておるのであります。一例を申し上げてみましょう。今日の糸へんの業界のうちで、同じ合成繊維のものでも一番羽根がはえて飛んでおるのはナイロンの糸でございます。このナイロンの糸は、これを加工するものにとっては配給のお米と同等あるいはより以上の価値を持っているのでございます。ところがこれが御承知の通り東洋レーヨンから出ました蝶理株式会社というものを通じないと分けてもらえない。この蝶理株式会社のお気に入っておればよろしゅうございますが、お気に入らないと一ぺんに過去の既得権までも剥奪されるのでございます。剥奪された暁においては、小さい機場やくつ下屋は一度に食糧を断たれまするから、赤ん坊が乳を失ったと同じ結果が生じてきておるのでございます。これは事実であります。例を私は幾つも知っております。かかる関係にかてて加えて需給の関係からして、今日ナイロンの糸は最低ポンドにして二百円、多いときにはポンド五百円のものが千二百円の高値を呼んでおります。プレミアムつきでございます。このプレミアムに踊るやみ商人が相当多数出まして、中小企業を、さなきだに苦しんでいる相手をいじめ尽しているという具体的事実があるのでございまするが、こういう問題については長官としてはどのように過去に手を打っていらっしゃったのでございましょうか。
○川上政府委員 私の方では特別に従来具体的な措置をとっているというわけではございませんが、今おっしゃいましたような、そういう差別的な取引ということは、やはり独禁法違反というふうに考えますので、これは独禁法によりまして厳重に取り締るよりほかないというふうに考えます。
○加藤(清)委員 こういう例をあえて私はナイロンにとっただけのことでございます。こういうことはもう糸へんの業界においては、日常茶飯事のごとく行われているのでございます。ただ問題は、原料なり材料なりが自分一個の力でできたものであれば、これは何をか言わんやだと思います。ところがこのパテントにいたしましても、化学繊維にいたしましても、合成繊維にいたしましても、政府の厚き援助のもとに発展をしてきているのでございます。それがまるでわがもの顔に独占されたり、わがもの顔に権利を振り回されるということは穏当を欠く行為ではないか。普通あり来たりの商行為を逸脱したものではないかと考えられるからでございます。もちろん蝶理株式会社が悪いと言っているのではありません。指定商があって販売を一手に握っていることくらいは認めましょう。しかしそこから先のことが問題でございます。また蝶理株式会社の握っている実権が問題でございます。どこからそのような実権が与えられたのか、政府はそんな権利を与えた覚えはおそらくないでございましょう。しかさようとすれば、至急にこれを調査なさって、御善処方を要望したい。そういうことが本法律の裏づけとなる行為でございます。いかに法律だけが大急ぎで通ったとしても、そういうところへ持っていかれるならば、せっかくりっぱな自動車も、ぬかるみでえんこしてしまうということになるわけでございます。いかがでございますか。
○川上政府委員 これは先ほども申し上げましたように、独禁法違反の行為をやっているということでありますれば、独禁法で厳重に取り締ってもらわなければならないと思いますが、私の方としましては、そういう事実がありますれば、十分公正取引委員会にも協力いたしまして、その取締りに対しましても協力をいたしたいというふうに考えております。
○加藤(清)委員 次に団体交渉権のことについて承わりますが、この団体交渉で、相手方の応諾の義務が法案の条項から除去されてきたようでございますが、この点について長官御存じの通り、この間の参考人の公述の折にも私は聞きました。しますると、中政連の代表の方もこれは弱ったことだ、団体交渉権はあった方がよろしいと言っておられたわけであります。これは当初からなかったものか。ほのかに承わるところによると、当初はあったが、経団連の命もだしがたく、いつの間にやら骨抜きになってしまった、こういうことを聞いておりますが、一体どうなんですか。本心からない方がいいとお考えでございますか。それとも今はないが、将来はつけようというお考えでございますか。
○川上政府委員 本法第二十九条によりまして、結局「交渉に応ずるように誠意をもって措置しなければならない。」ということになっているわけでございます。現在協同組合におきましても、やはり団体交渉、組合交渉の行為能力というものは持っておるわけなんですが、しかし今の協同組合法によりましては、応じなければならないという規定はないわけでございます。私の方としましては、この中小企業団体法によりまして応じなければならぬという訓戒的な規定を置いておるわけなんですが、別にそれに対しましては、勧告というところまではいっておりますけれども、罰則というものは適用してないわけでございます。実はわれわれの方としましても、罰則までつけるということは、これはいかがかという意見も最初からあったわけでございまして、勧告に従わないものに対しましては、最後においては罰則をもって当るということは実は最初から考えていなかったわけでございます。
○加藤(清)委員 大臣、それでよろしゅうございますか。
○水田国務大臣 その通りでございます。
○加藤(清)委員 それではあなたたちは、中小企業の難渋している原因の把握の仕方でございまするが、何がゆえに中小企業が難渋しているとお考えでございますか。初めからその考えがなかったとおっしゃるから聞くのです。初めはあったけれども、途中から変ったのだとおっしゃれば私は引くつもりでおった。はっきりあなたの方の法律は団体法ですよ。ところが交渉のところへいくととたんに組合という名前に変っておるのです。そうでしょう。ところが私の方は組織をかたくしなければいけないからというので――組織法オールにかかりますから、交渉のときには団体交渉、こうなっている。あなたの方はそれじゃこの法律を団体と何づけるところのゆえんはどこから出てくるのですか。何のことはない、中小企業安定法にプラス強制加入を入れただけじゃございませんか。それとプラス分野の指定を全分野にした、これだけのことなんです。だから私の質問の第一点の、中小企業が難渋しているところの原因の把握、これは一体何が原因とお考えでございますか。何がゆえに団体交渉というのを組合交渉にお直しになりましたか。しからば団体法もあえて組合法とあった方がこの法案の体系からいって妥当であるにもかかわらず、なぜ団体法という名前だけを残していらっしゃるのですか。ここが世にいうところの羊頭狗肉である。この法律は不況カルテルのみ与えられるのであって、他はほとんど新しいものがない。むしろ中小企業安定法よりも一部においては後退である、こう言われるゆえんがここにあるわけでございまするが、今からでもおそくない、良識を持っていらっしゃる大臣でございまするので、この点を是正するの用意はございませんですか。
○川上政府委員 組合交渉にするか、団体交渉という名前にするかという問題につきましては、最初確かにわれわれの方の案としましては、団体交渉という名前になっておりました。しかし団体交渉ということになっておりましたが、内容につきましては現在の規定とほとんど同じでございます。ただ二十九条によりますと、この交渉に応ずるように誠意をもって措置しなければならないというこの文につきましては、最初はその交渉に応じなければならないというようなふうに書いてあったかと思うのでありますが、その内容につきましては、われわれは全く同じだというふうに考えておるわけでございます。
 それから団体交渉という名前をなぜこの組合交渉という名前にしたかという問題でありますが、これは労働組合の団体交渉というその内容と、私どもがこの二十九条、三十条で書いてあります組合交渉というのとは内容そのものが相当違いがありますので、やはり組合交渉という名前の方がよいのではないかというふうに考えまして、最初の案でありました団体交渉という名前を組合交渉という名前にしたわけでございます。
 それから中小企業団体法という、その団体法という名前がどうも少しおかしいじゃないかというようなお話でありますが、これはわれわれの方としましては、本委員会でたしか大臣からお話があったと思うのでありますが、別に特別な意図を持ちまして中小企業団体法という名前にしておるわけじゃないのでございますが、ただやはりいろいろな組合制度がございますし、中小企業の団結というようなことから考えまして、中小企業団体法という方が名前はよいではないかというふうに考えまして、それを採用したにすぎないのであります。
○加藤(清)委員 現在の中小企業が困っておる実態をどう把握していらっしゃるかということです。
○川上政府委員 これは第一に中小企業者の数が非常に多くて、過当競争がなされまして、非常に不況になっているということが一つの大きな原因と考えます。また一面におきましては、その原料高の製品安というような、そういう事態で非常に困っている、また大企業その他の方からも、いろいろ中小企業の方がいじめられていると申しますか、いろいろその関係におきましては弱い立場に立たされているというようなことが私は現在の中小企業者の非常に困っているという理由ではないかというふうに考えますので、そういう困っておる者を何とかして救済させるために、組合交渉とかあるいは強制加入の制度とかそういうのを設けるべきじゃないかというふうに考えておるわけであります。
○加藤(清)委員 今日の大企業の実態から見まして、この程度の団体交渉の各条項で果してそれがよい結果を生むとあなたはお考えでございましょうか。これが要点でございます。と申しますのは、ただいまも申し上げましたように、中小企業の難渋の一つでありまする原料高の製品安、もう一点は高いよりも求めることさえも許されないというこの実態、これから考えますると、大企業が非常な大きな力を持って下請ないしは第二次、第三次の加工業者に対処しておる、こういうことでございます。それを排除しなければ原料高の製品安なり、資材購入の困難を排除するということは不可能であると思います。そこでせっかく組合ができたならば、これに交渉権と、大企業にこの交渉に応ずる応諾の義務を義務づけなければ決して会うものでございません。会わなければならない、義務づけられておる相手でさえも、農民や労働組合が交渉に行きますると、逃げて逃げて逃げまくる、それが実態なんです。いわんや義務のない相手は逃げるのは当然なんです。そうしますと、せっかく団体を作って交渉に行っても、相手が逃げてばかりおったら、これはてんで問題にならない。なおかつここで普通の場合と違った実態をあなたは御存じでございましょう。親企業と下請企業の関係において、何がゆえに下請代金の促進が行われないか、下請代金促進法を作ってもなお行われないゆえんのものは、中小企業が今団体交渉をやっておりましても、現にこっちは相手から先づけ小切手をもらっているのです。お前らはそんなに文句を言うなら、その小切手は不渡りにするぞ、渡さぬようにするぞと言われたらおしまいなんです。なおかつこの次の注文をお前のところにやらぬぞと言われたら何ともいやはやものが申されない、これが実態なんです。そこで長官、よく聞いて下さいよ。この点は大事なポイントでございますから……。そこでそういう弱みをはらんで交渉に臨むのが、これが中小企業なんです。だからせめてこの中小企業に力を加えてやるには、私どもの法律のように応諾の義務、応じなかった場合の相手方に対する罰則をもって臨む、つまり私どもの法律は上に対して強く、下に対して弱くできておるにかかわらず、あなたたちの法律は上に対して弱く下に対して強くできておる。かくすれば常に保守党の政策は上に厚く下に薄いと言われてもやむを得ぬじゃないですか。同じことがここに繰り返されているわけでございますが、これで果して成果を生むとあなたはお考えでございますか。
○川上政府委員 私どもの方としましては、大体現在のいろいろな取引関係から見まして、この程度の措置で相当効果があるのではないかというふうに私は考えております。罰則を伴うということは、特に個々の取引の問題につきまして、最後に罰則を適用するということは先ほど申しましたようにいかがというふうに考えますので、大体私どものこの案の程度でよろしいというふうに考えますし、これでも相当効果が上るのではないかというふうに考えます。
○加藤(清)委員 大臣いかがですか。
○水田国務大臣 交渉の相手方はもともと取引の関係者でございますので、ほんとうなら取引は自由であって、そこと話がきまらなければ、他の人とまた取引をしてもよいのだ、そこは固定した関係にはなくて、けっこう自由な関係に本来はあるべきですが、しかし事実上においてはやはりそこと交渉がきまらなければ、他と交渉するという自由を中小企業というものは持たないというのが実情でございますので、そういう取引関係との交渉に応じなければ、すぐ罰則をもって臨むというようなことこそが、むしろ取引の円滑を害する結果にもなろうと思いまして、私どもはこれに誠意をもって応じなければならぬ、応じないことによって生ずる実情が非常に不当であるという場合に、政府がさらに勧告をしてこの交渉に応ずるような措置をとるという程度が、やはり実際問題としては適当じゃないかと私どもは考えております。
○加藤(清)委員 審議会の答申とこの法律とは、この点において一致しておりますか、いたしておりませんか。
○川上政府委員 審議会の答申と内容については全く同じであります。なお付言して申し上げますが、実は社会党の案につきまして私がとやかく申し上げるのはどうかと思いますけれども、百二条のこの応諾義務については、これは罰則はないというふうに私ども了解いたしております。そういたしますと、この百二条の応諾義務と私の方の二十九条の応諾義務は内容は同じじゃないか。ただ言葉が違うだけじゃないかというふうに私どもは理解いたしております。
○加藤(清)委員 罰則をつけなくても良識ある経団連は、法律違反だといえば世間の世論というものに必ず屈服しますよ。ところがあなたの方の法律は審議会の意見と全く一致だということですが、私は審議会の記録を詳細に読ましていただいておりまするし、その席へ出ておりまする代表者とも話し合いましたが、これはぜひ税制においても、銀行の融資においても、あるいは原料高の製品安、支払い代金の遅延、資材の系列以外の流通等々においても、相当強硬な交渉権を持たなければ成果を期することはできない旨の意見が述べられておるのです。あなたがおりませんとおっしゃるならば、私はだれだれがそう言ったということまで言いますよ。だからあなたはこの答弁だけをうまく済まして、さあっと表だけを流していこうなんていう考えを、あくまでも持ってはいかぬです。知って聞いておるのですからね。法律の条文の中に入れると入れないとでは、これは効果が大いに違うのです。そういう婉曲論をおっしゃるならば、この法律はなくてもやれる、極大極小論からいけばそういうことまで言えるわけです。あえて完全を期した方がいい、これは理論闘争でもなければ水かけ論でもない、具体的事実なんです。さてこういう問題を取り扱いまする場合に、この法律面の言葉だけでは不備であるということを期せずしておっしゃったわけですが、そこであなたは政令にゆだねられますその分をあわせここで考えなければならない事態に立ち至ったわけです。これをすでにわが党の議員が資料要求をいたしておるにもかかわりませず、今や法律が通ろうという一歩手前に参りましても、なおその重要な審議資料ができていない。これは一体どういうことでございますか。これはいつできますか。
○川上政府委員 問題がたしか二つあったと思うのですが、今言われる点は社会党案の百二条と、私どもは内容は全く同じだということを申し上げたわけなんですが、ただ「その交渉に応ずるように誠意をもって措置しなければならない。」ということと、それから「正当の理由がない限り」団体交渉に応じなければならないという言葉、その言葉自身についてはやはり社会党のこの方がよろしいということになりますれば、われわれはそういうふうに直しても別に内容が同じでありますので差しつかえないのではないかというふうに考えます。
 それから五条の政令で定めるものでございますが、これはこの前御説明申し上げましたように、第一号、第二号の除外ということになりますので、私どもの方としましては、たとえば具体的に申しますと、石炭鉱業につきましてはかくかく、それから金属鉱業につきましてはこの程度、あるいは問屋というのは問題になるのかもしれませんが、これは公取とも十分相談しなければなりませんが、かりに問屋を除外するとすればこの程度というふうになるわけでありまして、私どもとしましては極力原則であります一号と二号でやりたいと思うのですけれども、どうしても特殊な場合が生ずるというような場合に限りまして、この三号で、政令で定めていきたいというふうに考えておるわけでありまして、具体的な例としましては、今申し上げましたように石炭産業でありますとか、あるいはその金属工業でありますとか、あるいは問屋がやはりその特別な措置をとらなければならぬかもしれないと思うのですが、そういうものでありますとか、あるいは建設業についてはこれまた特別な人数にしなければならぬと思うのですが、そういう程度のものを現在のところは考えておるわけでありまして、実は資料を出さないというおしかりをこうむったのですが、今のところはその程度を考えておりまして、これを資料にしてお出し申し上げてもちっとも差しつかえないのですけれども、あまり例外のものが少い、今のところはその程度しか考えておりませんので、説明だけでよろしいのではないかというふうに考えまして御説明申し上げる次第でございます。なおその他のものにつきましては、その業界の組合設立の申請をよく見まして、こういうものについてはやはりその程度がいいのじゃないかというようなことになりますれば、われわれとしてはその際特別に政令で順次指定していきたいというふうに考えておるわけでございます。
○加藤(清)委員 私はこの法律が行われた場合具体的に行われまするいろいろな指示事項、決定事項等々が政令、省令で定められた場合には、そこから多くの誤解を生じておったのが過去の実例でございます。そこでそれ等もあわせ審議し、これをあまねく世間一般に知らしておくという必要を痛感しているからでございます。たとえばきのうも陳情に来られた人たちを見ますると、この法律が通るととたんに税金が安くなると言っておられる。この法律が通るととたんに銀行から金が借りられるようになると言っておられる。この法律を何でそんなに急ぐのですかと言ったら、わしのところは金を借りるのに困ってしまっておる、大急ぎで金を借りたいからこれをやってくれ、これが東京のりっぱな服装をなさった紳士であり、奥様である。私は驚いた。こういうことでありまするとどういう結果が生ずるかといえば、長官御存じの通り、先般百貨店法というものが通りましたでしょう。あのあとで審議会においていろいろなことが審議されましたが、それが法の受け取り方が違ったおかげで、東京においても名古屋におきましても、百貨店側と中小企業側の大きなトラブルとなり、名古屋においては、これの責任者である商工会議所会頭の引責問題まで惹起したことをあなたは御存じでしょう。中小企業は最初の宣伝だけを聞いて、これが通ればまるで地獄で仏に会ったようなつもりで、ぜひぜひと言うておる人がある。子供がおもちゃをせがむと一緒だ。その内容がどうであるかこうであるか、よく御存じない。そうなりますると、これはあとでいろいろな問題が起きまするので申し上げているのですが、この間の百貨店法のあの跡始末、そのおかげであなたもずいぶん御苦労なさったでしょう。私までがとばっちりを受けてずいぶん困った。こういうことはもうごめんなんだ。そこで通す以上は、事前にそのようなトラブルやいざこざのないよう、明らかにしておく必要があると思えばこそでございます。政令はいつ出ますか。
○川上政府委員 私の方としましては、なるべく具体的に早目にやった方がいいと思いますけれども、この前も申し上げましたように、中小企業の実態につきましては相当程度はわかっておりますけれども、どうしても精密なところはまだわかっておりません。従いまして従来の例によりまして、私どもの方としましては今回の法律につきましても措置をいたしておるわけでありまして、非常にはっきりしておりますたとえば石炭鉱業でありますとか、あるいは金属鉱業でありますとか、そういうものにつきましては、これはすぐに政令で指定をいたしまして特別な措置ができるのでありますけれども、その他の産業につきまして、じゃあ三百人よりももっと低いところできめる業種は何々かというような問題になりますと、先ほども申し上げました通り、まだ十分その辺につきましてつかんでいない面がありますので、今後そういうものにつきましては早急に調べまして、そして調べたことは――全面的に調べなければできないというわけでもございませんが。業種々々によりましてその実態がわかりますれば、それによりまして早急に特別な措置をとっていきたいというふうに考えておるわけであります。
○加藤(清)委員 大臣、これはどうですか。
○水田国務大臣 今長官から言われましたように、考えられる政令指定事項というものは、ごく当分の間わずかになろうと思っています。
○加藤(清)委員 その資料はいつ提出されますか。
○川上政府委員 今申し上げましたようなことを書いて出すという資料でございましょうか。
○加藤(清)委員 大臣はほんの少々とおっしゃいますが、ほんの少々ならもう出してもらえるだろう。私はできる限りこの法案の審議とあわせ審議しておきたい、何も引き延ばすためとか、どうとかいうためではございません。あとで必ずトラブルが起きます。すでに今までの法律では中小企業安定法を行なったときでも何でも、みんなあとでトラブルが起きておる。このトラブルがやがてその法律に対する不信の念を抱かせる、時の関係者に対する個人的な不信の念まで抱かせておる、こういうことになる。それは今度でもそうです。この間うちの陳情の人の話を聞いていると、もうこの法律が通れば、立ちどころにお店が繁盛するかのごとき印象を持って陳情に来ておられるわけなんである。さすればこれを専念してやっておられる鮎川さんのどときは、さしあたり大うそつきであったということは、ここ半年か一年の後にはっきりしてきてしまう。それではおかわいそうである。それで事実はこうだ、具体的にはこうこうなんだよ、こうなんだよ、こういうことをはっきりさせた方が親切だ、こう思えばこそでございます。
○川上政府委員 先ほども申し上げましたように石炭産業とか金属鉱業とか、そういう三つ、四つのものにつきましては、これははっきり私どもの方としましては言えると思うのでありますが、そういう資料でございましたらすぐでも私どもの方としましてはお出しいたしますけれども、それ以外の、たとえば化学工業につきまして三百名というのをあるいは百名以下にするとか、あるいは五十名以下にするというような、そういうものにつきましては、もっとわれわれとしましても実態を慎重に把握した上でないと、何とも具体的にこれが特別な措置をするのだということは、ここではどうしても申し上げかねると思うのであります。
○加藤(清)委員 やがて別室から報告があると思いますので、この際長官並びに大臣にそのことについてお尋ねしますが、第一は本法案をこんなに急がれるゆえんのもの、それから第二はこの法律をどの程度修正と申しましょうか、譲歩する用意があるか、こういう点でございます。第一点のなぜそんなに急がれるかということでございますが、これは私が見ておりますると、委員長がかわいそうなくらいなのである。強行突破するの、質疑打ち切りをきょうやるのということですが、九時間審議したと言われまするが、そのうちの公聴会の三時間程度を引きますると、わが党の質問も、私のきょうやったのを入れれば別でありますが、今までのところを見まするとわずか五時間である。法律は五つ出ておる。すると一つの法律について一時間質問したというだけのことである。そんなことで――それも簡単な法律であり、内容が充実している法律であるならば、これは何をか言わんやでございますが、公取と政府とは意見が必ずしも一致していない。お宅の方の保守党の内部といえども、必ずしもこれは完全無欠であるとは言っていない、修正しなければならぬと言う人が大ぜいいらっしゃる。三つも修正が出てきておる。私の方は私の方で、またいろいろ意見がある。経団連と中小企業とは争っておる。この間の東京の公聴会の意見を聞いてみても、必ずしも意見は一方的に片寄ってはいないようである、ばらばらなんである。きのう名古屋、大阪で行われた公聴会の報告すらもまだ受けていない。そういうやさきにもう質疑打ち切りだのどうのということが行われることは、本委員会に所属なさる賢明な委員さんや委員長の意図せられるところではないと思う。それがここに持ってきてどうでもこうでも上げなければならぬ、早くやってもらわなければならぬ。しかもここできょう上げてみたところで、参議院の方は六日まで開店休業なのです。そこをなおここで上げてもらわなければならぬ、そんなに強く言われて上げなければならないというならば、相当重要な理由があると思います。聞くなれば、倉石君の方からそういうサゼスチョンがあったとか、あるいは岸さんの方からあったとか、これはデマふんぷんこもごもでございますから、そのいずれが正しいかは知らぬが、委員長は困って、どうでもこうでももう仕上げてしまってくれと言っていることは事実なんです。何がゆえにこんなに意見がまとまっていないのか。業界の意見もまとまらず、政府と公取の意見もまとまらず、政府与党の意見もまとまらず、またわが党の意見もまとまらず。ことにわが党の提出したところの法案のごときは一体質問をどれだけ受けたかというと、正味三法案について一時間受けていない。にもかかわりませず、それをここで何とかしなければならぬというゆえんが私はわからない。どうなんです。ほんとうのところは。これは大臣に聞きましょう。
○水田国務大臣 政府としましては、衆議院で審議を尽していただいて、早く決定していただく、そうして参議院も同様に行って、この会期中にこの法案を通過していただきたいということを希望するだけでございまして、その両院を通過するために、どういう日程で審議されたらいいかというようなことは、常にこの委員会の理事会でも御相談願ってやっておることでございまして、私どもは別に委員長をいじめているとか何とかというようなわけでは絶対ございませんので御了承願います。
○加藤(清)委員 了承といってもそれは了承できないのです。審議がまだ尽されていない。にもかかわらずきょうは質疑打ち切りだの、三十日には上げるだのということが委員長の口から出ておりますが、この実態を知っている賢明な委員や委員長の意図せざるところであろうと、こう思うのです。にもかかわらず、それが言わなければならぬというのは、これはもうトップ・レベルの方から流れてきた命令以外には考えられないのです。そこで国会対策委員長の倉石君が何ゆえにそんなに急がなければならぬか、本会議の予算審議の際も、あちらへちょこちょこ、こちらへちょこちょこ、なぜやらなければならぬかということです。はっきりしておいてもらいたいことは、話に聞くと鮎川の方からどえらい何ものかが動いたとか、それが岸さんを動かして遂に倉石君もやむなく云々というようなことが言われているから、それで、そうではない、全然そんなことはない、ないが、かくかくの理由だという大義名分をこの際明らかにしていただかないと、実はわが党におきましても、お前はなぜ急ぐんだ、こういうことを言われるのです。それでもめるのです。いやお前は毒が回ったかというようなことまで言われて、こちらまでが迷惑している。だから私はあなたの困ることよりも、こっちが困ることの方がより重大なんだ、それで聞いているのです。
○水田国務大臣 御質問の意味がよくわかりませんが、政府はさっき申し上げましたように、この会期中に衆参両院を一つ十分御審議の上通過していただきたいというのが政府の希望でございまして、この法案の審議権は国会にございますので、これが両院を通過するように与野党で日程を相談されたりなんかしてやっていることについて、どうしてそういう日程を作るのだと私に質問されても、私の方の問題ではございませんので、これは一つ……。
○加藤(清)委員 わかりました。それでは大臣としてはこういう重要な法案なんだから、何もきょうあすと急ぐわけでなくて、本国会中に無事通過しさえすればそれで事が足りるのだから慎重に審議してくれ、こういうことでございますか。
○水田国務大臣 政府としてはそうでございます。時間切れにならぬように一つ慎重に御審議を願いたいということでございます。
○加藤(清)委員 わかりました。それでは今のお言葉からいたしますと、必ずきょう打ち切り、三十日に上げなければならぬという理由は、どこからも出てこないようでございますね。政府はそういう考えだということでよろしゅうございますね。
○水田国務大臣 政府として、今申し上げましたように、なるだけ早く御審議御決定を願いたいということで、きょう打ち切るとか打ち切らないということをきめたかどうかは、政府は全然知りません。
○加藤(清)委員 そんなありがたいお言葉が出るということは、中小企業にとってよき大臣をいただいたものかなと思うわけでございますが、ただきのうからきょうにかけましては、まことに険悪な空気のものがあった。この険悪な空気で参議院へ持ち込まれましたならば、これは参議院での成立の成否は、社会党としては責任の限りでない、こういうことになるだろうと思われればこそ私は申し上げたわけでございます。この法案は政府提案でございます。鮎川提案ではございません、国会は必ずしも鮎川の下請になる必要はないじゃないか、こういう意見まで出ておりましたので、私はこの際この審議日程に対する政府の御意見を承わった次第でありまして、決してあなたを責めるがために言うておるのではなくて、あなたに協力するためにお尋ねしたわけでございますが、けっこうな御答弁で私も安堵の胸をなでおろしたわけでございます。
○福田委員長 暫時休憩いたします。
   午後六時八分休憩
     ――――◇―――――
   午後七時四十八分開議
○福田委員長 休憩前に引き継き会議を開きます。
 中小企業団体法案、中小企業団体法の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律案、中小企業組織法案、中小企業組織法の施行に伴う関係法律の整理に関する法律案、中小企業の産業分野の確保に関する法律案、商業調整法案、以上各案を一括議題とし、質疑を継続いたします。加藤清二君。
○加藤(清)委員 団体法案によれば、加入、脱退の自由の原則が改められまして、強制加入ということになっておりまするが、その目的は何かと先般尋ねました場合に、これは調整機能確保のためである、こうお答えになりましたが、私はここで政府が大きな矛盾を犯しておるではないかと思いますので、その点にのみしぼって質問をしたいと存じます。と申しますのは、調整機能を確保するという必要性は、ただ中小企業のみではございません。あまたの組合は同様にこの機能確保のためにこれを必要とする向きもございまするが、同じ政府が他の農業団体あるいは労働組合の団体にはオープンないしはユニオンのショップでございまして、これのみにクローズド・ショップをしなければならないという理由が私どもには納得ができないのでございます。この点納得のいくような御答弁を大臣からわずらわしたいのでございます。
○水田国務大臣 完全に調整の目的を果すために員外者をどう扱うかという問題でございますが、少数の員外者のあるために不況の克服が十分にできないというときは、員外命令でやるか、それとも強制加入という方法をとらせることがいいかということにつきましては、先般来申しましたように、団体に力があって、そして自分たちの手で完全に調整ができるという場合には、むしろ員外者の規制については組合に加入させて、そうして組合員となって、中でいろいろ協力させるという方法が民主的じゃないか、こういうことで、政府の発する員外規制命令だけで縛るのをやめたわけでございまして、非常に不況が深刻で、臨時応急の場合というようなときにそういう措置をとっても、別にこれは憲法違反でもないということについては、もうすでに政府部内の法制局も公取委員会もその点は意見が一致しておりますので、これは差しつかえなかろうと思います。そのほかの団体につきまして加入脱退の自由というものは認めておりますが、これも性質による問題でございまして、常時的機関である場合は加入脱退の自由を認めるのが当然で、農業団体そのほかはそういうふうになっておりますし、また公共の福祉という上から見てこの方が適当だという場合には、先般お話ししましたような弁護士会とかあるいは司法書士というようなものの団体については政府が強制加入をさせておる例もございまして、この場合にはこうすることがこの深刻な不況を応急的に解決する――よくよくの場合でなければこういうことはございませんが、そういうよくよくの場合というときにこういう方法をとることは少しも差しつかえないし、むしろ員外規制命令でいくよりもこの方が民主的だと考えて、私どもはあえて強制加入という制度を今度初めてこの団体法に取り入れたわけでございます。
○加藤(清)委員 強制加盟をこの法案の中に入れたという意味はわかります。その経過措置もわかります。ところが同じ会社で、経営している方々は強制加盟が許されて、そこに働いている人たちが組合を作るというとこれは強制加盟が許されていない。この矛盾をどうあなたは御説明なさいまするか。私どもにはその点が納得がいかないので、それでお尋ねしているわけでございます。
○水田国務大臣 これは労働組合とかそのほかの問題とは、もう全くこの団体の結成を認める目的も違いまするし、またこの機能も違っておりますので、労働組合とかそういうものの加入脱退の自由というものはこの団体の性質からして当然だろうと思いますが、今度のこの商工組合を許すというときは、すでに一定の不況条件があって、よくよくの場合にこれを結成させて調整事業を認可する、その認可した調整事業に従って組合が自主的に事態の克服をしようとしても、少数の員外者があるためにこの目的が達成されない、しかもそれを放置しておいたら国民経済にも影響するし、一般の公共の利益にも響くという事態に限って臨時的措置としてやるというものでございますから、一般の恒常的な組合とか、組織に適用している規定ではございませんので、これはちっとも矛盾しないと思います。
○加藤(清)委員 これはあなたの御説明によりますと、強制加盟は不況カルテルを結ぶときにのみ許すのだ、こういうお話なんです。それは社会公共に影響を及ぼすことだ、こうおっしゃいます。不況カルテルを結ぶということはむしろ消費者にとっては脅威なんです。値をつり上げられるということなんです。先ほどの質問でももうすでにわかりました通り、これが団体交渉をして親企業とかあるいは政府とかいうものに向けられた場合には、これはまだ公共には影響が少いと見られますが、これは不況カルテルなんです。従って値をつり上げることなんです。だからこれはあなたのその答弁とは違って、一般消費者に不安の念と、それのみならず事実値上げされるというところの、一般公共に対する、安定でなくて不安定の条件を与える、こういう結果になるわけなんです。ところが労働組合の場合は、これは賃上げなら賃上げ、あるいは年末手当で交渉します。そのときにいつも第二組合ができて、これが調節弁の役目を果す場合と、あるいはまた第一組合の目的を根こそぎ抹殺してしまう場合があります。これも組合を結成しているそれ自体から考えてみるときには、危急に頻した場合というあなたの言葉に当てはまるわけです。しかしそれは許していない。同じ政府が、これは一体どういうことです。片や国民には不安と値上りと混乱を来たす、こういうときには許しておいて、組合の場合は小さい会社の内部の話です。それも許さない。一体ここはどうなんです。私はあなたの理論とは矛盾した行為が今まさに行われようとしている、こう断定せざるを得ない。
○水田国務大臣 今の例ですが、調整事業がすぐに値上げというようなことですが、この価格の制限というものについては、先般来申しましたように、そう簡単にやれませんので、強制加入をさせるときの事態がすぐ値上げであって一般消費者に迷惑をかけるという事態にはならぬと思います。そういうふうに一般消費者に迷惑をかけるということがはっきりしているときには、調整事業自体政府は認可しないという立場でございますので、そういう御心配は全然なかろうと思います。
○福田委員長 永井勝次郎君。
○永井委員 政府提案の中小企業団体法案は、政府が中小企業対策の根幹である基本的な対策として出したのである、こういうことを言われているのでありますが、どの点が政府の団体法が中小企業対策の基本的な政策の背骨になるのか、この点を具体的にお示し願いたいと思います。
 実は私に与えられた時間が短かいのであります。それから皆さんができるだけ早く終れ、こういうことで私もできるだけ早く終りたいと思いますので、その意味において、私の方からも、大臣に議事進行に御協力を願うように明快に御答弁を願いたいと思います。
○水田国務大臣 中小企業をまず振興させる、育成するという意味の対策は、先般も申しましたように、やはり一番大きい問題は金融である、それからさらに中小企業が資本を蓄積して、そして設備の合理化とか近代化を行わせるというためには、税制で考慮しなければならない、この二つの面を考慮してもなおかつ中小企業がなかなか不況から脱しきれないという理由は、いかに政府がそういう施策を行なって中小企業を育成しようとしても、その効果が減殺される一番大きい原因は、やはり中小企業の過当競争だろうと私どもは考えています。従ってその過当競争を是正させて、そして中小企業の経営自体の安定をはかるというためにはどうしたらいいか、そのためにはこういう団体法が必要であるというように私どもは考えて、この中小企業対策のいわば大きい三つの柱のうちの一つとして、この中小企業団体法案の役割を重視する、こういう意味で政府はこの法案を出したというわけでございます。
○永井委員 この団体法案は従来ありました中小企業安定法の発展したものである。そしてこの法案の内容は、ただいま大臣のお話のありました通り、過度の競争が唯一の中小企業不況の原因である、こういう見方から調整行為によってこれを克服する、これが中小企業対策の背骨である、こういうふうに言われておるのでありますが、それは一つの現象から見た問題であって、何が過度の競争になり、何が今日中小企業の不況になっているかというその根本に触れて、そこに基本的な対策というものが立てられなければ、現象だけ追っていてはならぬと思うのであります。ところがこの団体法は中小企業の組織法なんだ、こう言うのでありますけれども、内容を見ると、組織に関してはほとんど問題はありません。不況になったときに商工組合を作って、そしてそれぞれの段階における調整行為をやるということなんです。もしこれが中小企業の組織の団体を作っていく基本法であるというならば、看板と中身とが違っていると思うのです。その点の矛盾を提案者である大臣はお考えにならないのかどうか、伺います。
○水田国務大臣 この団体法は、今言った過当競争から中小企業を救うための組織化というものと、もう一つは、これはもう御承知のように、協同組合法もこの中で規定してあるのでございますから、中小企業が自由公正な競争力を持つというために、共同して経済事業を営ませるという協同組合法も同時にこの中で規定してある、こういうことになっておりまして、平常の場合もそういう公正な競争力を持てるための組織を法制化した基本法であると同時に、過当競争の場合にどう対処させるかということの組織化を規定した基本法だということになっておりますので、この法律はそういう意味で中小企業についての組織の基本法だと言えようと思いますから、その間に別に矛盾はなかろうと思っております。
○永井委員 この法案の性格、目的、規模というものを検討しますと、不況になった場合商工組合を作るんだということだけなんです。中小企業の全般的な組織を推進するんだという性格はこの条文のどこにもありません。中小企業全般の組織法である、団体を作るための基本法であるんだというならば、どの条文のどこにどういう形でうたってあるか、お示し願いたい。
○水田国務大臣 「この法律による中小企業団体は、次に掲げるものとする。」というので、事業協同組合とか、信用協同組合、協同組合連合会、企業組合というふうにはっきりと書いてありまして、これらについての規定の法律は、現行の中小企業等協同組合法によるということになっておりますので、この法律自身が、今までの調整組合的なものと、それから協同組合と、両方規定した法律でございますので、将来はなるたけ中小企業等協同組合法をやめて、この中に一本化そうという考えでございますが、今度はこの間御説明申し上げましたように、間に合いませんので、従来の法律は生かすことにいたしますが、この法律自体の中に従来の法律を生かして準用してございますので、この法律の中でりっぱに両方を規定してあると思っております。
○永井委員 この条文全部を読むと、そういう規定は確かにちょこっとあります。しかしこれは大体中小企業の不況に対する対策、だから中小企業のうちの不況という特殊な事象に対する臨時措置的な性格のものである、こういうふうに断ぜざるを得ません。これはもう大臣が何と言おうと、だれが見てもそういう内容であると思います。そういうふうな不況という特殊な現象、その中の臨時措置的な――不況がなくなれば、商工組合のこういうなには作れないのでありますから、そういう意味において、私はこれを中小企業の団体法、そうしてこれが組織の基本法である、こういうようなことは羊頭を掲げて狗肉を売るものであると断じても差しつかえないと、かように考えるわけであります。
 要点だけお尋ねいたしますが、その次に中小企業の定義の点、これはずいぶん議論がなされたと思うのでありますが、中小企業庁でずっと前に発表しております本などによりましても、中小企業を単に従業員の数だけで押えるということは、これはあまりに原始的であり、素朴な考え方であって、妥当でないということは、中小企業庁みずからの著書の中に書いてあるわけでありますが、ここにはただ人数をぽつんととっただけで、あまりにも原始的な定義ではないか、こう思うのでありますが、この点についてはどうですか。
○川上政府委員 この問題につきましては、先ほどもいろいろお話があったのですが、私どもの方としましては、中小企業というものがどういうものであるか、中小企業性というのは、その企業の中でどういうところにそういう性格を求むべきかという問題につきましては、いろいろ検討もいたしておるわけでございます。最も適確の方法としましては、業種によりまして中小企業者というものを決定することが一番いい方法であると考えられますけれども、われわれが今までいろいろな調査をいたしまして、またその調査資料によりましてもはっきりと業種別に中小企業性というのがまだつかめる段階に至っておりません。従いましてわれわれとしましては、本年度から予算をもちまして業種別にいろいろ検討をすることになっております。しかしながら今まで十分精密な検討ができておりませんので、従来の例によりまして、たとえば中小企業安定法とかあるいは中小企業等協同組合法とか、そういう法律によりまして措置しておりますものを、ここでは大体そのまま採用いたしておるわけでございますけれども、しかしそれによりましたとしましてもある程度はっきりするものにつきましては第三号によりまして特別なものにつきましては政令によって指定をいたしまして、そして特別な措置をとることに実はいたしておるわけでございます。もちろん資本金とかそういう問題について中小企業性をはっきりさせることも必要であろうかと思いますけれども、まだその資本金について、はっきりとこれをこの法律の中で規定するところまで、実は自信を持っておりません。
○永井委員 この問題はあと回しにいたしましょう。
 この法案で調整行為によって中小企業の不況を克服して振興安定をはかるんだ、その安定をはかる方法、手段は何であるかといえば、組合への強制加入だ、これが唯一の希望の持てるものである。そのほかには組合交渉ということがありますけれども、これは活字としてあるだけであって、機能としてはこの中に存在しておりません。これは成文過程において経団連その他からの圧力で骨抜きになったということを考えるわけでありますが、この中で特殊な性格として、それから効力が現実に現われるであろうと期待されるものは強制加入だけであります。大臣の先ほど来述べられました過度の競争、中小企業の不況というものが、この組合への強制加入によって克服できるという理論的な根拠と、経済の実際的な効果、こういうものを個条書きでよろしいですからお示し願いたい。
○水田国務大臣 強制加入させることによって調整の効果が得られるという自信が組合にあるときに限って政府にこれを申請してくるということになっておりますので、強制加入させても調整の効果を上げられないというときには、組合自身から政府へ認可の申請が来るということはおそらくなかろうと思っております。で、それをやることによって効果があるというときにだけおそらく商工組合も申請してくるでしょうし、また政府がそれを見て、政府が認可することによってその目的が達せられるかどうかは十分審議会の意見も聞くし、政府が最後にそういう加入の命令を出すということになっておりますので、効果がなかったら政府も命令は出さぬでしょうし、また商工組合自体からそういう申請はしてこないだろうと思っております。
○永井委員 そういたしますと、この法案は強制加入というのは最終の一つの特殊ななにであって、大部分は従来の中小企業安定法のカテゴリーだ、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
○川上政府委員 この強制加入の問題につきましては、中小企業者だけが自主的にいろいろ調整事業を行い、かつまた自主的に調整が可能であるというような場合において、アウトサイダーである中小企業者に対しまして強制加入をさせまして、その自主的な調整事業に対しまして協力させるというところにかかっておるわけでございますが、たとえば大企業等がアウトサイダーにおりますときの方法としましては、この五十六条によりますアウトサイダーの規制命令で措置をするわけでございます。従いまして、第五十五条の強制加入命令と五十六条のアウトサイダー規制命令そのものにつきましては性格が違うわけでございまして、われわれの方としましては、両方をとにかく場合々々に応じましてそれに適するような措置をとりたい、場合によりましては第五十五条の強制加入の命令を出しますし、場合によりましては五十六条のアウトサイダー規制命令を出すわけでございまして、五十五条の加入命令というものはどこまでも中小企業者だけの問題であり、また中小企業者が組合を作って自主的に調整事業が可能である場合においてこれを出すというような性格のものであるわけでございます。
○永井委員 私はそういうことを聞いておるのではなくて、そういうのがこの法律の従来の中小企業安定法と違う点だが、そうするとこの点を除いては従来の中小企業安定法と、活字や何か若干の違いはあっても大部分そういうカテゴリーである、こういうふうに理解していいかということです。
○川上政府委員 アウトサイダーの規制につきましては、従来と違いますのは、この五十五条の強制加入命令が新しく入っておるという点において違っております。
○永井委員 これだけが違うわけですか。そうしますと大臣にお伺いするのですが、現実にここに過剰生産の現象が出ておる。そうして業者が過剰である、過剰な条件をそのままにしておいて、組合が調整行為をやる、そうして最終には強制加入によって効果を上ずる、こういうような権力的な力によってワクはめを強力にやるわけでありますが、そういうことによってこの過剰生産あるいは過剰業者のこういう現実というものは逆算的にどういうように整理されるのか、そこがどういうふうに調整されるのか伺いたい。
○水田国務大臣 そういう問題を克服するために商工組合を作って調整事業をやるのですから、そういう過剰生産という場合には、組合自体が集まって設備の制限なりあるいは生産の制限をやるということをきめて、みずからの力でまず対処するという調整規程を作って政府へ申請してくる、こういうことになろうかと思います。
○永井委員 過剰生産の事実がここにできて、それが不況の顕著な事象となってきたときに調整組合を作るわけでしょう。ですからそういう現実が現われてきたとき調整行為によってだけでどうしてこの現実を調整できるか、克服できるか、これがこの法案の唯一の中小企業振興安定の対策なんですから、そのほかにはないのですから、政府の出しておる法案なりあるいは施策の中にはないのですから、どういうふうにこの過剰生産、過剰業者の現実というものが調整されて中小企業の安定振興になるのか、具体的に伺いたい。
○水田国務大臣 そういう場合には事実上商工組合が生産制限についての調整行為をやるということになろうと思います。捨てておけばこれはどうにもならない。それでこの事態を一つそういう形で解決しよう、自主的に結局生産制限も組合員全部が相談し合ってやるということになろうと思います。
○永井委員 そういたしますと、たとえば十台の機械を持って、そうして奴隷的な賃金で働いてようやく生計を立てておる、その積み重ねが過剰生産の事実になって現われてきた。調整組合を作って生産制限をする。そうすれば十台の機械を二台減らして八台でやれ。そうして数量を、全体の総量は減らさなければいけないわけですから減らした。こういう場合には価格の問題は別といたしまして、価格をそのままにしておくとするならば、その甲という業者は生活が二割だけマイナスになって食えなくなる、こういう形になって現われてくるのではないですか。もしその場合生産の量は減らした、減らしたが価格において生活を維持するだけの値上げをするのだということになれば、これは価格操作という面を通して経済界に大きな影響を与えてくるという形で持ち込まれましょう。しかし調整行為によってそういう過剰生産の現実を割当で調整できるかもしれませんけれども、そのしわ寄せが個人の生活、仕事というものの中にしわ寄せになって、食えなくてつぶれていくという現実が結果されることになりはしませんか。
○水田国務大臣 そういう場合に、かりに調整行為をやらなくて解決するかといったら、事態はもっと悪くなるはずでございますので、調整事業をやることによって、二割たとえば制限をお互いがする、その二割分を値上げで切り抜けるということはむずかしいので、すぐにはそういきませんが、そういかないにしても、倒産を救うとか臨機な措置だけはやはりこれによってやれる。しかもそういう場合に、あまりに事態が深刻だというときには、この調整事業だけで政府が傍観しておるというわけには参りませんので、そういう商工組合は新たに出しました法律によりまして、商工中金の金融も受けられるというようなことがありますので、政府としては、これとは別にそれをどう一時助けてやるかというような政策は別個のものとして、おそらく伴うことと思いますが、いずれにしましても、放置しておいたらなお破壊的になってしまうというときに、その調整行為が許されることによって、それだけやはりお互いが安定するという効果は十分に期待されますので、そういう意味においてこの法律の効果が全くそういう場合には何も作用しないというようなことはなかろうと思います。
○永井委員 今日の中小企業の不況というものは、突然天から降ってきたわけではありません。地からわいてきたわけではありません。長い間の政策の当を得ない関係から、少しずつ積み重ねきて、そして今日のこういう中小企業安定法なりあるいは今日それをさらに強めた形の調整行為を行わなければならないというような立法を必要とする段階まで来たのだと思う。そういたしますと、こういう現実に対して、この治療方法として、こういう事後処理の法律によってだけこれを処理するというばかげた考えだけではなしに、それも一つの方法として考えることはよろしい、しかしそういう積み重ねた不況の蓄積の前に、過剰生産なり過剰業者なり、そういうものの根本に手を入れて、今までの政策のいろいろな悪い点、すなわち大企業重点にやってきて、財政投資はする、金融はどんどんやる、利子補給はしてやる、独占価格はどんどん認めてやる、こういうような形において戦後短かい期間に大企業は、あるものによっては戦前よりもうんと大きなものになり、強い地盤を固めてきた。これは何も大企業が自分の力だけでやったのではなくて、政府の、国民の税金の援助をずっと得、そして起重点的な政策の結果としてふくれて、その結果としてそのしわ寄せが中小企業にきて、こういうような現実になったのだと思う。でありますから、もしほんとうに中小企業の振興安定ということを大臣が口ほどに考えるならば、ただ調整組合を作って、強制加入をやって、これを克服するのだというような子供じみたばかげた考えだけでなくて、こういうものにならない前の予防的ないろいろな施策というものが出てこなければならないはずだと思う。その点についてはどういうふうにお考えになるか。そうしてそういう問題を考えておるというならば、具体的にどういう施策を用意されているか、実行されているか伺いたい。
○水田国務大臣 それは前にも申し上げましたように、中小企業がこうなってくる原因の一つには、最近の問題としましては、大企業が中小企業の分野に進出し過ぎておる、こういうような事態も私どもは矯正したいと思っています。つまり大企業との産業分野をどう調整するかというような問題、それから生産者が商業部門に入ってくることも最近の傾向であり、これがやはり中小企業の苦しんでいる一つの原因となっておりますので、商業振興法、小売商振興法というようなものによって、工業と商業分野の調整というものもやりたい。そういう中小企業政策のためには、この法案でだけ全部解決しようということは私どもは考えていませんので、別個にそういう問題についての法的規制もただいま検討中であると前から申しておりますが、そういうものをあわせ行うことによって中小企業の振興をはかるよりほかない。この法案はそういう問題とは別個であって、なおかつそういうことをしても中小企業に不況状態というものが起ったときに、どうこれを助けるかというための組織法でございまして、これだけで中小企業の問題を全部片づけようというような考えは全く持っておりません。
○永井委員 大臣はこれは現在の中小企業対策のいろいろな政策とは別個に出したのだと答弁された。私はその通りであると思う。ただ、できものができた、そこへこうやくを張るだけが中小企業対策の全部であるとは考えません。そういうこうやくを張る前に、できもののできないようないろいろな予備的な施策というものが先行しなければならない。こういう事後処理の法案が出る前に、その予備的ないろいろな政策というものが先行しなければならない。先行すべきものはこれからやるのだという。そうして事後にしなければならないものをさか立ちして今出しておる。これはさか立ちした政策だとお考えになりませんか。また当面したこの法案を必要とする現実は認めておられるのですから、それならば本年度のいろいろな予算の中やなんかに一体どういう施策をしておるのですか。金融の面、中小企業金融公庫にどうしたとか、商工中金にどうしたとか、こんな金融の面のことはあるでしょう。しかしそういう金融措置を除いて、税制において何をしたか。それから実際の中小企業対策として予算がふくれているのはわずか一億にすぎない。こういうように先行すべきことを何もしないで、事後処理の問題だけをここにさか立ちして出してきておる。政府の中小企業対策というものはさか立ちしているのではないかと思うのですが、そういうふうに大臣はお考えになりませんか。
○水田国務大臣 さか立ちはしてないつもりでして、金融対策は今度の予算でも御承知の通り国の財政資金を中小企業の金融に相当大幅に回すという線を実行してございますし、税制の面でも御承知の通り個人企業者はおそらく税金は従来よりも三分の一は安くなることと思いますが、そういう措置をとっておる。それから償却についての特別のものもやりますし、資産再評価の問題も今度この国会に法律を出して解決することにいたしておりますし、さらに中小企業の近代化という問題につきましては、予算をことしはふやしてやると同時に信用保証能力を増してこの問題を推進させるという措置もとっておりますので、中小企業対策としては相当私どもはやっているつもりでございます。
○永井委員 今大臣が言ったのは言葉だけであって中身はない。私はいつでも言っておることですが、政府の中小企業対策は重病人を前にして注射一本、滋養のある卵一つ食わせようとしないで言葉の上だけで慰めておる。そうして死んだらおれを恨まないで成仏してくれ、こういう罪滅ぼしに口先ではいろいろなことを言っておる。これは明らかだと思うのです。そこで現実に大企業の進出によって中小企業は圧迫されておる。原料高の製品安という独占価格によって中小企業は搾取されておる。こういうことを先ほど来大臣がお述べになったのですが、それならばそういう問題をこの法案ではどういう形でこれが解決できるのか。そういうことがこの法案の中に織り込まれておるのか。もしこの法案に織り込まれてないとするならば、政府の行政措置によって、どういう効果ある措置をとろうとしておるか。
○水田国務大臣 この法案の中では、そういう問題はもっぱら組合交渉によって効果を得たいというふうに考えております。しかしお互いの交渉によっては解決できない問題がたくさん現在では予想されますので、そういう問題は別個の法律によって調整したい、こういう方針でございます。
○永井委員 組合交渉なんかでこういう問題が解決できるような機能というものは期待できやせぬではないか。これは特殊な条件で特に認めたものということで、原料高の製品安という一般的な問題を解決することはどこにも書いてないじゃないですか。そうしてこういうことはもうきのうきょうに始まったのではなく、ずっと前からもう手を打たなければならぬ問題として提示されておる。切実な中小企業の要求として要求されておる。こういう問題に全然この法案でも触れてない。行政措置でもやろうとしてない。そうしてただこの組合ができたらこうやくを張ってやろう、これだけのことではないかと思います。それから過度の競争ということを言いますが、それならばどういう措置によって――生産の方は一応触れましたから別として、過度の競争の原因である過剰業者というようなものをどういう措置によって政府は対処しようとしておるか、具体的に伺いたい。
○川上政府委員 原料高の製品安の問題につきましては、中小企業者が商工組合を作りまして、団結して大企業者に当りまして、そしてこう製品が安くてこんな過当競争をやってはますます安くなるからして、それではとても自分たちではやり切れない、だから何とか消費者の方にも迷惑をかけないようにするために相手方である原料の販売業者の方に対しまして、自分たちはこういう調整事業をやるからこれに一つぜひ協力してもらいたい、そのためには原料をもっと安くしてもらいたいというような交渉をいたしまして、そして原料高の製品安の問題に対しましても対処していきたいというふうにわれわれは考えております。また大企業者がたとえば小売の部面に進出するというような問題につきましても、その進出によって小売業界が非常に攪乱されるというような場合におきましては、やはりその横の関係におきまして、大企業者である小売業者に対しましていろいろ組合の調整事業に対しまして協力してもらいたいというような交渉をして、そういう問題を除去していきたいというふうに考えておるわけでございます。
○永井委員 ここはほらを吹くところの場所ではないので、この法案に基いて現実の問題を論議しておるのです。こういう法案で今長官の言ったようなことができますか、それは立案者自身がよくおわかりのことと思うのです。時間がありませんからそういうことはあなたの良識と誠意ある反省に待つことといたしまして、前に進みます。
 これほど業者が多い、たとえば小売の分野で見ますと、東京などは十五世帯に一軒の商店、山形は十世帯に一軒の商店、きのう名古屋の地方公聴会で聞きますと、名古屋では八世帯に商店一軒の割合だ。これほどの過剰業者の状態にあるにかかわらず、今の政府の経済五カ年計画に基きますと、昭和三十五年までに商業人口をさらに二四%ふやすという計画を立てて発表しております。一体こういう過剰な業者にこの法律によって対処できるんだという、そしてこういう計画が合理的に樹立したんだというこの経済的な根拠を伺いたいと思います。
○水田国務大臣 日本の中小企業の過剰、それから特に商業の過剰ということはやはり一面人口の過剰と大きい関係を持っておると私は考えております。大都会においては何軒に一軒商業があるというと相当多いようでございますが、各商業者自身も自分の商品に関する以外は全部消費者でございますので、そういう立場から申しますと人口が過剰になり、同時に中小企業が相当過剰になっても人口がふえることによって各企業者自身がみなそれぞれ生産者として利用しますので、そういう意味において人口の過剰ということは中小企業の過剰を起すかわりに、人口がふえる過程においてこの企業がふえていき、しかもある程度それが成り立っていく余地というものがまだ多いのじゃないかと考えておりますので、将来数を減らさなければならぬというふうには私どもは考えていません。やはり商業部門でも今過剰状態であっても、将来人口のふえるに従って企業数はまだまだふえていく余地がある。そうなりますと中小企業はますます困るということになりますので、そういうものの調節をする基本立法がやはり準備されていなければならないという意味で、この団体法も意味があろうと思っております。
○永井委員 まだ販売の分野は人口に比例して余裕があるんだ、それで今の政府のもとで百貨店をどんどん拡張しておる意味がよくわかりました。私は大臣が、八世帯に一軒の商店があるんだ、それが半面においては消費者に変っていくから余力があるんだという超時代的な感覚を持っておるので、そういう感覚から中小企業対策が編み出され、このような実態に沿わない法案が出てきたのであるということがよく理解できました。先ほど来長官は大企業と中小企業あるいは小売業関係についてこういう法案を用意しているといいますが、わが党はこれだけの人数で、これだけの陣容で、もうすでにこの国会に産業分野の確保に関する法律案、商業調整法案を出している。でありますから、もし政府がほんとうにそういう誠意があるならば、自分の方の事務力が足りなくて、あるいは考えが熟さないで社会党に先行された。しかし内容は大へんけっこうだとは考えなら、この国会でもっとこの法案を通すことに努力された方が賢明であり、それが中小企業に対する忠実なゆえんであろう、こう考えるわけであります。
 そこで大臣はただいま超時代的なこれ以上どんどんふやしてもまだ購買力があるんだ、余力があるんだ、こう言われましたので、これはあきれる以外にはない、この矢が継げませんから、この面の質問はほこを変えましょう。しかし経済企画庁が発表しているように、資本金一千万円以上の大企業が昨年の六月現在において一九・八%の生産の伸びをした、中小企業は二三%の伸びだ。しかるにその利益率は大企業は五六・七%、中小企業はわずかに三・三%、それからその構成費を見ると、大企業は原料費をずっと引き下げた。中小企業は原料費はうんと上った。人件費は大企業は上ったが、中小企業はうんと切り詰めた、賃金を引き下げておるわけです。こういうことを今の企画庁でちゃんと調査して発表しておるのであります。この現実をどういうふうに大臣はそしゃくされて、どういうふうにこの現実に対してこれから善処されようとするのか。これは法律案とかあるいは政府の予算とかそういうものから離れているわけですが、施策としてそういうものがない過程において、どれだけの誠意ある対処をしようとするのか、伺いたいと思う。
○水田国務大臣 これは統計の数字だけで云々できない問題でございまして、大企業といっても大企業には当然基幹産業が入っておるのでございますから、一国の産業の基本をなす基本産業ということになりますと、設備も大きくなりますし、資本も多い。従ってそうたくさんの企業があるわけではございませんので、企業数も少い。しかも物の扱いは一国の基本物資を全部生産するという任務を持っておりますので、従って企業の数が少いとか、大企業の生産量が外過ぎるとか、単純にこれを現わして云々ということにはいかぬだろうと思うのでございます。要するに国民経済を伸ばすために、全般の生産力を伸ばすために、中小企業の持つ機能と大企業の持つ機能がありますので、それらが均衡的にお互いに発展していく産業政策をとる以外には方法がなかろうと思っております。
○永井委員 経済企画庁が正確な調査によって発表したことを数字だけではわからないというようなこと、そうしてその数字について弁解的なことを言われるということは、中小企業担当の大臣としてお控えになったらよろしいと思う。この現実を正確に認識して、その上に立ってこの施策がここで論議されるということでなければ、その基礎になる政府の数字が数字だけではだめだと否定してかかったんでは、問題になりません。基本的に中小企業対策は、一、二の法案を出して、それも全般的な一つの構想をもって日本の国全体の産業あるいは経済、こういう分野における検討を行い、その中における中小企業の位置というものを明確にし、その中小企業の現実の分析の上に立って、そこから生まれてくる政策、法案、そういうものでなければならぬ。私はこの一つの基盤において中小企業を論議いたしましても、その基盤が狂っていたり、次元が違っていたり、その中で示されている数字等を否定してかかったんでは議論にならないし、まじめな討議というものは進まないと思います。
 そういう意味において私はこの団体法案がどういう形の中からしぼられて一つの法案として生まれ出たのか、こういうことを背景として団体法案を論議し、その内容の字句を論議するということで問題を鮮明にしていくことができると思うのでありますが、先ほど来のお話では、そういう背景が全く明確にならないし、基盤が明らかにされない。そういうような意味において政府は中小企業対策の基本的な態度というものは確立していないんだ、ただできた現象に対してこうやく張りの法案をぽかんと出してきたんだ。もう少し強い言葉で言うならば、この団体法案というものは鮎川さんのもらい子で、政府の実子ではないのではないか。そういうところに未熟な状態がここに出てきている、かように私は考えるわけであります。
 そこで金融の問題についても、税制の問題についても、これは単に題目だけではいけないので、金融がいかに集中融資され、金融がどのような形において運営され、税制がどのような形にあるか、特別措置法がどうであるかというような、こういう問題を明確にしながら中小企業の現実の姿を浮き彫りにして、そうしてそこに保守党なら保守党の政策が生まれ、社会党なら社会党の政策が生まれてくる。その政策のどちらがいいかということが検討されるところに、保守党と社会党の政策を通しての切磋琢磨があり、向上があり、進歩の発展があると思う。そういうことが質疑を通して明らかにされてこない、常に焦点がぼけて明らかにされないということを私は遺憾に思うのであります。
 しかし時間がありませんから、私はこの程度にして遺憾の意を表しておく次第でありますが、最後に中小企業対策に対する大臣の答弁がありましたら、一つ伺っておきたいと思います。
○水田国務大臣 中小企業対策のためには、ただいま御指摘のような観点から対策を立てるのが当然と思いますので、政府はさらにそういう問題について努力したいと思います。
○福田委員長 多賀谷眞稔君。
○多賀谷委員 時間がありませんから、問題点だけ伺います。第一点は、大企業との関係でございますけれども、日本の産業の付加価値を見ますと、産業別の付加価値というのは、比較的外国に似ておるのですが、企業別付加価値において非常な差が出ておる。そこに日本の特徴があると思うのです。外国におきましては、中小企業であるといいましても一割くらいしか大企業に対して付加価値が低くなっていない、こういう状態である。ですから、中小企業におきましても、中小企業であるからというので、外国では脆弱であるというわけにはいかない。日本の場合には、中小企業であるということで全く脆弱になる、経営が困難になる、こういう状態になっておると思います。そこで、大企業に対する力をどういうようにして培養していくか、ことに大企業に向っての力を発揮するためにどういうようにして力づけていく機構を持つかというのが、やはり問題であろうと思いますが、この法案によりますと、大企業に立ち向う力というのはほとんどない。ただ、中小企業間の調整ということにのみ終始されておるようでありますが、その点どういうようにお考えでありますか。
○水田国務大臣 大企業に対して中小企業が競争力を持っていくというためには、やはり協同して経済事業をやらせるということがまず一番大きい問題だと思います。従って、この法案の中では、四条で、現在ある中小企業等協同法の定めるところによると書きまして、そしてそういう経済共同事業ができるようにまずきめてあるということと、それから、一朝不況の場合には、お互いの力でその事態を克服するというふうに、二つの組合の力によって、公正な競争力を中小企業が持つようにという配慮になっておると思います。
○多賀谷委員 第一点の問題は、既存の問題ですから、団体法から見ましても、ただ羅列をしてあるにすぎないのですから、これはあまり問題にならないと思うのです。そこで、この法案で新たにそういう大企業に対する力をつけてやる、こういう面は、残念ながら、カルテル行為の場合に若干取引の大企業との交渉権が認められておる、こういう点にすぎないと思うのです。しかもその点が、団体交渉におきましても、中小企業間というと語弊がありますが、同じ業態にあって競争しておる事業体との調整ということのみが主であり、ことに一号、二号、三号、四号とありますが、一、二よりも三、四の方が実際は重点である、こういうことになっておると思います。時間がないものですから、私は問題点だけを言っておきますが、これでは中小企業団体法と大きく銘打たれても、実際はそういうようにはならない。また団体交渉という文句は使われましても、わが党のように、いわば調整組合ができますと、そういう要件にない、普通の常時においても団体交渉ができるという関係にはない。こういう点を十分配慮されなければ、せっかく団体法ができても実際は意義はないだろう、こういうように私は考えております。これ以上言いましても、おそらくいい答えは出ないと思いますので、次に進みたいと思います。
 第二番目は第九条の要件でございますが、この第九条設立の要件は、具体的にはどういう状態になるのか、これをお聞かせ願いたい。非常に抽象的な文句ですけれども、具体的にはどの程度なんですか。今までの安定法その他の例から一つお話し願いたいと思います。簡単でけっこうです。
○川上政府委員 現在安定法に基く調整組合の調整事業等を許します場合に、いろいろな角度から検討しているのですが、たとえばその在庫の状況がどうなっているか、非常に滞貨がふえていやせぬか、あるいはまた業者の倒産の状況がどうなっているか、方々でどういうふうにその倒産状況が行われているか、あるいは原価計算そのものについても十分調べ、それと価格の推移、これとの比較、そういう問題につきましていろいろ検討いたしまして、そしてそれを総合いたしまして、その業種につきましての不況の状況がどういうように深刻になっているかということを検討いたしているわけでございます。この不況の度につきましては、今申し上げましたようなことで検討をいたしております。
○多賀谷委員 実際は不況の場合のみの商工組合の設立規定でありますからして、流通過程における最終的な小売、こういうものには実際は適用は不可能ではないですか。
○川上政府委員 私どもの方としましては、そういうふうに考えておりません。小売業者につきましても、業種によりまして非常に不況なものがあるわけでございまして、それも先ほど申し上げましたような、具体的な問題で判定していきたいというふうに考えております。
○多賀谷委員 次にお聞かせ願いたいと思いますが、十八条の商工組合の認可の場合に、「前条第一項第一号から第七号までに掲げる制限の種類及び方法」こういうことが書いてありますが、この認可する場合に十七条の一号、すなわち設備の制限とか数量の制限ですが、二号は価格の制限、こういうように別にしてある。これは認可する場合には同時に認可するのですか、別々に、一回十七条の一号を認可して実施をして二号を認可するのですか、その点はどうですか。
○川上政府委員 第十七条によりましては、価格の制限というものは、これは最後的な場合になっております。従いまして、まず最初は、やはりほかのいろいろな調整事業をやってみて、なおうまくいかないという場合に、最後的な措置として価格の協定を認めるわけなんですが、調整規程の認可につきましても、やはりそういう段階を経て措置したいというふうに考えております。
○多賀谷委員 そういたしますと、当然第一号の認可があって、実施してみて後に第二号の認可をする、こう解してよろしいのですか。
○川上政府委員 実際問題としては、そういうことになるかと考えております。
○多賀谷委員 実際問題よりも、理論的にそうなるでしょう。そこをはっきりしてもらわなければ困る。
○川上政府委員 第十七条におきまして、はっきりと価格協定は最後の最後の手段だということになっておりますので、理論的にもそういうことになります。
○多賀谷委員 次に第十九条の規定ですが、十八条の認可の場合に、十八条にはこういうような場合には認可してはならないというわけで、制限の規定があります。一体この制限の規定は、どこの意見を聞いて制限をされるのですか。たとえば一号、二号、三号という規定は、どういう機関が代表して意見を述べるのですか。ただ主務大臣が勝手に決定していいのですか。そういう意見を述べる機関が民主的にあるかどうか。
○川上政府委員 これは、もちろん主務大臣が直接認可をするわけでございますけれども、こういう問題につきましては、公取と協議をすることにいたしております。
○多賀谷委員 公取と協議をする……。これは立法事項ですか。それともそういうように運営したいということですか。
○川上政府委員 これは第九十条によりまして、公取と協議をするということになっております。(「同意がなければだめじゃないか」と呼ぶ者あり)価格協定につきましては公取の同意を得るということになっております。
○多賀谷委員 二十八条の組合協約と二十九条の団体交渉を経て後のいわば組合協約は、別個と言えば語弊がありますけれども、二十八条の協約は団体交渉を経なくてやる、二十九条は団体交渉があってやる、こういうような条文になっておるのですか。なっていなければなっていないと言って下さい。
○川上政府委員 二十八条の組合協約と二十九条の組合協約は全く同じものだと私どもは考えております。
○多賀谷委員 そうすると二十八条の組合協約には団体交渉という要件はないわけですか。
○川上政府委員 これは交渉をいたしましてあとで組合協約というのはできるわけです。その組合協約でございます。
○多賀谷委員 ちょっと私疑問なのですが、これは組合員たる資格を有する者との締結でしょう。組合員たる資格を有する者といいますと、組合員以外もおるわけですが、組合員もおるのです。これはどういうようにお考えですか。組合員との場合ならば、条文の立て方から言うならば、いわば組合協約といいましても、組合規定といいますか組合規約といいますか、組合間の協定もその内容に入っておるように考えられますが、どうですか。
○川上政府委員 これは組合員たる資格を有する員外者というふうに私どもは考えます。
○多賀谷委員 員外者と考えられても、条文を読んでごらんなさい。実際問題はそうなるかもしれませんが、条文の書き方が「組合員たる資格を有する者と締結する」となっていて、自己も包含されておるのです。これはどうなのです。
○川上政府委員 組合協約の性格上、私どもの方としましては、この文章だけで員外者というふうに解釈いたしております。
○多賀谷委員 これは組合員のためにする協約ですから、実際から言うとおかしいかもしれませんが、理論から言うと、自己を含んでもいい。私は最初読んだときに、率直に言いますと、この組合協約と二十九条と違うのは、自己を含んで、いわば協約とは名をつけているけれども、一つの規約といいますか、組合員間の協定も意味しておるのだ、こういうように考えたのですが、そういうことでないわけですね。純然たる員外者ですか。
○川上政府委員 その通りであります。
○多賀谷委員 この点、員外者であるということで理解いたしておきますが、この場合には団体交渉というのはないわけですね。
○川上政府委員 これは第二十九条の第一項の三号に「商工組合の組合員たる資格を有する者であって、中小企業者以外のもの」というのがありますが、それに該当するものかと思います。
○多賀谷委員 二十八条の規定は大企業との関係ですか。
○今井政府委員 二十九条の第一項の三号、これは、大企業と組合交渉をするわけでございますが、この場合に限り応諾の義務がある、しかし二十八条の組合員たる員外者という場合には、組合協約の締結は大企業たる員外者あるいは中小企業者たる員外者ともできますけれども、中小企業者たる員外者の場合には応諾義務はないということになります。
○多賀谷委員 ですから二十八条の方は員外者でも中小企業の員外者の協約でありますね。二十九条の方の員外者の場合は大企業の場合の員外者の協約である、こう解してよろしいですね。
○今井政府委員 そうではございませんで、二十八条の組合協約は、大企業たる員外者または中小企業者である員外者、その場合の組合協約の効力について規定をしているわけであります。二十九条の一項三号、これは応諾義務だけについて規定をしているわけでございます。
○多賀谷委員 そうしますと、この二十八条の関係と二十九条の関係ですが、応諾義務の点はよくわかりました。中小企業は員外者であっても応諾義務はない、交渉はする、それはよくわかりましたが、それは協約の効力が違いますか、あるいは協約認可の事項が違いますか。
○今井政府委員 協約の効力は全く同じでございます。
○多賀谷委員 条文の書き方が、二十八条は認可と書いてあって、そしてこれは組合協約のことについてずっと書いてある。そうして二十九条の方は応諾義務がある。こう解しますと、組合員たる資格を有する者以外との協約の関係は――これは三十条に勧告という点はありますけれども、たとえば二十八条の二号、三号という点は、この組合員たる資格を有する者との協約以外の協約は適用があるのかないのか。
○今井政府委員 この二十八条は、締結されました組合協約は「主務大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。」ということをうたっておりまして、わざわざ二十八条に認可の制度をとりましたのは、独禁法との関係でございまして、八十九条に認可を受けた組合協約は独禁法を適用しないということになっております。従って二十九条の縦の取引関係のある相手方とやります場合におきましては、これは認可を要しないことになっております。その意味はこれは独禁法を適用するという意味でございまして、その際この協約を締結いたしますところの組合側におきましては、調整事業に基きましてやるわけでございますので、従って調整事業自体はこれは独禁法からはずされているわけでございます。中小企業者側の方は、これは今申しましたように、独禁法からはずされているわけでございますが、相手方につきましては、独禁法の適用を受ける。その際に単なる取引関係につきまして組合協約をするという場合におきましては、相手方もこれは独禁法には触れない場合が大部分であろうと思いますが、かりに相手方が相手方同士で団交を行なってカルテル的なことをやるという場合におきましては、これは独禁法に触れるということになるわけでございます。
○多賀谷委員 そうすると、結局二十八条と二十九条の協約というのは、これはいろいろな事項において異なるということになるわけですね。
○今井政府委員 二十八条の組合協約は、ただいま申しましたように、横の場合におきまして成立された組合協約の効力についてうたっているわけです。それから二十九条は、いかなる場合に相手方に応諾義務があるかということにつきまして、縦の場合もありますし、横の場合もある。横の場合のうち、相手方が大企業である場合だけにつきまして応諾義務があるということをうたっているわけでありまして、二十八条の組合協約と申しますのは、二十九条の組合交渉の結果成立いたしますところの組合協約のごく一部でございます。
○多賀谷委員 「政令で定める者に限る。」というのは、農協というお話でありましたが、生協あるいは消費協同組合というのはどういうふうにお考えですか、ごく簡単でよろしいですから……。
○今井政府委員 二十九条の一項の四号にありますことは、これは「事業を行う事業者であって、商工組合の組合員たる資格を有しないもの(政令で定める者に限る。)」とございまして、従いまして、政令で改めなければ農協なり生協なりは適用がないわけでございます。政令で定める場合におきまして、たとえば生協あたりと非常にトラブルのある地域に対しましては、地方長官に対して照会いたします。その結果、自分の方は非常にトラブルがあるから中小企業の組合と生協と交渉させることが妥当であろう、かりにそういう返事が参りました場合に、政令で府県ごとに指定するということになっております。
○多賀谷委員 その点私はやはり消費協同組合という別個の形で、しかも一方においては育成するという態度を厚生省がとっておりますから、十分考慮を願いたい、こういうことを希望しておきます。
 続いて五十五条と五十六条の関係ですが、これは同時に発動されますか、あるいは前後関係はどうなっていますか。
○川上政府委員 第五十五条の加入命令につきましては、中小企業者だけの問題でありまして、その中小企業者が組合を作りましていろいろ自主的に調整事業をやっております場合に、アウトサイダーである中小企業が若干おりまして、そのために組合においていろいろ自主的にその調整をやろうとしましてもなかなかうまくいかない、しかしながら、そのアウトサイダーが入ることによって、しかも自主的に調整ができるというような場合に初めて強制加入の命令を出すことになっております。
○多賀谷委員 私が聞いているのは、同時にできるのか、選択的にできるのか、それとも五十五条を適用して後でなくちゃ五十六条はやれないのか、こういうことです。
○川上政府委員 それはその組合の申請によりまして選択的にできるというふうにわれわれの方は考えております。
○多賀谷委員 選択的にできるということは、五十五条も五十六条も二つとも、同時というわけにはいかぬでしょうけれども、同時でも理論的には発動できる、こういうことですか。
○川上政府委員 同時にはできないというふうに考えております。
○多賀谷委員 同時にできないということは、五十六条なら五十六条、五十五条と、どちらか発動してみて、その成果を見てやるということですか。
○川上政府委員 必ずしもそうではないのでありまして、その申請によりまして措置をするということにしております。
○多賀谷委員 その申請を両方、強制加入もやってもらいたい、アウトサイダーの方もやってもらいたいと同時に出す場合もあるでしょう。あるいは前後して出す場合もあるでしょう。たとえば同時に出した場合は受けつけないということになれば、法律のどこにそういう条項があるのですか。あるいは五十六条なら五十六条をやって、その成果を見てその他の条文を発動するという考え方であるのか、ただ考え方だけでなく、運用だけでなく、法律上もどういうようにそれが規制されているか、これをお聞かせ願いたい。
○川上政府委員 この五十五条におきましては、「中小企業者の事業活動を自主的に調整することによって同条に掲げる事態を克服することができ、かつ、その方法によることがその事態を克服すのに最も適当であると認められる」場合中小企業者だけにやるわけでございます。五十六条の方におきましては二つございまして、中小企業者だけで自主的に調整しようとしてもなかなか調整ができないというような場合に、とにかくその員外者である中小企業者を入れるアウトサイダー規制命令を出す。それからまた大企業者がアウトサイダーでありますときは五十五条は適用しないのでありまして、五十六条の規制命令を出すということにしてあるわけであります。
○多賀谷委員 大企業を聞いているのではないのです。私の聞いているのは、要件をここへ書いておりますからではない。申請が二つあった場合二つやるのか、あるいはそのうちの適当であると思ったのを一つやるのか、あるいは一方だけやって、どうしてもいけない場合もう一方やるのか。
○川上政府委員 今の問題は中小企業だけの問題と思いますが、中小企業者だけで自主的に調整ができるというような場合には五十五条の強制加入命令を出すことになるわけであります。ところが、どうも自主的な調整はできない、やはりアウトサイダーの命令を政府の方から出してもらいたいというような場合に初めてこの五十六条の命令が出るわけであります。
○多賀谷委員 そうすると、全然要件が違うから、五十五条を適用してさらに五十六条を適用することはあり得ない、どっちか一つやる、こういうことですか。
○川上政府委員 その通りであります。
○春日委員 公取の今までの御答弁は、調整組合の調整機能を確保するための措置は服従命令が出し得るからよい、こういうことになっておったのです。だから両方ともなし得る、こういう工合に今まで答弁を聞いておったのです。要するに組合の調整機能を確保するために服従命令が出し得るから加入命令というものはなくてもよい、こういう工合に聞いておったわけです。だから、一方やれば一方はできないという御答弁であると、今まで伺っておったことと違いますよ。
○川上政府委員 これは、先ほども申し上げましたように、今までの説明とは変っていないと思うのです。これは選択的にやはり出すわけでありまして、組合の方からの申請によって措置するわけであります。組合においてそのアウトサイダーである中小企業者を入れることによって自主的に調整ができるということを認めまして、この五十五条の命令を出してもらいたいと言ってきますれば、それに応じてそれを検討しました結果、それでよろしいということになればこの五十五条の加入命令を出すわけでございます。ところがどうしても、アウトサイダーである中小企業者を入れてもなおその自主的な調整がなかなかうまくいかないような組合に対しましては、組合の方からの第五十六条の申請によりましてアウトサイダー規制の命令を出すということでございます。
○多賀谷委員 その場合に五十五条を出して、そしてなおいけないから五十六条を申請する、こういうことも考え方によってはあり得ると思うのですが、その場合はどうなんです。
○川上政府委員 これは五十五条で強制加入命令を出して、それでもなおうまくいかなかった。これは最初はそういうふうに考えていたけれども、なかなかうまくいかなかったというような場合におきましては、結局強制加入の命令を組合の方が取り下げて、そして五十六条の命令を出すよりほかないと思います。
○多賀谷委員 その点で大臣から答弁願いたいと思うのですけれども、私は何もひねくって聞いておるのじゃなくて、法の解釈上……。(発言する者多し)五十五条というのを申請し、五十五条の認可を受けて命令が出る。その後どうもそれでもうまくいかなかった、それで五十六条の申請をした、こういう場合にはどうなるのですか。
○水田国務大臣 これは政府が認可するときには、果してこの五十六条でやったら組合が自主的に調整効果を上げることができるかどうかという認定を政府側もやりますし、これは委員会の意見を聞いてやりますので、政府は相当慎重にやることになります。大てい加入命令を出すときには、自信があるときでなければ加入命令を出さないわけであります。もし自信がないというのなら、これは五十六条の方にやらせた方がいいということを考えることもあろうと思いますが、しかしいずれにしろ政府は自分の方でこうせい、ああせいというのじゃなくて、受け身の立場でやる方ですから、組合から申請してこなければ政府はやらない、こういうふうになっていますので、もし組合が申請してきて、政府もそれでいいということで命令を出した。ところが実際にやってみて最初の当てがはずれたというような事態が起ったとすれば、組合自身がまずどういう態度をとるかで、これはだめだからといって政府に取り下げの申請をまたやってくる、そうしてそのあとから五十六条による申請をするという場合もあり得ようと思っています。
○多賀谷委員 取り下げて五十六条の申請をするという場合もあるでしょうが、実際は取り下げをしないと私は思うのですよ。やはり強制加入の命令を受けたままにして、さらにもう一度五十六条の申請をすると思うのです。そうしなければ意味がないのです。だからそういう場合にはどうされるのですか。選択的に常に一方しかできないのだ、こういうふうに解釈されるのですか。それからその解釈は法律上どういう根拠で出るのですか。
○川上政府委員 第六十二条によりまして、「主務大臣は、第五十五条第一項、第五十六条又は第五十七条の規定による命令をした後において、これらの規定によりその命令をする要件となった事実が変更し、又は消滅したと認めるときは、その命令を変更し、又は取り消さなければならない。」ということにしてあります。
○多賀谷委員 六十二条で取り消しはできますけれども、やはり取り消さないで五十六条を発動する――取り消したら元も子もなくなる、五十六条を発動してもますます困難だ、こういうことも考えられますが、常に一つしか発動されないのですか。必ず五十六条を発動する場合には五十五条は発動されていない、あるいは五十五条が発動される場合は五十六条が発動されることはない、こういうふうな解釈ですか。
○川上政府委員 その通りでございます。
○春日委員 そうは読めない。この五十六条の条文をずっと読んでみると、今御答弁になったような手続というものは認められませんよ。私はこういうことが想定できると思うのです。それはこの服従命令を発しても、なおかつ員外者に服従命令を発するだけではやはりその効果が上らないというような場合は、そういう命令を発してある者に対してさらに強制加盟をして……。
  〔発言する者多し〕
○福田委員長 御静粛に願います。
○春日委員 組合に許して、そうして組合の内部において、その調整規程に自主的に服せしめる方がその効果が確保できる場合が想定されるのじゃありませんか。それでそういうふうに御答弁になれば、なお公取もこの五十六条のやり方があるのだから、従って五十五条というものは、伝家の宝刀として五十六条を抜けば、これは余分のことだから要らないのだ。こういうふうな見解を表示されておると思うのです。この点について公取はどういうふうに理解されておりますか。この際公正取引委員会から公正取引委員会が本日までこの法律案をいろいろ協議された過程において理解されておるところがあろうと考えますが、これはいかに理解されて賛否の態度を表明されて参ったか、この点公取から一つ御意見を伺います。
○坂根政府委員 ただいまの御質問は五十五条、五十六条の読み方で、多賀谷眞稔先生からいろいろ問題が出ておるようでございますが、二者択一でやるということは、通産大臣及び長官の言われた通りの解釈であろうかと思います。私どもが五十五条に反対しておりまするのは、従来の安定法においても五十六条のような規定においてアウトサイダー命令で調整規程の効果を確保し得るということで、特に今回この法案において五十五条の加入命令という今まで独占禁止法の適用除外規定において認めたことのない、かつ弊害を伴うであろう規定を入れることは反対であるというわけであります。
○多賀谷委員 そうすると二者択一で並立しない。すなわち六十二条で必ず要件が変った場合は取り消す、こう理解してよろしいでしょうか。
○川上政府委員 その通りでございます。
○多賀谷委員 この際私は公取に対してお聞きしますが、公取関係としてなるほどアウトサイダーが必要であるということはわかるのですが、私は強制加入というのは日本の法体制にはないと思うのです。あればこの法律だけです。(「弁護士会」と呼ぶ者あり)弁護士会というような団体はまた別ですよ。そういう要件は必ず適用さすという場合は労働協約でもあります、地域的一般拘束にもあります。しかし組合に入れというようなことはないと思うのです。この結社の自由との関係はどうなんですか。
○坂根政府委員 結社の自由との関係という憲法上の問題は別といたしまして、独占禁止法制の建前からの適用除外法規では、この法案が初めてであるとこの間も春日先生にお答えした次第であります。
○多賀谷委員 私はこの点が非常に問題があると思いますが、時間がありませんから最後に一言。この商工組合というのは要件がなくなったらやめるのだ、廃止するのだ、こういうことになっておりますが、この廃止する場合の、解散といいますか、解散する場合は、法律上主務大臣ができるという規定をしておる。それから調整規程の廃止の場合は、必ずしなければならぬという規定の区別をしております。できるという場合を見ますると、それは権限を書いた場合、主務大臣の権限を規定した場合もありますけれども、この場合はしなければならないという区別においては、どうも権限を書いたのでなくて、してもしなくてもよろしい、こういうように見られると思うのですが、解散の場合はどうして要件を非常に緩和されたか、それをお聞かせ願いたい。
○今井政府委員 調整規程の場合におきましては、要件を欠いた場合にはそれをやめなければならないということになっております。それから商工組合自体が要件を欠きました場合には、これは事柄といたしましてその法人を殺すかというような問題になりますので、慎重を期したということが一つと、それから単にたとえば解散命令を出さなければならぬということのほかに、この法律におきましては組織変更という問題がございます。たとえばその間、自分の組合は解散させられるよりも協同組合の方に移行した方がよろしい、組織変更した方がよろしいという場合も多かろうと思いますので、その間あまり強制的なことをいたしまして解散させるよりは、話し合うことによる方が妥当だということで、できるというふうにいたした次第であります。
○西村(直)委員 この際、動議を提出いたします。すなわち、ただいま議題となっております中小企業団体法案外五法案のうち、中小企業団体法案、中小企業団体法の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律案、中小企業組織法案及び中小企業組織法の施行に伴う関係法律の整理に関する法律案、以上四案に対する質疑はこれをもって終了せられんことを望みます。以上動議といたします。
○福田委員長 ただいまの西村君の動議について採決いたします。これに賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
○福田委員長 起立多数。よって西村君の動議の通り中小企業団体法案、中小企業団体法の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律案、中小企業組織法案取び中小企業組織法の施行に伴う関係法律の整理に関する法律案、以上各案に対する質疑は終局いたしました。
 本日はこの程度にいたします。
 次会は来たる五月二日午前十時より開会することとし、これにて散会いたします。
   午後九時三十四分散会
     ――――◇―――――
  〔参照〕
   派遣委員報告書
     第一班(大阪市)
  昭和三十二年四月二十六日大阪市中央公会堂
 会議室において中小企業団体法案並びに中小企
 業組織法案外二案について現地調査会を開催し
 関係者より種々意見を聴取したのでその詳細を
 別紙の通り報告する。
 (別紙)
   第一班(大阪市)現地調査会記録
 一、派遣委員
班長 小平 久雄君(自由民主党)
   横井 太郎君(  同  )
   首藤 新八君(  同  )
   田中 武夫君(日本社会党)
   水谷長三郎君(  同  )
 一、事務当局
   越田 清七君(商工委員会調査室長)
   工藤 成一君(商工委員会調査主事)
 一、政府側
   川上 爲治君(中小企業庁長官)
   吉岡千代三君(大阪通商産業局長)
 一、意見陳述人
   桝野竜太郎君(日本綿スフ織物工業協同組
    合連合会副会長)
   永木 広次君(日本マッチ調整組合理事長)
   藤田 敬三君(大阪市立大学教授)
   岡野 正雄君(全日本労働組合大阪地方協
    議会代表)
   吉村 義照君(大阪府小売商団体連絡協議
    会会長)
   滝川 末一君(日本薬剤士協会特別調査委
    員会会長)
   西村 清馬君(大阪地評福祉対策部長)
   小西 聖夫君(大阪中小企業同志会会長)
   工藤 友恵君(関西経済連合会事務局長)
   石橋 助司君(大阪府中小企業等協同組合
    中央会副会長)
    ―――――――――――――
   (午前十時六分開議)
○班長(小平議員) これより現地調査会を開催いたします。
 不肖、私がこの会議の座長をつとめますので、よろしくお願いいたします。
 この際、私から派遣委員を代表して一言御挨拶を申し上げます。本日は、政府提案にかかる中小企業団体法案、並びに日本社会党提案にかかる中小企業組織法案、中小企業の産業分野の確保に関する法律案、および商業調整法案の各案について各界の代表の方々の御意見を伺うことになっておりますが、御意見を伺う前にこの現地調査会開催の趣旨並びに、この会議の運営方針等につきまして、念のため申上げたいと存じます。この会議は、今回提案されました中小企業団体法案、並びに、中小企業組織法案外二案の審査の参考資料に資するため、衆議院商工委員会が、衆議院規則第五十五条の規定に基き、議長の承認を得まして、正規の手続により委員を派遣し、御地の各界の代表者の方々の御意見を聴取することになった次第であることを御承知おき願いたいと存じます。
 意見を陳述される方々におかれましては、御多用中のところ、御出席いただきまして厚く御礼申上げます。
 御承知の通り、現下の中小企業の実情に鑑みまして、中小企業振興のための最も基本的な方策として、その組織を充実し、団結の強化をはかることが喫緊の急務であり、振興方策であると思います。本日御意見を伺うことになっております政府提案にかかる中小企業団体法案も、また社会党提案にかかる中小企業組織法案外二案も、かかる見地より提案されたものでありますが、本委員会におきましては、さる四月四日付託されまして以来、ほとんど連日、これらの法案の審議を行い、あらゆる角度から慎重に検討を加えておる次第であります。
 その内容につきましては、それぞれ簡単に説明があることになっておりますが、これらはともに中小企業者の経営の向上と安定に関し重大な意義を有するとともに、一方関連事業者、消費者、その他に対しましても少なからぬ関連をもつものでありまして、今後の中小企業界、ないしは国民経済の動向に重要な契機をもたらすものと予想されるところであります。かねて、世上活発な論議が行われておりますことは、関係者のみならず、一般の関心が高まっていることを示すものであろうと存じます。かかる意味合いにおきまして、この際ひろく各界の意見をも聴取し、審議に遺憾なきを期するため、一昨日は国会内において参考人の意見を聴取し、本日は御地をはじめ、名古屋におきましても、この現地調査会を開催いたした次第であります。以上の趣旨をお扱みとりのうえ、それぞれ忌憚のない御意見を御発表願い、法律案の審議に御協力下さるようお願いする次第であります。
 それでは本日ここに出席いたしております派遣委員を紹介いたします。派遣委員は右におられます方が、自由民主党横井太郎君、まだ見えておりませんが、この席に若干遅れまして同じく自由民主党の首藤新八君が参られます。私が小平久雄であります。左側が日本社会党の田中武夫君、こちらであります。それからこちらにいらっしゃる先生が同じく水谷長三郎君であります。なお事務当局より商工委員会調査室長越田清七専門員外一名が、また政府より中小企業庁長官川上爲治君、大阪通商産業局長吉岡千代三君が出席いたしております。
 本日御意見をお述べいただく方々は、日本綿スフ織物工業協同組合連合会副会長桝野竜太郎君、日本マッチ調整組合理事長永木広次君、大阪市立大学教授藤田敬三君、全日本労働組合大阪地方協議会代表岡野正雄君、大阪府小売商団体連絡協議会会長吉村義照君、日本薬剤士協会特別調査委員会会長滝川末一君、大阪地評福祉対策部長西村清馬君、大阪中小企業同志会会長小西聖夫君、関西経済団体連合会事務局長工藤友恵君、大阪府中小企業等協同組合中央会副会長石橋助司君、以上十名の方々であります。
 なおこの機会に申上げておきますが、この会議の運営等につきましては、すべて衆議院の委員会運営に関する議事規則、および議事手続に準拠して行うことにいたします。議事の整理、あるいは秩序の保持等は班長たる私が合議の主宰者として、これを行うものとし、傍聴等につきましても、報道の任務にあたる方、その他の方々で、特に班長の許可を得た方々にのみこの会議室にお入りいただいているわけであります。傍聴の方々も、この点を十分御諒察の上、静粛にお願いしたいと存じます。
 つぎに議事の順序といたしましては、先ず中小企業団体法案につきまして、中小企業庁長官川上爲治君より説明をいたし、その後社会党提案の中小企業組織法案外二案について、水谷長三郎君より御説明をいたします。説明の後、御意見を伺うことになりますが、御意見御開陳の時間は、お一人おおむね十五分以内にお願いすることとし、その順序は勝手ながら座長におまかせ願いたいと存じます。なお、御意見御発表の後、委員の側から種々質疑もあろうかと存じますのでお含みの上、お願いいたします。
 なおこの会議は説明会ではありませんから、御意見陳述の方々からは、委員に対し質疑はできないことになっておりますので御了承願います。また御発言を願う際には座長の許可を得てから御発言をお願いしたいと存じます。それでは先ず川上中小企業庁長官より政府提出の中小企業団体法案に関する説明をお願いいたします。
 川上中小企業庁長官。
○川上中小企業庁長官 政府の提案いたしました中小企業団体法案につきまして、概略御説明をいたします。
 この法律案につきましては、昨年の六月末から約半年に亘りまして、内閣に設置されました中小企業振興審議会の答申を参考といたしまして、政府におきまして、いろいろ検討をいたしまして、これを基礎としまして、この法案を作っておるわけでございます。この法案以外に、中小企業対策関係の法律案としましては、小売業振興関係の法律につきまして、いろいろ検討いたしまして、近いうちに国会に提案する運びになっております。この団体法の内容につきまして、簡単に御説明申し上げます。
 この団体法につきましては、現在中小企業協同組合法と、中小企業安定法という二つの法律があるわけでございますが、この法律のいずれも、或る程度足りない面がありますので、一般の中小企業者、或いはその中小企業振興審議会の意見を参酌いたしまして、われわれとしましては、この際団体の強化をはかるという趣旨におきまして、この法律案を提案したわけでございます。この法律の第五条におきまして、中小企業者の定義を書いておるわけでございますが、この中小企業者の定義としましては、原則として、従業員三百名以下、これは製造業者につきましては三百名以下のものを中小企業者という、ということにいたしております。また商業者につきましては、三十人以下ということにいたしております。しかしながら製造業者につきましても、或いはその商業者、或いはサービス業者につきましても、この定義では不十分である中小企業者もあろうかと存じますので、第五条の第三項によりまして、特別な産業につきましては、特別な人数を限定してもよいということにいたしておるわけでございまして、これは政令で定めることになっておりますが、たとえば石炭産業でありますとか、或いは金属工業でありますとか、そういうものにつきましては、もっと人数をふやすことになるかと思うのであります。また他の産業におきまして、むしろ人数をもう少し制限したほうがいいというようなものにつきましては、これまた政令によりまして、人数を制限することになっておるわけでございます。いずれにしましても、本法によります中小企業者は、これは従業員数ですべてこれを規定するということにいたしておるわけでございます。
 それから、この法律によりますれば、いわゆるその商工組合制度ということになっておるわけでございますが、もちろん現在の協同組合制度は、そのまま残しておくわけでございまして、現在の中小企業安定法にもとづく調整組合制度を廃止しまして、新しく商工組合制度をつくるわけでございます。商工組合と、現在の協同組合組織との、この二つをもって中小企業の基本的な組合制度にするというわけでございます。
 協同組合組織につきましては、別に申し上げる必要はございませんが、商工組合組織につきましては、先ほども申し上げましたように、その中小企業者の定義というものは、先ほど申し上げた通りでございますが、設立につきましても、これは調整事業を行うことになっておりますので、不況要件というものが、どうしても備わっておらなければならないということになっております。これは第九条に「商工組合は、一定の地域において、一定の種類の事業を営なみ、中小企業者の競争が……」うんぬんとありますように、要するに過当の競争があって非常に不況に陥っておる。それで、どうしてもこれを何とかして救済しなければならない。そしてその中小企業の安定をはからなきゃならない、という場合にだけに商工組合はつくり得るということになっておるわけでございます。
 それから政府の案といたしましては、中小企業者につきましては、別に業種の指定はございません。あらゆる業種につきまして、先ほど申し上げました中小企業者が中心となりまして、商工組合ができることになっておるわけでございます。現在の安定法と違いますのは、その点が大きく違うわけでございまして、一般の商業者につきましても、或いは現在安定法で指定されていない製造業者につきましても、全般的に一応不況要件が備わっておるならば、商工組合をつくり得るということになっておるわけでございます。第十一条におきまして、然らばどういうものが中心となってつくり得るか、また中小企業者以外の者が入れるかということを第十一条におきまして規定しておるわけでございまして、どこまでも中小企業者が本体であり、それ以外のものにつきましては、定款で定めた場合に限るということにいたしておりまして、場合によりましては、農協でありますとか、その他のものにつきましても、きわめて特別な場合におきましては、政令で定めるところによりまして、加入させることができるということにいたしておるわけでございます。
 それから、商工組合の事業といたしましては、いわゆる調整事業をどうしてもやらなきゃいけない。経済的な共同事業につきましては、これを併せ行うことができるということに相成っておるわけでございまして、もし調整事業をやらないということになれば、商工組合はつくれないわけでございますし、またやっておりましても、途中で調整事業をやる必要がなくなった場合におきましては、解散をしてもらって――、経済事業だけをやる場合におきましては、協同組合のほうへ乗替えるということにいたしておるわけでございます。しかも調整事業の内容につきましては、特に価格協定につきましては、慎重な扱いをいたしておりまして、一般の消費者、その他の面に対する影響も考えまして、いろんな調整事業をやってみて、なおそれでも非常にうまくいかないというような場合に、初めて価格協定ができるというような仕組にいたしておるわけでございます。
 今度の法案の中で、もっとも大きな問題としましては、いわゆる組合交渉の問題と、それから強制加入の問題でございます。
 組合交渉の問題につきましては、第二十八条、それから二十九条、それから三十条というところに書いてございますが、いずれにしましても、私どものほうといたしましても、この組合交渉を行い得ることにつきましては、自分の組合で調整事業を行い、またその調整事業に関することだけを交渉し得る問題としておるわけでございまして、それ以外の問題につきましては、交渉の要件にはならないわけでございます。
 要するに、この法律に基きまして、この法律にバックされて交渉し得る事項は、調整事業に関する限りであります。その相手方につきましても、いろいろ限定をいたしておるわけでございますが、私どものほうといたしましても、たとえば取引関係、或いは横の関係におきましても、百貨店とか、或いはまた生活協同組合とか、そういうものにつきましても、交渉ができることにいたしております。また交渉する場合においては、いろんな条件をつけておりまして、相手方を脅したり、或いは精神的な脅しになるようなことも、そういうこともいけないし、きわめて紳士的な話合いをするというような意味におきまして、この条文におきましても、いろんな条件を付しておるわけでございます。たとえば組合の代表である理事者でなきゃいけない、人数にいたしましても、大体三名ぐらい以内でなければならないというような条件を付しておりますし、また交渉する問題につきましても、先ほど申し上げました調整事業関係のものでございますが、これもやはり組合の総会の承認を受けておらなきゃいけないとか、そういう相当きびしい条件を付しておるわけでございます。また、交渉する場合におきましても、相手方におきましては、交渉に応じなければならないということにしてあるわけでございますが、その場合におきましても、その交渉そのものについて特別な理由がありまして、どうしても応ずることができないような場合におきましては、これは別に応じなくてもいいわけでございますけれども、もちろんこれは誠意をもって応じなければならないという、一応訓戒的な義務を負わしておるわけでございます。また交渉をいたしましても、なかなか話合いがつかない、また不当に交渉に応じないというような場合におきましては、所管大臣のほうから勧告をするということになっております。この勧告につきましては、別に罰則的なものはついておりませんが、あくまでも社会的な訓戒を受けるということになろうかと思うのであります。またその勧告につきましては、これは、この中央地方に組織します中小企業調停審議会というものをつくりまして、そこでいろいろその検討をしまして、その意見を十分聞いて、所管大臣なり、或いは地方に委任された場合は、府県の知事が勧告することになっておるわけであります。この組合交渉の問題につきまして、いろんな方面から非常に心配されておるようでございますけれども、われわれのほうとしましては、現在の協同組合法によりましても、組合交渉のこういう能力は認めておるわけでありまして、ただ相手方に応じなければならないという義務を負わせる。しかもこれも罰則はついておりませんが、そういう程度のものに、この法律はなっておるわけでございまして、このために社会を、或いは商業、ないし工業組織を破壊するとか、そういうことには絶対にならないものと私どもは考えておるわけでございます。
 それから、その次は強制加入制度の問題でございますが、これは第五十五条に規定されております。
 第五十六条は、いわゆるアウト・サイダーの規制命令でございます。この第五十六条のアウト・サイダーの規制命令につきましては、現在の中小企業安定法にあるわけでございまして、いわゆる安定法の第一項の命令をそのままここに入れておるわけでございます。
 第五十五条の強制加入の命令が新しいものでございますが、われわれのほうとしましては、いろいろ法律的にも検討いたしました結果、どうしても、中小企業者がいろんな方法を用いましても、なかなかその競争がはげしくて、アウト・サイダーがあるために、どうしても組合の調整がうまくいかない。しかしそのアウト・サイダーに中小企業者がいて、中小企業者が入ってくるならば、十分その組合において、自主的な調整能力があるというような場合に限りまして、しかも国民経済、その他の問題を十分考えまして、そうしてどうしてもこのアウト・サイダーたる中小企業者を入れなければ困るという場合に限りまして、いわゆる強制加入の命令を出すわけであります。この問題につきましては、違憲問題等がございましたが、われわれのほうといたしましては、そういう非常に特殊な場合に限定して、強制加入の命令は出すんだ、しかもこれは一定の期限をつけて出すんだ、いわゆる臨時的な措置であるというようなことであるならば、別に憲法違反でないということを、はっきり内閣法制局も認めておるわけでございまして、こういう特殊な場合に限りまして、中小企業者だけを限って強制加入の措置をとるということであります。これは言い換えれば、中小企業者だけが自主的に調整事業をやる、そうしてどうしてもなかなかうまくいかない場合におきまして、政府のほうがこれに対しまして援助を与える。そうして強制加入の命令を出すということになっておるわけでございます。
 第五十六条のアウト・サイダー規制命令というのは、これは先ほども申し上げましたように、現在もやっておるわけでございますが、これはどちらかと申しますと、もちろん組合の申請に基いて行う措置でございますけれども、政府の直接の命令になっておるわけでございまして、われわれのほうとしましては、この第五十六条のアウト・サイダー命令を出すよりも、その前に中小企業だけは相集まって、自主的にいろんな調整事業を、経済問題についてのいろんな調整事業を行うということが一番民主的な姿ではないかというふうに考えます。これに対して政府が援助するという意味におきまして、強制加入の命令を出すということになっておるわけであります。
 以上申し上げましたように、今までの法律といろいろ違います点は、第一は、その調整事業に対しまして商業者、或いは一般の製造業者も組合を組織することにしたということが第一点。第二点は、組合交渉につきまして、政府がある程度の援助をするようになったということが一つ。第三点は、強制加入制度について、中小企業者だけの組合に対しまして、政府が特別な援助策として強制加入の命令を出すということにした、この三点が従来のいろんな制度と違った点でございます。
 この法律案につきましては、一般の中小企業者の方面におきましては、或いは物足りないというような方々もございますし、また一般のその他の方面におきましては、これは行過ぎではないというような議論もございますが、われわれのほうとしましては、いろんな意見をいろいろ検討いたしまして、まあこれが現在の段階におきましてはもっとも妥当な案ではないかと考えておるわけでございます。
 なお最後に価格協定につきましては、特に私どものほうといたしましては、意を用いておるわけでございまして、調整規程のうちで、特に価格協定、調整規程そのものにつきましては認可制度になっておりますが、価格協定につきましては、認可をする際に公取の同意を得なければならないということにいたしております。また価格協定は調整事業のうちでももっとも重要な問題でありますので、これは中小企業安定審議会でいろいろ決定する場合におきましては、検討することになっております。先ほども申し上げましたように、価格協定につきましては、調整事業のうちでいろんなものをやってもなおどうしてもできないという場合におきまして、価格協定ができる仕組になっております。また強制加入の命令につきましても、特に価格協定等に関する問題につきましては、十分公取のほうと打合せをすることにいたしておるわけでございます。そういうふうな一般の消費者、その他に対しましてもっとも影響のある価格協定につきましては、いろんなところで関所を設けまして、十分検討される機会を与え、また慎重に取扱うことにいたしておる次第でございます。
 以上簡単ながら中小企業団体法の御説明をいたしたわけでございます。(拍手)
○班長(小平議員) つぎに日本社会党水谷長三郎君より、中小企業組織法案外二法案に関する説明をお願いいたします。
 水谷長三郎君。
○水谷議員 私は日本社会党の提出にかかわりまする中小企業組織法案、中小企業の産業分野の確保に関する法律案、商業調整法案、中小企業組織法の施行に伴う関係法律の調整に関する法律案、以上四点の提案理由を御説明申し上げます。
 今日、中小企業の悩みは過度の競争、原料高の製品安、金融難、税金高、設備の不備、技術の後進性、外資導入の圧迫等、教えきれないほどでありますが、要約すれば、政府の大企業超重点の施策、中小企業へのしわ寄せが、その大きな原因であることは、もはや明々、白々たる事実となっております。経済企画庁の昭和三十一年六月現在で、資本金一千万円以上の大企業、二千四百六十社、一千万円以下の中小企業法人十八万二千六百社を調査いたしました結果によりますと、売上高は前年に比べ、大企業は一九・八%に伸び、中小企業は二三%に伸びて、中小企業が大企業より、はるかに上回っておるのでございます。しかるにもかかわらず、その営業利益は、前年に比べ大企業は五六・七%と比較的増加しておるにもかかわらず、中小企業はわずかに三・三%にすぎず、神武景気といわれながら、前年の利益率よりも下回るというみじめな有様となっております。さらに売上高に占める構成比を見ますと、大企業は、原料費が非常に減って、人件費は若干増加している。中小企業は原料費が相当にふえ、人件費は逆に下っております。中小企業が生産を増加しながら原料高の製品安となり、いかに収益が減って奴隷的低賃金にしわ寄せされ、大企業に搾取されているかが如実に示されておるのであります。このような実態の中で、ただ一片の組織法を制定するだけで法的強制を伴う中小企業の組織化をするならば、これは逆に独占資本による系列化の目的に利用され、あるいは、組合の内部におけるボス的支配を許すことになりまして、遂には零細業者が強権によって整理される結果に陥ることは明らかに予見されるところであります。消費者の利益が守られないことも、言うを待ちません。そこで、わが社会党はここに提出いたしました三法案を三者一体の骨組にいたしまして、つづいて金融、税制、その他産業経済関係事項十数件、行政事項四十数件を肉付として、提案を準備しております。われわれの中小企業対策は、国の産業経済全体のうちに考え、法律だけではなく、所要の財政経済的裏付を並行せしめ、その実効を期待せんとするものであることを御了承いただきたいと存ずる次第であります。以下各法案について御説明を申し上げます。
 第一は中小企業組織法案について、その大綱を御説明申し上げます。本法案は現行の中小企業等協同組合法および中小企業安定法を発展的に統合、吸収いたしまして、さらに新規の協同組合組織を加え、それぞれ得意の機能を付与することといたしました。本法案の目的は、中小企業者が、その経済的地位を高め、あるいは安定をはかり、もって国民経済の健全なる発展に資するに必要な協同組合化の組織を促進、強化せんとするにあります。そのためには、特に国の義務といたしまして、中小企業の税制、金融はもとより、経営、技術等に格段の振興助成策を積極的に行わなければならない旨を規定いたしております。本法案では、中小企業とは常時使用する従業員の数が、工業では三百人以下、商業、またはサービス業では三十人以下でございまして、かつ資本の総額は一千万円以下のものと定義したのであります。組合の種類は、従来の事業協同組合、信用協同組合、企業組合、調整組合は、そのままといたしまして、新たに零細経営者のうちの勤労事業協同組合、火災共済協同組合、事業調整協同組合の三つの組合を加えることといたしました。そのうち調整行為を行う組織につきましては、現行中小企業安定法に基いて、すでに設立されている調整組合はそのまま認めまして、これから新たに設立しようとするものは、すべて事業調整協同組合とすることにいたしております。
 次に、各組合について御説明を申し上げます。事業協同組合、信用協同組合、企業組合はおおむね現行の中小企業等協同組合法の規定に準ずることにいたしておりまするが、このうち事業協同組合については、特に団体交渉権並びに団体協約権を付与することといたしました。勤労事業協同組合は、特に零細事業者を対象とするものでありまして、従来の中小企業政策の盲点として、その政策の資格にとり残されていた零細事業者を特に育成するための新しい共同組織でございます。生活のためにみずから働く階層でありまする、すなわち資本性事業ではなくて、勤労事業とも言うべく、企業というよりは生業として区別さるべきものと考えております。従業員十名以下、商業またはサービス業にあっては従業員二人以下の事業者をもって組織し、社会政策を加味した立場から金融上、税制上特別の措置を講ずることといたしております。わが社会党の特に苦心を払っておるところのものでございます。
 火災共済協同組合について申し上げます。わが国の損害保険事業は、農業共済、漁船保険等の一部を除きましては、少数の営利会社に独占されており、その保険料率は、各社の協定により、はなはだしく高いため、損保復旧率はわずかに二〇%内外の低さでありまして、一般中小企業者は容易に加入し得ない状況に置かれておるのであります。よって中小企業者の火災保険共済事業をこの組織によって行いたいのでありまして、その定らざるところを補わんとするものであります。その事業の出資総額百万円以上、組合員千人以上の参加によって成立され、共済金限度は三百万円を限度とし、その連合会には再保険事業を行わしめんとしておるのであります。料率はずっと低くなります。余剰資金は組合員の共同資産として蓄積されるわけであります。これが復旧によりまして、中小企業者の不慮の災害に対し、みずから保険体制を確立することができることになるだろうと、存ずる次第であります。
 事業調整協同組合は、経済事業と調整事業を併せ行う共同組織で、これが本法案の中心となるものでございます。従来の中小企業安定法に基く調整組合は過度の競争、もしくは不況に対する自主的救済対策としては、価格協定、数量協定、制限などの調整事業を行うことを建前としておるのでありますが、本組織は、そのような事態に立ち入る以前に予防的に、常時適正なる調整を行い、不公平、かつ過度の競争を終息せしめ、企業の適正利潤を確保せしめんとするものであります。しかしながら、この調整機構のもたらす影響の重要性にかんがみ、本組合の設立に当っては特に消費者並びに関係業者の利益をも考慮することといたしております。対象業種は、その生産実績が中小企業に圧倒的に多い業種、国民経済上重要な地位を占め、国民の日常生活に密接な関係のある業種でありまして、しかも過度の競争によって健全な運営が阻害されておる場合に限っておるのであります。また組合の内容における反対意見と少数者の意見が十分に反映され、不当に抑圧されないように加入、脱退の自由の原則を建前とし、あくまでも、懇談と納得に基く民主的な運営をいたしておるのであります。同時に、大企業が参加する場合の要件といたしまして、大企業が加入しなければ、調整機能が全うされない場合、しかも大企業が加入しても、中小企業の自主性が阻害されない場合、と厳格に制限いたしまして組合の自主的運営の確立を期しておる次第であります。さらに正当な基調に基く適正な調整活動に対しまして、もしその組合の決定に服しない不公正な業者があって、そのため調整効果が確保できない場合は、政府案のような強権によって強制的に組合に加入せしめ、あるいは刑罰をもって臨むような非民主的な手段はとらず、学識経験者、中小企業者、消費者、労働者等の代表によりまして、民主的に構成された調整委員会裁定に従わしめることといたしておる次第であります。
 次に、本法案のもう一つの重要な点は、事業協同組合、勤労事業協同組合、事業調整協同組合に対し、団体交渉権、団体協約権を付与したことであります。これによりまして中小企業者は一体となり、親企業に対しその間に単価支払条件に関し、団体協約を結ぶ等の交渉、また商品、原材料の仕入れ元との間に取引条件に対する団体協約を結ぶ等の交渉ができるようにしておるのであります。団体交渉が不調に終った場合には先ほど申し述べました調整委員会に申請され、その公正な裁定に従わしめることといたしております。もとより組合活動の公共性と消費者の利益は、この団結権によって、いささかも減少されることがあってはならないのでございまして、そのために本法案は、常に公正取引委員会の正当な干与を規定しておる次第でございます。以上御説明申し上げましたように、本法案は中小企業者の自主的な協同組合組織の促進を通じて、中小企業の経済的な地位を確保し、あわせて一般消費者の利益をも含めて、国民経済の完全なる発展を期待している次第であります。
 次に、中小企業の産業分野の活動に関する法律案について申し上げます。この法案の目的といたしますところは、中小企業に適正な産業分野を与え、その産業分野に対しては、大企業の進出を規制し、もって中小企業の地位を確保しようとするものであります。基準は生産方針が、特に中小企業に適正と思われる業種で、かつ従来その生産実績が中位以下の規模が圧倒的に多い業種を原則としており、この法律で規定することにしておるのであります。しかしながら、現状では統計不備であり、複雑な諸要素を検討する必要がありますので、当面は中小企業安定法に指定する業種、機械工業振興臨時措置法に指定する業種、また当然適格要件を備えていると考えられる手工業生産の業種、地方的特産業種並びに環境衛生関係の業種などを指定することといたしております。将来は適正な産業構造の確立という観点から中小企業の共同化、近代化を促進しつつ対象業種をふやして行く必要があろうかと考えるのであります。こうして指定された業種につきましては、大企業の新規干与、施設の拡張を禁止しております。また資本的に、人的に支配している中小企業たる小会社や代理店等を通じて活動しようとする脱法行為は、もちろん許さないのであります。指定業種につきまして、現に行なっております大企業の事業活動が中小企業の存立に重大な悪影響を与えておる場合には、主務大臣は制限命令を出すことができるようにきめられております。しかしながら中小企業の場合は保護を重視するあまり、わが国経済の近代的産業の発展を阻害したり、一般消費者大衆の利益を無視する結果となってはならないのでありまして、主務大臣は中小企業者、大企業者、労働者、学識経験者、国会議員等国民各階層の代表によって組織された審議会に諮り、実施の公正を期するよう細心の留意をいたしておる次第であります。
 つぎに商業調整法について申し上げます。この法案の目的は、卸売業と小売業、および小売業相互間の業務分野を調整いたしまして、適正な融通、秩序を維持し、一般小売業者を保護しようとするものであります。業務分野の調整を必要とする事態が発生した場合、主務大臣はその業種と地域とを規定することとし、一定の制限を設けております。また小売業者の団体に対しましては、業務分野を融通するため前述しました指定の申請を主務大臣に対して行い得ることといたしております。こうした、指定された地域と業種につきましては、製造業者および卸売業者に対し、その小売部門の新規干与、あるいは拡張を禁止し、また資本的に人的に支配する代理店等を通じて行う脱法行為を禁じておりますことは、前述の場合と同様であります。つぎに公設、または私設の市場の施設拡張等は、当該行政庁の許可事項とし、一般小売業者の圧迫とならぬよう留意を払っております。消費生活協同組合等特別の法律に基いて小売業を営んでおる組合と、一般小売業者との間に紛争を生じた場合は、その調整のため行政庁は中央、または地方に設けられる商業調整審議会の意見を聞いて、必要な勧告を行い得ることといたしております。最近、特に著しい百貨店の進出に対抗しましては、いずれ現行百貨店法の不備を是正し、所要の改正を行う所存でございます。(拍手)本法律が、一般消費者におよぼす影響きわめて大なるものがありますので、その運営の公正を期するため、中央、地方に小売業者、製造業者、卸売業者、消費者、労働者、学識経験者等の代表者をもって商業調整審議会を設け、主務大臣または、都道府県知事の諮問機関とすることを決定しておる次第であります。(拍手)
 最後に中小企業組織法の施行に伴う関係法律の調整に関する法律案については、以上御説明申し上げました中小企業組織法の制定に伴って、関係諸法律の改正を行う等、所要の整備をしようとする問題であります。以上が新法案提出の理由、および内容の概要であります。(拍手)
○班長(小平議員) この際、重ねて念のため申し上げますが、本日の会議の運営につきましては、先にも申しました通り、衆議院の委員会運営に関する議事規則、および議事手続に準拠して行うことといたしておりますので、傍聴者の各位におかれましても、拍手等の声援は御遠慮を願いたいと存じます。
 それでは、これより順次御意見を伺うことにいたします。先ず、桝野竜太郎君。
○桝野竜太郎君 本日は、政務御多端の折にもかかわらず、わざわざ現地においでいただきまして、われわれ中小企業者のために御親切にいろいろなことをお伺いいただくことは、この上ない光栄と存じます。厚く御礼を申し上げます。
 私は、肩書に書いておりますように、綿、スフ織物工業連合会を代表いたしまして、意見を申し述べたいと、かように存じております。私どもの業界は、現在織機が二十六万台あります。兼営織機が十一万台、あわせて三十七万台のものが全国にわたりまして、小は二台、三台の業種から、大は二千台くらいもありましょうか、とにかく少数でありまして、これが一万七千の中小企業業種を包容いたしております。おそらく全国におきましても典型的な中小企業団体であると御記憶願いたいと、かように存ずる次第であります。われわれは、今日におきましては、昭和の初めに制定されました、工業組合法によって戦争前までは、一応やって参りました。かの有名な昭和八年におきまする組合法の第八条によりまして、現在の安定法の二十九条の規定のように、組合員にあらざる者に対しましても、一応やって参った次第であったわけであります。これによりまして、中小企業として、とにかくも安定した経営を続けて参ったわけであります。ところが昭和十二年の戦争によりまして、これが御破算になりまして、企業整備、あるいは統制というようなことで、この制度がメチャクチャになりまして、戦後に至りましては、国有綿請負制度、またその間において関連産業である紡績優位等によりまして、一応下請産業になった時代もあるわけでございます。ところが昭和二十五年、諸先生方も御承知のように統制が一応自由経済になったかのようでありますが、しかし、これはあくまでも表面でございまして、実は今だに為替割当を通じまして統制の形が残っておるわけでございます。私どもの方は昭和二十六年以後は、全然、いわゆる自由経済に移行されたところが、その翌年におきましては、御承知の通りに、朝鮮動乱の終熄によりまして、また各地のキャンセルの関係もありまして、滞貨が相当ふえまして、ここに一応紡績におきましても、生産調整をやらなければならない、しかも資金の調達をせなければならないということで、当時の日銀の投資によりまして、生産調整をやることを条件に、私どもの方でも融資を受けたと、かように記憶いたしております。ところがそのときにおいて、同じように、それ以上にわれわれの協会も不況であったわけでありますので、一応紡績は、繰業短縮をいたしますと同時に、われわれも繰業短縮をはかったわけでありますが、その当時、政府といたされましても、実は十分の法的準備もなかった。とにかく水の入口で、一応いわゆる最初の工程の紡績において、一応調整することによって国の綿織物の調整ができるという建前で、われわれは、すそで一応しわ寄せを受けて参った。これではたまらないということで、われわれは、国会方面にいろいろお願いいたしました結果、昭和二十七年八月一日付で、御記憶もあろうと思いますが、議員提出の立法であります中小企業安定法が初めて生まれたわけでございます。これとても運営法でございますし、また予算の裏付のない立法でありましたため十分な期待をすることができなかった。昭和二十八年八月に、また改正されまして、二十九年の十一月二日から、第二十九条によりまする産業の総合対策審議会ができまして、いろいろな施策をいただき、これによって一応現在の最低工賃確保をいたしておるような次第でございます。この点からいたしまして、一応一方には、中小企業協同組合法によります協同組合があり、一方では、中小企業安定法によります調整組合がありまして、私どもの協会におきましては、ほとんど二枚看板になっておる現状でございますけれども、それで、このために一方へ入って、一方に入らないということであり、まあ大体私は大阪でございますが、一応各府県におきましては、ほとんど二枚看板になっておるわけでございまして、この点におきましては、今回政府のお考えをいただいております団体法、これは非常に簡素化されておるということで、実は、けっこうなことであると存じておるわけでございます。しかも問題になっておりまする強制加入の問題でございますが、これはちょうど二十九条の命令によりまして、いわゆる強制的に従うということが安定法案にもあるように思いますが、しかし、この制度によりますと、通産省の方ともいろいろ御相談申し上げますと、調整に従いましても、経費を分担する法はない。いわゆる公平なる経費の負担ができない。こういうことで一応悩んでおったわけでございますが、この加入によりまして、やはり調整にも従い、経費も負担していただく、こういうことができまして、至極この点につきましては、けっこうなことと存じております。
 その次に、一部にこれについて反対の意見が出ております。特に取り立てて申しますと、紡績協会あたりから相当強硬な反対の意見が出ておるようでございますが、実はあの人等の申されることについては、第一に強制加入の問題を取り上げておられますが、これはちょうど戦後、先ほど申し上げましたように国有綿、その他と関係しまして、戦前は、さようなつもりではなかったんでありますが、戦争の犠牲によりまして、一応、こういう形になって参りました。しかし現在までは、大して特定の織屋以外にはそういうような状態がないので、私ども紡績さんの御心配になるようなことは、ほとんどなかろうと、かように存じ、また、もう一方におきましては、輸出を阻害するようなことをおっしゃっておりますが、日本の綿布の輸出は相当の量に達しまして、一部そういうようなことになりまして、いわゆる国際価格と国内価格とに一応隔りがあるというようなことが許されないのであります。むしろこの価格が不当に騰貴することにつきましては、これはやはり原料である糸の気配によって高低する分量が相当多いと、かように私どもは考えておるわけでございます。
 こういうようなことで、一応この強制加入並びに強制命令、また団体交渉権等の問題につきましては現在、巷間相当やかましく言われておりますが、私どものこの強制についてはあくまで対内的でございまして、先ほど川上長官からも御説明がありましたように、決して消費者、または関連産業に迷惑をおよぼすようなことはない、過去にやりました結果においてもそういう事態はない。かように確信をいたしておりますので、この手続上については審議会とか、また公取とか、またその他の方法によりまして、また監督官庁等の厳重な指示、監督もありますので、そういうことはおそらくないと、かように存じております。以上のようなことによりまして、一応本法に対しましては、全面的に賛成をいたしたいと、かように存じます。ただ最後に、一応お願いをいたしておきたいんでございますが、この中小企業安定法の第二に、業者に非ざるところの設備をすることを禁止せられております。本法においては、いろいろまあ、関係の先生方にお伺いをいたしておりまして、大したことはないようにおっしゃっていただいておりますが、一応法の規定といたしましては、それを規定されておらないことを憾みといたします。もちろんこれが設備をいたしますのはいけないという条項がございますので、それで事足れりと考えられますが、なおとりたてて言うと、その付帯をしていただくことにおいて、生れないうちに問題が片付くということで、実はその一項をさらに付加えていただくということについて、この機会にお願いをいたしておきたいと、かように存じております。なおまた、この強制加入の問題につきまして、特にここに社会党さんの方の案も関係がありますので、過去におきまして私どものやったことについての体験から一言申上げておきたいと思いますが、ほかの産業は知りませんが、私の方では実は、アウト・サイダーと申しましても全国的に三・四%、もちろんこれ以外に紡績の兼営織布という大きなアウト・サイダーがありますが、これはまあ、いろいろいままでにおきまして、話合いで至極円満に進んでおります。従って、この強制加入とか、強制命令という、特に強制規定の立法――強制するというようなことは、アウト・サイダーを強制するということより対内的のために、イン・サイダーがアウト・サイダーに逃げていかない、業者の中には相当抜駆けの功名をする気持のものが多いわけです。かつては中小企業庁でもかように申されたことがありましたが、「君らが命令を出さんでも業者はついてくるだろう」かように当時の長官からいわれたことがあります。理窟からいいますと、そうでありますが、結局ああいうことをやりますと、こういう結果はこういうことになるだろうということが、いわゆるヤイトをすえずに病を治すというズボラな考え方の業者が相当生じてくる。それでやはり強制ということはイン・サイダーがアウト・サイダーに流れないという。やはり決めたことは申合せたことと同じ調子でやっていく、こういうところに狙いがあり、まあ、いままでの体験からいたしましてさように存じております。これでこの点については相当まあ、非民主的だという御意見を伺いましたが、実は、かようであろうかと存じますが、実際問題といたしまして、一万七千の業者を抱擁するわれわれ業界といたしましては、相当やはり、そういうような点については強制しなければ収まらない。現在やっている織機協同組合の処理の問題に対しましては第三十一条の規定を修正、お願いいたしたわけでございますが、おかげさまで、これで一応何とか、やはり既定方針通り進んで参っております。これは、やはりアウト・サイダーの強制があって、イン・サイダーを一応眺めていくということに目的があり、そういうような効果を発揮しておるものと考えまして、以上甚だ簡単でございますが、私の意見といたしたいと思います。なお、社会党さんの中小企業組織法の問題でございますが、これは強制等の点につきまして、いろいろまあ、お考えをいただいておりますが、政府案のように強くはありませんので、私の業界といたしましては遺憾ながら、この法では救われにくいというような感じがいたしますので、この点をつけ加えて、甚だ簡単でございますが、意見を終ります。
○班長(小平議員) ありがとうとざいました。
 次に永木広次君。
○永木広次君 今般中小企業団体法案、ならびに中小企業組織法案が国会に上程され、中小企業組織化の問題をめぐって、近来まれにみる活発な論議が繰展げられておりまするが、このことは一面中小企業の現在の不況の深刻さを反映するものとは申せ、その御努力に対しまして深甚なる敬意を表するものでございます。
 現在中小企業組織化関係法といたしましては、わずかに中小企業協同組合法、および中小企業安定法の二つでありまするが、しかもいずれも中小企業組織化対策といたしましては、全部を尽すものではなく、大多数の中小企業者は依然として混乱の巷に、はいかいいたしておるというのが現状と申すべきであります。従いまして今度の両法案の如く、画期的なものに対しましては、われわれ中小企業関係者といたしましては、特に深い関心を有するものでございます。未だ研究不十分ではございますが、現在論議の中心となっておりまする点について所見を申述べたいと存ずるのであります。
 最初に加入命令の問題でございますが、加入命令の法理論上の是非はさておきまして、実際問題として考えてみることにいたしたいと思うのであります。
 加入命令が発令される場合は、先程長官からもいろいろ御説明がございましたが、恐らく相当事実上極限されました地区における組合に限定されるのではないかというように想像いたしておるのであります。と申しますのは、地区が非常に大きく、従って資格事業者が多数であるというような場合におきましては、当面加入命令の形におきましても、加入命令が出ましても、実際上調整事業の困難を解消するということは、事実上困難であります。たとえ加入命令が発動されるといたしましても、目的の達成は非常に困難であり、命令は空念仏化するほかはございません。また発動条件を、今次の要請いたしております発動条件を欠くことにもなると考えられるのであります。加入命令を規定する第五十五条をみてみますと、四分の三以上が加入しておることを要求されておるのであります。大体地区内の中小企業者の総数の四分の三という数が組合に加入するということは、実はこれは大変なことなのであります。大体中小企業者は、先程のお話にもございましたが、長年の熾烈な競争と、それによる息苦しさを骨の髄まで味わっておるものであります。従いまして、ものの考え方、中小企業者の一般的なものの考え方というものは、極めて現実的でありまするが、自己の立場を守り抜こうとする意欲を人一倍強烈なものを是とするものであります。こうした人々が四分の三以上にまで結集して、事実調整をやろうということは、それだけその業界の過当競争が度外れに激しく、従ってその調整のやむにやまれぬものと断ぜねばならぬと思うのであります。従ってその組合の調整のやり方もまたそれだけ合理性と申しますか、妥当性をもったものであるというように考えても、まず間違いはないのではないかと思うものであります。これは私の体験から生れた所見であり、はなはだ逆説的ではありまするが、四分の三以上の業者が認める妥当性は、他の四分の一に調整いたしましても、被強制者に不利益を与えることはまれであり、強制加入を非とする皮相的反対にもかかわらず、事実上得るところはかえって大である、かように考えるのでありまして、また四分の三以上の組合員が組合員であります場合でも、なお加入命令の発動にはいろいろと他の条件も加えて判断されるということを思いまするならば、事実上の弊害に値いするのは急務と申してよかろうと思うのであります。中小企業の組織を求めながら、最後にいたりましてこの一線を画するときには、恐らく団体法は、その思想の高邁なるにもかかわりませず、中小企業者にとっては絵に画いた餅以上の意味を持たないかと、かように考えるのであります。
 次に第五十六条の規制命令の点でございます。これは思想的には安定法の第一項命令に該当するものと考えるのでありまするが、一面第六十四条の規定によりまして、いわゆる二項命令的形式を採用し、実際的、行政的な運営をはかろうとされるものと推察いたされるのであります。これは実際上の運営の問題でありまするが、その際商工組合の運営が円滑に行われ、かりそめにも調整事業の重点が、あるいは政府にあるが如く、あるいは組合にあるが如くではなく、てたとえ規制命令、いわゆる安定法の一項命令的でありましても、事実上はあくまで組合が責任者的資格と立場で調整事業の運営をはかり得るようにお願いいたしたいと、またその方がベターと思うのでありますが、特に同条に関する政令、または条例制定の際には、特別な御考慮を頂きますように希望するのであります。なおさらにこの問題については、一歩を進めまして、現在の二項命令的内容の規定を新たに加えられるかと、いうようなことも併せて御配慮願えたらと考える次第であります。
 次は団体交渉の問題でございまするが、この問題に関する反対は、主として大企業によってよくなるというように見受けるのであります。その反対の根拠は、純経済的な取引関係を団体交渉の関係行動によってしようというようなことを改画されておるようであります。なおかかる団体交渉のような、力による交渉は従来の円満なる系列関係をゆがめ、あるいはやがて、かえって中小企業のために不利なる状態を招来する逆効果が起るであろうことが反対の内容としていわれておるのであります。しかしながら従来団体交渉の目的なるような事項が果して相互一対一の話合いで解決されることがかつてありましょうか。一例を申しますならば、下請業者がいかに親企業の支払い遅延に苦しんだか、先年下請代金支払いに関する何とかという法律が出ておりますが、これは実に世にもめずらしい立法すら生んだという一事をもって、これをかえることが出来るのではないかと思うものでございます。円満な企業系列が乱され、親企業と中小企業の分野にまで浸透して行く傾向を惹起するだろうというような点にいたりましては、まさに強迫と申すほかはないと考えるのであります。ただ団体交渉の面につきましては、中小企業者におきましても十分考えておかなければならぬものがあると思うのであります。等しく団体交渉と申しましても、労働組合の団体交渉とはおのずからその性質を異にするものであることは申すまでもございません。且つまたその交渉の目的は、経済問題であり、あくまでも冷静に、公正な姿を規定いたしまして、中小企業なるがゆえに不利なるものを是正するという一線に止まるだけの理性を持たなければならぬことは申すまでもございません。経済という生きた民衆の中にあることを忘れまして、いたずらに団体交渉の名におぼれてするというようなことがあっては、かえって墓穴を掘ることがありまするか、また組合みずからの結束を破る結果となることを知らねばならぬと思うのでございます。
 最後にこの法案に関しまして、若干の希望を附することをお許し願いたいと思うのであります。
 第一は、これも先程お話に出ておりましたが、新規生産設備の抑制措置を講ぜられたいというのが第一点でございます。この件につきましては、安定法は御承知のごとく第二十九条の二に規定があるのでございまするが、団体法ではこれを切除いたしておるのであります。その趣旨は正面からこの措置をとることを避けて、新規の生産設備につきましては、使用制限等調整事業の一部としてこれをチェックすることによって、同一効果を期待せられるにあるようでありまするが、このことはかえって問題を将来に残し、調整事業を事実上不可能化することは明らかと思うのであります。安定法成立の際にも等しくこの規定を欠いておったのでありまするが、特に調整命令が効力を有する期間に限り指定業種に属する新規開業については、これを抑制するため適正なる方策を講ずることという当時の参議院の附帯決議がございまして、これに基いて安定法第二十九条の二の規定が新たに設けられたのであることは御承知の通りでございます。殊に中小工業にもありました過度の競争というものは、ほとんど過剰生産に原因いたしておる。この過剰生産はすなわち過剰設備に原因するものが多いのであります。たとえ心あるものが業界の安定を期して組合を結成し、調整を行うといたしましても、一部のものが設備の拡張あるいは新たに開設をいたしまして、他の犠牲において自己のみの利益をはかろうといたしまするならば折角の努力も砂上の楼閣化することは必至なのであります。この場合、一面においては抑制した過剰生産力が、他面において復元し、この間において当面の苦痛をしのんで組合に加入いたしましたものは、何らむくいられるところがないのみならず、かえって多くの損失すら蒙ることとなるのでございます。特に中小工業の多くにありましては、生産設備の新規開設、あるいは拡張等は、いずれも少額の資本でこと足るものが多いのであります。従ってかかる新規に生産設備をやる、拡張する、あるいはもうけるということは非常に容易なのが例でございます。かかるものに関する有効な抑制措置のない団体法におきましては、いかなる調整方法も結局底の抜けた桶へ水をくむに等しいということになるのではないかと考えるのでございます。あるいはまた当初において申上げましたごとく、組合の調整力によって事実上の抑制を講ずるというのにありまするならば、これまた当を得ざること甚しいと申さざるを得ないのであります。一たび拡張、あるいは新設の後におきましては、この既成事実を払拭するだけの措置は事実上至難であります。これはやがて調整に関する同業者の失望と不満をかいまして、組合事業にひびを入れるものであるのみならず、国家的にみましても無用の二重投資でございまして、排斥せらるべきことの一つと信ずるのであります。安定法第二十九条の二の命令のとき、またはその後において云々というこの前提自体につきましても、私は不満なのでありますが、少くともこれに該当する規定は、団体法におきましても欠くべからざるものと信ずるのでございます。
 次に調整組合を現在やっておりまする立場から、これはお願いでございまするが、団体法案附則第二十九条に関してでございます。安定法第二十九条第一項、若くは第二項、または第二十九条の二の規定による命令については、当法は附則第三条にかかわらず憲法施行の日から一カ月間はその効力を有するということになっておるのでございまするが、政府御当局におきましても、万全の御準備あるとは存じまするが、時間的に、果してここ一カ月でうまく出来るかどうか。組合の立場といたしましても、法案化を期し得ないものがあるのであります。もっとこの間隔を広げまして、例えば安定法による命令を、その有効期間だけ有効として、その次にスムースに移向するというように、適当にお取りはからいを願えるよう、変更を願いたいと思うのでございます。こうしたことは、一面些細なようにみえる事柄ではございまするが、実は組合運営という立場からいたしまするならば、非常にこれはデリケートな問題なのでございます。
 以上をもって私の陳述を終ります。
○班長(小平議員) 次に藤田敬三君。
○藤田敬三君 藤田でございます。
 私は学究の一人としまして、政府案と、社会党案を原則として一括して、それに関する若干の意見を開陳してみたいと思います。
 私は従来日本の中小企業が、その窮況を脱するためには、結局は中小企業者の固い団結を作らなければならない。殊に中小業者が、政治性を獲得するのでなければ、その目的は達せられないというようなことを主張して来たものであります。それが一つであります。
 それから最近調べたところによりますと、内外の巨大な資本の圧力が比類ないものになって、中小企業の上にのしかかっておる。また中小業者相互間の過当競争も極端なものになっておる。そういうような事情もありまして、一面この法案が出来上りますまでには、同僚の学究たちが相当数参加いたしまして、いろいろの意見を述べております。というような事情もありまするので、このような法案が、団体法案にしろ、組織法案にしろ、今日このような形で実現することについては、至極当然なことであると、こう考えるものであります。しかしただこの法案の成立の過程を考えてみますると、若干の問題があるのではないかと、こういうように思われます。それは私が従来主張して参りましたような、中小企業の団結というものと、今度の法案との関係というものが、必ずしも理想的にはいっていない。このような重要な、各国にもあまり比類のみないような法律が出来る場合には、民主的な、下から盛り上る力が指導的なものとなって、法案が出来ることが望ましいのでありまして、主として上から与えられるとか、引きづられるとか、あるいは横から後押しせられるような形でこのような法律が急拠成立するというようなことは、これは理想的ではないというようなことがいえると思うのです。つまりこのような法律が出来ることによって、中小企業が救われる一つの条件が整いますけれども、しかし真に中小企業が助かるためには、中小企業自身の力が十分であり、一旦出来た法律をあくまで尊守して行くというような、大きな力が中小企業自身の中に出来ておると、そういう団結が出来ておるということ、ならびにそのような法律を中小企業が成し得る実力を自身備えておる、ある程度備えておるというようなことが最も重要なことではないかと、私共従来の研究の結果からみて考えておるのであります。若しそのようなことなしに、このような法律にもっぱら頼るということになりますと、よくいわれまするように、やはり官僚統制とか、あるいは中小業者の独占、あるいは独善でも結構であります。さらにはもっと悪い政治的な傾向がそこから出て来るというようなことも、あながち考えられないことではないというように憂慮されるのであります。のみならず我が国の現状を考えてみますと、御承知のように、四つの島の中、また既存の国際市場の中で、大小の企業がその小さな利益をうばい合いしておるというような状態であろうかと思うのであります。このようなことでは、このようなまた法律が出来ましても、その成果は比較的小さいのではないかと思うのであります。私共の考えでは、世界の広大なる市場で、まだ日本がそれを開拓していない、開拓し得るにもかかわらず開拓しないような市場がある。そういうような市場の開拓に対して、中小企業の方が持たれる熱意のほどからいたしますれば、どうもまだ中小企業者自身の皆さんの努力が必ずしも十分だとは思えない。こういう点を考えまして、中小企業の方が、市場の面、その他の面について、みずから努力せられるし、また経営の面につきましても、当局の従来努力せられた各施策に十分協力せられるのみならず、自分たちがまた研究して、新しい法案を社会党等においてお考えのような、いろんな法律もまた作って、そのような法律とのかね合いにおいて、この法律を出して行くというようなことについても、十分お考えを願わなければならぬのではないか、こういう具合に考えておるものであります。そういうようなことを考えてみますと、この団体法、組織法の個々の条項につきましては、多少論議の余地がありますと思いますが、この法案を今直ちに成立させるか、させないか等についての論議もはなはだ重要であるとは思いまするけれども、私は最も重要なるものは、議会の皆さんが大所高所から御覧下さって、通り一ぺんではなく、意味慎重に慎重審議せられるというようにひとつお考えになって頂き、またそのように努力して頂きたいと、こういう具合に願うということが一つの前提になります。
 それからもう一つは、中小企業の方々が、将来出来るであろう法律をいかすための力を養うて行こうというような決意を十分に持たれるというように、何とかその二点がこの法案の問題を取扱うに当っての最も重要な問題であり、また前提ではないかと、こういう具合に考えておるものであります。
 はなはだ簡単でありまするが、これをもって終ります。
○班長(小平議員) ありがとうございました。
 次に岡野正雄君お願いいたします。
○岡野正雄君 私は中小企業の立場ではございませんが、消費者を代表いたしまして、全労会議の立場から私の意見を申上げます。
 まことに只今藤田先生からもいわれましたように、世界の各国に比類のないような法律が、私共の立場からいいますと突如として出て参ったような感じを受けておりますが、このことは日本の中小企業が、今まで、少くとも終戦後十二年間非常に不幸であったということを意味しておるのではないか。かような法律が出来なければ、中小企業は救われないというところに、私は少くとも政府の施策のやり方なり、政治の貧困が、あるいはもっと言葉を変えていいますならば、大企業のみに奉仕する政治が行われておったけれども、中小企業に対する施策が本当に行われていなかったと、こういうことが私は端的に申し上げることが出来るのではないか。(拍手)大企業にはいろいろな問題で、政府のヒモがつき、あるいは政党のヒモがついておりますけれども、中小企業に対しては、端的にいいますとヒモがついていない。(拍手)従って終戦後十二年間、何ら顧られずに、私共からいわせれば突如としてこの法律が出て来たところに、私はこの法律の非常に深い意義をもっておると思うのであります。
 もう一つは衆議院でも、参議院でもいろいろ聴聞会あるいは公聴会、こういうふうな形式のものが、毎年各地で行われておりますが、結論から申し上げまして、私はこういう公聴会、聴聞会には、実はあまり来たくなかったのであります。
 何故私共が来たくないかと申し上げますと、政治問題として取扱われる場合には、いろいろ修正、あるいは最大公約数というものが出て参りますけれども、私は寡聞にして公聴会、聴聞会の形式で行われております各界代表の意見が、そのまま法律案の中に修正をされ、あるいは是正をされて、それが国会に提出されたということは、あまり聞かないのであります。何といいますか、お座なりな、何か民主的にやっておるのだという表現のみで、実際は民主的でない、ただ意見を聞いて帰って、場合によりますとそれが原案のまま押し切られるというのが、今日まで、十二年間、少くとも終戦後の国会の歩みであったように私は考えますが、こういう公聴会、聴聞会というものが、あまり意義はないんじゃないか、かようにも思えるのであります。はなはだ失礼ないい分であるかも判りませんけれども、私は端的に申し上げて、かように考えるのであります。若しも皆さんの間で、そういうふうにお考えを頂きますならば、各地で行われました国政調査会の名前におきますこの公聴会、あるいは聴聞会にいろいろ出ました意見が、修正をされて、しかも社会党の組織案、あるいは政府の団体法案等が少くとも最大公約数の形で出されますならば、少くとも民主的に聴聞会、公聴会でいろいろな意見が出て、それをつみ重ねて、いい法案に仕上げたということになるのでありますけれども、私の見解としては、恐らくそういうことにはならないのではないか。民主的に公聴会を開催したから、あるいは民主的に聴聞会を開催して各界の意見を聞いて、これが国会に出され、こういう形で原案が押し切られる恐れが多分にあるというふうに考えたいのであります。
 また先程も藤田先生がいわれましたが、社会党の組織法案といい、あるいは政府案の中小企業団体法案といい、昨日も課長にお聞きしたところによりますと、昨年の夏以来この原案にかかったようでございますが、少くとも日本の今中小企業がおかれております現状は、単に法律が出来たから錦の御旗で、これで中小企業が助かると私は考えないのであります。法律はどこまでも法律でありまして、中小企業を助ける途はそんなところにない。もっと大きな問題、藤田先生のいわれました市場を開拓するなり、海外のマーケットを開拓するという、大きな問題が残っております。そういう問題をなおざりにして、この法律が出来たからといって、私は中小企業が助かるとは考えられない。そこで、大きな問題は皆さんにお願いをするといたしましても、中小企業を助ける一助にはなるかも知れないが、これは決定版ではない、かように私は考えるのであります。従って法案の内部にもられております個々の問題につきましても、私は申し上げたくないのでありますが、折角公述人として呼ばれておりまするから、一、二だけ申し上げまして、そういうものが将来生かされるであろうかということを、私共はみて参りたいと思うのであります。
 強制加入の問題につきましては、先程賛否両論が出ておりますけれども、私はやはり社会党の案のように、審議会の、あるいは委員会の中で提起をされた問題を十分に検討をして、この問題を取り上げるという方が、私は憲法に抵触するとか、あるいはしないとかいうような法理論はさておきまして、やはり法律でいろいろの問題を拘束するということは、出来るだけ私は避けた方がいい、いわゆる団体生活をいたしますものがある程度の規制を受けますことは、もちろん覚悟しなければなりませんけれども、何でもかんでも法律で強制をして、右へならえをさすという思想は、私は政府も、民間人も、大いに是正をしなければならないのじゃないか。考えなければならないのじゃないか。それよりも、先程いわれましたように、下から盛り上る力が一切のものの動向を決定すると、そういう方向に政府も、指導者も考えて頂かないと、私はしまいには法律でしばられて、がんじがらめに、身動きの出来ないような、戦前の状態になる。その中に盛られております精神は、少くとも戦前の官僚統制の再現をある程度私は意味しておると思うのであります。そういうことから考えまして、出来るだけ法律でしばらない方がいい。本当に民主的に中小企業を助けることであれば、法律でしばらないで、そうしてそれを指導育成をして行く方向に持って行った方がいいじゃないか。若しそれが不可能なれば、少くとも社会党案のように、審議会、または委員会でいろいろ検討して、本当に民主的な方法でそれをいろいろ指導して行くということを考えた方が、私はいいんじゃないかと、かように考えるのであります。
 その他の問題につきましては、私は本来中小企業でございませんから、専門的でないのにあまり申し上げてどうかと思われますが、ともかく私はこの団体法案なり、あるいは組織法案なりが、官僚統制でない、丁度我々が終戦直後にアメリカから与えられましたあの労働法、こういうものと同じようなケースを踏む恐れが多分にあると思いますから、先程もいわれましたように、上からの法律でなくて、下から盛り上る力を十分加味して、この法律が出来ましょうとも、あるいは成立をしなくとも、ともかく下から盛上る力を十分に期待をし、且つまたそういうふうに皆さんに持って行って頂くことが、本当に中小企業を私は助けるゆえんである。それには前提として、やはり海外、海内市場のマーケットの拡大拡張というものを考えなければ、中小企業というものは大むね全部ではございませんけれども、大むね国内の市場の争奪戦をやっておるというのが現状であります。
 そういうことから考えまして、私はこの法律の成果についてあまり期待をしておりませんので、はなはだ失礼な申し分でございましたけれども、私の意見にかえさして頂きます。
○班長(小平議員) ありがとうございました。
 次に吉村義照君。
○吉村義照君 私は大阪の小売商団体連絡協議会の会長をいたしております吉村でございますが、自民、社会両党の諸先生方には、国会開会中にもかかわりませず、極めて政務御繁忙の中にもかかわりませず、遠路わざわざ御来阪頂きまして、全国二千万中小企業者の待望久しかった中小企業諸法案について、いろいろとお尋ねを受ける機会をお与え下さいましたことを衷心より感謝するものであります。
 私共は昭和二十年、終戦直後敗れたりとはいえども、一国の政治、経済の立直しは、何をおいても中小企業の強力なる立上りにありという見地から、他の諸団体に率先いたしまして、全国各地にわたりまして商店会を結成いたしまして、きびしかった経済統制法令の取締りを受ける一面、苛酷極まる税金に苦しめられながらも、再建日本のために大きな役割りを果して参ったものでございます。その間歴代内閣をはじめ、保守、革新両党の諸先生方におかれましては、中小企業の育成、振興につきましては、常に御同情ある御心配を頂いておったのでございますが、何分数多い業種におかれております関係上、その決め手というものがなく、不幸にも私共は政治のみなし児として、野放しにされて今日にいたっておる次第でございます。(拍手)さらに私共の歴史を振り返ってみますときに、徳川三百年の幕府政治の当時は、士農工商として国民の最下位におかれまして、われわれは武士の前には土下座をさせられ、明治、大正、昭和の中期におきましては、横暴なる軍部によって召し使いされ、終戦後は大企業や、大資本に圧迫をされる。日曜もなければ、祭日もなく、朝は早く、夜は遅くまで寸暇もなく、働いても働いてもなお生活に余裕のもてない私共の現状でございます。私共は決してぜい沢なことは申しません。同じ国民である限り、せめて人並みに法律の保護を受け、多少なりとも人間らしいうるおいのある生活を望んでおるものであります。待てば海路の日和ありという言葉のごとく、ようやく今国会に中小企業団体法案、あるいは中小企業組織法案等が提案されることに相成りましたが、これが法案をめぐる委員会の論争に私共は一喜一憂、一進一退の不安な一日を繰返しておるものであります。さらにまた本法案に対しまして、大企業その他の方面に反対の声を聞きますことは、私ははなはだ不可思議に思うと同時に、遺憾に存ずるものであります。こうして強硬に、しかも執擁なる反対を唱えておられるということは、この法律が成立いたしましたる場合は、従来のような中小企業を搾取することが出来なくなるための反対ではないかと、かように判断をせられるのであります。(拍手)
○班長(小平議員) 拍手は御遠慮下さい。
○吉村義照君 幸いそうした考えではないということでございましたならば、数多い国民階層の中で、何一つとして法律的な保護を受けず、継子扱いの苦境にあえいでおりますわれわれに、一片の御同情を賜り、むしろこれが法案通過のために、側面的に御援助があってこそ民主政治の真髄である共存共栄が出来、ひいて国家産業の興隆と、経済活動の健全なる発展が期しられるのではないかと考えるのでございます。また本日この開会に先立ちまして、団体法案につきましては、中小企業庁の川上長官より、組織法案、その他の二法案につきましては、社会党の水谷先生より極めて懇切丁寧なる御説明を拝聴いたしたのでございますが、私はこの二法案に対しまして、いずれに賛成するかについての結論を先に申し上げますが、私は政府案、すなわち中小企業団体法案に賛成をするものであります。(拍手)その理由といたしまして、中小企業、に商業者は、今日まで大企業政策の犠牲になり、且つ工業重点行政のために、税制、金融等あらゆる面で下積みにされて来たこと。
 一つ、現在中小企業の組織に直接関係のある法案が中小企業等協同組合法、および中小企業安定法の二つがあるが、この二法案が万全のものとはいえず、施行後すでに相当の年月を経た今日においても、なおかつ中小企業は相変らず苦境にあえいでいる実情である。
 一つ、特に商業者にとっては、現在に至るも何一つとして保護育成の法律も政策もなく、常に施策の枠外におかれて来たために、今回の団体法案には大いに期待をもっておる。
 一つ、団体法によって成立する商工組合について、商業の一部では価格協定を非常に恐れられておるようであるが、小売業者にはそういうことが出来るものではなく、小売業者の組織の強化と商工の振興であって、これによって消費生活の合理化に寄与するものである。
 一つ、組合交渉にしても、労使のごとき強硬なものではなく、きびしい制限がつけられており、やたらに交渉権の乱用を出来るものではない。
 一つ、加入命令等員外者規制にしても、これらは必要やむを得ざる規定であり、今日業界の安定がなし得られないのは、アウト・サイダーを抑える決め手がないため勝手な行動に引きづられるのであって、この規制を行わない限り、業界の安定法は望み得ない。(拍手)
 一つ、中小企業組織法案では、調整事業を行う組合は、業種を指定されており、この案ではわれわれ商業者は全然その適用を受けることが出来ない。
 一つ、特に商店会としては、団体法の施行によって、全面的に地域商業者を組合化し、地域の発展は地方業者のために一そう積極的に協力が出来るものと思う。
 以上でございますが、最後に社会党の諸先生方にお願いいたしたいのでございますが、団体法案は今一歩というところで行き詰っておりますので、何とかお話合いの上で調整をして頂きまして、是非とも今国会で通過いたしますよう、格段の御協力を重ねてお願いを申し上げる次第であります。(拍手)
○班長(小平議員) ありがとうございました。
 これにて午前の部は終り、午後の部は午後一時より行います。
 すでに御意見の発表を終られましたお方におかれては、御都合により、午後二時までに御出席下されば結構でございます。
 それでは午後一時まで休憩いたします。
   (午後零時三分休憩)
     ――――◇―――――
   (午後一時七分開議)
○班長(小平議員) 午前に引き続き会議を開きます。
 それでは滝川末一君の御意見を承わります。
○滝川末一君 私は、日本薬剤師協会の調査会長をいたしております滝川末一でございます。
 大資本に偏向されておりました今までの政治の結果、神武景気といわれておりまする今日においても、不渡り手形の大部分は中小企業者から出ておるという現状は、いかに政治が大資本に片寄っているかということを証明されておる。と同時に労働者の貧困問題に対しましても、御承知の通りに大企業と中小企業との賃金差というものは、相当、五〇%乃至七〇%の程度にとどまっておる、これが日本の現状であります。かりにイギリスの状態を調べましても、大体に大企業と中小企業との労働賃金が並行いたしております。こういうふうな結果は、日本の経済というものをきわめてアンバランスな状態に置いて、不健全を状態に今日あるということが、証明されておると思うんです。それは一に中小企業に対するところの対策が欠けておるという結果だと思うんであります。
 時間の都合上、前言を省略いたしまして、私は今度の法案に対しまする内容についての一、二を申し上げてみたいと存ずるのであります。政府案として出て参っております商工組合の条文の中を調べますると、特に調整事業に関して、調整権が発動する場合には、御承知の通りに不況の場合に起るということであります。不況の認定ということが、かりにメーカー、あるいは卸業者においても、ある程度までこれは言えるかも知れませんが、かりに大阪全市を対象とした小売業者に対して、どういうふうなものを不況であるかないかということで、判定が付くかどうか、従って、この法案の内容を見ますると、小売業者には、きわめて適用しにくい法案となっております。それが一つあるわけでございます。それから、なおこれは単に、いわゆる単なる目的が調整事業のみに集中されておるわけであります。しかしながら、今日の中小企業の、いわゆる何と申しますか、調整だけは、非常に困難性を帯びておりますものは、この調整だけを目的として行えるものではございません。従って、生産の近代化をやる。あるいは経営の合理化をやる。あるいは金融、税制等の問題等について、解決しつつ調整事業を並行していくことでなければならんと。そういたしますると、いわゆる自主的に中小企業者から盛り上ってくるところの組織というものが一つ必要であります。この自主的な範囲内において調整事業が強力に行われて行くということでなければ真に団結するところの意欲というものが欠けるわけであります。もう調整事業だけやってもらえば、それでいいんだというふうなことでは、私は強力なる団結というものはあり得ない。こういう意味から申しまして、私は社会党の事業調整組合というものが、自主的にその事業を展開しつつ、その中で調整に熱意を持って行く、こういうふうな格好の方がいいんではないかと思うんであります。
 そこでもう一つは、御承知の通りに今日の中小企業者の非常に困窮いたしておりまする原因というものは、一つは外的に申しますれば、御承知の通りに大資本の圧迫であります。内的に申しますれば、先ほど申しましたように、内部の合理化のいわゆる時代遅れであります。こういうふうなことが、今日の不況の原因でございますけれども、今度の法案を通じて見まして、大体に第一の、いわゆるこの大資本に対抗することが何にも載っておらない、政府案にいたしましても、これはたとえて申しますれば、この団体交渉の問題、あるいは、その他の問題につきましても、横の、いわゆる交渉権というものは、ここに備わっておるのでございますけれども、縦の交渉権というものはありません。おそらくこれは、私の誤解かも知れませんけれども、法文の上から見ますると、いわゆる上の方の問屋であるとか、メーカーに対しまするところの交渉権というものが抜けておるように思うのであります。これは私が誤解しておるならば御指示を願いたいと思います。かりにそうであるとするならば、今日公正なる取引をやる場合に、あるいは調整をやる場合にメーカーであるとか、問屋であるとかというものが、小売者の協力なくしてはできません。絶対に不可能であります。そういう点で団体交渉に関する点が相当欠けておるのではないかと思うんであります。
 それからもう一つ、ここに欠陥がありますのは中小企業といえども業態において、あるいは業種において、非常な違いがあるんであります。で、今日この政府案によりますと、十ぱ一からげに中小企業者としての、いわゆる法案になったわけであります。この法案で参りますと、社会党の言っておりまするごとく、零細企業というものに対するところの、いわゆる小売者だとか、あるいは職人を二、三人使っておる工場というものに対して、何らかの考慮を払っておらない。これは同じ金融を受けるにいたしましても金融のワク内において、いわゆる比較的大企業と零細企業との割当というものを考えますると、どうしてもそのワクが多くない、比較的大企業に参るわけであります。ほとんど零細企業に対して考慮されておらない。これは私が社会党に言っておりまするところのいわゆる勤労事業協同組合というものがぜひ必要である。このアイデアは私は確かに政党政派を超越して、一つ御考慮を願いたい。そうでなければ先ほど言ったように、今日中小企業者といえども数の上からいえども小売者というものは非常に多いのであります。この多い小売者に対して、何らの恩典に浴しないというふうな法案になってしまうのではないかと思うのであります。
 それから次に業種指定の問題でございますが、全面的にすべての中小企業者にこれを適用するというお話がありましたけれども、私はこれはどうもはなはだ解せないと思うんです。国家的観点から見まして、やはり重要なる産業、重要なる業種、こういうものにまず今日重点を置かなければならんと思うんであります。たとえば公共的な営業もございます。あるいは国の産業に重大なる寄与をなすところの産業もあります。また、片方ではそうでないようにパチンコ屋であるとか、料理屋であるというものも、やはり中小企業者の一人であります。そういうものを十ぱ一からげにいたしまして、ただ不況であるからといって、それにいろいろな強権を与えて行くということは、まあそういうことはあり得ないと思いますけれども、法文の解釈からいけば、そういうふうなものも解釈できるわけであります。従ってどういたしましても国家的観点から見まして、まず公共的なもの、あるいは国の産業に最も寄与するもの、あるいは特に国民生活に影響を与えるもの、たとえば環境衛生であるとか、あるいは貿易産業であるとかというふうなものを、こういうものをまず重点的に最初に考えて、それから漸次その社会情勢とにらみ合せつつ、私はこの業種を拡大して行くということでなければならんと思うのであります。この点から申しますると、いわゆる全業種にこれを適用するということに対しまして、なるほど全業種に適用されればけっこうでございますけれども、そうなれば完全な国家統制に入るわけでございます。そういうことは、今日の憲法の上からも、日本の自由経済の上からも、これは許せないことでございますから、そういう法文の不備について、やはりある程度まで指定ということが必要ではないか、これを大臣が指定するか、あるいは国会において法律によって定めるか、この問題は別問題といたしまして、一応目標を立てつつ、これを進めて行くことが必要であると思うのであります。
 それから次に先ほど申しましたが、この団体法だけで私は今日の中小企業者が救えるとは思いません。また政府当局においてもそういうことは考えておられないと思います。しかしこの団体法を実現いたしましても、最初に内閣の審議会においていろいろ考慮されました点が、ほとんど骨抜きになっております。一体なぜこういう経過をたどってきたかと申しますれば、いろんな外部の圧迫によって、これが修正されてきたものと思います。中小企業者の意見というものよりか、むしろ外部の圧迫によるところの影響が非常に大きかったんではないかと思います。そうして、こういうふうな意味で骨抜き案というものがここに出てきておりまして、これによってわれわれが操作をしていかなければならんということは、過去における協同組合を私たちは何回も作って参りました、けれどもそれだけではなかなかうまく行かない。何とか抜本的な方法がないだろうかというときに、今度の機会が来たのでございますが、この機会にまたしても過去の失敗を繰り返して行くということになるのではないかと思うのであります。どういたしましてもこれに伴って関連的な法案というものが出て参りまして、法律というものが作られまして、そして中小企業者全体が全面的な育成発展したものを考えていかなければならないんではないか。単なるこれだけをもって、いわゆる一応収めるということになりますると、どうもわれわれは中途半端なものを握らされて後に非常な迷惑をこうむるということになってくるのであります。その点から申しますれば社会党の提案されておりますところの、いわゆる産業分野に関するところの法律、及び商業調整法というものが、あるいはその他の関連する法律というものが、ぜひとも同時的にこれが成立することを私たちは希望しなければならんと思うのであります。ことに先ほど申しましたように、今日中小企業者は、大企業の圧迫によって困っておる。この急迫状態というものが非常に最近において著るしく現われておることは御承知の通りであります。と申しますのは今日の大資本が資本蓄積によりまして、その蓄積された資本が日本の貿易、産業、いわゆる輸出にぐんぐんと拡大して参りますれば、あるいは大資本の企業というものの傾向が輸出に重点的に向くであろうけれども、どうも最近の資本蓄積の、あるいは金融上の、そういうふうな有利な点が国内市場において進出して参っております。たとえば、これはすべての企業がそうでございますが、繊維工業一つ見ましても、名前をあげることは、はなはだ差し控えますけれども、たとえばナイロンの製造工場が、中小企業が当然やっておる。またやらなければならないというふうなYシャツを作ったり、あるいは靴下を作ったり、最近においては月経帯まで作っておる。そしてほとんど中小企業の末端加工まで大企業が手を染めて、ぐんぐん進出しておる。これはひとり繊維工業だけではありません。私のいわゆる薬品工業においても、三井であるとか、三菱であるとか、住友であるとか、いわゆるマテリアル、原料工業を主としておる工場が、最末端のいわゆる家庭薬、売薬まで造っておるという点にまで進出して参っておるわけであります。こういうことでは、いわゆる独占資本の上において、かつて戦前に行われたような資本主義が最高の段階の高度に参りまして、独占資本の全産業支配ということになって参るわけでございまして、非常に日本の経済の上から困難な状態が、混乱する状態が起ってくるのではないか。この点をここでどうしても、産業の分野を明確にしていかなければならないということが重要と思うのであります。これを欠けては今日の中小企業者を救うことはできないであろうと思うのであります。なお商業調整の問題についてもそうであります。大阪の市場を一ぺんお歩きになったらよくおわかりになります。時間がございましたら大阪の久宝寺町から丼池、あるいは、平野町等のいわゆる卸問屋をごらんになったらわかります。これは卸の看板を掲げておりますけれども、しかし小売の営業もやっておるのであります。少しまとまった会社は全部そこへ行って、そして、まとめて卸価格で買っておる。で、こういうふうな乱脈な流通機構の上において、ただこういう団体法ができたからといって、決して、私は今日の、いわゆる流通機構が正常な状態に入ったとは思いません。どういたしましてもこの流通機構を一応正常な道に立ち帰らせて、そしておのおのの分野に、おのおのが立て直しをやって行くということを指導、啓発していかなければ本当の中小企業者の立場を救うことはできないのではないか、こういうふうに思っておるわけでございます。
 なお最後に中小企業団体法、あるいはその他の法案が出て参りまするこれらに対して、外部の強力なる圧迫があるということを聞いておるのであります。ことにあとから御説明があるであろうと思いますが、経済団体連合会の人々は、こういうものがあってはならない。ことにいわゆる大資本に対する団体交渉権というものはけしからんと、この一点だけでも、われわれは反対しなければならないという強い意思表示が行われておるのであります。私は日本経済の順調なる、正常な発達なくしてすべて、いわゆる産業は成り立たない。今日のような貧困な産業の上において、大企業といえどもやがては、そのしわよせが大企業に私はくるのだと思う。私はそういう意味からいって、もう少し中小企業の育成ということに同情、援助を与えなければならないんではないか。しかるに、これを根本的に反対しておる反対の理由は団体交渉権であり、しかも下請工場が、今非常に混乱して、困っており、いわゆる何と申しますか、自分たちの競争状態、いわゆる過当競争の上に立って混乱しておることに乗じて、低賃金によってこれを下請さす、そしてその利潤によって、いわゆる総合的な大企業がもうけて行く、あるいは、これによって貿易の進出をやる、こういうふうな不健全な状態に日本の産業を置くということは、国家的に見て非常に私は危険があると思う。こういう意味から考えますと、私はこの中小企業に対しまするところの法案、あるいは、今後起りますところのいろんな法律制定につきまして、これらの反対意見というものを、もう少し再検討いたしていただきまして、そして十分なる同情と理解の上に、育成することを願いたいのであります。以上をもちまして私の陳述を終ります。
○班長(小平議員) 次に西村清馬君にお願いいたします。
○西村清馬君 私は、労働者の立場から、消費者の立場から意見を申し上げると同時に、私自身が現在大阪社会タイムスの共同印刷所の責任者として、最も困難な新聞の発行と印刷業をやっておる、こういう立場から意見を述べたいと思います。
 滝川先生の意見を、私、全面的に同調するものでありますが、特にその触れてない面について若干の意見の開陳をしたいと思うのです。真実に政府は、中小企業の建て直しのために、そして、中小企業と育成強化するために本法案を出しておられるかどうか、という点について、私は多くの疑点を抱かざるを得ないわけであります。もし本当に当局が、中小企業のために考えておられるならば、本法と同時に中小企業の振興助成法というものを同時に出すべきではないかと思うんです。そういう予算の裏付けのないような法律をいくら作ってみたところで、これで中小企業振興はなし得るものではない、安定は期せられない、労働組合を組織したからといって、労働者の生活が安定しないのと同じでございます。特にこの過当競争が起って、不況に対するところの対策として本法が考えられておりまするが、一体過当競争というものは、どういうところに原因があるかということをもう少し掘り下げて見たならば、本法のねらいとするところが中小企業の振興に真にあるのではなくして、零細企業をぶっつぶして、あとにまあ中以上の業種を残して、それだけを救済の対象にして、それだけを振興の対象としていく、こういうことが本法のねらいではないかというふうに考えられる。それは昨日川島振興課長の説明の中に語るに落ちているわけでありまして、現在のままでいくら助成策を講じてみたところで、それは何ら役に立たないということを申しております。というのはあまりにも業者が多い、ここに今日の過当競争の原因があり、不況の原因があるんです。それなら本法を発動するときに、単に過当競争が起り、不況の現象が起った場合にのみ適用するんだ、調整するんだと、事業調整をやるということをいっておられますけれども、現在のように神武以来の好情況という中においてさえ、中小企業が不況にあえいでおる、そうするならばいつの時代においても本法は生きてくるわけでありまして、これを時限的に発動するというようなことは、まったくできないわけです。そういう点からするなら、このいろんな註釈を付けておりますが、そういうふうなことは何ら意味をなさないんです。そしてまた不況のおそれがある場合には、やはりできることになっておりまするから、これも無意味であるわけであります。
 今日の中小企業の困難な原因は、すでにるるお述べになられた通り、過去におけるところの、これまで、それはずっと明治以来の日本の資本主義の発達の歴史をみればわかるように、政府が常に大資本擁護の政策を打ち出してきている。現在においても税制特別措置法によって、この具体的な恩恵を受けるのは、すなわち大資本だけであります。いろんな積立金の控除制度があっても、こんなものは赤字にあえいでおるところの小中企業に実質的に適用されないのです。しかもこういうふうにして、免税の対象となったところの金は自由に会社が使用し得るわけでありますから、その利点というものも二重、三重になっておるのであります。こういう点を是正されない限り、中小企業の振興なんていうものは、画いた餅にすぎないんです。ですからまた中小企業者の本当に望んでおるところのものは、そういう大企業の、擁護政策をやめることです。むしろそうすれば、中小企業は立派に、この競争して行けるところの平等の立場に立ち得るわけです。あえて、このわずかばかりの金をまいて、中小企業の振興ということを銘打つ必要は何らないと思うんです。
 私は三年間、この印刷と新聞発行という、そういうことをやってきた、その中から実際においてわれわれが求めておるものは、決してそういうものではなくって、まず金融の問題です。そして私どもはやはり大企業と同じようにできるだけいい設備を持ちたい、いい機械を持ちたい、そして原料をできるだけ安く入手したい。こういうことなんです。こういうことが最も私どもの望んでおることであります。そしてまた税金に対するところの中小企業が過重なる税金に苦しんでおる。こういう点に対するところの是正がされるならば、むしろ中小企業としては望ましいんではないかというふうに考えられます。
 しかし、いかにそういうことをやってみてもそれによって中小企業が立ち直るというふうには考えられません。なぜならば、今日の不況の原因というものが、不当競争とか、こんなことを言っておりますが、結局において購買力の不足ということにもなるわけであります。換言すれば労働者の取分、資本家の取分のバランスが欠けておる。こういうところに非常に大きな原因があるんではなかろうかと考えております。そうするなれば、いかにこういう制度をしてみたところで、中小企業者の業種をできるだけ少い数にして、そしてそれだけを強化、育成して、残ったものだけが育成される、こういうような形が出て来ない限りにおいては、実際中小企業の立ち直りというものは、実際においては期することができないというふうに考えられます。ですから現在、生産、たとえば、生産価格のまず倍ぐらいに販売価格をするとしましょう。そうするとこの内の半分は資本家に、いわゆる大企業に、いや金融資本に吸い上げられます。それは金利だとか、あるいは保険料だとか、いろんな形において吸い上げられてしまうわけです。そして残ったところのわずかなものを沢山の何千万というところの中小企業が食い合いをしている。こういうような状態の中において中小企業の立ち直りということは考えられません。
 われわれ労働者が非常に低賃金、低賃金といっておるのは、それは物価に対する賃金が低いということを言っておるんです。労働者は自分の生活を守るためにはどうしても品物を安く入手したいというところの希望を持っております。いわゆる消費生活の合理化という、そのために、労働者は福祉対策協議会だとか、あるいはまた、生協を作って、そして自分たちの生活を守るために現在努力しております。いわゆる生産価格と販売価格の現在の開きが大きすぎるということが、一番の問題ではないか、これをできるだけちぢめて行く。こういうような態勢がとられない限りにおいては、労働者の生活というものも安定できないし、そして究極においては、中小企業の安定は得られないと思うのであります。世界にも類のないところのこういう法案が、日本において先頭を切って作られておりまするが、私どもにいわせるならば、むしろ現在の日本におけるところの段階では、むしろこの低賃金に苦しんでおるところの労働者のために最低賃金法を作るとか、家内労働法を作るとかいうことが先決ではないかというふうに考えております。私が印刷の責任者をやってる関係から、そういう立場から申しまするならば、一番、このダンピングをやる、そういうことはどういう点から起っておるかというと、いわゆるまだ印刷界においては田舎から若い小僧さんを引っぱってきまして、そして夜中まで低賃金でこき使って超勤手当もやらない、こういうような状況が、まだ、大阪の印刷界に残っている。そういうような業者がどんどんダンピングをやるわけです。だからむしろ、そういうものを規制していただく方が、むしろ急務であります。労働基準法があっても何ら守られておりません。ですから、そういうものをなくしていけば、こういう不当競争というものはありません、むしろわれわれは、そういう点にこそ過当競争があるのじゃないかというふうに考えられるんです。ですから、何といってもいくらこの過当競争を抑制しようといたしましても、現在のように非常に業者が乱立されておる。そして、残ったところのわずかな利益の食い合いをしておる、というような現状の中においては、この不況は打開できるわけはございません。ですから国の経済体制というものを根本的に建て直し、そして完全雇用を実施して、あるいは社会保障制度を確立する、こういうような総合的な対策の中においてこそ、初めて中小企業の振興というものは期し得られるのでありまして、そういう一番大事なことが欠けておる、こういうことでは中小企業の立ち直りということはあり得ないわけです。こういう点をいますこし中小企業の方は、もう少し研究していただきたいと、私は思うわけです。いくらこの法律ができても、法律によって振興が期し得られないということは、われわれがすでに労働組合を持って、労働組合法があるからといって労働者の生活は安定できないのと全く同様であります。しかもこのような監視的な、官僚統制のきついところの法案ができますると、それはまったく中小企業者が期待しているような成果ではなくて、全く逆の面が現われてくるということを私は、はっきり断言してはばからないんです。そして過去におけるところの法律が、すべて失敗しておるという点は、その本質的なものをその原因というものに対するところの規制をする何らの措置がされてない。ただ現象的、末梢的に起ってる問題だけを規制して行く。こういうことだけではとうてい真にその目的を達成することはできないのではないか。ただこの法律ができて困るのは、この生協だとか福対協(福祉対策協議会)でやっておるような、労働者に安く物品を販売しておるような、こういうような組織が一番困ってくるのじゃないかというふうに考えられます。ですから、私どもはこの法律が物価引上げの、あるいは生協の撲滅法案であり、そしてまた零細企業を撲滅するところの法案であるというふうにしか考えられないのです。もしそういうことにならなければ幸いだと思いまするが、この法案の内容というものを実質的に検討した場合におきましては、そうならざるを得ないところの要素を、たくさん持っているということを申し上げたいのでございます。
 以上で私の陳弁を終ります。
○班長(小平議員) 次に、小西聖夫君お願いいたします。
○小西聖夫君 私は、大阪中小企業同志会を担当いたしておりまして、今回の団体法案の提出につきましては、会員の皆様からの声の一端を本日申し上げたいと思うのであります。
 政府の提案によりまする中小企業団体法案につきましては、全面的に賛成するものであります。(拍手)
 中小企業組織法案につきましては、まだ十分に検討をいたしておりませんので、ここで意見を申し上げることが少しできないことを遺憾とするのであります。
 中小企業団体法についての論議は、近来にない活発なものがありまして、中小企業界、あるいは経団連、総評、消費者団体、公正取引委員会等それぞれ理由を具して替否の意見が出尽した感があります。しかし、これらの意見が、あまりに自己の立場にのみ片寄って、他を顧みない一方的偏見といえないでしょうか、それはいつまでも水掛論で、結果は力による対決に終り、問題は将来にまで尾を引くことになります。従って、この問題を考えるに当って、少くとも中小企業の現状を正しく把握して、国家的見地という大所高所からしなければならんと思います。
 戦後十有二年の政治活動によって、労働問題、農業問題の基本的なものは、あるものは解決され、他は解決の方途の方向に目安がついておりますが、中小企業問題につきましては、放置に近い状態に置かれておりますることは、大衆のよく認めておるところであります。(「そうだ」と呼ぶ者あり)現行協同組合法及び安定法は、戦後におきまする経済混乱時の応急施策でありますから、両法案のみによっては、中小企業の恒久的振興を望むことができないのであります。今回の団体法をもってしても十分ではありませんが、より強力な法案によって組織力を強大にしなければ、中小企業の抜本的振興は不可能と言えると思います。組織の強化から生れるもろもろの対策が、いかに有効に作用するかは農民、勤労者の場合よく証明されており、中小企業においても、数年前倒産が相次いだ時代に、協同組合による商工中金融資によって危機を免れたことは周知の通りであります。わが国経済構造の中で占めておる中小企業の立場は、今さら申し上げるまでもないのでありまするが、事業所の数においては三百三十万中の九九%、生産量におきましては五六・一%であります。また労働人口の雇用量におきまして千七百六十万人中八三・九%でありまして、中小企業こそ日本産業の中核をなすものであることは今さら申し上げるまでもないのであります。(拍手)従って中小企業の安定なくしては、わが国経済の自立ははかり得ず、経済自立なくして独立の完成はあり得ないと断言できるのであります。ところで、中小企業は現在の自由経済資本主義の下では必然的に過当競争に陥る宿命をはらみ、弱肉強食の餌にされておるのであります。この二つの現象に加えまして、政治の貧困等が必ずのように組織力の弱い中小企業にしわ寄せされて、その存立を常に脅かしているのであります。
 今、団体法批判の中心になっておりまするものに強制加入、アウト・サイダー規制、組合交渉、物価つり上げ、輸出振興の阻害、官僚統制を招く等々でありますが、その運営の方法はすべて業者自身の発意に基くもので、政府が国家的見地から一方的に業者や組合に強制するようなことはあり得ないということは、先ほど企業庁長官の説明の中にも言われておるのであります。
 物価のつり上げを招くという懸念につきましては、小売部門の調整事業の主力は、仕入れとか、販売の方法、あるいはその条件を改善していくことが中心となって、売り値を一律にきめるということはほとんど行われ得ないのであります。小売はタバコや塩のような専売品と違いまして、値段とサービスによって立って行くもので、現在は物は豊富であるから、いかにして売り広げるかが重要でありまして、戦時とは根本的に違うのでありますから、物価のつり上げということは憂慮に過ぎないと思うのであります。
 次に、アウト・サイダー規制で事足りるから強制加入に反対という向きがありますが、員外者をまず組合に入れることが組合運営を民主的にするものでありまして、またそのことがアウト・サイダーを救う道であります。現在府下で中小企業安定法による調整組合結成の業界は、タオル、綿織物、ミシン、アンプル、印刷、合板等十九を数えるのでありまするが、組合が設備ないし生産の調整をしようとしたとき、員外者がありますれば、十分に目的が達せられないのであります。ことにタオル業界では、ひとりのアウト・サイダーによって調整効果が完全に崩される実情にあります。そういたしますれば、員外者はいかなる利益を得るかということを、ここに例をあげて申してみますると、いわゆるアウト・サイダーは組合への負担がいらない、漁夫の利を占めることができるといったようなことでありまするが、それと反対に不利な面を申し上げますると、業界の動向が全くわからない。資金借り入れに非常に不便でありまして、いわゆる金融機関に対する信用などが、はなはだゼロであります。また所属官庁からの認められることがない、貿易のワクの割当等がないのでありまして、結局不利な点は多いことは証明されると思うのであります。調整を行なうとき、特産品のようなその地区のみの規制で事足るものはよいのでありまするが、その他につきましては、全国的に取り締る方法を考慮せねば無意味であります。これは今日までに実例があるわけでありますので、この点は、特に御考慮をお願い申し上げたいということをお願いする次第でございます。
 なお、二十四日の東京におきまする公聴会で経団連の五島氏は、中小企業団体法の成立をみるようなことがあれば、大企業にやらせていた仕事をやめて、みずから一貫生産に入るというような動きに進むことが考えられると発表されておるようであります。これは明らかに中小企業に対する恫喝であり、強迫であるということが言えるのであります。(拍手)はからずも現われた大企業独善の自白であるということを言い得られると思うのであります。「中小企業にやらせた仕事」という表現の中には力づくで事を運ぶとする意図が多分にうかがわれることは、まことに残念であります。私は大企業と中小企業とは、本来ともに協調すべきであって、そのことが国家安定への基礎であるということを信じておる一人でございます。私は重ねて申し上げるのでありまするが、本法案の検討に当りましては、一個の利害に片寄らず、国家的見地によってやっていただきたいと思うのであります。
 最後にお願い申し上げますことは、国家経済の基礎を一日も早く安定さす意味において、自民党、社会党の二大政党が御協力の上、今次の国会において、ぜひとも同法案の成立をみるべく最善の御努力を傾けられますように、切にお願い申し上げて、私の意見発表を終らせていただきます。
○班長(小平議員) 次に工藤友恵君お願いいたします。
○工藤友恵君 先生に最初に申し上げますが、実は議長からの報告にもありましたが、名前は、私のほうの所属しておりますのは、関西経済連合会でございまして、経済団体連合というのは名前の上で間違っておりますからひとつ……。
 私どもは、自由主義、民主主義を確信して、従って自由経済を最も勝れた体制と信じております。しかし自由主義経済は消費者優位の経済でございまして、ソ連圏に行われているような生産者主権の経済とは全く反対の立場にあるのであります。またわが国経済が本質的に貿易依存、もっとはっきり申しますれば、輸出依存の経済であることは御異存ないと存じます。
 しからばこの中小企業団体法案は、消費者優位の経済体制に逆向しまして、日本経済の生命線たる輸出を阻害する結果を招くおそれがきわめて深刻なものがあると信ずるのであります。
 この二つの見地からしまして、中小企業団体法案に反対せざるを得ないのでありますが、少し詳しく申し上げたいと思います。
 本法案は自由経済を破壊するおそれがあるということを申し上げました。中小企業の安定育成が政治的にも経済的にもまた社会的にも急務であることは誰しも異存がないと存じますが、国民経済の繁栄なくして、中小企業のみの安定を育成することはあり得ないことは言うまでもございません。私は国民経済の発展には自由経済体制が最も勝れていると確信するものであります。従ってわが国の中小企業対策はあくまで自由経済の基盤の上に確立されねばならんし、いやしくも自由経済を破壊するおそれのあるような方法によってはならないと確信いたします。
 しかるに本法案は、第九条に定める安易な条件で、第十七条第一項により、商工組合の調整事業を認め、第五十五条、第五十六条に定める行政官庁による強制加入命令、事業活動規制命令等によりまして組合の育成をはかっております。さらに第十七条第四項によりますと、組合交渉を組合員に認めまして、第二十九条は、交渉の相手方に交渉に応ずるよう誠意をもって措置することを要求しております。そして組合の調整事業、組合協約に基く行為を第八十九条により独禁法の適用除外としております。明らかに経済統制を導入いたしまして、自由経済による繁栄を阻害し、消費者一般の利益を侵害する法規と考えます。
 さらに第四十二条の組合設立の認可をはじめ、第六十九条の解散命令、第十八条の調整規定の認可、第二十八条の組合協約の認可、第三十条の組合協定の締結に関する勧告、第五十五条の強制加入命令、第五十六条の事業活動の規制に関する命令等、行政官庁に広範な権限を与えて、その干渉、監督は中小企業業種全般に及んでおります。しかのみならず、また法案は至るところで政令に委任する官庁統制の常套手段を用いております。また経済法規用語としては不適当だと思われますような表現が沢山ございますように存じます。これは行政管理庁による統制規定運用の幅が広くなる結果だと存じます。かようにしまして、中小企業のみならず関連産業全般に官庁統制が及ぶことが必至のように考えます。
 次に本法案は国民経済の健全な発展を阻害するように存じます。前述のような組合員による調整規制は、品質優秀ならざる、価格低廉ならざるもの、あるいはサービスを提供する劣性企業を中心に、保護策が講ぜられるならば、当然でございまして、中小企業の合理化は行われず、価格の高騰、品質、サービスの低下は免がれないと私はおそれるものであります。また、組合員による事業活動の抑制等、組合交渉は大企業と提携関係にある優良中小企業の技術進歩や経営強化を妨げる結果になるとおそれます。組合交渉はいたずらに大企業との対立関係を激化させまして、経営の独立、円滑さを阻害するものと存じます。国内消費者景気を阻害するのはもちろん、輸出産業におきましては、その国際競争力を減殺しまして、わが国の至上命令である輸出を阻害することになると存じます。
 その次に、本法案によっては真に中小企業の安定と育成をはかり得ないと存じます。本法案による調整事業の実施、非組合員の犠牲による悪平等の結果、優良中小企業は頭をふさがれ、零細企業もいよいよ窮地に陥ると、私はおそれるのであります。新規開業の道はふさがれることと存じます。組合交渉は相手方の対抗カルテルを招来する危険があります。組合員を不当に抱束する結果も心配されます。本法案により一時的安定の姿を借りたにすぎない中小企業が、長期的には生産の縮小、合理化の懈怠、市場の狭隘化を来たしまして、中小企業の自身の真の安定を、かえって反対の結果を来たすのではないかを、おそれるのであります。
 次に本法案は、現行中小企業安定法の強化法にすぎない。組合調整事業並びに調整事業に関する公権の発動は、厳重な要件のもとに置かれており、かつ行政官庁は運営に慎重を期するから弊害がないという御説明でございます。しかし本法をしさいに検討するほど、前に申しましたような弊害が明らかに観察されるのであります。個々の条文について検討するのは少し時間がないようですが、少しだけ述べてみたいと思います。
 安定法の第二条は、適用を工業部門に限りまして、かつ業種指定を行なっております。しかるに、本法案がかかる制限はなく、商業サービス部門をはじめ中小企業業種全般に適用され、その国民経済に及ぼす影響は到底安定法の比ではございません。それからまた第十二条の組合設立の認可、第十五条の加入命令、第五十七条の事業活動の範囲の組合構成要件等は、構成事業主からいけば、一見厳格のようでございますが、肝心の取扱い量、サービス提供の数量の基準が明示されておりません。こういうことから起る弊害は沢山あると思います。組合交渉及び組合協約の規定は元来そうなるべき経済取引に労働法規的な考え方を持ち込んだものであって、経済法規に取入れるべき性質のものでないと思います。加入命令が憲法第八十一条の集会結社の自由とか、第二十二条の営業の自由に違反するおそれがあるのみならず、もし行政官庁と結託する一部ボス支配の好餌になったら、これは大変だと思うのであります。第九十三条の行政職員の立入り検査は、非民主的な官僚統制の一例でありまして、営業の秘密を侵されることは、これは不当ではないかと存じます。
 行政官庁は、第十八条の調整規定及び二十八条の組合協約の認可あるいは、その他の第五十五条の加入命令とか、あるいは事業活動の規制命令等に関しては認可基準、あるいは発動要件を重んじ、かつ監督厳重にするから弊害がないとの御意見でございますが、行政官庁が常に善をなすものであるということは、われわれは信じられないというのが、戦時戦後の統制経済がこれを実証しております。行政官庁を信頼せよというのは、実は社会主義国家、民主主義国家の本質に反するのではないかとさえ思うのであります。
 本法案は中小企業の定義あるいは、組合交渉の一部相手方、商工組合連合会の会員に対する議決権及び選挙権を与えるとか加入命令、事業活動規制命令の発動とか、いわゆる組合員の事務処理の一部運営、中央官庁の地方支分部局、また都道府県知事への権限の委任等をいずれも政令に譲っております。さらに、たとえば経済に支障を来すというおそれがあるということ等、非常にいろいろな場合を、おおむね政令、その他行政官庁に委ねております。言葉が多いのであります。これは本法の運用面で官庁統制を大いに導く危険があると存じます。
 そのほか調整規定の変更命令とか、認可の取消し、あるいは加入命令、事業活動規制命令等の変更取消しは、安定法の経験によれば発動の事実が割合に乏しくて、調整事業は既得権と化する傾向がございます。事実上の空文というおそれがあるのであります。第二十条に、主務大臣の認可の審査期間を二カ月としておりますが、期間満了までに通知がなければそのままとなる。これは今日の行政官庁の能率からいいまして到底容易なことではないと思いますし、もしこれによって行政機構を改造するならば、行政機構の簡素化の声に、まことに時勢に逆向するのではないかと思います。それから中小企業安定審議会とか、中小企業調整審議会とが設けられることになっておりますが、いずれも単なる諮問機関でありまして、何ら拘束を持っておりません。従ってこれによって審議に慎重を期するといいましても、形式にすぎるということを私はおそれるのであります。(「統制じゃないか」と呼ぶ者あり)それから事業活動を規制しても従業員に不利益という、いろいろな要請もございます。しかしまた、これは労働組合との関係もございまして、この法規をもってどうにもなることではないと思います。
 それからそのほかに公正取引委員会の同意事項を制限して、調整規程、及び組合協約認可の条件としまして、価格以外の調整規定の認可、加入命令の発動、事業活動規制命令等はいずれも協議事項にすぎません。これは安定法から大幅に後退するものでありまして、準司法機関たる公正取引委員会の権限を弱めて、これもまた統制統済に堕する危険があると思うのであります。
 まあ中小企業安定政策の方向を、私はこれは誤まりだと思いまして、現に私どもが提案しまして、そして政府並びに今国会で御審議いただいております中小企業再評価法のごとき、速やかにかつ無税でやるようなこと、あるいはアメリカでやっているようなBDC的な金融機構を設けること、こういうことによって先程藤田教授の言われたような、中小企業を強くするということが先決問題だと思うのであります。
 また社会党の御提案は、本日実は詳しいことは水谷さんからはじめて承わって、なかなか政府案よりはいいと思いますが、その三位一体であるということは、その法律に統制をおそれるのであります。ですから、本日それ以上の意見は申し上げません。
○班長(小平議員) ありがとうございました。次に石橋助司君にお願いいたします。
○石橋助司君 私は協同組合中央会の副会長をやっておる一面、自転車協同組合の理事長もいたしております。さきほど小西聖夫さんから、私が述べようとする大体はお述べに相なりましたので、一歩を避けまして、私の業界に起っておりまする具体的な問題を申し上げまして、私の責を塞ぎたいと思うのでございます。
 海外から視察の方々がお帰えりになりますと、異口同音に価格の問題、あるいは品物の問題よりは、まず取引の改善が先決だということを切実におっしゃるのでございますが、今日まで、この問題は一向に片付かなくて、輸出が伸び悩んでおる一点であろうとも思うのであります。それで私の業界では、昨年五月、輸出振興会社というものをこしらえまして、メーカーから買入れ、またそこの窓口を通しまして、輸出業者に捌くように機構をこしらえたのでございますが、アウト・サイダーの一人のためにその機能が妨げられておる事実があるのでございます。これは今日問題になっております強制加入の点に相なるのでございますが、加入命令なくしてはとうていこの問題は解決が出来ないと思うのでございますが、これによって生じます問題を後から申し述べたいと存じますが、国際価格に十二分に引合うものであっても、相当出血輸出をしておるような現状でございます。これは自転車でなくとも、ミシンその他いろいろの商品にもあることは、すでに御承知の通りでございます。
 それで私どもの業界で、一応振興会社から買入れて、輸出業者に売渡す場合に、アウト・サイダーがあるために、輸出業者とアウト・サイダーが結託をしまして、そして海外各地へ電報一本で照会をいたすために、もう過去に入りました注文も取り下げに相なるというようなことが、非常な大きな損害を受けておるのでございます。まずそういったことが戦前工業組合自体に、工業組合法を適用いたしまして、業界は非常に安定いたしておりました、その一端は、桝野さんのお述べになりましたように、われわれ業界もそれによって安定しておりましたし、機械輸出進出の第二位を占めておったのであります。ところが今日では、僅かばかりの輸出しか出来ないような状態に相なっておりますことは、東南アジア市場におきましても、この輸出業者の過当競争によることが、大きな原因をなしておるのでございます。
 そういう点の、経験をいたしまして、どうしても加入命令をしなければ、輸出産業というものは、もう今日では成り立たないのが常識でございます。それによって生じまする不当、いや赤字輸出の問題につきましては、工場の設備の更新も出来ませんし、また賃金の格差の問題も解決することも出来ませず、また最近唱えられておりまする最低賃金の問題も同様でございまするが、今一つ大きな問題は、出血輸出をしておるがために、設備に非常に大きな欠点がございますことは、われわれ業界に起っておる問題でございますが、転業病としてのクローム・メッキの中毒症が採り上げられておるんでございます。これは堺の基準監督署あたりでも相当問題にいたしまして、この問題は相当重大な問題だからというようなことで、業者にも再三に亘って注意をされて来たのであります。われわれ労働組合側といたしましても、非常に大きな問題であるとして取り上げられまして、基準監督署と共同で、この問題を一応なんとか設備の更新をいたしたい、また改良もいたしたいということで、組合の援助もいたしておるわけでございますが、ひどいのになりますと、鼻の障子も破れてしまい、ここに写真にもございますように、手首なんかも相当腐蝕しておる問題も出ておるのでございます。
 こういった問題を解決いたしますためには、ただ今申し上げましたようなアウト・サイダーを一人でも無くして、そして海外での不当競争のないようにいたしまして、また国際価格に合いますものは、国際価格に合いますまでに、十二分に値上げ出来る面もございますので、そういった面で収入を挙げて、そして設備の改良、あるいは賃金の格差の問題の解決、最低賃金に近寄せるための設備の近代化等も必要であろうと存ずるのでございます。
 以上申し述べたことは、ほんの一部でございますが、われわれ業界に起った問題の一端を申し上げた次第でございます。
 次に共同交渉の問題でいろいろ関経連さんあたりでは御心配に相なっておるようでございますが、これによって組合が阻害されるなんていうことは、恐らくあり得ないと思うのであります。また中小企業者が大企業者の下請をいたします場合に、従来からの慣行と申しますか、労働組合とそれから使用者というような間で起っておりまする交渉の在り方のようなものが、将来起っては困るんだという御心配であろうと思うのでありますが、決してわれわれの考え方から参りまして、そういう憂いは絶対にないと思うのであります。ただわれわれがどうして共同交渉などが必要であるかと申しますと、具体的に一例を申し上げますると、関西配電あたりでは、独占企業でございまするから、そういうことも出来ると思うのでございますが、一地方に配電所を設置いたしますというと、それの負担金を新設の工場に一率に約六十数円かけて参るのであります。そういたしまするというと、二百個の使用する工場を建設すると百三十万円かの負担をいたさなければならんし、それに税金がかかりまして、二百数十万円の負担をいたさなければならんような問題もございます。こういったことは独占企業であるからやれるのでありまして、われわれ中小企業を悩ましておる一つの問題でありますし、また百貨店の問題にいたしましても、百貨店法ができるとなると、直ちにあの通りの増設をいたし、また第二会社の名前を使って、いろいろ脱法行為をやっておるような現状でございますので、どうしても共同交渉は行わなければ、こういうふうな問題は解決できないと思うのでございます。本日皆さんからいろいろ御意見を拝聴いたしましたが、その人の立場々々によって、中小企業者の方方でありましても、自分の事業を中心にいたしまする考え方から、いろんな意見の出るのは当然でございまするが、おしなべて現在ではまず政府案を賛成いたすほうが、一番時宜に適しておるのではないかというふうに私は考えるのでございます。(拍手)以上簡単ではございまするが私の意見を申し上げた次第でございます。
○班長(小平議員) ありがとうございました。公述人の御意見の開陳はすべて終りました。これより陳述人の各位に対する委員の質問に入ります。まず横井太郎君。
○横井議員 それでは一番最初に永木さんに一つお尋ねしたいと思います。
 例の強制加入の問題で、これはなかなかむつかしかろうというような端的にお話がございましたが、話を聞いていますと、どうも今度できます商工組合の同業種の人が、四分の三入っていなければ強制加入ということは出来ないのだと、こういうような前提があるわけでございますが、あなたのお説だと、この組合員四分の三を入れることが、なかなかむつかしいから、従って全部の加盟をさせるということがむつかしいんだと。こういう意味でございますか。なかなかむつかしいんだというふうに聞いたんですが、それとも違っておりますかどうか。
○班長(小平議員) 永木広次君。
○永木広次君 ただ今の御質問でございまするが、それはいささか私の表現が適切でなかったためかと思うんであります。加入命令の問題につきましては、いろいろとその弊害は挙げて論ぜられるのでありますが、私はむしろただ今先生の御発言のごとく、四分の三以上の組合員を結集するごとき組合におきましては、加入命令がたとえ出ましても、その弊害は世が挙げて反対するほどの問題ではないという趣旨を申し上げたのであります。
○班長(小平議員) 横井太郎君。
○横井議員 分りました。もう一つお尋ねしたいのでございますが、さきほどあなたが全部おっしゃらなかった関係かもしれませんが、団体交渉の面において、親工場と子会社との下請との間の交渉のみに考えておられたような向きもあるのでございますが、これは要するに、縦横十文字、取引先全部、それから横のほうに、たとえば百貨店であるとか、あるいは生協であるとか、そういう縦横の交渉をし得るのでございますが、それは何んかの誤りでございますか。それとも間違って御解釈になっておったのですか。
○永木広次君 これもまた先ほどと同様でございますが、私はそういうケースのあることを存じております。たまたま例に申し上げましたのは、縦の関係だけを申し上げたのでございます。そういうふうにお考えを願いたいと思います。
○横井議員 それから藤田先生に一つお伺いをいたしたいのでございますが、さきほどのお話で、こういう組合というものは、業者の各位が盛り上って出来上らなければならんということをおっしゃった。まことにその通りだと思います。そこで私ちょっとお尋ねしたいことは、現段階においては、まだ盛り上りが少いとおっしゃるんでございましょうか。最後に結びの言葉に、意味慎重に考えておやりなさいという御発言がありましたが、意味慎重ということが、私どもには分りませんので、少し具体的におっしゃっていただきたいと思います。(拍手)
○藤田敬三君 ただ今の下からの盛り上りが十分でないというのか、という御質問でありますが、それは必ずしもそうでないというふうにお答えするよりないと、私はみております。これは意見の相違かもしれません。
 それから意味慎重に審議してくれとの意味慎重は、どうかというお尋ねでございますが、それは議会のことですね。特にこういうような問題で法案を審議しておられる皆さんには、よくお分りのことだと思いますので、特に具体的なことは申し上げません。ただ通り一ぺんの慎重審議をお願いするという意味ではないと、そういう意味でございます。
○横井議員 先生は大学の教授であられますので、お教えを願いたいのでございますが、実はわれわれが立法府のものとしまして、下から盛り上って来る声を聞いて、これは大丈夫だから作れというのか、それともある程度熟した時、今度の中小企業というものは、ここまで団結させるためには、こういう組合を作らせなきゃいかんという考え方でございます。いつも代議士は選挙の時は、恐らく都会の選出の代議士は全部中小企業ということを言うんでございます。ところが今日までやっていない。私どもも責任を感じておるし、ある程度の盛り上りがくれば、作ってゆくほうがいいという考えでございますが、あるいは普選の如き、たとえば普選が布かれて十年、今日なお婦人というものが政治意識が少いんだ。少し早かったんではないかという声も聞くんでございます。しかしながら、これは当然普選というものを布かなくてはいかんのだし、そうだと思うのであります。そこでこうして立法府のものは、ある程度の声の盛り上りがあればやって行くのが当然だと思いますが(拍手)学者の立場から、こういう場合にどうすれば良いのか、これは一つの例でございますが、われわれ立法府としてのものの考えを一つお教え願いたいと思います。
○藤田敬三君 盛り上りが、この程度になった時に、議会のほうから働きかけるのが妥当ではないかと、まあおっしゃる趣旨だと思いますが、それはまあ私どもの考え方が立法府におられる皆さん方との考え方の違いでありまして、それぞれ皆立場がございますので、皆さんは国民の皆さんの要求に従って、ひと足先にそれをお取り上げになって、そしてそれがうまく行きますればそれは結構なんであります、しかし実践家と申しますのは、あるいは成功し、あるいは失敗をされる、しかし学究は失敗するものをも、あえて冒してやりなさいとかいうようなことは、よう申しませんので、現状は理想からすれば、まだ十分に熟していない面もある、こういうふうに考えておるというわけなんでして、中小企業の方がほんとうに十分自覚されておる方ばかりであるということは、それははなはだむづかしいと思いますけれども、相当数の人が自覚を十分にしておられるような状態であれば、自分自身の力で、もう少しはっきりした線を、もっと早くお出しになれたと思うのであります。ところがなかなかそれをおやりにならなかったという面もあると思いますので、われわれは客観的に考えて、そういう事実があったということを申し上げるので、だからこれはいけんじゃないかという意味ではありません。
 私どもは政策の実際に携わるべきものではなしに、批判をする立場にあるものでありますから、そして特にそれに賛成し、反対をするというような形で、こういうところで発言するのは、いろんな意味からして、反って御迷惑かと思いますが、ただ一定の目的に対しては、こういうような問題があるということを申し上げるほうが、反ってお役に立つのではないかと考えまして、そう申し上げたのであります。
○横井議員 ありがとうございました。先生のお言葉はよく分りました。それと同時に実は私ここで言うのはなんでございますが、私も業者の一人なんで、先生のお言葉はある意味において頂門の一針だと思います。これは業者が団結するとか、実際われわれ業者の業に携っておりますると、業者同志が相手をやっつけるとか、あるいは税金の面でも人のことをかれこれ言うとか、実際業者というものは団結をしないものであります。私は業者の立場から言うとそうなんでございまして、先生のお言葉はまことに頂門の一針だと思います。そこで私は吉村さんに今の先生のお言葉の御感想をいただきたいと思います。一つ述べてもらいたいと思います。
○吉村義照君 私、藤田先生のお説はきわめて慎重であって、まあ拙速よりは特に慎重を期せねばならんというような御意見のように伺ったのでございますけれども、現在私ども全国百六十万になんなんとしますところの小売業者というものは、もはや窮極のどん底に落込んでおるのでありまして、今のうちに何んとか一つ手を打っていただきませんと、この下から盛り上る意志でもって云々言われますけれども、それではどういう形をもってくれば盛り上って行くのか。私は今ほど中小企業者、なかんずく小売業者が盛り上っている時はないと考えるのでありまして(拍手)是非とも私は法案の通過を期したいと思います。
○横井議員 その次は工藤さんに一つお尋ねをいたしたいと思います。
 工藤さんのおっしゃることも私は分ると思うのでございます。今はとにもかくにも自由主義経済である。だから経済というものは、そういう下においてなさるべきものであって、官僚統制のように、そうあってはならんのだと。この意味は分るのでありますが、分らないのは大企業というものが、小企業に対して優位である。大企業というものは小企業を自由だから圧迫していってもいいんじゃないか。結果においても圧迫してもいいんじゃないかというのは、これは私は自由企業の悪い面だと思いますが、殊に日本は大企業は大企業の使命があり、中小企業は中小企業としての使命がある。(拍手)だから中小企業だけが生きる道を考えて、中小企業がお互いに相談の場を作るということが、これが大企業を圧迫することになるのでありましょうか。この根本的の問題でありますから、考え方を一つお願いしたいと思います。
○工藤友恵君 私の考えを申し上げます。私は最前から大企業が圧迫していいということを一言も申しておりません。自由主義を破るこの体制が、すなわち官僚統制あるいは官庁統制になることを恐れる。もう一つはボスを恐れる。その終局のところは消費者優位の経済が損われるということを申し上げたのでありまして、事実は大企業の圧迫というか、優遇しているということも申しません。どうぞ一つ……。よろしうございますか。私の申し上げたいのは、藤田さんも言われましたが、中小企業と言われるのも、実はいろいろございまして、中企業というものと小企業、あるいは零細企業と、いろいろ違いますから、御説明の中にも腑に落ちない点もございますが、その点もお含み願いたい。
 もう一つ許していただけるならば、申し上げたいと思います。それは私どもとしましては、会の意見というものは、先生方にすでに印刷物を差し上げてございまして、実は私は消費者優位の経済という立場で統制を避けたいということを申し上げたので、その点を横井先生にお含みを願います。
○横井議員 言葉のアヤと申しますか、言葉の足りなかった点もあろうと思いますが、統制の在り方がいかんというような意味でございますが、そうしますといかがでしょうか、安定法が布かれて調整組合が出来たんでございますが、現在もやっておいでになる。そして今度の法律というものは、協同組合の経済行為と、今までの調整組合の二つを合わせたものが、今度の商工組合でございますが、そこで調整の面であって、今申し上げました安定法による調整組合が、今現に出来ておるのであります。これが大企業と競合して、非常な摩擦を起した面はありましょうか。殊に大阪なんか現在調整組合を作っておいでになるが、その辺のことを伺いたいと思うのであります。永木さんに恐縮でございますが、永木さんのほうも調整組合を作っておられますが、こういうものを作ったが、大企業と摩擦を起して、大企業に逆に圧迫を加えたということがあるのでしょうか、実例があったら一つお知らせ願いたい。
○工藤友恵君 実は、私はそういう実例ということを存じませんが、ただ申し上げたいのは、中小企業安定法を不可なりとして、本日は申し上げておりません。中小企業安定法で足るのに、なぜこれを出すかということでありまして、その差は、たとえば私が指摘しましたのは、強制加入の規定とか、あるいはアウト・サイダーの規整とか、団体交渉とかのそういう面の弊害がある。中小企業安定法を廃止してしまえというような議論はしておりません。
○永木広次君 私関係いたしておりますのは、マッチ工業でございます。この業界はかつて、と申しましても戦前でございますが、非常に大きな全国の過半数を占めるところの工場から、その百分の一と、あるいはそれ以下の工場と、正に玉石混淆の形にあったのであります。ところが戦争中の爆撃によりまして、ほとんど大半の工場は壊滅いたしまして、その後復興いたしたのでありますが、むしろその時に一番早く復興をやりはじめたのは中あるいは小業者であったのであります。その後遅れ馳せながら、大企業クラスのものがぼつぼつやり始めたのであります。現に一時御指摘の如き、私どもは安定法の指定業者として仕事をやっておるのであります。その指定を受けまする前後の情勢というものは、大企業が小業者を圧迫するという実例よりも、むしろ中小業者が身軽に動きまして、むしろ大きなほうがもたもたしたような傾向も一時見えたのであります。
 ひっくるめて申しますれば、大も小も挙げて混乱してしまったというのが実情でございまして、むしろ私のほうの業界は多少性格的にも、他の産業と違うのでありますが、大が小を圧迫したというようなことは、特に取り上げて申すほどの顕著な例はございません。百数十万のものが、挙げて大騒ぎをして混乱したという実情でございます。
○横井議員 私の時間は過ぎましたようですからやめますが、もう一つだけ質問をしておきたいのでございますが、工藤さんはこの大企業……、今度の組合が出来ますと、その中にボスが介在したりいろいろな介在があって、非常に困るというようなことをお話でありましたが、この法案にはそういうものは介在しないことになっておりまして、組合の代表者もしくはその代理者、要するに組合の長でございますね。理事長とか副理事長というものが二、三人でもって、大企のほうと話合う場を作る。話合いをして行くというこういうふうの団体交渉でございますが、それでもおっしゃるような圧迫を感ずるというような、そういうことなんでございましょうが、一向その点は御心配ないというような、いわゆるこの政府案によると、組合交渉、それから社会党案によりますと団体交渉でございますが、一向そういう心配の要らん、話しずくで事を解決して行くといういき方の法律なんでございますが、それでもいけないのでございましょうか。その点を一つ御意見を伺いたい。
○工藤友恵君 私の申し上げるボスという意味は、その組合の中に、とかく組合というものは、現在におきましてもボス支配が少くないということは、これはどなたも御異論ないと思いますが、交渉の場として申しますれば、その数人というものがどういうものになるかというと、ボスの人が多くなるんではないかということを私は心配するものであります。その結果、非常に悪いというならば後がますます悪いんじゃないか。それからもう一つその後に、これは政府案について、社会党案はあまり勉強しておりませんので恐縮ですが、政府案におきましては官庁が後に結びつきます。つまり政府であります。そのことを甚々私が恐れるのでありまして、それが結託したらどうするかということに私の不安を申し上げた次第でございます。
○横井議員 それは別に御心配はないと思いますので、この政府案には組合の理事長とか副理事長ということに決っておりまして、委任を受けて交渉に当ることになっておりません。従って今の御心配は要らんと思うのでございますが、いろいろありがとうございます。私はこれで終ります。(拍手)
○班長(小平議員) 田中武夫君。
○田中議員 私は、まず桝野参考人にお伺いしたいと思いますが、中座しておられますので桝野参考人に対する御質問は後にしまして、まず最初に吉村さんにお伺いしたいと思います。その前に吉村さんに御了解を得たいのは、社会党提出の組織法は、工業部面を重点に考えて、商業部面のほうが少し軽んぜられておるんじゃないか、こういうような御意見がございましたが、決してわれわれは商業部面を軽く考えておりませんので、先ほど水谷先生のわが党案の説明でも申し上げましたように、この組織法だけでなく、商業調整法あるいは中小企業分野の確保に関する法律、この三つを三位一体のものと考えておりますし、なおそのほかに立法措置として十数件、行政措置として四十数件のものを併せ中小企業対策として考えております。昨日も党の政策審議委員会で決定を致したんでありますが、百貨店法の一部改正、これでございますが、これも昨日の政策審議会の下会議で決定をしまして、近く提出するようになっておりますので、その点御了解を得たいと思います。
 さてそこでお尋ねいたしたいのでございますが、さきほど藤田先生もおっしゃっておられたように、ひとたび法律が出来た場合に、この法律を監視して行く、この法律が適確に施行せられるように、これを盛り立てるためには、その基礎となるところの組織の実力が必要である。このように藤田先生もおっしゃっておられるのであります。われわれが組合を考えました場合に、いわゆる労働組合なり、あるいは農民、あるいは中小企業者、この各層に対しまして、同じような法律で保護を与えるということについては、われわれも同感でございまして、そういう意味において中小企業の団体に団結権と団体交渉権を付与して、法によってこれを保護して行こう、この趣旨で出されておるのが、この二法案であります。しかしながら、組合運営の上におきまして、われわれがもっとも感じなければならないことは、組合の自主性、民主性の尊重でございます。ところが政府案によりますと、たとえば加盟についても強制加入命令を出すとか、あるいは刑罰をもってこれに臨むとか、あるいは役員の解任を政府が行うとか、こういうような法律による権力の強制がございます。皆さん方が現在アウト・サイダーに悩まされておりますので、加入命令によって強制加入をせられるほうが組合が強くなると、こう考えておるようですが、しかしながらほんとうに心から組合に入り、その人たちが自分たちの自覚の上に立って、組合を強くして行こうという団結権がなければ、団結の気持ちがなければ、組合は強くならん。そういうような意志のないところに、法律によって無理に入れていくということにしても、組合は強くならんと思います。そこにもってきて強い法律で、政府の権力による干渉がある場合には、組合が官僚統制下に置かれ、組合の自主性が壊されるのではないかと思いますが、その点がどのようにお考えになっておるかお伺いいたします。この点については同じ立場を取られました小西さんにも御意見を伺いたいと思います。
○吉村義照君 社会党の出されておりますところの中小企業組織法案、あるいは産業分野の確保に関する法律案、また商業活動の助成法、こういった法案は私はまだ研究はいたしておりませんで、外面だけしか分りませんが、この三つの法律が同時に国会を通過することが可能でございまするならば、それは今おっしゃることは尤もでございますけれども、現在の中小企業、なかんずく私ども小売業者というものは、ほんとうに苦しい最悪の事態に落ち込んでおりますので、やはり国会通過の可能性のある、まず団体法案によって、一応この身分を保護せられるという、いわゆる緊急措置としては、どうしても団体法案の国会通過に集中しなければならん。まあかように考えておりますが、更に強制加入の問題であるとか、いろいろ御質問がありますが、私はすべて法案の精神というものは、立法の精神は、始めからそうした強権を発動するものに非ずして、どこまでも民主的に話合いの上に問題の解決を図るというところにその精神が織込まれておるのでありまして、たとえば最悪の場合は、もう打つ手がないという時に初めて強権を発動するものでありまして、これはやはりある一つのものを作っておきます上においても、こうした多少の条件は現段階におきまして已を得ない措置ではないか、かように考えます。(拍手)
○小西聖夫君 最初の問題につきましては、さきほど員外者の利益、不利益ということは、一例を挙げて申し上げましたので、それを更に縷々することは避けますが、更に精神的の問題を考えておるのでありますが、私大阪の中小企業同志会を結成いたしまして以来三年間、中小企業あるいは小企業、零細企業の啓蒙育成に携って来ておるわけでありますが、どちらかと申しますると、さきほど藤田先生のお言葉にもあったそれの補足にもなると思いますが、中小企業者というものは、まず頭脳の入替えをやらなければならんということを私たちは考えておるわけでありまして、自分さえよければ、たとえば国家におきましては五カ年計画、あるいはまたお隣りの中共には第二次、第三次の五カ年計画というふうに、どんどん進んでおられますが、われわれ、ことに零細な小企業者ではきょうあすの問題に追われまして、一年の計画さえも樹てることは出来ないということが、大部分の現状なのでございます。
 その点につきまして、あるいはアウト・サイダーに対して加入を勧誘した場合、そういうことはどちらかというと進まないということもありますが、これは加入をして組合員に入れたほうがその人の将来、加入して以来のその人の、非常な有利になるということを考えておるわけでございます。これは現在われわれの中小企業同志会といたしまして、いろいろ実際面におきましてやっておるわけでありまするが、そういうことになりますると、初めはあまり進まなかったその人も、だんだんと喜んでくれるというような状態でありまして、そういう点から是非とも強制加入を嫌がってる人でも入れるということは、結局その人に喜んでもらえるという私の実際体験から、その趣旨に賛成いたしておる次第でございます。(拍手)
○田中議員 われわれといたしましても、中小企業の組織を強くするということは、この点については皆さんと同じ考えをもっておるわけでございます。ただ将来組合のために、中小企業の組合のために、どちらのほうがいいのかという、こういうことについて皆さん方の御意見を十分伺いたいと思っておるわけでございます。
 そこで政府案と社会党案の違っておりますところの大きな点の一、二について皆さん方の御意見を聞きたい。こういうことを思っておるわけでございます。そこで吉村さんにもう一度お伺いいたしますが、さきほど吉村さんも今度出来ます中小企業の組合の政府案で言うならば組合交渉、社会党案で言うならば団体交渉、これが労働組合のいわゆる団体交渉と違うと。こういうように自ら認めておられるわけでございますが、労働組合があの強いスト権をもって団体交渉をいたしましても、なお資本家、大企業はこれに対して言うことを聞かないわけでございます。われわれとしてもあなた方自体が法による強制加入でなければ強くならないと自分から認めておられるようなこの組合におきまして、団体交渉をせられましても、十分成果が挙らないのではないか、こう思うわけでございます。そこで団体交渉の結果、話がまとまらない場合、政府案によりますと、これは大臣が中小企業審議会の答申を得て勧告をするという程度にとどまっております。それに対しまして社会党案は、中小企業調整委員会において仲裁裁定を行いまして、もちろんこの仲裁委員会で中小企業を代表するもの、消費者の立場を代表するもの、学識経験者を入れたものでございますが、この調整委員会におきまして仲裁裁定が出れば、団体協約が締結せられたと同じ効果を現わすというどんぴしゃりの効果を現わしておるわけであります。この点につきまして果していずれのほうが組合の今後の縦横に対する、殊に大資本に対する団体交渉において、どちらが有利でありどちらが組合のためか、言わば中小企業のためか一つお答えを聞かしていただきたい。
○西村清馬君 ただいまの田中先生の御質問は、団体法案と組織法案の主なる相違点と、その次に、裁定の場合の点についてのお尋ねでございますが、私は組織法案は先刻も申し上げました通り、まだ読んでおりませんが、大体において組織法案と団体法案の主だったこの相違点は団体法案では強制加入をいたしておりますけれども、社会党案では加入は自由である。さらに、この団体法案には業種の指定がされておりませんが、社会党案にはこれがされておる。それから、この今の紛争の起った場合の問題でございますが、これは先ほどの社会党の組織法案では団体法案の最後の大臣の勧告というものがあるわけでございますが、しかしその勧告を聞かざる場合にどうするかという問題でございますが、ところが社会党の出されておりますところの組織法案でありますというと、この勧告と同じ立場にあるものが裁定ということになっておるんじゃないかとか、これは、なるほど今申されましたような審議会というものを作られて調停審議会のきわめて民主的な業種の方々によって作られたところの非常に民主的なやり方のように私は考えますし、さらにこれは社会党の組織法案では、その裁定はこれは絶対的でありまして、これはどうしても聞かねばならんということになっておるかのように承知いたしておりますが、政府案のいわゆる団体法案は、もしその勧告があっても、これを聞かざる場合にどうするかというところに多少の私は不安を持つものでございますけれども、しかしながら、われわれはこうした業種の関係と言いますか、大体取引関係の立場にありますために、その相手方というものが、それぞれ顔見知りの連中でございまして、まあこうした事柄は大体私は大臣の勧告を受けるまでに何とか話し合いで円満に民主的な解決ができて来るんではないかと、かように考えておるわけです。しかしできれば社会党の出されておりますこの組織法案も今のところ、はなはだ失礼な申し分でございますけれども、本国会を果して通過するかどうかということで疑問を持つものでありますので、とりあえず社会党の先生も、今通りかかっております法案を一応これを通していただいて、これがいいか悪いかということは成立した後の面において御検討願って、またやがて来たるべき国会において先生方のやっておられる組織法案を提出していただきまして、国民にいずれがいいかということをお聞き願いたいと思います。(拍手)
○田中議員 現在社会党は少数党であるからなんぼいいことを言うても通らないではないか……(笑声、拍手)こういう立場からおっしゃられると、いささかわれわれどうかと思うのでして、与党も野党も、ことに中小企業の問題につきましては、じっくりと話合ってよりよきものにして行きたいとこう考えておるわけでございます。従って本日自民党の代表の方もみえておりますし、十分意見を述べていただくならば、よりよきものに修正し、よりよきものに作り直していくことは可能であると確信いたしております。その意味におきまして次の質問を続けていきたいと思います。(拍手)
 さて、政府案によりますと、中小企業の定義が工業におきましては三百人以下、商業におきましては、三十人以下、その他各業者ごとに政令をもって定めるということになっておりますが、これは従業人数によって、この定義を定めるということでございまして、何ら資本金の方に触れていないわけでございます。ところが、今日、従業員三百人以下といたしましても、優に、オートメーションによって大量生産をやり、市場を左右するような大企業もございます。そこで中小企業を定義いたす場合に、これに資本金のワクを入れるべきではないかと思います。わが社会党案におきましても、一応現在の法の下において定められておる一千万円以下という資本金のワクを入れております。そこで、むしろ工業方面の方がいいと思うのですが、石橋さんあるいは永木さん当りに御意見を伺っておきたいと思うのですが、こういった中小企業の定義をする場合にこういった法律を適用する範囲を定める場合に人数によって定める方がいいか、一面、資本金をも加味して定めるのがいいか、一つ皆さん方の御意見を承わっておきたいと思います。
○石橋助治君 ただいま田中先生からの御質問でございますが、従業員三百人以下、あるいは資本金何々以下というようなお話もございまするが、またわれわれ大阪商工会議所に中小企業特別対策委員会というものがございまして、その席上でも過去において一部の人から、まず従業員三百名はいいとしても、資本金一千万円は低過ぎるから、五千万円ぐらいまでに、一つやるべきだというふうに意見が出ておったのでございます。それはどういう理由に基きますかというと、金融の面で、中小企業の業者としての取扱いを受けた場合には金融面が非常に円滑に最近は行くようになったけれども、ちょうど五千万円ぐらいから三千万円ぐらいのものは、その点が非常にスムーズにいかんという理由で、まず三千万円から五千万円までの線を引き上げるべきだというふうに意見が出たのでありますが、それはちょっと行き過ぎではないかということで、現在われわれとしては一千万円ぐらいが妥当ではないかというふうに考えておるわけでございます。今、先生がおっしゃったように三百名ぐらいでも、相当な規模を持ってやっている事業場もあることもこれは事実でございましょう。しかしまた反面に、三百名ぐらいの従業員の擁しておるところでも非常に苦境にあえいでいる業種もございますので、この判定はなかなかむずかしいだろうと、一口でここで、いいとか悪いとかいうことは断言できないと思うのです。
○永木広次君 三百人を線といたしまして、線を切ることの可否。これはおのおのの業態によって千差万別だろうと思うのであります。私のほうの業界におきましては、今の生産形態がはなはだしく手工業の分が多いために、小業者とその水あげ量からいいましたならば、一応小業者と目されるのも相当数かかえておる。そういうような関係がございますが、しかし一応中小企業者の定義ということになりますならば、線を急がなければならぬと思うのでありますが、そういう場合には、先程長官の御説明にも承ったのでありまするが、第三項による適宜の判断というものが必要であります。それからなお一千万円の資本というのを中小企業者の定義の要素としていることの可否という御質問でございます。
 すでに商工中金の企業対象等におきましては一千万円という数字を使っておるのは御承知の通りでございますが、これまた私の業界の例をひいてどうかと思いますが、私の業界における例を申し上げまするならば、百何軒の企業者中、本当に会社らしい会社であるものはわずかに一軒なんです。あとはいわゆる資本金何百万円と称する株式会社、いずれも同族会社ですので、従ってその資本金の算定が果してそこの経営規模とマッチしたものかどうか、これは非常に問題がある。実は企業庁等からしばしば中小企業の実態調査のためにいろんな御照会を受けるのでありまするが、そのときに必ず資本の額はいくらということを聞かされるのであります。
 以上のような私の業界の実態からして、実は非常に御返事に困る場合が多いのであります。この際こうした組織法あるいは団体法のこうした方向におきましては、今直ちに一千万円という数字を提示するということは必ずしも必要ないんじゃないか。あるいは場合によっては少し問題をこんがらがす恐れもあるのじゃないかというような気がするのであります。これは気持でありまして、理論的な問題じゃないということは冒頭に申し上げました通りであります。
○田中議員 永木さんは、永木さんの業界のみについて、とおっしゃったのですが、私は一般的なことをお伺いしておったのですが、けっこうでしょう。そこで吉村さんにお伺いしたいのですが、吉村さん、大資本の圧迫、大企業からの圧迫をよくおっしゃいますが、この政府案によりますと、商業におきましては三十名以下が、みんな一しょになるわけであります。そういたしますと、小売関係で従業員三十名というと相当大きなところでないかと思います。それとおやじさんのほか一、二名の従業員のような、本当の小売屋さんと同じ境界の上に立った、同じ条件において商売をした場合ですね、やはり、より小さいところが倒されていくんじゃないか、われわれかように懸念するわけでございます。そこで、わが社会党案におきますと、とくに勤労協同組合というものを別個のワクに考えておきまして、工業におきましては十名以下、商業におきましては従業員二名以下のものは別なワクにして金融、あるいは税制の面におきましても、特別な措置を講じていきたいと、このように考えておるのでありますが、この勤労協同組合といったような名前は、どうでもよろしいが、同じ中小といわれる中でも比較的大きいところと、小さいところを区別していくというなれば、大企業と中小企業を区別しようというのが、この法律の目的であります。そうなれば、虎やライオンが犬や狼と、あるいは猫や犬を別にしようというわけですが、こんど、狼と兎といいますか、鶏といったようなものとは、もう一つ別にする必要があるんじゃないか、かように考えておるのでありますが、この点についてどのようなお考えをもっておられますか。
 もう一つは、アウト・サイダーの規制に対しまして、政府案によりますと、最終的には刑罰をもって臨むということになっております。刑罰をもって臨む、しかしながら、われわれは先ほども申し上げておるように、組合の自主性、組合の民主性による組合自体の、組合構成員自体の自覚と団結によって組合をこしらえてゆくんだと考えておりますので、そういうアウト・サイダーの規制に対しましては、組合員の団結によって排除してゆくように、わが社会党は考えておりますが、この点いかがでございましょうか。
○吉村義照君 大企業と中小企業の区別の限界についての第一の御質問の点でございますが、いま田中先生のお話を承わりますというと、非常に社会党案では小さく線をあげられて、非常にこれは、けっこうと私は考えますけれども、いまの、この政府案、三十人以下、これは理想といたしましても、あるいは社会党案の方がよいかとも考えますが、しかし法律を定めます上においては、まず中庸を得た一つの標準線というものを生出さなければならないのでございまして、政府案におきましても、あらゆる角度から、これは検討をせられるものと、私は考えをいたしておりますので、なるほど下の方の二名、あるいは三名くらい使っているものにとりまして、三十人と同じ方法で取扱われるということには若干、それは不服の点もございますけれども、この線を一つ、決める上におきましても、多少そうしたこともございますけれども、全部が全部平等ということはできないと、かように考えますので、大へん御親切なことで、(笑)けっこうでございますけれども。なお第二問は何でございましたかね。
○田中議員 アウト・サイダー規制を、刑罰をもって臨むということと、組合の自主的な排除によって規制して行くというこの点……。
○吉村義照君 それも、私たちは理想といたしましては、社会党案に賛成をいたしますが、実は、私ども昨年六月十六日制定されました百貨店法の問題があるわけでありますが、この百貨店法の成立を見越しまして、いわゆる四つの、四大百貨店というものがかけ込み増築を始めました。そこでわれわれは、この増築絶対反対の一大運動を展開いたしたのでございますけれども、ところが現在までに、このいろんな組合とか、あるいは商店会、そういうようなところに入っていないものは、いろいろと文書その他をもって勧誘いたしましても、なかなか同調いたしません。どこか対岸の火災でも見ているような……。いろいろな方法を講じまして、相ともに参加するように勧誘にも参りましたけれども、何らかの組合組織も持っておりませんので、どうしてもわれわれの勧誘に応じない。従って、われわれのように商店界を結成し、あるいは業種組合を結成した者によってこの目的を達したようなわけでございまして、私はその当時も特に今言ったような問題を痛感いたしたのでございまして、ある程度まで強権発動も、これはやむを得ないのじゃないか、かように考えております。
○田中議員 最初はそれがいいかもわからないのですが、やはりそれであなた方自体を縛ってしまうという結果になりはしないか、こう考えておるわけなんです。そこで、よく労働組合とか、あるいは、他の団体が例に出ますが、たとえば労働組合法でも強制加入といったような規定はございませんで、皆組合の自覚と団結によって自分たちの地位を守っておるわけなんです。私はあくまでも組合がですね、強くなるためには、その構成員が自覚と団結によって組合を強くして行くということが、その基本じゃないかということを考えますのであえて申し上げておる次第でございます。もっと伺いたい点もございますが、時間の関係もありますので次に移りたいと思います。
 次に工藤さんにお伺いしたいと思うのでありますが、あなたが先ほど自由主義経済を謳歌されまして、この観点から両法案に反対の態度を取られたのであります。そうするならば、あなた方の考え方を推し進めて行けば、いわゆる資本力のある大企業が、資本の力によってどんなことでもしてもいいと、いわゆる弱肉強食の世の中を是認されるという結果になるのです。その点につきまして、どのような考え方をしておられますか。
○工藤友恵君 私は十九世紀に行われましたような資本主義というものではございません。私の申し上げることは譬です。私、これは個人的のことで非常に恐縮でございますが、私は元来独占禁止法の非常な擁護論者でありまして、私は準司法機関であるところの独占禁止法を扱う公正取引委員会を強化し、その機能を上げる。――そういういろんな不公正なものを押えて、それからいまのような場合の、いろいろな規制をすべて公取にまかせて行くのがいいと、こういうことでございます。
○田中議員 あなた方が、いわゆる大企業の立場からそうおっしゃることかもわからんですが、そのことはですな、言うならばだれかが言われておりましたが、一昨日の東京における参考人の中で、ある人の御意見のように、今まで大企業が中小企業を思うままに引きずっておったんだということを、こういうことを裏書するようなことを言っておられるのであります。この法律が出来ると困ると、こういうようにおっしゃる裏にはですね。今まで大企業が資本の力をもって中小企業を思うままに動かしておったということの裏付けのようにも考えられますが、そういうことではありませんか。(拍手)
○工藤友恵君 今言った御答弁からなぜそういう結論が出されましたか了解できないのであります。私は公正取引委員会というものによって公正取引を妨げるようないろいろの措置は極力押えて行くと、こう言ったのでありまして、弱肉強食になったならば、今日アメリカ経済の繁栄はあるはずはないのであります。繰り返して申しますが、冷静批判を信ずるようなものとおそらくならないと思いますが、私自身たまたま関西経済連合会に席を置いておりますが、そういうように大企業――あなたのおっしゃるような大企業的な物の考え方をしたことは一回もございません。私のお答えの中にもそういうことは申したことはありません。先生がそういう結論をお出しになるのが不思議であります。どうか独禁法の威力というものを非常に先生も一つ御信頼願いたいと思うのであります。
○田中議員 独禁法ですね。守って行くということについては、私は大賛成でございます。しかし、アメリカの経済の繁栄と、こうおっしゃったのでございますが、私、あえて参考人として来ていただいておりますあなたと本日、議論をしようとは考えておりません。これが政府委員であるならばとことん議論をいたしますが、参考人でございますからそういう気持は持っておりませんが、ただ私の申し上げたいことは、アメリカと日本では、その経済的な基盤が違う。ことにアメリカの中小企業というものは、日本のそれとは元来おい立ちが違っております。従って同じことでない。日本の中小企業に対して、アメリカと同じような考え方をもって行くならば、中小企業は浮ばれないのじゃないかと思うんですがどうですか。(拍手)
○工藤友恵君 私はアメリカの例は、アメリカ経済繁栄の原理としての自由経済主義とこれに対する独禁法の立場を申し上げたのであります。私はアメリカの小企業も多少研究しております。アメリカではBDCが中小企業安定法のような仕事をやっておりますが、その外にいろいろ制度があります。今度のアメリカ大統領の予算教書をご覧になりましても、非常に小企業に対して、中とはいいません小です、これに対して非常に独禁法の強化とか、あるいは税の問題だとか、そのほかいろいろの点を述べております。これは御存知だと思います。そこで私が申し上げたいのは中小企業の問題として扱うときに、先ほど私は非常に社会党の中小企業のあり方ということに対して、私は、なるほどその考え方が正しいんじゃないかということを考えておったのですが、やはり零細企業と中小企業、小企業、その他いろいろ考えなければいけない。これはアメリカでも考えているのであります。日本では、たとえば税法でも零細企業に対しては、あまりにも酷なんです。中小企業の方が楽なんです。その点をいろいろ考えまして、対策を講ずべきものであると思うのですが、大企業の、先生のおっしゃる横暴ということについては、公正取引委員会を強化拡充すると、これの運用を円滑にするということが大事じゃないかと思うのであります。
○田中議員 どうやら考え方においてだいぶん根本的に違いがあるようでございますので、あなたの考え方はわかりましたという点で、それが正しいかどうか別問題といたしまして、これ以上追及をやめたいと思います。私の持ち時間もないようでございますので、最後に桝野さんに――中座しておられましたので、桝野さんに一言だけお伺いをして私の質問を終りたいと思います。
 午前の参考意見を述べられた中に、桝野さんは政府提出の団体法と、社会党の組織法を較べた際、団体法の方が、政府案の方が、より法律による強制が強い。言うならば権力による統制が強いのでこれに賛成するとこういうような結論であったように思うのであります。しかし先ほどあなたの中座の場合に、私申し上げたのでございますが、われわれが考えておりますのは、何回も申し上げますけれども、その組合自体の自主性と、民主性が侵されてはならないと。こういう点が組合運営の重点ではなかろうかと思うのであります。しかるに法律による強制があまりにも強いと、それが一面、一皮むけばですね、結局は官僚統制の強化と、こういうことになるだろうと思うのでございますが、たとえば強制加入命令、あるいは刑罰をもって臨むとか、あるいは団体交渉による、組合交渉による結論が出ないときには、大臣が勧告をするとか、あるいは役員を更迭するとか、解散命令を出すとか、こういったような法律による権力統制といいますか、権力の発動の機会が多いところには、組合の自主性はこわされると思いますが、あなたの体験を通じてお聞かせ願いたいのでございますが……。
○桝野竜太郎君 私はあながち権力をもって強制して行くということのみを考えておりません。実はどういたしましても最終は何かのきめ手を持たなければいけない、こういうことでございまして、これはわれわれの希望するところではないのでございます。現在臨時措置法によりまして、処理をいたしておりますこととでも、実は、やはり刑罰を謳っております。しかし、私どもは、それをやっておりませんので、一応は、その業者の反省を促すべき手続きをとって、最近中小企業庁の方にも御相談申し上げて、やはり暫定の措置をやって、それがどうしても行かないというもののみは、現在の段階においては何らかの手によってやらざるを得ないのじゃないか。それによって、あながち、官僚統制が復活するという考えは毛頭持っておりませんので、これはあくまでも、われわれは自主的にやるのであります。この点について、現在の段階においては先生のお説のように民主的にやることがいいかも知れませんが、実は、私は二、三年やって参りましたが、この段階には、最終的にはこれは一応抜きたくはありませんが、最終には何ものかをもってやらなければならないという現実に脅かされておることを申し上げて御了解を願いたいと思います。
○班長(小平議員) 田中武夫君。
○田中議員 あくまで自主的にやるんだと、こうおっしゃっておるのですが、政府案にはあまりにも権力的な法による統制強化を行うために、その自主性をこわされやしないかということをわれわれは心配しているのであります。しかしこれ以上、もう私、持ち時間がないようでございますから申し上げませんが、最後に特にお願いをしておきたいのは、先ほど来、何人かの方の御意見も出ておりましたが、単にこの法律が通ったとしましても、それのみでよくなるものでなく、何と申しましても、中小企業の皆さん方が、皆さん方の立場をよく自覚し、皆さん方の団結の力によって組合を強くして行くという、この気持が一番大事であって、どのような法が修正される、あるいはどんな格好で通るかも知れませんが、それがなくても、たとえ通って、その法を支持して行くことは困難だと思いますので、その点にどうぞ今後とも気を付けて、十分、一つやっていただきたいということをお願いしておきます。(拍手)
○班長(小平議員) 首藤新八君。
○首藤議員 私は参考人に若干お尋ねいたしたいと思います。その前に先程滝川参考人が公述をされた中で誤解されておる問題がありますが、その点をまず申し上げて了解を得て、その上で申し上げたいと思います。
 先程滝川参考人が、政府案によると、調整組合は調整事業のみを行うことになっておって、調整事業以外のものは行えないようになっておるという御質問がありましたが、法案の内容をごらん下されば明瞭になりますが、団体法におきましては調整事業と合せて経済事業を行うことができるようになっておるのであります。従いまして、小売屋面において先程どなたかお話しがあったように、仕入の一元化であるとか、あるいは販売方法の申し合せであるとか、この取引を改善、向上するような問題は、この面で十分にできるように取りはからってありますから、その点の了解を得ておきたいと思います。
 もう一つは、政府案の組合交渉は横の対象として横の面は可能であるが、縦の面、すなわち大企業に対しては交渉ができないのではないか、という御意見を拝聴しましたが、縦の面、すなわち原料を出すところの大企業も他と同様な交渉ができるように相なっておりまするから、その点も御了解を願っておきたいと思います。
 そこで滝川参考人は、現在の賃金の不均衡あるいは税制等々の問題がこの法案にはぬかっておる。従って、社会党の法案のほうが実際的ではないかという御意見でございました。私たちは日本の最近の経済の実態を見た場合に、一方においては神武以来の好景気ということが謳われておりますが、大部分の中小商工業者は働けど働けど税金とその日の生活に苦しんでおる。いわゆるびっこの経済情勢を展開しておりまするから、どうしてもこれを経済界に入っておりまするものは同一のレベルにすべてを直さなければならんという、実は固い気持を持つのであります。従いまして、いまの労銀の不均衡の問題も皆これ入っております。
 そこでこれをやります場合に、一体どうすることがいいか。今日まで金融の問題、税制の問題も考え、金融の問題もある程度やってみましたけれども、一向効果がないのであります。なぜ効果がないかと申しますと、中小商工業者の繁栄せない一番大きな原因は、いろいろ原因がありますけれども、一番大きな原因は業者同士の不当な競争であります。従って、この不当な競争がやまない限りは、いくら金融をいたしましても、税制の特別措置をいたしましても、底のない桶に水を入れるようなことで、倒産の時期を若干延ばすだけの効果しかないわけであります。そこで私たちは、さようなことでは日本の正常な経済の発展を実現することは困難である。どうしても共通の弱点である不当競争をやめさせなければならんと。それが二十七年に設定いたしました安定法であります。
 ところが、この安定法を実施して五年になりますが、幸いに相当の成績を上げた組合もありますが、大部分の業界はこれまでの底なしの下げが一応とまったという効果だけはありましたけれども、なお積極的に適正な利潤を得るところまでは参っていないのであります。
 で、それはなぜそういうことになっておるかといいますると、加入の自由、脱退の自由、これであります。そこで、どうしてもこの際中小業者の最大の禍根である不当競争を根本的に一掃するためには、いわゆる義務加入までいった全員が同じ歩調をとること以外はない。こういう考え方が義務加入に現われておるのであります。
 従って、私たちの考え方は、今度の義務加入を実行いたしますれば、従来よりもさらに効果は必ずあると。ただし、これだけでは中小商工業者が全面的に振興するとは期待しにくいから、この法案が実施されて、不当競争が一応とまったという事実を見ましたときにおいて、そこで具体的な金融をやろう。また税制の特別措置もやろう。現在政府は金融をやろうとすればできますけれども、一般の市中銀行が、あの業界は不当な競争ばっかりしておる。先に見通しがない。貸しても果して返ってくるかどうかという点について、市中銀行は非常な不安を持っておりますから、金融を頼んでもなかなか容易に聞いてくれない。担保でも余分な担保を要求する。しかし、もしこれが競争がとまったと。あの業界は適正な金を確保できるということになりますると、政府がやらなくても、銀行が金を使ってくれという状態になってくるだろう、ということを私たちは想像するのであります。その上に国家がこれを助長する。そうしてこの日本の非常に遅れておる中小商工業者が急速にレベルが上って行く。大企業との開きが漸次縮小して行く。そこに労賃も必然的に上って行く。労働時間も必然的に短縮される。それが日本の正常にして健全な経済だと、私たちは考えるのであります。
 それを実行いたしまするためには、やはり基本的にこの団体法を実行することがまず前提である。これが通過して後に金融その他のものをやるのがいいという、実は考え方に立っておるのであります。
 ところが、滝川参考人はこれらの事情をあげて、社会党の法案のほうがいいという御意見のように承わりました。私たちは社会党の案を必ずしも否定するものではありませんけれども、社会党の案は御承知の通り、何でもかんでも団体交渉に持っていけと。政府案は民主的でない、自主的でない。社会党案は民主的である、自主的である。しかし背後には仲裁裁定という立法の背景を楯にして、これで一切をすませようとしておるのであります。ですが、私たちは労働団体はなるほど結束しております。しかし、これは目的が一緒であります。就業時間を短縮するとかあるいは賃金ベースを上げる、あるいは福祉事業をもっと拡大するとか、その主張が全部同じでありますから結束しやすい。いわんや同じ会社が単位組合になっております。どなたか音頭をとれば、反対する理由はありませんから結束できる。しかし、中小商工業者は各々が経営者でありまして、必ずしも目的と一致していないのであります。なるほど販売価格をもっと上げる。こうすれば、上がることに対して反対する方はないはずであります。が、そうはいかん。たとえば企業家のうちに非常に不当な競争が行われている。これを一つの組合を結成して調整事業をやろうじゃないか、と言うたところが、その中で一割や一割以上の方が、この際ほかのものの倒れるのを待って、そうして自分だけ残っていこう、従ってそういう前提で調整事業はおもしろくないという考え方に立って、調整業務に反対する方もあります。また規制命令をかけましても、何とかかんとか言って、監督が不行届きであるから、いわゆるこの利潤の追求にのみきゅうきゅうとして他を顧みない。自分だけが抜けがけの利益をあげようというような方もまた少くないのであります。要するに、そういう方はつむじ曲りといいますかあるいはあまりにも利潤の追求が強すぎるといいますか、そういう方がありまして、民主的に自主的にやろうといったところができるものではないのであります。
 そこでやはりどうしても組合の結束を絶対条件とするという立場に立ちまするならば、ここで四分の三以上の同意があるならば、これは民主的に考えましても半数の同意があれば成立つのであります。いわんや四分の三以上の同意があったならば、これこそほんとの民主的であると申し上げていいと思う。そうしてその上において、いかん方に対しては、法の力を借りて入ってもらう。それがその人のためにも利益であります。こういう方法を私たちはとりたいと思う。
 ところが、社会党のほうは先程来申し上げているように、何もかも団体交渉。およそ商売は信用であります。信用のないところに商取引はありません。相手から信頼感がなければ成立たない。その際にかような団体交渉、いわゆる労働交渉と同じような団体交渉をもって対抗しようという前提があって、商取引が果してうまく行くでありましょうか。私は悪く解釈すれば、日本経済を混乱に陥れる不安なしとしないという考え方を実は持っておるのでありますが、滝川さんはこの点についてどういうお考えを持っておられるかどうか。この点をお伺いしたいと思うのであります。
○滝川末一君 ただいま商工組合が調整事業と経済事業を併せ行うことができる。これは私もよく承知いたしておるのであります。しかし、今回新たに商工組合という法律を設けて、趣旨は、先ず第一に、調整を目的として作ったものだと思う。そこで私たちの言いますのは、先ほど申し上げました通りに、組合の自主性というものは何によって盛り上げてくるかということであります。もちろんこの調整事業というものは、当面の問題として非常に重要であるし、またやらなければならない問題であります。けれども、それ以前の問題として組合自体が、いわゆる産業の近代化、経理の合理化、あるいは金融、税制等の改革こういうことが並行しなければ、今日の中小企業は救われない。それに加えまして、調整事業を伴って行くと、いわゆるこれに「鬼はおるけれども金棒はなかったが、金棒を一つ与える」こういうようなことが今日の法律の立法の趣旨だと思う。そういたしますると、私は、何というても事業を伴う、このことですね、今新たに調整だけを目的として、あるいは調整に付随した事業もございますけれども、目的としては、いわゆる事業を中心にした事業協同組合に調整事業を伴わしめることの方が合理的ではないかというふうに、こういうふうに申し上げたわけであります。それからもう一つは、調整事業がうまく行けば、当然銀行の信用等も加わってきて、そして漸次、金融面も緩和するであろう、こういうふうなお話でございましたけれども、私はそう思いません。と申しますのは、今日の混乱の原因は何であるか、これは日本で、人口過剰からくる業者の非常な乱設であります。これがそもそもの原因であります。この乱設に伴っていろんなものが発生してくるわけでございますが、今、調整事業をかりにやりましても、そこに業者の乱設がどんどん行われてくる、いわゆる過当なる乱設が行われることになりますると、このいわゆる調整事業というものは、ますます困難になってくると思うのであります。そこで、私が先ほど申し上げましたように、まず国家的にみて、どういう事業をわれわれは育てなければならないかという、おのずから軽重の差がございます。この軽重の差をいわゆる政治家の方々によくみていただいて、ことに、公益的な事業に対しては、その事業の適正配置等も考えなきゃならんし、そして、そういうものを保護して、それから次には御承知の経済的に最も重要なもの、その他重要でないもの、こういうふうに、大体に、私は三段階に分けてこの措置をして行かなければならないと。そうしなければ、根本的に、私はこの問題は解決しないんじゃないか。そうかといって、そういう問題に今ただちにこれが解決できると思いません。そこで私の申し上げることは、ただ単にこの組合を作ったからだけでですね、いわゆる大資本の圧力とか、あるいはその他のこの産業調整の問題、問屋、メーカーの小売問題、こういうことがなかなか解決されそうにもないのです。そこで、どうしてもこの場合に産業分野の確保が必要である。大資本の過当な進出に対しましては、国の力がある程度までコントロールしなきゃならん。と同時に、いわゆる問屋が小売業をやることを許している間はとうていこれは小売業は安定しません。問屋の方で卸をしているのだと言われれば、どうにも言われない。従って、そういう問屋を明確にして行くことが、おのおのの業種を合理化する、こういうふうに思いますので、先ほどからいろいろ御質問がございましたが、ことに、仲裁裁定の問題でございますが、私は組合の自主性というものから申しますと、また先ほど申しましたように、公益的な重要なる業種に対しましては、私はこの法律の団体法によって強制加入もいいと思う。しかし、それ以外のものについてはそれほど重要ではないと思います。
 ただ最後に申し上げたいことは、団体でどういう魅力を持たすかということ、ただ単に、強制加入しただけでは魅力を持ちません。団体が公正なる価格を要求する、あるいは公正なる取引を要求するという場合に、その団体の力が相当に相手方に響くことにおいて、その団体が強化されるのですから、これはおのおのの見方が違うんでございます。しかも強制加入していった方がいいとおっしゃる方もありましょうけれども、しかし私は団体そのものに魅力を持たす上からいけば、どうしても団体交渉に相当の強化をすることが必要だと思う。
○首藤議員 あなたの今の適正配置であるとかあるいはその他の御意見も、一応私たちは理論的にはそれに同意いたします。私たちもその面を大いに検討してみたんであります。しかしながら、日本の現在の憲法は企業の自由でありますとか、それを抑えるということは容易ならん事態を招くおそれがありまして、一朝一夕にはこれはできかねるのであります。また仮りに強硬にやるといたしましても、たとえば大都市におきましてはお菓子屋さんであるとか餅屋さんであるとか、そういう方は製造であると同時に、小売をしなければ成立たん商売が沢山ございます。そういう面を検討した場合に、なかなかこれは思うようにいかん。
 そこで団体法におきましては、そういう問題が起きると、これは主として大企業であります。大企業が自らの生産という分限を越えて、小売まで進出する例が最近に非常に多いのであります。そういうことは調整審議会にこれをかけて、そうして個々の面においてこれを取扱ったほうが実際的ではないか、という考え方で、その面にこれをまわしておるのでございます。従って私たちは、この団体法はあらゆる面を検討いたして、まず現在のところではこれが最良のものではないか、むろん最良と申しまするのは、日本の憲法の許す範囲内でありますが、最良のものではないかという、実は考え方に立っておるのであります。ただ理論だけは非常に至難でありますが、実際問題になってきますと理論通りにいかないということをひとつ御了解願いたいと思います。
 なお設備の近代化、むろん私たちはこの国会で中小企業助成法というものを提案して、それで近代化をやろうという提案をしておりましたが、時間の関係上次の国会にこれを延すことにいたしまして、その構想を持っておるということをこの際申し上げておきたいと思うのであります。
 そこで私は工藤さんに伺っておきたいと思いますが、先程の公述の中で誤解をされておる点がありますから、その面をまず修正しておきたいと思います。
 工藤さんの御意見によりますと、公取に対しては調整規定の認可、命令の発動等に当って、単なる協議にとどまっており、安定法の場合に比して公取の権限を弱めておる、という御意見のように承りました。
 今回の団体法の内容をごらん願えば明瞭になりますが、安定法と全く同様でありまして、公取の権限を弱めている点は寸毫ありません。価格の制限に関しましても、公取の同意を必要とするということにいたして、むしろ公取の権限を尊重、強化いたしておるのでありますから、この点は誤解のないように御理解願っておきたいと思います。
 そこで私は工藤さんにお伺いしたいのは、先程来工藤さんの公述を聞きますと、この団体法は自由主義の精神に反すると。従って国家経済な発展を阻害するものであると。あるいはまた、輸出を阻害するものである。消費者の利益を犠牲にするものであるということが、主たる公述であると承りました。
 私たちは、自由経済はあくまでも尊重する立場をとっておるのでありまして、これを阻止しようという考え方は寸毫も持っておりません。ただ、この団体法を適用しようと思いますのは、いわゆる不当競争によって原価を格段に割って販売する。五円のものを四円に売る、三円に売る。そうして共倒れをする。それが共倒れだけでない。関連産業まで大きな影響を与える。そうしてそれが広く日本経済全体に非常な悪い影響を与えておる。これでは日本の健全なかつ正常な経済とは言えん。前途に非常な不安をはらんでおる。
 特に輸出の面におきましても、工藤さんはどういうふうにお考えになっておるか分りませんが、昨年日本の輸出量は二十四億八千万ドルという驚意の数字を見せました。表面的に見ますると、まことに喜ぶべきことでありますが、そのうちに中小企業の作った製品が六二%入っておる。六二%の大きなウエイトを持つところの中小企業の製品が、適正利潤を得て輸出されておると、あなたはお考えかどうか。遺憾ながら私たちの見るところによれば、そのうちの半分ぐらいはいわゆる出血輸出をしておるんじゃないか。輸出をすればする程企業体は弱体化する。
 現に日々の新聞で発表されておる通り、銀行集会所における手形、小切手の不渡り枚数がいかに大きい数に上っておるか、またその不渡り手形や小切手の発行者が、ここ十年間の統計を見ました場合、大企業といわれるのが数社であります。あとは全部中小企業者。そうしてですね、この輸出の面におきましてもいわゆる出血販売を限りなくやる。従って海外から見た場合、なるほど日本品は安いからといって飛びついたけれども、安値のものをあとからあとから売って出るから、一体日本品はどこまで安く売ってくるのであるか、とかえって警戒的な態度をとって、日本品を敬遠するという状態にあることは私たち見逃すことができない。また同時に、いわゆる安かろう悪かろう。皆なるべく損をしたくないから、できる限り品質を落す。そこで輸出したものにクレームがつく。日本全体の輸出製品の成果、信用というものが落ちるのであります。きわめて大きいのであります。
 従って、私たちは輸出はあくまでも伸していかなければならん。日本経済のために至上命令でありますが、しかし、さようだからといって、かような出血輸出を放任するということは、日本の経済のために決して喜ぶべきことではないと私たちは考えます。よって、どうしても正常な適正な利潤によって、そうして日本品の品質に対するところの信用を高め、価格が安定しておるという安心感を海外に与えることが、輸出促進の上において従来よりもさらに効果がある。私たちはかような見解を持っておるのであります。
 輸出の問題について、非常な影響をこうむるというあなたの見解とはまさしく反対でありますが、なおあなたはかような面においても輸出を阻害する、かような出血販売をそのままやった方がいいかそのようにお考えになっているのかどうか、この点をお聞きしたい。(拍手)
○工藤友恵君 御説明を伺って、私何から返事していいのか分りませんが……。輸出はこれが出血であるかないか、三〇%がどうであるかということは、これはですね、要するに分ることではないんでありまして、原料がどうなっておるかということも、これが自由企業のおもしろみでありまして、これは絶対に動かせないのであります。これを勝手にするのは見解の相違でしょうけれども――。私は必ずしも出血のみであったとは思いません。これは別の問題であります。
 ですから、出血してもいくら損してもいいんだと、そういう乱暴なことを言わずに、ただものが上れば輸出ができなくなる、これは間違いありません。ものが上って輸出ができなくなったら、日本の経済はだめになります。私が消費者優位性を言うのは、やはりものを安く作って、そうして海外へも出す、そういう点でありまして、先生から叱られて非常に困るのは、私は自由経済論者だから、あらゆるものにカルテルを作り、統制をやるというのは、自由経済とは私ども言わないのだから、その点ひとつ誤解のないように……。
○首藤議員 あなたは出血輸出の証拠がないから、これがほんとうかどうか分らんという御意見でありますが、いやしくも経済団体に職を持っておるあなたがかようなことを言われるということは……(拍手)
 現に輸出をしておりまするところの中小企業がどのくらい倒産しておりますか、(「やめろ」と呼ぶ者あり)このおびただしい倒産の事実に、あなたは目をつぶってはいけません。私たちは国家の大局から日本の正常な経済の発展を企図いたしております。従って輸出の面も消費の面も自由経済の発展のための面においても、あなた以上に私たちは常に関心を持っておるのであります。
 ところが、あなた方はどうも先程来のあなたの御意見を承わると、大企業のみの視野に立って、中小業者はどうなってもかまわんのだというように、結論づけるような印象づけるような御意見を聞いて、私は非常に遺憾に思うのでありますが、私たちは先程申した通りに決して自由経済を否定するものではありません。あくまで自由経済でなければならないという信念を持っておりますが、しかしながら、さように原価を切って乱売すると、これは一つの経済界の病気だと思います。そこでしばらく団体法、いわゆる調整事業という病院にこれを入れて、そして需給のバランスを合わして、適正な利潤を得るところまで政府はこれを見てやりたいと。(拍手)
 それでいよいよこれが安定して、この適正な利潤が確保できるようになったと思われるときには、直ちにこの商工組合の解散を命じます。そしてふたたび自由企業にこれを復帰させる、ということがこの法案に明示してあります。
 すなわち経済はあくまでも自由経済であると。各人の熱意、創意、工夫、これによってこそはじめて経済は発展し進歩するのであります。従って、それを阻害するような行為は、これはあなたでなくとも私たちもやりたくないんでありますけれども、しかし今の日本の現状から考えますと、しばらく病人を病院へ入れてこれを治療してやる。治ったら、また元に返してやる。そうすることのほうが、このまま自由経済だ、自由経済だと、何もかも各自の力に委してやったほうがいいという考え方による結果よりも、このほうが日本経済全般に対していい結果を示すであろうということを、私たちは期待しているのであります。(拍手)
 そういう考え方に立って、そうしてこの調整事業をしばらくの間やらせるというアイデアでありますが、それでもなおあなたは、自由経済に反するものであると、国家経済に逆向するものであるという考え方で反対されるかどうか、この点を伺っておきたいと思います。
○工藤友恵君 先生の目的と先生の認識だけが正しいものならば問題はないはずであります。私どもとしては、この結果が統制経済になるということは、ものが高くなるということは、消費者を代表した方からもおっしゃったのでありますが、そういうことがあっては、中小企業自身の将来の育成はできない。そういう前提で……(「電灯料を下げよ」と呼ぶ者あり)その前提で反対するので、先生が自分たちの都合のいい論理で……(「うそつき」「やめろ」の野次多し)……。
 私は統制経済になったら、そういう危険があると。消費者優位の経済がだめになると。そうして輸出がだめになると。私の認識の上に立って議論しておるんですけれども――。そういう私の議論の上で返事をさせていただきます。
○首藤議員 あなたは穏やかでないことを申される――。私に都合のいいことを私は申し上げておりません。私たちは国家の大局から見て、こういう場合にはこうすべきである。こういう場合にはこうすべきであるという考え方に立って意見を申し上げておるのであります。
 しからばお伺いしますが、大企業の今日の繁栄は、すでに国民全部が知っておるところであります。ところが、その大企業が終戦後十二年の間に国家からどのくらい資金の援助を受けておるか。(拍手)また税制の面においてどのくらいな特別措置を受けておるか。(「電灯会社から何ぼもろとんねん」と呼ぶ者あり)はっきり数字を申し上げますと、開発銀行から出ておる金額だけでも、大企業に対して昨年末で五千何百億という金が出ておる。中小企業には六〇何パーセント、数から言えば九八%が中小商工業者です。二%が大企業と大商店であります。それにもかかわらず、この二%の大企業に対して開銀だけから五千数百億、九八%の中小商工業者に対して商工中金、中小企業労働公庫、国民金融公庫、この三つを通じてわずかに千四、五百億より出ていないのであります。
 率直に申しますると、大企業の今日の繁栄は政府の格段の援助の賜であると、私は申し上げていいと思う。(拍手)ただし、私たちは敗戦によって荒廃した日本の再建は、やはり基幹産業から先に振興しなければならんと。それがためには、政府がかような基幹産業に格別の援助をすることはこれは当然だという、実は見解を持っておりますから、そのことに対して私たちはかれこれ申しません。しかし、とにもかくにも、大企業今日の繁栄は政府からあらゆる面において格段の援助を得たことは、これは議論の余地はありません。
 そこで私たちは、一応基幹産業の大企業が今日のところまで発展し、自力ができるようになったから、今度は遅れておる中小商工業者を何とか振興するような方法を取らなければならん段階にきたと。それがためにはもろもろの対策はありますけれども、急拠この団体法をまずやり、その次に小売振興法をやり、中小企業助成法をやり、そうして金融税制の面をやるならば、大体中小商工業者は振興するのではないかという考え方に立っております。
 これらに対して、私は、経済を知らん方が反対するならば、私はかれこれ申しません。けれども、経済の中枢である経済連合会の事務局におるあなたが、全く経済を知らんようなことを言われる。(拍手)あなたが政府から格段の援助を受けて繁栄したことは何も言わずして、そうしてこの中小商工業者に対する対策に対してかれこれ反対されるということは、私はどうかと思う。
 ことにですよ、あなたは先程独禁法をしきりに言われたが、今日ですね、カルテルをやってるのはおおむね大企業ではありませんか。たとえは一例を挙げると、テレビの機械をごらんなさい。一四吋が何ぼである。一七吋が何ぼである。二一吋が何ぼである。会社は七つも八つもありますが、新聞に発表される値段は全部同一ではありませんか。完全なカルテルを行なっておることがこういう結果になっておるのであります。それも私たちは言いません。消費者の利益を阻害するということであるならば、まずこういうことから大企業も自ら反省してもらわなければならん。けれども、私は立法府であるから、その点あなたより私たちが私えなければならん問題ですから、これ以上申しません。
 同じ業者が何千何万とあるのが中小商工業者です。カルテルなんか夢にも考えられない。せめてこういう国家の力によって病人を救済する。そのくらいはやらねばならんと。中小商工業者の立場を考えて、むしろこれを支持し促進して行くよう協力してしかるべきではないかと私は考えるんです。それを真っ向から反対されるということは、この法案ができてあるいは非常な損害がありゃせんか。その損害があるということは、今日までにいかに圧迫しておったかということを私は表明するというような印象を受けるのでありまして、その点も私非常に遺憾でありますが、しかし非常に時間がかかりますから、これ以上あなたと議論をいたしません。
 ただ私たちは、以上申し上げたような精神で日本の非常に遅れておる中小商工業者を、この際何とか日本の正常な健全な経済状態をつくるためには、中小商工業者に格段の国家の力によって育成するということが一番望ましい。そして、それがためにはこの立法が一番適当であるという考え方に立っておりますから、この点ひとつ経済人におきましても是非とも御協力いただきますることをお願いいたしたいと存ずるのであります。(拍手)
○班長(小平議員) 以上をもってこの会議を閉じることにいたしますが、この際一言お礼を申し上げます。本日は御多用中にもかかわらず長時間にわたる貴重な御意見を御開陳下さいまして本委員会の今後の審査に多大の参考となったことを厚く御礼申し上げる次第でございます。なおこの会議開催に当り府当局その他の方々の御協力を受けましたことに対し満腔の謝意を表するものであります。傍聴者の諸君も長い間御苦労さんでありました。
 以上をもってこの会議を散会することにいたします。
   (午後四時十五分閉議)
    ―――――――――――――
 衆議院商工委員会
  現地調査会(一)
   昭和三十二年四月二十六日
        名古屋商工会議所
   派遣委員報告書
     第二班(名古屋市)
  昭和三十二年四月二十六日名古屋市商工会議
 所会議室において中小企業団体法案並びに中小
 企業組織法案外二案について現地調査会を開催
 し関係者より種々意見を聴取したのでその詳細
 を別紙の通り報告する。
 (別紙)
   第二班(名古屋市)現地調査会記録
 一、派遣委員
班長 小笠 公韶君(自由民主党)
   阿左美廣治君(  同  )
   永井勝次郎君(日本社会党)
 一、事務当局
   葉林 勇樹君(商工委員会調査員)
 一、政府側
   今井 善衛君(中小企業庁振興部長)
   福井 政男君(名古屋通商産業局長)
 一、意見陳述人
   江崎富次郎君(愛知県中小企業等協同組合
    中央会会長)
   永井 嘉吉君(名古屋商工会議所中小企業
    委員長)
   恩田 茂一君(愛知県時計小売商組合連合
    会会長)
   三井 弘三君(日本陶業連盟専務理事)
   村瀬 重時君(愛知県下駄工業協同組合理
    事長)
   間瀬 鋼平君(NEP協同組合理事長)
   渡辺 治彦君(日本毛織物工業協同組合理
    事長)
   竹内  茂君(名古屋教員組合委員長)
   竹内  弘君(名古屋国鉄労働組合副委員
    長)
    ―――――――――――――
   (午前十時十分開議)
○班長(小笠議員) これより現地調査会を開催いたします。
 不肖私がこの会の座長を勤めますのでよろしくお願いいたします。
 この際、私から派遣委員を代表して一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は、政府提案にかかる中小企業団体法案並びに日本社会党提案にかかる中小企業組織法案、中小企業の産業分野の確保に関する法律案及び商業調整法案の各案について、各界の代表の方々の御意見を伺うことになっておりますが、御意見を伺う前にこの現地調査会開催の趣旨並びにこの会議の運営方針等につきまして、念のため申し上げておきたいと存じます。
 この会議は、今回提案されました中小企業団体法案並びに中小企業組織法案ほか二案の審査の参考に資するため、衆議院商工委員会が衆議院規則第五十五条の規定に基き、議長の承認を得まして正規の手続により委員を派遣し、御地の各界の代表者の方々の御意見を聴取することになった次第であることを御承知おき願いたいと存じます。陳述される方々におかれましては、御多用中のところ御出席いただきまして、厚く御礼を申し上げます。
 御承知の通り、現下の中小企業の実情にかんがみまして、中小企業振興のための最も基本的な方策として、その組織を充実し、団結の強代をはかることが喫緊の急務であり振興方策であると思います。本日御意見を伺うことになっております政府提案にかかる中小企業団体法案も、また日本社会党提案にかかる中小企業組織法案ほか二案も、かかる見地より提案されたものでありますが、本委員会におきましては、さる四月四日付託されまして以来、ほとんど連日これらの法案の審議を行い、あらゆる角度から慎重に検討を加えておる次第であります。その内容につきましては、それぞれ簡単に説明があることになっておりますが、これらは、ともに中小企業者の経営の向上と安定に関し重大な意義を有するとともに、一方関連事業者、消費者、その他に対しましても少からぬ関連を持つものでありまして、今後の中小企業界ないしは国民経済の動向に重要な画期をもたらすことは予想されるところであります。かねて世上に活発な論議が行われておりますことは、関係者のみならず、一般の関心が高まっておることを示すものであろうと存じます。かかる意味合いにおきまして、この際、広く各界の意見をも聴取し、審議に遺憾なきを期するため、一昨日は国会内において参考人の意見を聴取し、本日は御当地名古屋におきましてもこの現地調査会を開催いたした次第であります。
 以上の趣旨をおくみ取りの上、それぞれ忌憚のない御意見の御発表を願い、本法律案の審議に御協力下さるようお願いする次第であります。
 本日、ここに出席いたしております派遣委員を御紹介いたします。
 派遣委員は、不肖自由民主党小笠公韶、次に自由民主党阿左美廣治君、日本社会党永井勝次郎君であります。
 なお、事務当局より商工委員会調査室調査員葉林勇樹君が、また中央より中小企業庁振興部長今井善衛君が、及び名古屋通商産業局長福井政男君が出席いたしております。
 本日御意見をお述べいただく方々は、愛知県中小企業等協同組合中央会会長江崎富次郎君、名古屋商工会議所中小企業委員長永井嘉吉君、日本毛織物工業協同組合理事長渡辺治彦君、名古屋教員組合委員長竹内茂君、愛知県時計小売商組合連合会顧問恩田茂一君、日本陶業連盟専務理事三井弘三君、愛知県下駄工業協同組合理事長村瀬重時君、NEP協同組合理事長間瀬鋼平君、名古屋国鉄労働組合副委員長竹内弘君、以上九名の方々であります。
 なお、この機会に申し上げておきますが、この会議の運営等につきましては、すべて衆議院の委員会運営に関する議事規則及び議事手続に準拠して行うことにいたします。議事の整理あるいは秩序の保持等は、班長たる私が会議の主催者としてこれを行い、傍聴等につきましても、報道の任務にあたる方その他の方々で特に班長の許可を得た方にのみこの会議室にお入りいただいているわけであります。傍聴の方々もこの点を十分御了察の上、静粛にお願いいたしたいと存じます。
 次に議事の順序といたしましては、まず中小企業団体法案につきまして中小企業庁振興部長より説明をいたし、その後日本社会党提案の中小企業組織法案ほか二案につき永井勝次郎君より御説明をいたします。説明後御意見を伺うことになりますが、御意見御開陳の時間は御一人おおむね十五分以内にお願いすることとし、その順序は勝手ながら座長におまかせを願いたいと存じます。なお、御意見御発表の後委員の側から種々質疑のあろうかと存じますので、お含みの上お願いいたします。
 なお、この会議は説明会ではありませんから、御意見陳述の方々からは委員に対し質疑はできないことになっておりますので、御了承を願います。また、御発言を願う際には班長の許可を得てから御発言をお願いいたしたいと存じます。
 それでは、まず中小企業庁、今井振興部長より政府提出の中小企業団体法案に関する説明をお願いいたします。
○今井中小企業庁振興部長 中小企業団体法案について御説明いたします。
 政府は、中小企業の振興をはかりますため、昨年の六月内閣に中小企業振興審議会を作りまして、そこに中小企業者の代表者並びに学識経験者に委員になっていただきまして、中小企業対策を審議、検討していただいたのでありますが、その答申としましては、政府はすべからく中小企業に対する金融問題、税制問題、合理化問題につきましてなお一層の努力を払いますほか、特に中小企業の組織強化につきましてこの際新しい法律を設けるようにという答申をいただいたのであります。
 中小企業の業界として最も望んでおられますことは、もっと金融を円滑化してもらいたい、あるいは税金が重いからもっと減税してほしいということであろうと思います。中小企業が大企業に対抗いたしまして生きるためには、どうしても合理化が必要なわけでございまして、従いまして、どうしても金融を受けなければならないということになるわけでございます。ところでわが国の中小企業の業界を見ますと、個々の中小企業が非常に資力が弱いこと、のみならず数が非常に多い上に年々中小企業者の数がふえる傾向にございまして、従いましてその間どうしても行き過ぎた競争が行われ、その結果業界自体が非常に苦しんでおられるということになっております。せっかく合理化をしようと思いまして、金を借りまして合理化をしても、十分その効果が、過当競争の結果、あげられないというふうなことになっております。従いまして今後合理化を進めて参りますにつきましても、あるいはそのために業界の安定をはかります上におきましても、この際組織を従来以上に強化し、業界の自覚によりまして団結を強め、一定の規律を作って、それを皆さんが、中小企業が守っていくということが最も必要である。従いまして、この際中小企業の団結を強めるための法律を出したいと考えたわけでございます。
 御承知のように、中小企業の組織といたしましては、従来協同組合法に基く協同組合と、中小企業安定法に基く調整組合と二つございます。協同組合は、業界の同志的結合によりまして経済事業を行うことによって合理化を進める組織でございまして、中小企業界に正常な競争が行われ、何と申しますか、正しく運営されているときに最も適する仕組みでございます。ところで、先ほど申しましたように、業界に過度の競争が行われ、その結果非常に業界自体が不況に苦しんでおるという場合におきましては、今まで認められている調整組合は、いろいろの意味におきまして内における固め方も足りない、あるいは外に対する力も足りないと、いろいろ欠点もございましたので、この際調整組合を廃しまして、もっと団結力の強い商工組合を認めて、それによりまして業界の安定をはかっていこうというのが法案のねらいでございます。
 団体法の中には、従来の協同組合は業界の自発的な合理化に対する組織として従来通りに規定いたしまして、そのほかに、ただいま申しました商工組合を新しい制度として設けておるのでございます。従いまして、従来の調整組合を廃しまして、商工組合を認めたということがこの法律の第一点であります。
 従来の調整組合はいわゆる調整事業だけよりできない。共同経済事業はできないという点につきましていろいろ業界からも不満があります。つまり設立が二重になっておりますために、その間いろいろむだもありますし、それから調整事業に伴って当然やらなければならないような共同経済事業もできないということがありましたので、従いまして、今回の商工組合におきましては、調整事業のほかに経済事業もあわせて行うことができるというふうにいたしたのでございます。
 それから第二点といたしまして、いかなる場合に商工組合を作り得るかということでございますが、工業のみならず、たとえば建築業、あるいは運輸業、あるいは商業、サービス業、こういうあらゆる業種につきまして競争が過度に行われ、その結果業界が非常に不安定になっておるという場合には設立を認めることにいたしましたのが第二点でございます。
 従来の安定法によりますと、業種を政令で指定しまして、しかも工業だけに限りまして調整組合の設立を認めていたのでございますが、商業、サービス業につきましても、もちろん不況に悩んでいる業界がたくさんあるのでございまして、従いまして、業界が自主的に自分たちで規律を作り、その不況を克服していきたいという希望をできるだけかなえていくのがやはり筋ではないかと考えたわけでございます。しかも、政令でもってその都度その都度業種を指定しております結果、非常に時間的にタイミングが合わない。つまり、ややもいたしますと時期が遅れて不況克服の効果を減殺するというふうなこともございましたので、今回は、不況によりましてその業界が非常に困難に直面しておるという業界につきましては、商工組合を認めることにいたしたわけでございます。ただしこの業界の自主的な調整の意欲というものをできるだけ尊重しなければならないのはもちろんでございますけれども、他方それによりまして業界自体の調整が行き過ぎになる、つまりそれによりまして消費者に迷惑をかけ、あるいは関連事業者に迷惑をかけるというふうな場合におきましては、この設立の際、いかなる調整事業を行うかということもあわせて検討いたしまして、消費者に迷惑をかけるとか、かけたというふうな事業が予想される場合には設立を認めないということにいたしまして、でるきだけさようなことのない限り、業界の意思を尊重しまして組合の設立を認め、そこで調整事業をやってもらうというふうにいたしたいわけでございます。
 調整事業につきましては、これは従来の調整組合における調整事業とほぼ同様で、つまり工業部門については、あるいは設備につき、あるいは生産数量につき、あるいは原料の購入方法、製品の販売方法につきまして一定の調整ができる。あるいは販売業者の組織としての商工組合におきましては、製品の仕入れ、あるいは販売方法につきましていろいろの調整ができるということになっておるわけでございまして、価格協定につきましては、これは消費者に最も影響がある問題でございますので、従いまして、たとえば生産に関するいろいろの調整事業、あるいは販売方法に関するいろいろの調整事業をいたしましても、なかなかうまくいかない、このよくよくの事態におきましてはじめて価格協定というものが考えられるわけでございまして、しかもその際消費者の利益を守るところの公正取引委員会の同意を得なければやってはならないというふうにいたしておるわけでございます。
 次に第三点といたしまして組合交渉に関する規定を新しく認めたのでございます。従来の調整組合におきましても、たとえば、取引関係にございますところの、たとえば、工業で申しますと原料を買う場合、あるいは製品を売る場合につきまして相手方と団体協約ができるという規定はあったのでございますが、それだけではまだ不十分である。中小企業界は非常に原料高、製品安ということで悩んでおりますので、従いまして、組合だけの力では十分いかない。外部の協力も仰がなければならないという場合が非常に多いわけでございまして、外部と話がまとまります場合はこれは団体協約ということになるわけでございますが、その話し合いの過程におきましていろいろのむずかしい問題が起る。その際に、組合が成規の手続によりまして、相手方に組合交渉の意思を表明いたしました場合におきましては、それを受けました相手方は誠意をもって措置しなければならないということにいたしたのでございます。その意味は、相手方は正当の理由がなければこれに応じなければならないということと、さらに進んで誠意をもって話し合いを進めてほしいという意味でございます。さらに、話し合いがどうしてもつかないという場合におきましては、このために特に設けられました調停審議会の意見を聞いて主務大臣が両当事者に勧告をすることになっておるわけでございます。ただ、この組合交渉のやり方につきまして、これは取引関係あるいは競争関係にある方々と交渉するわけでございまして、これは通常の商取引の相互形態ということでございますので、普通良識をもって話さなければならないのは当然でございまして、これによりまして、たとえば背景に実力行使的なものがあってはならないと考えるわけでございまして、従いまして、この交渉の手続につきましては、行き過ぎにならないように法律でもって規定してあるわけでございます。交渉ができませんでした場合には、先ほど申しましたように、主務大臣の勧告ということにいたしておりますが、その際、たとえば労働協約の場合における裁定という制度はとっておりません。これは事が取引の関係に関しますので、従って物事を敏速に解決しなければならないという趣旨と、それから事柄自体が私契約上の問題でございますので、従ってあくまで両者間で話し合うことが必要ではないか。また第三者による裁定というふうなことになりますと、どうしても裁定せられた組合だけがある意味におきまして営業が制限される。そうじゃない場合には営業が制限されないというふうな、法の前における不公平という問題も起りますので、従いまして、そのような問題はやはり国自体が責任をもって解釈すべきではないか。あとで申し上げますアウト・サイダーに対する規制はやはり国自体で責任をもたなければならないのじゃないかと考えまして、裁定というふうな制度は全くないことになっております。
 次に第四点といたしまして、アウト・サイダーの規制の方式に関しまして、新しく加入命令の制度を設けたことでございます。商工組合といたしまして、自分で調整規定という規律を作りまして組合員自体がそれを守ろうといろいろと努力をしておるにもかかわらず、なかなか外部に強力なアウト・サイダーがあるために規律がうまく守れない。その結果、業界自体が非常に不況になっておりますのみならず、ひいては国民経済全体についても影響があるという場合におきまして、アウト・サイダーにもどうしても組合に協力してもらう必要があるわけでございまして、その協力の方法といたしましては、従来中小企業安定法によりますれば、国が直接命令を出しましてその組合の調整に従わしめるというふうにいわゆる服従命令を出していたのでございます。しかしこの服従命令と申しますのは、この命令に違反いたしますれば罰則その他によって取締りを確保できるというふうな点はございますけれども、ややもいたしますると国の権力によりまして、アウト・サイダーの協力の精神が薄れてくるという、いわゆる官僚統制的な欠点があったのでございます。またそのほか、経費やあるいは取締りの面におきましても不公平、イン・サイダーとアウト・サイダーとの間に不公平を生じまして、正直者がばかを見るというふうな結果を招いていたわけでございます。で今度加入命令を新しく認めましたのは、さような、国が直接やります服従命令というふうな措置よりも、その組合が非常にしっかりしておりまして、しかもこの外部におりまするアウト・サイダーの協力を得ますれば、つまり中へ入ってもらっていろいろ話し合えば、問題は解決する見通しがあるというふうな場合におきましては、国が中小企業者に限りまして加入命令を出しまして、そしてその組合の中に入ってもらって、組合の中で話し合って民主的に解決してもらいたいという趣旨でございまして、さような加入命令を新しく制度として作ったわけでございます。もしこのアウト・サイダーの活動が中小企業でなくて主として大企業にあり、中小企業だけその組合に入ってもらいましてもうまくいかない、どうしても大企業の協力を得なければならないという場合におきましては、従来安定法に認められておりましたアウト・サイダー規制命令の制度もそのまま残っておりまして、従いまして、このいずれの制度でいくかということは業界で慎重に検討していただきまして、業界の方でこれは加入命令で物事が解決できるという場合におきましては加入命令の申請がございましょうし、あるいは大企業の非協力によりまして物事がうまく解決つかないというふうな場合には、どうしてもやむを得ず従来の服従命令、そういうものの申請があるわけでございまして、従いまして、その申請がありました場合には政府におきまして安定審議会に諮りまして、そして行き過ぎではないかとか、あるいはこれによって物事が十分解決できるかというふうないろいろのことを検討しまして、その結果として結論を出して命令を発するということにいたしておるのであります。
 以上四点が今回の法律の骨子でございますが、これに関連しましていろいろ問題があるわけでございますが、それに若干触れますと、まず第一には消費者にこの制度によりまして不利益を及ぼさないかどうかという点でございますが、この法律によりまして、新しく工業のみならず商業、サービス業に対しましても組合の設立を認めたのでございますので、商業、サービス業におきましても、その業界安定をはかるために一定の規律を作って、そしてその活動をしていくことを認めたわけでございますが、ややもいたしますと商業、サービス業におきましては、価格協定を作って消費者に迷惑をかけかねないという感もあるわけでございますが、先ほどもちょっと触れましたように、価格協定というのはよくよくの場合でなければできない。しかも公正取引委員会の同意を得なければできないという建前にいたしまして、非常に慎重を期しておる次第でございます。また、この業界の実情といたしまして、商業、サービス業は、これはサービスなりサービスの内容なり、あるいは値段によってお互いに競争しておるわけでございますので、従ってこの価格協定というふうなことは業界自体としてよくよくの場合でなければできない。ほとんど大部分の業界におきまして価格協定というのはできないものであるとわれわれはまあさように考えて、この法律によりまして消費者の利益を害することはまずまずないと考えております。
 次にこの法律によりまして統制経済に移行しはしないか、あるいは官僚統制にならないかという点が問題になるのでございますが、私どもといたしましてはさような懸念は万々ないというふうに考えております。元来中小企業は非常に自主独立の精神の強い業界でございますので、従いましてよくよく不況が深刻になりませんと、自分の手で自分を絞めるというふうなことはしないわけでございますので、従いまして、組合を作って調整事業をやりたいということは、これはさような業界がやむにやまれず持ってこられるわけでございまして、その場合に私どもとして受け身の立場でもってそれに協力していくという関係にあるわけでございます。あくまでもイニシアチーブは業界にありまして、役所は受け身の立場でそれに力を貸すという立場にとどまるべきでございまして、また先ほど申し上げましたアウト・サイダーに対する規制の問題にいたしましても、これは業界としてあらゆる手を尽しましたがどうしてもアウト・サイダーに対してうまくいかない、何とか国の力を借りてやりたいという申請がありました場合に、初めていろいろ慎重に検討いたしまして、国がこのうしろだてになるという性質のものでございまして、従いまして、これによりまして官僚統制に移行するという筋合いでないと、われわれはさように信じておるわけでございます。
 大体この商工組合の設立によりましてこの不況が克服され、さらに団結が強化されることによりまして中小企業の金融問題あるいは税制問題、あるいは合理化問題、それからほかのあらゆる問題がそれに並行され、かつそれが基盤となりましていろいろの施策が進んで参りまして、中小企業の振興に寄与するものと確信しております。
○班長(小笠議員) 永井勝次郎君より中小企業組織法案ほか二案に関する説明をお願いいたします。
○永井議員 ただいま紹介をいただきました日本社会党の永井でございます。
 本来ならば当県選出であり、商工委員会においてこの方の権威として大いに活躍しております春日一幸君、加藤清二君等がこちらに見えるべきはずでありますが、衆議院の慣例によりましてその県選出のものはその県で催す議会の公式な会議には出られないということになっておりますので、私がかわってこちらにお伺いをいたしましたわけでございます。
 ただいま座長からお話のありました通り、わが党の提出しております関係法案は、中小企業組織法案、産業分野の確保に関する法律案、商業調整法案、それから中小企業組織法の施行に伴う関係法律案の整理に関する法律案、これらの法案でございます。わが党はさる二月の十三日にこの法案を提出したのでありますが、政府の団体法案が非常に遅れましたために、しばらくの間、二カ月近くたなざらしになりまして、ようやく本月の四日に衆議院、八日に参議院で提案説明をするという運びに至りましたわけであります。
 今日中小企業の悩みは過度の競争、原料高の製品安、金融難、税金高、施設の不備、技術の後進性、外資導入の圧迫等々数え切れないほどありますが、要約すれば政府の大企業超重点の施策、中小企業へのしわ寄せがその大きな原因でありますことはもはや明々白々たる事実となっているのであります。経済企画庁の昭和三十一年六月現在で資本金一千万円以上の大企業二千四百六十社、一千万円以下の中小企業法人十八万二千六百社を調査した結果によりますと、売上高は前年に比べ大企業は一九・八%の伸び、中小企業は二三%の伸びで、中小企業が大企業よりもはるかに上廻っておるのであります。しかるにその営業利益は前年に比べ大企業は五六・七%と飛躍的に増加しておるのにかかわらず、中小企業はわずかに三・三%にすぎません。神武景気といわれる状況のもとにおいてすら、前年の利益率よりも下廻るというみじめな状態になっておるのであります。さらに売上高に占める構成比を見ますると、大企業は原料費が非常に減って人件費は若干増加しております。中小企業は原料費が相当にふえ人件費は逆に下っております。中小企業が生産を増加しながら原料高の製品安となり、収益が減って奴隷的低賃金にしわ寄せせられ、いかに大企業に搾取されているかが如実に示されておるのであります。
 このような実態の中でただ一片の組織法を制定するだけで法的強制を伴う中小企業の組織化をするならば、これは逆に独占資本による系列化の目的に利用され、あるいは組合の内部にあけるボス支配をもたらすこととなり、末には零細企業者が強権によって整理される結果に陥りますことは明らかに予想されるところであります。消費者の利益が守られないことも言をまちません。そこでわが党はここに提出いたしました三法案を三位一体の骨組みとし、つづいて金融、税制その他産業経済関係立法十数件、行政措置種々四十数件を肉づけとして提案を準備しております。わが党の中小企業対策は国の産業経済全体の中で考え、法律だけではなく所要の財政経済的裏づけを並行せしめ、その実行を期待せんとするものでありますことを御了承いただきたいと存ずる次第であります。
 以下三法案につきまして御説明を申し上げます。
 第一は中小企業組織法案についてその大要を御説明申し上げます。
 本法案は現行の中小企業等協同組合法及び中小企業安定法を発展的に統合吸収し、さらに新規の共同組織を加え、それぞれ特異の機能を賦与することといたしました。
 本法案の目的は中小企業者がその経済的地位を高め、あるいは安定をはかり、もって国民経済の健全な発展に資するに必要な共同化の組織を促進強化せんとするにあります。そのためには特に国の義務として中小企業の税制、金融はもとより経営技術等々に各般の振興助成策を積極的に行わなければならぬ旨を規定いたしてあります。
 本法案では中小企業とは常時使用する従業員の数が工業では三百人以下、商業またはサービス業では三十人以下で、かつ資本の総額が一千万円以下のものと定義したのであります。
 組合の種類は従来の事業協同組合、企業組合、調整組合はそのままとし、ほかに新たに零細経営者のための勤労事業協同組合、また火災共済協同組合、事業調整協同組合の三つの組織を加えることといたしました。このうち調整行為を行う組織については、現行中小企業安定法に基いてすでに設立されている調整組合はそのまま認め、これから新たに設立しようとするものはすべて事業調整協同組合とすることといたしてあります。
 次に各組合について御説明を申し上げます。
 事業協同組合、信用協同組合、企業組合。おおむね現行の中小企業等協同組合法の規定に準ずることといたしておりますが、このうち事業協同組合については時に団体交渉権並びに団体協約権を賦与することといたしました。
 勤労事業協同組合は特に零細事業を対象とするものであります。従来の中小企業政策の盲点としてその政策の死角に取り残されておりました零細業者を特に育成するための新しい協同組織であります。生活のためにみずから働く階層でありますから、資本制事業ではなくて勤労制事業というべく、企業というよりは生業として区別さるべきものと考えるのであります。従業員十人以下、商業またはサービス業にあっては従業員二人以下の事業者をもって組織し、社会政策を加味した立場から金融上、税制上特別の措置を講ずることといたしております。わが党の特に苦心を払っておるところのものであります。
 火災共済協同組合について申し上げます。
 わが国の損害保険事業は農業共済、漁船保険等の一部を除きましては少数の営利会社に独占されており、その保険料率は各社の協定によりはなはだしく高いため、損保普及率はわずか二〇%内外という低さであります。一般中小企業者は容易に加入し得ない実情に置かれておるのであります。よって中小企業の火災保険事業をこの組織によって行い、その足らざる点を補わんとするものであります。本組織は出資の総額百万円以上、組合員一千人以上の参加によって設立され、共済金給付契約高は三百万円を限度とし、その連合会には再保険事業を行わしめんとしておるのであります。料率はずっと低くなります。余剰資金は組合員の共同資産として蓄積されるわけであります。これが普及により中小企業者が不時の災害に対し、みずから保険態勢を確立し得ることになろうかと存ずるのであります。
 次に事業調整協同組合について申し上げます。
 この組合は経済事業と調整事業をあわせ行う共同組織で、これが本法案を中心となるべきものであります。従来の中小企業安定法に基く調整組合は、過度の競争もしくは不況に対する事後的救済対策としての価格協定、数量制限などの調整事業を行うことを建前としておるのでありますが、本組織はそのような事態に陥る前に予防的に常時適当なる調整を行い、不公正かつ過度の競争を収束せしめ、企業の適正利益を確保せんとするものであります。しかしながらこの調整機能のもたらす影響の重要性にかんがみ、本組合の設立にあたっては時に消費者並びに関係業者の利益をも考慮することといたしております。対象業種はその生産実績が中小企業に圧倒的に多い業種、国民経済にも重要な地位を占め、国民の日常生活に密接な関係のある業種であって、しかもそれが過度の競争により健全な運営が阻害されている場合に限っているのであります。また組合の中における反対意見と少数者の主張が十分に反映され、不当に抑圧されないように加入、脱退の自由の原則を建前として、あくまで懇談と納得に基く民主的な運営を期しておるのであります。同時に大企業が参加する場合の要件として大企業が加入しなければ調整機能が全うされない場合、しかも大企業が加入しても中小企業者の自主性が阻害されない場合と厳密に制限される。組合の自主的運営の確立を期しておる次第であります。さらに正当な主張に基く適正な調整組合活動に対し、もしその組合が決定に服しない不公正な業者があってそのため調整効果が確保できない場合には、政府案のような強権によって強制的に組合に加入せしめ員内統制を行う。あるいは刑罰をもって臨むというような非民主的な手段はとらず、学識経験者、中小企業者、消費者、労働者等の代表により民主的に構成された調整委員会の裁定に従わしめることといたしておる次第であります。
 次に本法案のもう一つの重要な点は事業協同組合、勤労事業協同組合、事業調整協同組合に対し団体交渉権、団体協約権を賦与したことであります。これによって中小企業者は一体となり親企業に対しその間に単価、支払い条件に関し団体協約を結ぶ等の交渉、その他商品、原材料の仕入元との間に取引条件についての団体協約を結ぶなどの交渉を行うことができるようにしておるのであります。団体交渉が不調に終った場合には先ほど申し述べました調整委員会に申請されその公正な裁定に従わしめることといたしております。もとより組合活動の公共性と消費者の利益は、この団結権によっていやしくも損傷されることがあってはならないのでありまして、そのために本法案は常に公正取引委員会の正当な関与を規定しておるのであります。
 以上御説明申し上げましたように本法案は中小企業者の自主的な共同組織の促進を通じて中小企業の経済的地位を確立し、あわせて一般消費者の利益をも含めた国民経済の健全な発展を期待しておる次第であります。
 次に中小企業の産業分野の確保に関する法律案について申し上げます。
 この法案の目的は中小企業に適正な産業分野を与え、その産業分野に対しては大企業の進出を規制し、もって中小企業の地位を確保しようとするものであります。
 基準は生産方式が特に中小企業に適正と思われる業種で、かつ従来その生産実績が中以下の業種に圧倒的に多い業種を原則としてこの法律で規定することにしておるのであります。しかしながら現状では鶏口の口であり複雑な諸要素を検討する必要がありますので、当面は中小企業の安定法に指定する業種、機械工業振興臨時措置法に規定する業種、また当然適格要件を備えておると考えられる手工業生産の業種、地方的特産の業種などを指定することといたしております。将来は適正な産業構造の確立という観点から中小企業の共同化、近代化を促進しつつ対象業種をふやしていく必要があろうかと考えておるのであります。
 こうして指定された業種については大企業の新規開業、施設の拡張を禁止しております。また資本的に人的に支配する中小企業たる代理店等を通じて行う脱法行為はむろん許されないことであります。既存大企業が現に行っておる活動によって中小企業の存立に重大な悪影響を与えている場合には主務大臣は制限命令を出すことができるようにしております。しかしながら中小企業の保護を重視するのあまりわが国経済の近代化、発展を阻害したり、一般消費者の利益を無視したりするような結果になってはならないのであります。主務大臣、中小企業者、大企業者、労働者、学識経験者、国会議員等国民各階層の代表によって組織された審議会に諮り実施の公正を期するよう細心の留意をいたしておる次第であります。
 次に商業調整法案について申し上げます。
 この法案の目的は卸売業と小売業及び小売業相互間の業務分野を調整し、適正な流通秩序を維持し、一般小売業者を保護しようとするものであります。
 業務分野の調整を必要とする事態が発生した場合、主務大臣はその業種について地域を指定することとし、一定の制限等を設けております。また小売業者の団体に対しては業務分野を調整するため前述しました指定の申請を主務大臣に対し行い得ることとしております。こうして指定された地域と業種については製造業者及び卸売業者に対しその小売部門の新規開業あるいは拡張を禁止し、または資本的に、人的に支配する代理店等を通じて行う脱法行為を禁じておりますことは前述の場合と同様であります。
 次に公設または私設の市場の設備拡張、新設等は当該行政庁の許す許可事項により一般小売業者の圧迫とならぬよう留意を払っております。消費生活協同組合等特別の法律によって小売業を営んでいる組合と一般小売業者との間に紛争が生じました場合には、その調整のため行政庁は中央または地方に設けられる商業調整審議会の意見を聞いて必要な勧告を行い得ることといたしております。
 最近特に著しい百貨店の進出に対してはいずれ現行百貨店法の不備を是正し、所要の改正を行う所存であります。
 本法案が一般消費者に及ぼす影響がきわめて大なるものがありますが、その運営の公正を期するため中央、地方に小売業者、製造業者、卸売業者、労働者、学識経験者等の代表をもって商業調整審議会を設け、主務大臣または都道府県知事の諮問機関とする旨を規定しておる次第であります。
 以上が日本社会党提出にかかる中小企業関係三法案の内容の概要であります。
○班長(小笠議員) それではこれより順次御意見を伺うことにいたします。
 まず江崎富次郎君にお願いいたします。
○江崎富次郎君 お許しを得まして私、自分のつたない意見を申し上げたいと思います。
 ただいま議長さんからいろいろ御懇篤なる御説明もあり、また政府当局からも御説明があり、社会党の御提案の永井先生からも御説明がありましたが、私ら中小企業者の長年の要望であった今回の団体法であります。これは御承知の通り政府当局におかれましても、保守、革新両政党におかれましても、われわれ中小企業者の育成、強化ということが話題に上りましたことをまずもってこの席上厚くお礼を申し上げます。
 そこで考えてみますると、過去長年われわれ中小企業者が悪戦苦闘をして参りましたが、やはりいろいろの角度からながめましても、われわれの生き抜く道はやはり自分らの組合の強力な団結によって少しでも明るい事業の行えるよう、明るい営業の行えるようにわれわれは望んでおるのであります。そこで団体法という組織の問題でありまするが、御承知の通りこれが加入、脱退自由の現在でありますると、零細業者こそ一定組合に加入いたしまして、組合を力にしてようやく今日生き延びて参りました。そこで一部の有力な中企業者においては組合に加入しなくても自分だけでけっこう自分の事業は伸びていくんだという、こういう気持が現に現われつつあったのでありますが、私の担当しております自分の事業の調整組合ができまして、これによってようやくこういうお方も組合に加入されて参ったのであります。こういう点から考えますときに零細業者こそ組合をがっちり組んで、自分の生き抜く道を私は選んで今日まで参りました。おそらくどこの地へ参りましてもそうであると思いますが、ここでお願い申し上げたいことは、強制加入という言葉のよしあしがいろいろ論議されておりまするが、でき得れば、私らはずっと昔に同業組合という団体がありまして、これは全業者が打って一丸となって中央産業に協力して強制加入で実は参ったのですが、こういうときにあたりまして、自由経済時代に、特にそういう面はいろいろの面もあると思いまするが、私はどうしても団体法によって気に入っても入らぬでも一応自分らの事業のため、共存共栄のために尽してもらいたいという大乗的見地から、私は強制加入という言葉が現われて参ったと思いまするが、どうしても加入をしていただいて、そうして一致して自分の産業を伸ばしていく。これが全国の産業の伸びる基礎じゃないかということを今日まで考えて参りましたが、幸いにしてここに提案されたのであります。
 そこでどうしてそういう恩恵があるかというお言葉があるやも知れませんが、私はやはり業者は相互いに手を引き合っていかなければならない。現在の大企業に対するにはやはり中小企業がばらばらではとうてい太刀打ちはできぬのです。ただいま永井先生から御説明がありましたこの定義もおそらくこの通りだと思います。そのときこそわれわれは手をつなぎ合って大企業に対して自分らが利益を得るがためにこれを団結したらば消費者に対して非常に御迷惑をかける。こういう点は私は決してないと思います。それは何かと申しますと、もし中小企業が団結してしまったらば、大企業ばかりになって現在法人から現われてくるあの税収入の面にはっきり打ち出されており、ますます消費者に不利じゃないか。大企業が一部残ればそれだけで生きていけるじゃないか。こういう気持があって独占的な資本家に消費者がろうらくをされるんじゃないか。こういうときこそやはり中小企業が仲介に立って、われわれが団結して大企業の一部営利を団体交渉によってこれを獲得し、そうして消費者とともに相互いにともに手を引き合って、私は消費者の諸君の福祉にもなり自分らも事業が生きていってこそ国繁栄の基礎になる。こんなようなことを考えてあくまでも私はこういう面で進んでいきたい。この気持に燃えておるのでありまするが、こういう点についてぜひとも今議会において私はこの団体法を通していただきたい。決して社会党提案の、革新党提案の案には非常によいところがありまして、これに対してとやかくとは申しません。ただ業界が一本になっていくにはやはり中小企業者あるいは零細業者ということも出ておりまするが、私はこの二本建にするとどうも自分らは零細業者であるという気持、気がひがんで参りはせぬかと思うのです。やはり人間には向上心があります。今十人使っておれば来年はせめて十五人の人とともに手を引き合って産業にいそしんでいきたいという気持に私は事業家は全部燃えておる。だからこういう点をやめて中小企業一本で進んでいただきたい。こういうことを念願しておる一人でありますがどうかその点十分御賢察の上当案の通過するよう団体法の通過するよう一言申し上げまして私の意見を終ります。どうもありがとうございました。
○班長(小笠議員) つぎに永井嘉吉君にお願いいたします。
○永井嘉吉君 ただいま政府当局の方、また社会党のお方から中小企業の振興につきまして、抜本的な法律でも作って、このさい振興に資したい。こういうご意見がありましたことは非常に私どもも意を得た次第であります。ただその行き方、考え方には幾分の相違がありますが、中小企業の地位をこのさいなんとかしようということにおいては、同じようにお伺いしたような次第であります。
 つきましては、私どもは中小企業の振興基本策の一つとして組織強化が先決と考えて昨年春以来当会議所で研究をはじめまして、すでに数回に余る委員会も開きまして、また東西の商議所とも懇談を重ねた結果、昨年十一月にようやくこの問題につきまして意見を取りまとめた次第でございます。その内容は、大体昨年末、中小企業振興審議会から上申されました考え方と似かよっておるものでありまして、今回政府提案の中小企業団体法に、私どもこの要望の趣旨が相当取入れられておりますことは非常に喜ばしい次第であります。しかしながら中小企業生存のためには、この政府提案の内容程度では決して満足すべきものではないのであります。
 大企業や消費者、その他の一部につきまして、この法案についてはそれぞれの立場におかれまして反対的な意見も相当強いようにうかがわれるわけであります。しかしその一部は杞憂に属するものと考えられるものもありますし、運営の善処によりましてこの問題を解決し得るものもあろうかと考えられますのでありますが、こういう状況につきましては私どもの要望しておりますものが、全面的に希望いたしましても、これを通すということは、はなはだ困難であろうと考えられますので、現在政府提案になっておりますものを最少限度のものといたしまして、早急に法律化されることを希望して政府提案に賛成するものであります。
 しかしながら、この賛成いたしますにいたしましても、つぎの諸点につきましてはとくにご考慮を願いたいと考える次第であります。
 まず第一に強制加入についてでございますが、これは団体法案の五十五条の加入命令、すなわち強制加入につきましては、大部分の中小企業者がその実施を要望しておりまして、昨年七月当会議所で協同組合を対象として行いました義務加入制の組合についてのアンケートにも、七十九通の回答のうち、五十九組合が必要を認めておりまして、残り二十組合は不必要の回答を寄せておる次第であります。その必要とする理由の主なるものを申し上げてみますと、組合で実施した一般的に有利となる事業は、全業者におよぶものであるから、加入していなくてもその恩恵に浴することになるのは不合理である。アウト・サイダーをなくするためではなく、品質の向上、従業員の地位の向上など大局的見地から必要である。さらに任意加入制度では目的達成に支障が多い、都合のよい時は加入し、悪い時は脱退するようでは計画と実行がともなわず、無秩序となる。なお事業の運営を阻害するものは員外者であり、折角の組合事業の効果をなくし、組合を無力化する。つぎに小数の未加入者のために、大多数の加入者が混乱し、迷惑するということが主な理由でございます。昨年私どもが決議し提案しました意見の中にも、員外者統制命令の一方法として、必要ある場合に限り加入命令を発し得ることとしておりましたが、事実、この規定は安定法にはない、新しい方法でありまして、調整規定の完全実施のためだけではなく、組合の権威を高め、信頼を増し、組合に対する協力精神を養うことになる、などの利益も考えられるのであります。全くのところ、市況混乱のため損害を受けるのは業者ばかりではなく、国民全体で国民経済の上からも、有形、無形の損失が生じまして、公共福祉にも重大な影響があるわけでございます。したがいまして、これを改善し、克服して、業者の正常な事業活動の機会を確保する処置を取られたいと思います。それには組合の自主的な活動によることが、もっとも穏当であり、効果も大きいと考えられますので、その加入命令の制度をぜひ実現されるよう要望するものであります。第二に団体法二十九条の組合交渉応諾についてでございます。
 これについては、政府の案はわれわれが当初要望したものよりは、はるかに弱くなっており、振興審議会の意見よりもなお後退したものとなっております。協約の内容も調整事業に関する事項に限られておるようでありまして、また交渉の相手方は組合交渉を悪くいけば応ずるかどうか自由となりますから、折角の規定も大した効果も上げることもできないのではないかと思うのであります。それで一歩進めまして、誠意をもって処置し、正当な理由なくして、みだりにこれを拒んではならないということにしてはどうかと思います。
 第三に調整規定と組合協約の認可の早期処理についてでございます。団体法の二十条から二十二条、二十八条によりますと、調整規定と組合協約の認可は、申請を受理した日から二月以内に認可、不認可の通知を発しなければならない。二月以内に発せられない場合は認可されたものと見なすでありますが、現行の安定法では、調整規定の認可の申請を受理した日から起算して一月以内に云々とありますが、今次案によって二月に規定されましたが、われわれは当初より一月という意見を出しており、二月の期限は納得できないものがあります。しかも現行安定法では、主務大臣が申請者の報告を求め、その回答を受理する日までの日数は、これを算入しないのでありますので、今次の政府案ではそれ以外に追加して関係行政機関に紹介を発した時は、その回答を受理するまでの期間云々とつけ加えております。これではこの規定の運営の機関は認可、不認可の決定が遅らせることができますから、安定法より改悪されたといってもよく、短期間で認可、不認可の決定される措置を要望するものであります。
 第四に加入命令ならびに規制命令の発動期間を定めることについてでございます。団体法の五十七条から五十九条の加入命令および事業活動の規制に関する命令は、五十八条二項に主務大臣が遅滞なく命令するかどうか決定して云々とありますが、そのような規定では現在の安定法でも不満とされておりますように、発動までに日数を要しまして、員外者の規制を真に必要とする時期に間に合わないということになります。したがいまして、できるだけ短期間にできればわれわれが当初から要望しておりましたごとく、一月以内に命令を出すかどうか決定されるようお願いしたいと思います。
 以上簡単でございますが……。
○班長(小笠議員) つぎに渡辺治彦君にお願いいたします。
○渡辺治彦君 一言私の意見を申し述べさしていただきたいと思います。政府から懇切丁寧なご意見を承り、非常に立派な提案をいただきましたことを厚く御礼申し上げます。
 この問題の点を申し述べてみるならば、恐らく中小企業として一番大きな問題としてみるならば、団体交渉権強制加入権、独占禁止法の関係、自主的経営の合理化、運用上の問題、政治的問題に分類されると思います。
 私ども中小企業のものが一番要望しておりますものはどういうことかと申しますれば、早くこの法案を通していただきたい。どちらかにでも一本にしていただきたい。現状を申しますと、私どもの協同組合の苦しみの方を申し述べた方が早いと思います。私ども毛織工業協同組合は四つございます。その四つがともに調整組合を設立しております。その地域とその業種は同一でございまして、同一地区内に一つの協同組合、一つの調整組合を設立している。同時に組合員も同一、業体も同一役員であるというような経営をいたしております。各役職員の連中も同一という形になっておりまして、一面経済行為は協同組合、調整行為は調整組合で非常に難儀しておりまする点は、協同組合は経済行為を許され、同時に組合員に対し賦課金ならびに出資金を許されておりまするために、これに対する資金は持っておりますが、調整組合は出資金の出し方賦課金の掛け方すらありませんので、事業的にはほとんど協同組合におんぶされた調整組合という形でございます。一日も早くその形が一本化されるよう、ということが私どもの一番要望する次第でございます。それによって調整事業ならびに協同経済事業が、いわゆる車の両輪とされておる二つの要素が一本化するということが一つの目的でございますので、政府案といい、社会党提案といい、どちらでも早く通していただき、これが握り潰されるような結果にならないようお願いいたします。また団体交渉権についても種々の批判が行われておりますが、二十九条、組合の交渉の応諾の前に、九条の組合の設立の前提条件があります。調整事業としては、経済事業である部分は団体交渉を認めずしてこれは完璧ではあり得ないのであります。主務官庁の監督もあり、審議会の補助的機関によって、本来の趣旨の取引の公正を期待できるのではないかと思います。
 また強制加入の問題でございますが、現下の協同組合における状況を話し、調整組合の状況も簡単に説明いたします。
 協同組合においては全業種、尾西地区において二千百軒、このうち協同組合に加入しているものは千二百軒。調整組合に加入しているのが二千五十軒。ほんの少し加入していないのは調整組合の方で、協同組合は半数加入し、半数が加入していない。六割が加入し、四割が加入していない。われわれ中小工業がこのうち団結していくには、どうしても政府から勧告していただいて加入するよう勧告を行なっていただきたいと思います。その他多数ございますが、前弁士の方と非常に調合いたしますので、省略さしていただきまして、何とぞ一日も早くこの法案を通していただき、いわゆる政府案を通していただければ政府案の独占禁止法に抵触するとか、団体交渉権、強制加入権につきまして不利な点があるならば、これをつぎの機会になおしていくという機会を設けていただきまして、一日も早くこの法案を通していただくことを切望いたしまして、簡単でございますが私の意見に代えさしていただきたいと思います。
○班長(小笠議員) 竹内茂君にお願いいたします。
○竹内茂君 名古屋の教員組合長ということになっておりますが、突然でありましたのでまだ役員会にもはからずに出てきたのでございます。その点ご了承いただきたいと思います。誤解を招くといけませんので、最初にお断りいたしたいのは、この法案に対しては、私は三人の方のご趣旨はよくわかるのでありますが、余り急いでいただいては困るという結論でございます。
 正しい中小企業者の方々が組織化されて、強い力で生きていただくことが必要であるということは、私たちが教員組合を組織して、いろいろ教育の面ですら、この体験上からもその点は強く感じてご同情申し上げまして、一日も早く組織されることを希望するものでありますが、先程申し上げたような結論になるのはつぎのような理由でございます。
 なお私が非常に素人でありながらこの意見陳述者に選ばれたのは、あれは素人であるが、また教員組合はきわめて厳正中立であるから率直な意見を聞いた方がいいんじゃないかというような、どちらかからのお考えからではないかということを感じましてきわめて率直に申し上げますと、第一番にこの法律の前に安定法だとか、もう一つの協同組合法があるわけですが、そういう法律が十分に機能を発揮しないうちに、つぎつぎと、つぎの法律が作られていくということに対して私は疑問を持つものであります。もう少しできました法律をうんと育てていただいて、なお足りない分を補っていくというような方向に進めていただきたい、これが第一点でございます。
 第二番目はちょっといい過ぎかも知りませんけれども、やや選挙対策気味な傾向があるということでございます。そういう意味から内容を調べてみますと、多少私たちが疑問を挾む点もあるように感じます。
 第三番目は、これは消費者の立場でありますが、いろいろただいま説明がございまして、私も慎重に聞かせていただいたのであります。それに対して説明の中では消費者には迷惑をかけないということを、そしてその点については、かくかくかように考慮してあるのだということをよくお述べになりましたけれども、なんだか、その裏にはやはり消費者に非常な圧迫というか、言葉はちょっと強いが、消費者が困るのだというようなことを非常に懸念されながら説明していただいたという感じを持つわけでありまして、私自身も消費者が困るんじゃないかということを、法案の内容から考えておるわけでございます。
 なお中小企業の方々が、現在非常にお困りになっていらっしゃる原因は、組織化されなければならないという点もあると思います。強い力にならなければならない点もあると思いますが、なおそのもとに、例えば高い材料で作ったものが安いというようないくつかの原因があると思いますので、もっともっと根本的な対策を立てない以上は、折角できた法律が無力なものになるんじゃないかということを非常に懸念するわけでございまして、さような立場から、もう少し消費者と中小企業者の方々の両方の利益ということを考えて、じっくりと、落ちついた審議をして、改めて法案を作っていただいた方がいいんじゃないかということを考えるものであります。
 以上簡単でありますが……。
○班長(小笠議員) 以上、四人の陳述が終りました。そのうち渡辺治彦君は、午後商用のため出席できないとの申し出でありますので、このさい渡辺治彦君に対する質疑のみを許します。質疑の通告があります。これを許します。永井勝次郎君――。
○永井議員 ただいま参考人の方々の切実な陳述を伺いまして、さすがに中小企業の中心地である名古屋の業界の全体の声が代表されておるというふうに感じまして、胸を打たれるものがございます。
 そこで渡辺さんにお尋ねいたしたいと思いますが、この中小企業の今日苦しくなってきているという状態というものは、これは突然にこういう状態が現われてきたのではない。それは自然発生的にそういうふうになってきたのではない。長い間じりじりと追いつめられて、そして今日のような苦しい状態に追い込まれてきているのではないか。したがってその中小企業を苦しく追い込んできた原因を取り除かなければ中小企業の健康回復ということは難しいのではないか。したがって中小企業の今日の健康診断、この健康診断が正確にできて、それに対する適切な治療方針が立たなければ中小企業は健康回復はできないと思う。その立場で一つ伺いたいのですが、大企業と中小企業の関係、これはいろいろ関係はあるが、大企業の圧迫ということが非常に強く響いておる。それは原料高、製品安なり、あるいは金融によるところの支配なりいろいろありましょうが、中小企業の立場からみれば、中小企業が景気よくなってきた時には、それはいろいろな施策が響いてよくなってきたというよりは、全体の景気がよくなってきたというと中小企業がよくなる、全体の景気が不景気になってきたという時には、そのシワ寄せが一番先に来る。景気がよくなってきた時にも、まず大企業にきて、一番最後にいくらかおこぼれを頂載するというのが現在の中小企業ではないか。どうしてそういうふうになっているか。大企業は安定した経営を確立するために、がんとした資本と組織でやっている。景気がよくなってきた、増産しなければならない時は、自分の施設なり、自分のところでとんとやることをしない。それよりは中小企業に系列を作って増産させる。そして景気が安定した状況で伸びるかどうか見定めるまでは中小企業の方は下請ということになって来る。それが安定した条件が出てきた時、自分たちの企業の施設を拡充していく。それから不景気の時には第一番に自分の企業は好況、不況にかかわらず安定した経営をしなければならないので下請を削っていく、系列を整理していく。こういうふうにして大企業の本拠を安定した形で発展させるためのクッションとして、景気の好況、不況というものの弾力性を持たしておる。そういうことで中小企業は常に大企業の隷属下にあって不安定な状態にあるのではないか。だから中小企業の問題を考える時は、大企業と中小企業の関係を公正な立場に整理することが先決条件ではないかと考えるのであります。そういう意味でわれわれは産業分野の確保に関する法律というものを出しまして、大企業分野はここまでだ、中小企業はここまでだというふうに確保して、ここには大企業がつっ込んで来ないように中小企業の仕事の分野を広げていこうということを考えておるのですが、これが正しい考えであるかどうか、大企業と中小企業との関係。こういうことを実際家の渡辺さんにご説明、ご意見を伺いたいのでございます。
○班長(小笠議員) 渡辺治彦君。
○渡辺治彦君 永井先生のいわれること全部ごもっともであります。私ども毛織工業界における状況は他の繊維工業と違っておる点がございます。これは技術的におきましても、生産数量におきましても、生産能力におきましても、その上げます生産高におきましても、日本の現在の毛織物の全生産高の中小企業の占める地位は、例えば男物、女物とわけ、その他に無地物、官庁物と民需物にわけますれば、民需物ならびに輸出物におきましては日本中の生産の九〇パーセントが中小工業で行われております。婦人物におきましては百パーセント近くが全部中小工業で行っておるのであります。先生が指摘されました私ども毛織物工業に関しては、系列という問題は大きく取上げられておらない状況でございます。ただ私どもが団結を組まなければならない、また苦境に陥った最大の問題は何かというならば、調整組合第二十九条の繊維設備制限令という二つの点が法律の出る度に期間が六月ないし七月の猶予あるため発動前の織機の数と発動後の数は四割近くまで増えてくるというような大きな設備が政府の考えられる制限するところに対して逆に増えてきたという問題が一つ。そのつぎにわれわれの扱っております原料は残念ながら国内的原料は、全部で恐らく日本中の羊毛工業の二・三パーセントに属するだろうと思います。あとは海外から仰ぎます。原料の割当方法は紡績の設備ならびに輸出されたその実績によりリンクはそれは全部紡績に還元する状態でありまして、原料的処置において中小工業と大資本とにおける配給というか、そこに大資本に原料的な処置を全部握られておりますためにこの利益が全部そこで、断されるというか、取上げられて、中小工業以下の面に利益が少いのであります。現在私どもの毛織工業の地位というか動作というか、大工業に負けない技術、いわゆる製品の高級品というか、国内に出ております高級品は全部中小工業製品で、大工業には技術的な良品が出ておらないのであります。われわれ業界が団結するならば、大資本に対する対抗は相当に解決していけると考えております。原料輸入におけるその権利が紡績なり、それを売らなければならない義務をもっておらなければならないということに今日まで追いつめられてきた大きな原因ではないかと考えます。
○永井議員 原料高の製品安がただいま全組合に如実に具体化されておって、それが不況の原因である。私もその通りと考えます。いまはそれほどでもございませんが、ここ一両年前までは輸入外貨が割当てられた。割当てられただけでもう何割というものが利益が確保できる。輸入した独占的価格で市場が操作できる。こういうことが為替管理という形において、政府の貿易政策でやられている、輸出入取引法によって買取機関ができる。買取機関ができてもメーカー側ではなく、商社側の操作に支配されているということで、結局概算的にメーカーが買い叩かれる。中小企業は問屋から、原料は大企業から独占価格で買わなければならない。作ったものは大企業に買ってもらわなければならないという両ビンタを叩かれる原因があると思います。そこで一つ政府の団体法によってこういう苦境が救われるかどうかという前提条件としてもう一つ聞きたいが、やはり金融難だ。その原因はどこにあるか。例えば三井、三菱、安田、住友は普通銀行を経営しておる。信託銀行、生命保険あるいは火災保険をやっている。いろいろな金融機関で資金を集める。自分の系列に集中融資をする。それから郵便貯金、簡易保険、こういう零細な貯金は政府へ集ってくる。これがやはり政府資金運用部資金として大企業に集中的に投資させる。だから金融の大部分は大企業に集中融資されて、中小企業への振り向けは金融機関に資金が余ってきた場合いくらか緩和される。枯渇してくればシワ寄せが一番にくる。こういう金融政策になっておる。もう一つは税金でありますが、これはご承知のように、大企業に対しては租税特別措置法で特別な減税がある――一年に約一千億――。こういう大企業だけに大きな減税がある。三十一年度の税金でみましても、電力会社は当然納むべきものが二六パーセントより納めていない。銀行は四七パーセント納めてよろしい。これは大蔵省主税局が発表しております。そういうふうな減税がなされて一千億という減税であります。中小企業はそのシワ寄せをくって、かえって高い税金になっている。金融、税制という一つの代表的なものを取上げてもこういう状態である。そのほかに例えば鉄鋼が不況になってくれば、鉄鋼合理化法案という法律が出て、その裏付けとして合理化資金は何百億がここに注ぎ込まれる。石炭不況の場合、石炭合理化法案が出て四百億かの合理化資金が出る。不況になってくればテコ入れしてやる。かなりよくなってきた場合は放ったらかしで、大企業がそれ自身伸びて、財政でこれだけ、金融でこれだけ、税金でこれだけでやってもらう。これならば馬鹿でも安定した経営ができる。中小企業には何もないということでありますから、直接波濤に身体を裸にしてさらしておるようなものであります。整理しなかったならば、団体法とか、安定法とか法律一本で中小企業が藁をもつかむ気持ちでつかむ気持ちはわかるのでありますが、そういう一般的な問題がやはり健康を害しておる大きな原因である。そこを整理しなかったら安定法あるいは団体法というようなものだけではなんともならんではないかと思いますが、それはどういうふうに考えますか。
○渡辺治彦君 先生のおっしゃったこと、われわれ中小工業がこの法案だけで解決されるということは考えておりません。もち論先生のいわれる通りに、われわれには金融問題もございます。同時に税金問題ならびにわれわれの企業合理化問題多々ございます。一環会社というか、大紡績、大工業に対する機械の新しさと、われわれがこれを入替えるに困難であるという状態というような問題も多々ございますが、少くとも、われわれがいまここで一つでも早く法案を成立したことによって団体的な交渉権、大きな団結力を持つことによって、この点でも解決できれば、つぎつぎに範囲を広げるというか、総合的な政策の上に立って動作を取っていきたい。私どもの毛織工業に関しまして、先生と一点だけ特長ある違った点を申し上げたいことは、現在の金融的な処置といたしましては協同組合金融を行なっております。金融高は織機一台について最高六十万まで当座を取ったことでございます。現在は三十万ないし四十万取っております。これを担保といたしまして中小企業金融公庫ならびに一般市銀から金を借りてこれを組合と連帯保証のもとに金融していくという方法を取っておりますが、万全とは考えておりません。私のもう一つ申し上げたいことは、機械の近代化ということであります。中小工業が自己の資本で近代化する時は中小企業庁にお願いして補助金を申請し行っておりますが、焼石に水程度でございまして、昨年私どもの組合で織機の入替えをやりました。全体の約八パーセント、即ち八千台のうち六百四十ないし七百台入替えた。これに対して中小企業庁で六分ノ一、県から六分ノ一、合計三分ノ一の補助金があるはずでございますが、これをその入替えられた織機に割当てるならば、恐らく五十分ノ一ないし六十分ノ一程度しかいただいておらんのであります。これもないよりましだという程度でございますが、私どもが今後とも進むべき最大の道は、この法案一本で生きていけるとは思いませんが、この法案を通していただいて、つぎつぎに動作を取っていけるような動作を取らしていただきたいと考えるのであります。
○永井議員 そこでこの団体法ですが、いろいろなそういう中小企業が重病に陥るような原因がある。それを取り除いて、そういう施策が前提とならないで病人になった。そこで安定法を出して組合に強制加入して生産制限をする。価格協定をするといっておる。過剰生産の条件は整理されていない。それから業者も非常に多いという条件も整理されておらん。ただこの法律によって効果をもたらすというのは、ただこういう中小企業の過剰生産と過剰競争で苦しんでいる業者を一つのオリの中に法律で、閉じ込めたというだけの効果である。その閉じ込められて何をするかというと、価格協定なり、生産制限なりそういう申し合せをするというだけであります。それでは経済的な過剰生産なり、過度の競争の原因は取除かれません。結局仕事をうんと拡大する、あるいは販路を拡張する、こういうようなことも前提となっていくならば話はわかるが、一さいなしに、過剰生産と過度の競争の中で固まる。そうするとどういうふうな現象が出てくるかというならば、固った中で弱いものを整理していく。中小企業のワク内で適者生存、弱肉強食の整理がはじまるのではないかという。こういうことが一つの経済現象として必然の発展としてそうなっていくのではないか、と心配するのでございます。一日も早く通してくれという気持ちはわかるのであります。われわれも一日も早く打開しなければならない。その手段方法、考え方において少し違うのではないか。この法案が前提条件が何も整理されないで、この法律だけが先行するならば、中小企業の中まで整理される、こういうことになると考えるので、それで心配している。それであるから私の疑問を明解に究明していただければ幸せだと思います。
○渡辺治彦君 先生のいわれることは非常に観点が違っておりまして、一日も早くこの法案が成立することによって業者間の協定を行い、一部において国内的な狭隘な市場において動作を取るという考え方ばかりではなく、この問題について海外へ進出する、海外に市場を求める。つまり極端な例を申し上げますならば、工業移民もこの中で行っていく動作まで取っていけるのではないか。というふうに考えております。私は法律的な問題より、団結をはかりました以後における運用的方法ではないかと考えるのであります。
○阿左美議員 私は渡辺さんのご意見は、まことに私どもといたしましてもごもっとものご意見とうかがわれるのであります。ただいまのご意見に対しては私は深くうなづけるところがあるのであります。なるべく早く通してもらいたいということは、もっとも必要だと思います。過去におきましても法案の提出が遅れたり、審議が長くなったりいたしますと、百貨店法のようなものでありまして、百貨店法はご承知の通り設備を規制してありますが、その法案の審議期間が長い、提案の日数が非常に延びたために、百貨店は全部百貨店法が施行しない前に認可を取って全国的に拡充してしまった。法案が出た時は、これ以上作る必要がないというようなところまで現在進行しておるような状態であります。こういうような法案を余り慎重に研究するということは結構でございますけれども、またそういう必要は確かにあると思います。これを出すか出さないか、通るか通らないかということにやはり公聴会を開きました。その折にも、ある陳述人からはもしこういうような法案が通ったといたしますならば、われわれはやはり有力メーカーは自己生産に入りたい。下請工業は一層考えなくちゃならない。こういうようなことを陳述するところの公述人もあるのであります。もしかりにこの法案が通るか、通らないかということ、また長くこれを研究しておりますと、大メーカーはそういうような道を考えるのではないかということになりますと、中小企業は立ちどころにおいて壊滅するというようなことも考えられる。また一般の消費者の考えといたしましても、どうもこの法案が通りますと、あるいは消費者が高いものを買わされるのではないかというような考えが、確に東京の公聴会におきましても、消費者からもそういうご意見が出ております。これは逆だと思います。もし仮りに中小企業が現在のような状態でございますけれども、大メーカーの組織的の生産ということになりますれば、それこそ価格を経済的に、自主的に決定されると思います。そういうようなことを考えてみますと、決して現在の消費者の考え方にも誤りがあるのではないかというふうに考えられますので、私は確にすべての法案が、余り長い期間で審議をするということは、いろいろの弊害があるのではないか、こういうふうに考えますので、渡辺さんの即時この法案を通してもらいたい。またこの法案で確に一般中小企業が全部恵まれるとは何人も考えておりません。しかしながら現在の中小企業の立場からいいますと、この法案は確に必要だと私どもは考えておるのであります。
 大体組合に協力しないという人は、零細業者ならいざ知らず、そうではない、いまの当地におきましても非協力者というものは、有力者の人が協力しない、アウトサイダーはへそ曲りの、ツムジ曲りの、アマノジャクが多いのでありまして、そういう人は組合への自主的加入では入らない。どうしてもある程度の強制でなかったならば、組合員の一致団結は取れない。それらの人によって組合運営は害せられておるのでございますので、渡辺さんにお尋ねしますが、協同組合に加入者が非常に少い、アウトサイダーが比較的多いように伺いましたが、実際そのような状態でありますか。
○渡辺治彦君 これは申し上げました中で説明が足りなかったが、調整組合の動作は二十九条発動のために織機の登録という問題がございましたので、ほとんどの組合員の方が全部加入されたということ。登録料だけで組合の出資もなければ、賦課金もないということで、登録しなければ将来織れないということではじめられたと思います。一方におきます協同組合の問題につきましては、実は全国中で一番大きい、人数的にも大きな組合であると思います。約二千何百軒という数でございまして、その間に、ここで問題がございますのは、業種的分類というか、複雑でございまして、ある時はスフあるいは化繊を織るというか、政府で決められました毛、綿製品、絹人絹という三つの分類に割り切って中小工業の調査が進んでおるかどうかという問題でございます。この間にどういう法律がございましょうとも、二台、三台の機屋さんがどこへ登録して、どの協同組合につくべきかが一つの原因になって、それがアウト・サイダーに残っておる筋も多々ございます。今回決められた分類等もはっきりいたしますればこの問題はほとんど解消しながら進めていけるのではないか。わがままものは入っておらんということでございます。私の組合は、全部了解された方が入ってみえるのでございます。ただ二台、三台の方々が組合の経費をかけながら、動作を取りながら調整組合だけに入っておれば同じではないか。一方の組合に入れば一方は入らなくてもよいという形を取っておるために、二台、三台の方に大きな賦課金をかけて協同組合に対する勧誘という動作は、調整組合に全部顔をそろえておれば現在のところ仕方がないという教育をいたしておるわけでございます。
○阿左美議員 渡辺さんは実際組合の運営に当っておいでになるようにうかがわれますので、そのお骨折は私どもよくわかるのでありますが、この中小企業と申します毛織は、むしろ中小ではなく、中以上の方でなかったならば毛織は実際やれないのではないか。資金的にみて回収も遅い。非常に資金も必要とするというようなことはこれは余ほど団体法ということのみならず、この毛織物の中小企業ということに対しては、相当これは国といたしましても考えなければならないと思います。なんと申しましても国民の衣料というか、最近におきましては服装が非常に変って参りまして、日本品というものは非常に減って、現在ではほとんど洋服というものになりますので、どうしても毛織物は輸出においても、国内の消費においても非常に力を入れなければならない。中小企業の中でも、もっとも毛織物がお骨折をなさっておるのではないか。とくに御地はわが国におきましても毛織物の中心であるというから、中小企業といたしましてはこれに力を入れなければならない。そうして大メーカーというものは、組織的に統一したところの、いわば資本力において、設備においてできますが、実際の技術陣というものは中小企業でなかったならばでき得ない。ことに技術品は多量に同一品種を作るわけには参りません。そういう点から考えてみましてどうしても中小企業を大いに今後助成しなければならない、こういうふうに考えられますので、現在の中小企業の状態をこのままにしておくならば、これは中小企業は倒れざるを得ない。資金的にもやっていけないというような状態で、過剰生産というようなことも確にあるのでありますが、こういうような生産分野においてもある程度の規制をしなければならないということも当然起ると思いますが、こういうような点から考えますと、今回の団体法ということは、現在の中小企業におきましては、どうしても必要じゃないか。一日も早く通してもらいたいということは、確に切実の声ではないか、こういうふうに考えるのでございます。そういうような点を考えてみますと、私はこの法案は今国会にどうしても通したい、こういうような希望を持っておるわけであります。必ずこの法案において全部が救われるとは考えませんが、兎に角現情からみますと、その必要は確に認められる、こういうふうに考えます。御地の毛織物に対しまして資金の関係はどんなことになっておりますか。
○渡辺治彦君 毛織物の現在の資金の状況は、他の中小工業が行詰っておるほど、それほど大きくは行詰っておらないと思います。端境期であります。冬物と春物を出荷いたしまして、春物の金額が入って冬物は作っておらないという端境期で、現状からいけば安定した端境期であります。一番大きな問題は東西の商社が非常に弱い。毛織物を扱っておる商社がその弱さが、シワ寄せが来るのではないかという心配をいたしております。すでに五、六店出ておりますので、これは全部中小工業、私どもの産地に入って来るというのが現状ではないかと考えております。
○阿左美議員 資金的にはそう悩んでおらんということは、まことに結構なことでありますが、最近全国的に倒産者が多い。ご承知の通り政府は現在インフレで非常に恐れておるというようなことから、資金を非常につめておるというようなことで、その余波を受けて全国的に現在倒産者が非常に多いのであります。私どもは一つの業者として資金面に相当お困りではないか。こういうような面に対しましても、このさい考えなければならないというふうに考えておったんですが、幸いにして資金には多少の、さまで憂うることはない、まことに喜ばしいと思います。確に調整組合が協同組合に依存しておるということは、いずれの土地でもそういうようなことになっておりますのでこの調整組合に入っておればいいのだ、仕事は協同組合の方でやっていくというのが一般の組合の現在の実情だと思うのでございます。今回の団体法でございますが、これに対してこういうふうに修正してもらいたいとか、こういうところはどうだというようなご意見はありませんか。
○渡辺治彦君 金融の問題は非常に緩慢である。結構だというようにお聞きと思いますが、現在は端境期でその問題が余り大きくいわれておらない。東西の問屋さんの破産によるあおりは非常に参っておりますので、この問題は最後に出てくる問題じゃないかと心配いたしておりまするので、私のいい損った点は訂正申し上げておきます。
 団体法に対するこういう点はこうしたらどうかというご意見ですが、永井さんが申された点と私どもとして不服とする点でございますが、その不服の点云々より早く通していただきたいということが一つの大きな望みであるということをつけ加えておきたいと思います。
○班長(小笠議員) 渡辺君に対する質疑は終りました。
 なお三方に対する質疑は後ほど行うこととし、午後一時まで休憩いたします。
   午後十二時十一分休憩
     ――――◇―――――
   午後一時九分開議
○班長(小笠議員) 休憩前に引き続きまして会議を開きます。恩田茂一君。
○恩田茂一君 私は愛知県の時計小売組合連合会会長でございます。顧問になっておりますから、これは会長に御訂正願います。
 政府並びに社会党さんより、われわれ中小企業者に対して御熱心に生きる道を講じていただいておるということは、まずもって厚くお礼申し上げます。どうかこの法案が一日も早く通過いたしますことを、くれぐれもお願い申し上げたいと思います。
 さてこの詳細なる法案の内容は、われわれ零細の小売業者でははっきりわかりませんが、しかしながらこれにつきまして、私は政府案を賛成する一人でございます。なぜならば、ここに強制加入あるいは団体交渉権というものは、必要だと考えるのでございます。はなはだ、私、手前みそのお話で、申しわけありませんが、私の時計の関係で見ますると、メーカーが作りましたものを、これがメーカー自体の商社というものを作りまして、それに対しましてその品物が入ってくるのであります。商社は大きなビルディングを建てまして、そこに何百人もの社員を擁して、自己製品、いわゆる販売会社が設立しているのであります。どのメーカーでも、大メーカーはそういうことをしております。十分に採算がとれましたものを、商社でやらして、そこでまた一もうけをしまして、それが問屋へわたり小売商にわたるのであります。そういう段階に立至っておりますので、これは何とか打開策を講じて、直接商社から問屋へ回るようにしたい。そうすれば消費者にわたる値段は、非常に安くなると考えております。これがなかなか相手が大きいので実現は困難でありまして、品物もだき合せで、売れない品物でも買ってもらわなければ、売れるのだけ買ってもらっては困る。売れないのも買ってもらわなければこちらがいけないということになりまして、第一おれらが作ったものを、お前らが売っておるから食っていけるのではないか、こういうことをいうのであります。ですから、こういうことは何とか力を持って交渉がしていきたいという意味から、この団体交渉権がほしい。また強制加入の問題につきましては、あらかじめ組合を通じて名簿が完成している。各官庁、警察方面、あるいは、市の方面からでも通達は全部組合にくるわけであります。アウト・サイダーの方へは全然来ない。たとえて申しますと、密輸時計というのがございます。これなんかも、おそらく組合へ、あらかじめやっていけないという通達がきておる。組合に絶えずやっていけないということをあらかじめ通達を発しておるわけであります。ところがアウト・サイダーは、おそらく全然通達がありませんから、知らぬ顔をしてこれをやる、そんなことをなぜ摘発しないのかというと、わからない。税関の方では組合の名簿でやっておる。アウト・サイダーがあれば、そういうことを知らして下さいということをいって、やらない。みずからそれをやることは忙しいからやらない。もしそういうことを侵した場合は、組合から通達があり、いろいろそういうことはいかぬということは知っているじゃないか、なぜそういうことをやるかというと、組合に入っておるために非常に罪が重い。知ってやるのと知らぬでやるのでは非常に違う。何にいたしましても組合であるがために制約を受けるわけであります。組合員でない方が自由にやれて、きままにやれるということから、組合に入らないというのが相当あります。それで組合費まで出して制約されるより、自分勝手にやった方がいい。それでもしそれに対して原価を切って乱売するものがありますれば、それを問屋なりメーカーは支持するわけであります。何でも卸すのは同じなんだから、安く買ってくれれば得意だという態度で、それに対する制約も何もないわけであります。従ってぜひ強制加入が必要だということを痛感しております関係上、政府案に同意するものであります。どうかこの意味におきまして、一日も早くこの法案を通していただくようにお願いをいたしまして、私のあいさつにかえる次第でございます。よろしくどうぞ。
○班長(小笠議員) 次に三井弘三君にお願いいたします。
○三井弘三君 私は陶磁器の生産者の立場からお話し申し上げます関係上、ここで団体法及び組織法について意見を申し上げまして、小売商調整法及び産業分野の問題につきましては、意見を差し控えさしていただきたいと思います。
 陶磁器業界といたしましては、かねてから現行組合法たる協同組合法及び安定法の不備欠陥を痛感いたしまして、これが改正強化を要請しておりましたが、その実現はなかなか期待できませんので、ついに昨年輸出陶磁器のみの単独立法を制定すべしとの議が起りまして、業界並びに地方の団体が一丸となりまして、輸出陶磁器の単独法期成同盟を結成し、この推進をはかることになりました。この運動のねらいを一言で要約しますと、従来の組合法、あるいは今国会に提出されております団体法を拝見いたしましても、この法律が、内需向品と輸出品の双方に適用される一般規定となっておりますので、内地の消費大衆の立場を考慮するあまり、法律上いろいろな制約があり、輸出品のごとき法の運営上、多分に機動性を必要とする産業にとっては、法を真に有意義に活用することができないという欠陥があります。陶磁器業界としては、少くとも輸出品に関する限り、法律に弾力性と幅を持たし、現実に即する扱いを認めてもらいたいというわけであります。これに対しまして、人によっては、あるいは次のような反問が出るかもしれませんが、すなわち輸出品の措置については、輸出入取引法を活用したらよいではないか。しかし御承知のように、輸出入取引法は、商社、すなわちサプライヤーに重点がおかれたものでありまして、メーカーの団体の運用には触れておりませんので、生産者の法律としては、やはり不十分であることは、われわれにわかっておるのであります。それゆえに、われわれは、どうしてもメーカーの法律で、かつ輸出に対する法律を積極的に熱望しておるわけであります。ところで私どもの陶磁器業界が、この目的のために、輸出陶磁器に対する単独の法律を政府並びに地元代議士各位に再三要求いたしましたところ、現在国会に上程されている中小企業団体法でカバーできるところは団体法によって運営し、それでもなお足りないところとか、不合理なところを別に取り上げて善処したらどうかということを、政府並びに代議士先生より勧告がありましたので、その後業界は、輸出陶磁器の臨時措置法という名目で、これに合う特別な法案を作りましたが、これも議員の方や、政府当局におきましていろいろ忠告があり、結局削除や訂正を要求されまして、最後に不本意ながら非常に圧縮した事項にまとめまして、少くとも最少限度これだけは何とか実現したいものと考え、目下当局に要請している次第でございます。そこで本日は、この要請事項を申し上げることが、すなわち団体法なり、組織法なりの批判になりますので、以下その内容を逐次御説明申し上げてみたいと思います。
 まず第一は、法律の適用対象となる企業と企業の規模の定義であります。団体法では、従業員三百人以下ということが原則になっておりますが、陶磁器業界では、三百人以上の工場も相当あり、これらを法律上取扱いを別にするということは、運営上まことに片手落ちな結果になります。私どもは、内需品につきましては、この基準もあるいはやむを得ないと思いますが、輸出品については三百人以上たると以下たるを問わず、全部が一体となって同一歩調の下に輸出政策を推進することが絶対必要であることを、その体験よりして如実に痛感しているのであります。われわれ輸出の陶磁器が相手とするのは、国内の消費大衆とか、大企業とかいうものではなく、海外の市場であります。私たちは、海外市場において、日本品は安すぎるとか、価格が不安定であるとかいって、常に相手国の陶磁器業者から非難され、輸入制限問題や、関税を引き上げることによって、相手国の同業者から不当な排斥を受けないようにしたいものだと苦心さんたんしているのであります。ここに国内の業者が一丸となって結束し、適切な輸出対策を講ぜねばならない理由があるのであります。それを三百人以上だから組合とは関係がないということで、勝手な動きのままに放置することは許されないのであります。それ故陶磁器業界としては、輸出関係は組合員の資格に制限を付するようなことはやめていただきたいということを強く要請しているのであります。しかしながら、どうしても法律の性格上、何等かの区別をつけなければならないのでしたら、最低千人以下の工場を資格業者にしていただくより、政令において定めていただくか、あるいは国会の付帯決議を希望している次第でございます。このように、私どもは団体法の原案の修正並びに運用の弾力性を要求しているのでありますが、この見地からしますと、社会党案の組織法のごとく、さらに資本金一千万円という線で二重に縛ばるというようなことは、全く反対であります。ただし、繰り返すようでありますが、われわれはあくまで輸出振興を目標としているのでありまして、内需品についてまでそうしてくれというのではありませんから、この点御了承願います。内需は団体法の線で私たちは賛成していこうと思います。
 次に第二番目の点でありますが、これは組合の事業に関する問題でありますが、団体法によりますと、組合で行う価格の協定は、まず生産制限を実施して効果があがらない場合とか、あるいは生産制限が技術的な理由により実施できない場合にのみ実施できることになっておりますが、これも輸出陶磁器にとっては、きわめて不合理な規定であります。
 元来輸出陶磁器は、注文生産によるものと、見込生産によるものと二つありまして、前者は主としてアメリカのごとき高級市場を対象としております。後者は東南洋向けのごとき大衆製品であります。注文生産のような品物は、生産制限の必要はなく、まず価格の安定こそ根本要件でございます。それを逆にすることは全く無意味であります。この意味から輸出品についてはいずれも条件なしに、必要に応じ単独かつ自由に運営できるよう法案を修正していただくよう、私ども希望する次第でございます。この点につきましては社会党の組織法の事業規定には、別段の制限がありませんので、社会党案の方が団体法よりすぐれているということもいえると思います。政府におかれましては、従来の安定法の運用においても、輸出品の価格協定については、実際において制限規定をやかましくいわずに許可していると申しておりますが、それならそのように、今度の法律においてそのように字句を修正しておいて、何ら差支えないのじゃないかと思います。
 今から三年ばかり前の話でありますが、陶磁器の調整組合を設立し、その調整規定の認可申請に、生産制限と価格協定の二つを出しましたところ、当局におかれましては、まだ生産制限もしていないのに、価格協定を許可するわけにいかぬといって許可してくれませんでした。業界では、生産制限だけでは必ず事業は完全に運行されませんから、価格協定が同時並行的に認められない限り、事業に着手することができず、結局調整事業の実施を放棄しました。すなわち調整組合は有名無実に終ったというわけであります。爾来安定法に対する業界の不信が高まったことはいなめません。しかし現在は、こうしたことに対し、運営も大分改められておりますが、それならそれで法律上輸出品に対する緩和措置をはっきり明示しておいて、将来運営いかんによって事業が可能になったり、不可能になったりするようなことのないようにお取りはからいを願いたいと思います。
 第三点は、団体法における加入命令、或は事業活動の規制に関する命令、更にこれらの規定の運用の条件は、いわゆる不況条件といわれておるのでございますが、これも内需品については法案通りで別段異議はありません。ことに加入命令、団体協約等が新たに設けられたことは、一つの前進として、われわれはこれに賛意を表するものでありますが、これに輸出品の側から見ますと、甚だ不備と申さなくてはなりません。輸出につきましては、相手国の市場の状況に応じて、最も適切なる輸出政策を打ち立てることが重点であり、そのために業界の一致した行動が、強く要請されておることは、さきに申し述べた通りであります。それゆえ輸出品につきましては、輸出の健全なる発達または輸出品の公正なる取引のため、必要があるときは、加入命令も規制命令も、また団体協約も容易に認めていただくことが、真にこの法律を活用するゆえんとなるわけであります。当局者のお話によりますと、団体法においては、本規定の適用において「国民経済の健全なる発展のため、必要ある場合」との意味が書かれており、この中には当然輸出の健全なる発達という意味が含まれておりますから、あらためて輸出云々の字句は必要でないと語られましたが、輸出の場合は必ずしも不況要件がなくとも、輸出政策の大局上、これらの命令が出し得るようにしていただくことが必要であると、私どもは過去の事例、その他の経験によって痛感しておるわけであります。ですからぜひとも団体法を右の趣旨に基き、追加修正されることが望ましい次第であります。社会党の組織法によりますれば、強制加入及び規制命令はございませんが、かわりに団体協約による裁定という制度があります。これが必要に応じ加入命令とか規制命令と同様な効果を発揮するものとも考えられますが、これは実際の運用におきまして、時間的に、また制度的にみて効果をあげることは非常に困難であると思います。私どもは多年の経験により、団体法の規制命令及び加入命令等の規定に、前述の輸出品に対する弾力措置が加えられるならば、まことに結構であり、団体法に賛成するものでありますが、そうでないと、団体法ではなお不満足であることを率直に申し上げなければなりません。
 第四番目は、団体法について、調整規定は認可制になっておりますが、陶磁器業界においては、少くとも輸出品についてはこれを届出制にするよう要望しておきます。しかし「どうしても届出制が不可能になった場合は、せめて認可の期限を団体法案では二カ月となっているのを一カ月程度に短縮願いたい次第であります。輸出入取引法におきましては、商社は協定を届出制によって実施できる次第でありますから、これに対応する意味におきましても、輸出品は届出制が最も望ましいと思うわけであります。これについては、業界において現実にトラブルがあったが故に、実際問題として申し上げるわけであります。元来陶磁器は輸出品と内需品とが、その生産の当初よりはっきりと区別されているものが大部分でありまして、輸出品生産業者が専業化しております。このような輸出品たることの取扱いのはっきりしておるものは、その事業の万般にわたって敏速かつ弾力性ある処置ができるような規定とするよう考慮されることを望むものでありまして、これによって内需品に支障を与えることはないということを確信しております。
 以上を要するに、われわれ陶磁器業界は、原則として団体法を支持するものではありますが、原案ではなお非常にもの足りない。これに輸出品に対する特別措置を加えるならば、画龍点睛の効果をあげ得るであろうことを進言するものであります。
 最後に一言切実な問題をつけ加えたいと思います。
 陶磁器は、年間約七千万ドルの外貨を獲得する輸出産業でありますが、海外において、その値段のあまりに安過ぎること、値段が不安定であることが問題になっておる次第であります。これは一面工員の労働賃銀がいかに安いかを物語っているものであります。事実国内の他産業に比較しても、陶磁器の労務者は低賃金であります。このため新規または優秀なる従業員の雇用が不利であるのみならず、最大市場たるアメリカにおいては、日本陶磁器の締出しをはかる目的をもって、陶磁器工員の賃銀の高い国からの輸入は緩和し、工員の賃銀の低い国の陶磁器は、その率に応じまして、極度の輸入制限を行うとの法案が立案されていると聞いております。われわれは賃銀の引き上げが、労働状況の改善という人道的社会政策的な意味から必要であるばかりでなく、企業の雇用力の拡大と輸入防遏を未然に防ぐという大きな貿易政策、引いては国家経済の発達という線に密接に結びついているのでありまして、そのためには企業の組織化の一段の推進によって、価格の改善、安定をはかり、内においては労務の改善、外貨の獲得の増加、外においては対外信用と名声の保持をはかることが強く痛感されている次第であります。全国工場数五千を数え、内二千五百工場が輸出生産に携わり、斯業に関連して生活する者五十万といわれますが、われわれは、組合事業の強化と専ら輸出の振興によってその安定をはからんとしております現状を御了察願いまして、ここに団体法いなそれ以上の前進した法案を要請する次第であります。
 なお以上申し述べましたことは、私個人の意見としてではなく、陶磁器業界の機関決定を見た業界の総意であることを御了承の上、御判断を仰ぎたい次第でございます。以上をもって、概略ながら公述といたします。
○班長(小笠議員) 村瀬重時君にお願いします。
○村瀬重時君 私は愛知県の下駄工業協同組合の理事長であります。
 今回御提出になっておりまする団体法あるいは社会党から御提案になりました組織法、その点はまことに、私双手を上げて賛意を表する次第であります。しかし政府案がいいか、あるいは社会党案がいいかという、この点になりますと、一長一短があると考えております。しかし現在の立場においては、政府提案でなければ、中小企業者は、断じて生きていけないということを、私は深く信じておるわけでございます。まず団体法というものが、一日も早くこの国会で御通過をいたされなければ、中小企業者というものは、何といいまするか、飢え死にをしなければいけない、あるいは国家の一面の破滅の状態になるのじゃないかと実は私は考えております。
 第一に、なぜ私がかくまでも団体法というものが必要だということを、一、二例をあげて、皆様の御参考に供したいと考えております。御案内のように、戦争中においては、統制あるいはその後においても統制ということで、一にも、二にも統制でこの組合というものが、まあ官僚統制と私ども申しておりましたけれども、まことに重苦しい統制であったのでありますが、終戦後において、この統制というものがはずされまして、空白の時代が起きたことは、これは永井先生も、阿左美先生も、小笠先生も御存じだと私は考えております。ただ以前の統制時代においては、まことに重苦しかった。何か上から押えつけられたような感じを組合員業者が持っておりましたのが、この統制がとられたために、上から押えつけられた圧迫、というと語弊がありますけれども、そういう気持がなくなって、やれやれとお互いに背伸びいたしました。これなら自由でいけるだろうという、この気持が、ついに組合の一つの空白が起きて参りまして、これがまあ何といいまするか、組合に加入してなくても、おれは自由にやるのだ、こういう気持が入って組合を弱体化した、これが重大なる原因だと思うのであります。自来私ども、ここ数年来、どうしても組合というものが一つの、団結力を持って強化するようにしなければいけないと私どもは叫んで参りましたけれども、残念ながら、法的にこれを裏づけるものが一もなかったのでありますから、先ほど来各業者の方々がいわれるように、アウト・サイダーというものが、あちこちにでき、アウト・サイダーなら負担金の必要もなければ、あるいは出資の必要もない。価格の協定もしなくていい、勝手放題なことをしておりましたために、私どもは、今申しましたように、何とか強化しなければいけないといっておりましたが、することができなくて、幸いにして昨、前国会でありましたか、まず第一歩として、この中央会というものができて、これが法律化して参りましたために、その当時において私どもは、この中央会というものを法制化したのだから、何を苦しんで一体――各地方の都道府県の中央会、これに対して全国の中央会が強制加入を受けておるじゃないか。ところが上の一つはそういう工合で、中央会というものが強制加入になっておりますけれども、地方の、都道府県にあります中央会に入ります単位組合というものは、これ自体が自由加入の自由脱退である。これがたとえていえば、屋根に瓦はのせたけれども、造作、壁も建具もはまっておらないのと同じような形ではないかといって、私ども盛んに不平を申しておりますが、そのうち何とか政府の方も考えるだろう。また野党でありまする社会党の方も考えてくれるだろうといっておりましたうち、とうとう今回の国会にのろしが上りましたのが、今度の団体法であり、組織法のこの提案となったのであります。こういう点を私ども考えますときに、どうしてもこの団体法というものは、早く通過さしていただきたい。
 その一つの理由は、まず私どもの業界でいいますると、私どもここ数年来共同購入ということを盛んに叫んで参りましたが、この共同購入すらなかなかまとまっていかなかった。なぜいかないかというと、アウト・サイダーがあるために、やっても、アウト・サイダーのやつはまことにいいことをやるのじゃないか、こういう気持が各業者にあったために、なかなかこれを実行することができなかったが、一昨々年でしたか、ついにこの共同購入ということを、もちろん私どもは北海道材を使うのでありますが、共同購入をやりました。すると、こういうことをいうと、あるいは道材を名古屋に持ってくる業者の方は怒るかもしれませんけれども、私がこれをやりましたときに、第一に痛切に感じましたことは、名古屋の沖、ちょうど築港と本船に行って木を業者にわたしますが、これが石二千円でありますが、甲のブローカーの手にわたり、乙のブローカーの手にわたって消費者である私どもの手にくるのでありますが、その値段は同じなのであります。どうしてブローカーの二、三の手を通ってきているのに価格は大差ないのか、ここに、疑問が起るのであります。まず名古屋には合板というものがあります。ですから築港にあります木材で、いいものだけが石四千円あるいは四千五百円で、二割三割というものを引っこ抜いて持っていって売るわけであります。これだけ第一の業者のもうけとなるわけであります。そしてその次に参りまして、第二の業者の手にいくときは、その残りのものの七〇%あるいは六〇%の中から中材として抜いていくのだ。そして私どもの消費面にわたるときはほんとうの下材として手に入ってくる。それではお互い業者が生きていけない、利潤というものを得ることが、お話は別になりますけれども、昨年より神武以来の好景気といって新聞にも書き立てておりますが、政府当局の方々も神武以来の好景気だとおっしゃいますが、おそらく中小企業は神武以来の大不景気が昨年であったと私は断言できると思います。ただ好景気であったのは、一部の業者にすぎないのでありまして、その他のものは神武以来の大不景気だったと私は断言できるのであります。その一つの例は、私どもの方に入ってくるときは、悪いものしか、しかもそれが高いものである。それではいけないということから、私ども終戦前から共同購入ということを考えましたけれども、これがようやく実りまして、一昨々年でしたか、買いましたときには、名古屋に参ります、私どもの使います資材というものは、だれが買っても、どこで交渉しても、私どもお互に共同で買いますから、今までのような下材ではなくして、いいものが手に入る。ところがアウト・サイダーの連中は、同じように横の線を引かれたのですから、同じものが購入することができる。それでは組合に対する義務負担というものが、組合というと、私どもの組合員は相当の出資もいたしております。また負担金を出しております。いろいろの会合もして経費を使っておりますが、アウト・サイダーの連中は、出資もしなければ負担金も出さない。経費も使わない。こういう点を考えますると、どうしてもこの団体交渉、ひいては強制加入、これは政府提案にも強制加入という言葉を使っておらないようでありますが、私どもはなぜ強制加入という言葉がいけないのだ。これは憲法違反とも新聞でわれわれは伺っておりますけれども、決して私どもはこれが強制加入という字句自体が、人権をじゅうりんするものでもなく、また営業の自由を束縛するものでも、私は断じてないと思います。しからばその理由は、先ほど申しましたように、先般の国会で法律化されました中央会に対しましても、中央にありますこの全国中央会に対して、地方にあります都道府県の中央会は、これに義務加入、強制加入だ、こういうことが言い伝えられておりますが、都道府県の中央会で、中央にあります全国中央会に入らなければ、強制加入でもこれを入れるのだぞ、こういわれる。これに対しては憲法違反ではなくして、先般の国会の当時に、この中央会の法案ができたときには、憲法違反ではなくて、今日の中小企業者自体の擁護のために行いますこの強制加入に対しては、憲法違反だというこの言葉自体が、私はいささか矛盾しておるのではないか、こういうことを実は私は考えておる次第でございます。それからもう一つ、団体交渉、先ほど私が資材の問題を申し上げましたけれども、団体交渉も実は政府の提出は手ぬるいと思いますが、ここが一つ中小企業の、また長所でもあり短所でもあると思いますが、労働組合の諸君のように、ねじ鉢巻で、腕を振って、いすを振り上げることは、中小企業はようなし得ないのであります。これを反面から見ますと、あるいはあいつらはばかだ、上から押えつけられたり、大企業に利益は全部そっちに持っていかれると思われるかもしれない。しかし中小企業者は、永井先生のおっしゃったように、ここにも提案の理由が出ておりますように、この利潤の問題、あるいは大企業と中小企業の態勢、人員の関係を見ましても、片方は二万何ぼ、片方は二千幾ら、とにかく十倍以上の業者の違いがある。このわずかに知れた利益を、大企業に接収されて、中小企業はその日の生活に困るのだ、こういわれるようになるかもしれませんが、私はどんな強欲なる大資本家でも、じっくり話をして、談合すれば、人間である以上は、必ずや私はわかってくるものだと考えております。そういう点から考えますと、いささかなまにすいようなこの政府の団体交渉でありますけれども、これで中小企業は、かなり生きていけるのだ。そういたしますれば、それだけの法律的裏づけがありますれば、業者自身も、これならよかろうということで、多少安定感も出て参りましょうし、交渉するときでも一つの裏づけがあるから楽に交渉がし得る、こういう点を私ども考えて参りますと、今回のこの団体法というものに対しましては、双手を上げて、私は賛意を表する次第であります。
 今申し上げましたように、大きな企業に、私ども中小企業が圧迫を受ける。私どもの業者に対しましてはございませんが、全部そろって零細な企業者でありますからございませんが、その中から他の一つの例を皆様方に、御参考までに申し上げておきます。
 これはよく御存じだと思いますが、昨年からでありまするが、東京でも同じだと思いますが、街を歩いてみますと、夏になりますと、氷屋さんとアイスクリーム屋さんがあります。家で小さな三分の一くらいのモーターによってアイスクリームを作って、そして店頭で売っておる。ところがアイスクリーム屋さんがなくなったのは、よく御存じだと思います。なぜなくなったかというと、店頭には、ちょうど今の電気洗濯機を小さくしたようなものが、森永クリーム、あるいは明治クリーム、名古屋でいいますれば名糖クリーム、こういう名前を借りておいてある。これが一個二十円、あるいは十円で売る。これがいわば冷蔵庫のようなものになっておりますから、そのまま大メーカーから持っていきます。相手は大メーカーですから、家でモーターを回わして作りましたクリーム屋さんは、おそらく全部陰をひそめまして、今日ではこれはなくなっております。これは環境衛生の上からは森永、明治、名糖がやりましたのがきれいでありましょうけれども、これにはそれ相当の取締り法を活用していただければ、小さな業者が、家でクリームを作りましても、決して不衛生なものではないと私は深く信じております。長く伝統のあったものがなくなって、それが変って参ります。こういう点を考えますと、おそらく一般的に大企業が中小企業者を圧迫するということ、これに対しましても団結の力をもって大企業に私は交渉をいたしまして、こういう中小企業の生活を脅すようなことはしてくれないように交渉することが私はでき得る、またなし得ると思います。こういう立場から考えますと、どうしても今度の団体法の中には、団体交渉の強化、あるいは加入命令というものがもう少し、はっきりとこれを入れていただいて、この団体法が通るならこれに越したことはないと思いますが、ちょっと私どもの考えからみますと、今度の団体法もなまにすいと存じますが、あるがいいか、ないがいいかといえばある方がいいと思います。これを橋頭堡としてあるいはともども改正していただければ、私はまことに結構だと考えておりますから、今回の政府の団体法に対しては、双手を上げて私は賛意を表するものであります。
○班長(小笠議員) それでは間瀬鋼平君からお願いいたします。
○間瀬鋼平君 私は今日意見を申しまする各皆さんのうちで、小売商に関係のあるものでございます。日本商店連盟、NEP、協同組合、この世話をいたしておるのでございます。従いまして、申し上げることも小売商の点から申し上げたいと考えるのでございます。先生方もよく御承知のように、われわれ小売商は多年にわたりまして、中小企業対策に対して政府並びに各政党にお願いをして参ったものでございます。ということは、色々他の不遇の国民に対してはそれぞれ生きていくところの基本法典というものが制定されたのでございます。ところがわれわれ中小企業、ことに小売商の方面に対しましては、よるべき基本法典というものがございません。故にきわめてみじめな、いわば政策の孤児として多年まま子扱いされていたということが、われわれの実情でございます。従いましてわれわれ小売商も、他の国民階層と同様に国民の一人として、せめて生きるだけの権利を与えてほしいということがわれわれの要望でございます。しかしながら、今回、与党並びに野党の政党におきましても、われわれ中小企業のこの現実においこまれました窮状というものを御認識をいただきまして、いろいろ政策面に取り上げていただいておることに対して満腔の敬意を表するものでございます。今日われわれの意見といたしましては、取りあえず中小企業団体法あるいはまた組織法、並びに社会党方面からいたしますると、それに関連いたしまするところの各種の立法、政策がございましょうが、特に今日はこの団体法、あるいは組織法についての意見ということでございますので、その方面に要約して申し上げたいと存じます。しかしながら特に申し上げておきたいことは、この団体法あるいは組織法のみでは、とうてい今日の中小企業の不況を救済する事はできないものである。この点におきましては社会党からいろいろ関連立法が出ておりまするが、そういうような点に十分に御留意下さいまして、とうていこの三個の立法ではわれわれの境涯というものは脱し得ないのだということをよく御認識いただきたい、このことを特に申し上げておきたいと存じます。なおこの今回の団体法あるいは組織法に対しましては、一部経団連あるいは百貨店協会、この方面からは全面的にあるいは引き延し運動あるいは反対運動というものが、強く行われておるのであります。しかしながら消費者方面におきましては、この点また一そう認識が高いようでございまして、中小企業の組織の強化は必要であろう。しかしながら今回この法律が出来るということによって、物価が上るんじゃないか、従って消費者が不利になるのじゃないかというようなことを御懸念になりまして反対運動があるようでございます。これらに対していささか申し上げて見たいと存じます。そもそもこの経団連あるいは百貨店協会が、反対運動をしておりまする骨子を拾い上げて見ますると、こじつけの理屈でございます。いわく団体交渉あるいは加入命令、こういうようなものはことごとく取引の自由、あるいは企業の自由というものを害するということをいっております。これは全く立場をかえて、われわれが強く叫びたいことでございます。今日取引の自由というものがどこにあるかということでございます。御承知のように、大企業には下請業者というものがある。あるいは百貨店等におきましては問屋がある。あるいは出店者があるのでございます。が、それらが果して取引の自由、契約の自由といいますか、そういうことが守られておるかどうかということ、これは先生方はよくご認識のことでございましょう。勝手に大メーカーは、下請業者に対して請負い値段をきめる。あるいは製品に対しては買付け値段をきめてしまうのでございます。また百貨店業者におきましては、問屋あるいは出店者に対して一方的にそれらの処置をいたします。ところで公取引の特殊性がありましたにもかかわらず、今なお返品問題が形をかえて行われております。かように大資本、大財閥が取引きの自由というものを一方的に有利にしておる。その理由が、あたかもこういう団体協約あるいは強制加入というようなことを強く打ち出しまして、そういうような法律が出来ると、自分らの方の利益がおかされるというような事を、われわれ中小企業が高く叫ぶところの、当然叫ばなければならないその名称によって反対をいたしております。実に厚顔無恥と申しまするか、利益のためには何物をも犠牲にするという大財閥の現われであると私は存ずるのであります。又彼等はこういう法案は慎重審議するために、時期を延すべきだというような事をいっておりますが、これは百貨店法の実例を見ましても、いかにその期間で時間的のかけ引きをする野望であるかという事を、先生方はよく御認識をいただきたいと思います。百貨店法の制定に対しては、数年前からわれわれ小売商は運動を実行して参りました。遺憾ながら一年あるいは二年という制定に手間どりましたために、ついに百貨店法が出来た当時は百貨店をどんどん作りまして、制定後われわれが一般小売業者から非難を受けたのはお前らが百貨店法の制定をやったから、運動をやった為に、かえって百貨店が一挙に増築をした。籔をつついて蛇をだしたようなものだと非難を受けたのであります。それと同様に、経団連その他が遷延運動に力を注ぐのもその間に時をかせごうという、まことに腹黒い運動であるという事を先生方に御認識を得たい、かように存ずる次第であります。政府案と社会党さんの案がございますが、政府案、社会党さんの案に対しましても各々不満がございます。われわれ制定運動を起しまして、われわれ自体の案も、政府、政党に提出してある次第でございますが、それに基き、あるいは政策審議会等の答申に基きまして、いろいろ中小企業庁で立案になったようでございまするが、最初の案とは幾変転がございまして、ついに今日の法案のようなものが出来あがったという事でございます。ゆえに、われわれの要望致しました点から見ますると、はなはだ弱体、骨抜きになっておるという事を信ずるものであります。従いまして、社会党の案、政府案に対しましても、われわれはこれで満足するものではございませんが、とにかく百貨店法に致しましても同様でございますが、ないよりはましだ、とにかく一応この法律を作っていただいておくという事が必要である。殊に百貨店法について苦い経験をもっておりまするので、とにかく現政府案でもやむを得ぬから、これは今議会で必ず制定するようにしていただきたい、かように存ずるのでございます。特にこの社会党方面の案によりますると、この強制加入の点がございません。これは、あるいは公取方面の意見あるいは一部憲法学者方面の意見を御考慮になった結果ではないかと存じますが、これはむろんここで私憲法論を致したいというような、大それた考えは持っておりませんが、とにかくわれわれの考えから致しますれば当然憲法には抵触しない。また公取方面に対しましては条文に対しては抵触する点があるかも知れませんが、それは別に中央会等の例もございますので、その点に対しては十分にご好意をいただきまして、社会党さんにおきましても強制加入という言葉が悪ければ、義務加入という言葉でもなんでもよろしいのでございます。どうかその点に対しては、やはり組合に加入するという事でなければならぬということは実際、各意見を述べたもののいう通りでございまして、申し上げるまでもございません。故にどうか一たん組合ができた以上は、それに全部加入する。全部加入すると申しましても、なかなか各皆様方が申しのべたように、足並みがそろわないものでございます。故に最後は義務加入というか強制加入の線にもって行くより道がないのでございます。そう致しませんと、いかに団体法が出来ましても大した効果がございません。先般の議会等におきまして、ある委員の質問に対して労働組合は強制加入じゃないぞというやじがとんだように速記で見ましたが、労働組合と今回の組合とは非常に趣きを異に致します。労働組合の方では強制加入をする必要がございません。という事は同一の職場の中で仕事をしている各位が組合を作るのでありまして、その同一の職場の中における諸君がその中に入らないという事はこれは普通の考えから見てあり得ない事であります。ところがわれわれ業者の方になりますると地域に分れておりますので、一府県、都道府県という事になるかも知れませんが、各々地域の差がございますので、そう毎日顔を合せておるわけじゃないのであります。故に一種の強制命令加入の規定がなければとうてい入らない。入らぬで済むならば、入らずにその連中がやる効果だけを頂戴しようというようなさもしい考えの者が相当にあるわけであります。故にそれは諸君と致しましてはその点に対しましては社会党さんにおかれましても、よくわれわれの申し上げる点を御了解いただきまして、政府案に歩みよっていただきたい。かようにお願い申し上げるわけであります。その他、両法案を見ますると若干ずつ違いがございまするが、せんじ詰めますればそう大した違いはないと私は存ずるのでございますので、どうかぜひとも最後にお願い申し上げておく事は今議会にこの法律を制定するという事に、等しく御尽力をたまわりたいと思います。
 最後に消費者の方面の反対の面を申し上げて見たいと思います。これは全くこの法律というものの内容をよく御検討いただいてない誤解からくる杞憂であると私は信じます。十分に政府案におきましても、その消費者各位が御心配になるような事にならないように配意がされておりますので、その点をごらんいただく事自体で、ただちに無用の心配であったという事がお気づきになるのでございまするが、今日の経済事情から見ましても、また消費者の各位がかように御心配になる点はさらにないという事を申し加えたいと存じます。と申しまする事は今日の日本の状態を見ますると、非常な生産力でございます。どんどん消費者に買っていただかなければ、とうてい生産方面はやっていけないという状態でございます。物が多く出来れば必然的に安くなる。これは当り前の事でございます。しかしながらこの法律が出来まして色々団体交渉あるいは加入命令、かようなものがございまする事によって大メーカーの横暴を防ぐ事が出来るわけでございます。皆様が御承知のように、今日の大メーカーがいかに横暴であるかという事を一、二、申し上げますると、御案内のように電気器具方面の生産者、あるいは自動車方面の生産者、製薬方面のあるいは化粧品に致しましても、大メーカー自体が販売価格をきめてしまいまして、そうして系列の小売商に対してこの価格で売れといって参ります。故にやむを得ぬからその価格で売る。大メーカーが勝手にきめる値段でございまするから、あまりもうかってしょうがないという事もございます。そういう物に対して値段を切り下げて売るという事になりますと、大メーカーの方では系列からはずすぞという脅迫がくる。仕方がないからその価格で売るという事をやっております。こういう点、一般の消費者が御承知がないようでございます。生産が過剰になって参りますれば、売る方は、出来るだけ多く買ってもらいたいということで、安く売るようになっていくことは当然であります。しかるにその大メーカー等に対して何らかの団体交渉権がない結果、今では泣く泣く大メーカーのいう定価を守るという事でありまして、とりもなおさずこの点消費者の各位が非常にご損をなさっておるという事であります。また大メーカーが、現在以上に中小企業に圧迫を加えるならば、中小企業はなくなってしまう。こういう形を御想像願うと一そうその点がはっきりすると思うのであります。こういう点をよく御認識をいただきまして消費者各位が、自分の方の杞憂にすぎないのだという事を御了解いただきたいと存ずるのでございます。従いまして私と致しましてはこの団体法あるいは組織法だけでは、とうてい今日の中小企業の救済という事には相なりませんが、ないよりはましだ、しかし時を経れば、大メーカー、大財閥がこれを悪用致しまするので、一日も早く御制定を願いたいという事を、お願い申し上げて意見と致します。
○竹内弘君 私は消費者の立場及び中小企業、特に中小工業者に雇われている労働者の仲間でございます。こういう立場から、ただいまここに審査をし意見を求めておられますので、四つの法案について申し上げたいと思います。
 統計を拾って今日中小企業の全国的に占める地位というものはどういうものかといって調べてみますと、全国の工業事業所の数は実に四十三万四百四十を数えております。ところが以前の法案にもありますように、この中小企業の一つの基盤である従業員三百人以下、この事業所数は四十二万八千七百八十四とせられております。その占める比率というものは九九・六%であります。また雇用されておる労働者の数をとって参りましても全国総数が五百八十三万に対し、中小企業が占めるのは三百八十三万、その比率は実に七二・四%になっておるわけです。ところがこれらの中小企業、このような日本の産業の上に格別重要な地位を占めている中小企業がなぜ今日このような困雑な事態に直面をしておるかということを私どもまず考えなくちゃならぬと思います。それは長年にわたる政府の中小企業振興政策の貧困がまず第一の原因ではないか、かように考えます。何となれば、今日日本の政治はどのような角度から見て参りましても遺憾ながら大企業独占資本中心の政策であると言わざるを得ません。
 先ほども永井参考人の方から公述人に対する質問の中で幾つかの点があげられておりましたが、税制の面をとってもさようであります。金融の面をとってもまたその通りでありまして、すべての産業におけるところの犠牲が中小企業にしわ寄せされ、その犠牲はそのまま中小企業の各事業所に働く労働者、そしてそれが延長されてわれわれ小市民、いわゆる一般大衆に負わされていると言わなければならぬと思います。そういうような現状の中から中小企業の発展と繁栄を求めてのこの組織強化あるいは中小企業を組織しよう、こういう各業界の熱望、条件、行動に対しては私ども消費者として、あるいはその中小商店に働く者としても心から賛意を表するものであります。ぜひ組織は強くしなければならないし、そういうことがなければ今日のあの大企業の横暴に対して弱く、みずからを守ることはできないと考えます。しかしそれはともあれみずからの自主的な立場、お互い業者間の信頼と友情の中に、あるいはお互いの立場を尊重する中に、そうして組織が強化されてこそ、初めていついかなる場合においてもその団結は崩れないものになる、かように私ども確信をするものであります。しかしそれでは組織ができることにおいて今日続けられている大企業の圧迫、独占資本の苛責なき搾取を断つことができるかどうかというとそういうものではないと思います。中小企業の振興策あるいは現状の克服、救済というものはこれはこの組織というものでなく、その外に全般な問題として政策が立てられない限り私どもはあり得ないと思います。たとえば税制の問題においてもしかりであります。金融の面においてもそうでありましょう。あるいは工場の設備の近代化という面においてもそうでありましょう。あるいは工場の環境をよくするということもそうでありましょう。あるいはまた貿易面においても中小企業の生命への各般にわたる総合政策が立てられ、その一環としてのこの組織、中小企業の組織ということが考えられない限り、今日の中小企業の苦難な中から立ち上ることはできぬのじゃないかと思います。同時にそういう総合政策の中から中小企業の繁栄を求め、そうして私どもがつねづね叫んでおりますいわゆる完全雇用、社会保障、そうして生活安定のための最低賃金法あるいは家内労働法、こうした各般の法律、これが一貫してこの審議過程に上り、それらを通して社会政策として打ち出されることを私どもはまず考えなければならぬと思うわけであります。
 そういう立場からただいまの四つの法案について一、二御意見を申し上げれば、まず第一に政府案は総合政策の一環という立場を取っておりません。ただ単独の法案としてそうしてここに忽然として中小企業団体法が出てきたかのごとき印象を受けるわけです。私が先ほど申し上げたように、これだけではどのように中小企業の皆さんが団結をしようとも遺憾ながら今日の事態を切り抜けることはできぬのじゃないかと思います。
 その次にはいろいろ強制加入の問題が今までの公述人の方から述べられましたが、今日の戦後における日本の政治、経済、そして将来にわたる展望の中からも一言私は権力による組織は排除をしなければならぬと考えるのであります。しかも権力によって組織化をし全業種にわたってこれを正常事業が行い得るといたしております政府案は、まさにいわゆる独禁法を野放しにいたしましてこれは直接好むと好まざるとにかかわらず、私ども消費者に大きな影響を与えるものと言わざるを得ないと思います。
 三つ目にはいま言った強制加入の問題でありますが、憲法違反の問題も論じられておるようでありますけれども、どの場合にしてもみずからの組織がみずからの自主的な立場に立って、しかもいずれの場合においても少数意見が尊重される、この原則は私は確立をされなければならないと思います。中小企業の皆さん方がそれほど熱望し、この不況を打開するために結束をするならば、あえて今日権力の影響に寄らざるとも十分私はその意味が全きできると思うのであります。もしその若干の急をもって権力にこれを庇護を求めるとすれば、これはやはりあの戦争中に暗い思いをした官僚統制への一歩であり、日本経済に大きな禍根を残すことになることを強く憂うるものであります。続いては内容にあります強制命令でありますが、たえず命令で行われる場合はこれがきわめて最大公約数的に取り扱われます。その際にどういう現象が起るかと申しますと、一つの例をたとえて言うならば、たとえば価格を協定する場合、一体何を基準になさるでありましょうか。おそらく中小企業といえどもぴんからきりまであります。従業員数三百人という中の大という中から、いわゆる十人以下という中の極小、ゼロ企業を含めてもし価格協定を、いたすとするならば、おのずからそこには零細企業に対して好むと好まざるとにかかわらず、犠牲が強いられ、結局は零細企業の自然淘汰だ、中小企業から大企業への系列化ということにならざるを得ないと思います。こうした点については大きな私ども疑問を持つものであります。
 それから政府案においては遺憾ながらこの重要な画期的な中小企業の組織の問題を扱う法律として多くの比重を占める消費者、同時にこの消費者の協力なくしてはこうした円滑なる法の運用ができ得ないときに、私ども消費者の意見をほとんど聞く場を持っておりません。こういう点についても私どもは強い不満を持つものでありまして、以上の点からいたしまして私は政府案には反対をいたしたいと思います。
 私どもが今まで申し述べましたそれらの点を大方条文化をいたしまして、もちろん不備な点は多くあろうと思いますが、この中小企業の振興政策を総合政策の立場から考えておる社会党の提案になる組織法及びこれに関連をいたしております中小企業の産業分野の組織に関する法律案以下それぞれなおかつ多くの関連法律あるいは行政措置を講ずるかのごとき御提案になりましたが、その方向に賛成をいたしたいと思います。
 以上申し述べまして意見に代える次第であります。
○班長(小笠議員) 以上をもちまして陳述者の意見の開陳は全部終了いたしました。
 次に質疑に入ります。質疑の通告がありますので、これを許します。
 なお質疑をなす場合には、あらかじめお聞きにならんとする参考人のお名前をお述べ願います。
 阿左美廣治君。
○阿左美議員 まず三井さんにお伺いをいたしたいと思います。
 陶磁器はきわめて中小企業のうちの最も加工業にあるというような関係から、三百人以下ということでは困る、こういうような御意見がありまして、なるほどこの団体法によりますというと、中小企業の一つの定義といたしまして従業員は三百人以下ということになっております。また商業等にとりましては常時三十人ということになっております。あなたの御意見から申しますと千人というところまで認めてもらいたい、こういうような御意見でありましたが、しかし千人というような常時の従業員というものは非常にこれは膨大なものだと思うのでありますが、その間に対しまする、どうして千人までを認めなければならぬかというようなことに対して、なお一応内容的に御説明を願いたいと思います。
○三井弘三君 陶磁器は品種が非常に各種多様にわたっておりまして、品種によりましては相当大きな工場のものもございます。大別いたしますると、陶磁器は一般の食器、それをさらにディナー・セット、硬質タイル、ノベルティ、大別いたしますとこういうような数ケースに分れますが、このうち特にディナー・セット、タイル、衛生陶器というようなものは大体工員が七、八百人程度のものがむしろ数においてまた産額において三分の二以上を占めておるような現状でございます。
 ところで、この現在の団体法をかりに活用いたしますると、全国的な連合会は一本しかできない。ところで現在の陶磁器の実情は、岐阜県には十数の生産地区がございまして、それがまた業態別に生地の生産、えつけ、あるいは完成というふうに分れております。岐阜県だけでも十数地区の生産地に組合があり、それが連合会を三つも作っており、さらに私どもの団体に加入しておるというような状況であり、また瀬戸地区におきましても組合が十数ありまして、それがかりに瀬戸において連合会を作り、それがさらに全国の連合会に加入しておる、こういうような現在の協同組合の姿は、おそらくこの団体法によりまして組合の組織は変りましても、そういう形を移行せざるを得ないのじゃないかということが考えられます。それは長い間のやはりそういう実情があって生まれたわれわれの組織である。ところで全国の連合会というものは全国に一本しかできないというのがこの団体法の制度になっておりますので、これを一つわれわれの現状に合うような組織に変えてもらいたい。法律に変えてもらいたいということを再三申しましたところ、そういうような組織の問題は何か組合内において調整をして、もう少し別個の考えを打ち出そうかというような政府側の勧告もあり、そしてわれわれが考えました案は、そういう地区別の団体はやはり従来の協同組合の形態で残して、真に既成事業を行うものは品種別に一本の組合でいこう、地区別のものは大体自主的な協同組合、そうしますと先ほど申しましたディナー・セット、硬質タイル、あるいは一般食器というように品種別に全国的な組織を作ろうといたしますと、まずアメリカにおきまして重要品種と言われるディナー・セット、アメリカにおいてディナー・セットの動きが陶磁器輸出の生命を制するとまで言われておる。この代表的品種において最も強い輸出品種をまず第一に、この組合の組織が困難というのが現状であります。また同様にして競争のはげしいタイルにおきましても硬質タイルなんかは困難となりますので、われわれはこういう業界一般の三百人以下のものはそれでいいでしょうけれども、やはり最も必要なものがそういうものにかかってくるということになりますれば、千人以下ということに決めていただくことがこの法を真に活用する道になる。もしそれをそういうふうに決めていただかないならば、私達は単独法でも作ってもいい、この団体法によらぬでもいいからその組織化を別個の法律にしていただきたいということを要望しておきます。ですから、この団体法をわれわれはできるだけ通したいというためにはわれわれがこの法律案を活用できるようにしていただきたいということで千人以下としたわけであります。
○阿左美議員 そういたしますと、中小企業という業種のもとに千人以上を使用しておるというような工場はどのくらいの数があるのでしょうか。また千人以上を使用しておるところの工場の一カ年間の生産数量と生産高は金額にしてどのくらいな生産をやっておるか、一応お聞きかせを願いたい。
○三井弘三君 千人を超える工場は食器関係においては一社しかございません。それは千人をはるかに超え二千人を超えておる一社であります。それから碍子なんかにおきましても一社、そういうものですべてを入れますと約三社ないし四社しかございません。そこで千人以上、この団体法においてさらに含めてくれというのはあまりにも出し過ぎじゃないかと思うので、せめて数の多い千人以下までを認めていただきますれば、あとは私達民主的な話し合いによって大工場の参加を願い解決できる用意があるということを申し上げます。
 数量はこれを全般的に見ますると、食器関係の二百工場におきましては金額にして全産額の大体五%、それから碍子関係でも価格で六%以下でございます。数量は非常に大きなもの、小さなもの沢山ありますので、われわれ価額で大体申し上げて、大てい価額でやっておるわけでありますから、ちょっと数量を申し上げても無意味であります。トン数ということになりますると、これまた品物の重いものであってしかも価額の安いものもありますし、軽いものであって高級なものもあって、トン数もまた実際を現わすには重要視しておりませんし、ことに統計もありません。
○阿左美議員 やはり千人以上二千人ということになりますと、これはどうでしょう。中小企業の範囲を脱しておるのじゃないでしょうか。そういうふうにも考えられますので、やはり一応中小企業というものは他の業種にも関係がありまするので、千人というようなことはどうかと考えますが、しかしこれはまたその実情によっては先ほども御意見の中にもありましたが、政令とかあるいは修正というようなことも結構だという御意見もありましたが、何らかそういうような扱いをしなかったならばこれはどうも中小企業というものを三百人を千人というふうに修正するということはどうかと考えます。
 なおまたお伺いいたしますことは輸出と内需とを一緒に扱われては困る。こういうような御意見もありましたが、これはどうも相当の理由があると思いますが、輸出品と内需品というものに対してどうこれを扱うかというようなことは、これは多少研究の余地があると思います。この全生産高に対しまして輸出と内需との関係はどんなふうになっておりますか。
○三井弘三君 まず千人の問題でありますが、私は千人以上までをこの組織へ入れるというのではありません。千人以下を入れていただきたいというのでありますから、この点誤解のないように願います。
 それから輸出と内需との比率は、これは大体全国の統計によりますと生産額におきまして大体輸出七割、内需三割となっておりますが、特にこの地方の愛知、三重、岐阜三県地方は輸出が一〇〇パーセント近く生産されておりまして、輸出の組織化は非常に進んでおりますが、内需の方は民芸品的な地方的なものがありまして、それらはわれわれの総合団体に入っておりません。われわれは輸出という重点においた、つまりこの三県地方の運用によって完全に輸出品を取り上げていくというように考えております。
○阿左美議員 間瀬さんにお願いいたします。
 私はあなたの御意見は現在のあらゆる中小企業のすべて総合的の意見を代表しておる。現在の中小企業の立場からあなたのおっしゃる通りの実情だと思う。たしかに今の中小企業というものは先ほどあなたがお述べになられたような実情であって、これをこのまま放任しておったならばたしかに大メーカーにして中小企業は断されるという段階にきておるのではないか、こういうように考えまして、あなたもなかなか言い尽している。非常に私は感銘しております。たしかに現在中小企業として今の実態をよく把握しておる、こういうふうに考えておりまするので、多少でありましても私は現在の中小企業というものはいずれにしてもこの法案においてわれわれも満足しておるというふうには考えておりません。幾多のこれは措置を講じなければならぬ、そういうふうに考えておりますけれども、とりあえずこの法案において現在の中小企業の立場を何とか明るくしなければならぬ、こういうふうに考えております。
 もしこの法案が今後これが成立いたさないということになれば、むしろこういう論議をしたことが中小企業者に対する非常な害毒を流すことになる。この法案の制定にわれわれが持ち出さなかった方がよかったんじゃないかというふうに感じられますので、どうしてもこの法案は皆様の御意見に従いまして、これは立法化しなければならぬと私どもは考えております。いろいろ実際の運営の面に対しましてはきわめて今後大いに研究したり、また注意をしなければならぬと思うのであります。要は私は法案そのものはどういうふうに作りましてもすべては運営だと思います。運営を誤まればいかなる法を決めましてもこれは決して効果はない、害を与えるということになる。しかし運営を完全にいたしますれば、やはり法案の不備は運営で防げるのではないか、こういうふうにも考えられますので、この法案は多種多様になる関係にありますから、かりに本法案が本国会を通過いたしましたとしても、これは運営については注意しなければならぬと思うのであります。団体交渉というようなことはきわめてむずかしいのです。これは政府案におきましては団体交渉は採択裁定でなく監督というようなことになっております。社会党案にいたしましてもこれは裁定まで持っていく、強いのです。強いことも結構だと思います。しかしこれは商取引でございますから裁定とかというようなことではなかなか決定しがたいのです。実際に相手方がお客様なのですから、お客様に対してこちらが取引を裁定するというようなことはなかなかこれは困難です。実際に先ほどお述べになりました通り買ってもらわなければ困るのです。そういうような点を考えてみますというと、なかなか取引というものはそう簡単にはいかない。実際に規則や法律ばかりで取引が完全に行われるものでないということをよく認識しなければならない、そういうような点から考えてみまして今後の運営には最大の注意を払う。しかし今の法案が不備であるからそれはもっと調査をしろ延期をしろと言いましても、すでに中小企業の立場から申しますというと何らかの措置をただちにとっておかなければ困る、こういう立場にあると思うのでありまして、本日の皆様の御意見を総合してみますというと、いずれの皆様の御意見も、決してこの法案が完全なものではない。がないよりもいいんだ、であるからぜひ一つ本国会に通してもらいたいという御意見が最も多数であると思います。
 そこで本日ここに永井さんがおいでになっておりますが、永井さんはきわめてものに理解がありますから、永井さんと話し合いまして、お互いに譲り合ってお互いに短所長所を話し合いまして、本国会にこの法案が通過するように永井さんと相談いたしますから、どうぞ御安心なさいますようお願いをいたしたいと思うのであります。私どももぜひ社会党に賛成をしてもらいませんと国会は通りませんから、ぜひとも社会党に同意を求めませんと本法案も本国会でやはり継続審議とかあるいは審議未了とかになるおそれが多分にありますから、それでは困るからようく永井さんにお願いして、皆さんからもそういうふうにお願いしてもらいたい。そうでないとこれはなかなか立法的にはどうにもなりませんし、今の国会は二大政党、多数だから多数で通すというわけには参りません。どうしても社会党の協力を得られなかったならば本法案は成立しない。そういうような案で社会党といたしましても決して中小企業に対しましては保守党以上の味方でありますから、決して永井さんも心配しないわけではないと私は思う。永井さんも個人的には本法案を通してやりたいという気持は十分あると思います。また党は党としての考えがありますから、なかなか永井さんの思うようにはいかないと思いますけれども、どうぞ皆様からも永井さんにお願いをしていただきまして、この団体法案が本国会を通過するようお願いしていただきたいと思います。以上であります。
○班長(小笠議員) つぎに永井勝次郎君にお許しいたします。
○永井議員 阿左美さんからたいへん激励をされましていたみいります。本日ここにまいりました方は議長をやっておる小笠さんは御承知のように前の中小企業庁長官をやられましたその方面の権威者であります。生涯を中小企業振興のために捧げてたたかって来ておる方であります。また阿左美さんは秩父銘仙の産地の出身で、その協同組合を四十年間にわたって議長をやって組合運動に一生涯を捧げたというような非常に実行力のある方であります。常に委員会においても中小企業に対して発言をされてその点においてわれわれは敬意を表しておるわけであります。しかし政策の問題になりますると、個人的な尊敬とか個人的な友情とかいうようなものを別にいたしまして、ほんとうに中小企業者のためになるような、自分の責任のもてるような案をつくり上げて、そして国会議員としての責任を果したい、こういう念に燃えておるわけです。でありますからこの中小企業を思う気持はみんな一緒なんです。ただどうしたらいいかというようなその政策の面において違っておるわけです。ただその違いがどこにあるかということを皆様からいろいろ教えていただいて、そして過ちのないようにしよう、こういうふうに考えておるわけで、われわれまた帰りましても委員会において、小笠さん、阿左美さん二人に従いまして大いに勉強してみたいと思います。
 そこでお伺いしたいのでありますが、まず江崎さんにちょっとお伺いしたいのですが、先ほど江崎さんはこの同じ中小企業の中で社会党のように勤労事業協同組合を主にするということは、何か組合の中に卑屈な気持をもたして妥当でないのではないか、こういうお話しがあったと思いますが、その点についてお伺いいたします。御承知のように中小企業といってもピンからキリまであります。竹内弘さんからお話しがありましたように、これは非常に広汎な、業態も違う、地域もいろいろある、そういうわけでやはりわれわれ社会党は中小企業対策として経済ベースで考える対象、経済ベースにはのらないが、しかしその事業を社会政策的な性格なりそういう立場を加味しながらこれを助長育成して行かなければならぬ、こういう対象、こういうふうに二つに分けて、分け方がそのボーダー・ラインがはっきりするというわけではございませんが、大体そういう基準で分けまして、そうして中小企業の上の方は経済ベースで政策を立てて行く、ボーダー・ライン以下の中小企業、すなわち生活をするために、食って行くために事業をやる、これだけの金を入れてこれだけの施設をしてこれだけの人間があればこれだけの利益が上がるのは企業採算にのらないが、この家族ぐるみ全部入れてしまう、こういうふうにわれわれは企業と生業と二つに分けております。生きるために、生きるための事業、その生きるための仕事はこれは、経済ベースにはのらないだろう、社会政策的な意味でつくらなければならぬ、こういう区別はやっているのでございますが、その点についてどういう点が悪いか、感情論でなくして経済的な一つの分野においてこれを一つ分析して教えていただきたい。
○江崎富次郎君 永井先生から御質問がありましたが、わたくしの言い足らぬところもあったことと思ってこの点を御了解が得たいと思います。
 わたくしどもの事業から申しますと、ちょうど午前中に渡辺治彦さんが毛工の理事長としてお話しがありましたが、わたくしも毛工並びに綿スフの方の特に生産業者の一人でありまして、ちょうどわたくしどもの組合は三百四十何名おりますが、そのもっている力というものは一名あたり四台平均ぐらい、心木といって二幅でありまして、四幅ではございません。こういう小さい事業をいかにして行くかということを考える必要がありまして、多いのは四幅の十台ぐらいの人が一番最高であります。こういう人からみますると、五人以下の従業員の人をみると、お前らは零細な業者だというと非常に気がひがんでしまいまして、われわれもこれから伸びて行くのだという気持で努力してやっている時に、理事者をはじめ役員がお前らは零細業者だという気持の現われは非常に困る。こういう要求を実は役員の会合のあるたびに総代会で言われております。ごもっともだと思います。だから零細業者は理事者をはじめ役員と共に膝を交えて自分らを救ってほしいと強く要請されております。こういうことをここで申し上げては問題が起るかはわかりませんが、実は労働時間の問題につきましても、ほんとうの零細業者は、従業員五人以下の人は大体従業員は陽のあるうちだけ働かして自分らは徹夜で二十四時間、運転は二交代とか三部制等をやっております。これも一年に一台でも設備をふやしたい、伸びて行きたい、二幅のものは四幅にしたい、こういうわけでいませっかく努力中であります。ですからわたくしはこういう人に卑屈の念を起させないように、零細業者と中小業者との差別をしないように、こういうことを申し上げたのであります。この点もあらかじめ御了承が願いたい。そうして生きて行ってこそはじめて産業に伸びる気持が現われて来る。これはわたくしらの繊維工業の製造業者の話であります。その他におきましても、かりに鋳鉄金属においてもその通りであります。名古屋には相当、愛知県にも鋳鉄業者がありまして大体基準ができておりますが、それ以下の小さい人々がとうていわれわれは一緒について行っても生きにくいではないかというような話も聞いております。そういう人をまとめてみな一緒に行きよう、こういうことになりますると、こういう話を聞くたびにわれわれは零細業者だから差別される。中小企業のうちにも中と小の差がある。こういう気持になって来ると組合の円満が欠けて来るのではないか、こういうことをわれわれは代表者の人と懇談しております。ですから比較してもその通りであります。おそらく小売業者もそうでないか、こういうことであります。そこで特にお願い申し上げたいのは、ぜひとも政府の方にお願いしたいのは、五名以下の従業員を使っておりまする工場に対しても、健康保険法と労災保険法の適用をこの際お願い申し上げたい。それでなくてはなかなか従業員の雇い入れに困っております。これはおそらく小売業者もしかり、また製造業者もしかりであります。こういう点もぜひこの席上でお願いしておきますが、三十二年度の予算終了にはたしかにこれを入れて放ってやろう、これを零細業者とみなさずに中小企業とみなして、お前らは伸びて行けよ、手をのべてやろうなぞという明るい気持でお引立てをお願いしたいのであります。
○永井議員 江崎さんとまったく同様なんで、卑屈にするのでなくしてその勤労意欲を効果的にして向上させるような力を国家的に添えてあげたい。たとえば税金の面でこういう家族ぐるみ働いておる者を、特別な安い税金、あるいは銀行に行っても信用がないから、その信用の不足の点を社会信用保険法なりあるいは社会信用補償法あるいはその他で資金を流して行く。そういう面から貸倒れもできるだろう、貸倒れが相当量できてもこれは社会政策的な立場だから、金融ベースで貸すのではないからというふうに、税金の面とか金融の面にいま言った補償的な面はもちろんでありますが、そういうふうにして経済ベースにのる線までは力を入れてやろうという意味ですから、わたくしは社会党の勤労事業協同組合を皆様の御協力を得て実施されるならば、卑屈になるどころかおれも勤労事業協同組合の組合員だといってふえ過ぎて困るのではないかというふうに思っておるわけなんですが、そういうふうに御了解願いたい。
 そのつぎに永井さんにお尋ねいたしたい。これは皆様から先ほど来強制加入、こういう問題が非常な希望で述べられました。あなたからも強く要請がありました。たくさんの人の御意見でありましたが、あなたは商工会議所のその方の委員長であられますから、名古屋地区中小企業強制加入賛成論者を代表して答えていただきたいと思いますが、この強制加入については政府部内でも問題があるのです。お聞き及びであったと思うのですが、まず公取がこれは法律違反であると言ったので、これは法律の問題でなくして政治問題だからというので上の次官会議にもって行った。次官会議でも、これは政府の役人なんですよ、政府部内にやっぱり反対があってそこでもまとまらなかった。まとまらないままに、これは法律解釈だけの問題でなしに政治問題だからというので閣議にもって行って閣議決定ということで提案に至ったということであって、社会党だけがこれは屁理屈を言っているわけでなく、現存している法律、それもその辺の端っこにこういう法律があったのかと考えるようなものでなく、経済法律の骨組み、憲法とも言うべき独禁法に明確に違反しているんです。基本な問題、そういうものははずして削りとって行くという、こういう一体立法のやり方は法治団として正しいやり方であるかどうか、こういうことが一点、それから単に独禁法に違反しておる、あるいは憲法違反だというばかりでなくして、わが国の法律体系の中に、現行法体系の中に強制加入というこういう概念、こういうものはないのです。どこにもないのです。日本の国全体の法律の基礎というものが強制加入というところに置いていないわけです。だから憲法にも明確にしてあるわけです。そういうことを言いますと、弁護士法にこうあるとか、あるいは司法書士法にこうある、土地家屋の調査士はこういうふうだというと思いますが、これは法律の上で必ず入らなければ、これに登録しなければならないという法律の建前になっておりますから、アウトサイダーというものがないわけですから強制加入ということはないわけです。ですから日本の現行法体系の中にない、こういう一つの理念というものがここに現行法を破って出て来た、これに対してわれわれは法治国民としての立場からこれを認め得ない。もしこれが必要なら憲法から法体系から書き直さなければならぬ、こういうことになるわけです。その点に対する法律的な見解を明確に承りたい。
○永井嘉吉君 永井先生の御質問でございますが、私も法律家でないので反対理論につきましてはっきりしたお答えはできぬわけでございますが、先ほどお話しのありましたようにどうしても解決できぬということで閣僚懇談会にまでもち込んだという難問題であります。この点につきましてわたくしがこう御意見を申し上げることは至難な問題であります。しかしながらそういう問題を別にいたしまして、先ほど来先生方のいろいろな御意見からみましても現在の中小企業者が現状のままにおいては非常に困難な状態だ、それなるがゆえに組合をつくりましてもその組合が健全な運営をする意味においてはやはりアウト・サイダーの問題が起って来る、しかしながらこの社会党の組織法の案によりますと、この強制加入というものはきれいに抜けておりまして、ただしそれがためにこの団体法よりは団体交渉に重点がおかれておるわけであります。これは当然な行き方だと思うわけであります。従いまして政府案による団体交渉は、こういう面から行きましても社会党の行き方と違ってやはり強制加入的な線がはっきり打ち出されておるわけでありますが、これを私どもは過去の経験からみますると、現状を少くとも認識いたしまして完全な運営をいたすことによりますれば、やはりある程度の条件の元において組合の強化策は必要でないか、こう考えておるわけでありまして、この独禁法云々という問題もありますが、これは中小企業関係の法規におきましては特に免除されておる点も相当あると思いますので、その点については相当問題もあると思います。また法律論においても同様であろうと私も想像しております。ですから法治国として正しい行き方であるかどうかということは、私ども個人としては問題は残しておりますが、現状を無視してこれを法的に縛って行こうというような考え方では中小企業者は救えないのではないか、こう考えておりますので、理論は別といたしまして、現状においてはどうしても組合をつくる上において、そのために恩典に浴せるような事柄が組合外にあっては完全な効果は挙げられぬということで、ここに加入命令その他の問題が当然議せられるわけだろうと思います。そういう意味合いにおきまして、私どもの委員会におきましても現状を考慮いたしまして、かくあるのが一番いいのではないかということの意見を申し上げたわけでありまして、今言われましたような法理論につきましては問題があると思うわけであります。
○永井議員 現在の中小企業の実情が非常に困窮しておる。それから組合が結成成立した場合アウト・サイダーがあって、そうしてそれが組合の正常な活動の上にいろいろな障害がある。これはその現実をわたくしもよく知っております。ただその現実を既存の柱となっている憲法や独禁法というこういう法律を削りとって国の法律という権力によってその問題を解決するか、こういう経済立法であるからこれは経済的に解決するかというところに方法論として分れている。保守党の人は強権によって首に繩をつけて無理やりにでも、そこらの野良犬を引っかけて引張って来て檻に強制的に入れる。私どもの方はそういう法律の建前としてはそうでない。これは協同組合をつくって技術の指導をして団結して、そこから組合個々の啓蒙活動をはじめ、個々の弱いものは団結して団結の力によって共通の利害の問題について、対立する力に向って対等にやって行かなければ問題は解決しないのだという自覚の上に立った、喜んで入るような、これだけの経済的な効果があるのだから喜んで入るような組合をつくることが先決条件であって、組合にみんな喜んで入るような組合にしないで、首に繩をつけて引張って来て入れるという、法律的に問題を解決するということでは本質的に物の考え方が違う、こう私は思います。その点について法律的にだけ解決して、経済的なものは骨抜きにしておいて問題が現実に解決できるか。私たちは法律的にやはり既存の現法律を守りながら喜んで入るような、強制でなくして自主的な組合員の団結力を固めて行くという民主的な方式がいるのだ、この点についての御見解を承りたい。
○永井嘉吉君 おっしゃることはその通りでありますが、先にも申し上げましたように、喜んで入るような組合にするということ自体に現状においてまだなっていない、こう考えておるわけでありまして、もしそういうことになるまで時期を待つということになりますると、現在の中小企業者の考え方なり在り方から言いますると、前途遼遠ではないかということを私は考える。これは解釈の違い、見解の違い、見方の違いということも当然起って来ると思いますが、従いまして現状においてはこういう加入命令のごときものがある方がいいのだ、しかしながら先々になりまして、先というよりか早い機会に、組合に協議のもたれるような、喜んで入れるような組合になるまでにはこの問題は解消すべき問題だ、こう考えておりますので、その間に法律的な問題、矛盾したような面は起るかもしれないが、これは現状からスタートした私の見解であります。
○永井議員 それじゃ、これは討論でありませんから参考人に議論をふっかけては失礼でありますから御見解を求めますが、それでは現実の問題としてお伺いいたします。今の内閣は中小企業が重点だといって政策を立てました。そこで三十二年度の予算説明その他に当りましても、政府はその通り非常にこの点を強調いたしておりますが、現実に団体法というものを出して来た、この法律が通過すれば三十二年度から実際に始まるわけです。こういう非常に中小企業に重点を置く、そうして法律を出した。この法律の裏付になる予算というものがどれだけ計上されておるか。これは国全体の予算は昨年に比して一割ふえておるわけです。総計中小企業関係の予算は信用保証協会等に対する出資十億というものはこれは政策と別で、金融の関係ですから……。そうしますると予算には一億円増額されているにすぎない。どうでしょうか。そうすると全体の予算のふくれた割合よりふえていない。これが中小企業の重点施策であるという現実の結論である。これははっきりしている。そうしますと強制加入という点だけは非常に強い点です。ですから問題をすべて権力で解決する。経済が解決しないのだ、こういう行き方でほんとうに強制加入させるというだけで、法律的にさせるというだけで、あなたの御心配なさる中小企業経済問題は解決できるかどうか、これを一つ。
○永井嘉吉君 裏付になる予算の点につきましてはおっしゃる通りであります。これは私どもも昨年中小企業の振興根本対策並びにこれに伴う予算の要望の件ということで中小企業の根本対策、これに対する経費の点を数字を挙げまして実は要望したわけであります。しかしながら結局これはほとんど削られました。それで今日ここで中小企業の問題を云々申し上げましても、中小企業の実態すらまだわかっていないというのが現状ではないかと思います。例えば現在企業庁でお調べになっておりまする実態調査によりましても、この予算はほとんど削っておる。こんなことで実際中小企業の問題が解決できるのかどうかということに対して、政府に対して不満をもっておるわけです。従いましてそれなら予算がないのだからいたし方ない、放っておくより仕方がないということは私どもとしては考えられないのでありまして、予算はとれる範囲において出していただきたい。勿論本年度にできなければ、次の年度において予算は相当額のものをこれに引き当てていただきたいということを希望しておるわけでありまして、そういう予算の裏付がないからこれは効果がないとばかりは考えておらないので、企業者自身がそういう気持になってこれに動きますれば、やはり企業者の目覚めと申しますか、自覚と申しますか、そういう線の狙いもあるわけでありまして全然効果がないということは私どもは考えておらないわけなんです。
○永井議員 これ以上申しませんが、私は経済立法ですから経済問題が七、八割のウエートを占める法律関係で、それを正しく基礎づけるものが二、三割程度のもの、こういうふうなウエートでなければ、法律の権力だけで八、割のウエートを占め、経済関係は一、二割というのではこれでは経済問題は解決できない、おわかりだろうと思います。文章に書きました法律をつくれば、権力が発生します。安易な形でなく経済というものはほんとうに現実においてつくって行かなければ助長できない。経済と法律をすり替えるようなやり方ではならないのだということを、あなたも指導者の地位におられるのですから中小企業者の啓蒙活動には安易な途をとらないという方向に進んでいただければ結構だと思います。
 それから次に恩田さん、三井さんにお伺いしたいわけでありますが、政府の団体法には、中小企業の規定を人数だけで規定しております。あとは政令でいろいろ定めることになっておるわけであります。先ほど来、阿左美君と三井さんとの法規の関係、単に中小企業をはっきり決めないということでありましたが、これは政府の案も私どもの案もそういうことはできるわけです。私どもの方は中小企業の自主性をこわさない限りにそういう関係のものは一緒にしよう、こういうことになっております。政府の方は政令でいろいろ実状に即した政令を定めるわけですから、そういう関係のものは今法律でできるわけですが、一般論として法律論として、中小企業という定義が一体従業員の数だけできめるというような、非常に素朴な原始的なそういう規定でいいのかどうか、これが中小企業を規定する中で実情に即するのかどうか、私どもの方は資本の総額一千万円、これは政府よりは、これでも私たちは不十分だ、なかなか困難だと思いますが、それよりはいいと思います。また先年中小企業庁から出しておる中小企業の本があります。中小企業庁ははっきりと人数だけで中小企業の限界をきめるのはなっていない、そういうことはでき得ないと言っている。この法律には素朴な原始的な形で人数だけで出しておる。これには中小企業の規定にはならないのではないか。もしそういう形でオートメーション化して大きな企業が入って来れば、これは狼と羊が一緒にいるようなものだ。大企業に中小企業が圧迫を受けておるということはお認めになっておるわけですから、圧迫するものとされているものが一緒という、羊と狼が一緒におって羊が食われてしまうことは自明のことであります。そこで弱い羊の方に団結の力を与えて、大企業に対して対等の立場において団体交渉をして行く、失地回復をして公正な取引の分野を開拓して行くというのがわれわれの考えですが、こういう団体法の規定でいいのかどうか、あなたのような特殊な場合は別ですけれども、政府案もわが党案もそういうことを入れることはできておるのですが、一般的なものを恩田さんと三井さんから承わりたい。
○三井弘三君 先ほどの私の特殊事情は阿左美先生に申し上げた通りでありますが、永井先生の一般的な問題に対しましては、私自身としては中小企業というよりか、本来ならば産業別に、例えば陶磁器は陶磁器、硝子は硝子という産業別に実態に即したものがつくられるのが一番実状に合うのだ。そこには大企業とか小さい企業という差別なしにやるのが一番理想でありますが、だからといって何十何百という法律ができるわけでありませんので、法律は一般的に公約的にまとめなければならぬ。そこには理論より逆に一種の妥協をしなければならぬ、それが三百人という線だろうと思います。これは実態の違うものを法律で一つのものにまとめるために無理があって、いかなるケースが出て来ても駄目なわけで、五百人、三百人というのは政治的にやむを得ず妥協して行くより仕方がない。これが現在の線であるので、これが全面的に正しいと考えておりませんから現状としてはやむを得ないと考えております。それから一千万円の資本金の社会党案に対しましては私の業界は全然あいません。と申しますのは現在の資本金というものは、過去のインフレでない昔の経済的な非常な貨幣の安い時代の資本金というものが踏襲されております組合がたくさんありますし、資産の再評価されたものもありますし、最近払い込んだものもありますし、資本金五百万というような会社が実は一千万円の実利をもっているということもあります。最近また一千万円払い込んでおきながら本来の資本金は二百万円より少いというのがありまして、過去の貨幣とのバランスの上に立ったものであるならば阿左美先生のおっしゃる金で縛ることも結構でありますが、私どもの業界では従業員の数で縛る方が、実際の自主性に近いわけであります。一千万円という資本金では……。
○永井議員 資本金だけで縛るのではなく人数と両方で縛るわけです。
○三井弘三君(続) 両方で縛るということは二つのことが二つ揃うということでありまして、三百人で縛っておいて資本金でまた縛ることは半分の条件が加わるわけでありまして、私たちは従業員だけで縛る方が自主性に近いということを痛感しております。この点は団体法の方もあくまで正しいものでなく、単独で出て来たものでやむを得ませんが、この線で行くより仕方ないと思います。
○恩田茂一君 他の業者のことはわかりませんが、私の業界でいきますと、私も三十何年組合に携っておりますが、いかにこれをメーカーと問屋とのつながりをうまくやろうかと苦心してまいりました一人でありますが、遺憾ながら効果は出ておりません。例えば組合が一生懸命やっておってもメーカーは盛んにトンネル会社をつくってさばく。重要都市には小売店まで経営しておる。今にわれわれは売ることもできなくなる。資本の力でメーカーが小売店までやることになると立って行けない。われわれ小売業者は小売だけしかやる力がない。それを押えつけられてはたまったものではない。しばしば交渉にも参りましたけれども、言を左右にしてそんなに面倒なら買わずに止めたらどうかというような意見も出る。そうして君らが扱わなければメーカーはつくったものは売らなければならぬ、こういうふうで一向に歯ごたえがない。これが現在までの姿です。これでは少くとも、いいか悪いかは別といたしまして、そういうような団体交渉権のようなものができて参りますると、幾らか向うも良心に恥じるのではないか。また交渉もしいいのではない、こういうことを考えるのでありまして、私どもは政府案に賛成する次第であります。
○永井議員 次に政府案における団体交渉、組合協約、わが党における団体交渉、組合協約、わが党の方では組合加入はこれは強制いたしておりません。加入、脱退ということは自由である。しかし団結したものに対しては経済的な援助をして経済的な裏付をつけて行く。自主的な団結の力をつけよう、そうして大企業に対等に団体交渉、協約ができるような措置をして行く。ところが政府案では組合交渉という文字だけは法律に書いてありますが、一体皆様も先ほど弱い弱いと言われておりますが、皆様がお感じになっておるよりも法律的な効果あるいは経済的な機能、こういうような点は問題にならないような弱いものだと思います。ほんとうに片方だけは強い力を与えて行こう、中小企業という枠内においては政府案は強い。わが党は自由加入、自由脱退ということでやわらかい。しかし団結して外に向う力についてはわが党はうんと強い。組合の共通の利害に対して固まって行く、こういうようなことによって、組合の発展の途を開いておるわけです。政府案においては組合交渉というようなことは非常に弱い。これでは目的を達しない。何のために団結するか。まず団結するということはその次の行動を起すために、共通の利害に向って行動を起すために必要なんだ。固まることは固まったが次の行動は何にも外に対して力が出て行かない。内輪だけで業者が過剰であるということだけでは、組合の中で共食いになって来ることは当然だ。その点についてこれで、先ほど恩田さんなんかが言われておるように、何とか組合交渉によって自分たちの正当な立場がこわされているからこれに対処して行こう、こういうことはこの政府案では達成できないのではないかと思いますが、その点について村瀬さん、間瀬さんから伺いたい。
○村瀬重時君 永井先生から団体交渉権についてお話しがありましたが、ただいまお話しのありましたように団結の力によって組合に力が与えられる。そうすると強制加入をさせなくても喜んで入って来るのではないか、その第一の要件は金融の面、税金の面、これはまことに……。
○永井議員 中小企業の産業の分野、仕事の活動力……。
○村瀬重時君(続) まことに結構だと思いますが、そこまで行くために、今日の中小企業というものはとても団結ということがなかなかむずかしい。まず団結をする、この第一歩としては、アウト・サイダーというものがなくなって、組合に全部入って来て、これから金融の面の交渉をするのだぞ、また税金の面の交渉をするのだぞ、先ほど来こういうお話しがありましたが、政府案には大企業に対しての指導というようなまことに大きな抜け穴がある。そういう問題に対してもまず団結しようと言っているところへ、先ほど申し上げたように戦後の空白の時代があって組合員は入ってこない。団結ということが出来ているならば各業者は困っておらぬと思います。こういう点を考えまするならば、まず団結をしよう、そうしていいものをやろうというよりもまず組合に入ってこい、入ることが先決条件でそうして固まる。これが先生と私どもの考えの違う線だと思います。やるものをやるからまずこいでなく、まずこい、それから一緒にうまいものを食べようじゃないかという方がいいと思う。うまいものをやるから此方に来て食えということは、今日の場合各協同組合の役員の諸君も疲れておると思うのです。口をすっぱく言っても今まで入って来ないのですから、幸いにして今度の団体法というものができた、これですなわち入って来る、入って来たら団体交渉というものができるのではないか、こういうふうに私どもは考えておるわけです。
○間瀬鋼平君 ただいまの村瀬さんの言葉で尽きておると思いますが、大体私の方の考えは、永井先生はこの法律案は経済立法だと御解釈なさっておるようでありますが、私どもは経済立法であると同時に社会立法だと考えておるものであります。また経済立法なるがゆえに、経済の基本法である独禁法あるいは憲法等に抵触するんだ、あるいは牴触する疑いがあるんだというような点に対して非常に御懸念になっておるようでありますが、私どもその点に対し論議したい、あるいは論議する力もありませんが、とにかくこの法律をおつくりになる目的というものが中小企業を何とか現状より幾らかでも向上させてやろうという観念のもとに御制定になるのだということを確信するのであります。従いましてせっかく法律をつくってくれたが効果がないような法律であっては困るというのが私どもの意見であります。従いまして強制加入の点がないということによりましてこの法律がせっかくできましても、大した働きをしない法律になるのだということでは困るという観点からいろいろ申し上げておる次第でございます。特にこの際申し上げたいことは、わが国の憲法あるいは独禁法というものが、戦後のどさくさに、ことにアメリカさんの思うようにつくられたものであります。従いましてその基本法である憲法あるいは独禁法というものがはたして移り変ります経済情勢あるいは国民生活というものに全く適応しておるかどうかということが相当に批判されておるようであります。ゆえに独禁法、憲法というものは金科玉条として中小企業をその枠の中におれということはまことに情ないことでないか、かように思うわけであります。政府はその点あらゆる手を打っておることは御承知の通りであります。私ども古い憲法からまいりますると、所有権というものは絶対量でありまして、いかなる権力も及ばないというように憲法で保証されておる。ところが農民を救済するために、地主から土地をとり上げて小作農にやったではありませんか。そのために特別の法律をつくって地主から土地を奪った。これが適法であれば今日の団体法も適法でなければならぬ。政府はまた軍隊をつくって軍艦をつくっておりますが、これは軍隊じゃないから憲法に牴触しないのだと申しております――憲法が悪いのか、どっちが悪いのか――こういうように解釈の問題だと思います。あるいは政府の言うところは強弁であるかもしれないが、解釈の仕様であります。どうかこの団体法をつくるということはわれわれ中小企業を多少でも現状より伸ばしてやろうという親心でおつくりになるのであります。ゆえに実際に効果の現われるような点において十分に御認識をいただく。また議会の速記録を見ますると、横田委員のごときは自分の立場から極力憲法違反をふりまいておるようでありますが、これは立場立場の考えであります。私どもはあえて法理論を申し述べる資格がございませんが、立場々々で言い方はできるものだということを先生方は御了解が願いたい。
○班長(小笠議員) 一言お願い申し上げたいと思いますが、時間も順次進んでまいりましたので、質疑応答は法案にそって簡潔にお願い申し上げます。
○永井議員 村瀬さんにお尋ねいたしますが、団結する、団結しても金融がないからつける、こういうふうにお話しがありました。この団体法によるところの商工組合というものが現実にですよ、「中小企業者の競争が正常の程度をこえて行われているため、その中小企業者の事業運動に関する取引の円滑な運行が阻害され、その相当の部分の経営が極めて不安定となっており、又はなるおそれがある場合に限り設定することができる」こういう状態がなければ商工組合はつくれないのですよ、そういう状態になって組合をつくる、そうしてそこに過剰生産がある、そうして自分の仕事が不安定になるから個々に集まってそうして生産制限するんだ、今まで十台でつくった、十台動かしてはいけないから七台動かす、こういう調整をやるわけです。そういうふうなことをやって銀行に金を貸してくれといってもそういう状態の不安定のものばかりが集まるんですよ、過剰業者というものがただ一つの部の中に入っただけで金融がつくかどうか。この点間瀬さんに一つお伺いしたいと思うのですが、現在東京では十五世帯に一軒の商店があります。それから山形では十世帯に一軒の商店があります。こういうふうに商店が過剰になっております。その過剰な原因は小売業に入るのが一番簡単に入れるからなんだけれども、こういう状態の中でいまの政府の経済五カ年計画によると、昭和三十五年度までに商業人口をさらに現在よりも二〇%ふやす計画になっておるようでありますから、昭和三十五年には八百九十八万というように商業経営者がふえることになる。十五世帯に一軒というような商業人口、三十五年までに二割五分も三割もふやすという計画を、結構なことだ、われわれ商業をふやすことは景気をよくしてくれることだと期待をもてるかどうか、この二点について承りたい。
○村瀬重時君 ただいまお尋ねになりました不安定な商工組合をつくるには不安定な組合であるがために商工組合をつくるんだ、おそらく現在の協同組合というもの自体不安定でないものはおそらく私はないと思います。特殊なものであるならばこれは不安定でないものもあるかと思いますが、現在の組合自体はおそらく不安定で困っていると思います。ですからこれを正常の組合に直してそうして団結するということであって、団結させるということがどうしても、まず組合の相当にありまするアウト・サイダーをこの組合の中に入れるということが第一の要件であります。ですから私は何が何でも義務加入ということになるわけであります。
○間瀬鋼平君 私えのお尋ねに対して申し上げます。
 将来小売業が非常にふえるが、それに対してどう思うかというお尋ねのように存じます。ただいま先生から東京あるいはその他の数字をおあげになりましたが、実は名古屋はその点特に多いのでございます。現在約八世帯に一軒の割合でございます。東京の倍ぐらいの状態であるということでございます。もちろんあまりふえることは小売業自体の望ましいことではございませんし、私の見るところによりますると、あまりふえると大てい消費者の方も御迷惑になるというように考えております。しかしながら日本の人口問題から考えますると、どうしてもただいまの状態では小売商業の方が、人間のはけ口のような状態でございまして、自然的に増加いたしまするのはこれはわれわれ小売商の力では如何ともしがたいのでございます。この点大なる社会問題だと考えております。狭い範囲でございますが、私どもの組合がただいま六百人ほどの組合でございますが、そのうち昨年度経営不振によりまして閉店いたしましたのが二軒、整理をいたしましたのが六店舗でございます。そのうち商業に経験のないものが六店舗、戦前から経験のございまするのが二店舗でございます。ただいまの情勢から見ますると、戦後農村の次男、三男が財産の分与を受けて小売屋を始める、あるいは各種の恩給あるいは年令等の関係でやめた方が商業方面に流れて参りますが、その方々、永年勤めた退職金を商業方面で、あるいは財産分与を商業方面でまたたく間に倒産してしまう、また再び失業の憂目をみるというのがただいまの小売業界の状態でございます。ゆえに現在の小売業界というのは昔の小売業と違いまして、相当に経営面におきまして技術が要るのであります。とうていしろうとがたやすく生活が営み得るというものではございません。ゆえに現在の小売業界は非常に危険地帯でございます。これを一般契約関係の方から見ますると、危険地帯であれば警察なら平素危険地帯だという表示をするということでございますが、もし表示をしないで事故がございますれば、非常に警察は非難を受けます。政府はそれに対して何らの施策がありません。危険地帯は小売商業だ。かような危険地帯であるんだということに対して表示もいたさなければ施策もございません。ゆえに自然的に農村の次男、三男あるいは退職者の方々がなけなしの資本を商業によって失ない失業者に落ちていくという、この危険な状態がそのままになっておる。まことにこれは社会上ゆゆしき問題だと考えますが、これは小売商の組合ぐらいの力でそれを如何ともしがたい状態でございます。なまじそういうようなものにすれば彼等は職権を擁護しようというさもしい考えでそういうようなことをやるんだというような、かえって非難がございますので、この点幸いにお尋ねがございましたので、よく御理解をいただきまして、政府あるいは政党方面におきましても将来小売商に対しまするそういうような方面も何かの行政措置あるいは政策として御実行いただきますことをお願いいたしまして私の意見といたします。
○永井議員 いろいろ沢山まだお尋ねしたいことはあるのですが、時間もありませんので最後のお尋ねをいたしたいと思います。
 一つは竹内茂さんと弘さん、これは消費者の立場にある者及び労働者の立場にある者、そういう立場の利害というものと現在の中小企業者の立場、こういうものとはこれは利害が一致しなければならぬ。利害が一致しているわけでありまして、やはりこの中小企業の職場の労働者が非常に賃金が落ちている。これは先ほど私が提案説明にも言いました通りに、昨年の実績によると大企業は前年に比べて五六・何%の利益をあげている。中小企業はうんと生産をあげながら三・三%より利益があがっていない。この事実から見てもこの中小企業の職場の水準から最低賃金を引き上げてそれだけの賃金をもらうという余力は現在のところはないんで、この上の方でうんと利益をしぼられている。それの公正な配分を中小企業と労働組合とが協力して戦い取って、その配分の中から賃金を引き上げていく、最低賃金をあげていく。最低賃金が上っていくところに労働者に購買力がついてくる。その購買力がどこへいくかと言えばそれぞれの地域における小売商や中小企業へそれが循環していく、こういう形においてそれぞれの労働者とそれから中小企業者とは共通の利害の上に立って戦っていかなければならない。たとえば名古屋の現地におきましては、それをどういうふうに組織し、どういうふうに啓蒙し、そうして消費者の生活安定とをどう利害共通の線に結びつけるかということについてお考えがありましたなら一つ御両氏から伺いたいと思います。
 もう一つは江崎さん、永井さんから簡単でよろしいのでありますが……。先ほど来、社会党の組織法それから政府の団体法――こう対等に比較されておられるようでありますが、これは法案を見たらおわかりのように、政府の団体法というのはこれは元の中小企業安定法から発展したもので、調整行為だけをやるための組織の法案で、それも中小企業全体の組織の問題ではなくて、ほんとうに不安定になった業者が調整行為を行う場合に作るところのもので中小企業全般の組織の問題でない。こういうことはこの法案で明らかであります。
 私の方は中小企業協同組合法及び中小企業安定法、こういうものを吸収統一いたしまして発展的にこれを中小企業の基礎的な全般的な組織としてここに収容しましてその場で大きく発展させていく、そうしてその中に先ほど申しました協同組合あるいは共済組合、勤労組合、調整組合こういう組合をして一つの中小企業の組織の骨組みを確立するというのでありますから、これは内容から言っても規模から言っても性格から言っても非常な違いであります。その違いを正確に区別して御理解いただいているかどうか、もし御理解いただいているとするならば、こういうぽつんと中小企業政策としての全般的な分析あるいは基盤というものをもってその中からしぼり出されてきた調整組合あるいは協同組合、こういうものが金融政策、税制政策あるいは財政政策、こういうものが出てくるならこれはわかるのですが、そういう基盤を持たないで、先ほど竹内君から話したように天から降ったようにぽつんと調整組合という形で出てきて、ほかの法律との関連性が何にもない。こういう形で、一体これが現在の中小企業を救う唯一の最も切望するところの中小企業の中核となる法律になると思うかどうかというと、私どもの法案とはとても比較にならないと思う。その中の一つの調整組合、こういうふうに理解していただきたい。そしてその立場に立って最後に皆さんから一言ずつこの両法案に対する御所見というものを言っていただきたい。
 このほかにわが党は十幾つの立法を考えている。四十一件の行政措置を考えている。そういうものを通じて中小企業の全般的な政策の推進をするにあらざれば今日の中小企業対策というものはできない救助することはできない。これははっきりした見解を持っておる。そういうものを持たないで、ぽつんと中小企業安定法を出して、それじゃほんとうに安定になったか――何にもならない。やるとすれば大企業が反対、すれば安定法のいろいろな調整行為ができないということで妙な状態を繰り返すような形で、やったってできっこない。大きな政策、規範を持ってやらなければならぬと私は確信しておる。やるそのことがほんとうに中小企業の現在の当面の実情に即するところの対策だ、こういうふうに思っておる。その点について一つともに竹内茂さんと弘さんからお願いいたします。一言ずつ御見解を最後の締めくくりとしてお願いいたします。
○竹内弘君 ただいま御指摘になった通りに、私ども理解をいたしております。
 中小企業の今日苦しい立場と、たとえば日本の労働者のおかれている立場これを大きく見れば、やはり同じ日本の大企業独占資本の収奪あるいは搾取の対象者である。こういう点では当然お互いの立場を克服するあるいは向上をはかる上において共通の広場が持たれるべきではないかと考えております。ところが今日まで遺憾ながらそうした点についての共通の広場を持つ機会があまり多くなかったと記憶をいたしております。一地方において中小企業の皆さん方と私ども労働者を含めて小市民との間に一つの共通の要求を掲げて今日まで参りました。そのためには、たとえば繊維消費税の際には私達と洋服屋さんの組合、呉服屋さんの組合と懇談会を持ち、いろいろ私どもも同じ立場から努力をいたした記憶がございます。あるいはまた過日のガソリン税それから国鉄運賃の問題、あるいはまた米価の問題、こうした問題についても実は労働者の立場、一市民の立場からこれらの問題についてはそれぞれの業界の方々にも私どもの方からお願いをいたして参ったのでありますが、今日なお二大政党になっても社会党が一部の人から若干誤解を受けておると同じように、私どもきわめて民主的でかつ正当な主張と冷静な行動しかとらない労働組合も何か誤解をされ、中小企業の皆さん方の最も大切な消費者であり味方であるという点が御理解ができていないのではないか、そういう点で私ども一地方民としてもそれらの点で今後幾つかの場面において共通の場を求めてやっていきたいものだと考えておるわけであります。特に今日この中小企業の組織の問題を含めて中小企業振興、こうした問題は私達労働者の立場から申しましても等閑に付せられない問題で、なかんずく今日日本の低賃金の一番大きな原因が中小企業に雇われている諸君の低賃金と悪循環にあることを私ども理解し、中小企業の皆さんがより盛んになりより繁栄をせられることは、そのことを心から願っておる点でありまして、でき得べくんば今後ともこうした法案等の共通の問題を努力する際には私ども一翼を担わせていただくことをこの場で皆様方にお願いを申し上げまして、私の意見を終ります。
○竹内茂君 私は消費者の味方になるわけですが、消費者とても中小企業の方々を敵視するということはもちろん毛頭ありませんですが、同じ基盤で進めていける、こういうふうに考えておるわけであります。従って価格が上るということは非常に心配はしておりますけれども、何でもいいから相手は死んでもいいから安いものでないと困るというような立場でなくて、お互いに話し合っていい共通の場面を見つけていきたい、かように考えておるわけであります。
 先ほど申し上げましたこの法案に対しては慎重でありたいと申し上げたのは、今各方面から御指摘されたように、非常な問題点がありますので、ないよりましだというお話しがあったのですが、ないよりましだというような法律をそんなに早く決めなければいけないか、そう軽々しくやっちゃいけないのじゃないかという気持から申し上げたわけであります。同一の基盤に立ちたいと考えておりますし、今までその方法で進んできたことを認めております。前者同様に考えております。
○永井嘉吉君 ただいま永井先生からおっしゃいました通り、実は私最後に当局の方にお願いしたいと思っておりましたので、ちょうど幸い発言させていただきます。
 もちろん今の団体法は中小企業者のために全面的にこれでいいということは考えておりません。ただ土台になる一つとしてこれはぜひやってもらいたい、こう考えております。実は先に私申し上げましたように、私どもの団体としたしましては中小企業振興対策というものを立てまして、その線に沿ってやっていただきたいということをたびたび政府なり各政党にお願いしておるわけであります。従いまして、これに沿いまして企業庁におかれましてもやはり小売商業調整法とかあるいは中小企業振興体制策というのですか、いろいろ御検討になっておるように聞いておりますが、これらの線も相当具体化していただきまして、併せてこういうものを持ち出されまして、この団体法にもう少し実をつけて進んでいただきたい。こういうことを強く要望しておる次第でありますので、決してこれだけをもって甘んじておるわけではございません。
○江崎富次郎君 ただいま両竹内さんからのお話しもありましたように、われわれ中小企業者は何とか生きるべき広場を求めて今歩いておるわけであります。そこで大資本に追い回わされて一部の企業者が挾撃にあって残る九九%の企業者がこれに、狼に食われるようなことがあってはならぬ。こういうことを私らは一番心配をしておる一人であります。どうしても団体法によってこの人も共に繁栄していかなければならない、こういう明るい気持で実はこの団体法に賛成です。おそらく政府当局の団体法は私も中小企業審議会の委員ですし、大体大企業の二次、三次の禁止までしてほしいという強い要請をした一人であります。それでこそ初めて中小企業雇用者が生きていけると思うのであります。決して社会党の先生方の、永井先生の今御説明になった法案は私らは否とは申しませんが、まず政府当局が提案された分からこれを認めていただいて、そしてこの法案が骨抜きでありますから、今永井先生のおっしゃったような強い意見をこれに規制をしてつけていただいて、おそらくこれを交渉していただいておると三十二年度の国会には継続審議が流会に持ち越されはせぬか、こういうことを懸念しておる一人であります。決して先生方の案に私らは否とは申しません。政府当局の法案を否であるとも思いませんが、そうしてわれわれの明るい気持になってより以上社会党の先生方も御協力を願ってわれわれ中小企業の味方として今狼に食われかかっておるものをぜひお救い下さるようこの席上特に私はお願いを申し上げまして先生の御了承が得たいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○阿左美議員 私は両竹内さんにちょっと簡単にお伺いいたします。
 やはり中小企業はなぜ今日のような状態に陥ったかということは先ほども言われ御意見の中にもありましたから、同一の行動が取れないものか、まちまちである。業種も多種多様である。意見が一致しない。こういうことにやはり政府としても決して中小企業対策ということを忘れておるわけではなく、何とかしようということはこれは研究をいたしましても、実際問題として中小企業対策ということは口では言いましても実際にこれをやろうとするとむずかしいのであります。実際に対策がないといってもよいくらいなんでありまして、結局再度研究をいたしましたことは業者そのものが団結しろ、強くまとまれ、そうすればいろいろな施策を講ずる道もある。こういうことなのでございまして、でありますから中小企業そのものも他力本願でなく、これはみずからも反省する必要があると私は思うのでございます。
 ところで私は今日ここに御出席をいただいておりますところの教員組合とか労働組合とかというような代表者の方々に申しますが、これはなかなか結束がよろしい。これはもっとも先ほども御意見にありましたが、同じ立場になるからそういう結束もでき得るんだということも事実だと思います。そういうような面に強い結束のために、これは政府におきましてもそれに応ずることもできるし、また皆さんの主張も通るのでありますから、これは両竹内さんといたしましても、われわれの組合はこういうふうに強い結束をしておるんだ、であるからわれわれの主張も通るじゃないか、中小企業というものはお前らはばらばらでいくからどう困ってもどう行きづまってもしかたがないんだ、であるからやはりわれわれを模範としてあなた方もわれわれのように結束を固くしろ、そうすれば必ず生きる道はあるとお考えになっておるかどうか、一つ両竹内さんからお伺いをいたしたいと思います。
○竹内弘君 しかし私どもの経験があるいはそのまま中小企業の今日の問題に直接当てはまるかどうかということは、多少やはり疑問があると思います。やはりよってもっている基盤が違います。しかしそうは言えども、今日大企業の苛責なき圧迫、先ほども間瀬委員が申しましたが、中小企業と大企業の間においては取引の自由すら存在を貸さない、こういう事態に対して中小企業はみずからを守るということは、その一つの方法としてやはり組織を強化すべきほかはないと思うわけです。しかし、たとえば組織を強化をし、その強い団結の意思の中に要求を超えた行動が起きない限り私はどのような組合を作ろうとも中小企業の諸君の魅力ある組合にはならぬと思うのであります。そこで私は関連をして先ほども永井先生からの御質疑にこの際お答えをいたしておきたいと思いますが、たしかに中小企業といえどもみずからの立場を守るのはみずからのお互いの利害の深いお互いの立場を理解した上における団結の強化が絶対必要であります。しかしこのことは幾ら権力で、たとえば法によってまとめてみたところが私はほんとうの力にはならないと思います。今日の事態を理解し、自分達の立場がどのようにおかれているか、これを克服するのにはどうすべきかというここまで掘り下げてお互いに団結というものを理解しない限り中小企業の皆さん方の幸せあるいは向上というものもむずかしいのではないか、そういう意味合いで私どもは労働組合として今日どういうことを叫んで参るかと申しますと、たとえばたくさんのボーナスが出ます、そうした場合に私どもはつねに「お買物は地元の中小商店でいたしましょう」ということをその場で叫んで参ります。しかし遺憾ながら長い間の生活感がいわゆる老舗に対する信用と申しましょうか、百貨店へ足を運ぶ者がたしかに多いのであります。しかし私どもの力がもし中小企業の皆さん方の発展向上になるなればいつでもこの力をお貸しをいたそうと私どもはここではっきりお誓いできると思います。私どもは力が大きくて行動をするから今阿左美先生の言われたように要求がどんどん通っていくということでありますが、遺憾ながら政府はがらっといたしておりましてなかなか私ども労働者の要求は通りがたく、まことに残念に思っておるわけであります。
 最後に政府案と社会党案でありますが、先ほど申し上げました通りに、中小企業の皆さんが団結をする。そうしてその団結の力で一つの行動を起すのでありますが、たとえて言うならば湿地帯の海岸における農家を救済するにはどうしたらいいか、これは農民が団結すればよろしい、はたしてそうでありましょうか。湿地帯で海岸でそうしてお米を穫っている農家が団結しても実際これは助からないのであります。すなわちまず潮が来ないように護岸工事をしっかりしなければなりません。湿地帯においては客土をしなければなりません。排水工事をしなければなりません。時によってはこれに見合う灌漑工事を併せ行わなければなりません。そういう諸施策が講ぜられてそうしてその中でかつ農民が団結をする。ここに初めて海岸湿地帯におけるところの農民の生きる道というものが開かれると思います。そういう意味合いから一つの単独法として今日出しております政府案、なかんずく中に幾つかの大きな問題を残し、今回の質問にもありますように、与党の議員すら統制経済の復活した場合を、強制加入についての問題を追求をいたしておる。この点については遺憾ながら私ども中小企業の組織強化を心から賛成しながら、政府案には賛成できかねる。社会党案につきましては、この組織法案を含め、ほかに産業分野に関する法案その他その他諸試案を多く複合をさして総合政策の一環としてなされる点、特に幾つかの配慮がされ、われわれ消費者側が心配をするその点については消費者を含めた調停委員会あるいは審議会等こうした中で意見の調整が配慮されておる。これらを考えてこの社会党法案といえども今日完全無欠とは言いがたいのでありますが、政府案より政策的にもそれから決断的にもすぐれたものがあるとして、私ども社会党案に賛成をいたすものであります。
○竹内茂君 今大体言い尽してくれましたのですが、教員組合は非常に団結をしておるというふうにおほめいただいたのですけれども、実際名古屋の場合を考えましても百八十に近い職場に分れておりまして、なかなかお互いに考えておることが一致しない、こういう場面が多いのであります。しかし教育の問題を考えましてもお互いにそれを見放していくというわけにはいきませんので、各職場から始終代表者ができれば話し合っていくということで進んできておるわけであります。それでもなかなかただ固まっただけで同じような立場におるからというので、簡単に強くなるということはできないと思う。御存じのように大学区制法案があらゆる反対を押し切ってなされたというのも一つであります。そのような意味からなかなか簡単に団結ができるもんじゃない。われわれの力が強いという言葉にはならないのですけれども、またそうなまやさしいものでないということを考えていただきたいと思います。
○阿左美議員 二、三……。時間がありませんからお答えはいりません。
 大体私の意見通り御了承を願ったと認めておいでのようであります。
 どうしても団体交渉よりも組織を強化しろという方が先であるということをどうも御両氏においてお認めになっておる。たしかにこれは団体交渉をするにしても自己防衛が先だと思う。力なきものが交渉に当られるということは価値がない。そういうような点から言いますと、これは自然の力で団結するということができ得るならばこれは結構でありまして、現在の中小企業の立場から言いますとそういうことはできがたいのであります。これはどうしてもある程度の強制をもって一つの強力なるところの組織を作るということがこれは前提になると思うのであります。これは教員組合といたしましても労働組合といたしましても戦前は決して強いものじゃなくむしろわれわれは同情に余るようなものだった。先生がどういう立場におったかということもかつてわれわれがその当時御同情申し上げた。ところがそれが非常な結束を固めて団体的行動をとったために、現在はたしかに恵まれておる。そういうことが何ゆえできたかということは、結局あなた方が目覚めてそうして一つの団結した力をもって当ったというのがやはり今日をなしたと思うのであります。そういうような点から考えてみまして、どうしても中小企業は何が何でもこれは労働組合、教員組合を一つのモデルにいたしましてこういうような行動に出なかったならば、いつまでも恵まれないと私は断言して差しつかえない。大いに中小企業団結すべし、こういう私は実感を強く起すものであります。
  〔小笠班長に代って阿左美議員班長席につく〕
○小笠議員 私が一言だけただいままでの参考人の方々のお話しを伺いまして、どうも気になる点があるのでありまして、一点伺いたいと思います。それは竹内茂さんに伺いたいのであります。
 今回の両法案はいろいろな問題を持っておるので、慎重審議した方がいい、こういう結論を出して四点の理由をあげられた。その中の第二点として両法案は選挙対策的な意味があるから反対だ、選挙対策気味とはいかなるところから選挙対策気味と言われたか、それをまず……。
○竹内茂君 選挙対策という言葉は最初にも申しましたように強過ぎるということをお断りしたわけでありますが、誤解があるといけませんので、この言葉については取り消しをいたします。
 ただ申し上げたいのは先ほどから何べんも申し上げておりますように、非常に政府与党ともに一生懸命で中小企業の問題を考えておって下さるということに対するこちらから参考人の御意見もあったように、非常に大事な案だからぜひ通してもらいたい。こういうお考えを述べられたわけですが、そういう重要なものに対する法案であるから、十分審議をして、しかも消費者も中小企業者も共に守っていただきたいということを強調したのでありますから、その点よろしくお願いいたします。
  〔阿左美議員に代って小笠議員班長席につく〕
○班長(小笠議員) 以上をもって質疑通告者の発言は全部終りましたので、この会議を閉じることにいたします。
 この際一言御礼を申し上げます。
 本日は御多用中にもかかわらず、長時間にわたり貴重な御意見を御開陳下さいまして、本委員会の今後の審査に多大の参考となりましたことを厚く御礼申し上げる次第であります。
 なお、この会議の開催に当りまして愛知県、名古屋市、名古屋商工会議所、名古屋通商産業局、その他の方々の御努力に対しまして満腔の謝意を表する次第であります。
 以上をもってこの会議を散会することにいたします。
   午後四時九分散会