第026回国会 内閣委員会 第11号
昭和三十二年二月二十八日(木曜日)
    午前十時四十一分開議
 出席委員
   委員長 相川 勝六君
   理事 大平 正芳君 理事 福井 順一君
   理事 山本 正一君 理事 石橋 政嗣君
   理事 受田 新吉君
      大坪 保雄君    北 れい吉君
      田村  元君    床次 徳二君
      船田  中君    眞崎 勝次君
      粟山  博君   茜ケ久保重光君
      飛鳥田一雄君    淡谷 悠藏君
      木原津與志君    下川儀太郎君
      西村 力弥君
 出席国務大臣
        外 務 大 臣 岸  信介君
        国 務 大 臣 小滝  彬君
 出席政府委員
        防衛庁参事官
        (人事局長)  加藤 陽三君
 委員外の出席者
        外務事務官
        (大臣官房総務
        参事官)    後宮 虎郎君
        専  門  員 安倍 三郎君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 防衛庁設置法の一部を改正する法律案(内閣提
 出第二六号)
 自衛隊法の一部を改正する法律案(内閣提出第
 二七号)
 外務省設置法の一部を改正する法律案(内閣提
 出第二一号)
    ―――――――――――――
○相川委員長 これより会議を開きます。
 防衛庁設置法の一部を改正する法律案及び自衛隊法の一部を改正する法律案の両案を一括議題とし、前会に引き続き質疑を続行いたします。淡谷悠藏君。
○淡谷委員 長官にお尋ねいたしますが、この前から引き続き審議しております自衛隊の死の行進に関する問題なんです。
 実はその晩に呉市の周辺の黒瀬町乃美尾という場所の、ある薬局店の前の電柱に自衛隊員が縛られて、非常にひどい目にあっておったといううわさが立っておりますが、長官は何かお聞きになりましたかどうか。
○小滝国務大臣 新聞に報道せられた、あの読売新聞に出た記事のことだろうと思いますが、それについては、さっそく私どもの方でも調査いたしました。これは、行進をいたしました状態についてだれかがいろいろ調べに行かれたところが――だれかと申しましても、向うの名刺を見ますと、共産党の何かの方と社会党のやはり委員の方、この二人が年とったおばあさんにいろいろ事情を聞かれたそうです。それでそのおばあさんは、電柱に疲れてすがっておるのを――あとでジープに乗ぜてやったのだそうですが、その状態を見られて、これは電柱に縛られておるものと誤認されたようであります。しかし実際を調べてみますと、もちろん行進中であってそんなことをしょうはずもないし、事実背のうを負っておりますと、背のうの帯が後へ下っておるので、そういうように御老人が誤認せられたようでありますけれども、この点はだれが老人にそういうことを聞きに行かれたかもわかっておりますし、またそれが認識違いであったようであるということも認めておられるようでありまして、この点は私どもの方でもよく調査いたしまして、そういう事実はなかったということを確かめた次第でございます。
○淡谷委員 これは新聞記事によるものだけではございませんので、実は私の方にも直接いろいろな投書が参っております。また地元の県連等を通して調べてみますと、長官が今おっしゃったような事実とはかなり食い違いがございます。なお目撃いたしました者は、あなたのおっしゃるおばあさんだけではなくて、ずいぶんたくさんの町民が見ている。これは、縛ったことを背のうのひもと間違うような時刻でもなければ、また状態でもなかった。午前十時ごろですから……。一体その通りました部隊はどういう部隊でございましたか、一つ御説明願いたい。
○小滝国務大臣 詳細につきましては、人事局長が報告を持っておりますから、済みませんがあとで御報告いたさせます。
○淡谷委員 今はお持ちになっていないですね。
○小滝国務大臣 今すぐ人事局長が参りますが、私は大体今申し上げましたような事実を承知いたしております。
○加藤(陽)政府委員 お答えを申し上げます。
 私の方で調査をいたしました結果、ただいままでにわかっておりますところによりますと、このような状態になっております。第七連隊の第二大隊の川本士長が、新聞に報道してあります場所を通りかかりました際に落伍しそうになっておりましたので、川本士長にロープを持たせまして、同僚の隊員が前から引っぱっておったのだそうでございます。その際、問題の電柱の約百メートルくらい手前で、引っぱっている隊員に川本君がもういいから放してくれと言いましたので手を放しましたところが、川本君が倒れてしまった。その後さらに起きまして行進を続け、問題の電柱の付近まで参りました際に、川本君が急に電柱の方に寄りかかってしまいましたので、今まで引っぱっておりました隊員の連中も相当疲れておったし、川本君が倒れては困ると思いまして、倒れないように、持っておりましたロープで川本君を電柱に交差をした。十字になるようにうしろから電柱に結びつけた。そのとき同僚の隊員が川本君の顔を見ますと、前よりも顔が青かったので、元気づげるためにヘルメットの上からしっかりせいと川本君をたたきながら薬を飲まぜまして、その後、後方から来たジープに川本君を乗せて行進を続けた。こういうふうになっております。
○淡谷委員 今の報告を聞きますと、長官の受けた報告とはだいぶ違っているようであります。縛ったのか交差をしたのか知りませんが、少くとも電柱になわをもってささえたことだけは事実らしい。しかも、地元民が見るに見かねまして、なま卵でも持っていって飲ましてやったら少しでも元気がつくかといってなま卵を持って飲ませに行ったということがはっきりしている。しかもそのときは、その川本君か何か知りませんが、自衛隊の隊員がぐったり首をうなだれておって、吸う元気も何もなかった。今の報告によりましても、青竹をもって鉄かぶとをなぐって激励したとか、あるいは電柱にロープをもって交差さして倒れないようにしたとか、かなりひどいような待遇になっておりますが、この点は一体どうなんでありますか。もしこういう事実があったとした場合に、一体これは訓練として適正であったかどうか、この点について長官はどういうようにお考えでございますか。
○小滝国務大臣 非常に申しわけないのですが、今のは昨日来た第四報というのでわかったのだそうでございまして、私がその前に聞きましたのは、先ほど申しました通りでありまして、その点は、今来ました人事局長の報告によって訂正いたします。
 前から申し上げておりますように、どうも行き過ぎがあった、目的は激励のためかもしれないが、実施に当りましてそういう行き過ぎがあったということは、全般の状況から判断いたしましてもすでに認めているところでございまするし、こういう事実がはっきりして参りますればもちろんそれに応じた処分もしなければならないという考えで現に地方の事実も集めておりまするので、その点を検討している次第でございます。
○淡谷委員 さっきの御答弁によりますと、調査に行ったのが社会党もしくは共産党の人である、おばあさんの口からいいかげんなうわさを聞いたのだろうといったような調子が強かった。大体そんなことでは、この問題の的確な調査はできないと私は思う。これは社会党員が調べようが、共産党員が調べようが、それ以外にも地元のごく素朴な人々が現在生きた目で見ている、その状態に残酷なものがあったので、とても見ておられないでなま卵を持ってそばへ行った、こういう事実がありますと、これは長官、黙って放置しておけるような事案じゃございません。一体このような手きびしい訓練が、あるいは激励が行われるというのは、何か自衛隊の訓練の方法に旧日本の軍隊を思わせるような訓練の方法、また旧日本の軍隊を理想としてたたき上げるような精神が入っておるのかどうか、訓練の根本的な方針について御答弁願いたいと思う。もしもこういう訓練をもって当然のことである、たたき上げるのがほんとうの訓練の仕方であるといったようなことがありとすれば、今後もこういう事案が出てこないとは言えないと思う。その点、一体根本的にはどうなんですか。
○小滝国務大臣 詳細の訓令なり、教育局の、本庁の方で考えておりますことは人事局長から述べさせたいと思いますが、すでにこれまでも陸幕の方に対して指令しておる訓練実施に関する示達を見ましても、決してそういうことをやるのではなく、あくまで隊員の修練に努める、そしてまた訓練の実施についても詳細なる注意を与えておりまして、決して旧軍がやったようなことをやれというのではなく、実際の指示をいたしまして、そういうことのないように努めて参っておるのでありまして、今御指摘のような事実がありといたしますならば、これは全く防衛庁当局の考えております方針に反するものでありますから、その意味において事実調査の上十分な処断をして、われわれの考えておるところがどこにあるかということも、十分隊員に徹底させたいと考えておる次第でございます。
○淡谷委員 もちろん旧日本の軍隊のような拷問に近い訓練方法はとらるべきものではないということははっきりしておりますが、ただそういうふうな基本方針がはっきりしておるならば、今度の事態というのは全くこれは許すべからざる残酷な行為でありまして、地元の見た人々がどういうふうな感じをもって見たかということは――ここに中部日本新聞の二月二十五日の記事がございます。「電柱にしばり殴る」という表題がついておりまして、
  「目撃者は広島県賀茂郡黒瀬町乃美尾、農業川端静人さん(六四)で、行軍の日の二月六日午前十時ごろ意識不明で死人のようになった若い隊員を四、五名の隊員がロープでひっぱってむりやり歩かせ、その隊員が川端さん方前の電柱に倒れかかったところ、一人の隊員がひっぱっていたロープでその隊員の身体を電柱にしばりつけ、しっかりしろ、とゲンコツで頭を四、五回なぐったり、腹のあたりをこづいたりしていた。
  また静人さんの長男照美さん(二六)は「頭をこづいたりしているうち号令をかけていた班長らしい隊員がうしろからその隊員のふくらはぎを一回けりつけた。その後ぐったりしている頭を持上げマブタを調べていたが、もういいからジープに放り込め、とちょうど荷物を積んで通りかかったジープに雨ざらしのままその隊員を投げ込んでいった」という。
  また母親いえさん(五〇)は「口もきけず頭もぐったりおとして死人のようになっていた。私の息子も戦死しているので、この人の家族のことなど考えたら涙が出て顔をそむけた」とその暴行ぶりを証言している。
  川端静人さんの話、
  「口もきけず死んだようになっているものに気合いを入れるのだからむちゃだ。雨ざらしのジープに投げ込まれたがその後きた救急車には元気なものばかり乗っていたと近所の人たちが非難していた。」
 これは決してためにする調査でもなければ、ためにする非難でもないと私は思う。あなたはどうお考えになろうとも、今、自衛隊の内部での相次ぐこのように残酷な訓練方法がはっきり人目にさらされているのです。隊内でではありません。人目にさらされた場所で行われておった。これは早急に取り締られるとかいう問題ではない。少くとも人命に関するような訓練方法、これは一体殺人あるいはその他の刑事事犯に触れないものであろうか、長官のお考えはどうですか。
○小滝国務大臣 検察当局とは緊密に連絡をとりまして、すべて調べた事実は向うにも提供いたしまして、目下検察当局の決定を見るように連絡を続けておる次第でございます。
○淡谷委員 もし現在のままのような拷問に近い訓練方法が続けて行われた場合、もとの日本の軍隊でやったように、隊内のことは隊内で始末をするといったような調子で、一般の刑法の適用から除外されるおそれがないかどうか、これは一体どうなんですか。
○小滝国務大臣 そういうことは絶対に考えておらないのでありまして、司法警察官と同様の資格を持っておる警務隊の方で取り調べたものにつきましては、検察当局の方でそれをよく審査していただいて決定をしていただきたいと思うのでありまして、決して自衛隊内のことであるから、刑法に触れるようなものもこれをこそっとそこへ隠しておこうというようなことはなく、むしろ最初から検察当局の方へ連絡をとりまして、相当行き過ぎたものがあるやにも私、感じましたので、その辺については決してそういう疑惑の起るようなことのないように取り計らっておる次第でございます。
○淡谷委員 少くとも訓練の名において、このような乱暴な、しかも残酷な傷害行為やあるいは殺人行為までが行われているというのは非常に嘆かわしい実情なのでありまして、この点は一つ長官においても厳重に、しかも早急にお取り調べ願いたいと思う。なおあなた方のお取り調べの結果が私どもの方と相一致しなければ、私どもも現状を視察するなりあるいは証人を呼ぶなりして、この問題はうやむやに葬らないようにはっきり調べていきたいと思う。
 なお訓練の方法等について、この前にもございましたが、これくらいは当然だといったような考え方が自衛隊の幹部の中にはあるようであります。一体自衛隊の幹部の中に、訓練の方法についてこういうふうな事態の起ることを予想して、それでもなおかつよろしいといったような思想があるのかないのか、その点はどうお考えになっておりますか。
○小滝国務大臣 私は絶対にそういう考えを持っておる幹部はないと信用いたしております。あるいは表現が下手で、そういう誤解を招いた者があったかもしれませんが、それは非常に遺憾でありまして、今、幹部はいずれもこうした事態を起しまして世間に非常に不安の感じをお与えしたことを遺憾に思っておるのでございまして、そういう考えの者は絶対にないはずであります。またこの前も申しましたように、私も近く直接個人的に会ってよく私の気持も伝えた方が、よりよく私どもの趣旨を徹底せしむるゆえんであろうと考えまして、地方におります幹部には上京してもらって、ひざを交えてよく私の趣旨を徹底させたいと考えておるような次第であります。
○淡谷委員 この問題については、同僚の飛鳥田委員からも、いろいろな資料をそろえて質問するつもりでございますが、私は、最後に長官に、やはりこのようなことは早急、時を移さず、厳重なお取調べを願いたいと思います。
○飛鳥田委員 淡谷君の質問に関連いたしまして、この死の行進の問題について伺いたいと思いますが、今まで死の行進の問題についての当局側の弁明と申しますか、御説明を伺っておりますと、非常にフェアなお答えをなすっているように思われるのであります。ところが、実際はそうでないというような感じが次第にいたして参りました。たとえば、この事件の起りました隊の隊員が、お父様のところに出した手紙などを拝見いたしますと、真実が述べられております。たとえばその一部を読んでみますと、「新聞に出てる幹部の言っていることは全く反対で、責任を逃れているのです。事実がばれるのをおそれて、きのうときょうと外出どめです」こう書かれております。一体この隊において事件のありましたときに、二日間も外出どめをやった事実があるのかどうか、これを伺いたいと思います。
○加藤(陽)政府委員 具体的に外出どめがあったかどうかということは聞いておりませんけれども、私どもの調査は厳正にやれということで、第二大隊の第四中隊の、演習に参加いたしました隊員一人々々について全部当れということを私の方からは言うてやっておりますので、しかもそれを急いでやれ、――議会の方に対する御報告の関係からいたしまして、時を移さずやれということを、非常に時間を切りまして調査を下命いたしましたので、調査のやり方といたしまして、隊員の諸君を全部残してやったということはあるかもわかりません。私の考えといたしましては、今どきの若い隊員が、外出どめされたからといって、外へ言わないというふうなことは考えられない。そのことによってわれわれの方の調査の公正を疑われることは、私はいかがかと思うのでございます。
○飛鳥田委員 多分そうおっしゃるだろうと思いました。それでは続いて次の行を読んでみましょう。「新聞が来たら」これは新聞記者のことでしょう。「新聞が来たら、直ちに中隊長のところへ連れていき、その前で答えるようにとのことです。事件が外部に知られないようにと一生懸命です」こうちゃんと書かれておるわけであります。今のお話で、厳正公平に調査をする、本庁ではそういうお考えであったでありましょう。そのことを私は疑いません。だがしかし、これを迎える隊の方がこのような態度で、二日間も外出どめをし、しかも新聞記者の方が見えたら、中隊長の前へ連れていって、その前でなければ答えてはいけないというような指導の方法、これではいかに本庁から行きました調査をせられる方が、厳密、厳正にやろうと努力をせられてもだめであります。今お話しのように、最近の若い者は、少しやそこらのことではへこたれない、大丈夫だというお話でありますが、いつもそういう話を、私たちは拷問だとか強制だとかいう事件のたびに聞くのであります。今の国民は権利意識に目覚めているから、拷問なんかやったって絶対吐かない、こういうようなことをしばしば係官の方は言われるのであります。それと同じことです。なるほど若い人たちは、前よりはずっとしっかりしてきました。だがしかし、外出どめしたり、新聞記者が来たら、自分の中隊長の前へ連れて来てからでなければ答えてはいかぬ、このような指令を出す、そのように扱われる以上は真相は現われてこないのじゃないか、こう私は思うのであります。一体この隊で新聞記者の方が来られたら、中隊長の面前へ連れて行ってその前で答えるようにというような指令をお出しになったかどうか、事実を隠蔽しようとするこのような態度をおとりになったか、おとりにならなかったか、はっきりお答えをいただきたいと思います。
○加藤(陽)政府委員 私どもの関する限りにおきましては、そういうふうな指令を出したことはございません。ただ新聞記者の諸君がその隊の中に自由に入り込んで、あっちこっち隊員に話を聞かれるということになりますと、やはりそこに――真実を糊塗するという意味でなくて、隊の規律等のことも考慮しなければならないようなことも考えられ得るんじゃないかと思うのであります。そこで中隊長なら中隊長が一つの部屋に集めまして、新聞記者の方と会うようにはからったというふうなことがあったんじゃないかというふうに思います。決して私どもの趣旨が隊に徹底していないはずはないと私は思うのでありまして、調査に当りまして、事実を隠蔽しよう、そういうふうな意図があったというふうなことは考えられません。
○飛鳥田委員 一つその事実はお調べをいただいて、もう一度御報告をいただきたいと思います。二日間も外出どめをしたかどうか、新聞記者対策をやったかどうか。
 そこで次の点を読み上げてみます。「青竹でたたいたり、綱で引っぱったのはいつものことです。死の一歩手前まで歩くのです。歩くのではなく、かけ足の連続です。」こう書いてあるのであります。「寒さと疲れのため死んだのです。自分の大隊はよその大隊より一時間四十五分も早く到着した事実でもわかると思います」こう述べられております。「青竹でたたいたり、綱で引っぱったのはいつものことです。」いつもこういうことが行われているかどうか、ほんとうにお調べになったのでしょうか。この前までのお調べの結果を伺いますと、ほおをなでたことはあるとか、あるいは勇気づけるためにヘルメットを青竹で愛撫したとかいうようなお話が再々ありました。しかしこれを受けている側は、このように受けているのであります。訓練を受けている兵隊さんの方は、このような感覚でこれを受け取っているというこの事実、これを一体どうなさるのか。ほんとうに青竹でたたいたり、綱で引っぱったというようなことはなかったのですか。くどいようですが、もう一ぺん伺いましよう。
○加藤(陽)政府委員 今までの調査につきましては、私どもは厳正に行われたということを信じているのであります。その際に、前回も申し上げましたように、確かにほおをたたいたという事実はあります。けれども、やった者はこれは善意で、元気づけるためにやった。それが受け取る側でそれが暴行だとか、虐待だというふうに受け取られるような雰囲気そのものに問題があるということは、私はそれは認めておるのであります。しかし暴行をしようと思ってしたというのじゃありません。これは明瞭に申し上げられると思います。今までの調査につきましては、私どもは決して事実を隠蔽しようとしたというふうなことはないことを信じております。
○飛鳥田委員 善意で人が二人も死んでしまうほどの行動を行うというようなことが、一体良識人としてのあなたに、あるいは長官、次長の方々に御信じになれるでしょうか。私は言葉をここでもてあそぶことは慎しみたいと思います。善意が余って人を殺す、このようなことをそう簡単に私たちがやりとりしてよいものかどうか、はなはだ疑問にたえない次第であります。善意であったかもしれない。だがしかしその善意がかような重大な結果をもたらしたとするならば、これは重大な反省をしていただかなければなりません。
 総理大臣がお見えになりましたので、この問題を簡単におしまいにいたしますが、続いて読み上げてみますと、「行軍中にも地方の人々が皆泣いてがんばれがんばれと言ってくれたときほど元気づけられたときはありません」こう述べられておるのであります。兵隊さんが行軍をしていく、それを見送るあるいはそれを見る人々が、泣くなどというようなことは通常あり得ないことです。これから戦地でも行って、この人は再び戻ってこないのかもしれない、こういう状況にあれば人は泣くかもしれません。しかし普通の行軍の状況の中で、地方の人々がみんな泣いて、がんばれがんばれと言ってくれた、こういう状況というものは、どんなにおそろしい地獄図絵であったかと私たちは想像いたしますと、身ぶるいがいたします。今もあなたは善意でほほをなぐった、それが暴行と受け取れるようなそのときの見ようが問題だ、こういうふうにおっしゃったのでありますが、その状況はこんなにも残酷なものです。一体これで人権を尊重する自衛隊であるのか、私は疑わざるを得ないと思います。こういう点についても、もっとよくお調べをいただいて、再度御報告をいただきたいと思います。
 総理大臣もお見えになりましたので、あまりお待たせを申し上げるのも恐縮でありますから、私の質問を終りますが、またこの手紙はあなた方に実はこのままお見せしたいのです。ではありますが、これを見せて下さいましたお父さんが、私たちに本人の進級とか、成績に影響を及ぼすようなことがないようくれくれも御配慮のほどをお願いいたします、と述べられておりますので、この隊から両親のところに送った筆者の名前をあなた方にお見せするわけに参りません。はなはだ残念でありますがしかしこれは事実です。厳然たる事実であります。こういう事実をあなた方は無視をして、この国会の中でどんなにきれいな言葉をお述べになられようとも、言葉をもてあそばれようとも、やがてこの事実は大きな事実となって、あなた方のおしりを突き上げて、いくに違いありません。どうぞここでもっと素っ裸な気持になって、事実をお調べになり、反省すべき点は反省していただきますようお願いいたします。以上であります。
○相川委員長 外務大臣がお見えになりましたので、両案に対する質疑は後刻続行いたします。
    ―――――――――――――
○相川委員長 次に外務省設置法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を続行いたします。前会の委員会におきましては、政府委員に対して質疑を行ったのでありますが、本日は特に外務大臣が出席いたしましたので、外務大臣に対する質疑を行うことといたします。
 なおこの際委員各位に申し上げますが、外務大臣は他に所用がありますので、三十分程度しか在席できませんので、この点お含みおきの上質疑をお願いいたします。石橋政嗣君。
○石橋(政)委員 外務大臣にお伺いいたします。前会の委員会におきまして、私は原子兵器の持ち込みの問題についてお伺いをいたしましたわけでございますが、その際現在はもちろんのこと、将来にわたっても、全国民の意思であると思うから、原子兵器の持ち込みはお断わりするということを明確にお答えになられました。私はそれに対して、一応敬意を表したわけでございますが、新総理岸さんの意向というものが、各閣僚あるいは外交官の諸君のいろいろの言動の中に実際に生かされておるかどうかという点で、疑問が出てきたわけであります。その一つは、やはり先会の委員会で小滝長官に私が尋ねたときでございますが、どうも実際に防衛を直接担当する責任者である小滝長官の答弁は非常にこの点不明確でございました。かりに速記録の若干を申し上げますと、「原子弾頭とかあるいは原水爆というものはこれは場合によっては防衛的に使われる場合もあるでしょう、それを防衛に使えばより大きな効果を発揮することができまするから、その場合においては防衛のためのものであるということも言えるでありましょう。」こういうふうなことを言われておったり、あるいは「もちろんそのときの情勢による場合もありましょうが、」というようなことを言っておられたり、とにかく状況次第ではどうかわからぬというようなことを再三私の質問の中で述べておられる。この点について私は当時岸臨時総理とこの小滝長官との意見の食い違いというようなものを、石橋総理にお伺いしようと思っておったのでありますが、今度岸さんが直接総理になられたので、私は総理に直接お尋ねするわけでございます。どうも防衛庁長官の答弁というものが明確を欠く、そう思っておりましたから、今度は国連の沢田代表がやはりこの明確な答弁の線に沿った行動をしておらないのじゃないかという疑問を持ち出したわけです。御承知の通り、去る一月の十八日に国連の沢田代表がノルウェー、カナダと共同いたしまして、核実験の登録制度確立の問題というのを提案いたしております。登録制度であろうと何であろうと、核実験をやるということについて私は問題があると思う。少くとも岸総理の考え方というものあるいは国民の意思というもの、国会における決議というもの、これは登録しようと何しようと、実験なんかやったら困るという考えに私は貫かれておると思う。それをいかなる権限をもってなされておるのか知りませんが、登録制度を提案するというようなことは、これは明らかに政府の意思に沿わない、しかも国会の決議に反する行為である、国民の意思を裏切るものである、このように考えておりますが、この点一つ御説明願いたいと思います。
○岸国務大臣 原子爆弾や原子弾頭等の問題につきまして、これを日本に持ち込むということは、たとえアメリカの駐留軍の場合においてもそういうことは断わる、私ははっきり断わるということを申しております。また日本の自衛隊におきましても、いろいろ進歩した兵器は研究しなければならない。そこでいろいろな新しい兵器も研究するけれども、原子爆弾や原子弾頭の問題はこれは別であるということもはっきり申しました。また沢田君が国連においてあの提案をなしたことは、これは核実験を禁止するというのが日本国民の意思であり、われわれの念願である。現在の国際情勢から見て、これに到達する第一歩としてこれを提案したのであって、これが究極の目的でもなければ、登録さえすればこの実験を幾らでもやってもいいということを前提としておるものではないということを私は申したのであります。またクリスマス島におけるイギリスの実験に対しましても、私は再度抗議をいたしましたが、さらにその抗議の最後には、どうしてもわれわれの希望を無視して、要求を無視してやる場合においては、それから生ずるところの損害については、一切英国政府がこれを負担すべきものであるということをつけ加えましたのでありますが、これも損害賠償を取りさえすればやってもいいということを認めたのじゃないかというふうに質問された方もありましたけれども、私はそういう意思じゃない。つまり一貫してこの問題に関しては、日本国民の意思もきわめてはっきりしておる問題であり、従って政府としても私は一貫して、はっきりした態度でもって今日まで答弁もいたしておりますし、また岸内閣としてはその方針ですべてを貫くつもりでおります。
○石橋(政)委員 核実験を管理するというようなことが、一体どういうことを具体的に意味するのか私はわからないのでございますが、そういったものが確立すればある程度前進であるという点に疑問があるわけです。現に国連の中において核実験に反対だという勢力が全然ないとするならば、そういう考えもあるいは出てくるかもしれません。しかし御承知の通りソ連あたりは明確に核実験は禁止すべきであるということを提案しておる。そうしますと、死の灰の被害はもちろんでございますが、原水爆の被害を受けた唯一の民族である日本が、後退した形で新たな提案をするということは、私は決して前進を意味しないと思うのです。あまりにも政治的な考慮を払われ過ぎるんじゃないかと思うのです。国会におきまして決議されておるものも、私は決してそういう巾を持ったものじゃないと思う。全会一致でやっておるというのは、これはソ連のものであろうとアメリカのものであろうと、イギリスのものであろうとみんなお断わりするんだ、何しろ事原水爆あるいは原水爆の製造実験その他の中止というようなことについては、もう政治的な考慮なんかめくらす余裕はないんだ、とにかく反対なんだと言っている。それを忠実に国連のこの会議外交の中で戦い取ろうと思えば、ソ連の提案であろうと何であろうと、私は原水爆の実験絶対中止だという、そのことに同調すべきであって、何か中間的な態度があるかのごときイニシヤをとって、独自の提案をするということは、私は決して前進を意味しないと思う。その点いかがでしょうか。
○岸国務大臣 従来原水爆を持っておる国が実験をやっておるのでありますが、私はただ単に、日本民族これれで被害をこうむるとか、だからこれに対して日本が日本の立場から反対しているというのじゃなしに、全人類のためにこれが及ぼすところの惨害を頭に置いて、実際日本人が受けた体験から、これを全人類のためにあの実験禁止の提案をし、また決議が行われておるものであると思います。しかるに実際の問題から申しますと、不幸にして届出も通告もなしに行われているのか、まだ遺憾ながら現状であります。そういう現状から見まして、わが代表が少くとも登録をし、国連にはっきりさして、またこれから生ずるところの惨害をできるだけ少くし、またこれに対してのあらゆる処置を談ずるような手段をとるということを現在の段階において提案することが適当であると考えてやったわけでありまして、従って沢田の演説のうちにも、日本民族のその念願は十分に述べられておるのであります。そうしてこれか軍縮委員会に付議せられるということにつきましては、御承知のように、全会一致でそれに付せられることになっておりまして、軍縮委員会においてさらにこれが審議される、こういうことによって、国際的の世論が高揚されることによって、初めて私は禁止の問題が実現する、こういうふうに考えております。今の石橋君の御意見なり御批評もさることではありますけれども、私どもはあくまでも今言った禁止への目的に向っての一歩前進、こう考えておるわけであります。
○石橋(政)委員 私はそのようには思えないわけです。衆議院においてあるいは参議院におきまして、それぞれ二十九年、三十一年と再三決議をいたしておるわけでございますが、その内容も、最終の目的は人類の破滅を招来する原水爆の製造及び使用禁止、これなんです。しかしこれがなかなか有効な措置が確立されないので、その間実験禁止に関して国際連合並びに関係各国がすみやかに有効適切な措置をとることを要請する、こういうことであろうと思う。結局最終の目的は、原水爆の製造及び使用禁止である。そこまでは一足飛びにいけないから、少くとも現段階においては、核実験の中止ということに全勢力を傾けていこうという趣旨の決議が、衆議院におきましても満場一致確認されておる。これに対して当時の鳩山総理も、原水爆の実験禁止に関する国際的措置がすみやかに実現をいたし、この種実験が中止されるに至るようかねてから熱望いたし、努力するのだということを所信表明として、決議のあとで述べておられる。私はこれとどうもそれてきているような気がしてしようがないわけなんです。先ほども申し上げたように、現に国連の中で実験中止を呼びかけている勢力があるわけなんです。それになぜ日本か同調できないのか。この世理制度というものが、これなら通るというものじゃないと思う。軍縮委員会にかけられたのも、各提案が全部一括してかけられたのであって、何もかけられたから、この三国提案がそのまま通る可能性があるという性格のものでもないと私は思う。どちらにしてもむずかしい。むずかしいならばなおさらのこと、ほんとうに唯一の民族である――ビキニ近くの原住民の人たちも被害者でございましょうけれども、広島、長崎、ビキニと三度も被害を受けたのは日本人われわれだけだ。このわれわれが、そういった管理届出さへしてくれればいいという、間違った印象を与えるようなことは避けて、とにかくやめてくれ、われわれこりごりしているのだということを忠実に世界に訴えていくという態度かなくちゃならぬ。そのためには妙な政治的配慮をめぐらさずに、どのような勢力が提案しておるうとも、私は核実験の即時中止を訴えている勢力と一体となって、特に被害を受けた民族としての熱烈な要求を訴えていくことの方かより効果がある、このように考えるのですか、いかがでしょうか。
○岸国務大臣 先ほど来申し上げておる通り、これは石橋君の御意見も私は御意見として傾聴いたしますが、私自身また沢田君が、国連においてああいう提案をしたことは、先ほど来申し上げているように、あくまで実験禁止を今実現しようとしたって――上部にはそういう提案があることは私ども承知いたしておりますが、まだ実現の可能性がない。そうすれば第一段として、こういう登録制の問題を実現して、そうして管理するということから禁止へ向っていくということが適当なものであるという見地に立っておるわけでありまして、決して、管理すればそれでいいので、禁止しなくてもいいというなまやさしい考えに立っているわけではないのであります。
○石橋(政)委員 私はそういう態度は、最終の目的をかちとるために、決して一歩前進と言われるような性格のものではないと思っております。現にきょうの朝日新聞の天声人語にもいろいろ述べられておりますが、イギリスの原子科学協会の副会長ロードプラット教授、イギリスの人でさえ明確に「クリスマス島では高空から水爆を投下するから安全だというが、死の灰はいずれ確実に地上に降りてくる」というようなことを述べられておる。どのような登録がなされようと、管理が行われようと、結果としてこうむる被害というものは私は同じだと思う。そうすると何らこれは前進、進歩というようなものを示すものではない。世界の科学者、日本においても湯川博士以下七人の委員会が厳重なる抗議を発しておる。これが人体に及ぼす影響、その他各般の専門的な立場から、絶対にやめてくれということを叫んでおられる。先ほどから申し上げているように、国民の意思、国民の要望、そしてこれをくんだ国会の決議というものも、とにかく政治的な考慮その他は抜きにして、原水爆の実験はやめてくれという声に貫かれておると思う。それをやりようによっては誤まって世界に伝えられるような方法を、日本がイニシアチブをとって提案をするということはどうもうなずけません。私はやはりこの点は、国民意思とちぐはぐの形で――総理が述べておられるような決意というものが実際に国連の舞台になまのまま行って、そしてこういう動きが出てきているというようには思えない。やはりあまりにも政治的考慮か払われ過ぎている。悪くいえばスタンド・プレー的なきらいさえある。こういう点は厳重に慎しんでもらいたいというふうに考えております。
○飛鳥田委員 関連して。岸さんは予算委員会においてわが党の和田さんに対しても、もしアメリカが原子力部隊を日本本土に、駐屯を申し出ても断わるつもりだ、こういうふうにお答えになりました。また閣議でも、政府としては承諾を与えない、こういうふうに御決定になったと伺っております。ところがそういうようにお答えになり、閣議で決定せられたその後において、あなたの直接指揮下にあると思われます陸上自衛隊の筒井幕僚長などがいろいろな談話を発表しておる。これは読売新聞の力に語った談話でありますが、自衛力を全然持たないというのなら話は別だが、現在自衛隊を持っている以上、それが近代戦に耐えられるような装備を持つことが必要だ、従ってアメリカが原子力部隊を日本に駐留させるというのならそれを受け入れてもいいのではないか、こういうふうに語っているという報道があるのであります。政府の最高首脳部たちの決定と、その下で実際に事を行なっていこうとせられる人の態度が、このように食い違っている。こういう事態はそう簡単には国民に受け取られていきません。この点について、一体総理大臣としてのあなたは、自衛隊の最高指揮官としてのあなたは、どういうようにお考えになっているのか、お答えいただきたいと思います。
○岸国務大臣 その問題はすでに予算委員会等において明確にお答えを申し上げました通り、そういう協議を受けるならば、私は日本政府としてはお断わりするということにすでにお答えしておる通りであります。
○飛鳥田委員 そのお話はよくわかるのですが、そういうお話をあなたがなさっておる口の下から、あなたの指揮下にある方々がこういう放言をなさることを取り締まっていき得るのですか。
○岸国務大臣 もちろんこれは政府の方針であり、われわれが明言しておることは責任を持って実現するわけでありますから、各閣僚もまたその下におる官吏も、すべてその方針でいくことは当然であります。
○飛鳥田委員 もう一つ。今お話の原子力部隊の駐屯を断わるという日本領土ということの中には沖繩を含みますか、含みませんか。
○岸国務大臣 沖繩も――われわれは沖繩については潜在主権を持っておるということを申しております。ただ一切の施政権が御承知のように日本になくしてアメリカにありますので、その関係は他の日本の完全なる領土とは違った立場にあることも考えなければならぬと思います。しかし私は、沖繩へ置くことについてアメリカ側から相談があれば、やはり同じ態度で臨むのが適当であろうと思っております。
○飛鳥田委員 そういたしますと、沖繩は潜在主権があるだけで、施政権は向うにあるから、相談があれば断わるけれども、もし相談なくしてアメリカが独自の立場で原子力部隊を駐屯せしめる場合には、日本政府としては何ごともできないという意味ですか。
○岸国務大臣 私は沖繩の場合は、今申し上げましたように、完全なる日本領土とは違っておりますから、今までの関係から申しましても、アメリカのあそこにおけるところの行動等につきましては、われわれに相談もございませんし、またいろいろわれわれから抗議を申し込んだり協議をする場合におきましても、国内の場合とは違っておるという状況にあります。将来アメリカとの間の関係を調整する場合については、沖繩の問題も重要な問題の一つでありますから、これは今後の情勢とともにいろいろ考えていかなければならぬと思いますけれども、現在の状態では、私はどうもそういう場合に相談がなかったら、何とも仕方がないのではないか、こう思っております。
○飛鳥田委員 よくわかりました。そういたしますと、政府としては承諾を与えないという言葉の範囲内には沖繩は入っていない、そうして沖繩についてはアメリカが自由に行動することについて、日本政府は容喙できない、こういうふうに伺いました。しかしこれは私は非常に危険だと思います。御存じのように、アメリカはアジアにおける戦略的な大きな拠点としてアラスカと沖繩、この二大飛行場を持っておるわけです。しかもこの沖繩を支えて参りますために、日本の各飛行場があり、また朝鮮その他もある、こういうふうに私たちは考えるのでありまして、沖繩島はこの日本列島の中のアメリカの基地としては、一番の目であります。この目に原子力部隊を持ってこられるということになりますならば、それの支えとして存在し、あるいはこれと組をなして存在価値を持っておる日本国土内の航空基地もまた、当然その様相を帯びてくることは必然であります。一番重要なポイントをほおっておいて、何らかの手を打たないで、日本国土、いわゆる足の方だけの国土については承諾を与えないということでは、国民の不安は消し去ることは不可能だろう、こう私たちは考えざるを得ないのであります。試みに思い出していただきたいと思います。たしか昨年の夏ごろであったと思いますが、新聞に小さくではありますが、マリアナ諸島のグアム島にアメリカは原水爆の貯蔵庫を完成した、こう出ております。これはアメリカの領土でありますから当然さもありなんと思いますが、しかしこれはアメリカの領土だからといって笑い捨てられません。今飛行機に乗ってグアムから沖繩に向って飛びますならば、おそらく一時間、普通ならば一時間半で到着をいたします。一時間半の距離に原水爆が貯蔵してあるのであります。ここから沖繩まで持ってきて、沖繩から中国なりシベリアなりを撃つということは易々たるものでありましょう。現実には沖繩にはすでに原爆搭載機が到着いたしておりますことも、これは何人も争わないところであります。こういう状況の中で沖繩の地位を考えてみますと、沖繩については日本政府はお手上げだ、これに対する原水爆の持ち込みも原子力部隊の駐屯も日本政府は断われない、こういうようなことでは日本の安全保障というものは一体どうなるのか、これは真剣に考えていただかなければなりません。今すぐこの問題についてあなたにどうのこうのというお答えをお願いしてもこれは無理でしょう。しかしこの点については将来十分に考えていただけるのかどうか、そのお覚悟だけ伺わしていただきたいと思います。僕は関連質問ですからこれでやめます。
○岸国務大臣 今も申し上げましたように、もし私は相談があれば、協議があれば、沖繩においても私はお断わりをする、しかし今の沖繩の今日までのいろいろな経緯にかんがみ、また現在条約上の沖繩の地位を考えますと、アメリカが日本内地に持ち込む場合には必ず相談をするということを責任を持って国務省等も言っておりますが、それにはやはり入らないのではないかと思うのであります。しかしこういう問題はすべて日米関係のいろいろな問題と同様に十分に論議し、将来の両国間の関係を調整すべき重要問題の一つであるということは私も考えております。
○石橋(政)委員 それでは続いて質問いたしますが、やはりこの沢田代表が提案をいたしますときに、通常兵器と核兵器の不可分なるゆえんを強調いたしたそうでありますが、この点はどうも日本の憲法というものを意識して発言されておるとは思えないのでございますけれども、政府の正式の見解というふうにとっていいものかどうか、もしそういうことになりますと、逆に今度はアメリカの方で通常兵器と核兵器とを分けるということ自体おかしいのじゃないかというような理論をたてにとって、この持ち込みの問題などを言ってくるというようなことかないとも限らない。そういう場合に、日本といたしましては、理論的な根拠を失うようなことになるおそれもあるかと思いますので、やはり口頭で、持ち込んだときにはお断わりするのだということでなしに、行政協定を改訂してその中に明確に入れておくとか、あるいは交換公文を取りかわすとか、共同声明を発するとか、そういうふうなもっと具体的にがっちりしたもので拒否の態度を明確にしておいた方がいいじゃないか、このように思うわけでありますが、なぜそこまで突っ込んで協定をなさろうと上ないのか、そこのところをあわせて御答弁いただきたいと思います。
○岸国務大臣 この問題に関しましては、アメリカの従来の態度も、また国務省及び責任のある国防省の発表も従来もそうであったが、今後においてもそういうことは必ず日本国政府と相談をしてやるんだということを声明をいたしておりまして、私は日米間においては従来も守られてきておるのであるから、従って将来もそういう問題については十分守られるものであるという信頼に立っておるわけでありまして、従って今直ちに交換公文あるいは行政協定の中へ入れるということは現在のところは考えておりません。
○石橋(政)委員 現に最近の新聞報道などによれば、日本はどうも誤解しておるようだ。防衛のために核兵器が必要だというようなことについて、今後とも啓蒙していかなければならぬというようなことを、いかにも日本の言い分が間違っているんだというようなことを新聞あたりで見ておるわけなんです。現に沢田代表も国連において通常兵器と核兵器とは不可分なりというようなことを前提にこの提案をなしたということになりますと、これを逆手にとられるというようなきらいもあります。私は国際間のそういった紳士協約というものを信頼しないというのじゃないけれども、国民に安心感を与えることが政治であるならば、それをまず第一に考えて、もう少し突っ込んで協定をするというところまでいかれた方がいいんじゃないか、このように考えるわけです。最初の通常兵器と核兵器は不可分なりとお考えになっておられるのかどうかということとあわせて、再度御答弁を願いたいと思います。
○岸国務大臣 石橋君の御質問の核兵器と通常兵器の区別がないというのはどういうような点であるか、私ちょっと御質問の要旨がよくわからないのです。
○石橋(政)委員 国際週報に出ておる内容なんですが、「わが沢田代表は通常兵器と核兵器の不可分なるゆえんを強調し、いかなる軍縮計画もこの二種類の兵器を対象とすべきことを述べ」云々と書いてあるのです。私どもは少くとも日本の憲法のもとにおいて、これは明確に区分されるべきである、このように考えている。核兵器というものは現行の憲法のもとではあくまで持てないと考えておる。しかし兵器そのものについては明確にこれを分けることはできないという考えも持っているわけです。だから日本政府がそういう見解を持っておれば、今後われわれが質問する上においてもその前提に立って伺おうと思うので、その点についてお尋ねしているわけです。
○岸国務大臣 沢田君がそれを主張したのは、おそらく制限するという場合に、通常兵器だけを制限するという軍縮会議では意味をなさないので、核兵器も両方あわせて制限しなければならぬものだ、関連しているのだという意思で言うたのだろうと思います、今のお読みになったところを見ますと……。しかししばしばここで議論がなっておるように、日本の防衛隊においては核兵器は持たない、原水爆や原子弾頭をつけたものは持たないということは一貫して答弁しておる通りでありまして、たとえ理論として普通兵器と核兵器とは関連があるとかなんとかいうことと、日本において持つか持たないかということとは、私はおのずから分けて考えてよろしいと思います。
○石橋(政)委員 時間がありませんので、それではあと二つ具体的な点について簡潔に質問いたしたいと思います。
 一つは今度岸総理が外務大臣を兼任されるということになったわけでありますが、この点で今後ともずっとこのような形を続けられるつもりかどうか、現に最近では雑誌社あたりでも、岸総理の考えを集約して、空飛ぶ外相というようなことがいわれておる。今後の外交はどんどんこちらからも出向いて一つ向うのよその国の首相あたりともひざを交えて話し合うというようなことが基本にならなければならないということを言っておられるのでございますが、そういう考えはともかくといたしまして総理がこれを兼務するような形の中から可能であるかどうかというような問題も出てきますので、いつまで今の兼任の形を続けられる考えであるかどうか、もし適当な時期に専任外相を設けるとすれば、どういうような基準で選びたいと考えておられるかというのが第一点。第二点は、日本の外交で一番大切なのは、今後経済外交と文化外交だということをしばしば言っておられるようでございます、これも私たちといたしまして一応同感の意を表したいわけでございますけれども、今後外務省の機構あるいは陳容といったようなものの中に具体的にこれを生かすために何らか考えを持っておられるかどうか。たとえば事務次官補をふやすというようなことをまた提案されてくるようでございますけれども、そういった場合に経済外交に堪能な者をこの中に入れてくるというようなことも一つの方法としてあるわけでございますが、そういうようなことも考えておられるのかどうか、そういうことをお伺いいたします。
○岸国務大臣 現在のところ私は総理と外務大臣を兼ねていくことが私の考えから言うと適当であるという意味において兼任をいたしております。従来ややともすると外相と首相とが外交の問題について意見を異にするというふうな批評なり疑惑も持たれたことがございます。そういう直後でありますので、私はしばらく外相を兼ねてやることが適当であるという信念に立って兼ねておるわけであります。しかし私の内閣が続く限り、外相を必ず兼ねるのだということをここに申し上げるわけではございません。適当なときまで兼ねていくつもりでおります。それから経済外交及び文化外交ということは私非常に強調いたしております。特に日本の民主的な平和外交推進の上からいうと、日本の外交の非常に重要なものをこの経済外交と文化外交に置かなければならぬ、こういう考えから申したわけであります。それにつきましては、従来の外交官だけでは十分でない、従って外務省内に取りあえず経済及び文化に関する経験があり学識があるような人にお願いして、経済外交を推進していくのに必要な経済懇談会及び文化外交を推進していくのに必要な文化懇談会というようなものを委嘱しまして、これらの意見を十分に聞いて、そうしてこれを推進していきたいと考えております。
 事務次官補の問題につきましては、一般行政機構改革の問題の一つとして目下研究中でありまして、まだ結論は持っておりません。
○受田委員 時間が迫っておるようですから、私は質問の大半を省略して、一、二点だけお尋ね申し上げたいと思います。ただいまの岸さんの御答弁で、外務大臣をしばらく兼ねていかれるということであります。これは国家行政組織法の第五条のただし書きの中に認められておる規定ではございますが、しかし原則は、内閣総理大臣は各省の大臣を指揮監督せられる立場にあられるのでありますから、今その人材に事を欠くというわけでもないという意味からは、あなたの信念を十分体した外務大臣が当然得られていいと私は思うのでございますが、これについて、できるだけすみやかな機会にというお気持はないか、それが第一と、それから若き総理として内閣掌理の任につかれたのでありますが。昨日もごあいさつの通り、アメリカにおいでになりたいというお気持を持っておられる。これはアメリカだけを重点にする外交の印象を受けるので、あなたの提唱される経済外交の観点からいうならば、東南アジアそのほか中近東あるいはアフリカ等にもどんどん出かけていく、こういうような形のものを同時にお示しになる方が、あなたの公平な外交政策を示すものとして適当であると思うのでございますが、御見解いかがでございましょうか。
○岸国務大臣 専任外相問題につきましては、今制度としてはやはり専任を置くというのが私は建前だと思います。従って兼ねていくということは一つの例外であると思いますから、そういうものはなるべく早く正常な原則に返したらいいじゃないかという御議論ごもっともだと思います。私としては、適当な時期、こういうことを申し上げたのですが、できるだけ早くといって、何だかすぐやるような印象を与えてもなんですから、そういう制度の趣旨も十分頭に置いて、適当な時期に専任を作りたい、かように思っております。
 それからなお訪米の問題でありますが、これはたまたま新聞記者会見におきまして、新聞記者から訪米する意思があるかというような質問がありましたので、アメリカをたずねる意思は持っておるということを答えたわけであります。しかしそれより前に、外務大臣の外交演説において、自分は東南アジア諸国を国会後歴訪したいと申したことは、国会を通じて国民に公約をいたしておる事柄でありまして、私の意思はちっとも変っておりませんで、もちろんアメリカ一辺倒の考えでアメリカに行くというような意思を表明したわけではないのであります。先ほど石橋委員からも、何かどんどん飛んでいく外務大臣、空飛ぶ外相というようなお話しがありましたが、それはこのごろは飛行機が発達をしているので、私はできるだけ時間の許す限り、また歴訪する先の国の都合がつく限り出かけていって話をするということが、問題を解決する上からいっても、また両国の友好関係を増進する上からも必要である、幸いに御指摘のように、健康でありますから、やりたいという意思を申したわけであります。
○受田委員 どしどし非常な勢いをもって世界各国を歴訪されんとする御意思を表明された、頼もしい一点を伺ったわけでありますが、私その意味からも、総理がどんどん世界各国を歩き回られるということになると、また国務の渋滞を来たすおそれがある、従ってそこに専任外相をして適宜あなたの意思を代行せしめるところの機関が要ると思うのです。しかも内閣法の第九条には、もしあなたに事故があったときにあらかじめ指定する国務大臣が要ることになっている。第十条には、普通の国務大臣が欠けたときはあらかじめ指定ということはないので、それはその場合に臨時に職務を代行するということがあって、あらかじめということは第九条に、特に内閣総理大臣の場合に限って、臨時の内閣総理大臣の職務代行者が要るということがここに書いてあるのですから、あらかじめという言葉を特に強く考えるならば、第十条と比較して、当然あなたに事故が起る場合そういうように飛行機で飛ばれるといつ墜落するかわからない、そういう場合にあらかじめ指定する国務大臣がいなかったとしたならば、第九条にあらかじめがなかったら、その場合にだれがあなたの職務を代行されるか。御全快するまで代行者が要るということが起るわけですが、そういう場合の御用意はいかがですか。
○岸国務大臣 総理が事故あるときにこれを代行する者をあらかじめきめておくという今御指摘の九条は、俗に副総理と称しておるものであります。これを置くか置かないかという問題につきましては、石橋内閣におきましては一応当分置かない、そこで総理が病気になられまして、私が臨時代理となったことも御承知の通りでございます。必ずあらかじめ指定しておかなければならないものでもございませんが、しかし国務をそれがために渋滞させるということは絶対に――私がもしも飛んでいって落ちる落ちないにかかわらず、代行する者を置かなければならぬと思います。これらの問題につきましては、あらかじめそういう者を指定するかどうかということにつきましても、私としては今考慮中でございます。
○受田委員 いま一つ、大臣は純粋な外交官育ちでない、この点に一般が好感を持たれている向きもあるわけです。しかし外務省は、今回外務省設置法の一部改正案で見られてもわかる通り、大使、公使が合せて現在五十六名もおるという、認証官の数が驚くほど多いわけです。さらには伝統的な外務省の役人くさみがあって、外務省独得の山脈を作っているという批判が強くされているわけです。それにつきましても、これはこの法律に直接関係する問題でありまするから、お尋ね申し上げたいのでありまするが、大使、公使をたくさん作る基準というものが少し粗雑ではないか、先方が言うてきたから、こちらもそれになびくという工合に、公使でいいと思われるところを大使にしておるとか、あるいは大使で適当と思われるものが公使にされているとかいう矛盾があると私は思うのです。この大使館、公使館の一覧表をずっと拝見しましても、それを痛切に感ずるのでございますが、大公使設置の基準と、そしてあまりにも多数の大公使を外務省がたくさん独占しているというところに非常なセクト主義的なものが見られるので、大公使に民間人あるいは政治家その他適切なる人をどしどし採用して、民間外交を推進させるとか、あるいは従来のくさみある外交陣容を一掃するとかいう御決意があるかどうか、御答弁を願いたいと思います。
○岸国務大臣 大公使の数は今御指摘のように非常に多くあります。またそのうちでも特に大使を置けという希望が最近非常に強いのです。それは今の国際的の関係から申しますと、大使を交換し合うというのが、今の国際間の一種の風をなしておるように見えるのです。従って相手国から必ず大使を交換しようという強い希望が出るところが非常に多いのです。われわれの方としましては、わが国との関係が濃いかどうかということも標準にし、相手方の非常に強いそういう要望があり、またそのために友好関係を進め、その他の経済関係、文化関係を進める上からいうと、大使交換という向うの希望をやはり無視せずに置いてやった方がいいというところには、大使を置くというふうに考えておるのでありまして、必ず機械的な標準があるわけでもございません。いろいろ小さい国であっても、実際大使と公使と分れておりますと、そこと大使を交換している国の人は、大使としてそこの政府の首脳者やあるいは元首に会うことも非常に容易であるが、公使という資格を持っておるとなかなかその順位が来ないというような扱いも現在国際間にあるようであります。従っていろいろの点を考慮して大使というものの数が戦前に比して非常にふえております。従ってこれに任命すべき人も必ずしも私は外務省のキャリアを経ておる人だけに限るつもりはございません。広く人材を用いたいと思いますが、そうかといって今御指摘のように必ずしも私は――外務大臣が外務省のひいきをするわけではありませんけれども、世間で考えているように外務省が非常なセクト主義であるというような印象も、実は最近の外務省の状況はそうでなくなりつつある、なくなっておる。これは議員諸君もしばしば外国に行かれるようなことが多いので、在外公使館等の様子もよく御承知だと思いますが、そういう気風も漸次解消しつつあります。ただ政治家を用いたらいいじゃないかという、これも私は非常に賛成でありますが、政治家といっても国会に席を持っている人は、在外公館は常駐していなければならないので、それと相いれないものですから非常にむずかしいのです。ただかつて政治に関係があり、また政治の経験があった人も広く考えろという意味においては、民間から適任者を選ぶ場合において、私は必ずしも財界人とかあるいは言論人とか、あるいはかつて政治家であったかないかということはとらわれずに、適任者があればやはり大公使に任用して、私の言っている経済外交なりあるいは文化外交というものを、その国によって特に重点を置くところに力を入れてやっていくような人事をやりたい、こう思っております。
○受田委員 これで質問を終ります、御多忙ですから早くお帰り下さい。
 外務公務員法という法律がありますが、これは全く外務省の職員だけを別格官幣社のような存在たらしめる法律なんです。この法律の中に外務職員に関する規定が書いてある。その運用のところでただ一つ例外が認められている。それは「組織上の名称の外、公の便宜のために国際慣行に従い用いる公の名称として、参事官、一等書記官、二等書記官、三等書記官及び外交官補、総領事、領事」等の名称を用いることができることになっている。これは外交上の慣例、つまり対外折衝などする便宜上置かれたもので、例外規定なんです。それが外務省の省令の方でほとんど大っぴらに横行しているような危険もある。あわせて外務省の職員を採用する外交官、領事官試験の試験委員を見ますと、これはあなた方御承知の通り、最近における外交官、領事官試験委員は、一般知能から憲法、近世外交史、国際司法というような、おおむねこれは普通の大学の先生とかあるいは特に私立大学校の先生まで含めて、一般に広く人材を求めて学識経験を有する人から委員として選ぶべきであると思うにもかかわらず、ほとんど外務省の書記官であるとか、あるいは課長とかずらりと外務省一本やりです。ここに外務省の特別の山脈ができるんじゃないか。司法官の試験を見て下さい。私立大学の教授で適切な人もどんどん入っている。従って人材が広く採用されている。果せるかな合格者を見るとほとんど東大一本やり。あなたは今、最近そういうくさみはなくなった、なりつつあるというお言葉があったのですが、事実外務省には独特の空気がみなぎっているというのは、つい数日前にあなたの方の植原長老が御指摘された通りだと私も思うのです。この点外交官、領事官試験にずらりと外務省の役人だけを並べているこの片寄った考え方はどこに原因があるか。その結果あなた方の考えておられるような広い意味の外交政策推進ということが欠けて、外国語の達者な者や要領のいい者ばかりが外交をやっていくので、そこで外交がおそろしい反動外交に将来なっていって、また忌まわしい戦いに発展するおそれもあるという心配もなきにしもあらずと私は思うのです。そういう点について一つあなたの立場から御答弁願いたい。
○岸国務大臣 私の聞いておるところによると、この試験官の半数くらいは大学の教授が入っておるといっておりますが、ただ広く私立大学の教授もうんと網羅しておるというところまではいってないようであります。それも適任者があれば、公立と私立とを問わず、その方面の教授も入れたらいいと思います。決して外交官や領事官試験を外務省の役人だけで独占してやっているということじゃないと私は承知しておりますが、もしもそういうふうでなかったならば、それは相当数の一般大学の教授等も入れるべきものであると思いますので、改めますが、私の聞いておるところでは御心配のような点はないように聞いております。
○受田委員 これはどなたかおそばで何しておるのか知りませんが、最近の二十九年、三十年、三十一年の試験の委員を見ますと、わずかに三十一年に憲法で東北大の先生が一人で、三十年には憲法は条約三課長の佐藤さんがやっておる。あるいは三十年には全然他省の人もおらなければ大学の先生もおりません。全部外務省の役人が独占しておられる。二十九年には、経済学では外務省の経済局次長の永井さんがやっておられるというように、他の大学の先生がやられてもいいような専門的な科目まで、外務省の中からこれを引っぱってきておる。この私の論説に反駁できる資料があれば一つお示し願いたい。
○岸国務大臣 専門の方から答えさせます。
○受田委員 お急ぎでしょうから、私は大臣の御答弁が終ったあとでそれは聞くことにしますが、大臣あなたに一つぜひお考え願いたいことは、今後の委員会の運営に関することです。この委員会は防衛庁の所管もあるし、あるいは外交的ないろいろな問題もあるので、大臣は非常に熱心に出席なさるお方であると聞いておるし、しばしばおひまを見つけてここへ御足労いただいて、議員の質問に答えることのお約束ができるかどうかをお確かめして、大臣にお帰りを願いたいと思います。
○岸国務大臣 できるだけ私は勉強するつもりでおりますから、御要求があれば、それぞれの機関を通して、できるだけ出ます。
○飛鳥田委員 もう時間もないようですから一つだけ伺います。今度の外務省の設置法改正の中で、欧米局をアメリカ局と欧亜局にお分けになるようですが、今出ておりますのをいっそのこと、ヨーロッパと他には中近東とアフリカを一緒にした欧亜局という形でなしに、これを二つに分けてヨーロッパ局とAA局とでも申しますか、そういう局に分けてしまう方が御便利じゃないか、今後国連の中でどうしても日本はAAグループと相当緊密に、あるいはこれと一体をなして行動していかなければならない状況になると私は考えます。これはあなたの今までにいろいろお述べになりました所信の中にも現われております。もしそうだとすれば、ヨーロッパ局とAA局とアメリカ局、こういう三局にお分けになることの方が事態に即しており、しかも事務の点からいっても適切じゃないか、私はこういうふうに考えるのでありますが、いかがでしょうか。
○岸国務大臣 この機構の問題につきましては従来からの研究もありましたし、私自身も研究をいたしたのでありますが、現在欧米局とアジア局になっておるわけであります。やはりアジアの問題はアジアの問題として非常に重要で緊切なものがたくさんございます。それからアメリカ、これはアメリカで一つのものとしてまとまるが、ヨーロッパとアフリカ及び中近東の問題は、今お話になるような点もございます。と同時に、ヨーロッパとの関係も非常に密接でありまして、これを今分けることは適当でない、こう考えまして、現在のところではアメリカ局と欧亜局とアジア局、こういうことが適当であるという結論に達したわけであります。
○相川委員長 他に質疑もないようでありますので、これにて質疑は終了いたしました。
 本法律案についての討論採決は、次会にこれを行います。
 次会は明三月一日午前十時より開会することにし、本日はこれにて散会いたします。
   午後零時十二分散会